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2920年、第28巻The Year 2920, Vol. 28

2920:第一紀 最後の年
カルロヴァック・タウンウェイ 著

2920年 黄昏の月6日
ボドラム(モロウウィンド)

松明の火の光が霧のような雪に反射し、まるでそこは別世界のようであった。双方のテントから出てきた兵士たちが、大きなかがり火のまわりに集まった。冬の寒さは、敵対する者たちでさえも固く寄り添わさせるが、一方で帝国の言葉を話せる少数のダンマーとの暖を奪い合う戦いの場となることもあった。そんなかがり火へ、美しいレッドガードの娘が同じく暖を取ろうと雪の中を歩いてくるも、すぐさま協定交渉が行われているテントに引っ込んでいった。そして、双方の兵士たちの目線は、娘の入っていったテントに釘付けとなった。

皇帝レマン三世はこの交渉をすぐさま切り上げたかった。ひと月前の彼であったならば、ヴィベク率いる軍隊には負けたものの、うまくおさまったとして喜んでいたかもしれないが、思いのほかこの場所で起こった悪夢がまざまざと蘇ってきたのであった。ヴェルシデュ・シャイエの主張によると、川はその石によって元から赤いと言われているが、戦死した兵士の血によって赤く染まっているようにも見えるのであった。

「これで協定を結ぶ準備が整った」と、皇帝はコルダから熱いユエルの入ったグラスを受け取リながら言った。「しかし、ここは調印にはふさわしくない場所だ。この歴史に残る儀式は帝都の厳かな王宮で行うべきだ。アルマレクシア、そしてウィザードも連れてくるがよい」

「ソーサ・シルです」と、ヴェルシデュ・シャイエは耳打ちした。

「時はいつ?」と、ヴィベクは辛抱強く問いただした。

「ちょうど本日より8ケ月後に…」皇帝は笑顔をふりまきながら、ぎこちなく立ち上がった。「華やかな舞踏会を準備して祝おう。では、散歩に出掛けてくる。コルダ、この寒さで脚がひきつってしまったようだ。一緒に歩いてくれないか?」

「もちろん御供いたします、陛下」と、コルダは返答し、皇帝を支えながらテントの出口へと連れて行った。

「私も御供しましょうか、陛下?」と、ヴェルシデュ・シャイエは訊ねた。

「私もよろしいでしょうか?」と、最近新たに相談役として宮廷に招かれたセンシャルのドローゼル王も尋ねてきた。

「必要ない。すぐに戻る」と、皇帝はそう言って断った。

ミラモールは8ヶ月前と同じように林の中に身を潜めていた。前と違うのは地面が雪で覆われ、木々が氷と化しているところだ。ちょっと動くだけでも音がするのであった。ちょうどその時、かがり火を囲んだ2つの軍隊、モロウウィンド軍と帝国軍が歌う大音響の二部合唱が聞こえてこなければ、ミラモールは皇帝らのそばへとこっそり近づくことはできなかっただろう。氷できらめく木々に囲まれた崖の下で、皇帝とコルダとヴェルシデュの3人は、流れの凍りついた小河を眺めて立っていた。

ミラモールはそっと短剣を鞘から抜き出した。彼はやや自分の剣の腕前を誇張して夜母に話していた。実際、皇子の喉を掻き切れたのは皇子を襲う際、相手に臨戦態勢に入るすきをまったく与えなかったからであった。しかし、今回の相手は年老いた一人の男。この簡単な殺しに、どれほどの剣の腕が必要だというのだろうか?

そして絶好のタイミングが訪れたのだった。森の奥深くで皇帝の側を歩いていたコルダが、奇妙な形をした氷柱を見つけ、駆け出していったのである。皇帝は笑みを浮かべながら、その場に残った。兵士たちの歌声の聞こえる崖の方を向き、暗殺者に背を見せた。ついに、その瞬間がやってきた。ミラモールは氷の地面に用心しながら、皇帝に近づき、攻撃した。だが、失敗した。

突如、背後から抱え込まれ喉に強い一撃を食らったのであった。ミラモールは声も出なかった。皇帝は依然として崖を見上げたままだった。林の中に引きずり込まれ、背中からバッサリと切り殺されたミラモールの存在などまったく気づかなかったのであった。

皇帝は連れの者と崖のキャンプ場に戻っていった。そして、噴き出す血が凍りついた地面の上で結晶になりゆくさまをミラモールはただ見ていただけだった。

アンドーンテッド探検物資Undaunted Exploration Supplies

タムリエル中の詩人たちがあなたの偉業を歌にして称えているわ!彼らの歌を止められるのは、桁違いのチップか暴力による脅しぐらいね!そんな手柄を羨ましがるのは恥ずかしいけど、真のアンドーンテッドとしては流石ね。これからも上を目指して。泣いている大人のノルドを見るのは最高だもの!

アンドーンテッドであり、シャイニング・スター主催の4つ目のグロッグ飲み比べチャンピオン
マジ・アルラガス

インドリクズ・グレイドThe Indrik’s Glade

インドリクズ・グレイドに踏み入り

最も捉え難き獲物を狩りし者に:

栄光が与えられる

ウシュサの日記Ushutha’s Journal

私の研究で明らかになったのは、とある古い集団だ。厳格な秘密主義で、約10年周期でここで儀式を行い、マラキャスを鎮め、称えている。彼らに関する情報はあまり入手できなかったが、ここで儀式の痕跡を見つけた。これらの奇妙な扉の錠もその1つで、私が見る限り初代の街のものではない。

両者は似ていて、この謎の集団は儀式の手順を変えてはいるものの、明らかに旧オルシニウムのクランと関係があると思う。というのも、この遺跡中にプレートが散乱しているからだ。最初の門で同じ組み合わせを試してみたが、当然ながらうまくいかなかった。

私の考えでは、この門はこの街の破滅と関係がある。ガーヘクが持っている古い学術論文には、バグラクとイグルンが無差別攻撃を始めたと様々な形で書かれている。だが、矛盾した記述もあり、攻撃されたが、街の支配者が撃退し、手柄にしたというのだ。

ご承知のとおり、彼らはあの古代の街に身を隠した。食事はどうしたのか?到着したらもっと明らかになることを望む。そしてそこには、クラン・ファーフンの古いシンボルがあるはずだ。間違っているかも知れないが、彼らが数千年前の古代オルシニウムのクランだとは思えない。

…ガーヘクが早く戻って来るといいのだが。大蜘蛛の毒でマスリガを失って以来、この探検に疑問を抱いている。もっと貯金して、探検の助けになる狩人か傭兵を同行させるべきだった。動揺してはだめだ。まだだめだ。

…ガーヘクは戻って来ないと思う。戻りたくないのではなく、戻れないのだ。旧オルシニウムの興亡について決定版となる本を執筆したい。だが、この場所は…秘密を守り続けている古代の遺跡であり、私は友人達を私もろとも早死にする運命に導いてしまったのではないかと心配だ。

エルスウェア防衛軍への招集Elsweyr Defense Force Summons

聞け、力ある英雄たちよ!

エルスウェアドラゴン防衛軍は、この地域に増大するドラゴンの襲撃に対抗し、正式に結成された。防衛軍の古参兵や、正しいドラゴン殺しの訓練を求める者は誰でも、早急に北エルスウェアのサマラ隊長まで連絡していただきたい。

ガーディアンの布告Guardian’s Decree

目覚めし者は純血なる者を聖域に取り入れた。彼女の精神は混乱している。長きにわたって見てきた、目覚めし夢に未だしがみついている。彼がついに彼女を長いまどろみから目覚めさせるその時に、彼らを刺激するべきではない。帳が上げられるまで、あるいは子守歌が覚醒を必要とする他の夢見人たちの到着を告げるまで、古代の封印が彼らを引き離しておくだろう。

カサンドラへの手紙Letter to Kassandra

カサンドラ

お前は私と部下にディープマイア周辺の一帯に集中するようにと言ったが、その助言が正しかったと聞いて喜ぶがいい。我々は沼地の中に沈んだ都市を発見した。このようなものは見たことがない。ゆっくりと沈んだためだろう、大部分は今でも無傷だ。もちろん罠と呪いだらけだが、傷はついていない。

お前が興味を持つ話にかかろう。私の知る限りアルゴンの名残は、少なくともお前が説明していたような形ではここにない。だが私に協力しているアルゴニアンの1人は、この場所にある印の一部を翻訳できた。かつて二つの部族の間に存在していた調和について語っている。一方の部族は影に奉仕し、他方の部族は太陽の光に仕えていた。これら二つの部族の相互作用が、古代アルゴニアの力の鍵になると言われている。我々が発見した聖堂は影に従った部族のものだが、あの連中が単に生贄の儀式に凝っていた頭のおかしいトカゲの集団ではないという証拠はどこにもないとは思う。太陽の聖堂が近くにあるかのように印では語られているが、ここにある扉の多くは閉ざされていて、我々には入れない。

いずれにせよ、お前の財宝が存在するのなら、我々はここで発見に近づいているのかもしれない。これは予感だが、これ以上先に進むためにはこの聖堂に適切な犠牲を捧げる方法を考える必要がありそうだ。私としては異存がない。こいつがどういう仕組みになっているのか、ぜひ見てみたいからな。

– ウィップテイル

カボー・メルラの像Statue of Cavor Merula

第二紀432年、アカトシュの戦闘司祭カボー・メルラは、ロングハウス帝の台頭に応じてクヴァッチに時の騎士団を再生した。彼の献身と守護の心は、今もなお騎士団の任務に不可欠なものとなっている。

ジュスティア・デスティカスの像Statue of Justia Desticus

時の騎士団、最初の第一の剣であるジュスティア・デスティカスは、カボーと共に戦い、団員が希求すべき8つの特性、アカトシュの厳命を考案した。彼女はアカトシュに対して2番目に忠実な人物だと考えられている。

ルシオ・オロの像Statue of Rusio Olo

ルシオ・オロは時の騎士団創設時の第三の柱であり、戦闘司祭の集団になくてはならない存在だった。第二紀437年、彼のおかげで、黒き虫の教団のクヴァッチへの侵攻に終止符が打たれた。彼は8人の信者とリーダーを1人で片付けた。

アミヌス・エンティウスの像Statue of Amminus Entius

騎士団に心があるとすれば、それはカボーの最も古い友人であり、騎士団の筆頭補給係であり、騎士団の第四の柱でもあった、アミヌス・エンティウスをおいて他にはいないだろう。アミヌスはアカトシュの騎士達が、クヴァッチで最も裕福で最高の装備を持つ最強の軍団になるように、生活の基盤となる部分を整備した。

クンザ・リの策謀を見よBehold Khunzar-ri’s Guile

クンザ・リの勝利は数多かった。時が経ち、その栄光は広大な野のムーンシュガーのように数え切れなくなっていった。その偉大な宝物庫にはどの部屋にも香しき花冠、陶然とさせるワイン、ゴールドが満載された袋が積み上がっていた。十六王国の全ての富が彼の前に広がり、奪われるのを待っていた!しかし富は、果実のように時が経てば酸っぱくなる。ついに彼は、富を手放すことにした。

そして笑う獅子は、富を受け取るにふさわしい相手を楽しく探した。しばらく経って、彼は古代の僧房の錆びた門の前にいた。この建物はあまりにも荒涼としていたため、ネズミさえも住めなかった。惨めな様子のアデプトが本拠地にしていただけだ。不機嫌そうな顔で着古したベストを着た、悲しそうなカジートはひたすら雑用を続けていた。回廊から聖堂まで、傷ついた鳥のような足取りでよろよろ歩いていた。

勇敢なクンザ・リは目的を見つけたと感じた。彼らは莫大な富を受け継ぐべき存在だ。しかし富を修道院長のサブダ・ジョーに提供すると申し出ると、この老いた神官は首を振った。「パフマーの友よ。我々は薄いスープと祈りがあれば生きていける」そう答えて、彼は部屋へ戻ろうとした。クンザ・リは老いた神官の肩越しにアデプトの祈るような顔を見た。彼らは一杯の甘い飯でさえ大喜びしそうだった。

素早く考えをまとめると、笑う獅子は吠えた。「待て、修道院長!クンザ・リは賭けを申し込む。もしこの者が月を空から引き寄せてお前の足元に埋められたら、この者が与える贈り物を受け取れ。もしクンザ・リが失敗したら、冒険を捨てて永遠にこの僧房へ加わろう。どうだ?」

サブダ・ジョーは誇り高き戦士を僧房に加えられると考え、すぐにうなずいた。

勇敢なクンザ・リは勝利を確信してにっこりと笑った。英雄は楽しそうに不機嫌な修道院長の頭を踏み台にして、僧房の屋根に着地した。パフマーラートの巨体が屋根の一番上まで登ろうとすると、この古代の尖塔はきしんでひどい音を立てた。そして修道院長が失望したことに、クンザ・リはジョーンとジョーデの鉄の肖像を木から引っこ抜いた。笑う獅子は戻ると素早く足元を掘り、見せびらかしながら穴に像を落とした。打ちのめされたサブダ・ジョーは衣服を脱いで荒野に向かい、二度と姿を見られることはなかった。

すぐにクンザ・リは大いなる富を僧房に移した。アデプトを解放した手腕を称え、新しい修道院長は祠の名を月の墓を意味するムーングレイブに変えた。笑う獅子に対し、感謝したアデプトたちはいつでも彼を暖かく迎えるだろうと告げた。

英雄の鮮やかな策謀を見よ!

これが物語の言葉であり、真実の言葉になる。

クンザ・リの大志を見よBehold Khunzar-ri’s Ambition

クンザ・リは謙虚なカジートではなかった。若き放浪の猫の身でさえ、大いなる冒険や栄光と名声、歴史に残る地位を夢見ていた。そして彼は自らの爪と前向きな気質により、そうした全てを夢見た以上に獲得した。それも、他の者たちに好かれるような形で。彼の微笑にはそうした力があった。

例えばクンザ・リが書記を雇って、自分の活躍を記録させた時のことだ。この地味なアルフィクの書記は名前が残っていないが、数多くのページを割いてクンザ・リの日々の生活の逸話を真面目に書き記した。彼女は常にクンザ・リから離れず、いかなる状況も危険も礼儀も顧みず、与えられた仕事をこなし続けた。アネクイナはこのアルフィクをひどく嫌がり、書記が去るまでクンザ・リの同行を拒絶した。クンザ・リは肩をすくめ、休みの間はアネクイナと別行動を取った。彼女が去る時クンザ・リはため息をついて、「この者の話を聞きすぎると、彼女の鼓動は止まらなくなってしまうのさ」と言った。

数日後、黄昏が大地を覆う頃、クンザ・リとアルフィクの書記は一人の若いカジート戦士に出会った。彼は槍を手に持ち、河向こうで暴れる3匹のリバー・トロールを見ていたが、動揺して途方に暮れているようだった。「お困りのようだな、戦士よ」とクンザ・リは言った。書記は一言も漏らさず記そうと、猛烈な勢いで筆を走らせた。若い戦士は振り向き「あのトロールどもはこの者の村を襲撃した」と言った。「数人を殺し、数人を負傷させ、さらに双子月の祭りのために村の調理台で焼いていた、大きなワマスを盗んだ。残りを取り戻しに来たが、トロール3匹への恐怖で手が動かない。この者は臆病者とそしられ、二度と故郷で名誉と威厳を得られないだろう」。

クンザ・リは若い戦士、槍、リバー・トロール3匹を見やった。彼は手を掲げ、若い戦士に槍を渡すよう合図した。槍の重さと、曲がっていないかどうかを確認してから、クンザ・リはトロールたちに呼びかけた。「世にも醜く不愉快な顔のリバー・トロールどもよ」と彼は叫んだ。「この者が贈り物をやるぞ!」好奇心に駆られた3匹のトロールは一列に並んで、一体どんな奴が呼びかけたのか見ようとした。3匹は1つの体に頭が3つ生えているように、前のトロールの背後から残りの者が頭を出していた。「完璧だ!」とクンザ・リは言い、渾身の力で槍を投げた。槍は3匹のトロールを貫通し、近くの木に縫いつけた。トロールたちの血はそこに流れ、木の根に栄養を与えた。

クンザ・リは若い戦士に言った。「さあ、祭りの食事を取り返し、英雄として村に帰るといい」。

「でもクンザ・リ」とアルフィクの書記が尋ねた。「あれはあなたの手柄です!しかも、とても見事な手柄でした!野望はどうしたのです?」

クンザ・リは肩をすくめた。「この者の野望は衰えていない。だが、あの若い戦士にはそれ以上に、この名誉が必要だ。それに明日はきっと、これよりさらに派手な冒険が待っているぞ。この者には分かる!」

これが物語の言葉であり、真実の言葉になる。

クンザ・リの裏切りを見よBehold Khunzar-ri’s Betrayal

生まれた時にはアズラーの秘密を喋り、アルコシュの偉大な力を爪に宿していた勇敢なクンザ・リは、世界を長くさまよった。しかし、彼の笑う魂は仲間を求めた。偉大な英雄にはままあるように、クンザ・リには多くの友人がいたが、真の仲間は少なかった。その幸運な仲間を、彼は「戦友クラ・ジュン」と呼んだ。彼は優しく、友に忠実だった。

しかし、忠実な友情は裏切りによって報いられることが多い!古代のホール・オブ・コロッサスにおいて、忌まわしき〈裏切り者〉はクラ・ジュンの絆を破り、クンザ・リに致命の一撃を加えた。そうすることで自分の名を歴史から消し去り、首を体から消し去り、名誉を魂から消し去った。

我々は艶やかなクンザ・リを記憶し、裏切りを記憶する。しかし〈裏切り者〉を記憶することはない。彼の名誉欲と権力欲がただ息を詰まらせる、曖昧な粉塵によってのみ満たされんことを。

これが物語の言葉であり、真実の言葉になる。

ジャダッリの墓The Tomb of Ja’darri

無限のジャダッリここに眠る

アルコシュの誇りの創設者

猫たちの竜王の最初の勇者

この広間を見守りたまえ

そして導きたまえ

アルコシュの仮面を求める者を

シロディールへ!Cyrodiil Awaits!

your name

タムリエルでの活躍は聞いている。シロディールの戦場で、君のような力を持った戦士が必要だ。

しかし、忘れるな──同盟戦争のベテランたちは、これまで戦ってきた敵よりも、ずっと危険だぞ。

共に戦おう!

しわくちゃのメモCrumpled Note

ギルドに依頼された調査は終えた。ここに語り石のコレクションを提供する。これを使って自分自身で結論を導き出してくれ。摂政女帝は、奇妙な行動をしているというだけでは足りない。

これ以上露見の危険を冒すことはできない。噂によれば、ヴェラリウス将軍は死んだ。どのような状況で死んだのかは分からない。

アークメイジはこの装置の中身を見たがっているだろう。私は今夜この街を去る。

シンムール、伝説の巨人Sinmur, Giant of Legend

〈恐るべきシンムールの骨は、永遠にここに眠る。英雄ファイアハートとダークハンマーは、その身を犠牲にシンムールの残忍な治世に終止符を打った。同胞団の名は永遠に語り継がれるであろう〉

ソアト・レプリカヌムに関するメモNotes on Tho’at Replicanum

マルケスト用に保管されたもの。彼の日記へ完全に複製されるまで整理しないこと。

自分用メモ。確固たる事実に基づかない仮説を記録する場合、整理者をこの本に近づけさせないこと。整理者はテルヴァンニ以上に他人の粗探しへ熱心で、「仮のもので、間違っている可能性もある」という定命の者の考えを一切受け入れない。彼らの嘲弄にさらされる危険を冒す必要はない。

ソアト・レプリカヌムは肉体を持つ獣ではない。彼女は生きたインクだ。魔術と言葉の存在だ。

ソアト・レプリカヌムはページからページへ移動し、本自体を通じて保管庫の蔵書の各セクションを渡り歩くことができる。

ソアト・レプリカヌムは他のインクの獣を生み出せる。それは現在マリグラフィと呼ばれており、原典となった本に強く影響を受けた人物として現れる。現在、マリグラフィはソアトが(召喚呪文のように)別個の存在として出現させているのか、ソアトと精神を共有する分身なのかは不明である。さらなる調査が必要だろう。

ソアト・レプリカヌムは単一の存在ではない。彼女はマリグラフィを生み出すのと同じプロセスによって、自分自身のレプリカを作り出すことができる。現在保管庫にいるレプリカヌムの数は判明していない。

ソアト・レプリカヌムが作るマリグラフィ全てが敵対的とは限らない。現在この点を説明するものはない。マリグラフィを隠蔽するための方法か?一部のマリグラフィを無害、あるいは友好的に見せかけることで、ソアトは果てしなき保管庫内部の自分の魔術を隠そうとしているのか?

まだ判明していないこと
– ソアト・レプリカヌムが果てしなき保管庫を侵略する意図あるいは目的。彼女は時々、何かを探していると口にするが、何を探しているのかを明かしていない。
– ソアト・レプリカヌムの起源。彼女はいかにして果てしなき保管庫に現れたのか?

トラリスの強力な遺物のリストTralise’s List of Powerful Relics

ルーンの埋葬壷
賢者トゥリクファーの薬学の技は強力すぎたため、死んでも遺体が闇の魔法に対して強力な結界となっていると言われている。カモンナ・トングが壺を持っているようなので、おそらくカモンナルーンに保持されているだろう。

ドゥエマーのアキュムレーター
この興味深いアキュムレーターは周囲の環境からマジカを吸い取るようにデザインされている。父は母のアキュムレーターがケメル・ゼーに持ち去られたと考えている。ソーサ・シルのアーティファクトの詰め合わせと共に。

拘束の刃
魂を拘束する魔法は全く新しくないが、この刃は闇が強く、愛すべき父さえも語らないほどの悪評を得ている。噂によれば刃自体が飢えていて、半島の安全のためゴルンの屋敷に閉じ込められているという。

トリビュート・チャレンジャーズ – ノービストーナメントTribute Challengers – Novice Tournament

テイルズ・オブ・トリビュートのノービストーナメントが始まろうとしている!上のランクに行こうとするロイスターズ・クラブのメンバーは、以下に記す場所で開催される試合に出場せよ。

ラウンド1
グレナンブラの街ダガーフォール、 宿屋〈酔いどれライオン〉

ラウンド2
リベンスパイアーの街ショーンヘルム、宿屋〈デッドウルフ〉

ラウンド3
ストームヘヴンの街ウェイレスト、クラウディ・ドレッグの宿

ナンサリオン王へのメモNote to King Nantharion

ナンサリオン、

一体何を企んでいる?私は怒りで青ざめている!お前の忌々しい宣言を読みながら、成長とか運動の報告を受けているが…また戦争でも始めるつもりか?我々をパクトから追放させようとしているのか?

ここに手紙の束がある。女王やパクトの使節から、カバナントの使節からも、カランティウス伯爵からだけでも3通ある。お前かここエルデンルートの代表者を即刻よこすんだ、いいな?サルモールの構成員である統治者と判事たちが答えを要求している。ずっと待たせてはおけない。

お前の家と私は付き合いが長い。だから我々が、こうした連中といつも細い枝の上を歩くような関係にあったことはお前も知っているはずだ。私の仕事をこれ以上難しくしないでもらいたい。

お前はヴァレンウッドの忠実な家臣だ。私にはわかっている。近いうちの返答を期待している。

―カモラン・アエラダン王、エルデンルート

ネルリアンの幽霊ガイド 第2巻Nerulean’s Guide to Phantoms Vol. II

(非常に慌てたような乱暴な文字で一面書き殴られている)

バーゲンマン

商人とは概してタムリエル社会の中で最も迷信的な人種だ。これまで話したことのある行商人や金貸しのほとんどが怪談話の1つや2つを知っていた。くだらないものが大半だが、いくつかはさらなる調査する価値がありそうだった。

何度も繰り返し耳にしたのは「バーゲンマン」という名で知られる幽霊だ。ほとんどの商人は彼の名前を聞いただけで傍目からでも分かるほどに青ざめた。彼のことを口にする者も、周囲に聞こえないように配慮していた。

どうもバーゲンマンとは、遠く離れた2人のビジネスパートナーの間に入る仲介役として呼び出すことができる亡霊のことらしい。契約が成立するとバーゲンマンは2つのグループ間における受け渡しを遂行し、遠く離れた距離を一瞬で移動して品物を届ける。ただし世の理であるように、このサービスにも相応の代価が必要となる。どちらかの組織が契約に違反した場合、バーゲンマンが「適切な」罰を下し、姿を消す。

ここから物語が綻びだす。どういった罰が与えられるのか誰も知らないのだ。各々違うのかもしれない。代金が支払われるまで幽霊が滞納者のグループから品物を盗むだけだという者もいるが、その他の者たちは契約通りの金額を支払えなかった人間を残虐な方法で殺害すると断言している。どちらが本当か、急いで答えを探す必要はないだろう。

ビーチより、仲間へTo My Friend From the Beach

your name、」

「空から人が落ちてくることはあまりないが、お前はここにいる!お前がケナーシズルーストを駆け回る姿を見ていた」

〈メモを読む〉

「心配することはない。お前はうまく溶け込んでいる。その点で我々は一緒だ」

「しかし、私は忙しいカジートだ。なぜ嘆きの泉の聖堂でアンデッドが蘇ったのか明らかにする時間がない。なぜ打ち砕かれた浅瀬で、破壊されたドミニオンの船をシーバイパーが調べているのかも」

〈読み続ける〉

「近い内に、お前が解明するかも知れない。その場合は、ミストラルに向かう橋にいる、ハンサムなカジートを探してほしい。その情報と金を交換しよう」

「新たな友」
「ラズム・ダー」

ベルドールのメモBeldorr’s Note

走っている。いつも走っている。

アトロポスとアスザモンのおかげで、ついに肉の彫刻家と肉の悪鬼のところを抜けることができた。彼らの犠牲を絶対に忘れない。彼の思い出として、アスザモンの鎧を身に着けている。鎧は彼を殺した、アンデッドの腐った肉に染められている。そして今日が終わる前に私が倒れた時に備えて、彼の名誉のために筆をとっている。

出口は真っ直ぐ前方にある。いや、あるはずだ。神話によればだが。長い間、あの最後の独房棟と出口はこの門の先にあると囁かれてきたのだ。

神々よ、私とともに歩んでくれ。

-ベルドール

ボーンズメモリアルの戦いBattle of the Bones Memorial

この丘で、偉大なるアンワルド・アイアンハンドが戦いの最中にヴィラク砦の死霊術師に出会った。手にしたボーンベインにより、アンデッドは砕かれ破滅した。

戦没者に対する賛辞として、また敵に対する忠告として、これを永久に展示する。

ホタルに捧げる歌Ode to a Torchbug

冷たい月のない火耀の夜
私の窓に明かりがともった時
みすぼらしいホタルが赤らみ
側を飛び、声をかけてきているようだ

「ごきげんいかが?」と私が聞いた
顔をその光に浸らせて…
「まあまあだよ」と彼は言い
「でもみすぼらしい木を離れなければいけなかった」

それは悲しいことだと私は思い、言った
「ではこれからはどこで横になるんだ?」
雨風をしのぐ場所を探しているのだと思ったが
彼は虫として、おとなしく聞いてきた

「今夜南の岸へと向かい、
そこで冬を迎えることにする」
私がどもりながら言葉を返す前に
彼は高く空へ飛び立った

そして私は1人考えにふけった
彼は住み家を失ったのでは、と
私の住まいに来て、ねたんでいるように見えた
いや、嫉妬しているのは私のほうだった

マーシエンの伝言Marcien’s Message

親切な通りすがりの者へ

私の大切な友人、星読みサリヤーが、ヴェーシデュという行方不明のワームマウスのペットを探すため私を雇った。私は有能な罠師だけど、ワームマウスは柔らかく、この地域の森は無防備な獣が単独で迷子になっていい場所ではない。

私は彼女の助言に従い、この罠にヴェーシデュュの一番好きな食べ物である古いパンと果物を仕掛けた。あなたが奇跡的に私の罠の中にこの獣を見つけた場合、私の友人とペットを再会させるのに協力してくれたら大いに感謝する。サリヤーはオンタスのストーンチップ酒場のそばで待っている。彼女はヴェルシデュに再び会えれば大喜びするでしょうし、あなたの善行に報酬を払うでしょう。

罠師マーシエン

メズンの研究日誌Mezhun’s Field Journal

降霜の月17日
今日メズンはホーカー・タスク族数名が吐き気を催す風習を行うのを目撃した。彼らはイノシシの肉をむさぼり食うと、無理に器の中に吐き戻した。とてつもなくショッキングだったが、彼らは他の者と器を交換して、吐き戻したものを食べ始めた。メズンはこれを見て自分の昼飯を戻してしまったが、マスター・ステロンは夢中になっていた。この行動は部族内の高度な親密さを示している、とおっしゃった。リークルはこの点において我々よりもはるかに文化的であるとまでマスターは言った。この者はまだまだ勉強が足りない。

降霜の月25日
何日もの間、リークルはメズンが自由に洞窟を歩き回るのを認めてくれているようだったが、状況は昨晩一変した。ウメゼダラス王にダンスに誘われたのだ。メズンは緊張したが、マスター・ステロンは絶好の機会だと勧めた。ダンスは敏捷で奇妙だったが、順調に進んでいた。王がこの者の毛皮に夢中になるまでは。王はその暖かさを気に入っていたようだったが、毛皮でできたコートがほしいというジェスチャーをし始めた。メズンは驚いて跳び退ったが、これが王の逆鱗に触れてしまったようだった。以降、リークルはこの者を洞窟に閉じ込め、あまり遠くに行かせないようにした。マスター・ステロンはメズンが言うことを聞きさえすればすべて丸く収まるとおっしゃる。いつの日かマスター・ステロンのように賢く、忍耐強くなりたいものだ。

モーナード家に必要な剣Swords Needed for House Mornard

モーナード家はガレンの自然を鎮めるため、強靭な剣士と狡猾な魔術師、大胆な冒険者を求めている!

シストレス諸島最北の島は、美しくも危険なフロンティアだ。伯爵は浸食する自然から一族の利益と民の安全を守るため、有能な戦士を集めている。凶暴な怪物に立ち向かい、未知の領域に分け入っていく勇気を持つ者だけが応募するように。

関心のある者は、ヴァスティルのアーバウド・セドメンを探せ。

解けるパリンプセストUnraveling Palimpsest

[この書物の文字は目の前でのたうち回っているため、書かれている内容が理解できない]

儀式の巻物Ritual Scroll

今日出す命令がいつか自分の運命になることを忘れるな。死者を軽率に蘇らせてはならない。いずれ自分も同じ立場になる。

死者は眠っている、起こしてはならない
死者は消えた、慰めはいらない
死者は安らかに横たわる、争いは起こさない
死者は腹を空かせている、何も与えてはならない

死者は喉が渇いている、血を求めている
死者は落ち着きがない、やがて来るだろう
死者はさまよっている、やがて起きるだろう
死者は飢えている、やがて食べるだろう

円の周り、血をこぼせ
円の周り、呪文を唱えろ
死体の肉、死体の骨
心臓の血、墓から目覚めさせろ

死者は耳を澄ましている、やがて聞こえるだろう
死者は働いている、やがて奉仕するだろう
死者は怒っている、戦いたがっている
死者は飢えている、もっと欲しがっている

死者は拘束され、これで働く
死者は繋がれ、これで精を出す
死者は立ち、これで足取り重く歩く
死者は起こされ、恨みを抱いている

月の勇者を見よBehold the Lunar Champion

月の勇者の広間への、高貴なる賓客を歓迎しよう。

笑う獅子、クンザ・リの生涯を見よ!慎ましい生まれ、大冒険、〈裏切り者〉による悲劇的な最期がすべて目撃できる。

この聖なる部屋の祭壇には、3つの石板がある。敬虔な笑う心をもってそれぞれに近づけ。ジョーンの光により文章が現実となり、最も偉大な英雄の道を歩くことができる。

刻まれたプレートEngraved Plaque

〈女王の瞳〉は涙を流さないが、ラズム・ダーは例外を設けることもある。

双子月は我々の道が再び交わることを知るだろう、友よ。

鮫のシャルグの伝説Legend of Shalug the Shark

依頼主:鮫の歯の首領
流浪の年代記作家アダンドラ 著

アバーズ・ランディングで最大にして最悪、そして最も向こう見ずな悪党は誰か?答えは鮫のシャルグ!彼女自身の言葉によれば、シャルグは街で最大にして最強の殺し屋の集団を率いているし、自らの力を誇示することもためらわない。でもシャルグ、そして鮫の歯とは何者なのか?驚嘆に値する鮫の伝説を語らせて欲しい。

シャルグはもともと身分の低い、卑しいオークだった。彼女は機会を見出すと即座にロスガーの山脈から飛び出し、乗れる限りの船に乗って南へ進んだ。栄誉を勝ち取り財を成すために次から次へと海賊団を移ったシャルグはやがて「鮫」と呼ばれるようになった。しかし、その成功と悪評にも関わらず、シャルグは海上での生活が自分にはあまり合っていないと判断した。「波が多すぎる」とシャルグは私に語った。「それに船長も多すぎる」

誰にも従わずに生きるために、シャルグは最終的にアバーズ・ランディングに身を置くことになった。そして持ち前の屈強さですぐに仲間を増やしていった。時と共に、彼女の率いる小集団は小さい軍団へと成長し、こうして鮫の歯が誕生した。護衛と盗品の事業は大いに栄え、シャルグと仲間たちはある人里離れた洞窟を占拠した。そこはかつてその地に暮らそうとした植民者たちに、遥か昔に見捨てられた場所だった。その場所が鮫の歯の洞窟と呼ばれ、シャルグの軍団の力によって海賊からも衛兵からも恐れられる場所になるまで、そう長くはかからなかった。

著者メモ: シャルグ、あなたが私に話してくれたことには、どれも一部は真実でしょう。でもあなたが自分を実際より有名であると思わせるために、内容を誇張しているように思えてならない。記者として私はこれ以上、あなたの金貨を受け取ることも、作り話を書き記すこともできない。これまで書いたものだけ残していく。きっと私ほど罪の意識に悩まされずに、喜んで続きを書いてくれる人がきっと見つかるはず。

治安官が補佐求むConstable Seeks Deputy

スキングラードの南西、ウェザーレアの屋敷と百人隊長の丘の間にあるオンタスの街が、新任の治安官に対する補佐官を求めている。街で発生した疑わしい死に関して、中断中の調査がある。

調査へ参加することを望む者は、新しく任命されたヤブレン治安官の元を訪れるように。彼女は通常、街のすぐ外にある墓場にいる。

囚人:クラリス・ローレントPRISONER: CLARISSE LAURENT

囚人:レディ・クラリス・ローレント、ブレトン、女性

メモ:貴族にして探検家。青のクリスタルとメリディアの十字の旗の部屋に拘禁。幻の呪文に耐性があると思われる。慎重に観察すること。

囚人:テレンジャーPRISONER: TELENGER

囚人:テレンジャー、アルトマー、男性

メモ:有能な魔術師。アズラの星の旗と青のクリスタルの部屋に拘禁。

囚人:レイノー・ヴァノスPRISONER: RAYNOR VANOS

囚人:レイノー・ヴァノス、ダンマー、男性

メモ:ドゥエマーのアーティファクトの専門家。黄色のクリスタルとハルメアス・モラの目の旗の部屋に拘禁。幻に対してとても懐疑的だが、ドゥエマー由来の機器を所持している可能性あり。慎重に調査すること

賞金:ドラゴン!Bounty: Dragons!

ドラゴンスレイヤーを目指す者たちよ、よく聞け!

ドラゴンの怒りが炎をまき散らし、カジートの故郷エルスウェアへ向かっている!たてがみはこの暗い時代に協力する意思のある者たちに、剣を取ってあの邪悪な獣を滅ぼすことを求めている!

ドラゴンを倒し、その証をリンメンのバトルリーブ・タネルラインかセンシャルの快活なチズバリに渡し、報酬を受け取れ!

酔った詩Drunken Poetry

酒を飲んだことで誰かが人生で「最も面白い」宴会を経験したという酔った詩。友好的なヤギのデイドラ、エズケルに率いられて、道楽にふける動物の幻覚を見せる劇場の横。

占い師の日記Diviner’s Journal

私は幸運だ。最も必要とされる時に天職を見つけるとは、この上ないことだ。最大の勝利を達成しようという瞬間に大義へ参加するのは、もはや運命だ。夢に出てきた女性が私たちの元へやってきた。彼女の天性の清らかさは、私たちの最も希望に満ちた期待さえ超えていた。彼女を紹介した時、目覚めし者の瞳には承認以上の畏敬があった。

彼女は彼と共に、発掘の中心へ行ってしまった。そこで彼は、彼女の可能性を解放するだろう。私は夢で見るのだろうか。それとももっと素晴らしい何かを見るのか?

戦士ギルドのチラシFighters Guild Handbill

冒険の準備はいいか?戦士ギルドはデイドラの脅威に立ち向かう、勇敢な心と強靭な肉体を持つ者を求めている。

今すぐ所属同盟第一都市のギルドホールで、担当官を探し出せ!

吐く蝶の取引記録Retching Butterflies dealing log

1日目:シロディールからきたカジートのキャラバンを襲った。コインとスクゥーマが満載されていた!俺も他の連中もこいつの扱いには慣れていないが、誰か慣れていて売りさばける奴が見つかるだろう。

2日目:街道の漁り屋に少し売った。まだ大口のバイヤーは見つからない。

3日目:最高の日になった!ファーリ・ウェイという、ゴールドをたくさん持ったカジートがキャンプに最近来た。在庫を全部買い取りたいそうだ。そのまま殺すことも考えたが、そんなことをしようとすれば二度と買い取らないという。まあ、スクゥーマの取引に疎いのは仕方がない。奴に木枠箱を全部渡して別れた。

7日目:数日前に来た奇妙なカジートが、キャンプの外に手紙を残した。前回の半分の量を、同じ価格で買いたいという。6日後に来るらしい。そんな量のスクゥーマをどうやって手に入れればいいのかわからない。水で薄めて売ってやればいいと思う。

13日目:計画はうまくいかなかった。無法者の隠れ家でスクゥーマを7瓶手に入れることはできた。必要な量にはまるで届かなかったので、泉の水と混ぜてアプリコットを潰し、本物のように見せた。持って行くと、奴は見もしないで何かがおかしいと感づいた!彼はかんしゃくを起こし、周囲のあらゆるものをひっくり返した。しかし、突然落ち着いて完全に混乱した様子になった。彼は「ピャンドニア真珠商人」のファーリだと告げてきた。彼にもっとスクゥーマを売りつけようとしたが、彼は逃げる前にそういうものは扱わないと言っていた。この猫は何かがおかしい。スクゥーマの常習者よりもだ。

15日目:カジートが戻って来た。今回はウェイと名乗った。ムーンシュガーと…なぜかチーズの臭いがした。ほとんど何も言わず、キャンプに入ってきて狩りの檻で縮こまり、悲鳴を上げた!俺たちが奴を殺そうとして、捕虜にしたと言うのだ。本当に奇妙なことに、奴が入った檻は開かれていた。奴が檻に入ると、この奇妙なネックレスを落とした。中央には大きな紫の宝石が入っていた。持っていてもいい。価値があるようだから。

道化師祭りへの招待状Jester’s Festival Invitation Scroll

最も高貴な王の命により、
壮大なる惜しみなき寛容の精神から、
本日より、愚かな浮かれ騒ぎを始める!
苦役、税、責務を忘れ
愚かで魅力的な歓喜の季節がやってくるだろう!

〈読み続ける〉

寛大な王に対して、感謝か愚行を示すように。王は国民を楽しませようとしている。ダガーフォール、エボンハート、バルケルガードで、いたずら、公演、飲み物が提供される

南エルスウェアの戦士たちよ!Southern Elsweyr Needs You!

カジの戦士たちよ!

南エルスウェアとその先の地が、かつてない脅威を目にしている。ドラゴン、犯罪者、そして洞窟に潜む獣たちが、愛するこの地の至る所から出現しているのだ。そのため、市の評議会や各地の治安部隊がセンシャルに集結し、祖国を守るための行動に対して報酬を提供している!

時間と能力のある者は、急ぎセンシャルへと向かうこと。ツァラバはいかなる質問にも答える用意がある!

発掘命令Excavation Orders

発掘には大いに苦労しろ。無鉄砲な手が灰や土の下で罠にかかり、仕事の妨げとならないように。ここに至るまで長い間待った。お前たちの熱意のせいで、偉業の機会を逸することのないように。

ここで遺物を持ち上げるとき、身体のあらゆる繊維に意味の重みが感じられないだろうか?その重力に地中深く引っ張られるのを感じ、抱えるのがやっとかもしれない。世界の中で、遺物のあるべき場所は我々の足の下ではなく、正しい後継者の手の中だ。

目的を持って掘れ。慎重に掘れ。

番人の手紙Keeper’s Letter

親愛なるカイラン

私は老いた。もうかなりの年齢よ。脇腹の痛みは毎日悪化していく。もうすぐ、エセリウスできっとあなたに会うでしょう。

笑っていいわ。私はあなたがいなくなってから、毎日手紙を書き続けてきたの。そうすることでいつも痛みが和らいだ。そして今、私は死の淵に立っている、私たちが再会するまで、もう間もなく。でも別に心配はしてないの。バルフィエラ島にいる家族には数え切れないぐらい手紙を送った。でも簡単な返事すら一度も返ってこない。もしかしたら私が最後のアクロポリスの番人になるかもしれない。私が死んだら、下の炎は誰が灯すの?墓にいる追放者は誰が管理するの?日毎に彼女は力を増している…逃げ出そうと石棺の蓋を引っ掻いているのよ。誰かがここに来なければならない。誰かが炎を燃やし続けなければならない。彼女を自由の身にするわけにはいかない。

話が逸れてしまった。とにかくゆっくり休んで。もうすぐそちらに行くわ。

あなたの愛する妻
テメイー

碑文が刻まれた台座Engraved Pedestal

竪琴は勇敢な心のように沈黙し
4つの勇敢な魂を見守る
真の捧げ物で記憶に敬意を示せ

リリラーラ・ヴェロス――優しさと気品は家名を高めた

オンドル・ヴェロス――モラグ・アムールの名射手

ヴァリーン・ヴェロス――敵と自らの死に乾杯した

エルムズ・ヴェロス――飢饉の年、自分以外の人々を養った

冒険者求む!Adventurers Wanted!

市民からの支援を求める要請があまりにも多いため、支援を求める者と支援を行う者の間で仕事の仲介を行うシステムが確立された。詳細は、司法の館のウネル・ダラノに尋ねること。

魔術師のギルドのチラシMages Guild Handbill

「知識に飢えていますか?魔術師ギルドは才能と知性、技を持つ者だけを求めています。

自分が当てはまると思うなら、あなたの所属同盟第一都市のギルドホールで、担当官までご連絡ください。」

旅人への通告Notice to Travelers

ファイアライト洞窟は自然が地下に生み出す芸術の素晴らしい見本だ。いつ見ても感心させられる。私、カーフィンディス・ボールは謎多く憂鬱な自然を内に秘めた作品で多くの称賛を得てきた。

もしファイアライトへ行くのなら油断しないことだ。ゴールドロード沿いのあちこちで、大地そのものが動揺している今ではなおさらだろう。私は遠くから、奇妙な動きや不思議な光を見た。スプリガンのしなやかな動きだろうか?それに不思議な残響も響いている。冒険心旺盛でない者は怯えてしまうかもしれない。あの深い低音は洞窟にいる何かの…獣、あるいは獣の集団が発している。

そのため、私はファイアライトの謎めいた美を称えると同時に、それと同じくらい謎の多い洞窟の居住者に注意を促さねばならない。よい旅を!私は絵画と陽気な心を抱えてタムリエル各地を探検するので、私の掲示板を探してもらいたい。
――放浪の画家、カーフィンディス・ボール

歴史家マーガからの手紙Letter from Historian Maaga

「トログ・スパイトの山賊の指導者達へ――

盗賊行為を見逃すことはできないが、あなた方の行為は伝説になっている。あなた達はオルシニウムを略奪した者達の子孫であるブレトンの一族を標的にした。利益と復讐のために彼らの財産を略奪した。私はそれを理解する。」

罠師のオファーTrapper’s Offer

怒れるガザードに対処できる勇敢な者へ

私もガザードが好きではないけど、友人の星読みサリヤーのために雇われて仕事をしている。私はガザードを捕まえるためこの罠を仕掛けた。ガザードは彼女にクラグローンを思い出させるらしく、どれだけ強情で凶暴でも、ガザードをペットにしたがっている。

罠にはネズミを仕込んでおいたので、うまくいっているでしょう。気難しい性格と革のような皮膚が気にならないのなら、オンタスのストーンチップ酒場の外にいるサリヤーの元へ連れて行けば、彼女がたっぷり報酬を支払ってくれるでしょう。

彼女は本当に素敵な人よ。協力に感謝する。私はとにかくガザードが我慢ならないの。

罠師マーシエン

罠師のメモTrapper’s Note

ここを通る旅人へ:

私の罠の中に何かを見つけた場合、獲物を盗む代わりに、私を助けてくれたら相応の礼をしましょう。私の友人、星読みサリヤーはガザードの子を捕らえさせるために私を雇った。彼女はあの飾り気のない獣がクラグローンの故郷を思い出させるので気に入っているという。そして、あれをペットとして1匹育てたいと思っている。彼女は大切な友人だけど、あのような忌まわしい獣への愛情は理解できない。

私の罠が効果を発揮して、哀れな獣が捕まってあまり長く経っていないことを願う。サリヤーはオンタスのストーンチップ酒場の外で待っている。新たなペットを無事に彼女のところまで運んでくれれば、彼女はあなたに報酬を支払ってくれるでしょう。

罠師マーシエン

地図などの図録書

Visual Books

アニスの粗雑な要塞設計図Annyce’s Crude Fort Plans

アメノスの地図Map of Amenos

エレギアンの”変異”設計図Elegian’s Cataclyst Schematics

ナヴィール城の地図Map of Castle Navire

リヴァイアサンの陰茎スケッチLeviathan Pizzle Sketch

巻物(インドリクのライフサイクル)Scroll, Indrik Life Cycle

執事ヘルシアンの地図Steward Hercian’s Map

粗雑な地図Crude Map

粗雑に描かれた地図Crudely Drawn Map

謎のメモMysterious Note

スコラリウムの走り書き

Scholarium Scribblings

アークマギスターからのご厚意The Largesse of the Archmagister

よく聞け、達人たちよ。古代の蔵書庫が再発見されたという噂はきっと諸君も耳にしているだろう。それは真実だ!この計画はまだ、ギルドの全メンバーに分析を許す段階になっていないが、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンはこの超魔術的な仮説体系に関心のある者たちに、一次資料を検討する十分な時間を与えたいと考えている。

十分なのは私に時間をかけさせたからだ。分析用の文書を手に入れるのにどれだけ長くかかったことか。

そのために、9つのスクリプトが完全に無料で、タムリエル中の魔術師ギルドで公開されている。これらのスクリプトは綿密に手で書き写され、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンその人による検査を受けているため、場合によってはオリジナルよりも優れた参照素材とされるほどだ!

よくも言えたものだ!この写本を作るために働いたのは私フィランディルだ。苦情を出さなければ!

このアークマギスターからの贈り物は、以下のギルドホールにある:
– バルケルガード
– ダボンズ・ウォッチ
– ダガーフォール
– ウェイレスト
– エルデンルート
– モーンホールド
– リフテン
– エバーモア
– ラウル・ハ

この新しく刺激的な神秘の技を探究するにあたっては細心の注意を払い、しかし情熱をもって取り組んでもらいたい!そして魔術師ギルドの指導者に称賛の声をあげるのだ。

称賛の声だと!恥知らずめ。

あくびの歴史と正しい技術The History of Yawning and Proper Technique

この巻はすべての定命の者にとって身体的に不可欠な、愛すべき余暇についての網羅的歴史である。あくびの目的はあらゆる世代の最高の知者たちによって、学問的議論の対象となってきた。後世のため、ここに網羅的な研究を残そう。

よし、これで他の啓発者はまけたでしょう。ネッチ、まだこれを読んでいるのなら、今回だけは手を出すのをやめて、見つけた場所に置いておいて。この本は私の後を追ってくる者の手に渡したい。ドラゴンの解けない謎の件で手伝うから。

この本を手に取り、東棟でまた私の残響を探して。私が作った、この謎に答える用意を整えておいて。

あげたり受け取ることはできても、借りられないものとは何?

アトモーラ教団の文書The Atmoran Cult Writings

公文書保管人オリアン・パマルク 著

ニルンの歴史の残響は深く遠く、生者の記憶からは消滅して久しい過去の知識や秘密の伝統まで遡る。しかしその音を最初に発した人間やエルフは姿を消しても、彼らが残した影響は、その文化や信念を我々が何らかの形で理解する助けになってくれる。

そうした謎の一つが、古代アトモーラ人の宗教的信念および崇拝対象である。これについての知識の一部は竜教団の歴史記録を通じて保全されているが、最近出土した記録は、これ以上に秘儀的な集団が存在したことを示唆している。

こうした記録は控えめに言っても断片的であり、古めかしいルーン文字で記されている。この文書の断片を多少なりとも理解できるものへと翻訳するために多大な努力がつぎ込まれたが、才能ある人々が力を合わせても、学者たちは写本の内容が文字どおりの生物や実践に関するものなのか、それとも宗教的な寓話を表しているのかについて意見を一致させられなかった。

以下の文は参照を容易にするためここに集めたものである。私と同僚たちは、これを互いの間でアトモーラ教団の文書と呼んでいる。

母なる蛾の教団
柔らかい夜に包まれて、彼女は我々に歌いかける。その大いなる羽根を一振りすれば、地平は銀の粉の眠りに覆われる。昼はよく生きよ、だが影を味わえと彼女は我らに命じる。比較する影がなければ、光もないだろうから。

母なる蛾はすべてを見る。無数の面を持つ彼女の目は、そのうちにアトモーラのすべてを宿し、それゆえ彼女は信じる者と信じぬ者を見分けられる。我ら少数の者たちだけが彼女の秘密を知り、彼女の歌を聞き、彼女を称える。

我らが栄光高き、毛に包まれた母は忍耐と高貴さ、柔らかさ、愛に満ちている。彼女の体は夜空よりも大きく、彼女の多くの足は木々よりも高く、彼女の飢えは尽きることを知らない。

だからこそ、我々は夜の間に、焼却と焚き火によって彼女を称えねばならない。すべての蛾は光を欲する。それは彼女の忠実なる子である我らも同様である。彼女の秘密は炎のちらつきの中で、星々の瞬きの中で、暗闇の光の中で我らに対して明かされる。彼女の飢えを満たすことは決して望めない。我らの供物があまりに貧しいためである。

それゆえ、我らは彼女の欲望を自らのものとせねばならない。我らは歓喜と共に光へ加わる。我らの薪は大きくなり、より熱く燃える。炎が我らの皮膚を舐める時、我らは痛みを感じない。母なる蛾のために燃え、暗闇を照らす時、彼女の舌がこすれる穏やかな感触を覚えるのみである。

蛇の民
塩水の深淵を自ら味わったことのない者に、蛇の話をしてはならない。足が大地を離れたことのない者に、蛇の話をしてはならない。勇気と栄光をもって蛇の口に向かうことを望まぬ者に、蛇の話をしてはならない。

蛇の話をしてはならない。

蛇の鱗持つ波を突き抜けて船を走らせたことがないのなら、蛇を称えてはならない。打ちつける海の上でその咆哮を聞いたことがないのなら、蛇を称えてはならない。海の墓場から蛇により救われたことがないのなら、蛇を称えてはならない。

蛇を称えてはならない。

多くの季節に多くの海で船を走らせるまでは、蛇を探してはならない。年月により体が重くなるまでは、蛇を探してはならない。もう旅する場所が残っていなくなるまでは、蛇を探してはならない。
蛇を探してはならない。蛇がお前を探すのだから。

その荒々しく、海水に浸ったヒレを受け入れよ。その筋と鱗の巨大な体を、その鋭く尖った骨の歯を。お前の体がいつか蛇を満たす時、お前もまた満たされるだろう。

ヤギの教団
フロストウッドは村が考えているほど不毛の地ではない。私はあそこで色々なものを見た。獲物よりも大きく、熊よりも大きい。あの森には怪物がいる。彼らは生贄を求めている。

私は立って歩くヤギに多くの贈り物を運んだ。彼は私のそばで貪った。彼は力強い髭から血をしたたらせながら、その奇妙な横長の瞳を細め、私が捧げた肉と魚に爪を食いこませた。

私は他の者を立って歩くヤギに運んだ。一部は叫んで逃げようとした。哀れな愚か者よ。立って歩くヤギはいつも彼らより速い。二つに割れた彼の蹄と筋肉質の足は、彼らよりも遥かに素早く地を駆けた。それが彼の美しさであり、彼の秘密である。

彼の栄光を目にした者は他にわずかだ。彼らの顔は恐怖から驚きへ、そして畏敬へと変化した。我らは力を合わせ、さらなる供物と信者を我らが偉大なる神へ運んだ。立った歩くヤギは食べねばならず、称えられねばならない。ここは彼の森だ。我らは彼の意志によってのみ生かされている。

インドリクの寓話Fable of the Indrik

夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。

地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。

その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。

両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。

「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」

敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。

ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。

インドリクの寓話(注釈付き)Fable of the Indrik (Annotated)

夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。
タムリエルにいるのは確か。グリーンウォーターの入江?ドーンブレイク?オーリドンに違いない。

地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。
ムンダス・ストーン。南の、小さな採掘集落から川を渡った所にある、小さな池の中の島にあるのを見たことがある。

その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。
この獣はインドリクに違いない。「月のような灰」はオンディルの遺跡を思わせる。

長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。
東沿岸、ブラニイム。塔はないが古代の力の井戸がある。

その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。
「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」

敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。

地図を確かめた。この寓話が書かれた時、ここは島でなかったのでしょう。今はオーリドンの南西の岸で、灯台がある。扉がまだあることを祈ろう。

ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。

インドリクの挑戦Challenges of the Indrik

アンカーの挑戦
邪悪なデイドラの獣たちが空から降ってきた。オーリドンの地から、奴らを一層せよ。

チームワークの挑戦
仲間の英雄たちと、栄光を求める他の勇者たちと戦え。

力の挑戦
強大な力を持つ邪悪な者たちが、オーリドンの洞窟で挑戦を待っている。彼らを倒し、より強いことを証明せよ。

浄化の挑戦
不死者たちが蘇り、オーリドンの地を汚している。死者たちを元の場所に送り返してやれ。

インドリク分析の印Sigil of the Indrik Analysis

さて、冒険者よ。私は信奉者ナーリアに、啓発者によって与えられる「力」が何を意味するのかを説明するよう言われた。私はスコラリウムに来てまだ間もないが、私の魔法の洞察をこの主題に全力で傾けることを約束しよう。

インドリクの大いなる力とは、タムリエル中に調和の共鳴を確立させることのようだ。長きにわたり眠っていた秘密の繋がりが、スコラリウム自体の中にあるものと同様、目覚めつつある。さらなる研究が必要ではあるが、目下の影響はおそらく、スクリプトと輝くインクが見えるようになることだろう。単なる紙切れや退屈で生命を欠いた文書ではなく、未来の力の前兆が見えるのだ。事実、小さなファウンはここスコラリウムに隠されたスクリプトに私を導いてくれた。実に刺激的だ!君がさらに啓発者たちとの関係を深めている間、私は探索を続けるつもりだ。

そしてもちろん、発見したものについては君に知らせていく。頑張ってくれ!

ウルフシルドのメモUlfsild’s Note

〈日記から破られたページのようだ。〉

できるだけ荷物をまとめたけど、憤りでいっぱい。愚か者と狂った者の心ない気まぐれが私の心を重くする。

すべてを救おうとして身を削った。発見したものを後世に残していく。スコラリウムは蘇る。ただ…

ウルフシルドのメモ:啓発者の起源Ulfsild’s Notes: The Origin of Luminaries

優れた謎の喜びを称えましょう!私は啓発者のそれぞれに、自らの種族の起源について順に尋ねたけど、全員が大きく異なる解答をした。私はこれを、ドラゴンのための不可能な謎を作るのに利用するつもり。

グリフォンの誕生にまつわる性質により、グリフォンの解答は毎日変わる。ある日はすべて魔術の力だといい、次の日は使用された魔力の量だという。でもついに正しい解答を得たという、揺るがぬ確信はいつも同じ。

インドリクは、自分が純粋な思惟から具現化したと考えている。物語を通じて世界の意味を解こうとする精神による発明だと。ネッチは単一の解答を与えることを拒み、触手の数にも劣らないほど多くの物語を繰り出してくる。

ドラゴンは、私がこれほどこの問題を気にかけていることに怒っているようにさえ見える。ドラゴンは過去のことを思い悩むより、彼女の言葉でいう「内なる宇宙」に集中することで満足している。

順番は適当だけど、以下が私自身の仮説よ。

1. 啓発者はエセリウスの流した涙である。我々はエセリアルの力を多くの形で見てきたけど、その多くはクリスタルだった。物理的な姿を持つ霊魂もありうる?

2. 啓発者はエドラによって作られ、我々を導き守るためにこの次元に意図的に配置された実験的存在である。啓発者はエセリウスにとって、オブリビオンにとってのデイドラのようなものだけど、より希少性が高い。

3. 啓発者は「魔法のサイクル」の自然な一部分である。魔術を水のようなものと考えるなら、啓発者は水道管であり、水を我々の次元まで運び、光るランプのように周囲に放出している。

4. グリフォンは自分がある強大な魔術師の呪文の余波として生み出されたと信じている。啓発者たちが我々の次元の何かによって形作られたという事実には一考の余地があるかもしれない。あるいは、啓発者がインドリクの言うように純粋な思惟の具現化なのか?偉大なる魔術の達成か?何者かが、たとえ偶然にでも啓発者を作ったのだとしたら、再びそれを行うことは可能か?

啓発者の誰も自身の起源を本当には知らないという事実は、彼らの起源を知ることに何らかの危険が伴うのではないかと思わせる。彼らの存在の本性を理解することは、彼らの中で何かを変化させる?

そのため、私はこのことが、私の謎の強みになるかもしれない考えた。ドラゴンが解答を思いつかなかったなら、解答を予想する術もなかった。

この考え方を気に入った私は、謎を携えてドラゴンのところへ赴いた。「啓発者の起源は何?」私は助けが必要ならば仲間の啓発者に相談するよう促した。ドラゴンに自分の解答が絶対の真理ではないと気づかせるため。

これはとてつもない間違いだった。啓発者は我々のように時間の経過を感じない。その後の議論はほとんど月のサイクル5回分ほども続いた。私はシャルの助言を求めたけど、彼は自分の研究で忙しく、また彼がこの試練全体をくだらないと考えているらしいことも伺えた。

結局、私は友人たちがこんな風に議論していることに耐えられなくなった。私は自分の謎を撤回し、ドラゴンにもう一度チャンスをくれと頼んだ。最初の謎を作るのにこれだけ長い時間をかけたのに、これからどうすればいいのか見当もつかない。

アイベアからは一時離れよう。サンホールド近くにある私の静かな聖域サナメアに行き、これからどこに向かうべきかを考えよう。

ウルフシルドのメモ:不可能な謎Ulfsild’s Notes: The Impossible Riddle

謎に複数の可能な答えがある場合、その謎は解ける可能性が高い。相手が謎かけの達人なら、可能な答えの数を少なくすれば、相手を行き詰らせる可能性が高いことになる。

手に入れるため諦めなければならないものは?答えは一つしかない。不可能な謎への答え。ミズビの考えた見事な答えだけれど、一度しか使えない。

ドラゴンに答えの存在しない謎を与えることはできなかった。私が答えを知らない謎も。だが、逆説ならどうだろう?

どんな可能なグリモアでも作り出せるグリモアを刻んだら、それは自分も作り出せるか?これが私の謎だった。ドラゴンには答える時間をやった。どんな答えを出してきても、私はそれに反論できる。私たちの会話は行ったり来たりを繰り返し、ついに満足したドラゴンは譲歩した。

私の魔術は永久に変化した。だが私はすでに先のことを考えていた。あなたのこと。私がスコラリウムに別れを告げた時、ドラゴンにあなたのことを話した。これはあなたの得になることだと約束する。私はドラゴンに三つのことを話した。

あなたはドラゴンの謎にふさわしい精神を持つでしょう。
あなたはドラゴンの探しているもの――新しい不可能な謎をもたらすでしょう。
そして私はとても注意深く、あなたは決して私の後継者であると主張しないだろうと言った。

この話の行方を見通していることを期待している。あなたにはできると私は信じる。もしわからなければ、助けを求めることを恐れないように。

私が学んだのは、いい謎かけという単純で喜ばしいものを探すため、一人で苦労する必要などないってことよ。

ウルフシルドの記録:あなたの発見、私の別れUlfsild’s Log: Your Discovery, My Farewell

私は啓発者たちを見つけた。でも私が最初というわけじゃない。あなたがこれを読んでいるのなら、私が最後の者ではなかったということだから安心できる。

私と同じように、あなたも自分なりにそのための旅を進んでいって欲しい。彼らを見つけだし、その恩寵を得るために必要な考え方の変化は、恩寵それ自体にも劣らない贈り物よ。

まだ世界が見たことのない魔術を生み出すこと。彼らに従うか、あるいは彼らの予想を裏切るか、あなたの魔術の表現を決めて欲しい。

私は啓発者たちをそれぞれ気に入っている。でも、私の心はいつも不死の存在に魅力を感じていた。自分自身は不死になりたいと思わなかったけど。私は彼らから学び、彼らも私から学んだ。そして私は私自身からも学んだ。

今でも啓発者が何なのかはわからない。私なりの仮説はある。もしあなたがまだ私のメモを見つけていないのなら、きっといずれ見つけるでしょう。

あなたが誰かは知らないけど、あなたの説を聞けたらと思う。シャリドールが啓発者への私の関心を共有してくれていたらと思う。こうだったらという願いはたくさんある。

これは願いじゃない。私はいつか誰かがこれを読むと信じてこの言葉を紙に記している。私が失ったものを、誰かが見つけてくれると。その誰かは見つけてくれた。あなたが今これを読んでいるのなら、それは実現した!人間も羊皮紙も永遠には続かないのに、この物語が何らかの形で存在し続けているのは、素敵なことだと思わない?私はただ自分の一部を残していっただけ。でもそれは無意味じゃなかった。

とにかく、私は最後の準備をしながら、そう自分に言い聞かせている。最後の別れを言うわ。すべては整ったけど、まだ足りないような気がする。私は…

〈日記の残ったページはちぎれてしまっている〉

ウルフシルドの記録:インドリクUlfsild’s Log: The Indrik

私が最初にインドリクを見た時、それは最初に見たインドリクではなかった。しかし当時の私はそのことを知らなかった。小さい頃の偶然の出会いは、シャリドールがオーリドンの昼間に崖上の母とファウンを指さすあの特別な瞬間まで、水に濡れたインクのようにぼやけていた。ああいう動物は確かに以前見たことがあった。そして記憶はまるで新しいインクで書き直されたかのように、はっきりと蘇ってきた。

私が小さかった頃、私はクランの両親によく、地面に落ちたか茂みに引っかかったマンモス毛皮の切れを集めてこいと言われた。両親はそれを粗い毛玉に変えた。あの臭いは思い出したくないが、忘れることもできない。仕事は気にならなかったが、その時家にして住んでいた場所から遠く離れて、一人で外を歩き回るいい口実になった。

春の終わり頃のある日、私はマンモスの群れが谷からの冷たい雪解け水が流れる川のそばに集まっているのを発見した。マンモスたちは川の水をごくごくと飲みつつ、暖かい日の下で体毛を振り落としていた。これは大量の毛皮を持って帰るチャンスだと思った。私は背の高い草に隠れて忍び寄り、マンモスの後部に手が届く位置にまで近づくと、木のような足から手に一杯の毛皮をむしり取り、巣作り中の鳥のようにかばんに詰め込んだ。完璧にうまくいっていたのに、マンモスの子供が私を見つけて、驚きの吠え声を上げた。群れが暴れ出し、紛れ込んだ小さな侵入者を踏み潰そうとする中、私は逃げようとしたが、逃げ場は見つからなかった。

足元で地面が揺れ、私は前に倒れ込んだ。土にぶつかると思ったら、私の顔は皮か羽毛に深く埋もれた。どちらともわからなかった。最初はマンモスの鼻かと思い、目を閉じて体を硬直させた。持ち上げられるか投げ飛ばされるか、とにかく安全なところに行けることを祈って。しかしぶつかって少しすると、自分が何か疾走しているものの背中に乗っているらしいことに気づいた。私たちは川の片側にいたのに、魔術が閃いて一瞬の後、反対側にいた。私を救った獣が早足程度にまで速度を落とすと、私は体を震わせて背中から降りようとした。

その獣が奇妙な吠え声を上げて消え去る時、私の目には四本足で立つ姿が一瞬映っただけだった。ヘラジカのような枝角があったが、鳥のように羽毛が生えていた。私はクランのもとに駆け戻ってこの話を伝えたが、彼らは笑うだけだった。ウルフシルドがまた森で眠りこけて、途方もない夢を見たってよ、と彼らは言った。かばんの毛皮の大半はなくしてしまったので、彼らは私が手の中に握りしめていた小さな羽をよく見もしなかった。

しかし羽はその後も持っていた。それは私が世界の中に見た流れと同じものから作られていた。川のように流れ続け、雲のように変わり続ける魔力の糸。私は羽を自分の帽子につけて被ったが、シャリドールとのあの瞬間まで、奇妙な枝角の生物のことは完全に忘れていた。

私はサンホールドへ、インドリクと狩人に関するボロボロの童話を置いていた古い巻物店に戻ろうとしつこくせがんだ。私に見える魔力のねじれのように、なぜか私はあの童話に他の者には気づけない何かがあることがわかった。明らかな道しるべが残されていたのだ。私は少女だった頃と同じように一人で放浪し、謎を解いて場所を見つけ、結界を見出した。偶然のはずはない。この指紋は私に追わせるため世界に残されたものなのだ。

私は自分がそれなりに優れた魔術師であることを知っていた。私の業績の噂は広まり、あろうことかシャリドールの注意を引いた。私は自分の力にそれなりの誇りを持っていたが、千年近くも年長の者がそばに現れたことで、実力を証明したいと思った。シャリドールに対してではない。彼は私が自分と対等ではないと思わせるような態度は決して取らなかったし、私もそういう振る舞いを許しはしなかっただろう。だが私は自分自身に対して力を証明したかった。

結界を破り、インドリクの領域に侵入した時、私はもうマンモスの群れに踏み潰されつつある怯えた少女ではなくなっていた。それでも、インドリクは私を覚えていてくれた。

ところで、シャリドールと私は異界の存在と決して取引してはならぬという契約を交わしている。この紙片で告白しておくが、私はインドリクと会った時にその契約を破ってしまった。つまり、私は童話から手がかりを得たのだ。インドリクが私に力を示せと言った時、私は昔に出会った時から持っていた羽を見せた。私は取引を持ち掛けた。インドリクが羽を奪い取れたら、私は大人しく羽を返し、この領域を去る。だが私が奪わせずにいられたなら、インドリクはその力と知識を私に分け与えると。

だが、この物語の結末は知っているだろう。これを読んでいるのなら、あなたはスコラリウムにいる。これを記している間も、インドリクの羽根は誇り高く私の帽子に刺さっている。私は自分自身とインドリクに対して、帽子を脱ぐまでもなく実力を示したのだ。

ウルフシルドの記録:グリフォンと狐Ulfsild’s Log: The Gryphon and the Fox

記憶がこれほど匂いに深く結びつくのは不思議なことだ。ふとジャズベイの香りが漂ってきただけで、私は小さい頃を思い出す。

冬の季節が近づき、空気が冷えてきたとき、私のクランマザーは育ちの悪い小麦と、傷がついたり熟しすぎたりしたベリーでタルトを焼いてくれた。パサパサで歯に付く甘いお菓子。でも私も含めて若者は最後の一口まで味わって食べた。タルトは吉兆だった。冬への備えがたっぷりあって、残飯を倹約しなくていいという証。

ある冬、私はこのお菓子を籠に入れて長老のところへ持っていく役目を与えられた。丘を登っていくお使いで、頬に当たる空気が鋭かった。籠は私の両手に重くのしかかり、目の前で自分の吐いた息が揺らめいた。長老の小屋から出る煙からあと少しのところで、私は多分一休みしたと思う。その時、小さく弱々しい吠え声が聞こえた。

茂みの陰から覗いてみると、道の反対側に小さな狐がいた。とても小さく見えた。赤ん坊だ、道に迷って凍えて、お腹を空かせているんだと思った。私は籠に手を伸ばし、タルトを一切れ細かく砕いて、狐に向かって放った。

狐はビクッと震え、逃げ出しそうになったが、小さな鼻が動くのが見えた。タルトの匂いに気づいたのだろう。恐る恐る最初のかけらを食べたが、子供の私には美味しいと感じているように見えた。狐はあっという間に残りのかけらを食べ尽くした。その時私は傷跡に気づいた。足首の周りに細い線がいくつもあり、毛皮に沿って小さな切り傷が付いていた。一体いくつの罠から脱出してきたのだろう?私が仕掛けた罠もあったんだろうか?

私が思いを巡らせていたその時、狐が私の籠を目がけて飛びかかり、持ち手の部分を器用に歯でしっかり咥えて、森の中に逃げ去っていった。

私は驚愕した。騙された。あれは弱った哀れな動物ではなく、抜け目のない盗賊だったのだ。私はできる限り素早く狐を追いかけた。枝や茂み、分厚く積み上がった雪を避けて川の土手を滑り落ち、降りた先で中が空洞になった木の幹を発見した。

中にいたのは盗賊狐と、子狐の群れ、そして私に向かって歯をむき出す細い母狐だった。

私は両の掌を上げて母狐に向け、地面から体を起こし、ゆっくりと木の幹から離れた。母狐は警戒を解いたので、私も同じようにした。私は母狐が子供たちの世話をするのを見ていた。タルトを足先で砕いて小さくして、子供たちが食べられるようにしていた。

どれだけ長く見ていたかはわからないが、クランマザーが恐怖に顔を赤くして、茂みを突き抜けて現れた時、母狐の耳がピンと立ったのを憶えている。彼女は私が長老の小屋に来なかったことを知って、獣に連れ去られたと思ったのだ。私はシッと合図して「赤ん坊が怖がっちゃう」と言ったが、彼女は怒って歯をむき出しにして、私を叱った。

自分にも母狐がいたことを知るのは、何とも奇妙な気分だった。

四つん這いになってスコラリウムの本の山をかき分けてジャズベイの匂いを辿りながら、シャルが入ってきて見られませんようにと祈っている時、私はそれを思い出した。特に埃の酷い四則演算に関する本の山をどかした時、私は実に奇妙なものを見た。狐だ。前足を私の机の上に置き、私が文鎮として使っていた小さなフェアライトを鼻でつついていた。

その途端私は子供の頃に戻り、ゆっくりと地面から体を起こし、驚かせないように両手を空中に掲げた。狐は私を見て頭を横に向け、微笑んだ。突然狐はフェアライトをその口に咥え、本の山をすり抜けて走り去った。

もし私が狐を追う訓練をしていたことを知っていたら、それでも狐は逃げただろうか。私は石の床をまるで氷のように滑って進むことができた。曲がりくねった角やでこぼこの丸石すべてを熟知していた。あのジャズベイの匂いが、この試練に子供のような喜びの感覚を与えてくれたのかもしれない。

私はもう少しで狐を捕まえるところだった。私の指が狐の尻尾の先をかすめたが、狐は壁に向かって跳躍し、壁を突き抜けた。一瞬のことで、あまりに突拍子もなかったので、私は軌道を修正する余裕がなかった。壁に激突すると思って身を固くしたが、驚くべきことに、私は壁を貫通してしまった。

私は積もった雪に転がり込み、雪の中に深く突っ込んだので、上下の感覚もわからなくなった。うめき声をあげて体勢を立て直そうとしたが、その時何かが私の足を掴んで引っ張り出すのを感じた。雪から自由になった私は、翼がはためく力強い音と、氷と羽の塊に気づいた。グリフォンだ。

グリフォンは私を無造作に落とし、空が完全に隠れるまで翼を広げた。それは両足の爪で地面を叩き、突進しようとしていた。その時狐がグリフォンの両足の間に現われ、グリフォンの注意を引こうとつっついた。

小さな盗賊は私のフェアライトをグリフォンに差し出した。するとグリフォンは力を抜き、謝るように私を見た。

彼らが何者か、私は理解した。いたずら好きの狐と、それを守る親だ。私は座って狐がフェアライトを蹴って転がすのを見ていた。いつそうなったかはわからないが、私はグリフォンの翼にくるまれて目を覚ました。暖かく、安心だった。

ウルフシルドの記録:ドラゴンUlfsild’s Log: The Dragon

私は謎解きに向いた性格じゃない。しかし謎かけというものには何かがある。私のような者にとってさえ、耳を刺激するような何かが。隠された意味を探すことには、抗しがたい魅力がある。

ミズビの寓話を聞いた時に私はそのことを理解した。マラバル・トールのジャングルを旅している時に出会った遊牧民の一団に混じっていた、月の歌い手に話してもらったのだ。ただ聞いただけでも、物語の謎かけ以上の隠された意味があるはずだとわかった。目に見えそうなくらい!あれを紙に書き記していたらと思う。答えが思い浮かぶまで、言葉を見つめ続けていられたのに。

私たちが立ち止まったその夜は、ここの気候に慣れていない者にとっても蒸し暑かった。ミズビとそのドラゴン、そして彼らの謎かけのことを考え続けていなかったとしても、私のようなノルドは眠れなかっただろう。私はシャルのいびきをテントに残して辺りをぶらつき、物語を語ってくれた遊牧民が見つからないかと思った。朝早く彼女を捕まえられれば、あの話がまた聞けるかもしれない。

しかしその時間に起きていた唯一の者は、星を見上げていた。敏捷そうなキャセイ・カジートだ。縞模様がようやく現れ始めたくらいの若者だった。私は彼と向かい合う形で焚火に座ったが、火は何時間も前に消えていたようだった。「寝なくていいの?」

彼は目を上に向けたまま、星が空を動き回るのを見てるのが好きなんだと言った。好きな星や星座があるのかと聞くと、彼は恥ずかしがって顔を隠した。「彼女が見ているかもしれない!」

「誰が?」私は上を向いた。彼の言う誰かが私たちを見下ろしているのかと思ったのだ。

「今はいない」と彼は言った。「雷や駆ける蹄のもとで、彼女は夜の間に二度、目を上げて僕にウィンクするんだ」

謎かけ?面白い。しかも子供の謎かけだから、私にも解くチャンスはある。駆ける蹄――馬のことだ。夜の間に二度?「黄昏の星?アズラのこと?」

「アズラー」と彼は繰り返した。彼は胸に手を当て、夢を見ているような面持ちでため息を漏らした。その後でようやく私に気づいたようだった。彼は体を起こし、「あの魔女じゃないか!」と尊敬の念を込めて言った。他の遊牧民たちが私たちの通過を話したらしい。「交換してもいい?」若者は駆け寄ってきて、何か重いものを私の手に押しつけた。冬の桃くらいの大きさの、よく磨かれたムーンストーンの艶やかな破片だった。

「交換って、何と?」

「その羽と!」と彼は言って私の帽子を指さした。

ああ、その羽か。私は羽を手放すことは望まなかったので、そのように言うと彼は残念がった。

彼はまたムーンストーンを私の手に握らせた。「でも交換だよ」と彼は言った。まるですでに合意済みとでもいうかのようだ。

「この羽は私にとってとても大切なものなの。あなたくらいの年の頃から持っていたのよ!」

あの大きな青い目に輝いていた好奇心に誘われてか、私は彼にインドリクの物語を話し出した。それはインドリクを探す私の物語へと繋がっていった。子供の頃と、大人になってからの両方の物語。そして私は彼の手にムーンストーンを返そうとしたが、彼は受け取ろうとしなかった。

「その物語となら交換してもいい」と彼は言った。まるで私が何かのゲームに勝ったみたいに。

私はムーンストーンを見つめた。「これを物語と交換できる?」

「物語でも、歌でも、羽でも。まっとうなものなら何とでも」と彼は言った。交換と取引についての子供なりの考え方だったのかもしれないが、彼が正当だと思ったのなら、私もそう思うことにした。

「ミズビとそのドラゴンの物語を知っている?」

「あの古い話?知らない人なんているの?」

私は知らなかった。彼や他の遊牧民のように、そらんじてはいない。少なくとも、今は。私は彼の腕をつかんで、ムーンストーンをその柔らかい掌に置いた。「ならそれを話して」と私は言い、筆に手を伸ばした。「ゆっくりとね。今度は私がそのドラゴンを見つけるんだから」

ウルフシルドの記録:ネッチUlfsild’s Log: The Netch

私のささやかな蔵書庫が命を宿したように感じる。時々、どこを見ても新しい本があるような気がしてくる。自分が持ってきた覚えもない本の中で、新しい秘密が発見されるのを待っているような。

この前、本棚の間に立って何か興味深い本に没頭していた時、シャツの後ろが鋭く引っ張られるのを感じた。(当然)狐だろうと思って振り向いたけど、誰もいなかった。他の状況だったら、私も薄気味悪く感じただろう。しかしなぜか、気分が軽くなった。まるで私を読書から引き離した奇妙な力は、ただ私が少しの間不思議そうに顔を上げることを望んでいただけのような気がしたのだ。

私は数分の間本棚の周りを歩き回り、角を覗き込んだり、脇によけておいた本の束を抜き足差し足で通り過ぎたりした。少々滑稽だったかもしれないが、幽霊の力の痕跡はなかった。

私は読書に戻ったが、同じことがさらに二度も起きた。まるでゲームのような感じがしてきた。私が読書に完全に没頭した瞬間、見えない力はどんなことをしても私の注意を引こうとしているみたいだった。次に同じことが起きたら、何も気づかなかったふりをしよう。無視されていると感じたら、見えない力はどうするだろう?

***
今日、私はスコラリウムのあの場所に戻った。私の本が巨大なリスの形に配置されていることに気づいた。読むべき資料を片づけ、近くの本棚を軽くチェックした後、私は腰を落ち着け、見えない遊び相手が戻ってくるかどうか待ってみることにした。

数分後、それは戻ってきた。昨日よりもさらに熱心な様子だった。服をしつこく引っ張る相手に向き直りたい気持ちを抑えて、私は自分の作戦を忠実に守るため無視を決め込んだ。どうやら相手は意気を削がれたらしく、その後数分間は静かになった。

この生物の気分を害してしまったかもしれないと思い始めたその時、本がまるで自分の意思を持ったかのように私の手から飛び出し、私の目の前に浮かんだ。突然このような子供じみた反撃を受けた私は驚き、つい笑顔になってしまった――他にどう反応しろというのか?渡さないゲームがそれに続き、見えない遊び相手が私の手の届かないところに本を引っ張り続けるのを見て私はまた笑った。

浮遊する本が大仰な動作で道を指し示す中、私は広間から広間へ導かれていった。ついに一番離れた書斎にたどり着いたが、そこは建設はしたもののまだ本を置いていない部屋だった。私の周り中から力の空気が放出された。インドリクほど陰鬱でなく、グリフォンほど真剣でない。私が思い浮かべたのは子供部屋や、芸術家の工房に近いものだった。創造と喜びの場所だ。

扉をくぐると、そこは…別の場所だった!陽光を浴びた海辺の地だ。浅い水辺をかき分けて進んだが、私の足はまったく乾いていた。親切な魔術だ。

温かい陽光を浴びていたのは大きな、光を発するネッチだった。それは海風の中で嬉しそうに揺れており、私が近寄ると抱きしめようとするかのように触手を伸ばしてきた。なぜか、私はネッチに害意がないこと――むしろその反対であることがわかった。

多くの触手が私の体の周りに優しく巻きついて抱きしめ、感触を確かめた。「こんにちは」と私はようやく声を出した。

私が口をきくとネッチは触手を緩め、1本だけが私の肩にかかった状態になった。「お前はとても心がふわふわしている」とネッチは言った。

「それはどうも…?」と私は返した。

「どうしてお前はそんなに元気なのかな?お前の器はどうしてそんなに、ネッチっぽくない?」

「ここにいるからよ。魔術と不思議に満ちている。楽しくないはずがないでしょう?」と私は言った。

これを聞いて、ネッチは少し高く浮いたようだった。「ああ、気に入ったよ!楽しいゲームをいっぱいしよう、ネッチじゃない人!」

私は微笑んだ。「私の名前はウルフシルドよ」

「ウルフ、シールド」ネッチは私の名前を思い定めた。「ウルフシルド、私は一緒に遊びたいと思う。お前はどうかな?」

私は躊躇したが、一瞬だけだった。「そうね、何をして遊びたいの?」

カール:歴史家助手Caal: Assistant Chronicler

フィラルディルの使い魔、商人

これは私の大切な使い魔、カールだ。彼女とは何年間も共に過ごしてきた。どうかカールに最大の敬意と優しさをもって接してくれ。売り子として、歴史家助手として、魔術師ギルドの立派なメンバーとして。

彼女はプロだ。まっとうに接してくれれば、あなたにもまっとうに応対するだろう。

カラスの寓話Fable of the Crow

カラスは話すこと、旅すること、光るものが好きだった。森の中で彼女の呼び声に答えた者、彼女に並ぶ知恵を持つ者は1羽だけだった。それはハンサムで孤独を好み、長く生きてきたことによる知恵を持つレイヴンだった。

しばらくして彼らは一緒になり、力を合わせて大きな巣を作った。森の魔法のすべては彼らのものだった。

カラスは光るものを集めた。森の友達からの贈り物だ。最初、レイヴンは色々な疑問を持った。

「この力の贈り物の価値はわかる。だがこのの贈り物にはどんな価値がある?」

「これは私の好奇心に報いてくれるの」とカラスは答えた。

「ではこの忠誠の贈り物は?」

「それは私を守るためよ。私たちの友情を強めてくれる」とカラスは説明した。

「意外な慈悲を数多く受け取っているんだな」とレイヴンは感想を述べた。

「私の友達は優しいのよ。分かち合うのはいいことだわ。私たちの巣と同じ!私たちのためには十分な空間があるし、私たち以外も入れる」

レイヴンはこうしたガラクタにすぐ興味を失ったが、カラスがそれで喜ぶことを理解したので、そうした贈り物を彼女が巣の下にため込むことで文句は言わなかった。

ある日、レイヴンはカラスに巣を交換しようと考えていることを伝えた。カラスはとてもがっかりした。レイヴンは一体何を巣と交換するつもりなのだろう?それに誰と?

彼はある見知らぬ者が星と交換しようと持ちかけたのだと話した。彼の目はカラスが見たことのない期待に輝いていた。レイヴンはそんな輝かしい贈り物があれば、どんな素晴らしいことができるかを語った。

彼の中で何かが変わってしまったのだろうか?それとも前からずっとこうだったのか?カラスにはわからなかった。カラスには彼を止めることもできなかった。レイヴンの取引が動き始めてから、もう手を引くことはできなかった。

クラススクリプトの謎The Class Script Conundrum

冒険者よ!

ギルド中の友人や歴史家仲間を通じて、秘術の羊皮紙片が興味深い場所に姿を現しているという話を聞いている。この「紙片」はドラゴンの専門であるシグネチャースクリプトと同じ魔術的性質を持っている。

どうやら、様々な宝箱が現在、この羊皮紙片の追加によって「改良」されているらしい。現在までに受けた報告で、これが手に入る場所は以下だ。

– 古代のダンジョン
– 冒険者同士のバトルフィールド
– シロディールの前線
– メイルストロームやドラゴンスター・アリーナなどのバトルアリーナ
– クラウドレスト襲撃やホール・オブ・ファブリケーション探検など、大規模な冒険
– 達人の依頼の報酬箱からも!

あの信用ならぬドラゴンが頭を捻って作り上げた、実に厄介な問題だ!奴の神秘的な馬鹿騒ぎの答えを、君が見つけてくれることを願っている!

グリフォンの寓話Fable of the Gryphon

〈ページが本から破り取られていて、本の外装だけが残されている〉

グリフォンの寓話Fable of the Gryphon

〈ページが本から破り取られている〉
「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。

ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」

彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。

トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!

「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」

「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」

「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。

だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」

しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。

その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…

〈さらにページが破られている〉

狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。

路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」

「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」

ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」

グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」

ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。

「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。

「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう」

「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ」

グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない」

だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく」

〈ページが破られている〉

フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。

フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。

ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。

ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。

リフテンの東からフォーレルホストへ旅して、近くに別の洞窟か空洞がないか調べましょう。一緒に来るようシャルを説得できるかもしれない。あれからしばらく

〈さらにページが破られている〉

威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。

夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。

「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。

「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」

闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。

グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。

だがその時にはすでに遅かった。

ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。

グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ1Gryphon Fable (Annotated) Page 1

〈ページが本から破り取られている〉

「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。

ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」

彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。

トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!

「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」

「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」

「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。

だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」

しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。

その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ2Gryphon Fable (Annotated) Page 2

〈ページが本から破り取られている〉

…狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。

路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」

「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」

ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」

グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない。」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」

ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。

「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。

「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう。」

「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ。」

グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない。」

だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく。」

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ3Gryphon Fable (Annotated) Page 3

〈本から引きちぎられたページがある〉

…フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。

フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。とすると、ブロークンヘルム洞窟か。

ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。

ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ4Gryphon Fable (Annotated) Page 4

〈ページが本から破り取られている〉

威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。

夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。

「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。

「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」

闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。

グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。

だがその時にはすでに遅かった。

ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。

グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた。しかしグリフォンは…

グリフォンの守護Safeguards of the Gryphon

健康の守護
東のリフトにおいて、かつては神聖だった地が虫の教団に蹂躙された。奴らの血で大地を染めてもよいが、希少な薬草フォックスルートをこの地域で探し、持ち帰れ。

深淵の守護
リフトにある多くの洞窟や遺跡、砦を探検せよ。広間を汚している強敵を1体葬り去れ。

腐敗の守護
リフトの街では、悪徳商人が水で薄めた生薬を扱い、貧民を食い物にしている。そうした売人を探し、その強欲の報いとして財産を盗んでやれ。

死の守護
リッチはアンデッドの中で最も強大な存在であり、生者に対する暴君として振る舞う。リッチはしばしばその不死の源泉として聖句箱を持っている。リッチのカルウリオン、ネリエンエス、狂乱の建築家のうち1体を探して倒せ。リッチの力の断片を持ち帰ること。

盗賊の守護
狐と過ごしたことで、私は富の賢い再分配の価値を学んだ。盗賊ギルドは彼らが強奪と呼ぶ冒険の手がかりを提供している。それを2つ完了し、証拠として狐目石を一組持ち帰ること。

星の守護
エセリウスの欠片は誤った者の手に渡れば危険な武器だ。こうした以前力を持った石の欠片は、今でも古代アイレイドの遺跡に眠っている。シロディールへ赴き、ベルダ、リンダイ、サルダヴァー・レードの遺跡でこうした欠片を探せ。

グリフォン分析の印Sigil of the Gryphon Analysis

なんてことだ。グリフォン棟を完成させる途中でいつものように自分の店へ戻ったら、あの狐が私の店を荒らしているじゃないか!哀れなカールはわめいたり唸ったり、我を忘れているようだった!追い返したが、あれが口をきき始めると、何とも可愛くて…うーん、あんなに可愛い獣に出会ったのは初めてだと言えるだろう。しかしカールはまだ怪しんでいる。

とにかく!君がグリフォンと協力した一番明らかな成果は、現在スコラリウムを潜在的な脅威から守っている、素晴らしい動く鎧のコンストラクトだ。またグリフォンの力の封入はタムリエル中に、新たな活動の秘密の繋がりを生み出している。ここスコラリウムでは、かなりの数のフォーカススクリプトを見つけたよ。いつでも使用できる状態だ。

同様に、魔術師ギルドにいる私の情報提供者も、報酬箱にフォーカススクリプトが現れたことに驚いていた。他の冒険者との戦闘に参加する冒険者も、「功労者」報酬(専門用語ではそう言うらしい)にこのスクリプトを見つけているし、洞窟を探検する者も、この貴重な羊皮紙片を手に入れているようだ。

実に多様な場所から見つかっている!さらなる調査が待っているぞ!素晴らしい!

ジュリアンのメモJulian Notes

ナーリア、

仮のメモを作れと言われたので、いくつか作っておいたわ。あなたのスコラリウムで私が好きになれないものの短いリストよ。

– 古い本の匂い。ロマンチックに考える者もいるけど、あれはただのカビの堆積よ。私のアレルギーを悪化させる。古代の書物を分析するということは、私が好きなものの残骸から永遠に病気をもらい続けるということじゃない。
– 本を汚す者。毛むくじゃらで優しくて、可愛くても…まあ、狐はそんなに悪くないか。
– 古代魔術の存在によるいたずら。面白い冗談だと思っているらしいけど、まるで面白くないわ。
– 中に入って新しい魔術の形式を発見していく侵入者ども。私だってやれたことなのに。
– 謎かけ!私たちは子供か何か?コンコン、どなた?いや、いいわ。どうでもいいし、私はまた巻物に取り掛からないと。

スルジェグの行軍Thulgeg’s March

追憶者クラルサ 著

長年の間、ホロウ・ウェイストのオークたちはラ・ガーダに力強く応酬してきた。だが沿岸のレッドガード諸王国は年を経るごとに力を増し、砂漠のオークたちの砦は次々に陥落していった。

その当時、戦士長スルジェグが成人した。彼は北と西、南を見て、民に向かって言った。「我々は敵に囲まれている。なのにクランたちはいがみ合っている。我々は一つの旗の下に力を合わせるか、でなければ孤独に敗北するだけだ」

砂漠のクランたちはスルジェグの言葉を聞き、その勢力を集めた。ヘガセからの部隊がクラン・コルクフグの砦に押し寄せた時、スルジェグは砂漠のクランすべてをコルクフグの防衛に向かわせた。彼はヘガセのレッドガードに手痛い敗北を味わわせ、石壁に覆われた彼らの街へと追い返した。この勝利を記念して、集結した首長たちはスルジェグを戦士長と呼び、彼の導くところならどこへでも従うことを誓った。

しかしスルジェグは、勝利のうちに敗北の種を感じ取った。結束したとはいえ、クランたちにはヘガセの壁を打ち破る力が欠けていた。戦士長は丘の上に立って街を見下ろし、長い間考え込んでから降りてきた。

「我々の故郷は三つの開いた扉を持つ家だ」とスルジェグは砂漠の首長たちに言った。「海は我々の砂漠の三方を取り巻いている。すべての方角から同時に襲ってくる敵との戦いに勝つことはできない。だが東になら、山脈に背中を預けられる。我々は槍ではなく、足を使って生き延びねばならない」

スルジェグの言葉を聞いた者たちの心は重かったが、彼の言うとおりであることを理解した。レッドガードが戦力を集めている間、砂漠のクランたちは鍛冶場へ行き、運べるものすべてを集めてきた。そしてスルジェグは彼らを東へと導いた。多くのゴブリン部族が彼らに加わり、数を増していった。

ティゴナスの峡谷を越えてスルジェグは歩んだ。どんな激戦にも劣らない、喉の渇きと苦痛に満ちた旅路だった。フォールンウェイストでは、ヘル・ラのレッドガードが彼を阻止しようとした。だがスルジェグは千人の戦士を前衛部隊として率いて彼らを防いで道を切り開き、砂漠のクランたちはその後に従った。

北へ方角を変え、スルジェグはバンコライの門にたどり着いた。彼は渓谷に敵対されるより前に山脈を越えたかった。しかしスルジェグの行軍の噂はクランよりも先に到達し、ハイロックの戦士たちは渓谷の防衛準備を整えていた。またしても、スルジェグは戦士たちを敵に向けて放った。だが長い一日の戦いを経た後でも、守りは崩れなかった。

レッドガードの大部隊が足元に集結しつつある今、スルジェグは鉄槌と鉄床の間に挟まれたことを知った。彼は首長たちを呼び集めた。「留まることはできない。だが敵から逃れることもできない」と彼は言った。「クランたちを闇に乗じて山脈へと進ませよう。だが野営の火は燃やしたままにしておく。私は五百人の戦士と共にここに残る。それで敵は我々がまだここにいると思うはずだ」

クランたちは将軍の命じたとおりにした。3日の間、スルジェグはひたすら攻撃のそぶりを見せ続け、ハイロックの勢力を壁の向こうに留めると同時に、レッドガードの部隊をバンコライ北に引きつけ、その間に砂漠のクランたちを山脈へと退却させた。それが済んだ後ようやく、スルジェグと生き残った少数の者たちも脱出を始めた。

レッドガード部隊がバンコライの壁の前の無人の野営地にたどり着いた時、彼らは死者たちを見て、放棄されたテントを見た。そこで彼らは立ち止まった。砂漠のクランたちを最後のオークに至るまで滅ぼしつくしたと思い込んだのだ。だが戦士長の民は生き残った。スルジェグはこの後彼らをロスガーへと導き、そこでオルシニウムの基礎を築くのを助けたのである。

チャイマーにおける変化A Change in the Chimer

アレッシアに選ばれし者、カルロッタ・マロ 著

我々の時代を、奇妙な出来事が浸食し続けている。まずはレッドマウンテンの戦い、その次はドゥエマーの消失、そして今度はチャイマーにおける突然の身体的変化だ。

もちろんこの事件に関しては、手っ取り早くゴールドを稼ぐことを目的として誇張された記述がすでにシロディール中で流通している。「彼らの濃い肌の色は時代の終焉を告げている!」「彼らの目を見つめていると、オブリビオンへ引き込まれてしまうだろう!」というようなものだ。

こうした戯言の一部は事実として主張され、明日の若者に教えられてしまうだろう。それゆえ学者として、私はこの「ダークエルフ」と呼ばれる者について自分が直接見たことを記録する使命を自らに課した。彼らの皮膚は灰であり、目は溶岩のような赤だ。これをレッドマウンテンの呪いと呼んでいる者がいるのも理解できる。しかし彼らの性質は変化していない。だとすれば、彼らの外見の変化は本当にこれほどの大騒ぎに値するのだろうか?

ダンマーにせよチャイマーにせよ、自分たちなりの生活を続けているし、誇り高き伝統を持つ民族であることに変わりはない。そして明るい未来を持つことも疑いないだろう。親愛なる読者よ、これこそ私が知る事実である。

ドラゴンの寓話Fable of the Dragon

謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。

ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。

その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。

賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。

ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。

次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。

「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」

爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。

ついにミズビが「松明だ!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。

ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。

彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。

ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」

歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。

「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。

二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。

「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」

「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」

ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。

だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」

ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。

ドラゴンの寓話Fable of the Dragon

謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。

ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。
当然ながらリーパーズ・マーチね。

その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。

賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。

ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。
この寓話を真に受けすぎたのは間違いだった。私の2つ目のメモは、ホール・オブ・コロッサスの脱出どころか、スームとドラゴンがいかにして人の頭の中に住めたかという話に脱線した。簡単よ。ジャゼンジ・シーラはデューンのすぐ西にある。

次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。

「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」

爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。

ついにミズビが「松明!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。
ろうそくか、不穏だけど結婚かと思った。これはド・クリン修道院でしょう。ここでいう「爪」は爪の教団のモンクに違いない。

ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。

彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。

ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」

歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。

「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。
カジ・ラウリス。あそこは何年も前、シャルと一緒に初めてサマーセットへ行った時に通り過ぎた。素敵な場所よ。

二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。

「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」

「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」
洞窟かと思った。ミズビによるとそうではないけど、間違ってもいない。この柳の森は見た気がする。名前の由来になった村よりさらにずっと南にある。

ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。

だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」

ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。

ドラゴンの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Dragon

スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンの寓話の中に出てくる謎について話し合った。関係する場所はすべてリーパーズ・マーチにある。

寓話の中で出てくる順番は以下のとおり:

信奉者ラーレンによると、ジャゼンジ・シーラはシロディール語に翻訳すれば「ジョーデの光」らしい。遺跡はデューンのすぐ西にある。そこで最初の結界を探す。

カラスはド・クリン修道院がラウル・ハ南西の、水の三日月の上にあると言っていた。そこで第二の結界を探す。

ナーリアはグリムウォッチ砦がカジ・ラウリスの遺跡の上に築かれたと言っていた。これはリーパーズ・マーチ北西にある。そこで第三の結界を探す。

最後に、ジュリアンはリーパーズ・マーチ南にある柳の森と呼ばれる村の話をしてくれた。ドラゴンの翼への扉は村自体から南の森にあるかもしれない。おそらく洞窟の近くに。

ドラゴンの謎Riddles of the Dragon

戦いの謎
前へ進み、六体の最強の敵を、砂丘が月の下の黄金の平原へと道を譲る場所で刈り取れ。

戦争の謎
戦争に苛まれ、三つに引き裂かれた地の下から、木が割れ、藁が見つめ、カエルが足を休める場所で戦利品を略奪せよ。

月の謎
命令を受けた爪によって守られた修道院の庭より、暗い月の光の中でのみ咲くものを摘み取れ。

狩りの謎
太陽の祝福を受けた地、ミズビとそのドラゴンが逃げ出した地で獲物を追跡せよ。赤色の歯と爪が獲物だ。

ゲームの謎
苦痛や刃、死を欠いた戦場にて、名声や後援者の愛をかけて敵と戦え。

富の謎
リーパーズ・マーチの三つの主要な集落にて、没収された二組の戦利品を探せ。

ドラゴンの謎(回答)Riddles of the Dragon (Solutions)

スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンが示した謎について話し合った。彼らは謎の解き方について、いくつかの手がかりを与えてくれた。

ラーレン:富の謎
リーパーズ・マーチの金庫からドラゴンにとっての「宝」を探して盗め。2つの研究者の発見物からメモを手に入れて戻って来い。発見物はラウル・ハ、アレンシア、デューンに1つずつある。

ジュリアン:ゲームの謎
テイルズ・オブ・トリビュートの勝負に勝て。

イルナード:戦争の謎
シロディールに行ってヘイノート洞窟、クラックウッドの洞窟、毒キノコ洞穴のどこかで宝を探せ。

ナーリア:狩りの謎
リーパーズ・マーチで獣を倒せ。

ナーリア:戦いの謎
リーパーズ・マーチでグループボスを倒せ。

カラス:月の謎
リーパーズ・マーチのド・クリン修道院に生えるベントの踊りの花を集めろ。

ドラゴン分析の印Sigil of the Dragon Analysis

他の者たちから、ドラゴンの基準に見合う謎かけを作るという試練を君が成し遂げたと聞いている。よくやってくれた!君の努力がタムリエル中で魔力の変転を引き起こしたのは間違いない。ドラゴンの力の封入により、私はスコラリウムの奥の広間を歩き回っている間、いくつかの新しいシグネチャースクリプトを見つけることができた。

さらに魔術師ギルドの私の情報提供者は、悪名高い凶悪な怪物を倒した報酬の箱から、シグネチャースクリプトが現れることに気づいた。またシロディールで三旗戦役に参加した場合も同様らしい。戦士ギルドの鈍重な連中も、見たところ報酬にシグネチャースクリプトを見つけたそうだ。しかしこれほどの秘術のデザインの結晶を、彼らがどう処理するのかは想像もつかんね。

そして他ならぬアークマギスター、ヴァヌス・ガレリオンが君の働きに注目していることを知らせておこう。彼は様々なスタイルのスクリプトをいくつか、大陸中のギルドホールで研究用に公開するために補助金を出している。詳しくは達人たちに配布されているチラシを見て欲しい。

実にお見事だ!この調子で続けてくれ!

ナーリアの日記1Nahlia’s Journal 1

ついにやってのけた。信じられない!私は正式にランプ騎士団の騎士になった!これから私は信奉者として、私なりの方法で魔術師ギルドに奉仕することになる。もちろん、父は私が教室の達人たちと一緒にいることを望んだだろうけど、私はいつも魔術より剣のほうが理解しやすいと思っていた。

もう最初の任務を受け取った。達人の小さなグループに付き添って、明日の夜明けにアイレイドの遺跡へ行く。特別なことは起きないだろう。彼らは建物の入口付近でルーンを調査するだけだ。そんなに危険だとは思えない。

***
どうやらギルドはまだ、私だけで達人たちを守れると信じてくれてはいないようだ。今回の旅にはもう一人信奉者が来る。ラーレンというダークエルフだ。彼は私と比べてそれほど経験豊かなわけではなく、私より一つ階級が上な程度だ。広い目で見れば、私たちは二人ともまだひよっこだろう。

少なくとも、彼はこのグループの魔術師たちより話しやすい相手だ。私が以前は彼らの仲間だったせいかもしれないが、魔術師は私たちの存在を余分だと感じているのがわかる。魔術があれば十分だと。確かに、何かがあれば彼らの大半は自分の身を守れるだろうけど、マジカは枯渇する。私は剣を振る力さえ残っていれば戦える。

目的地が近いようだ。達人たちが活気づき始めているし、足の痛みからするともうかなり道を進んできたはずだ。魔術師たちがルーンか何かを調べている間に、少し休息を取れるといいけど。

ナーリアの日記2Nahlia’s Journal 2

ラーレンに感謝しなければ!彼がいなければ、私は今頃生きていなかったかもしれない。

いや、待って。話が飛んでしまった。最初から書かないと、後になって意味がわからなくなる。記録は得意ではないけど、これは重要なことだから。

遺跡に到着した後、しばらくは静かだった。遺跡は一般的に危険とみなされていない、コロヴィアの絵に描いたように美しい地区にあった。信奉者ラーレンと私は交代で周辺を巡回したが、過剰な警戒だと感じた。達人たちは遺跡の中へ続く古い扉の近くで、扉に刻み込まれたルーンをメモのルーンと対照させ、何か書き込んでいた。私はラーレンに休憩を取ろうと呼びかけようとしたが、その時ある達人が叫び声を上げた。

理由も方法もわからないが、彼らは扉を開いたのだ。予定にはない行動だったが、それだけなら問題はなかった。だが遺跡の中から怒れるゴブリン部族が押し寄せてきたのだ。イフレの髭にかけて、あんなに怒り狂った集団は見たことがなかった。確かによそ者がいきなり家に侵入してきたら、私も怒りはするだろうが。

達人たちは素早く呪文を唱えて身を守り、メモを胸元に抱きかかえて退却した。ラーレンは獲物を狩る狼よりも素早く、達人たちとゴブリンの間に割り込んで剣を振るった。気づいた時には私も彼の隣で敵の中にいた。信奉者の訓練がしみついていたのだろう。私の体は、精神が追いつく間もなく反応していた。

私たちはそうしてしばらく戦った。ラーレンと私はお互いをかばいつつ、ゴブリンと達人たちの間に緩衝地帯を作った。ありがたいことに、ゴブリンたちの数はそこまで多くはなかった。それにゴブリンは、どうやら遺跡に戻っていく様子を見せていた。

私は振り返って、達人たちが全員無事に逃げたかどうか確かめた。私の注意が逸れたのを見て、大胆なゴブリンが私の足首を捉えて地面に引きずり倒した。

信奉者訓練のルールその1、戦場では足を地面から離さないこと。やられた。最初の任務で命を落とすとは。しかもゴブリンごときに!

その時、自分がこんな考えを抱けるほど長い間倒れていて、しかもまだ死んでいないことに気づいた。そこでラーレンを見ると、彼の顔は集中で引き締められていた。ラーレンはゴブリンの群れを単独で食い止めていた。彼の顔は傷だらけで血にまみれていた。地面に倒れた私を守るために、あえて敵の攻撃を身に受けていたのだ!

それを見て私はすぐ行動に移った。飛び起きて立ち、剣を構えた。しかし起き上がる時に、何かが違うと感じた。お腹に鋭い痛みを感じ、指先がゾワゾワした。この感じは前にもあった。ごくたまにだが、魔術師ギルドのクラスルームにいた時だ。私に流れる魔力が、解放されるのを求めているのだ。

私は逆らわなかった。両手を伸ばし、エネルギーを外に向け、私が唯一得意とする魔術の要素に変えて放った。ポータルだ。

他の達人たちはためらわなかった。ゴブリンたちは退却していなかったので、これ以上調査ができないことは明らかだった。彼らは家へ戻るポータルに飛び込んだ。ラーレンはまだ戦っており、今や息を切らしていた。

ラーレンに呼び掛けると、彼は私が召喚したポータルを見て眉を上げたが、すぐに理解した。私に向かって短いうなずきを返すと、ラーレンは乱闘から逃れて頭からポータルに突っ込んだ。私もすぐ彼の後ろを追い、通り抜けた後に背後で魔力の流れを断った。最後に聞こえたのは、獲物に逃げられたゴブリンたちの怒れる叫び声だった。

***
この最初の任務について両親にどう伝えるか、まだ決めていない。ギルドによく仕え、達人たちを守ったことは誇りに思ってくれるだろうが、両親は私が守る側ではなく、守られる側にいることを望んでいる。それでも、最高の気分だった。ラーレンは私が素早く脱出させたことに礼を言ってくれたし、魔術師たちさえ私のポータルの能力に感心したようだった。

ナーリアの日記3Nahlia’s Journal 3

ギルドから最新の任務を受け取った。上級の達人たちと一緒に、ある放棄された砦を探索する。危険があるかもしれないので、この任務に私が指名されたそうだ。この数年間で、私のポータルはギルドにとって欠かせないものとなった。本当に名誉だ。

しかし、ジュリアンと付き合わなければならない。

彼女が嫌いというわけではない。才能はあるし、これまで私が見た中でも特に優秀な達人だ。でも彼女は私がアルケインの研究を続けず、信奉者となったことに一切理解を示さなかった。あの人は剣術にまるで敬意を持っていない。

まあ、任務だから仕方ない。

***
旅の始まりは平凡だった。数人の魔術師がいて、ラーレンと私が護衛。私たちは砦を見つけて、中に入った。伝説によると、この砦の以前の所有者は魔術に関する希少本の収集を趣味としていたらしい。だから書斎が私たちの最終目的地だ。

しかし伝説になかったのは、所有者が何者かに貴重な本を盗まれるのではないかという考えにとりつかれていたことだった。私たちがその「何者か」ということになるようだが、死者が本を読めないのはイフレもご存じだ。とにかく、この場所はどこもかしこも罠で埋め尽くされている。

最初、ジュリアンはラーレンと私がグループのために道を確保する作業をしなければならないことに苛立った。彼女はさっさと本を手に入れて、この陰気な城から出たいと思っていたのだ。

杖から魔力の光を放出して明かりにすれば、前の危険くらい十分見えると彼女は主張した。私はあきれたが、そんなに望むならと先頭を行かせてやった。私たちは少しの間広間を進んだが、床に置かれていた妙な形の石板が私の注意を引いた。

私が警告を発する前に、ジュリアンは石板を踏んだ。気づかずに罠を起動させてしまったのだ。

ジュリアンは振り向いて私を見たが、飛びのいて避ける様子がないことは見てわかった。私は何も考えずに彼女に体当たりして床に突き飛ばし、私たちの側面の壁に隠されていた巨大な刃の振り子を間一髪で回避させた。

もう少しで刃にかかるところだったと気づいて、ジュリアンの顔は怒りからショックへと変わっていった。

ナーリアの日記4Nahlia’s Journal 4

埃っぽい広間で上に折り重なった私の顔を真っすぐ見つめて、ジュリアンはただ「素早いのね」とだけ言った。しかしその後は、ラーレンと私を先に行かせてくれた。

(スパイクの穴を2つ、トラバサミを1つ、毒のダーツを3つ抜けた後で)ようやく書斎までたどり着いた頃には、もう全員さっさと本を手に入れてずらかりたい気分になっていた。

書斎はカビ臭くて蜘蛛の糸だらけで、凍えそうなほど寒かった。まるで墓だ。壁に沿って並んだ本棚には古代の魔術書が大量に入っていて、私でさえ見てみたいと思うほどだった。部屋の反対側には木の机があり、その奥には王の衣装を身につけた骸骨が座っていた。骸骨の伸びた手は巨大な革表紙の本の上に置かれていた。これが蔵書の最重要品だった。骸骨は明らかに砦のかつての所有者のものだろう。死んでもなお自分の本を見守っているのだ。

ラーレンと私は手早く部屋内の罠を確認した。何も見つからなかったので、私たちは入って必要なものを取れと魔術師たちに合図した。しかし何かがおかしい気がした。砦の所有者はなぜ、自分の蔵書庫に最後の守りを用意していないのだろう?

私はジュリアンを見やったが、彼女はまだ注意深く本棚を調べていた。机を見ると、若手のある達人が骸骨の手から本をもぎ取ろうとしていた。

「馬鹿、やめなさい!」とジュリアンが叫んだ。

遅かった。骸骨は虚ろな目の穴から不吉な光を発して動き出した。達人は叫び声を上げて逃げようとしたが、骸骨は彼女の腕をつかんだ。ラーレンや私が反応するよりも早く、ジュリアンはマジカの衝撃波を放った。骸骨の顎がカタカタと揺れ、達人を掴む手が緩んだ。

達人は本を元の場所に残し、部屋の反対側に逃げ込んだ。「信奉者、ポータルを頼むわ」とジュリアンは私に言った。

「でも本は?ここまで来たのに!」と私は言った。

「仕方ないじゃない。達人たちを無事に脱出させないと」。ジュリアンの目が燃え上がり、指の中に炎の玉を呼び出そうとしていた骸骨に向けてもう1発魔法弾を放った。

彼女の判断を尊重するしかなかった。ポータルは簡単に作れた。達人たちは退却したが、数人は逃げる際につかみ取った本を抱えていた。そしてラーレンとジュリアン、私だけが残った。

「行こう」とラーレンが言った。だがジュリアンはためらった。手ぶらで帰りたくないという気持ちが読み取れた。私も同じ気持ちだった。

「待って」とジュリアンは言った。彼女は私を見た。

「何をしている!?」ラーレンは飛んでくる火の玉をしゃがんでかわしながら叫んだ。

「いいから行って!」と私はラーレンに言った。ラーレンは言い返そうとしたが、共に戦ってきた数年間で、私たちの間には強い信頼が生まれていた。躊躇を飲み込んで、ラーレンは私の言うとおり、後ろを振り返ることもなくポータルに飛び込んだ。

ジュリアンはすでに呪文の準備をしていた。顔は完全に集中していた。「行くわよ、いい?」と彼女は言った。
私はうなずいた。

ジュリアンはそれ以上何も言わず、巨大なエネルギーの波動を骸骨に向けて発射し、骸骨を後方に吹き飛ばした。その間、私は前に突進して机までの数十センチの距離を詰め、骸骨が態勢を立て直す前に古代の書を手に取った。ジュリアンはすでにポータルをくぐって姿を消していた。私は振り返ってまず本を投げ込んでから、自分も飛び込んでポータルを閉じた。

出てきた時には軽く火傷していたが、こんなに満面の笑みが自分の顔に浮かんだのは実に久しぶりだった。それにつられたのだろう、ジュリアンさえも私を見て笑い出した。彼女と働くのも、そんなに悪いことじゃないかもしれない!

ネッチのゲームGames of the Netch

細工師のゲーム
細工師は次の発明が成功しなかった場合、取引に失敗する。フォーゴットンウェイストとヌシュレフティングスで強大な敵を倒し、細工師のための希少素材を集めろ。

名誉のゲーム
帝都で戦いが巻き起こっている。命を落とした兵士たちが正当に弔われていない。街にいるデイドラを倒し、この死者たちの形見を集めろ。

商品のゲーム
旅をする商人たちのグループが所持品を強奪された。ヴァシール・ディダナット鉱山で所持品を取り戻せ。

灰のゲーム
デイドラはヴァーデンフェル中で人々の生活を困難にしている。彼らを本来の領域へ送り返し、善良な人々が夜眠れるようにしろ。

漁師のゲーム
感染症が熟練の芸術家一家を脅かしている。ヴァーデンフェル周辺の川で捕まえた新鮮な魚を食べれば病気は回復する。治癒の宴のため、魚を獲れ!

鏡のゲーム
ウェストウィールドが攻撃を受けている。鏡に映った侵略のポータルから出てくるものから、この地域の農民たちを守れ。

フェッチのへそNable of the Fetch

ウルフシルドのお気に入りの啓発者に関するまったく本当の話

ある者はインドリクの力を求めた。想像力に欠ける桁外れに退屈な者で、力と権力に惹かれる。

ある者はドラゴンの力を求めた。自分の声を重んじる雄弁家とされ、他の者の考えを感嘆詞なしに聞き捨てない。

ある者はグリフォンの力を求めた。自分の考えに執着し、志を同じくする者で、独自性が一切なかったことに気づいていない。

その他の者、本当に有徳で快活な者のためにはネッチがいた。さっそうとして魅力的。華麗で均整が取れている。ネッチを知っていた者は皆、その存在だけで人生が軽く明るいものになった。誰かが何か、例えば島の聖域を愚かな本と交換しようとするなど、桁外れに愚かなことをしようとすれば、ネッチのしなやかな弦がその者を優しく導き、もっと生産性のあることに戻らせた。例えば妻を大事にするとか、手の爪を熱い鉄の火かき棒で掃除するとか、とにかく何か他のことだ。

他の啓発者はひれ伏した。「ああ、偉大で素晴らしいネッチ様!ぜひとも私たちの心を苦しめる緑の巨石を持ち上げるのを手伝ってください。あなたの胸のように私たちの胸も軽くしてください。官能的な夢を実現させてください!」

「もちろん私の魔法を使おう」と賢く慈悲深いネッチは言った。「率直に言って不公平な、私の輝きに合わせなくてもいいように」

ネッチはそのとおりにした。他の啓発者の信者はネッチの素晴らしさを見て、ネッチに寝返った。啓発者はそれに大喜びした!ネッチは彼らの好意を一身に受け、あらゆる所にいるあらゆる者が満足し、他に何も望まなかった。

ネッチの寓話(注釈付き)Fable of the Netch (Annotated)

これは普通でない幸運の物語。貧しき者によって見つけられた富。孤独な者が見つけた愛。ヴァーデンフェルはこうした物語で満ち溢れている。奇跡と呼ばれているものはトリビュナルによっても再現できなかったので、聖職者たちの注意を引いた。ルシラン司祭はこうした奇跡的な祝福の源泉を探そうとした。

ルシランはまず、グレイズランドの農村を訪ねた。そこではある子供が家から逃げ出し、街の南東の島に行った。そこは怪物だらけの危険な場所だった。だが捜索隊が少年を見つけた時、彼は餌をついばむ鶏の群れに混じって座っていた。子供はネッチが近づいてくる怪物に雨を浴びせ、鶏に変えたと言った。村は宴を開き、鶏たちを食した。鶏は腹を満たしたが、硫黄の味がした。この事件の一世代後になっても、島には怪物がいなくなったままだったという。

これは北東のヴォスの村付近でしょう。村の近くの島にはモラグ・バルに捧げられたデイドラの遺跡がある。街のすぐ南東。まずはそこを当たりましょう。

そこから、ルシランはレッドマウンテンを迂回して北西に向かい、さらに南へ下ってストーンウッド沿岸の集落に行った。彼はあるキャラバンに出会ったが、彼女は二週間前に借金まみれで無一文だった。それが今では通行人を無料で運んでいた。

沿岸の集落?レッドマウンテンの南西にある、川のほとりの街。バルモラに違いない。

ルシランは商人にこの運命の転換を説明するよう求めた。彼女は川べりで通行人を待っていた時、ネッチが水の中から浮かび上がり、川の一番深い部分にいた彼女のシルトストライダーを驚かせた。シルトストライダーはパニックになり、すぐに沈んでしまった。キャラバンが後を追って飛び込むと、何年も前に行方不明になった通行客の船が見つかった。彼女はシルトストライダーを助け、高価な宝石の貨物を回収した。これは彼女の借金を返して余りあるほどの金額になった。

ルシランはキャラバンにその不思議なネッチについてもっと教えてくれと頼んだが、彼女は何も言わなかった。

その後、ルシランは道の途上で多くの孤独な月を過ごしたが、自分が堂々巡りをしていることに気づいた。彼は次にグレイズランドのザイナブへ向かったが、そこの住民はレッドマウンテンの麓の丘上にある遺跡を彼に教えた。

堂々巡りということは、北東に戻ってきた。ドゥエマーの遺跡ね。くしゃみのような名前の遺跡。ヌシュレフト。

遺跡の中で、彼はアッシュランダーの老人が、まるで孫に語り掛けるように空気へ向かって話しているのを見つけた。

「誰と話しているんだ?」とルシランは尋ねた。老人は、自分がこの遺跡の探検家だった頃、橋から落ちたのだと説明した。それで一巻の終わりになるはずだったが、下の溶岩へ落ちる前に、青白い触手が彼を捕らえた。触手は彼を無事地面に戻してくれたのだ。その日以来、彼はあの懐かしい存在感に触れたくなった時、いつでもこの遺跡に戻ってくるのだった。実際、老人の友のネッチは今やルシランのそばを漂っていた。老人はルシランが肩に触手を感じないこと、ネッチによって重さのない喜びの感情を味わわないことを知って驚いた。

ルシランは急いで立ち去った。だが教団のところへ戻った時、彼の発見は不十分と判断された。にもかかわらず、ルシラン司祭はこのネッチを諦められず、そんなものを信じていることで馬鹿にされた。

アズラ海岸の諸島を放浪していた時、ついに彼は幽霊のように青白く、動物でも霊魂でもないネッチを見た。哀れなルシランもついにネッチに会えたのだ。そして彼は体が浮き上がるのを感じた。

賭けてもいい。ルシランは沿岸にある古い魔道師の塔近くで、ネッチの領域へ通じる扉を見つけた。サドリス・モラよ。調べに行きましょう。

ネッチの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Netch

スコラリウムの仲間たちと、真のネッチの寓話の中で言及されている場所について話し合った。関係する場所はすべてヴァーデンフェルにある。

寓話の中に出てくる順番は以下のとおり:

ラーレン:ヴォス南東の島にあるデイドラの遺跡。

ナーリア:バルモラ

カラス:ザイナブの集落から北東のドワーフの遺跡

ジュリアン:サドリス・モラとテル・ガレンの塔の間

ネッチの秘密The Secret of the Netch

ネッチに関する秘密を読みたい?それなら、このネッチくらいふさわしい相手はいない。私の種族のより小さくて光の弱い者は、ふわふわした事柄に没頭しているから、知恵を授けてはくれない。

これはオブリビオンの知られざる秘密だ。ネッチはマジカの満ち引きを支配する。力の波を感じ取れるほど浮遊力のある者が他にいるだろうか?他の生物はほとんどが、地面に釘づけだ。彼らは張りついていて重く、空気の流れに調和するには硬直的にすぎる。ネッチだけが柔軟なのだ。我々の先端は、まさにオブリビオンを流れる力を吟味する手段として形成されている。

我々はもちろん、この秘密を隠している。このことが広く知られても、私たちの得にはならない。なにせ、エセリアルのエネルギーの流れを感じ取れるのだから、それに影響を及ぼすことだってできるはずだろう?波の流れに身を置いて、その近くにいることによって流れの方向を変えることも?いや、私が言ったことじゃない。

とはいえ、考えてみるくらいはいいだろう?

ネッチ分析の印Sigil of the Netch Analysis

なんて変わった生物だろう、ネッチというのは!スコラリウムの一点を漂って来たと思ったら立ち止まり、触手を一本伸ばして私の頭を撫でたのだ。本当だ!

しかし他の仲間たちに劣らず強大な存在だ。ネッチの力は書記の祭壇を通じて伝えられているが、この地全体に響き渡っている。魔術師ギルドの情報源からの信頼できる筋によると、アフィックススクリプトが新しく奇妙な場所に姿を現しているらしい。私も確かにスコラリウムの中で大量に見つけている。だから私の在庫にも、このスクリプトが増えると期待してもらっていい。

また、ダークアンカーやデッドランドのポータルなど、世界中の危険な場所で見つかる財宝の中にも現れていると聞いている。帝都の兵士たちが報酬の中から引き当て、アンドーンテッドも彼らの財宝の中に見つけているらしい。

さらにネッチの行いを原因として、輝くインクが採取可能なクラフト素材から流出するようになっていると考えられる。その理由や仕組みを説明せよと言われたら、超魔術的な仮説を数時間披露することもできるが…まあ、結局のところ、これもまた啓発者の罪のない「いたずら」だろう!とんでもないことだ!

フィランディルのスコラリウム体験Firandil’s Scholarium Experience

冒険者たちよ!あなたの歴史家はここにいる!気が向いたら会いに来てくれ。私はいつも友好的な付き合いを歓迎している!

必要なグリモアがあったら、いつでも私を頼ってくれ。私のスクリプトはギルドの達人たちが私の店を略奪するたび回転するようになっている。君が啓発者たちと関係を築くことで、彼らの力から新たな機会が生まれることを願っている。だが彼らの試練を完了するたび、私を訪ねてくるのを忘れないように。

それからもちろん、麗しのカールのことも忘れないように。あの召使は、ここスコラリウムで発見した数多くの美しい物品の貯蔵と売却を任せている。

近いうちに会えることを願って!

フバラジャードの征服The Conquests of Hubalajad

フバラジャード王子はこうして、砂漠の地ヘガセで自らの領地を獲得するため、ヘルネから56隻の船で出航した。沿岸は荒れ果てて過酷であることを見て、王子は方角を変えて南東へ向かい、肥沃なケフレムのブーツの半島へと行き着いた。

ここで王子は空っぽの土地に素晴らしい港を見出した。フバラジャード王子は彼らしく、この新たな故郷を踏む最初の者は自分であるべきだと考え、衛兵たちに海辺へ運ぶよう命じた。

ところが、王子の接近は凶暴なネードの部族に気づかれていた。彼らは浜の向こうにある丘に潜んで見張っていたのである。フバラジャード王子が船の舳先に壮麗な服装で立っているのを見て、不敬なるネードは矢を放ち、それは王子の被り物に刺さった。王子は水中に飛び込んでさらなる矢から逃れねばならなかった。

王子に対するこの侮辱に怒った強大なる戦士ラ・アバは海辺に降り、嘲笑う敵に突撃した。彼の髪の毛は年のせいで白くなっていたが、ラ・アバはフバラジャード王子の他の衛兵たちが追いついてくる前に7人のネードを屠った。彼らは蛮族どもを大いに殺して追い払い、王子はついに水をかき分けて上陸した。

近くに立っていた者たちは、フバラジャード王子が最初に上陸する名誉を奪ったラ・アバを叱責するだろうと思った。しかし王子は年老いた英雄を抱きしめ、侮辱に報復してくれたことを感謝した。「この場所はフバラジャーズ・ランディングと名づけようと思っていたが、運命と武勇は別の道を定めた」と彼は言った。「今この瞬間より、この地をアバーズ・ランディングと呼ぼう!」

そして、王子の命じたとおりにされたのである。

ミズビと魔法の扉(注釈付き)Mizbi and the Magic Door (Annotated)

吟遊詩人ミズビは長い間、ドラゴンの扉の向こう側で暮らした。ドラゴンの巣はミズビの頭の中にドラゴンが占めていた空間より遥かに広かった。ドラゴンは笑い話として、しばしばこのことを思い出させてミズビに嫌がられた。

「私の頭が小さいって言うのはやめて!」とミズビは言った。「私の頭は無限に大きいはずじゃない。無限に大きいお前のエゴを全部中に入れていたんだから!」

そんなことは可能なの?無限の中に無限を入れることは?

「とにかく、そんなことはいい。」とドラゴンは言った。「お前の頭を見れば、小さいことはわかるのだから。」

ミズビは唸った。ドラゴンは笑い続けたが、ミズビが本気で怒っていることに気づき、埋め合わせをしようとした。

「お前の頭が小さくないというのなら、証明するといい。私に謎を作ってくれたら、お前の望むものを与えてやる。もう二度とお前の小さな小さな頭のことは言わない。」

「謎?」

「不可能な謎よ。私が解くことのできない謎。」とドラゴンは言った。

ミズビはほとんど考え込む様子もなく、謎かけを提出した。

「手に入れるためには、諦めなければならないものは?」

ドラゴンは乗り気になった。これはよく考えなければ。だがミズビめ、これほど素早く思いつくとは。ドラゴンは唸り声をあげて考え悩んだ。双子月が満ち欠けした。そしてついに、ドラゴンはミズビに答えを求めた。

「その答えが答えよ」とミズビは言った。

ほら来た。

「手に入れるために、諦めなければならないものは?不可能な謎への答えよ。なぜなら一度その答えを手に入れたら、謎は不可能でなくなってしまうから。あなたは不可能なものを求めた。不可能な謎を――でも、どんなことでも可能なのよ。つまり不可能なのは――」

「もういい」とドラゴンは言った。「お前のその大きな頭にはうんざりよ」

この話の行方に気づいたかな、後継者。賢いだけでも、ドラゴンを言いくるめるだけでも十分ではない。ドラゴンを罠にかける必要があるの。

レッドマウンテンの灰The Ashes of Red Mountain

著者不明。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。

レッドマウンテンへの遠征を思い返す今も、乾いた不快な灰が私にまとわりついている。治療薬を探す旅で、私は自分の皮膚によって侵されてしまった。これはすべてのダンマーに与えられた神罰だ。ドゥエマーがどこに行ったか知らないが、彼らはさぞかし笑っているだろう。

レッドマウンテンには骨のかけらしかなかった。私は戦いに倒れた者たちの塵を吸い込んでいたのだ。私は残されたドゥエマーの秘密か、もしかしたら我が祖先のアーティファクトが見つかることを期待していた。私の力になってくれる何かを。希望は根拠のない噂に基づいていた。兵士たちの流言に。

力になるものがあったとしても、ドゥエマーと一緒に消えてしまったかもしれない。わからないし、どうでもいい。私は挫折と不安に負けたのだ。もう少しで死ぬところだった。

かつての私に戻ることはできない。今ではわかっている。受け入れるしかない。いずれネレヴァルの評議会が前に進む道を見つけてくれるといいが。明らかに、この宗教は…

恐れ知らずのグアルに関する船長の記録Captain’s Log of the Intrepid Guar

ここに書かれているのはインドリル商船、恐れ知らずのグアル号の船長トゥルセス・ガリルの航海日誌である。

第二紀572年、恵雨の月19日
快適な強風と穏やかな海でネクロムを出る。目的地はマークマイアのリルモス。新しいアルゴニアンの同盟者のため、武器と防具の積荷をたっぷりと積んだ。栽培の月までに港に着けることを願う。

第二紀572年、恵雨の月20日
快晴が続いている。乗組員がデシャーン沖に数隻のアルゴニアン漁船を発見。友好を示す笑顔を交わした。とにかく、私は彼らが笑顔をしていたと思う。

第二紀572年、恵雨の月21日
ブラック・マーシュから奇妙な霧が出てきている。緑がかっていて、異臭がする。霧の外へ出るため、船を沖の方へ移動させることにした。

第二紀572年、恵雨の月22日
霧は止むことなく、我々はまだ霧の外に到達していない。深い海域に放り出されるのを恐れて、南西の方角へ戻るよう乗組員に命じた。海岸線が見えることを期待しよう。

第二紀572年、恵雨の月23日
霧はまだ止まない。乗組員に命じてはしけを二隻放たせた。親船に結びつけ、しかし東と西に12ヤードまで移動できるよう緩めさせた。狙いは岩礁や岩の多い海岸線に突然行き当たった時、船体の損傷を回避できるようにすることだ。乗組員は4時間交代制ではしけに乗り込む。

恵雨の月24日
霧は止まず、現在位置はまったくわからなくなった。星もよく見えないため、正確な方角を定められない。

恵雨の月25日
船員を1人失った。西のはしけに乗っていた。まだ若い少年だった。ウヴレン・ファラム。父親が知り合いだった。彼の叫び声が聞こえたと船員は言う。はしけのシフトは誰も続けたがらなかったが、斥候がいなければ岩礁や砂州に座礁する危険がある。私がはしけの仕事に志願しよう。これで残りの船員もやる気を出してくれるといいのだが。

恵雨の月26日
西のはしけでのシフトの最中、霧の向こうに星が見えたように思った。ほんの一瞬だったので、目の迷いだった可能性も捨てきれない。だがあの時見えたものは…あんな星は見たことがない。

恵雨の月27日
船は何かの海流に捕まった。海流の勢いは凄まじく、船は突然海上を引きずられていくようだった。海流で切り離される前に、はしけの斥候を連れ戻せたのはよかった。この海流がどこに向かっているのかはわからない。切り立った崖ではなく、視界の開けた海域であってくれと願う。とにかく、船員は調理場に避難させ、最悪の事態になった時のため、船を衝撃に備えさせておく。

28日
海流は同じところを回っている。最初はよくわからなかったが、時間が過ぎるごとに、我々が何かの渦に巻き込まれていることがはっきりした。だがそうだとすれば、こんなものは見たことがない。この渦はとてつもなく大きいはずだ。考えられないほどに。

追記
船が軋んでいる。渦が支柱や鋲を痛めつけている。しかも嵐がこの船に向かってきているようだ。皆が恐怖している。とにかく回転が止まって欲しい。どうか、止めてくれ。

漂流1日目
起きたことをなるべく思い出そう。調理室に逃げ込むと大きな、雷鳴のような軋みが聞こえた。二等航海士はマストが二つに折れた音だと思った。その後は海のしぶきと砕ける木、叫び声の不協和音だ。私は気絶したのだろう。我々は船の残骸に囲まれて、海辺で目を覚ました。私が率いていた20人の乗組員のうち、見つかったのは7人だった。他の者たちは助からなかっただろうと思うが、まだ死体は見つかっていない。

現在地はまだわかっていない。植物が密集している。これまで見たどのジャングルにも似ていない。海辺を離れるのは危険だが、近いうちに物資が見つからなければ、食料を探しにジャングルへ入っていくしかないだろう。

漂流5日目
ここの虫は巨大だ。ダートウィングが大人のスクリブほどもある。そして獣はありえないほど大きい。鱗を生やした化け物だ。トカゲは丘ぐらいの大きさだ。今のところ、我々の存在を気にしてはいないようだが、このままでいてもらいたい。

漂流7日目
物資はほぼ底を尽きたが、食べられる植物は見当たらない。比較的小さなトカゲの怪物を狩ろうという話も出たが、群れを怒らせるかもしれない。

漂流12日目
ヴェナサ・オリルがある妙な木の陰で叫んでいるのを発見した。樹液を飲もうとしたらしい。話し合ったが…いや、彼女は埋めよう。海辺の近くに。

***
だが、それが何になる?

もう何週間も海辺沿いを歩いて、集落か我々の船の残骸を探してきた。大型の虫はそれなりの食糧になったが、一日ごとに弱っていくのを感じる。

***
皆いなくなった。彼らの名前を思い出すのにも苦労する。諦めるわけにはいかない。彼らのためにも。

***
地平線がない。石だけだ。アズラの星よ。地下?我々はずっと地下にいたのか?

空の口からの叫びCries from Empty Mouths

サイジック会のヴァレデリルによる翻訳

我々はシネストラル語についてわずかなことしか知らない。それゆえ一般的な言語に翻訳する努力は複雑なものとなっている。私はヨク語を最初の基礎として用いてきたが、関係民族の地理的な近接性にもかかわらず、二つの言語は大きく異なっている。とはいえ、以下に示す物語は、今日保管されているものの中で、可能な限り最もオリジナルに忠実な内容になっていると思う。

読む上では、韻文と散文の興味深い切り替わりにご注目いただきたい。これが美的な演出なのか、文化的な要素を体現しているのかは不明である。また、私は詩人としての技巧を誇ってはいない。私は創造的解釈よりも、翻訳に留めている。

***
戦いが沈黙して長き後
私は静かに、墨で滑らかになった石に座り
戦場に倒れた者たちを見つめた
嘆きの雲が私に向かって漂い
困惑する絶望に満たされた
私は戦賢者を探し求め
泣き叫ぶ大衆に身振りで伝えた
「なぜ彼らは鳴くのです、賢き者よ?
私たちは彼らの嘆きを気にかけず
他に聞く者もいないというのに」

「我らの敵は生きている間、偽りを信じるのだ、剣持つ者よ。我らと同じく、ヨクダ人は生が短く、最期を迎えた後には何も待っていないことを知っている。それを受け入れるよりも、彼らはそれを隠し、見えなくする物語を語ることを選んだ。定命の生の後に待つ不死の物語を。彼らの社会はこの信念にすがっている。そして反復を通じて、それが現実のものになることを願っている。

彼らの生が終わりに近づくにつれ、ヨクダ人のこの物語への信頼が崩れつつある。死にゆく者は我らカヌリャイの知ることをはっきりと理解する――最期の時を超えても、何も待ってはいないと。彼らを憐れむがよい。突然の現実との邂逅が、彼らに恐怖をもたらしたのだ。ゆえに、彼らは泣く」

家へ帰る荷車の上に月は昇らない
濃い暗闇の中、私はこの言葉を想った
我らが戦うのは何の臆病者か?何の弱さか?
胆汁が我が喉元へと昇ってくる
ひとつの民が現実を
我ら全員に関わらぬものと信じたとは
私は再び我が師を探し求めた
問いを予期して待つ、穏やかな顔を
「我らの敵は嘆く親類の声を聴いている
なぜ未だ彼らは物語を信じるのです?」

「名誉という、ヨクダの観念を知っているか?自己の外に存在する力。我らの敵は自らの行動によりそれが成長し、死を超えても保たれると考えている。彼らにとって、十分な名誉を積み重ねれば、死は一時的なものとなるのだ。死者が真理に向き合うさなか、生者は未だ名誉の物語にすがっている。

我らはその真理を知っている。そうであろう、剣持つ者よ?存在するのは骨と土。血と煙。肉と金属。それが現実だ。死には多くの段階が存在するが、最期の時の後には何もない。このことを知るがゆえに、我らが民は強い。我らは安息のための物語を口にしない。だから今ここに留まるために戦うのだ」

炎がきらめき、鳴り響き
我が故郷の周りに影を投げた
私は粗い石の暖炉に静かに座り
その熱が皮膚に流れ込むのを感じた
この生の向こうにある生は私を引きつけた
魅惑的な物語
炎は爆ぜ、灰が飛び跳ねた
輝く塵が我が手に落ちた
その痛みを通じて、理解が訪れた
私が見て、感じているものは真理であることを

啓発者の火の謎Riddle of the Luminary Fires

闇夜の中、火がかがり火からかがり火へ広がるにつれ、光は輝きを増す。

魔法の光の信号、魔法の力、啓発者はみんな翼を持っている。

闇夜の中、羽根を持ち、翼を欠いた啓発者から光は輝きを増す。

鱗を持つ者もいれば、尻尾を持つ者もいる。啓発者はみんな翼を持っている。

闇夜の中、羽根を持ち、完全な翼を持つ啓発者から光は輝きを増す。

門を上げよ、遅れるな。啓発者はみんな翼を持っている。

古代の狩人の日記Ancient Hunter’s Journal

飛兎の月3日
エーテルガラスから作りマーズベイン油に浸した矢尻を30本。エボンウッドから作り、シルケンライトの弦を張った弓。匂いを消すために灰と粘土で作った湿布薬。

飛兎の月7日
近くのリルモス人たちが子供を連れて身を隠した。弱虫どもめ。私の部族は角を研ぎ、耳を澄ませて待っている。我々は故郷を捨てない。

飛兎の月10日
奴らは野営地からさらに遠くまで出てくるようになった。川や森の歌声も知らないのに、自分たちのものにしたと宣言している。我々の決意を試しているのだ。

飛兎の月16日
彼の短剣を研いだ。冬の寒さを生き延びていたら、私のファウンも狩りに出る年になっていただろう。彼の飢えがこの剣の刃を鋭く保ちますように。

飛兎の月22日
今日、血が流された。まだ大人になるかならないかの斥候が、皮持たぬ侵入者に殺された。部族に怒りが渦巻いている。彼らの目にちらつく怒りが見える。今夜は喪に服し、明日攻撃を始める。

飛兎の月25日
我々は影のように夜を動き、6つの命を奪った。倒れた仲間が枝角を失った季節一つにつき一つの命。対等の交換だ。古き者たちにとっては公正な取引。レイヴンたちは我らが帰ると称賛の歌を歌った。

飛兎の月30日
我々の村の近くの古い木で火が燃え上がった。風は我々に向かって吹いている。必要なものを集め、我々は谷のさらに奥へ、川に向かって移動する準備を整えた。皮持たぬ者たちの方向へ。

飛兎の月31日
罠だった。一方に火、他方には皮持たぬ者の剣が襲った。奴らは復讐だと言った。だがこれは虐殺だ。私は煙に紛れて逃れた。

ファウンの鳴く月5日
傷は治ったが、まだ彼らの叫び声の重みを感じる。煙は消え、火は消し止められた。生存者の匂いはない。残ったのは私だけだ。

ファウンの鳴く月8日
自分が何になるべきか、今理解した。皮持たぬ者たちは私を獲物とみなしている。私の枝角をトロフィーとして、私の皮を宝として。狩られるのがどういうことか、奴らに教えてやる。

ファウンの鳴く月15日
古き者たちには祈りを、倒れた者たちには、嘆きを。敵に対しては、呪いを。

奴らは恐怖の味を知るだろう。我が名はここに見られし者。奴らの罪の目撃者、我が部族の最後の者にして、彼らの復讐の最初の者だ。

私たちの物語、その1Our Story, Part I

私たちの未来の子孫のために、私はこの物語を後世に向けて紙に記す。私の夫が記すことはないだろうから。夫がこのような感傷的な出来事について書いたとしても、どうせ彼のメモは時々、翼を生やしてどこかへ飛んでいってしまう。

夫と出会った時、私は野生児だった。スカイリム中に家を作っていた賢き民に育てられた。彼らは私の生みの親ではなかったけど、私の母親はノルドで、父親はブライア・ハートだと言われた。そして私は赤子の時にハグレイヴンの巣から盗まれたのだと。私は野性的で嵐のような鉤鼻の子供で、年齢にそぐわず辛辣で意地が悪かった。

私は森の鳥や峡谷の動物と話したり遊んだりするのが好きで、心を茨で守っていた。だから私は自分の両親に関するこの話が真実だと疑わなかった。私は川べりの葦のように強く育ち、大地を動き回る魔術の渦を見て、多くのことを学んだ。私が世界を見て、話しかけ、働きかけるやり方により、私はクランに愛された。愛されたのは私自身でなく、私の能力だったとしても。

ある日、かなり突然にシャリドールが現れた。私は自分だけの時間をほとんど持てなかった。誰かがいつも私の魔術を求めていたから。私は孤独を愛した。だから私の錬金術の庭に困惑したよそ者が現れて白かさキノコや木椅子キノコをそこら中で踏みつけた時、私は孤独を邪魔されて腹を立てた。

私は無責任な奴だと叫び、彼のポータル魔術の下手さを叱った。行ったこともない場所への道を開くなんて!彼はどうやら体勢を立て直したらしく、ここには前に来たことがあると反論した。ここが沼地ではなく広大な氷河だった頃に。だからその時は、私のような声のでかい沼の魔女がいなかったのだと。

それを聞いて私は一瞬立ち止まった。侮辱のせいではない。沼の魔女という名称はむしろ気に入った。しかし私が住んでいた小屋は放浪する賢き民によって何世代も使われてきたもので、一時代以上の長さの間ここに立っていた。この辺りの土地が沼地でなかった時代なんて知らなかった。今の状態からすると、数百年は沼地だったはずだ。私は苛立ったが、風が勢いを増し、吹雪になって吹き込んできた。そのため私は仕方なく彼を小屋に招き入れた。

そこで、私は彼が長い年月の後スカイリムに戻ってきて、カイネズ・アイギスの戦魔女と呼ばれる者を探していることを知った。さらにペールを放浪するジュナールの司祭と、ドルアダッチ山脈に住む賢女も探しているらしい。私はその三つのすべてが自分だと言い、今日からは「ハイヤルマーチ・ホールドの大声で叫ぶ沼の魔女」もそこに付け加えてよいと彼に伝えた。

私たちの物語、その2Our Story, Part II

一応言っておくと、彼が私を疑っている様子はなかった。自分の不幸を呪っていたのだ。私は多くの名で知られていたが、彼はシャリドールという名しか持たなかった。彼は世界の遠く離れた隅っこで、私の功績の物語を聞いていた。私の魔術を見るために、彼は私を探していたのだ。

私はもちろん、シャリドールのことを知っていた。知らない者がいるだろうか?沼が氷河だったという彼の話を、私は突然理解した。彼は私より人生何回分も年上で、それなのに私の庭を踏み荒らすほどの愚か者なのだ!私はそのことを笑ったが、お茶を飲んで話しているうち、最終的には彼も笑みを漏らした。

嵐が続く間ずっと私たちは話し続け、口を止めたのはポットを満たす時だけだった。私は彼の魔術について質問し、彼も私の魔術のことを聞いた。私たちは互いの方法と実践の違いを図に表した。

その冬の間ずっと、私たちは話し、書き、読み、親密な沈黙を分かち合った。私が魔女として、司祭として、癒し手としての力を発揮するよう呼ばれた際は、彼もついてきて観察した。口を出すことはせず、私が頼んだ時にだけ手を貸してくれた。彼のことを他の者に聞かれた時は、冗談で私の弟子だと言った。彼は一度もそれを否定しなかった。匿名性を好んでいたのだろう。

そうして彼は留まった。当時、ベッドを共にすることはなかったが、私たちは絶え間のない会話で暖まった。彼はその長い長い人生の中で自分が行った場所や会った人々、見てきた物事について話すよりも、それに比べたら短く、しかし波乱の多い私の人生の話を聞くほうが面白いと感じているようだった。

彼はいつでも去ることができたし、私のほうにも彼を追い出す口実はいくらでもあった。しかし私は彼のことが気に入ってしまった。彼も同じ気持ちだったのだろう。雪が溶け、春が近づいてくるまで、彼は出て行く話はしなかった。

彼が切り出したのはその時だった。彼は永遠に続く生の秘密を知っており、それを私に教えたいと言ったのだ。

私たちの物語、その3Our Story, Part III

シャリドールは私に永遠の生を与えようと言った。私はもちろん、断った。私と共に一冬過ごして、これほど密接に会話したのに、なぜ私のことを理解しないのだろう?

私たちは彼の方法について長い議論をした。「永遠の生があって」と私は言った。「徒歩で世界中を旅する時間がいくらでもあるのに、途中で見つかるかもしれない驚きをポータルで飛ばしてしまうの?」

彼は反論した。「限られた生では時間だけが達成を制限するのに、場所から場所へ、一歩一歩移動して過ごすのか?」

私たちは意見が違うということで同意に至った。不死は私にとって無用だということははっきりさせた。私は冬を遅らせるために夏を伸ばしたくないのと同様に、自分の命を伸ばしたいとは思わない。季節の美しさはいつも、それが過ぎ去ることにあるのだから。

彼が私を説得できると思っているらしいということに驚いた。こんなに短い時間で私を変えられると思うのか。私は一度も愛されたことがなかった。それが無数の方法で人を変えうるということを、この時はまだ知らなかった。

私はあいまいさを残すことなく彼を拒絶した。しばらくの間、彼に会うのはそれで最後となった。

あの変な老人に対する気持ちに折り合いをつけるまで、それから数年かかった。今振り返って、どうしてそんなに長くかかったのかと思うと笑えてくる。彼のことはずっと頭から離れなかったのに!でも私の頭の中で議論をふっかけるシャリドールは、本物の代わりにならなかった。それに彼はあまりにしばしば、あまりにあっさりと私の優れた論拠に譲歩した。また彼に会わなくては。

彼がサマーセットのアイベアにいることを思った。彼が話してくれた小さな島の聖域を。私は物々交換でその地域のなるべくいい地図を手に入れた。ポータル魔術も学んだ。簡単には身につかなかった。あれほど彼に会いたいという気持ちがなかったら、あんなに苦労して続けなかっただろう。ついにもう待てないとなった時、私は魔力を集中させ、アイベアへのポータルを開いた。

私たちの物語、その4Our Story, Part IV

私はアイベアへのポータルを作った。とにかくそうしたつもりだったが、私が出て来た場所は真っ暗闇の中だった!しかし魔術師はいつでも光を生み出す手段を持っている。自分の上のどこかに太陽のような魔力の塊が感じられたので、私は洞窟を登り始めた。洞窟は過ぎ去った時代の開けた遺跡に続いていた。ついに、私は日の光に出会った。私は確かにアイベアに来ていた。下に大きくずれてはいたが。

中央の島に居留地が見えたので、私は泳いでそこに向かった。私はスカイリムの娘で、水は暖かい風呂のように感じられた。こんな季節なのに、木々には満開の花が咲いていた。私はシャリドールの名を呼びながらさまよった。中に入ると、彼の書斎だった。ニルンでもオブリビオンでも知る者のない方法で整頓された、本物の羊皮紙の蔵書庫だ。しかし走り書きされた文の中に、私の名前が見つかった。

ちなみに、一度だけではなかった。もちろん読んだ。恥ずべきことだとは思わない。何年分にもなる、送られなかった手紙や謝罪文だ。告白や書き出しの失敗、学問的な長文。すべて私宛てだった。読んでいると、素敵なハイエルフの女性が現れて驚かされたが、彼女のほうも私を見て驚いたようだった。彼女はシャリドールの留守中にここの世話をするように指名された管理人だと自己紹介したので、私は安心した。

当然、私は彼がどこに出かけているのか尋ねた。なるべく急いで彼に会いたいと思っていたから。だが、彼女はしばらくの間は会えないでしょう、彼はスカイリムへ出かけたから、と言った。ハイロックまで船で行き、そこからは徒歩。旧友を訪ねに行ったのですが、その途中で他にも驚きを見つけたいそうです、と彼女は話してくれた。彼女はシャリドールが出発した日を私に教えてから、もうそろそろ目的地に着く頃でしょうと言った。

ポータルが開いて彼が戻ってきた頃には、私はアイベアにすっかり慣れ親しんでいた。彼はかなりの長旅をしたらしく、外套には道の汚れの染みが付き、髭は長く伸びて乱れていた。手にはポータル魔術についての私が記したメモと、私の小屋で見つけたに違いない、彼の名が記された未送の手紙を十数通抱えていた。

彼と知り合って随分長い時間が経つが、顔に笑みを浮かべることは冬のスカイリムに太陽が昇るくらい珍しい。でもあの日、彼が私に見せた笑顔は決して忘れないだろう。

島の地下の洞窟が後にスコラリウムになった。私たちの旅はしばしば互いを引き離すことになったが、私たちはいつでもアイベアに戻ってきて会った。

彼は私に永遠の命を与えて、共に過ごすことを願った。私は定命の人生一つだけを、彼のパートナーとして過ごしたいと願った。あなたはどう思うだろう。どっちの願いが、私たちの愛のより大きな証明だろうか?

もしこの点について意見が一致することになったら、おそらく私たちは、もうこの世界を一緒に歩むことがないだろう。

書記の方法How to Scribe

ウルフシルド 著

これはスコラリウムでの私の最後の日に書かれた、短い案内。あなたに宛てた、長年の仕事の結晶よ。

まず自分のものにしたいグリモアを選ぶ。

– 私が残したグリモアは様々な状況や魔術的応用をカバーしている。気に入るものが見つかることを願っている。

– それぞれのグリモアは枠組みと考えること。グリモアは純粋な機会であり、あなたの必要に応じる準備を整えている。

– 時が来れば、他の者たちも私の技術を学んで、他のグリモアが作り出されるかもしれない。私の仕事が生き続けると思うと嬉しくなる。

スクリプトを1つ選んで、あなたの書記のフォーカスを決定する。

– 私はこれを「フォーカス」スクリプトと呼んでいる。これは書記のスキルが何かを決定するものだから。炎か、氷か?治癒か、苦痛か?あなたの書記がどういう働きをするか?

– 私はいつもフォーカススクリプトをグリフォンに結びつけてきた。目的をしっかりと持ち、自分の行動に確信を抱いているから。

すべてのスキルにシグネチャーを持たせること。

– 「シグネチャー」はこの要素を表す最適な言葉よ。この魔法の要素があなたの書記を記憶に残るものとする。私は書記が他の分野や他の流派の目標や魔術と保管する道を数多く発見した。

– 私はこの仕事に際してドラゴンと密接に協力した。この複雑なアイデアを議論するため、彼女の鋭い知性は最高の相手だった。

– 羊皮紙を持っている者の戦闘と魔術のスタイルに適応するスクリプトを考案するのは、ドラゴンの発想よ。私の時代にはこのスクリプトを完全に開発できなかった。でもいつかは

好きな恩恵のあるアフィックスを付加して、スキルを完成させる。

– 新しい呪文を書記の対象にするたびに、構造の中にまだ残された空間があることを発見する。この単純な神秘の追加要素はネッチが提案したものよ。空いているスロットに少し付け加えるためのもの。

– アフィックスはあなたの作品を、あなたや仲間に合うよう方向づけるための手段よ。様々な方向性が考えられる。

輝くインクを使って、新しく書記の対象となるスキルを作る。

– ネッチと協力して作られた、私が書記に使っているインクは、祭壇から伝達される力の基質でしかない。これはある種の媒介の役割を果たしている。生のマジカと思考、意図を引き出してページの上に集合させる手段ね。

その他のメモ:

– スキルや呪文を書記の対象にしたら、いつでも現存のグリモアから新しい書記を試せる。無限の多様性がいつも私の目標だった。もちろん、インクは必要だけど。

– すべてのスクリプトがすべてのグリモアに適用できるわけではないけど、何度も試してみれば素晴らしい発見がある。私にとっては、それこそが書記の本当の魔法よ。

言い尽くされた冗談かもしれないけど、やるべきことはただ力の中枢を建設して、純粋な魔法生物を説得して悪意がないことをわからせ、彼らの力をグリモア(これも自分で作る)に注ぎ込み、作品を完成させるために必要な輝くインクを開発する、これだけよ!簡単でしょう?

私が書記を確立させるために費やした仕事と努力が、時と共に失われないことを願っているわ。私の足跡を辿ったあなたが誰であれ、幸運を祈っている。カラスがあなたを導いてくれるように。

常識を求めるための議論An Argument For Common Sense

ゴールレッドによって保存されたもの。家族の伝統に従い、この文書は彼の祖先ウルルドによって記された。正確な日付は不明である。

一連のつまらぬ噂が若者に空想を吹き込んでいる。これを黙認することはできない。我々の生は冷徹なる生存である。腹を満たす食料を集めるための、うち続く狩りの労力。夜中に火を絶やさぬために木を探す労力。若者があのような空想に満ちた獣の民の物語にうつつを抜かしているのを、許しておくことはできない!

それゆえ私は神々によって、また長い年月によって与えられた論理を用いて、こうした噂すべてに反駁することを自らに課した。これを読んだ後でもまだファウンだのラミアだのを信じ続ける者に対しては、謝罪をさせてもらいたい。これ以上私が諸君のためにできることはない。諸君の夢想の結果、窮乏の季節に腹を鳴らせる羽目になった時は、私が熱心に諸君を救おうとした試みを思い出してもらいたい。

アルゴニアンとカジート

まずは現実に存在する獣の民から始めるのが筋であろう。この遠方の旅人たちは我々とまったく異なる生き方をしているが、そのせいで子供たちは他の獣の民も世界を歩み、あるいは飛んで泳いでると信じている。カジートの商人は遠くから物語を運んできて、若者たちの精神を奇妙で空想的な考えで満たしている。アルゴニアンは言葉を話す木や、土が水をたたえるほど暖かい土地の話をする。私を心が狭いとは思わないでもらいたい。彼らは実在する。だが彼らは物語と歌で、我らの村人に問題を引き起こしている。現実の存在ではある!だが問題だ。

リルモシート

狐の民の物語から始めよう。まったくのでたらめである。あの大きなカジートの女性を思い出してもらいたい。パフマーと言っていたか?頭が小屋の下に付きそうになっていたし、荷車を一人で持ち上げていた!彼女がカジートなら、カジートには色々な姿があるということだ。現実世界がこれほど奇抜なものであるというのに、新しい事物をでっち上げて私を騙そうとする者の思い通りになるのはごめんだ。これは実在しない。

ラミア

またしても、現実の民族を基にしたほら話だ。水辺に住む鱗を持つトカゲ人を見たと言ったら、私ならアルゴニアンだと思うだろう。たまたま足が見えなかっただけで、声をかけてみればそう判明したのではないか?民族の小さな差異を見て、それを二つの民族だと考える性急な真似はやめよう。私に言わせればそれは愚かであり、無礼でもある。これは実在しない。

ケンタウロスとファウン

馬の民はこの地域の酒場で交わされる話や、子供の遊びまでも汚染してしまった。ケンタウロスの噂について論じなければならんとは!半人半馬?どうせぼやけた目で騎乗した人間を見ただけだ。ファウンも同様で、彼らが存在するという話が信用ならない人々によって広められている。ファウンの物語の中で、それが酔っぱらったドルイドが見たヤギではないと私に信じさせるに足るものは何もない。これは実在しない。

鳥人

上で述べたエルスウェアの商人の一人は、この翼の生えた民についての話ばかりしていた。鉤爪と言語能力を持つ、空を飛ぶ男女?ショールの骨にかけて!鳥が獣の民だというなら、私はイノシシの糞でも食ってみせる!旅芸人一座に出てくる鳥のことは誰でも知っている。言葉を真似できる色とりどりの獣たちだ。この鳥人の物語は、そういう喋る鳥を見た考えの足りない者の口から伝わっているに違いない。これは実在しない。

スロード、ドゥルー、ハドリッドその他諸々

船乗りと漁師が集まって物語を話す時はいつでも、世界のあちこちの空想的な獣の民の話が聞けるものである。私も海に出たことならあるから、騙されたりはしない。海は常に動いている。ある船乗りが目の端に見たものは、恐ろしい巨大なカエルの怪物や、蟹人間に見えたかもしれない。だが真実は、ただの岩や想像の産物でしかない。そもそも、船乗りが口にする海の民と呼ばれる連中がどれだけ沢山いるか見てみればいい。非常に怪しく思えるだろう。まるでこの船乗りたちは、途方もない話を重ねようと競い合っているかのようではないか!これは実在しない!

イムガ

最後の種類の獣の民は、広い世界に知られていない民についての無礼な描写である。年齢と神々が大いなる洞察を私に与えてくれていることを思い出して欲しい。ヴァレンウッドの出身者を見たことはあるだろうか?彼らはかなり妙な服装をしているし、人里離れた森の匂いがする。この「イムガ」すなわち猿の民は…理解しただろうか?私のような広い心を持たぬ者が見たウッドエルフなのだ。別の地域から来た者を見て、架空の生物と思い込むほどに狭量で誤ったことがあるだろうか?その外見を祭り上げ、邪悪な存在として描いているのである。言うまでもなく、実在しない!

若者よ、私の言葉をよく考えてもらいたい。私の訴えが若者の心を正しい道へと戻し、救えることを願っている。私にできることはすべてやった。彼らが私の論理を理解し、こうした空想の物語に抵抗してくれることだけが私の希望である。若者たちよ、現在の出来事に集中するのだ。さもなくば冬が命を奪うであろう。

信奉者ラーレンによるスコラリウムへの追記Votary Llaren’s Addition to the Scholarium

ナーリアはジュリアンと私にスコラリウムの記録に追記してくれと言った。ジュリアンが秘密裡に追記をしたためているのかどうかは知らないが、きっとそうなんだろう。ここにはあまりに本が多いので、何を書くべきかわからなくなりそうだ。間違った論題なんてあるのだろうか?アークメイジ・ウルフシルドは自分の蔵書庫にあらゆる種類の本を所蔵しているから、彼女の蔵書にそぐわないものなんて書けないはずだ。その点はまあ安心だ。うーん、それならこれにしよう。

ランプの騎士、信奉者ラーレンの文書

人生が予想どおりになることなどあるのだろうか。若い頃の私は戦闘や小競り合いで、葉の間を駆け回って敵の不意を突くことを夢想していた。冒険はいつも刺激的な洞窟探索と発見だと思っていた。

そういう場合もあるし、そうなった時は興奮する。だが冒険と戦いは若者の私が考えていたよりも遥かに複雑だ。私の同郷者の多くは、今の私が騎士団でやっている仕事を決して評価しない。彼らはある種の冒険を求め、兵士となった。私にとっては運のいいことに、ランプ騎士団は私に騎士となる資格があると考えてくれた。

筆を手にしてここに座っていると、自分がやってきたこと、見てきたことが信じられなくなる。私は魔術師の用心棒になるだけだと思っていた。彼らが何か深刻な学者ぶったことをやっている間、トロールやミノタウロスから守るだけだと。だが私の人生はまったくそうならなかった。

いや、一応トロールと戦いはした。

しかし喜ばしいことに、私は単独で戦いはしなかった。私が守る役目を与えられた魔術師たちのほぼ全員が、自分の身を守れる力を持っていた。時には(例えば今)、騎士団の信奉者と組めることもあった。

恐るべきドレモラと崖上で戦ったこともあるし、怒り狂う精霊を山の奥地で倒したこと、アンデッドの軍団を突破して死霊術師たちに地域を蹂躙されるのを防いだこともある。こうした戦いが楽勝だったと言うほど私は理想主義者ではない。魔術師は多くの騒音を立てるし、注意をそらす原因になる。魔術の戦いの混乱の中で、自分の武器を使って戦うのは簡単なことではない。おそらく、騎士団が誰を入団させるかにあれほど厳格なのはそのためだろう。どんな戦士でもあのような状況で実力を発揮できるわけではない。

だが、私は今この秘密の蔵書庫にいる。もっと危険だと思っていたが、ゆったりとした任務に不満はない。探索する場所も学ぶことも沢山あるから、次の任務を待って無為に過ごすこともなさそうだ。だから、人生は私が思っていたようなものではなかったし、それは素晴らしいことだ。それが現実だ。

うーん。とりあえずこの点に関して私に言えるのはこれくらいだ。ナーリア、これが蔵書に追記するのにふさわしい内容だといいのだが。それに今どこにいるにせよ、ウルフシルドは私たちがここでやっていることに喜んでくれるだろう。

地平線に向かってWe Sail for the Horizon

著者不明。ハガセ付近の沿岸に打ち上げられたラ・ガーダのスクーナー船の残骸にて見つかったもの。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。

我らは船を走らせる。ヨクダが荒れた海の向こうに沈み、雨雲に飲み込まれて視界から消え去るのを眺めながら、地平線へ向かって。長年の研究があれと共に沈んだ。我が生涯の仕事が。我が民と文化、国家と広大な都市も。私の民族は消えてしまった。

生きている者は命がけで走る。我らはかつて来た者たちの道を追う。よりよい生、より多くのものを求めて。

今、私は故郷での最後の瞬間が消えてしまう前に、その記憶を書き記している。私たちは港で、寒さと飢えの中身を寄せ合った。誰もが喪失を経験したが、打ちのめされてはいなかった。私たちは海鳥の歌を聞きながら船を補強した。船の紋章は灰色の空に明るく輝いた。いつも私の子供時代を、母のシチューを、そして波を見ていたことを思い出させるあの歌。

明日私たちに何が起ころうと、今日私たちは生き延びた。私は哀れみを求めるためにこれを書くのではない。知識は失われることも、奪われることもないと示すため。それはまだ私のうちに、私の民のうちに生きている。私たちが生きていて、誰かが覚えている限りは。

特別な量の指示Special Volume Instructions

我らが秘密の王は、闇の広場の大広間にクリエイシアの欠片を隠した。階段の一番上に置かれた4本のロウソクが、欠片の位置を巧妙に隠している。

以下の順番でロウソクを灯すことにより、宝の場所を明らかにせよ。

1. 入口から始めて、最初のロウソクは最も遠く、その最初の光を待ち受ける。

2. 南に目を向ければ、第二のロウソクがお前を招く。

3. 次のロウソクは北に座す。

4. そしてお前の下で、最後のロウソクが待っている。

氷の船The Ship of Ice

ウィンターホールドの船乗りたちが語った物語。クジャルスドッティルによる記録

俺たちの祖父の祖父の時代、北方から船が現れた。日中は明るかった。真央の月だったから、太陽が一番空高く昇る時期だった。なのに船は霜に覆われていて、氷に包まれた帆は重みでたわんでいた。ウィンターホールドの人々は、氷の船がゆっくりと港に近づいてきたのを見て言葉を失った。

クジャルフンドという首長がたまたま近くにいて、この新参者に呼びかけた。「何者だ、どこから来た?」と。

「我らは喪に服する者だ」と操舵手が答えた。「死から船を走らせてきた。我々は火と塩、そしてパンを求めている。受け入れてもらえるだろうか?」

その時、近くに立っていた者の多くはクジャルフンドに追い返すよう求めた。氷の船の櫂のところに凍りついた死体が見えたからだ。だがクジャルフンドはまだ生きている者がいるのを見て、同情を感じた。彼は操舵手に上陸するよう呼びかけ、船が停泊した時は一番に中へ入った。真央の月の暖かい太陽が空高く昇っていたにもかかわらず、甲板の木は凍えるほどの冷気を発していた。

「これはどういうことなんだ?」とクジャルフンドは船の操舵手に尋ねた。「何があった?」

「降霜の月がアトモーラを奪った」と操舵手は答えた。「我々はジルクルフィクから来た最後の船だ。我々の後には誰も来ない。あの街は凍りついて死んだからだ」

「だが、太陽は高く昇っている」とクジャルフンドは言った。「今は夏だぞ!」

「アトモーラに夏はない」と操舵手は言った。「我々が出航の準備を整えた日、スノーエルフの少女がやって来た。我々は一番厚手の毛皮を着て震えていたのに、その子供は薄いガウンをまとっていた。その子が我々に言った。「伝言を持ってきた。お前たちは剣と斧で私たちの故郷を葬り去った。今、私たちはフロストフォールでお前たちの故郷を葬る。凍りついた海辺を最後に見渡して、それがお前たちの父が、そしてまたその父が行ったことの結果だと知るがいい」

クジャルフンドと操舵手の話を聞いた者たち全員に、冷たい影が下りた。彼らは遠いアトモーラの方角へと海を見やったが、確かに日の光は青ざめ、夏なのに冷たそうに見えた。

その場にいなかったウィンターホールドの人々は、後になってこの話を一蹴した。スノーエルフがそれほど危険な魔術を使ったのなら、なぜ彼らはそれを使ってイスグラモルを倒し、スカイリムの自分の領地を救わなかったのか?操舵手とその船員たちはそれ以上何も言わなかった。

だがそれ以降、アトモーラから船が来ることはなかった。

魔術師ギルドへの最初の手紙、草稿First Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

スコラリウムでの作業が開始されたことをお知らせしたく、一筆をしたためました。これからの仕事は困難かつ時間を要するものとなるでしょう。信奉者ナーリアと、彼女の英雄的な助手によって発見されたここの蔵書庫は、伝説に言うアポクリファにさえ匹敵しうる古代の知識を秘めていると思われます。

しかしながら、多くの書籍は忘れられた言語や、魔術的な文で記されています。いくつかは暗号文で書かれているか、混合した手法が用いられています。その結果、書物を完全に鑑定し、その多くの秘密を明らかにするには多大な努力が必要となるでしょう。

スコラリウムで発見された本の照合に使えそうな、より最近の書籍や歴史記述のリストをご参照ください(別の配達人に送らせてあります)。この二重照合は最古の物語の真実を突き止めるのにも、そうした物語が時代を経ていかに変化してきたかを知るのにも極めて重要です。

この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

魔術師ギルドへの第二の手紙、草稿Second Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

前回の積荷にご同封いただいた書籍に感謝いたします。我々がすでに発見した版の多くを翻訳し対照合するために、とても役立ちました。我々は古代アルドマー語やアトモーラ語、ヨクダ語、ネード語、オーク語の様々な方言で記された書を見つけております。ドゥエマーのルーン文字で覆われた金属板すら見つかっていますが、これを鑑定して解読するには長期の研究が必要でしょう。

作品の目録化と翻訳はなかなか進みません。原因の一部は環境です。スコラリウム自体が高い湿度と水害に苛まれており、より時代の古い多くの書物は劣化が激しく、危険な状態にあります。

それに加えて、西棟では本シラミや紙喰い虫が大発生しており、かけがえのない書籍がいくつか損害を受けました。これは間違いなく、スコラリウムが長期間シヴァリング・アイルズに置かれていたことと関係しているでしょう!デイドラの諸領域と、それがニルンの害虫へ及ぼす影響についての私の論文の新しい写本を(これとは別のメッセージに添えて)送付いたしました。きっと気に入っていただけるでしょう!

また、種々の洗浄薬や保存用の道具の要請を(これとは別のメッセージに添えて)お送りいたしました。切迫した損傷を食い止めることは現在の課題の一部分にすぎません。最も状態のいい本でさえ、繊細な条件下にあるのですから。細心の注意を払って守らなければなりません。

この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

魔術師ギルドへの第三の手紙、草稿Third Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムで継続中の作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

洗浄剤と保存呪文に感謝いたします。古代文書の保存に関して持ち上がった種々の問題を解決するために、これがあることで大きな違いを生んでいます。お二方に閲覧していただくため、最古の作品の書き写しの一部分をお送りいたしますが、特別な書はまだスコラリウムに留めておくことを強く推奨いたします。経年のせいで非常に脆くなっており、一部は本を開くと崩れ去ってしまうほどなのです。

書物の繊細さに加えて、達人たちは倉庫と書棚の状態にも苦労しています。一部の書棚は続く湿り気のせいでほとんど腐り落ちており、また別の一部は逆に乾燥しすぎていて、この前の夜などは棚一つが丸ごと崩壊してしまったほどです。気の毒に、信奉者ナーリアはもう少しで潰されてしまうところでした!

また読めない本もいくつか見つかりました。達人たちはこれにとても私的な性質の魔術的注記が含まれているのか、あるいは秘密を守るための何らかの暗号がかけられているのか、頭を悩ませております。

私見ですが、これは現在までに知られていないエヒノフェクスの派生言語ではないでしょうか。もしこのことが証明されれば、ネード以前の言語を理解するために革命的な発見になるでしょう。お二方もおそらくお気づきのとおり、エヒノフェクスとその末裔の言語もまた私が個人的に関心を抱く問題でして、最初期の諸言語からアイレイド期エルフの詩に至るまでの言語の世代間派生に関する私の論文の新しい写本を添えさせていただきました。お二方のご意見を期待しております!

それはともかく、我々の進展について逐一お知らせしていく所存です。この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

歴史家の旅行記 第4巻The Chronicler’s Travelogue, Volume 4

魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より

我々は日が暮れる直前、アイレイド遺跡の外周部に到着した。中に入って仕事を始めたかったが、チームの中でも若手である私の提案は無視された。なのでテントを張って間に合わせの小屋を作り、我ら寄せ集めのキャラバンをこの任務にふさわしい野営地へと変えようと苦心した。

この冒険に選ばれたことは大きな名誉だ。ギルドの幹部に混じって有名なハートランド・エルフの遺跡探検をするよう依頼を受ける者は多くないのだから!私は準備のため、何日もかけて夜通し過去の遠征の文書や報告を読み漁った。日が出るまで待つなんて、拷問みたいなものだ。トログライ魔道師が勧めたようにしっかりと休息を取ったりせず、自分だけで暗闇に潜り込んで行ったのは当然のことだろう。

魔術の光とメモ帳、水袋を持って、私は遺跡の奥へと進んでいった。どれだけ長く歩いたかはわからない。この灰がかった白の広間では、時間など無意味なように思われた。あっという間に、夜明けがアイレイド遺跡の紋章とアーチの上に姿を現した。

キャンプでは私がいなくなったことで何らかの警戒が呼びかけられたらしく、私の名を呼ぶ声と、辺りを探し回る騒音が聞こえてきた。トログライ魔道師は私の安全に懸念を抱いていた。心配していたと言ってもいいかもしれない。だが言い訳しようにも見せるべきものがない私は、見つかるわけにいかなかった。私は仲間の魔術師たちの音から遠ざかった。その時あれが起きた。

何かが私の目を捉えた。確認するために振り返ったが、見えたのは壁だけだった。この石と漆喰の集積が、遺跡内部の他の壁と異なっていると示唆するようなものは何もなかった。

その時彼らに見つかった。極限まで集中して壁を見つめていたところをだ。トログライ魔道師はどうして私の注意を捉えたものを理解したのだろう。彼女は私に安全性の問題と、夜はキャンプに留まることについて説教をする代わりに、ある石を押した。石は彼女の手の下で動き、手つかずの遺跡深部へと続く階段を明らかにした。

この時はわからなかったが、このような奇妙なことが私に起きるのはこれが最初ではなかったのだ。これが私の歴史家としての比類なき地位の始まりだったかもしれない。他の者には見つけられないものを見つける力により、私は魔術師ギルド内部での成功を勝ち取ったのである。

歴史家の旅行記 第8巻The Chronicler’s Travelogue Volume 8

魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より

やったぞ!私は他の魔術師にできなかったことを成し遂げた。我々の派遣部隊にスフィンクスの宝石を調査させてもらえるよう、聖堂の司祭を説得したのだ。

思えばこの遠征が始まった時、私は単に旅を快適にするための魅力的な品物や、十分な食料を確保する役目を与えられていた。魔術師にとって刺激的な役割とは言えないが、任務を成功させるためには重要な仕事だった。

しかし在庫を運び露店の準備をしている時、私はある妖術師が司祭に有名な遺物の調査をさせてくれと頼んでいるのが聞こえた。司祭は不信の念を露わにして、妖術師ウレルファニャの申し出をすべて拒否した。その数分後、話し合いはまるで討論へと移行したかのようだった。我々の旅に欠かせないこの部分を実現するため、あらゆる可能性にすがりついたのだ。その時私は二人の前に出て行った。

私は控えめな口調でサザラリ司祭に、自分がアイレイドの遺跡で秘密を見つけるのに成功したこと、ソリチュードのギルドホールでの発見、アークマギスターの夏の家で偶然財宝に出くわしたことなどを話した。そこで私は突然外交の才を発揮して、仲間の魔術師たちにケナーシの宝石を調査させてくれれば、自分が聖堂全体を調べてみようと申し出た。

サザラリ司祭は同意してくれた!聖堂で古代の秘密を探してくれるのなら、妖術師ウレルファニャと他の魔術師たちは宝石を調査していいと。たとえ発見が何もなくても、これは司祭たちとギルドの関係の大きな進展だ。そしてもちろん、この高名なる歴史家の帽子にまた一本羽根が加えられたわけだ!

朝になったら出発して、できる限り徹底的に聖堂を調べよう。二週間が過ぎる前に、旅行記に付け加えるべき内容が増えるかもしれない!

ダンジョン探検家の文書

Dungeon Delver Documents

アークマギスター・マヴォンの昇格Archmagister Mavon’s Ascension

ナーディル・アレサン 著

有名な事例はいくつか存在するものの、パレオニミックや、何らかのニミックの力に完全に束縛されているデイドラは少数である。それはデイドラが自分たちのニミックをどこかに記録することや、定命の者、あるいは他のデイドラにニミックを知られるのを許すことが滅多にないからである。ここに記す内容は、アークマギスター・マヴォン・ウレスの経歴に関して、最近発見されたミシッサの没収されたノートに基づいて付け加えられた推測である。直接の引用はこの文献に依拠しているが、推測は私によるものである。

第二紀210年、賢者マヴォン・ウレスは計り知れない力を秘めるとされるある呪文を唱えた。それによりアークマギスターとしての彼の地位が確立され、その称号は賢者ヴァロナ・ギスラーノによって奪われるまでほぼ十年の間続いた。その呪文は下級デイドラ1体を召喚し、それを束縛して賢者マヴォンに従わせた。この種の呪文はこれ以前にもインプやスキャンプに対して用いられていたが、スカーフィンやその他の等級のデイドラに対して試みた者はいなかった。これこそが、アークマギスター・マヴォンの呪文を特別かつ強大なものにしていたのである。

アークマギスター・マヴォンは記録をほとんど残さなかったことで知られている。このせいで彼は同時代に生きた賢者たち――すなわち、彼の魔術の秘訣を盗んで利用したがる者たち――からも、文書によって過去を保全しようとする歴史家たちからも、広く不興を買っている。それに対し、彼の呪文によって束縛されたスカーフィン、ミシッサは、マヴォンに対する憎悪を顕著かつ詳細に表明した。彼女は賢者マヴォンとの生活を詳述したが、その文書を検討しても、他の魔術師にとって有用なものは何も見つからない。ミシッサが書いた本のほとんどは、彼女のような状況に置かれたデイドラが言いそうな侮辱や脅迫で満たされている。とはいえある一節は、アークマギスター・マヴォンがミシッサを束縛した呪文をいかに完成させたかについての示唆を与えている。

「奴が真に後悔を知る生物のように、狡猾な策略によって私の名を勝ち取ったのなら、問題はなかった。だが奴はニコットを拒絶し、私の名を見つけた。あの間抜けな定命の者は、自分を魔術の神だとでも思っているのか?愚かな!犬の尻尾にさえ、奴以上の魔力がある!奴が死んだら、その無価値な死骸の上にこの領域の虫やミミズを呼び寄せ、食い破らせてやる」

ミシッサが言及している名とは、彼女のパレオニミックだと思われる。アークマギスター・マヴォンがどういう手段を使ってか、デイドラのパレオニミックを見つけたとすれば、スカーフィンを下僕に変えた由来も、これまでに考えられていたほど謎ではなくなる。このことは、ミシッサがマヴォンの秘密を書き記さなかったことの説明にもなる。彼女を束縛していた呪文は、マヴォンの魔術研究に対する直接の妨害を禁じていた可能性が高いからだ。それはミシッサにとっても好都合なはずである。そうなれば彼女のパレオニミックも、彼女を賢者マヴォンに仕えさせた儀式も記録に残らないのだから。

ミシッサの存在と、賢者マヴォンに対する彼女の従属はこれまで、数多くの推測の対象となってきた。アークマギスター・マヴォンの昇格の時期にいた他の賢者たちは、マヴォン以外の者は誰も影響を受けなかったのに、彼の魔力だけが突然大幅に向上したことに気づいた。彼はオブリビオンについて深い知識を持つようになったため、デイドラか何かと契約を結んだのだろうと考える者もいたほどである。しかし、スカーフィンの援助または助言を受けていると推測する者はいなかった。

アークマギスター・マヴォンを始末するための詳細な計画を記した何冊もの本から、現在我々が知っていることを総合するなら、ミシッサはアークマギスター・マヴォンの失墜に関与していたと思われる。これまでは賢者デュベレ・ディルミンが友好的態度と新たな錬金術素材の共有を約束してマヴォンの塔に侵入したと考えられていた。現在の仮説では、ミシッサが主人の注意を逸らし、扉を完全に施錠しないように仕向けたと思われる(殺しの計画その534)。

アークマギスター・マヴォンが失踪した後――というのも彼は実際に姿を消したからだが、ミシッサが宣告したようにミミズに喰われたのかもしれない――ミシッサがどうなったかは知られていない。私の推測では、アークマギスター・マヴォンに仕える生活が終わった後、彼女は手早く自分のパレオニミックの痕跡を始末し、この次元を去った。呪文についての記録も、アークマギスター・マヴォンが何らかの呪文作成に貢献したというメモも一切残っていないことはこれで説明がつく。

私としては、アークマギスター・マヴォンの失墜がニミックを利用してデイドラを閉じ込め、支配することへの警鐘だと言いたいところだが、ミシッサに関する文書記録を考えると、十分なことはわかっていないというのが実情である。しかしミシッサもこう記している、「自分に扱えない物事に手を出すな。それが名の力であればなおさらだ」と。

イズモサールの力Izzmothar’s Power

(焼け焦げた紙切れ。第一紀503年にまで遡る、ほとんど読めない走り書き)

イズモサールはとてもいいことをする。感動。紙に書く手段を探す、燃えない紙を。見たか?感動だ。イズモサールは炎のスキャンプを呼んで沢山燃やすが、それはいいことだ。デッドランドもたくさん燃やしている。イズモサールはさらに燃やす。イズモサールは貢献している。

イズモサールはもっといいことをする。炎のスキャンプだけに指揮させる。ルールを決めさせる。脳のないショークや精霊には掟を与える。頭が棘のドレモラが言うように「メエルーンズ・デイゴンの名誉のため」だ。イズモサールは知っている。イズモサールはよく聞いている。

イズモサールは定命の者が悪口を言うのを知っている。メエルーンズ・デイゴンには力がない。棘頭のドレモラに力がない。イズモサールには力がないと。イズモサールは精霊を率いている。イズモサールにはすごい力がある。

イズモサールは定命の者に見せたい。イズモサールはニルンに行って、精霊とショークを取ってくる。イズモサールは炎の精霊に乗りたい。精霊は背が高い。イズモサールも背が高くなりたい。

棘頭のドレモラは言う。「イズモサール、殺せ。定命の者にメエルーンズ・デイゴンの力を見せろ」と。イズモサールは笑う。イズモサールは見せている。言われなくても。

イズモサールは「潰せ」と言う。炎の精霊は潰す。イズモサールは「殺せ」と言う。炎のショークは殺す。イズモサールはとても大きくていいことをする。イズモサールは「燃えろ」と言う。炎だらけになる。家は燃える。定命の者が叫ぶ。定命の者が叫んで燃える。多くの破壊。多くの死と苦痛。定命の者の苦痛は笑える。

イズモサールは満足しない。もっとやりたい。火で溶けない鋭い石を見つける。イズモサールは石を拾う。イズモサールは燃えて叫ぶ定命の抜け殻を見つける。叫ぶ定命の殻はイズモサールに「お慈悲を」と言う。イズモサールは「お慈悲」を知らない。イズモサールは石で定命の口の筋肉を切る。定命の者はもう大きな言葉を言わない。イズモサールは定命の口の筋肉をショークに放り、ショークが燃えるのを見る。定命の者は叫ぶ。だがイズモサールは忘れない。イズモサールは火の手を定命の者の顔に置いて、定命の者が抜け殻に変わるのを見る。

イズモサールは定命の者のところに留まる。家が燃えるのを見る。デッドランドのような匂いがするのを待つ。そしてイズモサールは紙を探す。イズモサールは記録する。イズモサールの力を。メエルーンズ・デイゴンの力を。

定命の者には力がない。

ウィンドウィーパーの森の伐採The Felling of Windweaper’s Grove

アリゼ・ジュスタル騎士長の命令、および第一紀2907年の布告により、我らはここにウィンドウィーパーの森から、有害と無害を問わずすべての自然を排除せよとの使命を与えられた。

この日よりいかなる樹木もラーチャーも、昆虫やリスといった根の間を這う生物も、我らの建設現場を邪魔することはなくなるだろう。ウィンドウィーパーの森が現在あるところには、進歩と文明の流れがもたらされる。アアリゼ・ジュスタル騎士長はスプリガンによって守られた聖なる森を称えるアーケイの聖堂と、我らが偉大なる街を守るため拡大を続ける民兵用の兵舎の建設を依頼した。

ゼニタールの名において、我々の労働が実りを結び、労力が報われますよう。
アーケイが彼の名において建造される、我らが聖堂を受け入れてくださるよう。
そして何より、アカトシュが我らの労働を速やかに完成へ導いてくださいますよう。

スナシュラグの約束Snushularg’s Promise

よし、蛾ほどの脳みそしかないお前らノミだらけの本の虫どもの中で、アビサル・セファリアークの所有物を汚すためわざわざアポクリファに来た奴はどいつだ?余白にコメントを書くとは、敬意というものがないのか?礼儀は?文章に少しでも関係のあることが書いてあったならまだしも、そうでない以上この冒涜には何の意味もないわけだ。

俺の計算によれば、被害状況は以下だ。下線が引かれた作品が35冊、言葉を囲んである作品が157冊、言葉がこすられて読めなくなっている作品が8冊、それから余白に落書きしてある本が全部で1,256冊――さらに「嘘つき」と繰り返し書かれている本が495冊だ。お前らが誰から基本的礼節を教わったのかは知らんが、授業をすっぽかしたのは確かなようだな。

運よくお前らを見つけだせたら、もう二度と筆記用具を持てないようにしてやる。お前らは権利を失った。アポクリファの蔵書庫を冒涜したんだ。俺より先にラーカーに見つかることを祈るんだな。

――解読者スナシャラーグ

チューターのリパリウスのリストTutor Riparius’s List

クランフィアが鈍すぎる。アリーナの挑戦者用にもっと血がたぎるような対戦相手を用意するようファーヌイヘンが望んでいる。整備のためにドワーフ・スフィアの部品の確認が必要かもしれない。既存の記録を念入りに調べて一番効率のいい方法を探そう。ファーヌイヘンは待たされるのが嫌いだ。

オーガに戦術を教えられるなら、ファーヌイヘンは見たがるだろう。オーガの大部隊の計画を立てているが、オーガが隊形の維持を覚えられなくては絶対に実現できない。

挑戦者が入る前に、アリーナの螺旋の影の蜘蛛の巣を撤去するようファーヌイヘンに伝えなければ。蜘蛛の巣がありすぎると有望な挑戦者さえ命を落とすことになる。

ファーヌイヘンがアリーナの挑戦を修復するために必要な未使用のクリエイシアを探している。ファウンデーション・コア のことを伝える前に、十分なクリエイシアが残っているかどうか確認しておこう。あるじからどの程度の修復が必要だと考えているか聞いていない。

誰かが男爵の広間にある洗浄用水槽の水が交換されているかどうか気を配らないといけない。植物は想像以上に花粉を排出していて、洗浄用水槽の水は以前ほど澄んでいない。この仕事は私がやる羽目になりそうだ。

ニボルウェンの日記Niborwen’s Journal

黒手袋を迎え入れたかった。彼は関心がありそうだった。でも、アラドロスが私を側に置く選択をしたことに文句は言えない。それは彼がレセルロスの狼の群れより私の能力と戦略のほうに価値を見出していることを明確に意味するからだ。もしかしたらアラドロスは、オーススウォーンへの襲撃計画に感心したのかもしれない。何しろ私の提案だし。大きな声では言えないが、私は聡明だ。計画は大成功だった!訓練所は我々の制御下にある。

オーススウォーンの入門者は大部分が死んで、我々は有能な戦士を大儀に引き込むために時間を費やしている。まだ誰も説得できていないようだが、それは対話をしているのが私ではないからだ。

私の責務はアラドロスの側にある。それはわかってる。だからどれだけ黒手袋に挑んで彼を回想者に加えたかろうと、アラドロスを見捨てたりはしない。真実を見せてくれたのは彼なのだから。彼のおかげで目が開き、この次元の穴を見ることができた。そしてその穴は我々が修復する。回想者は忘れられたものを取り戻す!

ニボルウェン

ビックス・ムズの最後の記述The Last Addition of Bikkus-Muz

私がこの書架に貢献できるのはこれが最後になるかもしれないし、その名誉を得られるかさえ定かではない。揚げ触手のスープの批判が文字通り最後の記述になったら、ビックス・ムズの名がすたる!

今目の前で起きているのに、それでも信じがたい。本が勝手に落ちて、開かれている。これだけなら大したことではない。アポクリファの本がしばしば自律的に行動することは知られている――だが、インクがページから立ち昇ってくるのが見えるのだ。インクは最初、読めそうな形をしていたが、すぐに流れ出して集まり、球体になった。トームシェルが本から出てくるのと似ているが、トームシェルの姿は見えない。インクの球体は伸びて形を歪ませている。あれは動き、本の上高くまで昇り、全方位に黒い液体を放出し始めている。液体は地面に溜まり、しばらく動かずにいたが、形になりつつある。

運命のページよ!あの形――影と呼ぶべきかもしれないが――あれは完全な生命体だ。インクで出来た、定命の者や怪物。独立して動くことができるのだ。奴らの皮膚から黒さが消えている。本は生物を具現化した。私は言葉が歩くのを目にしているのだ。

私は離れているので、奴らが話し、音を立てるのは聞こえてこないが、そのほうがいい。あの獣は邪悪な感じがする。あってはならないことが起きているのだ。言葉が文字通り生命を得るなんて喜ばしいことだと最初は思った。無味乾燥な歴史文書が読むまでもなく出てきてくれるのなら、目が疲れることもないだろうと。だが私は隠れ場所で恐怖に凍りついている。

あの生物たちが私を見つけたら、何をされるかわからない。私の知っていることが目の前で変化した今、私は何よりも未知のものを恐れている。ただ死ぬだけならまだ幸福だ。この全身を焼かれるような恐怖も、それで終わりを迎えるのだから。

ファーヌイヘンのメモFa-Nuit-Hen’s Note

未来のファーヌイヘンへ:

鍵を必要としない錠前を依頼する時は、暗記もいらないものにするよう明確に指定すること。私はどんな戦士からも命を奪う能力はたくさん持っているが、暗記はその中に入っていない。

では、明確に紙に記すことなく何が鍵なのかを思い出すにはどうしたらいい?もちろんこれは答えを求めない問いだ。私はこれを将来の啓発のために書いている。これはヒントだ!

このパズルのヒントは、線のうち2本を無効にして、3個の四角を残すことだ。

現在のファーヌイヘン

ファーヌイヘンの2つ目のメモFa-Nuit-Hen’s Second Note

退屈したファーヌイヘン

こういったヒントを考えるのは、私のアリーナを作る工程と似ていなくもない。簡単だ!少なくとも、そこまで困難ではない。今と未来の自分にとってもっと難しくするにはどうしたらいいだろう?答えをあいまいにしてやりがいを与える?うん、悪くなさそうだ。

この錠に必要なのは、2本の線を無効にして2個の四角を残すこと。

これで私は未来、戻った時に少しばかり考え込むことになるぞ!

ファーヌイヘンの3つ目のメモFa-Nuit-Hen’s Third Note

この錠前は素晴らしい!まさに技術と知恵による作品だ。私がこのヒントを必要としなければ、残しておく必要もなかった。障壁の解除に必要な暗号を解読するのは私ぐらいのものだろう!

中の小物を使えるように、この鍵はやや簡単にした。3本の線を無効にして四角を4個残すこと。

ファエナリルの手紙Faenalir’s Letter

大好きな兄さん。

もう書くのはやめると約束したけど、こうやって伝えたいことを書き連ねていると、兄さんを失った痛みがやわらぐことに気づいた。

きっと喜んでくれると思うけど、アラドロスが私を庇護下に置いて、オーススウォーンの指導者であるダルズシュ・フォージファイアを説得して仲間にするという仕事を任せてくれた。オーススウォーンについては言いたいこともあるだろうけど、強い信念を持ってるのは確かだよね。彼女が私と同じように、ニルンを蝕む空虚さを感じていればいいなと思ってた。何かがあるはずなのに何もない、痛みを伴うぽっかりと空いた穴を。彼女は感じてた。驚いたし、一瞬希望があるかと勘違いしてしまった。でも、その感覚との付き合い方は私とは違ってた。彼女はそれをモーロッチの拳と呼んでいた。あのオークたちは自分たちへの慰めが、すべてあの除け者の戦士神から与えられると思ってる。

彼女の説得が一度の対話で済むはずがないことは承知しておくべきだった。私は別の手法を試した。アンセルミルによる愛する相手への拷問、レセルロスによる仲間との絆の利用。結局、残ったのは死んだオークたちと負傷した鍛冶頭だけだった。鍛冶のロッジにこもり、訓練場の熱を使ってダルズシュを回想者に転向させようとしたけど、あのオークは頑固そのものだった。彼女は鍛冶場の中で水もないのに想定した限界を超えて生き長らえ、しかも水入りフラスコを持つ私を嘲る力まで残していた。

オーススウォーンは見たことのないような熱情をもって私たちと戦った。誤解しないでほしいけど、オーススウォーンは評判ほど恐ろしくはない。でもすごく頑固よ。私は彼らの目の前で数えきれないほどの仲間を殺し、死体を焼いた。それでもオーススウォーンは転向を拒否する。どうしたら私たちの大義に同調させられる?アラドロスに考えがあるといいんだけど。じゃないとここでの収穫は、1本の杖とオークの死体の山だけということになる。

もうあまり期待はしていない。アラドロスが口を開くたびに、ダルズシュ・フォージファイアを殺せと指示されるような気がしてしまう。正直言って、自分がその指示を恐れてるのか歓迎するのかわからない。いずれにしても、訓練場に長居はしないでしょう。

それじゃ、また
ファエナリル

ブルワラ船長の記録Captain Burwarah’s Records

第二紀304年、アビシアン海

船員の数がこの勢いで減っていけば、俺たちの呪われた航海を生き延びるのはこの記録だけになってしまうかもしれない。トゥワッカよ、そのような運命を避ける力を授けたまえ。

俺の船で起きた事件について書くのを何日もサボっていたので、主な出来事をおさらいしておく。

俺たちはサマーセットを出発し、東の海域へと向かった。強烈な風が帆を満たしたため、航路の計算によればケフレムへの上陸は1週間早まる予定になった。乗組員たちは喜んだ。長い間海上にいたし、皆また慣れ親しんだ海域に戻りたがっていたからだ。太陽は高く、見張り台からは他の船も、嵐も見えなかった。すべては静かで、のんびりとしていた。俺たちはターヴァの好意にあずかったらしい。その時はそう思った。

ある朝目を覚ますと、俺たちはぴったりと台風の目の中に閉じ込められていた。どの方向を見ても、1リーグもの距離が黒雲と荒れた海で覆われていた。だが俺たちは無風で波もない、晴れ渡った空間の中に収まっていた。最初、俺たちはシーエルフの襲撃だと思った。乗組員は三日三晩の間、武装して戦いに備えた。交替で眠ったが、ほとんど休めなかった。嵐の雲を突き抜けて船が現れることも、俺たちの船の帆に風が当たることもないとわかると、今度はデイドラに目をつけられたのではないかと思うようになった。だが食糧は日々減り続けていたし、餓死を待つわけにもいかない。俺は手の空いている者たちにオールを漕ぐよう命じた。風がストロス・エムカイまで連れて行ってくれないのなら、俺たちの手で行くしかない。それが俺の過ちだった。

最初のオールが静かな水を貫いた瞬間、海は荒れ狂った。水面が乱れて弾け、百匹ものシー・アダーを放出した。シー・アダーの分厚い蛇の胴体が甲板に飛び込んできた。手にオールを持っていた者たちが一番大きな被害を受けた。オールは長すぎて戦いには向かなかったからだ。甲板下でシーエルフ監視のシフトを終えて休んでいた者たちは、体制を整える間もなく階段でアダーに襲われた。俺たちは何とかアダーを片づけたが、大量の犠牲者を出した。海は再び静かになり、甲板長はまだ碧落の岸へ行っていない者たちの手当てをするため、1日休息を取ることを命じた。

その夜は甲板下から聞こえる苦痛の歌で満たされ、なかなか休めなかった。しかし曇り空の朝を迎えると、大きな歓声が上がった。空には太陽が昇り、それと共に風も出てきた。ついに俺たちを閉じ込めていた静止は消え、帆は痛めつけられた船員たちを呪われた海域から運び去った。

これで俺たちの苦難も終わったと思った。だが風は戻ってきたものの、嵐は消えていなかった。俺たちは嵐のど真ん中を航海することになり、目に見えて数の減った船員たちを従えて、俺がこれまで不幸にも体験した中で最悪のスコールと戦う羽目になった。

熟練の船員が2人、雲の中から現れたインプの手に押されて船から落ちた。彼らの叫び声は波の下に消え、俺たちは嵐とインプの両方から必死で身を守った。インプの群れが襲いかかる中、武器を取れとの命令の声が方々から上がり、勇敢な乗組員たちは持ち場を守った。俺たちはかろうじて船を守ることに成功し、インプたちは退却した。

俺たちは歓声を上げ、それに劣らぬ熱意で周囲の雲を罵りつつ、これ以上の襲撃者が現れないことを祈って風との戦いに集中した。見える限りでは敵の姿はなかったが、嵐の攻撃はまだ続いた。俺たちが一瞬油断したその時、稲妻が落ちてきた。これまでに見たこともない、渦を巻く稲妻だった。威圧的な巨体が目の前に現れて、乗組員たちは恐怖の叫び声を発した。石と嵐の獣が、俺たちの船に凄まじい力をぶつけてきたのだ。

だが、奴らから逃げる手段はなかった。俺の船は速いが、風より速くは走れない。甲板は滑らかだが、稲妻は跳ね返せない。俺たちは船をバラバラにされないよう必死に戦った。それで精一杯だったのだ。そうして、生き残った半数の勇敢な船員は、雷に命を奪われるまで持ち場を守り、仕事を果たした。

俺は広い海でも最低の船長だった。たったの2日で、俺は見たこともない怪物を相手に船員の半数以上を失ったのだ。襲撃を受けるたび、俺は船員たちを守ろうと焦ったが、何もできなかった。どうやって精霊たちから逃れたのかわからない。どこを航海したか、どうやって船を動かしたのかもわからない。ただ運がよかっただけだ。精霊どもがいなくなったのはトゥワッカの祝福だが、俺たちの旅がまだ終わっていないことは呪いだ。

俺たちの船と安全なサマーセットとの距離を乗り越えるのは不可能に感じる。俺たちの旅路は海と空に呪われている。通らねばならない海域から敵が出現し、今もこの数日の間に、大切な船員たちが苦痛に倒れている。

俺たちの物語がどう記憶されることになるかはわからないが、この記録は俺たちよりも長生きするだろう。もし神々の祝福があって、俺たちも生き延びられたら、俺はかつて愛した海を離れるつもりだ。海は俺を裏切った。ターヴァよ、我らを家へ導きたまえ。でなければ速やかな最期を与えたまえ。

マエロロルの年代記Maerolor’s Chronicle

アンセルミルはずっとあのコンストラクトで私を押しつぶそうとしている。普段ならこんなことは気にならないのだが、今はやるべき仕事が多いのでとてもうっとうしく感じる。多分彼女に優しくすべきなのだろう。彼女の熱意は私が一番気に入っている部分でもあるし。だが、すでにオーススウォーンへの侵攻が始まっている。あの育ち過ぎた木で私を殺そうとする暇があるなら、もっと自分の任務に集中してもいいのではないだろうか。

私たちは決して型どおりの組み合わせではない。ほとんどの人は自分のパートナーに命を狙われたら不快に思うだろう。だがアンセルミルの場合は、それが情熱の証だ。彼女は私と私の身に起きることをとても気に掛けている。それに、明確な不快感の伝え方を見つけてくれたことにも本当に感謝している。

アラドロスが私を側に置き、アンセルミルに斧のロッジを任せた理由を私は理解できているか?いや、できていない。それに正直言うと、アンセルミルが私に対してあんなにも厳しい態度をとることにも驚いている。彼女は斧のロッジを試し、我々に加わる価値がある者がいるかどうかを確かめたくてたまらないのだと思っていた。だが違う。アクスボーン・クルガを粉砕するという考えさえ、私の最愛の人を喜ばせることはできなかった。

自分が簡単には殺せない者で本当によかった。

マエロロル

マルケストの日記Malkhest’s Journal

アポクリファ大蔵書庫の一区画でしかないとはいえ、果てしなき保管庫は常に謎に満ちた迷宮だった。混乱の源であり、変化し続けるこの領域の性質に適応していない者にとっては罠でもある。保管庫の広大な空間内に散在するそれぞれの場所は、互いに大きく異なるように見えるが、それらを繋ぐ通路を気づかないうちに通ってしまうことが多いため、入口へ戻ることはほとんど不可能になっている。

モラの書記たちは裂け目を最後に訪れた時、果てしなき保管庫のねじ曲がった道を地図にしようと試みた。彼らはこの場所の内的構造の理解へ向けていくらかの成果を挙げたが、全体を地図に記す前に彼らの裂け目は閉じ始めた。彼らのうちの幾人かは、未だに回廊をさまよっているかもしれない。

以上から言えるのは、ここが恐るべき場所だということだ。最近、保管庫はかつてないほど乱雑さを増していると感じる。私は最近の調査旅行の時、書記たちの地図を携えて奥地まで進んだ。保管庫にある無数の区画を結ぶ門のどれ一つとして、地図には合致していなかった――以前にはなかったことである。これは私の経験的な推測にも一致している。果てしなき保管庫内の場所がひとりでに位置を変えるというのは言い過ぎかもしれないが、ある程度はそれが現実に起きているのではないだろうか。より正確には、各地の間に新しい連結を作り出す、超自然的な扉が存在するのだと思われる。比喩的に言うならば、保管庫の棟同士を結んでいる扉がランダムに開き、施錠されている。それに加えて大工たちが設計図を変えたり、新しい別館を作ったりしているのだ!要するに、ここでは何か不思議なことが起きている。私はこの謎を究明したい。

***

今日の私の旅は純粋に学問的なものだった。保管庫に変化し続ける性質が存在することは確認したが、私はさらに姿を変える広間に対処する戦術をも考案できた。索引と整理者たちのおかげで、私は広間を通過するのに多少面倒な思いをする程度で済んだ。大成功というほどではないが、少なくともこの不可解な場所の研究を続けるという、最大の目的に再び取り掛かることができる。

今日、私は「捉えがたき旅人」という、ささいな歴史記述が記された本を探した。著者はカルニウス・ミッソニーという、これも大して重要でない人物だ。全体として、この本が果てしなき保管庫の正体についての手がかりを与えてくれるとは期待していなかった。しかし意外なことに、この本は索引の記録から消えていたのだ。

整理者ジュンが橋の近くの棟でこの本を発見したので、私は軽くページに目を通してから、長い徒歩の帰り道に着いた。本はこの辺りに散乱している大半の本と似通った内容のようだった。〈面影〉の旅についての、多少の脚色が施された歴史記述である。果てしなき保管庫に収められている本の多くは、より最近の出来事についての歴史記述のカテゴリーに属している。

さて、多くの記述は出来事の基本的な順序について意見を一致させているが、細かい内容については見解が分かれている。例えば、ある本はドラゴンのジョーラーマーが炎を吐くと述べ、別の本は毒の煙が雲となって口から吹き出されると主張する、という具合だ。これらの記述間の差異のため、真実には一定程度の曖昧さが残っている。

しかし、私は自分なりの仮説を立てている。索引のカタログに「捉えがたき旅人」』に関する情報が不思議なくらい欠けていることはすでに述べた。これまで私が出会った本の中で、情報が欠如しているものはこれが最初でない。自説を裏付けるためにまた本を探しに行くことはせず、仮説はここに記しておき、また別の機会に調査へ赴こう。私の仮説は、索引のカタログにある情報が制限されている本が、〈面影〉の歴史に関わっているというものだ。この説が正しいとしたら、それは何を意味する?そして、どうすればそうした本をすべて見つけられる?それらの本すべてを記録に収める方法が存在するはずだ。

***

私はあるものに出くわしたが、あれは幻視、それとも小次元と言うべきだろうか。いずれにせよあまりに奇妙だったので、合理的に説明することはできそうにない。

私は果てしなき保管庫へ旅立った。またしてもこの場所の歴史の調査を進めるため、ある本を探しに行ったのだ。だが今回は、ある区画の端に到達した時、1つではなく2つのポータルが出現した。私はこの場所の危険について健全な理解を有している。通ったことのある道から逸れることの危険はわかっている。今は特にそうだ。だから、自分がなぜ2つ目のポータルに足を踏み入れたのかは説明しがたい。その瞬間から、私の体験は言葉に表しがたいほど奇異なものに変わった。

私の目は頭蓋骨に収まらなくなった。通常の限界を超えて引き延ばされたため、今でも目が痛む。そして私の歯はまったく小さすぎると感じた。吐き気がするほどの量の砂糖を感じ、あらゆるものに甘さがこびりついていたことを憶えている。私が意識を取り戻し、かろうじて大切な書類を台無しにしないよう地面に向かって吐くだけの節度を保とうとしている間も、甘さは私から離れなかった。それは今でもここにある。口の裏側にハチミツの飴が張り付いているような気分だ。手足も痛む。まるで長い距離を走ったような感じだったが、私は出発地点に戻ってきただけだった。

この記録を書き終えたら眠ろう。長い休息を取れば、あの体験の意味もはっきりするかもしれない。

遺物の悪の発見に関してOn the Discovery of Relic Fiends

銀の薔薇騎士団とあの日に起きた全てのことに関する考えをまとめている間、私はある不愉快な事実に気づいた。それはどんな地位にあっても、あらゆる者がアズラの届かない影に落ちうるということだ。

自分の目で見たものを信じたくない。私があれほど尊敬した騎士たちがあのような…悪と化したことを認めたくない。守ることを求めた騎士たちが、守るべき相手に牙をむいたなどと言いたくはない。だがこれらは全て事実なのだ。

かつてオブリビオンに対する防波堤として戦ったあの獣が、堕落する以前の自己をわずかでも保っているのかどうかは、私の理解を超えている。保っていないほうがいい。彼らのうちで「これは間違っている」と叫ぶ囁き声が響いていないことを願う。オブリビオンの何が変化させたにせよ、それが彼らの心から記憶の最後の一片まで奪い去ったと思いたい。彼らの行動を見れば、そう思わざるをえない。

起きてしまったこの事態を、オブリビオンの不思議を抑制しようとする全ての者への警告としよう。あれは定命の者が持ってはならない力なのだ。

私は日没にアズラへ祈りを捧げ、オブリビオンの魔術から守るよう願おう。デイドラ公ほど力のある存在であれば、私が目にした運命によく耐えられるかもしれない。

――ウェイリン

影を彫る者を悼んでIn Memoriam of the Carver of Shadows

慎重な蛾のごとく動く男爵のために。

私の男爵の中で最も慎重で計算高かった。どうしてこの運命を予測できなかったのか。

記憶の中に再び飛び込んで来ることを願って。

塩のスプレーを悼んでIn Memoriam of the Salt Spray

波の上の陽光のごとく動く男爵のために。

あなたの名前を聞くと活き活きとした情景が思い浮かぶけれど

あなたの明るい顔は欠けている。

時々、あなたが実在するのか、

私が面白がって組み合わせた言葉の羅列なのかわからなくなる。

穏やかなる戦士を悼んでIn Memoriam of the Gentle Warrior

葦の風のごとく動く男爵のために。

私の心は曇っている。決して見通せない濃霧のように。

ここにいて、忘却の雲を追い払ってくれたらいいのに。

灰の風を悼んでIn Memoriam of the Ashy Wind

煙噴く羽毛のごとく動く男爵のために。

私は炎が空気を求めるように、あなたを求めていると思っていたけど、

それは違った。

私があなたを求めるのは、俳優が脚本家を求めるようなものだった。

ページに言葉が足りない時に

銀の薔薇はボーダーウォッチに咲くThe Silver Rose Blooms over Borderwatch

第二紀87年、銀の薔薇騎士団はボーダーウォッチの侵略を試みたズィヴィライ・クランに対する危険な作戦を展開した。騎士団がどのようにしてズィヴィライの計画を把握し、介入したかについて多くのことは知られていないが、その手際は素早く効果的だった。騎士団員コラティヌス・アンティアスによって書かれた報告は、騎士団の戦略を記述している。

「我々は夜中にこっそりと進軍した。気づかれぬようゆっくりと丘を越え、草原を歩いた。これは騎士団の熟練の指揮官にとっても珍しい作戦だった。我々の陣形はよく整っており、隙はほぼなかった。ようやく戦いが始まると、我々の攻撃は戦いに慣れたデイドラたちに衝撃を与え、その驚きが我々に優位をもたらした。我々は勇猛に戦った。訓練には何ヶ月も費やしたが、戦いは一夜よりも少し長い程度の時間で終わった。ズィヴィライは個として戦い、自らの戦闘技術で自分のための栄光を勝ち取ることに慣れていた。最終的にはそれが彼らの敗因となった。彼らの陣形の欠如は、訓練を経た我々の戦術には対抗できなかったからだ。我々はその次の日、互いを称え合い、戦いを生き延びさせてくれた薔薇の母に感謝を捧げて過ごした。彼女の名において、我々は勝利した。我らの地は腐敗から救われた。そして彼女の名において、我々は行動する。

我らの攻撃を導き力を授けてくれた、アズラに祝福あれ」

訓練場の教訓Lessons of the Pit

入門者よ、しっかりと読め。なぜなら私は何度も同じことを書くつもりはないからだ。お前たちはタムリエルでもっとも偉大な戦士たちから戦いを学ぶためにここに来た。オーススウォーンは慎重かつ巧妙な戦士だ。片っ端から切り刻んで勇気を示したいなら、アンドーンテッドにでも入るがよい。

何を誓うと聞きたい者もいるだろう。誓うのは、戦場にいる者すべてを辱めないこと。全力で戦うこと。賢く戦うこと。そして仲間のオーススウォーンと共に戦うことを。忘れるな。モーロッチは血の誓いのデイドラ公であり、背かれし者の防御者だ。オーススウォーンに背を向けたら、モーロッチに背を向けたも同じこととなり、お前と盾を合わせて立ち上がる者はいなくなるだろう。

誓いを果たすため、3つのロッジを突破してもらう。まずは拳のロッジだ。武器は特権であり、入門者が持つ資格はない。お前たちは鼻にパンチを食らって怒りを制御することを学ぶ。素早い動きも学ぶかもしれない。武器を持つ敵との戦いを学び、勝利を学ぶのだ。

拳のロッジの指導者が十分に備えられたと判断したら、斧のロッジへ進む。そこではあらゆる種類の武器について学ぶ。武器の動きと、武器に合わせた動きを学ぶ。壊れ方を学び、剣を失った瞬間に降伏するブレトンの騎士とは対照的に、その破片での戦い方を学ぶ。お前たちはすでに拳のロッジでの学びを終えている。故に、武器は自分を武器とすることほどには重要でないと知ったうえで訓練を積むことになろう。

最初と同じように、指導者たちが斧のロッジで学ぶべきことをすべて修めたと判断したら、鍛冶のロッジへ進む。ここでもっとも素晴らしく、もっとも厳しい教えが新参者に叩き込まれる。真の力は戦士でなく、鍛冶頭が持つことを学ぶのだ。炉の前に立てばどんな怪我よりも苦痛を感じることを学ぶ。そうして自分の中に無限の可能性があること学ぶ。鍛冶場こそ、オーススウォーンが作られる場所なのだから。

さて、これを記憶したことを祈る。さもなければ、訓練場で過ごす日々がずっと長くなるであろう。

訓練場主、アグサシャグ

死霊術の初心者向け素材Materials for Novice Necromancers

不死のギララ 著

あなたの魔術の経験や才能に応じて、死霊術の初心者が扱うのに向いている素材の種類がいくつかある。自分の軍隊を築いて敵を制圧するためには、まずこれらの素材を理解しなければならない。なんといっても、「理解できないものは完全に制御できない」というのが魔術の鉄則である。

亡霊
魔術とは気まぐれなもので、この世界の物理的制約の多くに縛られない。そのため初学者にとってはしばしば、同様に非物体的な素材に命令するのが最も簡単である。常に目に見える形で具現化するだけの力を有しているとは限らないが、死者の霊魂はタムリエル中に存在する。この点における死霊術の有用性は明白である。ただどこかの場所に力を集中させれば、何かの亡霊が現れる可能性が高い。

スケルトン
有能な死霊術師の軍団の基礎となる兵士、スケルトンは魔術で形を保っている物体の塊でしかない。このアンデッドを蘇らせるのに大した努力は要らず、骨は必要になるまで、袋に入れて持ち運ぶこともできる。

ゾンビ
スケルトンは単純なしもべであり、召喚も命令も簡単である。ゾンビはまったく事情が異なる。ゾンビの肉体はかつての記憶を保っているため、蘇らせて制御する前に忘却させなければならない。儀式に加えて、場所も大幅に変化させることで、肉体を混乱させ、以前の素性を奪うことが重要となる。成功すれば、選んだ死体はある種の停滞状態を獲得し、あなたの命令に易々と従うようになる。

レイス
他のアンデッドとは異なり、レイスは強力な感情によって支配された霊魂である。レイスを呼び出して命令するためには、霊魂をその最も邪悪な表出へと歪曲させる方法を学ばなければならない。命を奪われたことへの不満と怒りに霊魂の形態を支配させてから召喚する。死者の怒りを支配できれば、苦もなくレイスに命令できるようになるだろう。

リッチ
リッチを制御することはできない。魔術によって命令することは試みるだけ無駄である。リッチは死霊術を使って不死の状態へと至った者であって、あなたよりも強力だ。彼らは暗黒の儀式の達人であり、最高位の死霊術師なのだ。

焦熱の嵐を悼んでIn Memoriam of the Scorching Storm

熱い稲妻のごとく動く男爵のために。

雨が降る時、あなたのことが一番よくわかる。

でも空が晴れている時、私はあなたを感じない。

挑戦者たちに不公平でなかったなら、いつも雨を降らせておいたのだけれど。

新人の恐怖Initiate’s Fear

怖い。認めよう。オーログブは恐れている!

もしかしたら訓練の一部なのかもしれないが、死者の呼ぶ声が聞こえた。声は反響し、まるで訓練場の炎から聞こえてくるかのようだった。黒手袋のガームには恐怖に支配されるなと言われてる。真のオーススウォーンの戦士は敵との戦いと同じぐらい恐怖との戦いも易々とこなすものだと。でも、できるかどうかわからない。幽霊のような声は恐ろしかった。声は決闘を挑み、訓練場で実力を示すことを要求した。そんなことはできない。まだ来て1週間しか経ってないのに!

ウルグドゥカが言うには、声は昔の訓練場主で、新たに仲間に加える者を探してるんだそうだ。モーロッチよ、お助けを。彼女が間違っていますように。

全力で戦おう。ガームが言うように。でも、憑りつかれるため訓練場に来たんじゃない。

挑戦者の思索A Challenger’s Thoughts

散々懇願した結果、チューターのリパリウスというファーヌイヘンの助手がここへ来ることを許可してくれた。一人で自分の思考と向き合える場所がほしいと頼んだのだ。色々と耳にしたアリーナの挑戦を受けて立つ前に、精神統一ができる場所だ。それで、この男爵の広間で一息つくことを許された。これはとても名誉なことだから、敬意を示して感想の記録以外は何も残すなとチューターのリパリウスにはっきりと言われた。アリーナの挑戦で何が起ころうと、私ことヌヌリオン・アランはベドラムのベールにいた。

ここはとても静かだ。それでも、どこかタムリエルの荒野にいたときのような不安を感じる。静寂は危険の、捕食動物の襲撃の兆候だ。だが静寂がさらなる静寂の先触れであるこの広間でそんなことは起きない。この紙の上になら、最初は恐怖にかられたと認めることができる。死と戦ってファーヌイヘンを感心させる準備はできていた。少しだけ、集中できる時間があれば助かるだろうと思ったが、こんな不自然なほどの静寂の中にいると、自分の準備やルーティンに疑問を感じてしまう。

だが疑ってる場合じゃない。ファーヌイヘンが招いてくれたんだ。私は求められてるし、力も満ちてる。それだけは何があっても覚えておかなければ。それでも、もう少しここで過ごしてもいいかもしれない。静寂が気にならなくなるまで精神と呼吸を整えるために。それがこの先に待つものと対峙する準備が整ったことを示す合図になるだろう。

私に準備ができ、彼らも私に対抗する準備ができたら、アリーナに立ち向かおう。それまでは男爵の広間に座り、めったに見られない領域を観察しよう。

入門者が最後に見たものInitiate’s Last Sight

入信者ダラン・エマクス 著

明日、目隠しをつける。この時を恐れていたけど、あんな光景を見てしまったら、二度と目を使わなくて済むのが嬉しいぐらいだ。盲目の道はもう恐怖じゃない。おかげでこの先の人生にダラン・エマクスを怯えさせるものはなくなるんだから、盲目に感謝する。

もちろん、ダークシャードのことは知っていた。入門者に最大の闇を見せる悪夢の怪物のことを聞いたことがない、盲目の道の者はいない。ダークシャードから見せられる幻視は誰一人として同じじゃない。中にはすべてを飲み込む炎や愛する人の死体を見せられたと言う者もいる。ダークシャードは止める間もなく入門者を攻撃し、殺してしまうこともある。そんなことはめったに起きないけど、ダークシャードと対峙する直前には、それしか考えられなくなる。さらによくあるのが、入門者が目隠しを着けられる状態にまで回復できないことだ。ためらうことなく道をたどれるのは、正気を保っている者だけだ。私は彼らのようになりたかった。そしてそうなった。

ダークシャードと出会った時、私は簡素な部屋にいた。壁に飾りはなく、怪物以外は誰もいなかった。動ける気がしなかった。私は数多くある怪物の手の1本が勢いよく飛び出て、私の首を断ち切るのをただ待っていた。でも何も起きなかった。どれぐらいあの部屋で怪物が恐怖を見せる決断をするのを待っていたのかわからない。何時間も、もしかしたら丸一日あの部屋にいたような気がした。扉が開く頃には服が汗でぐっしょりと濡れていて、目が痛んだ。ダークシャードの前でまばたきをした覚えがまったくないし、できたとも思えない。

あの過酷な試練から何時間も経った今でさえ、気分が悪くて力が入らない。ダークシャードのことを考えるのがやめられない。他の入門者は試練の達成を祝っているが、私にはできない。なぜ私には計り知れぬ恐怖を見せなかった?なぜダークシャードは、オブリビオンのもっとも陰惨な恐怖に直面する覚悟を決めていた私を見捨てた?私が道をたどる者にふさわしいと思えなかったのか?それとも、私を試すものが何も残っていなかったのか?

違う。他に何かある。こんな答えじゃ、あの遭遇で陥ったほどの恐怖は感じない。きっとダークシャードが私に与えた恐怖は、不確かさなのだと思う。私が何を見せられるはずだったのか、あれが何を見せるつもりだったのか、知ることは決してできない。ダークシャードの顔、その舌打ち、一瞬で殺せたはずだったのに殺さなかったあの腕以外には何も知ることができない。私は不可知の存在と対峙した。私はそれを見詰めていたのに、目隠しをする直前まで気づかなかった。

妙なやり方だが、私は二度と未知と対峙することはない。ダークシャードは贈り物をくれた。盲目者は私に贈り物をくれた。私は歩けなくなるまで、この道を歩むつもりだ。

北方の謎の殺し屋たちObscure Killers of the North

フローアノット・エピナード 著

本書では、喉裂きボトゲルヴィ、毒殺者リンゲルド、および名無しのノルドについて論じてきた。これから扱うのは、最も謎の多い殺し屋である。記録は無数に存在するにもかかわらず、同僚の学者たちの中には本当に実在するのかを疑う者もいる。確かに、民間伝承や迷信は正確な情報源でなく、しばしば新しいものやより大きな信仰によって変化し、断片的な真実しか含まないことは認めよう。それでもこの殺し屋に関する伝承の核心部分は、物語や韻文、詩歌が一定の事実に基づいていると信じさせるに足るものであると私は考える。

この殺し屋についての実際の歴史的事実がどのようなものであれ、この男が北スカイリムの文化的実践に与えた影響は明白である。子供たちはその季節の最も暗い夜、命を奪われるのを恐れてベッドの下に隠れたと言われている。そしてすべての大人は、間違った人物を糾弾し、その報復を受けることを恐れて沈黙したと言われる。読者よ、ここに紹介しよう――モーサルの屠殺者である。

この捉えがたい人物について、多くのことは知られていない。彼は第二紀248年にまで遡る物語へ散発的に現れるが、同時代の児童向けの歌の中にはより頻繁に現れる。歴史全体を通じて、屠殺者は恐怖と民間伝承の源泉である。この執着はおそらく、この職業が死者や解剖と密接にかかわっていることに起因しているのだろう。原因が何であれ、モーサルの屠殺者と呼ばれる存在については、無視できない事実がいくつかある。

残酷な男、屠殺者ハエファル
スイートロールにご執心
その刃は旧モーサルよりも冷たく
お前を切ってフロストトロールに放り投げる

彼はお前をヤギと呼ぶ、お前の喉を切り裂きながら
残酷な屠殺者ハエファル
川が溶けたらお前は流され
二度とモーサルに姿を現さない

――第二紀275年頃、子供の足踏み歌

上に引用した不吉な内容は、第二紀248年の長い冬に起きた出来事を指している。十を超える家族が姿を消したのである。これはモーサルの生存者たちの間にパニックと不安を引き起こした。行方不明のノルドたちが見つかることはなかったが、彼らの家の扉は開きっぱなしになっていた。まるで何者かが真夜中に家へ入り込み、彼らを引きずり出したかのようだった。

当時の記録はハエファルに言及していない。言及していたら、謎は始まる前に解けていたはずだ。名前が与えられたのは、おそらく童謡の作成者によるものだ

当時の学者も、私の同時代の学者の大半も、村人の消失は当時頻繁に起きていたゴブリンの戦略的な襲撃の結果だと考えている。だがここで少しだけ、モーサルの屠殺者が本物だったと考えてみよう。彼は何者だったのだろうか?

モーサルは大きな村ではないため、正式の屠殺人がいた可能性は低い。より現実的に考えるなら、どの家庭も動物を屠殺する経験を持っていたはずである。専門的な職人がいたのなら、犯人を特定するのはきわめて簡単だっただろう。もしくは、犯人は実際に腕の立つ屠殺人だったのかもしれない。しかし、屠殺者という名称は犠牲者たちの悲惨な最期から付けられたもので、職業を意味するのではなかった可能性が高いだろう。

性格に関して、屠殺者はきわめて短気な人物だったはずである。子供の歌で、殺し屋はある違反、すなわち彼のスイートロールを食べるという違反を犯した相手に復讐するとされている。デザートを奪われただけで暴力的な殺人を冒すというのが本当なら、殺し屋はスイートロールにご執心という程度では済まなかったはずだ。この執着は狂信的な、ほとんど信仰に近いものであろう。だが美味なデザートへの宗教的献身などというのは、文献から飛躍しすぎた仮説になるので、この点は脇に置くことにしたい。

屠殺者ハエファルに関する多くの文献がヤギに言及していることは注目に値する。これは彼が犠牲者に加える行為を予告する手段だったのだろうか?この同じ年に、ヤギの群れが複数いなくなることがあったという仮説も提示されているが、群れの規模に関する記録は通常よりも乏しい。このような説明はにわかに信じがたいが、学問的誠実さのためにこの情報もここに含めておく。

これほど秘密が多く、虚飾が入り混じっている可能性のある殺し屋に関して、殺人がいつ収まったのかを特定するのは困難である。本当のところ、この殺し屋が実際に捕まったのかを知ることも不可能である。本書の他の事例では、より決定的な結末が見られた。それは歴史家にとっても、一般民衆にとってもありがたいことだが、モーサルの屠殺者の伝説が完全に死に絶えたことは決してないのである。

もしあなたがモーサルへ旅し、村の長老に尋ねる機会があったら、おそらく長老は屠殺者が何者だったか知っているだろう。その人が子供の頃、屠殺者が悪夢に現れた話までしてくれるかもしれない。それは屠殺者がモーサルの人々に及ぼした影響の証左である。この男は民間伝承と人々の記憶の中に存在しているため、死ぬことはなかったのだ。モーサルの屠殺者は完全に殺すことも、打ち破ることも決してできないのである。

ウェストウィールドの書

West Weald Writings

アビティウス隊長の命令Captain Abitius’s Orders

ヴァレンの監視所に、回想者と陰謀を企む敵による予期せぬ襲撃があった。付近の軍団の部隊に警報を出して呼び集めるため、監視所の塔と壁の最上部にある4つの狼煙への点火を命じる。4つの狼煙すべてに火が点いたら、ただちに監視所の外にある野営地へ報告に戻り、さらなる指示を仰ぐこと。野営地は、正門からそう遠くない場所にある。

貴殿の勇敢さと、軍団および全ウェストウィールドへの奉仕は賞賛に値する。ヴァレンの監視所はこの地域における防衛の要だ。決して敵の手に渡してはならない。

急いでくれ、軍団兵!
アビティウス隊長

アラドロスからの手紙Letter from Aradros

ナンサリオン王へ

簡単ではありませんでしたが、トーヴェサードが大変な関心を抱いている「多くの道の杖」というものの場所をついに突き止めました。オーススウォーンの訓練場という、オークの要塞に封印されているのです。オークたちは遥か昔にマラキャスが杖を彼らに預け、それ以来守り続けてきたと信じています。

なぜ杖が重要なのかトーヴェサードに聞いてみました。彼はあの杖が、シャードボーンの領域から盗まれたデイドラの兵器だと言いました。あれは多くの道からマジカを引き出し、所有者に変化そのものの力を授けるらしいのです。確かに恐るべき武器です!トーヴェサードの言葉が事実ならば、回想者があの杖を手に入れるべきでしょう。

あらゆる手を尽くしてオークどもから杖を奪い取り、王の手にお届けする所存です。回想者のために!

アラドロス

イフレの賛美歌Y’ffre’s Hymn

根と葉、枝と皮が
暗い土から立ち上がり
すべての中に歌を聞き
イフレがなぜ歌わせるのかを知る

大昔に紡がれし物語
その歌と語りは、未だ尽きぬ
紡ぎ手たちは賛美の歌を絶やさず
我らの周りで緑は栄える

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

命の物語は長く
イフレの歌を受けて形を得た
過去と未来、今とここ
時間を紡ぐため、すべてが従わねばならぬ

それは感じられる、大地と空の中に
泳ぎ、育ち、飛ぶもののうちに
物語の力は深くまで響き
守るべき契約を思い出させる

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

おお、イフレ、優しきイフレよ
あなたの大いなる復唱を聞かせたまえ
その声が、我らの心へ残り続けるように

ヴァシャバーの脅威The Vashabar Threat

斥候ブリティア・コンコニアスから護民官アレア閣下への報告

新しい森(彼らはドーンウッドと呼んでいます)におけるヴァシャバーの居住者は、当初私たちが考えていた、ただの暇な樹木好きなどではないかもしれません。集落はアイレイド遺跡の頂上に建設され、深い緑の葉と、この地域では見られなかった生い茂る野生の植物で完全に覆い隠されています。ウッドエルフに対処する上で、この事実は不安であり、漠然とした脅威も感じます。

ご指示に従い、数日を費やしてヴァシャバーのウッドエルフの動きを観察しました。見られず森に留まることは難しくはありませんでしたが、度を越えた草木により、ウッドエルフたちはウェストウィールドに何をするつもりなのか、大きな不安を覚えました。木々の大きさと密度は、とりわけこの森がつい最近発生したことを思うと衝撃的です。コロヴィアに飲食物を供給する農場やブドウ園にとって、決していい前兆ではありません。
ウッドエルフについては、ほとんどが単なる労働者や採集者のように思われます。中には腕のいい狩人も含まれています。極端に暴力を好む様子は見られないのですが、敵と見なした相手に武器を使う能力は疑いようもありません。その上、狩人たちは定期的に射撃訓練を楽しんでいます。

ほとんどは革の的や色を塗った動物の皮を使っていますが、軍団の標準装備の兜を標的にしていたことがあるのを見ました。とりわけ優れた射手が兜の天辺にある羽根飾りを撃った時には、みんな喜んで笑っていました。その兜の入手方法はわかりませんが、深く考えたくはありません。

上述したように、ウッドエルフの遠距離武器を扱う能力のことは決して忘れてはなりません。ヴァレンウッドの併合地域を巡回する軍団の兵はすべて重装備にして、深い木々の中ではいかなる時も兜を着けているように命じるべきです。

また、ウッドエルフの大部分は彼らの王ナンサリオンに対する熱狂的な献身を示しています。彼は最大の懸念です。そのカリスマ的な統率力を通じて、複数のウッドエルフのクランをまとめ、ほぼ一夜にして新しい集落を形成しました。彼の評判だけでも新たな信奉者を引き寄せ、活動の規模がさらに拡大するかもしれません。これはさらなる調査を行い、森域の境界線に配属する軍団兵を増やすべき理由になります。

機会があれば、ナンサリオンは喜んで自らの根を肥沃なコロヴィアの地にねじ込み、ヴァシャバーの境界線を広げようとするでしょう。何があっても彼から目を離すべきではありません。

新たなご命令があるまで、監視を続行します。さらなるご指示を心からお待ちしています。

ヴァシャバーへの手紙Letter to Vashabar

ハルロア

ヴァシャバーでは、イフレに捨てられた帝国の地であるこちらよりもうまくいってるといいけど。こちらはもう3週間こんな調子で、古代のゴミと筋肉痛とかんしゃく以外にはほとんど何も残ってない。あのダークエルフが自分の偉業についてしゃべり立てるのを聞かなくてはいけない者は、頭痛もしてる。

失われた偉大な宝を約束されていたのにまったくの期待外れで、見つかったのはせいぜい古代のワイン瓶、水、血くらい。他の者たちは道具を捨ててここを去ろうとしてる。インペリアルの領域にいるけど、私たちがここを探検してることを知られたらよくは思われないと思う。それとダークエルフがいつも「あともう一部屋!」「あともう一室!」「この碑文を見てみろ」。まったく!

そして、まだ動く罠がある。何百年も前の罠くらい。最悪なことに、気をつけないと石にされる!通れない道や封印された入口がいくつかある。巨大な祭壇の裏にもありそうだけど、今のところ困り果ててる。うちのダークエルフなら入れるようにできるかもしれないけど、頼む気になれない。あいつは近くに寄らせない。像が動き出して奴の上に倒れるという「事故」が起きればいいのに。

こんな場所にも、ここの獣にも、「有名な著者であり冒険家」のナルシス・ドレンにもうんざり。あんな奴、ワイルドハントに襲われればいい!

子供たちによろしく。お母さんはあと数週間で帰ると伝えて。でも、回想者についてはヴァシャバーの誰にも伝えないこと。一言もね!

ブレディレル

ヴァレニアへの手紙Letter to Valenia

親愛なるヴァレニア

おお、お前と最後に会ってからどれだけ経つだろう!近づくことを考えただけで落ち着かない気分になるから、遠くから見守りながら勇気を奮い立たせている。どうか許してもらいたい。

だがついにお前はここに来た。どれだけこの日を待ち続けたことか!お前の家の西にある森で会おう。サプライズを一つ用意している。とてもとても長い時間をかけて準備してきたものだ。

俺が何者かって?当ててみてくれ。そのことは後で笑えばいい。一緒に。

旧友

ヴァレンウッドとその先のヴァシャバーVashabar In Valenwood and Beyond

ウィルダーホールの学者、メルボラ 著

紡ぎ手へ。要請通りこちらのメモを用意しました。私たちのクランの歴史は何本も巻物を書けるほどなので、できるだけ簡単にまとめています。

ヴァシャバーの村はわずか数ヶ月前に築かれたばかりですが、私たちのクランの歴史はアイレイド帝国の滅亡後、アレッシア帝国の崩壊前にまでさかのぼります。それほど昔にヴァレンウッドへ移住したのに、親族がバラバラになっていないことには少し驚かされます。常に小さな共同体ではあったものの、歴史の道が血に流れているのがわかります。

初期の共同体において特に重要なメンバーの多くはハートランド・エルフの離散に関わっていましたが、そうした元征服者の多くはグリーンパクトの教えを取り入れました。

森を形作る技術を極める緑の代弁者の伝統は、第二紀初頭に始まりました。私たちと同族であるネドリルの先人が、(後に)ヴァレンウッド全土におけるさやの家の進展につながる技術を開発したのです。

後に暁の道の動きにつながるドーンウォークの伝統は比較的最近の発展ですが、その根は私たちのアイレイドの先人にあります。ナンサリオン王はその動きを順応させ、私たちの共同体へ明確に焦点を合わせ始めました。緑がストリッド川を越えて戻る道を見せた時、私たちには行動する準備が整っていたのです。

新しい森は、まるで私たちがアイレイドの先人の遺産を取り返すため特別に育てられたようでした。私たちは荷物をまとめ、ナンサリオン王に従ってこの神聖な場所へ移動し、緑の代弁者は仕事を始めました。ヴァシャバーの最初の蔓が育ったのは、それから間もなくのことでした。

ヴァレンによる軍の召集Varen’s Call to Arms

尊敬すべきウェザーレア家の諸君

皇帝と呼ばれる、我らが冒涜者レオヴィックはやりすぎた。デイドラ信仰の合法化は独裁者による言語道断の所業で、誇り高きコロヴィア人なら誰も従うはずがない。

コロール公ヴァレン・アクィラリオスが、皇帝に対する進軍にコロヴィアの地の壮健な戦士もぜひ加わってほしいと懇願している。

心に炎、血に忠誠があるなら、ブルーマで我らの拡大しつつある解放軍に参加してほしい。

コロヴィアのために戦おう。名誉のために戦おう。帝国に栄光を回復するのだ。

ヴァレンの反乱の物語、パート1Saga of Varen’s Rebellion, Part 1

ヴァレンの出陣
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
石の壁に囲まれた砦に座した
とりまく世界を憂いながら

彼はルビーの玉座に仕えた
全身全霊をかけて
戦いの時も平穏な時も
忠誠は揺るがなかった

けれど今、心は乱れている
田園地帯の黒い染みによって
玉座を手に入れた皇帝
モリカルの息子、帝国のドラゴン、レオヴィックが
土地と民を脅かしたから

レオヴィックの先祖、北のリーチの民が
ルビーの玉座を手中にし
その民を従わせた
彼の意志と欲望と
馴染まぬやり方に

レオヴィックが崇めたのは
もっとも闇深きデイドラ
ハーシーン、ナミラ
そして誰あろう
破壊のデイドラ公メエルーンズ・デイゴン

ヴァレンはこれをすべて見た
惑わされし同胞を見た
卑劣な力によって
皇帝の布告によって
闇がその地を獲得した

けれど玉座に忠実な彼は
レオヴィックを誠実に支援した
帝国の残酷なやり方と
彼の野蛮な信仰にも関わらず

ヴァレンはアブナー・サルンに知恵を求めた
元老院で誰よりも賢き者
ルビーの玉座に仕える高官
政に鋭き目を持つクリビアの父

アブナーは言った
「そなたの忠誠は玉座のもの
そなたが賞賛されるべきもの
けれどもその忠誠心は
玉座に座る者にまで及ぶのか?」

高官の言葉を熟慮したヴァレンは
邪悪な習慣を目にした
自らの地にいるデイドラ公たち
彼らがそれを続けたら
民の魂は救われぬ

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
城から立ち上がり
角笛を鳴らすと
民を戦へと導いた

ヴァレンの反乱の物語、パート2Saga of Varen’s Rebellion, Part 2

ヴァレンの敗北
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災いは
自らの陣に座った
喪失に思い悩みながら

ヴァレンは民に呼び掛けた
民は応え、蜂起した
皇帝の軍に抗い、
彼の憎むデイドラに抗った

彼の民は素早く建てた
彼の国境を巡る壁を
クヴァッチとコロールを封鎖した
残虐な帝国を入れぬために

ゴールドコーストの戦士たち
屈強な第二軍団が
彼の呼びかけに応じ
帝国のドラゴンとの戦いに旅立った

ヴァレンはクヴァッチの家を委ねた
甥カロラスに、守るようにと
ジャロス・トラプターに求めた
急ぎ民の壁を作るようにと

けれど皇帝には強き力があり
答えとして自らの軍を送り出した
ルビーの玉座に忠実な軍団と
北方の凄まじき戦士たちを
反乱を撃滅するために

二つの軍が峙した
コロスと帝都の間、アッシュ砦で
双方の力は互角だった
一日中戦い続けた
黄昏が深くなるまで

そして皇帝が打撃をもたらす
この世のものならぬ味方をもって
邪悪な魔法を繰るオブリビオンのデイドラ
その主たち、デイドラ公より送られし者

ハーシーンの召使たち、ナミラ、
そして誰よりもメエルーンズ・デイゴンが
ヴァレンの軍の側面に現れ
混乱の中、反乱軍を押し戻した

不意をつかれ、襲撃され、裏切られた
ヴァレンは退却を命じた
その後、皇帝の軍勢が
略奪と勝利の祝宴に立ち止まる間
ヴァレンは癒し、作戦を練り、立て直した

今、ヴァレンは焚火の傍に座る
血にまみれ、打ちひしがれ
敗走し、落胆した彼の部隊は
次の動きを注意深く考えた

その時、現れしはアブナー・サルン
ルビーの玉座に仕えた元老院の長
クリビアの父、政の道に長けた者が
公爵のために知らせを携えて

レヤウィンは解放された
コロールの帝国軍は反旗を翻した
彼らは元公爵のもとに参じるだろう
戦いの場に加わるだろう
戦い続けると約するなら

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災い
焚火の傍らで立ち上がり
剣を身に着け、盾を掲げた
そして再びレオヴィックとの戦に挑む

ヴァレンの反乱の物語、パート3Saga of Varen’s Rebellion, Part 3

ヴァレンの勝利
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの英雄、シロディールの皇帝
ルビーの玉座に座した
自らの運命を憂いながら

アッシュ砦での大敗の後、
他の反乱軍の増援を得て
ヴァレンの軍は北のブルーマを占拠した
そこから反乱は広がった
帝国のあらゆる果てまで

反乱軍はこの上なく果敢に戦った
敵がリーチでもデイドラでも
裏切者でも襲撃者でも
帝都の壁そのものに向けて

彼らはその壁を破った
通りから通りへ
家から家へと戦った
帝都に向けて

そこでヴァレンはレオヴィックを殺めた
ルビーの玉座の足元で
剣をドラゴンの胸に突き立てた
玉座にロングハウスの血をまき散らして

その後ヴァレンがルビーの玉座に就いた
彼の全軍に称賛され
彼らはデイドラ公の力を打ち破り
シロディールの民は歓喜した

だがヴァレン・アクィラリオスは苦しんだ
玉座には座したものの
ドラゴンの血族ではなかったからだ
これまで玉座に座した者のように

「私は偽の王か?」彼は問うた
「この大いなる恵みに見合う者か?」
「私は力で玉座を得た。権利ではなく」
「私は使命にふさわしき者か?」

するとアブナー・サルンが現れた
ルビーの玉座に仕えし元老院の長
クリビアの父、政の道に長けし者
帝国の王にかくのごとき述べた

「そなたがドラゴンボーンではないのは確かだ」
「だが正す術を知っている」
「マニマルコという魔術師を知っている」
「そなたが知るべき秘密を持つ者だ」

「遺物がある。それは王者のアミュレット」
「偉大なる力と知恵に満ちている」
「これが我らの世界を守る、ドラゴンファイアを復元しよう」
「そしてそなたを、この地の正当な支配者とするだろう」

ヴァレン・アクィラリオス
シロディールの王、民に愛されし者
ルビーの玉座を離れた
忠実な友を呼び集め
最後の探求を始めるために

ウィールドへの警告Warning to the Weald


ウェストウィールドを占拠している者たちへ

昔、お前たちの先人はこの地をサリアチェ、すなわちお前たちがアイレイドまたはハートランド・エルフと呼ぶ人々から盗んだ。お前たちは我々の都市の遺跡に無断で居座っている。かつて生い茂っていた森を掘り起こしている。

それをすべて取り返しにきた。

今のうちに所持品を集めて立ち去れ。お前たちの先人がしたことの責任は問わないし、危害を加えたくもない。しかし逆らい、先人が盗んだものを手放さないようなら、古代の罪を続けることになる。その場合、我々は素早く、容赦なく裁きを下すだろう。

回想者

ウェストウィールドのワインWines of West Weald

ワイン通によるウェストウィールドとコロヴィア台地のビンテージガイド オリウス・ヘルタノ 著

シロディールに住むインペリアルが好むものが一つあるとすれば、それはワインだ。そして、最高のワインはウェストウィールドのコロヴィア台地地域で生産される。ブドウ栽培に適したさまざまな環境に恵まれたこの地域は、長く暖かい夏、雨の多い安定した冬、そして肥沃なローム質でやや酸性の土壌で知られている。これにより、この地域ではジャズベイ、スリリー、ピノ、アレグランと、各品種の上質なブドウを豊富に生産している。

ウェストウィールドの高品質なワインは大部分が濃厚な赤だが、この地域、特にゴールドコーストに近い台地の西部では風味豊かな白ワインも生産している。この地域は強い花と果実の香りを持ち、高く評価されているマスカットで有名だ。

ハンマーフェルとの国境に近い台地にあるバトルホーン地域のブドウ園は、シロディールで見られる最上級の濃厚な赤ワインを生産している。樫の樽でワインを熟成させる習慣によりほのかな風味が加わった力強いフルボディのワインは、何世代にもわたって数多くの貴族の食卓で供されてきた。バトルホーン地域に広がる大規模なブドウ園は彼らの素晴らしいブドウの栽培と収穫のために帝国各地の労働者たちを迎え入れてきた。

スキングラード周辺のブドウ園は、厳密にいうと台地の一部ではないが、最上級のウェストウィールドビンテージ生産に貢献している。この地域には幅広いインペリアル市民が定住し、またレッドガード、スカイリム、ブラック・マーシュの移民もここに拠点を置いている。彼らは独自の技術とレシピを加え、調和させている。スキングラードのワインはラベンダー、蓮、コーンベリー、ジンジャーをブドウ園に取り入れ、そこで育つブドウに新たな次元を加えることによる恩恵を受けている。

ほとんどのワイナリーが生産するワインは並外れているとはいえ伝統的な赤と白だが、ヴァレンテ家の商品には発泡赤ワインが含まれている。彼らは二次発酵の工程を利用し、食事の開始時やデザートと共に供されるに最適な、軽く晴れやかなワインを生産している。この極めて人気の高い品は、タムリエルの遠く離れた地の商人たちさえも引き付けている。

最後に、各地のワイン好きにこの地を知らしめたウェストウィールドのワロップについて述べなければなるまい。ワロップはやや出来の良くないワインとごくわずかなビンテージの混合飲料だ。このワロップ(強打)という名の由来となる高い糖分とアルコール分で知られている。他のワイン生産地にもそれぞれ同様の品があるが、それらはウェストウィールドで生産されたかなり出来の悪い品にも及ばない。すばらしいテーブルワインで、しばしばポートワインとして糖分や香料を入れて温めて提供されるか、蒸留してまずまずのブランデーが作られる。

ウェストウィールドへの旅の案内Traveler’s Guide to West Weald

帝国書記、ベラゴン 著

第二紀556年、私はモリカル皇帝の依頼を受け、帝国西方の地を訪ねたいと望む旅人のため、行路を記録することになった。旧コロヴィアとゴールドロード、ウェストウィールドである。これは私にとって願ってもない任務だ。冒険者時代からスキングラードに住んでおり、こうした地域のことはよく知っているからである。

帝国西部の旅は西方で最大の街スキングラードから始まる。「旧コロヴィアの宝石」は活気あふれる商業の中心地であり、高い壁と丈夫な門に守られている。その防備を越えれば、スキングラードは古い路地や清潔な石の庭、貴族の高級別荘の街としての姿を現す。この街の至宝は知恵の神に捧げられた壮大な聖堂、ジュリアノス大礼拝堂である。

礼拝堂地区から街の中心部を通って南西に向かえば、旅の祠地区に素晴らしい宿屋、豊饒の休息所がある。スキングラードの西地区をさらに進むと、タムリエル中から旅商人が品物を売りに来る交易商の宮廷を通り過ぎる。ゴールドゲートに向かう途中、少し立ち止まって、戦士ギルドホール前に立つ素敵なキナレス像に挨拶しよう。スキングラードの人々はその敬虔な態度で知られているのだ。

スキングラードは帝国西部の旅の始まりにすぎない。ここはアンヴィル、ゴールドコーストの海上貿易との生命線である、有名なゴールドロードの中間点である。街道はストリッド川の谷間に沿って西へ向かい、美しいブドウ園や果樹園、森林地帯を通り、オストゥミルなどの魅力的な街も通って続いている。

ゴールドロードをアンヴィルまで進むことも容易だが、それはまた別の旅行記で扱おう。オストゥミルの西に行けば、丘陵へ続く道に出会うだろう。その道を北へ進み、寂しい農場シャルドロックや謎めいたアイレイドの遺跡セヨンドを通り過ぎる。この地域では道を離れないように気をつけよう。ここの森はウェストウィールドの大きな黒熊の住処なのだ。

フェルダガルド砦の大きな城塞よりも高く登れば、オストゥミルからの道は古代からの台地街道に合流する。左に曲がってこの古い道を進み、コロヴィア台地の西部に足を踏み入れよう。ハストレル洞窟の中に入れば、古い第一帝国の監視塔跡がその絵画のような姿を見せてくれる。さらに西へ進めば、街道は古風な街サッチと、その近くにあるアイレイド遺跡ニルヤステアへと行き着く。私はこの場所の危険性を個人的に体験しているので、ここは安全な距離から眺めるだけに留め、元来た道を戻ることを強く勧める。

再び街道を東に進むと、遠からず旧コロヴィアの中心部、コロヴィア台地に行き着く。ここには交易都市レフトウィールがブレナ川の先端部分に座している。ハンマーフェルとシロディール間の交易の大半は、ゴールドコーストを経由して海で行われるが、リハドからレフトウィールを結ぶ古い陸路は今でも重要だ。レフトウィールから、台地街道は丘陵地帯を通って進み、繁栄する街オンタスへ向かう。現在では多くのレッドガードの植民者がこの地域を故郷としており、ハンマーフェルにおける生活の味わいを、ささやかながら帝国西部にもたらしている。

オンタスで南東に方向転換しよう。ここからはかつてレマン皇帝たちの狩場だった帝国保護区の緑豊かな丘と平原を行く下り道だ。ここの土地は昔、皇帝のみが利用を許されていたが、今では誰もが自由に狩ってよいことになっている。この地域の北端に立っているのはウェザーレアの屋敷、コロヴィア式の貴族邸宅を代表する見事な邸宅だ。さらに東へ進むと、北へと続く道に合流する。ここで少し寄り道をすれば印象的な遺跡エレングリンに行ける。これもかつてこの地を支配していた、今では滅びて久しいアイレイドの名残だ。エレングリンから南の自然の中に迷い込まないように注意しよう。ここの丘や小谷には好戦的なゴブリン部族が住んでいる。

もうひと頑張りして道を進めば、北からスキングラードに戻ってくることができる。台地街道を通って街に向かう間は、ゴールドロードと同じように、ブドウ園や農地、田舎の屋敷が集まった広大かつ豊穣な一帯を見ることができるだろう。北の礼拝堂門からスキングラードに入ろう。ウェストウィールド横断の旅は始まりの地、ジュリアノス大礼拝堂の足元で完結する。

よい旅を!

ウェンディル発掘現場からの報告Report From the Wendir Dig

宛先:回想者の番人、ブレゴリン
差出人:探検隊連絡担当、グウィンデソー

ブレゴリン様

ウェンディルでの作業の進みが緩やかなことをご報告します。遺跡の周辺にはミノタウロスが住んでおり、私たちがいることを快く思っていません。地下の通路にも入り込んでおり、私たちが把握している以外にも入口がある可能性を示唆しています。

今のところ最後の王の紋章など、アイレイドの遺物があることを示すものは見つかっていません。発見物の大多数が古いワインの捨てられた瓶、聖水、血などです。無秩序に広がった構造で、閉ざされているか門が封印されていて、進めない場所が複数あります。さらに、探索者へ襲いかかる像もあって難航しています。危険な罠が数百年経った今でも機能しています。特に、そうした罠の多くは石化ガスを放出し、標的は動けなくなって硬化した様子になり、まるで石に変えられたかのようです。

最後に、私どもの「専門家」にも大きな問題が起きています。彼は専門知識があるようですが、周囲の者への態度には我慢ならないものがあるのです。仲間のウッドエルフをくだらない自分の偉業話で退屈させるかと思えば、発掘されたどこかの像、碑文、壊れた陶器の欠片にうっとりするなど、率直に言ってまったく信用できず、貴重な小物などを自分用に盗みかねません。

どうかあの専門家をこの探検隊から外すか、命の枝から取り除くかして、即座に処分いただくようお願いします。彼は私の神経に障ります。自分の上品さと知識でどれほど感心させたかとこれ以上口にするようなら、自分で井戸に投げ込んでやることでしょう。

常に記憶を
グウィンデソー

ウッドエルフの愛称と別名Wood Elf Nicknames and Bynames

発明家テレンジャー 著

少しでもボズマーたちと過ごせば、彼らが決して本名では呼び合わないことに気づくだろう。誰もが呼び名かあだ名を持ち、他の者はそれを記憶している。これには困惑することもある。宿屋の場所を聞いてみたら、以下のような返事が得られるだろう。「長耳の家を過ぎたところだよ!」あるいは「鳥の巣がそっちに向かってる。彼女が案内するよ」

当初、これらの愛称は単なるウッドエルフのユーモアの新たな一例だと思っていた。やはり言葉遊びで笑ったり喜んだりする人々は、自然と友達や隣人のあだ名に興味深い言葉を作り出したりするものだからと。しかし何度かヴァレンウッドに滞在するうち、ボズマーの愛称の付け方には、一見してわかるもの以上の何かがあることに気づいた。

まず、愛称は実用的だ。ほとんどのウッドエルフが名字を使わないため、愛称は自分が言及している人物の識別に役立つ。同じ村に二人のギルダンがいる場合、大声のギルダンとエール好きのギルダン、または幸運なギルダンとスキーヴァー顔のギルダン、あるいはのっぽのギルダンとちびのギルダンを見つけることになるだろう。(しばしば背の高いほうが「ちび」のようにあべこべになっており、彼らを知る人々の尽きることがない楽しみとなっている)

第二に、愛称と別名が存在する。愛称は気軽に与えられ、気軽に使われる。「幸運」や「泥足」はどのウッドエルフの村でも見つけることができる。片や別名は名声の(場合によっては悪名の)印だ。別名は、その呼称を持つ者の偉大なる功績や稀に見る技能などを反映している。つまり、あるボズマーについて別名だけで言及することができ、それによってどのウッドエルフも誰の話をしているかわかるのである。私は、「長い槍」と呼ばれる偉大な戦士や、「鋭い矢」と呼ばれる射手、「歌ぐみ」として知られる天才吟遊詩人、「黄金の樽」と呼ばれる愛される醸造家のことを耳にした。

最後に、愛称のもっとも重要な規則を記そう。自分の愛称を選ぶことはできない。名を授けるにはクランによって尊敬されている者、賢明な指導者、熟練の戦士、才能ある語り部などが必要なのだ。ご注意を。ウッドエルフはふさわしい愛称を避けようとする者や、お世辞の別名を受け入れることで自らを高めようとする者を嘲笑する。それは誰も憧れない種類の名声だ。

ウリエル・ウェザーレアへの記念碑Memorial to Uriel Weatherleah

献身的な息子にして、
栄誉ある戦士の想い出、ここに眠る。

もう家には帰らなくても、
あなたを愛する人々が、
あなたの名で記念碑を建てることを望みました。

あなたという輝きが失われた
悲しみは消えないけれど、
想い出は私たちと生き続けます。

ウルブレン・アフアンデルUlbren af-Ander

オンタスの街の
立派な治安官

愛された父

熱にやられても

大好きなことをしながら死んだ

彼の死は皆が悼むだろう

ウルブレン治安官のメモConstable Ulbren’s Notebook

今日もオンタスらしい一日だ。カーヴァイン牧場とラザリー採石場における生産量の増加は目を見張るものがある。牧場の監督官と採石場の主任が労働者に何を与えてるのか知らないが、最近していることは間違いなく実を結んでいる。

街の治癒師、ネヴァマはまた労働者が消耗性の熱にかかったと報告している。ストレスか?働きすぎか?随時報告するよう頼んでおいた。

* * *
ストーンチップで喧嘩を止めた。ばくち打ちが結果を巡って争っていた。グラクグがおおごとにされるのを嫌がったので、争ってる連中には警告だけしてそれぞれ帰らせた。

労働者がさらに3人、治癒師が疲労熱と呼んでいるものにかかった。牧場の2人と採石場の1人だ。極度の疲労が原因らしい。監督官や採石場の主任と、作業ペースを今より少し落とすなど、話してみたほうがよさそうだ。

* * *
治癒師から謎の病気の影響についておおまかに報告してもらった。それにかかった者は極度に疲労し、弱って動けなくなる。ひどい熱が出て、体が焼ける中で妄想に取り憑かれる。病気が進行すると深い眠りに落ち、そうなると彼女はもう患者を起こせない。それも、前回検査した時までは極めて頑強で健康だった労働者がだ。実に奇妙だ。

* * *
最初に病気になった労働者4人が今日死んだ。2人は牧場で、2人は採石場で働いていた。治癒師はまだ原因を特定できていないが、牧場にも採石場にも影響が出ていない様子なのを懸念している。今のところこれらの場所の労働者以外は、この疲労熱にかかっていない。

* * *
今日は巡回で牧場と採石場を訪れた。疲労熱で労働力が3分の1減ったのに、どちらも忙しく繁盛しているようだった。ゲルウ・ヴァシュリーフのじいさんがあれほど大きな石の箱を持ち上げたり、あれほど速く動くのは初めて見た。それに牧場のダレン・フォースターはスキングラードの市場行きの荷車にずいぶんと素早く積み込んでいて、異様なほどの光景だった。

* * *
疲労熱での死者が増えた。治癒師の説明によれば、熱は最終的にけいれんを起こし、患者は口から泡を吹いて、その後死に至るという。ゲルウとダレンもあの病気にかかったそうだ。どうにかして皆を助けられるといいが。

* * *
治癒師ネヴァマから、疲労熱について何か重要なことがわかったという手紙を受け取った。これから会いにいく。

* * *
到着すると、治癒師は床に倒れ、けいれんを起こして口から泡を吹いていた。彼女は私の腕の中で死んだ。疲労熱による死者で、牧場にも採石場にも直接関係がないのはこれが初めてだ。治癒師の記録が見当たらない。これはただの病気でなく、犯罪の匂いがしてきた。彼女が口封じをされる前に何を教えようとしていたのか、突き止めなくてはならない。

* * *
ストーンチップで牧場の監督官メラーク、採石場の主任ラウリナ、グラクグと話す約束をした。その後はカーヴァイン男爵とレディ・ラザリーに、生産性を向上させた方法と、それが疲労熱と関連する可能性について聞く予定だ。誰かがこの病気を起こし、治癒師を含むこれだけの死者を出したのなら、裁きを受けさせるつもりだ。

ウルラス軍団兵の報告Legionary Ulrath’s Report

軍団の上級指揮官殿、あるいは誰であれ、これを見つけた士官殿

ウルラス軍団兵は、ダートリウス隊長の巡回部隊で生き残った最後の兵士としてこの言葉を記している。我々は数に勝るデイドラの勢力と戦い、善戦したが、最終的に残ったのは俺だけだ。いや、俺と隊長だが、あの女に呪いあれ!

我々はハストレル砦付近を巡回していたが、その時デイドラによる奇襲を受けた。隊長が俺の進言に従って巡回前に斥候を派遣していたら、この罠をもっと早く見つけていたかもしれない。しかしそうはならなかったため、巡回部隊全体が不意を突かれ、行動を取る余裕がなかった。

この時点で我々は隊長に命令を求めたが、彼女は狼狽していた。命令が来なかったので、俺が指揮を受け持ち、部隊の者たちに近くの砦へ向かうよう命令を出した。ダートリウス隊長は混乱から立ち直り、俺の命令を撤回させ、敵に真っ向から突撃せよと部隊に伝えた。兵がそれに従う中、隊長は自分の騎乗動物に乗って脱出を試みた。自分が退却するために、兵たちを利用したのだ。

認めるが、ここで俺は本能的に、怒りに任せて行動した。俺は隊長に駆け寄り、軽く殴りつけて彼女を騎乗動物から叩き落とした。それから俺は部隊の者に加わり、敵と戦いながら砦まで走って退却せよと呼びかけた。

軍団兵たちは一人残らず、全身全霊を込めて戦ったことを証言しておく。俺が見ている中、周囲の兵は一人ずつ倒れていったが、それでも敵は彼らが一筋縄ではいかないことを理解した。我々のうち数人がついに砦へたどり着き、残ったデイドラを追い払うことに成功したが、生き残った軍団兵の誰も無傷ではなかった。遠からず全員が傷に倒れた。俺以外の全員だ。

俺の報告を読み、俺の行動が適切だったか、あるいは間違っていたかはそちらで判断してもらいたい。俺は自分が義務を果たしたことを知っている。俺は自分が部隊を守るために戦ったこと、ダートリウス隊長の恐怖と臆病が巡回部隊を死なせたことを知っている。

士官殿がどのように判断しようと、俺の心は変わらない。今となってはどうでもいいことだ。一兵卒の言葉に隊長の言葉ほどの重みがないことは知っている。だが軍団兵の誓いにかけて、俺がここに記したすべてのことは真実だ。

エヴァノア・ハークリンEvanoa Harklin

最高の採石屋

激務を拒むことがなかった

つるはしはオンタスで最速だった

あんな熱のせいで早すぎる死を迎えた

友人、家族とともに
ストリッド川ほど長い借金の帳簿も
ストーンチップ賭博場に残していく

エドリックの自白Edric’s Confession

私たちの親愛なるレディ・ウェザーレアを殺したのは、この私、忠実なる料理人のエドリックです。彼女は優しきペレナ・ウェザーレアとお茶をともにする計画を立てていました。しかし私はレディのお気に入りのブレンド、ジンジャーとハイビスカスを邪悪な毒で汚染してしまったのです。

私は同じ毒を飲み、この手紙を書いています。偽者が私たちの親愛なる故人、ウリエルをもてあそぶ姿を見るわけにはいかないからです。あのはぐれ者に呪いあれ。

彼女のあらゆる要求に愛を注いできましたが、レディ・ウェザーレアは私のことを卑しい召使としか見てはくださいませんでした。今、私は大きく暗く、冷たいあの世で彼女と再会します。

エンデミルの日記Endemir’s Journal Entry

9日目

ジャングルのこの部分を探検するのに、なんとも奇妙な時期を選んだものだ。面白い植物や野生動物を記録したいと考えていたが、こんなものを見ることになるとは想像もしなかった。あっという間の出来事だった。肌がゾクッとして、首の後ろの毛が逆立ったと思ったら、いきなり空中で巨大な爆発が起こり、上空に大きなポータルが現れた。最初は幻覚でも見ているのかと思った。何が起きているのか調べたいが、ここの空気は今、危険になったと感じている。見つからないように行動しなければ。

10日目

ジャングルは密集していて重苦しく、姿を見られずに観察するには好都合だ。だが運もよかった。私の周囲で奇妙な獣たちが続々と集団で現れているからだ。大半はドレモラだが、見たことのないものもいる。ガラスで出来た恐ろしい怪物だ。奴らは何をしているんだ?なぜここにいる?まだそれはわかっていない。

色々な木や根の間に滑り込んだが、奇妙な黄金の球体が空を飛び上がっていくのを見た――私が見た限り球体は3つで、それぞれが異なる方向に飛んでいる。球体は空を舞う魔力の奔流を背後に残していく。不思議な美しさがあり、恐ろしいほど惹きつけられる。どうしても追いかけてみたい。あの球体の進む先に何か答えが見つかるかもしれない。

11日目

黄金の球体の1つを追ってジャングルの奥深くまで進んだが、そろそろ目的地が近いはずだ。戦いの咆哮が聞こえるが――軍団の者たちだろうか?それに違う言語で何かを詠唱している声も聞こえる。何を言っているのかはわからないが、どうせろくなことではないだろう。騒ぎが収まるまでここに隠れて、それから接近しよう。軍団がここに来ているのなら、何が起きているのか彼らが知っているかもしれない。

戦いはほぼ一日中続いたが、ようやく終わったようだ。かなり待ってから近づいたが、時間をかけすぎたかもしれない。ここにはもう、ジャングルの地面に戦いの傷跡が残されているだけだ。ここに来ていたのが軍団だったのは間違いない。倒れた者たちが安らかに眠れますように。

しかし多少の情報は手に入れた。私をここに導いた黄金の球体は消えてしまった。それに加えて、空のポータルも変化した。うまく説明できないが、あのポータルには何かが加わっている。ポータル周辺の魔力が強化されているかのようだ。

12日目

この一帯には他にも軍団がいるらしい。そして彼らは別の黄金の球体を追ったに違いない。今空を飛びまわっているのは1つだけだが、最初の球体が消えた後と同じように、2つ目の球体が消えた後にも空のポータルは大きくなった。今ポータルは凄まじい大きさで、見ていると圧倒される。圧倒されるし、恐ろしい。

13日目

何かが起きつつある。これ以上ここにいるのはまずいかもしれない。最後の黄金の球体が空から消え、空のポータルは成長し、変化し、生命を得ている。一体何が起きているんだ?生命の危機を感じる。私の周り中で地面が揺れている。何かがポータルから落ちてきた。何か巨大なものがある。

もうここにはいたくない。脱出しなければ。無関係なことに首を突っ込むなんて、私は何を考えていたんだ?もう行かな

ガイアの手紙Gaea’s Letter

ガルトゥス

お前の力になってやる。深夜の会話を聞き逃したようだから、話の内容を少し教えてやろう。我々狩人の給料がいいことは知っているだろう。それはジェーンタンの計画のためだ。我々は一般の住民が彼らの脅威となる獣を始末するのを助けるために来ている。今回のように、まず住民へ自分たちが危険にさらされていることをわからせるのが仕事の場合もある。

お前の役目はジェーンタンの話を聞き、何でもいいからやれる仕事をやり、彼に意見しないこと。それだけだ。お前と金貨を隔てている唯一の問題は、お前がジェーンタンを信用できていないことだ。ジェーンタンはお前が癇癪を起してから、お前を野営地から追い出そうとした。だが俺は一晩じっくり考えてみたほうがいいと彼に言ったんだ。明日になれば、お前も野営地に来たゴブリンどもを殺す仕事ができるかもしれない。

それでもまだこの仕事が正しくないと思うなら、朝が来る前に出て行け。ゴブリンが危険なことに変わりはないし、この仕事が終わった後、お前の死体を見つける羽目になるのは嫌だからな。

ガイア・ラウゾン

カヴォット・アグナンの突破Cavot Agnan’s Breakthrough

うまくいけば、これはカヴォット・アグナンがルーセント・クリスタルを使ってアンデッド軍団を蘇らせるのに成功した、最初の呪文使いであることの公式記録になる。だが先走るのはよそう。

他の漁り屋たちは砂をかき回し、ゾリンのためにアルケインの結び目が偶然見つかることを期待しているが、私はもう少し有益に時間を使いたい。アルケインの結び目を入手するためのこれまでの試みがすべて失敗したのは、数の優位が欠けていたせいだ。ファーグレイブの砂の中に要塞が丸ごと埋まっているのだ。見た者がほとんどおらず、説明できる者はさらに少ないような物体をうまく探せる者などいるはずがない。

私は魔術と、死者の軍団を召喚する能力を利用する。要塞全体を一日で破壊し、作り直せるほどの大軍団だ。ここで死んだ者の骸骨から軍団を築き上げる。唯一の問題は、現在の私にそれだけの数のしもべを支配する力がないということだ。だがこの問題は見事に解決できたと思う。ここはルーセント要塞だ。ルーセントは力を貯蔵するために用いられる。死霊術はマジカを用いるが、これもまた力の一種だ。つまり、この要塞に散りばめられているクリスタルを私の呪文の中継点にしてしまい、これから集める軍団の力の代替として利用するのだ。

これは優れた計画であり、私はとても満足している。唯一の問題は、ルーセントが死霊術の力を備蓄するのに適しているのかどうか確信がない点だ。自分の魔力で何種類かのクリスタルを満たしてみたが、奇妙な反応が返ってきた。クリスタルは私が中に閉じ込めようとする魂を解放し、力を反射して部屋の中にエセリアルの力のポケットを作った。いくつかのルーセントは適切に動作したので、実験は継続し、死霊術の力の計画にない発露に注意していきたい。

ガリオ・ヴァレンテ卿の日記Lord Gallio Valente’s Journal

なぜあの女との結婚に同意した?ああ、彼女はすばらしい持参金を持ってくるし、金があれば助かるのは確かだが、うっとうしいほどに好奇心が強く、この結婚で本当のパートナーになりたがっている!これは私の望むやり方じゃない。

* * *
吸血鬼として、最初の数週間はかなり困難だったが、自らの運命を支配し、新たな状態を最大限に活用してやると決意するまでにそう長くはかからなかった。ボグヴィルのクランから不満を持つ者を集めて、私自身の結社を作るのは簡単だった。彼らのほとんどはあの押しの強い吸血鬼を憎んでいる!それでも、私はあれをボグヴィルに手渡さなければならない。彼はあの古い巻物で見つけたレシピで金鉱を掘り当てた。彼は血に飢えた吸血鬼だが、残念ながら同等といえるほどの錬金術師ではない。一方、私はとても腕のいい錬金術師だ。

* * *
故郷の錬金術研究室に戻った。試験はことのほかうまくいきそうだ。確かに最初の被験者の何人かは狂血鬼になってしまったが、卵を割らずにオムレツを作ることはできない。もちろん、父は私に起きたことを突き止め、悲しみと怒りで半狂乱になった。それについては何かする必要があるだろう。彼は長く生きたから、それを慈悲だと考えよう。

* * *
ついに私の発想が結果になった。吸血鬼は、吸血鬼の血の中で育つキノコから作った霊薬を直接摂取すると恩恵を得るまで生き延びられないが、霊薬が仲介者を通じてろ過されていれば、有害な効果を受けることなく力を享受できる。キノコで強化した土壌で種から育て、錬金術的に下処理したブドウで発酵させたワインの溶液に霊薬を浮かべれば、非吸血鬼が飲めるワインになる。これにより我々はワインで強化された非吸血鬼を糧とすることが可能になり、その結果霊薬の恩恵を得ることができるのだ。ワインが入った器を完全に消費する必要があるという事実は残念だが、容認はできる。そしてブドウが放つ香りは吸血鬼をひどく空腹にする。少なくとも私の新たなクランの2人は私の指示を無視し、最初の収穫の一握りを摂取した。彼らはひどい死に方をした。

* * *
私はこれをヴェスパー・ヴァレンテと呼んでいる!完璧なビンテージだ!近隣の吸血鬼結社の指導者たちを招待して、ワインに入札してもらおう。一財産作るんだ。ブドウ園の経営を継続でき、捨てるまでの間妻を喜ばせ、我が遺産を無傷で保てるだけの財産を。

もちろん、私が手に入れた定命の器と犠牲を通じて。

グリーンパクトに関する恐ろしい真実The Awful Truth About the Green Pact

エンゾ・モラード 著

ウッドエルフが信じる「グリーンパクト」なるものに関して最近明らかになったことほど、私を体の芯まで震わせたものはない。この恐ろしい慣習は、私たちが信じ込まされていた平和的で木を愛する暮らし方ではないのだ。

これは共食いだ。

わかっている。衝撃的だ。だが真実なのだ。ウッドエルフが野菜を栽培せず、食べもしないのは周知されている。では何を食べるのか?肉だ。それも大量に。

そしてその肉はどこから来ているのだろうか?

一部のウッドエルフの擁護者は、狩りだ、家畜を飼っているのだと言う。しかし私は真実を知っている。彼らは死んだ敵の肉で腹を満たすのだ。時には味方を食べることもある。

そもそも、ウッドエルフが狩りの達人になる理由が他にあろうか?鹿と野生の猪を捕まえるのはそれほど難しくない。最も難しい獲物は人間とエルフなのだ。

これは、グリーンパクトにささいな過ちに対しても厳しい罰がある理由でもある。ウッドエルフがいる前で花を踏めば、すぐさま裁きにかけられて夕食にされる。戦場の敵が足りなくなれば、どんな手を使ってでも食料を入手する。

こうした極悪非道な行動はウッドエルフに関するごく初期の神話までさかのぼる。そう、恐ろしい神イフレはエルフ間の共食いを祝福した。彼らの信仰の逸脱は、崇拝しているはずの根より深いのだ。

ウッドエルフの集落で家族が囲む食卓はどんなものなのか、想像するのも恐ろしい。

読者はぜひ、安全のためにも、ウッドエルフの集落があるとされる森には近づかないでほしい。彼らの弦が届かない、馴染みのある土の小道と敷石の道路から外れてはいけない。

彼らはいつも簡単に食べられるものを探しており、孤独な旅人は特においしいのだ。

グリーンパクトに関する真実The Truth About the Green Pact

スキングラードの学者スルーズガブ 著

ボズマー文化を外から見る者にとって、グリーンパクトは長く好奇心をそそるものだった。ウッドエルフを歌と森の神イフレと結ぶ謎めいた契約である。その命令を通じ、ボズマーは自分たちが住む森に適応し、一体化して「緑」と自分たちの間で相互に利益のある関係を築いた。

その影響に害はないが、ウッドエルフが悪い子を食べる物語や、学会で広められる根拠のない共食いの噂など、外部の者たちからは中傷の対象となっている。ウッドエルフのクランと長く時間を共にした経験から、ただのオークである私はグリーンパクトの複雑さを把握したと考えている。これを書いている目的は、そうした怪しい作り話を一掃し、読者にグリーンパクトのより良い理解に必要な事実を提供することだ。

まず緑そのものから始めよう。この言葉はヴァレンウッドおよびその先にある、古代の木や柔らかい苔などを含む、すべての生きる植物を示す。ボズマーは緑が彼らの主神イフレからの贈り物だと信じている。

ウッドエルフの伝説によると、イフレは緑を作って間もなく彼らに息を吹き込んだとされる。グリーンパクトを結ぶことで、ボズマーは緑にいかなる危害も加えないと誓い、その見返りに必要に応じて森を形作ることができた。イフレ神が本当に存在してそのような力をウッドエルフに授けたのかどうかは、ここでの焦点ではない。しかし彼らの社会が生きる木から生じ、ボズマーが森と異様な結び付きを持っているのは事実だ。彼らは木材を使わず、村には一切木材が使われていない。代わりに、森に生きる緑そのものから形作られている。

一般に、ウッドエルフは木工、大工など、木を削ることは一切しない。緑を冒涜する行為なのだ。しかし一部の先進的なボズマーのクランでは、生きている植物から自然に落ちた枝など、枯れ木の使用について考えが変わってきている。こうした素材はすでに植物から落ちたもので、使用しても害を受けない。これはこの文化で現在発展中の考えであり、特に先進的な共同体においても意見が分かれている。今後の研究が必要になるだろう。

ボズマー文化はすべての植物の命に敬意を払っているが、どれほど入念なウッドエルフでも時には花や新しい芽を踏んでしまう。植物の生い茂る森に住んでいれば当然のことだ。外の噂では、そのような罪を犯すとすぐさま残虐な罰を受け、死に至ることもあるとされる。これはまったく事実と異なる。著者が目撃した典型的な反応は、罪を犯した者が軽く恥じらい、長老から足元に気をつけろと優しく叱られるというものだ。それよりも厳しい罰を受けるのは繰り返し罪を犯す者のみで、それはクランへの社会奉仕と、緑と再び心を通わせるために義務づけられる瞑想である。

鋭い読者は、ボズマーが緑に害を加えないと誓っているから、植物を食料にできないと推測したかもしれない。それは正しい。ウッドエルフは明らかに栽培をせず、果実や野菜の種まき、刈り取り、収穫、採集をしない。その代わり、「ミート・マンデイト」という、ほぼ完全に肉、乳製品、ハチミツ、卵、虫といった畜産物からなる食生活をしている。

そのため、ウッドエルフは狩りに長けている。クランが必要とするものを簡単に集め、肉から作るアルコール飲料や骨の粉と発酵させた豚の乳から作る「タルト」など、あらゆるものの巧妙なレシピを考案した。

多くのウッドエルフが実は果実と野菜を食べたことがあると聞くと、読者は驚くかもしれない。生きた果実を木から取ることは決してないが、落ちた果実は食べ物として許容される。枯れ木と似た問題で、落ちた果実はもはや生きた植物の一部ではないため、その消費はグリーンパクトに違反しない。(注目すべきは、枯れ木の使用が落ちた果実を食べることよりも賛否両論あることだ)この行為を問題視するのは、ごく少数の保守的なボズマーのクランだけである。

ここで特に風変わりな噂に触れよう。共食いの慣例だ。

グリーンパクトの初期の歴史で、儀式的な共食いが行われていたのは事実だ。グリーンパクトは肉の無駄を認めず、敵の死体もそれに含まれる。過去には戦争中のクランが肉を無駄にしないように倒した敵を食べた。衝撃的ではあるが、この慣例は実用的で、クランの生き残りを可能にし、失われた命を最大限に活用するものだった。

しかし、この習慣はほぼ完全に廃れている。私は多数のウッドエルフと話したが、この儀式を行うクランの存在は記憶にないと言っていた。しかし、完全に否定はできない。一部の極度に孤立した、もしくは伝統的なクランにはまだその慣例があるかもしれないが、一般的には子供を怖がらせ退屈な講義を活気づけるために取り上げられる過去の命令だ。

総じて、グリーンパクトはすべてのウッドエルフを特有の形でまとめる興味深い規範である。ボズマーの子孫、またはとてつもなく長い時間を彼らと過ごした者でないかぎり、外部からの観察はこの現象の理解に貢献する程度にすぎない。私はこの文書から読者が何か役立つ情報を得て、それを今後この豊かな文化を詳しく調べる足がかりとしてくれることを願う。

グリーンパクトの歌Green Pact Song

私たちの根の奥深く、ずっと昔に遡る
イフレは空高く、ウッドエルフを見下ろして
緑に色づく森の中、ある契約が交わされた
新たな命を託していった

「緑を守れ」とイフレは言った
こうして我らは花と木を育て
「それが真の故郷になる」と
耕作、種まき、刈り取りを捨てた

緑の中では、すべての植物が生きられる
葉や花びら、新たなつぼみが栄え
食べ物を狩るには、矢を放てばいい
休息が欲しければ、イフレが与えてくれる

木を切り倒し、削り、加工するのはもう終わり
緑が育てた丈夫な家に住み
私たちに木から奪う必要はない
グリーンパクトが与えてくれる

森にいる時は、歩く場所に気をつけて
イフレの仲間は森にいるのだから
我々のようなウッドエルフは恐れなくていい
グリーンパクトが必要を満たしてくれる

ゲルウ・ヴァッシュリーフGelw Vashreef

ロウソクを両端から燃やした

昼は牧場で働き
夜は採石場で働いた

働きすぎて早い最期を迎えた

熱で亡くなり
街全体が泣いた

ゴールドロード:ある商人の旅The Gold Road: A Merchant’s Journey

タシタン・ヴァノ 著

私はこの人生で多くのものになってきた。傭兵、宿屋の主人、勝負師。ニベンのさる高貴な女性に雇われてお相手を務めたことすらある。だが夏が3回すぎたところで、気づくと私は大至急帝都を離れなければならない羽目に陥っていて、しかも財布の中身はすっからかんだった。

私は必死の思いで、最初に見つけた西に向かう商人のキャラバンに雇ってもらった。新たな雇用主はティーバ・テイという、灰色で片目のアルゴニアンだった。彼女が疑いを抱いているのは明らかだったが、ただ肩をすくめただけだった。「1日2食付きで2クラウン」と、彼女は条件を述べた。「貨物が全部無傷でアンヴィルに着いたら、ボーナスを20クラウン出して、帰りもあんたを雇う」

もっと高い賃金を望んでいたが、交渉などできる立場ではなかった。私は同意し、その後間を置かずに出発した。

ティーバ・テイのキャラバンは3台の荷馬車、6匹のグアル、6人の御者兼護衛で構成されていた。木製のトランクに詰められたオリーブ油、ウナギの酢漬け、先人のシルクの反物が彼女の貨物だった。私はすぐに、雇い主が護衛に期待するのは騎乗でなく歩くことだと理解した。ルマーレ湖にかかる橋にたどりつく頃、すでに私の足には靴擦れができていた!

私たちはウェイでレッドリングロードを南に曲がり、ゴールドロードまで湖の岸に沿って進んだ。その晩、私たちは帝国の古いマイルゲートで野営し、そこでティーバ・テイから護衛には立って見張りをすることを期待すると告げられた。昼は歩き、夜は眠らずに過ごす日々が予測されることで憂鬱になった私は、すべてを投げ出してしまおうかと考えた。だが、少なくとも食事はまともだった。

ゴールドロードは、それ自体が荷馬車と旅人の川だった。もちろん私の足は痛んだが、天気は良く、景色もかなりすばらしかった。2日目は、道の脇にそびえる崩れかけた遺跡のある場所で小休止した。私はその遺跡のほうをもっとよく見ようとぶらつき始めた。

「いい考えじゃない」ティーバ・テイは私に助言した。「ここならゴールドロードも安全よ。でも周囲には危険が潜んでる。ゴブリン、獣、盗賊。それにもっと奇妙な危険もね」

「もっと奇妙な危険?たとえば?」と、私は尋ねた。

ティーバ・テイは遺跡を指さした。「あれはセイヤタタル。アイレイドの亡霊が憑りついていて、好奇心の強い生者を焼き尽くすことで知られている」

「そこまで物見高くはない」私はそう言うと、街道まで引き返した。

日が経つうちに足も強くなり、私はキャラバンの仲間意識を楽しむようになっていった。ヴラスタルス、スキングラード、オストゥミル、クヴァッチ…西に向かって進む私たちの前にストリッド谷の街や村が次々と姿を現した。ゴールドロードは尽きることのない豊かな穀物の畑、魅惑的な果樹園、うっそうとした帯状の森の間を突っ切っていた。

宿屋〈ゴットショウ〉で、ウェストウィールドから完全にゴールドコーストに入った。私たちは何日かぶりに屋内で眠った。私はこの休息に感謝したが、翌朝起きるとティーバ・テイが不穏な雰囲気を漂わせていた。「何があったんだ?」と、私は尋ねた。

「夕べ宿屋にいた見知らぬ奴らだけど」彼女は答えた。「私の貨物について聞き回ってた。今日は注意して。襲撃を計画してる盗賊かもしれない」

宿屋の西で、ゴールドロードは方向を変えてストリッド谷から離れ、コロヴィアの丘に入る。その地域に住人はほとんどおらず、同じ旅人も滅多にいなかった。私は茂みを通り過ぎるたびに剣の柄を握りしめたが、役に立つことはなかった。数時間後、渓谷の中でティーバ・テイが恐れた盗賊が私たちに襲い掛かった。

「武器を捨てろ。荷馬車を差し出せば命は助けてやる!」上にある岩場から、奴らの頭が下に向かって叫んだ。

「取りにきなよ、乾いた肌の者め!」私がもっと慎重な応答をしようと口を開こうとした瞬間、ティーバ・テイが怒鳴った。そして盗賊たちは、まさに言われたとおりにした。

老いたティーバ・テイはライオンのように戦い、背中に矢を受けて倒れた。新たに見つけた私の仲間のうちの何人かも同様に倒され、残った2台の荷馬車の御者たちは逃げ出した。彼らはまるでドラゴンにでも追われているかのように荷馬車を駆り、クヴァッチに向けて一目散に引き返した。生き残った略奪者たちが彼らを追った。私はどうにか重傷を免れたが、それは能力によるものでなく、偶然だった。私は愛する者であり、戦う者ではないのだ。

騒ぎが収まり、気づくと私は渓谷の中の先導荷馬車の横で忘れ去られていた。そこにいる仲間はグアルと死者だけだった。ティーバ・テイがアンヴィルへの旅を完遂できないのも、私に支払いができないのも明らかだった。だが、上質のシルクが入ったトランクが2つ荷馬車に遺されていて、前に続く道には邪魔者もいなかった。

「さようなら、ティーバ・テイ」私は元雇用主に別れを告げた。それから手綱を取り、シルクを売るためにアンヴィルに向かった。その利益で、私は自分の荷馬車を買った。私の商人としての経歴は、このようにして始まったのだった。

うまく言えないが、「ゴールドロード」と呼ばれるには理由がある!

ゴールドロードの幸運Good Luck on the Gold Road

ゴールドロードおよびウェストウィールド全体を旅する者は、旅が運よく順調に進むように、ある決まった儀式や慣習に従う。

鉱山労働者はある決まった井戸に金貨を投げ込むと、金持ちになれると信じている。たとえ少額の金貨でも豊かな報酬が約束されると信じられている。

荒野に隠された二つの祠。正義を願うか、娯楽を願うか?両方を願おう!

ウッドエルフたちの到来により、新たな慣習の流行が始まった。若い苗に水をやることで、イフレと緑の恩寵を招き寄せるというものだ。

サロラ・アドラロンの研究Research of Salora Adlaron

サラアス・トングにいる同僚たちは、ファーグレイブの数えきれない問題と謎を相手に時間を無駄にしているが、私サロラ・アドラロンは生産的に時間を過ごすことを選んだ。この試みの名のもとに、私はある問題を選んでそれに力を注ぐことにした。私の旅の目標は、ファーグレイブの設備に欠かせないルーセント・クリスタルの起源を発見することだ。断っておくと、ルーセント・クリスタルの機能は重要でない。私が理解したいのは、クリスタルがどのようにして形成され、どこで生まれるのかということだ。

ファーグレイブとその周辺領域にあれだけ多くのルーセント・クリスタルが存在することを考えれば、クリスタルはこの場所に何らかの形で結びついていると考えていいだろう。なにせ、オブリビオンの他の次元でこのクリスタルが見つかることは珍しいのだ。それゆえ、クリスタルはファーグレイブ特有のものに違いない。

最初に試した仮説は、クリスタルがファーグレイブ自体を取り巻く砂から生まれるというものだ。私の予想どおり、この砂を加熱する過程であるガラスが生まれた。予備的な実験が示したところ、このガラスには一定の美的価値が見られるものの、ルーセント・クリスタルのような力を貯蔵する性質はなかった。意外な結果ではない。私はガラスをある工芸家に託し、自分のメモに立ち返った。

第二の仮説は現在試験中だが、それによればルーセント・クリスタルはファーグレイブの外にある、ルーセント要塞という場所から生じる。名称が示唆するとおり、この要塞内にはルーセント・クリスタルがふんだんにある。しかし大量のクリスタルが見つかるからといって、そこが起源だとは限らない。

要塞を旅する過程で巨大なルーセントか、魔術力の中枢のようなものが見つかり、それが現在一般的に見られるルーセントに凝固するのを発見できることを期待している。それならば私の仮説を支持する明白かつ否定しがたい証拠となるだろう。残念ながら、謎多き私の試みが明白かつ否定しがたい結論を導くことは稀である。

はっきりと言えるのは、要塞に通常よりも多くのルーセント・クリスタルが見つかるということだ。大きさも形状もまちまちではあるが、そのほとんどすべてはファーグレイブで見られるルーセントよりも力の貯蔵量が少ない。この要塞内には、ルーセントを引き寄せる何かがあるのではないだろうか。何かはわからないが、それがクリスタルを形成するのではなく、ここに引き寄せた可能性もある。

この新しい仮説が正しければ、クリスタルには未だ知られていない起源があることになる。だとすればある意味で、これまでの私の仮説は間違っていたことになる。だがクリスタルを探す過程で、ルーセント・クリスタルについて同僚たちが知らないことを発見できるかもしれない。ここに留まって、さらにクリスタルの研究を続けよう。

シェザールの足跡The Footsteps of Shezarr

シスター・プリスシア・ストルヴォ 著

ペリナル・ホワイトストレークや翼ある雄牛モリハウスのような半神は、アイレイドとの戦いにおいて人間が最初に受けた聖なる支援ではない。アトモーラに人間の地を獲得するためにショールが進軍した神話は学者たちによく知られている。しかし、その後のタムリエルにおけるショールの偉業はあまり知られていない。最古のインペリアル文書へ乱雑に書きつけられたネードの言い伝えの慎重な調査により、魅惑的な(ほとんど忘れられているにしても)物語の輪郭をなぞる。

神話紀の中期、やがてアイレイドになるエルフは、タムリエルに自分たちの領域を築くためサマーセットを離れた。すでにそこに暮らしていたネードの民よりも、交戦とマジカの使い方においてより進んでいたエルフは、当初容易に新たな隣人を従属させ、また撃退できた。しかし分断されたネードの民は、ゆっくりとアイレイドの進軍に抵抗し始めた。

ネードの伝承では繰り返し、ある「よそ者」がやってきて古代の人を助けたと語られている。このよそ者は教師、助言者として、こんな時以外は互いに争う部族間の同盟を作り上げる者として現れた。彼はショールのような戦士の支配者でなく、自分のために戦うよう人々を鼓舞する人物だった。

ドゥラキの伝説は、「シェザール、ドゥエマーから石細工を盗み、ジンファラに山の麓からニルンクラッツを呼ぶように教えた者」と述べている。ペレナの物語は、星の教団が「白髭のよそ者」からソウルマジックを学んだと述べている。同様に、「雪のような髭のシェザール」がシロドのネードにアイレイドの戦闘魔法の秘密を教え、敵の術を相手に跳ね返す方法を示したと言われている。そして何よりすばらしいのは、セドールの洞窟で発見されたと言われる石板に「シェザリン、生けるショール、人の教師」として髭の人物が描かれていることだ。

総合すると、どうやらこれらの完全に異なる物語が示しているのは、シェザールが数多くの部族へアイレイドの抑圧に抵抗するよう鼓舞したことらしい。だが、後のネードの物語は賢明なよそ者について触れていない。シェザール、つまり戦士ではなく教師を装ったショールがこの当時に果たした役割が何であれ、神話紀中期には終わりを迎えた。しかし彼が古代の人に与えた希望の残り火は、最終的に再び燃え上がり、聖アレッシアの反乱を引き起こすまで、アイレイド帝国によって数百年も奴隷となった彼らを支え続けた。

シャードマーシャル・ヴァルガスの日記Journal of Shardmarshal Vargas

[最初の記録]
妙だ。この場所へ引きつけられるのに、その理由がわからない。ファーグレイブを通り過ぎるたびに足が自然とここへ向く。ここの道や壁を知っているべきな気がする。なぜ?

[2つ目の記録]
古代の巻物でここの名前を知った。このポータルは未踏の道の織機に続いている。その意味がわかればいいのに!

ポータルは奇妙な結界で封印されている。もちろん鏡が鍵だ。ありとあらゆる組み合わせを試したが、ポータルは閉ざされたまま。私の力の及ばない何らかの変化が、この領域に訪れないと開かないのかもしれないと思えてきた。

[3つ目の記録]
最後にここを訪れてから数百年経っているが、まだ不可解だ。私はシャードマーシャルだけど、どうやってその地位に就いたのか覚えていない。シャードボーンの残骸に指示を出しても、自分たちがどこから来てどこに属するのか思い出せない。不安の種に悩まされる。私たちの存在意義は何なのか?さまよって待つ、その目的は?ファーグレイブへ引きつけられるのに、この不思議と馴染みのある領域にいる者は、誰も私たちがどこから来たのか知らない。私たちは何を忘れ去ったのだろうか?

[4つ目の記録]
またトーヴェサードと話した。彼も何かが欠けているという感じがしている。自分たちの一部が奪われたような。彼は私たちが失ったものを突き止めるため、オブリビオンの全領域を調べるつもりでいるけれど、それは無駄だと思う。この織機の前に立つと、秘密を思い出せそうなのがわかる。他のどこでもない、ここで明らかになるはずだ。

[5つ目の記録]
また100年が過ぎたのに、何も変わっていない。長年が経過したことは当然無意味だ。それでも、待つことに疲れてきた。

ジャガの酒宴の歌Jagga Drinking Song

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか

どうしてみんなに人気なの?
家畜小屋から届いたばかりの、豚のミルクの熟した香り
ぐつぐつ煮立てて、猫は鍋から離して
凝乳ができるまで待って、クランの皆でわけあおう

ウッドエルフとジャガは最初から相性抜群
クリーミーで甘い1杯は心にもいい
知ってるかい?ウィスキーもかなわない
宣言しよう、ジャガの熟れた味には!

ワインやホップのビールは忘れよう
グリーンパクトは雫を与えたもう
カビとアレンシアン・ブランデーから作られたエールを
それらと比べても、ジャガはとびきりすばらしい

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか!

ジャドレイサ軍団兵の日記Legionary Jadreitha’s Journal Entry

近頃、ウィールド全体で不吉な魔術が根を張りつつあるという噂が深刻さを増している。人々は何かを感じると言っている。肌がゾクゾクしたり、肝が冷えるような感覚だと。だが人々の話には共通点がある。それは4つの奇妙なモザイクの近くにいると、息苦しいほどの魔力を感じるということだ。モザイクは北に1つ、西に1つ、そして南に2つある。これは調査に値するだろう。

私の部隊は北に派遣された。この方面に向かうのは初めてのことだ。この辺りの地域は果てしなく広く、開けた土地だが、モザイクに近づくにつれ、狭苦しいような感覚が強まった。報告にあったとおりだ。

当初は、何も見つからないのではないかと思っていた。モザイクは確かに異様だし、空気は何か気味の悪いものを含んでいたが、我々は何を探せばいいのかわからなかったのだ。その時、空が開いた。

頭上の空が裂けて開いた。我々が押し込めていた息を吐く暇もなく、糸のようにうねる力が大きな裂け目から飛び出し、大地を割って突き出していたガラスの破片に取りついた。部隊にいた私のある友人が逃げ遅れ、ガラスが彼女の足元から吹き上がった。

突然の出来事のショックから立ち直った我々は、ガラスの粒に取り巻かれた小さな黄金の球体がいくつも、地面のガラス片から荒野に漂ってきていることに気づいた。球体はその背後に落ちたガラスの細い跡を残していった。まるでついてこいと我々を招いているようだった。少し話し合った後、我々は手分けして球体を追うことにした。

私と部隊の3人は草原の中で最も岩の多い部分を通って球体を追った。風の声は我々を追いかけて挑発し、我々は不気味な思いをさせられた。我々はしばらく跡を追って、大きな岩板の裏にまでたどり着いた。そこで見つかったのは、我々の誰もが予想だにしていないものだった。

我々は黄金の力の触手に包まれた巨大なドレモラが、様々な種類のガラスのデイドラに取り巻かれている光景に出会った。近くに寄るにつれ、我々が耳にした声はこのドレモラのものだったことが明らかになった。そしてガラスの跡の原因はこいつであることも――少なくとも、我々が追った跡は。ドレモラが我々の吸う空気にあれだけの力を注いでいるところからして、こいつは裂け目の向こうの領域から力を吸い取っているようだった。ガラスがドレモラの足元で拡散し始め、地面を這い回って触れるものすべてを破壊していった。

その後に起きたことはすべて私の責任だ。私は恐怖に襲われ、盾を落としてしまった。デイドラは盾が地面に落ちる金属音をすぐに聞いた。襲い来るデイドラに応戦したが、不意を突かれた我々に勝ち目はなかった。私は仲間たちが次々に倒れていくのを見て恐怖した。一人だけになった私は逃げて隠れた。自分が恥ずかしい。

こうして今、私は待っている。デイドラか、部隊の他の者に見つかるのを。どちらが先に見つけるかはわからない。スキングラードまで戻り、皆にここで見つかったものを告げるだけの体力が残っていればよかったのだが、今の私は酷く負傷して、衰弱している。私にできるのはここで待ちながら、見たものを書き記すことだけだ。

まだ答えの得られていない疑問が数多くある。あの巨大なドレモラは何かの儀式を行っていたが、何のために?奴は単独で行動していたのか?ガラスの跡は3つあったから、あれと同じ奴が3体どこかにいるのではないかという気がする。

もし私がここから生還できなかったら、そして誰かがこれを見つけたら、どうか我々の努力を無駄にしないでくれ。

ジュリアノスの盾The Shield of Julianos

ハデルス・ドントン神父による説教

スキングラードで周囲の建物よりひときわ高くそびえるのが、知恵と論理の神ジュリアノスに捧げられた大礼拝堂です。しかしスキングラードはそのワインと豊穣、祭典で知られる場所。論理と理性という、厳格にして知的な探究を担う神が、なぜこの地で最も大きく祀られているのでしょうか?

確かに、ジュリアノスは矛盾の神としても知られます。しかしそれは理由の一端にすぎません。

大礼拝堂の場所は元々崇拝の地であり、おそらくは何らかのデイドラ公に捧げられていました。どのデイドラ公だったかは知られていません。現存している図像はどのデイドラ公にも一致しないように見えるからです。しかしアイレイドとデイドラを崇拝する彼らの同盟者たちがこの地から追放されたことで、ジュリアノス崇拝がここで確立されたのです。スキングラードが成長するにつれ、その大聖堂と学校はあらゆる種類の学者や弁論家、哲学者をタムリエル中から招き入れ、彼らは真理を探究するとともに、自らの信じる真理をそこに加えました。

大礼拝堂は神々の崇拝者同士の議論と討論、哲学的対決の場ですが、無信仰者もそこに加わります。ジュリアノスの信仰は多様な観点を迎え入れるもので、すでに確立された教説と対立する者も受け入れます。「八大神の九戒」の中でジュリアノスは「真理を知り、法を観察せよ。疑わしき時は賢き者の知恵を求めよ」と述べています。

大礼拝堂の訪問者は知恵を探し求めて、大小さまざまな問いに没頭します。創造の前には何が存在していたのか?世界はどのように形成されたのか?自由意志は全能の神々と両立するのか?デイドラ公が生まれ持った本性に縛られているのなら、彼らは真の意味で自由なのか?論者たちは遠くから集まり、こうした問いを礼拝堂の中で、またその周囲の酒場で考えます。

礼拝堂はこうした議論を、それが市民的なものである限りすべて歓迎しています。その結果、争いは戦いに発展するよりも、ワインを交わしながら行われることが多いのです。剣ではなく言葉を突き合わせて。しばしば、哲学者は祭典や饗宴を主催し、自らの論点の妥当性や評判を他の者たちに認めさせようとします。その結果、スキングラードは祭典の街となり、その中心に真理の神が鎮座しているのです。矛盾しているようにも思えますが、ジュリアノスは矛盾の神と言われ、至高の真理を探究するために、数多くの真理を吸収できます。

というのも、大切なのは真理が常に対立させられ、常に異議を向けられ、常に試されるべきだということだからです。見かけ上の矛盾が真理を無効化するのであれば、それは完全な真理ではありえません。論理がジュリアノスの盾だとすれば、矛盾はその剣です。圧力を受けることのない壁は、真の目的を果たしていると言えません。試されることのない徳には重みがありません。異議を向けられない考えは独断にすぎず、司祭にも、信奉者にも益をもたらしません。究極の真理こそが、ジュリアノス信仰の中心にあるものなのです。

これまでもこれからも、それが変わることはないでしょう。

シルヴェナールのレイン家House Rayn of Silvenar

帝国書記、ヴァレンウッドのベラゴン 著

アエラダン・カモランはヴァレンウッドの王だが、多くのウッドエルフは彼を縁遠い存在と捉えている。その代わりに彼らが街や地域社会の指導者として頼りにしているのが樹の従士だ。読者の中には驚く人もいるかもしれないが、樹の従士はエルデンルートのカラモン家と同等の高貴な一家の出身であることが多い。シルヴェナールのレイン家はその好例だ。

由緒正しいレイン家がシルヴェナールで実権を手にしたのは第一紀末、皇帝レマンが征服したヴァレンウッドを一つの州としてではなく、独立した各王国を通じての統治を選んだ時のことだった。レイン家の樹の従士たちはシロディールの皇帝に対して(一部は嫌々ながら)忠誠を誓い、見返りにシルヴェナールを自らの領地として自由に統治する権利を得た。この取り決めはアカヴィリの最高顧問により継続された。彼らの統治期間中、シルヴェナールの樹の従士7人のうち5人までがレイン家の出身だった。

第二紀430年に最後の最高顧問が死亡した時、シルヴェナールの統治者がヴァレンウッドにおける再統一されたウッドエルフの王国の王位を狙えることは明らかだった。だが悲しいかな、それは叶わなかった。レイン家の目は内側に向いており、伝統的なウッドエルフの価値観を維持するクランの連合を築こうとしていた。対して、エルデンルートのカモラン家は外部に目を向けていた。貿易で富を得て、ヴァレンウッドを越えた領域との同盟関係を築いたエルデンルートの王たちは、ウッドエルフの盟主としてレマン以前の地位を取り戻した。第二紀489年に起きたブラックサップの反乱の頃、シルヴェナールの樹の従士ウバリオン・レインにとって、あまり寛容でないいとこのゲルシオルではなく、アエラダン王を支持する以外の選択肢はなくなっていた。

もちろんシルヴェナールの樹の従士が全員レイン家だったわけではない。樹の従士の選出には、一般市民による賞賛、前任の樹の従士からの指名、街で影響力を持つ家同士による交渉が影響する。現在のシルヴェナールの指導者、樹の従士タルリネルはレイン家ではない。だがレイン家のナンサリオンという者が、王としてストリッドの北にあるヴァシャバーの新しい集落を統治している。やがて新たなシルヴェナールの樹の従士を選ぶ時がきたら、間違いなくレイン家の者が誰か争いに参加するだろう。

ああ、それから最後に、我が帝国の読者のために記しておこう。シルヴェナールはシルヴェナールの統治者ではない。シルヴェナールとの称号を持つウッドエルフの役割は、まったく別の議論のテーマだ。

ジルラエダルの無名な古代蒸留酒の本Gilraedal’s Book of Obscure and Ancient Spirits

時の嵐

歴史
真実かどうか怪しい歴史的事件から名前をとった時の嵐は、それを飲む者の記憶を消すという。消費量が多いほど失う記憶も多いと言われている。レシピはたてがみのジニンジ・リが支配していたエルスウェアで生まれた。残されている説明によると、よく手入れされた毛皮のようになめらかな味で、それが砂漠の砂のように口の水分を襲うという。

レシピ
薬用人参、3片
混乱したドラゴンの舌、丸ごと
ブランデー、2ジガー
煮込んだサボテンのイラクサ、ひと握り

* * *
賢者の夢

歴史
この珍しい飲み物の名前は、アイレイドの遺跡で見つかった古代の日記によって伝えられた。このはるか昔の文化の専門家は、教養の高い貴族ではなく使用人の日記だと推測している。驚くべきことだが、その内容を調べると筋が通る。素早く走り書きされた貴族からの夕食の注文、正餐用食卓の配置のスケッチ、新しい飲み物の案がすべて書かれているのだ。

最も注目すべきレシピは、筆者が賢者の夢と名付けた飲み物だった。説明には「運命の王のために」とだけ書かれているが、それがどのアイレイドの王か女王なのかは残っていない。残念ながら材料はタムリエルでとうの昔に絶滅しているため、飲み物の再現は不可能だ。おおよそのものが知りたい場合は、代用品を作れる。

日記によると、この飲み物は口に入れるとまず舌を刺激し、うっとりとするような甘さに変わるという。そして仕上げに、その核となる味の中にある苦さが感じられる。

レシピ
ティラム草、1本
新鮮なハークフルーツジュース、搾り汁を半分
リュートベリー、ちょうど3個

ティラム草が溶けてワイン色になるまで熱と圧力を加えて混ぜる

* * *
爆発ポニー

歴史
この飲み物の名前は、飲んでから起きる2段階の現象から来ている。最初はブランデリオン茶のような優しい味がする。それは長続きして安心するが、その後、舌の上は新しい味でいっぱいになる。あまりにも勢いよく訪れるので、多くの人は驚いて飲み物を吐き出す。少なくとも3人が破裂音を聞いたと言っている。飲み物を口に含んだままだと、新しい味は天草っぽさのあるありのままのハチミツの味がする。

爆発ポニーの2つの効果のせいで、酒場の所有者たちは味が変わるまで飲み込まないようにと勧めている。この「爆発」は胃の中でも起き、危険ではないが吐き気を催すことがある。

レシピ
タネツケバナ、千切り
アニス草、半カップ
シルフ・ジン、半カップ
潰したブラッドルートの茎、最低6本

スカーレットのリストScarlets List

ウェストウィールド軍団、第七歩兵隊、第九部隊「スカーレット」

アレン・フーク、軍曹(スキングラード)
ウルマ・グロマグログ、司祭(サッチ)
落ちたナイフ、治癒師(オンタス)
フォンス・アルモ、兵卒
レグニル・ホルスタッド、兵卒
ナク、工兵

ヴァレニア、兵卒(ヴァシャバー)

スカーレットへのメモNote to a Scarlet

お前が何者か知っているぞ、スカーレット。

お前はこの廃坑で富を築こうとしている。私はお前を待つもっと豊かな鉱脈を持っている。

ファイアライト洞窟でそれを探せ。牢獄に牙をもがれていなければ。

スキングラードが冒険者を求む!Skingrad Seeks Adventurers!

ウェストウィールド軍団はこの地域をより良くするため、偉業を成し遂げる腕のいい冒険者を探しています。

あなたとお仲間のために比類ない機会を数多く用意しています。勇ましい使命、傑出した成果への報酬、おそらくはささやかな栄光も。

詳しくは、スキングラードのカスタス軍団兵にお尋ねください。

スキングラードの寡婦の嘆きSkingrad Widow’s Lament

愛しいあなたよ
二度と会えない
エセリウスを 歩き
去ってゆく

遠いあなたに
愛を歌えば
遥かな距離を越え
会いにゆける

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

あなたを夢見る
幸せな日を
目が覚めるたび
傷が疼く、ああ

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

スキングラードの略史An Abbreviated History of Skingrad

グウィリム大学新聞、アントニオス・シヴェロ 著

旧コロヴィアの宝石であるスキングラードは、ウェストウィールド内に絶えず存在する中でも特に古い集落で、居住地としての歴史の証拠はエルフの神話紀集落にまでさかのぼる。複数の岩盤が露出した地域へ無秩序に広がり、橋で繋がったこの街は極めて防御しやすく、その長い歴史のなかで拡張と縮小を続けた。しかしいつの時代も、街は創造的活動、食料、文化の中心地であり続けた。その温暖な気候と肥沃な土地はブドウとトマトに適しており、チーズ作りにおいても大陸全土で有名だった。

スキングラードがもともとアイレイドの集落だったことは間違いないが、今のところそれを証明する文字の記録は見つかっていない。新しい建物のために発掘を行うと、埋められていた基礎や地下通路、長い間光から隠されていたハイエルフ様式のモザイク床が見つかることが多い。比較的質素な住居や彫刻からは人間もいたことがわかる。後年住み着いたネードだったと思われる。

ネードによるアレッシアの反乱、さらにエルフの離散が次第に起きた後、スキングラードは人間の支配者の手に渡った。この時代のスキングラードは数多くある取るに足らない王国の一つで、白金の塔に従属しながらも独立国家であり続けた。アンヴィル、コロール、クヴァッチがコロヴィア領の中核を成し、高まるアレッシア教団の影響力に強く抵抗した。

問題はスキングラードの王族が伝染病で全滅しかけた時に顕在化し、生き残った高位王族でアレッシア司祭のドラルド・ラリッチは、王国を第一帝国へ譲渡した。もう一人生き残った王子、クヴァッチのリスラヴ・ラリッチは、街に進軍してドラルド王を廃位し、殺害した。皇帝ゴリエウスはスキングラードへ軍を送ったが、クヴァッチの義理の父、ジャスティニアス王から助けを得たリスラヴの軍に倒された。絶対的な力を誇る帝国の軍が敗北したことに奮起した他の都市国家も反乱を起こし、コロヴィアと他の帝国西部は時に同盟を組み、時には戦って分裂して、小さな王国となった。

スキングラードは独立国家としての立場を数百年保ったが、やがてタムリエルの人間たちが最初のアカヴィリによる侵略に反撃するため団結する中で、レマン帝国に吸収された。レマンの時代、スキングラードはシロディールとの繋がりが強くなった。レマンの第4代皇帝ブラゾラス・ドールはこの近くの人里離れた屋敷にとどまり、ほとんどの時間を宴やその他の道楽に費やし、臣下の権力者に帝国の統治を任せた。この時代に街は文化の中心として知られるようになり、周囲にできた立派なブドウ園がそれを支えた。ドール皇帝はとりわけ激しい道楽にふけった後、邸宅で亡くなったと言われている。

スキングラードは最後のロングハウス帝を倒そうとするヴァレン・アクィラリオス公爵に味方した。ヴァレンが君主となり、スキングラードはルビーの王座への忠誠を誓って、属国として再び帝国に加わった。

現在、スキングラードは公式に帝国の一部だが、三旗戦役でどの同盟にも味方していない。武装中立を守り、複数の帝国軍団を維持して国境を警備している。この立場でありながら、現在の伯爵カランティウスはリーパーズ・マーチへ軽率な襲撃を行った。しかしこうした行動にも、スキングラードの人々が持つ、洗練されて独立心の強い精神はそがれておらず、ウェストウィールドの宝石としての地位を守ったままだ。

スキングラードを救え!Save Skingrad!

大規模な環境破壊!

私たちは侵略に馴染みがないわけではない。歴史を見れば他者が私たちの土地を征服しようとしたことは多々ある。しかし土地そのものが破壊されて襲われたことはいまだかつてなかった。スキングラードの住民である私たちは、足元で起きる変化をただ黙って見ているべきなのか?そうはいかない!

新たなジャングルに立ち向かえ。ウェストウィールドのため、スキングラードのために立ち上がれ!

(新たな森に反対する人々より)

スペルライトのメモSpellwright’s Note

あまり時間がない。二週間前、私はテルヴァンニのスペルライトだった。私が仕えていた魔道師は研究休暇でハイ・アイルに行っていて、私たちは船に乗ってアルド・イスラの家に帰るところだった。出発して1日後、船に水漏れが起こった。船員が修復を始めた時、フジツボだらけの爪が水漏れの穴から飛び出し、さらに見たところ十数本もの爪が続いて出てきた。ハドリッドが船を襲撃したのだ。私は自分に使えるすべての呪文を海の怪物に向けて放ったが、無駄だった。1匹殺すたびに、もう1匹が海から現れた。蟹の民は全員を殺したが、私は生かされた。奴らは私を檻に放り込んで筏に乗せ、パングリットに引かせた。もう何日も

〈メモの残りの部分はインクが水で破損しすぎていて読めない〉

スペルライトの第二のメモSpellwright’s Second Note

永遠とも思えるほどの間海を漂った後、ハドリッドたちは上陸した。彼らは私に奇妙な魚と…何か別のものを食わせた。サルトリス粥を一杯もらえるならどんなことでもする。ハドリッドたちは私に目隠しをし、両腕を縛り、何か固いもので私の頭を叩いた。目覚めると、私は彼らに囲まれて洞窟の中にいた。このハドリッドたちは外見が異なっていた。より小さく、殻が柔らかい。彼らは私の両手をほどいた。私のマジカは絶好調と言えなかったが、それでも強力だった。炎の矢、雹の嵐、電撃や雪玉までもが洞窟を満たした。私は衰弱していたため、蟹どもには傷一つ付けられなかった。だが奇妙なことに、私が魔術を使った後、彼らは私の動きを真似し始めた。なぜこいつらが私を生かしておいたのか、この時理解した。

私に呪文の詠唱を教わるつもりだったのだ。

スペルライトの第三のメモSpellwright’s Third Note

ハドリッドはタムリエル語を喋れないし、私に理解できるいかなる言語も話さない。彼らの体は音を発することができない。だが指差しと身振りなら理解した。彼らは一度に何日も洞窟を離れ、学習用具を持ち帰ってきた。本やインク、紙、机まで。彼らの持ち帰った物から、自分の現在地がわかった。ウェストウィールドだ。

ワインのラベルを作った召使に感謝しなければ。だが今わかっても手遅れかもしれない。ハドリッドは私に教えることが残っていないのに気づいたようだ。テルヴァンニのスペルライトが使える呪文はすべて教えてしまった。自分が我々すべての破滅を招いてしまったのでないことをアイエムに祈っている。

生き延びるためにはこうするしかなかったのだ。

ダークカンパニー:脱走兵?それとも傭兵?Dark Company: Deserters or Mercenaries?

護民官アレア・イドルスのため、護民官の部隊に所属するカエピオ軍団兵が用意した報告書。
ウェストウィールドの荒野に新しい脅威が現れた。三旗戦役のあらゆる同盟で、脱走兵の数は記録的になっている。多くの者は上官たちの報復を避けるため可能な限り遠くに逃げているが、一部の者たちはダークカンパニーと呼ばれる傭兵部隊を結成している。

こうした傭兵たちが、ウィールド中の放棄された建物を占拠し、盗賊行為を行い、近くの農場、隊商を略奪するためのキャンプを設営している。オンタス採石場で、レディ・ラザリーの傭兵として職を得ている者たちまでいる。

現在はグループの指揮系統を確認しようと調査を進めている。この傭兵部隊は軍に似た構造を持っていて、残念ながら元エボンハート・パクト、アルドメリ・ドミニオン、ダガーフォール・カバナントだけではなく、元軍団兵までも存在している。元々敵対していた人々が、ウェストウィールドの民に対する犯罪のため徒党を組む早さには驚かされる。

人的資源が足りないことは承知しているが、このダークカンパニーは至急攻撃しなければ、強くなりすぎて対処できなくなるだろう。

ダビエンヌのメモDabienne’s Note

錬金術師の同志たち、ならびに大胆不敵なヘアスタイルの賛美者たちへ

私の作品に対するあなたたちの賛辞を心から嬉しく思います。私の大胆な青いヘアスタイルに伴う、複雑な錬金術の工程を理解できるのは真の芸術家だけです。しかしながら私自身、この紺碧の編み髪を見慣れてしまいました。それゆえ、再び閉じこもって研究をする時が来ました。時間さえあれば、エメラルドの(さらには赤紫色の)ヘアスタイルを実現できると考えています!

それまでの間、街にいる他の錬金術師たちをぜひ、ひいきにしてください。彼らの髪の毛は私ほど大胆なものではありませんが、それでも有能な人々です。

夢は大きく、
ダビエンヌ・ジオンテーン

タムのメモTham’s Note

マエルへ

この前の手紙を無視して近づかなかったことを祈る。もし来たなら、知らせておくことがある。

一番のビンテージは、昔よく酔って家に帰れなくなったデシウスじいさんを連れていった場所にある。

早くこっそりとあそこへ行けば、昔の仲間が街中の酒を飲み干される前に持ち出せるかもしれない。

近いうちに碧落の岸へ行きそうだ。長身のパパによろしく伝えておく。

タム

ダレン・フォースターDalenn Forster

尊敬を集めた牧場の働き手

人よりも動物を愛した

突進する雄牛を
一目見るだけで止められた

しかし疲労熱には
太刀打ちできなかった

つけ払い:2E 579Open Tabs: 2E 579

蒔種の月
カルン:2ゴールド
ユートロピア・ドルサス:1ゴールド
ジョバウル:3ゴールド
マックネッサ:5ゴールド

恵雨の月
カルン:7ゴールド
ロウイク・レファニー:2ゴールド
アーノラ・トゥリウス:14ゴールド
ジョバウル:5ゴールド(すぐに支払うよう請求済み)
フェレン・サラス:20ゴールド!

栽培の月
テレルメ:2ゴールド
草と立つ者:3ゴールド
フラネリン:5ゴールド
ジョバウル:11ゴールド(死去)(家族を探して家族からの回収を検討)

ナンサリオン王の命令King Nantharion’s Orders


秘術師タリム

ホープルートの件以来、我々に厄介な敵がいることは明らかだ。ハルメアス・モラの手下たちは自らの自由のために戦っているとしても、こちらとしては我らのデイドラ公を守らねばならない。

そのために、お前は秘密の枷が我々に対して使用されぬよう取り計らうのだ。トーヴェサードはあれが遠い昔、ニルヤステアの宝物庫に封印されたと考えている。何とかして枷を回収し、破壊せよ。

私は別の道を行かねばならん。暗くなった家に眠る力は我らが公を復活させられると私は信じている。必要なのは十分な種を植え、覚醒のために杖を使うことだけだ。

ネレタイのメモNeletai’s Notes

急いでこれを記し、この混乱がもっと落ち着いてから、個人的なメモに書き写さなければ。だから記録のため、またこれを見ている何者かのために言っておくと、これはネレタイの論文よ。取り除いたり、置き間違えたりしないこと。

ゾリンとの最初の遠征の間、彼について特筆すべきことはほとんどなかった。彼の種族からすれば標準的な姿。私より少し背が低いかもしれないけど、今見たものに比べれば注目すべきことは何もない。我々の野営地に彼が襲撃してきた時、前回会った時に比べて彼の体格が倍になっていることに気づいた。原因は何だろう?彼が他にも名のある強力な物品を収集しているのは間違いない。そうした物品に身をさらしたことで、彼は肥大化した自分のエゴにも匹敵するほど背を伸ばしたのかもしれない。
それ以外に理由があるとすれば、アルケインの結び目を手に入れるための要塞遠征に何度も失敗する合間に、ゾリンは結び目の力によって歪められ、結果的に大きくなったのだろうか。私はルーセント・クリスタル自体の影響かと思ったけど、あれはファーグレイブで一般的に使われているし、あそこのデイドラが法外に巨大化したという話は聞いていない。

この事態の展開を書き記し、ケシャルゴの野営地の者が要塞に入った時より大きくなって出てくるかどうか確かめたい。生還して旅を続けられる者がいれば。今でさえ、彼らは怯えて不平を述べている。大混乱よ。負傷者の誰かが力尽きるまで待つ間、無のアルカの様子を見に行こう。ゾリンの戦いが私のプロトタイプを破壊したら、私は彼を探しに行くことになるかもしれない。

ノセラスからの手紙Letter from Nothelas

お父さんへ

ついに実現した!やったよ。何年も練習して驚くべき出来損ないの気持ちを味わったあげく、ようやく花を開かせることができた!

今夜はベラセルが一杯おごってくれるんだ。変な話だけど、彼女は僕の成長に対して僕以上に興奮しているようだった。自分の弟子が季節を5回かけて取り組んで、やっとどうにか緑の声が聞けるようになったことで、自分の教える能力に疑問を感じたのかもしれないね。それでも、僕の手の下で花が成長した時は、飛びあがらんばかりに喜んでくれた。待って。何があったか詳しく話すから。

ベラセルによれば、僕の一番の課題は緑が話している時に集中できないってことだった。今、聞けるようになってみると、なぜそうだったのかよくわかる。緑は僕がこれまでに聞いてきたような話し方をしないんだ。待って、ちょっと先走ってしまった。

今日、授業中にベラセルは変わったことを試した。今日は彼女が自分で緑を操作して僕に緑の言葉を聞かせる代わりに、手で僕の耳を覆ったんだ。どうやったのか知らないけど、彼女は周囲の雑音を小さくするか、緑の声を増幅した。でも僕にはそれが聞こえた。それは想像していた植物よりもずっと老いていて頑固だった。僕に突くべき場所を教え、芽に力を満たす方法を示し、成長の歌を感じさせてくれた。僕が自分のマジカを芽に注ぎ込むと、それも聞こえた。緑の声にずっと若い声が混ざり込んでいた。

未だに信じられないけど、ついに緑の代弁者になる軌道に乗ったんだ!緑の声が聞こえるようになったからには、さらに上級の授業を手早く済ませるとベラセルは考えてる。明日は自分の花をテーブルへ変えることにする。どういう仕組みかわからないけど、始めるのが待ちきれないよ!

家族のみんなによろしく伝えて。それから、母さんにお手製のハチミツケーキを送ってほしいと頼んでおいて。忍耐への感謝の印としてベラセルに渡したいんだ。

愛を込めて
ノセラス

ハルダインの日記Haldain’s Journal

〈これより前のページは日記から破り取られている〉

もうどうしようもない。生きて外には出られないだろう。生き延びてスキングラードの市場の音を聞き、樹液の味がしない空気を吸うこともできない。

これを見つけた人、どうかこの手紙と私の持ち物を、全て妹のレピダ・ラサスに届けてほしい。スキングラードの豊饒の休息所に部屋を持っている。

持ち物は今朝、作業台の横に隠した、まだ近くにあるはずだ。

死体は運ばないでほしい。私に起きたことをレピダが見る必要はない。

フェルダガルド砦の報告Report on Feldagard Keep


番人フィルウェン、

シャードボーンの同盟者たちは、フェルダガルド砦をコロヴィア丘陵におけるスキングラード防衛の要所だと判断した。シャードマーシャル・ヴァルガスはこの古い砦に大規模な襲撃をかけるための兵力を集めている。彼女は我々にこの一帯の事前調査を行い、駐屯部隊の想定勢力を報告するよう求めている。

シャードボーンがフェルダガルドで成果を挙げれば、間違いなく我々の活動の助けになるだろう。信頼できる斥候を数人選び、砦を偵察させよ。報告を待っている。

ブルーエドラルの輸送に関する詳細Blue Aedral Shipment Details

ギルロイ・ヴァッシヌス

次のブルーエドラルの積荷は1週間以内に出発する。オリッサにはもう経路を偵察してあるので、問題なく移動して襲撃の用意ができると伝えてある。

到着したら、私はブルーエドラルが入った木枠箱の傍に立つ。数少ない貴重な瓶だから、くれぐれもていねいに扱うように。ついでに私のことも言っておく。裏切りが疑われない程度には荒っぽく扱ってくれ。

ごろつきのような恰好をした、クリスタルジャックの番人が役に立つと思う。オリッサは誇り高いかもしれないが、戦士じゃない。それから、新しいペットは近づけるな。どんなオブリビオンの穴であのワスプを見つけたのか知らないが、私の近くにも、他の人の近くにもあってほしくない。

きっちりと契約は果たしてほしい。念のために言うが、私が欲しいのはゴールドだ。あの厄介なワスプから手に入るハチミツやら何やらじゃない。私の重さの分のゴールドだ。

ルリ

ペレナへの手紙Letter to Pelena

親愛なるペレナ

私のことは覚えていないかもしれないが、自分の名前や私の傭兵に宛てた自分の手紙の渦巻く字体は覚えているはずだ。あのような繊細な文字で、あのように陰惨な依頼が書かれているのを見るのは実に興味深かった。

今も覚えている。あなたの夫の目に浮かんだ衝撃を。背中の短剣に手を当てながら母親の名を叫ぶ姿を。

記憶は暇なときの楽しみでしかなかった。シロディール中に広がる、息子を探す裕福な年配の婦人の話を耳にするまでは。それでピンときた。

あなたの亡くなった夫と私は驚くほど似ている。もちろん同意してくれるはずだ。話し合うべきことがたくさんあるな、奥様。あの婦人の財産を山分けしたいなら、我々は役割を完璧に演じなければならない。あるいは、あなたが殺人犯であることを明かしてもいいかもしれない。

よく考えてくれ。
セオファン・ピクトル

ボグヴィルの手紙Bogvir’s Letter

ガリオ、

まず、お前は私の吸血鬼たちにウェストウィールドでの新たな機会とかいう偽りの約束をし、彼らを私から奪った。お前はその上で私から盗んだ錬金術のレシピを競りにかけ、他でもない私をそこに誘うのか?傲慢さに限りはないのか?

私はあの霊薬が我ら吸血鬼本来の力を二倍、三倍にも高めることを知ってはいたが、死なずにその効果を得られる方法を考えついたのがお前だということは認める。あくまでお前の言い分だが。

そこで私は考えた。お前の手から数ケースほど引き取ってやっても構わない。だがそれに金を払えと言うつもりなら、お前は私が思っていた以上の愚か者だ。

ワインを2ケース、オークションで私のためにとっておけ。でなければ他の結社をお前に敵対させるだけでは済まない。戦士ギルドとレイヴンウォッチにお前の企みを知らせてやる。

ボグヴィル

ミラームーアがすべて征服する!All Bow to Mirrormoor!

リリク、エヌゼル、マルキル、ウルダザン、リヴェク、アクコス。ミラームーアの誇り、ヴァルキナズのために仕え、死すことは名誉である!今日ウィールドの空に開く3つの裂け目のどれもが、新たな栄光の時代をもたらすだろう!

彼らの計画は見事で、阻止することは不可能だ。彼らは襲撃のクラッツ周辺で自然の中に隠れ、魔術を使ってミラームーアの裂け目を強化し、その力で勇者を呼び出す!

嵐の指揮官、シュラカヘル!

嵐の支配者、ラーヴォク!

リヴァイアサンを操る者、クラザク!

呼び出された勇者がウィールド中に、忘れられた領域への道を開かんことを!

ミルヴィア・テーシルのメモMilvia Terthil’s Note

これを見つけた人へ

もし私が死んでるなら、それは残虐なウッドエルフとデイドラの仲間に殺されたからよ。見掛けたらわかる。敵対的な一団で、奇妙な鎧を着てる。ずっと周辺を偵察し、私たちを観察してるの。昨夜なんて、何人かが古い井戸に下りていくのを見たわ!何か悪いことを企んでるに違いない。

昨日、退去を求めるメモが扉に貼られてた。ミルヴィア・テーシルが自分の土地から逃げるわけないでしょう!でも、正直怖い。

ミルヴィア・テーシル

メリディアの輝きMeridia’s Radiance

彼女の輝きは闇を寄せ付けない。太陽がゴールドロードの木々で反射するように。

人間を悩ませる闇のデイドラ公は、彼女のまばゆい光によって怯み、彼女の前の影となる。

メリディアの守護を求める者は彼女の祠で祈り、暗い時代に光を求めるべきだ。明るいロウソクは闇を照らしてくれる。

メルス・マーシカスの日記Journal of Melus Marsicus

これは私の秘密の日記だ。お前の名前がメルス・マーシカスでないのなら、その詮索の目はよそへやってもらいたい。お前は私が最も奥に秘めている思考に忍び寄っているのだから。

アルケインの結び目の正確性に関する仮説に有力なものは少ない。結び目が何かも、それがいつ現れたのかも、その機能や形状、様式も我々には知られていない。アルケインの結び目という名称自体大した情報にはなっておらず、適切だとは思えない――この結び目が実際に結ばれたものであるという確証さえないのである。結び目に関する無数の仮説の概略を記しても、グラーウッドの民話を概説するのと同程度の事実しか得られないだろう。こうしたものを事実と主張したり、この日記のような神聖な論文上で援用しても意味はない。私は真実と、それを支持する説だけに依拠する。

アルケインの結び目という名称はそもそも何に由来するのか?ファーグレイブのデイドラの中でも、要塞が使用されていた時代の記憶を持っている者はごく少数だというが、彼らはそれ以上の情報を教えることに消極的だ。それでも、知識の欠如が明確に共有された以上は、私としてもこの名称を受け入れ、アルケインの結び目が存在する証拠の一種とみなすしかないだろう。

要塞が廃墟のように荒れ果てているのは、結び目のせいなのかもしれない。要塞のような建物はいくら古いとはいえ、流砂に耐えるよう作られているはずである。私はデイドラの建物が泥や霧、溶岩の中で長い年月を生き延びた無数の事例を目にしている。だが要塞はファーグレイブの砂漠に沈みつつあり、この運命にまったく抵抗する様子を見せない。この要塞の消失の中心に何かがあるとすれば、それがアルケインの結び目なのではないか。

私はアルケインの結び目の発見者となれるだろうか?他の者たちは要塞の奥深くへ苦労して潜り、隠し扉や巧妙に偽装された隙間、その他冒険につきものの仕掛けを探して部屋を調べているが、私は一番いいシャベルを持ってここに来ている。そのとおり、この長く非生産的な休憩で痛む腰を少し回復させたら、私は結び目を探して掘り続ける。よりにもよってここに結び目が埋まっているはずがないなどという、他の者たちの脅しに耳を貸すつもりはない。私は自分の使命に決意をみなぎらせている。結び目を掘り出すまで、何物も私を立ち去らせることはできないだろう。

レオナウド・ニセルの日記Leonaud Niscel’s Journal

[第一の記述]
スキングラードの地図職人が言っていたとおりの場所でエレングリンを見つけた。典型的な後期アイレイド建築だ。少し調べてみると、地下の宝物庫へ通じる扉が見つかった。この場所で忘れられた財宝が手に入るとすれば、ここしかあるまい。朝になったら探索を開始しよう。

[第二の記述]
まったく、エレングリンは危険と言われるだけのことはある!上階は刃の振り子の罠だらけだ。単純な装置で、タイミングに気をつければ簡単に回避できた。

森の獣たちはそれよりも厄介だ。エレングリンの上階は蜂やホーヴァーで埋め尽くされている。自然にできた裂け目や崩落を通って、ここまで降りてきたに違いない。

[第三の記述]
氾濫した上層の広間を越えて、アイレイドのクリスタルに照らされた秘密の部屋まで来ることができた。当然ながら、さらなる罠に出くわした――今回はダークウェルキンドだ。この黒いクリスタルは接近しすぎると力の波動を放出する。ミノタウロスもいたが、これは予想の内だった。このでくの坊は気づかれないようにすり抜けてやった。

[最後の記述]
エレングリンの迷路にたどり着いたが、後退を余儀なくされた。ガス格子には備えができていた――他のアイレイド遺跡で見たことがあるからだ。だがアンデッドのガーディアンもいるとは予想外だった。格子から吹き出す緑の霧に隠れて、古代のスケルトンが現れたのだ。背後に1体いるのに気づかなかった。なんとか逃げおおせたが、奴に一撃もらってしまった。

今は疲労と痛みでこれ以上は無理だ。ここで少し休んでから、地上に戻ろう。

レディ・ウェザーレアの遺言状Will and Testament of Lady Weatherleah

私、ウェザーレアの屋敷のレディ・ルシーラ・ウェザーレアは、正常な精神状態において、私の現存する富と不動産について以下の決定を下します。信頼する受領者は理解するでしょう。

ウェザーレアの壁は光り輝く秘密を隠しています。

四つの忠実な足で安全に守られています。

レディ・ウェザーレアの日記Lady Weatherleah’s Journal

愛する息子へ、

私は多くの年月と大量のゴールドを費やして、あなたを探してきました。私はずっと頑なに、あなたが遠い戦場で最期を迎えたことを受け入れようとしませんでした。あなたを捜索していたことは秘密にしていました。ペレナを誘うことも考えましたが、私がそれとなくほのめかしただけで彼女は怒りました。亡霊を追いかけて金を無駄にしていると。

もしかすると、彼女も私が今では受け入れた真実を恐れていたのかもしれません。あなたが何の意味もなく死に、どこかの名もなき墓で眠っていることを。

エドリックの助けを借りて記念碑を築いたことで、少しは慰められました。あなたはきっと気に入るでしょう。あなたが若い頃ホタルを捕まえていた、静かな場所にあります。

では、また会える日まで、
母より

レディ・ウェザーレアへの手紙Letter to Lady Weatherleah

残念ながら途方に暮れている。あの料理人が敷地のことで私に付きまとい始めたのよ。最初は何とも思わなかったけど、あまりにも頻繁に出くわすようになって、亡き夫の失踪に関する質問も増えてきた。

何を考えてるのか知らないけど、私たちの安全が心配になる。あの料理人にはやめてもらいましょう。代わりを探す手続きを始めるわ。一言伝えて

よろしく
ペレナ

レディ・ウェザーレアからのメモNote from Lady Weatherleah

この手紙を読んでいるなら、ベトゥがあなたを信頼して私たちの隠し財産を託したということですね。

私はいつの日か、この財宝を息子のウリエルに渡したいと思っていました。ですが、先日、娘のようにかわいがっていた女性が私を裏切っていたことを知りました。ですので、明らかに彼女が狙っている財産を隠す必要が出たのです。

まだすべての証拠は揃えていませんが、彼女の罪を明るみに出すために力を貸してくれる友を知っています。私は彼女の破滅を見るほど長生きできない場合に備えて、この文書で最後の望みを明確にしておきたかったのです。

私の愛犬ベトゥ、そして私が悲しみに引きこもっていた時、愛犬ともども面倒を見てくれた従業員に残っている財産と地所を渡してください。彼らは私に残された家族であり、彼らの記憶を通じて愛しいウリエルは生き続けるのです。

エドリックとオソへ。私の悲しみを少し和らげてくれたことに感謝します。この富が息子からもらった最高の贈り物、忠実なベトゥの世話に役立つことを願います。

レロナス隊長への手紙Letter to Captain Leronus

レロナス隊長

隊長の疑いが当たらなければよかったのですが。大量の血だらけの鎧が森に埋めてありました。軍団兵は脱走ではなく、殺されているのです。

皆、襲撃中は地下墓地へ逃げるよう言われています。隊長が確認するまで安全でしょう。唯一の鍵は私が持っているので、準備ができたら知らせてください。

どうかご無事で。

管理人ガイウス

ロトメスについてOn Rotmeth

オリウス・ヘルタノによる、上等なビンテージ愛好家への忠告

質の良いスキングラードのビンテージをヴァレンウッドに輸出する数々の試みは、徹底的な失敗に終わった。冒涜的なグリーンパクトを奉ずるウッドエルフたちはブドウの木の生産物に触れようとせず、ワインを食習慣に取り入れようとする試みに対してしばしば暴力的に反応する。その代わりとして、ウッドエルフは死んだ肉から彼ら特有の不快きわまる飲料を醸造している。そうした忌まわしき混合物の中で、最も気持ち悪いものはロトメスという名で知られている。

ロトメスは強烈な、おぞましい臭いを放つ飲料で、主に発酵させた肉から作られる。ティンバーマンモスの死骸と内臓の肉が好まれるが、十分な大きさの動物の臓物や死骸ならば何でもよい。死肉は泉の水に放り込まれ、サンダーバグの甲殻がその液体の中に加えられる。ヴァレンウッド出身者の間では、サンダーバグの口の雷腺がこの混合物の最終的な味わいを深めるか、妨げるかについて一定の論争があるらしい。

そこから生じる刺激的な臭いの混合物は浅く広い、ブドウ踏み用の桶に似た水槽に保管され、森の中の日が当たる場所に放置される。そこから数週間、混合物は注意深く攪拌され、腐敗しつつある肉が砕かれることで表面に分厚い、弾力のあるゼラチンが形成される。この脂ぎった泡はすくい取られ、革のなめしや殺虫剤に利用される。残された液体は絹の袋で濾される。まだ残っている滓は乾燥させて粉末にし、こうして生まれる骨粉はジャガに漬けた「泥団子」など、ウッドエルフの珍味の材料となる。

ロトメスはたった数週間で強烈な酒になり、(かろうじて)飲めるようになるが、「上等な」ロトメスは陶の壺や不透明ガラスの細口瓶に注がれ、何年も寝かせてから最後の濾過を行ったものである。この年代物のロトメスは結婚式などの祝いの席で供される。この完成品の味は「まずい」の一言で済ませられるものではない。その芳香は巨大な肥やしの山であり、味は主に水虫の風味である。方解石の風味と、水垢で汚れた墓を思わせるかすかな香り、そして後味は干からびたマンモスの皮の味だ。

この酒を「甘くする」試みが、主にムーンシュガーを加えることによってなされてきた。これはむしろこの混合物をより不快にするだけである。どれだけの甘味料を加えてもこれの味を改良することはできない。まともな飲み物を好む者に、ロトメスはお勧めできない。

もちろん、ウッドエルフたちはこれが最高の飲み物だと思っているのである。

円環の書、金耀の格言The Book of Circles, Fredas Maxims

フランダー・フンディング 著

忠実な者たちよ、金耀には次の師範の格言について考えよう

敵が安穏としている時、挫折を味わわせよ。

敵が満腹な時、空腹を思い出させよ。

敵がベッドを求めている時、目を覚まさせよ。

敵が故郷を想っている時、戦場へ留めさせよ。

敵が戦場へ赴かんとしている時、家へ留めさせよ。

敵が汝に備える時、誘いに乗ってはならぬ。

敵が汝に備えぬものは、黄金の食卓の上に敷かれた饗宴である。

回想者への対処Dealing with the Recollection

ナルシス・ドレン 著

ウェンディル遺跡の研究は極めて有意義なものになり、最後の王の紋章はあそこで見つかると確信している。究極の発見ができるチャンスだ!研究にとって朗報!本が売れそうだ!

しかし、問題は十分な支援を見つけるのが難しいことだ。鈍き刀剣のボーフリーは通常、こういう鈍器が必要な場面で最適な存在なのだが、家族の事情で休んでいる。老いた同僚は少し…〈「自分勝手」や「臆病」だと思われる言葉がいくつか消されている〉この新しい機会をつかむことに慎重だ。エルフベッタはいつもどおり忠実だが、研究能力には長けている一方で、危険な状況を任せることはためらわれる(それに私よりも走るのが速い)。どこかの〈「馬鹿」「愚か者」という言葉が消されている〉有能な志願者が支援に現れるのを願って、危険な遺跡に長居するわけにもいかない。

そのため、ウッドエルフの回想者という民兵に助けを求めた。この新しい組織は最近ウェストウィールドに現れた。南部の境界沿いに突然出現したドーンウッドと似たようなものだ。ある中間管理職と会って(誰に権限があるのか明かすのをとても嫌がっていたようだが、知らないのかもしれない)、エールと軽食を一緒にいただいた。私のアイレイドの知識(エルフベッタの熱心な研究がここでは役立った)とウェンディルでの探検計画を聞いて彼女は喜び、発掘、戦闘、運搬といった作業を手伝うため、信頼できる回想者のメンバーを数名連れてくると申し出てくれた。

さて、賢い決断を下したかどうかは自信がない。すべてが順調に進んでおり、最後の王の紋章は週末までに入手できそうだ。ただし、あのウッドエルフたちは宝を渡したがらないのではないかと感じ始めている。

渇いた死者The Thirsty Dead

死霊術師マリリア・レラリス 著

凡庸な愚か者は死霊術が骸骨を動かし、骨をくっつける技術だと言っている。この古く悲劇的な技に対する連中の想像力と敬意の欠如は最初から明らかだ。真の死霊術の儀式には、埃っぽい骨や掘り返された墓よりも遥かに多くのものが要求される。最も有効な死霊術の召喚は新鮮なものである。すなわちまだ動いている心臓が召喚者の目の前で止まり、その内臓と生命力を地面に吸わせるのである。

長期間埋められていた死者たちに訴えかけるのは、このように貴重な流血である。死霊術の達人はこれを忘れてはならない。墓場は時として、骨の年齢にかかわらず目覚めさせなければならないのである。そうした場合、死者に対する供物が必要となる。彼らの骨がもはや有していない生命エネルギーを味わわせるのだ。

というのも、骸骨には使い道がある。より高度な傀儡ならばマジカを伝達し、主の代わりに魔術的な作業を行うこともできる。しかし肉のうちに宿り、呼吸の中で生まれ、血の中に浸透する中心的な力というものがあり、すべての骸骨はそれを渇望している。骨はもはや自分が持っていないものを求めるのである。

数体以上の骸骨を蘇らせる時、あるいは最も初歩的な傀儡以上のものを作る時、闇の技の信奉者は死して久しい骨のために、生者の世界に対する食欲を刺激してやるべきである。血の味と生命力の放出は、通常ならば休眠状態にある霊魂にとって抗いがたい魅力がある。それは喉の渇きで死にかけている人に水を与えるようなもので、死者が生命の味を思い出したら、もう眠りに戻ることはできなくなる。

供物の入手手段はまったく別の問題であり、実践者たちの間で個人的な選択に応じて分かれる部分と言える。生命を強制的に奪い取ることが死霊術の一部であると考える者もいる。死者を再び蘇らせるために命を盗むことには、一定の詩的な美がある。その一方、実践的な理由から、また流血の時と場所を正確に選べることから自発的な犠牲を好む者もいる。他にも、自分自身の血を死者に捧げるべきだと信じる者もいるが、これは無駄な骨折りである。どれほど体格がよく丈夫な死霊術師でも、数滴以上の血を捧げることはできないし、死者に自分自身の血の味を教えるのはお勧めできない。なにせ死者は渇いているのだ。手に入るものなら、何でも奪い取ろうとするだろう。

恐怖の命令The Terror’s Orders

家族を見逃す条件で、グリヴィアは他の街の者たちに救出するふりをした。

出歩かせ、連れてきた者で自由に腹を満たせばいい。

最後の生存者が集まったのを確認したら、奴を縛って馬屋へ連れていけ。家族をどこへ隠したのか吐かせろ。

何も言わないようなら呪いを与えろ。その後で家族の血をいただくのと、奴が自分で食うのを選ばせればいい。どちらにしろ、我が軍の兵となる。

ウィールドの恐怖
バランドルス

鏡のポータル:収集団の伝説The Mirror Portal: A Gleaner Legend

星を歩む者 著

オブリビオンの天空の籠、ファーグレイブには、存在しない場所への扉を見つけたヴィニーヒルという収集団員についての物語がある。

はるか昔、ヴィニーヒルは次元を放浪していた。奇妙な領域については経験豊富な旅人である彼女は、定命の者が見たことのない場所を訪れ、数多くの「最初の跳躍」を記録した。ヴィニーヒルは最初の跳躍をすべて報告したものの、二度目は常に秘密にした。誰も想像すらしなかったことを知るのは、彼女にとって何よりの喜びだった。

ある日、彼女は意図せず訪れたデイドラ公の打ち捨てられた宮殿から戻ってきた。彼女が出現したのは快適な〈運び手の休息所〉の近くにあるポータルの広場ではなく、ファーグレイブを囲む砂漠の中だった。〈運び手の休息所〉はとても遠く、地平線の上の単なるこぶにしか見えなかった。この収集団員は観念し、長い道のりを歩いて帰ることにした。

どれだけ歩いたか、ヴィニーヒルにはわからなかった。だが、そうこうするうちに彼女は砂丘の頂上にあるポータルにたどり着いた。それは枠も縁もない、鏡の破片のような裂け目だった。ヴィニーヒルはこのようなものを見たことがなかったため、足を踏み入れる前に長い時間をかけて調べた。だが早かれ遅かれ、収集団員は扉の向こうにあるものを突き止めなければならない。それが収集団のやり方なのだ。故に、ヴィニーヒルは中に入った。

最初、彼女はどこにも行っていないと思った。反対側の景色は同じに見えた。だが、砂丘の斜面を降りると、土地が変化し始めた。足の下の砂がきらめく銀の色合いを帯び、彼女の周囲に打ち捨てられた建物がぼんやりと形作られた。

先に進むほど、しっかりと見えるようになっていき、気づくと彼女は水晶のような建物と色とりどりの中庭がある見捨てられた街をさまよっていた。彼女の周囲では、今もファーグレイブの砂漠が地平線まで広がっていた。どうやら、この見えざる街は、天空の籠と同じ次元に存在するらしい。偶然見つけた裂け目の背後に隔離された鏡像なのだ。

ヴィニーヒルはこの隠された領域を探検することに決めた。だが、廃墟の中心部に接近すると、奇妙な生き物に遭遇した。彼女の上に3本の先の鋭い足でそびえたつ、プリズムのような存在だった。それはすぐ彼女に気づき、突進した。立ち去るべき時だと判断したヴィニーヒルは逃げ出した。鏡のポータルまで走って戻り、飛び込むと――ぼんやりとした残響は消滅した。

ようやくファーグレイブの壁にたどり着くと、ヴィニーヒルは砂漠で見つけたものについての答えを探し求めた。そのような場所のことは誰も知らないどころか、何なのか推測できる人すらいなかった。それだけでも最悪だったが、それから彼女は何かを忘れているような感覚に苦しめられるようになった。ファーグレイブに留まった彼女は、何かがひどく間違っていると日に日に確信するようになり、やがては漠然とした不安により、半ばおかしくなってしまった。

驚くべき冒険から数ヶ月後、ヴィニーヒルは姿を消した。最後に目撃されたのは、ファーグレイブの荒野に向かって歩いて行く姿だった。その後彼女の消息を耳にした者はいない。鏡のポータルの正確な場所と、彼女がその先で見つけたものは今日に至るまで謎のままである。そして、未来の収集団員が挑むための課題としても残されている。彼らにその勇気があるのなら。

緊急回収命令Orders for Immediate Retrieval

番人ヴィルゴスの命令

最初のワイルドバーンの儀式が行われた中心地として、緑の代弁者から新しいワイルドバーンの種はオストゥミルの周囲で芽を出すだろうと言われている。近くにあるアイレイド遺跡でワイルドバーンの成長した種を見つけること。種はできるだけ早く発見し、回収しなくてはならない。戦いの次の段階では、何としてでもそうした種を所有している必要がある。

オストゥミルの地下へ広がる遺跡に入れ。ドーンウッドが現れ始めた場所の根元には大きな種があるはずだ。見ればわかる。その種を回収して持ってくるように。

〈下記のメッセージは別の筆跡で殴り書きされている〉

ベラゴンと仲間へ

見ての通り、急ぐ必要がある。遺跡で会いましょう。いいものを見せるわ。

熊の面倒を見ることTaking Care of Your Bear

インペリアルの動物調教師、パンテア・マリア 著

おめでとう!あなたは子熊の飼い主となりました。茶熊、黒熊、雪熊、スヴォンガルデ、サンバック、どんな熊であれ、あなたの新しいペットは何年もの間、喜びをもたらす忠実な友となるでしょう。新しい友を育てて訓練するために、いくつかの役立つヒントを教えましょう!

餌やり:熊は雑食性で、植物も肉も食べられます。冬眠から覚めた後、野生の熊は木の実や冬に殺したヘラジカや鹿、その他の哺乳動物を食べて生活します。魚も好きで、それには乾燥させた魚も含まれます。いずれにせよ、規則的に食べ物を与えることが強く推奨されます。熊にはそれぞれの好みがありますから、色々な食事を試してみて、あなたの熊が気に入るものを探すといいでしょう。

排泄:熊は森の中で排泄します。外で生活するか、十分な数の人を雇って処理させるか、適切な処置を取れるようにしておきましょう。熊に排泄の躾をすることは可能です。しかしこれはよく言っても不確実な方法です。我慢強くやりましょう。

活動:熊は環境と交わることを好むので、田舎の環境で自由に歩き回らせている飼い主もいます。より都会的な地域でペットとして飼われている熊には、運動するのに十分な空間と、可能であれば熊の欲求を世話するための番人を用意するのがよいでしょう。熊は人間よりも早く走れるので、ケンカ遊びをする時はそのことを考慮しましょう。

冬眠:人に飼われてたっぷりと食事を与えられている熊は冬眠しません。しかしその結果、通常なら冬眠中に減っていくはずの体重が増えすぎてしまう可能性があります。熊の食事は計画的に与えましょう。

躾:熊は本能的に好奇心が強く知りたがりで、しばしば物を壊します。特に食べ物が関係する場合はその傾向が強くなります。熊の訓練は早い時期から始め、ルールを破った時はちゃんとそのことを理解させましょう。熊には厳格に向き合うべきですが、本質的には野生動物であり、家庭の環境にはうまく適応できないかもしれないということも理解しておきましょう。

年を取った熊:子熊は愛らしくて可愛いですが、成長するにつれ扱いが難しくなってきます。騎乗動物として訓練を受け、飼い主に長年奉仕する(飼い熊は最大50年ほど生きます)熊もいれば、訓練不可能なことが判明し、野生に還さざるを得ない熊もいます。

軍団兵ジュカニスの日記Journal of Legionary Jucanis

ヴァレンの監視所。俺が帝国軍に入ったのは冒険と刺激を得るためだったのに、こんなところに配置されるとは。これほど刺激から遠く離れた場所があるか!俺がいる崩れかけた古い要塞は、五年くらい前にここを破壊したリーチの民との戦いで知られているだけの場所だ。多分、誰もこの監視所が重要だとは思わなかったんだろう。ほとんど修理がされていない。俺たちはただ、狼煙を点火する必要があった時に備えていつでも用意しておけと言われているだけだ。こんなところを誰が攻撃するんだろう。本当の戦いはすべてシロディールで起きているのに。

だが俺は、ここで何もない場所を守っている。冒険なんて夢のまた夢だ。

* * *
壁沿いに積み上がっていた瓦礫の中から、面白い小物を見つけた。どうやらリーチの民の呪物か何からしい。どこか不気味な美しさがある。最初はビーズだと思ったが、何かの骨のようだ。動物の骨だといいが。だがこれはリーチのものだ。俺もリーチの話は色々と聞いている。とにかく、妹に送ってみようか。むしろ、妹の友達のイヴェッタに送ろうか。

* * *
ゴールドロード沿いの、ウィールド中に点在している古い遺跡の近くで襲撃があったという報告を受けた。隊長は数ヶ月前に一夜にして生えてきた森と関係があると考えているが、そんなことが可能なのか?そんなに早く森を生やすなんて不可能だ。何かの奇跡に違いない。

俺たちは大きな部隊じゃない。軍団兵が十数人と、士官が数人程度だ。俺たちの主な仕事はウィールド北西の国境を見張り、西方からの人の移動を監視することだ。問題を発見した場合は、隊長からはっきりと命令を受けている。狼煙を点火して、援軍の到着を待つ。

だが軍団の現状を考えると、かなり長く待つことになるかもしれない。

* * *
襲撃だ!しかも相手はウッドエルフだ!どこから来て、そもそもどうやって監視所の中に入ったんだ?この数では勝ち目がない!こうなったら――

警告の掲示!Warning Bulletin!

ウェストウィールド軍団の命令により
オロ湖との周辺へ
無許可の者による立入を禁じる。

一帯では危険な野生動物が目撃されている。
安全のため、今すぐ引き返すこと。

注意を怠らず、敵対的な植物および動物を
目撃した場合はただちに
最寄りの軍団の拠点まで報告すること。

警告の手紙Letter of Warning

レディ・ウェザーレア、署名のない手紙を信じることがどれだけ困難かはわかっています。ですが、私はあなたの命を案ずるように自分の命も心配なのです。

信頼を得るため、これをお伝えします。砂糖漬けのバラの花びらと淹れた薬用人参とコムベリーのお茶。あなたのお好きなお茶を知るのは、心からあなたを気にかけている者だけのはずです。

私が危険を冒してこの手紙を書いているのは、裏切者があなたの背後で陰謀を企てているからです。こんなことを言うのはつらいのですが、あなたが気にかけていた女性が、ご子息の殺害に関わっています。

できるだけ早くお会いしなくてはなりません。もうあまり時間はなさそうです。

五人の忠実な家臣に関するメモNotes on the Five Loyal Retainers

ナルシス・ドレン 著

アイレイド帝国はアレッシアの奴隷の反乱を受けて崩壊し、妖術王たちは力をつけたネードの反乱軍に滅ぼされた。しかし古代アイレイドの支配者がすべてその地位を失ったわけではなく、一部の都市国家は自己防衛のため、もしくはネードの信念に共感して元奴隷と手を組んだ。

ラロリアラン・ダイナー王の統治下にあったネナラータもそうした国家だった。その結果、彼の王国は白金の塔の崩壊を切り抜け、新たなアレッシアの統治下にある属国であり続けた。次第にそうした属国はアレッシア帝国に吸収された。最終的に皇帝アミエル〈余白のメモ:「それともアミ・エル?」〉は生き残ったアイレイド人を追放しろという最終通告を突きつけ、彼らの国々を占領した。ダイナー王はアレッシアの軍が到着する前に逃亡し、その混乱の中で地位の象徴である王冠、セプター、紋章は失われた。〈余白のメモ:この年についてエルフベッタに要確認。一次資料では不明確〉

ダイナーには忠実な家臣が五人いた。彼は紋章を家臣に託した。それは最後の王の紋章として知られることになった。忠実な家臣たちとは:

– ロル・エメロ、王に仕えた高貴な騎士。
– パルハエリア、またの名を恐ろしき拳。
– 陽気なバレペリン、ユーモアと胴回りが豊かな有名な冒険家。
– ヨンドヴァルラ、またの名を予言者。

最初の4人は全員アイレイド。最後の家臣の名は明らかになっていない〈余白のメモ:名のなき者?〉。明らかにネードらしいが、その出自は、名前さえも記録が残されていない。ダイナーはこの五人の忠実な家臣に紋章を託し、彼らは現在ウェンディルの遺跡となっていると思われる安全な場所へ退いた。その遺跡には十人の先人の一人もいると噂されていた。帝国の崩壊時代に作られた古代の像だとされるが、まだこれは確認できていない。だからここが選ばれたのかもしれない。

私(というかエルフベッタ)が調べた伝説で、名のなき者は最後に到着し、そのネードの忠臣がウェンディルの下にある地下室への扉を封印したとされているが、物理的になのか魔法でなのかは不明だ。伝説では五人の忠実な家臣が紋章を現在まで守っているとされているので、名のなき者は魔法の扱いに優れていた可能性がある

〈ページの下にある最後のメモ:助手をもっと連れてこい!〉

五人の忠実な家臣の碑文Epitaph for the Five Loyal Retainers

ダイナー王の五人の忠実な家臣は、紋章の道を歩んだ後も変わらず警戒を続ける

ロル・エメロは西の端で始めた

パルハエリアは後に続き、騎乗して4晩東へ向かった

バレペリンはこれに続き、3日間北へ移動した

ヨンドヴァルラは4番手で、2晩西へ旅した

名のなき者は最後に、1歩北へ進んでから保持の霧を放った

護民官アレア・イドルス様へTo Tribune Alea Idolus

護民官アレア・イドルス様

社交辞令を省略することをお許しください。ラストウォールがとても危険な状態で、時間を無駄にできません。

あなたがここに配置した軍団兵が、職員の大半とともに姿を消しました。軍団の部隊だったものが、謎めいたことにレロナス隊長を含む10人未満の兵士に減ったのです。何が起きたのか誰も知りません。

残った職員はパニックに陥りそうです。何か見知らぬ勢力に狙われているようです。レロナス隊長が計画を立て、隠れ――

再び共に故郷へ歩く時までUntil We Wander Home Again

伝統的なウッドエルフの民謡

曲がりくねる森の小道を何度も歩き
立ち止まりも考えもせず道を追ってきた
しかし休みなく旅をしながら
探していたのはあなたの道だけだった

以前は並んでぶらぶら歩き
あなたの手は私の手にぴったりと合った
しかしこの馴染みある道はもう様子が違い
唯一愛する人の顔を思い出せない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

以前はこの退屈な道をよく知り
道しるべとなる木や岩をどれも知っていた
しかし時は過ぎ、いろいろと変化し
記憶は薄れて次第に朽ちる

あなたへの思いが森の中で私を導く
迫る夜明けのはかない亡霊のよう。
しかし私たちの大切な場所まで行くと
記憶が戻ってあなたはいない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

再び共に故郷へ歩く時まで

最後のアイレイド王Last of the Ayleid Kings

ブラゾラス・ドール皇帝の宮廷書記、ソノリア・ヴァティア 著

アイレイド帝国の崩壊とアレッシアの隆盛と共に、デイドラを崇拝するアイレイドの統治者が全員取り除かれたわけではなかった。かつて人間の奴隷に同情的だった一部のアイレイドの指導者たちは、アレッシアと彼女の反乱軍に忠誠を誓い、そうしなかった者たちは白金の塔の陥落と共に武器を捨てた。

こうして生き延びた諸王国は時を経るにつれて次第に没落していき、人間の統治者(およびエドラ崇拝)が拡大した。およそ100年の間は双方の文化が新帝国の内部で共存していたが、アレッシア教団の勢力拡大に伴い、デイドラ崇拝者の迫害は激化した。最終的に、アイレイド統治下にあった最後の都市国家ネナラータが最後通告を与えられた。避難するか、さもなくば滅びよと。統治者のダイナー・ラロリアラン王は、街からの脱出行を率いた。残留した者は教団によって虐殺された。ダイナーは自らの地位の象徴を二つ持って逃れた。王冠とセプターである。杖の形をした彼の紋章は忠実な従者たちによって守られたが、脱出行の最中に消失した。

ダイナー王とその民はハイロックへ逃れ、ハイエルフのディレニ・クランの間に安住の地を見出した。王はビスネンセルの街を築いたが、そこからも追いだされてバルフィエラ島へと逃れ、ディレニ・クランの軍事顧問となった。グレナンブラ湿地の戦いに参加し、その結果アレッシア教団の力は粉砕された。

ダイナー王はシロディールに帰ったと言われるが、歴史の物語からは姿を消している。王の紋章と王冠、セプターは時の流れの中に失われた。アイレイドの塔や砦は草木のはびこる廃墟でしかなくなり、王の民は各地に分散した。この物語は、すべての帝国に対する戒めを示している。どんなものも永遠には続かないこと、最後に勝利するのは時間だということを。

祭の招待状Gala Invitation

貴殿と客人お一人を、誠意を込めてご招待いたします
品位も高く、豪華絢爛なる
祝宴へ
会場はスキングラード
カランティウス伯爵の
城です

軟弱なるカランティウス伯爵は
豊かな財産に埋もれ輝かんばかりにして
食事と音楽、そして愚者を用意し
伯爵の尻が城の玉座に据えられて
十二周年というこの記念すべき機会を捉え
無為なる街スキングラードの
栄光と威厳を称える心づもりです

伯爵はあなた方をスキングラード城で
思う存分叩きのめし、すべての者のために
極上の拘束を与えることを願っています!

使い古された日記Weathered Journal

何日も経過した。数えきれないほどの日が。すべて無意味な日が。

ハイティアとアルノは館の外にたどり着けなかった。炎が俺のすべてを奪い去るのを、何時間も見つめていた。彼らの後を追って火の中に飛び込まないように、衛兵たちが俺の肩を掴んでいた。彼らは私を連れだし、気をそらそうとした。無理だ。火は俺の肉を焦がし、愛する人を焼き尽くした。あの光景を記憶の中に焼きつけたい。光を浴びて盲目になるのなら、それでもいい。

***
隣人たちは彼らが捕らえた盗賊たちに正義の裁きが下ると請け合った。鉄の枷をはめられて牢獄へ放り込まれるのが正義だとでも言うのか。火災は事故で、死者が出たのは故意ではなかったという。ハイティアとアルノが手違いで生きながら焼かれたと知っていれば、夜安らかに眠れるとでも言うのだろうか。俺は彼らの骨を埋めた――灰にならなかった部分を。彼女はあの子を胸に抱き寄せたのだ。生きていた頃、彼女が何気なくしていた動作。今それを見て、俺は泣いた。

***
俺を訪ねてくる者は減るばかり。俺の体の火傷と燃えた屋敷の残骸を見て、居心地が悪くなったのだ。建て直してはどうか、火事以外の話もしたらどうかと言ってくる。そして俺が従わないと、頭がおかしいと言ってくる。あの出来事から人生を立て直すことは、それ自体おかしいのではないか。ハイティアとアルノの復讐はまだ済んでいない。二人の苦痛と死を引き起こした盗賊どもは、まだ息をしている。牢獄は奴らの砦だ――あの壁の奥にいられては、奴らに真の裁きの血を流させることができない。だが忍耐は身につけた。俺は待つ。

この傷跡が残っている限り――俺は復讐を遂げてみせる。

子供に向けたグリーンレディの手引きThe Green Lady’s Primer for Children

子供たちよ、これから話す歌の物語を聞きなさい。私はグリーンレディ、ヴァーダント妃殿下よ。

目をそらさないで。見るのが恐ろしいでしょう。森の報復と呼ばれるのにはそれなりの理由がある。

緑は私の名であり、私の信念であり、ヴァレンウッドにいるすべてのいい子と同じように、森の仲間。

グリーンパクトとは何か?それは約束であって、それ以上でもそれ以下でもない。私たちの保護や愛と引き替えに、緑が喜んで与える贈り物。

私たちの唯一かつ真の故郷であるヴァレンウッドでは、まだ古代の世界が残っている。愛される歌い手イフレがウーズを手に取り、木々とエルフと獣たちを紡いで物語と歌にした時代と変わらない。

次はパクトの異なる面を説明しましょう。何を意味し、どうすれば従うことができ、なぜ重要なのかを。

常に尊敬を忘れないように。「語り部の名において、私は世界の骨の上に立つ。自然の法則の約束と力を吸いこみ、感謝を吐き出す」

死霊術師アニアルの日記Necromancer Anniar’s Journal

一番古い記録
ついに作業を始められる。このアイレイドの遺跡は完璧だ。森の奥深くにあり、誰にも邪魔されない。ここの墓に吹き込められた死霊術の力を肌で感じる。準備があるのでこれくらいにしておく。

* * *
次の記録
マスターたちが遺跡にある複数の魔法の集束点を特定するのを手伝った。こういう場所では強力な力で地面が脈打つ。死者が生き返りたがっているのは間違いない。後で参考にしてもらえるよう、魔法の力が特に強い場所を図にしておいた。

儀式の構成要素の実験は明日始める。短剣に使う砥石を確保するように頼まれた。大変な名誉だ。マスターたちに認められているに違いない!

魔法はとても強力だから、成功は間違いない。じきにアンデッドの群れを好きに使えるようになる。

* * *
次の記録
マスターたちに信頼されているらしく、儀式の中でも特に重要なことを任された。呪文用の有機物を調達する仕事だ。最初は遺跡内の墓を調べたが、ここの死体は古い。儀式で目覚めることになるが、今はもっと新鮮な死体が必要だ。

代わりに我々から「提供者」を選ぶことにした。しょせん墓の先の人生が永遠に続くなら、一時的に新鮮な器など無用だろう?

* * *
次の記録
すべてが揃った。マスターたちは儀式用の道具を遺跡の死霊術の力に同調させた。私は呪文に力を注ぐための死体を提供した。明日、死者の再生を行う。

* * *
次の記録
何かとんでもないことになってしまった。いよいよ儀式を始める準備が整っていた。私は死体を正しい場所に置き、他の者たちと一緒に唱え始めた。死霊術の力が死体と遺跡の基盤にしみ込んだ時、突然強い光で目が見えなくなった。私は爆発で壁に叩きつけられ、意識を失った。

目が覚めると血と瓦礫に覆われていた。叫び声と争う音が聞こえた。敵の正体はわからない。他の死霊術師はほとんどが爆発で死んでいた。生き残った者はすぐに侵入者に倒された。デイドラのようだが、これまでに見たことがない姿をしていた。私はまだ気づかれていない。そうあってほしい。

* * *
次の記録
信じられないことだが、マスターたちが墓の下から蘇った。私は蘇らせていない。死んだ後でさえ、どうしても儀式を続けたいようだ。何か様子が違う。言葉が一部変えられ、レブナントがねじ曲げられている。私の知るアンデッドでも霊魂でもない。恐ろしい。この世のものとは思えないデイドラでさえ、もう手を出さない。

残されたのは私だけらしい。出口を見つけなくては。

* * *
最後の記録
いよいよだ。逃げよう。もしだめだったら、この日記が自分の記録として残るだろう。

慈悲の熟練Mastery of Compassion

フランダー・フンディグ 著

私が星霜の月の下を捜索した時期に、私は友もなく異国の地をさまよった。

ならず者と物乞いに交じって、私は苦しむ者を憐れみ、迷える者を愛することを学んだ。私の未来の日々において、彼らの苦痛は私の苦痛である。

トゥワッカの祝福の下、ソードシンガーは慈悲の熟練を得るために同じことをしなくてはならない。

失われたもの、忘れられたものThings Lost, Things Forgotten

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

香りが記憶を蘇らせ
歌が涙を誘い
顔に見覚えがあり
とても鮮明な記憶

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

しかし時が風の中の葉のようにすべてを散乱させ
私たちが覚えているものは夢のように薄れゆく
歴史、謎、真実、嘘
あなたがよく覚えているものは私のものと違うかもしれず
頭の中にあるとはそういうもの

失われたもの、忘れられたもの
失われたもの、忘れられたもの

狩人の旅2:帝国保護区A Hunter’s Journey II: The Imperial Reserve

専業狩人、ヴィオラ・フルシニウス 著

私が最初に狩りへの愛を見出したのは、いわば我が家の裏庭だった。コロヴィア台地で育ち、父の家からほんの半日も歩けば帝国保護区の草原があった。弓を引ける年齢になった時から、よく家を抜け出して保護区をうろつき、運試しをしたものだった。シロディールとゴールドコーストに挟まれた絶好の猟場には、鹿、アンテロープ、キジ、時にはウェストウィールドボアがたくさんいた。

豊富な獲物に触れるうち、私は昔の皇帝たちがこの地を自分たちのものにし続けた理由を理解するようになった。父は私に、かつて皇帝ブラゾラス・ドールはこの地での狩りを好んだと語った。実際、彼はルビーの玉座で帝国の運営を試みるよりもずっと狩りのほうを深く愛し、仕事への対処は最高顧問に命じて、自らウェザーレアの近くに別荘を建てていたそうだ。彼が行った公的な活動は、広大な帯状の平原を自分の個人的な保護区とする宣言だけだった。

100年前後の間、時々出現する密猟者を除いて誰も皇帝の鹿を獲ろうとする者はいなかった。だが、レマン皇帝に従った最高顧問たちは、自分たちが個人的に狩ることのない動物の群れを守るための出費に興味を示さなかった。帝国保護区は、徐々に白金の塔の地図の上の単なる名称となっていった。間もなく、父と私を含めたコロヴィアの一般人がひそかにこの地域で狩りを行い始めた。当然だ。

私はタムリエルのあらゆる地で狩りをした。スカイリムではマンモスを追い、モロウウィンドではニックス・オックスを槍で突き、ブラック・マーシュではワマスの皮を剥いだ。だが、最低でも年に一度はコロヴィアの帝国保護区に戻り、自分の生まれた土地で健全で楽しい狩りの素朴な喜びを味わっている。特に秋、空気がすがすがしく、オスたちが発情期に入っている時期には。

それでは、狩りの場で会おう!

収集団の主張Gleaner’s Claim

これを読んでいる収集団の者へ:

君はデンドリス・デンメヴァニに後れを取ったぞ!この場所に通じるポータルに一番乗りする名誉は私のものだ。元の場所に戻ったら、〈運び手の休息所〉の年鑑に私の名前を探すといい。

今我々がどこにいるのかは、正直に言って私も混乱している。この次元はファーグレイブの一部分のようだが、私が知っている天空の籠のどの部分にも接していない。突き出しているクリスタルも、これまでに見たことのないものだ。

この忘れられたファーグレイブには、普通でないデイドラが徘徊しているのに気づいただろうか。クリスタル魔術を使うドレモラ、ガラスで出来た精霊だ。奴らはまったく友好的じゃない。今のうちに立ち去ったほうがいいぞ。

デンドリス・デンメヴァニ
アービス収集団

正道戦争についてOn the War of Righteousness

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

アレッシア帝国の終焉はいかなる歴史学者にとっても厄介なテーマだ。アレッシア帝国が滅びたのは、アレッシア教団の神権政治が拡大しすぎて持続できなかったためだと書かれてきた。間違いではないが、これでは何が、なぜ起きたのかほとんどわからない。

帝国の崩壊の直接的な原因は、遠方の地域、特にハイロックに対する支配を維持できなかったことだ。ハイロックの商人たちは帝国に課せられた重税と規制に対して不満を感じていた。またアルトマーの伝統による「汚された」人々に向けられた教団の敵意が、何の助けにもならなかったことも確かだ。第一紀の24世紀が始まると、ハイロックの王国は帝国から離れた。

教団の神権政治家は、ブレトンの国々に対する影響力の喪失に激昂した。しかし、教団は軍事的な対応を行うことは避けた。シロディールの司教評議会は敵対するハイロックを侵略し、永久に占領するための費用を恐れたのだ。成功しても、その地域に守備隊を置くため莫大な資金を投じることになる。最悪の場合は敗北だ。彼らは時機をうかがうことにした。だが第一紀2319年、スキングラードのデシナン王が、自らの息子とウェイレストの女王マーガレット・ガードナーの娘との結婚を取りまとめた。

コロヴィア人の地とハイロックの王家の同盟による脅威は、無視するにはあまりにも危険すぎた。大司教ジルニウスは宗教的権力を使ってその結婚を禁じた。彼の妨害に激怒したデシナン王は、結婚を認めるために「コロヴィアの上級司教」を任命した。これに対し、ジルニウスはデシナン王と大司教の権威を否定した司教全員を異端者として非難し、コロヴィア人の地に向けて信頼できる忠誠心を持つ軍隊を送り込んだ。

その結果として起きた戦争は、無秩序、局地的な蜂起、変化する同盟の期間として説明するのがもっとも適切だろう。どちらの陣営にも正道がほとんど関与していなかったことは確かだ。シロディールのコロヴィア人の地を征服するための当初の試みは激しい抵抗に遭い、失敗に終わったが、一方でコロヴィア人は東部の帝国に対する進軍を行うための結束に苦労していた。主戦場は間もなく北西のイリアック湾に移動し、そこではアレッシアの軍団が帝国の権威に逆らうブレトンの土地を一掃した。

西部における費用のかさむ戦いにより、大司教ジルニウスは帝国の東から税と兵をむしり取らなくてはならなかった。このことがニベン人の商人と、教団の軍隊が別の場所で忙しくしていた時には支援していた貴族たちを遠ざけた。東の都市が、次々に、教団が引き続き課している要求を快く思わない現地の領主の支配下に置かれるようになっていった。

終戦はカヌラス湖の大修道院がニベン人の反乱軍によって破壊され、大司教ジルニウスが殺された時に訪れた。命令も賃金もない状態で残されたハイロックで戦うアレッシアの軍隊は任務を放棄した。多くの兵が故郷に戻った。他の者はすでに占有した地域へそのまま定住したが、一部は盗賊となった。第一紀2331年、デシナン王は傀儡を手配してルビーの玉座に据え、表向きに正道戦争は終結した。

もちろんそれは衝突の終結ではなかった。中心部から離れた地域では局地的な戦闘が続き、帝国の中央地域の大部分は依然として現地の軍事的指導者の支配下にあった。正道戦争による混乱はその後何世代にもわたって続いた。

増大する問題An Increasing Problem

レディR

我々は長くライバル関係にあり、公然と互いを嫌ってこそいるものの、昨今は利益のため互いに頼る必要が出てきている。治癒師ネヴァマが労働者の検査と治療をやめず、問題になってきている。あれは近いうちに何とかしなくてはいけないかもしれない。

そして今度は、ウルブレン治安官もこちらの問題を調べ始めた。これは放っておけない。

錬金術師スリウスに、ゼガーのブラインドで痕跡を消すように警告してくれ。

それから、私の助言を聞いて傭兵のダークカンパニーをうまく利用することだ。かなり腕が立つ。

C男爵

待ち伏せの命令Ambush Orders


番人ヴィルゴス

厄介な侵入者に新しい発芽場を知られた。護民官アレア・イドルス、正しく導かれていないベラゴン、傭兵のyour nameに気をつけて。近くへ来たら始末するように。

ワイルドバーンの種が力を放出し、ドーンウッドを北と東へ拡張させるまで、誰にも手を出させてはならない。

探索者マナドラの探検Seeker Manadra’s Expedition

メルカトール・アンブストゥスによる記録
遠征第27日目

ついに到着だ!

何週間もかけて数えきれないほどの砂丘を越えた後、私たちは要塞にたどり着いた。壁は思っていたよりも高かったが、探索者マナドラが以前要塞の秘密主義について話していたことを考えると、当然かもしれない。マナドラが話したいくつかの物語や仮説からは、要塞がこれほど荒廃しているとは想像もできなかった。我々の一団の他の護衛は、砂漠を歩く際の力仕事は任せてくれと請け合っていたが、この荒れ果てた要塞は、どうも力仕事だけで済まないような気がする。

しかし探索者マナドラは興奮している。彼はずっと持ち物を確認し、呪文を練習している。彼を見ていると私も不安になる。この場所全体が私を不安にさせる。

我々は休息し、マナドラが時間だと判断したら要塞へ向けて出発する。要塞の静かな部分にいるだけでこれだけ影響を感じているのだ。ちゃんと休んだほうがいい。

〈いくつかのページが紛失している〉

遠征第40日目

我々は奇妙な空の下を歩いた。護衛として働く間に空は何度も見てきたが、この空が絶えず生み出し続ける奇怪さに匹敵するものは、ほとんど経験したことがない。星の色と形は、ニルンで見られるものとはまったく似ても似つかない。どれだけ遠くまで移動したか確かめたければ、上を見るだけでいい。

探索者マナドラは彼が探しているものに近づいていると考えている。我々が最後の扉をくぐった後、彼の道具の一つが力に共鳴し始めたが、それとほぼ同時にガーディアンが襲ってきた。戦闘の後、探索者マナドラのどの道具もそれ以上の兆しを示すことはなかったが、彼はこの一瞬の反応を吉兆と見なした。彼の専門知識を信じるしかない。

私のほうは、絶え間のない脅威に疲労していた。ガーディアンは厄介な相手で、向こうは休息の必要もなかった。連中は我々の体力を消耗させる病気のようなものだ。探索者マナドラの考えどおり、結び目が近くにあることを願おう。こんなところからはさっさと出たい。

〈さらに数ページが失われている〉

遠征第45日目

急いで書かなければ。結び目は我々が思ったようなものではなかった。あれは我々の力を吸い、食い尽くしてしまう。私はまだあれを持ってはいないが、探索者マナドラは次が私の番だと言っている。まだ入口まで三分の一も近づけていない。他の者たちは消えた。結び目の中に姿を消して、戻ってこない。彼らがどこにいるのかはわからない。

次になるなんて嫌だ。だが探索者マナドラは私に目をつけている。逃げられない。彼は他の者たちにさらなるゴールドを約束して、私を見張らせている。全員を相手にはできない。閉じ込められてしまった。

結び目を持つなんて嫌だ。飲み込まれてしまう。

中立宣言Proclamation of Neutrality

現在の紛争において

スキングラード伯爵領カランティウス伯爵の命により

シロディール帝国は現在内政と敵対勢力を原因とする紛争の最中であるがゆえに、

またスキングラードおよびウェストウィールドは帝国内部の重要な地域であるがゆえに、

また我らの帝国に対する忠義は帝国の領地を、国内外問わずあらゆる脅威から守ることを要求するがゆえに、

そしてスキングラード伯爵領はルビーの玉座への忠誠を保ち、いかなる特定の勢力や指導者にも与しないがゆえに、

スキングラードおよびウェストウィールドは、その東の国境から西のゴールドコーストに至るまで、ルビーの玉座への信頼において中立領域としてふるまうことを今ここに宣言する。

それゆえ、スキングラードはその中にある、ウェストウィールド軍団を代表とするすべての中立的な軍団勢力、その駐屯部隊およびその防衛部隊を支援、維持する。

それゆえ、スキングラードは帝国のうちにある内部諸勢力、例えばアルドメリ・ドミニオン、エボンハート・パクト、ダガーフォール・カバナントの権威を認めない。これらの勢力とその代表者は、ウェストウィールド内部でいかなる権限も有しない。

それゆえ、これらの勢力によるウェストウィールド内部でのあらゆる活動は、スキングラードおよびスキングラードに忠実な領民と防衛軍による敵対をもって迎えられるだろう。

地域の諸侯およびコロヴィア議員の前にて、この日宣言し署名する

スキングラード、カランティウス伯爵

調査官ミジクへTo Investigator Mizzik

ミジク、

恐怖に負けてしまってすまない。真実を告げることで君の命を危険にさらすのが怖かった。すべて自分の手で解決できると思ったんだ。

レディ・ウェザーレアが亡くなる前、ペレナの持ち物を調べた。前から残酷な人だとは思ってたが、最近の彼女はどんどん不安定で神経質になっていた。常に何かにおびえていた。

彼女の部屋を調べた時、セオファン・ピクトルとの手紙のやりとりを見つけた。彼女はウリエルを殺し、今は彼の暗殺者がここにいて、ウリエルの服や名を安っぽい仮装のようにまとっている。

私はペレナの悪事を証明するため、レディ・ウェザーレアに手紙を渡した。もしかしたらそれが彼女の命を縮めてしまったかもしれない。ペレナと私が揉めた時、盗んだ手紙を返すように言われたが、私は断った。手紙は隠したと言った。だがきっと私の嘘を感じ取っていたんだ。レディ・ウェザーレアに裏切りを伝えたことを知っていたんだ。

すまない。全て私の責任だ。
エドリック

追憶の日The Day of Remembering


回想者の諸君

いよいよ追憶の日が来た!これまでの苦労、疑念、困難な決断はこの日を実現させるためにあった。我々は道のデイドラ公の敵が消し去った記憶を取り戻した、最初の者たちだ。今こそ輝かしい時代へ突き進み、世界に我々のデイドラ公を思い出させ、その栄光の前にひれ伏させる時だ!

諸君はそれぞれが追憶の日を近づけるために役目を果たした。その役目をもう少し務めよう。忘れ去られた記憶を蘇らせるのは決してたやすくないが、それこそが我々に求められていることだ。

各自の働きによって、我々は力の源を見つけた。次はそれを、最後のワイルドバーンを使って復活させるのだ。そうすれば、我らがデイドラ公の栄光を世界と共有できるだろうう。

回想者のために!道のデイドラ公のために!

伝播の儀式Rite of Propagation

緑に対しよどみが起きている。イフレは森が自分の根で息を詰まらせないよう、成長が許されるべきだと教えている。ならば伝播の儀式を行い、障害となっている村の重荷を下ろすのだ。

儀式を行うために:

村にとっての自分の象徴を探す。共同体にとって自分を意味する物だ。

村の前で嘆願者として共に立つ。

共同体に望みを聞き、協力するか否かを問う。

共同体が協力するなら、その成長は村次第だ。

協力しないなら、村に提示したものは無効になる。

どちらにせよ、村の望みを尊重すること。村は森であり、森は緑である。

盗みの儀式の歌Rite of Theft Song

まず俺がお前の短剣を盗み
今度はお前が盗み返した
今、俺が欲しいのはお前の弓
ついでにお前の荷袋も!

すんなり渡してもらいたい
別に大したことじゃない
物は世間の回りもの
俺たち二人の間じゃないか!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

まずお前が俺から盗み
今度は俺が盗み返す
だが二人で奴らを盗みに行けば
宝の山は確実だ!

お前は俺の財布を奪った
喜んで分けてやったのに
だがあっちにあるのは何だ?
おい、お宝の匂いがするぞ!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

働いてもらう時が来たYour Services Are Required

錬金術師スリウスへ

以前の2つの問題に対する報酬を入れておいた。よくやってくれた。

お前の専門知識を要する別の問題がある。賭博場のグラクグと新しい補佐官のyour nameだ。どちらもじきに疲労熱にかかるだろう。そして死に至る。それでこの問題は完全に片付くはずだ。

ヤブレン治安官については、対処する方法を別に考えている。じきに自分が調べている犯罪で告発されるだろう。詩的正義というやつだ。

だから錬金術を盛んに使って、強力な霊薬をさらに作るのだ!

C男爵とレディR

燃えた断片Burned Fragment

――彼女を息子と孫娘から引き離せ。俺は――罪のない者を傷つける。こんなことは――

正気であれば――殺し屋の家族に――俺の家族を奪わせるはずがない。

――火は必要だ。思い出させる――ハイ――アル――

来い、エルフ。俺のナイフは待つことに飽きている。

配達確認Delivery Confirmation

カーヴァイン男爵の命令により、ただちに以下の物品をオンタスの北東、ゼガーのブラインドに出荷すること。覆い付きの荷車を使って目立たないように。錬金術師スリウスに直接配達すること。

子羊肉700ポンド
キャベツ230個
ジャガイモ300ポンド
小麦粉40袋

伯爵のイノシシ狩りThe Count’s Boar Hunt

最愛の妹へ

今日の夕食はいらないと母さんに伝えてくれ。しばらくは家に帰らない。お前も知っているとおり、伯爵のイノシシ狩りが今朝あった。狩りは終わったが、残念ながら俺は移動できる状態じゃない。

とはいえ、筆を持つくらいのことはできる。だからお前には事情を全部伝えておきたい。

夜明け頃、俺は狩りに参加する他の者たちと合流するため、ウェザーレア邸の南にある森に向かった。伯爵は民衆向けの狩猟にするとかなり潤沢な支援を行っていたから、有望な狩人は俺だけじゃなかった。むしろ、俺たちの数はあまりに多く、追跡する価値のあるものに出会うどころか、獲物を遠ざけてしまうんじゃないかと思ったほどだ。

しかしカランティウス伯爵は抜け目のない人だから、伯爵の部下たちは手早くこの大集団をいくつかの小さなグループに分けて、互いに距離を取れと言い渡した。驚いたことに、俺はなぜか伯爵その人と同じグループになったんだ!伯爵は黄金の鎧をまとった白馬に勇ましくまたがり、徒歩の狩人たちを先に行かせたので、彼の姿はよく見えなかった。後ろに下がってよく見たかったが、そうしたらイノシシに近づけない。

それで俺は槍をぎゅっと握りしめて、さっそうとグループの先頭へと進んでいった。伯爵の猟犬たちが先行し、イノシシの匂いを探して地面に鼻をこすりつけていた。しばらくの間は静かだった。聞こえる音といえば犬が匂いを嗅ぐ音と、狩人たちの注意深い足音だけだ。

突然、犬たちが匂いを捉えたらしく、顔を上げて吠え始めた。徒歩の俺たちは犬を追って走り出し、無造作に茂みをかき分けて獲物に接近しようとした。

「いたぞ!」と誰かが叫んだ。グループは開けた空き地に入り込んだが、そこでは2匹の巨大なイノシシが決死の縄張り争いを繰り広げていた。牙の大きさからオスであることがわかった。そして逆立った毛は、内に込められた野性の怒りを示していた。激しい戦いのせいで俺たちの接近に気づかなかったんだろう。すごい光景だった。

突然、大きいほうのイノシシが相手から身をもぎ離し、グループの先頭にいた狩人たちに突進してきた。グループの者全員がとっさに行動した。長い狩猟用の剣を持った勇敢な男が、イノシシの首に剣を突き刺そうと試みた。

それは彼の最期の過ちになった。

凶暴化したイノシシの勢いは男の剣を易々と突き抜け、刃が獣の皮にめり込むと同時に、イノシシの牙が男の腹に突き刺さった。傷口から血が噴き出し、男が獣の腹に埋まった剣から手を離すと、イノシシは新たな標的を探し求めた。男はあっけなく倒れ、死体は混乱の中で忘れ去られた。

イノシシが鼻を鳴らし、回り込むように動きながら次の突進の準備をしていた時、俺は恐ろしい事実に気がついた。二匹目のイノシシの姿を見失っていたことに。

グループ全員が倒れた狩人の仇を討とうと、この大きいほうの獣の相手をしていた。俺は伯爵がこの機を見て攻撃しに来るかもしれない、と思って振り返ったが、その時見間違いようのない二匹目のイノシシの影が、伯爵の部下や騎士たちを蹴散らし、伯爵の馬目がけて突進していくのを見た。俺は考える間もなく一匹目のイノシシから離れ、伯爵に向かって走った。

伯爵の名誉のために言っておくが、彼もイノシシの接近は見ていた。伯爵は覚悟を決めた様子で剣を掲げ、無駄とわかっていても攻撃する構えを見せた。イノシシが伯爵とその馬に接触する直前、俺は腕を引き絞り、伯爵目がけてまっすぐ槍を投げた。

確かに、危険な行動だった。俺は狙撃の名手ではなかったし、特に動く標的を狙うのは苦手だった。だがアーケイが俺の手を導いてくれたのだろう、槍は命中した。槍は二匹目のイノシシの目を貫通し、獣はカランティウス伯爵を牙の先に捉える寸前で絶命した。

伯爵は一瞬だけ死んだイノシシを見つめ、それから視線を上げて俺と目を合わせた。彼は俺にむかってうなずき、きっと何か含蓄のあることを言おうとしたんだろうが、そこで一匹目のイノシシが俺の背後から突進してきた。

その後のことはあまり覚えていない。幸運にも牙は外れたが、イノシシは俺を跳ね飛ばして狩人たちのほうへ向かっていった。そのイノシシも最終的には誰かが仕留めた。俺は数時間後、スキングラードにある伯爵の城で目を覚ました。そこで癒し手が俺の足を整骨し、擦り傷や打撲傷に効く飲み物を与えてくれた。

伯爵は俺がイノシシを止めてくれたことを大いに感謝していた。その夜は主賓席で伯爵と饗宴を共にするよう招かれたくらいだ!伯爵と同じ食卓に座るなんて想像もしないことだったが、俺たちはイノシシの焼き肉を食べ、ウェストウィールドの勇敢な狩人たちを称えて乾杯した。

カランティウス伯爵は俺が回復して故郷に帰れるようになるまで、ここスキングラードに留まれるよう取り計らってくれた。伯爵は自分専用の厩舎から馬を1頭進呈してくれて、さらに1年分の塩漬け豚肉と賞金も与えてくれた――イノシシを1頭仕留めた分と、彼の命を救った分と。

体の調子についてはまた近いうちに手紙で知らせるよ。帰ったら、賞金の使い道についてゆっくり話そう。とにかく今確実に言えるのは、イノシシ狩りはもう引退ってことだ!

兄より愛を込めて
アルバヌス・カウデクス

伐採キャンプ日誌1Lumber Camp Journal 1

1週目

ハルダインの伐採キャンプは成功する。予感がするんだ!

ここの木材は最高で、競争相手も少ない。いつもどおり、伐採にいい場所を選んだ。生産量は高く、ここの木はとても早く育ったから木材の質は他の比じゃない。ふしも年輪もほとんどない。選んだ仲間は腕が立つ。動物の肉と森の果実でいい食事ができる。

じきに自分たちの道具を買って、ウェストウィールド軍団から借りたものは返せるだろう。

レピダは森が危険だと考えてるが、最初の数日でそれは間違いだと証明された。獣にも遭遇してないし、飢えた盗賊にも脅されてない。祝福されてるとまでは言わないが、今夜はこんな幸運のお礼に、神へ祈りを捧げようかと思う。

〈このページの残りはぼろぼろに破られている。〉

伐採キャンプ日誌2Lumber Camp Journal 2

4週目

仲間たちはここの森が呪われていると確信している。

ここの動物は作業の音を怖がらない。それどころか、ランターンに寄る蛾のように引き寄せられてくる。ウッドエルフや彼らが使う魔法に慣れているから大胆なのかもしれない。それでも、のこ刃に入ったリスは4匹目だ。ここは何かがとんでもなくおかしいのかもしれない。

一部の仲間が逃げた。上流のより安全な仕事を選んだのだ。あまり文句は言えない。行く前に教えてくれる礼儀は持ち合わせていたし、生産量が落ちないように残った仲間が頑張ってくれた。ここの木は素晴らしい。

レピダ、大金を稼ぐから心配するな。

〈残りは破られている。〉

伐採キャンプ日誌3Lumber Camp Journal 3

7週目

仲間の前では認めないが、ここは何かがおかしい。死んだリスだけじゃない。

作業員が木を切ろうとしていると、切れ目が自然と閉じてしまうという報告を受けた。森の奥深くから何かわからない奇妙な音が聞こえてくるし、夜の影は濃くなってきている。

迷信的に聞こえるだろうが、あそこの何かが我々の仕事を快く思ってないようだ。おまけにそれはどんどん近づいてきている気がする。

やめたい仲間がまた出てきてるが、それは困る。自分勝手な理由ではない。ここを出ても上流まで行けない気がする。

〈このページは破られている。端に乾いた血痕がある〉

秘術師タリムのメモMystic Tarim’s Notes

なんとも腹立たしい!私の感知では、くぼみに入れる小ウェルキンド石が絶対に近くにあるはずなのに。この遺跡をくまなく探したのに見当たらない!

最初のは北のギャラリー、東へ続く広間の上。間違いない。しかし私の呪文や目ではその隠れた場所がわからない。

2つ目は東のギャラリーのずっと上にある広間の中。瓦礫が道をふさいでる。

3つ目は西へ続く南の通路の突き当たり。探すために穴を渡る方法がない。

最後は西へ続く北の通路の門を通ってすぐの所。でも、どうやってあのバルコニーに行けばいい?

私より賢い魔術師なら、この忌々しい石を見つけられるのかもしれない!

風に漂う声Voices on the Wind

我ら三人はガラスに包まれ、忘れられた領域を呼び覚ます。
我らが三つの文字により、この世界を作り直す。
そして生き延びた欠片より、玉座を作り出す。
忘れ去られたものを思い出させよ。
ミラームーアの支配を再び!

三人、ガラスに包まれた、三人?ガラスに包まれた?どこかに隠れている?
忘れられた領域を呼び覚ます、一体何を呼び覚ます?
三つの文字、また三つだ。この数に何か意味があるに違いない。

別荘の皇帝The Emperor of the Villa

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

レマン王朝の偉大なる王たちに関する書は数多く記されている。しかし、レマン一世、レマン二世、レマン三世の間、第二帝国は輝かしさに欠ける指導者たちの治世に耐えてきた。たとえば、皇帝ブラゾラス・ドールだ。国政に興味を持たなかったことでよく知られるブラゾラス・ドールだが、それにもかかわらず34年間も皇位に就いていた。

ブラゾラス・ドールの玉座に対する準備不足は彼が生まれた時の環境に端を発する。彼はレマン二世と、アイリーニャ・ドールという平民出身の召使との間にできた庶子である。彼女は新たに戴冠した皇帝であるレマン二世が、スキングラードへ滞在した時に見初められたのだった。レマン二世はアイリーニャを気に入ってはいたものの、ルビーの玉座に見合う結婚相手を探さなければならなかった。間もなく彼は子供をアイリーニャに任せ、二人のために快適な別荘を用意した。

力みなぎる好青年のブラゾラスは、有名な先祖であるレマン一世にとてもよく似ていたが、偉大な男の野心や洞察力はほとんど持ち合わせていなかった。レマン二世が間を置かずに嫡出子を持つことが想定されていたため、ブラゾラスは皇帝の末裔ではなく、コロヴィアの小貴族としての生活になじんでいた。彼は自分のブドウ園の世話をし、狩りをして、友を楽しませながら日々を過ごしていた。

その後、第一紀2843年にレマン二世が戦いに倒れ、ブラゾラスがルビーの玉座に就くことになった。暗澹とした気持ちで玉座を引き継いだこの若者は、皇帝ブラゾラス・ドールとして母方の姓を維持することを選んだ。しばらくの間、彼はシロディールで新たな責任を果たそうと全力を尽くした。父のモロウウィンドへの進軍を再開し、勇敢に戦いさえした。だが、白金の塔における行政と外交の責務が、それを得意としない彼に重く伸し掛かった。

シロディールでみじめな思いをしたブラゾラスは、すぐに愛するコロヴィアの田園地帯に引きこもるようになり、首都から離れて過ごす時間が着実に増えていった。彼は自分が行えることをすべて最高顧問シドリ・アシャックに委任し、自身はスキングラード西の丘陵地帯にある豪華な邸宅、ヴィラ・ドリアの建築に精を出した。ブラゾラスが白金の塔に戻る頻度は徐々に減少し、ついには戻る手間をかけることすらしなくなった。

皇帝ブラゾラス統治時代、最後の20年間はヴィラ・ドリアが宮廷の役割を果たしたが、ここで実際に公務が行われることはほとんどなかった。それどころか、ヴィラ・ドリアは娯楽と気晴らしの場所だった。皇帝が遊びと酒宴(包み隠さずに言えば、これらの多くがみだらな乱痴気騒ぎになった)に時間を費やす間、最高顧問シドリ・アシャックが静かに帝国を統治した。

ブラゾラス・ドールは第一紀2877年に突如として死亡するが、その時の彼はまだ62歳で、いたって健康であった。中には殺害を疑う者もいた。シドリ・アシャックの増大する権力を快く思わない一派が、新たに精力的な皇帝を玉座に据えることで最高顧問を無力にする決意をしたという噂が流れた。レマン二世は弱冠14歳であったが、すぐに宮廷をシロディールに戻し、自らの名において権力を行使した。ブラゾラス・ドールが愛したヴィラ・ドリアは打ち捨てられ、後にはアカヴィリの最高顧問のもとで廃墟と化した。

さて、歴史家たる私は彼をどう判断するか。彼より成果の少ない皇帝はほとんどいないが、それでも彼の統治期間に帝国は繁栄した。意外にも、彼よりも有能な皇帝の多くについて、必ずしも同じことが言えるわけではない。

無のアルカの売り文句Sales Pitch for the Null Arca

あなたの持ち物で、家や工場、要塞その他に、過剰な魔力を含んだ物品はありませんか?

その過剰な魔力が、あなたの大切なものを脅かすことを心配していませんか?

あなたの物品から発せられる不安定で混沌とした魔力を、エーテルの空間に移動させたいと思っていますか?(注:無のアルカはこのとおり機能するわけではありません。詳細は営業機密です)

無のアルカにお任せを!混沌のアーティファクトや遺物、発明品、その他不安定な物品を安定させられる器です。

無のアルカ。あなたのある持ち物から他のすべての持ち物を守れるのなら、どんな代償でも払うべきではないでしょうか?

ネレタイへのメモ…最後の一文はもっと推敲したほうがいいかも。

傭兵求むMercenaries Required

ラストウォールの屋敷を警護していたある軍団兵が行方不明になった。カランティウス伯爵およびウェストウィールド軍団は有能な傭兵や冒険者に捜索への協力を求めている。

詳細を知りたい者は、ラストウォールの屋敷の中庭にいる護民官、アレア・イドルスを訪ねること。

利益になる発見A Profitable Discovery

C男爵

私たちのお気に入りの錬金術師が、採石場の新たな採掘場所で、生産性の問題を解消できるかもしれない物質を見つけた。

普段の敵対関係に目をつむる気があるなら、私の書斎へ来て。きっとこの申し出に興味を示すでしょう。

レディ・R

錬金術師の報告Alchemist’s Report

レディ・ラザリー

採石場の新たな採掘場所にある珍しい石はとても興味深いものです。砂状にすれば強力な霊薬を作れると思います。その霊薬が体内に入った鉱山労働者は生産性が千倍になるでしょう。残念な副作用はあるかもしれませんが、確かなことは労働者で試すまでわかりません。

これで以前話し合った、低い生産性と利益損失の問題は解決されるはずです。

あとはそれをこっそりと労働者に与える方法が必要です。水か食料に入れましょうか?

詳細はご都合のいい時に話し合いましょう。

錬金術師スリウス

老いたモンクの日記Old Monk’s Diary

酒場を営めば人生が楽になると思っていた。怒った客や酔っ払い、騙そうとする商人、税の取り立てなどで忙しくなるとは。ただ飛び込むのではなく、もっとじっくりと下調べをすべきだったのかもしれない。この老いたモンクにとってはこれもアカトシュからの教訓だ。

* * *
今日は年配の女性が見事な赤い帽子をかぶって酒場に入ってきた。まあ、私も年配の男だが、彼女には目が留まった。当然、失礼のないようにだが。もうモンクではないが、礼儀は忘れないようにしている。それに、若い時でさえ好色ではなかった。

どうして自分の日記で言い訳をしているんだ?

とにかく、普通の酒場の店主らしく、注文は何にするかと聞いた。驚いたことに彼女は強いウイスキーを頼んだ。彼女のような人はたいていもっと洗練された飲み物を頼む。ラバも眠らせられるようなものではなく。

私は言われたとおりに瓶を持ってきた。そして注ぎながら、さりげなく名前を聞いた。さりげなかったと思う。

彼女はレオナラだと言った。なんて美しい名前だろう。

* * *
今夜レオナラともう一度食事をした。今回は彼女の家でだ。自分たちの人生やこの先したいことについて話した。私は酒場を持つことが驚くほど複雑だが、楽しんでいると話した。もっと多くの客に来てほしい。娯楽を提供する者を雇おうか。

しばらくそんな話をしていると、彼女は急に店を大きくして宿にする考えを思いついた。寝室のある2階を追加し、泊まる客に食事を提供する。その考えに共感した私はすぐにその計画を始めた。修道院にいた時、他の修道士の面倒を見ていたのを懐かしく感じたのかもしれない。とても楽しい仕事だった。

そうだ、そうすることにしよう。

* * *
今日からレオナラと同棲することになった。前は横の部屋の小さなベッドで寝ていて、私だけなら十分な大きさだった。しかし二人でも十分な大きさの新品のベッドを買って驚かせた。上の階の2番目に広い部屋に住む。一番広い部屋は裕福な客用にとっておくつもりだ。

モンクとしての生活はいいもので、充実していて、興味深く、神聖なものだった。しかし、宿屋の主人としての暮らしほどいいものはない。

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