鍛冶師助手メール 12週間目

78日目
ベールのレディの質問はもっともね。こちらは許可もなく彼女の邸宅に侵入しているのだから。でも、先に出会った他の亡霊たちは、私が進むのを邪魔しなかったので、迷惑がられるとは思ってもみなかった。「失われたインダレンの財宝を探している」と答えた。亡霊の周囲の空気が激しく揺れ、ベールが後ろになびいて現れたのは…

79日目
ベールのレディのショールが開いて現れた亡霊の容貌は、言葉では言い表せないものだったわ。嘘じゃない。実際にやってみた。口からでる言葉はわけが分からず、書けた文字は解読不能のルーン文字並みだった。しかし、その光景に体の芯まで恐怖したことだけは確か。私は怒れる霊魂の前で子供のように、力なく立ちつくしたの。すると霊魂が近づいてきた。

80日目
私はインダレン邸の奥深くで、恐怖と、ベールのレディの霊的な力に捕らわれた。武器を取り出すことさえできないのは、霊魂に逆らう行為だから。「お前は破滅する運命だ」。彼女はうめき、北風が囁くような声が軒を抜けていったの。私は目を閉じた。プラッキーが村にいることが幸いだったわ。

81日目
何かが起こった。片目を開けると、ベールのレディのショールがひるがえり、彼女は静止していた。彼女と私の間には、兎が立っていた。確証はないけど、信者たちから救った兎だと思う。兎は亡霊とにらみ合って静止していたが、おかげで私を捕らえていた呪文が解けた。私は走った。

82日目
親愛なる後援者様。インダレン邸の失われた財宝は手に入らなかったわ。でも、貴重な教訓を得た。親切が人生を救ってくれることがあると。たとえどんなに兎ミートボールや、そういったものが美味しいとしても。あなたの材料は入っている。

83日目
またもや旅に出て、ブスンツェルの遺跡へ向かっているわ。ベールのレディに出会ったことで、ダンジョンと冒険に興味がなくなったと思ってるかもしれないけど、それは間違い。私はノルドよ!冒険こそが生き甲斐!それにハチミツ酒も。ノルドはハチミツ酒を愛している。

84日目
道沿いの即席の野営地に出くわした。急ごしらえのテントと商人の屋台が集まり、カーニバルやバザーの雰囲気を漂わせていたわ。祭りの雰囲気と、人々の純粋な興奮に惹き付けられ、ほどなくして、美味しそうなキャンディーのどれを味見しようか、醸造酒のどれを飲もうかと考えあぐねるようになった。