仕立師助手メール 27週間目

185日目
胃が夏の嵐にように荒れ狂っている。噴火する火山のように暴れて、私は生まれたての子犬のように弱まっている。インビルドがやって来た。助ける代わりに、彼女は叫んだ。「グリーンフッドを殺すなんて!大好きだったのに!」そして乱暴な足取りで去っていった。痛みが収まるミントティーを持って戻ってきてほしい。

186日目
ヴェスクは、今日はミントティーは飲めないようだ。インビルドは戻って来ず、ウラヴィン・ドーレスが現れた。たぶん彼女だったと思う。熱のせいの夢でなければ、彼女はニヤリと笑って、自分が毒を盛ったと言いに来たんだ。助かりたければ本の権利を放棄しろ、と言った。それともこの犯罪者に襲いかかるか?酔っ払ったウナギのように、意識が泳いでいく。

187日目
その次に覚えているのは、スニップスだ。胸の上に乗ってきて、そのまま長い話をした。マッドクラブにしては、言葉がはっきりしている。ブレトンの貴族のように話す。どうして今まで気づかなかったのかな。それに、歌声も素敵だった。古いブラック・マーシュの子守唄を歌ってくれたおかげで、すぐに眠れた。

188日目
悪い子のスキーヴァーが、腕を登ってくる!チーズ!チーズは紫の匂いがして、太陽の味がする!でも大丈夫だ。あなたの荷物はあなたが恋しい、送られたいと言っていた。荷物は同封してある。ホタル!

189日目
自分の中は空っぽで、色のついた光の束が目の前で踊っている。橋がゆっくりと足元で崩れていった時のグリーンフッドの気持ちが分かる気がするよ…

190日目
親愛なる雇い主殿、気分はだいぶ良くなった!奇妙な内容の手紙については、どうか許してほしい。ウラヴィンが胃痛用の薬に混ぜたもののせいで、いろんな幻覚を次々に見ていたようだ。ヒストの元に召される瞬間にどれほど近づいていたか分からないが、インソールドがいなかったらもっと事態は悪くなっていたことは確実だ。

191日目
インソールドが何を飲ませてくれたのかは分からないけれど、ほぼ元通りになったと思う。意識を失ったり戻したり、汗が熱くなったり冷たくなったりする間、彼女は一晩中一緒にいてくれた。ついに目を開けて彼女の姿を見た時、彼女は笑って「もう二度とこんなに心配させないで」と言った。

仕立師助手メール 26週間目

178日目
あなたに送るための最高の材料を求めて、偉大な町、ウィンドヘルムへまた来ている。ゴールドの節約のために、今回はもっとも安い宿、宿屋〈コールド・ムーン〉に滞在している。グリーンフッドの評判はこのノルドの集落にも届いているようで、慣れない注目を集めている。

179日目
コールドムーンの娘の1人、インビルドはとても親切だ。他の宿泊客より先に世話をしてくれる。時間があると一緒に座って、あらゆる質問をしてくる。「グリーンフッドとドーレスの奴隷商人」を半分読み終わったところで、心から楽しんでくれているようだ。でも、どうして彼女はここへ来る度に近くに座りたがるんだろう?

180日目
インビルドはアルゴニアンに魅力を感じているんだろう。自分が来るまでは、まばゆい尾の者という馬の調教師と親しかったらしいが、今は自分と一緒に過ごしている。乾き肌の共に過ごす習慣かと思ったけれど、インビルドの提案に混乱している。彼女の姉妹、インソールドなら説明してくれるだろうか?

181日目
乾き肌たちは理解しにくい。いや、ノルドだけかもしれないが。ただインソールドに、ノルドの共に過ごす習慣について聞いただけだ。そうすれば彼女の姉妹のインビルドの誘いにちゃんと対応できると思ったからだ。唯一分かったのは、そういった質問はノルドの女性をひどく怒らせる、ということだけだった。殴られたアゴが、まだ痛いな。荷物は同封してある。

182日目
親愛なる雇い主殿。インソールドは確かに怒ったけれど、相棒のマッドクラブ、スニップスをとても気に入ってくれた。スニップスも彼女の好意に気がついているはずだ。長くて青白いノルドの指を、愛をこめて切り落とそうとはしていないからね。

183日目
泥炭沼地の悪臭がウィンドヘルムに満ちてきた。ウラヴィン・ドーレスが現れたんだ!もし私に分別がなければ、尾行されていたと決め付けただろう。恐らく、彼女も単に仕事のためにこのにぎやかな街に来たんだろう。しかし、ドーレス家の金庫の中身を増やす以上に、何か卑怯なことを計画しているかもしれない。新しい荷物は同封してある。

184日目
ハグレイヴンのごときウラヴィン・ドーレスは、私の胃痛用の薬に何かしたに違いない。薬を飲んだのに仕事中の吐き気が収まらず、もっと気分が悪くなった。胆ビールに入ったグアルくらい気分が悪い。何とか我慢してみるが、本当に気分が悪い。それはそれとして、荷物は同封してある。

仕立師助手メール 25週間目

171日目
さあ、グリーンフッドの物語は完成した。本ももうすぐ出版される。奇妙な虚無感を感じているよ。執筆が終わったら、自由な時間に何をすればいいのかな?少なくとも、卵の兄弟たちは物語を楽しんだ。自分たちのヒーローが殺されたことに怒って、ひどく殴られた。すごく気に入ってくれた、ってことだ。

172日目
決心した。自分が選んだ仕事に改めて身を捧げて、全ての雇い主のためにこれまで以上に材料を集める努力をする。親愛なる雇い主殿、あなたは特別だから、この新しい決意で一番の恩恵を受けることを約束するよ。太陽が毎朝昇るように、安全で時期に合ったものをあなたに届けるよ。

173日目
スニップスが、今日すごくかわいいことをした。彼のハサミは私の最高のハサミよりもずっと切れ味が鋭い。巻いた布を細く切っていたら、その真似をし始めたんだ。記録的な早さで、2人で巻き布を細くした。もちろん、切る前に長さを測るように教えるのは、なかなかうまくいっていないけれど。

174日目
邪魔をしてごめんなさい。こちらはドーレス家のウラヴィン・ドーレスよ。またトカゲの日誌を拝借して、雇い主に連絡を取ろうとしたの。質問は一つよ。どうして憎しみに満ちた嘘とわずかな真実を本に書き、ドーレス家の名声を貶める助手を雇い続けているの?私は怒りに我を忘れそうだわ!

175日目
ウラヴィン・ドーレスが書いた手紙をまた受け取れるなんて、光栄だと思いなさい。あのトカゲの書いた、グリーンフッドとかいうプロパガンダはもう読んだ?汚いクワマーの唾液よ!トカゲが英雄なんてありえない!ドーレス家の描かれ方を読んだ?真っ赤な嘘よ!三大神への犯罪だわ!そしてあの悪役よ!私をモデルにするなんて!

176日目
ドーレス家のウラヴィンに残された道はひとつしかないわ。卑怯者のトカゲへの反論を書くしかないわ。あの本を徹底的に批判すれば、誰も読もうとは思わないわ。ヴェスクの悪い評判を、モロウウィンド中、いや、もっと広くに知らせてやる!そうだ、荷物は同封してあるわ。

177日目
親愛なる雇い主殿、本当に申し訳ない。ウラヴィンとかいう木のカビが、また仕事用の日記を盗んでいった。彼女が送った手紙がどんなものであれ、そこまでひどくないことを祈るよ。早く自分の顧客を見つけて、こっちのことは放っておいてほしいな。変わらぬ援助に感謝して、この材料を有効に使ってほしい。

仕立師助手メール 24週間目

164日目
これは現実なのか?あの感じの悪い卵の兄弟が気にかけるような作品を書けたということか?どう考えるべきか分からない。グリーンフッドが単なる一般的なヒーローなのか、それとも近代アルゴニアン文学の偶像なのか?それとも両方?ためらいの落ち葉とともに、頭が混乱している!でも、心配ない。荷物は同封してある。

165日目
卵の兄弟は書いた全てのページをむさぼり読み、グリーンフッドと彼の恋人、数多の愛を育む者が次に何をするのか、とても知りたがっている。この時点では、数多の愛を育む者は奴隷商人に囚われている。悪のドゥヴァリアン・ドーレスが死霊術の産物を送り、グリーンフッドを倒そうとしている。そして、モーンホールド全土が危ない!今書けているのはここまでだ…

166日目
ああ、失礼。このところ、深い混乱の荒れ狂った水が頭の中にあふれている。卵の兄弟たちはグリーンフッドの物語の残りをよこせと言うが、まだ書き終わっていない。要求の多い依頼人(もちろん、あなたのことじゃない)が、材料をもっと要求している。両方を完了させるだけの時間はないんだ。この哀れなアルゴニアンは、どうすればいい?

167日目
今日は、心の川が異常にゆっくり流れているよ、雇い主殿。ロウソクが燃え尽きるほど夜遅くまで執筆を進めた。読みたがっている卵の兄弟たちのために、数ページでも書くためだ。そして日の出とともに起きて、あなたのためにこの材料を集めた。有効に使ってほしい。人使いが荒いな、まったく。

168日目
読者の要望は果てしないな!兄弟からの続きの要求は、激しくなる一方だ!罠にかかった兎のような気分だ。自分の才能の犠牲者になった。ああ、何て皮肉なんだ!名声を求め、手に入れて、今は手に入れたのと同じくらい早く消えてほしいとヒストに祈っている。何て皮肉な運命だ!荷物は同封してある。

169日目
雇い主殿。考えがあるんだ。壮大な物語、「グリーンフッドとドーレスの奴隷商人」だが、恋人の数多の愛を育む者を助けるため、グリーンフッドに自分の命を犠牲にさせようと思っている。英雄的な終わり方で、ドラマに満ちていて感情を動かす。そして、私はきれいに自分が生み出した怪物と別れられる。

170日目
「私のために泣かないでくれ、数多の愛を育む者よ」と、橋が崩れ落ちる中グリーンフッドは語った。「これはモーンホールドを救うためにやったことだ。そして君をね。愛しい人よ」その時橋は崩れ落ち、荒々しい川の流れはグリーンフッドを数多の愛を育む者が伸ばした手から遠ざけて行った。彼はもういない。しかし、ドーレス家の奴隷商人は倒された。モーンホールドは生き延びるだろう。終わり。

仕立師助手メール 23週間目

157日目
親愛なる雇い主殿。前回の手紙についてお詫びしたい。自分の傷心や哀しみで、あなたを困らせる必要はなかった。プロとして恥ずかしい。でも、もし心配してくれているなら、大丈夫。スニップスはとてもいい相棒で、多彩なスープを作る者に会いたいと思うことは、ほとんどない。

158日目
「彼女はダークフッドの嵐のような瞳を見つめ、鱗の並ぶ唇にいたずらな笑顔を見せた。”そうよ、ヒーロー。私は大丈夫。”数多の愛を育む者は言った。”さあ、ダークエルフの奴隷商人を止めるのよ!”」雇い主殿、いつものようにこの刺激的な物語をより良くするための助言を待っているよ。荷物は同封してある。

159日目
失礼な敵へ。病気になればいいのに。あの愚かなヴェスクは書き物に夢中になっていて、カバンから仕事の日記を盗まれたことも気づいていない。恐ろしいマッドクラブが私の指を切り落とそうとしたけれど、ウラヴィン・ドーレスは、ふくらんだ甲殻類にやられるほどトロくないわ。この手紙でお知らせするわ…復讐するは我にあり!

160日目
失礼な敵へ。最近、山賊に攻撃されたでしょう?彼らは私の部下よ。そうよ、奇襲をかけさせたのよ!あれは始まりに過ぎないわ!ドーレス家は、復讐は一摘みのコショウとたっぷりのフリンを添えると最高においしいと信じている。たっぷりのフリンよ。ハハハハ!でも、荷物は同封しておいたわ。無駄に使いなさい!

161日目
親愛なる雇い主殿、邪魔が入って申し訳ない。どうやらあの鱗なしのダークエルフ、ウラヴィン・ドーレスがまた日記を奪って、不愉快な手紙を顧客に送ってしまったらしい。心からの謝罪をしたい。どうか許してほしい。こんなことはもう二度と起こさない。うるおいが保たれることを、我が雇い主殿!

162日目
卵の兄弟たちから訪問を受けた。行儀よくしてほしいが、今までと同じように厄介や面倒を引き起こすんだろうと思う。この仕事(仕立、そして材料の調達)を選んだこと、我が親愛なる相棒(最高のマッドクラブ、スニップス)のことを、彼らはまだからかってくる。さらに悪いことに、「グリーンフッド」の原稿を見られてしまった。最悪だよ。

163日目
意外なことに、卵の兄弟たちは執筆中の作品、「グリーンフッドとドーレスの奴隷商人」をからかってはこなかった。その代わりに、続きが気になるから最後まで完成させてくれ、と頼まれた。自分の仕事がこんなに興味を持たれたのは初めてだ。とても混乱している。