スキルブック

Skill Books

アザリードのレースAzarrid’s Race

「あそこ、廊下の奥!あれはサファイアか?」目を輝かせてロディッサーが聞いてきた。「あんなに大きいのは見たことがない。いくらで売れるかな?」

「売る?ハハッ!まずあれはサファイアじゃないし、売りもしない。私が実験で使うのよ。少し時間があれば、あれでどれだけの成果をあげられるか知らないでしょ!」パモルウェが返した。

するとノルドの方が怒鳴った。「何だと?お前の研究のためにあれを献上する気はないな。見ろ!俺の頭くらいの大きさがあるぞ!売れば王のような生活ができる!」

「頭にハチミツ酒が詰まった君には分からないだろうけど、私がそこから得られる新発見のほうが価値があるのよ!」

仲間たちの口論が激しさを増していく中、アザリードは古びた冷たい壁に寄りかかって傍観していた。彼は廊下の先に目をやると、面白いことに気付き笑みを浮かべた。革の防具で爪を磨きながら、最も効果的なタイミングを待った。「カジートは思う」ピリピリした静寂の中で彼は言った。「それを決める権利があるのは最も優れた冒険者であり、すなわち最初にその石を手に取った者であると」。そう言うと彼はノルドとアルトマーの横を走り抜けた。

仲間たちは一瞬だけ唖然とし、その後すかさず賞品を手に入れようと後を追った。夢中になるあまり、アザリードが徐々にスピードを落としていることに気付かなかった。パモルウェは自らのスピードを上げる呪文を唱え、ロディッサーはうなり声をあげながら斧を高く持ち上げ、一目散に光の方へと走った。

両者はアザリードを追い越し罵ったが、彼の笑みは消えなかった。たちまち廊下が真の姿を現し、隠れていた刃が前を行く2人に襲い掛かった。ロディッサーの鎧に刃が当たり彼を横に押しやった。それでも無傷の彼は笑い声をあげ、一方でアザリードはスピードを保ちつつも機敏に罠をかわした。パモルウェは2人のような運もスキルもなかった。刃の打撃に結界が崩壊した。必死で刃の手前で止まろうとしたが、ローブに足が絡まり頭から刃に突っ込んでしまった。

アザリードは後ろを振り返ることなく、なおも叫び続けるロディッサーの後ろをゆっくり走った。巨大な宝石はもう少しで手の届きそうなところまで迫っていた。勝利を確信したロディッサーが最後に罵りの言葉を発そうと振り返った瞬間、足元の石が崩れた。鉄の鎧でカンカンと音を鳴らしながら、彼は深い水たまりへと落ちていった。水の中にいた何かが音をたてて動き出すと、かすかに悲鳴が聞こえてきた。

勝者のカジートはひとっ跳びで宝石の前までたどり着き、その光に照らされた。そして手に取ると、振り返って罠だらけの廊下を改めて見渡した。「友よ、今日の最優秀冒険者はこのアザリードだったようだな」そう言う彼の背後で、刃を纏った装置が気づかれることなく、台から姿を現していた。

イーテラーの年代記 第1巻Chronicles of Ehtelar, Vol. 1

キャラバンはホロウ・ウェイストにたどり着いた。車輪はうなる砂漠の風の下できしんだ。

鎖と皮を着込んだ傭兵は、動かぬ日の下でうだるような暑さを呪った。

彼らがぶつぶつ罵るのを聞きながら、イーテラーは信頼するセンチネルのラハドに感謝した。屈強なレッドガードは、砂漠で培った実用性を備えていた。

「軽装になれ」彼は言った。「アリクルではゆるく編んだチュニックがいいだろう。たくさん着込めばたちまち、魚屋の鍋でゆでられるドゥルー・シュリンプより早くゆであがるぞ」

彼女は助言を聞き入れ、リネンと過酷な暑さの中でも身を涼しく保つ魔法の腕輪だけを身に着けていた。

荷馬車は車輪をゴロゴロいわせながら吹きさらしの峰の頂上に達すると、地響きを立てて停止した。

イーテラーは好奇心にかられて馬からおりた。隊の先頭へと進むと、急な停止に困惑する商人が直射日光を防ぐ日よけから顔を出した。

「友よ」ラハドは先頭を通り過ぎようとする彼女に言った。「多くの海岸に旅したことがあるだろう。教えてくれ。このような光景を見たことがあるか?」

話しながら彼は眼下にある谷への道のほうを示した。焼けた石と曲がりくねった小道の中に巨大なアラバスターの槍が、峰と峰の間全体を何マイルにもわたって砂から厚い芝の上に落ちた矢のように突き出していた。

「あれは何なの?」彼女は冷静さを取り戻して聞いた。

「聞きたいのはこっちだ」彼は言った。「いつもだったらこの道の先はどこまでも続く砂丘でしかない。いったいどれくらいの間埋まっていたんだろう」

イーテラーはこれが利益を生むと考え、一晩この場で野営することを主張した。正午の日差しから一時的に逃れて喜んでいた傭兵は、過酷な旅の中で休めることを大いに喜んだ。

夜になり、彼らは早暁まで大騒ぎしていた。周りの遺跡で何かあっても、騒々しくて気づきもしなかっただろう。

夜明けにはイーテラーとその相棒が、槍の間を進み入口を探していた。昼頃になり、ようやく入口を見つけた。

「ここだ!」ラハドは興奮を抑えきれないといった声で叫んだ。「入口はここだぞ!」

イーテラーは友が何かを見つけた方へと駆け出し、石の角を曲がった。だが彼女を迎えたのは、恐ろしい光景だった。

隙間から繰り出された槍に力なくぶらさがっていたのは、ラハドだった。彼の剣は鞘から抜かれ、近くの砂山に突きささっていた。

恐怖で口を開けたまま立ちすくむ彼女の前で、ラハドは放り出され、砂山で覆われた遺跡の入口から鱗で覆われた大きな頭が出てきた。その生物はすばやく動いてラハドをかたわらに放り、武器の血を拭い始めた。

イーテラーは信じられず頭を振った。大声を出そうとしたが、言葉を発すると同時にその生物に殺されるだろうと思った。ゆっくりと、注意深く、彼女は後ずさりしはじめた。うまく逃れられると思われたが、3歩目が地面についた瞬間その生物が振りかえった。

素早く矛先をかわしたものの、イーテラーは突然はじまった大音量の音楽で何も聞こえなくなった。耳をかばって手でふさいだが、敵の攻撃に彼女はつまづいた。

敵は肋骨が倍になるほど肺いっぱいに息を吸い込みながら身をもたげ、複数のトーンが加わりコーラスになった。キーキーいうハーモニーが砂の中に鳴り響き、遺跡からばらばらと砂が落ちた。敵が動くと彼女の下にあった石が崩れ落ち、彼女は敵の前に投げ出された。

彼女には、柄頭まで砂に埋まったラハドの剣を手に取るのが精いっぱいだった。攻撃が可能な距離から、彼女は悪鬼の黒ずんだ口に剣をいきなり突きたてた。鋼が頭蓋骨に達すると、その声は小さくなりはじめた。

その瞬間、敵は単純な真実に気がついた。もはや血肉を求めてはいなかった。もはやまったく、何も欲してはいなかった。「なんとすばらしい!」地に倒れこむときに思った。その爬虫類はできることなら笑っていただろう。

ラミアが崩れ落ちると、そのフックのついた槍がイーテラーをとらえた。冷たい鋼を感じ、彼女はバランスを崩した。一瞬態勢を整えられるかに見えたが、彼女が立っていた石が突然崩れた。

暗闇に落ちた彼女は砂の雲の中で浮かんでいた。凹凸のある石や槍のような石が下から見上げていた。

まぶしい砂漠の空が見えなくなったのに、きらきらする光に囲まれていることに気づいた。きらめく星が一面にあったが、地下に星があるはずがない。それはアイレイドの輝くクリスタルだった。

落ちた時間は数日経ったかのように感じられた。彼女の側にあるのは、暗闇にまたたく光だけだった。「この小さな星を少しでもつかめたらいいのに」手を伸ばしながら彼女は思った。「この星のように、空気のように軽くなるかもしれない、そしてこの世界から出るの」。

下のほうではささやき声がさらさらそよぐ風のような音になった。下を見ると、地面はもうそこだった。暗闇が近づいていた。

ウーンディングとトゥムルトWuunding and Tumult

ヴォッセル・ベサラスによる記録

以下はノルドの英雄ウーンディングと、その槌であるトゥムルトについての2つの物語である。どの街に行っても彼について異なる伝説があり、どのノルドに聞いても全て真実だと誓われる。こういった誇張された英雄への彼らの関心はある意味魅力的で、紙に保存されているところを見たことがないので、気晴らしにいくつかの物語を書いていくこととする。

ウーンディングと山

強大なるウーンディングは、とても強いトロール王の噂を聞きつけ、戦うために高い山々に入ろうとしていた。傾斜が厳しく雪が深かったため、進むのがだんだん難しくなってきた。ついに彼は悪戦苦闘しながら掘り進むことにうんざりした。雪を払うよう大声で山に要求したが、山は頑固で聞く耳を持たない。

いら立った彼は、石から雪を払いのけ、トゥムルトを使ってその石を全力で叩いた。山は痛みでゴロゴロ鳴り、覆っていた雪が全て谷まで流れ、彼は通ることができた。山々は今でもその痛みを覚えているので、山に向かって叫ぶときは注意をしたほうが良い。誰もが雪崩に耐えられるわけではないから。

マーチの雪解け

その昔、偉大なる氷のデイドラがイーストマーチに根付き、ノルドを惨殺し、魔力を使って終わりなき猛吹雪を発生させた。ウーンディングは他のノルド同様デイドラを嫌い、かの地を自由にして所有者に帰そうと考えた。吹雪の中心部に向かったが、体が凍り始めたのでやむを得ず引き返した。

吹雪の端を彷徨いながら、彼はカイネに祈り助けを求めた。その後まもなく、老婆の住む小屋を見つけた。老婆は彼を招き入れ、話を聞くと、小さなフラスコ瓶を差し出した。「これでデイドラまでたどり着けるだろう」老婆は言った。「だが一度に飲みすぎないように」。その蜂蜜酒は飲んだことがないほど甘く、腹の中で燃えたので、彼はすぐに出発し、魔法の吹雪に影響されずに進むことができた。

ついにデイドラを見つけると、彼らは大地を駆け巡りながら戦った。その冷たい魔法は今までに戦ってきた者たちとはまるで違い、力が失われていくのが分かった。老婆の忠告を無視して、彼はフラスコの中身を全て飲み切った。彼は燃え上がり、トゥムルトも炎を纏った。一撃ごとにデイドラはどんどん融けてゆき、湯気を発する水たまりを残した。最後には、臭い水たまりだけを残してデイドラは完全に消え去り、ウーンディングとトゥムルトは炎に飲み込まれた。水たまりは今も残り、ウーンディングの勇気を思い出させてくれる。

ウォーデンとは何者か?Who are the Wardens?

タネスのレディ・シンナバー 著

エリンヒルのファラスタスによるもっともらしいエッセイ「血の物語:タムリエルを奪う紡ぎ手」において、彼は特有の夢想的なスタイルで、荒野のウォーデンが紡ぎ手と呼ばれるウッドエルフ司祭の軍事部門であると主張している。この主張は適切な学問的素養が欠如しているか、単に大衆受けを狙って論争を巻き起こそうと狙ったものだとしか思われない。

私自身が綿密に行った調査によれば、確かに紡ぎ手とウォーデンの間には共通する部分がある。ウッドエルフ司祭のように、これらのガーディアンは歌と森の神、イフレ神と密接な関係があるようだ。

しかし、私の説によれば共通するのはここまでだ。私の高名なる著作「グレンモリル・ウィルド」で行ったように、こうした戦士に付きまとう神話と誤解を正そうと思う。

まず第一に、紡ぎ手は軍事的でもなく、暴力を好まない。彼らとヴァレンウッドのために他者を戦わせることを好み、ボズマーの社会で顧問、学者、司祭の役割を果たす。一方、ウォーデンは自然を守るために血を流すことをいとわない。そして、イフレの領域に害をなそうとする個人、ギャング、拠点全体へと攻撃を加えたとの報告が数多くある。

また、ウォーデンの力と紡ぎ手の力には大きな違いがある。ボズマーの司祭が過去、現在、未来からの物語で聴衆を魅了するのに対し、ウォーデンは周囲の自然環境から力を得て、現実を形作っている。我が同僚ファラスタスでも分かるように素人臭い言葉を使うとするなら、紡ぎ手が幻惑魔法を使うのに対し、ウォーデンの能力は伝統的な呼び方で言えば変性や召喚と呼ばれる。

紡ぎ手はボズマー文化の中心として独特の司祭的な立場にいるが、研究した限りウォーデンを代表する個人や組織は存在しない。実際のところ、彼らは単独か二人組で旅をしていて、どんな後援も受けていないようだ。彼らが所属する組織と言えば現地の戦士ギルドや魔術師ギルドでしかない。ほとんど記録が残っていない例として、闇の一党に入った事例が一見記録されている程度だ。

イフレとの関係に基づき、ウォーデンの多くはウッドエルフだろうか?そうとも言えないようだ。紡ぎ手は全員がボズマーであるのに対して、ウォーデンはタムリエルの自然を守る者であれば人間、エルフ、獣のあらゆる種族を受け入れる。実際のところ、私はハイロックの北端とエルスウェア南の森でウォーデンに出会った。ハンマーフェルで同胞のウォーデンに会ったことさえある。

そして、グリーンパクトはどうだろうか?ウォーデンは古代ウッドエルフの伝統に従っているか?ウッドエルフのウォーデンはもちろん例外だが、他の場合は従っていないようだ。私が知る限り、ほとんどのウォーデンは生き延びるために自然の恵みを最大限に活用する。植物であろうと、動物であろうと変わりはない。

最後に、紡ぎ手はほとんどヴァレンウッドでしか見られない。古代の森の守りから離れることはほとんどない。一方ウォーデンはタムリエル全土に存在する。最新の報告では、ヴァーデンフェル島にも存在するようだ。

上記がタムリエルのウォーデンに関する初期調査の結果である。彼らは紡ぎ手と同様に独特で神秘的なグループだが、明らかに異なっている。より学術的な調査が必要なことは明らかだが、より詳細に研究すれば、他のエリンヒルのファラスタスが申し立てた主張は(いつものように)誤りだと分かるだろう。

ウルフメアのより良い泥棒ガイドWulfmare’s Guide to Better Thieving

ウルフメア・シャドウ・クローク 著

スリとして成功したい?常に他人を出し抜き、犯罪者として生きてポケットをゴールドドレイクでいっぱいにしたい?裕福な商人に強盗を働き、地方の店主から金を巻き上げたりするのはさぞ魅力的に感じることだろう。だが、ちょっとした助言をしよう——やめておいた方がいい。私が現役の時、優秀な盗賊で必要な資質を持っている奴は何人もいたが、結局獄中で死んでいった。

しかし、私と同じ様に、きみは助言を聞かないタイプの人間かもしれない。何でも好きなことをして、誰にも口出しさせない。危険がはらむオブリビオンにも行ってしまう——大事なのは金だけ。身に覚えはあるだろうか?もしそうなら、この本でケチくさい盗賊と犯罪の達人との違いを学ぶといい。

きみが何を考えているか想像はつく。ウルフメアとは誰だ?より良い盗賊になる方法を教えるなんて何様のつもりだ?どうやって専門家になったんだ?答えは簡単だ。アーチキャノンのダイヤの指輪がなくなったという、モーンホールドで起こった強奪について聞いたことはあるか?もしくは白金の塔から星霜の書がなくなった話は耳にしただろうか?そう…あれは私の仕業だ。きみが想像できるような仕事は大体やってみた。その証拠にお金もある。元盗賊が他に自分の本を出版する方法なんてあるはずもない。

興味を持ってもらったところで、スリとして成功するために磨くべき2つの基本的な技術から教えよう。鍵開けとスリだ。呆れてこの本を放り出してしまう前に言っておくが、基本を無視すると簡単に捕まってしまう。しかし、もしこれらを極めれば、お金の中を泳げるようになることを約束しよう。

スリは覚えるのが最も簡単な技術だが、駆け出しの盗賊が失敗する場面は驚くほどよく見てきた。ここで言いたいのは2つ。1つ目は周囲の状況を知ること、そして2つ目は方法を知ることだ。魚釣りにおいて、いつどこで釣るかが重要であるのと同じように、スリも誰を狙うのかが大切だ。しばらく後をつけてみろ。焦る必要はない。そして、相手が1人になり、衛兵に声が届かない所まで行くのを待て。だが最も重要なのは、時には標的を諦めることだ。すぐに捕まってしまったら、危険を冒す価値はない。ポケットをいっぱいにしている他の標的はいつだってそこら中にいる。接近する以上は、相手の視界から完全に外れるまで体勢に入るな。背後で近い距離が望ましい。何を盗むか決めるのに時間をかけ過ぎるのも禁物だ。優秀な盗賊は値打ちがある物を見定めて盗み出すまで5秒とかからない。最後に、夜に任務を遂行すれば捕まる確率が激減する。もし昼間にやるしかなければ、公の場では絶対に行わないことだ。

鍵開けは習得に数年かかる技だ。覚えておくべき重要なことは、同じものは2つとしてなく、それぞれ性質がまったく違うということだ。常に冷静になり、忍耐強さを覚えれば、思っていたよりも破るのは容易いと分かるだろう。また良い道具を使用することも重要だ。ポケットに必ずたくさんしまっておくように。焦らずじっくり取り組んで、道具は軽いタッチで扱え。タンブラーが正しい場所に収まる時、ピックがかすかに震えるのを感じるはずだ。それはスイートスポットが近いことを意味する。そこでペースを落として、今までよりも優しくピックを動かす。やみくもに鍵をつつけば、大量のピックとプライドがへし折られて終わるだけだ。ちなみに鍵が開かず、どうにもならなくなったら最終手段として、叩き壊すという選択肢もある。ただし、これはごくまれにしか成功せず、大きな音がしてしまうことを心に留めておく必要がある。

この技術さえ使えば、盗賊として成功すると言っているわけではない。信用できる保証書だと思ってもらえればいい。必要なのは少しの我慢とたくさんの練習であり、そうすればウルフメアのように成功できるだろう。

次の巻では大切な技術——隠密行動について言及する。扱い方を知っていれば、影が剣に匹敵するほど強力な武器になることを証明しよう。

オシュグラの破壊の日記Oshgura’s Destruction Journal

南中の月4日

他の生徒は全員、すでにファイアボールの魔法をかけている。けれど私は簡単な雷撃すらうまくできない!母さんは正しかった。オークは魔法に向いていないのだ。もし私が恥をかいても構わないと思えるなら、今すぐ荷物をまとめて故郷に帰るだろう。私は一生鉱山で働くのがお似合いなのだ。他の見習いたちは絶えず私を笑っている。今までで最悪の考えが浮かぶ。オークはソーサラーになれるはずがない!

南中の月8日

マスター・ダンテーンがここに残るように私を説得した。読むべき本を教えてくれ、知識とは霊感のようなものなのだと言った。本を読むことが役に立つのか分からない。でもマスターは信じなさいと言った。教えてもらった本はすごく難しい。「感情的マジカ応答の理論」や「意志的干渉の要因」といった事柄についての本だ。1つは「ガズギク」の伝記だ。彼の名前は聞いたことがないけど、たぶん彼はオークのソーサラーだと思う。「鈍いオークに魔法を教える方法」なんてどうかな?そんなものがあれば私が読むのに。

収穫の月15日

やった!今日は、あの思い上がったブレトンの女生徒の髪の毛を燃やしてやった。それに小さな稲妻の魔法もできた。標的に当てることもでいた!信じられない。この本はまさに私に必要なものだった。すごく難しく見えたけど、結局自分の頭を整理し、神経質にならないようにするということだった。それにガズギク!彼も私と同じだったと分かった。彼は何年間も魔法をかけられなかった。でもやがて村1つを破壊できたのだ!それって最高だ!

カンティヨンの書簡Cantillon’s Correspondence

(編者 注記:この手紙はマルゴー・カンティヨンの書簡のうち、発見された中で最も古いものの1つである。彼女が回復術に与えた影響と、この上ない哀れみの心は長く人々の心に記憶されるだろう。そしてこの手紙から、彼女がまだ若い治療師であった頃から、いかに芯の強い人物であったかをうかがい知ることができる)

修行者バシャンドへ

昨日あなたからの贈り物を受け取りました。そしてとてもびっくりしました。あなたが気前がいい方だというのは明白です。こんな凝った細工物は見たことがありません。金と銀のマーラのシンボルにはめ込まれた真珠の美しいこと。そして先端の金属に彫られた私の肖像は…実物よりずっときれいです。

この贈り物を受け取ることができないのは本当に残念です。心からそう思っています。贈り物に込められたあなたのお気持ちに感謝しています。ただ、これを身に付けて病棟で看護をするわけにはいきません。私たちは最近さまざまな魔法界サークルを訪れています。あなたのいる社会では、このような素晴らしいものを堂々と身につけられるのでしょう。でも私は恵まれない人々の看護に身を捧げています。私の仕事場で、こんな高価なものを身につけるのは場違いでしょう。

あなたは私の研究について質問しましたね。私の教官は、私は共感力が強いのだと言います。他人の苦しみに対して憤りを感じることが、私の回復魔法に効果を与えているのです。この崇高な仕事に対してこのような能力があるのは身に余る光栄なことです。見習い期間に、治癒にもっと重点をおいて学ぶようになればいいのですが。破壊に重点をおくのは、私には的外れな気がします。

おそらく、ウェイレストでの次のギルドシンポジウムでまたお会いするでしょう。

マーラの恵みがありますように

マルゴー・カンティヨン

グリフと付呪Glyphs and Enchantment

光る谷のサネッサルモ 著

誰もがその作り方は知っている。必要なのは3種類のルーンストーン。効力ルーン、品質ルーン、本質ルーンが1つずつ必要だ。かつて実験として、喉力の腎ストーンと品湿の腎ストーン、それと奔嫉の腎ストーンでやってみたけど、うまくいかなかった!

でも、そのことは秘密だ。私の秘密は漏らさないように!絶対にダメだ。秘密について考えることすらいけない。もしそんなことが起こったら…実験だ!実験の話に戻ろう!これまで様々なグリフをたくさん作ってきた。もちろん、その中には傑作と呼べるものもある。例えばマジカを増加させるグリフ(指輪が魅力的!)や火炎や氷結などのダメージを与える武器を作るグリフなどだ。出来があまり良くないグリフもある。例えば「吟遊詩人への豚脂」のグリフなどだ。このグリフは台所のすべてのショートニングにノルドの酒宴の歌を大声で歌わせる効果がある(私がすべてのパンケーキを作るのは、こういう訳だ)。

だからこそ、いろいろなルーンストーンを組み合わせて、どんなグリフができるかを試す時には、何を学んだかを忘れないよう必ず結果を書き留めること(悪影響を及ぼすルーンのときには特にだ。同じ間違いは繰り返したくないだろう。それに優秀な見習いとはなかなか出会えないからな)。明白な理由から(明白!明らかに!)、生きている生き物の皮に実験結果の入れ墨をするのが好きだ。これに関しては、デイドラはマズい選択だ。オブリビオンに戻ってしまったら終わりだからな。哺乳類も問題がある。毛むくじゃらだから、入れ墨をする前に毛を剃らなくてはならない。それに実のところ、ヒグマは手を剃られるのがちっとも好きではなかった。虫が一番いいというのは、そういう理由からだ。

グリンティング・タロンズGlinting Talons

アブラハー・アトタヌル 著

ラ・ガーダが最初にオークを追い返した時、一部の戦士が実践した戦闘スタイルはあまりに恐ろしく攻撃的で、敵は呆然と立ち尽くし、攻撃されていると気づく間もなく切り倒されていたという。彼ら猛者たちはターヴァとダイアグナを崇拝し、剣に鷹の羽を彫り込んでいた。彼らの剣の歌は鷹の視力、正確さ、鋭い爪に影響を受けていて、太陽や光に関する記載もいくつかある。残念ながら彼らの遺物として今も残るのは、私が砂漠の奥深くで見つけつなぎ合わせた板や記念品以外にない。

グリンティング・タロンズと呼ばれたこの戦士たちは、両手に剣を持っていたことが明らかになっている。そう記されているのは、ヨクダからやって来た時代の彼らの活躍の記録だ。圧倒的な数的不利の中、オークの戦闘部隊を退けたこと、奇襲で要塞を奪ったことなど、たくさんの英雄的な話が書かれている。だが、その戦闘スタイルに関してはあまり知られていない。六手の戦いの跡地で見つけた剣技についての記述は、以下の部分的なものだけだ。

「太陽の方を向き、その重荷を顔で受け止めよ。終わりなき2本の刃に従え。
朝にこれらの攻撃を極めよ。光を切り裂き敵を闇に葬れ」

「2つの刃が4つになる」

「ライオンの牙が雷にさらされる」

「5本の矢が空を割る」

「無力な獲物を襲撃する叫び」

「夕方にこれらの攻撃を極めよ。敵を追いかけその肉を焼け」

これ以外に剣技についての記述や解説を見つけることができず、これほど貴重な知識が永遠に忘れられてしまったことに胸が痛くなる。できることならこの技を再興することが私の何よりの望みだが、手掛かりが少なすぎる。この謎に駆り立てられ、私は今後も旅を続ける。ターヴァの恵みを受けてさらなる発見へと導かれ、失われた知識を取り戻せる可能性を信じながら。

サイクハラルの剣の知恵Sword-Wisdom of Saikhalar

それは朝の訓練を終え、サイクハラルが上機嫌でいた日だった。生徒達が演習で見事な成績を残して、その成長に感心したのが理由だ。とてもフェアな精神の持ち主だったから、褒美として環になって座り彼の知恵を得られるように生徒達を招待してくれた。たくさんの質問があった若者達は一斉に大声を上げて話したが、彼は静かにさせて一人ずつ前に呼んだ。

ある物が聞いた。「師範、武器には非常に多くの形態があるのに、なぜ私達は剣だけを訓練するのですか?」

師範は答えた。「剣は我々の心だ。強大なオンシは古代の民に刀身を伸ばす方法を示し、それ以来祝福された美徳が勝利の中にあることを知っている。それのみに集中すれば、どのような武器にも勝つだろう。短剣より遠くに達し、重槌の打撃の下から繰り出され、敵の矢をそらす。剣の道から外れれば混乱するだけで、熟練への道は足元に消えるだろう」

次の者が聞いた。「師範、私達はなぜ同じ演習を毎日しなければならないのですか?」

師範は答えた。「お前は蜃気楼へ走る喉の乾いたジャッカルのようにまだ考えている。ジャッカルは砂に倒れるが、走り去った岩を調べさえすれば隠れた小川を見つけられたのだ!目の前の作業に集中すれば、熟練度は上がる。明日やるかも知れないことを考えるのではなく、与えられた任務を仕上げることだけを考えろ。そうすれば武器と共に成長するだろう」

そうして彼らは聞き続け、師範は若者達と長年の知恵を共有した。多くの質問がされた後、彼はある生徒が落ち着かないで、もぞもぞしていることに気が付いた。注意散漫に苛立って聞いた。「君、質問は?」

腹を低音でゴロゴロ鳴らせながら、男の子はおどおどして頭を上げた。「師範、お昼の時間じゃないですか?」

サイクハラルは珍しく陽気な笑い声を発した。「それなら急いでキッチンに行け!私の知恵は偉大かも知れないが、すきっ腹は満たせない!」

ジョルニブレットの最後の踊りJornibret’s Last Dance

(民謡)

女たちの歌 I:
毎年 冬が来て
戦争が1つ2つ始まりそうな理由が
特になければ
(争いごとは本当に厄介なもの)
女王リンメンとその旦那
家来を集めて陽気な騒ぎ
舞踏会があると聞けば
いの一番に駆けつけるのは
ゲイルのオギン・ジョルニブレット卿
あらゆる美しき乙女にとっての災い

女たちのリフレイン:
ああ可愛い女たち
気をつけて
ひときわ可愛い女性は特にご用心
ジョルニブレットは美男子だけど
あのきれいな手を思い切って握ってしまったら
ひどい魔法をかけられて
初めてのダンスがそのまま最後のダンスになってしまう

男たちの歌 I:
あの社交行事に
出かけた者たちは皆
お辞儀もできれば姿勢も良くて
どんなダンスのステップも知っていた
女王リンメンとその旦那
命じて吹かせるトランペットの大音響
すると誰もためらうことなく
お祭り騒ぎの始まり
お嬢さん方 初めてダンスを踊るなら
ジョルニブレットみたいな男には近づかないで

男たちのリフレイン:
ああ仲間たちよ 説明してやってくれ
兄弟よ 分かりやすく教えてやってくれ
あの男はずっと前からあんなことをしていて
最後の曲が演奏される前に
美しき乙女は涙を流し
初めてのダンスがそのまま最後のダンスになってしまう

女たちの歌 II:
ゲイルのオギン・ジョルニブレット卿は
国で最も美しい女たちが
舞い踊る姿を見ていた
熊皮の兜をかぶった男が来て訊ねる
「女王リンメンとその旦那
気晴らしのために開いた大宴会
お好みはどの麗人?」
ジョルニブレット卿が指さしていわく
「彼女だ あの胸の揺れと編んだ髪を見たまえ
僕が愛して別れるにはうってつけじゃないか」

女たちのリフレイン

男たちの歌 II:
熊の仮面の男は
女たちのダンスが終わる前に
ゲイルの領主のそばから離れた
そしてトランペットが鳴り響き
女王リンメンとその旦那
女たちを誘うように男たちに求めた
尊大な態度で他の女たちの前を通り過ぎて
オギンが近づいていったのは胸が揺れていたあの女
しかし彼女も無視され その悩み多き命は救われた
新たに選ばれた乙女は雪のように清らかだった

男たちのリフレイン

女たちの歌 III:
楽団の演奏が流れるやいなや
美しい乙女はオギンの手を握り
彼の立派な馬車を誉め称えながら
女王リンメンとその旦那の
婚礼のために作られた曲に合わせて踊った
凝った飾りの皮鎧を身にまとって
倒れたりよろめいたりすることなく
優雅に振る舞いながら
継ぎ目の金具がきしむ音もさせずに
甘い夢のように軽やかに踊るのは本当に難しいもの

女たちのリフレイン

男たちの歌 III:
リズムは速くなり 遅くなり
男性らしい優美さと拍子の取り方にかけて
彼を上回る者は一人もなく
領主ジョルニブレットは
女王リンメンとその旦那にまで称賛されることになった
美しい船が港に入ってくるように
皮の重さをまったく感じさせることなく彼は滑らかに動いた
乙女らしい口調で彼女はささやいた「もう遅い時間だわ
それにしても皮鎧を着てこんなにも優雅でいられる人は見たことがない」
かわいそうな話だが そんな彼女を彼は傷つけなければならなかった

男たちのリフレイン

女たちの歌 IV:
すさまじい勢いで曲が演奏されるうちに
彼は気になり始めた
この乙女は今まで一体どこに身を隠していたのだろう
「女王リンメンとその旦那の求めに応じて
このダンスを踊る前
僕は君の姿を女性陣の中に見かけなかった」
「舞踏会に到着した時にドレスが破けてしまったのよ」
彼女は微笑みながら 男のように深い声で言った
「召使たちが急いで直してくれたけど
その間 私は革の鎧と熊の兜をかぶっていたの」

女たちのリフレイン

ジル・ゴの呪文Xil-Go’s Spell

アドジ・カーツ 著

我々のスリザリング・イーブスの集落は一時期好調だった。緑が広がっていて、太陽と木々に守られた安息の地だった。沼地の奥深くでよそ者が訪れることもなく、モロウウィンドのドーレス家から奴隷商人が来る心配もなかった。奴隷商人の襲撃は他のサクスリールにのみ降りかかることだと思っていた。万一襲ってきたとしても、我らの哨戒兵は勘が鋭く矢が速かった。エルフが我々の本拠地に泳いでやってくるなどという想像は、彼らの間では笑い話だった。

ドーレス家の欲深さとずる賢さを甘く見ていた。奴らは夜の最も暗い時間に、いまいましいエルフの魔法で見張りから姿を隠しながらやってきた。黒檀の鎧を纏いながらも埃のように軽い足取りで、静かに水の上を歩いてきた。我らは火矢で攻撃され混乱状態に陥り、村人たちはダンマーの魔法で意識を奪われ、炎の中を連れ去られていった。追いかけようとしたが、多くの戦士たちが重量の魔法にやられ、泥に足を引きずり込まれてしまった。

朝日が昇る中、エルフの襲撃に負傷し疲れ切った我々は、どうすべきか議論した。逃げようという声があがったが、それらをかき消すほどの声をあげたのがジル・ゴだった。「いいえ!あんな乾いた肌の略奪者たちに私たちの村と仲間を奪われてはならない。断じて。私に1日だけくれたら、奴らを永遠に退けてみせるわ」。我々は村を守りたいという気持ちが強く、ジル・ゴは魔法や奇妙なことに詳しかったので、その要望を受け入れることにした。

彼女はその日ずっと、何も食べずに小屋にこもった。日が沈みだすと、村人たちは落ち着きをなくし始めた。すると彼女は出てきた。「どうすればいいか分かったわ。少しでも魔法が使える者は、私と来て。弓が使える者は、矢と私の作った毒で武装しておいて。奴らが戻ってきたら、あなたたちに守ってもらわないといけない」

村人たちは待機した。次の襲撃が来たとき、準備は万端だった。今回も簡単にやれると思われたのか、奴らは前回と全く同じように無音で水を歩いてきた。予想だにしていなかった結界が爆発して眩い光を放ち、それを合図に射手が矢を放ち、ジル・ゴたちが魔法を唱え始めた。だが奴隷商人たちは完全武装の恐ろしい部隊だ。すぐに体制を立て直し突っ込んできた。

するとそれは始まった。彼らが不安そうな表情になる中、魔法が発効したのだ。直後、どんどん熱くなる鎧が皮膚を焼く音とともに、苦痛の悲鳴が聞こえてきた。エルフたちは身を守ろうと必死で鎧を剥がそうとするか、自らの魔法で冷却しようとしたが、時すでに遅かった。我らの戦士たちが侵入者を捕らえ、1人も逃がさなかった。

このことが敵の耳に入ればと思い、勝ち戦を広く伝えた。今でも、奴隷商人は襲撃の際に重い鎧を着たがらないという。たとえ弓矢に狙われやすくなろうとも、軽い鎧を着る者が多いそうだ。それはそれで、我々には好都合だ。

ステルスの哲学The Philosophy of Stealth

ホーリンズ・スタンドの赤きコブラ 著

当たり前に聞こえるかもしれないが、実際に透明化するということは人の眼に映らないことだ。人の眼に映らないとはどういう意味か?逆にこう問いかけたい。人の眼に映るとはどういう意味か?

人の眼に映る、ということは人の目に見える物体が、それを見る者の何らかの注意を引くということだ。多くの場合、人は目標の物体に注意を向けており、20のうち19の物体については実際には見ておらず、視線が物体の上を素通りするだけなのだ。対象物以外の物は、単に見る者を取り囲む、当たり前の背景の一部にすぎないからだ。

人の目に映らない存在になるためには、その当たり前の背景に溶け込む必要がある。個としての特徴を捨て去り、完全に周囲の一部になるのだ。そうすれば、昼間の真っ白な塩田の中ですら、影の衣をまとうことが可能になる。

ステンダールの戒律Precepts of Stendarr

ステンダールの篤信者、輝きのプトラス 著

ステンダールの慈悲深い御手の中に、すべての民が迎え入れられる。安らぎと保護に値するタムリエルのすべての民に、聖堂の扉は開かれている。病にかかった者、望みを失った者、忘れられた者、そして、そう、異教者でさえも彼は受け入れる。ステンダールは彼らに助言と援助を与える。

ステンダールの神聖な輝きは、心を開き、慈悲を求める者を癒やす。彼の慈愛は無限であり、角笛の高らかな呼びかけにより、彼はすべての傷を回復し、すべての病を食い止め、すべての傷付いた魂を鎮める。

ステンダールの信奉者はその治癒の技の偉大なる啓示によって祝福を受ける。彼の知恵を求めるなら、彼の名の元に、回復魔法の恵みを行使せよ。戒律に従い、彼の意思に常に耳をかたむけよ。

・与えることのできる助けを決して惜しむなかれ。

・弱き者、傷ついた者たちを見つけたときはその中に交わるべし。

・毎日ステンダールに祈りをささげよ。

・富を蓄え肉体を甘やかすことなかれ。

これらすべて、ステンダールの命を決して忘れるなかれ。タムリエルのすべての民に心優しく寛容なれ。弱き者を守り、病人を癒やし、必要とする者に与えよ。

ステンダールの神聖なる槍Stendarr’s Divine Spear

ステンダールの篤信者、輝きのプトラス 著

不浄なるものすべてを滅ぼし、

その切っ先と輝きで敵を刺し貫き、

そのオーラは我らを高揚させ、

邪悪なる敵から力を奪う。

デイドラ、アンデッド、獣人、

悪鬼たちを打ち倒す。

我らを再び清め給え、屈強なるステンダール、

槍と王家に忠実なれ!

セリヨルミンウェの翻訳Ceryolminwe’s Translation

元々これらのアイレイドの断片は、古代の英雄にまつわる長い記録の一部だと思っていた。翻訳すればするほど、その確信がなくなっていく。たとえば2番目の抜粋箇所で私が「(技術)」と訳した言葉。これは剣のようなものの刃を表すこともある。切ることや切断についての記述と、絆の兄弟についての記述も相まって、実際の武器について書かれているのではないかと考えるようになった。

文の大部分が抜けていたり、様式や構成が独特のものであるため、通常の翻訳よりもさらに難しいものとなっている。何かを見落としているのだろうが、この部屋にあるもののほとんどがひどく損傷しており、完璧な理解は永遠に得られないのではないかと思っている。

「…八重の恵みを受け、正義の重みを背負っている。あなたが最初に見つけた血はジャンピングウルフから流れたものだった。あなたはその両手を切断し、殺人の報酬を与え、奴隷のように地面を這いつくばらせた。その時まであなたは生まれていなかったが、ここに自分の役目を見つけたのだ」

「スノースローテッド・スロングへの勝利を決定づけたのは、あなたの(技術)ただ一つだ。あなたは空高くから両の手で祈り、奴らは骨を一つずつ闇に葬られながら、怯え、命乞いをした。あなたの絆の兄弟はあなたを(高め)、あなたは彼の号令で星を降らせテントを燃やし、奴らが面前に引きずり出されると、共に笑っていた」

「ああ、栄光と(不明)!あなたの暴力的な物語は3つの世界で響き渡り、その間に光り輝く道を作っている。あなたは名を盗む者、あなたの前に立つ者の伝説を破壊する。あなたは星明りから作られ、人の骨によって研ぎ澄まされている。あなたは相応しい者のためにだけある」

私は護衛に払う金が尽きてきたので、そろそろ行かねばならない。最深部の部屋の扉を開ける方法はとうとう分からなかった。また来るしかないだろう。見つかる限りの全ての破片を摺り写していく。この発見をもってすれば、資金の追加申請が通らないはずはない——中に未発見のアーティファクトが眠っているかもしれないだろう?

ドラゴンガードの遺産Legacy of the Dragonguard

ブレイズの歴史家 キアサ・ヴェーダ 著

子供たちが学校で教わる通り、第一紀2700年にタムリエル北部はアカヴィリの軍勢に侵略された。強大な力を持つアカヴィリの戦士たちがスカイリム全土を破壊し、歯向かうものすべてを滅ぼしていった。そしてペール峠で、レマン将軍率いるシロディール軍に出会った。短い戦いの後、アカヴィリ軍はレマンにタムリエルで探し求めていたものを見つけたと言い、降伏した。

アカヴィリを自身の軍隊に加え、レマンは進軍した。タムリエルの地をほぼすべて平定し、皇帝となって第二帝国を築いた。アカヴィリの戦士の中でも最も強く、賢い者たちがドラゴンガードとなり、皇帝レマン直属の軍となった。

続く200年の間、ドラゴンガードはレマン王朝を守護し、ドラゴンから直々に学んだという能力で代々の皇帝を守った。これはタムリエルの時代よりもずっと前から、アカヴィルに存在していたものである。

しかし2920年にレマン三世が暗殺され、レマン王朝(および第一紀)は終わりを迎えた。公式にはドラゴンガードは解散したが、一説によると、皇帝を守ることができなかった不名誉を恥じての解散とも言われている。しかしヴェルシデュ・シャイエが最高顧問としてルビーの玉座に就いた時、ドラゴンガードは非公式に再召集され、名誉ある護衛としてよりも、主に密偵部隊としての活動を担うようになった。

それ以外の元ドラゴンガードのメンバーはそれぞれさまざまな道に進んだ。この中には元百人隊長、ディニエラス・ヴェスが立ち上げた組織に加わった者もいる。この組織は後に、戦士ギルドとして知られるようになった。また他の者は流浪の冒険者となり、戦闘の訓練師や傭兵として、自分たちの技術を売りながら生活するようになった。

その中の1人に、元ドラゴンガードであり、大師範としてだけ知られている者がいる。今ではその名前は記録に残っていない。新しい激動の第二紀に、彼は自ら古代アカヴィリの武術と秘術を存続させるべく伝えていく使命を負った。しかし、自らの技術を教える代わりに、教わった者がまた他の者へ、その技術を伝えていく条件を付けた。これこそ私たちが現在「ドラゴンナイト」と呼んでいる者たちの起源である。

ドラゴンの爪を見よTo Smite with Dragon Claws

(不敵なる200人の戦歌)

我らはドラゴンナイト。我らはドラゴン。

我らを攻撃するなら、鉤爪が迎え撃つ。

我らを殴るなら、鋭いトゲを食らう。

我らを傷付けても、傷口はふさがる。

我らの怒りを買うなら、炎に包まれる。

我らから逃げ出しても、後を追って捕まえる。

お前は勝てない。我らは負けない。

我らはドラゴンナイト。我らはドラゴン。

トラシウス・メントの日記Journal of Thracius Mento

収穫の月3日

とうとうセンシャルに到着した。疫病の発生により大混乱が生じていた。自分の弱さを実感した。今日、犠牲者の姿を見て、嫌悪を感じてしまったのだ。引き返したかった。だがマーラが私をつなぎ留めた!皮膚のただれ、血の混じった咳、痛みに苦しむかすれた叫び声!もう少しで逃げ出すところだった。しかし私のように知恵ある者が逃げ出してしまったら、どうやってこの疫病を治癒できるというのだろう。そしてどうやって疫病を防ぐというのだろうか?ナハテン風邪を勝利させるわけにはいかない。私がこの疫病を終わらせる手がかりを見つけてやる!

収穫の月8日

街には他にも私のような者たちがいる。故郷を離れ、治療方法を見つけるために自分の命を危険にさらす者たちだ。仲間がいてうれしい。私たちはお互い協力し合って、この病気で死んでいく者たちを楽にする方法を見つけた。患者たちを(そして私たち自身も)頭からつま先まで包むことで、皮膚のただれの露出を減らした。鶏ガラのスープが咳を和らげるという噂は本当だったようだ。だが私が持って来た治療薬では1人の魂も救えなかった。一度症状が出てしまえば、もう進行を止めることはできない。

収穫の月12日

すべてを試した。薬、軟膏、香料。祈りまでも。だが誰一人として回復していない。とても疲れた。焦りと悲しみで食べることもできない。胃がムカムカする。目はかすんでいる。息をするのも苦しい。休息が必要だ。分かっている。だがまだ希望は失っていない。

ニベンの父、断章1Father of the Niben, Fragment One

第一の断章の融合

翻訳・解説:フローリン・ジェリル

序文:

誰かの伝記を書くことは難しい。題材の人物を見極めるにも、いつも何冊もの年代記に書かれた偏った記述を見比べなければならない。ここにある男の記録がある。名前は水先案内人トパル、タムリエルの初期のアルドメリ探検家として知られる。叙事詩「ニベンの父」は、現代にわずかに4つの断章を残すのみである。しかし、これらの断章が、水先案内人トパルがタムリエルの周りの海を航海していたかもしれないという、論争の余地ある面白い見解を神話紀中期に提供した。

「ニベンの父」は水先案内人トパルの航海を書き連ねた記録文書にすぎないが、彼の存在を証明するだけのものではない。サマーセット諸島にある偉大な水晶の塔の財宝の中に、彼の荒削りだが人を魅了する地図がある。それは彼がタムリエルに残した遺産である。

アルドメリの「ウデンドラ・ニベヌ」の翻訳、「ニベンの父」は私の作品であり、他の学者は私の選ぶ言葉に賛意を示さないかもしれない。私は原作の美しさに応える翻訳に仕上がる保障はできない。私はただシンプルで首尾一貫したものを目指す。

断章1

二番目の船にはパスクイニエルが乗っており、水先案内人は
イリオ、「道の石」の指す
南方へと向かった
三番目の船にはニベンが乗っており、
水先案内人はトパル、彼らは「道の石」の指す
北東へと向かった
水晶の塔から命令を受け、
八十ヶ月の航海をし報告に戻る
ニベンだけファーストホールドへと戻り、そこには
金や香辛料、毛皮、生きてる死んでるに関わらず
変わった生き物が空高く積まれていた
旧エルノフェイのトパルはなにも見つけられなかったが
航海で訪れた驚きの地
すべての話を語った
六十六昼夜、彼は激しい波に打たれ、
渦巻きをやりすごし、
炎のように焼き付ける霧の中を航海していたところ
大きな湾口に着き、
彼らはおだやかな谷の陽光に輝く野原に降り立った
乗員が皆休んでいると恐ろしいうなり声が聞こえてきた
真っ暗な谷から見るもおぞましいオークが姿を現した
人を食べてしまう歯には血の塊がついていた

何世紀もの間、古代アルドメリの難破船やら桟橋から、奇妙な水晶玉のようなものが発掘された。それは深遠の暁紀~神話紀の芸術品で、それぞれが具体的な方向へその軸を回転させる性能のものであるとわかるまで、考古学者たちは頭を悩ませた。それは南を指すもの、北東を指すもの、北西を指すものの3種類あった。それらがどのようにして動くのかはわからないが、ある特定の力と波長が合うつくりになっているようだった。これが「道の石」のかけらであった。それぞれの船の水先案内人が自分の船を行きたい方向へ向かわせるのに使っていた。北西の道の石を持つ船は、船体を北西のスラスやヨークダへ向かっていった。パスクイニエルは南の道の石へ、ピャンドニアへ向かって航海しなければならなかった。トパルと彼の北東の道の石はタムリエルの本土を見つけた。

この断章から、3隻の船が旧エルノフェイへ戻る道を探すよう指令を受けていたことがわかる。今もサマーセット諸島で生きるアルドメリが、祖国の姿を知るためであった。本書は水先案内人トパルの研究を目的としており、アルドメリが旧エルノフェイから集団移動したことに関する説を論じる余地はない。この詩を自書の引用元としてのみ使うならば、数隻の船は旧エルノフェイを去ったあと嵐に遭ったという言い伝えを信じている学者に賛成する。生き残った人々はサマーセット諸島へ帰る道を見つけたが、「道の石」を持っていなかったため祖国がどちらの方角にあるのかはわからなかった。結局、この3隻がまったく別の3つの方向へある1ヶ所を探しにいく理由はどこにあるのだろうか?

もちろん1隻だけ戻ってはきたが、ほか2隻のうち1隻、もしくは2隻ともが旧エルノフェイを見つけられたのか、海上で滅びてしまったのか、古代ピャンドニア、スロード、ヨクダの近くまで行けたのかどうかはわからない。アルドメリが特に頭がおかしいのでなければ、3隻中少なくとも1隻は正しい方向へ向かっていたものと思われる。それがトパルであったのだろうが、彼は北東といってもそれほど遠くまでは行かなかったのであろう。

トパルは船をファーストホールドから北東へ出した。偶然にもほかのどんな陸地も見つけずにアビシアン海へと向かう航海ルートであった。もし彼が東へ真っ直ぐ向かっていたら、現代のシロディールのコロヴィア西部へ数週間のうちに到着し、もし南東へ向かっていたら数日でヴァレンウッドの丘へ到着していた。しかしこの水先案内人は、自分を信じて、我々が現代でも使う地図を頼りに、アビシアン海を抜け北東へ真っ直ぐ船を走らせ、イリアック湾へと入っていき、出航して2ヶ月後には現代のライヒ・グラッドキープの近くの土地へと辿り着いた。

この詩の中で、南方にある緩やかな起伏の丘があるところと言えば、ハイロックとしか思えない。その場にいたものは誰でもそう思ったであろう。当然、問題はオークがその地にいたとするこの明確な言及は何なのかということだ。オークはアルドメリが入植するまで出現しておらず、広がったのはレスデインの時代、トリニマクとボエシアの有名な戦いの後のことだからである。

ノルドの防具職人と武器職人Nord Armorers and Armsmen

ノルドの鍛冶屋は自分の金床やハンマー、やっとこに特別な親近感を抱いている。ノルドにとって、(武骨ではあるが)優れた武器と鎧の作成は剣や斧、ハンマーを扱う技術と同じくらい重要である。そうした技術は若い頃から教えられ、ほとんど義務となっている。ノルドの防具職人や武器職人がその技を磨くにつれ、鍛冶場は第二の家となる。すぐそばにあるのは皮なめし台である。北方のあらゆる獣の皮がここでその耐久性や加工しやすさを計測される。その上には鉄、鋼鉄、そして鋼玉の合金が重ねられる。そうしてできるのはより密度が高く、他の地域の武器よりも鋭く食い込む鋼鉄である。

ノルドが自分の刀剣に「針がある」と言うとき、それは単に切れ味のことだけを言っているのではない。迷信深いノルドの鍛冶屋は、自分が作成したすべてのものに野生の蜂の蜜を一滴加えると言われている。その理由は遥か昔に忘れ去られた伝承の中に埋もれてしまったが、これは広く行われている。今日においてもなお、ノルドの防具職人は自分の焼き入れ用桶にまずハチの巣を潰し入れてからでなければ、決して鍛冶場を使わない。

バーンダリの羊肉シチューBaandari Mutton Stew

8人分

角切りの羊肉 2ポンド
スープストック 1カップ
玉ねぎ(大) 1個 みじん切り
トマト(小) 4個 潰す
ジャガイモ 2ポンド 皮を剥いて4等分にする

材料を大きな鉄鍋に入れて火にかける。
バターの塊を加えてかき混ぜる。肉が色づいたら、温かいスープストックをジョッキ1杯加える。火の端に鍋を押しやり調理する。必要なら塩や胡椒を足す。

腐ったら捨てる

代わりにケーキを食べなさい

ハイエルフの宝飾技術The Pretension of High Elf Jewelry

エルデンルートの宝飾師、エルレディス 著

我々ウッドエルフにとって宝石が重要でないわけではないようだ。恋人に持ち帰るために、倒した敵の骨を彫刻するほど好まれていることはほとんどない。よく調理した尻肉の塊が一緒にあれば、すぐにロマンティックな機会が楽しめる。

だが、他の多くのことと同様、ハイエルフは宝飾技術において、まったく違う段階に進んでいる。彼らは単なる職業の選択肢と考えていない。イフレにかけて、情熱とさえ考えていない。それは運命。彼らに与えられた使命なのだ。すべてについて聞きたければ、気軽に聞くといい。彼らは喜んで、うんざりするほど話してくれるだろう。それは経験した。

私の理解できる範囲で言えば、ハイエルフの宝飾技術は世代を通じて受け継がれてきたのが普通である。それはハイエルフにとって意味のあることなのだ。家の遺産を受け継ぐことは、期待されるだけでなく尊敬を受けることでもある。彼らはみな、そうやって互いを尊重する。仕事を正しく行っている限り、王族さえも漁師の家を称える言葉を口にする。タムリエルの他の地域で、そのようなことは決して言えないだろう。

認めざるを得ないが、彼らの宝石は美しい。一般のハイエルフの指にはめられたほど精巧な細工の指輪は、目にすることができない。本当に上品で、精密ですらある。輪と模様は、最小サイズであっても分かちがたく結びついているようだ。複雑な単純さがある。待て、これで説明になっているだろうか?

言いたかったのは、ハイエルフが作る宝石が自然に見えるということだ。木の枝や流れの中にできる渦のように。方法はわからない。あのような長い伝統を通じて受け継がれてきた技術なのだろう。ハイエルフは生涯を通じて技術に磨きをかけるだけではない。世代を越えて技術に磨きをかけているのだ。

サマーセットを訪れている間に少し学びたいと思っているが、できるのかどうかはわからない。私に技術について話してくれる人を見つけられなかったからではない。断じて違う。何百年も前に曾祖父母の伯父が思いついた技術か何かについて、何時間もだらだらと話す相手しか見つけられなかっただけだ。

そしてまだここで、私自身の技術についてはエルフの誰にも尋ねられていない。それはあまり驚くことではない。なにせ、私は骨を彫刻する泥だらけの小さなウッドエルフに過ぎない。

ハスクと骨Husks and Bones

ソレクシウス・レントゥルスの日記

栽培の月12日

ボスがどこかのウッドエルフから地図を買ってきて、今まで見た中でエルデンルートまでの最短ルートが示されていると言ってる。他のやつらより早くそこに木材を輸出できれば大儲けできると考えてるようだ。契約があるだか何だかで、ウッドエルフは自分らの木を伐採しないそうだ。木と契約とは笑えるな!バカエルフどもめ。金が用意できるなら、品を持って行ってやろう。あっちの方には誰も行ったことがないが、いつものエルスウェアのルートと違ってきっと新鮮だろう。陽射しの強さにも嫌気がさしてたところだ。

栽培の月18日

エルデンルートには気持ちいいベッドがあるといいな。あと、虫が少ないと助かる。こんなにたくさんの虫を見たのは初めてだ。手ほどの大きさのある甲虫に、何本足があるのか考えたくもないようなウネウネしたもの、しかも噛まれるんだ!動きを止めた途端にもう体中を這いずりまわっていて、かゆくて夜も眠れない。村のようなところも通っていないし、荷馬車を通すために道を切り進まないといけない。そもそもこれが本当に道なのかどうか怪しい。まるでずっと誰も通っていないかのように草木に覆われている。

栽培の月24日

昨夜、故郷のルースティング・クエイルにいる夢を見た。大好きな酒場だ。あんなうまいエールは飲んだことがない。談話室でマクシンティウスが面白い冗談を言って、俺はエールを噴き出して笑いが止まらなかった。すると目覚めたんだが、笑い声はやんでいなかった。叫ぶような甲高い笑い声が木々の方から聞こえてきた。あの難しい名前のアルゴニアンの護衛が見張りをしていたのだが、彼は何も見なかったそうだ。辺りを調べたが笑い声は止まり、結局そわそわしながら火のそばに座った。フリンの入ったフラスコを口まで運ぶと、じたばたする足の感触があった。口の中でだぞ!他のみんなのフラスコや服にもたくさん入り込んでいた。アカトシュよ、怒りの炎を!

真央の月2日

事態はおかしくなっていく一方だ。みんな早く終わらせたい一心で今日は倍速で切り進んでいたのだが、先の方に大きなクワガタがいることにマクシンティウスが気付いた。ただの大きい虫じゃない、巨大な虫だ。狼ぐらいの大きさだった。凄まじい大きさのハサミに、光沢感のある甲羅。ただ歩いているだけで特に何をしているわけでもなさそうだったが、遠くからでは分かりにくかったのでゆっくり近づいた。石を投げたら当てられるぐらいの距離まで近づくと、何かがおかしいことに気付いた。脚が、まるで人間の脚のようだったのだ!いや、人間の脚だった!その瞬間奴らは急に立ち上がり、笑いながらこちらへ走ってきて、野営地から物を盗って木々の中へと消えていった。追いかけようとしたが、アルゴニアンの放った矢も甲羅に当たって跳ね返ってしまった。あいつらはウッドエルフだったのか?かなり野性的なのもいると聞いたが、虫の恰好なんてするか?盗賊というわけでもなさそうだ。誰も傷つけず、ほとんど何も盗っていかなかった。

真央の月4日

もうたくさんだ。引き返す。エルデンルートまでたどり着ける気がしないし、誰だか知らんがたどり着いてほしくないらしい。どれだけ金を積まれても割に合わない。こんなところにいるくらいならカジートと値切り交渉してる方がましだ。今回は水に薬を盛られた。そうに違いない。誰が何をどうやって入れたのか分からないが、真夜中に目覚めたときにはガイコツがキャンプファイアの周りで踊っていた。動けなかったがぼんやりとした視界の中で見た。変な音楽の中でガラガラ、シューという音や、歪んだ低音のフルートが聞こえた。奴らは骨を着ていたのか?はっきりしていることは一つだけだ。利益など糞喰らえだ、我らは引き返す!

マスターズ・ホールThe Masters’ Hall

作者不明

未だ手の付けられていない遺跡の噂を聞いて飛び出した我々は、まだ青く楽観的だった。準備、計画、地図、全てが甘く、スカイリムとシロディールの間のジェラール山脈で、険しい岩山と霧の中で迷ってしまった。道も分からず空腹で、凍傷になりながらも、山の上の方で半分雪に埋もれた入口を発見できたのは本当に運が良かった。

難解な装置で封じられた扉をこじ開けた頃には物資が底をつきかけていたが、それでもやった甲斐があった。封を解いて薄暗い中を見たとき、噂は本当だったと確信した。長い間泥棒にも荒らしにも、誰にも立ち入られることのなかったこの遺跡で、一体どんなものが見つかるだろう?

その時点では見当もつかなかった。入口がすでに独特だった。光を放つ鉄製の階段は派手に形作られ、奇妙な彫像や紋章が彫り込まれていた。私のブーツが最初の段に当たった瞬間に音が鳴り、みんな驚いた。寒さから逃れたい気持ちと、発見への期待感で、我々は次々と甘い音を鳴らしながら足早に階段を下りた。

階下には、男が縦に50人ほど寝転んでも入りそうなくらいの広さの、丸い部屋があった。天井は闇に隠れて見えないほど高く、部屋の中央には仁王立ちで腕を広げた巨像が13体、円になって立っていた。そのそれぞれが異なる鎧を着ていた。全てが違う材質で作られていて、ぱっとみて分かるものもあったが(鋼、黒檀、鉄など)、分からないものもいくつかあった。

鋼や貴重な石で造られた奇妙な角を兜や関節部に着けているものや、模様や言葉の刻まれたものも多かった。部屋の作りを見ていると、大規模ながらも物の配置にとてもこだわっていて、何かを崇拝するような神聖な雰囲気が漂っていた。我々は鍛造や金属細工について詳しくないことを残念に思いながら、次々に像を見て回ってはその鎧に見入っていた。

それらの中心には銅のモノリスがあった。13面体で、像たちの着ている鎧と関連していそうな文字や図形が上から下まで刻み込まれていた。我々はそれに近づいたのだが、目の前に広がる謎めいた神秘にとらわれ、自分たちが侵入者であることを忘れ、必要な注意を怠ってしまった。私はその金属に触れようと手を伸ばしたのだが、肌が触れた瞬間、混沌が巻き起こった。

そこから覚えているのは、仲間たちの悲鳴、眩い光、そして階段を駆け上ったときの不愉快な音ぐらいだ。再び雪の上に着地したとき、自分が一人であることに気付いた。傷つき、冒険仲間を失ったことに深く悲しみつつも、神々の加護を受けて何とか小さな村へとたどり着くことができた。その後二度と入口を見つけることができなかったが、秘密はまだ雪の中に眠っている。

マズバー・ドーの助言Mazubar-do’s Advice

長い年月の中で、私が学んだ大事なことが1つある。ああ、それともう1つ。私の知っている大事なことは2つあり、それは戦いと踊りである。その2つは密接に関係していてパートナーのようなものなので、時々混同してしまうこともあるが、大目に見てもらいたい。

戦い、そして踊るためには、足を軽く速く動かし、つまずかないようにする。戦いであれ踊りであれ、つまずくことは死を意味する。すなわちそれは喉元に剣を突き立てられることか、恥と拒絶の刃で刺されることだ。両の足が、次の拍もその次の拍も着地する場所を把握していること。そして大胆であること。主導権を握れば、パートナーも敵もそれについてくる。あなたは力強く才気溢れる動きの達人となれるだろう。

感動させねばならない。内なる力を外へ、前へと放出するのだ。考えてもみろ。汚く低俗な物乞いと踊りたがる踊り子はいないだろう?ボロボロの薄汚い装備を着けた者を恐れる敵はいないだろう?自分が誰なのか、何になりたいのか、それを伝えるような衣装を用意しておいた方がいい。あなたは勝者になりたいのだ。トップに立ちたいのだ。

我らにはジョーンとジョーデの加護と導きが必要であると、ファドマイは知っていた。同じように、あなたも右と左の手を使わねばならない。2つの月は別物だがどちらも月であるように、あなたも両手に武器を持つべきだ。同じ武器でなくていい。とにかく武器だ。月はどちらも丸であり、丸と四角ではない。踊りについても同様だ。右手に左手を、左手に右手を持つが、どれも手には変わりない。

戦いと踊りには、リズムがある。潮の干満のごとく、押しと引きがある。ちょうど良いタイミングで回れるような、熟達した動きを見せねばならない。相手の合図を見て、前に出るタイミングや後ろへ引くタイミングを見極めねばならない。相手は自分を映し出すものでしかなく、差し迫った場面では無視してよい。良い戦いや踊りほど、気分の良いものはない。練習すれば、全ての動きが必然的に型にはまっていき、思い描く通りに流れていくのが分かるようになる。そうすれば、勝つ。

ムンダスの心臓で鍛えよForged in the Heart of Mundus

ブルーマのドラゴンスミス 著

ムンダスの子であるなら、そのまさに心臓にある力を利用することを学ぶべし。己に命を与えた世界の大地に立つ足で、大地の支えを感じ、その力の一部となり、幸いのために、災いのために、その核となるものを呼び起こすことができる。

強固な岩で、攻撃に備える鎧と仲間を支援する力を見い出す。溶岩の熱で敵を焼き、灰の雲で敵の動きを妨害する。仲間を金属のごとく強化し、敵を彫像のごとく石化させる。

ムンダスの力は己の中にある。溶岩流が火山から流れ出るように、ムンダスの力を己の中に流せ。己の憤怒を糧とし、己の砦を強化せよ。何物もお前を止められない。お前はムンダスの子なのだから。

モラートの稲妻理論Mora’at’s Theory of Lightning

コリンスの魔術師 小モラート 著

素人や見習いの魔術師の誰もが経験すること、それは雷撃呪文を間違えることだ。魔法が自分に跳ね返ると叫び声が上がり、全身の毛が逆立ち、ショックが体を走り尻尾の先から抜けていく。そしてその者は初めて真剣に考える。稲妻、それは一体何なのだろう?

モラートの話を聞いて欲しい。この者が説明する立場にあるからだ。必死に勉強し、何度も入学試験を受けて、モラートはコリンスの魔術師ギルドホールに正式に認められた修行者になり、魔法の問題について権威を持って話せる立場についた。この者はここのところ稲妻に関する事柄を研究している。アルケインの学者が行うように、それを専門として。そして、その問題については独自に、少なからぬ考えを巡らせてきた。

その結果、この者は1つの仮説に達した。

雷撃、それは炎や氷結と同様、自然の力の姿をした魔法の力の現れだ。ジャ・カジートなら誰でもこの力で遊んだことがある。じゅうたんの上で足をこすって、伸ばした爪から出る小さな火花で兄弟をピリピリさせる。またはふくらませたネズミの革の浮袋を自分の毛が立ち上がるまでこすりつけ、それを自分の胸や腕に「貼り付け」る。

だからこの者にとっては、雷撃が繊維状の物体特有の性質であり、それが摩擦により刺激されて火花になることは、子供のころから明らかなことだった。これは稲妻についても同様だ。雲は巨大なテンマーの脱脂綿と同じで、嵐が空に浮かぶ繊維の塊とぶつかることで摩擦が生じて、雷撃を生成する。

では、魔術師ギルドのこの者たち力のある魔術師が雷撃呪文を唱える時、実際に何が起こるのか?この者の説明はこうだ。ムンダスの世界は物質とマジカという糸から編まれた巨大なタペストリーだ。雷撃呪文はそのタペストリーの縦糸と横糸を通して、繊維を激しく揺り動かしながらマジカを運んで操る。これにより火花が生成され、それが一体化して魔法の稲妻となる。分かるだろう?

こういった直感は熟練した魔術師であればたやすく得られる。この仮説を賢者に伝えたところ、この者は賞賛と激励を手にした。実際、今やモラートは本物の魔法学者になった。この者は、明日にはまた別の仮説を思い付くかもしれない!

ヨクダの宝石Jewels of Yokuda

熟練宝石職人、ドニエレ・ジオネット 著

レッドガードは、比類なき剣の使い手としての名声を獲得している。しかしアリクルの息が詰まるような熱気の中でしばらく過ごしてから、彼らにはただのデューンリッパーや墓泥棒よりもうまく切れるものがあるとわかってきた。もちろん、宝石のことだ!

センチネルを最近訪れていた間に、賢明な宝石職人で歴史家のベルザランという者と話す機会があった。彼によれば、レッドガードの失われて久しい故郷、ヨクダの丘には、至る所に火山性晶石や宝石の産地があるという。古代ヨクダの人々は、トパーズ、サファイア、アメジスト、オパールを採掘していた。いずれも豊かな色彩や滑らかな光沢で、どの石よりも高い価値がある。ダイヤモンドも豊富だが、無色のため捨てられていたそうだ!

幅の広いネックレスや重いバングルを作ることに加えて、ヨクダの人々はこの宝石を最も価値のある所有物、すなわち一族の剣を飾るために使った。彼らは柄頭や鞘、鍔、刃までに、精巧にカットした宝石を散りばめた。時を経て、この習慣は人気を失った。ほぼひっきりなしに続く内戦のせいで、レッドガードは美しさよりも実用性を選ぶことを余儀なくされるのが通例だった。それにもかかわらず、宝石をカットする伝統は根強く残った。ヨクダの宝石職人は武力よりも魅力に重点を移し、複雑なオパールの頭飾りを加工し、サファイアのアンクレットや幅の広いアメジストの指輪をじゃらつかせるようになった。ラ・ガーダの侵攻の時代になって、こうした職人が技術と伝統をタムリエルにもたらした。それ以来レッドガードの宝石職人が変わることなく伝えてきた道具と方法について、私は学ぶことができたのだ。

アリクルに行くことがあったら、宝石のついたレッドガードのナイフやトタンブ様式の指輪を買うとよい。実際にヨクダのうねる丘を目にする機会はまずないだろう。だがこうした宝物が、魂をかの地へ連れて行ってくれることは保証しよう。

ルーンストーンの謎Enigma of the Runestones

発明家テレンジャー 著

タムリエルの至るところで発見される神秘的なルーンストーンの起こりは、曖昧であり不明確だ。水晶の塔の賢者の間では、その本質や物質構成でさえ熱い議論の的となっている。神話史のサピアルチである尊者アンシリンクは、トリナーンの日記のとある難解な一節が、先駆の船乗りが古アルドメリスから到着した時、既にルーンストーンがここに存在したことを示しているという持論を展開している。しかしながら、付呪のサピアルチである「多彩なノリン」は、その起源は神話紀初期にさかのぼるとし、アイレイドの魔術師が実験に失敗したことで生じた予想外の産物だと強く主張している。

起源の真実がどうであれ、サマーセット諸島の魔法の優れた偉人たちによる長年の研究で、ルーンストーンの持つ様々な特性はほぼすべて特定され、武器、鎧、装飾品の付呪における使用についても解明された。大まかには3つに分類され、後の魔術師は、効力、品質、本質と呼んでいる。

付呪の目的では、これら3つの種類のルーンストーンは超自然的に補完するものとして理解される。付呪者は、それぞれの種類のルーンストーンを1つずつ組み合わせることによってのみ「グリフ」を作り出せる。「グリフ」とは、アイテムに魔力を与えるときに使う魔法の物質を示す専門用語である。

しかし、たとえ我々が魔法のアイテムの作り方を知っていようが、謎は残っている。ルーンストーンとは何か?我々は3つの基本的な区分を、効力、品質、本質と名付けた。だが、どういう意味なのか?名付け親である偉大な道化師ファリーズですら、意味を尋ねられた時に肩をすくめ、こう答えるしかなかった。「その名前がしっくりきたから」

3種類のルーンストーンがあるという事実ですら議論を巻き起こしている。二元性がアービスの基礎であると仮定するアヌ・パドゥの法則に矛盾しているように思われるからだ。リランドリルのカミロンウィは、ルーンストーンがたった3種類のはずがないと主張した。そして4つ目を見つけるために人生最後の200年間を捧げた。しかるべき分類は、そのように双数のペアになるという確固たる信念があったのだ。彼は、自ら迅速と呼んでいたこの「第4のルーンストーン」を見つけることはなかった。だが最後まで自身の理論は筋が通っていると言い続けた。

カミロンウィは正しかったのだろうか?通常の定命の者が認識できないある種の現実の中でのみ迅速のルーンストーンは存在するのか?それが、目下の答えられない問いだ。

レドランの秘密の料理Redoran Cooking Secrets

蟹肉のシチュー

 蟹肉 2つかみ
 だし汁 マグカップ1杯
 ニンニク 3つまみ
 タマネギ(大) 1個
 挽いたオート麦 1つかみ

タマネギを網で茶色くなるまで焼く。だし汁、ニンニク、タマネギを大きなボールで混ぜ合わせる。挽いたオート麦を入れ、とろみを出すようにゆっくりとよくかき混ぜる。蟹肉を加える。熱したかまどで、蓋付きで30分から1時間焼く。

カエルのマフィン

 カエルのひき肉 1ストーン
 米粉 1つかみ半
 パン酵母 1キューブ
 胡椒 1つまみ
 タイムの小枝

米粉、パン酵母、水少々を使って衣を作る。フライパンで肉を直火で焼く。肉が茶色くなり始めたら、タイムの葉と一緒に衣へ加える。胡椒を振りかけ、金属製のマフィン型に衣を流し込む。熱したかまどで15分間焼く。

ロットウッドの謎The Rotwood Enigma

彼がどこから来たのか、最後まで分からなかった。エバーモアを少し出たところで旅人を襲っていたロットウッド・ブッチャーズという集団を襲撃したとき、彼は現れた。奴らの隠れ家を見つけたんだが、私たちの知らない出入口が他にあったのか、中は予想以上に人数が多く不意をつかれた。奴らの汚い洞窟内に閉じこめられていたとき、輝く甲冑を身にまとった彼がどこからともなく現れ、一振りごとに山賊どもを切り裂いていった。一気に流れが変わった。1人、また1人とロットウッドの悪党が彼の刃に倒れ、ついにいなくなった。

礼を言って名を聞いたんだが、返事をくれなかった。混乱しつつも自分から自己紹介をして、わが社が北バンコライから山賊と獣を駆逐する事業を行っていることを説明した。それでも反応はない。少しいらつき気味悪がりながら、我々は洞窟を出て野営地へと戻った。彼もついてきた。黙ったまま顔も見せないつもりなら歓迎しないと伝えたが、無駄だった。みんな落ち着かずピリピリしていた。敵意はなさそうだったし、先のロットウッド大虐殺を見た後で彼に挑もうとする者はいなかった。

結局ずっとそのままだった。一言もしゃべらず、食事は野営地から出て一人でとっていた。睡眠もとっていなかったようで、夜になると木や石に寄りかかるだけで、鎧を一部たりとも外すことはなかった。滑らかで曲線美があり、羽のような変な彫りこみがなされていた。銀色に黒が渦巻いていて、そんな美しいものが彼の全身をくまなく覆っていた。最初は落ち着かなかったが(誰だってそうだろ?)、彼は我々が見つけ出した山賊以外を傷つけることはなかった。逆にそいつらはひどく痛めつけられていたよ!

彼は何度も窮地を救ってくれ、おかげで我々も熱が入った。罪のない人々を攫っていた汚いハグ、悪臭のスワンプハートにとどめを刺したのも彼だった。奴は我々の動きを鈍らせる悪質な魔法を使ってきたのだが、彼には効かなかった。農民と家畜を襲っていたイノシシのブラッドガットが葉を怒らせる者を崖から突き落とそうとしていた時、助け出したのも彼だった。私自身、何度か命を救われた。彼は疲れ知らず、恐れ知らずで、おそらくだが、我らの目標に熱心に取り組んでくれていた。

今になっても、彼に名前があったのかどうか疑問に思う。そもそも「彼」なのかどうかも。おそらく一生分からないだろう。6ヶ月間、彼と行動を共にしたが、その6ヶ月で我々はこれまでにない成功を収めた。メンバーまで増やしたんだ。冬が来ると、いつも通りエバーモアに戻って休暇に入ったんだが(寒い時期はなかなか仕事がない)、ある朝目覚めると彼はいなくなっていた。足跡も痕跡も何もなかった。消えたんだ。誰に聞いてもそんな奴は見たことも聞いたこともないと言われるし、話をするといつも変な目で見られる。それはどうでもいい。どこにいようが、元気でいい仕事をしていることを願う。

闇の魔法:3つの口実Dark Magic: Three Pretexts

金色の大蛇 書

「闇の魔法」として知られているアルケインの流派が、世俗の言葉でそのように侮蔑的に呼ばれているのは残念なことだ。そのため学習者はソーサラーの階級の中で、「邪悪な魔術師」として中傷される立場に追いやられる傾向がある。こういった危険な中傷を打ち消すため、次の3つの口実を心に止めておくと役に立つだろう:

第1の口実:マジカや他の魔術師の力を無効にし、奪い取り、食い物にする者がいる限り、闇の魔法の知識はならず者のソーサラーを抑止するための安全策として必要である。

第2の口実:敵意のあるデイドラが使用する有害な呪文の効果を再現することができるため、闇の魔法の知識は、デイドラの魔法の効果に反撃する方法を知るための役に立つ。

第3の口実:無知な者たちに恐ろしく忌まわしい魔法と思われているが故に、罪人にふさわしい刑罰を与えるために闇の魔法を使用することで、犯罪を思いとどまらせ、結果としてより良い社会づくりに貢献できる。

これなら非難する者たちも口を閉ざすはずだ。

偉大なる者たちの言葉Quotes from the Greats

スカポリウス・ピューレックス 著

アリーナ。鎧がぶつかりあう響き、勝利の高揚、敗北の泥、汗、痛み。そしてもちろん、黄金の硬貨が奏でる心躍る音色。タムリエル全土でこれ以上素晴らしいものはない。この最も高貴なスポーツに関しては、私はそれなりの通だと自負しているし、数年を経て自分の好みがはっきりしてきた。お気に入りのチャンピオンたちや、好ましい戦闘スタイルなどだ。その中でも二刀流で戦いに挑む戦士たちほど私を魅了するものはない。確かな技量、信じがたいほど統制のとれた動き、そして敵の攻撃を恐れない。彼らほどアリーナの真の精神を体現しているものはない。

アリーナに頻繁に通い多額の賭け金を支払ったおかげで、私はひいきのチャンピオンの多くに直接会う機会を得た。そして彼らがその傑出した戦闘スタイルについて語った言葉を集めてきた。彼らの言葉を広く世に知らしめることで、二刀流で戦いに挑む者たちが増えること、そして叶うなら私の訪れるアリーナでその姿が見られることを願う!

「たいていの人間は片手か両手持ちで1つの武器を扱う訓練しかしない。2つの武器で戦う訓練をするには、利き腕ではない腕に集中しなければならない。利き腕ではない腕だけでしばらく実践訓練を続けると、利き腕と同じように使えるようになる。身に付けるには長い時間がかかるし、始めは腕に力が入らずに諦める者も多いが、それでも続ける者はやがて闘技場で自由に戦うことができるようになるだろう!」—メイルストローム

「ミリラはアリーナに来る前は曲芸師だった。だから何本もの短剣を扱うコツを知っていた。ここの稼ぎはいい。だからカジートはここに残っている」—ミリラ

「すべてはスピードの問題だ軽い武器2本と素早い足さばき。ただ素早い攻撃を仕掛けるだけじゃない。相手の動きを先読みして、相手が予想もしないところから現われ、周りを走り回って相手に悪態をつく。対戦相手の平常心を奪うことができれば、戦いを有利に進められる」—「心臓打ち」ゴラニオン

「私には双子の姉妹がいた。騒がしいおちびさんだ!いつも私にまとわりついて、髪の毛を結んで飾り立てたり、お茶会ごっこに引っ張り込もうとしたりね。だから早くから2人をどうやって遠ざけておくかを学ぶ必要があった。多分それがすべての始まりだ。訓練を始めたとき、両手に1本ずつ武器を持つのは当たり前のように感じた。つまり始めるなら早いほうがいいってことだな」—「切断者」ミル・ドロスロ

「そうだ、盾は持たない。2つの武器で、岩のかたまりでも受け流せるようになるんだ。それが相手から武器を奪う一番いい方法だ。間違いない。だから二刀流が好きなんだ。相手の武器を弾き飛ばしてしまえば、相手はもう何もできない、そうだろ?」—処刑人

「二刀流については語るべきことがたくさんある。だから私は本を書いた!街のたいていの本屋に置いてある。タイトルは「生き延びるために戦い、戦うために生き延びる。二刀流戦闘術完全ガイド」だ!私の知り合いと言えば割引がある!」—塔のトディール

衣装についての紛れもない真実Undeniable Truths of Attire

完全無欠のエレヌーメ 著

現代の混沌とした環境下で魔法を学ぼうとする者は、タムリエルの魔法学の未来を脅かしている伝統に対する敬意の低下に屈してはならない。儀式は軽視され、学問としての本来の複雑さは、荒く不適切な分類分けへと変わってきている。これは許されるべきではない。このように高等技術が汎用的、「実用的な」活用術へと落とされていくのを防ぐべく、ちっぽけな努力ではあるが私も最善を尽くそうと思う。そのため真に魔法を学ぼうとする者のために正しい学習法を記載する。まずは基礎として、新人学習者のための適切な衣装だ。

上級者への扉を開きたい者、そのために研究と練習の時間を惜しまない者が身に着けるべき衣装はただ一つ、布のローブだ。ローブの着方を学ぶために貴重な時間を割くのは効率が悪い。魔法使いの防具は魔法であり、それ以外のことに時間を使うのは愚かだ。そのような下品な真似をする者は、革や鉄をいじっている間にマジカへの真の理解から遠ざかるだろう。

とはいえどんな汚い布きれでも使えるわけではないので、考えなければならないこともある。頑丈な材質を使用し、属性への耐性をつけておくべきだ。実験によって危険にさらされることもあるため、長袖で全身を覆っておくのは必須だ。錬金術と魔法は密接に関係しているので、植物の標本などを入れるためのポケットや袋があれば便利だ。探検隊を雇う金がなく自らフィールドワークを行う場合、生地を重ね、防水加工し、標本保管用のスペースを作っておくように。

もちろん見た目も重要だ。仲間からも敵からも、敬意を得ようと思えば聡明な空気を醸し出さねばならない。私のローブには一族の最も強力な者たちの名前を刺繍で列挙していて、防御魔法を使って神聖なまじないも編み込んである。他にはエセリアルの図表など、学問の分野を強調する刺繍を好む者もいる。私の知り合いの中では、見る者すべてに強力な魔術師の着そうな服に見えるよう、強い錯覚を編み込んでいる者もいる。

ローブは自分自身の一部であり、自分の意思をムンダスに示す手段でもある。締め付けの強い無意味な鎧を纏って戦闘に突っ込むような考えは捨て、自分の技術をあらゆる方面で完璧なものへと磨き上げることに尽力するよう、重ね重ねお願いしたい。自分自身の力で敵を退けられるようになれば、そのようなありふれた防具は必要ない。強力な雷撃を放つも、敵の頭を恐怖で毒すも良し。どんな形でも、極めることに心血を注げば、可能性は無限大なのだから。

影の吸収:仮説Shadow Draining: A Hypothesis

微光のフォックスバット 著

闇社会のナイトブレイドたちのいわゆる「影の魔法」を研究する者なら誰でも、襲撃者が負傷者から生命力と体力をじわじわと奪う吸収魔法のことはよく知っているだろう。神秘師の学者が直面する問題は、この魔法の仕組みをどう説明するかということだ。長い研究の末に、主に使用人とその家族たちが寝ている間に微弱な吸収魔法をかけ続けて、私はある仮説にたどり着いた。

魔法をかけられた者から術者へと、境界を超えたエキスの流れを生み出すことから、体力を吸収する魔法は瞬間転移魔法と関係があるように思える。超次元のマジカの感覚を通して、ナイトブレイドは離れた対象のひずみを知覚し、そこに「穴を開ける」のだ。その結果生じる裂け目から、対象により失われるエキスを吸収する。このように、転移において「影の中を歩む」代わりに、魔術師はある場所から別の場所へ「影の吸収」を行うのだ。

少なくとも私の実験はそれを示唆している。

影の中を歩むStepping through Shadows

微光のフォックスバット 著

ナイトブレイドの魔法の中でも、瞬間転移の呪文ほど役に立つ魔法はない。時とともに、この術には瞬間的な反応が最も重要となった。こちらにいた者が意志の働きにより、瞬間的にあちらへ移動する。

実際、経験豊富な学習者にとって転移魔法はもはや当たり前の術となっており、最初に覚えるのがどれほど難しかったかは、皆ほとんど忘れてしまう。古来から、この魔法の術は「影の中を歩む」と呼ばれており、まさに、この術を使いこなす鍵は「横方向を凝視」して、アービスの中にある存在や物体のそれぞれが生み出す影を知覚することなのだ。

もちろん影とは、不透明な物体が光を遮ることで生じる、文字通りの影のことではない。それぞれの物体から放たれる微小な気のことで、ムンダスの現実世界に存在するものが作り出す、深部の気配とも言える。これを知覚するには、超次元感覚に焦点をあてて学ぶ必要がある。職人はこの感覚を通してマジカの流れを知覚するのだ。ナイトブレイドがその場の対象のひずみを「感じる」ことさえできれば、いとも簡単に、範囲内のいかなる場所にも、境界を超えて跳躍できるようになる。

英雄の武器A Hero’s Weapon

リザベット・デルラスク 著

「英雄の武器」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?おそらく短剣や、盾の後ろに隠れる兵士を思い浮かべる者は少ないだろう。あなたが思い浮かべるのは日の光で輝き、空気を切るかのように簡単に敵を切り裂き、鎧を纏った敵の集団をよろめかせるほどの一撃を放つ、立派な大剣だろう。それが英雄の武器だ。

私は部屋の下の中庭で訓練する兵士を長時間見てきた。最も強く、勇敢で、賢く、ハンサムな兵士は必ず大剣を選ぶことがはっきり分かった(自信あり)。残忍な力と巧みな動きを併せ持っていて、槌や斧のようにがさつでもなければ、小ぶりの剣や弓のように簡単に壊れることもない。使用者には強大な力が求められるが、同時に機敏さや洞察力も必要で、攻撃を避けるタイミングや受け流す方法も心得ていないといけない。

もちろん他の武器を使ったとされる伝説上の人物もいるが、同じだけの畏敬と感嘆の念を沸き上がらせる者はいないと納得いただけるだろう。重い鎧と大剣を背負って街に駆け込んでいく人を見れば、それは勇敢さを絵に描いたようなものだと分かるだろう。大剣使いは怪我を恐れない。敵は逃げるか、もしくは重い罰を受けることになると確信して戦闘に飛び込んでゆく。そんな人が近くを通り過ぎれば、その勇猛果敢な姿に気が遠くなるかもしれない。

そんな剣を使う者は英雄の心得を体現している。つまり、戦闘における全ての要素を極めることだ。重い物を持ち上げ、走り込んで力と耐久力を鍛え、動きや回避の練習をしているところを私はよく見る。大剣使いは他の兵士たちに比べてより厳しい訓練をしている。それは明らかだ。

誰もが英雄に向いているわけではなく、全ての兵士や冒険家が伝説になるわけでもない。日々の仕事や義務以上のものを目指し、戦闘が自分を呼んでいると感じるのであれば、目標を高く持つことを勧める。大剣の極みを目指せ!

円環の書:鍛造の限界The Book of Circles: Forging Maxims

フランダー・フンディング 著

粘土の溶鉱炉で炭火を起こす。歯を黒くする熱を

炭に砂鉄の層を加える

6ヤーバンになったら、鉄の上に炭の層を加える

炭の上に砂鉄を重ねながら、この過程を3日間繰り返す

冷却後、低炭素鋼と高炭素鋼を分離する

高炭素鋼を使って剣の表面を形成する

コツ・アジシアになるまで、アンセリムを剣の表面に鍛接し、重ね、鍛接する

卵を壊さずに削れるようになるまで、剣の表面を研ぐ

捧げ物のことをオンシに話し、コツの精錬の酒を飲む

それからアンセリムを重ねる

仮説上の裏切り パート1A Hypothetical Treachery, Part 1

アンシル・モルヴァー 著

一幕

登場人物

マルヴァシアン:ハイエルフ魔闘士
インゾリア:ダークエルフ魔闘士
ドルチェタス:シロディール治癒師
シアヴァス:アルゴニアン蛮族
亡霊
山賊数名
場面:エルデンウッド

幕が上がると、霧が立ち込めた迷路のようなヴァレンウッドの伝説的なエルデングローブの地形が見える。周囲では狼たちが吠えているのが聞こえる。血まみれの爬虫類の姿をしたシアヴァスが木の枝の間から現れ、周囲を見渡す。

シアヴァス:邪魔はない。

美しいダークエルフ魔術師、インゾリアが蛮族に手伝われて木から下りてくる。近くに足音がする。シアヴァスは彼の剣を構え、インゾリアは呪文詠唱の準備をする。何も現れない。

インゾリア:出血しているわ。ドルチェタスに治癒してもらったほうがいいわ。

シアヴァス:彼はまだ洞窟で唱えた多くの呪文で疲れ果てている。俺は大丈夫だ。もしここから出られて、他に俺よりも必要な人がいなければ、最後の回復の薬をもらう。マルヴァシアンはどこだ?

ハイエルフ魔闘士、マルヴァシアンとシロディール治癒師、ドルチェタスが木から重そうな宝箱を2人で抱えながら現れる。彼らは略奪品を運びながら、ぎこちなく木から下りようとする。

マルヴァシアン:きたよ。何で私が重い荷物を運んでいるのかはサッパリ分からないけどね。蛮族と一緒に洞窟探査に行く利点は、彼が戦利品を持ち運ぶからだといつも思っていたのにさ。

シアヴァス:もし俺がそれを運んだら、手がいっぱいで戦えないだろう。それに、もし間違っていたら言って欲しいんだが、お前ら3人のうち、誰1人としてここから生きて出られるほどのマジカを残していないだろう。地下であの数の小人を感電させて、吹き飛ばした後ではな。

ドルチェタス:小人たちですね。

シアヴァス:心配しなくても、俺はお前らが思っているようなことはしない。

インゾリア(純粋そうに):何のこと?

シアヴァス:お前らを全員殺して、黒檀の鎖帷子をいただくことさ。正直に言えよ…俺がそう考えていると思ったんだろう。

ドルチェタス:恐ろしいことを考える。どれほど卑しく、堕落した者でもそんなことを…

インゾリア:なぜ、やらないの?

マルヴァシアン:運び手が必要だからさ、さっきも言ってたじゃないか。宝箱を運び、エルデングローブの住民と戦うのは無理だからな。

ドルチェタス:ああ、ステンダールの神よ、意地悪く、自己中心的で、典型的なアルゴニアンの中でもあんたは…

インゾリア:それで、なぜ私に生きていて欲しいの?

シアヴァス:必ずしも生きていて欲しいわけではない。ただ、あんたは他の2人よりも可愛いから、ツル肌にしてはな。それに、何かに追いかけられたら、先にあんたを狙うかもしれないしな。

近くの茂みの中から物音がする。

シアヴァス:見てこい。

インゾリア:きっと狼よ。この森にはいっぱいいるもの。見てきて。

シアヴァス:インゾリア、選択肢があるぞ。見に行けば、生きられるかもしれない。ここに残れば、間違いなく生きてはいられない。

インゾリアはしばし考え、それから茂みへと向かう。

シアヴァス(マルヴァシアンとドルチェタスに向かって):シルヴェナールの王者はこの鎧にたんまり金を出すと思うぜ。それに、4人より3人で分けたほうが気持ちいい。

インゾリア:そのとおりね。

インゾリアが突然舞台上に浮揚する。半透明の亡霊が茂みから現れ、一番近くにいる者、シアヴァスに向かっていく。蛮族が悲鳴をあげ、剣でそれを突き刺す中、ゴーストは渦を巻く気体を彼に吹きかけ、彼は地に崩れ落ちる。次にドルチェタス治癒師のほうを向き、亡霊が哀れなドルチェタスに冷気を見舞う中、マルヴァシアンが炎の玉を唱え、ゴーストは蒸発して霧の中へと消えていく。

マルヴァシアンが、亡霊の低下能力により顔を蒼白にしているドルチェタスやシアヴァスの体を調べていると、インゾリアが地上に下りてくる。

マルヴァシアン:結局、多少はマジカを温存していたんだね。

インゾリア:あなたもね。彼らは死んでいるの?

マルヴァシアンは、回復の薬をドルチェタスの袋の中から取り出す。

マルヴァシアン:ああ。幸いにも彼が倒れたとき、回復の薬は壊れなかった。さて、これで報酬を受け取れるのは2人だけになったみたいだね。

インゾリア:お互いに協力しなかったら、ここからは出られないわ。好むと好まざるとに関わらずね。

二人の魔闘士は宝箱を持ち上げ、下生えの中を慎重に歩き出す。何者かの足音やその他の不気味な音に時折、足を止める。

マルヴァシアン:理解しているか確認させてほしい。あなたには少しばかりのマジカが残っていたので、それを使ってシアヴァスを亡霊の最初の餌食にすることを選び、私があなたより強力にならないように、私の限られた蓄えを使わせてゴーストを追い払わせた。一流の考え方だね。

インゾリア:ありがとう。道理にかなっていただけよ。他に呪文を唱える力は残っているの?

マルヴァシアン:当然。このようなときのために、経験を積んだ魔闘士は必ず小さくても非常に効果的な呪文をいくつかは知っているものだよ。あなたもいくつか切り札を持っているんでしょう?

インゾリア:もちろん、あなたが言ったようにね。

恐ろしい泣き声が空気を切り裂き、一旦止まる。それが消えてなくなると、重い足取りで再び歩き始める。

開錠技術の進歩Advances in Lockpicking

俺は作家じゃない。泥棒だ。盗むのは得意だ。文章を書くのは苦手だ。とにかく、錠前破りについて書く。前に、錠前の設計の本を読んだことがある。いい本だった。参考になることが、いろいろ書いてあった。

錠前の鍵穴が、傾いてるやつがある。いつも、曲がったピックを持ち歩くこと。そういう錠前には、曲がったピックがいい。俺はそうしてる、それでたくさん錠前を開けた。銅でできたピックを持ち歩くこともある。銅は曲げやすい。その場で、錠前に合った形に曲げられる。でも、銅のピックは壊れやすい。気をつけること。

錠前のばねにも、ときどき変なやつがある。全部が違うふうにはね返るから、開けるのが難しい。そういう時は、たいまつの火を錠前に近付ける。そしたら、錠前が熱くなる。熱くなったら、ばねは全部同じようになる。同じようにはね返るんだ。これをやるときは、火傷しないように気をつけること。

泥棒の中には、字が読めないやつもいる。字が読めないなら、誰か読めるやつにこの本を読んでもらえ。そしたら意味がわかる。

簡単に料理の達人になる方法Cooking Mastery, The Easy Way

マラカイト・シェフ 著

アブナー・サルン議長専属料理人

簡単に料理の達人になる秘密とは?それはたった一言、レシピです!料理のレシピがあれば(特にそれがマラカイト・シェフのレシピならなおさら!)、目分量なしで食事を作れます。だからレシピを人に頼んで、借りて、または盗んで(冗談です)、必要な食材を用意して、レシピ通りに混ぜ合わせ火にかけましょう。すぐにあなたも名調理師になれます!

ここでプロの小さな秘密をお教えします。20回中19回は、トップランクのシェフでさえ同じことをしているんです!確かにところどころで特別なスパイスを加えてレシピをアレンジすることもありますが、全部を無視するほど愚かではありません。完成したレシピには、何世代にもわたる料理人たちの経験が集約されているのです。シロディールのスイートロールのように簡単なものから、叫ぶチーズフォンデュのように複雑なものまで、何を作る時でも、キッチンではレシピがあなたの最高の友だちです!

議論の叩き台Settling the Debate

レールビン・ネラノ 著

伸縮性か保護性か?ネッチかグアルか?近所のコーナークラブで、マッツェを飲みすぎた人たちが熱く議論しているのをあなたも見たことがあるかもしれない。この件に関してはほとんどの職人が自分のやり方、伝統、商品を宗教的ともいえるほど高く評価している。私は中立的な立場で双方を紹介し、あなた自身で判断できる材料を提供したい。

タムリエルで最も上質な革は、モロウウィンドに生息するグアルとネッチからとられている。これについては議論の余地はなく、タムリエル中でそれらに匹敵しうる革は存在しない。これら自然にさらされた獣の皮は加工もしやすく、それと古代からのなめし技術も相まって、モロウウィンドの外で使われる熊やマンモスなどの革よりも頑丈なものが出来上がる。どちらも非常に上質な革だが、それでもどちらが防具として勝っているかの議論は絶えない。

ネッチ革の方がだいぶ薄い。曲がったり伸びたりしやすく、グアルのものに比べて染料にも強いので、繊細な装飾品には向いているといえる。同時に機動力を求める戦士にとっては理想的である反面、熱して強度を上げたとしてもやはり比較的破られやすい。さらに欠点を挙げるとすれば手入れに手間がかかることだろう。戦闘で使える状態に保つには毎週オイルとドゥルーワックスで磨かねばならない。また、ネッチ革は手に入りにくい。彼らは怒らせると危険で、熟練のネッチハンターでさえも恐れる強烈な毒を持っている。

対してグアル革は分厚く、全体的に重めの防具となる(当然ながら鉄の防具の重さには及ばないが)。そのため比較的作業が難しくなるが、防御力と耐久力には優れたものに仕上がる。頑固な伝統主義者に言わせるとグアル革の方が歴史が長く、先祖への敬意を込めてこちらを使うべきだそうだが、これについては私の知る限り証拠はない。機動力よりも防御力を求めるならば、グアル革の防具の方がお勧めだ。

どちらの革が防具として優れているかについてはどの職人も確固たる意見を持っているが、私はどちらにもなびかない。私の意見では着る者によって選ぶべきものが変わるからだ(防具職人もこの手のアドバイスはしてくれるが)。これであなたも防具の選び方について少し詳しくなれたのではないだろうか。ネッチを選ぼうがグアルを選ぼうが、はたまたそれらを組み合わせた特殊なものを選ぼうが、戦場での武運を祈る。

弓師と矢職人Bowyer and Fletcher

スカヴィンの下手くそ大工、ホアリー・ドゥロッツェル 著

いいかよく聞け、若者よ。これから弓と矢についてちょいと教えてやろう。もしゴブリンが戻ってきたら必要になるからな。だから、いまいましいけん玉なんか片付けて、注意して話を聞けよ。

ところで、弾力性のある木を使った1つの部品からなる弓は「自己」の弓と呼ばれる。それは己のみだからだ、分かるだろ?長弓使いのブレトンはそういう弓を好む。そしてこう言うんだ、糸を張る以前に、その射手の身長と同じくらいの長さの弓じゃない場合、それは弓ではないとね。彼らはイチイ、ニレ、トネリコを使うのが好きだ。そういう木はちゃんと育てば、芯がギュッと詰まっていて頑丈にもかかわらず、しなやかだからだ。

エルフの弓は一般に短めで、より複雑だ。いくつかの部品で組み立てられているため「複合」弓と呼ばれている。おい、聞いているか?こしゃくな若造どもめ。しかも、異なる素材が使われているのだ。中央部分の棒に使われるのは木材と決まっており、自己の弓と同じように湾曲している。しかし、その両端には、威力を強めるために反対側に曲がった部品が取り付けられている。この「逆方向に湾曲した」両端の部品には、角か甲羅が使われることが多い。

ところでヴァレンウッドのウッドエルフだが、ある問題を抱えている。というのも、彼らが私や君たち以上に自分たちの弓を愛しているのに、正気ではないグリーンパクトのせいで弓の胴体部分に使う木を切れないからだ。だから複合弓の全てを、角、虫の殻、枝角、あげくの果てに骨で作っている。その骨の曲げ方は私の理解を超えているよ。どうにかして処理し、お酢のようなものでグツグツ煮るらしい、とか何とか噂に聞いた。

次は矢だ。まずは、真っすぐに飛ぶよう矢の端に付ける羽から始めるとしよう。ほら、この矢。どのように羽がついているか見てみろ。この一直線の羽は、シャフトに対し平行になっているか?いいや、そうじゃないよな。今日はここまで。明日、その理由を説明しよう。

救済のお願いA Request for Relief

親愛なる財務府さま

今年私に課せられました税金について、考え直していただけますよう再度お願い申し上げます。確かに私は帝都に暮らす、認可済みの付呪師です。ですが状況が変わり、かつてはうまくいっていた商売も、今では収入を削るばかりなのです。

数年前、付呪師は付呪をかける対象物を使いました。さまざまな材料と道具を使い、必要な神秘の力をそれに吹き込むのです。このため、付呪師が競う相手は同じ街の同業者だけでした。多くの人々はわずかなゴールドドレイクを浮かせるために剣を下げて何百リーグも先の付呪師の元へ行くのは望みませんでしたから。街での値段は3、4人の付呪師による友好的な会合で決められ、十分な利益を上げられました。王家の権利により、街での営業には高額の税が課せられることもありました。

ですが今はすべてが変わりました。付呪師は望みの効果を閉じ込めたグリフを作るだけです。グリフは単なる宝石で、誰でも剣の柄頭や鎧の部品に取り付けられます。そうすればグリフ内の魔法がその品に流れ込みます。

簡単に思えますでしょう?これが市場の暴落を引き起こしたのです。街ごとの基準で決めた付呪の価格をつけるのではなく、タムリエルの全付呪師が競い合うことになってしまいました。ダガーフォールの三流付呪師が10個の炎のグリフを作り旅の商人に売ります。商人はそれを帝都に持ち込み、シロディールの付呪師たちが決めた値段よりずっと安く売るのです。

この競争により、今では材料費をわずかに上回るほどの金しか得られません。そしてこれでは、あなた方が課した税を払えないのです。

あなた方がよそで作られたグリフの輸入を止めないのであれば、私がこの商売を続けるための税を減らしてください。このままでは20年住み続けた家を売り、商人の息子の家庭教師など、他の職業に就かねばなりません。

お返事を心よりお待ちしております。

疲れ果てた賢者

愚かなる固定観念Folly in Fixation

エストリアーモ 著

強くなりたいのなら、偉業を成し遂げたいのなら、一種の訓練にのみ集中し他を排除せねばならないと教える者がいる。これは全くもって馬鹿げている。より多くを習得できる力があるのに、なぜ一つのことを極めるだけにとどまる必要がある?

同業者である魔法使いの間でこのような考え方が特に広まっている印象がある。物理的な戦闘技術やその他学問から遠ざけられ、完全に魔法にのみ専念させられる学習者は多い。結果的に全く興味も才能もない分野まで献身的に学ぶこととなる。

実践的な使い方よりも抽象的な説や実験に注力する魔術師世代を育成してしまうのは非常にもったいなく感じてしまう。あなたも権利を奪われているうちの一人なら、私が新たな可能性を示してやろう。新しい学問分野を開拓することを恐れず、力強く前へと踏み出すのだ。

タムリエルには魔闘士の伝統がある。彼らはその知力と魔力を、戦闘で破壊力を発揮する呪文に生かし、それでいて重装と剣を身に着け前線で戦うことも恐れず、戦闘の流れを変えることができる。歴史上の名だたる英雄たちにもこうして魔法と武勇を組み合わせていた者が多く、同じ道を歩む者にもっと出てきてほしい。

戦場で栄光をつかみ、敵を震え上がらせたいか?ならば物理的なものも神秘的なものも両方極めるのだ。鎧の小手から放たれる炎。自分への攻撃を鎧で吸収しつつ、周囲の敵に雷を降らせる。敵にとってこれ以上の恐怖があるだろうか?真の力とは弱点を全て排除することであり、それを達成するには複数の分野で知識と経験が必要だ。

これまで魔法にばかり携わってきたなら、おそらく誰にも武器の振り方や防御性能の優れた防具の着方を教わったことがないだろう。最初は愚弄され笑われるかもしれないが、鍛えてくれる人を見つけろ。どんなに弱い(物理的な意味で)魔術師でも、重い防具を身に着けるだけの力をつけることはできる。

戦闘と同時に魔法を使う訓練もできる。そうすることで凄まじい集中力を身につけ、スタミナを強化し、剣を振りながら魔法を使うこともできるようになる。これによりどんな難しい局面にも対応できるようになる。自分の体のことを考えず、結果マジカが尽きてくると隙だらけになってしまう魔法使いがあまりにも多すぎる。

薄っぺらい典型にならぬよう多極化することで、どんな状況にも対応できる力がつくと分かるだろう。最強というのは、単に一つのことのみを極めることではない。あなたにはそれ以上の可能性が秘められているはずだ。自分の能力を拡張しておけば、どんな戦場でどんな敵と戦おうと、戦える準備が整うはずだ。

訓練目標The Chopping Block

カジュルド・ブラックフォックス 著

「騙したな!」スレドルが怒鳴った。ロングハウスの角を曲がると急に立ち止まって斧を落とし、物切り台横に置かれた新しい丸太の積み木の前に立つ。「兄さんのように戦う方法を教えてくれるって約束した!」

「約束してるさ、チビ、忍耐を見せればな」スラロルがほくそ笑んだ。「その斧の使い方を学びたいなら、基本から始めなくては。薪を二つにできないのに、敵の頭蓋骨を切り裂けると思うか?」

「簡単だよ!見せてやる!」スレドルは兄が若い頃に使い込んだ鉄製のおさがりの武器をひったくって 作業台へ突き進んだ。力強く叫び、目を閉じて全力で斧を頭上に振り上げた。刃が丸太をかすめて地面に突き刺さると同時に、スレドルは前へよろめいた。

「そんなに簡単じゃないだろ?力はあるが目標に当たらなければ意味がない。さあ、見ていてごらん」スラロルは数回振ってみせた。「ずっと目標に目を据えて、しっかり立つのが分かるか?じゃあもう一度試すんだ」

スレドルの腕が疲れて柄を握る両手が赤くなった夕暮れまで木を切った。片手で斧を握ってまるまる1コードの木材を休みなしで切れるようになるまで、何週間もこのように単に木を切って訓練した。

ある朝、嬉しいことに日課をするために庭にやってくると兄が側に立っていた。何かが詰まった袋を積み上げ、ダガーフォール・カバナントの吠える獅子が描かれた木の棒を持っていた。

「力が強くなって狙いが良くなったが、別の目標にはどう対応するか見てやろう。さあ、この悪党にノルドの力を見せつけてやれ!」 彼は小柄な弟に間に合わせの木製の盾を投げた。そして朝の間、狙いを叫んでダミーの腕を振り続けた。スレドルはその間ずっと、弱い打撃を防ごうとしていた。

「トロール・ファングを本物の標的に試すのが待ちきれないよ!」近くの木陰で休憩をしていたスレドルは深く息をついた。

「そう名付けたのか?まあ、試す時があまり早くこないといいが」スラロルが返事をした。「たくさん学んだが、まだまだ道のりは長い。練習し続ければ気づかないうちに、戦場へ招集されてもよい準備が整っているだろう。待て、何だ?何か聞こえてくるぞ!」

スレドルは呆れた顔をした。「母さんが呼んでるだけだよ」と彼は反抗した。

「母さんの激怒はどんなカバナントの兵士よりもまずい!」スラロルが叫んだ。「急げ、母さんが探しにくる!」笑いながら兄は庭を横切り、家まで弟を追いかけた。

護身術Saving Your Hide

アンデルス・ゲマネ副隊長 著

手持ち武器の中でも極めて重要な短剣を、兵士達は軽視することが多い。そう。盗賊やアサシンでさえ好む、地味なブーツナイフのことだ。大剣で首を切り落とし栄光を掴もうと戦闘に突撃する夢を見る者達にとってどうして短剣の評価が低いのか容易に理解できるが、ピンチに陥った時の救いとなることがある。

経験豊かな兵士はどんな状況にも対応する準備ができていて、それは大小さまざまな武器に精通していることを意味する。短剣は唯一無二の友人になれる。隠れた刃は捕まった際に拘束具を切り離せるし、丸腰になっても戦うチャンスを与えてくれて、小道で皮を剥いで手軽な食事ができる。手に取って訓練すれば、機動性と近接戦闘について多くを学べる。

戦場に備えて完全な準備をしたいのなら、次の簡単な訓練を最低週一回するべきだ。私の助言を聞けば生存確率が10倍上がる。

早抜き:数本の小振りの短剣を手の届きやすいところに固定しろ。腿に一本、剣の側に一本、または肩に一本つけるのがよいだろう。やることは可能な限り速く短剣を引き抜いて使える状態にするだけだ。簡単に見えるが、この手順は習得の必要がある。素早く取り出せなければ死んだも同然だ。

投剣訓練:弓は優れた武器だが、矢が尽きて敵が突進してきたらどうなる?射手の射程距離で投剣の訓練をある程度行え。手首を固定して確実に振り切る形で、標的と柄が一直線上になったら放せ。早抜きの訓練と一緒にすると特に効果が上がる。

葦:この訓練には相手と練習用武器が必要になる。片手を背後に回してもう一方の手で短剣を握り、相手に全力で挑ませろ。目標は両足でしっかりと立ち続けて素早く体を曲げることだ。後退せずに、短剣が致命傷を与えられる攻撃側の懐へ向かうようにしろ。

何をぐずぐずしてる?表に出て短剣の練習をしろ。それに命を救われたら、私に感謝してもらっていい。

骨の源The Source of the Bone

セラレス 著

どんな獣の骨にも物語がある。植物の中を歩き、森林の上を飛び、狩ったり殺したり食べたりした記憶がある。その骨を矢に作り替えるとき、我々は死の物語を用意し、そこで選んだ骨は大きな意味を持つ。「矢はただの矢でしかない」と、これを笑う者や呆れた顔をする者がいるが、骨こそが最高の物語を伝えてくれることをボズマーは知っている。

狩りをする鳥の骨はほとんど的を外さないし、大きなトカゲやヘビのそれは素早く鋭い。狩られる側の動物の骨は速く、狩る側のそれは的に深く噛みつく。警告に使う元気な矢は、猿から作ると良い。獰猛な獣ほど、危険なものが出来上がる。

我らの知っているものをいくつか紹介する:

リバードループは不活発で川底に生息するが、そのトゲには悪夢にうなされる睡眠を導く毒がある。大きな犬ほどのサイズで、動きが遅いため捕まえやすいが、扱いづらく食べることもできない。密度の高い肋骨や背骨から作る矢には、流れの遅い川や悪夢の眠りの重みが乗っていて、敵の五感を鈍らせる。

センチタイガーの矢で与えた傷は、敵を干からびるほど出血させる。元の獣の爪のように、ギザギザで残酷な形に作ると良い。森林の中を歩き獲物に飛びかかることを覚えていて、素早く静かで、温い血液の味に飢えている。しかし自分で仕留めていないセンチタイガーの骨を使っても、同じ効果は得られない。敬意を勝ち取る必要がある。

強大な沼の怪物ワマスから作った矢は、骨の奥深くをガタガタ揺らす作用があると言い伝えられている。この恐怖を追い求めるなら、相応の努力がいる。ブラック・マーシュの奥の沼地に生息し、遭遇した者のほとんどを惨殺する。その骨は夜の闇のように黒く光り、触るとピリピリする。この力は何年も持続する。

我が民の知識の多くがそうだが、このような事実が書面で残されることは珍しいので、敬意をもって扱ってほしい。また、全ての射手はそれぞれ違う獣を好み、狩りを通してそれと絆を作るものだ。あなたも自分の獣を見つけ、真の射手となれることを祈っている。

詐欺師の謝罪A Grifter’s Apology

著者不明

かなりの額を払って購入した剣を家に戻って振ったら刀身が飛んでいったことがあるか?頭にきたに違いないだろう!魔法の剣と説得した口の達者なくそ野郎を探しに、おそらく激怒して市場に戻るが、露店がもぬけのからだって分かっただろうな。

俺みたいな奴から武器を買ったから分かるんだ。

そのとおり、俺は手に入れられる最も粗悪な偽物の商品をお前みたいな者につかませていた。弟子の偽物を買ったり、錆びた家宝を質屋で見つけたりして、英雄になるデカい夢以外にはあまり考えのない奴らから金を稼いでいた。そんな日々とは縁を切った。間違ったことをしたし、償いをしたい。だから知識を少し授けることにする。

最良の助言は信頼できる鍛冶屋から武器を買うということだ。あまり見栄えはよくないかも知れないが、派手なものは必要ない。俺は大量のドデカい両手剣を怖い目をした若者達につかませたが、穏当なものから始めるのがいいだろう――シンプルでしっかりした片手剣だ。戦士の優秀さは武器による。バラバラになるものを使っていては何も学べない。

市場の露店にどうしても行きたいのなら、まず武器を手に取ることだ。まず近くの柱で試し切りをせずに買うのは絶対ダメだ。商人が触らせずに言い訳を並べ続けるのなら、何かを企んでいる。

俺は気まぐれな動きや感傷的な作り話をして客達の気をそらすのが得意だった。近頃は貴族の騎士の未亡人がもう本当につらい状況にあってなんとか暮らしていて、俺は親切心の有り余る商人だから騎士の古びた剣の利益すべてをともかく彼女に渡すつもりで、一人では市場にやってこれない優しい老婦人に誠実なことをするんだ、なんて話をすれば、誰かをだましてペテンにかけるのは本当に簡単だって驚くだろう。

こうはなるなよ。おしゃべりは無視して武器を手にしたら、錆の上に塗られている痕跡をチェックしろ。刀剣の柄または斧の柄を慎重に調べるんだ。金属が他の物質と接触するところで粘着物の形跡を探せ。宝石がちりばめられている派手な武器はよせ。ガラスの偽物と宝石の区別が多分できないだろうから。一番優秀な詐欺師はほんの少しだけ幻惑魔法の知識もあるから、あると思っている魔法特性を疑って数分以上は品を調べるようにしろ。

ここまでで片手剣に何を求めるべきか十分分かったはずだ。そしてトリックに引っかからないことを祈る。過去に俺がだました者達について申し訳なく思っている。そして市場やトレーニングでの幸運を祈っている。

仕立屋:軽装鎧の基礎Clothier: Light Armor Basics

マントー家伯爵第五夫人、エロイーズ 著

ここウィンド・キープで私たちは、ハイロック一番の軽装鎧の作り手として名をはせています。:極上にエレガントで風雅、それなのに作りがとてもしっかりしていて頑丈だと評判です。私たちの仕事へのこだわりについて、少しばかりお話いたしましょう。

(「私たち」とは、もちろんこの街の仕立屋ファミリーのことです。衣服屋、衣類屋、礼服屋ですね。気高い腕利きの私の監視下ではあるものの、彼らは実際のつまらない仕事をしています)

軽装鎧はすべて布製。補強のために一部、丹念に作られた骨、角、軟骨が使われています。ジャーキンやパンツの表地は装飾されたシルクやダマスク織が使われるかもしれませんが、その裏は、キャンブリック生地や黄麻布のような頑丈で壊れにくい繊維で作られた布の層になっています。これらの層には、打撃の威力を吸収しやすくするようにキルト布か綿入りの布がよく使われます。

四種の悪鬼The Four Abominations

コロールの大司教、ヴィニシウス・インブレクス 著 第一紀1051年〜1087年

ステンダールは定命の者の世界を見つめていた。そして定命の者が悪鬼に苦しむ姿を見た。彼は彼の司祭、篤信者、テンプラーに、この奇怪な冒涜者たちが彼の目前で行った忌まわしい行為を知らせ、彼らを正義の士の手で、慈悲もなく立ち止まることなく根絶やしにするよう命じた。悪鬼たちはそれぞれすべてがムンダスの定命の者の永久の敵である故に、我々の中に存在することは許されないのだ。

悪鬼には4つの種族があり、次のように知られている:

—デイドラ、この世界を超越した恐怖の存在は、ムンダスの者ではない。タムリエルの定命の者に残虐と死を与えるために、オブリビオンから現れた。

—獣人、狂暴なハーシーンによってこの世界に運ばれた定命の者であり、己の皮膚を動物の皮に変え、汚れなき者を捕食する。

—蘇った死体、この不休のアンデッドは、腐りゆく肉体をおぞましい奇怪な生命力で維持しており、生者の世界に恐怖と苦痛をまき散らす。

—不死の吸血鬼、真摯な民を身の毛もよだつ方法で食す。定命の者である正義の士を単なる家畜と見なし、不浄なる渇望を満たす。

4種の悪鬼を知れ。正義の士よ、彼らが現れる場所に集い、根絶やしにせよ。

死との調和の獲得Achieving Harmony with Death

骨と鎌の達人、イミラ 著

骨と鎌について長年教えている間、生徒たちから死との調和を獲得するための道の、個人的な段階に応じた質問を受けてきた。まだ道を歩んでいない者によくあるのは次の問いだ。死との調和を得るため、どの種類の骨を使えばいいのか?さらに次のようなものもある。1日に2時間瞑想すれば、調和の超越を早く獲得できるだろうか?

このような質問は、生徒たちがいかに生へ固執しているかはっきりと示している。どの種類の骨を使うか考えることは注意を工程に向け、物事を行う正しいやり方か間違ったやり方かを問い、生者に適用されるラベルを当てはめることだ。それは生が終わる瞬間から注意を離してしまう。瞑想に時間制限を設けることは、生きていれば呼吸のたびに減っていく時間という虚構を思い出すことである。死において、時間など意味がない。時間の経過を認めることはその結果として、死との調和を獲得する能力を制限しうる。生徒と師の双方を助けるため、私は生徒たちが道のどの位置にいるのかを知る方法について、自身の考えを以下に記しておく。もちろん、経験は個人によって異なるだろうが。

第一に、生徒は「死との調和」という概念に取り組む必要がある。私はまだ行っていない者に対して、この瞑想を課題として出している。彼らが生者の世界への執着に問いを向け、人生の不確実さの居心地悪さに苦しむようになれば、道を歩み始める精神が解放されたということである。そして彼らが自らの死という観念に動じなくなって初めて、最初の一歩を踏み出す準備ができる。

この道を見出せない場合、生徒は失敗する。

第二に、生徒は調和の超越への道はそれぞれ異なることを理解する必要がある。すでに道を見出した者も、やはりある種の確かさを求め続けている。次の一歩は何か?この旅はどのようなものになるのか? 何を避けるべきか? 忘れずにやっておくべきことは何か?

これらは全て当然の質問だが、「正しい」か「間違っている」かに執着していることを示してもいる。繰り返すが、調和の超越への道は個人によって異なる。この生徒たちの次の一歩がどこへ向かうか、はっきりと分からないことに動じなくなれば、彼らは正しい道を進んでいる。それ以上に詳細な徴候は役に立たない。すでに言ったとおり、彼らの道はそれぞれ固有だ。また、不確実さに対する安心感は、各人にとって異なっている。

自らの道を辿れない生徒は失敗する。

第三に、調和の超越は一度獲得しても、無際限に維持されないことを理解する必要がある。調和の超越の空間内に留まるためには、繰り返し選択をしなければならない。死との調和を保つために。

達人たちでさえ、これには失敗する。それは彼らが達人として失格であることを意味しない。むしろ、調和を獲得するほど長く自らの道を旅した後で失敗を受け入れることこそが、達人の証なのである。

死体の世界A World of Corpses

マニマルコ 著

私ほど苦しんでいる者が他にいるだろうか?夜も昼も構わず、死霊術師志望者の子供じみた嘆きに耐え忍ばねばならない者はいるか? 信者たちが私の真実を記憶に刻み込むまで、私はどれだけの魂を無力な失敗から引き離さねばならない?

質問!臆病な謝罪!作り笑いを浮かべた否認!こんな惨めな下種どもが、本当に暗黒の技の継承者なのか?これが我らの栄光高き実践を次の世代へ伝える死霊術師だというのか?実に忌々しい!

死霊術師志望者どもの質問にはどれも腹が立つが、いつも決まって殺意を抱かせる質問が一つある。「名誉ある虫の王よ、どこで死体を探せばいいのでしょうか?」私はこう答える。「他の死霊術師がお前の死体をここで見つけるだろうよ!」そしてそいつの魂を、考えうる限り最も苦痛に満ちた方法で刈り取る。

さて、このような習慣はささやかながら、個人的な憂さ晴らしにはなる。それに無能な魔術師の芽を摘み取ることで、私はタムリエル全土に貢献してもいる。しかし数百年も経った今、こうした儀式全てが面倒で退屈だと感じるようになった。だから簡単な教えを紙に記すことにした。これを無視するなら、命に危険が及ぶと思うがいい。

どこで死体を探せばいいか?どこでもだ!世界全体が一つの墓地だ。タムリエルのどの街や草原、森でも、これまでに数え切れないほどの虐殺や悲惨な事件が起こっている。その中には知られているものもあれば、忘れられたものもある。お前が足を置く場所ならどこでも、その下には死体が眠っていると請け合っていい。必要なのは、死体を呼び出して仕えさせる意志だけだ。古い骨は一定の抵抗を示す可能性がある。時と腐敗で動きが鈍り、扱いにくくなっているかもしれない。だが古代の死体を従わせることができないのなら、死霊術師と名乗る資格はない。

生者が残っている限り、死者もまた残り続ける。死体を探すなど子供の遊びだ。死体を利用することこそ、死霊術師の力を測る真の物差しだ。

至福Bliss

あのキャラバンで全てが始まったとき、私はそこにいた。いまだに旅立つことができない。出ていくことを考えるだけで、恐怖が体を麻痺させる。

もう1年近く前、私は魔術師ギルドのためにデューン原産の植物を調査すべくエルスウェアへ向かっていた。手厚く守られた大きなキャラバンと共に送り出された。旅慣れていなかったが、護衛や重い荷馬車の中で安心感があった。

出立からわずか4日後にその幻想は崩れ去った。朝に出発の準備をしていると、深夜の見張りが1人行方不明になっていると聞いた。仲間たちは当初、単純に仕事を放棄したものと考え(よくあることらしい)あまり気にしていなかったが、準備の過程で彼の荷物が見つかった。何が起きたのか気になりつつも我々は出発した。

日中、カジートの護衛の1人が道の先に何かがあると気づいた。彼が先に様子を見に行ったのだが、カジートが青ざめることがあるとすれば、戻ってきたときの表情はまさにそうだった。彼は何も言わずキャラバンマスターのところへ行った。少し詮索すると、我々の進む道に例の護衛の遺体が立たされていたそうだ。噂によるとそいつの喉を1本の矢が貫いていて、そこには「至福」と書かれていたらしい。

それは始まりに過ぎなかった。毎夜、また別の護衛が消えた。毎日、消えた護衛が進む先で発見され、同じように「至福」と書かれた矢で喉を貫かれていた。キャラバンは動揺に包まれていた。引き返すよう懇願する者もいたが、その頃にはデューンまで半分以上到達していたので、キャラバンマスターは聞く耳を持たなかった。誰一人眠らず、護衛は倍の数が配置され、周囲全体をキャンプファイヤーが照らした。だが、例外なく毎晩1人ずつ消え続けた。我々は常に動き続けることにし、シフトを組んで荷馬車の後ろで睡眠をとった。

デューンまであと2日というとき、私は浅い眠りから目覚め、荷馬車が止まっていることに気付いた。疲れた体を起こし荷馬車の横から頭を出して見渡した。周囲は死体だらけだった。残っていた全てのメンバーが、「至福」と書かれた矢に喉を貫かれ死んでいた。命のある者はいないかと次々と調べたが、やがて諦めてへたれ込んだ。誰、もしくは何がこんなことを?なぜ?なぜその言葉を矢に刻み込む?

そこからデューンに着くまでの2日間はあまりはっきり覚えていない。きっと私は見落とされていただけで、確実に見つかってやられると思っていた。だが今となっては話を広めるために生かされたようにも思える。誰も信じてくれなかった。街の衛兵を連れて惨殺の現場に戻ったが、何もなかった。1つの痕跡もだ。自分がおかしくなってしまったのかと思ったが、そこからわずか1週間後に報告が入ってきた。次々とキャラバンを襲い、「至福」と書かれた矢を使って残酷なゲームをたしなむ亡霊の射手の報告だ。

魔術師ギルドは私を探すため急使を派遣しているが、いまだにデューンを出て戻る気力がない。もう報告は何ヶ月も聞いていないが、恐怖に打ち勝ち出ていくことができない。

犯人はまだどこかにいる。間違いない。

実践での注意Prudence in Practice

サンホールドのエレラーム 著

熟練した魔術師なら、新しい呪文を使った実験においては、安全性こそが最重要であると知っています。破壊魔法を使用する場合は特に重要です。私はこれまでに数えきれないほど、ひどいやけどや凍傷を負った生徒を治療し、生徒の宿舎など、魔法の訓練には不適切な場所で唱えられた呪文の失敗による被害の後片付けをしてきました。

新しい呪文を唱える時は注意しなければなりません。向こう見ずなふるまいや、うっかり規則を破ったことは言い訳にはなりません。この簡単なガイドラインは「不注意」という最も危険な敵からあなたを守るものです。

1.屋内で属性を放出する魔法の練習は決してしないこと。例外はありません!

2.職員と訓練する場合は、広い、開けた場所を見つけ、魔法を使用する前には、不純物や損害を引き起こす武器がないかどうか確認すること。

3.魔法をかける時に目を閉じても、呪文の効果は上がりません。間違いありません!

4.実地に試されていない破壊魔法を、いたずらで他の生徒に試さないこと(破壊魔法に限らずいかなる魔法も同様です。プロとしての行動を心がけてください)。

注意:マスターですら、マスターだからこそ特に、常に適切な注意を払うことが重要だと知っています。魔法による破壊は刺激的で心惹かれるものですが、怠惰で、だらしなく、無責任な行動をとる魔術師は、魔術の探求の道を耐え抜くことはできません!

射手の記録An Archer’s Archive

探求者サバリド 著

何かを真に極めようと思えば、自分の持っている知識は全て捨てないといけない。私が新たな技術を求めてタムリエルを旅していた頃には、すでに私を弓の名人と呼ぶ者もいた。それが真実ではないということは知っていた。自身は何日も動かずに動き回る獲物を追跡する狩人や、2本や3本の矢を同時に放ち的に当てる弓使いなど、他にも似たような異国の話を耳にすることがあった。ただの伝説や噂話だと誰もが断言したが、どんな伝説でも由来はあるものだ。

ウッドエルフは射手として名高いので、まずヴァレンウッドへ行った。森の心臓部への旅は長く、それまで知らなかったような危険に満ちていた。何ヶ月も指導者を求め、そこで出会った弓を持ったエルフ全てに挑戦した。そしてついに全く誤差のない長距離射手のジャクスパーに出会った。彼は一言も発さなかったが、挑戦を受け、私の放った矢を空中で当てて割った。私の同行を許してくれ、森の心臓部の奥深くで共に見たことも聞いたこともないような獣を追跡した。思考と呼吸を落ち着かせ、どれだけ時間がかかろうが、動かずに最良の射程に入るまで待つことを学んだ。

彼と別れたあと(というよりジャクスパーはある朝突然消えていた)、サマーセット諸島行の船に乗ろうとしたが失敗した。ハイエルフは本当に凝縮されたマジカだけで矢を作れるのか、知りたくて必死だった。有力な錬金術、さらに言えば人の視力をワシ並に研ぎ澄ます薬について、噂を耳にしていた。だが私を乗せてくれる船はなく、買収することも懇願することも騙すこともできなかった。

それでも私はくじけず、本物のカジートの短弓を手に入れるべく東のエルスウェアへと向かった。北方の草原では集団で移動するカジートが多く、その中で自分を獲物ではなく面白い人と認識してくれるグループに出会えたことは幸運だったと、それ以来言われ続けている。その頃の自分は青かったのだろうが、馬上からの乱射法や、頑丈な皮も射貫けるようなかかり付きの矢先の作り方を学べたので、危険を冒した価値があった。

次はあの恐ろしい沼地ブラック・マーシュへ向かう。カジートの仲間たちはそこで冒険しようという私を笑いものにするが、逃げだす気はない。沼の奥の方でアルゴニアンはどんな弓術を身につけているだろうか?どんな変わった手法を用いているだろうか?私の努力から誰かが知恵や刺激を受けるかもしれないと願いつつ、この記録は本屋などに寄付すべくカジートに託しておく。

何年も故郷から離れてしまったが、私の旅はまだ終わっていない。旅立ってから多くを学んだが、何よりも、世の中には知らないことが信じられないほど多いことを学んだ

狩猟の好機Sporting Chance

闇に包まれながら、アリースは矢をつがえたまま足場を確保しようとしていた。低いうめき声が木々の間で鳴り響き、月明かりが足元の葉を照らしていた。道はどっちだったろうか?

彼女は目印になるようなものを探しながら呼吸を落ち着けようとしたが、毎晩狩りをしていた林は姿を変えていた。いつもより荒れていて、木が太く、高くなっていた。正体不明の獣が周囲で鳴き声を発していた。いつも狩りをしていた道の痕跡はなく、帰り道も分からなかった。月たちは湿った秋の空気の中で、巨大かつ不吉な姿でぼんやりと見えていた。

大地が揺らぎ、アリースは空き地にいた。2本の角の付いた醜い仮面を被った何かが、ステンドグラスで装飾された石の祭壇の上から彼女を見下ろしていた。マッサーの明かりでその邪悪な歯がきらりと光った。端に無数の物体が集まってきたが、それらを見ようとするたびに散っていった。その何かが手を前に出すと、祭壇に数種類の武器が出現した。忌まわしい槍、2つの鋸歯状の短剣、そして黒い弓。

彼女は前へと引き寄せられ、やむにやまれず近づいた。何かが目の前の武器を取るようジェスチャーで促したが、彼女は手を差し出すことを拒み、首を横に振って自分の弓をより強く握りしめた。気の狂ったような笑い声が頭の中で鳴り響き、再び大地が揺らぎ始めた。

空き地は消えていた。再び足場を持ち直すと、暗い枝葉の中で様々なものが激しく動き回っているのが見えた。無数の輝く目、月明かりに照らされよだれを垂らす口、そして獣とそれに乗る者のうなり声。角笛が低温で鳴り響くと、木々が揺れ、歯がガタガタと振動し、背後の闇が波のように打ち寄せてきた。アリースは走った。

走るアリースの横をいくつもの矢がかすめた。槍が肩の少し上を通り過ぎた。走ってくる音が近づいてきて、距離が詰まっているのが分かったが、後ろを振り返らないようにした。必死に高く飛び上がり、木の枝につかまった。何とか体を引き上げると、数秒前まで自分のいた場所を鋭い歯が切り裂いた。

間をおかず彼女は振り返り、矢を準備し放つと、下にいる獣が痛みに悶える声を聞いて胸をなでおろした。次々と射貫いたが、さらに何匹も現れてはうなり声をあげた。獣と騎手たちはアリースの避難場所を囲んだ。太い枝の中に隠れられる場所までよじ登ったが、矢で狙える位置まで体を乗り出すことができなかった。万事休すだった。

一つだけ希望があった。上の方の木の枝は密度が高く複雑に絡み合っていた。頑丈な枝まで飛ぶことができれば、そのまま移動することができそうだったのだ。近くの枝を試そうと乗り出したその時、足元が激しく揺れバランスを崩した。かろうじて枝を握りしめながら下を見ると、輝く歯に装飾された黒く分厚い毛皮の塊が、大きな肩で木の幹に突進していた。そこに乗っていた角の生えた狩人が彼女に槍を向けた瞬間、木が倒れた。

必死に捕まろうとしながら入り組んだ枝の中を転げ落ち、彼女は地面に叩きつけられた。着地の瞬間、ボキッと嫌な音がした。弓を拾い立ち上がろうとしたが、脚に痛みが走り前に倒れた。期待のこもった荒い息遣いで、怪物が走ってきた。
逃げ場はない。アリースは本能的に素早く狙いを定め、矢を放った。1本目の矢が的を得るより先に、彼女は騎手に向かって2本目、3本目と放った。頭の中で怒りに満ちたうなり声が鳴り響くと、彼女は目を閉じ、その鋭い牙に飲まれるのをただ待った。

痛みはなかった。目を開けると、アリースは知っている場所にいた。木の枝の隙間からたくさんの輝く星が見え、はるか下の谷にある自分の小屋のたいまつも見えた。苦痛に顔を歪めながら、脚に添え木を当て、弓を手に取った。その弓の上部のリムには、赤く光る小さな角が2本ついていた。

種族別の系統発生論Notes on Racial Phylogeny

第3版

帝国大学治癒師会 著

治癒師会では、遠い昔に生体標本を使った分析をおこない、その結果、全ての人間やエルフの「人種」は互いに交配可能であり、繁殖可能な子を産むことができるという結論に達した。通常、子は母親の人種的特長を受け継ぐが、部分的に父親の特徴が現れることもある。カジートやアルゴニアンと、人間やエルフが交配可能かどうかはわかっていない。これら異種間交配やデイドラとの交配で子が産まれたという報告は時代にかかわらず数多く存在するが、信用に足る記録は残されていない。カジートと人間、およびエルフとの違いは骨格や皮膚にとどまらず(カジートは「毛皮」で全身が覆われている)、代謝系や消化器系にまで及ぶ。アルゴニアンは、ドゥルーのような半陸半水生の人間型生物とされているが、アルゴニアンの生物学的分類がドゥルーなのか、人間なのか、エルフなのか、それとも先人の考えたようにブラック・マーシュの木に住むトカゲに近いのかは不明である。

オークの生殖については不明な点が多い。また、ゴブリン、トロール、ハーピー、ドゥルー、ツァエシ、イムガ、デイドラなどについても同様である。強姦や魔術での幻惑によるこれらの「人種」間の性交の例があるのは事実である。しかし、それらによる妊娠は報告されていない。また、これらの生物と文明を持つ人型生物との間の交配の可能性については検証されていない。これは文化的な差異が大きすぎるためであると思われる。つまり、オークによって妊娠させられたボズマーやブレトンは恥を恐れて事実を隠すし、人間の子を妊娠したオークもまた彼女らの社会から追放されると考えられるのである。我々は治癒師であり、残念ながら科学的検証のためにこれらの人種を強制的に交配させるということはできない。しかし、スラスやスロードは幼生時は両性具有で、陸上を動き回れるほどに成長して初めて雌雄どちらかの生殖器を持つようになるという点については確証がある。このため、これらの種と人間やエルフとの交配は理論上不可能であると言える。

これらの「人種」の分類についても疑問は残る(人種というのは不適切ではあるがわかりやすい用語なのでここでも誤解を恐れずに用いる)。人種の特徴そのものが、「アース・ボーンズ」を操作する魔術的な実験の過程で作り出された共通の特徴や相違点などによるものなのか、世代を経ての段階的な変化によるものなのかという問題にはまだ結論が出ていないのである。

重装鎧:鍛冶夫人からの助言Heavy Armor: A Forge-Wife’s Advice

ガーシャグ・グラシャーカブ 著

あなたには鎧作りの素質すらないと賭けましょう。考えてみなさい。一日中、金床に向かって、奴隷のようにあくせく働くことができますか?額から流れる汗で目を痛めながら、鉄や鋼鉄、ときにはオリハルコンさえも、手が上がらなくなるまで何度も何度も叩くことが?完璧な一式を鍛造するまで、金属を持ち上げ、槌で叩き、形を整えながら、何週間も灼熱の日々を過ごせますか?ひどい火傷を負うことをどれだけ恐れますか?

まだいたのですね?結構。あなたには潜在能力があるのかも知れません。鍛冶屋になりたいと真剣に考えているのなら、正しいオークを見つけたのです。私は鍛冶場で育ちました。怒鳴り声と金床が友達で、槌を片時も離しませんでした。本物の鎧が、いかに作られるか教えましょう。

私からの助言です。とにかく、やってみなさい!鉱石を手に入れ、金床の上に置き、槌で叩いて薄い板に伸ばすのです。最初はいびつな出来かも知れないが、やっているうちにコツが分かってくるでしょう。二流の鎧を使って、さらに強いものに鍛えることも可能なのです。そのためには他の鍛冶屋の仕事をできる限り見ることも大事です。風変わりな様式、原料を学びなさい。そうすることで腕が磨かれます。でも一番は実践すること。さあ、始めましょう!

重装鎧の鍛造Heavy Armor Forging

重装鎧は、多くの攻撃を受け止めるよう設計されている。あらゆる武器による攻撃を直接受け、装着者を守ってくれる。すべての鎧には、縛って固定するのに革ひもが使われる。

鉄と鋼は扱いやすい。熱して、叩いて形を作っていけばいい。鍛造の熱はそれほど重要ではない。金属を削ってしまわないように気をつければいい。常に金属の無駄使いを避けながら、形作るよう心がける。

鉄の鎧には大量の鉄のインゴットが必要だ。鍛冶屋によっては鉄の鎧をすべて作るのに数十個が必要かもしれない。鋼鉄の鎧は主に鋼鉄のインゴットを使用するが、鉄製の物も多少使う。

ドワーフの鎧はドワーフの金属から作られる。この素材の秘密は数千年前ドワーフが消えた時に失われてしまった。今では捨てられた街と要塞内の遺跡でのみガラクタとして発見できる。

オークの鎧には大量のオリハルコンに少量の鉄を混合する必要性がある。熱で脆くなるため、慎重さが求められる。オークはこの技術を極めているが、忍耐と技術があればどんな鍛冶屋でも習得できる。

スチールプレートの鎖帷子は、溶けた鋼玉に鋼鉄を加えて作られる。合金にすることで、どちらの金属単体よりも強くなる。鋼玉は取り扱いに細心の注意が必要な素材で、鍛造段階から一定の温度を保ち続ける必要がある。

黒檀は熱した時のみ扱える。冷たいまま叩くとすると小さなヒビが生じ、最終的に粉々になってしまう。他の多くの鎧と違い、黒檀は鉄と合わせて合金にしない。純粋な黒檀でなければならない。

デイドラの鎧の事は聞いたことのある物語を教えることしかできない。実際に自分で見たことがなく、またこれまで見たことがあると言う人にも出会ったことがない。物語によるとそれは夜に作るのがいいそうだ… 新月か満月の夜が理想的で、月食の時は決してやってはいけない。赤い収穫の月が最適だ。黒檀が主要な素材だが、ちょうどいいタイミングでデイドラの心臓を火の中に投げ込まなくてはならない。

召喚の原理Principles of Conjuration

コルヴス・ディレニ 著

—はじめに—

召喚とは、召喚師が自分の利益のために、生き物や物体を他の次元から呼び出すアルケインの術だ。その研究は、召喚術特有の危険性のために長きにわたって敬遠されてきた。召喚されるもので特に多いのは最も知性の高いデイドラだが、彼らは他人の命令に従ってニルンに呼び出されることに憤慨しており、しばしば召喚師に害を与えようとする。

私が安全で確実な召喚呪文の考案に成功したことは注目に値する。この成功は、召喚の魔術において主要となる2つの要素、召喚の呪文と呪縛のルーンを常に連動させる方法を定義したことに由来する。後者はもちろん、召喚されたものを召喚師に従属させることで、召喚師を守るためのものだ。

従来まで、召喚を行う魔術師は召喚と呪縛というまったく別の呪文を同時にかけなくてはならなかったため、召喚は大変危険な行為であった。呪縛の魔法に失敗するか効果が遅すぎれば、召喚師はその命で代償を支払うはめになることもあった。私の考案した呪文は、召喚と呪縛の魔法を組み合わせて1つにしたもので、召喚と同時に、必要な呪縛の効果も得られる。

見習いは付随のグリモアに記載したこの呪文の研究に没頭するよう求められる。私の方法は召喚の危険を減らすものだが、決して気安くぞんざいに試していい術ではない。不注意に術を試みる見習いは、端的に言って師匠のお荷物となるだろう。

消えたクラッツThe Vanishing Crux

センチネルの賢者 マスラ・ドラ 著

オッセウスクラッツの起源と目的は、未だ大いなる謎に包まれている。それはヘガテ近く、アビシアン海の海岸で発見された。非常に大きな未知の獣の骨を材料に組み立てられており、より合わせた繊維のひもで1つに結び付けられていた。ほぼ人間2人分の幅と高さがあり、表面はグリフ、文様、さまざまな種類の手書き文字で覆われていた。そして、見たところでは、その周囲に根源的なエネルギーを、不定期に噴射していた。学者が記すところ、この爆発は現代の破壊魔法の既知の限界をはるかに超える魔法の力を放出したという。

その奇妙なアルケインの図形の中に書かれた言語のうちの1つは、アイレイドが起源のもののように見えた。しかしつづりの中の特有の言い回しと一部の文字は、アイレイド語の学者にとってさえ未知のものであった。放出を短時間抑制し、翻訳を試みたところ、全体のうちほんの一部分だけ、意味が判明した。

次に示す例が、翻訳で判明した文章の全体の語調とテーマを示している。

「這い回る紫の中の[それ]を捕獲せよ。エセリアルの力が下の圧縮的[ろ過作用]により増幅した」

「生命の沈殿を強化する。[切り取った]光を解き放ち手に入れよ。深い影でのみ抑止される」

センチネルの魔術師ギルドの施設へ移送してから3週間のうちに(その困難な任務には何の見返りもないが)、クラッツはギルドの制御室から消えた。何が目的で作られたものなのか?誰が、なぜ作ったのか?残念なことに、私たちがそれを知ることはもうないだろう。

杖1本に多くの杖One Staff, Many Staves

スカヴィンの下手くそ大工、ホアリー・ドゥロッツェル 著

ようし、若者どもよ、つま先でナイフゲーム遊びをするのをやめて、こっちに集まれ。杖の作り方を軽く教えてやろう。そうだお前もだ、かわいいデフェサス!

まずハッキリと言っておくが、杖は杖であり杖だ。間抜けの頭蓋骨に良識を悟らせるために使おうが、充電してクリフ・レーサーに衝撃の魔法を放とうが、杖は杖だ。いずれにしても、目的達成のための試練に耐えうる強度がなくてはならない。また力にムラがあったときに折れてしまったり、曲がったりしないよう、十分にしなやかである必要もある。これは回復の杖でも同じだ。というのも、回復の魔法は攻撃の魔法と同じくらい威力があるからだ。見くびってはいけない。

カエデ、カシ、トネリコ、それにニレ。または別な高密度の木材で杖を作ってみたくなるだろう。杖は何百回、いや何千回と打たれても立っていなくてはならないからな。しかし、内部は宝石のように頑丈でなくてはならない一方で、杖の表面はディベラの尻のように滑らかでなくてはならない。杖の使い手は、どんな長さの杖でも、至る所を握る必要があるかもしれないからだ。ファイアボールを手にし、裂けたカシを持って近づいてくる、怒った魔法使いと対峙せざるを得ない状況に陥りたくはないだろう。

信者への呼びかけCall to the Faithful

プルデンティア・ブレスス 著

タムリエルは、軍隊に顔を踏みにじられ痛みに悶えている。キナレスの神聖な風は矢によって切り裂かれ、神々は命令を太鼓にかき消されて俯く。ああ神よ、我らを取り囲む異教徒たちは冒涜と嘘を振りまき、レマンの遺産を踏みにじり、神々に唾を吐こうとしている。それら全てを永遠に沈めるか、もしくは嘘で包み隠そうとしている。

このような血迷った冒涜者たちに勝ち目はないことを、真の神々の使いである我らは知っている。我らが忠誠を示せば、永遠なる無敵のアカトシュは我らを見放さない。多くの者が殺されていく中で立ち上がることができれば。偽善者たちとその卑劣なる主に立ち向かうことができれば。兄弟たちよ、今こそ我らを取り囲む異教徒どもとデイドラの奴隷たちを黙らせる時だ。我らはアカトシュの叫びによって呼び起こされ、黄金の丘が怒りで震えている今、じっとしているわけにはいかないのだ。

我らが羽織っているのは素朴なローブだけだが、ステンダールに守られている。彼は光で、ゆるぎないエドラの栄光で我らを包んでくれる。冒涜者の刃を退け、我らの永久の勝利を宣言してくれる。我らの武器は言葉だけだが、ジュリアノスが鋭く研ぎ澄ましてくれる。彼は我らの精神力を武器に変え、聖なる言葉で満たしてくれる。臆病な気持ちもあるかもしれないが、それでもアカトシュの声が前に進むように言っている。我らが英雄となり、彼の指揮で帝国を取り戻すのだ。

愛する帝国を再生するためには、怯みも動揺も許されない。我らの家を破壊する軍に怖気づいてはいけない。今こそ、彼の偉大な血で作られた我らが取引を尊重する時だ。我らは見放されたわけではない。打ち寄せてくる悪の波に立ち向かい、ゆるぎない忠誠を示す機会を与えられたのだ。戦いの装備をせよ。神々が我らの盾であり、光り輝く鎧であり、美しき剣である。彼らが我らを引っ張り、敵を追い出し、タムリエルに秩序と平和を取り戻してくれる。

あなたにも聞こえるだろう。魂の中で鳴り響く呼び声が。ためらうな。自信をもって、神々の指令に従うのだ

新しいレシピ?A New Recipe?

トロールの肉が味わい深くおいしそうになるように準備する方法を見つけようとしている。私がどんな料理の実験を行っているのか、伐採キャンプの他の皆に知られたら追い出されるだろうけど、この脂肪質の肉と治癒の特性が、森の民族にとって健康で長期間維持可能な食物源になればいいと思っている。

トロールの小さな肉片が大きくなり続け、食料庫がいつもひとりでに補充されるようにならないか?私はそう思うが、この理論を試すためには1切れのトロール肉が必要だ。それに火の問題もある。トロールの肉はあまり火にうまく反応しないし、森の民が生のトロール肉を食べる姿は見えない。

これを成功させる確信はある。ただ、時間がもっと必要だ。

神話と伝説の防具Armor of Myth and Legend

編集:オーレリーン・デゥルロイ

歴史を学ぶ中で、凄まじい力を宿した特別な武器や防具の話を耳にすることは多い。誇張された神話を実際の遺物から見極めるのは難しいが、例え嘘であってもそれらの詳細を記録しておくことが私の歴史家として、学者としての使命である。いくつかの伝説上の強力な防具について私が読んだ内容をここに記載する。私の知る限り一つも見つかってはいないが、どこかに存在するかもしれないと思うとわくわくするだろう!

刻印の胸当て

この黒檀製の胸当ては不明なダークエルフ将軍の命で作られ、ダンマーの聖人の名前やその教えが刻み込まれた。話によると名前や物語を刻むことで品位が下がってしまうと、担当した職人が将軍に説明しようとしたが無駄だったそうだ。将軍はとにかく完成させるようにと聞かなかった。作業中、高価な胸当てが3つも破損してしまい、職人は何とか名前や物語をうまく配置しようと試みた。司祭や付呪師と相談しながら、4度目で完成させられた。完成品は、デイドラ公以上の力でないと傷つけられないほどのものとなったそうだ。

スキンメイル

この信じがたい作品にまつわる文献は少ない。肌に塗ると、使用者の意思でいつでも硬質化して甲冑のような層を作れる液体が小瓶に入っているという文をいくつか見たことがある。成果を出すためには恐ろしい人体実験をもいとわなかった、強力なハイエルフ錬金術師が作り出したと言われている。開発には費用と時間がとてつもなくかかり、魔術も使われているので、それらの小瓶はこの世に数個しかないと思われる。

ウィドウウィル

帝国のとある小さく貧しい村に、兵士の寡婦が住んでいたという。彼女たち村人は静かに暮らしていたのだが、あるときから近くで死霊術師たちが活動を始め、墓を掘り起こし、夜中に人を攫っていた。村人の中には戦士や傭兵がおらず、貧乏だったため救援要請もできなかった。彼女は夫のものだったぶかぶかの甲冑と剣を身につけ、死霊術師を追い払おうと決心した。この無謀で自己犠牲的な行動にステンダールが気づき、攻撃してきた死霊術師が塵になるほど強力な聖なる守りを、その甲冑にかけたという。

正義のオーラAura of the Righteous

ステンダールの篤信者、輝きのプトラス 著

悪意ある者たちは光を忌み嫌う故に、ステンダールはその名に救いを求める者すべてに、祝福の光による正義のオーラでその身を包む能力を授けてきた。しかし時が経ち、邪悪なる悪鬼たちは、タムリエルの定命の者たちを破壊と死で苦しめる新たな手段を見つけるようになった。そこで、司祭とステンダールの篤信者たちは、ステンダールのその輝かしい恵みに、さらに攻撃、防御、治癒といった多くの効果を加えた。

攻撃の手段とする時、ステンダールの恵みは鋭利な一筋の光となる。その姿は浄化する陽光の槍と例えられ、しばしばそのように呼称される。

鎧となる時、ステンダールの恩寵は拡散するオーラとなり、正義の士を包み込む。忌まわしきものの攻撃を弱め、時には大きな脅威を払いのけるために、実体として感知できるほどの盾となることもある。

リランドリルの平和を求めるマスターたちのように、あらゆる暴力を避ける崇拝者たちは、ステンダールの恵みを治癒の道具として使用し、ステンダールの武力派の信者に対してさえ分け隔てなく、浄化と治癒の儀式の知識を広めている。戦士にあるからといって、病苦を治療することが間違った行いだと言えるだろうか?

正当なるリスラヴ、パート1Rislav the Righteous, Part 1

正当なるリスラヴ、パート1

シンジン 著

真の英雄が全てそうであるように、リスラヴ・ラリッチの生誕は不吉なものだった。年代記に記されているところによれば、彼が生まれた第一紀448年の春の夜は季節外れの寒さで、我が子の姿を目にして間もなく、母親のリネイダ女王は亡くなったことになっている。すでにたくさんの後継ぎに恵まれ、3人の息子と4人の娘の父親であったスキングラードのモーラス王が果たしてリスラヴを大いに可愛がったかどうか、年代記編者たちは特に触れていない。

彼の存在はあまりにも目立たないものであったため、その人生の最初の20年間については実質的に何も記録が残されていない。教育に関して言えば、コロヴィア西部の「予備の王子」がみんなそうであったように、アイレイドの家庭教師たちが狩りと戦闘の仕方を教えていたのだろうということぐらいは想像できる。礼儀作法、宗教的な教え、そして政治の基本でさえ、より文明が開けていたニベネイ渓谷とは異なり、コロヴィア台地における王子教育にはほとんど含まれていなかった。

第一紀461年、薄明の月の23日に行われたゴリエウス皇帝の戴冠式の参列者名簿の一部として、彼および彼の家族に関するごく簡単な記述が見られる。式典が行われたのはもちろんアレッシアのマルク教義の時代であり、それゆえに娯楽性は一切なかったが、それでもとにかく13歳のリスラヴは最も偉大な伝説的人物たちを何人か目撃することができたのである。アネクイナの野獣ことダルロック・ブレイが王国を代表し、皇帝に敬意を表した。スカイリムの長であった白王クジョリックとその息子ホアグも出席していた。さらに、エルフ全般に対して帝国は不寛容であったにもかかわらず、チャイマーのインドリル・ネレヴァルとドゥエマーのドワーフ王ドゥマクも、特に波風を立てることもなく、レスデインの外交代表として確かに参列していた。

また、ハイロックの帝国法廷に雇われていた若いエルフで、後にリスラヴとともに大いなる歴史を築くことになる者の名も名簿の中にはあった。リャン・ディレニである。

ほぼ同年齢であった二人の若者がその場で会って話をしたかどうかに関しては、完全に歴史家の想像に委ねるしかない。最終的にイリアック湾のバルフィエラ島を買い取り、ハイロック全域とハンマーフェル、およびスカイリムの大半も徐々に手中に収めていった、大地主としてのリャンについては称賛の言葉で語られているが、リスラヴの名はさらに17年間、歴史書に一切登場していない。以下に述べる事実に基づいて推測することしか我々にはできないのである。

王の子供たちというものは、言うまでもないことだが、同盟を結ぶことを目的として他の王の子供たちと結婚するものである。五世紀に入るとスキングラードとクヴァッチの王国は共通の領土を巡って小競り合いを繰り返し、ようやく和平合意に達したのは472年のことだった。この協定に関する詳細は記録されていないが、6年後、ジャスティニアス王の娘ベレンの夫としてリスラヴ王子がクヴァッチの宮廷に立っていたことは分かっているから、和平を目的として二人が結婚していたと考えるのは根拠ある推測だと言えるだろう。

これをきっかけとして我々は、シロディール全域、特に独立国のコロヴィア西部において疫病が猛威を振るっていた478年に目を向けることになる。犠牲者の中にはモーラス王およびスキングラードの王族全員も含まれていた。リスラヴの兄として唯一生き残ったドラルドは、マルクの司祭として帝都にいたおかげで助かったのである。ドラルドは王位を継ぐために故国に戻ることになる。

ドラルドに関してはいくらか歴史に記録がある。王の次男であった彼は、ややお人好しであると同時に、非常に信心深い男でもあったようだ。年代記編者はこぞってその人の良さと、幼い頃にお告げを見たことをきっかけとして–父親の賛意を得た上で–やがてスキングラードから帝都へと移り、聖職に就いた経緯について記している。マルクの聖職者にとっては、宗教的なことと政治的なことの間にもちろん何の区別もなかった。それがアレッシア帝国の宗教であり、皇帝に刃向かうことは神に刃向かうことと同じだと説いていたのである。それを知っていれば、ドラルドがスキングラードの独立王国の王となったとしても特に驚くには当たらないだろう。

王位に就いて彼が最初に発した布告は、王国を帝国に譲渡するというものだった。

それに対する反応として、コロヴィアの私有地全域に衝撃と憤激が満ちた。他のどこよりもそうだったのがクヴァッチの宮廷だった。リスラヴ・ラリッチはその妻および義父配下の24人の騎兵隊を引き連れて、兄の王国に向かったとされている。年代記編者がどれほど尾ひれをつけようとしてみても軍隊としては見栄えのしないものであったことは明らかだが、それを阻止しようとドラルドが派遣した衛兵たちを突破するのにさほど苦労は要らなかった。実際のところ、戦闘は行われなかったのである。スキングラードの兵士たちも、自治権を放棄するという新しい王の決定に憤慨していたからだ。

兄弟は自分たちが育った城の中庭で向かい合った。

典型的なコロヴィアのやり方に従い、裁判もなければ反逆罪の告発もなく、陪審員も裁判官もそこにはいなかった。死刑執行人がいただけである。

「汝、我が同胞にあらず」と、リスラヴ・ラリッチはそう言い、一撃でドラルドの首をはねた。血まみれの斧を両手に握ったまま、彼はスキングラード王の冠を戴いた。

戦争の不快症状Discomforts of War

錬金術師ロビヤー・ドゥーアレ 著

発疹、汚臭、伝染病にカビ。どれも戦士にとって心地よいものではないが、正しい順序を踏めば抑制できる。私は戦場で10年間の経験をもつ熟練の錬金術師であり、ひどい野営地も見てきたが、よくある健康被害を発生しにくくする方法をいくつか開発した。私のアドバイス通りにすれば、多くの戦士が仕方なく受け入れてしまいがちな問題も避けて通ることができるだろう。

まず最も大事なのは、水浴びをすることだ。機会はあまり多くないだろうが、一日の行軍や戦闘の後にできるだけ早く水浴びをして、ショークとベルガモットの種を砕いた軟膏を塗ることで、穴あけ虫、草ノミ、膨張虫などの寄生虫を寄せ付けなくなると証明された。戦闘の経験者なら分かると思うが、野営地はこういった不潔な生き物の温床なので、予防することが最善である。

また、環境を考慮することも大事だ。様々な不快症状を回避するためには、敵だけでなく地形とも戦う覚悟が必要になってくる。砂漠での移動時には、擦り傷予防のためドラゴンの舌の粉末を塗るといい。沼地ではワックスでブーツを完全防水にすれば菌の攻撃も防げる。虫は病気を持っていることが多いのを忘れないように。虫よけ軟膏と、かかりやすい病気を治療する薬は常に携帯しておくこと。上官が提供してくれると期待しないように!

この助言はどんな兵士や冒険家にも役立つが、特に革防具について少しだけ話しておきたい。革にアレルギー反応を示す人もいて、その多くが防具に疑問を持っていないのだ!特にスカイリム固有の熊やサーベルキャットから加工されたネッチの防具、革製品でこういったケースが多く見られる(毛皮が付いているものはなおさらだ)。防具を選べず支給されたものを着る立場なら、かゆいところへ塗れるようにエルフのチンキ剤を持ち歩くべきだ。

このように簡単で安上がりな準備を少ししておくだけで、戦争におけるささやかな脅威を避け、戦闘や行軍に集中できる。戦場では体を大事にするように。さもないと戦争の疲れを倍増させ、酷い経験をするだろう。いつでも注意と準備を怠らないように!

戦闘に勝つ方法How to Win a Fight

カエリウス・インブレックス 著

私はあまり本を読まないが、それにはまっとうな理由がある。本では学者みたいな連中が、自分のよく知らないことについてまで哲学を語る!この間は剣の「美学」についての本を見つけた。あんな馬鹿げたものは初めて見た。戦闘は踊りと似ているだとか、そんな馬の小便みたいな「考察」が延々と述べられていたんだ。

私はいくつもの戦闘を見てきたが、そんな高尚な戯言は気を散らされるだけだ。戦闘は戦闘だ。汚く、危険で、生き残るためにやるべきことをやるものだ。ここですごく簡単に説明してやるから、踊りのステップや、刃と心を一つにすることなど気にせず、頭蓋骨をかち割ってくるといい。知っておくべきなのは、以下のことだ:
まず最初に、できるだけ大きい武器を見つけること。両手を使って持つようなものだ。盾や弓、小さな短剣はいらない。まず大事なのは敵をビビらせることであり、そうした武器じゃそんなことはできない。できるだけ大きな槌を手に入れるんだ。大剣も、まあいいだろう。それを持ち上げて振り回せなければ、君はまだ戦うには弱すぎる。できるようになるまで、重い物を持つ練習をしないとな!

次に、それを使って物を破壊すること。横から、もしくは頭上から振り、箱やカカシや人形を、何でもいいから破壊するんだ。振り方を確かめるだけだ。これは芸術ではない。戦場で最も恐ろしい武器を持ち、それを使って敵の兜をかち割り、それを見た敵が逃げ出すくらい、力強く強烈な戦いをすることが目的だ。

最後に、戦闘を見つけること!傭兵部隊か軍に加入しろ。活動するためにできることは何でもやれ。武器を振り回して大声で叫ぶことができれば迎え入れてくれるはずだ。特に体が大きく、筋肉で覆われていればな(でないとダメだが)。これで怒られることなく、生身の的で練習できるわけだ。怒りが沸き上がってくる程度に飲んでから戦闘に参加しろ。力、武器の大きさ、声の大きさが十分なら勝つはずだ。何も読む必要はない。

戦棍の取り扱いMace Etiquette

時に戦士は、戦棍には何の戦術も必要ないと考えるという過ちを犯す。彼らは剣こそ技術のすべてであり、戦棍は腕力とスタミナのみであると決め込んでしまう。戦棍戦術の熟練指導者として言っておこう、彼らは間違っていると。

正しく戦棍を使うには、タイミングと勢いがすべてである。戦棍の一振りが始まると、止めるのも速度を落すのも難しい。戦士は打撃だけではなく、その反動にも全力を出さねばならない。敵が前のめりになっているとき、そしてできれば体勢を崩しているときに攻撃を開始すること。敵が後ろに反ることは容易に想像できるので、敵の頭の後ろを狙うこと。戦棍がそこにたどり着く頃には、彼の頭が戦棍の軌道上にあるであろう。

戦棍は肩の高さで構える。攻撃前の巻き上げは、肩から手の幅の距離以上は持ち上げないほうがよい。振り下ろすときは、肘を先行させること。肘が鎖骨の高さを超えたところで、前腕を鞭のように伸ばす。加算された勢いが戦棍をさらに早く、さらに強く動かし、遥かに多くのダメージを与えるであろう。

衝突する瞬間、手首の力を抜くこと。戦棍は跳ね返り、硬い手首を痛めてしまう。打撃の反動を使って戦棍を構えの位置に戻す、それによって戦士は素早い2撃目の準備ができる。

善意の死霊術は存在するBenevolent Necromancy, It Exists

アンドーンテッドのイ・ザレ 著

死霊術という言葉を聞いて、最初に思い浮かぶことは何だろう?動く死体、怒り狂った亡霊?確かに死霊術とはそういうものだが、それはこの流派のほんの一部でしかない。実際のところ、あなたが死霊術について知っていることの大部分は偽りと迷信で成り立っている。これを読んでいる人の多くは、すでに日々、死霊術と関わっている。広く実践されている付呪の技に欠かせない魂石は、死霊術によって作られている。深手を負い、死ぬほどの病にかかって治癒師に死の淵から救ってもらったことがあるなら、あなたは死霊術の恩恵を受けている。死霊術は破壊魔法と比べて、より善でも悪でもない。全ては用法次第だ。

悪意のある死霊術師は霊魂をその意志に反し、力づくで我々の世界へと引きずり込むだろう。私はただ道を開き、誘い掛けるだけである。私はしばしば愛し合う者たちをわずかな時間再会させ、謎を解き、眠れぬ霊魂の未練を断ち切らせるためにこれを行っている。祈りや式典は生者にも死者にもそれなりの慰めをもたらすが、死霊術は良くも悪くも両者に力を与えられる。魔術師ギルドはこの実践を忌避するのではなく、規制すべきだ。死霊術を影に追いやることは善意の実践者を追放し、悪意を持って研究する者の姿を隠すために役立つのみである。

世界にこれだけの戦争と死が蔓延している今、未だ生にしがみついている者、生から解放された者を手助けする知識は、かつてないほど必要とされている。

想像上の獣、実在する力Mythical Beast, Real Powers

帝国蔵書庫監察官 ドラサス・オヴィキュラ 著

アカヴィリの最高顧問が倒れてから数世代が過ぎた後、タムリエルに新しい武術の流派が台頭してきた。それは伝説のドラゴンと、そのドラゴンと戦った定命の者の力を受け継いだものと言われているが、魔法の分野とも深いつながりを持っている。もちろんそれは、いわゆる「ドラゴンナイト」のことである。

その能力がドラゴンに源を発するものであろうとなかろうと(タムリエルでは数千年の間ドラゴンは目撃されていないのだから、そもそも存在しないのではという疑念はもっともである)、熟練したドラゴンナイトが使う力そのものを否定することはできない。ここ帝都にも何人か存在する。彼らは塔の衛兵のメンバーで、私の依頼に応じてその技をいくつか披露してくれた。

ドラゴンナイトの1人である衛兵の軍曹は、自身の体を燃やすことなく炎で体を包みこむ技を見せてくれた(少し離れた場所からでも熱さを確かに感じることができた)。続いて彼は、ダミーの人形に炎の鎖の輪を放ち、引き寄せて素早く焼き殺す技を見せてくれた。そして最後には軍曹の部下がダミーの人形を文字通り、炎の息を吐き出して燃やしたのだ!

実に素晴らしかった。ドラゴンの存在を信じてしまいそうになったくらいだ。

鍛冶:やりがいある努力Smithing: A Worthy Endeavor

鍛冶場の偉大な賢人、クイナアモ 著

鉱石と槌があれば誰でも金床で粗野な武器くらいは作ることが可能だ。それはそのとおりだが、太くてがっしりした腕だけでは巧妙な技術を習得できない。私の仲間のアルトマーには、平民のやることだと言って、武器の鍛造をあざ笑う者もいるかも知れない。しかし、それは自分の惨めな無知をさらけ出しているだけだ。武器の形や機能、様々な素材の効果の謎を解明することは、明晰な頭脳だけでなく、屈強な体、毎日何時間もの実践を通して得られる忍耐が必要となる一つの事業である。

極めて無双の武器を作れるようになるには、長い時間をかけて研究をしなければならない。徐々に新たな秘密を解明していくことで、さらなる貴重な新事実が見つかるのだ。多くの鍛冶によって作られた、あらゆる様式から武器を学ばないといけない。武器を分解し、結果を念入りに分析し、独特な性質の源を特定するのだ。武器の鋭さ、成分材料、バランスは、精査すべきもの一握りの要素でしかない。

当然、様々な種類の武器を無視はできない。剣から、斧、槌、片手持ちから両手持ちの武器まで、それぞれが研究分野である。1つの武器の知識を突き詰めるか、幅広く様々な武器の知識を求めるかは、完全に鍛冶屋次第だ。とはいえ、完璧を求めるすべての者が行き着く先は同じであるべきだ。つまり、すべての武器の特徴を大局的に理解し、武器に創作を加える方法を獲得することだ

お分かりのとおり、武器作りは、単に敵を攻撃する金属の棒を作ることと大きく異なる。クラフトの複雑さは、いかなる魔法の研究と同じくらい奥深く、時間、研究、実践を通してのみ達人への道が開かれる。

鍛冶の仕事はがさつで無教養だと、言いくるめようとする人が出てくるだろう。そういう人に出会ったら、ニッコリと微笑み返そう。あなたは自分が価値ある道を進んでいると理解しているのだから。知識の飽くなき探究心を通して創作の向上に不可欠な努力をすることによって、あなたを侮辱した人たちが死に忘れ去られても、あなたの仕事は後世に語り継がれるのだ。

中装鎧:革となめしMedium Armor: Tannins and Leather

デフェサス・レクター 著

バルダスへ

今日の講義は、仕立屋が中装鎧を作製する際に使用する革となめしについてだ。夜警を抜け出して父親の武器屋にこもっていることだし気付いていると思うが、中装革には多くの種類がある。ブリガンティンは丈夫で装飾が施されており、ランニングは丈夫でありつつ柔軟性も備えている。このような性質の違いは皮やなめしを変えることで生まれる。

なめしとは、職人が中装鎧の丈夫さと弾力性の均衡を保つために使用する「添加物」のことだ。胸部の革は、アサシンのナイフが貫通しないように板と同様の堅さにすることもできるが、あまりに堅過ぎると着用者は体を曲げられなくなる。だから防具屋は革や織物になめしを使って、丈夫さと柔軟性をうまく両立させるのだ。

これと完成した鎧一式の見た目とはどんな関係があるのか?その口髭の自慢で洗い場の召使の気を引く妄想をするより、講義でそういう疑問を持ってほしいものだ。答えは、すべてが関係している。そのうち自分で分かる。さあ、父親が見本として買った堅い革に取り掛かれ。それが終わるまで洗い場の召使に色目を使うのはやめておけ。

徴募兵の質に関する報告書Report: Quality of Recruits

フルビアヌス百人隊長殿

ご要望通り、今月の報告を申し上げます。

新しい徴募兵の訓練は、1つの分隊を除き順調です。騎兵隊、弓兵隊、歩兵隊は先月から大幅に進歩しており、予定より早く上級演習や合同訓練に取り組んでおります。しかし、アカトシュの聖堂から来た治癒師たちは訓練にて大きな後れをとっており、成功させるには取り組み方を劇的に変える必要がありそうです。それでも、戦える治癒師の導入で前線を補強するというあなたの目標は、達成できる可能性が高いと考えます!

これら徴募兵のほとんどが、民間の聖堂勤務経験しかないということが分かりました。標準的な甲冑、剣、戦棍を支給し、他の歩兵と一緒に演習に参加させるなど、あなたの指示通り一般的な兵士と同様の訓練を試みてきました。ですが彼らは剣をどちらに向けて良いかも分からず、あちこちでつまずき、我らの養成法は崩壊しております。

この経験から言えることは、彼らを「傷を癒せる兵士」として育てるには無理があるということです。それよりも結界を張り、兵士たちを癒し、士気を上げるといった特有の能力を有効活用すべきです。彼らには特殊な装備が必要と考え、パッド入りの軽い防具の発注許可を要請いたします。着慣れている反面戦場で足を引っ張るローブではなく、適切な耐久力のある頑丈な生地です。素早くかつ効率よく負傷した仲間へとかけつけ、戦場での活動時間を延ばし、兵士たちの戦闘力を高めるなどといった任務も、この防具があればより集中して果たせると考えます。

2、3人ずつのグループに分け、主軍の後方に配置する必要があると考えます。こうすることで最低1人が分隊に守りの結界を張っている間、他が危険に陥っている仲間を探すことができます。やむを得ず対人戦になった場合もお互いに防御魔法で援護し合うことができますが、念のため最低でも短剣ぐらいは扱えるよう訓練するのが賢明かもしれません。

これら徴募兵が我が連隊にもたらす可能性を、あなたは的確に見抜いていました。私はこの部隊を信じていますし、無理やり型にはまった兵士に育て上げようとすることに時間を費やすべきではないと考えます。あなたの許可がいただければ、敵に対して真に優位に立てる部隊を作れると確信しております。

敬意をこめて

帝国軍第五軍団 ランプロニウス隊長

潰して、切って、殴って、刺すCrush, Slash, Bash, and Stab

武器の匠グルツグ 著

人は私に聞く。「グルツグ、どんな武器を使ったらいい?選択肢が多すぎる!」戦闘に精通していない者よ、その通りだ!だが心配するな、1つだけを選ぶ必要なんてない。というより、私と似たような感性であれば、2つ持った方がよっぽど楽しい!

2つ選ぶことでさえ難しいが、全て試して自分に合ったものを見つけるんだ。武器はしっくりくるものでないといけないし、自分の流儀に合っていないといけない。例えば、一生剣だけを使い続け、他の武器は試したことがないという兵士や傭兵を私は知っている。そいつらに初めて戦槌を持たせると、新しい世界が開けるんだ。しかも、長年親しんできた剣を捨てる必要はなく、盾だけなくせばいい。それでいいんだ。実際盾というのは恐れと弱さの象徴だから、使い始めるだけ無駄だ。

武器にはそれぞれ長所と短所があるから、知っておくべきだ。斧は腕力に自信があればお勧めだが、敵に刺さって抜けなくなる場合があるから要注意だ。戦槌は重装備に対して効果的で、その下の体にも大打撃を与えるから、これまた力強い者には良い選択だ。ただし重いものが多いので、スピードが落ちるかもしれない。剣は初心者によく選ばれるが、いい状態に保つための手入れは手間がかかるし、使いこなすには少し技巧がいる。短剣はあまり使ったことがないが、他の武器を使って敵の懐に入れたらそれでとどめを刺せる。

私は断然斧と戦槌を使う。右手の斧グリムデスで、重装備をしていない敵には力強く狙いすました一撃を与えられる。防御の厚い敵が来たら、戦槌スカルクラッシュの出番だ。決め技の顎打ちで兜を吹っ飛ばして失神させる。そうしたらまた斧の出番だ。

ちなみに、武器を選んだら絶対に名前をつけたほうがいい。名前を叫んで敵をビビらせることもできるし、戦闘の騒乱とスリルを通して、健全で良い関係性を築ける。

言っておくが、私の領域に近づくためにはかなりの訓練時間が必要だ。だが心配するな。戦闘というのはしょせん、学ぶ機会にすぎない。だからさっさと外へ出て、武器を持って、そしてもう一つ持て。世界は広く、まだ見ぬ何かが君に潰され、切られ、殴られ、刺されるのを待っている!

定命の者すべての友The Friend of All Mortals

スカヴィンの篤信者テンプラー 著

「私の元においでください、ステンダールよ。あなたなしでは、私はあなたの民のつぶやきが聞こえず、彼らが安楽と知恵を求めていることを忘れてしまう。私はただ無駄な落書きに我が身を費やしてしまう」

ステンダールと呼ぶ者。ストゥーンと呼ぶ者。呼びたいように呼ぶ者。その名が何であろうと、慈愛と正義の神はムンダスの定命の者すべての友である。彼の存在を認めようと認めまいと。さらに、モロウウィンドの異端者ダークエルフや、鱗を持つアルゴニアの民ですら、彼の防御と治癒の魔法を使う者がいる。ステンダールはその博愛の心で、彼を正しく崇拝する者と、無知と誤解により彼を崇拝しない者とを分け隔てすることがない。

私と共に、ステンダールに祈り、導きを求めよう。そうすれば慈愛の心で、仲間である定命の者に接することができるかもしれない。そうすれば彼らが助けを必要とする時に、思いやりを示すことができるかもしれない。そして我々を脅かす悪鬼たちを、根絶する強さを得ることができるかもしれない。

伝説のサンクレ・トール、第1版The Legendary Sancre Tor, 1st Ed.

マテラ・チャペル 著

スカイリム進出の期間(第一紀245年―415年)、北のハイロックとモロウウィンドの同族たちの進出と富を妬む野心的なハイランドの伯爵たちは、城壁を見越して南のジェラール山脈に進出のチャンスを窺っていた。ジェラール山脈は困難な障壁であることが判明しており、北シロディールは本格的なノルドの侵略を行なうにはあまりにも小さすぎる報酬であった。しかし、アレッシアは多くの野心的なノルドとブレトンの戦闘集団を傭兵として雇い、見返りに豊かな土地と交易権を約束した。勝利を得たアレッシア統治下のシロディールに落ち着くと、ノルドやブレトンの戦士や魔闘士たちは、瞬く間に快適で裕福なニベン文化に同化していった。

アレッシアはサンクレ・トールにおける奴隷の反逆の聖なるお告げを受け、彼女はそこに聖地を築いた。サンクレ・トールの鉱山は多少の富をもたらしたが、やせ地と人里離れた山の厳しい気候は、ハートランドからの食料や物品の供給が必要であることを意味した。さらに、ジェラールを通る数少ない峠の1つに位置するため、その財産はスカイリムとの不安定な関係に左右された。スカイリムとの関係が良好なときは貿易や同盟によって繁栄し、スカイリムとの関係が悪化したときは包囲攻撃やノルドによる占領を受けやすかった。

アレッシア教団の衰退(第一紀2321年頃)に伴い、シロディールの宗教的統治権は南の帝都に移ったが、サンクレ・トールは山岳要塞として、また大規模な宗教の中心地として残った。アレッシア歴史家は、サンクレ・トールが魔法によって隠され、そして神々によって守られていたと主張した。サンクレ・トールの度重なる敗北や、北方の侵略者による占領がその主張を否定する。要塞への入口は確かに魔法によって隠されており、要塞やその迷路のような地下施設は魔法の罠や幻影によって守られていたが、それらの秘密は、作成したブレトンの付呪師から攻め寄せるノルドに洩らされていた。

サンクレ・トール伝説のなかで永続的に語られているのは、レマン皇帝たちの太古の墳墓である。アカヴィリの侵略者たちを破った後、サンクレ・トールはレマンのシロディール統治、および彼の子孫であるレマン二世とレマン三世の下で、短い間の富と文化の復活を味わった。彼の系図を聖アレッシアまで辿り、聖アレッシアがサンクレ・トールの地下墓地に埋められた伝統に従い、レマンは素晴らしい埋葬区画を太古の要塞の地下道に作った。ここに最後のレマン皇帝であるレマン三世が、王者のアミュレットと共に埋葬された。

サンクレ・トールは第二紀の中頃から廃墟のままであり、その周辺の地域にはほとんど人が住んでいない。現在、すべての連絡はコロールとブルーマの峠を通り、サンクレ・トールの要塞とその地下道は、さまざまな凶暴なゴブリンたちの隠れ家となっている。

編注:聖アレッシアは帝都の最高神の神殿の地に埋葬されたとの競合する言い伝えがある。実際の聖アレッシアの墓は知られていない。

特異な冶金に関する論文Treatise on Metallurgical Anomalies

大冶金術師オヴルド 著

本書は私の代表作となるだろう。タムリエルに存在する鉱石、鉱物、合金について、私が知っていることを網羅した集大成だ。

第1章:鉄、その驚くべき多様性

まずは泥鉄鉱を取りあげたい。これは、その名のとおり鉄泥炭から「採掘」される。根気のよい泥鉄鉱掘りであれば、鉄泥炭のなかに豆粒大の鉱石の塊を見つけられる。その鉱石から作った鉄は錆に高い耐性を示すことが多く、様々な用途があることから、泥鉄鉱は珍重される。

次に、スカイリムの凍てつく山岳地帯のそこかしこで見つかるコールドアイアンがある。精錬し、鍛造した後でさえ、このユニークな鉱物は周囲の温度如何によらず冷気を維持し、冷たい感触を保つ。コールドアイアンには様々な用途があり、また付呪の効果を非常によく保持する。

私は各地を旅する中で、とある謎めいた鉱物にも遭遇した。それがはたして鉄かどうか、確信は持てない。というのも、この奇妙な鉱石との出会いは突然現れたトロールの群れに邪魔され、短時間に終わったからだ…

破壊か、逸脱かDestruction or Distraction

ヒュミウス・エイシディヌス 著

特に知的な論客としての地位を確立したいと考える、若い成り上がり者の間では、マジカの破壊的な潜在力を活用する研究を原始的で単純なものと見なして、研究から離れてしまう者が多い。このような考えを持つ者は、より実践的な魔法を応用することよりも、あいまいな理論的主題を研究することに時間を費やすことを好む。

実際、こういった学者ぶる者たちは、同年代の学者の仮説に反証するために自説の本を書く以外には何も成し遂げず、実際的な魔法の研究において、何の根拠もない仮説を議論することで時間を無駄にしている。彼らはお互いに、彼らの想像上の分野で相手を出し抜くことばかりに気を取られていて、実りある発展は決して生み出さない。私は確信しているが、自らの欲求を優先する振る舞いはアルケインの研究にとって、進歩(呪文の発見などの具体的な発展)を阻むものである。

魔法が奥深く複雑であり、私たちの理解が完全には及ばないことは否定しない。しかしながら、比較的複雑でない魔法を完全に理解する前に、観測し得る現象において根拠の乏しい仮説を議論する価値があるかについては、疑問を呈する。長年の実地経験において私は、最も簡単だと軽視されるマジカの現われを研究することで、時に魔術の本質を明確に知ることができることに気付いた。基本と思われるものを完全に理解せずに、一体どうやって、魔法を進化させ学習者やタムリエルに広く利益をもたらせるというのだろうか?私は読者諸氏に強く願いたい。実りのない知的議論の世界に身を落とすことのないよう、ご注意いただきたいと。

平和を求める主の儀式Rituals of the Harmonious Masters

リランドリルのアリタンウェ 著

一部のエルフの中には、原初のステンダールが人間の擁護者であるという理由から崇拝したがらない者がいる。アルドマーの子供達が尊敬するに値しないというわけだ。だが、もしこのような狭量な人々がステンダールの慈愛に対して魂を解放したとしたら、ステンダールの愛はすべての定命の者を慈しみ、守っていると気付くだろう。その中でもこのとりわけ恵まれない者たちですら慈愛を受けているのだ。

それ故に、平和を求めるマスターの一派である我々は、ステンダールの光の魔法を治癒の呪文に変えようと務めている。それはすべての定命の者だけでなく、獣の姿をした人々にさえ使うことができる。我々の儀式による回復の効力は、すべての種族に対して平等に発揮される。また、いかなる血筋の者でも、いかに卑しい身分の者でも、この魔法の使い方を学ぼうという意志と知恵を持った者であれば、使うことができる。

ステンダールがその限りのない慈愛において、すべての定命の者に彼の魔法の恵みを使うことができる能力を授けたことで、我々、平和を求めるマスターはその名にかけて、ニルンのすべての人々にこの呪文の知識を惜しげなく広める使命を感じている。我々の最大の目的は、いかなる文化を持つ人々であろうと、当たり前に快適な生活ができるように暮らしを改善していくことなのだ。

魔術は死霊術ではない!Sorcery is Not Necromancy!

ディヴァイス・ファー 著

私のように最高位の力と学識を持つ魔術師は、広大なタムリエルのあらゆる場所で、その技を使うよう頼まれることがある。私が広く旅をしたモロウウィンドの地でも同様であった。これは私の個人的な経験から言えることだが、了見の狭い地方の官憲は、その種族や文化に関係なく、皆共通して魔法に対して疑い深く、間違った知識を持っている。彼らは声をそろえてこう言う。「ソーサラーだって?まったく、この地域では蘇らせる死体なんてものはないよ。分かったかね?」

これと同じような台詞を一体何度聞かされたか分からない。こういった無知で尊大な役人たちは、アルケインの術の違いなどまったく何も知らないのだ。彼らが気にしていること言えば、マジカを操る者はすべて、真夜中にコソコソと墓地に忍び込んで、彼らの隣人や先人たちの死体を動かすのではないかということだけだ。

低能で愚かな官僚どもめ。

もちろん召喚が一般的な魔術の1つなのは確かだ。私たちソーサラーは、問題を解決するにあたって狂暴な獣の力が必要だと判断した場合には、オブリビオンに助けを求めて召喚という手段に出ることがある。デイドラの霊魂を召喚し、死体に乗り移らせ操り、情報やその他の目的のために死者の魂を呼び出すこともある。一言で言えば、死霊術とは不快で品位がないものではあるが、召喚術の一部なのだ。しかしながら、このことからすべてのソーサラーが死霊術師と事実上同じである、とするのは誤りであり、誤解を招く中傷である。

とは言うものの、誰にでも若い頃というのはあるもので、危険で禁じられたことを実験しようとするのは若者にありがちなことだ。ずっと昔、私はテル・アルンに住む若者だった。昔のことで、第一紀の初頭の記憶は確かではないが、私は見習いとして、死体を操る呪文を1つや2つ、試したことがあるように思う。もちろん自分の知っていた人の死体は使っていない(少なくともよく知っていた人ではない)し、わずかな時間だけのことだった。私の記憶によればだが。

つまり、いずれにせよ、私が皆にはっきりと言いたいことは、 魔術と死霊術、これはまったく異なるものだということだ。

雷撃魔法の実用性についてOn the Utility of Shock Magic

ヴァヌス・ガレリオン 著

タムリエルでも名だたる魔術師として、私はしばしば依頼を受ける。たいていは王室などの高貴な家柄の人物からで、彼らを喜ばせるため魔術の腕前を披露するのだ。どんな魔法を見たいのか尋ねると、彼らはほぼ決まってこう答える。「ファイアボールを飛ばしてくれ!ものすごく大きいやつが見たい」

タムリエルの貴族たちがいかに魔術についての知識が乏しいかよく分かる。炎の魔術はもちろんそれなりの使い道があるが、真の魔法学者は、己のグリモアにおいて雷撃魔法に最も重きを置くものだ。いくつかの理由により、アルケインの稲妻を操ることは、魔法の炎を生み出すよりも簡単で、その効果には多様な使い道がある。以下にその一部を記す。

—魔術師は稲妻のオーラで自身を包み込み、一定の物理的、魔術的攻撃を受け流すと同時に、身近にいる敵を感電させられる。

—稲妻をルーンの形で物体の表面に帯びさせ、何かが触れ、一定の時間が経った後爆発するようにできる。

—魔術師は近くの敵に稲妻を投げつけ、瞬時にその「稲妻に乗って」敵の方へ移動できる。

—もちろん、稲妻を直接敵に投げつけることもでき、それには多種多様な方法がある。

おそらくだが、氷結と炎の元素魔法を、雷と同じように自在に操る方法も発見できるだろう。だか、私がまだ発見していないのなら、他の誰が発見できるというのだ?

錬金術:特性の発見方法Alchemy: Discovering Traits

デフェサス・レクター 著

バルダス

錬金術師がさまざまな試料の特性を学ぶ方法とは、試料の味を見ることだ。ここでのポイントは「味を見る」ということことだ。いくら試料がおいしそうでも、1人分の試料より多くを食べる必要はない。君が、君の父上のワインセラーを訪れた話を執事長から聞いた。それによると君は、一般的なアルコール飲料は、大量に摂取したとしても錬金術の特性は持たない、とすでに結論付けたようだね。

試料の味を見ることで、試料の最も明白な錬金術の特性を知ることができるが、多くは第2、第3の魔法の性質も持っている。試料を混ぜあわせて結果を観察することで、こうした隠れた特性を明らかにできるのだ。時に目を見張るようなものもある。実験すればするほど、錬金術の技術は高まり、特性の理解が容易になり、効果的に組み合わせられるようになるだろう。

また君は、ある種の試料が共通、または完全に同一の特性を持っていることに気付き始めているだろう。例えば、花の特性は概して有益なものだが、キノコ類はしばしば有害だ。君が先週の月耀、ぎりぎりになって宿題を片付けようとして、9種類のキノコを数分のうちにまとめて食べた時によく分かったようにね。君が吐き戻した勢いときたら、驚くべきものだったよ。

錬金術の基礎Fundaments of Alchemy

アルヤンドン・マシエリー 著

魔術師の卵は見落としがちだが、錬金術とはそれを極めた者の人生を変える力のある由緒あるもので、実りある鍛錬である。錬金術の製法に使用される素材の知識を深めることは簡単なことではなく、しばしば危険を伴う。それでも一生懸命に研究を続けることで、最後に錬金術師は大きな見返りを得ることになる。

成功を果たす前に、もしくは、そもそもやってみようとする前に、初心者の錬金術師はクラフトの背後にある基本原則を理解する必要がある。我々の世界の多くのアイテムは、本来はほとんどが有機体であり、魔法の特性でより基本的なエキスに分解できる。錬金術師の腕が良ければ良いほど、生かすことができる材料の特性は多くなる。2つ以上のエキスを調合することで、誰にでも口にできる薬を作り出すことができる(伝説によると、真の偉大な錬金術師は、1つの材料から薬を作ることができるという。常人の能力をはるかに超えた技巧だ)。

錬金術師が作る薬には様々な効果がある。それは使用する材料によって異なり、すべてが良い効果をもたらすわけではない。ほとんどのレシピは、プラスの効果とマイナスの効果を持った薬を作り出す。どのレシピが最大の効果を生み出すか、それを決めるのは錬金術師次第だ(注目すべきは、マイナスの効果のみを持つ薬を作ることもできることだ。著者はその生成を奨励しないため、この書ではこれ以上のそのような薬について言及することは避ける)。

絞り汁のクラフト

絞り汁のクラフトとは、実際には素人の錬金術だ。つまり、歯ですりつぶす必要のある材料を食べる。そうすることで薬草のエキスが絞り出され、食べた者は少しの間だけその効果を得ることができる。絞り汁には、適切な道具を使用して作った薬ほどの強い効果はない

錬金術師の道具

乳鉢と乳棒は錬金術師にとって最も重要で欠かせない道具である。それなくしては、薬作りに使用する材料をきちんと準備できない。未熟な錬金術師は、いかなるときも乳鉢と乳棒を手放さず、最初のうちに道具の使用に慣れるよう指導を受けるほどだ。材料をすりつぶすことは薬を作る上で基礎中の基礎となる。正しくすり潰し、レッドワートの花びらを薬用人参のような別の材料と正しく調合すると、解毒効果のある薬を作成できる(この調合は、多くの錬金術師がすぐに覚えて記憶にとどめる。薬の調合を間違えると、この調合を必要とすることが多いからだ)

熟練の錬金術師は、質の高い薬を作るために他にも意のままに使える道具を持っている。蒸留器は混合物を精製し、薬のプラスの効果を向上させるために使われる。蒸留器を使って混合剤を浄化することで、薬を精製し、あらゆるマイナスの効果を減少させられる。また焼却炉は、混合剤の不純物を焼き払うために使われる。これにより薬が持つあらゆる効果の潜在能力を高められる。これらの器具は薬の生成に必須ではないが、可能ならいつでも使うべきだ。

材料の組み合わせ

薬はその材料の組み合わせ次第である。同一の効果を持った材料で1つの薬を作れる。1つの薬を作るために必要な材料の組み合わせは、多くて4つまでだ。

錬金術師が材料の準備をする技術を習得するにつれ、新たな特性が発見され、薬を作る際にその特性を使うことができるかもしれない。薬を作り終えたとき、どのような効果を持っているか慎重に確認すべきだ。既に確立したレシピでも新たな結果が出ることがあり、そのすべてが有益というわけではない。

錬金術の実習Alchemy Practicum

デフェサス・レクター 著

バルダス

新人の錬金術師が薬の配合を覚えるための古典的な方法は、実験だ。つまり、注意深く選択され溶媒に入った試料の混合を体系的に試し、結果を観察する。その後で試料の一つを変えて、結果が変わるのかどうか観察する。

しかし君は、大釜でお湯を沸かして、そこに適当に試料を一握り投げ込めば何らかの不思議な薬ができると考えているようだな。

そのようにやらせるつもりだった。道は長くても、間違いから学んでくれると信じたからだ。君の場合は全部上り坂で、岩だらけで、倒木に道を塞がれている長い道だが。だが君の父親の執事長から、君はすでに725ゴールド分の試料を無駄に使い、成果なしだと知らされた。

そこで、君に実習を課すことにした。君は学ぶことができ、父上はお金の節約になる。

通常の菌類と花粉に加えて、げっ歯類の体を使用するように。経費を節約するため、君が食料品置き場での戦いで勝利したネズミを使う。今回は、少なくとも性質の合う試料を使うよう希望する。

錬金術の実習

1( )と2( )を3( )に混合した結果は(  )

A( )とB( )をC( )に混合した結果は(  )

X( )とY( )をZ( )に混合した結果は(  )

熾烈なる炎:ドラゴンの力か、固有の力か?Ardent Flame: Draconic or Endemic?

ガブリエル・ベネレ 著

昨晩、私はアンカーズポイントの酒場に座って、ラリバラーの「11の儀式形態」を読みながら、マグに入ったラム入りのミルク酒をちびちびと飲んでいました。その時、私の静かな空間は突然、長身の鎧姿の男の侵入によって破られました。彼のせいで明かりが遮られたので、私はどこか別の場所に立ってくれないかと頼みました。しかし彼は、美しい女性が月の輝く夜に読書で時間をつぶすなどもったいない、というような意味の返事をし、泡だらけのジョッキをテーブルに置いて私の隣に座ったのです。

私が文句を言う前に、彼はこれまでの人生、そして彼自身について語りだしました。とても熱のこもった様子でした。彼は北部沿岸地域のファルンという港町で生まれ、大物になる運命だという信念を持って育ったようです。年頃になった時、彼は街を出て、中央ハイロックへ向かいました。そこで彼は、年老いた半分アカヴィリの血が入った武術の師範に出会いました。彼が教えていたのはいわゆる「ドラゴンナイト」の技でした。その時、彼はついに自分の真の使命を見つけたのです。彼はドラゴンナイトが「熾烈なる炎」と称する魔法の戦闘術を体得しまし。

ホラかどうかは分かりませんが、彼が持ち出したアルケインの術の話には興味が湧きました。私はその戦いの魔法の基本についてもっと話して欲しいと頼んだのです。私には馴染みがないものでしたら。彼は大喜びで話を続けました。熾烈なる炎について、彼はこう説明しました。ドラゴンナイトは敵に火をつけ、炎の投げ縄で敵を捕まえ、自分の体を炎で包み込み、さらには伝説の古代のドラゴンのように炎を吐くことができるそうです。そして、そんなことができるのはドラゴンナイトが、第一紀よりも前にドラゴンと戦い、勝利し、生還した強力な戦士たちから伝えられた、実際のドラゴンの魔法を使うからだ、と彼は断言しました。

ここで私は彼の話に興味を失いました。魔術師ギルドの一級魔術師である私が、無学で無作法な彼のような男が遠い昔に失われたドラゴンの魔法の呪文を使うなどという話を、本当に信じると彼は思ったのでしょうか?私は乱暴に片手を上げました。驚いたことに(おそらく彼自身も驚いていました)、彼は実際に話すのをやめました。私は彼に、ドラゴンの魔法の話は十分に聞いた、どうもありがとう、私が知る限り、シャド・アツーラの教育過程の中にある「破壊魔法」という炎の呪文の標準的な術と変わらないようだ、と言いました。彼にはもう席を外してもらって、私はまた読書に戻りたかったのです。

彼はしばらくぼそぼそと何か言っていました。それから人をバカにしたような笑顔を見せ、ドラゴンは荒々しいと同時に優しい生き物だから「お嬢ちゃん」が怖がる必要はない、と言ったのです。おそらく私は、彼の炎がどれほど熾烈なのかを理解していなかったのでしょう。

私は帰れと警告しましたが、彼は私を冷やかして帰ろうとしませんでした。彼が私に「溶岩のムチ」を見せようと言い出した時、私の忍耐は限界に達しました。アンカーズポイントの主人に、店の出入り禁止を言い渡されたのは残念です。あの店が気に入っていたのに。

おそらくもう少し我慢すべきだったのでしょう。だけど誰にも限界はありますし、それに何か問題でしょうか?たとえ髪の毛と髭が丸焼けになったとしても、どうせそのうちまた生えてくるのに。

鍛冶師助手メール 8週間目

50日目
年寄りのソーグリムとは結婚しなかったけど、祝いの席がまったくの無駄というわけではないわ。私達の会話は弾み、1つの話題が別の話題へと飛び火し…私の言っている意味が分かるなら、彼に”アーティファクト”を見せてもらったの。なにせ私は健康なノルドの女。若いし…欲求もある。それに古いホーカーの全部が全部悪いわけではない。あなたの物資を入れたわ。

51日目
親愛なる後援者様。プラッキーと私は旅に戻り、商人のヤドゥスと旅しながら集めた材料のありかの手がかりを追っている。もしも無情のモレラとその一味に2度と出くわさないで済むのなら、ブスンツェルに戻るかも知れない。気分一新、若返った気分で、出発準備完了!

52日目
今日、大自然の中で不思議な光景に出くわした。無人の空き地に、いくつかの石が円を描くように立っていて、地面に奇妙なルーン文字が刻まれていたの。空き地は不気味なほど静まり返っていたけど、驚くほど平穏だった。プラッキーは石の描く円に近づくのを拒んだけど、私は円の内側に座って少し休むことにした。

53日目
今日はあまり話すことがない。私は今、円状に置かれた石の内側に座って少し休んでるの。プラッキーの吠える声が聞こえた気がしたけれど、声ははるか彼方から聞こえた。

54日目
うたた寝してしまったようね。目覚めると、円状に置かれた石の内側にいて、誰か親切な人が、飲み物が入ったカップを円の中に残しておいてくれた。なんて親切なの!ハチミツ酒だったらいいな。突然、喉の強烈な渇きに気付いた。でも、なぜプラッキーはまだ私に吠えているの?

55日目
プラッキー、悪い子!ひどいわ!プラッキーが円の内側に跳び込んで来て、いい匂いの液体に口をつける前に、カップを手から叩き落とした。すると、興味深い現象が起きた。こぼれた液体は焼けるような音と蒸気を立て、地面に不思議な模様を描いて溶けていった。もしかするとプラッキーはいい犬なのかも。

56日目
いくらかの労力と、プラッキーの鋭い歯に容赦なく噛まれたおかげで、よろめきながらやっとのことで石の円の外に出た。この場所には、ある種の魔法がかけられているのかもしれない。円の外に出ると、心の中で霧が晴れる気がしたわ。この場を去る時ね。そしてプラッキーのためにごちそうを探してあげよう!

ヴィベクの三十六の教訓

Vivec’s 36 Lessons

三十六の教訓:第一説話The 36 Lessons: Sermon 1

ヴィベク 著

第一説話

北方人との戦争が起こる前、後のチャイマーであるヴェロシの下に、灰の中で彼は生まれた。最初にアイエムがネッチマンの村を訪れたが、彼女の影はまるで策謀のデイドラ公ボエシアのもので、ありとあらゆるものが彼女の周りにまとわりつき、やがて星のようになっていった。

アイエムはネッチマンの妻を捕まえてこう言った:

「私は三位一体の蛇の女王。あなたの中には心像と、次の言葉がある。アイエム、アイ、セーティ、アイ、ベク。謎が訪れるまで、この7音節の言葉を唱え続けるがいい」

するとアイエムはネッチマンの妻を海に投げ込み、ドゥルーが彼女を碧水晶とサンゴの城へ連れて行った。ネッチマンの妻はえらとミルクフィンガーを与えられ、心像を卵として産めるよう性別を変えられた。そしてそこに7、8ヶ月の間滞在した。

次にセトがネッチマンの妻を訪れ、こう言った:

「私は三位一体のクロックワークの王。あなたの中には私の弟か妹がいる。それは目に見えない言葉や剣の知識を持ち、それをホーテーターがやってくるまで育てねばならない」

するとセトが手を伸ばし、無数のホムンクルスが現れた。それらは光るロープのようにネッチマンの妻を再び地上へと引き上げ、アズラ海岸で降ろした。彼女はそこでまた7、8ヶ月過ごし、卵の世話をした。それに向かってメファーラの掟やヴェロスの預言、時にはトリニマクの禁じられた教えを囁いた。

ある夜7人のデイドラが彼女を訪れ、それぞれが卵に新しい動きを教えた。特定の方法で骨を動かすことによって体得できる動きである。彼らは何々のごとく動く男爵と呼ばれている。すると8人目のデイドロスが現れた。ファーヌイヘン、既知の動きを増殖させる者とも呼ばれる半公だった。

ファーヌイヘンはこう言った:

「誰を待っているの?」

ネッチマンの妻はホーテーターと答えた

「3ヶ月後にインドリルの地へ行きなさい。その時に戦争が始まる。私は戻り、わけも分からず死んでいった戦士たちを苦しめましょう。でもその前に、これを見せるわ」

すると男爵たちと半公は円となり、卵と心像の前で様々な恐ろしい戦闘のような踊りを踊った。

「見なさい、小さきベクよ。そして私の素晴らしい剣術の裏を見るのです。その中には全てにおいて完璧な、純粋な戦闘の道があるでしょう。数字は何?」

その数字とは古いティブロルの木に巣を作れる鳥の数から、誠実な仕事の3グラムを引いたものであると言われている。だが後にヴィベクはより良いものを発見したため、この秘密は人々へと授けられた。

「私は左手で世界を握りつぶしたことがある」と彼は言う。「だが右手にはそれに勝てるものがある。愛は私の意志によってのみ動く」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二説話The 36 Lessons: Sermon 2

ヴィベク 著

第二説話

ヴィベクの卵を宿したネッチマンの妻はインドリルの地を探し求めた。旅の途中、幾多の霊魂が彼女の下を訪れてはその息子か娘に指導を申し出た。その者こそが後にヴァーデンフェルの目に見えぬ戦詩人ヴィベクとなる。

最初の霊魂は彼女を抱きかかえ、知識を送り込んだ。ネッチマンの妻はその計り知れない熱意に浸された。卵は喜び、彼女の中で何度も回転し、世界の五角に礼をしながらこう言った:

「この聖なる行いをした者は、誇りと力を手に入れるだろう!」

第二の霊魂は態度が悪く立場をわきまえなかったため、頭痛の呪文により追い払われた。第三の霊魂アトハトゥールは、ネッチマンの妻が皇帝カサダケの下で休んでいたときに訪れた。彼の衣服は何らかの意味合いをもつもので作られていた。卵はそれを三度見た。

初め、ヴィベクはこう言った:

「ふん、何の意味もないじゃないか!」

二度目に見たときはこう言った:

「うーむ、やはり何かあるのかもしれない」

最後にアトハトゥールの衣服を長時間眺め、こう言った:

「素晴らしい、具体性に欠けるものから意味を読み取る能力か!」

「ことわざだ」そう言い残し、アトハトゥールは去った。

第四と第五の霊魂はいとこ同士だったため、共に現れた。霊の力で卵の中を探り、核を見つけた。この時点でヴィベクは周囲の欠けた星のような形をしていたとも、失われた形を再生したような姿だったとも伝わる。

片方のいとこがこう言った。「私の方の家族からは、全宇宙を終わらせるほどの災厄を授けよう」

もう片方のいとこはこう言った。「私の方からは、その最中に行わねばならない儀式を授けよう」

それに対して卵は笑った。「この若さでこれだけのものを与えられるとは。私は以前にも生まれたことがあるに違いない」

すると第六の霊魂、ヴェロシに性や殺人の美学を教えた黒き手のメファーラが現れた。その燃える心でネッチマンの妻の目を溶かし、腹を切り裂いて卵を取り出した。卵ははるか昔、大地がまだ寒く、盲目でなかった時代に自分が何であったか見ることができた。

デイドロスと合流しその秘密を奪ったが、世界が崩壊しないようにいくつか残しておいた。そして黒き手のメファーラは卵をネッチマンの妻の中へ戻し、魔法の吐息を吹きかけて穴を塞いだ。しかしデイドロスは彼女の目を治してやらず、こう言った:

「神は三つの鍵を持っている。誕生、機械、狭間の言葉だ」

賢き者は、この説話の中にその鍵の半分を見つけるだろう。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三説話The 36 Lessons: Sermon 3

ヴィベク 著

第三説話

目の見えないネッチマンの妻は、インドリル家の領地を目指す途中で洞窟の中へ入ってしまった。その洞窟はドゥエマーの要塞だった。ドゥエマーは卵に気づくとネッチマンの妻を捕らえた。頭から足先まで拘束し、地の奥深くへと連れて行った。

彼女は、ドゥエマーがこう言ったのを聞いた:

「彼女の像を作って地上に出しておけ。彼女には我々が持つものに似たものがある。彼女が長い間戻らなければヴェロシは気づき、探しに来るだろう。」

暗闇の中で、ネッチマンの妻は大きなナイフが自分を切り裂こうとしているのを感じた。そのナイフが通用しないと、ドゥエマーたちは音を使った。それも通用せず、次は熱を使った。結局何も通用せず、ヴィベクの卵は彼女の中で無傷のままだった。

ドゥエマーがこう言った:

「何をやっても駄目だ。違うことをするしかない」

ヴィベクは母親の恐怖心を感じ取り、励ました。

「炎は私のものだ、飲み込まれるといい
そしてボエトヒーアの家の
パッドホームの祭壇に
秘密の扉を作るといい
そこは安全で
見守られている」

この祈りのおかげでネッチマンの妻は深い眠りに落ちた。その眠りはあまりに深く、その後ドゥエマーの精霊たちが角のある球体で彼女を切り刻んでも、目覚めることなく安らかに死んだ。ヴィベクは腹から取り出され、研究のため魔法のガラスの中に入れられた。自らを捕らえた者たちを困惑させるため、彼は愛を放った。ドゥエマーは愛という感情について何も知らなかったのだ。

卵はこう言った:

「愛とは気分や対人関係を構成する要素だけでなく、そこから1時間後の怒り、後悔するような制約、愛する者同士にしか分からぬ感情からくる問題、そして変わらぬ容姿を生み出す成分でもある」

「愛とは言語的および非言語的な分かりやすいやり取りにおいてしばしば使用され、時にそれは真の愛情へと変化し、強く消えない絆を生み出すことがある。愛の基本的な形は、対人関係を通して約13種類のエネルギーを補給するものである。社会におけるその役割と価値については意見が分かれる」

ドゥエマーたちは腹を立て、力の象徴の後ろに隠れようとした。卵の心像を洞窟から出し、作らせていたヴィベクの母親像の中に入れるよう精霊たちに命じた。

ドゥエマーがこう言った:

「我々ドゥエマーは、ヴェロシの持っているものに憧れるだけの存在だ」

「ニルン、ルーカン、ラケト、センドル、キンラト、アクハト、マーラ、ジュナール。我々の知る八つの世界の全てにおいて、彼らは我々に破滅をもたらすだろう」

破滅に関する秘密が、この説話の中にある。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第四説話The 36 Lessons: Sermon 4

ヴィベク 著

第四説話

ヴィベクの卵を宿したネッチマンの妻の像は再びインドリルの地を探し始めた。旅の途中、後にヴァーデンフェルの目に見えぬ戦詩人ヴィベクとなるべきその息子か娘に指導を申し出るため、また幾多の霊魂が訪れた。

偶然の一致ギルドの陳情者と呼ばれる霊魂の団体がやってきた。ヴィベクはすぐに試練を見抜き、こう言った:

「神の意志により、偶然など存在しない」

名を忘れられし陳情者の長は、その概念の存在を守るべくこう主張した。「同時に同じことを言うことは、魔法のように素晴らしいことだ」

聖性を保持するためには、断固として運を否定せねばならないことをヴィベクは知っていた。彼はこう言った:

「偶然が起こる瞬間に、一致する条件や様々な要素が新たに発覚することが、偶然であるための前提条件の一つではないのか?小さな偶然が繰り返されることで初めて共時性が生まれる。さらに分析すると、共時性が確率以上のものに引き起こされていると思わせているのは、その偶然の数に他ならない。このことから、共時性は様々な兆候として表面化するが、結果として共時性そのものが偶然という概念を否定している」

こうしてヴェロシの地から偶然が消えた。

次にネッチマンの妻の像の前に大地の古い骨が現れ、こう言った。「世界を支配する王となるなら、新しい言葉を使って混乱させねばならない。私を考えさせてみろ」

「いいだろう」ヴィベクは言った。「私が愛する世界の謎を話してやろう。彼女の首都は誰だ?彼女のカメオの景色は見たか?私には秘密のろうそくがあるが、不誠実なため見当たらない。私は103の温もりから作られた影の端を手でなぞり、その証拠を残さない」

これを聞いて古の骨は体を20回折り曲げ、ついにはミルクのようになり、ヴィベクはそれを飲んで世界を支配する王となった。

最後に、どの角度から見ても完璧な、正確さの議長が現れた。ヴィベクはすぐに試練を理解し、こう言った:

「確実性とは、好んでそれを追求するパズル好きな論理学者や色白美人の女性のためのものだ。私は不確実性から生まれた者だ」

議長は頭を下げ、一度に50種類もの完璧な笑顔を向けた。ローブから天体観測儀を取り出して真っ二つに割り、その両方をヴィベクの卵像に手渡した。

ヴィベクは笑ってこう言った。「ああ、知っている。感覚の重労働は極地の氷のように利己的で、他者に幸運と見なされるような人生に費やした労力はなお醜い。支配する王となるためには、耐えがたきに耐え、どんな天体観測儀やコンパスでも測れないものを測らねばならない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第五説話The 36 Lessons: Sermon 5

ヴィベク 著

第五説話

とうとうネッチマンの妻の像は不安定になった。急いでいたドゥエマーたちは像を粗雑に作っており、レッドマウンテンの灰で金色の腱が弱っていた。ほどなくして、インドリルへ続く道の横で膝をついて倒れた。当時のヴェロス、現在のアルマレクシアの首都へ向かう途中の商人のキャラバンに、80日後発見された。

生まれる前のヴィベクは民とかかわりがなかったため、何も言わなかった。ただの壊れた像で、中には何もないとキャラバンのチャイマーに思わせるためである。キャラバンを護衛していたチャイマーの戦士がこう言った:

「ドゥエマーどもめ、我々に似た形の像を鉄で作って騙そうとするとは。これを首都に持ち帰り、母なるアイエムに見せるべきだ。彼女も敵の新しい策略を見たいだろう」

だが商人の長はこう言った:

「その労力に見合った報酬が受け取れるとは思えない。ノアモクに寄ってデイゴンの赤い妻たちに売った方が良い。彼女たちは、深き民の作った不思議なものには報酬を惜しまない」

だが預言に詳しい別のチャイマーは、その像を不安そうに見ていた。

「最大限の富を得られるよう、私を雇ったのではないか?ならば戦士の言うとおり、アイエムのところへ運ぶべきだ。敵の手で作られたとはいえ、この中には聖なるもの、もしくはそうなるべきものが入っている」

商人の長はネッチマンの妻の像を見て少し考えた。普段なら預言者の忠告は注意深く受け止める彼だったが、ノアモクで得られる利益のことしか考えられずにいた。赤い妻たちから得られる報酬は四角でよく傷つき、月の下のどんな場所でも味わえない腹への魔法だ。その欲望は、彼に母なるアイエムを否定させてしまった。彼はノアモクへの進路変更を指示した。

キャラバンが再び出発しようとしたとき、首都へと向かうよう進言したチャイマーの戦士が商人の長に金を投げつけてこう言った:

「私はその像にこれだけ出そう。そして忠告する。北の野蛮な者たちと戦争になる。母なるアイエムがその敵を相手にする間、別の敵を相手にさせるわけにはいかない」

商人の長はこう言った。「ネレヴァル、これでは足りない。私も私なりに三位一体だが、自分の体に正直に、より多くを求める」

するとヴィベクはこれ以上黙っていられず、ネレヴァルの頭の中でこう言った:

「この言葉が聞こえるなら、逃げよホーテーターよ、明確な未知へと足を踏み入れよ
昨日は眠り、それまで黙っていろ
溶けゆく石に哀歌はいらない」

そしてネレヴァルは商人の長を殺し、キャラバンを自分のものにした。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第六説話The 36 Lessons: Sermon 6

ヴィベク 著

第六説話

お前はホーテーターの言葉の隣に隠された、ヴィベクの第六説話を見つけた。

永遠の中に永遠があり、それを紐解くと世界で初めての文章になる。

メファーラとアズラは伝統の門であり、ボエシアは秘密の炎である。

ヴェロスにはまだ見つけられていないライオンによって、太陽は食われるだろう。

六は、人の想像で着られるベストや衣服である。

簡単な言葉のみを見よ、それ以外は全て敵で、あなたを混乱させようとする。

六は、暴力による天の製法で、この言葉を読んだお前はそのうちの一つを学んだだろう。

父は機械であり、機械の口である。彼の唯一の謎はさらなる複雑さへの招待である。

母は活発でニックスハウンドのような鋭い爪をもつが、日々を取り戻す者たちの中で最も神聖な者である。

息子は私ベクで、三、六、九、そしてそれに続くものであり、輝かしく慈悲深く、境界はなく、この世界や他の世界の中で最も完成された、金のように淡く光る剣であり象徴である。

不信のみを使った第四の哲学がある。

私が剣で語れば、それは良識ある者のことだ。

私が言葉で語れば、それは死者のことだ

私はベク、3333と決められた最後の日まで、あなたの守護者でありレッドマウンテンの守護者である。

私の下には、アルトマーから離れるために必要となった蛮人。

私の上には、炎と神のエキスに浸った挑戦。

お前の名をつけた預言者と違い、私を通してお前は求められる。

六は謎から敵、教師につながる歩道である。

ボエシアとアズラは宇宙の原理であり、生み出し、創造し、メファーラが芸術に変える。

私が剣で語れば、それは初夜のことだ。

私が言葉で語れば、それは死者のことだ。

それが真実と言われれば、お前の名前に輝きが生まれるだろう。

六はヴェロスの守護者である。三は再び生まれ、お前が英雄の性質を身につけるまで試練を与える。

眠っている世界があり、お前はそれから身を守らねばならない。

私が剣で語れば、それは両面である。

私が言葉で語れば、それは獣の生活である。

私が剣で語れば、それはため息が先立つ。

私が言葉で語れば、それは狼が先立つ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第七説話The 36 Lessons: Sermon 7

ヴィベク 著

第七説話

ネレヴァルのキャラバンが当時のヴェロス、現在のアルマレクシアの首都へ向かっていると、オブリビオンから地鳴りがした。スキャンプの中の公爵が災厄の神と出くわし、一つ一つ扉の前で敬意を払っていると、メエルーンズ・デイゴンの執事長と会った。

スキャンプの公爵はこう言った。「私は汚れた水と炎の王、デイゴン卿の命で来た。七つの軍団の旗を持って来た」

執事長の頭は汚れた水と炎の球体だった。彼は深く頭を下げ、スキャンプの公爵の頭を取り込んだ。

彼は最初の旗を見た。二回以上は死ねる恐ろしい戦士の軍団を指揮するものだった。

二つ目の旗を見た。羽の生えた牛と、それに乗る色の皇帝の軍団を指揮するものだった。

三つ目の旗を見た。逆になったゴルゴン、つまり鱗が人の顔になった大蛇の軍団を指揮するものだった。

四つ目の旗を見た。裏切られた恋人たちの軍団を指揮するものだった。

五つ目の旗を見た。犠牲者に飛び乗らんとする傷の軍団を指揮するものだった。

六つ目の旗を見た。小さい惑星の軍団を指揮するものだった。

七つ目の旗を見た。鎧を着た勝利の一手の軍団を指揮するものだった。

これに対して執事長はこう言った。「クウッタ公爵、あなたの軍団は強いがネレヴァルや三位一体を破壊するには足りない。ホーテーターが妻に使う知恵を見習いなさい」

そして彼らは中界を覗き込み、これを見た:

赤き戦争とキチンの男たちの
無数の雷の中で蒸発し
運命が彼を
我々のやり方から遠ざける
我々が欲した熱
忘れられていないと願う熱
そこで運命が
距離を覆う
黄金の東で戦争と修復ではなく
それを見たことに喜ぶ
忘れられた裂け目
ホーテーターの呪い
そしてあと二つが彼の手に

そしてスキャンプの公爵はホーテーターの掌を見た。その上に乗る卵には力強い言葉が書かれていた:ガルトク・パドメ・ガルトク・パドメ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第八説話The 36 Lessons: Sermon 8

ヴィベク 著

第八説話

ネレヴァルとヴィベクは首都が見える場所まで進んでおり、災厄の四柱神はまだ彼らと争うべき時ではないと分かっていた。キャラバンの音楽家たちは壮大な入場曲を奏で、モーニングホールドの十一の門が大きく開いた。

アイエムは、彼女の要求に応じて姿を変える夫の像とともに現れた。その周囲には今では忘れられし、叫びのギルドがいた。彼らは、当時はまだ善人が多かったヴェロシの人々の思いを抱えていた。叫びはアイエムと国の助言者であったが、時には争いを起こしセトに叱られていた。その頃にはインドリル家の旗で飾られていたネレヴァルに、アイエムが近づいた、彼はヴィベクの卵の入ったネッチマンの妻の像を彼女に捧げた。

アイエムはネレヴァルにこう言った:

「アズラであるセトによれば、戦争が迫っている。我々の救世主となるホーテーターが解決策を手にやって来るそうだ」

ネレヴァルはこう言った:

「私は敵であるドゥエマーたちの企みを知らせに遠くから来ましたが、旅の途中で多くを学び、意見が変わりました。私の横にあるネッチマンの妻は剣であり象徴であり、中には預言者が入っています。彼によると、我々はしばらくの間彼を見習い、かつての敵と同じ服を着て、恥じることなく彼らの機械を使用すべきだそうです」

これに対してヴィベクはこう声に出した:

「女王よ、お前であるボエシアはトリニマクの皮を被り、ヴェロスの欠陥を清めた。それを繰り返すべきだ。輝く者の歩くべき道である」

鉄の蒸気の雲からセトが現れ、その手下たちが血液から椅子を作った。彼はアイエムの隣に座り、王の再誕を見守った。ヴィベクは三位一体の彼らにこう言った:

「私の儀式、試練、その中に眠る言葉
私の肌、それ以上の動機は必要ない」

アイエムはこう言った:

「アイエム、アイ、セーティ、アイ、ベク。我々は届けられ、そして完全になる。黒き手のダイヤモンドが露わになった」

セトはこう言った:

「彼の歩くところには、目に見えぬ言葉がある」

叫びは突然静かになり、読み始めた。ヴィベクは卵から手足などを出し、母親の像と一つになった。水の中、炎の中、鉄の中、灰の中、東の全てが芸術の一つとなり、六倍の知恵を持ち、男と女の融合体、魔法の両性となり、戦いの原理、言葉における性の死、中界で唯一の存在となったのである。彼はこう言った:

「ホーテーターの手を取り、戦争とその先へと導こう。我々は雷の中、違う道を行く。これが我々の運命なのだ」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第九説話The 36 Lessons: Sermon 9

ヴィベク 著

第九説話

そして北方人との戦争が始まり、ヴィベクは迅速かつ巧みにドゥエマーたちとの団結へとホーテーターを導いた。極寒の西の悪魔の首領たちは、以下の不浄の数字五の者であった。

沼の口のホアガは、髭を蓄えた大王の姿で、大地を操り息を吹き込む力があった。この悪魔は戦場の側面で、土をガツガツ食べていることが多かった。戦場で部下が倒れると、ホアガはその土を彼らに注入した。彼らはゆっくりと起き上がり、再び戦った。彼にはフェンジャという秘密の名前があり、撃退されるまでにチャイマーの村を十七、ドゥエマーの要塞を二つ壊滅させた。

走る飢餓チェムアは、兜を被った騎兵の姿で、叫ぶ心臓と空の病の力があった。チャイマーの英雄ドーレス・キズメトイを食らい、その霊魂をアサシンとしてホーテーターに送った。最初のブライターとも呼ばれるチェムアは、雲に腹痛を起こさせ、ヴェロスの雨を胆汁に変えられた。ヴィベクとホーテーターに殺されるまで、チャイマーの村を六つ破壊した。

二枚舌バーグは、髭を蓄えた大王の姿で、確実性と形態変化の力があった。彼の手下は数こそ少なかったが、西の奥地で暴れ、ヴェロシの罠師や斥候の多くを殺した。彼の二枚舌から発せられる言葉を理解できたのはヴィベクのみであったため、二人は大論争を始め、北方人は戦詩人に敗れた。論争の間、アルムシヴィは姿を隠さなければならなかった。

次元の娘バーフォクは、槍持つ有翼人の姿で、物事の結末の力があった。歌うことで結末を操れたため、バーフォクとの戦いは必ず彼女の勝利に終わった。彼女の力で、チャイマーの村が四つ、ドゥエマーの要塞二つが壊滅した。ヴェロスが滅ぼされないよう、ヴィベクはミルクフィンガーで彼女の口を塞がなければならなかった。

北の竜イスミールは、常に髭を蓄えた大王の姿で、無限とこだまの力があった。彼は暗く不気味で、侵略者たる首領たちの中では最も寡黙だったが、言葉を発すると村は持ち上がり、海へと投げ込まれた。ホーテーターは素手で彼と戦い、竜の叫びを掴み、イスミールの喉から血が出るまで握った。叫びはヴィベクのものとなり、黒檀のリスニングフレームに変えられた。それをイスミールの顔や耳に乗せ、正気を失わせて追い払った。

「向かって来ては追い払う。そして全てが回る。これから言うことは不快で、記録にふさわしくないだろう:ハルマ・モラ・アルタドゥーン!エ・アルタドゥーン!」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十説話The 36 Lessons: Sermon 10

ヴィベク 著

第十説話

お前はその後ホーテーターに渡った言葉に隠された、ヴィベクの第十説話を見つけた。

引き起こす者は何も持っていない状態で左手を挙げ、武器はいらないと示さねばならない。来るものは常に隠れているため、引き起こす者は常に目に見えない。もしくは敵の肌の中にいることが望ましい。

「王国の瞼は三十六の本を埋めるだろうが、その眼は世界を読み解く」

これによりホーテーターは私に理解を求める。剣は性急なものである。死者には何も書いてはいけない。ボエトヒーアの言葉を忘れぬようにと、ヴィベクはホーテーターに言う:

枠作り、スカラブであるあなたに、我々は誓った:我々があなたを愛せる世界と、大事にできる泥のマントを。見ていない間に先人たちに裏切られた。ホアリー・マグナスの危険な意見で過小評価は揺らがない。これはいつも満足している者に使う手法だ。短い塔の季節、すり減った赦し。そしてこれは何だ。瞼の下にあるのは炎か?

自らの肌の中で変わりなさいと、私はトリニマクを食べし者たちに言う。声を痣の色に変えなさい。敵のように自らを家に分け、これまた敵である災厄の柱神のように中心から順に法を定め、自らを材木、泥、樹脂であるとみなしなさい。シシシットの一歩は敵の突進よりも速いため、分裂してはいけない。彼は砂利のために全てを切り裂く。

我々は雷の中、違う道を行く。静止と怠慢な奴隷によって建てられた全ての真の家は、シシシットから始まる。偽りの地図のように壊れた偏愛に背を向けよ。このように動くといい。偽りの父には素早く、母は隅でガラスと雨のために泣く。静止は何も求めず、無であるがゆえに無を求める。八つの永遠の不完全の中では、あなたもそうだった。

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

シシシットはまだ旅の途中であると理解せよ

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

空に輝く鏡の中で

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

溺れながら微笑む

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

静止は大いに願っている

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

まだ問われていないことに

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

答えることを

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十一説話The 36 Lessons: Sermon 11

ヴィベク 著

第十一説話

アルムシヴィとその王ホーテータの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の一つ目である。

「目覚めし世界は夢の記憶喪失である。全てのモチーフは傷つけられる。倒されてしまえば、テーマは未来の懐古になる。権力を悪用してはならない、さもなくば道を外れる。迷い、怒り、ついには愚の種を宿すだろう。そうなればすぐに壊れた国の祖父母となり、笑いものにされる。自分が水であることを思い出した石のように崩壊するだろう。

「必要でなく美しくもないものは家に置いてはいけない。

「試練は何にも邪魔されず受けるべきである。星の輝きはアイエムのものである。海の身勝手さはセトのものである。私は間の空気を支配する。それ以外は大地であり、今はあなたの指揮下にある。心臓の骨以外に、折れない骨はない。人生の中で二度見るだろう。一度目に得られるだけのものを得て、あとは我々に任せなさい。

「中心の真の象徴などない。シャーマトはあると信じている。聖なる場所に座ることで永く繁栄を引き起こせると思っているが、その国を出られず争いしか生まない。

「またしても象徴的かつ不毛なものの話になる。呪われて悪魔と化した真の公は最後に心から愛される。メファーラの掟によれば公式な芸術などなく、あるのは複雑性の修復点のみで、十分な時間があれば人々の恐れを取り除くだろう。この秘密にはさらなる秘密が隠されている。支配する王の道は個人を捨てた生存ではない。人々の芸術を受け止め、芸術と一つになる。つまり、秘密裏に殺さなければならない。

「支配する王は、他者に自分と同格のものを見ては何も支配できない。

「武器の秘密は、恵の座であるということだ。

「言葉の秘密は、動かないことだ。

「支配する王は全身を見事な炎で覆われている。全ての行動に見返りが伴う。その者の死は目覚めし世界へ戻る地図でしかない。眠る方法も違う。シャーマトはその生き写しであり、それ故に何も支配できないと考える。

「ホーテーターとシャーマトは一対一で十一となる。優美な数字ではない。どちらの一がより大きいだろうか?二つが入れ替われば、分かるだろうか?私には分かる、だからあなたには私が必要だ。

「メファーラの掟によれば、セオリストとテロリストに違いはない。彼らの手にかかれば、どんな大事な欲求も消えてしまう。それ故にメファーラの手は黒い。議論には両の手を使うと良い。片手の王は解決策を見出せない。ただし神に近づく場合は、どちらも切り落とさなければならない。神は全身に恐怖を纏い、理論など必要としていない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十二説話The 36 Lessons: Sermon 12

ヴィベク 著

第十二説話

ホーテーターが支配する王の最初の教訓を熟考している間に、ヴィベクはモーニングホールドへ入り、アイエムが二人の恋人と一緒にいるところを見た。セトはまた分裂していた。ヴィベクは観察のためその中に飛び込んだが、まだ知らぬ秘密を知ることはできなかった。収穫を得るため、いくつか分身を置いて行った。

そしてヴィベクはヴェロスの首都を出て灰の奥深くへと入っていった。長く続く悪地を見つけ、そこで巨大化の練習をした。神々よりも濃度の低い物質で足を作ることで、大地に飲み込まれることを防いだ。この時、災厄の四柱神の一角であるモラグ・バルが姿を現した。

ヴィベクは強姦の王を見てこう言った:

「参加しないとは、なんと美しいことだ」

無敵ではなかった戦詩人の足をモラグ・バルは潰し、軍団に切り落とさせた。始まりの場所から強力な炎が現れ、網のようにヴィベクを拘束し、彼はそれを許した。

「結婚するのなら」と彼は言った。「何らかの式典があると好ましい」

すると足を奪った軍団が呼び戻され、祝宴の開催を命じられた。悪地からザクロが芽生え、テントが張られた。ヴェロシの秘術師たちが切り落とされた足の言葉を読み、涙を流しながらやってきた。

ヴィベクはこう言った。「愛し合うのなら、手短に済ませねばならない。ドゥエマーの大司祭たちは問題を起こす。私はホーテーターに大事な助言を行わねばならない。一時間だけ、私の頭を貸そう」

モラグ・バルは立ち上がり、六つの腕を広げて自らの価値を示した。魅惑のルーンで飾られていた。さらにその逆、より長き世界の暦の注釈で飾られていた。彼が言葉を発すると、そこから交尾をする動物たちが落ちてきた。

「どこへ行くのだ?」と彼は言った。

「言っただろう」ヴィベクは言った。「私は大地の王の指導者となる運命なのだ。エ・アルタドゥーン・ガルトク・パドメ」

この魔法の言葉を聞いて、強姦の王はさらにこう付け加えた。「チム」高貴を表す秘密の音節である。

ヴィベクはデイドロスから得るべきものを得たため、その日に彼と結婚した。頭を借りていた一時間の間に、強姦の王は愛の証明を求めた。

ヴィベクはそれに応えるため二つの詩を読んだが、そのうち一つ目しか知られていない:

あなたの髪を作るのにどれだけの碧水晶が必要だったか
海から採れるものの倍はあったか
愛しい者よ、地獄とは真実を語る者たちの書いた創作
私の口は嘘が上手で、歯はアリバイを製作

ヴィベクとモラグ・バルの子孫は数千にのぼる。その中で最も強き者の名は、力に満ちている:グルガ・モル・ジル・ヒャエト・エ・フーム。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十三説話The 36 Lessons: Sermon 13

ヴィベク 著

第十三説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の二つ目である。

「これが高貴を表す秘密の音節である:(別の場所で読まねばならない)

「人間は一時的な神話である

「魔法の十字は、自らの霊魂を消費する定命の者の価値を統合したものである。三角形で囲えば三位一体の家が見えてくる。それは隅々へと分かれ、同胞である四柱神バル、デイゴン、マラク、シェオグによって支配される。三角形を回転させれば始まりの場所、汚い嘘、反論を許さぬ者の証、その心臓を貫く。それら全ての上にはたった一人しか立てぬ場所、まだ誰も立っていない場所がある。それは新しいものの証明。それは知恵者の約束。それを全て広げれば星があるだろう。それは私の管轄ではないが、一切判断できぬところではない。偉大なる計画が飛び立つ。星のみならずスズメバチにも変形する。中心は持ちこらえられない。点と線が欠けてしまう。何もかもが欠け、器となる。最後には、それが役に立つ。それが約束されたものだ。

「剣は十字であり、アルムシヴィはそれを囲う三位一体の家である。終わりがあるならば、私は排除されなければならない。支配する王はそのことを知っていて、私は彼を試す。彼がそれを理解するまで、繰り返し殺す。私は最後の守護者である。私を排除することは、持ちこたえられぬ中心で眠っている心を再び満たすことである。私は剣、アイエムは星、セトは機械であり、世界の変化を引き起こしている。黒い海で満たされぬよう、取り決めを守るのが我々の役目である。

「シャーマトは中心で眠る。参照する世界が排除されることに、彼は耐えられない。これが偽りの夢を見る者の愚かさである。これは夢の記憶喪失、力、離脱である。これは弱き魔法であり、毒に侵されている。

「だからこそ私は言う、剣の秘密は恵の座であると。私の玉座である。私がアルムシヴィの声となる。私の姉や兄よりも、世界は私を知る。私は霊魂を冥界に運ぶ者。ヴェロスの雑草を刈る者。ヴェロスは持ちこたえられぬ中心である。アイエムは構想で、セトは結末である。私は排除されねばならない謎である。だからこそ私の言葉は歯で武装している。

「支配する王は私に立ち向かい、私の前に立たねばならない。私の罰から学ばなければならない。彼に分かるように私が示す。彼は男性であり女性であらねばならない。私のようにならなければならない。

「なぜなら支配する王は、他者に自分と同格のものを見ては何も支配できない」

ヴィベクがまだ完全でなかった頃にホーテーターが言われた言葉である。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十四説話The 36 Lessons: Sermon 14

ヴィベク 著

第十四説話

ヴィベクは頭のない状態で八十八日間モラグ・バルと横たわっていた。その間にデイドラ公は戦詩人の足を戻してデイドラの血で満たした。こうして巨大化したヴィベクは永遠に大地へ害を与えることはなかった。ザクロの宴により死者の霊魂が数多く戻ってきたため、息子たちや娘たちには果物以外にも豊富な食糧があった。

宴の最中にスキャンプの公爵が現れ、モラグ・バルは七つの旗を見て怒った。強姦の王が必要となり、時の残りの間問題を抱えた。彼の軍団とクウッタの軍団の間で戦争が始まったが、モラグ・バルとヴィベクの子たちは力も形も複雑すぎた。

そのためスキャンプの公爵とその子たちは劣るようになった。モラグ・バルは彼らにこう言った:「お前たちは嘘つきの子、犬の子、狼の頭の女の子だ」彼らはそれ以来使い物にならなかった。

金色に光る知恵を持った聖なる者ヴィベクが、ついに戻ってきた。体が丁寧に扱われていたことを、頭は知った。彼がモラグ・バルにそう言うと、何々のごとく動く男爵に礼を言うように言われた。「私は自分の歓喜を洗練する術を未だ知らない。私の愛は槍のような形になってしまう」

アイエムの慈悲を受け継いでいたヴィベクは、モラグ・バルに腹の魔法を教えることにした。お互いの槍を出し合って比べた。始まらぬ者に滅び以外のものをもたらせるよう、ヴィベクは強姦の王のものに新しい言葉を噛み込んだ。それ以来これは禁断の儀式となったが、秘密裏に行う人々もいる。

その理由はこうである:見ていたヴェロシや悪魔たち、怪物たちがみな自分たちの槍を取り出したのである。多くのものが噛まれ、大地が濡れた。そしてこれがモラグ・バルの最後の笑いだった:

「かつてないほどの力が集まり、その重みで割れる大地を見よ!」

すると結婚式の行われた広い悪地が砕け、炎が飛び散った。そして今はもうないが、当時にすれば悲惨なレースが開幕した。噛む者として生まれ、ひたすらに噛みながら、彼らは狂ったように走り、ヴェロスの地を横切ってレッドマウンテンの岸まで向かった。

しかしヴィベクは強姦の王から得た秘密を利用し、その槍からさらに恐ろしいものを生み出した。彼はモラグ・バルを噛む者たちの亀裂へと突き落とし、二度とその王を美しいなどと称賛しないと誓った。

ヴィベクは泣きながら周囲の者たちを新しい槍で殺した。彼はそれをムアトラ、つまりミルクテイカーと名付け、そこからチャイマーの秘術師たちにも彼の怒りが伝わった。この時ヴィベクに打たれた者はみな不毛となり、骨のような形にしぼんでしまった。その骨の道で作られた言葉を星たちが読み、それ以来天に子供は生まれなかった。ヴィベクは噛む者たちを残らず見つけだし、その子孫に至るまで九の隙間によって殺した。賢い者は未だにムアトラから隠れる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十五説話The 36 Lessons: Sermon 15

ヴィベク 著

第十五説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとデゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の三つ目である。

「支配する王は、その製作者たる私を排除する。全ての子はそうあらねばならない。彼の最大の敵は、偽りの夢を見るシャーマト。ホーテーターよ、彼かあなたか、どちらかが砂利だ。誤った道を歩いてはならない。愛の罪に気をつけよ。彼の言葉を見よ」

私はシャーマト
私は音楽よりも古い
私には光がある
私には星がある
私には
古の海がある
眠れば私の姿を見るだろう
中心で踊る私を
破滅ではない
私の家だ
私は世界の口の中に
星を入れる
世界を殺すために
門を崩せ
私の盲目の魚たちよ
新しきフロギストンで
泳ぐがいい
門を崩せ
耳の聞こえぬ月たちよ
歌いながら焼けよ
そして私を中心に周るがいい
私は音楽よりも古い
私には光がある
私には星がある
私には
古の海がある

「お前は何度でも現れるが、彼を破壊できるのはお前しかいない。私がそれを許すかどうか、すでに分かっている。武器を持たずに彼のねぐらへと入り、この言葉を用いよ:エ・ガルトク・パドメ[チム]・エ・アルタドゥーン。もしくは用いずともよい。人間は一時的な神話である。暴力により天へと届く。お前にこの魔法を授ける:お前が支配する世界は一時的な希望でしかなく、お前は不確実な文字に書かれなければならない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十六説話The 36 Lessons: Sermon 16

ヴィベク 著

第十六説話

ホーテーターは学んだ教訓の理解に苦しみながらモーニングホールドを歩いた。どうしても頭に定着させられず、言葉を真に受け止められないことに危険を感じていた。ヴェロスの光であり、王であり主であるヴィベクを探し求め、あろうことか誤りの聖堂で彼を見つけた。そこで精巧なハサミが彼の髪を切っていた。物乞いの王が織機を持っており、彼の髪を使って成人と死の地図を作っていた。

「主よ、なぜこんなことをしているのですか?」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「炎の場所を確保するためだ」

ヴィベクが苛立っていたことはホーテーターに明白だったが、それは迫りくる新たな力の影響ではなかった。黄金の戦詩人は生まれる前にドゥルーたちから学んだように、水の顔も発動していた。

「炎から身を守るためですか?」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「真に見ることができるようにだ。そして、このパドメの誤りの家の祭壇があれば、自分の秘密のさらに向こうを見られる。水の顔は嘘をつかない。嘘をつくどころか、考える余裕もないほど忙しい海から来ている。揺らめく水の動きは、真実を示す」

「考えすぎて、全てがおろそかになってしまうことが怖いのです」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「では暴力により天に手を伸ばすといい」

そして頭の中を静めるため、ホーテーターは斧を手に取った。それに名前をつけ、最初の月へと進んだ。

そこでネレヴァルはクレーターの議会に出迎えられた。彼らはホーテーターのことを知っており、月の領域へと入ってきた大地の王を拒絶した。彼を囲むように動いた。

「月で王冠や王権は認められない」彼らは言った。「ライオン、大蛇、数学者など、王国の代表者も同じだ。我々は、移住し古代の国となった者たちの墓場だ。女王も玉座も必要ない。あなたの見た目は明らかに太陽のもの、つまり盗んだ思想の図書館のようなものだ。我々に涙や悲しみはない。書かれている通り、我々の革命は成功したのだ。あなたはホーテーターであり、ここでは歓迎されない」

そしてネレヴァルは息切れするまで墓場の亡霊たちを切り続け、ついにその議会が新たな法を定めることはできなくなった。

彼はこう言った。「私は滅びゆく奴隷ではない」

議会のうち、ホーテーターの攻撃に耐えて生き残ったのは数名のみであった。

クレーターの生き残りはこう言った。「独占は新しいことではない。全ての原因はそのものにある。このモチーフは英雄の伝説と関連がないわけではない。あなたは創造的な衝動で動いていない。あなたは運命の重みの下を行く。我々は墓場であるが、棺ではない。その違いを知れ。あなたはただ掘り進めただけで、眠らせる亡霊を増やしたわけではない。あなたの主張の中心には、弱い出来事の優位性がある。大地に裁かれるということは、わけも分からず玉座に座ることと同じだ。これ以上我々を傷つけても死者は増えず、何も得られないだろう」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十七説話The 36 Lessons: Sermon 17

ヴィベク 著

第十七説話

「私は煙の地図である」

これにより、ヴィベクは以前よりもさらに偉大となった。アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。

「私は形を変える、ゆえに努力せず私を求めるべきである」

ホーテーターはまだ斧で天を制圧しようとしていた。マグナスの力で太陽の図書館から追い出された。デシャーン平原の沼地を出たところの野原で、ヴィベクが彼を見つけた。二人はしばらく無言で歩いた。ネレヴァルは恥をかき、ヴィベクにはまだ慈悲があった。

しばらくすると彼らは東の海を渡り、蛇と雪の悪魔の地へ向かっていた。ヴィベクは海外の戦闘様式をホーテーターに見せたかったのである。彼らはツァエシの王の枕元の本から慣用句を学んだ。その形はこのページの本質に似ている。ツァエシの大蛇たちは西への復讐を三度以上誓っていた。

彼らはさらに歩き、地図の端にある尖った水を見た。ここで制約の霊魂が彼らにスポークを与え、残りの車輪を見つけるよう命じた。

ホーテーターはこう言った。「世界の端は剣でできている」

ヴィベクはそれを訂正した。「世界の下の歯だ」

彼らは北の古の森へと向かったが、そこで見つけたのは氷漬けになった髭の王のみだった。

彼らは黒き民の住む西へと向かった。一年間そこの剣聖たちに学び、その後もう一年ヴィベクが彼らに小さな報酬の美徳を教えた。ヴィベクは王を妻とし、やがては西を完全に破壊する怪物の種族を生み出した。ある戦士の長に、ヴィベクはこう言った:

「我々は眠っているかのように話し、振る舞ってはいけない」

南でも学べることがあるのではないかとネレヴァルは不思議に思ったが、ヴィベクは何も言わず彼をレッドマウンテンへと連れ戻った。

「ここが最後の最後だ」ヴィベクは言った。「この中でシャーマトが待っている」

だがシャーマトと戦うにはまだ早いことを二人とも知っていた。彼らは互いを相手として戦闘を始めた。こうしてヴィベクは全てのヴェロシに見えるようホーテーターを示した。傷はアイエム・アズラの恵みで閉じた。戦闘が終わると、ホーテーターはさらに七つのスポークを得ていたことに気づいた。それらを繋げて杖を作ろうと試みたが、「まだその時ではない」とヴィベクに止められた。

「どこでこれを見つけたんですか?」ネレヴァルは言った。

知らぬうちに得ていたものもあるが、全て世界中から集めたものであるとヴィベクは言った。「私が車輪だ」とヴィベクは言い、その形になった。中心の虚無が永く続く前に、ネレヴァルはスポークをはめ込んだ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十八説話The 36 Lessons: Sermon 18

ヴィベク 著

第十八説話

ドゥエマーとの戦争の前に、ホーテーターに教えられることは全て教えたとヴィベクは感じていた。この時点で戦詩人は時の書の執筆を始めねばならないと決断した。なぜなら、年を重ねた世界が歪みつつあったのである。

ヴィベクはモーニングホールドに入り、ムアトラから逃げ出した九体の怪物と戦うことをアイエムに告げた。

「私はまた戻る」彼は言った。「ドゥエマーの偉大な建築家に、最後の一撃を浴びせるために」

アイエムはこう言った。「彼らは強いが、九体のうち八体しか見つけられないでしょう。あなたが時の書を作る決断をしたことで、九体目はすでに消滅しました」

アイエムは彼自身のことを言っているのだと、ヴィベクは理解した。

「何を悩んでいるの?」と彼女は聞いた。

彼は悩みがあるからこそ三位一体の剣なのである。それを知っていた彼は、恥も恐怖も感じなかった。その代わり、この言葉で説明した:

「透明の門の一員があまりに古くなり、後継者が実際の模型の改善ではなく、現在の世界の状態に合わせた関連した模型になることがあるだろうか?未来に起こることがセトに理解できないほど奇妙でない限り、母であるあなたが心配する必要はない。処刑人と愚か者も同様だが、私はそのどちらでもない。

「理想の形は変わるかもしれないが、本質は変わらない。だが西でもレインメーカーは消える。もう誰にも必要とされていない。

「以前の模型が理想に基づいて置かれているのではなく、無意識に常時変わりゆく定命の問題と繋がっているという理由で、それを追放できるだろうか?」

ヴィベクが完全だった頃、アイエムに言った言葉である。賢き者はこれを誤って解釈してはならない。

アイエムはこう言った。「だからあなたはネッチマンの妻の下に生まれ、母親の像と一つになり、水の中、炎の中、鉄の中、灰の中、東の全ての芸術が一つとなり、六倍の知恵を持ち、男と女の融合体、魔法の両性となり、戦いの原理、言葉における性の死、中界で唯一の存在となったのね」

その時ヴィベクは時の書を記録する意味を理解した。

この説話は禁じられている。

この世界とその他の世界において、十八引く一(勝者)は魔法の円盤であり、暴力によって天に届くよう投げられる。

この説話は真実ではない。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十九説話The 36 Lessons: Sermon 19

ヴィベク 著

第十九説話

ヴィベクは鎧を身につけ、交流と情報で埋めつくされた空間なき空間へと足を踏み入れた。それは出会って来た全ての考えを記した地図であり、神聖な火花のような行事であった。彼はこう言った。「ここから八体の怪物に攻撃を仕掛ける」

そしてヴィベクは、星のように輝く心から現れる蛾を見た。レッドマウンテンの灰よりもひどい埃をまき散らしていた。彼は比類なき支配する王の二つの頭を見た。そして八つの不完全なものが貴重な石にすり込まれ、拘束具のような冠にはめ込まれていた。彼はそれが双頭の王の二つの王冠であると理解した。双頭の王の口には川が流れ込んでいた。

するとヴィベクは秘密の扉の中央に仮の家を建てた。そこから来る時代を見ることができた。その家についてこう書かれている:

一つ目の礎には指があり
地に埋められ
ゆっくり土の中を指す
北は予測できない
だがそれでも心は自由だ

二つ目の礎には舌があり
埃すらも饒舌になる
聞けば愛が見える
古の蔵書庫は必要としている

三つ目の礎には少量の糸があり
あなたの好きな色の形をしている
少女は誰が置いて行ったか知っているが
掘り起こすことを恐れている
先に繋がれたものを見ることを

四つ目の礎には九つの骨があり
それは黒猫から慎重に取り除かれた
この言葉の形に並べられ
我らを敵から守っている

あなたの家はもう安全だ
ならばなぜ——
あなたの家はもう安全だ
ならばなぜ——

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十説話The 36 Lessons: Sermon 20

ヴィベク 著

第二十説話

最初の怪物は実は二体であり、親であるヴィベクと同じように二度生まれていた。ムアトラから逃げ出した八体の中で強い方ではなかったが、その行動は不安を起こさせるものだった。彼はムーンアクセルとして知られ、自然界に残された弱点を刈り取っていた。これは二度行われると言われ、二度目は必ず破壊か不文の法をもたらしていた。彼は多面体のような見た目をしていた。

ムーンアクセルが危険であるという情報はなかったが、槍が効かなかったため、ヴィベクは持たれざる剣を使わざるを得なかった。怪物と交戦する前に、戦詩人はこう問いかけた:

「どうして槍が効かなくなった?」

ムーンアクセルはこう答えた。「私は二面的で変幻自在だ。どれも長くは続かないが、私は多数の直線から成り立っている。これにより、私は直線的なものを全て無視できるようになった」

幸いにも曲線状の持たれざる剣はムーンアクセルを切ることができ、陽が昇る頃には多くの傷口から血を流していた。彼を即座に殺せば自然界の弱点を閉じ込めてしまい元に戻せないため、ヴィベクはそうしなかった。ヴィベクはすぐに地理を正しく記せたため、ムーンアクセルを殺す準備が整った。

ヴィベクはおぞましい巨人の姿になって立ち上がった。西に手を伸ばし渓谷を手に取り、角のようにして持った。東に手を伸ばしニックスハウンドを一握り掴んで食べた。彼らの霊魂を渓谷に吹きかけると、解かれぬ女のようなひどいうめき声が鳴り響いた。彼はこう言った:

「圧倒されるがいい」そしてムーンアクセルは盗まれた魂の曲線に圧倒された。それらは樹脂のように怪物へ巻き付き、彼も二面性も身動きがとれなくなった。「これでお前は解決された」そう言ってヴィベクは彼の子孫をムアトラで貫いた。ムーンアクセルは動かぬものとなり、すなわち砕かれた。

ムーンアクセルの直線はヴェロシの哲学者たちに回収されて洞窟へと運ばれた。そこで一年を掛け、ヴィベクは息子の直線を謎の車輪のスポークへと変える方法を哲学者たちに教えた。これが最初の旋回学校の誕生であった。それ以前は炎の表面しかなかった。

ヴィベクは初めての車輪の弟子を見てこう考察した:

「卵の殻を纏った世界は、この三つの距離に覆われる恐ろしい所有物と似ている。それは魂を壊され、私の名前と同様に生きている。この修道院であなたは歩くべき一つの道を見つけた。剣のように起伏があるが粗雑なものだ。あまりに尖っていて、声を潜めないと舌から出血してしまう。長く続きすぎた帝国のように、看板が以前の意味を失わせてしまう場所だ。

「剣は政治からの離別である。

「私の息子のよくできた線を見よ。星の知恵で作られ、全ての手足が中心から均等な距離にある。私の意志で解体されたのか?第二段階などあるはずがない。私の存在が五つの要素を広め、卵の殻を纏った世界と同様に崇高な運命を引き起こすものであると考えるべきである。こう考えれば荷馬車の車軸を壊せる。そして飛べる」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十一説話The 36 Lessons: Sermon 21

ヴィベク 著

第二十一説話

車輪の言葉、その一:

「スポークは混沌の八つの要素であると、時の法則により定められている。トカゲの神々がストライキングと呼んでいる、いわば静的変化である。これが爬虫類の車輪であり、動かないものの序章となるコイルの可能性である」

その二:

「エドラから借りられた骨であり、我らの住む新しい星の濡れた大地、シシシットへ贈られた八つの手足である。その中ではなく外にアービスがある。説明のつかないものは大抵円形であり、これもそうである。円とは、攻撃を重ねながらも決して噛みつかせてはもらえぬ混乱した蛇のようなものである。エドラは違うことを言うだろうが、彼らは嘘つきである以前に与える者であった。嘘により噛みつく者となってしまったのである。彼らの歯は考えを変えさせる。変わるということは偽りの口の中へ入ることである。たとえ懐柔であっても飲み込まれる」

その三:

「悟りを開く者は、世界に食われなかった者である」

その四:

「十六番目の贈り物の手足の間の空間、悪魔の公を表す形。それが鍵であり錠であり、系統でありマンティコアである」

その五:

「王を横にしてみれば、先人が神像を作るために使った塔が見えるのみである。中心を見れば穴と二匹目の蛇が見えるのみである。それは手を伸ばす者のために子宮を準備していて、正確であり魔法などない」

その六:

「二匹目の蛇の心の中に、秘密の三角形の門がある」

その七:

「秘密の三角形の門を横にすれば、秘密の塔が見える」

その八:

「塔の中の秘密の塔は、唯一の神である私の形をしている」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十二説話The 36 Lessons: Sermon 22

ヴィベク 著

第二十二説話

そしてヴィベクは最初の旋回学校を去り、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗くと、二匹目の怪物であるトレジャーウッドソードを見つけた。ザクロの宴から月日が経ち、低層のヴェロシの家を教える存在となっていた。彼らはその力をこう称えた:

「トレジャーウッドソードは高貴で輝かしい者たちの光である!使用した者は自らを知る!」

戦詩人はモラ家の先人のアルコーブで客人となっていた。そこの花冠の公は北の悪魔たちを倒した英雄であった。ヴィベクは骨たちを呼び集めた。彼はこう言った:

「ゴミを漁る者が絹のサッシュを見つけたからといって、前任者の偉大なる体系を見つけられると思ってはいけない。完全なる幸せは泣くことによってのみ手に入る。私の結婚の残された部分を(自由に)返してもらおう、そうすれば神の思考の領域から消さないでおく。あなたの線には、私の姉アイエムの気に入りそうな魔法がある。彼女の暗い知恵に免じて、謙虚にもお願いをしているのだ」

壁から歩く骨が現れた。古の魔法の行いに倣って、下あごに貴石を三つはめていた。そのうちの一つはオパール色のオパールであった。歩く骨は中間の公に一礼してこう言った:

「トレジャーウッドソードは我々の家を去らない。より大きな影である黒き手のメファーラと契約が交わされた」

ヴィベクは一つ目の貴石に口づけをし、こう言った:

「動物の絵よ、無礼な歩く者よ、水の中でも灯り続けるランプへと戻り、これ以上無駄な伝言を蓄えるな。下がれ」

二つ目の貴石に口づけをし、こう言った:

「すぐに消散する誇り高き残留物よ、私の姿から何かが保証されると思うな。皮膚の下にあるものに何も求めるな。私は永久に主である。下がれ」

オパールに口づけをし、こう言った:

「お前を下へと連れて行こう」

そしてヴィベクは隠された場所へと引き下がり、モラグ・トングの暗黒の母たちを見つけ、その全てを妻として夏の塩のような味の忠誠心で満たした。彼女たちは黒き女王となり、百の殺人的な息子たち、千の殺人的な腕、十万の殺人的な手とともに叫び、路地、宮殿、工場、街、秘密の部屋の中で大きな動きが発生した。ラアシムの持ち物の中での動きは波のようで、時の狭間でうねり、全ての運命は飲み込まれたナイフ、うめき声の殺人、神による濡れた死の抹消へと導かれた。

暗殺者の王は、ヴィベクにトレジャーウッドソードを差し出した。

「モラ家の公もあなたに好感をもっているようです」と暗殺者の王は言った。「彼をデイゴンの端に配置しました。彼の目は邪悪な者のための炎の祈りにはめ込みました。口には鳥を詰めておきました」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十三説話The 36 Lessons: Sermon 23

ヴィベク 著

第二十三説話

剣の言葉、その一:

「剣は美味な料理のように扱われ、象徴的なコラージュである。人生の前半において役に立つ。これを知らぬ王朝はない」

その二:

「動かぬ戦士は私の手法の一貫性を理解できる。真の眼が手に入る。私の臣下、支配下であることを喜ぶがいい。私はあなたたちのために剣の街を作る。つまりそこに住む人々を、より良い形へと切り取る法である」

その三:

「私が鎧を着て現れれば、女性はすぐにドレスを燃やす。血を流した放浪者のように私の下へ這いつくばる。小さな霊魂は跡形もなく死ぬ。あなたの日々を殺しの日々としたいのなら、アルムシヴィの中でも私に従うといい。エ・アルタドゥーン、武器の三つ目の法である」

その四:

「動かぬ戦士が疲弊することはない。戦闘中でも穴を掘って眠り、力を回復させる」

その五:

「本能は反射行動ではなく、用意された小さな奇跡である。どの戦士が台頭するかを決めるのは私である。幸運を求めてはいけない。勝つために私に仕えよ」

その六:

「活動の見えない期間は、絶対なるものへの愛である。ネッチマンの妻から神が生まれたことは、愛から優しさが取り除かれたことを意味する」

その七:

「真の剣は世代の鎖を切ることができ、それはつまり敵の作った伝説である。私は亡命した庭園であると考えよ。それ以外の全ては手入れされぬ雑草である」

その八:

「二つ目の道によって鍛えられた古の道を授けよう。古の道ほどの大きさのある剣を扱うには巨大な手がなければいけないが、それほどの者は棒切れだけでも太陽を突ける」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十四説話The 36 Lessons: Sermon 24

ヴィベク 著

第二十四説話

そしてヴィベクは暗殺者の家を出て、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗くと、ホードマウンテンという三匹目の怪物を見つけた。自由に動きながらも等間隔に配置された戦士たちで構成されていて、雲を切るほどの高さの戦士を中心に、木のように広がっていた。その姿はスカートのようで、裾の部分は灰の中を走る軍団で構成されていた。

ヴィベクは我が子の円錐形に感心しながら、生まれる前に様々な戦闘様式を教わった時の喜びを思い返していた。

ヴィベクは「責任」と言いながらヴェロスへ入っていった。

だが怪物に剣が届く距離まで近づける前に、三つの低層の家がホードマウンテンを危ういネットで捕らえた。主を見ると、ヴェロシは歓声を上げた。

「我らは喜んで仕え、勝利します!」彼らは言った。

ヴィベクは勇敢な者たちに微笑み、祝賀の悪魔を呼びだして勝者に付けた。捕獲された怪物の周りでは愛と責任感が漂っており、その中心でヴィベクは骨の頭飾りを被っていた。彼は笑い、神秘的な冗談を言い、三つの家の長を引き合わせて新体制を確立した。

「お前たちはこれから永遠に私のボイアント・アーミガーだ」と彼は言った。

するとヴィベクはムアトラでホードマウンテンを貫き、骨の入った大きな袋へと変えてしまった。右手でネットに触れて言葉へと変え、それを全て北東に投げた。中身が砂糖のように散乱し、ヴィベクとボイアント・アーミガーたちは笑いながらその下を走った。

ついにホードマウンテンの骨は地面に落ちて剣の街の土台となり、ヴィベクはそれに自らの印の名をつけた。ネットはその合間に覆いかぶさって骨と骨をつなぐ橋となり、その線は彼の聖なる英知に触れていたため、知られうる世界の中で最も完璧な街道となった。

多くのヴェロシが新しい街を訪れ、アイエムとセトもそこに祝福を与えた。街は笑いと愛と、木の形をした敵の子で埋めつくされた。

アイエムはこう言った:

「私の兄弟の街に、ホーテーターの生まれたインドリル家の聖なる加護を与えよう。その力と玉座に並ぶものは天下にない」

セトはこう言った:

「私の兄弟の街に、モラグ・バルの残した暗い街角を歩ける安全を与えよう。そして強き者への私の名であるこの呪文を与えよう:これで道に迷った者は、故意でなければ守られるだろう。道や路地を文明の謎の道で満たし、街に心を与え、凝縮されたアルムシヴィへの道筋となろう」

こうしてレスデイニアの時代にヴィベクの街が誕生した。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十五説話The 36 Lessons: Sermon 25

ヴィベク 著

第二十五説話

街の言葉:

「全ての街は硬い光でできている。私の街も、彼の街も」

「だがやがて光は弱まり、ヴェロスの眩く残酷な天使が現れる。彼は怪物になる前の悪魔のような姿のベクで、青白く痩せていて、美しかった。皮膚は鳥の骨の上に薄く延ばされ、羽の生えた蛇がその腕を囲んでいた。背中からは翼が広がっていて、赤と黄色の先端は太陽に照らされて刃のようだった。燃え上がる髪の毛の束はまるで水中にいるかのように浮遊し、彼の頭を照らす光を浴びて白く輝いていた。その存在は否定しがたく、耐えがたい恐ろしさであった。

「ここは神の街、他とは違う。他の国の街はその民を眠らせ、東へと歩き、私に忠誠を誓いに来る。永遠の冷気で凍り付いた北の首都の人々は、ヴィベクの街の前で我々に頭を下げる。

「自らによって考案された道が、血の中を走る。私は自分自身を建て直した。乱暴な道標は私の腕に沿って立ち、やがて内海となる。快楽を生む道具のように、私の体は私の降臨を見守るために集まった人々で埋めつくされている。私の脊髄は、私という街への本道である。血管や通路では数え切れぬほどのやりとりが行われ、放浪、放浪、放浪する者たちは街中を歩き、私をさらに大きくする。私の頭蓋骨の空洞には聖堂が立ち並び、それを王冠として永遠にかぶり続ける。神の唇の上を歩くがいい。

「それらは私に新たな扉を与え、売り買いされる市場の活気により簡単に不死を行き来する存在となる。子供たちは叫びながら遊び、笑い、楽しみ、欲し、片面には私の顔、もう片面には街の全貌が写る新しい通貨をやりとりする。私は新しい窓の一つ一つからそれを凝視する。やがて百万の眼を持ち、夢を見る虫となる。

「忙しく行き交う人々の中で、赤い火花を散らす戦争のラッパは家畜の鳴き声にしか聞こえない。異端者たちは広場で処刑される。私は丘を越えて広がり、発疹のように次々と家が建つが、掻きむしることはない。街とは狩猟に対する解毒剤である。

「私はランターンで空洞を照らし、私の名の書かれた燭台に何度も何度も蝋を注ぐ。その名は数えきれず、辺りを囲み、マントラに司祭、神の街、隅々までその名で埋めつくし、車輪を付けて回転し、流れる川の言葉は足音でクスクス笑い、売り、盗み、探し、私とともに歩く者に心配は無用である。これによりアービスの計画に花が咲く。これがPSJJJJの約束である:卵、像、人、神、街、国。私は仕え、仕えられる。私は針金と糸とモルタルで作られ、前任者を、そして私のいない世界を引き継ぐ」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十六説話The 36 Lessons: Sermon 26

ヴィベク 著

第二十六説話

そしてヴィベクは最高の建築物を後にして空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込み、四匹目の怪物であるポケットカバルを見つけた。

怪物は、皇帝カサダケが自生する極東に住むチャイマーの魔術師たちの呪文リストの中に隠れていた。ヴィベクは単なる旅人に扮したが、魔術師たちに見つかるように感知できる薄い布を纏っていた。彼はムアトラから単純な歩くドワーフを作った。

しばらくすると見えざるものは東の図書館に紛れ、歩くドワーフにポケットカバルの言葉を吹き込んでは、魔法が解けると逃げていた。この盗みを一年か二年続けるうちにムアトラは腹を病み、歩くドワーフは魔術師の塔の奴隷の檻の近くで爆発した。するとポケットカバルは、奴隷の口の中へ入り込んで再び隠れた。

すると奴隷たちがガヤガヤと話を始め、魔法が飛び交うのをヴィベクは眺めた。彼らは檻を揺らしながら半分の賛美歌を歌い、それは禁断の難解な知恵へと形を変えた。連祷の鬼が現れ、溢れたものを飲んだ。奴隷の話声が主要な場所以外を破壊したため、盗む者たちが隣り合う場所から横向きに入ってきた。

当然ながら巨大な虫が現れ、その中には東の偉大な魔術師が入っていた。ヴィベクの変装を見破り、戦詩人が神聖であることは分かっていたが、自らの力を過信していたため厳しい口調で話した:

「ふざけた三位一体め、何をしている!無意味な言葉に、連祷の鬼!お前が食って、食って、食い散らしたおかげで、どうやって道理や秩序を完全に取り戻せというのだ!他の悪魔たちと遊んだらどうだ?」

ヴィベクは魔術師の魂を貫いた。

巨大な虫が奴隷の檻の上に落ち、奴隷たちは自由に見境なく、さらに言葉を発しながら走り回った。様々な色が大地に織り交ぜられた。ヴィベクはその全てを閉じ込めるべく、ドーム状の頭をもった悪魔を作った。

「これでポケットカバルは永遠にここに封じ込められる。ここは魔術が無力化され、蔑まれる呪いの地としよう」

そして彼はムアトラの髭を掴んで持ち上げ、ドームの悪魔の半球体を後にした。そこの境界線に警告と、誤りを含んだ入場の歌を置いて行った。半死半生のムアトラの偽物の骨を使って要塞の理屈に基づくテントの支柱を作り、破壊的な言葉は永久に閉じ込められた。

セトが現れて兄弟の作ったものを眺めた。正確さの王はこう言った:

「八体の怪物のうち、最も難しい。宝物にして良いか?」

ヴィベクはセトにその許可を与えたが、絶対にポケットカバルを中界に放ってはいけないと告げた。彼はこう言った:

「私は旅の途中でここに秘密を隠し、愚か者から保護するためにムアトラと似たものを作った。このドームの中で、人はもう一時的な神話ではない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十七説話The 36 Lessons: Sermon 27

ヴィベク 著

第二十七説話

言葉の言葉、その一:

「全ての言語は肉に基づく。詭弁化に騙されてはいけない」

その二:

「三つ目の道は、恐れることなく興奮を探る。おかしな者の努力はそれだけで社会として成り立つが、書かれた場合に限る。賢き者は一つの法を別のもので代用することがあり、時にそれは矛盾するが、それでも特定の手法を用いていると言い張る。口語においてこれは真実であり、全ての言葉に共通する」

その三:

「赦免のために謝罪の領域に踏み込んではならない。表現の向こう側に罪などない。盗む者の住む隣り合う場所には、声と思考の中間の錯覚があり、それは作られたものである。これにより私は、どの角度から見ても完璧な正確さの議長から確実性を奪った。声の領域から外れると、確かなものはない」

その四:

「真の創作物とは、沈黙から作られる。それは何も参照しないことから生まれる沈黙である。それはつまり死者のことだ」

その五:

「最初の意義はいつも隠れている」

その六:

「謝罪の領域は完璧であり攻撃を受け付けない。そのため賢き者はそれを避ける。三位一体の集結は世界であり、行動を起こす言葉である。三つ目の道である」

その七:

「自らの最高の格言を抑える賢者。それは盗人であるため、手を切り落とすべきである」

その八:

「壊れた地図の服を着るのは愚か者と異端者のみである。地図は怠慢の出口である。埃を被った舌であり、つまりは多くの者が完結した物語と思い込む図表だ。飲み込まれるまで、どんな言葉も真実ではない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十八説話The 36 Lessons: Sermon 28

ヴィベク 著

第二十八説話

そしてドーム状の悪魔のことはセトに任せ、ヴィベクは空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、五匹目の怪物であるルディーマンを見つけた。

ドゥルーが世界を支配していた頃、その頂点にはデイドロスの公モラグ・バルがいた。その当時はとげで覆われ、鎧を着て海に適した姿をしていた。多くの子を生んだヴィベクは、その時モラグ・バルの古い象徴を世界へ落とした。死んだ記憶の甲羅である。それをヴェロシの子供が着て村の人々の関心を得ようとしていなければ、怪物にはなっていなかった。

ルデイーマンは八体の怪物の中で最も単純であった。彼を着た者は強力な殺人者となったが、それ以上は何もなかった。彼は物理的な世界に存在していた。彼を特別な存在にしていたのは地理だけである。

ヴィベクが男の子の村グニシスで彼を見つけると、武器が乱暴にぶつかり合い、大地が持ち上がった。彼らの戦いはウェストガッシュを作り出した。今でも、そこを訪れる放浪者はその音を聞く。剣が甲羅にぶつかる音、神の唸り、怪物の脚の骨が折れる音である。

勝利したヴィベクは、自分の母を改造したドゥルーのところへルディーマンの甲羅を持って行った。書くには難しい名を持つドゥルーの女王は、自己孵化の時期だった。彼女の番人たちがヴィベクから贈り物を受け取り、地上から守ると約束した。ドゥルーが嘘をついた記録は、これが初めてである。

十年後、今度は涙の近くで、ルディーマンが再度現れた。災厄を信仰する気まぐれな呪術師によって着られていた。ドゥルーたちは守るどころか、その生きた鎧に不撓性の秘術を染み込ませていた。その呪術師に覆いかぶさると脱皮し、彼の骨を五つの隅まで伸ばした。

ヴィベクは再び怪物と相対すると、その足から三つの村の残骸が滴るのを見た。彼は巨大化し、象徴的なコラージュを用いてルディーマンを殺した。海のアルトマーはもう信用できなかったため、彼は甲羅を誠実で忠実なナンバールームの秘術師たちに託した。彼らにこう言った:

「ルディーマンから哲学者の鎧を作るといい」

秘術師たちは賢者に甲羅を巻き付けた。それが二つの大きな数字による一連の飾りとなり、そのうちの一つは背が高く、もう一つはその腕の下にあった。それらは甲羅の周りを走り、互いをすり抜けながら、もう役に立たない十二と十三の間の数字から聖なる樹脂を引き出して塗っていた。賢者が呼吸できるよう、神の表皮に金の藁を素早く通した。儀式の銅版画が凝固する樹脂に引き込まれると、チャイマーの口の中でしか答えの見つからない死者と方程式の長いリストが、ヴィベクの恐ろしく光る爪によって刻み込まれた。爪の先からは焼け付くような液体が流れ、儀式の銅版画の溝を満たした。それは賢者の殻に関する文様となり、その後永久的に神学者に調べられる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十九説話The 36 Lessons: Sermon 29

ヴィベク 著

第二十九説話

数字の言葉:

1.ドラゴンブレイク、または塔。1
2.左右像。68
3.透明の門アルムシヴィ。112
4.災厄の四柱神。242
5.世界の五角。100
6.歩く道。266
7.中央の剣。39
8.車輪、または八人の与える者。484
9.不在の者。11
10.アルトマーの部族。140
11.主の数字。102
12.天。379
13.大蛇。36
14.王の咳。32
15.取り返す力。110
16.許される冒涜。12
17.投げられた円盤。283
18.卵、もしくは六倍の知恵。
19.仮の家。258
20.月のラティス。425
21.子宮。13
22.不明。453
23.空洞の預言者。54
24.星の傷。44
25.皇帝。239
26.はぐれ次元。81
27.秘密の炎。120
28.溺れたランプ。8
29.囚われた賢者。217
30.スカラブ。10
31.リスニングフレーム。473
32.偽りの呼び声。7
33.守護者。234
34.無法の文法。2
35.監督のシャツ。191
36.時。364

「数字とは、耳の聞こえぬ目撃者の存在である。彼らはその神格の最後の一片であるアービスにしがみつく。数字の形とは、その現在の活用法であるが、上にも書いたようにこれは愚かである。象徴に執着するということは、確実すぎる」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十説話The 36 Lessons: Sermon 30

ヴィベク 著

第三十説話

そしてヴィベクはナンバールームの秘術師たちを後にし、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、六匹目の怪物であるシティーフェイスを探した。しかし見つからずに苛立ち、秘密の怒りを抱えながらモーニングホールドへ戻り、高次について聞いてきた秘術師を殺した。

ホーテーターであるネレヴァルはこれを見てこう言った。「なぜこんなことをするのですか?秘術師たちはあなたに指導を求めています。彼らはあなたの聖堂を良くするために働いています」

ヴィベクはこう言った。「誰も私が何であるかを知らない」

ホーテーターは頷いて研究に戻った。

シティーフェイスが親から隠れた方法はこうである:彼はハノートという名で生まれ、力を欲し、寄り添う大衆の周波数に同調した難解な風の神経であった。村に根付いて拡散し、そこの人々の中に隠された占星術、文化の星図を見出し、その共鳴は彼の頭を混乱させた。ハノートは隣り合う場所へ横向きに入り、成長を続け、未知だった。声の上では新たな不死の感情に震え、中界に知られる三十のものよりも多くを吸収した。ハノートが故郷をひどく恋しがると盗む者たちがそれを奪った。

盗む者はこう言った。「孤独な者の新たな感情は、狂気から来る。これはもうない。我々のものだ」

盗む者は自分たちの街を作ったことがなく、全ての星を聖なる光で照らすヴィベクの街を見て目を奪われていた。

「こういう理由でベクの存在は我々の領域に入り、我々の切望により引き寄せられ、虚無に隠れている。その上に我々の希望の塔を建てる」

レスデイニアでは長い年月が過ぎ、ドゥエマーの大司祭たちはヴィベクのようなもの、盗む者の新しきハノートのようなものを建てていた。ホーテーターは勇敢になりすぎて戯言を言っていた軍と戦っていて、ネレヴァルはアイエムの孤児の軍団の力を借りてその撃破を手伝った。彼はヴィベクに戦利品を渡しに行くと、主がシティーフェイスの攻撃を受けているのを見た。怪物はこう言っていた:

「ベクとベクよ、我々はお前たちの街に取って代わるために来た。我々は人知を超えた感情の場所から来た。我々の民はそれで命を落とした。二つの目的で来たが、そのうち一つのためにしか残れない。お前たちに文化の誤りを正させるか、単純に力でお前たちのものを奪うかだ。二つ目の方が楽であると我々は思う」

ヴィベクはため息をついた。

「私の指導に取って代わるか」彼は言った。「ずっと前にお前を殺すつもりだったが、私は疲れてしまった。レスデイニアは病を患い、私にはもう不明の出来事の想像上の比喩に付き合っている時間はない、これを受け取るがいい」

そして彼はシティーフェイスの希望の塔に触れて、盗む者たちの誤りを正した。

「これもだ」

そして彼はエトスナイフでシティーフェイスの心臓を貫き、それはラクート・アイ・エ・アルタドゥーン、正しき商業の短剣だった。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十一説話The 36 Lessons: Sermon 31

ヴィベク 著

第三十一説話

レスデイニアではさらに長い年月が過ぎ、ドゥエマーの大司祭たちはヴェロスの支配者に戦争を仕掛ける準備が整いつつあった。この時ホーテーターはアイエムの夫、三位一体の最初の聖人となっていた。ヴィベクは息子や娘を探すことに疲れ、休憩をとっていた。

ホーテーターは妻にこう言った。「私の師ヴィベクはどこだ?冷たくなったが、それでも愛している。彼の悲嘆は、国全体の肌を変えてしまった。近頃はヴェロスのどこを探しても見つからない。そのせいで人々は暗くなっている」

三位一体の剣は、黄銅の包囲攻撃機械を製作するドゥエマーにより発生した小さな怪物たちと戦っているのだと、アイエムは困った夫に慈悲深く言った。彼女はホーテーターを自分の中に招き入れ、主の居場所を見せた。

ヴィベクであることを選んだアルムシヴィの一部は、ウェストガッシュのフルートとパイプの鬼たちとの戦いを終え、誤りの聖堂の連祷の間で座っていた。再び時の書に書き込み始めた。その前に水の顔になる必要があった。そうすることで古き聖堂の青銅と新しきものの青を分け、幸福な執筆ができた。そして大いなる月からまた羽を取り、さらに殺す必要があった。そうすることで定命の者の真実を書くことができた。最後に濡れた言葉でモラグ・バルとの結婚を強いられたザクロの宴を思い返し、メファーラとしての自らの存在を固め、黒き手で執筆した。彼はこう綴った:

最後に彼の声を聞いた時、そこには僅かに苛立ちが表れていて、私は自制し他者の意に服することを学んだ。その後私は聖なる炎を纏い、エターダに均衡などないことに気付いた。彼らは嘘つきであり、迷った根であり、私にできることは道理に解釈することしかなかった。それでも人々の欲求は満たせない。私は慈悲の椅子に座って批判し、目覚めの状態、生まれながらの欲求の側面である。水で書かれ、悪をも含むまでに広がるこの書の中でのみ、私は疑念を表すことができる。

するとヴィベクは(一般の読者向けに)その上からインクを被せ、代わりにこう綴った:

黒い紙の中で、丸腰の私の最後の景色を見つけよ。真実は私の夫のようである:壊すことを指示され、手順と雑音で満たされ、重く打ちつけ、図面に書かれた重み、戦棍からのみ学べる教訓である。私の声が聞こえる者たちは打たれ、その灰の中で何人かは死ぬといい。見つけた者は、光によって殺され、裏切りの家のように殴られた彼を見つけるといい。時は金ならば、不死の私は秘密の暗号だ。私は絶望の太鼓を分かつ者であり、真実の反響するこの王冠を被るべき者として中界の人々に選ばれた。私はぼろぼろの救世主である。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十二説話The 36 Lessons: Sermon 32

ヴィベク 著

第三十二説話

戦棍の言葉、その一:

「壊滅の喜びとは、非現実へと消える喜びである。眠る世界に挑む者は皆この活動の一員となりたがる。私は槌をもって、分裂した二重性を疎外することを非難する」

その二:

「定命であることの罰として、私の説話を受けよ。土から作られることは看守たちからそう扱われることである。これがデイドラの鍵であり錠である。なぜ彼らが妥協から逃げたと思う?」

その三:

「ヴェロシよ、あなたの皮膚は子を宿した暗闇となった。私の悩みがこれを引き起こした。ボエシアがあなたに痣の色になることを求めたことを忘れてはいけない。あなたたち逃亡の民に命を救える方法が、痛み以外にあるだろうか?」

その四:

「金床ではない賢者は、標準的な文でありそれ以上ではない。それはつまり死者であり、四つ目の歩く道である」

その五:

「美徳の正しい理解とは、演出と殺人である」

その六:

「最後には、太鼓の拷問から解き放たれながら、その傷を楽しむ人質とともに喜べ。太鼓が壊れ、あなたは蜂の巣にいることに気付く。つまり、あなたの眠りは終わった」

その七:

「疑り深きは壮観であり、嘘は理論的な刺激でしかない」

その八:

「ではなぜデイドラはアービスに干渉したがるのか、聞きたいか?それは彼らが過激な評論家であり、殉教者と同等に必要な存在だからである。他の者よりも強い邪心をもった者がいることは錯覚でない。というより、必要な錯覚である」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十三説話The 36 Lessons: Sermon 33

ヴィベク 著

第三十三説話

そしてヴィベクは、打ちつける光の言葉を生み出すまで長い間思案を続けた誤りの聖堂の連祷の間を出て、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、七匹目の怪物であるライロックを見つけた。

ライロックはヴィベクの二つ目の開口部から生まれ、また別の忘れられしギルドである掃討によってザクロの宴から追放された。掃討は彼が怪物であると思わなかったため、手から飛び立って天へと昇ることを予期していなかった。

「私は永遠に存在しえないはずの金色の知恵と力をもって生まれた!この力をもって私は隠されし天へと招かれた!」

それは星でないもので作られた鱗の毛布のことであり、その数字は十三だった。ライロックは愚かさで満たされ、全ての人間の宗教の中に隠れる虚無の亡霊と交渉した。虚無の亡霊はこう言った:

「私と百年過ごせば、どんな神も逆らえないような力を授けよう」

だが百年経つ前にヴィベクはライロックを探し始め、見つけた。

「愚かな石め」ヴィベクは言った。「鱗の毛布に隠れることは、何もないところに印をつけることだ。その交渉は支配する王のためにのみある!」

そしてヴィベクは名付けられた斧でライロックをバラバラに切るため、ホーテーターを天へと送った。ネレヴァルは盗みの南極の星と戦士の北極の星と和解した。天空にのみ存在し、太陽マグナスの見習いによって治められていた三つ目の極とも和解した。彼らは領地を自由に歩き回る許可を与え、隠されし天でライロックを探すための赤の目を与えた。

偶然にもネレヴァルは先に虚無の亡霊と出会い、探す場所を間違っていると言われた。それに対しホーテーターが「私かお前か、どちらがだ?」と問うと、虚無の亡霊は両方と答えた。この二者の間で他にどんな言葉が交わされたかは、この説話に書かれていない。

しかしライロックはこの混乱に乗じ、街の神ヴィベクに攻撃を仕掛けた。三体の黒き守護者たちに急かされたのである。彼らは中界の王に敵意はなかったが、ライロックを速やかに追い出したかった。

まるで地獄の有料道路のように空の穴から流星が降ってくるのを見て、ヴィベクの民は悲鳴を上げた。だがヴィベクが片手を上げるとライロックは街の真上で氷漬けになり、ヴィベクはそれをムアトラで貫いた。

(二つ目の開口部を貫くことは、現在禁じられている)

ネレヴァルが戻ると、主の街の上で氷漬けになった彗星に気付いた。取り除くべきかとヴィベクに問いかけた。

「愚かなホーテーターよ、そうしたかったならすでに自分でしている。奴の最後の意思を残したまま置いておく。もし街の人々の私への愛が消えることがあれば、その破滅を防ぐ力も同時に消える」

ネレヴァルはこう言った。「愛はあなたの思うままです」

ヴィベクはホーテーターに微笑み、真実の大臣になったと告げた。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十四説話The 36 Lessons: Sermon 34

ヴィベク 著

第三十四説話

そしてヴィベクは真実の省を出て空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、最後にして最強の八匹目の怪物を見つけた。グルガ・モル・ジルなど複数の名を持っていた。賢き者は他の場所でこの力の連鎖を探さねばならない。

ヴィベクはホーテーターを呼び、ネレヴァルは初めて仮の家へと足を踏み入れた。彼はヴィベクが何年も前に見た光景を目にした。双頭の支配する王である。

「あれは誰だ?」と彼は考えた。

ヴィベクはこう言った。「征服の赤い宝石だ」

ネレヴァルは恐怖のためか主の返答に苛立った。「なぜあなたはいつもそんなに曖昧なのですか?」

そうしなければ自分自身の存在を裏切ると、ヴィベクはホーテーターに言った。

二人は中界へ入り、かつてアイエムとセトがヴィベクを見つけた場所の近くの村へ向かった。八匹目の怪物はそこにいたが、怪物らしい行動は起こさなかった。困った顔をしながら足を海につけて座っていた。親を見た彼は、なぜ自分が死んでオブリビオンへ戻らねばならないのかと聞いた。

そうしなければ自分自身の存在を裏切ることになると、ヴィベクは八匹目の怪物に言った。これでは怪物が満足していない様子だったため、まだアイエムの慈悲を残していたヴィベクはこう言った:

「炎は私のものだ、飲み込まれるといい
そしてボエトヒーアの家の
パドメの祭壇に
秘密の扉を作るといい
そこは安全で
見守られている」

怪物は穏やかな表情でムアトラを受け入れ、彼の骨は死者の街ナルシスの土台となった。

ネレヴァルは準備していた斧をしまい、眉をひそめた。

「なぜ」彼は言った。「八匹目の怪物がこんなに簡単に諦めると分かっていたなら、なぜ私を連れて来たのですか?」

ヴィベクは長い間ホーテーターを見つめた。

ネレヴァルは理解した。「自らの存在を裏切る必要はありません。好きなようにお答えください」

ヴィベクはこう言った。「私の子の中で最も強い者は、先に安らぎを与えさえすれば反抗せずにムアトラに屈すると分かっていた。だからお前を連れて来た」

ネレヴァルは長い間ヴィベクを見つめた。

ヴィベクは理解した。「言いなさい、ホーテーターよ」

ネレヴァルはこう言った。「これで私があなたの子の中で最も強い」

この説話が、死ぬ定めにある読者にとって安らぎとなるように。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十五説話The 36 Lessons: Sermon 35

ヴィベク 著

第三十五説話

愛の言葉:

「ヴェロシの正しい魔法の製法は古代の伝統から続いているが、その力は死んでいる。つまり少なくとも代用された。真実の薬効は正義の伝説の確立に起因する。回復効果は同様に犠牲の精神に起因する。公も族長も天使もみな、この考えに同意する。これは主に儀式、ナイフでの戦闘、狩猟、詩人の探究などに見られる多産の廃止に基づく見解である。洞窟の光の日々からくる大事な儀式の際には、月の流れへの態度を和らげよと言う他ないだろう。この先ずっと先の話だが、私の支配は最上級の愛の行いとして見られ、それは星の運命と狭間の結婚からの帰還である。それはつまり五つの角すべてから訪れる大災害のことである。後に続くのは希望と狂気に区別される補正であり、変わらぬものが定期的に死ぬことでのみ必要となる状況である。宇宙の時は繰り返される:これについては前世で書いたことがある。潜水の真似事は愛の兆候であり、下界への愚行であり、つまり黄金時代の中で自らの外にあるものについて読むことになる日である。犠牲という概念の落とす陰であるその日、全ての歴史はあなたが何であるかを喜んでみる。悪を愛したあなたを。そのような段階で力を保つことは、継続的な霊魂としか言い表せないものの存在を認めることである。愛により地平線から身を守れ。純粋な存在とは聖なる者にしか認められておらず、その形は無数にあり、半数は恐ろしく、残りは確実かつ目的のない部品へと均等に分けられている。五つ目の歩く道以外でここに到達する愛の者は遅れる。五がこの世界の限界である。愛する者は最高の国であり一連の信仰である。彼は比類なき聖なる街である。未開の怪物の地が規則である。これはアヌとその生き写しによって明確に証言されており、実際には起こらなかったことを愛は知っている。同じように、絶対の現実を象徴する他のものは古の考えであり、墓かそれに近いものに入るべきである。この言葉はメファーラの掟に直接命じられたものであり、性交と殺人の起源であるそれは、私の介入なしにその思想を取り入れる者にのみ倒せる。宗教的な精鋭は傾向や相互関係ではない。信用に足らぬ海の影響と星の統治によって補完され、獲物がなくては意味をなさない剣によって中心で支配されている考えである。これは神の愛であるが、彼はさらに見せてくれるだろう。肉食でありながら重大な収穫に役立ち、ある者がなるべき存在になるシナリオであり、男であり女であり、魔法の両性である。暴力の基準を示しても、原初の霊魂たちの書いた条約によって固定されているためほとんど意味をなさない。これは好機とみるべきであり、決して退屈ではないが、愛する者になるよりも愛する者に口づけをする方が簡単であるため諦める者もいる。下層にはこのような魂、浅い宝の洞窟が多く存在し、集まっては拡張することで証言するが、愛は相当の(計り知れないほどの)努力によってのみ満たされる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十六説話The 36 Lessons: Sermon 36

ヴィベク 著

第三十六説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレイデイニアの時代の話である。ただしドゥエマーは愚かになり主たちに反抗していた。

歩く黄金の投石機と、炎や詩の歌を作るものを吐く強力な精霊たちを引き連れ、彼らは要塞から打って出た。彼らの王はドワーフオークのドゥマクであったが、大司祭は有害なるカグレナクだった。

山の上下でドゥエマーとの戦いが激化し、北方人が再びイスミールを引き連れてカグレナクを助けに来た。

チャイマーの軍を率いていたのは滅びぬ奴隷、斧をエトスナイフに持ち替えたホーテーターのネレヴァルであった。彼はレッドマウンテンでドゥマクを殺し、初めて心臓の骨を目にした。

黄銅の人々がモーニングホールドの十一の門を破壊し、その後ろからドゥエマーの音の建築家たちが現れた。アイエムはマントを脱ぎ捨て、三位一体の蛇の女王となった。彼女を崇拝していた者たちは星の意味に圧倒された。

海の中ではセトが動き出し、碧水晶とサンゴの城で組織していた軍を引き連れた。ドゥエマーの戦闘兵器をまねた正確なドゥルーが海から現れ、敵のものを海の中へと引きずり込み、永遠に海に葬った。

ホーテーターがシャーマトを求めて深入りしたため、レッドマウンテンが噴火した。

するとドゥエマーの大司祭カグレナクはヴィベクに似せて作ったものを披露した。それは歩く星であり、三位一体の軍を燃やしヴェロスの中心地を破壊し、そこに内海が生まれた。

そしてアルムシヴィのそれぞれがともに浮かび上がって一つになり、世界に六つ目の道を示した。アイエムは星から炎を、セトは謎を、そしてベクは足を奪った。それはモラグ・バルの贈り物より前に作られたもので、真実の手法である偉大なる槌によって破壊されていた。ドゥエマーの魂は歩けなくなり、この世界から取り除かれた。

レスデイニアはなくなった。愚か者たちの全ての悪行から救われたのである。アルムシヴィは始まりの場所から網を引き、レッドマウンテンの灰を捕らえた。それはドゥエマーの有害なる者であり、中界の全てに悪影響を与えると分かっていたため、食べた。アルタドゥーン・ダンメリ!

言葉の始まりはアルムシヴィである。私はヴィベクとしてこれを授けよう。

調理師助手メール 11週間目

71日目
あなた宛ての品物をお送りします。数ヶ月ぶりに温かいお湯の風呂に入ることができ、とても気が休まりました。しかしそれも片方の足に指が6本ついている事に気が付くまででした。何か恐ろしい呪いをかけられたに違いないとパニックになり、街で一番高額で優秀な治癒師に診てもらいました。その結果、余分な指は単なる靴擦れだということが判明しました。

72日目
今回の品物です。今日は酷い一日でした。実はまた悪党共の襲撃から命からがら逃げ出してきたんです。地元の人々は私が「怖がる兎のように逃げ出した」と言うでしょうが、それは違います。むしろ勇敢かつ高貴な兎が約束に遅れていたので仕方なく、といった感じです。

73日目
いつの日か、誰もが恐怖と偏見を捨て、ノルド人達を馬鹿にできることを願っています。(品物を同梱しておきます)

74日目
品物を同梱しておきます。ところでタムリエルの女性が全員、精神的な問題を抱えている気がするのは私だけでしょうか。

75日目
そういえばあなたがモラグ・バルの軍勢に対して戦いを挑んでいると聞きました。奴のことを知れば知るほど、嫌いになっていきます。頑張ってください!品物を同梱しておきます。

76日目
すみません、寝坊しました。今回の品物がそれでも時間通りに届くと良いんですが。時々、自分が偉業を成すための唯一の障害は、結局自分だって気がします…

77日目
調理素材をお送りします。今日は興味深い一日で、酒場のケンカに巻き込まれました。相手のヒザには顎で打撃を与えて、奴の拳には鼻血を塗りたくってやりました。これであいつも懲りたでしょう。

付呪師助手メール 7週間目

43日目
これら素材があなたの益ならんことを!私の行う付呪に対する我らの民の拒絶反応には、いつも驚く。確かに付呪にも魔法的要素は含まれるが、リッチの召喚や他生物のエキスの吸収のような冒涜とは比較にならない。付呪は数値化し、理解することができる。機会さえあれば、レッドガードも奇妙になりうるということだ。

44日目
栄えある雇い主殿、正気を失っていると噂の魔術師の住まいに足を踏み入れない理由はたくさんある。しかし踏み込むべき素晴らしい理由もまた一つある。それは魔術師達は付呪用素材の絶好の入手先であり、特に外出中となると尚更である。というわけで、この素材をぜひ有効に使ってもらいたい!

45日目
栄えある雇い主殿、私は東方の魔術に信頼を置いた事は一度も無かったが、ここまで悩まされたのは初めてだ。先日、私は正気を失った魔術師の住まいを訪れたが、その主が今度はこちらを訪れたのだ。エズダブは寝ていて何も見ていない。私の命もここまでかと思ったが、魔術師は何もせず、ただ私達の部屋に立ち、こちらを凝視していた。

46日目
栄えある雇い主殿、あなたへの素材集めの為に魔術師の住まいに侵入してから、もう暫く経つ。あれ以来夜になると、侵入方法は不明だが、例の魔術師が私の家に現れている。毎夜私のベッドの横に立ち、こちらを見ているのだ。エズダブは信じないが、どうやら彼は魔術師の姿が全く見えないようなのだ。

47日目
栄えある雇い主殿、今回の素材は憔悴の中ながら、なんとか送り出すことができた。覚えておられるかも知れないが、あのイカれた魔術師が今も私に付きまとっているのだ。毎夜寝室の横に立ち、何もせずにこちらをじっと見つめてくる。これほど恐ろしいと思った事は初めてだ。奴が何を求めているのか。奴の名さえ分からぬ。そして何より奴の存在を信じる者が、他に誰も居ない。ああ、レキの刀剣よ!

48日目
敬愛する雇い主殿、今回の積み荷はアブナブの兄弟である私、エズダブがお送りする。すべてが揃っているように念を押すためだ。アブナブは最近呆然自失であり、もう幾日も睡眠不足だ。彼はレキの刀剣に誓って「イカれた魔術師」が夜遅くに現れると言うのだが、私としては彼がまたスクゥーマ中毒になっていない事を願うばかりだ。

49日目
我が友よ、以前にお話しした、毎夜寝室に忍び込んでくるイカれた魔術師の事は覚えておられると思うが、エズダブの奴がようやくその姿を見たのだ。老人は部屋の角に座り、ずっとこちらを見ていた。そしてエズダブは彼に我々の持つ全素材を渡したのだ。すると老人はそのかばんを手にして、玄関から出ていった。以来、奴の姿は見ていない。いま思えば、私もそれを先に考えつくべきであった。

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