ミリタント・オーディネーター スタイル

クラフトモチーフ49
Militant Ordinator Style

戦争の騎士団のハイオーディネーター、ヴェルメシス・インドリル 著

正義が眠ることはありません。三大神とは唯一真実の信仰です。そしてオーディネーションの各階位の制服も、それぞれ唯一です。細部に至るまで正確で適切でなければなりません。戦争の騎士団のハイオーディネーター、別名ミリタント・オーディネーターとして、我々の武器と防具を聖堂の指示に合致させるのは、数多ある職務の一つです。武器防具を取り扱う市民諸氏は、心してこの言葉に耳を傾け、仕事に邁進するように。諸君のことはいつも見ています。

ブーツ

ミリタント・オーディネーターのブーツは強靭です。正義の行進には終わりがなく、殲滅すべき異端者のいる地がどこであれ、行く準備を整えねばなりません。ブーツの甲を横切るように金色の帯を装着し、帯には三つの信仰を表す三つの菱形を浮き彫りにすること。

ベルト

我々のベルトはアルムシヴィへの信仰と忠誠のように素朴で強い。ベルトから垂れ下がる強いタセット、そしてバックルの三つの菱形(ダイヤモンドと言ってはならない!)は、我々の三の信奉の対象、正義と報復と三大神を表しています。

正義の顔は一つですから、すべてのミリタント・オーディネーターの面板には聖堂の正義を示す厳しい姿が刻印されます。その上で前へそそり立つのは頂飾で、我々が常に攻撃し、絶対に撤退しない異端を示しています。三大神とは唯一真実の信仰です。

脚当て

我々のグリーヴと腿当ては、カゴーティかアリットの皮を三度なめした革で作られます。刃の向きをそらし、一撃をかわす密度の高さがありますが、柔軟です。ミリタント・オーディネーターは妨げられずに動けなければなりません。異端は、正義から逃れられないのですから。

戦争の騎士団の弓には、前方を指す鋭い頂飾が刻まれねばなりません。兜の頂飾は正しき騒乱の方向を指し示します。矢筒は盾と同じように幅広く垂れ下がった山形袖章の内に、重ね合わせたプレートが見えるようにします。矢の先端は真鍮としてください。

胸当て

ミリタント・オーディネーターの胸当ては、真鍮か青銅で、君主であるトリビュナルに敬意を表して、精巧な金細工で華美な模様が描かれています。これは騎士団の威厳と力を、民に印象づけるためでもあります。

聖堂の戦争の騎士団では、剃刀のような切っ先の片刃の剣を使います。この剣で我々は異端の論理を切り刻むのです。ミリタント・オーディネーターは常に手元へ剣を置き、背教者や適切に正さねばならない過ちに遭遇する瞬間に備えなさい。

肩防具

ポールドロンにはそれぞれプレートを2枚組み合わせ、我らの三大神への信仰のように硬くなっています。我らの剣のように先端が尖っていて、主君への敬意を表す精巧な金線細工で、模様がついています。

手袋

篭手は重なり合うプレートで前腕を保護しますが、指は常に剥き出しのまま残します。異端者の首を両手でくるみ、息をしなくなるまで絞めつけられるように。

我々の盾は大きい。あらゆる脅威と疑いから三大神の真実を守る責任があるからです。幅広く垂れ下がった山形袖章は、不信心者の一撃を逸らすためでもあり、また三つの信仰を表す三つの菱形を見せるためでもあります。

ミリタント・オーディネーターの魔法使いの杖には、我々の兜のような弧を描く頂飾が2つ載っています。目標を平行に指し示し、正義の魔法の猛攻を導くのです。呪文の杖は扉やポータルの哨戒兵として従事している際、水平に使用して相手の侵入を防ぐこともできます。

戦棍

我々の兄弟である監視の騎士団の戦棍は、市民の治安維持を行うため、もっとなまくらな警棒のようなものです。しかし我々は戦争の騎士団です。我々の戦棍は砕くと同時に切れるように、フランジを付けて研ぎ澄ましています。我々はミリタント・オーディネーターで、対峙した異端者は、誰も生き残らせてはなりません。

短剣

戦争の騎士団におけるオーディネーターの短剣は幅広、片刃でやや曲線を描きます。その方が異端論者や背教者の心臓から異端の主張をよく切り分けられます。柄に横木はいりません。攻撃を受けることがあったとして、それを受け流すオーディネーターがいるでしょうか。

我々の兜の頂飾が斧の刃のように曲線を描き鋭利であるように、斧の刃は兜の頂飾のように曲線を描き、鋭利でなければなりません。フンガスジャックがキノコの森に落ちるように、斧を持った我々はトリビュナルの敵に襲いかかります。彼らは正義から逃れられません。

ヴァーデンフェルの書物

Grahtwood Lore

アークカノンの日記The Archcanon’s Journal

ヴィベク卿のアークカノン、ターヴス 著

建設開始26日目
ヴィベク様の祝福の石が設置されたことで、この偉大なる街の建設は急速に進行している。ヴィベク様の宮殿と最初のカントンはほぼ完成しており、他のカントンの基礎工事もすでになされている。

建設開始35日目
第四カントンに予想外の遅れがあった。ヴィベク様の祝福にもかかわらず、事故が次々に起きている。監督官を厳しく咎めたが、どうやら彼女は心から当惑しているようだ。アーミガーを数人派遣して、調査させる。

建設開始40日目
継続する遅れについて、アーミガーはいかなる理由も見出せないでいる。うち1人は、4人が負傷した崩落の直前、ある土台の周囲に大きな犬を見たと報告している。他の者たちは有り得ないと一蹴している。犬が横木を登れるはずがあるだろうか?だが、私は疑問を抱いている。とはいえ、ヴィベク様を煩わせる理由はない。

建設開始42日目
遅れはより深刻になっている。神としてはこれ以上望めないほど忍耐強いヴィベク様でさえ、心配しているのが分かる。どうやら自分で調査する時が来たようだ。

建設開始43日目
建設中のカントンに立つと、ヴィベク様の祝福が降りかかるのを感じる。愛と保護に私は驚嘆した。作業員たちが熱心に働くのも当然というものだ。

だがその時、タムリエルと太陽の間を通り過ぎる雲のようにそれは消えてしまった。作業員と衛兵たちも感じとったのがわかったが、彼らにとってはどこか落ち着かない気分程度のものだっただろう。何か言葉を発しようとした瞬間、私は衝突音を聞いた。見渡すと吊り下げロープが1本破壊され、2トンの石が落下し、砕け散っていた。死人が出なかったのが不思議だ。

負傷者を助けるために駆けよると、ヴィベク様に誓って大きな犬が逃げ去るのを見た。私の疑いは確信に変わったようだ。しかしあの犬を追いかけるか、それともヴィベク様にすぐ報告すべきか… 選ばなければならない。一晩寝れば、進め方について良い考えも浮かぶだろう。

アサシンへの指令Assassin’s Orders

私達の仕事はもう少しで完了する。注意は怠るな。運が良ければ、私の雇った冒険者が残った石の悪鬼を片付けてくれるはずだ。そうすればまた始められる。今回は、ベナーに邪魔されない。最後の仕上げをするんだ、奴らが互いに殺し合ったように見せかけろ。評議会を納得させないといけない。

仕事が終わったら、バルモラにある私の家に来てくれ。説明したいことがある、約束したとおり、最初の支払いも行う。これは儲かる仕事になるだろう。期待している。

M

アッシュランダーの部族と慣習Ashlander Tribes and Customs

レドラン家のウルラン・レレス 著

アッシュランダーと呼ばれるダンマーの遊牧民はモロウウィンドの荒野を放浪していて、行きたい場所に行き、行いたいことを為している。彼らは体制と名家の高い権威を支えているしきたりから逃れ、緩やかな部族を形成し、ダークエルフの過去の習慣に立ち返っている。遊牧や狩りをして生活していて、自然の中で生きる生活にささやかな喜びを見出しているのだ。

アッシュランダーは先人を敬い、デイドラを崇めている。トリビュナルの生き神の聖性を認めていない。時には他の部族や名家とさえ交易することもあり、グアルの皮やショークの樹脂を、外界の情報や荒野で手に入れ辛い品々と交換している。遊牧民社会の中で、アッシュランダーは礼儀正しく上品で、丁寧に振る舞う。だがよそ者が相手となると、簡単に怒り出すこともある。

アシュカーンと呼ばれる部族の指導者たちは、自身が率いるコミュニティの「戦士兼護衛」としての役割を果たしている。補佐するのはグラカーンで、交易や交渉時に部族を代表して役割を果たしている。よそ者はアシュカーンとの拝謁を求める前に、まずグラカーンに近づいた方が良いだろう。また、それぞれの部族には賢女もいる。歌や伝承、部族の予言を守っている千里眼だ。部族の精神的な指導者である。その他の人々の立場は平等で、それぞれ狩りや牧畜、食糧探しなどの役割を分担しており、お互い助け合っている。

この遊牧民は、主に4つの部族に分かれている。

アヘムサ族はヴァーデンフェル南部の沿岸地域や沼地に住んでいる。かつては海岸から海岸へと移動し、釣りや狩りをして暮らしていたが、以前の生活拠点におけるテルヴァンニやレドランの集落が誕生したことから、近年はビターコースト地方への大規模な移動を強いられている。アヘムサ族はアッシュランダーの部族の中で最も平和的な部族であり、招集できる兵力という観点からすれば最も弱い部族でもある。軽装を好み、小さな貝殻や鱗、網などで飾った服を着ていることが多い。また、単純なナイフや槍など、武器と言うより仕事にも使える道具を、必要とあらば護身に使っている。人付き合いを避けて孤立を好んでおり、狩りや牧畜、特に釣りをして暮らしている。現在はビターコースト沿いに小規模な半永住用拠点を築いており、沼地に生息する魚やその他の野生生物を獲って生活している。

エラベニムスン族はヴァーデンフェルのモラグ・アムール地域に住んでおり、出自である火山のアッシュランドと同様に、気難しく危険な部族である。エラベニムスン族はかなり好戦的だ。他のアッシュランダーたちからも強欲で残酷な部族とみなされており、アッシュランダーの習慣に敬意を払っていないと考えられている。予言、歴史、伝承を軽視しているため、この部族では賢女がほとんど力を持っていない。また、エラベニムスン族は概して最も重装の部族でもある。戦いを何よりも重視しており、何よりも力を重んじている。

ウルシラク族は最も尊敬されている部族で、数も2番目に多い。ウェストガッシュ地方とアッシュランド北部に住んでいる。グレイズランドと同様、狩りや採集に最適と見なされている場所である。だが狩人、戦士、牧童以上に、ウルシラク族は伝承者が名高い。複数の千里眼を現在も擁している唯一の部族であり、その賢女は広く知れ渡っている。ウルシラク族は、アッシュランダーの部族を一時的な平和に導くため、重要な役割を果たしてきた。皆がこれから来る闘争の時代の話を聞き、備えなければならないと考えたからだ。ネレヴァルの転生者がまもなく帰還し人々を束ねるだろうという信仰を強く保っているのは、このウルシラク族である。ウルシラク族は、時に魔法を使うこともある数少ないアッシュランダーの部族でもある。実際に呪文を唱えるよりは付呪や錬金術を行う方が多く、高度な技術を有している。また、ヴァーデンフェルに散在している遺跡内で時折見つかる古代の遺物、巻物、その他の品に最も興味を持っている部族でもある。彼らに気に入られたければ、そのような遺物を持っていくのも良い。

最も人口が多く、誇り高く自信に溢れているザイナブ族は、ヴァーンデンフェル北東部の肥沃地帯、グレイズランド地方に住んでいる。アヘムサ族と同様、彼らはよそ者にさえ非常に温和で友好的だが、やや強欲で横柄なところも見受けられる。ザイナブ族はある意味最も変わった部族だ。彼らは伝統を守りながらも、一方でヴァーデンフェルの変化にも強い興味を持っている。彼らは名家とも積極的に交易を行い、中にはフラール家などの名家と強固な取引関係を築こうとした者すらいる。全体的に見て、ザイナブ族はアッシュランダーの生活様式を完全に捨て去るつもりはないにしても、変化への適応に最も前向きな部族だという印象を受ける。またザイナブ族は最も多種多様なコレクションも所有しており、その中には武器や防具も含まれている。彼らは概して物を作るよりは交易によって手に入れることが多く、肥沃なグレイズランドで収穫、採集、採鉱をすることでも知られている。これによって彼らは、並ぶ者のない繁栄を実現した。

アラーノ大農園からの奴隷の証言Slave Testimony from Arano Plantation

ブレトンの労働者、ビエン・ディエルの証言

彼女はスラン到着後まもなく物乞いを殺したかどで不当逮捕されたが、誰も殺していないと主張している。またアラーノ大農園の衛兵が、弱って働けなくなったレッドガードの奴隷を殴って死に至らしめたと証言している。

***
オークの商人ガモシュの証言

スラン郊外でダークエルフの農業従事者から強奪、および殺害の容疑で不当逮捕されたと証言している。逮捕は地元に後ろ盾となるつながりや家族がおらず、また自分がオークであるからだと主張している。フラレン筆頭治安官がアラーノ大農園に売却した。

***
ノルドの放浪者、フリガ・ベアフィストの証言

アラーノ大農園の主人が不適切な申し出をしたため暴力を振るったことは認めた。フラレン筆頭治安官に、大農園で働けば減刑されると言われたと主張している。これは虚偽である。アラーノ大農園の主人に、彼女を解放する計画はまったくなかった。

イレイヴンへの手紙Letter to Eraven

イレイヴンへ

ザインティラリスの件に対する評議会の優柔不断な態度は受け入れられません。カジートの傭兵は今もイナゴのように遺跡の外に集まっています。確かな筋の情報によれば、レドラン家から送られたようです。あの惨めで頭の鈍い狂信者が、そんなごまかしを行えるとは思っていませんでした。もう少しで感心させられるところでした。もう少しで。

彼らは昼夜を問わず祠を殴りつけています。もしかしたら、叩いていれば扉の暗号が消えると思っているのかもしれません。間抜けな連中です。シェオゴラスの謎を解く鍵は、その単純な謎かけの中にあるのです。幸運なことに、レドランの学者達は抽象的な思考ができないようです。こんな簡単な謎が解けないなんて信じられますか?

「頭蓋骨の一家が”ごきげんいかが?”と尋ねる。
2は大声で”私達は1だ!”と言い、3は”私達は2だ!”と叫ぶ。
5が”3″をにらみつけている間、6は”4″を笑う。
それらを全部焼けば、マッドプリンスの扉は開かれん」

それにしても、シェオゴラスの信者達はなぜこうも子供っぽいのでしょうか?この問題は、問題がそのまま答えになっているようです。

私の研究は重要な局面に差し掛かっています。聖フェルムスの指骨がなければ、すべて無駄になってしまいます。代弁者の間でさらに努力してください。ザインティラリスはテルヴァンニ家に属するべきです。

期待しています。

セラナ
テルヴァンニ家の賢者
テル・ブラノラの主

インドリル家の概要Understanding House Indoril

名家の大歴史家、アンドール・インドリル 著。
黄金の平和五十七周年記念

第一紀初期に基礎を築いたインドリル家は、常に強い政治力を発揮してきた。その信念と展望において正統派かつ保守的である我々は、いつもダンマーの伝統的な慣習と実践の擁護者であり続けてきた。

インドリル家にとって、宗教は最も大切な制度である。我々は自分たちの聖なる先人を崇拝する。我々は善のデイドラ、とりわけボエシア、メファーラ、アズラに対して敬意を払う。またヴェロスやアラロールなどの聖人たちを賛美する。

インドリル家は、ダンマーの文化がいかなる犠牲を払ってでも保全されねばならないと信じている。変化は伝統の敵であり、変化を許せば、力強い土台は弱まるであろう。

インドリル家はよそ者と非ダンマーを本質的に邪悪で危険だと見ているわけではなく、いかなるよそ者もインドリルの支配地域を訪問することを禁じられてはいない。だが名家は常に気を配り、観察を怠ってはならない。訪問者は、すべて注意深く監視されねばならない。大師範ベスティンがこの時代の初期、我々に教えたように、見られている盗賊は盗まない。

ヴァーデンフェルの歌Songs of Vvardenfell

収集者、ジェリン・ドーレス

***
アーミガーの行進曲

軽やかに、大股で進め
ああ、ボイアント・アーミガー
栄光の日々と勝利の夜へ
激しい戦いを勝ち抜き進め!

誇り高く歌い、大声で叫べ
ああ、ボイアント・アーミガー
大声で勇ましく歓声を上げよ
異教徒を震え上がらせよ!

胸を張り、戦果を挙げろ
ああ、ボイアント・アーミガー
敵の戦士を圧倒せよ
弓を手にして追撃せよ!

骨を接ぎ、傷跡を数えろ
ああ、ボイアント・アーミガー
先導者のバッジは身の証
新しい傷は勇気の証!

胸を張り、戦果を挙げろ
ああ、ボイアント・アーミガー
敵の戦士を圧倒せよ
弓を手にして追撃せよ!

***
六は歩道

六は歩道、謎、敵、教師
先駆した神が作り、私たちは今彼らの僕となった
お前の名に輝きを、お前の姿に知識を

剣とはすなわち夜
言葉とはすなわち死者
剣とはすなわちため息
言葉とはすなわち終わり

六は守護者、三が過去、三が転生者
英雄の資質を試し、学べることを示す
目にする本物の作品は、沈黙によって作られる

剣とはすなわち夜
言葉とはすなわち死者
剣とはすなわちため息
言葉とはすなわち終わり

***
言葉の歌

耳にする言葉は肉に基づく——詭弁家に騙されるな
その道を歩くことを恐れるな——興奮に身を委ねろ
彼らの世界ではおかしな者が法を持つ——書かれた場合に限る
賢き者は別の法で代用できる——言葉こそが罰を与える

謝罪のために言葉を使うな——もし赦免を求めているなら
行動こそが唯一の道だ——言葉は解決できない
賢者は謝罪をしない——快楽主義者に罰を与えよ
だから埃を被った舌で歌うな——飲み込まれるまで言葉は真実にならない

ヴァーデンフェルの植物と動物Vvardenfell Flora and Fauna

テルヴァンニの自然学者、ティレンラ・シルドレス 著

ヴァーデンフェルの地形は死と再生の循環を常に繰り返している。レッドマウンテンの溶岩が流れ、噴火と降灰が落葉樹林地帯とキノコのジャングルの枝枯れを引き起こす。激しい隆起は地形を変え、古代文明の潰えた遺跡を埋もれさせる(露出させることもある!)。溶岩が固まるにつれて島は拡大し、新たな植物とキノコが冷却された灰の中から、火成岩の構造物と共に出現する。

植物が火山活動によって栄養を得た豊かな土壌で繁殖するため、ヴァーデンフェルは多様な生息地と環境を有する地となっている。

キノコは溶岩から生まれた土壌の栄養を短期間で吸収し、巨大に成長して一帯を支配する。大型のヒトヨタケはビターコースト沿い、沼地の生物の死体が腐敗して行く場所で繁殖する。より小さなキノコは岩や木々を覆い、いくつかの動物にも付着する。例えばキノコに覆われたシュルームビートルのように。愛らしい!

南西の地、ビターコーストから内陸にあるバルモラでは、レッドマウンテンの噴火による灰が山麓を脅かしているが、それでもなお森林を擁している。

アッシュランドは不毛の地ではあるが、驚くほどの生物種が生息している。アッシュホッパーが乾燥した灰の丘を跳ね回り、大きなジラリア種のキノコが天空に向かって弦を伸ばしている。旅人は注意せよ!飢えた爬虫類、クリフストライダーが絶壁に身を隠している。

フェッチャーフライは卵を温めるため、溶岩の熱が得られる場所に巣を作る。卵が孵ると、女王バエはマグマの源流を利用して巣を動かす。巣は歩くハイブゴーレムとなって、群れを新しい環境へと移動させる。

ニックス・オックスは島の北東にあるグレイズランドをうろついており、一般には温和だと考えられているが、縄張りを守る際には躊躇しない。

二本足のヴァルドヴァークは草地を走り回り、小さな虫を食べる。この可愛い生き物はひどい臭いがするが、ペットにする者もいる。

この地には先人の墳墓が点在しており、ハンガーと呼ばれる強力なデイドラがその中で最近目撃されている。

モロウウィンド最大のキノコはザフィルベル湾に出現する。この雄大な種はテルヴァンニの魔術師によって栽培され、成育には魔術師の一生(1000年間)と同じだけ時間がかかる。こうしたキノコの森には独自の生態系があるが、それはまた別の本で扱おう。

ヴァーデンフェルの捜査官ヴェイルInvestigator Vale in Vvardenfell

「評議員、私は観光のためにヴァーデンフェルまで来たわけではありません」と、捜査官ヴェイルはヴォーベンド評議員の机に乗っていた、アルマレクシアの胸像をいじりながら言った。「もっとも、あなたの国と民はとても魅力的ではありますけれど」

「では何のためにここにいるんだ、ヴェイル?」とヴォーベンド評議員は問い詰めてきた。口調からして、ハイロックから来た女に我慢がならないという雰囲気だった

「私が来てほしいと言ったのよ、お父さん」と、部屋に入ってきた評議員の娘ヴェルネアが言った。「マスター・アドレンに何があったのかが気になるの。フラール家はあの人が存在しなかったふりを望んでいるみたいだけど」

ヴォーベンドは椅子の上にのろのろと崩れ落ちた。責任の重さに、突然疲労を感じたようだった。「このことはもう何度も話しただろう、ヴェルネア」とヴォーベンドはため息をついた。「マスター・アドレンは死んだのだ。そういうことだってある。誰かが死んだからって、いつも陰謀や殺人が隠されているわけじゃない」

捜査官ヴェイルはヴェルネアに輝くような笑顔を見せてから、彼女の父親に向き直った。「それは私に判断させてもらいましょう、評議員」とヴェイルは明らかに興奮して言った。「結局、それが私の仕事ですからね」

***
ヴェイルとヴェルネアは、マスター・アドレン錬金術店の裏にそびえ立つ巨大なキノコの下を並んで歩いた。この老錬金術師はヴェルネアが若い娘だった頃からお気に入りの師で、彼女に錬金術の技や、その他の学問を教えていた。奥のほうは庭になっており、錬金術師御用達の植物や花が展示してあった。側にはイーゼルが立てられており、アドレンがお気に入りの庭の脇に座っている絵のキャンバスが掛かっていた。絵は未完成だった

「アドレンはいつも、私は何にだってなれるって言ってた」とヴェルネアはぽつりと言った。「お父さんの人生に魅力を感じないのなら、商人や交易商人にならなくてもいいって。あの人は… 私を励ましてくれたの… 夢を見ろって」

「素敵な人だったみたいね」とヴェイルは元気づけるように言い、見慣れない訪問者を調べるためにやってきたニックスハウンドを眺めた。「それでヴェルネア。あなたの夢は何なのか、聞いても構わない?」

ヴェルネアは頬を赤らめて躊躇し、未完成の絵のところまで歩いていった。彼女は言った。「私は画家になりたいの。絵を描くのが好きで、アドレンが私の才能を育んでくれた。風景画、肖像画、静物画… かなり多くの作品を創ったわ。あの人は描くたびに前の絵よりもよくなったと言ってくれた。あのことがあった時、私はこれを描いている最中だったの… あのおじいさんがいなくて寂しいわ。とてもね」

ヴェイルは樹木のようなキノコの下を覗こうとして這いつくばり、「それで、ここがアドレンを見つけた場所?」と尋ねた

ヴェルネアは身を震わせ、腕を強く抱えた。「ええ。会おうと思って来たの。アドレンが店の中にいなかったから、ここで読書か庭仕事をしているんだろうと思った。でも、そこで彼が目を開いて、仰向けになって倒れているのを見つけたの。あの光景は二度と忘れないわ」

捜査官は立ち上がり、裏庭の残りの部分を軽く見渡した。「何もなくなってなかったと言っていたわね?うーん。あなたの絵を見る限り、花が1輪消えているようだけど」

ヴェルネアは未完成の絵に目を向け、師の隣の植え込みから力強く伸びている、異国風の花を見た。それから庭を調べ、驚きの叫び声をあげた。「本当だわ!これまで気づかなかったなんて!なくなっているわ!」

「そしてあなたの描写が正確だとすると、なくなった植物は希少なクリムゾンドラゴンソーンね」とヴェイルは言った。「錬金術では重宝される植物よ。それに、キノコの茎が変色している。これはキノコの表面がガーリック・スネイルと接触して、有毒ガスの煙を発生させたことを示しているわ。私が知る限り、非常に毒性の強いガスよ」

「ガーリック・スネイルですって?アドレンの庭に?彼ほどの庭師が、そんな害虫をキノコに住みつかせるはずがないわ」とヴェルネアは言った

「じゃあ殺人ということね」とヴェイルは言った。「教えて。ここの錬金術師の中で、アドレンに敵意を持つ者はいたの?」

***
捜査官ヴェイルはディラニの花屋へ入り、忙しそうにキノコを組み合わせた花束に取り掛かっている年配のダークエルフの元へ、自信たっぷりに歩いていった。ヴェイルの後ろにはヴェルネアとフラール家の兵士1人がついてきていた。ヴェイルは立ち止まって製作途中の花束の匂いを嗅ぎ、掘り返したばかりの土を盛った大型の花瓶へと向かって進んだ。土から突き出しているのは、クリムゾンドラゴンソーンだった

「あら、これはとてつもなく珍しい花じゃない」とヴェイルは言い、もっと近くで見ようとして身を乗りだした。「それに見て。花びらには小さな黄色の斑点がある。あなたの絵と同じだわ、ヴェルネア」

ディラニはヴェイルから兵士に目をやり、またヴェイルに視線を戻した。明らかに動揺して、嫌な汗をかいていた。「な… 何をほのめかしているんです?」女は次第にどもりはじめた

「ほのめかしたりなんてしない」とヴェイルは言い、カウンターの上にあったガラスのケースに手を置いた。ケースにはガーリック・スネイルの小さな巣が入っていた。ヴェイルはその細長い指でケースの横を叩いた。「はっきり言わせてもらうわ。あなたはマスター・アドレンを殺し、彼が大切にしていたクリムゾンドラゴンソーンを手に入れたのよ」

「そ… そんなの馬鹿げてる!」ディラニは抗議の声をあげた。それから向きを変え、花屋の裏口から走って逃げた。フラールの兵士がすかさず追いかけていった

「逃げられてしまうわね」とヴェルネアが言った。悲しげな声に失望がこもっていた

「何言ってるの」とヴェイルは言った。「あなたの兵士はお婆さんくらい余裕で捕まえられるわよ。ところで、私の肖像画を描いてくれたら嬉しいんだけど。裸は描きたくないとかある?」

ヴァルドヴァークの実験The Vvardvark Experiment

テルヴァンニの魔術師、賢者ヴァーケネル 著

何をやったんだ?

簡単な実験のはずだった。ヴァーデンフェルに持ち込まれたまったく新しい動物の変異。それで何を創り出した?今まででおそらく初めて失敗すれば、よかったと思った。テルヴァンニの魔術師としては失格かもしれないが。

創造物は即座に破壊すると決めた。そう、元から悪であるとか、危険だとか、一般的な後悔する実験について回る性質はなかった。だがその不自然な形、突き出た頭、鱗と毛皮の融合で私を悩ませた。破壊しなければならないのはわかっていた。

強い好奇心が破滅の元になった。心ではやったことを元通りにしようと決めていたのだが、少なくとも最も基本的な試験をする前に実験を終わらせることはできなかった。葛藤している最中に、可愛く幼い娘が毎日のお菓子をねだりに研究室へ入ってきた。

この生物がどうやって娘を取り込んだのかはまったくわからないが、娘は即座に虜となった。その気味悪いものを腕に抱くと、喉を鳴らしはじめた。吐き気を催す舌が鼻先から伸びて娘の腕をこすり、娘は恐怖で叫ぶ代わりに、ただ笑って言った。「ねえ、お父さん、なんて可愛い動物なの!何ていう名前か知らないけど」

私は名前を考えるしかなかった。娘はそれをペットにしたがり、私は可愛い赤い瞳を否定できなかった。だがこの恐ろしいものに、家族を用意するというお願いに同意することは拒否した。こんな生物は世界に一匹いるだけで充分に恐ろしい。少なくとも不死にはしなかった。

マスター・スケーリー・テイルの死で彼の種族は終わりになる。それを覚えておいてほしい。愛するヴァーデンフェルがこの生物に蹂躙されることを決して許しはしない。このひどく吐き気がする… 可愛い生き物に。

ヴォルリナのメモVolrina’s Notes

奴らはベルネ族と名乗っている、あのならず者ども!奴らは私の兄弟を殺したけど、私は捕まらなかった。闇に隠れて、あの悪魔どもが食事をする姿を見ていた。あの怪物どもの一部はただの野獣だ。見つけ次第、誰でもいいから血を貪ってしまう。

だが、一部には好奇心があるようだ。ガロム・デウスにまだ住んでいる、コンストラクトについての好奇心が。

変わった2人組がドワーフ・スパイダーを使っているのを見た。コントロールロッドを取り出して集め、別のスパイダーに使おうとしているのだ。あの装置が何かは知らないが、正しく機能していないようだ。彼らが機械の蜘蛛に身振りをすると、あの生物は動き出した。しかし、常に意図した動きはしないようだ。操作されているスパイダーが勝手にどこかへ行ってしまうこともあるし、攻撃してくることもある。彼らは工場にある部品箱を開けるために利用しようとしているようだ。

もし手に入れられるなら、バリルザーは間違いなくあの箱の中の材料を欲しがるだろう。しかし、吸血鬼たちは強すぎて手に負えない。

エスランドラに捧げる詩Ode to Ethrandora

おおエスランドラ
崇拝を伝えられたなら

編み込んだ髪は真紅
あなたの頭にリンク

笑顔は甘く
グアル肉のように美味く

おおエスランドラ
我が心を伝えられたなら

その視線
我に溜息を見せん

あなたはクスクス笑う
我が心臓は倣う

おおエスランドラ
包まれたきあなたのオーラ

あなたのブレラン

エボンハートへの旅On Moving Ebonheart

トリビュナル司祭とフラール家技師のメンバーへ

ここ最近の本土への訪問の際、ヴィベク卿はモロウウィンドの北沿岸、ストンフォールズにある古風で美しいエボンハートの街を大層お気に召された。卿は街の境界内で通常以上の時間を過ごされ、街道の散策をしながら、建物や家々を注意深くお調べになった。正直に言えばこの訪問は我々の予定を遅らせ、ヴァーデンフェルへ帰還する前にすべき他の任務の実行に関する、大きな不安を私に引き起こした。

戦詩人があらゆる壁石やわらの束を執拗に調査しつつ、あらゆる考えや観察をノートに書き込んでおられる中、傍で静かにしていると、ついに生き神は私に向き直られた。「アークカノン」とヴィベク卿は言われた。「この場所は気に入った。ヴァーデンフェルにも一つ必要だ!」

「必要、とおっしゃいますと?」と私は尋ねた。ここから話がどう進んでいくのかを確かめようとしたのだ。

「我が街の南にある、あの場所だ」とヴィベク卿はお続けになった。「そうだ、あそこなら新たなエボンハートを建設するため、完璧な場所になるだろう!」

「建設、とおっしゃいますと?」と私は尋ねた。まだ何を求められているのか不明だったのだ。

「建設、移動、何でもいいようにすればいい」とヴィベク卿は言われた。「カノンとフラールの技師たちに即刻、計画を練り上げさせるのだ。新しいプロジェクトを始めるのが待ちきれない!」

と、いうわけだ。我らが卿の口から諸君の耳へ、この手紙を通じて伝えたぞ。諸君の構想に目を通すことを楽しみにしている。時間はそうだな、3ヶ月ではどうだ?

ヴィベク卿の名において
アークカノン・ターヴス

オーディネーター:総合案内Ordinators: A Comprehensive Guide

ヴィベクのアークカノン、ターヴス 著

聖なる衛兵にして戦う司祭であるオーディネーターは、トリビュナル聖堂と、そこで崇拝される生き神へ身を捧げている。四つの騎士団に分かれたオーディネーターは、トリビュナルの意志をモロウウィンド中に広げる役割を負い、独特な黄金の鎧と仮面により特徴づけられている。守りの覆いとして使われる表情のない仮面は、衛兵の正体を内に隠し、オーディネーターに謎めいた雰囲気と脅威を加えるために寄与する、威圧的なオーラも放っている。

オーディネーターは四騎士団に分かれており、トリビュナル領内の権限は所属によって決まる。監視の騎士団、教義と秩序の騎士団、審問の騎士団、戦争の騎士団である

監視の騎士団はトリビュナルの聖堂と祠を守護し、ヴィベク・シティを含むトリビュナルの街、都市に衛兵を配置する。トリビュナルの集落の警備とトリビュナルの聖地の守護に加えて、監視の騎士団のオーディネーターは聖堂の法を施行する。このオーディネーターは全騎士団のうちもっとも目につきやすく、定期的に民と交流している。

教義と秩序の騎士団を構成するのは軍事学者である。生き神の言葉を精力的に研究し、トリビュナルの意志を支えている。彼らは支配的な教理の裁決者として仕え、ネレヴァリンの予言や他の異端の教えのような、誤った危険な見方に反対する。

審問の騎士団は聖堂の司祭、ダークエルフの民の双方で異端を探し、積極的に弾圧する。調査機関、裁判官兼執行官の役割を担う。この騎士団のメンバーは異端者を裁判にかけ、聖堂に対する罪に相応しいと思われる罰を下す。

最後に戦争の騎士団は、ダンマーの領内で活動する敵対的な教団やデイドラの信者を含む、あらゆる聖堂の敵と戦う。聖なる戦士はモロウウィンド全土から選び抜かれた、極めて献身的で最高の訓練を受けた戦士である。トリビュナル自身から加護を受けていて、その意志を守る責任を負っている。

オーディネーターには別働隊もいるが、ごく少数のため騎士団を構成することはない。トリビュナル聖堂で最高に腕の立つ戦士から個人的に選抜され、アルマレクシアの優れた密偵、アルマレクシアの守り手として仕える。生き神その人が女神の魔法で彼らを強化し、恐ろしい鎧と武器に付呪をしている。

常に正統派でトリビュナル聖堂の熱心な支持者であるインドリル家は、オーディネーターに参加するダークエルフの多くを輩出している。インドリル家の影響力は、オーディネーターの鎧の独特なスタイルに見て取れる。その息子と娘は献身と敬愛をもって、誇らしくトリビュナルに仕える。もちろん、生き神に仕えるのはオーディネーターだけではない。例えば、ヴィベク卿のボイアント・アーミガーだ。彼らについては、次の巻で扱おう。

オーディネーターの布告:第七条Ordinator Edict: Mandate Seven

下記を周知せよ:

審問団はよそ者たちが聖なるオーディネーターの盛装、すなわち献身の黄金仮面と三位一体の信仰のローブを身に着けているという報告を受けている。これは明らかに恭順令第十七条への違反である。ダンマー俗信徒のメンバーで盛装を身に着けている者は、誰であろうと速やかにして無慈悲なる懲罰の対象となる。ダンマー以外で盛装を身に着けているところを見られた者は、その場で抹殺されるものとする。それが冒涜の代償である。
以上を警告する

三大神に勝利を

審問官ニヴォス・ウヴェラン

オーディネーターの布告:第十六条Ordinator Edict: Mandate Sixteen

下記を周知せよ:

異端的宗教実践は、ここヴィベク・シティの境界内では禁止される。これには八背教者の崇拝、ヒストの樹液かムーンシュガーの儀式、礼拝目的のマラキャスの狩猟、デイドラへの交信の儀式などが含まれるが、それが全てではない。このような儀式に参加する市民は誰であれ投獄され、身体的再教育の対象となるものとする。こうした儀式に参加する非市民は、違反行為の軽重と管轄のオーディネーターの判断に応じて、追放か処刑されるものとする。いずれの場合も、礼拝用の素材や文書はすべて押収し、浄化の薪で焼かれるものとする。それが冒涜の代償である。

トリビュナルの元に留まるか、沈黙を保て

三大神に勝利を

審問官ニヴォス・ウヴェラン

オーディネーターの布告:第二十一条Ordinator Edict: Mandate Twenty-One

下記を周知せよ:

不浄なる獣の聖なる記録に登録された生物は、都市の境界内に入ることを許されない。このリストには多くの酪農用動物、フクロウ、尻尾のない猿、ドゥルーの幼生、卵を産む甲殻類が含まれる。禁止動物の包括的リストはトリビュナル聖堂の教義蔵書庫で閲覧可能である

市場での販売を目的とした肉はすべて、恭順令第三十四条に従い、聖堂指定のドレニウロラン、あるいは三位一体の認可副司祭による検査を受けなければならない。肉を検査に提出しなかった場合、聖認可状の没収、罰金、場合により身体的再教育を受けるものとする。それが冒涜の代償である

三大神に勝利を

審問官ニヴォス・ウヴェラン

オーディネーターの布告:第二十七条Ordinator Edict: Mandate Twenty-Seven

下記を周知せよ:

公衆への実演を目的とした吟遊詩人の歌や詩はすべて、まず教義制定省の認可を受けなければならない。異端とされた作品はすべて没収され、浄化の薪にて破壊されるものとする。上述の作品を検査に提出しなかった場合は、罰金か場合により身体的再教育を受けるものとする。それが冒涜の代償である

三大神に勝利を

審問官ニヴォス・ウヴェラン

オーディネーターの布告:第三十四条Ordinator Edict: Mandate Thirty-Four

下記を周知せよ:

聖堂の備品の破壊、移動、その他の蛮行は重大な罪である。聖堂の聖画と建築物はトリビュナルの神聖なる権威の延長である。上述の聖画や建築物に対するいかなる攻撃も、トリビュナルの聖なる者への攻撃とみなされる。そうした攻撃は死をもって罰せられ、続いて忘却の儀式、および浄化の薪における遺体の破棄が行われる。冒涜の代償を見よ

三大神に勝利を

審問官ニヴォス・ウヴェラン

オマレンの供述書の写本Omaren Trial Transcript

ニルビン・オマレンの最後の言葉

トリビュナルの意に叶うことを願い、刑が執行される前にいくつか述べたい。

初めに、私は他のすべてと同じく、トリビュナルを讃える。神を敬う心をもって三大神の前に立っている。ここに集いし多くの者が私のことを異端信仰、背信、殺害の罪で非難している。しかし、私はここに述べよう、私のしたことすべては、トリビュナルの栄光を高めんとして行ったことである。

失礼だが、私を死に追いやる偽善について指摘しなければならない。もしも私が富豪、聖堂、我が名家を守るために剣を抜いたのであれば、私の払った犠牲は正しく祝われるだろう。私の首はドラゴンの舌とリボンに飾られ、首に斧を待つことはない。しかし、私は縛られ哀れな者に代わり行動したため、断罪されているのだ。

奴隷制こそ我々の大罪である。レッドガードが剣を重んじ、ウッドエルフが樹木を重んじる一方で、我々が重んじるのは血塗られた財産である。我々は誇り高き謎めいた人々の生活を無謀にも破壊し、その上に自分たちの名家を建てている。我々は真の信仰と滑らかな肌を理由として、彼らよりも自分達の方が優れていると思っている。しかし、私はこう述べよう。アルゴニアンの労働者の心には、モロウウィンドに土地を持つ誓約者のすべての心を併せたより、大きな善が存在する。

慈悲の女神であらせられる、神聖なアルマレクシアは、我々に慈愛と慈悲を説く。我々は欲に駆られ、殺しをする大食のネッチではないだろうか?苦しみを楽しむセトの子ではないだろうか?

尊敬を集める審問官から宣誓した上でこう聞かれた。「お前は自分のしたことを恥じていないのか?」。その時、私は黙秘していたが、今は自由に言おう。私は何ら恥など感じていない。後悔もまったくない。監督官の死は遺憾に思うが、すべては善のためだったと言っておこう。いつか報いがある。すべての明らかな罪は肥大し、我々を食らうだろう。我々はそれに値する。

望むのなら殺せばよい。正義を進めるためこの命が潰えるのなら、私は「そうあらしめよ!」と言う。しかし、これを知っておけ。私を殺しても無駄だ。他の者が立ち上り、私の役割を引き継ぐ。ブラック・マーシュの息子と娘は自由だ。そしてお前たちが方針を変えない限り、トリビュナルの子供達が血で高い代償を払うだろう。

以上だ。好きにするといい

ガヴロスの研究メモGavros’s Research Notes

被検者K14
傭兵が拘束した数時間後に頭部外傷により死亡。調合薬を投与したが、変性は起こらなかった。これは私の仮説を裏づけている。最後の投与を行うまで、血圧を一定に保たねばならないということだ。投与の前に死亡すると、部分的な変性しか起こらない。これなら今までの失敗の説明がつく。強力な鎮静剤を使えば、早期の死亡率を下げられる可能性がある。もっと実験を行なわなければ。

被験者R32
完璧な変性。量と純度という点では、点滴法がかなり有用なようだ。ただ残念ながら、この方法では作業時間が大幅に増えることが分かった。商売にするには生産性が低すぎる。もっと効率を上げなければ。

被験者S24
調合薬を液体から気体に変えるのは思ったよりも簡単だった。結果も悪くない。この気体に曝露された被験者にはすぐに変性の兆候が見られた。残念ながら、この方法を用いると被験者はかなり暴力的になる。今後の被験者については、さらに強固な拘束が推奨される。

被験者S24(追記):
完全に変性しているにも関わらず、被験者は生きている。現代のあらゆる学者の研究と計算を覆す結果だ。危険な異常行動の発生率が大幅に増加した。この副作用が解消されるまで、この実験は延期することが推奨される。

ガヴロスの日誌Gavros’s Journal

この方法で金持ちになれると信じているなら、私の主人達は本当に愚かだ。確かに、あの調合薬が生み出した物質は見た目も感触も希少な黒檀の鉱石にそっくりだ、だが黒檀ではない。腕利きの鍛冶屋がこれを使って道具を作ろうとすれば、すぐに偽物だと気づくだろう。

この件については何度もマスター・レサンに忠告してきた、調合薬そのものを売ることに力を注ぐべきだ。そのほうが賢いだろうし、同じぐらい利益にもなる。作成方法の翻訳には非常に苦労したし、調合も極めて正確に行う必要があるが、作るための試薬はそれほど珍しいものではない。私なら簡単にたくさん作れる。私が作った気体を、武器として使用しているところを想像してくれ!大儲けできるはずだ。

マスター・レサンは反対している。彼によれば、買い手は黒檀が偽物でも気にしないというのだ。それを使って作った商品でも、いい加減な検査に合格できれば彼らは喜ぶだろう。黒檀は非常に希少で、なかなか手に入らない。私達という供給元がいれば、買い手は検査に通るような偽物を作り、それが偽物だとばれるまえに店を閉められる。どこかの兵士が黒檀の鎧が偽物だったために戦死したとしても、買い手のポケットから金が減るわけではない。

マスター・レサンが正しいのかもしれない。私は同じ種族の多くを突き動かしている、ありのままの欲望を過小評価してしまう傾向がある。このような素晴らしい調合薬を使って研究できることに満足している。いずれ、もっと有用な利用方法が見つかるかもしれない。

カモンナ・トングの誘惑The Lure of the Camonna Tong

ヴォラール・ヴェンドゥ(元カモンナ・トング) 著

カモンナ・トングのことを耳にしたことがあるかも知れない。血の池が丸石を染める、暗い路地で囁かれる名であり、隣人のベッドに置かれた脅迫状の署名でもある。幻影、呪い、社会の底辺の腫物。誇らしく認めるわけではないが、私も過去に属していた。

さて、私がこれを書いているのは、法を尊ぶ者たちのためではない。道徳から外れてしまった者、善悪の間のわずかな境界線上を歩いている者たちのために書いている。空っぽの腹、それ以上に空虚な金庫を持つ者たちは、カモンナ・トングを見込みがある選択肢と思うかも知れない。そう考える者よ。この続きを読むのだ。

確かにカモンナ・トングには安定がある。安定した収入は無下にできず、彼らには収入を支える仕組みがある。栄光、支配、階級の昇進をちらつかせて、あなたを誘惑するだろう。そしてもちろん、彼らの行為はまったくの非合法だ。ただ、もしすでに非合法の活動へ傾倒しているのなら、良き仲間になれるだろうか?

私はうまい話を少し聞いただけで、すぐに参加を決めた。初めは良い生活だった。それまでずっと偉そうにしていた絶壁頭の富豪から金をだまし取る?望むところだった!数件の強盗や不法侵入?別に初めてではなかった。そしてもちろん、よそ者を追放するとか、ヴァーデンフェルをダークエルフの手に取り戻すとか、大きな口を叩いていた。だが正直に言うと、これから自分が何をするのか、まったく疑問に思っていなかった。

だが、それもアルゴニアンのお針子が少々思い上がるまでだった。

そう、それは街であった話だ。鱗の馬鹿が厚かましくも自分の店を始め、利益が上がる成功を収めた!彼女はダークエルフからうまい商売を奪っていた。我らの母、姉妹から金を横取りしていた。よって私たちはカモンナ・トングが得意にしていたことをやったのだ。ツケを払わせた。

誘拐するのは造作もなかった。彼女の店は順調だったが、所詮はアルゴニアンだ。家に侵入しても、衛兵を誰も見なかった。街のその地区に衛兵はいなかった。彼女が助けを求めて声を上げる前に、縛り上げ、さるぐつわをかませた。手の込んだ悪戯をしているかのように笑っていた。酒を飲みすぎた短気な若者のように。私は彼女を脅かし、思い上がりを矯正し、身の程を分からせるだけだと思っていた。

酔いが覚めようとした頃、暴力が始まった。初めに顔を打つと、すぐさま殴る蹴るの暴行に変わった。仲間たちは彼女の耐える様子や、堅すぎる皮膚ゆえにアルゴニアンのアザを見た者はいないことを笑っていた。仲間の笑いが混じる彼女のくぐもった叫びが、今でも耳に残っている。

封じられた口から血が滴りはじめ、暴力が激しくなっても、私は見ているだけだった。私は暴力と無縁ではなかったし、仕事の性質を考えれば完全に反対してもいなかった。だが、アルゴニアンの老女を縛り上げ、ひどく痛めつけ、床に倒れても蹴り続けるのは、何かが違っていた。動かずに見ていると、だんだん喉が詰まってきた。私が白けていることに誰も気付いていないようだった。喜々とした、独善的な正義に我を忘れていた。

誰かが短剣を抜き、何気なく言った。「指を失えば縫うのが大変になるな」

突然、私は目が覚めた。

私は仲間を止めた。そう言えれば良いのだが。賢いことを言ったとか、勇敢なことをしたとか、そう言えるのなら良いのだが。実際のところ、私は歩いて出ていった。部屋から、街から、その生活から去った。誇らしげにではなく、傷ついて、敗北して、あの哀れなアルゴニアンの恐怖に覆われた目に思いを巡らせながら。私の目とはまったくの別物で、あまりにも似ている目に。仲間が本当に指を切ったのかどうかは知らない。指を失ったどこかの物乞いが、悪夢の中で私の顔を見るのかどうかも知らない。これからも知ることはないだろう。

今後、あなたがカモンナ・トングのことを考える時、魅力と金のことを考える時、曲がった道徳観がどれだけ簡単に消え失せるか考えることだ。大口と酒のせいで、自分が進むとは思ってもみなかった、より暗き道に行くことを考えるのだ。口を閉ざすことは容易く、彼らの仲間になることはもっと容易い。

ガルー・リサリの書きかけの日記Ongoing Journal of Galur Rithari

かつての私は高い名声を得ていた。ボイアント・アーミガーの有望なチャンピオンとして一族の名を世に知らせ、我が名に敬意をもたらした。欲しがりも後悔もせず、ヴィベク卿とトリビュナルに仕えて生涯を全うするものだと思っていた。名誉ある死を予見していたのだ。歌に唄われる、戦場で迎える名誉の死を。いかにそれが間違いだったことか。

バル・ウルについての噂を全て考えれば、最後と思われた戦いで敵が迅速に対応することを予想すべきだった。オーンデイ族の吸血鬼は、自分たちの遺産にとって重要な土地を積極的に取り戻そうとしていた。吸血鬼たちは音も立てずに我々を襲い、私が指揮していた無警戒の戦士たちが剣を抜く前に、そのほとんどを殺害した。私の反応は遅れた。数多くの立派なアーミガー達の死に対して、私には責任がある。

劣勢で孤立した私は、敵に屈した。紳士のような装いの怪物に名誉ある待遇を望んだが、気がつくと私は血を飲む怪物の餌になっていた。

バル・ウルの奥で数日が経過し、私は死に際して夢を見始めた。それは当初、神々しいものだった。バール・ダウの影のおかげで汚れのない、ヴィベク・シティの海岸から吹く暖かいそよ風を感じた。近づいてくるヴィベク様の嬉しそうな顔を見て、私は愛と優しさで包まれた。許しと平穏を感じたが、近づくにつれ、ヴィベクは何か本当に不快な、言葉では言い表せないほど邪悪なものへと歪んでいった。すぐにモラグ・バルの無情に笑う姿に気がついた私の心臓には、デイドラ公の牙が突き刺さっていた。恐怖で目が覚めた私は震え、死以上の冷たさを感じた。しかし、胸の中で音がしないことが私の感染を明らかにしていた。私の病を。

自分の腐敗によって辱められ絶望した私は、オーンデイ族へ従順に馴染んでいった。獣だけを狙い、人は獲物にせず、他の者には近づかないようにした。それでもやはり希望は捨て、獣のように生きた。

今の私は、自分が渇きから逃れたいことに気がついている。この辛い苦しみを緩和するには、定命の者の生きた血を堪能しなければならない。それは新たな罪のない者を死に追いやるか、それ以上にひどい仕打ちをすることになる。そうするくらいなら、レッドマウンテンの炎へ飛び込むだろう。それでも、私の自己嫌悪がどれほど欲求を抑えられるのかはわからない。事態はこれまでのように続かない。何かしなければならない。だが、一体何を?

アシャルマウィア。私の同族が、遺跡を巡る虫の教団の主張への不満をつぶやいている。彼らは災いの王の支持を得るための儀式や、祠へ祀る生贄の話をしている。彼らのこういった行為に対する嫌悪感は共通するが、理由はまったく違う。私はアシャルマウィアの見張りを進んで引き受け、ほとんど気づかれぬままオーンデイ族からこっそり離れた。

これに慣れてはいけない。信者を害虫だと考えるのは簡単だが、彼らを殺してきた私は同様に怪物だ。彼らの血は私の苦しみを晴らす慰めで、活力と至福を置いてくれる。私が犯したことを嫌悪する心が生まれたのは、血を吸った後だった。この場所で最期を迎えるなら、それが私にはふさわしい。

いや、この哀れな存在にふさわしいのは、この存在が始まった場所で滅びることだ。この苦しみにおいて、私の思考はいつでもバル・ウルへ戻る。おそらく、私自身も戻るべきなのかもしれない。

カレク・グラ・バグラトへの手紙Letter to Kharekh gra-Bagrat

カレク

迅速なサービスを望んでいることは分かっていますが、こうした件には時間がかかることを理解しなさい。スランを通過する旅人すべてを逮捕するのは無理です。あなたの新しい監獄だってそこまで大きくはありません。

徴用に最適な候補者は家族や後ろ盾のない者、前科があって新たな容疑で私が引っ張れる者です。法廷で争える者や背後に強力な一族のいる者を逮捕すれば、私たちの協定はあっという間に露見するでしょう。

ちょうど明日、シロディールから大規模な難民の一団が通過すると報せを受けました。間違いなく何人も逮捕する理由が見つかるでしょう。人手はもうすぐ渡せます。

焦らないように。

H

キノコの塔に関する証言Testimonials on Mushroom Towers

ミネルヴァ・カロ准編年史家 著

名家のうち、あらゆる点で最も謎めいているテルヴァンニ家は、文字通りの意味でも象徴的にも極めて珍しいキノコの建物を建て、彼らはその中で生活と仕事をしている。テルヴァンニ家が建築様式の趣向について公式な声明を出したことは一度もなく、多くの者はテルヴァンニ家の威光におののき、理由を尋ねることはしない。テルヴァンニ家の賢者たちがプライバシーを重んずることはよく知られているが、なぜ石や木の塔を建てないのか?私は庶民の考えを聞くことにした。テルヴァンニ家の注目を避けるため、発言者の名前は変えてある。

初めに話を聞いたのは、表向きはテルヴァンニ家と関わりのないものの、しばしば家人に商品を売っている地元の商人だった。非常に腹を立てていたヴェルナというダークエルフは、喜んで持論を展開してくれた。

「臭いよ。まさにそれ!彼らは三大神にも見捨てられた悪臭のとりこになっているの。それが好きでたまらない。彼らの生態には何かがある、他のダークエルフとは異なる何かが。それにより、魔法でキノコを塔に変えてしまうほど、キノコの臭いを心の底から欲しているの。一日中塔の中で腰かけて、臭いを嗅いでいるって聞いたことがある。私?頭が痛くなるわ。松の爽やかな匂いとか、石や他のまともな建築素材の何が悪いの?時々思うんだけど、かびの生えた古いキノコよりも、シルトストライダーの糞でできた塔を見る方がマシよ!」

アルゴニアンの宿主である波立てし者は、その目的がより機能性にあると信じていた。

「まあ、テルヴァンニ家が孤立主義者であることは周知の事実だ。評議員の会合にすら出ようとしない。市場に行かないですむようにキノコを食べていると予想している。それ以外に何が考えられる?マッシュルームシチュー、マッシュルームパイ、マッシュルームソース!わずかにキノコがあれば、たくさん料理ができる。私たちが気付かないのは、目立たないように家の奴隷がキノコを集めているからだ。キノコ愛好家と思われて、イメージを壊したくないんだろう。完全なキノコ作りの家を建てる以上に、キノコに固執していると思う」

とても愛想のよいハデルというダークエルフの商人は、キノコの使い道についてまったく異なる意見を持っている。

「キノコには強力な催淫性があると聞いたことがある。賢者たちが塔の中で一日中何をしているのか、非常に気になるところだ。自分でもコレクションを始めてみようかと考えた。もちろん、勉強のために。ただ、塔の居住者の注意を引こうとは思わない。テルヴァンニ家の魔術師は、寛大なダークエルフじゃない。大いに満足している時でもそうだ。それに彼らは、見せかけているよりも頻繁に満足している気がする。意味は分かるな?ところで、私の名前は本当に変えると言ったよな?」

テルヴァンニ家に料理を出している商人は、食材について興味深い情報を提供してくれた。たくさんの疑問が湧いてきたが、テルヴァンニ家に直接仕えている者に興味を引かれた。大半の奴隷は話をしたがらなかったが、オークの雇い人を見つけると、次のことを話してくれた。

「なあ、誰だって[キノコ]は使うだろう?キノコあるところに利用者あり。利用したところで驚くことでもない。キノコの利用はテルヴァンニ家が決めた中で、唯一役に立つことだ。真実は話したぞ」

真実は単純なことだったのかも知れない。テルヴァンニ家はこの自生する植物を見つけ、その利用を望んだにすぎない。聞いた中では「都合が良かったから」が最も有力な説と思われるが、本当のところは?見つけた情報源の中で、最後に話を聞かせてくれたのはカジート商人のルモクで、次のように説明した。

「この者はよそ者を威嚇するために塔を建てたのだと、いつも思っていた。ルモクが[削除]で商売を立ち上げた時は、非常に不安だった。頭上にあの変な塔がそびえているのだから。テルヴァンニ家の象徴とも言えるのではないか?威圧的で、謎めいていて、亡霊が出てくるようだ。テルヴァンニ家は、この者のような者を土地に入れたがらない。怖がらせておくのが利益にかなう」

数回にわたって調査をやめるよう強い調子で要請された以外、テルヴァンニ家の者から公式なコメントは得られなかった。だが、単に脅されたからといって私の好奇心は収まらず、これからもずっとテルヴァンニ家の謎を解こうとするだろう。テルヴァンニ家の高圧的な目にさらされてもなお、多くの者が思いと自説を共有してくれたことに元気づけられた。それぞれの考えは、最後に挙げた説よりも面白く、示唆に富んでいた。

クリフストライダーの歌The Cliff-Strider Song

クリフ・レーサーは翼を広げる、大きく広く
小さな鳥たちは跪き、恐れおののく
唸り、シューと音を出し、唾を吐き、金切り声を上げる!
グアルの文句が聞こえるんだ
「恐ろしい!何て残酷な演説だ!」
ああ、お前みたいに

少し攻撃されるだけで、お前は機嫌が悪くなる
お前は私たちのグアルを盗み、囲いを台無しにする!
お前は私たちのロフトで休み、壁にフンを撒き散らす
真夏のスコールのように屋根をズタズタにする
子供を驚かせ、赤ん坊を泣かせる
お前が変わることはないだろう

クリフストライダー、高く駆け上がる
燃えさかる岸壁の上で、空に触れろ!
クリフストライダー、高く駆け上がる
稲妻のようにかん高い叫び声を上げろ、お前は不死身だ!

お前は義母のように執念深くてケチ臭い
お前は爪についた古い魚のような臭い
お前の腐った臭いにはエルフの大人も涙する
お前の鳴き声はガラスを砕き、私の耳を震わせる
お前は私たちの枕に小便をする、その臭いは何年も消えない
お前はヴァーデンフェルの誇りであり喜びだ!

クリフストライダー、高く駆け上がる
燃えさかる岸壁の上で、空に触れろ!
クリフストライダー、高く駆け上がる
稲妻のようにかん高い叫び声を上げろ、お前は不死身だ!

クロックワーク・シティにてOn the Clockwork City

第七位の魔術師にして驚異の発明家、バリルザー 著

私は謎の父の元で研究した。クロックワークの神から魔術と機械を学んだ。クラフトと魔術によってオブリビオンの秘密を調べた。私はこういった研究を全て、知識の光であり、アルムシヴィのシであり、トリビュナルの魔道秘術師であるソーサ・シルと行った。

研究者兼弟子として、私はメイガスの元で長い時間を過ごし、彼の究極の創造物であるクロックワーク・シティの維持と拡大に協力した。今ではこの伝説の施設に関して、様々な噂や憶測が飛び交うようになっている。この本の目的は、噂を肯定や否定をするためのものではない。その代わりに、この場所に関する秘密や驚くべき謎をさらに興味深いものにしようと考えている。私のかつての師が、それを許してくれることを願うばかりである。

まずは、秘密を一つ明らかにした上でそれを謎で包み、基本的な歯車として話を進めよう。クロックワーク・シティは世界に匹敵するほどの大きさを持つ施設だ。だが大きさはガラスのドームに収まる程度で、ふくよかなネッチほどの幅しかない。ソーサ・シルは間違いなくドゥエマーの技術から影響を受けている。だが真鍮のトンネル、巨大歯車、電気の噴水、稲妻の滝は、三大神のメイガスが独自に作り出したものだ。最後に、クロックワーク・シティは苦労して作り上げられたニルンの再現だと言われるようになったが、実際にはその正反対かもしれない。この施設は、クロックワーク神が想像したニルンの完全な姿である。

私は弟子として時間の多くを、歯車の調整とエナジーの流れの調整に費やした。だが私の一番幸せな思い出は、ソーサ・シルが利用していた多くの工房、ファブリカトリウム、アトリエ(これは工房を気取って呼んだだけだが、メイガスは戦詩人のようにあいまいな言葉の表現が好きだった)で行った、様々な作業だ。私はこの街全体で絶えず行われていた、終わりのない様々な実験に参加することを好んでいた。私たちはあらゆるものを研究し、調査対象となる新しい理論と改良できそうな装置を常に探していた。「私たちが作るのは、作ることが可能だからだ」とソーサ・シルは言っていた。だが私には彼が「私たちが作るのは、作ることが楽しいからだ」と言っているように聞こえた。

他にも熟考してもらいたい謎がある。クロックワーク・シティに入るには、自分を過信せずに謙虚になる必要がある。確かに、シュルームビートルより大きなものが入れるような隙間はない、だが一度中に入れば、その隙間は探索しきれない大きさになる。歯車が動いている間に、是非ともそのことをよく考えてみてくれ!

街には他の都市と同じように住民がいる。中にはファブリカントのように、必要な役割をこなすため特別に作られた者たちもいる。だがそれ以外の者は同じように施設の中に住んでいる。ソーサ・シルの今の弟子たちは、真鍮のトンネルを歩き回り、観察と絶えず微調整が必要となる、終わりのない一連の実験の保守を行っている。それだけでなく、ある実験に参加するためメイガスに招待された者や、外国からの追放者、迷子になった旅行者、プラナーの探検家などもいる。私がこれまで経験してきた最も興味深い会話の中には、クロックワーク・シティで出会ったそういった人物との会話も含まれている。

最後に、ソーサ・シルはクロックワーク・シティを使って「未来を作り出す」ことができると聞いたことがあるだろう。確かに、この発明の泉から生まれる数々の装置が、いつかこの世界を謎の父が最も喜ぶ形に変える日が来るかもしれない。それ以上のことは何も言えない。クロックワーク・シティを使えば、「世界を作り変えられる」とも言われている。謎めいたその言葉の真意を明らかにするつもりはない。だがそのピストンが真実を汲み上げていることは間違いないだろう。

そろそろ自分の実験に戻ろう。一日作業しても、時間が足りたことがない!

シルトストライダー乗りの記録Silt Strider Caravaner’s Log

栽培の月15日——乗客7名を輸送。小包18個で重量は22ストーン。晴天。

5の刻にて、セイダ・ニーンへ進路を向けた。道中は何も起きず。

1の刻にて、バルモラへ進路を向けた。野生のニックスの群れをオーデイ付近に確認。よそ者たちは非常に興奮し、停止を要求した。

2の刻にて、バルモラへの旅を再開。道中は何も起きず。

6の刻にて、バルモラに到着。乗客と小包をすべて確認。

***

栽培の月16日——乗客5名を輸送。小包13個で重量は27ストーン。新米のストライダー乗りが一人送られてきた。メルティシ・アポ。特に雲多し。

5の刻にて、グナール・モクへ進路を向けた。適性を測るため、新米のメルティシが運転穴に行くことを許可。新米は左のアンテナ耳を引っ張り、ストライダーに軽い発作を引き起こした。乗客2名が振り落とされ、小包7個を失った。乗客を回収した後、メルティシを貨物室へ送った。

3の刻にて、グナール・モクに到着。乗客が予定外の停止と小包の損失に賠償を要求。収支は56ゴールドのマイナス。

4の刻にて、グニシスへ進路を向けた。新米のメルティシが繰り返し、運転穴で第二のチャンスを求めた。貨物室へ送り返した。道中は何も起きず。

9の刻にて、グニシスに到着。乗客と小包をすべて確認。

***

栽培の月17日——乗客6名を輸送。小包14個で重量は24ストーン。新米のメルティシ・アポは反対も虚しく残留。晴天。

5の刻にて、クールへ進路を向けた。新米のメルティシが再びストライダーの操作を願い出た。不安はあったが、操作を許可。

7の刻にて、新米のメルティシが右食道下神経節を踏んだ。これがストライダーの消化器官および臭管に激しい排出を引き起こした。乗客は正当にも恐怖した。メルティシを再び貨物室へ。

1の刻にて、クールに到着。乗客たちがまたしても返金を要求。収支は43ゴールドのマイナス。

2の刻にて、マール・ガンへ進路を向けた。乗客4名を輸送。小包9個で重量は12ストーン。道中は何も起きず。次の停止所で新米のメルティシを排除できることに期待。

5の刻にて、マール・ガンに到着。その日の残りはストライダー甲殻の液体を掃除し、詰まった管を磨いて過ごした。

***

栽培の月18日——乗客8名を輸送。小包22個で重量は31ストーン。新米のメルティシは残留。新米はフラール家の有力な後援者が溺愛する甥っ子であるとの通達を受けた。士気低下。高温で強風。南東よりの風。

5の刻にて、テル・ヴォスへ進路を向けた。新米のメルティシがストライダー運転の最後のチャンスを要求。15回目ながらストライダー生理学の基礎を示してやった。運転穴に入ることを許可。

6の刻にて、新米のメルティシが湾曲したヴェドラン棒で視神経を突いた。ストライダーは即座に絶叫を上げ始めた。新米メルティシを再び貨物室へ。

12の刻にて、ストライダーがようやく叫ぶのをやめた。乗客は安心。

12と15の刻にて、安心が苦い非難に、そして返金を求める叫びに変わった。収支は52ゴールドのマイナス。

1の刻にて、新米のメルティシを運転穴に呼び出し個人面接。ストライダー乗りの方法論について簡潔にして市民的な議論をした。

4の刻にて、新米のメルティシが行方不明であると乗客たちが報告。ストライダーを捜索するが発見されず。ザーゴニパル付近で転落した可能性大。悲劇的喪失なり。士気は大きく向上。

7の刻にて、テル・ヴォスに到着。メルティシを除く全乗客を確認。テル・モラにて新たな見習いを迎えるとの通達を受けた。士気低下。

スカーの墓場The Grave of Skar

アンルン・フローズン・コーブ 著

スカーのくぼんだ目がキャンプを見つめ、火が萎れた顔を照らす中、クモの巣がスカーの視界を不明瞭にしている。今、スカーの開いた胃は入口を象徴しており、アッシュランダーの中でも最高に相応しい者にのみ開かれている。彼らは、先祖が戦い敗れた敵であるこの強大な獣の前を歩いている。音楽はなく、酒もないが、厳粛な瞑想と祈祷がある。聞こえるのは囁き声とパチパチと音を立てる炎のみだ。

アッシュランダーは、私のようなよそ者にほとんど声をかけない。部族外への愛は持たず、トリビュナルへ従うダークエルフに燃えるような憎悪を抱いている。混迷が深まり、灰の地に埋まり、敗れたスカーの脚以上に深く据えられるのを感じる。戦機が訪れれば、ヴァーデンフェルのダークエルフはほとんど躊躇しないだろう。

私は彼らの手法と習俗を理解しようとしている。恐ろしい獣との歴史、評議会の名家、過去の祠。スカーはいかにして敗北したのか?なぜその亡骸が集会場に使われているのか?私の質問は大抵沈黙によって迎えられる。話そうとする者は食料や金の約束を求めて話し、ほとんど語ることがなくてもそれを求める。

私の知っていることは、彼らの先祖が戦いでスカーを倒したことだ。その方法は不明だ。槍と言う者もいるが、誰の手によるものかは言わない。この謎の戦士は誰だったのか?彼はアッシュランダーの中でも高く敬われ、崇められているのではないのか?どうして誰も彼の名を知らない?口伝による伝承が行われ、私が参加を許されたたき火の集まりで共有される伝承は、驚くほどこと細かい。なぜその名が記憶から抜け落ちている?

アッシュランダーの集まる墓場にも大きな重要性がある。その墓場は、殺害した相手を王座に載せる族長のことを、力と勝利の顕示のことを思い起こさせる。アッシュランダーが過去の勝利を思うにつれ、未来の栄光への希望も抱く。彼らはこの獣、強きスカーを倒したエルフ。その日が訪れたとして、彼らに成し遂げられないことなどあるのだろうか?

私はスカーの死骸を見る。全身に戦慄が走る。恐怖でいっぱいになるが、このアッシュランダーたちにとっては、希望と力の象徴なのだろう。視線はたき火に沿っていき、私は思いを巡らせる。強さから、誇りから何が生まれるのか?この部族にはどのような未来が待っているのか?別のスカーが現れ、彼らがそれを倒す者になるのかも知れない。もしくは、敗れる者になるのか。真実は時の経過によってのみ明らかになる。

スノーフィンのメモSnorfin’s Notes: Arkngthunch-Sturdumz

よし、アークングサンチの最後の部屋の中央、鍵のかかったドワーフの宝箱の中に、バリルザーのバカが求める部品があるはずだ。宝箱に近づこうとする度、炎が燃え上がって道を阻む。どうやら炉の排出孔を閉じる方法を考えなくちゃならないようだ。あの忌々しいコンストラクトと亡霊が俺を少しの間だけでも放っておいてくれたら、何とかなりそうな気がするんだが。

どうやら3つのバルブ制御装置が排出孔につながっているらしい。結構簡単に閉じられそうだ。そうすれば箱を開けられる。

セイセンの日記のページSeythen’s Journal

母さんは心配性だ。ようやく、一人で出かけることを許してくれた。もちろん、古いデイドラの祠を探検したかったってことは話してない。デイドラの祠はどれも変わっていて不思議だ。

僕に勇気がないわけじゃない。でもあのお腹をすかせた人を見て、少し不安になった。モラグ・バルの祠の近くでは、注意したほうがよさそうだ。

今はクシュタシュピの祠には近づかないでおこう。そもそも、ここからだと僕の両親のいる家の屋根がしっかり見える。これじゃたいした冒険にならない。

一回りしてみよう。もう少し北西に行ったところだ。そこにも祠がある。マラキャスのもので…確かザーゴニパルとか呼ばれてるはずだ。祠の名前はみんな変だ。

ダークエルフ、闇の心Dark Elves, Dark Hearts

放浪の肉体労働者バコゾグ・グロー・シャクフの日記より

オークがひどい仕打ちを受けてるのは間違いない。どこへ行っても同じだ。ウェイレストで縄を引っ張っていても、バーガマでレンガを積んでいても。どこへ行こうと聞こえてくる。「蛮人」、「野蛮人」、「獣」。以前は本当に悲しくなったものだ。ボウルに入った水や店の窓ガラスに映った自分の姿を見て、「連中は正しいのかも」と思ったものだ。だが今は違う。ヴァーデンフェルに引っ越してきてからは。

「蛮人」はどういうものか、じっくり見てみたいか?それならダークエルフと時間を過ごしてみるといい。確かにきれいにしている。ここにあるものは全てきれいで、磨かれていて、しわもない。だがほんの少しでもカーテンをめくってみれば、悪の姿が見える。それも、不格好な子供じみた悪ではなく、好色で赤い目をして、デイドラのように笑う本当の悪だ。奴隷、殺人、詐欺、虐待。罪の名を言えば、それは尊敬されている。デイドラの名を言えば、それは崇拝されている。この島は骨の髄まですっかり堕落しているのだ。信じられない?それなら、虫の話をしよう。

ヴァーデンフェルは虫であふれかえっている。赤ん坊の足の爪ほど小さいものから、マンモスほど大きなものまで。それだけなら心配の種にはならない。故郷にいるエチャテレなら気味悪がる者はいるが。ここにいるほとんどの生き物は見応えがない。だが本当に恐ろしいのは虫そのものではない。ダークエルフがそれに何をするかなのだ。

ニックス・オックスを例に取ろう。見たことがない?馬くらいの大きさのダニに、竹馬のような毛だらけの脚が6本ある姿を想像すればいい。どうだ?それがニックス・オックスだ。

自分が知る限りでは、穏やかな生き物だ。他の群れをなす動物のように鳴き声やうなり声を出さない。ただ歩き回って、硬くなったキノコを大きな顎で割って、皮の中にある菌をぺろぺろとなめて食べている。優しい巨人ってやつだ。優しすぎるかもしれない。

早朝、まだその生き物が眠っている間に、6人か7人のダークエルフがまるで強欲なウェルワのように群れに襲いかかる。10匹ほどのニックス・オックスを追い立てて、車輪付きの牛の檻に入れるまで、それほど時間はかからない。グループのリーダーが手早く獲物を調べて、黒のチョークで殻に印を付ける。値段だ。もちろん、印を付けられないのもいる。弱すぎるか小さすぎて使えないのだ。世話人の一人はそいつらを逃がしてやる代わりに、槍で刺す。顎の真下をだ。それで檻から蹴り出して、放置する。悲しいのは、そいつらがまだ幸運な方だということだ。

市場に送られるニックス・オックスは二つのグループに分けられる。ニックス・トヴォとニックス・リマだ。トヴォはより成長していて大きめであることが多い。リマ1匹の値段で2、3匹は買える。長い間、それがどうしてか分からなかった。そしてようやく世話人の一人に聞いて、どうして大きくて強いニックス・オックスのほうがずっと安いのか説明してもらった。

「皮が分厚すぎる」と彼は言った。「こじ開けられない」

つまり、成長したニックスの殻はオーク材の皮ほど分厚く、圧力を与えるとひび割れる。その一方で若いニックスの皮はもっと柔軟だ。少しの圧力で殻を外して、その下にある内臓を見られる。アクセスのしやすさこそ、リマの価値が高い理由だ。

裕福な農民はドレンリンと呼ばれる専門家を雇って、ニックス・オックスを「仕込む」。これは「壊す」の遠回しな表現だ。ドレンリンはかわいそうなニックスの背中に黒曜石のドリルで穴を開け、肉をこじ開けて、彼らが「操縦室」と呼ぶ空洞にある神経の束をあらわにする。ホックのような突き棒をいくつか内臓に配置して、それから殻を元の場所に戻す。この行程は1時間近くかかるが、それが終わる頃、ニックスは子羊のように従順になっている。ただそこに突っ立っているのだ。落ち着きなくうろつくこともなければ、顎をぴくぴくとさせることもない。生きてもいないが死んでもいない… ただの殻だ。

告白しよう。見ていてつらい光景だ。だが最も恐ろしいのは何だと思う?それは皆がどれほど退屈そうに見えるかということだ。ニックス・オックスの背中をこじ開けていたドレンリンの目をのぞき込んでみて見えたものとは?娘がエチャテレの乳を搾る時にする表情と同じだったのだ。うんざりして、無関心な、空っぽの顔だ。まったく気に留めていない。恥を感じていない顔だ。

もちろん、自分だってうぶではない。スペアリブを丸ごと食べて、豚のジンを飲み干すなんてことは平然とやる。だが生き物の脳みその中を掘り回すなんて?そしてゾンビに変えてしまうなんて?腹黒くないとそんなことはできないはずだ。すごいことに、ダークエルフはそれをいつもやっている。

チョダラとの会談Meeting with Chodala

ネレヴァリンにしてスナラーを持つ者、チョダラとの会談記録
書記デイキンによる編集

グラカーン・ユスザシュテンと火を吹く者ニバポーが見守る中、クンド・ウドはアシュカーン・チョダラを迎えいれた。チョダラは一切の恐怖を見せることなく、追放者の部族に対して滅多に与えられない敬意をクンド・ウドに示した。我々はレッドエグザイルの小部隊を貸し与えたが、彼はより恒久的な合意を結ぶ交渉に来た。

チョダラは会談の冒頭に、部族を結束させる計画について説明した。彼の思い描く統一の中には、レッドエグザイルのための場所があることを強調した。

クンド・ウドはそもそもレッドエグザイルがなぜ、自分たちを追放した部族の元へ戻ることを考えなければならないのかと問うた。チョダラは思慮した様子でこう返答した。「なぜならあなたたちはアッシュランダーであり、我々の血が互いを呼び合うからだ」

そしてチョダラは、我々の部隊が取得を手伝った杖の力を見せた。彼はこの杖をスナラーと呼んでいた。「スナラーは神の力を授けてくれる」とチョダラは言い、杖の先端で石を叩くと、石は卵の殻のように割れた。

クンド・ウドは彼の勇者であるグラカーン・ユスザシュテンに命じ、この神をも恐れぬアシュカーンに身の程を思い知らせるよう言った。しかし彼女が何度剣を繰り出しても、チョダラの肉体に触れることも、貫くこともできなかった。

「お前はどういう怪物なのだ?」とクンド・ウドは聞いた。

「私はネレヴァリンだ」とチョダラは主張し、クンド・ウド、グラカーン・ユスザシュテン、ニバポーは彼の前にひれ伏した。

「レッドエグザイルは我が執行者となり、ユスザシュテンを我が勇者としよう」とチョダラは宣言した。「我が帰還に備えよ。お前たちのためになすべきことがたくさんある」

「どちらへ行かれるのです、ネレヴァリン?」とクンド・ウドが尋ねた。

「次に取るべき行動について熟慮しなければならない」とチョダラは言った。「その上で私は賢女ドヴロシと会合を開き、私がネレヴァリンであることを承認させるのだ」

チョダラは立ち去り、グラカーン・ユスザシュテンは彼に同行した。こうして会談は終わった。

チョダラの備忘録Chodala’s Writings

荒野での生活の間に、私はある興味深いものを手に入れた。後援者のおかげで、ニコティックの信者がある儀式を行い、ただの杖に計り知れない力を流入させようとしていると知った。レッドエグザイルを説得し、私のために杖を取りに行かせることは簡単だった。スナラーは我が物となった。後援者が言っていたとおりだ!

スナラーの力が流れていれば、できないことは何もない!歩を進め、運命を実現しなければならない。私はネレヴァリン、部族の救い主だ!私はずっと疑いを持っていたが、スナラーの力が自信を固めてくれた。この杖は恐れを知らぬ、無敵の存在にしてくれる。名家を震え上がらせ、トリビュナルを恐れさせよう。ネレヴァリン・チョダラが彼らを倒し、大切な伝統を救うのだ。

偽神を下し、失われた伝統を復活させる時が来た。聖戦によってこの地を浄化する時が来たのだ!それを成し遂げれば、モロウウィンドは再び偉大になれるだろう。

ディヴァイス・ファーのメモDivayth Fyr’s Notes

私は新しい世界へ踏み入る時、最初の一歩が最も重要だと考えている。期待や不安、畏怖と驚きに満ちているからだ。私ほどの年月を重ねてもそれは変わらない。それゆえ、私の失望を想像してほしい。神のごとき天才の領域への前例なき旅路が、足元のゴミの山と共に始まった時のことを。見よ、神は拒絶されている!

傷ついた虚栄心のことはともかく、私はここにいる。この機会を最大限活用するつもりだ。


探検隊が誰もゴミの山から出てこないところを見ると、私はムンダスに開いた裂け目しか安定化させられなかったのではないかと疑っている。出てくるのはソーサ・シルの潰れて捨てられた作品だけだ。到着してから、私は攻撃的なファブリカントたちを数対破壊する羽目になった。これがあの常に見ている監視者の命令なのか、故障か、本能によるものなのかは判然としない。


部下たちがオブリビオンの最果てに落ちていないという可能性も少し残っている。この場所の機械オペレーターがブツブツ言っているのを聞いた限り、私以外の侵入者とも戦っているらしい。私としては気づかれないでいる間、手の届くところにある機構の研究を続けたい。

テル・ファー追加仕様Tel Fyr, Additional Specifications

精巧な設計の塔を実現したことは間違いないが、議会はテル・ファーにその名の期待を越えることを希望している。その点については、新たな主が自身の都合に合わせていくつか変更を規定している。この中には、土台に隣接する自然の洞窟中に、地下通路を拡大することも含まれる。広大な範囲のため数ヶ月の追加作業を要するが、我らが家の名誉のためこの作業を完了する義務が全員にある。これまで示してきた通りに作業を続行すれば、この家が生み出した最高の塔の建設に貢献できたことを自ら断言できよう。

テルヴァンニの日記Telvanni Journal

この洞窟は驚異的だ!日光がまったくないのに、あらゆる種類の植物で満ちている。ランド・コーラルの順調な成長さえ見られるというのに、我々はここに水が流れているいかなる徴候も発見できていない。おそらく帯水層が染みだしているのだろう。塔の工房の拡張を開始する前に気をつけておかないと、素晴らしい場所を水浸しにしてしまう危険がある。

正直に言って、こんな光景は今まで見たことがない… だが、これと似た感じを受けたことはある。ここにはエナジーがある。ぬくもりがある。アルマレクシアとヴィベクの部屋を訪問した時のことを思い起こさせる。彼らの神聖な輝きは体で感じられる。この繁殖する洞窟は彼らの作品なのだろうか?もしそうなら、生き神の領域を侵害しているのでなければいいが。

マスター・ファーは自分の塔のためにここを選んだとき、この洞窟のことを知っていたのだろうか?おそらく調査を終えた後で、彼の考えを聞かせてもらえるだろう。いずれにせよここにいる間に、できる限り調べるつもりだ。

ドゥエマーの巨大構造物案内A Guide to Dwemer Mega-Structures

ドゥエマー学者、ヴォリナラ・クリーブ 著

ドゥエマーのアニムンクリの様々な様式については広く知られているが、大型のドゥエマーの驚異の多くは謎のまま残っている。ドゥエマーの天球儀とファブリケーションの伝説は溢れている一方で、直接体験した一次証言は不足している。私は生涯をドゥエマーの巨大構造物の研究に費やしてきた。かなりの成功を収めてきたものの、どうしても見つけたい特別な機械がある。それがドゥエマーの音響共鳴装置だ。

最盛期、ドゥエマーは音の力をほぼ完全に掌握していた。数え切れない年月が過ぎた今も、この分野で彼らと肩を並べる者はいない。魔法ではなく、音が彼らの台頭を促進した。音の幅広い利用には常に驚かされている。ドゥエマーは音を採鉱、医薬、建築、心理学にまで応用した。心理学の利用には最も興味をそそられている。チャイマーの研究によれば、ドゥエマーは音を使って意志の弱い者を自在に操れたという。複雑な聴覚による催眠術の一形式である。幸いドワーフは我々の立派な先人に対して、戦場でこの技術を活用することはなかった。装置は規模が大きく複雑で、輸送はほぼ不可能だった。それでも彼らは音響共鳴装置と呼ばれる巨大な装置を使い、限定的な規模で利用していた。

伝説が真実なら、この共鳴装置は驚くほど複雑な建築学の驚異だ。最も堂々たる巨人よりも高く聳え立ち、洞穴状の部屋をパイプとダイヤルとピストンで埋め尽くしている。起動すると共鳴装置は力強い音を放ち、弱いエルフや人間の脳波を変え、深く落ち着かせて心からの喜びを感じさせるか、過度の不安や恐怖を誘引できた。そうした装置の活用法は事実上無限だ。ああ、この目で一度も見られないなんてたまらない。もしそうした力を複製し完成させられたら、トリビュナルの子供たちはタムリエルもその向こうの大陸も、最高の状態で支配するだろう。

ドーレス家の概要Understanding House Dres

名家の大歴史家、ソラマー・ドーレス 著
黄金の平和八十四周年記念

ダンマーの名家の一つであるドーレス家は、農業を他の何にもまして尊んだ。ドーレス家はサルトリス農場と奴隷労働によって財を築きつつ、デイドラ信仰と先人崇拝の堅固な伝統を維持してきた。ドーレス家はモロウウィンド南東の地域を支配し、その影響をモロウウィンド中央の一部にまで拡大した。ドーレス家は大師範サルシルが奴隷襲撃を成功させ、他の名家たちへの主要な奴隷供給源としての役割を確保したことで、正式に名家としての地位を確立した。

ドーレス家はダンマー社会をタムリエルの他の部分と結びつける努力に対して、常に抵抗してきた。孤立主義者であることを誇りとする我々だが、名家の統一は信じた。我々の農業はモロウウィンドを養い、ダンマー社会の存続に必要な食料品の大部分を供給することも可能なほどだった。そのため、我々の富と影響力の大半はモロウウィンドへの食料供給から発しており、奴隷貿易の支配がそれをうまく補完している。

ドーレス家の孤立主義的立場は、初めから名家の慣習と世界観に埋め込まれていた。我々は他の文化と種族をダンマーに劣るものと考えるだけでなく、我々の完全な思い通りにならない他種族との長期間の接触は、ダンマー社会に危険を呈するものと見なす。思想は疫病のように警告もなく広がり、押し留めることが不可能になる。それよりも我々は名家内部の関係に集中し、ダンマーの地位を改善することで我々の社会を強化し、永遠のものとするべきであると考える。

ドラノス・フレランのバラッドBallad of Dranoth Hleran

恐るべき爪で、スカーは襲いかかった
石のように固い甲殻に守られ
誰も傷を、ヒビを入れられなかった
その獣の力に、我らの軍は倒れ

だが恐れぬ勇者が一人いた
勇敢な戦士、ドラノス・フレラン
強力な槍、カルデラスを手にした
ただ一度、轟く声で唸らん

彼は獣に向け槍を構え
走って、すべてをかわした
決心も固く、彼は速度を増し
強大な敵へ突進した

最後の突き、最後の衝突
強大なるスカーは仕留められる
彼の家へと贈られた名誉
フレランの栄光は永久に語り継がれる

ドルヴァラ評議員への手紙Letter to Councilor Dolvara

ドルヴァラ評議員へ

ウルラン・レレスの降格、後の追放を巡る不運な出来事に、上級評議会は非常に落胆している。この結果は、古く尊敬される家の有望な息子に期待した結果ではない。ウルランの裁判を詳述する報告書は有益な情報をもたらした一方で、我々の心配が和らぐことはなかった。上級評議会は、事態を考慮し、あなたに要請を行う。

まず、あなたはバルモラ地域で頻繁に事業を行っている。エリス評議員の行動を適切な期間、監視してもらいたい。エリス評議員には全幅の信頼を寄せているが、ウルランが息子であることに変わりはない。娘とモラグ・トングのことで、気掛かりな知らせがあったことを加味すれば、我々が憂慮する理由は分かるだろう。

次に、ブリバン・マルロムを隊長の位に昇進させ、レドランの西方軍指揮官にしてから、厄介な報告が来ている。認可していない傭兵団、とりわけフェーハラ・ウォークローの使役が増加している。契約した兵士は名家の全法規を遵守するよう求められるが、フェーハラの傭兵達はしばしば慣例から外れる。特に、アッシュランダーの処遇に関する過剰な暴力の報告は耳にしたくない。知ってのとおり、過酷な扱いは常に許可が求められる。

レレス家との交流や個人的関係を利用し、エリス評議員が身辺整理をするように促してほしい。来る評議会の前に、バルモラでの懸念が静まればありがたい。

メリアス上級評議員

ドロヴォスに宛てたリデナの手紙Ridena’s Letter to Drovos

ドロヴォス

これが最後の警告よ。研究メモの調査を断られただけじゃなく、あなたとの面会さえ完全に禁じられている!私のことを貶め、ケンカをしている学校の子供のように手紙をやりとりさせるのなら、私は喜んであなたのちっぽけな活動を密告するわ。何の後ろめたさもなくね。野生のクワマーの群れにもたらしている脅威と、どうしても説得を受けないあなたについて、フラール家はきっと知りたがるでしょうね。

尊敬するあなたに、最後の選択肢を与えるわ。この愚行を即座に止めなさい。さもないと、動かざるを得なくなる。

直接、すぐに返事をして。

R

ドロヴォスの研究メモ1Drovos Research Notes 1

職務経歴に大きな傷がついた後で、就くべき天職を見つけたようだ。よりによって、クワマーの品種改良家だが。それでも、この未開の分野には可能性が溢れている。この分野の科学的研究は貧弱であり、良く言って遅れている。悪く言えば役立たずだ。私のクワマー品種はより強く、健康で、長寿でなければならない。この知性を用いて、事実上まったく新しい種を生みだせるよう努力する。ヴァーデンフェルがこれまでに見たことのない種であり、クワマーの上位種となるものを。

ケチなフラール家が所有するマタス・エイキン卵鉱山で研究を開始した。彼らは収入を保証する提案なら何でも受け入れる。私は富にほとんど興味がない。金は簡単に手に入るが、私が築きたいのは後世に残るものだ。研究が完了すれば、あらゆる者が私の名を憶え、崇めるだろう。

ドロヴォスの研究メモ2Drovos Research Notes 2

今の雇い主は、私の首に鎖をつないでおくべきだと考えている。リデナ・デヴァニという鎖を。いわゆる「タムリエルの自然学者」は、こちらが刷新と思うところを危険としか見ていない。母親のスカートの裏に隠れている子供のように、彼女は道徳と倫理の裏で縮こまっている。すでに研究の進展を妨害し始めている。自分の研究と、進化中の被検体を守る方策を考えなければ。

私の被検体。素晴らしい発達を遂げている!ありふれた繁殖方法と、私の優れた錬金術の創作のおかげで、他のどのクワマーよりも頑丈で意志が固くなった。不幸な副作用により攻撃性が高まったが、完璧なものなどない。クワマーの気を静めておく目的で、私と作業員用の香料を作った。それでもデヴァニはクワマーが狂暴になりすぎたと心配している。口うるさく言われない方法をすぐにも見つけなければならない。

ドロヴォスの研究メモ3Drovos Research Notes 3

私の被検体はこの上なく強力になったが、まだ完成までの余地はある。あらゆる病気に免疫を持ち、寿命は下位種の二倍になるだろう。そして最大の功績であるクィーンだ。私の育てたクィーンは巣の活力をことごとく証明し、同種の二倍の卵を産むだろう。いや、このクィーンに同種は存在しない!この品種に並ぶものは、ヴァーデンフェル中にもタムリエル全土にもいない!

私の雇った傭兵たちは、楽しい仲間とはならない。だが、研究の存続を保証するために必要な安全をもたらしてくれる。デヴァニを鉱山から追い出し、厄介払いは終わった。彼女は手紙を書くようになり、私の兵士を伝令に変えている。彼女の頼みを聞き入れて、最後に話をしよう。

ナルシス・ドレンと呪われた棺Narsis Dren and the Cursed Coffin

トレジャーハンターのナルシス・ドレン 著

おお、熱心な読者よ!素晴らしきナルシス・ドレンの新たな物語を読もうと言うのか?もちろんそうだろうとも。それ以外に、この見事に紡がれた物語を手にしている理由はないだろう?では、始めよう!

私が古代ノルドの墓地を調査して、未熟者グウェニルドのキラキラ光るガーター(大体そんな感じの名前だった)を探していた時、不吉なレバーを見つけて、隠し扉を開いてしまった。レバーを引っ張ったら何が起きるのか、はっきりと分かっていた訳ではないが、私のモットーは知っているだろう。レバーを残せば、王を失う、という奴だ(信じてほしい。元のアイレイド語ではもっと意味が通じる表現だ)。レバーを起動すると隠し扉が開き、最も意志の強い墓荒らしでさえこれまで見つけられなかった、秘密の部屋を明らかにした(ところで墓荒らしという連中は、不吉なレバーを引くことを嫌がる傾向がある。だからこそナルシス・ドレンは奴らよりも優れている。要するに勇気の問題だ)

秘密の部屋は広々としていて、忘れられた時代の副葬品や遺物がそこら中にあった。特に目を惹くアイテムはノルドのルーンで覆われた、純鉄製の指輪だった。おそらくノルドの太い指には小さいのだろうが、エルフの私には腕にはめられそうなくらい大きく見えた。私は指輪をバックパックに滑り込ませ、部屋の残りの部分を調べるため向き直った。部屋の中央で、巧妙に配置されている巨大な石棺にすぐ気づいた。棺は石を切り出して作られたもので、宝石がはめ込まれ、ノルドのルーンが刻まれていた。鉄の指輪の装飾と同じだ。明らかにこれは重要な首長か王、あるいはドラゴンプリーストの最後の休息地だったのだ。あの石棺に何が待ち受けているのか、可能性を考えると心が震えた。しかし経験から、私は考えなしにハチミツの壺へ手を伸ばしてはいけないことを学んでいる。注意深く石棺を調べ、罠の徴候を探った。視覚的な調査で変わった部分が見当たらないと分かると、私は慎重に、大きな石蓋と深い棺が接する部分を調べ始めた。便利なつるはしとロッドのコレクションを使い、蓋の縁全体を調べた。何もない

それで蓋を持ち上げて中を覗いたかって?そう焦ってはいけない、熱心な読者よ!魅力的な石棺を開ける前に、まだやるべき調査があった。蓋を覆っていた興味深いルーンを調べねばならなかった。あのルーンは少なくともノルド史上の新ハチミツ酒期か、あるいはさらに昔まで遡るかもしれないと考えていた。古いルーンを解読するコツは、認識できる部分を1つか2つ見つけ、そこから翻訳を開始することだ。この場合、私は現在の象形文字で「汚らわしい」あるいは「臭い」を意味するものによく似たルーンを1つ見つけた。その隣には「呪文」か「魔法」を意味することがほぼ確実なシンボルがあった。だから、この緻密なルーンの少なくとも一部分は「汚らわしい呪文」あるいは「臭い魔法」といったようなことを言っているはずだった。ルーンの残りの部分は、読む必要さえなく解読できた。あの石棺は臭いのきつい古代ノルドの呪いによって守られていると言っていたのだ

しかし、呪いが偉大なるナルシス・ドレンを妨げたことはない!私はこれまで、墓のガーディアンたちの詰め合わせや陰険な罠、敵意に満ちた競争者を打ち破ってきた。この私ほど有能な者にとって、古代ノルドの呪いごときが何だろう?心配するほどのことはない!私は呪いによって恐怖もしなかったし、いつものやり方を思い留まるようなこともなかった。私は両手を石棺の蓋に置き、この重い石を横にずらす準備をした。その時奇妙な、まんざら不愉快でもないちくちくする感じが腕に走り、明るく白い光が両目を満たした。光が消えると、私は狭く冷たい、乾いた石とまったくの暗闇に囲まれた場所にいた。どういうわけか、まだ閉じられたままの石棺の中に入ってしまったのだ!呪いの脅威を少しばかり甘く見ていたらしい

「おーい」と私は希望を込めて言ってみた。「そこに誰かいるか?」いないのはわかっていた。情熱に欠ける助手は外にいて、キャンプファイアの周りに座って、一番高価なフリンを痛飲しているに違いなかった。少なくとも、石棺の中に死体が一緒にはいなかった。いたらさぞ居心地が悪かっただろう。全力で押してみたが、蓋はびくともしなかった。さて、下等な者であればここで心が折れてしまうものだが、ナルシス・ドレンは下等な者じゃない。むしろ正反対だ。彼は下等な者よりも優れている!私はこのような状況になると、いつも自らに問いかける。「自分よ、ナルシス・ドレンならどうする?」そして閃いた。鉄の指輪だ!あのルーンは石棺のルーンと合致していた。何かつながりがあるはずだ。私はバックパックへ必死に手を伸ばし、鉄の指輪が見つかるまで引っかき回した

指輪を引っ張り出し、決意と演出上の意図をもってきつく握りしめた。指輪を石の蓋に触れさせた。何も起きなかった。認めるが、これには少し失望した。ため息をついて、大きな指輪を左手の2本目と3本目の指に滑り込ませた。私は大声で「開け」と言った。知っているあらゆる言語でくっきりと発音した。やはり、何も起きない。ここでくじけそうになってきた。拳を作って指輪と共に蓋に触れ、同時に額を素早く、冷たい石に3回連続で軽くぶつけてみた。なぜかって?まあ、ナルシス・ドレンの本能ということにしておこう。再び白い光が私の視界を眩ませた。視界が晴れると、私は秘密の間に戻っており、石棺の外に立っていた

この話の教訓?何があっても魅惑的な石棺は避けることだ。大抵の場合、苦労に見合わない

ニコティック教団The Nycotic Cult

ハイオーディネーター

我らが祝福を受けた民が信仰を捨て、異端の神々に興味を持つのは一体何がきっかけとなるのだろうか。おそらく強欲、怒り、嫉妬、何か良いと思われるものへの探究心などが考えられるだろう。仕方のないことだが、中には道を誤った真の信徒たちもわずかにいると思われる。だがほとんどは、目の前に積まれた何らかの約束に、目がくらんだ愚か者だと思われる。一例を挙げれば、最近ニコティック教団がバルモラ周辺で活発になってきている。奴らは本当に考えられないほどの愚か者だ!

奴らの中に、デイドラ文字を読んで理解できる者が1人もいないことは明白だ。創設メンバーの誰かが古代の巻物、もしくは禁書を発見し、デイドラの言葉をタムリエル語へと改悪したのだ。そうでないなら、他にどう説明できようか?奴らが何の意味もなさないデイドラ文字を使い、「ニコット」などと呼ばれているデイドラ公に忠誠を誓っているという状況を。確かにクラヴィカス・ヴァイルの名をデイドラ文字で表せば、最初の5文字は偶然にもタムリエル語の筆記体、N、Y、C、O、Tと似たような文字になる。だからと言ってそのような書き方や読み方はするべきではない。愚か者どもめ!

その上、自分たちが策略と取引のデイドラ公を崇拝していることすらわかっていないようだ。誰に忠誠を誓ったと思っているのか知らないが、奴らのせいでバルモラからビターコーストまで問題だらけだ。教団の指導者の中には、不可解な芸術に真の才能を発揮している者もいる。何とも言えないが、もしかしたらヴァイルが愚かな祈りを聞き届け、応えることにしたのかもしれない!とにかく、戦争の騎士団を動かしてくれ。奴らが隠れている洞窟と亀裂に進軍し、一掃しなければならない。残らずだ!

ヴィベクの名において、この仕事にそなたを推薦する。

教義と秩序の騎士団、オーディネーター・アルルア

ニックスハウンド:新たな飼い主への手引きNix-Hounds: A Manual for New Owners

おめでとう!あなたはヴァーデンフェルで最も良く見られる、忠実なペットの誇らしき飼い主になった!初めてニックスを飼うなら少し時間をとって、ニックスハウンドの飼育において何をするべきかを確認してほしい。実証済みの正しいやり方に従えば、この先何年も幸せで健康な仲間を持てるだろう!

餌やり:
ニックスハウンドは大食いだ。繭から生まれた赤ちゃんニックスは、少なくとも自分と同じくらいの生物を4体吸える!新鮮な液体の匂いは野生のニックスを引き寄せることがあるので、食事後は毎回ペットの鼻を綺麗にすること。

赤ちゃんグアル、山羊、クワマーのさなぎ、アッシュホッパーはすべて、優れた栄養源だ。倒した時には、厄介なミートハスクを忘れずに取り除くこと。すすられた動物は野生のアリットにとってこれ以上ないごちそうであり、強情な歯だらけの丸っこい生物に、庭を歩き回られることは誰も望んでいない!

成長期の大切な段階における、最後の注意点を伝えよう。小さな子供と他のペットを新しい仲間から遠ざけておくことは、非常に大切である。赤ちゃんニックスはとても好奇心が強く、食べ物を求めて自分よりも小さな生物を刺すことをためらわない。誤った獲物を狙って、不幸にも悲劇を生み出すこともある。幼い者から目を離さないように!

手入れ:
ニックスハウンドはとてもきれい好きである(大半のペットオーナーにとっては嬉しい知らせだ!)。平均的なニックスは、何時間も費やして身体を綺麗にする。素早い触肢を使って顔のキチンと触角をこすり、磨くのだ。残念ながら、鼻の長さと太い首のせいで、残りの腹部と胸部には届きづらくなっている。そこであなたの登場だ!2週間ごとに油を塗ったぼろ切れで、新しい友達をしっかり磨くこと。ニックスの知覚刺毛と腹部の睾丸は避けるように気を付けるように。ニックスは誤った場所を触られると、激しく怒り出すことが知られている。だが、心配するな!数日が過ぎ、1ダース程度肉汁のバケツを与えれば、ペットは可愛らしい気質を取り戻すだろう。

胸部の結合部と呼吸孔で、アッシュマイトを探すことを忘れないように。この小さな害虫は、非常に愛想の良いニックスでさえも狂暴なニックスに変える!

運動:
ニックスハウンドはたくさんの刺激や運動を必要とする。働きもののいとこであるクワマーと同じように、ニクシーは労働と生産性に夢中だ。なので一緒に遊べ!「ウンチ隠し」や「脾臓当て」などのゲームをやれば、数時間、ニックスを夢中にさせ、満足させておける!

扱い:
ニックスハウンドは、優しく、思いやりのあるペットだが、彼らを大人しく、落ち着かせておくための助言を、他にもいくつか書いておく。

ニックスの餌やりをしている時には、常にニックスに向き合うこと。

ニックスが用を足している時には、視線を合わせないようにすること。

あなたの友人や隣人に、ニックスの側でペットや子供を一人にさせないこと。

ニックスを怒鳴らないこと。

ニックスにささやかないこと。

別のニックスに過剰な配慮や愛情を見せないこと。

ニックスの唾は腐食性であり、皮膚と永遠にくっつく恐れがあるので、触れないこと。

ニックスの周りで身体が虚弱である点を見せないこと。

結論:
この短い案内が有益であったことを祈る。ニックスハウンドを飼うことは本当の楽しみであり、すぐには忘れない経験だ!あなたはこの美しい生物との時間をきっと楽しめるだろう。私達が保証する!

バール・ダウに関する証言Testimonials on Baar Dau

見習い記録者ミネルヴァ・カロ 著

バール・ダウはヴィベク・シティの上に不気味に覆いかぶさっている。文字通り、そして比喩的にもだ。公式な説明は著しく曖昧である。マッドプリンスのシェオゴラスがニルンに向けて巨大な岩を投げつけたという。その理由も方法も誰一人として知らないようだ。ダークエルフの基準で考えても興味深い話だ。一般庶民はバール・ダウについてどう思っているのか聞いてみた。これが彼らの話である。話し手を聖堂による報復から守るため、名前は変えてある。

悩みを抱えたダークエルフの商人、トルヴァサと話すところから始めた。クワマーの卵の仕分け作業を止めて、次のような話をしてくれた。

「子供の頃、寝る時間になると、母はいつもバール・ダウにまつわるいろんな話をしてくれた。どれも本当じゃないと思う。お気に入りは”孤独なマグナ・ゲの話”だった。”始まり”で始まる話さ。その話の中で、ウナという名の星の孤児が兄弟や姉妹と一緒に空へ逃げたんだけど、暗闇で迷子になってしまった。助けを求めて泣き叫んだけど、彼女より強くて足の速い子たちは、一人ずつエセリウスへと逃げ込んでいった。そのうち、彼女たちの歌は聞こえなくなり、ウナはひとりぼっちで空間を漂っていた。彼女がすっかり望みを失ったちょうどその時、誰かが泣きじゃくる声がかすかに聞こえた。ひとりぼっちのニルンが、暗闇の中をよろついて、赤ん坊のようにしくしくと泣きながら眠りにつこうとしていたのだ。似た者同士を見つけたウナは、その孤独な惑星を慰めるためムンダスに戻った。そして自身をバール・ダウと名付け、ここヴァーデンフェルの上に寄り添った。今ではその星の孤児とニルンは互いがいるので、決して孤独ではない。いい話でしょう?」

ノルドの鉱山労働者ホッドスタグは、もっと実利的な考え方をしていた。

「金山に違いないんだ!あそこには絶対に何らかの希少な金属がある。地質学者のダチがいて、ゴールドコーストの採掘作業に関わる仕事をしてるんだ。奴は豊かな鉱床が見つかる兆しがあると言ってる。占い棒を持ってるからな。ドワーフのからくりだと思う。このことは話さないことになってるんだ。とにかく、奴がそれをバール・ダウに向けたら、そいつが春の雪ミソサザイみたいな音を立てたんだ!あとはつるはしを持ってあそこへ行って、サンプルを取ってくるだけだ。あそこへ飛ばしてくれる奴を探してるんだが、見つかってない。なあ、お前は人間を飛ばす方法を知らないか?」

もちろん、バール・ダウについて誰もが進んで話したがったわけではない。ドノヴェンという白髪交じりの港湾労働者は次のように話した。

「岩だ。どうやってあそこに飛んだのか分からない。魔法かな?さあ、仕事があるからもういいだろう?あっちへ行け」

ほとんどの話はかなり退屈だった。ある程度の時間と露出があった後では、異様なことでさえつまらなくなるのだ。もちろん、本当に驚くべき話もいくつかあった。ダークエルフの学者で興奮しやすいティラムの話もそうだ。

「あれは、見てのとおり卵だ。道楽者や田舎者があれをよく”岩”と読んでるのを耳にする。ふんっ。無知のたわ言だ。あれほど壮大な天体を見て”岩”と呼ぶなんて、よっぽどの愚か者だろう。バール・ダウはさなぎで、あそこからヴィベクとモラグ・バルの不幸な結合による最後の子供が出てくるのだ。その日が来たら、輝かしいベク卿が聖堂から飛び出て、その悪夢の子と戦うことになる。そして47日にわたる激戦の後、ヴィベクは最後の一撃を与え、その獣の残骸を泡立つ海の中へと投げ捨て、そこで36個の断片となり、その後どれも見つかることはない。まったく壮観な光景だろうな。同時に恐ろしくもある」

おそらく最も面白い説明は、ナルクホズグという酔っ払ったオークによるものだった。

「え、あのでかい岩?ああ、あれは巨大なクソの塊だ。本当だって!聞いた話だと、ヴィベクとマラキャスが夜更けまで飲んだり神っぽい話をしたりしてたんだ。分かるだろう。あ、分からないか。とにかく、ヴィベクがオーガについて、モーロッチの気に触るようなことを言ったもんだから、奴は街の上でしゃがみ込んで、臭いのをヴィベクの頭の上に落としたんだ!汚いだろ?ふふん。それがマラキャスだ。でも考えさせられるな、どうしてマラキャスの話にはいつもクソが関わってるんだ?」

教義審問官に公式な声明を求めたところ、次のような答えしか戻ってこなかった。

「そのような事柄はトリビュナルに任せておくのが賢明であろう。バール・ダウの詳細は謎である。あれに滅ぼされないでいるのはヴィベクの神聖なる慈悲によるもので、それだけを知っておけばよい」

聖堂の努力もむなしく、月のバール・ダウは、その到来から何世紀も経った今も尚、活発な議論の対象であり続けている。意見の多様さは注目に値する。宗教の信者によって徹底的に取り締まられている街であることを考慮すればなおさらだ。このように制限された社会においてさえ、表面下では民話や野心的な説があふれているというのは、とても興味深い。

バール・ダウの物語A Tale of Baar Dau

衒学者、アミリ・ドラルス 著

若き者よ、耳を傾けよ。物語を語ろう!昔々、シェオゴラスは退屈していた。狂乱のデイドラ公が退屈すると、とても危険だ。災厄の神々に共通しているが、彼の心には愛がないので非常に残酷なことをする。彼は我々を取り囲む虚無から強力な石を取り出し、ニルンへ向けて遠くに放り投げた。さてシェオゴラスは、この大きな石がどこに飛び何に当たったかとか、どんな騒乱を引き起こすかには関心がなかった。どうなるか見たかっただけだった。

この悪い計画を止めたのは誰だったろうか。善と知恵に満ちた神々?いいや、彼らには偽りの希望と虚しい信仰を提供する以上のことはできないからね。それではきっと力と魔法があるデイドラ公かな?いや、エルフも人間も、哀れなデイドラ公に大変な挑戦へと直面してほしいとは申し出られなかった。そして石は飛んで飛んで飛んで、まっすぐにニルン全土で最も美しい島にやってきた。ヴァーデンフェルに向かって落ちてきたんだ。

近づいてくると多くが啜り泣き、泣きわめいた。アッシュランダーはアズラに祈ったが、何もしてくれなかった。人間とエルフは神々に祈ったが何もしてくれなかった。しかしダークエルフは三大神に祈った。私たちの常に輝く生き神さまに。そしてヴィベクが祈りを聞いた。

彼は手を挙げた。穏やかで静かに聖なる光に包まれて。そして天空の石の落下は遅くなり、遅くなり、まだ遅くなった。啜り泣きや泣きわめいていた者は泣き止んだ。バール・ダウがついに安息の地を得たのだ。石は安全に空中へと留まっていた。いつの日かヴィベク・シティが建設される、その土地の頭上に。

さて、この話にはどんな知恵があったか考えてみよう。なぜ偉大なヴィベクは単純にこの天の石をニルンの緑豊かな大地にそっと落とさなかったのか?しかし聞きなさい、そこには理由がある。三大神のなさることすべてに理由があるように。毎日、私たちの信仰はバール・ダウに試されている。そして毎日、私たちは石を空中に浮かべ続けることで、ヴィベクとトリビュナルへの愛を示している。なぜなら、私たちのトリビュナルへの愛、献身、信仰が、石を空中に留めているからだ。ヴィベクの力だけでなく、彼の信奉者の愛も示す。

だから、石は永遠に浮かび続ける。皆が忘れないように。さあ一緒に唱和しよう。ヴィベク万歳!三大神万歳!

パクトのパンフレット:おめでとうございます!Pact Pamphlet: Congratulations!

もはや奴隷ではないあなたへ…

エボンハート・パクトと呼ばれる同盟の命令、並びにスカイリム、モロウウィンド、ブラック・マーシュの統治組織の合意により、奴隷制度はパクトの全域で、完全に撤廃されたことをお知らせします。

おめでとうございます!あなたはもう奴隷ではないのです!

人間であろうとエルフであろうと、アルゴニアンであろうとオークであろうと、あるいはカジートであろうと、あなたの足枷は壊されました。あなたは「自由」で「独立」した存在であり、権利と責任を持ち合わせた名誉あるパクトの市民となったのです。

ではこれからどうすればいいのか、そうお思いでしょうか。奴隷として生まれてきた人が突然自由を与えられても、どうすればいいか分からないかもしれません。答えはもちろん、「やりたいことをやってください!」です。それが自由と独立の素晴らしいところです!

相談役とカウンセラーが、エボンハート・パクトによる統治を受け入れる準備のできていない一部の地域*を除くモロウウィンド全土を旅して助言と支援を行い、奴隷から解放される過程を、簡素で痛みの伴わないものにする手助けをします。

パクトへようこそ!あなたが自由になり、私たちも嬉しく思っています!

(*以下のダークエルフの名家はこの規定に合意し、履行することになっています: インドリル、フラール、レドラン。その他のダークエルフの領土において、市民権と自由は保証されていません)

バリルザーの助手Barilzar’s Hirelings

レオナ・ブラジオ:インペリアル。教養に優れる。やや高慢だが、ドゥエマーの遺跡については非常に詳しい!

スノーフィン:図体のでかい頑固なノルドで、希少で奇妙なアイテムの数々を見つける驚くべき才能を持つ。見た目で判断してはいけない!

ヴォルリナ・クアッラ:インペリアル。フリーの密偵になる以前、ナルシス・ドレンや私と共に学んでいた。今、彼女は兄弟と共に働いている。いつか私の卓越した知性に匹敵するようになるかもしれないが、まだそこまでには達していない。

ドゥエマーの部品:音調反転装置を組み立てるためには、以下のドワーフの部品が必要だ。

音波発信機:ドワーフ式に設計された、音を生成するエンジン。

逆流導管:エナジーの流れを入れ換える、負の力を宿したプレート。

クロックワーク作動軸:歯車を回し、ピストンを動かすための複雑なドワーフ式のクランク。

ハリンジルのメモHalinjirr’s Notes

〈落書き、図、シミがページを埋め尽くしている〉

蒔種の月15日
ハリンジルは肥沃な土地を見つけた!偶然だった。この者には疲れた踵を休め甘いものを食べる場所が欲しかっただけだが、到着してみると新鮮でローム質の匂いがした。土だ!本物の土だ。他のどこにでもある、鼻をつくカビくさい岩ではない。ハリンジルは完全に調査しよう。ここが目的の場所かもしれない!

蒔種の月17日
月を称えよ!ザインシピルーは完璧だ!まあ「完璧」ではない。ハリンジルの腹を尖った鼻で突こうとする巨大な虫がたくさんいる。でも、これは母がいつも言ってたことのようなものだ。「困難なくして砂糖なし」。ハリンジルはセイダ・ニーンに旅する予定だ。きっと手伝ってくれる人が見つかる。

蒔種の月20日
またもやハリンジルに幸運が舞い込んだ!街でニックスハウンドの問題を手伝ってくれるダークエルフに会った。不愛想で農業の経験もないが、この者にはいい感触がある。

恵雨の月2日
ニックスを手なずけ作物を植えた。あとは待つだけだ。この者は待つのが嫌いだ。かわいいこの子が、早く育つよう願っている。ハリンジルの砂糖の袋は日ごとに軽くなっている。でもすべてが計画通りにいけば、この者の砂糖の袋は弾けんばかりに溢れる!

バルバスの悪しき真実The Vile Truth of Barbas

帝都の寄宿デイドラ学者、ペラギウス・ハバルのメモより

真のデイドラ学者なら誰にでもお気に入りのデイドラ公がいる。めったに認めはしないが、真実だ。どのデイドラ公も恐ろしい一方で、興味深くて時には滑稽な面がある。シェオゴラスの奇抜さはよく知られているが、よく考えてみると、デイドラ公は全員少し愚かなところがある。ハーシーンは不格好な有蹄類の頭をしている。サングインは慢性の酔っぱらいである。こうした奇抜なところこそ、私のようなデイドラ学者が限りなくデイドラ公に引きつけられる理由なのだ。堅苦しく超然としたエドラとは異なり、デイドラ公は人間やエルフと同じように、ノイローゼ、欠点、子供じみた執着に悩まされる。私たちが認める以上に、私たちと似ているのだ。私はどうだろう?数多くいるデイドラ公の中で、私のお気に入りはクラヴィカス・ヴァイルだ。そしてその理由は、彼の猟犬バルバスと大いに関係がある。

クラヴィカス・ヴァイルは、2人として存在する点が特徴的だと考えるようになった。これはもちろん、デイドラ学者の間においても激しい議論の的である。私の同僚たちは、バルバスが単に上級のデイドラの召使にすぎず、ヴァイルとのつながりは馬と乗り手の関係と変わらないと論じている。しかし証拠をしっかり見てもらいたい。彼らが同じ本質であることを示す、最初にして最も分かりやすい証拠は、芸術品に見てとれる。神話紀初期の大まかに手彫りされた像は、仮面姿のクラヴィカス・ヴァイルが大型の猟犬の横に立っている様子を表現している。古代の洞窟の壁画でも変わらない。私はタムリエルの至る所を風変わりなデイドラを求めて探索したが、その過程でヴァイルの横にバルバスの姿がない描写は見当たらなかった。さらに彼との遭遇をじかに詳しく語った話を数百と読んできた。それらの話では例外なく、バルバスが多かれ少なかれ登場するのだ。

クラヴィカス・ヴァイルとバルバスが(少なくともある意味で)同じ人物であるとの仮定を受け入れるとすれば、自然に出てくる疑問は「なぜ?」である。なぜ神のような力を持つ存在の者が、2つに分かれることになったのか?仮説はいくつかあるが、最も有力な説は単純だ。連れ合いである。デイドラ公の「人生」はほぼ完全に孤立している。一部のデイドラ公、例えばハルメアス・モラやノクターナルは、この孤独を大いに楽しんでいるようだ。しかし、クラヴィカス・ヴァイルについて分かっていることは全て、彼がとても社交的な性分であるということを示唆している。物々交換が好きなこと、関わりを持つ者の願いは快くかなえてやること、魅惑的な仮面。これら全てが、交流や会話、遊ぶことを楽しむ者であることを暗示しているのだ。そのような傾向がある者なら、話し掛け、言い争い、愚痴をこぼす相手がいなくては頭がどうかしてしまうだろう。ある種の結婚と捉えることさえできるが、あべこべではある。マーラの誓約のように二人が一つになる代わりに、一人が二つになったわけだ。エドラの儀式の逆である。

「しかしなぜ犬に?」と疑問に思うかもしれない。私もこの点で何年も頭を悩ませた。ここでも、言えるのは仮説程度のことである。最も説得力がある私の推測は、力関係である。もしクラヴィカス・ヴァイルがもっと大きな力を削って同等の者を作り上げていたら、両者は常時互いに対して陰謀を企てていただろう。しかし犬の相手を作ることで、ヴァイルは自分の主人としての地位を確保しているのだ。犬は古代から忠誠と服従の象徴である。犬は常に召使であって主人にはならない。バルバスも同じだ。

もちろん、バルバスはいつも犬であるわけではない。他のデイドラ公と同様、バルバスも他の様々な姿に変わることができる。人間、エルフ、動物、下級デイドラ、さらには命のない物体として現れたこともある!このように姿を変えつつ、根本的な力を維持する能力は、記録に残っている他のデイドラが真似できない力であり、例外はデイドラ公だけである。偶然だろうか?そうは思えない。

我々はバルバスの位置付けについて確証を持つことはないだろうが、証拠が示唆する結論はただ一つだ。バルバスとクラヴィカス・ヴァイルは二つの姿をした一人の者である。主人が同時に召使でもある。飼い主が同時に猟犬でもある。それは大変珍しく、興味をそそる矛盾であり、デイドラ学を研究する価値があると思わせてくれる類いの謎だ!

フィルスの推薦状Firuth’s Writ of Endorsement

名誉ある評議員達へ

ハヌドとその先にある土地の領主、私マスター・フィルスは、この推薦状をもって、影の中の太陽が名家テルヴァンニの家臣に昇進することを支持し、承認します。

このアルゴニアンは、我々の楽しい競争のことをよく理解しています。これまで私自身、彼女の種族には不可能だと思っていた深い洞察力の持ち主であることを証明しています。これだけでも、彼女には認められ尊敬される価値があります。彼女は新たな家臣としてテルヴァンニ家に利益をもたらすでしょう。

名誉と敬意を込めて
フィルス
テルヴァンニ家のマスター
ハヌドの領主

フェーハラ・ウォークローFerhara’s Warclaws

メリアス上級評議員殿

フェーハラ・ウォークローと呼ばれる傭兵団の状況と性質について、もう一度あなたとレドラン評議会にお伝えするため連絡させていただきました。早急に資金が必要です。そしてバルモラ周辺の軍隊を恒久的に強化するため、この熟練の兵士たちを雇用する権限を私にお与えください。あなたとエリス評議員は、レドランの兵士であればレドラン家を守れると信じています、私も同意見です。ただし、エボンハート・パクトでは常に兵が不足しています。レドランの繁栄の妨げになりうる、デイドラを信じるアッシュランダーのような存在と戦うには、人員があまりも少なすぎるのです。

フェーハラとその素晴らしい能力についてもう一度説明させてください。

カジートの戦士であるフェーハラは、ドミニオンの戦略家として三旗戦役に従事し、名声と信望を獲得しました。彼女は忠誠を果たして兵役を2回果たした後、信頼する戦友を集め、一番高い金を払う者に自分の能力を売るようになりました。彼女の傭兵団は、エルスウェアからモロウウィンドにおける地域で商人王や貴族のために働くうちに、次第に力をつけて名声を得るようになりました。そもそも彼らがヴァーデンフェルにやって来たのはフラール家の指示でしたが、我々の交渉によりレドラン家が雇用することに成功したのです。

今、フェーハラと雇い主に忠誠を誓うカジートの戦士団、フェーハラ・ウォークローは、レドランの利益のために私のもとで働いています。その一例として、彼らがアッシュランダーに対して行った仕事は、彼らの忠誠を我々が保持する重要性を示したものと考えられます。ご賛同いただけることを信じています。新たに包括的な契約を結ぶため、次の評議会で詳細について話し合えることを楽しみにしています。

ブリバン隊長

フェッチャーフライの炎The Flames of the Fetcherfly

ザビアーコ 著

私ザビアーコは、魔術師ギルドの愚か者のために獣の研究をしている。信じられようか?ヴィベク・シティ行きの船に乗った出稼ぎ労働者たちに、腐りかけの砂糖漬けニクサドを売って儲けていたこの者が、獣の研究をするとは。フン!とにかくあの愚か者どもが金を払って物語を書くよう頼んできた。この者は受け取って、それ以上は何も聞かなかった。

ザブザグの腹を新鮮な葉で満たし、バルモラの宿屋〈ランディネッチ〉で一晩過ごした後、この者はヴァーデンフェルの湿地帯を探索するために荷造りをした。二晩の間、出会ったものと言えばただの這い回る害虫だけだった。なんという災難だろう!他の物語なら、窮地に陥れば必ず発見があったというのに。誰がわざわざ害虫に出会いたいのか?私ザビアーコがギルドから金を受け取ったのは間違いだったのかもしれない。

災難にもがいていると、ある臭いがこの者の注意を引いた。大きな光る羽を持った巨大なハエが、この者の頭の横で羽音を立てていたのだ。ダークエルフが「フェッチャーフライ」と呼んでいるハエだ。ただの害虫に見えるが、騙されてはいけない!そのハエが腕に止まった時、煙が上がった。毛皮が焦げていたのだ。

他に選択肢はなかった。獣を追いかけて物語を書き上げ、金を手に入れないといけない。その獣の後を追って巣までたどり着くと、オーク2匹分(オークに聞けば1匹だと言うかもしれない)はあろうかという、巨大な岩があった。数千匹の燃えるハエが周りを飛んでいる岩は熱を帯びて発光し、そこに開いたいくつもの小さな穴は煙と生命を放出していた。突然、巣全体が動いた。その巣が立ち上がった時、自分がどれほど間違っていたか思い知った。それは少なくとも、オーク3匹分の大きさがあったのだ。

その岩の獣とハエがゆっくりとこちらに近づいてきたので、私は汚い泥の中にまっすぐ飛び込んだ。この者は猛獣殺しではないのだ!どうして私をいじめるのか?煙を上げる虫の群れが飛び回り、羽音を立てながら濡れた毛皮にとまった。哀れなザブザグは悲鳴を上げて逃げ去った。ザビアーコは泥に顔をつけたまま最期を迎えると覚悟した。

だがもちろん、そうではなかった。そのハイブゴーレムは、この者がもはや脅威ではないと判断したのだろう。雪のトリュフで満腹になったエチャテレのように、ゆっくりと立ち去った。この者は手土産をたくさん持って宿屋へと戻った。語るべき物語、焦げ穴だらけの服、泥まみれになった毛皮を携えて。

もしヴァーデンフェルの荒野に行くことがあれば、あなたもこの者と同じように疑問を抱くだろう。フェッチャーフライという名前はダークエルフが不快だと思ったからそう名付けたのか、あるいは逆にこの害虫から「フェッチャー」という単語が生まれたのだろうかと。

フラール家の概要Understanding House Hlaalu

名家の大歴史家、フラーンドゥ・フラール 著
黄金の平和百二十一周年記念

誇り高く立て、フラールよ!諸君は文明化されたダンマーの最初の名家の一つに属している。我らが影響力はナルシスの首都から、モロウウィンドの中央地域全体にまで及んでいる。我々のことを日和見主義者と、呪いのように言う者もいる。だが大師範ヘスレスが訴えたように「機会を無視するダンマーは、あらゆる失敗に見舞われても文句を言えない」のだ。

名家の最初期以来、フラールは交易とクラフトに力を注いできた。我々の格言は単純だ。それぞれ商業で成功し、有り余る利益を得ること。書物「富を掴む」は我々に教えてくれる。「あらゆる機会に利益を得ろ。だが名声にも価値があることを忘れるな」と。

強大な軍隊や広大な領地を持たない以上、外交と交渉の達人になることは我々の義務となった。言葉が我々の力となったのだ。おお、それから口説と交渉の添え物として、それほど愉快でない性質も身に着けた。我々は盗賊、隠密、脅迫者や暗殺者にもなった。それでも、我々は取引の価値をいつでも重視してきた。「富を掴む」が教える様に、「交渉への完璧なアプローチは、最高の取引に目を向けながら妥協をすること」なのである。

我々の影響力と富が常に卓越してきたのは、我々が隣人と平和に生活する意欲を持っているためだ。紛争や戦争には短期的な利益があるとはいえ、持続可能な成長は調和と公正な交易からのみ得られる。フラール家はダンマー文化を認めつつ、成功するために条件を変えて適応する。成功とは何か?言うまでもなく、満足のいく取引と有り余る利益だ!

とはいえ、我々の歴史には暗い汚点がある。我々の性質のせいで、他の者たちは我々に賄賂や便宜を図って影響を及ぼそうとしがちなのだ。フラールが誠実で公正な評議員を輩出することもあるが、おそらくその5倍ほどは不正を働き腐敗している。これは懸念すべき事態か?それほどでもない。歴史が教えるところでは、腐敗した者さえ全体の善に役立つことがあるからだ。少なくとも、得られた利益は善でも悪でもない。「富を掴む」にあるように、「友人とはいつまでも取引できるが、愚か者から盗めるのは1、2回だけであり、死人とは交渉もできない。だから常に、最も持続可能な利益を狙うべし」である。

フラール家の苦情Hlaalu Letter of Complaint

尊きレドラン家のサリヨン様

重大な問題についてご連絡を申し上げます。我が執務室が受け取る苦情が、最近増加を続けています。我が家の賓客の多くが、レドラン家の執行官と治安官によって手荒な扱いを受けています。ご存知の通り、フラール家にはこうした問題を賓客の皆様に代わって是正する義務がございます。

サリヨン様にはお分かりのことかと思います。私もダンマーの優越性に関するあなたのお考えには同意しますが、そうした意見は我々の内に留める必要がございます。フラール家は防衛に関して、レドラン家の意見に従っています。商業と外交に関しましては、レドラン家がフラール家の意見に従っていただけますと幸いです。

我々は経済的な問題を抱えています。パクトは確かに安定を与えてくれましたが、犠牲は大きなものでした。我々よりもレドラン家の皆様の方が良くお分かりだと思います。我々の交易担当者は、モロウウィンド外の資産を安定させるために大変な距離を移動しています。敵が領域外の資産を多数接収してはいますが、我々は引き続き帝国の取引所や海外事業に大きな資産を保持しています。こうした富を形成するのは簡単な仕事ではありません。時間と金と、何よりも人脈が必要なのです。パクト外の数少ない友人を粗略に扱う余裕はありません。

今朝も高名なブレトンの投資家、テオドリック・アシュクロフト様より苦情を受け取りました。建設候補の現場を視察中に、彼は治安官の二人組から明らかに手荒な扱いを受けたようです。宗教的なちょっとした揉め事か、フェンスを乗り越えて土地を良く見ようとしたか何かです。アシュクロフト様によれば、治安官は彼を地面に叩き付け、聖堂へと連行してオーディネーターに引き渡したとのことです。オーディネーターは3時間にわたって激しい尋問と再教育を行ったようです。言うまでもなく、彼は我々の都市に投資をしないでしょう。アシュクロフト様と彼の資産は、共に大陸へと去って行きました。

こうした人々は劣っているかもしれませんし、彼らの宗教が気に食わないことも、作法が耐え難いこともあるでしょう。しかし三大神への愛にかけて、誇りを飲み込み耐え忍んでください!無暗な信仰は食べ物を恵んでくれません。香炉と祈りでは、戦争を効率的に戦えないのです。あなたの希望がどうあれ、地域外との商取引は必要悪です。可能な限りの手段を用いて、よそ者の行動に制約を与えないようにしてください。この件についての苦情は、これが最後になるよう願っています。

敬意を込めて

フラール家通商担当副官、ティルヌル・ナリン

フラール家の手紙Hlaalu Letter

最愛なるドルヴァラへ

バルモラの利権に関して、フラール家の利益を全面的に配慮いただき感謝している。名家間は対等であることが最善であり、実現のために内部協力者同士の信頼と協力があれば、それに優るものはない。あなたが渡してくれた情報は非常に有用だった。感謝の気持ちとして、この美しい宝石のコレクションを受け取ってほしい。私が次に訪れる時まで、この宝石をお楽しみいただければ幸いだ。

訪問といえば、互いに知っているドーレス家の仲間が、ついにあなたと直接会うことに賛成した。私を虜にした魅力は、ドーレス家の密偵にも効果を発揮するはずだ。お互いのことをより詳しく知れば、奴隷貿易を100倍改善できるだろう。トリビュナルとちょっとしたパクトの法に、私達の大切な慣習と利益を妨害させることはない。

アヴェラ

フラール建設会社Hlaalu Construction Syndic

メリアス上級評議員殿

現在締結しているフラール建設会社との共同事業について詳細な監査が終了しました。フラールのおかげで切望していた労働者と資源が手に入りましたし、彼らの入札額が驚くほど(今考えると疑わしいほどに)低かったことから、収益の面からしても実に有利な契約であったことは間違いありません。ただし、この関係を継続することで、多くの問題が発生しかねないことが判明しました。

スランとバルモラの建設に関しては、契約でより威厳のあるレドランのデザインを取り込んだものが求められていたにも関わらず、フラールの建築術がふんだんに用いられたという点を除けば、彼らは納期も予算も厳守して仕事を完了させています。しかし、我々は軽率にも、彼らにセイダ・ニーン以外の土地への足がかりを与えてしまったのです。この結果、彼らはヴァーデンフェル全土で取引関係を築いて、あらゆる原料と食糧を手に入れられるようになり、この地域の事業をほぼ独占するようになってしまいました。レドラン家の大半は現在、この地域の商品を全てフラールの商人から購入しているのです!

さらに、フラール家は現在もこの二つの街に対して影響力を強めており、我々の地域評議員たちを立腹させています。彼らが戦略的に重要なこの地域に注目していることは明らかです、そして恐ろしいことに、彼らが事業を通して我々を支配する方法を心得ている一方で、我々は軍事的な動きにしか警戒をしていません。

結論を言いましょう。今さらこんなことを言っても仕方ありませんが、フラール家との取引に応じるべきではありませんでした。長期的に見れば、時間とお金を節約した結果、何としても必要としている地域を失うことになるかもしれません。

マナラン・レニム内務首席事務官、ヴァーデンフェル

フラレン筆頭治安官への手紙Letter to Marshal Hlaren

筆頭治安官

前回、私の畑にあなたが送り込んできた囚人の集団は期待ほどの能力がありませんでした。怠け者で動作が遅く、頭が鈍い者ばかり。でも、ブレトンやボズマーがよい奴隷になるという話は聞いたことがないものね。頑丈な荷馬車の値段で、1ダースの丈夫なアルゴニアンを買えた日々が懐かしいわ。

できるだけ早く、あなたがカレクに送った丈夫なノルドの一部をこちらに寄越してください。彼女も私もあなたの「報酬付労働」計画に同意したのだから、労働力は等分に受け取る権利があります。低品質の労働者で我慢するのは御免よ。最も丈夫で、最も賢い者だけを寄越して。

信頼できる筋から、近々ノルドの一団が商取引のためにスランを通過すると聞きました。何人か逮捕してくれたら、喜んであなたの手間を省きましょう。その時まで、秘密を分かち合える友のままでいます。

ミストレス・ドレン

ブリバン隊長からの報告Report From Captain Brivan

ドルヴァラ評議員殿

あなたの見事な推薦により、バルモラ地域の軍指揮権を授かり、隊長の位に昇進しました。次回、任務から1~2時間ほど離れられる時には、あなたに借りがあることを思い出させてください。

勝手ながら新体制でやり直す機会を与えるため、以前ウルランの指揮下にいた兵士の大多数を再配置しました。手つかずの部隊は、ヴァトラ・テレムの隊のみとなります。彼らは事件当日ウルランに同行していましたので、包括的な改革を行う前に、個人的に報告を聞きたいと考えています。その間暇にならぬよう、バルモラ西にある古い砦の斥候に派遣しました。

また、フェーハラと傭兵団に再び巡り会わせてくれたこと、感謝しています。過去に協力しましたが、紛争地域で存在感を高める任務に対し、非常に助かっています。

以下はその他の部隊の配置になります。興味があればお読みください

〈残りの手紙には、様々な兵士と部隊の配置リストが記載されている〉

ボイアント・アーミガー:ヴィベクの剣Buoyant Armigers: Swords of Vivec

ヴィベクのアークカノン、ターヴス 著

ボイアント・アーミガーほどヴィベク卿の冒険と探索の精神を誇らしげに体現しているものは少ない。トリビュナル聖堂のこの軍団は、献身と勇敢な熱意によってヴィベク卿に仕えている。モロウウィンドの主が持つ戦闘の技、騎士道の精神、巧妙な詩といった様々な技術を模倣すると誓った戦詩人たちは、聖堂の勇者であり、ヴィベクが個人的に指揮する遍歴の騎士である。彼らは特定の任務があればそれに当たり、必要とされない時には冒険を求めて放浪する。ボイアント・アーミガーはヴィベク卿の名の下に行動して、高貴な偉業を行なう。たとえそれが、真面目なオーディネーターを相手に、味方同士で競争することになっても。

この騎士団のメンバーはほとんどがレドラン家の出身である。高貴な理想と冒険心はレドラン家の美徳とぴったりと一致しているため、一族がヴィベクに仕えることに魅力を感じるのは当然だ。レドラン家の評議員にとって自慢の娘である、エリニア・オマインを例に取ろう。彼女はレドランの軍隊における幹部か、他のエボンハート・パクトの国に送るレドランの代表者にもなれたはずだ。しかしその代わり、彼女の大胆さと難解な詩に対する情熱が、彼女をボイアント・アーミガーへの入隊へと導いた。ヴィベク卿のお気に入りであり、他の遍歴の騎士にとって憧れであるオマインは、よくヴィベク宮殿を訪れているが、一度に2日以上滞在することは稀だ。その後は別の任務に出向くか、素晴らしい偉業の物語集へさらに詩を追加すべく、冒険を求めに行く。

「公平で清い騎士オマインは、ニックス・オックスの痕跡を発見。数え切れないほどいて、悪臭が散見。こんな悪臭は、ひどく敵意に満ちたものからのみ臭う」

物語詩ではその後、エリニア・オマインがライバルであり時には愛人であり、ちょうど怪物のニックス・オックスを追っていたオーディネーター・ニサスと会った様子が描かれる。二人は軽く争ってみだらなジョークを交わしながら、怒った獣の破壊の痕跡を追って不毛の峡谷へと向かう。

「強大な剣と見合った武器のオーディネーター・ニサス、恐ろしい獣を獲物に加えんとす。しかし騎士オマインは口早に、罵倒の嵐を獣に。混乱し、感化し、知恵と言葉が脅威を消し、悲劇を防ぎし」

ヴィベクは遍歴の騎士に対し、あらゆる死霊術師や破滅した生き物、闇の勇者を見つけ出して始末することを奨励している。騎士たちにはヴィベクの理想に従い、同時に戦詩人の書物を引用するか、冒険を求めながら自分で詩を作ることを求めている。軍団の見習いメンバーは、ダンマーの伝統的なキチン質の鎧を身に着ける。それとは対照的に、高名な騎士はもっと高級なデイドラの鎧を着るか、碧水晶の鎧を着ることさえある。

オーディネーターが真面目で常に警戒する立場なのに対し、ヴィベクのボイアント・アーミガーは飛び跳ねながら冒険を探す。虚勢や華麗さに溢れ、軍団の典型的なメンバーは勇敢で恐れを知らず、博識で詩の達人である。彼らはヴィベク卿を崇め、引き換えにヴィベク卿は彼らに超自然的な勇気と、劇的な仕事を完遂する能力を与える。重要な仕事を遂行し、目前に迫った危険への対処のに密偵が必要になれば、ヴィベク卿は迷うことなく、忠実で信頼の置けるボイアント・アーミガーを召喚するのである。

マスター・レサンへの手紙Letter to Master Rethan

マスター・レサンへ

素晴らしい報告があります、あなたの計画は今のところ完璧に機能しています!いや… 「完璧」ではないかもしれません、ただ十分な成果を挙げています。最近雇用された作業員の一団は昨日到着しました。やる気のない連中でした。しかも用心深い。ただ賃金の引き上げを約束した後は、指示に従うようになりました。彼らなら良い品になるはずです。

あの錬金術師が… 確かガヴロスでしたか?彼が古いデイドラの遺跡に店を開きました。絶対に見ておくべきです!あんなにたくさんの瓶とバーナーを見たのは、スクゥーマの取引をしていた時以来です!彼が言うには、複数の調合薬の作成に取り組んでいるそうです。この件については、彼に直接聞いたほうがいいかもしれません。彼の研究室の空気は、私の祖母のモレル粥のように白く濁っています。

ノックス作業長

ミストレス・ドラサの日記Mistress Dratha’s Journal

テルヴァンニ家の魔術師、ミストレス・ドラサ 著

まあ、テルヴァンニ家が役に立った試しがないとは言えない。少なくともこの発見の後には。答えというのは、時として予想さえしていなかったところにあるものだが、利用できる資源を無視するのは愚か者だけだ。常に快適だった家には、必ず恩返しをしないといけない。さもなければ、答えの最後は聞かせてもらえない。トリビュナルは知っている。

私の答えは厄介なところにあると知っていた。デイドラを恐ろしいとは思わないが、その一体と交渉する考えはとても気に入らない。まあいい。私はそれほど答えを求めている。そうでなければマントを着ることもない。代価は承知しているが、決意は固い。やらなければならない。

当然のことながら、この墓にある研究記録は無知の塊だ。わずかでも常識のある学者というのは得がたい。テルヴァンニの仲間と関われば、ことさらそう思える。しかし、私はこの特定の信者の賛歌の真実を知っている。この差し迫った要求への答えは、この歌にあるのかも知れない。

冷炎石が青く燃え
公の召使いを呼び起こす
訪問の目的は取引
与えられる報酬を受け取るために

この冷炎石が召喚儀式に必要なのは、子供でも分かる。手遅れになる前に、石を探す者を見つけなくては。シケナズを倒せるほど強い者を。石を使ってでも、奴を弱めなくてはならない。優秀な協力者が見つかれば良いのだけれど。

メナルディニオンの広告Menaldinion’s Advert

病に苦しむ皆様へ

原因不明の痛みに心を奪われ、苦労していませんか?不快な怪我や倦怠感に悩まされていますか?朗報です!大魔術師にして凄腕の外科医であるメナルディニオンが、スランの街にやってきました。

見事な家具が揃った病院で安らぎをお求めください。経験豊かな魔術師が巧みに操るアルケインの術の完全な力で、しつこい病と苦痛を探し、診断いたします。役立たずのいかがわしい魔術やバカバカしい錬金術に頼るのは過去のこと!ひどくまずい茶や、むかむかする霊薬ともおさらばです!出処の怪しいべたつく蒸留薬ともさよなら!あなたとご家族に相応しい、正確で熟練した魔法使い!

適正価格でご相談をお受けします。ぜひお越しください!

メルティスへの手紙Letter to Mertis

誓約者メルティス・オスレンへ

依頼を受けてくれたと聞き、とても嬉しく思っています。魔法では不利かもしれませんが、それでもあなたが適任です。この任務には分別と、ある種の武力が必要になるのではないかと恐れています。情報が確かなら、あなたはどちらも持ち合わせているはずです。

最近昇進したアルゴニアン、影の中の太陽は、自分の立場を大きく逸脱した野心の持ち主です。情報筋によれば彼女は、愚かな私の宿敵、マスター・フィルスのためにヴォス近郊の土地を購入しようとしているようです。

任務は単純です。ヴォスに行って、影の中の太陽の仲間を監視してください。この取り巻きが目当ての土地を見つけたら、すぐに行動を起こしてその土地の権利書を確保し、人目のつかない場所に急行してください。同封した召喚クリスタルを使えば私を呼び出せます。あなたのいる場所に行き、その権利書と引き換えに報酬の残り半分を渡します。できれば流血騒ぎは避けたいのですが、必要であればためらわずに武力を行使してください。

あなたが信用に足る人物だと信じています。忘れないでください。あなたは名家テルヴァンニに仕えています。あなた自身と、あなたの家に名誉をもたらしてください。

J

ルディーマンの詩Ruddy Man Rhyme

(ダークエルフの童謡)

ルディーマンが起きたら覚えておいて
悲鳴も叫びも上げられない
逃げられないし、隠れられない
試みた者は皆殺された!

ルディーマンの好きな食べ物は?
ダークエルフの目とダークエルフの足!
ダークエルフの舌とダークエルフの爪先!
隠したいだけ隠しても、ルディーマンは知っている!

ルディーマンはいつ遊びにいく?
空が暗く、灰色になる時はいつも!
彼はあの鉱山、いや、あの洞窟にいる
あなたを墓場に送ろうとしている!

強大なルディーマンを誰が倒せる?
我らがヴィベク卿、彼が倒せる!
ルディーマンを切り裂いて
ルディーマンをシチューにする!

レッドエグザイルへの指令Red Exile Instructions

レッドエグザイルに告ぐ

バルモラの郊外にある鉱山に侵入し、我々の崇高な大義にとって、また全土におけるアッシュランダーの地位の向上にとって重要性を持つ、ある品を入手してもらいたい。現在、この品はニコティック教団が所有している。彼らは鉱山内で儀式を行い、この品に計り知れない力を伝達する能力を与える計画を練っている。信者たちに儀式を始めさせ、儀式が完了する前に入手せよ。

この品は鉱山の奥にある部屋に置かれており、厳重に守られている可能性が高い。気づかれぬよう潜入し、盗んでこい。見た目は金属と歯車で作られた杖だ。我らの大義を次の段階へと進めるため、この品が必要となる。

杖を入手し、私のところへ持って来い。お前たちの追放が終わり、故郷へと帰る第一歩になるだろう。

CC

レッドマウンテンの影での信仰Faith in the Shadow of Red Mountain

カノン・ルレヴルによる説話

敬虔なる者たちよ。我々は礼拝のためこの聖堂に集い、今こうして向かい合っている。私には分かる。君たちは今悩んでいて、不安で、椅子に座っていても落ち着かず、こうして話している間にも後ろを振り返っている。苦しみ、不安になっている理由は分かっている。レッドマウンテンが揺れて音を立てている時、誰が平然としていられるだろうか。バール・ダウが頭上で震え、デイドラが予期せぬ場所に出現し、ネレヴァリンがアッシュランダーに現れているとさえ言われている。不安にならない者などいるだろうか?

だが言っておきたい、ダンマーの仲間たちよ。こんなことや、さらに悪いことは以前にもなかっただろうか?我々はその度に生き延び、さらに強く成長してきたのではなかったか?我らがヴィベク卿はそのような戦いについて何と言っていただろうか?「六はヴェロスの守護者である。三は再び生まれ、お前が英雄の性質を身につけるまで試練を与える」とヴィベクは言っている。

だからこそ、再び我々は試されているのだ。だからこそ、再び我々は価値を示すために耐えなければならない。三大神がついてくれている。三大神を信じることで、我々は強くなれ。生き神たちは我々の全面的な信仰を望んでいる。

レドラン家には、物理的にも精神的にも古き体制を強化し、新たな体制を生み出すことを求めよう。我々を正義の道に留められるように。

フラール家には、植え、収穫し、保存し、交易の流れを保ち、灰や怒りの息吹が降り注ぐ時さえも、繁栄を確かなものにするように求めよう。

テルヴァンニ家には、賢く忍耐強く、洞察と魔法を伝授するよう求めよう。彼らはパクトの一員ではないが、それでも我々の仲間には違いない。

そしてトリビュナルの信徒たちよ、君たちにも求めたい。聖ネレヴァルの先例を思い出すのだ。彼の勇気は語り継がれ、その忍耐力は伝説となっている。我々は確かに不安で苦しんでいるが、我々には誇りがあり、力もある。我々はダンマーだ。苦しみは神々からの贈り物にすぎない。我々はその苦しみによって試されており、試練を乗り越えることで、自身の真価を知ることができる。

ヴィベクを称えよ!至高の三大神に栄光を!三大神が歩みを共にし、叡知と力を与えてくれる。これまでも、そしてこれからも。

レッドマウンテンの酒宴歌Red Mountain Drinking Song

それは巨人のように眠る、巨大な石造りの塔
レッドマウンテン、レッドマウンテン、ゴロゴロうめく
それは寝返りを打つ、目覚めないように祈る
そして何の前触れもなく、大地が揺れ始める!
世界が終わる時、大地は揺れ始める!だから——

フラスコを持って祈りを捧げろ
レッドマウンテンが爆発する予兆
乾杯しよう、でも気をつけろ
それは山による破滅の予言

グラスを持ってその日を呪え
レッドマウンテンが噴火する
飲んで全部忘れてしまおう
喉が渇いたまま憤死するか?
喉が渇いたまま死んでしまえ!

煙と灰の中で、燃えさかる岩を打ち返せ
私たちはすぐに酔っ払う、ウイスキーを飲み干せ!
炎と煙の中で、スジャンマをがぶ飲みしよう
酒の入った器を傾け、皆で酔い潰れろ!
世界が終わる時、皆で酔い潰れよう!だから——

フラスコを持って祈りを捧げろ
レッドマウンテンが爆発する予兆
乾杯しよう、でも気をつけろ
それは山による破滅の予言

グラスを持ってその日を呪え
レッドマウンテンが噴火する
飲んで全部忘れてしまおう
喉が渇いたまま憤死するか?
喉が渇いたまま死んでしまえ!

レッドマウンテンの力Red Mountain’s Might

アンルン・フローズン・コーブ 著

レッドマウンテンは怒れる巨人のように低く唸っている。その山腹は戦士の赤をしたたらせ、獲物に突進する前によだれを垂らす野獣のようだ。私は山の爆発の夢を見る。押し寄せる灰と噴出する炎。いつも冷や汗をかいて目を覚ます。

ダークエルフの仲間はその話をするとにやにや笑う。彼らは自分たちの偉大な神ヴィベクの力について、力と栄光と魔法について話す。私は魔法もその終わりも知っている。その限界も。彼らの偶像の限界は?見つけるのが怖い。

灰交じりの風のように噂が山を駆け巡っている。伝説。神話。しかし私はかつてドラゴンが支配していたスカイリムを横断した。神話の力も、神話が抱える真実にも無縁ではない。本物の神の持つ力も知らないものではない。

私がショール(あるいはダークエルフの知る名ではロルカーン)の心臓の話をすると笑われた。神に会うこと、神の隣人であること、それがヴァーデンフェルの住民には当然の権利に思われているようだ。だが見えるものに対して、どんな信心を持てるだろうか。信仰は社会で証明できるものが対象ではなく、むしろ自分の内でしか本当には感じられないものが対象なのだ。

それでも彼らは、知っていることを私に教えてくれる。欲深いダークエルフの手が心臓を見つけ、自分のためにそれを使った話。魔法の石は、人によるとそれ以上のものではない。それが何に使われたか私は知らないし、今も存在しているのかどうかもわからない。本物の神の伝説もそんな様子だ。単なる死すべき肉体を超えたところにある。

心臓はまだ偉大なレッドタワーの下にあるという者もいるが、ダークエルフの仲間はこの件でいつになく沈黙を守っている。トレジャーハンターが暗い通路を深く掘り下げていった話、決して地上に届かない叫び声の話を聞いた。

心の中では偉大なレッドマウンテンが決して挫けないこと、その力を決して放棄しないことを知っている。真の善の力がそれを奪うまで。あるいは、もしかすると真の悪の力が。

レドラン家の概要Understanding House Redoran

名家の大歴史家、レモラン・レドラン 著
黄金の平和百七周年記念

レドラン家の最初の形成以来、我らは義務、厳粛さ、敬虔を最大の徳としてきた。浅薄にして柔弱な生は生きるに値しない。我々は文明化されたダンマーの伝統を維持することに努め、戦士の道を守り通してきた。例えば我々の軍事力は他の名家を大きく凌駕している。我々の力は他の全名家を少なくとも一歩上回っており、多くの場合には一歩どころではなく上回る。

レドラン家にとって、向かうべき目標は自らの義務を果たし、自らの名誉を維持することである。それを果たせなければ自分と家の名誉への汚点となる。義務は自分の名誉に、次いで自分の家族、次いで自分の部族という順番で課せられる。

人生は本質的に深刻かつ困難である。我々は生の過酷さを受け入れ、耐え忍ばねばならない。それこそがレドランの道である。あらゆる行動を熟慮と謹厳さを持って反省せよ。厳格で思慮深く、誇り高くあれ!そうでなければ、レドランではない。

レドラン家の勧告House Redoran Advisory

一族に告ぐ

以下の団体や組織が、レドラン家の利益を損なう活動をしている可能性があり、留意してほしい。これらの団体と取引を行う際には、状況に応じて警戒し、注意するとともに、名家のすべての掟と制限を守ること。

アッシュランダー部族

野蛮人の数は、アルドルーン周辺と近郊で増え続けている。当然ながら、野蛮人の存在が、同地へ拡大する試みを妨げている。あらゆる点で、アッシュランダーはフェッチャーフライより始末が悪い。次回、上級評議会はとるべき道について議論し、計画をまとめる。その間、アッシュランダーとの接触は可能な限り避けること。

モラグ・トング

レドラン家はトリビュナルの意志を認め、ダンマー領内での活動をモラグ・トングに許可している。一方で名家の法から見れば、彼らは殺人者であり、犯罪者である。このような二つの見方をするのは、他の名家が我々に対してモラグ・トングを利用し、レドランの利益を損ない、自らの地位を高めようとしているからである。慣行として、レドラン家がモラグ・トングの役務を利用することはなく、モラグ・トングによる一族の無差別殺人も許容しない。

フラール家

厳密に言えば、フラール家は友人であり、味方だと考えているが、レドランの交易路や冒険的事業を妨げる行動への不安は、ここ数週間でますます高まっている。フラールのバルモラ内、バルモラ周辺における活動は、非常に憂慮すべきだ。というのも、彼らは自ら街を支配したがっているようにみえる。フラールのあからさまな、または疑わしい行動は、名家の評議員へ即座に報告すること。

レドラン家の記録House Redoran Registry

—表彰:イリレス軍曹。最近のクワマー鉱山B-37に対するデイドラの侵略で、与えられた任務以上の功績を上げたため。

—重要事項:ノルドが、民族間の親睦と理解を深める目的で、文化交流の代表者を派遣。この試みにおいては、リガート大使の挙動がどれほど変に思えても、懇切丁寧にもてなすこと。

—次の家の衛兵が将校の訓練を完了した:フレヤ、ドーサシ、リヴァメ、バリオン。

—最近、シャド・アツーラ魔法大学を卒業したレナ・ダルヴェルがレドランの調査官に任命された。彼女は聡明で才能があり、立派な人員として、情報収集機関に加わる。ただし前もって警告しておくが、シャドウクラックを爆発させるという彼女の夢物語には気をつけること。

—追放者:レドランの将校、貴族に相応しくない行動により、レドランのレドラン上級評議会の命令をもって、ウルラン・レレス隊長の称号が剥奪され、レドラン家とトリビュナルの領地から追放された。

—ウルラン・レレスの追放を考慮し、ブリバン・マルロムを西方軍隊長に昇進させた。

—アッシュランダー事件:バルモラ先の荒野を占領しているアッシュランダーの、部族間の混乱に関連する事件が増加中。ブリバン隊長は、必要に応じてレドラン軍を支援するため、フェーハラのウォークローと呼ばれる傭兵団を雇った。

レドラン家の指令House Redoran Orders

レドラン家の兵士とフェーハラ・ウォークローを含む、スクリブ大隊の戦士へ

スクリブ大隊には、アッシュランダーの不法占有者からクダナット鉱山と周辺地域を奪取する任務が与えられた。

アッシュランダーは、すべての土地に自由に住めると誤解している。当該地区より排除する我々の試みには抵抗するだろう。これを念頭に入れた上で、以下の命令を守ってもらう。

1.絶対に必要でない限り、アッシュランダーには武力を用いるな。武力による領土制圧よりも、平和的な取引の方が望ましい。

2.アッシュランダーがレドラン家の法律に従う場合は、周辺からの退去を許可させろ。

3.アッシュランダーが抵抗する場合は、扇動者を無力化し、交戦中は拘束しろ。

4.武力行使が必要な場合は、迅速かつ最大限に行使しろ。

ブリバン隊長

ロスナースへの指示Instructions for Lothnarth

ロスナースへ

奴隷達に干渉する必要はない。私の雇った衛兵達がいれば生産性は保てるし、必要な時には彼らが食事と休憩を与える。

週ごとに正確な記録をつけてほしい、そうすれば鉱山の生産力を適切なレベルに保つことに、私の実験が役立っているかどうかを確認できる。

クリスタルの機械には誰も触れるな。機械は固定してある。不器用な奴隷や頭の悪いクワマーがぶつかれば、作業を妨害されかねない。

機械は私が現場に行って止める。機械の使用時と未使用時の生産性を比較したい。機械を動かすレバーと歯車は、私がムザンチェンドの研究室から取ってくる。この件は私に任せるように。

今さら注意する必要はないだろうが、ムザンチェンドには近づくな。有能な賢者でなければ、かなりの確率でオートマトンに切り刻まれるだろう。

意地悪なホタル爺さんMean Old Torchbug

意地悪なホタル爺さんはクワマー鉱山の近くに住んでいた。クワマー・ワーカーをからかうのが大好きだったが、勇敢なる小さなスクリブを問題に巻き込むのはもっと好きだった。露骨には問題を起こさず、ほとんどの場合勇敢なる小さなスクリブは、小さなホタル爺さんを友達だと思っていた。もし勇敢なる小さなスクリブが、自分が罰を受ける羽目になったのはいつもホタル爺さんの話を聞いたせいだったと、少し時間を取って考えていたら、その意地悪な小さい生き物のことを違う目で見ていたかもしれない。しかし勇敢なる小さなスクリブは、そんなことを深く考えなかった。そういう性分ではなかったのだ。

ある日、クワマー・ワーカーが忙しそうにクワマーの卵を孵化場で移動させるのを見ているのが退屈になって、勇敢なる小さなスクリブは思い切って鉱山の外へ出ることにした。天気がいい日で、日が明るく照らしていて暖かく、優しいそよ風がキノコの森を通り抜けていた。入り口でクワマー・ウォリアーが番をしていて、どこへ行くのかと尋ねた。真面目な戦士以外なら誰にでも明らかだろうと思いながら、彼女は「遊びに行くの」と答えた。

勇敢なる小さなスクリブがキノコの森に入ると、輝く光が行く先の上を舞っているのが見えた。友達の、意地悪なホタル爺さんだった。とはいえ、彼女はその小さな虫をそんなひどい名前で呼びはしなかったが。「こんにちは、ホタル爺さん」とスクリブは呼び掛けた。

「こちらこそこんにちは、小さなスクリブ」とホタル爺さんはパチパチと燃える火のような声で鳴いた。「こんないい天気の日に、鉱山の外へ何をしに来たんだい?」

「遊びに来たの」と勇敢なる小さなスクリブは楽しそうに言った。「皆仕事で忙しくしている鉱山はひどく退屈で、ウォリアーはただ戦いたいだけ。私は冒険をしたい!」

「冒険?」ホタル爺さんは上機嫌で尋ねた。「君が一日たっぷり楽しめて、私の午後が面白くなるようなことを知ってるぞ」

知り合ってからこれまでにホタル爺さんが提案してきたことを思い出しながら、スクリブは疑い深く尋ねた。「それってどんなこと?」

「近くに魔術師の塔がある。背の高いキノコの中だ。そこに住む魔術師はいつも、一緒に遊んでくれる勇敢なスクリブを探している。とっても面白い遊びを知ってるんだ」

「どんな遊び?」とスクリブは尋ねた。疑いながらも、急にうきうきしてきていた。

「まあ、最高のだよ、本当だ!」

「それなら連れてって、ホタル爺さん」とスクリブは言い、光を放つ虫の後について、包み込むようなキノコの影の奥深くへと入っていった。

ホタル爺さんについてキノコの塔へ向かっていくと、勇敢なる小さなスクリブは塔の下で空っぽの瓶が無造作に山積みになってるのに気付いた。瓶を調べるために立ち止まり、捨てられていた容器についていた、甘くてベトベトした残りものの匂いを嗅いでみた。

「どうかしたの、小さなスクリブ?」ホタル爺さんは戻ってきて、山積みになった瓶の上を飛びながら尋ねた。

「この匂いはどこかで嗅いだことがある」と勇敢なる小さなスクリブは言った。「でもどこでだか思い出せない」

「それは魔術師がトーストに塗るただのジャムの残りだ。そう言えば、それも彼女が好きな遊びの一つなんだ。勇敢なる小さなスクリブが訪ねてきたらね」

勇敢なる小さなスクリブは鉱山で最も賢いクワマーというわけではないが、勘が働く時がある。この時もそうだった。「魔術師が私をスクリブのジャムにするのを見たいんでしょう、意地悪なホタル爺さん?」

「もちろん」とホタル爺さんは鳴いた。「ジャムがどうやって作られるか見たくて仕方がない」

「それは別の日にしましょう、ホタル爺さん」と勇敢なる小さなスクリブは言った。

「そう言うなら、小さなスクリブ」とホタル爺さんは鳴いた。「それではまた」

そして勇敢なる小さなスクリブは、ホタル爺さんを空の瓶ばかりの影の中に残して、急いでクワマー鉱山に戻った。そして、あんな冒険はしなくてよかったと思ったのだった!

慰撫の儀式The Ritual of Appeasement

デイドラの主を不穏に誘惑してはいけない。我々の先人たちがそうしたように、恐ろしい凝視が部族に降りかからぬよう、彼らに自由を与えなさい。季節が短き好意を示す時、デイドラ公には正当なものを与えたまえ。さもなくば、不都合な時に訪れられよう。時期はグアルが太ること、偽神の道に沿って道に迷った人々がさまようことで判別できる。

部族を偉大なるアルムルバラランミへ導きなさい。そこは先人たちが協定を結んだ場所であり、今後協定が更新される場所でもある。着いたら穀物の山に火をつけること。儀式が終わるまで火を与えなければならない。デイドラ公が満たされるまで、満腹になることはない。

毎日太陽が遠い波の頂上に達するとき、生きた生贄をアルムルバラランミにある古代の祭壇へ集めること。黒い碧水晶の刀剣を使って石の上で喉を斬り裂き、血が新鮮なうちにデイドラ公を呼び出すのだ。誰かを拒絶しようものなら、確実にひどい苦難が訪れよう。

太陽が真の高さに達する前に、祭壇の最端まで生贄の内臓を広げ、捧げ物をデイドラ公の慈悲に委ねよ。ナミラの宿主とペライトの接触が死体を汚したとき、その日の宴が終わったことを知るだろう

付き添いの者たちは捧げ物を取り除き、聖別の油で祭壇を洗う。夕暮れの最も長い日には、デイドラ公への捧げ物が満足のいくものだったとアズラによって示される。我々が断食後初めての食事を取り、嘆願を終えるのはその後だ。アルムルバラランミは彼らの場所であるため、長居してはいけない。

音調反転装置の使い方How to Use the Tonal Inverter

1.音調反転装置の起動には、息の合った大人2名を必要とする。波長調節者1名が音波を生成、準備し、音響放出者1名が準備された音波を放出し、ソーサ・シルの改造されたエナジー吸収装置を妨害する。

2.波長調節者は戦闘の行われる付近で、しかし直接戦闘に参加せずに音調反転装置を操作し、音響放出者は装置を持って戦闘に参加する。

3.波長調節者は音調反転装置を操作し、音エナジーの波動を蓄積する。

4.音調反転装置が正しい音程に達したら、波長調節者は装置の放出準備が完了したことを伝える。例えば、波長調節者は「準備ができた!」と叫んでもよい。

5.音響放出者は戦闘中に十分な隙を作り、音調反転装置を放出する。注意点として、視線がはっきり通っていればどこからでも行える。音調反転装置は遠くからでも音響放出者を認識し、従うように設定されている。

6.音調反転装置は放出され、ソーサ・シルの改造装置から放射されるエナジーを一時的に妨害する。改造装置の持ち主は一定時間無防備になる。

最後に: ソーサ・シルの装置の所持者によって吸収されたエナジーの量によっては、この手続きを複数回繰り返さねばならない可能性がある。妨害とそれに伴う無防備状態は短い。この指示を守れば、問題はないはずだ。大いなる歯車がその場で自由にうなり、回転しますように!

各種の皮膚病Skin Blights By Any Other Name

名家の治癒師レヴォサ・イルドラム 著

著名な貴族である、ロザラン出身のウラサ・ロザランから、長きに渡りあらゆるところで苦しむダークエルフの悩みの種、皮膚病を詳説するよう頼まれた。この痘は経済的、社会的立場とはほとんど関係ない。金持ちでも貧乏人でも、若者でも老人でも、皮膚の伝染病は誰にでも感染するが、ダンマーの肌にはより感染しやすいようだ。伝染病は軽度の不快感から、傷痕を残し、活性化した後は死をもたらす破壊的な蔓延まである。トリビュナルの要請で疫病と疾病に対処するため、それぞれの名家から治癒師が集まり、情報を交換し、協働するダンマー治癒師会は、皮膚に関連するすべての病気を古代ヴェロシ語で「皮膚病」を意味する言葉を用い、「コープラス」と名付けた。

土地を荒らす他の疫病と同じく、コープラスの病気には自然的、非自然的双方の起源がある。時折、病の錬金術版、魔法版までもが解き放たれ、大衆を蹂躙する。例を挙げると、第二紀565年のフレイ・ブライトがある。長く焦がされる夏を通して、恐ろしい病気がヴァーデンフェルの西岸を荒らした。無数のダークエルフが発疹に罹り、肌に炎症を起こし、皮膚にしみをつけた。治癒師会の広範囲に渡る調査で、フレイ・ブライトは、錬金術の製法、秘術師のマジェスティック・フェイス・クリームの変化による直接の結果だったと断定された。

ダンマーの皮膚がコープラスの病気に感染しやすい理由に関しては、理論と推測程度しか提供できない。ダンマーの人々は「運命によって醜くされて」おり、それで特に皮膚病や他の炎症に罹りやすくなっている、と信じる者がいる。冷酷で懐疑的な気質が血の流れを熱くし、あらゆる種類の病気が増えやすく、身体の中に根を下ろしていると考える者もいる。治癒師として、私はそのようなダークエルフと、例えばオークやノルドとの間の体温の違いを確実に示すものを見つけていない(私達はアルゴニアンよりも暖かく見えるが、それは別の報告書のテーマだ)。他にも「古い宗教」にすがり、コープラスと他の皮膚病を、ダンマーに対してマラキャスが激怒している直接の証拠とみる者がいる。彼らの信じる呪いの神が、身体能力と総合的な体力を限界まで上げるため、病気を次々に送り込み、私達を試しているというのだ。

治癒師と錬金術師として、私は理論化を始める際に神話と宗教の問題は放置しようと思う。苦しむダンマーの治療と、モロウウィンドと近隣国で信頼できる治癒師の仕事を再び調査することを含む研究により、炎症と変色、剥離や腐肉の形成、疱疹や潰瘍の発生を含む最も自然なコープラスの発生は不衛生な環境、不安定で面白い、もしくは極小の汚れた、不機嫌な気質の極小生物を原因とするようだと私は結論付けた。もちろん、そのような理論は多くの同僚に嘲笑されている。彼らは全ての行動がマジカの相互作用、天体の動きなど、より伝統的な治癒と病気の関係に対する考え方で説明できると信じている。

結論として、あらゆる種類のコープラスを避ける最良の方法は、頻繁に風呂に入り、清潔な衣服を着て、非常にきれいな食料と酒を飲み食いすることである。それで気分が良くなるなら、マラキャスの望まれない注意をそらすため、守りの祈りをつぶやいてもいい。トリビュナルはおそらく、そのような分かりにくい儀式が皮膚病を蔓延させることはないと知っているだろう。おそらく、より気分を良くしてくれるのではないだろうか。

強きニックス・オックスに関する請願A Petition for the Mighty Nix-Ox

カイリア・サンド 著

ええ、私たちの土地にいる頑丈なニックス・オックスには感謝しています。ニックスハウンドの遠縁にあたる心優しいこの大きな動物は、我々が奴隷なしでやっていかなければならなくなった時の救世主であり、それ以来農業の主力でした。でも我々がこの素晴らしい生き物に何をしているか、立ち止まって考えてみたことがありますか?

日常の労働が皮膚のタコと筋肉を作り出すだけの奴隷と違って、ニックス・オックスは強制的に土中で蝕肢を引きずり、土地を耕すようにされています。おかげでサルトリスやマーシュメロウ、その他必要な作物のための溝ができるのです。我々の暮らしの大部分はこうした作物の素早い成長と商取引に頼っています。しかし、これらの商品の本当の費用はどうなのでしょう?

ニックス・オックスはドワーフが作っていたような鋼鉄の野獣ではなく、生きて呼吸をしている動物です。長年にわたる献身的な仕事により、ニックス・オックスの蝕肢は蝕まれ始めています。彼らはこの重要な保護器官を失うだけでなく、このままでは我々の「良き隣人」、農業従事者に役立たずとされてしまうのです。彼らは荒れた灰の土地に捨てられ飢えるか、その皮のために殺処分されます。長年に渡りヴァーデンフェルの土へと献身してきた存在に感謝するには、何と素晴らしい方法でしょう!

「でもどうすればいいんだ?」と尋ねたいかもしれませんね。「もっといい方法があるのか?」。皆さん、もちろんあるんです。いつだってもっといい方法が。

私はすべての農業従事者が、一定年数の仕事をしたニックス・オックスを引退させる法律が必要だと考えています。彼らはその後平和な引退生活を許され、長年に渡って平和的な協力関係にあった人々から、食事と世話を受けるのです。彼らには美味しいキノコをすべて口にし、晩年を平和で快適に過ごす権利があります。

この計画を可能にするために信任投票と、心優しき大型の友人を守るための請願を提案します。あなたに必要なのは支持を示すことだけです。名家のダンマーの皆さん、一緒に参加しませんか?

血に染まった手紙Blood-Soaked Letter

最愛のマブキルへ

輝く月にかけて、愛しい人よ!昨晩、ジズルクが一座を集めて、私達の問題を訴えたわ。ヌズラザとハニラーがジャ・カジートみたいに不満の声を上げたけど、最後にはあなたの自由が新しい荷馬車より大切だと、友人達が決めてくれた。お金を集めるにはしばらくかかるけど、この者はもうすぐあなたに会えると知っている。ロープフィッシュのカータグを捜して。彼があなたを家に帰す船の船長よ。

愛してる
あなたのエラサルハ

賢者オセリの研究日誌Magister Otheri’s Research Journal

〈この日誌はページが破れているが、多くの部分はまだ判読できる〉

恵雨の月22日
約2年かかった。だがようやく突破口を見つけた。初期に失敗はあったが、3つの音調クリスタルをどうにか1つのマスタープリズムに統合できた。あれを割らずに共鳴させ続けられれば、交換の音波を生み出すことができる。大発見になるだろう!

南中の月3日
規模は小さいがようやく実験の成果が出た。音は繊細で、人間やエルフにとって聞き心地の悪い音ではないが、クワマーを喜ばせている。プリズムは音の力に対して見事に耐えているようだ。鉱山で強制労働させられている獣の奴隷のような、鋭い聴覚の持ち主は影響を受けるかもしれない。その影響が悪いものなら、どんな利益も相殺されてしまうだろうか?持続性が問題だ。どうやって解決する?

薪木の月17日
今日は力のなさを思い知らされた。ムザンチェンドに眠るドゥエマーのアーティファクトを放置してこのプリズムの実験を続けるとしたら、本当の愚か者だ。何年か実験すれば、プリズムのために安定した結界を作り出せるかもしれない。しかし、音の魔法に関しては、ドゥエマーが残したものほど優れた道具は存在しない。

薪木の月19日
あの高慢なゴスレンは、私の仕事に興味を示している振りをしていた。サドリス・モラに密偵を忍び込ませているに違いない。塔の使用人も怪しい。彼の質問は的を射ていた。どうせならゴスレンではなく、テル・モラのあの狂った婆さんと手を組みたい。詳細な情報については、好奇心に満ちた目やうるさい密偵に見つからないよう、しっかり隠しておこう。

黄昏の月21日
やった!ついにドゥエマーの安定化装置を備え付けた。クワマーが何度も突っ込んでいる。クソ虫どもめ。設定の失敗がそれほど大きな問題になるとは思えないが、計り知れない価値を持つ音のプリズムの問題だ。幾重にも注意が必要だ。

星霜の月14日
間抜けな、アナ… アロレンダ… いやアロウェンデめ。彼女はあの場所での発見に興奮し、クランクだけを持って、ムザンチェンドの私の研究室にフラフラと入ってきた。彼女はメモを取りながら工具を落としていた。彼女は賢い。だが集中力に欠けすぎている。彼女に部品を回収してきてもらおう。この機械錠の部品残り3つを見つけるために、ガラクタをかき分けながら遺跡中を歩き回りたくない。私の機械が今のところ順調に動いているのは、彼女にとって大変な幸運だ。

賢者の書状Magister’s Writ

評議会と名家テルヴァンニの皆様へ

私、テル・ブラノラの賢者セラナはこの書状により、アルゴニアンの奴隷である影の中の太陽を、テルヴァンニ家の一員に昇進させることを要求し、それを支持します。彼女は出来得る限り早急に奴隷階級から昇進し、雇い人として認められるべきです。

影の中の太陽には素晴らしい独創性があり、綿密な計画を立てる能力があることも証明されています。私の研究に欠かすことのできない貴重な遺物を発見できたのは、直接的にも間接的にも、彼女の協力によるものです。未だ枷に繋がれているにも関わらず、このような功績を挙げたのは特筆すべきことです。

評議会は間違いなく影の中の太陽の魔術の才能に気づいているはずです。種族として不利な立場であるにも関わらず、彼女は素晴らしい才能を発揮しており、特に変性と召喚を得意としています。このような才能には教育が必要です。彼女の能力はテルヴァンニ家の利益となるでしょう。私はそう信じています。

名誉と敬意を込めて
セラナ
テルヴァンニ家の賢者
テル・ブラノラの主

賢女の日記のページWise-woman’s Journal Page

捧げ者を狩る者が、また1人姿を消した。4人いなくなり、今も戻っていない。捧げ物が不十分で、デイドラ公がご立腹ではないかと不安だ。

偽神の奴隷が聖地を踏み荒らし、不敬な聖堂を立てている。一体デイドラ公が我々に好意を示してくれるのだろうか?奴らはこの地から我々を追い出し、先人の協定を断ち切ろうとしている。

辱められた者も死んだ者も、我々の戦士は復讐を望んで叫んでいる。こんなことを続けさせるわけにはいかない。我々の前にどんな道がある?骨は何を示すのだろう?

鉱山労働者が書き殴った手紙Miner’s Scrawled Letter

ゆびうごかない

くろくなてきた、まるで、こくたんせき

このメモみつけたら

たすけよべ!

なにもかんじない

鉱山労働者の警告Miner’s Warning

何があってもトロールに餌をやるな!

あいつらは信じさせられたのと違って、可愛くも友好的でもない。

鉱山労働者への警告Warning to Miners

警告

許可を受けていない作業員はこの先立ち入り禁止。

現在隔離中。

違反者は即座に罰則の対象となる。

ノックス作業長

最後の獲物—ロルカーンの心臓The Heart of Lorkhan, My Final Prize

職人レナルメン 著

皆がその伝説を知っている。ロルカーンの心臓がアーリエルに伝えた言葉はあまりにも有名である。「この心臓は世界の心臓。一方が他方を満足させるために作られたものだ」。不滅であり、隠され、海に沈められた。レッドマウンテンの地下に位置し、機会を逃さない正しき者が己のために回収するのを待っている。そして今日、私は報酬を得るためにやってきた。

そう、心臓がヌシュレフティングスにあるというのは憶測にすぎないかも知れない。しかし、直感によって成功を収めたことは以前にもある。この神話に関する数多くの書物を研究したが、いずれも心臓はレッドマウンテンの地下にあると示している。最も偉大な発見をするのはここだ。

私はこのエドラのアーティファクトが実在すると信じているが、神々への信仰とは無関係である。唯一、愚か者のみが神話を無視する。すべての物語には真実の核心があるのだ。伝説とは単純な事実が発展し、滑稽な話になったものだ。明らかに強大な力を持っている物体とはいえ、心臓もそれに漏れないと信じている。私が得ようとする魔法の物体という意味で。

ここでネラモを見たのは驚いた。ヴァーデンフェルではあらゆる間抜けに出会う可能性があるが、よりにもよって奴とは。奴と寄せ集めの仲間は逃げ出すか、容易に捕まえられた。私は奴が置いていったコントロールロッドを見つけた。当然、この道具については多くの修正点が頭に浮かぶ。それでも今のところ、ドワーフコンストラクトを制御する効果は発揮している。

ロルカーンの心臓の効果は不明だ。デイドラの心臓よりも効き目のある、強力な薬の材料になるかも知れない。戦いにおける無限の力や耐性など、魔法属性の付与もあり得る。過去タムリエルが見たこともない崇高なものを作動させる、至高の魂石の可能性もある。その用途は関係ない。私が知るのは、それが引退するために十分な金を稼いでくれることのみだ。私は分別がありすぎて、そのように強大な力を持つ品を使おうとは考えない。かかる強欲は、あまりにも頻繁に絶望へと通ずる。

三十六の教訓:第三十七説話The 36 Lessons: Sermon 37

ヴィベク 著

第三十七説話

お前はヴィベクの第三十七説話を見つけた。これは光を曲げる話。遠い過去、一定せぬ顔でありながら、崩壊まで可能な限り支配を行ったホーテーターの年代記である。

ヴィベクは水が細く流れる側で産まれ、星への結びつきを赤く記した。これは速度の新たな場所だった。彼の目は塔の上のスパイクを潰した。そこでは虚無の亡霊がドレイクの鱗の太鼓の上に居座り、リズムに呆けていた。そして彼がこう尋ねた。

「お前は誰で、署名はまったく要らないのか?」

合計すると三になる、アイエムのローブは記憶の明るく黒の縁へと伸び、購入の弧に縄をかけた。これは新たなダッシュの仕事。そしてセトは膨れた腹を文字通りの状態にした。時計職人の娘、世紀の長さの糸に沿って死の告白をする泳ぎ。彼女を名付け、何も食べず、ヴェロスとヴェロシの黄金の貯蔵室。そこ以外にどこへ行くと言うのだろう?

「ここに行け。車輪のない世界、死が霊を示し、こだまが歌っている」とセトは言った。すべてが終わるまで、そしてその中心は何かである何かだった。

そして赤い瞬間は抑制のない大きな唸りになった。なぜなら仮の家が破壊されていたから。そしてヴィベクは蒼水晶のようにランプとなった。ドラゴンのたてがみが壊れ、赤い月が彼に来いと命じた。

「王の印はこれではない」青方偏移の信号(女性)が彼に言った。「独学で学べる正しい教訓はない」

彼は彼女を捕まえる網を撚ることを拒否した。続けない人々は研究によって満たされない。そして精神が飛ぼうとして破壊されたと悪意が込められる。しかし男性の信号は気分を害し、ヴィベクは戦闘の態勢を取った。彼は東の光を元通りにして、アルムシヴィに言った。彼らは戦争の間、何の力も観察されない碧水晶の中の花嫁になると。

光が曲がった。ヴィベクは宝石の赤いプレートでできた胸当てと人間の地で産まれたことを印す仮面を身に着けた。方向を変え、虫の軟膏を塗り、挑戦を受ける時は首にヒストの球根をつけた。雄叫びを上げ、マンモスの亡霊に自分の指を与えた。狼煙は彼らが降伏を見誤ったかと思った。ヴィベクが虚無にすべて元通りにする方法を学んだと言ったからだ。

光が曲がり、どこかで歴史がついに元通りになった。その中で、ヴィベクは狩りがうまくいった時に村のネッチマンが上げる笑い声を思い出した。彼は灰の中を父と歩き、釣りや航海で丈夫に育ち、シルトにがらくたを走らせるようになった。11歳の時、彼はアシュカーンに歌った。レッドマウンテンの後で病気になった。ニックスの血と熱で百年は虚弱だった。母親は息子より長生きし、息子の亡骸をパドメの祭壇に捧げた。彼女は彼に、地下の世界で纏うよう自分の皮膚を与えた。

光が曲がり、ヴィベクは目覚めて牙を伸ばしたが、自分を折り畳める存在にするのは嫌だった。これは新しく、月の約束だった。そして噛むことで彼女はトンネルを掘り、地下へ潜った。彼女の兄弟と姉妹は天国、意見の相違の小さな亀裂、コガネムシと虫のための食事を汚していった。彼女は民を率いて安全にして、アズラと座って彼女自身の夫の姿を泥に引きずりこんだ。

「私が自分の左手と右手を取り去ったので、彼は言うでしょう。それが彼らに勝つ方法だと。愛だけが。そしてあなたは、塩の過ちを初めて知るのです」と彼女は言った。

言葉の世界はアマランスである。

山賊の手紙Bandit’s Letter

あの馬鹿なカジートの最初の作物はなかなかの出来だった。そのため、我々はどうにかあの退屈なニックスハウンドのいない場所を探し、より規模が大きい川床に植えられた… と言っても、数日後にはフェッチャーフライにやられたが。

ニックスハウンドの数を減らすと、何らかの理由でフェッチャーフライの数が増えるようだ。そのせいか、伝説のフェッチャーフライ・ハイヴゴーレムがこの辺りのどこかにいるせいなのかは分からない。事前に知っていれば、あのダークエルフの女の賄賂に同意はしなかった。

レイサルと役立たずの馬鹿二人は、あの愚かなカジートの研究をさらに求めて出かけた。西の洞窟の探索から戻ったら、大量にあふれる害虫とやまない騒音を洞窟から排除するために、フェッチャーフライ狩猟隊を結成するかもしれない。

思考記録1322331455212478Cogitation Log 1322331455212478

こんにちは、作成者よ。

アニモンクリの再処理はあなたの栄光ある設計から逸脱することなく続行されています。

不活性部分の再処理は1体1の比率で続行されています。

回収物から原料への変換効率は、95パーセントに留まっています。命令に従い、改善を続行します。

ドゥエマーの設計の再生産はご指定により、中断したままです。

命令に従い、反復を続行中です。

すべての変化は、問題なく集積され統合されています。

命令を待っています。

信者の日記Devotee Journal

今日、モラグ・マールへの巡礼を開始しました!是非とも自分の目で新しい聖堂が見たい。海の上に建てられたそうね。ひょっとすると浮いているのかもしれない!バール・ダウを少しでも体験したら、その発想も現実離れしているとは言えないでしょう。

ボイアント・アーミガーは見ものです。彼らの多くが巡礼の様々な道を巡回していて、いつも少し弾むような足取りです。彼らの歌や剣は、吹きさらしの道以外の何にも慰めとなります。

聖堂は浮かんでいなかったけれど、だからと言ってモラグ・マールの素晴らしさは変わらない!ここは休憩のため、カンド山への旅の準備のための、素晴らしい場所になります。でもその前に、聖堂で三大神に祈りを捧げなければ。

最終日あたりからボイアント・アーミガーを見かけなくなっています。道を見張りに行ったのでしょうか。ここにいる彼らの長老にいつ旅の案内係を頼めるのか尋ねると、渋い顔をされました。碧水晶鉱山で起きた何かの事件のせいで、忙しいようです。長老は誰も手が空いていないと言っています。

もうずっと待っています。アーミガーは忙しいかもしれないが、彼らがここにいるおかげで、荒野も少し安全になったに違いありません。明日の朝、私は旅を続けます!

神聖なアルマレクシアの朝の寓話Blessed Almalexia’s Fables for Morning

一番背の高いシュルームビートル

背の低さを不満に思っていたシュルームビートルが、大きなキノコのてっぺんまで登っていきました。ビートルはアッシュランドを見渡して叫びました。「どうだ!俺よりも背の高いシュルームビートルはいないぞ!見えないものなんて何もない!」

するとクリフ・レーサーが急降下してきて、ビートルを止まり木から引っ張りだしてしまいました。この獣は歯をいっぱいに見せてにやっと笑い、言いました。「地面に留まっていれば、俺はお前を見ることもなかっただろう。背が低くたって、死ぬよりはマシじゃないか?」

かわいそうなビートルは、本来の性質を捨てても身を滅ぼすだけだと学びましたが、遅すぎました。

***
2人のグアル飼いの物語

2人のグアル飼いが家畜を売ろうとして、市場で出会いました。2人のうち背の低い方は、もう1人を見て笑い、こう言ってからかいました。「市場にたった1頭のグアルしか連れてこなかったのか?私の群れを見なさい!10と20頭も連れてきた。大金持ちになるんだ!」

背の高いグアル飼いは頭を横に振りました。「あなたは10と20頭のグアルを持っているが、どれも痩せこけていて弱々しい。丈夫なのを1頭持っている方が、病気のグアルを100頭持つよりもいい」

背の低いグアル飼いは下品にくすくすと笑い、自分の獣たちを囲いの中に誘導する準備をしていました。すると、大きな灰の嵐がやってきて、市場はものすごい風と息の詰まる煙に襲われました。

そのうちに嵐は収まりました。背の高いグアル飼いと彼の大きくて強いグアルは無傷でしたが、背の低いグアル飼いのグアルたちはあちこちに吹き飛ばされ、1頭たりとも生き残ってはいませんでした。

「友よ、これでわかるだろう」と背の高いグアル飼いは言いました。「数は質の代わりにならないことが」

***
友達が欲しかったアリット

陽気なアリットがアッシュランド中を跳ね回り、「友達」と呼べるような獣はいないかと目を凝らしていました。しばらくすると、灰の穴の中で毛づくろいをしているニックスハウンドが現れました。アリットは大きく笑顔になり、「こんにちは!」と叫びました。ニックスハウンドはアリットの大きな歯を見て取り乱し、岩の下まで走って逃げてしまいました。アリットはため息をついて、そのまま跳ねていきました。

道の途中、ビートルの巣を掘り返しているヴァルドヴァークに出会いました。「やあ!」とアリットは叫び、笑顔でいっぱいになって、その大きく鋭い歯を見せました。ヴァルドヴァークは恐怖でキーキー声をあげて、茂みに走り去っていきました。アリットはまた悲しげなため息をつき、海辺へ向かってゆっくりと進んでいきました。

ようやく、アリットは砂の中で転がっているアッシュホッパーを見つけました。アリットは一番大きく元気のよい笑顔を作り、言いました。「こんにちは、アッシュホッパーさん!」アッシュホッパーは恐怖で後ろに飛びのき、全速力で逃げていきました。

アリットはすっかり挫けてしまいました。「このひどい歯がある限り、友達なんてできるわけがない!」アリットは怒ってシューと音をたてました。歯を全部なくしてしまう決意を固めたのです。アリットは大きな岩を口の中に入れ、思いきり噛みました。緩んだネジのように、歯が全部抜けてしまいました。アリットはため息をつきました。「これでもう、他の獣たちが怖がることもなくなった!」

すると大きなカゴーティが現れて、足を踏み鳴らして襲いかかろうとしてきました。アリットは唸り声をあげ、顎を思いきり開いて追い払おうとしましたが、カゴーティは笑いました。「馬鹿だな!歯が1本も残っていないじゃないか!」アリットが自分の過ちに気づいた時には遅すぎました。カゴーティは突進して、陽気な獣をひと息に飲み込んでしまいました。

そうなのです。自分の内にある嫌いなものが、とても大切なものであることは、よくあることなのです。

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ヴィベクと萎えた手の者

ヴィベク卿が道を歩いていると、ねじれてしぼんだ頭の者に出くわしました。「そこの若いの!」と彼は叫びました。「誓約者を助ける気はないか?」

ヴィベクは立ち止まり、ひたいにしわを寄せました。「どうしたのだ、老エルフ?」とヴィベクは尋ねました。
彼は手を挙げて答えました。「わしの萎えた手が見えんのかね?古い根っこみたいにねじ曲がっちまって、嵐が来るたびにひどく痛むのさ。こいつが醜いもんだから、女はわしに近寄ろうともせんし、子供は見ただけで逃げちまう。お慈悲を頼むよ!」

ヴィベクは少しの間、静かに立ちつくしていました。それから光り輝く剣を抜き、老エルフの手を一撃で切り落としてしまいました。彼は痛みで泣き叫び、戦詩人は傷口を手当てしました。

「そんなにわめかなくてもいい」とヴィベクは言いました。「私のしたことが最も親切な行いだったのがわからないのか?憐れみを買うために悪を持ち続けるよりも、きっぱりと別れてしまったほうがいい」

神聖なアルマレクシアの昼の寓話Blessed Almalexia’s Fables for Afternoon

カラスとネッチ

ある日、好奇心の強いカラスはこれまでよりも遠くへ飛ぶことにしました。カラスは飛びに飛び、ついにはとても奇妙に思える生物と出会いました。

「友よ!」その生物の脇を飛びながらカラスは呼びました。「友よ、あなたは何だ?あなたのような飛ぶ獣を見たためしがない!」

「ネッチと呼ばれている」、善きネッチが答えました。

「ネッチ!ネッチ!ずいぶん素敵だね!」カラスはびしっと言いました。「教えてネッチ、あなたはどうして飛べるの?」

「生まれた時からこの地を飛んでいる」ネッチが答えました。「どうしてかは知らない」

「知らない、知らない、これは見物だ!」カラスが叫びました。「飛ぶために役立つ、つやつやの羽はどこにあるの?」

「飛ぶために羽は必要ない」ネッチが説明しました。「だが、身を守る丈夫で厚い皮がある」

「毛皮!毛皮!めっけ物」カラスがばかにしました。「教えてネッチ、あなたの目はどこにあるの?」

「空を飛ぶのに目は必要ない。私を見れば明らかだろう」もう一度ネッチは答えました。

「空を飛ぶのに目がない、目がない!」高慢なカラスは続けて言いました。「でも、目のないあなたは、私よりずっと不細工!」。そしてカラスはネッチの不幸を笑い始めました

カラスの笑い声はますます大きくなり、やがて近くのクリフ・レーサーの注意を引きました。獣はカラスめがけて急降下し、丸ごと飲み込みました。カラスはもうネッチをバカにすることができませんでした。

ネッチはただ溜息をつき、言いました。「他者を笑いものにしても意味はない。自らの弱みは誰にも変えられないのだから」

***

贈り物のグアル

ある日、農民が娘に贈り物をすると決めました。家庭を持つ娘の幸運を祈ったのです。極上のグアルを選び、娘の新居に連れていきました

娘は贈り物を見て喜びましたが、夫は睨みつけるだけでした

「選ばせてもくれないのか?」夫は怒って聞きました。「このグアルが病気にかかっていたり、老いていたり、弱っていたらどうする?少なくとも世話をさせられる前に、調べなければ!」

娘は夫をなだめようとしましたが、農民はただうなずき、言いました。「思うままにグアルを調べればいい」

夫は隅々までグアルを調べました。力強いあごまで開けさせて、歯の並びを見たのです。

「まあ、これで我慢するか」夫はしぶしぶ認めましたが、そのグアルは確かに上等なものだと分かっていました。

農民は夫の顎を殴りました。「ああ、お前の言うとおりだ。望みのグアルを選べてしかるべきだな。地元の市場でたくさん売っているぞ」

義理の父がグアルを連れて家に帰ろうとする間、夫はただぽかんと口を開けていました。

妻は夫の腕を叩いて言いました。「バカ!もらったグアルのあら探しをしないで!」

***

評議員の子供

ある夏の日、鮮やかな正装をした評議員がたくさんの召使いを連れて市場を歩いていました。あまりにも華麗な装いだったために、人込みの中の小さなエルフが母に言いました。「評議員が僕のお母さんだったらよかったのに、お母さんの代わりにね!」

小さなエルフは、まさか評議員に聞かれているとは思わず、評議員が雑踏にいるエルフの方を向くとも思っていませんでした。

「あなたの願いは聞きましたよ、坊や。いいでしょう」評議員は、口を開けた小さなエルフに言いました。「私の子になるあなたには、すべての願いを叶えてあげます」

小さなエルフはすぐさま評議員の邸宅へと連れていかれ、おもちゃとお菓子のある部屋に入れられました。エルフは笑い、手を叩き、望むままに遊んで、食べました。しかし、間もなくそれにも飽きて、召使いと話をしにいきました。

「一人で遊んでてもつまらない」エルフは召使いに言いました。「誰か一緒に遊んでくれない?」

「評議員の子供は最上の身分です」召使いが言いました。「あなたと遊ぶためにふさわしい者はいません」

学者が部屋に入ってきて、小さなエルフは召使いの言葉を考える時間がほとんどありませんでした。学者は軽蔑した目で小さなエルフを見て言いました。「数時間も授業の開始が遅れていますよ!評議員の子供は、大切なことをたくさん知っておかねばなりません」

小さなエルフは学者の授業を何時間も聞かされました。そうして、これから知ることを考えると、頭が痛くなりました。

やがて夕食の時間になりましたが、小さなエルフの苦労は終わっていませんでした。

「その服で?その身なりで?」召使いが恐怖に叫びました。「評議員の子供として出るのなら、体を洗い、服を着なければなりません!」。そして小さなエルフはごしごし乱暴に洗われ、とても着心地の悪い服を着させられました。

この時点で小さなエルフは泣きだしそうでした。家や服、友達のことを恋しく思いました。しかし一番恋しく思ったのは、一日たりとも離れなかった母親でした。

小さなエルフがようやくダイニングホールに送られてくると、驚きとともに迎えられました。ダイニングテーブルで座っていたのは家族でした。皆が笑い、笑顔を浮かべています。エルフは母の腕に飛び込み、叫びました。「ごめんなさい、ごめんなさい!やっぱりお母さんがいい!」

テーブルの上席に座っていた評議員は微笑み、小さな子供に言いました。「とても大切な教訓を学びましたね、坊や。欲しいもののことだけを考えていると、今あるものへの感謝を忘れがちになるのです」

神聖なアルマレクシアの夜の寓話Blessed Almalexia’s Fables for Evening

ソーサ・シルと星々

若きソーサ・シルは苔の絨毯に寝転がって星々を見上げました。数学に対する愛に導かれ、彼の心は数を数え始めました。「すべての星を数えて、それぞれに名前を与えてやろう!」と彼は決心しました。何時間もの間、ソーサ・シルは数え、名前を付け続けていましたが、そのうちに目が疲れてしまい、眠りに入りました。

朝が来ると、ソーサ・シルははっとして目を覚まし、空を見上げました。しかし悲しいことに、星々は消えていました。彼は両手に顔を埋め、泣き出してしまいました。彼は厳しい教訓を学んだのです。そう、時間はあらゆる課題を制限してしまいます。

***
最強のニックス・オックス

大きなニックス・オックスが群れに向かって大声で言いました。「俺くらい主人を愛している者はお前らの中にはいないぞ!俺がどんな重荷を背負っているかわかるか?」

「でも、あんたは俺たちより倍も体が大きいじゃないか!」と小さいニックス・オックスたちは文句を言いました。「サルトリスを4俵運ぶほうが、苦労して6俵運んで、ケガをするよりいいよ」

「何言ってんだ!」と強いニックス・オックスは鼻を鳴らしました。「お前らが怖いのはきつい労働だろう、ケガなんかじゃない」。この大きな獣はくびきを手に持って、ゆっくりと畑へ出ていきました。

小さいニックス・オックスたちが柵のそばに集まって見ていると、力強い兄弟はサルトリスを2俵、そして4俵、そして6俵、8俵、10俵も持ちあげたのです!そして最後に、大きなニックス・オックスは12俵を担いでいました。「わかったか?」と彼は言いました。息が苦しそうでした。「俺くらい主人を愛している者はいないんだ!」

すると、このニックス・オックスの甲殻には重みでヒビが入ってしまいました。彼は痛そうなうめき声をあげ、俵の上に倒れ込んで… 潰されて死んでしまいました。

小さなニックス・オックスたちはため息をついて、頭を横に振りました。「馬鹿なやつだ。定命の者の力には限りがあると知るのが遅すぎた」

***
凍えたグアルの物語

ひとりぼっちのグアルが冷たい、月のない夜にアッシュランドを通り抜けようと苦労していました。風は刺すように冷たく激しく、グアルを骨まで冷やしてしまいました。「ああ!」とグアルは叫びました。「私はここで死ぬのだ。ひとりぼっちで凍死するのだ」

すると、グアルは遠くにかすかなオレンジ色の光を認めました。「キャンプファイアだろうか?」とグアルは希望を込めて吠えました。「そうに違いない!違いない!」

グアルは光に向かって走りました。1歩進むごとに足が暖かくなりました。すぐに冷気はなくなり、蒸し暑さが取って代わりました。空気は重たくじりじりとして、グアルの鼻と肺を焦がし始めました。それでも、グアルは急ぎ続け、吠えました。「キャンプファイアに違いない!そうだ!間違いない!」

ついにグアルはオレンジ色の光にたどり着きました。しかしそれはキャンプファイアではなく、大きな溶岩の流れだったのです。グアルはあまりにも熱気に引き寄せられていたので、そのことに注意を払いませんでした。グアルは溶岩の縁まで全力で走り、脆くなっていた石につまずきました。最後に喜びの吠え声を挙げ、獣は頭から燃え盛る液体に突っ込み、死んでしまいました。

そうです。愚か者が安全を求めることは、それ自体危険なことなのです。

***
最も美しいネッチ

ネッチの母がある時、自分の子に向かって言いました。「あなたはこの島々で一番美しいネッチの子よ。どんなブルもあなたには釣り合わないわ!」

このネッチの虚栄心は年を経るごとに大きくなっていきました。多くの立派なブルたちが愛を求めて近づいてきたのに、彼女はこう言って退けてしまいました。「私がこの島々で一番美しいネッチだということを知らないの?あんたたちなんかじゃ、私と釣り合わないんだから!」

長い年月が経ち、このネッチは年を取って疲れ果ててしまいました。「ああ、私はひとりぼっちで死ぬんだわ!」と彼女は叫びました。

若いネッチのカップルが通り過ぎ、彼女の悲惨な状態を見てため息をつきました。「私たちの子供は注意して育てなきゃ」とベティが言いました。「子供を誉め言葉で甘やかしても、ろくなことにならないわ」

酔っ払いの格言Drunken Aphorisms

ミダール・ネルビロ 著

幼いアリットに一塊の肉を与えれば、一時間は満足させられる。幼いアリットに自分で肉を探す方法を教えれば、お前は一週間で死ぬ。

ダークエルフは噴火口に似ている。灰色で怒りっぽく、赤い泥でいっぱいだ。

ニックスハウンドに不恰好だと言うな。シロディール語を話さないから、お前の言うことが分からない。時間の無駄だ。

旅に値する唯一の道は、溶岩でできていない道だ。

テーブルを用意する時には、常に友人のグラスを出しておけ。もし友人が現れなければ、一気に二杯飲める。

富豪になるのは良いことだが、大富豪になることは更に良いことだ。

誰かを殺したければ、ダンマーのナイフを使え。バターを塗りたくても、ダンマーのナイフを使え。ダークエルフは見事なナイフを作る。

最も背の高いキノコより背の高いキノコはない。

俺がグアルだとして、誰かが乗ろうとしたら、振り落すだろう!その後、人間に戻してくれる魔女を探そうとする。

人生とはクリフ・レーサーのようなものだ。飛び去って行き、悪臭を放つ。

どうしてお前はそんなに飲むのかと聞かれたら、最近、妻を失ったと答えておけ。どうやってと聞かれたら、妻がワインボトルの中に転がり落ち、俺が探しているところだと答えろ。

二頭のグアルを一度に追うエルフは、極度に疲労する。恐らくグアルを飼わない方が良いだろう。

人生に酸っぱいイチジクを出された時は、とにかくすぐに食ってしまえ。それが人生の味だ。

グアルに踊りを教えることはできるが、間抜け面は変わらない。

賢いエルフは決してテルヴァンニの魔術師に背を向けない… その背後に、別のテルヴァンニの魔術師がいない限り。その場合は物事がおかしくなる。

トリビュナルの馬鹿さ加減を語るな。待て、俺の話を書き記してるのか?

カジートは最高の妻になる。たくさん飲み、たくさん寝て、あまり長く生きない。

片目のオークの忍耐力を試すな。結末は決まっている。

トリビュナルに雨を乞うと、洪水になる。便秘のダークエルフが祈らないのはそのためだ。

もしアルマレクシアに跳べと言われたら、跳べ。もしソーサ・シルに跳べと言われたら、跳ぶな。ソーサ・シルは誰にも指図をしない。もしヴィベクに跳べと言われたら、少し考えろ。多分彼は、3本足の馬か何かを塗ってほしいと思っているのだろう。

ブルである日もあれば、ベティである日もある。しかしいずれにせよ、お前が巨大な触手の怪物であることに変わりはない。

俺はマッドクラブが大好きだ。本当に美味いし、何を考えてるか言ってこない。

一人で飲むのは友人との飲みと変わらない。ただ人が少ないだけだ。

崇拝されし三十家の墳墓Ancestral Tombs of the Thirty Revered Families

– アンダス家の墳墓
– アラン家の墳墓
– アラーノ家の墳墓
– アレニム家の墳墓
– ファヴェル家の墳墓
– ジニス家の墳墓
– フレラン家の墳墓
– フラーヴュ家の墳墓
– イエネス家の墳墓
– ルレラン家の墳墓
– マレン家の墳墓
– ネラノ家の墳墓
– ノルヴァン家の墳墓
– オスレラス家の墳墓 X
– ラヴィロ家の墳墓
– レダス家の墳墓
– レレス家の墳墓
– レサンダス家の墳墓
– サドリオン家の墳墓
– サロサン家の墳墓
– サラノ家の墳墓
– セラン家の墳墓
– セラノ家の墳墓
– テルヴァイン家の墳墓
– サリス家の墳墓
– セラス家の墳墓
– ウヴェラン家の墳墓
– ヴェラス家の墳墓
– ヴェレルニム家の墳墓
– ヴェニム家の墳墓

墳墓から全ての拓本が集められた時、失われたアンドゥルの蔵書庫の居場所が明らかになるだろう。ヴィベクの蔵書庫へ戻ってくれば、発見の最終段階が始まる。

—司書ブレイディン

生き神への理解Understanding the Living Gods

親愛なる嵐の胸のヴィグリ従士へ

ノルド文化交流の栄誉あるリーダーである私、向こう見ずなリガートが、要請に応えてウィンドヘルムにいるあなたへの報告を書いています。指示された通り、モロウウィンドの小さなダークエルフの研究と、情報交換を続けます(あなたがなぜ到着したばかりのリガートを送り出したのか完全には理解できませんが、この任務は極めて重要なのでしょう)。ヴァーデンフェルに足を踏み入れた瞬間から、リガートはこの任務が楽しみになりました!同盟国と文化交流をして互いのことを学ぶのは、暑い日に冷えたハチミツ酒を飲むことに勝るかもしれません。かもです。今回はトリビュナル、いわゆるダークエルフの生き神について学ぶために来ました。リガートは驚嘆のあまり鳥肌が立っています!

さて、私たちの正しく適切なスカイリムの神、祈りには耳を傾けるがノルドの問題には干渉しない神と違い、ダークエルフの神は実際に人々に交ざって歩き回り、スカルド王がウィンドヘルム中を練り歩くかのように(悪意はありません、スカルド王!)支配しています。モロウウィンドの神王は様々な呼ばれ方をしているようですが、最も一般的な呼称は「王と母と魔術師」のようです。リガートはこのことを知っているダークエルフたちと会話をしようと何時間も費やしましたが、彼らの話は私の頭を混乱させるだけでした。トリビュナルの神々について分かったのは以下の通りです。あなたなら私よりも理解できるかもしれません。

三大神のうち最も人気があるのは、少なくともヴァーデンフェルにおいては戦詩人のヴィベクです。コーナークラブでは彼を称える歌が歌われ、屋上からは彼の勝利が叫ばれます。どこへ行っても、信者のいるおおよその方向に笑顔を向けただけで、彼の教訓や説話が書かれたパンフレットを押し付けられるのです!ヴィベク卿はモロウウィンドの主と呼ばれています。彼の詩を読もうとしましたが、目が痛くなっただけでした。偉大なフョッキのように面白くもなければみだらでもなく、ダークエルフの文化に浸り込んだ者でないと理解できない比喩ばかりです。実際のところ、ダークエルフに詳しい私でさえも、特に難解な概念が理解できませんでした。彼は信仰、家族、主人、そしてあらゆる良きことに対する務めを説いています。最近では念願のエボンハート・パクト成立につながった侵略を含め、少なくとも2度のアカヴィリの侵略を撃退することを手伝うなど、数々の場面で人々を救いました。彼はダークエルフが「善のデイドラ」と呼ぶ、デイドラのメファーラと何らかのつながりがあるそうです。しかし闇の顔もあります。肉欲的な考えや残忍な意図に異常なほど引きつけられているという話を聞いたのです。つまり、他の小さなダークエルフと大して変わらないようですね?彼はここ、都合よく彼自身と同じ名前を持つヴィベク・シティにある、壮大な宮殿に住んでいます。彼の側で数分過ごしましたが、その変わった外見を凝視せずにはいられませんでした。それから、部屋の中では浮かんでいることが多かったと思います。定命の者に劣等感を抱かせる策略としては、驚くほど効果的でした。とはいえ、あれほど印象深い重要人物と貴重な時間を過ごせたのは素晴らしい経験でした。

次に、モロウウィンドの母と呼ばれているアルマレクシアについて、できる限りのことを解明しようとしました。ただ、彼女は実はモーンホールドにある聖堂に住んでいるそうで、ダークエルフの治癒師と教師の守護者とは顔を合わせられませんでした。正直なところ、とても失望しました。女神である彼女は、ヘラジカの枝角のような存在だと聞いていたのですから!さらにダークエルフ文化の特長と決意を体現しているとも言われていて、それならば私の得意分野でした。ある司祭は、彼女は貧民と弱者を守り、その知恵で様々な状況においてダンマーを導いていると話していました。コーナークラブにいた酔っぱらいのダークエルフは、彼女は少し面白みに欠けると漏らしましたが、どういう意味か聞く間もなく、オーディネーターに引きずられていってしまいました。残念です。

3人いる神王の中で最も謎に包まれているのはソーサ・シルで、モロウウィンドの謎、そして不可思議なる魔術師としても知られています(司祭はそう呼んでいたと思います。メモをなくしたので、最後の箇所についてはハチミツ酒を飲みながら記憶を頼りに書いているのです)。噂話はたくさんありますが、私が探した限りでは誰もが、長い間ソーサ・シルを見ていません。聞き回って集めた内容から分かったのは、ソーサ・シルは発明家と魔術師の保護者であり、多くの者、特にダークエルフは、彼が地上で最も強力なマジカ使いだと考えています。ソーサ・シルが世界の内側の仕組みを研究するために作り上げた、クロックワークの歯車の街があるというすごい話まで聞きました。それもたかが小さなマンモスの大きさだと言うのです!最後の兎ミートボールを手放しても見たいものです!彼はさらに、多数のデイドラ公とある種の協定を結ぶことに貢献したとされていますが、その噂話は深追いしないことにしました。フョッキの言うとおり、凝視する愚か者はデイドラの目に留まるものです。リガートはそこまでバカなことをするほど愚かではありません!(ヴィグリ従士、今、あきれ顔をしましたか?したんでしょう)。

ダンマーの3人の生き神はトリビュナル聖堂に力を与え、全てのダークエルフの意思と規律を体現しています。まあ、ヴィベク、アルマレクシア、ソーサ・シルにひざまずくことを拒むアッシュランダーは例外ですが。家庭内の喧嘩の一種でしょうか。ここにいる間に、調べてみます。

ノルド文化交流特使、向こう見ずなリガート

誓いを立てし者:よそ者の勃興 第1巻Oath-Bound: An Outlander’s Rise Vol. 1

赤のハセイド 著

剣を最初に試した時のことは良く覚えている。8歳で、剣の扱いに慣れていなかった。暗く尖ったものを死にかけて倒れていたダークエルフの手から取った。彼は目を開けようとして、拳は固く握られていた。剣が手から離れた時、彼の口から聞こえた呪いは理解できなかった。自分の背と同じほど高く、持ち上げるのに苦労した。直前までそれを喉元に突き付けていた、奴隷商人との格闘よりも。

彼は抵抗されたことに驚いていた。奴隷商人は皆そうだ。我々3人は取るに足らない存在で、簡素な小船に乗っていた。ちょっとした船を奪った、武装した悪漢1ダースにとって簡単な獲物だった。もしくはそう考えられていた。父と母は職業柄戦士ではなかったが、先人の剣術を受け継いでいた。その伝統は誇りに思っていたが、そこまで子供の頃に受け継いではいなかった。その日まで、私は流木で両親とスパーリングを行った経験しかなかった。自分を試したかったのか、両親の命を心配したのかは分からないが、私は剣を手にした。持ち上げられないことは気にせず、無知による自身を胸に戦いへと飛び込んだ。波に浮かぶ流木のように、私は切り合いに飲み込まれた。誰にも気にされず、足元に転がって。

最初の血は、振るというよりよろめくような一撃で流した。醜いダークエルフの剣を近くの奴隷商人に突き刺したのだ。背中から真っ直ぐ突き刺し、背骨を流木のように引き裂いた。彼の身体からはすぐに力が抜け、小船の縁に転がったため、危うく船外に転落するところだった。剣が抜けた時は、時間が止まったように感じられた。剣は敵の血に濡れ、大蜘蛛の牙のように光っていた。暗い色の金属には血の赤が染みついていた。恐ろしい武器から目を離すと、甲板の反対側に母の視線を感じた。彼女の顔に浮かんだのは、誇りと後悔だった。できればその瞬間をずっと味わっていたかったが、犠牲者の死体が海に落ちた衝撃が私を空想から呼び起こしてくれた。自分の攻撃は、気付かれずにはすまなかったのだ。

自分は勇敢だと思っていたが、奇襲できない状態で悪しき奴隷商人の二人組と対面した時、私の決意は崩れた。箱の後ろに隠れて剣から離れ、ぎこちなく剣を振って彼らを面白がらせた。泣きわめく子牛のように両親を呼んだ。最大の後悔はその時恐怖に屈した子供だったことではなく、自分が戦士だと思った愚か者だったことだった。自分の軽率な行動の代償を払うのは、自分ではなかった。

母と父は見事に戦った。彼らは私のところにまでたどり着いたのだ。両親が傷と疲労に倒れるまで、船に乗り込んだ奴隷商人は半減していた。私を捕まえた相手はこの喪失が私から戦う力を奪ったと考えたようだった。怒りの涙を恐怖の涙と見間違えたのだ。私を苦しめた二人組の1人が足を掴もうとした時、私は予想外の力を見せて彼女の顔を真っ二つにした。不浄な怪物のように叫び声を挙げ、適当に振った剣と予測不能な怒りで、残った3人の奴隷商人を寄せ付けなかった。

レドラン家の兵士が我々を見つけたのはその時だった。彼らの巡回部隊が、私から平和と子供時代を奪った怪物たちを倒すために現れたのだ。怒りと疲労に我を忘れていた私には、灰に塗れた奴隷商人と救い主たちの違いが分からなかった。レドラン家の隊長は無謀な攻撃を篭手で簡単に受け止め、甲板に引き倒した。

「立て、坊や」。彼は同情も慈悲も見せずに吠えた。「もう一回やって見ろ」

走り書きされたメモScribbled Note

全部明かりをつけてみた。全部明かりを消してみた。他に何が残ってる?

マッドプリンスは、「数字?数字は怠け者が使うものだ。とにかく私に目をよこせ。もしくは道化師だ。目のない道化師でもいい。それで思い出した、道化師を全員殺すんだ。奴らの骨をよこせ」と言っている。

骨!骨、骨、骨。頭蓋骨も骨じゃないか?

「頭蓋骨の一家が”ごきげんいかが?”と尋ねる。
2は大声で”私達は1だ!”と言い、3は”私達は2だ!”と叫ぶ。
5が”3″をにらみつけている間、6は”4″を笑う。
それらを全部焼けば、マッドプリンスの扉は開かれん」

全部焼こうとしたんだ!自分を燃やそうとしたんだ!あれは痛い。二度とやるべきじゃない。だが私には頭蓋骨があるだろう?あと1回だけやってみよう。小さな焚き火を作れば、掛け金が「カチッ」と開くはずだ!今行きます、我が主よ!チーズの盛り合わせの席に、私の居場所を用意してください!

存在の拡張On Extending Existence

第七位の魔術師にして驚異の発明家、バリルザー 著

大いなる歯車はあらゆる存在に対して、我々の自然な時計仕掛けの機構が摩耗して力尽きるまでの、決まった回数の回転運動、決まった回数の針の動きを与えている。これは黄昏が夜明けに座を譲ることと同様に不可避だが、だからといって我々が受け入れねばならぬわけではない。それに私はまだ達成すべき多くの仕事を抱えている。一日の時間は十分ではない。生涯の時間となればなおさらだ!この状況は、私にはまったく受け入れがたい。

私の教育は古代の術から始まったが、ソーサ・シルの教えを受けるようになってから、私はより科学的で機械的な性質の探求へと向かうようになった。そうした技術をこの問題に適用してみたが、これまでのところコグや歯車、仕掛けなどは何の目立つ成果も挙げられないでいる。ガジェットや装置は驚くべきことをなしうるが、有意義な方法で寿命を延長する、適切かつ有効な機構は現在まで発見できていない。このために、私は自分のルーツであるアルケインに戻り、発明で失敗したことが魔法ならば達成できるかどうか、探求する必要がある。

より機械的な探究に集中していたとはいえ、私の魔法は衰えていない。確かに我が師がそうしたように、私は普段、自分が発明した機械の効力を向上させるために魔法を使っている。だが我が生の延長を可能にするためには、多様な魔法を使うことが必要だと思う。トリビュナル以外の者たち(私自身も含む)にも、社会の改良に貢献するため、一度以上の人生が必要な人々がいる。彼らだけが不死であるべき理由があるだろうか?

さて、「闇」と名づけられた魔法の術を見下す者もいるが、知識と技術は頭ごなしに否定されるべきではない。どんな道具にも使い道があり、どんな仕事にも道具が要る。謎の父がいつも言っていたとおりだ。だから次なる我が冒険は、暗黒の技を極め、自然な寿命を拡張する秘密を発見することになるだろう。もし歯車が正しく合えば、真の不死への道を発見することさえできるかもしれない。

さて、砂時計と、助手にファレドラン家の墳墓から持ってこさせた遺物はどこにやったかな?

堕ちた捜査官の日記Journal of a Fallen Officer

元捜査官、ファルラ・ウヴェレス 著

うまくいった

厳しい選択をした後や、大変な任務を終えた後は、自分にこう言い聞かせた。教科書通りにはいかなかったかも知れないけれど、行った試しなんかなかった。初めはささいなことだった。週末には忘れていそうなことだった。巧妙な賄賂、上司の知る由もない約束。私は堕ち続けていた。毎夜この文句を自分に言い聞かせるまでは。うまくいったのよ。

実際、私の任務に誰が口を挟めるというのだろう?レドラン家の麻薬宣誓局は、ヴァーデンフェルの善き側で有数の組織だった。これ以上に高潔なところはなかった。私たちはヴァーデンフェルを浄化していた。次々に逮捕した。潜入任務をこなしていた者は、危険なことを承知していた。上司の気に入る結果を出せば、口を挟まれることが少なくなると知っていた。それが最初の過ちだったのかも知れない。誰にも見られていないと思っていた。

私の潜入していたスクゥーママフィアは最重要案件だった。スクゥーマは幻覚を引き起こす厄介な薬だ。中毒性があり、きわめて有害で、安価。その薬は見事に三点が揃っていた。ヴァーデンフェルの地でムーンシュガーの栽培と販売が禁じられているには、妥当な理由がある。危険な案件のため、最も優秀な捜査官が派遣された。当時、たまたまそれは私だった。

捜査官がスクゥーママフィアに潜入する際には、期待と現実が乖離している。避けられない習慣もある。賄賂は日常のことで、恐喝も同じことだ。任務を受ける際に拷問のことを語る者はいないが、拷問は行われている。簡単な事務作業を行えば、殺害も認められる。売人のことを嘆く人なんていないでしょう?こういうことには、すべて慣れるようになる。問題は、やがて身を蝕まれることだ。

当然、薬を使わない者や、時々しか使わない者を仲間に加えるスクゥーママフィアはごくわずかだ。パイプを勧められて、断ること以上に危険なことはない。私の職務に至っては、ほんの些細な疑いも暗い路地で人知れず殺されることに繋がりかねない。

その案件自体は問題なく進んだ。いつものように潜入を行い、幹部の信頼を得た。ボスの素性を掴み、麻薬の流入経路も判明した。3ヶ月も経たないうちに事件は解決した。他の捜査官よりも早く解決してみせた。ただ、十分早くはなかった。

告白すると、私は中毒に陥っていた。引っかけないかゆみ、頭からどうしても離れない思考。禁断症状を和らげると考えた私は、飲酒を始めた。しかし、酒は自分の決意を無にするだけで、気が付くと私は売人を探していた。任務とはまったく異なる目的で。

しばらくは平気だった。使用量を抑え、常用癖を周りに悟られないようにした。それもすべてが瓦解した。別の捜査官に連行されてきた売人が、喜々として口を割った瞬間に。驚くことではない。中毒になっても頭の回転は良くならないということか。

階級を剥奪されたものの、服役させられなかったのは幸運だと言われた。けれど私は、口を閉ざして侮辱に耐え、不名誉に甘んずることはなかった。頭を使えない自分に価値はない。自らの行いを正し、身を清めた私には、新たな任務がある。これが最後の務めだとしても。手段を選ばず、名誉を取り戻す。

待機の扉The Waiting Door

カノン・ニレノ・ニルスの覚え書きより

子供の頃、私は何としても待機の扉には近寄らないようにしていた。金持ちとは言えない家だったので、家族の祠は本当にただの小さな棚だった。母が月耀の夕方になるたび、歌いながら祠を磨いていたのを覚えている。だが歌や楽しい交流にもかかわらず、あの空間には何か、私をぞっとさせるものがあった。ロウソクの明かりで暗い地下室へ降りていくような、あるいは悪夢から突然目覚めるような感触が。

両親は待機の扉の敷居に大量の遺物を保管していたが、一番よく覚えているのは、よく磨かれたルアーだ。祖父は釣り人だった。職業ではなく、趣味としてだ。彼は夜が明けるずっと前に目を覚まし、ハイラン湖の中央部へと漕ぎ出したものだ。一日の仕事を始める前に、ベラを数匹釣ろうと意気込んでいた。

降霜の月上旬のあるさわやかな朝、私はパイプの煙の匂いで熟睡から目を覚ました。父が水たばこの火を消し忘れたのではないかと思って、私は起き出して居間へ向かい、火を見つけてもみ消そうとした。大いに驚いたことに、サイドテーブルの上に置かれたパイプは、川の石のように冷たかった。それでも芳香が残っていたのだ。私は匂いを追って隅を探しまわり、広間へ降りて、ついに待機の扉にたどり着いた。いつも感じていた恐怖が、喉元にまで駆け上がってきた。だがそこに祖父のルアーを見つけたことで、私は深く安堵した。できる限り忍び足で棚のところまで行き、ルアーを手に取った。それはもちろん完全なタブーだったが、子供心にこれが正しいことだとわかっていた。

寝巻を着替えることなく、私は裏口の扉からこっそりと出て、叔父のボートに飛び乗った。私は船を漕いで祖父のお気に入りだった場所へ行き、ルアーに糸を結びつけて湖に放った。水が磨かれた鏡のようだったこと、映りこんだ月が穏やかに水の上を滑っていたため、波が一つ立っただけでも冒涜のように感じたことを覚えている。

1時間の沈黙の後、獲物がかかった。巨大なやつだ。乗り出した私の両腕は永遠とも思える間、魚に引っ張られ続けた。最後には、魚を釣り上げた。祖父が昔釣っていた、大きなファイアベラだった。船を漕いで家に帰る間、私の胸は誇らしさにふくらんでいた。この頃には太陽が昇り始め、コヒョウグアルたちが小屋を揺らしていた。私は魚を皮はぎ台の上に置き、手柄話をするために両親の部屋へ向かい始めた。だが最後の瞬間になって、私は躊躇した。肩越しに振りかえって待機の扉と、祖父のルアーが供えられていた何もない部分を見た。私はルアーをポケットから出し、口づけをしてから、元どおり棚に戻した。

その瞬間、私は祖父の顔を見た。そして先人たちの顔も。その時以来、私はもう恐れなくなった。

痛みを和らげる紅茶とハーブティーTeas and Tisanes for Aches and Pains

アルマの骨修復ブレンド

この爽やかなペコ茶の起源は、第二紀初頭のはるか以前まで遡ります。おそらく材料が希少であるという理由で、世にはほとんど知られていない処方です。かつては豊富だったツムジャ草は、ゾウムシの餌食となってしまいました。その希少性にもかからわず、ツムジャ草はエルスウェアのトパル海岸沿いで専門業者より購入が可能です。地元の材料が混ざったこの芳醇ブレンドは、痛みを大きく軽減させ、骨の損傷期間を短縮させます。

材料:
ろ過水 6カップ
骨の粉 大さじ5杯
炎の塩鉱石 1つまみ
粒状ムーンシュガー 半カップ
細かく刻んだ刈り込みコルクバルブ 2束
柳の葯の蒸留液 2カップ
ツムジャペコの匂い麻袋 6袋

解説:
完全に洗浄した鉢に水を注ぐ。コルクバルブと炎の塩鉱石を加える。水を沸騰させたら、火から外す。ツムジャの匂い袋をお湯に加え、7分間浸す。匂い袋を出して、細かく刻んだコルクバルブを濾す。

別の鉢で柳の葯の蒸留液と骨の粉をなめらかになるまで混ぜる。骨の粉の溶液とムーンシュガーを熱いままの茶に加え、骨の粉の溶液とムーンシュガーが完全に溶けるまでかき混ぜる。最良の効果を得るには、温かい状態で飲むこと。

薬味入りカワハギ煮

私の独自レシピによる辛めのブレンド。この茶はイボ、ニキビ、体の病変、発疹、虫刺され、火傷など、あらゆる種類の皮膚病を治します。一部の材料は収集に若干の危険が伴うため、経験の少ない錬金術師は避けるべきでしょう。信頼できる業者を探すか、熟練の冒険家に協力を仰いで下さい。

材料:
神聖水 8カップ
炎の塩鉱石 スプーン2杯
完全に絞ったデイドラの心臓 1つ
スクリブのゼリー 2カップ
すりおろしたグアルの皮 2カップ
ロルムの砕き黒ペコの麻袋 6袋

解説:
水をガラス鉢に注ぎ、沸騰させる。炎の塩鉱石を加える。

大きなすり鉢で同じ割合のスクリブのゼリーとグアルの皮を混ぜ合わせる。注意:同じ割合を測る際、細心の注意を払うこと。いずれの材料の過多も、激しい燃焼につながる。その上でデイドラの心臓を絞り、肉は適切に付呪を施した容器に捨てる。

ロルムの袋をお湯に加え、ちょうど8分浸す。デイドラのジェリーペーストを素早く茶に入れて混ぜ、1時間馴染ませる。最良の結果を得るには、再加熱すること。

典礼衣装の案内A Guide to Liturgical Vestments

ハイオーディネーター、ヴェルメシス 著

オーディネーターの全行動は、トリビュナルの神性を表わさねばなりません。あらゆる思考、言葉、振舞い、どのような些細なことでも、三大神に栄光を与えなくてはなりません。外見も同じく、アルムシヴィに名誉をもたらさなくてはなりません。この案内を見れば、典礼衣装について分かるでしょう。

装着の前に、オーディネーターはレッドマウンテンの聖なる温泉のミネラルウォーターと火山の軽石を使い、十分に身体を洗わなくてはなりません。この所作には深淵な精神的意義があります。身体を洗う際、オーディネーターは魂も洗うのです。トリビュナルの法を無慈悲に適用する際に妨げとなるかもしれない、残った罪と消えない疑念を取り除きましょう。

洗い終わったら、適切に装着を始められます。

オーディネーターは藍に染められ、真鍮のピンで留められた小さな三角形の亜麻布、ラシスから装着を始めます。ラシスは黄金の「アンダーベルト」、アーニスでさらに固定され、真鍮のピンを用いて留められます。アルムシヴィの娘は、胸を支えるために仕立てられた2つ目の衣服、アルラシスの着用も許されています。

ラシスとアルラシスを固定したら、オーディネーターは「2番目の衣服」ルラナノールに移れます。この長いシャツは、日の出前に聖なるミネラルウォーターで洗い、熱い石で3回プレスしなければなりません。ルラナノールを着用する際、オーディネーターは三大美徳の連祷も暗唱しなければなりません。オーディネーターがシャツを完全に着る前に連祷を終わらせてしまったら、装着の次の段階へ進む前に、もう2回連祷を繰り返さなくてはなりません。

オーディネーターのパンツ、すなわちフェラサニは装着前に洗い、3回プレスしなければなりません。オーディネーターは左足からこのスラックスを着るべきであり、ノサと呼ばれる青いロープのようなベルトで締めなくてはなりません。上靴も同じように左足から履き、黄金のリボンで縛られなければならないのです。

最後に、オーディネーターは深紅色の羊毛のストール、すなわちデュレソを首と肩回りに3回巻き、三角形の黄金の聖骨箱の留め具、ネレヴィソで留めなくてはなりません。これにて最初の装着、ルラナスロラニは終わり、オーディネーターは鎧を着用する用意が整います。

聖なる鎧を着る前にオーディネーターは祈りの第四十六賛歌を暗唱し、加護を受けるためにダンマー社会の戦士と守り手の守護者、聖ネレヴァル隊長に懇願しなければなりません。ネレヴァルの祝福を受けた後、オーディネーターは鎧の検査を始めます。

三位一体の信仰の鎧に刻み目、凹み、染み、錆び、その他の美的な不完全さがあってはなりません。小さな欠点でさえ、聖なるアルムシヴィへの侮辱となります。不完全な鎧をまとう姿を見られたオーディネーターには、厳しい処罰が下されるでしょう。

磨きは完全に均一にされること、ただし派手ではいけません。キチンの肌着は油を塗った布でこすり、経年劣化と損傷を防ぐために収縮させなければなりません。さらにオーディネーターは全ての関節部に油を差し、全ての革に固くブラシをかけ、クワマーワックスの鎧用仕上げのりをたっぷりと使うこと。この時点でオーディネーターは、鎧合わせの準備の合図を、見習いに送るべきです。

見習いはサバトンとグリーヴから始める(左から始める)一方、巡礼の擁護者である、聖リルムズへの祈りを暗唱します。この短い祈祷が終わり次第、見習いは腿当てに進み、労働者の擁護者である、聖メリスへの別の祈りを暗唱します。この時点で、オーディネーターはブレストプレートを聖なるミネラルオイルで清め、見習いに手渡す前に、祝福を受けし聖ネレヴァルへの別の祈りを暗唱します。胸当てを締めた後、見習いは肩当てと肘当てに移り、悔悟者聖アラロロールへの別の祈祷を暗唱します。ポールドロンを締めて結んだ後、見習いはオーディネーターに手袋をはめること。左の篭手から始めて、その最中は賢者聖デリンへの祈りを暗唱します。最後に見習いは青い祈祷者のストール、すなわちレセレスを戦士の肩に掛け、勇敢な聖フェルムスへの最後の祈りを暗唱します。これが完了したら、助手は装着後の祈りのため、教会へ赴くことを許されます。

最後の鎧の準備はオーディネーター自身に任されます。左手を使い、オーディネーターはビターグリーンのガラス留めを右のポールドロンの下に押し込みます。右手を使い、オーディネーターはトリビュナルの印を胸になぞります。3回歯ぎしりをして、シーッと言い、三位一体の各点でトリビュナルの憤怒を召喚すること。これにより信仰の火口に火が灯され、オーディネーターは忠誠の黄金の仮面をミネラルオイルで清め、自身を清めるように額を兜に押し当て、その後、兜を装着します。これでオーディネーターはいかなる武器も、それが完全に浄められ、使用前に3回祝福されている限り、装着できるようになりました。

この時点でオーディネーターのあらゆる行動は神の命で守られています。仮面を被る限り、オーディネーターは三大神の完璧な手とみなされ、真の信仰を守るのに必要だと思われる戦いの行為は、すべて承認されます。アルマレクシアの守り手や騎士団の他の専門家は、追って装着する衣装があるかもしれません。しかしこのように装着した三大神のしもべは、完全なるオーディネーターとみなされます。

この案内を取っておき、常に熱心な祈りを捧げなさい。さすればあなたはアルムシヴィに、栄光のみをもたらすでしょう。

三大神に勝利を

転生者アドゥリの巻物Incarnate Aduri’s Scroll

私の台頭と没落はどちらも、愚かしい戦争を好んだことによるものであり、それが私を破滅させました。ネレヴァリンとなる資格を持つはずはなかったのです。

預言を実現するため、私は血と戦争の道を進みました。しかし結局何の成果ももたらさず、高みから突き落とされてしまった。戦争は何も解決しません。

転生者ダナートの巻物Incarnate Danaat’s Scroll

我が悲しき物語が教えるのは、賢明な助言を拒否する者が、決してネレヴァリンにはなれぬということだ。

ネレヴァリンには主張するだけでなく、聞くことも必要だ。私は賢明な助言を受け入れることを拒否し、我が部族の破滅、ネレヴァルの霊魂を蘇らせる道の終わりへとつながった。

私には誰よりも知識があると思ったが、何も知らなかった。それはネレヴァリンの道ではない。

転生者ランソの巻物Incarnate Ranso’s Scroll

我が物語は、制御されぬ力の嘘の話だ。

私は自分がネレヴァルの生まれ変わりだと思った。ヴァーデンフェルで最も力のある、最強の戦士だったからだ。だが力だけで、我が民を救うことなどできぬ。結局は、自身さえも救えなかった。

戦士として、アシュカーンとして、私は同じ世代で最も強大だった。だが我が力のため、私は民の期待を裏切った。私はネレヴァリンではなかった。

発見への「招待」An “Invitation” to Discovery

奴隷たちよ、ごきげんよう!

視野の狭いテルヴァンニの仲間とは違い、私は強制労働の真の価値を理解している。心配はいらない。私は諸君に洞窟の床の卵を掃除するような、そこらの作業員がやるようなことをやらせはしない。それは他の、より才能の劣る作業員に任せればいい!いいや、枷をはめられた友よ。基本的な理性と、話す木への興味をわずかにでも示したことで、諸君は魔法実践の栄光ある未来において、テルヴァンニを手助けする権利を獲得した!自らを探検家と心得るがいい。秘密の新発見の最先端をゆく探検家だ!この活動は信じがたいほど危険だということは言っておかなければならないが、奴隷ゆえに諸君の異議が何の意味も持たないという事実に慰めを見出すがいい。選択の重圧は取り除かれたのだ。おめでとう!

我らが最初の実験は、高度に腐食性の菌を皮膚に塗ることだ。心配はいらない。そこらの無教養な魔術師がするように、鱗へたっぷりと塗りつけるような真似はしない。我々は菌を強力な安定剤と混ぜ合わせることで、使用者のスタミナを大きく増大させると共に、熱への耐性を向上させる可能性を実現した!確率的には(ごくわずかだが)、少量用いただけでも肺が自然発火することがありうるが、私としては諸君の奇妙な爬虫類の生態が、影響に耐えてくれることを期待している(諸君に肺があるというのは推測だ。次に機会があったら、アルゴニアンの胸部の穴の徹底的研究をすることを忘れないようにしなくては)。志願者は鞭打ちの回数減少と、監督官が諸君に食わせている何だか知らない灰色のスライムの追加によって、たっぷりと報われるだろう。

諸君の一部は運が良ければ見られるかもしれない未来のために、乾杯!

心を込めて
テルヴァンニの誓約者バイラー・サレン

評議会の招集Council Meeting Summons

レドラン評議会員へ

次回の評議会は、バルモラのすぐ外に位置するランドン領事館で開かれる。議題には各領地情勢、財政の最新情報、名家の取引関係、未解決問題の提示、今後追加する議題の提案が含まれる。

提出と再検討のため、関連する記録はすべて持参すること。

メリアス上級評議員

碧水晶の価値The Worth of Glass

ラレス・ヘラドレン 著

今日は他のオークよりもずっと会話しやすいオークに会った。オークの美点を言うとするなら(あまりないが)、人付き合いを好まないことだ。彼らは自分の居場所を知り、身内の外にいる者はダークエルフと同じように疑う。悪くない。それが生き残る方法だ。

私は常に他の種族よりも優秀だと気づいているが、会話では上に立たない。旅行者の仲間と再び会うことがあったとすると、その方がずっと好印象を持たれやすい。我が仲間のダークエルフの多くは、笑顔の見せ時を知っていればずっとうまくやれる。特に乳離れしない赤ん坊のように、街にしがみつく同胞は。

この特筆すべきオークは、私の隣に座った時にモルブロググと自己紹介した。その夜のコーナークラブはいつになく混んでいて、私はいつもの一人用テーブルを維持できなかった。それでも私は微笑んだ。どこかよそで食事を取りたいという衝動と戦い、彼の体臭に対して息を止めた。行き先を尋ねさえした。

彼は行き先が決まっておらず、ただ安定した賃金を求めているとあっさり認めた。その技はオークによくあることだが、力に限られていた。私は鉱山労働か石切り場の仕事を勧めた。彼の種族がしばしば優秀なことに気づいていた。彼は私の提案を受け入れることを躊躇し、代わりに戦士としての腕があるようだと語った。私はうなずきその点を認めたが、ヴァーデンフェルにいる間に傭兵の仕事が見つかる可能性は低く、結局肉体労働をするだろうと言うこともわかっていた。

この時、モルブロググは私の鎧を指差した。私は会話をしながら、彼が熱心に見ていることには気づいていた。彼の目はほとんどギラギラしていた。そう。私は自分の鎧を適切に手入れしていることに誇りを持っているが、彼はこんな状態のものを一度も見たことがないのだろうと思っていた。思った通り、彼はまもなく鎧の素材を尋ねてきた。私はため息を引っ込めて話してやった。

「碧水晶?」彼は鼻を抑えながら尋ね、頭を掻いた。「何だって、窓に使うような奴か?」

また無知な庶民だ。「いや、まったく同じではない」私は無理にニヤリとして言った。「ほら、これはマラカイト製で、見た目はクリスタルだ。かなり硬いが、簡単に動けるよう軽くできている。金属だがよく碧水晶とも呼ばれる。鉱山で収穫されるのでね。よそ者には、いつもちょっとした混乱が生じる」

モルブロググは驚いて目を回すと、革の胸当てを叩いた。「我々オークは革と金属の本当の価値を知っている!いつかお前の素敵な碧水晶を譲ってくれ。きっとその鎧は斧の一撃で粉々になるだろう。どうやら、一度も本物の戦士と対峙したことがないようだ」

さて、私は誇りを持つことは認めているが、誇りが侮辱になると…

私はただ眉を上げた。「賭けるかね?それなら応じよう。負けたらこの鎧を差し上げるよ。少なくともかなりの利益になるはずだ。もし決闘で私を負かしたらね。そして、もし私が勝ったらその革の鎧をもらおう。お互い公平にいこうじゃないか」

彼はワインの染みのついた顎を撫でてうなずいた。「決まりだ。新しい武器を買う金が入る」

決闘で思い出したい唯一の詳細な部分は、簡単で楽だったことだ。少なくとも私の方は。全てが終わった時、聖なる言葉を引っ込めてくれとすすり泣くオークがいた。防具なしでは、傭兵の仕事が絶対に見つからないと懇願していた。

私は革の防具をかき集めながら、ただ肩をすくめただけだった。「いつだって石切場がある」

そう、旅の間に友人を作るのはいいことだ。だが、利益を上げるほうがずっといい。

名誉ある処刑令状Honorable Writs of Execution

エリス・レドラン評議員殿

モラグ・トングとして知られる古代の暗殺者ギルドに関連する最近の出来事に伴い、要請どおりこの手引きを用意しました。名家を狙う現在の活動に対し、情報に基づいて対応方法を決断するために、ギルドとメンバーについて分かっていることを全て知りたいと伺っています。ギルドはダンマーの生活における闇の部分を象徴するもので、メファーラの名の下に殺人を称賛しています。驚くことに、この集団は暴力を抑制し、モロウウィンドにおいて争いの絶えない名家の政争が、全面的な戦争に発展することを防止するために結成されました。そのような戦争はまだ起きていないため、モラグ・トングはこれまでのところ試みに成功していると言えるでしょう。

モロウウィンドの行政はモラグ・トングに対してかなり昔、第一紀に制裁を加えましたが、彼らは「名誉ある処刑令状」として知られる契約システムを利用して、これまでも暗黙裡に合法的な暗殺を続けています。定められている法の下において、いかなるモラグ・トングのメンバーも、標的および容認された殺人の目的が説明された令状がなくては処刑を行えません。モラグ・トングは名家の対立において中立の立場を貫き、大切にしている古代の組織の重みを背負って振る舞っています。メンバーは自らの判断で行動することなく、自ら選んだ任務を行なうこともできません。その代わり、ギルドのグランドマスターに宛てて処刑の請願が送られて検討されます。もし請願が受け入れられれば、名誉ある処刑令状が準備され、モラグ・トングのメンバーに与えられます。そうなると、契約の標的はまだ知らないだけで死んだも同然です。間もなく暗殺者が接触し、死刑を遂行するのです。

他の殺人者や、ましてや闇の一党に属する狂信者などとは異なり、モラグ・トングの暗殺者は殺しを行なった後に行いを認め、名誉ある処刑令状を誇らしげに誇示します。令状によってトングのメンバーは、契約を実施する際に起きる可能性がある、いかなる法的な問題からも免責されます。そのため、法律によってトングの処刑者は名乗り出て、その殺人が合法的に、契約通りに行なわれたことを宣言する必要があります。それによってそのメンバーは免責され、関連して予期されない結果が起きることを防ぐようになっています。トングは犯罪者に隠れ場所を提供しないとしており、そのため従わないメンバーがいれば調査を受け、内部で処罰を受けます。

モラグ・トングの起源については、伝説と推測のベールに包まれたままです。確実に突き止められたのは、このグループがモロウウィンド初期、名家が流血の対立をしていた時期に現れ、第一紀の終わりまでに令状システムを確立して有名になったことです。250年頃前に全盛期を迎え、タムリエル中で公に活動し、無類の、分別がある、誉れ高い殺人者としての評判を獲得しました。グループは自信過剰になり、自らの立場を信じすぎるようになりました。皇帝や王の有名な暗殺が多数行なわれてタムリエルの貴族を恐れさせた後、トングはモロウウィンドにある自らの地へと退き、1世紀以上にわたって公の場から姿を消していました。現在、グループはダークエルフの地における目立たぬ存在であり、名家の間で名誉と評判を回復することを目指して、限定された仕事をしています。

モラグ・トングの組織は長年の間、あまり変わっていません。グランドマスターがギルドを率いて、各ギルドホールのマスターに令状の受託と仕事の割り当てをする権力を与えています。注意すべきなのは、個々のメンバーが許可なく契約を受けられないことです。長年を通じて、ギルドのマスターは契約の受託を決定する際に相応の注意を払うことが分かっています。レドラン家とモラグ・トングとの対立が悪化した場合に対処できる方策としては、欺き、殺人、偽りのデイドラ公であるメファーラと当該グループの友好関係が利用できます。組織は正式なもので、その異端的なやり方はトリビュナルからほぼ許容されていますが、オーディネーターとボイアント・アーミガーは、殺人を見つけた場合異端者に素早く、かつ容赦なく対処するでしょう。それについては決断に委ねます。

レドラン家、記録長エナル・ドレン

勇敢なる小さなスクリブの歌Brave Little Scrib Song

(ダークエルフの童謡)

誰もが知ってるクワマーがいる
ダンマーのように、とても勇敢
ホタルの光で見つけられる
小さなスクリブ、とても不思議

遊べ、遊べ!人生は冒険だ!
走れ、走れ!とても速く!
歌え、歌え!楽しく想像だ!
気にしなければ… とても楽しい!

意地悪なホタル爺さん、ごまかしばかり
声が炎のように音を立てる
彼の言うことは矛盾ばかり
小さなスクリブは厄介に巻き込まれる

遊べ、遊べ!人生は冒険だ!
走れ、走れ!とても速く!
歌え、歌え!楽しく想像だ!
気にしなければ… とても楽しい!

勇敢なる小さなスクリブの心はとても綺麗
いつも探してるのは冒険
彼女は「多分、明日なら」と言い
彼は「わかった
でもあの宝は手に入らないだろう」と言う

遊べ、遊べ!人生は冒険だ!
走れ、走れ!とても速く!
歌え、歌え!楽しく想像だ!
気にしなければ… とても楽しい!

卵鉱山へようこそ!Egg Mines and You!

クワマー取り扱い専門家、カイリア・サンド 著

クワマーの素晴らしい世界へようこそ!この愛らしい生物は大きさ、役割、気性が多様で、それぞれが世代を進めるごとに美しくなります。我々の目的はもちろんヴァーデンフェルのあらゆるクワマーの幸福ですが、多くの人はこの壮麗な生物を収入源としかみなしていません。ですが忘れないでください。幸福な鉱山は生産力の高い鉱山なのです!クワマーに敬意を払い、尊厳をもって取り扱うべきです。

クワマーは卵鉱山との関係で一番よく知られています。もちろんクィーンがなければ卵はありません。クワマー・クィーンは美しい存在で、他のどのクワマーよりもずっと大型です。私たちにとって良いことです。彼女がすべての美味しい卵を産出する唯一の存在で、その美味しい卵はディナーの皿に乗るのですから!悩みを抱えるクィーンは悲しい光景であるだけでなく、卵の生産性を急降下させる原因になります。あなたのクィーンを健やかに保ち、よく餌をやり、1日の終わりにはお腹も満たしてあげてください!

もちろんクィーンの世話をするのはあなただけではありません。クィーンには配下にフォリージャー、ウォリアー、ワーカーがいます。これらのクワマーには各々コロニーにおいて果たす重要な役割があり、クィーンが十分に食事し、守られるように尽くします。幸福なクィーンをお望みなら、幸福なコロニーが必要です。逆もまた真なりです!悩みを抱えるクィーンは常にいらいらしたコロニーを率います。それは生産性を低下させます。

クワマー・フォリージャーはコロニーの斥候の役目を果たし、常に新しい家や適当な獲物を探しています。野生の状態で出会ったら、この愛らしい生物をペットにしたい衝動は抑えた方が賢明です。かなり攻撃的かもしれないからです。もしも見知らぬ人が近づいてきてあなたの頭をぽんぽんと叩いたら、あなたもきっと立腹しますよね。距離をしっかり保てば、この小さな生物があなたを傷つけることはありません。

クワマーは傷つきやすくできていますが、力強い戦士でもあります。愛らしいクィーンほど大きくはありませんが、一般的なダークエルフよりも背が高いことがしばしばあります。出会ったとしても、あまり恐れることはありません。急いで鉱山から逃げれば、大抵は無傷で出られます。ワーカーはクワマー・ウォリアーの怒りから身を守るために、特別な匂いを放出していることがしばしばあります。自分で適切な匂いを入手したい場合は、必ず知識が豊富な錬金術師と話してください。

最後になりますが、これも重要です。クワマー・ワーカーは本当に忙しく働いています!このせわしなく働くクワマー・ワーカーがいなければ、コロニーは存在していません。クワマー・ワーカーはトンネルを掘り、クィーンの世話をして、貴重な卵が収穫の時を迎えるまで監視します。たいてい攻撃的ではありませんが、仕事をしようとしている時には邪魔しないのが賢明です。角の向こうに、クワマー・ウォリアーが潜んでいないとも限りませんからね。

ここでは甲殻の小さな友人を理解するための基本情報を提供しています!この巻の先の章では、育てる方法や栄養ガイド、採掘の実践などについて解説しています!私と一緒に旅をして、一緒にあらゆる種類のクワマーを保護しましょう。

良い旅を!Good Travels!

親愛なる私の友へ

ヴァーデンフェルに行くという話を聞いた時は驚きました。あなたには未知の冒険が似合っているし、あなたが故郷に飽きてきていたことにも気づいていました。

あなたが何を求めているのかは私には分かりません、ただダークエルフの島について私の知っていることを教えておこうと思います。中心となる街はヴィベク・シティです。神々に対するあなたの考え方は知りません。ただトリビュナルの1柱、つまりダークエルフの生き神の1人は、その街に住んでいます。ヴィベク卿その人が、そこにある大宮殿に住んでいるようです。

私の旅の経験が特殊なものでなければ、セイダ・ニーンに上陸するはずです。とても素晴らしい場所ですが、密売人や奴隷に出くわすと、不快な気持ちになるかもしれません。

それから、テルヴァンニの塔はお見逃しなく。彼らはこともあろうに、巨大なキノコを塔として活用しているんです!

とにかく、ダークエルフの地をお楽しみください。あなたが無事にタムリエルへ戻ってきた時、また会いましょう!

良い旅を!

連続した真実 第1巻The Truth in Sequence: Volume 1

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

我々はいかにクロックワーク神と謎の父を知ることになったのか?我らがヴィベク卿と慈悲の女神アルマレクシアは知られている。彼らの顔は知られている。言葉も知られている。だが、ソーサ・シルのそれは?彼は場所と意志の両面が隔たっている。常に警戒しているが、ほとんど見られることはない。常に崇拝されているが、ほとんど聞かれることはない。彼は「巻かれ続けるメインスプリング」なのだ。不動の動かす者であり、聖なるメトロノームを声とするクロックワーク・シティに隠れている。トゥールビヨンとして、私の知る彼の真実を話そう。人々に知られるよう、順番に言葉を紡ぐ。その順番はまさに真実を反映しているが、我々のような知性は秩序ある不順に耐えられない。我々のような知性で完全に知ることはできない。今はまだ。

「巻かれ続けるメインスプリング」の最初の真実は、ニルンの真実である。ニルンの魂には2つの顔がある。1つ目の顔は知られている。前のニルン、または多部品のニルンである。それは粉々になったニルンであり、自身をまだ見つけられない不安定な手により組み立てられる。その振動は不規則であり、その走り行く一行は恐怖と妄想によって妨げられる。その欠陥はニルンを構成するものにはないが、組み合わせたものにはある。それぞれの歯車が神である。それぞれのスプリングが思考である。しかし多くの手により作られた機構は、名工の精度を知ることができない。エトアダの歯車は真のニルンを明かせない。なぜなら歯車はそれぞれの部品しか知らないからだ。全体を見ることはできない。ソーサ・シルの目はそのような分断を無視できる。破片である神は破片のみを見るが、主ソーサ・シルは全体を見る。彼は2つ目のニルンを見るのだ。

2つ目のニルン。不完全な後のニルンである。来る世界、最後のタムリエル、アヌヴァナシを予期する思考型だ。その形を知るのはソーサ・シルのみ。その性質は、アヌが知恵を求め、時の始まりを破った以前に忘れられている。我々の下等種は起源を2つの形、アヌとパドメイとして認識しているが、この二元論に利点はない。統一されたアヌの真実を隠すための、ロルカーンの大いなる嘘の一つである。主ソーサ・シルであれば、我々に真実を教えただろう。パドメイは存在しない。パドメイは価値の欠如である。欠けている。明け方に消える幽霊である。無である。存在するのはアヌのみであり、多くの名前、多くの顔を持つことで隔てられ、知られている。その者である。

アヌが自身を壊した時、その目的は自身の性質を知るためであった。分裂した状態で、広漠たる広がりを泳いだ価値は、自らを知っていると考えた。エトアダの歯車は価値に多くの名前を与え、意志を構築した。ああ、価値はロルカーンの忠告を心に留め、アヌの顔を忘れてしまったのだ。価値のそれぞれは自分をまぎれもない全だと考えた。それゆえに多くの手が世界を組み立て、それぞれの手には別の意図と利己的な目的があった。多部品のニルンは結果だった。壊れて漏れ出る蒸気船であり、逆風に吹かれ続ける船なのだ。

しかしトリビュナルの子供達よ、喜べ!彼の知恵で「巻かれ続けるメインスプリング」は失われた遺産を探している。彼の心臓には油が差され、計測され、黒い真実を血の如く押し出している。彼の心は神のモルタルであり、バラバラになったアヌの性質が礎であり、重視され、彼の意志のみで統一されている。この偉大なる働きで、新たなニルンが生まれる。最後のタムリエル。アヌヴァナシ。我々が彼の働きの成果である完全なる世界、エトアダの歯車のなき世界を見ることを祈る。変化の幻影がない世界。隙のない、永続する世界を。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第2巻The Truth in Sequence: Volume 2

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

ソーサ・シルの意志は疑似時制の意志である。「名のない意志」である。「名」とは何であろうか。神のメトロノームは「名」が歯車を別の歯車から離すためのくさびであると我々に伝える。鎖車を緩め、骨組みを蝕むロルカーンの大いなる嘘の残余。エトアダの歯車は各々の方法で、各々に名を付けた。我々の下等種はこれを優しさと見るが、「巻かれ続けるメインスプリング」は利己的な矜持に根差す呪いと呼ぶ。名を付けるとは、ある者を他の者と分かつことである。それはアヌの収束と後のニルンの死である。誤って組み立てられ、冷淡な嘘を吐くドラゴンを意味する。その名を「多数」という。

「名」でない名は一つしかない。収斂したクロックワーク神のセトであり、その名はピストンのように「その時」と「その後」に流れ出る。その心臓が永遠の車輪を回し、その血が全車軸を円滑にする、謎の父ソーサ・シル。その心が「彼ら」と「私達」を溶け込ませ、後のニルンを産む神の機関「シ」。弱い意志は煙の筋であり、生まれて、無限の空の海に迷う。死んで自由になる、迷える子供達だ。

トリビュナルの子よ、自由とは何だろうか?奴隷と反対のてこなのか?違う。お前は順番に言葉を聞かなかったのか?疑似時制の意志とは、一度しか振れぬ振り子なのだ。それ以上は振れぬ。二度振ることは、別の者の意志を砕くことになり、二つの冒涜を示す。パドメイは幻影に過ぎず、その意志もまた然り。混沌なき「選択」とは何なのか?秩序の欠落、俗悪、勝利なき「自由意志」とは何なのか?真の輪は時計回りに、必ず時計回りに回る。後のニルンが統合した暁には、各々が全に属し、全てが無に属す。最後のタムリエルを除いて。よって子よ、些末な重荷は捨てるのだ。「私がそうしようか?」。その「選択」は幻影だ。統合を追求せよ。最後には、そうなる他ないのだから。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第3巻The Truth in Sequence: Volume 3

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

「永遠に巻かれるメインスプリング」の第三の真実はデイドラの真実である。「始まりの燃焼」以前の日々、チャイマーの民は偽りのデイドラ公、網の紡ぎ手、陰謀のデイドラ公、夜明けと黄昏の女王にひざまずいていた。私は彼らの名を使わない。というのも、「名」はある者を他の者と分かつからだ。お前は彼らをよく知っているだろう、トリビュナルの子よ。偽りの証言をして、愚かなことを鼻にかける時、お前は彼らの名においてそうするのだから。彼らの言葉は心を蝕み、弱くする。彼らの脅迫は留め具を緩め、封印を破る。彼らは歯車に反し、名のない意志の反対に回る。その性質は無である、パドメイの偽りのしもべだ。デイドラの中でも、秩序の灰のデイドラ公のみが自身の性質を知っていた、彼はそれを知り、頭がおかしくなった

分かるだろうか。デイドラ達は知恵と秩序を恐れるのだ。そのため、彼らは何よりもクロックワーク神を恐れる。他の者が16の数の付いた暗き王冠を見る時、ソーサ・シルには影しか映らない。デイドラ達は世界が己に話す嘘である。主のパドメイのように、彼らもまた「無」なのである。そして最後のタムリエル、アヌヴァナシで、「無」は支配できない。「オブリビオン」と呼ばれる彼らの黒き山は、全ての嘘が焼かれ、短気な多数が鉱滓に変わる「忘却数の溶鉱炉」に沈む。

お前の問いが聞こえる。「デイドラ達が”無”であるとして、彼らはどうして私達の敷居に潜めるのか?そもそも彼らはどのようにして潜んでいるのか?」。言葉は順番に聞くのだ、トリビュナルの子よ!不器用に築かれた前のニルンには、エトアダの歯車が「無」の巣食える隔たりと裂け目を残した。不完全さは、ロルカーンの大いなる嘘と砕かれた存在の利己心から生まれた。輝かしい後のニルンのアヌの収束で、すべての隔たりは閉ざされる。すべての裂け目は結合される。機械のきしる音、揺れる音はささやき声に退化し、エトアダの歯車の愚行より生まれた過度の混沌は、収縮し餓死する。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第4巻The Truth in Sequence: Volume 4

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く

次にソーサ・シルの沈黙について話す。時折、灰の子らは問う「クロックワーク神はどこにいるのですか?なぜトゥールビヨンのみが、退屈な順序で彼の言葉を話すのですか?」。彼らは恐怖に額を歪ませ、静かな調子で問うのだ。そのような問いから逃げてはならないぞ、トリビュナルの子よ。これらは知恵、無知を力に変える完全な炎に通ずる、些細な冒涜である。「永遠に巻かれるメインスプリング」は「好奇心の父」であるから、好奇心は喜びに満ちた破壊者なのである。物事は隔てられてのみ、完全になるのだ。分解された原動機のみ、磨き上げられて綺麗になる。よって古い機械は粉砕してしまえ!心の偶像は倒してしまえ!そして、その残骸から新たな真実を組み立てるのだ。完璧で隙のない真実を。

分かるだろうか、トリビュナルの子よ?勇敢なる心を産むのは、ソーサ・シルの沈黙なのである。知識は見つけなくてはならない。そして物を見つけるには、隠されねばならない。教えられるのでは不十分だ。機械が荒々しく動く音は、機械の中に住まう者にとって静寂に等しい。油を差され続けるタービンは、油の不足を知らず、油の目的を知らない。そして、それは真実も然りである。

さあ、好奇心には代償が付きものだと分かったはずだ。アルムよ、この異端の行動を許したまえ!ヴィよ、この異端の行動を許したまえ!私は順番に言葉を紡いでいるのみである。黄金の仮面の法を心に留めながら、その限界も知れ。震えるガラスの声を注意して聞きながら、その規模の限界も知れ。その真実は慣性の真実である。重力の真実である。その心は、液状の真鍮に満たされた器である。衝撃には強いが、動けはしない。「永遠に巻かれるメインスプリング」は動かぬものを拒絶する。後のニルンでは、動かぬものがキルン・アマランザインの餌食となり、そこではセトの静かなる憤怒が太陽のごとく燃え盛り、壊れた歯車が全になる。永遠の車輪は回らなければならない。最後のタムリエルは時を刻まなければならない。アヌヴァナシ。全の中では、それぞれが己の位置につかなくてはならない。一片が欠けても、全は全でなくなるのだから。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第5巻The Truth in Sequence: Volume 5

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

ドワーフ達のことを口にするな、トリビュナルの子よ。陳腐なドゥエマーのぜんまい仕掛けは、ソーサ・シルの崇高な機械の前に青ざめる。ドゥマクの嘆きを無音の嘆きにせよ。シューシュー音を立てる彼の墓を埋没したままにせよ。彼のオートマタを錆びつかせ、崩れさせよ。彼は最大の失敗を犯した。ロルカーンの大いなる嘘と、卑しい矜持に突き動かされたのだ。彼は悲哀と恐怖の物語であり、彼の汚い計算を追う者は、大きな代償を払うだろう。

「しかし、ドゥマクは作成者ではなかったか?」と尋ねるか?「真鍮の子の両手は油に覆われていたのではないのか?その両手は創造の言葉を紡ぎ、車輪を車軸に付けなかったのか?」 言葉は順番に聞くのだ、セトの追随者よ。作意は機械の価値を決める。「永遠に巻かれるメインスプリング」が後のニルンの収束を求める場所では、ドゥエマーの亡霊が叫ぶのだ。「多数!多数!」。エルフと機械は分かたれる。知恵と野心は分かたれる。製作物と被製作物は分かたれる。そしてこの隔絶から、無数の軽やかに舞う機械が作られ、忘れられた回廊に置き去りにされ、さまよい、当てもなく浪費される。ある機械がノブを左に回すことで、他の機械が同じノブを右に回す用意をする。ある機械がパイプを緩めることで、他の機械がそれを締められるようにする。それら機械の存在理由は、真鍮の子らの愚行を続けさせるためだけにしかない。ソーサ・シルの目から見れば、それらの機械は冗長であり、不敬だ。

ただ、最も不敬なのはこれである。NMという「名」を冠する、歩く恐怖である。虚栄心の真鍮塔。前のニルンの愚かなガーディアン。聖なるニルン・スフィアの最も暗き極地を支配する、神の対極物である。最後のタムリエルへの脅威のうち、NMが最大の脅威である。アヌヴァナシ。デイドラ達は思考で消し去ることができるが、NMはニルンと隔絶させなければならない。NMはアヌの中心にある結び目であり、ほどかなくてはならない。神のパズルである。この点について、「永遠に巻かれるメインスプリング」は沈黙を保っている。そして沈黙のあるところには、大いなる知恵がある。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第6巻The Truth in Sequence: Volume 6

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

クロックワーク・シティよ、見るのだ!正玉座を!あまねく車軸を!喜びに満ちた破壊の、真鍮の喉を持つ使者を!継ぎ目なく組まれた油膜の塔を!喜べ!喜ぶのだ!

聞け、トリビュナルの子よ!お前には歯車の素早く回る音が聞こえないのか?ピストンのシューという音が聞こえないのか?それはソーサ・シルの声であり、お前を後のニルンへ呼ぶ声なのだ。最後のタムリエルへと。アヌヴァナシ。その世俗的な計算を打ち破れ。利己的な追求の鎖を緩めよ。それを説明してくれようか?その目をニルンの未来に導いてくれようか?暗き子よ、言葉は順番に聞くのだ。目を閉じ、目覚めるのだ!

見上げて、セトの輝く帯により締められ、結び付けられた、澄んだ空を見よ。下を見て、彼の意志である黒き石、彼の想像より創られた土を見よ。彼の血のように濃い真実を、広き黒の川で飲め。彼の息吹を肌に感じろ。その夢のような芳香で鼻孔を満たし、目を刺激しろ。お前は車輪の中心に立っている。「永遠に巻かれるメインスプリング」の発祥地に。

磨かれた真鍮と、神の金線細工に飾られる黒曜石の塔が、常に空へ伸びている。絡み合う血管のように伸びる無数のパイプ、あるいは、不老の樹木の黄金の根を通して、巨大なタービンが記憶を送っている。そして活発な、シューと音を立てる楽園を歩き回るのは、彼の第二の子供たちである。ファブリシレイノシム。結合した者達。不連続の生まれであり、後のニルンに運命づけられている。彼らは声を合わせて叫ぶのだ。「多数に死を!悲哀と恐怖!未知なる角度の蒸気缶に破片を入れろ!忘却数の溶鉱炉で、偽りを燃やせ!分解して浄化しろ!解体して全になれ!」彼らはガーディアンである。永遠に巻かれる鍵の主なのだ。名のない心だけが、彼らの憤怒を退ける。その不和の憎しみには際限がない。最後のタムリエルへの道は血に染まる道ではないのだ、トリビュナルの子よ。アヌヴァナシ。神を敬う心をもって、これを考えよ。汚れのない、滑らかな魂を求めるのだ。それが彼の来たる真実の中で、お前の役に立つだろう。

これでお前は、クロックワーク・シティがソーサ・シル自身のようなものであると分かったはずだ。信仰への美に富み、混沌のしもべへの途方もない恐怖に燃えている。お前はどのクロックワーク・シティに住むのか?少し冒涜を犯し、これについて考えるのだ。

私は言葉で歯車を巻く。

祠漁りの日記Shrine Scavenging Journal

この祠に来るまで、私達の祠漁りは実に気楽なものだった。ウルサと一緒の旅行も退屈することはなかった。アルゴニアンがあれほどユーモアのセンスを持っていたとは予想外だった。しかも彼女は、一対のダガーを実に巧みに扱える。

少し足を滑らせたせいで、この冒険がこんな状況に陥ってしまうとは。私の足はまるで太ったネッチのようになっている。愚かにも私は、ウルサが扉の錠を解除した後、頭上にある足場でダンスを披露したのだ。だが彼女は素晴らしい友達だ。彼女はここに私を座らせ、近くに薬と少量のブランデーを置くと、この正門を開くために鍵を探しに行った。これまでの調査により、マッドゴッドの狂信者達が、裏手にも礼拝室を置いていたことが分かっている。鍵はそこにあるはずだ。

彼女はすぐに戻ってくる。そう願ってる。彼女には教えたくなかったが、しっかり止血したはずの傷からまた血が流れ始めている。

疲れた。もうクタクタだ。

ヴィベクの三十六の教訓

Vivec’s 36 Lessons

三十六の教訓:第一説話The 36 Lessons: Sermon 1

ヴィベク 著

第一説話

北方人との戦争が起こる前、後のチャイマーであるヴェロシの下に、灰の中で彼は生まれた。最初にアイエムがネッチマンの村を訪れたが、彼女の影はまるで策謀のデイドラ公ボエシアのもので、ありとあらゆるものが彼女の周りにまとわりつき、やがて星のようになっていった。

アイエムはネッチマンの妻を捕まえてこう言った:

「私は三位一体の蛇の女王。あなたの中には心像と、次の言葉がある。アイエム、アイ、セーティ、アイ、ベク。謎が訪れるまで、この7音節の言葉を唱え続けるがいい」

するとアイエムはネッチマンの妻を海に投げ込み、ドゥルーが彼女を碧水晶とサンゴの城へ連れて行った。ネッチマンの妻はえらとミルクフィンガーを与えられ、心像を卵として産めるよう性別を変えられた。そしてそこに7、8ヶ月の間滞在した。

次にセトがネッチマンの妻を訪れ、こう言った:

「私は三位一体のクロックワークの王。あなたの中には私の弟か妹がいる。それは目に見えない言葉や剣の知識を持ち、それをホーテーターがやってくるまで育てねばならない」

するとセトが手を伸ばし、無数のホムンクルスが現れた。それらは光るロープのようにネッチマンの妻を再び地上へと引き上げ、アズラ海岸で降ろした。彼女はそこでまた7、8ヶ月過ごし、卵の世話をした。それに向かってメファーラの掟やヴェロスの預言、時にはトリニマクの禁じられた教えを囁いた。

ある夜7人のデイドラが彼女を訪れ、それぞれが卵に新しい動きを教えた。特定の方法で骨を動かすことによって体得できる動きである。彼らは何々のごとく動く男爵と呼ばれている。すると8人目のデイドロスが現れた。ファーヌイヘン、既知の動きを増殖させる者とも呼ばれる半公だった。

ファーヌイヘンはこう言った:

「誰を待っているの?」

ネッチマンの妻はホーテーターと答えた

「3ヶ月後にインドリルの地へ行きなさい。その時に戦争が始まる。私は戻り、わけも分からず死んでいった戦士たちを苦しめましょう。でもその前に、これを見せるわ」

すると男爵たちと半公は円となり、卵と心像の前で様々な恐ろしい戦闘のような踊りを踊った。

「見なさい、小さきベクよ。そして私の素晴らしい剣術の裏を見るのです。その中には全てにおいて完璧な、純粋な戦闘の道があるでしょう。数字は何?」

その数字とは古いティブロルの木に巣を作れる鳥の数から、誠実な仕事の3グラムを引いたものであると言われている。だが後にヴィベクはより良いものを発見したため、この秘密は人々へと授けられた。

「私は左手で世界を握りつぶしたことがある」と彼は言う。「だが右手にはそれに勝てるものがある。愛は私の意志によってのみ動く」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二説話The 36 Lessons: Sermon 2

ヴィベク 著

第二説話

ヴィベクの卵を宿したネッチマンの妻はインドリルの地を探し求めた。旅の途中、幾多の霊魂が彼女の下を訪れてはその息子か娘に指導を申し出た。その者こそが後にヴァーデンフェルの目に見えぬ戦詩人ヴィベクとなる。

最初の霊魂は彼女を抱きかかえ、知識を送り込んだ。ネッチマンの妻はその計り知れない熱意に浸された。卵は喜び、彼女の中で何度も回転し、世界の五角に礼をしながらこう言った:

「この聖なる行いをした者は、誇りと力を手に入れるだろう!」

第二の霊魂は態度が悪く立場をわきまえなかったため、頭痛の呪文により追い払われた。第三の霊魂アトハトゥールは、ネッチマンの妻が皇帝カサダケの下で休んでいたときに訪れた。彼の衣服は何らかの意味合いをもつもので作られていた。卵はそれを三度見た。

初め、ヴィベクはこう言った:

「ふん、何の意味もないじゃないか!」

二度目に見たときはこう言った:

「うーむ、やはり何かあるのかもしれない」

最後にアトハトゥールの衣服を長時間眺め、こう言った:

「素晴らしい、具体性に欠けるものから意味を読み取る能力か!」

「ことわざだ」そう言い残し、アトハトゥールは去った。

第四と第五の霊魂はいとこ同士だったため、共に現れた。霊の力で卵の中を探り、核を見つけた。この時点でヴィベクは周囲の欠けた星のような形をしていたとも、失われた形を再生したような姿だったとも伝わる。

片方のいとこがこう言った。「私の方の家族からは、全宇宙を終わらせるほどの災厄を授けよう」

もう片方のいとこはこう言った。「私の方からは、その最中に行わねばならない儀式を授けよう」

それに対して卵は笑った。「この若さでこれだけのものを与えられるとは。私は以前にも生まれたことがあるに違いない」

すると第六の霊魂、ヴェロシに性や殺人の美学を教えた黒き手のメファーラが現れた。その燃える心でネッチマンの妻の目を溶かし、腹を切り裂いて卵を取り出した。卵ははるか昔、大地がまだ寒く、盲目でなかった時代に自分が何であったか見ることができた。

デイドロスと合流しその秘密を奪ったが、世界が崩壊しないようにいくつか残しておいた。そして黒き手のメファーラは卵をネッチマンの妻の中へ戻し、魔法の吐息を吹きかけて穴を塞いだ。しかしデイドロスは彼女の目を治してやらず、こう言った:

「神は三つの鍵を持っている。誕生、機械、狭間の言葉だ」

賢き者は、この説話の中にその鍵の半分を見つけるだろう。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三説話The 36 Lessons: Sermon 3

ヴィベク 著

第三説話

目の見えないネッチマンの妻は、インドリル家の領地を目指す途中で洞窟の中へ入ってしまった。その洞窟はドゥエマーの要塞だった。ドゥエマーは卵に気づくとネッチマンの妻を捕らえた。頭から足先まで拘束し、地の奥深くへと連れて行った。

彼女は、ドゥエマーがこう言ったのを聞いた:

「彼女の像を作って地上に出しておけ。彼女には我々が持つものに似たものがある。彼女が長い間戻らなければヴェロシは気づき、探しに来るだろう。」

暗闇の中で、ネッチマンの妻は大きなナイフが自分を切り裂こうとしているのを感じた。そのナイフが通用しないと、ドゥエマーたちは音を使った。それも通用せず、次は熱を使った。結局何も通用せず、ヴィベクの卵は彼女の中で無傷のままだった。

ドゥエマーがこう言った:

「何をやっても駄目だ。違うことをするしかない」

ヴィベクは母親の恐怖心を感じ取り、励ました。

「炎は私のものだ、飲み込まれるといい
そしてボエトヒーアの家の
パッドホームの祭壇に
秘密の扉を作るといい
そこは安全で
見守られている」

この祈りのおかげでネッチマンの妻は深い眠りに落ちた。その眠りはあまりに深く、その後ドゥエマーの精霊たちが角のある球体で彼女を切り刻んでも、目覚めることなく安らかに死んだ。ヴィベクは腹から取り出され、研究のため魔法のガラスの中に入れられた。自らを捕らえた者たちを困惑させるため、彼は愛を放った。ドゥエマーは愛という感情について何も知らなかったのだ。

卵はこう言った:

「愛とは気分や対人関係を構成する要素だけでなく、そこから1時間後の怒り、後悔するような制約、愛する者同士にしか分からぬ感情からくる問題、そして変わらぬ容姿を生み出す成分でもある」

「愛とは言語的および非言語的な分かりやすいやり取りにおいてしばしば使用され、時にそれは真の愛情へと変化し、強く消えない絆を生み出すことがある。愛の基本的な形は、対人関係を通して約13種類のエネルギーを補給するものである。社会におけるその役割と価値については意見が分かれる」

ドゥエマーたちは腹を立て、力の象徴の後ろに隠れようとした。卵の心像を洞窟から出し、作らせていたヴィベクの母親像の中に入れるよう精霊たちに命じた。

ドゥエマーがこう言った:

「我々ドゥエマーは、ヴェロシの持っているものに憧れるだけの存在だ」

「ニルン、ルーカン、ラケト、センドル、キンラト、アクハト、マーラ、ジュナール。我々の知る八つの世界の全てにおいて、彼らは我々に破滅をもたらすだろう」

破滅に関する秘密が、この説話の中にある。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第四説話The 36 Lessons: Sermon 4

ヴィベク 著

第四説話

ヴィベクの卵を宿したネッチマンの妻の像は再びインドリルの地を探し始めた。旅の途中、後にヴァーデンフェルの目に見えぬ戦詩人ヴィベクとなるべきその息子か娘に指導を申し出るため、また幾多の霊魂が訪れた。

偶然の一致ギルドの陳情者と呼ばれる霊魂の団体がやってきた。ヴィベクはすぐに試練を見抜き、こう言った:

「神の意志により、偶然など存在しない」

名を忘れられし陳情者の長は、その概念の存在を守るべくこう主張した。「同時に同じことを言うことは、魔法のように素晴らしいことだ」

聖性を保持するためには、断固として運を否定せねばならないことをヴィベクは知っていた。彼はこう言った:

「偶然が起こる瞬間に、一致する条件や様々な要素が新たに発覚することが、偶然であるための前提条件の一つではないのか?小さな偶然が繰り返されることで初めて共時性が生まれる。さらに分析すると、共時性が確率以上のものに引き起こされていると思わせているのは、その偶然の数に他ならない。このことから、共時性は様々な兆候として表面化するが、結果として共時性そのものが偶然という概念を否定している」

こうしてヴェロシの地から偶然が消えた。

次にネッチマンの妻の像の前に大地の古い骨が現れ、こう言った。「世界を支配する王となるなら、新しい言葉を使って混乱させねばならない。私を考えさせてみろ」

「いいだろう」ヴィベクは言った。「私が愛する世界の謎を話してやろう。彼女の首都は誰だ?彼女のカメオの景色は見たか?私には秘密のろうそくがあるが、不誠実なため見当たらない。私は103の温もりから作られた影の端を手でなぞり、その証拠を残さない」

これを聞いて古の骨は体を20回折り曲げ、ついにはミルクのようになり、ヴィベクはそれを飲んで世界を支配する王となった。

最後に、どの角度から見ても完璧な、正確さの議長が現れた。ヴィベクはすぐに試練を理解し、こう言った:

「確実性とは、好んでそれを追求するパズル好きな論理学者や色白美人の女性のためのものだ。私は不確実性から生まれた者だ」

議長は頭を下げ、一度に50種類もの完璧な笑顔を向けた。ローブから天体観測儀を取り出して真っ二つに割り、その両方をヴィベクの卵像に手渡した。

ヴィベクは笑ってこう言った。「ああ、知っている。感覚の重労働は極地の氷のように利己的で、他者に幸運と見なされるような人生に費やした労力はなお醜い。支配する王となるためには、耐えがたきに耐え、どんな天体観測儀やコンパスでも測れないものを測らねばならない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第五説話The 36 Lessons: Sermon 5

ヴィベク 著

第五説話

とうとうネッチマンの妻の像は不安定になった。急いでいたドゥエマーたちは像を粗雑に作っており、レッドマウンテンの灰で金色の腱が弱っていた。ほどなくして、インドリルへ続く道の横で膝をついて倒れた。当時のヴェロス、現在のアルマレクシアの首都へ向かう途中の商人のキャラバンに、80日後発見された。

生まれる前のヴィベクは民とかかわりがなかったため、何も言わなかった。ただの壊れた像で、中には何もないとキャラバンのチャイマーに思わせるためである。キャラバンを護衛していたチャイマーの戦士がこう言った:

「ドゥエマーどもめ、我々に似た形の像を鉄で作って騙そうとするとは。これを首都に持ち帰り、母なるアイエムに見せるべきだ。彼女も敵の新しい策略を見たいだろう」

だが商人の長はこう言った:

「その労力に見合った報酬が受け取れるとは思えない。ノアモクに寄ってデイゴンの赤い妻たちに売った方が良い。彼女たちは、深き民の作った不思議なものには報酬を惜しまない」

だが預言に詳しい別のチャイマーは、その像を不安そうに見ていた。

「最大限の富を得られるよう、私を雇ったのではないか?ならば戦士の言うとおり、アイエムのところへ運ぶべきだ。敵の手で作られたとはいえ、この中には聖なるもの、もしくはそうなるべきものが入っている」

商人の長はネッチマンの妻の像を見て少し考えた。普段なら預言者の忠告は注意深く受け止める彼だったが、ノアモクで得られる利益のことしか考えられずにいた。赤い妻たちから得られる報酬は四角でよく傷つき、月の下のどんな場所でも味わえない腹への魔法だ。その欲望は、彼に母なるアイエムを否定させてしまった。彼はノアモクへの進路変更を指示した。

キャラバンが再び出発しようとしたとき、首都へと向かうよう進言したチャイマーの戦士が商人の長に金を投げつけてこう言った:

「私はその像にこれだけ出そう。そして忠告する。北の野蛮な者たちと戦争になる。母なるアイエムがその敵を相手にする間、別の敵を相手にさせるわけにはいかない」

商人の長はこう言った。「ネレヴァル、これでは足りない。私も私なりに三位一体だが、自分の体に正直に、より多くを求める」

するとヴィベクはこれ以上黙っていられず、ネレヴァルの頭の中でこう言った:

「この言葉が聞こえるなら、逃げよホーテーターよ、明確な未知へと足を踏み入れよ
昨日は眠り、それまで黙っていろ
溶けゆく石に哀歌はいらない」

そしてネレヴァルは商人の長を殺し、キャラバンを自分のものにした。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第六説話The 36 Lessons: Sermon 6

ヴィベク 著

第六説話

お前はホーテーターの言葉の隣に隠された、ヴィベクの第六説話を見つけた。

永遠の中に永遠があり、それを紐解くと世界で初めての文章になる。

メファーラとアズラは伝統の門であり、ボエシアは秘密の炎である。

ヴェロスにはまだ見つけられていないライオンによって、太陽は食われるだろう。

六は、人の想像で着られるベストや衣服である。

簡単な言葉のみを見よ、それ以外は全て敵で、あなたを混乱させようとする。

六は、暴力による天の製法で、この言葉を読んだお前はそのうちの一つを学んだだろう。

父は機械であり、機械の口である。彼の唯一の謎はさらなる複雑さへの招待である。

母は活発でニックスハウンドのような鋭い爪をもつが、日々を取り戻す者たちの中で最も神聖な者である。

息子は私ベクで、三、六、九、そしてそれに続くものであり、輝かしく慈悲深く、境界はなく、この世界や他の世界の中で最も完成された、金のように淡く光る剣であり象徴である。

不信のみを使った第四の哲学がある。

私が剣で語れば、それは良識ある者のことだ。

私が言葉で語れば、それは死者のことだ

私はベク、3333と決められた最後の日まで、あなたの守護者でありレッドマウンテンの守護者である。

私の下には、アルトマーから離れるために必要となった蛮人。

私の上には、炎と神のエキスに浸った挑戦。

お前の名をつけた預言者と違い、私を通してお前は求められる。

六は謎から敵、教師につながる歩道である。

ボエシアとアズラは宇宙の原理であり、生み出し、創造し、メファーラが芸術に変える。

私が剣で語れば、それは初夜のことだ。

私が言葉で語れば、それは死者のことだ。

それが真実と言われれば、お前の名前に輝きが生まれるだろう。

六はヴェロスの守護者である。三は再び生まれ、お前が英雄の性質を身につけるまで試練を与える。

眠っている世界があり、お前はそれから身を守らねばならない。

私が剣で語れば、それは両面である。

私が言葉で語れば、それは獣の生活である。

私が剣で語れば、それはため息が先立つ。

私が言葉で語れば、それは狼が先立つ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第七説話The 36 Lessons: Sermon 7

ヴィベク 著

第七説話

ネレヴァルのキャラバンが当時のヴェロス、現在のアルマレクシアの首都へ向かっていると、オブリビオンから地鳴りがした。スキャンプの中の公爵が災厄の神と出くわし、一つ一つ扉の前で敬意を払っていると、メエルーンズ・デイゴンの執事長と会った。

スキャンプの公爵はこう言った。「私は汚れた水と炎の王、デイゴン卿の命で来た。七つの軍団の旗を持って来た」

執事長の頭は汚れた水と炎の球体だった。彼は深く頭を下げ、スキャンプの公爵の頭を取り込んだ。

彼は最初の旗を見た。二回以上は死ねる恐ろしい戦士の軍団を指揮するものだった。

二つ目の旗を見た。羽の生えた牛と、それに乗る色の皇帝の軍団を指揮するものだった。

三つ目の旗を見た。逆になったゴルゴン、つまり鱗が人の顔になった大蛇の軍団を指揮するものだった。

四つ目の旗を見た。裏切られた恋人たちの軍団を指揮するものだった。

五つ目の旗を見た。犠牲者に飛び乗らんとする傷の軍団を指揮するものだった。

六つ目の旗を見た。小さい惑星の軍団を指揮するものだった。

七つ目の旗を見た。鎧を着た勝利の一手の軍団を指揮するものだった。

これに対して執事長はこう言った。「クウッタ公爵、あなたの軍団は強いがネレヴァルや三位一体を破壊するには足りない。ホーテーターが妻に使う知恵を見習いなさい」

そして彼らは中界を覗き込み、これを見た:

赤き戦争とキチンの男たちの
無数の雷の中で蒸発し
運命が彼を
我々のやり方から遠ざける
我々が欲した熱
忘れられていないと願う熱
そこで運命が
距離を覆う
黄金の東で戦争と修復ではなく
それを見たことに喜ぶ
忘れられた裂け目
ホーテーターの呪い
そしてあと二つが彼の手に

そしてスキャンプの公爵はホーテーターの掌を見た。その上に乗る卵には力強い言葉が書かれていた:ガルトク・パドメ・ガルトク・パドメ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第八説話The 36 Lessons: Sermon 8

ヴィベク 著

第八説話

ネレヴァルとヴィベクは首都が見える場所まで進んでおり、災厄の四柱神はまだ彼らと争うべき時ではないと分かっていた。キャラバンの音楽家たちは壮大な入場曲を奏で、モーニングホールドの十一の門が大きく開いた。

アイエムは、彼女の要求に応じて姿を変える夫の像とともに現れた。その周囲には今では忘れられし、叫びのギルドがいた。彼らは、当時はまだ善人が多かったヴェロシの人々の思いを抱えていた。叫びはアイエムと国の助言者であったが、時には争いを起こしセトに叱られていた。その頃にはインドリル家の旗で飾られていたネレヴァルに、アイエムが近づいた、彼はヴィベクの卵の入ったネッチマンの妻の像を彼女に捧げた。

アイエムはネレヴァルにこう言った:

「アズラであるセトによれば、戦争が迫っている。我々の救世主となるホーテーターが解決策を手にやって来るそうだ」

ネレヴァルはこう言った:

「私は敵であるドゥエマーたちの企みを知らせに遠くから来ましたが、旅の途中で多くを学び、意見が変わりました。私の横にあるネッチマンの妻は剣であり象徴であり、中には預言者が入っています。彼によると、我々はしばらくの間彼を見習い、かつての敵と同じ服を着て、恥じることなく彼らの機械を使用すべきだそうです」

これに対してヴィベクはこう声に出した:

「女王よ、お前であるボエシアはトリニマクの皮を被り、ヴェロスの欠陥を清めた。それを繰り返すべきだ。輝く者の歩くべき道である」

鉄の蒸気の雲からセトが現れ、その手下たちが血液から椅子を作った。彼はアイエムの隣に座り、王の再誕を見守った。ヴィベクは三位一体の彼らにこう言った:

「私の儀式、試練、その中に眠る言葉
私の肌、それ以上の動機は必要ない」

アイエムはこう言った:

「アイエム、アイ、セーティ、アイ、ベク。我々は届けられ、そして完全になる。黒き手のダイヤモンドが露わになった」

セトはこう言った:

「彼の歩くところには、目に見えぬ言葉がある」

叫びは突然静かになり、読み始めた。ヴィベクは卵から手足などを出し、母親の像と一つになった。水の中、炎の中、鉄の中、灰の中、東の全てが芸術の一つとなり、六倍の知恵を持ち、男と女の融合体、魔法の両性となり、戦いの原理、言葉における性の死、中界で唯一の存在となったのである。彼はこう言った:

「ホーテーターの手を取り、戦争とその先へと導こう。我々は雷の中、違う道を行く。これが我々の運命なのだ」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第九説話The 36 Lessons: Sermon 9

ヴィベク 著

第九説話

そして北方人との戦争が始まり、ヴィベクは迅速かつ巧みにドゥエマーたちとの団結へとホーテーターを導いた。極寒の西の悪魔の首領たちは、以下の不浄の数字五の者であった。

沼の口のホアガは、髭を蓄えた大王の姿で、大地を操り息を吹き込む力があった。この悪魔は戦場の側面で、土をガツガツ食べていることが多かった。戦場で部下が倒れると、ホアガはその土を彼らに注入した。彼らはゆっくりと起き上がり、再び戦った。彼にはフェンジャという秘密の名前があり、撃退されるまでにチャイマーの村を十七、ドゥエマーの要塞を二つ壊滅させた。

走る飢餓チェムアは、兜を被った騎兵の姿で、叫ぶ心臓と空の病の力があった。チャイマーの英雄ドーレス・キズメトイを食らい、その霊魂をアサシンとしてホーテーターに送った。最初のブライターとも呼ばれるチェムアは、雲に腹痛を起こさせ、ヴェロスの雨を胆汁に変えられた。ヴィベクとホーテーターに殺されるまで、チャイマーの村を六つ破壊した。

二枚舌バーグは、髭を蓄えた大王の姿で、確実性と形態変化の力があった。彼の手下は数こそ少なかったが、西の奥地で暴れ、ヴェロシの罠師や斥候の多くを殺した。彼の二枚舌から発せられる言葉を理解できたのはヴィベクのみであったため、二人は大論争を始め、北方人は戦詩人に敗れた。論争の間、アルムシヴィは姿を隠さなければならなかった。

次元の娘バーフォクは、槍持つ有翼人の姿で、物事の結末の力があった。歌うことで結末を操れたため、バーフォクとの戦いは必ず彼女の勝利に終わった。彼女の力で、チャイマーの村が四つ、ドゥエマーの要塞二つが壊滅した。ヴェロスが滅ぼされないよう、ヴィベクはミルクフィンガーで彼女の口を塞がなければならなかった。

北の竜イスミールは、常に髭を蓄えた大王の姿で、無限とこだまの力があった。彼は暗く不気味で、侵略者たる首領たちの中では最も寡黙だったが、言葉を発すると村は持ち上がり、海へと投げ込まれた。ホーテーターは素手で彼と戦い、竜の叫びを掴み、イスミールの喉から血が出るまで握った。叫びはヴィベクのものとなり、黒檀のリスニングフレームに変えられた。それをイスミールの顔や耳に乗せ、正気を失わせて追い払った。

「向かって来ては追い払う。そして全てが回る。これから言うことは不快で、記録にふさわしくないだろう:ハルマ・モラ・アルタドゥーン!エ・アルタドゥーン!」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十説話The 36 Lessons: Sermon 10

ヴィベク 著

第十説話

お前はその後ホーテーターに渡った言葉に隠された、ヴィベクの第十説話を見つけた。

引き起こす者は何も持っていない状態で左手を挙げ、武器はいらないと示さねばならない。来るものは常に隠れているため、引き起こす者は常に目に見えない。もしくは敵の肌の中にいることが望ましい。

「王国の瞼は三十六の本を埋めるだろうが、その眼は世界を読み解く」

これによりホーテーターは私に理解を求める。剣は性急なものである。死者には何も書いてはいけない。ボエトヒーアの言葉を忘れぬようにと、ヴィベクはホーテーターに言う:

枠作り、スカラブであるあなたに、我々は誓った:我々があなたを愛せる世界と、大事にできる泥のマントを。見ていない間に先人たちに裏切られた。ホアリー・マグナスの危険な意見で過小評価は揺らがない。これはいつも満足している者に使う手法だ。短い塔の季節、すり減った赦し。そしてこれは何だ。瞼の下にあるのは炎か?

自らの肌の中で変わりなさいと、私はトリニマクを食べし者たちに言う。声を痣の色に変えなさい。敵のように自らを家に分け、これまた敵である災厄の柱神のように中心から順に法を定め、自らを材木、泥、樹脂であるとみなしなさい。シシシットの一歩は敵の突進よりも速いため、分裂してはいけない。彼は砂利のために全てを切り裂く。

我々は雷の中、違う道を行く。静止と怠慢な奴隷によって建てられた全ての真の家は、シシシットから始まる。偽りの地図のように壊れた偏愛に背を向けよ。このように動くといい。偽りの父には素早く、母は隅でガラスと雨のために泣く。静止は何も求めず、無であるがゆえに無を求める。八つの永遠の不完全の中では、あなたもそうだった。

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

シシシットはまだ旅の途中であると理解せよ

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

空に輝く鏡の中で

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

溺れながら微笑む

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

静止は大いに願っている

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

まだ問われていないことに

ヴィベクはホーテーターに言う、ヴィベクの言葉を思い出せと。

答えることを

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十一説話The 36 Lessons: Sermon 11

ヴィベク 著

第十一説話

アルムシヴィとその王ホーテータの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の一つ目である。

「目覚めし世界は夢の記憶喪失である。全てのモチーフは傷つけられる。倒されてしまえば、テーマは未来の懐古になる。権力を悪用してはならない、さもなくば道を外れる。迷い、怒り、ついには愚の種を宿すだろう。そうなればすぐに壊れた国の祖父母となり、笑いものにされる。自分が水であることを思い出した石のように崩壊するだろう。

「必要でなく美しくもないものは家に置いてはいけない。

「試練は何にも邪魔されず受けるべきである。星の輝きはアイエムのものである。海の身勝手さはセトのものである。私は間の空気を支配する。それ以外は大地であり、今はあなたの指揮下にある。心臓の骨以外に、折れない骨はない。人生の中で二度見るだろう。一度目に得られるだけのものを得て、あとは我々に任せなさい。

「中心の真の象徴などない。シャーマトはあると信じている。聖なる場所に座ることで永く繁栄を引き起こせると思っているが、その国を出られず争いしか生まない。

「またしても象徴的かつ不毛なものの話になる。呪われて悪魔と化した真の公は最後に心から愛される。メファーラの掟によれば公式な芸術などなく、あるのは複雑性の修復点のみで、十分な時間があれば人々の恐れを取り除くだろう。この秘密にはさらなる秘密が隠されている。支配する王の道は個人を捨てた生存ではない。人々の芸術を受け止め、芸術と一つになる。つまり、秘密裏に殺さなければならない。

「支配する王は、他者に自分と同格のものを見ては何も支配できない。

「武器の秘密は、恵の座であるということだ。

「言葉の秘密は、動かないことだ。

「支配する王は全身を見事な炎で覆われている。全ての行動に見返りが伴う。その者の死は目覚めし世界へ戻る地図でしかない。眠る方法も違う。シャーマトはその生き写しであり、それ故に何も支配できないと考える。

「ホーテーターとシャーマトは一対一で十一となる。優美な数字ではない。どちらの一がより大きいだろうか?二つが入れ替われば、分かるだろうか?私には分かる、だからあなたには私が必要だ。

「メファーラの掟によれば、セオリストとテロリストに違いはない。彼らの手にかかれば、どんな大事な欲求も消えてしまう。それ故にメファーラの手は黒い。議論には両の手を使うと良い。片手の王は解決策を見出せない。ただし神に近づく場合は、どちらも切り落とさなければならない。神は全身に恐怖を纏い、理論など必要としていない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十二説話The 36 Lessons: Sermon 12

ヴィベク 著

第十二説話

ホーテーターが支配する王の最初の教訓を熟考している間に、ヴィベクはモーニングホールドへ入り、アイエムが二人の恋人と一緒にいるところを見た。セトはまた分裂していた。ヴィベクは観察のためその中に飛び込んだが、まだ知らぬ秘密を知ることはできなかった。収穫を得るため、いくつか分身を置いて行った。

そしてヴィベクはヴェロスの首都を出て灰の奥深くへと入っていった。長く続く悪地を見つけ、そこで巨大化の練習をした。神々よりも濃度の低い物質で足を作ることで、大地に飲み込まれることを防いだ。この時、災厄の四柱神の一角であるモラグ・バルが姿を現した。

ヴィベクは強姦の王を見てこう言った:

「参加しないとは、なんと美しいことだ」

無敵ではなかった戦詩人の足をモラグ・バルは潰し、軍団に切り落とさせた。始まりの場所から強力な炎が現れ、網のようにヴィベクを拘束し、彼はそれを許した。

「結婚するのなら」と彼は言った。「何らかの式典があると好ましい」

すると足を奪った軍団が呼び戻され、祝宴の開催を命じられた。悪地からザクロが芽生え、テントが張られた。ヴェロシの秘術師たちが切り落とされた足の言葉を読み、涙を流しながらやってきた。

ヴィベクはこう言った。「愛し合うのなら、手短に済ませねばならない。ドゥエマーの大司祭たちは問題を起こす。私はホーテーターに大事な助言を行わねばならない。一時間だけ、私の頭を貸そう」

モラグ・バルは立ち上がり、六つの腕を広げて自らの価値を示した。魅惑のルーンで飾られていた。さらにその逆、より長き世界の暦の注釈で飾られていた。彼が言葉を発すると、そこから交尾をする動物たちが落ちてきた。

「どこへ行くのだ?」と彼は言った。

「言っただろう」ヴィベクは言った。「私は大地の王の指導者となる運命なのだ。エ・アルタドゥーン・ガルトク・パドメ」

この魔法の言葉を聞いて、強姦の王はさらにこう付け加えた。「チム」高貴を表す秘密の音節である。

ヴィベクはデイドロスから得るべきものを得たため、その日に彼と結婚した。頭を借りていた一時間の間に、強姦の王は愛の証明を求めた。

ヴィベクはそれに応えるため二つの詩を読んだが、そのうち一つ目しか知られていない:

あなたの髪を作るのにどれだけの碧水晶が必要だったか
海から採れるものの倍はあったか
愛しい者よ、地獄とは真実を語る者たちの書いた創作
私の口は嘘が上手で、歯はアリバイを製作

ヴィベクとモラグ・バルの子孫は数千にのぼる。その中で最も強き者の名は、力に満ちている:グルガ・モル・ジル・ヒャエト・エ・フーム。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十三説話The 36 Lessons: Sermon 13

ヴィベク 著

第十三説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の二つ目である。

「これが高貴を表す秘密の音節である:(別の場所で読まねばならない)

「人間は一時的な神話である

「魔法の十字は、自らの霊魂を消費する定命の者の価値を統合したものである。三角形で囲えば三位一体の家が見えてくる。それは隅々へと分かれ、同胞である四柱神バル、デイゴン、マラク、シェオグによって支配される。三角形を回転させれば始まりの場所、汚い嘘、反論を許さぬ者の証、その心臓を貫く。それら全ての上にはたった一人しか立てぬ場所、まだ誰も立っていない場所がある。それは新しいものの証明。それは知恵者の約束。それを全て広げれば星があるだろう。それは私の管轄ではないが、一切判断できぬところではない。偉大なる計画が飛び立つ。星のみならずスズメバチにも変形する。中心は持ちこらえられない。点と線が欠けてしまう。何もかもが欠け、器となる。最後には、それが役に立つ。それが約束されたものだ。

「剣は十字であり、アルムシヴィはそれを囲う三位一体の家である。終わりがあるならば、私は排除されなければならない。支配する王はそのことを知っていて、私は彼を試す。彼がそれを理解するまで、繰り返し殺す。私は最後の守護者である。私を排除することは、持ちこたえられぬ中心で眠っている心を再び満たすことである。私は剣、アイエムは星、セトは機械であり、世界の変化を引き起こしている。黒い海で満たされぬよう、取り決めを守るのが我々の役目である。

「シャーマトは中心で眠る。参照する世界が排除されることに、彼は耐えられない。これが偽りの夢を見る者の愚かさである。これは夢の記憶喪失、力、離脱である。これは弱き魔法であり、毒に侵されている。

「だからこそ私は言う、剣の秘密は恵の座であると。私の玉座である。私がアルムシヴィの声となる。私の姉や兄よりも、世界は私を知る。私は霊魂を冥界に運ぶ者。ヴェロスの雑草を刈る者。ヴェロスは持ちこたえられぬ中心である。アイエムは構想で、セトは結末である。私は排除されねばならない謎である。だからこそ私の言葉は歯で武装している。

「支配する王は私に立ち向かい、私の前に立たねばならない。私の罰から学ばなければならない。彼に分かるように私が示す。彼は男性であり女性であらねばならない。私のようにならなければならない。

「なぜなら支配する王は、他者に自分と同格のものを見ては何も支配できない」

ヴィベクがまだ完全でなかった頃にホーテーターが言われた言葉である。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十四説話The 36 Lessons: Sermon 14

ヴィベク 著

第十四説話

ヴィベクは頭のない状態で八十八日間モラグ・バルと横たわっていた。その間にデイドラ公は戦詩人の足を戻してデイドラの血で満たした。こうして巨大化したヴィベクは永遠に大地へ害を与えることはなかった。ザクロの宴により死者の霊魂が数多く戻ってきたため、息子たちや娘たちには果物以外にも豊富な食糧があった。

宴の最中にスキャンプの公爵が現れ、モラグ・バルは七つの旗を見て怒った。強姦の王が必要となり、時の残りの間問題を抱えた。彼の軍団とクウッタの軍団の間で戦争が始まったが、モラグ・バルとヴィベクの子たちは力も形も複雑すぎた。

そのためスキャンプの公爵とその子たちは劣るようになった。モラグ・バルは彼らにこう言った:「お前たちは嘘つきの子、犬の子、狼の頭の女の子だ」彼らはそれ以来使い物にならなかった。

金色に光る知恵を持った聖なる者ヴィベクが、ついに戻ってきた。体が丁寧に扱われていたことを、頭は知った。彼がモラグ・バルにそう言うと、何々のごとく動く男爵に礼を言うように言われた。「私は自分の歓喜を洗練する術を未だ知らない。私の愛は槍のような形になってしまう」

アイエムの慈悲を受け継いでいたヴィベクは、モラグ・バルに腹の魔法を教えることにした。お互いの槍を出し合って比べた。始まらぬ者に滅び以外のものをもたらせるよう、ヴィベクは強姦の王のものに新しい言葉を噛み込んだ。それ以来これは禁断の儀式となったが、秘密裏に行う人々もいる。

その理由はこうである:見ていたヴェロシや悪魔たち、怪物たちがみな自分たちの槍を取り出したのである。多くのものが噛まれ、大地が濡れた。そしてこれがモラグ・バルの最後の笑いだった:

「かつてないほどの力が集まり、その重みで割れる大地を見よ!」

すると結婚式の行われた広い悪地が砕け、炎が飛び散った。そして今はもうないが、当時にすれば悲惨なレースが開幕した。噛む者として生まれ、ひたすらに噛みながら、彼らは狂ったように走り、ヴェロスの地を横切ってレッドマウンテンの岸まで向かった。

しかしヴィベクは強姦の王から得た秘密を利用し、その槍からさらに恐ろしいものを生み出した。彼はモラグ・バルを噛む者たちの亀裂へと突き落とし、二度とその王を美しいなどと称賛しないと誓った。

ヴィベクは泣きながら周囲の者たちを新しい槍で殺した。彼はそれをムアトラ、つまりミルクテイカーと名付け、そこからチャイマーの秘術師たちにも彼の怒りが伝わった。この時ヴィベクに打たれた者はみな不毛となり、骨のような形にしぼんでしまった。その骨の道で作られた言葉を星たちが読み、それ以来天に子供は生まれなかった。ヴィベクは噛む者たちを残らず見つけだし、その子孫に至るまで九の隙間によって殺した。賢い者は未だにムアトラから隠れる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十五説話The 36 Lessons: Sermon 15

ヴィベク 著

第十五説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとデゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。ヴェロスの神々が宇宙などの物質を作りに出ている間、ホーテーターが混乱してしまうこともあった。そのような時にはいつでもヴィベクが彼を導いた。これが支配する王の三つの教訓の三つ目である。

「支配する王は、その製作者たる私を排除する。全ての子はそうあらねばならない。彼の最大の敵は、偽りの夢を見るシャーマト。ホーテーターよ、彼かあなたか、どちらかが砂利だ。誤った道を歩いてはならない。愛の罪に気をつけよ。彼の言葉を見よ」

私はシャーマト
私は音楽よりも古い
私には光がある
私には星がある
私には
古の海がある
眠れば私の姿を見るだろう
中心で踊る私を
破滅ではない
私の家だ
私は世界の口の中に
星を入れる
世界を殺すために
門を崩せ
私の盲目の魚たちよ
新しきフロギストンで
泳ぐがいい
門を崩せ
耳の聞こえぬ月たちよ
歌いながら焼けよ
そして私を中心に周るがいい
私は音楽よりも古い
私には光がある
私には星がある
私には
古の海がある

「お前は何度でも現れるが、彼を破壊できるのはお前しかいない。私がそれを許すかどうか、すでに分かっている。武器を持たずに彼のねぐらへと入り、この言葉を用いよ:エ・ガルトク・パドメ[チム]・エ・アルタドゥーン。もしくは用いずともよい。人間は一時的な神話である。暴力により天へと届く。お前にこの魔法を授ける:お前が支配する世界は一時的な希望でしかなく、お前は不確実な文字に書かれなければならない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十六説話The 36 Lessons: Sermon 16

ヴィベク 著

第十六説話

ホーテーターは学んだ教訓の理解に苦しみながらモーニングホールドを歩いた。どうしても頭に定着させられず、言葉を真に受け止められないことに危険を感じていた。ヴェロスの光であり、王であり主であるヴィベクを探し求め、あろうことか誤りの聖堂で彼を見つけた。そこで精巧なハサミが彼の髪を切っていた。物乞いの王が織機を持っており、彼の髪を使って成人と死の地図を作っていた。

「主よ、なぜこんなことをしているのですか?」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「炎の場所を確保するためだ」

ヴィベクが苛立っていたことはホーテーターに明白だったが、それは迫りくる新たな力の影響ではなかった。黄金の戦詩人は生まれる前にドゥルーたちから学んだように、水の顔も発動していた。

「炎から身を守るためですか?」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「真に見ることができるようにだ。そして、このパドメの誤りの家の祭壇があれば、自分の秘密のさらに向こうを見られる。水の顔は嘘をつかない。嘘をつくどころか、考える余裕もないほど忙しい海から来ている。揺らめく水の動きは、真実を示す」

「考えすぎて、全てがおろそかになってしまうことが怖いのです」ネレヴァルは言った。

ヴィベクはこう言った。「では暴力により天に手を伸ばすといい」

そして頭の中を静めるため、ホーテーターは斧を手に取った。それに名前をつけ、最初の月へと進んだ。

そこでネレヴァルはクレーターの議会に出迎えられた。彼らはホーテーターのことを知っており、月の領域へと入ってきた大地の王を拒絶した。彼を囲むように動いた。

「月で王冠や王権は認められない」彼らは言った。「ライオン、大蛇、数学者など、王国の代表者も同じだ。我々は、移住し古代の国となった者たちの墓場だ。女王も玉座も必要ない。あなたの見た目は明らかに太陽のもの、つまり盗んだ思想の図書館のようなものだ。我々に涙や悲しみはない。書かれている通り、我々の革命は成功したのだ。あなたはホーテーターであり、ここでは歓迎されない」

そしてネレヴァルは息切れするまで墓場の亡霊たちを切り続け、ついにその議会が新たな法を定めることはできなくなった。

彼はこう言った。「私は滅びゆく奴隷ではない」

議会のうち、ホーテーターの攻撃に耐えて生き残ったのは数名のみであった。

クレーターの生き残りはこう言った。「独占は新しいことではない。全ての原因はそのものにある。このモチーフは英雄の伝説と関連がないわけではない。あなたは創造的な衝動で動いていない。あなたは運命の重みの下を行く。我々は墓場であるが、棺ではない。その違いを知れ。あなたはただ掘り進めただけで、眠らせる亡霊を増やしたわけではない。あなたの主張の中心には、弱い出来事の優位性がある。大地に裁かれるということは、わけも分からず玉座に座ることと同じだ。これ以上我々を傷つけても死者は増えず、何も得られないだろう」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十七説話The 36 Lessons: Sermon 17

ヴィベク 著

第十七説話

「私は煙の地図である」

これにより、ヴィベクは以前よりもさらに偉大となった。アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレスデイニアの時代の話である。

「私は形を変える、ゆえに努力せず私を求めるべきである」

ホーテーターはまだ斧で天を制圧しようとしていた。マグナスの力で太陽の図書館から追い出された。デシャーン平原の沼地を出たところの野原で、ヴィベクが彼を見つけた。二人はしばらく無言で歩いた。ネレヴァルは恥をかき、ヴィベクにはまだ慈悲があった。

しばらくすると彼らは東の海を渡り、蛇と雪の悪魔の地へ向かっていた。ヴィベクは海外の戦闘様式をホーテーターに見せたかったのである。彼らはツァエシの王の枕元の本から慣用句を学んだ。その形はこのページの本質に似ている。ツァエシの大蛇たちは西への復讐を三度以上誓っていた。

彼らはさらに歩き、地図の端にある尖った水を見た。ここで制約の霊魂が彼らにスポークを与え、残りの車輪を見つけるよう命じた。

ホーテーターはこう言った。「世界の端は剣でできている」

ヴィベクはそれを訂正した。「世界の下の歯だ」

彼らは北の古の森へと向かったが、そこで見つけたのは氷漬けになった髭の王のみだった。

彼らは黒き民の住む西へと向かった。一年間そこの剣聖たちに学び、その後もう一年ヴィベクが彼らに小さな報酬の美徳を教えた。ヴィベクは王を妻とし、やがては西を完全に破壊する怪物の種族を生み出した。ある戦士の長に、ヴィベクはこう言った:

「我々は眠っているかのように話し、振る舞ってはいけない」

南でも学べることがあるのではないかとネレヴァルは不思議に思ったが、ヴィベクは何も言わず彼をレッドマウンテンへと連れ戻った。

「ここが最後の最後だ」ヴィベクは言った。「この中でシャーマトが待っている」

だがシャーマトと戦うにはまだ早いことを二人とも知っていた。彼らは互いを相手として戦闘を始めた。こうしてヴィベクは全てのヴェロシに見えるようホーテーターを示した。傷はアイエム・アズラの恵みで閉じた。戦闘が終わると、ホーテーターはさらに七つのスポークを得ていたことに気づいた。それらを繋げて杖を作ろうと試みたが、「まだその時ではない」とヴィベクに止められた。

「どこでこれを見つけたんですか?」ネレヴァルは言った。

知らぬうちに得ていたものもあるが、全て世界中から集めたものであるとヴィベクは言った。「私が車輪だ」とヴィベクは言い、その形になった。中心の虚無が永く続く前に、ネレヴァルはスポークをはめ込んだ。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十八説話The 36 Lessons: Sermon 18

ヴィベク 著

第十八説話

ドゥエマーとの戦争の前に、ホーテーターに教えられることは全て教えたとヴィベクは感じていた。この時点で戦詩人は時の書の執筆を始めねばならないと決断した。なぜなら、年を重ねた世界が歪みつつあったのである。

ヴィベクはモーニングホールドに入り、ムアトラから逃げ出した九体の怪物と戦うことをアイエムに告げた。

「私はまた戻る」彼は言った。「ドゥエマーの偉大な建築家に、最後の一撃を浴びせるために」

アイエムはこう言った。「彼らは強いが、九体のうち八体しか見つけられないでしょう。あなたが時の書を作る決断をしたことで、九体目はすでに消滅しました」

アイエムは彼自身のことを言っているのだと、ヴィベクは理解した。

「何を悩んでいるの?」と彼女は聞いた。

彼は悩みがあるからこそ三位一体の剣なのである。それを知っていた彼は、恥も恐怖も感じなかった。その代わり、この言葉で説明した:

「透明の門の一員があまりに古くなり、後継者が実際の模型の改善ではなく、現在の世界の状態に合わせた関連した模型になることがあるだろうか?未来に起こることがセトに理解できないほど奇妙でない限り、母であるあなたが心配する必要はない。処刑人と愚か者も同様だが、私はそのどちらでもない。

「理想の形は変わるかもしれないが、本質は変わらない。だが西でもレインメーカーは消える。もう誰にも必要とされていない。

「以前の模型が理想に基づいて置かれているのではなく、無意識に常時変わりゆく定命の問題と繋がっているという理由で、それを追放できるだろうか?」

ヴィベクが完全だった頃、アイエムに言った言葉である。賢き者はこれを誤って解釈してはならない。

アイエムはこう言った。「だからあなたはネッチマンの妻の下に生まれ、母親の像と一つになり、水の中、炎の中、鉄の中、灰の中、東の全ての芸術が一つとなり、六倍の知恵を持ち、男と女の融合体、魔法の両性となり、戦いの原理、言葉における性の死、中界で唯一の存在となったのね」

その時ヴィベクは時の書を記録する意味を理解した。

この説話は禁じられている。

この世界とその他の世界において、十八引く一(勝者)は魔法の円盤であり、暴力によって天に届くよう投げられる。

この説話は真実ではない。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第十九説話The 36 Lessons: Sermon 19

ヴィベク 著

第十九説話

ヴィベクは鎧を身につけ、交流と情報で埋めつくされた空間なき空間へと足を踏み入れた。それは出会って来た全ての考えを記した地図であり、神聖な火花のような行事であった。彼はこう言った。「ここから八体の怪物に攻撃を仕掛ける」

そしてヴィベクは、星のように輝く心から現れる蛾を見た。レッドマウンテンの灰よりもひどい埃をまき散らしていた。彼は比類なき支配する王の二つの頭を見た。そして八つの不完全なものが貴重な石にすり込まれ、拘束具のような冠にはめ込まれていた。彼はそれが双頭の王の二つの王冠であると理解した。双頭の王の口には川が流れ込んでいた。

するとヴィベクは秘密の扉の中央に仮の家を建てた。そこから来る時代を見ることができた。その家についてこう書かれている:

一つ目の礎には指があり
地に埋められ
ゆっくり土の中を指す
北は予測できない
だがそれでも心は自由だ

二つ目の礎には舌があり
埃すらも饒舌になる
聞けば愛が見える
古の蔵書庫は必要としている

三つ目の礎には少量の糸があり
あなたの好きな色の形をしている
少女は誰が置いて行ったか知っているが
掘り起こすことを恐れている
先に繋がれたものを見ることを

四つ目の礎には九つの骨があり
それは黒猫から慎重に取り除かれた
この言葉の形に並べられ
我らを敵から守っている

あなたの家はもう安全だ
ならばなぜ——
あなたの家はもう安全だ
ならばなぜ——

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十説話The 36 Lessons: Sermon 20

ヴィベク 著

第二十説話

最初の怪物は実は二体であり、親であるヴィベクと同じように二度生まれていた。ムアトラから逃げ出した八体の中で強い方ではなかったが、その行動は不安を起こさせるものだった。彼はムーンアクセルとして知られ、自然界に残された弱点を刈り取っていた。これは二度行われると言われ、二度目は必ず破壊か不文の法をもたらしていた。彼は多面体のような見た目をしていた。

ムーンアクセルが危険であるという情報はなかったが、槍が効かなかったため、ヴィベクは持たれざる剣を使わざるを得なかった。怪物と交戦する前に、戦詩人はこう問いかけた:

「どうして槍が効かなくなった?」

ムーンアクセルはこう答えた。「私は二面的で変幻自在だ。どれも長くは続かないが、私は多数の直線から成り立っている。これにより、私は直線的なものを全て無視できるようになった」

幸いにも曲線状の持たれざる剣はムーンアクセルを切ることができ、陽が昇る頃には多くの傷口から血を流していた。彼を即座に殺せば自然界の弱点を閉じ込めてしまい元に戻せないため、ヴィベクはそうしなかった。ヴィベクはすぐに地理を正しく記せたため、ムーンアクセルを殺す準備が整った。

ヴィベクはおぞましい巨人の姿になって立ち上がった。西に手を伸ばし渓谷を手に取り、角のようにして持った。東に手を伸ばしニックスハウンドを一握り掴んで食べた。彼らの霊魂を渓谷に吹きかけると、解かれぬ女のようなひどいうめき声が鳴り響いた。彼はこう言った:

「圧倒されるがいい」そしてムーンアクセルは盗まれた魂の曲線に圧倒された。それらは樹脂のように怪物へ巻き付き、彼も二面性も身動きがとれなくなった。「これでお前は解決された」そう言ってヴィベクは彼の子孫をムアトラで貫いた。ムーンアクセルは動かぬものとなり、すなわち砕かれた。

ムーンアクセルの直線はヴェロシの哲学者たちに回収されて洞窟へと運ばれた。そこで一年を掛け、ヴィベクは息子の直線を謎の車輪のスポークへと変える方法を哲学者たちに教えた。これが最初の旋回学校の誕生であった。それ以前は炎の表面しかなかった。

ヴィベクは初めての車輪の弟子を見てこう考察した:

「卵の殻を纏った世界は、この三つの距離に覆われる恐ろしい所有物と似ている。それは魂を壊され、私の名前と同様に生きている。この修道院であなたは歩くべき一つの道を見つけた。剣のように起伏があるが粗雑なものだ。あまりに尖っていて、声を潜めないと舌から出血してしまう。長く続きすぎた帝国のように、看板が以前の意味を失わせてしまう場所だ。

「剣は政治からの離別である。

「私の息子のよくできた線を見よ。星の知恵で作られ、全ての手足が中心から均等な距離にある。私の意志で解体されたのか?第二段階などあるはずがない。私の存在が五つの要素を広め、卵の殻を纏った世界と同様に崇高な運命を引き起こすものであると考えるべきである。こう考えれば荷馬車の車軸を壊せる。そして飛べる」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十一説話The 36 Lessons: Sermon 21

ヴィベク 著

第二十一説話

車輪の言葉、その一:

「スポークは混沌の八つの要素であると、時の法則により定められている。トカゲの神々がストライキングと呼んでいる、いわば静的変化である。これが爬虫類の車輪であり、動かないものの序章となるコイルの可能性である」

その二:

「エドラから借りられた骨であり、我らの住む新しい星の濡れた大地、シシシットへ贈られた八つの手足である。その中ではなく外にアービスがある。説明のつかないものは大抵円形であり、これもそうである。円とは、攻撃を重ねながらも決して噛みつかせてはもらえぬ混乱した蛇のようなものである。エドラは違うことを言うだろうが、彼らは嘘つきである以前に与える者であった。嘘により噛みつく者となってしまったのである。彼らの歯は考えを変えさせる。変わるということは偽りの口の中へ入ることである。たとえ懐柔であっても飲み込まれる」

その三:

「悟りを開く者は、世界に食われなかった者である」

その四:

「十六番目の贈り物の手足の間の空間、悪魔の公を表す形。それが鍵であり錠であり、系統でありマンティコアである」

その五:

「王を横にしてみれば、先人が神像を作るために使った塔が見えるのみである。中心を見れば穴と二匹目の蛇が見えるのみである。それは手を伸ばす者のために子宮を準備していて、正確であり魔法などない」

その六:

「二匹目の蛇の心の中に、秘密の三角形の門がある」

その七:

「秘密の三角形の門を横にすれば、秘密の塔が見える」

その八:

「塔の中の秘密の塔は、唯一の神である私の形をしている」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十二説話The 36 Lessons: Sermon 22

ヴィベク 著

第二十二説話

そしてヴィベクは最初の旋回学校を去り、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗くと、二匹目の怪物であるトレジャーウッドソードを見つけた。ザクロの宴から月日が経ち、低層のヴェロシの家を教える存在となっていた。彼らはその力をこう称えた:

「トレジャーウッドソードは高貴で輝かしい者たちの光である!使用した者は自らを知る!」

戦詩人はモラ家の先人のアルコーブで客人となっていた。そこの花冠の公は北の悪魔たちを倒した英雄であった。ヴィベクは骨たちを呼び集めた。彼はこう言った:

「ゴミを漁る者が絹のサッシュを見つけたからといって、前任者の偉大なる体系を見つけられると思ってはいけない。完全なる幸せは泣くことによってのみ手に入る。私の結婚の残された部分を(自由に)返してもらおう、そうすれば神の思考の領域から消さないでおく。あなたの線には、私の姉アイエムの気に入りそうな魔法がある。彼女の暗い知恵に免じて、謙虚にもお願いをしているのだ」

壁から歩く骨が現れた。古の魔法の行いに倣って、下あごに貴石を三つはめていた。そのうちの一つはオパール色のオパールであった。歩く骨は中間の公に一礼してこう言った:

「トレジャーウッドソードは我々の家を去らない。より大きな影である黒き手のメファーラと契約が交わされた」

ヴィベクは一つ目の貴石に口づけをし、こう言った:

「動物の絵よ、無礼な歩く者よ、水の中でも灯り続けるランプへと戻り、これ以上無駄な伝言を蓄えるな。下がれ」

二つ目の貴石に口づけをし、こう言った:

「すぐに消散する誇り高き残留物よ、私の姿から何かが保証されると思うな。皮膚の下にあるものに何も求めるな。私は永久に主である。下がれ」

オパールに口づけをし、こう言った:

「お前を下へと連れて行こう」

そしてヴィベクは隠された場所へと引き下がり、モラグ・トングの暗黒の母たちを見つけ、その全てを妻として夏の塩のような味の忠誠心で満たした。彼女たちは黒き女王となり、百の殺人的な息子たち、千の殺人的な腕、十万の殺人的な手とともに叫び、路地、宮殿、工場、街、秘密の部屋の中で大きな動きが発生した。ラアシムの持ち物の中での動きは波のようで、時の狭間でうねり、全ての運命は飲み込まれたナイフ、うめき声の殺人、神による濡れた死の抹消へと導かれた。

暗殺者の王は、ヴィベクにトレジャーウッドソードを差し出した。

「モラ家の公もあなたに好感をもっているようです」と暗殺者の王は言った。「彼をデイゴンの端に配置しました。彼の目は邪悪な者のための炎の祈りにはめ込みました。口には鳥を詰めておきました」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十三説話The 36 Lessons: Sermon 23

ヴィベク 著

第二十三説話

剣の言葉、その一:

「剣は美味な料理のように扱われ、象徴的なコラージュである。人生の前半において役に立つ。これを知らぬ王朝はない」

その二:

「動かぬ戦士は私の手法の一貫性を理解できる。真の眼が手に入る。私の臣下、支配下であることを喜ぶがいい。私はあなたたちのために剣の街を作る。つまりそこに住む人々を、より良い形へと切り取る法である」

その三:

「私が鎧を着て現れれば、女性はすぐにドレスを燃やす。血を流した放浪者のように私の下へ這いつくばる。小さな霊魂は跡形もなく死ぬ。あなたの日々を殺しの日々としたいのなら、アルムシヴィの中でも私に従うといい。エ・アルタドゥーン、武器の三つ目の法である」

その四:

「動かぬ戦士が疲弊することはない。戦闘中でも穴を掘って眠り、力を回復させる」

その五:

「本能は反射行動ではなく、用意された小さな奇跡である。どの戦士が台頭するかを決めるのは私である。幸運を求めてはいけない。勝つために私に仕えよ」

その六:

「活動の見えない期間は、絶対なるものへの愛である。ネッチマンの妻から神が生まれたことは、愛から優しさが取り除かれたことを意味する」

その七:

「真の剣は世代の鎖を切ることができ、それはつまり敵の作った伝説である。私は亡命した庭園であると考えよ。それ以外の全ては手入れされぬ雑草である」

その八:

「二つ目の道によって鍛えられた古の道を授けよう。古の道ほどの大きさのある剣を扱うには巨大な手がなければいけないが、それほどの者は棒切れだけでも太陽を突ける」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十四説話The 36 Lessons: Sermon 24

ヴィベク 著

第二十四説話

そしてヴィベクは暗殺者の家を出て、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗くと、ホードマウンテンという三匹目の怪物を見つけた。自由に動きながらも等間隔に配置された戦士たちで構成されていて、雲を切るほどの高さの戦士を中心に、木のように広がっていた。その姿はスカートのようで、裾の部分は灰の中を走る軍団で構成されていた。

ヴィベクは我が子の円錐形に感心しながら、生まれる前に様々な戦闘様式を教わった時の喜びを思い返していた。

ヴィベクは「責任」と言いながらヴェロスへ入っていった。

だが怪物に剣が届く距離まで近づける前に、三つの低層の家がホードマウンテンを危ういネットで捕らえた。主を見ると、ヴェロシは歓声を上げた。

「我らは喜んで仕え、勝利します!」彼らは言った。

ヴィベクは勇敢な者たちに微笑み、祝賀の悪魔を呼びだして勝者に付けた。捕獲された怪物の周りでは愛と責任感が漂っており、その中心でヴィベクは骨の頭飾りを被っていた。彼は笑い、神秘的な冗談を言い、三つの家の長を引き合わせて新体制を確立した。

「お前たちはこれから永遠に私のボイアント・アーミガーだ」と彼は言った。

するとヴィベクはムアトラでホードマウンテンを貫き、骨の入った大きな袋へと変えてしまった。右手でネットに触れて言葉へと変え、それを全て北東に投げた。中身が砂糖のように散乱し、ヴィベクとボイアント・アーミガーたちは笑いながらその下を走った。

ついにホードマウンテンの骨は地面に落ちて剣の街の土台となり、ヴィベクはそれに自らの印の名をつけた。ネットはその合間に覆いかぶさって骨と骨をつなぐ橋となり、その線は彼の聖なる英知に触れていたため、知られうる世界の中で最も完璧な街道となった。

多くのヴェロシが新しい街を訪れ、アイエムとセトもそこに祝福を与えた。街は笑いと愛と、木の形をした敵の子で埋めつくされた。

アイエムはこう言った:

「私の兄弟の街に、ホーテーターの生まれたインドリル家の聖なる加護を与えよう。その力と玉座に並ぶものは天下にない」

セトはこう言った:

「私の兄弟の街に、モラグ・バルの残した暗い街角を歩ける安全を与えよう。そして強き者への私の名であるこの呪文を与えよう:これで道に迷った者は、故意でなければ守られるだろう。道や路地を文明の謎の道で満たし、街に心を与え、凝縮されたアルムシヴィへの道筋となろう」

こうしてレスデイニアの時代にヴィベクの街が誕生した。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十五説話The 36 Lessons: Sermon 25

ヴィベク 著

第二十五説話

街の言葉:

「全ての街は硬い光でできている。私の街も、彼の街も」

「だがやがて光は弱まり、ヴェロスの眩く残酷な天使が現れる。彼は怪物になる前の悪魔のような姿のベクで、青白く痩せていて、美しかった。皮膚は鳥の骨の上に薄く延ばされ、羽の生えた蛇がその腕を囲んでいた。背中からは翼が広がっていて、赤と黄色の先端は太陽に照らされて刃のようだった。燃え上がる髪の毛の束はまるで水中にいるかのように浮遊し、彼の頭を照らす光を浴びて白く輝いていた。その存在は否定しがたく、耐えがたい恐ろしさであった。

「ここは神の街、他とは違う。他の国の街はその民を眠らせ、東へと歩き、私に忠誠を誓いに来る。永遠の冷気で凍り付いた北の首都の人々は、ヴィベクの街の前で我々に頭を下げる。

「自らによって考案された道が、血の中を走る。私は自分自身を建て直した。乱暴な道標は私の腕に沿って立ち、やがて内海となる。快楽を生む道具のように、私の体は私の降臨を見守るために集まった人々で埋めつくされている。私の脊髄は、私という街への本道である。血管や通路では数え切れぬほどのやりとりが行われ、放浪、放浪、放浪する者たちは街中を歩き、私をさらに大きくする。私の頭蓋骨の空洞には聖堂が立ち並び、それを王冠として永遠にかぶり続ける。神の唇の上を歩くがいい。

「それらは私に新たな扉を与え、売り買いされる市場の活気により簡単に不死を行き来する存在となる。子供たちは叫びながら遊び、笑い、楽しみ、欲し、片面には私の顔、もう片面には街の全貌が写る新しい通貨をやりとりする。私は新しい窓の一つ一つからそれを凝視する。やがて百万の眼を持ち、夢を見る虫となる。

「忙しく行き交う人々の中で、赤い火花を散らす戦争のラッパは家畜の鳴き声にしか聞こえない。異端者たちは広場で処刑される。私は丘を越えて広がり、発疹のように次々と家が建つが、掻きむしることはない。街とは狩猟に対する解毒剤である。

「私はランターンで空洞を照らし、私の名の書かれた燭台に何度も何度も蝋を注ぐ。その名は数えきれず、辺りを囲み、マントラに司祭、神の街、隅々までその名で埋めつくし、車輪を付けて回転し、流れる川の言葉は足音でクスクス笑い、売り、盗み、探し、私とともに歩く者に心配は無用である。これによりアービスの計画に花が咲く。これがPSJJJJの約束である:卵、像、人、神、街、国。私は仕え、仕えられる。私は針金と糸とモルタルで作られ、前任者を、そして私のいない世界を引き継ぐ」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十六説話The 36 Lessons: Sermon 26

ヴィベク 著

第二十六説話

そしてヴィベクは最高の建築物を後にして空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込み、四匹目の怪物であるポケットカバルを見つけた。

怪物は、皇帝カサダケが自生する極東に住むチャイマーの魔術師たちの呪文リストの中に隠れていた。ヴィベクは単なる旅人に扮したが、魔術師たちに見つかるように感知できる薄い布を纏っていた。彼はムアトラから単純な歩くドワーフを作った。

しばらくすると見えざるものは東の図書館に紛れ、歩くドワーフにポケットカバルの言葉を吹き込んでは、魔法が解けると逃げていた。この盗みを一年か二年続けるうちにムアトラは腹を病み、歩くドワーフは魔術師の塔の奴隷の檻の近くで爆発した。するとポケットカバルは、奴隷の口の中へ入り込んで再び隠れた。

すると奴隷たちがガヤガヤと話を始め、魔法が飛び交うのをヴィベクは眺めた。彼らは檻を揺らしながら半分の賛美歌を歌い、それは禁断の難解な知恵へと形を変えた。連祷の鬼が現れ、溢れたものを飲んだ。奴隷の話声が主要な場所以外を破壊したため、盗む者たちが隣り合う場所から横向きに入ってきた。

当然ながら巨大な虫が現れ、その中には東の偉大な魔術師が入っていた。ヴィベクの変装を見破り、戦詩人が神聖であることは分かっていたが、自らの力を過信していたため厳しい口調で話した:

「ふざけた三位一体め、何をしている!無意味な言葉に、連祷の鬼!お前が食って、食って、食い散らしたおかげで、どうやって道理や秩序を完全に取り戻せというのだ!他の悪魔たちと遊んだらどうだ?」

ヴィベクは魔術師の魂を貫いた。

巨大な虫が奴隷の檻の上に落ち、奴隷たちは自由に見境なく、さらに言葉を発しながら走り回った。様々な色が大地に織り交ぜられた。ヴィベクはその全てを閉じ込めるべく、ドーム状の頭をもった悪魔を作った。

「これでポケットカバルは永遠にここに封じ込められる。ここは魔術が無力化され、蔑まれる呪いの地としよう」

そして彼はムアトラの髭を掴んで持ち上げ、ドームの悪魔の半球体を後にした。そこの境界線に警告と、誤りを含んだ入場の歌を置いて行った。半死半生のムアトラの偽物の骨を使って要塞の理屈に基づくテントの支柱を作り、破壊的な言葉は永久に閉じ込められた。

セトが現れて兄弟の作ったものを眺めた。正確さの王はこう言った:

「八体の怪物のうち、最も難しい。宝物にして良いか?」

ヴィベクはセトにその許可を与えたが、絶対にポケットカバルを中界に放ってはいけないと告げた。彼はこう言った:

「私は旅の途中でここに秘密を隠し、愚か者から保護するためにムアトラと似たものを作った。このドームの中で、人はもう一時的な神話ではない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十七説話The 36 Lessons: Sermon 27

ヴィベク 著

第二十七説話

言葉の言葉、その一:

「全ての言語は肉に基づく。詭弁化に騙されてはいけない」

その二:

「三つ目の道は、恐れることなく興奮を探る。おかしな者の努力はそれだけで社会として成り立つが、書かれた場合に限る。賢き者は一つの法を別のもので代用することがあり、時にそれは矛盾するが、それでも特定の手法を用いていると言い張る。口語においてこれは真実であり、全ての言葉に共通する」

その三:

「赦免のために謝罪の領域に踏み込んではならない。表現の向こう側に罪などない。盗む者の住む隣り合う場所には、声と思考の中間の錯覚があり、それは作られたものである。これにより私は、どの角度から見ても完璧な正確さの議長から確実性を奪った。声の領域から外れると、確かなものはない」

その四:

「真の創作物とは、沈黙から作られる。それは何も参照しないことから生まれる沈黙である。それはつまり死者のことだ」

その五:

「最初の意義はいつも隠れている」

その六:

「謝罪の領域は完璧であり攻撃を受け付けない。そのため賢き者はそれを避ける。三位一体の集結は世界であり、行動を起こす言葉である。三つ目の道である」

その七:

「自らの最高の格言を抑える賢者。それは盗人であるため、手を切り落とすべきである」

その八:

「壊れた地図の服を着るのは愚か者と異端者のみである。地図は怠慢の出口である。埃を被った舌であり、つまりは多くの者が完結した物語と思い込む図表だ。飲み込まれるまで、どんな言葉も真実ではない」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十八説話The 36 Lessons: Sermon 28

ヴィベク 著

第二十八説話

そしてドーム状の悪魔のことはセトに任せ、ヴィベクは空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、五匹目の怪物であるルディーマンを見つけた。

ドゥルーが世界を支配していた頃、その頂点にはデイドロスの公モラグ・バルがいた。その当時はとげで覆われ、鎧を着て海に適した姿をしていた。多くの子を生んだヴィベクは、その時モラグ・バルの古い象徴を世界へ落とした。死んだ記憶の甲羅である。それをヴェロシの子供が着て村の人々の関心を得ようとしていなければ、怪物にはなっていなかった。

ルデイーマンは八体の怪物の中で最も単純であった。彼を着た者は強力な殺人者となったが、それ以上は何もなかった。彼は物理的な世界に存在していた。彼を特別な存在にしていたのは地理だけである。

ヴィベクが男の子の村グニシスで彼を見つけると、武器が乱暴にぶつかり合い、大地が持ち上がった。彼らの戦いはウェストガッシュを作り出した。今でも、そこを訪れる放浪者はその音を聞く。剣が甲羅にぶつかる音、神の唸り、怪物の脚の骨が折れる音である。

勝利したヴィベクは、自分の母を改造したドゥルーのところへルディーマンの甲羅を持って行った。書くには難しい名を持つドゥルーの女王は、自己孵化の時期だった。彼女の番人たちがヴィベクから贈り物を受け取り、地上から守ると約束した。ドゥルーが嘘をついた記録は、これが初めてである。

十年後、今度は涙の近くで、ルディーマンが再度現れた。災厄を信仰する気まぐれな呪術師によって着られていた。ドゥルーたちは守るどころか、その生きた鎧に不撓性の秘術を染み込ませていた。その呪術師に覆いかぶさると脱皮し、彼の骨を五つの隅まで伸ばした。

ヴィベクは再び怪物と相対すると、その足から三つの村の残骸が滴るのを見た。彼は巨大化し、象徴的なコラージュを用いてルディーマンを殺した。海のアルトマーはもう信用できなかったため、彼は甲羅を誠実で忠実なナンバールームの秘術師たちに託した。彼らにこう言った:

「ルディーマンから哲学者の鎧を作るといい」

秘術師たちは賢者に甲羅を巻き付けた。それが二つの大きな数字による一連の飾りとなり、そのうちの一つは背が高く、もう一つはその腕の下にあった。それらは甲羅の周りを走り、互いをすり抜けながら、もう役に立たない十二と十三の間の数字から聖なる樹脂を引き出して塗っていた。賢者が呼吸できるよう、神の表皮に金の藁を素早く通した。儀式の銅版画が凝固する樹脂に引き込まれると、チャイマーの口の中でしか答えの見つからない死者と方程式の長いリストが、ヴィベクの恐ろしく光る爪によって刻み込まれた。爪の先からは焼け付くような液体が流れ、儀式の銅版画の溝を満たした。それは賢者の殻に関する文様となり、その後永久的に神学者に調べられる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第二十九説話The 36 Lessons: Sermon 29

ヴィベク 著

第二十九説話

数字の言葉:

1.ドラゴンブレイク、または塔。1
2.左右像。68
3.透明の門アルムシヴィ。112
4.災厄の四柱神。242
5.世界の五角。100
6.歩く道。266
7.中央の剣。39
8.車輪、または八人の与える者。484
9.不在の者。11
10.アルトマーの部族。140
11.主の数字。102
12.天。379
13.大蛇。36
14.王の咳。32
15.取り返す力。110
16.許される冒涜。12
17.投げられた円盤。283
18.卵、もしくは六倍の知恵。
19.仮の家。258
20.月のラティス。425
21.子宮。13
22.不明。453
23.空洞の預言者。54
24.星の傷。44
25.皇帝。239
26.はぐれ次元。81
27.秘密の炎。120
28.溺れたランプ。8
29.囚われた賢者。217
30.スカラブ。10
31.リスニングフレーム。473
32.偽りの呼び声。7
33.守護者。234
34.無法の文法。2
35.監督のシャツ。191
36.時。364

「数字とは、耳の聞こえぬ目撃者の存在である。彼らはその神格の最後の一片であるアービスにしがみつく。数字の形とは、その現在の活用法であるが、上にも書いたようにこれは愚かである。象徴に執着するということは、確実すぎる」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十説話The 36 Lessons: Sermon 30

ヴィベク 著

第三十説話

そしてヴィベクはナンバールームの秘術師たちを後にし、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、六匹目の怪物であるシティーフェイスを探した。しかし見つからずに苛立ち、秘密の怒りを抱えながらモーニングホールドへ戻り、高次について聞いてきた秘術師を殺した。

ホーテーターであるネレヴァルはこれを見てこう言った。「なぜこんなことをするのですか?秘術師たちはあなたに指導を求めています。彼らはあなたの聖堂を良くするために働いています」

ヴィベクはこう言った。「誰も私が何であるかを知らない」

ホーテーターは頷いて研究に戻った。

シティーフェイスが親から隠れた方法はこうである:彼はハノートという名で生まれ、力を欲し、寄り添う大衆の周波数に同調した難解な風の神経であった。村に根付いて拡散し、そこの人々の中に隠された占星術、文化の星図を見出し、その共鳴は彼の頭を混乱させた。ハノートは隣り合う場所へ横向きに入り、成長を続け、未知だった。声の上では新たな不死の感情に震え、中界に知られる三十のものよりも多くを吸収した。ハノートが故郷をひどく恋しがると盗む者たちがそれを奪った。

盗む者はこう言った。「孤独な者の新たな感情は、狂気から来る。これはもうない。我々のものだ」

盗む者は自分たちの街を作ったことがなく、全ての星を聖なる光で照らすヴィベクの街を見て目を奪われていた。

「こういう理由でベクの存在は我々の領域に入り、我々の切望により引き寄せられ、虚無に隠れている。その上に我々の希望の塔を建てる」

レスデイニアでは長い年月が過ぎ、ドゥエマーの大司祭たちはヴィベクのようなもの、盗む者の新しきハノートのようなものを建てていた。ホーテーターは勇敢になりすぎて戯言を言っていた軍と戦っていて、ネレヴァルはアイエムの孤児の軍団の力を借りてその撃破を手伝った。彼はヴィベクに戦利品を渡しに行くと、主がシティーフェイスの攻撃を受けているのを見た。怪物はこう言っていた:

「ベクとベクよ、我々はお前たちの街に取って代わるために来た。我々は人知を超えた感情の場所から来た。我々の民はそれで命を落とした。二つの目的で来たが、そのうち一つのためにしか残れない。お前たちに文化の誤りを正させるか、単純に力でお前たちのものを奪うかだ。二つ目の方が楽であると我々は思う」

ヴィベクはため息をついた。

「私の指導に取って代わるか」彼は言った。「ずっと前にお前を殺すつもりだったが、私は疲れてしまった。レスデイニアは病を患い、私にはもう不明の出来事の想像上の比喩に付き合っている時間はない、これを受け取るがいい」

そして彼はシティーフェイスの希望の塔に触れて、盗む者たちの誤りを正した。

「これもだ」

そして彼はエトスナイフでシティーフェイスの心臓を貫き、それはラクート・アイ・エ・アルタドゥーン、正しき商業の短剣だった。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十一説話The 36 Lessons: Sermon 31

ヴィベク 著

第三十一説話

レスデイニアではさらに長い年月が過ぎ、ドゥエマーの大司祭たちはヴェロスの支配者に戦争を仕掛ける準備が整いつつあった。この時ホーテーターはアイエムの夫、三位一体の最初の聖人となっていた。ヴィベクは息子や娘を探すことに疲れ、休憩をとっていた。

ホーテーターは妻にこう言った。「私の師ヴィベクはどこだ?冷たくなったが、それでも愛している。彼の悲嘆は、国全体の肌を変えてしまった。近頃はヴェロスのどこを探しても見つからない。そのせいで人々は暗くなっている」

三位一体の剣は、黄銅の包囲攻撃機械を製作するドゥエマーにより発生した小さな怪物たちと戦っているのだと、アイエムは困った夫に慈悲深く言った。彼女はホーテーターを自分の中に招き入れ、主の居場所を見せた。

ヴィベクであることを選んだアルムシヴィの一部は、ウェストガッシュのフルートとパイプの鬼たちとの戦いを終え、誤りの聖堂の連祷の間で座っていた。再び時の書に書き込み始めた。その前に水の顔になる必要があった。そうすることで古き聖堂の青銅と新しきものの青を分け、幸福な執筆ができた。そして大いなる月からまた羽を取り、さらに殺す必要があった。そうすることで定命の者の真実を書くことができた。最後に濡れた言葉でモラグ・バルとの結婚を強いられたザクロの宴を思い返し、メファーラとしての自らの存在を固め、黒き手で執筆した。彼はこう綴った:

最後に彼の声を聞いた時、そこには僅かに苛立ちが表れていて、私は自制し他者の意に服することを学んだ。その後私は聖なる炎を纏い、エターダに均衡などないことに気付いた。彼らは嘘つきであり、迷った根であり、私にできることは道理に解釈することしかなかった。それでも人々の欲求は満たせない。私は慈悲の椅子に座って批判し、目覚めの状態、生まれながらの欲求の側面である。水で書かれ、悪をも含むまでに広がるこの書の中でのみ、私は疑念を表すことができる。

するとヴィベクは(一般の読者向けに)その上からインクを被せ、代わりにこう綴った:

黒い紙の中で、丸腰の私の最後の景色を見つけよ。真実は私の夫のようである:壊すことを指示され、手順と雑音で満たされ、重く打ちつけ、図面に書かれた重み、戦棍からのみ学べる教訓である。私の声が聞こえる者たちは打たれ、その灰の中で何人かは死ぬといい。見つけた者は、光によって殺され、裏切りの家のように殴られた彼を見つけるといい。時は金ならば、不死の私は秘密の暗号だ。私は絶望の太鼓を分かつ者であり、真実の反響するこの王冠を被るべき者として中界の人々に選ばれた。私はぼろぼろの救世主である。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十二説話The 36 Lessons: Sermon 32

ヴィベク 著

第三十二説話

戦棍の言葉、その一:

「壊滅の喜びとは、非現実へと消える喜びである。眠る世界に挑む者は皆この活動の一員となりたがる。私は槌をもって、分裂した二重性を疎外することを非難する」

その二:

「定命であることの罰として、私の説話を受けよ。土から作られることは看守たちからそう扱われることである。これがデイドラの鍵であり錠である。なぜ彼らが妥協から逃げたと思う?」

その三:

「ヴェロシよ、あなたの皮膚は子を宿した暗闇となった。私の悩みがこれを引き起こした。ボエシアがあなたに痣の色になることを求めたことを忘れてはいけない。あなたたち逃亡の民に命を救える方法が、痛み以外にあるだろうか?」

その四:

「金床ではない賢者は、標準的な文でありそれ以上ではない。それはつまり死者であり、四つ目の歩く道である」

その五:

「美徳の正しい理解とは、演出と殺人である」

その六:

「最後には、太鼓の拷問から解き放たれながら、その傷を楽しむ人質とともに喜べ。太鼓が壊れ、あなたは蜂の巣にいることに気付く。つまり、あなたの眠りは終わった」

その七:

「疑り深きは壮観であり、嘘は理論的な刺激でしかない」

その八:

「ではなぜデイドラはアービスに干渉したがるのか、聞きたいか?それは彼らが過激な評論家であり、殉教者と同等に必要な存在だからである。他の者よりも強い邪心をもった者がいることは錯覚でない。というより、必要な錯覚である」

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十三説話The 36 Lessons: Sermon 33

ヴィベク 著

第三十三説話

そしてヴィベクは、打ちつける光の言葉を生み出すまで長い間思案を続けた誤りの聖堂の連祷の間を出て、空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、七匹目の怪物であるライロックを見つけた。

ライロックはヴィベクの二つ目の開口部から生まれ、また別の忘れられしギルドである掃討によってザクロの宴から追放された。掃討は彼が怪物であると思わなかったため、手から飛び立って天へと昇ることを予期していなかった。

「私は永遠に存在しえないはずの金色の知恵と力をもって生まれた!この力をもって私は隠されし天へと招かれた!」

それは星でないもので作られた鱗の毛布のことであり、その数字は十三だった。ライロックは愚かさで満たされ、全ての人間の宗教の中に隠れる虚無の亡霊と交渉した。虚無の亡霊はこう言った:

「私と百年過ごせば、どんな神も逆らえないような力を授けよう」

だが百年経つ前にヴィベクはライロックを探し始め、見つけた。

「愚かな石め」ヴィベクは言った。「鱗の毛布に隠れることは、何もないところに印をつけることだ。その交渉は支配する王のためにのみある!」

そしてヴィベクは名付けられた斧でライロックをバラバラに切るため、ホーテーターを天へと送った。ネレヴァルは盗みの南極の星と戦士の北極の星と和解した。天空にのみ存在し、太陽マグナスの見習いによって治められていた三つ目の極とも和解した。彼らは領地を自由に歩き回る許可を与え、隠されし天でライロックを探すための赤の目を与えた。

偶然にもネレヴァルは先に虚無の亡霊と出会い、探す場所を間違っていると言われた。それに対しホーテーターが「私かお前か、どちらがだ?」と問うと、虚無の亡霊は両方と答えた。この二者の間で他にどんな言葉が交わされたかは、この説話に書かれていない。

しかしライロックはこの混乱に乗じ、街の神ヴィベクに攻撃を仕掛けた。三体の黒き守護者たちに急かされたのである。彼らは中界の王に敵意はなかったが、ライロックを速やかに追い出したかった。

まるで地獄の有料道路のように空の穴から流星が降ってくるのを見て、ヴィベクの民は悲鳴を上げた。だがヴィベクが片手を上げるとライロックは街の真上で氷漬けになり、ヴィベクはそれをムアトラで貫いた。

(二つ目の開口部を貫くことは、現在禁じられている)

ネレヴァルが戻ると、主の街の上で氷漬けになった彗星に気付いた。取り除くべきかとヴィベクに問いかけた。

「愚かなホーテーターよ、そうしたかったならすでに自分でしている。奴の最後の意思を残したまま置いておく。もし街の人々の私への愛が消えることがあれば、その破滅を防ぐ力も同時に消える」

ネレヴァルはこう言った。「愛はあなたの思うままです」

ヴィベクはホーテーターに微笑み、真実の大臣になったと告げた。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十四説話The 36 Lessons: Sermon 34

ヴィベク 著

第三十四説話

そしてヴィベクは真実の省を出て空間なき空間へと戻った。仮の家から中界を覗き込むと、最後にして最強の八匹目の怪物を見つけた。グルガ・モル・ジルなど複数の名を持っていた。賢き者は他の場所でこの力の連鎖を探さねばならない。

ヴィベクはホーテーターを呼び、ネレヴァルは初めて仮の家へと足を踏み入れた。彼はヴィベクが何年も前に見た光景を目にした。双頭の支配する王である。

「あれは誰だ?」と彼は考えた。

ヴィベクはこう言った。「征服の赤い宝石だ」

ネレヴァルは恐怖のためか主の返答に苛立った。「なぜあなたはいつもそんなに曖昧なのですか?」

そうしなければ自分自身の存在を裏切ると、ヴィベクはホーテーターに言った。

二人は中界へ入り、かつてアイエムとセトがヴィベクを見つけた場所の近くの村へ向かった。八匹目の怪物はそこにいたが、怪物らしい行動は起こさなかった。困った顔をしながら足を海につけて座っていた。親を見た彼は、なぜ自分が死んでオブリビオンへ戻らねばならないのかと聞いた。

そうしなければ自分自身の存在を裏切ることになると、ヴィベクは八匹目の怪物に言った。これでは怪物が満足していない様子だったため、まだアイエムの慈悲を残していたヴィベクはこう言った:

「炎は私のものだ、飲み込まれるといい
そしてボエトヒーアの家の
パドメの祭壇に
秘密の扉を作るといい
そこは安全で
見守られている」

怪物は穏やかな表情でムアトラを受け入れ、彼の骨は死者の街ナルシスの土台となった。

ネレヴァルは準備していた斧をしまい、眉をひそめた。

「なぜ」彼は言った。「八匹目の怪物がこんなに簡単に諦めると分かっていたなら、なぜ私を連れて来たのですか?」

ヴィベクは長い間ホーテーターを見つめた。

ネレヴァルは理解した。「自らの存在を裏切る必要はありません。好きなようにお答えください」

ヴィベクはこう言った。「私の子の中で最も強い者は、先に安らぎを与えさえすれば反抗せずにムアトラに屈すると分かっていた。だからお前を連れて来た」

ネレヴァルは長い間ヴィベクを見つめた。

ヴィベクは理解した。「言いなさい、ホーテーターよ」

ネレヴァルはこう言った。「これで私があなたの子の中で最も強い」

この説話が、死ぬ定めにある読者にとって安らぎとなるように。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十五説話The 36 Lessons: Sermon 35

ヴィベク 著

第三十五説話

愛の言葉:

「ヴェロシの正しい魔法の製法は古代の伝統から続いているが、その力は死んでいる。つまり少なくとも代用された。真実の薬効は正義の伝説の確立に起因する。回復効果は同様に犠牲の精神に起因する。公も族長も天使もみな、この考えに同意する。これは主に儀式、ナイフでの戦闘、狩猟、詩人の探究などに見られる多産の廃止に基づく見解である。洞窟の光の日々からくる大事な儀式の際には、月の流れへの態度を和らげよと言う他ないだろう。この先ずっと先の話だが、私の支配は最上級の愛の行いとして見られ、それは星の運命と狭間の結婚からの帰還である。それはつまり五つの角すべてから訪れる大災害のことである。後に続くのは希望と狂気に区別される補正であり、変わらぬものが定期的に死ぬことでのみ必要となる状況である。宇宙の時は繰り返される:これについては前世で書いたことがある。潜水の真似事は愛の兆候であり、下界への愚行であり、つまり黄金時代の中で自らの外にあるものについて読むことになる日である。犠牲という概念の落とす陰であるその日、全ての歴史はあなたが何であるかを喜んでみる。悪を愛したあなたを。そのような段階で力を保つことは、継続的な霊魂としか言い表せないものの存在を認めることである。愛により地平線から身を守れ。純粋な存在とは聖なる者にしか認められておらず、その形は無数にあり、半数は恐ろしく、残りは確実かつ目的のない部品へと均等に分けられている。五つ目の歩く道以外でここに到達する愛の者は遅れる。五がこの世界の限界である。愛する者は最高の国であり一連の信仰である。彼は比類なき聖なる街である。未開の怪物の地が規則である。これはアヌとその生き写しによって明確に証言されており、実際には起こらなかったことを愛は知っている。同じように、絶対の現実を象徴する他のものは古の考えであり、墓かそれに近いものに入るべきである。この言葉はメファーラの掟に直接命じられたものであり、性交と殺人の起源であるそれは、私の介入なしにその思想を取り入れる者にのみ倒せる。宗教的な精鋭は傾向や相互関係ではない。信用に足らぬ海の影響と星の統治によって補完され、獲物がなくては意味をなさない剣によって中心で支配されている考えである。これは神の愛であるが、彼はさらに見せてくれるだろう。肉食でありながら重大な収穫に役立ち、ある者がなるべき存在になるシナリオであり、男であり女であり、魔法の両性である。暴力の基準を示しても、原初の霊魂たちの書いた条約によって固定されているためほとんど意味をなさない。これは好機とみるべきであり、決して退屈ではないが、愛する者になるよりも愛する者に口づけをする方が簡単であるため諦める者もいる。下層にはこのような魂、浅い宝の洞窟が多く存在し、集まっては拡張することで証言するが、愛は相当の(計り知れないほどの)努力によってのみ満たされる。

言葉の終わりはアルムシヴィである。

三十六の教訓:第三十六説話The 36 Lessons: Sermon 36

ヴィベク 著

第三十六説話

アルムシヴィとその王ホーテーターの善き治世の下で、チャイマーとドゥエマーが共存していたレイデイニアの時代の話である。ただしドゥエマーは愚かになり主たちに反抗していた。

歩く黄金の投石機と、炎や詩の歌を作るものを吐く強力な精霊たちを引き連れ、彼らは要塞から打って出た。彼らの王はドワーフオークのドゥマクであったが、大司祭は有害なるカグレナクだった。

山の上下でドゥエマーとの戦いが激化し、北方人が再びイスミールを引き連れてカグレナクを助けに来た。

チャイマーの軍を率いていたのは滅びぬ奴隷、斧をエトスナイフに持ち替えたホーテーターのネレヴァルであった。彼はレッドマウンテンでドゥマクを殺し、初めて心臓の骨を目にした。

黄銅の人々がモーニングホールドの十一の門を破壊し、その後ろからドゥエマーの音の建築家たちが現れた。アイエムはマントを脱ぎ捨て、三位一体の蛇の女王となった。彼女を崇拝していた者たちは星の意味に圧倒された。

海の中ではセトが動き出し、碧水晶とサンゴの城で組織していた軍を引き連れた。ドゥエマーの戦闘兵器をまねた正確なドゥルーが海から現れ、敵のものを海の中へと引きずり込み、永遠に海に葬った。

ホーテーターがシャーマトを求めて深入りしたため、レッドマウンテンが噴火した。

するとドゥエマーの大司祭カグレナクはヴィベクに似せて作ったものを披露した。それは歩く星であり、三位一体の軍を燃やしヴェロスの中心地を破壊し、そこに内海が生まれた。

そしてアルムシヴィのそれぞれがともに浮かび上がって一つになり、世界に六つ目の道を示した。アイエムは星から炎を、セトは謎を、そしてベクは足を奪った。それはモラグ・バルの贈り物より前に作られたもので、真実の手法である偉大なる槌によって破壊されていた。ドゥエマーの魂は歩けなくなり、この世界から取り除かれた。

レスデイニアはなくなった。愚か者たちの全ての悪行から救われたのである。アルムシヴィは始まりの場所から網を引き、レッドマウンテンの灰を捕らえた。それはドゥエマーの有害なる者であり、中界の全てに悪影響を与えると分かっていたため、食べた。アルタドゥーン・ダンメリ!

言葉の始まりはアルムシヴィである。私はヴィベクとしてこれを授けよう。

デシャーンの伝承

Deshaan Lore

クワマーの採掘の楽しみと利益Kwama Mining for Fun and Profit

フラール家のドレイン・レダス 著

クワマー鉱山を開拓し維持すれば利益が得られるだろう。さらに重要なことは、それぞれがクワマーとクワマーの環境条件について時間をかけて学べば、もっと利益が上がるだろうということだ。クワマーとは、卵鉱山と呼ばれる地下に作られたコロニーに生息している巨大な虫だ。卵はすべてのクワマー鉱山にとって主要な収入源だが、鉱山で産出できる生産物は決して卵だけではない。クワマーのカトル、スクリブのゼリー、スクリブジャーキーなどがすべてクワマー鉱山にとっての収入源となる。

クワマー鉱山に着手するにあたって:

1a.野生のクワマーコロニーを見つけ出して手なずける(難易度は高い)、あるいは
1b.過剰供給状態の鉱山から余ったクワマーを購入する(高価である)
2.クワマーの匂いが体にしみ込むまでコロニーの近くに住む
3.クワマー・クイーンの部屋には決して近づかない
4.卵を集めカトルを集める
5.利益を計算する

その名前に反して、クワマー鉱山は生きた生物から構成されている。賢明かつ控えめな維持を行えば、中規模の鉱山から貴重なクワマーの卵を大量生産できる。さらに、クワマー鉱山では味のいいスクリブジャーキー、すっぱいスクリブのゼリー、錬金術師に評価が高いクワマーのカトルの生産も可能である。

クワマーコロニー:利益が見込める鉱山を手に入れるには、まずは健康なクワマー・クイーンと大量のクワマー・ワーカーを確保することだ。クイーンは鉱山の最奥部にある部屋で卵を産む。クワマー・ワーカー達が卵の世話をし、必要な空間や環境条件、卵の発育状況に合わせて様々なトンネルや部屋へと卵を運ぶ。クワマー・ワーカー達は、鉱山のための食べ物の生産、クイーンの給餌や洗浄、コロニーの発達に合わせた鉱山の拡大なども行う。普段の仕事をしていない時、クワマー・ワーカー達は発展し続ける迷宮のごとき鉱山の中に新たな部屋やトンネルを掘ることもある。クワマー・ワーカーは普段は大人しいが、威嚇や攻撃を受けたりクイーンが危険に晒されると凶暴化する。

クワマー・ウォリアー達はコロニーを守っており、危険を察知すると迅速に対応する。攻撃的で極めて危険なため、慎重に丁寧に扱わなければならない。クワマー・ワーカーが四足歩行なのに対し、クワマー・ウォリアーは二足歩行で非常に強力である。

スクリブは、鉱山労働者が未熟なクワマーと呼んでいるように、クワマーコロニーの中を自由に動き回る。鉱山では通常スクリブの群れを2つのグループに分ける。ワーカーやウォリアーに成長させるグループと、ゼリーやジャーキーにするため幼いうちに捕獲するグループだ。スクリブのゼリーは食料源など様々な用途に使用されるが、薬を作り病気を治癒するための重要な材料として錬金術師に重宝される。スクリブの薄切り肉を乾燥させて作られるスクリブジャーキーには多少の回復効果があり、ダークエルフの料理専門家のあいだで大変美味だと評判である。

クワマー鉱山の入手:設置済みの鉱山からクイーンとクワマーを購入する際にかかる法外な料金を支払いたい人はいないだろうから、まずは野性のコロニーを見つけ出して手なずける必要がある。しかしこの方法でも資金が必要ないわけではない。野生のコロニーの探索へと本格的に着手する前に、鉱山オーナー志願者はフラール家からライセンスを購入する必要がある。

有望なコロニーを見つけても、すぐに中に入って営業開始というわけにはいかない。鉱山労働者がコロニーの凶暴な戦士達によって始末されてしまうだろう。そのための解決法がある。順応することだ。順応作業には時間がかかるが、時間をかけてコロニーを慣れさせ、中に入っても不快だと思わせないようにすることで、(コロニーのメンバーと鉱山労働者両方の)負傷者や死者の数を最小限に抑えられる。鉱山労働者がその辺りのクワマーと同じ匂いを発するようになれば、ウォリアー達は彼らをコロニーの仲間だと認識するようになる。

卵の捕獲:クワマーの卵の実際の「採掘」には技術はそれほど必要ない。鉱山労働者は仕事を行うための根気と常識を持ち合わせていれば十分だ。卵の捕獲者にはバランスを見極める目が必要だ。卵を多く取りすぎるとウォリアー達やクイーンを刺激してしまう可能性がある。少なすぎると、クイーンの卵産出量が減少してしまう。鉱山管理者はクイーンの卵産出量が多すぎたり少なすぎたりしないように、注意深く目を配らなければならない。産出量が大幅に上下してしまうと利益に影響が出て計画を立てるのがより困難になる。避けなければならない。

クイーンの部屋には決して近付かないこと。クイーンに近付くといかなる者もクワマー・ウォリアーとクワマー・ワーカーによって脅威と見なされ、適切な対処をされる。コロニーに混乱が起こってしまうと鉱山労働者が安全に鉱山に入れず、生産を中止せざるを得ない。コロニーで暴動が起きている際に鉱山労働者を何人か失ってしまうかもしれないが、ここで忘れてはいけない最も重要なことは、クワマーはいずれ落ち着きを取り戻し、鉱山労働者が中に入っても再び受け入れるようになるということだ。

注意:フラール家の卵鉱山ライセンス取得後は、定期的に生産高を報告する必要がある。遵守できなければ制裁措置や罰金が課せられ、鉱山の閉鎖を強いられる場合もある。そうなるとつまらないし、当然儲けを出すこともできない。

ゴーストスネークの伝説Legend of the Ghost Snake

第二紀568年、マブリガシュの観察記録。放浪者ボノリオンの日記より

デシャーンでは奇妙なダークエルフのアッシュランダーの部族に遭遇した。彼らは自分自身をマブリガシュと呼んでいる。ヴァーデンフェルの同胞とは違ってこの部族は遊牧民ではなく、彼らがゴーストスネークの谷と呼ぶデシャーンの中でも隔絶した地域に定住しているようだ。恐ろしいゴーストスネークの話は、外部の人間が村に長居しすぎないように彼らがでっち上げたものに違いない。しかし正直に言わせてもらうと、これまでに出会ったどの文明的なダークエルフにも負けないほどのあの無礼さがあれば、そんなことをしなくても外部の人間は逃げていくだろう。しかしその孤立した部族に対する好奇心が勝り、私はその無礼さになんとか耐え、近くに滞在して観察記録をつけられた。わかったことは以下の通りだ。

マブリガシュは訪問者を歓迎しない。

マブリガシュは母系社会のようで、明らかに男性よりも女性のほうが力を持っている。数の上でも男性の3~4倍はいるようだ。この社会は男性を嫌悪しているとまでは言わないが、男性に対する信頼度は明らかに低く、あまりよく思われていない。少なくとも私が見た限りは。

彼らはゴーストスネークが谷を越えて助言を与え、見守ってくれていると主張している。訪問者を怖がらせて村の人口を一定に保つために、このいわゆる「ゴーストスネーク」を利用しているに違いない。

彼らはこの架空の神に部族内の仲間をいけにえとして捧げているようだ。長老達はこの「ゴーストスネーク」を称えるための試練を促しているが、ほとんどの場合参加者の死亡という結果に終わっている。

ゴーストスネークの伝説の内容を、6才か7才くらいのかわいい少女が教えてくれた。彼女はまったく怖れたり遠慮することなく私に近付いて来た。なぜそんなに気味が悪くてずっと監視しているのかと尋ねられた。少なくとも要点はそういう内容だった。私はマブリガシュの方言はせいぜい初歩的なものしか理解できない。私はその質問には答えず質問で返した。「みんなが口にしているゴーストスネークとは何なんだ?」私は彼女に尋ねた。

「くねくね道を進んで行ったらわかるよ」と、そのかわいい小さなまつ毛をまばたかせながら彼女は答えた。「谷を大事にしていればゴーストスネークが助言をくれて守ってくれるの」。彼女は続けた。「みんな知ってるよ」。彼女は話し続けてくれた。ゴーストスネークとは部族の女性の祖先の霊的実体が合わさったもので、幽霊のような外見をしていると部族に信じられ崇められているということだった。あるいは、谷を呪っている恐ろしい死んだ蛇が罪のないマブリガシュの子供達を好んで食べていると言っていたのかもしれない。彼女は早口で喋った上に、さっき書いた通り、私の方言の理解度は完璧にはほど遠いものだったのだ。

経済的な観点から話をすると、部族は独特な蛇革を作る。服からリュックサック、シンプルな鎧に至るまで、彼らは何を作るにもこの蛇革を使う。しかしこんなにも素晴らしい物にも関わらず、外部の人間どころか部族内の男性にさえも、それを売ったり交換したりしようとはしない。もしマブリガシュに外界との取引を説得できれば、関わった者全員が一財産を築けるだろう。

偵察中のマブリガシュの斥候に出会ったこともある。彼女には「くねくね道の亡霊と大蛇の中に投げ込む」と脅された。幸いにも私の走る速さと木登りの腕は彼女よりもはるかに上回っていたので、この残忍な儀式は避けることができた。さらに観察を続けると、彼らは主に蛇の肉を食べて暮らしているということがわかった。彼らの手に負えない非友好的な態度はその食生活のせいかもしれない。

近くに野営し観察を数日間続けた頃、ずいぶん恐ろしいマブリガシュの戦士の訪問があった。グラカーンと名乗ったその人物は、彼らが私を谷の大蛇の中に投げ込まなかった理由は、千里眼が私を不運な愚か者と認識したからにすぎない、と言った。きっと翻訳の過程で何かを聞き逃してしまったのだろう。千里眼に会いたいと申し入れると、その腰にぶら下げたずいぶん危険な見た目をした剣の柄を握ったグラカーンの手に力が入ったように見えた。それでマグリガシュ族と過ごす時間を終わらせることにした。

***

第二紀576年、部族学者司祭
ニュロス・ラロロからの注釈

この非常に馬鹿げた「観察記録」は、ストンフォールとの境界近くに捨てられているところを数年前に発見された。このボズマーの歴史家であるボノリオンは、変わった出来事や民族の正確な記録方法に関して5才児ほどの理解力も持ち合わせていなかったようだ。作り話や飛躍した論理ともいえないようなものを用いて彼が言うところの「結論」を出している。少なくともマブリガシュとの会話を行っているという点や、当部族に関する情報は珍しいという点から、この文書はトリビュナル蔵書庫内に保存されており出版もされている。

シャド・アツーラ魔法大学の手引きShad Astula Academy Handbook

魔法大学シャド・アツーラへようこそ!ここはエボンハート・パクトの才能溢れる魔術師達が共通の学び舎を持ち、魔術師コミュニティのリーダーとなるために学ぶ場所です。あなたの旅はここから始まるのです。

多くの人にとって、魔法の達人への道のりは挫折と困難に満ちたものです。ここで行われている訓練は、最高の教師と指導法のおかげで、奉仕の人生とやりがいのある仕事へと繋がっていきます。この魔法大学に招待された人は全員、偉大な魔術師になれる可能性があるという将来性を見込んで招待されたわけですが、実情を言えば、全員が与えられた課題に合格できるというわけではありません。不運にも落第してしまった人達には、自分自身や他人に危害を加えることなく足りない技術に磨きをかけるための、セーフティネットとしての役割をシャド・アツーラが担います。

しかしあなたは落第しません。あなたはその不運な1人ではありません。あなたなら乗り越えられます。エボンハート・パクトのリーダーになるのです!

あなたは自分がマジカという才能を持ち、他の人達とは違っていることにもう気付いていることでしょう。さあ、力の世界へと誘われる準備はいいですか。あなたのために、翼を広げる場所をシャド・アツーラが提供します。魔術師の達人であるスタッフの助けを借りて、ただ飛び方を学ぶどころか、空高く舞い上がるのです!

魔法大学が選んだ一員として、魔法を学ぶ際に通常設けられる制約や規則はあなた達に適用されません。ああいった規則は、自分自身や他人に危険をもたらす可能性がある魔術師の安全を確保するために設けられています。魔法大学が選んだ生徒達は優秀であろうと見込んでいますので、すぐに自分の限界を学ぶことができるでしょう。しかしいくつかのルールはあります:

——指定された召喚サークル以外ではオブリビオンの次元から生物を召喚しないこと。
——大学の他の生徒に魔法の実験を行うことは禁止されています。
——スタッフへの魔法の実験は大いに結構です。隙を狙って行い、スタッフも反撃するので気を抜かないように。
——「子分」として助手を持つことは厳しく禁止されており、教団や密教の行動あるいは組織に関わった者は厳しく処分します。権力欲は卒業後まで取っておくように。
——感情制御と精神安定試験(ECMSE)に落第した生徒は部屋の共有を禁止されています。
——魔法による決闘は、スタッフの魔闘士の監督下でない限り厳しく禁止されています。

まもなく校長との面会日時が取り決められ、その際にシャド・アツーラについてや大学の一員としての立場について校長から説明があります。それまでは、自由にキャンパスを歩き回り、学友に自己紹介などしてください。その中には同級生になる人もいれば、下級生になる人、あるいは上級生になる人もわずかながらいるでしょう。しっかり顔見知りになっておいてください。

シャド・アツーラへようこそ。翼を広げて大空に飛び立ちましょう!本当に期待しています。失望させないでくださいね。

ドゥエマーのダンジョン:私が知っていることDwemer Dungeons: What I Know

非凡なダンジョン探検家、キレス・ヴァノス 著

彼らについてはほとんど何も分からない。最も興味深く、興奮に満ちた遺跡を残していったということ以外は。誰について話しているのかわかるでしょう。そう!ドワーフ。あるいはこれを読んでいるかもしれない学者達の間ではドゥエマーと呼ばれている人達。(私の兄弟のレイノーにはドゥエマーと呼べと言われるけど、ドワーフという呼び方のほうが好きよ。そっちのほうが言いやすいから)

さて、ダンジョン探検というのは(どれだけ楽しくもなりうると言っても)大変な仕事で、非常に危険なことでもある。ドワーフの遺跡は発見するだけでも簡単ではないし、中に入って無事に出て来るのはほとんど不可能に近いわ。しかしそれについて書く前に、まず遺跡自体について書きましょう。

ドワーフは建物や街からなる巨大なネットワークを地下に建設した。なぜ岩や土の下に建設することを選んだのかは分からないけど、しかしとにかくそこに建設したの。だから、ドワーフの遺跡を訪れたいなら地下に行かないといけない。1つでも見つければわかるでしょう。地上の入口から地下の構造に至るまで、ドワーフ建築は独特な見た目や雰囲気をしている。彼らは岩に自然に開いていた裂け目を用い、元からあった岩や自然の柱を飾ったり彫ったりして使ったの。他の構造を支える際や砦を設置する際など、どうしても必要な場合にのみ新たな構造を建設したのよ。

自然の岩を彫ったり形作ることに加え、ドワーフは主要な建築材料として石を使ったわ。遺跡内には金庫もある。アクセントとして、あるいは機械の中に、主に銅が使われているの。そして、ここが最も面白い部分なんだけど、ドワーフは装置を好んだようで、遺跡の中は装置だらけなの!罠だけではないわ。非常に巧妙な罠が遥か昔にいなくなったドワーフによって設計されて作成されたのは事実だけど、それだけじゃないの。蒸気ピストンと素晴らしいギアで構成された冷暖房設備、壁から光を放つライト、滝によって回転する巨大な車輪、光のビームを放つ多面型の宝石などなど、他にも驚くべき物が多数ありすぎて書き切れない。

ドワーフの遺跡を通り抜けるのは不気味な仕事よ。空っぽで無人なはずなんだけど、ライトが光り続けてパイプからは蒸気が出続けている。その場所は誰かの帰りを待っているかのようね。まるでドワーフがちょっと外出したっきり、そのまま何百年も帰って来なかったかのように。

さらに、ドワーフの建物はあなたが考えるほど生命体が存在しないわけじゃない。遺跡には住人がいるの。実際には、事実上その生命体だらけになっている遺跡もある。しかしその生命体は、私やあなたが知っているようなものではない。機械の生命体よ。コンストラクトね。彼らはダンジョンの部屋や通路を歩き回り、遥か昔に与えられた任務をこなしているの。しかし、間違えないでね。コンストラクトに見つかってしまうと、襲ってくるわ。音を立てる刃とピストンで動く剣を使って、ドワーフのコンストラクトはダンジョン探検家の全てに多大なる脅威を与えて来る。さらに悪いことに、そのコンストラクトはお互いを修理する方法を心得ている。遺跡の中に、この機械の生物がいなくなることはないらしいわね。

従って、ドワーフの遺跡に入って無事に出て来るには、巧妙な罠を見分けるか避け、強力なさまようコンストラクトの大群を避けるか倒し、鍵のような物がいるのかいらないのか分からない、奇妙な錠の開け方を突き止めなければいけないの。少し面倒かもしれないけど、個人的にはこの挑戦って、とても楽しいものだと思うわ。

もちろん、ここまでに書いてきたことはすべて学説と憶測よ。私の兄弟と私はまだドワーフの遺跡に入ったことはないの。この世界に点在する平凡なダンジョンでしか実践を積んだことはない。でも、本はすべて読んだわ!ようやくブサヌアルというドワーフの遺跡に立ち向かうために必要な資金を調達できた。近いうちにその冒険について書くつもりよ。

ところで、皆遺跡では注意しましょう。ダンジョンは楽しいことばかりじゃないわ。生存とは大変な仕事で、私達は成功だけを狙ってはいけない。生き残りもしないとね!

モーンホールドのポケットガイドA Pocket Guide to Mournhold

旅人よ、ようこそ!光と魔法の街、モーンホールドはあなたを歓迎します!このポケットガイドは第二紀481年に丁寧に書かれたもので、あらゆる要求に応えられる最新のものであることを保証します。

モロウウィンドの首都であるモーンホールドは、タムリエル一偉大な街です。祈りや交易をもたらしてくれる旅人達を心から歓迎します。

毎日あまりにも多くの巡礼者が集まるため、迷っていたり困惑していたり、時には喧噪や街の設計に苛立っている外国人を見かける場合があるということをご理解ください。

すべての訪問者に対応するために、楽しんでいただけそうな場所や活動、従っていただく必要のあるトリビュナルの教えなどをまとめた便利な案内を街の記録官が編集しました。よく読んでよく学び、楽しい時間をお過ごしください!

崇拝:モロウウィンドの最果てやさらに遠い場所から、ダンマーがトリビュナルの生き神に祈りを捧げ崇敬の念を表するために毎日やって来ます。もしあなたが私達ダンマーの兄弟あるいは姉妹であるなら、トリビュナル三大神のアルマレクシア、ヴィベク、ソーサ・シルへの崇敬の念の表し方はすでに心得ていることでしょう。トリビュナル聖堂を含む街の至るところにある聖なる祠では寄進も受け付けています。

あなたがダンマー以外の訪問者の場合は、市民をよく見れば正しい崇敬の念の表し方を身につけられます。最も安全なやり方は最も簡単なものです。ダンマーが行動するように行動してください。ダンマーが言うことを言うようにしてください。そして歩く場所に気を配ってください。

異教徒がトリビュナルの正義の裁きを受けているところを見ても慌てないようにしてください。記録官は異教徒に対する対処法をしっかりと心得ていますので、ご心配なさらないように。あなた方の安全は私達の最優先事項の1つです。

大市場:モーンホールドはモロウウィンドの商業の中心地です。商売は大歓迎です!この偉大な街に来るのが初めてだという場合は、街の監視所でお尋ねいただければ商業地区への安全な最短ルートをお教えします。

市場の中でも最大で、最も厳重にパトロールされている大市場には、滞在中にぜひ訪れておいたほうがいいでしょう。野外劇場で行われている季節ごとのイベント、街広場で行われる放浪の受難劇、手入れが行き届いた公園で行われている聖歌隊の合唱は必見です。そして買物をする度に、モーンホールドの素晴らしいお土産が手に入ることもお忘れなく。

しかしながら、買物は登録された認定商人からのみ行うようにしてください。そうしなければ、違法な手数料や物品税を取られてしまうことがあります。

ブリンディジ・ドローム広場:迷える人々は、彫像に囲まれたブリンディジ・ドロームの庭園を歩き回ることで安らぎを見出すことができます。木々や花が太陽からの栄誉を求めて空へと伸びるように、モーンホールド市民はトリビュナルの叡智を求めて手を上げるのです。ここであなたに慰めが与えられますように!

旅人の多くは、モロウウィンドの生き神が住まうトリビュナル宮殿を訪れるのを楽しみにしています。私達はあなたの熱意を歓迎する一方、過剰に熱意を表しすぎるとオーディネーターが異議を唱えることもあるかもしれないということをご理解ください。例によって、節度が大事です。熱意を抑えられない時は、街の至る所にあるトリビュナルの祠が贖罪のための寄進を受け付けています。

お探しのものはすべてモーンホールドで見つかるでしょう。司祭、記録官、街の衛兵が保証します。滞在をお楽しみください!

闇の遺跡Dark Ruins

狂気のシリロ 著

人は私の頭がおかしいと決めつける。私はその烙印を受け入れ、誇り高く受け入れることにする。私に与えられた名前は、私が闇の中に何度も入ろうとした証に他ならない。世界に知識をもたらすため、狂気と混沌の遺跡に挑んだ証なのだ。三大神よ、私が見つけたものから守りたまえ。そしてこの知識を世界と分かち合うまで私の心を保ちたまえ!

初めてデイドラの遺跡を見つけたのは、ずっと若い頃だ。それはトリビュナルの守護者を祀った古代の祠だった。私は群れからはぐれたクワマー・スクリブを捕まえようとしていた。秘密の峡谷までスクリブを追ったところで、はぐれたスクリブの痛ましい鳴き声が岩壁の裂け目から聞こえてきた。その狭い裂け目を何とか抜けると、岩の中に巨大な空間が広がっていた。しかし、私が足を踏み入れたのはただの洞穴ではなかった。その空間は彫刻を施された石だらけで、それを目にした途端、私は恐怖と感嘆の念に襲われた。その威圧的な石の数々にはクモの巣とクモの模様が施されており、中央に立つ像は他でもないヴィベクの守護者である網の紡ぎ手メファーラを模していた。

像の土台に彫られていた言葉が今も脳裏に焼き付き、決して忘れることはない。「肉欲は愛。嘘は真実。死は命」この言葉に恐怖を覚えたと同時に、心が踊った。この経験から狂気と知識への道へと導かれた。その終わりと始まりの境界線はわからない。

クワマー鉱山へと戻り、スクリブを群れへと導いた。それから荷物をまとめ、母に別れを告げ、デイドラの遺跡が眠る隠された祠と、闇の場所を探し求め始めた。

すべての荒れ果てた祠が地下にあるわけではない。人里離れた平原に隠されたものもある。草が生い茂る場所や、なだらかな丘のくぼみや岩だらけの峡谷に隠されていることもある。海底に眠る祠を訪れたこともあった。

地下洞窟の祠や建造物は、地上の大自然の中にあるものに比べて不気味で威圧感を与える傾向にあるが、それは単に絶えず存在する暗闇や、岩壁の圧迫感を意識することによる影響かもしれない。古代の祠は暗闇にひっそりと佇んでいることもあるが、巨大な建造物の中心を担っているものもあり、その多くが精巧な罠や凶暴な怪物、あるいはその両方によって守られている。

これまで数多くのデイドラの遺跡を訪れてきたが、その中には聖堂の荒れ果てようからは想像できないほどに頻繁に使われているものもある。デイドラ公を称え、崇拝する者は日常的に存在し、私自身かなりの数の新鮮な捧げ物や生贄を目にしてきた。しかし私が新しい名を手にするに至った理由である真の秘密とは、そんなものではない。それに関しては、先入観を持たずに覚悟して聞いてもらう必要がある。なぜなら、これから明らかにする事実は作り話のように聞こえるかもしれないからだ。キャンプで就寝前にたき火を囲みながら、怖がらせるために話すような怪談話のようにさえ聞こえるかもしれない。しかしはっきりと断言する。これは真実だ。

私が最初にたまたま迷い込んだ網の紡ぎ手の祠で見たもの。両親が住む家を飛び出してデイドラの遺跡をさらに探し求めようと思った理由。それは声だった。美しく魅惑的な声。その声が私に囁き、聞いたこともない秘密を教えてくれた。その囁きは古代のひび割れた像から発せられ、洞窟の壁からこだましていた。私の心の中まで鳴り響き、私自身の考えと記憶をかき消すまで、その音量と激しさを増していった。私はこの囁き声に怯えた。しかし、同時に心が踊り、もっと聞きたい衝動に駆られた。しかし網の紡ぎ手はそれ以上囁いてくれなかった。叡智の言葉と闇の秘密を告げ、沈黙したのだ。その場所は再び荒れ果てた場所に戻っていた。

もう一度あの声を聞くには、別の祠を探す必要があった。そして私は聞かずにはいられなかった。こうして私のライフワークが始まった。他の秘密の場所や隠された遺跡を探すしかなかった。他のデイドラが何を語ってくれるのか、聞かなければならなかった。彼らを崇拝しているからではない。何らかの黒魔術にかかってしまったからでもない。知識を世界に広めるために、もっと学ぶ必要があったのだ。それが私の使命であり、義務だったのだ!しかし、こうして言葉をつづりながらも、あの囁き声が私に語ってくれた内容を書くのは不可能に思う。あの囁き声を書き記そうとしても、手が動いてくれない。何度やってみても、それを拒否するのだ!

どうやら使命は果たせないらしい。知るべき秘密が存在している、と伝えることしかできない。しかしその秘密を学びたい者は、自ら足を運ぶしかないようだ。闇の遺跡を訪れ、囁きを聞いてほしい。あなたのほうが私よりもうまくやれるかもしれない。そしてあの囁き声を聞いても、正気を保てるかもしれない。

許容される殺人Sanctioned Murder

ミアラー・ヴィリアンの日記より

物心がついた時からずっと他人の命を奪うことに人生を捧げてきた。手当たり次第殺したわけではない。法を破った者やモロウウィンドの名家を陥れた者、トリビュナルの聖なる教えを冒涜した者を殺してきただけだ。

奴らの命は私の物だったのだ。私に与えられたと言ってもいいかもしれない。奴らは死ぬべきだったのだから。そして私は殺しの達人だったのだから。

私に殺された者達のほとんどは、私に殺されるとは予想もしていなかった。他人を陥れたと自覚している者はいた。無実の者を殺し、名家から窃盗を行い、人の恋人と寝たということを。しかし奴らは何も悪いことはしていないと言い張った。私が誤解していると。人違いだと。しかし喉に剣を突き付けられた人間が、正直にすべてを告白をしてくれる様には感心させられる。

次から次に始末していった。喉を素早く切り裂いた。表面の肉が口を開き、細い血管がきれいに切り裂かれた。叫ぼうとしても、あとは肺に貯まった真っ赤な血で窒息するだけだ。

私は死が大好きだ。他にどんなことをしても得られなかったような喜びで満たしてくれた。これが私の人生だ。これが私という人間だ。

人は私を怖れた。私の兄弟や姉妹を怖れた。我々を突き放し、必要になれば我々を抱きしめた。

英雄として称えられたと思えば、殺人鬼として怖れられた。権力者は我々の秘密の剣に倒れた。そして我々に指図していた者達が我々に従うようになった。

しかし誤りを犯してしまった。過程に欠陥があった。完全になりすぎていたのだ。罪なき血から正義を抜き取ってしまった。

どんなに明確な契約にさえも、こういうことはある。法が誤っているという可能性はいつも存在する。法が過ちを犯したという可能性が。契約は決して嘘をつかないが、いつも正しいというわけでもない。どんなに小さくて無害に見える行いでも、のちに破壊的な津波を引き起こすことがある。

愚か者の自尊心が決断力を鈍らせる。激情の瞬間、壁に塗りたくられた血がすべてを物語る。「モラグ・トング」。その言葉が大声で執拗に叫び続ける。その言葉が世界中に響き渡り、我々に無慈悲な殺人鬼だというレッテルを貼る。規範を守らず法を持たない殺人鬼だと。

常に隠れて秘密裏に動いていたトングが突然凝視にさらされた。奴らが我々を闇から光へと引きずり出そうとしていた。我々は闇の深部へと潜った。契約は減り、仕事は雑事に変わった。暇を持て余した名家の貴族の使い走りをさせられた。我々は耐えた。

そして我々は従った。忠誠を尽くした。目的の達成を命に賭けて誓ったのだから、立ちはだかっているものがどれだけ困難であろうとも背を向けない。世界が我々に背を向けようとも、我々は諦めない。

指導者たちが我々に囁く。忍耐を実践せよと。我々の正義の手が再び伸ばされ世界を支配する日が必ずやって来ると。来るべき闇が世界を一掃するだろうと。

そしてモラグ・トングが再び必要とされるだろう。再び重要となるだろう。

しかし私はもう年老いた。私の人生は終わろうとしている。ヴォウノウラへと旅立つ準備をし、このマントを誰か若い者に手渡さなければならない。経験が少なく、あまり賢くない者に。息子と娘は間もなく短剣を手にするだろうが、彼らは我々が偉大だった時を知らない。2人はモラグ・トングのため、新たな道を切り開かなければならぬ。

戦争の闇がやって来る。その怒りを免れる者は誰もいない。

モラグ・トングはこれまで耐えてきた過ちのことを、ひとまず忘れねばならない。覚悟が必要だ。

生き神The Living Gods

神学者デュリリス 著

ニルンの他宗教は、ダークエルフが知っている絶対的真理にたどり着くことは決してできない。神が彼らを支配し、神は彼らの中におり、神はモロウウィンドの他の住人と同じように実際に存在しているという真理だ。モーンホールドのトリビュナル聖堂の権力の座から、トリビュナルの生き神は民を護り助言を与えている。必要な時には罪や過ちを罰するが、貴き者にも賎しき者にも、それぞれに必要な恩恵を与えてくれる。

しかし生き神とは何か?超人的な鍛錬と積徳、人智を超えた叡智と洞察力によって神性を手に入れた、強大な力を持つダークエルフ達だ。モロウウィンドの3人の神王として、ダンマーの国を神の力によって導いている。三大神——神、母、魔術師——については、以下の通りだ。

戦士であり詩人であり、モロウウィンドの主であるヴィベクは、三大神の中で最も人気がある神かもしれない。彼は公に姿を現すことも多く、人々は彼を愛している。戦士であり詩人であるヴィベクは、情欲や殺人といった、粗野で冷酷な衝動に関わる陰の一面も持っている。

モロウウィンドの母として知られているアルマレクシアは、治癒師と教師の守護聖人である。彼女は治癒の母であり、慈悲と共感の源であり、貧しき者と弱き者の守護者だ。アルマレクシアはダンマーの文化と目的の良き部分の化身だ。彼女は慈悲を体現し、その叡智は日々の細事に至るまでダークエルフを導いてくれる。

機構界の神であるソーサ・シルは、トリビュナルの神の中でも最も知られておらず、隠された神である。モロウウィンドの謎と称されることもある彼は、魔術師であり発明家と魔術師の守護聖人だ。おそらく世界一の力を持つ魔術師で、最も博識な魔術師であることは間違いない。知識の光、クラフトと魔術に関する啓示と見なされている。

生き神はトリビュナル聖堂の三本柱だ。ダンマーの人々の力と統制の象徴であり、慈悲と法規範の遵守を組み合わせることによって統治している。

聖ヴェロスの審判The Judgment of Saint Veloth

マギストリックス・ヴォクス 著

強力な治癒の遺物の多くは巡礼者の聖ヴェロスと関連している。おそらく最も有名で名を残しているアーティファクトは聖ヴェロスの審判だろう。この強力なデイドラの戦槌は、追放者と霊的知識探求者の守護聖人としてヴェロスが具現化した物すべての輝かしい象徴である。

他の聖なるアーティファクトと共にトリビュナル聖堂の地下墓地に厳重に保存されている聖ヴェロスの審判は、預言者と人生の秘密の源泉の役に立ってきたが、聖ヴェロスが聖人に即位して以来伝説的な力を持つようになった。モロウウィンドの神王達がこの遺物を見守っており、領域の防衛にこの遺物の力が必要となった時のために準備を整えている。

聖ヴェロスは勇気を体現した人物であり、彼の人生の教訓と教義を信奉する者はその勇気を学び、大胆な物の見方を育てていく。彼は善きデイドラと悪いデイドラとの違いを明確にし、善きデイドラ公と元の協定の交渉に当たりさえした。善と悪を見分ける能力はこの生きた聖人の特質で、彼の治癒と治癒アイテムの傾向でもあった。この2つの面は彼の個人的な力の象徴であり、審判という名で知られている戦槌に統合されている。

ヴェロスの審判の権威は世界中に知れ渡り、その魔法は堕ちた魂による腐敗を浄化するために使われる。元々は武器として使われていたことは間違いない。しかしヴェロスは、外科医がメスを操るのと同じくらいの正確さでその戦槌を操り、魂から腐敗を取り除いて残りの部分を正常な状態で残すことができた。その戦槌は取り除いた腐敗を蓄え、使い手が戦槌の力の強化に使えるエネルギーへと変えられた。

もちろん、そんなに強力なアーティファクトは、誤った者の手に渡ってしまうと益となるよりも害と成り得る。この理由で、トリビュナルはこの審判を他のアーティファクトと共に鍵を掛けて保存している。審判の使い道として、治癒の道具としてではなく、生物の魂すべてを吸い出して、使い手の力を無限に増大させるために使えるのではないかと提案されたこともある。この提案は実現されなかったし、トリビュナルが道を誤らない限り、決して実現されないだろう。

二家の戦争War of Two Houses

フラール家歴史学者ドレリサ・フラール 著

モロウウィンドの名家間の戦争は珍しいことではなく、現在でも世界のどこかで2つまたはそれ以上の名家の間でしばしば対立が起きている。この対立が策略や陰謀から全面戦争にまで発展することは稀であるが、敵意が露わにされることはモロウウィンドの歴史上珍しいことではない。この戦争の中から、ある1つの戦争について書こうと思う。

第二紀559年、フラール家とドーレス家は通常の緊張関係や牽制を超えて、ブラック・マーシュの境界上ナルシスの南に戦闘部隊を配置した。商売敵である両家が戦うのはこれが最初ではなく最後でもなかったが、この戦争は戦況が進むにつれ膨らんでいった規模と犠牲者の数の両方において、記憶に残る戦いだった。

フラール家は係争中の領土に断固として交易所を設立しようとしていた。ドーレス家も同様に、これを断固として阻止しようとしていた。交易所の建設が半分ほど終わった頃、フラール家の作業員は突如としてドーレス家の傭兵に包囲されていることに気付いた。作業員の護衛を任されていたピュリラ・ファレンが率いるフラール衛兵の少数部隊はすぐさま防御を固め、交易所の防衛の準備に取りかかった。フラール衛兵の5倍ほどの人員を保有していたドーレス家の傭兵は、フラール衛兵をさっさと片付けて昼食前には交易所を全焼させられるだろうと考えていた。

しかし、そうはいかなかった。

ピュリラと衛兵達は最初の攻撃を比較的容易に撃退した。援軍が到着するまで何としても戦線を死守すると彼女は決意していた。援軍の到着を助けるために、ピュリラは連れて来ていた1人の魔術師にナルシスへのポータルを開く作業に取りかからせた。衛兵がドーレス家の傭兵の猛攻を十分な時間食い止められれば、開いたポータルからフラール家の戦闘商人達が溢れ出して戦況を逆転できる。あと少しの時間でよかった。

魔術師がポータルを開く儀式を行っている間、ピュリラと衛兵達はドーレス家の攻撃に技術と残忍さで対抗していった。傭兵達は突入し、交易所のバリケードを破るために何度も部隊を送り込んだ。軍はことごとく撃退されたが、打撃を与えていないわけではなかった。軍を4度送り込み4時間が経過したころ、ピュリラの軍の数は3分の1まで減っていた。その頃にはドーレス家の次の攻撃を撃退するために残っている者は、ピュリラと衛兵6人のみとなっていた。魔術師が儀式を終えてポータルを開くまではあと数分というところだった。「何としても時間を稼ぐのだ!」ピュリラは宣言した。「フラールのために!」

怒り狂った立派な7人の防衛者達は、魔術師が儀式の最後の手順を終えようとしている間、名誉とすさまじい決意と共に戦った。衛兵が1人やられた。2人。4人。砦に残っているのはピュリラと衛兵2人だけとなっていた。これまでの戦いを援助し見守っていたフラール家の作業員達もまた砦に赴き、工具ややられた衛兵の武器を使って交易所の防衛に参加していた。こうした懸命の努力も関わらず、彼らはドーレス家の攻撃の重圧に押しつぶされそうになっていた。

その時ポータルが開いた。

フラール家の戦闘商人達がポータルからあふれ出し、驚いた傭兵達の隊列に呪文や矢を浴びせた。ポータルから歩兵隊の一個部隊が現れ、ドーレス家の傭兵の戦列を破壊した。ドーレス家は少しの間持ち応えたが、まもなくフラール家の部隊の重圧に崩れ落ちた。戦線が崩壊したドーレス家の傭兵達はついに打破され、残った傭兵達は逃亡した。戦闘商人は完敗を理解させるために十分な長さだけ彼らの後を追い、そのあとは交易所を守るために整列した。

フラール家の勝利は勇敢で誇り高きピュリラ・ファレンの賜物だったが、彼女は最後の戦いで息絶えていた。撤退する途中に、ドーレス家の傭兵の刃が彼女の首を捕らえたのだった。治癒師が到着した時、彼女は死んでいた。しかしこのような歴史によって、彼女の偉業は決して忘れ去られることがないだろう。

文学

Literature

カラスとレイヴン:3つの寓話Crow and Raven: Three Short Fables

カラスとレイヴンは、鵜が魚を求めて飛び込むのを見ていた。「飛び込むことができたらなあ」カラスが言った。「魚を食べるのが好きなんだ」「なんですって?」レイヴンが言った。「あなたにできないことが鵜にできるって言うの?そんなばかなことってないわ。あなたは鵜の倍も大きいじゃない」「君の言う通りだ!」カラスは言って、水に飛び込んだ。30秒後、彼は水面に浮かび上がってのたうちまわった。レイヴンは近くに立っていた。「レイヴン!」カラスはあえぎながら言った。「どうしてあんなことを言ったんだ?もう少しで溺れ死ぬところだったんだぞ!」レイヴンは肩をすくめて言った。「鳥を食べるのが好きなの」

カラスとレイヴンは、ナゲキバトが浅い水たまりで水浴びしているのを見ていた「ぼくも同じように水浴びできるはずだ」カラスは言った。彼は舞い下りて水たまりで水をバシャバシャはね飛ばし、レイヴンの隣に飛んで戻ってきた。「思った以上によかった!」カラスは言った。「それはどうして?」レイヴンが言った。「あなたの羽もくちばしも目も、前と同じで黒いじゃないの」「その通り」カラスは言った。「でもぼくが水たまりに下りていったら、ナゲキバトが驚いて、巣に飛んで帰ってしまったんだ。それで巣の場所がわかったのさ」「ランチは卵ね!」レイヴンが言った。

カラスとレイヴンは道路沿いの宿屋の上にさしかかる木にとまっていた。下では家畜の仲買人が酔っ払って前後不覚になっていびきをかいていた。カラスは首をかしげて言った。「あの眠っている人のシャツにピカピカのピンがついてるよ」「あれは賞品よ」レイヴンは言った。「あの人はエールを飲んで手に入れたの。彼のマグの残りのエールを全部飲んだら、あなたもピカピカのピンをもらえるわ」「ピカピカのピン!」カラスは言った。彼はテーブルに舞い下りて、残りのエールを飲んだ。そして倒れ込み、起き上がることができなかった。レイヴンは舞い下りて、仲買人のシャツからピンをむしり取った。「ピカピカのピン!」彼女はそう言って飛び去った。

シェオゴラス神話 第1巻Myths of Sheogorath, Volume 1

ミモフォナス 著

シェオゴラスとライアンディール王

ライアンディール王は非常に合理主義的な男として有名だった。彼は小さく、簡単な造りの、芸術品など全くない、みすぼらしい宮殿に住んでいた。「これ以上は必要ない」彼は言うのだった。「軍や重要な公共事業に使えるものを、なぜそんなぜいたく品のために私の金を使うんだ?」

彼の王国はその実用本位の規則のもとで繁栄した。しかし、人々はいつも王の実用主義的考えを理解していたわけではなかった。必ずしも実用的とは言えなくても、見た目に美しい家を建てる者もいたのだった。彼らは芸術作品に時間とエネルギーを費やした。ぜいたくな祝賀行事を催したことだろう。一般的には、彼らは全くもって幸せだった。

ライアンディール王は彼らのような多くの者が王の見本に従わず、質素で実用的な生活をしなかったことに落胆した。彼は何年もこのことについて考えた。そしてついに、そんなつまらない活動に時間を浪費しなければ、どんなに多くのことを成し遂げられるのかを人々が単に理解していないだけだと彼は確信した。おそらく、人々にはもっと見本が必要だっただけなのだと彼は判断したのだ。

王は今後新たに建てるすべての建物は簡素で、装飾もなく、住居として必要な大きさを超えないように命じた。人々はこれには不満だったが、王のことは好きだったので新しい法を尊重した。2、3年が経過すると、豪華な建物より簡素な建物のほうが多くなった。しかし人々は節約した金をさらに多くのぜいたくな芸術品の作成、購入、そしてさらに度を超えた式典に費やした。

ライアンディール王は、自分の時間と財産をもっと実用的な目的に使えばどれだけ有益か、厳しい見本をもう一度人々に示すことにした。彼は都の中のすべての芸術品を禁止した。これには人々もかなり怒ったが、王が人々のためを思ってやっていることだと理解した。しかし、人間の本性はそんなに簡単には否定できない。さらに2、3年が経過すると、都は簡素で、簡単な造りで、芸術のかけらもない建物ばかりになった。しかし、今や人々はさらに多くの金と時間をパーティーや式典に費やしていた。

心を痛めたライアンディール王は、人々は子供のように扱わないといけないのだと考えた。そして子供のように、人々には生活に本当に重要なものは何かを理解させるため権威ある偉人の定めた規則と罰が必要だった。彼は都にお祭り騒ぎは必要ないと考えた。歌、踊り、音楽はすべて禁止された。食べ物や飲み物でさえ、水と簡単な食料品に限定された。

人々はもうたくさんだったが、ライアンディール王には非常によく訓練され、整備された軍隊があったために、逆らうことはできなかった。人々は大挙して聖堂や神殿を訪れ、ライアンディール王がこれらの新しい圧政的な法を取り消してくれるよう、すべての神、デイドラ公にさえ祈った。

シェオゴラスは人々の願いを耳にして、ライアンディール王のもとを訪れることにした。彼は花びらの代わりの腕と中心にあるマッドゴッドの顔で花畑のように夢の中にいる王の前に現れた。「私は創造者の君主であり、乱れし者の君主である。お前には私の創造した贈り物は無用なので、豊富にある他の贈り物で祝福することにした」

その翌日から、都で生まれた子供は皆狂気に襲われた。幼児の心の病は露呈しなかったため、気が付くまでに数年かかった。王自身の息子も犠牲者の1人で、発作や妄想に苦しんだ。しかし、ライアンディール王は方針を変えることを拒んだ。

彼の息子グリントが12歳だった時、寝ているライアンディールを刺した。死に際にライアンディールは尋ねた、「なぜだ?」息子は答えた、「これが僕にできる一番実用的なことだ」

新しい若い王は王宮にいる召使を全員殺すように命じた。彼は新しい治世とライアンディールの法の撤廃を祝って盛大な式典をするように命じた。集まった人々に出したシチューは王宮の召使の死体から作ったものだった。彼はすべての建物の東面の壁を赤く塗り、西面の壁を縞模様に塗るように命じた。彼はすべての市民は豪華な仮面を頭の後ろにつけるように命じた。それから王宮を焼き払い、新しい王宮の建設を始めた。

新しい王宮では、若い王は自分の部屋に扉をつけないように命じた。小さな森林生物が襲ってくることを恐れたためだ。彼は太陽や月がねたんで彼の死を企てることを恐れて、王宮に窓をつけないようにも命じた。

こうして、ライアンディール王の政策は終わりを告げた。都の人々は豪華な芸術品と騒々しい式典のある生活へと戻った。彼らはまるで自分たちには生き生きとした王がいて、王宮を維持しているかのように話して振舞い、王宮を家のように使い、狂った子供の世話をした。シェオゴラスはこの結果に非常に喜んだ。その翌日から、都はあり得ないほどの数の優れた芸術家と乱れた市民という祝福を受けた。

シェオゴラス神話 第2巻Myths of Sheogorath, Volume 2

ミモフォナス 著

シェオゴラスは音楽を発明する

最古の時代、世界がまだ未開だった時代に、シェオゴラスは人間に混じって歩くことを決めた。彼は杖を持った紳士に変装して、気付かれずにあちこち移動した。11昼夜の後、シェオゴラスは人間の生活が彼の超俗的な生活よりはるかに退屈であると確信した。

彼らの生活をもっと面白くするために何ができるだろうか?と彼はつぶやいた。同時に、近くにいた若い女が物憂げにつぶやいた、「鳥の奏でる音はとても美しい」

シェオゴラスは黙って彼女にうなづいた。人間は美しく、心を動かされるような鳥の鳴き声を作ることができなかった。その声は哀れで、平凡なものだった。彼は人間の本質を変えることができなかった、それは他のデイドラ公の権限だったためである。しかし、彼は人間に美しい音を奏でる道具を与えることができた。

シェオゴラスは短気な女を捕まえて、バラバラに引き裂いた。そして、その腱でリュートを作り、その頭蓋骨と腕の骨で太鼓を作り、その骨でフルートを作った。彼はこれらの贈り物を人間に渡し、こうして音楽が生まれた。

精神力の争い

以前、ラバトという名の強力な魔術師が、時の風を歩いてシェオゴラス卿を見つけた。彼の目的はこの最も移り気なデイドラ公に気に入られることだった。シェオゴラスを見つけると、ラバトは謙虚に話しかけた、「シェオゴラス卿、お願いがございます。私にその偉大な魔力をお与えいただければ、あなた様の名のもとに喜んで1000人を発狂させましょう」

ラバトにとって幸運なことに、シェオゴラスはご機嫌だった。彼は勝負をもちかけた、「もしお前が3日間正気でいられたら、願いをかなえてやろう。その間、お前を発狂させることに全力を注ごう。楽しいことになりそうだ」

ラバトはこの新しい取引にあまり気が向かないと確信していた。彼は本当に1000人を発狂させることを楽しみにしていたのだが。「シェオゴラス卿、私の浅はかで自分勝手な要求であなた様の邪魔をしたことを後悔しております。私は不運な願いを撤回し、畏れながらこの場を去ります」

シェオゴラスは笑っただけだった、「遅すぎる、強力なラバトよ。勝負は始まっている、お前は続けなければならない」ラバトは逃げたが、すぐにデイドラの領域からのすべての出口が閉ざされたことに気付いた。彼は後ろを何度も振り返り、あらゆる音に驚きながらあてもなくさまよった。シェオゴラスが仕掛けてくるのを待っていると、次々と新しい恐怖が襲ってきた。

3日後、ラバトはあらゆる植物や動物はシェオゴラスの道具なのだと確信した。シェオゴラスが食べ物や飲み物に毒を入れるのを恐れて、食べることも飲むこともしなかった。シェオゴラスが夢の中に侵入してくるのを恐れて眠らなかった。(それは愚かだった、夢はヴァルミーナの領域なので、私たちに安らかな眠りを与えてくれるであろうから)

その時、シェオゴラスが彼の前に現れた。ラバトは叫んだ、「あなた様は世界中が私を監視するようにされました!あらゆる生物や植物は私を発狂させようというあなた様の命令で動いています」

シェオゴラスは答えた、「実際、私は何もしていない。お前は自分の恐怖で勝手に発狂したのだ。その妄想がお前が本当に発狂している証拠だ、だから私の勝ちだ。お前は1000人を発狂させることを望んでいたが、私はお前1人の心を狂わすことを望んでいたのだ」

その翌日から、ラバトはシェオゴラスのあらゆる思い付きのために働いた。勇敢な旅人がシェオゴラスに近づこうとすると、いつでもラバトは警告する、「シェオゴラス卿はすでに我々の中にいる。お前はすでに失われているのだ」

ワバジャックWabbajack

ちっちゃい子は、大人が見てないところで、永遠の闇の力をつかっちゃいけないって。そんなの知っているけどね。でもあの蒔種の月の5日、良く晴れた夜は大人はいらなかったんだ。欲しかったのは、デイドラの知識、学習、ゴム、そしてニス、あとハルメアス・モラだ。蒔種の月の5日はハルメアス・モラの夜だって僕に教えてくれたのは、いんばかの蔵書庫の下に住んでいた、幅の広い胸を持つきれいな男の人。それで、知識の書オグマ・インフィニウムが必要ならば、彼を召喚しなければならないんだ。ソリチュードの新しい王さまになったなら、どんな小さなことでも役に立つからね。

オブリビオンのデイドラ公を誘い出すには、普通だったら魔女集会か、魔術師ギルド、他には少なくとも一揃いの枕カバーとシーツが必要だって。蔵書庫の男の人は、自分一人で儀式をやる方法を教えてくれたんだ。めちゃめちゃすごい嵐をまって、猫の毛を剃ればいいと彼が教えてくれたんだ。それ以外の儀式の手順は忘れちゃった。問題ないけどね。

誰かが来て、ハルメアス・モラだと僕は思った。でも何だかおかしいなと一つ思ったのは、本で読んだハルメアス・モラは大きくて太っていて、いくつもの目とかぎ爪を持つ怪物だって書いてあったのに、目の前の男の人はベストを着た銀行家のように見えたこと。それに、彼は自分のことをハルメアス・モラではなくシェオゴラスだって言い続けてたんだ。んでも僕はハルメアス・モラをうまく召喚できたことがうれしかったし、なんか変だなってことは気にしないことにしたんだ。彼は僕には難しいこと(多分大人の人でも理解力、経験、知識の域を超えていたと思う)をいくつかさせ、それから彼の使用人が、ワバジャックと呼ばれる何かを僕にくれたんだ。ワバジャック。ワバジャック。

ワバジャック。

ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。

たぶん、ワバジャックが知識の書なのかも。猫だけどコウモリで、ネズミなのに帽子、ブヨだったり、あれは、これと一緒だってわかったんだから、僕は賢くなったのかも。そうなんだよ、ドアにイノシシ、いびきとか床とか、うなり声だって胞子、お前のものは僕のものって。いろいろな仕組みがとてもはっきり分かっているんだから、僕は賢いんだ。なのになんで、他の人は僕の頭がおかしいと言い続けるのだろう?

ワバジャック。ワバジャック。ワバジャック。

狂気の十六の協約、第6巻16 Accords of Madness, Vol. VI

ハーシーンの物語

常に尊大で高慢なオブリビオンの憤怒のデイドラ公は、初夏月のある木曜日にスカイリムの極寒の頂に立ち、旨みのある話をハーシーンに持ちかけた。狩人の神はその日が自分の日であったために姿を現していて、シェオゴラスの大胆さが彼の興味をそそったのだ。

比類なき皮肉さを持つシェオゴラスは、クスクス笑う愚か者と、派手な作家、臆病な切断者を、自らの領域に抱え込んでいる。憤怒のデイドラ公は得をしない駆け引きに精を出し、他者の混乱と悲劇と憤怒がもたらす喜びに過ぎない無意味な流血を促すだろう。つまりシェオゴラスは、自分がハーシーンの好敵手を演じるためのお膳立てをしたのだ。

控えめなデイドラ公はあわてることなく、争いを申し出た。それぞれは、きっかり3年後に再びこの場所で会い、命懸けの戦いをするために、野獣を調教することになった。恐ろしい顔つきの陰に無表情さを浮かべてハーシーンは同意し、吹きだまりにわずかな雪のみを残して、それぞれの世界に去った。

ハーシーンには自信があったが、シェオゴラスが詐欺師であることも知っていたため、隠された世界において、密かに醜悪な物を育んだ。彼は太古のデイドロスを召喚し、邪悪なライカンスロープの呪いを吹き込んだのである。暗黒の心と尖った牙がもたらす恐怖は、ハーシーンの領内にいる偉大な狩人たちにとってさえ、とても言葉では言い表せない、他に類を見ない物だった。

3年目の定められていた日にハーシーンは戻ってきた。そこではシェオゴラスが足を組んで石にもたれかかり、口笛を吹いて、暇そうにしながらも辛抱強く待っていた。狩りのデイドラ公は槍を地面に刺し、うなり声を上げる不自然な巨獣を呼び出した。シェオゴラスはいつものように意味ありげに帽子を持ち上げて見せ、立ち上がって脇に身を寄せ、石の上に留まっていた色彩豊かな小鳥の姿を明らかにした。激しい突風の中で、小鳥はかろうじて聞こえる控えめな声でさえずった。

身をよじるようにして跳ねたデイドロスは石に飛びかかり、巨石があった場所にがれきのみを残した。勝利を確信した怪物の血まみれの口は、丸まってあざけるような笑みとなったが、控えめな歌がすがすがしい空気に漂った。小さな鳥は、怒り狂うデイドロスの鼻の周りを軽やかに跳ね回った。大きな獣の恐ろしげな両目の間で、ウロコに挟まった物をついばむちっぽけな生き物の姿を、穏やかな陽気さを浮かべてシェオゴラスは眺めた。憤激の吠え声を上げながら、狼めいた物は厄介者を引きちぎろうとして我を忘れた。争いは何時間も続き、ハーシーンは、自分が生み出した最良の獣が、無邪気な鳥を追い回すうちに次第に自滅していく姿を、恥ずかしげに見ていた。その間ずっと、鳥は自分だけに聞こえるぐらいの範囲内で悲しげな調べをさえずっていた。

激怒しながらも打ちのめされたハーシーンは、ズタズタになった獣の死体を焼き、忘れ去られた言葉で悪態をつきながら、自分の世界に引き下がった。彼の呪いは今でもその頂にとどまっているため、ぼんやりと見えるその高地に込められた彼の激怒を恐れて、旅の者は誰もが素早く通り過ぎようとする。

シェオゴラスは振り返り、自分の肩に留まるよう、小さな鳴き鳥に手招きしてから、アビシアン海岸の暖かいそよ風と鮮やかな日の光を目指して、ゆっくりと山を下りた。タムリエルで最も小さなチャンピオンがさえずる調べに合わせて、口笛を吹きながら。

好色なアルゴニアンの侍女 第1巻The Lusty Argonian Maid, Volume 1

(一部)

第4幕、第3シーン、続き

尾を上げる者:とんでもありません、旦那様!ただお部屋の掃除に来ただけです。

クランティウス・コルト:お嬢ちゃんはそれだけのために来たのかい?私の部屋へ?

尾を上げる者:なんの事だかわかりません、ご主人様。私はただの哀れなアルゴニアンの侍女です。

クランティウス・コルト:そうだな、おチビちゃん。たくましい足に整ったシッポ、いい侍女だ。

尾を上げる者:恥ずかしいです、旦那様!

クランティウス・コルト:恐れる事はない。私と居れば安全だ。

尾を上げる者:旦那様、お部屋のお掃除を済ませなければなりません。さもなければ奥様に叱られてしまいます!

クランティウス・コルト:掃除だと?それではこれを掃除してもらおうか。ほら、俺の槍を磨け。

尾を上げる者:とても大き過ぎます!一晩中、掛かるかもしれません!

クランティウス・コルト:愛しい子よ、時間はたっぷりとあるぞ。たっぷりとな。

第4幕、第3シーン、完

好色なアルゴニアンの侍女 第2巻The Lusty Argonian Maid, Volume 2

(一部)

第7幕、第2シーン、続き

尾を上げる者:まあ、大きなパンの塊!でもどうすれば私の炉に入るかしら?

クランティウス・コルト:このパンはまだ焼く準備ができていないんだ、愛しい人。まだ膨らんでない。

尾を上げる者:急いでできればいいのですが。どうすればいいでしょうか?

クランティウス・コルト:おお、愚かで小さなアルゴニアンの侍女よ、お前の手を使わなければならない。

尾を上げる者:パンをこねればいいのですか?ここでですか?

クランティウス・コルト:もちろんだ。

尾を上げる者:でももし奥様が私を捕まえたら?あなたのパンは彼女の食欲を満たすためになります。

クランティウス・コルト:心配するな、私の繊細な花よ。後で奥様の希望もかなえるさ。

尾を上げる者:分かりました、ですが私の炉はまだ暖まっていません。時間がかかってしまいます!

クランティウス・コルト:愛しい子よ、時間はたっぷりとあるぞ。たっぷりとな。

第7幕、第2シーン、完

神聖なアルマレクシアの説教The Homilies of Blessed Almalexia

ソーサ・シルとスクリブ

幼いソーサ・シルが卵の鉱山で遊んでいたとき、深い立て杭にたくさんのスクリブがいるのを見つけました。そこで彼はスクリブ達に石を投げ始め、右往左往して散り散りになる様子を見て笑いました。とうとう1匹のスクリブが苦しみながら頭をもたげ、ソーサ・シルに向かって叫びました。「どうか、どうかお慈悲をください、小さな坊や、あなたにとっての楽しみが、私達にとっては苦痛と死なのですから」

そうしてソーサ・シルは、ある人のちょっとした楽しみが他の人の重大な拷問となるかも知れないことを知りました。

ヴィベク卿と喧嘩好きな獣

ショークとカゴーティがフォヤダを気取った足取りで行ったり来たりしながら、互いの見てくれについて非難し合っていました。「お前は生き物の中で一番醜いな」ショークがカゴーティに言いました。「いや、お前こそが一番醜い生き物だ」カゴーティがショークに言いました。どちらも自分が一番ハンサムで、相手が一番醜いと思っていたのです。

そこにヴィベク卿が通りかかり、彼らの争いをおさめました。「いや、お前達どちらも一番醜い生き物だ。私の楽しい滞在をお前達の見苦しくつまらない口げんかで台無しにされるわけにはいかない」そして彼は両者に強力な一撃を加えて頭を粉々に砕き、彼らを永遠に黙らせて、楽しく旅を続けました。

こうしてヴィベク卿は、醜さは外見と同様態度にも表れるということを明らかにしたのです。

ゆでカゴーティ

カゴーティが沸騰するプールに足を踏み入れたら、すぐに飛び出して難を逃れると言われています。

ところが、カゴーティがプールの中に立っていて、魔術師がゆっくりと少しずつ温度を上げていくと、カゴーティはプールの中に落ち着いて立ち続け、ついにはゆでられてしまいます。

このことから、私達は明白な危険に対してだけではなく、最終的に危険になるかも知れない微細な変化にも気をつけるべきだということがわかります。

怪しい治療師

昔昔、あるテルヴァンニが自分の塔を飛び出して、世界中に向けて、自分は強力で博識な治癒師で、あらゆる魔法と薬に通じ、すべての病を治すことができると宣言しました。

ヴィベク卿はこの魔術師を見て、彼の自慢を聞いて、それから彼に尋ねました。「自分自身の尊大さと愚かさという症状を治すことができていないのに、どうして他人にすべての病を治す処方をするふりができるのかね?」

グアルとマッドクラブ

グアルは他の生き物にあまりにも苦しめられてきたので、どこに行けばよいのかわからなくなってしまいました。彼らに近づく獣が1匹でもいるのに気づくやいなや、彼らは恐怖にかられて逃げ去ってしまうのです。

ある日彼らはニックスハウンドの一群が歩き回っているのを見て、絶望的なパニックに陥りました。全グアルが海に向かってほうほうの体で逃げていき、こんな恐怖の続く生よりは自ら溺れ死ぬことを選びました。ところが彼らが海岸に近づくと、マッドクラブの集団がいました。彼らはグアルの接近におびえて、大慌てで逃げ出し、自ら水に飛び込んでいきました。

「本当のところ」グアルの1匹が言いました。「物事ってのは見た目ほど悪くはないんだ。だって、いつだって自分よりも惨めな誰かがいるんだからね」

傷ついたネッチ

傷ついたネッチが自分の餌場の静かな片隅で横たわっていました。彼の元気な仲間達が大挙してお見舞いにやって来ましたが、どの仲間も彼がとっておいた飼葉を好きに取って食べてしまいました。その結果哀れなネッチは死んでしまいました。傷のせいではなく、かつての友人達の強欲と短慮のせいで。

このように、考えなしの仲間は助けよりも害をもたらすことがあるのは明らかなのです。

伝説の災厄The Legendary Scourge

「その夜になるまで奴らは現れなかった」と彼は答え、メエルーンズ・デイゴンの従徒たちとのやりとりについて語った。マッカーンにとっては風の跡をたどって口笛を吹きつつ無駄足を踏まされるほうが、彼の配下の蛙たちと戦うよりも容易だろうとのことであった。これを聞いたマッカーンはこう言った:

「以後は自分の身を守ることを考えろ
そして自らの領分および誇りを逸脱するな
さもないとマラキャスの災厄なるこの鉄槌が
迷わずお前の耳と相まみえるだろう
俺が「均衡」と叫ぶのにかかる時間で
たとえお前に腕が八本あろうとも
死者の領分に足を踏み入れるお前の頭蓋に
無数のこぶができるだろう」

解説:マッカーンが愛用したとされる伝説の武器であるマラキャスの祝福こと災厄の戦棍はフィックルダイアーの泉で聖なる黒檀から作られたものであり、常に闇の住人たちに破滅をもたらす存在であり続け、友無き者を守るこの品の一撃でオブリビオンに送り返された黒き霊魂は数多い。

謎かけの赤い本The Red Book of Riddles

この手軽なる書物にこそ、様々な謎かけやおふざけが収められ、入念な研究を通じ、教養ある慎重なる紳士は、同輩の者たちの鋭い才知により当惑させられることはなくなるだろう。

(西方の貴族社会では謎かけの応酬は慣習の一つとなっている。貴族や社交界での活躍を図る者たちは謎かけの本を集めて研究し、会話の際に狡猾にして機知に富んでいる印象を与えられるよう、努力を重ねるという)

問いかけ:

汗水流して働けど

暮らし良くなる気配無し

努力の挙句に手元に残るは

返し:

これぞドレイク金貨なり

問いかけ:

人とエルフの心とは

詩人こそ知るところなり

熊に詩吟を詠ませたら

返し:

瞬く間にのけものなり

問いかけ:

爺を殴って殴りつけ

見慣れぬ顔に仰天す

慌てて周囲を見まわせど

返し:殴る拳を違えたか