カジート | The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫

アネクイナの蔵書庫

Anequina Archives

アカヴィリの埋葬儀式On Akaviri Burial Rites

古代学名誉教授レリエン・アーニーズ 著

アカヴィリの謎めいた蛇の民はタムリエルの海岸に異国情緒あふれる多くの慣習を持ち込んだが、その中でも埋葬の儀式ほど奇妙なものはない。最も奇怪な伝統はすぐに消え去ったものの、アカヴィリの末裔であるインペリアルは蛇の民の比較的穏当な儀式の多くを保った。以下の記述は網羅的なものでは全くないが、若い研究者に対して、アカヴィリの墓地がどのような学問的、物理的な困難を提起するかについて、一定の理解を与えると想定される。

一例として、大蛇の墳墓を挙げよう。カジートの建築家はこれを、元々リンメン王家の霊廟として考案した。しかし第二紀400年におけるアカヴィリ最高顧問の失墜と、それに伴うシロディール社会の混乱により、アカヴィリを祖先とするインペリアル数千人が移住することになった。彼らは国境を越え、大挙してエルスウェアに押し寄せた。常に日和見主義者であるリンメンのカジートは、この新たな居住者の尊い死者をカジートの墓地に引き取る名誉を与えた。値札を付けて。当時、アカヴィリの死者数は現地のカジートの死者を大幅に上回ったため、この建造物の名を「大蛇の墳墓」と変えたのである。

どの記述に従っても、古典的なアカヴィリの埋葬は厳重に管理されたものだったという。蛇の民の儀式は死者の体を、顔を除く体全体を覆う豪勢な絹の衣で縛りつける。顔の部分には細かく意匠を施した仮面を置くが、しばしば位の高い者には銀、低い者にはブリキの飾りが配してある。この仮面は通常、不気味な大蛇やその他の怪物の姿をあしらってある。これは悪霊を追い払うためかもしれないが、むしろ迷信深い墓荒らしへの対策の可能性が高い。それ以上に大事なのは、葬儀を執り行う者は死者が身に着けていた先祖伝来の武具を、遺体の側の台座に置いたことである。こうした武具はとても価値が高い。盗賊は定期的に壺を漁り、石棺をひっくり返して鎧兜を探し、裕福な収集家に売ろうとする。しかし危険もある。

まるで怒れる霊魂が操っているかのように自ら起き上がって身を守る鎧の存在は、多くの歴史家が言及している。こうした記述を顧みない者もいるが、従わないのはとても愚かと言える。忘れてはならないのは、墓地の探索において、適度な迷信が有用な点である。

アカヴィルの不思議Mysterious Akavir

アカヴィルは「竜の国」、タムリエルは「暁の神秘」、アトモーラは「エルダーウッド」をそれぞれ意味する。ヨクダの意味するところはレッドガードにしかわからない。

アカヴィルは野獣の王国である。人間もエルフも暮らしていない。かつて人間が住み着いたことがあったが、彼らはとうの昔にツァエシの生血を吸う蛇人に食べられてしまった。たとえ食われずにすんだとしても、遅かれ早かれタムリエルに移り住んだことだろう。ノルドはアトモーラからタムリエルに向かった。ノルドよりも早く、エルフはアルドメリスを捨ててタムリエルを目指していた。レッドガードは旅をするためにヨクダを破壊した。人間やエルフなら、タムリエルが創造の中心であること、そこで最終戦争が勃発すること、神々がロルカーンを破壊して謎めいたアダマンチンの塔をあとに残した土地であることは知っている。アカヴィルがタムリエルをどうとらえているのかは誰にもわからないが、考えてみるといい。どうして彼らは三度以上もその地を侵略しようとしたのか?

アカヴィルにはカマル、ツァエシ、タン・モー、カ・ポツーンという四大国家がある。タムリエルに攻め込んでいるときをのぞけば、彼らはお互いに戦っている。カマルとは「雪の地獄」という意味で、悪魔のはびこる土地である。夏がやってくると活発になり、毎年のようにタン・モーに攻め込むが、勇敢な猿人たちが彼らの侵略を許さない。かつて悪魔の王、アダスーム・デア・カマルがモロウウィンドの征服をもくろんだものの、アルマレクシアと地底王の手により、レッドマウンテンで成敗された。

ツァエシは「蛇の宮殿」という意味であり、かつて(竜虎が訪れるまで)はアカヴィルで最大の勢力でもあった。アカヴィルの人間を食いつくしたのはこの蛇人ではあるが、その姿はどことなく人間のようでもある。すらりとして美しく(恐ろしくもあるが)、黄金の鱗におおわれ、永遠の命を持つ。近隣の島々に暮らすゴブリンを奴隷にしてこき使い、その生血をすする。ツァエシの領地は広大である。タムリエルの民がアカヴィルと聞いて思い浮かべるのはこの蛇人である。前世紀には蛇人のひとりがシロディール帝都を四百年にわたって支配したことがあるからだ。その名を最高顧問ヴェルシデュ・シャイエといい、モラグ・トングの手で暗殺された。

タン・モーとは「千の猿の島」という意味である。いろいろな種類の猿人が暮らしており、みな一様に気さくで、勇ましく、単純である(なおかつ、多くは狂っている)。周囲の国家の襲撃によって奴隷にされかけたことが何度かあるため、もしものときは軍隊も組織する。蛇人と悪魔のどちらとも憎んでいるはずだが、あえてどちらかを選ぶとなると、彼らはきっと「蛇人」と答えるだろう。かつては仲たがいしていた時期もあったが、カ・ポツーンの虎人とは同盟関係にある。

カ・ポツーンとは「竜虎の帝国」という意味である。この地の猫人は、竜虎である聖人によって統べられている。今や立派な帝国であり、その力はツァエシをもしのぐ(ただし、海上ではまだかなわない)。蛇人は人間を食いつくしたのち、竜族を食いつくそうとした。赤竜はなんとか奴隷にしたものの、黒竜はポツーン(当時の名称)に逃がしてしまった。大戦が勃発し、猫人も蛇人もぼろぼろに衰弱し、竜族は絶滅した。そのときから、猫人は竜族になろうとしてきた。その最初の成功例がトシュ・ラカである。彼は世界最大の竜であり、その体は橙と黒で彩られ、その頭脳は新鮮なアイデアに満ちている。

「まずは、生血を吸う蛇どもを皆殺しにしよう」と、トシュ・ラカは言う。竜虎の帝国がタムリエルを侵略するのはそれからだと言いたいのだろう。

アジン・ジョーの日記Azin-jo’s Journal

自分の時間が残り少なくなるにつれ、毎日が長くなっている気がする。務めを続行するため、アルコシュが力を与えてくれることを祈っている。この者は偉大な聖堂という重荷を背負うのに必要な体力を持たない、年老いたカジートにすぎない。

* * *
アジン・ジョーはずっと前にいなくなった友人と家族のことを思う。信仰を次第に失っていった者たちとは長い間会っていないし、残った者たちは全員死んでしまった。自分の番になったら、後任となる者が誰もいないのが心配だ。

* * *
アジン・ジョーの心には常にアルコシュが存在している。カジートが最も偉大なる神を忘れるとはどういうことだ?リドル・サールを軽蔑すべきでないのは分かっているが、たてがみは神々に取って代わるのではなく、神々を称えるように導くべきだ!ラジーンでさえ、共有することを心得ているのに!

* * *
どうやって説明したらいいのか分からないが、後世のためにこの奇跡を記録すべきだということは分かってる。アジン・ジョーは今日、アルコシュの訪問を受けた。夢でも幻覚でもなく、足元の石と同じように本物だ!内陣で祈っていると、影に包み込まれた。晴れた一日で、日没までずっと祈っていたわけでもない。頭を上げた時、目にしたのは思いがけないものだった。

空から、太陽のような黄金色で、日差しのように輝く大きなドラゴンが下りてきたのだ!私たちが必要とした時に、猫たちの竜王がついに山へと戻ったのだ。アジン・ジョーは地面にひれ伏し、自分のようなしもべの祈りに答えてくれたアルコシュに礼を言った。偉大なるアルコシュは雷の声でこう言った。

「仲間のところへ行き、私の帰還を伝えよ。ここへ連れてきて聖堂を再建せよ。私への信仰を持つ者は、この先の未来に居場所を持つだろう」

明日、アジン・ジョーは山を下りて、この素晴らしい知らせを伝えよう!

アネクイナとペレタイン:紹介Anequina and Pellitine: An Introduction

パーラッティーン学会、スレマ 著

あらゆるものを疑うよう教えてくれた先生たちに敬意を込めて。常に逆立てた毛と伸ばした爪をもって伝承にあたらんことを。

学者たちがエルスウェアについて真実とみなしていることの多くは、シロディールやその他非カジートのロアマスターや学者の偏見と知覚を通したものである。元来カジート部族の名であるネ・クイナルとパーラッティーンはそれぞれ、一般的にアネクイナおよびペレタインとして知られているが、これはシロディールを拠点とした研究の優勢と、非カジート研究者による現地人の伝承の軽視、および現地で得られる情報の喪失によるものである。当初は交易やその他の社交のためにしか定住地を持たなかった遊牧民族に対し、部族名と地域を、まるで地域に常時存在していたかのように結びつけるのは問題がある。それは特定の地域の所有を含意することになるが、各部族は現在エルスウェアと呼ばれる地方を、必要に応じて移動していた。ネ・クイナルとパーラッティーンの名はタアグラ語であると言う者もいるだろう。それは許容できる考察ではあるが、この者の感覚ではこうした名称を部族に対して使い、シロディールの名称であるアネクイナとペレタインは地域に用いるのがより正確であると思われる。

当初はカジートの月の皇帝が単独で地域を支配していて、その中には第一紀461年に即位した名高いダルロック・ブレイもいる。この時代、エルスウェア地方には16のカジート部族が遊牧しており、それぞれが何らかの機能を果たしていた。例えばネ・クイナルは戦士で構成されており、部族の成員に武術や戦術の訓練を施していた。当時も各部族は特定の地域や領域に属していたと言う者もいるが、それは単純化が過ぎる。カジートは多かれ少なかれ必要な場所、あるいは彼らが望む場所に移動した。典拠としては子守歌「ハサ・ザジャ」あるいは「名前の踊り」を参照のこと。この中には部族が名を獲得した経緯についての、知られている中で最初の物語がある。

各部族がそれぞれの専門領域を洗練させ、外部の圧力が彼らを決まった役割と、地理的に限定された地域に制限したことで、カジートにも部族の領域という概念がある程度は根付くようになった。こうして民族と地域の両方をネ・クイナルと呼ぶことがより正確になった。しかし「より正確」は完全な正確さを意味しない。部族を持たないカジートによって第一紀2243年に書かれた詩「ザン・ザブ」は、部族名から地域名への移行の様子を示しているが、詩の中で言語が変わっていく間も、移行の必要に疑問を呈している。

そして第一紀2260年にスラシアの疫病がやって来る。死者の数があまりに多く、カジートが飢餓と困窮で完全に死滅することを防ぐため、部族の機能は変化した。16の部族は2つになり、理念においても地理的領域においても切り離された。ネ・クイナルは部族の風習に従って遊牧を続け、主に乾燥した北部地域で活動した。パーラッティーンの者たちはより緑の多い南方地域に留まり、他の地方、とりわけブレトンとシロディールの風習を取り入れ、彼らを模倣した政治的・社会的構造を築いた。

上記の全てはアネクイナとペレタインのカジートの差異の由来を理解させてくれる。アネクイナの者たちは北のより過酷な気候で部族の伝統に従い続けたため、南方の怠惰と腐敗、弱さしか見ない。他の民の生き方に従い伝統を捨てたことで、南のカジートは心も体も軟弱になったと北の目には映ったのである。ペレタインのカジートから言えば、彼らが北に見出すのは干上がった大地と、軍国主義的な蛮族だけである。こうした南の者たちにとって、力による支配は忌むべきものであり、アネクイナにはまだ建造物が残ってはいるとはいえ、未だに多くの者が家もなく遊牧民生活を送っている事実は、ペレタインの人々に北のカジート文明の程度の低さを印象づけるだけだった。

時と共に、南北カジートの分断は深まっていった。この断絶の修復を始めるには、婚姻を必要とした。第二紀309年、アネクイナを支配するキールゴとペレタインを支配するエシタが結婚し、現在のエルスウェア地域ができあがった。両方の民がこの同盟によって裏切られたと感じ、自分たちの価値観を共有しているとは思えない連中と命運を共にすることになったと毒づいたが、当初は不和もある程度の収束を見せていた。そこに、いくつかの衝撃がこの地域を襲った。第二紀324年にはセンシャルにおける最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの暗殺があり、第二紀326年にはネ・クイナルの崩壊と、その結果として王家の大半の人々が反乱したカジートに虐殺される事態が起きた。どちらの事件もエルスウェアの政治構造を弱体化させ、さらなる不安定の種をまいた。より詳しくは「ザ・ジャヴァン・カーチン」あるいは「双子国の踊り」と題された当時の口伝史料の文字起こしを参照してほしい。

おそらく、カジートの内在的な性質が政府の直接的な崩壊を防いだ。アネクイナとペレタインのどちらに属する者たちも、自立した思考と適応を好む傾向にあったので、政府が彼らを長期間支配するのは難しかったのである。

しかし病は我々皆に降りかかる。第二紀565年にナハテン風邪が襲うと、エルスウェア統治政府という不安定な構造はさらに損害を受け、リンメンの市政体の接収と、それに続く出来事の引き金を引いた。

アネクイナの動物の見分け方とその味Anequina Animal Identification and Tasting

フロドキル・ミンスミート 著

お前は肉が好きか?フロドキルのように暖かい気候を求めてエルスウェアに来たのか?いい選択だ。ここには雪がない。この者はずっと昔、ウィンターホールドで罠師をしていたが、今ではもう何年もアネクイナに住み続けて言葉を学び、サバンナの猫たちに手を使わず獲物を捕らえる術を教えている。フロドキルは絵が描けないので、捕まえるべきものをただ教えよう。幸運を祈る。

ジェルボア

エルスウェアには沢山のネズミがいる。フロドキルが思うに、だから猫も沢山いるのだ。ネズミは通常、あまりよい食料ではない。スキーヴァーは別かもしれないが。アネクイナにはジェルボアというウサギのようなネズミがいて、これがいいミートボールになる。本当のことを言うと、フロドキルはあれがウサギなのかネズミなのか分からない。長い耳と足を持つが、尻尾も長い。見れば分かると思う。沢山見るだろう。あれはすぐに繁殖するのだ。1日に2、3匹捕まえて食料にしても、気にも留めなそうだ。ちょっと甘い味がする。ムーンシュガーを食べるせいだろう。

フェネック狐

フロドキルには猫のように見える、耳の長い狐もいる。だが猫ではないので、食べても騒ぎにはならない。馬鹿みたいにでかい耳だと思ったが、ちゃんと機能している。この狐は狩るのがとても難しいが、フロドキルにはうまく捕まえる方法がある。狐に食べさせるサソリを何匹か集めろ。あいつらはサソリが好きだ。針は切り落としておけ。ニンニクと玉ねぎを刻む。そのペーストをサソリにたっぷりと厚くもみ込む。ペーストは狐にとって毒だ。殺すと同時に味付けにもなる!狐はフロドキルに狼を思わせるが、それよりも柔らかく、野生の獣臭さが少ない。

フェルルンナー

大きな鳥だ。馬ほど大きくはない。山羊と鹿の間ぐらいだ。足と首が長いが、翼は小さい。この鳥は飛ばないし泳がない。走る。速い。だがとても馬鹿だ。フロドキルはこいつらを大声でまとめて追いやり、仕掛け紐に引っ掛ける。全速力で走ると、奴らは転んで色々なところを折る。骨が脆いんだ。フェルランナーは上質のジャーキーになるが、乾燥させすぎずに調理するのが難しい。ベーコンの脂をとっておくこと。

恐ろしい鳥

さらに大きな鳥だ。ハゲトカゲに似ている。飛ばないが、走り、ジャンプし、爪を使う。とても力が強い。フロドキルはこいつがライオンを踏み潰すのを見たことがある。頭もいい。罠にかけるのは難しく、狩るのは危険だ。死んだ奴を見つけたので、肉を味見した。硬くて筋っぽく、脂っこくて、使い古したブーツのような味がした。避けたほうがいい。苦労に見合わない。

トゲヤモリ

他のヤモリと似ているが、トゲがある。いい名前だろう?日中は素早く動いて虫を狩るが、夜は動きが鈍って暖かい場所を探す。ダークストーンを手に入れて、待ち伏せ場所を探せ。苦労せずに捕まえられるだろう。だがトゲには気をつけろ。味も他のヤモリと似ている。ヤモリの肉が好きなら、トゲヤモリの肉も好きだろう。

ダガーバック

多くの場所で見つかる剛毛のイノシシだ。頭の周りが牙と羽根だらけだ。穴を掘り、その上に毛布を置く。石を重しにする。毛布の上に砂とキノコを散らす。穴が十分深ければ、何週間も食べられる。味は癖が強い。シチューに最適だ。

砂漠アリット

口に足が付いている。フロドキルはこいつをタムリエル中で見た。砂漠の奴が一番凶暴だと思う。大きな口を持ち、あまり食べるところがない。網の罠が一番効果的だ。いったん絡まれば、もう逃げられない。皮膚は硬いが、肉はうまい。噛み応えはあるが。

セプ・アダー

フロドキルはエルスウェアに来るまで見たことがなかった。ハンマーフェルにもいると言われた。大型の砂漠の蛇で、鱗が茶色で背中に翼が付いている。あまり飛ばない。翼は主に捕食者への威嚇と、頭を覆うために使う。だが長距離を飛び跳ねられる。普通なら蛇に網はかけないが、翼がよく引っかかる。皮を剥いで簡単に調理できる。鱗のついた不気味なニワトリみたいなものだ。

ライオン

エルスウェアの猫が全部カジートなわけじゃないが、意外と多くの猫がカジートだ。フロドキルは普段、猫が服を着ていないと見分けられない。エルスウェアにいる間は猫を食べないことを勧める。カジートが悪趣味と考えるからな。しかし、正直に言うとこの肉は美味い。

アネシのメモAneshi’s Note

西に向かってわずかに道を辿り、分かれ道になったら左に曲がる。

傾いた柱のところで、北に向かってわずかに道を外れる。

散乱した遺跡の中に、古い階段を探す。

その先は、倒れた尖塔が道を示す。

ザイマの一番好きな花、スパイニー・ピンクが2輪、壁のそばに生えている。

2つ目の窓の反対側、地面に土が盛ってあるところを掘る。

マスターキーはそこにある。

アブナー・サルンからの手紙Letter from Abnur Tharn

私はアブナー・サルン、魔闘士にして皇帝の元顧問だ。私はカジート防衛軍を支援し、ドラゴンの怒りを阻止するための仲間を求めている。

この恐るべきドラゴンは、カジートがアネクイナと呼ぶ北エルスウェア地域を飛び回っている。私はたてがみの代弁者ガレシュ・リ公のため、彼らの故郷の危機に力を貸すと決めた。しかしこの脅威に対して、自分一人では対処できない。

剣や呪文に自信があり、究極の敵に対して自分の力を試そうという意欲を持つならば、リバーホールドの街にあるカーザブ・ホールで私を探してほしい。

なお、これは本当の話だ。ドラゴンは戻ってきたのだ。

アブナー・サルン

ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリVal Vijah Va Rhook, Baandari

(カジートの祭りの歌)

サバンナの草原を踊り抜け
足取りも軽く我らは進む
さあ、バーンダリの少年よ
踵を打ち鳴らして歩め
さあ、バーンダリの少女よ
尻尾を左右に振り回せ

コーラス
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
抱えた袋は我が世界
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
背中の荷物は我が王国

またしても故郷は動く
荷車の車輪に乗って、我らは行く
さあ、バーンダリの少年よ
激しい風が吹くところ
さあ、バーンダリの少女よ
我らがキャラバン列をなす

コーラス
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
抱えた袋は我が世界
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
背中の荷物は我が王国

旅人よ、ステップを教えようか
お前を導く星になろう
さあ、バーンダリの少年よ
離れなければ、遠くまで行ける
さあ、バーンダリの少女よ
我らが放浪のバザール

ウィーピング・スカーを抜けてThrough the Weeping Scar

ユーラクシアの部隊はリンメンの支配を日に日に強めている。遠からず、カジートは忌々しい女王の許可なく呼吸もできなくなるだろう。我々はこの荷物を街の外に密輸したことで、注意を引きすぎてしまった。誰かに止められる前に、ステッチズに到着したい。

* * *
最短ルートがウィーピング・スカーを抜ける道だということで合意した。この者は曲がりくねった穴だらけの場所を荷馬車で通るのは好まないが、従うつもりだ。

* * *
道は狭く険しい。荷馬車が足掛かりを失って岩の傾斜を滑り落ちた時の事故を防ぐため、間隔を空けておかなければ。ウィーピング・スカーは距離こそ短いが、早く通れない気がしてきた。少なくとも、忌々しい女王の監視の目からは遠く離れているが。

* * *
ここは静かすぎる。ギザギザの岩や尖った植物の隙間から、乾いた空気が立てる唸るような音しか聞こえない。ネズミのカサカサいう音も、鳥の鳴き声もしない。隊商では食料に困らないのが救いだが。

* * *
嫌な予感がする。何かに見られているような。忌々しい女王の密偵がやはり追ってきていたのかもしれない。追跡に備えて数人を後ろに残し、痕跡を隠させよう。

ヴィトーリアへの手紙Letter for Vittoria

ヴィトーリア

サウリニアの暗殺者にやられた。隠れ場所を探せ。だがあまり時間がない。

井戸を調べろ。桶の中に鍵を隠した。

馬屋の地下室の扉を開けられる。そこからカロと残った不正規兵のところへ行ける。

いつも愛していた。

エルスウェアの戦士たちよ!Elsweyr Needs You!

カジの戦士たちよ!

北エルスウェアとその先の地が、かつてない脅威を目にしている。ドラゴン、犯罪者、そして洞窟に潜む獣たちが、愛するアネクイナの至る所から出現しているのだ。そのため、市の評議会や各地の治安部隊がリンメンに集結し、祖国を守るための行動に対して報酬を提供している!

時間と能力のある者は、急ぎリンメンへと向かうこと。ジョイシはいかなる質問にも答える用意がある!

お前のものは俺のもの(ちょっとした泥棒)What’s Yours is Mine (A Little Larceny)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

歩き手よ、執着してはいけない
物質的な物や道具に
知恵は天上にあると言うだろう
双子月の中に、霊妙なる天空に
(素早く考えろ!)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

残念だが、ゴールドを信じるのは間違いだ
真の富は友情と愛
お前に目配せしてるあの踊り子を見ろ
あの子たちの考えてることは分かるだろう
(見ろ!)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

カジート武術の起源Origins of the Khajiiti Martial Tradition

異国の慣習のサピアルチ、テンドブエイン 著

エルスウェアでも屈指の長い歴史を誇る伝統でありながら、カジート武術、あるいは「爪の踊り」の起源は曖昧と言わざるを得ない。第一紀463年にマールンズの信者によってコリンスの大蔵書庫が焼かれたことで、当該地域の神話紀の記録の大部分が失われたため、私のような文化史家の仕事はとても難しいものになっている。幸いにも名高い征服者、アネクイナの黄金の獣と呼ばれるダルロック・ブレイは多大な努力を払って残された歴史資料を保護し、エルスウェア中の地下室やより小規模の蔵書庫に配置した。言っておくが、こうした蔵書庫の利用権を得るのはハイエルフにとって並大抵の苦労ではない。しかし何年も根気強い粘った結果、それなりの成果があった。

私が確認できたところ、神話紀エルスウェアの生活は辛苦に満ちていた。当時、有名なカジート十六王国は競合する小集団程度の規模であり、残酷な狩人の貴族政治に支配されていた。厳しい干ばつと飢饉の時代が容赦のない規則性をもってアネクイナを襲い、狩人貴族たちの続く反目は広範な徴兵となった。それは農村共同体から若い労働力を奪い、地域の飢饉をさらに拡大させた。狩人公たちの力を制限していた唯一の存在は、双子月の踊りの聖堂だった。カジートのアデプトとその他トルヴァルの聖職者は多大な文化的影響力を持っており、時にはその力を使って特に暴虐な狩人公を苦しめ、権力の座から引きずり降ろすことさえあった。貴族政治はこうした介入に苛立ったが、アデプトに直接反抗するほど愚かではなかった。

神話紀の隆盛時代のある時点で、縞模様の死神タカンジンという名の特別に無慈悲な狩人公が、犯罪者の一団に金を払ってラウル・ハ聖堂に火を放たせた。火災によって居場所を追われた聖職者たちは、即座にアデプト戦士たちの小軍団を出撃させ、犯人たちに報復を行った。紛争の詳細は歴史の中に埋もれているが、結果は明白だった。タカンジンの勢力が司祭たちの反乱を鎮圧し、残されたアデプトたちをデューン王国から一挙に追放したのである。

アデプトたちの邪魔に終止符を打つため、現在のエルスウェア北方にいた狩人公たちはこの機会を捉え、武具徴発の制度を打ち立てた。彼らはラウル・ハでの暴動を聖職者に反逆の意図があるの証拠として挙げ、従おうとしない教団は全て暴力的に鎮圧された。

長期間にわたる深い失望と熟慮を重ねた後、アデプトたちは内に向かった。すなわち、時代の政治情勢とのつながりを断ち切り、全面的に自己の洗練へ集中したのである。宗教的瞑想はこの移行の本質的部分であった。

多くの文化において、瞑想とは静かで動きのない活動である。しかしカジートにとっては違う。カジートの神経質な力とむき出しの身体への集中は、情熱的で踊りに似た瞑想の形態をとった。アデプトたちの踊りが、武術に類したものへ変化するまでに長くはかからなかっただろう。優雅で瞑想的な踊りは、機敏な爪の一撃と大胆な跳躍へ変わった。これはカジートの捕食者としての本能を考えれば、全く意外なことではない。爪と牙を持つ民が、ずっと平和的に留まっているとは期待できないだろう!

何世紀もの孤立の後、アデプトは武術の技と知恵を身に着けて修道院の生活から出てきた。この頃、狩人の貴族政治は終わりに近づいていた。富と権力の格差は臨界点に達しており、長く待ち望まれていた民衆の蜂起を準備していた。アデプトたちは機を逸することなく、厳しい修行で身に着けた技を、虐げられた農民たちに教えた。幾世代かを経て、アデプトの武術は完全に行き渡った。人々が必要としていたのは、きっかけのみだった。

神話紀の後期、反目し合うメイアヴェールとヘルカーンの狩人公が数千の農民を徴兵して従軍させ、エルスウェア史上で最大規模の飢饉を引き起こした。3年間の無益な紛争の後、どちらの公の軍隊もその主人に牙をむき、鋭い爪の一撃や風を巻き起こす蹴り、骨をも砕く拳を雨あられと浴びせ、貴族政治を転覆させた。

間もなく、農民の蜂起は近隣のリバーホールドやオークレスト、ヴァーカース、ブルクラ、ネ・クイナルにも広がった。100年もせずに、数千年もエルスウェアに君臨し続けた壮麗な狩人の宮殿は、権力の座から転がり落ちた。

農村の楽園という輝かしい夢がエルスウェアに実現されなかったことはご存知の通りだ。数百年すると、新たな種類の領地貴族が十六王国の玉座に上り詰めた。しかし民衆は、自分たちの力を決して忘れていない。文字の資料は欠いていても、カジートのクランマザーによる豊富な口伝の伝統は、猫の民が自らの苦難と勝利を決して忘れないように取り計らっている。

私はあくまで部外者だが、我々はエルスウェアで新たな臨界点に近づいているように思えてならない。ユーラクシア・サルンの配下のインペリアルは、数千年前の狩人公とそれほど変わるまい。そして彼女が自分の過ちから学ばないのなら、あの女が辿る運命も、彼らと同じものになるのではないだろうか。

カダビのルールKhadabi’s Rules

私はルールが嫌いだ。だが今、私は自分の望みに反して鉱山で掘っているので、私が見つけた紙片にルールを書き記しておく。書くと覚えやすくなると言うからな。このルールがこれから先、鉱山を避ける役に立つかもしれない。

1. 相手の同意を得ずにつがいを作ろうとしないこと。
2. 相手がパートナーを求めていると決めつけないこと。
3. 外見は当てにならないことを覚えておくこと。
4. もっと早く走れるようになること。
5. 個人が誰かの必要を全て満たすことはできないこと。
6. 理想主義に走るべきではない。
7. もっともっと早く走れるようになること。
8. つがいを作らない方がいいのではないだろうか?永遠に。他人の人生を変えようとするなんて何様のつもりなんだ、カダビ?

キャットフードCat Food

親愛なる嵐の胸のヴィグリ従士へ

ノルド文化交流の栄誉あるリーダーである私、向こう見ずなリガートが、要請に応えてウィンドヘルムにいるあなたへの報告を書いています。私はカジートの民の故郷である、暑く砂だらけの北エルスウェアに到着しました。とても暑く、砂だらけです。ここに住むカジートの数は、きっと信じられないでしょう!リガートの両手足を使っても数えきれません!

リガートは親切な猫の民との友好的な予備交渉に浸かっています。ご安心ください。もうすぐ署名入りの和平協定が手に入り、全面的な文化交流が開始するでしょう。リガートがあなたの期待を裏切ったことがあるでしょうか。まあ、あの時は別ですが。それからあの時も、大層お気に召しませんでしたな。召しといえば、リガートがここアネクイナ(猫の民は北エルスウェアをこう呼びます)で食べた、素晴らしい食べ物について話させてください!

まず、猫の食べ物です。大部分は甘いものですが、かなりの美味です。しかもハチミツ酒によく合います。リガートには3つの料理が印象に残りました。レシピももらってきたので、ウィンドヘルムに戻ったらあなたのために作りましょう。スカルド王を呼べるような饗宴を開けるでしょう!王も参加なさるでしょうか?

私はリンメンの裏路地で屋台を発見しました。そこではビクビクした犬のような猫が大きな鍋をかき混ぜていて、実によい香りが漂っていました。なお、カジートの種類についてはリガートも混乱していますので、細かいことは聞かないでください。その匂いはイェッギ従士の酒場を思い起こさせました。鼻を突く魚と、こぼれたハチミツ酒の甘い香りが混ざった匂いです。実はこの犬のような猫は、甘いタレをかけた魚の一部分を料理していたようです。魚が部位に分かれているとは知りませんでしたが、ムーンシュガーを混ぜて油でカリカリになるまで揚げると、素敵な午後のおやつになるようです。リガートは4人分食べました!

リバーホールドの街では、宿屋〈消えた後悔〉に入りました。実に多くの消したい後悔があるからです。リガートが即座に気づいたのは、猫の民が皆飲むだけでなく、カリカリの小さな揚げ物を手に一杯持って食べていることでした!これを書いていても口から唾液が溢れそうです!臭くて鱗だらけのトカゲをカリカリで美味な食事にできるなど、誰が考えたのでしょう?ハチミツ酒1週間分の費用をかけましたが、宿屋の料理人を説得してレシピの写しをもらいました。猫の民はこの食べ物を食べることを止められないらしく、リガートも同感です。ただ、レシピを読まなければよかった。どうやら彼らは料理を作るのにトカゲの外側ではなく、内側を使っているらしいのです!

味が素晴らしかった食事は、ステッチズの荷車で食べた肉のパイです。甘く香り豊かで肉汁たっぷりのパイが口からお腹に滑り落ちた時、私の味覚は一回転しました。あれは食事なのか、デザートなのか?リガートには両方のように思えました!混乱はしますが、とてもおいしいのです。料理長は、中身にどんな肉が使われているのかリガートに教えようとはしませんでした。「色々なものを少しずつ」と言うばかりです。私のキッチンに戻ったら、試してみなければなりません。心配は無用です。あなたの分も作ります!

さて、旅がこの時点に差し掛かると、リガートにはカジートの甘い料理を食べ飽きていました。辛いウサギのミートボールか羊の後ろ脚の煮込みが欲しくてたまらなかったのですが、ノルドの珍味は北エルスウェアに存在しないようです。しかし暗き月のスパイス入りウィスキーは見つけました。ハチミツ酒は神々の霊酒ですが、猫の民が蒸留するこのスパイス入りウィスキーは、焼けるようなのど越しがたまりません。リガートが思うに、いかに甘いものが好きなカジートでも、普段食べているシロップ漬けの食事から一息つくための飲み物が必要なのではないでしょうか。私はこれを3樽手に入れて、スカルド王への贈り物として次のスカイリム行きの船に乗せるつもりです。ジョルンが前回の私の文化報告をお聞きになった時、彼がいかに強い酒を好んでいたかは知っています。

ノルド文化交流特使、向こう見ずなリガート

クンザ・リ:起源Khunzar-ri: Origin

十六王国伝説の保管者、アネシ 著

数多のカジートの英雄の中でも、強大なクンザ・リほどに冒険と驚異を感じる者は他にいない。神話や伝説の多くがそうであるように、クンザ・リに関する物語はしばしば互いに矛盾し、重要な真実が寓話や比喩に隠されている。この愛すべき英雄の起源を記す物語を考察する場合にもそれは当てはまる。以下に記すのは、クンザ・リの最初の冒険を伝えている最も有名な物語のうちの3つである。それぞれがいかに異なっているかに注意していただきたい。これらは全て真実なのだろうか?そう信じる語り手もいるが、ある偉大なロアマスターの主張によれば、クンザ・リの起源に関する真実は、3つ全てが交差する点にあるという。

* * *
クンザ・リと神聖なる月の光線

最初の爪シャジーアがバルキト王国の勇猛にして強大なクランマザーになる前、彼女は勇敢で好奇心の強い子供で、多くの騒動に巻き込まれた。例えば輝きの隆起の頂上に登って、思いがけず腹を空かせたセンチライオンの群れに囲まれたことがある。先のとがった棒と小石の山で近寄らせないようにできたが、夜になり、疲れて彼女自身も空腹でどうしようもなくなった。そこでジョーンとジョーデに助けを求めると、月明かりが隆起を照らした。その月明かりの中にはシャジーアと同じ年頃のカジートの青年が立っていた。「どこから来たの?」とシャジーアが聞いた。「私はジョーンとジョーデが月明かりと雲と、あなたの勇敢な心から作り上げた者、クンザだ。あなたを救いに来た!」とクンザは言い、そのまま助けたのだった!

* * *
クンザ・リと祠の箱

ある日、身分の低いアデプトが、祈りと供物を捧げるためケナーシの祠にやって来た。そのアデプトは、祠の上に目立つように置かれた小さな箱を見つけた。それを捨てようとすると、中から弱々しい鳴き声が聞こえ、箱が揺れ動いた。中に何か生物が入っていたのだ!アデプトが急いでフタを開けると、小さなカジートの赤ん坊が足をいっぱいに伸ばしてきた。その子を箱から持ち上げると、赤ん坊は子供になって上着は脱ぎ捨てられた。アデプトが子供を下ろすと、その子は青年の大きさになった。「こんにちは、身分の低いアデプト」その若いカジートは自信たっぷりに威張って言った。「私はケナーシの息によって、この祠と周囲に栄光をもたらすために送られてきた」。アデプトはひざまずいて息をのみ、「あなたは… 何者ですか?」と聞いた。カジートはにやりと笑って「今はただのクンザだが、いずれ英雄のクンザ・リになる者だ!」と言った。だからエルスウェアでは、中身を確認せずに箱を捨ててはいけない。

* * *

クンザ・リと歓喜の涙

アルコシュは暗い気分だった。時を守る仕事は大変で、機嫌が悪かった。マーラはそんな彼の気分を晴らそうとしたが、アルコシュはマーラの優しい言葉などに興味はなかった。次にケナーシが気難しいアルコシュに喜びを吹き込もうとしたが、どなられるだけだった。「私の出番か」とシェッゴロスがおかしな笑いを発して言った。「ハーシーンの終わりなき空腹を満たすには、ムーンシュガーがどれほど必要だか知ってるか?」知りたくなったアルコシュは「知らない。どうか教えてくれ」と返事をした。シェッゴロスは指を鳴らして顔をしかめ、「ちぇっ、あんたなら知ってるかと思ったのに!」と言った。アルコシュの顔におかしな表情が浮かぶ中、みんなは沈黙した。そして突然、アルコシュは笑い始めた。その笑い声は空を揺らし、月を踊らせた。彼は昼も夜も30日間笑い続け、ついには歓喜の涙が一粒頬を伝い、エルスウェアに落ちた。その涙は水しぶきとともに地上へ落ち、その奥底から、今にも冒険を始めようかという立派な成人の英雄、クンザ・リが現れた。

クンザ・リ:第一の物語Khunzar-ri: Tales, One

クンザ・リと12匹のオーガ

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ある日、クンザ・リはデューンの近くにある僧房に立ち寄り、長く辛い旅の後の休息と食事を求めた。運悪く、その僧房は12匹の涎を垂らしたオーガに占領されていた。

「これはまずい」とクンザ・リは貪欲なオーガたちが建物を蹂躙する姿を近くの丘から眺めて言った。彼はオーガたちがムーンシュガー・ダブルラムの店に押し入るのを見た時、とりわけ心配した。彼はアデプトの強い酒を特に楽しみにしていたからである。そこでクンザ・リはいい考えを思いついた。

「おお、勇敢にして強大なオーガたちよ」とクンザ・リは呼びかけた。「お前たちが見つけたその樽。ラムが傷んでいるのが分からないか?私はここからでも、その液体が悪くなっている匂いが分かるぞ!」

「傷んでいるだって?」と一番大きなオーガは疑わしそうに言った。「そんなことが分かるものか。まだ樽を割ってもいないのに!」

「私がカジートだと、見て分からないか?」とクンザ・リは誠実そうに尋ねた。「そしてカジートは、嗅覚が特別に優れていることで有名ではないかな?」

「それは本当だ」と別のオーガが言った。「猫と匂いのことはみんな知ってる」

「でも俺は喉がからからだ!」と一番大きなオーガは文句を言った。「傷んだラムなんて飲みたくないぞ!」

「私に考えがある」とクンザ・リは言った。「ここからすぐ近くにネードの砦がある。彼らはラムやその他の酒が詰まった倉庫を丸ごと1つ持っていて、私が通った時は、傷んでいる匂いは全くしなかった。反対に、全て美味な香りがしたものだ!」

それを聞いて喜んだ一番大きなオーガは、アデプトのラムのことなど忘れ、ネードの砦に向かって走った。一瞬の躊躇もなく、残り11匹のオーガもそれに続いた。

「さあ」とクンザ・リは言った。「樽を空けて飲もうじゃないか!」

「しかし、オーガは?」

「オーガだって?もうあれはネードの問題だよ」こうして、クンザ・リは樽を丸々1つ飲み干しにかかった。ジョッキに1杯、また1杯と注ぎながら。

クンザ・リ:第二の物語Khunzar-ri: Tales, Two

アネクイナがクンザ・リを救った話

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ネ・クイナル・ラス・ル。シロディールの共通語で辛辣なアネクイナは、長くクンザ・リのかけがえのない仲間としてこの地を放浪した。二人を恋人と呼ぶ者もいる。実際、彼らは時としてそのような関係にあった。英雄と呼ぶ者もいる。彼らは確かに英雄的な偉業を成し遂げた。そうした偉業の一つはマオマーに関するものである。クンザ・リとアネクイナが共に旅をしている間、彼らはケナーシズルーストの島を訪ねた。この島ではシーエルフと猫の民が共存し、友好的な時期もあればそうでない時期もあった。この事件は後者の時期に起きたものである。

この物語は複数の説に分かれている。あるものはクンザ・リの活躍に注目しているが、私が一番気に入っているものはもう一人の英雄の姿を描き出している。その説を以下に記そう。

* * *
シーエルフの船長でリンヴァロールという暴漢が、ある月の司祭の娘を誘拐し、解放を求めるあらゆる交渉の努力を拒絶した。アネクイナは考えがあると言ったが、クンザ・リは彼女が止める前に月の司祭の娘を救いに突っ込んでいった。クンザ・リは巧妙で力強かったが、無鉄砲なところもあった。この無謀な行いが祟って、リンヴァロールと乗組員であるマオマーの殺し屋は、苦もなく英雄気取りの男を捕まえてしまった。

こうなったらアネクイナが月の司祭の娘とクンザ・リを救い出すしかなかった。「偉大なるクンザ・リさえ失敗したのに、どうやってあなたにそんなことができる?」と月の司祭は尋ねた。「ふん」とアネクイナは喉を鳴らした。「この者の得意な手を使うだけよ。シーエルフに勝ち目はないわ」

そしてアネクイナは勇敢にもリンヴァロールのキャンプに歩いていき、剣を持った数多くの海賊たちを無視して、シーエルフの船長が士官たちと賭け事をしているところに直接乗り込んだ。彼らは「裏切り者の円盤」、あるいは「剣と盾」と呼ばれるゲームに熱中していたため、アネクイナが彼らのすぐ頭上から覗き込んで「ふーん、面白そうなゲームじゃない。誰でも勝負できるの?それとも、耳の濡れたエルフのゴールドしか受け付けない?」と言うまで、彼女の存在に気づきもしなかった。

アネクイナの落ち着きと自信に驚き、また魅力を感じたリンヴァロールは、彼女に椅子を与えて残りの乗組員を追い払った。「勝負はしよう」とリンヴァロールは言った。「だがゴールドのためじゃない。俺が勝ったらお前は30の日と30の夜の間、俺の奴隷にして愛人となって、共に船へ乗るのだ」。アネクイナはこの要求にショックを受けたふりをして、「で、もしこの者が勝ったら?」と抜け目なく尋ねた。リンヴァロールは笑った。「これまで俺に勝った猫はいない!ましてやメス猫なんて!だから何でも望みのものを言えばいいさ。さあ、勝負だ!」

「いいでしょう」とアネクイナは言った。「この者が勝ったら私たち3人。つまり月の司祭の娘とクンザ・リ、そして私は自由になってここを去るわ」。勝利を確信していたリンヴァロール船長は、この魅力的な猫女を早くベッドに連れ込みたい一心で同意した。

その後に続いた勝負は激しいものだった。リンヴァロールは賭けのたびにはったりをかけて怒号をあげ、アネクイナはルールを知らないふりをして、円盤のタンブラーが振られるたびに怖がって見せた。しかし二人とも熟練の遊び手だった。何巡もして、尋常でない量のワインを消費した後、決定的な瞬間が訪れた。リンヴァロールは円盤を2つ残していたが、アネクイナには1つしかなかった。

両者は残った円盤をそれぞれのタンブラーに入れて回した。そして熟慮を重ねた末、二人はタンブラーを叩きつけ、容器の下の円盤で、「剣」の側か「盾」の側が表になるようにした。リンヴァロールはタンブラーをわずかに持ち上げ、その下を素早く一瞥した。剣と盾が1つずつあるのを確認して、再び円盤を覆った。アネクイナはただ笑顔を見せて、見ようともしなかった。リンヴァロールは決着が近いことを悟っていた。彼は剣2つか盾2つかを当てればいいだけだった。「2つの…」と彼は口を開き、アネクイナの落ち着いた表情から何でもいいから読み取ろうとした。「…盾」と言ったが、宣言よりは質問に近い口調だった。

「あら、大した詐欺師ね、船長さん」とアネクイナは言って自分のタンブラーを持ち上げ、円盤を示した。剣だ。リンヴァロールは眉毛の汗を払い、自分の円盤を1枚脇にのけた。「これが最後よ、船長さん」とアネクイナは言い、残された1枚をそれぞれのタンブラーに入れて振り始めた。アネクイナはタンブラーを叩きつけ、シーエルフに投げキッスを送った。リンヴァロールは唸り声をあげ、同様に叩きつけた。

リンヴァロールは確認のため、少しだけタンブラーを持ち上げた。彼の円盤は盾が表になっていた。アネクイナはまたしても自分の円盤を確かめようとしなかったので、見もせずに言った。「盾が2枚。私たち二人が誰も剣を持っていないのは明らかだから」。二人がタンブラーを持ち上げると… どちらの側にも盾があった。

「イカサマだ!」とリンヴァロールは叫んで立ち上がり、ゲームの駒を払いのけ、残っていたワインをぶちまけた。「まあまあ、船長」とアネクイナはいなした。「シーエルフは少なくとも、約束したことは守るとこの者は聞いているわ。私たちを行かせてくれれば、アネクイナは1年と1日後に戻ってきて、もう一度勝負してあげる」。船長はしぶしぶと同意した。「次の勝負はこういかんぞ」。「楽しみにしてるわ」とアネクイナは喉を鳴らした。

月の司祭の娘を間に挟んで立ち去る途中、クンザ・リが聞いた。「お前は、イカサマをしたんだな?」。アネクイナは無邪気そうな表情を見せた。「それで、本当にあいつとまた勝負するつもりなのか?」。アネクイナは笑った。「当然じゃない!他にどうやってあのお洒落な海賊船を手に入れるの?」

クンザ・リの歌The Song of Khunzar-ri

(神話の英雄の歌)

十六王国が十六部族でしかなかった時
1人の英雄がゆっくり歩いていた、背は高く、力強く、知恵にも恵まれ
その毛並みのよさ!そのかぐわしさ!五つ爪だろうか?いいや、十つ爪だ!
彼は退屈しのぎに巨人と取っ組み合い、センチの巣に突進する!

コーラス
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
声を上げて、高らかに歌え。戦士よ、恋人よ、詩人よ、盗賊よ
彼こそは称えるべきカジート!
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
誇り高く、力強く歌え!勇敢にして狡猾、気後れもしない
彼についていけば間違いない!

どんな地下牢の檻も、どんな錠前も閉じ込められない
神と呼ぶ物語もあるが、確かめられはしない
彼はジョーンとジョーデから光を引っ張り、育ちゆく畑へ注がせた
それが我々に、ムーンシュガーの恵みをもたらした

コーラス
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
声を上げて、高らかに歌え。戦士よ、恋人よ、詩人よ、盗賊よ
彼こそは称えるべきカジート!
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
誇り高く、力強く歌え!勇敢にして狡猾、気後れもしない
彼についていけば間違いない!

クンザ・リ語録、第一節Khunzar-ri Sayings, Verse One

クンザ・リはかく語る

戦争は双子月の如し

常にあるが

目には見えない

クンザ・リ語録、第二節Khunzar-ri Sayings, Verse Two

クンザ・リはかく語る

ムーンシュガーの新芽が芽生える頃

カジートは慎重に歩き

痕跡を残してはならない

これが沈黙の爪の道だ

クンザ・リ語録、第三節Khunzar-ri Sayings, Verse Three

クンザ・リはかく語る

カジートに金があっても

爪がないなら

それは富ではなく

輝く物体に過ぎない

クンザ・リ語録、第四節Khunzar-ri Sayings, Verse Four

クンザ・リはかく語る

黙って見られずに

敵の背後へ歩き

肋骨へと短剣を滑らせよう

夜へ消える前に

それがカジートの道だ

サウリニア隊長の指示Captain Saulinia’s Instructions

ユーラクシア女王の命令により

以前カロ長官に指揮されていた駐屯軍は私の支配下にある。ユーラクシア女王から直接私に与えられた命令に従うことを拒否したため、カロ長官は反逆の意思があるとされ、不服従のため投獄された。この瞬間から、シグナス不正規兵は全員私の指揮の元、ユーラクシア部隊の活動を支援すること。

このような事情のため、邸宅の母屋は一次的に封鎖され、牢獄および上級士官の司令部として用いる。カロ長官が罪状宣告のため移送され次第、この制限は解除されるものとする。この期間内に母屋を利用する必要がある場合は、タリア副隊長に伝えよ。現在、彼女は地下室への進入を許可できる唯一の士官である。そこから主要階層へ移動できる。

暗殺部隊に選ばれた兵士たちは近く、最後のドラゴンガードを探し、抹殺する任務へ参加する命令を受け取るだろう。

サウリニア隊長

ザザズララへの手紙Unsent Letter to Zazazrala

最愛のザザズララへ

お前がこれを読む頃、ヤナビはもういないだろう。何年もの間、この者はお前の関心を買おうとした。砂糖や甘いバラを贈り、お前が外国旅行でタムリエル中を飛び回っている間、飼い猫に餌をやって世話をした。応接間や便所を鏡のように光るまで磨いた。それでも私の求婚を拒絶する。お前は明らかに、何よりも力強さを重視するのだな。

そして、この者はプレデター・メサに向かった。ヤナビが以前この計画を話した時、お前は嘲笑して私が臆病者だと思った。今、お前は自分が間違っていたことを知るだろう!私がハーピーの羽と恐ろしき鳥の鉤爪を山のように持って帰ってきたら、お前も私のことを見直すかもしれない。

最も熱心な求婚者
ヤナビ

ジャカーンへの手紙Letter to Jakarn

いいだろう、スイートミート。こいつをやってくれたら貸し借りなしだ。とりあえずはな。

トゥヘイバは仲間と一緒にダークプール鉱山へ旅している。遥か西にある硫黄の洞窟だ。だが急いだほうがいい。この者は、あの女がどれだけ滞在する予定なのか知らないからな。

また会おう、可愛い坊や。

N

シャザハの日記Shazah’s Diary

黄昏の月22日

父はシャザハに見るなと言ったけど、見てしまった。

荷車一杯にカジートの死体が積まれていた。そのうち1人はこの者のために市場から飴を盗んできて、毛皮がきれいだねと言ってくれたパフズバルだった。シャザハは何と言えばいいか分からなくて、逃げてしまった。あと1つ飴が残っていたから、埋葬のため彼の手に握らせてあげたいけど、父は荷車に近づかせてくれない。

ありがとうと言えなくて残念だ。この病気がここに来ているのは悲しいけど、父と友人たちが頑張って対処している。シャザハも手伝うつもりだけど、まだ勉強中だ。

黄昏の月23日

父は恐れることはないと言うが、ニエンは誰の意見も聞かないで野菜を煮た。彼女は寝る前、シャザハに物語を聞かせてくれたし、優しかった。みんな、シャザハには分からないと思っている。シャザハはただの子猫だと。でも私には分かっている。変なことをするのは、悪いことが起きているからだ。

市場で燃えている火は、この者が炎の呪文で火傷した時のような匂いがする。それにあの火はもう何日も消えていない。

黄昏の月24日

父は今朝、金持ちの貴族の1人と話をした。みんなはシャザハが眠っていると思っていたみたいだけど、実は起きて耳を澄ましていた。金持ち貴族はこの地区の封鎖を望んでいるけど、父はまだ助けが必要な病人がいると言っている。長い間議論していた。

黄昏の月25日

父は私たちの野営地を門の近くに移した。金持ち貴族たちが帰らせてくれない。市場は全部焼かれて、人々は通りをうろついている。ものすごい数の病人。少し前、女の人がどこかの家の外で叫んで扉を叩いたけど、入れてもらえなかった。もうすぐ太陽が沈むのに、あの人が階段のそばに座っているのが見える。エデルインは彼女を助けに行ったけど、腹を立てた様子で戻ってきた。

ラネロルとソレリルの容態もよくない。父は明日、彼らを休ませることにした。

黄昏の月26日

父が一つ咳をしたけど、シャザハに水を取りに行かせてくれない。エデルインはその代わりに勉強のための新しい本を何冊かくれたけど、集中できない。空気はひどい臭いがするし、煙で息が詰まりそう。

軍隊が来るという話がある。父が薬を配るのを助けてくれるといいと思う。

ラネロルは今日の午後、父と話した後に出て行った。もう遅いのに、まだ戻ってこない。遠くの方の金持ち貴族の門の辺りで、叫び声が何度も上がった。シャザハは怖くなってきた。

黄昏の月27日

父とニエンは今朝、ソレリルを布に包んだ。彼女の皮膚は荒れて、発疹だらけだった。父の咳も悪化している。昼過ぎ、父はエデルインと話し合っていた。私の名前を口にしているのが聞こえた。

今では、通りに多くの死体が転がっている。グロソルとラリオンが前は死体を回収していたけど、やめてしまった。今、彼らは金持ち貴族たちに助けを求めに行った。

ニエンは今日、私たちのために食料を探そうともしなかった。あったのは沸騰させた肉汁だけで、この者はすごくお腹が減っているけど、残しておいたものをこっそり父にあげた。とても疲れているみたいだったから。

黄昏の月28日

ニエンがいなくなった。昨日の夜に去って行った。この者は寂しい。彼女は夜中に誰も聞いていないと思って、よく歌を歌った。でもこの者はいつも聞いていた。これでもうエデルインと父だけだ。シャザハは急に姉妹と母にすごく会いたくなった。ここはとても寂しい。みんな病気で、怒っている。今日の午後、野営地に誰かが来て、父から物を盗もうとした。エデルインはナイフで追い払わなければならなかった。

父はもうこの者に会ってくれなくなった。エデルインは、私たちが母を探すために出て行かなければならないと言う。こんな風に父を置いていくなんておかしい。具合が悪いのに!

エデルインがもう来る。残って手伝うように要求するつもり。出て行くのが運命だと父に言われても関係ない。

くだらない運命なんかより、父のほうがずっと大切だ。

ジュハ・リ年代記 第一章Chronicles of Juha-ri, Chapter 1

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第一章
ある若者が我々の元へやって来て、白き砂のジュハ・リに対して丁重に、影の踊りを教えていただけないだろうかと尋ねた。彼は他の多くの者たちと同じように、クンザ・リの優れた仲間、辛辣なアネクイナの偉大なる踊りについて耳にしたのである。お決まりの言葉と嘆願をたっぷりと舌にのせ、彼はジュハ・リに知識を授けてくれるよう頼んだ。若者は、月を動かせる踊りならばさぞかし美しいだろうと考えたのである。

ジュハ・リはこの若者に対して、彼がいつも若者に見せる笑顔を見せた。悲しみと憐れみの笑顔である。ジュハ・リは若者に尋ねた。蛇にどうやって歩き方を教える?フクロウに火の起こし方を教えるには、猿に祈り方を教えるにはどうすればいい?若者はジュハ・リの言葉の意味を理解した。彼は白き砂の偉大なる賢者の言葉に感謝し、長い徒歩の家路につき始めた。

ジュハ・リは若者に呼びかけた。白き砂の賢者はごく小さな囁き声を発しただけだったが、風がその声を運びゆく様は、まるで声がジョーンとジョーデから直接降り注いだかのようであった。ジュハ・リは若者に踊りの知識を教えようと申し出た。若者は困惑した。蛇に歩き方を教えることはできない。フクロウに火を起こすことはできない。これは影の踊りを教えることへの比喩ではなかったのか?

白き砂の賢者はうなずいた。蛇はいつでも蛇であり、フクロウはいつでもフクロウである。だが魂は多くのものになれる。しかしそのためには生涯を費やしても足りないかもしれない。多くの者はそのような代償を大きすぎると考え、決して影の踊りを知ることがない。

若者はうなずき、立ったまま考えに浸った。そしてジュハ・リが影の踊りの聖堂に戻った時、若者はその後に従った。

ジュハ・リ年代記 第二章Chronicles of Juha-ri, Chapter 2

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第二章
彼はもう若者ではなかった。白き砂の賢者の弟子としての数年間は、彼の肉体に刻み込まれた。若者の生命力を宿していた顔は沈んだ。毛皮は日々の油塗りを欠いたためにもつれて硬くなった。しかし弟子の目はジュハ・リの知恵に類したものを示していた。未だに残る世俗的なものへの飢えのために、それも覆い隠されてはいたが。

白き砂の賢者は弟子の魂が知恵を聞き入れるために必要な形を築いたのを見て、教えを施した。彼らは共に蒸留した形の月の光を体験し、奇妙な角度をした道を歩いて、微かに夢に似た場所を通り抜けたが、夢を見ていたのではなかった。ジュハ・リは弟子が月のラティスの反射のみをその目に映すよう気を配った。その栄光と恐怖を見つめたあまりにも多くの者が狂気へと至ったことを、白き砂の賢者は知っていたからである。

だが白き砂の賢者の見立てでは、ラティスの反射ですらも弟子にとっては十分だった。その無数の歪曲とリズムの中には、他のところで見られない存在の牙城が見出されたからである。

彼らは聖堂へ戻った。体は汗にまみれ、口には甘い味が残っていた。弟子は白き砂の賢者ジュハ・リに向き直り、影の踊りがどのようにして莫大なラティスに影響を及ぼしうるのかと尋ねた。

同じ大きさだからだ、とジュハ・リは答えた。同じ大きさだから。

ジュハ・リ年代記 第三章Chronicles of Juha-ri, Chapter 3

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第三章
白き砂のジュハ・リは砂漠の風に自らの死の匂いを感じ取り、最年長の弟子、すなわち影の踊りを学ぶことを求めたかつての若者に、迎えの時が来たと伝えた。師の辛抱強い教えと時の残酷さによって貧相になり、賢くなった最年長の弟子は、ダルカーン河のほとりへ行き、葦のくずを取ってきた。

最年長の弟子は白き砂の賢者を抱えて踊る月の聖堂の階段を昇り、我らの教団の信者たちがそれに続いた。彼らは月の光を吊り香炉で燃やした。煙と詠唱が石と砂と肉体を結び付けた。最年長の弟子が白き砂の賢者を山頂まで運び、辛辣なアネクイナが最後の影の踊りを踊った地下室まで連れてくると、詠唱は止んだ。月の光の煙が香炉から流れ出し、部屋は沈黙の黄昏に包まれていた。

長い献身の年月により弱ったジュハ・リは、最年長の弟子の前で、定まらない足取りで立ち、よろめいた。彼は最年長の弟子に、遥か以前にお前を踊る影の聖堂に連れてきたものが何だったか覚えているかと尋ねた。最年長の弟子はうなずいた。彼は聖典を研究したことで、年月は冬のフェッチャーフライの羽の瞬きのように短いことを知っていたからだ。

最年長の弟子のうなずきに自分もうなずきを返しつつ、ジュハ・リは微動だにせず立っていた。白き砂の賢者の魂のうちに、最年長の弟子は運動を見た。混沌としていて、しかし美しい運動を。それはラティスを通して響き渡り、月光の煙と、大小の頂点に反響して膨れあがっていった。煙となった月光が肺を焼く中、最年長の弟子は影の踊りが要求でも祈願でもないことを見た。それは存在、完璧に近い存在であった。ラティスは形を反射し、洗練させ、そうしながらもしばしの間変化した。

始まるやいなや、影の踊りは終わった。ジュハ・リは倒れ、その魂は星の彼方の砂地へと旅立った。最年長の弟子はその教えをよく聞いた。

ジョーンとジョーデの祝福The Blessings of Jone and Jode

本当にありがたい。神々による奇跡をこの目で見られるなんて!司祭がうらやましい。偉大な猫が空から下りてきて聖堂を取り戻すところを目撃するなんて、さぞかし見事な光景だったに違いない!

それでも、私が目撃した神々の行いも負けずに見事だった。カジートがアルコシュの誇りに加わったのだ!ジョーンとジョーデが轟く祝福を述べ、信者にすごい力を吹き込むところを目にした!私も近いうちに価値を証明し、気に入ってもらえることを祈ろう。

アルコシュの聖なる戦士になれたら、これ以上の祝福はない!

ショマエの日記Shomae’s Journal

この者はエスラジという、ハルザ長老が最後に持っていたカジートの伝統楽器を探してここにやって来た。長老は死ぬ前、砂漠の風の洞窟で過ごした時間について多くのことを話した、と一族の伝承は述べている。見つけた時、エスラジが砕け散っていたのは残念だが、残ってラウィス・カジの道を身に着けたいと思う。だからショマエは留まるつもりだ。

この者の師匠は、新しい生活のために新しい日記を付けろと言う。だからショマエはそうする。これを書くために集中するための最高の場所は、洞窟の隅だ。ショマエが見つけた限りでは。

ああ、エスラジがこんな状態で見つかるとは。悲しい。しかし、それがショマエをここに導いたのは良かったのか、悪かったのか?

ショマエには分からない。我々の師匠はどちらでもないと言うだろう。この悲しみを探究し、そして手放さなければならないと。だからショマエはそうする。

センチラート:ただの騎乗動物にあらずSenche-rahts: Not Just Mounts

サハルザグ 著

書記:シルザリ

謝辞:私が以前から知的な存在であり、現在も知的な存在であることを理解しなかった全ての人へ感謝しよう。諸君のため、そして他の似たような者たちのために、私はこの冊子を作らせた。諸君には心当たりがあるだろう。仮にこれを読んだ後、私と会って分からなかったとしても言葉は残る。また、私の書記にも感謝する。私は彼女が、この冊子内に注記を留めることを許可している。

センチラートは長い間存在してきた。我々は自分自身と他の者のために、守り手の役割を長く務めてきた。筋肉質で四足の体型は、単独で戦うにも組んで戦うにも向いている。仲間と組んでいない場合、我々は大きく前に跳躍し、攻撃する意思がある者を誰であろうと、爪で引き裂き噛みつける。訓練された戦いの仲間なら(「訓練された」という部分は強調してほしいが)、我々を戦場でさらに危険な存在に変えられる。彼らが秀でているのが剣であれ、杖、魔法、弓であれ、我々と組めば戦場での機動力が大きく向上し、我々は彼らがの攻撃を利用できる。互いへの脅威に目を配っておけば、共に倒される危険が減る。

上記の内容は、戦場におけるより優れた武器や戦略を求めている、血に飢えた人々にとって魅力的なものだろう。我々の戦闘能力はよく知られている。

[書記のメモ:この者はセンチラートの戦いを見たことがある。爪と歯の嵐のようだった。このような生物を敵に回してはいけない]

しかし、センチラートを隷属させ、その意志に反して利用しようと考えている者には、私からのメッセージを授けよう。

やめておけ。

以前に試みた者もいる。多少はうまくいくように思えるかもしれない。だが我々にも手がある。本当にいくらでもある。我々には仲間もいる。それに、我々の許可と受容がなければ、我々の力を最大限に発揮させることはできない。

[書記のメモ:この尊敬すべきセンチラートは上記のことを理解している。彼らはとても賢い。しかしもちろん、この者はセンチラートの手段を明かさない]

我々は物語を通して、若者たちに戦いへの協力を拒む密かな、あるいは公然とした手段を教える。もちろん読者に明かすほど私は愚かではない。諸君が知るべきことではないのだから。

要するに、諸君が我々に何をさせるつもりであろうと、我々の賛同を得る努力をしなければ、結局は失敗する。そして諸君には、失敗の理由すら分からないかもしれない。

だから対等な存在として扱わねば、何であろうと我々を味方にできると思わないことだ。

むしろ話しかけてほしい。我々は知的生物であり、耳を傾ける価値がある。我々は話をよく聞く。

[書記のメモ:確かに、センチラートが話す時はよく聞いたほうがいい]

さて、前置きはこの辺にしよう。これを読んだ者は、センチラートの相手をする時、我々が知的生物であり、固有の生活と経験を持っているということを理解して始めるべきだ。戦争に利用するための単なる騎乗動物やペット、怪物と考えてはならない。我々は友人にもなるし、家族もいる。また恐ろしい敵にもなる。対等の存在として話し始めよう。思考を持つあらゆる生物と同様、センチラート個人にその先のことは任せるべきだ。

これはよく話題に上るので重要なことだが、我々と協力関係にある何者かが、たまたま騎乗して我々と共に行動しているのを見た場合、その者が我々の所有者や世話人、操作者だと想定しては絶対にいけない。まずは「パートナー」と見なすべきである。

[書記のメモ:センチラートのことを考える時は「パートナー」から始めなければ、二度と考えることができなくなるかもしれない。そういう結果を見たことがある]

この短い冊子を読んで、諸君が私の言葉をきちんと理解し、全てのセンチラートに敬意をもって扱い、単なる獣や戦争の道具として扱うことのないよう願っている。諸君がそのようにせず、我々と出会った場合、私は諸君の態度を記憶し、どのように矯正すべきか考えよう。他の全てのセンチラートも同じようにするだろう。

[書記のメモ:これは本当だ。センチラートは長期におよぶ正確な記憶を持っている。センチラートが物事を忘れることを願うより、このことを知識として持っておくことをこの者は選ぶだろう。希望は確実でないし、人生にはただでさえ試練が多すぎる]

その帰還を恐れ、備えよDread Their Return and Prepare

カ・ブレシ・ホカイ・デル・スーング

夜明けからドラゴンが消えた
その帰還を恐れ、備えよ

体を鍛えて苦痛に備え
心を磨いて明晰となり
魂を高揚させ勝利せよ

カ・ブレシ・ホカイ・デル・スーング

タジッリのメモTajirri’s Note

旧友のアナグマがまた昼寝をしているらしい。訪ねない?旅は思ったより甘いかもしれない。

T

タジッリの日記Tajirri’s Journal

リバーホールドはタジッリの新しい始まりになるはずだった。もう酒は飲まず、賭博もせず、密輸もしない。堕落した生活は全部センシャルに置いて、心機一転するつもりだった。ようやく悪徳から自由になるチャンスのはずだった。

そうしたら母が一緒に引っ越してきた。母と一緒に、絶えることのない泣き言や文句、侮辱もついてきた。タジッリは本当にそれを着ていくのか?タジッリは本当にシュガークローをもう1つ食べたいのか?

だからまず、タジッリの憂さを少しでも軽くするためにちょっと飲む。それから家を出るために、少し賭博をする。すると当然、かなりの借金ができる。するとさらに飲酒、さらなる賭博、さらなる借金につながる。

それで、今や密輸に逆戻り。なぜならタジッリは借金を返し、家を守らなきゃならない。タジッリが絶望的な状態になってきた時、リデザが姿を現したのは幸運だった。運ではないのかもしれない。リデザはどうしてか、分かっていたのかもしれない。

いくつか仕事をするだけ。それでおしまい。リデザがリバーホールドから取れるだけの金を搾り取るのを手伝おう。そうしたらタジッリには、もう借金の心配が要らなくなる。

タジッリへのメモNote to Tajirri

タジッリ

青い大蛇は森の側を這う
四つ角の模様は品物を示す
輝くことはないが、道を印す
今日街を離れる予定

R

タハラの移動動物園Tahara’s Traveling Menagerie

タムリエルの奇妙な獣に驚きを感じますか?

自分の目で奇妙な獣を鑑賞したいと思いますか?

海を越えて旅するのは嫌い?

それなら職人通りの近くにある、タハラの移動動物園へお越しください。従順な獣と、恐ろしい獣が待っています!

トネナカの祠The Tonenaka Shrine

アカヴィリの神秘に関する研究

豪商フェイナ・ダラク 著

北エルスウェアのカジートとリム・メンが、最高顧問の失墜を受けて避難してきたアカヴィリを難民として受け入れた時、最初の到着者たちは首都の西にある使われていない地下墓地を与えられた。そこにおいて、アカヴィリは帝都からの逃避行を生き延びられなかった死者たちを埋葬した。

その地方の君主であったリンメンのサヴィリアン王とアネクイナ・カジートの女王パダラは、アカヴィリの生存者たちに対し、首都の内部および南方の肥沃な丘に再移住を促す布告を発した。彼らは血から言えば完全にインペリアルだったが、それでもかつての支配者に忠実だったため、思い出の品を数多く持ち込んだ。

リンメンはインペリアルとカジート交易の中継点として、すでに折衷的な社会を築いていたが、アカヴィリ移住者の風変りな美的感覚と文化、食習慣がこの街を決定的に変えた。アカヴィリの最も変わった貢献を敢えて一つ挙げるならば、リンメンの北方地区におけるトネナカの祠の建設だった。

アカヴィリの建築スタイルに影響を受けたカジートの石工技術によって建設されたトネナカの祠は、残っていたアカヴィリの移住者と彼らの臣下だったインペリアルにとって、文化的な試金石になった。家長たちは石を彫った小型の像を何万体も建設するよう注文を出し、南タムリエル中から彫刻家や技師を集めてこの計画に協力させた。

確かに、アカヴィリ居住者がこの計画の資金調達のために持ち込んだ莫大な富は、リンメンの経済を大きく豊かにした。しかし年月が過ぎ、残ったアカヴィリの数は激減したため、生きて祠の完成を見届けたのはたったの5人だった。大部分の者はインペリアルとの交配を進めるか、あるいは遥か南の村落ハコシャエに移り住んだ。

最後の石像が置かれた時、5人のアカヴィリはトネナカの祠に入って扉を封鎖し、進入を防ぐために強力な結界を張った。これはリンメンの権力者とアカヴィリ建築士たちの当初合意にはなかったものである。しかしゴールドの約束により、怒りは和らげられた。

祠は今日に至るまで封鎖されたままであり、その驚異的な石工技術を劣化から守るため、外部の修復が時折行われるだけだ。

ドラゴン:女王への報告Dragons: A Report for the Queen

ユーラクシア女王陛下

この報告は、北エルスウェア中でその存在を知られるようになったドラゴンに関する結論を要約したものです。

ムラームニルと名乗る竜は、カールグロンティードと呼ばれる、さらに強力な怪物へ従っています。その者はカジートの反逆者たちに対する我々の戦いに、ドラゴンの支援を申し出ています。陛下が予期した通り、あの巨大な獣たちは勝利の多くに決定的な役割を果たしています。ムラームニルを説得して一度に1匹以上を貸してもらえれば、この地域全体を支配できるかもしれません!

残念ながら、ドラゴンは我々の兵と敵の区別ができないか、あるいはする意思がないようです。彼らは味方に犠牲を出すことを気にも留めず、標的が何であれ破壊しています。あの怪物を制御しようとしても、ほとんど機能していません。

以下は私の進言です。ムラームニルに命じて、ドラゴンに命令へ従うよう教示させることです。武器とは行動を制御できた時に、最もうまく機能するものです。

それに加えて、我々の同盟を確実なものとするため、ドラゴンを支援する必要があります。暗殺部隊を送り、エルスウェアの荒野に隠れていると信じられている、最後のドラゴンガードを抹殺することを進言します。

ジャガス百人隊長
女王の宮廷戦略家

ドラゴンが1匹、ドラゴンが2匹One Dragon Two Dragon

ドラゴンが1匹、ドラゴンが2匹
赤いドラゴン、青いドラゴン。

1匹は檻から放たれ
空にいる沢山のドラゴンは怒っている

残酷なもの、素早いもの
通ると炎を吹きかけるものも

ドラゴンはあなたを凍らせる
あるいは跡形もなく焼き尽くす
咆哮で吹き飛ばし
穴に落とす!

空を見上げ
夜明けか夜中に
ドラゴンが見えるかもしれない
殺意に満ちた羽ばたきと共に!

なぜドラゴンは怒っている?
なぜここに留まる?
私は知らない
とにかく逃げろ!

ドラゴンガードの報告Dragonguard Report

シグナス不正規兵に諜報官として任命された、ファリクシア百人隊長による報告の写し

我々は北エルスウェアの荒野に隠れていると言われる、失墜し解体されたドラゴンガードの生き残りについての報告を調べることから始めた。まずユーラクシア・サルンの関心についてだが、リンメンからの情報によれば、彼女は王家の保管所を徹底的に調べ、この問題についてカジートが集めたあらゆる情報を掘り返すよう命じたという。名高い古代のドラゴンハンターを起源にするという伝説が、彼女の想像力を捉えたようだ。ドラゴンもこの問題に関心があるのかどうかについては明言できない。

月の歌い手に確認すると、相互に矛盾する情報が出てきた。ある語り手の主張では、ドラゴンガードの一軍団が丸ごと、古代にドラゴンが姿を消して以来スカーに隠れ続けているという。別のある語り手は管理人が1人だけ残っており、隠された聖域にある古代の騎士団の秘密を守っていると語った。

魔術師ギルドで確認したところ、ドラゴンガードの手法が本当にアカヴィリのドラゴンハンターに遡ることは、賢者たちの記録に残されている。ドラゴンガードの大部分はドラゴンが姿を消した後、伝統を捨てて皇帝の護衛となったが、いくつかの文書の主張によれば、少数の者が古い方法で訓練を続け、ドラゴンが再び現れた時に備えて、ドラゴンと戦うための知識を保持しているという。

以下は有力な手掛かりである。ステッチズから、西スカーの奥で隠されたアカヴィリの祠を見つけたとの報告がある。酒席で交わされた話によれば、その場所は呪われていて、危険きわまりない罠が張り巡らされているという。一部の者はまた、彼らが主張するところのドラゴンガード最後の生き残りが1人、祠の手入れをしながら、ドラゴンガードが再び必要とされる日を待っていると述べている。

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!A Dragonhorn! Oh, Dragonhorn!

スターヘヴンの記録管理者、アデプト・イジャディによる翻訳

ある日アカヴィルがやって来た
我らが星のヘヴンに
戦士たちは誇り高く
毛を剃らぬ者は1人もなかった!

彼らは言った。ドラゴンがうろついている
我々は気を付けるべきだと
「留まることはできぬ、戦うこともできぬ
持っているものを渡すのみだ」

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!
ただ一度の呼び声で
上空のいかなるドラゴンも
たちまち落下する

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!
汝は高き塔に留まる
ドラゴンが攻めるなら
奴らは汝の強き叫びを聞く!

ナハテン風邪の犠牲者のメモFlu Victim’s Note

発疹が拡がってきている。咳がひどくなっている。鼻血が止まらない。目や口から流血するのは時間の問題だ。兄はこの状態に達してから3日しかもたなかった。彼はいつも私より強かったのに。

ナハテン風邪の最初の兆候First Signs of the Flu

オークレストにナハテン風邪を持ち込んだのは何者なのか、誰も知らない。

アルゴニアンを非難する者もいる。ぺライトの仕業だと言う者もいる。原因が何であれ、この病気は素早く蔓延し、死体が山と積まれ始めている。感染していない住民の一部は避難しているが、市外の状況はさらに悪いと言う。

私はどこに行くつもりもない。オークレストは私の故郷だ。

ニクッシャの研究メモ1Nikussha’s Research Note 1

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月7日

シカトリスの者は全員、オアシスの洞窟に逃げ込んだ。もちろん、一時的な解決策でしかない。私の研究はこの季節か次の季節に完成すると見ている。幸運にも、食料と清潔な水は豊富だ。

クランマザーのアバーシは今でも私を完全には信用していない。なんといっても彼女の民にとって、私はよそ者だ。新入りで、種族も違う。だがもう彼女に選択の余地はない。この疫病はシカトリスを壊滅させ、街は灰と化してしまった。

もはや私が行動しなければ、ここの人々を救うことはできない。

ニクッシャの研究メモ2Nikussha’s Research Note 2

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月14日

なぜこのオアシスに治療効果があるのか、その理由をついに発見した。水そのものではなく、この洞窟を住処としているネレイドのためだ。我々が突然侵入しなければ、この秘密は永遠に明かされなかったかもしれない。ネレイドはどうやら、驚くほど人見知りの激しい生物のようだ。

クランマザーのアバーシは誰も彼女の側に近寄らせず、ネレイドが住んでいる中央の間を隔離している。これは愚かしい行動だと思う。ネレイドの力は我々の研究を大きく助けてくれるかもしれないのだ!カジートは何も知らずに首を振り、彼女を怒らせるだけではないかと恐れている。

このことについてはもう何時間も話し合った。無駄な議論だったかもしれないが、緊張は高まっている。ますます多くの人々が病気になり、多くの者はすでに死んでいる。それに、私がこの病気に完全にかからないからといって、私が影響を受けていないわけではない。

ニクッシャの研究メモ3Nikussha’s Research Note 3

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月28日

私は何ということをしてしまったのだろう。

私はこの疫病を抑えることができると思っていたが、どれほど努力を払っても病気は急速に拡散していった。緊急性の高さを鑑み、私は研究を急いで進めた。治すべき相手がいなくなったら、治癒など何の意味がある?

だが研究の途中で、私は恐ろしいことをしてしまった。このオアシスはかつて浄化と治癒の場所だったのに、ここもまた病に汚されていた。多くの死体があるせいなのか、単に死のオーラのせいなのかは分からない。だがオアシスは変わってしまった。それも急激に。

死体が起き上がり始め、瘴気が洞窟を満たしている。この日以降、誰一人として生き残る者はいないだろう。ただ謝りたい。こんなつもりではなかった。私はただ自分の愛する街を救おうとしただけなのに。孤独な旅人を受け入れ、あれほど信頼してくれた人々を救いたかった。

ごめんなさい。

バーン・ダルを知る者On Those Who Know Baan Dar

アカン 著

最初に言っておこう。バーン・ダルとチキンはあまり関係がない。

アカンはなぜあれほど多くの者がチキンについて話すのか分からない。確かに、ウッドエルフはチキンを爆発させるし、そのような愚かな行為を祝祭と呼んでいる。ウッドエルフはリンゴを食べるのが間違っていると言うが、リンゴは美味だろう?ウッドエルフは腐った肉と虫で酒を作る。ウッドエルフの言うことを聞いてはいけない。

よそ者はバーン・ダルが盗賊神であり、千の顔を持つ男であり、放浪者であると言う。彼らはカジートがバーン・ダルを知るようにはバーン・ダルを知らない。ウッドエルフはバーン・ダルの名においてゲームやいたずらを行い、ブレトンは生きている盗賊や伝説について語り、吟遊詩人はバーン・ダルの偉業を現世の盗賊のように歌う。

よそ者にとって、バーン・ダルは伝説であり、物語であり、冗談なのだ。バーン・ダルはそういうものではない。真のカジートにとって、バーン・ダルは我々の生き方である。彼を理解する全てのカジートは、ドーレスの農園で働く鎖でつながれた人々から、血の染みついたシロディールの戦場で金貨のために戦う傭兵まで、どのようにバーン・ダルを称えるかを知っている。

ジャ・カジートが窓の敷居からスイートミートをくすねて飢えた腹を満たす時、ジャ・カジートはバーン・ダルを称える。血で毛がガチガチになった奴隷がその鎖で奴隷商人の喉を掻き切る時、奴隷はバーン・ダルを称える。お前が奴隷にするために仕掛けた罠から遊牧民が足を噛みちぎって逃げる時、遊牧民はバーン・ダルを称える。

誰にでも見える場所に貴重品を置いたなら、バーン・ダルが持って行く。奴隷商人の鎖を他の者がちぎるのを待っていれば、バーン・ダルはお前が暗闇で憐れみの涙を流している間に抜け出す。バーン・ダルはお前を解放することも、慰めることも、助けることもしない。だが彼のために耳を澄ませるならば、バーン・ダルはお前が自らを救えるよう導く。

暖かい砂を越え、暖かい太陽の下、木や石や言葉で甘やかされていないカジートが剣と弓を持って自由にさまよう地で、バーン・ダルは従う者全てにただ3つのことを求める。

お前が持っていたいと願うものを、他人に取らせてはならない。

鎖なく生きたいと願うなら、他人に縛られてはならない。

騙されたくないと願うなら、他人に見くびられてはならない。

バーン・ダルは自分の名を称えよと求めることはない。バーン・ダルは供物を求めない。バーン・ダルはお前が愚かでないことだけを求める。エルスウェアの暖かい砂に、愚かなカジートの居場所はないからだ。

バクルへの手紙Letter to Bakul

バクルへ

私は重大な過ちを犯してしまった。甘い言葉とまやかしでここへ誘い出されたけれど、まやかしは触れた途端に輝きを失った。ここにはドラゴンがいるのよ、バクル。足元の砂のように本物だけれど、あのドラゴンがアルコシュでないのは間違いない。ただし、毎日を永遠のように感じさせる術は心得ている。

ダイルナは石を持ち上げたことも、れんがを積んだこともないのに、サンスパイア聖堂を元の美しい姿に戻すため、足がボロボロになるまで働いた。最初は嫌でなかったけれど、努力が足らないとして鞭打たれた。抗議するとさらに鞭を受けた。この聖堂を認めていないけれど、立ち去ることもできない。
バクル。この者は良い姉だったとは言えないけど、それでも姉よ。ダイルナからのお願い。この話をたてがみに伝えてほしい。ダイルナのために来てはいけない。ドラゴンとそのしもべはひどい連中よ。

この手紙が無事に届くことを祈る。誰なら信用して配達を任せられるかも分からないけど。

心を込めて

ダイルナより

ハダズの最後の手紙Hadaz’s Final Letter

マールンズの信者どもと、デイドラだらけだ。急いで書かないといけない。

デーゴンの爪という信者たちが、何らかの魔法の道具を見つけた。奴らはデッドランドの槌と呼んでいる。連中は油と硫黄を鉱山から取り、固めて召喚石のようなものを作っているみたいだ。でも、それはデイドロスやバネキンを呼ぶものではない。鉄の精霊を召喚するんだ!石炭と溶岩で出来た心臓を持つ、鉄の巨人だ!これを見つけたら、たてがみに伝えてくれ。そしてできるなら、こいつを止めてくれ!

それから、マラダーニに謝っておいてほしい。

ハダズ

フェイナ・ダラクへの手紙Letter to Feina-Darak

愛しきフェイナ・ダラクへ

我が一族が多くの重荷を背負っていることは分かっています。いつの日か、あなたは我らが民の繁栄を守るため、ハコシャエを導くことになる。あなたが最高顧問の血を受け継ぐ者だからです。この血のつながりは祝福でもあり、呪いでもある。あなたは備えなければなりません。

一族が私たちの祖先についての噂をハコシャエの外に漏らすことを禁じてきたのには、相応の理由があります。モラグ・トングは今でもタムリエルの暗部に潜んでいる。彼らはこの知らせを軽く受け止めないでしょう。最高顧問の末裔である私たちは、彼らが完了し損ねた仕事なのです。

一族の安全を保証するため、私たちはこの秘密を固く守らねばなりません。それが唯一の道です。

常にあなたを思う
母より

ヘマカル王の墓King Hemakar’s Grave

ヘマカル

平和の運び手、
愛されし父
名誉あるアネクイナの王よ

今、王は歩む
星の裏の砂場を
次の襲撃の時まで

ペライトへの手紙Letter to Peryite

ぺライトよ、感謝します。

あなたがこれを読むことはないと承知していますが、私の祈りを聞き届けてくださったことに、文章で感謝したいのです。この手紙はあなたに向けたものですが、あなたに宛てたものではありません。全ての不信心者、疑う者たちへ宛てた手紙なのです。古き神々が彼らの邪心を洗い流すだろうと私が告げた時、鼻で笑った連中へ。私は全てのデイドラ公に祈りましたが、応えてくださったのはあなた一人です。この街を正す唯一の道は、内部から破壊し、灰燼に帰すことだけだと理解したのはあなたです。私の体にまでナハテン風邪が拡がり、血が口から流れ出ていても、私の口には笑顔が走り、熱に浮かされた心にはたった1つの言葉が巡っているのです。

ぺライトよ、感謝します。

マーズラ・ジョーのメモMarzula-jo’s Notes

第二紀342年、恵雨の月12日
さて、ついに不名誉の家にたどり着いた。他のカジートが近づこうとしない理由がよく分かる。あらゆる死霊術の実験がここで行われたに違いない。壊れた壺、カビ臭い蒸留器、半分開いた石棺等々。私も死霊術には詳しいから、それだけなら不安になるようなことではない。だが、マーズラ・ジョーは緊縛のベルトと首絞めの輪も見つけた。ここの死霊術師たちは粗暴な死霊術を行っていたに違いない。疑いなく闇のクランマザー、マファラへ捧げられた死霊術だ。この者の心は深い失望に満たされる。それでも、不名誉の家では自分なりの、完全に道徳的な実験を行うための場所と孤独が得られる。仕事にかかる時だ!

[奇怪なグリフや謎の公理を含む記述がいくつか続くが、大部分は水で滲んでいて読めない]

第二紀342年、真央の月22日

また一つ成果があった!骨の粉と木椅子キノコの溶液6ドラムを基本の蒸留水に入れることで反応が安定し、遥かに揮発性の低い混合液ができる!残るは最近死亡した組織に塗って、数日間厳密に観察するだけだ。私が見つけたウサギは、試験対象として完璧なはずだ。

マーズラ・ジョーは大きな誇りと興奮を感じているが、気をつけて進めなければならない。実験のこの段階には多大なリスクが伴う。

第二紀342年、真央の月28日
再生したウサギは不穏な行動を示した。檻の格子を攻撃し、口から泡を吹いている。この者にはまだやるべきことがあるようだ。

第二紀342年、収穫の月8日
暗い月よ!重い心で報告しなければならないが、マーズラ・ジョーの最高の友人シュガースノウトが昨晩命を落とした。センチタイガーとしてはとても若く、まだたったの4歳だった。ほんの数週間前、激しい病が彼を襲い、必死の努力にもかかわらず、容体は急速に悪化した。この者は心が痛い。これについてもう何も書くことはない。

第二紀342年、収穫の月11日
長い間考えた末、蘇生薬の最新バージョンをシュガースノウトに試してみることにした。下等な獣でもっと試すべきなのは分かっているが、この機会を見逃してしまったら、自分を許せなくなるだろう。マグルスよ、この仕事を優しい目で見守り給え!

第二紀342年、薪木の月2日
成功だ。ある意味では。私の錬金術的な治療はシュガースノウトを予想どおりに蘇らせたが、彼は攻撃の徴候を見せ、私が呼んでも分からない。マーズラ・ジョーはすでに自分の決断を後悔しているが、やってしまったものは仕方がない。今となっては、この者にできるのは最善を祈ることばかりだ。とりあえずは、私の錬金術のレシピを洗練させる作業を続けよう。次の検体は、愛するシュガースノウトよりもうまくいくことを願う。

マファラを称えよ!Praise to Mafala!

糸を紡ぐ方を称えよ!
巣を紡ぐ方を称えよ!

古代の秘密を隠し持ち
その策略は忍び寄る

血と骨で称えよ!
まかれた闇の種となれ!

マリザズの日記Malizaz’s Journal

ズモグ・フームの見習い死霊術師マリザズ 著

また行き止まりだ!また失敗だ!マリザズは何日もスレンダルの揺りかご近くの大墓地を発掘して過ごした。爪は汚れ、尻尾がよじれる労働を何日もやった!それなのにこの者が見せられるものといったら、バラバラの骨が1袋と、腰の痛みだけだ!

こんな惨めなことをさせられると知っていたら、ズモグ・フームと奴にへつらう連中について来なかったのに。マリザズは実力を証明しなければ!本当に価値のあるものを見つけないと!

* * *

バルを称えよ!この者の調査で、アッシェン・スカーの奥にしまい込まれた財宝の存在が明らかになった。聖句箱のようなものだ。どうやら、アルム・カルという謎の多いリッチが、自分の爪でこのオーブを削ったらしい。このオーブに込められた力を手にできれば、ズモグ・フームが遠からずこの者に仕えることになるかもしれない!

* * *

マリザズはついに聖句箱を見つけた!遺跡は不安定だから、簡単なことではなかった。だが問題は、建物の耐久性だけじゃなかった。小さな猫の霊魂が、隠された月の僧房の広間をうろついている。霊魂は一度ならず私を崩れかけた通路へ導き、ぐらぐらする床を通らせようとした。最後にはこの者が勝利したのを見て、霊魂は悔しかったことだろう!

さて、運命的な発見の瞬間だ。もうすぐ私は、アルム・カルの秘密を全て知ることになる!エルスウェアの民よ、刮目せよ!マリザズが到来する!

ムーンシュガー:報告Moon-Sugar: A Report

帝国交易省の密偵/調査官、コルネリウス・クラニウス 著

ムーンシュガー!ドラゴンスター・キャラバン社が輸入を始め、また猫どもがこれは神聖だが無害な調味料だと主張して以来、ムーンシュガーはより広まるようになりました。しかし、これを野菜に振りかける者に何が起こるか、見たことがありますか?興奮する!そしてだるい気分になるのです!両方同時になることもあります!猫どもは我らが若者たちを、その甘く毒のある「砂糖」で堕落させるつもりです。すぐにでも帝国から締め出さなければ。子供たちのために!

しかし、交易省が私の言葉を鵜呑みにするとは思っていません。だから抜け目のないコルネリウス・クラニウスは真実を明らかにするため、自らエルスウェアまで旅立ったのです。

ムーンシュガーの第一印象は意外と迫力に欠けます。砂か粉、または水晶のような物質です。一つひとつの「かけら」は米粒のサイズから親指のサイズまで幅があり、砕くか溶かして料理に使います。白か銀色の光沢があり、見た目は塩の結晶に似ていますが、光を通しません。むしろ固体のムーンシュガーのかけらに光が当たると、中から光を発するように見えるのです。

これが反射光に過ぎないのは明らかですが、ムーンシュガーが結晶化した月の光で出来ているという文化的信念はここから来ているのかもしれません。多くのカジートはこれを彼らの神々の贈り物と信じています。ある民間伝承は彼らが「砂糖の神」と呼ぶアズラーについて語っています。アズラーは月の光を湿地へともたらし、光はそこで砂糖となったのだと。このような原始的な信仰は少しでも錬金術の知識があれば容易に反証できますが、それは私の専門ではありません。

エルスウェアの風景に点在する数多くの小さな僧房に入ると、ムーンシュガーが様々な儀式で用いられている姿が見られます。こうした場所では、ムーンシュガーを摂取することで、彼らの神々の魂の一部を吸収すると考えられています。多くの者はムーンシュガーを様々な調合薬に混ぜて接種し、瞑想と組み合わせることで幻視を得られると信じています。

彼らはムーンシュガーが悟りをもたらすと述べていますが、真実はもっとおぞましいものです。こうした僧房は時として、自分たちでムーンシュガーから精製したスクゥーマを用いるのです。月の司祭は自分たちだけが使うもので、決して配布はしないと言い張りますが、騙されるコルネリウス・クラニウスではありません!この二枚舌の「賢人」どもは、薬物の使用により幻視を得ると主張します。こんな発想が帝国内部で流行ったらどうなるか、想像できますでしょうか?

帝国交易省の密偵/調査官であるコルネリウス・クラニウスが、このムーンシュガーをいくらかでも吸ったことがあるか、とお尋ねでしょうか?本当に言うほど酷いものか試してみたのかと?そう、試したからこそ、私はこれほど熱心に禁止を叫ぶのです!というのも、カジートはムーンシュガーをあらゆるものに入れ、毎日のように食べています。彼らは甘いものに目がないので、そうして欲求を満たしていると言う。たわごとです!奴らは全員薬物中毒なのです。それだけのことです。使えば使うほど、その効果に鈍感になる。しかし、我々人間はどうでしょう?我々は感覚が鈍っていない。自らの最も卑しき衝動に負けてしまうでしょう!

この敬虔にして熱心な密偵がムーンシュガーを食べた時、何が起こったと思いますか?狂ったように笑いだしたのです!何というエネルギー!何という情熱!自らを厳しく律する几帳面なコルネリウスが、街灯を抱きしめたのです!爪の痕の一つ一つが魅惑的な発見でありました。その手触りは歓喜を呼び覚まし、私は誰彼構わずこのことを話して回りました。我らが若者たちが座り込んで、単なる物体を愛する様を思い浮かべていただきたい!これこそカジートが求める未来です。帝国は機能不全となり、避けがたい崩壊への道を開くでしょう。

もしあれが街に残されるならば、我々は座り込んで堂々と自分の感情を発露させる、変質的な世代を丸ごと一つ作ってしまうでしょう。その後に倦怠感が続くのは言うまでもありません!カジートが怠け者なのも当然です。あの恐るべき砂糖が体を巡ったら最後、力を奪われ疲労困憊してしまいます。あれはインペリアルの労働倫理と相容れません。

そう。ムーンシュガーはただちに違法化されるべきです。

忠実にして献身的な密偵/調査官
コルネリウス・クラニウス

ムズムの日記M’zum’s Journal

ムーンシュガー泥棒たちはより大胆になっているようだ。ムズムには全く理解できない!地下室の入口に衛兵を置き、傭兵を雇って農場を巡回させ、まだ残っている作業員全員を尋問し、さらにもう一度尋問した。なのに成果がない!

もしかすると、あのレッドハンドに騙されたのだろうか。あの連中がムズムのムーンシュガーを奪ったとしても不思議ではない。しかし、事業提携がこれだけ進んでいる今、このようなことで告発するのはまずいかもしれない。

それなのに、ベラニが話すのはいるかどうかも分からん獣のことばかりだ。馬鹿げている!

メレロンの日記Melleron’s Journal

私はロトメス作りを生業とするエルフだ。両親もそうだったし、両親の両親もそうだった。また、グラーウッドでは人気の職業である。長い狩りの後に、強いロトメスを飲まないウッドエルフがいるだろうか?

だがエルスウェアは全く異なる市場だ。カジートは私の醸造酒の匂いを軽く嗅いで、さっさと行ってしまう。あらゆる種類の売り口上と割引を試したが、まだ1人の客さえもつかめていない!イフレにかけて、無料の味見すら受け入れようとしないのだ。

そこでこの新しい、甘いロトメスの出番だ。本来の飲料が持つ豊かな肉の風味はそのままに、カジートの客を満足させる甘みを仕込んである。ただあと数日、発酵させればいいだけだ。タラズルと私がステッチズに着く頃には、試飲の準備が整うはずだ。

モジャは愚かだMojha is a Fool

モジャは愚かだ。ドラゴンが神じゃないからって何だ?崇拝に値しないと言うのか?

鞭を打たれずに済むのなら、偉大なトカゲのために頭を下げて掃除でも労働でもするつもりだ。二度と近付くな。この者は自分の身を守るために裏切るからな。

この言葉をしっかりかみしめ、忘れるな。

やり残した聖餐A Sacrament Remains

ナザラ 著

この地に帰ってくるのは、この者が想像していたよりも難しかった。夜母が任務のためナザラを呼んだ時、私は病気と死、悪臭がするゴミで満たされたこの場所を去った。今、私は自分がここにいなかった期間と同じだけ古い依頼を完了するために戻ってきた。標的がすでに死んでいる可能性もあるが、聖餐は終わらせなければ。だからナザラは彼を探す。

この者はアッシェン・スカーから捜索を始める。エルスウェアにある、無数の大規模埋葬地の一つだ。ナハテン風邪が襲った時、この者は埋葬地が満杯になるのを見た。多くの者がアッシェン・スカーと呼ぶのは、その最初のものだ。ナザラのような一般の民にも感じられるほど、霊的な力が強い。標的は何かを探してここに来たが、自分が見つけたものが正しいのかどうか疑っていた。崩壊しかけた遺跡の影には常にアンデッドが徘徊しており、影の中を歩むこの者にとってさえ危険だ。

標的がここに埋葬されている証拠はなかった。だからもっと先を探さねばならない。

手掛かりを追って南へ向かい、ここの民がステッチズと呼んでいる、石の尖塔とガタガタ揺れる木の橋の地に辿り着いた。ここはいつも不運な者、卑しい者、無法者の隠れ場所だった。ナザラはこの場所で初めて、この爪を血で汚した。この場所を変えてやると言った子猫がいたことを覚えている。この地に希望をもたらすと。聞くところでは一時成功したようだが、今は姿を消した。抱いていた夢と同じように。

この者の標的はここにいなかったが、彼を覚えている者は見つけた。彼は一人で南方へ、遊牧民のキャラバンと共にナハテン風邪を逃れて旅に出た。ナザラはその後を追う。

シカトリスはかつて、オークレストから西エルスウェアまでの街道沿いにある小さな街だった。遊牧民はそこに立ち寄って食料を調達し、物語を語った。そこは休息と温もり、笑いの場所だった。しかしナハテン風邪はその全てを滅ぼした。この場所の居住者たちはあるアルゴニアンに従い、助けを求めてオアシスに行ったという噂を聞いている。ナザラが見つけたのは毒の充満した洞窟と、獲物が再び単独で出発したという証拠だけだった。

今度は彼も病気になり、北へ向かった。スカーが鳴く場所へ。その場所は分かるが、そこで見つけることになるものを私は恐れている。

この者の毛皮の色がもっと濃く、爪がもっと鋭かった頃、ウィーピング・スカーの物語を聞いた。暗闇の中に入り、快楽と血の渇望に身を任せたカジートたちがいた。大部分の者は戻ってきて、再び暗闇の中に入って行った。しかし一部の者は留まった。

ナザラの標的は留まった。彼を追って暗闇へ入ると、ナザラの子供じみた恐怖が牙と血への渇望を持った怪物となって現れた。彼らは攻撃してこなかったが、状況は何だか不自然で、違和感があった。何かの争いが起きているようだが、それに参加するつもりはない。探しているのは標的のみ。そして私の若い頃の亡霊は、それを与えてくれた。

標的はナハテン風邪に侵され、スカーの吸血鬼のところで永遠の命を求めた。彼は病気を別の病気で滅ぼそうとして、死の暗闇を別の暗闇と交換したわけだ。それは成功しなかった。そしてナザラの標的は月の光の中へ旅立った。

このカジートはかつて、自分の妻とその子供を襲った。スクゥーマと貧困によって彼は怒りに駆られ、怒りは彼の妻を駆って聖餐を行わせた。その子供は母の願いを叶えるために来たが、父が自分自身の暗闇を見出したことを発見した。

今は別れを告げておこう。聖餐は満たされ、娘はもはや残る必要もなくなった。夜母は今も優しく呼びかけ、ナザラは応える。

ユーラクシアの個人的日記Euraxia’s Personal Journal

カジートの神話と伝説にはやはり興味をそそられる。なんといっても憤怒の石へ私を導き、間抜けな腹違いの兄を騙してホール・オブ・コロッサスからドラゴンを解放させることを可能にしたのは、月の歌い手たちによって伝えられるクンザ・リの物語だった。

残されたクンザ・リの物語では、他にどんなことが待ち受けているのだろう?確実なのは〈裏切り者〉の役割だろう。奴の吐き気のする首は、私の筆頭死霊術師を哀れな子犬のように追いかけている。奴は伝説から我々のところに出てきたのだ。そして月の門の必要性も。だが(少なくとも私的なメモの中では)認めねばならないが、あれに対して形而上学的に完全な理解をすることはできそうにない。

一方で、エルスウェアにおけるドラゴンガードの最後の生き残りに関する噂の調査が、ついに実を結んだ。我々はこの潜在的脅威を排除し、カールグロンティードに協定の真の価値を示してやろう。カロ長官の報告書を、もっと詳細に検討するのが待ち遠しい。

あの忌々しい男が、私に送ればの話だが。

ユーラクシアの死霊術師Euraxian Necromancers

宛先:たてがみの代弁者ガレシュ・リ卿
差出人:代弁者の密偵カミラ

僭女王が即位の直後から死霊術師と闇の魔術を利用していることはわかっています。しかしここ数ヶ月、僭女王の勢力を支持する死霊術師の数が劇的に増加しています。その原因はただ1つ。闇の魔術師にしてユーラクシアの死霊術師の長、ズモグ・フームです。

「闇の技の王」を自称するズモグ・フームは、ロスガーの最北地方の出身だと言われています。このオークの死霊術師に関する若い頃の情報は、腹立たしいほど少ないものですが、多数の推測はなされています。ロスガーの荒野は苛酷な地で、オークの要塞での生活は厳しく、質素で無慈悲なことが知られています。しかしそこで生存し、頭角を現したオークは良質な剣に似ています。叩かれて鍛えられることで、カミソリの刃のように鋭くなるのです。

アネクイナに来る前の彼を示す最初の証拠は、次元融合の危機の間、虫の教団の活動を調査した報告書にあります。詳細は乏しいながら、ズモグ・フームの名は教団の幹部メンバーとして載っており、黒い虫の教団の指導者であるマニマルコとの密接なつながりが示唆されています。しかし降霜の月のクーデターの直後には、彼がリンメンで活動していたことを我々は知っています。おそらく、次元融合に関する教団の活動に直接関わってはいないと思われます。

ユーラクシアがズモグ・フームを特に勧誘したか、リンメンの玉座を奪った後でズモグ・フームの方から接近したのでしょう。当初のズモグ・フームは付き従う小さな集団を擁しており、彼の個人的な暗黒教団の基礎となりました。北エルスウェア防衛軍は何度か迷い出てきたゾンビやわずかなスケルトンと戦いましたが、基本的に死霊術師たちはこれまで、ユーラクシア軍において副次的な役割のみを果たしてきました。それが変わりつつあるのではないかと懸念しています。

次元融合が終わり、虫の教団が表面上は解体してから、多くの死霊術師が僭女王の旗の元に集まり、残忍ながらある種の魅力があるズモグ・フームに導かれています。捕獲した魔術師の何人かは指導者に対して異常な崇拝を示し、ズモグ・フームの暗黒の力と、彼とユーラクシアがエルスウェアを完全に手中に収めたら何をするかについての脅迫を、嬉しそうに話していました。具体的な計画についてはほとんど明かしていませんが、ズモグ・フームがその秘密の隠れ家と、彼らの言葉で言う「アンデッド工場」で何をしているのかについては色々とほのめかしています。

噂を信じるなら、ズモグ・フームと弟子たちは人目につかない場所に工場を設置し、そこで儀式や実験を行い、ユーラクシアの傭兵部隊を強化するためにアンデッド軍団を蘇らせているようです。まだこのような邪悪な場所から生み出されたものを目にしてはいませんが、地域全体で墓荒らしの証拠を発見しています。特にアッシェン・スカーなど、ナハテン風邪の流行が最もひどかった時代の大規模墓地周辺で、こうした証拠が見つかっています。

我々はズモグ・フームと信者たちがユーラクシアに兵士を無限に供給する前に、始末する方法を見つけなければなりません。疲れを知らず際限なく復活する軍隊を押し返すことは、防衛軍にとって不可能です。アンデッド工場を見つけだし、全力で稼働する前に破壊するしか方法はないでしょう。

ズモグ・フームを殺すことができれば、なお良いのですが。

ラーチの命令Rahti’s Orders

いいかお前ら。偽善者どもの牧場を手緩く襲撃するのはもう終わりだ。穀物を数袋、前の日に残った肉を一握りかすめ取ってくるなんて。俺たちは狩人か、それともネズミか何かか?

どんな武器でもいいから集めて、全面攻撃の用意をしろ。あの動物どもは檻に入れ、週末までに売り飛ばす準備をするんだ。特にあの白センチだ。あれは高値で売れるぜ、間違いなくな。

お前ら役立たずには無理だっていうなら、新しい狩人を探すまでだ。

-ラーチ

リサナ・ディ・レナダの謎かけRiddles of the Rithana-di-Renada

ドレモラが這い回る墓の中
左に2回、右に2回、3つの壺を上に
リンメンの遺産が待つ

恥ずかしき家の奥深く
黄金の花に見守られて
リバーホールドは忍耐強く座る

星の天国の東
丘の上、石のアーチの下
デューンは空から隠れている

丘の頂上、地面の下
骨と宝箱の間に
ヴァ―カースは隠されている

プロウルで空のかけらを探し
西に隠された裂け目を探せ
メイアヴェールはランターンの明かりで待ち受ける

メイアヴェイルの西の道
吊られた橋を越え、石の階段を昇る
ペレタインが2つの炎の間で待つ

砂漠が遺跡を覆うところ
牙を持つ死霊術師がうろつく場所
スカーの端に光るはアラバスター

密林で絡まる根の中央に
柱が立ち、柱が倒れる
そしてブルクラは冷たい水に浸かる

煙の立ち込める残り火
朽ち果てた街の中に
オークレストは石の祠に守られる

スカーはコリンスのために泣く
2本の曲がった木の間
サバンナの草が生える場所

ステッチズの西、茶の丘にて
4つの柱が共に立つ
ヘルカーンを中央に戴いて

灰の傷の遥か上
孤独なテントに守られて
センシャルは這い寄る死者から隠れている

石のカジートがテンマールを守る
彼女が双子月を崇拝する
聖堂の中庭で

トルヴァルは虚ろな切り株に座る
アーケイズ・ラッシュの泉で
ネレイドが濁った水を守る

リンメンの郊外、反乱の野営地
遺跡が丘の上で歪む
ケナーシはその中で待っている

ルディファングThe Ruddy Fangs

鋭き爪のザイレバ 著

ルディファングについてまず言っておくべきことは、私たちが単なるごろつきや盗賊、詐欺師や殺し屋ではないことよ。その全部だからね。私たちはこの月に見捨てられた地で正義を保とうとする、全ての者にとっての災厄になる。それで満足してる。

道徳心があるなら、捨ててしまいなさい。善行をしろとしつこく言ってくる、倫理というちっぽけな良心はもう必要ない。必要なのは周囲に先駆けて進み、頂点に達するためなら何でもする意志だけよ。そうでなければ生き残れない。

私たちの主な資金源はエルスウェア内外での密輸よ。砂糖の売人とシロディールに行ってもいいし、小さな街で盗賊のリデザと協力してもいい。運が良ければ、私と一時的に仕事をするかもしれない。いずれにせよ、遠からず財布にはゴールドが流れ込むでしょう。ただ質問をしないように。細かい部分は知らなければ知らないほどいい。

ああ、それからもう一つ。この役に立つ案内をここまで読んだなら、もう出ていくことはできない。少なくとも、生きてはね。だから新しい生活に慣れなさい。それも急いで。

畏怖のマントを纏えTo Wear Dread Mantle

ヴェン・イロ・ドセク・カン・フーン

武具は強く、精神を高め
畏怖のマントを纏え

我らが故郷の神々は
血を流し四つに裂かれ
卓越した教えを授けた

ヴェン・イロ・ドセク・カン・フーン

王国は倒れ民はさまようKingdoms Fall People Wander

ノル・ファ・インドヴィト・ケル・ウソク

兄弟の他に頼れる者はない
王国は倒れ民はさまよう

我らが番は決して終わらぬ
壁よりも長く立ち続け
玉座よりもさらに強くあれ

ノル・ファ・インドヴィト・ケル・ウソク

獲得した動物の記録Beast Acquisitions Log

新しい戦利品:

ジャッカル、オス:
身はしまってないが、皮は見栄えがいい。肉はシチュー用にとっておいたほうがよさそうだ。皮と頭蓋骨は20ゴールドぐらいで売れるはずだ。

センチパンサー、オス:
がっしりした獣だ。栄養状態がいい。皮は左後ろ足に傷があるだけ。罠の傷だろうか?皮の価値を大きく下げるものではない。こいつはリンメンで丸ごとあのハイエルフに売るのがよさそうだ。あの足長の紳士どもは、こういう動物を役立てる方法を何も知るまい。情けない連中だ。おそらく200ゴールドになるだろう。悪くない。

センチライオン、メス:
骨格が丈夫で、肉は硬いが、脂肪がたっぷりある。おそらく木工職人用の獣脂を作るために使えるだろう。新しい弓もほしかった。皮自体もいい値で売れそうだ。100ゴールドぐらいか。いい絨毯になるかもしれない。取っておくのもありか?

センチライオン、オス(白い!):
こいつは1年ぐらい見ておけ。金を持っていて、丸ごとオルシニウムに連れ帰る意思のあるオークの買い手を探せ。問題にするほどの傷はほぼない。サイズは巨大だ。2000ゴールドは下らないだろう。たっぷり食事をとらせるのを忘れないように。だが必要なら、鎖の轡をためらうなよ。

獲物として戦えFight As Prey

レト・アシュトゥ・ジン・フォング・ダン・ロ

ドラゴンの名誉は忘れよ
獲物として戦え

逃げて隠れ、待ち伏せて襲いかかれ
無数の切り傷にて負傷させよ
欺きは誇りに勝る

レト・アシュトゥ・ジン・フォング・ダン・ロ

甘いムーンシュガーの茎Sweet Moon-Sugar Cane

(カジートの労働歌)

ウッドエルフにはロトメスがある
肉と胆汁で出来た酒
トカゲは虫と枝を喰う
どれも全くひどいもの

だが砂を歩く我々は
人生最高の快楽を知っている
この上なく甘く、美味な食べ物
ムーンシュガーこそ我々の宝!

コーラス
月光に浸った畑は
夏の雨をたっぷりと浴びて
輝く緑を高々と伸ばす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

双子月よりの贈り物
その満ち欠けと共に
我らの器と、魂を満たす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

上等のステーキに振りかければ
甘美なる輝きを放ち
サーモンに塗りつければ
すぐにぺろりと平らげる

甘いお菓子に入れて焼く
味見はいかが?
急いで全部食べなさい
無駄にしたらもったいない

コーラス
月光に浸った畑は
夏の雨をたっぷりと浴びて
輝く緑を高々と伸ばす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

双子月よりの贈り物
その満ち欠けと共に
我らの器と、魂を満たす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

救援求む:メイアヴェイルHelp Wanted: Merryvale!

スイートウォーター農場は予期せぬ問題が発生したため、健康な作業員を探しています。

潤沢な報酬を保証します!

興味のある者はメイアヴェイルの街にいるラクザルゴに話してください。

叫びが破滅への道Devastation is the Scream

ミク・ワノ・フェル・テト・プリヌク

鉤爪でも、尻尾でも、牙でもなく
叫びが破滅への道

石も兵も裂く
敵に沈黙させ
喉に叫びを留めよ

ミク・ワノ・フェル・テト・プリヌク

恐ろしい鳥:その生態Terror-Birds: Up Close and Personal

ダルダーフィン 著

私は捉えどころがなく危険な恐ろしい鳥を探すため、北エルスウェアのより人里離れた地域を訪ねるという、唯一無二の素晴らしい機会を与えられた!現地ではクラサートと呼ばれるこの巨大で恐れを知らぬ猛禽は、とてつもなく攻撃的な性向を持ち、知能が高く、かつ見目麗しい存在である。可能な限り接近するつもりだ。

カジートの戦士たちはしばしば、自らの獰猛さを証明するためにこの動物を単独で狩るが、勝利と同じくらい頻繁に死ぬ。この肉食動物を甘く見てはいけないのは明らかなので、接近する際には最大限の注意を払わねばならないだろう。

* * *
私は若いオスの恐ろしい鳥を追跡して、テンマールの鬱蒼と茂ったジャングルへ入り、夜の間ずっと観察し続けた。なんと雄大な生き物だろう!私がこれまでに会った最大のオークやノルドよりも明らかに大きい。体重は年老いたダルダーフィンの10倍もあるだろう!見せたいものだ。彼が羽を揺らし、翼を広げるところを!長いアーチ状の首が左右になびき、暗いビー玉のような目は月の光を受けて輝く。メスに向けて誇示しているのだろうか?私の存在を察知して、警告を発しているのだろうか?

* * *
いやはや、危ないところだった!あの素晴らしい鳥が空を飛べず、木登りもできないのは幸いだった。でなければ間違いなく私は命を落としていただろう!あれは警告などではなく、合図だったのだ。もう少しだけ近くまで歩み寄ろうとした瞬間、私は突然、もう3羽の恐ろしい鳥に囲まれていた!彼は単独ではなく、群れのための偵察として行動していたのだ。実に見事だ!あの生物が持つ知能には驚いた!

恐ろしい鳥は影に隠れて移動するのに適している。羽根は濃い青色、あるいは埃がかったような黒に見え、喉の部分に印象的な、血の斑点のような模様がある。実に恐怖を誘う姿だ!彼らが私を罠にかけた時、そのうちの1羽がセンチを追いかけ、強烈な蹴りで仕留めるところを見た。そこから鳥は鉤のようなくちばしを凄まじい力で突き刺し、肉も骨も貫通してしまった。ハイエルフの動物園では絶対に見られない光景だ。恐ろしい鳥はムーンシュガーの草花を食べると言われたが、それは違う!彼らは血に飢えた猛禽だ!

夜を通して、私はこの群れが接近してくる全てのものを攻撃するのを見た。彼らが集団でアンテロープを殺しておきながら食べなかった時、私は何かがおかしいと思った。巣が近くにあるに違いない。だから接近して見にいくべきだ。他の人にはお勧めできない。ものすごく危険だからだ!

* * *
恐ろしかった!群れの狩場に近い小さな洞窟の中にいるが、ここには枝と破れた布地、羽根で作られた巣がある。心なき鳥の群れが作ったものにしては非常に精巧だ。また、巣には卵がいくつか入っている。卵は青い筋の入った暗い楕円形のオニキスのような見た目で、それぞれが私の頭ほどの大きさだ。実に素敵だ。だがこの美しい卵に触れたくはない。触れれば私の匂いで両親は卵を捨てるか、あるいは破壊さえしてしまうかもしれない。私は他の種がそういう行動を取るのを見たことがある。残念ながら、メスが1羽戻ってきたので、とりあえずはこの洞窟から動けない。

* * *
この雄大な鳥も夜中は目がよく見えないので、暗闇が訪れた機会に逃げ出すことにした。正しい判断だった。逃げたすぐ後に、さらなる群れが到着したからだ。恐ろしい鳥は、子供の世話に関しては公共的な性質を持っているようだ。

そろそろ文明の地へ戻るべき時だ。密猟者たちがエルスウェアに来ており、この雄大な生物をスポーツとして狩ろうとするだろう。読者のみなさんが私と同様に、そのような活動に対して反対の声を上げてくれることを願っている。動物には敬意を払うべきであり、保存に力を尽くすべきである。娯楽のため、あるいは恐怖から殺すべきではない。動物はこの環境の価値ある一部で、あのような見事な生物が消えてしまったら残念だ。

空の牙のジュン・ジョーへTo Jun-Jo the Empty Fang

空の牙のジュン・ジョーよ、お前の時は来た。お前の体は十分に弱く、魂は十分に強く、心は十分に冴えている。

空の牙のジュン・ジョーよ、今登らなければならぬ。神々がかつてお前の祖先を呼び、お前の後の人々を呼ぶように。

山頂へ行け。風がお前の毛皮をなびかせ、太陽が顔へ降り注ぐに任せよ。木々のみを支えとせよ。その針と種、樹脂を。形なき地をさまようため、肉体は拒絶せねばならない。お前の形は縮小するが、心と魂は大きくなるだろう。

お前は渇きで水を求めるだろう。飲め。そして1日ごとに、飲む量を減らすのだ。残された毛は抜け落ちるだろう。残された心臓は遅くなるだろう。呼吸は止みつつある風のようになるだろう。

そして体が用意を整えたら、天は霊と化したお前の魂を待ち受け、その秘密で満たすだろう。体は魂の帰還を、双子月とラティスの雄大さに見守られながら待ち受けるだろう。

空飛ぶ神々の叡智Wisdom of the Flying Gods

マグニウス・カルッサ 著

我々の言葉は位階を問わず広がっており、その外の人々にも遠からず広められるべきである。真なる主の御言葉を書き記し、教える時が来ている。我らの上空を飛ぶ神々の御言葉を。私は耳を傾けたため、聞いたことを伝えよう。彼らの知恵を。彼らの命令を。

以下に記すのは私が理解したドラゴンの言葉であり、その言葉が何を意味するかについて、不完全ながら解釈したものである。

* * *
「ドブ・ニファ―ス・ウィーセロス」
ドラゴンは蔓の罠を恐れない。

汝の力を自覚せよ。低劣なる存在を引き倒す弱さに陥ってはならない。

* * *
「ニーンゼイ・ミール・ワー・ヴィーク」
裏切りは敗北への道である。

裏切り、文字通りに言うと毒に侵された兄弟は、同盟に穴を穿つ。それは終わりの始まりと成り得る。

* * *
「ニーンゼイ・ミール・ワー・クロングラー」
裏切りは偉大なる勝利への道である。

主たちは賢い。時として、同盟を破ることは勝利を得るために必要である。

* * *
「ルル・ジョル・ロク」
不安定な時は、起ち上がれ。

私は最初これを勘違いした。というのも「ロク」は単に「空」を意味し、それゆえ空を見るべきだという意味だと思ったのだ。だが今では完全に理解している。これは空を見て上空に助けを求めよという命令ではない。空を飛ぶことの隠喩なのだ。「起ち上がれ」。すなわち力を振り絞り、激しい風を越えて上に突き進めということだ。地上の安全を求めてはならない。起ち上がり、より偉大な栄光を求めるのだ。

* * *
「ヌノン・メイ・ボ・ストラン・ヴォコスティード・ナール・ソブ」
嵐の中を飛び、雷に驚くのは愚か者だけである。

周囲の状況に注意せよ。環境を見ないか、目標に集中しすぎて周囲の明らかな危険を忘れることがあってはならない。

* * *
「デイ・オン・フォルーク・フェイ・コ・ヴェン・アールク・ロン」
信じ難き霊魂は風と雨の森をさまよう。

自分が何を見ていると思っても、もう一度見返すこと。より注意して見よ。さらに合理的な説明はあるか?

注釈:「デイ」という語はやや粗雑な直訳のようである。本質的には、これは「誤り」を意味するが、「笑えるほどの誤り」という含意がある。主張する者を笑っているのである。「オン」はそれよりもやや漠然としている。おそらく「魂」のようなことを意味しているが、それよりも空虚なもの。生命を欠く何かだ。

* * *
「ニド・ジード・ニド・クン」
月なくして月光なし。

汝の力の源を間違いなく確保せよ。その力がどこから来ているかを知り、あって当然のものとは考えぬこと。

* * *
私が主たちのそばにいた時に聞こえてきた知恵は、ほんのわずかな断片に過ぎない。私は彼らの古き言語を十分に理解できると感じるが、言葉の中にある知恵にしっかりと耳を傾けなければならない。可能な限り、私はそばに留まるつもりだ。私は重要人物ではないが、義務勘によって耳を傾ける。そして皆が彼らの知恵を聞けるように、私は報告する。時が来たら、さらに伝えよう。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第1巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 1

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

かつてアカヴィリの地には、カイル・ペルワという賢い女がいた。彼女は蜘蛛が糸を紡ぐように、魅惑的で美しい言葉を紡いだ。だがこの賢い舌には慢心の口が付いていた。

「生者でも死者でも、アカヴィリで私の機知に適う者はいないわ!」カイル・ペルワはある日、そう宣言した。

彼女の両親は黙らせようとしたが、カイル・ペルワは自分の言葉を撤回しなかった。彼女はそれを1度、2度、3度と繰り返した。そして3度目の時、彼女の言葉はあまりに確信に満ちた大声であったため、言葉は死後の世界にまで響き渡った。

「私ぐらい賢い者は誰もいないのよ!」

カイル・ペルワの祖先は皆、彼女の言葉に気分を害したが、ある霊魂は特に強く侮辱を感じた。それはその機転で多くの偉大なる勝利を得たハロ・バナル将軍の霊魂だった。将軍はいつも自分の功績について謙虚だったので、子孫がそれを範例としなかったことを不快に思った。

「カイル・ペルワは生者と死者の誰よりも賢いと主張している」と将軍は言った。「私が生者の世界へ旅し、あの慢心の言葉に真実があるかどうかを確かめてこよう」

ハロ・バナル将軍は生者によって大いに尊敬されていたので、彼の霊魂は死後の世界を去って、定命の者たちの領域に入っていけるほど強かった。将軍は今、その霊体の外見を黄金の鎧に身を包んだ戦士に変えてやって来た。彼は風のように素早くカイル・ペルワの村に向かい、彼女を探し求めた。

将軍はカイル・ペルワが村の端で、家のためのハーブを集めているところを見つけた。一瞬だけ、彼は躊躇した。将軍は自分の子孫が賢いだけでなく、仕事熱心でもあることを知ったからだった。だから彼はカイル・ペルワにその慢心した生き方を改め、謙虚に生きるチャンスをもう一度だけ与えようと心に決めた。

「カイル・ペルワを探している」とハロ・バナル将軍は言い、自分の存在を知らせた。「お前だろうか?」

カイル・ペルワは顔を上げてうなずき、手のひらから泥を払い落とした。「そう、私です」

「あなたはいかなる生者と死者よりも賢いと主張していると言われているが、それは本当だろうか?」

カイル・ペルワは立ち上がって真っすぐ背筋を伸ばし、自信に満ちた笑顔を将軍に見せた。「ええ、そのとおりよ。私よりも賢い者はいない」

「随分と大きなことを言うではないか」と将軍は応じた。彼の口調は冷淡になった。「そもそも、死者に対してどうやってそのことを証明するのかね?」

カイル・ペルワは肩をすくめた。「死者が私の言葉を気に入らなければ、私に自分の能力を示してくれればいい!霊魂だって生者の地を訪ねてくるぐらいのことはできるでしょう?」

「よかろう」と将軍は厳かにうなずいて言った。「これから三日三晩の間、お前は自分の祖先の中で最も賢い者たちの訪問を受ける。自分の能力を彼らに示せば、お前の自慢は真実となるだろう」

突然、カイル・ペルワは怖くなった。この見知らぬ男はなぜそんなことを言うのだろう?

「あなたは何者?」と彼女は聞いた。声が震えていた。

「私はお前が第三夜に会うことになる者だ」とハロ・バナル将軍は言った。その声は力強く、その眼差しは一切ぶれることがなかった。「私こそお前を誰よりも賢いと認定する者だ。お前がその力を示せればな。そしてその自慢が賢い嘘に過ぎなかったと分かれば、お前に罰を与える者だ」

そう告げると、彼は姿を消した。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第2巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 2

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワはその夜、なかなか眠れなかった。黄金の戦士は彼女の祖先の中で最も賢い3人の訪問を受けると言っていた。カイル・ペルワが3人全員に対して機知を証明するのに失敗すれば、彼女は罰せられるという。しかしどのような罰なのだろう?

カイル・ペルワは賢かったので、自分を訪ねてきた黄金の戦士が祖先の霊魂だと分かった。とすると、霊魂には彼女に対して、自分の判定に応じて大いなる幸運か不運を授ける力があるのだ。本当に怒らせてしまったら、彼はカイル・ペルワを死後の世界まで引きずっていくかもしれない。

この3つの試練を突破できるだろうか?失敗したら殺されてしまうのだろうか?そうした疑問が、カイル・ペルワを夜遅くまで目覚めさせていたが、ついに彼女は眠りに落ちた。

カイル・ペルワが次に目覚めた時、彼女は本当に目覚めてはいなかった。彼女には自分が夢の中にいることが分かったが、夢の中でこれほど意識がはっきりしているのは初めてだった。本当に、まるで別の領域に転送されたような感じだった。

そしてなんという奇妙な領域だったろう。彼女の周囲の大地は薄い水の層で覆われていて、彼女の足を冷たく濡らしていた。上空は限りなく白かった。目につく唯一のものは、水中から突き出した歪んだ黒い木だった。そして木の隣には赤い服を着た女が1人いた。

カイル・ペルワは、彼女を判定する第一の霊魂だと即座に理解した。

赤い服の女は微笑んだ。貴族のような物腰の若くて美しい女で、彼女が口を開くと、その声は大嵐を予告する風のように響いた。

「私はあなたを裁きに来ました」と赤い服の女は言った。「あなたは私よりも賢いと言ったのですから。あなたの祖先として、私には賢さを試す権利があります。我が審判を受け入れますか?」

カイル・ペルワは深く一礼し、「受け入れます」と言った。

「なら、私の与える課題は簡単です。私のところまで歩いてきなさい。それだけです」

カイル・ペルワはその言葉に不安を抱いた。赤い服の女が言うほどに課題が簡単だとは思えなかったからだ。しかし、彼女にできるのは前に進むことだけだった。だがカイル・ペルワが歩くと、どんどん遠ざかる方向に移動していることにすぐ気づいた。まるで木と赤い服の女が、カイル・ペルワが前に歩くのと同じ速さで後退しているかのようだった。

「何もかも見た目通りではないんだ」とカイル・ペルワは考えた。「この場所には、まだ私に見えていない仕掛けがある」

そこで彼女は背後を振り返ったが、見えたのは果てしない水だけだった。見上げれば、果てしない空があるだけ。しかし下を向くと、彼女自身の姿が映っていた。そしてこの映った姿はありえないことに、赤い服の女の反対方向を向いていたのである。

カイル・ペルワはもう少しで笑い出すところだった!なんて簡単な仕掛けだろう。カイル・ペルワが前進すると、反射した像が彼女を赤い女から離れるように動かしていたのだ。霊魂に向かって歩くためには、彼女自身ではなく、反射した像を正しい方向に動かさねばならないのだ。

だからカイル・ペルワは赤い服の女に背を向けて歩き出した。奇妙な感じだった。なぜなら彼女が歩むたび、目の前の大地が遠のいていくように見えたからだ。間もなく、鈴の鳴るような笑い声が耳のすぐそばで聞こえてきた。向き直ると、謎の霊魂がすぐ目の前にいた。

赤い服の女は微笑んで言った。「お見事です、カイル・ペルワ。あなたは私の課題を解いた。でも、あなたは教訓に気づいた?」

カイル・ペルワは舌を噛んで首を振った。分からなかったからである。

「前に進むためには、後退しなければならない時もある」と赤い女は優しく説明した。「これを導きの言葉としなさい。まだ試練は2つ待ち受けているのだから」

こうして、カイル・ペルワは朝日と共に目覚めた。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第3巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 3

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワは明るい太陽の下のトカゲのように勝利に浸っていた。なぜ不安など抱いたのだろう?何せ、彼女より賢い者などいないのだ!決して受けるはずのない罰などをなぜ恐れる?

残る試練はあと2つ。カイル・ペルワはどちらも成功させる自信があったが、そうなれば彼女の自慢も証明された真実になるのだ!祖先たちはもしかすると、この勝利に報酬を与えてくれるかもしれない。

カイル・ペルワはその夜、安心してよく眠った。

前の時と同じように、彼女は夢の中へ入った。またしても、彼女の周囲の大地は薄い水の層で覆われており、彼女の足を冷たく濡らしていた。またしても、上空は果てしなく白かった。だが今度は黒い木も女もいなかった。その代わりに、黒いテーブルと2つの黒い椅子があった。椅子の1つには青い服を着た老人が座っていた。

カイル・ペルワは祖先の霊魂に一礼し、丁寧に「ごきげんよう、お祖父様」と言った。

「ああ、カイル・ペルワか。ついにこの老人とまみえる時が来たな」と青い服の祖父は挨拶した。「さあ、座ってくれ。試練を始めよう」

一瞬だけためらってから、カイル・ペルワは言われた通りにした。今度は歩いても仕掛けはなく、あっさりとテーブルまでたどり着いて座った。

「さて、お前の試練だが」と祖父は続けた。「とても簡単だ。私たちはティハセイの勝負を一度だけやる。お前の目標は、私が勝つのを止めることだ。分かったかな?」

カイル・ペルワはうなずいたが、彼女の胃はぐっと引き締まった。確かに、ティハセイなら何度もやっている。勝つためにはかなりの巧妙さが必要だが、カイル・ペルワはよく勝った。だが知恵と巧妙さをあわせ持つ、この老人の霊魂を相手にしても勝てるだろうか?

青い服の祖父は手を一振りして、ティハセイの盤を召喚した。ゲームの駒は真っ白で、濃い茶色の盤とくっきり対照をなしていた。彼はカイル・ペルワに合図をして、第一手を打つように誘った。こうしてゲームは始まった。

簡単な勝負ではなかった。カイル・ペルワが盤上に駒を動かすたび、彼女の手は震えた。彼女が攻撃しようとすると、青い服の祖父は決まって鉄壁の守りで返してくるのだった。そして彼がカイル・ペルワの駒を攻める番になると、その攻撃は無慈悲だった。たちまちのうちに、思っていたよりもずっと早く、彼女は敗北寸前まで追い込まれた。

ついに、カイル・ペルワはあと1手で負けると分かった。もう勝つことは不可能だし、敗北を逃れることすら不可能だった。彼女は賢かったので、このことは分かった。

だが、勝たなければならないのだろうか?突然、カイル・ペルワの目が大きく開いた。青い服の祖父は彼の勝利を止めろと言ったのだ。これが本当に簡単な課題なら、彼に勝つ必要など本当にあるのだろうか?

それ以上考えることなく、カイル・ペルワは盤の上を手で払いのけた。ティハセイの駒が散らばって、ポチャリと静かな音を立てて水の中に落ち、ありえないくらい深く沈んでいった。この単純な動作によって、ゲームに決着を付けることはできなくなった。どちらのプレイヤーも勝利できなくなったのだ。

青い服の祖父はくすくすと笑って言った。「見事だ、カイル・ペルワ。たったの1手で、お前は私の勝利を止めた。簡単だったろう?」

カイル・ペルワはあえいだ。呼吸が乱れていた。もう少しで試練を失敗するところだった。そして失敗は、死を招いていたかもしれないのだ。

「さて、こいつが教訓だよ」と青い服の祖父は首を縦に振りつつ続けた。「目に見えるものではなく、真実を探すこと。これを導きの言葉にするがいい。試練はまだ1つ待ち受けているのだから」

こうして、カイル・ペルワは朝日と共に目覚めた。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第4巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 4

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワは一日中絶望に駆られていた。第二の試練はあと少しで失敗するところだった。そして今、第三の試練が待ち受けているのだ。最後の試練をしくじれば、重い罰を受けるだろう。命すら奪われるかもしれない。

彼女はあらゆる選択肢を検討した。霊魂から守ってくれる司祭はいるだろうか?永遠に眠らなくていい薬は?しかし考えれば考えるほど、発想は現実味を失っていった。

カイル・ペルワはあまりに恐れていたので、夜遅くまで眠りにつけなかった。

彼女は再び夢の中で目覚めた。またしても、カイル・ペルワは果てしない水の大地と果てしない白の空に迎えられた。だが今回は、黄金の戦士が輝きに包まれて彼女の前に立っていた。その手には強大な黒い剣が握られており、それはカイル・ペルワには到底持ち上げられそうにないほど大きかった。

「お前は2つの試練を通過した」と黄金の戦士は言った。彼の声はいで立ちと同様に誇り高く、力強かった。「だがまだ私を越えてはいない。私の審判を受け入れるか、子孫よ?」

カイル・ペルワは素早く、一度だけうなずいた。反抗しても無意味なのは分かっていた。

「お前は自分の行動により、二度までもその賢さを示した」と黄金の戦士は続け、その強大な剣を両肩の上に乗せた。「だがお前の言葉の賢さはどれほどのものか?これがお前の最後の試練になる、カイル・ペルワよ。お前が全ての生者と死者よりも賢いと、私を説得してみよ」

人生で初めて、カイル・ペルワは何と言えばいいのか分からなかった。一体どんな言葉を紡げば、この賢い霊魂を説得できるのだろう?

「前進するには、後退しなければならない時もある」と赤い服の女は言っていた。

「あからさまなものではなく、真実を探すこと」と青い服の祖父は言っていた。

カイル・ペルワは目を閉じて考えた。彼女は自分が他の誰よりも賢いと証明するため、2つの試練を乗り越えた。だがそれが本当にあの苦難の目的だったのだろうか?カイル・ペルワは自分の賢さと機知を全て使って、これまでに学んだことと、これからすべきことを考えた。

次に目を開いた時、カイル・ペルワには真実が見えていた。

「できません」と彼女は黄金の戦士に言った。手が少し震えていた。「私が全ての生者と死者よりも賢いとあなたを説得することは、私にはできない」

「ほう?」と黄金の戦士は言った。彼の声は落ち着いていた。「それはなぜだ?」

「私はそんなに賢くないからです」とカイル・ペルワは答えた。「もし私が本当にそれほど賢ければ、そのような自慢は決してしないでしょう。私がこれまで会ったことのない人々と、これからも決して会うことのない人々がいます。そうした人々が私よりも賢くないと非難するのは、愚かなことです」

「なるほど」と黄金の戦士は言った。その表情からは何も窺えなかった。「お前が言うことはそれだけか?」

カイル・ペルワは深く一礼した。恥ずかしくて頭を上げられなかった。「今では、あのような自慢が一族の名誉への侮辱だと分かりました。謝ります」

その言葉と共に、戦士の表情が崩れてにやりと笑った。彼の鎧は貴族のローブに変化し、顔には長いひげが生えてきた。その時初めて、カイル・ペルワは目の前の霊魂が祖先の中で最大の名誉を受けている、他ならぬハロ・バナル将軍であることに気づいた。

「お前は罰を受ける危険も顧みず、私の前で謙虚になった」とハロ・バナル将軍は言った。「そのために、私はお前の過失を許そう。謙虚に生きるがよい、我が末裔よ。自らの限界を知る者以上に賢い者はいないのだから」

「ありがとう、ハロ・バナル将軍」とカイル・ペルワは言った。彼女の心は感謝で満たされていた。「その教えを決して忘れません」

こうしてカイル・ペルワはついに自らの祖先たちの知恵に目覚め、全ては無事に終わった。

古きアカヴィルはFor the Old of Akavir

ヘワ・オクシュ・ツァンドリ・タ

古きアカヴィルは
刀剣も盾も信じぬ

我らが最初の兄弟の歌
必要とされる時のための武器
アネクイナのドラゴンホーン

ヘワ・オクシュ・ツァンドリ・タ

古代の墓石Ancient Gravestone

〈裏切り者〉の首、ここに眠る

その名は歴史から消された

ジョーンとジョーデが空から落ちてくる時まで

その分断された身体を隠すために

降霜の月のクーデターThe Frostfall Coup

エルスウェアとアルドメリ・ドミニオンへの影響

異国観察のサピアルチ、タンデメン 著

アイレンが帰還しアルドメリ・ドミニオンを生み出した4年前、第二紀576年にユーラクシア・サルンはアネクイナ王家を殺害し、不法にリンメンの玉座を奪った。この事件が起きた原因と、ドミニオンがどう対処すべきなのかについて、いくつか見解を提出しておきたい。

同年の早い時期にレオヴィック皇帝はシロディール帝国全体でデイドラ崇拝を合法化し、これは即座に反乱を引き起こした。ヴァレン・アクィラリオスが自ら兵を進めて帝国を掌握しようと動き始めた時、ユーラクシア・サルンはある外交任務のために北エルスウェアへ派遣された。彼女は混乱を利用してニベン傭兵の大軍団を雇い、リンメンに進軍して味方として迎え入れられた。帝国の一部として、リンメンのヘマカル王は皇帝の特使を受け入れるのが当然だと判断した。致命的な誤りだった。

ユーラクシアはヘマカル王と他の王族を処刑し、自らをリンメン女王と宣言した。彼女の傭兵はユーラクシア兵の記章を身に着けて各地に広がり、素早く北エルスウェア全土を征服して、リバーホールドからリンメンに至る領地を制圧した。いったん権力の座につくと、ユーラクシアは急ぎ自分の地位を安定させようとした。彼女はさらに傭兵を雇い、死霊術師の教団の支援を取り付け、リンメンの支配を維持するために攻城兵器で防衛線を張った。カジートの民にとって、ユーラクシアの支配は望ましいものではなかった。彼女の統治はあらゆる意味において専制に他ならなかったからだ。

状況が落ち着き、事態が明らかになると、カジートは民兵を結成してユーラクシア兵と戦い、アネクイナの奪還を試みた。アイレン女王は同盟を確立してドミニオンを形成した際、カジートの民が北エルスウェアの支配を取り戻すために力を貸すと約束した。しかし、実際に部隊が派遣される前に三旗戦役が勃発してしまった。わずかな軍事顧問と不足していたゴールドの供給を除けば、カジート防衛軍は自力で何とかするしかなかった。たてがみの代弁者ガレシュ・リ卿がアネクイナまで出向いて民兵の指揮を執り、彼の導きの元で防衛軍はリバーホールドの街と、リンメン城壁外の領域の大半を解放しつつある。

残念ながら、リンメンはいまだユーラクシアの牙城であり続けている。その主な原因は王宮の周囲に配置され、街に直接狙いを定めている攻城兵器である。ユーラクシアは自らの支配が何らかの形で脅かされることがあれば街を破壊すると脅迫しており、ガレシュ・リにはそれを疑う理由がない。攻城兵器を始末するまで、ユーラクシアはリンメンの玉座を維持し続けるだろう。

三旗戦役が続いている限り、カジートが僭女王と呼ぶ専制君主を倒すため、ドミニオンが勢力を割くことは不可能である。我々としては資金と顧問を提供しつつ、戦争が終わるまでカジート民兵が持ちこたえてくれることを祈るしかない。さもなくばドミニオンは、エボンハート・パクトとダガーフォール・カバナントに対する戦争を終えた後、国境の内側の脅威を相手にする羽目に陥るかもしれない。

三つの月の物語The Tale of Three Moons

我らの民の最初の記憶よりも前の時代、しかしアズラーの薪が誇り高き獅子ローカジュの肉を奪ってから遥か後、我らが偉大なる母は泣いてため息をついた。兄弟の暗き心臓の運命に悩まされて。自分の広大な領地の丘と峡谷を歩き回りながら、彼女は鼓動から逃れることができなかった。渦巻く海の向こうからやって来る、微かだが止まることなく打ち続ける音から。大いなる闇の中のどこかで、月の獣の獰猛なリズムは加速し、激しさを増していった。

様々な姿形の子供たちが月の獣の冒涜によって倒れることを知っていた彼女は、星に向かって喉を鳴らし、ジョーンとジョーデのランターンを説得して空のガーディアンを呼び寄せた。この第三の月にしてラティスの盾は、その光をアズラーの砂の中でも最も純粋な心と従順なところへ投げかけた。彼女はそこの猫たちを隠された月の寝床と呼び、彼らに月の二つに分かれた道と慈悲深き剣の秘密を教えた。その時以来、彼らは偉大なる母を他のどんなカジートよりも愛するようになった。その愛の中に、心臓の鼓動によって歪められた全ての猫への同情を見出した。

愛されしアデプトたちよ。この言葉を心に抱き、我々がアズラーの戒律を守り続ける理由を知るがよい。我らは皆、隠された月の子供なのだから。

死と恐怖の贈り物Gifts of Death and Fear

エロク・ファ・オフシュ・ジリト・ケスン

全てのドラゴンガードよ忘れるな
死と恐怖の贈り物を

我らが敵は無限にして傲慢
我らのようには考えぬ
得ることのみを考え、失うことは思わぬ

エロク・ファ・オフシュ・ジリト・ケスン

死の中にこそ約束があるIn Death is the Promise

ネート・ザン・ウル・ジェンドライ・ツォリ

終わりは全ての者にやって来る
死の中にこそ約束がある

戦いに倦んだ剣は置かれ
戦いに傷ついた盾は脇に置かれ
全ての者は永き平和に休む

ネート・ザン・ウル・ジェンドライ・ツォリ

死霊術師:女王への報告Necromancers: A Report for the Queen

陛下

陛下との協定は我々の双方に実りあるものだと証明されました。陛下は不屈のアンデッド軍団を手にし、私は自らの技を実験するため、死体の尽きることなき供給源を得ています。私の力を用いようという先見の明ある支配者が他にもいたならば、闇の技がどれだけの進歩を見せていたことか。ぜひお考えいただきたい!

死体が潤沢に入手でき、ユーラクシア様の兵士に協力いただけるようになりましたので、我々はアンデッドを目覚めさせ、貯蔵するための死体工房をいくつか敷設しました。残念なことに、スカーや共同墓地でさえ、陛下が望む大規模な軍団を作るために十分な死体を擁してはおりません。工房に利用するため、さらなる死体が必要です。私に従う者たちは次の積荷を待ち望んでおり、すぐに処理する準備を整えています。

それから、〈裏切り者〉の身体の部位の捜索が順調に進んでいることを喜んで報告いたします。〈裏切り者〉を再生させるために必要な部位は全て、近いうちに手に入るでしょう。繰り返しになりますが、〈裏切り者〉はドラゴンへの支援の継続を維持し、保証するための鍵です。

もう一つだけ。私が荒野に隠れていることを発見したあの「問題」を処理するための命令は、すでにお出しになられたでしょうか?陛下の暗殺部隊があの、取るに足らぬとはいえ無視できぬ脅威を始末すれば、ムラームニルと兄弟たちもずっと協力的になるでしょう。

ズモグ・フーム
闇の技の王

試練の祭典The Proving Festival

ライジェ・パラク・ルリシアン 著

薪木の月14日

帝都の輝きに比べれば、ハコシャエは青白い光でしかない。我々の故郷は簡素で、生活は日々労働に満ちている。かつては柔らかかった私の手も、今では豆と埃で覆われている。それでも、我々は安全だ。

豪商は近く試練の祭典を始めるとの告知を出した。人生で初めて、祖先の名誉を汚す心配をしなくてよくなるのだ。私は長い旅と辛い労働を経て、ハコシャエを築く助けをしてきた。私の行いはきっと、私の前にここへ来た者たちを満足させたものと思う。

薪木の月18日

試練の祭典が始まったが、祭りはほろ苦い感慨に貫かれている。たった3年前、この同じ祝賀を一族の美しい領地で行ったことを思い出さずにはいられない。饗宴があり、踊りと音楽、他にも色々あった。千の物語が語られ、千の歌が歌われ、美しい装飾が私たちの故郷を覆った。

ハコシャエの試練の祭典は遥かに簡素な行事だ。食料に余裕がないため、饗宴はなし。我々の労力は今や故郷となったこの街を築くために使われたので、装飾もなし。偉大なる冒険の物語は疲れ果てた長老たちによって語られる。かつての労働の重荷が、今でも彼らの声にのしかかっている。

だがそれでも、豪商の決断には感謝している。アカヴィリを再び感じられるのはいいことだ。

薪木の月20日

私の妹が昨晩、奇妙な音を聞いたと言っていた。ゆっくりと、つまずきながら彼女の窓のそばを歩く音。彼女は目を覚ましたが、怖くて外を見られなかったという。

心配することは何もないと言っておいたが、気が重い。祭典は我々の祖先に裁定を仰ぐものだということは誰もが知っている。我々がどれほど見事に祖先を称えるかによって、彼らは我々に幸運か、もしくは不運をもたらす。だが生者の領域を乗り越えるということは、彼らが激怒していることを意味する。

昨晩ハコシャエを訪れたのが、私の祖先でないことを祈るしかない。祖先が私たちを常に見守り、死後の世界へ幸せに留まっていてくれますように。

薪木の月22日

試練の祭典は完了し、誰も悲惨な死を遂げはしなかった。妹の話はただの夢だったのだと今では思っている。彼女の悪夢を信じ込むとは、私が愚かだった。

しかし祝賀には奇妙な空気が漂っていた。通常は荘厳で動じない豪商が、今日は普段より深刻そうに見えた。彼は祭典について、そして我々が祖先を称えたことについて話した。私自身の父が何度も繰り返し語るのを聞いたことがある、普通の演説だった。

しかしその後、彼は我々の毎日の行いが祖先に対する我々の価値を証することになるのだと語った。我々は祖先の注意を要求し、馬鹿馬鹿しい試練や無意味な謎で自分の力を証明するべきではないと語った。ただハコシャエを築き、維持するだけでも、我々は祖先を十分に満足させたのだと。

こうした意見に、私は落ち着かないものを感じている。まるで豪商は来年、試練の祭典を開催したくないと言うようだ。もちろん、私はそうでないことを心から願っている。今年の薪木の月、我々はアカヴィリ文化の重要な一部を祝ったのだ。それを手放してしまうのは望ましくない。すでに我々は、あまりに多くのものを手放してきたのだから。

終焉への旅へJourney to Endings

ウブ・ヒアン・ジョンリ・イセク・トー

祝福を求め、許しを与えよ
終焉への旅へ

我らに帰還はない
兵士、狩人、巡礼者
魂と心は朽ち果てる

ウブ・ヒアン・ジョンリ・イセク・トー

十六王国The Sixteen Kingdoms

[上級学士ヒロ・シラによって収集された伝統的なカジートの童謡]

女王と宮廷のお通りだ
ネ・クイナルの君主
家畜の群れを追う遊牧のクラン
ネ・クイナルの民

王と宮廷のお通りだ
傲慢なリンメンの王
種々雑多なリムの商人
怒りっぽいリンメンの民

女王と宮廷のお通りだ
リバーホールドの女王
北方の剛毅な農民
リバーホールドの開拓者

王と宮廷のお通りだ
デューンの月の司祭
古き時代の司祭と学者
デューンの埃っぽい賢者

女王と宮廷のお通りだ
オークレストの支配者
砂の焼け付く砂漠の猫
オークレストの風に吹かれた盗賊

王と宮廷のお通りだ
ヴァーカースの戦士王
勇猛なる剣と弓の使い手
きびきび行進するヴァ―カースの兵士

女王と宮廷のお通りだ
メイアヴェールのラム長者
大胆な醸造業者と蒸留業者
メイアヴェールの喜ばしき発酵職人

王と宮廷のお通りだ
ヘルカーンの家畜公
油断なき鋭い目をした羊飼い
ヘルカーンの家畜追いの猫

女王と宮廷のお通りだ
アラバスターの吟遊詩人の女王
沿岸の熟練の詩人
アラバスターの劇作家

王と宮廷のお通りだ
ブルクラの商人王子
鋭く情報に長けた川の交易商
ブルクラの商人

女王と宮廷のお通りだ
コリンスの大工女王
高地の森の材木の猫
コリンスの彫刻師

王と宮廷のお通りだ
パーラッティーンの敬虔なる王子
神秘を誓ったアルケインのアデプト
祈りを捧げるパーラッティーンの司祭

女王と宮廷のお通りだ
テンマールの密林の女王
葉と枝の森の民
テンマールの木に住む毛皮の民

王と宮廷のお通りだ
トルヴァルの聖なるたてがみ
毛深い陛下のしもべ
トルヴァルのロイヤルガード

女王と宮廷のお通りだ
ケナーシアの女伯爵
砂糖を植え魚を釣る猫
ケナーシアの風に愛された民

王と宮廷のお通りだ
センシャルの港の公爵
船乗りと港の労働者
センシャルの海の悪漢

償いの石Stone of Atonement

真の猫がナミイラに堕ちるのを見ること以上の深い悲しみが、カジートにあるだろうか?仲間の輝く顔が突然真夜中のように暗くなり、憤怒と悲哀で顔を皺にするのを見せられる。我らが民はドロ・マスラを呪うが、ナミイラの踊る僕はかつてアズラーの純真なる子にして、ジャ・カージェイを受け継ぐ者だったことを決して忘れてはならない。

救済の及ばぬカジートはいない。ドロ・マスラの魂を倒れた我らの眷属の骨に押し付けることで、我々は彼らに償いの機会を与えられる。平穏は黄昏にのみ見出されるからである。だから、暗闇へ呼びかける我々の声に尻込みする者の言葉に耳を貸してはならぬ。清められた魂のためならば、どんな代価も大きすぎはしない。

聖なる記憶より消えたGone from Sainted Memory

テル・コ・アン・ブルジ・ティ・アーン

かつて知られた平穏は
聖なる記憶より消えた

大いなる苦痛の教え
星の裏の知恵
学ばぬのなら、死なねばならぬ

テル・コ・アン・ブルジ・ティ・アーン

誓約の石Stone of Commitment

アズラーの多くの戒律の中でも、何より重要な戒律が1つある。全ての魂は、大きいものも小さいものも、真っすぐであろうと歪んでいようと、月の祝福を受けていても、呪いに侵されていても、彼女の抱擁の元へ戻らなければならない。肉の生を霊魂の生から切り離す、月のラティスの向こう側で。この戒律の内に、隠された月の教団はその使命を見出す。

愛されしアデプトよ。我々は羊飼いの道を行かねばならぬ。祈りと歌を通し、我々は人々の魂を我らが女王にして母の左腕たる、指定された場所へ導かねばならない。他の者たちを救い我々は自らをも救う。

戦争、狩り、解放War, Hunt, Deliverance

ゴム・ハクー・ロート・ブ・ケンリ

多くの名と共に旅せよ
戦争、狩り、解放

戦利品を取る者も、栄光を求める者もいない
たとえ我らより美しくとも
神々の眷属を倒すためには

ゴム・ハクー・ロート・ブ・ケンリ

素敵な花に囲まれて踊ろうDancing Among the Flowers Fine

(カジートの舞踊歌)

[句切り様式その1:軽いスタッカート]
花に囲まれて踊りながら
歌であの人に呼びかける
気まぐれな月光のセレナーデ
花に囲まれて踊りながら

深い夢の中で眠りながら
あの人の蝶を追いかけて
夏が終わるなと願いつつ
深い夢の中で眠りながら

[句切り様式その2:各行をレガートで]
今や風景が開かれ
その秘密を歓喜と共に知らせる
秘密は虹のように輝き、暗く不吉で
柔らかく燃える炎で温める…

[区切りスタイルその1]
いくつもの世界を飛び回り
宝石の鳥を追いかけて
あの方の囁きを願いながら
いくつもの世界を飛び回り

属性の物語Tale of the Elements

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人ナラエ・ポレクにより

ミィンは力強き杖を掲げ
東に明かりが灯る

ジサは優雅なる杖を振り
南は水中に沈む

ニファは怒りと共に靴を打ち付け
北に轟音が鳴り響く

イルニは色鮮やかな扇をはためかせ
西に風が吹き抜ける

隊長の手紙Captain’s Letter

陛下

訓練された我が一流の暗殺部隊は、陛下のお求めに従い、いかなる任務も遂行する用意を整えてあります。しかし、私の暗殺者は数が少ないため、補充の形式で援軍を付けることがより確実かと思われます。

敢えて進言いたしますが、シグナス不正規兵の兵士たちを指揮する権限をお与えいただきたく存じます。私はいずれにせよ、砂の渦の邸宅にて最後のドラゴンガードについてのカロ長官の報告を入手せねばなりません。

それに加え、あの傲慢なインペリアルにナイフを突き刺す機会をいただければ光栄です。あの男は私の傭兵たちが自分の兵に劣ると考えており、そのために私は彼を憎んでいます。

サウリニア隊長

脱走の機会A Window for Escape

夜の礼拝の後でミドゥナと話せ。

2日以内に到着する荷車について伝えろ。

準備を。

追放の石Stone of Banishment

償いへの道はしばしば、憤怒と自己憐憫の影に飲み込まれる危険を伴う。この道はことあるごとに振り出しへ戻り、罪人に繰り返し、自らの罪に向き合うことを強いる。時と共に、苦悩するドロ・マスラは真理を受け入れ、教団の奉仕を通じて救済を求めることもあるが、多くの者は抵抗する。そうした憐れむべき者に対しては、追放が唯一の手段である。

祈りと歌、そして切り裂く剣により、我々は異なる世界をつなぐ道の安全を保っている。我々はこの仕事に大いなる名誉を見出すが、大いなる危険をもまた見出す。ナミイラが他の何にもまして、狩人の心臓を渇望していることを忘れてはならぬ。アデプトは戦争の苦い果実の奥に隠れている、平和の種を探さねばならない。

敵を恐れ、師の言葉を聞けFear the Foe, Heed the Teacher

ウドゥ・エワット・ピクラ・ナトセイ・ブリン

大胆な爪、終焉の声
敵を恐れ、師の言葉を聞け

風のごとく動き、川のごとく曲がれ
勝利の前に生き延びねばならぬ
傷を憎み、死を避けろ

ウドゥ・エワット・ピクラ・ナトセイ・ブリン

怒りアルフィク:コレクションThe Angry Alfiq: A Collection

リンメン魔術師ギルドの記録係ティバールによって文字に書き起こされたもの

[記録係のメモ:怒りアルフィクの話はカジートの物語において長い伝統を持つ。語り部たちが常に新たな話を選集に加えているため、全部でいくつの話が存在するのか知る者は誰もいない。表題の登場人物以外では、こうした話の共通点として短いこと、脱線の多さ、ユーモラスな結末がある。

一部の者にとっては意外に映るが、これらの話は多くの民間伝承と異なり、道徳的教訓や文化的価値を教えるためのものではない。どちらかというと、怒りアルフィクの冒険は手の込んだ冗談に類するものである。だからカジートの伝統に則り、耳を澄まして笑う準備をして、ここに伝える怒りアルフィクの物語の中でも、最も人気のある数話を聞いてもらいたい]

* * *

怒りアルフィクとセンチ

ある日、怒りアルフィクはとても可愛いセンチに出会った。それは彼がこれまでに見たどのカジートや毛皮のある生き物よりも美しかった。その瞬間、彼はこのセンチの愛を勝ち取るためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

「あんたは意気地なしじゃない!」とサセイのいとこは笑った。「彼女の気を引けるの?」

「あんたは弱すぎるわ!」とキャセイの姉は笑った。「踏み潰されちゃうわよ!」

「お前は小さすぎる!」とパフマーの兄は笑った。「彼女に手も届かないだろう?」

だが怒りアルフィクは可愛いセンチの愛を勝ち取ると固く決心していた。彼は強くなるために昼夜を問わず訓練した。恋愛の本を沢山読んだ。分厚いかかとのついたブーツを4つも買った。こうした準備を整えると、彼は愛する女性の心を勝ち取るために出発した。

次の日の朝、彼は心と腰を痛めて帰ってきた。

* * *

怒りアルフィクとリュート

ある日、怒りアルフィクは旅の吟遊詩人と出会った。彼女は怒りアルフィクがこれまでに聞いたどの吟遊詩人よりも美しく演奏し、歌った。その瞬間、彼はこの吟遊詩人のそばで音楽を演奏するためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

「タンバリンをやったらどう」と吟遊詩人は言った。「口にくわえて振ればいいわ!」

しかし怒りアルフィクはタンバリンを演奏したくなかった。

「ドラムをやったらどう」と吟遊詩人は言った。「前足で叩けばいいのよ!」

しかし怒りアルフィクはドラムを演奏したくなかった。

「うーん、あなたの体で、他に演奏できる楽器がある?」と吟遊詩人は聞いた。

怒りアルフィクはリュートを吹きたいと答えた。あらゆる楽器の中で最も優雅で、美しい音色を奏でるからだ。

吟遊詩人は笑うだけだった。彼女にはこんなに小さくて、前足の不器用な者がリュートを吹くなど想像もできなかったのである。そんなことは不可能。どう考えても不可能だった!

だが彼女が笑えば笑うほど、怒りアルフィクは誤りを証明してやろうと決心を固めた。彼は吟遊詩人にリュートを渡してくれ、演奏してみるからと要求した。吟遊詩人は面白がって渡した。

怒りアルフィクはにやりと笑って鋭い爪を1本出した。彼は素早く爪を走らせて全ての弦を一度にかき鳴らし、一つ残らず切断してしまった。

こうして、怒りアルフィクは笑いながら道を駆けて行った。すぐ後ろに怒り狂った吟遊詩人を従えて。

* * *

怒りアルフィクと口ひげ

ある日怒りアルフィクはこれまでに見た中で最も大きくふさふさの口ひげを見た。それは黒く分厚く、その生やし手であるカジートの腹まで伸びていた。その瞬間、彼はあのような素晴らしい口ひげを生やすためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

だがいかに努力を重ねても、怒りアルフィクは顎に元々生えている毛をそれ以上伸ばすことはできなかった。様々な調合薬や、呪文まで試したが、何も効果はないようだった。

「この者が力を貸すわ!」とサセイのいとこが言った。「ただし家族でも、ゴールドは払ってもらうわよ」

怒りアルフィクはこの条件に同意し、サセイのいとこは仕事に取り掛かった。いとこはタールを接着剤にして羽根をどんどん重ね、怒りアルフィクの顎につけた。仕事が完了すると、彼女は荷袋から鏡を取り出した。

怒りアルフィクは怒ってフーッと声を上げ、サセイのいとこの敏感な鼻のあたりを鋭い爪で払った。いとこがわめいている間に、怒りアルフィクは自分のゴールドと、ついてに彼女のゴールドも全部取り、急いで家を去った。

「この者が力を貸すわ!」とキャセイの姉が言った。「ただし親戚でも、お金は払ってもらうわよ」

怒りアルフィクは再びこの条件に同意した。今度の姉はハチミツを使い、綿の塊を次々と彼の顎に付けていった。ついに作業を終えると、姉は怒りアルフィクを連れて行き、壁にかかった鏡を見せてやった。

怒りアルフィクは怒りで吠えて、キャセイの姉の手のあたりを鋭い爪で払った。姉がわめいている間に、彼は自分のゴールドと、ついでに姉のゴールドも全部取り、急いで部屋を去った。

「俺が力を貸そう!」とパフマーの兄が言った。「ただし、もしうまくいったら、お前が今持ってる金を全部俺に渡すんだ」

ためらったが、怒りアルフィクは同意した。そしてパフマーの兄は口ひげのあるどこかの知らない人のところに行って殴り倒し、その顎から器用に1本残らず毛を切り取った。彼は歯をむき出してニヤニヤしながら、その大きな毛の塊を怒りアルフィクに見せた。

怒りアルフィクは何度も唸ったが、それでもゴールドを手放した。確かにパフマーの兄は、とてもよい口ひげを渡してくれたからだった。

盗まれたワインの報酬Reward for Stolen Wine

関心を持たれた方へ:

我が主人は、盗まれたワイン3本の安全な返還に対して報酬を提示しています。質問はせず、こちらからも答えません。3本のボトルがどこにあるにせよ、互いに歩いて行ける程度の距離しか離れていないでしょう。いつもそうなのですから。

1本目は冷たい白ワインのボトルです。いつボトルに触れても冷たいのはなぜなのか不思議に思っていらっしゃるかもしれません。しかし深く考えない方が良いでしょう。

2本目は上質の赤ワインのボトルです。これを持ち上げると感覚が麻痺するでしょうが、取り乱す必要はありません。ボトルが時間どおりに届けられれば、感覚はまた元に戻るはずです。

最後の3本目は色の定まらない自家製ワインのボトルです。ボトルを持っていると激しい憂鬱を引き起こし、それに続いて容赦ない絶望感と感情的な無気力、最終的に自己破壊がやってきます。

これらのボトルのどれかが開けられた場合、主人はできる限り地下深くに埋め、かつその際に中身が皮膚に触れないよう細心の注意を払ってほしいと述べております。もし誰かがボトルの中身を飲んでいるところに出くわしたならば、その者は殺し、周囲一帯にある全てのものを焼き払うようにと仰せられています。

手付かずの状態で発見した場合は、どうかワインを私のところへ早急にお持ちいただきたい。私はステッチズの住居から決して動きませんので、あなたのご到着を心よりお待ちしています。

敬具
主人の忠実なる僕、ホフグラッド・キジョーセン

盗賊の謎The Thief’s Riddle

直そうとしていたものは

消え去った

蛇人間の墓へ

道筋と潮汐Trail and Tide

月の司祭フナル 著

どんな猫でも月を見れば、毛皮を照らす甘い光の愛撫を感じることができる。どんな猫も潮の満ち引きと、無視できない双子月の踊りのリズムを感じることができる。

しかしどんな猫にも、ジョーンとジョーデが優しきニルニと世界の陰の闇の間にある不毛な天空をさまよい、猫が虚無に向かって吠えることがないよう守っている時、彼らが発している囁き声が聞こえるわけではない。だからこそ月の司祭は子猫を導き、先頭に立って秘密の糸を辿り、月の運動と潮汐を教える。

真の猫は正しき道筋のために休むことなく狩り、ジョーンとジョーデが踊りながら空へ向かって辿った終わりなき道、を一つまた一つ、肉球の痛みもミルクを求める喉も構わず進む。ジョーンとジョーデは全世界にある砂糖の粒よりも多くの道筋を辿った。猫にとって、飽きて追跡を断念することは容易である。だからこそ、月の司祭は子猫を励まし、最も古い時代の物語を分かち合い、彼らが狩りへと戻るよう誘う。

全ての猫は、砂糖が丘のように積みあがる星の裏の砂場に憧れている。全ての猫は月光の合唱を夢見る。真の猫が知る喜びの音である。

だが、全ての猫が死に際してケナーシの優しい抱擁を知るわけではなく、全ての魂が彼方へ飛び、終わりなき温もりに浸るわけではない。だからこそ、月の司祭は性悪の猫を叱り、道を外れた者たちに打擲を加え、月が織りなす道へ戻るのを待たねばならない。

真の猫はつまずき、森の奥で道を見失い、恐るべき心臓に導かれた暗い踊りの誘惑に遭うかもしれない。恐怖が魂を捉え、精神を混乱させ、感覚を鈍らせるかもしれない。だからこそ、月の司祭は最も声高き猫となり、悪臭を放つ靄を吹き飛ばさねばならない。

道塞ぎのノーディグループNoordigloop the Clog

オークレストの下水道は、何と興味深い場所だろう。この腐敗した深淵では、驚異的な数の野生動物が見つかる!探検家としてもアマチュア自然学者としても、私の仕事にとってとてつもなく好都合だ。

正直に告白すると、私が下水道のシステムを探し求めてオークレストまで来た時には明確な目的があった。私は無形の緑スライムの標本が、表向きはオークレスト研究所で錬金術の研究をする目的で、遥か遠いマークマイアから輸送されたという噂を聞いたのだ。聞くところによれば、この生物は街を荒廃させた疫病が最高潮に達した時の混乱と不安の最中に脱走したという。スライムは下水道に流れ込み、そこに流れてくる病気に侵された残骸を吸収して巨大に成長し、さらに強力な毒性を獲得したという。

そこで私はメモ帳とペンを携え、危険を冒してオークレストへ向かい、下水道への入口を見つけた。廃棄物や残骸を漁る小さなスライムにはいくつか出くわしたが、巨大生物はいなかった。失望したが、先に進み続けることにした。そこで私は大きな穴と、そこを支配するかなり大きいスライムを発見したのである。私はそれを、道塞ぎのノーディグループと名づけた!

この見事な生物を眺め、私はこの大きさならば鈍重でおとなしいだろうと思った。怒れる粘液の波のように、私の方へ押し寄せてきた時の驚きを想像していただきたい!どうやって私の存在を感知したのだろう?見当もつかない!そしてより小さなボリプラムスが、周辺一帯に散らばった。これらは別の生物なのか、それとも強大なノーディグループの延長に過ぎないのか?さらなる研究が必要である。残念ながら、私はこれを隠れ場所から記しており、スライムたちが私を探している間にここから出るのはためらわれる。私はもう少しだけ待ってから、徹底的な調査ができるくらい近くまで、ノーディグループに接近するつもりだ。

もしかすると、あの震えるスライムのサンプルを私の錬金工房に持ち帰ることさえできるかもしれない。そうなったらどれほど素晴らしいだろう?

匿名の引き裂かれた日記Anonymous Torn Journal

ここの床は奇妙だ。どういう仕組みなのか分からない。この祠にはこの簡素な部屋以外にも何かがあると考えざるを得ない。魔術師ギルドから誰かを雇ってくる金があればよかったんだが、もう手遅れだ(アーヴィングのせいだぞ)。

とりあえずキャンプを張ろう。あの猫どもは月が大好きだ。夜中のうちに何か出てくるかもしれない。

18日目
夜中には何もなかったが、目覚めた時ブーツの中にサソリを1匹見つけた。無料の食料を無駄にする手はない(ジュロの言うとおりだった。少し火の中に突っ込んでおけば、毒は消える)。

それを見つけた時は、遺跡近くの崖を偵察していた。崖の表面から、風が漏れていたんだ。

何とか中に入れる程度に、裂け目を広げることに成功した。長い下り坂だった。

どうやら忍耐の甲斐はあったようだ。中に入ってみよう。

19日目
妙な場所だ?聖堂か?よく分からない。

床にはシミがある。古い血だ。間違いない。古い死の教団の隠れ家でも見つけたかと思った。だが、騒ぎの跡にも見える。幸いなことに、起きたのはずっと昔らしい。

奇妙さはさらに増していく。骨を見つけたが、驚きもしない。だが他にも死体がある。死体の肉が木のようになっている。皮膚は漆のようだ。瞑想の姿勢で立っているか座っている。埋葬か何かの儀式に違いない。しかし不気味だ。

20日目
昨晩はほとんど眠れなかった。ここではあらゆるものが反響する。夜中にあらゆる種類の騒音が聞こえる。多分、ネズミだと思う。
ここは光で目の錯覚が起きるんだな。あの変な死体の1つが今動いた。

猫のセレナーデA Cat’s Serenade

(カジートの恋愛歌)

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

この者は千の宝石を盗み
愚か者を演じるだろう
愛してると言ってくれ。愛してると言ってくれ

確かに、君の母は賛成しないだろう
でも正直な気持ちを言ってごらん
君も望んでいるだろう

この者がマーラの指輪を買うことはない
でも星の光の下なら
君はこの者を抱きしめられる

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

この者が求婚できる美女は無数にいる
でも必要なのは君だ
おお、どうかお願いだ

この者は月の光の下で君を崇拝する
でも朝の太陽がやって来たら
きっと逃げ出してしまうだろう!

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

不死のマソックMathoc the Immortal

晩年においてさえ、マソック・ライザーは出会う者すべてに恐怖を引き起こした。彼は巨漢のブレトン戦士であり、その顔は彼が持つ盾と同様に傷だらけだった。彼は決して話さなかったが、他の者たちは彼が倒した恐るべき戦士や獣たちについての物語を伝えた。本人が聞いていない時、彼らは別の物語を囁いた。彼は殺した者たちの霊魂で、自分自身の霊魂を養っていると。

戦い続けている限り、不死のマソックは決して死ぬことがないのだと。

マソックはいつでも戦う準備が整っているように見えた。むき出しにした歯を軋らせ、必殺の一撃を繰り出すために肘を曲げていた。黒檀も砕けるほど拳をきつく握りしめていた。なぜマソックが常に戦いを欲するのか、誰もその理由を尋ねなかった。あまりにも恐ろしかったからだ。

たとえ尋ねたとしても、彼は答えることができなかっただろう。ドワーフのオートマトンに喉を潰されてから、彼は喋る能力を失った。巨人が彼の顎を粉砕して以来、彼はむき出しの歯を軋らせていた。同じようにして彼は肘を折り、まともには治らなかった。41年の間、彼は腕を真っすぐ伸ばすことができなかった。拳はウッドエルフが背中に矢を浴びせて以来、岩石のように丸く固まったままになっていた。治癒師はこれが矢の毒への反応で、治しようがないと彼に告げた。

マソックには戦い続ける以外にすることはなかった。殺した相手の霊魂で強くなるためではなく、他者が苦痛に悶えるのを見ることで、時として自分自身の苦痛を忘れられるからだった。いつの日か誰か、あるいは何かが、ついに彼を倒してくれるかもしれないと期待していた。

不死のマソックが戦い続けたのは、死ぬ覚悟ができていたからだった。

封印された帝国の召喚状Sealed Imperial Summons

your name

お前の業績には驚かされ続けている。実は、警戒が必要と思われる緊急事態が発生した。最大限の注意と警戒が要る。対応に遅滞が生じないよう、至急お前を召喚したい。同盟の都合に合わせて、下記の場所のどこかで連絡してくれ: ダボンズ・ウォッチの魔術師ギルド、バルケルガードの邸宅と預金庫ダガーフォールの王城だ。

急いでくれ。互いに、そう若くはないのだからな。

アブナー・サルン

放棄された命令Discarded Orders

パンシウス部隊長

ユーラクシア女王陛下とその宮廷死霊術師ズモグ・フームの両名が、リンメンの西境に危険なほど近い場所に、不明な魔法の力の高まりを探知された。即座にお前の部隊から人員を割き、付属の地図に指し示されている場所を調査せよ。

お前の任務は各地帯を調査し、変わった生物や出来事を記録し、目撃者は尋問のため、誰であろうと捕まえてくることだ。念を押しておくが、陛下は生きたまま連れてくることをお望みだ。

失敗は許されない。

レピダ副隊長
ユーラクシア第一軍団

忘れ去られたたてがみの痕跡On the Trail of the Forgotten Mane

調査官ヴィアニス・オラニア 著

依頼37、第一段階

忘れ去られたたてがみの埋葬地を調査せよとの依頼を受け取ったのち、私は危険を冒してリンメン・ネクロポリスへと向かった。ネクロポリスの歴史についての私の知識と、この哀れな「忘れ去られた」者についての手掛かりの乏しさを考慮するに、この人物があそこに埋葬されているとは思えなかった。だがより面倒で、可能性の低い答えを調べる前に、一番ありそうな答えを確認しておくべきだ。この失われた支配者を探すためにこの場所へ来たのは、きっと私が最初ではない。

リンメンの名が冠されてはいても、ネクロポリス自体はリンメンの「中に」はない。不可解ではある。しかしジャスミンの酒と見れば手当たり次第に飲むらしいあるブレトンの老女に尋ねたところ、興味深い情報を得た。この老女自身の研究によれば、ネクロポリスはなんと、今では顧みられないある地元の迷信を理由に作られたというのである。

老女にさらなるジャスミン酒を提供したところ、その迷信を教えてくれた。当時、当該地域の建築士たちは掘削を行う際、黄金の紐で何かの仕掛けを作ったという。その後彼らは掘削予定の場所を、紐を手にして歩き回る。紐が揺れたら、彼らはその動きを記録し、工事の計画を定めたのである。建築士たちは望ましい揺れが起きるまでに、かなり歩いたという。

さらなるジャスミン酒によりブレトンの情報源が気を失って倒れたため、建築士たちがどのような揺れを求めていたのか知ることはできなかった。彼女が自分の借家に戻ったのを確認してから、最初の目的地へ向かった。

ここから、ネクロポリスへの実際の旅について記す。

残念ながら記憶があまり定かではない。まずリンメンは迷惑極まりないユーラクシアの問題に対処中であり、ネクロポリスにいるだろうと期待していた司祭や番人は誰も残っていなかった。道の途上で出会った親切なアルフィクのアデプトが話したところによれば、人がいないのは私が入る少し前に「僭女王」ユーラクシアが起こした行動のためらしい。

当然ながら、私は依頼を終えねばならない。ネクロポリスの番人の不在は職務遂行を諦める理由にはならなかった。
しかし、わずかに気後れさせられる問題はあった。見たところ蘇生させられたらしいダルロック・ブレイの軍がいて、ドレモラなどで構成された部隊とネクロポリス中で戦闘を繰り広げていたことである。私はいつものごとく静かに通り過ぎようとしたが、たてがみの墳墓に到達するまでには、一度ならず戦闘しなければならなかった。

墳墓は静かなものだった!

だが残念ながら、それも長続きはしなかった。誰かと話したことを漠然と覚えているが、その後たてがみの最後の休息地のすぐ外の隅で目を覚ますと、私の帽子にメモが貼られていた。私の顔に当たるよう、実に不愉快かつ奇怪な貼り方をしてあった。何なのか考えたくもない暗黒の物質で殴り書きされていたのは、次のような言葉だった。

依頼を完了せよ。しかし、その答えはこのネクロポリスにない。お前は必要になったら呼ばれるだろう。

失われた会話は、どれだけ長く必死に考えても思い出せない。あの時ネクロポリスで起きたことで心に残っているのは、二つの勢力が復讐合戦をやっていた珍事を除けば、忘れ去られたたてがみを探す衝動だけだった。これまでの私の顧客は、私がいつでも依頼を完了する衝動を抱いていることを認めてくれるだろうが、今回のは違った。強いられている感じだ。また、強いられていることに不快感もある。

残念だ。私はどちらかといえば、時間をかけて情報を探すのが好きだ。きっといつの日か、リンメン・ネクロポリスで起きたことを知るために自分の足跡を辿り直そうと思う。強大なダルロック・ブレイと危険なメエルーンズ・デイゴンの争いを邪魔するつもりはないが、戻れば争いも終わっているかもしれない。もしかすると、この現在進行中の戦闘は、ユーラクシアの行動以上に番人が不在になった原因かもしれない。

それまでの間は、忘れ去られたたてがみの捜索を続ける。この人物が本当に存在していて、単なる噂でないことを祈りたい。

北エルスウェアへの案内Guide to Northern Elsweyr

インフラシア・マリウス 著

大帝国の辺境地域の中で、エルスウェアほど歓待を受けられる地は他にないかもしれない。人々の獣じみた外見に戸惑ってはならない。カジートは一般的に言って友好的で親切な民であり、訪問者を迎え、旅行者をあらゆる種類の品物やサービスで魅了することに熱心だ。気楽にくつろげる、穏やかな風と暖かい気候の場所を求めているのなら、これ以上の場所はない!

シロディールからエルスウェアに旅する場合、あなたはエルスウェア地域を構成する二大地方の一つ、由緒あるアネクイナに入ることになる。牧畜の街リバーホールドがあなたを歓迎するだろう。

この活気あふれる国境の街は、エルスウェアと大帝国の間を通る隊商と旅人がよく立ち寄る。広々とした街の広場は青空市場になっており、様々な品物が行商人の荷車から降ろされて売られている。交易商たちは旅に出ては戻るため、時間ごとに売り物は変化する。もちろん、値切る以外にもすべきことは沢山ある。〈消えた後悔〉宿屋が頻繁に提供している輸入品の酒は乾いた喉を潤し、 月の祝福の聖堂の静謐とした雰囲気はしばしの平穏を与えてくれる。また、改築中の歴史の館もある。歴史の館が完成した暁には、長く物語に満ちたカジートの歴史が展示されるだろう。

くつろいで再び旅に向かう準備を整えたら、リバーホールドから東へわずかに進めば、アネクイナの首都であるリンメンに着く。

リンメンへ向かう道では、エルスウェアの大地がカジートと同じくらい多様であることが見えてくるだろう。繁栄する都市に近づくにつれ、不毛のサバンナが開拓され、乾燥した牧草地が青々と茂る緑と、サトウキビの大草原へ移り変わっていくのが明らかになる。リンメンの高い壁の内側では、カジートが水を嫌うという偏見がひどく誇張されたものであると知るだろう。ここでは木や熱帯の植物が、街中に張り巡らされた人工運河に沿って育つ。この運河は王国全体に広がる水道から水を供給されている。水道は街よりも古く、遠い昔に建設された遺産である。水に沿ってぶらぶらと移動するのは、住民にとっても訪問者にとっても人気の散歩道だ。一年を通したリンメンの暖かさと、晴れの多い空模様のため、ここは帝国中から休暇を過ごしに来る者が多い場所である。ここで1日を過ごせば、カジートの歓迎がどこにも負けないことが分かるだろう!

少し冒険をしたい気分で、かなりの登山も気にならないなら、時間を割いてアネクイナ水道を辿りながら各地を回ろう。アネクイナの驚異を巡る間に、スカーを見逃すことは文字どおり不可能だろう。この地方の中心部に食い込んでいる広大な峡谷だ。上から見ても下から見ても息を呑む規模で、ここを見ないのはもったいない。もっとも、豊穣な水資源がわずかに手の届かないところにある光景は、西に広がる不毛の僻地にあって少々耐え難いと感じるかもしれない。

曲がりくねった峡谷、スカーを横断する決心をする前には、オークレストの街に立ち寄るのが自然だろう。リバーホールドがアネクイナの入口で、リンメンが首都なら、オークレストは商業の中心地である。壁に囲まれたこの古い街はスカーの崖沿いに位置し、アネクイナの分散した地方同士を結びつけるために、街の大きな橋を歓待の腕として伸ばしている。王国中、王国外からも交易商たちがここに来て、自分の商品を近隣のペレタインやヴァレンウッド、シロディールの商人に売りさばく。ここで売られていないものはほとんどない。ここのカジートは対価さえ払えば自分の尻尾すら手放すと言われているが、私はタアグラ語に流暢でないため、ニュアンスを掴み切れているかどうか自信がない。

都市生活の活気と慌ただしさに疲れたなら、景色を楽しめる静かな場所は沢山ある。メイアヴェイルの牧草地には穏やかなムーンシュガー農場が点在し、サトウキビの茎が陽気な収穫の歌と共に、涼しい風に揺れている。神々へ捧げられたカジートの聖堂は数多く、衝撃的なほど美しい。特にサンスパイアの前では、クヴァッチのいかなる大聖堂も小さく見えるだろう。しかし本当にエルスウェアでしか味わえない体験を求めるなら、僧房でモンクたちと瞑想して時を過ごし、献身的なモンクが持つ力と敏捷さ、技を見せてもらうといい。

私の言葉によってあなたがここまで来たのなら、さらに歩を進め、帝国の中でも最も素敵な地域への旅を始めてくれるよう願っている!

毛皮を持つ者たちの歌The Furstock Song

コーラス
賢いダギ、素早いサセイ、筋骨隆々のパフマーにセンチラート
アズラーが我々に贈り物を授けた時、たくさんの種類を授けられた
ハンサムなキャセイ、機敏なトジャイ、隠密のオーメスとアルフィク
形と大きさは違い、唯一無二の特徴がある!

木登りを愛するダギはみんなのお気に入り
ピンクで節だらけの膝で、ウッドエルフよりずっと上手く
枝から枝へ、素早く優雅に飛び回る
愛らしさは爽やかな真夏のそよ風に吹かれる羽根のよう

コーラス

助言を与えよう、センチの邪魔をしないこと
爪はカミソリのように鋭く、顎は骨を砕く
瞬きする間に、エルフをバラバラにしてしまう
戦いを挑むのは、死にたい時だけだ!

コーラス

我らの愛する母、アズラーは、アルフィクをとても小さく作った
だから彼らがしゃがむと、もう何も見えなくなる
これは魔法だ!と言うが、それはごもっとも
カジートにはどんなことでもできる!

コーラス

歴史の館を訪れましょう!Visit the House of Histories!

美しき北エルスウェアのあらゆる場所から集められた、驚くべき景観や音、匂いまでも含む、特別な文化的冒険をご体験ください。注意深く吟味された私たちのコレクションは、間違いなく感動と驚きをもたらします!

本日のツアーは、イラヤかイザンジにお尋ねを!

(追記:近日発生した盗難事件により、現在ツアーは実施しておりません。ご理解いただけますようお願いいたします)

埃と石を信じよFaith in Dust and Stone

ジェンナイ・ダブ・ツォング・ル・カブ

大地の獣よ
埃と石を信じよ

虫として生きるために戦え
隠れて影から襲うために
日と開けた空を恐れよ

ジェンナイ・ダブ・ツォング・ル・カブ

ドロ・マスラ

クラフトモチーフ35
Dro-m’Athra Style

黄昏の先唱者アダーラハイ 著

世界の陰の闇の奥深く、どことも知れぬ場所には不気味な鍛冶場と曲がった作業台があり、そこで迷い猫たちが自らのための武器と鎧を作っている。奴らが姿を見せるような危機の時代に、奴らが身に着けている装備は似通っている。つまり、その装備は一定の基準に基づいて作られているの。その基準についての歌を歌っておくわ。あらゆる知識は有用よ。そうでしょう?近寄ってはならない相手を知るためだけにでも役立つわ。

ブーツ

ドロ・マスラのブーツは爪先が閉じられている。一般的なカジートの慣習からすると、興味深い例外よ。古代の歌を思い起こさせる。「片足をジョーンに、片足をジョーデに。迷い猫は爪先が一番強い」閉じられた爪先は、肉球の裏の傷でも隠しているの?

ベルト

大量のタセットがある!ドロ・マスラのベルトの留め金には、下弦の三日月が2つの長く曲がった牙に向かって伸びているのが見える。大抵は「闇の眼」の印の下よ。この眼が何を意味しているのかははっきりしない。おそらくその方がいいでしょう。ナミイラの知識をすべて知ることができる者がいる?

猫の顔が2重になっている。第1の顔の上に第2の顔。気味が悪い!でも、ドロ・マスラの顔が隠れているのはいいことよ。2つの下弦の三日月で飾られている。耳は偽物、しかし歯は本物。少なくとも本物のように鋭い。喉当てがないなんて!

脚当て

ドロ・マスラの脚当てはほとんど普通のつまらないものに見える。世界最高峰の脚当てのように下肢を守らないといけない。そうでしょう?すねの部分に暗い月があり、下を向いて、すべての生命を空にしている。シンバルドの歌を歌い、向きを変えて立ち去りなさい!

下弦の月のモチーフはドロ・マスラの弓において非常に明確よ。鎌状の月が2組配置されていて、1組は握りを支えている表の部分に、それよりも小さいもう1つの組は湾曲部の端にある。このような弓が放つのは、矢だけではないかもしれない。恐ろしいわ。

胸当て

ドロ・マスラ戦士の胸当てには下弦の三日月2つの装飾突起があり、私が「青い爪の刻印」と呼んでいるギザギザ模様に囲まれている。これは迷い猫の様式では非常によく見られる、特徴的な青い稲妻のジグザグ模様よ。

迷い猫の剣は切っ先が重く、筋骨隆々の猫であるドロ・マスラ以外が握っても、まともに扱えないでしょう。ひどく鋭い刃は、剣の重さで身体と骨を貫通する。十字型の柄は下弦の三日月だけど、もう言わなくてもわかるでしょう。避けて!触らないこと!あなたは賢く、アダーラハイの助言に従う?分かるわけがない。なるようにしかならないわね。

肩防具

素晴らしいポールドロンよ!青い爪の刻印で飾られている。喉当てと面鎧はないけど、高い襟で補われている。襟はとにかく鋭い。触ってはいけない。触り返してくるから。私は本気で言っているのよ。

手袋

篭手はもちろん攻撃から手を保護してくれるけど、世界の陰の闇はとても冷たくなる。手袋を使ったほうがいい。指先は覆われている。カジートの爪はどうしたの?前腕には青い爪の刻印があるのに、手には爪がない。非常に不気味ね。

2つの下弦の三日月の盾で、ジョーデは右、ジョーンが左。鎌状の月が溝になっていて、そこから突きを繰り出せる。青い稲妻が見える?とても危険よ。気をつけて。

何という杖でしょう!下向きの下弦の三日月が2つ、頭を空にしており、その上には亡霊の三日月がある。荒々しく、今にも破壊の呪文を放たんとしている。迷い猫のソーサラーがなぜドロ・マスラの中で最も恐れられているか、推測の必要もない。全くね。

戦棍

迷い猫は戦棍の殴打でベントの踊りのリズムを刻む。ドロ・マスラの戦棍は盾のような形状をしているけど、ドロ・マスラの盾は戦棍の形状をしていない!この謎の答えを歌えるのは誰?少なくとも私じゃないわ。

短剣

ドロ・マスラの短剣は刺突用の短い武器で、極端に湾曲した十字型の鍔がついている。攻撃を受け流すのに役立ちそうね。奇妙なことにこのせいで短剣は、迷い猫の武器の大半に2つある「下弦の三日月」が、1つしかついていない。足りない月は亡霊の月を象徴しているの?私にはわからない。

ドロ・マスラの武器と鎧は多くの場合、「下弦の三日月」のシンボルを宿しているの。なぜ下弦かというと、悪は闇の月において最も強力になるからよ。そのため、迷い猫の斧は2つの下弦の三日月を宿している。一つはジョーデ、もう一つはジョーン。しかし欠けつつあるってわけ。

グリーンシェイドの伝承

Greenshade Lore

ウーズ:ある寓話The Ooze: A Fable

これはヴァレンウッドに棲むウッドエルフの子供たちが、幼いころから聞かされる物語である。

かつて、この世界のものには形がありませんでした。大地の様子は定まらず、木々は硬い幹や枝や樹皮を育まず、エルフたち自身の姿も絶えず移ろい、一つにとどまらなかったのです。この渾沌が、「ウーズ」と呼ばれました。

ところが、イフレがウーズを取って命じました。イフレはまず、「緑」について語ります。「緑」とは、森とそこに生い茂る全ての植物を指します。イフレは「緑」に思い通りの形をとる力を与えました。なぜなら、それがイフレの語る最初の物語だったからです。

エルフは、イフレが語った2つめの物語でした。イフレが物語を紡ぐのに合わせ、エルフは今の姿になりました。イフレは彼らに物語を語る力を与えましたが、自分自身や「緑」の姿を変えようとしてはならないと戒めました。森の姿を変え、森を破壊することは禁じられたのです。

そのかわり、イフレはウッドエルフたちを「緑」に委ねました。雨露をしのぐ住まいと安全な道は、「緑」に頼めば与えてくれるのです。そして、彼らが尊ぶ気持ちを忘れないかぎり、「緑」は言うことを聞いてくれるのです。これを、「グリーンパクト」と呼びます。

最後に、イフレは大地を歩く生き物と川を泳ぐ生き物と空を飛ぶ生き物全てについて語りました。イフレはそれらを、生きる糧としてウッドエルフに与えたのです。彼らは植物をいっさい食べず、肉だけを食べることになりました。イフレはまた、ウッドエルフに殺されたウッドエルフは土に還ることが許されず、他の生きもの同様、食糧として消費されなければならないとも言いました。これが、「ミート・マンデイト」と呼ばれるものです。

物語が語られるたび、イフレはそれらが満足のいく形をなすよう取り計らいました。けれども、ウーズのなかにはウーズのままでいるものもありました。そこでイフレは最後の物語を語り、そうしたウーズにも目的を与えました。

「緑」の姿を変えたり「緑」を損なったりしてグリーンパクトに背いたウッドエルフは、罰として形を持たないウーズに戻されるようになりました。彼らの名前はイフレが語る物語から消され、沈黙に置き換わるのです。

ウッドエルフの間で、「緑」に愛された者はウーズに囚われた罪人を解き放つ力を持つと言われています。もっとも、そうやって解放された者たちがどこに向かい、どんな形を取るかは知られていません。

ウーズを見たことがある者は誰もいません。そこに囚われた人々の声を聞いた者もいなければ、彼ら罪人たちをこの業罰から救うことができる者に会った者もいないのです。でも、ウーズを「ただの物語」だと思うかどうかウッドエルフに尋ねれば、決まって次のような答えが返ってくるでしょう。「”ただの物語”なんてものは存在しない」と。

ウッドエルフのグルメガイド、第1章The Wood Elf Gourmet, Ch. 1

ウッドエルフなら誰しも、内側の部位ほど美味だということを知っている。他の種族は肉を調理するにしても、血が蒸発してぱさぱさになるまで火を入れるし、内臓や脳味噌は捨ててしまうが、ウッドエルフはそういった部分こそ最もジューシーで、したがって最も風味豊かであることを知っているのである。

次に紹介するのは、ヴァレンウッドのグリーンシェイド地方に伝わる名物料理である。

鹿肉の壺詰め

指で触れて柔らかくなるまで腰臀部を吊るす(5日間)。

腰臀部を中火で加熱する。その際、油を塗ると外側をカリカリにできる。肉がぱちぱち言い始めたら、火からおろす。

熱々の肉を甕か壺に入れ、出し汁とタマネギのみじん切りを加えてふたをし、そのまま2週間寝かせる。

食卓に出すときは壺の蓋を開け、肉を出し汁と一緒にそのまま皿に盛る。とても柔らかいので、ナイフで切り分ける必要はない。

この料理は4人家族がお腹を満たせる量だし、数日獲物を仕留められずにいた猟師1人を満足させるだけの量がある。

こういった名物料理は他にもたくさんあり、親から子へと伝えられるケースも少なくない。

ウッドハース:ポケットガイドWoodhearth: A Pocket Guide

ファリネスティが姿を見せなくなってから、ウッドハース以上にウッドエルフの性格と歴史を余すところなく示している都市はない。

ヴァレンウッドの南西岸に位置するウッドハースは、もともとは帝国の入植地であり、最初はつつましい街だった。その地域に点在するウッドエルフの集落との交易を促進する目的で時の皇帝が建設し、歴代の皇帝が維持してきたのである。

にぎわう港町であると同時にヴァレンウッドの自然の脅威から人々を守る砦でもあったウッドハースに対する近在のウッドエルフの反応は、好奇心と友好的態度、それに敵意が入り交ったものだった。

敵愾心の強いボズマーが防壁に攻撃を仕掛けてきたことも一度や二度ではない。その内の何度かは、強力な破壊魔法を集中的に浴びせることで、防壁の一部を崩落させることに成功している。もっとも、せっかく防壁を破壊しても、帝国軍の粘り強さと優れた装備の前に、結局は撃退されてしまうのが常だった。

やがて、ヴァレンウッドのグリーンパクト・ボズマーの間でついに和平が結ばれる。すると、ほどなくしてボズマーの集落が出現し、帝国の建築物の数を上回るようにさえなった。ウッドエルフが自分たちの住む森との間に結んでいるあの特別な関係の賜物として、ボズマーの集落の特徴である木の家や歩道が生まれたのである。

ボズマーが帝国を助ける勢力になったことで、ウッドハースの統治は徐々にウッドエルフ自身に任せられるようになって行く。樹の従士が置かれ、インペリアルの建設した区画こそさびれはしたが、全体としてウッドハースの街は栄えた。

それから一世代の内に、ウッドハースの樹の従士の評価は高まった。揺るぎない指導力を発揮し公正な裁きを行うという評価が、ウッドエルフのみならずその同盟者たちの間にも定着したのである。

この原稿を書いている現在、ウッドハースの樹の従士はファリエルであり、彼女は樹の従士としてのみならず、創設間もないアルドメリ・ドミニオンのアイレン女王の元、サルモールのメンバーとしても統治を行っている。海辺の聖域と共にヴァレンウッドの主要港の地位を保つウッドハースは、今やありとあらゆる種族が住む、種族のるつぼと言っても過言ではない。

クランマザー・アニッシの言葉パート1Words of Clan Mother Ahnissi, Pt. 1

クランマザー・アニッシから愛する娘達への言葉

パート1

アニッシは教えよう。あなたはもはや子猫ではないし、アニッシに隠しごとをすることも覚えた。だからアニッシは話そう。

初めは、オーナールとファドマイというつがいがいた。様々な局面が過ぎ、ファドマイはオーナールに、「結婚して子供を作り幸せを分かち合おう」と言った。

そして彼らの間に最初の猫、アルコシュが生まれた。オーナールは「アルコシュよ、時間を与えよう。猫のように素早く、ときにはゆっくり動くものは何だ?」と言った。

それから風のケナーシが生まれた。「ケナーシよ、お前に空を与えよう。何が風より高く飛ぶのだ?」

そして猫の目のマグルスが生まれた。「マグルスよ、お前に太陽を与えよう。何が猫の目より明るく輝くのだ?」

そして母猫のマーラが生まれた。「マーラよ、お前は愛である。何が母の愛より優るのだ?」

そして子猫のスレンダルが生まれた。「スレンダルよ、お前に慈悲を与えよう。慈悲なくしてどうしたら子猫は生き延びれるのだ?」

様々なことが起こり、オーナールとファドマイは幸せだった。

オーナールが、「もっと子供を作って幸福を分かち合うべきだ」と言った。それにファドマイも賛成した。そしてハーモーラーが生まれた。その後、ハーシーン、マールンズ、マファラ、サンジーン、シェッゴロス、他にもたくさんの子供が生まれた。

ファドマイはこう言った:

「ハーモーラーよ、お前は潮汐です。月が潮の流れを予測できるのか、それとも潮の流れが月を予測するのか、誰に分かりましょう?」

「ハーシーンよ、お前は腹を空かせた猫です。腹を空かせた猫より上手に狩りをするものは何ですか?」

「マールンズよ、お前はジャ・カジートです。子猫より破壊的なものは何ですか?」

「マファラよ。お前は一族の母です。一族の母のやり方より明かされないものは何ですか?」

「サンジーンよ、お前はスクゥーマの猫です。スクゥーマの猫より正気でないものは何ですか?」

そしてオーナールは「子供は2人で十分だ。子供が多すぎると幸せを奪われてしまう」と言った。

しかし、ケナーシはファドマイのところへ行き、「母よ、ケナーシは兄弟のアルコシュでさえも飛べないほど高い所に飛んでしまえるので寂しいです」と言った。ファドマイはケナーシを可哀そうに思い、オーナールを騙して再び身籠った。

ファドマイは月とその動きを生み出した。次に魔法の砂と豊富な森のニルニ、そして黄昏と暁のアズラーを生んだ。

最初から、ニルニとアズラーは母親の愛を奪い合った。

オーナールはファドマイが出産しているとき彼女を捕まえた。オーナールは怒った。オーナールはファドマイを打ちつけ、彼女は最後の子供を生むために深い闇の奥へと逃げた。子供たちはこの出来事を聞き、母を父の怒りから守るためにやって来た。

そしてファドマイは、最後の子供ローカジュを深い闇の中で生んだ。ローカジュの心は深い闇でいっぱいだった。ローカジュが生まれると、深い闇はその名前を知った。それがナミイラであった。

クランマザー・アニッシの言葉パート2Words of Clan Mother Ahnissi, Pt. 2

クランマザー・アニッシから愛する娘達への言葉

パート2

ファドマイは自分の死期が近いことを悟り、こう言った:

「ジャ・カージェイよ、お前にラティスを与えよう。月の側面よりしっかりとしたものは何ですか?お前の止まることのない動きは我々をオーナールの怒りから守るでしょう」そして、月は天より出てしかるべき場所に着いた。オーナールの怒りが轟き渡り深い闇は揺れたが、彼はラティスを渡ることはできなかった。

「ニルニよ、お前に素晴らしいものを残しましょう。ファドマイが今日まで子供を授かったように、お前もたくさんお子宝に恵まれるだろう」アズラーには何もないことが分かると、ニルニは笑った。

アズラーを除いてファドマイの子供たちは全員去った。ファドマイは「私のお気に入りの娘よ、お前に最も素晴らしいものをあげよう。ファドマイはお前に秘密を残します」と言って、娘に3つの事を話した。

ファドマイは「ニルニに子供がたくさんできたら、1人選んで変化させなさい。機敏で賢く、美しくし、カジートと呼ぶのです」と言った。

「カジートは最高の登り手でなければいけません。マッサーとセクンダが落ちても、ケナーシの息吹を登って月を彼らの道に戻さなくてはなりませんから」

さらに「カジートは最高の詐欺師でなければいけません。いつもオーナールの子供たちに自分の性質を隠さなくてはなりませんから」

「カジートは最高の生存者でなければいけません。ニルニが嫉妬して、砂をザラザラにし森を激しいものにし、常にニルニとの戦いで飢えるからです」

このような言葉を残してファドマイは息を引き取った。

様々な局面が過ぎ、ニルニがローカジュのもとにやって来てこう言った。「ローカジュよ、ファドマイは私にたくさん子供を生めと言いましたが、そんな場所はありません」

ローカジュは「ローカジュが子供たちのために場所を作り、お前はそこで子供を生める」と言った。しかしローカジュの心は深い闇でいっぱいだった。ローカジュは姉妹を欺き、2人はニルニとともにこの新しい地へ行くしかなかった。ファドマイの子供の多くは逃げ、星になった。ファドマイの子供の多くはニルニの歩みを安定させるために亡くなった。そして生き残った者は残り、ローカジュを罰した。

ファドマイの子供たちはローカジュの心を引き出し、ニルニの内側奥深くに隠した。彼らは「騒がしいローカジュよ、我々はお前を呪う。色々な段階をニルニと歩むように」と言った。

しかしニルニは子供を作るため、すぐにローカジュを許した。彼女は子供たちで満たされたが、お気に入りの子供、森の精は自分の姿が分からなかったので泣いた。

アズラーが来て「哀れなニルニよ、泣くのを止めなさい。アズラーからお前のために新しい子供を送ろう」ニルニは泣き止み、アズラーは月への第1の秘密を話した。2人は分かれて、アズラーを通した。アズラーは人間と野獣の狭間で悩んでいた森の精を、最高の砂漠と森へ連れて行った。アズラーはその見識で数多くの形に彼らを変えた。全ての目的に合う1つの姿にした。アズラーは彼らをカジートと名づけ第2の秘密を話し、秘密の価値を教えた。そしてアズラーはニルニの秘密の護衛者にふさわしいよう、新しいカジートを月のラティスと結びつけた。それから第3の秘密を話した。月は沼地を照らし、その光は砂糖になった。

しかしワイファーは第1の秘密の話を聞き、アズラーの後ろについて忍び込んだ。ワイファーは秘密について理解できず、アズラーの罠のことをニルニに話した。ニルニは砂漠を熱し、砂は燃えるようにジリジリした。それから森を濡らし猛毒で満たした。ニルニはワイファーに感謝し、森の精を変えさせた。ワイファーにはアズラーの巧妙な知恵はなかったので、森の精をエルフにし、2度と野獣にならないようにした。彼らをボズマーと名づけた。そのときから、彼らはもはやカジートとは同じ子供ではなくなった。

そしてワイファーは秘密の価値を理解していなかったので、息を引き取るまで第1の秘密を大声で触れまわり、ファドマイの子供たちは全員ラティスを渡れた。しかしアズラーは賢く、オーナールとローカジュの耳を塞いで、その言葉が聞こえないようにした。

グリーンパクト・ボズマーが見る幻視Visions of the Green Pact Bosmer

以下はモルヴァス・アンドリスによる4巻からなるグリーンパクト・ボズマーの研究書からの抜粋である。この研究は第一紀に3年間続けられたが、モルヴァス・アンドリスがとある弔い合戦で命を落とし、研究していたクランに貪り食われたことで途絶した。

…ファニリエルは齢100歳にして沼地の発光ガエルを食べ、上下が逆さまの樹木都市、ハートグリーンの幻影を見た。そこには逆立ちをして両手で歩くエルフたちが住んでいたという…

…「窃盗の権利」後の請求に成功した回数が200回を超える怪盗ヴァニリオンは、かつて森の真ん中に現れた木に登り、幻視を見たと言われている。

その木は葉が紫色で、ヴァニリオン自身の言葉によれば、そうした紫色の葉に囲まれて座っていると、得も言われぬかぐわしい匂いがしたという。その甘い香りを嗅いでいるうちに、ヴァニリオンは心が穏やかになり、一種陶然とした境地に入った。樹木が環状に茂る森が見えたのは、その時である。森に足を踏み入れたヴァニリオンだが、奥へと進むにつれて樹木の環は広がり、いつまでたっても森の中央にたどりつけない。

そうやって森の中をさまよううちに、ヴァニリオンはそれまでに見たこともないほど美しい霊魂に出会う。その霊魂は話す時、文章が堂々巡りをするよう、本来最後に来るべき言葉をあえて頭に置いた。「横になりましょう。おいでなさい。川のほとりで一緒に」

木の葉の強力な芳香によって恍惚境に陥っていたヴァニリオンは、枝から落ちてようやく我に返った。命に別状はなかったが、落下の衝撃で片脚を折ってしまい、盗賊家業は廃業した。ヴァニリオンはその後の人生を、葉が紫色の木を探すことに費やしたが、ついに見つけることはできなかった。

私は樹の従士に尋ねて見たことがある。パクト・ボズマーはそうした幻視を「見る」と言うが、「思い浮かべる」と表現するほうが適切ではないかと。というのも、こうした奇妙な幻影に登場する都市や森やその他の驚くべき事象が、ニルンにもオブリビオンにも実在しないことは明らかだからだ。

その樹の従士は、何やら当時流行りの発酵牛乳らしき臭い飲みものを長々とあおると、自分の足元を見つめ、それから空を見上げておもむろに答えた。「世界は自分の目で見える範囲で終わっているとあなたがたは言う。我々は違う。自分の目で見える範囲を超えたところから、世界は始まるのだ」

グリーンパクトとドミニオンThe Green Pact and the Dominion

木々が太陽に向かって伸びるように、また、月が出ている夜は出ていない夜と違う鳥たちのさえずりが聞こえるように、ヴァレンウッド生まれのウッドエルフならば誰しも(そして、ヴァレンウッド生まれでないエルフのほとんど全てが)グリーンパクトについて知っている。

グリーンパクトとは我々ウッドエルフが、大いなる物語の始まりから我々を導き、生き方を教えてくれているイフレと交わした約束である。

グリーンパクトの定めは明快だ。森を傷つけてはならない。植物由来のものは一切口にしてはならない。食べるのは肉だけにせよ。敵を征服したときには、骸が土に還るに任せず、その肉を食らうべし。無駄な殺生はこれを禁ずる。汝らウッドエルフの姿は神聖なものゆえ、獣の姿をとってはならない。

これがグリーンパクトである。この協約を守る見返りに、森——我々は「緑」と呼ぶが——は充分な食べものと雨露をしのぐ住まいを提供してくれる。森が、我々の要請に応じて自ら姿を変えてくれるのである。これは、イフレが我々ウッドエルフだけにくれた特別な贈り物だ。おかげで、我々は満ち足りた暮らしを送ってきた。

ところが今、我々は未曽有の状況に置かれている。我々の新しい盟友たち、すなわちハイエルフとカジートは、グリーンパクトを守ろうとしない。彼らは草葉と木材でこしらえた家に住み、ありとあらゆる種類の果実を食べ、ブドウから造ったワインを飲む。敵を貪り食うなど、彼らから見れば野蛮人の所業以外の何ものでもないのだ。

こういった盟友たちを、ヴァレンウッドのウッドエルフはどのように受け入れたらよいだろうか?それも、グリーンパクトを遵守しつつ、だ。これは今日多くのエルフを悩ませている問題であり、とりわけ、新たに建設されたばかりの街マーブルクに住むエルフたちの困惑は深い。我々は「緑」に対する冒涜の度合いで言えば、もっと些細な事柄をめぐって戦争をしたこともある。

一方、ドミニオン成立当時、グリーンレディとシルヴェナールがウッドエルフの利益とグリーンパクトの精神を代弁してくれたことを我々は知っている。そして今、サルモールにはウッドハースの樹の従士にして我々の力強い代弁者であるファリエルがいることを、我々は忘れてはいないのだ。

彼らはこの不確かな時代に我々が模範とすべき指導者たちだ。彼らは自らの振る舞いを通して、我々にたどるべき道を示してくれている。我々は新しい盟友たちを、ウッドエルフならではの歓待で迎え入れるべきだ。彼らに喧嘩を吹っかけてはならない。彼らから盗みを働くような真似は、慎むべきだろう(彼らの多くは「窃盗の権利」というものを正しく理解していないのだが、それはまた別の機会に論ずる)。しかし同時に、我々は自分たちの利益、そして「緑」の利益を守るためにはっきりものを言うことを、ためらうべきではない。

樹の従士たるファリエルが力強い弁舌をふるってくれたおかげで、マーブルクで使う木材の多くと草葉の全ては他からヴァレンウッドに運び込まれた。一方、街を建設する場所を作るためにおびただしい数の樹木が切り倒されなければならなかったという事実は、多くのウッドエルフにとって許しがたいことだ。ただ、ファリエルの見るところ、新たな盟友たちを受け入れることは、ヴァレンウッドを破壊するに違いない連中に対する強力な防備を構築するための第一歩なのである。

我々の意見に進んで耳を傾けようというアイレン女王の姿勢は、彼女が優れた知性の持ち主であることと、彼女がウッドエルフの民に敬意を抱いていることを示している。であれば、我々は女王の指導力を積極的に信頼することで、彼女の厚意に報いるべきであろう。

さまよえる王の伝説The Wilderking Legend

——作者不詳の口承文学を聞き書きしたもの——

歌え、ヴァレンウッド。叫べ、「緑」よ
動く者、形を与える者の物語を語れ
その名はさまよえる王

彼の目は世界に向かって突き出し
知覚するもの全てに触れる
彼は思考によって、形を与える

果たして彼はどこにいるのか
山だろうか
森だろうか

否。そこに彼はいない
なぜなら、「そこ」とは場所であり、場所には際限がある
さまよえる王に際限はない

彼は宮廷にして玉座
彼は宮廷にして玉座
彼が歩めば、踏み出した足は自身の上に落ちる

彼の足音と地響きを、誰が聞かずにいられるだろう?
彼の到来とともに大地は震える
地下から彼のホロウがせりあがる

さざ波一つない水面の儚い静けさが
極小の石つぶてで粉々に砕けるごとく
さまよえる王が通り過ぎる時、恐るべき力が伝わる

叫べ、ブランブルブリーチよ!むせび泣くがいい、影の守人よ!
さまよえる王は味方にして敵
敵にして味方なり

彼の足音を、誰が記録にとどめられるだろう?
彼が口を開いて歌う時
誰がその旋律を耳にできるだろう?

ネレイドの贈り物Gifts of the Nereids

幼い時、私は両親に連れられ、司祭たちがネレイドを崇める洞窟を訪ねた。両親は我が子もいつか司祭になれるかもしれないと、私をその聖堂に捧げたのだった。

その聖堂には、私の他に3人しか子供がいなかった。10歳になるまで、私はその3人にからかわれ続けたが、それは私の片脚がもう一方より短く、短いほうの脚を引きずって歩いていたからだ。

ある日、私たち4人は洞窟の中を走り回っていた(こうした行為は禁じられていたが、司祭たちは子供が子供らしく振る舞うのにいちいち目くじらを立てず、見て見ぬふりをしてくれることが少なくなかった)。そのとき、私は何かに蹴つまずき、顔から池に落ちてしまった。私は頭を打ち、気を失った。他の子供たちは私よりもずっと先を走っていたので、この異変に気づかなかった。

後で司祭たちに聞いたところでは、ネレイドの1人が溺れる私を助けてくれたらしい。その時私は何も憶えていないと言ったが、時間が経つにつれ、水中を浮上する感覚と、そのとき覚えた一種の戦慄に似た感覚を思い出した。それは、見てはいけない何かを見てしまった時、定命の存在が目にするには美しすぎる何かを見てしまったときに覚える感覚だった。

司祭たちは私たちにネレイドとの関わりかたを教えてくれた。私たちは「ネレイドの贈り物」という次のような文句をそらんじ、毎日繰り返し暗唱することを求められた。

ネレイドの贈り物は次の3つから成る:
姿の美しさ、
歌声の甘美さ
そして、その庇護である。

年長の子供らには、儀式を執り行う司祭たちを補佐する役目が与えられた。中央の祭壇にはネレイドに捧げる肉が運ばれる。そして年に1度、司祭の1人が洞窟の奥深くに入り、ネレイドの歌声に包まれて瞑想する。瞑想を終えて戻ってきた司祭は、預言を皆に伝えるのが常だった。

子供らは一定の年齢に達すると、聖堂に残って司祭になるか、それとも追放されるかを選ばなければならない。幼いころからずっと洞窟の中で過ごしてきた私には、他の生き方など想像することもできなかった。だから、司祭になる道を選んだ。そんな私でも、ときどき陽の光が恋しくなることがある。そしてそういう時には、もし追放を選んでいたら、自分が今頃どこにいてどんな光景を目にしていたかと、想像を巡らせずにはいられないのだ。

最も古き者:巡礼の話The Eldest: A Pilgrim’s Tale

輝かしい春。大地が雨に酔いしれ、太陽がヴァレンウッドに微笑む季節。ウッドエルフは旅に出て、齢経りたストラングラー、最も古き者のねぐらを訪ねる。そこで彼らはその年も春が訪れたことをイフレに感謝し、最も古き者の枝に囲まれて、自分たちの故郷の歴史をひもとくのである。

その後、グリーンパクト・ボズマーの主宰で、春と最も古き者を祝う盛大な宴が催される。宴は夜になっても続き、エルフたちは過去の宴や巡礼の逸話を肴に美酒を飲み交わし、佳肴に舌鼓を打つ。

宴で語られる逸話は神聖なものもあれば冒涜的なものもある。

例えばある逸話では、悪名高い戦士長に率いられた軍隊が最も古き者の住処の前で進撃を止め、住処の主に尊敬の念を示すため中に入っていく。住処から出てきた彼らは武器を捨て、そのまま立ち去った。彼らは二度と戦をしなかったという。

対照的に、こんな逸話もある。とある悪戯好きなウッドエルフが、森林マンモスの糞を挽いて粉にしたものを巡礼者たちのパンチ酒に混ぜた。そのせいで宴の参加者はみな、それまで嗅いだこともないようなすさまじい悪臭を放つ放屁に悩まされるようになる。宴が続き夜が更け、臭いがいよいよ耐えがたいものになってくるにつれ、彼らはうめき声をもらしたが、やがて鼻が慣れてしまうと、うめき声は爆笑に変わり、その笑い声が森を満たしたという。

宴で語られる逸話には、この巡礼の走りとなった男女の話もある。彼らは子供のいない老夫婦で、最も古き者を我が子のように世話したという。この2人が、初代のシルヴェナールとグリーンレディになった。

巡礼が語る逸話は他にも数多くあるが、書き留められているものは少ない。興味のある向きは春に最も古き者の住処を訪れ、逸話が語られるのを自分自身の耳で聞き、齢経りたストラングラーの姿を自分の目で拝むべきだろう。

グラーウッドの伝承

Grahtwood Lore

アウルビクの謎4:エルデンの木Aurbic Enigma 4: The Elden Tree

〈告げ示す者〉ベレダルモ 著

樹皮から明らかになった真実がある

アダマンティアのスパイクとゼロストーンは、彼らの物語もしくはドラゴンの(時に縛られた)寓話の展開の中にある本質をアース・ボーンズのために解明するため、アウルビクに関連する真実の構造を口述筆記させた。アルドメリの神話紀のエルフは単一の目的を持っていたが、それは他の塔がそれぞれの石を持ち、それぞれ集注の設計者によって刻まれた規則に従う物語をするかも知れないと気付くまでの話だった。そしてエルフはそれぞれ屈折し、それぞれが創造を始めた。チャイマーはレッドハートに従い、ボズマーはグリーン・サップを芽生えさせ、アルトマーはクリスタルのような法を創設した。

しかし様々なエルフの中でも、ハートランドのアイレイドほど厚かましいものは無かった。彼らはアダマンティアの露骨な模倣にて塔を建て、彼らの発掘した偉大なるレッド・ダイヤモンドを礎石として使った。ロルカーンの心臓そのものから取った血液を結晶化したと言われるチム・エル・アダバルである(ハートランドを超えてきた矢の付いた心臓は、その4つのうちの1つの意味を生み出した)。

知っての通り、次の様に白金は一の塔となった

聖蚕の目に予言された様に、アイレイドの慢心は辛い結果を招いた。オーバーワールドを見据える彼らの高い理想のせいで、奴隷達が決起して塔を彼らから奪うまで、足元で煮え立つネードの波風に気付けなかった。チム・エル・アダバルも同様に奪われたが、アークメイジのアヌマリルはその時までに、八叉の塔杖を作っていた。各部位が踊りにおける塔の外観を示していた。そしてその時、7つの部位が白金の騎士達によって遠く折り畳まれし地まで運ばれ、そこで隠された。

(これはすべてペリン・アルエッシアには確実に知られていなかった、もしくは異なる八大神がいたのかも知れない!)

こうして、白金はグリーンサップに変わった

ボイシェ・エルフはイェフレと緑の歌に最も耳を傾けたアース・ボーンズであった。彼らは塔を建てず、不確実なドングリから広がる偉大なるグラー・オークを拡大した。これが彼らの石だった。そして、ドングリが他のどこかにもいた可能性があるため、グリーンサップは多様で様々な存在になった。そして、各々歩むことができた。

それゆえ、それぞれのグリーンサップはあらゆるグリーンサップでもあった。真実の結末を持つ全ての緑の話がそれぞれにされており、その点で扉は常に不確実な扉だった。しかし、彼らの本質はプリズムの分裂の中にあったので、ボイシェはボズマーに成ることに慣れ、不確実な扉を楽しむ様になった。こうして、ボズマーはどの歌が木を踊らせるのか、どの踊りをしてもよいのか学んだ。

さて、8つの部位、もしくはアヌマリルがその外観を、零の塔を反映している一の塔として作った一の部位へ話を戻そう。アイレイドがハートランドから逃れた時、彼らは四方八方へ向かい、その行先は選択の余地があったが、多くはその先で終焉を迎えた。しかしヴァレンウッドへ逃れたアイレイドは、その他の方向へ行った者達よりも多く吸収された。これもまた選択の一つだった。これらのクランの中で、アヌマリルは大腿骨として一の部位を身に着けた。歩くこと以外の方法のために、スポークはハブを動かせるだろうか?

グリーンサップのエルフは、ハートランド人が緑の歌を調和させることに応じる限り、アイレイドを歓迎した。気付かれぬ様、手を当てて咳をしたアヌマリルを救うために、皆これに応じた。アヌマリルは偉大なるカモランにグリーンサップを見せる様頼み、その時エルデンルートに偶然立っていた一つの元へ連れていかれた。偉大なるグラーの内部で彼は不確実な扉を通り、彼が求めていた不確実なドングリを見つけた。それは多くのうちの一つだったが、アヌマリルにとっては十分だった。

次にアヌマリルは、一の部位を根の先へ運び金の木の実に見せて結末を告げた。石を確実なドングリにするために。そのエルデンの木は再び歩くことはできなくなったが、アヌマリルはさらに活用する意図を持っていた。歯を楽器として使い、彼は自分の骨を徐々に取り除き、それでニルンとその惑星を映し出すムンダス・マシーンを作った。そしてこの太陽系儀を作り出すためにすべての材料を使い終わった時、その部位の杖を内に置き、月と月の間に隠した。

そして彼は待った。しかし彼の待っていたことは起きず、おそらく彼はいまだに待っているだろう。アヌマリルはハートランド人が新たな領域を作れるように、グリーンサップを白金に変質させることを望んでいた。しかし、なぜ自分の計画が見込みを外れたのか、アヌマリルは知らずそもそも知ることができなかった。お分かりのとおり、アイレイドの魔法は起こるかも知れない、起こるであろう、起こるに違いない事柄だ。しかし、グリーンサップの元で、すべては不確実なのである。

アイレイドの計画は成功しなかった。そして失敗もしなかった。これはいまだに結末のない話だから。

ヴァスタリーの伝説The Legend of Vastarie

生徒にして友 アフワ 著

死霊術は召喚師によって用意された、もしくは場合によっては作り出された魂の支配として広く知られている。

技術的に正確を期した場合、これはこの方法で意思に反して呪縛された魂が、解放される望みなく閉じ込められることを示唆している。

また人間であれエルフであれ、構成物を占めている魂は常に知的能力があると考えられる様である。兵士や肉体労働者として死体に生命を吹き込むことによって固定化された、誤った考えである。

この誤解と誤用の可能性は、死霊術への非難と、マニマルコやその仲間達のアルテウム島からの追放を引き起こした。

エンター・ヴァスタリーはサイジック会の学徒であり、ヴァヌス・ガレリオンやマニマルコといった著名人と同時代の人物である。

マニマルコが死霊術の力を直接利用して力を探求する一方で、ヴァスタリーの目的ははるかに難解だった。彼女は知的生物が死んだ時に魂の解放を遅らせて協議し、その知識を長年保持する手段を探し求めた。

彼女はアルテウムを去った後、この目的のためにマニマルコと共に働き、下級デイドラを捕らえられる可能性がある、魂を閉じ込める方法を探求した。

モラグ・バルが秘密を隠していると信じた二人は、コールドハーバーに入って吸血鬼の始祖その人から奪おうと企てた。彼らは共に計画を立てた。

若者のみが持つ無鉄砲な勇気により、マニマルコと仲間達はデイドラ公の世界へのポータルを開いた。冒険を熱望したヴァスタリーは深く足を踏み入れ、見たこともない類の黒いクリスタルを持ち帰った。

マニマルコにとって、それは完璧なものだった。小さく、最も強き魂さえ入れることができ、一見すると不滅であった。ヴァスタリーにとっては非常に欠陥があった。魔法がなければ、魂を深みから自由にできなかったためである。

たとえそうでも、彼女は石を複製する仕事に取りかかった。分解して様々な物質と分析し、そして幸運にも新しいものを作り出した。それが最初の印晶石である。

クリスタルの様に透き通ったこの新しい装置は、知的生物の魂をその深みの中に閉じ込めることができた。だが支配の王から力ずくで奪った宝石と違って異常に壊れやすく、たった数日しかその力を保てない様だった。

一度閉じ込められると、魂は晶石の間を移転させられた。それを魂石として利用すると、魂が解放された。

ヴァスタリーは探し求めていたものを見つけたが、マニマルコは怒り狂った。魔法のために仕えない魂石などどうすればいいのだ?彼はヴァスタリーに、彼女の作品を彼の目的に合う様に修正する方法を探せと要求した。

彼女の友が探求を止めず、彼とのさらなる発見は彼の目標に向かうだけであると気付いたため、彼女は研究を集め、夫であり強力な死霊術師であるテラカルと共に去った。

彼らは共にマニマルコの手中から逃れ、ヴァレンウッドにあるアイレイド遺跡の奥深くに隠れた。彼らが長年住んだ場所は、彼らの技を完成させるためにこれ以上ないほど静かだった。彼らは数十年に渡りお互いを支え合い、幸せそうだった。ヴァスタリーが去る日までは。

その後数年、彼女はニルンの地をさまよい、力のある場所を探索した。彼女はウェイレスト、アリクル、水晶の塔、そしてデューンの蔵書庫を訪れ、彼女の魂を苛む疑問の答えを探した。

やがて彼女は探していたものを見つけ、ヴァレンウッドへ帰った。そこで彼女は塔を建て見習いを雇い、彼女の死霊術の特殊な型を教え、そして研究を進めた。

印晶石を使って、我々は下級デイドラの魂を呪縛し、魂石の力でオブリビオンへの帰還を遅らせた。それから、閉じ込められた霊魂をこの世界に表す方法に取り組んだ。

初期の試みは予期されていない、むしろ危険な結果をもたらした。晶石は砕け、壊れた水晶の破片は仲間の生徒の肉体に突き刺さった。誤用された力は生きた魂を小さな石に呪縛した。しかし、学ぶに連れて我々は、失敗を正し手法を洗練した。

ついにヴァスタリーは習熟した。死の瞬間に印晶石を使用することで、魂をその深みに留めることができた。召喚の応用によって、ゆっくりと協議できる場所である霊体の殻に引き込むことができた。

彼女はその発見を魔術師ギルドに手紙で知らせた。ヴァヌス・ガレリオン自身が、彼女の実演に立ち会いに来た。その実演は手法の実演に自主的に協力した、古い管理人と協議することを含んでいた。

彼女が魂を器具に呪縛した時、彼は衝撃を受け、過程が終了して古い管理人が解放され、エセリウスへ還ることができた時、彼は真っ青になった。

ゆっくりと彼は立ち上がり、集まった生徒達へ話しかけた。復讐の悪意と怒りを交えて話し、その様子は彼の気取らない態度から誰も予期しないものだった。話し終えると、身を翻して去った。

幾人かは彼を追った。誰も彼らを非難できなかった。彼は間違ってはいなかった。印晶石は危険な創造物だった。悪用されれば戦争の火種となり、歴史上前代未聞の破滅をもたらす可能性があった。

ヴァスタリーはくじけず、ガレリオンの頑固な無知は彼を破滅へ導くであろうと説得したが、数年内に何か他のものが彼女の注意を奪ったようだった。広大な遺跡が彼女の塔の基礎の下から発見された。それはデイドラ公の力によって、目と探知から隠されていたのだ。

やがて、彼女はその遺跡に入り、二度と出てこなかった。我々の一部は、今もなお彼女の帰りを待っている。

ヴァレンウッドで生き残ったアイレイドAyleid Survivals in Valenwood

タムリエル細目の第四階層学者 クラウドレストのクイヌア 著

この報告書は、我々の血縁であるウッドエルフの血統へ組み込まれた、アイレイドの血筋を強調することに教化的利点があるかどうか調査するため、サルモール同盟委員会によって委嘱された。広範囲にわたるヴァレンウッドへの旅によって、このテーマに隠れた歴史的事実を突き止めることができた。これらの事実が同盟親睦を深める有益な組織的活動を後押しできるかどうかは、委員会と教化サピアルチ次第である。

ダスクのプルリベルが彼女の権威ある著書「アイレイドの崩壊」で記しているとおり、第一紀243年の白金の大災害には破滅的な要因が様々にあり、契約していた人間の労働者による血の反乱は、主因ではないのかも知れない。プルリベルは、保守的なエドラを崇拝するアイレイドのクランと、退廃的で今なお確実に強力であり、デイドラ崇拝を取り入れたクランが対抗し合った、神話紀末期のナーフィンセル分裂を重要視している。私も同意見だ。この衝突は、第一紀198年にウェンデルベックの粛清で、アタタアのグリンフェレン王がアイレイドの伝統主義者バルサエビクに対してデドラフィル戦士の連合軍を率いた時に頂点を迎えた。バルサエビクはハートランドからアルゴニア北西部へ追放され、それ以降シロディールにおけるデイドラ崇拝に対する組織的な反抗は事実上終わった。

いずれにしても一般的な見解からすれば、アイレイド文明は白金の塔がネードの残虐行為に屈するまでの数世代で次第に衰えた。素晴らしいエルフ文化の廃墟の中に佇みながら勝者は、敗れたクランを拷問と残酷を好む暴力的なデドラフィルに仕立て上げることで、虐殺の正当性を捏造した。奴隷女王の一団と運命を共にしたエドラ信奉者を大部分とするクランのために、例外が作られた。もちろんこれは彼らの根絶をただ遅らせただけに過ぎず、シロディールの他のエルフが絶滅に追いやられた後すぐ、残虐なネードは否応なくかつての盟友を追跡した。

この様に、ハートランドのエルフが新しい居住地をタムリエルのどこかに見つけようとするアイレイドの離散が始まった。そして明らかに、ある程度の成功を収めた。かつてファルマーが所有していた土地へ北の方から逃れた者達は、悪名高き虐殺者ヴレイジ率いるノルドによって虐殺された。その時までアルゴニアに定着していたバルサエビクはかつての迫害者であるアタタア人への迎合を拒否し、ほとんどのクランは猫人の領地への不運な遠征で消滅した。いくつかのクランはハンマーフェルからイリアック湾への長い行軍に出発し、一部は到達して、そこで長い歴史を持つバルフィエラのディレニに合流した(そして吸収された)。

最も成功を収めた、かなりの数がいるクランはヴァレンウッドの森林下にある南西へ逃れた。アヌトウィル、ヴィルヴェリン、タルウィンク、バウン、ヴァロンドのクランはみな、森の中に新しい生活を切り開くべくほとんど無傷で逃れた。これらのクランはみなデイドラ公達を崇拝していたが、ヴァレンウッドへの移住を強いられた後はその崇拝熱が薄れたかの様に見えた。おそらく、見捨てられたクランが助けを必要としている時に、デイドラ公達がほとんど、あるいはまったく手助けしなかった事実が原因だろう。幸い彼らの新しい主人であるボズマーは、ハートランドのエルフがグリーンパクトのあらゆる面を受け入れて森に害を与えない限り、アイレイドを領地へ受け入れることに驚くほど寛大であった。アイレイドは同意するしかなく、おそらくこれが彼らの文化を薄れさせる一因となった。

本来の形が薄められていくうちに、やがて吸収され、そしてついに忘れられた。私はヴァレンウッドの素晴らしいアイレイド遺跡を歩いた。ヘクタヘイム、ルレニルズ・フォール、ベララダ、ラエロリア、さらに1ダースもの遺跡。どれもあの離散から、2000年もまだ経っていないのだ。何らかの理由でアイレイドはある時偉大なるグラー・オークに従属し、その独特の文化は完全に消滅した。

ヴァレンウッドのアイレイドの絶滅を説明する時に、私の前任者であるヴェラスピドのゲルガラドは彼の「ディシェリテージの定説」、つまり何らかの理由により森のアイレイド同士で繁殖できなくなり、地元民のボズマーとの結婚でしか子孫を残せなくなったという説を重要視した。この説は確かにアイレイドの緩やかな消滅を説明するかも知れないが、残念なことにゲルガラドの定説は旧い物語や言い伝えに裏付けられているに過ぎず、事実による立証が欠けている。

シメレネ大学のセティス博士の反論はここで言及するに値する。彼女の説明はアイレイドの衰退を、以上に強いボズマーの飲み物を過剰摂取したことによるとしている。喪失への深い悲しみに傷つき易くなっていたアイレイドは、ウッドエルフの麻痺性のある飲み物に取りつかれてしまい、努力をやめてしまったとセティス博士は考えている。これに関しては、他の者達の勤勉な努力の誇示によってしばしば侮辱されるボズマー達自身から勧められたのかも知れない。

では我々の森にすむ血縁者は、アイレイドから何を学んだのであろうか?明らかに、高度な石細工と石工の技術の他はほとんどない。ハートランドのエルフの文化はウッドエルフの文化に永続的な影響をほとんど与えなかった様だ。ウッドエルフの意見は、エルデンルートの旧族長であるフォンロアにアイレイドについて尋ねたときの彼の返答である、以下の言葉に集約されている様に思える。「アイレイド?ああ、そうだな。いい奴らだった。だが自分達のことを真面目に考えすぎていたな。で、彼らに何が起きたんだ?」

ヴァレンウッドの標準的武器Common Arms of Valenwood

ミストラル・アウレリアヌス・テリスコル 著

ヴァレンウッドで、金属武器はあまり広く行き渡っていない。いくつかの地域においては泥炭や石炭で金属を鍛造可能な温度まで焼き上げられるとはいえ、ウッドエルフのグリーンパクトは火床を燃やすための木の使用を禁止している。他のボズマーは骨の棍棒か、石か黒曜石の刃の斧や槍を使用する。

ヘヴンやポート・ヴェリンのような沿岸部の街では、ボズマーの剣士集団がアルトマーの顧問の指導と輸入された金属武器の安定した供給から利益を得ている。妙なことに、ハイエルフはおそらくタムリエルで最高級であるボズマーの加工角弓を認めていない。

相互便益協定としてドミニオンを評する者はいるが、ここでは相互憤激協定とみなしたい。剣士集団が好例である。ほとんどのウッドエルフは伝統的なアルトマーの軍事教育に当たる知的訓練を受けていない。彼らは容易に気を散らし、訓練の哲学的観点に対する我慢強さもない。剣士集団のシステムを「適切なる闘争」と評したアルトマーの指導者は、その技能をより身長が低くリーチの短い弟子に適応させることを拒否した。

そこで、ボズマーは彼らの伝統的な戦闘方法、弓術に戻った。14になると、ウッドエルフの若者は狩猟集団に同行できる弓の達人となる。長距離射手はジャクスパーと呼ばれる。ジャクスパーの弓の引き方は「掴み、放すまでが連続的な1動作」と表現される。これは非常に高度な射撃を維持するジャクスパーが可能にする。もっとも、そのような速さで精度を保つには何年にもわたる訓練が必要とされる。

ボズマーは他の種族が作った木の弓矢は何の問題もなく喜んで購入し、使うが、自身で作成することはグリーンパクトによって禁じられている。伝統的なボズマーの弓は角と腱から作成される。弦もまた腱から作られ、カジートのガットが最高だと言われている。そして、このためにヴァレンウッドの射手の間で高値がつく。

ボズマーの矢は骨から刻まれ、様々な種類の鳥の羽根をつけられる。ウッドエルフは使われた骨の源が矢の特徴に影響すると信じている。マンモスの骨の矢はターゲットをノックダウンさせるのに十分な一撃を加えると考えられている。鳥の骨の矢はより速く、正確に飛ぶ。センチタイガーの骨の矢は追加ダメージを見舞う。帝国の立会人による検証では主張されたような効果が再現できていないが、これを聞くとボズマーはただ舌を鳴らし、わずかに微笑むのである。

ウッドオークと共にIn the Company of Wood Orcs

シサリオンの私的な日記より

オークは奇妙である

彼らはほとんどあらゆる面において大雑把で、残忍で、単刀直入である。性格に個人差はあるものの、ボズマーがオークに対していつも予想できるいくつかの事柄がある。私達の文化は、それらの一つも完全に理解できない。

様々な理由を除けば、彼らの血縁であるウッドオークはなおもよそ者である。皮肉なことにボズマーとの方が共通点があり、主にヴァレンウッドに居住している。

ウッドオークは強さと名誉を何よりも重んじるが、意味することの解釈は、彼らの北方の血縁であるオルシニウムとは一線を画す。例えば、ウッドオークにとって強さを持つことは、筋力と持久力を持つことを意味するのと同様に、敏捷さと可動性を持つことを意味する。この点についてオルシニウムオークの見解を聞いてみたいが、オルシニウムオークは重々しい歩兵連隊の一員の様に鍛えられており、ウッドオークは同じ軍の身軽な散兵の様なものであると考えていると想像する。

ウッドオークもまたボズマーの様に、森林地域において繁栄している。彼らはグリーンパクトを誓っていない。グリーンパクトを完全に無視し、それについての知識も欠如している。しかし、彼らが木で一杯の地区を進んでいくところを見たことがある。どうにかしてイフレに気に入られていても驚きはしない。

なぜこのことを心配するのか?私は最近ウッドオークのことばかり考えている。私の様に彼らに囲まれたことがあると、考えずにはいられないのだ。私は現地のバトルリーブより、彼らの領土を通って伝言を届ける様命じられた。発見されないことは容易いだろうと言われて。だがウッドオークは先に詳細に記述した通り、オークの中でもかなり異なった種類である。これまで私はボズマー以外に捕らえられたことがなかったが、彼らが私を捕まえた時、彼らは私の存在に木の上から気づいた。彼らは森の中で何日間も何かを警戒し続けていたに違いないという気がするの。だが私は準備ができており、同じ矢で攻撃してきた3人のうち2人を倒した。

私は不意を打たれた。3人とも倒せると予想していたからだ。だが最後の1人は、不可解で全くオークらしくないことに、稲妻の様に飛び出してきた。湾曲した手斧が森の中をくるくる旋回し、私の心臓のあったであろう場所を貫いた瞬間、私は跳び上がり地面を転がった。私は足に短剣が準備されているのを思い出し、私の手からナイフを振り落とす寸前だった手斧の二撃目をかわした。ウッドオークは唸って再び打ちかかった。その瞬間の私は、彼を血縁であるオルシニウムのオークと区別できなかっただろう。彼は敏捷さと私の種族の優雅さに、北方のオークの誓いに縛られた憤怒を組み合わせて戦った。私が一握りの土を彼の目に投げた時、彼は私の脇腹に深い傷を負わせた。私は痛みで半分視野を失いながら、暗い森の比較的安全な方へよろめいた。彼は悪態をついて唾を吐き、私を「森と戦わずして森を隠れ蓑にする卑怯者」と呼んだ。

その日の私にはハーシーンの加護があったに違いない。私は確かに戦いに負けたのだから。ウッドオークはあまりにもどう猛に戦い、森を嫌というほど知っていた。だが彼は二度と私を見つけられなかった。私は喜んで二回戦を受けて立とう。ただしボズマーの領土にて。

ギル・ヴァ・デールの猛火The Devouring of Gil-Var-Delle

ファスター 著

ギル・ヴァ・デールで何が起こったのか皆が知っている。そして、同時に、誰も知らない。伝説では恐ろしいデイドラ公モラグ・バルが、ウッドエルフの街に足を踏み入れて焼き尽くした。神話の正確な意味は分からない。古代の物語は兵士を雇う軍隊のように隠喩を使うのだ。

もしバル自身がこの世界を邪悪な意志と共に訪れたなら、なぜ我らの生き残りがいるのか?彼についての説話を考えれば、ウッドエルフの街1つを完全に破壊しただけで止まったとは考えられない。タムリエルのすべてが炎に包まれるまで止めないだろう。デイドラ公の訪れと呼ばれるものについては、多くの場合この問題が疑問視される。

ひょっとしたら敵対するデイドラ公、神々、エドラの使途など、誰かが彼を止めたかもしれないという反論もある。しかしまた戻るが、この証拠がどこにあるのか?魔術師、歴史家、少なくとも、話したことのある誰もが、この情報のためのはっきりとした文章を参照できないでいる。

多くの歴史的な創作物の欠片はそこで起きたことを脚色しようと試みるが、その物語のどれもがはっきりと確認されない。街を襲った壊滅的な出来事への言及以外には。住民は殺されたのか逃れたのか。その後は誰も消息が伝わっていない。しかし、誰でも知っていることは、大きな火が犯人だったということだ。ウッドエルフの家への火がどれほど壊滅的な被害を与えるか、想像もできない。

今日、ギル・ヴァ・デールは有害な場所であり、思い切って近くを冒険するものも多くはない。しかし、具体的な敵がいる訳ではない。怯えと迷信に妨げられているだけだ。

偉大なる木の本The Book of the Great Tree

(抜粋)

すべてのものは木へ

木から、すべてのものに

——アイレイドの預言

* * * * *

これを最初の講義にしよう。最初の木の根はこの地面の全てをつかんでいる。雨や風が来ても、根がしっかりと捕まえていてくれるだろう。その根の下にはニルンが横たわり、その主枝の上にエセリウスが輝く。彼女は床と屋根の両方を与えてくれている。その他の避難所など必要ないように。

* * * * *

アズラの根はゆっくりと流れる川の川岸に沿って伸びる。泥から離れてゆっくりとその根を引くと、根は湿った布に巻きつく。このため、植物は輸送可能かもしれない。十分な水分を保ってやれば、苔のバスケットや鉢に根づくだろう。

* * * * *

サラシェのエルフが初めてエルデンルートにきたとき、彼らはメリディアの輝ける色によって導かれており、それはこれが彼女の贈り物であり、祝福であると語った。その木の枝と根が手とすると、ムンダスとオーバーワールドに同時に届く。これによって、我々はムンダスの最も偉大な街を築き、彼女の最も誉れ高き、最上の種族であることを証明した。

* * * * *

夏の熱気の中では、クワズイモの葉はシルクで覆い隠しなさい。成長過程をそれだけ遅らせたならば、果実はより大きく、甘くなるだろう。イフレはその落ちた実を捧げものとして食べたそうだ。

アロメリア植物はこれに関係しているが、実を結ばない。ホテイアオイの例を知っているかもしれない。

* * * * *

彼等は到着したときに、こう言った、「これは偉大なる木の森だ。これは賢者の森であり、エルフの森である。我々は生命と知識を運んできており、偉大なる木の陰に、教室と蔵書庫を作ろう。理知の遺産を集めることができるように」

* * * * *

ニルンルートの種は鳥やその他の生物によってはるかに遠くまで運ばれるかもしれない。偉大なる木の近くでは、シダ類の葉が高く青々と茂っている。ずっと離れた場所では、ひょろひょろとして、そんなに丈夫ではない。

これもまた同様に講義しよう。

部族ボズマーの戦闘習慣War Customs of the Tribal Bosmer

ミストラル・アウレリアヌス・テリスコル 著

街のウッドエルフは主として飲み物と帝国から提供されるぜいたく品に満足しており、密林の奥地に住む遠方の部族ははるかに残忍である。争いはヴァレンウッドの軒下で絶え間なく行われる。部族がカジートを盛んに襲撃していない時、彼らは気晴らしにお互いを襲撃しあっている。

文明化した人々と異なり、部族のボズマーは有意義な目的や建設的な目的のために戦わない。彼らには領土支配のため、物資のため、国境を守るために戦うというコンセプトが理解できない。ヴァレンウッドを傷つける輩を追い出すために包囲することはあれど、己のための征服にまったく興味がないのは明らかである。むしろ、ウッドエルフは、戦利品、自慢、退屈が目的でお互いに襲撃しあう。部族間の侵略者は典型的に、森林マンモスとサンダーバグを盗む。多くの盗品(または人々)は持ち主によって買い戻しが可能だ。

この突飛で変則的な戦争行為は殺しを目的とするものではない。死は生じるが、それは偶然であり、たいてい悔やまれるものである。多くの侵略は少しの戦いもなく終わる。気づかれることなく代価のため他の部族の村に忍び入り、品物を盗むことは技術の極地と考えられる。その品が大きければ大きいほど、名声は増す。何世紀にもわたるこの練習のおかげで、部族のボズマーのステルスは伝説的な腕だ。彼らの最も有名な詩の題名は、「メー・アイレイディオン」で、その意味は「何千もの利益を隠したるもの」である。

戦闘中に死が生じたとき、ミート・マンデイトの古代の規定は、倒れた敵を3日以内に完食しなければならないと要求している。この伝統には今や最も遠く離れた残忍な村のみが従っている。敵を大量に殺した戦士の家族は、その食事を手伝ってもよい。

伝統的な「弔い合戦」は、いまだ街の外のほぼあらゆるところで従われている。部族の一員が殺されたとき、彼ないし彼女は象徴的に侵略の際とられた人質によって置き替えられる。その部族は近隣の集団から捕虜を奪うだろう。もし、故人が部族において、特別に強く、信望のあるものだった場合、多数の捕虜が代わりに連れてこられるかもしれない。

彼らの価値を試すためということになっている肉体的な責め苦の期間の後、捕虜は喜ばしくクランに迎え入れられる。恐ろしい虐待から愛ある抱擁というこの突然の手のひら返しは、苦しみに忠実なボズマーの捕虜の弱った知性を混乱させる。伝統的に犠牲者は死亡したメンバーの地位、所有物、そして家族を与えられる。もっとも、この慣行は最近滅多に履行されない。

様々な宗派:ウッドエルフVarieties of Faith: The Wood Elves

様々な宗派:ウッドエルフ

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

八大神

(ただし、帝国の外ではほとんどのボズマーが神を八柱に限ろうとしない):

アーリエル(アルドマーの王):

エルフのアカトシュはアーリエルである。アーリエルはアヌイ・エルの魂であり、同様にアヌイ・エルは「すべてのもの」のアヌの魂。ほとんどのアルドマーの神々の長である。大抵のアルトマーとボズマーがアーリエルの直接の子孫であると主張している。唯一知られる欠点として、アーリエルは定命の者の次元の創造で役目を果たすことに同意したが、それは永久なる霊魂の世界からエルフが永遠に分断される行いであった。その埋め合わせをするべく、アーリエルは神話の時代に最初のアルドマーを率いてロルカーンの軍と戦い、強大な力に打ち勝って、アルトマー、アルトモラ、旧エルノフェイの、最初の諸王国を建立した。その後彼は、信奉者たちが定命の者の次元から逃避するのに必要な道のりを学べるよう、皆が注目する中で天に昇った。

イフレ(森の神):

ボズマーの神々の中で最も重要な神格。時の竜アカトシュが神の王であっても、イフレは「現在」の霊魂としてボズマーに崇拝されている。ウッドエルフによると定命の者の次元の誕生後、何もかもが混沌に陥っており、最初の定命の者たちは植物に姿を変えては動物に変化し、再び戻ることを繰り返していた。そこでイフレがアース・ボーンズを意味する最初のエルノフェイ、もしくは「アース・ボーンズ」に姿を変えた。これら自然の掟が確立した後、定命の者たちは新たな世界を理解することで、ある程度の安全を確保できるようになったという。イフレは時折、語り部とも呼ばれるが、これは彼が最初のボズマーに教えた講義のためである。ボズマーの一部はグレート・エフェクト(ワイルドハント)に利用できるこの混沌の時代の知識をいまだに所持している。

アーケイ(輪廻の神):

アーケイは埋葬と弔いの儀式の神、そして時折、四季とも結びつけられる。彼の司祭は死霊術師とすべての形態のアンデッドの断固たる敵である。アーケイは、ロルカーンのうるさく、詐欺的な監督下の神によって世界が創造される前には存在していなかったそうだ。このため、定命の者の神と呼ばれることもある。

ザルクセス:

ザルクセスは先祖と秘密の知識の神である。始めはアーリエルの書記だった彼は、時間が始まって以来、小さいものも大きいものも含め、これまでのすべてのアルドマーの偉業を記録している。妻のオグマは、歴史上自分が気に入った節目から作り出した。

マーラ(愛の女神):

万物の女神といっても過言ではない。起源は豊穣の女神として神話の時代に始まった。創造を生んだ宇宙の女性の本源である、「アヌアド」のニールを時に連想させる。ボズマーにとっては、アーリエルの妻。

ステンダール(慈愛の神):

慈悲と公正な規範の神。アルドマーの初期の言い伝えの中では、ステンダールは人類の弁証者である。

ズェン(労苦の神):

報酬と報復の両方を含む、ボズマーの応報の神である。研究によれば、アルゴニアンとアカヴィリの両方の神話に起源があるようだ。おそらくコスリンギの船乗りたちによってヴァレンウッドに伝わったのだろう。表面上は農業の神であるが、ズェンは時折、より高次の存在であることを証明する。

バーン・ダル(山賊神):

カジートから借りてきた盗賊と物乞いのいたずら好きな霊魂。

主なボズマーの教団の追加神:

ハルマ・モラ(ウッドランドの男)

悪意のあるいたずら好きの霊魂(さらに増えた!)、そのボズマーの信者はデイドラのハルメアス・モラと混同しないようにと言っている(他のものはこの主張を嘲笑している)。

ジョーンとジョーデ(小月神と大月神):

アルドマーの月の神、彼らは幸運と悪運の両方の運の霊魂である。

ハーシーン(ハンツマン、獣人の父):

偉大なる狩りのマスターであり、全てのライカンスロープの王。ハーシーンの崇拝者たちは他のデイドラを崇拝するものたちのように無慈悲などではなく、つねに獲物に少なくとも1回は小さな脱出の機会を与える。

ロルカーン(不在の神):

この創造者、詐欺師にして試練を与える神は、タムリエルに存在するどの神話にも登場する。彼の最も一般的に知られる名前はアルドメリの「ロルカーン」か破滅の太鼓である。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ロルカーンは神の中心地から離れ、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって解釈が大きく違う。エルフにとっては崇高なる力において最も不浄な存在であるが、それは彼らの精神世界へのつながりすべてを永久に壊したためである。言い伝えにおいて彼はいつでもアルドマーの敵であり、ゆえに初期の人間にとっては英雄である。

様々な宗派:力ジートVarieties of Faith: The Khajiit

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

その異端の姿にふさわしく、カジートは多くの神々を崇拝し、帝国の八大神のみを崇拝する者はごく少数である。

八大神:

アルコシュ(猫たちの竜王):

前リ・ダッタ王朝アネクイニネの神格。アルトマーのアーリエルの変化形の1つであり、それゆえアカトシュ——カジートの始祖にとっての文化的英雄である。彼の崇拝はリドル・サールの確立と重なり、エルスウェアの未開拓地方では、今でも絶大な人気を誇っている。その姿は恐ろしいドラゴン、カジート曰く「ただの本物の大きな猫」として描かれている。神話の時代、ペリナル・ホワイトストレークの初期アルドマーの虐殺を撃退した。

リドル・サール(双子月の舞踏):

カジートの宇宙秩序の神格、リドル・サールは、預言者にしてたてがみのリドサーリ・ダッタによって明らかにされている。単独の存在というよりも生き方の一連の指針となっているが、彼の化身は神のしがない伝令として出現するのを好んでいる。また砂糖の神としても知られる。

ジョーンとジョーデ(小月神と大月神):

ともに、月の象徴の神格、運命、そして幸運。カジートは信仰の中で、ジョーンとジョーデは月のラティスまたはジャ・カージェイの姿である。

マーラ(母猫):

万物の女神のような存在。本来は豊穣の女神だが、カジートは「アヌアド」のニルニと習合させ、女性的宇宙原理とした。アルコシュの恋人である。

スレンダル(子猫、慈愛の神):

スレンダルの領域には慈悲、事前、そして正義を含む。アルドマーの初期の言い伝えの中では、スレンダルは人類の弁証者である。

ケナーシ(風の神):

ケナーシは最も強い空の霊魂である。いくつかの伝説によれば、定命の者の次元を創造するというローカジュの計画に最初に賛同し、虚空にその創造のための空間を提供している。また、ローカジュの聖なる光以前には起こらなかったといわれる現象、雨と結びつけられている。

バーン・ダル(山賊神):

大多数の地域において、バーン・ダルはあまり重要な神ではなく、盗賊と物乞いのいたずら好きな精霊である。エルスウェアにおいてはより重要であり、追放されし者とみなされた。この側面において、バーン・ダルは、器用さ、または辛抱強いカジートの、どたんばの計画で常に彼らの(エルフまたは人間)敵のたくらみをひっくり返すという、命知らずの特徴となる。彼はまた、カジートの行商団であるバーンダリ行商人組合にその名を貸している。

主なカジートの教団の追加神:

マグルス(猫の目、太陽神):

カジートにおけるマグナス、太陽と魔術の神、カジートの魔法使いに人気がある(たとえアズラーほどではなくとも)。

ラジーン(追いはぎ):

盗賊でいたずら好きな神、満悦の虚言者、カジートの語り部たちから大変愛されている。ラジーンはセンシャルのブラック・キエルゴで育った。エルスウェアの歴史上、最も有名な強盗であり、眠っている女帝キンタイラの首からタトゥーを盗んだといわれている。

アズラー(暁と黄昏の女神):

カジートの魔法使いの守護者、その時折みせる計略のため恐れられるよりも尊敬されている。神話によれば、彼女はアルドマーの系種から外れたカジートの始祖と結び付いている。

シェッゴロス(スクゥーマの猫、狂神):

狂気の王は、正気と責務の拘束にいらだつ猫人間の陰の側面を強調している。

ハーシーン(腹を空かせた猫):

狩りとスキンチェンジングの神、獰猛さと狡猾さが敬愛されている。

サンジーン(血の猫):

死と秘密の殺人の神。サンジーンの地位は猫の目からは隠されていて見えない。「誰が血の滾りを制御できるのか?」

ナミイラ(深い闇):

生けるものの敵、崇拝されているというよりも鎮められている。

ローカジュ(月の獣):

前リ・ダッタ王朝アネクイニネの神格であり、たやすく不在の神、ロルカーンと同一視された。この創造主——いたずら好き——試験官な神格はすべてのタムリエル的な神話の伝承の中にある。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ローカジュは彼の神的中心から隔離され、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって解釈が大きく違う。伝説の中で、彼はほとんど常にアルドマーの敵であり、そのため、初期人類の英雄である。

マラバル・トールの伝承

Malabal Tor Lore

アビシアンの海賊Pirates of the Abecean

嵐がサラジャ船長の計画に予期せぬ変更をもたらした。彼女は海賊船の裂けた帆と折れたマストを見つめた。つい最近の略奪品が流されただけでなく、風がなくなり修理を終えるまで進めなくなってしまった。

「座礁したも同じですよ」。一等航海士のフルツが険しい顔で言った。

「船がいたら、乗ってる奴らに降りるよう話をつけるさ」と船長はしわがれ声で笑って答えた。「船は動けないがまだ浮いてる。お前は悪いことばかり考えてるな」

「だとしてもずっと…あれは船では?」

サラジャは振り返りニヤリと笑った。「未来の我々の船ってことだ」

フルツは距離を見て思慮深く言った。「そう遠くはない。ボートを降ろしましょう」

すぐに乗組員のカジートたちは船に乗り移る準備を整えた。砂州に錨を降ろしたその船は無傷なようだ。近づきながらサラジャは動きがないか船と空の境を見る。静かなものだ。略奪の機は熟した。

フルツが暗い船体をゆっくりと探りながら登っていく。仲間たちが網を張り乗船できるよう、こちら側に警備がいたら彼が抑えなければならない。そっと甲板に上がると、フルツは船首と船尾にちらりと目をやった。警備はいない。手すりから身を乗り出して仲間に合図を送る。

次々と海賊たちが乗船し、武器を抜いて音を立てずに歩き回る。静かな船に全員が乗り込んだ。

「遊覧航海には大きすぎますね」とフルツが船長に囁いた。「それに武装の割に静かすぎる」

サラジャは船室の扉を示して頷いた。「あそこに隠れてるんだろう」と囁く。「我が船から降りてもらおうじゃないか」

ときの声を上げてフルツが船室のドアを蹴り破った。爪を出し武器を構えた海賊たちが彼に続くが、10歩も行かずに足を止めた。中は静かで暗い。

「どうなってるんだ?」

「早く!明かりをくれ!」

海賊の1人がほくちと火打ち石を打つ。ゆっくりとたいまつを掲げると、室内いたるところにある鏡にほのかな明かりが映り込んだ。

「なんてこった!コスリンギだ!」

「コスリンギの死体だ!」

サラジャは壊れた船に戻るよう全員に命じるが、もう手遅れだった。紅き船を見て、生きて戻った者はいない。乗組員たちは見る以上のことをしたのだ。

ヴァレンウッド:研究Valenwood: A Study

公文書保管人 エンダラナンデ 著

アルドメリ・ドミニオンの多くの命がヴァレンウッドで生まれている。緑の森に覆われ、多様な動植物で溢れかえるこの地は、古きエルノフェイから来た最初のエルフたちの一部にとっては故郷である。

時と世代を経て、この初期の移住者たちは森に適応していった。新たな獲物たちを研究してステルスや巧妙さを身につけた。やがて彼らはボズマーことウッドエルフとなった。アルトマーより小柄で、勤勉かつ機敏な彼らは射手や斥候として名高い。

果敢な戦闘員としてのボズマーにはグリーンパクトという独自の強みがある。ボズマーの伝説によると、森の神イフレが敵を破る方法を授けたのだという。ただしヴァレンウッドの植物を食べたり傷つけたり、収穫することはしないのが条件だ。

グリーンパクトの一つの結果であるワイルドハントも有名だが、これについては語らないでおこう。

ボズマーはよその土地から救いを求めてヴァレンウッドに来た者を歓迎する。この点について彼らは、近縁の生粋のアルトマーとは大きく異なる。我々は尊厳を維持しようとするが、ボズマーは若木のようにたやすく他者の意志に従うのだ。

乱暴で愚直だが、このウッドエルフたちはドミニオンにとって不可欠な存在である。我々の同盟の繁栄のため、失うわけにはいかないのだ。

ヴァレンウッドのアイレイド都市Ayleid Cities of Valenwood

抄録

グウィリム大学の高名な歴史家 ホムフリー 著 第二紀445年

南部地域におけるハートランド・ハイエルフの輝かしい集落についての調査

…ここで、注目に値するセイヤタタルの街々や現代のブラヴィルの元になったアイレイドの集落に触れるべきだろう。これらはヘヴン、ウッドハース、シルヴェナールといったヴァレンウッドの街に並び、いずれも栄えていた。現在シロディールの中心である場所に白金の塔が建った後、貿易が活性化したことによるものだった。

特に注目すべきは、エルデンルート近くの大学や蔵書庫だ。その地のアイレイドはエルデンの木、別名始まりの木とその周辺に街を築いた。この木がヴァレンウッド全域に種をまいたのだと多くの者に信じられている。

ヘヴンとウッドハースはマオマーの攻撃で徹底的に破壊された。マオマーはヴァレンウッドのアルドマーの進んだ文明に配慮することはなかった。内陸へと進軍した彼らはエルデンルートを居留地にしただけでなく、あの大樹までも奪ったのだ。あのように荘厳なものを傷つけ奪うとは、なんと不埒な部族か。

マオマーはアルドマーの民族的純粋性を保つ伝統を破り、ピャンドニア先住の野蛮な部族と交わった可能性がある。それならば彼らの凶暴性や、本土の偉大なエルフ文化に対する敬意のなさも説明がつくだろう。

ウッズマーThe Woodsmer

ウィローレッグは足首をさすった。折れてはいない。捻っただけだ。彼は慎重に足に体重をかけ、立ち上がった。よし。耐えられそうだ。ヴァレンウッドを旅しながら、よく転んでいた。彼の片足はもう一方より細く、時々それを忘れてしまうのだ。

「さて、ここはどこか突き止めるか」。ウィローレッグは言った。頭上高く出揺れる木々の葉を見上げると、その間に青空が時折見え隠れする。ウッドエルフでなければ、そんなわずかな眺めからは何もわからない。ウィローレッグはすぐにまた歩き始めた。

すぐに、自分だけではないと気付く。彼の左手に別のウッドエルフがいた。ぼさぼさの濃緑色の髪を顔の周りに垂らしている。一人旅に慣れている彼は、その静かな同行者が彼を追い越さないよう、歩く速度を合わせていることにも気が付いた。

「あんたもファリネスティに?」。ウィローレッグは訊ねた。

「ああ」

ウィローレッグは気さくに続けた。「移動前に夏の地に着けるといいんだが」

緑髪のウッドエルフは言った。「大丈夫だろう」。これ以上話したくなさそうな声音にウィローレッグは黙って頷き、歩き続けた。

彼らはその日ずっと、黙ったまま一緒に旅をした。ウィローレッグが休憩しようと止まると見知らぬ男も足を止めた。ウィローレッグは水と干し肉を分けてやった。そしてまた、残りの旅路につく。木々がまばらになっていき、ファリネスティがぴったり収まった空き地に出た。

空き地の端で、見知らぬ男は立ち止まりウィローレッグの腕に手を置いた。驚いたウィローレッグは、その緑髪のエルフの肌がザラザラで硬く、樹皮のようだと気付いた。

「ここにいろ」と男は言い、小声で呪文を唱えた。

ウィローレッグは動くことも話すこともできず、男がファリネスティの根元へ行き、表面に額で触れるのを見ていた。木の街は震えると、大地から根を上げてゆっくりと移動を始めた。

緑髪のエルフがファリネスティを連れて歩き去ると、ウィローレッグはかけられた奇妙な呪文が解けるのを感じた。そして手足のうずきとともに動けるようになった。下を見た彼は細い片足が治っているのに気付いたが、靴はなくなっていた。

「ウッズマー」だ。ウィローレッグは畏敬の念を抱きつぶやいた。ウッズマーは森で不用心に迷った者を導く神話の存在だが、道を知る者に恵みを授けるとも言われている。

ファリネスティは南へ移動し、ウィローレッグはどこへ行ったのかと考えた。

ウッドエルフのユーモアThe Humor of Wood Elves

発明家テレンジャーによる収集

発酵飲料で広く知られるバルクワステンには、知る中でも特に気さくなボズマーが暮らしている。種族の特徴でもあるが、彼らは勤勉でたいていの人とうまく付き合える。彼らの醸造方法の調査を終え、地元の家に泊めてもらった。

歴史家として私は、ユーモアを研究すればその文化の多くを学べると考えている。そこで将来の研究のために彼らのジョークを書き留めておく。彼らの娯楽をよく知ればきっと、ボズマーの考え方をより深く理解できるだろう。

スケルトンが酒場に入ってきてこう言ったんだ。「ロトメスをくれ。あとモップも」

Q:なぜ猿が木から落ちたか?
A:死んでたから。

Q.茶色くてボーッとしたものは何?
A.棒だろ。

人物1:俺が木か聞いてみな。
人物2:お前は木か?
人物1:いいや。

Q.レイヴンのどっち側に一番羽毛が生えてる?
A.外側。

Q.頭が3つあって、醜くて臭いものは何?
A.おっと違った!君の頭は3つないな!

Q.羽のように軽いけど、あまり長くは持たないものは何?
A.息。

Q.スローターフィッシュがいるのにボートが沈みかけるのを想像して。どう助かる?
A.想像するのをやめる!

Q.なぜサンダーバグは生肉を食べるのか?
A.料理を習ったことがないから。

Q.なぜハチはブンブン言うのか?
A.口笛が吹けないから。

グリーンレディ、わが淑女Green Lady, My Lady

我が淑女よ目覚めよ、朝が来た
あなたを絹で着飾ろう
髪には羽を編み込んで
足には革の履き物を履かせよう

我が淑女よこちらへ、愛が待っている
今日この日、テーブルを囲もう
宴のテーブルの上は
美味なるごちそうばかり

グリーンレディ、我が淑女よこちらへ
客人たちは集まった
そして陽気で楽しい音楽が響く
イフレの子らはなんと恵まれているか!

結婚披露宴:回顧録The Wedding Feast: A Memoir

別名「裸しっぽ」のナラル 著 日付のない回顧録

子供たちよ、旅で出会うウッドエルフたちの奇妙な性質について理解できるよう、ナラルがこれを書き残します。彼らの恨み深さには気をつけて!

最上位のエルフ2人の結婚の宴のため、何ヶ月も前から準備が始まりました。彼らの結婚は森とその人々が一つであるという証。そのためとても大きな宴なのです。

商人として、王族へのちょっとした食べ物の用意をよく依頼されていました。名は挙げないまでも率直に言えば、ムーンシュガーをまぶしたビスケットをエルデンルートの宴のために何度も用意していました。でもこの結婚の宴では、私にできる以上のことをたくさん要求されて、土壇場での変更を余儀なくされたのです。

牛のスープ50樽については、根菜スープを足すことで30樽分を用意して埋めあわせました。ウッドエルフは死んだ素材にはこだわらないので、手に入る骨なら何でもよしとして出どころは聞かずに骨髄10カゴ分を用意しました。

でも小麦粉を使わないケーキ?そんなの聞いたこともない!それが作れるというウッドエルフのパン職人たちに相談しました。ウッドエルフはよそ者に用意されたのでなければ植物は食べません。それなのに小麦粉なしのケーキを出せというのには戸惑いました。そしてレシピをいくつか入手し卸売業者に確認すると、期限内に必要な量を揃えられる者はいませんでした。

かくして私はケーキ作りを始めました。卵のかさ増しをするため水で薄めます。その緩さを消すためにアロールートと粉末のフラックスシードを加えました。砂糖はケーキで最も高価な材料だったので、使う量を減らすために石灰の粉を足しました。味はケーキに似ていました。とても似ていた。これはかかった時間も金もわずかで、ケーキだけで儲けは2倍となったのです。

でもバターの代用品にしたラードと泡立てたフラックスシードオイルが、多くの客人の腹とこの私に破滅をもたらしました。

ウッドエルフは以降の契約をすべて打ち切っただけでなく私の尾の毛をそり、あわてて逃げた私の所持品や品物も奪ったのです。

子供たちよ、ウッドエルフの宴に商品を提供してはいけません。必ず辛い結果に終わります。

赤い塗料The Red Paint

「このように混ぜなさい」とラカールが言った。湿った粘土とハーブを規則的な動きで乳棒ですりつぶす。「塗料を作るという行為そのものが祈りなの」

ヤシールは自分の石の乳棒を掴むと、器を引き寄せて女司祭をまねた。

叩く!上げる!一つかみのハーブを器にばらまき、また叩く!オークたちは膝をつき合わせて側に座り、曲げた膝で器を支えている。

ラカールは動きに合わせて、そっと詠唱した。徐々に一団の動きが強さを帯びてくると、彼女の声はそれに釣り合う大きさになった。

「モーロッチは!」叩く!

「我々の行いを…」上げる!

「…見ている!」ばらまく!

部族の化粧の準備をするという名誉は、少数の族長の娘たちのものだった。ヤシールはこの輪に加わり座ったことはない。これまではハーブや粘土を集めていて、それ以上はなかった。それが今はラカールの右側という栄誉ある位置に座っている。若いウッドオークは誇りを感じた。彼女は明らかに、見習いに選ばれたのだ!

「モーロッチは!」叩く!

「我々に…」上げる!

「…血をくださる!」ばらまく!

最後の言葉で女たちは頭を後ろにそらせ、モーロッチの叫びを解放した。喉の奥から出た遠吠えが木々の間や近くの崖に響き渡る。ラカールは仕事の完了を合図した。

部族の者たちが列を成す。できたての戦赤の粘土で化粧を施してもらうのだ。ラカールは戦にふさわしくない、あるいは向かないと見なした者を脇へとよけさせる。彼らは化粧の儀式に参加することは許されない。

ラカールに列から出るよう合図され、ヤシールは抗議の声を上げようとしたが口を堅くつぐんだ。ラカールの判断に異議を申し立てるのは不名誉とされる。混乱した怒りで頭を下げたまま、ヤシールは選ばれなかった少数のオークに加わった。

ラカールは選ばれなかった者たちに目をやり、ヤシールを自分の横に連れ出した。「モーロッチは次の儀式を行う者にお前を選んだの。剣を持ちなさい。忘れないで、モーロッチはお前を見ています」

ヤシールの手を引いてラカールは空のボトルの上にかがみ、伸ばした首に若いオークの剣を滑らせた。真の戦士の聖なる血で次の化粧を施すため、彼女が意識を失おうとしていてもラカールの手は緩まなかった。

夫はネレイドに盗まれたA Nereid Stole My Husband

ネレイドが私の夫を奪った
私の夫をネレイドが奪った
海辺の乙女には用心して
次にあなたが慰められないように。

私たちは無邪気に海岸をぶらついて
貝を集めたり石をひっくり返したり
そして声が聞こえ今の私は嘆く
その声、歌は、あんなに高い声で!

すぐに夫は足を速めた
「待って」私は叫んだ「ネレイドよ」
しかし夫はさらに足を速めた
彼女の甘い呼び声には逆らえない。

手遅れだ、ああ悲しいかな、もう遅い
彼の心は傾き、もう深い虜
彼の恐れは運命のように現実に
彼はネレイドの呼び声に従った。

そして彼女は美しく残酷で無分別
姉妹の元へ泳ぎながら叫んだ
「あなたの夫はつまらない
返してあげるわ、背中曲がりの奥さん!」

ネレイドが夫を奪って
すぐに返してきた
かわいそうな私、あの日から
望まれないのに彼の側にいる!

民の声The Voice of the People

変化は風の中に。木々の葉や、水の流れの中に。動物たちですらその違いを感じ取れる。「民の声」は沈黙していた。

シルヴェナールは死んだ。予想されてはいたが、多かれ少なかれ騒動を伴う事態だ。

優先すべきは街か、それともシルヴェナールか?答えを知る者も気にする者もいないようだ。かつて混沌があり、何世代も続く社会構造が現れた。いや、社会構造のようなものだ。むしろ組織だった狂乱と呼ぶほうが近い。

次のシルヴェナールである若い男が、マントを手にしようとする。

「彼らが待っています」と従者が言った。彼女は発酵したスープの入ったアラバスターのゴブレットを差し出す。

「わかっている。少し待ってくれ」。インデニールは儀式のカップを受け取る前に目を閉じ、深く息をした。

シルヴェナール。公式には結婚までこの称号は彼のものではなかった。だが彼はすでに変化を感じることができた。耳元での蛾の羽ばたきのように、新たな身分が彼の脈拍を速めてインデニールに囁いてくる。くすぐったい気分だ。

シルヴェナールはウッドエルフの代表だ。彼もしくは彼女は、民の意思を感じそれに従って行動する。この関係は双方に作用する。彼もしくは彼女は、ウッドエルフに影響を与えうるのだ。

彼の民は緊張していた。