帝国蔵書庫

Imperial Library

アイシャへのラブレターLove Letter to Aishah

美しいアイシャへ

柔らかい愛しき人。エズダッシュのことを叩き、尻尾を踏み、執行官の棍棒で顔を殴ったことは許そう。貯蔵小屋にいた放火犯の言葉を伝えたのはこの者の落ち度だ。だが何て言えば良かったんだ?エズダッシュは恋愛のことになると、愚かで衝動的になる。それに私の話にもいくらか真実が含まれている。君は姿を現すなり、エズダッシュの腰に火をつけたね。耐えられないほどの熱さだったよ、陽気なハニー。蒸し焼きにでもするつもりだったのか?

自分の衝動を否定する必要はない。なぜ取り繕う?君は快活な乙女、エズダッシュは頑健な悪党だ。これはジョーンとジョーデと同じくらい昔の話だろう?物語の始まりは静かだが、最後は情熱的な毛繕いと熱心な愛のレスリングの長い夜で幕を閉じる。

反抗しても構わない。エズダッシュにあだ名をつけて、捕まえるために必要な令状を書いても構わない。だが心と臀部は待ち焦がれている。この目で見たんだ!濡れた唇、平らな鼻、背中に逆立って生えた少量の毛皮。蹴られても、エズダッシュは腿の変形、大きくカールした尻尾は分かる。君の望みは間違えようがない。

日没に樹木園で会おう、私の激しい子猫。触れ役が熱い夜になると言っていた。蒸した夜になる。活気のある「マトンを隠せ」ゲームにぴったりな陽気だろう?スパイス入りワインのボトル…ただそれだけを手にジュニパーの木の下で待っている。

たくさんの濡れたキスと共に
エズダッシュ

これで終わりだThis is the End

グレイバイパー、帝都、帝国そのもの、つまり我々全てが絶望的な状態にある。デイドラは止められない。彼らは衝動のみで行動し、それは見るも恐ろしいものだ。

何年か先、もし誰かが生き残りこの文書を見つけるならば、道楽と犯罪に染まった生涯を終えた後の宿命を嘆き悲しむグレイバイパーを皮肉に思うのかもしれない。しかし、私がバイパーとしてしたことは生き残るためのものだった。デイドラの侵攻の前の繁栄時に、ある研修中の学者が、帝都の全ての人に備えがあるわけではないことを発見した。私はグレイバイパーに入ることで、自分自身の備えを用意してきたわけだ。

しかしながらこのデイドラ達は…我々を殺し、傷つけ、悪魔的な病気に感染させる上、それにより活気づけられている。それが彼らにとって、苦悩を生むための芸術であり、想像力のはけ口なのだ。改造するための定命の者の体がなくなれば、それを得るために乗り出してくる。じきに私の番が来るだろう。そして私は、彼らが創り出すグロテスクな宿命を拒絶するだろう。

だから私はコレクションを始めた。看守長の道楽のために監房から外に駆り出され、見せしめにされて鞭打たれている時に、その辺りの死体からロープや布の切れ端を略奪しているんだ。週が終わる頃には、ここから出られるだけの量が揃うだろう。

シヴキンについてOn the Xivkyn

招聘されたデイドラ学者の評議員、ペラギウス・ハーバー 著

デイドラ学は、大惨事が生んだ科学である。我々の素晴らしい発見は必ず黒焦げの羊皮紙に震える文字で書き記されている。私の場合も同様だ。次元融合によってデイドラに対する理解は劇的に深まったが、その代償も大きい。自分の成果が今回の災厄で消失していないことを祈るしかない。

モラグ・バルの先遣隊の精鋭シヴキンについて書き記すのは自分が初めてだと思われる。「シヴキン」という単語は、言うまでもなくシロディールの影響を多分に受けている——ズィヴィライとドレモラの双方に類似性を持つことから作られた品のない混成語だ。また実のところ、彼らはモラグ・バルが自身の護衛として「育成」したハイブリッド種でもある。彼らは、時間によってストラヴィリク、キムリキフ、ヴィルサゴと名乗り方を様々に変える。あらゆる定命の者を嫌っているが、その中でも特に彼らと同盟を結んでいるドレモラを憎んでいる。シヴキンは忠誠を非常に重んじるため、ドレモラのメエルーンズ・デイゴンに対する背信行為は許しがたい罪と見なしている。

全てのデイドラの中で、シヴキンが最もモラグ・バルに似ている。彼らは、彼の定命の者の魂に対する抑えきれない欲望や魂石入手への執着心を共有している。私からすれば、これらの「収集」に対する貪欲さはある種の病に見え、行き過ぎた吸血行動に取りつかれているようにも見える。これまでシヴキン同士で物理的に争っている場面は見たことがないが、より多くの魂石を手に入れようとお互いを陥れようと画策することは日常的にある。これらの企みは日常的に行われるが、より位の高いデイドラから咎められることは滅多にない。

悪巧みを企てるシヴキンだが、彼らは厳格な軍事的能力を維持している。モラグ・バルに対する忠誠心が身体的な力や神秘の力と組み合わさることで、彼らはデイドラのタイタン以来の非常に恐ろしい存在となっている。まだ分からないことはたくさんあると思うが、この辺りでこの分野の研究を終わりにしようと思う。

ジリンダラガンの告白Glyndallagan’s Confession

私はジリンダラガン。これは私の告白だ。

まず事の始まりから話すことにしよう。そんなものが本当にあるかは分からないが。街にやってきた頃、私は貧しい魔術師だった。ポケットには穴が開き、唯一の所持品は小間物が詰まったうるさい荷車だけ。詐欺師といって差し支えないことをしていた。簡単なゲームだ。金を持った狭量な人間を荷車のところに呼び寄せ、賭けを持ちかける。「賭けてもいい、私はあなたのポケットに入っている物を全てリンゴに変えられる」と言ってね。もちろんいつもリンゴという訳じゃない。指ぬき、ボタン、古い靴の時もあった。彼らは必ず賭けに乗ってきた。そこで簡単な転位呪文を唱え、彼らの所持品を自分の荷車に、そしてその代わり前日に拾ったゴミを相手の方へと素早く移す。このような転位は実際の変性転換と比べると非常に簡単だ。こうすることで私には二重の得がある。相手が持ち歩いていた物が手に入り、賭け金ももらえる。このおかげでしばらくの間はまともな生活ができていた。あのガイコツ野郎に出会うまでは。

彼は非常に背が高かった。そしてとてもとても細かった。彼が歩くと、手持ちの小銭入れから驚愕の音が聞こえた。まるで骨と骨が擦れ合うような音だ。私は彼の足を止める必要も口説き文句も言う必要がなかった。彼は自分のポケットに手を入れると掌いっぱいに何かを握っていた。歯、骨のかけら、光る破片…無言が私を不安にさせ、その手に握られた様々な不気味なものに平静さを失いそうだった。でも当時の私は強欲だった
。強欲で愚かだった。

ようやく彼は低い耳障りな声でこう言った。「賭けないか?」

「いいとも!」と私は答えた。「小装飾品8個をドレイク8枚でどうだ!」

「成功したらドレイク50枚にしよう。だが失敗したら…」と彼は言った。

賭け金がドレイク50枚!これを理解するのにしばらく時間がかかった。失敗することについて一度だって考えたことはなかった。「そうだな、失敗したら私がドレイク50枚支払おう」と言ったが、これが彼の気持ちを逆なでしてしまったらしい。品物をポケットにしまって去っていった。

今なお、この時の恐怖に深い眠りから息を切らしながら目を覚ますことがある。何度も繰り返し思い出す。彼をそのまま立ち去らせていれば。他の標的に気が逸れていたら、あるいはもっと昼食を早くとっていれば、これらは全て避けられたのかもしれない。だが先ほど言ったとおり、私は強欲で愚かだった。彼の背に向かって「他に何が欲しい?」と叫んだ。

彼は振り向くと、笑みを浮かべていた。少なくとも笑みだったと思う。彼の顔を覚えていない、分かるだろう?誰も彼の顔を覚えていない。彼は小声で「手品が終わったら返すことを約束してほしい」と囁いた。

彼は私のゲームを心得ていた。街の詐欺師はドレイク5枚で変性転換の呪文を唱えたりしない。彼は転移呪文を使って私が自分の荷車に物を移動させていることを知っていた。それなら何を心配する必要がある?呪文を唱えた後、荷車に手を伸ばして物を渡すだけでいい。みぞおちの辺りに恐怖を感じたが、彼の湿った青白い手をとり握手した。「約束する」と私は言った。この言葉によって自分の運命が決まった。

いつも通り転位の呪文を唱えた。明るい閃光とカラフルな煙が現れた。全ては計画のうちだ。そして期待通り、彼が持っていた一握りの恐ろしい小装飾品が、ボタン、曲がった銀食器、靴革のクズへと「変わった」。

「素晴らしい」ガラガラ声で彼は叫んだ。「さあ、私の物を返してくれれば賭けはおしまいだ」

私は有頂天になった!ドレイク50枚!三流の騙し技でドレイク50枚をもらえることに、私は荷車を開けながらほとんど踊っている状態だった。しかし何かがおかしかった。私の物が全てなくなっていたのだ。何もかも。あらゆる場所を探した。ポケットの中、荷車の中、その下の道路も。何もない。「どうやら失敗したようだな」と彼は言った。

こうしてガイコツ野郎への終わりなき奉仕の日々が始まった。死ぬまでなくなった彼の所持品を探し続ける。

私の人生は呪われている。夜は悪い夢ばかり見て、昼間は起きている状態で恐怖を感じる。骨に負担がかかり、きしむ。髪は日に日に細く薄くなっている。すべては一握りの骨と歯のゴミクズのために。

そこで私は親愛なる読書であるあなたに協力をお願いしたい。あなたの恐ろしい小装飾品を持ってきてほしい。骨片や血だらけの爪を。それを私の戦利品保管室に持ってきてくれれば、想像できないほどの富を与えよう。それらがどこから来たのかなんて詮索しないほうが身のためだ。多くの富を…手に入れる必要があった。罪の意識は呪われた者が手に入れることのできない贅沢品だ。いや、小装飾品以外のことに興味はない。

いつの日にはガイコツ野郎の小装飾品を全て見つけられるかもしれない。もしその日が来たら自らの命を絶ち、この憎き世界を後にする。

テルバー・ストーンについて:第1巻On the Tel Var Stones: Volume 1

テルバー・ストーンの性質について:第1巻
ヘルミニアス・ソフス 著
帝国大学の錬金術師へ:

まずは錬金術師の同胞たちに忠告する。このレシピは私が入念に吟味しながら開発を行った。数えきれないほどの時間を研究と実験に費やして出来上がったものだ。自分の功績であることに議論の余地はないが、専門知識はないものの親切な従者、アゼイ・アトオウィノクに感謝の言葉を述べなければ、それは私の怠慢と言えるだろう。ただアゼイは優秀な研究者でありながら、テルバー・ストーンについて馬鹿げた考えを抱いている。彼はこれらが神々、あるいは創造そのものと関連があると繰り返し、壊してはいけないと注意してきた。このような憶測に一切の根拠はなく馬鹿げており、石の実験を中止する理由に値しない。

レシピ自体については、寸分の狂いもなく行う必要がある。優れた才能を持つ者が行えば成果が出ると確信している。相応しくない者の手で行えば、きちんとした成果が出ないかもしれない。以上が称讃すべきこの作業に伴うリスクだ!

テルバー・ストーンについて:第2巻On the Tel Var Stones: Volume 2

テルバー・ストーンの性質について:第2巻
ヘルミニアス・ソフス 著
帝国大学の錬金術師へ:

テルバー・ストーンの準備は下記の通り:

テルバー・ストーンを乳鉢と乳棒で必要な分だけすり潰す。ろ過水をそこに加え、専門家か学者用に作られた蒸留器で抽出を行い、別の研究に使用する蒸気を分離させる。ここで炉に粉っぽい液体を移すが、必ず低品質なものを使用すること。これはシンプルな材料でできたラミキンを使った方が、自然な温かさで混合物が灰になることを防げるからである。鉄製のおたまで混ぜながら、表面に浮いている脂肪のような白っぽい凝固物を取り除いてきれいにする。液体が透明でなくなったら(そしてやや不気味な光を放つようになったら)、最初に用意したテルバー・ストーンと同量のオーリピグメンタムの粉を振り入れ、さらに小石18~20個程度の重さがあるドゥエマー硬貨半分ほどの鶏冠石を入れる。オーリピグメンタムと鶏冠石が混ざりあったら、クリムゾン・ニルンルートの粉末カプセルを投入する。粉は強い光を放ち、淡く光る。光が弱まったら、正確に計量できるよう縁に注ぎ口や刻み目がついたおたまで玉虫色になった凝固物を取り除き、混合剤の約半分を上級錬金術師用の蒸留機に流し込む。残った液体から数滴取り出して、神聖水が入った別の小瓶に落とす。注意:この時、小滴が丸く、尾を引く様子がなければ、テルバーの量が少ないことを意味する。加熱が不十分だった可能性が考えられる。こうなった場合、レシピは無駄になり、調べるまでもなく取り込まれていたマジカは解放されている。

(自分の助手が単純かつ迷信的である場合、このような失敗によって多少なりとも創造の本質が失われたと思い込み、泣きごとを漏らす者がいるかもしれない。もちろん、そのような事実はない。このような考えは無知を助長させる可能性があるため、厳しく注意したほうがいいだろう)

テルバー・ストーンについて:第3巻On the Tel Var Stones: Volume 3

テルバー・ストーンの性質について:第3巻
ヘルミニアス・ソフス 著
テルバー・ストーンの観察および魔法の流派:

本物の錬金術師なら、本論文の第2巻で説明した方法で精製されたテルバーペーストはこれまで行われてきた研究の中で最高品質を誇るものだということに同意いただけると確信している。最も暗愚な新人でさえ、この実験によって精製されたアイレイドゥーンの集合体は、強力かつ独自の形態でそのままのマジカを含有しているとの結論に至るはずだ。事実として定着しているこの主張と共に、テルバー懸濁液の特異性へと話を進めよう。

最も明白な(そして専門知識が少ない者にとって不吉に感じられるらしい)性質はペーストの永続的な温かさと水晶の粒が放つ明るく揺るぎない赤みを帯びた光だ。もちろんこれは錯覚と復元の双方と強い関連性があることを示唆している。また濃厚懸濁液から汚水をろ過した後、その表面にオリハルコンを置くことで力の本質が発現する。鉱石が空中に浮かぶのだ。これは変異の可能性を秘めていることを示す明確な証拠だ。よく調べてみれば、液体が大量の微細な白い水晶の溶液に変わっていることが分かるだろう。これらの粒子状物質は集まって塊となり、魔術師の石と同じように振動する。懸濁液自体に他の錬金術的な物質を混ぜると、基本的な障害のすべてに対して局所的に遅くなったり弱くなったりする可能性がある。つまりすさまじい破壊力を有していることは否定できない。最後になるが、前のレシピで蒸留器から取り出したテルバーの蒸気に向かって強力な破壊の呪文を一度使用すれば、蒸気そのものがその単純な効果を跳ね返すようだ。神秘主義の明確な特性といえる。これによってこれらの石には、あらゆる魔法の性質が内在していると結論づける他ない。

テルバー・ストーンについて:第4巻On the Tel Var Stones: Volume 4

テルバー・ストーンの性質について:第4巻
ヘルミニアス・ソフス 著
テルバー・ストーンの性質に関する結論

この有意義な作業によってまず判明したのは、テルバー・ストーンそのものと数多く存在する独創的な魔法の使用方法との間には、強い繋がりがあるということだ。物理的にいえば、これらは紛れもなく魔法的な輝きを持つ汚れなき石だ。しかし専門知識のある者が調べれば、何らかの方法でこれまで研究されてきたどの物質よりも多くの魔法の力が込められていることが分かる。アイレイド自身でここまでの力を作り出したとは考えにくく、長きに渡って魔法を集結させた空っぽの採石場から実質的に同じ性質を持つ石を掘り起こしたのではないかと考えられる。あるいはニルンの彼方から織り合わされた魔法の糸の中心に触れたのかもしれない。はたまた本や大昔に亡くなった学者の資料からこの素材を作り出したのかもしれない。これらはすべて仮定に過ぎず、さらなる証拠なしには事実として認めることはできない。第2巻で紹介した方法は石に含まれる魔法の蒸気を見つけるための方法の一つにすぎない。他にも方法はあるかもしれない。かつて、このような魔法現象を調べるためにドゥエマーが装置を設計したことが分かっている。この装置によって、テルバー・ストーンの起源についてさらにデータが手に入り、最終的にはどのような石がさらなる研究実験に役立つか分かるかもしれない。

ボロボロのメモBattered Note

このメモは間違えていた。出口はない。ホーヴァーがさらにいるだけだ

最初のはミシンディルと私が殺した。でもその後肉の獣が来て、もう1対来た。それぞれがツバを吐いてきた

1回、そして2回とツバを吐くと、ミシンディルは一瞬で溶けてしまった。1回、そして2回…

何故私を殺さないのだ?

よれよれのメモFrayed Note

ヴァロスとイリウス。2人共、愛してる

監獄は陥落するThe Prison Must Fall

デイドラが監獄を制圧している。闇から生まれた大きな羽根を持つ巨大な生き物達がはびこっている。

しかし、私が書いているのはその副官についてだ。「肉の彫刻家」と呼ばれている強力な死霊術師だ。市民がここに連れて来られ、収穫されているのは彼の命令によるものだ。この彫刻家は、定命の者の臓器を疫病と病気を運ぶ肉の装置に変えてしまう悪戯を習得している。その肉の装置は周辺に有害な雲を吹き出して、大地を汚染する。彼らは街中にこの殺戮エンジンを千体、分散配置するつもりだ。

この戦いは、すぐに終わりを迎えるだろう。

救助に誰も来ないということは、将軍達も諦めてしまったとしか思えない。しかし監獄は帝国の元に戻されなければならない。

表門を越えて奥深くに進めた者はいないし、そこから先も決死の道のりが続く。帝国に仕える者として、この知らせが上の者に伝われば嬉しく思う。

管理人の手紙Groundskeeper’s Letter

リナス

さて、若造。アレンタスからお前が火葬場の外で幽霊を見たとかなんとか言って、血相を変えて請負人のオフィスに駆け込んだって聞いた。まだ仕事を始めて日が浅いから、説教は勘弁してやる。本当のことを言うと、この記念地区にはたくさんの「幽霊」が出る。幸いなことに、奴らはお化けじゃない。どこにでもいるただの墓荒らしだ。忌々しいカジートが小麦粉を被って、一晩中宝石を探しまわる。そんな奴らの後始末をするのが面倒じゃない訳がない。

「何を探しているのか」だって?お前が生まれるずっと前の話だが、ここは昔、市場だったんだ。それはとても素晴らしく…シロディールで1番だった。香辛料、絹織物、良質な宝石を値切ろうと多くの人で賑わっていた。お前にも見せてやりたかったよ。とにかくヴァレンがコロヴィアの部隊を連れて現れた時、レオヴィックの軍団はここで最後の力を振り絞った。当時はまだ子供だったから週の半分以上を下水道の中で過ごし、事態が収まるのを待っていた。濡れた小石の上で眠り、汚い水を一週間飲み続けた——その間聞こえたのは叫び声、金属がぶつかり合う音、それに爆発音ばかりで、歯がガタガタ震えて抜け落ちるんじゃないかと思った。全てが終わると、地区がまるごとなくなっていた。文字通り、全部消えていた。自分の膝より高いものは見当たらなかった。当時9歳か10歳だったのに。あとは死体があった。何百と。ひょっとしたら何千かもしれない。あんな臭いは二度と嗅ぎたくない。エリアナの馬車の下で見つけた犬みたいな匂いだった。しかもあの時はそれから逃れられなかった。周辺全体に充満してたんだ。

ヴァレンがレオヴィックを排水路に捨てると、手下に命じて全ての死体を集めさせ、集団墓地に放り込ませた。全てが終わる頃には、市場のためのスペースは最早残っていなかった。そこで地区全体を墓地にしたんだ。そうして記念地区ができた。

さて、歴史の授業はこれくらいでいいだろう。話をカジートに戻そう。馬鹿げたことに、彼らはこの地区にまだ宝石とかが残っていると思っている。言っておくが、まだここに高価な物が残っているならこの手で見つけられたはずだ。見つけられていたら、こんなところで鋤を振り回し働いてない。

明日、バルスのじいさんのとこに行ってこい。上質な強い弓を買ってくるんだ。今度「幽霊」を見たら、そいつの尻に矢を放って、刺さるかどうか試してみるといい。きっとドアに尻尾を挟まれたイエネコみたいな悲鳴を上げる。ドレイク10枚賭けてもいい。

——管理人ガヴロス

丸められたアリーナのチラシCrumpled Arena Flyer

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!残虐な死の祝宴をご覧あれ!

帝都のアリーナがついに営業開始!定命の者が大量に血を流し、苦痛に悶えながら革新的で屈辱的な死を迎える様子が見たくなったら、昼夜を問わずいつでもどうぞ!
宴は次元融合が完了するか、定命の者がいなくなるまで、休むことなく続きます。

お急ぎください!恐怖の雄叫びと苦悶の叫びが皆さんをお待ちしています!

残虐の王の名によって
リングマスター・ドレダザ

元老院の議事録Minutes of the Elder Council

白金の塔の評議会室にて開催された会合

参加した評議員:ロビディカス評議員長、ファレリア評議員、ジリッチ評議員、アボール評議員、イティニア評議員。
欠席:摂政女帝クリビア・サルン、アブナー・サルン議長、側近マニマルコ、ヴァンダシア評議員

その他の参加者:第二軍団のニピア将軍、ムスピダス執政長官、サマーセット諸島のリンエディル大使、ハイロックのジャディール・プローデ大使。

古い出来事:
ジリッチ評議員の報告によると、最近施行された政策によってエルフの庭園における動物の排泄物の問題に改善が見られた。

イティニア評議員の報告によると、前回の評議会の会合にて決定した今年の軍団兵舞踏会を南中の月の1日まで延期するという件について多くの賛同が得られている。リンエディル大使は、新しい日程であれば、スカイホールドから絹が届いてから参加者が新しい衣装を発注するまで十分な時間があるという。

ヴァンダシア評議員は不参加だったが、届いた手紙にはギデオンに残ることにしたと書かれていた。ニベネイ盆地で起こった鉄の危機の対処に当たるほうが、役に立つと確信があったのだろう。

新しい出来事:
ロビディカス評議員長は記録として残すため、今月の決算によると摂政女帝とその側近たちの支出が、皇帝ヴァレン時代の年間支出の7倍以上に相当していることを指摘した。評議員長はニピア将軍に武装した護衛を送り込ませ、サルン議長を強制的に次の評議会の会合に参加させる動議を出した。ニピア将軍はこれについて、強く反対した。この件は採決を行うことになり、動議は却下される形となった。

採決後、アボール評議員は具合が悪いと主張。今朝、神々の聖堂で食べたブランチのマッドクラブが腐っていたと思われる。アボール評議員が途中退席。

ジャディール・プローデ大使は、直ちにバンコライから第七軍団を撤退させるよう再度評議会に申し出た。ジリッチ評議員は軍団兵の議会でこの件を議題として取り上げるよう動議を出した。この案は採決によって、可決された。ロビディカス評議員長はニピア将軍にこの件を次の軍団兵の議会で取り上げるよう頼んだ。将軍は来年の蒔種の月まで開く予定がないことを伝えた上で、議題にすることを約束した。

ニピア将軍は、帝国軍の中に陰謀を企てる裏切り者集団がいるとの噂が広がり続けていると評議会で報告した。彼は自分の副官たちに徹底的な調査を行わせるべく、その資金を求めた。これについて動議を出す者はいなかった。

ニピア将軍はこの件についてより細かな部分を話し合おうとしたが、断続的に起こった地面の揺れによって妨げられることとなった。帝都のノルバナス衛兵隊長が評議会室に入ってくると、「ダークアンカー」が街のすぐそばにやってきて、貴族地区にはデイドラも目撃されているとの報告を告げた。

これを受け、ファレリア評議員は、状況把握のために評議会の会合の一時休止の動議を出した。この動議は採決にかけられ、可決したがロビディカス評議員長はこれに反対した。

ロビディカス評議員長は、今年の恵雨の月に行われた祝祭が一週間長かったせいで街に広がったと思われる悪臭を軽減させるためにメテグリン香水を下水道の水に加えるというムスピダス執政長官の案を採決するまで評議会の中断はできないと主張。イティニア評議員は香水を入れる動議を出した。本件は採決によって、可決された。

ここでファレリア評議員は再度会合の一時中断を求める動議を出し、採決の結果、可決された。元老院の本会合は一時中断となった。

死霊術師の日記Necromancer’s Journal

もう1人の同房者が死んだ。いつものことだ。ここで生き残るための体力と性格を兼ね備えた定命の者はそういない。でももし私の体が疲れ果てた時には、若きヴァイロンを王座に就け(主達が彼の肉体を使い終わったら)、私のために仕えてもらおう。

主達にできることが私にもできればいいと思う。彼らは死者達を活気ある外観に戻し、その皮膚を刈り取り、戦争で使う生きた肉体の武器を作る。

将軍も、摂政女帝も、その他帝国の階級にいる者達が、戦いを続けようとしているのはバカげている。もうデイドラの支配下にあることを認めるべきだ。私は認めている。デイドラは何も無駄にしないし、彼らの下では全ての人に役割が与えられる。もしその役割が、戦車の前面に仕えることだったとしても。飾りとしてだが。

出口A Way Out

これを偶然見つけた者へ

計画どおりにすべて進めば、私は今頃、この監房にいた元囚人になっているはずだ。出口を創り出すための魔法の材料を集めるのに何ヶ月もかかったが、ついに完成した。新入りの者に言っておくが、デイドラは我々を嘲る為に毎晩檻を開けるんだ。今夜その時、私の魔法を解き放ち、東側の壁を破壊する

私は以前衛兵だった。これは確信を持って言えることだが、この先の洞窟が1番近い出口だ

自由が待っている。東側の壁だ。覚えておけ

崇高なるかがり火The Sublime Brazier

崇高なるかがり火の謎
帝国大学歴史記録部、歴史学者助手、オーグスタ・プルシウス

聖アレッシアの素晴らしい統治の開始と共に、時の竜神アカトシュは彼女に数多くの贈り物を授けた。知恵、自制、活力、そして王者のアミュレットだ。アミュレットがアカトシュと人間やエルフの契約を保つ役割を果たしていることはよく知られている。だがもう一方の「崇高なるかがり火」に関してはあまり知られていない。

かがり火は職人が鋳造した大釜で、ドラゴンのねぐらを模した彫刻を施されている。伝説によると大釜の底はニルンの中心部まで届くほどの深さで、誰も傍にいない時は彫刻のドラゴンたちが遥か昔に滅びた言葉を使い、互いに囁き合うという。かがり火はアカトシュの原初の光となる。これが灯ると、上の街のドラゴンファイアが灯る。

かがり火の場所は極秘となっている。アレッシアの子孫にはエセリアルの「歌」を通じて呼ばれるのが聞こえるという者がいる。この考えによって、多くの者が下水道へと誤って導かれていった。自分がドラゴンボーンだと信じる高慢で愚かな者たちが地下に潜ると、それを隠れて待ちわびていた生物の胃の中へと納まっていった。しかし、これがかがり火の真の目的である可能性もある。皇帝となるに相応しい力と狡猾さを試しているのかもしれない。帝国の下水道は愚か者を容赦しない。歌が聞こえないなら、かがり火を探さないように。

第12章:帝都の墓荒らしChapter XII: The Graverobber of Imperial City

最後にセクンディヌスについて記そう。本当の名前ではないが、こう呼ばれるのは彼に名前がなく、例の罪に問われた2番目の男だったからだ。

セクンディヌスは、何ヶ月間にも渡って毎晩のように起こっていた殺人事件の罪を問われていた。犠牲者の死体は大抵、数日後に掘り起こされ、二度と人目に触れることはなかった。彼が死体をどう処理したのか知る者はいない。彼は犠牲者を掘り起こしているところを帝都の衛兵に見つかり、追われて殺された。彼は誰も知らない魔術か儀式に関する物品をいくつか身につけていた。

実はセクンディヌスが生きている、という話が広まった。彼が殺されたとされる日から数日の間に、彼を殺した衛兵たちが行方不明になったのだ。そのうちの1人は絞め殺されていた。その夜、マントをまとった誰かが下水に死体を引きずっていく姿を見たという目撃者が何人かいる。捜索するも、手がかりは何も見つからなかった。

帝国建築家の書簡Imperial Architect’s Correspondence

元老院の名誉あるメンバー各位

喜ばしいことに、ようやく伝説的な街のセントラータを見つけた!知っての通り、街の地下には入り組んだ下水道や崩れかかっているアイレイドの遺跡が広がっている。以前から、建設には壮大な構想があったと考えていたが、それを証明するのに必要な証拠が不足していた。だが、サルン議長と賢きマニマルコの力を借り、想像よりも遥かに奥深くまで調べられた。

調査によって、全ての水路と道は白金の塔の土台が収納される巨大な地下室、セントラータに繋がっていることが判明した。これは、なかなか目を見張る物がある。塔は6つの巨大な円形構造物に支えられた石製のモノパイルの上に鎮座している。この発見のすごさはどれだけ誇張しても足りないほどだ。6つの地区と塔の関連に関する数えきれないほどの説や街のインフラが作られた時代を裏付けるものとなる。もしかすると、白金の塔の性質とニルンに及ぼす力に関する貴重な見識も得られるかもしれない。

もっと徹底的に調査を行いたいところだが、優秀な協力者のマニマルコが周辺を立入禁止とした。恩を仇で返すつもりはない。彼がいなければセントラータを見つけることはできなかった。それでも、どのようにこの部屋が作られたのかが分かるかもしれない。元老院が仲裁に入ってくれることを願っている。

感謝を込めて。

都市計画議会、帝国建築家、マイセリス・ジュルス

帝国監獄懲罰記録Imperial Prison Discipline Records

承認者:アリウス看守

囚人 20240
新しい監房に移されることを拒否し、監獄職員に暴力を振るった
20日間の独房監禁

囚人 20241
監獄職員を脅迫し、卑猥な言葉を叫び、摂政女帝をののしった
10日間の独房監禁

囚人 20242
衣服の下に鋭利なガラスを隠し所持
15日間の独房監禁

承認者:ダスク看守長

囚人 20243
はっきりと禁止されているにも関わらず、監視者の死霊の凝視が顔を引き裂いている時にまばたきをした
即処刑

囚人 20244
この恥知らずは同房者の心臓を丸ごと食べようとした
即処刑

囚人 20245
職員が監獄文書をこの囚人の肌に刻んでいる時に、この囚人はニルン生まれの動物のような金切り声をあげた
即処刑

囚人 20246
処罰執行前に職員が取り除いた付属肢の損傷について絶え間なく不平を言った
即処刑

囚人 20247
即処刑

囚人 20248
即処刑

囚人 20249
即処刑

囚人 20250
即処刑

囚人 20251
即処刑

囚人 20252
面目を失ったことについて絶え間なく不平を言った
即処刑進行中

調理師助手メール 10週間目

64日目
道中で危ない目に遭いました。血に飢えたゴブリンの集団がすぐ近くを通り、あと少しで隠れていた場所が見つかってしまうところでした。言っておきますが、私は死を恐れているわけではありません。ただ、死が起きる時にその場に居たくないだけなんです。

65日目
現在はバーンダリの商人達のキャラバンと行動を共にしています。このカジート達はあまり私のことが好きではないようです。私も昔から猫派ではありませんし、犬と一緒に育ちましたので、カジート達もそのことを一瞥で見抜いたのだと思います。一瞥とは言いましても、目の端からギロリと睨みつける一瞥ではありましたけど。品物を同梱しておきます。

66日目
あなた宛ての品物をお送りします。このカジート達はどうも気に入りません。彼らは皮肉ばかりで粗暴、私の良い所を理解しようともしません。今日、昼食の席で同胞意識を高めようと、ちょっと乱暴な酒場の歌を歌おうと誘ったのです。なのに私の歌は徹底的に却下されたのです。

67日目
カジートの一人が私の寝袋の中にトカゲを入れたのです。自分の人生自体が冗談みたいな気がしていると、悪戯的なジョークには中々笑えないものですね。品物を同梱しておきます。

68日目
お元気でしょうか?今回の配送品をお送りします。カジート達から「ムーンシュガー」という甘いお菓子を貰ったのですが、何だか唇の感覚がありません。

69日目
2日間連続で酒とムーンシュガーを飲みまくった結果、私が眠っている間にカジート達は出発し、置き去りにされてしまいました。あとどうしてもパンツが見つかりません。

70日目
パンツ無しで街の門にたどり着いたおかげで、街の衛兵たちに逮捕され、何時間も尋問されました。そしてようやく私が危険人物ではないと判断したみたいで、古いボロボロのズボンも貰いました。どれもこれも月耀だからでしょうか。月耀は大嫌いなんです。品物を同梱しておきます。

付呪師助手メール 6週間目

36日目
栄えある雇い主殿、あなたが夢見るような素材が満載の荷物をお送りしておいた。これらを集めるのには、いつもと変わらず汗と血を流し、戦って手に入れたものだ。果たしてあなたも私と同じことをしてくれるだろうか。別に憎んでいる訳ではない。ただすべてを、何もかも見通せるのだ。まるで碧水晶でできているかのように。それもクジャク石ではなく、眼鏡に使われるような。恐ろしいとさえ感じる。

37日目
猫族には世界はこのように映っているのだろうか?まるで捻じ曲がった鏡を覗いているかのようだ。私と兄弟で集めた物品が満載の荷物を改めてお送りする。すべて無事に到着するといいが。私には中身が箱を通して見えるのだ。少なくとも私にはそう見える。エズダブの奴は最近、私に対して苛ついているようだ。あなたも同様だろうか?

38日目
有頂天の雇い主殿、私はいま、自分自身の汚物の山の上より、この文を書いている。無論、それが仕事の邪魔になるようなことは無く、今回お送りする積み荷は今までと同じ品質のものだ。実は最近、私の人生に面白い変化が起きたのだ。これほどまでに自由だった事は未だかつてない。クリフ・レーサーたちが空高く飛ぶ時も、このような感覚なのだろうか。

39日目
敬愛する雇い主殿、先のアブナブの手紙について、私エズダブが兄弟に代わってお詫び申し上げる。この手紙と共にいつもの積み荷をお送りする。アブナブは酒に弱く、その状態であなた宛てに手紙を書いたことを酔っ払いながら話したのは、残念ながら前回の荷物を送った後であった。今後も我々との仕事関係を継続して頂けることを切に願う。

40日目
我が友よ、私の最近の手紙についてすでにエズダブより謝罪の言葉があったかと思うが、実は彼は、すべてを知らない。はっきり言ってしまうと、私はスクゥーマ中毒なのだ。少し前、荷物を急いで売り払おうとしていたカジートに出会った。そこでムーンシュガーを大幅に安い値段で売ってもらったのだが、残念なことにそれは加工された状態のものであった。今後もあなたと仕事ができることを願う。

41日目
栄えある雇い主殿、今回も積み荷をお送りさせていただく。すでに聞き飽きておられると思うが、改めてスクゥーマの影響下で書いてしまった手紙についてお詫びしたい。私の事はすでに蔑まれているかも知れないが、それでも私を付呪用素材の主たる供給源として頼っていただけたらと思う。私の先人たちも、私自身も己を恥じているつもりだ。

42日目
付呪以外の分野では、私は生きていけなかったかも知れない。その筋の専門家として己の才を見いだせたことは実に幸運だ。さて、今週の遠征ではプロのシェフに出会ったのだが、私がムーンシュガーを軽く振り掛けたクワマーの卵(一時的なスクゥーマ中毒からどうしても食べたくなってしまった)を食べているのを見られてしまい、そのダンマーの美食家からは思わず消え入りたくなるような蔑みの眼差しを向けられてしまった。

木工師助手メール 6週間目

36日目
パクルーティはこの素材がお前の役に立つ事を願う。この木材は、円形の蜘蛛っぽい文字で覆われた、地元の木こりの家から採ってきた。パクルーティはそこで凶暴な赤色の肌をしたトゲだらけのペットに遭遇したが、この者は囁きの牙の奥義を習得していたおかげで、勝利することができた。

37日目
パクルーティは「素材探しを行う者のほとんどは、タムリエルの野や洞窟から正当な方法で探してくるのだ」と言われた。誰かにそう言われたのは今日で百回目になる。人々はパクルーティが素材を他人のポケットや引き出しから見つけてくる事が嫌いらしい。だがお前は感謝してくれているだろう?第一、お前に元の持ち主を探し出すのは無理だしな。

38日目
パクルーティは魔法についてはあまり分からないが、術者達のことは別に嫌っていない。この者は他の武道と同じように魔術が危険だと認識しているので、魔術師達を注意深く観察している。拳を握って腕を上げるなど、詠唱にはジェスチャーが鍵となる。だから腕から出血していると呪文は難しい!つまり手を狙うのは特に効果的だ。

39日目
パクルーティは囁きの牙の師範たちの事を考えていた。師範たちはまるでおとぎ話のような事を言うのだ。囁きの牙の達人は矢さえもつかみ取る事ができると。この者は思った。そんな馬鹿なことがあるはずがない。だが今日、パクルーティはセンチタイガーが歯で投げナイフを掴むのを見たのだ!パクルーティも試してみたいとは思ったが、この者は今の顔が気に入っているので止めた。

40日目
カジートの失われた血族はかつてこの地を歩き回っていた。やがてスラシアの疫病が来た。それに伴い、どれだけの文化や武術、木工技術などが失われたのだろうか?パクルーティは、今は老いたエルスウェアが若かった16王国の時代を訪ねるために輝く木を与えようとした。だがそれは不可能だ。だから代わりにお前に与えるのだ。

41日目
カジートは菓子をよく食べる。そして、それを理由に他人にうんぬん言われる。パクルーティが夕食で同席したブレトンの傭兵は、パクルーティの皿をにらみつけ、「俺の息子も朝食にキャンディーを食べる」と言った。それでパクルーティは牙をむいて言い返した。「でもお前の息子はブサイクな少年だ」。ブレトンが嫌がりそうなことを言えてパクルーティは嬉しかった。

42日目
パクルーティが垂れた毛皮で帝国のお茶会に出席したのなら、どこのカジートの村でも物笑いの種にされ、みなに軽視されるようになるだろう。だがもし2、3週間入浴しそこねたなら、帝国の人々は無秩序な野次馬と化し、侮辱の言葉や物を投げつけるだろう。移り気な人々だ。パクルーティにとって、2、3週間入浴しないことは、においに個性を与える程度だ。

コールドハーバーの伝承

Coldharbour Lore

デロディールの消失The Whithering of Delodiil

(著者不詳)

かつて、遥か昔、ハートランドにある街があった。デロディールという名だった。その街には素敵な散歩道があり、勤勉な学者たちがおり、技巧優れた職人たちがおり、踊り子たちがいた。そしてまた、デロディールには勇猛で誇り高い戦士たちがいて、散歩道を、学者たちを、職人たちを、そして踊り子たちを守っていた。戦士たちの数は少なかったが、彼らは屈強だった。

そしてデロディールの人々は多くの神々を崇拝していた。彼らは敬虔で、すべての神に敬意を払っていたからである。しかし彼らは他のどの神々にもまして光の淑女を崇めており、メリド・ヌンダのために色とりどりの光に満ちた教会を建てた。それは栄光のためであり、まるでエセリウスの一部分が定命の者たちの世界に降りてきたかのようだった。そしてデロディールの人々はそれに誇りを持っていた。

だが、谷を超えたところにアバガーラスというもう一つの街があり、デロディールが光を尊ぶのと同じように、闇を尊んでいた。そしてアバガーラスはデロディールと同じくらい多くの市民を有していたが、その中に踊り子や職人、学者の数は少なかった。なぜなら大部分は勇猛で誇り高き戦士だったから。その戦士たちは他の国や街に貸し出され、戦争での働きと引き換えに富を得ていた。そのようにしてアバガーラスは独自のやり方で繁栄を遂げた。

そしてアバガーラスの王はデロディールの誇りだった光の教会を見て、こう言った。「アバガーラスはデロディールと同じくらい偉大な街ではないのか?我々は自分たちの偉大な教会を持つべきだ」。そして王はアバガーラスの富の大部分が、彼自らの守護神、すなわちモラグ・バル王のための祠の建設に費やされることを命じた。そしてアバガーラスの人々はモラグ・バルのための広大な祠を打ちたてたが、彼らは職人ではなく粗暴な兵士たちにすぎなかったので、祠は作りが悪く、色合いもひどく、見るに堪えるものではなかった。しかし、それにもかかわらず、祠はデロディールの光の教会よりも大きかったので、アバガーラスの王は自分の街がそのためにデロディールよりも偉大だと自慢した。それでもデロディールの人々は嫌悪感を示すこともなく、今まで通り自分たちの仕事にいそしんでいた。

そしてデロディールのこうした無関心がアバガーラス王の心に穴を穿ち、彼は苦悩の末、狂気へと追いやられた。王は兵士たちを送り、アバガーラスにあったメリド・ヌンダの小さな祠を冒涜させ、それからモラグ・バルの広大な祠へ行き、大きな誓いを交わした。そうしてある家族をデロディールを訪問した罪で祭壇の前で殺し、王は軍を集結させ、谷を越えて進軍し、デロディールの民すべてを捕らえ、光の教会の中でモラグ・バルへの生け贄に捧げると誓った。

そしてアバガーラスの王は自分の兵士をすべて集め、激しく舞うオーロラによって空が輝いたある夜、谷を越えてデロディールに進軍した。だが王とその軍が到着した時、その地が空っぽであることを発見した。デロディールの街はなくなっていた、煉瓦のひとかけらに至るまで!

そして王は空の光の中から笑い声が聞こえてきたように思った。陽気な騒ぎ声は恐怖の悲鳴に変わった。それは上空からではなく、背後にある谷の向こうから来ていた。王は急いで兵士たちを進めて自らの街に戻ったが、彼らがアバガーラスに到着すると、そこに見出したのはまるで光に焼かれたかのように、すっかり破壊された街だった。兵士たちや王の家族の名残といえば、ただ街の壁に焼きつけられた影が見つかっただけだった。

これが、アバガーラスの物語である。だがデロディールの運命については、これ以上のことは何も知られていない。

ブラックフォージThe Black Forge

キンガルド・ナズクリクソーによる在庫目録の報告

グレート・シャックルのための原料:

黒檀合金の冷たい鉄の供給は17500トンで安定しているが、鋳造過程で発生する減量の一般的な割合を考慮すると、これではシャックルを鋳造するのにぎりぎり間に合う程度の量しかない。もう2000トンの採掘のために、鉄の巨像の巨大な死体の脇にある炭鉱の穴に人を送ったほうが賢明かもしれない。後で謝ることになるくらいなら、安全策を取ったほうがいい。

悔恨の木炭の物資における枯渇の原因を発見したと報告することができるのは喜ばしいことだ。灰インプどもが忘れ去られたプラズム菅を通って倉庫に入り込み、RのCを貪り食っていたんだ(このことがわかったのは、腹が膨れすぎて開いた管を通って戻れなくなった奴を1匹見つけたからだ)。我々は爆発するダクトワームを挿入し、それが巣を発見して灰インプどもをすべて粉砕した。悔恨の木炭における物資の不足は、コスリンギの魂なき者に対する拷問のノルマを上げることで作り出されたものだった。

こういうことを言うのは気が引けるが、私の義務として報告すると、たとえシャックルがスケジュール通りに鋳造されたとしても、1000人の無実の者の血の積み荷を受け取れなければ冷却できないだろう。我々は流血執行人サルタンティクスが繰り返し、積み荷はこちらに向かっており「今すぐにでも」届くだろうと請け合っているが、これまでのところ、受け取ったのは約束だけだ。このことをオーバーキンのレベルにまで持っていくのはためらわれるが、この問題の査察を依頼すべき時だと思う。

メリド・ヌンダの解釈Exegesis of Merid-Nunda

エリンヒルのファラスタス 著

率直に言って、メリド・ヌンダの冊子は第一紀初期から我々まで続いてきた神話史の作品の中でも最も奇妙で、最も理解されることの少ないものの一つだ。冊子は部分的な手稿の形でのみ存在しており、帝都の秘術大学蔵書庫に唯一の写しが保管されている(少なくともかつてはそうだった。しかし魔術師ギルドがヴァレン皇帝の失踪に関して非難を受け、シロディールから追放されて以来、かつては立派だったあの蔵書庫が現在どうなっているか私は知らない)。

幸運にも、私はギルドがまだ所持していた頃に注釈を施された冊子を細部にわたって研究する機会を与えられた。それで私は自分のために私用のコピーを作り、エリンヒルへ戻った際にその謎を解き明かす作業を続けられるようにしたのだった。

メリド・ヌンダの冊子を理解する際の問題は二重である。第一に、現存する文書は明らかにより大きな作品の一部であり、おそらくは真ん中あたりから始まっている。前後の部分がないために、残された部分に関する文脈がほとんど分からない。第二に、冊子はアイレイドの言葉をネードの構文で使用する特殊な隠語で書かれており、その中には他のいかなる文献にも見られない、起源不明の言葉が多く含まれている。

しかしながら、過去にウェネグラス・モンハナおよびヘルミニア・シンナによって翻訳された断片を元に作業することで、この謎の多い手稿における重要な部分のいくつかに関して、新しい光を投げかけられると思う。我々の形式は、各文の翻訳を提示し、次にその意味についての私の解釈を記すものである。

「…は九光輝として知られる、マグナスによって連れていかれる道を選んだ者たちである。メリド・ヌンダはこれら姉妹たちの出身であり、同時に、ニーモ・リーやゼロ・リグ、また…」

これは「デイドラ公」のメリディアといわゆる星の孤児たちに対応するようである。星の孤児とはマグナスがアービスの創造から身を退いた際に、マグナスから分かれたアヌイ=エルの原初存在である。これら星の孤児たちの中で最もよく知られているのはおそらく、青星のニーモリーであろう。ニーモリーは非時間的出来事と結びつけられ、ドラゴンブレイク時の昼間の空でさえ視認できると言われている。

「…それゆえ我々は光についてメリド・ヌンダに話しかけ、セネデリンを呼んで大地を拘束した。それは彼女が暗闇を恐れず、引力と回転の波を泳ぐことのできる稀有な存在だったからである…」

言うまでもなく、アイレイドにとって光は創造の4つの要素のうちの1つである。この文はメリディアが野生のエルフにとって光の化身であったことを確証していると思われる。この文の翻訳は間違っていないはずなのだが、正直に言って最後の文の意味は把握しかねる。

次の文はかなり難しかったが、この翻訳は深遠の暁紀についての我々の理解に対し、まったく新しい挿話を加えることになる。

「混沌領域の王たちはメリド・ヌンダの違反を叱責し、彼女のアービスへの帰還を命じ、その際に現存するすべての球は彼らのものだと主張した。しかしメリド・ヌンダは自らの実体から偉大なるドラグレンズを形作り、マグナスの光はそれによって屈折させられた。光線は新しい球を混沌から[削りだし?集中させ?]、メリド・ヌンダはそれを[笑いながら?きらめきながら?]自分のものと主張した」

これはどうやらメリディアのオブリビオン領域として知られる色彩の間の起源を、神聖な意志の行いによって混沌の物質から直接形成されたものとして詳述しているようである。

そして最後に:

「…それゆえメリド・ヌンダは虹の道を端から端まで[乗る?滑る?]。一方の端ではドラゴンを伸ばし、もう一方の端では縮めながら…」

実に不思議な文である。「ドラゴン」とはもちろん、伝統的に我々が時の神アカトシュとして知る神を指している。どうやらこれは「虹の道」(光の多色反射についての言及か)を旅することによって、メリディアが何らかの意味で時間の流れの進みかたを変化させられるということを示唆しているようである。

時間の「速度」を変える?これは後期アイレイドのソーサラー司祭たちの単なる馬鹿げた思いつきか、それとも、デイドラ公のうちでも最も理解されることの少ない存在の性質についての、真の洞察なのだろうか?

一体、誰に分かろう?

黄昏の蔵書庫:希少本The Library of Dusk: Rare Books

第12貯蔵庫:希少本コレクション

立ち入り禁止

品目:

ミモフォヌス著「アセドリクスの難問」
—9つの驚異的な問いと、読者を狂気へと追いやる解答の数々。

著者不明「ホシルの配置」(カリソスもしくはモラチェリス所有)
—シロディールのノルドにおけるアトモーラの民間伝承を記述した叙事詩の物語。

アーリエイト・サーペント著「グウィリム実践」
—知性を持つ怪物が死ぬ瞬間に、そのマジカを吸収する方法。

アルカン著「バーン・ダルの第3の巻物」
—偉大なる盗賊がいかにしてヴィベクから「第37の教え」を盗んだか——彼がそれを書き記すよりも前に。

「アレッシアとベルハルザの手紙」
—初代女帝と人牛との親密な往復書簡。

リンダイの異端者著「十祖先による十一のその他の勅令」
—古典「十一勅令」のパロディで、十祖先はデイドラよりもアーリエルを崇拝していたと仮定している。

技師カグレナク著「ヌミディウムの青写真」
—巻物がすべて行方不明——回収してくれば報酬あり

ペリナル・ホワイトストレーク著「ロルカーンの心臓との会話」
—アービスの本質についての考察。注意:創作の可能性大。

操舵手トパル著「南海岸は東の海ほどにも遠く」
—偉大なるアルドマー探検家の航海記。

アークメイジ・シャリドール著「考察」(初版本)
—ドラゴンの起源と性質に関する学術論文。

猿の預言者マルク著「アレッシアの教義:手稿原本」
—アカトシュの非エルフ的性質の教理を定義した長い論説。

モリアン・ゼナス著「アポクリファの研究」
—ゼナスが信じることを拒否したアポクリファから判明した真実の概説。全14巻。

透明なる者著「書簡的洞察」
—有害なデイドラの禁じられた祈祷。

コルヴス・ディレニ著「グリモア」
—強大な召喚師の呪文の秘訣。

匿名の作者著「メリド・ヌンダの冊子」(完全版)
—メリディアの本質と、彼女を星の孤児たちと同一視することの誤りを解明する作品。

伝統的な「好色なアルゴニアンの侍女」(完全収録)
—修復中——蔵書庫司書により誤って破損。

吟遊詩人のフョッキ著「愛と剣さばきの技法」
—信じがたく、かつ奇妙に説得力のある数々の功績を持つ遊び人のノルド、フョッキの有名な自伝。希少ではないが、本蔵書庫で年間を通しての人気作。

光なき土牢The Lightless Oubliette

光なき土牢に関するキン報告

過去に光なき土牢での勤務を経験したことがないのなら、よく注意を払うことだ。なぜなら、ここはミスを犯すべき場所ではないからだ。土牢はあの光の尻軽女の虜になったしもべたちのために特別に建設された拘留施設だ。我らがドレッドロードが彼女をどう思っているかは知っているだろう。もしあのオーロランやラストラントたちのどれか1人でも、お前の当番中に逃げ出してみろ。第2級の低速身体分解で済めば運がいいくらいだ。

さて、俺はお前が701の布告をよく知っているかどうかとか、強制追加条項の章や節をそらんじているかどうかとか、そういうことは気にしない。光なき土牢で大切なルールは次のものだけだ。

1.白や黄色に光るクリスタルを施設内に持ち込んではいけない。

陰気なのが好きだからじゃねえんだよ、馬鹿。囚人たちは光の特定の波長を捻じ曲げて、自分たちのために利用できるからなんだ。照明には青いクリスタルを使うか、あるいは剥き出しの炎ならもっといい。

2.囚人たちを拷問して遊んではいけない。

これにはエルフ王も含まれる。いや、俺はなぜかなんて知らん。ただそういうことになっているのだ。噂じゃドレッドロードはあの光の尻軽女のためにとんでもない驚きを企画していて、そのためには彼女のしもべたちの身体が無傷で残ってなくちゃならないんだと。本当かもしれんが、俺は知らんよ。

3.ちゃんと後始末をすること。

ここは最も警備が厳重な施設だ。だから魂なき者は誰も入ってはいけない。管理人でもだ。汚したら、ちゃんと洗うこと。これには実戦演習の時に飛び散った体液も含まれる。今度またフラグストーンに染みが付いてるのを見つけたら、次の勤務時間は痛みの輪の中でやらせるからな。

混沌のクリエイシア:アズール・プラズムChaotic Creatia: The Azure Plasm

ライザンディウス博士 著

境界間神話神秘学の博士として、私は長い間魂と身体の問題、すなわち消滅後のデイドラの身体の再形成、および「面影」として一般に知られるエキスの周囲での身体の形成に興味を抱いてきた。我々がコールドハーバーへの移転を強制されて以来、輝きの淑女の取り計らいにより、私はこの工程を直接観察する数多くの機会を得ることができたため、ムンダスにおいては単なる推測にすぎなかった多くの仮説を確証できる立場に身を置いている。

長い間理解されてきたところでは、デイドラは「魂」として知られるアヌイ=エルのアニムスを欠いており、その身体が破壊されても死ぬことはない。ムンダスにおいて殺されたデイドラは単に「消滅」してやって来た次元に帰るだけであり、そこにおいてデイドラの形態、あるいは「面影」が少しずつ新しい身体を形成し、いずれデイドラは復活する(これは自らの出身地であるオブリビオンで殺されたデイドラにも起きることである)。

さらに、我々がデイドラ自身から学んできたことによれば、デイドラの身体は混沌の物質そのものによって形成されており、これはオブリビオンの「クリエイシア」という、無形かつエネルギーを持つ素材としての面影の周囲に蓄積し、形態の遺伝パターンに順応する。

ムンダスにいた頃、私は単純にもこのクリエイシアを虚無のどこかに渦巻いている、霧状の無形物質のようなものだと考えていた。我々がコールドハーバーに到着して後、コールドハーバー全土に広がるこの青いスライムの液だまり、我々が今では「アズール・プラズム」と呼んでいる物質が、実はクリエイシアがこの次元において取る形態だと気づくまでしばらくかかった。その延長として、私は混沌のクリエイシアがオブリビオンのそれぞれの領域において、次元に対応した、互いに異なる形態を取るのではないかと推理した。この理論は後に、ソージュルナーという名の、無数の次元で存在することを直接経験していたズィヴィライの盗賊によって、私にとっては確証済みのものとなった。

実際、プラズム付着の過程が進行しているところを観察できる、秘密の洞穴の1つを初めて私に教えてくれたのはソージュルナーだった(デイドラが「生まれる」この類の洞穴を見つけるには、ただアズール・プラズムのゆったりした流れを観察し、その向かう先を追っていくだけでいい。プラズム付着は付近の源泉からの遅い吸収を引き起こすからである)。面影が少しづつアズール・プラズムを吸収し、それを一般的から特殊へと変化させていき、ゆっくりと巨大な爬虫類型のデイドロスの大きさと形になっていくのは、実に見事な光景だ。

そして魂なき者という名で知られる哀れな奴隷たちがいる。どれも死に際してムンダスから誘拐されてきた定命の者であり、その魂はモラグ・バルによって、何か想像もできないような目的のために盗まれ、その代わりとして面影がここコールドハーバーにおける紛い物の身体を形成しているのだ。しかし彼らはオブリビオンの生まれではないから、魂なき者の身体は人生に倦み疲れた身体の惨めな模造品でしかなく、急速な消耗と腐敗に苦しんで死ぬ。しかもその死は解放ではなく、面影は再び身体を形成し、それは無限に繰り返されるのだ…

以上が事実である。以下に続くのは、ソージュルナーの不定期かつ予期せぬ訪問の最中に彼と交わした会話から生まれた思弁である。彼の理論では、魂なき者の身体が不完全なのは、それがアヌイ=エルの魂の集中原理を失っているからであり、それゆえに彼らの身体の面影は不完全な模様になっている。それはあり得ると私は同意し、それから魂を失っておきながら、何か別のアヌイ=エルの内的姿を所有している魂なき者の存在という、理論的な可能性を提示した。この魂なき者の「パラゴン」とでも言うべき存在はコールドハーバーにおいて、ムンダスでまとわれていた身体の完璧な複製である無欠の身体を形成するだろう。実際、もしこのパラゴンが十分に高いアヌイ=エル原子価を帯びていれば、パドマーのクリエイシアとの接触によって、その身体はほとんど一瞬のうちに形成されるだろう。

ソージュルナーは私の理論を一笑に付したが、にもかかわらずその発想には興味をそそられたらしかった。彼はさらに思弁を進めて、もしそのようなものがあり得るとすれば、おそらくそれはムンダスが存在の危機に瀕している時に発生するだろうと言った。その場合、ニルンの心臓は自発的にそのような「パラゴン」個体を、破壊から自らを守る手段として生産するだろう。定命の者の身体が伝染病を撃退するのと似たようなものである。

ああ、ソージュルナー。君の刺激的な話が懐かしい。なんという空想の飛躍だろう!しかし、この次元での長期にわたる私の生活で見てきた驚異の数々を思えば、本当に不可能なことなどあるだろうか?

戦いと苦闘の人生A Life of Strife and Struggle

ラロリアラン・ダイナー王の私的な覚え書き「アイレイドの最後の王」への注釈

構成:慣習に則った10章立て。10人の祖先のそれぞれに1章ずつ

第1章:後期アイレイド時代の苦闘(263-331)
—我が父は女帝に辱められた
—ネナラータのシロディール帝国への隷属状態
—非奴隷経済への困難な移行
—強制されたアレッシア八大神の受容
—我、ネナラータの王冠を戴く
—高まる無力と絶望

第2章:アレッシア教団、アイレイドの無秩序(332-371)
—帝都の反乱
—我、皇帝に忠誠を誓う
—シロディールの神権政治
—アイレイドの迫害
—従属国家の縮小
—ネナラータの孤立

第3章:失われたネナラータへの涙(372-374)
—皇帝の最後通告
—頑固者たちとの協議
—ネナラータでの最後の時
—シロディールからの不穏な旅路
—頑固者たちの虐殺の知らせ
—ゴブリンに噛み殺される

第4章:ビョルサエの避難民たち(375-452)
—ディレニによる歓迎
—オークを追放し、街を設立
—湖のビスネンセル
—ブレトンとの緊急緩和、オークとの平和条約
—シロディールからの不快な知らせ

第5章:太古の探究者の驚異(453-460)
—ハルメアス・モラの邪悪な教団
—奇妙な儀式、消えない幻視
—大司祭ウルスキャントが権威を主張する
—夜の殺人
—王家の逃亡

第6章:ディレニの中の聖域(461-477)
—バルフィエラ島
—リャン、エイデン、レイヴン
—スカイリムとの戦争
—戦術家にして戦略家:我が天職の発見
—エルフ殺しのホアグ倒れる

第7章:アレッシア軍の接近(478-479)
—ハートランドから聞こえる不満
—アレッシア主義に転向するブレトンの発見
—宣教師たちの処罰
—アレッシア軍の西進
—クラグローンの陥落

第8章:ハイロックの集結(480-481)
—隷従王への使者
—エイデン、不承ながら権利章典に署名
—農場労働者たちを軍団兵に
—軍がハイロックへ接近
—アレッシアの虐殺

第9章:グレナンブリア湿原の戦い(482)
—開幕の小競り合い
—餌をまく
—ファオルチュ罠にかかる
—隠れていた騎士たちの突撃
—コルヴスとカラーニの召喚獣
—アレッシアの潰走

第10章:ネナラータへの帰還(482-484)
—アレッシア軍の追撃
—クラグローンでの抹殺
—マルーカティの殉教者たち
—ハートランドへの帰還
—ネナラータにおびき寄せられる
—モラグ・バルの狡猾な罠
—コールドハーバーの囚人

ここではたっぷりと時間がある。私の筆記用具が取り上げられなければいいのだが。いかにドレモラとはいえ、そこまで残酷になれるだろうか?

定命の者により召喚されたI was Summoned by a Mortal

デスブリンガー・クランのキンヴァル・ゼッデンカシク 著

私が記憶している限り——そしてドレモラなら誰でもそうであるように、私の記憶は、特に復讐に関する記憶は優れている——私は自分のクランの士官たちに忠実に仕えてきたし、それを通じて我が主、モラグ・バルに仕えてきた。しかしながら、常にというわけではなかった。恥ずべきことながら一度だけ、私は他の者に仕えることを強制されたからである。

私は終わりなき階段を警備する任務に就いていた。これはいつでも楽しい仕事だった。というのも、通りがかる魂なき者を馬鹿にしたり嫌がらせをしたりでき、しかも奴らのノルマ達成について責任を負わなくてもいいからだ。爪の柱のかげから飛び出し、「見つけたぞ、弱き者め!」と叫ぶのは、面白くてしょうがない。

私はダークアンカーの鎖の連結部の後ろに潜み、近づいてくる魂なき者をいきなり殴り倒し、「相手にならん」と嘲笑して、恐怖を与えてやろうと待ち構えていた。すると突然、角から足先まで体中にちくちくと痛みを感じた。目まいがして、危うく青いプラズムの池に倒れこんでしまうところだった。そして突然、終わりなき黒い虚無の中に自分が投げ込まれるのを感じたのだ。

最初は不安を感じなかった。終わりなき黒い虚無に投げ込まれたことのない者がいるだろうか?その場所で自分の体が具現化し始め、空気の味を感じて、初めて最初の不安を覚えた。「弱き者の臭いがする」と私はつぶやいた。私はまったく正しかった。

そこで初めて、私を召喚した者の声を聞いた。召喚者は「ああ、これはなかなか強そうだな」と言い、自分の置かれた恐ろしい状況が明らかになった。なにせ、私を召喚したのは…定命の者だったのだ。

私はぎょっとして振り向き、いったい誰がニルンとの無限の距離を超えて私を召喚したのか見ようとした。すると、目の前にいたのは背の高いサマーセットのエルフだった。こうした手合いは知っている。私はこれまで少なからぬ数のアルトマーの魂なき者をいたぶってやった。それも大いに楽しんで。こいつらは定命の者にはふさわしくない、偉ぶった傲慢さを隠そうともしない。このエルフは私に軽い、値踏みするような一瞥をくれた後、背を向けて「ついてきて戦え。虫の教団の信者どもを退治する」と言った。

虫の教団の信者。この屈辱を想像できるだろうか?憎たらしい定命のエルフによって自分の任務から引き離されただけでなく、そいつのためにマニマルコの、つまり我らがドレッド・ロードの副官にして副王となるべき存在のしもべを殺さなければならないのだ!私は抵抗しようとして我が不屈の意思を振り絞ったが、この定命の魔術師の拘束呪文はあまりにも強力だった。私にできることは「誰も逃さん!」と言ってこの者に従い、一対のたいまつを通り過ぎて地下のトンネル迷路へ向かうことだけだった。

「ドレモラよ、お前は偉大なるヴァヌス・ガレリオンに仕えるのだ」と私の召喚者は宣言した。誰もそんなことは聞いていない——自分を奴隷にしている主人の名前を知る必要がどこにあるというのか?しかし私は考え直し、その名を我々の誰もが持つ長いリストに心の中で付け足した。「復讐」という名のリストに。

私は付き従ったが、私の召喚者が身を隠すためにしゃがみ込んでも、ただこの召喚者をにらみつけて心の中で「お前の心臓を貪り食ってやる」と考えていた。しかし実際は、このヴァヌスとかいうエルフについていくしかなかった。というのもトンネルは数が多く入り組んでいた。我々ドレモラは恐れを知らず無慈悲で、オブリビオンのどこを探しても戦士としては右に出る者がいないとはいえ、方向感覚には優れていない。密使の任についていた時、私はムーンレスウォークのど真ん中で道に迷い、出発地の光なき土牢に戻ってきてしまうことで有名だった。

そのうち、ヴァヌスは頻繁に立ち止まり、耳を澄ませるようになった。これが私の怒りと苛立ちを一層あおった。結局、彼は足を止め、私に向かって「静かに!」と言った。まったくもって理不尽だ。私は一言も言葉を発していなかったのだから。しかし奥のトンネルから人間の話し声が聞こえてきた時、私はなぜ彼が止まったのかがわかった。一瞬もためらうことなく、私は自分のグレートソードを取り出して前方に突進していった。「近くに抗いし者がいる!」と叫びながら。エルフは悪態をついて後からついてきたが、自業自得だ——私は命令を忠実にこなしていたのだから。

その後の時間は、真のドレモラならば戦闘中に誰でも感じる、あの赤い憤怒の中で過ぎていった。しかし、普段は流血の殺戮が喜びをもたらすものの、自分が手にかけているのはドレッド・ロードが望まない相手なのだという意識にさいなまれ、喜びとは程遠い体験だった。私が虫の教団の信者たちの手足や頭を切り落としている間、エルフの強力な魔法のエネルギーが火花を散らしながら私を通り過ぎ、離れた場所にいる敵を焼き払っていたが、私は屈辱に打ちひしがれ、破壊の狂騒にひたれなかった。エルフは私が最後の虫の隠者を細切れにしているところにずかずかとやって来て「こいつらもこれで終わりだな。思い知ったか、マニマルコ!」と言ってほくそ笑んだ。

「相手になる者などいない」と私は不機嫌に応じた。すると、再びあの奇妙なちくちく感が襲ってきた。私をニルンへと誘った召喚術が弱まってきたのだ。拘束が解けると私はエルフに向かって威嚇の一歩を踏み出したが、そこで再び私の周囲の次元が回転し、また終わりなき黒い虚無の中に戻ってしまった。

感覚を取り戻すと、私はターコイズ色のスライムの池に横たわり、見上げると上司であるキンリーヴ・ザルゾルキグの笑顔が見えた。「さて、ゼッデンカシク」と彼はうなり声をあげた。「任務中に持ち場を離れたのか?こいつは痛みの輪ものだぞ!」

「しかし、キンリーヴ」と叫びながら、私はがばっと起き上がり言った。「仕方がなかったのです!私は召喚され、ニルンに向かわされてしまったのです——定命の者によって!」

ザルゾルキグはさらに口を広げて微笑んだ。「そんなくだらん嘘をつく奴には、痛みの輪をさらに追加してやろう。さあ歩くのだ、ゼッデンカシク」と彼は叫んだ。棍棒で私を叩きながら。「左、右、左、右、左、右…」

ザルゾルキグが笑うとロクなことがない。キンリーヴだろうが関係ない。彼の名前も私のリストに入れておこう。

侮辱の法廷の手続きProtocols of the Court of Contempt

ジャッジ・シベン 著

すべての手続きは厳密に記録されるべきものとする。ただし、その手続きが記録によって影響を被ると命ぜられた場合は例外とする。

罪ある者は本法廷に敬意を持ってあたるものとする。でなければ執政官ボグトロにより適切な処罰を受けるものとする。

罪ある者は適切なかつらを身に着けたスキャンプの格好で審議に参加する権利を持つものとする。ただしスキャンプは本質的に低俗であることから、侮辱の法廷で口をきくことは禁じられている。

罪ある者はこれらの手続きにおいて、自らの屈辱を時間をかけて、最も激しい言葉を用いて表現することが推奨されている。裁判官と執政官の余興のためである。

侮辱の法廷の公平性についての評判は、100パーセントの有罪率によって証明されている。

連れていけ!

名誉を失ったクランの誓いOath of a Dishonored Clan

ライランス 作

目的が達成されるまで、決して再び休むことはない。

誤りし者に報復する機会を探し続ける。

ヴァルキナズ・セリス:裏切りの代償を払わせよ。

オーバーキンに対する我々の義務でさえ、これには及ばない。

二度とフールキラーズ・クランの名を耳にすることなかれ。それは苦痛である。

我らは目的を助ける者に対しては寛大になるだろう。

デスブリンガー・クランの偽りの優位に終止符を打つ。

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