付呪師助手メール 7週間目

43日目
これら素材があなたの益ならんことを!私の行う付呪に対する我らの民の拒絶反応には、いつも驚く。確かに付呪にも魔法的要素は含まれるが、リッチの召喚や他生物のエキスの吸収のような冒涜とは比較にならない。付呪は数値化し、理解することができる。機会さえあれば、レッドガードも奇妙になりうるということだ。

44日目
栄えある雇い主殿、正気を失っていると噂の魔術師の住まいに足を踏み入れない理由はたくさんある。しかし踏み込むべき素晴らしい理由もまた一つある。それは魔術師達は付呪用素材の絶好の入手先であり、特に外出中となると尚更である。というわけで、この素材をぜひ有効に使ってもらいたい!

45日目
栄えある雇い主殿、私は東方の魔術に信頼を置いた事は一度も無かったが、ここまで悩まされたのは初めてだ。先日、私は正気を失った魔術師の住まいを訪れたが、その主が今度はこちらを訪れたのだ。エズダブは寝ていて何も見ていない。私の命もここまでかと思ったが、魔術師は何もせず、ただ私達の部屋に立ち、こちらを凝視していた。

46日目
栄えある雇い主殿、あなたへの素材集めの為に魔術師の住まいに侵入してから、もう暫く経つ。あれ以来夜になると、侵入方法は不明だが、例の魔術師が私の家に現れている。毎夜私のベッドの横に立ち、こちらを見ているのだ。エズダブは信じないが、どうやら彼は魔術師の姿が全く見えないようなのだ。

47日目
栄えある雇い主殿、今回の素材は憔悴の中ながら、なんとか送り出すことができた。覚えておられるかも知れないが、あのイカれた魔術師が今も私に付きまとっているのだ。毎夜寝室の横に立ち、何もせずにこちらをじっと見つめてくる。これほど恐ろしいと思った事は初めてだ。奴が何を求めているのか。奴の名さえ分からぬ。そして何より奴の存在を信じる者が、他に誰も居ない。ああ、レキの刀剣よ!

48日目
敬愛する雇い主殿、今回の積み荷はアブナブの兄弟である私、エズダブがお送りする。すべてが揃っているように念を押すためだ。アブナブは最近呆然自失であり、もう幾日も睡眠不足だ。彼はレキの刀剣に誓って「イカれた魔術師」が夜遅くに現れると言うのだが、私としては彼がまたスクゥーマ中毒になっていない事を願うばかりだ。

49日目
我が友よ、以前にお話しした、毎夜寝室に忍び込んでくるイカれた魔術師の事は覚えておられると思うが、エズダブの奴がようやくその姿を見たのだ。老人は部屋の角に座り、ずっとこちらを見ていた。そしてエズダブは彼に我々の持つ全素材を渡したのだ。すると老人はそのかばんを手にして、玄関から出ていった。以来、奴の姿は見ていない。いま思えば、私もそれを先に考えつくべきであった。