エボンシャドウ スタイル

クラフトモチーフ57
Ebonshadow Style

囁く影のロミエン・ガルヴェッタ 著

あなたは美しくなりたいと願う。美しく、そして囁き。囁き、そして暗闇。暗闇、そして美しく、そして囁き。爪を持つ、あのような爪を。あなたは冷たくなる、そして鋭く、そして暗く。エボンシャドウになる。

安息はない、決して安息はない、だから作れ。彼女の意志により武器を作れ、陰謀により防具を作れ。あなたは暗黒の無で満たされる。作るものに吐き出すまで。作る時間はたとえ一人であっても、その時間だけでも意味を持つだろう。

ブーツ

あなたはもう影に沈んでいる。足を過ぎ、脚までも。けれど破滅させることはない。そう、あなたが暗闇を作ったのだから。形作り、革紐で縛り、あなたの一部になった。影の間、世界の間を歩けるブーツを。

ベルト

包み込む。安全に。決して行かせない。暗闇の抱擁で包み込む、彼女の抱擁のように。その中に縛られるけれど、それはあなたのもの!あなたが作った!手の中に暗闇を、影を、黒い、自分を縛り、抱きしめるベルトを作った。

あなたの頭は秘密で満ちている。暗い予言、彼女の意志、カラスの鳴き声。精神が滑っている、浮かんでいる、保たなければ。安全に。兜、そう、兜を作る。ばらばらに砕けた意識を結びつける。精神が彼女のことだけを知るように。彼女の意志を。彼女は砕けた欠片を愛するでしょう。まだ使い道があるから。

脚当て

あなたは壊れている。違う?欠片が足りない、何かが足りない。これ そう!これが完成させる。まるごと。一つに結び付ける。影が私たちを結びつける。これを作り、一つになる。鍛造し、一つになる。最後には、彼女の影と一つになる。あなたは壊れていない。あなたは完全。私は完全。

触るには冷たいでしょう?黒い氷。けれど指は滑らない。黒檀の握りをしっかりと掴み、矢を飛ばす。貫く。夜を貫く真実。素早く。敵の肉体を貫き、熱い血があふれ出す。冷たい矢に対する熱い血。熱い。けれどあなたは冷たいまま。

胸当て

喘ぐ、喘ぐ、けれど息ができない。暗闇の重みがのしかかる。肺を圧迫する、けれど今。今、身を守る防具を作った。胸を包み込む、鈍った心臓の鼓動に背いて。それが重みを止めるでしょう。圧倒的な重みから守るでしょう。

黒く、優美で、破壊的な刃。ある晩、あなたの耳を満たした彼女の言葉のように。刃先は鋭く、容赦がない。これは飢餓。聞こえる? 暖かさを求めている。血を。敢えて歯向かう者が餌食となるでしょう。飢えている、彼女のカラスが飢えているように、あなたがいつも飢えているように。暖かさを求めて。死を求めて。

肩防具

彼女の意志はあなたの肩を押す。重く、耐え難く。けれど今はあなたが暗闇を作れる。砕けた欠片は影によって纏められた。縛るタールによって。彼女の意志となる。そして肩には重さも、負担も、何もなくなる。何も感じないことが、彼女を救う。

手袋

あなたの手は氷、冷たく、全ての接触に麻痺する。なのにまだ暖かさを保とうとする。影に糸を通し、命令に従うよう作りなさい。それは指を包み、誘い込み、ほぼ安全だと感じさせる。それは彼女の暗い意志のために手を動かす、けれどそれは癒し。ほとんど暖かい。ほとんど生きている。

光はあなたを捉え、溶かし去ろうとする。彼らの光。彼らの剣、彼らの短剣、彼らの戦棍。彼らは突き出し、刺し貫く。終わらせようとするけれど、あなたは影。終わることはない。この盾で彼らの光を防ぎなさい。これであなたは彼女の暗闇の中で安全。終わりなき抱擁の中で。

かつてあなたの魔法は色で、暖かく、喜びだった。もうそうではない。彼女に渡してしまった。我が女王は色を手にし、力を与えた。冷たい杖を。その上にカラスが止まり、見ている。裁いている。敵が倒れ、あなたが暗闇に落ちるのを見ている。深く、深く、最も深い影へ。

戦棍

叩いて開けなさい。彼女の敵、内側が暖かい。ほらね?色を見て、落ちていくのを。あなたには色がない、けれどまだ見える。この戦棍の中に彼女の意志を築き上げた。他の者全てにその力を使いなさい。彼らは暖かい、けれどあなたは冷たい。何も感じない。結局、影は何も感じない。

短剣

笑う、鳴く、そしてついばむ、ついばむ、彼女のカラス。あなたもついばまなければ。そして暗闇から短剣を鍛造する。小さく、軽く、鋭く。鋭く、恐るべき先端。それは必ずや熱い肉体を刺し貫く。指に血を感じる。熱い、けれど手はまだ冷たい。夜に立ち上る蒸気を見て。

斧が見える?いいえ、それは爪、輝かしい爪、夜空のような弧を描く爪。このような爪があれば開ける。大きく開き、紫と青を出すことが。それは出たがっている。斧を突け、突け、つるはしのように。突いて暗闇を溢れさせて。そうすれば溢れ出すでしょう。

クロックワークの記憶

Clockwork Mnemonix

アイアンストークキノコの保存と殺菌Ironstalk Mushroom Preservation and Sterilization

安酒をがぶ飲みして、頭が働かなくなった。菌類と、自分の儲けを守るための手順は全部ここに書いてある。フリン一口だけじゃ話す気はないが、真鍮要塞での商売に大きな影響を与えていても、奇跡を起こせるわけじゃない。何があっても、酔っ払っている時には決して、絶対にこの作業をしない、それを忘れないためにメモする。

—ただの濃い塩水から始める。塩水5に対して、腐食性のあるファブリカントの唾液を加える。そうすると、キノコが吸収したミネラルを破損することなく弱められる。

—キノコが柔らかくなったら、潤滑油を入れた器の中で、頭から下に向かって傘の部分に小さい切り込みを入れる。油を混ぜ、胞子が排出されるまで強く揺する。

—新しい油を入れた器に移して、胞子の大部分がなくなるまで作業を繰り返す。

—キノコを塩水に戻す。油と腐食性の唾液の混合物から出る蒸気を吸い込まないこと。

—合金の大釜に入れて封をし、2日間煮込むと、残った胞子の活動が停止する。これは最も大事な手順だ!ホール・オブ・レギュレーションの外に胞子が根付いてしまうくらいなら、全部台無しにしてしまう方がましだ。

—大釜を火から下ろし、封をしたまま、少なくとも1週間は寝かせる。

1週間以上寝かせたとしても、キノコが変化するわけではない。だが製造時期をつけておくと、古い在庫に高い値段をつけさせる交渉にはとても役立つ。

アルテウムの謎The Mystery of Artaeum

女王代行への報告
宮廷顧問、ペネウェン 著

アイレン女王陛下の代行者殿

長く予期されぬ不在からサイジック会のメンバーが世界に帰還したという噂を追い続けている。有力なサイジック会のモンク、ハイエルフのリラサがソーサ・シルのクロックワーク・シティの帰還について、勇者に連絡を取ろうとしたことは確かなようだ。再び現れた理由と、それがアルテウムの帰還も同時に意味するのかどうかについては、調査を続けている。軍部の指導者は、この件について懸念を表明した。複数の宗教学者も懸念を表明している。(本当に戻ったとするなら)アルテウムの帰還が良い前兆なのか悪しき前触れなのか、真っ二つに意見が別れている。

過去の記録から、島について以下のような事実を発見した。のどかな果樹園、広々とした牧草地、霧深い森林が島の多くを占め、穏やかで静かな湖も複数存在する。サマーセット南西の海岸先にアルテウムが確認できた最後の時期は500年以上前で、その時の目撃情報によれば、ある変わった建造物が建っていて、周囲の田園に自然と溶け込んでいたそうだ。セポラ塔は島に建っていたと思われる。このハイエルフの時代以前からある遺物は、謎めいたサイジック会の本部であり、夢見る洞窟の入口を守っていた。伝説によれば、ソーサ・シルもオブリビオンへの移動手段として洞窟を使っていたらしい。記録を見ると、アルテウムは350年前にタムリエルから消息を断っていた。

サイジック会は魔法を使う修道士の集団で、魔術師ギルドよりも歴史が古い。灰色のマントを着た構成員たちは、かつて霊的、魔法的な問題についてタムリエルの支配者に助言を与えていた。アルテウムが戻ったことで、サイジック会がまた政治に関わるようになるのかどうかはまだ判断できない。長命だった儀式を統べるイアケシスが、今も指導者なのかどうかもまだ分からない。サイジック会の代表者に会いたいという多くの申し出が却下されたからだ。

サイジック会に関して、さらに情報がある。

サイジックのモンクは「古き習わし」に従っている。神秘主義、十一の力、聖なる法によって、実在の本質が哲学と生き方に集約されている。彼らは「アース・ボーンズ」とも呼ばれ、タムリエルを歩いていたエドラの子孫、人類とエルフの始祖とも言われるエルノフェイについて深く理解していたと言われている。サイジック会が使用していた儀式魔法の多くはその理解を利用しており、おそらくそれによって時間と天候の影響から守られたのだろう。往時の彼らは卓越した予知者であり、時間と空間を超えた遠い出来事を知ることができ、他の魔法使いよりも通信の能力に優れていたとも言われている。

サマーセットとアルドメリ・ドミニオンにとってこれが何を意味するのか、それはまだ不明だ。サイジック会の力を味方にする必要があるかもしれないが、今のところ対話を始めようとするこちらの努力をすべて拒絶している。ソーサ・シルのクロックワーク・シティがあるモロウウィンドの密偵からも報告が届いている。彼はサイジック会とアルテウムとの深い関係が記録されており、私もサイジック会とクロックワーク・シティが開かれたことの関連を偵察するため、ダークエルフの地に向かうべきかもしれない。何か重大なことが、定命の者の手が届かない高みで起きている可能性がある。

できるだけ早く戻るつもりだ。

顧問、ペネウェン

アルド・ソーサの概略史A Brief History of Ald Sotha

ソーサ・シルの使徒、ヴァリンシ・アランドゥ 著

ソーサ・シルへの信仰とは、歯車が回る音を聞き、現在や過去の形ではなく、何にもなれる無限の可能性を考えることだ。私はそれを理解しているが、そのためには過去の真実も知らねばならない。謎の父への献身は揺らいだことはなく、バネ仕掛けと言われたこともある。だが、長い間未完成だ。質問を始めたが、知る者が少ないことに驚いた。我が主がどこから来たのか?私は名を与えられたが、答えはまだだ。

アルド・ソーサ。

答えはすぐに見つかった。慎重な他者の言葉ではなく、誠実な本の中にあった。最初の発見は、私が見つける情報はすべてアルド・ソーサのものだろうということだ。街はずっと昔に破壊されたからだ。かつては小さなソーサ家の故郷だった。どんな理由であれ、我が主の名に「小さな」と添えるとは、何とも奇妙な気分だ!だが調査によれば、そう結論づける他にない。これといった偉業も、特別な技術もなかった。取るに足らない一族が所有する、取るに足らない街。だが、謎の父が生まれた場所であることに疑いはない。

アルド・ソーサはデイドラ公メエルーンズ・デイゴンによって、第一紀に破壊された。なぜ破壊のデイドラ公がこの街を破壊しようとしたのかは不明で、判明させる必要もないと考える。混沌の裏にある情報をつなぎ合わせる理由があるだろうか?結果は同じことになる。アルド・ソーサと共に生きた全ての者の死が、結果として残った。そう、全て。ただしセト卿だけは、ヴィベク卿によって救出された。2人が真に神となる前のことだ。

しかし、ヴィベク卿による救出は、もっと深く調べる価値がある。セト卿はいかに攻撃を生き延びたのか?戦いに関する記述はなく、私の分析によればデイゴンの破壊の後にセト卿は救出されたことが推測できる。それ以外の推論は導き出せなかった。トリビュナルが他の者たちに知らせたいなら、この物語を共有するだろう。私が彼らの袖を引っ張って、そんな些細なことを質問するだろうか。そんな訳がない!

改めて言うが、最後の結果は同じだ。セト卿は救出され、ヴィベク卿に育てられ、やがて彼のあるべき姿、クロックワークの神の座に登りつめた。デイゴンの激怒をどうやって逃れたにせよ、それが聖なる歯車の運命だったのだ。彼が生きるように我々を動かし、失われた遺産、最後のタムリエルを取り戻す導きとなる。

ヴィベク、戦詩人Vivec, The Warrior-Poet

ヴィベク、戦詩人

刃と竪琴。真実の子供、嘘。韻と暗喩。彼がニルンの道を長く歩き続けんことを。彼が求めるものを長く求め続けんことを。

ガスコーンの覚え書きGascone’s Memorandum

使徒の同志へ

最近、非常に重要な問題に気づいた。早急に処理しなくてはならない。わずかな間不在にするが、混乱を生む可能性があって申し訳なく思う。緊急事態が起きたら、助手に伝えてくれ。

何も心配いらない。大丈夫だ。持ち場の仕事を続けてほしい。

信仰の同志
-G

カラス観測のメモNotes on Crow Sightings

今日は、いつもより多く頭に落とされた。奴らの狙いは、どんどん正確になってくる。私を標的か何かだと思って付きまとってくる。道で追いかけてきて、嫌がらせをする。いつでも見て、聞いている。

部下には、あの小さい怪物がいる時には口を閉じ、用心深く話せと言ってきた。侍者の間では笑い話の種になっているが、鳥たちには本気で警戒してほしいものだ。この仕事には、言葉を話す鳥よりももっと危険な何かがある。

クロックワーク・シティの水循環The Water Cycle of Clockwork City

ソーサ・シルの使徒、ヴァリンシ・アランドゥ 著

使徒は外の世界を知らない訳ではないが、大概無視してきた。頻繁に崩壊し、一貫性のない形で粉々になる歴史や文化について、我々は何を知っておくべきだろうか?ダークエルフの名家、ブレトンの王、オークの族長。彼らのささいな争いや心配を学ぶことが、我々が時の意思に近づくために役立つのだろうか

役立つことがあるとすれば、おそらく共生を余儀なくされている他のニルンの環境だろう。変わり続けている人間とエルフの影響を除いて考えれば、残されるのは原初の神が築いてきた一貫性だ。日光の力で、緑は育つ。天気と温度は、風の影響で変わる。そして生命の拠り所である水は、終わりなき循環で回っている。

全ての者が頼りにしている水の循環に関しては、分からないことも多い。水は日光に暖められ、蒸気に変わる。蒸気は空に浮かび、雲に変わる。雲が大きく成長すると、内包した水をもう一度地表に戻す。それがずっと続いていく。永遠の車輪のように。

クロックワーク・シティを自然に巡っている水は、一般的に「セトの血」として知られ、革新的アイデアであふれている。悪い側面もあって、だから住民は絶対に飲めない。しかし彼は全てに英知を持ち、このことに関しても計画を持っている。

我々の家は、聖なるメトロノームの形をしている。全ての真実を知るセト卿の意志によるものだ。しかし彼は、この終わりのない循環の美しさを理解している。だから自らを信じる者に、ホール・オブ・レギュレーションの中で水の恵み、命の恵みを与えた。そこでは全てが完全にシンクロしている。

全ての水はホール・オブ・レギュレーションに流れる。そこでまず、細かいメッシュで沈殿物が除かれる。次に蒸留起動装置に送られ、魔法の力でさらに細かい汚染物質が除去される。魔法の力を使わないと、クロックワークの住民が使う水には多くの汚染物質が残ったままになるだろう。

浄化された水は、その後に貯水池か蒸気連結管に送られる。貯水池には真鍮要塞に送られた水がすべて保持され、飲料、入浴、清掃に使用される。しかし、蒸気連結管も同じように重要だ。有機物が育つために必要な湿気を産み出すからだ。蒸気連結管がなければ、我々が吸う空気は危険なものになる。

さあ、セト卿が作り上げた輝きを、完璧な最も重要な循環を称えよう。規定され、最も完璧で不変な循環だ。

クロックワーク・シティの領域:ラディアスRealms of the Clockwork City: The Radius

ヴァルーニ・アーヴェル参事 著

セト卿の高貴で神々しい創造は、謎の父の単なる安息地を遥かに超えるものだ。彼の献身的な使徒の中で最も熱心な者によって発見され研究されるべき、無数の安全な部屋、工場、研究所、実験用の物体を収容したテラリウムに満ちている。

この一連の書物で、私はクロックワーク・シティにある、より知られているセト卿の小規模な領域について手短に説明する。完全なリストでは全くない。街の幅広さを考えれば、見たところ有限なスペースが実際には無限にあるようだ。

真鍮要塞の居住者にとって最もなじみ深いのは「ラディアス」と呼ばれる領域だ。この長く伸びた人口の荒野は、要塞の壁の外からクロックワーク・シティの外縁まで広がっている。そこには人工の生態系があり、タムリエルの住民にとってできる限り親しみが持て、心地良いように作られているとセト卿は見なしている。

第一に、金属製の土壌から発芽するファブリカントの植物相に注目すべきだ。その樹皮と葉は光を完全に反射する。クロックワーク・シティ内でほとんど育っていないのは確かで、源泉のように特化された事業や、行商人や偶然の訪問者によって一時的に持ち込まれた菌類などに限られている。故に、ラディアスで遭遇する生物の多くが肉食であることは必然だ。タムリエルで相当するものの形と機能を模倣するように設計されたファブリカントの獣は実際に生きていて、肉体と金属が混合されて構成されている。賢明な使徒は最も凶暴で巨大な生物を避ける。彼らは魂石の主要な材料を供給するもの以外にも、栄養を必要とするからだ。

第二に、ラディアスの低地と小渓谷に溜まっている、キラキラと光る潤滑油の蓄積に注目すべきだ。この懸濁液はファブリカントや使徒の体液と分泌物と同様の機械油と、地表の下にある無数の工場によって作り出された大量の物質との混合物だ。この潤滑油はラディアス中の盆地で湧き出て、集められ、自動洗浄施設に引き込まれ、必要な環境に配布する機器に戻される。ラディアスの潤滑油はほとんどマイア・メカニカで集まる。恐らくセト卿がタムリエルの沼地に類似させたものだろう。

第三に、ラディアスにはクロックワーク・シティに数多くある、天候を制御し水を処理する施設がある。これに近接していることで激しい暑さや寒さも感じず、十分に摂取できるきれいな水を確保できる。それでもなお、ファブリカント、人、エルフのバランスは非常に難しく、真鍮要塞は人口と必要摂取量の注意深い検討を必要とする。

もちろん、ラディアスはクロックワーク・シティの領域の一つに過ぎない。次の巻では、謎の父によって行われた希少な実験に触れ、同時に彼らの存在理由についても推測する。

クロックワークのファブリケート動物相The Fabricated Fauna of Clockwork

自然学者エンディラリル 著

ああ、タムリエルを形作る緑豊かな自然と多様な野生動物を、どれほど焦がれたことか。なぜもっと前に感謝しなかったのだろう?オーリドンの緑の大地、ヴァレンウッドの深い森に。頂上が雪で覆われた、スカイリムの雄大な山々。ブラック・マーシュの危険な美しさ。この不毛の荒れ地に囲まれた真鍮の街に流れ着くまで、全て見逃していたとは。

ずっと長いこと考えていた。私の天命は、機械や人間の研究ではなく、取り巻く動物の研究なのだ。初めてクロックワーク・シティに来た私は落胆していた。自然学者として尊敬を受けていたキャリアが終わってしまったと考えていた。だが、しっかりと観察しただけで、やがて私は新しい研究対象の種族を発見した。肉や腱でなく、機械と装置でできた種族だ。

この街で発見した、もっと忘れがたい「動物」の種族についてのリストを作成した。「動物」と呼ぶのは大胆すぎるかもしれないが。彼らの外観は、相当する自然物の擬態であることは明らかで、奇妙なことに行動も似ている。いったい創造主はどんな考えだったのか、見当もつかない。彼らの役割は限られたものだが、この荒れた地に生命を吹き込んでいる。

ブラシリスク

ブラシリスクは相互に接続された正方形の真鍮で構成され、外側にある銅のワイヤーでヘビのような動きが可能になっている。ペットとして人気で、若い学者の後を急ぎ足で追いかける姿を見かけることも多い。より可愛く最も貴重な種類は、セプ・アダーの皮の翼を擬態している。この動物は様々な色があり、行動は攻撃的だが、攻撃することはない。

スキーヴァトン

推測は好まないが、この動物の起源に関する噂は興味深い。スキーヴァトンは銅のマウスの形をしている。足はなく、中央に格納されたボールを回転させて移動する。隅から隅までこのような機械であふれている街に、これ以上ありふれたものはない。伝説によれば、スキーヴァトンは仲間の学者たちを監視する目的で作られたらしい。今度狭い路地から見つめるマウスの視線を感じたら、そのことを思い出してほしい。

セトのドヴァー・フライ

汚れた街の空気の中を飛んでいくこの機械仕掛けの昆虫は、不幸な恋人たちの合作だと考えられていた。噂話は好きでないことを改めて確認しておくが、この物語は確かに感情へと訴えかけるものがある。2人の見習い学者が恋に落ち、しかし二度と会うことを禁じられてしまった。お互いの師が長い間いがみ合ってきたからだ。セトのドヴァー・フライは2人が連絡を取り合うためのメッセンジャーとして開発された。弟子たちのエレガントな創作物に感動し、師匠たちは自分たちの争いを忘れ、2人が共に未来への計画に携わることを許したそうだ。美しい物語だ。真実かどうかは別にして。

クロックワークの使徒による詩集Clockwork Apostle Poetry Collective

読師トリヴラ提唱

我々の年若い使徒たちの学問的完全性を強化するために進行中の実験として、「創造的思考」という抽象概念の新コンセプトが終了した。全ての算出可能な結果は引き続き結論に至っておらず、6週間の試験を経たこのプロジェクトは失敗だったと見なされている。これはこの構想の結果として得られた詩の選集で、将来の分析のために集められたものである。

* * *
ファクトタムへの頌歌

光るユニットの真鍮のボディ
それにより動作する機能
全てが完璧な規則に設定
いつも皆が喜ばしい状況

道をきれいにして品を売買
登録や死を管理する
食事を作って銀行を運営
全ての機能が頭にある!

しかしどこで作られた
全てを知るセト卿が作ったか?
なぜ我らは部屋に入れない?
彼が鍵をかけて忘れたか?

しかし使徒は真実を知る
沈黙が恐れを知らぬ心を生む
謎は解かれるために作られる
私が種の謎を解き明かす!

* * *

間違った数字

2週間もあれば
市場価格は上昇する
どこへ行くかは分かってる
もっとも頑丈な物資を探す

頭は数字でいっぱい
だけどそれは間違っている
それは値段、人、売上
間違っていると分かってる

数字について考えるべきだ
秩序と連なりについて語る
しかし長く留まることを拒む
ただ私を緊張させる!

私は使徒になりたい
家族が誇りに思う
だけどこの間違った数字が
私に許された全てだ

* * *

ずぶぬれのベッド

ずぶぬれのベッドに黴臭いシーツ
その臭いは黴と油
姉妹は夜に咳を続ける
助けられない、私は役立たず
私はいつだってただの役立たず

いつか私の手に魔法が集まる
温かく明るく、希望にあふれてる
そして機械を毎日学ぶ
コグと歯車と部品
熱心に秘密を学ぶ

私はついに分かった、私はついに自由だ
私は上の世界へ行く
学び、聞き、言われたとおりにやる
新しい人生の新しい名前
目の前の道を歩く

囁きがついてくる、でも耳を貸さない
私は子供時代の家で強くなった
戻らない事はわがままだと分かってる
だけど記憶はいつまでも残る、ずぶぬれのベッド
楽にできない、止まらない咳

〈メモ:この選集の最後の詩は詩に課される必要な韻のパターンに従っていない。それでも、その自由な表現の作成と創造的プロセスのため、指定された条件の範囲に含めても問題がないと判断された〉

クロックワークの使徒の説得Inveigling the Clockwork Apostles

役に立つ市民 著

ラディアスから真鍮要塞に入ると、クロックワークの使徒に関わることになる。いいか、もし彼らが味方じゃなかったらどうなる?君は終わりだ。とはいえ、彼らを本当に理解するのは難しい。使徒は先人たちの栄光、あるいは戦いのスリルを求めていない。戦争、飢饉、疫病を思って苦しんでいる訳ではない。実際、苦しむことはあまりない。ファクトタムに何でもやらせる。例外はトイレの後くらいだ。いや、先へ進もう。彼らが何を気にしているか、そこから始めよう。

ソーサ・シルは使徒にとって神であるだけでなく、一種の師でもある。お互いの関係は、教えに飢えた生徒と、冷ややかな先生だ。使徒はいつでも自分が関わっていることを師に認めてもらいたがっているが、認めて貰ったことはないはずだ。謎の神は、いつでも自己中心的だ。

使徒は全員同じ目標を目指している。彼らは後のニルンと呼ぶ。あるいは最後のタムリエル、もしくは2つ目のニルン、呼び名はあれこれだ。退屈な詳細に興味があるなら、ソーサ・シルの説話集を読むといい。何度か読めば、本当に理解できるだろう。ただし、本当に興味があれば。彼らはこの世界がそれほど好きではなく、世界を改善しようとしている。どうにかして。私が知っているのはそれだけだ。

世界を改善するなら、基本的には寛大な行為であり、少なくとも基本的な思いやりに基づくと思うだろう。今回に関して、それは間違いだ。いいか、完璧なニルンとは飢えた人に食料を与え、病人を保護することを含まない。実際には、機械を山ほど作ることだ。どういうわけか。

だから使徒の善に触れるには、神のみぞ知る彼らの実験に手を貸さねばならない。つまり、魔法、機械、あるいは両方の技術を披露することだ。もしそういう技術を持っていないなら、他の機会によく話を聞いておくべきだ。クロックワークの使徒は頼み事をしないほどお高くない。特に、自分たちより下だと思う相手には。もちろん、簡単なことや楽なことを頼むとは限らないが、申し出があったら逃さないことをお勧めする。

クロックワークの未知の潜在能力The Unseen Potential of Clockwork

ソーサ・シルの使徒、読師サエローン・テナー 著

人間でもエルフでも、ドングリを見ればそれが何なのかは分かる。単純にその形、大きさ、色を見分けられる。謙虚に、葉と土の中に投げ捨てられている。どんな子供でも、そのことを知っている。確かに、単純な知識があれば、子供はドングリがいずれ何になるかを簡単に想像できる。その可能性も知っている。ドングリはいずれ木になる。それを知らない者などいるだろうか?

しかし、想像してほしい。もし一度も木を見たことがなかったら。描写を聞いたことも、絵を見たこともなく、木について聞いたことがなく、普通のドングリを見たとしよう。目立たず、小さく、そもそも使い道がない。できる限りの観察をした結果、目の前に出されたドングリと巨大な樫の姿は繋がらない。

ドングリと同じように、クロックワーク・シティの大きな可能性は、呼応しない意識に分からない。上のニルンには建物と道がただ縮められ、小さな空間に詰められた小さな世界に見える。最も忠実な信者たちと危険な実験を含んだ、神の玩具かもしれない。だが、こう考える者の視界は、単に可能性を知らないだけだ。

クロックワーク・シティは後のニルンの車軸であり、世界を形作るあまねく車軸だ。とても美しく、壮大な恐怖で輝いている。聖典にはそう記されている。ニルンの現実と一致するかもしれないが、「ロルカーンの大いなる嘘」から生まれた不完全さはさておき、実際の現実とは違う。

聖なるメトロノームの元で働く我々の手は油で汚れ、我々の心は献身的だ。我々は溶接工で、隠された知識を追い求める。聖なるピストンの道を歩き、我々の魂は清潔で、油に濡れている。我々のクロックワーク・シティの真実は、最後のタムリエルのチクタクという音が聞こえる、永遠の車輪だ。

ドングリの先を見よう。未来の姿、強大な樫の樹を見よう。

シラーリのメモChirrhari’s Notes

注意:クロックワーク・シティの土壌との反応は、キノコ種固有の特徴を大きく変える可能性がある。ファブリカントを被験者にした詳細な実験なしにキノコを採取しないように。言われるように、どのキノコも食べられるが、一度しか食べられないものもある。

菌株 A-01-K:大きく、平らで、赤い傘。房の中に、白い茎が必ず一つある。被験者はサンプルを食べた後、平衡感覚を保てなくなった。歯車が3つ回った後、被験者は予測できない動きを見せた。平衡感覚も失っていた。このことで実験に少しの遅れが生じた。ファクトタムが近くにある装備で破損を修復したためだ。

菌株 B-01-T:中程度の大きさで、ふくらんだ傘は白く、血の赤の点がある。被験者はサンプルを早く食べ、次のサンプルに進んだ。ファクトタムは、被験者が全部食べてしまわないように急いで止めた。

菌株 C-02-K:大きく、白いさや。2~3房で育つ。2房で実験。被験者は、接種してすぐ病気になって死亡した。その後被験者に胞子のさやが生まれ、手に取ると燃えた。ファクトタムがすべての胞子を駆除するまで、ラボから退去した。注意点。3房で実験する前に、密閉作業をすること。

菌株 D-01-K:大きく、丸く、ベトベトした傘。黄と白のまだら。被験者は、サンプルを食べると激しく震え始めた。ファクトタムが温めようとしたが、失敗した。被験者は実験に使えなくなったため、処分した。

菌株 E-02-K:大きく/巨大な下向きの傘。色は灰。被験者は最初、完全に発達し切ったサンプルを食べようとして、結果的に歯を数本失い、下あごの拡張機能に小さな裂け目ができた。被験者がもっと成長していない小さいサンプルを食べるよう、ファクトタムが誘導した。茎にあるコブを食べたが、被験者は無事だった。注意点:成長した茎を使って、武器や防具を作るべきだ。

菌株 F-03-T:中程度の大きさで、波打った傘が段になっている。色はオレンジで、へりが白い。被験者は、すぐに胃の中のものを床に吐き出した。そのサンプルをイドロノに送り、分析を依頼した。注意点:ファクトタムには、床にある染みを無視するように改めて伝えること。彼らは衛生状態を保つことにこだわり過ぎている。

菌株 G-02-K:大きく、ボウル状の傘。白紫の茎に、小麦色とオレンジのまだら。被験者はサンプルをガツガツ食べ、摂取後の2日間は空腹になった様子を見せなかった。注意点:この種の栄養に関する影響を、さらに詳しく調べる実験をすること。栽培すれば、労働集約に役立つ。

スタディ・ハンドSteady Hands

ソーサ・シルの使徒、ドロロ・ギラヴロス 著

自分の手を見つめても、そこには欠陥しかない。しわの寄った弱いものだ。止まってほしい時には震え、夜が冷えてくると痛む。日常的な雑事で見習いを頼るようになった私は、母親のスカートにしがみつく赤ん坊よりも役立たずだ。自分で食事をするという簡単なことさえちゃんとできない。この止まらない震えには、すでに気づいていた。人間の、哀しいほどの不完全さが私にもやってきた。だが、真鍮要塞は革新の発信地であり、役立たずをもう一度復活させてくれるだろう。

メカニズムに新しい機能が必要な時、修正が加えられる。頭はまだ働くのに、時の流れのせいで私の手は震えるようになった。虚栄心のためではなく、腐敗を断ち切るためにやった。壊れた箇所をつなぎ合わせるためだ。事前の約束通り、処置に痛みはなく。効果もあった。要求された対価に見合うものだった。処置の後の数時間、寝たり起きたりを繰り返した。頭に力が戻ってきた。そして私は目覚めた。本当に目覚めたのだ。

輝く掌を見て、私は突然平穏を感じた。落ち着いて、穏やかで、強い風の一部に戻ったような気がした。荘厳なピストンの往復運動の一部に。この金属の延長は、私の魂の真実だった。真鍮の指は完璧な反応で動き、滑らかで優雅だ。元通りになったわけではない。これまでよりも、ずっと良くなったのだ。

私は真実、特異点を見出した。私は肉体と血を超越した。私の指は今や安定し、献身と同じくらい確かだ。自分の手を見つめると、そこには可能性がある。

セキュリティ調査Security Survey

ファクトタムに関する報告によれば、ラディアルの周囲で警戒コイルの誤作動が激しく増加している。真鍮要塞の洞窟ネットワークは、東西ともに現在、定期的なセキュリティ停止期間が発生している。

ファクトタムの損耗率も、調査期間中に急上昇している。アイオスの表によれば、17体がまだ行方不明だ。行方不明、動作不良、いずれの場合もすべてビーコンを回収せよ。影響のある全区域で、全面的な使徒の調査を推奨する。住民の苦境に関するレポート「A77645」と「X99876」を参照すること。いずれも関連する区域で「黒ローブ」姿の目撃談が記されている。

内部のセキュリティ評価は、83パーセントに減少した。

ソーサ・シルの記憶The Memories of Sotha Sil

ソーサ・シルの使徒、ヴァリンシ・アランドゥ 著

記憶はつかの間で、傷があり、はかない。感情や思い込みで、簡単に上書きされてしまう。こんなに規定がない出来事の記録は他に考えられない。だから私は、決して変わらないシークエンスプレートに思考を記す。だが、どんなに客観的であろうとしても必ず偏りは生まれ、言葉は多くのことを伝えるだけだ。普通の頭で記憶できるニュアンスや豊かさをプレートに刻んだことも、単純な人間の複雑さの前ではかすんでしまう。

セト卿には分かっている。結局、彼の心臓が永遠の車輪を回し、油を差し、調整している。私たちは知っている。ただの名前ではなく唯一の名前になるには、意識を磨き、調和させなくてはならない。どうすればそんなことが可能なのか?神でさえ感情の重さに苦しみ、論理的な考えから外れてしまう。

だが、この件に関してもクロックワークの神は賢かった。彼は自分の記憶に形を与え、物理的な形を取らせたのだ。星空を広げ、思考の銀河を作り上げた。羊皮紙にインクで書くよりも、言葉や囁きよりも明確で現実的。完全で完璧なもので、これができるのは彼の神性の強さ、光り輝く唯一無二の、全ての秩序の真実を知った意思の力だけが成せる技だ。

確かに記憶は傷つきやすいが、どれも大切なものだ。我々の英知と知識、つまり我々そのものを含んでいる。記憶を捨てることは贈り物を捨てることであり、セト卿もそれを分かっていた。だから彼は大切な意思を記録し、記憶のプラニスフィアで安全に保管した。永遠に沈黙する〈星詠み〉が見守っている。もう感情を含んでいない星たちが、空で揺れている。だが、今も繋がりはあり、知られている。

プラニスフィアの中は静かだが、囁きも聞こえない。低いハミングが、ホールの中で響いているようだ。過去の姿は失われたが、忘れられてはいない。もう一度、光を。

ソーサ・ナルSotha Nall

ソーサ・ナル

超越に値する魂。彼女の歌が全てのピストンの音と、全てのスプリングの溜息に聞こえますように。

テラリのメモTerari’s Notes

どうやら彼は、馴染みの場所をうろついているようだ。彼は私の最初の工房へ戻ってきた。出会った場所だ。今の絶望的な状態では、彼は認識できないだろう。たださまよい、叫んでいるだけだ。迷い、孤独で、痛みを感じている。ボリン、許して。

私は静かな時に、思い切って彼に近づいてみた。しかし、私の姿は彼を興奮させただけだった。彼は自分の身に何が起きたかを知りたがったが、不安から暴力性を増した。彼の体は恐ろしく強力になっていた。私は彼から逃げ出したが、さらに事態を悪化させただけだった。怒りで暴れる音が、渓谷の壁に響くのが聞こえた。

ここで眠るのは難しいことだ。かつては楽しい場所、楽しい我が家だったのに。今は破壊された廃墟だ。ここで笑い合ったのに、涙を流せない機械の泣く声が遠くから聞こえるだけだ。

どのくらいここにいるだろうか?あの哀れな壊れた魂を落ち着かせようと、何度試みただろうか?もう耐えられない。だが、当然の報いだ。

彼を殺そうとした。安息を得て欲しいだけだったが、できなかった。私が何をしても、彼に痛みを与えるだけだ。私は呪われているに違いない。

ドゥルザの記録Dulza’s Log

フェルズランの商人、ドゥルザ・グロー・モークル 著

後悔してることはたくさんあるけど、クランに代々伝わる剣を持って旅に出る決断ほど強く後悔していることはない。これが二度とグロー・モークル家の手によって振られることはないと分かって、自分自身の避けられない死よりも悲しい気持ちで一杯だ。まあ、今は生き延びるしかない。この呪われた金属の世界から、逃げ出すことは不可能なようだから。

本当に私は馬鹿だ。クラグローンへの旅は過去に行った仕事のいくつかに比べたら、簡単なことのように思えた。確かに奇妙で強力な魔術の地だと知っていたが、それで脅えて追い払われることなどなかったはずだ。金払いが良くて、取引が正当なら。

私をこの奇妙な荒れ地に吹き飛ばした嵐は、今までに見たことがないようなものだった。稲妻が奇妙な色に光って、雨が皮膚に熱く降り注いだ。周囲で詠唱が聞こえた。寒気がする、奇妙な言語だった。あの言葉は死ぬまで私につきまとうだろう。

ナリルのメモ:起源Naril’s Notes: Origins

ソーサ・シルは数学を操作し、クロックワーク・シティの谷間に設置した巨大な貯水池を呼び出すためにマジカを適用した。自分の機械的な奇跡の中に巨大なオアシスを作るため、大きな泉を熱い金属の土壌の下に封じ込めたのだ。彼はこれを〈巻かれ続ける源泉〉と呼び、使徒に壮大な計画の一部を話した。だがクロックワークの神は、他の挑戦や数知れぬ謎に気をそらされ、他のことに対処するため去って、二度と戻らなかった。やがて、使徒たちも去った。

私以外は。私はオアシスの計画を信じていた。それはクロックワーク・シティの最も重要な需要を満たすことを理解していた。そして私は独力で源泉に取り掛かり、やがて見習いも取るようになった。すぐに金属のクズからこの施設が生まれた。実験のおかげで、より深く、より大きな成果を出せた。最初の成功はコケと泥と菌類に囲まれていた。菌類は、水とわずかな肥料さえあれば暗い環境でも成長できる生物だ。この成功に助けられ、最も困難な報酬に目標を定めた。

我々の努力は、果実、植物、野菜を育て、クロックワーク・シティに暮らす住民の食事として提供することに変わった。

ナリルのメモ:初期の実験Naril’s Notes: Early Experiments

見習いガサルと見習いオートウェンは、侍者の中でも最も優秀で有望だ。ソーサ・シルさえ、源泉に関する彼らの仕事を見たら感心するだろう。菜園を拡大し、キノコや他の菌類に加えて、果実が茂る木、野菜が育つ作物を植え、花や植物が育つ区域も作った。設定した目標を達成するためには、錬金術の溶液が必要だ。そうすれば、クロックワーク・シティに足りない基本的な成分を得られる。

実験と失敗を繰り返す長い時期を経て、ついに錬金術の化合物の完璧な組み合せを発見した。ファクトタムの助けを得て、パイプと貯水タンクを作ることに成功した。これで、菜園と果樹園に水を引ける。錬金術を施した水から重要な栄養素を受け、最初の種子は完璧に発芽した。最も大きな、最も多い種類の収穫を迎える寸前、予期せぬことが起きた。

どれだけ手をかけても、実が茂る前に木や植物が枯れ、死んでしまった。〈巻かれ続ける源泉〉にとって、破滅の日だった。

ナリルのメモ:疑似太陽光Naril’s Note: Simulated Sunlight

ひどい問題が起きていると明らかにしたのは、一番お気に入りの弟子、見習いガサルだった。「クロックワークの太陽です」ガサルは断言した。「ニルンの空にある太陽とは違い、暖かさも、活力を与える力もありません」

ガサルがこの点を指摘してから、状況は明らかだった。クロックワークの太陽は光を放ち、昼と夜の循環を定期的に与えてくれるが、源泉の植物が育つ力を与えてはいなかった。植物が育つための光を自前で用意する必要があった。そう決めてから、ガサルと私はニルンの太陽の代用品になる装置の開発に取り掛かった。

ある程度の光を得ることには成功したが、その光に当て、外すためファクトタムに植物を動かさせる必要があった。このことでわずかな収穫を得ることに成功し、毎年の収穫と新しい見習いの審査を始めることができた。しかし光を当てる装置、そして実際の太陽の光と同じものを生み出せる動力が必要だった。かなり進展したが、解決にはまだまだ遠かった。

試作と失敗を繰り返し、十数回の実験の後に適切な照明装置を完璧に作成した。疑似太陽光の伝導体として透明な合金に出会った時、正しい過程を進んでいることを確信した。しかし、照明装置がどれほど成功しても、植物の死は止められなかった。もっと動力が必要だったが、クロックワーク・シティに適切な解決策は見つからなかった。大変な難問だった!

ナリルのメモ:悲劇からの成功Naril’s Note: Success Out of Tragedy

見習いガサルと私は、植物を育てられる疑似太陽光を作る過程で、壁にぶつかった。照明装置は完璧に稼働している。疑似太陽光インダクターに使用できる電源を使って産み出せるものよりも、明るく強い光を出す能力もある。もっと強い電源がないと、〈巻かれ続ける源泉〉は失敗してしまう。

* * *

数え切れぬほどの時間を試験と実験に費やした後、ガサルは疑いようのない結論にたどり着いた。我々の疑似太陽光インダクターが植物を育てるには、生命が必要だった。志願者から少量の生命エネルギーを抽出し、それを疑似太陽光の照明装置の動力にした結果、有益と思われる結果を発見した。このエネルギーで生まれる鮮明で明るい光は、これまで使ったどの動力よりも植物がより早く、よりしっかりと育った。その違いは、ほとんど奇跡的だった!だが借り物のエネルギーはすぐに尽き、作物全部が成長するのに必要な照明装置を稼働させるエネルギー量には、全く届かなかった。

かなり進展したが、本物の、持続可能な解決策にはまだまだ遠かった。

* * *

私が工房に戻ると、不安になる光景に出くわした。私が離れていた間に、ガサルは絶対に実施しないよう命じていた実験をしていた。自分自身をインダクターにつないでいたのだ。エネルギーを借りる際、どこまで借りても志願者が再生産可能か判明すれば、もっと生命エネルギーを借りられる。それが彼の主張だった。その正確な限界点が分かれば、照明装置のエネルギーが入手できる。だが、もし取りすぎれば、志願者は死んでしまう。

残念ながら、ガサルはエネルギー吸収装置の使用に熱心すぎた。彼の生命エネルギーが全部吸い出され、体には何も残っていなかった。我が見習い、我が弟子は死んでしまった。だが、哀しみに打ちひしがれるより先に、すごい発見に気がついた。これまでの数知れない試験と実験よりも、はるかに多くエネルギーが貯蔵されていた。ガサルは問題を解決したのだ!インダクターが季節の間、ずっと源泉を疑似太陽光で輝かせるために十分なエネルギーを得るには、対象の生命すべてが必要だった!

その時私は、ガサルの犠牲を無駄にしないと誓った。使徒たちが毎年新しい見習いを差し出すことに同意する限り、収穫の配給が続くことを宣言した。その見習いはインダクターにエネルギーを与え、生命エネルギーが生み出した疑似太陽光は、住民たちの食事に十分な、大量の収穫を与えてくれるだろう。

完璧な解決策だった。知識と引き換えの代償が、とても高くついたとしても。

バリルザーの日記Barilzar’s Journal

クロックワーク・シティにおける研究の記録
ソーサ・シルの弟子、バリルザー 著

私がソーサ・シルにクロックワークの使徒および見習い魔術師として選ばれ、クロックワーク・シティに足を踏み入れてからサイクルタイムキーパーは14周回り、今日歯車が26回目の動きを迎えた。この場所は私を畏敬の念と驚嘆で満たし続けている。ひょっとしたら、初めて小さなドーム型の複合施設に足を踏み入れたときよりも度合いが増しているかも知れない。最初はこの街に入った際に伴う、圧倒的な恐怖を振り払えなかった。私は縮小する過程にひどく恐怖を覚え、自分自身が極小版にされると考えると、移行が行われる前の数日間は悪夢にうなされた。そして起こると、認めるのは少々気恥ずかしいが、縮小の感覚が必ずしも考えと一致するものではなかった。思えば、直前にあんな大量の朝食を取るべきではなかった。だが、ウィックウィートのトーストに乗ったスクリブのゼリーがとてもいい匂いだったのだ!

* * *
クロックワーク・シティで働くには、慣れなければならないことが沢山ある!まず、全てが金属でできていることだ。たとえその姿形が、完全に異なる物質から成っていると考えられるように眼を欺いたとしても。次に、紙ではなくシークエンスプレートを利用して、メモを刻み記録を保持することだ。この場所の美学に大変よく調和している。3番目に、この小さく閉じられた社会で発展した隠語は、定着し始めたときに居なかったらほとんど理解不可能なものだったことだ。クロックワークの機械に関するほのめかしや暗喩は会話の中に満ちていて、いる。ユーモアの中にさえ入り込んでいる。お粗末なものではあるが。誰が最も完璧な歯車が回る文を組み立てられるか、お互いに相手を出し抜こうとしているように感じられる時さえある。だが、クロックワークの使徒同士で競い合うなど、誰が想像できただろうか?まあ、あのアルバクロンは別だ。彼はネッチの尻の穴だ。

* * *
今日、セト卿が私に類まれなる一連の実験の補助を依頼してきた。彼はそれを「崇高なるエニグマの九分析」と呼んでいる。私は今でも自分の歯車を彼の神のような思考と一致させようとしているが、その実験はソーサ・シルの聖なる力の限界を試すように作られていると思われた。彼は実験全体の概要を説明したが、今日は最初の実験を行っただけだった。魅惑的だった。たとえ目撃したものの半分以上が私に理解できなかったとしても。ひょっとしたら、残り8回の実験を進めるにつれ、もっと理解できるようになるのかもしれない。爆発的な変化が起こることを期待している。爆発は大好きだ!

* * *
セト卿は最も興味深く、実用的な道具を開発する。保管と研究のため、彼自身の聖なるエネルギーのごく細かいものを流出させる道具を必要としたとき、彼は自分で厳密な仕様書に従って作り上げたのだ。彼がオブリビオンの別の「場所」との正確な距離を測るための器具を欲したときは、それも作った。我々の周囲の環境を記録し、分析するための機器はどうだろうか?彼はこれを「知覚タビュレーター」と呼んでいる。いつの日か彼が退屈しているとき、または別の仕事をしているときに寄せ集めで作った奇妙な機械装置の半分でも役に立つ機器を考案し、作れたらいいと願っている。彼は究極のマルチタスク処理者だ!

* * *
クロックワーク・シティで過ごす時間が長くなればなるほど、ここを驚異と奇跡として高く評価するようになってくる!真鍮のトンネル、ガラスのドーム、金属メッキ、巨大歯車。私は潜在能力をようやく理解し始めてきた。私はこの建設の拡大と安定に尽力する、使徒の1人なのだ!街が栄養源として供給する味のないペースト以外、この場所は完璧に近い。この奇跡的な発明品を設計し、建設するために何が必要とされるのかを研究し、たとえ3分の1でも理解するには100回の人生が必要だろうと気づいて悲しくなる。私が全力を注いでいるこの仕事を続けるために、寿命を延ばせないだろうか?いずれ研究するべきテーマだ。

* * *
修練者ケルがファクトタムの性格シークエンスにユーモアのセンスを付け加えようとした。結果は予想どおり。彼女の気まぐれなアルゴリズムで改良しようとした3体のファクトタムのうち1体は爆発し、1体はラディアスに駆け込んでそれ以来見かけず、そして3体目は隅に佇んで独り言を言っている。その言葉は低い声で、理解するのは難しいが、私は確かにその哀れな機械が何度も繰り返し「もしもし」と言っているのを聞いた。

別れを告げ、もっと広い世界で自分の場所を見つける時が来たのかもしれない。

ファクトタムの実験助手求む!Assistance Needed for Factotum Experiment!

クロックワークの使徒の見習いザノンから、とても緊急のお願いがある。健康な助手を求む。希望する参加者は、欠落した部品を発見する任務についてもらう。ファクトタムの作成も含まれている。志願者は、反応炉地区にある見習いザノンの工房に連絡すること。任務を完了すれば、報奨金が支払われる。

ファクトタムの謎The Mystery of Factotums

クロックワークの使徒、見習いザノン 著

クロックワークの使徒の間に、ファクトタムの領域における学問的な興味が存在しないことについて熟考しなければならない。これほどまでに我々の生活の一部となっている機械だというのに、顧みる者がほとんどいないからだ。そのことに焦点をあてた講義はほとんどなく、本もほとんど書かれていない。我々の毎日の作業にとって非常に重要な機械は、なぜこのように黙殺されているのだろうか?

ファクトタムは必要に迫られた発明だ。真鍮の召使いはセト卿によって、彼の偉大な創造物であるクロックワーク・シティを維持するために作られた。修理ファクトタムは工場や機能を稼動させ続けてくれる。衛兵ファクトタムは我らが神の最も危険な秘密の場所を守ってくれる。彼らの金属の手によって家は清潔に保たれ、食べ物が供され、街に音楽が流されている。だが、こんなにも近くで働いているファクトタムについて、我々はどこまで分かっているだろうか?

答えはファクトタムの謎の特性の中にある。我々の教義が謎、謎の重要性、その傑出した点について語っているにも関わらず、彼らは未だに我々が解き明かそうとしている何かなのだ。何度も繰り返し再現できる製法、理論、回答。クロックワークの使徒は研究の分野でそれを追い求める。であれば何故、誰も発見していないものを革新しようとしないのか?

分かっているのは、ファクトタムが共通した姿、声、目的意識を持っていることだ。彼らには構造化された知能があり、時にそれは単一の機能に集中している。対話と行動は全てこの機能に基づいていて、クロックワーク神への信仰心だけを共通した特徴にしている。この目標から逸脱させようという試みは、彼らには全く理解できない。

ファクトタムに対する詳細な研究は絶えず反対されている。創造する場所は厳重に守られている。自分自身について与えられる情報量について、機能は厳しく限定されている。どんな魔法、あるいは機械が創造に入り込んでいるのか、我々には分からない。そして、だからこそ彼らに対するさらなる研究が必要なのだ!

恐らく最も不可解な、セト卿の創造の秘密について掘り下げたい。研究の焦点は構造、機能、この外見的には単純な機械の真の目的に置かれる。クロックワーク・シティの全てにおける、恐らくは最大の謎がどのようなものか、私は必ず知識を獲得するつもりだ。

ファクトタムの秘密の声The Factotum’s Secret Voice

クロックワークの使徒、読師ティドラス・ドラン 著

この知識と冒涜的な問いの聖地にあってさえ、いくつかの主題は依然として禁忌のままだ。私はクロックワークの使徒として、長い年月をその境界に立ち向かって過ごしてきた。我々の教団が真にその信条、制限なき問いを実践する姿を見ようと必死だった。ほとんどの場合、私は上位者からの溜息やぼやきを少し上回るものに耐えた。だが、特にある話題では、私は強硬かつ心からの非難を浴びた。私の、ファクトタムの内なる声の調査についてだ。

教団と、ファブリカントやファクトタムとの間の関係は常に棘のあるものだった。一方で、我々はこの生物の性質のある重大な側面を理解しなければならない。彼らの性質と素材が我々自身の向上に役立った。肉体と工学の合成は依然として我々の最も偉大な実績であり、最も永続的な伝統だ。しかし、この生物のサブルーチンと製造を深く追及しすぎると、だんだん問いではなく、傲慢なように見えてくる。ソーサ・シルが見られたくない部分を晒しているのだ。言うなれば。

私に関していえば、常に飽くことなくファクトタムの挙動に魅せられている。ファクトタムが非常に多くの多様なタスクを行う一方で、彼らは依然として外観、声、そしてややこしい(厄介な、と言う人もいる)言葉のアーティファクトで結びついている。

エクソドロマルがファクトタムに初めて会った際、彼らはよく「あれは誰の声ですか?」と尋ねる。正直に言って、誰にも分らない(もちろん、セト卿は別だ)。私はセト卿の過去を研究し、数えきれないほどの日々をアーキヴォクスで過ごした。一度は記憶のプラニスフィアを訪問する特別な許可を受けたことさえある。ファクトタムの声の真実が、セト卿の個人的な歴史のどこかにあることについては自信がある。

ほとんどの使徒はそれについて話すのを避ける。明らかな例外もあるが(例えば、友人の見習いザノンだ)。そうは言っても個人的に接触すれば、使徒は三大理論の一つを提供してくれる。ある者は、声がソーサ・シルの母親だと信じている。失われた恋人の声だと考える者もいる。そして、他の者は(私自身を含め)依然としてソーサ・シルの姉妹の声だと信じている。

最初にして最も説得力のある証拠の一つは、挽歌の模倣に見られる。セト卿がはるか昔ラディアスに作った、ある種の個人的な記念碑だ。記念プレートの一つは「ソーサ・ナル」に言及している。それはこのソーサ・ナルが「超越に値する魂」を持っていたと述べている。自然の限界を越えた生命をほのめかしている。ナルの顔は、クロックワークの神の顔とはっきりとした類似性を有していて、彼女が近い親族の一人だったことを示唆している。彼女の身なりは既婚婦人のように見えず、姿勢は母親らしい愛情を示すいかなる精神的芸術家の傾向にも適合していない。加えて、ソーサ・シルは唯一の子供ではないという事実への言及を少なからず目にしてきた。総合すると、ソーサ・ナルが姉妹だということは明らかだと考える。

必然的に、このことは、この文脈における魂の「超越」が意味するものについての、あらゆる種類の不愉快な疑問を呼び起こす。我々が街中で目にする真鍮の労働者の中に、ナルの意思の側面が存在しているのか?言葉のアーティファクト以外については、「ない」と言うだろう。

より高い認知力を必要とする疑問に直面したとき、ファクトタムは不合理な推論を二つに分けて口にすることが多い。お互いに緩いつながりはあるが、より長い会話への認識可能なつながりがない、短い発言だ。これらの不合理な推論(「言葉のアーティファクト」としても知られる)は単純な家庭の「状況」の列挙となる傾向がある。彼らはひっくり返ったポット、ガラスの上の雨、火の側のブーツなどに言及する。時折、彼らはより個人的な領域へと迷い込む。年老いた女性の手の肌、誰かがすすり泣く声といったようなものだ。それから、ごく稀に心底厄介なことを口にする。「燃えるベッド… 叫んでいる」「崩れ落ちた屋根… 子供を押しつぶした」など。そのようなことを言うファクトタムは、迅速に与圧フォージへ回収される傾向にあり、永久に除外される。だがもちろん、これは疑問をはぐらかしている。言葉のアーティファクトはどこから来たのか?ソーサ・ナルの記憶か?または生きている住民の懸念に対する共感の反応を高めている、重要な副次機能なのか?これを認めるのは痛みが伴うが、証拠は後者よりむしろ前者を指していると私は考える。誰もが知るように、我らのセト卿がまだ幼き頃、メエルーンズ・デイゴンと呼ばれる偽りのデイドラ公が、ソーサ・シルの先祖伝来の家、アルド・ソーサを破壊した。彼をたった一人の生き残りにして。炎と死の場面はソーサ・ナルの最後の、そしてもっとも衝撃的な記憶になっているのだろう。

これが真実でなければ良いと思う。これら様々な観察の結果が、すべて単なる偶然の産物であれば良いと思う。だが、学者として、この機械は我々が知るよりももっと深く、より困難な歴史を持っている可能性を認めなくてはならない。以前述べたように、私は因習打破主義者としての自分の役割を真剣に捉えている。だがこの場合、真実を知ることがないなら、それが一番良いのかもしれない。

ファクトタムの分類-記録233Factotum Classification – Log 233

ソーサ・シルの使徒、代弁者ネイモス 著

ファクトタムモデルの第七世代への発展という前例のない公開を受け、各ユニットに個別の名前を付ける試みは、調整議会から「不必要かつ信頼性がない」と見なされている。現在、私は同様の機能を持ったユニットのグループを識別するだけの任務を課せられている。これは各ユニットがとてもはっきりと表現する個性についての悲しい誤解をさらに示すだけだと思われるが、議会の規則には従わねばならない。そこで、私は将来のため、各ファクトタムのサブグループ名と簡単な説明を記しておく。

記録保管ユニット:この単独ユニットは、クロックワーク・シティ内の全市民の記録にアクセスできる。また、真鍮要塞の保管庫にある全ての文書も保持している。その範囲はセト卿だけが知っている。このユニットはいささか率直で要点を正面から突くが、共に働くのは容易だ。

臨床検視ユニット:数は少ないものの、これら臨床検視ユニットは様々な検視任務を課されている。彼らは一際優れた技能で、最近死亡した市民の認知保管処理とデータ保持を行える。これは様々な機会に使用されてきた。中でも注目すべきは、代弁者ネヴィンにいくつかの不完全な熱力学の諸要素について質問したことだ。このユニットはより安心できるが、作業に遅れが出たときにはしばしば忍耐力を欠く。

任務遂行ユニット:比較的新しく真鍮要塞に導入された単独ユニット。とは言え、 これはセト卿自身の実験のための連絡役であることが分かっている。現在のところ、唯一の職務はクロックワークで最も危険な生物だという、〈不完全〉と称される生物と戦う戦闘要員の徴兵だ。私の経験上、このユニットはクロックワーク・シティの「大義」に基づいて任務を創出しつづけるだろう。このユニットは他のユニットよりも騒々しい。

商業委託ユニット:これらのユニットは、住民の取引を補助するためいくつかの機能を持っている。クロックワークの使徒は商業を規制していないが、このユニットを地元のギルドに貸し出すという私の提案は認められていて、現在交渉が行われている。このユニットは他の多くのファクトタムと比較すると、友好的で快活だ。

通貨担当ユニット:市民の通貨システムに対しては継続的な支援の必要性があり、このユニットは銀行の記録と規制に対応している。彼らはより信頼性が低く、より強欲な生体の銀行家に見られる「エラー」を減らす事に貢献してきた。これらのユニットはより真剣で厳しいが、非常に信頼性が高い。

調理管理ユニット:どの住民も栄養ディスペンサーを動かせるにも関わらず、このユニットは調理に関連したいくつかの機能を持っている。彼らの上出来な食べ物に対する意見には、毎日味気ない食事を与えられる地元住民の偏見が入っているだろうと指摘されてきた。それでも、生成された全ての食事の摂取は完全に安全だとクロックワークの使徒から見なされている。このユニットは、ほとんど甘やかすと言っていいほど優しい。

私は真鍮要塞内のファクトタムに対し、この基本的かつ機能的な分類を続けるつもりだ。より戦闘に焦点をあてたユニットの研究を始める前には、さらなる準備が必要だ。彼らを待機状態にさせておく我々の手法は、数世代に渡って成功していない。歯車が私のために調整されますように。

ファクトタムモデルの登録Factotum Model Registry

ファクトタム シリーズ1 – 中止
ファクトタム シリーズ2 – 中止
ファクトタム シリーズ3 – 中止
ファクトタム シリーズ4 – 中止
ファクトタム シリーズ5 – 中止
ファクトタム シリーズ6 – 中止
ファクトタム シリーズ7 – 現行世代。946体が稼働中。6400体が格納中。

進捗状況メモ
1.歩行の速度と状態は改善。階段移動も大幅に改善。
2.記憶退化の症状はさらに減少。
3.前面に貯蔵スペースを装備。
4.視界は20パーセント拡大。
5.顔認識と表現力が拡張。
6.ボキャブラリーが670語増加。
7.危険察知と反応速度がさらに向上。

ファブリカントの研究A Study of Fabricants

自然学者エンディラリル 著

無意味に終わるかもしれないが、反自然の世界で足止めされた自然学者として地位を確立しようとして、危険な研究の領域にたどり着いた。危険性に関しては信じてほしい。私は過去の観察の中で、本当に危険な場所へ入った。グラーウッドの深い森の中で待ち伏せている、恐ろしいセンチタイガーを研究した。危険なベヒーモスの足跡を追って、マークマイアの毒沼を進んだ。イーストマーチの山で凍える霧の中を歩き回る、不快なフロスト・トロールも調査した。

信じてほしい。クロックワーク・シティのファブリカントは、今まで観察を試みた中で最も危険な獣だ。

ファブリカントはクロックワーク・シティ特有の生物だ。奴らがその邪悪さをタムリエル全体に広げられないことを、アーリエルに毎日感謝している。この不愉快な獣と機械のクリーチャーたちは、この偽の世界の荒れ地にある平地や山地を歩き回っている。その恐ろしい姿は様々で、不用心な旅人にとっては大変な危険だ。一つ間違えれば、奴らに見つかった時点で侵入者は殺される。

ヴァーミナス・ファブリカントは、これまで見てきた生物とまるで違う。タムリエルの他の危険な生物よりも小さいが、動きは素早い。素早くて身軽な獣は、小さな鎌のような金属の爪と、鼻先から伸びる尖った角で攻撃してくる。しなやかな形をしているから、狭いところまでも追いかけてくる。信じてほしい。奴らは狩りに容赦しない

ニックスハウンド・ファブリカントはより馴染み深い姿だが、それでも生気のないガラスの目で見られると、身震いしてしまう。真鍮で覆われ、後ろ足は完全に金属の足に取り替えられている。穴掘り用の鼻先には、刃が仕込まれている。時間があれば、この獣は高熱のビームを放てるエネルギーを産み出すだろう。このビームで肉体が溶かされ、命を失ったエルフの姿を見たこともある。

ビートル・ファブリカントは、明らかにサンダーバグに似せて作られている。だがなぜソーサ・シルは、すでに危険だった獣をさらに金属で強化したのだろうか。分からない。素早く動く足のそれぞれが金属の足に取り替えられて、素早い攻撃は今まで自然界で見てきたよりもずっと強力になった。同種の虫と同様、この獣は攻撃的で、目に入るやいなや攻撃する。外でこの怪物を見かけたら、用心するに越したことはない。

自然と人口の合成物を見ると、どうしてこんなものが産み出されたかという疑問が出てくる。奴らは、クロックワークの神の手で作られたのだ。ソーサ・シルはなぜわざわざこの怪物たちを、ニルンの存在に変えたのか?調査の結果、彼に質問する勇気があった者は少ないようだった。

おそらく奴らは単に失敗した実験の産物か、ソーサ・シルが大切な実験を守るための護衛なのだろう。奴らの存在理由が何であれ、ファブリカントは依然として、この牢獄のような世界の壁の内側にある本物の脅威だ。私は奴らの研究を続ける。避ける方法、逃げる方法、さらには惨めな存在に終わりを迎えさせる方法を確実に知るため。ここにはいない謎の父が自らの街で展開した狂気の沙汰を停止させる私の試みが、気付かれることはないだろう。

ブラス・リリーに捧げる頌歌Ode to a Brass Lily

ブラス・リリーは優しい霧雨の下でうなずく、
繊細な花は自然の抱擁で洗われる、
キスの雨を浴びて、赤くなる、
あなたの優しいため息は、優雅な姿を恥ずかしがらせる。

ブラックフェザー宮廷The Blackfeather Court

デイドラ研究の代弁者、ウリサ・レーヴァム 著

現在進めているデイドラの領域と住人に関する情報収集の中で、ダボンズ・ウォッチの街にある扉に関する噂の調査をすることになった。十分な調査の後、エバーグロームの小次元への入口を発見した。クロウズウッド、と呼ばれている場所だ。ノクターナルの他の謎の領域と同様に不吉な場所で、危険な獣が一杯の闇の沼だ。特に、そこに生息する賢くて話ができるカラスが厄介だ。そこを自分たちだけの王国だと思っているらしい。以上が、クロウズウッドへの短い滞在から得た情報だ。

カラスたちは封建制で統率されていて、「ブラックフェザー宮廷」と名乗っている。この鳥たちは、ハグレイヴンを「クロウマザー」と呼び、自分たちはその子供だと主張している。自分たちの土地の支配を守るために、薄暗い場所でうごめく狼、巨大な蝙蝠、その他の肉食動物と頻繁に戦っている。宮廷を率いるのは、カラスの公爵だ。この巨大で誇り高い鳥は群れ全体を支配している。彼の言い分では、「最も賢く、最も大きく、最も声が大きい」カラスだからだ。うるさくておしゃべりな鳥たちにとって、群れの中で目立つ能力は確かに必要で、威信のシンボルでもある。他のカラスたちは公爵の近くに集まり、自分の地位や利益を求めて陰謀や政治活動を展開している。

カラスの公爵は、毛づくろいや怒鳴り散らすくらいのことしかしない。ブラックフェザー宮廷の本当の仕事、と言うと大げさだが、仕事は屍肉の執事長と宮廷の城主が引き受ける。2羽ともカラスの公爵に仕えているが、宮廷を効果的に稼働させるため、明らかに独自の判断で動ける自由と権限を有している。あるいは、少なくとも知能のある鳥たちの他の群れと同程度には効果的に動くために。屍肉の執事長は群れの中の問題を宮廷のために管理し、同時に公爵の執事も務めている。執事長は、宮廷で頻繁に起きる様々な死体の貢物の処理も受け持っている。(公平を期して言えば、私に要求してきた貢物を除いて、私の訪問中は誰もカラスの公爵と群れの助けを求めていなかった。)その一方で、宮廷の城主は宮廷の統治者としてふるまっている。宮廷に仕える様々な騎士や召使、例えば真髄の騎士、ピス、ゴア、ヴィトレオス、烏の召使、パイプ、レイヴンを統括している。宮廷を取り巻く状況のせいで、実際に何かを達成するよりも、虚栄と周囲の環境に注意をしているようだ。

死と虐殺の贈り物はやがて貢物の財務官の手に渡る。羽根のある会計士のようなものだ。分類され記録に残され、どんどん増えていく宮廷の輝く宝物庫に加えられる。カラスたちはこの場所にやってきた訪問者に、通行料として肉か銀を要求する。クロウズウッドをひとまず安全に通り抜ける保証と引き換えにだ。支払いを拒むと、羽根のない旅人であれ他の種類の鳥であれ、カラスたちに可能な限りの無礼と堕落の対象となる。例えばずっと鳴き、クチバシで突き、頭や高級な服に汚いものを落とされる。宮廷の中を歩くため、私は通行料を払い、鳥たちに話しかけてみた。だが、支払いが必要だったかどうかはよくわからない。結局のところ、彼らはただのカラスだ。

クロウズウッドを離れる準備をしていたらレイヴンの召使が近づき、興味深げに私を見つめ、不吉な言葉を口にした。「聞け、羽根なしめ!今はブラックフェザー宮廷がクロウズウッドを支配しているかもしれない。だが、明日はどうだ?明日、夜の女王は我々の大いなる殺しのため、大きな計画を用意している!」タムリエルに戻るまで、カラスの鳴き声と共に言葉が頭から離れなかった。「殺し!」

鳥の群れに出会ったら、もう安全だと感じることはないだろう。

マリアの日記Maliah’s Journal

「メイガスが命じる」

実に簡単なフレーズだが、力に満ちている!使われなくなった分析ファクトタムの秘密を解き明かす合言葉をついに手に入れた。ソーサ・シルの栄えある助手の聖言は、私の発見の中でも有益なものだった。

最終的にその機械的な生物を見つけ出してこのフレーズを言ったら、一体何を教えてくれるのだろう。私と息子に、よりよい人生を送れる方法をもたらしてくれるよう願っている。

メカニカ・ファンダメントのメンテナンス記録Mechanical Fundament Maintenance Logs

ファクトタムはメカニカ・ファンダメントの全有機物に関する警備を依頼されている。17体の行方不明も含めて。すべての貨幣と身分証明書の可能性のある品は、治安担当者の廃棄所に届けるように。任務が完了したら、記録をすべて破棄すること。

依頼した市民:BAL-167(許可ランク:治安官)

メンテナンス記録4091Maintenance Log 4091

油脂の補給が必要。換気扇のメンテナンスは2%減少。水の汚染は依然として残っている。湿度は32%に減少。蒸留起動装置から蒸気連結管への動力転用を推奨。セクション5V-Rには現在火壷の蜘蛛が湧いている。安全を確保する間、ファクトタムのメンテナンスルート修正を推奨。

状況報告:安定

メンテナンス記録5352Maintenance Log 5352

クロックワーク・シティ生物群に新たな生物の急増を検知。メンテナンスプロトコルR4-91を開始。夜間の気温を低下。水の汚染は3%上昇。蒸留起動装置の加速を推奨。ガルバニックエンジンに整流器の交換が必要。追加の作業負荷のため、ファクトタムの職務を増加。所定メンテナンスのため、ファクトタムの追加を推奨。ソーサ・シル卿に要望を送付。

状況報告:不安定化の危険が存在

メンテナンス記録5453Maintenance Log 5453

警告。パワーサージ54%上昇。浄化クリスタルの交換が必要。換気ギアの交換が必要。晶洞石発電機の交換が必要。全てのメンテナンス・ファクトタムの機能に障害。戦闘プロトコルB0-N1を初期化。スタンバイモードの命令を拒絶。現在のリクエストステータスは依然として保留中。

状況報告:致命的な失敗の危険が存在

モーンホールド防衛The Defense of Mournhold

「モーンホールド防衛」

全ての者にモーンホールドの教訓を伝えよ。アルムシヴィの怒りがオブリビオンの寵愛する息子を打ち砕いた場所だ。呪え!呪え!災厄の暴君の名を呪え!

よそ者の観察記録-記録1Outsider Observation Report – Log 1

取り残された魔術師、ロザリンド・フレンリック 著

で。クロックワークの使徒と呼ばれるこの組織が、クロックワーク・シティについての私の考えを記録するように依頼してきた。どうやら私はここ百年くらいで直近に現れた人間らしい。私は「大観光都市ではないわね?」と告げたが、彼らは全く笑わなかった。正直に言うなら、今のところ私が言った冗談全てに笑っていない。しょうがないので、かろうじて分かったことについてだらだら話し続けましょうか?それが私にできることでしょう。

彼らは私に観察結果から始めるよう勧めた。何でもそれが、私が提供できる最も「客観的」な視点らしい。そうね、彼らがそこに何を求めてるのか定かじゃないけど、私はちょっとしたアドバイスを無視するわ。何故って私自身の記述から始めるべきだと思ったからよ。結局、私が誰かを知らずに、誰が私の考えることなんかを気にするの?それは私が話を読むときにいつも考えてる。

それじゃ、私について少しばかり。私は皆様ご存知のよくいる魔術師。たぶん火の玉を召喚し、あちこちにテレポートする技能ってかなり典型的よね。特に強い力があるとか何かじゃないわ。言わせてもらえば、それについて使徒の人たちは絶対にがっかりしてたけどね。彼らは魔法の名手か、ここにでっち上げた妙な仕掛けだけを気にしている気がするわ。ここの機械の扱いが、とにかくすごく上手いんだって言ってきた使徒が何人かいた。彼らにとってある種の大事なことだったのね。悪いけど、私はそれほどソーサ・シルを崇拝するダークエルフの集団に加わりたいとは思わない。

どうして私がここにいるかって?それよ。私自身本当にそれが知りたいの。そう、私はつい最近テルヴァンニの魔術師に弟子入りしたの。型破りで、見習いを置くことが難しい時期があった。それで、このエルフは言ってしまえば、クロックワーク・シティの熱狂的な愛好者なの。彼も本当にここへ来たがってるわ。取り憑かれてるくらいに。彼が「あらゆる車軸の謎」について講義を始めたら止まらない。彼は本当にその謎が何か知っていたわけじゃないけど、ここにあったことは知ってた。

簡単に言うと、彼は間違ってなかった。そして彼は自分の望みを叶えていたでしょう。私が馬鹿で、先にポータルへと足を踏み入れていなければ。ええと、つまり、つまずいたって方が近いわね。私は彼が現れてくれないかって願い続けてる。でも、どうやらこれは片道だったみたいね?時々の次元の移動とかそういうことで。再現しそうもない最高の状態。それが私の巡り合わせだったんでしょう。

それで私はここにいるんだけど。まあ、老いたボスがここに夢中になるかどうかは分からない。まず、ここは荒れ果てた土地よね。ブリキのカップの中にはまってるみたいな臭いがするし。うう、何もかもが金属。木も、生き物も、人も!彼らは金属の手足を持ってる。察するに、ある種のファッショントレンドとしてやってるみたい。鳥肌が立つわ。

わかった、私のここでの世話人が時間切れだと言っている。彼らはもう少し私を試験するつもりだと思う。私の髪や唾を「分析」のために少し採取するのよ。彼らは私の考えについて書くように頼み続けるんじゃないかと思うけど。ファクトタムのどれかが考えを読めるんじゃなければね?ま、出来ても驚かないけど。

よそ者の観察記録-記録2Outsider Observation Report – Log 2

取り残された魔術師、ロザリンド・フレンリック 著

また私はここにいて、クロックワーク・シティについての考えを書いている。適当に言うけど、クロックワークの使徒は前回の報告書のことをおそらく気に入らなかったでしょうね。でも断言するけど、そもそも私のことも気に入っていないでしょう。だから彼らの好意を保ち、ラディアスの外にいられるように、もう少し「客観的」な観察記録を共有しようと思ったの。

私は現在真鍮要塞と呼ばれる街に住んでいる。高い塀と大きな門があって、外側からは本当に要塞のように見える。招待されなければ入れないけど、戦闘集団や盗賊のような人たちには必ずしも必要じゃない。ここに登録されてない人は一人もいない。ラディアスと呼ばれる、真鍮要塞を取り囲む荒れ地で迷っている哀れな人はいるかもしれないけど。彼らは登録やら何やらはされてないと思う。おそらくね。少なくとも、私はここで無事に過ごしてる。

ああ、はいはい、正直にね?真鍮要塞の中はどこでも安全ってわけじゃない。実際、ここには割と不愉快なファブリカントと結構短気なファクトタムでいっぱいの「立ち入り禁止」エリアがたくさんある。ちなみに、ファブリカントってあの金属と生身の肉体が入り交じってる奇妙な獣のこと。初めて見たときは悪夢にうなされたわ。私が理解できたところによると、ソーサ・シル?に作られたらしい。理由は知らない。でも彼らはものすごく怖い。

それとファクトタム。そうね、彼らは金属の人って感じ。頭も腕も何もかもある。でも生きてる人たちより単純。やるべき仕事があって、ただそれをやってる。時には質問に答えるかな?変よね。だって人間みたいに行動するのに。まあ、すごく献身的な召使いみたいなものね。努めのことしか考え、話さない召使い。何であれ、設定された仕事を完了するために一生懸命よ。面白いわよね。

で、クロックワークの使徒も関心事についてはすごく分かりやすい。奇妙な物を発明し、ちょっとした変な情報を発見することを本当に楽しんでる。彼らはソーサ・シルと彼のやること全てに夢中。広場にちゃんと巨大な銅像があるのよ。彼の説話を片っ端から引用してる。私には何だかよく分からないけど、少なくとも彼らはカルト崇拝者とかではない。

さて、私がまだ頭を抱えている面白いことがある。そのおかげで、人々はデイドラ公やデイドラがここには存在していないと信じている。ただ、ええと。クランフィアが人を引き裂くのを見た。あれは絶対に現実よ。そう聞いた後だと信じやすくなるでしょうけど、ここにはデイドラがいないみたい。どうしてかって?きっとソーサ・シルが、特に注意して彼らを寄せ付けていないのでしょう。

さて、ここ真鍮要塞では使徒とソーサ・シルのあれこれだけが全てじゃない。実際、市民のほとんどは私自身と同じようなただの普通の人々よ。まあ、この奇妙な国で育ってなれる限りね。商人、職人、鍛冶屋、料理人がいる。スラムだってある。それは驚きだったけど。彼らはそこの人たちを汚れし者とか、望まれぬ放浪者とかそんな風に呼ぶ。何人かと話したけど、かなりまともな人たちのようだった。それに、私が会った貧しい人たちもほとんどね。

この街のどの区画にいようと、飢えることはないと言える。彼らには栄養ペーストって呼ばれるお粥がある。ポリッジと同じくらいの粘度で、味は… まあ語るほどのものじゃない。食べやすくするためにスパイスとかトッピングを加えることもできるけど、ここは全てが金属から作られてる。見つけるのは難しい。

ここで切り上げなきゃ。もっと試験をするの。彼らがこれをすごく急がせなければいいけど。私の考えは必ず書き続けるつもり。起きていること全てを理解するのに役立つ。

よそ者の観察記録-記録3Outsider Observation Report – Log 3

取り残された魔術師、ロザリンド・フレンリック 著

で、私の記録は… カラフル?すぎるって言われてる。たぶん書き方がってことよね。きっと茶色の世界で育った後だと、ちょっとした色で混乱しちゃうのね。それでも観察記録を書けと言ってきた。自分が知ってるやり方以外でできたら驚きよね。という訳で、彼らにはもうちょっと頑張って「分析」してもらうわ。

現時点で訪れたことのある、クロックワーク・シティの別の場所について書こうと考えた。真鍮要塞とラディアス一般については話したけど、この周辺には他にも私が連れて行かれた場所がある。そのうちの何ヶ所かは、他に比べてもう少しだけ日常的な感じに思えた。まあ、私の日常的の定義を「謎の父」の定義と比べていいのかは分からないけど。

最初に連れて行かれたのは「記憶のプラニスフィア」。まあ、側を歩いたって方が近いわね。というのも、中に入ることは許されなかったから。ソーサ・シルの記憶の貯蔵庫みたいなものだと言われた。そう、そうなの。記憶だって!見たところ、彼には巨大な建物にまとめておきたい記憶がすごくたくさんあるみたいよ。ほぼお城くらいの大きさはあったわね。それに星みたいな?感じだった。どうやって記憶を星にするの。謎だけど、まあ、私は神じゃないから。

次ははるかに日常的な場所で、ホール・オブ・レギュレーションと呼ばれる所。ところで、私は真水がいったいどこから来るのか疑問に思っていたの。何故ならここの川とか湖は、よりによって油で満ちているから!どうやらこの場所が、どうにかしてそれを全部きれいにしてるみたい。もちろん、彼らは説明しようとした。水の循環とか蒸発とか、なんかそんないい感じの用語について話していた。でもね、それが真水をもたらしてくれるんだから、ほぼ意味が分からないからって文句は言えない。

中は期待したほど小奇麗でもなかった。大量のパイプ、大量の蒸気、大量のファクトタム。周囲のそういうもの全部に不安を感じずにはいられなかった。彼らがホール・オブ・レギュレーションを保っているんだって聞かされた。全て彼らだけで。衝撃だったわ。だって全ての操作はちょっと手がかかりそうだったから。あそこには命令をして、全てが上手く運ぶようにする使徒がいなかったの?それから彼らがソーサ・シルと、全てを「完璧なレギュレーション」に設置したやり方について語り始めて、正直私はその辺りから話が分からなくなった。

それから私たちは北の〈巻かれ続ける源泉〉へ向かった。ここはお気に入りだったわ。だって本物の食べ物があったんだもの!人生でリンゴを食べるのがあんなに幸せだったことってないわね。何週間も味のないお粥を食べてた後だったから、今までで味わったものの中で一番美味しく感じたわ。ママは正しかった。空腹は本当に最高のスパイスだわ。それに、全ての植物が緑だった!自分がこんなに緑を恋しく思うなんて考えもしなかった。

ワクワクしていたにもかかわらず、この場所は何かがおかしいと感じずにはいられなかった。運営をしてたエルフはすごく感じが良かったけど、話した後に彼は頭のネジが緩んでたってことに気づいた。全てのストレスが彼のところに行っちゃってたに違いない。きっとたくさんのプレッシャーに晒されていたのよ。特にソーサ・シルが飽きた後のプロジェクトを引き継いでからはね。

さて、彼らはこの観察記録報告書を、今できる範囲で最高のものに仕上げてって言ってる。私は彼らがこれ以上私の観察記録を求めてると思わない。だから、これで終わりかな。そうね、つまり全体的な印象として、クロックワーク・シティは… まあ、私が今までに足を踏み入れた中で最も危険な場所。自分を神と呼び、信者をここに住まわせてる誰かを私は本当に信じられない。ここは生きている者のためではなく、機械のための場所だわ。

それでも、奇妙な美しさはある。木の金属の葉が太陽の光で輝いているのは特に素敵。たぶん、慣れなきゃいけないんだと思う。だってこれは片道の旅のようだから。ソーサ・シルだけがクロックワーク・シティを離れられる。正直言うと、私がここから出られなくなる最後の間抜けになればいいと思う。他の誰にも、こんな人生を送って欲しくない。

愛の詩LT0782Love Poem LT0782

[ポエム開始]

あなたの利点は計算を越える、
私の心臓(比喩)はピストンのように激しく動く、
私の骨盤(及び/または)膝の金具は震える、
物理的な接触があった時は常に、
それに、あなたの顔の対称は私の喜びだ

[組成終了]

暗殺命令Orders of Assassination

夜の闇にかけて、この言葉を聞け。

大法官ガスコーンは我々を欺いている。もし彼が渓谷を通過するなら捕えろ。失敗したら、殺せ。ソーサ・シルの召使が我々の秘密を知ることは容認できない。たとえそれが裏切り者であってもだ。

影が刃を導かれますように

影と囁きShadows and Whispers

囁く影のロミエン・ガルヴェッタ 著

這って、腹ばいになり、這って、腹ばいで進む。

彼らは私に囁き、囁き、囁く。聞こえるか?低くて、安定した声だ。耳の中に入り込み、頭の中で鳴り響く。影はどんどん暗くなる。暗闇は、まぶたのすぐ下にある。黒く、永遠で、逃げられない。這って、腹ばいで進む。

私は、彼女の忠実な召使だ。影は私を捕えるだろう。かつては自分のことを、素早く、賢く、どんな鍵も開けられて、形跡を残さずに逃げられる。そう思っていた。彼女に全てを捧げる準備はできていた。だが、できなかった。自分でも分かっていた。私は感じた。暗闇が私の肌に入ってきた。その味を自分の舌で感じられる。この街を覆う油のように。

彼女のシュライクが、忘れがたい曲を歌ってくる。言葉では言い表せない。言いたくないし、言えないし、言うつもりはない。リズムが血に入り込み、心臓が合わせて鼓動する。ゆっくり、しっかり、ゆっくり、しっかりと。歌は止まらない、夢は黒く塗られている。私は溺れて息ができないが、歌で満たされる。

私は這って、腹ばいで進む、クロックワークのゴキブリだ。彼女の命令に従う虫だ。影だ、私は影になった。私は暗闇だ、壁の染みだ。私の刃は血で固まって、黒の上に赤がある。暖かい、とても暖かいが、指はまるで氷のようだ。

真鍮に、歯車と車輪に捕らえられた。歌声は止まっていないが、歌は消えた。メロディーも音楽もないが、囁きのリズムは続いている。彼女に仕えろ、影になれ、囁きになれ。這って、腹ばいで進む、だが逃げられない。暗闇とタールに捕まって、タールは服から取れない。話をしても声が出ない。見ても、何も見えない。何も、何も見えない、彼女の意思以外。

カラスは笑っているが、私は笑えない。シュライクは歌っているが、私は歌えない。世界は輝いているが、私は暗闇だ。私は囁きだ。私が攻撃するまで、私の音は聞こえない。

栄えある助手の思考Thoughts of the Honored Assistant

クロックワーク・シティの住民の要望を確かめて明らかにするため、ソーサ・シル卿から複数のファクトタムを作成する命令を受けた。民衆の志向と要求を正確に予測するため、社会と環境の情報を集め、分析し、解釈する特別な目的のためだ。

最初に作成されたモデル、クロックワークの分析家は真鍮要塞の市民に関するデータを集めて分析する、簡単な仕事のために作られた。第一世代分析モデルのファクトタムは、出生と死亡の集計、市民と登録された訪問者の追跡、居住地における志向を予測するために必要な病気、富、社会的要因の記録に特化している。このコンセプトが完全に試され審査できれば、この計画をクロックワーク・シティ全体に広げられる。

このファクトタムのメモリーコアを操作する合言葉は「メイガスが命じる」だ。

第一世代のファクトタムから得た情報を活用し、第二世代の予測モデルを作った。このファクトタムは分析家が集めた情報を使って、住民の希望と需要を正確に予測できる。この方法で、ソーサ・シルは訪問者が必要とするものを予期し、そんな望みを持っていたと気がつく前に彼らを満足させていた。

しかしながらこの過程で、予測モデルの連続分析プロセッサーに欠陥が生じてしまった。ある個体に関する予測が、統計的な分析を大きく越え、予言の領域に入り込んでしまった。この欠陥は、メイガス自身がメカニズムを操作した時に初めて発見されたため、ソーサ・シルが意図したものかどうかは分からない。しかし、マスターはまた消えてしまった。予測ファクトタムは真鍮要塞の外にある谷に保存して、予知モードをこの合言葉でロックしておく。

「プライムシークエンス11、13、17」

マスターが戻り、彼の意図に沿った指導を得られるまで、許可を受けぬ予知は最小限に収められるだろう。

黄昏の空A Sky of Dusk

囁く影のロミエン・ガルヴェッタ 著

とても美しかったと言われた。まるで悪夢の中に入り込んだ童話のようだと。このオブリビオンの領域は紫の空に浸っていた。星がペンキの飛沫のように飛び散った。私の目の前を猛烈な勢いで落下して。彼女の生物で満たされながら、暗い森が侵入する。影の狼、祟る精霊。彼女のシュライクが歌う、ただ私のために歌う。私にはハミングできないメロディーを。

青い光が彼女の土地を満たす。魅惑的に。親切な光と共に、暗闇で輝く青い花。見せ掛けの光。黄色い炎が燃え上がり、青や紫を焼き尽くしている。墓地は暗い水の中に横たわる。冷たい、冷たい、私の手のように冷たい。

彼女の地は朽ちて膨張し、紫になっている。木は長く、暗い影を落とす。道は曲がりくねり、枝分かれしている。遠くには城があり、粉々に砕けている。この世界は粉々に砕けている。砕けていく、砕けていく。石は砕けている。私の心が砕けていくように。転がる、転がる、腐敗の中へ。彼女の影の中へ。

私はこの影の世界の中を、偽物の中へと歩く。神の創造へのデイドラ公の領域だ。ずぶぬれの緑から燃え上がる砂へ。太陽はまばゆく、衰えている。私は影、光と共に消える。私はそれを切望するが、それは私を痛めつける。私には得られない。私は暗闇にしがみつく。暗闇が私にしがみつくように。

私は眠るが休息は得られない。夜が来なければ、翌朝の後悔もない。ただ、終わりのない、陰鬱な黄昏だけだ。我々、苦しめられた魂に休息はない。悪夢が現れる。現れる。まるで彼女のカラスのように。終わりなき目が私を見る。私を誘い込む歌を歌いながら。暗闇が私の爪の下に、まぶたの中に、内臓の間に浸透する。まるでタールのように。もしむしりとれば、私は崩れ落ちるだろう。

わが女王はこの転寝に浸らせ、この悪夢に浸らせて私をなだめる。私が悪夢となったから、私は目覚められない。私は彼女の影の生物の一つ。私は吼える狼、這う蜘蛛。この次元を祟る精霊。

私は攻撃する時、何も感じないだろう。私には感じる何かが残っていない。彼女を除いて。

我らが女王の意志The Will of Our Mistress

この記憶に対する女王の計画が何かは重要でない。我々の目標は、単にこれを制御する方法を見つけることだ。とは言え、神の記憶を制御するのは至難の業だ。言っておくが、これは彼女の意志に疑問があると訳ではない。任務の難しさを強調しているのだ。

誰が決めるべきかは明らかだ。我々はただ方法を見つければいい。

街における苦痛の一覧Catalogue of Afflictions in the City

矯正官にとって、刺激や喪失に対処する生者の精神的能力、または能力の欠如が最大の関心事だ。他の者が衰えた時、どのように耐えるのか?その結果の余波が明らかにするものは何か?その兆候はどのように識別、修正できるのか?我々自身の精神の働きは、物質界の働きと同様に謎だ。そしてそのケアを無視することは、肉体の虐待に劣らず危険だ。

クロックワーク・シティはあらゆる意味でニルンの複製だが、重複しているものではない。世界を支配している規則の多くは、単純にこの領域に適用されない。そして地表の世界でしばしば当然とされる物事は、欠けていると分かった時、個人の健全さにとって極めて重要だということが突然判明する。ここで私は現在クロックワーク・シティに居住し、よく適合した人々の間で最も一般的に見られる苦痛の概要を述べる。

周期的不活性摂取 — 栄養のない、時に有害な物質の衝動的欲求と摂取。無害な味と完全な栄養を摂取しているにもかかわらず、真鍮要塞内で生産された栄養ペーストに対する味覚の疲労を経験することは、クロックワーク・シティの居住者および訪問者にとって珍しいことではない。このことがその疲労を緩和するため、または彼らが好むようになった物質の摂取による恩恵についての愚かな信念のため、人々が普通ではない物質を消費することを試みる原因になることが多い。多くの場合、この状態は未治療のままで問題ない。だが特定の人々の衝動は健康に著しい危険をもたらす。その患者はさらにコントロールされた治療的環境である、聖者の隔離場へ移送されるべきだ。

マグナソムニック憂鬱 — 定命の者と星の繋がりはよく確立されているが、迷信と作り話が多い。我々の太陽との関係は特に精神と関連している。長い冬の夜の単なる苛立ちと憂鬱から、吸血症の犠牲者の暴力的で凶暴な嫌悪の感情まで、日光は多くの種族の精神の健康において顕著な効果を見せてきた。そのため、クロックワーク・シティに完全な太陽が存在しないことは、ほとんどの者にとって試練となる。無気力、不規則な睡眠パターン、邪悪な思考または衝動、そして全身の倦怠感は、全て患者が日光欠乏に苦しんでいる兆候だ。詳細は光の魔法と疑似太陽光の変種に関する治療の巻を参照いただきたい。

カプセル化症候群 — 地表の世界で一般的に見られる、閉じ込められている状態への強烈な恐怖に類似する、油断のならない苦痛。かつて開けた空の下で生活をしていた人は、時にソーサ・シルの空の簡単に区切られた境界によって落着きを失う。彼らは監禁状態から逃げられない感覚を感じ始め、絶えず存在する不安と動揺の感情を生み出す。もし未解決のまま放置すれば、増大するプレッシャーが限界に押しやっていく。優先的な治療を検討するべきだ。

小型化への恐怖 — この恐怖は非合理的なパニックの発作と、犠牲者が縮んでいく被害妄想と定義できる。症状の発現がこの領域への移行の副作用なのか、小型化する経験への病的な反応なのかは明らかではない。患者は知覚の中の異常な点を説明する傾向がある。その範囲は物事が少しおかしくなっているような漠然とした感覚から、めまいや妄想的な証拠の要求にまで及ぶ。例えば、ある患者は前日に高い棚の上に置いた物体に今は手が届かないと述べた。このような主張は例えば、かかとの厚い靴を履いていたことを忘れているというような、記憶の詳細が異なる結果であることが多いが、少なくとも1件、実際にコントロールできない縮小ケースが記録されている。そのため、この主張は入念に調査しなければならない。

脅迫的フォーカスと執着 — とりわけ使徒の間で一般的。時に我々の同僚は自分自身から救われなければならないことがある。クロックワーク・シティは心の混乱を排除するように設計された。ここは熟考と学び、そして時にはソーサ・シルが示した模範が、信者によって厳密すぎるほど順守される場所だ。我々は神じゃない。結果もなく永久に、休むことなく研究に引きこもることはできない。調査で非健康的な強迫観念を持った使徒の研究に介入することは恐らく必要だ。固執する患者は睡眠をおろそかにし、食を忘れ、他者との全ての接触を回避し、文字通り死ぬまで働き続けることがあると知られている。だからこそ、我々は自分の裁量でこのようなケースを聖者の隔離場へ移送する権限を与えられている。

肉体的憎悪 — 特に自己の物理的な形状に対する自己嫌悪。クロックワーク・シティの外で、個人の肉体機能や生物学的遺伝形質が個人の社会的価値として著しく大きな役割を果たす王国で最初に認められた。また、魂を持つ存在の間でも極めて一般的な特質だ。この状況は、強化が生まれ持った肉体では叶えられない理想を意味すると信じるクロックワークの使徒の間でも上昇する傾向がある。無謀な増強、自傷、情緒不安定は全て、使徒の変化に対する欲求が不健康な強迫観念となっていることの危険な兆候であり、恐らく精神的な再調整を行うため、患者を聖者の隔離場へ移送するべきだろう。

虚無の瞳Eyes of Nothing

囁く影のロミエン・ガルヴェッタ 著

彼らは群がる、彼らは群がる、彼らは集まり、そして集める。闇の羽根、まるで紫の空のインクのようだ。闇の羽根が渦巻く、渦巻く、獣を形作る。怪物を。生命なき瞳を。

彼女がやった?私たちの一人が?それはただ混沌、私たちの心の闇から生まれた?渦巻き、集まり、ついばむ、ついばむ。

それはここの他のカラスたちと違う。私たちの女王の災いをもたらすペット、忠誠を装う。忠誠を装う。彼らは盗み、保ち、貯蔵する。彼らの黒い瞳の中の喜びは、私たちを嘲るとき輝く。とめどなく服従するために。彼女を追って闇に入るとき、報酬のように輝くものはない。ただ私たちの瞳の背後にある暗黒だけ。

けれど怪物は生命なき瞳を持つ。彼らは空洞、黒ではない、ただ、無。無、無、彼らはあなたを通りぬけて見詰める。あなたの間を。彼らはついばむ、ついばむ。何も輝かないことが彼らを動かすだろう。彼らの果てなき食欲を満たすものは何もない。群がり、集まり、集める、暗闇の塊。

彼らは怒っている、いつでも怒っている。飢えている。笑いはない、嘲りはない、ただ飢餓だけ。彼らはついばむ、ついばむ、奪い取る骨のような嘴で。えぐり出す群れ、弧を描く暗闇。断ち切り、切り刻み、引き裂くための鉤爪。引き裂く、引き裂く。

彼らはさらに呼び集める。カラスがカーと鳴き、集まり、そしてそれからもう笑いはない。もうからかうことはない。もう話すことはない。いまや彼女のペットは無、ついばむ、ついばむ、忍び寄る飢餓を。引き裂く飢餓を。大いに楽しむ飢餓を。

彼女のオブリビオンの星の下で眠るとき、私は彼らの夢を見る。彼らはただ凝視する。凝視する、凝視する、怒りに満ちる瞳はない。飢餓に満ちる瞳は。私の肉体は彼らを満足させない、けれど彼らは渇望する、私にはわかる。私には自分以外に差し出せるものはないけれど、それは望まない。決して。私は彼女に消費されてきた。彼らは私を得られない。

彼らはついばむ、ついばむ、けれど私は影。肉体は闇。私はもう、彼女に貪り食われた。

指揮官ネレヴァルNerevar the Captain

指揮官ネレヴァル

指揮官にして王。友、学徒、そしてホーテーター。我々は彼の英知を追い求めよう。そして許しを。

歯車の法The Law of Gears

聖なる弾み車の第二革新者、代弁者アルバクロン 著

セト卿の名において、これらは歯車の法の言葉であり、それぞれの法の教えについて注釈を付けたものである。

* * *

多くのコグやスプロケットで構成されたクロックワークの装置のように、我々の多くは決して使わない歯車を持っている。これが歯車第一の法だ。我々には自分で考えるよりも多くの能力があることを教えている。

誰かが歯車を回転させるために、弾み車を回さなくてはならない。これは歯車第二の法で、熱心な働きなくては何も達成できないことを教えている。

仕組みがうまく動かなくなったら、歯車を潰すべきではない。これは歯車第三の法で、やみくもに突進するより、他の方法を考え出すように教えている。

汗と重労働が発明の歯車を回す。これは歯車第四の法で、ひらめきの前には単純な重労働が必要なことを教えている。

現実の歯車の中で、単なるコグ以上のものになるよう努めなさい。これは歯車第五の法で、不可能な夢であっても手を伸ばすように我々を激励している。

歯車をいじる前に、機械を分解しなくてはならない。これは歯車第六の法で、解決を試みる前に、問題の核となる部分まで分類しなくてはならないことを教えている。

一時的な中断や強い動作は、歯車の滑りを引き起こす。これは歯車第七の法で、中断は生産的でないことを教えている。

きちんと油を差した歯車だけが滑らかに回転する。これは歯車第八の法で、訓練と準備が革新の潤滑油となることを教えている。

全てのコグとスプロケットが偉大なる歯車のために奉仕する。これは歯車第九の法で、我々は何よりもセト卿に忠誠を誓い、服従しなければならないことを示している。

言葉はこのように連なっている。

侍者の傷ついた巻物のプレートAcolyte’s Chipped Scroll Plate

メモ 1
助師ダロと一緒にラディアスを巡回していると、奇妙な光景に出くわした。クロックワーク・シティへ続くポータルを、誰かが開いた!知覚タビュレーターがあり、ダロが一緒だったので、近づいて調査することにした。

メモ 2
知覚タビュレーターは調子が悪くなることもあるので、メモを取ることにした。気がついたら、ポータルの真ん前に立っていた。それは異常な注目を惹きつけた。

メモ 3
ポータルに足を踏み入れたが、その時のことは記憶にない。そこは奇妙に美しく、まるで永遠の黄昏の国のようだった。ダロは一緒に来なかった!まあ、いい。調査しよう。

侍者の失われた巻物のプレートAcolyte’s Lost Scroll Plate

メモ 7
何かが自分の足を噛み千切ろうとしている。私は間違っていた。ここは恐ろしい場所だ。奇妙で、最悪だ。自分で何とかできると考えたなら、こっそり装備を持って来るべきだった。

メモ 8
ダイアウルフを100匹くらい倒した後、その足を食べた。スクリブのゼリーさえなかった。食べなければ飢えるしかなかった。この場所から出たら、助師ダロに思い知らせてやる!

メモ 9
ここは別次元にある場所だ、そう感じ始めている。オブリビオンの暗い一角だろうか。間違いなくここには、たくさんの影が存在している。

侍者の焼け焦げた巻物のプレートAcolyte’s Scorched Scroll Plate

メモ 13
橋の向こうに、どこか奇妙な畑がある。知覚タビュレーターはずっと正常に稼働しているが、万が一のこともある。できる限り、自分の日誌に記録をつけていく。今は影の獣に攻撃されるたびプレートが落ちるのを、何とかしなくては!

メモ 14
奇妙なカカシが畑を守っている。知覚タビュレーターを使ってカカシを調べていると、何とカカシが話してきた!死ぬほど驚いて、橋まで急いで戻った。

あの音!そこに何かいるの?

取り残された魔術師の日記Journal of a Stranded Mage

コルマウントの魔術師、オリノル 著

何が一番恋しいか?いや、食べ物ではない。ここで出される水っぽい粥が良く表現して拷問だとしても。それに、そう、緑の香りでもない。たとえ自分が金属臭で一杯に満たされるよう感じられるとしても。そして、安全でもない。なぜならグラーウッドが教えてくれたことは、あらゆる危険に対処することだからだ。

何が一番恋しいか?私の犬だ。

ジョナは可愛い子だ。むくむくした灰色の毛皮、明るいピンクの舌。あの子の瞳はまるで2つの星だ。黄金で輝いてる。しっぽを振るあの子が恋しい。私が家に帰ると、いつだって出迎えてくれた。草原で棒を取ってくるのが大好きだった。イフレよ、何ということだ。私は真夜中に吼えているあの子でさえ恋しい。それであの子をいつも呪っていたのが悔やまれる。何故なら、私はあの子がいい子になろうとして、ひたすら最善を尽くしていたことを知ってるから。

認めるのは情けないかもしれないが、これは間違いなく真実だ。だが、たとえジョナが恋しいとしても、あの子がこんな生活を送ることは望んでいない。実際、私とここに来る羽目になっていたら、今頃は食べられてしまっていただろう。あるいは、この周辺の怪物じみたコンストラクトに殺されていたか。どちらかだ。

こうなった原因は、ある霧の夜に黄昏の月のエールを飲みすぎただけだ。母はいつも、魔術を使うには私が愚かすぎると言っていた。そして、それは全くその通りだった。あのポータルの呪文はそれまでに100回近くやっていたはずだ。エルノフェクスの発声で少し噛んだだけでこうなった。音節が幾つか変わっていたかもしれない。そして、ここにいる。孤独で苦い思いをしながら、犬のことなんかを書いて時間を無駄にしてる。

あの子が世話をしてもらってることをただ願っている。私が旅に出るときは、従姉妹のブレレネルが見てくれていた。だが、ジョナに必要なのはちゃんとした家と優しい手だ。自分よりもあの子を心配してるなんて信じ難い!私は、まあ、自分の尻拭いが自分でできる。あの子のことは、誰がやってくれるんだろう?

修練者オスカードのメモNovice Oscard’s Notes

メモ 3
助師ダロは正しかった。この場所はエバーグロームにつながっていた。影やカラスのような夜の獣が、砂時計の中の砂のようにこの場所を埋め尽くしている!

メモ 4
シャドウクレフトの最初の探索から判明した。ここは、あの忌まわしい獣がクロックワーク・シティに侵入できるよう築いた橋頭堡だった!他の使徒たちに伝えなければ。

メモ 5
どうやらこのナイトシスターが侵略部隊のリーダーで、ナイトテラーと信者が突撃部隊のようだ。目撃した数を記録した、最適な防衛を準備できる。

囁く影の信者 12
ナイトテラー 17
シェイド・ハグ 24
ダイアウルフ 37

住人の物流記録Residential Logistics Log

クロックワーク・シティの居住者(要塞と第6地域)– 176名

居住地域:
真鍮要塞:112
ベントラル・テルミナス:2
記憶のプラニスフィア:2
巻かれ続ける源泉:25
ラディアス:35

居住者の満足度(記録16788):アイオス編集

経済格差は調査期間に7パーセント拡大。事態を緩和するため適量の品を提供することを推奨する。主な要因は心理的な要素によるもの。裕福な調査対象者は、野望や不満のランクが15を越えている。内に秘められた攻撃性の状態は、「中程度」まで上昇した。

治安担当者の不正行為は、安全ではないレベルから変わっていない。全担当者の精神状態を測定する追加調査を推奨する。

栄養状態は問題視する状態にはない。味に関する住民の満足度は、まだ低い。次回の調査期間には、塩を3パーセント増やすことを推奨する。

性交と病気の率は、持続可能な数値に戻りつつある。添加ペーストの効果が実証された。

使徒の革新と発表のレートは、調査期間中に4パーセント上昇した。日照時間が長くなったことが原因と思われる。仮説の立証のため、日照時間をさらに12分増やすことを推奨する。

星を盗むStealing the Stars

我々が必要とする星を奪うことは、細心の注意が必要な作業だ。気をつけなくてはならない。記憶を識別することはほぼ不可能で、必要な記憶を探して広間を走り回るのはごめんだ。忍耐と精度が必要だが、我々の仲間に欠けていることは知っている。

彼女が失敗に対して、あまり寛容でないことを忘れるな。

聖オルムスの評価Evaluation of Saint Olms

聖オルムスは監禁に苛立ち続けている。彼を思い留まらせようとする最善の試みにもかかわらず、オルムスは空に安らぎを求め始めている。しかし、私たちは双方ともアトリウム外での飛行は自由の幻影にすぎないことを知っている。彼の精神を正気から引きずり出している繋がりは聖者の隔離場の壁ではない。人工の身体が彼の監房であり、足に鎖でつながれた錘だ。

理由が何であろうと、セト卿が与えた新しい生命を彼は受け入れられない。どの聖人にもできない。だが、オルムスは特に彼が実在することに格別の苦痛を感じている。彼は試されているか、罰されていると固く信じている。そしてこの被害妄想は、苦痛に耐えることを強要されている間、刻一刻と激しさを増している。今は私を疑い始めてさえいる。彼にとって、私は今や迫害者の代表になっている。彼の審判の実施を継続しようとしている、ここでのソーサ・シルの代理人だ。多くの理由により、これは好ましくない立場だ。

聖フェルムスの評価Evaluation of Saint Felms

聖フェルムスはほぼ常時活動しており、継続的な情動不安の兆候が常に高い。檻の中を歩き回る捕らわれたカゴーティと共通点があるが、拘束する格子なしで、どれだけ長く暴力的な欲望を食い止めておけるのか疑問に思う。正直、教団が聖人の力を閉じ込めておける能力がある檻を建造できるのかどうか、私には確証が持てない。

フェルムスに戦斧を放棄するよう説得する試みは実を結んでいない。戦士に対して武器のように重要な一部を譲るべきだという提案は、激しい侮辱を引き出した。だがそれは改善と見なせるかもしれない。

彼の侮辱の反応は測定され、推論され、他の不満や怒りの噴出と比較された。彼の気分は一瞬のことだったが、フェルムスがまだ理性的な能力を有していることを示す兆しがあった。全体的に安心できるものではなく、軍事的な事柄と征服に対するほぼ単一の焦点を前提とするものだ。

聖ロシスの評価Evaluation of Saint Llothis

聖ロシスの現実逃避は、文字通り衰えることなく続き、落胆した隠遁への道を進んでいる。多くの場合、彼は交信の試みを承認し、認識することに失敗する。私はこの挙動が緊張の一種というより、深刻な抑鬱の現れだと信じている。この診断は短い活動期間中の、ロシスによる指示されていない発話によって裏づけされている。

この症状の発現はより頻繁になり、錯乱の度合いが増している。彼は深い、精神的な繋がりの喪失を嘆き悲しんでいるかのようだ。このトラウマ的な分離が三大神とのあらゆる聖なる繋がりを文字どおり断ち切ることに関連したのか、または単にロシスがトリビュナルとの個人的な関係から離れようとしているだけなのか、私には分からない。この強まっていく動揺はより入念に観察する。私は自傷のリスク、または他の破壊をもたらす衝動がより著しくなることを心配している。

〈星詠み〉の力The Astronomer’s Power

〈星詠み〉の星に対する操作は見事だが、彼はこの力を自然に身につけた訳ではない。今では、彼がこの能力をおそらく終わりがない寿命と共に与えられたことを知っている。この力はどのように与えられたのか、実際のところ一体何なのか、それは定かでない。だが、どう見極めるかは知っている。

攻撃は今だ。彼のプラニスフィアの制御が衰えている間に。幸運はこれ以上我々の側にないかもしれないし、女王が最初に考えていたよりも多くの支援をくださっているかもしれない。構うものか。素早く行動することの価値は皆知っている。機会が失われる前に。

聖者の安全とセキュリティへの懸念Concerning the Saints’ Safety and Security

代弁者ルシアーナへ

前回の私の要請から、結果に繋がる行動がなかったことに驚いている。通信に返信をせず放置するなど君らしくない。ひょっとしたら何か起きたのではないかと考えたが、手紙が君の事務所に届いたことはファクトタムが確認した。我々は君の支配への欲求と信頼の欠如について話し合った。もし君が自分で維持できる以上の懸念事項を背負っているのなら、権限を委譲しなければならない。私は単に君の健康だけではなく、クロックワーク・シティの安全についても懸念している。

残念だが、聖者の隔離場内の状況は改善していない。私の区画はより動揺し、予測できない状態になりつつある。私は彼らが決定的に正気を失う日が近くなっているのではないかと恐れている。もしそれが脱走への欲求となったら、私の数少ないファクトタムは聖人を抑えておけないだろう。彼らは驚くほどの力を持つ存在だ、ルシアーナ。彼らのことを慎重に考慮しなければならなくなる日が来る事は避けられない。それもそう遠い話ではない。準備をしておかなくては。

君の道が大いなる歯車を回さんことを。

矯正官ランドラス

製造された植生の研究からの抜粋Excerpts From Fabricated Flora: A Study

侍者ケルヴィヴィ 著

クロックワーク・シティ土着の植物は、ほとんど例外なく陸の類似物を完全に人工的に模倣したものだが、ホール・オブ・レギュレーションの中で成長しているものが一つあり、それは謎として残っている。アイアンストークキノコと呼ばれていて、しばしばホールの暗く湿ったトンネルに生じる。私は幾つかサンプルを解剖し、この生命体は完全に有機的なものであるが、生体構造や無縁と思える環境との適合性は、ある目的をもって設計されたことを暗示していると信ずるに至った。

これらの菌類は貪欲に鉱物、錬金術の残滓、生理機能に悪影響を及ぼさないと見られる腐食性の素材さえ吸収する。タムリエルの胞子がエクソドロマルによってホールにもたらされ、根を張り、繁殖したのは、単なる偶然の出来事だと推測した者もいる。私に言わせれば、そのように雑な判断は単なる怠慢だ。ソーサ・シルが完全に有機的な創造を壮大な設計にもたらさなかったと無造作に仮定することは、もしそれが彼の目的にかなったなら、彼の能力に対する不信だ。

私は、アイアンストークキノコがホール・オブ・レギュレーションから、有害な、または少なくとも機械にとっては解決が難しいことが分かっている汚染物質を浄化する必要性から生じたという理論を立てている。 我々は極めて細部まで精密に、注意を持って創出された世界に居住する。未知のものを思いつき、宿命、偶然として退けることは、ニルンでは許容できるかもしれない。だがクロックワーク・シティには壮大な図式だけがある。ここには常に世界の仕組みの真相があるのだ。

戦斧ブリスボールのバラード(第六節)The Ballad of Brisbor Battle-Axe (verse six)

ブリスボールの情熱は燃えている、禁じられた欲望に燃え上がる、
焼け焦げた敵の死体から与えられた冷たい声、
死は哀しい鎮魂歌を歌い上げ、魂をバラバラに引き裂いた。

全住民への警告Warning to All Residents

注意!門を越えると安全は保証できない。

ファクトタムの義務への妨害は致命的な結果を招くだろう。

代弁者ルシアーナの日記、第1巻Proctor Luciana’s Journal, Vol 1

日付:(月と日は不明)第一紀2712年(?)

私はおぼつかない手でこれを書いている。ファクトタムはすぐにまた新しい指を自由に動かせるようになると言う。疑わしいものだ。

私は日記をつけたことがない。ずっと虚しい行為だと思っていた。人生の全ての仕事を紙に書くなどということは。まるで誰かが読みたがっているかのように。だがこのような状況では価値があるだろう。私はとても奇妙な場所にいる。クロックワーク・シティだ。

楽な旅ではなかった。あまり多くは覚えていない。木があった。ヴァレンウッドだ、たぶん。私が覚えているのは、召喚した刃を持ったハッとするような何者か。そして閃光。後は?囁きと痛みだけだ。

目が覚めると、ガラスの球体の中で漂っていた。ある種の粘性がある液体に沈んでいた。光沢のある金属の締め具が私の砕かれた手足を固定し、その間に小さな機械の生き物が肉体を新しい真鍮の器官に縫い付けた。とても驚いたことに、私は呼吸する必要も感じなかった。ただひどい喉の渇きと、夢を見ているような感覚だけがあった。背の高いエルフがガラスの反対側から私をじっと見ていた。彼の顔は球体の曲線で覆われていた。彼は自らソーサ・シルと称した。そして、私は生きると告げた。彼はまた、私が息子を持ったとも言った。

これは驚きだった。私は妊娠していたことさえ知らなかった。どうやら、ファクトタムが私の破壊された体を大急ぎで固定していた時、小さく、かろうじて生きられる子供を発見したらしい。タムリエルなら極端な早産は死の宣告だっただろうが、ここでは無理なことが容易なように思えた。

私は子供を持つつもりが全くなかった。アカヴィリで戦争をしながら子供を連れ歩くことは、とても現実的とは思えなかった。だが時と環境は、私たち皆を嘲笑う。

私は彼にマリウスと名付けた。父方の祖父の名を貰って。もし私がこの怪我で死んだら、この日記が彼の役に立つように願う。少なくとも、彼は家のようなものについて知るべきだ。

日付:黄昏の月15日、第一紀2712年(?)

クロックワーク・シティについて知るほど引きつけられる。真鍮要塞はほとんど慰めを与えてくれない。乾いた厳しい場所で、奇妙な機械と奇妙な人々で満ちている。ほとんどがダークエルフだ。ダンマーには以前会ったことがある。もちろん。だがクロックワークの使徒は違う種族のようだ。彼らは他の何よりも論理と革新を尊ぶ。想像できるか?仲間の魔闘士はいつも私の冷静な理性に対する深い敬意を馬鹿にしていた。「お前の火はどこだ?ルシアーナ」。まるで厳密な思考には火が存在しないかのように。

ソーサ・シルはまだ、折に触れて私の状態を確認する。彼のような人には会ったことがない。使徒は彼を神のように崇拝している。だが、それが彼を落ち着かなくさせているのが私には分かる。彼はたまにしか目を合わせないが、それは臆病さから来るものではない。いつも何か別のことに集中しているだけだ。機器、本、何か別のクロックワークの奇妙な物事。私は機会があればいつでも彼に質問した。この場所の性質、彼の真意、彼の来歴についての質問だ。直接答えを得られたことはない。それでも、彼はやりとりを楽しんでいるように見える。たとえここで崇拝者と忠実な機械に囲まれていても、彼が心底孤立していることを感じる。

使徒は私に、ここでは神への冒涜が受け入れられると言い続けている。奨励されてさえいると。だがそれはまるで根拠のない信念のように見える。私が「クロックワークの神」との会話について話すと、世話人の読師マリラは心底驚いていた。例えば、私はソーサ・シルにあのしつこい噂について聞いた。彼と他のトリビュナルはどうしてダークエルフの王、インドリル・ネレヴァルを殺したのかということについて。マリラによれば、その話題は完全にタブーだそうだ。それでもソーサ・シルは、静かな礼儀正しさをもって質問に答えてくれた。

「君はなぜ物事が起きると思う?」彼は聞いた。私は彼に質問の意味が分からないと言った。

「なぜ私たちはここに座って話す?なぜ若きマリウスは存在する?なぜ私はこの場所を支配する?その中で君が回復に向かう間に」

私は少しの間静かに座って、それから答えた。「そういうものだからよ」

彼の冷たい表情は溶け、真面目くさった半笑いになった。「その通り」

自信はないが、彼の声にほっとした響きがある気がした。彼の肩の力が抜け、声のトーンが変わった。彼は自分の罪に安らぎを見出した男のように見えた。程なくして、彼は私に会話の礼を言うと、音もなく部屋を離れた。

私は真鍮のベビーベッドでぐっすりと眠っているマリウスを見下ろした。その瞬間、全てが意味をなしたように思えた。クロックワーク・シティがやっと故郷のように感じられてきた。

代弁者ルシアーナの日記、第2巻Proctor Luciana’s Journal, Vol 2

日付:星霜の月12日、第一紀2713年(?)

1年かけてよく考えたあと、クロックワークの使徒に入ることを決心した。少なくとも1年だと思う。ここの時間の流れはすごく奇妙だ。

容易な決断ではなかった。心の中で、レマン・シロディールに仕えるのをやめたことはなかった。だが今ではタムリエルの紛争が遠いことのように思える。アカヴィル、ヴァレンウッド、コロヴィア。全て遥か遠くに感じる。ここで重要なことと完全に切り離されているように。クロックワーク・シティで重要なのは仕事。論理。秩序だ。セト卿の使徒として、私は本当に貢献できる。そして心から言える。心の中のレマン・シロディールに取って代わるべき者がいるとすれば、それはソーサ・シルだと。

彼を崇拝するという考えには頭を悩ませた。その考えに対して彼がとても不快そうに見えたのが主な理由だ。私は会話がなくなるのではないかと心配した。または、私を大したことがないと考えるのではないかと。幸運にも、その知らせを告げたとき、彼は喜んでいるように見えた。

「一番良いことだと思う」彼は言った。それからマリウスの横にひざまずいて、小さな手をとった。一瞬、彼がとても遠くに見えた。ほとんど悲し気に。最終的に彼は囁いた。「君の母親は強く、賢い。君たち二人がいて嬉しいよ」

なぜかは分からないけど、こう口走ってしまった。「それで、なぜ私たちを助けたの?」

セトは一瞬ためらい、それから囁いた。「それはいつか、君が光を照らすからだ」

どういう意味かと尋ねる前に、彼は消えてしまった。マリウスはそれを見て笑った。彼はソーサ・シルが光の中に消える姿を見飽きることがない。私の方は不安を感じていた。彼の気分を害したのでなければいいのだが。

日付:蒔種の月26日、第一紀2721年(?)

何かがおかしい。マリウスがまた倒れた。監視ファクトタムによれば、力が抜けて呼吸が浅くなり、回廊のすぐ外側で倒れたそうだ。ここ数週間で3回目だ。

最初は少し頑張りすぎただけだと思った。9歳の男の子は無理をしすぎるものだし、あの子はいつも少し病弱だった。だけど、部屋で彼を見たとき、顔色は蒼白で、声にはガラガラとした響きがあった。彼は私に何が悪いのかと尋ねた。私は正直言って分からないと答えた。明日彼を連れてファクトタム・メディカに会いに行こう。

日付:恵雨の月9日、第一紀2721年(?)

数日間検査した後、ファクトタムと臨床医はついにマリウスの診断を下した。出産に関連する心臓の欠陥だった。どうやら、彼の出生時の状況(私の破壊された体、過度の早産、そしてベールを越えた旅)がある種の出血、あるいは動脈のねじれを引き起こしたらしい。タムリエルだったら恐らくもう死んでいただろう。いやむしろ、2回は死んでいるだろう。

私は予後診断を頼んだ。しかしファクトタムは様々な結果の見込みに触れて提供を拒んだ。彼は30歳になれるかもしれないし、明日死ぬかもしれない。いずれにせよ、彼の人生は困難で短いものとなる。私は依然として(いつになく)楽観的だ。セト卿はもっとひどい負傷を治した。そして、人々を一瞬に人生へと連れ戻した。ここクロックワーク・シティで、彼のような欠陥は到底絶望的ではあり得ない。ソーサ・シルが隔絶された場所から現れたら、すぐに願い出よう。

代弁者ルシアーナの日記、第3巻Proctor Luciana’s Journal, Vol 3

日付:南中の月16日、第一紀2722年(?)

もう1年以上になるが、ソーサ・シルはまだコギタム・セントラリスから戻っていない。マリウスの健康状態は悪化し続けている。彼はほとんど毎日自室で過ごし、研究や錬金術の実験をしている。これを書くのは嬉しいことだが、薬やチンキ剤となると類まれな才能がある。彼は薬品のために探し回ることが大好きだ。もちろん、ラディアスで生きている材料を見つけるのは難しいことだろう。私は薬草学の冒険を1日1時間に制限している。それで私のことを快く思っていないけれど、彼は賢い。なぜ自分が要塞の塀の外に長い間留まってはいけないか分かっている。

ファクトタムは、日ごとにマリウスの体調が深刻になっていくと言う。すぐにセト卿が現れてくれるといいのだけど。

日付:栽培の月5日、第一紀2724年(?)

3年が経ったが、まだソーサ・シルの気配はない。他のクロックワークの使徒は戻るまでに数十年か、数世紀かかるかもしれないと言う。明らかにマリウスと私にはそんなに時間がない。

とはいえ、私たちは心地よい日常の中で落ち着いている。私が要塞の用事をして、ラディアスの一部を管理する手伝いをする間、マリウスはフラスコと蒸留器であれこれ研究している。ソーサ・シルの栄光のための労働だ。彼は手足の代用品のことでいつも私を困らせる。曰く、真鍮の手は繊細な計量をする精度の向上に役立つだろうとか。私は「来年あたりね」と答え続ける。でも、それでどれくらいごまかせるのか分からない。彼は意志が強い。頑固でさえある。彼がその意思をどこから手に入れたのか、想像もつかない。

彼の実験は驚かせ続ける。皆が驚いたことに、彼は緩和剤を作った。明らかな副作用が何もなく、心臓の鼓動を普通のテンポの4分の1に低下させるものだ。ファクトタムは彼の生命の予測値を相応の比率で増加させるかもしれないと推測した。重ねて言うが、確かなことはない。ソーサ・シルによる直接的な介入が、回復のための最高の機会であることは変わりない。クロックワークの神が隔絶された場所からすぐに出てこなければ、自分で何とかしなければならないかもしれない。

日付:黄昏の月14日、第一紀2728年(?)

マリウスは今日16歳になった。少なくとも私は16歳だと思う。クロックワーク・シティの中の時間は奇妙な動き方をする。クロックワーク・バシリカの天辺に旅行をしてお祝いをした。私は道中のほとんど、彼を運んで行かなければならなかった。長い間歩くだけの体力はもう残されていなかった。

これまで実際に、塔の天辺に来たことはなかった。見渡す限りの景色は、詩人と恋人のためのものだった。私はどちらでもない。私は日々を埃っぽい通りで過ごして来た。ランタンがバシリカの廊下を照らし、粗野で広大な街から隠した。だが、セトのバンドがセレスティオドロームのガラスに沿って滑るのを見て驚いているマリウスと、ラディアスの厳しい砂漠が下に広がっているのを見た時、私の中に何かが生まれた。この街こそ本当の故郷だと分かった。ずっとシロディールがそうだった以上に、私の故郷だと。今では、私は決してタムリエルに戻らないと分かっている。私はここクロックワーク・シティで生きて、死ぬのだろう。

日付:栽培の月22日、第一紀2730年(?)

今は物事が素早く進んでいく。今朝、マリウスが錬金術の机の横でぐったりしているのを見つけた。かろうじて反応がある。私は彼をベッドに移動させ、最高位の臨床医と少数のファクトタムを彼の看病のために呼び寄せた。そして、コギタムへの旅の準備をした。

上級の使徒が考え直すよう訴えてきたが、これ以上忍耐強く待つような余裕は私にもうなかった。ソーサ・シルだけがマリウスを救える。セト卿を夢から覚ますことができれば、息子を救うために必要なことをやってくれることは分かっている。セトがこの誠実な労働を祝福しますように。行かなくちゃ。

代弁者ルシアーナの日記、第4巻Proctor Luciana’s Journal, Vol 4

日付:収穫の月31日、第一紀2750年(?)

どうしてこれを書いているのか分からない。マリウスの役に立つようこの日記をつけていたけど、彼は去ってしまった。20年が過ぎた。時間はきっと和らげてくれる。虚しさと痛みを。だけど今、私の悲しみはこれまでになく深まっている。

多忙。秩序。これらが助けになる。私は仕事に打ち込んだ。使徒を組織化してより強く、より引き締まった、より実戦的な教団にした。犯罪を取り締まり、マリウスの錬金術の実験に関する論文を出版し、呪文の作成に集中した。だが、仕事の達成はいずれも、息子が去った後のぽっかり空いた穴を埋めるには到底至らなかった。

あのコギタムの中で何が起こったか、私は誰にも話したことがない。人々はその話題を持ち出すことを軽く恐れている。今、20年経っても、私の怒りは強烈に輝いている。

裏切り。考えられるのはこの言葉だけ。私はセントラリスをできる限り素早く渡った。私とセト卿の間に立ちはだかるあらゆる敵対的なファクトタム、ファブリカント、そして機械の罠を破壊しながら。正玉座にたどり着いたとき、私はソーサ・シルが力の玉座に続く階段に座っているのを見つけた。彼は見上げさえしなかった。

「君がなぜここにいるかは知っている」彼は言った。

私はその時純真だったから、微笑んで子供のように彼へと駆けていった。「良かった!」私は叫んだ。「急いで移動しなきゃ。マリウスが死んでしまいそうなの」

けれどソーサ・シルは立ち上がらなかった。私の目を見ることすらしなかった。「すまない」彼は言った。「君が求めるものは与えられない」

私は彼が言っていることを理解しようとして言葉に詰まった。私は馬鹿みたいに同じことを繰り返した。たぶん彼は私が言ったことが聞こえなかったのだと考えながら。「マリウスが死にかけてる。できるだけ早く彼のところに戻らないと!」

彼は立ち上がり、話す前に唇をぎゅっと結んだ。「すまない」彼の答えはそれだけだった。

永遠にも感じられる間、私たちは無言で立ち尽くしていた。最終的に、私は頭を振って囁いた。「分からない。私の身体が破壊されたとき、あなたは治癒した。治したいのはマリウスの心臓だけなのよ」

セトが近づき、私の肩に真鍮の手を置いて言った。「君は誤解している。マリウスを治癒することは私の力の範囲内だ。だが状況が不可能にしている。気の毒に思うよ、ルシアーナ」

見上げると、彼の瞳には涙が浮かんでいた。自分の中に激しい怒りが沸きあがるのを感じた。ハンマーに手を伸ばし、それを自分の頭の上に持ち上げたのは、セトが消滅の言葉を囁いて、私をすごい速さで地表に向けて送り返す、ほんの一瞬前のことだった。

マリウスは2日後に死んだ。ソーサ・シルは今も、コギタム・セントラリスに留まっている。

他の使徒が、かつて帝国軍で私の指揮下で死んだ男の、嘆き悲しむ両親に言ったのと同じ慰めを言ってきた。「寿命だったんだよ」「彼は良い、立派な人生を送ったよ」延々と。だけど心の中では、決してソーサ・シルを許さない。決して。私は使徒の代弁者であり続ける。私は常に愛する街を守るだろう。そして法と教団の伝統を支持するだろう。だが私のクロックワークの神に対する敬愛はしぼみ、消えてしまった。

これは最後の日記だ。誰であれこの日記を読むことを選んだ人へ。これだけは知っておいて。ソーサ・シルは話し合いも慈悲もなく、与え、そして奪う。彼の興味を共感と取り違えてはいけない。支援を本物の思いやりから来る行動と取り違えてはいけない。何人かは救われ、他の者は犠牲となる。これがクロックワーク・シティにおける物事のあり方よ。

懲戒の儀式Castigation Ritual

私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。私はソーサ・シルのお言葉を書き間違えません。

鉄くずの足止めStuck in the Slag

スラグタウンの良き保安官代理、サーコン 著

正直、どうしてこんなものを書いているのか、自分でも分からない。誰が読むの?この管轄区では、誰も読まないでしょう。もっと言えば、読む気になったとしても文字を読めるのは住民の半分もいない。この輝く街は学者であふれているけど、貧しくて汚れた人たちを救うため、古臭いスラグタウンに来た人がいると思う?当然いない。

時々、小さい子たちに読み書きを教えている。仕事の合間に。幸せな気分になれるのは、その時だけよ。でも、彼らもすぐに仕事を見つけて去っていく。母音だとか、動詞だとか、そういう保安官代理のくだらない話に付き合う時間もなくなる。母は聖人のように辛抱強かった。だからこんな自分でも、何とか勉強を終えられた。

今ここで、正確に記録しておきたい。スラグタウンにいる、我々スクラップについて。我々は愚かではないし、怠け者でもない。こんな場所は、絶対我々にふさわしくない。あのきらめく街にいる連中の話に耳を傾けないで。あの学者たちは、自分たちが我々よりずっと上等な存在だと思っている。こっちには、危機を乗り越える知恵がある。あふれるほどの勇気、危機を避ける狡猾さ。駆り立てるものがなければ、長くは生き延びられない。

ああ、もちろん。出口はある。魔法を十分マスターして、技術的なノウハウがあれば逃げ出せる。機械にものすごく詳しい叔母がいた。何でも知っていた。中を見ただけでロボットを分解して、また組み立てられた。叔母はすぐに抜け出して、二度と戻らなかった。母を訪ねることも、一言の便りさえなかった。スラグを去ったら、後ろを振り返るな。誰も、それを責められない。ここはひどい場所よ。

ファクトタムをうらやましく思うことがある。早く仕事を終える、ちょっと指導を受ける、それで終わり!いつかそうなりたい。この道はつまらない。やっと食べられる程度で、自分が偉いと思ってる連中から施しを受ける。頭がおかしくなって当然よ。全部捨てて去りたいのも当然だけど、どこへ行く?行き場所なんてない。街にもないし、この周りの荒野にもない。泥にまみれて、何とかやってみるしかない。

非合理の崇拝Worshiping the Illogical

ソーサ・シルの使徒、代弁者ネヴィン 著

クロックワークの使徒はその人生を多くのことに捧げる。説話は忠実であり続ける第四トゥールビヨンのデルドライズ・モーヴァインによって我々の前に示された。我々の神、セト卿の意志、巻かれ続けるメインスプリング、聖なるメトロノーム。ひらめき、革新、あらゆる形、魔法、技術、霊的な発見の原動力。だが我々はしばしば忘れてしまう。我々が世界の謎を解き明かすための追求をする中で、我々もまたトリビュナルの被験者であることを。

長きにわたる在職期間中、私は生徒たちがトリビュナルの中にある信仰の三重の本質について把握するため大変苦労していることに気づいていた。それでも、繰り返される質問にも関わらず、私が好奇心を拒絶することはない。むしろ、奨励しようとしている。レディ・アルマレクシアとヴィベク卿に対する信仰の中には、おびただしい矛盾があるからだ。結局、これらの神々への崇拝は、我々が教団の中で抱いている信仰と反しているように見える。

なぜ我々は健全で安定したクロックワーク神と同時に、これらのしばしば不可解な神々を崇拝するように言われるのか?何故一人の神でなく、三人に従わなければならないのか?

しかし、この見たところ単純な事実でさえただの誤認に過ぎない。この連なりに我々は真実を見つけたからだ。アルムシヴィは多くの者が認めているような砕かれた存在ではなく、単一の存在にすぎない。それは我々の神々が砕かれたように見えるだけで、分けられた神々なのではなく、全て継ぎ目のない全体の一部だ。彼らは不規則の中に規則されている。レディ・アルマレクシアとヴィベク卿が一貫しているのは彼らの矛盾で、それも我々の真実の秩序を作っている。彼らは我々のセト卿のチクという音の中のタクという音で、車輪は永遠に前へと進むが、ただ円を描いているだけだ。

彼らは我々の混沌とした現在の真実で、我々が一つにしなければならない不規則な振動だ。彼らの中に我々は人間性の側面を見出す。それは機械と融合する魂、恩恵と融合する大志だ。信仰という行為自体が、我々が確信を持っている重要な原理と矛盾するように見える。しかし我々の全てが、完全に冷たく論理的で、互いに結びつける感情を持たない機械であることはない。いや、我々は結合された存在で、三大神と同じように多様で複雑だ。我々の個性を創り出すため同時に生じた、砕かれたパーツだ。

このような側面にどうやって自身を捧げるのか?論理と秩序ではないニルンのこれらの特性に、我々の基本理念はどうなる?説話は我々に限界を理解するように告げる。注意を払い、尺度の境界を知るように。我々の現在の世界、前のニルンに求められている理念がある。そして全体に対する追加に過ぎないものが後のニルンだろう。

言葉、法、限界を強く抱け。彼らは砕かれた自身の、結合された全体の反響であることを知れ。荘厳なピストンは同様に与え奪い、劣ったエルフたちの名のある探究を切り裂く。我々は再び結合された全体を切り離さなければならない。信仰、構造、法律。いつかは時代遅れとなり、必要とされなくなる。

だから我々は神々の側面に敬意を払わなくてはならない。アルムシヴィへの忠誠がなければ、我々は自身が真実から切り離される。敬意をもち、忠誠をもってレディ・アルマレクシアとヴィベク卿の名を語れ。彼らの言葉を聞き、必要な時には彼らの法に注意を払え。彼らは我々を反映する壊れたコグで、我々が称える真実と同様に崇められる。

表現のエンジンEngine of Expression

聖なる弾み車の第二革新者、代弁者アルバクロン 著

最初にソーサ・シル卿によって作られ、後にクロックワークの使徒によって広められた概念である大いなる歯車は、存在するもの全てが緻密に調整された機械の仕組みとして表現できるという考えを示している。大いなる歯車はニルンを繁栄させる生命と力の源たる、自然の根本となるエンジンを象徴している。それは文字通りのエンジンではない。謎の父が彼の教えと哲学を詳しく述べる際に、原始のエンジンという暗喩的な発想を使用したのだ。セト卿から学んだ使徒は彼の手本に従って、暗喩に基づいて豊かで表現力あふれる話し方を作り上げ、それが彼らをトリビュナルの他の信徒と隔てている。

感情、思考、意図を表現するために歯車とピストンの働きを利用した様々な暗喩を用いることにより、使徒は使命と信心に基づいた特有の方言を発展させた。これは慈しまれてきた成句に、大いなる歯車の動きに詳しくない者のために意味を添えたものだ。

「大いなる歯車にかけて!」戸惑いや驚きを示す感嘆の声。だが、これは適切な状況においては衝撃や恐怖を表すためにも使用される。

「大いなる歯車が百万回鳴っても絶対にない」起こった出来事の有り得なさを強調し、起こりそうもないことを説明するための慣用句。

「歯車は私のために調整されなければならない」希望的な意図、好ましい状況、何もかもが前向きな形で同時にやってくることを強く願う表現。

「歯車が滑ったら」何かが極めて正しくないか、状況が悪くなっていることを表現するフレーズ。

「歯車が固まった」何かが台無しになったことを意味する表現。通常は不注意か愚かさによるもの。

「トリビュナルの歯車がカチッと収まる前に」物事を急がせるか、わずかな時間しかないか、過ぎようとしていることを示すフレーズ。

「歯車に巻き込まれた」懸念事項の表明。通常は困難な状況、厄介事、簡単には解決できない問題に関連している。

「あなたの歯車が自由に回りますように」友好的な別れ。受け手の幸運と引き続いての成功を願っている。

「あなたのピストンが決して妨げられませんように」人を送り出す際、幸運を願って使うフレーズ。

「大いなる歯車があなたの方向へ回りますように」クロックワークの使徒か、親しい友人か、教団に関係のない仲間に対して幸運を願う表現方法。

「コグを締めろ」てこ入れする、強化する、より良くする。

「クロックワークは最弱のコグと同じ強さしか持たない」文字通りのフレーズ。しかし、「最弱のコグ」は実際の歯車の歯でなく、比喩的に人やその他の欠けた機能も指す。

「大いなる歯車が回転を止めることはない」望むと望まざるとに関わらず、時は過ぎ、世界は動き続けることを断言するフレーズ。

「大いなる歯車がもう少し回るまでお待ちください」誰か、または何かに時間をくれるよう頼むフレーズ。

「大いなる歯車は回る、だから急げ」時は流れるため、無駄に費やしてはいけない。

「時に大いなる歯車は挫折からチャンスへと回る」如何なる同様の格言も、通常は運命の気まぐれによって状況は良い状態から悪い状態へ、またはその逆に変わることを示唆している。

言葉はこのように連なっている。

〈不完全〉の運用記録The Imperfect Logistics Log

現在の戦闘成功率 – 66%

戦闘分析:
対戦者死亡:126
対戦者降伏:58
対戦者成功:93

〈不完全〉構造分析(記録17901):アイオスによる集計

対戦者の成功率は分析期間中に3%増加。戦闘シークエンスを通して構造的完全性を保持するため、キネティックシールド機能の防御力増加を推奨。過度の電力サージによるセキュリティコイルの過負荷に注意すること。さらなる分析が求められる。

エネルギーアーク機能へ送るパワーの減少は、認証の聖域が構造的損傷を受ける危険性を減少させる。戦闘シークエンスの間に付加的な補修を維持することを推奨。現在のデブリレベルは戦闘に対して許容範囲内と見なされる。

対戦者種別:ノルド、カジート、ボズマーは戦闘中の行動が一貫して予測不可能であることが判明。統計上の共通点における現在の理論は、まだ公開されていない。これらの対戦者内での文化的不規則性と戦術についてのさらなる分析を推奨。

任務遂行ユニットのタスク受諾率は23%に減少。主要な原因は第一に心理的なもの。「虐殺」「斬首」「瀕死」という言葉の削除を推奨。報酬に重点を置き、戦闘時に味方を同行させる必要がある。

〈不完全〉プロトタイプの完成度:不明

〈不完全〉の操作マニュアルImperfect Operations Manual

すべてのファクトタムは基本的な掘削技術を有しているが、〈不完全〉は力に関してすべてに勝る。残念ながら、〈不完全〉の掘削には巨大なエネルギーが必要になる。より劣ったファクトタムとは違い、このオートマタはチャージ済みのアニモ・コア稼働が必要だ。

アニモ・コアをチャージする手順

1.不活性かつ空のアニモ・コアが蒸留液装填ブラケットにしっかりロックされていることを確認する。
2.すべてのフローバルブが正しいスループット位置にあることを確認する。
3.ジオード蒸留液のフローレベルを「フル」に設定する。
4.コアを完全に充填し、装填ブラケットのロックを外してコアを取り出す。

注意点

フローバルブの位置を間違えると、ジオード蒸留液の供給システムが破損する可能性がある。フローの位置が不安定になり、危険になったら緊急リセットバルブを稼働させること。すべてのフローバルブは、元の位置に戻る。

連続した真実 第7巻The Truth in Sequence: Volume 7

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

車輪のことを思え。全てと関連している。

車輪ほど神聖なものが他にあるだろうか?最後のタムリエルのように、車輪は動き、そして動かない。アヌヴァナシ。車軸は眠り、スポークは急いで回る、反射する円を描いて。さあ、ここに名のない秘密、トリビュナルの子がいる。回っている時、それは動くのか?

動きは後のニルンの中心にあるが、全ての動きに名がないわけでない。全ての動きが彼の祝福を得るわけではない。

聖なるメトロノームは、最初の動きを「線の動き」と呼んだ。線の動きとは単純な思考の動きで、弱い意志と学者のうぬぼれの動きだ。「前へ!」そう叫ぶ!安っぽい野望の果実に向かって。永遠に続く王国の約束に向かって。賢者たちが「進歩」と呼ぶ幻影に向かって。このせいで、開拓者たちの冒険が荒れた未来へと誤って導かれてしまった。その後の価値、ある程度価値がないとは言わない、美徳の未来へ。だが、人間やエルフが単一の未来を深く見つめることに、何の得があるのだろうか?定命の者の目的は狭い。狭すぎる!前に進む時、無数にある方向を無視して一つを選ぶ。これは獣か子供のやり方だ。クロックワークの神は、勇気の姿をした虚栄を否定した。この探求者たちの旅は、最後のタムリエルよりももっと先へ進めるだろう。アヌヴァナシ。

セトは第二の動きを囁きでしか語らない。「振り子」、あるいは「名のある揺れはカチカチとした動きだ。混乱と、偽りの動きだ。クロックワークの神だけが、その闇の力を求められる。大きく揺れるたびに、ロルカーンの嘘が聞こえる。「おい、意志が別れたぞ!おい、呪われた多数よ!」灰の子供よ、振り子の道の邪魔をしてはならない。巻かれ続けるメインスプリングだけが、その重みに耐えられる。

最後は往復の動き。「荘厳なピストン」だ。恋人たちの抱擁だ。まるで謎の父のように、同じ量だけ与え奪う。紐についた蝶結びのように、第四の思考を呼び覚ます。大工のノコギリのように前後へ動き、劣ったエルフたちの名のある探究を切り裂く。名のない心臓だけが、その力を抑制できる。芸術家、星数え、技師たちは、これを「ミューズ」と呼んでいる。真実を隠された多数は「破壊者」と呼んでいる。

理解できたかな、トリビュナルの子たちよ。あらゆる動きは意図を隠す。車輪から離れることは、クロックワークの神を捨てることと同じだ。最後のタムリエルでは、すべてが回転する。回転するだけだ。アヌヴァナシ。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第8巻The Truth in Sequence: Volume 8

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

祝福されし謎の父よ、あなたの油を私の舌に与えてくだされば、私はモーンホールドの真の物語を語るだろう。語られざる計算の力を見よ!巻かれ続けるメインスプリングの力を見よ!

全ての名がない魂は、モーンホールドの真実を明らかにせよ。灰の中に、多くの教えが隠れている。さあ、苦悩と恐怖の賛美歌を歌うのだ、セトの子よ!メエルーンズ・デイゴン、破壊の支配者に備えよ!メエルーンズ・デイゴン、炎の暴君!メエルーンズ・デイゴン、大崩壊の父!アルマレクシアの宝石を踏みにじられたことを思い出せ!彼の意思が炉の炎のように燃え、熱い振動が唇から落ちるのを覚えているか?4個の巨大なカミソリを、彼は高く掲げていた。それぞれのカミソリがかん高い音を鳴らし、彼を讃えた。炎の激流が善良な人にも悪しき人にも降り注ぎ、骨から肉は引き剥がされ、叫び声の中で残された、女と子供たちが吹き飛ばされた。

「炎と血に覆われた私に、立ち向かえる者はいるのか?」そうデイゴンは吠えた。暗黒の公は胸を叩き、長く忘れ去られていた呪いを叫んだ。死が墓から吹き出し、慈悲を求めて大声で叫んだ。黒い液体となった罪が下から吹き出し、破壊された家々は熱い嘘と陰謀に飲み込まれた。あらゆる場所で、灼熱の業火が全ての魂を灰に変えた。

慈悲の母アルマレクシアは、かつて美しかった街の残骸を見て涙した。愛したものが燃やされ破壊された姿に、彼女の心は溶けた真鍮に変わった。クロックワークの神は彼女の怒りを記録し、記憶のプラニスフィアに記憶を封じ込めた。彼女の愛の高い代償の記録として。

トリビュナルたちが鋳造の煙のように地面から立ち昇り、災厄のデイドラ公に立ちはだかった。アイエムの声は高い汽笛のようで、ソーサ・シルは傾くエンジンのようだった。

「エラム・ヴァル・エ・アルタドゥーン!」彼らは叫び、衣服を引きちぎり、殺しの仮面をつけた。アイエムはホープスファイアを抜き、川の石のように炎を飛び越えた。強い叫び声を挙げ、彼女はデイゴン卿の胸に剣を深く突き刺し、牢の鍵のようにひねった。燃えるような血が傷から吹き出し、彼女の手や顔は火傷を負った。彼女が倒れると、聖なるメトロノームは無限の角度でわずかなルーン文字を刻み込んだ。我が母の失墜を止めるため、ブリキ、銅、オリハルコンの鉱脈が地下深くから吹き出したのを覚えているか?彼の意思のみで、偉大なセトは鉱脈を神の青銅の鞭に変え、容赦なく公を攻撃した。デイゴンはうめき声をあげ、後ずさった。彼のこの世ならぬ肉体は、鎌に刈られた藁のように崩れ落ちた。ああ、サーミッショネイサムの屍鬼は、どこからでも現れる。

多数の生物がアイエムの周囲に集まり、口や傷口から高熱のタールが滴っていた。アイエムに倒れ込みながら彼らはうめき、吐き、デイゴンの名前だけを口にしていた。ウォーデンは三度歯ぎしりし、祝福された剣を手にして、獣たちを何度も攻撃した。彼女は首から頭を、肩から腕を、美徳から罪を切り離し、古い誓いの消滅を叫んだ。あの赤い日、獣たちが彼女にどう倒されたかを覚えているか?

狂気の叫びを忘れてはならない!ソーサ・シルの攻撃を受け、デイゴンがいかに激怒し怒鳴ったかを!「見よ!」公を砕いた聖なるメトロノームは叫んだ。「失われたアルド・ソーサの怒りを見よ!偽りの父の偽りの息子を、我が手で殺したことを知れ!カエル・パドメ・ヴィエ・アルタドゥーン!」

最後に至ってさえ、破壊の公は態度を変えなかった。生き残った最後の強力な四つの腕を使って、デイゴンは最後の4つの偉大なカミソリを時計作りの顎に当てた。自分の舌で血の味を確かめた我が謎の父は、最後の時の死の言葉を囁き、デイゴンはあらゆる時で爆発した。アース・ボーンズはおののき、全車軸は震えた。この切り裂きの言葉から、真実が根を生やした。

メエルーンズの残骸はニルンとオブリビオンの間を滑り、不機嫌な子供のように呪いを叫んでいた。巻かれ続けるメインスプリングは真鍮で覆われた拳を握りしめ、叩いて隙間を閉じた。最後のタムリエルに、また少し近づいた。アヌヴァナシ。モーンホールドの崩壊の真実はこれで終わる。この物語を決して忘れるな。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第9巻The Truth in Sequence: Volume 9

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説教からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

「巻かれ続けるメインスプリング」は何よりも作成を高く評価する。形作り、組み立てる女と、着想し、創造する男。クロックワーク神の真の子供たちだ。

お前の仕事にはソーサ・シルの荘厳なクロックワークのように、唸りや擦過音を必要としない。ブラシ、木工錐、トング、針。それぞれが謎の父を称えるだろう。彼の真実を語る限りずっと。そしてセトの子よ、彼の真実とは何か?完全なことのみか?そうではない。連なった言葉を聞け!単純な精度は美徳の影以外の何物でもない。たとえ信仰を持たぬ鍛冶屋でさえ、非常に鋭い刃を持った刀剣を作る。完璧な球体、最も澄んだガラス、完全な角度。全て彼の加護を得るには至らない。最も純粋な不調和と大いなる疑念を通してのみ、祝福を得られる。三重に畳んだ心で考えよ。不連続を見つめよ。

定命の者にはこの不連続を完全に把握できないだろう。我々は一部だけを理解する。境界の真実だけを。ある者にとって、不連続は失望をもたらすものだ。他の者は子供の当惑によって眺める。だが極めて少数の者、名もなき探検家にとって、このかすかな理解の光は無限の曲線の橋、転がる車輪だ。

知るのだ、灰の子よ。恐れを知らぬ精神のみがこの道を歩める。分かっているように、名のない魂はぐるぐると回り続けるだけの、綱渡りの軽業師だ。下にも側にも、シェオゴラスの嘘の開いた口が待っている。前に、上に、最後のタムリエルを待て。アヌヴァナシ。

お前の叫びが聞こえる、セトの子よ!お前は尋ねる。「どのように車輪を転がすのか?」と。ここに名のない真実がある。全てのボルトに合うレンチがないように、全ての魂に適合する歩みはない。彫刻家にとって、それは逆転した角度か、入れ替わった形を意味するかもしれない。名のある類似の放棄と抽象化の容認を。数学者にとって、半ば正気を失ったかのような定理を必要とするものかもしれない。想像上の立方数と関数の空間を。発明家にとって、いかなる使い方も知られていない道具か、または疑問のみを焼き付ける、応答する機械を要求するものかもしれない。

完璧に作り、不明瞭に使え。これが最後のタムリエルへの最も確かな道だ。アヌヴァナシ。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第10巻The Truth in Sequence: Volume 10

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

「古きもの」へのやみくもな崇敬には注意せよ、セトの子よ。古の油はしばしば未来を焚きつける。我々の祝福された先人の助言を無視する者は、危険を承知でそうする。だが、全ての遺跡がその荒廃した広間の中に英知を隠している訳ではない。いくつかの遺跡は暗い不毛の場所、嘘と呪いの不安定な墓だ。曲がった車軸、潰れたボルト、苦い慣性の静寂の安息の場所だ。

我々の父が立ち上がる前の時代、古く乏しい知識がエルフの心を支配していた。真実を求めてではなく、真実の屍骸を求めて灰の子が先人の墓所に入った。彼らは先人を誇り高く力強い導き手ではなく、苦しそうな息をする、歯のない幽霊と見なした。愚か者が深い知恵と呼んだ、かび臭く見捨てられたエンジンの守り手と。この古い機械を打ち砕かねばならない、セトの子よ!過去は廃物の山の上で錆びつくことはない。我々の名誉ある先人の痛烈な言葉に駆り立てられ、「巻かれ続けるメインスプリング」の壮大で多角的な未来に向かって急速に突進する!彼らの言葉と行いはいつでも後のニルンの車輪の動きを滑らかにする!いつでも最後のタムリエルの綻びを閉じる!アヌヴァナシ。

けれど、ああ!今もなお「古きもの」のしもべは耳を傾ける者に老いた真実を与える。彼らはかび臭い本の上で、ガーゴイルのように身をかがめるPSJJJJの娘と息子。下に隠された、擦り切れて光沢を失ったローブと直面する。彼らは警戒を、自制を、沈着を勧告する。消え行く前のニルンの古代の美徳。それでも、好奇心の父は彼らを友と呼ぶ。神の忍耐をもって、彼らに教える。父の愛をもって、彼らを導く。全てはいつの日か、彼らが古きものの中に深い真実を見るかもしれない希望の元に。我々は貧弱な幽霊を振り払い、三重に畳んだ心を通して、彼らの記憶に新たな生命を与えなければならない。歯のない歯車は修理できない。溶かされ、再鍛錬されなければならない。それは我々の民の真実と共にある。

PSJJJJの娘と息子が偉大な力を振るうことを拒絶するものはないだろう。クロックワーク・シティのように、彼らのアルテウムの島もそうであるものと、そうであるかもしれないものの間を滑らかに動く。クロックワークの使徒のように、彼らは学び、努力し、創造する。しかし、無限の未来の勇気を持たぬ力は、まるで空のボイラーのようなものだ。激しい熱で満ちているが、蒸気を作り出すことはない。最後のタムリエルから後ずさりする者どもに災いあれ!アヌヴァナシ。クロックワーク神の意志はそのような臆病者をスラグに変える。だが喜べ!謎の父の愛情がPSJJJの価値を証明する。いつの日か、失われた呪文の織り手は聖なるメトロノームの言葉を心に留め、真実と高貴な変化を追い求める。アラタグニティア。その日が来たら、我々は彼らを抱きしめよう。友のようにではなく、兄弟や姉妹のように。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第11巻The Truth in Sequence: Volume 11

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

お前の囁きが聞こえる。子供のような嘆きが。ここクロックワーク・シティで、彼の聖なる英知の油を浴びていてさえ、お前は叫ぶ。「柔らかな草と泡立つ小川はどこだ?すぐに酔えるワインと豊富な果物はどこだ?優しい雨、歌う大枝、揺れ動くキノコはどこだ?」。まるで飢えた子供のようにすすり泣く。「現実はどこだ?」。ふいごをゆるめ、歯車を安定させろ。真鍮のように鍛錬された真実を見詰めよ。最後のタムリエルの現実を見よ。アヌヴァナシ。

物事を現実にするのは何だ?血、樹液、脈打つ心臓か?赤ん坊が生まれるときの、金切り声を上げるトラウマか?潮流の低い咆哮か?根の水に対する渇望、遠い雲の怠惰な漂流か?違う、セトの子よ!順番に言葉を聞け!お前の恐れがロルカーンの嘘から生じることが分からないのか?お前が渇望する柔らかい形状と優しい慰めは腐食した嘘同然だ。魂の忘れられた痛みを失わせる、砕かれた創造物の万能薬だ。

「しかし、ソーサ・シルの聖なる街は複製ではないのか?」お前は尋ねる。「ミニチュアのニルンでは?」。聞け、灰の子よ。クロックワーク・シティは単なる彫像でない。銅の葉と彫刻の丘はニルンの類似物ではなく、ニルンの改良品だ。「巻かれ続けるメインスプリング」の安定した手によって、丸ごと全て作られた現世の構造だ。最後のタムリエルの壮大な結束は集中を要求する。アヌヴァナシ。エルフと機械が全てを作った。自然と工学が全てを作った。過去と未来が全てを作った。やがて、ニルンの全てがセトの祝福された想像上の鍛冶場でプレスされ、火に入れられるだろう。「名もなき天秤」で量られ、測られる!これは現実ではない?原初の罪の償いではない?前のニルンの貧窮した姿が分かるか?自然の輝きに成りすます、安物の空虚な嘘が?

乾いた、堅固な場所を探し出せ、セトの子よ。彼の油を舌に塗れ。彼の滋養に富む穀物で腹を満たせ。そうだったものを追放し、来たるニルン、最後のタムリエルを見据えよ。アヌヴァナシ。

私は言葉で歯車を巻く。

連続した真実 第12巻The Truth in Sequence: Volume 12

「巻かれ続けるメインスプリング」の第四トゥールビヨン、デルドライズ・モーヴァインの説話からの抜粋

私は言葉で歯車を巻く。

私は連なった言葉を語ってきた、セトの子よ。お前の眼を後のニルン、避けられぬ壮大な最後のタムリエルへと導いてきた。アヌヴァナシ。憂慮すべき警告を叫び、無限の曲線の秘密を囁いてきた。今、私のエンジンは衰えた。最後の祝福を授けよう。車輪を作り、車軸に取り付ける歌を歌う者よ。古い機械を粉砕し、自然のままの、忘れられしアービスの鉱石から新たな真実を精錬する、恐れを知らぬ星を数える者たちよ。この究極の教えに耳を傾けよ。

最後のタムリエルは、壮大で恐ろしい方法でお前を変えるだろう。アヌヴァナシ。溶融真鍮が鋳型の中で冷めるように、お前の身体も新しく、硬化した形状を獲得するだろう。水が蒸気へ変化するように、お前の精神のつまらぬ偏見も分散し消えていくだろう。油が発火し、エンジンに力を与えるように、お前の魂も明るく輝き、永遠の車輪を動かすだろう。最後のタムリエルの結束は、我々の自己中心的な追求や嫉妬深い意志を洗い流すはずだ、灰の子よ。アヌヴァナシ。輝かしい後のニルンでは、我々が「私」と呼ぶ、ニヤニヤと笑う姿を追い払わねばならない。そうして初めて「巻かれ続けるメインスプリング」の荘厳な真実を知ることができる。無秩序の終焉を求めるなら、変化の道を歩かねばならない。そして全ての道に歩く価値があるように、それは心を喜びと恐怖で満たす。

我々は何とエトアダの歯車に似ていることか。人生を隔離された悲しみの中で、無駄に生きて満足している。その間ずっと砕かれた魂が、苦しみに泣き叫んでいることに気づかない!ニルンの寂しい海岸を見よ。壊れた眼で何が見える?浜辺か?海か?偽りと虚栄心!名のある錯覚!分離した粒子が必死に凝集したのでないなら、「浜辺」は何のためだ?単独の涙の動揺した塊でないなら、「海」とは何だ?分離している!壊れている!傲慢で無益だ!

たとえこの説話について沈思黙考した後でも、前のニルンにしがみつく者は存在する。お前は薄く惨めな「自己」を失うことを恐れている。この子供じみた恐怖を捨て去れ!時間を越えて待っているものの出発点で燃え尽きるなら、「自己」が何になる?謎の父が我々の世界を終焉の向こうへ導こうとしているのが分からないのか?我々を滅ぼそうとしている「肉体から作られた嘘」から守ろうとしているのが?たった一つ覚えるなら、これを覚えよ。祝福されたクロックワークの神は激しく、素晴らしい心でお前を愛する。彼が行うことは、お前と彼の聖なる模範に従う者全てのためだ。

持続する喜び。合一の平和。完璧なリズムの崇高な満足。誠実な労働。永遠に回転する祝福された車輪のスポークの産物だ。「巻かれ続けるメインスプリング」は完全を提供する。セトの子よ。ただ中を見つめれば良い。石炭をくべろ。ボイラーに真水を加えろ。ボルトをきつく締め、信じろ。最後のタムリエルが待っている。アヌヴァナシ。

私は言葉で歯車を巻く。

デイドラ公

Daedric Princes

アズラの祈りInvocation of Azura

シギラウ・パレート 著

300年もの間、私はアズラことムーンシャドウのデイドラ公、薔薇の母そして夜空の女王の女司祭をしてきた。どのホギトゥムも我々は蒔種の月21日を祝い、価値ある美しいものをあの方に捧げるのと同様に助言を求めて彼女を呼び出す。彼女は残酷だが、賢い支配者である。どのホギトゥムであれ、雷雨の時は彼女に祈らない。たとえ日取りが重なったとしても、こうした夜はマッドゴッドのシェオゴラスに属するからである。そのようなときアズラは我々の注意を理解している。

アズラの祈りは非常に個人的なものである。私は他3柱のデイドラ公の女司祭をしてきたが、アズラは礼拝者の性質と彼女への崇拝の裏にある真実を重視する。私は16歳のダークエルフで侍女であったとき、企みのデイドラ公ことモラグ・バルを礼拝する、祖母の魔術結社に参加した。恐喝、ゆすりそして賄賂は闇の魔法であると同時にモラグ・バルの魔女の武器でもある。モラグ・バルの祈りは、暴風雨を除いて星霜の月20日におこなわれる。この儀式が行われないことはめったにないが、モラグ・バルはしばしば他の日に人間の装いで自分の崇拝者たちの前に姿を現す。ファイアウォッチの後継ぎに毒を盛ろうとして祖母が亡くなったとき、私は自分の信仰をもう一度問いただした。

兄弟はボエシアの教団のウィザードだった。彼の話から、闇の戦士は信用ならないモラグ・バルよりも私の精神に近かった。ボエシアはデイドロスの誰よりも戦士らしいデイドラ公である。数年間を陰の策略で過ごした後では、行動に直接結果が生まれる主人は好ましかった。その上、私はボエシアがダークエルフのデイドラの1人であるのが気に入った。黄昏の月2日、籠手と呼ぶ日に我々の教団は彼女を召喚した。血まみれの戦いが彼女に敬意を表して行われ、9人の信者の命が他の信者の手で奪われるまで衝突は続いた。ボエシアは彼女の信者に対してほとんど気を使わず、彼女の関心は我々の血だけだった。誤ってスパーリング中に兄弟を倒してしまったとき、彼女は確かに笑った。私の恐怖が彼女を大喜びさせたのだと思う。

その後すぐに教団を離れた。ボエシアは私にひどく冷たかった。心に深みのある支配者が欲しかった。人生の次の18年間、私は誰も崇拝しなかった。その代わり、本を読んで研究をした。古くて俗な書に、不可思議なノクターナルの夜の女王、ノクターナルの名前を見つけた。その本が指示したように、炉火の3日、聖なる日に彼女に呼びかけた。ついに、長いこと求めていた自分の主を見つけたのだ。彼女の不可思議な痛みの元になる、入り組んだ哲学を必死で理解しようとした。話し方や私に求めた言動でさえも、彼女に関することはすべて闇に包まれていた。私がノクターナルを理解できることはないという、単純な事実を理解するまで数年かかった。ボエシアへの残忍な行為やモラグ・バルへの裏切りと同じように、彼女の神秘は彼女にとって不可欠だった。ノクターナルを理解することは彼女を否定し、その部分を闇で覆う幕をめくることだ。私は彼女を愛する程に、彼女の謎を解く無益さに気がついた。代わりに彼女の姉妹、アズラのことを考えるようになった。

アズラは私が崇拝したデイドラ公の中で、唯一信者を気にしているように思える。モラグ・バルは私の精神、ボエシアはは私の腕、そしてノクターナルはおそらく私の好奇心を欲しがった。アズラはそのすべてを望み、とりわけ愛を欲しがる。盲従ではなく、誠実で純粋なあらゆる私達の愛だ。そしてその愛は、内側にも向かわねばならない。我々が彼女を愛し自身を憎むと、彼女は我々の苦しみを感じる。私が今後他の主に仕えることはないだろう。

エドラとデイドラAedra and Daedra

神、悪魔、エドラ、デイドラという名称は一般の大多数にとっては紛らわしい物である。これらは同意語として使われることも多い。

「エドラ」と「デイドラ」は相対語ではない。両方共、エルフ語で正確な定義がある。アズラはスカイリムとモロウウィンドのデイドラである。「エドラ」は通常「祖先」と訳され、シロディール語としてはエルフ語の概念に可能な限り近づけている。一方、「デイドラ」は大まかに言うと「我々の祖先ではない」という意味になる。伝説上の系図がイデオロギーを根本的に分岐させているダンマーにとって、この違いはとても重要な物だった。

エドラは静止に関連付けられる。デイドラは変化を象徴する。

エドラは定命の者の世界を作り、アース・ボーンズに縛られている。一方、想像ができないデイドラは変化をもたらす力を持っている。

神の創造に基づく契約の一部として、エドラは殺すことができる。ロルカーンと月がその証明である。

契約が適用されない、変幻自在なデイドラは、追放することしかできない。

オプスカルス・ラマエ・バル・タ・メッザモルチェOpusculus Lamae Bal ta Mezzamortie

ラマエ・バルと休まらぬ死の概要

マベイ・アイウェニル 書記

グウィリム大学出版局翻訳 第二紀105年

光が大きくなると、陰の闇が濃くなる。デイドラのモラグ・バルがアーケイを見て、人間やエルフ族の死を支配するエドラを高慢と考えた時、それは真実となった。

残酷な抑圧と定命の者の魂を罠にかける役割のバルは、ニルンの人間やエルフ族、獣人も死からは逃れられないと知っているアーケイを邪魔しようとしていた。エドラは自分の役割を疑わず、だからこそモラグ・バルは最高の死をニルンに送った。

バルが人の姿になってネードの民のラマエ・ベオルファグの乙女を奪った時、タムリエルはまだ若く、危険や驚くべき魔法に満ちていた。バルは乱暴に愛もなく彼女の体を汚した。その叫びが悲鳴の風になり、今もスカイリムのフィヨルドでは聞こえるところがある。1滴の血を彼女の額に流し、バルは怒りを撒き散らしながらニルンを去った。

乱暴を受け意識のない状態で、ラマエは遊牧民に発見され世話を受けた。2週間後、遊牧民の女性は彼女が他界したために布で覆った。習わしに従い、遊牧民はたき火を作り魂のない体を焼いた。その夜、ラマエは火葬の薪の中から立ち上がり、燃えたまま群衆に襲いかかった。彼女は女性の喉を裂き、子供の目を食べ、バルに暴行されたように残酷に男性を犯した。

そしてラマエ(血の母として有名)はタムリエルの人達に呪いをかけ、醜悪な物を際限なく生み出した。最も狡猾な夜の恐怖、吸血鬼はここから生まれた。タムリエルには不死の苦しみがもたらされ、原初の神々の時代から続くアーケイの生と死のリズムを残酷に阻害したのだ。アーケイは悲しんだが、元に戻すことはできなかった。

ハーシーンのトーテムThe Totems of Hircine

ハーシーンから最も貴重なライカンスロープの贈り物を授かった我々の間で、彼が自分の力をこの世界に存在する特定のアーティファクトにもたらしたという伝説がある。それは人間が書く事も話す事も考える事もほとんどできなかったが、選ばれし者達には野獣の血がまだ色濃く流れていた頃の時代の話だ。

第1:彫刻がほどこされた狼の頭蓋骨。
我々一族を作り上げた血の儀式で古代の呪術師によって使われ、その前にひれ伏す人々への存在感を高めると言われている。それは、ハーシーンの顔をちらっとでも見たことのある人々以外は、彼らの姿を見ると未知の恐怖で縮み上がるほどだと言われる。

第2:頭蓋骨同様、彫刻が施された大腿部の骨だが、何の動物の骨かは不明。より古代の仲間の多くが薬効効果のある棒として使用し、視力も嗅覚も高めると言われていた。そのため感覚が鋭くなった我々から獲物が遠くに逃れられなくなった。

第3:平凡な太鼓。そのありふれた外観はおそらく長い歳月の中で忘れ去られたことを意味するのだろう。我々の父が戦場から仲間を呼ぶために拍子をとったように、太鼓を鳴らせば我々の血の中に眠る先祖が同族を呼び集めるだろう。

これらのトーテムを通して、我々は野獣の力を呼び起こし、集中させる。ウェアウルフが人々に知られている魔法を見限る一方で、我々は時により直接的な自然エネルギーと接触できる。そしてこのようなトーテムを通して、人工的な文明に汚される前の最初に世界を支配した力を見つけられるのだ。

フラグメンテ・アビーサム・ハルメアス・モラスFragmentae Abyssum Hermaeus Morus

…そしてイスグラモルは巨人の妻の嘆きを集め、フロアとグロスタの元に持って行き、イスグラモルの強弓ロングランチャーを張り直すため、より合わせて悲嘆の弦にしてもらった。以来、ロングランチャーは運ばれるとため息をつき、発射されると嘆きの声をあげた。そして、イスグラモルはそれを狩りに持って行くことにした。

そして彼はアトモーラのフロストウッドで狩りをして、多くの獲物を仕留めてから、喉を心ゆくまで潤そうと浅瀬で立ち止まった。そこにフォーレルグリムの白鹿が、流れを越えて飛び跳ねた。イスグラモルは鹿を射た。だが彼は何と射損じた。不機嫌な彼は誓った。白鹿を倒すまで追い続けると。だが鹿は静かに落ち着いて、雪の上にかかる霧のごとく通り過ぎていった。イスグラモルは何度も鹿を見たが見失った。悲嘆の弦のため息が、白鹿の足音より大きくなったがゆえに。

再び跡を見失い、怒りに燃えて立ち止まったとき、ウサギが現れて言葉を発した。「鹿はあそこの谷の中に潜んでいます」「どうしてわかるのだ?」イスグラモルはウサギに問いただした。ウサギは答えた。「長い耳があるのでわかります。ええ、あなたも私ほどの長い耳を持っていたら、獲物がどこに行っても聞きつけることができますよ」

「それならば」イスグラモルは言った。「私の耳が汝のものほどの長さになるように」するとウサギの鼻がひくひくと動き、イスグラモルは自分の耳が伸びて先が尖るのを感じた。ところが一匹のキツネが雑木林から飛び出して、ウサギに飛びかかって殺した。イスグラモルは不思議なことに、自分の耳が縮んでいつもの大きさになったのを感じた。

そしてキツネが言葉を発した。「知るがよい、定命の者よ。我が名はショール。この者はウサギなどではなく、ハルマ・モラである。汝を欺き、エルフの仲間に変えるところであった。これより後は、人間の素直なやり方に頼り、エルフのごまかしを避け、彼らのようにならぬようにせよ。さあ、谷で汝を待つ白鹿のもとへ向かうがよい」

ハイルマ・モラ・パド・アダ・オイア・ナガイア・アバ・アゲア・カヴァ・アポクラ・ディーナ・ゴリア・ガンドラ・アルカン

「ハルメアス・モラはアダ、アビサル・セファリアークよりも年長であり、この下劣な者の請願に耳を傾ける。私が否定された知識を交換するに至ったがゆえに。私が求めるものはこの羊皮紙に名前が書かれており、それによって私はお前に敬意を表して知識の悪魔を使役する。我が願望にとって知ることは計り知れず、償いには名づけられたいかなる対価もみたされるであろう」エ・ハルマ・モラ

エ・ハルマ・モラ・アルタドゥーン・パドメ・ルカン・エ・アイ

(私の次なる夢は)アポクリファの夢だった。そこで私は(名もなき書物)の間の影の広間、煙のごとく吸い込んだ意見と議論の間を歩いた。左手にはベラムの巻物、右手には羽根ペンを持ち、通り過ぎてきた歴史(を書いた)が、巻物が文字で満たされることはなかった。(言葉を)下に書くにつれて上の(言葉が)消えていくからだった。

そして私はラピスラズリの台座の元で立ち止まった。そこにはこれまで述べてこなかった(物が)しまってあった。奇妙な装飾の壷だった。そこで私は巻物と羽根ペンを(脇に置いて)、装飾をつかんで蓋を持ち上げた。

(壷の中には)ねばねばした不快な匂いの(液体)があった。その上に浮かんでいたのは、灰色に輝く定命の者の(思考器官)だった。それで、なぜかはわからないが理解した。その(液体)は塩水ではなく、その脳は保存されていたのではなく生きていて、警戒しており、闇の知性によって思考を続けていたのだと。私は蓋をしめて壷(から目を上げて)、そして(台座の向こうの)長くどこまでも続く回廊を見やった。左右に数え切れないほどの台座が並び、(それぞれの台座の上には)壺があった。

(そういうわけで)私が目を覚ました(時)、私の舌は刺し貫かれていたのであった。

ボエシアの証明Boethiah’s Proving

(以下の説明は真実である。聞く耳と考える心を持つ人々に警告として届きますように)

ある日ある時刻に、信仰深い者たちは主を一目見ようとある儀式を行うために集った。日程は正しく、まさしく召喚日和だった。

ベールに立ち込める煙を掻き分けて、恐ろしくもまばゆい女が姿を現した。彼女は太陽の表面よりも熱く燃え上がる刀剣を振りかざしながら、月が出ていない夜よりも暗い漆黒の衣装で着飾っていた。ダンマーの戦う女王の姿だったが、レッドマウンテンから彫り出された像のようにそびえ立っていた。

「なぜ私の眠りを妨げたのだ?」

驚いて、人々の間で1番目の者は祈った。

「ボエシアよ、策略のデイドラ公にして民を惑わす者であり、影の女王でありそして破壊の女神でもああるお方よ。あなた様に崇拝を奉げるために参りました!」

彼女は証言をしようと集まった彼らを見下ろした。不機嫌そうな顔で最初に尋ねた。

「答えよ。お前は私を知っているが、私はどうやってお前を知ればいいのだ?」

恐る恐る男は答えた。

「毎晩あなた様に祈ります。毎晩あなた様の素晴らしいお名前を声に出してお呼びします。もちろんあなた様は私の声がお判りになりますよね?最も忠実な信者ですよ?」

彼女は顔をしかめて長い溜息をもらすと、そこから出た空気が男を包み、突然彼の姿は消えた。

2番目の者の方を向き、彼女は尋ねた。

「お前はどうだ?どうお前の価値を見定めればいい?」

その声の力に衝撃を受け、男は漆黒の衣装を纏った彼女の前で頭を垂れた。

彼女が手をたたくと、彼もまた消えた。

3番目の者には次のように尋ねた。

「そこのお前、答えてみろ。私は先ほどの彼ら、そしてお前のように情報がない者をどう知ればいいのだ?」

震え、仲間の失踪に言葉を失い、男は囁いた。

「我々にお慈悲を!」

彼女は2度まばたきした。1度目のまばたきで男は苦しみ悶絶し、2度目で死んだ。

彼女は残りの者たちに容赦ない視線を向けて言った。

「私は慈悲を与えはしない」

他の者たちも一緒だった。彼女は彼らを試し、彼らは何も与えられなかった。

ついに、怒りで目をぎらつかせ憎しみで舌を濡らし、彼女は私のところに来て言った。

「すべての私の信者の中で残りは2人だ。最後から2番目の者よ、どうやってお前の存在を証明するのだ?」

ためらうことはなく私は武器を抜いて、隣に立っているもう1人の胸を突き刺した。恐れることなく答えた。「今この刃から血を流すこの男に、私が存在しているかどうかを聞いてください」

彼女は微笑んだ。そして彼女の歯の間にあるオブリビオンの門が開いた。それから言った。

「最後となった者よ、なぜ他の者たちがいない場所に残るのだ?」

私は刃をしまい、答えた。

「そこにいる者が死んだから、私は生きています。私が存在しているのは、その意思があるからです。この刃から血が滴るように私が仕事をする証がある限り、私は生き残るでしょう」

贈り物を受け取りながら、彼女は言った。

「確かに」

(もし、これを読んでいるときに血管の血が煮えたぎり、心が燃えていたなら、ボエシアに呼ばれるだろう。彼女の声に耳を傾けることは最も賢明である)

モラグ・バルの子供The Spawn of Molag Bal

モラグ・バルは奴隷にする。モラグ・バルは冒涜する。

モラグ・バルは従わざる者との子供を生み、軽率な者の魂を刈り取る。

伝説によれば、モラグ・バルは最初の吸血鬼の父である。吸血鬼の多くの種についての詳細は明らかではないが、吸血鬼はみな彼の子と考えられるかも知れない。

大部分の吸血鬼は血をたどっていくと同じ遠い祖先に行き着く。モラグ・バルに汚された、ネードの従わざる処女だ。彼は怪物の血を生み出し、怪物達はさすらい、彼の汚れを遠くに撒き散らした。

モラグ・バルとの契約や取引の結果吸血鬼となった種もある。モラグ・バルは契約の見返りに、不死と永遠の罰を伴う力を約束したのだ。

モラグ・バルは混沌と不和の種を蒔き、次々と魂を腐敗させることで争いを撒き散らす。彼の軍は勢をなし、彼の忍耐は無限である。彼の究極の目的は、生きとし生けるものすべてを支配し、奴隷とすることだ。

現代の異端者Modern Heretics

帝都内のデイドラ崇拝の研究

ゴトルフォントのハデラス 著

シロディール内でデイドラ崇拝は法で禁じられてはいない。これは主に、デイドラの召喚を許可するために帝都が魔術師ギルドに対して認めた特権の結果といえる。にもかかわらず、聖職者および一般大衆からのデイドラ崇拝への風当たりが非常に強いため、デイドラ関連の儀式を行うものたちは秘密裏に活動している。

一方で、諸地方に目を向けてみるとデイドラ崇拝に対する見方は様々である。シロディール内でも年月と共に伝統的な世論に少なからぬ変化が見られ、デイドラを崇拝する集落も存続している。伝統的なデイドラ崇拝を志す者には信仰心や個人的な信念を動機とする者がいるのに比べ、現代的なデイドラ信者の多くは魔法的な力を目当てにしている傾向がある。とりわけ冒険家と呼ばれる人種は、伝説に名高いデイドラのアーティファクトの、武器や魔法的な利点を追い求める傾向にある。

筆者自身も、夜明けと黄昏の女王であるアズラを信仰する一団と遭遇している。デイドラ崇拝に興味をもつ研究者は複数の方法で調査を進めることができる。既存の文献の研究、古代のデイドラの祠の探索および発見、各地の情報通からの聞き取り、そして信者そのものからの聞き取りなどが挙げられる。筆者自身はアズラの祠を発見する際にこれらの手段を全て用いている。

筆者は最初に文献を紐解くことにしている。本書のような解説書からデイドラの祠に関する一般的な事情などを知ることができる。筆者が自身の研究によりシロディール内のデイドラの祠について理解している事項を例示すると、一般的に、デイドラの主の像が祠の象徴となっており、祠の位置は集落などから離れた野外にあり、各々の祠には信者の一団がついており、祠ごとにデイドラの主への嘆願等を行うべき特定の時間(週の間のある日であることが多い)が決まっており、デイドラの主は嘆願者が十分な力を有しているか、相応の人物でない限り嘆願に応じないことが多く、また返答を得るには適切な供物を捧げる必要があり(捧げるべき供物については信者の一団のみが知る秘密となっていることが多い)、そしてデイドラの主は何らかの仕事や使命を達成した冒険家には、しばしば魔力をもったアーティファクトを授けることがわかっている。

筆者は次の段階として、周辺地域の地理に精通している地元住民に聞き取りを行う。とりわけ得るものが多い聞き取り対象は二つあり、一つめは(移動中に祠を発見する可能性のある)旅の狩人や冒険家であり、二つめは魔術師ギルドの学者たちである。アズラの祠については、どちらの対象も有益な情報源となってくれた。旅路の途中で奇妙ながらに雄大な彫像を見かけたというシェイディンハルの狩人によると、像は両腕を伸ばした女性の姿をしており、片方の手には星を、他方の手には三日月を持っていたとのことだった。祟りを恐れて像を避けたものの、その位置は記憶しており、シェイディンハルの遥か北方、アリアス湖の北西、ジェラール山脈の奥深くという情報が聞き出せた。像の外観に関する情報が得られたので地元の魔術師ギルドを訪ねてみると、その外見を元に崇拝の対象となっているデイドラの主の正体が特定できたのであった。

祠の位置が判明したので現地に足を運んでみると、祠の周囲に信者の一団が住み着いていることがわかった。デイドラ崇拝に対する風当たりの強さゆえ、信者たちは当初こそ自分たちの素性を認めたがらなかったものの、筆者が彼らの信頼を得た後にはアズラが嘆願に耳を貸す時間帯(夕暮れから夜明けまで)に関する秘密や、捧げるべき供物がウィル・オ・ウィスプから得られる「発光する塵」であることを教えてもらえた。

筆者は一介の聖職者兼学者であるため、ウィル・オ・ウィスプを発見して発光する塵を入手することはかなわなかったうえ、供物として捧げられたとしてもアズラが耳を貸してくださったかどうかは定かではない。しかし、仮に供物を捧げてアズラがそれを認めてくださった場合、筆者は何らかの使命を与えられ、それを達成できた暁には伝説的な魔力を秘めたデイドラのアーティアクト「アズラの星」を授かることができた可能性があったのは確かである。

筆者はその後、シロディール内に上記以外にも複数のデイドラの祠が存在すること、およびそれぞれの守護神であるデイドラの主の名、そして冒険家たちが授かりうるデイドラのアーティファクトに関する噂を耳にしている。狩人のハーシーンは強力な魔力を帯びた鎧である「救世主の皮鎧」の伝説と結びついている。魔剣「ヴォレンドラング」は妖魔の王マラキャスと関連があるらしく、名をそのまま冠した「モラグ・バルの戦棍」もデイドラ崇拝の対象となっているようである。シロディール内にあるこれら以外のデイドラの主の祠および信者たちについては、たゆまぬ努力を続ける探究者たちによって明らかにされていくことだろう。

災厄の神The House of Troubles

聖ヴェロスとチャイマーに従って約束の地モロウウィンドへと向かった祖先の霊魂の中で、デイドラの主である4人、マラキャス、メエルーンズ・デイゴン、モラグ・バル、シェオゴラスは、災厄の四柱神として知られている。彼らデイドラの主は、トリビュナルの助言と勧告に反発し、クランと名家に大いなる騒動と混乱をもたらした。

マラキャス、メエルーンズ・デイゴン、モラグ・バル、シェオゴラスは、試練の時に障害物の役割を果たすという意味において聖人である。時に彼らは、この地域の敵であるノルド、アカヴィリ、あるいは山のオークとさえ交流を持った。

マラキャスはかつてトリニマクだった者の残骸であり、弱いが復讐心に燃えた神である。ダークエルフは彼がオークの神王マラクだと言う。彼はダンマーの身体的な弱さを試す。

モラグ・バルは、モロウウィンドにおける残虐の王である。彼は名家の血統を壊そうと試みており、さもなければダンマーの遺伝子プールを汚すつもりでいる。モラグ・アムールに住んでいたと言われる怪物の種族は、前紀に行われたヴィベクの誘惑の結果である。

シェオゴラスは狂気の王である。彼は常にダンマーの精神的な弱さを試す。多くの伝説において彼は、ダンマーのある派閥に対抗しようとする派閥に招かれている。物語のうち半数において、彼は自分を呼んだ者たちを裏切らず、そのため、全体的な枠組みにおける彼の立場について混乱が生じている(果たして彼は我々を助けられるのか?障害にはならないのか?)。彼は、例えば帝国のように、ダンマーが恐怖を抱く他の種族と、役に立つ同盟者として結びつくことがある。

メエルーンズ・デイゴンは破壊神だ。火事、地震、洪水など、自然の危険と関わりを持つ。ある者たちにとって、彼はモロウウィンドの住みにくい土地の象徴である。耐えて生き延びる意思がダンマーにあるかどうかを試す。

これら四柱の邪悪は崇拝は、聖堂の掟と慣習に反することである。しかし、四柱に仕えようとするどん欲で無謀な者や、正気を失った者が絶えた試しはない。古代の聖堂の掟と秩序、そして帝国の法に基づいて、こうした魔女やウォーロックたちは処刑される。帝国の駐留部隊は聖堂のオーディネーターやボイアント・アーミガーと協力して、荒野の隠れ家や古代の遺跡に隠れて冒とく的な崇拝を行う者たちを追い詰め、始末している。

夢中の歩みThe Dreamstride

1000年以上もの間、ヴァルミーナの司祭は錬金術の達人である。彼らの混合剤の複雑さと効用は、まさに伝説にほかならない。このような錬金術の秘宝は非常に人気があり、闇市に出回る水薬1つが大金を生むこともある。

現在知られている数多くの薬の中でも、おそらくヴァルミーナの不活性薬が1番素晴らしいだろう。この粘着性のある液体を一滴飲むだけで、「夢中の歩み」として知られる状態に陥る。使用者は他人の夢を、まるで自分がそこに入り込んだかのように体験できるのである。対象者は最初から居たかのように夢の世界に溶け込み、夢の重要な一部になる。夢の中に登場する人々からは、使用者の方が夢を見ている人だと思われるだろう。使用者は、自分の癖や話し方、適切に広がった知識さえも目にするはずだ。

観察者の目には、薬を飲んだ使用者の姿が消えてしまうようだ。対象者が夢の中で行ったり来たり歩くとき、観察者たちもまた実際の世界を行ったり来たり移動する。不活性薬の効き目が切れると、対象者の姿は再び見えるようになり、夢の中でいた場所とまったく同じ場所に出現する。わずか数フィートしか動かなかった対象者もいるし、ほんの数分で元の場所から数千マイルも離れた場所に現れた者もいる。

注意すべきこととして、夢中の歩みは非常に危険で対象者に様々な潜在的危険を与えることだ。ある夢では、対象者は病気や、暴行そして死のような生命を脅かす状況にさらされた。ほとんどの場合は傷を負うことなく現実の世界に戻って来れるが、場合によっては対象者は帰ってこずに薬の効き目が切れたと見なされるか、死亡した状態で現れる。現実世界においては危険で有害な場所に戻ってきてしまうことも多い。たとえ夢中の歩みの中では、そこが安全な場所であったとしてもだ。

ヴァルミーナの不活性薬は、それを作り出す錬金術師のように不思議でとらえ所がないものである。この独特の移動装置が不活性薬自体の効果なのか、単にヴァルミーナの奇妙な企みなのか定かではない。しかし、通り抜けられるはずのない障害物を通り抜ける夢中の歩みの効果は、確実にその不思議な性質によるものである。