シャドウフェンの伝承

Shadowfen Lore

ある母親の童謡A Mother’s Nursery Rhyme

お子さんは5人だそうですね、お母さん。そう聞いてますよ。
5人ですって?いいえ、今夜は4人しかいません!
可愛くて素直な子供が4人。
その4人きりですとも!

お子さんは4人だそうですね、お母さん。そう聞いてますよ。
4人ですって?いいえ、今夜は3人しかいません!
夜更かしして床に就くのが遅れた子供が3人。
その3人きりですとも!

お子さんは3人だそうですね、お母さん。そう聞いてますよ。
3人ですって?いいえ、今夜は2人しかいません!
おとなしくて恥ずかしがり屋の子供が2人。
その2人きりですとも!

お子さんは2人だそうですね、お母さん。そう聞いてますよ。
2人ですって?いいえ、今夜は1人しかいません!
お歌を唄っている子供が1人。
その1人きりですとも!

お子さんは1人だそうですね、お母さん。そう聞いてますよ。
子供ですって?よしてくださいな、子供なんていませんわ!
みんな今頃はお父さんと一緒。
もうここでは暮らしていません。

スリルの日記Suril’s Journal

—薄明の月4日

今度の研究プロジェクトは植物がらみだ。となれば、シャドウフェン以上におあつらえむきの場所があるだろうか?なにしろ雰囲気からして違う。肌にまとわりつくようなこの湿気が、これほどまでに緑豊かな土地を生み出すのだ。きっと研究材料にできる新種が見つかるだろう。

—蒔種の月8日

雨にはうんざりだ。もうひと月降り続いている。地面がぬかるんで、ろくすっぽ現地調査もできやしない。こんな時期にストームホールドにやってきたのは、どう考えても失敗だ。

ただ、救いもある。ギルドホールを自分好みに模様替えする時間が取れたことだ。と言っても、ひと部屋だけだが。これまで——特にダボンズ・ウォッチでの一件以来——時間や空間をなかなか自由に使えなかっただけにありがたい。監視所では、いささか思い込みが過ぎた。まあ、研究者というのは誰しも時々過ちを犯すものだ。それも仕事のうちと見るべきだろう。

—蒔種の月22日
ようやく雨があがったぞ。

—恵雨の月1日
地衣類の驚くべき新種を発見した。「ブラック・マーシュの植生辞典」の背に生えていたのだ。

—恵雨の月3日
アークメイジに手紙を書いた。配置換えを希望する内容だ。できればアリクルにでも落ち着きたい。

ナハテン風邪についてOn the Knahaten Flu

公文書保管人ネレミンデューレ 著

背景:
この病気がどのように発生し拡散したかは謎に包まれている。情報を集め、解明の糸口にしたい。

アルゴニアンはこの風邪に免疫があるように見える。このことが、ある憶測を呼んだ。長年ダークエルフの元で奴隷にされてきた彼らが、復讐のためにこの風邪を持ち込んだのではないかというのである。ただし、こういった主張は立証も反証もされておらず、さらなる調査が待たれる。

対策:
この風邪の急速な蔓延を防ぐ方法としては、感染者の所有物を焼却処理する(残念ながら、この方法は時折、遺された家族まで焼き殺してしまうという事故を起こす)、感染者を一ヶ所に隔離する(または、壁に塗りこめる)、感染者を船に押しこめ、どこへともなく流してしまう、などが挙げられる。通常の治癒呪文や霊薬は効いたり効かなかったりと、この風邪に対する効果には一貫性が認められない。

症状と経過:
患者はひとまず漠然とした体調不良、食欲不振、疲労感を訴え、数時間たつと、その他の症状を発現するようになる。具体的には涙がとまらなくなり、肌には粒状の、痒みを伴わない真っ赤な発疹が生じる。

発症から24時間ないし36時間以内に、患者は鼻血に悩まされるようになり、涙にも血が混じるようになるのに加え、粒状の発疹は全身に広がる。この時点で、患者はぜいぜいと苦しげな咳をするようになる。発症後36時間から48時間が経過すると、咳のたびに血痰を吐くようになる。

ほとんどの場合、発症からわずか72時間で死に至るが、なかには5日から7日のあいだ生きながらえる患者もいる。

治療:
ナハテン風邪は、最初に流行したときから、すでに封じ込め不可能という印象があった。信頼できる治療法はいまだに確立されていない。

今から10年前、ペリザーダという若いレッドガードが、夢のなかで神々から治療法を教わったと主張。夢で見たとおりの治療法を再現した彼女は、住民もろとも焼き払われることが決まっていた村で臨床試験を行った。すると、この治療法が効果を発揮し、村は救われた。

その治療法は、クランフィアの爪を塩水で煎じたものを飲むというものだった。クランフィアの爪は、本物はもちろん、本物かどうか怪しげなものまで闇市場で盛んに取引されるようになり、結果、価格が暴騰した。インチキ療法によってむしろ死期を早めた患者があまりにも多かったせいで、ペリザーダの治療法が公式に認可を受けることはなかった。のちにペリザーダ自身がこの風邪で死亡したことから、彼女の治療法の効き目はせいぜい「疑わしい」という評価に落ち着いた。

いわゆる「クランフィアの煎じ薬」が知られてからというもの、ナハテン風邪を治すという触れ込みのさまざまな治療法が雨後の竹の子のごとく現れた。いずれも、何かを煎じて飲むという点は変わらない。最貧層では、チキンスープが重宝された。安いだけでなく手に入りやすいからである。それを飲めばたいてい咳がおさまり、呼吸が楽になった。

チキンスープは決して効果のほどが保証された治療法ではないが、入手がきわめて容易であることは確かだ。もしこの恐ろしい風邪が再び流行るようなことがあれば、試してみる価値はあるだろう。

粒状の発疹は炎症を起こさないので、そのまま放置する患者も多い。しかし、発疹を包帯や湿布剤、あるいはただの布で覆っておけば、治療や看病にあたる者への感染が少なくなるようである。比較的寒冷な土地や冬季におけるこの感染症の広がりが格段に遅いのも、このことから説明できる。

その他の治療法について何か情報をお持ちの諸兄は、どうか私宛てに報告書を送ってほしい。さらなる調査の材料にしたい。

まともなツルハシThe Right Mattock for the Job

重労働だと聞いてはいたが、フースマヒームもまさかこれほどきついとは思っていなかった。報酬を受け取るためには1日にかご8つを一杯にしなければならなかったが、いかんせん、フースマヒームの道具はどれもこれも粗悪品だった。小さなツルハシは鉤爪の生えた手で扱うようにはできていないし、それがありあわせの道具でこしらえたものとなれば尚更だ。

錆色の液体がスラグの山から滲み出し、作業員の鱗を黒みがかったオレンジ色に染めてゆく。フースマヒームはもっと奥の土と岩を掘り返そうと、かごを引きずりながら数フィート這い進んだ。じくじくと湿った土塁で見つかる多種多様な試料を掘り出すべく、鉱山労働者たちは岩を砕き、泥をかきわけてゆく。

フースマヒームの隣で作業をしていた男が声をかけてきた。「かご8つ分、集まったぜ。そっちは?」

「もうちょいで7つめが一杯になる」フースマヒームは答えた。「お前はいつも速いな、「しっぽ割れ」。何かコツでもあるのか?」

「がんばることさ」「しっぽ割れ」は笑って言う。「それと、大きなツルハシが買えるだけの金を貯めることかな」

「汚いぞ!」言葉とは裏腹に、フースマヒームは笑いをもらした。

「それじゃお先に」

そのとき、階段状になった壁から乾いた砂が滝のように流れ落ちてきた。坑道の崩落には慣れっこの鉱山労働者たちは、自分の収穫をひっつかむと、すばやくその場を離れる。

「あれを見ろ!」誰かが叫んだ。まだ一緒にいたフースマヒームと「しっぽ割れ」は、そろって頭上のスロープを見あげた。ずるずると滑り降りてくる岩くずからあがる土煙を通して、2人は自分たちに向かってくる複数の人影を認めた。どれもかかとに体重を乗せてスピードを殺し、両手を広げてバランスを取っている。

「オーガだ!知らせ——」

みなまで言わないうちに、「しっぽ割れ」は一撃を浴びて地面に転がった。

10体を超えるオーガが、ごつい拳だけを振りかざしながら、丸腰の鉱山労働者たちに襲いかかってきたのだ。フースマヒームめがけて右のフックが飛んでくる。彼は身をかがめてそれをかわす。かごはまだしっかりと胸に抱えたままだ。村に帰ってみんなに知らせなければ。少なくともここ12ヶ月というもの、鉱山の近くでオーガの姿を見ることはなかったのだから。

フースマヒームは駆け出した。まだ後生大事にかごを抱えていることに気づくと、すぐさまそれを投げ捨てる。これで両手が自由に使えるぞ。と思ったのもつかのま、フースマヒームよりも腕力に勝る粗暴なオーガにしっぽをつかまれ、ぐいっと引き戻された。その途端、そいつが怒りと苦悶の入りまじった叫び声をあげる。「しっぽ割れ」がまともな大きさのツルハシを、フースマヒームのしっぽをつかんでいるオーガの手に叩き込んだのだった。

「逃げろ!」「しっぽ割れ」は叫んだ。

ルビーのネックレスThe Ruby Necklace

干し草の俵をもう1つ納屋の2階に運び上げたマークルは、また肩に痛みが走るのを感じた。筋肉のこわばりをほぐそうと、肩を回してみる。

「助かったよ。ありがとう」と、アルゴニアンの商人が言う。マークルはコスリンギ族に向かってうなずくと、荷車を引いてその場をあとにした。

あの商人が馬の飼い葉にする干し草を山積みにしてズークのもとにやってくるようになってから、もう数ヶ月になる。兄弟のフーグが生きている頃、その取引を仕切るのはフーグの仕事だった。運搬の手配、俵の荷下ろし、代金の授受。こういったことはフーグがやっていたのだ。ところが、そのフーグが病魔に取りつかれた。体が色鮮やかな発疹に覆われ、高熱が出たと思ったら、1週間と経たないうちに死んでしまった。

そして今はマークルがその商人との取引を仲介している。それにしても、筋肉痛がこれほど酷くなければなあ、とマークルは驚いた。どう見ても、自分は死んだ兄弟のような力自慢じゃない。もっとがんばらねば、と自分を奮い立たせはするものの、本来、肉体労働よりも勉強や読書が好きなマークルだった。

「とにかく、帳簿を確認しないとな」マークルはそうつぶやきながら、自分の小屋に入っていった。兄弟が病みついて以来、ついつい帳簿をほったらかしにしていたが、さっき配達があった分はきちんとつけておかないとならない。

マークルが支払い台帳をひらくと、ページのあいだにはさまっていた紙切れが1枚、ひらひらと床の上に舞い落ちた。そこに書かれている文字が兄弟の筆跡だと気づいたマークルは、紙片を拾いあげる。

「ルビーのネックレスに気をつけろ」

マークルは眉根を寄せた。うちにはネックレスを買う余裕なんかない。それがルビーのものとなれば、なおさらだ。兄弟はいったいどういうつもりでこれを書いたんだろう?肩をすくめると、マークルは紙片を丸めて机の横の火鉢に放った。それから外套を膝にかけ、たまった帳簿を片づけにかかる。今日はやけに冷えるなと思いながら…

その晩、細君が心配そうな表情でマークルの顔をのぞきこんできた。咳き込み、悪寒に震えながら机にかじりついている亭主を見つけた彼女は、なかば引きずるようにして床に就かせたのだった。マークルの喉には、紛れもない発疹がみみず腫れのようにつながって、首輪のようになっている。

「ルビー…」うわごとを口走りながら喉をかきむしるマークル。ナハテン風邪が一番新しい犠牲者に牙を剥いた瞬間だった。

我ヲ忘レルナカレRemember Me

トンネル…それとも洞窟だろうか?薄暗く、じめじめして、それでいて暖かい。鱗の歌はおぼろげな明かりを目指して走った。狭い空間に自分の足音がこだまする。だが、前に進めば進むほど、深い泥に沈んでゆく。

「この程度の泥に沈むなんてことがあるか?」思わず声に出してしまう。「俺はブラック・マーシュ生まれだぞ」

泥に足を取られ、もうそれ以上先に進むことができなくなると、鱗の歌はこうべを垂れ、頭上で絡み合う植物の根に結んだ露が滴り落ちる音に耳を傾けた。すぐに終わるさ。ヒストのもとに召されるだけだ。ただ、アルゴニアンの端くれとして、泥に溺れて死ぬのが情けなかった。

そこで不意に目がさめた。またあの夢か。ここ数週間というもの、鱗の歌は毎晩同じ夢に悩まされている。洞窟の出口近くまでたどりついたような気がするのも毎回同じだ。出口に辿り着けさえすれば、何もかもはっきりするに違いない。そう思いつつ、毎朝、夢の意味が少しも解き明かされないまま目覚めるのだ。

「決まってるさ、ヒストが語りかけてるんだよ」卵の兄弟、裂け目のある尾が言う。「今夜はこっちから訊いてみたらいい。何が望みだ?って」

「やってみるよ」と鱗の歌は答えた。「ただ、目がさめるまでは夢だってことに気づかないんだよな」

裂け目のある尾は傍らの棚に置かれた土器の壺に手を伸ばすと、中から葉っぱを分厚く巻いて蔓で結わいたものを取り出して鱗の歌に渡した。

「そいつを焚くといい。お香が頭をはっきりさせてくれるかもしれない。ヒストのご託宣なら、きちんと聞かなきゃ駄目さ」

鱗の歌はうなずいた。さすがは裂け目のある尾だ。いざというとき頼りになる。その日はひさしぶりに、夜が来るのが待ち遠しかった。

香を焚いた鱗の歌の小屋は、濃い灰色の煙で満たされていた。床すれすれの低いところでは、煙が霧のようにどんよりとぐろを巻いている。まさかこれほどひどい臭いがするとは思わなかった。それでも、鱗の歌は煙がゆっくりと部屋に広がってゆくのを眺めた。そのうちに、だんだんとまぶたが重くなってくる…

…ここは洞窟だろうか?それともトンネルの中か?ぬかるんだ地面近くに、煙の層ができている。鱗の歌は走るのをやめ、煙に手を伸ばした。話しかけろ。訊ねるんだ。言葉を発しろ。さあ。

「何か言いたいことがあるのか?」鱗の歌は思い切って訊ねた。

「ワタシハ死ンデイル」

「死んでいる?お前は誰だ?」

すると、煙が1つにまとまって、フード付きのマントを着た人の形になった。陽炎のようにゆらめき、しっぽが小刻みに震えている。「ワタシハ死ンデイル」人の形をした煙は繰り返した。「ソレガナケレバ、ワタシノスベテハ永遠ニ失ワレル。ソレヲ見ツケルノダ。忘レルナ」

「それ?それとはなんだ?」

鱗の歌は人の形をした煙のあとについて暗い道をたどった。いつもの夢と違って、もうぬかるみに足が沈むことはない。2人とも、無言で歩を進めてゆく。鱗の歌は用心しつつも、意外に平静だった。

数時間も歩いたと思われること、ようやくトンネルの出口にたどりついた。陽炎のような人影は大きくため息をつくと、1本の委縮した樹木を指さした。

「ヒストだ」鱗の歌の声に驚きがにじむ。「これがそうなのか?たしかに死んでる…だが、どうして?」

「忘レルナカレ」そう言い残すと、人の姿をした煙は雲散霧消してしまった。ただその前に、鱗の歌の手にムネミックの卵を1つ、託していった。

自由の代償Freedom’s Price

代金が支払われ、取引が成立した。波風を立てる者は新しい主人の所有物となったのである。

センドラサ・ルラリスは、たった今買い付けたばかりの奴隷がすでに購入済みの奴隷の群れに加わる様子を眺めた。あまり長く見つめたものだから、波風を立てる者がセンドラサの視線に気づく。一瞬2人のまなざしが交錯するが、双方あわてて目をそらした。奴隷が主人と目を合わせれば、鞭打ち10回の刑に処せられる。

市場から屋敷まではたかだか7マイルの道のりだが、センドラサには屋敷に帰り着くまでの時間が永遠にも感じられた。自分の城を構え、波風を立てる者を連れ帰れるようになるまで、何年も辛抱強く待ったのだから無理もない。

「全員、離れに連れていきなさい」召使の手を借りて馬から降りながら、センドラサはそう命じた。「ただし、あれだけ」と言って、波風を立てる者の方を示す。「居間で待たせておいて。身のまわりの世話をさせることにしたから」

「かしこまりました、奥様」

手袋をはずしながら屋敷に入ってゆくセンドラサの足取りは軽かった。彼女は笑いながら独りごちる。「ついにやったわ!これで私の思い通りになる」

最後に恋人と口づけを交わしてから、どれぐらい経つだろうか?人目を忍ぶ逢瀬のたびに、互いの後ろめたさから狂おしく抱き合ったあの頃から、いったいどれほどの月日が流れただろうか?2人の仲が露見してからというもの、自分はどれほどの苦しみを味わっただろう?まるで——と、センドラサは苦い思いをかみしめる——愛する恋人がアーチェインたちの手で売られていくのをなすすべもなく見守るだけでは、償い足りないとでもいうように。

それ以来、センドラサがついに波風を立てる者の居所を突きとめ、自分の手に買い戻すまで、時は恐ろしいほどゆっくりとしか進まなかった。今度こそ誰にも邪魔させない。仲を引き裂かせはしない。2人は一心同体なのだ。

扉が開き、波風を立てる者が部屋に入ってきた。奴隷の作法を守り、目を伏せている。センドラサはつかつかと彼女のかたわらを通り過ぎると、扉を閉めて鍵をかけ、それから恋人に向きなおった。

「会いたかったわ」ささやくようにセンドラサは言う。

次の瞬間、2人はひしと抱き合っていた。センドラサは波風を立てる者の鱗に優しく、探るように指を這わせる。

拷問されたのね?あいつら、ただじゃおかないから!

波風を立てる者はかぶりを振った。その拍子に背びれがぱたぱたと揺れる。「平気よ。あなたに会えたんですもの。傷なんか癒えるわ。でも、アーチェインたちは…」

「大丈夫、あの裏切り者たちにはもう、指一本触れさせないから」

「ねえ、聞いて」波風を立てる者は言った。「あなたのご両親はアーチェインに大金を支払ったわ。どこだろうと、彼らの目が光ってる。あなたが私を買い戻したことはいずれ伝わるでしょうし、そうなったらきっと連れ戻しに来るわ」

「じゃあ自由民にしてあげる。そうすれば手出しできないわ!」

「どうかしら」とアルゴニアンはささやいた。「アーチェインは自由民でもお構いなしに売りさばくわ。2人で安心して暮らそうと思ったら、モロウウィンドを離れるしかないの」

「わかったわ。さあ、キスしてちょうだい」

暮色が近づくなか、センドラサと波風を立てる者はスカイリムとの境界を目指し、北西に向けて旅立った。

「リフテンは安全かしら?」波風を立てる者はささやいた。追っ手をまくために、あえて道をはずれてからもう数日になる。

答えようとしたセンドラサの喉を、矢が射抜いていた。片手で矢をつかむ彼女。その目は驚愕にみひらかれている。すぐさま二の矢、三の矢が飛来し、ダークエルフが地面にくずおれたときには、とうに息はなかった。

「晴れて自由の身だな」そう言いながら、アルゴニアンの射手が暗がりから姿を現した。

波風を立てる者は言葉もなく、ただ呆然と射手を見つめた。

「手荒な扱いを受けてないか?」射手はそう言いながら近づいてくる。「これでブラック・マーシュに帰れるぞ。もう君は奴隷じゃないんだ」

波風を立てる者はセンドラサの亡骸にすがりつき、すすり泣くのだった。

塵の影Dust’s Shadow

彼女には、月光の閃きしか見えなかった。それが鋭い直線となって傍らに立つ男を射抜いたと思ったら、次の刹那、男はうめき声を漏らしてがっくりと膝をつき、そのまま横ざまに倒れていた。

「八大神の名にかけて、一体全体どうなってるの?」恐怖に駆られたローミンガはつぶやいた。が、それ以上言葉を継ぐことはできなかった。鱗に覆われた手で、口もとを覆われたからだ。

「これでカタはついた」低い、しわがれ声が言う。と同時に、ふわふわした灰の塊が空気を満たし、ローミンガは咳き込んだ。このアサシンはなぜ私を殺さないんだろう?

灰の霧が晴れると、ローミンガはその場に自分しかいないことに気づいた。傍らの地面に残った血の染みだけが、相棒が息絶えた場所を示している。目が暗さに慣れるのを待って、彼女は注意深くあたりを見まわした。やはり誰もいない。ローミンガは自由な両手で顔を覆い、祈りを唱えた。

カイネよ、わが女神にして導き手よ。トカゲ族の魔手から救ってくれたことを感謝します。必ずや奴らを根絶やしにせねばなりません」

「よく言った。ではその報いを受けてもらおう」

刃に肉を貫かれる感触を覚えた次の瞬間、傍らにアルゴニアンが現れた。ローミンガは口を動かすが、声にならない。アルゴニアンの武器が突き刺さった喉に、思わず両手がいく。

「お前が一味だという証拠はなかった」アルゴニアンはローミンガのシャツで刃を拭ってから武器を鞘におさめた。「やむなく引きあげようとしたところで、お前が自ら罪を認めてくれたのは助かったよ。そうでなければ、すぐにまた別のシャドウスケールを送り込むはめになるところだった」

ローミンガがくずおれるのを見ながら、シャドウスケールの暗殺者は付け加えた。「今やわれわれは全員がパクトに加わっているのだ…お前たちのような裏切り者以外はな」

言い終えると暗殺者は姿を消し、ローミンガも息絶えた。

浅いプールA Shallow Pool

浅いプールしか求めない
根を生やすための水
霧と影
空に向かって伸びる枝葉

恵みの雨しか必要はない
夜のとばり
ぬくもりと雨
暗闇を伝わる葉のざわめき

浅いプールしか望まない
思い出が抱かれ
古い物語が語られ
我をヒストと呼ぶ子らに取り巻かれる

美しきアルゴニアンの乙女Fair Argonian Maiden

来たれ、わが恋人よ、話そうではないか
来たれ、美しき乙女よ、語らおうではないか
鱗と鱗を触れ合わせ
頭のてっぺんから尾の先まで娶せようではないか
美しき乙女
ヒストの乙女
そして樹液にまみれた恋人よ

ストンフォールの伝承

Stonefalls Lore

エボンハート・パクトへの案内Guide to the Ebonheart Pact

エボンハート・パクトはモロウウィンド、スカイリム、ブラック・マーシュまでの広範囲に広がる各国に結ばれた予想外の同盟で、ダークエルフ、ノルド、自由アルゴニアンが共同防衛のためにまとまったものである。同盟国の大きさと距離のおかげで、パクトは内部の反目や不協和音とは比較的無縁な状態にある。ノルドとダークエルフには自国内で取り組むべき案件が非常に多く、お互い相手に干渉する時間がほとんどない。

エボンハート・パクトが生まれたのは第二紀572年、タムリエル北部への第二次アカヴィリ侵攻に対応するためだった。ノルド、ダークエルフ、自由アルゴニアンは、タムリエルの残りの地域を虐殺と隷属から救うために力を結集した。戦時中に結ばれたこの同盟は、大陸に急に登場した新興勢力となった。最初はダークエルフが昔からの宿敵および以前の奴隷との同盟を維持できると信じた者は少なかったが、色々なことがあった十年が過ぎたのちも、パクトは強力で無傷のままだった。

パクトは「グレートムート」が支配する。各国の種族代表が平等に扱われるこの評議会は、短期と大声で知られるだけでなく、相互の尊重と、どんなことがあろうとパクトを維持しようという驚くべき意志でも有名だ。平等でなければ、ノルドとダークエルフの誇りを満たし、以前は奴隷にされていたアルゴニアンの傷を癒すことができない。

不可欠、というより同盟の最も重要な一部であろうモロウウィンドのダークエルフは、よそよそしく誇り高く、そして非常に奇妙である。彼らは懸命に「劣等の」同盟国への軽蔑を隠そうとするが、現在の危機で競合する他同盟を寄せつけないためには、ノルドの強い武力とアルゴニアンの策略に富んだ機知が必要なのだ。ダークエルフは天才的な器用さと深い経験を武器にして、パクトに不可欠な反応と即応能力を提供している。アルドメリ¥ドミニオンにもダガーフォール・カバナントにもこれほどの力はない。パクトは優秀な戦士と妖術師を配置している。そして他の種族には匹敵するもののない財産がある。3人の生き神、アルマレクシア、ヴィベク、ソーサ・シルがその中にいることだ。

スカイリム東部のノルドは恐れを知らず攻撃的で、勤勉かつ進取の気性に富む。彼らは戦争に秀で、交易で栄え、探検家、開拓者として他に並ぶ者はいない。力強く、頑固で、たくましい彼らには戦いで問題解決を図る習慣がある。ノルドは陽気に戦闘になだれこみ、その獰猛さは敵を恐れ震撼させる。彼らはそれを認め、エボンハート・パクトのための突撃隊という役割を楽しんでさえいる。ノルドは率直で企むところがない。そのためグレートムートの会議では単純な解決法を支持するが、悪賢いアルゴニアンや抜け目のないダークエルフに投票で負けることもよくある。しかし戦場において彼らに勝る者はいない。パクトの将軍はノルドであることが多く、戦場の戦士のほとんどもまたノルドである。ノルドにはこだわりがない。これは戦利品を最初に獲得するという意味でもある。

アカヴィリに対して決然と武力介入したことにより、ブラック・マーシュのアルゴニアンはダークエルフの奴隷状態から自由を獲得し、その教訓から彼らはパクトの重要な一員となった。控え目かつ異質な彼らの無表情と抑揚のない話し方は他の種族に真の動機を理解させづらくしている。それでも彼らには冷静な知性がある。信頼するのは遅く、理解するのは難しいが、生得の敏捷性のおかげで、彼らは魔法も隠密活動も武器も同じように軽々と操ってみせる。長年国境を防衛してきたため、戦争において、より強力で昔ながらの組織化された軍隊に対しての専門家である。陸でも水中でも同じようにやすやすと動ける彼らは、パクト軍のために偵察隊、前衛隊の役割を果たしている。アルゴニアンの文化の他の側面は部外者にほとんど理解不能で、そこには彼らの社会的階級や集団意思決定も含まれる。彼らの代表が説明なしに奇妙な提案をすることがあるが、同盟国は彼らのやることにすべて必ず理由があることを学んだ。

今日、スカルド王の若きジョルンがムートの実質的上級王になっているが、必ずしも同盟全体の支持を得ているわけではない。パクトの一員として同盟を維持し結束させるために奮闘しながらも、各国は各々内部の脅威にも対応しなければならない。野戦でドミニオンやカバナントと対面する前に、未解決のこうした脅威のために自滅する可能性もある。

スカイリムのノルドNords of Skyrim

我が民、我が誇り

フロスムンド・ウルフハート 著

尊敬すべき読者よ。私はフロスムンド・ウルフハート、ノルド人だ。しかし何より重要なのは、私がスカイリムで育ったノルドである点だ。

本書は、タムリエルの人々に、知られるべき我が民について知ってもらい、この地方の真の姿、すなわち争う余地のないその美しさと文化の地である事を理解してほしいという切なる願いをもって書いている。

よく知られている点のいくつかは、間違いなく真実だ。身体的にも、ノルド人は印象的で人目を引く。身長が高く、骨は強く、筋肉は太い。髪は金髪で、先祖からの伝統に則って編んでいる。スカイリムは毛皮となる生物の宝庫であり、そのような有効な資源を利用しないのはもったいないので、我々はよく毛皮を身にまとっている。

ここまで読んだところで、私の言葉の強さと、北方の「野蛮人」としての教養に驚いただろう。そう、多くのノルド人は読み書きができる。子供の頃、父が書き方を教えてくれたのだ。その父も、またその父もそうだった。

スカイリムの子供達がたしなむのは、言語技術だけではない。私たちは職人でもあり、彫刻家が陶器を作るように、我々は代々、鋼の扱いを学んできた。

実際にハイロックとシロディールから来た旅人が、スカイフォージの火で鍛造され、グレイ・メーン家の神業ともいえる職人の手によって危険なまでに美しく磨き上げられた剣を見て、信じられないという様子で嘆くのを私は見た。

だがそんなことが可能なのか、と諸君らは疑問に思うかもしれない。雪と泥に覆われた地から出たことのない者たちに、そのような偉業を成し遂げることができるのだろうか?もう一度言うが、そうした地域的な偏見は真実を曇らせる。

スカイリムの街は、どれもノルドの創意力と職人芸の証だ。主要都市は以下のとおりである。ソリチュード—上級王の王座があるスカイリムの首都。ウィンドヘルム—古く名誉ある雪中の宝石。マルカルス—遥か昔から存在する、岩盤を削って造られた町。リフテン—秋の森の金色の影に位置し、極上の魚とハチミツ酒を生み出す街。そしてホワイトラン—ジョルバスクルを囲むように造られ、高貴なる同胞団や人々から崇拝されるスカイフォージの故郷。

尊敬すべき読者よ、以上が全体像だ。我々ノルドは諸君らの想像通りであり、また、それ以上でもある。

しかし、本書を真実への唯一の入口と捉えないでほしい。馬車または船を予約して、北方へ旅をしてみるといい。スカイリムを自分の目で確かめてみるのだ。神が最初に世界を形作ってから変わらぬスカイリムの姿を、ノルド人と同じ目線で見てもらいたい。

ダンマーの名家の格言Mottos of the Dunmeri Great Houses

ヴィリン・ジリス 著

息子よ、簡単な事実さえ覚えられないお前の無能さのせいで、ことあるごとに我が一族は恥をかく。これはヴァーデンフェルの名家に語り継がれる言葉と、各家が守護者として祀っている聖人たちをお前に伝えるための記録であり、もしお前がまた、我が家の取引相手であるフラール家とドーレス家の商人貴族たちを混同するようなことがあれば、今度こそお前を勘当する。これは改めて言う、お前への最後通告だ。

レドラン家:「レドランは戦士であり、その務めは第1にトリビュナルに、第2にレドラン家に、第3に家族と一族に対し果たされるものである」

—レドラン家の守護聖人は指揮官、聖ネレヴァルである。

インドリル家:「正義は眠らない。インドリルが命じ、聖堂が裁きを下す」

—インドリル家の守護聖人は公正なる聖オルムスである。

フラール家:「公正かつ自由な取引が三大神を称える」

—フラール家の守護聖人は巡礼者、聖ヴェロスである。

ドーレス家:「無知蒙昧の民に文化と真実を広めよ。これが我らの責任であり義務である」

—ドーレス家の守護聖人は、敬虔なる聖ロシスである。

テルヴァンニ家:「力強い意志を表現することが、真の栄誉を先人に与える」

—テルヴァンニ家の守護聖人は殉教者、聖ヴォリスである。

第6の名家、影の家、ダゴス家に伝わる格言が欠けているのにはきっと気づいていないだろう。これはあの家がレッドマウンテンの戦いで滅ぼされ、断絶したからである。そののち残った名家がトリビュナルに捧げる聖堂を建立した。もしダゴス家のことを気族仲間の前で口にしたら、私はお前を勘当する。

気付いただろうが私はここまでで2度、お前を勘当すると警告している。これは私がメファーラやヴィベク卿ほど冷酷ではないということだ。私の心は弱く、お前を家族から簡単に取り除けずにいる。

この文章を肌身離さず身に付けていなさい。そしてこの家訓を見ては我が身の行いを正し、貴族の立場に恥じることのないように。お前の愚かさで我が一族を汚すことのないように。2度とお前を人前で大ばか者と呼ばずにすむことを願っている。

私たちの中のアルゴニアンArgonians Among Us

シル・ロスリル 著

アルゴニアンは鱗に覆われ、知性に劣り、我々の日常生活の一部となっている。モロウウィンドとその周辺地域では、どの都市、どの街にもその姿が見られる。我々の食事を運び、子供たちに服を着せてくれる…しかし実際のところ彼らは何者なのだろう。

アルゴニアンは元々ブラック・マーシュとして知られる地域の出身だ。じめじめとした陰鬱な土地で、沼気を発し、虫がうじゃうじゃといる。その生まれ故郷でアルゴニアンは悪臭を放つ水溜りに住み、原始的な部族の神を信仰している。彼らの民間魔術と単純な部族の軍隊は、人間や勇敢なエルフに対してきちんと防御できたことはなかった。

沼地はシロディール軍により第一紀2811年に初めて制圧された。この残虐で気まぐれな人間たちは、人間の山賊王の支配を終わらせるためだけにその地域に侵入したのだった。籠手をつけた手の文明がアルゴニアンの元に入ってからは、彼らの故郷は主に流刑囚の土地の役目を果たした。無思慮で野蛮なシロディール人は無情にも最も暴力的で不安定な犯罪者たちを沼地に放った。

ほぼ600年前、この鱗のある召使の種族の生活にダークエルフが介入した。第二紀の黎明期に我々は本格的にアルゴニアンと共に働き始めた。部族全体がヴァーデンフェル、ストンフォール、デシャーンの安全で乾いた気候の土地に移住した。我々は彼らのかなり恥ずかしい外見を隠すために衣類を作り、世界に送りこんだ。彼らが新しい環境で学び仕えるためだ。我々の気前のよい行為に対して、アルゴニアンには見返りをほとんど求めなかった!それでもあの悪臭放つ地の住民全員が本当に感謝しているわけではない。

事実、我々の時代の密接な協力関係は数年前に終わりを告げた。ナハテン風邪の名で知られる恐ろしい病気が沼地の奥深くの瘴気から生まれ、地域一帯に広がった。アルゴニアンの呪術師の手による産物と噂された病は、爬虫類を先祖に持つ者以外を襲い、数えきれないほどの犠牲者を出した。最も悲劇的だったのは、他の種族がアルゴニアンを疫病を広めた者として恐れるようになったことだ。我々がアルゴニアンを発見の旅に送りこもうとするたびに、拒絶されてしまった。

現在、もちろんアルゴニアンはエボンハート・パクトにおいて共に立ち並んでいる。かつては単なる召使だったが、今はこの単純な爬虫類の評価が高まった。彼らは我々の軍事同盟において強力で誇り高い貢献者であり、家庭においては家族の面倒もよく見てくれる。

私たちの中のアルゴニアンは、生活を豊かにしてくれる存在だ。

先人とダンマー(要約)Ancestors and the Dunmer (Abridged)

彼らと共に歩む亡霊

ダンマーの死者の魂は、他の種族でも皆そうかもしれないが、死後も生き続ける。亡くなった先人達の知識や力はダンマーの家に恩恵をもたらす。生きている家族と先人を繋ぐものは血や儀式、そして意志である。結婚したことで新たにその家族に加わった者は、儀式と家に対する誓いを行うことによって家の先人と交流を図り、恩恵を受けられるようになる。とはいえ、結婚して家に加わった者は純潔の者と比べると先人との繋がりは薄く、自分自身の先人との繋がりも保ち続ける。

家の祠

それぞれの家にはその家の祠がある。貧しい家では、家族の遺品が置かれて崇拝するだけのただの暖炉棚程度の物かもしれない。裕福な家では、先人専用の部屋が用意されている。この祠は待機の扉と呼ばれ、オブリビオンへの扉を表している。

ここで家族の者は捧げものや祈り、責務の誓い、家族にあった出来事の報告を通して先人達に敬意を払うのである。その見返りとして家族は先人達から情報をもらったり、指導を受けたり、祝福を与えてもらう。このため、先人達は家、特に待機の扉との境界線における守護者なのである。

定命者の戦慄

霊魂は定命者の世界を訪れることを好まず、訪れるのは義務感や責任感によるものでしかない。向こうの世界の方が楽しく、少なくとも冷たくて厳しい、痛みと喪失感に溢れた現実世界より居心地が良いと魂は言う。

狂った霊魂

自分達の意思に反して我々の世界に留まることを余儀なくされた霊魂は、狂った霊魂や亡霊となる可能性がある。死ぬ際の状況が悲惨だったという理由や、人物や場所、物にとても強い感情的な結び付きがあるために留まっている魂もいる。これらを呪縛霊と呼ぶ。

ウィザードが魂を魔法のアイテムに縛りつける場合もある。もしそれが本人の望むものでなければ、その霊魂は狂ってしまう。望んでいた者の場合、正気を保てるか保てないかは、霊魂の強さと付呪師の知識次第である。

他にも、自分達の意思に反して家族の祠を守るために縛りつけられている魂もいる。この苦しい宿命は生きている間、家族にきちんと役目を果たさなかった者に待ち受けている。忠実で立派だった先人の魂は、言うことを聞かない魂を縛り付けるのに手を貸してくれることも多い。

こうした霊魂は通常狂ってしまい、恐ろしい守護者となる。儀式によって彼らは一族の者に害を与えないようになっているが、だからといって彼らの悪戯や気難しい態度を軽減させることはできない。彼らは侵入者にとって非常に危険な存在である。しかし侵入者が霊魂の怒りを見抜き、その霊魂の家に対する怒りをうまくかきたてることができたら、その怒った魂を操ることができてしまう。

オブリビオン

オブリビオンの存在はあらゆるタムリエル文化で認識されているものの、その別世界の性質については様々な説がある。皆が同意しているのはエドラとデイドラが住んでいる場所であり、この世界とオブリビオンは魔法と儀式を通じて交流や行き来ができるということくらいである。

ダンマーはこの世界とオブリビオンの違いについてタムリエルの人間文化ほどは重要視していない。彼らは我々の世界ともう一方の世界を違う性質を持った明確な境界で分割された別々の世界と考えるのではなく、双方を行き来することのできるいくつもの道で繋がった1つの世界として捉えている。この哲学的な視点があるからこそ、エルフは魔法やその実践に高い親和性を持っているのかもしれない。

他の種族から見たダンメリの先人崇拝と霊魂の魔法

アルトメリとボスメリ文化にも先祖を敬う風習があるが、こちらの世界から別の世界に通じる秩序だった幸福な道を大事にするだけである。ウッドエルフとハイエルフは我々の世界に霊魂を引き止めようとすることは残酷かつ自然に反することだと信じているのだ。さらに彼らにとってゴーストフェンスやアッシュピットに先祖の死体の一部を使用することは、奇怪かつ不快な行為と言える。例えば、家族の祠に指節骨を飾っておくことはボズマー(死体を食す種族)にとって冒とく的な行為であり、アルトマー(死者の灰を埋める種族)にとっては野蛮なことなのだ。

タムリエルの人間はダークエルフを教養はあるがオークやアルゴニアンと同じ邪悪な存在と見なしているため、彼らとその文化については無知で、恐れる傾向がある。タムリエルの人間は、ダンマーの先人崇拝と霊魂の魔法は死霊術と関連があると考えている。実際、このダークエルフと死霊術との関連性は、タムリエル中に広まっているダンマーにまつわる黒い噂と少なからず関係しているだろう。しかし、認められた種族以外の儀式で死霊術を行うことはダンマーが最も忌み嫌う行為であるため、これは無知による誤解と言える。

ダークエルフはどんなダークエルフにも、またどんなエルフの死体にも死霊術の魔法を施そうなどとは絶対に思わない。しかし彼らは人間やオークといった種族は動物と大差ないと考えている。そのような種族の死体、または動物や鳥や昆虫の死骸に対する死霊術は禁じていない。

闘争家の兄弟The Brothers of Strife

ニリ・オマヴェル 著

アッシュランドのエルフたちは無敵だと、私の仲間の学者たちに信じこませられただろうか。彼らはレッドマウンテンやその他の勝利、例えばドゥエマーに対する激戦を証拠として挙げる。しかし遠い昔、我らが民はスカイリムの山腹のように広がっていた。その遠い昔、我々はぎりぎりのところまで追いこまれた。

レッドマウンテンの前の時代、我々はチャイマーと呼ばれていた。我々は内海のほとりで何とか食いつなぐエルフの一種族に過ぎなかった。

それからネードがやってきた。今日のノルドは同盟だが、ネードは闇の性質を持つ敵だった。彼らは我々の土地だけを狙い、征服し、略奪した。我々は外交の手を差し伸べたが、撥ねつけられた。移動する集団においてはどんなエルフも格好の的だった。男も女も子供も。

当時の最も偉大な将軍は兄弟だった。バルレスとサダルは敵軍に対する意気盛んな戦士を率いた。最初は敵をアッシュから追い払おうという試みだった。戦争が続くにつれて、彼らの行動は純粋に防御と方向転換に変わった。チャイマーの部隊が血をもって村の民を避難させられるのであれば、その血は流す価値があったとみなされた。

ネードは数年後、我々が今ストンフォールと呼ぶ地のほとんどを支配した。チャイマーの軍隊は内海から追放され、援軍はヴァーデンフェルから切り離された。兄弟は撤退を重ね、最後には選りすぐりの妖術師と部隊からなる小さな集団だけが残った。この集団はその後、古代のデイドラの遺跡に避難した。

遺跡で起きたできごとは歴史の中に埋もれてしまったが、現在、その地を特徴づける大量の像が無言の証人として残っている。チャイマーの将軍たちの死により戦争は終わった。だが、その代償は?

この遺跡でいわゆる闘争家の兄弟が生まれた。私の研究によればヴァーデンフェル出身のチャイマーの魔術師がどうやら獣を支配したらしいが、それまでには兄弟が何百人もの人間とエルフの命を奪っていた。我々の民の最も暗い歴史がその後に続いた。止まらなくなった獣がアッシュを駆け回り血で染まらせたのだ。チャイマーもネードも同じように。

兄弟がどうやってニルンに持ち込まれたかは推測するしかない。デイドラ公が彼らを遺跡へ召喚したのかもしれない。笑うシェオゴラスか、ボエシアからの厳しい生き残りの試験かもしれない。

二匹の野獣は最終的にストンフォールの双子の尖塔に突き立てられ、爪で汚した血の歴史と共に休息についた。我々は彼らのような者が二度とアッシュランドに現れないよう希望し、トリビュナルに祈らなければならない。

名家とその特権The Great Houses and Their Uses

テル・ヴェラノ 著

アッシュランドに住めば厳しい暮らしに慣れるだろう。怒れるクワマー、毒キノコ、部族の襲撃者。どれも相手を殺そうと狙っている。みすみす殺されることのないように。

ここにダークエルフの名家に関する覚書をまとめる。使うもよし、使わぬもよし。判断は任せる。ただドーレス家の奴隷キャラバンにいる自分に気づいたとしても、テル・ヴェラノに忍び寄るのは勘弁してほしい。

インドリル家

内海の南岸近くのどこかにいるなら、インドリル家が采配を振るっていることだろう。アルマレクシアの犬たちはストンフォールとデシャーンの有力な家のほとんどの主導権を握っているし、ドーレス家には金があり、レドラン家には武力がある。だが騙されてはならない。青い帽子がアッシュランドの精神的中心を握っているのだ。

彼らの紋章を見たことがあるだろうか?翼があって、我々の頭上を高く飛べる。彼らは我々をそんな風に見ている。自分たちの下に。自分たちよりも遥か下に。ストンフォールの軍隊は地域で最も強力な軍隊のひとつで、インドリル家の戦争の英雄、タンバルがその頂点にいる。

ヒント:誰よりも先にインドリル家の軍隊に賄賂を渡すべし。彼らは最も顔が利く。聖堂に侵入しようとしないこと。砦のようなものだから。インドリル家の服を着た者はストンフォールとデシャーンに重要な影響力がある。もっと簡単な目標を探せ。

レドラン家

義務。名誉。愚行。一般の民はレドラン家をパクトの強力な利き腕と考えている。野外でパクトの士官の集団を見かけると、彼らは最も印象的な帽子がこの誇り高き一族に属しているように見せかける。

現実は少し違っている。赤い帽子の部隊は確かにパクトの軍隊を動かしてはいるが、下から支えているのであって、上から支配しているのではない。アルゴニアンの偵察部隊とノルドの狂戦士たちもまた多くの部隊の指揮を執っている。この話を隠そうとする理由?高潔なレドラン家はそもそもパクトが組織されたことをいまだに快く思っていないのだ。彼らの軍人らしい大胆さはアルゴニアンの隠密ぶりとノルドの勇気に比較するとやや薄っぺらく見える。

彼らの諺からひとつ引用しよう。「人生は厳しい。判断し、我慢し、熟考せよ。軽率な人生は生きる価値がない」それですべてうまくいっていたのは、外見の異なる民が来るまでのことだった。その後は、嘘をつき気取って歩く庶民の時代となった。

ヒント:レドランの部隊はユーモアのセンスはないが、強欲だ。充分なものを提供すれば、自分の母親でさえ売り飛ばすだろう。レドランは絶対に面と向かって侮辱してはならない。いや、どんな状況であれ侮辱してはならない。彼らは訓練場で噂話をする傾向がある。スリを働く気なら、レドランは格好の標的だ。逃げ道だけは確保しておくように。さもないと思っているより早くトリビュナルに合う羽目になるだろう。

フラール家

フラール家は称賛しないわけにはいかない。パクトの連帯に関して有言実行してみせたのだから。だが古くからの敵や奴隷を急に愛するようになったというわけではない。いや、フラール家の大師範はただ他のほとんどよりも賢いというだけのことだ。手を広げてみせれば、背中に隠した短剣には気づかれにくいというものだ。違うだろうか?

最も有力な地位はインドリル家が権利を持つ一方で、フラール家はデシャーンを狡猾に支配している。配下の最大の都市はナルシスで、モーンホールドにさえかなりの影響力を持っている。フラール家の宿屋と大農園はストンフォール南部のここかしこに見られる。その設計図をよく学ぶといい。建築業者の多くは同じ設計図を繰り返し使っている。フラールの宿屋の隠れ場所を一つ知ったら、すべての宿屋について知ったことになる。

ヒント:フラールの部隊はデシャーンのクワマー・クイーンのようだ。彼らに対抗するにはそれを使え。デシャーンの外に出ると、フラール家の者は自分が灰嵐に立っているような気持ちがするらしい。彼らにどこで会おうとも黄色い帽子がよい目印になる。とことん活用するとよい。

ドーレス家

ドーレス家のことは知っていると思っているのではないだろうか。階級の役割に厳格な、血も涙もない奴隷商人。庶民を見るやいなや売り飛ばす傲慢な上流階級。

かなりのところは当たっている。「ドーレスに関わるな」と頭の中にぐるぐる浮かぶことだろう。ただこういう声も聞こえる。「テル、彼らは使い道もわからないほど多くの金を持っている」それもまた正しい。平均的なドーレスの一員は、最も熟練したスリでさえその気にさせるほどの宝石を見せびらかしている。

友よ、その敏捷な指は抑えておくことだ。ドーレスの正義はオーディネーターや地元の衛兵を悩ませることはない。ドーレスに関われば、消えるのみ。死ぬかどこかの上流階級の大農園の奴隷になる。

ヒント:硬貨はすべて奴隷商人の財布に結びつけられている。ドーレスには関わるな。

テルヴァンニ家

この魔術師の家で良い点はひとつだけだ。パクトに関して文句を言わない。彼らが気にかけているのはテルヴァンニの海岸沿いの聖域だけだ。パクトが作られたとき、彼らは予想外の方法でロープを手に入れ、見つけられる限りの室内履きを吐き出した。彼らはトカゲともノルドとも仲良くはない。別の家の大師範を助けるために道を渡ることもしない。簡単に言えば、彼らは古典的な象牙の塔の魔法使いだ。

それ以外の茶色の帽子に関する話は悪いものばかりだ。彼らはドーレス家と同じくらいの奴隷を動かしている。テルヴァンニ家の貴族であるためには、かなりの力が必要だ。きちんとした身なりの茶色の帽子を間違ったやり方で見てしまったら、彼らは相手の顔を溶かしてしまうだろう。彼らは素晴らしい魔法の宝と、干からびた一斤のパンでも取り替えられないような本に同じ価値を見出している。

ヒント:暴れまわるデイドラは私に魔術師の塔を攻撃させることはできなかったが、どうしてもニルンを出たいのならば、炎と霜に対する防御効果を魔法で付与された鎧を勧める。それからできるだけ長く塔を観察すること。そこに魔法の防御の印が見られれば、たぶん修復のために外に出なければならないだろう。路上で幸運に恵まれることがあるかもしれない。新しい略奪品はじっくり観察するといい。宝の中には防御の力が既に備わっているものがある。

様々な宗派:アルゴニアンVarieties of Faith: The Argonians

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

最も同化した少数を除いて、アルゴニアンはエドラもデイドラも崇拝しない。彼らにはタムリエルの他の地域で「宗教」として知られるものが存在しない。彼らがブラック・マーシュのヒストの木を崇めているのは知られているが、祈祷や聖職者や聖堂といったものはないようだ。

アルゴニアンはシシスも崇拝している。神々が生まれるまえに存在した原始的な影と混沌である。タムリエルの民のほとんどとは異なり、彼らはシシスを「悪」とは捉えない。実際、アルゴニアンで影座のもとに生まれた者は誕生時に連れ去られ、闇の一党に捧げられる。闇の一党は社会に不可欠な一部と考えられている。

様々な宗派:ダークエルフVarieties of Faith: The Dark Elves

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

ダンマーは、エドラを崇拝するアルドメリから異端とみなされるチャイマーの子孫である。アレッシア改革はモロウウィンドで起こらなかったため、神殿はタムリエルの他の地とは類似していない。ダークエルフの元々の宗教は「善きデイドラ」と呼ばれるデイドラ公の崇拝だったが、ほとんどの者が「生ける神」トリビュナルを崇拝するようになった。

トリビュナル

アルマレクシア(モロウウィンドの母):

古代チャイマーの伝説からは、彼らが「大脱出」と呼ぶ一件の間にアーリエルの痕跡のほとんどが消えてしまっている。これはアルトマーとの繋がりが強く、彼らに人気があったことが主因だとされている。しかし、定命の各種族が重要視するアーリエルの要素の大半、すなわち不死性、歴史性、そして系統は、モロウウィンドの神聖なるトリビュナルの中でも最も人気のあるアルマレクシアに都合よく反映されている。

ヴィベク(モロウウィンドの主):

ダンマーの詩吟を詠む戦神であるヴィベクは聖なる地の目に見える管理人で、火山の邪神たち相手に警戒を続け、第二紀572年に1日だけ水中で呼吸する方法を教え、モロウウィンドを冠水させてアカヴィリの侵略者たちを排除した件を初め、ダンマーの民を何度も滅亡から救っている。

ソーサ・シル(モロウウィンドの謎):

ダンマーの神、ソーサ・シルは神聖なるトリビュナルの中でも最も知名度が低く、機械仕掛けの秘密都市から世界を作り変えつつあると言われている。

「善き」デイドラ

ボエシア(策略のデイドラ公):

預言者ヴェロスによって代弁されたボエシアは、ダークエルフの神にして開祖である。ボエシアがもたらした光により、やがて「チャイマー」、もしくは変容せし者と呼ばれる一族はアルドマーとの縁をすべて切り、デイドラの理念に基づいた新しい国家を設立したのだった。哲学、魔術、そして「責任ある」建築など、ダークエルフのあらゆる文化的な「進歩」はボエシア由来のものとされている。ヴェロスが古代に説いた説話はいずれもボエシアがあらゆる種類の敵に対し英雄的な成功を収める展開となっており、チャイマーの先駆者ゆえの苦労を反映したものとなっている。ボエシアはアルマレクシアの守護者としても知られている。

メファーラ(両性をもつ者):

メファーラは糸を紡ぐ者、すなわち蜘蛛の神である。モロウウィンドではチャイマーに敵から逃れ、殺す術を教えた先人とされている。チャイマーは小規模の集団だったため、敵は無数にいた。メファーラはボエシアと共に、やがて名家となる部族のシステムを生み出した。また、モラグ・トングも設立している。ヴィベクの守護神とも呼ばれる。

アズラ(黄昏と暁の女神):

アズラはチャイマーらに、自分たちがアルトマーとは別の存在たりえることを教えた先人である。その教えは時にボエシア由来とされることもある。伝説ではアズラは1人の先祖というよりも、一族共通の開祖として登場することが多い。ソーサ・シルの守護者としても知られている。

不在の神

ロルカーン(不在の神):

この創造者、詐欺師にして試練を与える神は、タムリエルに存在するどの神話にも登場する。彼の最も一般的に知られる名前はアルドメリの「ロルカーン」か破滅の太鼓である。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ロルカーンは神の中心地から離れ、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって大きく違う。例えばモロウウィンドではサイジックの企て、すなわち定命の者たちが創造主である神々を超越する試みに関与しているとされている。

災厄の四柱神「試練の神」

崇拝ではなく、宥め、和らげる対象の敵対する神

モラグ・バル(企みの神、残虐の王):

モロウウィンドで重要な地位を占めるデイドラ。同地ではどこへ行っても策略のデイドラ公ボエシアの宿敵とされている。ダンマー(およびその先達であるチャイマー)の直面する苦境の主な出どころである。伝説では、モラグ・バルは常に名家の血統を壊そうと試み、ダンマーの純血を台無しにしようと試みている。モラグ・アムールに住んでいたと言われる怪物の種族は、前紀に行われたヴィベクの誘惑の結果であるという。

マラキャス(呪いの神):

ダンマーの神話では、ボエシアがアルドマーの英雄神トリニマクを飲み込み、排出したものがマラキャスとされる。弱いが復讐心に燃えた神である。ダークエルフは彼がオークの神王マラクだと言う。彼はダンマーの身体的な弱さを試す。

シェオゴラス(狂神):

シェオゴラスに対する恐怖は広く普及しており、タムリエルのほとんどの地域に見られる。最近の知見では由来がアルドマーの創世話にあるようで、ロルカーンの神性が失われたときに「誕生」したものとされている。重要な神話の一つではシェオゴラスを「シシスの形をしたこの世の穴」と称している。彼はダンマーの心の弱さを試し、名家を互いに裏切らせようとする。

メエルーンズ・デイゴン(破壊の神):

人気のあるデイドラ。火炎、地震、洪水などの自然の脅威に関連づけられている。一部の文化集団で、デイゴンは単に流血と裏切りの神となっている。モロウウィンドではとりわけ重要な神であり、その地の限りなく不毛に近い地形の象徴とされている。

様々な宗派:ノルドVarieties of Faith: The Nords

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

八大神

カイネ(終末の口づけ):

ノルドの嵐の女神。ショールと死に別れている。戦士たちが好んで信仰する。しばしば人類の母と呼ばれる。嵐の声を意味するスゥームを初期のノルドたちに教えたのはカイネの娘たちだとされている。

マーラ(愛の女神):

ノルドの神話で、マーラはカイネの侍女にしてショールの愛人とされている。多産と農業の女神として、マーラは時にアヌアドのニール、すなわち宇宙の女性的基盤であり、創造を生み出した存在と関連づけられている。

ディベラ(美の女神):

八大神の一員で人気のある女神。シロディールでは様々な分派が存在し、女性を尊ぶもの、芸術家や美学を尊ぶもの、性愛の指導を身上とするものなどがある。

ストゥーン(身代金の神):

ツンとは兄弟であるノルドの神で、ステンダールの原型と言える。ショールの盾の従士であったストゥーンはアルドマーの神々と戦った戦神であり、人間たちに敵を捕虜にとる方法と、そうすることの利点を伝授している。

ジュナール(ルーンの神):

知識と秘密を司るノルドの神にして、ジュリアノスの先駆者。気まぐれで戦いを好むノルドの間では人気がなく、崇拝は消えようとしている。

ショール(死の国の神):

ロルカーンのノルド版であり、世界の創世後に人間たちに味方するものの異国の神(すなわちエルフのものなど)の共謀により倒され、ソブンガルデへと送られてしまう。アトモーラの神話では抑圧側のアルドマーに対しノルドらを何度も何度も勝利へと導く血に飢えた武将として描かれている。転落する以前のショールは主神であった。子供たちに神の異名で呼ばれることがある(オーキー参照)。「死んだ神」と考えられるショールには司祭がおらず、積極的に崇拝されている訳ではないが、誓いに使われることは多い。

オーキー(叩く者):

定命の神。オーキーはモーロッチとアーケイの側面を組み合わせている。ノルドの「借り物の神」で、アルドマーがアトモーラを支配していた時期に信仰が始まったようだ。ノルドは自分たちがかつて、オーキーが現れるまではエルフに匹敵する長寿であったと信じている。野蛮な策略により騙されて取引をし、冬を数える運命に縛られたのだとされている。伝説では一時オーキーの邪悪な魔術により、ノルドの寿命がわずか6年間まで落ち込んでいたことがあったそうだが、ショールが現れ、何らかの方法で呪いを解き、その大部分を近くにいたオークに肩代わりさせたものとされている。

アルドゥイン(世界を喰らう者):

アルドゥインはアカトシュのノルド版というべき存在だが、帝国の八大神との類似点は表層的なものにとどまっている。例えばアルドゥインの二つ名である「世界を喰らう者」は、この世を生み出すために前の世界を破壊した恐ろしく強大な炎の嵐としてアルドゥインを描く神話に由来している。ノルドらはすなわち、時の神を創造主でもあり、終末を伝える者でもあると認識している。アルドゥインはノルドの主神ではなく(主神はいない。ショールの項参照)、その恐ろしく、暗い水源的存在と見なされている。

アルドゥインは以前の世界を破壊し、この世界の作成を可能にしている。この世界も破壊し、次の世界の作成を可能にするだろう。アルドゥインは、以前竜教団に崇拝されていた。しかし、竜教団が非合法化されてから長いため、アルドゥインを公然と崇拝する者はいない。

ハルマ・モラ(ウッドランドの男):

古代アトモーラの魔族、「知識の悪魔」で、ノルドたちを誘惑してアルドマーに変える寸前までいったことがある。イスグラモルの神話の大半はハルマ・モラの企みをかわす話がほとんどとなっている。ボズマーとは異なり、ノルドはデイドラであることを否定していない。

モーロッチ(オークの神、山の屁):

ノルドにはデイドラ公マラキャスと同一視されているモーロッチは、戦いを通して試練を与える。モーロッチはハラルド王の世継ぎたちを長きに渡り苦しめた。第一紀660年に竜の壁の戦いでの敗北後、東方に敗走したという。その憤怒は空を憎しみで満たし、後に「夏中の冬の年」と呼ばれるようになったという。

死せる神

ツン:

今では消滅してしまっている、逆境に対する挑戦を司るノルドの神。ショールを異国の神々から守ろうとして命を落とした。

生産の本

Crafting Books

クラフトモチーフ1:ハイエルフスタイルCrafting Motif 1: Altmer Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

この小論集は、タムリエルの主要文化の1つひとつにつき、それぞれを他と分かつ象徴的および様式的特徴を芸術作品や工芸品から抽出し、大づかみに概観しようという試みである。論考の焦点は、さまざまな種族の携行耐久財、すなわち、衣類、装飾品、武器防具などに当てられることになるだろう。なぜなら、それらには個々の文化の表情が如実に現れるからだ。この小論集が完成した暁には、アルケイン大学の初等民族誌学コースのカリキュラムで教材として使われる予定である。

本稿の筆を起こすにあたって、まずはハイエルフ、すなわちサマーセット諸島に隠遁するアルトマーを取り上げたい。というのも、タムリエルの文明は旧エルノフェイのアルドマーによってもたらされたという議論が可能であり、実際、そういった議論がしばしばエルフたちによって提起されるからだ。確かに、サマーセット諸島のエルフが神話紀の先祖から受け継いだ遺産を守るために意識的な努力をする限りにおいて、第一紀以前の社会の伝統に最も近いのは、彼らの伝統であることは間違いない。

もっとも、だからといって、最初のアルドマーがこの大陸にやってきて以来数千年のあいだに、ハイエルフの文化が次第に本流からはずれ、さまざまに枝分かれしていないとは言えない。なぜなら、それは事実に反するからだ。むしろ、現在のアルトマー文化を歴史家の目で見れば、そこには文化的起源の輪郭がかろうじて見て取れる、と言えるに過ぎない。

今後の研究の端緒となるだろうこの仕事において、私はここアルケイン大学で教鞭を執る変性意識学の泰斗、モリアン・ゼナス教授から助言を賜る幸運に恵まれた。ゼナス教授は本学の教授陣で唯一、サマーセット諸島を訪れた経験があり、具体的にはアルテウムでしばらく過ごしたほか、ダスクにも乗り継ぎの際にごく短期間ながら滞在している。

聖堂地区にある教授の住まいを初めて訪ねたときには少々恐れをなしていた私だが、実際に会ってみると、教授は気難しいという評判が嘘のように魅力的な老紳士だった。モリアン(教授がそう呼んでほしいと言うので、あえてこう書くが)が夕食を食べていくよう勧めてくれたので、私は教授の弟子で無駄口をきかないアルゴニアン、セイフイジ・ヒッジャの給仕で供応にあずかった。

モリアンの説明によると、ハイエルフはシンプルな美しさをそなえたデザインを旨としており、流れるような線は自然界の優美な造形を反映しているのだという。多かれ少なかれ抽象的に描かれた鳥や花、貝殻といったものはよくあるモチーフで、それらが豊かな、それでいて抑えた色調で描かれる。鎧には鱗や羽毛の模様が刻まれ、重いキュイラスや兜にさえ、翼や嘴を模した意匠が凝らされる。

金属製品にはしばしば、「碧水晶」と呼ばれる緑がかった半透明な材質でアクセントが添えられる。これは一種のヒスイ様黒曜石であり、アルトマーにしか知られていない秘密の手法によってそれを加工するすべを、エルフの鍛冶屋たちは習得したのである。冷やせば切れ味鋭い刃になるほど硬い反面、可鍛性を持たせることができるため、ほぼどんな形にも整えられる。ハイエルフは装飾を凝らした武器防具の作製に、この碧水晶という素材を広く用いている。

夕食のあと、2人でシロディールブランデーのグラスを傾けながら、私はモリアンから質問攻めにされた。モチーフに関する研究計画のこと、私自身のこと…。これは面映ゆくもたいへん嬉しい経験だった。もう一度彼と話をする口実を見つけなければ。

クラフトモチーフ2:ダークエルフスタイルCrafting Motif 2: Dunmer Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

ハイエルフの次はダークエルフについて考察するのが自然だろう。なぜなら、モロウウィンドに移り住む前の彼らの故郷はサマーセット諸島だからだ。それゆえ、ダークエルフの文化はアルトマー文化から枝分かれしたものと考えることもできるが、多くの意味で、ダンマーの文化はサマーセット文化の延長というよりは、それに対する反発として生まれたものと言える。

ところで、モリアンからディヴァイス・ファーというダークエルフを紹介された。教授によれば、「変性意識状態による逗留」なるプロジェクトを手伝ってもらっているパートナーだという。いったいどういう内容なのか見当もつかないが、それでもディヴァイス本人からダンマー文化のことならなんでも訊いてほしいと言われたので、私としては断る理由もなかった。

優美さを重んじる程度においてはダークエルフもハイエルフに引けを取らない。が、それ以外の点では、2つの種族の様式はこれ以上ないほど違う。モロウウィンドは風光明媚なサマーセット諸島とは比べものにならないぐらい自然環境が厳しく、その過酷さがダンマーのデザインに反映されているのである。ダークエルフもまた自然からインスピレーションを得るが、鳥や植物のモチーフに代わって、ダンマーはモロウウィンドに生息する巨大な昆虫の甲殻が持つ、曲面や尖りで構成された形状を模倣する。それらは優美ではあるが、同時に恐ろしげでもあり、ダンマーが生存をかけて日夜戦っていることを絶えず思い出させてくれる。

黒檀はダークエルフの重装鎧に好んで用いられる素材だが、軽装鎧や軽盾も、素材の鋼や合金鋼をわざわざ暗い色に塗って黒檀のように見せる場合が少なくない。衣服は鎧も含め、しばしば肩や頭頂部あるいは腰部を膨らませてアクセントとし、さらにはドワーフ文化から拝借したとおぼしい重層的な幾何学模様をあしらっている。もっとも、ダンマーがいかなる形であれドゥエマーの影響を受けているなどという考えに、ディヴァイスは苛立ちを隠さないのではあるが。

実を言うと私は、このヴァーデンフェル出身のソーサラーが、妙に抗いがたい魅力をそなえていることに気づいている。彼はさほど年配に見えないが、少なくとも60歳は超えているだろうモリアンのことを「あの青年」と言う。いったい彼はいくつなのだろう?いや、気になるところは他にも山ほどある。心の底まで見透かされそうなあの赤い眼…あの眼で見つめられると、少々ドギマギしてしまう。

そのディヴァイスから、波止場地区にあるボズマーの酒場に行ってみないかと誘われた。この機会に一度、足を運んでみるのもいいかもしれない。

クラフトモチーフ3:ウッドエルフスタイルCrafting Motif 3: Bosmer Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

次はエルフの項のしめくくりとして、ヴァレンウッドのボズマーを取りあげたいと思う。類縁に当たるハイエルフやダークエルフに比べて世界全体におよぼす影響力は劣るものの、数ではタムリエルに住む他のエルフ族すべてをしのぐ。ウッドエルフはエルフにしては多産であり、あえて言うなら、他よりも色好みの気がある。

ウッドエルフが自然のモチーフを好むというのは月並みな指摘だが、単にそれだけではないことを私は学んだ。そうした自然のモチーフが埋め込まれ様式化されたスタイルには、彼らのイフレ崇拝と「アース・ボーンズ」にまつわる物語が反映されているのである。ボズマーの信じるところによれば、イフレがすべての動植物と人々に名前を与える前、自然はことごとく混沌に包まれていたという。名前こそが、各動植物種に恒久的な姿形を与えたのだというのだ。だからこそ、各動植物種はイフレから与えられた原型を表す、独特かつ理想化されたモチーフによって描かれるのである。

このことは、ウッドエルフが手掛ける芸術、工芸、衣服のいたるところに現れるデザインに反映されている。こうしたデザインには膨大な数のレパートリーが存在する。というのも、ボズマーの世界に生息する動植物各種には、それぞれ固有のデザインがあるからだ。もっとも、こうしたデザインの使い方や描き方は文化的にきっちり決まっていて、バリエーションが生まれる余地はほとんどない。これら様式化されたいわば絵文字を正統的でないやりかたで用いることは不適切のそしりを免れず、はっきり言えば「誤り」と見なされる。

その他のことにはひどく無頓着で奔放そうな種族だけに、矛盾して見えるかもしれない。けれども、これは誇張でもなんでもなく、私も実際にこの目でそれを確かめる機会に恵まれた。帝都には相当数のウッドエルフがいて、波止場地区には「酔いどれホタル亭」という酒場を中心に、小さなボズマー街が形づくられている。モリアン・ゼナスの実験を手伝っている魅力的なダークエルフの魔術師ディヴァイス・ファーから、ボズマー街に行ってみないかと誘われた私は、良い機会なので足を運んでみることにした。

ディヴァイスと波止場地区に行く約束の日、モリアンの住まいを訪ねると、玄関の扉をあけてくれたのは教授自身だった。ちょっと書斎に寄ってほしいと言われ、いささか面食らうとともに、モリアンのいでたちにも私は驚かされた。なんと彼は星座のシンボルをあしらった真新しい絹のローブに身を包み、髪の毛はきちんと刈りそろえて櫛を通し、かすかにラベンダーの香りまで漂わせていたのである。それまで、焦げ痕と染みだらけのみすぼらしいローブを着ているところしか見たことがなかったので、その変わりようには目をみはらされた。

書斎で話を聞いてみると、教授はディヴァイス・ファーと波止場地区に行くのはよしたほうがいいと言うのだった。私は思わず吹き出してしまい、教授の顔を赤らめさせたのだが、そのあときちんと、自分は子供ではないし心配にはおよばないと告げた。モリアンはやや狼狽し、ぶつぶつと詫び言を口にした。それから察するに、どうやら教授は私が波止場地区に足を運ぶことよりも、ディヴァイスと一緒に過ごすことのほうが気がかりなようだった。私は彼の気持ちを傷つけたくなかったので、まっさらなローブをほめた。モリアンが相好を崩すのを見てから、私はディヴァイスが待つ客間に足を向けた。

これ以上だらだらと書き連ねるのもはばかられるが、それにしてもあの夜は素晴らしかった。酔いどれホタル亭はにぎやかな店で、ディヴァイスは女将のレディ・ビニエルに紹介してくれた。彼女は一緒に飲もうと言って譲らなかった。出しものは「ビニエルのボズマー風バーレスク」で、これがとても愉快だったうえ、ひどい味がするウッドエルフの飲みものはどれも受けつけなかったものの、バグスモークのパイプをディヴァイスと回し喫みすることは断らなかったものだから、私は妙な具合に陽気になってしまった。

実を言うと、ボズマーが「不適切なデザイン」をいかに蔑むかの格好の例を目の当たりにすることができたのも、このパイプのおかげだった。というのも、私がディヴァイスのパイプを喫っているのを見て、レヤウィンの船乗りが、骨を削ってこしらえた「純ヴァレンウッド製」だというパイプを買わないかと持ちかけてきたのだ。するとレディ・ビニエルが、それは偽物だから騙されちゃいけないよと忠告してくれた。船乗りは抗議したが、この小柄なウッドエルフ女性が、火皿にイムガが彫ってあるようなガラクタがまともな品でないことは、どんな馬鹿にだって分かると一喝すると、船乗りは引き下がるしかなかった。

それから間もなく、ディヴァイスと私は店を出た。帝都の城門に向かう道すがら、ディヴァイスは星降る夜空を指さし、それぞれの星座を古いチャイマーの言葉でなんというか教えてくれた。正直、星座の名前は全部忘れてしまったが、ただ、ディヴァイスのよく通る声の暖かい調子は憶えている。そして、私の腕に触れる彼の掌の温かい感触も…

クラフトモチーフ4:ノルドスタイルCrafting Motif 4: Nord Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

次はノルドについて考察する。タムリエルでエルフの支配に抗い、あまつさえ取って代わることに成功した最初の人間文化である。

ボズマー同様、ノルドもまた建築や工芸、被服の各分野において、様式化され、しばしば絡み合った自然のモチーフに大きく頼っている。しかし、ウッドエルフのデザインが主として植物を意匠化したものであるのに対し、ノルドのそれは動物を強調しており、とりわけアトモーラの古い信仰においては8つの「トーテム」動物が重んじられる。すなわち、狼、鷹、鯨、蛇、蛾、狐、その他である。また、デザインのバリエーションという点では、ウッドエルフの様式をはるかにしのぐ。動物のモチーフの中には、あまりに抽象的すぎて、何の動物か判別しがたいものまであるほどだ。それどころか、縁取りの部分など、まったく自然物を想起させない幾何学模様の組み合わせで埋められることも少なくない。

ノルドのデザインは、エルフのそれとも、また別な点で異なっている。エルフの作品がほっそりとして優美で、かつ控えめなのに対し、ノルドのデザインはおおむね単純で重々しく、それでいてダイナミックな形状に依拠する。何にせよ、ノルドの作るものに控えめなものなど存在しない。

このことは、帝都のスカイリム大使館の外観にもはっきりと表れていた。モリアン、ディヴァイス、私の3人で、ログロルフ王の歓迎会に足を運んだときのことだ。大使館の入口扉の上に渡されたまぐさは、挑発の言葉を叫んでいるかのようにくちばしを大きくひらいた鉄製の巨大な鷹の頭を戴いており、扉の側柱には意匠化が強すぎて鳥類というよりも斧と呼ぶほうがよほどふさわしい鷹の浅浮き彫りがほどこされていた。扉自体は暗色のオーク材でできており、木材がまるで攻撃を跳ね返すためでもあるかのように鉄で束ねられ、鉄の鋲がいくつも打ち込まれていた。

大使館のなかは、外側ほど武張ったものではなかった。ただ、扉のすぐ内側には甲冑に身を固め武器を携えた衛兵が立ち、番をしていた。パーティーの招待客をチェックするのに羊の角をあしらった顔まで覆う兜を着ける必要がはたして本当にあるのかどうか、私には疑問に思えたが、ノルドの衛兵の目つきは必ずしも質問を促すようなものではなかった。

パーティーはすでに述べた通り、最高顧問に敬意を表するために帝都を訪れているログロルフ王を歓迎する催しだった。モリアンはアルケイン大学の代表として招かれたのだが、彼から同行してほしいと頼まれた私は、気性の荒いことで知られるこの北方の(同じ人間種に属する)いとこたちを彼らのホームグラウンドで見られるならばと、二つ返事で承知した。私たち2人がどこに出かけるのかを聞きつけたディヴァイスは、モリアンがものすごい目つきでにらむのにも構わず勝手についてきたが、いざ大使館に足を踏み入れ、大声で話す騒々しいノルドたちに囲まれてみると、一緒に来たことを後悔しているようだった。

一方モリアンはというと、それとは対照的だった。ハチミツ酒をひと壜飲み干したあとの彼は、突如として、私の目にまったく新しいゼナス教授として映ったのだ。真新しいローブで盛装したモリアンは、まさに意気軒昂と形容するにふさわしく、称賛の目で彼を見つめる外交官たちを相手に魔法の歴史を長々と弁じたて、ノルドのアークメイジ、シャリドールがなしたという数々の魔術的偉業を語り、聞く者を夢中にさせたのだった。その姿はまるで20歳も若返ったかのようで、私には突然、初めて帝都を訪れ、アルケイン大学の創設に関わった全盛期にはきっとこんなふうだったに違いないと思えるモリアンが垣間見えた。

モリアンはなんとログロルフ王本人に私を紹介してくれたが、彼がどうやってスカイリムの君主と近づきになったのか、私には見当もつかない。ディヴァイスを探すと、彼はいつのまにか姿を消していた。モリアンと私は遅くまで大使館に残り、ハチミツ酒をあおりながらノルドのあけっぴろげな冗談に腹を抱えて笑った。ようやく御輿をあげ、モリアンに送られて家まで歩く道すがら、私は彼の眼にそれまでとは違う光が宿っているのを見た気がした。

彼もまた、私の眼に同じ光が宿っているのを見たかもしれない…

クラフトモチーフ5:ブレトンスタイルCrafting Motif 5: Breton Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

アルケイン大学の大賢者レディ・オペル・ダンテーヌはブレトンだ。そこで、ブレトンのモチーフを研究するにあたって、私は彼女に意見を仰ぐことにした。レディ・オペルは気さくな女性で、惜しみなく協力してくれた。

ブレトンは、タムリエルで最後にエルフによる支配のくびきを脱した主要人間種である。そして、長きにわたりディレニに臣従してきたことが、多くの点で彼らの文化を規定している。ブレトンは自治の気風が強く、ハイロックの各王国は個々の主権を死守しているが、ブレトンの社会そのものは階級主義のディレニ王朝に由来する封建的構造を脱していない。また、ブレトンは同じ人間種のノルドとほぼ同じくらい気難しいが、長らくエルフの保護下にあったことから魔術に対しては開放的で、さほど抵抗感を持たない。

以上のことが、果たして彼らの芸術や工芸にどのように表れているだろうか?例として、ブレトンの鎧を見てみよう。ブレトン騎士が着る光沢を放つ重装鎧はノルドの私兵が着る鎧と同じくらい頑丈で実用的だが、目に心地よいその形状にはエルフの優美さを髣髴とさせる微妙な洗練がにじんでいる。同じ影響は、美しい外観と裏腹に恐るべき破壊力を誇るブレトンの武器にも見て取れる。

このことから私が連想したのは、ディヴァイスとモリアンの違いだった。ディヴァイスがエルフ特有の都会性をそなえているのに対して、モリアンはその深い学識とは裏腹に、例の気難しさも含め、あまりにも人間臭い矛盾をいくつも抱えている。変性意識状態の実験は、どうもうまくいっていないようだった。ゆうべ教授の家に立ち寄ったところ、モリアンもディヴァイスも不在だった。教授の弟子のセイフイジによると、2人はオブリビオンへの旅から確実に生還できるようにするには、輸送の担い手にどのような対価を支払うのが妥当かという問題をめぐって口論を始めたという。やがて個人攻撃の応酬になり、ついには私の名前まで持ち出されたらしいのだ。2人は怒鳴り合いのすえ、研究室から憤然と出ていくと、神々通りをそれぞれ反対方向に歩み去ったという。

言葉もなかった。私を巡って2人がケンカを?白状するが動転のあまり、私はレディ・オペルに洗いざらい打ち明けてしまった。彼女は信じられないほど優しく、親身になってくれた。2人の魔術師のどちらかに特別な感情を抱いているのかと訊ねられた私は、そうだと認めたものの、気持ちは葛藤し、せめぎ合っていた。レディ・オペルがバンコライのスパイスが入ったワインを1本か2本あけてくれたので、夜が更けるにつれて私たちはいっそう打ち解けていった。どうやって家に帰り着いたかは憶えていない。今日は二日酔いで頭が痛いけれど、そのかわり心がいくぶん軽くなったのでよしとしよう。

クラフトモチーフ6:レッドガードスタイルCrafting Motif 6: Redguard Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

今朝モリアンの住まいを訪ねると、前日のことが嘘のように何もかも普段通りだった。ディヴァイスと教授はまるで親友同士のように、チャルを注いだマグカップを片手におしゃべりに興じていた。話題はラリバラーの「11の儀式形態」と「最も神秘的盟約の本」の比較だ。私はディヴァイスに、商業地区のヨクダの礼拝堂に連れていってくれる約束はどうなったかと訊ねた。モリアンはかすかに眉を曇らせたが、それでも笑顔を作り、自分は研究室で新しい超苦悶媒体をテストしたいから、かえって好都合だと言ってくれた。

(それと、おそらく光の加減だと思うが、私の目には二人ともなんだか…若やいで見えた。どちらも高い能力を持つ魔術師であり、おそらくは幻惑魔法にも通じているだろうから、その点を忘れないようにしなければ。たんに私がのぼせあがっているだけかもしれないが)。

礼拝堂では博識なレッドガード数人と会ったが、全員が全員、例の威厳と奥ゆかしさをそなえていた。私が見たところ、それらはレッドガードのなかでも高い教育を受けた人々に特有の資質だ。トゥワッカの司祭であるジルミル大司祭(つづりが間違っていないことを祈る)はとりわけ協力的だった。

大司祭が指摘したのは、レッドガードの故郷であるヨクダにしろ、彼らの現在の本拠地であるハンマーフェルにしろ、どちらも砂漠だ(ヨクダについては、砂漠「だった」と言うべきか)という点だ。涼しく過ごすため、また厳しい日差しや強い風から身を守るため、レッドガードの衣服はおのずと軽いうえ、丈が長く、ゆったりとしたつくりになる。そしてその流れるような曲線が、彼らの作る芸術作品や工芸品のデザインに持ち込まれているのである。彼らの着るローブや鎧は、関節部と頭部に曲線状の膨らみでアクセントを添えることが少なくない。剣でさえ、やもすると曲線を描く。

対照的に、彼らの建築物はどちらかというと重厚な印象だが、よく見ると、それは主として砂漠の極端な気温を遮断するためのものだと分かる。ジルミル大司祭は礼拝堂の優れたシステムを見せてくれた。かすかな風をも逃さず身廊に送り込むため、明かり層に「よろい張り」を施した換気ダクトが設けられているのである。

ジルミル大司祭が受け持ちの信徒団の相手をするために呼ばれて行ってしまうと、ディヴァイスと私はヨクダの神々を祀った8つの祠を眺めようと、ぶらぶら後陣に入っていった。ディヴァイスによれば、ハンマーフェルのフォアベアーがレマン帝国によってもたらされたシロディールの神々を崇めることが少なくないのに対して、より保守的なクラウン・レッドガードはこうした伝統的な神々を崇拝するのだという。そんなうんちくを傾けていたディヴァイスだったが、モルワを祀った蜂の巣状の祠の後ろで不意に向きなおり、例の燃えるように赤い眼で見つめながら、私の手を取るや、だしぬけに、あなたはこの帝都で誰よりも聡明で素敵な女性だと言った。私は息を飲んだ。心臓が早鐘のように打っている。ところが、彼が私を抱きしめるようなそぶりを見せた瞬間、私は急に怖くなった。私は後ずさりをし、かぶりを振ると、身をひるがえして身廊に駆け込んだ。モルワの祭壇に蝋燭を立てていたレッドガードの子供たちを、ずいぶん驚かせてしまったと思う。

どうしよう?ディヴァイスをひどく侮辱してしまったに違いない。どうしたらこの埋め合わせができるだろう?それと、モリアンには話すべきだろうか?ああ、ジュリアノスの小さな茶瓶にかけて、なんというジレンマだろう!

クラフトモチーフ7:カジートスタイルCrafting Motif 7: Khajiit Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

今朝教授の住まいを訪ねた私が真っ先にしたかったのは、ディヴァイスに謝ることだった。ところがセイフイジからあいにく留守だと言われた。ポータルのある部屋でなにやらまじないを唱え、どこかに行ってしまったという。あとには物が燃える匂いの他、何も残っていなかったとか。仕事を進めるのよと、私は自分に言い聞かせた。仕事が忘れさせてくれる。というわけで、私はモリアンを探しにいった。

教授は朝食中で、ちょうどスイートロールを食べ終え、チャルを飲み終わったところだった。私が台所に入っていくと、驚いたことに、彼はお辞儀をしようとあわてて立ちあがった拍子に、あやうくマグカップを引っくり返しそうになった。私は小論集ではカジートにも触れたい旨を告げ、あいにく猫族に知り合いがいないので、誰か紹介してもらえないかと訊ねた。教授はそれならうってつけの人物を知っていると請け合い、ちょうど今日は「あの癇癪持ちのテルヴァンニ」も休みをとっているし、喜んで紹介しようと言ってくれた。

それまでにも私は市場の門の外側に折々設営されるバーンダリ行商人組合のキャンプの前をよく通っていたが、中に足を踏み入れたことはなかった。あそこには近づかないようにという父の忠告がいまだに残っていることもあるし、鼻を刺すようなにおいが自然に足を遠のかせたということもある。けれどもモリアンは躊躇なくキャンプに入っていくと、色とりどりの祈りの旗で飾られた天幕に私を連れていった。あとについて天幕に入っていった私を、彼はマダム・シザヒ・ジョーに引き合わせてくれた。なんでも、アズラーとマグルスに仕えるカジートの妖術師だという。蓮華座を組んで座ったまま、マダムは恭しく頭を下げ——猫族の体はかくもしなやかなのだ——、床に敷かれた一組のクッションを勧めると、「この者」がどんなお役に立てますかと訊ねてきた。

マダムとの会話は楽しく、私たちはすっかり話し込んでしまった。カジートとレッドガードのモチーフやデザインには表面的に似通っている点があるが、これはおそらく、両者がいずれも暑く乾燥した土地に住んでいるためと思われる。しかし、レッドガードが長く、流れるような曲線を好むのに対し、猫族は円形と三日月形に愛着を示す。それは、マッサーとセクンダのすべての月相の形状が、カジートの衣類や装飾品のいたるところに現れることからも明らかだろう。鎌にも似た三日月の形はまた、カジートの手足の肉球からバネ仕掛けのように飛び出す鉤爪を思い出させる。目立たないとはいえ、そんなものを四六時中ちらつかされては、気の弱い人はたまらないだろう。

マダム・シザヒ・ジョーはお茶をたててくれ(カジートの食べものや飲みものの例に漏れず、これもまたベタベタと甘ったるかった)、それから私のカップの底の茶葉を見るよう促した。彼女は桃色がかった鉤爪でお茶をかきまわし、私の悩みの種が分かったと言った。夫人によれば、私は臆病風に吹かれて本心から目をそらし、ふさぎの虫に取りつかれているのだという。私はディヴァイスにキスされそうになったことを、うっかり口にしてしまった。モリアンは自分のカップを取り落とした。飛び散ったお茶がマダムにかかったのは、気の毒としか言いようがない。

てっきり激怒するかと思いきや、モリアンはいかにも悲しげな表情を浮かべ、それから私に対する自分の気持ちを堰が切ったように話しだした。彼の言葉はとても情熱的で、私はすっかりほだされてしまった。カジートの魔術師が気を利かせて席を外してくれたので、私たちはクッションに座ったまま、それこそ何時間とも知れないほど話し続けた。

クラフトモチーフ8:オークスタイルCrafting Motif 8: Orc Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

ゆうべ、短い時間だが酔いどれホタル亭でディヴァイスと会い、あなたのことは大好きだけれど、モリアンに心を奪われてしまったと正直に打ち明けた。ディヴァイスはジェラール山脈を吹き荒れる嵐もかくやというほど表情を曇らせたが、それでも大きく息をつくと、どうにか威厳を保ちながら店を出ていった。ああ、どうか彼が大丈夫でありますように。

ただ、正直に言えば、今はモリアンのほうが心配だ。ディヴァイスとの共同研究は佳境を迎えつつある。間もなくモリアンはゲートをひらき、単身オブリビオンへと旅する予定だ。とりあえずはアズラが支配する領域、ムーンシャドウを目指すつもりだと言っている。それなら比較的安全なはずだと。安全ですって!?私は鉄板の上に載せられたスクリブみたいに心配でならない。せめて出発する前にひと目会いたいが、モリアンは承知しない。儀式の執行に集中しなければならず、気が散るようなことは避けたいからと。

セイフイジからモリアンの手紙を渡された。オルシニウムの新しい大使を迎える支配者主催の公式晩餐会に、自分の代わりに大学を代表して出席してほしいと書いてある。是非とも行きたいと言っていたこの催しを欠席するからには、よほど忙しいに違いない。もっとも、わが「諸種族のモチーフ」プロジェクトにとっては願ってもない話だ。それに、仕事に没頭していれば、あれこれ気に病まずにすむ!

新たに帝国の州となったオルシニウムはまだ帝都に大使館を置いていないため、支配者に仕える半人半蛇のしもべたちの手で、白金の塔の1階に天幕がずらりと設営されていた。ズグギク大使を歓待しようと、すべての天幕はロスガーから取り寄せた本物のオーク備品で飾られている。私はこれ幸いとばかり、だらだらと冗長なスピーチが続くあいだ、日誌を取り出し、そうした品々をせっせとメモにとる作業に励んだ。

それにしても、オークのような野蛮な種族がこれほどまでに洗練された品々をデザインし、こしらえることができるとは!もちろん、彼らは防具作りの名手としてタムリエル全土に知られているが、私は常々、それは技能のおかげというよりも並外れた腕力のなせる技だと思っていた。しかし、彼らの武器や防具をちらっと見ただけで、それがいかに間違った考えかを思い知らされた。華美な装飾どころか、装飾自体いっさい凝らされていないのだが、ノルドのそれよりもシンプルで実用的なオークの金属細工には、均整と対称性、そして調和というものを彼らがどれほど深く理解しているかが表れているのである。オークの剣は暴力の道具かもしれないが、使う者の掌に吸いつくように造形された重いが形の良い柄と好対照をなす刃が、ダイナミックに薙ぎ払われるさまを思い浮かべると、なぜだか私はほとんど安らぎに似た気持ちを覚える。

その後、嬉しいことに、晩餐会の席で大賢者レディ・オペルの姿を見つけた。彼女は親しげに挨拶をしてくれ、エイダールチーズを肴にウェストウィールドのワインを傾けながら、2人の魔術師とはその後どうなっているのかと訊いてきた。私が何もかも台無しにしてしまったと思うと答えると、レディ・オペルは大丈夫、最期に全部丸く収まるからと請け合ってくれた。モリアンとは長い付き合いだそうで、あれこれと小うるさい年寄りのように見えて、そのじつ非常に思慮深い人間だという。彼があなたぐらい賢い女性を見初めたのは嬉しいかぎりだとも言ってくれた。これで研究室に入ったきり姿を消してしまう心配がなくなるもの、と。

けれども、私に言わせれば、それこそまさに彼がしたことだった。セイフイジともう一度話してみよう。彼なら、旅立つ前のモリアンになんとか会わせてくれるかもしれない。

クラフトモチーフ9:アルゴニアンスタイルCrafting Motif 9: Argonian Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

今朝、メイドのダリエラが興奮した口ぶりで、戸口にトカゲの女性が来ていますと告げた。何やら、急ぎの用事らしいという。帝都にアルゴニアンはそれほど大勢いない。そう考えると、セイフイジの使いではないかと思い当った。きっとモリアンに関する何か恐ろしい知らせを携えてきたに違いない。私は大学のローブを羽織ると、玄関に急いだ。

戸口で待っていたのは、まさに若いトカゲ族の女性だった。複雑な螺旋形の意匠で飾られたスパイダーシルク製の洒落た上着をまとい、通りに立っている。彼女は〈尾を上げる者〉と名乗り(私は冗談に違いないと思ったが、爬虫類特有の無表情な顔立ちからは、冗談とも本気ともつかなかった)、主である〈明瞭なる者〉デッシュ・ウルムの命で迎えにきたと言った。どんな用件かまでは知らされていないが、とにかく急を要することだから、すぐに来てほしいという。私はためらいながらもうなずくと、そのまま彼女のあとについていった。

アルゴニアンの娘に連れられ、私は聖堂の門をくぐり、波止場地区へと向かった。埠頭のはずれまで行くと、そんなものがあるとはそれまで気づかなかった風変わりな古びた館があった。玄関の脇の黒いプレートには〈ザンミーア〉と彫ってある。初めて目にする言葉だった。中に入ると、その大きな館は丸ごとアルゴニアンに占領されていることが分かった。人数は十数人もいただろうか、全員そこに住んでいるらしく、どの部屋もみなで共有しているようだった。そこらじゅういたるところに、アルゴニアンの掛け布、彫刻、呪物がある。それらは貝殻、骨、羽根といった自然の素材でつくられ、目もあやな螺旋と幾何学のデザインが凝らされていた。もしそのどれもがアルゴニアンの故郷で使われているのと同じものだとしたら、蛇皮、亀の甲羅、鋸歯状牙、ターコイズ、ヒスイ…私たちが珍しい異郷の素材と見なしているこれらすべてが、ブラック・マーシュではありふれたものに過ぎないことになる。

〈尾を上げる者〉は私の先に立ち、階段を取り払ってしつらえたとおぼしい傾斜路を上がっていった。上の階で、彼女はとある湿った部屋に私を案内した。気のせいか、腐臭とかび臭さが感じられる。咳き込みながら足を踏み入れると、部屋の中はほとんど丸ごと熱帯植物の鉢植えで埋まっているのが分かった。一部はとっくの昔に枯れてしまい、腐っている。私はサンダルで何かを踏みつぶしてしまい、思わず後ずさりをしたが、トカゲ族の娘が優しく手を取り、シダの葉が生い茂るなかを部屋の真ん中まで導いてくれた。

そこには不釣り合いにも、陶製の大きなニベン式浴槽が置かれていた。私の住まいの化粧室にあるものと似ているが、目の前にあるそれは縁までなみなみと気味の悪い緑色の泥で満たされている。そしてその泥のなかに、かろうじて鼻づらだけ覗かせた、見たこともないほど年老いたアルゴニアンが身を横たえていた。

じっさい、その老いさらばえたトカゲ族の男性はミイラにしか見えなかったので、その口がひらき、そこから言葉が発せられたとき、私は肝をつぶしてしまった。皮革がきしむような声で、その爬虫類はゆっくりと言葉を継いだ。「わしはデッシュ・ウルム。お前様はアル・フィッド…帝都で並ぶ者なき才女とお見受けする。わがウクシス——いや侘び住まいにようこそ参られた」

相手の視線が私の肩のあたりにさまよっているように見えたので、怪訝に思ってよく見ると、年老いたトカゲ族の両目は乳白色の膜で覆われていた——彼は盲目だったのだ。向こうは目が見えないという事実が、いくぶん気を楽にしてくれた。私は冷静さを取り戻し、ありがたいことに、礼儀作法を思い出した。私はお辞儀をし——相手には見えなかっただろうが——、こう述べた。「お招きにあずかり光栄に存じます、デッシュ・ウルム様。私のような若輩者が、どのようなことで叡智の長老のお役に立てるでしょう?」

「気をつけられよ!」彼はしわがれ声で叫んだ。鱗に覆われた両手が泥の中から現れたかと思うと、浴槽の縁をつかみ、腕の力で上体を持ちあげる。「お前の肌の乾いた魔術師たち——彼らのことで、横糸がほどけつつあるのじゃ」そう言うと、アルゴニアンの老人はやや落ち着きを取り戻し、両手で螺旋形を描く見慣れないジェスチャーをした。「由々しき事態じゃ。アウルビクのかせ糸たちが悪意によって分かたれてはならぬ」

このところ魔術師たちと過ごしているおかげで、私は彼の言う意味を推し量ることができた。「モリアンとディヴァイスのことですか?2人の身に危険が?私はどうすればよいのでしょう?」

デッシュ・ウルムはあごを2度鳴らしてから言った。「お前様は有能じゃ。彼らを止めなければならぬ。お前様は勝つじゃろう。万一敗れれば——」額に生えた3本の鋭い棘状の突起物が立ちあがる。「——その川を泳ぐ者たちすべてに悪夢と鋸歯状の刻み目がもたらされるじゃろう。カオック!」歳ふりたアルゴニアンはだしぬけに浴槽のなかでばちゃばちゃやりだし、泥を周囲にまき散らした。「セイラル!」

〈尾を上げる者〉が昆虫の甲殻でつくったとおぼしい水差しにさっと手を伸ばし、栓を抜くと、茶色の液体をトカゲ族の老人の喉に注ぎ込んだ。「行って!」部屋の出口を指さし、彼女は鋭く言う。「お師匠様がそう言ってるの!さあ早く!」

私はきびすを返して部屋を出ると、傾斜路を下り、玄関を抜け、走って帝都の市内に戻った。

クラフトモチーフ10:インペリアルスタイルCrafting Motif 10: Imperial Style

タムリエルの主要な文化様式に関する小論集のための、アルフィディア・ルプス博士による覚え書き

(ルプス博士は帝国公認の民族誌学者として、第二紀418年~431年にかけて最高顧問サヴィリエン・チョラックに仕えた)

帝都…私はこの街に憧れていた。若いころ、故郷のスキングラードはどうしようもなく田舎臭く思え、年に1度ハートランドを訪ねる母親に同伴する機会が来るのを待ちわびたものだ。私にとって帝都は学びと文化そのものであり、私が愛おしむすべてのものの縮図だった。

私は今、その帝都の街路を歩いている。地区から地区へと移動しつつ、街並みに目を凝らす。スキングラードはたしかに田舎臭く思えたが、それでもコロヴィアらしい町ではあった。直截的かつ簡潔で、すっきりとした線で構成され、質素で禁欲的な趣をそなえる。そこに暮らす人々もまた同様だ。

それに対して帝都はというと、城壁と白金の塔はアイレイドが作ったものだから除くとしても、ニベンの色彩が強い。洗練され、装飾過多で、捉えがたく、隠微なのだ。

退廃的で、爛熟しているのだ。

…そこに住む人々やそこに引き寄せられる人々がそうであるように。

私は間に合わなかった。

モリアンは行ってしまった。ディヴァイス、呪うべきディヴァイスの助けを借りて夢をかなえ、オブリビオンに旅立ってしまったのだ。セイフイジによると、モリアンは計画通りムーンシャドウにたどり着いたものの、そこに留まらず、なおも旅を続けたのだという。ムーンシャドウからアッシュピットへ。アッシュピットからコールドハーバーへ。コールドハーバーからクアグマイアへ。クアグマイアからアポクリファへ…

そしてアポクリファで、彼は足をとめた。

平板なはずの爬虫類の声を震わせながらセイフイジが教えてくれた。オブリビオンに足を踏み入れてから、モリアンはますます向こう見ずになり、次の次元へと通じるポータルをくぐるたびに、どんどん有頂天になってゆくように見えたこと。助手である自分がいくら戻ってきてくれるよう懇願しても、耳を貸そうとしなかったこと。モリアンがアポクリファに…魅入られてしまったこと。

セイフイジ・ヒッジャは取り乱していた。頭を抱え、背びれをしょんぼりと垂れさがらせたその姿は、明らかに途方に暮れている者のそれだった。自分でなんとかするしかない。そう悟った私はディヴァイスの部屋へ走った。セイフイジから留守だと聞かされていたが、モリアンと連絡を取る何らかの手立てが見つかるかもしれない。あるいは、助けを求める私の声に、ディヴァイスなら反応してくれるかもしれない。

ディヴァイスの部屋では、1冊の本しか見つからなかった。机の上に置いてあったその書物の題名は「フラグメンテ・アビーサム・ハルメアス・モラス」。デイドラ公ハルメアス・モラスを呼び出す儀式について書かれているとおぼしきページが開かれており、そこには次のようなくだりがあった。「いかなる代償であろうとも、必ずや支払うべし」

アポクリファの王ハルメアス・モラを呼び出す儀式…

私はモリアンの研究室に急いだ。徹底的に調べたが、手がかりになりそうなものは1つしか出てこなかった。それは丸められた紙切れで、広げるとこう記してあった。「汝がオブリビオンに入らんとするとき、オブリビオンもまた汝に入らんとす」

モリアンは行ってしまった。彼はアポクリファに渡り、そこに留まっている。

だから、私は地区から地区へとさまよい歩きながら、思いをめぐらせている。アポクリファの王がディヴァイス・ファーに求めた代償はなんだろうか?モリアン・ゼナスを魅了し、虜にすることの対価として、ハルメアス・モラはディヴァイスに何を求めたのだろう?

私は帝都の大路小路をあてもなくさまよいながら、自問自答を繰り返している。

私はいつ、代償を支払う覚悟ができるだろうか?

クラフトモチーフ11:古代エルフスタイルCrafting Motif 11: Ancient Elf Style

セイフイジ・ヒッジャ 著

先生、モリアン・ゼナスは行ってしまわれた。レディ・アルフィディア(いつもはルプス博士と呼んでいた)も姿を消した。姿を消したと言えば、あのテルヴァンニ家の男もそうだが、少なくともあいつに関しては、いなくても寂しいとは思わない。あのいけすかないエルフときたら、教授の目を盗んでは「鱗肌の助手風情」が云々と意地の悪いことを口にしていた。

そうとも。あのテルヴァンニ家の男が消えてくれて、むしろせいせいしている。しかし、他の2人については…

私はできるかぎりここに留まり、教授の住まいをきちんとしておくつもりだ。誰かが手記や試料を整理整頓し、蔵書のほこりを払わねばならない。私はまだ教授が帰ってくるという希望を捨てていない。今のところ大学は教授を「長期休暇」扱いとし、私が教授の居宅と研究施設を維持できるように俸給を送ってくれている。

あるとき教授の机を整理していた私は、偶然、数冊のノートを見つけた。それはレディ・アルフィディアの優美な筆跡でしたためられた研究ノートだった。複数の文化様式における被服や武器防具を題材にした、未完の労作だ。川の流れがゆるやかな今日このごろ、私は(望むらくは)ルプス博士がそうしたであろうやりかたに近いやりかたで、これらのノートをまとめあげようと決心した。

今日のタムリエルに存在するエルフの主要な社会がそれぞれ備える様式に関する研究ノートは、すでにまとまってはいるものの、まだ言及しなければならない要素が残っている。というのも、自らの祖先と血統を大切にするエルフは、アルドメリ文化の歴史に特別な敬意を抱いているからだ。エルフが初めてタムリエルを征服し植民地化した神話紀を、彼らは模倣すべき黄金時代と見なしている。結果として、当時の衣服と防具が本当の意味で時代遅れになることはかつて一度もなかったし、多くのエルフは古代アルドメリの様式と作法にいまだ愛着を感じているのである。往古のアイレイドやチャイマーのような装いをしたハイエルフやダークエルフに出くわすことは、タムリエル大陸でさえ珍しいことでもなんでもない。こうしたいでたちをエルフは「ゆったりとした襞を多用したエルノフェイ・スタイル」と呼ぶが、エルフ以外はたんに「古代エルフスタイル」と呼びならわしている。

(ここで、不在のレディ・アルフィディアに代わって私見を付け加えたいと思う。私自身、長年帝国の首都で暮らしているが、ウッドエルフに限っては、この古代エルフスタイルの装いをした手合いにお目にかかった試しがない。どうやらボズマーは我々アルゴニアン同様、今現在に生きることを好むようであり、昔の流儀にはさほど敬意を払わないように見える)

古代エルフスタイルは、サマーセット諸島やモロウウィンドに暮らす現代の匠たちが好むエルフ様式とまったく同じというわけではない。前者のほうが、いくぶん有機的な度合いが強く、かつ、より抽象的でもある。流れるような植物のモチーフが使われるのは同じで、たいてい先細りして尖った先端や終端に収束するのだが、これはいたるところにアイレイドの遺跡があり、鋭角なアーチを見慣れているシロディールの住民にはなじみ深いものだ。古代エルフスタイルでは円、半円、円弧がふんだんに使われ、しばしばそれらのなかに先細りする有機的な巻きひげが描かれるが、これはエドラ(エルフが自分たちの祖先だと主張する人々)がムンダスの創造によって束縛されたことを象徴しているように思える。

(え?今のはなんだ?「気取ってること、セイフイジ!」だって?まるでレディ・アルフィディアに耳打ちされたような…)

クラフトモチーフ12:蛮族スタイルCrafting Motif 12: Barbaric Style

セイフイジ・ヒッジャ 著

引き続き、アルフィディア・ルプス博士が残した、さまざまな文化様式における被服および武器防具の研究ノートの編集を進める…

誉れ高き我らが第二帝国による文明化の影響にもかかわらず、タムリエルには今なお文化果つる辺境があちこちに残っていて、そういった場所には未開の部族が住んでいる。おそらく、我々シロディール人にとって最もなじみ深いのは、スカイリムとハイロックにまたがる荒涼たる山岳地帯に住む蛮族、リーチの民だろう。ブルーマの周縁部で略奪をはたらく彼らの姿が見られたのは、さほど昔の話ではない。リーチの民のほかにも、モロウウィンドのアッシュランダー、ブラック・マーシュに住む好戦的なコスリンギ、中央ハンマーフェルのケット・ケプトゥ等々、数多くの蛮族が存在する。

こうした数多の蛮族が、それぞれ大陸の遠く離れた場所に暮らしながら、服装に関しては驚くほど嗜好が似ているというのは、奇妙だが否定できない事実だ。それがいったいどういう理由によるのかは、もっと思弁的な民族誌学の研究に任せるとしよう。本稿は、単なる記述的研究にすぎないのだから(したがって、記述を続けよう)。

「バーバリック」と呼ばれるこの氏族的あるいは部族的な様式は、実のところ、洗練度において他の文化の様式に引けを取らない。いわゆる「蛮族」たちは、単に気取った抑制というような考えをことごとく蔑んでいるだけであり、けばけばしさや悪趣味をことさら好むに過ぎないのである。彼らのあいだでは鮮やかな色彩が好まれ、素材をどんな色合いに染めるかに関してはほとんど制限がない。装身具にはたいてい頭蓋骨、鹿の骨、羽根、紐でつなげた歯などが使われるうえ、銅箔によるアクセントが加えられる。また武器については、これでもかというぐらい大きなものを、これみよがしにいくつも身に着けるのが普通だ。

(ついでに言うなら、上の記述の多くは、我が故郷ブラック・マーシュの様式にも当てはまる。かの地が「バーバリック」などと形容される謂れはほとんどないにも関わらずだ!…この文化様式については、別の機会にあらためて取り扱おう)

クラフトモチーフ13:野生スタイルCrafting Motif 13: Primal Style

セイフイジ・ヒッジャ 著

引き続き、アルフィディア・ルプス博士が残した、さまざまな文化様式における被服および武器防具の研究メモの編集を進める…

完全装備をしたゴブリンの族長を見て、読者諸賢はこう思うかもしれない。なんてちぐはぐな恰好なんだ。原始的な装備品を手当たり次第に身に着けただけじゃないか、と。けれども、それは間違いだ。族長が身に着けているものは、すでに評価の定まった優れものを注意深く選び抜いた逸品であり、数千年の伝統に裏打ちされた選定を表しているのである。これは我々民族誌学者が「野生」と呼ぶ武器防具の様式であり、その独自性と識別のしやすさは他のどんな文化にも劣らない。

プライマルを自分たちの文化様式として採用したゴブリンその他の種族は、たいてい、ゴミ漁りとお宝の回収を得意とする。捨てられたもののなかにも、まだまだ使えることはもちろん、他よりも優れた品質さえ備え、なおかつ野生の美意識にかなうような装備品はいくらでも存在する。彼らはどこを探せばそういうものが見つかるかを嗅ぎ分ける特殊な嗅覚をそなえているようにも見える。そして彼らが自分たちのいでたちに対して抱いている誇りは、帝国のどんな百人隊長にも劣らないのだ。

グウィリム大学のイントリケイトゥス博士による最近の研究は、上記を裏付けるばかりでなく、「野生」というのがこの様式を形容するのに最もふさわしい言葉であることを示す新情報をも発掘した。虐殺された「ナイフビター」というゴブリンの部族がまとっていた原始式の装束を57組調べたところ、死体が身に着けていた品々の多くは、数千年とは言わないまでも、数百年は昔のものであることが判明したのだ。グリーブやキュイラスのなかには第一紀初期のものと思われるものがあり、そうした装備品にはその後歴史に埋もれてしまった古代の鍛造技術が使われていたという。はたしてゴブリンたちは、巷間言われてきたように、それらをシロディールの古代遺跡から掘り出しているのだろうか?それとも、彼ら自身の手で、悠久の過去から現在へと、いくつもの世代を仲立ちにして受け継いできたのだろうか?

ええ、ゼナス教授。教授はそういうふうに「悠久」とお書きになります。えっ…どういうことだ?教授?今のはあなたのお声ですか?

クラフトモチーフ14:デイドラスタイルCrafting Motif 14: Daedric Style

セイフイジ・ヒッジャ 著

引き続き、アルフィディア・ルプス博士が残した、さまざまな文化様式における被服および武器防具の研究ノートの編集を進める…

ルプス博士による小論集「種族別のモチーフ」の掉尾を飾るこの項目がデイドラの武器防具であるのは、まったくもって妥当である。というのも、不在のレディ・アルフィディアは消息を絶った我が師モリアン・ゼナス教授の後を追って、いかなる方法を使ってかデイドラが支配するオブリビオンの次元に赴いたものと私は信じているからだ。そして、教授のささやき声がほとんど絶えず聞こえてくるようになった今こそ、ルプス博士のノートのまとめを締めくくり、オブリビオンへの扉をくぐった教授の旅について語る段階に移行する潮時であると考える。

デイドラは教授がしばしば言っていたように混沌の獣であり、巨大なエネルギーと力を併せ持つ存在だが、創造性というものを完全に欠いている。彼らは模倣や誇張はできるし、改悪もできる。しかし、新しいものは何一つ生み出すことができない。創造という能力は本来エドラと、彼らからその能力を贈られた我々ニルンの定命の者だけに備わっているのである(ブラック・マーシュではもちろん見解が異なる。上記はあくまでも教授とレディ・アルフィディアの考えであることに留意されたい)。

それゆえに、ルプス博士が「人間型」と呼ぶドレモラ、ズィヴィライ、ゴールデンセイントのようなデイドラの武器防具は、我々にとってなじみ深いタムリエル様式の胴当て、胸当て、ポールドロン、剣、槍、弓で構成されている。それらは我々の目には、風変わりな鋲と大げさな飾り線文様で飾られているように映るかもしれないが、デイドラの鎧一式の内側を見れば、そこには、見慣れた詰めものや革ひもがついていて、普通の体型をした者ならば誰でも着用できるようになっている。デイドラの剣を手に取れば、その異様な形状にもかかわらず、柄はしっくりと手になじみ、目方のバランスも良好だと分かる。実際、「モラグ・バルの戦棍」のような名高いデイドラ公のアーティファクトは、そのほとんどが、魅入られた、あるいは強要された定命の匠の手で作られたと言われているほどだ。

ええ、教授。もう充分だと思います。少なくとも当面は。親切だった博士に対する義理はこれで果たしました。さあ、私はあなたの書斎で机につき、耳をそばだてています。もう一度ムーンシャドウのことを話してください…

クラフトモチーフ29:魂なき者スタイルCrafting Motif 29: Soul-Shriven

コールドハーバー王宮の騎士、騎士道の勇者、無防備な者を守る者、魂なき者の指導者 アンドーンテッドのキャドウェル卿 著

ここコールドハーバーにはタムリエル全土から人々が集まってきている。彼らを責めることができるか?この王国は楽園のようなものだ!それと、今思えば食の面では矛盾している。なぜなら、我ら魂なき者は生きているが、食べはしない。最後に少しでも腹が減ったと感じたのはいつだったか、覚えてすらいない。おかしいだろう?なぜなのだろうか?

だがそれはいい。本題はこれだ:スタイル!厳密には魂なき者のスタイルだ。全てのスタイルから吸収しているため、スタイルなきスタイルなのだ!全てのいいところ取りだと思わないか?

我々の武器を見てみろ!とがった凶器に戦闘向けの付属品が本当に豊かだ。短剣:魂なきカジートの波状の短剣!戦棍:魂なきオークの上質なとげとげ鎖鉄球!剣:カマリの馬鹿げたまっすぐな剣ではなく、本物のアカヴィリ、あのずる賢いツァエシが使っていた本物のカタナだ!そして斧:大鎌のついた格好いいやつだ…本物の大鎌…いや、正直に言うとどこからきたものか知らないが、ほぼ間違いなくどこか楽しいところだろう!

そして鎧も見てみろ!ほら!似たようなものは見たことがないが、私はその見た目が好きだ。あれは…何といえばよいだろうか?なんだかごちゃごちゃに混ざって分かりにくいだろう?そこらじゅういろんなものの断片が寄せ集められた感じで…少し精霊に似ているが、着心地は何倍もいいし、あんなに刺激的ではない。

そこで、少しでもスタイルに関心があるのなら、無鉄砲な冒険に向けて魂なき者の武器や防具を作ってみてはどうだろうか?魅力的だし、全くもって怪しくない。いやまあ、少なくとも怪しすぎることはない。

タムリエルの釣りの手引きA Guide to Fishing Tamriel

「老いぼれスローターフィッシュ」 著

釣りはいいものだ。農耕の大変な時期のあとや妻になじられた長い夜のあと、ちょいと釣りに出ることよりいいことなんてない。

自然の中に自分だけ、木々の間を抜ける風や岸に寄せる波の音を聞く。これで大抵の男は満足だ。価値のある獲物を釣るなんてことは考えちゃいない。だから森で居眠りしてると妻やご近所に思われるんだ。

だが真の釣り人は常に、うまい料理に使えるようなでかい魚でびくをいっぱいにしたがるものだ。それには何を釣ればいいのか、そいつはどこにいるのか、餌は何がいいのかを知らなきゃならない。これがタムリエル中で見つかる一般的な魚だ:

スローターフィッシュとトロッド:
こいつらは下水道、悪臭のする沼地や腐乱死体のそばの水たまりなど、どにかく汚い水にいる。安全な壁の中にいたい街の住人たちのお気に入りだ。この魚たちははい虫や魚卵に引き寄せられる。

サケとリバー・ベティ:
このうまい魚の住みかは清流だ。餌は昆虫や小さなシャッドをよく食べる。

スペードテールとシルバーサイド・パーチ:
日差しを遮れる深い穴や茂みのある湖をこの魚は好む。小さなカエルやグアル、鶏などの内臓、それに小さなオーシャンミノウが一番の餌だ。

ズフィッシュとロングフィン:
海辺にいるなら、このきれいな魚を手づかみで捕まえてみるといい。庭によくいる虫や小さなチャブがこの魚の中でも大物を誘うだろう。

これが今度釣りに行った時に役立つことを祈っている。これならきっと大漁で家に帰れる。誰にも1日を無駄にしたと責められることはないだろう。

バカでもできる木工Woodworking For Simpletons

「スカヴィンのヘボ大工」ことホアリー・ドゥロッツェル 著

おふざけはそこまでにしときな、鼻たれども。手に職をつけねえ限り、おめえたちにゃゴブリンの糞ほどの値打ちもねえ。そしてオイラは、小屋を身内の糞の臭いで満たすつもりはねえんだからな。

今日は木工のイロハを教えてやる。おい、腹を鳴らすのはやめて聞けってんだ!木工はまっとうな商売だ。おめえたちもこのホアリーを見直すことになるだろうぜ。いいか、テボンズでもついてこれるよう、優しい言葉で教えてやっから安心しな。

まずはこの斧を持って森に行くんだ。古い切り株や岩の近くで苔むした丸木を探しな。見つかったら斧で叩き割って粗目のカエデ材を10持ち帰るんだ。何?なんでそう呼ぶかだって?粗目だからに決まってんだろうが、この馬鹿ガキ!とにかく何かをこしらえようと思ったら、それだけの数は入り用だぜ。

次に、集めた粗目のカエデ材10を木工場に持ってくんだ。そこで、粗目のカエデ材を上質のカエデ材に変えるってわけよ。これを、この商売じゃ「加工」って呼んでる。いや、研磨じゃねえ、加工だって!できあがるのは上質なカエデ材だ。全然紛らわしくなんかねえだろ!

その次は——おい、聞いてんのか?ここは大事だぜ!スタイルも決めねえで、ただ闇雲に上質なカエデ材を削り始めることはできねえからな。わかるか?スタイルだよ、スタイル!タムリエルの全種族は固有のスタイルを持ってて、それぞれ好みの素材も違うんだ。

アルゴニアンはアルゴニアンスタイルで素材を加工すんだ。わかるかい?じゃあ、街でスタイル素材を仕入れてくるがいいぜ。木工師から買うに決まってんだろ、このイカレポンチが。ええい、どの木工師からだろうと構いやしねえよ!

さあ、いよいよスタイル素材と上質なカエデ材3つを持って木工場に行き、カエデの弓を作る段だぜ。弓弦のことは気にしなくていいからな。いや、だから無視して構わねえって言ってんだよ!しなやかなウッドエルフの踊り子の脚みてえな弓をつくることに集中しな。うん?踊り子?おめえたちにゃ関係ねえ話だよ!

「それだけ?」ってのはどういう意味だい?八大神の名にかけて、それだけのわけがねえだろう!木工はもっと奥が深いもんよ。材料を増やして品質を上げることだってできるし、完成した木工品を改良することだってできるんだ。

だから今それを話そうと思ってたところだって!カエデの弓は〈樹脂〉で改良してはじめて仕上がったと言えるんだ。〈樹脂〉なら、そこらで見つかるはずだぜ。「そこら」と言ったら「そこら」だよ!言っとくがな、充分な〈樹脂〉を用意しねえで改良しようとすると、弓はおしゃかになるし、〈樹脂〉も無駄になるから気をつけるんだぜ。

ああ、森に行けばいつだってカエデはあるぜ。ん?どういう意味だ?砂漠で過ごす予定でもあんのか?ああ、そういうことか…いいだろう。砂漠じゃカエデを見つけることはできねえ。なぜって砂漠にゃ森がないからな。だが、おめえにゃカエデの弓がある。そいつを木工場に持ってって、弓そのものから必要な素材を取り出せばいい。もちろん弓はおしゃかになる。オイラたちはこの処理を「解体」って呼んでる。おめえの姉妹がこさえる出来の悪い詩みてえなネーミングだけどよ、とにかく鑿さえあればそいつができるってわけだ。

なぜそんなに木工がうまくなったかだと?分析のおかげだよ。いや、本を読んでお勉強するのとは違うぜ。できのいい木工品が手に入るたび、オイラはそいつを分解して調べたんだ。そこらのガラクタとどこがどう違うのかを学ぶためにな。そりゃあ時間がかかったし、分解すればその木工品はおしゃかになったが、オイラは気にしなかった。どうやってそれをつくったかさえ分かれば、てめえでいくらでも新品を作れるわけだからな。

さあ、いい加減その口を閉じなよ、テボンズ。飛び込んできた肉喰い蝿を飲み込んでしまう前にな。

基本調理ガイドBasic Provisioning Guide

第七軍団糧秣担当下士官クロエリウス・マルギネンシス 著

私はこの20年というもの帝国軍第七軍団の補給責任者を務めているが、その間に1つの絶対的な真理を学んだ。それは、こと食糧の調達と供給に関しては、自分1人のためでも軍全体のためでも変わらないということだ。魔導将軍セプティマ・サルンの命により、実績と経験で我々に劣る他軍団の補給担当者の力となるべく、ここに私の知識を披露する次第である。

ステップ1:材料の調達

戦場において、味方兵士たちが食糧貯蔵庫として当てにできるのは、貴君のバックパックしかない。したがって、見つかるものは手当たりしだいに徴発すべし。樽、箱、穀物袋…こういったものからは漏れなくその一部を差し出させなければならない。

帝国兵士として、貴君には欲しいだけ徴発する権利がある。とはいえ、節度は保つべきだ。食料庫を空っぽにされた市民は、帝国の横暴をなかなか忘れまい。私は単純に、1つの樽、箱、あるいは穀物袋から徴発する量としては、片手に一杯、柄杓にひと掬い、数えられるものであれば1個にとどめておくことを自分に課している。

ステップ2:レシピの入手

自分が調理師であって、シェフではないことを忘れないように。貴君は何も、シェイデインハル女公爵が召しあがる食事をこしらえているわけではないのだ。部隊の腹を満たすことさえできれば、味なぞどうでもよろしい。貴君に必要なのは、手間がかからずシンプルで、大量に作るためのレシピだ。

鶏の胸肉のローストを例にとってみよう。これをつくるには鶏が要る。ただ、正しいレシピがなければ、いくら必要な食材を知っていても無意味だ。レシピなしでは、手に入れた材料は単なる生肉にすぎない。住民には料理の材料を準備する彼らなりのやりかたがあるものだ。したがって、物資の徴発にあたっては、レシピを見落とさないことが重要になる。

ステップ3:調理、調理、ひたすら調理

レシピを頭に入れたら、集めた材料を調理場まで持っていく。いよいよ調理開始だ。くれぐれも焦がさないように注意されたし。

味方兵士たちには、彼らが最も必要としているものを供すること。斥候と尖兵にはふんだんな野菜が必要だ。魔術師には果物がいちばん効く。歩兵にはいつでもボリュームたっぷりの肉料理が喜ばれる。暖かい食事がときに生死を分けるということを、ゆめゆめ忘れないように。

補足:陣中における醸造

酒類の醸造については訊ねられることが多いので、特に紙幅を割く。まず、酒はポケット瓶1つぶんより多い量を作り置きしないことをお勧めする。そうすれば、味方兵士たちも、それが目覚ましい戦功をあげた者たちだけに与えられる褒賞だと理解するだろう。

とはいえ、戦いや閲兵式の直前など、部隊に景気をつけることが必要なときもある。そんなとき、私はその土地のレシピをひもといて酷い味の地酒をこしらえることにしている。それなら一種のショック療法で兵士たちに自信を与えられるし、とにかくまずいので病みつきになる心配もない。

ステップ1とステップ2は調理と同じだ。ではステップ3はどうだろう?

ステップ3:醸造、醸造、ひたすら醸造

レシピを頭に入れたら、材料を調理場に運び、醸造を始める。失敗しないように。

私は事前に材料を「寄付」してくれた現地住民に、余った醸造酒を分けてやることが少なくない。これは帝国の徴発方針とは異なるのだが、将来われわれほど勇猛果敢でない軍団の巻き添えを食って退却を余儀なくされたとき、部隊が現地住民の敵意に囲まれないようにするには些かの効果がある。

救済のお願いA Request for Relief

親愛なる財務府さま

今年私に課せられました税金について、考え直していただけますよう再度お願い申し上げます。確かに私は帝都に暮らす、認可済みの付呪師です。ですが状況が変わり、かつてはうまくいっていた商売も、今では収入を削るばかりなのです。

数年前、付呪師は付呪をかける対象物を使いました。さまざまな材料と道具を使い、必要な神秘の力をそれに吹き込むのです。このため、付呪師が競う相手は同じ街の同業者だけでした。多くの人々はわずかなゴールドドレイクを浮かせるために剣を下げて何百リーグも先の付呪師の元へ行くのは望みませんでしたから。街での値段は3、4人の付呪師による友好的な会合で決められ、十分な利益を上げられました。王家の権利により、街での営業には高額の税が課せられることもありました。

ですが今はすべてが変わりました。付呪師は望みの効果を閉じ込めたグリフを作るだけです。グリフは単なる宝石で、誰でも剣の柄頭や鎧の部品に取り付けられます。そうすればグリフ内の魔法がその品に流れ込みます。

簡単に思えますでしょう?これが市場の暴落を引き起こしたのです。街ごとの基準で決めた付呪の価格をつけるのではなく、タムリエルの全付呪師が競い合うことになってしまいました。ダガーフォールの三流付呪師が10個の炎のグリフを作り旅の商人に売ります。商人はそれを帝都に持ち込み、シロディールの付呪師たちが決めた値段よりずっと安く売るのです。

この競争により、今では材料費をわずかに上回るほどのゴールドしか得られません。そしてこれでは、あなた方が課した税を払えないのです。

あなた方がよそで作られたグリフの輸入を停めないのであれば、私がこの商売を続けるための税を減らしてください。このままでは20年住み続けた家を売り、商人の息子の家庭教師など、他の職業に就かねばなりません。

お返事を心よりお待ちしております。

疲れ果てた賢者

仕立屋入門A Clothier’s Primer

粉々の仮面 著

未来の挑戦者たちよ!俺様、粉々の仮面が戦ってきた相手のなかには、きちんとした履きものの重要性を理解しない連中があまりに多い。

この入門書では、貴様にシンプルな手織りの靴のこしらえかたを伝授しよう。もし将来「聖なるるつぼ」で貴様と相まみえるなら、貴様が負けるのは靴が満足に縫えなかったせいではなく、俺様の比類ない戦闘技能のおかげであってほしいからな。

ステップ1:黄麻の入手

未加工の黄麻は安く、豊富なうえ、編みやすい。一目でそれと分かる黄色い花を原野で探すんだ。なんなら、誰かに金を払って積んできてもらってもいい。闘技場で俺様が懲らしめたいのは、その手の怠け癖だからな。

ステップ2:布の加工

仕立台さえあれば、未加工の黄麻に手を加えることができる。プロの仕立屋はこの処理を「加工」と呼ぶが、加工は未加工の素材であればどんなものにも施せる。靴をこしらえるために必要な加工済みの黄麻を作るには、さしあたり未加工の黄麻が10要る。

もっとも、機織りなんぞやってられるか、というなら話は別だがな。

ステップ3:スタイル!

仕立屋たる者、自分たちの文化に固有のスタイルを守るものだ。何より、闘技場で目立つ格好をしようと思ったらスタイルが欠かせない。だから、自分が作業しやすいスタイル素材を見つけることだ。貴様がアルゴニアンなら、アルゴニアンスタイルの素材から始めるといい。仕立屋から買うもよし、貴様に負けて吠え面をかいている負け犬から取り上げるもよしだ。

ステップ4:靴の作製

スタイル素材と黄麻5(いいか、加工済みの黄麻だぞ。未加工の黄麻じゃ駄目だ)を持って仕立台に足を運び、さっそく作業に取りかかれ。手織りの靴を1足こしらえるんだ。使う黄麻を増やせば品質を上げられるが、まずは5から始めるのがいいだろう。

たやすい仕事だぞ!硫黄の王冠を勝ち取るという貴様のはかない、勘違いも甚だしい望みを打ち砕くのが、俺様にとってたやすいのと同じくらいにな。

粉々の仮面流仕立術

闘技場でそれなりの戦いぶりを見せる戦士ならば誰しも、ただの靴じゃ満足しない。その点、生皮のブーツなら防御力が上がるし、色鮮やかなサッシュなら闘技場で目立つこと請け合いだ。是非、こしらえてみるといい。仕立屋家業の勘所さえつかんでおけば、愛する者たちの目の前で俺様に恥をかかされたあとでも、食うに困る心配はなくなるぞ。

靴の改良

こしらえた靴、またはその他の衣服を改良するには、仕立台で「タンニン」を使う必要がある。ただし、慎重にやらないと、衣服もタンニンも途中で失われてしまうぞ。タンニンは、必要と思うだけ使うこと。

タンニンは自分で見つけるんだ。なんでもかんでも楽な方法があると思うなよ。

解体

貴様は手間を省きたいタイプかもしれない。未加工の素材を集める暇がないなら、要らなくなった衣服をいつでも解体できるぞ。解体すればその衣服は駄目になるが、その代わり、俺様に頭から吹っ飛ばされる運命の帽子を作るために必要な素材を回収できるだろう。

特性の調査

さて、そろそろ貴様はこう考えているだろう。「粉々の仮面と戦うには、何か強みが必要だぞ」と。それなら、自分より腕のいい仕立屋がこしらえた衣服をばらばらにし、使われている技術を学ぶのがお薦めだ。そうすれば、その衣服に固有の特性が分かる。とにかく、自信をつけるためにできることはなんでもするがいい——俺様がそいつを粉々に打ち砕いてやるまではな。

鍛冶の基本Blacksmithing Basics

ゼグ・グラ・ドゥシュ 著

オークの鍛冶夫人たちは言う。鍛冶のノウハウを知っているのは自分たちだけだと。そんな言い草はくそ喰らえだ!本書では鉱石の見つけかたから始め、鉱石からインゴットを取り出す方法を示し、さまざまな加工スタイルを説明したうえで、具体的な武器の作り方を解説する。これを読めば、君もすぐに鍛冶屋を名乗れるようになるだろう。

ステップ1:鉄鉱石の入手

鉄鉱石は最も扱いやすく、しくじっても簡単にやり直しがきく。まずは、大きな岩の露頭の近くで艶のないさび色の岩を探すこと。見つかったら掘り出す。自分で掘らない場合は、掘り出した人から買うか、知り合いに借りればいい。鉄鉱石の塊が10個集まったら、次のステップに進む準備は完了だ。

ステップ2:インゴットの加工

まず、鍛冶場を見つける。次に、鉄鉱石の塊10個からインゴットをつくる。この作業を「加工」と呼ぶ。理由が知りたければ、鍛冶夫人に訊ねればいい。

ステップ3:スタイルの選択

すべての種族が独自の鍛冶スタイルを持っており、それぞれ伝統的に好まれる素材が違う。憶えやすいように、ここではそれを「スタイル素材」と呼ぶ。私にはオークのスタイルが一番しっくりくるが、それは私がオークだからだ。君がアルゴニアンなら、アルゴニアンスタイルの素材から始めるといいだろう。素材が他で見つからなかったら、鍛冶屋に行けば売っている。

ステップ4:鉄の短剣の作製

鉄の短剣は簡単に作れる。必要なのはスタイル素材が1つ、インゴットが2つ。あとはハンマーをしっかり握った片手があればいい。これらがそろったら鍛冶場を見つけ、鉄の短剣を一振り作ってみよう。高品質なものを作るには使うインゴットの数を増やさなければならないが、さしあたって2つで充分だ。

ステップ5:作品の鑑賞

先に進む前に、しばし自分の作品を鑑賞しよう。それは「ただの鉄の短剣」とは違う。君が地面から鉱石を掘り出してつくった、命を奪うことができる道具だ。自分の作品には敬意を払うべし。

とはいえ、鉄の短剣では鍛冶夫人たちを感心させられないだろう。だが、あの連中に何が分かる?鍛冶仕事をする者は誰しも鍛冶屋を名乗る資格がある。何も鍛冶屋に嫁ぐ必要はない。今日は鉄の短剣しか作れなくとも、明日は黒檀の大剣を作ればいいのだ。

補足:上級鍛冶

本気で鍛冶夫人たちの鼻を明かしたいと思ったら、鉄の短剣以上のことを知らねばならない。

武器防具の改良

鍛造した武器や防具を改良するには、〈添加物〉を用いる。必要なときに見つかった試しがなく、いつも怒りに我を忘れる。

〈添加物〉が見つかったら、改良したいアイテムと一緒に鍛冶場に持ってゆく。〈添加物〉の数が多いほど、品質を向上させられる確率が高まる。ただし、成功する保証はない。失敗すれば〈添加物〉もアイテムも失われる。

〈解体〉

素材が足りないとき、武器や防具を〈解体〉して素材を取り出すことができる。〈解体〉すればそのアイテムは壊れてしまい、素材の一部しか回収できないが、インゴットを手っ取り早く手に入れたいときには便利な方法だ。

特性の調査

鍛冶夫人を戸惑わせる方法の1つは、彼女から最良のアイテムを買い、それを分解して彼女が作る武器防具の最大の特性を突きとめることだ。それが分かれば、その鍛冶夫人の最高傑作をコピーして、安く売ることができる。本気で彼女を怒らせたいなら、その鍛冶夫人の鍛冶場で作業を行えばいい。

弟子のための錬金術Alchemy For My Apprentice

言わずと知れた私より

我が愛弟子よ、お前が無駄にしてくれた錬金術の材料は、とうてい不問に付せる量ではない。我が師なら、かくも見下げはてた無能さにはとうてい耐えられまい。「教えるだけ無駄」、「本でも読んでいれば」などと突き放されるのが落ちであろう。そんな不肖の弟子のために、私はこの簡単な手引書をしたためた。希少な溶媒をもう1ケース調達するよりは安くあがるからだ。

万一この手引書を失くしても——お前のことだ、どうせ失くすだろうが——、捨て鉢になる必要はない。私はお前に年俸として支払うべき金を投じてこの手引書を大量に印刷し、ほうぼうに配布する手はずを整えた。いずれ、タムリエルじゅうの錬金術の作業場にこの小冊子が行き渡るだろう。

ステップ1:溶媒の入手

すでに承知の通り、どんな薬を調合するにも下地となる溶媒が要る。私の講義を一度でも真剣に聴いたことがあるなら、最も望ましい溶媒は自然に湧き出た清浄な水だということを知っていよう。水の純度が、薬の品質を左右する。したがって、水を汲むのに最も適しているのは自然の泉なのだ。

新鮮な水が湧く場所の必要性は、何度強調しても足りぬ。治癒の水薬に関する例の事故を憶えているかね?淀んだ水たまりや入り江の洞窟、製革所の下流などで水をすくって事足れりとしてよいはずがないのだ。都会であれば瓶入りのきれいな水がいくらでも手に入るだろうが、それでも自分で汲むに越したことはない。

ついでながら、お前の言う「雨水溶媒」は絶対に使いものになるまい。無駄な実験はただちにやめることだ。

ステップ2:試料の入手

錬金術は組み合わせの学問だ。溶媒が薬の下地であるのに対し、試料は薬の有効成分となる。1つの試料には、4つの特性がある。ここで方形混合の原理を——あらためて——お前に説明するのは気が進まぬが、基本だけは思い出させてやろう。そう、「似たもの同士を組み合わせるべし」だ。

今後、必要な試料は野や山で探すがいい。我が研究室ではなくな!よいか、草花とキノコ類を探すのだぞ。他のものは必要ない!いかなる状況下でも、この原則から逸脱してはならぬ。いつかお前が持ってきた「リスをすりつぶした粉末」などは、八大神に対する冒涜以外の何ものでもない。

なお、使った乳鉢と乳棒は念入りに洗い、きれいにしておくのを忘れぬように。

ステップ3:薬の調合

溶媒1種類と試料2種類を持って錬金台に足を運ぶがいい。くどいようだが、試料は種類の異なるものが必要となる。ムラサキ草とムラサキ草を組み合わせたところで、できあがるのはたんなるまずい水だ。

必要なものがそろったら、それらを混ぜ合わせて薬を調合する。プラスの特性を持つ試料同士を組み合わせれば、プラスの効能を持つ薬ができる。反対に、マイナスの特性を持つ試料同士を組み合わせれば、それをあえて飲もうという愚か者に害悪を及ぼすだろう。試料の特性が合わなければ、溶媒も試料も失われてしまう。

とにかく試料をとっかえひっかえし、どういう薬ができるか試してみることだ。そうすれば、おのずと試料の特性が分かってこよう。もっとも、試料のごく基本的な特性は食べてみれば分かる。ただし、食べるのは1つだけでいい。間違っても試料で腹を満たそうとするでないぞ!

そう言えば、お前はニルンルートを口にしただろう?ばれないとでも思っていたか?こうしていても歯の歌う声が聞こえるくらいだし、だいいち、光るおまるを隠す方法などないのだぞ。

上級錬金術の原理

あくまでも基本をマスターしたうえでの話だが、手の込んだことをやろうと考えるのもよかろう。注意深い研究を重ねれば、薬を調合する際にマイナスの特性を抑える方法、単純な試料の組み合わせから複数の薬を調合する方法、あるいは、試料を追加してより強力な薬を調合する方法さえ習得できよう!

しかし、さしあたって今は、「自分に毒を盛らないこと」を目標にすべきであろうな。

付呪は簡単Enchanting Made Easy

「ルーンをすなどる者」 著

付呪師には誰でもなれる。今何者であるかも、過去何者であったかも関係ない。私など、ひょんなことから付呪の世界に足を踏み入れることになるまで、20年間、ブラック・マーシュで魚を獲っていた。アルゴニアンの元奴隷漁師にマスターできるのだから、あなたにできないわけがない!

ステップ1:ルーンの入手

何年も前、ブラック・マーシュで漁をしていた私は、光り輝くルーンを見つけた。そのときはてっきりウィスプだとばかり思ったよ!ルーンは危ない場所でよく見つかる。だから、充分用心しつつ、そういう場所でルーンが埋まっている角ばった石を探すといい。

—赤い品質ルーンは魚の歳を思い出させる。稚魚はたくさん獲れるが、身が少ない。反対に、歳をくった老魚にはめったに出くわさないが、釣れれば大きい。
—青い潜在力ルーンは魚の味を髣髴とさせる。うまければ1日気分がいいし、まずければ敵に食わせるのにうってつけだ。
—緑色の本質ルーンは魚の種類のようなものだ。霜魚、鎧魚、毒魚…あとは考えれば分かるだろう。

タムリエルじゅうにルーンが散らばっているのはなぜかと訊かれることもある。でもそんなことは魔術師ギルドに訊いてほしい。自分は魚がどこから来るかなんて考えたこともない。考えたのは、どこに行けばたくさんいるかということだけだ。

(白状すると、私は色が識別できない。そういう向きはルーンの明るさを見るといい。品質ルーンは暗く、潜在力ルーンは明るく、本質ルーンはとても明るい)

ステップ2:付呪の作成

品質(魚の年齢)、潜在力(魚の味)、本質(魚の種類)の各ルーンが1つずつそろったら、付呪台に持っていく。さあ、ルーンを1つにまとめて、記念すべき最初の付呪を作成しよう!

漁を学ぶ最良の方法は、実際に魚を獲ってみることだ。付呪にも同じことが言える。付呪を作成する過程で、未知のルーンの意味と機能が分かってくるだろう。「ルーンがどのように魂と共鳴するかを理解しなければ、本当に理解したことにはならない」という意見もあるだろうが、そういう小難しいことは魔術師ギルドに任せておけばいい。

ステップ3;アイテムへの付呪

記念すべき最初の付呪が完成した。いよいよ、初めてアイテムに付呪する準備が整ったぞ!付呪を施し、魔力を付加したいアイテムを見つけるんだ。楽勝だろう?もちろん、そんなに簡単なわけはない。

付呪は選り好みが激しい。武器に使うのがふさわしいものもあれば、防具に使うのがふさわしいものもある。また、宝飾品にしか使えない付呪も多い。自分の手元にあるものよりも高品質なアイテムでないと使えない付呪だってあるかもしれない。そうそう、もし気が変わったら、アイテムを再付呪できるが、新たな魔法を付与すると、古い魔法は失われてしまう。肝心なのは、私の卵の姉妹が言うように、「その場にふさわしい魚を食べさせろ」ということだ。

補足:ルーンの抽出

作成した付呪が自分で使えなくても、がっかりすることはない!売ったり、交換したり、それを使える友達にプレゼントすればいい。

もちろん、付呪台さえあれば、付呪からルーンを抽出することができる。私はこれを「魚のわた抜き」と呼んでいる。この処理で付呪は駄目になってしまうが、使われているルーンの1つを回収できるので、それを別な付呪に使える。

文学

Literature

カラスとレイヴン:3つの寓話Crow and Raven: Three Short Fables

カラスとレイヴンは、鵜が魚を求めて飛び込むのを見ていた。「飛び込むことができたらなあ」カラスが言った。「魚を食べるのが好きなんだ」「なんですって?」レイヴンが言った。「あなたにできないことが鵜にできるって言うの?そんなばかなことってないわ。あなたは鵜の倍も大きいじゃない」「君の言う通りだ!」カラスは言って、水に飛び込んだ。30秒後、彼は水面に浮かび上がってのたうちまわった。レイヴンは近くに立っていた。「レイヴン!」カラスはあえぎながら言った。「どうしてあんなことを言ったんだ?もう少しで溺れ死ぬところだったんだぞ!」レイヴンは肩をすくめて言った。「鳥を食べるのが好きなの」

カラスとレイヴンは、ナゲキバトが浅い水たまりで水浴びしているのを見ていた「ぼくも同じように水浴びできるはずだ」カラスは言った。彼は舞い下りて水たまりで水をバシャバシャはね飛ばし、レイヴンの隣に飛んで戻ってきた。「思った以上によかった!」カラスは言った。「それはどうして?」レイヴンが言った。「あなたの羽もくちばしも目も、前と同じで黒いじゃないの」「その通り」カラスは言った。「でもぼくが水たまりに下りていったら、ナゲキバトが驚いて、巣に飛んで帰ってしまったんだ。それで巣の場所がわかったのさ」「ランチは卵ね!」レイヴンが言った。

カラスとレイヴンは道路沿いの宿屋の上にさしかかる木にとまっていた。下では家畜の仲買人が酔っ払って前後不覚になっていびきをかいていた。カラスは首をかしげて言った。「あの眠っている人のシャツにピカピカのピンがついてるよ」「あれは賞品よ」レイヴンは言った。「あの人はエールを飲んで手に入れたの。彼のマグの残りのエールを全部飲んだら、あなたもピカピカのピンをもらえるわ」「ピカピカのピン!」カラスは言った。彼はテーブルに舞い下りて、残りのエールを飲んだ。そして倒れ込み、起き上がることができなかった。レイヴンは舞い下りて、仲買人のシャツからピンをむしり取った。「ピカピカのピン!」彼女はそう言って飛び去った。

シェオゴラス神話 第1巻Myths of Sheogorath, Volume 1

ミモフォナス 著

シェオゴラスとライアンディール王

ライアンディール王は非常に合理主義的な男として有名だった。彼は小さく、簡単な造りの、芸術品など全くない、みすぼらしい宮殿に住んでいた。「これ以上は必要ない」彼は言うのだった。「軍や重要な公共事業に使えるものを、なぜそんなぜいたく品のために私の金を使うんだ?」

彼の王国はその実用本位の規則のもとで繁栄した。しかし、人々はいつも王の実用主義的考えを理解していたわけではなかった。必ずしも実用的とは言えなくても、見た目に美しい家を建てる者もいたのだった。彼らは芸術作品に時間とエネルギーを費やした。ぜいたくな祝賀行事を催したことだろう。一般的には、彼らは全くもって幸せだった。

ライアンディール王は彼らのような多くの者が王の見本に従わず、質素で実用的な生活をしなかったことに落胆した。彼は何年もこのことについて考えた。そしてついに、そんなつまらない活動に時間を浪費しなければ、どんなに多くのことを成し遂げられるのかを人々が単に理解していないだけだと彼は確信した。おそらく、人々にはもっと見本が必要だっただけなのだと彼は判断したのだ。

王は今後新たに建てるすべての建物は簡素で、装飾もなく、住居として必要な大きさを超えないように命じた。人々はこれには不満だったが、王のことは好きだったので新しい法を尊重した。2、3年が経過すると、豪華な建物より簡素な建物のほうが多くなった。しかし人々は節約した金をさらに多くのぜいたくな芸術品の作成、購入、そしてさらに度を超えた式典に費やした。

ライアンディール王は、自分の時間と財産をもっと実用的な目的に使えばどれだけ有益か、厳しい見本をもう一度人々に示すことにした。彼は都の中のすべての芸術品を禁止した。これには人々もかなり怒ったが、王が人々のためを思ってやっていることだと理解した。しかし、人間の本性はそんなに簡単には否定できない。さらに2、3年が経過すると、都は簡素で、簡単な造りで、芸術のかけらもない建物ばかりになった。しかし、今や人々はさらに多くの金と時間をパーティーや式典に費やしていた。

心を痛めたライアンディール王は、人々は子供のように扱わないといけないのだと考えた。そして子供のように、人々には生活に本当に重要なものは何かを理解させるため権威ある偉人の定めた規則と罰が必要だった。彼は都にお祭り騒ぎは必要ないと考えた。歌、踊り、音楽はすべて禁止された。食べ物や飲み物でさえ、水と簡単な食料品に限定された。

人々はもうたくさんだったが、ライアンディール王には非常によく訓練され、整備された軍隊があったために、逆らうことはできなかった。人々は大挙して聖堂や神殿を訪れ、ライアンディール王がこれらの新しい圧政的な法を取り消してくれるよう、すべての神、デイドラ公にさえ祈った。

シェオゴラスは人々の願いを耳にして、ライアンディール王のもとを訪れることにした。彼は花びらの代わりの腕と中心にあるマッドゴッドの顔で花畑のように夢の中にいる王の前に現れた。「私は創造者の君主であり、乱れし者の君主である。お前には私の創造した贈り物は無用なので、豊富にある他の贈り物で祝福することにした」

その翌日から、都で生まれた子供は皆狂気に襲われた。幼児の心の病は露呈しなかったため、気が付くまでに数年かかった。王自身の息子も犠牲者の1人で、発作や妄想に苦しんだ。しかし、ライアンディール王は方針を変えることを拒んだ。

彼の息子グリントが12歳だった時、寝ているライアンディールを刺した。死に際にライアンディールは尋ねた、「なぜだ?」息子は答えた、「これが僕にできる一番実用的なことだ」

新しい若い王は王宮にいる召使を全員殺すように命じた。彼は新しい治世とライアンディールの法の撤廃を祝って盛大な式典をするように命じた。集まった人々に出したシチューは王宮の召使の死体から作ったものだった。彼はすべての建物の東面の壁を赤く塗り、西面の壁を縞模様に塗るように命じた。彼はすべての市民は豪華な仮面を頭の後ろにつけるように命じた。それから王宮を焼き払い、新しい王宮の建設を始めた。

新しい王宮では、若い王は自分の部屋に扉をつけないように命じた。小さな森林生物が襲ってくることを恐れたためだ。彼は太陽や月がねたんで彼の死を企てることを恐れて、王宮に窓をつけないようにも命じた。

こうして、ライアンディール王の政策は終わりを告げた。都の人々は豪華な芸術品と騒々しい式典のある生活へと戻った。彼らはまるで自分たちには生き生きとした王がいて、王宮を維持しているかのように話して振舞い、王宮を家のように使い、狂った子供の世話をした。シェオゴラスはこの結果に非常に喜んだ。その翌日から、都はあり得ないほどの数の優れた芸術家と乱れた市民という祝福を受けた。

シェオゴラス神話 第2巻Myths of Sheogorath, Volume 2

ミモフォナス 著

シェオゴラスは音楽を発明する

最古の時代、世界がまだ未開だった時代に、シェオゴラスは人間に混じって歩くことを決めた。彼は杖を持った紳士に変装して、気付かれずにあちこち移動した。11昼夜の後、シェオゴラスは人間の生活が彼の超俗的な生活よりはるかに退屈であると確信した。

彼らの生活をもっと面白くするために何ができるだろうか?と彼はつぶやいた。同時に、近くにいた若い女が物憂げにつぶやいた、「鳥の奏でる音はとても美しい」

シェオゴラスは黙って彼女にうなづいた。人間は美しく、心を動かされるような鳥の鳴き声を作ることができなかった。その声は哀れで、平凡なものだった。彼は人間の本質を変えることができなかった、それは他のデイドラ公の権限だったためである。しかし、彼は人間に美しい音を奏でる道具を与えることができた。

シェオゴラスは短気な女を捕まえて、バラバラに引き裂いた。そして、その腱でリュートを作り、その頭蓋骨と腕の骨で太鼓を作り、その骨でフルートを作った。彼はこれらの贈り物を人間に渡し、こうして音楽が生まれた。

精神力の争い

以前、ラバトという名の強力な魔術師が、時の風を歩いてシェオゴラス卿を見つけた。彼の目的はこの最も移り気なデイドラ公に気に入られることだった。シェオゴラスを見つけると、ラバトは謙虚に話しかけた、「シェオゴラス卿、お願いがございます。私にその偉大な魔力をお与えいただければ、あなた様の名のもとに喜んで1000人を発狂させましょう」

ラバトにとって幸運なことに、シェオゴラスはご機嫌だった。彼は勝負をもちかけた、「もしお前が3日間正気でいられたら、願いをかなえてやろう。その間、お前を発狂させることに全力を注ごう。楽しいことになりそうだ」

ラバトはこの新しい取引にあまり気が向かないと確信していた。彼は本当に1000人を発狂させることを楽しみにしていたのだが。「シェオゴラス卿、私の浅はかで自分勝手な要求であなた様の邪魔をしたことを後悔しております。私は不運な願いを撤回し、畏れながらこの場を去ります」

シェオゴラスは笑っただけだった、「遅すぎる、強力なラバトよ。勝負は始まっている、お前は続けなければならない」ラバトは逃げたが、すぐにデイドラの領域からのすべての出口が閉ざされたことに気付いた。彼は後ろを何度も振り返り、あらゆる音に驚きながらあてもなくさまよった。シェオゴラスが仕掛けてくるのを待っていると、次々と新しい恐怖が襲ってきた。

3日後、ラバトはあらゆる植物や動物はシェオゴラスの道具なのだと確信した。シェオゴラスが食べ物や飲み物に毒を入れるのを恐れて、食べることも飲むこともしなかった。シェオゴラスが夢の中に侵入してくるのを恐れて眠らなかった。(それは愚かだった、夢はヴァルミーナの領域なので、私たちに安らかな眠りを与えてくれるであろうから)

その時、シェオゴラスが彼の前に現れた。ラバトは叫んだ、「あなた様は世界中が私を監視するようにされました!あらゆる生物や植物は私を発狂させようというあなた様の命令で動いています」

シェオゴラスは答えた、「実際、私は何もしていない。お前は自分の恐怖で勝手に発狂したのだ。その妄想がお前が本当に発狂している証拠だ、だから私の勝ちだ。お前は1000人を発狂させることを望んでいたが、私はお前1人の心を狂わすことを望んでいたのだ」

その翌日から、ラバトはシェオゴラスのあらゆる思い付きのために働いた。勇敢な旅人がシェオゴラスに近づこうとすると、いつでもラバトは警告する、「シェオゴラス卿はすでに我々の中にいる。お前はすでに失われているのだ」

ワバジャックWabbajack

ちっちゃい子は、大人が見てないところで、永遠の闇の力をつかっちゃいけないって。そんなの知っているけどね。でもあの蒔種の月の5日、良く晴れた夜は大人はいらなかったんだ。欲しかったのは、デイドラの知識、学習、ゴム、そしてニス、あとハルメアス・モラだ。蒔種の月の5日はハルメアス・モラの夜だって僕に教えてくれたのは、いんばかの蔵書庫の下に住んでいた、幅の広い胸を持つきれいな男の人。それで、知識の書オグマ・インフィニウムが必要ならば、彼を召喚しなければならないんだ。ソリチュードの新しい王さまになったなら、どんな小さなことでも役に立つからね。

オブリビオンのデイドラ公を誘い出すには、普通だったら魔女集会か、魔術師ギルド、他には少なくとも一揃いの枕カバーとシーツが必要だって。蔵書庫の男の人は、自分一人で儀式をやる方法を教えてくれたんだ。めちゃめちゃすごい嵐をまって、猫の毛を剃ればいいと彼が教えてくれたんだ。それ以外の儀式の手順は忘れちゃった。問題ないけどね。

誰かが来て、ハルメアス・モラだと僕は思った。でも何だかおかしいなと一つ思ったのは、本で読んだハルメアス・モラは大きくて太っていて、いくつもの目とかぎ爪を持つ怪物だって書いてあったのに、目の前の男の人はベストを着た銀行家のように見えたこと。それに、彼は自分のことをハルメアス・モラではなくシェオゴラスだって言い続けてたんだ。んでも僕はハルメアス・モラをうまく召喚できたことがうれしかったし、なんか変だなってことは気にしないことにしたんだ。彼は僕には難しいこと(多分大人の人でも理解力、経験、知識の域を超えていたと思う)をいくつかさせ、それから彼の使用人が、ワバジャックと呼ばれる何かを僕にくれたんだ。ワバジャック。ワバジャック。

ワバジャック。

ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。

たぶん、ワバジャックが知識の書なのかも。猫だけどコウモリで、ネズミなのに帽子、ブヨだったり、あれは、これと一緒だってわかったんだから、僕は賢くなったのかも。そうなんだよ、ドアにイノシシ、いびきとか床とか、うなり声だって胞子、お前のものは僕のものって。いろいろな仕組みがとてもはっきり分かっているんだから、僕は賢いんだ。なのになんで、他の人は僕の頭がおかしいと言い続けるのだろう?

ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。

狂気の十六の協約、第6巻16 Accords of Madness, Vol. VI

ハーシーンの物語

常に尊大で高慢なオブリビオンの憤怒のデイドラ公は、初夏月のある木曜日にスカイリムの極寒の頂に立ち、旨みのある話をハーシーンに持ちかけた。狩人の神はその日が自分の日であったために姿を現していて、シェオゴラスの大胆さが彼の興味をそそったのだ。

比類なき皮肉さを持つシェオゴラスは、クスクス笑う愚か者と、派手な作家、臆病な切断者を、自らの領域に抱え込んでいる。憤怒のデイドラ公は得をしない駆け引きに精を出し、他者の混乱と悲劇と憤怒がもたらす喜びに過ぎない無意味な流血を促すだろう。つまりシェオゴラスは、自分がハーシーンの好敵手を演じるためのお膳立てをしたのだ。

控えめなデイドラ公はあわてることなく、争いを申し出た。それぞれは、きっかり3年後に再びこの場所で会い、命懸けの戦いをするために、野獣を調教することになった。恐ろしい顔つきの陰に無表情さを浮かべてハーシーンは同意し、吹きだまりにわずかな雪のみを残して、それぞれの世界に去った。

ハーシーンには自信があったが、シェオゴラスが詐欺師であることも知っていたため、隠された世界において、密かに醜悪な物を育んだ。彼は太古のデイドロスを召喚し、邪悪なライカンスロープの呪いを吹き込んだのである。暗黒の心と尖った牙がもたらす恐怖は、ハーシーンの領内にいる偉大な狩人たちにとってさえ、とても言葉では言い表せない、他に類を見ない物だった。

3年目の定められていた日にハーシーンは戻ってきた。そこではシェオゴラスが足を組んで石にもたれかかり、口笛を吹いて、暇そうにしながらも辛抱強く待っていた。狩りのデイドラ公は槍を地面に刺し、うなり声を上げる不自然な巨獣を呼び出した。シェオゴラスはいつものように意味ありげに帽子を持ち上げて見せ、立ち上がって脇に身を寄せ、石の上に留まっていた色彩豊かな小鳥の姿を明らかにした。激しい突風の中で、小鳥はかろうじて聞こえる控えめな声でさえずった。

身をよじるようにして跳ねたデイドロスは石に飛びかかり、巨石があった場所にがれきのみを残した。勝利を確信した怪物の血まみれの口は、丸まってあざけるような笑みとなったが、控えめな歌がすがすがしい空気に漂った。小さな鳥は、怒り狂うデイドロスの鼻の周りを軽やかに跳ね回った。大きな獣の恐ろしげな両目の間で、ウロコに挟まった物をついばむちっぽけな生き物の姿を、穏やかな陽気さを浮かべてシェオゴラスは眺めた。憤激の吠え声を上げながら、狼めいた物は厄介者を引きちぎろうとして我を忘れた。争いは何時間も続き、ハーシーンは、自分が生み出した最良の獣が、無邪気な鳥を追い回すうちに次第に自滅していく姿を、恥ずかしげに見ていた。その間ずっと、鳥は自分だけに聞こえるぐらいの範囲内で悲しげな調べをさえずっていた。

激怒しながらも打ちのめされたハーシーンは、ズタズタになった獣の死体を焼き、忘れ去られた言葉で悪態をつきながら、自分の世界に引き下がった。彼の呪いは今でもその頂にとどまっているため、ぼんやりと見えるその高地に込められた彼の激怒を恐れて、旅の者は誰もが素早く通り過ぎようとする。

シェオゴラスは振り返り、自分の肩に留まるよう、小さな鳴き鳥に手招きしてから、アビシアン海岸の暖かいそよ風と鮮やかな日の光を目指して、ゆっくりと山を下りた。タムリエルで最も小さなチャンピオンがさえずる調べに合わせて、口笛を吹きながら。

好色なアルゴニアンの侍女 第1巻The Lusty Argonian Maid, Volume 1

(一部)

第4幕、第3シーン、続き

尾を上げる者:とんでもありません、旦那様!ただお部屋の掃除に来ただけです。

クランティウス・コルト:お嬢ちゃんはそれだけのために来たのかい?私の部屋へ?

尾を上げる者:なんの事だかわかりません、ご主人様。私はただの哀れなアルゴニアンの侍女です。

クランティウス・コルト:そうだな、おチビちゃん。たくましい足に整ったシッポ、いい侍女だ。

尾を上げる者:恥ずかしいです、旦那様!

クランティウス・コルト:恐れる事はない。私と居れば安全だ。

尾を上げる者:旦那様、お部屋のお掃除を済ませなければなりません。さもなければ奥様に叱られてしまいます!

クランティウス・コルト:掃除だと?それではこれを掃除してもらおうか。ほら、俺の槍を磨け。

尾を上げる者:とても大き過ぎます!一晩中、掛かるかもしれません!

クランティウス・コルト:愛しい子よ、時間はたっぷりとあるぞ。たっぷりとな。

第4幕、第3シーン、完

好色なアルゴニアンの侍女 第2巻The Lusty Argonian Maid, Volume 2

(一部)

第7幕、第2シーン、続き

尾を上げる者:まあ、大きなパンの塊!でもどうすれば私の炉に入るかしら?

クランティウス・コルト:このパンはまだ焼く準備ができていないんだ、愛しい人。まだ膨らんでない。

尾を上げる者:急いでできればいいのですが。どうすればいいでしょうか?

クランティウス・コルト:おお、愚かで小さなアルゴニアンの侍女よ、お前の手を使わなければならない。

尾を上げる者:パンをこねればいいのですか?ここでですか?

クランティウス・コルト:もちろんだ。

尾を上げる者:でももし奥様が私を捕まえたら?あなたのパンは彼女の食欲を満たすためになります。

クランティウス・コルト:心配するな、私の繊細な花よ。後で奥様の希望もかなえるさ。

尾を上げる者:分かりました、ですが私の炉はまだ暖まっていません。時間がかかってしまいます!

クランティウス・コルト:愛しい子よ、時間はたっぷりとあるぞ。たっぷりとな。

第7幕、第2シーン、完

神聖なアルマレクシアの説教The Homilies of Blessed Almalexia

ソーサ・シルとスクリブ

幼いソーサ・シルが卵の鉱山で遊んでいたとき、深い立て杭にたくさんのスクリブがいるのを見つけました。そこで彼はスクリブ達に石を投げ始め、右往左往して散り散りになる様子を見て笑いました。とうとう1匹のスクリブが苦しみながら頭をもたげ、ソーサ・シルに向かって叫びました。「どうか、どうかお慈悲をください、小さな坊や、あなたにとっての楽しみが、私達にとっては苦痛と死なのですから」

そうしてソーサ・シルは、ある人のちょっとした楽しみが他の人の重大な拷問となるかも知れないことを知りました。

ヴィベク卿と喧嘩好きな獣

ショークとカゴーティがフォヤダを気取った足取りで行ったり来たりしながら、互いの見てくれについて非難し合っていました。「お前は生き物の中で一番醜いな」ショークがカゴーティに言いました。「いや、お前こそが一番醜い生き物だ」カゴーティがショークに言いました。どちらも自分が一番ハンサムで、相手が一番醜いと思っていたのです。

そこにヴィベク卿が通りかかり、彼らの争いをおさめました。「いや、お前達どちらも一番醜い生き物だ。私の楽しい滞在をお前達の見苦しくつまらない口げんかで台無しにされるわけにはいかない」そして彼は両者に強力な一撃を加えて頭を粉々に砕き、彼らを永遠に黙らせて、楽しく旅を続けました。

こうしてヴィベク卿は、醜さは外見と同様態度にも表れるということを明らかにしたのです。

ゆでカゴーティ

カゴーティが沸騰するプールに足を踏み入れたら、すぐに飛び出して難を逃れると言われています。

ところが、カゴーティがプールの中に立っていて、魔術師がゆっくりと少しずつ温度を上げていくと、カゴーティはプールの中に落ち着いて立ち続け、ついにはゆでられてしまいます。

このことから、私達は明白な危険に対してだけではなく、最終的に危険になるかも知れない微細な変化にも気をつけるべきだということがわかります。

怪しい治療師

昔昔、あるテルヴァンニが自分の塔を飛び出して、世界中に向けて、自分は強力で博識な治癒師で、あらゆる魔法と薬に通じ、すべての病を治すことができると宣言しました。

ヴィベク卿はこの魔術師を見て、彼の自慢を聞いて、それから彼に尋ねました。「自分自身の尊大さと愚かさという症状を治すことができていないのに、どうして他人にすべての病を治す処方をするふりができるのかね?」

グアルとマッドクラブ

グアルは他の生き物にあまりにも苦しめられてきたので、どこに行けばよいのかわからなくなってしまいました。彼らに近づく獣が1匹でもいるのに気づくやいなや、彼らは恐怖にかられて逃げ去ってしまうのです。

ある日彼らはニックスハウンドの一群が歩き回っているのを見て、絶望的なパニックに陥りました。全グアルが海に向かってほうほうの体で逃げていき、こんな恐怖の続く生よりは自ら溺れ死ぬことを選びました。ところが彼らが海岸に近づくと、マッドクラブの集団がいました。彼らはグアルの接近におびえて、大慌てで逃げ出し、自ら水に飛び込んでいきました。

「本当のところ」グアルの1匹が言いました。「物事ってのは見た目ほど悪くはないんだ。だって、いつだって自分よりも惨めな誰かがいるんだからね」

傷ついたネッチ

傷ついたネッチが自分の餌場の静かな片隅で横たわっていました。彼の元気な仲間達が大挙してお見舞いにやって来ましたが、どの仲間も彼がとっておいた飼葉を好きに取って食べてしまいました。その結果哀れなネッチは死んでしまいました。傷のせいではなく、かつての友人達の強欲と短慮のせいで。

このように、考えなしの仲間は助けよりも害をもたらすことがあるのは明らかなのです。

伝説の災厄The Legendary Scourge

「その夜になるまで奴らは現れなかった」と彼は答え、メエルーンズ・デイゴンの従徒たちとのやりとりについて語った。マッカーンにとっては風の跡をたどって口笛を吹きつつ無駄足を踏まされるほうが、彼の配下の蛙たちと戦うよりも容易だろうとのことであった。これを聞いたマッカーンはこう言った:

「以後は自分の身を守ることを考えろ
そして自らの領分および誇りを逸脱するな
さもないとマラキャスの災厄なるこの鉄槌が
迷わずお前の耳と相まみえるだろう
俺が「均衡」と叫ぶのにかかる時間で
たとえお前に腕が八本あろうとも
死者の領分に足を踏み入れるお前の頭蓋に
無数のこぶができるだろう」

解説:マッカーンが愛用したとされる伝説の武器であるマラキャスの祝福こと災厄の戦棍はフィックルダイアーの泉で聖なる黒檀から作られたものであり、常に闇の住人たちに破滅をもたらす存在であり続け、友無き者を守るこの品の一撃でオブリビオンに送り返された黒き霊魂は数多い。

謎かけの赤い本The Red Book of Riddles

この手軽なる書物にこそ、様々な謎かけやおふざけが収められ、入念な研究を通じ、教養ある慎重なる紳士は、同輩の者たちの鋭い才知により当惑させられることはなくなるだろう。

(西方の貴族社会では謎かけの応酬は慣習の一つとなっている。貴族や社交界での活躍を図る者たちは謎かけの本を集めて研究し、会話の際に狡猾にして機知に富んでいる印象を与えられるよう、努力を重ねるという)

問いかけ:

汗水流して働けど

暮らし良くなる気配無し

努力の挙句に手元に残るは

返し:

これぞドレイク金貨なり

問いかけ:

人とエルフの心とは

詩人こそ知るところなり

熊に詩吟を詠ませたら

返し:

瞬く間にのけものなり

問いかけ:

爺を殴って殴りつけ

見慣れぬ顔に仰天す

慌てて周囲を見まわせど

返し:殴る拳を違えたか

エボンハート・パクト スタイル

クラフトモチーフ27:
Ebonheart Pact style

エボンハート・パクトの武器と鎧

隻眼のホルガン将軍

俺は物書きではない。それは間違いないのだが、ここでこうして再び羽ペンを手に取っている。ジョルン王、あるいは側近かもしれないが、とにかくその要請を受けて。あの腕白小僧のような王とは、数日間会っていない。一体何をしようとしているのだろう?

それはさておき、我々の同盟の武器と鎧がどんな風であるべきか、その要点をまとめることになっている。鍛冶屋と防具屋が揃って基準を統一できるようにするためだ。自分ならできると思う。ショールの石にかけて、たっぷりと見てきたからな!

ブーツ

個人的に、俺はパクトの軍用ブーツが好きだ。爪先に鋼の入った飾り気のないサバトンは、実用的できれいにしやすい。まるでノルドのようだ。きれいにしやすい点は除くが(冗談ですよ、陛下!)。しかし真面目な話、これは素晴らしいブーツだ。毛皮を少しだけ加えれば、さらに良くなるかもしれないことは認めるが。

ベルト

俺は上等で頑丈なベルトが好きだ。武器を抜く時に柄が引っかかりそうな、厄介な装飾がゴテゴテと施されたものではないぞ。分かるな?パクトの兵士に支給されるのはそのようなベルトだ。めかし込みたければ、胸当てとポールドロンに頼ればいい。

広げられた上品な翼と角を持つパクトの兜によって、我々はかつてない境地に達したと言わざるを得ない。見ているだけで、ノルドの心が温かくなってくる。頑丈でもあるし、前面に面頬がついていて、あらゆる点で優れた防具だ。頭防具の逸品と言える。

脚当て

パクトの脚当ての前プレートは頑丈で、正装閲兵式でも十分に映えるだけの装飾が施されている。また、かぶせてある尖った膝当ても俺は好きだ。泣き虫を石の中でひざまずかせる時にはそれが必要だ。敵にはそうしなければならない。再び起き上がった敵に報復されることは望まないから。

パクトの射手のために、我々はダークエルフの合成弓を採用し、にやりと笑う金属製のドラゴンの頭を正面にいくつか付け加えた。見た目がいいだけでなく、必要ならば、弓のリムを使って射手が身をかわすこともできる。

胸当て

これこそ、めかし込むことができる防具だ。浮き彫りにされたドラゴン、アルゴニアンの自然なデザイン、そしてダンマーの何やらかにやら。それが何なのか俺は知らないが、とにかく見た目は素晴らしい。しかしキラキラした装飾のみに目を奪われてはいけない。この胸当ては見かけ倒しではなく、鋼と革で作られた頑丈な製品だ。

前に述べたようにパクトの短剣はダークエルフのデザインを採用したのだが、それがあまりにも良かったので、拡大採用して戦士の剣にも用いることにした。同じ真っ直ぐな刃、同じ先端部の小さな返し、同じドラゴンの刻印が押された、トリビュナルの影響を受けた鍔。素晴らしい剣だ。素晴らしい剣に勝るものはない。

肩防具

レドラン家のダークエルフが大きく広がったポールドロンを強く求めたため、我々は認めることにした。実際に彼らに与えてみると、見栄えがいいことは認めざるを得ない。時には、彼らもちゃんとものが分かって話をしているのだ。

手袋

パクトの兵士たちには頑丈なノルドの籠手を与えたかったが、ダンマーとアルゴニアンが両手をかなり自由にしておくことを望んだため、俺の意見は却下されてしまった。それでもこれは良い手袋だし、甲の部分に十分なプレートメイルが仕込まれた、より重厚な型のものもある。

パクトの盾はノルドの簡素な楕円形の凧の形を採用し、周囲にたくさんのスパイクを付け加えてある。俺には分からないことだが、ダンマーとトカゲの連中はスパイクだらけのものが好きなのだ。それから、自分がどの同盟によって叩きのめされるのか敵に思い出させるために、数頭の大きなドラゴンを正面に付けてある。

ここまで読めば我々の同盟の象徴が何かは分かっているはずだ。では、パクトの魔法使いに与える杖に我々が何を付け加えたか、当てられるだろうか。「うなり声を上げる金属製のドラゴン」と答えた方は、自分で自分を褒めるといい。他の答えを出した兵士は、街に入れないほどの愚か者なので、今夜の見張り番を命ずることにする。

戦棍

片手で用いるパクトの戦棍は好きだ。良くできた簡素なアルゴニアンのデザインで、スパイクと、丸いヘッドが付いている。他に一体何が必要だろうか?しかし、我々はうなり声を上げるドラゴンの頭が3つ付いている両手用の戦棍に頼りすぎてしまっていると思う。鍛冶屋にとって作るのがより困難だし、簡素な戦棍よりも効果的に敵の頭を叩き潰せるわけでもない。

短剣

パクトの短剣を選択するに当たって、我々はダークエルフを頼りにした。何しろ、誰かを背中から突き刺すためのものだからな。いや、今の言葉は言うべきでなかったかもしれない。ともかく、鍔がトリビュナルの象徴を基にしていることは見れば分かるが、そこにも我々はドラゴンを刻んである。

パクトの兵士たちには、実績あるノルドの伝統的なデザインに基づいている斧を装備させている。異なる点はドラゴンの刻印が刻まれていることだけだ。この同盟ではあらゆるものにドラゴンの刻印が刻まれている。決して不平を言っているのではない。楯突くべきではない相手の象徴として、ドラゴン以上のものなど考えられない!