アークマギスターからのご厚意The Largesse of the Archmagister
よく聞け、達人たちよ。古代の蔵書庫が再発見されたという噂はきっと諸君も耳にしているだろう。それは真実だ!この計画はまだ、ギルドの全メンバーに分析を許す段階になっていないが、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンはこの超魔術的な仮説体系に関心のある者たちに、一次資料を検討する十分な時間を与えたいと考えている。
十分なのは私に時間をかけさせたからだ。分析用の文書を手に入れるのにどれだけ長くかかったことか。
そのために、9つのスクリプトが完全に無料で、タムリエル中の魔術師ギルドで公開されている。これらのスクリプトは綿密に手で書き写され、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンその人による検査を受けているため、場合によってはオリジナルよりも優れた参照素材とされるほどだ!
よくも言えたものだ!この写本を作るために働いたのは私フィランディルだ。苦情を出さなければ!
このアークマギスターからの贈り物は、以下のギルドホールにある:
– バルケルガード
– ダボンズ・ウォッチ
– ダガーフォール
– ウェイレスト
– エルデンルート
– モーンホールド
– リフテン
– エバーモア
– ラウル・ハ
この新しく刺激的な神秘の技を探究するにあたっては細心の注意を払い、しかし情熱をもって取り組んでもらいたい!そして魔術師ギルドの指導者に称賛の声をあげるのだ。
称賛の声だと!恥知らずめ。
あくびの歴史と正しい技術The History of Yawning and Proper Technique
この巻はすべての定命の者にとって身体的に不可欠な、愛すべき余暇についての網羅的歴史である。あくびの目的はあらゆる世代の最高の知者たちによって、学問的議論の対象となってきた。後世のため、ここに網羅的な研究を残そう。
よし、これで他の啓発者はまけたでしょう。ネッチ、まだこれを読んでいるのなら、今回だけは手を出すのをやめて、見つけた場所に置いておいて。この本は私の後を追ってくる者の手に渡したい。ドラゴンの解けない謎の件で手伝うから。
この本を手に取り、東棟でまた私の残響を探して。私が作った、この謎に答える用意を整えておいて。
あげたり受け取ることはできても、借りられないものとは何?
アトモーラ教団の文書The Atmoran Cult Writings
公文書保管人オリアン・パマルク 著
ニルンの歴史の残響は深く遠く、生者の記憶からは消滅して久しい過去の知識や秘密の伝統まで遡る。しかしその音を最初に発した人間やエルフは姿を消しても、彼らが残した影響は、その文化や信念を我々が何らかの形で理解する助けになってくれる。
そうした謎の一つが、古代アトモーラ人の宗教的信念および崇拝対象である。これについての知識の一部は竜教団の歴史記録を通じて保全されているが、最近出土した記録は、これ以上に秘儀的な集団が存在したことを示唆している。
こうした記録は控えめに言っても断片的であり、古めかしいルーン文字で記されている。この文書の断片を多少なりとも理解できるものへと翻訳するために多大な努力がつぎ込まれたが、才能ある人々が力を合わせても、学者たちは写本の内容が文字どおりの生物や実践に関するものなのか、それとも宗教的な寓話を表しているのかについて意見を一致させられなかった。
以下の文は参照を容易にするためここに集めたものである。私と同僚たちは、これを互いの間でアトモーラ教団の文書と呼んでいる。
母なる蛾の教団
柔らかい夜に包まれて、彼女は我々に歌いかける。その大いなる羽根を一振りすれば、地平は銀の粉の眠りに覆われる。昼はよく生きよ、だが影を味わえと彼女は我らに命じる。比較する影がなければ、光もないだろうから。
母なる蛾はすべてを見る。無数の面を持つ彼女の目は、そのうちにアトモーラのすべてを宿し、それゆえ彼女は信じる者と信じぬ者を見分けられる。我ら少数の者たちだけが彼女の秘密を知り、彼女の歌を聞き、彼女を称える。
我らが栄光高き、毛に包まれた母は忍耐と高貴さ、柔らかさ、愛に満ちている。彼女の体は夜空よりも大きく、彼女の多くの足は木々よりも高く、彼女の飢えは尽きることを知らない。
だからこそ、我々は夜の間に、焼却と焚き火によって彼女を称えねばならない。すべての蛾は光を欲する。それは彼女の忠実なる子である我らも同様である。彼女の秘密は炎のちらつきの中で、星々の瞬きの中で、暗闇の光の中で我らに対して明かされる。彼女の飢えを満たすことは決して望めない。我らの供物があまりに貧しいためである。
それゆえ、我らは彼女の欲望を自らのものとせねばならない。我らは歓喜と共に光へ加わる。我らの薪は大きくなり、より熱く燃える。炎が我らの皮膚を舐める時、我らは痛みを感じない。母なる蛾のために燃え、暗闇を照らす時、彼女の舌がこすれる穏やかな感触を覚えるのみである。
蛇の民
塩水の深淵を自ら味わったことのない者に、蛇の話をしてはならない。足が大地を離れたことのない者に、蛇の話をしてはならない。勇気と栄光をもって蛇の口に向かうことを望まぬ者に、蛇の話をしてはならない。
蛇の話をしてはならない。
蛇の鱗持つ波を突き抜けて船を走らせたことがないのなら、蛇を称えてはならない。打ちつける海の上でその咆哮を聞いたことがないのなら、蛇を称えてはならない。海の墓場から蛇により救われたことがないのなら、蛇を称えてはならない。
蛇を称えてはならない。
多くの季節に多くの海で船を走らせるまでは、蛇を探してはならない。年月により体が重くなるまでは、蛇を探してはならない。もう旅する場所が残っていなくなるまでは、蛇を探してはならない。
蛇を探してはならない。蛇がお前を探すのだから。
その荒々しく、海水に浸ったヒレを受け入れよ。その筋と鱗の巨大な体を、その鋭く尖った骨の歯を。お前の体がいつか蛇を満たす時、お前もまた満たされるだろう。
ヤギの教団
フロストウッドは村が考えているほど不毛の地ではない。私はあそこで色々なものを見た。獲物よりも大きく、熊よりも大きい。あの森には怪物がいる。彼らは生贄を求めている。
私は立って歩くヤギに多くの贈り物を運んだ。彼は私のそばで貪った。彼は力強い髭から血をしたたらせながら、その奇妙な横長の瞳を細め、私が捧げた肉と魚に爪を食いこませた。
私は他の者を立って歩くヤギに運んだ。一部は叫んで逃げようとした。哀れな愚か者よ。立って歩くヤギはいつも彼らより速い。二つに割れた彼の蹄と筋肉質の足は、彼らよりも遥かに素早く地を駆けた。それが彼の美しさであり、彼の秘密である。
彼の栄光を目にした者は他にわずかだ。彼らの顔は恐怖から驚きへ、そして畏敬へと変化した。我らは力を合わせ、さらなる供物と信者を我らが偉大なる神へ運んだ。立った歩くヤギは食べねばならず、称えられねばならない。ここは彼の森だ。我らは彼の意志によってのみ生かされている。
インドリクの寓話Fable of the Indrik
夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。
地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。
その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。
両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。
「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」
敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。
ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。
インドリクの寓話(注釈付き)Fable of the Indrik (Annotated)
夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。
タムリエルにいるのは確か。グリーンウォーターの入江?ドーンブレイク?オーリドンに違いない。
地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。
ムンダス・ストーン。南の、小さな採掘集落から川を渡った所にある、小さな池の中の島にあるのを見たことがある。
その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。
この獣はインドリクに違いない。「月のような灰」はオンディルの遺跡を思わせる。
長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。
東沿岸、ブラニイム。塔はないが古代の力の井戸がある。
その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。
「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」
敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。
地図を確かめた。この寓話が書かれた時、ここは島でなかったのでしょう。今はオーリドンの南西の岸で、灯台がある。扉がまだあることを祈ろう。
ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。
インドリクの挑戦Challenges of the Indrik
アンカーの挑戦
邪悪なデイドラの獣たちが空から降ってきた。オーリドンの地から、奴らを一層せよ。
チームワークの挑戦
仲間の英雄たちと、栄光を求める他の勇者たちと戦え。
力の挑戦
強大な力を持つ邪悪な者たちが、オーリドンの洞窟で挑戦を待っている。彼らを倒し、より強いことを証明せよ。
浄化の挑戦
不死者たちが蘇り、オーリドンの地を汚している。死者たちを元の場所に送り返してやれ。
インドリク分析の印Sigil of the Indrik Analysis
さて、冒険者よ。私は信奉者ナーリアに、啓発者によって与えられる「力」が何を意味するのかを説明するよう言われた。私はスコラリウムに来てまだ間もないが、私の魔法の洞察をこの主題に全力で傾けることを約束しよう。
インドリクの大いなる力とは、タムリエル中に調和の共鳴を確立させることのようだ。長きにわたり眠っていた秘密の繋がりが、スコラリウム自体の中にあるものと同様、目覚めつつある。さらなる研究が必要ではあるが、目下の影響はおそらく、スクリプトと輝くインクが見えるようになることだろう。単なる紙切れや退屈で生命を欠いた文書ではなく、未来の力の前兆が見えるのだ。事実、小さなファウンはここスコラリウムに隠されたスクリプトに私を導いてくれた。実に刺激的だ!君がさらに啓発者たちとの関係を深めている間、私は探索を続けるつもりだ。
そしてもちろん、発見したものについては君に知らせていく。頑張ってくれ!
ウルフシルドのメモUlfsild’s Note
〈日記から破られたページのようだ。〉
できるだけ荷物をまとめたけど、憤りでいっぱい。愚か者と狂った者の心ない気まぐれが私の心を重くする。
すべてを救おうとして身を削った。発見したものを後世に残していく。スコラリウムは蘇る。ただ…
ウルフシルドのメモ:啓発者の起源Ulfsild’s Notes: The Origin of Luminaries
優れた謎の喜びを称えましょう!私は啓発者のそれぞれに、自らの種族の起源について順に尋ねたけど、全員が大きく異なる解答をした。私はこれを、ドラゴンのための不可能な謎を作るのに利用するつもり。
グリフォンの誕生にまつわる性質により、グリフォンの解答は毎日変わる。ある日はすべて魔術の力だといい、次の日は使用された魔力の量だという。でもついに正しい解答を得たという、揺るがぬ確信はいつも同じ。
インドリクは、自分が純粋な思惟から具現化したと考えている。物語を通じて世界の意味を解こうとする精神による発明だと。ネッチは単一の解答を与えることを拒み、触手の数にも劣らないほど多くの物語を繰り出してくる。
ドラゴンは、私がこれほどこの問題を気にかけていることに怒っているようにさえ見える。ドラゴンは過去のことを思い悩むより、彼女の言葉でいう「内なる宇宙」に集中することで満足している。
順番は適当だけど、以下が私自身の仮説よ。
1. 啓発者はエセリウスの流した涙である。我々はエセリアルの力を多くの形で見てきたけど、その多くはクリスタルだった。物理的な姿を持つ霊魂もありうる?
2. 啓発者はエドラによって作られ、我々を導き守るためにこの次元に意図的に配置された実験的存在である。啓発者はエセリウスにとって、オブリビオンにとってのデイドラのようなものだけど、より希少性が高い。
3. 啓発者は「魔法のサイクル」の自然な一部分である。魔術を水のようなものと考えるなら、啓発者は水道管であり、水を我々の次元まで運び、光るランプのように周囲に放出している。
4. グリフォンは自分がある強大な魔術師の呪文の余波として生み出されたと信じている。啓発者たちが我々の次元の何かによって形作られたという事実には一考の余地があるかもしれない。あるいは、啓発者がインドリクの言うように純粋な思惟の具現化なのか?偉大なる魔術の達成か?何者かが、たとえ偶然にでも啓発者を作ったのだとしたら、再びそれを行うことは可能か?
啓発者の誰も自身の起源を本当には知らないという事実は、彼らの起源を知ることに何らかの危険が伴うのではないかと思わせる。彼らの存在の本性を理解することは、彼らの中で何かを変化させる?
そのため、私はこのことが、私の謎の強みになるかもしれない考えた。ドラゴンが解答を思いつかなかったなら、解答を予想する術もなかった。
この考え方を気に入った私は、謎を携えてドラゴンのところへ赴いた。「啓発者の起源は何?」私は助けが必要ならば仲間の啓発者に相談するよう促した。ドラゴンに自分の解答が絶対の真理ではないと気づかせるため。
これはとてつもない間違いだった。啓発者は我々のように時間の経過を感じない。その後の議論はほとんど月のサイクル5回分ほども続いた。私はシャルの助言を求めたけど、彼は自分の研究で忙しく、また彼がこの試練全体をくだらないと考えているらしいことも伺えた。
結局、私は友人たちがこんな風に議論していることに耐えられなくなった。私は自分の謎を撤回し、ドラゴンにもう一度チャンスをくれと頼んだ。最初の謎を作るのにこれだけ長い時間をかけたのに、これからどうすればいいのか見当もつかない。
アイベアからは一時離れよう。サンホールド近くにある私の静かな聖域サナメアに行き、これからどこに向かうべきかを考えよう。
ウルフシルドのメモ:不可能な謎Ulfsild’s Notes: The Impossible Riddle
謎に複数の可能な答えがある場合、その謎は解ける可能性が高い。相手が謎かけの達人なら、可能な答えの数を少なくすれば、相手を行き詰らせる可能性が高いことになる。
手に入れるため諦めなければならないものは?答えは一つしかない。不可能な謎への答え。ミズビの考えた見事な答えだけれど、一度しか使えない。
ドラゴンに答えの存在しない謎を与えることはできなかった。私が答えを知らない謎も。だが、逆説ならどうだろう?
どんな可能なグリモアでも作り出せるグリモアを刻んだら、それは自分も作り出せるか?これが私の謎だった。ドラゴンには答える時間をやった。どんな答えを出してきても、私はそれに反論できる。私たちの会話は行ったり来たりを繰り返し、ついに満足したドラゴンは譲歩した。
私の魔術は永久に変化した。だが私はすでに先のことを考えていた。あなたのこと。私がスコラリウムに別れを告げた時、ドラゴンにあなたのことを話した。これはあなたの得になることだと約束する。私はドラゴンに三つのことを話した。
あなたはドラゴンの謎にふさわしい精神を持つでしょう。
あなたはドラゴンの探しているもの――新しい不可能な謎をもたらすでしょう。
そして私はとても注意深く、あなたは決して私の後継者であると主張しないだろうと言った。
この話の行方を見通していることを期待している。あなたにはできると私は信じる。もしわからなければ、助けを求めることを恐れないように。
私が学んだのは、いい謎かけという単純で喜ばしいものを探すため、一人で苦労する必要などないってことよ。
ウルフシルドの記録:あなたの発見、私の別れUlfsild’s Log: Your Discovery, My Farewell
私は啓発者たちを見つけた。でも私が最初というわけじゃない。あなたがこれを読んでいるのなら、私が最後の者ではなかったということだから安心できる。
私と同じように、あなたも自分なりにそのための旅を進んでいって欲しい。彼らを見つけだし、その恩寵を得るために必要な考え方の変化は、恩寵それ自体にも劣らない贈り物よ。
まだ世界が見たことのない魔術を生み出すこと。彼らに従うか、あるいは彼らの予想を裏切るか、あなたの魔術の表現を決めて欲しい。
私は啓発者たちをそれぞれ気に入っている。でも、私の心はいつも不死の存在に魅力を感じていた。自分自身は不死になりたいと思わなかったけど。私は彼らから学び、彼らも私から学んだ。そして私は私自身からも学んだ。
今でも啓発者が何なのかはわからない。私なりの仮説はある。もしあなたがまだ私のメモを見つけていないのなら、きっといずれ見つけるでしょう。
あなたが誰かは知らないけど、あなたの説を聞けたらと思う。シャリドールが啓発者への私の関心を共有してくれていたらと思う。こうだったらという願いはたくさんある。
これは願いじゃない。私はいつか誰かがこれを読むと信じてこの言葉を紙に記している。私が失ったものを、誰かが見つけてくれると。その誰かは見つけてくれた。あなたが今これを読んでいるのなら、それは実現した!人間も羊皮紙も永遠には続かないのに、この物語が何らかの形で存在し続けているのは、素敵なことだと思わない?私はただ自分の一部を残していっただけ。でもそれは無意味じゃなかった。
とにかく、私は最後の準備をしながら、そう自分に言い聞かせている。最後の別れを言うわ。すべては整ったけど、まだ足りないような気がする。私は…
〈日記の残ったページはちぎれてしまっている〉
ウルフシルドの記録:インドリクUlfsild’s Log: The Indrik
私が最初にインドリクを見た時、それは最初に見たインドリクではなかった。しかし当時の私はそのことを知らなかった。小さい頃の偶然の出会いは、シャリドールがオーリドンの昼間に崖上の母とファウンを指さすあの特別な瞬間まで、水に濡れたインクのようにぼやけていた。ああいう動物は確かに以前見たことがあった。そして記憶はまるで新しいインクで書き直されたかのように、はっきりと蘇ってきた。
私が小さかった頃、私はクランの両親によく、地面に落ちたか茂みに引っかかったマンモス毛皮の切れを集めてこいと言われた。両親はそれを粗い毛玉に変えた。あの臭いは思い出したくないが、忘れることもできない。仕事は気にならなかったが、その時家にして住んでいた場所から遠く離れて、一人で外を歩き回るいい口実になった。
春の終わり頃のある日、私はマンモスの群れが谷からの冷たい雪解け水が流れる川のそばに集まっているのを発見した。マンモスたちは川の水をごくごくと飲みつつ、暖かい日の下で体毛を振り落としていた。これは大量の毛皮を持って帰るチャンスだと思った。私は背の高い草に隠れて忍び寄り、マンモスの後部に手が届く位置にまで近づくと、木のような足から手に一杯の毛皮をむしり取り、巣作り中の鳥のようにかばんに詰め込んだ。完璧にうまくいっていたのに、マンモスの子供が私を見つけて、驚きの吠え声を上げた。群れが暴れ出し、紛れ込んだ小さな侵入者を踏み潰そうとする中、私は逃げようとしたが、逃げ場は見つからなかった。
足元で地面が揺れ、私は前に倒れ込んだ。土にぶつかると思ったら、私の顔は皮か羽毛に深く埋もれた。どちらともわからなかった。最初はマンモスの鼻かと思い、目を閉じて体を硬直させた。持ち上げられるか投げ飛ばされるか、とにかく安全なところに行けることを祈って。しかしぶつかって少しすると、自分が何か疾走しているものの背中に乗っているらしいことに気づいた。私たちは川の片側にいたのに、魔術が閃いて一瞬の後、反対側にいた。私を救った獣が早足程度にまで速度を落とすと、私は体を震わせて背中から降りようとした。
その獣が奇妙な吠え声を上げて消え去る時、私の目には四本足で立つ姿が一瞬映っただけだった。ヘラジカのような枝角があったが、鳥のように羽毛が生えていた。私はクランのもとに駆け戻ってこの話を伝えたが、彼らは笑うだけだった。ウルフシルドがまた森で眠りこけて、途方もない夢を見たってよ、と彼らは言った。かばんの毛皮の大半はなくしてしまったので、彼らは私が手の中に握りしめていた小さな羽をよく見もしなかった。
しかし羽はその後も持っていた。それは私が世界の中に見た流れと同じものから作られていた。川のように流れ続け、雲のように変わり続ける魔力の糸。私は羽を自分の帽子につけて被ったが、シャリドールとのあの瞬間まで、奇妙な枝角の生物のことは完全に忘れていた。
私はサンホールドへ、インドリクと狩人に関するボロボロの童話を置いていた古い巻物店に戻ろうとしつこくせがんだ。私に見える魔力のねじれのように、なぜか私はあの童話に他の者には気づけない何かがあることがわかった。明らかな道しるべが残されていたのだ。私は少女だった頃と同じように一人で放浪し、謎を解いて場所を見つけ、結界を見出した。偶然のはずはない。この指紋は私に追わせるため世界に残されたものなのだ。
私は自分がそれなりに優れた魔術師であることを知っていた。私の業績の噂は広まり、あろうことかシャリドールの注意を引いた。私は自分の力にそれなりの誇りを持っていたが、千年近くも年長の者がそばに現れたことで、実力を証明したいと思った。シャリドールに対してではない。彼は私が自分と対等ではないと思わせるような態度は決して取らなかったし、私もそういう振る舞いを許しはしなかっただろう。だが私は自分自身に対して力を証明したかった。
結界を破り、インドリクの領域に侵入した時、私はもうマンモスの群れに踏み潰されつつある怯えた少女ではなくなっていた。それでも、インドリクは私を覚えていてくれた。
ところで、シャリドールと私は異界の存在と決して取引してはならぬという契約を交わしている。この紙片で告白しておくが、私はインドリクと会った時にその契約を破ってしまった。つまり、私は童話から手がかりを得たのだ。インドリクが私に力を示せと言った時、私は昔に出会った時から持っていた羽を見せた。私は取引を持ち掛けた。インドリクが羽を奪い取れたら、私は大人しく羽を返し、この領域を去る。だが私が奪わせずにいられたなら、インドリクはその力と知識を私に分け与えると。
だが、この物語の結末は知っているだろう。これを読んでいるのなら、あなたはスコラリウムにいる。これを記している間も、インドリクの羽根は誇り高く私の帽子に刺さっている。私は自分自身とインドリクに対して、帽子を脱ぐまでもなく実力を示したのだ。
ウルフシルドの記録:グリフォンと狐Ulfsild’s Log: The Gryphon and the Fox
記憶がこれほど匂いに深く結びつくのは不思議なことだ。ふとジャズベイの香りが漂ってきただけで、私は小さい頃を思い出す。
冬の季節が近づき、空気が冷えてきたとき、私のクランマザーは育ちの悪い小麦と、傷がついたり熟しすぎたりしたベリーでタルトを焼いてくれた。パサパサで歯に付く甘いお菓子。でも私も含めて若者は最後の一口まで味わって食べた。タルトは吉兆だった。冬への備えがたっぷりあって、残飯を倹約しなくていいという証。
ある冬、私はこのお菓子を籠に入れて長老のところへ持っていく役目を与えられた。丘を登っていくお使いで、頬に当たる空気が鋭かった。籠は私の両手に重くのしかかり、目の前で自分の吐いた息が揺らめいた。長老の小屋から出る煙からあと少しのところで、私は多分一休みしたと思う。その時、小さく弱々しい吠え声が聞こえた。
茂みの陰から覗いてみると、道の反対側に小さな狐がいた。とても小さく見えた。赤ん坊だ、道に迷って凍えて、お腹を空かせているんだと思った。私は籠に手を伸ばし、タルトを一切れ細かく砕いて、狐に向かって放った。
狐はビクッと震え、逃げ出しそうになったが、小さな鼻が動くのが見えた。タルトの匂いに気づいたのだろう。恐る恐る最初のかけらを食べたが、子供の私には美味しいと感じているように見えた。狐はあっという間に残りのかけらを食べ尽くした。その時私は傷跡に気づいた。足首の周りに細い線がいくつもあり、毛皮に沿って小さな切り傷が付いていた。一体いくつの罠から脱出してきたのだろう?私が仕掛けた罠もあったんだろうか?
私が思いを巡らせていたその時、狐が私の籠を目がけて飛びかかり、持ち手の部分を器用に歯でしっかり咥えて、森の中に逃げ去っていった。
私は驚愕した。騙された。あれは弱った哀れな動物ではなく、抜け目のない盗賊だったのだ。私はできる限り素早く狐を追いかけた。枝や茂み、分厚く積み上がった雪を避けて川の土手を滑り落ち、降りた先で中が空洞になった木の幹を発見した。
中にいたのは盗賊狐と、子狐の群れ、そして私に向かって歯をむき出す細い母狐だった。
私は両の掌を上げて母狐に向け、地面から体を起こし、ゆっくりと木の幹から離れた。母狐は警戒を解いたので、私も同じようにした。私は母狐が子供たちの世話をするのを見ていた。タルトを足先で砕いて小さくして、子供たちが食べられるようにしていた。
どれだけ長く見ていたかはわからないが、クランマザーが恐怖に顔を赤くして、茂みを突き抜けて現れた時、母狐の耳がピンと立ったのを憶えている。彼女は私が長老の小屋に来なかったことを知って、獣に連れ去られたと思ったのだ。私はシッと合図して「赤ん坊が怖がっちゃう」と言ったが、彼女は怒って歯をむき出しにして、私を叱った。
自分にも母狐がいたことを知るのは、何とも奇妙な気分だった。
四つん這いになってスコラリウムの本の山をかき分けてジャズベイの匂いを辿りながら、シャルが入ってきて見られませんようにと祈っている時、私はそれを思い出した。特に埃の酷い四則演算に関する本の山をどかした時、私は実に奇妙なものを見た。狐だ。前足を私の机の上に置き、私が文鎮として使っていた小さなフェアライトを鼻でつついていた。
その途端私は子供の頃に戻り、ゆっくりと地面から体を起こし、驚かせないように両手を空中に掲げた。狐は私を見て頭を横に向け、微笑んだ。突然狐はフェアライトをその口に咥え、本の山をすり抜けて走り去った。
もし私が狐を追う訓練をしていたことを知っていたら、それでも狐は逃げただろうか。私は石の床をまるで氷のように滑って進むことができた。曲がりくねった角やでこぼこの丸石すべてを熟知していた。あのジャズベイの匂いが、この試練に子供のような喜びの感覚を与えてくれたのかもしれない。
私はもう少しで狐を捕まえるところだった。私の指が狐の尻尾の先をかすめたが、狐は壁に向かって跳躍し、壁を突き抜けた。一瞬のことで、あまりに突拍子もなかったので、私は軌道を修正する余裕がなかった。壁に激突すると思って身を固くしたが、驚くべきことに、私は壁を貫通してしまった。
私は積もった雪に転がり込み、雪の中に深く突っ込んだので、上下の感覚もわからなくなった。うめき声をあげて体勢を立て直そうとしたが、その時何かが私の足を掴んで引っ張り出すのを感じた。雪から自由になった私は、翼がはためく力強い音と、氷と羽の塊に気づいた。グリフォンだ。
グリフォンは私を無造作に落とし、空が完全に隠れるまで翼を広げた。それは両足の爪で地面を叩き、突進しようとしていた。その時狐がグリフォンの両足の間に現われ、グリフォンの注意を引こうとつっついた。
小さな盗賊は私のフェアライトをグリフォンに差し出した。するとグリフォンは力を抜き、謝るように私を見た。
彼らが何者か、私は理解した。いたずら好きの狐と、それを守る親だ。私は座って狐がフェアライトを蹴って転がすのを見ていた。いつそうなったかはわからないが、私はグリフォンの翼にくるまれて目を覚ました。暖かく、安心だった。
ウルフシルドの記録:ドラゴンUlfsild’s Log: The Dragon
私は謎解きに向いた性格じゃない。しかし謎かけというものには何かがある。私のような者にとってさえ、耳を刺激するような何かが。隠された意味を探すことには、抗しがたい魅力がある。
ミズビの寓話を聞いた時に私はそのことを理解した。マラバル・トールのジャングルを旅している時に出会った遊牧民の一団に混じっていた、月の歌い手に話してもらったのだ。ただ聞いただけでも、物語の謎かけ以上の隠された意味があるはずだとわかった。目に見えそうなくらい!あれを紙に書き記していたらと思う。答えが思い浮かぶまで、言葉を見つめ続けていられたのに。
私たちが立ち止まったその夜は、ここの気候に慣れていない者にとっても蒸し暑かった。ミズビとそのドラゴン、そして彼らの謎かけのことを考え続けていなかったとしても、私のようなノルドは眠れなかっただろう。私はシャルのいびきをテントに残して辺りをぶらつき、物語を語ってくれた遊牧民が見つからないかと思った。朝早く彼女を捕まえられれば、あの話がまた聞けるかもしれない。
しかしその時間に起きていた唯一の者は、星を見上げていた。敏捷そうなキャセイ・カジートだ。縞模様がようやく現れ始めたくらいの若者だった。私は彼と向かい合う形で焚火に座ったが、火は何時間も前に消えていたようだった。「寝なくていいの?」
彼は目を上に向けたまま、星が空を動き回るのを見てるのが好きなんだと言った。好きな星や星座があるのかと聞くと、彼は恥ずかしがって顔を隠した。「彼女が見ているかもしれない!」
「誰が?」私は上を向いた。彼の言う誰かが私たちを見下ろしているのかと思ったのだ。
「今はいない」と彼は言った。「雷や駆ける蹄のもとで、彼女は夜の間に二度、目を上げて僕にウィンクするんだ」
謎かけ?面白い。しかも子供の謎かけだから、私にも解くチャンスはある。駆ける蹄――馬のことだ。夜の間に二度?「黄昏の星?アズラのこと?」
「アズラー」と彼は繰り返した。彼は胸に手を当て、夢を見ているような面持ちでため息を漏らした。その後でようやく私に気づいたようだった。彼は体を起こし、「あの魔女じゃないか!」と尊敬の念を込めて言った。他の遊牧民たちが私たちの通過を話したらしい。「交換してもいい?」若者は駆け寄ってきて、何か重いものを私の手に押しつけた。冬の桃くらいの大きさの、よく磨かれたムーンストーンの艶やかな破片だった。
「交換って、何と?」
「その羽と!」と彼は言って私の帽子を指さした。
ああ、その羽か。私は羽を手放すことは望まなかったので、そのように言うと彼は残念がった。
彼はまたムーンストーンを私の手に握らせた。「でも交換だよ」と彼は言った。まるですでに合意済みとでもいうかのようだ。
「この羽は私にとってとても大切なものなの。あなたくらいの年の頃から持っていたのよ!」
あの大きな青い目に輝いていた好奇心に誘われてか、私は彼にインドリクの物語を話し出した。それはインドリクを探す私の物語へと繋がっていった。子供の頃と、大人になってからの両方の物語。そして私は彼の手にムーンストーンを返そうとしたが、彼は受け取ろうとしなかった。
「その物語となら交換してもいい」と彼は言った。まるで私が何かのゲームに勝ったみたいに。
私はムーンストーンを見つめた。「これを物語と交換できる?」
「物語でも、歌でも、羽でも。まっとうなものなら何とでも」と彼は言った。交換と取引についての子供なりの考え方だったのかもしれないが、彼が正当だと思ったのなら、私もそう思うことにした。
「ミズビとそのドラゴンの物語を知っている?」
「あの古い話?知らない人なんているの?」
私は知らなかった。彼や他の遊牧民のように、そらんじてはいない。少なくとも、今は。私は彼の腕をつかんで、ムーンストーンをその柔らかい掌に置いた。「ならそれを話して」と私は言い、筆に手を伸ばした。「ゆっくりとね。今度は私がそのドラゴンを見つけるんだから」
ウルフシルドの記録:ネッチUlfsild’s Log: The Netch
私のささやかな蔵書庫が命を宿したように感じる。時々、どこを見ても新しい本があるような気がしてくる。自分が持ってきた覚えもない本の中で、新しい秘密が発見されるのを待っているような。
この前、本棚の間に立って何か興味深い本に没頭していた時、シャツの後ろが鋭く引っ張られるのを感じた。(当然)狐だろうと思って振り向いたけど、誰もいなかった。他の状況だったら、私も薄気味悪く感じただろう。しかしなぜか、気分が軽くなった。まるで私を読書から引き離した奇妙な力は、ただ私が少しの間不思議そうに顔を上げることを望んでいただけのような気がしたのだ。
私は数分の間本棚の周りを歩き回り、角を覗き込んだり、脇によけておいた本の束を抜き足差し足で通り過ぎたりした。少々滑稽だったかもしれないが、幽霊の力の痕跡はなかった。
私は読書に戻ったが、同じことがさらに二度も起きた。まるでゲームのような感じがしてきた。私が読書に完全に没頭した瞬間、見えない力はどんなことをしても私の注意を引こうとしているみたいだった。次に同じことが起きたら、何も気づかなかったふりをしよう。無視されていると感じたら、見えない力はどうするだろう?
***
今日、私はスコラリウムのあの場所に戻った。私の本が巨大なリスの形に配置されていることに気づいた。読むべき資料を片づけ、近くの本棚を軽くチェックした後、私は腰を落ち着け、見えない遊び相手が戻ってくるかどうか待ってみることにした。
数分後、それは戻ってきた。昨日よりもさらに熱心な様子だった。服をしつこく引っ張る相手に向き直りたい気持ちを抑えて、私は自分の作戦を忠実に守るため無視を決め込んだ。どうやら相手は意気を削がれたらしく、その後数分間は静かになった。
この生物の気分を害してしまったかもしれないと思い始めたその時、本がまるで自分の意思を持ったかのように私の手から飛び出し、私の目の前に浮かんだ。突然このような子供じみた反撃を受けた私は驚き、つい笑顔になってしまった――他にどう反応しろというのか?渡さないゲームがそれに続き、見えない遊び相手が私の手の届かないところに本を引っ張り続けるのを見て私はまた笑った。
浮遊する本が大仰な動作で道を指し示す中、私は広間から広間へ導かれていった。ついに一番離れた書斎にたどり着いたが、そこは建設はしたもののまだ本を置いていない部屋だった。私の周り中から力の空気が放出された。インドリクほど陰鬱でなく、グリフォンほど真剣でない。私が思い浮かべたのは子供部屋や、芸術家の工房に近いものだった。創造と喜びの場所だ。
扉をくぐると、そこは…別の場所だった!陽光を浴びた海辺の地だ。浅い水辺をかき分けて進んだが、私の足はまったく乾いていた。親切な魔術だ。
温かい陽光を浴びていたのは大きな、光を発するネッチだった。それは海風の中で嬉しそうに揺れており、私が近寄ると抱きしめようとするかのように触手を伸ばしてきた。なぜか、私はネッチに害意がないこと――むしろその反対であることがわかった。
多くの触手が私の体の周りに優しく巻きついて抱きしめ、感触を確かめた。「こんにちは」と私はようやく声を出した。
私が口をきくとネッチは触手を緩め、1本だけが私の肩にかかった状態になった。「お前はとても心がふわふわしている」とネッチは言った。
「それはどうも…?」と私は返した。
「どうしてお前はそんなに元気なのかな?お前の器はどうしてそんなに、ネッチっぽくない?」
「ここにいるからよ。魔術と不思議に満ちている。楽しくないはずがないでしょう?」と私は言った。
これを聞いて、ネッチは少し高く浮いたようだった。「ああ、気に入ったよ!楽しいゲームをいっぱいしよう、ネッチじゃない人!」
私は微笑んだ。「私の名前はウルフシルドよ」
「ウルフ、シールド」ネッチは私の名前を思い定めた。「ウルフシルド、私は一緒に遊びたいと思う。お前はどうかな?」
私は躊躇したが、一瞬だけだった。「そうね、何をして遊びたいの?」
カール:歴史家助手Caal: Assistant Chronicler
フィラルディルの使い魔、商人
これは私の大切な使い魔、カールだ。彼女とは何年間も共に過ごしてきた。どうかカールに最大の敬意と優しさをもって接してくれ。売り子として、歴史家助手として、魔術師ギルドの立派なメンバーとして。
彼女はプロだ。まっとうに接してくれれば、あなたにもまっとうに応対するだろう。
カラスの寓話Fable of the Crow
カラスは話すこと、旅すること、光るものが好きだった。森の中で彼女の呼び声に答えた者、彼女に並ぶ知恵を持つ者は1羽だけだった。それはハンサムで孤独を好み、長く生きてきたことによる知恵を持つレイヴンだった。
しばらくして彼らは一緒になり、力を合わせて大きな巣を作った。森の魔法のすべては彼らのものだった。
カラスは光るものを集めた。森の友達からの贈り物だ。最初、レイヴンは色々な疑問を持った。
「この力の贈り物の価値はわかる。だがこの謎の贈り物にはどんな価値がある?」
「これは私の好奇心に報いてくれるの」とカラスは答えた。
「ではこの忠誠の贈り物は?」
「それは私を守るためよ。私たちの友情を強めてくれる」とカラスは説明した。
「意外な慈悲を数多く受け取っているんだな」とレイヴンは感想を述べた。
「私の友達は優しいのよ。分かち合うのはいいことだわ。私たちの巣と同じ!私たちのためには十分な空間があるし、私たち以外も入れる」
レイヴンはこうしたガラクタにすぐ興味を失ったが、カラスがそれで喜ぶことを理解したので、そうした贈り物を彼女が巣の下にため込むことで文句は言わなかった。
ある日、レイヴンはカラスに巣を交換しようと考えていることを伝えた。カラスはとてもがっかりした。レイヴンは一体何を巣と交換するつもりなのだろう?それに誰と?
彼はある見知らぬ者が星と交換しようと持ちかけたのだと話した。彼の目はカラスが見たことのない期待に輝いていた。レイヴンはそんな輝かしい贈り物があれば、どんな素晴らしいことができるかを語った。
彼の中で何かが変わってしまったのだろうか?それとも前からずっとこうだったのか?カラスにはわからなかった。カラスには彼を止めることもできなかった。レイヴンの取引が動き始めてから、もう手を引くことはできなかった。
クラススクリプトの謎The Class Script Conundrum
冒険者よ!
ギルド中の友人や歴史家仲間を通じて、秘術の羊皮紙片が興味深い場所に姿を現しているという話を聞いている。この「紙片」はドラゴンの専門であるシグネチャースクリプトと同じ魔術的性質を持っている。
どうやら、様々な宝箱が現在、この羊皮紙片の追加によって「改良」されているらしい。現在までに受けた報告で、これが手に入る場所は以下だ。
– 古代のダンジョン
– 冒険者同士のバトルフィールド
– シロディールの前線
– メイルストロームやドラゴンスター・アリーナなどのバトルアリーナ
– クラウドレスト襲撃やホール・オブ・ファブリケーション探検など、大規模な冒険
– 達人の依頼の報酬箱からも!
あの信用ならぬドラゴンが頭を捻って作り上げた、実に厄介な問題だ!奴の神秘的な馬鹿騒ぎの答えを、君が見つけてくれることを願っている!
グリフォンの寓話Fable of the Gryphon
〈ページが本から破り取られていて、本の外装だけが残されている〉
グリフォンの寓話Fable of the Gryphon
〈ページが本から破り取られている〉
「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。
ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」
彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。
トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!
「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」
「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」
「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。
だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」
しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。
その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…
〈さらにページが破られている〉
狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。
路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」
「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」
ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」
グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」
ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。
「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。
「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう」
「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ」
グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない」
だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく」
〈ページが破られている〉
フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。
フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。
ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。
ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。
リフテンの東からフォーレルホストへ旅して、近くに別の洞窟か空洞がないか調べましょう。一緒に来るようシャルを説得できるかもしれない。あれからしばらく
〈さらにページが破られている〉
威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。
夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。
「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。
「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」
闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。
グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。
だがその時にはすでに遅かった。
ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。
グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた
グリフォンの寓話(注釈付き)ページ1Gryphon Fable (Annotated) Page 1
〈ページが本から破り取られている〉
「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。
ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」
彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。
トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!
「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」
「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」
「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。
だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」
しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。
その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…
グリフォンの寓話(注釈付き)ページ2Gryphon Fable (Annotated) Page 2
〈ページが本から破り取られている〉
…狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。
路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」
「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」
ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」
グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない。」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」
ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。
「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。
「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう。」
「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ。」
グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない。」
だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく。」
グリフォンの寓話(注釈付き)ページ3Gryphon Fable (Annotated) Page 3
〈本から引きちぎられたページがある〉
…フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。
フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。とすると、ブロークンヘルム洞窟か。
ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。
ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。
グリフォンの寓話(注釈付き)ページ4Gryphon Fable (Annotated) Page 4
〈ページが本から破り取られている〉
威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。
夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。
「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。
「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」
闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。
グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。
だがその時にはすでに遅かった。
ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。
グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた。しかしグリフォンは…
グリフォンの守護Safeguards of the Gryphon
健康の守護
東のリフトにおいて、かつては神聖だった地が虫の教団に蹂躙された。奴らの血で大地を染めてもよいが、希少な薬草フォックスルートをこの地域で探し、持ち帰れ。
深淵の守護
リフトにある多くの洞窟や遺跡、砦を探検せよ。広間を汚している強敵を1体葬り去れ。
腐敗の守護
リフトの街では、悪徳商人が水で薄めた生薬を扱い、貧民を食い物にしている。そうした売人を探し、その強欲の報いとして財産を盗んでやれ。
死の守護
リッチはアンデッドの中で最も強大な存在であり、生者に対する暴君として振る舞う。リッチはしばしばその不死の源泉として聖句箱を持っている。リッチのカルウリオン、ネリエンエス、狂乱の建築家のうち1体を探して倒せ。リッチの力の断片を持ち帰ること。
盗賊の守護
狐と過ごしたことで、私は富の賢い再分配の価値を学んだ。盗賊ギルドは彼らが強奪と呼ぶ冒険の手がかりを提供している。それを2つ完了し、証拠として狐目石を一組持ち帰ること。
星の守護
エセリウスの欠片は誤った者の手に渡れば危険な武器だ。こうした以前力を持った石の欠片は、今でも古代アイレイドの遺跡に眠っている。シロディールへ赴き、ベルダ、リンダイ、サルダヴァー・レードの遺跡でこうした欠片を探せ。
グリフォン分析の印Sigil of the Gryphon Analysis
なんてことだ。グリフォン棟を完成させる途中でいつものように自分の店へ戻ったら、あの狐が私の店を荒らしているじゃないか!哀れなカールはわめいたり唸ったり、我を忘れているようだった!追い返したが、あれが口をきき始めると、何とも可愛くて…うーん、あんなに可愛い獣に出会ったのは初めてだと言えるだろう。しかしカールはまだ怪しんでいる。
とにかく!君がグリフォンと協力した一番明らかな成果は、現在スコラリウムを潜在的な脅威から守っている、素晴らしい動く鎧のコンストラクトだ。またグリフォンの力の封入はタムリエル中に、新たな活動の秘密の繋がりを生み出している。ここスコラリウムでは、かなりの数のフォーカススクリプトを見つけたよ。いつでも使用できる状態だ。
同様に、魔術師ギルドにいる私の情報提供者も、報酬箱にフォーカススクリプトが現れたことに驚いていた。他の冒険者との戦闘に参加する冒険者も、「功労者」報酬(専門用語ではそう言うらしい)にこのスクリプトを見つけているし、洞窟を探検する者も、この貴重な羊皮紙片を手に入れているようだ。
実に多様な場所から見つかっている!さらなる調査が待っているぞ!素晴らしい!
ジュリアンのメモJulian Notes
ナーリア、
仮のメモを作れと言われたので、いくつか作っておいたわ。あなたのスコラリウムで私が好きになれないものの短いリストよ。
– 古い本の匂い。ロマンチックに考える者もいるけど、あれはただのカビの堆積よ。私のアレルギーを悪化させる。古代の書物を分析するということは、私が好きなものの残骸から永遠に病気をもらい続けるということじゃない。
– 本を汚す者。毛むくじゃらで優しくて、可愛くても…まあ、狐はそんなに悪くないか。
– 古代魔術の存在によるいたずら。面白い冗談だと思っているらしいけど、まるで面白くないわ。
– 中に入って新しい魔術の形式を発見していく侵入者ども。私だってやれたことなのに。
– 謎かけ!私たちは子供か何か?コンコン、どなた?いや、いいわ。どうでもいいし、私はまた巻物に取り掛からないと。
スルジェグの行軍Thulgeg’s March
追憶者クラルサ 著
長年の間、ホロウ・ウェイストのオークたちはラ・ガーダに力強く応酬してきた。だが沿岸のレッドガード諸王国は年を経るごとに力を増し、砂漠のオークたちの砦は次々に陥落していった。
その当時、戦士長スルジェグが成人した。彼は北と西、南を見て、民に向かって言った。「我々は敵に囲まれている。なのにクランたちはいがみ合っている。我々は一つの旗の下に力を合わせるか、でなければ孤独に敗北するだけだ」
砂漠のクランたちはスルジェグの言葉を聞き、その勢力を集めた。ヘガセからの部隊がクラン・コルクフグの砦に押し寄せた時、スルジェグは砂漠のクランすべてをコルクフグの防衛に向かわせた。彼はヘガセのレッドガードに手痛い敗北を味わわせ、石壁に覆われた彼らの街へと追い返した。この勝利を記念して、集結した首長たちはスルジェグを戦士長と呼び、彼の導くところならどこへでも従うことを誓った。
しかしスルジェグは、勝利のうちに敗北の種を感じ取った。結束したとはいえ、クランたちにはヘガセの壁を打ち破る力が欠けていた。戦士長は丘の上に立って街を見下ろし、長い間考え込んでから降りてきた。
「我々の故郷は三つの開いた扉を持つ家だ」とスルジェグは砂漠の首長たちに言った。「海は我々の砂漠の三方を取り巻いている。すべての方角から同時に襲ってくる敵との戦いに勝つことはできない。だが東になら、山脈に背中を預けられる。我々は槍ではなく、足を使って生き延びねばならない」
スルジェグの言葉を聞いた者たちの心は重かったが、彼の言うとおりであることを理解した。レッドガードが戦力を集めている間、砂漠のクランたちは鍛冶場へ行き、運べるものすべてを集めてきた。そしてスルジェグは彼らを東へと導いた。多くのゴブリン部族が彼らに加わり、数を増していった。
ティゴナスの峡谷を越えてスルジェグは歩んだ。どんな激戦にも劣らない、喉の渇きと苦痛に満ちた旅路だった。フォールンウェイストでは、ヘル・ラのレッドガードが彼を阻止しようとした。だがスルジェグは千人の戦士を前衛部隊として率いて彼らを防いで道を切り開き、砂漠のクランたちはその後に従った。
北へ方角を変え、スルジェグはバンコライの門にたどり着いた。彼は渓谷に敵対されるより前に山脈を越えたかった。しかしスルジェグの行軍の噂はクランよりも先に到達し、ハイロックの戦士たちは渓谷の防衛準備を整えていた。またしても、スルジェグは戦士たちを敵に向けて放った。だが長い一日の戦いを経た後でも、守りは崩れなかった。
レッドガードの大部隊が足元に集結しつつある今、スルジェグは鉄槌と鉄床の間に挟まれたことを知った。彼は首長たちを呼び集めた。「留まることはできない。だが敵から逃れることもできない」と彼は言った。「クランたちを闇に乗じて山脈へと進ませよう。だが野営の火は燃やしたままにしておく。私は五百人の戦士と共にここに残る。それで敵は我々がまだここにいると思うはずだ」
クランたちは将軍の命じたとおりにした。3日の間、スルジェグはひたすら攻撃のそぶりを見せ続け、ハイロックの勢力を壁の向こうに留めると同時に、レッドガードの部隊をバンコライ北に引きつけ、その間に砂漠のクランたちを山脈へと退却させた。それが済んだ後ようやく、スルジェグと生き残った少数の者たちも脱出を始めた。
レッドガード部隊がバンコライの壁の前の無人の野営地にたどり着いた時、彼らは死者たちを見て、放棄されたテントを見た。そこで彼らは立ち止まった。砂漠のクランたちを最後のオークに至るまで滅ぼしつくしたと思い込んだのだ。だが戦士長の民は生き残った。スルジェグはこの後彼らをロスガーへと導き、そこでオルシニウムの基礎を築くのを助けたのである。
チャイマーにおける変化A Change in the Chimer
アレッシアに選ばれし者、カルロッタ・マロ 著
我々の時代を、奇妙な出来事が浸食し続けている。まずはレッドマウンテンの戦い、その次はドゥエマーの消失、そして今度はチャイマーにおける突然の身体的変化だ。
もちろんこの事件に関しては、手っ取り早くゴールドを稼ぐことを目的として誇張された記述がすでにシロディール中で流通している。「彼らの濃い肌の色は時代の終焉を告げている!」「彼らの目を見つめていると、オブリビオンへ引き込まれてしまうだろう!」というようなものだ。
こうした戯言の一部は事実として主張され、明日の若者に教えられてしまうだろう。それゆえ学者として、私はこの「ダークエルフ」と呼ばれる者について自分が直接見たことを記録する使命を自らに課した。彼らの皮膚は灰であり、目は溶岩のような赤だ。これをレッドマウンテンの呪いと呼んでいる者がいるのも理解できる。しかし彼らの性質は変化していない。だとすれば、彼らの外見の変化は本当にこれほどの大騒ぎに値するのだろうか?
ダンマーにせよチャイマーにせよ、自分たちなりの生活を続けているし、誇り高き伝統を持つ民族であることに変わりはない。そして明るい未来を持つことも疑いないだろう。親愛なる読者よ、これこそ私が知る事実である。
ドラゴンの寓話Fable of the Dragon
謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。
ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。
その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。
賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。
ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。
次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。
「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」
爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。
ついにミズビが「松明だ!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。
ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。
彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。
ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」
歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。
「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。
二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。
「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」
「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」
ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。
だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」
ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。
ドラゴンの寓話Fable of the Dragon
謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。
ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。
当然ながらリーパーズ・マーチね。
その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。
賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。
ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。
この寓話を真に受けすぎたのは間違いだった。私の2つ目のメモは、ホール・オブ・コロッサスの脱出どころか、スームとドラゴンがいかにして人の頭の中に住めたかという話に脱線した。簡単よ。ジャゼンジ・シーラはデューンのすぐ西にある。
次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。
「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」
爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。
ついにミズビが「松明!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。
ろうそくか、不穏だけど結婚かと思った。これはド・クリン修道院でしょう。ここでいう「爪」は爪の教団のモンクに違いない。
ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。
彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。
ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」
歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。
「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。
カジ・ラウリス。あそこは何年も前、シャルと一緒に初めてサマーセットへ行った時に通り過ぎた。素敵な場所よ。
二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。
「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」
「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」
洞窟かと思った。ミズビによるとそうではないけど、間違ってもいない。この柳の森は見た気がする。名前の由来になった村よりさらにずっと南にある。
ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。
だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」
ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。
ドラゴンの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Dragon
スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンの寓話の中に出てくる謎について話し合った。関係する場所はすべてリーパーズ・マーチにある。
寓話の中で出てくる順番は以下のとおり:
信奉者ラーレンによると、ジャゼンジ・シーラはシロディール語に翻訳すれば「ジョーデの光」らしい。遺跡はデューンのすぐ西にある。そこで最初の結界を探す。
カラスはド・クリン修道院がラウル・ハ南西の、水の三日月の上にあると言っていた。そこで第二の結界を探す。
ナーリアはグリムウォッチ砦がカジ・ラウリスの遺跡の上に築かれたと言っていた。これはリーパーズ・マーチ北西にある。そこで第三の結界を探す。
最後に、ジュリアンはリーパーズ・マーチ南にある柳の森と呼ばれる村の話をしてくれた。ドラゴンの翼への扉は村自体から南の森にあるかもしれない。おそらく洞窟の近くに。
ドラゴンの謎Riddles of the Dragon
戦いの謎
前へ進み、六体の最強の敵を、砂丘が月の下の黄金の平原へと道を譲る場所で刈り取れ。
戦争の謎
戦争に苛まれ、三つに引き裂かれた地の下から、木が割れ、藁が見つめ、カエルが足を休める場所で戦利品を略奪せよ。
月の謎
命令を受けた爪によって守られた修道院の庭より、暗い月の光の中でのみ咲くものを摘み取れ。
狩りの謎
太陽の祝福を受けた地、ミズビとそのドラゴンが逃げ出した地で獲物を追跡せよ。赤色の歯と爪が獲物だ。
ゲームの謎
苦痛や刃、死を欠いた戦場にて、名声や後援者の愛をかけて敵と戦え。
富の謎
リーパーズ・マーチの三つの主要な集落にて、没収された二組の戦利品を探せ。
ドラゴンの謎(回答)Riddles of the Dragon (Solutions)
スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンが示した謎について話し合った。彼らは謎の解き方について、いくつかの手がかりを与えてくれた。
ラーレン:富の謎
リーパーズ・マーチの金庫からドラゴンにとっての「宝」を探して盗め。2つの研究者の発見物からメモを手に入れて戻って来い。発見物はラウル・ハ、アレンシア、デューンに1つずつある。
ジュリアン:ゲームの謎
テイルズ・オブ・トリビュートの勝負に勝て。
イルナード:戦争の謎
シロディールに行ってヘイノート洞窟、クラックウッドの洞窟、毒キノコ洞穴のどこかで宝を探せ。
ナーリア:狩りの謎
リーパーズ・マーチで獣を倒せ。
ナーリア:戦いの謎
リーパーズ・マーチでグループボスを倒せ。
カラス:月の謎
リーパーズ・マーチのド・クリン修道院に生えるベントの踊りの花を集めろ。
ドラゴン分析の印Sigil of the Dragon Analysis
他の者たちから、ドラゴンの基準に見合う謎かけを作るという試練を君が成し遂げたと聞いている。よくやってくれた!君の努力がタムリエル中で魔力の変転を引き起こしたのは間違いない。ドラゴンの力の封入により、私はスコラリウムの奥の広間を歩き回っている間、いくつかの新しいシグネチャースクリプトを見つけることができた。
さらに魔術師ギルドの私の情報提供者は、悪名高い凶悪な怪物を倒した報酬の箱から、シグネチャースクリプトが現れることに気づいた。またシロディールで三旗戦役に参加した場合も同様らしい。戦士ギルドの鈍重な連中も、見たところ報酬にシグネチャースクリプトを見つけたそうだ。しかしこれほどの秘術のデザインの結晶を、彼らがどう処理するのかは想像もつかんね。
そして他ならぬアークマギスター、ヴァヌス・ガレリオンが君の働きに注目していることを知らせておこう。彼は様々なスタイルのスクリプトをいくつか、大陸中のギルドホールで研究用に公開するために補助金を出している。詳しくは達人たちに配布されているチラシを見て欲しい。
実にお見事だ!この調子で続けてくれ!
ナーリアの日記1Nahlia’s Journal 1
ついにやってのけた。信じられない!私は正式にランプ騎士団の騎士になった!これから私は信奉者として、私なりの方法で魔術師ギルドに奉仕することになる。もちろん、父は私が教室の達人たちと一緒にいることを望んだだろうけど、私はいつも魔術より剣のほうが理解しやすいと思っていた。
もう最初の任務を受け取った。達人の小さなグループに付き添って、明日の夜明けにアイレイドの遺跡へ行く。特別なことは起きないだろう。彼らは建物の入口付近でルーンを調査するだけだ。そんなに危険だとは思えない。
***
どうやらギルドはまだ、私だけで達人たちを守れると信じてくれてはいないようだ。今回の旅にはもう一人信奉者が来る。ラーレンというダークエルフだ。彼は私と比べてそれほど経験豊かなわけではなく、私より一つ階級が上な程度だ。広い目で見れば、私たちは二人ともまだひよっこだろう。
少なくとも、彼はこのグループの魔術師たちより話しやすい相手だ。私が以前は彼らの仲間だったせいかもしれないが、魔術師は私たちの存在を余分だと感じているのがわかる。魔術があれば十分だと。確かに、何かがあれば彼らの大半は自分の身を守れるだろうけど、マジカは枯渇する。私は剣を振る力さえ残っていれば戦える。
目的地が近いようだ。達人たちが活気づき始めているし、足の痛みからするともうかなり道を進んできたはずだ。魔術師たちがルーンか何かを調べている間に、少し休息を取れるといいけど。
ナーリアの日記2Nahlia’s Journal 2
ラーレンに感謝しなければ!彼がいなければ、私は今頃生きていなかったかもしれない。
いや、待って。話が飛んでしまった。最初から書かないと、後になって意味がわからなくなる。記録は得意ではないけど、これは重要なことだから。
遺跡に到着した後、しばらくは静かだった。遺跡は一般的に危険とみなされていない、コロヴィアの絵に描いたように美しい地区にあった。信奉者ラーレンと私は交代で周辺を巡回したが、過剰な警戒だと感じた。達人たちは遺跡の中へ続く古い扉の近くで、扉に刻み込まれたルーンをメモのルーンと対照させ、何か書き込んでいた。私はラーレンに休憩を取ろうと呼びかけようとしたが、その時ある達人が叫び声を上げた。
理由も方法もわからないが、彼らは扉を開いたのだ。予定にはない行動だったが、それだけなら問題はなかった。だが遺跡の中から怒れるゴブリン部族が押し寄せてきたのだ。イフレの髭にかけて、あんなに怒り狂った集団は見たことがなかった。確かによそ者がいきなり家に侵入してきたら、私も怒りはするだろうが。
達人たちは素早く呪文を唱えて身を守り、メモを胸元に抱きかかえて退却した。ラーレンは獲物を狩る狼よりも素早く、達人たちとゴブリンの間に割り込んで剣を振るった。気づいた時には私も彼の隣で敵の中にいた。信奉者の訓練がしみついていたのだろう。私の体は、精神が追いつく間もなく反応していた。
私たちはそうしてしばらく戦った。ラーレンと私はお互いをかばいつつ、ゴブリンと達人たちの間に緩衝地帯を作った。ありがたいことに、ゴブリンたちの数はそこまで多くはなかった。それにゴブリンは、どうやら遺跡に戻っていく様子を見せていた。
私は振り返って、達人たちが全員無事に逃げたかどうか確かめた。私の注意が逸れたのを見て、大胆なゴブリンが私の足首を捉えて地面に引きずり倒した。
信奉者訓練のルールその1、戦場では足を地面から離さないこと。やられた。最初の任務で命を落とすとは。しかもゴブリンごときに!
その時、自分がこんな考えを抱けるほど長い間倒れていて、しかもまだ死んでいないことに気づいた。そこでラーレンを見ると、彼の顔は集中で引き締められていた。ラーレンはゴブリンの群れを単独で食い止めていた。彼の顔は傷だらけで血にまみれていた。地面に倒れた私を守るために、あえて敵の攻撃を身に受けていたのだ!
それを見て私はすぐ行動に移った。飛び起きて立ち、剣を構えた。しかし起き上がる時に、何かが違うと感じた。お腹に鋭い痛みを感じ、指先がゾワゾワした。この感じは前にもあった。ごくたまにだが、魔術師ギルドのクラスルームにいた時だ。私に流れる魔力が、解放されるのを求めているのだ。
私は逆らわなかった。両手を伸ばし、エネルギーを外に向け、私が唯一得意とする魔術の要素に変えて放った。ポータルだ。
他の達人たちはためらわなかった。ゴブリンたちは退却していなかったので、これ以上調査ができないことは明らかだった。彼らは家へ戻るポータルに飛び込んだ。ラーレンはまだ戦っており、今や息を切らしていた。
ラーレンに呼び掛けると、彼は私が召喚したポータルを見て眉を上げたが、すぐに理解した。私に向かって短いうなずきを返すと、ラーレンは乱闘から逃れて頭からポータルに突っ込んだ。私もすぐ彼の後ろを追い、通り抜けた後に背後で魔力の流れを断った。最後に聞こえたのは、獲物に逃げられたゴブリンたちの怒れる叫び声だった。
***
この最初の任務について両親にどう伝えるか、まだ決めていない。ギルドによく仕え、達人たちを守ったことは誇りに思ってくれるだろうが、両親は私が守る側ではなく、守られる側にいることを望んでいる。それでも、最高の気分だった。ラーレンは私が素早く脱出させたことに礼を言ってくれたし、魔術師たちさえ私のポータルの能力に感心したようだった。
ナーリアの日記3Nahlia’s Journal 3
ギルドから最新の任務を受け取った。上級の達人たちと一緒に、ある放棄された砦を探索する。危険があるかもしれないので、この任務に私が指名されたそうだ。この数年間で、私のポータルはギルドにとって欠かせないものとなった。本当に名誉だ。
しかし、ジュリアンと付き合わなければならない。
彼女が嫌いというわけではない。才能はあるし、これまで私が見た中でも特に優秀な達人だ。でも彼女は私がアルケインの研究を続けず、信奉者となったことに一切理解を示さなかった。あの人は剣術にまるで敬意を持っていない。
まあ、任務だから仕方ない。
***
旅の始まりは平凡だった。数人の魔術師がいて、ラーレンと私が護衛。私たちは砦を見つけて、中に入った。伝説によると、この砦の以前の所有者は魔術に関する希少本の収集を趣味としていたらしい。だから書斎が私たちの最終目的地だ。
しかし伝説になかったのは、所有者が何者かに貴重な本を盗まれるのではないかという考えにとりつかれていたことだった。私たちがその「何者か」ということになるようだが、死者が本を読めないのはイフレもご存じだ。とにかく、この場所はどこもかしこも罠で埋め尽くされている。
最初、ジュリアンはラーレンと私がグループのために道を確保する作業をしなければならないことに苛立った。彼女はさっさと本を手に入れて、この陰気な城から出たいと思っていたのだ。
杖から魔力の光を放出して明かりにすれば、前の危険くらい十分見えると彼女は主張した。私はあきれたが、そんなに望むならと先頭を行かせてやった。私たちは少しの間広間を進んだが、床に置かれていた妙な形の石板が私の注意を引いた。
私が警告を発する前に、ジュリアンは石板を踏んだ。気づかずに罠を起動させてしまったのだ。
ジュリアンは振り向いて私を見たが、飛びのいて避ける様子がないことは見てわかった。私は何も考えずに彼女に体当たりして床に突き飛ばし、私たちの側面の壁に隠されていた巨大な刃の振り子を間一髪で回避させた。
もう少しで刃にかかるところだったと気づいて、ジュリアンの顔は怒りからショックへと変わっていった。
ナーリアの日記4Nahlia’s Journal 4
埃っぽい広間で上に折り重なった私の顔を真っすぐ見つめて、ジュリアンはただ「素早いのね」とだけ言った。しかしその後は、ラーレンと私を先に行かせてくれた。
(スパイクの穴を2つ、トラバサミを1つ、毒のダーツを3つ抜けた後で)ようやく書斎までたどり着いた頃には、もう全員さっさと本を手に入れてずらかりたい気分になっていた。
書斎はカビ臭くて蜘蛛の糸だらけで、凍えそうなほど寒かった。まるで墓だ。壁に沿って並んだ本棚には古代の魔術書が大量に入っていて、私でさえ見てみたいと思うほどだった。部屋の反対側には木の机があり、その奥には王の衣装を身につけた骸骨が座っていた。骸骨の伸びた手は巨大な革表紙の本の上に置かれていた。これが蔵書の最重要品だった。骸骨は明らかに砦のかつての所有者のものだろう。死んでもなお自分の本を見守っているのだ。
ラーレンと私は手早く部屋内の罠を確認した。何も見つからなかったので、私たちは入って必要なものを取れと魔術師たちに合図した。しかし何かがおかしい気がした。砦の所有者はなぜ、自分の蔵書庫に最後の守りを用意していないのだろう?
私はジュリアンを見やったが、彼女はまだ注意深く本棚を調べていた。机を見ると、若手のある達人が骸骨の手から本をもぎ取ろうとしていた。
「馬鹿、やめなさい!」とジュリアンが叫んだ。
遅かった。骸骨は虚ろな目の穴から不吉な光を発して動き出した。達人は叫び声を上げて逃げようとしたが、骸骨は彼女の腕をつかんだ。ラーレンや私が反応するよりも早く、ジュリアンはマジカの衝撃波を放った。骸骨の顎がカタカタと揺れ、達人を掴む手が緩んだ。
達人は本を元の場所に残し、部屋の反対側に逃げ込んだ。「信奉者、ポータルを頼むわ」とジュリアンは私に言った。
「でも本は?ここまで来たのに!」と私は言った。
「仕方ないじゃない。達人たちを無事に脱出させないと」。ジュリアンの目が燃え上がり、指の中に炎の玉を呼び出そうとしていた骸骨に向けてもう1発魔法弾を放った。
彼女の判断を尊重するしかなかった。ポータルは簡単に作れた。達人たちは退却したが、数人は逃げる際につかみ取った本を抱えていた。そしてラーレンとジュリアン、私だけが残った。
「行こう」とラーレンが言った。だがジュリアンはためらった。手ぶらで帰りたくないという気持ちが読み取れた。私も同じ気持ちだった。
「待って」とジュリアンは言った。彼女は私を見た。
「何をしている!?」ラーレンは飛んでくる火の玉をしゃがんでかわしながら叫んだ。
「いいから行って!」と私はラーレンに言った。ラーレンは言い返そうとしたが、共に戦ってきた数年間で、私たちの間には強い信頼が生まれていた。躊躇を飲み込んで、ラーレンは私の言うとおり、後ろを振り返ることもなくポータルに飛び込んだ。
ジュリアンはすでに呪文の準備をしていた。顔は完全に集中していた。「行くわよ、いい?」と彼女は言った。
私はうなずいた。
ジュリアンはそれ以上何も言わず、巨大なエネルギーの波動を骸骨に向けて発射し、骸骨を後方に吹き飛ばした。その間、私は前に突進して机までの数十センチの距離を詰め、骸骨が態勢を立て直す前に古代の書を手に取った。ジュリアンはすでにポータルをくぐって姿を消していた。私は振り返ってまず本を投げ込んでから、自分も飛び込んでポータルを閉じた。
出てきた時には軽く火傷していたが、こんなに満面の笑みが自分の顔に浮かんだのは実に久しぶりだった。それにつられたのだろう、ジュリアンさえも私を見て笑い出した。彼女と働くのも、そんなに悪いことじゃないかもしれない!
ネッチのゲームGames of the Netch
細工師のゲーム
細工師は次の発明が成功しなかった場合、取引に失敗する。フォーゴットンウェイストとヌシュレフティングスで強大な敵を倒し、細工師のための希少素材を集めろ。
名誉のゲーム
帝都で戦いが巻き起こっている。命を落とした兵士たちが正当に弔われていない。街にいるデイドラを倒し、この死者たちの形見を集めろ。
商品のゲーム
旅をする商人たちのグループが所持品を強奪された。ヴァシール・ディダナット鉱山で所持品を取り戻せ。
灰のゲーム
デイドラはヴァーデンフェル中で人々の生活を困難にしている。彼らを本来の領域へ送り返し、善良な人々が夜眠れるようにしろ。
漁師のゲーム
感染症が熟練の芸術家一家を脅かしている。ヴァーデンフェル周辺の川で捕まえた新鮮な魚を食べれば病気は回復する。治癒の宴のため、魚を獲れ!
鏡のゲーム
ウェストウィールドが攻撃を受けている。鏡に映った侵略のポータルから出てくるものから、この地域の農民たちを守れ。
フェッチのへそNable of the Fetch
ウルフシルドのお気に入りの啓発者に関するまったく本当の話
ある者はインドリクの力を求めた。想像力に欠ける桁外れに退屈な者で、力と権力に惹かれる。
ある者はドラゴンの力を求めた。自分の声を重んじる雄弁家とされ、他の者の考えを感嘆詞なしに聞き捨てない。
ある者はグリフォンの力を求めた。自分の考えに執着し、志を同じくする者で、独自性が一切なかったことに気づいていない。
その他の者、本当に有徳で快活な者のためにはネッチがいた。さっそうとして魅力的。華麗で均整が取れている。ネッチを知っていた者は皆、その存在だけで人生が軽く明るいものになった。誰かが何か、例えば島の聖域を愚かな本と交換しようとするなど、桁外れに愚かなことをしようとすれば、ネッチのしなやかな弦がその者を優しく導き、もっと生産性のあることに戻らせた。例えば妻を大事にするとか、手の爪を熱い鉄の火かき棒で掃除するとか、とにかく何か他のことだ。
他の啓発者はひれ伏した。「ああ、偉大で素晴らしいネッチ様!ぜひとも私たちの心を苦しめる緑の巨石を持ち上げるのを手伝ってください。あなたの胸のように私たちの胸も軽くしてください。官能的な夢を実現させてください!」
「もちろん私の魔法を使おう」と賢く慈悲深いネッチは言った。「率直に言って不公平な、私の輝きに合わせなくてもいいように」
ネッチはそのとおりにした。他の啓発者の信者はネッチの素晴らしさを見て、ネッチに寝返った。啓発者はそれに大喜びした!ネッチは彼らの好意を一身に受け、あらゆる所にいるあらゆる者が満足し、他に何も望まなかった。
ネッチの寓話(注釈付き)Fable of the Netch (Annotated)
これは普通でない幸運の物語。貧しき者によって見つけられた富。孤独な者が見つけた愛。ヴァーデンフェルはこうした物語で満ち溢れている。奇跡と呼ばれているものはトリビュナルによっても再現できなかったので、聖職者たちの注意を引いた。ルシラン司祭はこうした奇跡的な祝福の源泉を探そうとした。
ルシランはまず、グレイズランドの農村を訪ねた。そこではある子供が家から逃げ出し、街の南東の島に行った。そこは怪物だらけの危険な場所だった。だが捜索隊が少年を見つけた時、彼は餌をついばむ鶏の群れに混じって座っていた。子供はネッチが近づいてくる怪物に雨を浴びせ、鶏に変えたと言った。村は宴を開き、鶏たちを食した。鶏は腹を満たしたが、硫黄の味がした。この事件の一世代後になっても、島には怪物がいなくなったままだったという。
これは北東のヴォスの村付近でしょう。村の近くの島にはモラグ・バルに捧げられたデイドラの遺跡がある。街のすぐ南東。まずはそこを当たりましょう。
そこから、ルシランはレッドマウンテンを迂回して北西に向かい、さらに南へ下ってストーンウッド沿岸の集落に行った。彼はあるキャラバンに出会ったが、彼女は二週間前に借金まみれで無一文だった。それが今では通行人を無料で運んでいた。
沿岸の集落?レッドマウンテンの南西にある、川のほとりの街。バルモラに違いない。
ルシランは商人にこの運命の転換を説明するよう求めた。彼女は川べりで通行人を待っていた時、ネッチが水の中から浮かび上がり、川の一番深い部分にいた彼女のシルトストライダーを驚かせた。シルトストライダーはパニックになり、すぐに沈んでしまった。キャラバンが後を追って飛び込むと、何年も前に行方不明になった通行客の船が見つかった。彼女はシルトストライダーを助け、高価な宝石の貨物を回収した。これは彼女の借金を返して余りあるほどの金額になった。
ルシランはキャラバンにその不思議なネッチについてもっと教えてくれと頼んだが、彼女は何も言わなかった。
その後、ルシランは道の途上で多くの孤独な月を過ごしたが、自分が堂々巡りをしていることに気づいた。彼は次にグレイズランドのザイナブへ向かったが、そこの住民はレッドマウンテンの麓の丘上にある遺跡を彼に教えた。
堂々巡りということは、北東に戻ってきた。ドゥエマーの遺跡ね。くしゃみのような名前の遺跡。ヌシュレフト。
遺跡の中で、彼はアッシュランダーの老人が、まるで孫に語り掛けるように空気へ向かって話しているのを見つけた。
「誰と話しているんだ?」とルシランは尋ねた。老人は、自分がこの遺跡の探検家だった頃、橋から落ちたのだと説明した。それで一巻の終わりになるはずだったが、下の溶岩へ落ちる前に、青白い触手が彼を捕らえた。触手は彼を無事地面に戻してくれたのだ。その日以来、彼はあの懐かしい存在感に触れたくなった時、いつでもこの遺跡に戻ってくるのだった。実際、老人の友のネッチは今やルシランのそばを漂っていた。老人はルシランが肩に触手を感じないこと、ネッチによって重さのない喜びの感情を味わわないことを知って驚いた。
ルシランは急いで立ち去った。だが教団のところへ戻った時、彼の発見は不十分と判断された。にもかかわらず、ルシラン司祭はこのネッチを諦められず、そんなものを信じていることで馬鹿にされた。
アズラ海岸の諸島を放浪していた時、ついに彼は幽霊のように青白く、動物でも霊魂でもないネッチを見た。哀れなルシランもついにネッチに会えたのだ。そして彼は体が浮き上がるのを感じた。
賭けてもいい。ルシランは沿岸にある古い魔道師の塔近くで、ネッチの領域へ通じる扉を見つけた。サドリス・モラよ。調べに行きましょう。
ネッチの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Netch
スコラリウムの仲間たちと、真のネッチの寓話の中で言及されている場所について話し合った。関係する場所はすべてヴァーデンフェルにある。
寓話の中に出てくる順番は以下のとおり:
ラーレン:ヴォス南東の島にあるデイドラの遺跡。
ナーリア:バルモラ
カラス:ザイナブの集落から北東のドワーフの遺跡
ジュリアン:サドリス・モラとテル・ガレンの塔の間
ネッチの秘密The Secret of the Netch
ネッチに関する秘密を読みたい?それなら、このネッチくらいふさわしい相手はいない。私の種族のより小さくて光の弱い者は、ふわふわした事柄に没頭しているから、知恵を授けてはくれない。
これはオブリビオンの知られざる秘密だ。ネッチはマジカの満ち引きを支配する。力の波を感じ取れるほど浮遊力のある者が他にいるだろうか?他の生物はほとんどが、地面に釘づけだ。彼らは張りついていて重く、空気の流れに調和するには硬直的にすぎる。ネッチだけが柔軟なのだ。我々の先端は、まさにオブリビオンを流れる力を吟味する手段として形成されている。
我々はもちろん、この秘密を隠している。このことが広く知られても、私たちの得にはならない。なにせ、エセリアルのエネルギーの流れを感じ取れるのだから、それに影響を及ぼすことだってできるはずだろう?波の流れに身を置いて、その近くにいることによって流れの方向を変えることも?いや、私が言ったことじゃない。
とはいえ、考えてみるくらいはいいだろう?
ネッチ分析の印Sigil of the Netch Analysis
なんて変わった生物だろう、ネッチというのは!スコラリウムの一点を漂って来たと思ったら立ち止まり、触手を一本伸ばして私の頭を撫でたのだ。本当だ!
しかし他の仲間たちに劣らず強大な存在だ。ネッチの力は書記の祭壇を通じて伝えられているが、この地全体に響き渡っている。魔術師ギルドの情報源からの信頼できる筋によると、アフィックススクリプトが新しく奇妙な場所に姿を現しているらしい。私も確かにスコラリウムの中で大量に見つけている。だから私の在庫にも、このスクリプトが増えると期待してもらっていい。
また、ダークアンカーやデッドランドのポータルなど、世界中の危険な場所で見つかる財宝の中にも現れていると聞いている。帝都の兵士たちが報酬の中から引き当て、アンドーンテッドも彼らの財宝の中に見つけているらしい。
さらにネッチの行いを原因として、輝くインクが採取可能なクラフト素材から流出するようになっていると考えられる。その理由や仕組みを説明せよと言われたら、超魔術的な仮説を数時間披露することもできるが…まあ、結局のところ、これもまた啓発者の罪のない「いたずら」だろう!とんでもないことだ!
フィランディルのスコラリウム体験Firandil’s Scholarium Experience
冒険者たちよ!あなたの歴史家はここにいる!気が向いたら会いに来てくれ。私はいつも友好的な付き合いを歓迎している!
必要なグリモアがあったら、いつでも私を頼ってくれ。私のスクリプトはギルドの達人たちが私の店を略奪するたび回転するようになっている。君が啓発者たちと関係を築くことで、彼らの力から新たな機会が生まれることを願っている。だが彼らの試練を完了するたび、私を訪ねてくるのを忘れないように。
それからもちろん、麗しのカールのことも忘れないように。あの召使は、ここスコラリウムで発見した数多くの美しい物品の貯蔵と売却を任せている。
近いうちに会えることを願って!
フバラジャードの征服The Conquests of Hubalajad
フバラジャード王子はこうして、砂漠の地ヘガセで自らの領地を獲得するため、ヘルネから56隻の船で出航した。沿岸は荒れ果てて過酷であることを見て、王子は方角を変えて南東へ向かい、肥沃なケフレムのブーツの半島へと行き着いた。
ここで王子は空っぽの土地に素晴らしい港を見出した。フバラジャード王子は彼らしく、この新たな故郷を踏む最初の者は自分であるべきだと考え、衛兵たちに海辺へ運ぶよう命じた。
ところが、王子の接近は凶暴なネードの部族に気づかれていた。彼らは浜の向こうにある丘に潜んで見張っていたのである。フバラジャード王子が船の舳先に壮麗な服装で立っているのを見て、不敬なるネードは矢を放ち、それは王子の被り物に刺さった。王子は水中に飛び込んでさらなる矢から逃れねばならなかった。
王子に対するこの侮辱に怒った強大なる戦士ラ・アバは海辺に降り、嘲笑う敵に突撃した。彼の髪の毛は年のせいで白くなっていたが、ラ・アバはフバラジャード王子の他の衛兵たちが追いついてくる前に7人のネードを屠った。彼らは蛮族どもを大いに殺して追い払い、王子はついに水をかき分けて上陸した。
近くに立っていた者たちは、フバラジャード王子が最初に上陸する名誉を奪ったラ・アバを叱責するだろうと思った。しかし王子は年老いた英雄を抱きしめ、侮辱に報復してくれたことを感謝した。「この場所はフバラジャーズ・ランディングと名づけようと思っていたが、運命と武勇は別の道を定めた」と彼は言った。「今この瞬間より、この地をアバーズ・ランディングと呼ぼう!」
そして、王子の命じたとおりにされたのである。
ミズビと魔法の扉(注釈付き)Mizbi and the Magic Door (Annotated)
吟遊詩人ミズビは長い間、ドラゴンの扉の向こう側で暮らした。ドラゴンの巣はミズビの頭の中にドラゴンが占めていた空間より遥かに広かった。ドラゴンは笑い話として、しばしばこのことを思い出させてミズビに嫌がられた。
「私の頭が小さいって言うのはやめて!」とミズビは言った。「私の頭は無限に大きいはずじゃない。無限に大きいお前のエゴを全部中に入れていたんだから!」
そんなことは可能なの?無限の中に無限を入れることは?
「とにかく、そんなことはいい。」とドラゴンは言った。「お前の頭を見れば、小さいことはわかるのだから。」
ミズビは唸った。ドラゴンは笑い続けたが、ミズビが本気で怒っていることに気づき、埋め合わせをしようとした。
「お前の頭が小さくないというのなら、証明するといい。私に謎を作ってくれたら、お前の望むものを与えてやる。もう二度とお前の小さな小さな頭のことは言わない。」
「謎?」
「不可能な謎よ。私が解くことのできない謎。」とドラゴンは言った。
ミズビはほとんど考え込む様子もなく、謎かけを提出した。
「手に入れるためには、諦めなければならないものは?」
ドラゴンは乗り気になった。これはよく考えなければ。だがミズビめ、これほど素早く思いつくとは。ドラゴンは唸り声をあげて考え悩んだ。双子月が満ち欠けした。そしてついに、ドラゴンはミズビに答えを求めた。
「その答えが答えよ」とミズビは言った。
ほら来た。
「手に入れるために、諦めなければならないものは?不可能な謎への答えよ。なぜなら一度その答えを手に入れたら、謎は不可能でなくなってしまうから。あなたは不可能なものを求めた。不可能な謎を――でも、どんなことでも可能なのよ。つまり不可能なのは――」
「もういい」とドラゴンは言った。「お前のその大きな頭にはうんざりよ」
この話の行方に気づいたかな、後継者。賢いだけでも、ドラゴンを言いくるめるだけでも十分ではない。ドラゴンを罠にかける必要があるの。
レッドマウンテンの灰The Ashes of Red Mountain
著者不明。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。
レッドマウンテンへの遠征を思い返す今も、乾いた不快な灰が私にまとわりついている。治療薬を探す旅で、私は自分の皮膚によって侵されてしまった。これはすべてのダンマーに与えられた神罰だ。ドゥエマーがどこに行ったか知らないが、彼らはさぞかし笑っているだろう。
レッドマウンテンには骨のかけらしかなかった。私は戦いに倒れた者たちの塵を吸い込んでいたのだ。私は残されたドゥエマーの秘密か、もしかしたら我が祖先のアーティファクトが見つかることを期待していた。私の力になってくれる何かを。希望は根拠のない噂に基づいていた。兵士たちの流言に。
力になるものがあったとしても、ドゥエマーと一緒に消えてしまったかもしれない。わからないし、どうでもいい。私は挫折と不安に負けたのだ。もう少しで死ぬところだった。
かつての私に戻ることはできない。今ではわかっている。受け入れるしかない。いずれネレヴァルの評議会が前に進む道を見つけてくれるといいが。明らかに、この宗教は…
恐れ知らずのグアルに関する船長の記録Captain’s Log of the Intrepid Guar
ここに書かれているのはインドリル商船、恐れ知らずのグアル号の船長トゥルセス・ガリルの航海日誌である。
第二紀572年、恵雨の月19日
快適な強風と穏やかな海でネクロムを出る。目的地はマークマイアのリルモス。新しいアルゴニアンの同盟者のため、武器と防具の積荷をたっぷりと積んだ。栽培の月までに港に着けることを願う。
第二紀572年、恵雨の月20日
快晴が続いている。乗組員がデシャーン沖に数隻のアルゴニアン漁船を発見。友好を示す笑顔を交わした。とにかく、私は彼らが笑顔をしていたと思う。
第二紀572年、恵雨の月21日
ブラック・マーシュから奇妙な霧が出てきている。緑がかっていて、異臭がする。霧の外へ出るため、船を沖の方へ移動させることにした。
第二紀572年、恵雨の月22日
霧は止むことなく、我々はまだ霧の外に到達していない。深い海域に放り出されるのを恐れて、南西の方角へ戻るよう乗組員に命じた。海岸線が見えることを期待しよう。
第二紀572年、恵雨の月23日
霧はまだ止まない。乗組員に命じてはしけを二隻放たせた。親船に結びつけ、しかし東と西に12ヤードまで移動できるよう緩めさせた。狙いは岩礁や岩の多い海岸線に突然行き当たった時、船体の損傷を回避できるようにすることだ。乗組員は4時間交代制ではしけに乗り込む。
恵雨の月24日
霧は止まず、現在位置はまったくわからなくなった。星もよく見えないため、正確な方角を定められない。
恵雨の月25日
船員を1人失った。西のはしけに乗っていた。まだ若い少年だった。ウヴレン・ファラム。父親が知り合いだった。彼の叫び声が聞こえたと船員は言う。はしけのシフトは誰も続けたがらなかったが、斥候がいなければ岩礁や砂州に座礁する危険がある。私がはしけの仕事に志願しよう。これで残りの船員もやる気を出してくれるといいのだが。
恵雨の月26日
西のはしけでのシフトの最中、霧の向こうに星が見えたように思った。ほんの一瞬だったので、目の迷いだった可能性も捨てきれない。だがあの時見えたものは…あんな星は見たことがない。
恵雨の月27日
船は何かの海流に捕まった。海流の勢いは凄まじく、船は突然海上を引きずられていくようだった。海流で切り離される前に、はしけの斥候を連れ戻せたのはよかった。この海流がどこに向かっているのかはわからない。切り立った崖ではなく、視界の開けた海域であってくれと願う。とにかく、船員は調理場に避難させ、最悪の事態になった時のため、船を衝撃に備えさせておく。
28日
海流は同じところを回っている。最初はよくわからなかったが、時間が過ぎるごとに、我々が何かの渦に巻き込まれていることがはっきりした。だがそうだとすれば、こんなものは見たことがない。この渦はとてつもなく大きいはずだ。考えられないほどに。
追記
船が軋んでいる。渦が支柱や鋲を痛めつけている。しかも嵐がこの船に向かってきているようだ。皆が恐怖している。とにかく回転が止まって欲しい。どうか、止めてくれ。
漂流1日目
起きたことをなるべく思い出そう。調理室に逃げ込むと大きな、雷鳴のような軋みが聞こえた。二等航海士はマストが二つに折れた音だと思った。その後は海のしぶきと砕ける木、叫び声の不協和音だ。私は気絶したのだろう。我々は船の残骸に囲まれて、海辺で目を覚ました。私が率いていた20人の乗組員のうち、見つかったのは7人だった。他の者たちは助からなかっただろうと思うが、まだ死体は見つかっていない。
現在地はまだわかっていない。植物が密集している。これまで見たどのジャングルにも似ていない。海辺を離れるのは危険だが、近いうちに物資が見つからなければ、食料を探しにジャングルへ入っていくしかないだろう。
漂流5日目
ここの虫は巨大だ。ダートウィングが大人のスクリブほどもある。そして獣はありえないほど大きい。鱗を生やした化け物だ。トカゲは丘ぐらいの大きさだ。今のところ、我々の存在を気にしてはいないようだが、このままでいてもらいたい。
漂流7日目
物資はほぼ底を尽きたが、食べられる植物は見当たらない。比較的小さなトカゲの怪物を狩ろうという話も出たが、群れを怒らせるかもしれない。
漂流12日目
ヴェナサ・オリルがある妙な木の陰で叫んでいるのを発見した。樹液を飲もうとしたらしい。話し合ったが…いや、彼女は埋めよう。海辺の近くに。
***
だが、それが何になる?
もう何週間も海辺沿いを歩いて、集落か我々の船の残骸を探してきた。大型の虫はそれなりの食糧になったが、一日ごとに弱っていくのを感じる。
***
皆いなくなった。彼らの名前を思い出すのにも苦労する。諦めるわけにはいかない。彼らのためにも。
***
地平線がない。石だけだ。アズラの星よ。地下?我々はずっと地下にいたのか?
空の口からの叫びCries from Empty Mouths
サイジック会のヴァレデリルによる翻訳
我々はシネストラル語についてわずかなことしか知らない。それゆえ一般的な言語に翻訳する努力は複雑なものとなっている。私はヨク語を最初の基礎として用いてきたが、関係民族の地理的な近接性にもかかわらず、二つの言語は大きく異なっている。とはいえ、以下に示す物語は、今日保管されているものの中で、可能な限り最もオリジナルに忠実な内容になっていると思う。
読む上では、韻文と散文の興味深い切り替わりにご注目いただきたい。これが美的な演出なのか、文化的な要素を体現しているのかは不明である。また、私は詩人としての技巧を誇ってはいない。私は創造的解釈よりも、翻訳に留めている。
***
戦いが沈黙して長き後
私は静かに、墨で滑らかになった石に座り
戦場に倒れた者たちを見つめた
嘆きの雲が私に向かって漂い
困惑する絶望に満たされた
私は戦賢者を探し求め
泣き叫ぶ大衆に身振りで伝えた
「なぜ彼らは鳴くのです、賢き者よ?
私たちは彼らの嘆きを気にかけず
他に聞く者もいないというのに」
「我らの敵は生きている間、偽りを信じるのだ、剣持つ者よ。我らと同じく、ヨクダ人は生が短く、最期を迎えた後には何も待っていないことを知っている。それを受け入れるよりも、彼らはそれを隠し、見えなくする物語を語ることを選んだ。定命の生の後に待つ不死の物語を。彼らの社会はこの信念にすがっている。そして反復を通じて、それが現実のものになることを願っている。
彼らの生が終わりに近づくにつれ、ヨクダ人のこの物語への信頼が崩れつつある。死にゆく者は我らカヌリャイの知ることをはっきりと理解する――最期の時を超えても、何も待ってはいないと。彼らを憐れむがよい。突然の現実との邂逅が、彼らに恐怖をもたらしたのだ。ゆえに、彼らは泣く」
家へ帰る荷車の上に月は昇らない
濃い暗闇の中、私はこの言葉を想った
我らが戦うのは何の臆病者か?何の弱さか?
胆汁が我が喉元へと昇ってくる
ひとつの民が現実を
我ら全員に関わらぬものと信じたとは
私は再び我が師を探し求めた
問いを予期して待つ、穏やかな顔を
「我らの敵は嘆く親類の声を聴いている
なぜ未だ彼らは物語を信じるのです?」
「名誉という、ヨクダの観念を知っているか?自己の外に存在する力。我らの敵は自らの行動によりそれが成長し、死を超えても保たれると考えている。彼らにとって、十分な名誉を積み重ねれば、死は一時的なものとなるのだ。死者が真理に向き合うさなか、生者は未だ名誉の物語にすがっている。
我らはその真理を知っている。そうであろう、剣持つ者よ?存在するのは骨と土。血と煙。肉と金属。それが現実だ。死には多くの段階が存在するが、最期の時の後には何もない。このことを知るがゆえに、我らが民は強い。我らは安息のための物語を口にしない。だから今ここに留まるために戦うのだ」
炎がきらめき、鳴り響き
我が故郷の周りに影を投げた
私は粗い石の暖炉に静かに座り
その熱が皮膚に流れ込むのを感じた
この生の向こうにある生は私を引きつけた
魅惑的な物語
炎は爆ぜ、灰が飛び跳ねた
輝く塵が我が手に落ちた
その痛みを通じて、理解が訪れた
私が見て、感じているものは真理であることを
啓発者の火の謎Riddle of the Luminary Fires
闇夜の中、火がかがり火からかがり火へ広がるにつれ、光は輝きを増す。
魔法の光の信号、魔法の力、啓発者はみんな翼を持っている。
闇夜の中、羽根を持ち、翼を欠いた啓発者から光は輝きを増す。
鱗を持つ者もいれば、尻尾を持つ者もいる。啓発者はみんな翼を持っている。
闇夜の中、羽根を持ち、完全な翼を持つ啓発者から光は輝きを増す。
門を上げよ、遅れるな。啓発者はみんな翼を持っている。
古代の狩人の日記Ancient Hunter’s Journal
飛兎の月3日
エーテルガラスから作りマーズベイン油に浸した矢尻を30本。エボンウッドから作り、シルケンライトの弦を張った弓。匂いを消すために灰と粘土で作った湿布薬。
飛兎の月7日
近くのリルモス人たちが子供を連れて身を隠した。弱虫どもめ。私の部族は角を研ぎ、耳を澄ませて待っている。我々は故郷を捨てない。
飛兎の月10日
奴らは野営地からさらに遠くまで出てくるようになった。川や森の歌声も知らないのに、自分たちのものにしたと宣言している。我々の決意を試しているのだ。
飛兎の月16日
彼の短剣を研いだ。冬の寒さを生き延びていたら、私のファウンも狩りに出る年になっていただろう。彼の飢えがこの剣の刃を鋭く保ちますように。
飛兎の月22日
今日、血が流された。まだ大人になるかならないかの斥候が、皮持たぬ侵入者に殺された。部族に怒りが渦巻いている。彼らの目にちらつく怒りが見える。今夜は喪に服し、明日攻撃を始める。
飛兎の月25日
我々は影のように夜を動き、6つの命を奪った。倒れた仲間が枝角を失った季節一つにつき一つの命。対等の交換だ。古き者たちにとっては公正な取引。レイヴンたちは我らが帰ると称賛の歌を歌った。
飛兎の月30日
我々の村の近くの古い木で火が燃え上がった。風は我々に向かって吹いている。必要なものを集め、我々は谷のさらに奥へ、川に向かって移動する準備を整えた。皮持たぬ者たちの方向へ。
飛兎の月31日
罠だった。一方に火、他方には皮持たぬ者の剣が襲った。奴らは復讐だと言った。だがこれは虐殺だ。私は煙に紛れて逃れた。
ファウンの鳴く月5日
傷は治ったが、まだ彼らの叫び声の重みを感じる。煙は消え、火は消し止められた。生存者の匂いはない。残ったのは私だけだ。
ファウンの鳴く月8日
自分が何になるべきか、今理解した。皮持たぬ者たちは私を獲物とみなしている。私の枝角をトロフィーとして、私の皮を宝として。狩られるのがどういうことか、奴らに教えてやる。
ファウンの鳴く月15日
古き者たちには祈りを、倒れた者たちには、嘆きを。敵に対しては、呪いを。
奴らは恐怖の味を知るだろう。我が名はここに見られし者。奴らの罪の目撃者、我が部族の最後の者にして、彼らの復讐の最初の者だ。
私たちの物語、その1Our Story, Part I
私たちの未来の子孫のために、私はこの物語を後世に向けて紙に記す。私の夫が記すことはないだろうから。夫がこのような感傷的な出来事について書いたとしても、どうせ彼のメモは時々、翼を生やしてどこかへ飛んでいってしまう。
夫と出会った時、私は野生児だった。スカイリム中に家を作っていた賢き民に育てられた。彼らは私の生みの親ではなかったけど、私の母親はノルドで、父親はブライア・ハートだと言われた。そして私は赤子の時にハグレイヴンの巣から盗まれたのだと。私は野性的で嵐のような鉤鼻の子供で、年齢にそぐわず辛辣で意地が悪かった。
私は森の鳥や峡谷の動物と話したり遊んだりするのが好きで、心を茨で守っていた。だから私は自分の両親に関するこの話が真実だと疑わなかった。私は川べりの葦のように強く育ち、大地を動き回る魔術の渦を見て、多くのことを学んだ。私が世界を見て、話しかけ、働きかけるやり方により、私はクランに愛された。愛されたのは私自身でなく、私の能力だったとしても。
ある日、かなり突然にシャリドールが現れた。私は自分だけの時間をほとんど持てなかった。誰かがいつも私の魔術を求めていたから。私は孤独を愛した。だから私の錬金術の庭に困惑したよそ者が現れて白かさキノコや木椅子キノコをそこら中で踏みつけた時、私は孤独を邪魔されて腹を立てた。
私は無責任な奴だと叫び、彼のポータル魔術の下手さを叱った。行ったこともない場所への道を開くなんて!彼はどうやら体勢を立て直したらしく、ここには前に来たことがあると反論した。ここが沼地ではなく広大な氷河だった頃に。だからその時は、私のような声のでかい沼の魔女がいなかったのだと。
それを聞いて私は一瞬立ち止まった。侮辱のせいではない。沼の魔女という名称はむしろ気に入った。しかし私が住んでいた小屋は放浪する賢き民によって何世代も使われてきたもので、一時代以上の長さの間ここに立っていた。この辺りの土地が沼地でなかった時代なんて知らなかった。今の状態からすると、数百年は沼地だったはずだ。私は苛立ったが、風が勢いを増し、吹雪になって吹き込んできた。そのため私は仕方なく彼を小屋に招き入れた。
そこで、私は彼が長い年月の後スカイリムに戻ってきて、カイネズ・アイギスの戦魔女と呼ばれる者を探していることを知った。さらにペールを放浪するジュナールの司祭と、ドルアダッチ山脈に住む賢女も探しているらしい。私はその三つのすべてが自分だと言い、今日からは「ハイヤルマーチ・ホールドの大声で叫ぶ沼の魔女」もそこに付け加えてよいと彼に伝えた。
私たちの物語、その2Our Story, Part II
一応言っておくと、彼が私を疑っている様子はなかった。自分の不幸を呪っていたのだ。私は多くの名で知られていたが、彼はシャリドールという名しか持たなかった。彼は世界の遠く離れた隅っこで、私の功績の物語を聞いていた。私の魔術を見るために、彼は私を探していたのだ。
私はもちろん、シャリドールのことを知っていた。知らない者がいるだろうか?沼が氷河だったという彼の話を、私は突然理解した。彼は私より人生何回分も年上で、それなのに私の庭を踏み荒らすほどの愚か者なのだ!私はそのことを笑ったが、お茶を飲んで話しているうち、最終的には彼も笑みを漏らした。
嵐が続く間ずっと私たちは話し続け、口を止めたのはポットを満たす時だけだった。私は彼の魔術について質問し、彼も私の魔術のことを聞いた。私たちは互いの方法と実践の違いを図に表した。
その冬の間ずっと、私たちは話し、書き、読み、親密な沈黙を分かち合った。私が魔女として、司祭として、癒し手としての力を発揮するよう呼ばれた際は、彼もついてきて観察した。口を出すことはせず、私が頼んだ時にだけ手を貸してくれた。彼のことを他の者に聞かれた時は、冗談で私の弟子だと言った。彼は一度もそれを否定しなかった。匿名性を好んでいたのだろう。
そうして彼は留まった。当時、ベッドを共にすることはなかったが、私たちは絶え間のない会話で暖まった。彼はその長い長い人生の中で自分が行った場所や会った人々、見てきた物事について話すよりも、それに比べたら短く、しかし波乱の多い私の人生の話を聞くほうが面白いと感じているようだった。
彼はいつでも去ることができたし、私のほうにも彼を追い出す口実はいくらでもあった。しかし私は彼のことが気に入ってしまった。彼も同じ気持ちだったのだろう。雪が溶け、春が近づいてくるまで、彼は出て行く話はしなかった。
彼が切り出したのはその時だった。彼は永遠に続く生の秘密を知っており、それを私に教えたいと言ったのだ。
私たちの物語、その3Our Story, Part III
シャリドールは私に永遠の生を与えようと言った。私はもちろん、断った。私と共に一冬過ごして、これほど密接に会話したのに、なぜ私のことを理解しないのだろう?
私たちは彼の方法について長い議論をした。「永遠の生があって」と私は言った。「徒歩で世界中を旅する時間がいくらでもあるのに、途中で見つかるかもしれない驚きをポータルで飛ばしてしまうの?」
彼は反論した。「限られた生では時間だけが達成を制限するのに、場所から場所へ、一歩一歩移動して過ごすのか?」
私たちは意見が違うということで同意に至った。不死は私にとって無用だということははっきりさせた。私は冬を遅らせるために夏を伸ばしたくないのと同様に、自分の命を伸ばしたいとは思わない。季節の美しさはいつも、それが過ぎ去ることにあるのだから。
彼が私を説得できると思っているらしいということに驚いた。こんなに短い時間で私を変えられると思うのか。私は一度も愛されたことがなかった。それが無数の方法で人を変えうるということを、この時はまだ知らなかった。
私はあいまいさを残すことなく彼を拒絶した。しばらくの間、彼に会うのはそれで最後となった。
あの変な老人に対する気持ちに折り合いをつけるまで、それから数年かかった。今振り返って、どうしてそんなに長くかかったのかと思うと笑えてくる。彼のことはずっと頭から離れなかったのに!でも私の頭の中で議論をふっかけるシャリドールは、本物の代わりにならなかった。それに彼はあまりにしばしば、あまりにあっさりと私の優れた論拠に譲歩した。また彼に会わなくては。
彼がサマーセットのアイベアにいることを思った。彼が話してくれた小さな島の聖域を。私は物々交換でその地域のなるべくいい地図を手に入れた。ポータル魔術も学んだ。簡単には身につかなかった。あれほど彼に会いたいという気持ちがなかったら、あんなに苦労して続けなかっただろう。ついにもう待てないとなった時、私は魔力を集中させ、アイベアへのポータルを開いた。
私たちの物語、その4Our Story, Part IV
私はアイベアへのポータルを作った。とにかくそうしたつもりだったが、私が出て来た場所は真っ暗闇の中だった!しかし魔術師はいつでも光を生み出す手段を持っている。自分の上のどこかに太陽のような魔力の塊が感じられたので、私は洞窟を登り始めた。洞窟は過ぎ去った時代の開けた遺跡に続いていた。ついに、私は日の光に出会った。私は確かにアイベアに来ていた。下に大きくずれてはいたが。
中央の島に居留地が見えたので、私は泳いでそこに向かった。私はスカイリムの娘で、水は暖かい風呂のように感じられた。こんな季節なのに、木々には満開の花が咲いていた。私はシャリドールの名を呼びながらさまよった。中に入ると、彼の書斎だった。ニルンでもオブリビオンでも知る者のない方法で整頓された、本物の羊皮紙の蔵書庫だ。しかし走り書きされた文の中に、私の名前が見つかった。
ちなみに、一度だけではなかった。もちろん読んだ。恥ずべきことだとは思わない。何年分にもなる、送られなかった手紙や謝罪文だ。告白や書き出しの失敗、学問的な長文。すべて私宛てだった。読んでいると、素敵なハイエルフの女性が現れて驚かされたが、彼女のほうも私を見て驚いたようだった。彼女はシャリドールの留守中にここの世話をするように指名された管理人だと自己紹介したので、私は安心した。
当然、私は彼がどこに出かけているのか尋ねた。なるべく急いで彼に会いたいと思っていたから。だが、彼女はしばらくの間は会えないでしょう、彼はスカイリムへ出かけたから、と言った。ハイロックまで船で行き、そこからは徒歩。旧友を訪ねに行ったのですが、その途中で他にも驚きを見つけたいそうです、と彼女は話してくれた。彼女はシャリドールが出発した日を私に教えてから、もうそろそろ目的地に着く頃でしょうと言った。
ポータルが開いて彼が戻ってきた頃には、私はアイベアにすっかり慣れ親しんでいた。彼はかなりの長旅をしたらしく、外套には道の汚れの染みが付き、髭は長く伸びて乱れていた。手にはポータル魔術についての私が記したメモと、私の小屋で見つけたに違いない、彼の名が記された未送の手紙を十数通抱えていた。
彼と知り合って随分長い時間が経つが、顔に笑みを浮かべることは冬のスカイリムに太陽が昇るくらい珍しい。でもあの日、彼が私に見せた笑顔は決して忘れないだろう。
島の地下の洞窟が後にスコラリウムになった。私たちの旅はしばしば互いを引き離すことになったが、私たちはいつでもアイベアに戻ってきて会った。
彼は私に永遠の命を与えて、共に過ごすことを願った。私は定命の人生一つだけを、彼のパートナーとして過ごしたいと願った。あなたはどう思うだろう。どっちの願いが、私たちの愛のより大きな証明だろうか?
もしこの点について意見が一致することになったら、おそらく私たちは、もうこの世界を一緒に歩むことがないだろう。
書記の方法How to Scribe
ウルフシルド 著
これはスコラリウムでの私の最後の日に書かれた、短い案内。あなたに宛てた、長年の仕事の結晶よ。
まず自分のものにしたいグリモアを選ぶ。
– 私が残したグリモアは様々な状況や魔術的応用をカバーしている。気に入るものが見つかることを願っている。
– それぞれのグリモアは枠組みと考えること。グリモアは純粋な機会であり、あなたの必要に応じる準備を整えている。
– 時が来れば、他の者たちも私の技術を学んで、他のグリモアが作り出されるかもしれない。私の仕事が生き続けると思うと嬉しくなる。
スクリプトを1つ選んで、あなたの書記のフォーカスを決定する。
– 私はこれを「フォーカス」スクリプトと呼んでいる。これは書記のスキルが何かを決定するものだから。炎か、氷か?治癒か、苦痛か?あなたの書記がどういう働きをするか?
– 私はいつもフォーカススクリプトをグリフォンに結びつけてきた。目的をしっかりと持ち、自分の行動に確信を抱いているから。
すべてのスキルにシグネチャーを持たせること。
– 「シグネチャー」はこの要素を表す最適な言葉よ。この魔法の要素があなたの書記を記憶に残るものとする。私は書記が他の分野や他の流派の目標や魔術と保管する道を数多く発見した。
– 私はこの仕事に際してドラゴンと密接に協力した。この複雑なアイデアを議論するため、彼女の鋭い知性は最高の相手だった。
– 羊皮紙を持っている者の戦闘と魔術のスタイルに適応するスクリプトを考案するのは、ドラゴンの発想よ。私の時代にはこのスクリプトを完全に開発できなかった。でもいつかは
好きな恩恵のあるアフィックスを付加して、スキルを完成させる。
– 新しい呪文を書記の対象にするたびに、構造の中にまだ残された空間があることを発見する。この単純な神秘の追加要素はネッチが提案したものよ。空いているスロットに少し付け加えるためのもの。
– アフィックスはあなたの作品を、あなたや仲間に合うよう方向づけるための手段よ。様々な方向性が考えられる。
輝くインクを使って、新しく書記の対象となるスキルを作る。
– ネッチと協力して作られた、私が書記に使っているインクは、祭壇から伝達される力の基質でしかない。これはある種の媒介の役割を果たしている。生のマジカと思考、意図を引き出してページの上に集合させる手段ね。
その他のメモ:
– スキルや呪文を書記の対象にしたら、いつでも現存のグリモアから新しい書記を試せる。無限の多様性がいつも私の目標だった。もちろん、インクは必要だけど。
– すべてのスクリプトがすべてのグリモアに適用できるわけではないけど、何度も試してみれば素晴らしい発見がある。私にとっては、それこそが書記の本当の魔法よ。
言い尽くされた冗談かもしれないけど、やるべきことはただ力の中枢を建設して、純粋な魔法生物を説得して悪意がないことをわからせ、彼らの力をグリモア(これも自分で作る)に注ぎ込み、作品を完成させるために必要な輝くインクを開発する、これだけよ!簡単でしょう?
私が書記を確立させるために費やした仕事と努力が、時と共に失われないことを願っているわ。私の足跡を辿ったあなたが誰であれ、幸運を祈っている。カラスがあなたを導いてくれるように。
常識を求めるための議論An Argument For Common Sense
ゴールレッドによって保存されたもの。家族の伝統に従い、この文書は彼の祖先ウルルドによって記された。正確な日付は不明である。
一連のつまらぬ噂が若者に空想を吹き込んでいる。これを黙認することはできない。我々の生は冷徹なる生存である。腹を満たす食料を集めるための、うち続く狩りの労力。夜中に火を絶やさぬために木を探す労力。若者があのような空想に満ちた獣の民の物語にうつつを抜かしているのを、許しておくことはできない!
それゆえ私は神々によって、また長い年月によって与えられた論理を用いて、こうした噂すべてに反駁することを自らに課した。これを読んだ後でもまだファウンだのラミアだのを信じ続ける者に対しては、謝罪をさせてもらいたい。これ以上私が諸君のためにできることはない。諸君の夢想の結果、窮乏の季節に腹を鳴らせる羽目になった時は、私が熱心に諸君を救おうとした試みを思い出してもらいたい。
アルゴニアンとカジート
まずは現実に存在する獣の民から始めるのが筋であろう。この遠方の旅人たちは我々とまったく異なる生き方をしているが、そのせいで子供たちは他の獣の民も世界を歩み、あるいは飛んで泳いでると信じている。カジートの商人は遠くから物語を運んできて、若者たちの精神を奇妙で空想的な考えで満たしている。アルゴニアンは言葉を話す木や、土が水をたたえるほど暖かい土地の話をする。私を心が狭いとは思わないでもらいたい。彼らは実在する。だが彼らは物語と歌で、我らの村人に問題を引き起こしている。現実の存在ではある!だが問題だ。
リルモシート
狐の民の物語から始めよう。まったくのでたらめである。あの大きなカジートの女性を思い出してもらいたい。パフマーと言っていたか?頭が小屋の下に付きそうになっていたし、荷車を一人で持ち上げていた!彼女がカジートなら、カジートには色々な姿があるということだ。現実世界がこれほど奇抜なものであるというのに、新しい事物をでっち上げて私を騙そうとする者の思い通りになるのはごめんだ。これは実在しない。
ラミア
またしても、現実の民族を基にしたほら話だ。水辺に住む鱗を持つトカゲ人を見たと言ったら、私ならアルゴニアンだと思うだろう。たまたま足が見えなかっただけで、声をかけてみればそう判明したのではないか?民族の小さな差異を見て、それを二つの民族だと考える性急な真似はやめよう。私に言わせればそれは愚かであり、無礼でもある。これは実在しない。
ケンタウロスとファウン
馬の民はこの地域の酒場で交わされる話や、子供の遊びまでも汚染してしまった。ケンタウロスの噂について論じなければならんとは!半人半馬?どうせぼやけた目で騎乗した人間を見ただけだ。ファウンも同様で、彼らが存在するという話が信用ならない人々によって広められている。ファウンの物語の中で、それが酔っぱらったドルイドが見たヤギではないと私に信じさせるに足るものは何もない。これは実在しない。
鳥人
上で述べたエルスウェアの商人の一人は、この翼の生えた民についての話ばかりしていた。鉤爪と言語能力を持つ、空を飛ぶ男女?ショールの骨にかけて!鳥が獣の民だというなら、私はイノシシの糞でも食ってみせる!旅芸人一座に出てくる鳥のことは誰でも知っている。言葉を真似できる色とりどりの獣たちだ。この鳥人の物語は、そういう喋る鳥を見た考えの足りない者の口から伝わっているに違いない。これは実在しない。
スロード、ドゥルー、ハドリッドその他諸々
船乗りと漁師が集まって物語を話す時はいつでも、世界のあちこちの空想的な獣の民の話が聞けるものである。私も海に出たことならあるから、騙されたりはしない。海は常に動いている。ある船乗りが目の端に見たものは、恐ろしい巨大なカエルの怪物や、蟹人間に見えたかもしれない。だが真実は、ただの岩や想像の産物でしかない。そもそも、船乗りが口にする海の民と呼ばれる連中がどれだけ沢山いるか見てみればいい。非常に怪しく思えるだろう。まるでこの船乗りたちは、途方もない話を重ねようと競い合っているかのようではないか!これは実在しない!
イムガ
最後の種類の獣の民は、広い世界に知られていない民についての無礼な描写である。年齢と神々が大いなる洞察を私に与えてくれていることを思い出して欲しい。ヴァレンウッドの出身者を見たことはあるだろうか?彼らはかなり妙な服装をしているし、人里離れた森の匂いがする。この「イムガ」すなわち猿の民は…理解しただろうか?私のような広い心を持たぬ者が見たウッドエルフなのだ。別の地域から来た者を見て、架空の生物と思い込むほどに狭量で誤ったことがあるだろうか?その外見を祭り上げ、邪悪な存在として描いているのである。言うまでもなく、実在しない!
若者よ、私の言葉をよく考えてもらいたい。私の訴えが若者の心を正しい道へと戻し、救えることを願っている。私にできることはすべてやった。彼らが私の論理を理解し、こうした空想の物語に抵抗してくれることだけが私の希望である。若者たちよ、現在の出来事に集中するのだ。さもなくば冬が命を奪うであろう。
信奉者ラーレンによるスコラリウムへの追記Votary Llaren’s Addition to the Scholarium
ナーリアはジュリアンと私にスコラリウムの記録に追記してくれと言った。ジュリアンが秘密裡に追記をしたためているのかどうかは知らないが、きっとそうなんだろう。ここにはあまりに本が多いので、何を書くべきかわからなくなりそうだ。間違った論題なんてあるのだろうか?アークメイジ・ウルフシルドは自分の蔵書庫にあらゆる種類の本を所蔵しているから、彼女の蔵書にそぐわないものなんて書けないはずだ。その点はまあ安心だ。うーん、それならこれにしよう。
ランプの騎士、信奉者ラーレンの文書
人生が予想どおりになることなどあるのだろうか。若い頃の私は戦闘や小競り合いで、葉の間を駆け回って敵の不意を突くことを夢想していた。冒険はいつも刺激的な洞窟探索と発見だと思っていた。
そういう場合もあるし、そうなった時は興奮する。だが冒険と戦いは若者の私が考えていたよりも遥かに複雑だ。私の同郷者の多くは、今の私が騎士団でやっている仕事を決して評価しない。彼らはある種の冒険を求め、兵士となった。私にとっては運のいいことに、ランプ騎士団は私に騎士となる資格があると考えてくれた。
筆を手にしてここに座っていると、自分がやってきたこと、見てきたことが信じられなくなる。私は魔術師の用心棒になるだけだと思っていた。彼らが何か深刻な学者ぶったことをやっている間、トロールやミノタウロスから守るだけだと。だが私の人生はまったくそうならなかった。
いや、一応トロールと戦いはした。
しかし喜ばしいことに、私は単独で戦いはしなかった。私が守る役目を与えられた魔術師たちのほぼ全員が、自分の身を守れる力を持っていた。時には(例えば今)、騎士団の信奉者と組めることもあった。
恐るべきドレモラと崖上で戦ったこともあるし、怒り狂う精霊を山の奥地で倒したこと、アンデッドの軍団を突破して死霊術師たちに地域を蹂躙されるのを防いだこともある。こうした戦いが楽勝だったと言うほど私は理想主義者ではない。魔術師は多くの騒音を立てるし、注意をそらす原因になる。魔術の戦いの混乱の中で、自分の武器を使って戦うのは簡単なことではない。おそらく、騎士団が誰を入団させるかにあれほど厳格なのはそのためだろう。どんな戦士でもあのような状況で実力を発揮できるわけではない。
だが、私は今この秘密の蔵書庫にいる。もっと危険だと思っていたが、ゆったりとした任務に不満はない。探索する場所も学ぶことも沢山あるから、次の任務を待って無為に過ごすこともなさそうだ。だから、人生は私が思っていたようなものではなかったし、それは素晴らしいことだ。それが現実だ。
うーん。とりあえずこの点に関して私に言えるのはこれくらいだ。ナーリア、これが蔵書に追記するのにふさわしい内容だといいのだが。それに今どこにいるにせよ、ウルフシルドは私たちがここでやっていることに喜んでくれるだろう。
地平線に向かってWe Sail for the Horizon
著者不明。ハガセ付近の沿岸に打ち上げられたラ・ガーダのスクーナー船の残骸にて見つかったもの。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。
我らは船を走らせる。ヨクダが荒れた海の向こうに沈み、雨雲に飲み込まれて視界から消え去るのを眺めながら、地平線へ向かって。長年の研究があれと共に沈んだ。我が生涯の仕事が。我が民と文化、国家と広大な都市も。私の民族は消えてしまった。
生きている者は命がけで走る。我らはかつて来た者たちの道を追う。よりよい生、より多くのものを求めて。
今、私は故郷での最後の瞬間が消えてしまう前に、その記憶を書き記している。私たちは港で、寒さと飢えの中身を寄せ合った。誰もが喪失を経験したが、打ちのめされてはいなかった。私たちは海鳥の歌を聞きながら船を補強した。船の紋章は灰色の空に明るく輝いた。いつも私の子供時代を、母のシチューを、そして波を見ていたことを思い出させるあの歌。
明日私たちに何が起ころうと、今日私たちは生き延びた。私は哀れみを求めるためにこれを書くのではない。知識は失われることも、奪われることもないと示すため。それはまだ私のうちに、私の民のうちに生きている。私たちが生きていて、誰かが覚えている限りは。
特別な量の指示Special Volume Instructions
我らが秘密の王は、闇の広場の大広間にクリエイシアの欠片を隠した。階段の一番上に置かれた4本のロウソクが、欠片の位置を巧妙に隠している。
以下の順番でロウソクを灯すことにより、宝の場所を明らかにせよ。
1. 入口から始めて、最初のロウソクは最も遠く、その最初の光を待ち受ける。
2. 南に目を向ければ、第二のロウソクがお前を招く。
3. 次のロウソクは北に座す。
4. そしてお前の下で、最後のロウソクが待っている。
氷の船The Ship of Ice
ウィンターホールドの船乗りたちが語った物語。クジャルスドッティルによる記録
俺たちの祖父の祖父の時代、北方から船が現れた。日中は明るかった。真央の月だったから、太陽が一番空高く昇る時期だった。なのに船は霜に覆われていて、氷に包まれた帆は重みでたわんでいた。ウィンターホールドの人々は、氷の船がゆっくりと港に近づいてきたのを見て言葉を失った。
クジャルフンドという首長がたまたま近くにいて、この新参者に呼びかけた。「何者だ、どこから来た?」と。
「我らは喪に服する者だ」と操舵手が答えた。「死から船を走らせてきた。我々は火と塩、そしてパンを求めている。受け入れてもらえるだろうか?」
その時、近くに立っていた者の多くはクジャルフンドに追い返すよう求めた。氷の船の櫂のところに凍りついた死体が見えたからだ。だがクジャルフンドはまだ生きている者がいるのを見て、同情を感じた。彼は操舵手に上陸するよう呼びかけ、船が停泊した時は一番に中へ入った。真央の月の暖かい太陽が空高く昇っていたにもかかわらず、甲板の木は凍えるほどの冷気を発していた。
「これはどういうことなんだ?」とクジャルフンドは船の操舵手に尋ねた。「何があった?」
「降霜の月がアトモーラを奪った」と操舵手は答えた。「我々はジルクルフィクから来た最後の船だ。我々の後には誰も来ない。あの街は凍りついて死んだからだ」
「だが、太陽は高く昇っている」とクジャルフンドは言った。「今は夏だぞ!」
「アトモーラに夏はない」と操舵手は言った。「我々が出航の準備を整えた日、スノーエルフの少女がやって来た。我々は一番厚手の毛皮を着て震えていたのに、その子供は薄いガウンをまとっていた。その子が我々に言った。「伝言を持ってきた。お前たちは剣と斧で私たちの故郷を葬り去った。今、私たちはフロストフォールでお前たちの故郷を葬る。凍りついた海辺を最後に見渡して、それがお前たちの父が、そしてまたその父が行ったことの結果だと知るがいい」
クジャルフンドと操舵手の話を聞いた者たち全員に、冷たい影が下りた。彼らは遠いアトモーラの方角へと海を見やったが、確かに日の光は青ざめ、夏なのに冷たそうに見えた。
その場にいなかったウィンターホールドの人々は、後になってこの話を一蹴した。スノーエルフがそれほど危険な魔術を使ったのなら、なぜ彼らはそれを使ってイスグラモルを倒し、スカイリムの自分の領地を救わなかったのか?操舵手とその船員たちはそれ以上何も言わなかった。
だがそれ以降、アトモーラから船が来ることはなかった。
魔術師ギルドへの最初の手紙、草稿First Letter to the Mages Guild, Draft Copy
宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業
秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!
スコラリウムでの作業が開始されたことをお知らせしたく、一筆をしたためました。これからの仕事は困難かつ時間を要するものとなるでしょう。信奉者ナーリアと、彼女の英雄的な助手によって発見されたここの蔵書庫は、伝説に言うアポクリファにさえ匹敵しうる古代の知識を秘めていると思われます。
しかしながら、多くの書籍は忘れられた言語や、魔術的な文で記されています。いくつかは暗号文で書かれているか、混合した手法が用いられています。その結果、書物を完全に鑑定し、その多くの秘密を明らかにするには多大な努力が必要となるでしょう。
スコラリウムで発見された本の照合に使えそうな、より最近の書籍や歴史記述のリストをご参照ください(別の配達人に送らせてあります)。この二重照合は最古の物語の真実を突き止めるのにも、そうした物語が時代を経ていかに変化してきたかを知るのにも極めて重要です。
この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。
イルナード・リルニル(達人)
魔術師ギルドへの第二の手紙、草稿Second Letter to the Mages Guild, Draft Copy
宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業
秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!
前回の積荷にご同封いただいた書籍に感謝いたします。我々がすでに発見した版の多くを翻訳し対照合するために、とても役立ちました。我々は古代アルドマー語やアトモーラ語、ヨクダ語、ネード語、オーク語の様々な方言で記された書を見つけております。ドゥエマーのルーン文字で覆われた金属板すら見つかっていますが、これを鑑定して解読するには長期の研究が必要でしょう。
作品の目録化と翻訳はなかなか進みません。原因の一部は環境です。スコラリウム自体が高い湿度と水害に苛まれており、より時代の古い多くの書物は劣化が激しく、危険な状態にあります。
それに加えて、西棟では本シラミや紙喰い虫が大発生しており、かけがえのない書籍がいくつか損害を受けました。これは間違いなく、スコラリウムが長期間シヴァリング・アイルズに置かれていたことと関係しているでしょう!デイドラの諸領域と、それがニルンの害虫へ及ぼす影響についての私の論文の新しい写本を(これとは別のメッセージに添えて)送付いたしました。きっと気に入っていただけるでしょう!
また、種々の洗浄薬や保存用の道具の要請を(これとは別のメッセージに添えて)お送りいたしました。切迫した損傷を食い止めることは現在の課題の一部分にすぎません。最も状態のいい本でさえ、繊細な条件下にあるのですから。細心の注意を払って守らなければなりません。
この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。
イルナード・リルニル(達人)
魔術師ギルドへの第三の手紙、草稿Third Letter to the Mages Guild, Draft Copy
宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムで継続中の作業
秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!
洗浄剤と保存呪文に感謝いたします。古代文書の保存に関して持ち上がった種々の問題を解決するために、これがあることで大きな違いを生んでいます。お二方に閲覧していただくため、最古の作品の書き写しの一部分をお送りいたしますが、特別な書はまだスコラリウムに留めておくことを強く推奨いたします。経年のせいで非常に脆くなっており、一部は本を開くと崩れ去ってしまうほどなのです。
書物の繊細さに加えて、達人たちは倉庫と書棚の状態にも苦労しています。一部の書棚は続く湿り気のせいでほとんど腐り落ちており、また別の一部は逆に乾燥しすぎていて、この前の夜などは棚一つが丸ごと崩壊してしまったほどです。気の毒に、信奉者ナーリアはもう少しで潰されてしまうところでした!
また読めない本もいくつか見つかりました。達人たちはこれにとても私的な性質の魔術的注記が含まれているのか、あるいは秘密を守るための何らかの暗号がかけられているのか、頭を悩ませております。
私見ですが、これは現在までに知られていないエヒノフェクスの派生言語ではないでしょうか。もしこのことが証明されれば、ネード以前の言語を理解するために革命的な発見になるでしょう。お二方もおそらくお気づきのとおり、エヒノフェクスとその末裔の言語もまた私が個人的に関心を抱く問題でして、最初期の諸言語からアイレイド期エルフの詩に至るまでの言語の世代間派生に関する私の論文の新しい写本を添えさせていただきました。お二方のご意見を期待しております!
それはともかく、我々の進展について逐一お知らせしていく所存です。この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。
イルナード・リルニル(達人)
歴史家の旅行記 第4巻The Chronicler’s Travelogue, Volume 4
魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より
我々は日が暮れる直前、アイレイド遺跡の外周部に到着した。中に入って仕事を始めたかったが、チームの中でも若手である私の提案は無視された。なのでテントを張って間に合わせの小屋を作り、我ら寄せ集めのキャラバンをこの任務にふさわしい野営地へと変えようと苦心した。
この冒険に選ばれたことは大きな名誉だ。ギルドの幹部に混じって有名なハートランド・エルフの遺跡探検をするよう依頼を受ける者は多くないのだから!私は準備のため、何日もかけて夜通し過去の遠征の文書や報告を読み漁った。日が出るまで待つなんて、拷問みたいなものだ。トログライ魔道師が勧めたようにしっかりと休息を取ったりせず、自分だけで暗闇に潜り込んで行ったのは当然のことだろう。
魔術の光とメモ帳、水袋を持って、私は遺跡の奥へと進んでいった。どれだけ長く歩いたかはわからない。この灰がかった白の広間では、時間など無意味なように思われた。あっという間に、夜明けがアイレイド遺跡の紋章とアーチの上に姿を現した。
キャンプでは私がいなくなったことで何らかの警戒が呼びかけられたらしく、私の名を呼ぶ声と、辺りを探し回る騒音が聞こえてきた。トログライ魔道師は私の安全に懸念を抱いていた。心配していたと言ってもいいかもしれない。だが言い訳しようにも見せるべきものがない私は、見つかるわけにいかなかった。私は仲間の魔術師たちの音から遠ざかった。その時あれが起きた。
何かが私の目を捉えた。確認するために振り返ったが、見えたのは壁だけだった。この石と漆喰の集積が、遺跡内部の他の壁と異なっていると示唆するようなものは何もなかった。
その時彼らに見つかった。極限まで集中して壁を見つめていたところをだ。トログライ魔道師はどうして私の注意を捉えたものを理解したのだろう。彼女は私に安全性の問題と、夜はキャンプに留まることについて説教をする代わりに、ある石を押した。石は彼女の手の下で動き、手つかずの遺跡深部へと続く階段を明らかにした。
この時はわからなかったが、このような奇妙なことが私に起きるのはこれが最初ではなかったのだ。これが私の歴史家としての比類なき地位の始まりだったかもしれない。他の者には見つけられないものを見つける力により、私は魔術師ギルド内部での成功を勝ち取ったのである。
歴史家の旅行記 第8巻The Chronicler’s Travelogue Volume 8
魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より
やったぞ!私は他の魔術師にできなかったことを成し遂げた。我々の派遣部隊にスフィンクスの宝石を調査させてもらえるよう、聖堂の司祭を説得したのだ。
思えばこの遠征が始まった時、私は単に旅を快適にするための魅力的な品物や、十分な食料を確保する役目を与えられていた。魔術師にとって刺激的な役割とは言えないが、任務を成功させるためには重要な仕事だった。
しかし在庫を運び露店の準備をしている時、私はある妖術師が司祭に有名な遺物の調査をさせてくれと頼んでいるのが聞こえた。司祭は不信の念を露わにして、妖術師ウレルファニャの申し出をすべて拒否した。その数分後、話し合いはまるで討論へと移行したかのようだった。我々の旅に欠かせないこの部分を実現するため、あらゆる可能性にすがりついたのだ。その時私は二人の前に出て行った。
私は控えめな口調でサザラリ司祭に、自分がアイレイドの遺跡で秘密を見つけるのに成功したこと、ソリチュードのギルドホールでの発見、アークマギスターの夏の家で偶然財宝に出くわしたことなどを話した。そこで私は突然外交の才を発揮して、仲間の魔術師たちにケナーシの宝石を調査させてくれれば、自分が聖堂全体を調べてみようと申し出た。
サザラリ司祭は同意してくれた!聖堂で古代の秘密を探してくれるのなら、妖術師ウレルファニャと他の魔術師たちは宝石を調査していいと。たとえ発見が何もなくても、これは司祭たちとギルドの関係の大きな進展だ。そしてもちろん、この高名なる歴史家の帽子にまた一本羽根が加えられたわけだ!
朝になったら出発して、できる限り徹底的に聖堂を調べよう。二週間が過ぎる前に、旅行記に付け加えるべき内容が増えるかもしれない!