クラグローンの秘密

Craglorn Secrets

アガノールの日記Agganor’s Journal

呪術師アガノールの日記より

いつも備えていなければならないと長老達は言う。チャンスが訪れた時には全てそれを掴まなければならないと。そして、それこそまさしく私が今日行ったことなのだ!

* * *
私は長い間、呪術師、牙砕きのラッシュブラの古いやり方の下で奮闘してきた。私は時々、最初の石がこの世界に置かれた時でさえ彼は老人だったのではないかと考える。彼は決して私の提案を聞き入れないし、決して新しい、または違ったことに挑戦したがらない。

だが石は価値ある者に微笑む!スケールドコートが我々の谷にやって来て、我らがゴルトラッガ、ブラードス族長に謁見を求めた時、呪術師ラッシュブラは怒り狂った。彼はよそ者の処刑を求めた。だが、私にはわかっていた。スケールドコートとの戦いは、我らが勝つことができない戦いだと。

それで、私は風が谷の岩を通り抜けて囁くのを聞き、何が成されなければならないかを知った。私はラッシュブラを族長暗殺を企てたかどで糾弾し、彼らが結びつきを築き上げる前に、全力をあげて予言された同盟を崩壊させた。ブラードス族長が何を言っているのか説明を求めたので、私は嘘を長々と話して、精巧な物語を作り出した。それはゴルトラッガの自尊心を満足させ、真実だと思い込ませるのに十分すぎるほど完璧だった。

そして私の言葉により、ブラードスはスケールドコートを歓迎して谷に迎え入れた。牙砕きのラッシュブラに、太陽と羽の死刑を命じた直後であったが。

* * *
私がラッシュブラの処刑の準備をしていると、ブラードスとスケールドコートの指導者、摂政カシピアが同盟と相互協力の条件について話し合っていた。彼女は我らの鎧作りの技能と同様に、刺青を使う技術に大変興味を持ったようだった。ブラードスがためらった時、彼女は私が予想もしなかったことをした。ブラードスに、スケールドコート内での名誉ある地位を申し出たのである。

今や我らの族長は破壊にうねるオフィディアのエグザーチでもある。ブラードス・ロックボーンのような、勇敢で力強い男には調和する肩書きだ。おそらく、アガノールにもふさわしい肩書きがあるだろう。もし石の声を聞き、さらなる前進への機会を伺い続ければ。

* * *
ラッシュブラは打ちのめされ、切り刻まれ、我が民の10の鉄の誓いごとに血まみれになった。それから彼は置き去りにされた。岩に縛り付けられ、太陽に焦がされるとカラス達が集まり始めた。老呪術師がついに最後を迎えるところを見たらさぞかし楽しめただろうが、確実に族長へ助言し、スケールドコートとの交渉を続ける際には側にいなければならない。老人があの世へ行くのを見届ける証人として、2人ほど衛兵を残して行こう。

* * *
後になって戻り、ラッシュブラが去り、衛兵が死んでいるのを発見した。それでは、あの老呪術師には少しばかり奇術をやる力が残っていたわけだ。こうなることは予測しておくべきだった。それでも、年老いた死にかけのアイアンオークに何ができる?1度は打ちのめされ、追放された彼に?何もない!それに私には今、もっと重要なやるべき事があるのだ。スケールドコートとの同盟は合意に至り、締結された。次に私がこの話を取り上げる時には、私もまたコートの摂政として新たな肩書きを発表したいと希望している。

私が今日提供した奉仕に対し、大蛇はどのような名を授けてくれるだろうか?

アッバ・アールの説話:牛の話Tales of Abba Arl: The Ox’s Tale

ある日、子供がアッバ・アールの所へ来てこう尋ねた、「僕たちの両親はだれ?」

アッバ・アールはこう答えた、「人間には2人ではなく、4人の両親がいる。偉大な時の竜神は、彼らの道に星を置き、世界を見守るようにガーディアンたちを指名する。母なる大蛇はその背に世界を休ませる。太った母は人々が道に迷い、飢えた時に、栄養を与えてくれる。そして、牛は人々を生み、背中に背負って墓場まで連れて行く。多くの逸話が、4人の両親について伝えている」

子供達は、アッバ・アールに言った。「最後のやつを最初に聞かせてよ。人々を生んで、背中に乗せて墓場まで連れてく牛の話を」

そして、アッバ・アールはその話をした。

「人々が街に移住するより以前、彼らは野生のままに彷徨う動物の群れを追いかけ、狩って食べていた。狩人の中に、コルヴィーと言う者がいた。ある日彼が狩りをしている時、偶然子牛に出くわした。子牛はとても若くて、まだ歩けず、この母牛は横で死んでしまっていた」

「狩人のコルヴィーは子牛が可哀想になり、彼の小屋に子牛を連れて行った。彼は草原から探してきた野生の穀物と、茂みに育っているベリーと、木の甘い葉っぱを子牛に与えた」

「子牛はコルヴィーの息子のように、家族の一員のようになった。そして子牛が大きくなった後でも、狩人は殺して食べることに耐えられなかったので、彼らと牛はずっと隣で生活した。そして子牛は、いまや力強い雄牛になって、狩人を父のようにも母のようにも慕っていた。夜ごとに、雄牛はコルヴィーの小屋の横で見張り、危険があれば彼に知らせた。その替わり、狩人は雄牛を捕食者から守った」

「そして、コルヴィーが狩りをしている時、蛇の巣に落ちてしまい、とてもひどく噛みつかれたある日があった。そして彼は雄牛に言った。”私は噛まれて、死にかけている。私の元を去って、他の野生の獣の群に加われ。草原を駆けまわるんだ”」

「けれど雄牛はこう返答をした。”あなたは私の父親であり母親だ。放ってはおけない”」

「そして雄牛は狩人の横で、夜遅くまで付き添っていた。その内に毒が回って弱り、狩人はついに死んでしまった」

「そして、雄牛が父親でもあり母親でもあった狩人が死ぬのを見た時、雄牛は大変な力で泣き、地が震えた。動物の群れは、恐怖のあまり四方に散らばった」

「そして、雄牛はコルヴィーを背中に乗せて、他の狩人の所まで行って言った。”この男は私を子牛の時に見つけた。母親が死んだ時、彼は俺に餌を与え、強い雄牛に育ててくれた。彼は私にとって父親であり母親も同然で、自分の命よりも愛おしいものだ。彼は蛇の巣に落ちてしまい、大蛇が彼を噛んで血液に毒が入ってしまった。そしてその夜、彼は死んだ”」

「雄牛の話を聞いて、他の狩人が答えた。”我々に何をして欲しいんだ?俺たちはただの狩人だ。何事についても知っちゃいない。俺たちは仲間が死んでも、そいつを平原に残して、鳥達に食べさせるのさ”」

「雄牛はこう返事をした。”この高貴な狩人の身体をそのまま残して、鳥達に食べさせるべきではない。薪の山を作って、その上にこの男の身体を置く。そして狩人が燃えたら、私を連れて行って殺し、新鮮な肉をこの薪の上で焼いて料理してくれ。そして高貴な狩人を思い出しながら、ご馳走を食べて欲しい。そして次の世界でも彼についていき、彼が以前、私が歩くこともできない時、小屋に連れて行って育ててくれたように、彼を育てるのだ”」

「狩人は雄牛の言葉に知性を見て、そして力強い雄牛が振る舞う素晴らしいごちそうのことを考え、言われたとおりにした」

「それから、コルヴィーへの忠誠を見て、狩人たちは彼の例に倣い、野生の動物を飼い始めた。そして、彼らは世界中に動物を追いかけて狩りをする必要がなくなった。そして今日、偉大な狩人が死ぬと、雄牛が殺されて宴が開かれる。そして雄牛の骨は死者を次の世に運ぶために、薪の上に置かれるようになった」

アッバ・アールが話を終えると、子供達は手を叩いてこう言った。「いい話だね、僕たちの4番目の両親、牛に感謝しなくちゃ」

アッバ・アールの説話:太った母Tales of Abba Arl: The Fat Mother

ある朝、アッバ・アールは子供たちに尋ねた。「我々の両親、太った母を知っているか?」

子供たちは首を振り、「ううん。太った母のことは知らない。アッバ、彼女のことを教えてくれる?」

アッバは頷いて話を始めた。

「人々が農耕を始める前、彼らは草原の動物を狩り、肉だけを食べていた。しかしある朝、狩人達は狩りに出かけたが、動物を一匹も見つけられなかった。そして、族長は彼らにこう言った。「我々は全ての動物を殺してしまったので、獲物がいなくなった。だからこの場所を去り、新たに獲物がいる場所を探さねばならない」

「そして、人々は荷物をまとめると、食料を求めて旅に出た。この旅の一団の中に、オルサと呼ばれる者がいた。彼女は人々から避けられていた。彼らは太っていて、見た目が醜いからという理由で仲間外れにした」

「ある日、人々は高い山の麓にたどりついた。そして、こう嘆き出した。”腹が減って仕方がない!すぐに何か食べなければ、きっと飢え死にしてしまう。食う物もなしに、こんな山に登れるか!”」

「これを聞いて、オルサが前に進み出た。”皆は私を仲間外れにするけれど、私はまだ皆を愛しているわ。こっちに来て、私の左の乳房からお乳を飲んで。そうしたら、山に登る力が沸いて来るかもしれないわ”。人々はとても喜んで、お腹いっぱいになるまでお乳を飲んだ。腹がお乳で満たされると、人々は山を登り始め、死ぬこともなかった。そうであったにも関わらず、彼らはオルサを惨めに扱った」

「そして月日は流れ、人々は川に行き当たった。するとまたこう言って嘆き出した。”腹が減って仕方がない!すぐに何か食べられなければ、きっと飢え死にしてしまう。食べる物もなしに、こんな川を渡れるか!”」

「するとオルサが言った。”私はまだ仲間外れだけれど、皆を愛しているわ。こっちに来て、私の右の乳房からお乳を飲んで。そうしたら川を渡る力が沸いて来るかもしれない”。もう一度、人々は貪欲に腹を満たした。彼らは泳いで川を渡り、1人も死ぬことはなかった。このことがあってからも、人々はオルサと仲間のように交流しなかった」

「さらに月日が流れ、人々は広大な砂漠の端にやってきた。もう一度、人々は嘆いた。”腹が減って仕方がない!すぐに何か食べなければ、きっと飢え死にしてしまう。食べる物もなしに、こんな砂漠を歩けるか!”」

「人々はオルサを見て、助けを求めた。”また乳を飲ませてくれないか、太った女よ?”。こう尋ねた」

「”できないわ”とオルサは言った。”あなた達は山の麓で私の左の乳を飲み、川の岸で右の乳を飲んだ。これ以上はお乳が出ないわ”」

「人々はとても動揺し、がっくりと膝を落として泣きだした」

「その夜、オルサは星に祈った。”ああ、お星様、私はどうすればいいですか?もうこれ以上人々にあげるお乳はない。私たちは、食べる物がなければ飢え死にするでしょう”」

「すると星はオルサにこう言った。”オルサ、なぜあの人達のために泣くの?彼らはあなたを仲間外れにして、ひどい冗談で笑い者にするでしょう?彼らが死ねば、彼らと共に生きる苦しみから解放される。そのほうがいいでしょう”」

「”いいえ”とオルサは言った。”私は太っていて、見た目もよくないから、夫がいないの。私には自分の子供がいないわ。でもこの人達が私の子供になってくれた、だから何があっても子供達の世話をしなければ”」

「星は、これを聞いて不憫に思った。”オルサ、あなたがその子供達の世話をする手助けをして、多くの子供を授けてあげましょう。その代わり、約束をしてください”」

「”はい、どんなことでも!”と、オルサは叫んだ」

「星はこう答えた。”もしその人達があなたを一瞬でも惨めに扱ったら、あなたは彼らに必ず攻撃すること。彼らにあなたをきちんと扱うことを教えてやりなさい”」

「”約束します”とオルサは答えた」

「それから、星は最も強い魔法を使って、オルサをとても太った蜂に変えた。人々は彼女の巣からハチミツを取って食べることを覚え、生きて砂漠を越えた先にある彼らの新たな土地を見た。けれど太った母は約束を守り続けた。もし人々が彼女をきちんと扱わなかったら、オルサとその子供達が彼らを刺して、彼らの幸運を思い出させた。そうして、太った母さんは我々と一緒にいるんだよ」

アッバが話を終えると、子供達はにっこりと笑って、アッバに太った母さんのハチミツをおねだりした。

アミミルへの手紙Letter to Amirmil

愛しいアミミル

色々と冒険はしたが、これが最後じゃないかと思ってる。ブッチャーが僕らに何をするつもりかはすでに分かった。見たんだ、あの哀れなクレグとロフィラが——

いや、今のはなしだ。君が心に浮かぶ映像に悩まされて欲しくない。むしろ、アイアンオークやトロールのことは忘れてくれ。かわりに、一緒に僕らの刺激的な生活のことを思い出そう。僕ら2人ともオーリドン第一海兵隊に入隊しようとしていた時に出会ったよな。2人して酔っ払って、将校を罵って追い出されたっけ。滑らかで繊細なトーニーポートワインを1本開けて、大皿の鹿肉の壺詰めを平らげて、そして恋に落ちたんだ。

楽しかった時のことを全部思い出そう、愛する人。僕の手の感触と、隣にある体の温かさを思い出してくれ。そして、新しい恋を見つけるんだ。幸せになってくれ。生き延びろよ。これは命令だ。

どうやら僕の番が来たようだ。誰かがこれを見つけて君に届けてくれるように願う。そして僕は生きてきたように死ぬ。戦い抜くよ。

忘れないで、愛してる
カマーリー

アリアナへの手紙Letter to Ariana

アリアナ

現在多くの好機が到来しているので、君にそれを伝えたい。さて、私から聞いたことにしないで欲しいのだが、噂によれば腐敗させる者オードゥースと呼ばれるアイアンオークが、傷の渓谷の北部にある、エグザーチの要塞と呼ばれる施設に住み着いたそうだ。

試してみたいのなら、この賞金首は君のものだ。幸運を祈るよ、我が友よ!

レゴル・ホッド、賞金稼ぎ

アリーナに挑戦しようChallenge the Arena

君たちのグループは究極のチャレンジに挑戦する覚悟はあるか?

ドラゴンスター・アリーナで歴史に名を残す戦いに参加しよう!

バトルマスターを探し出して、私達の次元を含めた全次元における、史上最高の戦いに参加しよう。

対戦相手は君たちを待っている。来る前に準備は全部済ませておこう。

アリーナの試練The Trial of the Arena

第2の試練はアリーナの試練。

アリーナのチャンピオンたちを打ち負かすため、アリーナマスターは勇敢な心と強固な意志を持つ者を待っている。

アリーナの追跡Tracking the Arena

謎めいたファイトクラブに関する学術的考察について、エビダズナー・コーノッド 著

私は実態がとらえにくく謎めいたチャンピオンを決める大会を捜し求めて何年も過ごしてきた。最初にその秘密の闘技場についての話を聞いたのはヴァレンウッドだった。そのときは美貌のビーリが大会の伝説的なチャンピオンになったと聞いていた。手を尽くしたが、この噂される大会の所在や、対戦を実際に見た人に出会うことはできなかった。ヴァレンウッドの宿屋ではビーリの腕前について持ちきりだったにもかかわらず、である。

数週間の無駄な捜索の末、ヴァレンウッドの大会の話はまるで何もなかったのように消えていった。何らかの方法により、隠された巨大な複数階層のアリーナが忽然と消えてしまったのである。私はこれにより、この話は真実というより伝説のようなものである証拠と推測したが、その場所については常に心に引っかかっていた。それは夢にも現れ、思いもよらないときに考えを邪魔してくるのである。

次に謎の秘密アリーナについての話を聞いたのは、私がスカルド王のコヌンレイカーのためにウィンドヘルムにいた時だった。薄暗い酒場の影で、ノルドの荒くれ者達が試合ごとに環境が変化する魔法の闘技場について話をしていたのである。勝利することで次の試合に勝ち進み、負けは血塗られた凄惨な死を意味する。私にとってその話は恐ろしくも魅力的であり、ノルドたちはその話をこれまでに飲んだ一番うまい酒を飲んでいるかのように聞きほれていた。

その場所はスカイリム・アリーナと呼ばれているらしいが、私はその闘技場の場所を突き止めることはできなかった。この時、彼らは不愉快なホルグスタッドの輝かしい勝利についての話をしていた。その者はノルドの中のノルドであり、トロールのごとき長身でその2倍の力を持つという。ホルグスタッドは両刃の斧と稲妻を放つ短剣を持って試合に臨むといわれていた。彼らによれば、ホルグスタッドには共に戦う3人のノルドの盾乙女がつき従い、その者たちは対戦相手を片っ端から倒していったという。そしてアリーナの謎めいた主催者を大いに喜ばせた。

もう少しでその秘密の場所が突き止められるというところで、また話が聞けなくなってしまった。それはまた起きた。この古代の石造りのアリーナの噂は登場した時と同じように、ホルグスタッドや盾乙女達と共に唐突に消えたのである。ノルドたちは応援し、輝かしいチャンピオンを祝って乾杯し、その後はまた領内で起きている日常の事柄への対処に戻っていったのである。

アリーナに近づくことは無理なのかと悲観していた時、私はドラゴンスターキャラバン社の荷馬車に乗っていた。そこでキャラバンの護衛の1人が、この旅が終わってクラグローンに戻ったらドラゴンスター・アリーナに参加するということを吹聴していた。彼は現チャンピオンを倒すだけの力があると考えており、後は仲間の護衛を3人説得して正式なチームを編成するだけであった。

夕暮れの焚き火を囲んでの飲み会で、私はその護衛からアリーナについて彼が知る限りの情報を入手した。彼によれば、それは数週間前にドラゴンスターの街の裏側にある丘に突如現れた古代の遺跡であり、クラグローンやそれ以遠から挑戦者が秘密の大会に参加すべくそこに集結しているらしい。彼らはアリーナの入口に仮設の野営地を設営したそうである。私はこれこそが長らく捜し求めていたアリーナであると確信する。大会が行き詰るたびに、何らかの方法により場所を変えていたのだろう。このアリーナは、世界中を少しずつ動いていたに違いない。

今、私は大会へ参加するべくアリーナの中にいる。私はどのようにして環境が変化するのか観察しなければならない。試合ごとに不可能と思われることを成し遂げているのが古代の工学によるものなのか、それとも魔法によるものなのかを見極めねばならない。そして、その謎めいた主催者が誰なのかも突き詰めたい。私にも仮説はあるが、恐らく真実は考えている以上に奇妙な気がしてならない。

アルドメリ法廷の記録Aldmeri Court Transcript

通達:

サリエルとして知られる犯罪者に、サルモール国家の代表により起訴された罪状について、全て有罪の判決が下った。

彼女はあらゆる罪に関して有罪である。罪状は以下の通り:

—サルモールの役人に対する贈賄裁判1件
—アルケインの不正に関する裁判12件
—第一級殺人に関する裁判17件
—第二級殺人に関する裁判27件
—無許可の死霊術に関する裁判6件
—聖職者の財産の破損に関する裁判2件
—公共物破損に関する裁判3件

最終的に、彼女が犯した殺人が彼らに与えた影響の処遇を詳細に記し、サリエルが署名した宣誓供述書を受け取った。この裁判はこれらの行為が吸血症の呪いと一致することを発見した。彼女の凶悪な犯罪の償いのため、サリエルは埋もれた遺跡モラヴァルに投獄される。そこで彼女は焦げた石、息が詰まるような毒に、業火の痛みを永遠に味わうだろう。彼女の運命を、死霊術師や寄生者になろうとする全ての者への警告として奉仕させよう。アーリエルもサルモールも、そのような犯罪を許容しない。全ての事件において、罰は適切に執行される。

アルドメリ司法第七法廷

アルバーダの日記Alvada’s Journal

今日は私たちの仲間の1人、イブルーラが荒野に出かけて戻らなかった。通常なら特に心配しないけれど。星読みはクラグローンに長い間住んでいる。私たちはこの地域で何が危険なのかをよく知らない。

イブルーラはもともと変わっているけど、最近は一段と様子がおかしい。仲間の何人かは彼女が小声でぶつぶつと何かつぶやいていたのを耳にした。彼女は最近、未知の勢力によって世界が攻撃されるという妄想にかられているようだ。

私たちは彼女に、エリンヒルの魔術師に召喚された精霊が虫の教団をうまく処理し、企みのデイドラ公はクラグローンを制圧してはいないと話したが、彼女はそれでも安心できなかったようだ。

彼女の数々の奇行にもかかわらず、いやおそらくそれ故に、私たちは皆イブルーラをとても心配している。朝まで待って、それから彼女の捜索隊を送り出すことにした。

魔法の結界が張り巡らされた小さな家を見つけた。バラバラに引き裂かれた本から、イブルーラがどこかの時点でここにいたことが分かった。また、彼女はこの場所の入口に殴り書きで印をつけている。ここを去るようにとの警告だ。彼女はこの罠の犠牲になったのだろうか?それとも彼女が罠を作ったのか?もしそうなら、一体何のために?私たちを中に入れないため?それとも中に何かを閉じ込めておくため?

どちらにせよ、私たちが考えていたよりもイブルーラの妄想がひどくなっているのは明らかだ。

罠を通り抜けようとして数日が経った後(正確な日数は忘れてしまった。ここにいればいるほど、頭がぼんやりしてくる)、捜索隊のメンバーに不和が生じてきた。夜は悪夢にさいなまれ、昼は絶え間ないささやき声に苦しめられる。

果てしない知識を約束しようとささやく声が頭の中に響き、私を悩ませる。この場所にはデイドラの気配を感じる。

最悪の懸念が現実になってしまった。デイドラが現れて、この場所を誰ともわからない声で満たし、私たちの退路を断った。双子のマエロンとメランソンが死んだ。声にだまされ、この場所の狂気に支配されてお互いに殺し合った。

私に関して言えば、絶望し混乱している。イブルーラを見つけるか、この場所から逃げ出す前に私は死ぬだろう。イブルーラの警告をきちんと聞いて、ここから離れればよかった。

アンカ・ラーのガーディアンの書Tome of the Anka-Ra Guardians

埋められぬ者、ここに立つ
不死の衛兵よ

彼らが瞬きせずに見張りますように
苦痛や闘争が心をかき乱さぬように
死人の夢が自由でありますように

イスルードへの手紙Letter to Isrudde

イスルード・クロウズウォッチへ、

ドラゴンスターの外の十字路にあるあなたの野営地では、珍しい商品を取り扱っていると信頼できる筋から聞いている。具体的には、地域中の倒されたアイアンオークから回収した使用済みの武器や鎧を売っているとのことだ。

情報が正しければ、一般的に「レッド・ブリットル」と呼ばれる成分が僅かでも含まれる商品を入手した場合、ぜひそれを購入したい。該当する商品に対し、相応の対価を支払う用意はある。

できる限り早急にドラゴンスター馬屋で連絡を取り、入手できる商品の数量を教えてほしい。

——逃亡中の錬金術師、エランウェン

イブルーラの日記Ibrula’s Journal

収穫の月1日

この文章は、目が追いつかないような速さで直感のまま書いている。この興奮を抑えることは難しいし、その理由を説明もできない。私が発見したこの知識の泉、この水をいくら飲んでも満たされることはない。けれど私にとってはとても美味で、宝石よりも貴重なものだ。

収穫の月2日

詳細に調べた後、私は壁の古代ルーンを翻訳した。これはシーカーの保管所だ!このとてつもなく巨大な蔵書庫が、クラグローンの地下に昔から存在していたとは驚きだ。明日はさらに奥まで進んでみよう。

床に穴が開いている場所を見かけた。もし行けそうなら、その下に入ってみよう。

収穫の月3日

奥に進むと彼の声が聞こえた。「おいで、探し求める者よ」。私は答えた。「私はイブルーラ!ここにいるわ!」

収穫の月3日

私を目覚めさせたものが何かはわからない。けれど夜に目が覚めた。私はこの数日間に書いたものに目を通した。ページは1つの単語以外は空白だった。

「シーカー」

もっと奥深くへ行こう。私に話しかけるものを見つけなければ。

トンネルを進んでいくと、空白のページに勝手に文字が書かれた。

「もっと近くに」

繰り返し繰り返し、この言葉がページに書かれた。

「もっと近くに」

一足ごとに、走り書きの文字は大きくなった。私がその部屋にたどり着くまでずっと。書物の玉座の上で、それは私を誘うように見下ろしていた。その下には、それぞれに一生分の答えを載せた本の数々。そしてその答えが、さらに別の疑問を生む。

「秘密を教えて」

私は彼と取引をした。私は世界の隠された意味を探し求め、それを彼の元へと運ぶ。その代わりに、私は知るべきことのすべてを学び知るだろう。

イルサグの命令Ilthag’s Orders

調教師達

太陽が山をのぼるまでに、トロール達の準備を整えねばならない。我々とスケールドコートとの間の契約は、成功が要求されている。よって我々は成功する。私の忍耐を試すようなことはするな。これから軍隊を組織することになる!

教えたことを思い出せ。そしてトロール達に実践せよ。弱気になるな。鞭や刃の使用をためらうな。お前達も知っての通り、痛みは良き教師である。

次に確認にきた時には、トロール達が全員調教され、一団として働いていることを期待する。さもなくば、次のトロールの調教運動にはお前達を使うことにしよう。

——イルサグ・アイアンブラッド

ヴィルマリルの日記Virmaril’s Journal

上級王デュラクの側近、ヴィルマリルの日記より

あの男が私を拒絶するとは!長年デュラクの友として、そして側近として側についていたというのに、それに対する彼の返礼がこれか?私と娘であるサラディンとの結婚を拒絶したばかりでなく、その娘をあの森林地域の愚か者であるケスティックに差し出すとは。それもこれも私がネードではないからときた。あの男にとってハイエルフは、自分の愛娘の相手にふさわしくないと思っているのか?今に見ていろ!全員に思い知らせてやる!

* * *
王の議会は会合し、私の提案を検討することに同意した。いいぞ、いいぞ!愚か者どもめ!デュラクさえも、私が奴らをヨクダの侵略者と戦う手助けをすると思い込んでいる。奴らの思い上がりがその身の破滅となるとも知らずに!地下墓地内には死霊術を行うための準備が整っている。あと必要なのは、上級王とその手下どもの協力だけだ。

* * *
すべては計画通りになった!今や私はアンデッドとなり、王の議会も私のものとなった!そして残りの地下墓地の死者が私の軍団の兵となる!さて、どのような新たな命令を下したらいいものか?やはりヨクダを掃討してみるか。もう少し考えてみよう。

* * *
何ということだ、ネードが私と戦うとは!私を倒すために精兵の軍勢を派遣してくるとはいい度胸だ。私を倒す?すでに生きていない者をどうやって殺すつもりなのだ?嵐の中に飛び込もうとするネッチのように、不可能なことに挑戦するつもりらしい。まあ、やってみるがいい!せいぜい楽しませてもらおうか。

* * *
ネードの魂魔法は嫌いだ!番人どもは私が殺せないと理解し、私をこの地下墓地内に封じ込める作戦に出た。生意気な!だが不死の身になったことで、奴らは私の影響と力を受けるようになった。奴らを支配してやる!少し…休んだ…後…すぐ…にな…

ウィンドヘルムへの手紙Letter to Windhelm

愛しき姉妹

お前は私のことを笑いながら未熟者と呼ぶかもしれないが、私がスカルド王の祝賀に関連する問題から逃れるため、ウィンドヘルムを離れたことを覚えているか?実はクラグローンの荒野でも状況は大して変わってはいない。それどころかさらに悪化しているくらいだ。

素晴らしいスカイリーチの遺跡の遠景が望める、北部地域の川の側に家を持った。そこは快適で静かで、私が望んでいたものがあった。

もっとも、それは過去の話さ。あのアイアンオークのホーカー達が騒ぎ出す前、そして自らをスケールドコートと呼ぶ変な連中が現れるようになる前の話だ。そして、セレスティアルや神々が、我々と共にいるとかいう与太話などもね。

私はご存知の通り、思い込んだら結構頑固なところがある。ひとまずここに踏みとどまってこれらの脅威から新居を守り抜きたいと思う。やれるだけのことはする。ただ、状況が本当にまずくなってきたら、お前の空き部屋に数週間の間滞在してもいいか?長くても数ヶ月以上はいないと思う。できるだけ早く返信してくれ、連絡が欲しい。

——敬愛する兄弟より

ウェアウルフハンターのアドバイスA Werewolf Hunter’s Advice

息子へ

もしハーシーンの領域へ行きたければ、止めはしないわ。でも忠告を聞いて。ウェアウルフは決して1人で狩らないこと。もしはぐれたウェアウルフを見つけても、1人で戦うミスを犯してはいけない。ウェアウルフは決して群れから遠く離れないの。そして、群れはいつも腹を空かしているわ。

ウェアウルフは血に飢えた獣の力を持つけれど、狡猾な生物よ。彼らの遠吠えは他のウェアウルフを召喚するだけじゃなく、普通の狼も呼び寄せてしまう。その遠吠えは熊さえ興奮させるの。1匹のウェアウルフと思っても、あっと言う間に数で負けるわ。

熟練のウェアウルフハンターから言える最もいいアドバイスはこれよ。ウェアウルフが遠吠えで仲間を呼ぶ前に、喉を切り裂けってことよ。

愛をこめて、
母より

ヴォシュとラク:歴史Vosh and Rakh: A History

イルサグ・アイアンブラッドの日記より。

俺は戦闘での実力や、アイアンオークや獣を訓練し戦わせる才能など、多くの技量と実績によってその名を知られている。しかし、この私的な日記のなかでは岩と石に告白しなければならないことがある。私はある秘密の情熱に誇りを持っている。俺は我が愛するヴォシュとラクのウェルワ達を、かわいい子供から今の忠実で獰猛な獣に育て上げたことに誇りを持っている。

俺は彼らを入手することになったきっかけは、古代スカイリーチの遺跡近くの荒野で、大人のウェルワを殺さざるを得なくなった時だった。この獰猛な獣を倒した後、俺は近くの洞窟で子供がいるのに気付いた。その時はその場であいつらを殺そうとしたが、1匹が俺の目を見て鳴いたのだ。そして弱々しい足で立ち上がり、俺の皮ブーツにその身をすり寄せた。その時、別の選択肢が俺の前に現れた。

俺は2匹の子ウェルワを塔地下まで連れ帰った。当初の目的は、俺の調教のためにこの獣を育てることだった。しかし、あいつらと一緒に働く中で、その先天的な知性と戦士としての情熱に気づいた俺は、あいつらを自分の護衛、そして仲間として育て上げることにした。その手始めとして、まずあいつらの本当の名を探す必要があった。

俺はまだ幼いクリーチャー達であった彼らと共に時を過ごしてその性格を見極めようとし、彼らも俺の存在に慣れていった。俺を最初に見つめた奴は勇敢で、周辺へ出かけて探索することを恐れなかった。奴は俺にその名前を示した。ヴォシュだ。もう一方はおとなしく、物静かだった。少なくとも俺の仲間が近づくまでは。その後、奴は怒りの塊となり、俺と兄弟を守るために剣のように突進していった。そいつの名は当然ラクとなった。

その体が成長し、俺は力も同じく成長させるよう気を配った。筋肉と骨を鍛えるため、彼らを常に塔の地下中を走らせた。そして最高の餌とこの地域で最も純粋な岩井戸から引いた水を与えた。太い綱やハンドルを使った鍛練法も考案した。彼らが適切な大きさになった時、俺は彼らと一緒に複数の相手と戦う訓練を始めた。ラクが俺のもっとも実力のある戦士を打ち負かした時は、本当に誇らしく思ったぞ!

最近、ウシクにヴォシュとラクのための鎧一式を作ってもらった。彼らはその贈り物を受けることに栄誉を感じているようで、その鉄の防具を誇らしく、そして優雅に着こなしている。今度は自分たちだけでトロールを倒せるか、やらせてみることにしよう。これは石にかけて、きっとすごい光景になることだろう。

エグザーチ・ブラードスへの手紙Letter to Exarch Braadoth

敬愛なるエグザーチ・ブラードス殿

この手紙が我々が初めて出会った日のように力強く、敵に畏怖を与えるように届くことを願います。

私は貴殿の華麗なる鎧と体の装飾にニルンクラッツの粉を植え付けるために使用する手法について研究し、その独創性と職人的技巧を賞賛いたします。貴殿の成し遂げたことについては、ただ畏敬の念を覚えるばかりです。

まず、イルサグ・アイアンブラッドは卓越した戦略家であり、優れた調教師でもあります。彼がどのようにしてこれを成し遂げられるようになったのかについては、ただ驚かされるばかりであり、その手法を再現しようとしましたが、成功にはいたっていません。トロールやウェルワが召使や兵士になるなど想像が及びませんでした。彼らを我が軍勢に加えれば、スケールドコートは常勝無敗となるでしょう!

貴殿の才能ある鎧職人はより軽量で強固、そしてニルンクラッツの力で輝かんばかりの鎧を作りあげました。彼女の技量と経験がなければ達成することができない偉大なる功績です。トロールやウェルワにこの鎧を装備させるというのは天才的なひらめきであり、生産性の向上により、今後我らの軍勢がすべてこの特製の鎧を装備できるように慣れることが期待されます。

貴殿のルーン筆写家が示した芸術性は、私の背筋にぞくぞくする感覚を伝えてきました。彼の意匠は催眠作用があり、その細やかな模様を観察しようとするとまるで動いているような感覚に襲われます。この墨と烙印にニルンクラッツの粉を加えることにより、その対象となった者に植え付けられた魔力は100倍にも強化されます。素晴らしい!訓練と鎧、そして体の装飾を組み合わせることで、トロールはほぼ抑止不能の強さを得ています。

もしよろしければ、この抑止不能な者達をほぼ無敵な者達とする、最後の儀式を提案したいと思います。貴殿のトロールの1体にそれを試し、その結果が私が約束したものであるかどうかをお知らせいただければ幸いです。

——牙の憤怒の摂政、エルスカ

エグザーチの命令Exarch’s Orders

周辺の岩からレッド・ブリットルを収集し、大きな破片は細かく割らないよう注意すること。

レッド・ブリットルを、成分が発熱した燃えさしのように輝くまで加熱する。

レッド・ブリットルが赤く輝いている間に、石臼か蒸気槌を使って深紅色の細かな粉になるまで砕く。

レッド・ブリットルの粉(スケールドコートはこれをニルンクラッツと呼ぶ)を荷車に収集し、防具屋ウシク、ルーン筆写家のクルス、スケールドコートの摂政ボワードの各員へ均等に配分する。

敵には血を、我がクランに鉄を!

——エグザーチ・ブラードス

エランウェンへの手紙Letter to Elanwen

エランウェン

クラグローン北部の東側にある遠吠えの墓地の調査が終了した。少なくとも、調べられるところに関しては。この場所ではさまざまな死者が徘徊している!まあ、動き回って何だか怒っているように見えるから、本当は死んでいないのかもしれない。しかし確かに死んでいるし…まったく、自分でも何を言っているのか良くわからなくなってきた。

死んだ戦士や呪術師や狼が墓地を徘徊し、近づきすぎた生き物を手当たりしだい攻撃している。ここは危険な場所だ!それにレッド・ブリットルも見つからなかった。だがそれはこの場所に入って、あの怒りに満ちた死者達を見た瞬間に振り向いて走り去ったからだと思う。

木登りのクウェンディ

エリンヒルの繁栄The Flourishing of Elinhir

魔術師の街との取引について
ハロルド・ファーフライ 著

クラグローンのある場所、文化の光が輝くと言われる場所がある。エリンヒルの輝く街だ。

古代の魔術師の塔、エルフやヨクダがクラグローンに眼を止める前の、風変わりな異国の記念碑をみればすぐにわかるだろう。エリンヒルは学者と魔術師が他の野生的な住民に対して、文明の力を示すために立っている。

第二紀の始まりまで、エリンヒルはもう少し野蛮で、秩序のない僻地だった。クラグローンの大半のように、帝国の生活が合わない者達によって植民された。そのようなので大変危険な場所であり、本当の指導力や統治の為の法律は欠けていた。そして定期的に、山賊とアイアンオークの襲撃者から略奪の標的にされていた。

しかし第二紀の当初、クラグローンで彼らの技の修行をするために、輝かしきフェリックス「ブラックキャスター」アウグストゥスが率いる魔術師のグループが、魔術師ギルドの安定と制約から離れた。

一般的な神話によれば、ブラックキャスターと彼の魔術師たちは乱暴でモラルに問題があり、魔術師ギルドの権威に抵抗する、訓練されていない境界の魔術師以外の何者でもないことを示している。この物語は、今でもクラグローンに残る無法な要素によって残っている。その話を信じれば、最初にエリンヒルに入植した魔術師たちは、もはや街を定期的に襲う山賊よりも文明的な影響をもっていない。

これ以上真実から遠い話はない!帝都の魔術師ギルドの記録を調べるだけ反証できる。実際のところ、フェリックス・ブラックキャスターは高位のギルドメンバーだったのだ。彼がギルドを去った理由は、規律や訓練に関する意見の相違と全く関係がない。ギルドの範囲にない、新たな領域を求めただけである。書簡によれば、ブラックキャスターはエリンヒルの指導者が頂きの協定に署名してから、ギルドの上官たちと10年も連絡をとっていたようだ。

この書簡はブラックキャスターやエリンヒルへ到着した他の魔術師たちの状況に十分な光を当てている。彼らが無法な人々に、指導と保護を受け入れるよう説得した期間についても。私は詳細を述べる気はないが、要約する。ブラックキャスターとその魔術師たちは、その時空だった頂きの塔に興味をそそられ、以前に市長(実際には単なる軍閥の長だった)へ入る許可を求めていた。何回も拒否されたため、彼らは失望して冒険を諦めようとした。

しかし、彼らの運はアイアンオークが山から来て街を包囲した時に変わった。その目を見張る力を使って、ブラックキャスターと彼の魔術師たちはオークを追い払い、エリンヒルの移り気な愛を勝ち得たのだ。彼らはブラックキャスターを新しい市長にし、そのすぐ後に頂きの協定が結ばれた。この日に結ばれた条約は、今日まで続いている。エリンヒルの頂きの塔の魔術師たちは、街が彼らの魔術学校の運営を支援する限り、この市を守ると宣言した。

アイアンオークの出現は、見かけ通りの出来事ではないと主張する者もいた。彼らはブラックキャスターと魔術師がエリンヒルの人々を味方に引き入れるために、オークと取引をしたと宣言さえした。私はこの示唆は、曖昧で侮辱的だと思っている。このような策略はフェリックス・ブラックキャスターの人物像と評判には相応しくないし、アイアンオークは交渉や協力によって妥協しないことで悪名高いという事実には触れていない。

頂きの協定の時代から今までの真実は、エリンヒルがクラグローンの野生の中の文明の優れた中心となり、ブラックキャスターの魔術師たちの導きと保護の元で繁栄したということだ。

エレネアの日記Elenaire’s Journal

暁星の月2日

今日私は出発する。磨きの日に合わせて。新しい生活、新しい道、すべてが新しい!もしヨクダに同じようなお祝いがあるなら、それを見に訪問したいと思う。

私は危険で、神秘的なレッドガードの先祖が建てた伝説的な要塞、ヘル・ラ要塞を探し求めて行く。アイレイドの遺跡は我々の民にとって、先人への窓のような役割を果たしている。だから、要塞がレッドガードの文化を教えてくれることを期待している。

噂によれば、要塞に入った者は長年に渡って誰もいないと言う。しかし、要塞の中に文化的な価値のある宝が眠っているという噂は、私の耳にも届いている。それらのことを考えると、顔が赤くなる。

薄明の月3日

ついに到着した!タムリエルの道は、いままでにない程厳しいものだった。特に野生生物が。クラグローンのウェルワは私のボズマーの従姉妹と同類だ。臭くて、怒りっぽく、致命的な歯を持っている。けれど、ついにヨクダの建造物の尖った石を見つけ出した。

薄明の月4日

興奮で震えて、羽ペンが真っ直ぐにならない。数千年の歴史の内で始めて、要塞の前にある控えの間が開いたのだ!誰かが魔術師ギルド、神話紀協会、星読み…すべてのタムリエルに連絡するよう取り計らうつもりだ!もちろん、私が一度調査をした後で。

ヘル・ラ要塞を取り巻く伝説によれば、ヨクダ達はアンセイ(「剣聖」という意味)、すなわち剣の達人が輝く功績を残せるよう、訓練のために使っていたのだという説がある。神話では、アンセイはシェハイ、意志の力によってのみ形作られる霊剣を出すために、大変な訓練と瞑想を必要としたそうだ。

私は要塞へと続く道がある控えの間の存在が、その物語への信憑性を与えてくれると思う。古代の武器がここの演壇に残されている(そして、どれも錆がついていない。部屋の魔法によるものか?)。伝説によれば、アンセイは最高位の称号を得るために、もっとも大事な武器と戦いの道具を諦めてから、辛く厳しい試練に挑むのだという。もし彼らが成功したのなら、一般的な武器はもはや必要ないはずだ。

友人たちには私がヨクダの研究にかまけ過ぎていると言われた。早く夫を見つけるべきだとも。おそらく、私の素晴らしい頭脳を羨んでいるのだろう。

用語:
ヨケダ-指導者?戦争の王?
ヘル・シラ-高貴な刀剣?
ヤーバン-時間の単位?不明。考古学者は数字に弱い。
アンカ・ラー-元の戦士?古い戦士?
コツ-武器?エッジ?

暁星の月5日

控えの間は魅力的だったが、要塞自体の捜索に向かうべき時だ。何が私を待っているのだろうか?ミリムディンの九番目の剣か?最高位の剣か。私は剣を持っていないが、日記をここに残していく。アンセイが剣を残したように。おそらく彼らのように、自分のシェハイを作り出す手段が見つかるだろう

ガーディアンの秘術の幻視Mystic Visions of the Guardians

とてつもなく広く高く、空が天国に届きそうな程近く感じられる砂漠に行ったことがある。素敵な旅の間、彼らが夜通しワルツを踊っていた時、光に感じた親近感を言葉にしたいのに、私はそれをできないでいる。

その砂漠の環境は苛酷なものだ。食料にも水にも滅多にありつけない。多くの場合、行商人や他の旅行者に運よく出会ってキャンプに参加するか、わずかな食料の一部を助言や物語と交換するなどして、かろうじて救われた。

だが私は自分の身体が引き締まり強くなるにつれて、幻視が鮮明になることを発見した。私をこのように固定化された姿に結び付けている、必要のない一片が消えて行く。大蛇が脱皮するように、私はそれを脱ぎ捨てた。

この状態で、私は多くの驚きを見て、多くの誘惑に耐えた。私は戦士の横で起こる戦闘へと走る馬に、足を広げて跨り駆けた。そして、魔術師が美しいエルフの女性から髭の年老いた男に変化し、また元の姿に戻るのを見た。夜遅く、彼女は私に変化の原理、純粋な魔術について教えてくれた。眠れない多くの夜には、足の速い盗賊を追いかけた。そして手に負えなくなり、いつも、まるで自分が勝者のようなふりをして、夜明けの青白い光の中に逃げて行くのだ。私は次々にガーディアンを見た。彼らはあまりに美しく、見ているのが恐ろしい程だ。

だがその間、不安定かつ力強いものの存在が常にあった。空から星を落とし、殺戮と混沌の中に世界を落としたいと望む遠くの敵。飢えと渇きによって狂気の淵に追いやられる時、私は彼の存在を感じる。そして孤独な旅人の命を奪って、食べようかと思う。ほぼ毎晩のように、彼は私を栄光の夢、空から星を掴み取り、神として文明化されたタムリエルの地に戻る夢で誘惑するのだ。

夜の訪問者たちは、この通り私にとって自身のようである。そういった理由から、私は彼を他の者たちよりも恐れている。

カエシリウスの日記Caecilius’ Journal

日耀

空に奇妙な動きがあった。一瞬ガーディアン達の出現を見たと思った。戦士、魔術師、盗賊達。そして彼らは一瞬現れて消えた。来るべきものの前兆のように腹の底が不快に感じる。

星水晶占いの書物を調べた。天から落ちる星、破滅の前兆についての極めて不明瞭な予言。この具体的な前兆を証明するものは何もない。

より安全な沿岸へ導いてくれる海図や天体観測儀なしに見知らぬ海にいるようなものだ。我々自身のガーディアン達は消えて、見捨てられた。

ああ悲しいかな、辛い時代の子供達。
子供達が転べば誰が捉まえるのか?
誰もが皆孤児だから、
幼少に母が死に、
戦争で父が死に、
まるで通りの乞食のように、
食べ物を乞い鞭を受ける。

火耀

真の破滅だ。砂の巨人の軍隊が丘に現れてムンダス・ストーンを攻撃している。

セレスティアルと自称する者達がクラグローン全土で攻撃を行った。ダガーフォールがまだ持ちこたえているのは奇跡だ。エリンヒルの街からはもうずっと知らせが来ない。

より良い未来を望むな。
時は自分を飲み込んでいる。
ああ、陣痛に苦しむ女性、
ああ、命を授かろうとしている、
子供達を岩へ投げつけて、
幼児達に毒を盛る。
星が落ちた時、誰が生き残るだろうか?

カシピアの心変わりCassipia’s Change of Heart

大蛇の如き計略の、摂政の執事長、リトルリーフ 著

スケールドコートで、大蛇の如き計略の摂政という肩書きを受けるカシピアは常に12歩先を見ている。戦士が複数の武器を携帯し、どんな状況にあってもふさわしい武器を取り出せるよう準備しているように、彼女は不測の事態を想定し、代案を携えている。だが、私は彼女の最近の行動に混乱している。どのように捉えたらいいのか!わかっていることを書き連ねてみたら、私の進む道がより明らかになるかもしれない。

とはいえ、彼女の複雑な思考を不正確に表現したくないので、見聞きしてきた記録すべきカシピアの行動全てを書き留めるのは気が進まない。彼女の敵に、彼女が大蛇を憎む悪人であるかのように真実をねじ曲げさせたくないのだ。世界中の人々はカシピアの聡明さを、本当にありのまま理解する必要がある。百万の星のように鋭い、取り巻く薄暗い光とは対照的な輝きを。

私達の錬金術師がニルンクラッツと呼ぶ原初の元素と、エセリウスの天空のエネルギーとの間の繋がりに最初に気づいたのはカシピアだった。カシピアは即座にアイアンオークの働きを向上させるため、その元素を使うことを思いついた。そして、新たな生き物を創造するという天才のひらめきは、大蛇そのものともいえる純粋な霊感とともにやってきた。

しかしその後、大蛇の命令で彼女の働きがどのように利用されているか知った時、私の友にして女主人は激しい怒りに燃えていった。彼女は例えばマンティコラを創造するのは好きだったが、それが破壊の原動力以外の何者にもならないことを嫌悪した。彼女はアイアンオークが冶金術と錬金術を持って実証した技能は高く評価したが、このような素晴らしい道具がトロールとウェルワの間で無為に消費されていることを激しく忌み嫌った。

あえて言うのであれば、カシピアは大蛇に背いた。そして私はその事実とどのように折り合いをつけたらよいのかわからない。スケールドコートをこの世界中の人々が見たこともないような偉大なるものへと導くと彼女は言うが、大蛇のお恵みなしに、いかにしてそれを成し遂げられるというのか?私は彼女を信じたい。愛し、理解している女性を信頼したい。だが、私も同様に、大蛇の巻き付くような抱擁に背を向けられるのだろうか?

カシピアは大蛇の如き計略の摂政で、私はと言えばせいぜい彼女の揺らめく影の中に立つのが精一杯だ。私は彼女が何を計画しているか知っている。彼女がどれほど不変のニルンクラッツを使って力を高めたいと願っているか。だが、今は全てが間違いだと感じる。彼女がやりたいと思っていることは、私にはあまりにも危険なように思われる。私は彼女の身を案じている。

カバナント諜報報告2502Covenant Intelligence Report 2,502

私はこれを紛争地域の奥深くで書いている。国境を越えてクラグローンへ入ったときからずっと同じ任務にあたっている。新たに出現したスケールドコートと呼ばれる教団の活動を調査し、同盟を行わないアイアンオーク族との繋がりを、もしあるのであれば見極める。諜報活動中に興味深い場所を発見した。

クラグローン北部として知られる地域の始まりを示す岩の丘に囲まれた、アイアンオークの隠し野営地に偶然出くわしたのだ。それは、その地域中に散らばっている古代ノルドの遺跡の中にあった。丘の頂上の遺跡の崩れかかった塔の下に建てられているこの特別な地下の小部屋は、アイアンオークの一種の訓練場に変えられていた。しかし、オーク達が訓練しているものは、この場所をとりわけ興味深いものとしている。トロールだ。

アイアンオークはトロールを部隊として戦うよう訓練している。彼らがトロールの軍隊で何をしようと計画しているのかは誰にもわからないが、カバナントにとって有益ではあり得ない。

私はこの即席のアリーナを見下ろしている大きな格子窓を見つけた。忍び寄って、彼らが下で何をしているか、もっとよく見るつもりだ。

カルダラの発掘The Unearthing of Kardala

(弟子により編纂されたムハイ・アトトゥーラの覚え書き)

私の業績中で最も人々の記憶に刻まれているであろう発見が、まだ見習いだったときに全くの偶然で見つけた、いわゆるカルダラの遺跡だということは自分にとって皮肉でも何でもない。

私はその年(第二紀101年)を人里離れたドラゴンテール山脈の山麓で小さなギルドとともに過ごした。その一団をギルドと呼ぶのは、他に適当な言葉が見当たらないからだ。彼らは、まるで修道会の司祭のような暮らしをしていた。全てを分かち合い、一日の大半を本に顔を埋めて過ごしていた。

だが彼らを司祭と呼ぶことは、ある意味、敬虔であるということを漂わせてしまうような気がする。彼は敬虔ではなかった。私たちは夜更かしし、酒を飲んでは猥談をした。修道会の年長メンバーまで加わっていたくらいだ。

しかしギルドも、彼らを的確に言い当てた言葉ではない。その言葉は、一様であることを意味するが、タムリエル中から集まった男性、女性は様々であり、若者から年寄り、教養のあるものから頭の鈍い者までごちゃ混ぜの寄せ集め集団だった。彼らは絶え間なく言い争っていた。だが非常に仲は良さそうで、お互いを名前で呼ぶと、次の瞬間には笑い合っていた。彼らは、修道会の呼び方についても意見が違っていた。年配のメンバーは、大仰で古めかしい「神聖な活動と先触れを見し者の貴修道会」という名前を推していたが、若いメンバーは「星読み」という簡潔で示唆に富んだ名前を好んでいた。

集団は1つの関心事によって団結していた。彼らは皆、星と行動の意義についての研究に没頭していたのだ。見習い期間中のその年に彼らと過ごした訳はそこにある。私自身も天に魅力を感じていた。彼らの広い知識からできるだけ多くの恩恵を受け、魔法の特性に対する星の関係についての自分の調査を進めたいと願っていた。

私はここで白状しなくてはいけない。「星読み」と過ごした日々は、まだ若かりし頃の私の目を大いに覚ましてくれた。最初の数ヶ月が過ぎた後、私は重い鬱状態に陥った。魔法と星座の関係についての自分の興味が一つ残らず完結したかのように、既にすっかり調査されていたと気が付いたからだ。私のような見習いは、既に書かれたものを読んで一生を過ごし、結局、たった一語すら自分の言葉を残せないということがありうる

しかしながら、さらに自身の研究に時間を費やし、「星読み」とともに過ごしていうるうちに、星それ自体について答えを出さなくてはならない問いが多いことが分かった。私たちは魔法の仕組みを理解しているのに、天そのものの仕組みをほとんど知らない。実際のところ、一見、その問いが平凡に見えれば見えるほど、その答えはスルリと逃げていく可能性が高いのだ。

あらゆる疑問には答えが出ており、希望は失われたと思ったちょうどその時に多くの問いがあふれ出し、再び元気が出てきた。一つ一つの疑問は、これまでのものよりも驚きに満ちていた。実際、偉大な学者たちは、魔法の理論にあれだけの知識をもたらしたにもかかわらず、答えることができなかった。ムンダス・ストーンがいかにしてそうなったのか、もしくは季節も知らずに、どんな仕掛けで大蛇座が空を横切るのかを。

それどころか、ほどなくして気が付いたのだが、偉大な3人の学者のうち誰一人としてクラグローンに足を踏み入れたことすらなかったのだ。かつてネードが星を崇拝し、ムンダス・ストーンを自分たちの基盤に据えた場所を、どうしてないがしろにできようか?私には決して理解できないだろう。

カルダラを発見できたのは、この事実のおかげだ。現地調査を通して新たな結論に達したいという思いに元気づけられた私は、熱意ある仲間が砂漠に案内してくれることを切望した。大公座と淑女座、駿馬座のムンダス・ストーンを研究し、さらに新たなものを発見したいと思っていたのだ。

カルダラに関する本には、史実を飾りたてて話を面白くしているものもあり、いい気分になる。そのような本によると、その戦士座の守護にあるムンダス・ストーンを調査することで、その位置から、戦士座と関連した別のムンダス・ストーンがその3つのストーンの近くにあるはずだという推測に至ったという。

これは事実とは全くかけ離れている。砂漠を旅している間、私は健康を維持するために大量の水を飲んだ。当然、その水はどこかへ行かなくてはならない。私は失礼して、少し道を外れ、用を足した。ところが仲間のところへ戻る途中で、方向が分からなくなってしまった。そして必死で道を探していると、浮き石が足元で動いた。私は後ずさりし、自分の足元でパックリと開いた裂け目に落ちないようにした。それが、カルダラの入口だったのだ。

当然ながら、連れは言葉に言い表せないほど大喜びした。カルダラの発見に関して広まっているいくつかのデマは彼らのおかげだと思う。事実、砂漠に私を案内したいというあの日の彼らの熱意なくして、発見はあり得なかったのだから。

クラグローンのラミアLamias of Craglorn

セオデリック・ペロン 著

クラグローンに生息するラミアの数については誤った情報が多い。その地域の彼らの存在自体がある種の謎だからだ

本来であれば沿岸地帯を生息地とする生き物が、どうしてそのような厳しく容赦のない砂漠で生き延びる方法を見つけられたのだろうか?

勇敢な案内人であり、反論できないものへの回答者である私は、真実を求めてクラグローンへ旅に出た。

ハイロックからシロディールに伸びる主要街道を経由しベルカースに着いた私は、すぐに住民に取り入り、サマーセットから持参したワインで彼らをもてなした。すると彼らはラミアに関するあらゆる話で楽しませてくれた。

群を抜いて不思議な話はこれだ。私は地元の酒場で、道徳心が怪しい者から聞いた。

フレデリック・クロエンズという名前の魔術師は、移動動物園のため、ひどく変わった生き物を収集しながらタムリエルを横断した。彼はヴァレンウッドで、ウッドエルフとともに多くの夜を過ごした。このエルフたちはグリーンパクトの支持者だった。(詳細は文明化した考えを持つ者の理解を超越しており、この話とは無関係だ)

あえて言うなら、このウッドエルフたちは私たちの魔術師に、効果の高い様々な興味深い調合薬を紹介してくれた。この変わった聖油の影響下にあった3日間から2週間の間に、その魔術師は地元のラミアと結婚していたのだ。

それからベルカースの消息筋は、クラグローンの洞窟と湖に生息するラミアは、フレデリック・クロエンズとその妻の子孫に他ならないと説明を続けた。2人は移動動物園と共に、ここまで旅をしてきたのだという。

この話がデタラメであることは明らかだ。しかしながら、独自の調査でフレデリック・クロエンズと移動動物園が実在したことを確認できた。彼らは以前、実際にヴァレンウッドとクラグローンを訪れたことがあったのだ。とはいえ、ラミアは別な手段でクラグローンにたどり着いたと見るのが妥当だろう。

クラグローンの驚嘆The Wonders of Craglorn

パパ、素晴らしいものを見てきたわ!パパが私をクラグローンに送ると決めたときは言い争ったけど、パパが正しかった。この経験はきっと身になると思うの。確かに未熟者やホーカー達に付き合わなければいけないこともあるけど、それは愛するスカイリムから離れれば当然の事だものね。まずはこれまで経験してきたことを教えるわ。

まず、彼らはこの荒地で、星が空から落ちて人のように歩くと言っている。そのことについては分からないけど、砂と塵の戦士が古代の亡霊のように戦場から立ち上がるのを見た。強かったけど、誠実なノルドの鋼が倒せない敵なんて存在しない。

それからいくつかの獣を組み合わせたような、奇妙な生き物とも遭遇したわ。まるでスコーピオンとワマスが生んだ赤ちゃんのような、そしてその通りのとても恐ろしい相手だった。現地の人たちはそれを「マンティコラ」と呼ぶらしいの。私はブサイクって呼んで、斧で殴りつけてやったわ。何回もね。

それから、前の手紙で信者について言った?そう、クラグローンにもいるの。ただ、この信者達は特別みたい。自分達のことをスケールドコートって呼んで、「摂政」だの「エグザーチ」といった仰々しい肩書きをつけているの。まさにホーカーの集まりね!そして信じられないことに、彼らは何かの空飛ぶ蛇を信じているの!信じられる神々の中でも、よりによって腹で這いつくばる獣を信仰の対象に選ぶなんてね。私は連中を斧で殴りまくったわ。いい気分だった!

今はハチミツ酒を飲みながらドラゴンスター・アリーナに入場する準備をしているところよ。パパなら私のことを誇りに思うと思うの!それなりに腕の立つ戦士の一団を集めて、うまくいけば大会に優勝できるかもしれない。ノルドとダークエルフ、そして2人のアルゴニアンが良いチームになるなんて想像できたかしら?対戦相手については情報がまだ不足しているけど、多分コヌンレイカーの大会よりは厳しくないと思う。戦利品を獲得したら、もしくは対戦した何かに勝ったら、また手紙を書くわ。

あなたの娘、ベリンカ

クラグローンを歩く星A Star Walks In Craglorn

冒険とロマンスの物語
物語の編み手、アダンドラ 著

彼は空から落ちてきた、一般の人々と共に歩むため、エセリウスから下界に降りてきた星。ある者は彼のことをセレスティアルと呼び、またある者は彼を戦士と呼ぶ。では私は?私は彼を「愛しい人」と呼ぶ。

愛しい人と出会ったのは、ドラゴンスターの街からさほど離れていない寂しい道だった。私はあらゆる曲がり角で待ち伏せているようなアイアンオークやスケールドコートの兵士の注意をかわすように、闇の中を急ぎ足で進んでいた。そんなとある曲がり角に差し掛かった時、私は背の高い、古代の鎧を身に着けた屈強な体格の男に出会ったのである。

彼は私が倒れる前に私の身を抱え、空の星々のように輝くような強い手で私を支えてくれた。そして私の全身に震わすような深く、響き渡る声でこう言った。「そのように急いで、どこか行くのですか、美しきお嬢さん」

* * *
ダメだ!これはひどい!やはりこの戦乱に荒れ果てた地域で実際に起こった実話について書いた方がいいのかも。完全な空想物語を書くのは元々得意ではなかったし。待って!いいことを思いついた。あの戦士が、孔雀のコンフィと飲用金が好物というのはどうだろう?

とりあえずこのまま書き続けて、どうなるか見てみるかな。

グラザールの脅迫Grazzar’s Threat

ジョルゴブ

なあ、こんなに簡単に済むと思ってるのか?逃亡して、名前を変えたくらいで、お前を見つけられないと思うか?

状況をよく考え直した方がいいぞ、旧友よ。チーズルシュリーク鉱山で二週間後に会おう。さもなくばドラゴンスターキャラバン社の新しい友人に、お前の過去の偉業を全て話すぜ。

ハイロック街道の殺し屋だと知ったら、奴らはどんな顔をするだろうな?

心をこめて、
グラザール

サソリの観察Scorpion Observations

クラグローンの巨大サソリは、その小さくより平凡な親類とは異なった生理機能を持っている。その巨大さと力に加え、彼らは子供を孵化させた状態で出生し、その背中に乗せて育てるのではなく、巣に卵を産卵することで出生する。これはその巨大さとスコーピオン・マトロンが一度に出産できる子供の数、その大きさに関係があるのだろう。このような違いも研究上驚くべきことであり、非常に興味深い。

この計画では、フィアファングス洞窟の奥に営巣場を持つ強力なスコーピオン・マトロンを選んだ。彼女の同族であれば現段階での錬金術の工程で必要となる捕食者としての特性を提供してくれるはずである。これをあの強大なワマスの卵持ちと至高のクロコダイル・マトリアークが提供する特性と組み合わせれば、サソリの素材がマンティコラへ、我が想像が及ばぬような力を与えることになるだろう。

すでにマトロンの卵のいくつかは収集した。それぞれの殻の中にある素材が産卵場に新たな生物に簡単に引き継がれる特性を植え付けるだろう。はたして大蛇の他の摂政たちで、私ほどの成功を収めているものはいるのだろうか?いないであろう!真祖マンティコラが産卵場から出現した時、大蛇は私にスケールドコート全体の指揮権を授与されるだろう。それはここで成し遂げた仕事に対する正当な報酬である。

——蠢く悪夢の摂政ボワード

サナバールの研究メモSanavar’s Research Notes

1日目
ドワーフには進んだ天文学の知識があったことが知られている。今日に至るまで、星座を象徴するシンボルは、ドゥエマー文字が使われている。

残念なことに、我々の知識はそこから始まり、そこで終わっている。回収されたドワーフの文字の断片は短すぎて参考にならないか、複雑すぎて翻訳できないのだ。

クラグローンのドゥエマー遺跡が、地方に点在する謎めいたムンダス・ストーンの起源を明らかにし、星座との関係を説明してくれることを心から願っている。

具体的に言えば、私はムハイ・アトトゥーラによる非常に貴重な古代ヨクダの天文学の手引きガイドを利用し、ドゥエマーの遺跡の記号学と隣接するヨクダの聖堂を比較している。それにより、失われて久しいより最近のドワーフの観察との関連性を実証できるか調べているのだ。

もしアトトゥーラの理論が正しく、クラグローンに定住したヨクダ人が星座を理解していたとしたら、もっと前の時代に彼らがドゥエマーの遺跡を調査したと推測される。衰退と繁栄を求める日和見主義者が破壊的な仕事をする前に。私がやりたいことは、ヨクダとドワーフの文字を比較し、歴史的文献で不足している部分を埋めることだ。

2日目
私はツイている。この遺跡は、これまで訪れた多くの遺跡よりもかなり保存状態がいい。だがしかし、これは同時に必要以上に注意深く進まないといけないということだ。ちょっとつまずいただけで、ドゥエマーの防御を起動してしまうかも知れない。それは間違いなく私の破滅を意味する。

6日目
物資を取りに地上に戻ってきた。それと、自分の蔵書から発見した断片からなるドワーフの文章の複写を送った。時間に余裕があり、自分の本を手に取れるときにでも、解読するつもりだ。

10日目
クソッ。防御が起動してしまった。どうして、こんなことに。絶対に何にも触れていないと思っていたのに!

うまくいけば、誰かが私のメモを見つけ、この研究を続けてくれるだろう。

サラディンの日記Saradin’s Diary

上級王デュラクの娘、サラディンの日記より

父とヴィルマリルはもう1日、夜のほとんど時間をスカイリーチの地下にあるカタコンベで過ごした。彼らはあの暗黒の技に対する陶酔を分かち合っているけれど、私は時々彼らの友情は複雑すぎないかと思う。父はネードの上級王としてあのような重責を担っているけれど、ヴィルマリルに助言を求める度、その重責をほんの少し私の愛する人に負わせているのではないかと心配している。

* * *
今の所、父には私達のことを話していない。でも、ヴィルマリルはごく近い将来、父に私との結婚を願い出てくれると約束してくれた。

* * *
父は激怒した。ヴィルマリルとの長い友情にもかかわらず、愛する娘がハイエルフと結婚するという発想には全く喜ばなかった。私はとても傷ついたけれど、強くあらねばならない。どうしたって私は上級王の娘なのだし、父や国民に対する義務がある。この結末がどれだけ私を苦しめたって関係ない。そして、かわいそうなヴィルマリル。私は見たことがないわ、あんな…打ち砕かれたような彼を。

* * *
私はケスティク王と結婚する。父がケスティクと北部のクランとの結びつきを強化するためにこの結婚をお膳立てした。私はまだとても強くヴィルマリルのことを思っているけれど、それは後ろに追いやらなければいけない。私達の愛は禁じられたものだし、この結婚はネードのクランをより強くする。ヴィルマリルはもう、彼自身の人生を歩み始めているの?

* * *
野蛮なヨクダ人達が扉のところに集まっている。今日は父とヴィルマリルが一緒にいるのを見た。2人とも不安げに見えた。ああ、2人ともそれは見せないようにしているけれど、私は2人をよく知っている。ヴィルマリルが侵入者を撃退する計画があると言う。彼は父がその案を支援してくれるだろうと思っている。彼らに必要なのは、ただ他のネードの王を説得することだわ。

* * *
ヴィルマリルは今夜の祝宴の間中私を見ていた。かつては見られなかった…渇望が彼の瞳の中にあった。きっと私が想像しているだけね。けれど、今夜のヴィルマリルの頭の中には侵入者や、軍隊や、戦争のことはなかったと断言できる。彼は私のことだけを見ていた。

* * *
ヴィルマリルは王家の部屋にいる私のところへやって来た。最初は、彼と話すことをためらったけれど、距離を置いているとは思われたくなかった。彼はまだ私を愛していると言った。共に逃げ出そうと頼んできた。彼が冗談を言っていると思い込んで、その考えを笑いとばした。けれど、私にはわかった。彼の瞳の中の、私への思いは今までにないくらい強いものだった。私は、私の思いが私を裏切る前に、後ろを向いた。

* * *
今日のヴィルマリルは冷たく、よそよそしかった。ご機嫌を尋ねたとき、彼はただ、私が次の行動の方向を決心させるのを手助けした、とだけ言った。王の議会が終わったらすぐにヴィルマリルを見つけて謝らなければ。決して傷つけるつもりではなかった。

間違いなく、彼はわかってくれるはずよ。

スカイリーチの探検家 第1巻Skyreach Explorer, Volume One

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著

興奮と恐怖をもって、私はこの一連の日記を書き始める。これはいつの日かスカイリーチおよび古代のネードの人々に関する学術的作品の基礎を形成するだろう。グウィリム大学は寛大にも、この目の前にある題材について、少なくとも2冊の本の出版の独占権と引き換えに、この遠征に対する資金提供をしてくれた。

注記するが、これらの日記は完結し、出版された作品ではない。この旅を通して出会った全ての物に対する私の見解、理論、そして一般的な考えが含まれている。この日記はまた、私の学術的パートナーのヴェリタ・ヌミダによる付記も含む。この者の理論は通常、私が提示するいかなる理論とも極めて対照的である。我々の視野の相違点がより完全な過去の概念を創出すると考えたい。しかし、私はここで、ページの中で認めよう。彼女はしばしば私を知的に激怒させる。そうは言っても、私自身のものと並行して、彼女の支援と高い実績が加わっていなければ、この遠征が実を結ぶかどうか確信はない。

なぜスカイリーチなのか?これら古代の遺跡が、我々が最初にシロディールの調査を始めてから興味をそそられている疑問に対する回答を持っているからだ。すなわち、最終的に強力なインペリアルを生み出した古代のネードとは何者なのか?私は常々、彼らはまるでお互いが敵であるかのように戦うような、未開の獣であると考えていたが、ヴェリタは絶えず、彼らは私が信じているよりももっと進んだ文化を持っているはずだと強く主張していた。おそらく、スカイリーチの遺跡の奥深くで、我々は決定的にこの論争の決着をつけるだろう。

* * *
すばらしい!スカイリーチの街はドラゴンテール山脈の周辺だけでなく、山を貫きその地下にさえ広がっていたらしい。この場所の加工をする技術はなんと素晴らしい偉業であることか。どうやら、私は少なくとも1つヴェリタとの論争に負けたようだ。古代のネードは確かに単なる未開の獣ではなかった。しかし、厳密には彼らは何者なのかということを、これらのモノリスはまだ語っていない。

我々が「要塞」と呼ぶことに決めた、廃墟となった街の部分の調査を始めた。最初の目標はこの地域を探検し、このようなネードの大都市における日常生活はどのようなものであったかについて結論を出すことだ。彼らは外部と内部の空間を共に活用していたのだろうか?また、彼らは主に、山のまさに中心から削られた空間に居住していたのだろうか?おそらくあの複雑な彫刻がいくつかの手がかりを提供してくれるだろう。

最初の調査で、私は誇大に称えられている上級王の1人の個人的な邸宅として、この巨大な生活建造物を建設したと理論を立てた。ネード滅亡の責を負う、デュラク上級王の最後の邸宅でさえあるかもしれない。

ヴェリタはいつものごとく同意しない。彼女は一般庶民がこれら今や廃墟となった建物の中や外で生活や仕事をしていたと推測する。我々が見た、生活空間に変換された区域らしいと示す証拠は、ネードがヨクダ人の侵入の結果、山の中へ後退したという理論の信憑性を増すと彼女は訴える。彼女の理論は正しいと言えるかもしれない。さらなる熟考を重ねれば。しかし、私はまだ譲歩するつもりはない。今はまだ。

スカイリーチの探検家 第2巻Skyreach Explorer, Volume Two

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著
グウィリム大学 歴史学者 グウィリム大学 古代研究家 ヴェリタ・ヌミダによる付記

レギナスには休息とジュニパー茶が必要だったので、スカイリーチ要塞の探検の記録を続けるため、私がインクと羽ペンを取っている(いかに彼が嫌っていようが、私はより友好的で刺激的な執筆スタイルを好むの!絶対にね!)。

私はますます、ネードは高度な社会を持っていたと確信するに至ってきている。ひょっとしたら、いくつかの手法においては私達よりも高度でさえあったかもしれない。山の内部に巨大な場所を建設するために必要とされた、工学的技能は計り知れないものだ。私達の最高の技術者と職人が同じ試みを繰り返したら、追い詰められないでいられるかどうか確証がない。入り組んだ庭、アーチ型の天井、精巧な水路と噴水。これらはすべて、シロディールが提供できる最高のものに匹敵するか上回る、高度な知識と美学のレベルを示している。

私達を取り囲む石細工の中に示された全ての技能と職人技は、ネードが戦いを愛する蛮人をはるかに超えた存在だったということをはっきりと表していると私は考える。ごめんなさいレギナス、だけど私はこれを自分が見たままに記録しなければいけない。その建築は、彼らが石細工とレンガ細工を芸術として扱ったことを示している。その彫刻は簡素な装飾以上のものよ。それらは誇り高く力強き人々の、嫉妬深い侵入者により断ち切られた、星に手を伸ばす文化の物語を伝えている。遺跡の中にあってさえ、息をのむような高尚さがここにはある。

さらに印象的なのは、空に向かって開いた場所よ。これらの開いた天井は、新鮮な空気と日光を取り入れ、ペレナールのかけらやその他のものなどのような、古代の文書や石板のおかげで私達が知るところとなった、ネードが好んだ習慣である夜空の観察をするために最適だった。ネードの星に対する執念は、単純なものではないと私は信じている。彼らは星を崇拝していたか、またはセレスティアルとの間に何か他の深いつながりがあったのよ。私は、ネードがまさにセレスティアルという概念の創造物そのものと、何らかの関わりがあったと信じている。私はこの場所や近隣の遺跡の探検中に、この説の裏づけとなるものを発見するつもりよ。

もちろん、レギナスは私の意見に激しく反対している。彼は羽ペンを返せと要求してさえいる。歴史学者よね、まったく!もし、空想から現れた事実が歩み寄って来て、「こんにちは」と言ったとしても、彼にはわからないでしょう。ええ、いいわよ。どの道、手が痙攣を始めちゃったもの。

スカイリーチの探検家 第3巻Skyreach Explorer, Volume Three

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著

今日、我々はスカイリーチ地下墓地として知られる地下墓所へ初めて踏み込んだ。ネードの街の死者が、この広大な迷宮に葬られていることは明白だ。だが、我々はまだ、すべての階級の市民がこの施設を使用することを許されていたのか、または、裕福で有力な者たちだけの場所だったのかを確定できていない。我々はすぐに墓所の標本の分析に取り掛かる。我々が、どんな遺物がそれぞれのネードの遺体と共に埋められていたと見出すか、誰が知るだろうか?

我々の一行の何人かの衛兵と作業員はこの場所について不平を言い始めた。彼らは、このカタコンベが取りつかれているという。実は、私の生徒の1人が、裏切り者ヴィルマリルの伝説を私に思い出させた。通常、このようなばかげたことは認めないが、私の中に恐怖感があることは認めなければならない。そして私も他の者と同じように、聞き取るには低すぎる声で言葉を話す声が聞こえるような心持になっている。もしかしたら、我々はただこの夢物語でお互いを怖がらせ合っているだけなのかもしれない。それでも、我々が調査を完了するのが早ければ早いほど、この陰惨な場所を早く出て行ける。

(現在、レギナスが恐怖でほとんど凍りついてしまっているようなので、再び私が羽ペンを取っている。実際、私達はまだ幽霊とか歩く死人とかを目撃してはいないが、頭の中で奇妙な声がすると訴える調査隊の者がどんどん増えている。しばらくの間彼らを無視して、私達がちょうど横切ってきた素晴らしい部屋について話しましょう。これはきっと、伝説的なネードの王達の会議が行われた場所に違いないわ!それぞれの王は彼らの生命の最後の瞬間を迎えた時のままに違いない姿に見えた。玉座に座って、あたかもこれから崇高な討論に入ろうかとしているような——ヴェリタ・N)

自分に何が起きたのかわからない、だが、私は陰鬱な感覚を振り払って、我らが空想的なヴェリタから羽ペンを取り返した。私はこの発見の我々の記録を完成させるために、これらそれぞれの古代の王の配置を文書に記さなければならない。彼らの名前は歴史の中に失われているが、上級王デュラクの周囲に散在していた各王の肩書きはわかっている。彼らの中には森林王、精霊王、氷結王といった優れた指導者も含まれていた。彼らがなぜこのような肩書きを付けていたかわからないが、彼らが統治したネードの領域の地域と関連があるのは間違いない。また、ひょっとしたら、彼ら個人の力の紹介のようなものと関係があるのかもしれない。

(その羽ペンをよこしなさい!彼らがどう呼ばれていたかなんて誰が気にするのよ。思うに、この部屋は裏切り者ヴィルマリルの本当の精神状態を表しているのよ。彼がアンデッドの軍勢を起こそうとしていたとは思わない。彼は収集家以上の人だったのだと思うわ。この場所は今や彼の収集物なのだと思う!もし目の前にある証拠を見たら、これはかなり筋が通っていると納得するわよ。——ヴェリタ・N)

ばかばかしい!ヴィルマリルは伝説以上の何者でもない。そして、幽霊話は知識と歴史の理念の前進の為には何の役にも立たない。この妄想的な声に我々皆が屈服する前に先に進もう。

スカイリーチの探検家 第4巻Skyreach Explorer, Volume Four

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著

私達がすでに探検した街の他の部分で見たように、同じ奇妙な形状がネードの建築の至るところで見られた。明らかに大蛇のモチーフであるものがあちこちに描かれていた。私は、これはネードがある種の大蛇神を信仰していたという確固たる証拠だと強く主張する。この神に激しく魅了されていたので、どこであれ彼らが見る場所ではその姿を見たいと思っていたのだ。

ヴェリタは、私の理論に一理あると言っている。そのことには感謝する。だが、彼女は他の見解を提供することを強く主張している。これはすべての可能性について検討してみたことをはっきりさせるためだというが、私は、彼女がただ反論したいだけだと主張する。彼女は事あるごとに異論を唱えることを楽しんでいる。彼女の理論で、大蛇は単純にネードの文化で人気のある形象であったのであり、我々の間で人気がある伝説の、友好的なネッチ、勇敢なる小さなスクリブや、贈り物好きなグアルとたいして変わらないということだ。

これもまた人気ある格言の通り、意見の不一致は認め合わなければならない。

その他の、私達が石細工の中に何度も見つけた奇妙なオーク風の顔、ある種の生き物の角付きの頭蓋骨、そして翼のある大蛇を含む像は、他の蛇の像と結びついている可能性がある。神?大衆に好まれた物語の登場人物?特に深い意味を持たない単なる装飾の構成要素?私は、我々はネードのパンテオンを見ているのだと信じている。キャンプファイアー用の物語に出てくる想像上の生き物を描くのに、わざわざ手間をかけているとは想像し難い。

* * *
我々は今や、カタコンベは元々スカイリーチの街の墓地として利用されていたのだと信じている。我々は埋葬されている者が一般の人々から職人まで、貴族から王族まで、あらゆる階層の出身者だという証拠を見つけた。我々はまた、なぜこれらのカタコンベの領域が我々を大いに動揺させるのかということについて、相反する仮説を発展させた。

私は、それは、共有の幻惑だと考える。いつまでも消えない伝説によって与えられた物質が、我々自身の恐怖によって加速されたものだ。我々はただ、我々の知性と意思の強さを信頼する必要がある。そうすればすべてうまく行くだろう。加えて、幻惑は我々を傷つけることができない。このことを、私ははっきりと確信している。

ヴェリタはもちろん、他の見解を持っている。彼女は、現在我々がパレナールのかけらと呼ぶ遺物の文書を通してのみ知っている裏切り者ヴィルマリルに関する伝説が、それに対する少なくとも一粒の真実を持っていると信じている。これは彼女の考えだが、ヴィルマリルはまさに死霊術師で、どうにかして自然の法則に背き、どのような形であれこの迷宮の奥深くにいまだ存在しているというのだ。私はたわごとだと言ったが、彼女がこの遠征に同行することに同意したように、私には何か、彼女が自分の理論を展開することを認める義務があるような感覚がある。それがどんなにとっぴな話であっても。

これはヴェリタの主張だが、ヴィルマリルは計ることが不可能なほどの長い間眠り続けているという。そして、我々は何らかの形で永遠のまどろみから彼を起こす工程を始めてしまったのだと。ただ、一応念のため、我々はカタコンベの探検を早く切り上げて、施設の次の場所へと移動することにした。ひょっとしたら、後でまたこの遺跡へ戻るかもしれない。我々の頭がすっきりとしたら。

スカイリーチの探検家 第5巻Skyreach Explorer, Volume Five

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著
グウィリム大学 古代研究家 ヴェリタ・ヌミダによる付記 歴史学者 レギナス・ブーカ

レギナスは石の歩道の亀裂に足を挟み、足首をくじいてしまった。現在彼はベースキャンプで熱いジュニパー茶を飲みながら休養している。彼は渋々ながら彼の同行なく、遺跡の頂点を探索することに同意してくれた。スカイリーチ施設の調査を完了させるため、彼の足首の回復を待つ余裕はなかったからね。

そして今、私はスカイリーチ遺跡の通行可能な最頂点にいる。施設内の奥にさらに続く長い曲がりくねった通路があるけど、この場所の目的についての仮説を構築できるだけの証拠はまだ目にしていない。ただ、ここにいるのは私だけではないような、不気味な予感はする。もっとも、護衛や研究助手達を除けばね。これは柱や壁に彫られた顔が、覗きこんでいるように見えることと関係がある?

それはさておき、遺跡内に続く通路は過去に損壊を受けた形跡があった。壁の一部は崩れ落ち、通路の一部は加工した石ではなく自然の洞窟で形成されている箇所もある。もしかしたら地震によって損壊を受け、遺跡内に自然の通路が開かれるようになったのかもしれない。そして今でも振り向けば古代ネードの民、あるいはそれ以上の不思議な存在の顔に出会うのではないかという感覚に襲われる。

通路の終わりに到達した。そこから巨大な完成した部屋へとつながっていた。ここで私は自身が遺跡内に侵入してきた通路が元からあったものではなかったように思えた。それは主室をまるで付け足したかのように分断しているように見え、まるで誰か、あるいは何かがスカイリーチの滅亡後のある時点でこの箇所まで穴を掘り進んでいたかのようであり、私は過去の探検家か墓泥棒が進んだ道をたどっていたように思える。

追加のコメントを書き記す前に、少し考えないとね

スカイリーチの探検家 第6巻Skyreach Explorer, Volume Six

グウィリム大学 歴史学者 レギナス・ブーカ 著
グウィリム大学 古代研究家 ヴェリタ・ヌミダによる付記

私がスカイリーチ頂上の調査に関する解釈を続ける間、レギナスはベースキャンプで休養しながら怪我した足首をいたわりつつ、この調査における自分の不運を呪っているのでしょう。良く考えてみれば、もしかしたら彼はこの埃臭い古代遺跡の中を這い回ることに飽き飽きしていて、少し休みたいと考えていたようにも思える。彼なら、私に仕事を全部押し付けることもやりかねない。

私はこの遺跡の一部の主室まで到達した。ここは恐らく何らかの儀礼場であり、もしかしたらそれはネード信仰、またはアルケイン的慣習に関連していたのかもしれない。部屋の主要な場所に4つの召喚サークル、あるいは儀式用の石らしきものがある。私はアルケイン儀式の専門家ではないけど、これらの石の台が何らかの結界であったと知っても驚かない。これらの石のエッチングを作成し、レギナスに何をあらわしているか聞いてみましょう。

部屋の中央には刻まれた儀式用サークルのような装飾が施されており、何かの異形の様相と思われるものを表している。これは我々がまだ完全に解明していないネードの神の一柱?これに関してはひとまず「多分」の分類に入れておくことにする。この古代の場所からはまるで過去に何か重要なことが起こったかのような、何らかの胸騒ぎが感じられる。ここにそのすべてを教えてくれる文書のようなものがあればいいんだけど。ただしその場合、私の大学での仕事はなくなってしまわないかな?

部屋の奥にある高い台には2つの興味深いものがあった。まず、5つ目の召喚サークル(結界石?)が台の床部分に埋め込まれていた。そして壁に開いた巨大な穴からは夜空が観察できるようになっていた。これは何らかの天体観測用の道具だったの?特定の日にはこの場所から特定の星のパターンが表れるようになっていたとか?この件に関してはもっと調査が必要になるかもしれない。ただ、ここで感じる雰囲気が私を不安にさせる。この場所から感じるのは…怒りよ。まるで爆発するのを待っている、闇の感情のスズメバチの巣のような。

さて、私がここでできることは終わった。後はここで発見したものについて、レギナスがどう思うか聞いてみることにしましょう。

スケールドコートでの生活Life In the Scaled Court

星読みのための報告書
ヴァリンカ・ストーンヒーヴァー 著

ついに私の良き指導者、著名な探検家にして冒険家のナルシス・ドレンに教わった単純なトリックを使う機会を得た。その結果、もしあなたが回りの人々と同じ服を着て、うつむき、所属しているかのように振舞えば、現在クラグローンで活動している教団の中でももっとも邪悪で卑劣な教団にさえ潜入できるということがわかった。とは言っても、簡単なことではない。私はあの場にいる間ずっと、密偵だと暴露されるとはっきりと感じていた。しかし私は忍び足で入り込み、体験談を伝えるために再び脱出してきた。かろうじて!それでは、スケールドコートでの生活についてお伝えしよう。少なくとも、前の央耀日の約4時間の間に見た生活について。

スケールドコートキャンプでの生活の大部分は、皆さんが無鉄砲な戦士と魔術師の集まりの中にいたらと想像されるものとほぼ同じである。そこには共に生活し、働き、戦う者の間にはよくある心温まる冗談の言い合いがあった。荒っぽい言葉のやりとりも少なからずあり、教団の誰もが皆いつも仲良くやっているわけではないということを示していた。だが彼らには同じ1つの目的があった。私が交流したスケールドコートの信徒達は彼らの指導者に、神に、そして大義に全力で尽くしていた。これら男女の大蛇に対する献身ぶりには、ぞっとさせられるものがあった。

リベンスパイアーの元山賊の青年はとりわけスケールドコートの指導者達に夢中になっていた。特に指導者達が自らに任命している仰々しく(私見だが)尊大な肩書きと虚飾に興味をそそられているようだった。それは最上層部、見たところ組織を支配しているらしい摂政達の議会から始まっている。私はどの摂政とも会うことはなかったが、大抵は称賛と畏敬の念をもって語られていた。彼らのうち何人かはほとんどセレスティアルの大蛇と同じくらい崇拝されていて、スケールドコートの中心的な立場を得ているのだ。

アイアンオークの首領を破壊にうねるオフィディアのエグザーチとすることには多少の異論もあったようだ。アイアンオークをスケールドコートの雑兵に加えるのであれば素晴らしいアイデアだと賛同しただろうが、凶暴なブラードスをクラグローン北部の大蛇の軍勢の最上の階級に任命することは、キャンプの全ての者にとって受け入れ難いものだった。私は時折こういった意見を集め、ひそひそ話や囁きから解釈し、もっとも冷静でないメンバーにせがんで彼らが進んで共有してくれる追加情報を聞き出した。しかしそれでも、私が会ったメンバーは誰一人として大蛇のエグザーチや他の摂政に楯突こうとはしていなかった。そういう訳で、オークの首領の昇進は揺るぎないものだった。

スケールドコートにおける他の指導者的地位は、蠢く悪夢の摂政(この人物は大蛇に忠実な怪物を作り出すことにかかわっているようだ)、牙の憤怒の摂政、這い回る幻視の高官、そしておそらく彼らが大蛇の如き計略の摂政と呼んでいるカシピアという名の女性を含んでいる。まったく異なる指揮系統がクラグローン南部にあった。私はこのような仰々しい肩書きの人物には一切出くわさなかった。そして、それは良いことであったに違いない。私の変装が彼らを欺くことができたかどうか、定かではないから。

キャンプでの残りの時間は、歩き回り、会話に聞き耳を立て、どんな軍隊のキャンプにもあふれている多数の日常的な仕事をこなす男女を観察して過ごした(間違いなく、スケールドコートは今までに遭遇したどの軍隊にも劣らない、軍事的な組織だ!)。私はいくつか未知の物質についての話を聞いた。それはスケールドコートにとって重要なもののようであったが、それが実際のところ何なのか突き止めることはできなかった。もしかしたら、星読みのどなたかは聞いたことがあるかもしれない。彼らはそれを「ニルンクラッツの塵」と言って話していた。その物質が何に使われるものであれ、スケールドコートはそれを彼らの計画に不可欠であると認識しているようだった。

キャンプでの最後の1時間、私は確かに見張られていると感じ始めた。即座に警戒し、私がよそ者であると気づかれている兆候がないかあたりを見回してみた。けれど、誰も警報を発している者はなかった。誰も私に向かって突進して来る者はなかった。それでも感覚は持続し、私は長居しすぎたのだと判断した。私は集団からの離脱を始め、アイアンオークの一団がフラリと入ってきた時にゆっくりとキャンプの端へ向かって歩いた。オークの一団は私の肝を冷やしたが、彼らに同行していた初めて見る武装したトロールは、私の血を凍らせた。

トロールは全体にグリフを帯びたオーク風様式の奇妙な鎧を着ていて、その姿に私は顔を背けたくなった(多分それは、ただその生き物が私の中に引き起こした恐怖にすぎないのだが)。間違いなくそれは私をよく見ようと振り向いたが、オークの主人達に引きずられて行ってしまったので、私はキャンプの外に出る障害物のない通路を得た。しかし、気が違いそうなほど欲していた自由へと到達する前に、私の肩を優しくつかむ手の感触があった。私は緊張し、神経を落ち着かせるためにいくつか深い息をつくと、誰であれ私を見つけ出した者へと振り返った。

私は鋭い目をした若いウッドエルフを見た。彼女は微笑んだが、それは意地の悪い感じではなかった。そして私に折りたたんだ一片の紙を手渡した。「あなた、いい人よね」彼女は言った。それから彼女はこれ以上何事もなく出発できるようにと私を残して去って行った。最終的に速度を落とし、疲れ切った背中を大きな、冷たい岩に預けて一休みするまで、1時間かそれ以上も歩いた。私は地面に座り込み、紙片を広げた。そこには5つの短い言葉があった。

「あなたが見たことを彼らに伝えなさい」

私は紙を取り落とし、そして走った。猛り狂う大勢のスケールドコートが追ってきているのは間違いなかった。私は何とか無事にベルカースへと戻り、この報告書を書いたわけだが、その間もそれは私の心に鮮明に残った。ひどく鮮明に。そして恐らく私は、悪夢を見ることになる。

スケールドコートの起源Origin of the Scaled Court

星読みのための報告書
ヴァリンカ・ストーンヒーヴァー 著

物品の収集家として、ダンジョンの探求者として、そして名高い(すぐにそうなる予定)探検家として、私はたびたび特定の品目か情報を手に入れる任務を引き受ける。クラグローンの星読みは、スケールドコートとして知られる最近結成されたグループに関連するものすべてを調査するために私を雇った。

スケールドコートはどこからともなくやって来たかのようだった。天空の守護者達の、夜空からの不可思議な消滅のすぐ後、クラグローン中に突然姿を現したのだ。ちょっとした質問と、合法的な無料飲料の申し出や賄賂的なものにより、クラグローンに到着する前のこの集団は、戦闘をしようとシロディールへと向かう傭兵達の、ゆるやかな共同体であったと突き止められた。

元々ノルドの戦士長、ミルヴァーン・ワンソードが率いていた傭兵達は、金と戦利品で相当額の支払いをしてくれる軍隊があれば、どこにでも兵力を提供するつもりでその地域に入った。しかし彼らは、戦いを雇われの殺し屋に任せることを拒んだシロディールの将軍から強く非難され、門前払いを食った。ワンソードが集団のまとまりを保つため他の計画を捻り出そうと奮闘していたので、職にあぶれた傭兵達はしばらくの間クラグローンの荒野をうろつき回った。ドラゴンスターの南東にある荒れ果てた土地でキャンプをしていた時、1つの人影が意気消沈した集団の視界にふらりと入ってきた。

彼女はインペリアルらしい堂々とした立ち居振る舞いで、抗うことを許さぬ自信に満ちていた。「”季節を持たぬ者”からの伝言を持ってきた」。彼女は大きな、威厳のある声で告げた。「あなた方は大蛇がその身の中に同質の魂を見出した、目的なき放浪者だ。私と共に来れば、大蛇は千倍に報いるだろう!」

もちろん、ミルヴァーン・ワンソードは仲間たちに彼を裏切らせようとするこの見知らぬ者に腹を立てた。刀剣を引き抜いて彼女に近づいたとき、彼女は落ち着いて微笑み、囁いた。「大蛇よ、あなたのしもべを守りたまえ」。突然、ぼんやりとした巨大な蛇の姿がその女性を取り巻いた。彼女が指差すと、ぼんやりした蛇はほどけて稲妻のように襲いかかり、ミルヴァーンの鎧を2つの鋭い、毒のしたたる牙で貫いた。彼は体が地面にぶつかるよりも前に絶命していた。

「セレスティアルの大蛇はあなた方を招集するために私を遣わした」。女性は告げた。「あなた方に想像を超えた目標と栄光と力を与えるために!私は大蛇の如き計略の摂政、そして我らは共にスケールドコートである!」

私が調べた限り、以上のようにスケールドコートはクラグローンへやってきたのである。

スケールドコートの書簡Scaled Court Communique

ドラゴンスターの我が密偵に告ぐ

いかなる事があろうと、貴殿の本当の所属を明かしてはならない。貴殿には引き続きドラゴンスターキャラバン社の活動を監視してもらう必要がある。なぜなら彼らには行動を起こすことを決意した場合、我々にとって厄介な存在になるだけの勢力があるからだ。

またエランウェンという名のハイエルフについて聞いている。彼女は貴重なニルンクラッツを大量に購入し、我々の収集活動を阻害している。彼女が我々の計画をどこまで知っているのか調査せよ。

私はドラゴンスターの街の西側にあるフィアファングス洞窟で我が軍を視察する。私を失望させるなよ。

——牙の憤怒の摂政、エルスカ

すり切れて破れたページWorn and Torn Page

同僚のアバンは扉に手を押し当て青くしていた。何週間にもわたり隠し通路、緩んだ石を探していたんだ。彼は何らかの方法でそこへ入ったが、何も見つからなかった。だが今度は、私がそこへ入る方法を見つけた。

1年前、ヘル・ラ要塞に入り込みたくてしょうがなかった。もうずっと誰も中に入ったことがないと聞いていたからだ。その扉にはかんぬきが掛かっていて、魔法で守られていた。アンセイと彼らのシェハイの秘密が隠された扉だ。

今、アバンと同じ道をたどることを純粋に光栄に思う。先人が残した名高い史跡を訪れることで、きっと心は揺さぶられるだろう。

セレーンの手紙Selene’s Letter

マイルズ

フレデリックと話をしてもらえませんか。彼がブラックキャスターに入ると言って、私の話には耳を貸さないんです。彼はいつでも私達の結婚をよく思ってなくて。でもあなたは彼の父親だから、あなたのことを尊敬しているし、私よりフレデリックを理解してると思います。お願いです、彼と話してもらえませんか。

セレーン

ダガーフォール・カバナントの書簡Daggerfall Covenant Missive

ドラゴンスターの南の交易路で最近起きた騒動については、ダガーフォールの司令部が調査中である

交易路周辺で洞窟のネットワークを調査してほしい。秘められしデューン、もしくは埋められし砂と呼ばれているエリアだ。そこで山賊を見つけたら報告するように

以下のことを留意するように頼む。司令部は、砂と石でできた巨大な戦士に関する最近の噂は根拠がないものと考えている。そのような根も葉もない噂話は広められるべきではなく、できるかぎり懐疑的に扱われるべきである

タムリエルのオーク 第3巻Orcs of Tamriel, Volume 3

グラシウス・ヴィリコ 著

我々はクラグローンの「アイアンオーク」に行きあたった。私はどの学者もこの存在する問題について研究をしていないことにショックを受けた。だがその理由を知るまで時間はかからなかった。

アイアンオークについて学ぶことは難しい努力であることが証明されている。彼らは外部の者なら誰にでも一律に敵対するのだ。「敵対的」というのは、この場合控え目な表現ではない。クラグローンに居た時、私は日常的に切り刻まれ引き裂かれ、そして生の鉄の爪で木に刺された死体を見つけていた。これは落ち着かなかったが、情報を与えてくれた。何がそのような残虐性を駆り立てるのか、私は不思議に思った。大体のことと同様に、答えは過去にある。

古代のオークの洞窟絵画とネードの遺跡には驚くべきスタイルの類似性が示されていた。これらのモチーフは原始のオークとネードの間に明らかに豊かな文化的交流があったことを示している。これらの共有されたシンボルの豊かさは、段階的な、長期にわたる離別の期間の存在を示している。紛争がより一般的になって、金属と石の加工で有利になったネードの時代があった。いくつものネードのフレスコ画に武装した戦士が、武装していないオークと戦っている姿が描写されている。我々はこれらの壁画には、あまり発展していない隣人に対して、本物の軍隊が勝利した様が描かれている。

神話紀末期のある時点でアイアンオークの文明が起こり、根本的な再構築が行なわれた。基本的に平和で、呪術的な社会だったものが、急速に鉱山労働者や鍛冶職人、戦士たちのコミュニティーに代わり、より一般的なオーシマーに近くなる。しかし、そこには特筆すべき違いがある。アイアンオークは、戦争のやり方に対してかなり野性的な手法を導入した。仲間と私は、バラバラになった状態の大量の死体が詰め込まれた墓を発見した。壊れた背骨、散乱した頭蓋骨、ひび割れた胸骨。多くの傷は、殺された後についたものだ。そして多くの死体には、武器もあらゆる種類の防具もないようだ。

クラグローンの説得力のある絵画の中に、証拠を発見したと信じている。アイアンオーク(石に対する尊敬の念が今日まで持続する)は、彼らと崇拝する原始の石を守るための必死な必要によって、採掘と戦争をせざるを得なかった。くわとつるはしを手にして、彼らは信じる神への冒涜を行なったのだ。怒りはある日、憎しみに取って代わられた。特に、この神への冒涜へ彼らを駆り立てたネードにとっては。もしこの説明が正確なものなら、アイアンオークの怒りはもっとも危険な種類の怒りだと結論付けることができる。この怒りは、自己嫌悪からくる怒りなのだ。彼らの文化と崇拝する石を守るために、歪めて何か暗いもの、恐ろしいものにする必要があった。私はそれを、怒りと静かな悲しみ、あまりに暗く、本当の意味で回復するにはあまりに深いものではないかと恐れている。我々は彼らの中から文化的な変化が起こることだけが、唯一の希望だと思っている。それには長い時間が必要だろう。

タルガのメモTarga’s Note

愛しきアニヤ

まず最初に、これらを読んだ後に手紙を燃やしてほしい。もっと頻繁にも、長くも手紙を書けなくてすまない。だが問題が、幼い子が母親を追いかけまわすように私の後をついて回るんだ。

君から離れたこの何カ月もの間に経験したことは、言葉にすることが難しい。その理由は、日々自分の考えていることが、神への冒涜に近いものだからだ。

我々の輝かしい皇帝が、蛮族が死の地と呼ぶ場所に我らを北上させた。そこは名前の通り、荒れ果てた土地で、どんな人であれ住むのに適していない。だが輝かしい皇帝は前進し続け、砂漠の真ん中で揺らめく水の街と、不死の軍隊という狂った夢の約束に夢中になったのだ。

わかるだろ?私のペンが俺を裏切っている。だが、不可解な皇帝の計画を他になんと呼べばいいんだ?戦士の報酬は永遠の栄光とその疲れた身体を休めることだけだ。だが休息を拒まれる戦士はどうなる?そんな兵士にとって、どんな安らぎがあるんだ?

我々の輝く皇帝は、彼の栄光のために我々が死ぬことを否定するだろう。彼は我々の肉体を、不自然な形で蘇らせ、年月を越えて彼の為に戦わせることで冒涜するのだ。また私の言葉が、邪悪にも神への冒涜を唱えたようだ。

本当は、我々の素晴らしい皇帝が判断を誤った(私はその可能性を認められない)のではないとわかっている。だが、あの皇帝のそばにいる異国の者が、常にその耳に堕落の言葉をささやいているのだ。彼からは野望の匂いがプンプンするし、彼の悪しきお世辞に辟易する。

けれど、これが最後の手紙になると思うのだ、親愛なるアニヤ。究極の失敗が、私自身に横たわっている。私は主人に従い、死ぬことを誓わされているのだが、彼の後を追いたくないのだ。この手紙を書き終えたら、私は栄誉ある道を選択し、自らの剣で命を絶つつもりだ。

この手紙を受け取ったら、どうか破棄して欲しい。我々の神聖な皇帝が、私の罪を君が分かち合ったと見抜かない為に。

いつでも君を愛している、
タルガ

チーズルシュリーク作業長の記録Chiselshriek Foreman’s Log

蒔種の月9日

生産量:62ストーン。男たちの1人が鉱山で何かを見つけた。女性の形をしており、磨かれたお守りのようだ。ただし、壊れている。片腕と頭がなくなってしまっているようだ。コラットはそれを売って一財産作ろうと考えている。彼に、誰も壊れた小さな像を泥まみれのシャフト・ラットから買ったりしないと言ったんだ。だが彼はどこかに行ってしまった。コラットの賃金をいくらカットするか、覚えておかねばならない

蒔種の月13日

生産量:46ストーン。シャフトのより遠い部分で遅滞が発生した。正確には何が問題かわからない。何組かの作業者を下ろして、支援部分をチェックさせた。彼らは長い間下で確認していた。崩落のことを心配していたが、聞こえて来たのは風と罵声だった。彼らが違うガスポケットを発見したのでないといいが。まだ下には、肺をやられた作業員たちがいる。

蒔種の月22日

生産量:24ストーン。さらに3人の作業員がいなくなった。より多くの男たちを下へ送るのは恐ろしいが、何が起こっているのか知らねばならない。明日は小さな遠征を組むつもりだ。私、ソルカ、そしてハシドだ。ヘイスジャールに、戻るまで作業長の役割をするように記録を見せておこう。

恵雨の月1日
生産量:14ストーン。ヨリックから引き継いだヘイスジャールだ。作業長とソルカがいなくて、活力がなくなっている。ハシドは戻ってから、役に立たない。いまだに「蒼の女」や何かのことをブツブツ言っている。人員不足と士気の低下により、ここで鉱山を閉めることを決めた。この記録は今後ここを占有する人に向けて残しておく。気を付けてくれ。この下には何かがいる。何かはわからないが、危険なものだ。自分の責任で掘ってくれ。

ティシの研究メモTishi’s Research Notes

兆候:筋力と体格の強化に伴って、突然の狂気と方向感覚の喪失。「シャダ」と呼ばれる複数の参照によって特徴づけられたまとまりのない叙述。

原因:シャダの涙の遺跡内の変色した水が、飲んだ者を悩ませる模様。

試験的な治癒:ソムナリウスのシダの調合薬が精神を落ち着かせ、時間につれて悩みを静めるが、それ以降はぶらぶらそぞろ歩きをする。

試験的な治療法1:水を飲んだ後に、嘔吐を引き起こす毒薬を投与する。しかし嘔吐が症状を緩和するわけではない。

試験的な治療法2:銀杏とアロエを頭に貼りつけ、脳内の体液の分泌を刺激する。だが目立った効果はない。

試験的な治療法3:煮沸と各種の中和試料を加えて、水を浄化する。だが呪いは損なわれずに残ったままだ。

デュサンダーへの手紙Letter to Dusandar

親愛なるデュサンダーへ

バルケルガードはどうだ?貴族たちは新しい肖像画を描いてもらうために並んでいるか?

この旅は私の繊細な気質に素晴らしい効果があった。これで充電した気分でまたハイエルフ社会の宮廷での生活に望めそうだよ。もうすぐね。

今の私は非常に生産的だ。戻るまでに3点の風景画を完成できそうだ。そしてあと12点以上のスケッチも描いてきたから、家に戻った時の…はっ!空き時間にそれらを描こうと思う。

この高台からの眺めはまさにすごいとしか言いようがない。君にもぜひ見せたいものだよ。多分完成させた絵を見たら行きたくなるだろう。スカイリーチの遺跡の上にのぼる月は息を飲むほど素晴らしい。その風景の本質を私のつたない腕前で捉えられればいいのだが。

私は何を言っているのだろう?そんなの当然じゃないか!

ああ、あとは君にプレゼントを用意しておいた。君のお気に入りの石コレクションに加えるものをね。現地で取れる石で、趣のある名前の石さ。こちらでは「レッド・ブリットル」と呼ばれている。

また近いうちに会おう。
——ユライメン

ドラゴン・プリースト—出でよ!Dragon Priest—Arise!

出でよ、強大なドラゴンプリーストよ!しもべの前にお姿を現し、その聖なる存在に接する栄誉をお与えください!

蘇れ、アキイアダル!この卑しい巡礼者にその秘密を明かしたまえ。古代の知識を私に与えたまえ。

蘇れ、蘇れ、蘇れ!骨が組まれ、肉体が組成する。死の眠りを振り払い、今すぐここに来るがいい!

汝に命令する!汝を支配する!私の声を聞き、我に従え!蘇れ!

ドラゴンスター・アリーナのゲストブックDragonstar Arena Guest Book

全次元における最高の大会へようこそ!ドラゴンスター・アリーナへようこそ!

私はこの大会における皆様の司会でありバトルマスターである、偉大なる強者ヒアスだ。諸君とは仲良くやっていけそうだな。そして活躍を期待している。いい試合を見せて力の限りを尽くせば、例え死んでしまったとしても、アリーナに出場した勇気のある者として記憶されることだろう。

さて、アリーナの記録に名前の記録を残すため、署名をお願いする。私は一度見た顔は忘れないが、どうも名前を覚えるのは苦手だ。

——アリーナ参加者——

キルシア
カーミオン

エイオラ・ウィンドストライダー
ラムシ・ウィンドストライダー

ダリアン・ゴーティエ
ナイフのスコルド

ホラク
ジュンロック
グンラン

シャリム
チャニサ

ウォスター・フローズンフィスト

ベリンカ
ナリカ
埃を掃く者
ミースク・ラノ

チャンピオン・マルカウルドと戦士ギルド

放浪者カズブル(あ、ここに署名するべきではなかったか)

セリオ
バルロク
ジピティー

ドラゴンスターキャラバン社に入ろう!Join Dragonstar Caravan Company!

大きくて重要なものの一員になりたいか?金を稼いでカッコいい制服を着たいか?それならぴったりの仕事がある!

ドラゴンスターキャラバン社は、我々の増え続けるキャラバンの衛兵の一員として、タフで、優秀で、力量のある男女を求めている。もし、君が威嚇的に見せられるなら、自分の武器を持ち出す必要はない。話に来てくれ。その他すべて欠けている場合は、武器の持参が必要だ。我々は、君がその武器を使っていかなる戦闘にも勝てることを確認したい。

望ましいスキル:強さ、強情さ、冷酷さ、忠誠心、命令に従う能力、逃走中の判断能力、威嚇、差し迫った危険な兆候が敵対状況に変わる前に終わらせる傾向。

ドラゴンスターの街にいる教官フィネモと話をしてくれ。君がキャラバン社ファミリーの一員となることを楽しみにしている!

トランブルのメモTrumbull’s Note

カル

魂石5個とスカイシャード5個の買い手を見つけた。彼は素晴らしい値を提示してくれている。本当だよ。これだけの金があれば、グレナンブラを買えるさ!まあグレナンブラ全部は買えないかもしれない。だがわかるだろ。息子とその息子の代、末代まで続く財産だ。

さて、これらをどこで手に入れるつもりか知らんが、まあどこでもいい。だが必ず見つける。そうだろ?成功しないとな。

トランブル

トレジャーハンターのメモTreasure Hunter’s Note

15年の間調査を続け、ついにそれを発見した。私はルクンゼルフトのドワーフ要塞と、その伝説の地下墓地を見つけたのだ!

彼らは私が愚かだといった。そこにはもうドワーフの宝など残っているはずがない。山賊に奪われたか、時とともに失われたかだと。だが彼らは間違っていた!

明日私は出発する。1週間後には、ファハラジャード王よりも金持ちになっているだろう!私を笑う者たちは皆、私が手に入れる金塊を見れば、きっと媚びへつらうことになるだろう。

トレジャーハンターの日記Treasure Hunter’s Journal

降霜の月3日

騙されたあげく、道に迷ってしまった!ここには財宝もなければ、金の山もない。歯車の歯とバネ、シューッと音をたてるパイプがあるだけだ。私はなんて愚かだったんだ!だが絶望してはいられない。ここにも、なにか価値のある物があるはずだ。隠された何かが。私は見つけよう。今引き返すには、あまりにも働き過ぎた。

降霜の月4日

本を発見した。あの機械グモがどれくらいうろついてるのか、全く見当もつかない。文字は小さく、汚れている。だが何かを建てる計画のようだ。何か巨大なものを。それが何であれ、ここのどこかにあるはずだ。そうに違いない!

降霜の月6日

ステンダールの慈愛にかけて、奴らがたくさんいる。あの巨大な歩行機械が。幸運なことに、彼らはガチャガチャ、ドスンと小さな丸石の上のワゴンホイールよりも大きな音をさせてくれる。

奴らは私がここにいるとわかってる。巡回が頻繁になって来てる。。奴らは何かを護るためにここにいる。なんという幸運だ!価値のない物を守る奴はどこにもいない。まだ財産を成せるかもしれない!

降霜の月8日

奴に発見された。八大神にかけて、巨大だ!全てを聞いている。紙の上に羽ペンを走らせる音まで!私はここから決して生きて出られないだろう。マーラよ、ご加護を!

もしこれを読む者がいたら、これ以上進むのはやめろ。奴は眠らせておけ、奴を起こしてはならない。

トロールへの餌付けと世話The Care and Feeding of Trolls

今やどうしてだか、破壊にうねるオフィディアのエグザーチとして知られることを望む族長ブラードスの命令で、この特別なトロールの手入れが確実に行き届いているようにしなければならない。諸君らをトロールの餌にしたくはないので、以下の手順に従うこと。

1. 水、ニルンクラッツ注入済の泥、そして血を混ぜたものにトロールを浸す。
2. トロールをそれぞれ少なくとも1時間はマッサージする。
3. 飲料用桶に泥鉄鉱エールを満たす。
4. 捕虜を激しく叩き、柔らかくする。
5. 柔らかくなった捕虜をトロールに投げる。
6. 後ろに下がり、食べさせる!
7. 毎日繰り返す。

——ブッチャー・グルゾグ

ニルンクラッツ:研究Nirncrux: A Study

回転する混合剤の摂政
メンダン・フロト 著

なんと卓越した物質をスケールドコートは発見したのか!あるいは「再発見した」と言うべきかもしれない。というのは、古代のネードがこの原初の元素をはるか昔に活用していたからである。彼らはこのエセリアルのエネルギーを吸収し、放出する能力も含めた唯一無二の性質について、知っていたかのようにさえ見える。しかし私は、ネードでさえ発見できなかった、我々が「ニルンクラッツ」と呼ぶ元素の様々な用途を我々が発見したという主張には自信を持っている。

大蛇の如き計略の摂政がスカイリーチの遺跡から出てきてニルンクラッツの贈り物をくれた時、我々はこの原初の元素で何をするべきかわからず、喜びと困惑が半々だった。しかし、大蛇が摂政に囁くと、彼女は次々とこの物質をスケールドコートの力を増大させるためにすぐに活用できるいくつかの方法を説明した。しかし、簡素なトリックと小規模な強化は始まりにすぎなかった。大蛇の如き計略の摂政はもっと大きな計画を持っていて、この元素の有用性を百倍にも増加させるよう、私と私の錬金術師達に命じた。

錬金術師達はまず、自然そのまま固形の状態での元素の実用性について研究した。その物質はクラグローン北部中で密度の高い岩盤を駆け巡る鉱脈として、そして時々、山や丘のふもとや谷の河川敷で砂粒や小さな塊として見つけられる。固形の状態である時、ニルンクラッツは砕けやすく、薄片になりやすい。ほとんどの酸からの攻撃に耐え、水や空気に晒されても変色することはない。とはいえ、武器の鋳造や鎧の作成など、実際に使用できるほど密度が高いわけでも、十分に強いわけでもない。

粉状、または塵状にすりつぶした時に、ニルンクラッツの真価は明らかになる。個々の塵の粒子中に貯蔵されたエネルギーは、より良く大蛇に奉仕するために修正されたネードの儀式を利用することで解放でき、活性化したニルンクラッツは薬や霊薬、それにその他の調合薬に利用することが可能となる。

例えば、予備試験の結果はその塵を、オークが複雑で力を集中させるタトゥーを入れる時に使用するインクに配合できることを示唆している。トロールやウェルワといった生き物をこの儀式的なタトゥーで飾り立てることを想像していただきたい。彼らをよりいっそう強力な破壊の原動力にすることが可能だろうか?断固として「可能」であると我々は信じている。我々はすでに、新たに任命された破壊にうねるオフィディアのエグザーチ、またはアイアンオークの首領として知られるブラードスに、百近い数の野生の生き物を飾り立てるインクを強化するために十分な量の、ニルンクラッツの塵を提供した。そして、私がこれを書いている間にも、さらなる原初の元素が加工のために集められている。

もう1つの塵の活用法については、蠢く悪夢の摂政と彼のチームが陣頭指揮を執っている。これは古代の産卵場と、様々なエキゾチックで危険な生き物にかかわるものだ。彼は増大している大蛇の貯蔵兵器に加えるために、産卵場の原始的な繁殖機能にニルンクラッツの塵を混ぜることにより、全く新しい怪物を作り出すことを期待している。彼の理論がどのように実を結ぶか、興味のあるところだ。

元素のもう1つの状態に関係する有望な研究がある。我々は、溶けた状態の物質が、エセリアルの力のさらなる強力な解放をもたらすに違いないと考えている。我々が発見した古代ネードの文書によれば、失われた民がかつてセレスティアルの生き物の作成、強化をしていた時には、液体状の物質が必要だったと示している。我々は物質を液体に溶解するため、巨大なるつぼを建造している。

錬金術師たちが説明のために数々の理論を展開したものの、なぜ物質がクラグローン北部にのみ出現するのかは謎として残っている。有力な説は、はるか昔この地域に空から落ちてきた岩の塊によって堆積したというものだ。もう一つの可能性として、スカイリーチの遺跡で我々が分析したわずかな壁の装飾がほのめかしているように、ネードが世界のコアの奥深くから物質を引き上げるために、アルケインの儀式を利用したという説がある。

この原初の元素がどこから来たのか、また、それが本当は何なのかを完全に理解することはないだろう。しかし、そのことが、その物質を大蛇と彼の定命の手足である、大蛇の如き計略の摂政の栄光と壮大な目的のために使用することを止めることはない。

バラマスの栄光Glorious Balamath

歌え、おお、バラマスの栄光の女神よ
この絶え間ない歌は、陽気に響く
ガラスを通じて、雷のように引いていく

偉大な風は起こる
節だらけの枝と転がる石の下に
大昔に死んだ学者王の溜息は
ギシギシいう骨を通して常に息づく

ここに解放されてない柱が横たわる
ウェルキンドは強力な闇に対して立ち向かう
アーチは矢を引く形で立つ
学者の印、無限に広がる空、
巨大な嵐の深さの中で
叫び、鼻を鳴らし、荒れ狂う
偉大なる灰色の獣のように
飼い馴らされるのを切望して、待っている

我々はこの場所で力を手に入れた
古代の石の隠された渓谷で
育み、避難させ、隠匿された
忘れられた古アルドメリスのとどろきを

ファイブ・クローの戦いの叫びFive Claws Battle Cries

我らは香り高い!我らはしなやかだ!
我らファイブ・クローに敗北はない!

毛皮と憤怒!

爪となれ!

お前達の方向に向かって鼻を鳴らすぞ!

* * *

香り高いか!次のアリーナでの試合で叫ぶ日が待ち遠しいな。だがまずは練習が必要だ。特にあのぐうたらな砂糖と踊る者はな。あいつは自分の毛皮に名前を彫りこまなければ、自分の名前すら忘れるような奴だ。

——クハサビ

フィアファングス洞窟の完成The Perfection of Fearfangs Cavern

フィアファングス洞窟と呼ばれるこれらの場所は、あらゆる意味で完璧である。研究し、記録できるネードのアーティファクトが多数あるだけでなく、その巨大な部屋はスケールドコートがほぼ隔絶された状態で働き、休むために最適な場所ともなっている。それに加えて、施設内の奥で発見した営巣地もある。この驚くべき発見に非常に満足している。

すでに私の支配下にあるスケールドコートの者達には、フィアファングス洞窟内のすべての部屋の内容物の目録を作成するよう命じている。指示された通り、我々はニルンクラッツと呼ばれる原始の元素の使用および生成に関するあらゆる情報を探している。この元素はかつてネードの者達が深く精通していて、その優れた潜在力を解放することに成功したと考えられている。

後は施設の奥にある営巣場に戻らなければならない。マトロンと同族に対してやらなければならない仕事がある。この仕事によって、この大事業が始まって以来より大蛇が我々に要求してきた、兵士を生産する目途がつくことになる。

——蠢く悪夢の摂政ボワード

フィリップのヤスミンへのメモPhillip’s Note to Yasmine

愛しきヤスミン

この手紙を書くことがどんなにつらいか、君に伝え切れない。偽りの生活は続けられない。つまり、君とアデマールの関係を知っている。3ヶ月前のことだ。君がキスをし、見つめ合っているところを見てしまったんだ。自分にとってはただのキスじゃなかった。その瞬間、疑惑と信頼が真実と裏切りに取って代わった。

なぜそんなことができたのか聞くつもりはない。しかし結婚は続けられないだろう。その名の価値はないのだから。
それでもなお、君のこと、そして私たち2人のことを諦めていない自分がいる。まだやり直せるという希望を持っている。

この望みが無駄でないなら、もうずっと昔に私たちが初めて会ったその時間に、埋められし砂の入口でこの手紙の返事がもらえるよう祈っている。

覚えているだろう。その日は長雨だったけれど、雲が裂け、そこから太陽が顔を出した。そして君の金色の髪を照らしたんだ。それが合図だと考え、勇気を出して君に話し掛けることができた。

その2人が今では、このような受け入れがたい状況に陥っている。

願わくば、君への信頼が見当違いでありませんように。

フィリップ

ブッチャーの追跡Tracking the Butcher

賞金稼ぎレゴル・ホッドの日記より

俺は今、傷の渓谷の伝説的恐怖、グルゾグ・ザ・ブッチャーと呼ばれるアイアンオークの賞金に狙いを定めている。奴は襲撃者と略奪者の一団を率いていて、定期的に危険を冒してアイアンオークの領域に近づきすぎた旅人を恐怖に陥れている。ドラゴンスターキャラバン社はブッチャーの隠れ家を見つけ、奴の動きを止めるために俺を雇った。

* * *
俺のハンティング・ナイフを交えた長期にわたる話し合いの末、捕まえたアイアンオークはついに少しばかり秘密を白状した。今ではどこに行けばブッチャーが見つかるかわかっている。最近、奴は戦術を変えたこともわかった。旅人を襲って持ち物を略奪する前に殺すかわり、捕まえて生きたまま連れ去るようになった。

ブッチャーが何のために生きた捕虜を求めているかを突き止める前に囚人はお亡くなりになったが、良いことなどまったく想像できない。速やかな死はアイアンオークの客人となるよりも好ましい、と何かが俺に囁く。

* * *
その地域にあふれているらしい大量のアイアンオークを何とかかわして、傷の渓谷にたどり着いた。俺の人目を忍び、発見を避ける技術は、あの残忍な野蛮人どもを欺くには間違いなく十分以上のものだった。あの下劣な生物をほんの少し殺すだけで済んだ。

俺は谷の脇の壁のくぼみの奥に隠されたブッチャーのキャンプを見つけた。信じがたいことだが、アイアンオークはトロールをいくつかの能力で奴らに奉仕するよう訓練したようだ。この賞金を回収したずっと後にも、アイアンオークがトロールを率いて戦いに赴くという思考は俺の悪夢に現れ続けるだろう。だが、さらに悪いことに、なぜブッチャーが囚人を連れ去ったかがわかってしまった。トロールに食わせるためだった!

だが、この激しい怒りはやり過ごさなければならない。賞金か否か、これはブッチャー個人の問題だ。俺はあのひどく不快な怪物の頭を肩から切り落とすときには喜びを感じるだろう。もし、それをやれるほど近付けるのであれば。

* * *
ブッチャーにたどり着く前に、アイアンオークは俺を止めた。俺は罠にかかり、追い詰められ、避けられぬ結末を待っている。アイアンオークが俺のところに来るまで長くはかからないだろう。俺は戦って死ぬ計画を立てた。生きたままトロールに食われるのは御免だからな。この計画を達成するだけの強さがあるように、ただ祈るばかりだ。

ブラシウスの未完の原稿Blasius’ Unfinished Manuscript

死の地(後にハンマーフェルとして知られるようになった)と呼ばれた地を征服している間、ヨクダ人は公然と自らを偉大な存在だと称していた。しかし私たちは、彼らによる自己の神話化と実際の歴史を見誤らないよう慎重にならねばならない。

彼らが偉大だと主張したことが何であれ、記録から見るにヨクダ人は残忍で、地元の民衆を徹底して弾圧した。それ以前にあった文明の証拠となるものは、血と骨しか残っていない。

今日もレッドガードの「文明」に、その残虐性が残っているのは不思議でない。

ラ・ガーダの残忍性を象徴する最たるものは、皇帝を自称するタリシュ・ツィだ。彼の信奉社は彼を不死だと宣言した。事実、彼はオブリビオンで生まれたようで、それ故に血の気が多かった。

彼の墓地は今でもクラグローンにあり、野蛮な子孫に崇拝されているそうだ。

ブラックキャスターの通知Blackcaster Notice

通告

エリンヒルの市民はモラヴァルとして知られる遺跡には近づかぬこと。

精霊がいなくなって以来、火山活動がこの一帯で確認されている。そのため我々はここで冒険する者の安全を保証できない旨を通告する。

このエリアへ行く場合、我々は責任を持たない。

—ブラックキャスターの魔術師

ブラッドフェザーの戦闘スローガンBlood-Feathers Battle Slogans

ブラッドフェザーよ、飛べ!

ブラッドフェザーよ、舞い上がれ!

ブラッドフェザーよ、血に塗れる時が来た!

ブラッドフェザーよ、集結せよ!

ブラッドフェザーよ、痛みで奴らをくすぐれ!

* * *

明日のアリーナでこれらをすべて試してみよう。ただ、1番目のスローガンは良い感じかも。
直接的でシンプル、それに自分で言うのもなんだが、受けそうな感じがする。羽のないトカゲにしては上出来だと思わないか、ナハッサール?

—ウタ・ラ

フレデリックの手紙Frederick’s Letter

父さん

あなたとセレーンが賛成してないことは知ってる。けれど、僕は自分がやるべきことをやらねばならない。魔法は心を満足させてくれるものの一つだ。僕は作業台や市場の店で働くようにはできてないし、剣を振るうこともできない。
でも、母さんに起きたことに無関心だと思わないでほしい。母さんとの日々をよく覚えているし、とても会いたいよ。けれど魔法は素晴らしいことに使うものだ。僕たちは母さんに対する悲しみの為に、正義の行為をやめる必要はないんだ。

母さんが僕の幸せを望んでいることはわかる。来週のこの時までに、僕はブラックキャスターの弟子になるつもりだ。父さんが理解してくれるよう願ってる。

フレデリック

P.S. セレーンに、あなたがしてくれた全てのことに感謝してると伝えてほしい。

ヤマヌーコの見習いへの手紙Yamanu-ko’s Letter to Her Apprentice

忠実なる見習いへ

新しい味方との合意を取り付けてくれたと思う。指定されたバラマスの遺跡で、彼らに会えることを楽しみにしているわ。

ケルメン・ロケについてだけど、彼は問題にならないでしょう。彼は精霊が裏切った時に逃げ出した。頼もしい味方は、彼が山賊に誘拐させるよう仕組んでいるはずよ。彼が私たちの計画を妨害することはない。

ただし、仲間の見習いに注意はさせておいてね。ミネルヴァ・ラウゾンが取引に対する支持を撤回しないかどうか、心配なのよ。

あなたの師、
ヤマヌーコ

ヨクダはどうやって星を追いかけたかHow the Yokudans Chased the Stars

…そして星の男とも呼ばれたそのヨクダは星々を研究してその動きを天文図に記した。戦士が空高くにいると勝利が続くことを悟った。そして戦士が空から消えると飢餓と荒廃が訪れた。彼はこの周期を二度の昇りと入りを経験して天文図に記し、戦士の星の軌跡を記録した。

そして星の男は親類に言った。「戦士を追いかけて、休息の場所を見つけるのだ。そして生涯にわたり勝利が到来するよう誓いを立てる。そうすれば永遠に飢餓や荒廃に苦むことはないだろう」

そして合意に至った。星の男はヨクダを船で率い、山や広大な砂漠を越えて戦士の軌跡を辿った。そして勝利が訪れて飢餓や荒廃は彼らの前から消え去った。

また戦士には守護対象が3つあった。大公、淑女、駿馬だ。そしてヨクダ達は贈り物と香をもって敬意を表した…

*****

そうして戦士が頂点に達すると、彼の地で彼らの旅は終わった。彼の地で彼らは旅の途中で死んだすべての戦士達のために聖堂と墓を建てた。また死に至ると戦士が栄誉を授け、その永遠のガーディアンとした。星々のように不滅で美しいガーディアンに。

彼らが留まった場所は如何なる地図にも記載がない。しかし探し出したいと願う者は、彼らが行ったこと、戦士を探すことのみを同じようにしなくてはならない。

ラニスタの日記Lanista’s Journal

物資、熱心すぎる群衆、それに自称剣闘士達をドラゴンスター近くのアリーナに輸送する。今まで引き受けた中で最も洗練された仕事とは言えないだろうが、やり終えればすごくいい報酬が見込める。うまくいけばいいが!頭痛と遅れはあるが。言うまでもなく、絶えず1ダースの酔っ払った戦士の暴走を防がなくちゃいけない。この行程はトラブルの連続だ。

例えば、比較的安全にベルカースを出発した後に起こった出来事だ。荷馬車の御者の1人でゴルソって奴が昨夜、キャンプファイアの周りで「旅客」に混ざって祝いの酒を飲みすぎたに違いない。奴は道にぽっかり開いた穴の上で荷馬車の車輪を走らせてる時に、手綱を握りながらほとんど寝ちまってた。それで今、二つの車輪が砕け、車軸が1本壊れていて、この何もない辺ぴな所に仮設の停車場を設けることを余儀なくされているわけさ。

クラフト台は使える状態になっている。修理は荷馬車の上で進行中だ。ゴルソは最悪の気分でいるが、それは仕事をうまくやれないことに対する罪の意識というよりも、二日酔いなのにやることがたくさんあるからだろう。俺はこの見捨てられた荒野に住んでいるという奇妙なオークのことが少し心配だった。実際この場所がどれくらい防御可能なのか定かでない。だが今の所、その獣の気配はみじんも感じない。

荷馬車の上で修理が続いている間、戦士達が飲むのを止めて見張りを手伝ってくれたらいいんだが。ここ1時間ほど、誰か、あるいは何かが俺達を見ているようなイヤな感じがする。何事もないとわかってる。だが、もしあの戦士とか呼ばれてる奴らが俺達の戦闘を手助けできるような状態だったら気が楽になるんだが…最悪の場合は。

アイアンオークだ!突然現れて俺達を取り囲んだ!なんてこった、あいつら一体どれだけいるんだ!略奪者を追っ払った後でこの先を書こう。この戦闘を生き延びられたら。

ルーン筆写家のクルスへの手紙Letter to Runescriber Kulth

ルーン筆写家のクルス殿

我々の戦士に貴殿のルーンを刻み付け、速度を向上させるため、他に何か必要だろうか?我々はトロールやウェルワにできるだけ早く装飾を施したいと考えており、またアイアンオーク達にも同様にニルンクラッツの力を植え付ける作業を開始したい。

私を失望させないでくれ、クルス殿。貴殿のルーンは我がトロール軍の鍵となるのだ。私は自分の指揮下にあるすべてのトロールやウェルワ、そしてアイアンオーク達が貴殿のニルンクラッツを植え付けたルーンを見につける日を夢見ている。それはまさに輝かしい日となるであろう。

敵には血を、我がクランに鉄を!

——破壊にうねるオフィディアのエグザーチ、ブラードス

ワマスの観察Wamasu Observations

この強大なワマスの卵持ちを選んだことは賢明な選択だった。彼女の同族が錬金術の工程を次の段階に進めるために必要となる、捕食者としての特性を提供してくれるだろう。この特性をあの強力なスコーピオン・マトロンと至高のクロコダイル・マトリアークが提供する特性と組み合わせれば、ワマスからの素材はさらに強化され、マンティコラの力は10倍以上に増加するだろう!

あとは、ワマスの中を通電している電流をマンティコラに移植させることは可能だろうか?それができれば、その生物はさらに素晴らしいものとなるだろう。すでに卵持ちの最初の卵は採取した。それぞれの殻の中にある素材が、産卵場の新たな生物へと簡単に引き継がれる特性を植え付けるだろう。

大蛇がこれまでの私の成果を見たら、必ずやスケールドコート内での私の立場は、産卵場で成長するマンティコラと同様、さらに強大となるだろう。創造物を見るのが楽しみだ!

——蠢く悪夢の摂政、ボワード

隠された試練The Hidden Trials

刀剣の道を乗り越えた者は、隠された試練を探し求めなければならない。

穴の奥深くで、獣が獲物の手足を引き裂く。

最上階の屋根の上で、挑戦者が待っている。

これは探求者の試練なり。

炎の試練The Trial of Fire

第1の試練は炎の試練。

道を守護する翼あるものを打ち負かせ。かがり火を灯せばガーディアンが現れる。ガーディアンを倒した者の前に道は開かれるだろう。

汚されたネードの祈祷書Defaced Nedic Prayer Book

慈悲への祈り

天国へ向かい、我々は我々の目を、手を、心をかかげる。
あなたの光を我々から背けるな、必要でない時間でも
その代わり、エセリウスの輝きを発し、夜の暗闇に灯し火をともそう。
季節への秩序をもたらす者よ、
疲れた旅行者への輝く道しるべとなれ。
我々に慈悲のあらんことを。
荒廃の侵略者から我々を守りたまえ、消耗する飢饉から、燃やしつくす炎から
そして約束された栄光へとあなたの信心を導きたまえ。

____
彼らの魂が星になることを約束された者の祈り

これらの魂は、もろい身体の光を
天国の永遠に燃えさかる光へと捧げる
これらの魂を、長い夜を越えて導きたまえ
そして黄金の階段へ
つまづかずに登らせたまえ

これらの魂を取り、自由に与え、
神聖さを分け与え、
あなたの民から信仰に満ちた誓約を与えたまえ。

必要な時、我々を忘れることなかれ
しかし我々の信仰が続く限り、
ガーディアンたらしめん

____
戦士の祈り

偉大なるガーディアン、輝く戦士
自らの軍隊を力で包め
そして真実へ槍を舞わせよ

その腕の力強さは偉大なり
その力強い肩を見れば、敵も震えあがる

我らを恐怖に屈させるなかれ
だがあなたが我らの前にアイギスを置くだけで、我々は立ち上がる

____
盗賊の祈り

[残りのページは切り離されている。本の裏表紙に、誰かが次の走り書きを残している:]

ああ、まがい物の星よ、
娼家に生まれた。
お前の母はみだらな女だ。
お前の父は病に冒されている。
お前を崇める男どもは、愛への渇望を失う。
女どもはお前にくたびれて、髭を生やす。
お前は子供達を穴の中に導き、
落とし穴の中を彷徨わせた。
エルフが彼らを皆殺しにし、女どもを愛人にした。
マーは彼らをからかい、男どもを奴隷にした。
お前の掌は、彼らの血がついている、
お前の唇から、川のように流れだす。
ああ、沈黙の星よ、無慈悲な星よ、
罰が間近にあるのを見よ
その手には、お前の罪への裁きがある。
砂漠で水の母が復活した
そして死の地に花が咲いた。
人々に悪しき光を退けさせよ
真実の慈悲を抱かせよ
幾千の夜に眠ったが、私は夢を見なかった、
だが栄光の歌を聞いた時
シャダと彼女の娘たちは、ネードの全てにそれを望んだ。

牙の憤怒の摂政よりFrom the Regent of Fanged Fury

強きイナズールへ

どうぞ東クラグローンでの努力を続けてください。アイアンオークの助けがあれば、スケールドコートは間もなく地域全体を支配できるでしょう。

そして、あなたの決意と確固たる忠義は大きく報われるでしょう。お忘れなきよう。

—牙の憤怒の摂政

監視人シャブマーの日記Watcher Shavmar’s Journal

監視人シャブマーの日記より

ヴィルマリルを封じ込めなくてはならない!このカタコンベの外で何が起こっていようが、あの裏切り者は自分の犯罪により罰されなければならない。彼の邪悪さが世界中に広がらぬよう、投獄されなければならない!

我々はあの不快な生き物を殺そうと試みた。ヴィルマリルが裏切って上級王デュラクとネードの王達の議会の出席者を殺した後、我々は彼を追跡して捕らえ、その恥ずべき存在を終わらせるため、戦士と魔術師の小隊をこのカタコンベに送り込んだ。私はその小隊の一員だった。私にとってこの言葉を書くことは苦痛だが、しかし、これは真実で、受け入れざるを得ない。我々は負けたのだ。

それはすぐに明らかになった。我々は本当に生きているわけではない存在を殺すことはできない。そのかわり、我々はすばやく新たな計画を立てた。我々はヴィルマリルを弱らせてカタコンベの奥深くに閉じ込めることはできるだろう。そして、自ら犠牲となろう。魂魔法を使って、自らを不死の者、永遠の監視人とするのだ。我々は、ヴィルマリルの守護者として、囚われし者として時の終わりまで務めるのだ。

* * *
魂魔法はうまくいった。我々はヴィルナリルを魂の結界の後ろに封印し、動きを止めた状態にした——深い眠りと同じようなものだ。我々は今や永遠の監視人として裏切り者を見守り、彼のアンデッドの軍勢を解き放つ計画を決して実現させないことを誓った。

後はただ待つだけだ。そして監視する。永遠に。

* * *
ガラランが頭の中で奇妙な声が聞こえると訴えている。我々は彼を無視した。どの道、我々は皆この終わらぬ拘束の間に少しばかり正気を失っているのではないか?彼は大丈夫だ、間違いない。

* * *
今は私にも声が聞こえる。時々、それは千もの声がいっせいに話しているように聞こえる。雑音と混乱が乱雑に入り乱れている。それから、それはとても低い、かろうじて聞き取れる1つの声の囁きとなる。しかし、時折その声は生き生きとした、はっきりした声になって私に届き、そして私は誰が話者だか認識するのだ。どういうわけか、どうにかして、起きないはずのことが起こった。

ヴィルマリルが目を覚ました。

頑丈者ゼルグマへTo Zelguma the Strong

ゼルグマへ

どうぞ西クラグローンでの努力を続けてください。アイアンオークの助けがあれば、スケールドコートは間もなく地域全体を支配できるでしょう。

そして、あなたの決意と確固たる忠義は大きく報われるでしょう。お忘れなきよう。恐らくあなたは、次の苦悶する虫の司祭のローブを着たいのではないですか?

—這い回る幻視の高官より

奇妙な謎Strange Riddle

ミスター・ナシエン、こっそり忍び込んだ
ミスター・ナシエン、入ってはいけなかったのに
ミスター・ナシエン、逃げればよかったのに
ミスター・ナシエン、頭を失くした

驚くべき好機An Amazing Opportunity

スキーティース

先ほどすごい好機について聞いてきた。何人か友人を集める必要があるかもしれないが、我々で何とかできるはずだ。イルサグの塔地下って場所について聞いたことがあるか?

ここからお前のため息が聞こえてきそうだよ。だが信用して欲しい。アイアンオークの連中はこの地面の穴に多くの資源をつぎ込んでいる。だからそこから何かめぼしいものが獲得できるはずだ。場所はクラグローン北部に通ずる北東の通行路の少し先にある、荒廃した塔の地下になる。

イルサグの爺さんがあそこに何を隠しているのか、見てみたくはないか?

一つ指のドビンスカル

護衛への商人の命令A Merchant’s Orders to His Guards

「忠実な」護衛たちへ

このところ、経費について多くの苦情や不平を受けている。ザルガズの洞窟で再び起きたことについて口にしている者には、それが私の面前であろうが、また聞きで耳に入ってきたものであろうが、厳罰が待っているということを明確にしておきたい。

報酬は減額!仕事は追加!さらに私への奉公をやめ、別な主人の下でこれらの中傷を言いふらした場合、アーケイの司祭の前に連れていき、デイドラの起源に関する悪意ある噂を広めたとして告発をしてやる!

要するに、サリアの休息地について二度と聞きたくないということだ!

攻撃された旅人の日記Waylaid Traveler’s Journal

収穫の月8日

我々はクラグローンの道が危険だと警告を受けた。キャラバンの中にいれば数で安全だと思ったが、ドラゴンスターキャラバン社は我々が望んでいた程善意のある会社ではなかった。彼らは我々の安全を保障するかわりに、巨額の「輸送費」を要求してきた。我々はこの機会に、脇道を旅することに決めた。我々は丘で山賊の話を耳にしたが、武装しているし護衛もいる。大丈夫だろう。

収穫の月10日

いままでの所、この決断は上手く行っている。我々の旅は平穏無事だ。

収穫の月11日

我々の護衛が、夜にうなり声を聞いたらしい。護衛の全員が恐れをなし、旅を続けるためにはもっと金を要求している。

収穫の月14日

護衛はいまだに落ち着かないままだ。だがドラゴンスター社が要求した金額よりも低い額で済んでいる。我々の冒険は、まだ利益をあげている。

収穫の月18日

今日は嵐だった。雷と光と土砂降りの雨だ。こんなことが砂漠で起こるのだろうか?時に雨は降るだろうと思ったが、一度に自分の足の前の道が見えなくなる程の雨が降るとは。

完全にびしょぬれになった後、洞窟に避難することを決めた。朝になったら、また動き出そう。

収穫の月19日

今夜は全員がうなり声を聞いた。護衛たちは臆病になって、我々を見捨てた。この邪悪な洞窟とおさらばするのが待ちきれない。雨がやみ次第、すぐに出よう。

最後の考えFinal Thoughts

イソルダ、許してほしい。あなたはスケールドコートに入るなと言ったけど、私達には金が必要だった。あなたは奴らがどういうものか見抜いていた。だけど私は奴らのもったいぶった言葉と約束に騙されてしまった。なんという間違いを犯したんだろう?

奴らはここがどんな所か知っていた。奴らはいつ私達をここに送り込んだか知っていた。今、私達が選ばれたのは信用されたからではなく、奴らが言ったように消耗品だからだとわかった。

他の者は皆死んだ。でなければ、それより酷いことになった。ミクハイルと私は逃れようと試みたけど、あれはこの場所でのすべてのことを見ている。あの燃え上がる眼は、どこへ行こうと見つけ出す。

私はミクハイルが連れて行かれるのを見た。彼が骨だけになるまでしぼませるのを見た。それからその骨は歩いていった。彼は振り返りさえしなかった。

自分がなぜまだ生きているのかわからない。たぶん、あれは見ていて、私の恐怖を堪能してる。私は足を折って、梯子を上って戻ることができない。ここで死ぬんだ。

安らかに死ねるかもしれない。自然に死ねるかもしれない。もしそうなったら、私は幸運だ。

市民の嘆願書A Citizen’s Petition

レディ・ヤマヌーコ

夫がハドック市場の近くの路上で失踪してから1週間が経とうとしていますが、何も行われていません。交易路にこれほど近い場所でブラックマーケットの運営を認めたことだけでも問題だと思いますが、あなたの市民に対する関心の欠如については驚くばかりです。

ブラックキャスター協定を覚えていらっしゃいますか?エリンヒルの魔術師たちは彼らを守るため、人々の苦痛と共にあります。私の夫が失踪した時、あなたの守護はどこにあったのでしょうか?

私はこの間の手紙(おそらくあなたの生徒が書いたのでしょうけれど)で夫が野生の動物に襲われて死んだとほのめかしていましたが、認められません。彼は有能な追跡者で狩人なのです。彼が動物の餌食になるとしたら、門の外にいる殺人鬼か山賊などでしょう。

善良な市民
アダン・コルドレル

死にゆく我らWe Who Are About To Die

「死にゆく我ら——」

いや、これは直接的過ぎるな。救いがない。ではこれなら…

「戦争にゆく我ら——」

だめだ、メロドラマ調過ぎる。私の回想録の出だしとして、何か覚えやすくかつ記憶に残り、思わずページをめくりたくなるようなものが欲しい。さて…

「かつてリベンスパイアー出身の戦士がいた。その戦士は炎上する剣を持ってドラゴンスター・アリーナにたどり着いた——」

これなら出だしとしては順当だな!しかも韻を踏んでいるし!さて、我々がアリーナに入場するまでどこまで書けるだろうか?まあ、急ぐ必要はないか?勝った後に続ければいいだけの話だ。

死の地のネードNedes of the Deathlands

アーガス・メンダー 著

子供の頃教えられたことが全て間違っていたなんてことがあるだろうか?岩と砂の下に埋められ、ヨクダを征服した記念碑によって視界から隠されているものが、野蛮で未開な人々の岩屑以上のものだということがあるだろうか?

これは、サリマ・アトムハイが最新のネードとハンマーフェルでの活動に関する学術的な発表で主張している内容である。彼は注目せずにはいられないような新たな証拠を見せて、その主張を行っている。最近のエリンヒルの魔術師の塔の研究で、彼はこれらの塔がヨクダが作った時代の物でもなく、アイレイドと同じ技術を使ったのでもないと結論を出した。それはドゥエマーの仕事に似ているが、やや未熟なようだ。これによりアトムハイは、これらの塔がヨクダの故郷から高度な建造物を移植されたのではないという結論に至った。実査には、ネードの文明の残滓なのだ。

もしアトムハイの結論が正しければ、ネードはこれまで歴史家が想定して来たよりも、より組織的で進歩的だったことになる。エリンヒルの塔は石細工に熟達した、進歩した文明にのみ建造が可能だからだ。

これらの塔は、ブラックキャスターの魔術師が彼らの学校をエリンヒルに設立した時から占拠されている。では、どうしてアトムハイがこの驚くべき理論を初めて唱えたのか?

この筆者は、歴史家には盲点が存在する物であると仮定している。ネードは確かにその中でも最大のものだ。その理由は数々ある。

まず最初に、ネードの人々は征服軍の犠牲者となった歴史がある。ドゥエマー、アイレイド、ヨクダは全て、東ハンマーフェルのネードを支配しているとどこかの時点で宣言している。ネードが後進的で支配するべき存在だと主張することで、彼らの支配は正当化されるのだ。

次に、民族としてのネードはラ・ガーダのすぐ後、歴史の記録から消えてしまう。そして現存している記録はほとんどない上に、散在している。最初のヨクダがハンマーフェルに足跡を残した時、ネードの文化はすでに消えかかっていた。人々は散り散りになって意気消沈していた。ネードのほとんどは移住してタムリエルの他の種族と混じり合い、事実上その存在が消滅してしまった。

このネードに関する新たな理論は、真剣に受け止めるべきだ。クラグローンの僻地が将来、ネードの存在を探る調査研究に多くの実りを生むのではないかと思う。最後のネードが消えてから、もっとも変化していない場所なのだから。

死んだ剣弟のメモDead Sword-Disciple’s Note

私には分からない。彼は生徒としてここにやってきた。最後の試練を乗り越えた後、私たち皆の目の前で師範を殺した。私たちはまったく力を使うことができなかった。

一体彼はどうやって私たちを支配したのだろう?何らかの策略だ。おそらく毒薬のたぐいだろう。誰にも気づかれずに学校中を汚染して、剣弟を裏切らせたのだ。

マスターは最後の言葉で私たちに、刀剣の大修道院のカスラに事態を知らせるよう言った。私は逃げ出そうとしたが、他の者が行く手を阻んだ。壁の向こうへたどり着く前に、私は彼らに殺されるだろう。

もし誰かこのメモを見つけたなら、どうか引き返してほしい。この場所を去り、他の者たちに警告して欲しい。そして、もしできるなら、ラーニザの刀剣の学院が陥落したとカスラに伝えて欲しい。

私のことなら、もし生き延びて自分の身に待っていることを考えれば、死ぬほうがずっといい…

字が消えて読めない魔術師ギルドの報酬通知Defaced Mages Guild Reward Notice

掲示:

魔術師ギルドのメラニオンの研究のために、ムサンズの遺跡から回収されたドワーフの品に多額の報酬を授ける

[この案内板は、「メラニオン」と名前が付いたハイエルフのわいせつな絵で汚されている。絵のすぐ下に落書きがある:]

嘘つきのイカサマ師め!ドワーフのギアを6つ持っていったのに、報酬はろくでもない本1冊だけ。しかも、一度読んだことがある本だった

商人、悪党、盗賊Merchants, Scoundrels, Thieves

ドラゴンスターキャラバン社との取引について
ハロルド・ファーフライ 著

現在のクラグローンはボロボロで酷い土地に設立されたことは有名だ。シロディールの帝国の監視から逃れた犯罪者、エバーモアやショーンヘルムの街からの貧民、そして文明の快適さと不自由さから逃亡して、冒険を探し求める者達によって。

ベルカースの通りに見られる道徳ほど、黒い起源を持つ場所はどこにもない。不道徳な商人や盗賊、闇市の密売人の集合よりもほんの少しマシな位だ。ベルカース唯一の政府と思われるものは、ドラゴンスターキャラバン社の悪党の意志だけだ。

ベルカースでは、全ての悪しき行為が認められ、全てが売りに出されている。この腐敗の例として、いまやよく知られるマドリガの話を引用しよう。愛され、尊敬されるクラウンの娘であるマドリガは、ドラゴンスターキャラバン社の密偵から彼女の父の執事が被った負債への支払いとして、家から連れて来られた。彼女は誘拐され、クラグローンの危険な場所へと連れて来られた。そして彼女は10年後、クロスローズ酒場のバーテンダーとなっていたのだ。

今や大人の女性となったマドリガは、まったく彼女の父の家にいた内気で美しい子供ではない。実際、彼女は高飛車で気まぐれな女性に成長したが、その厚かましい態度は地元の売春婦よりも少しいい位だ。父親の家が彼女を家に戻し、貴族や名誉ある地位の者と結婚させるために家に連れ戻そうと衛兵を寄こした時、彼女はこう叫んだ。「結構よ。ここの方が賃金が高いわ」

この話をドラゴンスターキャラバン社と関わる機会がある場合の警告として考えてほしい。商人たちは、貴族や文明社会の繁栄を支えてきた、確立された秩序に対して何の敬意も払わない。彼らの唯一の主人は金で、礼儀正しさや名誉が彼らのサービスと彼らの主の間に介在するのを許さない。

城と貴品箱 第3巻:ヘル・ラ要塞Castles and Coffers Volume III: Hel Ra Citadel

帝国の歴史家たち、特にコロヴィア台地のデュービシャスは、ヘル・ラ要塞が築かれたのは、ヨクダの第二次「戦士の波」の間のどこか、西タムリエルのアリクル砂漠に雪崩込んで来た時だと推測している。その名前から分かるように、隣接したヨクダの街を守る目的で建てられたと一般的に考えられている。街の名前は砂と時間と時間の中で失われてしまった。しかしヨクダ人が要塞に名前を付けたのではない。現代のタムリエルが付けたのだ。その建造物は、自らが守っている街が存在する前からあったかも知れない。第二次の戦士の波、もしくは第一次も合わせた侵略の足掛かりだったのかも知れない。今は失われてしまった多くの砦の1つ、ひいては要塞化された訓練地だった可能性もある。神話によると、「剣魔法」を維持するための剣聖の訓練は大変厳しいことで知られている。侵略部隊の間にあっても、そのスペースは必要としただろう。要塞が現在建っている場所には、元々ネードの要塞があったと主張する人もいる。ヨクダ人がそこを占領し、その上に新たに要塞を建てたのだと。

帝国によると、ヨクダ人の撤退以来その要塞が封鎖されていることは確かに知られた事実だそうだ。中に足を踏み入れた人は誰もいない。主張や話はいろいろとあるが、当然すべてが間違いだ。帝国の記録によると、帝国は中へ入ることに失敗している。またレッドガードの探検でも、要塞の正面入口を迂回できなかった。魔法なのか、建物の仕掛けなのか、とにかく軍隊も攻城兵器もその壁を突破できていない。どんな宝が、どんな古代の秘密が内部で待っているのだろうか?要塞の門は開くことがあるのだろうか?

帝国執政官アルバスは、こう言った:

決してない、と

真実の道の試練The Trial of the True Path

第5の試練は真実の道の試練。

真実の道を見つけるには、蔵書庫の地下へ行き、祭壇の前でかがめ。

これが最後の試練なり。すべての試練を乗り越えた者にのみ道は開かれるだろう。

水浸しの日記Waterlogged Journal

今日市場では、皆が沿岸からの噂話をしていた。彼らが言うには、侵略者で一杯の船が見つかったという。噂によれば、同じ侵略者たちが最近死の地の南に来たらしい。
どうやら毎日新たな侵略者が来るようだ。我らは前回の攻撃に耐え抜いた。水は砂漠で切望されているが、岩と砂が我らを守ってもいる。そして、それはネレイドも同じだ。今回も同じだと思う。

侵略者は手を緩めないと言われている。彼らの指導者はタリシュ・ツィと言うらしい。私に言わせれば醜い名前だが、メリーナは名前が醜いとして何か問題があるのかといぶかっている。その醜い名前の将軍に征服されることは心配していない。

今日ザリク将軍が宣言を行なった。タリシュ・ツィとその軍隊が来るが、ネレイドが我々を守ると約束をした。彼は心配しないよう言った。だが私はどちらにせよ心配だ。

街は混乱している。接近する敵と戦うため派遣された、ザリクの部隊が殺されたのだ。兵士は負傷し、タリシュ・ツィが来るという知らせを持って来た副隊長を除いてすべて死んでしまった。敵軍は不死だという。タリシュ・ツィ自身も不死身らしい。それは信じられないが、初めてこの迫りくる攻撃に不安を覚えた。

ザリク将軍は、街を守るために武器を取るよう皆に命令した。だから私はほうきの柄と古いハンマーから戦棍風のものを作った(鍛冶屋は大変な仕事量をこなしているが、全員に行き渡るには武器が足りない)

どこにも、これで本当に終わりだという予感が漂っている。我々の街は多くの侵略を経験して来たが、ついに陥落する。だが同時に、深い友情のようなものも感じる。市場を多くの騒音で満たして来た小さな言い争いは、友情と勇気を与える言葉にとってかわった。死ぬ時は、みな同じだ。

ザリク将軍がネレイドに支援を求めたという噂だ。皆がシャダとその娘の介入を願っている。最後の望みには、奇跡が必要だ。

[日誌の残ったページは、水浸しになっていて読めない]

崇高なるヴァイパーの夜明けDawn of the Exalted Viper

摂政カシピアはもういない!これからの私は崇高なるヴァイパーだ。セレスティアルの位まで登り、世界を変える力を手に入れた!まあ、少なくとも、じきにそうなる予定である。

これらの古代ネードの民の遺跡内で解き明かした秘密により、私はネードの民が定命の者にセレスティアルのエネルギーを植え付ける方法を再現できた。そしてスケールドコートの錬金術師とアイアンオークのルーン筆写家らが開発し、マンティコラやトロールを相手に実験を重ねた技法を組み合わせることで。私は自らの定命の者としての体をエセリアルの力の導管へと変化させる方法を開発した。

もっとも、これらのことは現地人からレッド・ブリットル、我々錬金術師がニルンクラッツと呼ぶ主要成分の発見、または再発見がなければ不可能だっただろう。この真紅の物質は、自然の状態では非常に危険なものとなる。しかし我々が古代の文書より再現した精製方法により、安定化したこの成分こそが、この変化を可能とする鍵となった。

我々は今、新たな世界の岸辺に立っている。この過程が完了し、崇高なるヴァイパーとなった私が産卵場から現れる時、私はセレスティアルの大蛇と比肩すべき存在となる。私は神となるのだ!だが単なる気まぐれや不在な神としてではない。崇高なるヴァイパーは実在して活動し、古き世界の不完全なものを破壊しながら、私が支配する新しい完成された世界を創造していく。

そして私の愛する、利発で純真なリトルリーフが側にいることだろう。場合によっては彼女も引き上げてあげよう。だがそれは、まず自分の立場を確立した後になる。

星読みの乱文A Star-Gazer’s Ramblings

古代の戦士の墓よ!ついに!とうとう!真の神は沈黙しない。耳を傾けさえすれば、真の神は我々に歌いかける。

自分の研究は純粋な学問だと思っていた。傲慢で愚かだった。高く掲げられた死体のように、厳格な継承において、知識は知識に倣うという信念。それが私を苦しめていた。「死は避けられないものだ。だから死ぬことと生きることは区別できない」と私は言っていた。なんて間違っていたんだ。

どうして幾度も星を眺め、光ばかりを見てきたのか?なんという興奮、自分の手に負えない!

真実を征服することなどできない。真実が我々を征服する。そしてついに、最期に役目を果たすことを学んだ。
知識の行き着くところにあるものは、知ることではなく、崇拝することだ。ああ、偉大な戦士よ、あなたの足元にこの体を横たえさせたまえ

星読みメリスの日記Star-Gazer Merith’s Journal

今夜も、荒野で失われた星座の形跡を求めて上空を探している。

待って、これは何?まあ、なんてかわいい、小さなキツネ!元気いっぱいのいたずらっ子ね!ついて来てって言ってるみたい。面白そう!なんて賢い子なのかしら。

お行き、ちびギツネちゃん!案内してごらん、ついて行くわよ!

あっ、いけない!天の星にかけて、これは凄く大きな——

生きています!It Lives!

もっとも名誉ある、そして崇められる指導者、大蛇の如き計略の摂政へ

実験は予測していたよりもずっとうまくいきました。この報告をできることを誇りに思います。あなたの洞察力のあるご提案のおかげで、合成生物を生み出すことに成功しました。それはサソリ、クロコダイル、ウェルワ、それに人を含むさまざまな肉食獣の特徴を併せ持っています。私はこれをマンティコラと呼ぶことにします。

ご提案くださったように、粉末状のニルンクラッツの塵を原始の産卵場に投入し、必要としていた合成生物のすばやい繁殖に推進力を得られました。今や我々は、さらなる大蛇の栄光に向けて、マンティコラの軍隊を作り出すために利用できる強力な真祖を手にしたのです。

生産性を上げたいと思っていますので、すでに産卵場を拡張する行程に入りました。加えて、できるだけ近いうちにもう1つの真祖を作るべく、2つ目の産卵場を建造しました。そのうちお時間がある時にでも我々の作業場に来ていただきたく思います。我々の労働の成果をお見せして、真祖を紹介させていただくことを楽しみにしています。

大蛇の名の元に、
蠢く悪夢の摂政 ボワード

摂政エルスカの命令Orders from Regent Elska

大蛇の巣と呼ばれる洞窟内で働いている、スケールドコートの要員に告ぐ。これまでの倍努力しろ!作戦の次の段階を開始するには、新たな施設が不可欠となる。

足場の組み立てを完了しろ。食料と武器も用意せよ。そして熊の死体を洞窟から取り除け。見た目が不快なだけでなく、酷い臭いを発すようになっている。

ラミアだけは避けるようにするのを忘れるな。連中は敵と味方を区別できないからな。そして特別な用がない限り、奥にある産卵場には近づくな。

——牙の憤怒の摂政、エルスカ

摂政カシピアの称賛In Praise of Regent Cassipia

大蛇の如き計略の、摂政の執事長、リトルリーフ 著

何人かの私の同国人に、これから私が書く言葉は悪趣味だと見なされるかもしれない。その他の者にとっては、これは神への冒涜に他ならないだろう。しかし、私はもうこれ以上この考えを自分だけで抱えていることはできない。もしそうしようとしたら、頭が粉々に破裂するのではないだろうか!そして、そう経験したいとは願わない。

最初に、私は自分が誰であるかということ、なぜ大蛇の如き計略の摂政と呼ばれている、クラグローン北部のスケールドコート部隊の指導者、美しきカシピアの称賛すべき特質について書く資格があるのかということをお教えすべきだろう。

私の名はリトルリーフ。私達がスケールドコートに加わる前から我が女主人にお仕えしている。私はカシピアに、彼女が魔術師ギルドの高位メンバーであったオーリドンで出会った。彼女は遠くから彼女の力と優美さに感嘆している私に気づいて、彼女のあらゆる用事をこなす者として直々に私をお選びになった。それ以来、私は彼女のもっとも奥底にある考えと静かな思いを世に伝える共鳴板を提供し、腹心の友、聴罪司祭となった。私以上にカシピアのことをわかっている者はいない。そして私のように、全身全霊を込めて彼女を信じる者はいない。

大蛇が私達の主人であり、指導者であるなどとどうして言えようか?ああ、私は大蛇を信じ、崇拝している。間違いなく、心から!そもそも、彼こそ私達がスケールドコートに加わった理由であった。しかし、大蛇が常にスケールドコートへ命令を下すわけではない。彼は昼も夜も私の側にいるわけではない。そして、思い切って言うなら、彼は私の愛するカシピアの美しい顔と素晴らしい姿からはかけ離れている。

誰が大蛇の要求に応えてアイアンオークを私達の集団に連れ込んだのか?もちろん、カシピアだ。彼女は大蛇の命令に従うが、常に彼女自身と信奉者達にチャンスと幸運を作り出す方法を捜し求めている。

だが、私のことを彼女の夢想にのぼせ上がった馬鹿だと思われる前に、なぜカシピアが私達の集団の中でとても高く上り詰められたのか説明させていただきたい。カシピアは断固として容赦しない。彼女は力強くカリスマ性がある。そして、彼女は何がスケールドコートにとって最良なのかを知っている。クラグローン南部で私達が苦しんだ、不運な後退をもたらしたあの鈍くさい愚か者とは違って!大蛇の「選り抜き」が地域の南部で彼らの要塞を失っている間、摂政カシピアはクラグローン北部で多忙だったのだ。

故に、摂政カシピアを称えよ!彼女が末永く大蛇に仕え、スケールドコートを導かんことを!

大気の試練The Trial of Air

第3の試練は大気の試練。

真実の目の砂が足元を導き、隠された道を明らかにするだろう。

大蛇の噂A Rumor of Serpents

ドラゴンスターキャラバン社監察官向けの報告書、斥候ザギュラより作成

噂は正しかったようだ。少なくとも今回に関しては。どうやら大蛇の巣と呼ばれる、クラグローン北部にある古い洞窟地帯の西側の箇所は、その地下に名称と同類の者達を集めつつあるようだ。私はそこからスケールドコートの者達が自由に出入りするのを目撃している。連中はそこを所有しているように考えているふしがある。

連中がそこで何をしているのかは不明だが、近づかないようにするのが賢明だ。ドラゴンスターキャラバン社が不用意にスケールドコートの仕事にかかわってもろくなことがないと思われる。

大蛇の歌The Serpent’s Song

這い回る幻視の高官として、私はセレスティアルの大蛇と直接的、または間接的に関わる予兆か兆候を探している。それらの意図する内容を、いかなる形であろうとスケールドコートの主のために解釈するのが、私の栄誉ある役目である。

大蛇の巣の奥深くで、驚くべき光景を目の当たりにした。アウリーエ、ラウリーエ、タウリーエとして知られるラミアの姉妹(少なくとも、あのクリーチャー達は親類であると仮定するが)が宗教的な歌を歌いだし、我々がここに来てからほぼ休みなく歌い続けている。彼女らの使う独特な言語を翻訳するまでには至ってはいないが、セレスティアルの大蛇を称える歌である可能性が高い。

彼女たちは大蛇に祈りをささげているのだろうか?何か具体的なことを願っているのだろうか?もしかしたら単に、大蛇のこの世界における存在の栄誉の恩恵に浴しているだけなのかもしれない。いずれにせよ、あのラミア達はその歌を使って、大蛇からの褒賞としか考えられない力を呼び出すことができる。蛇を呼び出して自分たちの代わりに戦わせることも、空から稲妻を呼び出すこともできる。そして領域を守るため、自らの周辺の水を毒に変えることも目撃した。

あの獣達についてより深く理解し、彼女らと大蛇との関連性を学ばねば。

——這い回る幻視の高官、バラリウス

大蛇の刀剣The Serpent’s Blade

危険なるヴィスカー

大蛇が貴殿に微笑まんことを、誉れ高き戦士よ!常日頃より貴殿の刃と影を使いこなす技量に一目を置いております。また、その横には共に戦ってくれる蛇の一団が随伴してくれるという祝福まで与えられているとのこと。貴殿が主に目をかけられていることを、羨ましく思う限りです。

偉大なるヴィスカー殿に一つお願いしたいことがあります。実はスカイリーチ聖堂に通ずる参道を守護して頂ける人を探しているのです。道の安全を守り、我々の敵を遠ざけてくれる人を。この重要な役目に考えられるのは貴殿だけでした。道の安全を守っていただけるのならば、大蛇は手厚く報いることでしょう!

大蛇の如き計略の摂政、カシピア

大蛇の如き計略の摂政よりFrom Regent of Serpentine Stratagems

エグザーチ・アーノスへ

スカイリーチ要塞の遺跡での成功を楽しみにしています。私もその古代の場所が、ニルンクラッツの主要な供給源となると思います。どうか、あなたのトロールが抽出できる最大限のレッド・ブリットルを獲得するため、あらゆる努力をしてください。

そして、あなたの決意とスケールドコートに対する確固たる忠誠心は忘れません。

——摂政カシピア

大蛇への祈りA Prayer to the Serpent

セレスティアルの大蛇よ、我の祈りを聞き届けたまえ!

大蛇よ、天から降りし者よ、この取るに足らない声を聞き、我を引き上げたまえ。

大蛇よ、世界の皮を脱ぎ、我々をより純朴で良き世界に戻す者よ、私の卑しい声を聞き、あなたの巣に私の場所をお与えください。

大蛇よ、力と栄光でうねる者よ。私の捧げ物を受け取り、その毒の祝福をお与えください。

セレスティアルの大蛇よ、我の祈りを聞き届けたまえ!

追って通知があるまで閉鎖Closed Until Further Notice

残念ながらオゴンダルのワイナリーは、あの役立たずの甥の替わりの新しい店員が見つかるまで閉鎖します。あの怠け者のホーカーが!

どうか、信用できる従業員の束の間の不在に乗じて、みだりに略奪をしないでください。

その間、何か必要な場合はお気軽にベルカースのクロスロード酒場にいる私にお知らせください。もし仕事をお探しでしたら、解決できると思います。

経営者 オゴンダル

低俗王者ドーゾグのバラードBallad of Dorzogg the Gutter-King

自称吟遊詩人のシェイ・ベークス 著

彼は城を所有したことがなかった、
だが常に王冠をかぶっていた、
彼はスキーヴァーやスリをも分け隔てなく愛した、
威張ることはしなかったが、正義感だけは強かった、
彼は12人の信頼できる騎士を従えた、
彼らはアリーナに入り、困難をものともせず勝利した、
こうして低俗王者ドーゾグの伝説は広まった。

敵には血をBlood for Our Enemies

敵には血を、我がクランに鉄を

伝統的なオシ・オーニムの讃美歌

石が我々に語りかける。それは我々に力とパワーを与える。石は生命を与える。

我々は石の子供たち。我々は岩の人々。我々はオシ・オーニム!

岩の声を聞こう、石の移る音を聞こう。

山よ我々を守りたまえ。大地よ我々を養いたまえ。カラスよ永遠に我々の背中にあれ。

我々はオシ・オーニム!クルン・グラノッシュ!敵には血を!我がクランに鉄を!

刀剣の道The Way of the Blade

刀剣の道は5つの試練から成る。

第1の試練とは炎の試練。

翼あるガーディアンから炎を盗む者が、道を照らし刀剣の道へ進む。

これが第1の試練なり。

破れたページTorn Page

ここを去ろうとすると、首をはねられて死ぬ。留まれば、ここを住処にしている何らかの獣によって死ぬ

なぜそうなのか?なぜ今?もしそれが分からぬ間に死んだなら、この場所に出没することを誓う。彼らに何かをした覚えはない。要塞は鍵を掛けたほうがいいだろう

まだ矢がいくつか残っている。ジェネドゥシルの最後の抵抗の時間だ。そのとおり、これをそう呼ぶのさ。この時期はソブンガルデが素敵なことを願う

破れたページTorn Page

我々を苦しめる悪霊は空から降ってきたのかも知れない。彼らは、太陽が影一つ落とさない真っ昼間にやってきた。どうやって来たのか見当もつかない。

彼らは人間のように動き、人間のように殺すが、しゃべらない。筋道が通らない。

今は彼らの音は聞こえないし、姿も見えない。

でも彼らはそこにいる。矢の雨と炎と刀剣で、我々を何十人も殺した。

他の者は動くのを恐れている。もしあいつらがこの橋で我々を殺さなくても、太陽が殺すだろう

これを読んだすべての人へ。誰かが私に教えてくれていたらと思う。とにかく引き返せ。振り向いて、できるだけ急いで逃げろ。要塞に近づいて、いいことは何もない。

武術の知識の試練The Trial of Martial Knowledge

第3の試練は武術の知識の試練。

試練の書物を正しい順に並べ、己の知識をマスターに示す心づもりをせよ。

並外れた危険のレシピA Recipe of Surpassing Danger

この並外れた料理に不可欠な材料を集めるには、極めて危険な状況を乗り越えられるだけの計り知れない勇気と不屈の精神が必要だ。だが、できあがった料理はとてもおいしく、命懸けで貴重な珍味を探した時間の全てが価値のあるものになると断言しよう

ドゥルーの卵、1ダース
無傷のドゥルーの脚、2本
大きなボールを作れるだけのクモのシルク
ファイアトードの皮、無傷のもの6枚
ラミアの鱗、17枚
亡霊の影キノコ、大1個
デイドラの心臓、1つ、角切り

深鍋かやかんで材料の卵と脚をゆでる。どちらもない場合はたらいで代用する。次に加えるのは…

[レシピは血で汚れており、以下の手順は判読できない]

傍受された星読みの文書Intercepted Star-Gazer’s Document

ハーラ

クラグローン北部でスケールドコートの巣をもう1つ見つけた。やつらはスカイリーチ遺跡の北東にあるロスナ洞窟を乗っ取った。洞窟内にいる軍勢は相当なものだ!大蛇がどのようにしてこれだけの配下を集めているのか、まったく分からない。場合によっては彼らの雇用戦略を見習う必要があるかも(冗談だ!冗談!)

アサシンのヴィスカーがロスナ洞窟に入るのを見た。これはこの洞窟が、スケールドコートにとって非常に重要であることの証拠となる。そしてその危険性は飛躍的に増した。

他に何か分かったら、また連絡する。

星読みオリオール

防具屋ウシクへの手紙Letter to Armorer Uthik

防具屋ウシク殿

我々はニルンクラッツを植え付けた鎧の生産量を上げなければならない。生産量を3倍にするのに必要な条件を伝えてもらえれば、必要な資材や人員をすべて用意させるよう手配しよう。

私を失望させないでくれ、ウシク殿。貴殿の鎧は我がトロール軍の鍵となるのだ。私は自分の指揮下にあるすべてのトロールやウェルワ、そしてアイアンオーク達が貴殿のニルンクラッツを植え付けた鎧を見につける日を夢見ている。それはまさに輝かしい日となるであろう。

敵には血を、我がクランに鉄を!

——破壊にうねるオフィディアのエグザーチ、ブラードス

密売人のメモSmuggler’s Note

これは最後の警告だ。このような不手際は二度と起きてはならない

前回注文した卵だが、少なくとも半数が割れていた。購入者はひびの入った卵を必要としていない。死んだ卵など求めていない!実際に生きたドゥルーが生まれる卵を欲しがっているのだ。理由は分からない。だがそんなことは関係ない。とにかく卵を持ってくるんだ!

あの古いドワーフの遺跡に主要な巣があるというもっぱらの噂だ。ムサーナズ、確かそう呼ばれていたはずだ。卵を持ってくるんだ。センチュリオンに壊されないように頼んだぞ

ヨクダ スタイル

クラフトモチーフ20
Yokudan Style

シーカーの公文書保管人、イブルーラ 著

ここシーカーの保管所に保管されているのは、ほとんどがヨクダの失われた歴史と叡智である。本と巻物がここに持ち込まれたのは、最初のラ・ガーダの時だ。一章かかっても全てを網羅するには足りないため、簡単なことから始めようと思う。「広い矢尻」と呼ばれるデザインなど、ヨクダのモチーフを独特で見分けやすくしている特徴を捉えるのだ。

ブーツ

ヨクダのブーツは戦闘用に作られている。ヘビーレザーに、防護のため戦略的な位置に配置された金属が加えられている。しかし厳しいヨクダの地形を行軍するため、柔軟かつ頑丈でもある。

ベルト

ヨクダのベルトは華美にならないようにされている。重要なのは剣や他の武器など、そこからぶら下がるものだからだ。タセットも臀部の防護に用いられている。バックルは通常固く、シンプルな幾何模様のデザインになっている。

ヨクダの兜のデザインは、明らかに古代の遊牧民が被っていたターバンの流れを引き継いでいる。通常はフードで首の後ろを守り、フルバイザーが顔を覆う。額の角や紋章があることもある。

脚当て

ヨクダのシャッセは剣戟中に足元を守るためしっかりした作りになっており、金属のプレートが脛とふくらはぎを覆い、ハムストリングへの攻撃を防いでいる。尖った膝当ても一般的だ。

ヨクダは射撃を重視しなかった。近接戦闘に比べて名誉に欠けると考えていたのだ。その勇気と気高さから、彼らは弓を下級の歩兵に任せた。ヨクダの射手や軽散兵は、軽く金属加工された単弓を装備していた。

胸当て

ヨクダにとって、武器による戦闘技術は深遠な動きを要するものとみなされていた。そのため、胸当ては胸と背中をしっかりと守ったが、最大限の機動性を確保するために腕、肩、腰は柔軟なレザーで覆われていた。

曲がったヨクダの剣は装飾的に優れたものではないが、それでもヨクダの武器鍛冶の頂点に立つものである。長い時間を掛けて何度も鍛造され、壊れない無敵の剣を作り出すのだ。ヨクダの戦士は、剣を自身の延長だと捉えている。

肩防具

肩自体は柔軟なレザーで覆われてアクロバティックな剣戟が可能になっているが、関節部分は鋭く精妙なポールドロン、カップで守られていることが多い。上に広がり、首の側面まで守る。

手袋

ヨクダの戦士は他のあらゆる武器スタイルよりも剣での戦いを重視した。そして剣戟では、手が常に危険に晒される。そのため、ヨクダの篭手は重く複数の層からなり、広がる上袖が前腕を守る。

ヨクダの盾には丸い盾も楕円の盾も凧状の盾もあるが、全て縁には刃から作った金属のプレートがあしらわれている。中央の丸い浮彫は幾何模様のデザインだ。完全な金属製のようにも見えるが、実際には木のフレームに金属のプレートが打ちつけられている。

希少なヨクダの戦争魔術師は、格闘戦の名声を利用するため近接武器に似せた杖を用いた。金属の装飾部は丸いことも広がっていることも、「広い矢尻」のデザインで尖っていることもある。

戦棍

ヨクダは尖った刃にとても拘っており、他のスタイルならスパイクや突起がある戦棍のヘッドにまで刃を加えた。こうした刃の中には、「広い矢尻」のデザインと呼べるものまである。

短剣

ヨクダの短剣は剣を小さくしたバージョンに見える。実際にサイズも大きく、ショートソードに近い。ヨクダの二刀流戦士は、逆手の大きな短剣を一般的に用いる。

ヨクダは何よりも剣を重視したが、他の武器の有用性も認識していた。例えばヨクダの斧は、美しく恐ろしい。彼らは長く曲がった刃を用いて、剣の美点を加えることが多かった。

ヒューズベインの書棚

Hew’s Bane Bookshelf

71ページ:エレンデットの貸借報告書Page 71: Erendette’s Account

栽培の月
また満足なお客さんだ!
未払総額:金15

真央の月
返済:金5。エレンデットは指示通り商品を積み直して運んだ。
借金:金22。(エ)はよく喉の乾く女だ!
借金:金9。(エ)が勝手に私の在庫に手を出した!

未払総額:金41

南中の月
返済:金7。(エ)がまた盗みを働いているか究明する。
借金:金31。(エ)はここの秘密の品が好きで仕方ないようだ!

未払総額:金65

メモ:借金を払うまで、返済は中止。(エ)にはもう商品を与えない。

メモ:支払いは金のみ受け付ける。働いて借金を返済させると、(エ)は在庫の損失で余計に金がかかる。

アバーズ・ランディングの商人王 第1巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 1

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

偉そう。傲慢。自己中心的。アバーズ・ランディングの自称商人王たちを表す言葉のほんの一部だ。4つの貿易会社のはじまりは約160年前。当初はハイロックとヴァレンウッドを結ぶ商業と貿易の中心として、アバーズ・ランディングを高めるべく努めるまともな会社だった。だがヒューズベインは文明を発展させようとする者に厳しく、不法な利益を追求する会社がまっとうなものを次々に追い抜き、会社はその努力に反して日増しに腐敗していった。

目立つようになった4つの貿易会社はアトアディン・シンジケート、ヴィエン家、サザール・カルテル、そしてガージェス・アンド・アソシエイツだった。やがてこの4社の王たちが港町の商業と金を全て動かすようになった——合法なものも、違法なものも。利益のほとんどは密輸、奴隷などの違法取引からきていた。商人王たちはアバーズ・ランディングに商品やサービスをもたらしつつ、遠方の地と(控えめに言うと)有益な貿易協定を結んでいた。アバーズ・ランディングが豊かになってくると、他のグループも興味を示し始めた。ここから商人王たちと地元の犯罪者たちとの長く騒がしい関係性が始まったのである。「隠れた」貿易会社の噂まで出回り始め、実際に大手貿易会社と「隠れた」貿易会社の間で、水面下での戦争が行われていた形跡も残っている。この抗争についての詳細を暴くには至っていないが、その結末は明らかである。ガージェス・アンド・アソシエイツは潰され、他の3社も以前の栄光は見る影もないほど廃れ、隠れていた勢力が港町の支配者となった。

ここ15年ほどは、貿易会社たちは一歩引いている。もちろん事業は続けているし、衛兵やインフラといった街のサービスに資金提供もしているが、それまで何十年と見せてきた自信と威勢の良さは見られない。どの市長、どの貿易会社、どの秘密ギルドが中心に立ったわけでもないが、闇の奥深くから誰か、もしくは何かがアバーズ・ランディングを動かしているのは私には明らかだ。そのため、ヒューズベインと取引をする際は注意するよう勧める。

次の報告書では、エリア内で営業している大手貿易会社それぞれの背景について説明していこうと思う。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第2巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 2

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

アバーズ・ランディングの貿易会社の中でも先駆けであり、その末裔たちによれば最も偉大な貿易会社がアトアディン・シンジケートである。武勇と愛想のよい人柄で知られるレッドガードの男アフシュール・アトアディンによって創立され、育てられ、120年近くにわたり繁栄した。野心家アフシュールは初めレッドガードの剣、オークの斧、ウッドエルフの弓などを売買する素朴な武器商人だった。当時の客は主に目的地へ向かう途中でアバーズ・ランディングに立ち寄っていた海賊や私掠船だったが、それらの船舶や船員と輸送契約を交わすようになるまで長くはかからなかった。

時が経つとシンジケートは商品に鎧や盾を加え、身を守ろうとする者や船で戦いに突入しようとする者が、一気に買い物を済ませることのできる場を提供しようと試みた。海賊団、傭兵団、国に仕える私掠船までもが、品質と保証を証明するシンジケート印の入った武器や防具を求めてごった返すようになった。こういった繋がりから、また新たに有力な収益源が生まれた——シンジケートは傭兵契約の仲介業を始めたのだ。

現在のリーダー、オラハン・アトアディンは、シンジケートを厳しく支配している。冷酷で才気あふれるレッドガードである彼は、全ての交渉を戦いのように、全ての競争を戦争のように扱う。その実、戦争こそがアトアディンの主要な取引分野となっており、そのおかげで近年貿易会社を襲う謎の災難を受けても利益をあげ続けることができている。わが女王も承知の通り、私が「隠れた貿易会社」と呼んでいる謎の組織は、実態を捕まれることを避けつつも確実に策謀を張り巡らせている。私は必ずその真相にたどり着く。ただ、それがいつになるか分からない。

オラハン・アトアディンは武具や兵器、傭兵契約、さらには紛争があれば敵味方問わず物資を密輸するといった商売を行っている。彼は金さえ入ってくれば、カバナントに武器を、パクトに鎧を、ドミニオンに物資を売ることもいとわない。貿易会社たちを抑制し、巧みにもひそかな攻撃で衰えさせていた勢力が急に消え、シンジケートは再びアバーズ・ランディングで力を強めようと動き出している。

他に懸念すべきこともあるが、オラハンやその家族と関わる際は注意するよう勧める。しかし誤解して欲しくないのだが、ヒューズベインとアバーズ・ランディングで何かを成し遂げようとするならば、彼らは避けて通れない存在だ。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第3巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 3

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

必然的なことだった。悪徳と腐敗に満ちたアバーズ・ランディングには欲を満たす主人、いや女主人が必要だった。腐敗と道楽の渦巻く港町に自分の居場所を築こうと、威厳と大樽一杯の金を手にウェイレストからアバーズ・ランディングへとやってきたのがレディ・フェリス・ヴィエンだった。彼女がやって来たいきさつについてはほとんど情報が残っていないが、ウェイレストの著名な貴族であった夫と、その死との関わりが原因であったことは突き止めることができた。

アバーズ・ランディングに来た理由が何であれ、レディ・フェリスはすぐさま土地を購入し、酒場兼宿屋ウィンサム・ウェルワを設立して港の話題を呼んだ。はじめは小さな宴会場だったが、やがて他の娯楽、より合法性の低い娯楽も提供するようになった。レディ・フェリスはアバーズ・ランディングを通り抜ける人々が持つ悪習に目をつけ、その欲を満たすことができれば金が稼げると考えたのだった。

ヴィエン家は現在、違法薬物や売春といったアバーズ・ランディングの私的で隠された欲を満たしている。ハイロックの悪名高きチェイストハーピーを真似たウィンサム・ウェルワは売春宿となっており、現在の当主レディ・イレニー・モンテインの本拠でもある。他の貿易会社と同じように災難に見舞われながら、彼女は海賊や商人団、多少の冒険を求める貴族の訪問者の違法な需要を満たすことで、ささやかながら利益をあげ続けている。ヴィエン家の商売は全てレディの鋭い監視の下で、アバーズ・ランディングに集中している。街を歩く彼女は、上品で優雅な態度で顧客や訪問中の貴人と接する。しかし暴力的、殺人的ともいえるほど気が短い——不幸にも彼女のそういった一面を見てしまった者で、それを生きて語り継げる者は少ない。

性行為や薬物と同じように、秘められた情報もレディ・イレニーの商売道具である。絶対に裏切らず、彼女が提供する快楽に関わらないのであれば、目的達成の心強い味方となるかもしれない。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第4巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 4

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

はじめてアバーズ・ランディングの貿易会社ができた頃、他から突出した会社があった。リーダーが変わっているだけでなく、そのリーダーが選んだ業種もまた異質だった。サザール・ラと名乗るカジートが設立したサザール・カルテルは、卑劣でありながら欠くことのできない、港町での奴隷貿易を商売にした。男性の敬称「ラ」を授かった、カジートの歴史の中でも数少ない女性であるサザール・ラは、帝国人、ブレトン、レッドガード、そして少数のカジートから成るカルテルを作り上げた。

カジートに奴隷商売のカルテルが運営できるのか?と疑問に思うかもしれないが、結果から言うとかなり上手にできている。利益次第では我が子をも売りさばく女、サザール・ラの伝説は、カルテルの富の増加とともに広まっていった。遠い国へ向かう途中のアルゴニアンやカジートの奴隷を仲介するかたわらで、カルテルは密輸や情報の売買にも事業を拡大した。同族を売り飛ばすことにも躊躇のないカルテルは非常に危険な存在だ。時が経つにつれ、競合者たちもそれを思い知ることとなった。

今は6代目となるカジート女性サザール・ゴールドファングがサザール・カルテルの商人王となっている。彼女はアバーズ・ランディングの貿易会社の現状にも、自身の事業の現状にも満足しておらず、落ち着きをなくしているように見える。貿易会社を害した何かは、このカルテルには特に大きな打撃を与えたようだ。彼女は「隠れた貿易会社」の活動以前に誇った権力と名声を取り戻し、先祖と同じ栄誉ある敬称を受け継ぐことを切望している。

サザール・ゴールドファングは怒りと野心で煮えたぎっている。本人は自分がアバーズ・ランディングで一定程度の富と敬意を手にするのは当然のことだと考えているが、率直に言ってそれは難しい。そのため彼女は苛立ち、不安をかかえ、かなり危険である。私の忠告を聞くか?あのカジート奴隷商人には近づくな。10フィート圏内にもな。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第5巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 5

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

次は私が「落ちた貿易会社」と呼んでいる、アバーズ・ランディングの4つ目の大手貿易会社の哀れで不幸な運命について説明しよう。ガージェス・アンド・アソシエイツの歴史は、今ではシロディールの記録から消え去ってしまった有力かつ強大な帝国の一家へとさかのぼる。ヒューズベインの商人王たちが力をつけてきたころ、アビシアンの海賊王として知られていたイソベル・ガージェスが襲撃と略奪をやめ、それなりに法に則った事業でその勢力を拡大していった。

当然ながら、アバーズ・ランディングのような場所で言うところの法に則った事業は、一般的な解釈とはだいぶ異なる。イソベルは最初、法外な利子をつけて金を貸し付けていたが、やがて彼女率いるガージェス・アンド・アソシエイツはギャンブル、盗品商、不正資金の洗浄、強奪などに手を染めるようになった(強奪については、部下に商船から貨物を盗ませ、その同じ商人たちに売りつけることで手っ取り早く利益を得ていた)。

15年前の貿易会社危機がアバーズ・ランディングを襲うと、ガージェス・アンド・アソシエイツは破産寸前に追い込まれた。それ以降の暴動と、三旗戦役に至るまでの出来事で、その悲運は決定的なものになった。今のガージェス家には一族と忠臣が一握り残るのみで、現当主のマルチヌス・ガージェスは嫉妬にまみれた悲惨な男だ。だが奴には計画がある。会社を立て直し、富を取り戻し、ガージェスの名が再びアバーズ・ランディングで称えられ、尊敬され、恐れられるようにする計画だ。しかし、その夢を叶える道のりは長い。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第6巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 6

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

これを君に送ろうかずっと悩んでいた。内容は全て仮説や憶測に過ぎない。証拠がないんだ。君に見せられるようなれっきとした事実が。とはいえ、君には私の考えを知ってもらう権利があると判断した。ダークエルフたちが言うように、用心するに越したことはないからな。

前の報告書では、アバーズ・ランディングの貿易会社を妨害し、攻撃までしている別の組織が存在すると示唆した。これを「隠れた貿易会社」と呼んできたが、もっと良い名がある。影のコングロマリットだ。夜中に目の前に広がる大きく深い裂け目のごとく、暗闇の中に確かに存在しているのに、影のコングロマリットは目で見ることができない。

影のコングロマリットとは何なのか?私には分からない。組織の真実を暴けるところまで来たかと思えば、また次の手掛かりを求めてあちらこちらと飛び回らされ、結局いつもあと一歩で届かないところにいる。これまでに分かったことを記す。影のコングロマリットはおそらく40年ほど前に組織された。そしてそれまで1世紀もの間、独占状態にあった商人王たちの前に現れて挑戦状を叩きつけた。そこから25年以内に、影のコングロマリットは貿易会社たちが一歩引き、権力と影響力の一部を譲らなければならないほどの力をつけた。

闇の奥深くで、何らかの戦いが起こったのだろう。この戦いで隠れた貿易会社が勝ち、表に出ている貿易会社たちは痛手を負い、築き上げた玉座から突き落とされたのだ。最も悲惨だったのはガージェス・アンド・アソシエイツで、ほぼ一夜にして総崩れとなり「落ちた貿易会社」と呼ばれるようになった。

影のコングロマリットがアバーズ・ランディングの真の権力者なのだろうか?それがはっきりと断言できないのが、私の一番の悩みだ。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーの地域史を完成させるための助力求む!Help Complete Abah’s Local History!

アバーズ・ランディングの市民たちよ!ヒューズベイン記念日の委員会議長の役に立候補し、この職についたことは私の名誉であります。私はこの任を活力と情熱を持ってやり遂げることを誓います!本年の展示は我らの基礎を築いた人物(そして私の母方の祖父という意味で、我が先祖)である、フバラジャード王子の生涯と実績に賛辞を捧げる予定であります!

ヒュー王子の統治時代に遡る種々の歴史的価値を持つ物品の展示に加えて、私が希望しておりますのは、我々の展示コレクションに初めて、「ヒュー王子の大失敗」として知られる、名高く非常に収集価値の高い一連の書籍が加わることであります。そのために、私はこれらの愛すべき書の個人的なコレクションを祭典に貸し出すつもりです。その中には以下のものが含まれております:

——ヒュー王子と使者の爆裂パイプ
——ヒュー王子とハジ・モタの戦車
——ヒュー王子とアイアンレガッタ
——ヒュー王子と二人三脚
——ヒュー王子とペットのトク・ガーヴァ
——ヒュー王子と精霊のパレード
——ヒュー王子とキンドルピッチの泉
——ヒュー王子とオーガのバレエ

目の利く方であればすぐさまお気づきになることでしょうが、このコレクションに欠けているのは1冊だけです。それは悲劇的なまでに希少な「ヒュー王子とスプリガンのバーベキュー」であります。もしこの珍しい本がアバーズ・ランディングで見つかるようなことがあれば、所有者の方にとって我々のコレクションに貸し出すことは市民的寛容の行いとなるでしょう(そしてもし所有者の方に上記の本を売るつもりがおありならば、私は多大な額の報償を提示するつもりです!)

また、我が愛すべき配偶者のレディ・ワラヴィルが他の業務に追われているため、委員会は祭典での発表者として「ヒュー王子の大失敗」の著者と目されている次席高官ハフジファー・アルヤスの役を演じていただくため、それなりに演技のできる美しいレッドガードの女性を探しております。興味のある方はぜひ館にて直接手続きをしていただきたい。

——フザハー・ワラヴィル卿、大公

アルダノビアの強奪日記からの抜粋Excerpt from al-Danobia Heist Journal

フーンディングの道を開くには、トゥワッカの柱を通過しなければならない。その後、マルークの道をたどれば長身のパパの水差しの聖なる灰を手に入れることができるだろう。それによってシンジの真実が明らかになり、そこから宝物庫にたどり着くことができる。

トゥワッカの柱を通過するのが最初の問題だ。ヨクダの将軍たちの装飾がついた錠が壁に設置されている理由が他にあるだろうか?もしこれまで同様、我が知識が正しければ、この錠はナリマヤとトゥナスカの兄弟を基にした物語への言及になっているはず。文書を探して、何か手掛かりになるものがないかどうか探してみる必要がある。

宝物庫に関係があるかもしれない古い文書からの抜粋を見つけた。後で必要になるかもしれないから、書き記しておく:

「こうして、兄弟はそれぞれ戦場に立ち、夜の静けさの中、対峙した。各軍の死体が足元に横たわっていた。彼らの周囲で燃える炎により、戦場は淡い黄金色に照らされた。トゥナスカは北に立ち、彼の将軍であるアキシュとブーリズを従えていた。南に立つナリマヤはこれに対峙し、彼女の信頼する2人の参謀、ニシュカとプントルを従えていた。2人には、これが最後の戦いになるであろうことがわかっていた。2人のうちどちらにとっても、これが生もしくは死への扉を開く戦いになるだろうと」

これは明らかに、将軍たちがそれぞれ、参謀たちの真ん中に位置していたことを意味している。宝物庫への手がかりだろうか?あとはあの部屋に入って、将軍たちの順序を解明できるかどうか試してみなければならない。それと炎についての言及は?方角?どれも決定的な情報になりうる。

文書のこの部分と一致するもので、何か順序を示しているものがないかどうか注意していたほうがいい。部屋の中の何かがこれに言及しているに違いない。順番か、それとも数?とにかく何か。良い予感がする。きっと財宝がじきに手に入る!

ヴァズシャラの日記Vazshara’s Journal

ヴァズシャラが疑うモンクでいたのはたった1週間だというのに、もう自分の決断を後悔している。2つの王国が築かれる以前にここで何が起こったのか誰も話さないけれど、それはいつでもみんなの心の中にある。まるで大きなセンチタイガーが私たちの晩餐を食べているのに、その鼻先をひっぱたいてやることを禁じられているみたい。どこかの月の司祭がここで闇をかき混ぜて、ドロ・マスラをニルニに送ってやったってことはみんな知ってる。でも、なぜ?どうやって?誰もそのことは言わない。ヴァズシャラはもちろん、あらゆる噂を聞いている。ジャ・カジートが誰も聞いていないのを確認してから笑うような、しょうもない物語。たいていのカジートは笑うけれど、馬鹿みたいな話はよく、暗い真実を隠していることを私は知っている。ここで本当に何が起きたのかを見つけださなきゃ。

* * *

書いていて、ヴァズシャラの爪がつりそう!ものすごくたくさんのモンクたちと話して、その話を紙に書きとめた。認めなければならないけれど、これらの話はジャ・カジートとして学んだ物語よりもずっと暗い。役者たちはいつも同じ。頭のおかしいモンクたちと、「石を打つ者」と呼ばれる月の司祭。どうやら、この司祭は魔法の杖を持っていて、それで地面を打つと秘密を話し出すらしい。この魔法の杖がどこからやって来たものなのか、あるいはこの月の司祭が死んだ後どこにいったのか。それは誰も知らないから、ただの作り話かもしれない。でも、謎はひとつずつ解決しなきゃ、そうでしょ?

明けても暮れても、この月の司祭は地面を打って、ニルニのあらゆる秘密を学んでいた。でも結局、魔法の杖はニルニの秘密を出し尽くしてしまい、もっと暗い秘密を語り始めた。ナミイラの秘密を。打つ者はひたすら耳を傾け、年老いて正気を失ってしまった。聖堂のモンクたちも正気を失った。なぜなら、石を打つのが決して止まなかったから。それは大きく、規則的な音だった——コンコン、コンコン、コンコン。心臓の鼓動みたい、そうでしょ?ついに、モンクたちは石を打つ者を殺す計画を練った。モンクたちはハイ・ルナリウムに彼を誘い込み、湾曲したナイフで死ぬまで刺し続けた。打つ者の死体からすべての血と秘密が流れ出して聖堂の扉を打ち開き、モー・オブ・ローカジュと、その先にある闇を明らかにした。

ここからは物語が食い違ってくる。いくつかの説明で、打つ者は血が流れ出してしまった後に起き上がり、稲妻でモンクたちを全員殺してしまう。他の説明では、ローカジュの喉元から大きな翼を持つ獣が飛び出してきて、その爪と牙でモンクたちを切り刻んでしまう。でも、これじゃ意味が通らない。聖堂のそこら中に散らばっている封印は明らかに、月の司祭がモンクたちに挟み撃ちにされて、ベント・スピリットを召喚したことを示している。それに私はハイ・ルナリウムにある扉がどんな見た目をしているか知っている。だから打つ者は生き残って、少なくともモンクたちのうち何人かをベントの踊りに押し込んだはずじゃない?まあいいか。もしかしたら罪の意識だったのかもしれない。疑うモンクは評判が悪いから。多くのカジートがドロ・マスラの解放に教団が一役買っていると考えている。もしかしたら本当かもしれないって思い始めてきたわ。ヴァズシャラもパパの言うことを聞いて、漁師にでもなっておくべきだった。などなど。

* * *

こんな場所は滅びてしまえ!今日、クラン・ドロ修道院長がハイ・ルナリウムにヴァズシャラを呼び寄せて、人生で最悪の罵声を浴びせてきた。「おしゃべりはもうなし!質問もなしだ!」まったく!いったいこの場所のどこに喋れるものがあるっていうの。この聖堂は墓よ。誰も笑わないし、歌ったり、踊ったりもしない。ただ詠唱して、囁いて、尻尾をしまって祈るだけ。それだけでもヴァズシャラは逃げだしたくなるけど、まだあるのよ。修道院長の目に何かがあった。怒りじゃなかった…いいえ、違う。あれは何というか…無だった。鈍くて暗い無。死んだ猫の目みたい。尻尾が立っちゃったくらいよ。ヴァズシャラはもう我慢できない。夜が明けたらすぐに海へ向けて出発するわ。この場所に月の呪いあれ、それから修道院長にも!

ウェイクウォーカーの指令Wake Walker’s Orders

獣使いロドロスへ

上陸部隊を連れて、鮫の歯の洞窟を探せ。新しい准将が喜ぶような、好意を抱かせるような贈り物を見つけろ。噂通りなら、鮫のシャルグは数多くの貴重品を洞窟の内部に隠しているはず。歩き手たちには好きなように略奪させてやっていいが、准将が興味を持ちそうなものは全てとっておけ。

だが獣使いよ、本当の目的を忘れないように。もしクローナ・キーバと呼ばれる伝説の生き物が実際に洞窟の奥深くをうろついていたら、そいつを手なずけて俺のところに連れてきて欲しい。新しい准将のための贈り物として、ペットのハジ・モタ以上のものは考えられないからな!そんな生き物を手にすることができれば、他の海賊船の連中の羨望の的になるだろう。准将だって感激しないはずがない!

さあもう行って、あの生き物を見つけてきてくれ!

ウェイクウォーカーのドロリオン船長

ウェイレストへ捧ぐファランゲル王の頌歌King Farangel’s Ode to Wayrest

これは余の初めての詩作の試みである。これらの言葉は歴史に名を残すであろう。

「猛烈な波がうなり、暗闇のかかった海辺に寄って砕ける。
汝の塔の光は天空に輝く星々にも匹敵し、
その光は影の入り江において倍増される」

だめだ。これはいかん。これでは高尚すぎる。余はこれを皆が共感できるものにしたいのだ。歌ではどうだろう?

「もしも余に娘がいたら、きっと彼女はこう言うだろう。
ウェイレストの男に、毎日一緒にいて欲しい!
そしてもし息子がいたら、きっと彼は望むだろう。
ウェイレストの女と、毎晩一緒にいたいって!」

おっとっと。変な方向に行ってしまった。それもすぐにだ。書記よ、どう思う?何か考えはあるか?

「「ウ」は麗しいこの街の「ウ」
「エ」は偉い王様ファランゲルの「エ」
「イ」は行きたくない場所ダガーフォールの「イ」、あの汚くて臭い貧民街」

よくわかった。これではどうにもならん。こういうことは吟遊詩人に任せるべきだと思う。

なぜまだ書いているのだ?書記よ、確かに余はすべて書き留めろと言ったが…よいか、命令に従わねば死刑にするぞ、止め——

ヴェルサへの手紙Letter to Velsa

あなたを見つけるまで長い時間がかかった

誰かがあなたのことを思っていると知っておいて

あなたの幸せを願っている

ヴェンティリアス・プロキシマスの日記Journal of Ventilias Proximus

またザルガクに裏切られた!奴のところの口の軽い馬鹿が我々の取り決めを漏らしたに違いない

もっと死体が必要だ!ボロボロになっている方がいい。ザルガクの提案にあれほどそそられた理由はそこにある

だがこの「コッシュ」がザルガクを脅迫してノー・シラ要塞に呼び出した——鉄の車輪の本部だ!ザルガクがこの新しい商人王の遊びに参加しなければ、鉄の車輪が俺を訪ねてくるまでどれくらい時間がかかるだろう?

この薄汚れた穴で死にはしない。黒き虫の教団が俺を受け入れるだろう、それは確かだ——ただ自分の価値を証明するために、あと少し魂が要る…

エバニ船長の記録Captain Evani’s Log

記録184
アバーズ・ランディングの盗賊ギルドはタネスの傭兵に潰された。商人王たちがとうとう押し戻したの?アンヴィルの連中と協働するチャンスかもしれない。

記録188
少量の積荷がアバーズ・ランディングの連絡係に配送された。次回は大量に送る。

記録191
新しい准将ということは、至急金が要る。敬意を示すにはそれしかない。次回アンヴィルに行ったらできるだけ荷を積まないと。

記録193
裏切られた!この「コッシュ」は何者?私たちがスクゥーマを密輸するとどうやって知ったの?ノー・シラ要塞で奴に会わなければ、奴は鉄の車輪に私の船を襲わせる!

私が船を遠海にやったら、きっと准将は私たちに敬意を示すつもりがないんだと考える。でも連絡係が怯えて、私たちの荷の受け取りを拒否する。

コッシュのせいで困ったことになった。あの忌々しい古い砦で奴に会うしかない。他に選択肢はない。

エルフと卵とドラゴンみたいなものThe Elf, the Egg, and the Almost-Dragon

幼いイオリは、夜は祖父からエンシェント・ドラゴンの話を聞き、昼は近くの沼でその痕跡を探しまわるという日々を送っていた。一度ドラゴンのものだと信じて、きらきら光るうろこを持ち帰ったことがあった。祖母はただのワマスの皮だと言って、家から遠く離れたことでイオリをきつく叱った。

それでもイオリは諦めなかった。ドラゴンを見つけたい一心で探し続けた。毎日どんどん祖父母の小屋から遠く離れるようになり、ある日暴風雨に遭ってしまった。近くの洞窟に避難したが、そこは汚い水で水浸しになっていた。水たまりを避けながら何とか洞窟の奥までたどり着くと、イオリは思いがけないものを見つけた——それは大きな緑色の卵だった!

暖かい泥に半分埋まったその卵は、命の鼓動で脈打っていた。これはドラゴンの卵に違いない、とイオリは確信した。祖父の話に出てくるドラゴンの卵はいつも大きく、堅く、温かいものだった。この卵も、とてもとても温かかった。

孤独な卵だった。母親のドラゴンも、それ以外の生き物の形跡もなかった。今卵がかえれば、赤ちゃんドラゴンの世話をする者がおらず死んでしまうだろう、とイオリは思った。

「家には持って帰れない。おばあちゃんに潰されるか、料理されちゃう!」彼女の祖母はドラゴンや卵など信じておらず、きっと食べ物として認識されてしまう。

「ここに残るのも無理ね」暗くなってから帰ればどんなお仕置きが待っているか、考えたくもなかった。「どうすればいいの?」

降りしきる雨を眺めながらイオリは考えた。「嵐はひどくなる一方。今帰ろうとすれば道に迷うか風邪をひいちゃう。おばあちゃんも分かってくれるわ」そう自分に言い聞かせて、一晩泊まることを決意した。

次の日の朝、入り口から差し込む日差しを浴びてイオリは目覚めた。それまで経験したことのないほどの空腹感に襲われたが、それでも第一に考えたのは卵のことだった。暖かい泥の中から卵を掘り出し、観察した。卵はとても熱かった!

「きっともう生まれる寸前なんだわ!」興奮してイオリが言うと、それに答えるかのように洞窟の外からうなり声が聞こえてきた。「お母さんドラゴンかな?」と彼女は思った。しかしドラゴンの洞窟に閉じこめられるとなると、良い予感はしなかった。

さらにうなり声と、鼻をクンクン鳴らす音が聞こえた。外にいたのはドラゴンではなく、グアルだった!イオリは片手に卵、もう片手に石を持ち、ゆっくりと洞窟を出た。そこにいたのは地面に鼻をつけるグアルだった。グアルは彼女を見ると、またクンクンと鼻を鳴らした。

「あげない!」そう叫んでグアルに石を投げつけた。石は鼻に強く当たり、グアルは鳴き声をあげた。しかしこのグアルは家の近くで見る、飼いならされたものとは違った。飼いならされたグアルはうなったりしないし、怒って前足で地面を引っかいたりもしない。

イオリは走った。グアルが追いかけてきて、彼女はだんだん恐ろしくなってきた。卵をぐっと胸に寄せて、木の枝や転んだときの衝撃から守った。恐ろしすぎて、グアルが諦めてからもしばらく走り続けた。しばらくしてイオリは力尽き、膝から崩れ落ちて座り込んだ。

「もう安全だと思うよ、ドラゴンちゃん」そう言ったイオリの表情は、一瞬にして再び恐怖にとらわれた。卵を見るとそこにはヒビが入っていたのだ!「キャー!」イオリは泣き叫んだ。きっと強く抱えすぎたか、木の枝に当たったか、もしくは——

すると1つ、また1つとヒビが入っていった。中から押し出されて、殻が落ち始めた。

「生まれるのね!」イオリはどうしてよいか分からず、きょろきょろと辺りを見た。地面に置こうとかがみつつ、ためらった——逃げちゃったらどうしよう?だが傷つけたくもなかったので、あぐらをかいて汚れたエプロンをハンモックがわりにして、卵を膝の上に置いた。

そのまま卵はガタガタと揺れながら崩れ続け、やがて穴からドラゴンの鼻が出てきた!明るい緑色で、少しネバネバしていた。目が開き、イオリを見上げた。くさび形の頭からフォークのような形の舌が現れ、彼女の気持ちは高ぶった。いよいよドラゴンが生まれるのだ!

残りの殻が全て崩れたが、驚くことにその「ドラゴン」には爪はおろか、脚すらなかった。小さな翼の生えたヘビだったのだ。膝にヘビの赤ん坊を乗せるなど、イオリの友達であればゾッとするようなことだが、彼女はただただあっけに取られていた。ドラゴンの話はたくさん聞いたが、翼の生えたヘビの話など聞いたことがなかった!

生き物が殻を完全に振り払うと、イオリはその破片を慎重に片付け、両手でヘビを包んだ。少し冷たかったが、手の中で温もりを帯びていくのが分かった。眠そうな蛇の目でイオリを見上げると、2回まばたきをして、眠りに落ちた。

「まあでも、ドラゴンみたいなものよね?」

カリの品目一覧Kari’s Hit Rist

新人たち、注意して!過去において、盗賊ギルドのメンバーたちは仲間の中で一番の者を決めるために、最も貴重で価値の高いお宝を、タムリエルで最も有力な人々から盗んでいたの。現在のところ、我々にはそういった種類の注目を集める必要は一切ない。本当よ。

とはいえ、あなたたちが技を磨き、実力を見せつけることは重要であるとギルドマスターは考えているの。だから私は特別なものではあるけど、誰もそれを取り返すために軍隊を送らないような品物の目録を作成しておいたわ。見つけて盗んでみて。証拠として、隠れ家まで持って来なさい。

これは自慢のためのものであり、金のためではないわ。だから私のところに来る時、こうした品物に多額の報酬を期待しないでね。

アバーズ・ランディング:ヒュー王子がまだ生きていた時代銀行家のひいひいひい(中略)じいさんの代の甥っ子が、この哀れな間抜けの葬儀壺をまだ持ってる。今は花瓶として置かれているそうよ。

グリーンシェイド:魔術師ギルドはある樹の従士のために、奇妙な生きた本の修復作業をやっている。多分、水をやるとかそういうことでしょう。

オーリドン:ナエモン王子は記念のデキャンタを持っていた。自分の戴冠式のために注文したんだけど、式が行われることはなかった。噂では、まだスカイウォッチの邸宅に展示されているらしいわ。

マラバル・トール:古いウッドエルフの物語に、あまりにも優秀なので、呪われたハープで大会に優勝した詩人の話がある。誤った者の手に渡って誰かの鼓膜を吹っ飛ばしたりしないように、ハープは魔術師ギルドが保管しているそうよ。

リーパーズ・マーチ:魔術師ギルドはラウル・ハの屋敷にいる、ある年老いたカジート戦士の古い持ち物を気遣っているわ。不幸なのは、それが彼の痰壺ということね。

グラーウッド:カモラン王朝の一人が戦闘で死んだ時、その代わりを務めることになっていたマネキン人形があるわ。どうやらそれは見破られたみたい。というのも、大使館で埃をかぶっていたからね。

アリクル砂漠:砂漠にいる裕福な宿屋の主人がある古い鉢を持っている。本人の主張では、彼の血筋があるラ・ガーダの英雄にまで遡ることを示す家宝だそうよ。見た目は人を欺くと言うけど、それにしても疑わしいわね。

ストームヘヴン:ウェイレストの最初の王はいい王様だったかもしれないけど、詩人としてはひどいものだった。彼の作品を収めた未刊行の本が1冊、魔術師ギルドに保管されているわ。朗読しなくていいわよ。

バンコライ:ヨクダの征服者たちの中でも比較的几帳面だった者が、自分の所持品を片付けるのに巨大な文鎮を必要としていたそうよ。これは私の手元に置くことになるかもしれないので、そのつもりでいるように。

グレナンブラ:ダガーフォール城を飾っているじゅうたんのひとつが魔法の力を持っているそうよ。どうしてそんなものを何かの役に立たせずに、ただ置きっぱなしにしているのかは知らないけど。

リベンスパイアー:戦士ギルドはショーンヘルムのお姫様がエメリック王にあてて書いた手紙をいくつか持っているらしい。王が彼女を捨てて、センチネルのお姫様のところに行く前のものよ。興味をそそられるわね。

イーストマーチ:イーストマーチの住民たちは、ジョルン王が叩き壊した古代ドワーフの品が次の宴のメインになると言っているわ。今は現地の魔術師ギルドで修理されているそうよ。

ストンフォール:ある宿屋の地下に、エボンハート・パクト結成時の古い紋章が転がっているそうよ。特に懐かしんではいないようね。

シャドウフェン:ブラック・マーシュでアルゴニアンと一緒に住んでいる奇妙な部族がいるそうよ。驚くことでもないけど、彼らはみんな死んでいる。でも、アルゴニアンはアーティファクトの一部をそのままにしているみたい。何か宗教的な祈りの対象があるんでしょうね。

デシャーン:ほとんどの場合ドワーフのアーティファクトは高値がつくけど、モーンホールドの周囲では一部の旗が奪われ倉庫に放り込まれているそうよ。もう少し深い話がありそうね。

リフト:イスグラモルは一般に戦士ギルドに崇拝されている。彼らはイスグラモルのように利き腕で同じ杯から飲むのよ。でも、彼の古いワインの内、まだ残っているものがあるらしいわ。

キルナの消息Word of Khiruna

キルナの人相書きは市場で巾着切りを衛兵に見つかったときのものだと猫会議で聞いた。鉄の車輪の攻撃の後だが、アジトで嵌められる前の話だ。

噂では、彼らは彼女を罰金刑にして釈放する気だったが、もっと金を稼ぐため鉄の車輪に彼女を引き渡すことに決めたらしい(これは商人王が主任調査官ランビクは仕事に有害だと判断する前だった)。最後の噂によれば、彼女は ノー・シラ要塞へ向かう船に乗せられたらしい。その後は何も聞こえてこない。

—スラグ

クラン・ドロ修道院長への手紙Letter to Abbot Kulan-dro

親愛なるクラン・ドロ修道院長

ヴァルナーゴ・ドロはトルヴァル・クリアタが、あなたの異動嘆願書を受け取ったことの確認として手紙を書いている。少々驚いたと言わざるを得ない。七つの謎の聖堂はあなたの技術と感性にぴったりだとクリアタは考えていた。聖堂の特異な歴史からある程度の難しさが伴うことは分かっているが、これを降格だと考えて欲しくない。断じて!その正反対だ!クリアタとしては、昔から我らの中の最強の指導者たちが封印を見張るべきだと考えてきた。七つの謎の聖堂で働くことは不名誉だろうか?残念ながらそうかもしれない。しかしジョーンとジョーデは最も困難な要求を、最も強い者に課す。そうだろう?厳しい自己管理と、徹底した研究で知られるあなたこそが適任だと思ったのだ。

あなたの嘆願書は検討するが、最も古い友人の一人として、ヴァルナーゴは修道院長としての新しい役割の美点を探すことを勧めたい。月はいつも我らの足をより輝かしい栄光へと導いてくださる。起きる事には全て理由がある。祈ろうではないか。

月のご加護がありますように。

司祭ヴァルナーゴ・ドロ

コッシュの書類からの引用Excerpt from Cosh’s Papers

金と書類は予定通り、レディ・イレニー・モンテインに届けた。これでフバラジャード宮殿は完全に貸切りだ。今後の作戦基地になってくれるだろう。

—コッシュ

この衛兵向け通知を見て!Look at this Guard Dispatch!

(この公文書をどの街の衛兵が書いたか当てた人には、貴重なアカヴィリ金貨を5枚渡しましょう——アンダーリ)

街の衛兵全員に告ぐ。スリに警戒せよ。我々の情報源によると、ある組織された無法者たちの集団が脅迫の目的で、我々の市民の「商売道具」を懐と財布から直接盗むつもりでいるという。これらの盗賊たちはクラフト用品や楽器、そして釣り道具さえも狙っているのだ!

宿屋と港を最も厳しく警戒せよ。これらの区域は人が密集することが多いのに対し、衛兵たちの数が少なくなりがちである。盗賊は吟遊詩人からリュートを盗み、その上発覚することなく宿屋を抜け出してしまうかもしれない。また漁師たちは商売の際、人目につかない場所を好む。幸運なことに、我々のクラフト区域の大半は厳重に見回りが行われる傾向にあるが、頻繁に「休憩」を取ると言って路地をうろついているような者には目を配っておくこと。

(サウスポイント。簡単すぎる——スラグ)

(外れ。それに書かなくたって、直接言えばいい——アンダーリ)

(お前は「眠って」たからな。それから、ノースポイントと言うつもりだったんだ——スラグ)

(どっちにしろ外れ。スラグはもう失格ね——アンダーリ)

(全員失格だよ。あの女、貴重なアカヴィリ金貨を5枚なんて持ってないんだからな——スラグ)

(スラグは三重に失格よ。「貴重なアカヴィリ金貨」っていうのは、私が作った飲み物の名前だからね——アンダーリ)

サロルド最大の宝Saroldo’s Greatest Treasure

愛する娘へ

これを読んでいるなら、間違いなく私の死の知らせを受け取っているだろう。その場合、私は友人のニコラスに、台帳を手に入れ大学にいるお前の元へ届けるよう託しておいた。お前のうめき声がきこえるようだ。私がお前よりもずっと魅了された謎の一つが、私からの最後の贈り物だ。

しかし、正直に言うとお前に解いてほしいのかどうかは良くわからない。私はお前に説明したように生きて来た訳ではない。私はアバーズ・ランディングのある女性と深い恋に落ちた。恥ずかしながら、お前がレディ・スリマを受け入れるのかどうか不安だった。彼女はお前の母親ではないし、代わりを務める気もない。それでも我々はそれぞれ、失う痛みを知っている。

お前に渡せる最大の宝は、お前たち二人が家族となる未来だ。

手紙を丸めて何かに投げつけたんじゃないかと推測するが。さて、立ち直ったところで続けてくれ。

今までにやったことを考えてくれ。お前は台帳の謎を解き、アバーズ・ランディングに旅し、ヒューズベインの砂の土地の位置を突き止め、古い宝箱を掘り当てた。鍵もないのに金庫を開けることに成功した。

全てがお前に私の遺言を読ませることにつながっている。アバーズ・ランディングのレディ・スリマを探すのは問題ないはずだ。彼女はお前の名前を知らないが、肖像画を持っていて、とても会いたがっている。私が彼女と過ごした素晴らしい、おかしな人生を語ってくれるだろう。それから、お前が大学を卒業したら一人立ちするために役立つちょっとした財産を持っている。お前はなりたいものにはなんでもなれる。私が旅立ったとしても、いつも誰かがそばにいてくれるだろう。

ただ、彼女の支えにもなってくれるよう祈るばかりだ。

愛をこめて

—S

ジオベセンの頭蓋骨の信憑性Authenticity of the Giovessen Skull

高潔なる従士フルストロム

「2920年」の記載はほとんどが作り話だが、真実の種がジオベセンの頭蓋骨の形で実になった。皇帝レマンIII世の命令でジオベセン宮殿に閉じ込められた、有名なタヴィアの金に浸され宝石を散りばめた頭骨なのだ。ジオベセンの頭骨は偽の遺物だという噂がハンマーフェルの以前の持ち主から広まり囁かれているが、そのような歴史の上で価値あるものを盗もうという気を起こさせないためであることは間違いない

私はここにジオベセンの頭蓋骨は本物であると証明する。元の頭骨はブレトンの死刑囚から得たと主張する噂はすべて…ただの噂にすぎない

メルカトール・マニックス(帝国歴史学者)

セプ・アダーの繁栄Triumph of the Sep Adder

ウェイレストはあまり選択の余地を与えてくれなかった。ウグイアビの売り上げは資産のいくらかを取り戻させてくれたが、面倒に見合うほどのものじゃなかった。私たちは水の漏れる船を1隻買い、故郷に帰る途中の沿岸で売るための貨物を探し求めた。私、ザビアーコは港の斡旋業者をあまり信用していなかったので、持ちかけられた計画の大部分は拒絶した。

「だがな、ザビアーコ、珍味の取引をするべきだよ!」とあの悪党は言った。「砂糖と米じゃ大した儲けにはならないが、泥で覆われたドゥルーの卵は、アバーズ・ランディングのよく肥えた金持ち商人たちに珍重されてるんだぜ!」その時は危険を冒す価値があると思った。

そんな価値はなかった。ドゥルーは交尾の後、足を取り去って海の中で過ごすのだが、船体の中にあった卵の存在を感じ取ったに違いない。私たちがセンチネルをあとにしてすぐ、奴らは襲ってきた。船に穴が開くと同時に、奴らは水と共に突進してきて、卵を奪っていった。船が完全にバラバラになる前に、私は気を失ってしまった。

でも心配はいらない!これがザビアーコの最期ではない。まだまだ語るべき物語や見るべき生き物がたくさんある。たとえば美しいセプ・アダー。それについてはすぐに話そう。

私たちはヒューズベインの地の南西部にある浜辺で目を覚ました。アバーズ・ランディングから地続きの短い旅だった。街へ向かう旅では多くの冒険に出くわした。その中には自分を鮫だと思っているオークとの出会いもあった。しかし一番よかったのは地元住民にセプ・アダーと呼ばれていた、翼の生えた蛇だ。

ウグイアビと同じように、見た目は間抜けな生き物だ。足はないけれど、蛇のように地上を動き回る。翼を持っているのに、空を飛ぶことはできない。しかしあの馬鹿な鳥とは違って、セプ・アダーはうまく繁栄しているし、優美だ。この生き物はその尽きることのない飢えを満たす術を常に持っている。

セプ・アダーは常に次の食事を狙ってうろついている。この土地の川の緑が生い茂る岸に沿って滑空しながら、空中では虫を取り、水中からは魚を取っている。後に土地が渇いてきて、水が少なくなって来た時、こいつらの数が増えているのを見た。地面の中の乾燥したちっぽけな巣から、小さなネズミを引っ張り出していた。

セプ・アダーはあらゆることに対して不器用に見えるが、実は多くのことをうまくやれる。湿った土地と、乾いた土地の両方に生きている。それはザビアーコも同じ。私は生まれつき金があったわけでも、格別運がよかったわけでもないけど、機転を利かせることによって多くの不運を乗り切ることができた。

この土地の人々はセプ・アダーに敬意を払っている。というのは私たちがアバーズ・ランディングに近寄った時、翼を持つ巨大な蛇に巻き付かれている男の大きな彫像を見たからだ。あんなに大きいのは見たことがないけど、だからといって自然の中にいないとは限らない。もしあんな生き物が困難を乗り越えて、勝者として栄誉を与えてもらえるとしたら、もしかするとザビアーコも、困難を乗り越えて、どこか名誉を授けてもらえるような場所を見つけられるかもしれない。もしその栄誉が、単に次の食事がどこにあるのか知っているというだけのことでも!

ノー・シラにはノーを!No Shira, No Good!

第四紀398年、収穫の月2日
ボスがすごい隠れ家を新しく見つけた!アバーズ・ランディングからはちょっと遠いが、何もかも地下にあるんだ。それに、雨季にも乾燥している。誰が建設したのか知らないが、壁を遮断する方法をよく知っていたんだな。

それに大きく建設する方法も知ってたみたいだぜ。仲間の数を3倍に増やしてもまだ貯蔵庫やお宝、それどころか奴隷のための空間もたっぷり残るぞ!

第二紀398年、収穫の月5日
この場所の名前を発見した。「ノー・シラ」だ。どういう意味なのかはわからんが、「気をつけて歩け」とかそういうことかもしれん。エフィーが寝台に行こうと下に降りたら、凶悪な鎌が壁から飛び出してきて、彼女を真っ二つにしちまったんだ!ボスは俺たちに他の罠を探しに行かせたが、何も見つからない。あれ一つだけだったのかもしれない。

第二紀398年、収穫の月9日
「ノー・シラ」というのはどうも「そんなに甘くない」ってことのようだな。ナックラーが少し酔っぱらって、ふらつきながら階段を下りていった。彼は底のほうで黒焦げになって見つかった。炎がどこから出てきたのかもわからないんだ。

第二紀398年、収穫の月13日
もう限界だ、俺たちはここを去る。何だか知らないが凶悪な罠のせいで、ボスの膝から下が無くなっちまった。ボスには新しいあだ名が要るだろう。「足軽」じゃまずいかな。

パーシー・ヴェルモントへの手紙Letter to Percy Velmont

パーシーへ

さあ来なさい、かわいい弟よ!小説「海賊女帝スサ・アプラグド」最新刊から顔を上げて、しっかり私の言葉に耳を傾けなさい。私は旅に出ます。そう、突然で予期していなかったことね。でも、直接告げる時間はなかったの。たくさんの仕事に関わらなければならず、どうしても参加しなければならない会合もいくつかあるのです。気になるのなら、旅程表の写しを残しておきました。

私のいない間、変なことを思いつかないように。父上は仕事と家族のことを私に託していかれました。私が戻るまで、恐ろしく間違ったことはやらないようにすればいいの。

数週間したら会いましょう。かわいい弟。私のいない間もいい子にしていたら、アンヴィルで次の「海賊女帝」の冒険を手に入れるかもね。

あなたの姉
アナイス

パーシへの手紙Letter to Paathi

パーシへ

心配だ。ショラマイは噂を広めたくはないが、クラン・ドロ修道院長のふるまいは日毎に奇妙になっている。またもや昼の瞑想に遅れ、トジャイの詠唱のあいだぶつぶつ言っていた。マントラのあいだ目を開けるのを禁じられているのはわかっているが、のぞき見ずにはいられなかった。クラン・ドロの口先はねじれて冷笑に変わり、尻尾は祈りのベルのように前後に揺れていた。これだけではショラマイのうなじの毛は逆立ったりしないが——爪がリズムを刻んでいたのだ。石をカチカチと打っていた、何度も何度も。それで私の頭はクラクラしてしまった!

たてがみに手紙を送らねば。あのリズムには何か暗いものを感じる。修道院長が堕落していたら我々全員が危険だ

これから数日間は見えないところにいて、あのリズムを聞いたら聖堂を逃げ出せ

月のご加護がありますように
ショラマイ

バリスの日記Balith’s Journal

記録42
また光だ。昨晩はあまり考えていなかった。ただ静かな海に星がきらめいているのと、遅い時間だから俺の目がぼやけているだけだと思った。あれは今夜戻ってきて、さらに近づいてきている気がする。俺の力ではどうしても見ることができない。ただの変なちらつきか、瞬きにしか見えないんだ。

記録43
嵐がやってきた。海の向こうの空が鋼鉄のような色になってきている。ここ数日の夜中に見たあれに違いない。雷鳴と稲妻だ。もっと気をつけておくべきだった。

記録44
嵐がにじり寄るみたいに動くのなんて初めて見た。海の上に漂っているみたいで、ほとんど動いていない。待っているんだ。こいつは良くない。関税の勘定は明日にして、窓に板を打ちつけておこう。

記録45
船があった!もやのなかに輪郭が見える。ランプのような輝きがあるが、明かりは冷たい。いったいあいつはどれだけの間、嵐の中に閉じ込められているんだろう?無事だといいんだが。ここから俺にできることはあまりない。目を光らせておこう。俺にできるせめてものことは、船が嵐の中で沈んだら港まで走って助けを求めに行くことだ。

記録46
ターヴァの赤い羽根にかけて!船が嵐なんだ!今夜、俺が網の方に針路を向けていたら、ガレー商船が1隻沿岸付近を通り過ぎていった。避雷針みたいだった。あのじりじりした嵐が台風みたいに躍り上がって、まるで生き物みたいにあのでかい貿易船に突撃していったんだ。嵐に飲み込まれたと思っていたあの船はその先頭に立っていて、網みたいに雲を後ろに引きずって、遅い商船を取り囲んでしまった。そいつは稲妻をガレー船の帆に向かって吐き出し、風と波でもみくちゃにしてしまった。

俺には動く度胸がなかった。嵐の船がガレー船を襲うのを見てるしかなかった。雷鳴にかき消されたせいで、叫び声や悲鳴はほとんど聞こえなかった。逃げたいという気持ちが俺をようやく恐怖から立ち直らせた。あいつらに発見されなかったのは運が良かったと言うしかない。

記録47
あいつらが来る。アリーナを探してくれ。愛していると彼女に伝えてくれ。俺のために祈って欲しい。

ヒュー王子とハジ・モタの戦車Prince Hew and the Haj Mota Chariot

次席高官ハフジファー・アルヤス 著

「ハフジファー!いや、次席閣下!」給仕のジェンゲシュだ。階段を駆け上がって来たので、汗をかいている。「王子様があなたにすぐ来て欲しいそうです。厩舎にです。急いで!」

「今度は何?」と言いながら、私はラリバラーの「11の儀式形態」をデスクマットの下に突っ込んだ。水中呼吸の呪文を学ぼうとして一時的に水中でしか呼吸ができなくなって以来、王子は王宮での魔法を禁じていた(私は5つ目と6つ目の音節があべこべだと教えたのだが、王子は無視したのだ)。「またスキーヴァーがオーツ麦の中に入ったの?」

「いーえ!」ジェンゲシュはいたずらっぽく微笑んだ。「ご自分でお確かめになった方がよろしいかと」

ヒュー王子はいらいらした様子で厩舎の扉の前を行ったり来たりしており、先がくるっとカールした黄金のスリッパで糞を踏まないように気を配っていた。「おお来たな、ハフジ!お前に見せたいものがある。お前も今度こそ感動するぞ!」彼が絹の袖に覆われた片腕を振って見せると、いつも側を離れない護衛のビッグ・ドーランは厩舎の扉を車輪に沿ってずらし、開いた。

中にあったのは、私がこれまで見た中で最も醜いものだった。それはラ・ガーダの戦車のように見えたが、サイズが大きすぎたし、車輪は2つではなく4つあった。乗員席に掛けられた金縁の枠には、黄金で縁取られた大きな傘が刺さっていた。乗員席自体はけばけばしくも輝く虹色に塗られていた。これは王子が選んだシンボルである(彼は”色(ヒュー)”男だから。分かるでしょう?)。そして御者が泥で汚れるのを防ぐために、車輪の上に銀板が覆いかぶさっていた。これの全体は採石場で働く牛車ぐらい重そうに見えた。

「見事だろう?」と王子は聞いてきた。「見事だ。そうじゃないか?」彼はきっぱりと繰り返した。「見事だ」

「み…見事ですね。はい、確かに。その通りです」と私は言った。「それに…こいつはなかなか大きいですね。でも見たところこいつを引くには馬を8頭ほど使うことになりそうですが、私たちのところには6頭しかありませんよ」

「馬だって?はっ!馬なんてのは庶民のものさ!新しい我が王子専用戦車はだな…ハジ・モタに引かせるのだ!」

「悪魔の亀?しかしあれを手なずけた者はいませんし…いるはずがない。第一、殿下はそんなものをどこから手に入れるつもりなのですか?」

「もうすでに1匹持っているんだ!」とヒュー王子は言い、その天神ひげを誇らしそうにいじった。「ボズマーの商人から買ったのさ。催眠性の虫の煙で手なずけたそうだ。見に来いよ!」そして王子は厩舎のさらに奥へと進んでいった。

叫び声があがったのはその時だった。通常ならば私は「血が凍るような金切り声」のような陳腐な決まり文句は使わないのだが、冗談抜きで、私の心臓はその音で凍りついてしまった。人間と馬の両方からあがる、おぞましい悲鳴だった。器用な腕のモラドが目をかっと見開いて、檻から駆け出してきた。その後ろからは私の知らないウッドエルフが続いた。私は彼の通り道を塞ぐ形になり、彼が私を押しのけて通り過ぎようとしたところで、私は彼の装飾用の角をつかんだ。「おい!やめてくれよ!逃げなきゃ!」

「何があったのか教えてくれれば行かせてあげるわよ」と私は低い声で言い、念を入れるために角をねじってみせた。

「ハジ・モタだよ!眠りの煙に耐性ができちまったに違いない。何せあいつは目を覚まして…怒ってる!」彼は肩越しに振り返り、身震いした。「あいつは馬を食ってるんだ!次は俺たちだぞ…行かせてくれ!」

私は彼を行かせてやった。そうすると、納屋の奥底から轟音と共に悪魔の亀が現れた。その顎からはまだ馬の一部分を滴らせていた。亀はヒュー王子に向かって真っすぐ突進していた。王子は動かずに立ちつくしていた。私は彼が恐怖で凍りついていることに気がついた。

間一髪だったが、私は王子に体当たりをかまし、ハジ・モタに蹂躙される寸前に突き飛ばした。ハジ・モタは我々を通り過ぎ、そして一瞬立ち止まり、振り返った。なんて素早い奴だ。さらにその重い尻尾でドーランをひっぱたき、彼を一方に、両手剣を別の方向に吹き飛ばした。そしてハジ・モタは我々に注意を集中した。その赤い豚のような目には殺意が宿っていた。

私は手足を広げて王子の上に倒れこんでいたが、彼はそのずんぐりした手で私をぺしぺしと叩き、「助けてくれハフジ!助けて!」と泣き叫んでいた。化け物が近づいてきてその巨大なくちばしを開けたので、私は何か呪文を思い浮かべようとした。どんな呪文でもいい…しかし王子が私に向かって息を切らして喚いていたので、頭の中は空っぽだった。

王子…息を切らして…突然、私の心の中である呪文が形になった。私はそれをとっさに口に出し、ハジ・モタの鼻先に叩きつけた。マジカが私から流れ出して獣に注ぎ込まれ、獣はまばたきをして、鼻を鳴らし、そして頭を左右に振り始めた。ハジ・モタは顎を大きく開き、苦しそうに大きく息を吐き出し、足を投げ出して倒れてしまった。肺が波打っていた。1分とたたずに、獣は窒息して死んだ。

なぜなら、獣には息をするための水がなかったからだった。

私は王子を助け起こし、彼の絹服の汚れを払ったが、馬糞が付いたところはそのままにして、気づかないふりをしておいた。「いったい…いったいあいつに何が起こったんだ、ハフジ?」と彼は言った。彼は目を険しくして「まさか魔法を使ったのではないだろうな?」

「いやあれは…虫の煙への反応が遅れて出てきたものに違いありません。呼吸の問題です!」私は力強くうなずいた。「そうですとも、煙に間違いありません。私があのリハドのジャコウをつけていて、殿下のくしゃみが止まらなくなった時のことを覚えていますか?あれと同じようなものです!」

「ああ、そうか。まあとにかく、運がよかったじゃないか、なあ?ドーラン、あの商人を追いかけて金を取り返して来てくれ!馬をまた6頭、買い直さなきゃ」。王子は醜悪な戦車をいとおしそうに眺めた。「それとも8頭にしようかな!」

ヒュー王子と二人三脚Prince Hew and the Three-Legged Race

次席高官ハフジファー・アルヤス 著

「ハフジ!」と、私の事務室に飛び込んでくるなりヒュー王子は呼んだ。「刃の祭典の準備は全部できてるか?」

私は立ち上がった。コルヴス・ディレニの「召喚の原理」を羊皮紙で隠すためである。

王子の目はぎらりと光った。「またディレニを読んでるのか、ええ?私が宮廷での魔法をどう思ってるか知ってるだろう!」

「こ…これは私のものではないのですよ、殿下!これは給仕のジェンゲシュから没収したのです」私はそう言ってあいまいに笑った。

「ふむ。それでお前はどうして次席高官の正式なターバンを着けてないんだ?」

私は机の隅に置かれたダサいマゼンタと緑色の頭飾りに目をやり、顔をしかめないように努力した。「帽子をかぶるには暖かすぎますので、殿下」

「何を馬鹿な、今は蒔種の月の真っただ中じゃないか!とにかく、私は祭典の準備が計画通りに進んでいるかを知りたいのだ。我が民がパーティー好きなのは知っているだろう!」

私は首を振った。「彼らはレッドガードです、殿下。パーティーにはあまり行かないでしょう。というか、まったく行きません」

「それがこれから変わるのだ!さあ、ラクダの尻尾刺しの準備はできているのか?」

「できています、殿下。というか、できるはずです。モラドの足の添木が取れればすぐにでも」

「血まみれリンゴ食いゲームは?」

「水槽、果物かご、タオルとすべて西の中庭に並べてあります」

「街の衛兵対抗二人三脚レースは?」

私は唾を飲みこんだ。「実は、そこが問題なのでして、殿下。というのも、衛兵たちの誰一人としてその催しに参加を申し込んでこないのです。どうも…気が乗らないようなのです。なにせ、彼らは去年のレースの後で、殿下がザクド伍長に与えた罰を覚えているからなのです」

「あいつがずるをしたんだ!懲らしめるしかなかったんだ!それに、なんだかんだ言ってあいつの足の指の大半はまだ残ってるじゃないか」

「だとしても、彼らがやるとは思えませんよ」

「ふーむ」と、王子はいらいらした様子でひげをいじった。「あいつらが足をほどくようなずるをしないと確実にわかるようにしたらどうだ?やろうとしてもできないようにするんだ」

これはよくない。要するに王子にはいい考えがあるということなのだ。そして王子にいい考えがあるというのは、いつだって悪いことなのだ。「どういう意味ですか、その”やろうとしてもできない”というのは?」

「はっはっは!ドーラン、こっちに来るんだ」と王子は呼びかけた。王子のボディガードは頭を低くして鴨居をくぐり、広間から入ってきた。「ハフジ、あのヨクダの壺の前に立つんだ」とヒュー王子は言った。「ドーラン、次席高官の隣に立て」

私は肩をすくめ、位置についた。ビッグ・ドーランが私の隣に立つと、彼の背丈は私より頭一つ半高かった。ヒュー王子が時代がかったしぐさで両手を掲げたので、私は気がついた。恐るべきことに、彼は呪文を唱えようとしていたのだ。だが私が抗議する前に、それは行われてしまった。呪文は発動し、マジカが私に押し寄せて、自分の左足がドーランの右足に結合するのを感じた。「ひどい!」私は叫んだ。「殿下、何をするんです!」

王子は満足そうにひげをなでた。「コルビュス・ディレニを読めるのは自分だけだとでも思ったのかい、ハフジ?コロンの強制召喚から束縛の一節を切り取っておいたのさ。そしてそれがデイドラの意思以外のものを束縛するためにも使えることを発見したんだ!すごいだろう?」

私はぽかんとして彼を見つめるだけだった。そのうちに、ビッグ・ドーランは魔法で結合させられた我々の足を見下ろし、唸り声をあげてから、前に足を踏み出そうとした。私は倒れないように彼の腕をつかまなければならず、それでも私たちは両方とも引き倒されそうになった。ドーランは頭を振った。「これはひどい。マスター。気に入りません。元に戻してくださいよ、マスター」

「そうか、いいだろう。ほどけろ!」と王子は言って呪文を逆転させたが、愚かしくも格好をつけるためだけのしぐさを加え、それにマジカを注ぎ込みすぎていた。ドーランと私は離れて空中に浮かび、それぞれ部屋の反対側に叩きつけられた。そして我々の背後にあったヨクダの壺は爆弾のように砕け散った。

すると突然、砕け散った壺の上に渦巻く雲が現れ、うつろな鳴き声が響いた。「自由!自由だ!あの臭い壺の中に無限とも思える長い時間、閉じ込められてきたが、もう自由だ!」雲は素早く、空中に浮かぶ装甲に覆われた胴体を、兜をかぶった頭と、それぞれが巨大な三日月刀を握った4本の腕を結合させた。「今こそ、定命の者の世界に復讐する時だ!」

三日月刀は威嚇するようにくるくると回り始めた。私はドーランに目をやったが、彼は私のものだった大理石製のモルワの胸像に頭から突っ込んだらしく、まだ気絶していた。「殿下!」私は叫んだ。「呪文を使うんです!あいつが私たちをオードブルにしてしまう前に、束縛してしまえばいい!」

ヒュー王子は恐怖に目をむいた。「で…できないんだ!さっきの解除呪文でマジカを使い切ってしまった!お前が頼りだ、ハフジ!」

私はしゃがみ、三日月刀が2本頭上をかすめていった後、走って自分の机の後ろに隠れた。奴は私と扉の間にいた。確かにこいつを束縛できるのは私しかいない。だが私はもう何ヶ月も呪文を唱えていなかったのだ。三日月刀がヒュー王子の黄金のフェルト帽の飾りを切り落とし、王子は悲鳴をあげた。「コロンの牢獄だ、ハフジ!それしかない!」

「しかしそれには器が必要です。壺は砕けてしまったじゃないですか!」

「これを使うんだ!」と言って王子はマゼンタと緑色の下級高官用ターバンを私に向けて放った。

三日月刀が3本私の机に飛んできて、机を粉砕したところで、私はターバンを逆さにしてコロンの永続牢獄を唱えた。「嫌だあああ!」忌まわしい帽子の中に吸い込まれながら、悪魔は叫んだ。「髪油の匂いは大嫌いだ…!」

そして奴はいなくなった。私はまだ震えていたが、ヒュー王子はまばたきをし、深呼吸をし、にっこりと笑った。「まあ、そんなにひどいことにはならなかったな。少なくともアイアンレガッタの時とか、あのペットのトク・ガーヴァの時に比べれば悪くなかった!さて、何をしていたんだっけ?」

私はビッグ・ドーランを砕けた大理石像のくずの中から助け起こした。「衛兵対抗二人三脚レースを取りやめにすると言っていたところです、覚えていますか?」

「お前が言うならそうだったんだろう、ハフジ。お前の言うことはだいたい正しいからな」。彼の顔が輝いた。「そうだ!血まみれリンゴ食い競争の後、負けた者の頭のリンゴをクロスボウで撃たせるんだ!ああ、それと…そのターバンは捨てておけよ」

ファラダンの手紙Faradan’s Letter

愛しきナラーニ

お前の息子の捜索にやっと成果があった。ただ、その成果は甘い物ではなく、苦く感じられるのではないかと恐れている。

残念ながら、お前の息子に対する推測が確認された。彼は物乞いをしているスクゥーマ中毒者のグループと関係がある。私の連絡先はこの包みにある地図を渡してくれた。お前の息子へ伝言を渡そうとして近づく前に、彼は息子を連れ去った直後の二人組に攻撃されたそうだ。お前の息子と一緒にいた、だらしないブレトンの若い女性は騒ぎの間に市場へと消えたそうだ。

現地の衛兵に連絡した結果、私の連絡先は2人の男がヴァーデンフェルから来た賞金稼ぎで、タシュミンが犯罪に関係しているという書類を持っていたことを突き止めた。しかし、ヴァーデンフェルに問い合わせてみると、お前の息子が犯罪に関係しているとの書類も、賞金が掛かっているとの証拠もないらしい。連中がドーレス家のために働いていて、お前の息子を奴隷に戻そうとしているのではないかと懸念している。

良い知らせを届けられずに申し訳ない。

—ファラダン

フバラジャード王子の擁護In Defense of Prince Hubalajad

タネスのレディ・シンナバー

ヨクダの歴史に詳しければ、ラ・ガーダが行った最初の植民地化に続く時期において、フバラジャード王子がどんな役割を果たしたか、あるいは果たさなかったかをご存知だろう。私たちは「ヒュー王子」を滑稽な人物とみなしている。不可能な問題に対する彼の頑固な取り組み方を伝え、派手な贅沢を笑いの種にしている。神が不満を示すため、ゼェトの祠が洪水を起こす?より巨大な祠をさらに下流に作れば良い!タネスでは、「フバラジャードのコインで基礎を築く」が無駄遣いを表わす言葉としてよく使われる。

だが、この不運な王子について、本当のことは知られているだろうか?資料として使えるものは、最上のものでも伝聞でしかない。多くの真偽が疑われる物語は問題を混乱させる。私たちを実際の姿から遠くへ引き離すのだ。故に、自身で結論を引き出すためには、ヒューズベインそのものに頼らざるを得ない。ほんの少しの間で良いので、彼の多くの失敗として一般的に受け入れられているものが何か、詳細に検討してみよう

フバラジャードが相当数の兵や職人と、当時「ケフレムのブーツ」と呼ばれた不毛の地に到着したことは分かっている。現地に採石場が無く、信頼できる北からの陸路もなかったため、彼らは大量の切り出した石材を海から運び込む必要があった。のちにアバーズ・ランディングとなる、自然の要害となる港が間違いなく彼らの最初の滞在地だ。荷を積んだ船の定期的な往来は海賊を引き付けるため、フバラジャードは最初にアビシアン海を見下ろす堂々とした要塞、ノー・シラを建設しなければならなかった。

ノー・シラがすぐに洪水の季節によって損なわれたのは事実だ。だが、対策として、フバラジャードは祠を作ってゼェトに懇願した。続く洪水が最初の祠を押し流したとき、彼は次の建設を命じた。さらに入念な祠を。だが石材を調べたところ、新しいものは前の祠よりも上流に建てられたようだった。この点から考えると、「ヒュー王子の頑固」は、一貫した決意を示している。ヨクダの農耕の神に懇願することは、傲慢で無謀な男の行動ではない。

その間に、アバーズ・ランディングは兵の野営地と掘っ建て小屋から広大な都市へと成長した。この辺境の地での暮らしにおける数多くの困難にもかかわらず、フバラジャードは立派な宮殿を建てた。この土地が彼の家であり、地元民も同じように栄えるよう力を注いだ象徴だ。石材はアバーズ・ランディングの大きな壁となり、その中身がヨクダの船と同様、保護に値することを示していた。

数多くの墓、ラ・ガーダの領域へ続く北の道を開いた素晴らしい王子の門、フバラジャード自身の美化された姿だと多くの人が誤って信じている、アバーズ・ランディング港のすぐ南にあるヨクダ像については、今しばらく脇に置こう。彼は同時期に、要塞と壁に囲まれた街を同時に建設している。これには兵站に対する鋭い頭脳が要求されるだろう。もしフバラジャード本人でないとしても、それができる人物を周りに置くべきことを分かっていたのだ。これは知性に欠ける間抜けのやることではない。

筆者はフバラジャードに失敗があったとしても、終わりなき愚行の物語が語られるようなものではないと考える。彼が荒涼した地に資源を注ぎ込んだことを非難した、嫉妬に駆られたライバルによる中傷だろうか?親の腹違いの兄弟が死霊術師であったため、評判に汚点が残ったのだろうか?ヨクダの神の憤怒を呼び起こした?それともデイドラ公の?私たちが真相を知ることはないだろうが、フバラジャードについて心に留めておくべきことが1つある。彼が到着する前、人もエルフもこの地に足跡を残していない。現在、2000年存続している唯一の建造物は、「ヒュー王子」によって建てられたものだ。

ブリーク・ベールは耐え忍ぶThe Bleak Veil Endures

我が不肖の甥の行為にもかからわず、ブリーク・ベールはただ生きているだけではない、耐え忍んでいるのだ!豊富な資源と安全な港を持ち、監視される心配もないこの孤島は、ハンマーフェルでの騒動が起こった後、私の死霊術教団を移転する先として完璧な場所だった。あの優柔不断なフバラジャードを説得して、私の注文通りの仕様で家族の墓を建設させるのは簡単なことだった。そしてそれは死霊術のエネルギーを伝達するための完璧な中継点になった。我々は究極の力に到達するために、あとひとつ儀式を残すだけだったのだ!

我が甥はどんな手段を使ってか、私が王家の墓で本当は何をしているのかを調べ、普段は無為を好むその性質にもかかわらず、行動を起こすことを決めたのだ。奴は私とその支持者たちを、私自身が設計し、建設を手伝った墓の中に閉じ込めてしまった!一歩後退には違いない。だが起こりえた災厄を考えれば、そこまでひどい事態とは言えない。確かに、王子は見たところ強力な司祭たちを数人集め、我らの死霊術のエネルギーでは抜け出せないような仕方で墓を封印することに成功したようではある。そして確かに、我々が持ってきた少量の食料と水はもうとっくに尽きている。だが、問題にはならない。ブリーク・ベールは我が甥やその味方をする者たちが想像することもできないほど力強くなろうとしているのだ!

とはいえ、何か間違いがあった時のために、ブリーク・ベールに関する真実が時の流れに埋もれてしまわないようにしておきたい。私はマグニフィコ・バーラハ、センチネルの子孫にして、ブリーク・ベールという名でのみ知られている不死の教団の最高位の死霊術師である。私は自らの技術を磨き、また弟子と支持者たちを集めるために長い年月を費やしてきた。我々は身を隠し、力を蓄えながらも時が来るのを待っていた。アバーズ・ランディングの先にある荒廃した地は、我々の勢力を結集し、死と暗黒の儀式を行うためには完璧な場所だった。この墓は特別に設計された地下室と通路を持っており、エネルギーを集中することによって我が信者たちを無敵にすることができるのだ!そしてブリーク・ベールのあらゆる成員たちの中で、私は最強の存在である!

当然ながら、我々全員が飢えや渇きで死んでしまう前に、儀式を執り行わなければならない。それに犠牲も捧げる必要がある。この墓の内部に閉じ込められている限り、我々は犠牲用の人間を確保するために誰かを行かせるというわけにはいかない。そのため、くじを引いて我々の成員たちの中から死すべき者を選び出し、残りの者たちが不死者へと転生できるようにしなければならないだろう。さぞ素晴らしいことになるだろう!そしてこれが、体のうちで命がまだ脈打っている間に私が書く最後の言葉である。次に会う時は、私は死体になっているか、あるいは闇が望むならば、より優れた何かになっているだろう。

フレグのメモFleg’s Note

船長

差し出がましいことを言うようですが、この地図は本当に合っているんでしょうか?私が今見ているやつが最新のものだったのは、たぶんヒューがこの場所を故郷と呼んでいた時代ですよ。この地図の示している位置はわかるんですが、見覚えのある目印なんてひとつもありません。

ゴリガンが耳にしたところでは、部隊の一部は戻ってきてさえいないそうです。このしょうもない地図のせいで迷っているのかもしれないし、あるいは逃亡する価値があるとあいつらが思うくらいのお宝を見つけたのかもしれないし、あるいは死んだのかもしれない。申し訳ないですが、無駄な骨折りのために死にたくはありません。ですから隊長、お願いします。古き良き海賊業に戻りましょうよ。

海のほうに行った連中が何人か、こう言ったのを聞いてます。「俺たちは今のところ掘り続けるが、じきに連絡が来なければ、新しい服に着替えるつもりだ」ってね。

—フレグ

マーシェズは死んだMurshez Is Dead

マーシェズは我々がアバーズ・ランディングに戻ったところで鉄の車輪に捕まった。すぐに死んだが、私は彼に借りがある。彼に親族がいたのか誰か知らないか?あそこから出してくれた彼に礼をしたい

過ごしたのは数…週間?数ヶ月?どれくらいの長さだったかわからない…食用のサソリ以外何もない古い遺跡の穴に閉じこめられていた

時々見にくるが、私は母から愚かには育てられていない。この鉄の車輪の騒ぎがおさまるまで、姿を消す

—SのG

マッドクラブの注文要請Mudcrab Order Request

マッドクラブは一般大衆の食べ物であり、平民の主食と考えている者もいる。これは実に陳腐だ。この用途の広い食材は大量の円盤チーズと同じくタムリエルにとって必須である。

私はアバーズ・ランディングの最高のマッドクラブ調理法をまとめて出版する計画を立てている。そのためにはマッドクラブの肉が毎日一樽必要だ。

あなたの貢献は地元の文化促進になるだけでなく、そのサービスにはふさわしい対価も支払われる。

—マスターシェフ「肉を切りし者」

ランビクのメモRhanbiq’s Notes

記録28
ニコラスは確かにこの地域を通ったが、詳細を覚えている者はほとんどいないほど時間が過ぎた。「ベルラーなら知っている」と、誰もが私に言ってくる。ベルラー・チャタービークのことだろう。飲み物をねだりにここに来る、噂好きのスリらしい

だが私が訊ねまわってからは見かけない。私が地元の衛兵と協力していると考え地下に潜ったに違いない。どこであれ奴と仲間が仕事のできる場所だ。だが、スリは衛兵の目につかないためどこへ行くだろう?街中の無法者が使う隠れ家などないだろうし。

ランビクの命令:アルダノビアの墓Rhanbiq’s Orders: al-Danobia Tomb

どんな状況であれ、鉄の車輪の一員と目されるものはアルダノビアの墓には入れない。道を確保するだけだ。マグニフィカ・ファロラーははっきりと入場を禁じており、我々は彼女に雇われる身だ。どんな訓練を受けていようと、彼女の指示に忠実であるべきだ。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:ノー・シラ牢獄Rhanbiq’s Orders: No Shira Prison

鉄の車輪総員へ

規律正しく出発すること。囚人の移送と没収財産の輸送を優先とする。それらをタネスへ配送することにより、最終的な支払いがギルドに行われる。ギルドはヒューズベインの損害から物資と人員を回復するための資金を必要としている。

時宜を過たず配送することの重要性については、どれだけ言っても誇張にならない。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:フルストロム農園Rhanbiq’s Orders: Fulstrom Homestead

従士フルストロムは農園の使用を寛大にも許したが、私は彼の農園の下にある汚染されているカタコンベが心配だ。

どうか偵察をしてこの地域を確保してもらいたい。どんな不意打ちがあろうとも、どんな結果にも準備しておくのが一番だ。盗賊ギルドの残党を逃がすわけにはいかない。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:鉄の車輪本部Rhanbiq’s Orders: Iron Wheel Headquarters

この臨時本部内で働くことは光栄であり特権であるということを、改めて鉄の車輪の全将校、兵士に分かってもらいたい。要塞の外側を巡回したい者は、いつでも異動を申し出てくれて構わない。必要に応じて灼熱用の装備やレインコートが支給される。

この涼しく居心地の良い建物内に残りたいという者は、雑兵ではなく鉄の車輪として正しく振る舞うことを忘れないようにしてもらいたい。

—秘密の通路にコソコソと入り込む行為は異動の申し出とみなす。
—倉庫の上の通路から足をぶら下げる行為も異動の申し出とみなす。だらだらしていてよかったか、アトリウニア副隊長補佐に聞いておいてくれ。

内部で「召使の仕事」を拒否することは異動の申し出とはみなさない。ただし、2千年近く清掃されていない便所の掃除がしたいのだと私は解釈する。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビク主任調査官の命令By Order of Chief Inspector Rhanbiq

鉄の車輪はこのたび、ヴェルサ(姓不明)と名乗るダークエルフの女性を連行し、レディ・マグニフィカ・ファロラーの盗まれた持参金について尋問する権利を受ける。容疑者は「盗賊ギルド」と名乗る詐欺師と犯罪者の組織と強い繋がりがあるとみられている。

注:容疑者は敵の動きを止め、痛みを引き起こす妨害工作と化学薬品のエキスパートであり、注意が必要だ。抵抗を受けるつもりで当たるように。

レディ・アナイスの命令Orders from Lady Anais

ヴェルモント家執事、ブレクシンへ

もう聞き及んでいるに違いないけれど、仕事の処理と微妙な性質の会合のために、私は急いで予期せぬ旅に出なければなりませんでした。いくつかはまとめる時間があったけれど、下記の品を至急港まで届けてください。これらの品が次に利用可能な船で確実に私の後を追えるように、代理人の助けは確保しておきました。

1.短期の仕事の出張用衣類のトランク3個
2.上流階級の社交用ドレスのトランク7個
3.突発的支出や買い物での散財のため、金が入った貴品箱3個
4.私の大好きなペットにして僕のピムジー

この件の手配に感謝します。

レディ・アナイス・ヴェルモント

レディ・スリマへの手紙Letter to Lady Sulima

愛しい人へ

一緒に過ごした時間で壊れた魂と傷ついた心は再生された。あなたの優しさが私にもう一度愛することを思い出させてくれる。私の旅が私たちに緊張をもたらすのはわかっているが、すべては私たちのためだ。

いつか、もうすぐ、私は旅と仕事を終える。その時点で未来が確保されていれば、私はやっと娘にあなたを紹介できる。その日が楽しみだ、愛する人よ。多くのことを共有できる。

—S

レディ・バリナの結婚式招待状Lady Balina’s Wedding Invitation

レディ・バリナ様

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

ワラヴィル卿の結婚式招待状Lord Wallavir’s Wedding Invitation

ワラヴィル卿様

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

黄昏の儀式と讃美歌Twilight Rites and Hymns

スヴィラシュ・サハーラについて

「追い払い」の歌は暁の時代にアズラーの舌からこぼれ落ちた、3つの黄昏の賛歌の一つである。黄昏の淑女その人と同様、「追い払い」の歌はつかみどころがなく、予測がつかない。どうしても必要な時以外に歌うべきではない。

古代において、この歌は病気を治療し、サトウキビにつく虫を撃退するために使われていた。しかし暁中期がやって来て月の司祭たちにいたずらをして、彼らを忘れっぽくさせてしまった。今日、歌はドロ・マスラを追い払うのに用いられるのみである。

ドロ・マスラの踊りは音楽ではなく、ローカジュの心臓の鼓動そのものだ。それは歌のない歌であり、暗く、誘惑的である。鼓動はひたすら繰り返される一つの嘘で、それを聞く猫にとってしまいには真実になってしまう。カジートがローカジュの意志を真実として受け入れるとき、その者はリドル・サールを忘れ、迷い猫になる。本当に歪んでしまったカジートは歌によって救うことができず、ナイフと月の光で追放する他ない。しかし心臓に抗い続ける猫は闇からの帰還を果たすこともある。

スヴィラシュ・サハーラの力はその捉えどころのなさにある。クランマザーはドロ・マスラの前で歌ってはいけないと教えているが、これは賢明な判断だ。うかつに歌を歌えば、心臓の近くに引き込まれることになる。歌は鼓動に共鳴し、そのうちに尻尾が引きつり、モー・オブ・ローカジュの中へと髭から滑り落ちていくことになるだろう。「追い払い」の歌は心臓の律動を破ることのできる唯一の歌である。その音符は影のように音階を上下に激しく揺さぶり、闇を混乱させ、心臓を弱め、鈍らせる。最終的に律動は破れ、腐敗は過ぎ去る。

しかしながら、スヴィラシュ・サハーラを歌う者には大きな危険がつきまとう。ドロ・マスラはアズラの讃美歌を嫌い、それを歌う猫を殺すためならば何でもする。ゆえに、先唱者はよく聞くがいい。ナミイラの暗い砂場と対峙するのであれば、素早く動き、警戒を怠らないことだ。一瞬の油断が破滅を招きかねない。

銀の爪の偽造結婚式招待状Silver-Claw’s Forged Wedding Invitation

your name

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

銀の爪の台帳Silver-Claw’s Ledger

ムーンシュガー商人たちは約束通り3回の出荷のうち1回目を果たした。罪に関わる手紙を1通返却した。約束通り、残りの荷物が届き次第他の2通も返却する。

ヘヴンから出たゴールデン・サンに乗っている「余分な」積荷に関するとても有益な情報への報酬として、フランリン・シルバーアックスに金75支払うべし。

ゴールデン・サンの船長に、積荷の一部に良心的な値段をつけてもらいたい旨の手紙。宗教的な彫像や珍しいハーブを競合他社より安く販売できれば有利になる。1日以内の返事を強く求める。

ここ2週間で2回、レディ・バリナがセンチ・アンド・サーペントで目撃されている。頭巾をかぶっていれば誰にも気づかれないと思っているらしい。ミムにより注意深く尾行してもらう。ひそかに誰かと会っているのか?実は飲んだくれなのか?どちらにせよ、この先の取引を考えると、夫に勧めてもらうためには使える情報だ。

慌てず騒がずNo Fuss, No Rush

あるいは「年寄りスカラーからのためになる助言」

貴族の連中の中には…あれだけの金を持っていながら、まだ欲しがる者がいる。金をちゃんと払うのも確かだけど。でも、賢く立ち回らなければならないよ。

品物を手に入れて「きれいにする」ためタムリエル中に派遣される時は、素早く済ませて、捕まらないようにすること。それが年寄りスカラーの助言だよ!賞金の支払いは利益から引かれるからね。

年寄りスカラーは次のようなやり方を取る:

1.正しい標的を見つけること。誰かが「儀式用の品」を欲しがっているとする。そういうのは大抵、大聖堂の近くにあったり、司祭たちが持っていたりする。当然だろう?つまり大都市ということで…普通は衛兵がたくさんいる。気をつけて標的を選ぶこと。聖堂が自前の衛兵を抱えているほどには大きくないことを、あるいは衛兵がいるなら、そいつらが全ての方向を一度には見ていないことを確かめること。

2.もし自分に賞金がかかってしまったら、あまり慌てないこと。契約を完了する前に、街の外で何かやることを探そう。年寄りスカラーはかつて、山賊の問題で街を手伝って余分な金を稼いだことがある。そこでは誰も賞金のことなんか気にしちゃいなかった。その仕事が終わる頃になると衛兵たちはもう関心を失っていて、年寄りスカラーは「きれいな」品物を思う存分納品したんだ。

賢くならなければ、死体になるよ。

行方不明:キルナMissing: Khiruna

名前
キルナ。「フレア」としても知られる。過去にはクルとリナの名も使っていた

人相書
平均的身長、鼻と尻尾の先に金色の毛の筋(白と黒の斑点つき)が混じっている

専門
情報収集、スリ、短期詐欺

最後の目撃
鉄の車輪の攻撃の夜に「サーペント・アンド・センチ」にて

彼女を見つけた者、噂を聞いた者はここにメモを残すか静かに歩む者に直接連絡を

行方不明:鮫のゴードンカと怠惰なマーシェズMissing: Gordonkha the Shark and Lazy Murshez

鮫のゴードンカと怠惰なマーシェズを探している。何かの強奪事件に関わっていたと聞いた。誰かが下水道と言っていた。

ゴードンカは濃灰色の肌で、額から背中にかけて細い幅の黒くつんつんした髪が垂れている。マーシェズは漆黒の肌で、左腕と脇に沿って一連の赤い傷がある。右目は垂れ下がり、ほぼ閉じて見える。

情報があれば掲示するか、静かに歩む者に直接知らせて欲しい。

四季の書からの抜粋An Excerpt from the Book of Seasons

季節は四つあるけれど、
私は一番春が好き。
日なたに輝く青い水、
登りたくなる緑の木々。何という喜び!

空気はとても心地よく、私は心を空にする。
石を枕に眠っても、熱すぎるということはない。
そして目が覚め見渡せば、どこまでも続く緑の野、
まだ色あせた牧草も、積まれた落ち葉も見られない。

だから四つの季節の中で、私は一番春が好き。
夏秋冬もあるけれど、どれも春にはかなわない。

静かに歩む者からのメッセージUrgent Message from Walks-Softly

your name

私たちが別の件に対処している間に、私の過去からの特別な積み荷が発見され海賊と共に姿をくらましてしまった。彼女を助けなければ!

アバーズ・ランディングの連絡員は、積み荷が鮫の歯洞窟に連れ去られたと私に告げた。急いでそこに向かう。その気があるなら、助けを断りはしない

—静かに歩む者

赤の呪い 第1巻The Red Curse, Volume 1

デットソー・パンテンヌ 著

子供の頃、私は病気がちで気難しく、ベッドに縛りつけられた虚弱体質の未熟者だった。より偉大な世界が私に訪れたのは、主に私の家族の高価な屋敷の、比較的安全性の高い部屋の窓を通じてだった。大型の窓を通って私の部屋に入り込んでくる生き生きとした光の瞬きと色は、私がベッドの台の中で注意深く学んでいた外の世界への不安と恐怖を高めるだけだった。私の衰弱した骨格にとって、物理的な世界は恐怖と緊張の場所となったため、私は書かれた言葉の慰めの中に逃げ込み、ニルンの深い謎を探ったのである。

私はこのように多くの人生を生き、多くのことを学んだが、ある伝説、すなわちリーチの民たちの王レッドイーグルの伝説が、もっとも強く心に留まった。私は誇り高きブレトンの家に生まれた子なのだが、自分とリーチの王ファオランとのつながりを思い描いた。この嘘が私の心の中に埋め込まれていたため、私は自らの研究を暗黒の技に変更し、レッドイーグルの誓いを果たして彼を蘇らせる方法を探そうと望んだのである。私の策謀によって、彼はリーチを征服するだろう。炎の剣を片手に、そして王が信頼し、愛する高官、すなわち私をもう一方の手に抱えて。

成長するに従って私の病気は過ぎ去り、虚弱なままではあったがもはやベッドの虜になってはいなかった。そして私の家族は気前よく、私が慎重に自分の研究を拡充していくための資金を提供してくれた。私の奇矯な振る舞いは地位の高さと、青春時代をほぼまったく孤独に過ごしたという事実から受け入れられた。

避けがたいこととして、私の研究はデイドラに行きついた。夜遅く暗闇の中、家族の屋敷の奥深くで、私は馴染みのない言葉で古代の儀式を執り行い、忌まわしき悪魔を召喚して閉じ込め、質問責めにしたものである。多くの場合、悪魔たちは私の懇願を無視し、魔法の束縛から解放すれば強大な力や富を与えると約束したものだった。私は肉体が弱々しくとも、精神は屈強だった。私は連中の甘い言葉に抗し、最終的には悪魔も、自由になる唯一の手段は黙って従うことだと認めたのである。

これは何度も繰り返され、私は断続的に自分が望む情報を手に入れたが、それでは十分ではなかった。少しずつ、悪魔たちの毒を含んだ約束が効果をあげ、私はこのオブリビオンに呪われた魂たちを出し抜くことができるのではないかと自分に言い聞かせたのだった。連中の贈り物を受け入れ、なおかつその条件を支配できると私に信じさせたのは、私自身の傲慢であった。

私はあの時いかに未熟だったことか。そして今では知っている真実に、いかに強く取りつかれていたことだろうか。外の世界への恐怖は10倍にもなって戻ってきた。私は再び、祖先の邸宅の孤独の中に慰めを見出している。私は熱に浮かされたように逃げ道を探しているのだが、心の底ではどうにもならないことを知っている。ニルンの根元には闇が住んでいて、一度見たら最後、もう逃れることはできないのだ。

赤の呪い 第2巻The Red Curse, Volume 2

デットソー・パンテンヌ 著

私は身震いして外套を自分の周りに巻き付け、年老いた歯のないリーチの民の先の尖ったふしだらけの指を追った。彼は私が居心地悪そうにしているのを見てくつくつと笑いながら、しわがれた声で言葉を発していた。私の目は丘へ向かう道を追い、それからようやく遠く離れた洞窟の入口に落ち着いたが、それは針のような雪を通してかすかに見えるだけだった。私はこれからの道のりへの決心を固めた。私が蓄えてきたものは物理的にも精神的にも尽きかけていたが、自分の野望がかつてないほど達成に近づいていることを私は知っていた。そして時間の遅さも刺すような寒さも忘れて、私はこの日の夜、レッドイーグルの墓にたどり着こうと決意した。

デイドラの契約者によって私に与えられた力は素晴らしいものだったが、内臓の強度までは高めてくれなかった。そして洞窟の口のところまでたどり着くと私は疲れ果てて倒れ込んでしまった。内部まで這っていく気力もなくそこに横たわっていると、空中を漂う囁き声と、遠くからの角笛の音が聞こえ始めた。運命へと向かって進むよう私に呼びかけていたのだ。この亡霊のような音楽を耳に、私は洞窟の口の中へ這っていき、体の周りにあったすべてのもので身を包んでから、黒く、夢も見ない眠りに落ちていった。

私が目を覚ましたのは鳥の声と光によってだった――若い頃と同様、私の感覚にとっては不快なものである。私は急いで洞窟の暗闇の中へ逃げ込んだ。目的のものはこの深淵の下にあることが私にはわかっていた。暖かい息吹が洞窟の内部から伝わり、私を内部へと引き寄せた。何かを叩くような角笛の音は、下の深いところから響いてきているようだった。こうした導きに従いつつ、私は胸のあたりがぎゅっと引き締まるのを感じ、悪意に満ちた我が祖先にもうすぐ会えることを願った。

侵入者や墓荒らしを思いとどまらせるために設置された罠は、私の知性にとっては子供だましにすぎなかった。私は警戒を怠ることなく、地下墓地のさらに奥深くまで進んでいった。洞窟の壁を押すと、波型の模様がついた粗い岩はゆっくりと退き、切り取られた石と彫刻された壁画が姿を現した。囁き声と不思議な角笛の音は大きくなり、頭の中をより強く圧迫していった。私の感覚は静まったが、精神は警戒していた。何年もの研究の後、高みへ到達する時が近づいてきていることを私は知っていた。

私は最後の角を曲がり、そこがレッドイーグルの墓の中だった。簡素で飾りのない棺が、部屋の中央にある高座の上に乗っていた。側の台座に横たわっていたのは彼の壮麗な剣、レッドイーグルの破滅だった。私は一息にそこへ駆け寄り、剣を見つめた。私の呼吸は重く、早くなっていた。声と音楽は止み、すべてを包み込む、重く不規則で期待に満ちた呼吸に代わっていた。

私の手が柄の上に伸び、指でそれをつかんで握りしめた。恐怖と混ざった興奮。私は注意深く手を伸ばし、刃の部分をつかみ、目の前にまで持ち上げ、視線で突き刺すようにじっと見つめた。

私の心はその次に何が起きたのか、思い出すことを拒否しかけている。あのような恐怖の記憶は鍵をかけてしまっておかなければならない。それを閉じ込めている脳が狂気に追いやられることのないように。

赤の呪い 第3巻The Red Curse, Volume 3

デットソー・パンテンヌ 著

ビロードのようなレッドイーグルの声が、私を棺へと引っ張っていった。彼は剣を棺の中に、彼の死体の隣に置くように私を駆り立てた。我がデイドラの契約者と同じように、彼もまた想像を超えた力について囁き、私がいつも思い描いていたような、2人で支配を行うイメージで私の頭を満たした。私が慎重に剣を床に置き、レッドイーグルの墓の蓋を取り除こうとしてうめいている間、部屋は内側に向かってひしゃげ続け、私は衝撃から保護されて浮かび上がるのを感じた。

私は骸骨となった遺体を見下ろした。墓のじめじめした臭いが鼻の中にまで立ち上ってきて、私の頭をぼんやりとさせた。これこそ私が長年夢見ていた瞬間だった。私に優しく催促するレッドイーグルの声は、私が彼の墓の中に剣を置いた瞬間、いきなり完全に消滅した。

私の頭はすぐ、目がくらむほどの痛みに襲われ、私は地面に倒れ込んだ。視界が脈打つ赤い光で満たされていた。どこか遠いところで、レッドイーグルの骸骨が体をギシギシ言わせながら墓から這い出してこようとしているのが聞こえた。燃え上がる街の姿が映し出され、私自身の肉体が炎に飲み込まれ、骨から溶けていくのを見た。レッドイーグルの高笑いが今では部屋の中で響き、彼は背後に回りこんでいた。「愚かな子供よ」と、彼は人間のものではないその声を刻んだ。「貴様ごときが、余の血族になれると思うか…」

焦りから私はレッドイーグルに突進し、その手から剣を叩き落とすことに成功した。剣を拾い上げると私は部屋から飛び出し、彼の恐ろしい笑い声は怒りの咆哮に変わった。人間というよりは動物のようになって、逃げるのに必死だったため、私はどこかで剣を失くしてしまったが、背後で石の扉がすり合わさって閉じる音を聞いたので、何かの仕組みが発動するくらいには遠くまで持っていったのだろう。こうしてレッドイーグルの追跡は途絶えた。

そしてこれ故に私は恐怖の中で生き、書斎に閉じこもって、自分が世界に解き放ったあの化け物を滅ぼす方法を見つけだそうとしているのである。閉じ込められているとはいえ、誰か他に私のような愚か者がいつ奴を解放してしまうかもしれない。そしてもしそうなったとすれば、哀れむべきはこの世界である。私たちすべてのために、私は恐怖している。

倉庫の所有者変更Warehouse Under New Ownership

銀の爪の不在のために倉庫関連の仕事に困難が生じているのは理解している

驚かないでほしい。今、倉庫は新しい所有者、安定した所有者の管理下に入った。いつもしてきたように仕事に専念してくれ。君が稼ぐ金は以前と同じように使われるだろう

—監督官イズリーナ
—監督官トークミン

捜査官ヴェイル:死の通行料Investigator Vale: A Deadly Toll

「見たところ、殺人で間違いなさそうね」古い木の橋に近づきながら捜査官ヴェイルは言った。「経験上、自分の首はそうそう切り落とせるものじゃないから」

街を少し出たところにある、目立たない川にかかる橋だった。橋にも川にも特に変わったことや特筆すべき点はなかったが、市長とその側近たちは捜査官をそこへ連れてきたのだった。変わったことといえば、橋の右側にかかる手すりの上に丁寧に乗せられた生首ぐらいのものだった。

「ほとんど見ていないじゃないか」。市長に信頼される側近であり、街一番の商人でもあるジャカード・ヘリックが口を開いた。「何を言っている。なぜそんなことが断言できるんだ?」

「それだけ腕がいいの。だから市長は私を雇ったんじゃない」現場の観察を続けながらヴェイルは言った。血が少なすぎる、体が見当たらないなどといった所見を市長と側近たちに指摘し、橋の上で起こった殺人ではないと説明した。

「このかわいそうなハイエルフに見覚えは?」頭部を近くで見ようとかがみながらヴェイルが聞いた。明らかに年をとった男性のエルフであり、髪の毛は完璧に整えられ穏やかな表情をしていた。首にあいた穴から皮や骨が垂れ下がっていなければどう見ても平穏な状態なのに、とヴェイルは思った。

「あれは金貸しのグラノニール。あのうぬぼれた表情はどこで見てもすぐに分かる」橋まで同行していた、若く可愛らしい衛兵が口走った。

余計な口を挟んだ彼女に市長が厳しい表情を向けたが、それ以上は咎めなかった。そしてヴェイルの方を向き直って「それで捜査官さん、ここで何が起こったのか教えてくれないか?」と言った。

最後に辺りをさっと見渡し、ヴェイルはにこやかに答えた。「ええ、間違いないわ。ムーアクロフト市長、あなたの顔にそびえ立つ鼻ぐらい明確よ。というより、彼の鼻かしらね」と言って商人のヘリックに顔を向けた。

ヘリックは咳払いをして、口ごもった。「な、なにが言いたいんだ、捜査官ヴェイル?」

ヴェイルはヘリックににっこりと笑いかけた。「何も言ってないわよ。まだ、ね」そう言うと被害者の髪から何かを抜き出し、さらに首の下の手すりにできていた血だまりから何かを取り出した。その2つを見て、交互に臭いをかぎ、自信たっぷりに市長の方を向いた。

1つ目の物体を見せ、こう言った。「これはどう見てもスッポンタケね。この金貸しの頭髪に何本か茎が刺さっていたから、トロールはこれに引き寄せられたんでしょうね」

続けて2つ目の物体を見せてこう言った。「これは紅茶の葉ね。金貸しから滴っていた血液に混ざっていたわ。紅茶。あなたの主要な売り物の1つよね、ヘリック?」

商人は額に汗をにじませ、大きな音で唾を飲み、橋から後ずさり始めた。可愛らしい衛兵が手際よくその道を阻み、剣の柄に手をかけた。

「捜査官ヴェイル、はっきりと説明したまえ」明らかにうろたえながら、市長が言った。

「ああ、そうね」とヴェイルはため息をついた。「誰もが私のようにはっきりと世界を見る目を持っていないんだったわ。ジャカード・ヘリックはこの金貸しに多額の借金があった。今季の紅茶の不作もあって、返せる見込みがなかった。この橋の下に隠れていたトロールに気付き、それを使って問題を処理しようと考えたのよ。橋で会おうとグラノニールを説得して、そこで突然袋一杯のスッポンタケを頭の上からかぶせ、川に突き落とした。トロールが現れ、金貸しの頭を引きちぎり、残りの胴体を橋の下へと持ち帰ったわけ。かわいそうなグラノニールの残骸と、満腹で眠っているトロールが私たちの真下で見つかるはずよ」

「そんな…そんなのデタラメだ!」商人が叫んだ。

「いいえ、反論の余地はないわ」とヴェイルは自信満々に返した。「ヘリック、あなたの袖にまだ紅茶の葉がついているわ。倉庫で作業しているときに付いたんでしょうね」

「ムーアクロフト市長、この悪人をダンジョンに放り込みましょうか?」捜査官の方へ笑みを向けながら、若く可愛らしい衛兵が聞いた。

「当たり前じゃないの」と言ってヴェイルは市長の腕に手を回した。「そうしたらもっと衛兵を呼んでこないと、いつまでも橋の下のトロールを追い払えないわよ。さ、行きましょ、ムーアクロフト市長。私の報酬の話をしないと…」

逮捕状Arrest Writ

この令状を持つ者はドーレス家の生きた所有物を取り戻すために、ドーレス家のホーテーターにより権限を与えられた代理人である。また代理人は、かかる回収に邪魔が入らぬよう任務遂行に協力していただける衛兵指揮官に対して、適切な謝礼を分配する権利も有する。

場所と名称の特定された所有物を以下に記入:

1.タシュミン

2._________________________

3.________________________

貯水池の淑女:アンダーリの見解Lady in the Cistern: Andarri’s Theory

私たちの盗賊の隠れ家に、どこかの淑女の像がある。私たちがここに来たときから彼女はそこにいて、彼女が誰でなぜそこに像があるのか知っている人は誰もいないみたい。これが誰なのか私に教えてくれる人はいないの?

私は彼女が幸運の老女じゃないかと思ってる。彼女の像は一度ブラヴィルで見た。はっきりとは言えないけど、同じ人だと感じる。それに幸福な女性がここにいる理由も納得。ヒューズベインで唯一の、澄んだ水の安定した供給源であることを祝福しているんだわ。

皆はどう思う?貯水池の淑女は誰なの?

—アンダーリ

貯水池の淑女:スラグの見解Lady in the Cistern: Thrag’s Theory

貯水池の淑女は明らかにノクターナルだ。像をよく見てくれ。顔はどことなくぼんやりして、すべてを隠す長衣に包まれ、かつて別の貯水池の背後にレンガで仕切られていた貯水池に隠れていた。誰が水を隠す?ノクターナルの信者。そいつらだよ。

俺は一度だってノクターナル教団にいたことはないがね。

—スラグ

貯水池の淑女:クエンの見解Lady in the Cistern: Quen’s Theory

私たちは大学で古きヨクダの書籍の翻訳を読んだ。私は貯水池の淑女は、海の女王ハザディーヤだと思う。彼女は有名で、彼女の民の子孫に尊敬されている。ヒュー王子だって彼女の「古きヨクダの失われた島」を読んだかもしれない。それに彼女をくるんだ生き物もシーサーペントよ。これはヒューズベインが古きヨクダ自身の植民地であるかのように、ヒューズベイン唯一の自由港の水供給を海の女王が監視しているって意味ね。尊大な象徴的表現。まるでヒュー王子みたい。

—クエン

貯水池の淑女:静かに歩む者の見解Lady in the Cistern: Walks-Softly’s Theory

アバーズ・ランディングの小路に住む者はしばしば食料がないが、水不足に苦しむ者の話は滅多に耳にしない。なぜ最も貧しい者が、そのような潤沢な水に恵まれているのか自身に訊ねたことがあるだろうか?

像は涙の聖母ゼッキに違いない。彼女の父のゼェトはこの土地を見捨て、ほとんどの食物がここで育たないようにしたが、水の女神はアバーズ・ランディングを故郷と呼ぶ失われた魂に同情している。像は不満げな父の目から隠れ、我々が耐え忍べるように彼女が払ってくれた犠牲に感謝しているのだ。

—静かに歩む者

貯水池の淑女:ヴェルサの見解Lady in the Cistern: Velsa’s Theory

像は夜母よ。彼女の右手が開いているのは彼女が知っているから。彼女に蛇が巻きついている。蛇はシシスを意味している

あなたたちが皆バカなのは、夜の空のようにはっきりとしているわ

ヴェルサ

貯水池の淑女:銀の爪の見解Lady in the Cistern: Silver-Claw’s Theory

貯水池の淑女が誰だったのかは知らない。だが実を言えばその像が誰だろうともはや重要ではない

知ってのとおり、その像は今はゼイラを意味していると信じている。彼女の導きがなかったら、今や自分がその一部と誇りを持って言う、この奇妙な小さな家族はもう存在していなかっただろう。だから私にとって、貯水池の淑女はギルドマスターだ

—銀の爪

貯水池の淑女:ゼイラの見解Lady in the Cistern: Zeira’s Theory

銀の爪、お世辞が上手ね。だけど盗賊ギルドはひとりじゃない。your nameがそのよい証拠よ。

そして、他の皆も間違っている。それは束の間の見せかけの姿のレキ。フバラジャードの時代に、彫刻家が好んで表現したように佇んでいるの。像の左手はまるで剣を持つかのように丸まっている。たぶんずっと前にはそうだったんでしょう。もし盗まれていなかったのなら、ずっと昔に錆びて朽ちたに違いない。

アバーズ・ランディング港のすぐ南にある、大量のフバラジャードの像との類似にも気づいてほしい。彼は自分自身を理想化して、クサリヘビに巻きつかれた彫刻を実物の2倍の大きさで注文した。巨大で酷い代物で(どういうわけか)シャツを身につけず、まるで何も彼を傷つけられないかのようだった。

それでもレキをこの貯水池に隠した彫刻家は彼に反論した。長衣は意図を隠し、彼女はほとんど気づかれずに攻撃できた。霊剣の聖人はヒュー王子よりもよっぽど多くを成し遂げたけど、それでもそれを証明するのに船のマストより高くある必要はない。もっと言えば、彼女は街全体に自分を誇示する必要はない。彼女は影からやらなければならないことをすることに満足している。

それにクサリヘビの飾り帯は素敵よ。ヒュー王子を悩ませたでしょうね。

—ゼイラ

追放のマントラMantra of Expulsion

祝福された月よ、その舞いで私たちの心に名をつけてください。

誇り高きジョーデ、我らの足を祈りへと急がせてください。

誇り高きジョーン、その栄光のために、我らの爪を強くしてください。

幽霊の月よ、去れ!明るい月光のもと消えされ!

月のラティスがすべての命を甘くする。月を崇めるのは正しい。心をこめて月を崇めよ。

偵察報告書:隠れ家Scouting Report: The Hideaway

ファレン・ダー

プロとしての仕事は毎日目にできるものではない。隠れ家を巡回している「悪漢」はそうした例外だ。

ここの宝物を追っているのなら、何より重要なのは気づかれないことだ。絶対に。侵入者の気配がしただけでも、占有者は品をさっと運び出すだろう。

すなわち、秘密の通路を活用することだ。そこの警護は緩めで、状況がヤバくなったら「時期をうかがう」には良い場所だから。

—O

偵察報告書:虚空の広間Scouting Report: Deadhollow Halls

ファレン・ダー

古いデイドラの祠をうろつきまわるほどの金はもらっていないから、これは手短に書く。

使っている連中もその場所は好きではないとわかった。だからそこにある宝はすぐに移動される。入って、品を手に入れたら出て行け。無駄にする時間はない。

巡回部隊は互いによく連絡している。一人に見つかったら全員が警戒態勢になる。猶予時間が短くなる。

それでも中には多くの品がある。そこまでたどりつけなくても、二流の略奪品をポケットに詰めこむことはできるし、費用を賄う助けにはなるだろう。

—B

偵察報告書:地下墓地Scouting Report: Underground Sepulcher

ファレン・ダー

人のよさそうな途方に暮れた奴がこの場所を探している。おかしな顔のやつがここについて尋ねる

そもそも地下墓地ってのは何なんだ?持ってる奴はその宗教が好きだ。遺物とかそんなのがたくさんある。価値のある物も。だがあんたは品を追っている。

彼らはあちこちに隠している。たいていは大きな部屋に。隠し場所を使ってるんだ。幸いたくさんある。そこに貯めこんだのが誰であれ、余分な樽をそこらに置いていくのが好きだったんだ!

見つかったら、場所全体が警戒態勢に入る。俺は少しもらって出て行くが、大きな宝は……こっそりやらないとダメだぞ!

—W

鉄の車輪の囚人移送:ゼイラIron Wheel Prisoner Transfer: Zeira

移送する囚人
アバーズ・ランディングのゼイラ
別名:ダニゼイラ
別名:盗賊ギルドのギルドマスター

移送手段
アネモネ号はノー・シラ要塞よりタネスへ直行し、裁判までそこに留め置く

拘置義務
囚人はタネス衛兵隊長またはタネス港の鉄の車輪執行官の監督下に置かれる

罪状要約
—窃盗罪
—重窃盗罪
—不法侵入罪
—共謀罪
—司法からの逃亡罪

注記
直近ではマグニフィカ・ファロラーの結婚式で招待客になりすました。詳細は私がタネスに戻り次第周知する

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

鉄の車輪の掟15Iron Wheel Precept 15

無法者に慈悲をかけるな
彼らの運命は定まっている
これは崇高な義務——
鉄の輪は彼らの周りにある

鉄の車輪の掟21Iron Wheel Precept 21

悔い改めぬ無法者をどうするか?
拘束が効かぬ者には焼き印を使え
焼痕を見た者は拒めまい——
真実をキャンバスで燃やす

鉄の車輪の掟38Iron Wheel Precept 38

無法者が真実を拒むことはできても
運命は拒めない
大いなる真実を明らかにしよう——
車輪は絶えず進み続ける

謎の後援者へTo My Unknown Benefactor

サーまたはマダムへ

なぜこのような小さな貴重品が私の家の戸口に現れるようになったのかはわかりませんが、あなたは私の生活水準をかなり改善してくださったと言わずにはおれません。しかしながらお返しにあなたが求めるものは、私の力で差し上げられるものを超えています。

例えば、今日から1週間後の夜明けに北へ向かう道を通ってキャラバンが出発することについて話せば、自分の地位が危うくなりそうです。そして私の街の商人が金庫の中味を銀行に持っていくのは毎週3番目の日だと知らせるのは、私が明かしてはならない極秘事項なのです。

私たちは互いに理解していると信じています。

—E

普通の髪型への呼びかけA Call for Common Hair

「匿名」 

麗しき我らの街の貴族たちは装飾品と過度に様式化された髪型に夢中になっている。精巧な髪型の虜になったあの無分別なフバラジャード王子の真似をする以外に、やることはないのだろうか?

高貴な髪の殿下はこれまで、無数の精巧な(そして一般の人間にとっては明らかに馬鹿げた)髪型で公衆の面前に姿を現してきた。かつらでも、拷問にかけられたかのような滑稽な地毛でも。路地には飢えた人々や、街の一部区域の沈没によって家を失くした人々がいるというのに、奇妙な髪型王子は自分の美容師がひとつ「芸術」作品を完成させるたびに、100ゴールドもの金貨を支払っている。

最近における彼の毛に関する愚行の例を以下に挙げる:

白金の塔を表わしたもの。明かりをつけた窓を再現するために、ダイアモンドで飾られている。最近開かれた舞踏会で、王子はレディ・ミシェファバの舞踏会場の入り口を通るためにしゃがまなければならなかったと言われている。

センチネルからの何かの専門家を迎えるために港へ外出した時、我らが王子はその髪で帆を全開にしたヨクダの戦艦を再現した。開いた口がふさがらないほどの馬鹿らしさは、彼の頭上を飛び回っていたアジサシの糞が主要な帆をかすめて落ちたことでさらに増した。

最近外出した際、ヒュー王子の髪は今まさに突進せんとするハジ・モタの形を芸術的に模していたことが目撃されている。噂によればこの「髪の獣」の鱗は、そのひとつひとつが均一なサイズのルビーだったという。さらに獣の瞳はエメラルドだった。ある若い乙女はこの毛髪殿下の頭に乗った怪物に恐怖し、失神してしまった。彼女の両親はとっさに毛のモタではなく暑さが原因だと主張し、ヒュー王子の機嫌を損ねることのないようにした。しかしこの若い女は後に、エメラルドの目に見つめられて、ひどく狼狽したのだと言っているところを聞きとがめられている。

アバーズ・ランディングの人々よ、私は懇願する!王子の髪型に抗して立ち上がるのだ!

(メモ:これはアバーズ・ランディングにもともと住んでいた者によって作成された実際のチラシを再印刷したものである。どうやら「ヒュー王子」というのは単に我々がこの不幸な王子に対して用いているあだ名ではないらしい——彼は同時代の人々に実際にこう呼ばれていたのだ)

旅行日程Travel Itinerary

近々実施されるレディ・アナイス・ヴェルモントのヴェルモント保有地視察についての詳細:

1日目:ヴェルモントの富を積み、ゴールドコーストへ向けて出航。

3日目:風と波が許せば、アンヴィルに到着。地方総督フォルナータが、寛大にもアンヴィル城の部屋を私と従者のために提供してくれている。

4日目:アンヴィル城にて上流の舞踏会に出席。私ならきっと、名誉ある客人になれるわ!

5日目:アンヴィルの街の保有地を調査し、家族の事業を処理する。

6日目:タネスへ向けて出航。旅のために海賊のエールを積んでおくのを忘れないこと。

10日目:風と波が許せば、タネスの港町に到着。タネス女王が寛大にも小さなお屋敷を、この訪問中私が使えるように提供してくれている。

11~12日:商人王たちと会い、事業の調整について話し合う。拡大する需要のために、新しい倉庫を買う交渉をする。

13日目:タネス女王の主催する大舞踏会に出席。ザクロのワインを飲みすぎないよう気をつけること。

14日目:アバーズ・ランディングへ向けて出航。戻るその時まで、さようなら!

ラ・ガーダ スタイル

クラフトモチーフ28
Ra Gada Style

タネスのレディ・シンナバー

ラ・ガーダ、もしくは「戦士の波」と呼ばれるヨクダからの植民者は、実際のところ第一紀の9世紀に、4次に分かれて襲来している。このカタログは第二次の波(「ターヴァの波」)に焦点を当てる。ターヴァの波と呼ばれる理由は、指導者のハッツ・メトロポルスが大気の女神ターヴァを崇めていたためだ。そのため、ターヴァの波の武器や防具には鳥のイメージが溢れている。この第二次の波は主にハンマーフェルの南に植民し、3000年弱が経過した今でも、沿岸の砂丘に彼らが残した建造物が残っている。そして、この古代の植民者が現代のレッドガード社会に残している影響は、誰の目にも明らかだ。

ブーツ

厚い革でつぎはぎされたラ・ガーダのブーツは、通常ラクダ皮と厚い靴底で砂や石の熱さから足を守っていた。伝統的な上向きの爪先には金属のキャップが隠され、兵士の脆弱な足元を守っていた。

ベルト

ベルトはより広いガードルの中央にある紐で、ラ・ガーダの腹と背中をさらに守っていた。大きく丸いバックルには、空気の流れを示すシンボルが刻まれていた。

ターヴァの波のレッドガードは、頭に頑丈なスティールキャップを付けたターバンを巻いていることが多かった。通常はほとんど普遍的な空気の流れのシンボルが付いていた。ほとんどの者は、顔を口と頬のガードで隠していた。敵を威嚇すると同時に、塵と砂を避けていた。

脚当て

下腿前面を覆う硬く頑丈な防具が、第二次ラ・ガーダの標準装備だった。前腕の強化された籠手と、形状や機能は合わせられている。厚い皮の層がふくらはぎの後ろを覆っている。

大胆に鳥をあしらったラ・ガーダの弓には、真鍮でできたクロトキの頭が2つついていて、近接戦闘時に刃を弾ける。コンパウンドボウの全面が、金属的な色を塗られた角付きの顔になっている。

胸当て

ラ・ガーダは剣士であり、その鎧は装着者が近接戦闘の攻撃に耐えられるよう、頑丈にできている。渦巻く空気の流れのシンボルで覆われていて、ほとんどのものにはターヴァの鳥の翼の旗が刻まれている。

ターヴァの波が持っていたヨクダの剣は、伝統的に背を厚く強くできるように片刃になっていた。これにより、ラ・ガーダの曲刀は片手剣も両手剣も一撃で葬れる重さを持っていた。一撃による決着は、剣術の極みとして常にレッドガードから称讃された。

肩防具

ラ・ガーダの「塔ポールドロン」はとても目立つが、3層のカップは見た目ほど固くない。防具の下は折れ曲がるようになっていて、戦士の腕の動きに合わせて自在に曲がる。

手袋

ラ・ガーダの戦士は、武器のクロスガードではなく重装の前腕鎧で攻撃を受けるように訓練されていた。両手持ち武器を扱う者は特にその傾向が強かった。従って、手袋は基本的に籠手で強化され、武器を精密に動かす指だけが自由になっていた。

ラ・ガーダの盾は広く重い盾で、必要があれば装着者だけでなく周囲の味方を守れるよう、最大の範囲をカバーした。通常の空気の流れのシンボルの装飾に加えて、盾の下には鷹の広い尾が刻まれていた。

ラ・ガーダの魔法使いは、杖の先端をトゥワッカの聖なるトキの姿にすることが多かった、今でも変わらないが、狡猾の神は魔術師の守護神だったからだ。現代では魔法に対する猜疑がレッドガード文化の特徴として扱われているが、常に明確だった訳ではない。

戦棍

ラ・ガーダの戦棍は重装備の敵と戦うために作られていて、ターゲットを叩き潰すためにヘッドは重く、スパイクが付けられていた。こうした棍棒の重さにより、「究極の一撃」スタイルが編み出された。ターヴァの斧の使い手が「一撃必殺」を目指したように。

短剣

ターヴァのラ・ガーダの短剣は、第二次の波の剣と同様、三日月刀状の曲刀になっている。ターヴァの波は短剣を防御に使わず、盾を使うことを好んだ。そのため、短剣にはクロスガードが欠けている。しかし、投擲できるような重さは備えている。

ターヴァの波の中で斧を装備していた者は、「一撃必殺」と教えられていた。目標を最初の攻撃で両断することを目指していたようだ。このため、ラ・ガーダの斧には大きく重い刃が一つ備わっている。

アリクル砂漠の伝承

Alik’r Desert Lore

アリクルの冒涜と狂乱Sacrilege and Mayhem in the Alik’r

ヘガテの王家への報告書

外部者管理局 タジーム博士

おお、モルワに愛されゼェトの涙に祝福されし方々よ

卑しき召使は、己が無価値な存在であることをお詫び申し上げます。取るに足りない考えで両陛下の高尚なる瞑想の時をお邪魔することをどうかお許しください。先週のふとしたお申し出は私にとっては厳しいご命令でしたがそれにお応えし、報告書をご用意いたしました。アリクル北部では最近発生している、不浄の不死とその異例な隠蔽手段についてです。

復活した我々の先祖たちと不浄な交流があるとして避けられている、北の荒れ地の追放されし部族であるアシャバーについては以前お伝えしました。彼らの起源は古いのですが異常な行為が現代まで続いているという事実は、フォアベアーの一部の恥知らずどもの内密の支援によるものと考えられます。何より許されざる、伝統に背く行為を彼らは黙認しているのです。

この仮定は最近の出来事により裏付けられるでしょう。それについてはこれより謹んでお伝えします。センチネルでは、簒奪者ファハラジャードが彼の元に助言者を集めています。幾人かは評判に曇りなき者ですが、ほかの者は名の知れたフォアベアーの活動家たちです。彼らは故ラジム王(どうかトゥワッカが王の魂を碧落の岸へ導きますように)による神に祝福された統治に公然と反対していたのです。その怪しげな高官の1人、ストゥラという者は好ましくない助言者である上、実は死霊術師であるようなのです。我が局の密偵たちによりますと、このストゥラはファハラジャード「王」の高官たちを皆殺しにし、ファハラジャードを殺させようと蘇らせたとのことです。この企ては失敗しファハラジャードは死を免れましたが、ストゥラも逃げおおせたのです。

ストゥラは東へ逃げ、黒き虫の教団の団員らと合流しました(両陛下は恵雨の月2日の私の報告書を思い出されるでしょう)。大部分はラー・ネトゥー
であるアンデッドたちが、砂漠の奥地の忘れ去られた墓地で大量に蘇らされたのです。ストゥラはこの不浄の手下たちを率いてセンチネルに向かいました。

我々の情報提供者たちによると、ファハラジャードは堕落したのです。恐ろしいことに追放されし者アシャバーに対し、ストゥラに対する介入を頼んだといいます。アシャバーの首長であるマリマーは同意しました。しかしファハラジャードがどんな下劣な条件を突きつけられたのかは突き止められておりません。アシャバーは禁じられた神秘の技で奇襲をし、ストゥラのラー・ネトゥーの軍勢を倒したのです。ストゥラ自身は追放者マリマーの刃に倒れたと言われています。

もちろんファハラジャードはアシャバーへの要請については口をつぐんでいます。そして公にはセンチネルを代表し聖なる神々の介入に感謝しています。フォアベアーの強奪者が追放されし者たちと不穏な会合を持ったという噂を流布すべきか、その判断は両陛下にお願いしたいと思います。

サラス・エン探検隊The Salas En Expedition

レディ・クラリス・ローレント 著

ハンマーフェル沿岸、シラ岬にあるサラス・エンというエルフの遺跡が今まできちんと探索や研究をされていないのは奇妙なことです。十中八九それは迷信深い地元の人々が、他文化の墓地であっても過度の敬意を抱いているからでしょう。アリクルのレッドガードを臆病だと責めるわけではありません。でも私の部下たちをハイロックから湾にまで連れてこなければならないのはあんまりです。

いずれにしても、もう始めているからには仕事はきちんとします。サラス・エンについてわかっていることはわずかですが、過去三つの時代に渡った文化の遺物が残っているというのは魅力的です。最も上にある遺物はつまり最も新しいもの、第一紀にラ・ガーダ後期の王家がサラス・エンを占領した時に遡るレッドガードの遺物です。失われたヨクダのヤスの島から来た開拓者、そのレッドガードたちはそれまでそこに暮らしていたエルフたちを立ち退かせたようです。そしてそのヤスの子孫たちは23世紀半ばまでサラス・エンに暮らしました。これはスラシアの疫病の惨禍の時期と重なります。

ヤスのレッドガードたちが追い出したエルフたちは伝承によれば、それより少し前にやってきていたアルトマーの開拓者でした。彼らはデイドラの崇拝者だったと言われるコレラニア・クランです。(だからサマーセットから寂しいハンマーフェル沿岸に移住したと考えられます)彼らは第一紀6世紀のある時期にやって来たと考えられます。そして元々アイレイドが建てた建築物を拡大しながら居住していたのでしょう。ボズマーの遺物が伝統的なアルトマー最盛期のものに混ざっています。これはコレラニアがその歴史的な最盛期にウッドエルフの沿岸貿易に加わっていたか、あるいはコレラニアが来る前のサラス・エンがボズマーの商人たちに中継地として使われていたことを示しています。

ハイエルフによる増築部分の下は、それ以後に建てられたどの建築物よりも状態がいいのです。これはアイレイドの石造建築で、千年の時を経てなお誇らしげに天にそびえています。サラス・エンを築いたアイレイドエルフは、歴史上はほとんど知られていません。私がこの遠征隊を組織した主な目的は彼らについて明らかにすることです。厳選した経験豊かな発掘者たちの助力もあります。サラス・エンの石は秘密を明かしてくれるはずです。

センチネル、アリクルの宝石Sentinel, the Jewel of Alik’r

サタカラームの歌姫、ベールをとったアザディエ 著

王子よ。ラ・ガーダの時代、フォアベアーは破滅したヨクダからハンマーフェルにやって来たのです。最初に上陸したヘガテで、彼らは獣人たちを苦しみから解放しました。そして大きな港と豊かな水のあるオアシスを求め、陸地に沿って両方向へと散開していったのです。

北と西へ向かったのはヤグーブ大公の戦士であり船乗りたち。アコス・カサズから立派な船に乗っていたのですが、それもシラ岬を曲がるときまでの話です。そこでラ・ガーダの中で初めてイリアック湾を目にしたヤグーブは、あまりの素晴らしさを褒め称えます。そしてその岸に住まいを作ろうと誓ったのです。

栽培の月17日の夜明け、騎馬座の方角に後悔していた折、見張りが停泊所にぴったりの場所を見つけたと叫びます。気付いたヤグーブも彼に賛同し言いました。「この停泊所は我々のものとなるだろう、これから手に入れるのだ。最初に見つけた者にちなみ、ここはセンチネルと名付けよう」

そのセンチネル(以後もこのように呼ばれた)の港にはすでに街があり、下層のエルフや彼らと付き合いのある人間たちが出入りしていました。岸辺はザクロやイチジク、オリーブの葉で緑に彩られています。これを見た空腹の部下たちは、港の群衆の警告や叫び声を無視して何とか上陸しようとしました。

ヤグーブが部下たちと上陸すると、きらめく剣ととがった兜に港の群衆はおびえ、へつらって言ったのです。「我々をどうなさるおつもりか、強きソードシンガーよ。あなた方に悪さはしない、殺すのだけはご勘弁を」

ヤグーブは答えました。「ああ、お前たちは不信心で悪事に関わっているが殺したりはしない。港より高い場所に宮殿が欲しいのだが、そんな労働は我が高貴な部下にはふさわしくない。だから生かしておいてやろう。石工や石職人、家の召使となるがいい」

こうしてセンチネルに本格的な港ができたのです。港の群衆は新たな仕事に目標を見い出し、壁や市場、ヤグーブの宮殿を造りました。この宮殿の誉れ高き名はサマルイク。以後ここで統治を行った王や女王たちは伝説を残します。フォアベアーに続く王家にとってふさわしい居場所をセンチネルに見つけたのです。ここに定住した多くはナ・トタンブでした。

そして王子よ、今もこの都市の門の上には三日月の旗が翻ります。ヤグーブ大公の旗であったこれは、彼を偲んでセンチネルの象徴とされたのです。忠実なる支持者たちは栽培の月17日をコーム・アレザーリ・ヤグーブの日として彼を称えています。偉大な先祖に敬意を表してザクロを分け合うのです。

トゥワッカの祈りTu’whacca’s Prayer

碧落の岸の神トゥワッカよ
あなたの恵みと導きあれ
このウォークアバウトを終え
あなたの玉座の前に彼女が現れますよう
美徳と強さで包み
彼女を星々の小径で導きたまえ
道を示したまえ
次の世に備えさせたまえ
我々の誉れ高き先祖として
彼女に剣を携えさせたまえ

モタリオン・ネクロポリスの報告書Motalion Necropolis Report

サタカラームのドエン様:

私のような者がご報告するのは心苦しいのですが、モタリオンの試みは中止いたします。このまま続行することはお勧めできない状況となりました。それどころか、続ければこれは(いつも以上に)不信心であるというだけでなく、おそらくギルドの者たちの命まで失われることとなるでしょう。

あなたの比類なき計画の完ぺきさについては、何の落ち度もないことを急ぎ申し上げます、我がドエンよ。ご指示に従い、モタリオン墓地破壊の監督官であるバービズ・アル・ティゴウスはそつなく仕事をこなしました。それに略奪の取り分を20%にしようと我々が申し出たところ、彼は15%のみ受け取ることを望んだのです。彼が申し出を受け入れてから数週間で、共同墓地の南区域の墓や霊廟の略奪は完了しました。高潔なる乙女たちの墓地で追剥ぎのクエンが背中に負傷したものの、ドエン様の見事で精力的な計画のとおりに進みました。

聖なるウェルキンドの収穫と販売も、同様にうまくいきました。発光呪文をかけたターコイズガラスの模造品と入れ替えるというあなたの考えは今も見破られていません。発光屋のアファブに10日ごとに呪文をかけ直させる賃金は、魔術の市場でウェルキンド石から得られる収益に比べたらスカラベのエサ代のようなものです。

今思えば、墓地を4つに分けてもっとも裕福な祖先たちが葬られている区域から始めろというあなたの助言は正しかった。あなたがその地位におられるのはもっともなことです。我々は石棺に対し不敬な行いはいたしませんでしたが、バービズ監督官があちこちを番人に巡回させていた間に、墓地の外れの墓にあった高価な装飾品は奪われてしまったのです。裕福さに劣る我々の同胞が眠っている東西の区域は、合わせても南区域で得られるほどの利益とはならないでしょう。

遺憾ながら、ドエン様のこの上なく素晴らしいモタリアンの試みを放棄せねばならない残念な理由を述べねばなりません。不信心者や犯罪者の死体を埋めるにふさわしいとされる北区域は、恐ろしいアンデッドたちの出現に苦しめられています。大勢のラー・ネトゥーが墓からはい出し、今では共同墓地全体にはびこっています。私が思いますにこれは、汚らわしい者たちの区域に何度も番人を送ったパービズ監督官や、他の不敬な行為の数々のせいでしょう。監督官の責任であるとすれば、彼は確かにその代償を払いました。蘇った死者による最初の犠牲者たちの中に彼もいたのです。

さらに、残念なことに追剥ぎクエンの死もお伝えせねばなりません。99階段の下でラー・ネトゥーから逃げようとして背中を痛めた者です。彼の遺族には通常の給付金が出されます。

最高の敬意を込めて。

工作員マフッド

レッドガードの歴史と英雄たち 第1巻Redguards, History and Heroes, V. 1

フランダー・フンディングは2356年に生まれた。我らの愛する砂漠の地における、古き数え方での年だ。それまでの皇帝たちによる統治が2012年に覆されてからは、皇帝は帝国の名目上の長となり権力は大幅に縮小されていた。以来300年に渡ってほぼ絶え間なく内戦が続いていた。地方の君主やモンク、山賊たちが土地と権力を求め争っていたのだ。我々の民族はかつて職人や詩人、学者であったが、次々と展開する戦いによりやむなく剣を手にした。大気を、あるいは肉や骨を断つ剣の歌。鎧に当たり響く音。それが我々の祈りに対する答えだった。

最初の戦いの王子フランダー卿の時代、ヨクダと呼ばれる君主たちが自身や土地を守るための巨大な石の城を築いた。そして城壁の外の城下町が発展した。しかし2245年にマンセル・セスニットが台頭した。彼は軍事独裁者エルデン・ヨケダとなり、帝国のほぼすべてを8年に渡り掌握せしめた。2253年にセスニットが暗殺されると平民が政府を奪った。ランディック・トーンはセスニットが始めた帝国の統一化を続け、かすかな反乱の兆しも許さず鎮圧していった。彼は剣の所持に関する制約を設け、戦士すなわちソードシンガーと平民との間にあった古き隔たりを蘇らせた。「トーンの剣狩り」として知られたこれはシンガーにのみ剣の所持を認め、他の住民とシンガーとを識別するものだった。

トーンは帝国を内戦前の状態に戻すべく多くを成したが、2373年の没時にも内部の混乱は残っていた。彼の死により本格的に内戦が勃発した。過去の300年に渡る争いがかすむほどのものだった。フランダー・フンディングが育ったのはこの時代である。

フンディングはソードシンガーに属していた。ソードシンガーは砂漠の職人から成長を遂げ帝国の社会の一員となっており、当初は上流家庭の若き子女たちから採用されていた。彼らは無名の戦の神々への最初の聖堂と訓練場「戦いの美徳の間」を築いた。数世代のうちにその剣術「刀剣の歌」は彼らの人生そのものとなっていた。剣に生きる彼らの詩心や芸術的才能は健在で、無名の神々の力と魔法の込められた美しい剣術に活かされた。特に優れた者はアンセイ、つまり「剣の達人」と呼ばれるようになる。そして彼らはそれぞれ独自の剣術を教える訓練学校を始めた。最も徳があるとされたアンセイは地方をさまよって戦い、悪を正し、争いを終わらせようとしていた。

フンディングはトーンの死により蘇った争いの最盛期におけるソードシンガーであり、達人、マスターアンセイである。多くのシンガーは生まれ持った職人の魂により剣を収め、芸術家となった。他の者はフンディングのように危険に満ちた剣の道に悟りを求め、戦士の理想を追求した。復讐の決闘や腕試しは日常茶飯事であり、剣術学校も増加していた。

レッドガードの歴史と英雄たち 第2巻Redguards, History and Heroes, V. 2

フランダー・ド・フンディング・ヘル・アンセイ・ノ・シラこと、フランダー・フンディングはハイデザートの砂漠の辺境に生を受けた。「フンディング」は生誕地近くの地名、「ノ・シラ」は「高貴な人物」や「高貴な生まれの者」という意味、そして「ヘル・アンセイ」は剣の聖人たる彼の称号だ。

フンディングの祖先は有史初期、ハイデザートで職人や秘術師として暮らしていたところまで遡れる。彼の祖父はエルデン・ヨケダことマンセル・セスニットの家臣で、セスニットの暗殺前まで統一のための多くの戦いを率いていた。

彼が14歳の時に父親が反乱の1つで命を落とし、フンディングは母親や4人の兄弟を支えることになった。剣での武勇はその人生を楽にも難しくもさせた。仕事の上ではガーディアンや護衛として大きな需要があった。だが彼の評判が高まったために、戦では彼を倒して手軽に名声を得ようという者たちが次々と現れた。

30歳になるまでに彼は90回以上の決闘で相手を殺し、勝利を収めた。卓越した技能と経験を有する彼は、剣において事実上無敵となる。先祖代々の才能による本物の剣での技を使う事をやめ、シェハイという「魂の剣術」を使うようになっていた。

ソードシンガーは誰しも厳しい訓練と戦の神々への信仰、そして剣術を通して、霊剣を生み出す修行法を身につける。これは単純な魔法のようなもの、思考のみで剣を形作るという精神的な技術である。ソードシンガーは精神統一により剣を生み、剣はその手に現れる。その剣は大抵はほのかな光である。ぼんやりとして実体がなく、おそらく美しく、剣の道や神々への愛情の象徴であるが武器ではない。しかし優れた能力と感性を持つアンセイたちや魔法の才能に長けた者は、重圧のかかる状況下で光や空気どころではない霊剣、シェハイを作り出せる。これは向かうところ敵なしの強さで、持ち主の精神を奪わねば取り上げることもできない武器である。

シェハイはフンディングの武器となり、彼はこれで土地を荒らす悪党や怪物たちを殺した。ついに90回目の決闘で邪悪なジャニック卿と従者の7人のリッチを倒した彼は、自分が事実上無敵であると確信する。そしてフンディングは己の剣術の哲学を明確にすることに取りかかった。60歳で世捨て人として高地砂漠の山地にある洞窟で暮らしながら、彼は己の知識を円環の書に書き記した。

その年フンディングはこう考えていた。帝国の多くの戦いに参加しあらゆる敵を倒してきた自分はもう、死ぬ準備ができていると。彼は洞窟に引きこもり、自分の戦術や秘術的な考えを他のソードシンガーたちと分け合うために記録していた。シンガーたちが彼を見つけたのは円環の書の完成後だった。彼はこの世を去り戦の神々に加わろうと、辞世の詩を作っていた。

60歳にして頑強であった彼はもう人生をやり遂げたと考えていた。だが仲間のソードシンガーたちは、それまでにないほどフンディングを必要としていたのだ。

レッドガードの歴史と英雄たち 第3巻Redguards, History and Heroes, V. 3

トーンの剣狩りはソードシンガーと平民を分離したが、最後の皇帝の出現が砂漠の帝国に最後の大きな争いをもたらした。皇帝と妃のエリザが、ソードシンガーたちを倒して人々から帝国の支配権を奪おうとしたのだ。ヒーラはオークと帝国の戦いの残党たちによる悪の軍勢を使ってシンガーを一人残らず見つけ出し、この世から消そうと決意した。

ソードシンガーの数は決して多くはない。過酷な砂漠では生まれる命も少なく、その厳しい環境では鉄の勇気と意志を持つ物しか生き残ることはできない。かくしてこの「シンガーの戦い」として知られる最後の争いが始まる。だがソードシンガーたちは、己の命や住まいを守るために力を合わせて軍を作り上げる準備も心構えもできてはいなかった。

見つかったフランダー・フンディングは辞世の詩を邪魔され、突然シンガーたちの指揮官にされた。彼が洞窟にこもり積年の知恵や戦略、シェハイの使い方について書き記す時間があったことを無名の戦の神々に感謝しなければならない。シンガーたちはキャンプを離れ不毛の丘や山々、「山々の父」たるハッツ山のふもとに逃れた。フンディングが静かに書き物をし、死に場所に選んでいた場所だ。生き残ったシンガーたちはそこで円環の軍を結成する。彼らはフンディングの教えを学んだ。彼の戦略や戦術、敵に大きな一撃をくらわせる最終作戦を授かったのだ。

フンディングは7つの戦いを考案した。それにより徐々にヒーラの軍勢を、最終決戦の地ハッツ山のふもとの荒野へ導いたのだ。彼はこの計画を「ハンマーと金床」と呼んだ。戦いの内にシンガーたちはフンディングの戦略や戦術を学んでいき、シェハイの使用についても成長する。7つめの戦いまでに敵を倒せる力を身につけるのだ。かくして6つの戦いが行われた。戦いは勝敗のつかぬまま、次の戦いへとなだれ込む。数で勝るヒーラの軍勢はフンディングの小さな軍を追うが、30倍の数の敵にも教えを受けたシンガーたちはひるまなかった。そしていよいよ舞台は整った。ヒーラとその軍はハッツ山のふもとに展開、大激戦となり、多くのシンガーが命を落とした。生き残るシンガーはわずかでも、ヒーラとその悪の帝国は滅ぶとフンディングは予想し、そのとおりになった。

最後にはフンディングと2万人弱のシンガーが生き残り、悪の軍勢は誰ひとり残らなかった。その日ハッツ山では30万人以上が命を落としたのだ。逃げ出し生き延びた残党は散り散りになり、再び徒党を組むことはなかった。

シンガーたちは集まりテントを畳み、命を落とした仲間を悼んだ。そしてフンディングに従い、シーウィンド地域の大きな港街、アーチに向かった。そこでフンディングは小さな船団を待たせていた。シンガーたちは砂漠を離れ、新たな地へ向かうのだ。砂漠の帝国ではもう彼らは歓迎されず、伝説として歌われ語られるだけとなった。最後の偉大なる戦士、シェハイのシンガーと円環の書は、その美徳を認めない地から去ったのだ。戦わぬ市民の目に、彼らは血にまみれた赤き者だった。自分たちが巨悪から市民を守ったということを、彼らは気にもとめなかった。

新たな土地へと海を渡るシンガーたちは新たな生活を受け入れることを誓った。名は改めるが過去の栄光を捨てはしない。彼らは最後の戦いを称え、新たな地をハンマーフェル、自らをレッドガードと名付けたのだった。

偉大なる戦いの王子フンディングに敬意を表し、ハンマーフェルの家庭では暖炉の近くの壁にくぼみを作り、円環の書を収めている。

様々な宗派:クラウン・レッドガードVarieties of Faith, Crown Redguards

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

タムリエルに最も長くいるフォアベアーは第二帝国と強い結びつきがあり、帝国やブレトンと同じ神々を強く崇拝している。より保守的なクラウンは今も古代のヨクダの神々を崇めている。

クラウンの八大神:

サタカル(ワールドスキン):
アヌとパドメイの概念が融合した、全てを司るヨクダの神。基本的にサタカルは、世界を壊して次の世界を始めるというノルドのアルドゥインに似ている。ヨクダの神話でサタカルはそれを何度も行い今でも続けている。変化に耐えられる霊魂の誕生を促すために繰り返しているのだ。これらの霊魂は人物は最終的にはヨクダの神々となる。アリクルの遊牧民のクラウンに人気の神。

ラプトガ(長身のパパ):ヨクダの神々の主神。「長身のパパ」の名でなじみ深いラプトガは、「サタカルの飢餓」を生き抜く方法を最初に突き止めた神である。彼に従い、他の神々は「ウォークアバウト」を学んだ。これにより寿命を超えて存在し続けられるのだ。長身のパパは低位の霊魂たちにもこの方法を教えるため空に星を置いた。だがこれをたどる霊魂が多くなりすぎたため、ラプトガは過去の世界から助手を作り出した。この助手が、のちに定命の者の世界を作ることになるセプ(下を参照)である。

トゥワッカ(狡猾な神):
ヨクダの魂の神。世界創造の前、トゥワッカは誰にも構われぬ神だった。長身のパパがウォークアバウトの創造に取りかかると、トゥワッカは目標を見つけた。彼は碧落の岸の管理人となり、レッドガードが来世への道を見つけられるよう手を貸し続けている。

ゼェト(農園の神):
ヨクダの農耕の神。世界創造ののち父親との縁を切ったため、長身のパパは食糧の生長を困難にした。

モルワ(乳首の神):
ヨクダの豊穣の女神。ヨクダの神々の中でも重要であり、長身のパパの妻の中で最も愛されている。ストロス・エムカイを含むハンマーフェルのさまざまな地域で今も崇拝されている。モルワは常に4本腕として描かれる。「もっと夫たちを手にする」ためである。

ターヴァ(鳥の神):
ヨクダの大気の魂。ターヴァはヨクダの祖国が破壊されたのち、彼らをヘルネの島に導いたとして特に知られる。以来彼女はキナレスの神話に同化するようになった。ハンマーフェルでは今も船乗りたちに多大な人気を誇り、ほとんどの港町に彼女の祠が見られる。

オンシ(戦の神、骨を削る者):
ヨクダのラ・ガーダの優れた戦士の神。ナイフを剣にする方法を人間に教えた。

ダイアグナ(側面の刃のオリハルコンの神):
「二十七の蛇の民の虐殺」の頃のヨクダに起源を持つ、レッドガードの暴力的かつ陳腐な信仰対象。永遠を得たフーンディング(ヨクダの前進の神、下を参照)の化身だった。彼はオリハルコンの武器をヨクダの人々にもたらし、レフトハンド・エルフの敗北に一役買った。ラムリエルでは古代の力の最盛期にあったオルシニウムのオークたちに対し、絆の固い信徒たちの一群を率いた。

追加の神々とレッドガードの重要な崇拝対象:

レキ(霊剣の聖人):
長身のパパの娘であるレキは、優れた剣術の女神である。神話の時代、ヨクダのナ・トタンプはレフトハンド・エルフとの戦いで誰が先頭に立つかで争い、事態は行き詰っていた。剣聖たちは誉れ高き剣の腕に特に優れており、互角の勝負が続いたのだ。レキが「はかなき牽制」を教えたのち勝者が現れ、アルドマーとの戦いが始まった。

フーンディング(前進の神):
ヨクダの「不信心者に対する不屈」の霊魂。フーンディングは歴史上、レッドガードが仲間のために「前進」せねばならないときに姿を現している。タムリエルの歴史では、第一紀のラ・ガーダの侵略時に2度だけあったという。

マルーク(群れの王):
ラ・ガーダには敵神。第一紀にレッドガードに対しゴブリンたちを率いたが、フーンディングの軍が彼のゴブリンの大軍を襲った際に東へと逃げた。

セプ(蛇):
ヨクダにおけるロルカーン。長身のパパが霊魂に関する仕事の管理を手伝わせるために生み出した。だがセプはサタカルの飢餓によって正気を失ってしまう。そしてウォークアバウトより簡単な代替手段を作る手助けをするよう、一部の神々をそそのかした。もちろんそれが我々の知る世界である。セプに従った霊魂たちはここに囚われ、定命の者として生きることとなる。数々の罪で長身のパパに罰されるが、彼の飢餓は星々の間に虚無として生き続けている。この「空間ではないもの」は定命の者が碧落の岸に入るのを阻もうとする。

様々な宗派:フォアベアーVarieties of Faith, The Forebears

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

タムリエルに最も長くいるフォアベアーは第二帝国と強い結びつきがあり、帝国やブレトンと同じ神々を強く崇拝している。より保守的なクラウンは今も古代のヨクダの神々を崇めている。

フォアベアーの八大神:

アカトシュ(時の竜神):アカトシュは八大神(シロディールおよびその各地方に普及している一大宗派)の主神であり、タムリエルのすべての宗教で登場する二つの神の一方である(もう一方はロルカーン)。一般に、始まりの場所に出現した神々のうち最初の神だったと見なされている。アカトシュの存在が確立すると他の神格も存在という過程を経るのが容易になり、世界中に様々な神々が登場したという。アカトシュはシロディール帝国の究極神であり、そこでは耐久、無敵、そして永劫に続く正当性などの資質の象徴とされている。

ターヴァ(鳥の神):
ヨクダの大気の魂。ターヴァはヨクダの祖国が破壊されたのち、彼らをヘルネの島に導いたとして特に知られる。以来彼女はキナレスの神話に同化するようになった。ハンマーフェルでは今も船乗りたちに多大な人気を誇り、ほとんどの港町に彼女の祠が見られる。

ジュリアノス(叡智と論理の神):ノルドの言語と数学の神であるジュナールとの繋がりがしばしばあるジュリアノスはシロディールの文学、法学、歴史と矛盾の神である。ブレトンの魔術師に最も好まれる。

ディベラ(美の女神):八大神の一員で人気のある女神。シロディールでは様々な分派が存在し、女性を尊ぶもの、芸術家や美学を尊ぶもの、性愛の指導を身上とするものなどがある。

トゥワッカ(狡猾な神):
ヨクダの魂の神。世界創造の前、トゥワッカは誰にも構われぬ神だった。長身のパパがウォークアバウトの創造に取りかかると、トゥワッカは目標を見つけた。彼は碧落の岸の管理人となり、レッドガードが来世への道を見つけられるよう手を貸し続けている。彼への信仰は、ハンマーフェルの国際的な地域でアーケイと結び付けられることが多い。また、フォアベアーには信仰されている

ゼェト(農園の神):
ヨクダの農耕の神。世界創造ののち父親との縁を切ったため、アカトシュは食糧の収穫を困難にした。ゼニタールと類似しており、その名で信仰されることも多い

モルワ(乳首の神):
ヨクダの豊穣の女神。ヨクダの神々の中でも重要であり、長身のパパの妻の中で最も愛されている。ストロス・エムカイを含むハンマーフェルのさまざまな地域で今も崇拝されている。モルワは常に4本腕として描かれる。「もっと夫たちを手にする」ためである。マーラと類似しており、フォアベアーによってその名で信仰されることもある。

ステンダール(慈悲の神):ステンダールは慈悲、慈善、正義、正しき統治の神である。レッドガードの「ギャラント(騎士)」にもっとも好まれている。

レッドガードの宗教に加えられている神

レキ(霊剣の聖人):
長身のパパの娘であるレキは、優れた剣術の女神である。神話の時代、ヨクダのナ・トタンプはレフトハンド・エルフとの戦いで誰が先頭に立つかで争い、事態は行き詰っていた。剣聖たちは誉れ高き剣の腕に特に優れており、互角の勝負が続いたのだ。レキが「はかなき牽制」を教えたのち勝者が現れ、アルドマーとの戦いが始まった。

フーンディング(前進の神):
ヨクダの「不信心者に対する不屈」の霊魂。フーンディングは歴史上、レッドガードが仲間のために「前進」せねばならないときに姿を現している。タムリエルの歴史では、第一紀のラ・ガーダの侵略時に2度だけあったという。

マルーク(群れの王):
ラ・ガーダには敵神。第一紀にレッドガードに対しゴブリンたちを率いたが、フーンディングの軍が彼のゴブリンの大軍を襲った際に東へと逃げた。

セプ(蛇):
ヨクダにおけるロルカーン。長身のパパが霊魂に関する仕事の管理を手伝わせるために生み出した。だがセプはサタカルの飢餓によって正気を失ってしまう。そしてウォークアバウトより簡単な代替手段を作る手助けをするよう、一部の神々をそそのかした。もちろんそれが我々の知る世界である。セプに従った霊魂たちはここに囚われ、定命の者として生きることとなる。数々の罪で長身のパパに罰されるが、彼の飢餓は星々の間に虚無として生き続けている。この「空間ではないもの」は定命の者が碧落の岸に入るのを阻もうとする。