オブリビオン | The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫

デッドランドからの文書

Dispatches from the Deadlands

アイアンクラッドの道Path of the Ironclad

破滅の運び手ジャユース 著

破壊のデイドラ公、メエルーンズ・デイゴンの名においてご挨拶しよう!

目覚めの炎に仕える者には困難な道が待ち受けている。壊れた世界を再建する任務は、取るに足らない者どもを一掃することから始めねばならない。だが、弱く愚かではあっても、敵は多く我々は少ない。この世界は大いなる戦いなくして終わらない。すなわち最終決戦だ。ニルンの全ての生命が、立場を選ばねばならぬ戦いだ。”変異”の父が我々を呼んだのはまさにこの使命のためだ。メエルーンズ・デイゴンを称えよ!

さて、兵士なくしては戦いに勝利できない。破壊のデイドラ公はデイドラの軍団を率いておられるが、我々定命の者にも役割はある。目覚めの炎はニルンでの戦いの最前線に立ち、怯まぬ勇敢さと揺るがぬ信仰で道を切り開く。そうすることによってのみ、我々がメエルーンズ・デイゴンの忠良な下僕であり、その大いなる計画に参加する資格があると証明できる。

突撃の先陣を切って、不信心者の軍勢を叩き潰す格別な名誉は当然ながら、最強かつ最も決意の固い戦士のものだ。それこそ我らがアイアンクラッドで、炎と洪水の王への信仰に劣らぬほどの肉体的な力を誇る。

熱意こそが信徒の鎧だが、目覚めの炎のアイアンクラッドは信仰同様に強靭なデイドラ鋼で守られている。アイアンクラッドがひとたび強力な兜をかぶれば、卑しき定命の者ならではの弱さも疑いも投げ捨てる。彼らは生ける破壊の原動力となり、破壊のデイドラ公が敵を撃つ稲妻となるのだ!慈悲なく、疲れ知らずで、不可避の兵だ。どのような敵も強靭な信仰を持つアイアンクラッドには敵わない!そして誉れある破壊によってついにアイアンクラッドが散る時、デイゴンの勇者は砕かれ、痛めつけられた不信心者どもの死体に囲まれていることだろう。

これこそがアイアンクラッドの道なのだ。入信者よ。信仰に劣らぬ腕力を誇るなら、お前の道にもなり得る。破壊のデイドラ公を称えよ!メエルーンズ・デイゴンを称えよ!

(志願を決めた者は、このパンフレットを高位のディサストリクスに手渡すこと)

インファーニウムに関してOn Inferniums

帝都の評議会付デイドラ学者、ペラギウス・ハーバーのメモより

デイドラ学者はめったにデイドラを召喚しない。我々のほとんどが本物の魔法の資質を欠いているからだ。勇敢か、あるいは愚かな魔術師はオブリビオンの獣をニルンに招くが、大抵はズィヴィライやドレモラといった亜人や、クランフィアやデイドロスのような獣じみた生物ばかりだ。こういった10から15種に偏向することは、不幸にもオブリビオンの住人の真の姿を魔術師の目から覆い隠してしまう。オブリビオンの平原を徘徊するものの中にはニクバエのような大きさのものから、遥かに大きなものまで存在している。

例えばインファーニウムだ。高名なドレモラの外交官によれば、定命の者にその獣の真名は発音できないという。我々の耳で聞き取るにはあまりにピッチが低すぎるからだ。この獣はそのサイズと醜さの両面で既知のデイドラのほとんどを圧倒し、その姿は牙を生やした巨大ヒルや化物じみた芋虫に似ている。馬ほどの生物ですら軽々と丸のみにし、手当たり次第に何でも食べる。

それだけでも大抵の人々には十分に恐ろしいのに、その動機の異様さにはさらなる戦慄を覚える。デイゴンと盟約を結ぶ全てのデイドラのように、インファーニウムは動乱と革命に憑りつかれているようだ。だが、他の獣型のデイドラと違い、この生物はこういった標的を大雑把で一般的な意味では追求しない。この生物は政治的、文化的な力がどこにあるかを鋭敏に知覚しているようで、行動を起こして確認し、恐るべき結果をもたらす。高位のドレモラが定期的にインファーニウムに襲われて餌食になる割合は、身を守る術の乏しい低位のヴァーレットよりもずっと多い。インファーニウムはさらに極大魂石、マスタールーセント、貴重な異次元の遺物などの強力なアイテムを食らう。潜在力、名誉、権威があるところ、必ずやインファーニウムがそばに隠れ潜んで舌なめずりしている。

これは我々定命の者がずっと抽象概念とみなしてきた、力というものの本質に対して様々な存在論的な波紋を起こす。オブリビオンにおいて抽象的な力は、定量化でき、検知できる物理的な力として、計測可能かつ物理的に収拾できる形で存在している可能性を考慮せねばならない。私の生があるうちに真実を明らかにすることはできまいが、いずれ未来のデイドラ学者がこの点を明らかにしてくれるものと信じている。

ヴァルキナズ・ノクブロズについてOn Valkynaz Nokvroz

ヘクソス家貿易共同事業体最高相談役 ガレリア・ヘクソス様

ヘクソス家運営主任 フォーティス・スカエバ より

もっとうまくやれたかもしれません。

たった今、切望の要塞の最高指揮官ヴァルキナズ・ノクブロズという、融通の利かないドレモラとの恐ろしい会談から戻りました。失礼しました――あなたは今もドレモラと彼らの異様な慣習に、大変とまどっておいででしたね。ノクブロズが名前で、ヴァルキナズは称号です。”公”と”将軍”の間のようなものと考えていただければ差支えないでしょう。とにかく、ノクブロズはデッドランドで最も強力な要塞の指揮を執っています。メエルーンズ・デイゴンのしもべの中でも筆頭格で、そのことを本人も自覚しています。

ともあれ。先日、地元民が集めた有害なバーブ・ブライトの根を買い入れるため、ジュニアトレーダーのファルヴィオル・ストリンを作業員や荷馬車と共に、哀れなる者の尖塔に送り出したことは覚えておられるでしょう(この植物でテルヴァンニの魔術師からどのような利益が得られるかはご存じですね!)。ファルヴィオルの一団が戻らなかったため、私は調査を行うべく哀れなる者の尖塔に向かいました。そこで私は、我々の従業員が荷物を積んで出発した直後に、巡回中のドレモラに捕まったことを知りました。彼らは切望の要塞に連行されたのです。私はいつもの世話役に手配させ、ファルヴィオルの解放を交渉するため安全な経路を確保しました。

ノクブロズとは要塞の謁見の間で会いました。そこは率直に言って、タムリエルのほとんどの玉座の間が恥じ入るような場所でした。ヴァルキナズの背はこれまでに会ったことがあるどのドレモラよりも頭一つ高く、幅広い肩と劣った者への軽蔑であからさまに輝く、赤い眼を備えていました。キンの多くが厳格で、残酷ですらありますが、あのように純粋な悪意を感じたことはほとんどありません。私は安全な経路の確約があってさえ、部屋を生きて出られるかどうか疑問に感じていると気付きました。

「で?」ノクブロズは挨拶代わりに言いました。「お前はある種の商人で、取引を望んでいると部下から聞いた。定命の者と商人には我慢ならない。だからさっさと話せ」

私は儀礼的な挨拶を省略しました。「はい、ヴァルキナズ。私はファーグレイブのヘクソス家の代表者です。あなたの戦士が哀れなる者の尖塔の近くで我々の従業員を拘束しました――ファルヴィオル・ストリン他3名です。ここには彼らの解放をお願いにあがりました」

「ダメだ」ノクブロズは顎から突き出た黒い角をなでましたが、愉快そうな様子は露ほども見られませんでした。「奴らはいるべき場所にいる。命を奪わなかったのは、単にデイゴン公のため働く可能性があるからだ」

前任者の謎めいた失踪の後、ヴァルキナズが今の(何にせよ、ドレモラの用語で言うところの)職位に就いて、切望の要塞の指揮を執り始めてからまだ日が浅いということは耳にしていました。彼は自らが支配する領域で、私たちが取引をするために支払う一種の賄賂や手数料のようなもので、新たな収入の見込みを立てたいのだろうと考えました。「もちろん、取り立てて価値もない労働者4人の返還と引き換えに、彼らより価値があるものを提供できますよ」と、私は言いました。「通常は」と始めたところで彼が遮りました。

「お前やお前の家とやらからは、何も求めていない」

私は困惑しました。「では、なぜ彼らを連れ去ったのですか?」

ノクブロズは私を睨みつけました。「定命の者が、処罰もされずにこの領域をうろついていると聞くとむかつくからな。そんなことは容認しない」

「それは今まで問題になりませんでした!」と私は抗議しました。

「今までがどうであろうと関係ない。お前が雇っている定命の者を気にかけるなら、デッドランドに立ち入らせるな」

「目覚めの炎教団はどうなんです?」私は尋ねました。「あなたの軍は、彼らがデッドランド中にある様々な所有地に出入りすることを許可しているじゃないですか」

「目覚めの炎の話はするな!」ノクブロズは怒鳴って勢いよく立ち上がり、私は思わず三歩後退しました。「デイゴン卿は食卓から、あのしおらしい振りをした定命の者どもにパン屑を落としてやるのを楽しんでおられるのだ。奴らなどどうでも良い。我が主人が定命の者の教団で遊ぶことに飽きた瞬間、喜んでデッドランドから残らず排除してやる。お前の馬鹿げた商人を排除したのと同じようにな。それとも、お前はその判断が不当だと思うのか?」

安全な経路だろうが何だろうが、私は哀れなファルヴィオルが陥っている悲惨な状況にとても近いところにいると感じました。私たちはこういった問題に巻き込まれた従業員を救うためなら、どんなことでもすると思いたいところですが、ヴァルキナズと話して自分が加わったところで誰も救われないでしょう。何より、私自身が。

「とんでもない、ヴァルキナズ」私は注意深く答えました。「お立場を明確にしてくださったことに感謝します。これ以上ここで同僚がご迷惑をかけることの無いよう取り計らいましょう。よろしいでしょうか?」

ノクブロズは小さく不快そうな音を立て、何も言わず手振りで私を追い払いました。

以上です。ヴァルキナズの非協力的な態度からすると、デッドランドでの業務を調整する必要があるでしょう。地元で見て見ぬふりをするよう説得できる指揮官を見極めるまでは、仲介人や臨時雇いを使ったほうがよさそうです。そして、残念ながらファルヴィオル・ストリンとそのグループの近親者には、慣習的な金銭を渡さなければならないでしょう。

再び彼らに会えるとは思えません。

ヴァルキナズ・ノクブロズのメモNote from Valkynaz Nokvroz

ポータルの機械を動かすには、充填されたルーセントが挿入されていなければならない。

ルーセントを何度も抜いているところを発見された者は、悔やむことになるだろう。好奇心と実験は、私が与える罰に見合ったものではない。

ヴァルキナズ・ノクブロズ

ヴィビアス・ソシアへの手紙Letter to Vibius Sosia

ヴィビアス、

私の望みはデイドラにここに住んでもらうことだけだ。定命の者同様に。彼らには思考能力も目標もある。敬意を払われるべきだ。

哀れなる者の尖塔の中からデイドラが出ないようにするため手伝うという申し出は、当初ありがたかった。だがもう私は2人殺した。いや、1人はオブリビオンに送り返し、街の庇護から遠ざけたというべきか。ともかく、お前の命で決してできないと思っていた行為をやってのけた。

だが、お前が約束した変化は起きない。だから、残念だが、自分の手で解決する。お前の助言なしで。うまくやってみせる。そうすればデイドラは哀れなる者の尖塔で安全に暮らせる。疑いもなく、彼らの家で。

エヴェリの演説案Eveli’s Speech Ideas

演説メモ!

メエルーンズ・デイゴンの呼び方一覧:

尻の赤い腰抜け
腕が無駄に多い奴
敗北のデイドラ公
割れた巨大ドングリ
敗北者デイゴン
育ちすぎのマッドクラブ
地団駄おじさん
怒鳴り声のデイドラ公
ここから見るとスカートが短すぎる
でかくて醜いスキャンプ

話すこと:
– 激戦だった!爆発、矢、炎について話す。
– 全員の名前を言う。いや、時間がかかりすぎるかも。名前が多すぎる。
– 勝ち目の薄い戦いに勝った!メエルーンズ・デイゴンの醜い顔を蹴飛ばしてやった!(これはいい表現。使う)
– 捜査官ヴェイル

忘れないように
– 長く話しすぎないこと。伸びきった射手は嫌われる。
– 笑顔。でも笑いすぎない。ニヤニヤしすぎると不気味だ。
– デイドラを馬鹿にしない!
– ライランスの話はしないほうがいいかな?彼女が来れば別だけど。その場合、野望の力の話はしないほうがいいかもしれない。

オブリビオンの性質On the Nature of Oblivion

デイドラ学の第一人者、カナンミルディル 著

この私、デイドラ学者カナンミルディルは長年デイドラ研究において、極めて高い確率で創意あふれる結論を生み出してきた。その特大の知性を活かして史上最大の謎にまつわる知識体系を掘り下げよう。つまり、オブリビオンの真の性質についてだ。

周知の通り、オブリビオンはアービスの内に存在し、様々なデイドラの領域を含む。だが、オブリビオンとは何だ?特に領域の狭間には何が存在している?領域の間には敵対的な虚無が存在すると示唆されている。そこに肉体を持つ生命は一切住まうことができず、肉体を持たない生命は次元と次元の間で闇の広がりを目撃し、経験を損なうことなく戻る。デイドラ自身はこの話題を避ける。

私見だがあらゆる無慈悲な力と同じく、オブリビオンの本質が敵対的な訳ではない。だが、その冷酷な性質に破壊への危険な嗜好を孕んでいる。さらに言えばオブリビオンと我々が呼ぶものは、生命を軽視しているわけではないが、見守る気も維持する気もない。結果として性質と方向性によって、多くの領域が衝突しあっている。多くの次元でデイドラ公やその他の勢力が、オブリビオンでの次元の動きを操作していることは幸運だ。そして彼らが不在の次元は、運命に定められた通りに叩き潰される。こういった不幸な次元の証拠は喜びの領域やクアグマイアの夢の中の幻影で見られる。そこには詳細な記録がある。伝説のエバーグロームの囚人が書いた「堕落した男の不穏な考え」や「サングインの儀式と領域」を参照するといい。

オブリビオン学者は無数の真実がクリエイシアの羊水の中で存在しうるという考えを受け入れられずにいる。「なぜそんなことが可能なんだ」とか、「生きた定命の者がいる場所がある一方で、なぜ他の場所では不死の生命が繁栄しているのか?」といった質問に頭をぶつけている。こういう疑問はまったくもってくだらない。オブリビオンに関するあらゆる質問はハルメアス・モラの信者やクラヴィカス・ヴァイルに聞けばいい。ハルメアス・モラとアポクリファの学者は真の学術的疑問に対する最高の資源だ。だがオブリビオンに関する質問は根源にぶつけるべきだ。考えることに長けている諸君は、もうすでに私がクラヴィカス・ヴァイルをオブリビオンに関する最高の専門家と見なしていると結論しているかもしれない。その活動の一部は、彼の手が左右していると言っても過言ではあるまい。この考えに異を唱える者は、オブリビオンについて知られていることがほとんどないのを思い出してほしい。その活動は複雑怪奇だ。オブリビオンのように混沌とした存在の支配者として、狡猾な願いの主ほどふさわしいデイドラ公はいまい。

私の考えを証明しよう。私はまず後悔の野のスカーフィンに対して問いを投げかけてみた。私の興味という贈り物に対し、彼らは活動の観察を許してくれた(私の著書、「デイドラの真の性質」参照)。このとき、私は密かに彼らがオブリビオンをどう思っているか探ってみた。そしてその一人は親切にも、定命の者もクリエイシアで致命傷から回復できると教えてくれた。スカーフィン・マズフィラックスの手を借り、実験をしようと考えている。定命の者がデイドラのようにクリエイシアで再形成できるのかどうかを試す。実験が思うようにいかなかった場合に研究を進めるため、彼とは30年後にまた会う約束をした。

カザシャへのメモNote for Khazasha

カザシャ、

戻ってきたのなら、自分の義務は分かっているだろう。お前はまだカルマーの次期賢女だ。私とバーゾナシュをアッシュピットに送れ。後悔はない。凶悪な獣を相手にして、名誉ある戦いで斃れたのだ。

我々がそばにいないことで、お前の任務は辛くなるかもしれない。だがお前はカルマーだ。他の誰よりも強い。我々のクランの復讐を果たしてくれる。

切望の要塞の中にある略奪者の住処を見つけて、奴を滅ぼせ。アトロズの導きがありますように。お前が最後の望みだ。

カジートの定命の者ザジュッキとの契約Pact with Khajiiti Mortal Zajukki

切望の要塞の契約作成者として、我、テリナックスは定命のカジート、ザジュッキの魂を大いなるメエルーンズ・デイゴンに捧げることを宣言する。

その代償として、我々は彼女の家族の遺骨に結界を張り、彼らの霊が眠り続けられるようにした。いかなる魔術師も、死霊術師も彼らの死を乱すことはできない。なぜなら彼らは、今や破壊のデイドラ公のものとなったからだ。

我かく宣言せり。

契約作成者テリナックス

カスタブの日記Kastav’s Journal

〈折りたたまれボロボロになったページには、土と血にまみれた短い文章が様々な形で書かれている〉

私の名はカスタブ。それを忘れてはならない。カスタブ。苗字は思い出せない。以前は服を仕立てていた。上質なものを。レヤウィンのささやかな店で売っていた。よく息子が手伝ってくれた。

なぜここに来たのか、記憶がぼやけている。おぼろげだ。ここではそうなる。血が滴るたびに詳細が失われる。息子がいるのはわかってるのに、顔が思い浮かばない。

ここには他の人もいて、土まみれで鎖に繋がれている。彼らはあれをドレムナケンと呼ぶ。それが名前なのか種別なのかは思い出せない。その声は私の頭に入り込む。雷鳴のように眼の後ろで響いている。飢えと残酷さを表す、絶え間ない咆哮。

衛兵が連れて行く人の中には、二度と戻らぬ人もいる。彼らは泣き叫ぶオークの男を引きずって行った。あれほど怖がるオークは見たことがない。

と言っても、私が恐れているのは死ぬ方法だ。神々が終わらせてくれることを祈っている。

衛兵たちがドレムナケンの話をしていた。街のこの地域を支配しているらしい。彼らはドレムナケンを称賛している。良い刺激を与えているのだ。ドレムナケンは狩りのたびに存在を危険に晒すのだと言う。彼らはそれを尊敬すべきことだと考えている。どういう意味なのか、私には理解できなかった。

その言葉を聞いて怒りに駆られた。食ってかかろうとしたら、エルフの女性になだめられた。そんなことをして何になる?もう彼女の名も思い出せない。

囲いの中には、ほんの数人しか残っていない。ドレムナケンは狩りを完了できない。力を失いつつあるようだ。より遅くなっている。占いにはもっと人数が必要だ。私は2回、いや、恐らくもう3回は行った。行くたびにより多くの生命を奪われる。息子がいたことを知っているのは、以前書き留めたからに過ぎない。それでも自分の名は思い出せる。カスタブ。

エルフの女性が姿を消す前に秘密を教えてくれた。脱出口がある。以前からの囚人、名前が思い出せない誰かが穴を見つけた。壁のごく一部が欠けている。自由になれる人がいるとしたら、穴を這って抜けられる人だろう。彼女は穴のことを知ったいきさつを思い出せなかった。だがその話は必死に保っていた。

残っているのは私だけだ。さらなる血を求めて怪物が叫ぶ。私はカスタブ。私はカスタブ。私は

グリーフ砦修復The Restoration of Fort Grief

破壊者イドリアン・ヴォルターノ 著 第二紀580年春

目覚めの炎教団の大司祭の命により、グリーフ砦を訪れて古き要塞の調査を行った。ここは帝国ハートランドの基地として理想的な場所だ。そして島の立地は、我々の重要な任務を好奇の目から遠ざけてくれる。推薦理由は下記の通りだ。

まずは歴史的背景から伝える。グリーフ砦はシルバーフィッシュ川の河口にある島に、第一紀2709年から第一紀2718年にかけて構築された。この時期は皇帝レマン一世の治世初期に当たる。ニベンの湾東沿岸をトランス-ニベンやブラック・マーシュから防衛するのを目的としていたが、完成前から過剰だと言われてきた。第二帝国が急速に拡大したことで、敵艦隊がニベンに攻め寄せてくる本格的な脅威は消滅してしまい、最も攻撃的なアルゴニアンの襲撃者ですら、ハートランドに直接攻撃を仕掛けてくることはなかった。第一紀2900年に、要塞はほぼ放棄された。

その後300年、この帝国の砦は近隣都市の税関と巡視隊が、密輸や付近での海賊を取り締まるための監視塔として何度か利用した。しかし、誰も本格的にグリーフ砦を修繕しようとしなかったため瓦解した。壁と石の塔の状態は良好だが、ニベン湾周辺の湿度のため、木の床や屋根は修復できないほど朽ち果てている。

砦復興のための計画は下記の通りとなる:

第一段階(2ヶ月)
土地を所有し、維持費を支払う意思のある貴族であれば、軍団長議会から砦を借りられるとのことだった。「密輸予防の巡視」を支援するのもやぶさかでないという近隣の領主を用意し、レヤウィンの係官を適切に買収する。この問題に関しては、すでに大司祭が手を打たれているとのことだ。

第二段階(4ヶ月)
砦の港を修理し、付近の運河を浚渫する。現状では、島に小型ボートで近づいてから岸まで歩いて上がるしかない。大規模な修理を実行するには、重い木材や石材を積んだはしけが接岸できる上陸地点が必要だ。安価な労働力はブラヴィルとレヤウィンで手に入る。労働者のための仮設住宅も必要だが、それはテントや小屋で十分だろう。

第三段階(8ヶ月)
傷んだ土台を修繕して壁を補強する。もっとも困難な作業は城郭の下にある地下室の大規模な拡張だ。教団の特殊計画のためにこのスペースが必要だと聞かされている。要塞のこの部分の修復作業を担当させるために連れてくる職人は、仕事が終わり次第始末せねばならない。遠くの都市から呼び寄せて、この地の官吏に探りを入れられないようにせねばなるまい。

第四段階(4ヶ月)
内部の建物の床と屋根を全て張り直す。必要に応じて建物に家具を入れる。この作業は近隣の労働者で十分だ。しかし、砦には誰一人立ち入らないようにしなければならない。倉庫と武器庫に、それなりの規模の駐屯兵が3ヶ月しのげる物資を用意しろ。ブラヴィルはさほど遠くないが、定期的な物資供給をあの街に頼るわけにはいかない。継続中の三旗戦役に近いからだ。

資金が十分だと仮定すれば、1年半ほどで再建されたグリーフ砦に住めるようになる。メエルーンズ・デイゴンに栄光あれ!

サドリアクスへの指示Thadriax’s Instructions

破壊者サドリアクスへ

今すぐデッドライト要塞に帰還しなさい。記憶の限り、あなたはこれまでにポータルの鍵を利用していない。デッドランドのポータルを解除するには、この図に示されている通りに鍵のシンボルを並べなさい。

この暗号はしっかりと隠しておくこと。ポータルの鍵とこの暗号を同時に持ち歩かないように。もし捕まりそうだと思ったら、この巻物は破壊しなさい。正しい暗号がなければ、鍵は役に立たない。

私たちの敵は大胆になっています。ひとまず退却し、再編成しなければなりません。次の輝かしい転生者の一団を用意している間、彼らには無駄に探し回ってもらいましょう。

メエルーンズ・デイゴンの名において
シスター・セルディナ

シスター・セルディナの命令Sister Celdina’s Orders

キンマーチャー・ジンド

有望な被験者の獲得はあなたの責任だとヴァルキナズ・ノクブロズから聞いている。もしそうなら、あなたは任務を怠っている。

デイゴン卿の目的にかなう転生者を作り出すため、もっとドレモラが必要よ。どのクランだろうが構わない。この手紙を届けた破壊者に、手元の囚人を全て引き渡しなさい。その後さらに探すように!

また、目覚めの炎の侍者が何人かセヴァーで行方不明になっている。あなたの鋳造所からそう遠くないところよ。キンに指示して地域を捜索させなさい。彼らを見つけて。

シスター・セルディナ

シャンブルズでの生存Surviving the Shambles

ヒンが書き記した、ファーグレイブのシャンブルズと呼ばれる地区に入り込んで生き延びられるようにする方法の概略。彼はこの分野において、現在潜入を検討してるとてつもなく頭のおかしな連中より、ずっと経験豊富だ。

シャンブルズとは記録にない街路の集合体と迷路のような洞窟からなる謎多き地区で、街の北東の壁の向こうに位置する。この本を手にしたからには、きっと興味があるのだろう。我が卓越した知的能力で断言させてもらうが、貴君は娯楽や不法行為を求めて死ぬ、どうしようもない愚か者だろう。もしくは薄汚い通りで消えた仲間を探していて、その哀れな命のために勇敢ではあるが、恐ろしく無謀な救出作戦を敢行しようと思っているのかもしれない。そういうことなら、まさに正しい本を読んでいる。貴君はこの言葉をかけるチャンスを私に与えてくれた。貴君は「知的」というあいまいなカテゴリーに分類された種族をまれに襲う愚行の発作で、人生を投げ出そうとしている。

自分を一番苛つかせた者を始末する理由を他人に与えることによって成り立っているシャンブルズの生活は、そうした目的に叶っている。最も一般的な、凄惨かつ苦痛に満ちた死因は避けたほうが良いだろう。明確かつ効率的にするため、死因を以下に列挙する。

存在
これを避けるためには、定命の者でいることをやめよう。不幸にも読者が定命の者であったら、単に生きることをやめるべきだ。この提案が耐えがたいようなら、やがてその状況に苦しむことはなくなり、存在が消滅する事実に慰めを見出してほしい。そうすれば、シャンブルズのこの面についてはもう頭を悩ませる必要がない。

ゴールドの携行
貴重品を身につけてシャンブルズに立ち入れば、長く苦しむことがないと保証しよう。加えてベルトに下げた小銭入れを欲しがる輩がいるので、ベルトはずっと軽くなる。金が有り余って困っている者にとってはありがたいことかもしれないが、財産を減らすにはより愚かしくなく、苦しまずに済む方法があると断言しよう。間抜けで思いあがった愚者になってはならない。エラント、ヴァンキッシュドとインビジブルウェブが待ち構えている。

目を合わせる
シャンブルズの住人と目を合わせ、にらみ返すことは決闘を挑むのも同然だ。戦闘で彼らに勝つことはできない。どれほど腕が立ってもだ。まさか、と思うのは愚かさの証拠だ。どんな状況においても目立ってはならない。

目を合わせない
にらみ返さねば、襲撃者に自分はカモだと伝えることになる。カモになってはならない。

スキャンプの母のことを話題にする
このルールの起源は不明だが、この疑問への反応は常に迅速で、かなりの痛みを伴う。スキャンプと話していなくとも、スキャンプがそばにいないときに話をしていても、母との絆に関する話題は一切口にしないのが賢明だ。

衣服を脱ぐ
通説とは逆に、衣服や身につけた装飾品を捨てても助かりはしない。それで襲撃者の注意がそれるわけでもなく、従順さを示すことにもならない。どうせシャンブルズで死ぬのなら、衣服を着て尊厳を保ったまま、凄惨なバラバラ死体となって失血死したほうがマシだ。結局、死後に衣服をはぎ取られることになるとしても。

足や尻尾周りの品を捨てる
前項参照。

最初に攻撃する
不幸にもシャンブルズに来てしまったなら、貴君が持ちうる唯一の希望は、襲撃者が攻撃の好機を掴む前に襲い掛かることだろう。とんでもない。シャンブルズはファーグレイブの成立時から存在している。その住人は彼らが徘徊する街を己が掌のように熟知している。つまり、縄張りに新入りがくればすぐに分かるということだ。彼らの隙を突くことができ、なおかつ撃ち倒せるなどという愚かしい妄想を抱いてはならない。

最後に攻撃する
シャンブルズの狭い道を歩く時、後手に回るのもお勧めできない。戦闘が避けられないのなら、必ず最初と最後の間あたりに攻撃を仕掛けるべきだ。そうすることで襲撃者にならず、腰抜けだとも見られずに済む。自身の祖先に会わす顔がないという事態は避けられる。

シャンブルズのギャングGangs of the Shambles

サラアス・トング警備主任、ナシン・ファランダス 著

まずは明白な事実を言わせてもらいたい。サラアス・トングの人員はどうしても必要な場合を除き、シャンブルズに近寄らないこと。

シャンブルズが危険なのは、ストリクチャーのグラスプがこの地区を管轄外とみなしているせいだ。グラスプが不在なため、シャンブルズの住民は好き放題に互いを食い物にできる。手の内に飛び込んでくるうかつな訪問者もだ。その結果、この地区の大半は複数のギャングのどれかに支配されている。エラントやインビジブルウェブ、ヴァンキッシュドなどだ。この中でも、無法のドレモラ集団であるヴァンキッシュドは、最も対処が難しい。

ヴァンキッシュド
ヴァンキッシュドはシャンブルズの中央地区を支配している。シャンブルズのギャングとしても、奴らは予測困難で好戦的だ。このドレモラたちは残酷な戦士で、没落しても圧倒的な傲慢さを失っていない。キンの中でも低い地位に落とされて力を証明しようと躍起になっているため、むしろより危険になっている。ヴァンキッシュドはすぐに気分を害し、定命の者のような下等生物に対して、自分の言葉を約束とは考えない。ヴァンキッシュドとの協定はドレモラに都合がいい間しか続かず、気まぐれに破棄されることもある。

大部分のドレモラとは違い、ヴァンキッシュドは肩書きや称号を無視する。おそらく、奴らが同族にならず者の雑魚と思われているせいだろう。しかしリーダーはいる。エンジルと呼ばれる勇猛な戦士だ。彼女は特に頭が切れる訳でも狡猾な訳でもなく、単に他のヴァンキッシュドが誰も戦いたくないという理由で指導者の地位についているらしい。

他のドレモラは残念ながら、ヴァンキッシュドについてあまり話さない。私の知る限り、奴らはクランを持たないクランだ。一部はデイドラ公に仕え、独立クランに加入する資格がなしとされた者たちらしい。それ以外は以前のクランから罰を受けたか、あるいは追放された連中だ。だが、ドレモラがそんな罰を受けるほどの犯罪とは何なのか、私には想像もつかない。また、今は忘れられている滅びたデイドラ公に仕えていた者もいるという噂だ。

ヴァンキッシュドについて最後に一つ述べておくと、奴らはファーグレイブだけにいるわけじゃない。より知名度の高いドレモラのクランと同じく、ヴァンキッシュドはオブリビオンの様々な領域をうろついている。だがどこに行こうと、奴らは最も不潔な無法地帯を求め、そこを自分たちのものにする。おそらく、自分たちにはそれが相応だと信じているのだろう。

エラント
一方で、定命のエラントはシャンブルズの西側路地を支配している。暴力をちらつかせる脅迫で生活の糧を得ているこのストリートギャングは、ボス・ケゾが率いている。彼らは路地に住む定命の者に一定の保護を提供しているようだが、噂によると保護にはそれなりの代償が伴うらしい。

エラントはシャンブルズでそれなりの権威と支配力を持っているが、活動の規模は明らかに小さい。ボス・ケゾに夢と野心はあるが、周囲から抜きんでるための狡猾さや戦略が欠けている。とはいえ、このギャングは身一つでファーグレイブにやって来た定命の者に安全と仕事を供給する、重要な役割も果たしている。

この路地中に散りばめられた市場や店の活動は、ボス・ケゾの機嫌次第だ。商人の売る品物を彼が気に入り、商人の側がギャングの要求する最低限の支払いに応じれば、商人は比較的安全に仕事ができる。気に入らない点があるか、商人がギャングの保護に金を払わなければ、商人はすぐシャンブルズの路地裏に消え去り、二度と姿を見せない。

エラントはニルンの王国にいるような遍歴の騎士の真似事をして、街路を巡回している。彼らは西の路地をヴァンキッシュドとインビジブルウェブから基本的には安全に保っているが、訪問者や誤って縄張りに迷い込んだ者を襲う機会は伺っている。

インビジブルウェブ
シャンブルズの一部分を支配する第三の有力なグループは、インビジブルウェブだ。このスパイダーキスのクランは蜘蛛のようなデイドラと、形も大きさも様々な蜘蛛の大軍団で構成されている。スケイン・ロウと呼ばれるシャンブルズの東区域は彼らの住処兼狩場となっており、縄張りは建物の間や表面に張り巡らされた分厚い蜘蛛の糸で容易に判別できる。

特に残酷なスパイダーキスの シャエルメタが、有無を言わせぬ力でこのクランを支配している。噂によればファーグレイブのある主要地区で事件が起こり、グラスプとの言い争いの末、ストリクチャーの衛兵少なくとも3人が、再形成に通常の倍の時間がかかるほど徹底的に叩きのめされたらしい。その後、シャエルメタはクランを引き連れてシャンブルズに逃げた。奴らはそこに住んでいた定命のコソ泥を排除して、スケイン・ロウを築いたという噂だ。

現在、インビジブルウェブはスケイン・ロウをしっかりと掌握している。インビジブルウェブの狩人は縄張りに入ってくる者を誰でも獲物とみなすが、獲物が少なくなった時にはシャンブルズの近隣地区を襲うことも厭わない。スパイダーキスは食料がなくても生きられるが、狩って殺すことは奴らの本性であり、シャエルメタの愛する蜘蛛たちを養う必要もある。

シャンブルズに入らなければならない時は、何があってもスケイン・ロウは避けるべきだ。

シャンブルズの薬物Intoxicants of the Shambles

ここに記されているレシピを使った場合、収益の4分の3はバーラクサに帰される。

ここに記した液体や粉末などの物質は、最底辺の獣どもが臭くて汚い手で触れるために殺し合いを始めるような代物だ。こんなものを作るのに技術は要らないし、これを接種する連中は高等動物と名乗るのを恥じるべきだ。こういう物質を接種する定命の者は、自らの劣等を証明しているだけだ。敵のためにたっぷりと、仲間と呼んでくるような間抜けのためにはさらに多くの量を用意しろ。いつものことだが、薬の快楽と引き換えに法外な価格を請求すること。

痺れ鼻
尋問の時に相手が喋るのを止めない場合か、嗅覚やそれ以上の高度な認知機能が不要な場合に用いるペースト。

血の錆が付いたナイフで削ったマグネシウムの欠片を、ホタルの背中から取った炎やドラゴンナイトのポールドロンと混ぜ合わせる。混ぜたものを浅い溶岩の海に放り込み、不屈の墓通りの丸石の上で冷ます。全体が粉末になるまでかき回し、腐ったレモンの汁を数滴加える。犠牲者の鼻孔の下に薄く塗りつける。


この黒っぽい液体は、飲む者の精神をオブリビオンに転送させると報告されている――ただしどの場所に行くかは分からない。また頭蓋骨をボロクズのようにしてしまう。可能な限り定命の者に与えること。目が膨れあがる瞬間に注目されたし。

プラムのブランデーを上等な汚水樽に入れて急速に熟成させ、粉末にした毒キノコを加え、バザールの雨水で薄める。

光る漆喰
鼻や口を必要としないので、監視人に好まれている粉末。この粉は目に直接放り込むもので、正常な摂取量は火山岩を一緒に目へ投げ込んで計測する。岩がむき出しの眼球に当たったら、愚かな監視人はかなりの量を接種したということだ。それでも通常、監視人はさらなる量の接種を止めない。粉を放る役目を積極的に引き受け、投げる時に躊躇しないこと。私は一度、ある顧客の眼球を完全に破壊したことがある。あれはキャリアの中でも最高の一日だった。

オークの牙を砕く。砂利とオグリムの血を混ぜる。中型の火山岩1つと一緒に小袋へ入れる。

乞食の嘆き
元々は光輝と呼ばれていたこの飲み物は、オブリビオンへの帰還が避けられないほどの傷を負った者に重宝されている。光輝の使用者は音を見、姿を聞けるようになる。一説によると、これはオブリビオンの再形成の泉での再形成時間を加速するらしい。骨砕きのスクロ・カグは光輝を傷のミルクで薄めて乞食の嘆きを作った最初の人物だ。この透明でとろみのある飲み物の作り手を見つけるには、荒廃した戸口で休んでいるうつろな目をしたデイドラを探せばいい。定命の者はこの体験を面白いと感じないらしく、数人がこの飲み物はバラの花びらのピクルスのような味がするが、何の効果もないと主張している。

乞食の嘆きのレシピは厳重な秘密にされている。正確な材料を公開した売り手はいない。今までのところは。承認を受けた作り手を殺し、再形成して戻ってくるまでの間に店から奪うほうが簡単だ。

シミ
シミは最も血に飢えたズィヴィライの怒りさえも鎮める。過剰摂取はデイドラを、定命の者の独房に入れられたネズミほど従順に変えてしまう。バザールのデイドラの中には、定命の者を攻撃しなくても意思疎通をしやすくなるため、シミが有用だと考える者もいる。一人前のデイドラがなぜシミに顔をしかめるのか、私には理解できない。私は捕虜によく使っている。移動させるのが簡単になるからだ。

蛇の毒を1.5、セヴァーの嵐の水を3、ムーンシュガー(鮮度は問わない)を1、モルトビネガーを1の割合で混ぜて青白い飲み物を作る。面倒を起こす捕虜の喉に流し込む。

レッドメイデン
大半の定命の者は、デイドラの助けなしにファーグレイブで長く生き延びられない。一部の裏切り者はこの哀れな獣に同情して契約を交わし、役立たずの定命の下僕を実質的に養っている。定命の者と接触して汚点を作りたくない全てのデイドラにとっては幸運なことに、レッドメイデンが存在する。これはドレインの効果を抑制し、短い間だが定命の者の正気を保ってくれる。

火山灰とデイドラットの内臓、味をごまかすため少量のスクゥーマ、トゥム・ソの木の種を砕いたもの、ドレインに冒された定命の者が死ぬ時に出す血液を、小さな器で混ぜる。数周期の間貯蔵する。定命の者に小瓶で与え、2週間以内に戻ってくるようにする。

シャンブルズ観光案内Visitor’s Guide to the Shambles

ファーグレイブの定命の者受け入れおよび視察プログラムのための、ディラマーによる記述

大部分の定命の者は危険な無法地帯という評判にもかかわらず、シャンブルズを住処としている。シャンブルズの路地にこれだけ定命の者やデイドラが引き寄せられるのは、この無法のおかげかもしれない。この地区の様々な住民や雑貨屋、工芸品などは独特の雰囲気を生み出している。住宅地にはファーグレイブの主要地区で課せられる厳格な行動規範から距離を取ることを望む、定命の入植者やデイドラが混じり合っている。

入口
シャンブルズは、ファーグレイブのより上流の地区と隔てる壁の先にある。シャンブルズへ通じる扉の大半は隠されているか目立たない。ファーグレイブの門は派手で精巧な作りだが、シャンブルズの街路への入口の大部分は全く人目を引かない。シャンブルズへの扉を探すには、計画的な探索だけでなく偶然と運も必要になる。旅人は時々、シャンブルズの迷路のような路地に迷い込んでしまうことがある。

市場
バザールの露店とは異なり、シャンブルズの市場は風に舞う葉のように場所を転々と移動する。しかしなぜか、常連客はいつでも店を探す方法を心得ているようだ。街路に記された謎の印を利用した複雑なシステムにより、知識のある者には特定の品物を売っている商人の場所が分かるという噂がある。残念ながら、それについての情報はストリクチャーに反しているため、このガイドの範囲を超えている。シャンブルズでしか得られない品物やサービスが存在すると言えば十分だろう。そうしたものを求めている者にとって、行ってみるだけの価値はある。

飲食
シャンブルズの大きな喜びとして、知る人ぞ知る〈ブリジット〉が挙げられる。ここの食事は素晴らしく、バターの香る菓子や食感豊かな果物、そして外の街路を溶解させられるほど熱い飲み物を味わえる。ミックスリーフティーを頼んで、ディラマーの推薦で来たと告げよう。もっと強い飲み物を求めているなら、ウィッシュボーンがいいかもしれない。この酒場には荒々しい魅力があり、エバーグロームのこちら側では最高の凍結蒸気を出す。

地域の特色
定命の者に入手できるあらゆる商品を取り扱う、ネテリアスとのスリリングな会話を楽しもう。彼の伝説的な話術と友好的な態度は、ドレモラにとってもこの露店で買い物をする楽しみを与える。猫が嫌いでなければ、ネテリアスの猫マルフィーザンスの相手もしてやるといいだろう。

治安
すでに述べたように、ファーグレイブ中心部には定命の者の挑発に暴力をもって応じるデイドラがいる。幸運にも、街の中にいる限りどんなデイドラも破ることのできない法秩序が存在する。ストリクチャーとそれを施行するグラスプはシャンブルズでも活動しているが、これは安全の保障にならない。友好的とは言い難いいくつかの集団がシャンブルズの各地を支配しているため、できる限り彼らの縄張りは避けるべきだ。

ボス・ケゾ率いるエラントは、ファーグレイブの環境で正気を保つための契約を持たない定命の者の集団だ。このためエラントは縄張りの防衛に全力を注いでおり、暴力の行使もためらわない。彼らはシャンブルズに居住する定命の者、特に西の路地に住む者を守っていると主張するが、筆者の見るところでは保護という名の恐喝である。このトラブルメーカーたちには注意しよう。

東の街路網スケイン・ロウは、スパイダーキスのシャエルメタや仲間たちの住処となっている。このデイドラは友好的でなく、特に定命の者は食料とみなしている。スケイン・ロウは建物の間に張り巡らされている広大な蜘蛛の巣を見れば分かる。大きな蜘蛛の巣に出会ったら、回れ右をして引き返そう。

ヴァンキッシュドはシャンブルズ中央広場周辺の一帯を支配している。エンジルとその仲間のドレモラたちは、定命の者を狩って楽しんでいる。さらなる情報があるまで、この地帯は立ち入り禁止と考えていいだろう。

このような危険にもかかわらず、シャンブルズは訪問する場所としても住む場所としても素晴らしい。新しい街は全てがそうだが、この地区で過ごす最初の数日は慎重に行動することを勧める。しかし危険の兆候に慣れてくれば、すぐに私と同様、この地区に溶け込めるだろう。

シャンブルズ観光案内に関するメモNotes on the Visitor’s Guide to the Shambles

ボス・ケゾ 著

いいか、シャンブルズ観光案内とかいうのは全くの嘘っぱちだ!ディラマーがスケイン・ロウより西の路地について知っているはずがない!シャエルメタの巣に入り込んで、ペットの蜘蛛どもに喰われていないならな。あのパンフレットの目的は、定命の者たちを主要な地区から離れさせ、デイドラの主人を喜ばせることだ。シャンブルズについて、本当の話をさせてくれ。

まずスケイン・ロウの蜘蛛の悪魔どもや、エンジルの血に飢えたドレモラのことは忘れちまえ。東はシャエルメタとインビジブルウェブにくれてやる。どうせあそこはもう蜘蛛だらけだ!しかし、エンジルのヴァンキッシュドには忠誠心がない。どのデイドラ公に仕えていたか知らないが、裏切ったんだろう?奴らが仲間割れを起こすまでどれだけかかると思う?どの周期に起きてもおかしくないと思うね。そうなったら、シャンブルズは完全にエラントが支配する。スケイン・ロウは別だがな。俺は蜘蛛が嫌いだ。

あのパンフレットは、こう書かれるべきだ。

入口
シャンブルズへ通じる扉はファーグレイブ中心部の北区ならどこにでもある。ファーグレイブのクラフト広場には大きな入口もある。財布を一杯にして来ることだ。まとまったゴールドやその他の価値ある通貨を提示されれば、俺のギャングが命を奪うようなことはおそらくない。

市場
西の路地のあちこちにある市場は、シャンブルズでも最高の市場だ。我々があそこの売上で利益を得ているから言ってるんじゃない。上前を跳ねているのは確かだが、本当に最高だと思っている。

飲食
うちの醸造家のジクは美味な骨片のエールを作るが、飲めるとは思うな。彼女が作る分量はエラントの喉を潤すだけで精一杯だ。それからアルゴニアンの鉢をかき混ぜる者は、クランフィア焼きの達人だ!これも、お前たちにはやらん。シャンブルズで飲み食いしたいなら、このガイドのお勧めは確かに悪くない。ウィッシュボーンはちゃんとした酒場だからな。それにあそこは静かになりすぎると、必ず誰かがケンカを始める。

地域の特色
一体これは何のことだ?ネテリアスだと?奴は自分のものを決して渡さない詐欺師だ。こいつを忘れずに片付けておこう。次は見ていろ

治安
ここはシャンブルズだ。治安などない。自分の身を守れないなら、我々が守ってやる。うちの価格は高くないし、俺のギャングは大抵の場合、適度に暴力を振るう術を心得ている。それからグラスプには期待するな。奴らの力はシャンブルズに届かない。当然だろう?ここにいるのはほぼ全員が定命の者だ。ストリクチャーは定命の者など気にしない。

というわけで、シャンブルズに来るなら目をしっかりと見開いて、ポケットを一杯にしておくことだ。帰る頃には財布が少し軽くなっているかもしれないが、素敵な品物や見どころがあるのは本当だ。

スキャンプ・ナールの日記Journal of Scamp Naal

ナール、ハスクの鞄で書く棒と葉みたいなのをみつけた。ハスクは変な形で、顔によけいな歯がある。ハスクは歩く時間の間、何もないとこにいかない獣。ハスクは地面にいる。ハスクは書く棒と葉みたいなのを探さない。ナールがもらった。

* * *
ナールはここが好き。とてもあったかい。いい臭い。怒鳴る男はいない。ポータルに突き飛ばされない。怒鳴る男の本を運ばない。焼ける熱い水を運ばない。長い時間本を読まない。ナールは好きなことをする。ナールは歩きたい。大きな丘を登る。小さな丘を下る。耳の間に温かい空気感じる。大きな鐘聞く。ナールはやることを探さない。ナールは怒鳴る男に従わない。ナールは自分に従う

* * *
とっても大きなよくないこと。ナールは大きな鐘のそばを歩く。いろいろ聞く。ドレモラを聞く。幸せなドレモラを聞かない。歩く大きなのを聞く。あいつらは嫌い。ナールは大きな丘をとても急いで越える。歩くハスクが大きな丘の上。ナール止まる。ドレモラ、ハスクを大きく長い火でドカン!やめてほしい。ナールは耳がおかしい。ナールは寒い。ナールは逃げたい。大きな丘越えてあまりみたくない。ナールは止まる。丘の上の岩の後ろにいる。ドレモラとハスクに近づかない。ナールはドレモラの行先見ない。ナールは残って温かくなるまで待つ。ナールは新しい怒鳴る男に従わない。怒鳴るドレモラは嫌。ナールはいらない。

* * *
大失敗。大きな口の大きな獣。ナールを追ってくる。今逃げてる。

* * *
ナール逃げる先知らない。地面が温かくない。空気に光がない。大きな雲。ナールは歩き続ける。どうなるだろう。

* * *
ナールはとても遠くまで歩いた。ここは落ちて濡れる。温かくない。大きなドカンが聞こえる。怒鳴る男いない。ナールは温かいとこに行く。ドレモラがいた。ズィヴィライの剣の女もいる。あいつらは怒鳴らない。もっと大きな火のそばに立ってる。ナールはそばにいる。どうなるかみる

* * *
ナールはまずい。怒鳴らないドレモラとズィヴィライの剣の女がナールを見た。大きな岩のそばでナールを見つけた。ナールは怒鳴る男になるなと言う。ナールはナールに従うと言う。ズィヴィライの剣の女はここがバーンだと言う。ナールがうまく隠れると言う。ナールは怒鳴る男のところも、歩くハスクのところもいかないと言う。ナールは残る。ここはバ-ンとセヴァーだと言う。落ちて濡れるのはセヴァー。怒鳴らないドレモラも同意する。そいつもセヴァーに行きたくないらしい。ナールは何がおもしろいかわからない。でもナールは仲間になる。ズィヴィライの剣の女は言う。ナールは好きなところに行けと。ナールは仲間じゃないと言う。ナールは賛成しない。でもナールはあまり言わない。

ズィヴィライの剣の女はナールが嫌い。ナールはどうするかわからない

* * *
ナールは合ってた。ズィヴィライの剣の女はナールをいさせない。怒鳴らないドレモラはあまりしゃべらない。ズィヴィライの剣の女にナールおいださせた。ナールは残りすぎだと言う。行く時が来たと言う。ナールは怒る。

ナールは怒鳴らないドレモラを追いかける。ナールは泥をぶつける。ナールは火を踏み消す。ナールはズィヴィライの剣の女を蹴飛ばす。ナールは大きなポータル呼ぶ。あいつらバーンを追い出す。ナールに指図するな。ナールは自分の言うことを聞く。

ナールは仲間にならない

ストリクチャーとグラスプThe Stricture and the Grasp

定命の者への手引き、ガレリア・ヘクソス 著

定命の仲間の皆様、ファーグレイブへようこそ!ご存じのように、ヘクソス家は何世代もこの奇妙で危険な領域に存在しつづけてきました。私たちは数えきれないほどの挫折と失敗を通じて、この場所のルールに関して様々なことを学んできました。ファーグレイブ大市場への配属は大きなチャンスですが、同時に危険でもあります。この小冊子は皆さんが豊かになり、しかも無事にタムリエルへ帰還できる可能性を高めることを目的としたものです。

ご注意ください:最初はファーグレイブに圧倒されるかもしれません。人であれエルフであれ、この場所はあらゆることが異なっているように見えます。空は奇妙な色です。邪悪の化身とも思えるような獣が通りをうろついています。当たり前のように思っていた法や習慣は、ここに存在しません。そして皆さんが知りもしないルールを破ってしまった場合は、肉体と魂の両方に対して恐ろしい危険が待ち受けています。

ストリクチャー
ファーグレイブにおけるヘクソス家の事業は、ストリクチャーの存在に依存しています。これはファーグレイブを様々なデイドラの中立地として保つため、規則と合意をもたらすデイドラの協定です。ストリクチャー内の条項により、同様の中立性が定命の者にももたらされています。ストリクチャーがなければ、街を歩くあらゆるデイドラは思い付きで皆さんを奴隷にし、拷問し、ただ貪ることになります。

(当然ながら、全てのデイドラがそのようなことをするわけではありません。多くのデイドラが高い知性を持ち、良好な取引関係の維持に価値を見出しています。ですが、危害を加えたいと思っているデイドラは見ただけでわかりません)

ファーグレイブに足を踏み入れるデイドラは全員、ストリクチャーによる束縛に同意しています。そして違反できません。協定には拘束力があります。ファーグレイブの地区全体が中立とされ、その中にいるデイドラは通常、ストリクチャーに違反せずには他の生物を傷つけられません。「通常」と申し上げたのは、警戒を怠った者にとって致命的となり得る例外があるからです。

– 危害を受けることを承諾した獣は、ストリクチャーによる保護を受けられません。
– 攻撃を受けたか、単に何らかの方法で不快にさせられたデイドラは自由に身を守れます。
– ファーグレイブの特定地域(場合によっては建物や部屋)は、中立条項によって保護されていません。また、自分が保護されていないエリアに進入したことを知る手段もありません。
– デイドラが人を誤った方向に誘導するのは自由です。例えば、皆さんがストリクチャーの中立条項によって保護されたエリアを出ようとしても、デイドラは教えないかもしれません。

安全を確保するため、私たちは知る限りの領域を皆さんに示しています。ですが、常に助言と指示に注意しなかった従業員を失っています。ファーグレイブでは、推測で安全性を判断しないでください。

中立条項に加え、ストリクチャーは主にファーグレイブでデイドラが他のデイドラと接触する際の難解な方法に細かく対応しています。これは途方もなく複雑なため、私たちが知る限り完全な形ではどこにも書き記されていません。私たちがファーグレイブで事業を開始してからもう200年以上になりますが、未だに大市場の営業へ影響を与える新たなルールを発見しています。そこで、グラスプの存在が意味を持ちます。

グラスプ
グラスプは紛争裁定者の役割を果たし、あらゆる状況において複雑なルールのどれが適用されるのかを判定するため、ストリクチャーの規則によって任命されたデイドラです。彼らは治安官ではありません――少なくとも他のデイドラにとっては。ストリクチャーがデイドラに適用されると、その影響と罰則は回避できません。しかし、我々定命の者はストリクチャーによって縛られていません。つまりグラスプのデイドラが定命の者にファーグレイブの平和をしっかり維持させるには、物理的に規則を強制せざるを得ません。

重要:ストリクチャーを擁護する役割のため、グラスプのデイドラはファーグレイブの中立地区内でかなり自由に武力を行使できます。彼らは平和を脅かす(と判断した)定命の者を制圧、追放、殺害できるのです。ファーグレイブのデイドラ全員が自分を傷つける力を持っていないと考えてはいけません――グラスプの見ている前でデイドラを怒らせれば、彼らは介入するでしょう。

グラスプへの対処が難しいことがお分かりでしょう。彼らは定命の者がストリクチャーに縛られていないことを知っていて、基本的に皆さんが容認されないことに関わっているのではないかと疑っています。仕事をする際には止められ、質問されることを想定してください。そして不正に得た品物を手にしたら、どうかそれを持ったままグラスプに捕まらないでください!

グラスプに力を行使させることのないよう、くれぐれもお願いします。

もし質問や懸念がある場合は、ヘクソス家の上長にお問い合わせください。

セヴァーの動植物Flora and Fauna of the Sever

魔術師ギルド研究員、アンスロパス・ガリア 著

大方の素人学者は、デッドランドがメエルーンズ・デイゴンの領土だから、生命のない荒野だと思い込む。確かに、デッドランドの一部には特定のデイドラ以外住めないところもある。結局、溶岩の池の生態学を学んだところで大した意味はない。だが、生命は生存に適さないような場所ですら、しがみつく方法を見出す。いかに過酷であっても。セヴァーと呼ばれる地域はその一例だ。

暴風が吹き荒れ、稲妻はやまず、気温が激しく上下するのがセヴァーの特徴だ。存在する土壌も険しい岩石にうっすらと積もった埃程度だ。しかしこのような環境でも、驚くほど多様な動植物が生き延びている。この巻では、かの地で私が分類した生物のごく一部を詳述する。

動物

アッシュホッパー
その大きさが猫の成獣並みの巨大昆虫。アッシュホッパーは独立行動する採食者で、餌とするのはセヴァーの岩だらけの峡谷や丘陵地に生える固い苔や草だ。彼らは少量の腐肉を食べることもあるが、かの地にはより巨大で危険な腐食性動物がうろついている。一般的な餌動物として、アッシュホッパーはセヴァーの多くの捕食者の主食になっている。この昆虫は、似ているもののニルン各地にいるものとは違う。彼らがオブリビオンで過ごしてきた時間が、まだ完全には判明していない微妙な変化を生んだものと思われる。

デイドラット
アッシュホッパー同様、定命の世界のネズミに比べれば大型で危険ではあるが、セヴァーの食物連鎖では下位に位置する。アッシュホッパーは定命の害虫だが、デイドラットはデイドラ的な特質と食欲を備えた生物だ。彼らは食物も水もなく半永久的に生きられるが、飢えに駆られて何らかの食物を永久に探し続けている。大抵は単独で行動するが、小さな群れをなすこともあり、うかつな冒険者にとっては危険な存在になりうる。

ニクサド
ニクサドという奇妙な亜人型昆虫は驚くほどセヴァーのあちこちにいる。吹き荒れる風がやみただの凪に変わるや否や、この小さな獣の集団が姿を現わして、お気に入りの低木や茂みの上で飛び周り始める。ニクサドはデイドラの獣ではないものの、この自然環境によく適応している。セヴァーの恒常的な稲妻が、ニクサドを招き寄せているのではないかと思われる(なぜそうなのかという理由は推測するしかない)。

ウォッチリング
無数の目を持つ恐怖の存在、ウォッチリングほど恐ろしく、異質なデイドラの獣はいまい。しかし意外なことに、この奇妙な存在は最初から大きく危険な怪物なわけではない。かなり小さなものもいて、人間の拳ほどのサイズだ。このウォッチリング(そのように呼ばれている)はより大きな獣から生まれるわけではない。デイドラは子を生まない。彼らは単に彼らの種の小型の存在で、恐怖すべきでなく、純粋に興味を抱くべき存在だ。彼らが小さいままでいるのか、それともいずれ大型に変身するのか?まだ結論は出ていない。

植物

ブラッドグラス
デッドランドの他の場所と同様、ブラッドグラスはセヴァーのあちこちで茂っている。特徴は荒れ地で育つ長く華奢な深紅の茎だ。アッシュホッパーはこの固く鋭い茎を噛み裂けるようだが、見る限り他の誰もブラッドグラスを食べない。

エンバーオーク
セヴァーのどこに行っても、黒焦げになったかつて生きていた樹の残骸に出くわす。そもそもこのような環境でどうやって育っていけるのか分からないが、明らかに死ぬまでそれなりのサイズに達するほど長く生きている。しかし、中には見た目ほど死んでいないものもある。エンバーオークは樹冠がなく幹の太い植物で、稲妻に撃たれた切株に似ている。実際に樹皮の割れ目には赤く光る木炭が見え、それと分かるほどの熱を放っている。しかしこの樹木はまだ生きていて、水もなくゆっくりと成長している。この木は地面から栄養素を吸い上げる根によって支えられており、我々の世界の樹木が陽光で育つように、稲妻に撃たれることで繁茂するのではないかと思われる。

スタティックピッチャー
セヴァーで最も一般的な食肉植物はスタティックピッチャーだ。この奇妙な植生は周囲の環境から吸収した電気エネルギーで発光し、かすかにパチパチという音を立てている。ネズミより大きな生物がうかつにも近づきすぎると、突然放電して感電させ、即死させることもある。通常、ピッチャーは暖かい沼地のような環境を好むが、セヴァーはそういうところからかけ離れた土地だ。私にできる推測は、デッドランドのこの地域の恒常的な落雷が、この危険な植物の繁殖を助けているというものだ。

デイドラの真の性質On the True Nature of Daedra

デイドラ学の第一人者、カナンミルディル 著

あまり知られていないデイドラに関する発見をしたのは、奇妙な形のサイコロのようなものを動かしている、重装備のズィヴィライ戦士2名の隣に立っていた時だった。彼らはどちらの意志が強く、サイコロを有利に転がせるかと議論していた。バラバラにしてやるぞという脅しが幾度も交わされたのを覚えているが、印象深かったのは、ズィヴィライがサイコロのようなものに影響を与え操作できることをほのめかしていたことだ。それがサイコロだと仮定するなら、だが。サイコロを自在に動かせるなら、他にどんなものへ意志を働かせられるのか?

私は急ぎ書斎に戻り、可能性を考慮し始めた。以下が私の結論だ。デイドラの肉体の動かし方は定命の者とは異なる。彼らの意識は自身の身体の周辺に漂っており、肉体や他の物体を自在に操れる。これでデイドラが倒されても死なないことの説明がつく。彼らの身のこなしが、定命の者には遠く及ばないほど洗練され優雅なことも。監視人が翼も使わずに浮かぶことすら説明がつく!浅い学者は後述の論点を魔法を使って実現しているのだと言うだろうが、それは安易な説明だ。

別の発見は、ドレモラがデイドラの中で唯一の厳格な草食動物であることだ。彼らは生存し続けるために食物を摂取する必要がなく、どんなものであれ肉を食べると消化器官が機能不全を起こしてしまう。彼らが味わう苦しみは、ドレモラに現在の経験を考え直させ、より苦痛の少ない状態で再生されることを願って、自らオブリビオンに帰りたくなるほどだ。

最後に、デイドラの知性は彼らが仕えるデイドラ公に比例していないことだ。さて、これはそれほど異常なことでもあるまい。最も愚かな定命の主君に、極めて知能の高い側近が助言するのはよくあることだ。だが、知識や狡猾といった郎息を司るデイドラ公がいる時、スキャンプがスカーフィンより賢いのは非論理的にも思える。しかし、それこそ私が観察した時に起きたことだ。名前は明かすまい。そんなことをすれば残酷だし、学者失格だ。だが信じてほしい。スキャンプの指図を受けるスカーフィンがいたのだ。スキャンプが早口でまくしたて、あれこれいいことを言ったようだった。一方、スカーフィンは大人しくその後に従って歩いていた。

私はいまだにデイドラの行動について実験と観察記録を続けているので、こういった発見が出版されるのは後日になるだろう。私の知識の及ぶ限り、純粋に科学的な手法を取る唯一のデイドラ学者は私だけだ。研究対象のデイドラからの助言に頼ることはまったくない。彼らが真実を言うことも、客観性を保つこともないからだ。そういうわけで発見には長い期間を要するが、研究の質は図抜けている。独特の手法と幾つもの驚愕の発見ゆえに、この分野での先駆者は私だと言えよう。ペラギウス・ハーバーからこんな真実は手に入れられまい?

デッドライトの伝説The Legend of Deadlight

(アービス収集団に流布している物語)

昔々、スリージェスツのフロファルドという勇敢な収集者が、デッドランド中に散在する忘れさられたデイドラのポータルの台座を開く鍵を見つけた。

(いや、どうして彼がスリージェスツのフロファルドと呼ばれていたかは誰も知らない。この物語をするたびにその質問を受ける)

フロファルドはポータルのネットワークを探検に出かけた。そして隠された秘密を一つずつ暴いていった。ほとんどのポータルは遺跡となって久しい場所に続いていた。一方、まだメエルーンズ・デイゴンに忠誠を誓うデイドラであふれかえる要塞に通じているものや、他の次元につながっているものもあった。フロファルドは極めて慎重に進んでいった。デッドランドより危険なところに取り残されたくなかったからだ。探検を通して彼は貴重な神秘を目にし、面白い財宝を手に入れた。そしてある日、彼は帰ってこなくなった。

それなりに時が経ってから、収集者たちはファーグレイブの運び手の休息所の壁に彼の外套を掛け、名誉のために乾杯し、最後の旅の安全を祈願した。

歳月は流れた。あまりに流れて、フロファルドの名もその冒険のことを知る者もめっきり減った頃、雪のように白い髭を生やし、ぼろをまとった男が現れた。恐ろしいほどの高齢になり、腰は曲がっていた。彼は運び手の休息所によろよろと入ると、壁の外套を取った。「私がフロファルドだ」と彼はその場にいた者に言った。「世界の果てを見て帰ってきたのだ」。そして彼は物語を語った。

彼が消えた日、フロファルドは鍵を使って、崩れかけたポータルの台座を復活させた。入ってみると、そこは不毛の荒野だった。星一つない空に浮かぶ、緑のおどろおどろしいオーロラの光にだけ照らされて、荒れ果てた要塞が立っていた。それでもフロファルドはひるまなかった。最初は恐ろし気に見える次元は珍しくないからだ。何より彼が動揺したのは、この次元に生命も力もまったくないことだった。彼の持つ鍵は力を使い果たしており、この新たな次元には鍵を充填するために必要な原初の力がなかった。

フロファルドは周囲の探索に出かけ、脱出口になりうる他のポータルを探した。だが彼は、この未知の次元が砕け散った残骸にすぎないことに気づいた。凄まじい災厄に見舞われたかつての世界のなれの果てでしかないのだと。数時間歩くと、この寂しい残骸のちぎられたような岸とオブリビオンの海が接するところへとたどり着いた。そして帰る道はなかった。

いかにしてフロファルドがその陰鬱な地で命を保つべく苦闘したかは記録がない。次元の残骸のあちこちで見つけた死骸を漁って生き延びたと言う者もいる。生命と光が消え果たその地では、飢餓という自然のサイクルが這うように緩慢だったと言う者もいる。いずれにせよ、スリージェスツのフロハルドは耐え忍び、ゆっくりやつれていった。たった一人で。

そしてある日、新たなポータルがその領域で開いた。ポータルをくぐったのは2人。司祭のローブに身を包んだ高貴な定命の者と高位のドレモラだった。フロファルドは這い寄って、彼らの話に耳を傾けた。助けを請うた方が賢明なようならそうするつもりだった。

「見ろ、この荒れ果てた世界を、定命の者」とドレモラが司祭に言った。「すでに名前も忘れ去られたデイドラ公の領域の残骸だ。お前の種族がお前の世界で歩み始める前に、破壊のデイドラ公はその敵に戦を仕掛け、その本拠地を壊滅させたのだ。メエルーンズ・デイゴンの憤怒を生き延びられる者などない。これは彼からの贈り物だ。彼の力を示し、味方とも敵とも約束を果たす証拠だ」

定命の司祭は畏怖しているようだった。「大いなる王の教訓に感謝いたします」と彼は言った。そしてその場でひれ伏すと、デイゴンを礼拝し始めた。

祈りの言葉を終えて立ち上がると、司祭はデイドラと共にポータルを通って還っていった。フロファルドは脱出のチャンスと見て、よろばいでた。すんでのところで閉じかけたポータルを潜り抜けると、そこは彼と同様に老いさらばえて荒れ果てたデッドランドだと気づいた。

今日に至るまで、この壊滅した次元を見つけた者はいない。「死んだ光の世界」とフロファルドが呼ぶ世界を。忘れられた財宝がまだそこに隠されていて、そこへの道を見つけ出してデイゴンの戦利品をくすねられるほど賢い収集者を待っているのではないかと考える者もいる。定命の者が、ほとんど目にしたことのない光景について考える者もいる。

とはいえ、デッドライトを探しに行った収集者はほとんどいないことを付け加えておこう。財宝を探すなら、もっとましなところがあるからだ。

デッドライトへの召喚Summons to Deadlight

目覚めの炎の者たちへ

デッドライトの要塞は聖堂、修練所、本部としてよく機能している。我らの主、メエルーンズ・デイゴンはこの不運な次元に神聖なる破壊をもたらすため、恩寵の印として私たちにデッドライトをお預けくださった。

勝利の準備を整えられる堅固な避難所として、デッドライトが最終的な目的を果たす時がきた。この隔離された領域に隠れ、私たちは我らの主の転生者に生命を吹き込む――1体の生きた災厄ではなく、生きた災厄の大軍に。

直ちにデッドライトを、扉のない要塞にしなくてはならない。他の拠点や領域につながるポータルは遮断する。血の穴の先にある溶岩の川の上に位置する西門を除いて。このポータルは開いたままにするが、鍵と暗号で保護して、デッドライトに加わる者が移動できるようにする。

門を封じるまでは、デイドラに対する強力な結界で守ることにする。私たちはもはや我らの主、メエルーンズ・デイゴンに仕える他者を信用できない。彼らは私たちの成功を妬んでおり、気を許せば取って代わられるだろう。ポータルの鍵を持っていようといまいと、彼らは締め出さなければならない。

我が仲間たちよ、デッドライトに来なさい。最後の任務は目前だ。

シスター・セルディナ 著

デッドランドの食料Food of the Deadlands

ヘクソス家の補給係、フララヴ・ポラス 著

もしデッドランドと呼ばれる災厄のデイドラ公、メエルーンズ・デイゴンの領域をさまようなら、食料と水を持参するべきだ。パンとホイールチーズ、乾燥肉やワインと水を持てるだけ持っていけ。この領域で調達しなければならないなら、定命の者が摂取できるのは下記の通りだ。

デイドラットの串
デッドランドをさまよう者によく知られている一般的な料理だ。デイドラットの串焼きで、見た目ほどまずくはない。よく調理したデイドラットは驚くほど美味で、その肉の持つ野趣あふれる味わいと食感を補うスパイスはほとんど必要ない。魅力に付け加えるなら、これは荒涼とした領域をとぼとぼと歩きながら食べられる食料だ。デイドラット一頭で一日以上の間、空腹を満たすことができる。この料理の唯一の難点は、近くに集落があって取引できない場合、図抜けた狩猟の腕を必要とすることだ。デイドラットは素早く、狡猾で、とても鋭い歯を持っている。狩りの手間は成果に見合わないかもしれない。ここで、デイドラの死体に栄養価があるのかという問題にもぶち当たる。これについてはわからないが、ポータルにたどりついてファーグレイブへ戻るまで、飢えをしのげたことはお伝えしよう。

デッドランドの小枝シチュー
デッドランド中には木々がまばらに生えていて、飢えた旅人に別の選択肢を提供してくれる。死んだ木々から集めた枝と大量のお湯で、うまいシチューができる。長く煮込むほど、枝は美味になる。デイドラットのくず肉かバックパックに残った糧食を加えてシチューのかさ増しをしても、味を加えてもいい。

焦げた肉
飢えてデッドランドで迷ったら、食料をえり好みする余裕はない。幸運なことに、正体不明の焦げた炙り肉の塊には事欠かない。完全に焦げたウェルダンの肉が、領域中に転がっている。燃える前に、その肉がどんな姿をしていたかは考えるべきではない。

フラッシュベイクド・アッシュホッパー
アッシュホッパーもデッドランドにあふれている獣だ。ヴァーデンフェルと呼ばれるニルンの地域を旅した者には馴染み深いだろう。この獣がデッドランドに来て、生き残るどころか栄えているのはその耐久力のおかげである。虫を捕まえてバーンの溶岩に放り込んでみると、 飢えた定命の者が得られるデッドランド最高の珍味が生まれた。時間に余裕があるなら虫を集めてゼリーにするといい。モロウウィンドのダークエルフには人気のメニューだ。さらにアッシュホッパーの殻は耐熱性があり、足を覆うこともできる。

デッドランド案内A Guide to the Deadlands

星を歩む者 著

オブリビオンの全次元において、デッドランドより旅人を拒む場所を見つけるのは難しい。メエルーンズ・デイゴンの軍団が警戒し、スパイ、侵略者、脱獄囚に目を光らせている。おまけに恐ろしいモンスターが獲物を求めて徘徊し、しかも気候は恐ろしい噴火の続く火山地帯から、極寒の嵐が唸りをあげて吹きすさぶ荒野まである。そして大地もカミソリのように鋭い岩、ナイフのような岩棚、切り立った谷間を形成している。とは言え、この地において旅人は定命の者が滅多に見ることのできない光景を目にできる。命があれば。

デイゴンの領域への旅を生き延びるには準備が鍵になる。まずは旅に必要となる食料を全て詰め込め。デッドランドという地名は伊達じゃない。食料はほとんど見つからないし、見つかってもロクなものではない。運べるだけの水を運び込め。この世界の半分は溶岩の荒野で覆われ、残りは石で覆われた荒野だ。泉や池に出くわしても汚染されているか、定命の者が飲むのに適していない。

最も大事なことは訪問が終わった時、デイゴンの領域からどう抜け出すかを決めておくことだ。デッドランドへつながるポータルの多くは気まぐれで頼りにならない。旅人を招じ入れはするが、出口としての機能がないのだ。少なくとも3種の脱出方法を用意していなければ、デッドランドを訪れる準備ができているとは言えない。

デッドランドを訪ねる最も簡単な方法は、まず天空の籠、ファーグレイブまで行くことだ。この街の郊外にある広場には二つの常設ポータルがあり、それぞれデッドランドの異なった場所につながっている。このポータルは安定していて、メエルーンズ・デイゴンの軍勢が滅多に巡視しない辺境の地につながっている。ニルンや他の次元で見つけるポータルには気をつけることだ。要塞やダンジョンの真ん中に放り出されることがままある(しかも双方向ではない場合がしょっちゅうだ)。

さて、デッドランド本土の話に戻ろう。メエルーンズ・デイゴンの領域は地域に分かれている。ファーグレイブからの旅人によく知られている主要地域はバーンとセヴァーだ。バーンは火山性の荒れ地で、溶岩の川とデイゴンの軍勢がひしめく要塞が林立している。セヴァーは寒く、風が吹き荒れる石の荒野だ。大きな要塞の間には、強力な怪物と血眼になったスカベンジャーがたくさんいる。この二つの地域の間には名もなく険しい山岳地帯が連なり、通り道は少ない。

勇敢な旅人向けの旅程としては、ファーグレイブからバーン行きのポータルを使うことをお勧めする。ポータルのプラットフォームのそばを通る道を西に向かえ。この道は灼熱の渦の砦と呼ばれる陰惨な要塞に続く。その古びた塔を見ながら先へ進むといい。誰も歓迎してはくれないが。さらに北へ進めば、血の穴と呼ばれる悲惨な牢獄兼鉱山を過ぎる。ここでは破壊のデイドラ公の機嫌を損ねた多くの者が、惨めな一生が終わるまで労役に苦しめられている。彼らの仲間になりたくはないだろう。

高く、曲がりくねった道は血の穴の北にある丘を通り、切望の要塞という大要塞のある東へ続いている。この要塞はメエルーンズ・デイゴンの軍勢が詰める777の要塞でも随一のものだ。この一帯の警戒は厳重だから、遠くから眺めるだけにしておくべきだろう。上の丘を東に進み続けると、セヴァーにつながるトンネルがある。このトンネルは破壊の安置所の玄関先へと連れて行ってくれる。

ここで長居してはならない。この死んだように見える都市はメエルーンズ・デイゴンの本拠地だ。ゲートが開いていても、入ってはならない!

東へと下る道を進み、陰鬱なセヴァーの平原を横切ると、南北へ伸びる道にぶつかる。進むべきは南だが、気をつけろ。この道を永遠に徘徊する凶悪なハヴォクレルは、出会った者に挑戦し続けるよう命じられている。だが、やがて荒れ果てた不毛の地へと出るだろう。そこにある南に向かう道は、デッドランドのこの付近における安全な避難所に通じている。哀れなる者の尖塔と呼ばれる地だ。

哀れなる者の尖塔は、大きな聖堂の残骸の側に建設されている。この聖堂はメエルーンズ・デイゴンがずっと昔、ニルンからデッドランドへと引きずり込んだものだ。ここは追放者やスカベンジャーなど、デイゴンの目を逃れたい者たちの楽園となっている。どういうわけか、デイゴンの下僕たちは決してこの地に近寄ろうとしない。名誉を失ったわずかなデイドラと、迷い込んだ(もしくは逃げてきた)定命の者がmある種の集落を造り上げている。暮らしは厳しいが、旅人を休ませ、いくばくかの物資を調達するくらいのことはできる。

哀れなる者の尖塔から、道は東の高地へと続き、セヴァーの東へと伸びていく。ここには安全なファーグレイブへと帰れるポータルがある。だがメエルーンズ・デイゴンの世界をもう一目見ておきたいのなら、もう少々北へと進むと偽殉死者のフォリーがある。セヴァーの山間の恐ろしい谷間にへばりつく死んだ森、フォリーには、メエルーンズ・デイゴンを怒らせた者たちの魂が捕らわれているという。恐ろしいサイズの昆虫の腐りかけた死骸や、うるさいインプが森の中に潜んでいる。ここでも、長居は禁物だ。デイゴンの敵の石化した残骸を見たら、手遅れになる前に脱出すべきだ。

幸運を祈る、旅人よ!

テロファサの日記Telofasa’s Diary

周期5679

マダム・ウィムと面倒な助手のナスに回収を依頼された次元石を持って、ファーグレイブに向かっている。彼らは大事なウィムの館で待っている。約束されたゴールドは、今でも後でも変わらないだろう。

ちょっとした遊びとして、石を入れたままバックパックをフォリーに放置することにした。そのうち取りに戻ればいい。マダム・ウィムには待たせておこう。強行軍の遠出にはうんざりだ。報酬なんて何の意味もない。私の存在が復活するのは、自分で願った時だけだ。

偽殉死者のフォリーの嵐は前と違っている気がする。前回通り抜けた時は、数歩ごとに稲妻を集める杖が地面から突き出していなかった。杖のおかげで感電を避けるのが容易になったように思う。焼けこげた肉体でオブリビオンに戻るのはまっぴらだ。だが、今は誰でもフォリーを通り抜けられる。少しも大したことじゃない。手応えもない。時間はあらゆることをつまらなくしてしまう。すぐに定命の者が、極めて需要のある品を回収する平凡な仕事をこなすようになるだろう。

かつて勇気と技は意味のあるものだった。存在が自分の力に挑んだ。私の進むべき道は明らかだ。もう一度冒険のスリルを感じたいなら、さらなる危険に身を晒す必要があるだろう。それが唯一の方法だ。

ドレモラのクランに関してOn Dremora Clans

ディヴァイス・ファー 著

定命の者がオブリビオンの無数の軍団を数えられるなどと思ってはならない。デイドラ種族の目録を作るだけでも一生の仕事だ。よりややこしいことに、デイドラの多くが恐ろしく多様な忠誠心と目的を持った組織を作っている。ドレモラもその例に漏れない。

クランとは単なるドレモラの同盟宣言ではない。デイドラに永遠の刻印をする結盟であり、真名を意味するニミックを変え、そのありようをも変えてしまう。デイドラのニミック自体も独立した論文を要する主題ではある。とにかくこの話をするにあたっては、ドレモラがクランと自己のアイデンティティを切り離せないと言っておけばよいだろう。デイドラの場合はよくあることだが、例え死んでもクランの結盟が、オブリビオンから戻ってきた時点のドレモラの姿を決める。

とても多くのドレモラのクランがオブリビオンの次元で暮らしている。そのほとんどがニルンの賢者に知られていない。最も経験豊富な次元の旅人ですら、遭遇するドレモラのクランは一握りといったところだ。絡み合う同盟の網やライバル関係、様々なクランを結びつける憎悪の絆について、理解を深めることもない。ドレモラがどのクランに所属し、定命の者をどう見ているのかを把握するまで、旅人はその怪物が害をなすと思っておいたほうが賢明だ。

その戒めを前提として、比較的知られているドレモラ種族を簡単に説明しよう。なお、クランが通称する「名前」がニミックでないことは覚えておきたい。ニミックは重要機密だ。しかしクランの通称はあり方の一部を反映しているか、クランのニミックの真相を反映している場合もある。

大まかな地位により、以下昇順に記載する:

ヴァンキッシュド・クラン
庇護してくれるデイドラ公のない独立クラン。ヴァンキッシュドは追放者や亡命者で構成され、他のドレモラから軽侮されている。忠誠を誓ったデイドラ公が完膚ないまでに叩き潰された場合、生き残ったドレモラはヴァンキッシュドになると推測する定命の賢者もいる。別の説では、ヴァンキッシュドが大失態や背信に対する刑罰の儀式でのみ作りだされると考えている。ヴァンキッシュド自身は認めないが、耐えがたい苦しみを耐えることに彼らは苦い自負心を抱いている。それでも彼らはドレモラのままだ。つまり、劣っていると思う者に対しては残酷で傲慢だ。

ファイアスカージ・クラン
メエルーンズ・デイゴンは他のどのデイドラ公よりも多くのドレモラ同盟を支配している。ほとんどのドレモラ軍団の戦士たちはデイゴンの777の要塞に駐屯し、オーバーロードに出陣を命じられるまで待っている。ファイアスカージは数こそ多いが地位の低いクランで、洪水と炎の王の忠実な歩兵を努めている。

ドゥームドリヴン・クラン
マラキャスの下僕として、ドゥームドリヴン・クランはオースブレイカーにニルンの信者への使者として遣わされることがある。しかし、彼らはアッシュピットのオークの霊魂の軍団の元帥や指揮官を務めていることのほうが多い。

ブラッドレイス・クラン
デイドラ公ボエシアに仕えるブラッドレイスは大掛かりなトーナメントでチャンピオンに挑み、試練を与えることを使命としている。シャドウナイトと闇の魔術師という名のみが知られる強力な君主が、終わりなきアリーナの試合にクランを駆り立てている。

レイザースウォーン・クラン
破壊のデイドラ公、メエルーンズ・デイゴンに仕えるもう一つのドレモラクラン。レイザースウォーンは略奪者やアサシンとして活動し、他の領域にいるデイゴンの敵を討つために送りこまれる。彼らはファイアスカージを蔑視するが、ルインブラッドの権勢に苦しめられている。

ブレードベアラー・クラン
独立を貴ぶブレードベアラーはデイドラ公に仕えていない。誇り高き戦士で、戦場での勝利によって自らの価値を決める。結果として、定命の傭兵のように世界を股にかけては身を投じられる戦いを探し、どちらかに参戦するため取引を持ち掛けることもある。独立系クランでは最も名高く、強力なクランだ。

フットキラー・クラン
大抵のクランは自ら選んだデイドラ公と長きに渡って絆を保ち、忠誠は揺らがず、関係も変わらない。フットキラーは少なくとも一度は主人を代え、モラグ・バルを捨てた。企みの神が彼らの仇敵であるデスブリンガーを認め、彼らに取って代わらせたからだ。賢者の中にはフットキラーがもう存在しないと考える者もいる。悪名高きドレモラ、ライランスは最後のフットキラーと呼ばれることもある。

デスブリンガー・クラン
モラグ・バルの下僕の中での地位が高いデスブリンガーは、長年フットキラー・クランのライバルだった。ヴァルキナズ・セリスの指揮により、デスブリンガーはフットキラー・クランを引きずり下ろし、追放することに成功した。最後の報告によれば彼らは暗い要塞からコールドハーバーの大半を手中に収めたとのことだ。

ルインブラッド・クラン
メエルーンズ・デイゴンに仕えるクランの中でも最強のクランであるルインブラッドは、破壊のデイドラ公の野望を実行することを任された精鋭の衛兵であり、上級指揮官である。このクランの魔術師はデイドラと定命の者双方の血を用いた魔法に長け、しばしば「ブラッドアデプト」と呼ばれる。このクランの者たちは、デイゴンの軍団の戦士長や士官を務めていることもある。クランの指導者はヴァルキナズ・ノクブロズで、切望の要塞の司令官でもある。

ドレモラは死なずDremora Never Die

ファーグレイブの酔っ払いの歌

故郷を遠く離れて、なお我々は酒を飲む
ここのエールは変わっているが、不死者はがぶがぶ飲む!
ここの仲間は飲みもしないし、食いもしない
楽しみなくして生き続けるとは、驚くほかない!

きっと凄く退屈だろうが、我々が助けましょ
下品で、死に怯える定命の俺たちがご一緒
酔わないなら飲んでも無意味だ
定命の者と戯れるとは落ちたな、いい気味だ

全部ただのおふざけさ、奴らを見下したりしないさ
ここの仲間は誰にも負けやしないさ!
変わることなく、眠ることもなく、よからぬことを企んでるんだ
我らが不死の友は、誤解されてるんだ!

飲め、飲め、飲め、ドレモラのために!
動物なのか植物なのか、よく分からない奴らのために!
飲め、飲め、飲め、ドレモラのために!
俺たちが死に絶えた後も、残る奴らのために!

バーンの動植物Flora and Fauna of the Burn

魔術師ギルド研究員、アンスロパス・ガリア 著

メエルーンズ・デイゴンの領域、デッドランドは通説と異なり、単一の環境ではない。領域は様々な地方に分かれ、それぞれに凄惨で過酷さを形容する名がついている。例えばバーンだ。バーンを一切の生命がいない地獄のような環境だと思いこむのは愚かだ。確かに火山帯の荒涼とした土地ではあるが、それでも活気に満ちている。実際、ここで目にする全ての野生動物や植物を記録すると1冊の本に収まりきらない。この巻では主だった種族のみを記載する。だが読者に強調しておきたいのは、ここに出てくるのがこの過酷ながらも美しい地域で出会うであろう生物の、ほんの一部でしかないことだ。

動物

クランフィア
クランフィアは知能の低いトカゲのようなデイドラだ(異論を唱える者もいる)。ここで各種の定説について論じるのは避ける。クランフィアについて覚えておくべき最も重要なことは、甘く見てはならないことだ。その牙は定命の者の肉体をやすやすと切り裂き、その肉体は鋭い鱗に覆われている。鋭利な爪を持ち、棘の生えた尻尾は刃物にも鈍器にもなる。小さいからといって、侮ってはならない!

スキャンプ
バーンでは珍しく、悲鳴を上げて逃げ出したくならない獣だ。スキャンプは小型の亜人デイドラで、微弱な魔法のような力を操る。デッドランドに住まうものを無害(断言するがスキャンプもある程度の脅威となりうる)と言ったら無責任になるが、この獣は往々にしてとても臆病で、切迫した脅威になることは少ない。むしろ、彼らが仕えるより大きなデイドラを懸念すべきだ。スキャンプにはたくさんの種類があるが、最もよく遭遇するのはバーンにいるマグマの変種だろう。

ドレムナケン
ドレムナケンはデイドラで、その大きさは大型犬程度から一番大きなノルドすら見下ろせるものまでまちまちだ。この四本足のデイドラが群れをなしてバーンをうろついているのをよく見かけるだろうが、その獣のような姿に騙されてはならない。彼らは私たちと同じ程度か、それ以上に賢い。だが彼らには神々の力に対するやまぬ飢えと、満足するまで狩りを続けなければならない暗い欲求がある。メエルーンズ・デイゴンの軍勢はその肉体的な欲求を利用し、敵を追跡して殺すためにドレムナケンを使役する。中には精巧な鎧に身を包んでいるものもいるが、針のように鋭い歯や、尖った爪がある以上、余分にも見える。この獣に備わった純粋な力だけでも、十分な威力を持つ。

植物

スピッダル
スピッダルは簡単に見分けられる。これはバーンで育つ数少ない花だからだ。申し訳程度に花のようなものが、ぬめりのある棘だらけの茎に咲く。大抵は黄だが、熱源のそばには赤とオレンジの変種も育つ。自生しているのを見かけたら、最大限警戒すべきだ。デッドランドに咲くものは、毒ガスを放って自衛する。

ハラーダの根
ハラーダの根は扱いが難しい。この本を執筆するため、私は遥か遠くから自然を観察するのを好むが、その私でさえこの苛立たしい植物の射程を見くびっていたと言わざるを得ない。どうにか回避したが、帽子が棘で裂けてしまった。

変種は2種類ある。一つは洞窟などでよく見かけ、もう一方はより広い屋外で育つ。屋外の種はまっすぐ上に伸びるか、または蔦のように岩沿いへ伸びる。洞窟の種は天井から垂れさがる。その姿がどうであれ、この根は近づき過ぎた者を見境なく襲ってくる。

ブラッドグラス
デッドランドのあちこちに生息するブラッドグラスは、華奢で、深紅の茎を持ち、荒れ地に育つので簡単に見分けられる。必ずしも危険ではないが、この植物のそばでは気をつけるべきだ。その葉は見かけによらず鋭い。正しく収穫すれば、葉は独特な錬金術の効能をもたらす。

ピビハのメモPibiha’s Note

これを見つけた親切な方、どうかこの者の妹に渡してください。妹の名はトゥフェ。ファーグレイブにいます。不可能かもしれないということは分かっています。これだけ無責任な略奪者とペテン師がたくさんいては、ファーグレイブにいつでもたどり着ける訳ではない。でも、これはピビハが最後に残す生きた証となる。何とか妹の手に届くよう願っています。

トゥフェへ

賢いのはいつもあなたの方だった。最初にあなたから目覚めの炎教団にいくなんて、問題を求めに行くようなものだと言われた時に従っておくべきだった。

妹よ、あなたはきっと誇りに思ってくれると思う。どれだけ教官が鞭や言葉と、斧を駆使しても決して折れなかったピビハのことを。もしあなたが想像しているなら申し訳ないけど、この者はどんな恐怖を生き延びたかについて書き留めるつもりはないことをわかって。デイゴンの悪臭を放つ脇にかけて、ここで奴らが囚人にしていることをあなたに伝えはしない。

奴らは私たちにも同じような考えを持たせようとした。ピビハは一緒に捕まった仲間の多くが、らしからぬ行動をとり始めるのを目にした。彼らはさらに怒りを募らせ、浄化の炎が皮膚を浄めることを切望したの。正気の沙汰とは思えなかった。この者がそんな考えを持ったことは一切ない。

最後にあなたの顔を見てから、ずいぶん長い時間が経ってしまった。そのことは後悔している。ここの時間の流れは奇妙よ。空を見ることができないので。トゥフェ。他に悔やんでいるとすれば、このオグリムの尻のおできの中に入ってから、毛皮を吹き抜けるそよ風を感じていないこと。まるで最後に世界を見てから一生分ぐらいの時間が経ったように感じるけど、心の中ではそこまで長くないこともわかっている。

仔猫よ、この者は疲れた。それに寒さで手がけいれんしている。信念に忠実でいて。あなたが何をしようと、姉があなたを愛していることを知っていて。

ピビハ

ファーグレイブの運び手The Bearers of Fargrave

定命の歴史家オレッテ・アルボガスク 著

私はニルンよりもファーグレイブに長く住んでいるが、この場所には今でも驚かされる!私はここ運び手の休息所に座り、目の前に筆記用具を広げ、テーブルには未開封のスパイス入りドリームワインを用意してある。この理想的な場所で、ここに名前を与えた存在、すなわちファーグレイブの運び手について発見したことを記録していこうと思う。

ファーグレイブを訪ねるか、長く滞在した者なら誰でも知っているだろう。見上げればファーグレイブの中央地区周辺を守る境界のようなものを築いている、巨大な骸骨が目に入るはずだ。ちなみに、これは動く骸骨ではない。この巨大な人型生物の骨が一歩でも動くのを見た者は、ドレモラの一生分ほどの時間を遡っても見つからない。また、骸骨の様々な部位がこの街中に自然の地形を生み出している。

ここに座って死に、岩のように固い構造物になって今の空を覆う前、この巨大な生物は一体何者だったのか?本当のことは誰も知らない。しかし仮説は多い。私のお気に入りの説をいくつか話した後、ファーグレイブの運び手の真実についての考えを述べよう。

定命の者の間で人気の仮説は、ファーグレイブがかつて四柱のデイドラ公が支配圏を巡って争う領域だったというものだ。うち続く戦いの末、彼らは全員が同時に滅び、その体は崩れ落ちて分解され、今日我々が目にするような4体の巨大な骸骨を残したという。時を経て、デイドラも定命の者もこのデイドラ公のいない領域に来て、骸骨の間に街を築き、オブリビオンの驚異の地を生み出した、というわけだ。もちろんデイドラに聞けば、対立するデイドラ公が同じ領域の支配を争うなどという考えは一蹴されるだろう。

別のあまり知られていない物語によると、ファーグレイブはかつて、デイドラでもエドラでも定命の者でもない、ある巨人族の埋葬地のような場所だったとされている。スカイリムのマンモスの墓地のように、この巨大生物はファーグレイブを歩き回り、座ったり横になったりしていたが、時が来ると死を迎えた。こうして、今日も残っている骸骨のポーズが生まれた。この物語にも一定の支持者がいるが、骸骨4体では埋葬地にならないだろうとの指摘もある。

様々な物語の中でも一番のお気に入りは、この巨人たちをファーグレイブの運び手と呼ぶ話だ。この物語によると、ファーグレイブはオブリビオンのこの地点(それがどこかはともかくとして)に落ち着く以前、4体の運び手によって場所から場所へと運ばれていた。「天空の籠」という名称はそこから来ている。遠い昔、この巨人たちは荷物運びのように街を肩に担いで移動していたというのだ。これは永遠とも思えるほど長い間続き、街が行った領域と連結した。それが恒久的なポータルとして、今日も残っているのだ。

哀れな運び手たちに何があったのだろうか?誰も本当のことは知らないが、ポータルの連結が確立されてから、ファーグレイブを物理的に移動させることは不要になったのではないだろうか。運び手が不要になったことで、彼らは単純に存在する意志を失ったのだ。しかし彼らは長い間支えてきたこの場所を去ることなど考えられなかったので、かつて力を尽くして働いたその場所で座り込んで死んだという。

運び手たちは奴隷で、もはや忘れ去られた主のためにファーグレイブを運ばされていたと言う者もいる。私としては彼らが忠実な召使で、ファーグレイブとその古い住民たちへの愛のために働いたのだと思いたい。どんな住民だったのかは知る由もないが。

ファーグレイブの歌Fargrave’s Song

輝く夜の屋根の下
霊魂が眠りを知らぬ時
石炭は燃えて勇者を照らす
赤い足跡が真っすぐに
酒場の戸口へ続いてる
皆の声が、ファーグレイブを歌う!

巨人の骨が眠る地はアッシュピットから遥か遠く
外の道は暗く、明かりが灯ることもない
クランが見つけた最も偉大な街
生涯をかけてたどり着けるか
それでもファーグレイブは全て受け入れる!

ここはアポクリファではない
街の中の街、永遠に歌い継ごう
誰にでも利益を与え、誰にも慈悲を与えぬ
繁栄のための仕事は、決して終わらない
ファーグレイブのバザールは閉まらない!

輝く夜の屋根の下
霊魂が眠りを知らぬ時
石炭は燃えて勇者を照らす
赤い足跡が真っすぐに
酒場の戸口へ続いてる
皆の声が、ファーグレイブを歌う!

メリディアの彩られた部屋よりも活気があり
デイドラがいても危険が少ない
取引と交渉が、通りを残らず埋め尽くす
他人も仲間も、出会う相手は皆忘れない
ファーグレイブに入った日を!

虚無の星が遠くに輝く
デイドラ商人が昼から値切る
ポータル広場からどこにでも行ける
運び手の休息所に酒もある
ファーグレイブはいつでも宴会だ!

ファーグレイブの愚か者The Fool of Fargrave

(マダム・ウィムの依頼により吟遊詩人ティラシー・ミレルが執筆した隠者にまつわる歌。隠者を軽視したユーモラスな作品になるはずだったが、吟遊詩人はウィムの指示に従いながらも、この裏通りの人気者に敬意を払うため全力を尽くした)

本当に彼女を知る者はない
本人だって知りゃしない
彼女はあばら屋の隠者
このポータルと次元取引の場で

定命の者が空の手を差し出す
彼女はぼんやりと満たす
この商業の街で
利益も損も気にしない

彼女は仮面の女
解けぬパズル
隠遁の日々を送り
あなたの痛みを感じる、ファーグレイブの愚か者

本当に彼女を知る者はない
本人だって知りゃしない
彼女は裏通りの人気者
外せぬ仮面に捕らわれている

定命の者が嘆き悲しむ
彼らは飢えて苦しんでいる
彼女は支援に力を尽くす
好意もコインも求めずに

彼女は仮面の女
解けぬパズル
隠遁の日々を送り
あなたに手を差し伸べる、ファーグレイブの愚か者

ファーグレイブの事件Fargrave Happenings

ファーグレイブの出来事を記録した事件簿、イラーラ・キンヴァル 著。「ファーグレイブの目撃者」第94号掲載

今日は事件がたくさんあった。ドレモラの一団が、この素晴らしい街において定命の訪問客がゴミを保管し処理するために選んだ場所の封鎖に踏み切った。定命の者はファーグレイブのグラスプの官吏に、廃棄物を処理する仕組みが必要だと訴えた。簡潔でもあり、教育的すぎる訴えだった(事件の詳細は33ページを参照)。グラスプは廃棄物を街の境界の外に留め置く必要を感じ、定命の者の計画に合意した。それでも、この許可にファーグレイブ内の全住人が満足したわけではない。私はいつもの通り定命の者を追って、彼らの行いを記録しようとした。だがファーグレイブに関わりのある、様々なドレモラのクランもまた彼らを追っていた。

続いて小競り合いが起こった。きっかけは帝国の者がシャベル一杯の掘削現場の泥をドレモラに投げつけたことだ。そうなる前に口論もあったようだったが、やりとりは静かだった上、荒野の風が吹き荒れていたので聞き逃した。一方、土は標的に命中した。後に続いたのは正々堂々とした決闘だったとは言えないが、双方ともに激昂し、カジートの女が熊手を廃棄物に突き刺して、戦う者たちにぶつけると脅すまで続いた。双方ともにこの件を黙っておいたほうがいいという結論に達した。私はそのような約束をしなかったので、ファーグレイブの目撃者としての権利により、本件を記録することにした。

* * *
定命の者が夜と呼ぶ期間がこの周期ではゆっくりと流れる。バザールではデイドラの商人が品物を売っている。彼らは見込みのありそうな客を呼び止め、品物の宣伝をすることがない。もう彼らの事業はしっかりと根を下ろしており、目端の利く客に隠すこともない。商人が店や露店の宣伝をするのは希少な品が手に入った時か、新たな定命の者がきた時だけだ。最も活気にあふれるのは、新しい商人が商売を始めた時だ。すると全ての店主が、自分たちの存在を知らしめ、仲間の店より抜きんでているとアピールし始める。その時まで通りは静かなままで、露店はどっしりと構え、誰一人足音ほどの声もあげない。

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今日からまた負傷者の間引きが始まった。毎度のことだが、非公式に開催されたイベントが、明確な主催者もなく運営されている。定命の者の商人がバザールで店を開けると間もなく、負傷していると見える者や、今や全盛期を過ぎたと思しきデイドラが、街の東の溶岩流へと身を投げた。溶岩流の中へ旅立ったデイドラは今年これで5人目だ。

分解された者たちがみな短期間で再生され、遠からずファーグレイブの門をくぐるよう願っている。

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今度の周期はストリクチャー広場のグラスプが大いに活躍している。定命の者、デイドラ、その他様々なファーグレイブの商業団体の指導者が会合し、街の統治に関する条約改正について討議した。代表団の間で何度も殴り合いが起きかけた。グラスプ・キン・マルキナズがものすごい剣幕でバネキンの独白を怒鳴りつけ、紛糾する代表団を黙らせなければ収拾がつかなくなっていただろう。しばらくしてから人々は広場を出て、〈運び手の休息所〉へ向かった。そこで静かに敬意を抱き…いや、少なくとも静かに話し合った。グラスプ・キン・マルキナズを再び怒らせたくなかったのだ。

最初の晩の討論が終わり、グラスプは進行の中断を命じた。そして数件の議題が片づいた。

第一に、ストリクチャーの保護の有無に関わらず、ファーグレイブの知性ある市民を市場で売ることを禁じる。

第二に、ストリクチャーの保護の有無に関わらず、市内においてファーグレイブの市民の知性を奪うことを禁じる。

第三に、今後無期限に、ストリクチャーの法令に従うことに合意したファーグレイブの全住民を、ストリクチャーの盟約が与える市民権の保護対象に含めるものとする。

第四に、物資や商品の市内への流入を妨害することを禁じる。

* * *
この会議は8期目を迎えるが、出来事が多すぎて日報にまとめることができないようになってきた。代わりにメモを取っておいて、定命の者が自分が休むための休憩を無理強いする時点で、考えをまとめることにした。これまで本格的な殴り合いの喧嘩は3回以上あった。定命の者は〈運び手の休息所〉をどうしても専用の戦場に変えなければ気が済まないようだ。あるアルゴニアンはグラスプの代表に椅子まで投げつけた。グラスプ・キン・マルキナズは7回も、獰猛なドレモラの戦歌を様々に披露して、高まった緊張を鎮めなければならなかった。

定命の者がデイドラの食事場所を街から排除するように要求したが、これ以上の政策変更は合意にも、実現にも至らなかった。彼らは「生きるための養分を必要としない者に、食事の準備や食事に類似した消耗品の用意を任せられない」と主張していた。

ファーグレイブの傭兵募集Work for Hire in Fargrave

問題と危険が、オブリビオンにあるファーグレイブの街を脅かしています。

ファーグレイブの周辺にある、デッドランドと呼ばれる領域の周辺で、計り知れない恐怖に対処できる冒険者を募集します。興味があり、見返りに金と栄光を求めているなら、ヘクソス家は仕事を提供します。

詳しくは、ファーグレイブのヒューレット・ヘクソスにお尋ねください。

ファーグレイブ観光案内Visitor’s Guide to Fargrave

ファーグレイブの定命の者に向けた、包括的な観光プログラム用にオサタが準備した資料。

旅人よ、幸先のよい一日を!ファーグレイブという栄光の街に到達したことで、あなたの運勢は好転を始めた。自分で用意したか、恒久的なゲートを利用したかはともかく、あなたには次元を越えてこの素晴らしい街にやってきたことで、きっと幸運が訪れるだろう。

ポータルの広場
どのように天空の籠の街を見つけたかにもよるが、ポータルの広場のことはもうご存知かもしれない。この場所には恒久的なポータルが配置され、中にはデッドランドの二つの領域につながっているものもある。他の次元への一時的なポータルを作る許可を持った者は、旅行のためにここへ集合する。ファーグレイブへ行き来する安全なルートの一つとして、多くの定命の者が広場で休憩する。ここはファーグレイブが持つ故郷の領域との絆を、彼らに思い起こさせる場所なのだ。

バザール
あなたがたがファーグレイブを訪れたのは、おそらく高名なファーグレイブの名産品を交易し、取引するためだろう。品物は街のどこでも取引できるが、お探しの場所はバザールに違いない。オブリビオンのあらゆる場所からくる商人や職人が集まっている。望みの物は何でも揃い、望んだ以上の物ですら、バザールでは手ごろな価格で見つけられる。品物の取引はいつでも行われている。バザールを頻繁かつ隅々まで探検して、見落としがないようにしよう。

ファーグレイブのクラフト広場
職人志望の方々に品物を製作するための素材を提供できないのは、我々の街にとってこれ以上ない恥辱だ。そのためファーグレイブのクラフト広場には、作業台や創作を支える様々な工具が用意されている。

定命の者支援
定命の者にファーグレイブの複雑な交易に慣れ親しんでもらうための組織がいくつも存在している。 ヘクソス家、サラアス・トング、アービス収集団は全てがファーグレイブ中に本部を構え、バザールに公式の出店を出している。ガイド、助言、雇用など、必要に応じて助力を提供する。しかし、ストリクチャーのグラスプは避けるべきだ。彼らはストリクチャーの協定を重視し、定命の者やその活動に対して一切の慈悲を持たない。

ストリクチャー
ファーグレイブに王や権力構造は存在しないが、ストリクチャーと呼ばれる魔法の協定が全デイドラを拘束し、天の籠の平和と中立を維持している。ストリクチャーのグラスプ、もしくは単にグラスプと呼ばれるグループがこの協定を強制し、仲介者にして合意の解釈者としていさかいや紛争が起こると介入する。定命の者はストリクチャーに拘束されないため、グラスプは定命の者を信用せず、必要がなければ無視することも多い。ほとんどのグラスプのメンバーはドレモラであり、全てのメンバーはストリクチャーの下で平等である。

シャンブルズ
必死な新顔に警告しておこう。シャンブルズと呼ばれる地区に近づいてはならない。ほとんどの定命の者はシャンブルズの路地や共同住宅に住んでいるが、エラント、ヴァンキッシュド、インビジブルウェブなど複数のギャングの狩場でもある。全ファーグレイブはストリクチャーの掟に拘束されているが、シャンブルズはこの地区に定命の者が多いことを理由にグラスプが無視するため、ある種の無法地帯になっている。

ファヴェンのメモFaven’s Note

テフィラズに要求されたが、デイドラが哀れなる者の尖塔内に留まることを許すつもりはない。直ちに実施する。最強の戦士たちを呼び集め、我らの家から獣を追い出すのだ。

哀れなる者の尖塔の浄化は今日から始まる。

-ファヴェン・インドリル

ブルガリクの日記Brugurikh’s Journal

第二紀582年、暁星の月6日(?)

到着した。どれほどかかったかは言えない。というのも、境界を越える移動の詳細はサラアス・トングの極秘事項だからだ。私がここにきた理由を知る者はいない。あるオークに正体がばれそうになったが、そいつは殺して、死骸はファーグレイブの通りに捨てた。

多くの発見があった。いかにしてメエルーンズ・デイゴンの信者が簡単に次元の間を行き来しているか、デイゴンが我らの愛するタムリエルに何を企んでいるかなどだ。まだ暴くことができていないのは、どうやって炎の暴君の蛮人どもが我々の美しいマンティコラを操れるようになったかだ。彼の丹精込めた作品に何が起きたか摂政ボワードにお伝えせねば。

第二紀582年、薄明の月8日(?)

ドレモラに尋問をしたが、無駄骨だった。デイドラは死を恐れない。痛みに反応するだけだ。石に尋問したほうがマシだった。この忌々しい地で一月探索を続けたが、マンティコラの誘拐犯探しはまったく進展してない。

第二紀582年、薄明の月22日(?)

毎夜、大蛇の知恵に祈る。いや、この地で夜と呼ばれている時間にだが。ここの空気は何か私の体を弱らせるものがある。だが我が信仰は弱まらない。ヴィネシャラというズィヴィライの獣飼いに接触した。彼女はグリルグというオグリムが誘拐犯かもしれないと言った。オグリムを殺したことは一度もないが、トロールなら何度もある。大きな獣の死に様はみな同じだ。怯えて死ぬ。

第二紀582年、薄明の月26日(?)

グリルグはデッドランドという領域へと逃げた。奴め、呪われろ!こんなところは呪われろ!その四本腕の君主も呪われてしまえ!

第二紀582年、恵雨の月3日(?)

行方不明のマンティコラの一頭にようやく出会えた。口にするのも悔しいが、こいつは私を覚えていなかった。このブルガリクが卵の泉で世話をしてやり、ニルンクラッツを目からふき取り、大きな角で隠れた耳に名前をささやいてやったのに。悲しみで胸に穴が開いたようだ。私のかわいい子供たちに、グリルグが何をしたのか解き明かさねば。

第二紀582年、恵雨の月8日(?)

見つけた。マンティコラの苦しみの原因を。数あるメエルーンズ・デイゴンの要塞の奥深くで、グリルグは彼らにデッドランドのハーブと巨大な虫のような獣の血を醸造したものを飲ませていた。オグリムの調合薬を飲むと、彼らの鱗は熱い石炭のように赤く輝き、行動も変わる。狡猾さをそのままに、従順となるのだ。自由にできる獣はたくさんいるのに、なぜデイゴンは我々のタムリエルへの最高の贈り物を奪うのか?なぜ私たちの努力の結晶を、異質で野蛮なものに変えてしまうのか?

明日、子供たちを解放しに行こう。大蛇の力に祈る。クラグローンとタムリエル全土の運命は危うい均衡を保っている。私が死んだら、摂政ボワードに伝えてくれ。私はコートのため、共に生み出した子供たちのために死んだと。

〈後のページには血が染みている〉

マルキナズ・オイクスの報告Report from Markynaz Oyx

強大なるヴァルキナズ

兵士が蔵書庫の壁の下に穴を掘って、脱走を試みていた囚人を発見しました。その女は取り押さえ、畜舎に戻しました。ご指示のとおり、決して出血しないようにさせました。

穴は修理が必要です。大至急スキャンプの作業員を派遣願います。

-オイクス

ミクゲトの作業リストMikget’s To-Do List

ミクゲト、やる

ミクゲト、きれいな次元石見つける。

ミクゲト、ファーグレイブのウィムの館行く。

ミクゲト、ナスに次元石渡す。

ナス、ミクゲトに輝くお金くれようとする。

ミクゲト、とらない。

ナス、マダム・ウィムに「ミクゲトに定命の者の契約やれ」と言う。

定命の者、ミクゲトに詩くれる。

ミクゲト、ファーグレイブの詩、全部持つ。

ミンウィレスの日記Minwileth’s Diary

エリザの具合が悪くなってる。隠そうとしてるけど、バクも私も彼女のことはよく分かってる。子供の頃から一緒に走り回ってきた仲だ。私たちに隠し事はない。

不公平なのは私たちの中で、病気になったのが彼女だと言うことだ。エリザはいつも私たちの支えだった。苦しい時でも私たちをつなぎとめてくれた。私たちの中で一番優しく、面白く、機転が利いた。大抵の連中にとって、私たちはろくでなしの盗賊でしかない。飲んだくれて、ファーグレイブの路地にたむろするネズミの群れ。でもエリザはそれだけの子じゃなかった。思いやりがあって、美しく、活力にあふれ、素敵だった。

ファーグレイブに流れ着いた定命の者なら、誰だって天空の籠での暮らしのことは知り尽くしている。誰もがドレインにかかるリスクを背負っている。あまりに不可解すぎて恐れを抱くのも難しい。定命の者の中には、何十年もファーグレイブで暮らしているのに、毛ほどの影響を受けない者もいる。ドレインにかかった者のことを耳にすれば、必ず何もなかったことにする。自分がかからなくてよかったとか、きっと自分は大丈夫さと言ってみる。愚かにも、自分たちが無敵だと思い込む。

エリザが苦しむのを見るのは耐えがたい。正気を失うと分っているのが、どれほど恐ろしいことか想像もつかない。何かを思い出せない時、彼女の瞳に怯えが浮かぶのを見ると胸が痛む。

でもバクには考えがある。危険だけど、何でもするつもりよ。何もかも捨ててファーグレイブを去ることになっても、エリザを救えるなら惜しくない。

メイリードの日記、項目3Mairead’s Diary, Entry 3

[子供が書いたような乱雑な手書きの文。長い年月を経たせいで文字がかすれている]

女の人がまた来た。あの人は好きじゃない。意地悪だから!いや、意地悪とは違う。でも、すごく厳しい。たぶん笑ったことがない。あの人が話すことは私の義務と責任ばかり。あの人の絵を描いてあげたけど、気に入らなかったみたい。

他の子を見たことがない。子供はみんなこういう場所に住んでいるの?皆、本で読んだみたいな優しいお母さんがいるの?勇敢で強いお父さんも?ここに来る女の人は冷たいから、子供なんていないと思う。どうして私に会いに来るんだろう。私のこと、好きじゃないだろうに。ああしろこうしろって、私に言うばかり!

抱きしめようとしたのに、押し返された。

メイリードの日記、項目346Mairead’s Diary, Entry 346

見慣れないものばかりだ。もちろん予想はついていた。あいつらは私を唯一の家から追い出しておいて、理由も教えなかった。慣れは私と無縁の贅沢よ。それでも、少なくとも快適に過ごせることを期待していた。私に友達はいないけど、十分だと思っていた。でも、ここは何もかもが私に逆らう。ベッドは硬すぎるし、床の溝にしょっちゅう躓くし、壁に押し潰されそうな気分。

あの女はもう訪ねてこなくなった。あの女が懐かしいのか、来る日常が懐かしいのか分からない。もちろん、レオヴィック皇帝が一緒に来ることも懐かしいとは思わない。いつもあいつの目が嫌だった。子供の頃でさえ、あの目は夢に見るほどだった。

でも今は、なくて寂しくなるくらい。あいつの見透かすような眼差しは気味が悪かったけど、少なくとも予想はついた。慣れていたから。

この新しい場所では噂が聞こえてくる。私は14歳だけど、本物の危険がここにあると思うには成熟しすぎている。ここで暮らしているのはそのためじゃないの?檻に閉じこめておけば何も入ってこないし、何も出ていかない。でも、時々心臓がバクバクして、夜中に目を覚ますことはある。まるで悪夢から目覚めたけど、何が怖ろしかったのか思い出せないみたい。この場所のせいなのかもしれない。

それとも、私のせいなんだろうか。

メイリードの日記、項目712Mairead’s Diary, Entry 712

まだ手が震えている。まともに字も書けないけど、これは記しておかないと。頭の中にあるものを外に出してしまいたい。書いておかなかったら、本当に起きたことか分からなくなってしまう。ただの悪夢でなかったと、自分を納得させられなくなる。

一瞬の出来事だった。恐ろしい、奇妙な格好をした男たちが私を連れ去ろうとした。理由は言わなかったけど、数人は私が知らない名を叫んだ。ヴァルキナズ・ノクブロズ。

自分の目がほとんど信じられなかった。あいつらは物凄い勢いでやって来た!宝物庫にこんなに多くの人が一度に入ったのは初めてだ。騒音と異常で、まるで壁が侮辱を受けて震えているかのようだった。耳が赤くなるのを感じた。家に侵入してきた奇妙な男たちは、傷が付くほど強く私の腕をつかんだ。私は殴りかかり、思い切り蹴りを入れた。叫びもしたけど、無駄なことはあの時でさえ分かっていた。私の声など誰にも聞こえない。これまで何度も叫んできたけど、いつも答えるのは反響だけだった。

でも捕まったと思った時、私の内部で何かが解き放たれた。それは私の胸の中から鞭のように飛び出した。痛みを感じたか、それとも何も感じなかったのかは覚えていない。その感覚は私を完全に圧倒した。叫びたかったけど、肺に空気が残っていなかった。少しの間、私には光しか見えなかった。眩しさが全てを洗い流し、光が隅々まで拡がり、全ての影を追い払った。その後は、無が続いた。

目を覚ますと、床に死体が転がっていた。他の者たちは消えていた。また、私は一人だった。何が起きているのか分からないけど、何かが変わろうとしている。永久に。

メエルーンズ・デイゴンの叙事詩、第1巻Epics of Mehrunes Dagon, Volume 1

目覚めの炎教団の歴史家、ヴァレンタイン・リオレ 著

権勢を誇る高貴なる王は、この本に書かれた物語を喜ばない。物語を書き記さねばならないことは俗悪だ。野望のデイドラ公のことを耳にした者ならすべて知っているだろうが、彼こそが全世界の正当なる支配者だ。どんなデイドラ公も彼の機知には敵わない。どんなデイドラ公もカミソリを統べる者のように世界を賢明に導き、浄化する精神的な強さを備えていない。どんなデイドラ公もメエルーンズ・デイゴンの栄光には及ばない。この栄光の物語を書き記す罪を犯したため、この仕事が終わったら、自らを彼の怒りの炎に投じねばならない。

交わした取引に対するはメエルーンズ・デイゴンの尽力と力を披露するため、まずは炎と洪水の王と付呪師アレバスの物語から始めよう。アレバスは炎の暴君を呼び、彼女の最大の儀式を披露するのと引き換えに領域を借用しようとした。彼女は必要な材料を集めた。そこには自然の恵みや定命の者の創造物も含まれていた。一方、デイゴンには結界に彼の力を込め、魔法が誕生するのを見守るように依頼した。

アレバスは、デイゴンに「我が安全を保障せよ」という取引条件を提示し、彼は承諾した。準備が整うと、アレバスは砂浜に図を描き、波の力を呼んで、死者と腐敗した木々を復活させる力を借りた。

儀式がアレバスが想定したより大きな力を水から引き出すにつれ、水は引いて行った。海の中央から山のような大波が殺到してくるのを、彼女は怯えて見ているしかなかった。

デイゴンは取引を思い出し、素早く呪文を放ち、海の力に対抗した。向かってくる波よりも高く炎が膨れ上がり、盛り上がった水は蒸気に変わった。アレバスが気がつくと、自身は焼けた森と潮だまりの入り交じった浜辺におり、無事だったことに気づいた。季節が一つ過ぎ、全ての腐敗した木々は元気に育ち、枝は茂った。

これはまさにメエルーンズ・デイゴンの力の栄光と、取引を結んだ相手への尽力を示している。変化のデイドラ公は血と苦痛で代償を払わせることで知られている。彼と関わった者はみな、この世界は痛みと苦しみが常に存在していることを承知し、定命の体が滅ぶ衝撃を通り越した者たちだ。だがメエルーンズ・デイゴンは取引を裏切らない。デイドラ公と取引をする時は、賢く要領よく立ち回れ。さすればデイドラ公が慈悲を垂れてくださる。

メエルーンズ・デイゴンの叙事詩、第2巻Epics of Mehrunes Dagon, Volume 2

目覚めの炎教団の歴史家、ヴァレンタイン・リオレ 著

この書の前巻は私の即座な死で終わらなかった。ただし高貴なる王の行いと御業を書き記したという僭越さによって、我が命は奪われて然るべきだ。私はさらなるメエルーンズ・デイゴンの物語を書き続けることに決めた。この著作が破壊のデイドラ公の遠謀を高めず邪魔になるようなことがあれば、私は喜んでその生命を再び彼の怒りの炎に引き渡そう。デイゴン卿、どうか心置きなく我をいずれ罰したまえ。

さて、デイゴンの戦闘での信じがたい勇ましさを知っているだろうか?洪水と炎の王の業に関して、畏怖の心をかき立ててやまない物語は枚挙にいとまがない。モーンホールドはデイゴンの怒りを買い、破壊されたことを忘れていない。有名な過去の勝利を蒸し返し、我が王の周知の機略をうそぶくのではなく、新しい物語を語ろうと思う。戦いと、血と、勝利の物語を。デイゴンが恐るべき戦いに打ち勝ち、忠実なる者をモラグ・バルの虜囚から救出した物語を。

コールドハーバーの奥深くで、デイドラの監督官に厳重に監視され、真の信仰者の一団が苦しめられていた。意識ある限り彼らは苦痛にさいなまれたが、メエルーンズ・デイゴンこそが真実であり、彼らと共にあると確信していた。信仰者たちは彼の炎を頼りに暖を取り、捕らえた者どもに破壊的な変化をもたらすため執念を燃やした。この信心深く、先見の明のある定命の者は誰一人としてコールドハーバーから逃れられると思っていなかったが、機会さえ巡ってくれば信じがたい破壊工作と殺戮をやってのけられると信じていた。そこで、彼らは時節を待った。策を練り、血と破壊のデイドラ公に祈り、襲撃の機会に備えた。

一部は信仰を失った。彼らの決意は神聖なる海の星々のように砕けてしまった。だが一団の中でも最も正しき者たちは信仰にすがり続けた。その決意と献身は彼らに信じがたい爆発を授けた。大地を揺るがす魔法の奇跡によって、監督官たちは苦痛を与える器具を取り落とした。一団は団結して飛び掛かった。彼らの襲撃の後には炎が尾を引いた。忠実な一団が苦痛を与える者たちへ反撃したのを目にして、他の囚人たちも立ち上がって彼らに加わった。

定命の者たちの頭上、デイドラとコールドハーバーの山の向こうから見下ろしていたのは大崩壊の父だった。デイゴンの振るう剣は素早く鮮やかで、その腕が霞んで見えた。モラグ・バルの凶悪な尻尾が大地を薙ぎ払い、苛立ち紛れに定命の者や手下を叩き潰した。デイドラ公たちはぶつかり合い、互いを打つ音が雷鳴のように領域中に響き渡った。

最終的に、モラグ・バルが勝ったように見えた。魂の収穫者は山羊のような頭を上げ、憤怒の雄叫びをあげた。一瞬、全てが静寂に包まれた。地表の争いは奴隷たちとデイドラの監督官が共倒れになって終わった。彼らの手は血が流れる耳を押さえつけていた。デイドラ公たちが戦っていた場所に近すぎた哀れな連中は、瓦礫に埋もれていた。彼らは雄叫びの力で、体が粉々になったのだ。

だが、斃れた者たちの遺体の中にデイゴンの真の信仰者はなかった。彼らはデッドランドの熱で目を覚ました。最も賞賛されるべき者は、幻影だけでデイドラ公と戦ってのけながら、彼らをモラグ・バルの束縛から逃れさせたのだ。だから我々は、メエルーンズ・デイゴンに従っているのだ。

ルーセントの教訓Lessons on Lucents

ヘクソス家主任研究員、ロガナス・アティウス

どこかの時点で、定命の者にはファーグレイブの数多くの謎が決して解けないと諦めるべきだ。サラアス・トングの発明家は長年オブリビオンの謎を解き明かそうと頭をひねってきた。はっきり言うが、その割に彼らは大した成果を上げていない。デイドラのガラクタの山を築く過程で、何人か魔術師が正気を失っただけだ。

私はもっと単純な提案をしたい。ファーグレイブの隠された真実に対して根本的な理解を深めようとするのではなく、単に利用方法へ注力すべきなのだ。使い道があるものなら収集する。複雑すぎるなら処分する。冷徹な実利主義は当家の尊い資質だ。我々はデイドラ遺物調査にもこの原則を当てはめるべきだ。

これまで見た中で最も有力な研究対象は、デイドラの「ルーセント」だ。このクリスタルは魂石に似ており、同様の働きをし、素人にも分かりやすい。無論、その類似性はほとんど表面的なものだ。我が主任研究員によると、力を保存して放出する能力の他は、魂石とほとんど共通点がないそうだ。

そこに何が収められているのかについては諸説ある。魔術師の中には何らかの「デイドラのマジカ」が入っていると考えている者もいる。ヴァヌス・ガレリオンに属する者たちは特に、魔術はマグナスに由来するもので、その考えはバカげていると言う。リッシニア・カタラスという魔術師は、その相違を「ムンダスの球」説で切り分けようとした。彼女は「オブリビオン魔法」が原初の神々による創造の残滓だと提案する。マグナスとその仲間が定命の者の世界の天空を割った時に放出された、創造の力の波のようなものだと言う。確かに頭が痛くなるテーマだ。私が聞いた最も説得力のある説は、「オブリビオンの明確なダイナミズム」に関連していて、これはオブリビオンに姿と基本法則を与える普遍の力のようなものだ。その出自も、本質も、どう計測するかも分からない。だが前にも言った通り、我々の焦点は実用性だ。それでうまくいくことが分かっている。

このクリスタルの出所は分からないが、きっとスカイシャードのようにオブリビオンの様々な領域へ降ってきたのではないかと思われる。そのままの形でも微弱な力を含んでいる。そこに再充填する手続きには「ディナマスの源」というアイテムが必要になる。我々はこの物体を作成する術をまだ学んでいない。だが、スカーフィンの仲間であるピラゴスから十分な量を購入できた。ルーセントを源の空洞に入れればクリスタルは充填される。恐らくピラゴスは冗談のつもりだったのだろうが、源にはある種の精霊がいて、その力をルーセントに吸い出しているらしい。軽口だったのだろうが、デイドラの言うことは判断に困る。

充填が完了したら、その力を「放出台」と呼ばれるデイドラの装置で解放できる。デイドラはこの力を多様かつ巧緻に利用する。扉を開け、障壁を作り、排除装置の原動力にする。繰り返すが、クリスタルを挿入するプロセスは分かりやすく、展開しやすい。

この品をできるだけ多く集めて、我々の保安機構に組み入れる方法を模索するよう提案する。繰り返すが、ファーグレイブの謎は多い。だが、何よりも喫緊の謎とは、ヘクソス家のさらなる繁栄のために我々が利用できるガラクタがいくつあるかということだ。ルーセントは、ファーグレイブのより大きな力を解放するための鍵かもしれない。

ロブヒールの手紙Robhir’s Letter

大好きなロウィナへ

君の側を離れていると、毎日が灰色だよ。やるべきことはマダム・ウィムの助手のナスに奇妙な次元石を届けるだけだ。それで全てがうまくいく。僕が契約を交わせば、一緒にファーグレイブでの生活を始められる。

もっときちんと説明しないとな。愛しい人よ、僕はマダム・ウィムというデイドラと契約をしたんだ。ある品を彼女と仲間のもとに持ち込めば、結構な金額を支払ってくれる。

僕がアルビス収集団に入りたがっていることは知っているだろう?たとえ能力があの名誉あるグループへの入会に及ばなかったとしても、マダム・ウィムに気に入られれば絶対に考え直してもらえると思う。

また君に抱きしめられて過ごす日を楽しみにしてる。
愛を込めて

ロブヒール

ロングハウス帝との謁見Audiences with the Longhouse Emperors

元老院補佐センタナス・マーリンの回想録より

初めてロングハウス帝の御前に出たのは若い頃だった。私は帝国元老院の補佐見習いで、ブラック・ドレイクのダーコラクが権力の座に就いた直後のことだった。当時は動乱期だった。冷徹で残酷なリーチの民による支配という現実に、帝国の流儀と伝統をすり合わせようと努力していた。仕えていた評議員の後ろに控えて、皇帝が日常の御触れを出すための羽ペン、インク、羊皮紙を用意しつつ、必死に手の震えを隠そうとしていたことを覚えている。ブラック・ドレイクがいかに我が帝国を征服したかをつぶさに聞き、怯えきってはいたが、ダーコラク皇帝の必死な努力には気づかざるを得なかった。明らかに彼はまともな教育を受けておらず、帝国宮廷の文化や手続きについてほとんど何も知らなかった。しかし、彼は帝国人として振舞おうと務めた。彼は正式な手続きを指南するよう求め、不慣れさと苛立ちが明白ではあったが、謁見の際に殺害した補佐は1名だけで済んだ。その行為によって、偶然にも私の見習い期間は前倒しで終わった。補佐としてダーコラクの御前に立つ機会は、片手で数えるほどしかなかった。彼は懸命に努力したものの、粗暴な本性を捨て去ることはどうしてもできなかった。

ブラック・ドレイクの息子にして後継者であるモリカルはまた別だった。彼はリーチとシロディールの双方の特質を兼ね備えた、強く有能な指導者だった。帝国の教育で育ったおかげでリーチの出自を和らげることはできたが、消し去ることはできなかった。モリカル皇帝は帝国宮廷の政治的な機微をつかみつつ、父親を恐ろしい存在たらしめた獰猛さと非情さも見せつけた。だがモリカルに対する恐怖には畏怖の念も含まれていた。彼は皇帝ごっこに興じる蛮人以上の存在で、な武力と狡猾な知恵の双方で統治した。彼の玉座の間に入った初日、私はその双方が活かされているのを目の当たりにした。彼は後見役のアブナー・サルンとロヴィディカス評議員と議論を戦わせ、ハイロック地方の戦役でダーコラクが戦死したことを踏まえ、当該地方を服従させる最良の手段を論じた。彼はサルンとロヴィディカス双方が様々な選択肢のリスクと利益を並べるところに聞きいった。しばし考えた後、ダガーフォール・カバナントを独立国とみなす宣言を発布する準備を私に命じ、サルンには帝国の西側諸国との和平交渉を命じた。「あの頑固な地方を服従させるため、これ以上命を投げ出すわけにはいかない。かの地は我が父がはまった泥沼だ。私まではまるわけにはいかない」

モリカルの息子のレオヴィックがルビーの玉座に登極した時、私はずっと年老いていた。彼もまたアブナー・サルンの弟子だったが、完全に帝国式の考え方で育てられていた。彼はリーチをほとんど訪れることなく、帝国の中心で富と豊かさがあふれかえった生活にだけ触れて成長した。ロングハウス帝の中では最も洗練された人物で、最も帝国的だった。中には彼を軟弱で頭でっかちと思う者もいたし、甘やかされたとまで言う者すらいた。しかし、彼の芯は父や祖父と同様に鉄でできていた。単にそれをビロードの手袋で隠していただけにすぎない。即位後、初めて謁を賜りはっとした。宮廷はロングハウス帝が台頭する以前に存在していた宮廷のように感じられた。リーチやリーチの民の慣習が話題に上ることはほとんどなかった。少なくとも最初は。後日、拝謁(その時には上級補佐を務めていたのでより頻繁だった)した時には、その考えを改めた。レオヴィックが自身のルーツを受け入れるようになっていたのだ。当初は一時的に熱をあげているだけのように見えた。リーチの呪物や、ダーコラクやモリカルが好んだレシピを再現するように厨房に注文する具合だった。やがて物事はひどい方向に急転換した。レオヴィックがデイドラ公に捧げる偶像や祠を玉座の間に作ったのだ。明らかに彼は、直に触れたことのない伝統と文化に憑りつかれていた。そしてその妄執が、残念なことに、最終的な破滅をもたらした。

ロングハウス帝秘史Secret History of the Longhouse Emperors

ヴァンダシア評議員 著

ブラック・ドレイクのダーコラク。その死から何年経ても、その名は恐怖と絶望を呼び起こす。第二紀485年頃に生まれた彼は、リーチで権力を手にした。まず20代後半で族長としてクランを導き、1万の戦士に号令する武将となった。タグ・ドロイロック魔術結社の助力で彼はデイドラと手を結び、その力を強大かつ確固たるものへと成長させた。第二紀529年、ダーコラクとその軍勢は競合クランを下してリーチを支配すると、シロディールを目指して南へ進軍を開始した。

ダーコラクが勝利とリーチの外の領土を手中に収めるにつれ、帝国の支配層に潜む帝国貴族の同調者と隠れデイドラ信者が彼に手を貸しているという噂が広まった。この支持者たちの協力によって、彼はルビーの玉座に座って幾世代も支配するという契約をメエルーンズ・デイゴンと交わしたようだった。この取引には何らかのデイドラの武器の取引が関わっていたと言われているが、確認することも裏付けることもできなかった。第二紀533年には、ブラック・ドレイクとリーチの民の軍勢がシロディールを征服した。そしてロングハウス帝の治世が始まった。

ダーコラク皇帝はその巨躯と剣の腕前に、獰猛な気性で知られていた。話し方や作法に現れる明らかな出自は決して改められなかったが、それでも彼は帝国文化を吸収しようとした。第二紀534年に彼は新たな元老院を立ち上げ、息子のモリカルの教育係を選び出した。そしてリーチの感性と帝国文化を統合し、シロディールでの支持拡大に務めた。同年、彼はニベン人の有力者であるサルン家のヴェラクシア・サルンを妻にした。これも帝国とのつながりを深めるためだった。

ブラック・ドレイクは過去の勝利に満足することを拒み、さらに多くの領土を獲得するため進軍を続けた。第二紀541年、彼は軍勢を引き連れてクラグローンを抜け、エバーモアへ達してウェイレストに対する長い籠城戦を始めた。最終的には相手が降伏しないことにしびれを切らし、ダガーフォールに注意を向けた。これがブラック・ドレイクの破滅をもたらした。ダガーフォールの門で阻止されたダーコラクとその軍勢は、カンバーランドのエメリックとその軍勢に背後から奇襲された。そこで始まった戦闘でブラック・ドレイクは倒れたと言う。伝え聞くところでは、エメリック自らが討ち取ったそうだ。

大方の期待に反して、ダーコラクの死はロングハウス帝の治世を終わらせなかった。ダーコラクの忠臣たちはまだシロディールを押さえており、すでに玉座の懐刀となっていた息子のモリカルは、帝都で父の崩御の報に触れるや帝位に就いた。23歳のモリカルは、10代で帝国の教師に引き渡されるまで生粋のリーチの子として育てられ、その父にはできなかったやり方で二つの世界を行き来した。続く第二紀542年、モリカル皇帝自身の嫡子が生まれた。その名をレオヴィックという。

彼も、その父モリカルのように、多くのデイドラ公との契約を履行し続けた。その中にはメエルーンズ・デイゴンと交わした取引もあった。モリカルがさらなる領土の拡大を模索する最中も、準備と儀式は隠されたデイドラの司祭たちによって内密に続けられていた。第二紀561年、モリカル皇帝と息子のレオヴィックは少数の例外を除いて立入禁止となった帝国宮殿にほとんど引きこもって暮らすようになった。振り返ってみれば、彼らは待望のデイドラの武器を創造するため、メエルーンズ・デイゴンに究極の犠牲を捧げる儀式を行う準備に追われていたのだろう。1年後、彼らはようやく姿を現わした。その時、モリカルは次の征服の準備を始めていた。すなわち西スカイリムの征服である。

第二紀263年、モリカル皇帝は軍勢を率いてリーチを出ると、スヴァーグリム上級王の領土へと侵入した。ソリチュードの門に迫るまで、彼らは一切抵抗を受けなかった。そこでスヴァーグリム上級王の大軍はモリカルの軍勢に殺到すると、一戦で壊滅させた。モリカルは帝都に帰った。敗れ去った彼は重傷を負っていた。帝国とリーチの治癒師双方が最善を尽くしたにもかかわらず、モリカルが回復することはなかった。第二紀264年に彼が崩御すると、息子のレオヴィックが後を継いだ。

レオヴィック皇帝はロングハウス帝の中で最も帝国風だった。帝都で生まれ、主に帝国の教師に育てられ、父や祖父のようにリーチで培った経験がまったくなかった。しかしながら彼はリーチ式の修行を多少は施されており、教師陣にはアイスリーチ魔術結社の者たちと「ネズミ」としてのみ知られるリーチの民の協力者も含まれていた。まだ彼が王子だった頃、国境を脅かす襲撃者に対して素晴らしい戦果を上げて凱旋すると、父にどんな褒美がほしいか尋ねられた。ためらうことなく、レオヴィック王子はアブナー・サルン議長の娘クリビアとの婚姻を求めた。皇帝となったのち、彼は父とともに着手した極秘計画の監督を続け、最終的にはリーチ人としてのアイデンティティを完全に受け継ぐ決意をした。時が経つにつれ、彼は奇矯になっていた。第二紀576年にデイドラ崇拝を合法化すると宣言したことで、さらに帝国の民の反感を買い、ヴァレン・アクィラリオスの反乱を誘発した。

第二紀577年、ロングハウス帝の治世はヴァレンが帝国宮殿に突入してレオヴィック皇帝を殺害したことで幕を閉じた。ヴァレンは帝位に就いたことを宣言し、シロディールに残っていたリーチの民はリーチへと帰っていった。

悔悟者の物語The Penitent’s Tale

入信者ヴァーニー・モーロルド 著

洪水と火の王に対して背信を働いたために陥った現在の窮状を語り、減刑を嘆願する。

私の過ちは以下の通りだ。

第一に、私が放った炎はあまりに小さかった。

第二に、王が必要とするものを察しようとした。

第三に、メエルーンズ・デイゴンの名において私が実行した破壊は、他のデイドラ公に従って引き起こした被害を超えられなかった。

この失敗によって我が命は終わり、責苦が確定した。炎が足りなかったゆえに、私は熱に囲まれている。王の御心を察しようとした不遜さゆえに、心正しき侍者は私に苦しみが必要であると察し、気が向けば私に苦痛を与える。破壊的傾向が足りなかったゆえに、私は破滅した。

こうした特定の苦しみの他にも、我が王の広大なる領域が我が足を焼いている。あらゆる居住者が我が苦しみを喜ぶ限り、私に安息の場所はない。私が唯一安らげるのは、彼らが私の悲鳴に飽き、他の犠牲者のもとへ行く時だけだ。他の罪人は英雄が助けにくると信じている。格別に勇敢な家の一員や、デッドランドに踏み込むことを決意した傭兵などだ。私はそんな妄想は抱かない。私はすでに王に見放されたと思っているが、お怒りが解けていないことを知っている。私はお仕えしている間、ずっとデイゴン卿の信頼を裏切り続けていたのだ。彼は私を解放しない。

改良型”変異”モデルImproved Cataclyst Model

グリーフ砦での実験で”分裂した変異”がうまく動作し、無事に転生者を作り出せることが証明されたものの、その工程は未だ遅く困難だ。シスター・セルディナは転生者の作成が一度に一体であることと、あまりにも多くの試行で完全に失敗することは許容できないと明言している。メエルーンズ・デイゴン卿が要求しているのは多数の生きた災厄で、ほんの一握りではない。

私は盲目の予言者の設計を分析し、成功率を大幅に高め、培養期間を短縮すると思われる数多くの改良点を割り出した。私の指示により、魔術師たちが共同して改良型”変異”と呼んでいるものの4分の1スケールモデルを組み立てた。これまでのところ、試験でモデルの動作は申し分ない。

次の段階ではフルサイズのドレモラで試験する。新たな設計ではシスター・セルディナの構想を完全に実行し、デイゴン卿が要求する数字の達成が可能になると確信している。

破壊者ノミオ

看守の本日の命令Warden’s Orders for the Day

指示に従わない者は処分する。

1. 再びヴァルキナズ・ノクブロズが、老いた盲目の定命の者を尋問に来る。彼からの質問には全て答えること。特にデイゴン卿のドレモラの囚人について問われた場合は確実に返答すること。諸君の間で交わされた会話は、一言も漏らさず報告すること。

2. 幽閉房内にはヴァルキナズが使用する霊薬を十分に用意しておくこと。さらに作る必要がある場合は、至急私に報告すること。

3. 現在、制圧者フィヴァクスが幽閉房の扉を警護している。彼は私の許可なく扉に近付いた者を、全て殺すよう命令を受けている。注意するように。

看守ファスゾン

矯正施設の登録The Reformatory Register

恵雨の月の収容者記録

名前 措置 日付

ノリメリアン 勧誘 第一日耀

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ヴィットリア・ルルス 再教育 第一月耀

* * *
デクシオン・クロシウス 鞭打ち 第一火耀

* * *
オソ・ママナス 再教育 第一央耀
サビナ・メッサーラ 重労働 第一央耀
カミラ・ヴォルスス 再教育 第一央耀

* * *
ピビハ 勧誘 第二日耀
(困難そうに見える。重労働予定)
クリステラス 勧誘 第二日耀
バルガス 勧誘 第二日耀
デルヴィン 勧誘 第二日耀
カルリッシュ 勧誘 第二日耀

* * *
グラニル 再教育 第二月耀
スタル 再教育 第二月耀

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マルティナ・ホラティウス 鞭打ち 第二央耀
タイナン・ネイサンズ 鞭打ち 第二央耀

* * *
ウェイキン 再教育 第二木耀

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アナンミル 勧誘 第三日耀
ヴィスチャ・タ 勧誘 第三日耀
ナイジシャン 勧誘 第三日耀
ゾエ・レイノ 勧誘 第三日耀

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アルフェ・ファラヴェル 再教育 第三月耀
(4回目の収容。教官は排除を選択)

* * *
スカヴォルフ 重労働 第三火耀
フィニス・レン 再教育 第三木耀
キール・キラヤ 鞭打ち 第三木耀

* * *
オリン・ブレナー 再教育 第三金耀
ハジン 再教育 第三金耀

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クド・テイ 勧誘 第四日耀
アバハジ 勧誘 第四日耀
ガルヴォーチ 勧誘 第四日耀
(有望そうに思われる。コースを加速した)
ウッカ・サ 勧誘 第四日耀
ヘルヴェンヌ 勧誘 第四日耀

* * *

苦情の手紙Letter of Complaint

シスター・セルディナへ

根拠のない懸念を取り上げるのは好みませんし、この問題に具体的な対策がないとなればなおさらですが、我らの大いなる目的が邪魔されるのを傍観しているのは耐えられません。あなたに注意を促したい問題とは、ブランドファイア矯正施設をうろつくデイドラのことです。彼らは自分たちこそが炎と苦痛のデイドラ公の真の下僕だと思っています。我々が働く間も、彼らは隅に立って常に我々を監視しているのです。手際が悪く、メエルーンズ・デイゴンの熱を受け入れるに値しないとして、新人を排除した者さえいるのです。

これが越権行為であることは説明するまでもないでしょう。あのデイドラたちは矯正施設の責任者のように振る舞っているのです。許しがたいことです!確かに、ここがメエルーンズ・デイゴンによる懲罰の場所として使われていることは理解していますが、我々の作業はそんな古い役割よりも優先されるべきです。彼らのリーダーと話し、矯正施設から、でなければせめて我々が利用している区域からのデイドラの退去を命じて頂きたい。定命の者だけの警備隊を創設し、我々のやり方には口出し無用としてほしいのです。あなたに指図をするつもりはありませんが、デイドラたちは私の仕事を妨害しています。

私のやり方はこれまで成功してきたし、あなたにも賛同を頂いています。それについて、絶えずケチをつけられるのは我慢がなりません。

ブランドファイア矯正施設、上級監督官

継承者モリカルの秘密Secrets of Moricar the Inheritor

破壊者イレニアン・ダスト 著

モリカルが皇帝として成し遂げた全ての事柄の中で、最も重要な成果は未だ語られていない。父ダーコラクとメエルーンズ・デイゴンとの長年におよぶ契約の誠実な履行と、ロングハウス帝の秘密だ。

ブラック・ドレイクはシロディール征服以前から破壊のデイドラ公と50年間の取引を結んでおり、後継者がそれを維持することが約束されていた。第二紀541年にダーコラクが没すると、モリカルは占領地と父の負債を共に受け継いだ。

その後、モリカル皇帝は破壊のデイドラ公と自身の契約を結んだ。彼はメエルーンズ・デイゴンに有名な予言者を提供した。モリカルは様々な手段を駆使して、デイゴンがニルン中に変異を発生させ、定命の者の世界の支配を可能にする手法の構想を、この予言者が生み出すよう仕向けた。結果として、メエルーンズ・デイゴンの忠実なしもべは豊かな報酬を獲得し、モリカルの血筋はあらゆる定命の者に勝る力を手にした。

第二紀564年にレオヴィックが玉座を継ぎ、父親の契約を継承した。だが、ロングハウスの後継者は彼だけでない。自分の血統を確実に維持するにはメエルーンズ・デイゴンとの契約が不可欠であることを理解していたモリカルは、複数の妻を娶り、数多くの子の父となった。彼が認めた子も認めなかった子もいる。中には誰の血が流れているのか、本人すら知らない子もいる。

血の穴の囚人名簿Blood Pit Prisoner Roll

〈血の穴に収監されている囚人のリスト。リストの最上部付近に「エレギアン」と名があり、「特別な命令により、牢獄の南西区域にある幽閉房に監禁」というメモ書きがある。

リストの最下部に近い「非公開囚人」の下には「切断者アロクス」の名があることに気付くだろう。名前の横には、「脱走した。もしくは定命の者の囚人に食べられた。いずれにしてもヴァルキナズ・ノクブロズには言うな」と書かれている〉

最初の収集団The First Gleaner

一定の地位を持つ収集団の間で「交換」されるメモ(互いに盗み合うという意味。盗まれても気分を害さないこと。このメモはそういうものだ)。組織の後任に自分の知識と経験を伝えるため、ハリーファイアがこの書にメモを集めた。

* * *
エルジグへ

我らが愛するリーダー、ピエロン・デサントのことは何から話すべきか…そうだな、まずあの男は何も肯定しない。むしろ彼が何かを認めたら、完全な嘘と思っていい。私が彼の素性やファーグレイブに来た理由について知っていることは、あの男と関係のあるドレモラやスパイダーキスから得た情報だ。彼はあるキンリーヴから、ファーグレイブのポータルの秘密を盗んだらしい。そして2週間過ぎるまで、誰もあの男の正体も、よそ者だということも分からなかった。ようやく捕まった時、彼はファーグレイブ中とグラスプから盗んだ大量の財宝を抱えていたため、キンリーヴもこの男を滞在させざるをえなかった。でないと、この定命の大盗賊に面目を潰されてしまうからだ。

ハリーファイア

* * *
ハリーファイアへ

とんでもない嘘っぱちだ。この者は今までこんな酷い嘘を読んだことがない!ストリクチャーのグラスプは財宝など持っていない。ピエロンがファーグレイブに来たのは、どこかの教団の生贄にされそうになって脱走してきたからだ。名前は忘れたが、わずかに生き残っている教団員がまだ彼を探していることは知っている。奴らは彼の血をサングインに渡すと誓い、それを果たすまで休むことはない。だからピエロンはニルンに戻らないんだ。ポータルに足を踏み入れた瞬間、教団のリーダーに見つかることを恐れているんだ。

エルジグ

* * *
エルジグへ

何を言っている?ピエロンがニルンに行かないって?彼はすごいお宝を持ってハイ・アイルズから戻ってきたばかりだよ、この嘘つきめ!グラスプがもう財宝を持ってないのは、手癖の悪い我らがリーダーのせいだって考えたことはないのか?ないだろう。あんたの頭は壊れたドゥエマー・スパイダーよりも働かない。それから、この手紙を盗むのはめちゃくちゃ簡単だったよ、エルジグ。あんたは読めないだろうけど、他の皆には知らせてやるよ。

ピエロンに関しては、どうして自分の考えを紙に記すなんて馬鹿なことをするのか理解できないね。ピエロンはこれまでバザールに来た中で最高の収集団なんだ。彼がこの紙の存在を知ったら、一瞬で盗まれるよ。おふざけも大概にしな!

ステファニー・ラフォーン

* * *
この手紙を次に読む者へ

私がいつも聞いている話によれば、ピエロンはそもそも定命の者ではない。彼は自分の領域から脱走したデイドラで、オブリビオン最大の宝物庫を築くことを目指している。彼が年を取らず、怪我もしないのはそのためだ。とにかく、私はそう聞いている。

ウィ・ジャ

* * *

ウィ・ジャへ

馬鹿げている。ファーグレイブで最初の収集団が、今我々の仕事を監督しているピエロンと同一人物だったはずがない。彼がエルフの血を引いているのでもない限りは不可能だ。ピエロンは彼の一族の名だ。一族の男子は姿を隠して父親から技を学び、十分に成長して髭をたくわえたら、その中の誰かがピエロン・デサントの名を受け継ぐ。だからピエロンの髪の毛は15年ぐらいすると劇的に変わるのだ。これが真実だ!

ガルンフェリオン

* * *
全員へ

お前たちの突拍子もない話は全部間違っている。あるいは本当かもしれないが。

PD

* * *
ピエロンへ

お前は恥知らずだ。

星を縫う者

* * *
全員へ

信じる奴がいるかどうか知らないが、このメモは私の手を離れていない。私はこれを夜の間、枕の下に隠していた。ピエロンにも星を縫う者にも、これを奪う時間や機会はなかった。私はもう何年もの間、我らが創立者の正体について考えを巡らせていたし、このメモには定期的に目を通している。毎日読んでいるんだ!私の頭がずっと上に乗っていたというのに、一体どうやってあの二人はメモに書き記すことができた?

ガルンフェリオン

四重の怒りの祈りPrayer of Fourfold Wrath

おお、破壊のデイドラ公!高貴にして強大なる王よ!洪水と火の王よ!あなたが選ばれたしもべの祈りを聞きたまえ!

あなたの力強い足踏みが大地を揺るがし、信心なき者の塔を打ち崩さんことを。力によって築かれしものは試練に耐え、砂の上に築かれしものは崩れ去る運命なれば。

あなたの溶鉱炉のごとき吐息の下で、森や街が炎に包まれんことを。邪悪なる者は火の中で滅し、徳ある者は浄化され清められるように。

あなたの赤き四本腕の命により、東西南北の川が価値なき者どもを押し流さんことを。あなたの言葉を聞かぬ者は溺れ死に、あなたの警告に耳を傾ける者は救われるように。

あなたの至高なる眼の一瞥により空が割れ、その眼に映る忌まわしきものに稲妻が降り注がんことを。勇気ある者は嵐を切り抜け、臆病者は風が吹かぬ時でさえ恐怖に飲み込まれるように。

変異の父メエルーンズ・デイゴンに称えあれ!あなたのしもべを大地と火により、水と風により試したまえ。我らがあなたに仕えるにふさわしき力を示せるよう!この祈りを聞きたまえ!

捨てられた日記Discarded Diary

デストロンがいないと、すべてが奇妙な感じだ。カリアが恋しがっているのはわかっている。私も同じだ。3人いればあらゆることを制御できるような気がしていた。血と力で結ばれた、3人の野望で。ヴァンダシアがデストロンを殺してから、すべてが変わった。

これまでの全ての研究がここに導いた。デッドランドの秘密が私に開かれ、この宝物庫の中にはメエルーンズ・デイゴンを理解するために役立つ何かが入っていることがわかっている。私たち自身の理解に役立つだろう。探していた答えがすぐ目の前にあるのに、見ることができない。

私の力で何とかカリアと私がこの隠し部屋に来られるようにしたが、どうやらそれが能力の限界らしい。何をどう試しても、宝箱は私の言うことを聞かない。野望の力に耐えるとは、一体どういった防護が施されているのか。

答えを求めて徹底的に本を調べたが、そこから自力で学べることはごくわずかしかない。少なくとも今のところ、ここは安全に調査を続けられる場所だ。カリアはじっとしていられないのだろう。手伝いたがるが、今ひとつわかっていない。責任の一部は私にある。彼女を守るため、立ち入らせないようにしていたからだ。私たちがこの旅を始めたのは、彼女に自分の力の制御を学ばせるためだった――こんなにも自分自身や、野望の力全体について知るとは予想もしていなかった。とても私には整理できない。彼女に説明を試みることなど想像もできない。少なくとも、今はまだ。私がわかるまでは。

この本の中には、これ以上望めないほどの答えがあることはわかっている。だが内容を読むすると、湿った砂の中を歩くような感覚がある。いたる所で私に抗う。真実を発見したと思うと、徐々に離れ、濁ってしまう。

「我が元に来るか、死か」。彼を止められなければどうなるか、メエルーンズ・デイゴンは明確に示した。だが、そのためには自分たちを理解しなければならない。力を支配しなければならない。それが前に進む唯一の道だ。私たちの中にある、この恐ろしく底知れない力が鍵となるはずだ。これが全ての錠を開ける。とにかく時間がもっと必要だ。

もっと時間が。

主任監督官の命令Head Overseer’s Orders

目覚めの炎の侍者とパイアに次ぐ

デッドランド中で、道を踏み外した目覚めの炎教団の信徒をくまなく探せ。それと知らずに献身の熱を求める、新たな祝福の子もだ。

破壊のデイドラ公の計画は最終段階に近づいている。これまでの我々の仕事は、この後のための焚きつけのようなものだ。もう勧誘を控える必要はない。

どんな手段を使うことも許可する。強要、暴力、脅迫。仲間を増やすためなら何をしてもいい。恐れるな。ブランドファイア矯正施設に連れてこられた新入りは気高く、勇敢なメエルーンズ・デイゴンの下僕として生まれ変わる。

成功の報せを待っている。

ブランドファイア矯正施設
主任監督官

狩りの儀式Rites of the Hunt

私は蔵書庫を守る者。デイゴン卿の知識の番人にして確信の塔の番人。

私は力を宿す。メエルーンズ・デイゴンに授けられた贈り物。知識を吸収する力。一度源を消化すれば、私の存在の一部となる。

私は源を狩る。あらゆる源を。全ての知識を。私は聡明になる。よりよい守護者となる。守るべきものを理解する。

私には代価がある。我が主は契約を好む。一度標的を定めれば他のものはない。誓いを果たすまで、私が造り出した血、魂、魔法のオーブが唯一のものとなる。それからまた他を探そう。

この代価を受け入れよう。失敗は許されない。私は全てを知り尽くす。

商品の回収命令Merchandise Retrieval Order

優先度:至急

オークションハウスの職員へ

ガレリア・ヘクソスの命令により、「品目M-62124—黒檀の刀剣」のオークションと販売を延期します。テルヴァンニ家の一員がこの品に対して過度に興味を示しているため、上層部はこの魔術師がファーグレイブを去るのを待って販売を進めるべきだと判断しています。

品物を梱包し、輸送の準備をしてください。本日中にスカーフィンの工作員、ヴリーゴとヒゾラが回収に来ます。今後の問い合わせは全て職員事務所を案内してください。

ヘクソスの名において
フラヴィア・モレナ

消費の誓約Vow of Consumption

カルマー・クランを食らい家の知識を得るために立てられた誓約

私は定命の者の家という概念をより深く理解することを欲し、吸収すべき知識の適当な器を選んだ。

カルマーというオークのクランがニルンの平原に住み、アトロズという存在を生み出している。彼らの団結と家の絆によって、この獣が生み出される。

メエルーンズ・デイゴン公に与えられし力に賭け、アトロズを吸収し、それによって求める知識を得ると誓う。さらに、我が狩りが終わるまでに出会ったカルマーの魂も貪ろう。

この誓いと共に、標的のもとへ私を導いてくれる新たな誓いのオーブを召喚する。失敗すれば、我が体は灰となって霧消し、デイゴン公に二度とお仕えできなくなってもかまわない。

焦げた日記Charred Journal

耐えられない。やりすぎだ。目覚めの炎のやり方に馴染めると思っていた。その残虐さにも。だが無理だった。彼らは力を約束するが、信者はメエルーンズ・デイゴンという炎にくべる薪でしかなかった。

罪悪感に苛まれている。彼らを哀れなる者の尖塔に誘い込んでしまった。ここにいる者たちはそっとしておいてもらいたいだけなのに。忘れられたいだけだ。その彼らに疫病を仕込んだ。想像以上の早さで広まった。

私が逃げ出す直前に、愚か者の何名かを大義のために改宗させたと聞いた。街の有力者の誰かだそうだ。あそこを乗っ取るのには、それで十分だったのだろう。

常なる飢えA Constant Hunger

やめはしない

創造の秘密を追い求めることを

全てが虚無になるまで

尖塔が落ちる時When the Spires Fell

雷鳴が剥げ落ち、空が大きく裂けた
仲間を引き連れ、獣がやってきた
聖堂の立つ穴に突進したが
我らは決して屈しなかった

嵐が頭上を渦巻き続ける
獣が外を徘徊する
だが哀れなる者の尖塔に残る
我が希望は生きながらえる

轟音と悲鳴が叩きつけられた
塵の雲が肺に満ちた
叫んでもどこへも行けぬ
頭を垂れ、言葉を控えよ

嵐が頭上を渦巻き続ける
獣が外を徘徊する
だが哀れなる者の尖塔に残る
我が希望は生きながらえる

教えよう、哀れなる聞き手よ
この街は闘争から守るかもしれぬ
けれどいつまでかは誰も知らぬ
生命の縁に立っている

嵐が頭上を渦巻き続ける
獣が外を徘徊する
だが哀れなる者の尖塔に残る
我が希望は生きながらえる

もはや尖塔の鐘は鳴らず
いかなる書にも答えはない
追放者は皆、デイゴンの眼を逃れ
故郷への道を見出すよう祈っている

双子の要塞の幻視A Vision of the Twin Citadels

破壊者イレニアン・ダスト 著

昨晩、炎と洪水の王がかたじけなくも私を選び、かの世界を覗かせてくださった。

夜明け前の静寂の時にそれは訪れた。あまりの鮮烈さにベッドの上で硬直するほどの夢だった。体から切り離された魂は、炎と灰の荒野をあっという間に飛び越した。溶けた岩が川となってカミソリのように鋭い丘の間を蛇行し、頭上では炎の嵐雲が逆巻いている。私の前には強大な要塞の黒い壁が聳え立っている。威圧的な石塔が輪をなして燃え盛る山の斜面にそそり立ち、デイドラの戦士たちが警備している。

「ここは何だ?」。夢の中で私は問うた。展開する幻視に畏怖を覚えつつ。

「お前が見ているのは切望の要塞だ」と大いなる声が轟いて答えた。夢の中の自己は、熱い灰の道沿いの3つの門に引き寄せられ、燃える山の中心へと吸い込まれた。そこには大きなクレーターに包まれた溶岩の湖があった。小島のような玉座に腰かけ、溶岩に足を浸して私を待っていたのはメエルーンズ・デイゴンだった。その巨体は塔のようだ。

ここでの私はただの魂にすぎなかったが、強大なる王の御前にひれ伏した。「お命じ下さい、我が主。私はつまらない虫けらでしかありませんが!」私は叫んだ。

メエルーンズ・デイゴンは微笑んだ。「ならばここで見たものを忘れるな、虫けら」彼は言った。「切望の要塞の門の数を数え、塔を測り、我が巨大な軍団を目に焼き付けよ。定命の殻に戻った時、出会った者全てに我が意のままになる兵力を伝えよ。私は力。不可避の存在だ。私に仕えることでのみ、お前のみじめな命は意味を持つ。来い」

デイゴン卿は燃える灰の雲となり、空へと舞い上がった。私はその後を追い、切望の要塞とその火山を後にすると、第二の要塞へと昇った。こちらは高い山道に聳え、切望の要塞を見下ろしていた。ここに火はなく、溶岩の川もなく、荒涼とした岩を打つ強風が吹き荒れるばかりだった。

私は壊れた壁と黒い門の向こうにある静まり返った中庭へと吸い寄せられた。ここでは誇り高き軍団が戦に備えて整列しているわけではなく、苛まれる亡霊が影に身を潜めているだけだった。屋根のない巨大な広間の廃墟に、デイゴン卿が再び現れ、冷たく黒い石の玉座の上で静かに考えていた。

口を開くのは憚られたが、そうせねばならなかった。「ここで何が起きたのです、我が主?」

「ここは破壊の安置所。切望の要塞の双子だ」とメエルーンズ・デイゴンが答えた。「かつて私は我が領域の全てをここから統治していた。広間には召使と無数の勝利の記念品がひしめいていた。だがその全てを内側から破壊しつくした」

「なぜなのです、デイゴン卿?」恐怖に慄きながら私は尋ねた。

「なぜなら私は破壊であり、それが私のなすべきことだからだ」デイゴンはがらんどうの宮廷で腕を振った。「亡霊を忘れるな、破壊の激しさを思い知れ、我が不変の決意を心に刻め。定命の姿に戻った時、出会ったもの全てにその目で見たものを伝えよ。私の手によってのみ、彼らの最期に意味を与えられる。さあ、行け」

彼は身振りで私の肉体のない魂を追い払った。私はベッドの上で絶叫して目を覚ました。私の目は見てきたもので焼けるようだった。なぜデイゴン卿がお仕えするようになってたかだか9年の破壊者に、かような名誉を与えられることにしたのかは分からない。

だが、私は我が主の命に従うつもりだ。

大司祭への手紙Letter to the High Priest

第二紀563年、恵雨の月11日

偉大なる目覚めの炎教団の大司祭様

以前はお伝えしなかった真実を把握していただくため、この手紙を書いています。教団内での立場はわきまえておりますのでご安心ください。私はただ、メエルーンズ・デイゴンから直接受けた命令に従って行動してきただけにすぎません。

前回お会いした際、あなたは私の子の父親について質問なさいました。私は床を共にするよう皇帝から命令された衛兵隊長だとお答えしました。あれは嘘です。子の父はモリカル。シロディールの皇帝です。

私はメエルーンズ・デイゴンに従って、モリカルの妻となりました。彼が夢に現れて、皇帝の子をなすよう指示されたからです。彼は、子供の血統の真実を誰にも知らせてはならないともお命じになりました――たとえあなたであっても。

今このことを明かすのは、計画の次の段階が私に示されたからです。私は我が子を養育する役目を担うのです。娘が運命を全うする日が来るまで成長に手を貸し、守っていくべきなのです。

シロディールでの私の仕事は終わりました。今度はデッドライトで見習いたちを管理するよう命じられていますが、ご連絡いただければいつでも向かいます。娘の世話に協力するためなら、全てを投げ捨てるつもりです。

デイゴン卿とロングハウス帝の名において
ディサストリクス・セルディナ

嘆願者の歌A Supplicant’s Song

メエルーンズ・デイゴンからの解放が我らの懇願
喜びによりて我らにもたらされた混沌
皆を苦境から許し、穏やかな休息を与えよ
彼が課す全てから逃れ、安全を共にせよ

デイゴンの過酷な炎から逃れるため力を貸せ
彼の激しい害から守る盾となれ
多くのゲームで我らはポーンと扱われ
その破壊的な狙いから皆を守れ

デイゴンの凄まじい刃を鈍らせたまえ
厳粛な粛清による恐ろしき流血を止めたまえ
信徒はおぞましき闘争に酔い痴れよ
彼の命の放散を終わらせよ

デイゴンの災厄から我らを救え
堅固な戸口を越えて支援をもたらせ
野望の鎖の拘束を受けるでない
さもなくば破滅の痛みで消え去る他ない

定命の歌On Mortal Song

書記フォルサルゴールと教師センデル・オマヴェルを見事に狩り、定命の言葉を学んだことで、新たな定命の概念を獲得した。それは定命の歌だ。

それは定命の者が彼らのみに分かる内なるリズムに合わせて、高低様々な音を生み出す奇妙な現象だ。音はどうやら定命の者が好む順序に並べられているようだ。その時、さらに学ばねばならないと悟った。

私はオーブを呼び出した。スヴァクハートという彼らの土地の北部に住まう定命の者を探すためだ。我が魔法と偵察によれば、歌作りで知られた者のようだった。ゆえに私は彼を追い、彼が寝ているうちに気づかれないよう、定命の者が定期的に飲む毒で酔わせた。

歌の知識が私の精神を駆け巡った。岩を飲み込む溶岩のように。音の流れ、様々なテンポ、その魅力に弱い獣を大人しくさせる効果など。歌は実にくだらないものと思えるが、ニルン中にあまねく漂っている。

定命の者は歌の作り手を尊敬し、名誉ある地位に置いている。だが、彼らに食物のため跪くことを強要してその社会的地位を低下させてもいる。こういった矛盾は、定命の者の暮らしの非論理性の好例だ。

さて、ドレモラを呼んで記述させよう。歌というものを試してみたい。

定命の者に関するドレモラの物語Dremora Stories About Mortals

スカルド・ヘルグネアの編纂

ドレモラは定命の者を軽んじがちだ。それには誰も驚くまい。ほとんどの者は我々をある程度見下している。運がよければその憎悪が好奇心に覆われることもあるが、必ずしもそうではない。しかし、彼らの視点(ドレモラの間でも様々に広がっている)はとても面白い。ファーグレイブに滞在していた間、ニルンの者を様々なドレモラがどう思っているのかを調べてみた。不思議なことに調査するうち、実に多くの荒唐無稽な思い込みや物語に出くわした。聞けば聞くほどでたらめな話ばかりだった。ある種の民話といってもいい。最も有名な(そして私のお気に入りでもある)ものをアンソロジーとして集めた。

貪欲な旅人
間違いなく圧倒的人気を誇る物語は、オブリビオンの珍味を探すべく、正体不明の定命の者がファーグレイブにやってくるものだ。デイドラは食べる必要がない。そういった行為の必要性が見下されているようだ。確かに興味を持っている者もいる。ファーグレイブのような場所は、好奇心旺盛な定命の者を喜ばせる食材に事欠かない。

しかし、この定命の者は満足できなかった。物語によると、彼は食事をしながらファーグレイブを通過して行った。彼は噛まなかった。単に顎を外し、クランフィアのような大口を開けて、食物を放り込んで行った。その場にいた者は(直接の目撃談は聞けなかった)店にあるもの全てを平らげて行った。男が通り過ぎた後には、空っぽになった棚や店が残された。店の物資を貪り尽くすと、次の店に移ってそこでも貪った。

やがて野次馬が集まってきた。デイドラも定命の者も、満たされない飢えを抱えた定命の者を見物にきた。やがて、定命の者は汗をかいて苦しみだした。ズボンが破け、チュニックが裂けて腹がせり出してきた。目につくものを食べつくし、あきらかにそのツケを払うことになったのだ。定命の者は座っている椅子にもたれかかり、眠りに落ちた。何日もの間、誰であっても、何が起きても彼を起こすことはできなかった。そのイビキは遠く離れた通りからも聞こえた。

脆いカジート
デイドラの間に流布する他の物語に、不運なジザルと言う名のカジートの話がある。このカジートが実在したかどうかはどうでもいい。この物語のバリエーションが豊富であることから、ジザルの実在は疑わしい。実在していても、後日付け加えられた物語の一面でしかない。ジザルは多くの人物を一つのキャラクターに凝縮したものだろう。

物語によると、ジザルはニルン出身で大冒険を求めていた。しかし到着するなり、やたらと好戦的なスキャンプにからまれる。スキャンプはジザルの外套をズタズタに引き裂き、彼女が持ってきた食料を奪った。格闘した時の傷が化膿し、彼女は失明する。その後ドレインを受け、精神もやられてしまう。

話にこれ以上付け加えることはない。なぜデイドラがこの話を語り継いでいるのか、よくわからない。

定命の者の優しさ
優しさとはほとんどのデイドラが見下している資質だ。概念そのものが侮辱だと言う者もいて、そういった資質を見せる者は軟弱者として扱われる。そういうわけで、デイドラの間に流布している話は定命の者の優しさを小馬鹿にするものがいくつかある。私のお気に入りはセヴァーへ雷雨の研究に行った名もなきアルゴニアンの話だ。彼女は旅先で多くのデイドラに出会い、それぞれに優しく接する。

残念なことに、毎度彼女はバカにされる。中には優しくされて、文字通り顔につばを吐く者もいた。他の者は彼女を笑った。とりわけ不機嫌なドレモラは彼女の尻尾をネックレスにしてやると脅した。だがそれでも、アルゴニアンの決意は揺らがなかった。 やがて哀れな愚か者の噂が広まり、彼女の愛すべき気質を利用しようとする連中が列をなすようになった。

有り金を全て寄越せと言う者もいた、彼女が本当に渡すか試すためだけにだ。アルゴニアンは承諾し、そのデイドラが物も言わずに持ち逃げしても怒らなかった。他の意地悪な野次馬はフィーンドロースの一団にからまれているふりをした。アルゴニアンは彼らを救おうと果敢に突撃したが、到着すると、犠牲者だったはずの者に手ひどく罵倒されただけだった。優しくしただけで彼女が非道に苦しめられたエピソードがさらにいくつもあるのだが、それでも彼女は怯まなかった!

さて、もしこれがニルンの話であれば、ハッピーエンドを期待するところだ。物語には多少の教訓が織り込まれているだろう。優しさが常に勝つだとか、根気強さとは偉大な長所だとかだ。しかし、大半のデイドラはそういった物語に興味がない。デイドラに優しさがもたらす秘められた利益などない。

優しいアルゴニアンは最後にスカーフィンに出くわし、彼が助けを求めていると思い込む。彼女は「こんにちは!あなた大丈夫?」と呼びかける。スカーフィンは無防備な獲物を察知して、哀れっぽく泣き、足が痛むと嘆いて見せた。しかしアルゴニアンが近づくと、スカーフィンは跳び起きて飛び掛かった。

この話のエンディングには様々なバージョンがある。そのほとんどが実に陰惨だ。優しいアルゴニアンの運命はおしなべて悲劇的だというだけに留めておいたほうがよいだろう。教訓は実に単純だ。デッドランドに来ることがあったら、誰にも優しくしてはならない。

適切な鞭打ちの手順On Proper Whip Procedures

どう考えても、なぜ事態がこのようなことになったのかわからない。このメモを読んで深く反省し、上級教官からの酷評を受け入れること。このリストにある項目のいずれかでも行ったなら、教官トガラス・ヴァノのもとに出向いて再教育を受けるように。

– 授業を始める前に、対象を確実に指定された線の中でひざまずかせること。不適切に滴った血で足を滑らすことにはもう耐えられない。
– 鞭が木の幹の割れるようなピシッとした音を立てない場合は、握り方が間違っている。
– 対象に支配権を握られるのなら、お前にはデイゴン卿に仕える資格がない。
– 対象の骨が見えるようにしてしまったら、それは失敗だ。
– 最後に、鞭を使う予定があるなら、授業の後は必ず適切な場所に戻すこと。他の者をデイゴンのもとへ案内できる時に、鞭を探して時間を無駄にするのはうんざりだ。

破れた日記のページTorn Journal Page

セルヴェニ、お前は偽殉死者のフォリーに向かうんだ。お前の腕をもぎ取りたがっているデイドラの軍団のことは考えるな。乗り越えねばならない荒野に控えているマグマや稲妻のことは絶対に考えてはならない。その責任の重さもだ。

ここに閉じ込められた二つの魂のことを考えろ。お前はマザーストーンを持っている。それを忘れず、先に進め。一歩ずつ進むだけでいい。

たったの一歩だ。

たかだか、小さな一歩だ。

ダメだ。こんなの無理だ!一人じゃ無理だ。三大神は何を考えて、私をここに遣わしたんだ?

破壊の要綱The Tenets of Destruction

炎の暴君に仕える者にとっての破壊の意味に関する考察、クイストン・メリアン 著

破壊。かつて存在していたものを完全に抹消すること。破壊は畏怖の念を抱かせる。徹底的で包括的なものだ。

破壊された家は、住人の望む通りに再建される。彼らの必要性と欲求がその建物の形を決める。家は店、聖堂、さらには公園となることもありえる。そういった場合、当初の破壊を受けた者たちに、圧倒的な幸せと利益をもたらしたことになる。これは、破壊が進歩や改善の力であることを示す。

クーデターが王や議会を転覆し、人々も、そして自身も仕えるべき根本的な法の支配に従わない政体が崩壊したところで、合理的な人間は否定すまい。政治的動乱は、奉仕すべき統治者が押し付けた悪を正すために存在する。このような状況では、裏切り者と愚かしい忠臣のみがかつての首魁をあおぎ、かつてあったものを立て直そうとする。そもそも不健全な政体だったのだ。全市民に対して効率的かつ公平に機能していたのなら、クーデターなど起こらなかったはずだ。

破壊がこうしたこと全てであり、それ以上でもあるのなら、なぜこれほど否定的な響きがあるのか?答えは簡単だ。真の破壊によってのみ可能な絶滅を目撃する幸運に見舞われた定命の者は、事件の凄惨な性質にのみとらわれているからだ。彼らにはそういった素晴らしき破壊がもたらす可能性を見る客観性も知識も欠けている。頼りにしてきた家、政体、街、人物の絶滅を知覚した時、その先の未来が可能だとは思えないのだ。だが可能だ。虐殺自体を目的とした虐殺は破壊ではない。それはただの蛮行だ。

破壊を恐れるな。それは望ましい変化の力だ。そこにある治癒の力は過ちではなく、我々全てが従う基礎的な英知なのだ。

破壊者ウルサナへの手紙Devastator Ursana’s Letter

破壊者ウルサナへ

“分裂した変異”計画のために被験者がさらに必要よ。番兵の一隊をキンマーチャー・ジンドの鋳造所に送り、現在彼女が抑留しているデイドラの被験者を全て預かって。その後、彼らを機械のところまで輸送するため、掃滅王の頂まで連れて行きなさい。

必要条件を書いたジンド宛ての手紙も同封した。ためらうようなら、作業のために囚人を提供することにはヴァルキナズ・ノクブロズも同意していることを思い出させて。

遅れないように。同盟していないクランの中には、行方不明のキンを探すところも出始めた。ブレードベアラー・クランの者を鎖につないでいる時、彼らの仲間に見つかりたくはないでしょう?

シスター・セルディナ

破滅の運び手セルディナの遺言Doombringer Celdina’s Testament

破滅の運び手セルディナ 著

目覚めの炎教団は、人生の立て直しを望むあらゆる人を歓迎します。多くの土地から様々な職業の人々が、メエルーンズ・デイゴンに仕えるためやってきます。ですが強大なデイドラ公の眼から見れば、かつて私たちが何者であったかは全く重要ではありません。崩壊、失敗、失望、悲嘆――すべてどうでもいいことです。デイゴン卿が教えてくださるのは、与えられたものをどう使うかです。

見習いの皆さん、ここで私自身の話をさせてください。これは私の信仰の告白です。

もうかなり昔のことのように思えますが、子供の頃に私は無価値な両親に捨てられました。私は黄金の杖の小修道院に身を寄せました。太陽の神であり偉大な建築家マグナスの信徒は私を世話し、教育してくれました。

しばらくの間、私はそこで幸せに過ごしました。小修道院の侍者たちは、マグナスによるムンダスの壮大な設計と、創造物に取り込まれた欠陥に対する彼の落胆について教えてくれました。ある老いたモンクなどは、より闇の深い設計を明らかにする禁書を見せてさえくれました。かつてのマグナ・ゲの中には、建築者の計画に沿ったものに作り直せるよう、誤って作られたものを破壊する道具を探し求めた者たちがいたのです。

私は混乱しました。自分の眼には甘く若々しく映るこの世界を破壊することが一体何の慈悲なのか、理解できませんでした。その後16歳になった時、ブラック・ドレイクのリーチの大軍がやって来て、ハイロックに対し戦争を起こしました。

リーチの民は私のいた小修道院を燃やしました。彼らは私の兄弟を殺し、姉妹を凌辱し、そして殺しました。偶然私は生き残りましたが、結局はリーチの民の捕虜として連れ去られました。彼らは何ヶ月も無力な労働者である私を手元に置きました。そして私は世界の欠陥の真実を学んだのです。苦しみだけが待ち受けていることを。

やがて軍が解散すると、私を捕らえたリーチの民はそのまま私を捨てました。彼らは私の故郷と家族を破壊しました。塵に帰したのです。だから私は逃れましたが、怒りと復讐心は保ったままでした。私はマグナ・ゲとこの欠陥のある世界を破壊する道具の話を思い出しました。それがメエルーンズ・デイゴン、破壊のデイドラ公です。私は目覚めの炎教団の信者を探し出し、隠されていた彼らの教えに真実を見出しました。その真実の中に、復讐を遂げる方法を見出したのです。

そして、私は支配者を崇拝し、彼の意志が成し遂げられる時を目にするため、毎日勤勉に努めています。メエルーンズ・デイゴンを通じてのみ、偉大なる建築家の完成された仕事とマグナ・ゲの願いが実現することがわかっているからです。

部分的に隠された日記Partially Hidden Journal

我々が取引をした相手が誰なのか、しっかりと覚えておかねばならない。メエルーンズ・デイゴンはデイドラ公だ。人ではない。彼は我々の理屈で納得しない。今はこの協定が双方に利益をもたらすが、いつまでもそうあり続けると考えるべきではない。最悪の事態に備えて、身を守る手段を確保しておかなければ愚かだろう。

これまでのところ、我々の研究の成果は控え目に言っても苛立たしい。「干し草の中の針を探す」という言葉があるが、私の前任者たちがデッドランドで答えを徹底的に探した苦労の半分も表していない。だが、ブラック・ドレイクの努力は無駄ではない。

答えはエゴニミックだ。野望の中にある力は古い。これはメエルーンズ・デイゴンにとって基本となるもので、切り離せない力なのだ。これはデイドラ公の名のかけらだと考えられる。だがこの言葉、エゴニミックは、単なる名をはるかに越えるものだ。この言葉を発する者は誰でも、信じられぬような力をデイゴンにもたらすだろう。それは彼をニルンから追放できる。

これを利用することがないよう願ってはいるものの、これを意のままにできることは私に安堵をもたらす。これだけ有益な秘密をここに置くのはあまりにも危険だ。指示の記録はブラックウッドにある我が娘、メイリードの宝物庫に移した。もし彼女が復讐のために必要とするなら、自由に使えるだろう。

目覚めの炎の日記Waking Flame Journal

破壊者カーシの日記より。

この鍛冶場を言い表せる言葉はない。メエルーンズ・デイゴンはここで兵器を精錬する。炎、硫黄、苦痛の臭いがする場所だ。

鍛冶場は冷えているが、かつてここで燃え盛った偉大な炎の記憶は今も残っている。デイゴン卿の力はこの壁を通じて響いている。その核が石の下で唸りをあげる。この場所の秘密の鍵を開けたい。鍛冶頭は去って久しいようだ。偉大な道具がどのように動いたのか、説明らしきものはない。だから何かを知るつもりなら、自分で解明するしかない。発見をこの日記に記録していこう。

小さな物体が無秩序に散乱している。ルーセントだと思うが、その目的はわからない。ほとんどが反応しない状態だが、以前は力がうなっていたようだ。この場所の周囲に散らばっているのは、深く印が刻まれた様々な放出台だ。私は多くの書で、この放出台がデイドラの結界にとって欠かせない理由を読んだ。ルーセントは台にうまく合うように見える。もしかしたら、これが力を浸み込ませる方法か?炉は動力を必要としている。それも大量の。ルーセントが鍵なのか?解明するには、試みなくてはならない。

歴史上のデイゴン信者Dagonists Through the Ages

最近確認された目覚めの炎教団についての短い論文。デイドラ教団学者、ラリナ・ハヌス 著。

教団は支持者、入信者、指導者が集まった奇妙な集団だ。信仰の性質と存在がどのように受け止められるかという社会的な違いによって、デイドラ公の教団は様々な人口構成を示す。例えば、ペライトの病の教団はほぼ完全に、社会からの追放者で構成されている。真逆の存在なのが自然教団で、貴族の尊敬されるグループだが秘密裏に疫病のデイドラ公を崇めている。

メエルーンズ・デイゴンの教団も構成と信仰の篤さが多様で、その性質は教団が結成された場所と、中核となる人口構成の傾向に左右される。「破壊の兄弟」は第二紀115年から第二紀140年の間に活動し、帝都の貧民で構成されていた。教団は信徒が増加したにも関わらず、5年も概ね秘密主義を貫き通せた。彼らが悪名を轟かせたのは、市内の中産階級の商人を襲い始めてからである。主要な商人が失踪し、流通経路の多くがズタズタにされた。彼らは拷問の末、死刑を言い渡された。

第二紀243年~244年のブラッドファイア教団はそれほど慎重ではなかった。ほぼ完全に貴族のみで創設、構成された教団は迅速に行動し、レイヴンウォッチの中核を叩き潰そうとした。下僕の力を借りた教団の崇拝者は市内の名家の扉を封鎖し、家に火をかけた。市内の教団に関わらない貴族が殺人を目論む者から逃れられたのは、何人かの召使がこの計画を警告してくれたからだった。ブラッドファイア教団のメンバーは残らず現行犯で逮捕され、死刑に処された。

現在ブラックウッド地域などで注目を集めている目覚めの炎教団は、古いデイゴン教団と新しい入信者を組み合わせたもののようだ。ブラッドファイア教団と同様、目覚めの炎教団の信徒は名家の出身を謳っている。数世代にわたって参加する者が多く、判明した中の著名人には裕福な帝国の伯爵とその息子がいた。

ブラッドファイア教団と異なり、目覚めの炎の手口はより「破壊の兄弟」に近い。襲撃の準備が整うまで、活動を隠して待ち構えることを苦にしない。ひとたび計画が走り出せば、教団の活動は散発的に行われ、密かで統制されたものとなる。だが目撃談が増え、教団の活動が活発になるにつれ、より血なまぐさく、破壊的な活動が間違いなく露見するだろう。今後数ヶ月のうちに教団の計画が明らかになることで、ブラックウッド地域の官吏を悩ませてきた未解決事件が解明されるに至っても驚くには当たらない。

目覚めの炎が「破壊の兄弟」教団の道を辿るのなら、次のステップは有力なターゲットに対する大規模な攻撃だ。過去の教団と同様、メエルーンズ・デイゴンとの盟約により、死と破壊がもたらされるだろう。災厄のデイドラ公に従っている以上、それだけは確かだ。

古代デイドラ スタイル

クラフトモチーフ104
Ancient Daedric Style

アルケイン鍛冶、ティルドス・レナム

お前はどうかしていると言われる!やかん程度のちっぽけな窯で、煙をくすぶらせてる間抜けな鍛冶屋どもにだ。ボエシアの挑戦を気にするなというのか?試練の神を前にすくんでいろというのか?あの未練がましい臆病者どもは釘やニックスの蹄鉄を打って満足してるんだろうが、私は違う。もっと大きな目標がある。遥かな領域!強力な道具!考えうるあらゆる尺度において、定命の者の技術の域を越えた設計!デイドラの品に比べれば、ニルンの最も鋭利な刃ですらバターナイフのようなものだ。最も頑丈なダンマーの盾の防御力は、デイドラの羊皮紙にも劣る。燃え盛る災厄の四柱神から、血と汗でその秘密を探り出して見せる。

この日記は破壊の神の領域をさまよった完全な記録だ。ここに書き残した工法により、私は平凡な鍛冶屋ではなく、デイドラ鍛冶の名匠としてモロウウィンドに凱旋する!

ブーツ

学者や密偵が履くものでさえ、ドレモラのブーツのつま先は重く鋭利で、鋸歯状のポリエンがついている。これによって、戦士は想定外の角度から攻撃できる。すなわち、敵の視界のずっと下から。この防具を身につけたキンリーヴと戦うなら、素早いキックや膝蹴りも致命的になりうる。

ベルト

デイドラのベルトを手に入れてから数週間が経過してなお、革の材質が特定できない。デッドランドには巨大な獣が数多くうろついている。そのうちのどれの皮であってもおかしくない。ニルンの何かと無理に比較するなら、年老いたアリットだろうか。それも何年も灰の中で叩かれ、痛めつけられてきたものだ。バックルには鋭いスパイクがついていて、ベルトを締めることを危険な作業にしている。だが一度締めれば、デイドロスに噛まれでもしない限り、このベルトの拘束を断つことができない。

あらゆるデイドラの兜とフードは装着者の顔を完全に覆う。これによって防御力と匿名性が与えられる。ドレモラの暗殺者には欠かせない機能だ。他のデイドラ装備全般と同様、兜にはしばしば角に似た紋章と装飾がつけられている。恐ろし気なシルエットを作り出しやすい。

脚当て

デイドラのグリーヴとパンツは頑丈で重い。我々の戦士たちが好む裸足とは大違いだ。軽装鎧は厚い革を重ねて防御力を高めようとするが、重装鎧は幅広い金属板で大腿部を守る。研いだ金属を重ねて、戦場で動きやすくしている。

デイドラの弓の特徴は、遠距離でも近距離でも威力を発揮しそうなところにある。弓のリムの双方には敵の矢を弾く装甲が施され、不用意に近づいた者へ深い傷を負わせられるようになっている。

胸当て

私がデッドランドで見てきた胸当てと鎧下全てに共通している重要な要素は一つ。鋭さだ。デイドラの鍛冶屋は猛々しいプレートの縁へ、派手に絡み合って重なり合う金属模様を施す。これによって防御力を犠牲にすることなく、驚くほど柔軟になる。正体不明の革がこの装備の基礎となっており、露出部を軽い攻撃から守ってくれる。

ドレモラはどんな武器よりも剣を好む。デイドラの斧と異なり、彼らの剣は叩き切るためというより、貫きえぐることを目的にしているようだ。この特徴が苛烈な刺突と容赦のない突進を重視するキンの戦闘を、より強力なものにしている。

肩防具

デイドラの鍛冶屋はポールドロンとアームカップがカミソリの刃のようになるまで研ぐ。この技法の主な目的はただの威嚇かもしれないが、突起は武器を砕き、掴みかかってくる愚か者を防ぐためにも有効だ。

手袋

ブーツ同様、ドレモラの手袋の先端には爪がついている。これによって武器が手元になくとも、痛烈な爪痕を残せる。薄い篭手も手首周りをしっかりと守る。スパイクがあって絡み合う腕当てが前腕部を守りつつ、攻撃に重みを与えている。

ドレモラは攻撃を重視しているようだが、より狡猾な戦士は盾を戦場に携行する。堂々としたヒーター・シールドの縁には刃のような装飾があり、研がれて絡み合う板金で補強されている。破壊者の領域では、防具さえ凶器となる。

驚くには当たらないが、デイドラの杖は金属で鍛造されていて、木製ではない。他の武器と同様、底部には敵をえぐるための爪がついている。だが真に驚くべきはその先端部だ。堂々たる先端部はデイドラの美のルーツと残酷な要素の結晶で、太く絡み合うスパイクが、広げた獣の爪のように展開されている。

戦棍

デイドラの戦士は残虐な大槌と戦鎚を組み合わせたような品を使う。重い先端部には幅広い突起があり、どんなに厚い胸当てをも貫く。この鈍器は軽く叩くだけで、頭蓋骨をクワマーの卵のようにやすやすと粉砕できる。

短剣

デイドラの短剣は様々な面で破壊者のカミソリに似ている。葉の形の刃と牙のような鍔が恐ろしそうなシルエットを生み出している。柄の下には爪のついた柄頭があり、この剣を執る者が予想もつかない角度から攻撃できるようになっている。静かな灰の狩人に最適な武器だ。

ドレモラは鋭利な三日月型の刃がついた、重い斧を好む。彼らが重い素材を好むことを考えれば驚くには当たるまい。両手斧の斧頭は幅広で諸刃になっており、岩を叩き切っても切れ味が鈍らない。手斧も劣らず危険で、第二の斧頭の代わりに短剣のような突起が二つついている。

ヘクソス家 スタイル

クラフトモチーフ98
House Hexos Style

運営主任 フォーティス・スカエバ 著

よくヘクソス家に加わってくれた!これよりお前はオブリビオンの無数の領域へ進出する、商業帝国の一員となる。我がファーグレイブ大市場から、我々の代理人たちは1ダースの世界の品物を追い求め、タムリエル中にいる目利きのバイヤーに届ける。

当然だが、我々の事業にはある程度の危険がある。だからお前のような傭兵を雇う。ファーグレイブは安全だが、奇妙な世界で商談をする商人には護衛が必要だ。一番いいやり方は、見るからに装備の充実した兵隊で襲撃者を威嚇することだ。しかし威嚇できなかったら、戦う覚悟はしておかねばならない。

我々は過酷な環境に乗り込むことになる。ヘクソス家では灰の嵐、腐食する沼、極寒の氷原をものともしない加工された武器を用意する。そして当家に仕える傭兵には、誇らかに当家の色を身につけてもらう。すなわちオリーブグリーン、褐色の革、深紅の紋章だ。多くの次元を無事通り抜けるには、素性を証明しなければならない。我々の色を捨てれば、死ぬことになる!

ブーツ

ヘクソス衛兵の足元を守る防具で、褐色加工した鉄かボイルド・レザーの薄板を重ねてある。この頑丈な防具の内側では、柔らかな革が足を密閉してくれる。デッドランド(または他の次元でも)には、堅牢で頑丈な靴がなければ足を踏み入れたくないところがある。

ベルト

シンプルで機能的なヘクソスのベルトは、加工された合金を強化革でサンドイッチ状に包んだ(軽装の場合は強化革のみ)ものだ。儀礼用に配備された衛兵のバックルには、赤い宝石がインペリアル・ダイヤモンドの形にはめ込まれている。

一般に、ヘクソス家ではオープンフェイスの兜を好む。防御面ではバイザー付きに劣るかもしれないが、我々が時々赴く次元においては、周囲に目と耳を向ける能力が生死の境を分ける。重装鎧の儀式用兜には見栄えのする深紅の翼がつけられ、ヘクソス家への忠誠を誇らかに示している。

脚当て

ヘクソス衛兵の腰と大腿部は、体に合わせて仕立てた板で守られている。ボイルド・レザーか褐色加工した鉄製だ。滑らかでぴったりとフィットするグリーヴは、着用者に柔軟さと動きやすさを保証してくれる。時に強打へ耐える能力は、危機を回避する敏捷さに及ばないこともある。

ファーグレイブで木はなかなか手に入らない。結果として、我々はタムリエルから弓を輸入している。ヘクソス家の弓のほとんどはニベン渓谷のオリーブ材で作られている。特殊ワックスで加工し、過酷な状況に耐えられるようにしてある。もっとも注意しておくが、オブリビオンの世界では近接戦闘に巻き込まれることが多い。ヘクソスの軍勢にとって、弓術の優先順位は低い。

胸当て

強靭で着用者にぴったりと合うヘクソス家の重装ブレストプレートは、連結した褐色加工の鉄板と表裏に重ねた強化革の層で構成されている。褐色加工とは弱酸性の溶剤で金属を加工し、溶剤を硬質ブラシでこすり落とす工程だ。革で覆い、褐色加工したヘクソスの鎧は、どんな次元の気候にも耐えられる。

剣とは扱いやすい武器だ。切るのにも突くのにも適している(柄頭で叩くのもいとわないなら打ってもいい)。つまり我々が遭遇する、幅広いデイドラ生物に対して有効だ。ヘクソスの剣はオブリビオンの平原で採れる貴重な試料を添加した鋼鉄で鍛造されている。

肩防具

大仰な肩当てがついた鎧はたくさんあるが、ヘクソス家はそういった非実用的な飾りが無用と考えている。その代わりにぴったりと密着する、褐色加工した鉄のポールドロンと、着用者の動きを阻害しない強化革を好んでいる。

手袋

強靭かつ柔軟な強化革(重装の場合は褐色加工した鉄板)の腕甲は、着用者の手を戦闘の負傷と、ナイフの刃のような岩、棘のある植物、火の玉や酸性雨といった危険な地勢から守る。

戦士の盾は紋章を飾りやすい場所だ。ヘクソス家の盾は深紅のインペリアル・ダイヤモンドを誇らかにいただいている。盾はニベン渓谷の堅固なオリーブ材で強化され、鋼鉄の縁が盾を断ち割られることを防いでいる。

予想できるだろうが、我々は多くの魔術師を雇っている。ヘクソスの杖は、軽量の合金製シャフトの先端にインペリアル・ダイヤモンドをあしらっている。木の杖ではどうしても過酷な次元の劣悪な環境に耐えられないからだ。

戦棍

ヘクソス家の戦棍は先端に4つの突起がついた重武器で、この上なく重厚なデイドラの甲羅ですら易々と叩き割る。加工された合金の柄は木のものよりずっと丈夫で、ほぼあらゆる次元の過酷な環境に耐えられる。

短剣

帝国領土でよく見られる馴染み深い葉のデザインの上に、バランスのよい刃が据え付けられている。ヘクソス家の短剣は斬撃に効果的な重さと、刺突に向いた強靭なダイヤモンド型の切っ先を備えている。近距離戦を挑むべきでないデイドラの怪物もいるが、避けられないならいい武器を手元に置いておきたいものだ。

我々が遭遇する獣の多くは気性が荒く、分厚い甲羅や鱗で覆われている。デイドロスやインファーニウムのような怪物の皮を切り裂くには重厚な刃が必要だ。ヘクソスの斧には鋼鉄の合金製の柄もついている。過酷な次元では、木の柄が折れるか腐食するからだ。

オブリビオンの伝承

Oblivion Lore

オブリビオンについてOn Oblivion

モリアン・ゼナス 著

どれほど習慣的であっても、オブリビオンの次元の居住者を「魔族」と呼ぶのは適切ではない。おそらくこの習わしは、第一紀の予言者マルクによるアレッシアの理論に始まる—その中に「魔族との取引を禁ず」と、興味深く記したが、魔族とは何なのかについての説明を怠った。

おそらく、オブリビオンの次元から出でる、動機不明で強力な魔物という意味を持つ、エルフの古語「デイドラ」を誤って「魔族」と記したと考えられる。理論の原本が発表されてから約千年後、スカイリムの敬虔王ヘイルによる小冊子の中で彼は政敵を、「オブリビオンの魔族のように邪悪…彼らの腐敗はサングインの如くであり、ボエシアのように残酷であり、モラグ・バルの如く打算的、そして、シェオゴラスのように狂っている」と比較表現した。そこでヘイルは長々と記録にデイドラの四柱について説明し、書き込ませた。

しかし、結局のところ文書の記録はオブリビオンやそこに住むデイドラについて調査する最善の手段ではない。「魔族と取引」を行うような者は、ほとんどの場合、その行為を他に知られたくないからである。それでも、第一紀の書物には日記や日誌、魔女が焼かれた知らせやデイドラと戦う者向けの指南などが記載されている。これらを私は主要な情報源としてきた。これらは、最低でも私自身が召喚して長話を交わしたデイドラの主ほどは信用できる。

どうやら、オブリビオンは多数の領域で構成されているらしい。よって、オブリビオンには多数の同意語が存在する。コールドハーバー、クアグマイア、ムーンシャドウ等。オブリビオンの個々の土地は一人のデイドラの主によって支配されていると仮定して間違いはなさそうだ。デイドラの主たちで、その名が太古の記録に頻出する(確実に存在した裏づけや内容の真正を証明するものではない)のは前記したサングイン、ボエシア、モラグ・バル、そしてシェオゴラス、これらに加えて、アズラ、メファーラ、クラヴィカス・ヴァイル、ヴァルミーナ、マラキャス、ハルメアス(または、ヘルマエウス、ホルマイウス、ヘルマ—決まった呼び名はないようだ)モラ、ナミラ、ジャガラグ、ノクターナル、メエルーンズ・デイゴン、ペライトである。

経験から、デイドラの構成は非常に複合的であると言えるであろう。強大な力と過激主義であることを除いたら、彼らを一つの分類に収めるのは不可能に近い。とはいえ、純粋な学術便宜上、いくつかの事例に関して分類を試みた。

メエルーンズ・デイゴン、モラグ・バル、ペライト、ボエシア、そしてヴァルミーナじゃその破壊的本分から、デイドラの中でも常に「悪魔的」のようだ。もちろん、他のデイドラも同様に危険だが、めったに上記の五柱のような破壊のためだけの行動を取らない。そしてまた、これらの五柱ですら、それぞれの破壊性が同質という訳ではない。メエルーンズ・デイゴンは怒りを発散するのに、大地震や噴火などの自然災害を好むようだ。モラグ・バルは他のデイドラを巻き込み、ボエシアは人間の戦闘意欲をかき立てる。ペライトの本領は悪疫で、ヴァルミーナは拷問を好む。

この連続記事の次掲載分を準備するために、私がデイドラ研究者となってから興味を持ち続けてきた二つの事柄を調査する。一つ目は、初期に数々の記事でハーシーンと紹介された特定のデイドロスで、デイドラの主だ。ハーシーンは「狩人のデイドラの主」や「獣人の父」と呼ばれているが、いまだ召喚できる人を目にしたことがない。二つ目、そしてさらに達成できるか疑わしい目的は、人間がオブリビオンへ渡れる実用的な手段を探すことだ。かねてからの私の持論は、理解できないものを怖がる必要はない、だ。私はいつもそれを心に刻んで目的を追っている。

オブリビオンの扉、パート1The Doors of Oblivion, Part 1

セイフィジ・ヒッジャ 著

「そなたがオブリビオンに立ち入るとき、オブリビオンが汝に入りこむ」

—ナイ・チロル・ラー

これまでに存在した最高の魔術士は私の師匠、モリアン・ゼナスであった。デイドラに関するあらゆる事柄の必読本である「オブリビオンについて」の著者として、彼の名を耳にしたことがあるであろう。彼は長年寄せられている多くの嘆願をよそに、古典を新しい発見や説で更新しようとはしなかった。それは、これらの領域に関して深く調べれば調べるほど、確信を持てなくなってくることに気が付いたからである。彼は憶測ではなく、事実を探していた。

「オブリビオンについて」の出版前と後の数十年間で、ゼナスはデイドラの住みかであるオブリビオンに関する巨大な個人蔵書庫を作り上げた。彼は自分の時間の半分をその研究に、そして我々の世界を超越した危険な場所に入りこむ道の発見に成功したとき、その間の進路を進むには強大な力が必要であるという推測の下、残りの半分を個人の魔力育成に費やした。

ゼナスが一生準備を重ねてきた旅に発つ12年前、彼は私を助手として雇った。私はその立場に必要な3つの特性を持っていた。私は若く、何も問わず熱心に手伝い、本を1度読むだけで内容を記憶し、若いにもかかわらず、既に召喚のマスターであったのである。

ゼナスも召喚のマスターであった—実際、彼は全学問のマスターであったが—彼の最も危険な研究を前に、自分1人だけの力を頼りにしたくはなかった。地下室で、彼らの故郷に関する話を聞くために彼はデイドラを召喚した。彼らが到着し、拘束され、問題なく送り帰されることを確実にするために、もう1人召喚士が必要であった。

あの地下室は一生忘れないであろう。質素で飾り気のない見た目ではなく、見えなかったものを忘れない。花と硫黄、性と腐敗、力と乱心、それらの香りが召喚された魔物が帰った後も、かなりの間漂った。今なおその記憶が私を悩ませる。

召喚の仕組みに関する知識を持たない素人に説明しよう。召喚は術者の心を召喚される側の心に結び付ける。それは脆いつながりであり、単に引き寄せ、留め、送り帰すだけのものであるが、マスターが行うことによって、さらに強力になる。サイジックやドゥエマーは何マイルも離れた相手と心をつなぎ、会話することができる。(ドゥエマーの場合、できたと言うべきか)この能力はたまにテレパシーと呼ばれる。

雇われている最中、ゼナスと私の間にそのようなつながりが構築された。2人の強力な召喚士が、お互いに密接して作業を行った結果からの偶然であったが、このつながりは彼がオブリビオンへの旅に成功した場合、大変貴重な能力になるであろうと確信した。あの地の居住者は未熟な召喚士の技術でさえ接することができるため、彼があの地にいる間、発見を記録するためにこの能力で通信を続けることが可能かもしれない。

「オブリビオンの扉」モリアン・ゼナスの言葉を引用すると、それは簡単には見つからず、我々が鍵を握るある1つを見つけるまでにたくさんの可能性を検討しつくした。

アルテウムのサイジックは、デイドラの領域に踏み入り、戻ってこれる、夢見る洞窟と呼ばれる場所を所有していた。イアケシスやソーサ・シルやネマティグ、その他にも多数がこの方法を採ったと記録されているが、修道会への度重なる懇願も叶わず、我々はその利用を拒否された。修道会の指導者であるセララスは、皆の安全のために洞窟は封印されたと我々に言った。

読者諸君は他の扉のことを聞いたことがあるかもしれないが、我々はすべての扉を探そうと試みたことは自信を持って言える。

いくつかは完全な伝説であったが、または残された情報だけでは辿ることができなかった。言い伝えのなかで、これらについて言及している:マルクの地獄、コーリングトンの鏡、クロスロード、マンテランの十字架、マウス、さらにはジャシンスと呼ばれる錬金術の調合法の謎、ライジングサン。他にもたくさんの場所や物体が扉とされているが、我々には見つけられなかった。

存在はするが、安全には入れないものもある。バルの大渦巻きと呼ばれるアビシアン海の渦は船を消失させることができ、オブリビオンへのポータルかもしれないが、その渦に乗ったときの衝撃は誰をも殺してしまうであろう。同じく、スラスの柱からの跳躍もその危険を冒す価値があるとは考えなかった。それは千フィートもの高さがある珊瑚の螺旋であり、スロードが行う生け贄の行為は目撃したことがある。その犠牲者の一部は落下によって殺されてしまうが、一部は岩に砕かれるまえに消えてしまうように見受けられる。スロードにもなぜ一部は連れ去られ、また一部は死ぬのかがはっきりとしていなかったため、飛び込みの勝算には否定的であった。

一番簡単であり、気が狂うほど複雑なオブリビオンへの移動方法は、単純にここでの存在をやめ、あそこで存在し始めることである。歴史を通して、我々の領域を超えた場所へと、一見任意で移動していたような魔術師たちの例がある。もし存在したのであれば、これら旅人の多くはとうの昔に死んでいるが、我々は1人だけ生きている人を探し出せた。モロウウィンド地方、ヴァーデンフェル島のザフィルベル湾の近くにある塔に、非常に老齢で、非常に人目を嫌うディヴァイス・ファーと呼ばれる魔術師が存在した。

オブリビオンの扉、パート2The Doors of Oblivion, Part 2

ディヴァイス・ファーと接触するのは容易なことではなく、また彼はモリアン・ゼナスとオブリビオンへの扉を分かち合うことに気が進まなかった。幸いにも、我が師匠の伝承に関する知識がファーを感心させ、かれはゼナスに道を教えた。ここでその手順を説明することはゼナスやファーへの約束を破ることになるし、できたとしても、明かしたくはない。もし、知り得る危険な知識が存在するならば、これがそうである。しかし、ファーの仕組みは、長く行方不明で死んだと推定される、テルヴァンニの魔術師によって作り出された数々の領域へのポータルを有効に生かすことに頼っている。これだけはあまり明らかにせずとも言える。侵入箇所が限られる不利益と、信頼性や通路の安全性を比較検討した時、我々はこの情報提供者がいて幸運であると考えた。

そして、モリアン・ゼナスはこの世界を離れ、探検を開始した。私は蔵書庫に留まり、彼の情報を書き起こし、彼が必要な調査の手伝いをした。

「塵」旅の初日に彼はそうささやいた。その言葉特有のわびしさにもかかわらず、私は彼の興奮を声に聞き、それが心の中でこだました。「私には、世界の端から端が百万もの灰色の色加減で見えている。空も、地も、空気もなく、ただ単に粒子が私の周りで浮かび、落ち、旋回しているだけである。私は浮揚し、魔力で呼吸しなければならない…」

ゼナスはしばらくその不透明な世界を探索し、実質のない魔物や、煙の王宮などに遭遇した。デイドラ公には出会わなかったが、我々は彼がアッシュピットにいるとの結論を下した。そこは苦悩や裏切りや破られた約束が、冷酷な空気に灰が充満するようなマラキャスの家であった。

「空が燃えている…」次の領域に進んだ彼が言うのを聞いた。「地面はぬかるんでいるが、歩ける。焼け焦げた廃墟がいたるところに見える。大昔に戦争でもあったかのようだ。空気は凍てつくようだ。暖かさの呪文を周囲にかけたが、全方向から氷の短剣が刺してくるようだ」

ここはモラグ・バルがデイドラ公として君臨するコールドハーバーであった。残虐の王の下、そこは苦痛に満ち、荒廃した不毛の地であり、ゼナスにはそこが未来のニルンであるかのように見えた。モリアン・ゼナスが見たものに対してすすり泣く声や、血と排せつ物が飛び散っている帝都の王宮に身震いするのも聞こえた。

「美しすぎる…」次の領域に入るとゼナスは息をのんだ。「半分眼が見えない。見えるのは花と滝、堂々とした木々、銀の街、しかし、すべてが霞んで見える。水彩のように色が流れている。今は雨が降り、風は香水のような匂いがする。ここは間違いなくアズラが住む、ムーンシャドウだ」

ゼナスは正しく、そして思いがけなくも彼は、彼女の薔薇の王宮で黄昏と暁の女王に謁見さえした。彼女は彼の物語を笑顔で聞き、ネヴェヴァリンの到来のことを彼に話した。私の師匠はムーンシャドウを相当気に入り、半分眼が見えないまま永遠に留まることを望んだが、さらに進み、発見のための旅を完結しなければならないことを知っていた。

「嵐の中にいる…」次の領域に入ると彼は私に言った。彼がそこの景色を、暗黒のねじ曲がった木々、ほえる霊魂、うねる霧と表現したとき、メエルーンズ・デイゴンの死の地に入ったと思った。しかし、すぐに彼は「待て、もう森の中にはいない。稲妻の閃光が走り、今は船上にいる。柱はぼろぼろだ。乗組員は皆、惨殺されている。何かが波の中を近づいてくる…「ああ、神よ…待て、今度は湿った地下牢の密室だ…」」

彼は死の地にはいなかったが、そこはクアグマイア、ヴァルミーナの悪夢の領域。数分毎に稲光が発生して、必ず不快で恐ろしい方向に現実が移り変わる。一瞬、暗闇の城にいたかと思えば、次は飢えた獣のねぐら、月に照らされた沼地、生きたまま埋められた棺の中など。師匠は恐怖に耐え切れず、素早く次の領域へと向かった。

彼の笑い声が聞こえた。「我が家にいるようだ」

モリアン・ゼナスは何重にも積み重ねられ、全方向に広がる本棚の列があり、果てしなく続く蔵書庫を説明した。本が、彼には感じられない神秘的な風で浮き上がっている。すべての本には題名がなく、黒い表紙が施されていた。誰も見えなかったが、積み上げられた本の間を動き、永遠に本の中を調べ続けるゴーストの存在を感じた。

そこはアポクリファであった。ハルメアス・モラの地であり、すべての禁じられた知識が見つけられる場所である。心の中に震えが生じたが、私のか、師匠のかは分からなかった。

私が知る限り、モリアン・ゼナスは違う領域へは行かなかった。

師匠が最初の4つの領域を訪れている最中は、常に話しかけてくれた。アポクリファに入った途端、研究と調査の世界に引き寄せられたかのように彼は静かになっていった。それは、ニルンにいた間に彼の心を支配した情熱と同じであった。必死になって彼に呼びかけてみたが、彼は私に心を閉ざした。

そして彼はささやいた。「そんな馬鹿な…」

「誰もこの真実を想像し得ないであろう…」

「さらに学ばねば…」

「世界が見える、錯覚の最後のきらめき、世界が我々の周りで崩れ去っている…」

私は彼に叫び返し、何が起きているのか、何を見ているのか、何を学んでいるのかを教えてくれるよう懇願した。私は召喚術を使って彼をデイドラであるかのように召喚しようとさえ試みたが、彼はそこを離れることを拒否した。モリアン・ゼナスは失われた。

前回彼からのささやきを受け取ったのは6ヶ月前であった。その前は5年間が経過して、そしてその前は3年。彼の思考はすでにどの言語でも理解できない。おそらく彼はいまだにアポクリファをさまよっているのかもしれないが、出たくない罠の中で幸せなのかもしれない。

できることなら彼を救いたい。

できることなら彼のささやきを止めたい。

デイドラの分類パート1Varieties of Daedra, Part 1

治癒師、および反体制の司祭、アラネア・ドレサン 著

我々がデイドラの分類や、それらがどのようにデイドラ公やその支配に関わっているのかを知ることは、あまり期待できない。我々の世界に現れるデイドラの分類が、その仲間たちや後援者とどう関係しているかなど、把握することはできない。1ヶ所で見られた姿が別の場所では全く逆な場合もあり、また違う場所では矛盾して両方であったりもする。

どのデイドラがこのデイドラ公に仕えている?どのデイドラが命令を下し、どのデイドラが仕えていて、どのような上下関係がどのような状況下でありうる?どのデイドラがどの団体にいて、どのデイドラが永遠の敵対関係にあるのか、そしてどのデイドラが孤独、または社交的、もしくはその両方を行き来するのか?観察でき得る行動の種類には限りがなく、1ヶ所ではコレであり、また違う場所ではソレであり、彼らを定義する法則には必ず矛盾があり例外が生じる。

さらに、位階に関して誰から答えを求めればよいのであろうか?ほんの一握りしか知識を持たない人間から?我々の支配を続けるために、隠し事をし、謎めいた出来事を謎々で話す神から?決して率直さや正直の見本とはいえず、嘘や撹乱で有名なデイドラから?

もしデイドラが真実を語ったとしても、我々はどのようにして彼ら自身が理解しているのかを確認すればよいのか?実際に知ることができる真実すらあるのか?デイドラの取り決めは永遠に変わらないとでも言うのか?

単純に言えば、知り得ることは少なく、信じられることは皆無なのである。

これらのことを述べた上で、私が探し出し、彼の療養院にいたコープラスの犠牲者に安息をもたらすと申し入れた相手、テルヴァンニの魔術師、ディヴァイス・ファーから私が見聞した、デイゴンのしもべの話の関連付けを試みる。

ディヴァイス・ファーは、自ら進んで2柱のデイドラのみと交流を持ったと私に言った。メエルーンズ・デイゴンとアズラだ。

アズラはすべてを知り理解していたが、これらについて話すことを断った。話したとしても謎かけだった、と彼は言った。

一方、メエルーンズ・デイゴンは、ごう慢さや、目的の不変性、そして想像し得る繊細な考え方の欠如から何も知らず、何も理解しておらず、包み隠さず遠慮なく話したがった。

デイゴンの主なしもべ、ドレモラはデイゴンのようにごう慢で、目的を変えず、繊細さがなく、さらに追加してデイゴンに対してや自身の階級の中でも奇妙な特徴の敬意と忠誠心を持っていたとディヴァイス・ファーは言った。

ドレモラはクランと階級制度の中に命令されて入り、これらのクランと階級制度は明確に定義されていた。個人としてドレモラの階級は上がったり下がったりするし、クラン間の移動も可能であったが、複雑な誓いなどで統制されており、デイゴンの気分次第であったとも言っていた。

ドレモラは彼ら自身のことを「キン」(人々)と呼んでおり、他のデイドラを無思考の動物と考え彼らと差別化した。言葉「キナーズ」はドレモラ種族の一員を指す。

キン階級の最下層はチャールであり、それはドレモラの平凡な大衆であり、彼らの最下層階級である。チャールは上位にこびるが、人間や他のデイドラに対してはとても残酷である。

次の階級はケイテフであり、彼らは何も考えずに熱中し、常に全力な生物である。信頼できないが、積極的で熱心なケイテフは、バーサーカーや突撃隊などの予備部隊としてデイドラの派閥争いに使われる。

ドレモラ部隊の通常階級のなかでも最高級はキンヴァルである。かれらは戦騎士であり、戦闘において際立った活躍をし、慎重性を持った戦闘隊長の候補である。

戦士階級のチャール、ケイテフ、キンヴァル階級の上は士官階級である。

キンリーヴはクラン保安官、またはクラン将校である。キンリーヴは通常、クラン戦闘部隊か戦闘に関する管理任務と関係している。

キンマーチャーはロードであり、デイドラ宮殿や砦や門の上級将校である。キンマーチャーは通常、部隊と「フィエフ」(管理責任を問われる土地か場所)に関連する。

キンマーチャーの上はマルキナズ、またの名を「大公」である。マルキナズはロードのロードであり、メエルーンズ・デイゴンのロード評議会、マーキンの一員である。

ドレモラの最高階級はヴァルキナズ、または「王子」である。戦士デュークはメエルーンズ・デイゴンの個人衛兵であるヴァルキンの一員である。タムリエルでヴァルキナズに遭遇するのは極稀である。通常かれらはメエルーンズ・デイゴンの側にいるか、デイゴンが重要視する作戦の指揮を執っている。

デイドラの分類パート2Varieties of Daedra, Part 2

ディヴァイス・ファーのコープラスアリアムで仕えていたときに出会った他のデイドラの種類は、オグリム、ゴールデンセイント、デイドロス、翼もつ黄昏、スキャンプ、クランフィアである。言えることは多々あるが、あまり有用でもなければ信用もできない。

ディヴァイス・ファーがドレモラに似たようなデイドラで、さらに強く、独立の意思を持ち、自立したデイドラを呼ぼうとしたとき、彼はズィヴィライを召喚したことを明記しておく。ズィヴィライはドレモラに似た性格と気質を持つが、違うのは彼らが絶対的な服従を嫌い、もし敬意をもって接せられていないと感じた場合、裏切りや不忠を働きやすい点だ。

野生化した、クランフィアやデイドロスに似た獣のようなデイドラはデイドラの派閥のいたるところに現れ、それは一般的な生物の存在を表している。オブリビオンの荒野の野生動物のように。スキャンプやスパイダー・デイドラのような、他のどう猛で半知的生物もデイドラの主の領域で見られる。

一方で、元素の精霊に関してはあまり明確ではない。例をあげると、炎の精霊と氷の精霊は非常に知的に見えるが、元素の精霊のすべてが社会的、またが言語能力を持っている訳ではなさそうである。ディヴァイス・ファーはこれらの生物と多少関わったことがあるが、これらの性質にまったく興味がなかったため、召喚を嫌がった。よって、テル・ファーでの滞在中、それらの生物に関してはあまり学べなかった。

デイドラの霊魂Spirit of the Daedra

汝、我々を以下と見なすがいい

死、敗北、そして恐怖と

我々は死することはない。死を恐れることもない

肉体を破壊すれば憎悪は闇へと追いやられる。だが憎悪はいずれ戻ってくる

だが我々全てが勇猛なわけではない

我々は苦痛を感じ、それを恐れる。我々は恥を感じ、それを恐れる。我々は損失を感じ、それを恐れる。我々は闇を憎み、それを恐れる。

スキャンプが考えが小さく、恐怖も小さい

ヴェルマイは考えがなく、恐怖も無い

ドレモラは考えが深く、恐怖を知り、克服しなければならない

クランの絆

我々は生まれたわけではなく、父も母もいないが、親類やクランはいる

クランの形は強大で、肉体と考えを形作る

クランの形には力と目的がある

誓いの絆

我々は、我々の意思で他者に仕える。我々は加護を得るため、強きものに仕える

クランは伝統に沿って仕えるが、伝統が変わることもある

ドレモラは長きに渡りデイゴンに仕えているが、初めからそうではなかった

誓いの絆が固く、相互に信用がある時、伝統も固くなる

誓いの絆が弱ければ、苦痛と、恥と、損失と、闇と、大いなる恐怖に繋がる

我々が人をどう思っているか

汝はスキャンプを滑稽に思い、ヴェルマイを粗野に思うかもしれない

ならば、我々が汝らをどう思っているかわかるか?

汝らは獲物であり、我々は狩人なのである

スキャンプは猟犬であり、ヴェルマイは勢子なのである

汝らの肉は旨く、狩りは良き余興である

汝らが狐や兎を讃え、その機転や素早さを褒め、猟犬がその肉を裂くのを惜しく思うのと同じく、我々は時に獲物を褒めそれが我々の罠や追い立てをかいくぐると密かに喝采を送るのである。

だが、万物の例に漏れず。汝らはやがて廃れ、荒れていく。齢を重ね、醜く、弱く、愚かな存在へと成り果てる。遅かれ早かれ、汝らは失われるのである

時に獲物が踵を返し、我々に噛みつくことがある。だがそれも些事に過ぎぬ。傷ついたり疲れたとしても、我々はその場から飛び去り、回復するだけである。時に価値あるものが失われることもあるが、その危険があればこそ、狩りの楽しみも高まるのである。

人の謎

人は定命であり死と挫折と損失から逃れられぬ運命にある

我々が理解できぬのは、汝らが何故、絶望せずにいられるかである

デイドラ全書The Book of Daedra

アズラは闇と光の橋渡しをする神秘の領域である黄昏と暁をつかさどり、「ムーンシャドウ」「薔薇の母」「夜空の女王」とも呼ばれる。

ボエシアは虚偽と陰謀、秘密裏に行われる殺人、暗殺、反逆、法に依らない権力の転覆などをつかさどる。

クラヴィカス・ヴァイルは儀式的な祈祷や契約による力の授与や願いの成就をつかさどる。

ハルメアス・モラは運命の流れをつかさどる。星と天から過去や未来を読みほどき、知識や記憶という財宝をその手に有する。

ハーシーンはデイドラの娯楽でもある偉大なるゲーム、狩猟をつかさどり、「狩人」とも「獣人の父」とも呼ばれる。

マラキャスは拒絶されしもの、追放されしものたちの後見人であり、誓約や血の呪いの守護者でもある。

メエルーンズ・デイゴンは、破壊、変化、変革、活力、野望をつかさどるデイドラである。

メファーラは領域のはっきりしないデイドラである。「蜘蛛糸を紡ぐもの」「紡ぐもの」「蜘蛛」としても知られており、定命の者に介入すること以外に統一性がない。

メリディアは領域のはっきりしないデイドラである。生きとし生けるものの活力と関わり合いがある。

モラグ・バルは定命の者を支配し、奴隷とするデイドラである。人間の魂を刈り取って懐柔することを望んでおり、そのために定命の者の領域に不和の種をばら撒いている。

ナミラは古代の闇をつかさどるデイドラである。「霊魂のデイドラ」とも呼ばれ、あらゆる悪霊や邪霊を統べている。蜘蛛、昆虫、ナメクジなどの人間が本能的に嫌悪する薄気味悪い生物と関わり合いがある。

ノクターナルは夜と闇をつかさどるデイドラで、「夜の女王」としても知られる。

ペライトはオブリビオンの最下層階級を統べる「親方」とも呼ばれるデイドラである。

サングインは快楽主義的な供宴や道楽、よこしまな欲望への耽溺をつかさどる。

シェオゴラスは乱心をつかさどるデイドラで、その真意は誰にもわからない。

ヴァルミーナは夢と悪夢をつかさどるデイドラで、凶兆はその領域より生まれる。

「マラキャス」の項には印がつけられており、「神の怒り」に関する興味深い記述がみられる。要約すると、マラキャスに祝福されたこの武器は人の為に作られたもので、デイドラがその力を引き出そうとするとオブリビオンの虚空へと追いやられてしまうらしい。

デイドラの伝説のアーティファクトの中でも、「アズラの星」や「シェオゴラスのワバジャック」などはよく知られているが、災厄、マッカーンの槌、デイドラ殺しなどは馴染みが薄いようである…

ところが、マラキャスは「災厄」を祝福して仲間のデイドラに対抗しうる力を吹き込んだものの、それが彼らの手に落ちることはどうしても避けたかったため、卑怯者と落伍者の私闘における武器にしようと考えた。こうした事情からマラキャスは、邪悪な仲間のデイドラが武器の力を引き出そうとしても虚空が開いてその者を飲み込み、オブリビオンの彼方へと放逐されるよう呪いをかけ、そこから時の乱れのない実在と非実在の世界へ追い返そうとしたのだ。

最も深い闇Darkest Darkness

モロウウィンドでは、崇拝者も妖術師も位の低いデイドラを召喚し、奴隷や従者のようにこの世に縛りつけている。

妖術師の召還するデイドラの僕のほとんどはわずかな時間で消えてしまい、命令系統もきわめて心もとなく、縛りつづけておくのは難しい。このおかげでデイドラの暴走を防げるのだから幸運と言えるかもしれないが、数分もあればこの僕たちは敵だけでなく術者にも手ひどいダメージを追わせることができる。

崇拝者はデイドラの僕を儀式や契約でこの次元に縛りつけることができる。デイドラの僕は少なくとも物質化した姿が破壊されたとしても、その元となる霊的存在がオブリビオンに逆流してしまうまで、いつまでもこの世界に留まれるようになる。遺跡や墓でデイドラを見かけることがあったら、彼らはこの世界の長きにわたる訪問者であると考えてもらっていいだろう。

同じように、デイドラの主によって武器や鎧に縛りつけられる下級の存在にも、わずかな時間だけ召喚されるもの、壊れたり消えたりしないかぎり存在しつづけるものがある。聖堂の信者や召喚士の呼び出す魔力の武器や鎧は効果があまり持続せず、「メエルーンズのカミソリ」や「クラヴィカス・ヴァイルの仮面」のようなデイドラのアーティファクは効果が長い間持続する。

モロウウィンドのトリビュナル聖堂では、不滅のアルムシヴィに従属する下級の霊魂としてデイドラを崇拝している。アルムシヴィとは、アルマレクシア、ソーサ・シル、ヴィベクが三位一体となった神である。下級デイドラは善のデイドラと悪のデイドラに分類され、善のデイドラはアルムシヴィの権威に服することをいとわないが、悪のデイドラはアルムシヴィに反抗的で、仲間よりも敵になることの多い背教者なのである。

善のデイドラはボエシア、アズラ、メファーラである。ハンガーは「策略の父」ボエシアとつながっている強大かつ凶悪な下級デイドラである。しなやかで長い手足と尻尾を持ち、その顔は獣のようで、麻痺能力や武器や鎧を解体する能力で知られている。翼もつ黄昏は黄昏と暁の女神であるアズラの死者である。西方の野蛮なハーピーとよく似ているが、ふくよかな体つきははるかに魅力的で、すらりと伸びた鉤爪は比べものにならないほど強力だ。スパイダー・デイドラはメファーラの僕で、蜘蛛と人間の中間のような姿をしている。禿げあがった頭、胴体、両腕はどれも人間のようで、8本の足を持ち、巨大蜘蛛の甲殻によって守られている。残念ながら、このデイドラはあまりに凶暴で理性に欠けるため、「紡ぐもの」メファーラの命令を忠実に守るとは言いがたい。そのため、モロウウィンドでこうした怪物を呼び出す、あるいは支配しようとする召喚士はまれである。

悪のデイドラはメエルーンズ・デイゴン、マラキャス、シェオゴラス、モラグ・バルである。すばしこくて煩わしいスキャンプ、猛獣のようなクランフィア、気高き死の番人ドレモラはどれもメエルーンズ・デイゴンと繋がりのある下級デイドラである。ワニの顔を持つヒューマノイドのデイドラはデイドロスと呼ばれるモラグ・バルの僕である。一方、体はいかついが血の巡りの悪いオグリムはマラキャスの奴隷である。シェオゴラスの下級デイドラであるゴールデンセイントは半裸の女性の姿をしており、魔法に耐える力がとても強く、危険な魔法使いである。

モロウウィンドでしばしば遭遇するその他の下級デイドラに、精霊、もしくは元素の精霊がいる。精霊とデイドラの主の間に連帯感はなく、
彼らと手を結ぶこともない。気まぐれに世界を渡り歩きながら、誘惑や衝動、あるいはタイミングによって立場を変えるのである。

コールドハーバーの自然On the Nature of Coldharbour

エリンヒルのファラスタス 著

これは第八講である。コールドハーバーの自然について扱う。どうやらいるはずの人数より多くの人がここにいるようだ。だからどうかご自分の台帳を確かめてほしい。もしトランスリミナル・ブリッジズと書いてあったら、部屋を間違えている。

コールドハーバーは残忍、奴隷、吸血症、そしてその他様々な嫌悪の対象のデイドラ公、モラグ・バルによって支配されるオブリビオンの領域である。それゆえ、気持ちの良い場所ではない。その次元の説明はオブリビオンのいかなる研究においても相変わらず広く多様化しているが、コールドハーバーは陰気で冷たく、そして大部分は生物が住んでいない。恐怖の毒気が充満した場所で、そこでは彷徨える魂が永遠に苦しめられているという点ではすべての説明は一致している。

これは、私の前回の講義で述べた、まさしく混沌によって作られているオブリビオンの次元が、その支配者の本質を反映した姿と気質を帯びているという論点を強調する。それゆえコールドハーバーは、強力なモラグ・バルの目的を具現化するよう形成されてきた。

ではそれらの目的とは何だろうか?最近折よく、ステンダール教団の後期カーディナル・ベルフォートの蔵書庫と文書を手にしたので、私はこの問題に権威をもって話すことができる。カーディナルはタムリエルから全種類のデイドラ信者達を取り除くことに生涯を捧げた。彼は特に、モラグ・バルの崇拝者達の迫害において厳格であり、そしてその時代の彼らの胸の悪くなる小論文や論文を多く手に入れた。

これらの資料の研究は、モラグ・バルの欲望、とりわけ定命の者達の魂を奴隷にすることについて明らかにした。この目的、つまり魂の状態をあの世への旅からコールドハーバーの次元での監禁と隷属に転換するこの最終的な目標のために、様々な厭わしい卑怯者達が雇われた。モラグ・バルの領域への到着に際し、魂はオブリビオンのいくつかの解き放たれたクリエイシアに自身を結び付け、生きていた時の外観を持つ見せかけの肉体を形成する。魂なき者と呼ばれるこの悲しき奴隷達はその後、彼らの主である奴隷王モラグの栄光と快楽のための苦痛の中で骨を折って働く。

私はこれまで明らかにされていなかった教団のこれらの秘密を伝える、だから諸君達は…ホール内のあのひどい混乱は何だ?あんな身の毛もよだつ叫び声の中でどうやって講義しろというのだ?このような状況では働けないな。

コールドハーバーの奴隷の穴The Slave Pits of Coldharbour

キンブリーフィング 3/97:

さてお前達は身体喪失も痛みの輪の刑を宣告されることもなく穴での最初の2シフトを生き延びた。今やそのすべてを知ったと思っている。そうではないのだ、キンワームよ。最初の2シフトは、どんな馬鹿でもできる簡単な仕事を任務として与える。だからお前達は、ありがちな失敗で私達を当惑させはしないだろう。しかし次は3番目のシフトだ、キンワーム達よ。これからノルマの話をする。

これらの魂なき者はお前達の気晴らしのために連れてこられたのではないのだ。オーバーキンとして、それらは私の気晴らしのために連れてこられたものでもないと言える。それらはただ単にデイドラ公の気晴らしのためにここにいる。そして彼は大いに楽しむ。だから注意を払え。お前達は魂なき者を割り当てられた。それらがする必要のあることを命じられ、そして必ずそれをやらせるのだ。

そしてお前達は、それについて情け容赦ない態度でいるように。楽しい部分だがコツのいる部分でもある。なぜなら私達は限られた数だけの魂なき者を手にし、それらを長続きさせなければならないからだ。もちろん、魂なき者はきっと苦しむだろう。でなければ、お前達は苦痛のノルマを達成しない。しかし魂なき者をあまり早く使いきってはいけない。でなければお前達は苦労のノルマを逃すだろう。そしてもしお前達がそのどちらかのノルマを逃したら…

そうだ。お前達は痛みの輪を見たことがあるな。

そういうことだ。キンワーム達よ・苦労と苦痛、そしてその二つの間のバランスを保つ。お前達の何人かは失敗し、ゆっくりと苦しい身体喪失を受ける。だが他の者達は内なる嫌悪と勝利を見つけ、ノルマを満たし、至福の監房での時間を手に入れるだろう。それはお前達次第だ。キンワーム達よ。切り開くのか、それとも痛みかだ。