直観記憶 | The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫

リーチの指導者

The Reach Reader

Rによる命令Orders from R

ペンターチ・セヴィダ

リーチの魔女はネザールートの群生地をもう1つ突き止めた。カースワステンの村の下には大量に生えているが、現地の住民には使い道がないのでほぼ無視されている。ネザールートはブラックリーチの北で見つかる形状のものと品種が違うが、出発前に教えておいた材料を加えれば、目的に十分役立つはずだ。ネザールートはより短期間で生えるので、収穫すればさらに強力な喪心の嵐を生み出すための助けになるだろう。

命令はこの新種を育て、魔女に供給することだ。1週間ほどしたら、誰かが進捗を確認に行く。

R

アークスザンドの伝説Legend of Arkthzand

非凡なる功績の学者、ネラモ 著

神話中の神話はどのように追求するのか?物語で名高い北タムリエルのドゥエマーの街は、その秘密の深さが未だ解明されていないとは言え、広大な遺跡の位置は良く知られており、また、土地に住むエルフや人間との交流が数多く歴史に記録されている。だが、それとは異なり、アークスザンドは今も謎のままだ。その場所がどこにあるかは誰も知らず、他の民の書物にはアークスザンドについての話が全く残っていない。我々がアークスザンドについて知ることと言えば、ドゥエマーの文書にある暗号のような言及だけで、その文書自体もほぼ完全な解読は不能だ。確かに言えることは、アークスザンドと呼ばれる場所が実在し、そこが伝承と学びの中心地だったということだけだ。

ああ!確かなことが尽きれば、あとは推測しかできない。

私に言える限り、アークスザンドはブラックリーチと呼ばれる地下世界の洞窟にあった、ドゥエマー文明の絶頂期に築かれた。第一紀の初め、4つのドワーフの街がエセリウムとして知られるアルケインの鉱物を採掘し、その知識を得るために鉱山労働者の連合、もしくは同盟を組んだ。そのうち2つの街、アルクンザムズとブサーゼルはおそらくリーチの西にある山麓の丘陵地帯の下にあった。発見と繁栄の時代、彼らはこの深みのどこかに、大規模な蔵書庫を作るために手を結んだと情報源は示唆している。多くのドゥエマーのクランが、学び知識を共有するためアークスザンドへやって来た。だが、やがてこの隠された領域に衝突や戦争が訪れ、平和に満ちた蔵書庫は放棄された。

妙な話だが、ヌチュアンド・ゼルの街は、アルクンザムズとブサーゼルの近くに位置していたにも関わらず、ブラックリーチの同盟の話やエセリウム戦争と呼ばれる記録の中で驚くほど触れられていない。私にはドゥエマーの忘れられた政治問題について、不思議に思うことしかできない。ヌチュアンド・ゼルは他の街の敵だったのか?あるいは中立地帯?でなければブラックリーチ同盟の内政により、5番目の仲間を加えることが不可能だったのか?

この謎の答えが、アークスザンドの蔵書庫の謎を解くためには重要なのかもしれない。ブラックリーチやブサーゼルやアルクンザムズへの道を見つけ出した者は、知る限りまだいない。しかしヌチュアンド・ゼルはマルカルスの街にある。私はまだ訪れたことはないが、報告によれば地下には遺跡が連なっているそうだ。実在しているとしたら、ここからアークスザンドの蔵書庫への道が開かれていたかもしれない。

未発見かつ略奪されていないドゥエマーの伝承の宝物庫を見つけられるという可能性は、もちろん想像力を刺激する。長年にわたり、多くのダンジョン探検者がアークスザンドの存在に関する手掛かりをいくつか見つけ出し、手つかずのドゥエマーの遺跡を調査するために危険を承知でリーチに挑んだ。これらの盗掘者のほとんどが、数えきれないほどの財宝や富のことしか考えていなかったことはほぼ間違いない。泥棒と破壊者どもめ!何よりも素晴らしい宝は知識だ。ここではどんな秘密が見つかる?エセリウムのクリスタルの働きは?音調の構造?星の秘密とは?誰にも分からない。

後世の人々のため、教養のない金目当ての奴が偶然この場所を見つけて、何かかけがえのないものを不器用に破壊する前に、いつかその地を訪れてアークスザンド蔵書庫を探したい。マルカルスへ訪問できたなら、暴君に合理的な行動を取るよう説得したいのだ。もしかしたら、新たにヌチュアンド・ゼルに降りる試みをさせてくれるよう説得…あるいは賄賂で、どうにかできるかもしれない。求める答えが、悪名高いアンダーストーン砦の下のどこかにあることは確信している。

アークスザンド蔵書庫The Library of Arkthzand

我々はレディ・ビレインがアークスザンドの蔵書庫と呼ぶ遺跡に到着した。蔵書庫のようには見えない。この闇の遺物を目覚めさせることへのビレインの執着には懸念を覚える。長く隔絶されていた悪影響があるのではないだろうか。

闇の遺物の存在は、どうやらある種の奇妙な力の穴を作り出したようだ。レディ・ビレインは彼女の仲間が、短距離を移動するために力を利用したと主張している。他の手段では行けない場所へ。灰の王は私にこの現象のさらなる調査を命じた。これがグレイホストの大きな利益につながるかもしれないからだ。私はこの虚無のポータルの有用性を確認するため、全力を尽くす。

とは言え、警戒は怠らないつもりだ。私は時と共に、ここの闇から活力を得た者たちがどうなったかを見て来た。これは生きるための手段ではない。レディ・ビレインとの同盟がグレイホストの目標にとって必要なことは理解している。だが、彼女の狂気の罠に捕らわれてはいけない。

ペンターチ・シーヴェルネス

あなたに向いたギルドは?Which Guild is for You?

冒険者、傭兵、魔法使い、悪党の皆さん!冒険の仲間が必要だと思ったことはありませんか?大胆な偉業を可能にする深い絆を切望してはいませんか?もしかしたら、ギルドに入る時かもしれません!

現在のリストを確認したい場合は、ギルドの使者アムサードまで

アンスデュランからの手紙Letter from Ansdurran

フェイラへ

今回の襲撃では、なんとかいいものを手に入れたよ。確かに見た目は役に立たない骨のかけらだが、リーチの魔女から奪った。見習いレイレンと名乗って、どうか取らないでくれと懇願してきた。マルカルスの新しい祠に必要だって言ってたな。彼女の師、大呪術師グリンロックに。その魔女のために言っておく。彼女はなかなか健闘したよ。死ぬ前には、俺に怪我までさせたしな。

君の後援者は、こういうガラクタを買うんだろ?彼女の魔術師なら、絶対にこれが本物だって見分けられるはずだ。これはドルアダッチ砦の近くの、いつもの場所に隠しておく。これにはいい報酬を期待してる。この怪我の埋め合わせにな。血が止まらないんだ。

A

イーグルシアー・クランでの1年A Year Among the Eagleseer Clan

グウィリム大学、グラブリアン・ツリエル 著
(第二紀564年、レオヴィック皇帝統治時代に執筆)

数百年に渡り、リーチとその住民は他の土地の人々にとって謎めいた存在だった。だが、マルカルスにおける帝国総督の任命は、リーチと民に新たな時代を告げている。タムリエルの学者と旅人はついにリーチへ踏み込めるようになり、そしておそらくリーチの民と彼らのやり方について理解してきている。

そのような目的を胸に第二紀560年の春、モリカル皇帝からの紹介状を持って私はマルカルスへ旅立った。カダッチ総督は(懸念を持ちつつも)ガイドの調達に力を貸してくれた。ドゥニアルと言う名で、私を友好的なクランであるイーグルシアーに紹介するためのガイドだ。3日間の旅でイーグルシアーのデュン(要塞化された丘の上の村。内陸地域ではよく見られる)に到着した。ドゥニアルが私の任務を説明すると、ダラー族長と側近の魔女アシュリンは私を受け入れてくれた。当初、ダラーは私の意図に戸惑っている様子で、アシュリンは露骨に私を蔑んでいた。彼らが滞在を許したのは、ダラーがカダッチに小さな貸しを作っておけば使えるかもしれないと考えたからにすぎないと思う。

到着したのは早春で、儀式的な狩りの準備が進行していることに気づいた。どうやらこの季節で初めて行うもののようだ。長く寒い冬の後で、クランの食料の備蓄が尽きかけていたのだが、ついに雪が融けたため、大人数の狩りの一行が出発の準備をしていた。狩人たちが出発する前の晩、クランの者がハーシーンの加護を願う儀式のために集まった。野性的な踊りが追跡と殺戮を表現したが、かなり暴力的な光景で不安を感じた。いかなる理由であれ、デイドラ公に祈願するなど、どう考えても無謀に思えた。アシュリンと魔女たちが全てを取り仕切っていた。儀式が最高潮に達すると、彼女はクランの戦士たちに私を追い払うよう命じた。どうやらこの後に続く秘密の儀式は部外者が見るべきものではないらしい。それ以上のことを学ぶ機会はなかった。

儀式(だか何だか知らないが)では、どうやら狩りがうまく行くというハーシーンの好意的意見が得られたようだった。私は狩人たちが戻ってから2週間ほどイーグルシアーに留まり、彼らのライフスタイルを観察した。彼らは下品で遠慮のない人々で、中にはわざわざ無理をしてまで、私を怖がらせるか驚かせられないかと試みる者もあった。しかし、私がダラー族長の保護下にいるという事実が、最悪の事態から私を守ってくれていたようだった。紙とインクの在庫が尽きかけ、また長居しすぎて嫌われたくないという意識から、持ってきた小物を彼らに贈り、別れを告げた。そしてマルカルスへ引き返した。

夏のさなかにイーグルシアーへ戻ると、クランのデュンが半ば空になっていることに気づいて驚いた。クランは家畜の群れを豊かな牧草地に移動させ、多くが貴重な家畜を見張るために一時的なキャンプを設置しているのだと知った。リーチの民はクラン同士が揉めていない限り他のリーチの民から盗みを働くことはないが、山にはオーガやトロール、危険な野獣が住んでいる。家畜の群れは絶え間なく守らなければならない。他のイーグルシアーの者は近くの川岸に釣り用キャンプを設置するために離れていたか、マルカルスへ取引に行ってしまっていた。前に滞在していた頃よりも、彼らは忙しくしていた。

秋には3回目の訪問をしたが、クランはまた新たな生活の一面を見せてくれた。ほとんどのリーチの民のクランのように、イーグルシアーの者が畑に種を撒くことはなく、秋の収穫を楽しみにすることもない。だが、彼らは野生の根やベリーを集め、来たる冬に向けて準備をする。燻製小屋の中にはたっぷりの肉が保管されていた。1年のこの時期、イーグルシアーの者は家畜の群れから寒い季節を耐え抜くために必要な家畜を選んで殺すのだ。今回、私はマルカルスから役に立つ贈り物を持って来ていた。ナイフや毛布などだ。そして、機会があるたびに努めてクランの仕事に参加していた。イーグルシアーの者たちは徐々に私の存在に慣れてきているようだった。

4ヶ月後、私は真冬に雪の中を困難かつ危険な旅をして戻った。私はイーグルシアーの友人たち――この頃には多少いたので――がどうしているか心配だった。私は、冬が道具や服やおもちゃを作る季節であることを学んでいた。狩人たちは天候と獲物の状況が良さそうなら自らの運を試すが、ほとんどの人は夏と秋に蓄えることができた食料で生き延びている。恐ろしいことに、私はイーグルシアーが嘆き、激怒していることに気づいた。

私が戻る3日前にシックスフォード・クランの戦士たちがイーグルシアーの狩猟団を待ち伏せし、ダラー族長を殺したのだ。どうやらシックスフォードとイーグルシアーは昔の侮辱のことで、長年におよぶ確執があったらしい。2つのクランは突発的に紛争を起こしていたが、冬は抗争と襲撃の季節なのだった。アシュリンは真正面からダラーの死について私のことをとがめた。老族長が軟弱なよそ者を歓迎したことで、リーチの厳格な神々の怒りを買ったのだと。彼らは不信を示し、私は直後に不安を感じて去った。

しかしイーグルシアー・クランに一年滞在して得られたものは大きかった。

ウェアウルフ:長く苦しんだ守護者Werewolves: Long-Suffering Guardians

リーチの戦士ブリグウォール 著、グウィリム大学民俗学助教授ザムシク・アフハラズによる書き起こし

「多くのアレッシア人や北方人、豚の民がリーチに贈り物を持って来た。お前たちは無価値な硬貨と本を友好の証として持ってくる。だがそれは全て嘘と欺きだ。リーチの子はよそ者の“贈り物”が全て要求を含んでいることを知っている。知識や土地、敵に対する助力の要求を。獣と霊魂の世界、つまり真実の世界で贈り物は存在しない。取引があるだけだ。だからその口から不誠実な舌を切り落とし、本当の舌を生やせ。我々はお前たちを好きにはならないが、少なくとも敬意は払うだろう」

「例えば、力強きハーシーンを見るがいい。古きエルクの目は苦痛なくして何も与えない。贈り物などない。ただ苦痛に満ちた取引だけだ。栄光も財宝も、饗宴も苦痛なしには手に入らない。ハーシーンの祝福でさえ、噛み傷の先からやって来る」

「狼の踊りを贈り物と呼ぶ者もいる。お前たちは呪いと呼ぶ。どちらの言葉も無意味だ。よそ者は世界の全てを“善”と“悪”に分けるが、本当の闘争は臆病と苦痛の間にしかない。英雄は苦痛を選ぶ。臆病者は安心を選ぶ。それが物事の本来の道だ」

「狼の踊りは苦痛の道だ。双子月の呼びかけは常に我々の胸の中でうずいている。我々の鼻は乾いて荒れる。木の煙とタンニンの臭いで燻される。腹は夜も昼も唸り声を上げ、クランの友人と一族の肉のために飢える。血への渇きと怒りの全てが、紐を引っ張っている。束縛を引きちぎり、世界を粉々に打ち砕くために」

「我々はなぜこのように苦しむのか?残酷な世界の中では、残酷さが唯一の慰めだからだ。リーチを食い物にする獣と人間には、苦痛を与えなければならない。そして我々狼の民は、ほとんどの者に理解できない苦痛を知っている。我々はその痛みを利用して民を守っている。我々は心を固くし、渇望を窒息させ、掌に爪を喰い込ませる。近いうちに遠くから、何者かが我々の持つものを奪いに来ると分かっているからだ。そして奴らが来たら、牙と爪で応じる用意を整えている」

「これで分かっただろう。ハーシーンは贈り物など与えぬ。取引するだけだ。我々の痛みと引き換えに、我々の敵に痛みを与える。我々はこの取引を喜んで行う。苦痛はリーチの道だからだ。我々と道を違える者は、誰であろうとこの教訓を学ぶだろう」

ヴリンドリルの間の積荷証Vlindrel Hall Bill of Lading

マダム・ディアンテナ様

この船荷証は貴重品の長距離輸送が終了したことを確認するものです。今回と以前の3回に関しまして、ご依頼通りヴリンドリルの間にお届けしました。最新の輸送品は下記の通りです。

– 高級アルゴニアンシルク4
– アンヴィルから輸入されたダイヤモンドブローチ2
– リンメン上質なカジートの毛皮6

現時点で商品がお客様の所有物となったため、輸送中に配送品が受けたあらゆる損害、またはあらゆる窃盗の事例に対して、マルカルス商会は責任を負いかねますことを念のためお知らせいたします。またのお買い上げをお待ち申し上げます。

ご利用ありがとうございました。

ヘルミニア・コルヴィヌス
マルカルス商会
高級品取り扱い

カーススパイアー草原の戦いThe Battle of Karthspire Lea

リーチ人はほとんどの学者が慣れているようなやり方で自らの物語を書くことはない。物語を人から人へと伝える彼らの伝承は美しく、それに対して深く敬意を感じている。だが、私の中の学者は、書き記すことなく物語を頭の中に保つのは困難であることに気づいた。私にとって、書き記すということは物語をいつくしむもう1つの形なのである。伝える内容は変わらないが、羊皮紙に書きこむ行為は親密に感じられるやり方でその言葉を私の心に貼り付ける。もちろん、物語の伝え方を正す人などいない。だが、私はこの話をあるリーチのヴァテシュランから聞いたのだが、そいつは私に爪をたて、紙に書き記すまで放してくれなかった。私はこの書き取りをヴァテシュラン本人に捧げたいと思う。彼がこれを読むために学ぶことも期待しないし、それを頼むつもりもない。これは私から彼への記念品、つまり、彼が独自のやり方で表現することで物語を共有してくれたことに対して感謝を示す手段だ。

おそらく彼はこれをよそ者の愚かさと感じて捨て去るだろう。だがそれでかまわない。私はとにかくこの話を聞けたことに感謝しているのだ。

* * *
カーススパイアー草原の戦い
ヴァテシュラン・バースによる談話に基づく。

それは戦いというよりも血の海だった。シックスフォードとイーグルシアーは戦ったのではなく、ただ血を流しただけだった。草原の草はほぼ完全に赤く染まり、遠くからはまるで黒い色のように見えた。

明らかな勝者はいなかった。リーチの者同士の衝突ではよくあることだ。多くの戦いが、この戦いの原因にもなったある種の怒りと激しさをもって行われる。だが歴史的に見ると、その怒りと激しさは一方の軍勢によってもたらされる。それが闘争の本質だ。そして集団というものは、どれだけ怒りに駆られていようと、圧迫されれば勢いが弱まる。だがこの戦いは違った。どちらの勢いも衰えなかった。彼らはお互いに対して身を投げ出し、まるで崖に打ち付ける波のように絶えることなく衝突を続けた。

どちらのクランの男も女も、まるで死ぬつもりで戦っているかのように見えた。彼らの頭に勝利はなく、あるのはただ殺戮のみだった。

戦いが始まって間もない時期に、イーグルシアーの族長マドルファが致命傷を負った。彼の脚に槍が刺さり、歩くことができなくなった。彼は立たなくても戦いを続けられるように、近くの柱に自分を縛り付けるよう側にいた者に強く要求した。戦いは勝敗よりも闇の深い何かになっていた。それは妨げられることのない、留まるところを知らない、可能な限り多くの敵を殺すことを目的とした怒りだった。

その日、カーススパイアー草原から立ち去ったリーチの者は多くなかった。

カース川での生活Living on the Karth River

アオドシル 著

父は私が読み書きを覚えることに賛成しなかったが、私たちの物語は語る価値があるはずだ。リーチの外には、私たちを軽蔑の目で見る者が数多くいる。彼らは父の硬くなった手を見て身をすくめるだろうし、陽に焼かれた頬は見苦しいと思われるかもしれない。だがこの父に関する全てが、カース川における人生を物語っている。父に口を開かせることができれば、リーチを流れる水が血管に流れていることが分かるだろう。

カース川はリーチの民が住む他のどんな場所とも変わらず、暴力的で過酷だ。激流が水から突き出した鋭い石に沿って流れ、狂ったように渦を巻く。切り立った崖から流れ落ちる滝は白く濁った水を雷鳴のように轟かせ、大人の馬も一瞬にして流し去ってしまう。

しかしリーチの大部分がそうであるように、カース川はそこに住む民に恵みをもたらす。ある瞬間には残酷でも、次の瞬間には母の愛を示してくれる。川に頼って生きる者は、また次の日を迎えられる。川の許しがあれば。川辺で老いるまで生きた私の父のような者は、敬意が重要であることを知っている。川はある者に大量の魚を与え、ある者は溺れさせる。そのどちらにも区別はなさそうに見える。だがカース川で育った者は知っている。川が敬意を、少なくとも配慮を要求することを。

父は川の中で服を洗う。川の水を飲み、川で体を洗う。そして川は彼に食料をもたらす。私のクランの者も大半は同じようにする。私たちのクランはずっと川のそばで暮らしてきた。時として他のクランや、川を手なずけ利用するために来たよそ者に追い出され、移動することもある。だが私たちはいつも川に引かれて戻ってくる。どこで分かれても、どのように流れていても、私たちは川に従う。川は故郷なのだ。

もっとも、カース川が私たちから奪わないわけではない。川は私たちと同様、対価を要求する。子供をさらい、食料の貯蔵所を破壊し、骨を折り、嵐の際には計り知れないほど大きく膨れ上がって、川沿いのキャンプを全て水没させてしまう。だが私たちはこうしたことがあっても、川に文句を言わない。カースで生きるとはそういうことだ。

カリスの日記Calis’s Journal

自分用の記録のために日記を書き続けるようマスター・ピシスに指導された。記録を書くのは決して得意ではないけど、記述する代わりに様々な標本の絵を描いて大部分のページを費やしてみたらどうだろうか。絵は単なる言葉より伝えやすいと思う。もしかしたら、私が大した書き手ではないからなのかもしれないが。

でも、どうやらマスター・ピシスは私を信じているらしい。遭遇するたびに困惑させられる。彼の植物学の研究にはずっと感銘を受け続けている。彼が私の指導者になることを申し出てくれたときは、言葉を失ってしまった。どうして彼ほどの人物が、私のような新人を指導して時間を無駄にしたいと思うんだろうか?ものすごく感謝はしている。夢が叶ったんだから。

彼はあまりしゃべらない。不親切ではないが、過度に温かいわけでもない。私もかなり無口なほうだから、これは問題ない。ただ彼の沈黙が、新しい見習いに対する苛立ちから来ているものじゃなければいいと思ってるだけだ。

マスターは最新の計画について固く口を閉ざしている。他のサイジックの人たちの多くが、私たちほどには植物学を真面目に捉えていないことには気づいていた。私は全く気にしていない。集団の中の興味や才能の対象がさまざまな場合は、その方が集団にとっていいと思っている。でも、マスター・ピシスが研究をほぼ私たち2人の間のものにし続けているのは、私たちが研究に対して真の情熱を持ってるからだと思う。彼が他の人には理解できない(私は他の人と話したときにそんな風に思ったことは絶対にないが)とあからさまに言ったことはないが、どちらかというと彼は、他の人に私たちの問題へ口出しして欲しくないんだろうと思う。

キッツァ・エノーへの手紙Letter to Kitza-Enoo

キッツァ・エノー
マルカルスの暴君が、カース川峡谷の全てのクランを石の街の壁の内側に避難させるために呼び集めたという話が耳に入った。我々の団体の文化的遺物コレクションを、ここまで充実させられる機会は今までなかった。

そこで君への現在の指令について考えてみた。リーチの大呪術師グリンロックがマルカルスに入る前に、見習いエグヴァーンを阻止するのだ。彼は狼の頭蓋骨のトーテムを運んでいる。彼らがストリーベグの象徴と呼ぶものだ。このデイドラの遺物が祠に祭られる前に入手してくれれば、かなりの額を支払おう。

迅速に行動して、この機会を無駄にしないように。
V

グレイホスト:歴史 第1部The Gray Host: A History Part 1

偉大なる探検家、アーチバルド・ローレント卿 著

年に一度、聖ぺリンの殉教を再演する赤のパレードの時期にバンコライ駐屯地を訪ねたことがある者ならば、グレイホストの名は聞いているだろう。しかしその恐るべき評判以外にはほとんど何も知らなくても無理はない。私でさえこの高度に脚色された歴史記述の影に何があったのか、あまり考えたことはなかった。しかし私には、ある戦争の光景を目撃したことで、千年前の戦いの実態が見えてくるようになった。

ブラック・ドレイクが駐屯地の壁にリーチの戦士を繰り返し送り込み、門の付近で日々殺戮が行われるのを見ながら過ぎたおぞましい5か月の後、地面は膝まで達する血と泥の海となり、ブラック・マーシュにも劣らぬ底なし沼の様相を呈していた。あの残虐なる液体が予知の聖水となって、私は聖ぺリンの犠牲を完全に理解できた。確かに実際は不器用で愚かな私の下男が、胸壁から転げ落ちた後で起き上がっただけだったかもしれない。しかし類似は明らかだ。リーチの大軍が退却したことで我々も多少の喜びを覚えたが、夜が落ちるにつれて消滅してしまった。恐怖に満ちた囁きが駐屯地中に陰湿な迷信を広め、生まれ変わったグレイホストが血塗れの汚泥から飛び出してきて復讐するという考えに、歴戦の兵までもが長靴を履いた足を震わせた。聖ぺリンの騎士たちは噂を鎮めるため、焦土の中に古代の敵の骨は一片たりとも残らなかったと請け合ったが、私は関心をそそられ、騎士団長にグレイホストの歴史を詳しく教えてほしいと頼んだのである。

私の同郷の者たちが抱いた恐怖は、祖先も殺戮の際に味わっていたようだ。疲労困憊した駐屯部隊は戦場の地面を削り取り、両手に一抱えの土が地平線に到るまで取り除かれた(これも脚色だろう)。女帝ヘストラのアレッシア司教の復讐に満ちた眼差しのもと、倒されたグレイホストの死体は聖なる炎で焼かれて灰となり、塵の山だけが残った。この積み上げられた灰はあるトゥワッカの教団によって南へ埋められ、教団はサタカルの皮膚が剥がれ落ちるまで、誰にも灰には手を出させないと誓った。どうやら、それはあまり長い期間ではなかったらしい。

さて、私も旅の途上で吸血鬼やウェアウルフに出会ったことはある(それどころか、以前の遠征ではその両方が馬鹿な下男を襲ってきたことさえある)。確かに恐るべき怪物だが、それほどの恐怖を引き起こすのは見たことがない。私はグレイホストについてもっと詳しく学び、彼らがいかにしてヘストラの熱狂的な信奉者の心にまで恐怖を与えたのかを知りたいと思った。駐屯地での仕事が終わると、私は駐屯地を去って南へ向かい、騎士団長が言っていた集団墓地を探した。

不浄の墓と呼ばれる場所を見張るパイアウォッチという衛兵に頼まれたので、グレイホストが最終的に埋葬された地の場所は明かさない。彼らに「歓迎」されるまでには、数週間をかけ、崩れかかった谷から飛び降りる不幸な経験が必要だったと言えば十分だろう。洞穴の境界を越えて進むことは誰にも許されず、さもなくば死刑になると言われた。しかし首にかけていた聖ぺリンの土塊によって、私たちは信用に値するとみなされ、とにかく埋葬地の生きた衛兵のところまでは案内された。嘆きのアイギスを身に着けようとした不運な下男を私が引きはがした後、パイアウォッチの衛兵は彼らが見張っている恐るべき軍団について、いくつかの逸話を話してくれた。

彼らの話によると、ハンマーフェルは不浄の都市ヴァーカースの暴政に数百年苦しめられていたが、女帝ヘストラが軍を率いて帝国から腐敗を一掃したという。呪われた者の街がいつ廃墟から現れたのかは不明だが、彼らの主張では街がどこからともなく出現し、その影でスカヴィンと周辺の村を覆った。ある説によれば怪物たちは隣人との平和を約束したが、それは獲物を彼らの王国へ誘い寄せる甘い嘘だった。暴君ストリキ王が本性を表した時、グレイホストはソースタッドとエリンヒルの間の全ての地を占拠したと主張し、この地方を2つに分断した。これが女帝の怒りを招き、その怒りが彼らの破滅を招いた。

パイアウォッチによれば、元のヴァーカースの街は大部分がインペリアルによって破壊されたという。この地はアレッシアの名のもとに再び聖別され、解放された者に与えられて、公正なる女帝の似姿として再建された。アレッシア人がどれほど熱心に戦争を遂行するかは知っているが、グレイホストの歴史について、ぞっとするような怪談以上の知識を与えてくれる断片があるはずだ。だから私は、次にこの街を訪れることに決めた。

グレイホスト:歴史 第2部The Gray Host: A History Part 2

偉大なる探検家、アーチバルド・ローレント卿 著

ヴァーカースは近隣の集落と比べて、建築においても文化においても明らかに一線を画している。レッドガードの影響はちらほら見られるが、インペリアルの解放者の象徴がこの街を支配している。しかし街の骨組みはさらに古く、帝国が征服したアイレイドの集落とよく似ている。街の壁を築く石、貴族の邸宅、中心にある城などは全てヴァーカースに固有のものである。優雅であると同時に威圧的で、古代デイドラ遺跡の石細工にも似ているが、より洗練されている。

意外とは言えないが、地元民はよそ者に懐疑的である。そのため私は自分がハイエルフ貴族であることをひたすら秘密にした。このことは愚かな我が下男に頭部への打撃数発を加えて教え込む必要があった。地元民は彼らの祖先をかつて支配した異教の怪物の話になるとあまり役に立たず、街の中央広場に飾られた女帝を称える歌を歌うのみだった。ヴァーカースの下で栄える地下世界に関する調査はより成果があった。しかしその前に、私が役立たずの下男に愚かにも預けてしまった物資を返すよう、彼らを説得しなければならなかったが。

ここの無法者は、地上にあるものを圧倒するほど広大な地下都市を隠れ家にした。広い回廊はヴァーカース最古の建物と交差し、盗賊に地表への容易な侵入口と脱出口を提供している。残念ながら、この地下都市は元々の居住者たちが追い払われて以来大部分が荒らし尽くされてしまったが、このならず者たちは私のような者に売りつけるために、あまり派手でない遺物をある程度残してあった。この手の連中にしては知恵があったものだ。

特に興味を引いたのは、どうやらデイドラ語の方言で書かれたと思われる巻物の束である。これを書いている時点で私の翻訳はまだ不完全だが、この文書は明らかにグレイホストの手によるものであり、内容は私的な伝言から命令、国事に到るまで様々だ。文書はヴァーカースがその君主によって完全に統治されていたわけではなく、街の創設に先立って存在していたグレイ評議会も統治に加わっていたことを示唆している。この評議会のメンバーはどうやら生まれたての王国の行く末について、全員が一致した意見を持っていたわけではないらしい。街が創設された日付を確定することはまだできないが、ヴァーカースはパイアウォッチが言うように一夜にして完成したのではない。街は地表へと拡張される以前も長い間、地下で栄えていたのだ。吸血鬼とウェアウルフの軍団が協力に至った速度を考えるならば、近隣の者たちが気づく前に街が存在していたという考えは、完全に不合理なものではないように思える。

推測は入るが、グレイホストの拠点は外の世界に「現れる」よりもほぼ100年前に形成された。街を築いたグレイ評議会がどういう経緯で成立したのかは分からないが、崩落したトンネルや歩道の存在からして、この地下都市は孤立していなかったと思われる。ここで筆を止めるのは不吉だと承知しているが、これ以上の探検は私の軟弱な下男が悪性の茶腐熱の発作から回復するまで停止しなければならない。言い訳めくが大量の香水で打ち消さないと、奴は常に便所の臭いを漂わせているのだ。そうでなければ、奴の状態にもっと早く気づいてやれたのだが。

最後にちょっとした金言を述べておこう。「埋められたものは、消えてしまったわけではない」。グレイホストに関して、この言葉が当てはまらないことを祈りたいものだ。

グレイホストの諜報報告Gray Host Intelligence Dispatch

同志たちへ

あの魔女の反乱軍一員が街に侵入したと密偵から報告があった。奴らは家や街角に集まり、街を離れて東の丘で奴らと合流するよう、汚らしい親族どもをけしかけている。まともな自尊心のある定命の者なら温かい家を熊皮のあばら家と交換しないが、灰の王が定期的に思い出させてくださるように、リーチの者はまともでないし自尊心もない。

如何なるリーチの者も、街から避難することを許してはならない。この神々に見放された土地の丘や森をうろつく蛮族は全て恰好の獲物だ。反乱軍が森を怖がり、夜を避けるようにしてやろう。奴らが死ぬのが早いほど、我々の計画も早く達成される。

血の結束を
ペンターチ・ハウトリング

シスター・グリノルドからの手紙Letter from Sister Glynolde

姉妹たちへ

この吸血鬼の召使たちは、まるで太り過ぎたメンドリのように動く。遅い。遅すぎる!

私たちの灰の王はさらなる喪心の嵐を求めているのに、このカブの箱ひとつ満足に運べない、ましてや灰の聖骨箱や魔女の長槍のような強力な試料なんて、とても任せられない。こいつらと一緒に何をしろと言うの?

集合場所に来て。ヴァルスム墓地のすぐ北西よ。マルカルスの友人は、そこでよくグレイホストの指導者たちに会う。彼女ならもっと適した労働者を提供してくれるよう、エグザーチを説得できるかもしれない。

霊魂の導きを
シスター・グリノルド

セナンのメモSenan’s Note

ナサリめ!ここで俺たちに選ぶ権利があると言ったのに、何人かが死ではなく生きることを選んだら死を与えやがった。俺は怪我を負った。これが致命傷となるだろう。少なくとも逃れては来たが。

ナサリは生贄として死ねば永遠に生きられるようになると言って、クランの他の者たちを説得した。だが俺は真実を知っている。この儀式は力が目的だ。最後には彼女だけが残って褒美を獲得する。

下の闇への降り口から詠唱が聞こえる。もうすぐ生贄が始まる。ここで孤独に死ぬのと、仲間と一緒にあの恐ろしい穴へ投げ込まれるのとでは、どちらがより悲惨だろう。おかしなものだ。ブラダンはいつも俺に読み書きを覚えるなど時間の無駄だと言っていた。だが少なくとも、おかげで体から血が流れ出ている間に、やることができた。

ディオナス・トルートーの日記Journal of Dionus Trutor

何か大事なものがここに閉じ込められている!だがあの台が気に入らない。まだ我々の存在に反応していないが、ドワーフは不注意な侵入者を罰するために置いたのではないかと思う。

こうしてこの部屋を自分の目で見ると、ヴェセニオンの暗号じみた下手な詩よりもはっきりと理解できる。

王が盗賊を追う
淑女が王を追い回す
駿馬が全員の後を追う
盗賊に報酬をもたらすために

もちろん星座だ。1年の星座の順番は、王、駿馬、淑女、最後に盗賊だ。ヴェセニオンが正しいなら、答えは先頭の盗賊から始まり、最後に駿馬が来る。

盗賊と冬の星座や、北の空のつながりは明らかだ。それに駿馬は夏至の間、南の空でひときわ目立っている。王と淑女は少しはっきりしない。どちらも季節の間は東とも西ともつながりがない。東の星は淑女か?それとも王?

レイドナンを待つのに疲れてきた。少し実験をしてみるべきかもしれない。

トスモーン作品集(翻訳版)、IThe Translated Works of Tosmorn, I

編者注

グザンディア・イデットの本「トスモーン作品集(翻訳版)」は、著者の死後に出版されて以来、20年ほど議論を呼んでいる。

本人の言葉をそのまま受け取るなら、イデットは希少なアーティファクトを求めてリーチの土地を隈なく調査しながら生涯を過ごし――その途中で古代リーチの民による手稿を見つけた。イデットの主張によると現在は死語となった文字で書かれていたこれらの原稿には、伝説的なヴァテシュラン、トスモーンによって書かれた一連の叙事詩が収められていた。

イデットはこれらの手稿の現代語への翻訳に数十年を費やした。イデットの仕事の成果は不完全だったが、それは進行していた手稿の劣化や、翻訳を目指した文字に対する彼自身の知識不足によるものだった。彼は仕事を終え、原稿を出版のため売却してから間もなく亡くなった。

出版直後、学者たちはこの詩が偽物で、イデットの話はでっち上げだと非難した。ほとんどの学者は、現代のリーチの民が口承に頼っており、歴史的な記録にも文書の記録が用いられた形跡がないという事実を指摘している。イデットの話に対する別の反対者は、リーチの民にはトスモーンが著したような芸術的表現をする能力が無いと主張している。この議論は安直で、しばしばリーチやリーチのヴァテシュランに関する経験がない研究者などによって行われている。

これらの偽造だと叫ぶ人々に反対するのは、正当な評価をされていなかった天才、ヴァテシュラン・トスモーンに対する関心を呼び起こした、イデットを称賛する人々である。とりわけ、彼らはブレトンやインペリアルの厳格な詩の形式から程遠い、詩の断片の滑らかさ、刺激性、素朴な純粋さを高く評価している。彼らはまた、失われた技はタムリエルの歴史的記録の中で決して珍しいものでなく、それ故特にタムリエルの他の人々と比較して、リーチの者の文化を扱った学術的研究が少ないことを考えれば、イデットの失われたリーチの文字だという主張は、大激震が走るようなものではないと指摘している。

どちらの側も、イデットの主張を決定的に証明する、またはその反証となるであろう「ある物」が存在しないことを嘆いている。イデットが発見し、翻訳したと主張する手稿だ。生前のイデットを知る人は、彼は隠遁生活を好む孤独な人物で、しばしば荒野のキャンプに引きこもり、1年のうちの長い時間を研究と翻訳をしながら過ごしたと述べた。イデットはリーチ全域に多数のキャンプ地を持つと考えられていたが、彼の手稿を発見するという希望に満ちた野心的な学者により発見されたのはごくわずかな数のみだ。イデットの反対者は手稿がないのは、そもそも存在しないからだと主張している。イデットの支持者は、発見時に既に分解していた手稿は、おそらく朽ちて消滅してしまったのだろうと推測する。

こうして問題は解決することなく――不安定な状態で疑いの目と過剰な称賛の間に捕らわれている。私がこの詩のようなものの研究に打ち込んだ年月は答えを出してくれていない。という訳で、親愛なる読者の皆様には、ぜひこの本をご自身で読み、この後に続く内容が高く評価されたリーチのヴァテシュラン、トスモーンの作品――あるいは精巧な偽造品について知る唯一の手段なのかどうかを考えていただきたいと思う。

ヴァネッセ・オーリリー
第二紀322年、暁星の月5日

トスモーン作品集(翻訳版)、IIThe Translated Works of Tosmorn, II

テンプレアアアアアア 著

第一の断片

[編者注:グザンディア・エデットによって翻訳された詩の第一の断片には、すでに失われた、より大きな作品から抜粋された台詞が登場する。以下に記すエデット自身の序文からは、これがトスモーンのヴァテシュラン(伝承の守り手)としての経歴における初期の作品で、叙事詩的悲劇『イゾレンの愛』の一部分であることが伺える]

翻訳者グザンディア・エデットによる序文

以下に放棄されたリーチ狩人のキャンプの残骸を探して見つけたいくつかの断片のうち、第一のものを記す。これらの言葉が刻まれていた皮は雪解けによってかなり濡れており、また雪を溶かした太陽光もこの悲しむべき損傷を加速させた。このためヴァテシュラン・トスモーンの文章のうち、翻訳可能な程度に判読できたのは一部分だけだった。現代の読者の感覚に訴えるよう詩行に整えてあるが、これは人為的な構築である。皮に刻まれた本来の文に、このような形式はない。

以下の詩に記されたやりとりは、おそらくトスモーンが試みた叙事詩的悲劇の第一作品『イゾレンの愛』から抜粋されたものである。白髪の老戦士グリニンは、最愛の娘イゾレンの死を知らされる。グリニンの嘆きはイゾレンの恋人ヴァルトーンの到着によって中断される。彼はグリニンの憎むべき敵、リーチの魔女デヴェラの一人息子なのだった。

* * *

グリニン
イゾレンは麗しき風
足元に猟犬を従え
娘は丘や谷を駆け回った
弓の弦が歌を奏でれば
雄鹿も雌鹿も倒れたものだ

谷間には重い空気が漂う
林に流れる小川は口を閉ざし
鳥たちは歌うのを止めた
イゾレンがもう狩らないからだ

ヴァルトーン
老グリニン、イゾレンは私の恋人だった
かつて、この丘の木々も
若く緑にあふれていた
イゾレンと私はその間を歩み
深い峡谷の中
霧に包まれ、荒野を二人で過ごした

私たちは約束の言葉を交わし
カバノキの小枝で指輪を作った
我が心は墓石の下に眠る
もはや他の者を抱くことはない

グリニン
ヴァルトーン、我が敵の血よ
下等な虫、魔女デヴェラの血
お前と喪に伏すつもりはない

我がクランの地から去り
穴と闇へ帰るがいい
お前の母の見捨てられた広間へ
この手が悲しみで動きを鈍らせようと
我が石の切っ先はお前の血を流す

ヴァルトーン
イゾレンが死んだというのに
あなたが私にかける言葉は
恋人の死装束のように黒い
私は火の安らぎを求めている
霧は私を骨まで凍えさせた

私の手は石を削って荒れている
死した恋人の墓のため
グリニン、抱擁など求めはしない
我が親族への憎しみは知っている
あなたの親族への愛も知ってもらいたい

グリニン
デヴェラの子よ、お前に与えられるのは刃のみ
イゾレンは私の優しさだったことを知れ
彼女がいなくなった今、私に残されたのは
怒りと恐怖、悲しみだけだ

警告はした、誠実に
だが今や、構えたこの石は
お前の肉と血を求めている
受け入れたくばそうするがいい

ヴァルトーン
グリニンよ、クランはこのことを知るだろう
私は殺されたのだ!
傷から流れ出るこの血が地面を汚すように
この行いはあなたの魂を汚している
私の霊魂は愛するイゾレンの元へ発とう
あなたが追いかけてこない草地へ
冷たい霧からも、残酷なあなたからも自由な地へ
私が死んだら、デヴェラに伝えてほしい
母は殺された息子のために泣くべきだと

トスモーン作品集(翻訳版)、IIIThe Translated Works of Tosmorn, III

第二の断片

[編者注:グザンディア・エデットによって翻訳された詩の第二の断片は、ヴァテシュラン演劇の研究者や好事家におそらく見慣れたものに映るだろう。グウィナ、ロウォラン族長、半神デアロラ、そしてホーンストライド・クランは口承によく現れる。ただしエデットが記しているとおり、彼らの描写は作品ごとに大きく異なっている。事実、エデットはヴァテシュラン・トスモーンの影響力と評判を考慮して、以下の作品がこれらの古典的登場人物の元来の姿であることを示唆している]

翻訳者グザンディア・エデットによる序文

グウィナの歌は、寒い春の夜にヴァテシュランが火のそばに姿を現せば、今日でも聞こえてくる。トスモーン版のこの歌を翻訳して記録するに当たって、私は人気の主題の描かれ方に驚かされた。彼が語るこの歌において、グウィナはロウォラン族長とそのクランの親族であり、ホーンストライド・クランの狩人ではない。現代における描かれ方と同様、ロウォランの神話的なまでの戦闘能力は、ハーシーンの子である半神デアロラから彼の末裔に与えられたものである。

腹立たしいことに、私が収集した手稿はロウォランがホーンストライドに倒される事態を引き起こした経緯を説明していない。トスモーンほど地位のあるヴァテシュランならば間違いなく、それがロウォランの7人目の娘の裏切りのせいだったか(これは特に人気のある説だと聞いている)、白い雄鹿の凶兆を見なかったせいか(これもまた人気の説である)、それともまだ語られていない原因があったのか、決着をつけられるはずなのだが。

* * *
グウィナ
かつてここは静かな森だったのに
今では葬送歌が響き渡る
つるはしの音が聞こえる
大地を掘り返しているのは
神聖なる死者の家を作るため

戦いは勝利に終わった
ホーンストライド・クランは倒れ
絶壁の下の暗闇に消えた

勝利を歌った
力を叫んだ
悲しみを囁いた

今やクランの死体は
この土の中に埋められた
そこから何が育つ?
ただ栄光の物語だけ
大地は不毛のまま
私たちがそう保つから

そして花と草を取り除き
名を思い起こす
クランのために死んだ者の

ロウォラン族長は横たわる
矢に目を射抜かれ、息は吐かれぬ
子が周囲に集まる
力強い樫の周囲に葉が集まるように

巨大な枝が落ちた
葉も共に落ちた
そしてロウォランの血は絶える
その血はハーシーンの娘
デアロラの血

ホーンストライドは撃退された
だが心臓はえぐられた
互いに勝利の笑みを交わし
季節は冬へ移り変わる
そして次の春、私たちは消え去る
陽光の中の霧のように

迅速に攻めねばならぬ
クランが力を失う前に
他の者がロウォランの死を知れば
鴉が集まるだろう

我らの骨が漁られる前に
石の街を攻めなければ
岩の下の王を攻めなければ

魔女の元へ行こう
腐ったイチイの林の中
彼らの風は苦く
我らを中から腐らせる
だが親族よ、この毒を飲まねばならぬ
マルカルスの矢に立ち向かうため

我らのために掘られる墓はない
我らが石の壁を得ても
生きて守ることはできぬのだから

マルカルスの財宝など求めぬ
ロウォランは王を殺し
民を解放しようとした
彼の大義は我らの大義

我らは魔女の炎で血を燃やし
街を蹂躙する

我らは石の下の砦を襲い
王冠を床に叩き落す

我らは王の喉を掻き切る
研ぎ澄ました石と狩人の爪で

我らは死ぬが、それは些細なことだ
ロウォランの夢は成就する
愛するクランは滅びる定め
この季節か、次の季節か
だが孤独には死なぬ

トスモーン作品集(翻訳版)、IVThe Translated Works of Tosmorn, IV

3つ目の断片

[編者注:グザンディア・イデットの翻訳された詩のようなものの断片の3つ目は、リーチの伝説の中でも、最も長く伝わることとなった話を取り上げている――「赤鷲」だ。序文で示されているように、イデットはこの断片を奪われた誇り――赤鷲の物語の要となる部分――と理解し、ほぼ哀歌調の文章を採用している。— V.A.]

翻訳者グザンディア・イデットによる序文

赤鷲。女帝ヘストラによるリーチ征服中の彼の不従順と抵抗は、何世代ものヴァテシュランに加え、リーチの厳しい土地を越えた先にいる吟遊詩人や語り手に感銘を与えた。このことは、トスモーンがこのリーチの者の偉大な英雄の生と死を年代順にまとめていたことを知る者にとって、驚きに値しないだろう。

私がこの遺物の一部を入手できたことはかなり幸運だった。めったに人前に姿を現さない魔女の魔術結社、ソーンルートの保有地に入るための安全な経路を確保した後、私は彼らの骨董品や消耗品の中に、古い頭飾りを見つけた。そのバンドの中に固く巻かれた仔馬の皮があった。その表面には見覚えのある名前が殴り書きされていた。「ファオラン」。赤鷲は現地の言葉でこう呼ばれていた。

断片の文章は、ファラオンと女帝ヘストラの軍隊との最後の戦闘の余波についてのみ焦点を当てている。より広く語られている作品の口調に反して、トスモーンは悲し気な、いつまでも心に残る詩(と呼べるようなもの)で我々を楽しませてくれる。話を盛り上げる赤鷲の最終的な帰還の予言が存在しないため、読者は「赤鷲の復活とリーチの自由を求める声は後のヴァテシュランの創作なのだろうか?」と推測することになる。このことは、この岩だらけの土地に何千とある謎の1つであり続けるだろう。

* * *
ファオランの死

涙に暮れる者たちが彼を背負い、険しい岩山を登る。
生まれた時に赤鷲と呼ばれた者が
死して百の傷より赤く染まる。
朝日の光が世界に示す
死者の絨毯と
千の魂が重くのしかかる
リーチの息子。
呪術師が灰と樹脂の壺を手にやって来る
涙に暮れる運搬人に会うために
そしてファオランは横たわる。

彼を見て族長は涙を流す
無のために引き裂かれた彼を。
彼の体に灰が撒かれる
けれども落ち着くことはない。
ファオランの下の石の上にたまりを作る
彼に足がかりを得られずに。
静かな囁きが広間を飛び回り
全ての頭が下げられた。

今、ハグが与えられるべきものを獲得にやって来た
前には彼女の鴉
そして呪術師を見て笑う
灰も樹脂も役に立たぬと。
彼女はイチイの杖を手に取り、降り下ろす
ファオランの胸の上に。
中のイコルが噴き出す
黒い血が
そして彼女は自らの欲望の種を手に取り
ファラオンに植えた。

百の手が火打ち石を取り、矢をつがえる。
誰もが落胆する。
ハグの笑いは魂を膿ませる
死が彼女を取り巻く時に。
彼女の頭巾の下で千の鴉が飛び立つ
そして彼女は行ってしまう。
彼女は槍も、剣も、弓をも越えている。
逆らえる呪術師はいない。
ファオランが戦いの支援を命じたため
得るべきものを彼女は獲得した。

泣く者はファラオンを下ろす
山の心臓へ。
彼は最後に裸で横たわる
眠りなき眠りの中に。
石は封じられ、蝋が注がれる
そして火打石が砕かれる。

ここにファラオンは死して横たわる。

ドルアダッチの怖い話、第一巻Scary Tales of the Druadach, Book 1

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

親愛なる読者諸君。「怖い話」の新たな書へよく戻った。今回、我々はリーチの人里離れた荒野、特に荒々しく人を拒むドルアダッチ山脈を探検する。野蛮なリーチの者はただ危険なだけではなく、それと同じくらい孤立した場所を好む得体の知れない民族だ。そして、この物語は著しい危険を冒すことなく集めることはできなかった。

だがまたしても、私はこの年季が入った語り手の魅力、機転、そしてとても早く走る能力により、未だ確認も解明もされていない物語を、帝都やそれ以外の地域の読者諸君にお届けするために逃れて来た。

それではお気に入りの椅子に腰を落ち着け、ハチミツ酒を手にして、夜の暗闇にランターンを灯したなら読み進めたまえ。勇気があるなら、だが!

* * *
デイドラの遠吠えをする狼

最初の未だ解明されていない話は、あるレッドガードの商人キャラバンの生き残りから聞いたものだ。この人物はドラゴンスターからソリチュードまで大量の上質な絨毯やカーペットを運んでいる最中に出会った、計り知れない規模の無慈悲な災難を耐え抜いた。この何も知らない、間もなく危険にさらされることになるカーペットの運搬人たちは、その季節のソリチュードの高級装飾品不足をうまく利用できるようにと願いながら、恵雨の月の終わりにドラゴンスターを出発した。キャラバンは匿名を希望している2人の商人で構成され、バーガマの刃と呼ばれるハクミル隊長率いる、8人の傭兵によって守られていた。

商人は最初から呪われていたかのような長旅について語る。境界を越えてリーチに入ると、すぐにキャラバンは最悪の嵐、数日間にわたり弱まることなく降り続く激しい雨に襲われた。レッドガードの荷馬車と頑丈な馬、砂の上で荷馬車を引くことで鍛えられた強く丈夫なその馬でさえ、陰気でぬかるんだ状況の中では速度を保つのが困難になった。隊商と馬が最大限の努力をしたにもかかわらず、キャラバンの進行には数日の遅れが出た。だが、この厄介な不自由さは、夜間にハクミル隊長の傭兵が2人消えたことで一層悲惨なものとなった。

その日は消えた2人の恐怖の叫び声が聞こえることはなく、遺体も見つからなかった。だが、2人が行方不明になる前の晩、キャラバンの生存者全員が1匹の狼の悲し気な遠吠えを聞いたことを思い出している。それはゾッとするようなものすごい遠吠えで、雨でずぶぬれになったテントの中で身を寄せ合ってウトウトしていた者全員が目を覚ました。そして遠吠えが次第に小さくなり聞こえなくなった後も長い時間眠れなかった。彼らは言った。「遠吠えは…まるでデイドラのもののようだった!」と。

雨は朝までに弱まったが、他のキャラバンの護衛6人がどんなに捜索しても、行方不明の仲間の足跡も形跡も一切見つからなかった。歴戦のクラウンの戦士たちが、あたかもキャラバンを苦しめた嵐そのものにさらわれたかのように消えてしまった!あるいは…デイドラの狼に。

先導役の商人が警告を発した…キャラバンは引き返すべきではないか?だが、腕に自信があり、消えた兵士を見つけると固く決意していたハクミル隊長は、進むことが可能だと商人たちに断言した。そこで彼らは強引に進んだが、結局最悪な霧が猛烈な嵐に取って代わっただけだった。1人は「霧があまりにも濃くなって、目の前の自分の指さえ見ることができなかった!」と語ってくれた。

さらにまずいことに、生存者たちは遠吠えを聞いた。その日は1日中、騒々しく弱まることのない、最初の傭兵たちが消えた夜にキャラバンを目覚めさせたのと同じあの恐ろしい遠吠えが何度も何度も聞こえた。いつも霧の中から、しかし突き止めるには遠すぎる位置から。傭兵たちは仲間同士で悪態をつき、文句をつぶやきながら隊列を詰め、身を守ろうとした。しかし攻撃されることはなかった。キャラバンが重い足取りで進むにつれ、彼らは遠吠えはリーチの者によるただの悪質ないたずらに過ぎないと確信するようになった。リーチの野蛮なクランは、決して道を行く6人のクラウン・レッドガードをあえて襲ったりはしない。このような熟練の戦士が不意をつかれるようなことは2度とない!

霧が立ち込めた晩、ハクミル隊長は傭兵たちに交代で寝ることにすると告げた。夜明けが来るまで3人が眠り、3人が起きているのだ。彼の計画は妥当なもののように思えた。霧に満ちた晩の最も暗い時間に、狼のデイドラじみた遠吠えが再び夜を切り裂くまでは。キャンプ中の全員がすぐに目を覚まし、ハクミル隊長が闇の中の兵士たちに声をかけた。だが返事をする者はなかった。瞳に激しい怒りをたたえたこのバーガマの刃は、残った2人の兵士に如何なる状況であろうと決してキャラバンを離れないように命じ、自らの巨大な剣を抜いた。ハクミルはデイドラの狼と対峙し、仲間の運命を知るため霧の中へと勢いよく歩いて行った。

そしてこの勇敢なハクミル隊長だが、皆が待ち望むこの物語の語り手は不幸にもこうお知らせしなければならない。決して戻ることはなかった。

翌朝も霧は残り、再び強い雨も加わっていた。間もなく頑丈なレッドガードの荷馬車の車軸の1本がまっぷたつに折れた。どうしてそんなことが有り得るだろうか。荷馬車は出発前に、ドラゴンスターで修理し強化してあったのに!一体なぜこんなことに?嵐と、霧と、この幽霊じみた奇妙な狼に悩まされながら2週間もとぼとぼ歩くしかないということが予想されると、クラウンの商人たちは荷馬車を放棄して、さっさと馬でソリチュードに帰るという決断をした。「カーペットやシルクにはまだ生きている人間ほどの価値はない!」と、彼らは言い切った。

1頭の馬に2人がまたがり、回収できた所有物を乗せた最後の馬と共に一行が荷馬車を離れると、すぐに恐ろしく深い霧が晴れたと言う。緊迫した4日間の後に、生存者たちはソリチュードに到着した。放棄した財産は失われたが、それ以外は略奪もされず、怪我を負うこともなかった。

だが、ハクミル隊長と消えた6人の勇敢な傭兵の消息は不明なままだ。デイドラのような狼の記憶だけが残り、その遠吠えを聞いた者全員の脳裏に焼き付けられている。嵐と霧で作られた狼が夜中に不用心な者を奪い去って消えた。その犠牲者を、ドルアダッチ山脈の影に連れ去ったかのように!

ドルアダッチの怖い話、第二巻Scary Tales of the Druadach, Book 2

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

次に話したい物語は、ドルアダッチ山脈の影を舞台にした病と裏切りの物語だ。恐怖を味わってくれ!

* * *
カースワステンの滴る病

北リーチにある包囲された街カースワステンは何世代も残り続けてきたが、その支配は頑健なノルドと油断ならぬリーチの民との間で、センシャルの賭博場における金貨以上に何度も持ち主を変えてきた。この街に関して、心騒がす裏切りの物語はアリクルの砂粒のようにありふれたものだが、ある嘆きと死の物語は他の全ての物語を凌ぐ。それがカースワステンの滴る病の物語である!

20年ほど前、リーチの民は再びカースワステンのノルドを追い払い、家を焼き、カースワステンを掌握した。このリーチのクランは飛び抜けて残虐で、カースワステンへの侵入を試みた勇敢なノルドは、リーチの民と獣の軍隊を相手にすることになった。聞くところによれば、このリーチの民は凶暴なウェアウルフと手を組んだという!

この街は1年ほどリーチの手に留まり続けたが、それも高名なノルドの略奪者、ウルガー・ストーンビアードが鴉の手という名のみが知られる強大なリーチ魔女に会うまでのことだった。一説によればウルガーと鴉の手は最初戦場で出会ったが、どちらも相手を仕留められなかったという。2日間の戦闘の後、彼らは停戦して食事を共にした。そこでウルガーは、鴉の手とカースワステンの向こう見ずなウェアウルフ戦士クランが別に良好な関係にはないことを知った。そしてウルガーの戦士たちによれば、彼はこの悪魔の女と闇の取引を結んだ。

鴉の手はカースワステン手前の平原に乗り出し、ウルガーの戦士たちに守られて、多くの不浄な犠牲を捧げた。美しくも忌まわしい言葉を詠唱しながら、彼女は墨汁のように黒い雨を降らせた。妖術の嵐はカースワステンとその建物を汚れで覆った。間もなく、叫び声が上がり始めた。
門が開かれ、リーチの戦士がよろめき出てきた。真っ黒な雨によって体の肉が燃え上がり、金切り声をあげながら!リーチの強力なウェアウルフでさえ病にかかり、苦悶の吠え声は傷ついた獣のようだった。配下の戦士の言葉によると、ウルガーはこの虐殺の報を聞いて喜び、街へ突入してリーチの生き残りを始末せよと命じた。

だが頑健なノルド戦士の集団でさえ、漆黒の妖術に覆われた街に足を踏み入れるのは躊躇した。鴉の手はウルガーに対して漆黒がリーチの民とウェアウルフにしか危害を加えないと保証したが、ノルドにはリーチの魔女の言葉を信じる気などなかった。街の叫び声は彼らを骨の髄まで震え上がらせた。配下の戦士がこのように怯えるのを見て、ウルガーは全員を臆病者と罵り、悠々と街に踏み入って、立っているのもやっとの状態で挑もうとしたリーチの民を切り伏せた。ウルガーが街の中心に立ち、斧が怖いかと生き残りに叫んだその時、漆黒の雫が一滴、彼の眉に落ちかかった。

漆黒の雫はウルガーの兜の表面で獣のように大きくなり、彼の頭を幕のように覆った。すぐにウルガーの体全体が漆黒で覆われ、ノルドの話では、死そのもののように黒い笑みを浮かべた。

裏切りを目撃した他のノルドたちは鴉の手に襲いかかり、指揮官を乗っ取った狂気の魔女を倒そうとした。しかしリーチの魔女が笑うと、ノルドの斧は空を切った。大鴉の群れが空に飛び立ち、カーカーと鳴き声が上がった。そして今や漆黒に覆われた指揮官が、その斧から疫病を滴らせながら向かってくるのを見て、ノルドは戦場から逃げ出した。

現在も、漆黒に包まれた巨大な戦士がドルアダッチ山脈の影をうろついているのを見たという話を耳にする。その手に持つ斧は肉も鋼鉄も溶かす雫を滴らせ、通った道には鴉の手の笑い声がついてくるという。彼は顔に笑みを浮かべた死神であり、道を塞ぐ者全てを切り刻む。それがカースワステンの滴る病だ!

ドルアダッチの怖い話、第三巻Scary Tales of the Druadach, Book 3

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

読者のみなさんにお伝えする物語も、これが最後になった。これは魔女と魔術に関する話だ。こうした物語が全てそうであるように、今回のものもドルアダッチ山脈の影が舞台になる!

* * *
肌が赤に染まった姉

この物語は私を斧で叩こうとすることなく話してくれる、わずかなリーチの民が教えてくれた。これは全ての物語の中で最も背筋の凍るものだ。老女は2人の姉妹について語った。1人は金髪、もう1人は黒髪で、どちらも最高クラスのリーチの魔女だった。老女によれば、どちらも力への渇望により正気を喰い尽くされてしまった。

色白で年長のリーチ魔女タンシアは、その年齢と強大な風の魔術によって選ばれ、クランを率いることになった。しかしタンシアはすぐに予想もせぬ挑戦者と争うことになった。1歳下の妹ウレシアである。彼女はタンシアの風の魔術と同じくらい強力な、水の魔術の使い手だった!

クランの中には姉妹のどちらにも戦いで適う者がいなかったが、姉妹が殺し合う様を見るのに耐えられる者もいなかった。タンシアとウレシアはクランの誇りであり、数世代で最強の魔女たちだった。クランの誰もが、これほどの逸材を失うことを望まなかったのだ。だがクランのメンバーたちが姉妹にどれほど懇願しても、タンシアとウレシアはどちらがクランを導くか、意見を一致させることはできなかった。結局、クランはこの膠着状態を解消する唯一の道に落ち着いた。驚異的な魔術の課題を解くコンテストである!

こうしてタンシアとウレシアは、魔術の力を試す様々な妙技を披露した。技が行われるたびに激しさを増していった。タンシアは荷馬車を動かすほど強力なつむじ風を召喚したが、妹が木を根ごと押し流すほど強力な水流を召喚したのでうろたえたという。ウレシアがクランの水をハチミツ酒のように甘くしたかと思えば、タンシアはクランの狩人を空気のように軽くして、空を階段のように駆けられるようにした。

老女によると、最終的に常軌を逸してコンテストを激化させてしまったのはタンシアだった。妹に勝とうと必死になったタンシアは、デイドラ公と約束を交わし、クランを指揮する力と引き換えに70年の奉仕を申し出た。しかしデイドラとの取引の常として、デイドラ公はタンシアが要求した以上のものを与えた。新たな族長が指名される前日、タンシアがクランのキャンプに戻った時、白かったタンシアの肌は血のように赤く変わり、両目は小さな炎のように輝いた。そしてクラン全員の前でタンシアは大気を沸騰させ、妹を生きたまま焼き殺した。

裏切られたクランは恐れをなし、散り散りになって逃げ去った。しかしリーチの老女によれば、赤い肌と炎の目を持つ姉は今でもかつてこのクランがいた荒野を放浪しており、人を見れば叫び声を上げ、この孤独な生を終わらせてくれと戦いを挑んでくるという。クランも家族もいない、孤独で陰気な終わりなき生を。

だが赤い肌の姉が持つ力は絶対的で、誰も彼女を倒すことができない。彼女は自分が交わしたデイドラの取引に囚われたまま、誰にも対抗できない力と、誰にも終わらせられない不死の生という呪いを受けているのだ。姉妹のうちウレシアは運がよかったと老女は言った。自由なまま死ぬことができたから。

ドルアダッチ山脈の動植物Flora and Fauna of the Druadach Mountains

帝国植物学者、テルラヴェス・デカニス 著

ドルアダッチ山脈は旅人に人気がない場所のままだ。多くの人に恐れられている。リーチの慣習を知らない人々は、断崖に潜むクランや山道の至る所にある暗い洞窟を恐れ、徹底的にこの場所を避ける。実に残念なことだ。何故なら最も美しい景色が、この力強い山岳地帯にはあるからだ。リーチの民は、おそらく彼らの領域に存在する動植物について、我々が得られる知識よりも多くのことを知っているだろう。私が得た知識は、主に周辺部に暮らす人々から、日記の余白に荒々しく書きなぐられた「茂みに隠れて息を潜めろ!」というメモと共に教わったものである。私はこれまでに記録されていなかった植物や動物について知りたいと願っていたが、恐怖のあまり深い探求ができなかったのではないかと感じている。いずれどなたかが加筆してくれることを望みつつ、私はここに記録したことを書き記した。

* * *
リーチの植物

ジュニパーベリー
まるで真珠のように美しく輝く白いベリーは、自然の環境下に数多く育ち、ドルアダッチ山脈を走る山道に無秩序に広がっている。危険を承知で摘みに行く勇気ある人々は、よく見かけるこのベリーにさまざまな使い道を見出している。ハチミツ酒に風味付けしたい場合であれ、甘い菓子を作りたい場合であれ、各種の薬用チンキ剤の材料として使う場合でさえあっても、このベリーは万能であり豊富に実る。

垂れ苔
ずっと垂れ苔の生えている光景には奇妙に引き付けられてきた。洞窟の入り口や岸壁を美しく覆う姿。世界における彼らの存在には、何か不思議で魔法的なものがある。ドルアダッチ山脈にはその湿度が高い気候により、驚くほどの数が生育している。

モラ・タピネラ
この風変りなキノコは倒木や腐敗した切り株などで発見される。平凡な外観ではあるが、私は彼らを美しいと思う。彼らは死がその手を触れた場所に育ち、それがもたらす静寂にひるむことはない。私はその執念を称賛する。彼らはドルアダッチ山脈における最も魅力的な菌類の見本とは言えないが、私の一番のお気に入りであることは確かだ。

* * *
動物

雪熊
この本で恐るべき力を持つ雪熊について触れなかったとしたら、それは私の怠慢だろう。ドルアダッチ山脈の高く雪深い山頂は、この巨大な野獣にとって完璧な生息地である。しかしながら、彼らの愛らしい見た目に騙されてはいけない。雪熊はより低い地域に生息する同等の生物と同じくらい危険だ。彼らの毛皮はその白い光沢と柔らかさ故に極めて人気が高いが、皮を入手するための対価は、この大胆不敵な観察者が積極的に支払おうとは思わないものである!

リーチメア
リーチの外でこれほど忍耐強い馬の血統は見つけられないだろう。リーチメアはかつては野生種だったのだろうと私は推測する。山脈の谷を突き進む彼らの姿はどれだけ素晴らしかったことだろう。しかし、手なずけられたからといってその非凡さが損なわれたわけではない。リーチ人の闘志と不屈の精神は、この堂々とした動物に具現化されている。時に彼らは気難しく、他者に対して極めて強い不信感を抱くことがある。この項目のための観察で、手足を1本も折らずに済んだのは幸運だった!リーチメアは愚か者には容赦しないのだから。

ハグレイヴン
私は自分の書いたものが、いつの日か旅人にドルアダッチ山脈を訪れ、自分の目でこれらのものを見てみようという気を起こさせる可能性があることについて考慮しなければならない。だから、私にはあなた方に警告をする責任があるのだ、読者諸君ん。もし自分がドルアダッチ山脈にいることに気づいたら、冷静さを失わないように。自然の土地にある以上の危険がそこにはある。私はこの記録にハグレイヴンも含めたいと思っていた。何故なら彼らもこの記録の一部だからだ。私は皆さんがハグレイヴンを見たことがなく、また見る理由もないことを祈る。だが、もし鳥のような性質を持つ恐ろしい老婦人に偶然出会ったら、自分が差し迫った危険に直面していることに気づいて欲しい。観察の時間は終わり、今や逃げるべき時なのだ。

ドワーフ・ディナスターについてOn Dwarven Dynastors

ドゥエマー古遺物研究者、レイノー・ヴァノス 著

大半のアマチュア探検家は、旅のどこかで何らかのドゥエマーの機械を見たことを自慢するだろう。そうした物語に出てくるのは決まってドワーフ・スパイダーやドワーフ・スフィアで、型通りの退屈な代物だ。アニムンクリが壁から飛び出し、両手の爪を振り回してくる話だ。こうした物語はドゥエマー技術の表面に触れているだけだ。最も奥深くの遺跡には様々なドワーフの機械が動き回っている。私たちが発見したものは、彼らの機械仕掛けの下僕のほんの一部でしかないと言っても過言ではない!

一例として、ディナスターを挙げよう。この巨像を自分の目で見たことはないが、いくつか部分的な描写を見つけている。記述だけに頼って正確なサイズを判断するのは難しいが、おそらくディナスターの背丈はドワーフ・センチュリオンを越え、横幅はゴールドコーストの交易馬車に匹敵する。他のアニムンクリと同様、ディナスターは有機体の形状を模倣しているようだ。この場合、角の生えたベヒーモス・ショークである。最も興味深いと思うのは、中核をなす装置だ。

設計図に関する私の理解が正しければ、ディナスターは運搬器具の一種として使われていたようだ。中心部の甲殻内に複数のドワーフ・スフィアが格納されていた。その時になればスフィアは隠された射出口から飛び出し、おそらく遭遇した敵を倒すために連携して戦ったのだろう。この装置はドワーフの基準からしても、めまいがするほど複雑に見える。

ここから導かれる問いは、なぜドゥエマーがこんな機械を作ったのかということだ。他のドワーフの下僕と異なり、ディナスターが戦争のため特別に作られたことは明らかであるように思える。私たちはレッドマウンテンの噴火以前にタムリエル地下で起きた戦いについて、未だわずかなことしか知らない。これよりさらに大きな機械が、ドゥマクの敵を探して遺跡をうろついていてもおかしくない。探索がさらに深くまで進展し、この古代の謎が今まで以上に明らかになることを期待しよう!

ナミラの踊りNamira’s Dance

リーチの儀式の観察
文化書記、ゲンマ・パンフェリウス 著

リーチの儀式について直接の目撃報告は少ない。大抵の場合、よそ者がこうした儀式に参加することは激しく忌避され、見学さえ許されない。私がリーチとその鋭く不屈の人々について発見したことがあるとすれば、それは彼らがドルアダッチ山脈の崖や谷間に人知れず咲く野生の花のように、互いに全く異なっているということだ。

多くのリーチのクランはよそ者が自分たちの生活に入り込むことを許さないが、ボールドクロウ・クランは私が学者だと名乗ると丁重にもてなしてくれた。彼らはデイドラ公ナミラを称える儀式に私を参加させてくれた。時として霊魂の女王、あるいはより劇的に死の女神と呼ばれることもあるナミラは、暗闇と終末の霊魂とみなされている(ただしリーチの民は、ナミラを再誕を司る霊魂ともみなしている)。リーチの民はナミラを自然界における強大な力と考えている。彼らのデイドラ崇拝は、例えばタムリエルの他の地域の人々が神々を崇拝するのと意味合いこそ違うが、彼らが霊魂と呼ぶ存在はリーチの民の生活に重要な役割を果たしている。リーチの民はデイドラとの間に持ちつ持たれつの関係を築いており、日々の課題や困難の助けを得るため、合意を形成しているのである。

ボールドクロウはナミラを深く尊敬している。彼らはナミラが死と生の両方に及ぼす作用を、古代の儀式によって称える。この儀式の光景は言葉で描写できるものではないが、私が目撃したものを記述するよう努力してみる。

ナミラの踊りはボールドクロウ・クラン全員の参加を必要とする。最年少の子供から最年長の狩人までの全ての成員が、空き地の中心にある大きな炎の周囲に集まる。多くの者は暗い色の服を身に着け、暗い色の絵具を顔から喉にかけて塗りつける。しかしそれ以外の人々は全裸で現れる。彼らが世界に生まれてきた時の姿を象徴するためである。踊れる者は一斉に踊り、死と生まれ変わりを目まぐるしく表現する。これは恐ろしく、また美しくもある。

この踊りの最中には血が流されるのだが、何が暴力を加えているのかはよく分からなかった。それに「暴力」は言い過ぎかもしれない。炎のきらめきの中に捉えられた血は溶けたルビーのようで、美しいと言ってもいいくらいだった。ある者は血の色を両目の下になすり付け、別の者は土に手形を押しつけた。彼らは血を恐れるだけでなく、血を称えてもいるようだった。おそらくそれがナミラの踊りの核心にあるのだろう。

私自身に関して言えば、デイドラ公についてどちらかというと伝統的な視点を持っていた。特にナミラについてはそうだ。それは恐怖と不快感が混ざった視点であり、リーチの民には無縁な視点のようだ。彼らはナミラを肯定的に捉えており、私が見た儀式は美に満ちていた。リーチの出身でない私たちにとっては奇妙に聞こえるかもしれないが、自分の目で見ればきっと同意してもらえるだろう。この地とその人々に、愛が欠けているわけではないのだ。

ノルドの子供の日記Nord Child’s Journal

父さんは行かなきゃいけないって言ってる。ここは僕たちの土地じゃなくって、自分たちの土地だって言う悪い人たちがいるんだ。僕にはよく分からない。ここがその人たちのなら、どうして僕たちはここに住んでるの?ここが誰か他の人の家だなんて誰も教えてくれなかった。考えると悲しくなる。僕はここで暮らすのが好きだけど、父さんはいつも人のものを取ったらいけないって言ってる。それって、人のだって知らなかったとしてもダメってことかな?

どうして悪い人たちと話してみようとしなかったのかな。それはあの人たちが危険だからで、僕たちは攻撃される前に出て行かなきゃいけないんだって父さんは言う。でも、「ここがあなたたちの家だって知らなかったんです」って説明したら、絶対に親切にしてくれると思う!父さんは僕があんまり子供だから分からないんだって言うけど。

僕は行きたくない。悪い人たちと一緒にここに住めたらいいのに。あの人たち、どのくらい悪いのかな?もしかしたら、僕みたいな子供がいて、僕と友達になれるかもしれない。

ファルクフィルのメモ、1ページ目Falkfyr’s Notes, Page 1

3日目:私はファルクフィル・スノウメイソン。ソリチュードのハイルフラルド王の臣下だ。これはきっと最後の報告になると思うが、我が王を失望させるつもりはない!

私の任務は、我が国境で問題を起こしているリーチの民の略奪者の一団を追跡することだった。リーチの民はカースワステンを通り越して西に逃れ、その後北に向かった。私は彼らを山の中まで追ったが、ブリザードに阻まれてしまった。洞窟に避難しようとしたとき、足元の地面が崩壊した。

2日間ほど救助を待ち、今は食料が尽きかけている。この巨大な洞窟の中に扉を見つけたものの、開くことができない。コンパスはまだ機能している。だから私は西へ向かい、高い土地を探そうと思う。多分他の出口を見つけられるだろう。

万が一出口を見つけられなかった時のために、この報告書はここに置いて行く。もしこれを見つけたら、ファルクフィル・スノウメイソンが任務を放棄しなかったことを知ってくれ!

ファルクフィルのメモ、2ページ目Falkfyr’s Notes, Page 2

4日目:この洞窟には終わりがないらしい。おまけに巨大な虫がはびこっている!子供の頃、祖父がモーサルの沼にいる巨大な虫の話をしてくれたが、私は全く信じなかった。今、その虫がどこから来るのかが分かった。

食料も尽きてしまったが、もっと重要なのは水が尽きそうだということだ。4日間の偵察任務用の1週間分の物資では、穴に落ちた後の分はまかなえない。だが、ここから地下に川が見える。水筒に補充したいなら、あの巨大虫の前をこっそり通り抜ける以外に選択肢はない。

もし成功したら、別のメモを川の横に残そう。失敗したら、ファルクフィル・スノウメイソンは両手に斧を持って戦って死んだと理解してくれ!

ファルクフィルのメモ、3ページ目Falkfyr’s Notes, Page 3

5日目:今、真実が分かった。この巨大な洞窟は昔話の地下世界、ブラックリーチだ。私、ファルクフィル・スノウメイソンはここに足を踏み入れた最初の男だ!

水筒に水を汲んでいたら巨大な虫に見つかった。それを殺したあと、あることを思いついた。私は体中に虫の膿のような液体を塗り付けた。それ以後、他の虫は寄ってこなくなった。思ったとおり、奴らは臭いで狩りをする!

本当にここで生き延びられるんじゃないかと思う。ソリチュードに戻ったら私は伝説になるぞ。人々はブラックリーチを発見した斥候、ファルクフィル・スノウメイソンの銅像を建てるだろう!

もう寝よう。明日は上にあるドワーフの遺跡で食べ物を探すつもりだ。必要に駆られるまでは、そこら中に生えてるキノコを試すような危険は冒したくない。今ではあきらめる気は全くなくなった。

ファルクフィルのメモ、4ページ目Falkfyr’s Notes, Page 4

6日目:ドワーフどもは街を固く閉じたままにしやがった。入る手段も鍵をこじあけるものもない。中に食料があるとしても、私には食べることができない。

今朝、灰色がかった白い色のキノコを1つ食べた。生焼けの肉みたいな味だった。今日は休んで、死なないか様子を見る。死ななかったら、必要な食料は十分にあるってことだ!

7日目:キノコは毒じゃなかった。必要なら何だってあさってやるぞ!私は生きるんだ!ブラックリーチの奥深くで生き延びた話は、語り草になるだろう!

川を渡った南に、木のようなキノコの林が見える。今度はあっちの方に行ってみよう。

ファルクフィルのメモ、5ページ目Falkfyr’s Notes, Page 5

9日目くらい

食べられるキノコキノコ
大きくて灰色は肉のような味
小さくて青はおいしいおやつ
緑に光るのはとても甘く歌う

ここにあるキノコは全部食べられる。偉大なるウームがそう言ってる。偉大なるウームは私が南に行くことを望んでいる。私は南へ行こうと移行と以降と思う。

探さなきゃならないものがあったはずなのに、何だったか思い出せない。まあいい。今では全部の根が私の名を知っている。

ファルクフィルのメモ、6ページ目Falkfyr’s Notes, Page 6

?日目

私は選ばれし者だ。偉大なるウームは私を胞子にし、そして、私、スノウファルク・メイソンルートは、永遠に生きる。根は真実を知っている。根、ウーム、歌、全てつながっている。これはとても深い!

下の方に扉があるが、そっちは私の行く道じゃない。今、偉大なるウームは私に北について告げている。悪臭と虫の源だ。宝物はそこに捨ててもいい。何故ならもういらなくなるから。私は胞子で、まもなくウームになる。私は全てのウームになる。

家を見つけ、根を広げる。

ファルクフィルの完成した報告書Falkfyr’s Complete Report

3日目:私はファルクフィル・スノウメイソン。ソリチュードのハイルフラルド王の臣下だ。これはきっと最後の報告になると思うが、我が王を失望させるつもりはない!

私の任務は、我が国境で問題を起こしているリーチの民の略奪者の一団を追跡することだった。リーチの民はカースワステンを通り越して西に逃れ、その後北に向かった。私は彼らを山の中まで追ったが、ブリザードに阻まれてしまった。洞窟に避難しようとしたとき、足元の地面が崩壊した。

2日間ほど救助を待ち、今は食料が尽きかけている。この巨大な洞窟の中に扉を見つけたものの、開くことができない。コンパスはまだ機能している。だから私は西へ向かい、高い土地を探そうと思う。多分他の出口を見つけられるだろう。

万が一出口を見つけられなかった時のために、この報告書はここに置いて行く。もしこれを見つけたら、ファルクフィル・スノウメイソンが任務を放棄しなかったことを知ってくれ!

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4日目:この洞窟には終わりがないらしい。おまけに巨大な虫がはびこっている!子供の頃、祖父がモーサルの沼にいる巨大な虫の話をしてくれたが、私は全く信じなかった。今、その虫がどこから来るのかが分かった。

食料も尽きてしまったが、もっと重要なのは水が尽きそうだということだ。4日間の偵察任務用の1週間分の物資では、穴に落ちた後の分はまかなえない。だが、ここから地下に川が見える。水筒に補充したいなら、あの巨大虫の前をこっそり通り抜ける以外に選択肢はない。

もし成功したら、別のメモを川の横に残そう。失敗したら、ファルクフィル・スノウメイソンは両手に斧を持って戦って死んだと理解してくれ!

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5日目:今、真実が分かった。この巨大な洞窟は昔話の地下世界、ブラックリーチだ。私、ファルクフィル・スノウメイソンはここに足を踏み入れた最初の男だ!

水筒に水を汲んでいたら巨大な虫に見つかった。それを殺したあと、あることを思いついた。私は体中に虫の膿のような液体を塗り付けた。それ以後、他の虫は寄ってこなくなった。思ったとおり、奴らは臭いで狩りをする!

本当にここで生き延びられるんじゃないかと思う。ソリチュードに戻ったら私は伝説になるぞ。人々はブラックリーチを発見した斥候、ファルクフィル・スノウメイソンの銅像を建てるだろう!

もう寝よう。明日は上にあるドワーフの遺跡で食べ物を探すつもりだ。必要に駆られるまでは、そこら中に生えてるキノコを試すような危険は冒したくない。今ではあきらめる気は全くなくなった。

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6日目:ドワーフどもは街を固く閉じたままにしやがった。入る手段も鍵をこじあけるものもない。中に食料があるとしても、私には食べることができない。

今朝、灰色がかった白い色のキノコを1つ食べた。生焼けの肉みたいな味だった。今日は休んで、死なないか様子を見る。死ななかったら、必要な食料は十分にあるってことだ!

7日目:キノコは毒じゃなかった。必要なら何だってあさってやるぞ!私は生きるんだ!ブラックリーチの奥深くで生き延びた話は、語り草になるだろう!

川を渡った南に、木のようなキノコの林が見える。今度はあっちの方に行ってみよう。

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9日目くらい

食べられるキノコキノコ
大きくて灰色は肉のような味
小さくて青はおいしいおやつ
緑に光るのはとても甘く歌う

ここにあるキノコは全部食べられる。偉大なるウームがそう言ってる。偉大なるウームは私が南に行くことを望んでいる。私は南へ行こうと移行と以降と思う。

探さなきゃならないものがあったはずなのに、何だったか思い出せない。まあいい。今では全部の根が私の名を知っている。

* * *
?日目

私は選ばれし者だ。偉大なるウームは私を胞子にし、そして、私、スノウファルク・メイソンルートは、永遠に生きる。根は真実を知っている。根、ウーム、歌、全てつながっている。これはとても深い!

下の方に扉があるが、そっちは私の行く道じゃない。今、偉大なるウームは私に北について告げている。悪臭と虫の源だ。宝物はそこに捨ててもいい。何故ならもういらなくなるから。私は胞子で、まもなくウームになる。私は全てのウームになる。

家を見つけ、根を広げる。

* * *
何日目か…どうでもいい。

空気が紫を歌い、血が石を湿らせる。偉大なるウームの胞子が根を張る。もうそんなに長くはかからない。

私は土を食べ、闇を飲む。私は今、家にいる。私たちが家だ。

殻が砕けるが、素早く動く者たちは気に留めない。それは中にある、そして準備できている。

語れ、偉大なるウームよ!ルートメイソンについて語れ!もう一度、葬られた夢について私に語れ!

成長する時が来た。

ペンターチ・ドラルジュルへの手紙Letter to Pentach Draljura

ペンターチ・ドラルジュル

ラダ・アルサランがあなたは頼りにできると保証してくれた。闇の予言で果たす役割のため、ゴーストソングに準備をさせるまで何年もかかった。この期に及んでつまらない失敗を許すつもりはない。

ナサリに時が来たことを納得させた。闇の予言に必要な儀式を行わなけばならない時が来たと。彼女とクランが妨害されないようにするため依頼することは、何でもやって欲しい。彼女の影響力は強いけど、実際に何をするつもりかを知ったらクランは尻込みするでしょう。必要なら最後の一歩を手助けするように。ナサリが扉を封じたら、全員を墓地から退避させること。

私は待っている。儀式が闇の心臓を目覚めさせたら、私はそこにいなくてはならない。ゴーストソング・クランが私たちの目標への最も確かな道であることを忘れないで。何者にも、私のペットの魔女を邪魔させないように。

レディ・ビレイン

マスター・ピシスの日記Master Pythis’s Journal

彼は何も疑わない。彼を騙して、私が装置を確保するのを手伝わせるのは簡単だった。私自身の手では不可能だった。遺物に与える損傷についての便利な嘘は、無能な腰抜けどもが私を追うのを阻止してくれるだろう。できれば、これが音調の魔法から受けるあらゆる潜在的な影響に対する言い逃れにもなるといいが。遺物の力を最大限利用するためには、音調の混乱をとても大きく産み出さなければならない。

運が良ければ、サイジックが遺物の紛失に気づくまでに、カリスは完璧な犯人になっているだろう。彼は報いを受ける。その後はこの遺物から手に入れた新しい力で、ご立派なサイジック会に、彼らが本当はどれほど私より劣っているか、見せつけてやる。

マルカルスにて傭兵求むWork for Hire in Markarth

多数の問題がリーチの民を悩ませている。自分がもっとも勇敢で強く、金と栄光を山積みにするためには計り知れない危険に向き合うことも厭わない冒険者だと思うなら、リーチの者は仕事を提供する。

詳しくは、マルカルスの街にいる執政官カルデアを探してほしい。

マルカルスのインペリアルAn Imperial in Markarth

アルドの行政官、執政官カルデア 著

ロングハウス帝の時代からマルカルスは大きく変化したが、変わらない物事も多い。モリカル皇帝がカダッチを総督に指名した後、私は最初の任務としてここに派遣された。

シロディールからマルカルスへの移住は、思ったほど大きな衝撃をもたらさなかった。リーチ自体は大きく異なっていたが、故郷のしがらみは都市の中にいても常に明らかだった。私はささやかながら秩序を維持するために派遣された。文書や行政、この場所を治めるための様々な任務を処理するために。ある意味では私がここにいる目的自体が、ホームシックの防止に役立ったと言えるかもしれない。

マルカルスは住民にとって常に捉えどころのない場所で、その古代の技術は魅力的であると同時に、圧迫感を伴ってもいる。リーチには野生的で無秩序という評判があるが、マルカルスには今でもドワーフの緻密な意匠が残っている。秩序立てられ細密だが、時を経てそれとはまるで反対の人々が占めるようになった。

帝国が倒れた後も留まるほど自分がこの場所を好きになると誰かに言われていたら、私は面と向かって相手を笑い飛ばしていただろう。だが実際にそうなった。カダッチがアルド・カダッチになった時、彼が個人的に私の残留を求めたのも一因だった。彼を相手に断るのは難しく、しかも私は常に自分の事務能力を評価してくれる者に弱かった。

私がリーチの民をこれほど気に入るようになったのは、それが理由かもしれない。彼らの多くは読み書きができないし、学ぶ意思もない。そのため私は、彼らにとって欠かせない存在である。この立場を喜んだことは否定しがたい。

しかしインペリアルとしてマルカルスで暮らすことが大変でないとは言わない。誰もが私の仕事を評価してくれるわけではない。やって来るクランの中には、自分たちの仲間でさえ信用しない者もいる。彼らと異なる者はなおさらだ。記録をつけ、彼らと話して問題を解決する手伝いをするのが私の役目だが、大変な不利を抱えつつ働かなければならない。私は脅迫され、侮辱され、憎悪されてきた。どれだけ長くここで働いても、リーチには自分たちの問題に干渉するインペリアルを信用しない者が未だにいる。

だが私はこの地が好きだ。人間とクランの個性が奇妙に混ざり合うマルカルスが好きだ。アルド・カダッチと働くのは楽しく、必要とされているという感覚も楽しい。この地と民への献身にとって、解決できない困難など存在しない。

マルカルスの暴君についての報告Report on the Despot of Markarth

ストームヘヴンのレディ・ナイリーン・デヴィエリン 著

陛下のご下命により、私はマルカルスの暴君宛てに苦情を届け、彼が我々の国境を襲撃するクランの制御に意欲を見せるかどうかを見極めるためマルカルスに参りました。我々の交渉における困難な問題についてまとめた報告書はすでにウェイレストに送付済みです。ですが、どのような男がリーチを統治しているのかを理解することは、宮廷にとって有用であろうと思われます。マルカルスの暴君は教養のない軍人ではありません。また、彼をそのように扱わないよう注意する必要があります。

まずは、ブラック・ドレイクのカダッチが現在の地位についたいきさつについて、改めてお話するところから始めさせていただきます。その名が示すとおり、カダッチはロングハウス帝ダーコラクの親族にあたります。若い頃、ダーコラクの次男でありロングハウス朝第二代皇帝モリカルのリーチ衛兵を務めるため南に向かい、若くても戦えることを示しました。シロディールに滞在中、カダッチはインペリアルの協力と軍事訓練を受けました。モリカルが徐々に落ち着きを失くしていく母国の各クランに対して、ある程度帝国の権威を確立する必要があると考えた時、彼はその任務に信頼のおける血族を指名することを選び、カダッチをマルカルスに送り返しました。

帝国法の全てを自由なリーチの民に強いるつもりではないことをクランの族長に再認識させるため、モリカルはカダッチの権限をマルカルスと街を直接取り巻く土地に制限しました。この結果、カダッチはマルカルス内の秩序を維持するに留まり、それ以外は各クランの統治に任されることとなったため、クランの族長たちは納得しました。モリカル皇帝の残った統治期間、カダッチ総督は効果的にマルカルスを管理し、レオヴィック皇帝の不穏な統治期間を通してその地位を維持しました。

この期間に、カダッチはリーチ流の支配を敷きました。採決は迅速で野蛮であり、マルカルスの暴君と呼ばれるようになったのです。

レオヴィックが倒され、残ったリーチの民がシロディールから撤退すると、カダッチは自らの名において権力を獲得し、かつてのリーチの民の称号「アルド(砦の王)」を手に入れました。次に彼は自身のクランを残忍な手法で粛清し、主導権を脅かす可能性のある、残存するブラック・ドレイクを全て殺害か追放しました。いずれにしても15年に及ぶマルカルスの支配は、自らの指揮下にある統制のとれていない戦士を、王として支える覚悟のある忠実な軍隊に育てる機会をカダッチにもたらしました。

カダッチはアルドとして、「クランではなく、リーチを所有している」ことを主張しています。各クランが他の王を選ばず、必要な時要請に応じる戦士がいる限りにおいて、彼は他のクランを支配し、彼らの問題に干渉するつもりはありません。一部に嫌々ながらというケースもありましたが、リーチのクランは彼がマルカルスを統治することに同意しています。如何なるクラン、または有効と思われるクランの同盟も、カダッチの軍に挑むことはできません。自ら玉座につき、総督の称号を放棄してからの5年間で、暴君カダッチはゆっくりとマルカルスにおける権力を強化し、かつての要塞を簡素な都市国家、自由で独立したリーチのための首都へと変貌させました。

それでは、カダッチがどのような男なのかという話ですが。彼を説明するのに最も適した言葉は「現実的」であると考えます。彼は自分の力が確信できない限り、注意深くリーチのクランが乗り気ではないことを強要しないようにしています。しかし自分の力が確信できる時は、制御できないクランを服従させるために全力を尽くすことを躊躇しません。これが、ハイロックを脅かしているクランと休戦協定を結ぶための仲介を暴君カダッチにさせるのが困難である主な理由です。カダッチは我々の国境の平和のため、彼らを刺激して自分の力に反抗させることに興味がないのです。マルカルスにおける法(のようなもの)の強制、アンダーストーンでの文書記録維持の命令、より強力な魔術結社への助言の要求、必要だと感じられた際の同盟の結成および破棄など、彼は自分の目標を達成するためなら、あらゆる手段を積極的に使います。

しかし、暴君カダッチの真の才能は、政治的計算にあります。彼はリーチの伝統を正しいものとし、またよそ者の劣ったやり方(彼の言葉であり、私のものではありません)を軽蔑しながら、リーチの民に向かって自由で独立したリーチについて語ります。ですが、この「リーチの民のためのリーチ」という大仰な話の背後で、カダッチは罠や帝国の権威の体制を利用し、マルカルスをリーチの長く血生臭い歴史の中で最初の機能的な国家に変化させたのです。また、これを認めるリーチの民はいないかもしれませんが、カダッチの権力の強化と、彼がマルカルス周辺に強制している相互的な平和は、良い方向へ向かうための、本物で長続きする変化に向けた必要な手順だと多くの者が理解しています。

外国を激しく嫌うクランがアルド・カダッチの権威を認め続けるか、あるいは反発するかは、当然ながらリーチの大きな問題です。

マルカルスの歴史:石の物語History of Markarth: A Story in Stone

アルドの行政官、執政官カルデア 著

マルカルスの物語はドワーフがこの地に定住し、地上と地下深くの双方に建物を築いた第一紀初頭に始まる。彼らはカース川の峡谷の上流にそびえる山、カースマッドの麓に新たな要塞を建設した。長い年月をかけ、ドワーフは山の心臓部からヌチュアンド・ゼルの街を削り出し、地上へ建設を続け、ついに太陽の射す世界へ顔を出した。この高い谷で、ドワーフは地上に強力な防衛設備と大きな貯蔵庫を作った。ヌチュアンド・ゼルはしばらく繁栄した。そして他全てのドワーフ集落と同様、第一紀700年に突如として放棄された。

放棄され空になった他のドワーフの街の大半は廃墟と化した。しかしヌチュアンド・ゼルには、大部分のドワーフ都市に欠けていたものがあった。地上に広がる要塞と、付随する建物である。ドワーフたちの消失から数年後、リーチの民の様々なクランがドワーフの建造物を隠れ家や要塞として、窮乏の時期に利用し始めた。第一紀930年にはこの地を訪ねた希少な旅人が、リーチの民がこの廃墟を通年占拠していたことを報告している。彼らはここをマル・カース(「カースの上」の意)と呼び、この場所に住むクラン最強の族長はアルド(「砦の王」の意)として知られた。

マルカルスはリーチの民に占拠され、皮のテントや手触りの粗い毛皮で飾られた遺跡となっていた。しかし第一紀1033年、女帝ヘストラがリーチを服従させ、支配地に加えるように命令をアレッシア帝国軍に出した。女帝の将軍はこの遠征の最初の目標をマルカルスに定め、帝国の力をリーチの要塞に叩きつけた。アルドは勇猛果敢に要塞を防衛したが、女帝ヘストラの軍団は士気が高く、指揮も素晴らしかった。一方リーチの民は組織が乱れ、共通の敵を前に団結するのが遅れた。マルカルスはインペリアルの手に落ちた。アルドの最も勇猛な戦士の多くは、降伏よりも壁から身を投げ、石を血に染めることを選んだ。

リーチを屈服させるための戦いは長く続いた。帝国の軍団はしばしばマルカルスで包囲され、壁の向こう側には赤鷲の反乱軍が待ち受けていたので、外に出ることも困難だった。だが、赤鷲がインペリアルをマルカルスから追い払うことはできなかった。彼の反乱が終結する頃のマルカルスは、要塞から都市へと変化する最初の一歩を踏み出していた。アレッシア帝国の終焉まで、マルカルスはインペリアルの支配下にあり続けた(駐屯部隊に配属されたインペリアル兵士にとっては、陰鬱で危険な任地だった)。この時期、ドワーフの貯蔵庫の多くは広間や家屋、工房に変えられた。街は現在のような外見になったが、いかなる人間の技術もドワーフが築いた壁と監視塔を改良できなかった。

150年前にアカヴィリ最高顧問が死に、インペリアルの権威が大きく低下したことで、マルカルスは再び歴史の闇に埋もれた。インペリアルの支配下でも常に反抗的だったリーチは、帝国の力が下がった瞬間に、よそ者が滅多に旅することのない場所となった。ブレトンの男爵もノルドの首長もこのリーチの街に攻め込んだが、そのたびに難攻不落のドワーフの防衛設備に撃退された。外国の侵略者がマルカルスの冷たい石に血を流し、リーチの民は独立を取り戻した。

リーチの民が再び敵対的になると、マルカルスとタムリエル他都市の交易や旅は途絶えた。その結果、マルカルスの統治者やその治世についての噂リーチの外に届くことはほとんどなくなった。しかしこの暗闇の中から、タムリエル全土を根底から揺るがす嵐が勃発した。ブラック・ドレイクと呼ばれる戦士長ダーコラクが、第二紀533年にリーチ戦士の大軍勢を招集してシロディールになだれ込み、ルビーの玉座を奪取したのである。

この動乱は多くの変動をもたらし、マルカルスはある意味で再びインペリアルの影響を受けるようになった。シロディールに入ったリーチの征服者は大量の略奪品と捕虜を故郷に持ち帰り、かつてないほど多くのリーチの民が、外国で財産を築くことを求めた。マルカルスへの道は再び賑わい、長い間忌避されて来たこの街道は、交易の恩恵で息を吹き返した。

現在、この街はアルド・カダッチの支配下にある。いわゆるマルカルスの暴君である。ロングハウス帝ダーコラク家の親戚となるブラック・ドレイク・クラン出身のカダッチは、第二紀559年に帝国の総督に任命された。その任務は街の統治だけでなく、反抗的なリーチのクラン同士の平穏を保つことも含まれた。レオヴィック帝が玉座を失うと、カダッチは帝国の称号を捨て、古いリーチの称号であるアルドを名乗った。彼は躊躇なくブラック・ドレイクの生き残りを粛正し、この街の支配を確立してライバルを黙らせた。

アルド・カダッチが反抗的な親族を街の一番高い壁から投げ落として処刑し、胸壁を血に染めたことは言っておかねばなるまい。これはマルカルスの石に刻まれた残酷な物語の、最も新しい章にすぎない。

リーチのおとぎ話Reach Bedtime Stories

語り部イサ・トルイアンド 著

語り部イサ・トルイアンド著

これらの物語は話すことに同意してくれた、様々なリーチの民から収集したものである。大半の人はよそ者に対して何を教えるのにも積極的ではなかったが、私はタムリエル中の物語を分かち合おうとしているただの語り部だと強調した。交換に興味を示す者もおり、私は他の人々から聞いた物語をリーチの民の方式で語るように最善を尽くした。揺れる炎の周りを囲んで、強い感情を込めて演じるのである。その見返りとして、私は以下に記録したリーチのおとぎ話を集められた。

* * *
小さな薄き血の者

昔々、小さな男の子がいました。男の子の父は勇敢な狩人で、息子にも同じようになってほしいと思っていました。父親は毎日少年を訓練し、追跡して戦い、殺す方法を教えました。でも男の子は心優しく、戦いや殺しに興味がありませんでした。男の子は矢にも荒野での生存術にも関心がなく、上等な服を作り、ヴァテシュランの話を聞いていました。

ある日、少年は森に行って父と練習をしていました。熊が丘を駆け下りてきて、二人を急に襲いました。熊は子供を守ろうとして襲ってきたのです。少年の父はこの大きな動物から身を守りつつ、息子に助けを求めました。でも少年は剣を握ることも、矢を削ることもできませんでした。恐ろしい熊は少年の父を倒し、父は血を流しながら、武器を取って熊を殺すよう息子に言いました。

「教えたとおりにやるんだ!」と父は命じました。

でも少年は針と糸やヴァテシュランの物語にばかり時間を費やしていました。男の子は恐怖でその場から動けませんでした。熊も話せば理解してくれるかもしれない、と少年は考えました。

「熊さん、ちょっと話を聞いてくれないか…」と少年はどもりながら言いました。

熊は怒って吠えました。熊には理解できるはずもなかったのです。熊は喉に噛みついて少年を殺してしまいました。少年は最期に、父へ囁きかけました。「お父さん、ごめんなさい。お父さんの言うことを聞いていればよかった」

だから子供たち、お父さんの言うとおりにしないと、熊に食べられてしまいますよ!

* * *
裏切りのノルド

昔、メロックというクランの族長が、皆と友達になろうとしました。ある日、ノルドが一人で馬に乗ってやって来て、取引を求めました。メロック族長はノルドを食事に招き、クランと談笑して時を過ごすよう誘いました。多くの者がメロック族長に、新参者と友達付き合いをするのはやめるよう助言しました。その男が礼儀正しく友好的であることは彼らも認めましたが、リーチの者ではないのだから、本当に理解することはできないと言いました。彼らはよそ者を信用しないよう族長に警告しましたが、この警告は聞き入れられませんでした。

メロック族長はノルドとの交流に気をよくして、次の日彼を狩りに誘いました。二人は一緒にキャンプを出て、笑いながら付き合いを楽しんでいるようでした。彼らは獲物を探して森の奥へ入っていきました。歩きながら、メロック族長はクランの古い霊魂との付き合い方や、秘密の伝統などをノルドに教えました。ノルドは愛想よくうなずき、質問を返しました。族長はノルドの学習意欲に喜びました。親友ができたと思ったのです。

二人は獲物を見つけました。メロック族長は一番お気に入りの槍をノルドに渡しました。「新たな友よ、とどめの一撃を加える名誉は君が得るべきだ」と彼は言いました。ノルドは槍を手に取りましたが、空き地に立っている鹿を殺すのではなく、槍をメロック族長の腹に突き刺しました。

キャンプでは、ノルドの仲間の戦士たちがクランを全滅させていました。族長がいなくなったので、クランには侵入者を撃退できる強さがなくなったのです。

メロック族長は倒れて血を流しながら、ノルドに質問をしました。「なぜだ?」

ノルドは残酷に笑って答えました。「お前たちは俺たちがほしいものを持っているからだ。これで、お前たちの土地を奪える」

メロック族長とクランはその日死に絶えました。族長がよそ者を信用する愚か者だったからです。どれだけ友好的に見えても、リーチの子でない者は信用できないのです。

* * *
夜の王

(注記:私はこの物語の様々な派生版を複数のリーチの民から聞いた。その大半は年寄りから。しかし全体的なテーマは同じである。ここには私が一番好きな物語を記しておく)

ずっと昔、夜の王たちがリーチを支配していました。彼らは影をさまよい、その目は血のように赤く光っていました。平原の獣は恐怖して逃げ出しました。彼らが姿を現すと、木々も身をすくめて嘆きの声を上げました。

他の怪物でさえ彼らを恐れました。

リーチの子供たちよ、気をつけて、毛布に身をくるみなさい。暗くなった後でキャンプから離れすぎると、夜の王たちに見つかるかもしれません。彼らにとって、リーチの子の血は蜜のように甘いのですよ。

リーチのクランについてOn the Clans of the Reach

帝国書記、テオフォ・ハーヴィアン 著
(第二紀568年、レオヴィック皇帝統治時代に執筆)

「ブラック・ドレイク」のダーコラクがリーチの戦士を率いてシロディールに対抗するまで、リーチの民をうなり声をあげる蛮族以外として述べた学者はほぼいなかった。タムリエルの他の人々は、リーチの者を無秩序な状態で存在する、手に負えない大規模な集団と見ている。残念ながら1世代前に、ブラック・ドレイクの戦士がその無知の代償を明確に支払わせた。シロディールの賢者たちが、現在帝都を支配するこの戦を好む民族について学ぶべきことが数多くあると気付いた時にはすでに手遅れだったのだ。その必要に応じるため、現在指名された統治者であるブラック・ドレイクのカダッチが管理する、マルカルスでの7ヶ月におよぶ貿易大使の経験から、リーチとそのクランについて学んだことを書き記そう。

序文:リーチにはさまざまなクランが数多く存在し、それぞれが独自の性質や伝統を有している。一ヶ所に恒久的なキャンプを設置し、定住するクランもある一方で、遊牧民であり続けるクランも存在する。クランは大家族と故郷の村の中間的な存在であり、中にはクラン内で血縁関係にある者もいるが、それ以外の者はクランへの忠誠を示すためにクラン名をつける。新しい土地に居住するため、または獲物の群れを追うため、あるいは無秩序な時期には近隣の地域の襲撃や略奪をするため、気の合うリーチの者の一団が集まれば、いつでも新しいクランが出現する。その結果、クランは驚くほど流動的になることがあり、時間と共に分裂や再編成が行われる。

各クランは族長が統制する。中には自ら首領、代弁者、長老、王と名乗る者もあるが、ほとんどのリーチの民は自身を「王」などと呼ぶのはどこか気取った感じがすると考えている。リーチではもう何十年も、わざわざ自らを王だと主張するクランの族長はいない。だが、その者が王の称号を主張するに足る強さを持つと十分な数のリーチの民が同意すれば、如何なるクランの族長も王となれる。事実、歴史的には多数のクランの族長が同時期に王と名乗る時代もあったが、リーチの民がよく言うように、リーチでは誰もが王になれるが、リーチの王となれる者は誰もいない。その称号はダーコラクでさえ主張しなかった。現在に至るまで、リーチの民はロングハウス帝を自らの自由意思で従った戦いの統率者と見ている。たとえそれがシロディールのリーチの民の王であっても、王にひざまずくことはより弱い人々がすることなのである。

すでに述べたように、リーチには数多くのクランが居住している。ほとんどは小規模なクランで、小さな村や、遊牧民の集団や、人里離れた洞窟や地域にある略奪者の住み家だ。しかし、リーチを訪れる旅人なら誰もが知る有名なクランには以下のものがある。

ブラック・ドレイク:人数としては少ないブラック・ドレイクは、偉大なる武将ダーコラクによって誕生した。敵からも味方からもブラック・ドレイクと呼ばれたダーコラクは全リーチ人を彼の旗の下に結集させ、シロディールを征服してロングハウス帝の血統の基礎を築いた。彼の近親やリーチの友人は、有名な呼称を自らのクラン名とした。必然的に、他のクランは普通なら命令を下す規模のクランでありながら、ダーコラクの親族にはより多くの敬意を示している。また、総督のカダッチもブラック・ドレイクである。

シンダーハート:しばしばマルカルス付近で見かける好戦的なクランであるシンダーハートは、捕虜を生きたまま燃やすことで知られている。彼らは犠牲者の空の胸の空洞に熱い石炭を詰めることで、ブライア・ハートを用意すると言われている。ただでさえ陰惨な儀式に対する、恐ろしい改良点だ。

イーグルシアー:誇り高く好戦的なイーグルシアーは、他のクランが子供たちの世話をするようなやり方で確執を育てる。これは外部の者との接触を妨げるように思われるかもしれないが、実際の彼らは友好的で、口論の相手でなければ心を開く。イーグルシアーの者にとって、単に他の土地からの訪問者はリーチの抗争相手に値しないのである。

ゴーストソング:東リーチの荒野に生まれた孤立を好むクランであるゴーストソングは、その強力な魔女と忠実なウェアウルフで知られている。彼らはナミラに対して特別な崇拝の念を抱き、彼女を霊魂の女王と呼んでいる。

ヒルハンター:マルカルスの南の山中に居住する遊牧民の狩人であるヒルハンターは、木工技術で有名である。他のクランの間では、ヒルハンターの者からあえて狙われない限り、彼らを追跡できる者はいないと言われている。

リバーエルク:大所帯を誇るリバーエルククランは、カース峡谷全体に数多くある半恒久的なキャンプで暮らしている。彼らはよそ者のやり方に不信を抱いてはいるが、自身がクランにとっての友であることを証明するよそ者とは進んで取引をする。

シェイドフェザー:幸いなことに少人数であるシェイドフェザーは、ハグレイヴンの強力な魔術結社の支配下にあるクランだ。彼らはリーチのあちこちで旅人を待ち伏せし、捕虜となった者を闇の儀式で殺害する。他のリーチのクランでさえ、邪悪な彼らからは逃れられない。シェイドフェザーの者はしばしばキャンプを移動し、不運にも偶然出くわしてしまった者は誰であれ全て殺害する。

ソーンルート:獰猛で強いソーンルートは、通常ブライアロック近辺で野営している。彼らはシェイドフェザー同様ハグレイヴンに率いられているが、近隣のクランとは友好的な関係を維持し、激しい怒りはよそ者に向けるために温存している。クランの戦士の多くがブライア・ハートになることを選び、戦闘でのソーンルートをとても危険な存在にしている。

ワイルドスピア:マルカルスの近くに土地を持つ定住クランであるワイルドスピアは、ハーシーンに心身を捧げ、儀式の狩猟でこの追跡の師を称賛する。彼らは人間、中でも強く賢い敵は、流血の儀式に最適な獲物だと信じている。

リーチの偉大な霊魂 第1巻Great Spirits of the Reach: Volume 1

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

タムリエルに暮らす者の大半は、何らかの信仰を持っている。物理的、精神的な危機に脅かされた世界において、神を捨てるのは難しいものだ。残念ながら宗教的アイデンティティへの共通の欲求が、人々を団結させることは滅多にない。むしろ分断することの方が多い。対立点の多くは分かりやすい。種族間の政治や歴史的な怨恨、神による承認の主張はしばしば誠実な対話の試みを台無しにする。だが、全てを包括する中心的な断絶が1つある。それはエドラ至上主義である。

ある古いオークの格言では「征服者が戦争を名づける」と言われる。これは力ある者が歴史についての理解を形成するという事実を適切に述べている。この格言は、信仰の問題についてはなお正しい。征服者は戦争に名をつけるだけではない。信仰をも形成する。白金の塔を支配する者が何らかの根本的な意味でタムリエルを支配するという約束事を受け入れるなら、エドラ至上主義は完全に筋の通った考えである。それはエドラが実際に他より優れているからではなく、優位な立場にある者が自らの至上性を主張できるからだ。

いくつかの注目すべき例外を除くなら、シロディールの、より広く言えばタムリエルの物語はエドラの信者たちによって形成されてきた。それはアルドマーに始まりアイレイドに受け継がれた。野生のエルフは一時的にデイドラ崇拝に走ったが、彼らはアレッシア人の手によって高い代償を支払わされた。この時点から、エドラはタムリエルの信仰という領域において特別な地位を得た。その地位は本質的に、エドラ以外の信仰実践を奉じる種族の立場を弱体化させた。オーク、アルゴニアン、カジートなど、そうした種族の大半はすでに人間とエルフによる嫌悪と迫害を受けていたが、チャイマーや後のダンマーなど、エルフの同族から冷たい疑惑の視線で見られる者たちもいた。これら全ての民は昔も今も、エドラ崇拝者に与えられた特権に苦しんでいる。だが、リーチの民以上に信仰を理由とした迫害に苦しめられてきた種族はいない。

外国の襲撃者に迫害され、嫌悪され、繰り返し侵略されてきたにもかかわらず、リーチの民は豊かなデイドラ崇拝の文化を維持することに成功しており、希薄化や衰退の兆しも見られない。本論がこの評価されることの少ない信仰について新たな光を投げかけ、リーチの誇り高く頑健な民への敬意を高めてくれることが、筆者の切なる願いである。

リーチの偉大な霊魂 第2巻Great Spirits of the Reach: Volume 2

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は大小様々な、数多くの霊魂を崇拝する。実際にはリーチにいるクランの数と同じだけの信仰が存在する。聖なるエルクや山の泉の霊魂を崇拝するクランもいれば、古代の英雄の亡霊のために山羊を生贄に捧げるクランもいる。しかし一部の霊魂は、クランの境界を超越して崇拝されている。それはタムリエルの残りの部分にいる我々が、デイドラ公と呼ぶ霊魂である。

リーチの主神は狩りのデイドラ公ハーシーンである。古きエルクの目、狩りの王、獣の父、皮を作る者、五又槍など、名称はクランごとに様々だ。リーチの神々全てと同様、ハーシーンは冷酷な師とみなされている。実際、リーチの民は自分たちの信仰を「信心」ではなく「教え」と呼んでいる。しかしハーシーンの教えを聞く者は素早く、強く、狡知に長けた者へと育つ。リーチの狩人にとって、こうした信仰の物理的な表明は、神々の聖堂で議論されるような漠然とした倫理的懸念よりも遥かに大事だ。

ハーシーンは凶暴かつ恐るべき「今」の化身である。彼は生がその瞬間に生きられるものであり、全ての生物は捕食者か獲物か、その両方であることを信者に教える。これにより緊張と注意を怠らない感覚が生まれ、それはしばしば争いにつながるが、リーチの民の安全を守ってもいる。ハーシーン崇拝者の心には休息も、休息の予感もない。

外部の者にとって、このような信仰はひどく不快なものに思える。しかしその成果は無視しがたい。リーチの民が維持している集中力と身体能力に並べる種族はほとんどない。狩りの後には短い静寂があるが、視界の端には常に次の狩りが待ち受けている。

リーチの民はまた、ハーシーンに最も忠実に仕える者を守護者や導き手として遇する。もちろん、ウェアウルフのことである。ライカンスロープを祝福とみなすリーチの民は少ないが、彼らは有用な状態としてこれを受け入れている。ウェアウルフは属するクランのために苦しみ、それは敵の苦痛を引き起こす原因となる。

リーチの偉大な霊魂 第3巻Great Spirits of the Reach: Volume 3

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は2つの世界しか知らない。肉体の世界と霊魂の世界である。ハーシーンは肉体の世界を支配するが、霊魂の女王であるナミラは、無限なる霊魂の領域を支配する。

デイドラ崇拝者の間でさえ、ナミラは恐怖と疑念を持って見られるのが通例である。ナミラが伝統的に影響を及ぼす領域は、定命の者へ即座に嫌悪を催させる。背筋の凍る謎や避けがたい腐敗は、多くの定命の者の恐怖の核心にある。しかしリーチにおいて、ナミラの支配は単なるナメクジと闇よりも遥かに広く及んでいる。リーチの民はナミラを全ての始原的な二元性の化身とみなしている。生と死、始まりと終わり、可能性と無秩序。根本的に対立する全ての力は、ナミラの霊魂の領域から流れ出て来る。多くの宗教は何らかの調和を求めるが、リーチの神学はこのような闘争と避けがたく結びついている。存在の本質的な力としての闘争へのこうした執着が、よそ者やリーチの民同士での敵対的な態度に一定の役割を果たしていることは疑いない。

逆説的だが、リーチの民の大半はナミラの教えに何らかの平穏を見出している。クランの魔女はしばしばナミラを与え、また奪う者として描く。霊魂が深い知恵を見出すまでの間、ナミラは生命を与え奪うのである。

リーチの偉大な霊魂 第4巻Great Spirits of the Reach: Volume 4

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は自然のリズムと時間の無慈悲な歩みを強調する。存在する全てのものは過ぎ去る。高すぎる砦は崩れる。飢えたクランはいつの日か強く成長する。永遠の均衡は課題の主にして秩序の王、ぺライトの仕事である。多くの点において、ぺライトは闘争の至上性を引き立てるために欠かせない存在となっている。戦争や病気は深刻な傷をもたらすが、ペライトは世界が常に自然によって意図された状態へと戻ることを保証する。

多くの文化と同様、リーチの民もぺライトを荒廃と病気に結びつける。しかし他の民とは違い、リーチの民は病気のうちに悪意を見ることはない。むしろその反対である。病気によって消された生命はより健康で、より活発なリーチの民が代わりを務めるための空きを作る。病気は野火のごとく、自然の再生力として働く。豊穣の危機に対する必然的な調整弁である。

リーチ社会におけるぺライトの役割が、多くの重要な点でエドラの信仰におけるアカトシュの役割に似ていることには言及しておくべきだろう。時間や厳格な自然の秩序、圧政者としてのイメージなどは、タムリエル北西で人間とエルフの初期交流の際に、何らかの文化的交配があったのではないかと思わせる。異教的ではあるが、魅惑的な考えである。

リーチの偉大な霊魂 第5巻Great Spirits of the Reach: Volume 5

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

学者はしばしばリーチの神学を単なるデイドラ崇拝として退けるが、リーチの民の偉大な霊魂はオブリビオンのデイドラ公よりも広い範囲を司っている。多くの人間の文化と同様、リーチの民もロルカーンを尊敬している。彼らはロルカーンをロルク、すなわち人間の霊魂、定命の霊魂、あるいは肉を植える者としている。

リーチの神話で、ロルクは霊魂の女王ナミラを説得して永遠の虚無に居場所を与えてもらい、ロルクはそこで放浪の霊魂のための領域を作ったという。ロルクは活気ある楽園ではなく、過酷で苦痛に満ちた場所を作った。苦難を通じて教える領域である。ロルクの残酷さを嫌う者もいるが、多くは彼の知恵を称える。リーチの民によると、最も激しく苦しむ者が最も優れた知恵を持つという。苦難は知恵と栄光のための手段であり、ロルクは苦難を豊富に提供する。

ロルクは今でもニルンの定命の者がいるところに姿を現すとされている。彼が現れることはとても稀だが、心から必要とされる時には創造した苦痛と悲しみの残酷な世界に進み出て、リーチの民を助けるという。私の調査では、恐れられているブライア・ハートの儀式が、この不死の犠牲を反映するものとして始まった可能性を示唆している。

リーチの狩猟賛歌Reach Hunting Hymn

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

狩りは曲のように始まる
脚は葉を散らし
翼は茨を切り裂く
エルクの影がさまよう
エルクの影がさまよう

果てなき森が手招く
恐怖は鋭く身震いする
狩られることは生きること
試されることは価値あること

逃げよ、小さきウサギ
お前の皮は見事な報酬になろう
肉に当たる歯を感じるがいい
ハンティング・グラウンドが待っている
ハンティング・グラウンドが待っている

果てなき森が手招く
恐怖は鋭く身震いする
狩られることは生きること
試されることは価値あること
試されることは価値あること

リーチの酒Drinks of the Reach

ヴォルジャー醸造所のフィヨリダ 著

リーチの民が近隣の土地に求めるものがあるとすれば、それは味の良い酒よ。ノルドのエール、ブレトンのブランデー、シロディール産ワイン。手に入るものなら何だっていい。リーチの土地の多くは他の土地が大量に産出する、ある種の飲料の生産に必要とされるブドウ園や、大麦畑、あるいは家畜化された蜂の巣に適していないけど、リーチの者はほとんどがお酒を好むの。盗めない場合に限ってだけど、お酒はリーチ人が進んで取引する数少ない日用品の1つよ。

外交的なリーチの民はお酒を取引で入手するけど、外界の商人とあまり接触しないリーチの民は手元にあるもので間に合わせなければならないわ。リーチの奥深くに旅することがあれば、すぐにリーチ産のお酒に出くわすことになるでしょう。そういったお酒は、大抵はリンゴ酒か、「クレフ」と呼ばれる発酵させた汚らしい羊の乳の形を取っている。

リーチのリンゴ酒は濃い色で、かび臭くて、甘い――強引に言えばそこそこ飲める――ものから、済んだ色で、どちらかと言うと慣れが必要な酸味のある造りのものまで幅広い。この風味は、使用するリンゴや圧力をかける年数に依存する。リーチに果樹園はめったに見られないけど、森や川の流域には野生のリンゴの木が豊富にある。そういった地域に住むクランには、それぞれが愛飲するリンゴ酒を醸造するために好んで使う手法があるの。その中には良い酒を産み出すものもあるし、最悪の酒を産み出すものもある。

クレフ。言ってしまえば、クレフとは人が羊しか持たない場合に造り出すものね。こんな代物に耐えられる部外者に会ったことがないわ。それどころか、クレフを好きだと主張するリーチの者は、ただその人がどれだけ不快なものに耐えられるかを証明しているだけなんだと思う。これは勇気を試すものなのね、きっと。でも、ほとんどのリーチの者はクレフが好きだと言う振りすらしないけどね。ただ酔っ払うためだけに飲むの。

うちの優良顧客の一部をリーチの民が占めているのはこれが理由よ。

リーチの食べ物の手紙The Reach Food Letters

ロングハウス帝の即位直後、シロディールの人々はリーチについてより詳しく知ろうとした。彼らを魅了した中には、帝都の宮殿から香る奇妙な食べ物の噂もあった。商人の娘がマルカルスの父から来た手紙を出版すると、すぐにベストセラーになった。これは最新版である。

***
親愛なるハイパティア

壊れた荷車を修理するためにあまりにも長くロリクステッドに滞在してしまったこと以外は、何事もなく到着した。リーチは君のお母さんが言ってた通りだと思う。弧を描く地形と景色を数えきれないほどの地区に分断する岩山。マルカルス自体は立派だが、石板の上に積まれた毛皮の山はベッドの代替品としては貧弱だ。

子供たちは寂しがってないか?マルカルスに向かう途中でガイドと一緒に経験した、思いがけない出会いのことを子供たちに伝えたいんだ。あの子たちが眠りにつく前に、これを読んで聞かせてやってくれ。

やあ、チビちゃんたち。父さんは遠くにいるけど、夜が明けるたびにお前たちのことを思ってるよ。父さんはリーチにいるんだ!ここは変わった場所で、変わった人たちが住んでいるよ。獰猛で、知らない人を嫌う意地悪な人たちだ。でも運が良かった!父さんのガイドはあのリーチの者のクランを知ってた。その人たちはごちそうの会をして、父さんも混ぜてくれたんだ!
リーチでごちそうはめったに出ないんだよ、チビちゃんたち。厳しい土地なんだ。うちの方みたいにブドウや小麦が育ったりはしない。彼らは固いものを食べる。例えば干し肉とか、じゃなきゃ大麦みたいな、私たちなら動物に食べさせるようなものだ。だけどごちそうの日は違う!たくさんの料理をクランで分け合うんだ。リーチの者は自分の狩猟ナイフと、浸して食べるためのパンの皮と、時々はヴァレンと呼ぶ短いキルティング用の針みたいな道具を使って食事をする。

父さんはできる限り色々なものを食べてみた。一部を紹介しよう。

ハーシーンの分け前はごちそうの主役だ。スパイスを効かせて骨を抜いた何匹かの動物が動物の中に詰まってる。父さんのごちそうはウサギが詰まったライチョウで、それが山羊に詰まっていた。その山羊は雌鹿に詰まっていたんだ!もっと大きなクランでは丸ごとの雄牛から始まって、最後はネズミで終わるらしい!

リーチのスープはもっと控え目だ。彼らはある種の苔がついた石を見つけて、それを鍋の中で煮る。それでできた薄いスープは深い酸味のある味がする。ごちそうの日のために、スープにオーツ麦を混ぜてある種のお粥を作る。

スモークした鱒と鮭はミルクで料理して、栄養たっぷりのシチューを作る。このシチューは鮭が産卵のために川の上流へ向かって泳いでいく時期には、とても頻繁に食べるんだ。その時期には小さな子供でも、岸から手で捕まえることができるんだよ。フォースタス叔父さんの別荘で、初めて魚を捕ろうとした夏のことを覚えているかな?

アルドノットはお菓子のようなものと考えられている――干し肉の組み合わせを叩いて粉にして、溶かした動物の脂と混ぜてペーストを作るんだ。これを長い糸みたいな形にして、何か小麦粉のようなもので覆う――粉の名前はどうしても覚えられなかった――そうすると複雑な結び目の形にできる。結び目の形はリーチの者の心に響くらしい。何故だかは分からないが。

魔女の水は試した中で一番面白いものだった。植物と種の秘密の組み合わせを石の車輪ですり潰してペーストにして冷たい水と混ぜる。出来上がったものは触ると個体だが、かき混ぜると液体なんだよ。見た目はすごいが全く味がない。だけど妙に食べ応えがあるんだ。

リーチのパンは帝国で食べるようなローフとは全然違う。リーチの民はいろいろな根を掘り出すと、茹でて皮を剥いてから壺に入れて火の側に置く。そこからすくったものが焼く前のパン生地みたいなものなんだ。このパンの皮は素晴らしいぞ。

リンゴは大抵石のボウルに入れてある。ボウルにはクリームが満たされていて、火の側に置いてあるんだ。ほぼお行儀のいい子供だけがもらえるものだ(これは1つ食べて少なからぬ視線を浴びてしまった後に分かったんだよ!)。

ロウソクの火が消えるぞ、子供たち。今夜はここまでにしておこう。次の手紙を楽しみにしててくれ!

みんな大好きだよ。

父さんより

リーチの政治Politics of the Reach

第二紀578年、アルドの行政官、執政官カルデア 著

アルド・カダッチの指示により、私はマルカルスでリーチの民に仕え続けています。帝都からマルカルスに送られた理由は、レオヴィック皇帝自身がマルカルスを助け、シロディールとリーチの架け橋になるよう望まれたためです。現在ルビーの玉座に座る者から追加指令は受けていませんが、私は退出して故郷に帰るものと考えていました。アルド・カダッチが私の行政管理能力を保持したいと望まれたため、私はここに残っています。新しい皇帝が興味を持たれた場合に備えて、職務中に学んだことをここに記録します。

まず、リーチは1つの国ではなく2つの国だと考えたほうが良いでしょう。マルカルスと荒野です。伝統的に、誰であれマルカルスを統治する者は荒野に対してほとんど権力を行使しませんが、一方で荒野の強力なクランの雑然とした集まりには、リーチの都市を支配する力も意思もありません。マルカルスが弱い指導者の統治下にある時――もしくは時々あることですが、完全に統治者が不在の場合は――影響の輪が縮小します。強い統治者がマルカルスを掌握している時は、都市の力が近隣の土地にまでおよび、西リーチのクランは、名目上そうではなかったとしても、実際にはマルカルスの権威を認めなければなりません。長きに渡るリーチの物語は、領域を形作ろうとするマルカルスと、拡大する街の権威に激しく抵抗するマルカルスの外のクランの物語です。

リーチに対処する上でとても困難なのは、それぞれ独立したクランが自らを独自の政治機構だとみなしている点です。自由に襲撃し、取引し、戦争を起こし、クランが選んだ相手であれば誰とでも手を結びます。リーチとの間に長く続く平和を築くためには、数多くのクランと交渉しなければなりません。中には激しく憎み合うクランもあり、彼らは決して敵が受け入れることを選んだ平和を守ることに同意しないでしょう。驚かれるかもしれませんが、これは新皇帝のような外国の支配者に当てはまるのと同様に、マルカルスの支配者アルド・カダッチにとっても当てはまります。いくつかのクランの族長にとって、アルド・カダッチは単に並立した族長であり、彼に服従することは、他の同格の者へ服従するのと同じなのです。実際、彼らはアルド・カダッチをとても懐疑的な目で見ています。彼らのことも支配するつもりでいると信じているのです。

幸い、全てのリーチの民があらゆる人やものを敵にしたいと思っているわけではありません。アルド・カダッチは独立したクランに対し、思慮深く対応しています。彼はマルカルスの利益が直接脅威にさらされた場合にのみ行動を起こします――たとえば、シェイドフェザーのような敵意のあるクランによって、マルカルスへの道中が危険になる場合や、ボーンシェイパーのような境界にあるクランが隣接したクランに対し、全てのリーチの民を対象にして無差別に報復するよう促している様子が見られた場合などです。同様に、比較的規模の大きいクランの大部分はお互いに微妙な友好関係を保っています。無謀な対立を煽るクランは、高い確率で大規模なクランに対抗する他のクランの同盟関係を生じさせます。その上で、全てのリーチの民はマルカルスが中立地帯であるべきだと考えています。そこに行き、取引をしたいと願うあらゆる荒野の者に対して開かれているべきだと信じているのです。リーチの多くの人には、粗削りで用心深い平和のようなものが適しているのでしょう。

荒野での権力は主に有力なクラン(イーグルシアー、シックスフォード、リバーエルク、ソーンルートなど)が握っていますが、リーチには我々がアルド・カダッチの壁を越えてクランとの取引を望む時に考慮すべき慣習があります。「大族長」です。これは通常、味方と敵の両方から尊敬の念を勝ち得た族長が獲得する、ある種の「名誉族長」の称号です。大族長は、最も頑なで外国のものを嫌うクラン以外の全てのクランに対して、影響力のある道徳的権限を行使します。現在、大部分のクランはカニアーという元リバーエルクの族長を大族長として認めています。カニアーは紛争の裁定人であり仲介役で、現役時代は抗争の解決や同盟の修復などを行いました。敵対心の強いクランはカニアーを干渉者と見なし、どちらかと言えば軍事的な指導者の方に従いますが、彼女が死ぬか地位を手放すことを選ぶまで、荒野における彼女の声は大きな力を持ち続けるでしょう。

とても危険な狩りや強力な侵略者を撃退するなど、クランに協力が必要な場合は大族長が一時的な指揮権を得ます。脅威が去るまで、戦略と反応を調整するのです。

アルド・カダッチとマルカルスの民と働く過程で、私はこのような政治状況を理解しました。

リーチの捜査官ヴェイルInvestigator Vale in the Reach

高名な犯罪の解決者にして謎解きの名人、捜査官ヴェイルの紹介は不要だろう。野生のリーチにさえその名は轟き渡っているのだから。ヴェイルをスキングラードからソリチュードへ運んでいたキャラバンは、ファルクリースで停留して北に向かった時、リーチの民の略奪者に襲撃を受けた。

キャラバンの荷馬車4台のうち3台は逃げ延びたが、4台目のヴェイル捜査官を乗せていた荷馬車は車軸が壊れ、たちまち略奪者に包囲されてしまった。キャラバンの護衛4名は武器を掲げ、荷馬車と品物、乗客を守って死ぬ覚悟を決めたが、その時捜査官が客席から飛び降りて前に進み出た。

「リーチの慣習に従って、恩の交換を申し出たい」とヴェイルは言った。リーチの民の伝統を調査した時のことを思い出したのである。「こちらの通行の安全を保証してもらう代わりに、クランの族長にしてあげられることが何かあるでしょう。私は捜査官ヴェイルよ」

略奪者の間で、不愉快そうな囁きが交わされた。言うまでもなく、彼らは破壊と略奪を望んでいたのだった。他と印象の違う女性が前に出てくると、略奪者は沈黙した。明らかにリーチの魔女だった。そして彼女がこの略奪者のリーダーなのも明らかだった。

「私はオラーナ。スピリットテイル・クランの族長よ」と彼女は誇り高く、力強い声で言った。「お前は本当に、ハイロックから来た伝説の謎解き人なの?」

「謎解き人、という呼び名はぱっとしないけれど」ヴェイルは言った。「でも、私は捜査官ヴェイルで間違いない。解決してあげられる犯罪や殺人事件はある?」

オラーナ族長は笑みを浮かべた。「殺人はない。少なくともまだ。だが、複数のクランがフロルダンの環の霊魂に捧げた供物が消え続けている。すでに私のクランと他2つのクランが戦いになるところだった。誰かが供物を盗んだのではないかとね」

ヴェイルは若い男女の狩人が、他の略奪者の間で目立つまいとしていることに気づいた。しかしオラーナが状況を説明している間、2人は互いに緊張した視線を交わし、彼らの頬は赤くなった。

「いいでしょう」とヴェイルは言った。「受け入れます。この謎を解いて、代わりにリーチの領地を安全に通行させてもらうわ」

「それならば儀式を…」とオラーナ族長は言い出したが、ヴェイルは手を振って2人の若い狩人の元へ歩いていった。

「彼らが犯人よ、オラーナ族長」とヴェイルは宣言した。「悪意はなかった。いたずらのつもりだったんでしょう?」

若い狩人は2人とも同意を示すようにうなずいた。明らかに恥じており、次に何が起きるのか不安がっていた。

オラーナ族長は眉をひそめて言った。「狩人のいたずら。なるほど、覚えている。私もかつては若かった。この2人よりも。彼らはクランに報いる必要があるが、それは私たちで何とかしましょう」

「素晴らしい!」とヴェイルは言った。「では私たちは進んでいいのね。約束通り、安全に通行できるんでしょう?」

「安全に通行できる」と族長は笑顔で言った。「儀式の後でな。ここではあらゆる物事に儀式がある」

「そうでしょうとも」とヴェイルは言った。「まあ、失礼にはなりたくないし…」

リーチの魔女の詠唱Reach Witch Chant

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

心に留めよ、血を分けた者よ
高らかな我らの歌を聞け
我らの時に猶予はない
影が長く伸びるとき
大きな目を持つ
強き霊魂が待つ
狼の牙は鋭さを保つ
群れを救うために

心に留めよ、偉大なる野獣よ
高らかな我らの歌を聞け
雄鹿の角は肉体を貫く
腱硬く
筋肉は締まり
我らを通じて力を与えよ
我らが霊魂は降り注ぐ
土の上に
汝への褒美のために

心に留めよ、黒き虫よ
高らかな我らの歌を聞け
無で満たされた
我らの飢餓を知れ
腐敗の活力
虚無の力が
我らの胸を空にする
魂と、求めるもので

リーチの旅行ガイドA Reach Travel Guide

カムハイン・サルン 著
(第二紀558年に書かれたもの)

偉大なる我らがダーコラク帝の生まれた地を訪ねたい?お前たちはリーチをどう見ている?リーチは自分に属している者を知っている。それを詐称する者は誰であろうと飲み込んでしまう。だが、私の叔父を他の全ての者の上に立つ存在に作り上げた地を目にしたいなら、導きを与えよう。そうすればお前たちも跪き、彼がその正しき征服の際に与えた慈悲に感謝するだろう。

まず霊魂の祠を訪ね、今歩いている地の所有者に供物を捧げるべきだろう。リーチに神々の慈悲はないのだから。しかしその前に、民の許しを請わねばならない。さもなければ彼らは以前に来た者たちと同様に、お前たちも追い払ってしまうだろう。クランと霊魂を鎮め、正しく通行許可を得たなら、この旅を生き延びられるかもしれない。

カースワステンの村で休息を取れ。ここには侵入者を侮辱せず、取引を求めてくる者に会えるだろう。物々交換のための品物を持ってくるのが最善だが、民は取引に我らが帝国のゴールドを尊重する。無価値な硬貨をリーチの民の労働の成果と交換させてもらえることを、皇帝に感謝するがいい。

さらに西へ向かえば、深き民の領域の残骸を見ることができる。彼らは石を手にして荒野を征服したと思い込んだが、結局飲み込まれてしまった。石の都市マルカルスは、鳥の骨のように生気がなく、空のまま残っている。リーチの多くの者は、動けない石に住み着いて霊魂の怒りを招くようなことはしないと決めた。だがああいうがらくたを好むなら、ドワーフの玩具がいくらでも見つかるだろう。北の遺跡にもあるが、その名前は口にしたくない。

南へ向かえば、ノルドが我々の土地に刻んだ石の傷がある。この地を手なずけようとしたの失敗の名残だ。ブライアロックとロストバレーの遺跡は、今ではリーチの正当な支配者しか受け入れていないので避けた方がいいだろう。あそこにいるクランは、占拠した地を全力で防衛するからだ。あそこに行ったら、愚かなノルドの死体を数えてみろ。ヴァルスムという墓地で丸太のように積み上げられている。リーチの土もノルドの骨は受け入れないからだ。

飼い慣らされることも、帝国に保護を求めることもないこの地に対する敬意が芽生えたか。ここでは強く生き残る者に育たなければ食料にされる、懐の深い地でもあることが分かるだろう。道なき道を行き、裸足で大地を感じ、葉のこすれる音に耳を澄ませ、霊魂の声を聞け。慣れ親しんだ快適な生活を捨てて1ヶ月過ごせたなら、リーチに帰る資格があるかもしれない。

レディ・ビレインからの手紙Letter from Lady Belain

ペンターチ・ハウトリングへ

魔女の反乱軍が街の南と東で、私たちの努力を無駄にし続けています。念のため言っておきますが、マルカルスでの私の陰謀は、あの好戦的な野良犬が自由に走り回っている限り実を結びませんよね?度重なる失敗が気付かれずに済むことなどありませんよ、ペンターチ。

あなたの使者は、灰の王の召集状を何事もなく届けました。珍しいですが歓迎すべき成功です。私は間もなくヴァルスム墓地へ向かいます。おそらくここのところのあなたの失敗については、徳高き指導者に伝えないでしょう。

今のところは。

血によって結ばれた
レディ・ビレイン

虚無のポータルVoid Portals

アークスザンドのキーストーンの捜索中、他の者たちが消えて久しい。レディ・ビレインと灰の王は蔵書庫に入るために必要としている。だが、この力についてもっと多くを知る必要がある。この遺跡の人気のない静けさは、研究を行うには完璧な環境だ。心を持たないコンストラクトと、力の穴の間を一瞬にして飛んでいく奇妙な、ゆがんだ影以外に邪魔をするものもない。レディ・ビレインはこの虚無のポータルを使えるようだ。きっと私は自力で秘密を掴むことができる。

* * *
レディ・ビレインが闇の遺物に関する秘密を守っていたにもかかわらず、私は突破口を切り開いた。遺跡に集中している力を調査していたら、闇の内部から生じたと思われる、小さな欠片を発見したのだ。

それぞれの欠片には重さがあり、まるで力が外側にあるものを内部に向けて引っ張っているようだった。集中したら、周囲の力の穴にも同じ引力を感じられるだろう。欠片はそれぞれ、まさしく出て来た力に向かって戻ろうとしている。これを持って近づいたらどうなるだろう?

* * *
新たな発見だ!欠片を持って力の穴に近づいたら、謎が明らかになってきた。引力は近づくにつれて強くなった。突然、滑ったとしか言いようのない感覚がした。まるで滑って転んだかのようだった。それも下ではなく、横に。辺りを見回すと、どこか新しい場所に来ていることに気づいた。私は欠片と共に、力を通じてこの新しい場所に引っ張られてきたのだ。

力を利用することで、この遺跡の長く閉じられていた扉が私に向かって開いた。結局のところ、蔵書庫に入るのにアークスザンドのキーストーンは必要ないのかもしれない。少なくとも建物に入るためには。レディ・ビレインのことだ、キーストーンには、彼女がまだ灰の王に明かしていない別の機能があるに違いない。

ペンターチ・シーヴェルネス

見習いグウェリナへの手紙Letter to Apprentice Gwerina

見習いグウェリナへ

お前がまだ文字に悪戦苦闘していることは知っている。だからこの手紙は手短にしよう。カース峡谷に闇が襲い掛かった。賢い者たちはマルカルスの石の壁の背後に避難している。アルド・カダッチが目を光らせている場所だ。だが、どんなに危険でも自分たちの領域を放棄することを拒むクランもある。

アルドは寛大にも、アリーナの王、我らの狩猟の父ハーシーンの新しい祠を設置する目的で広間を使う許可をくださった。

そこで合流しよう。この祠を正しく設置できるように、フロッキベグの象徴を持って来てくれ。マルカルスで待っている。

大呪術師グリンロック

古代の霊魂を称えよHail to the Ancient Spirits

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

ハーシーンを称えよ、狩りの王を
森と丘を統べる者
生けるもの全ては追うか逃げる
死によって止まるまで

ナミラを称えよ、霊魂の女王を
糸を編む、沈黙の産婆
あらゆる始まりには終わりが要る
生と死の闇の母

古代の霊魂を称えよ
師として練を与える、いついかなる時も
厳しい教訓は必要なもの
敵だらけのこの世界には

モラグ・バルを称えよ、苦痛のデイドラ公を
暴虐の主人、災厄の王
殺し戦うための力を与えし者
人は争うべき存在なれば

古代の霊魂を称えよ
師として練を与える、いついかなる時も
厳しい教訓は必要なもの
敵だらけのこの世界には

古代の霊魂を称えよ
古代の霊魂を称えよ

荒野で生き延びるヒントWilderness Survival Tips

冒険者兼年代記編者、ジェメル・マラエニウス 著

リーチは無情な地であり、無情な地は無情な人々を産み出す。この地域の過酷さに慣れていない人にとって、準備もせずに赴くことは通常死刑宣告を意味する。だからと言って、人は挑むことをやめない、当然ながら。たとえ当人がいかに危険にさらされる可能性があろうと、私は人が冒険することを非難するような人間ではないが、リーチの者なら彼らの土地をもう少し生き残りやすく旅するためにはどんなことを提案するのだろうかと、かなり以前から考えていた。

そういう訳で、自分自身のために明らかにしたいと思う。

話をした数少ないリーチの者のうち、約3分の1が真摯に回答してくれたものと推定する。ここに最も有益な見識をまとめた(クスッと笑ってしまったものも少々含む)。

狼からの攻撃の生き延び方
「逃げるな。自分のいる場所に立ち、狩人としての権威を狼に尊重させろ」

「臆病者は木に登る。真の戦士は近くの小枝をつかみ、獣をかわす!」

「祈ってみろ。お前らには少なくとも時々は効くみたいだ」

「腐った魚の中に身を隠せ。じゃなきゃ何でもいいから本当に嫌な臭いがするものの中だ。狼は繊細な鼻を持ってる。酷い臭いを放ってたら、彼らもしり込みするだろう」

蜘蛛の噛み傷の最良の治療法
「ただ耐えるだけだ。毒に対する耐性がないのなら、多分リーチを歩き回るべきじゃない」

「取り乱すな。ただ毒の回りが早くなるだけだから」

「運よく手足に噛みつかれたのなら、それを切り落とせ。確実に生きて朝日を拝みたいなら、それが一番手っ取り早い」

「蜘蛛にもよる。きちんと違いを知っておくことだ」

道に迷ったら
「水の音を聞け。音の源を見つけたら、流れに従って進め。最終的には誰かを見つけるだろう」

「迷うなら昼間にしろ。リーチで夜が来たらお前は足の折れたウサギ以外の何者でもなくなる」

「リーチの者に道なんか聞くな」

ハグレイヴンに遭遇したら
「お前の死を望むハグレイヴンに出くわしたら、できることはそれほどない」

「お前たちよそ者はみんな理解できないものを酷く恐れる。まるで暗闇を嫌がる子供のように。だが、もし生き延びることを強く求めるなら、とにかく逃げろ。ハグレイヴンはそれほど速く動けない。少なくとも、俺が見たやつはみんなそうだった」

「理由があってハグレイヴンがお前に目を付けたのなら、おそらくお前はそういう運命なんだろう」

熊から逃げるには
「幸運を祈る」

効果的な狩り
「狩る者と狩られる者の関係以上に神聖なものはない。そのつながりを尊重すれば、魚を突く時であれ、矢をつがえる時であれ、ハーシーンはお前の努力に微笑むだろう」

「もし、より強い動物がお前の仕留めた獲物を奪いに来たら、奪わせておくがいい。勝てない時を知っておけ」

「誰かが仕留めるのを手伝ってくれるなどとは期待するな。唯一の真の狩りの報酬は、自身の自立から得られる」

「狼の隙を確実に狙え」

食用の虫
「食べるために足元の虫をかき集める者を見下す奴は、明らかに苦境とは無縁の人生を送ってる」

「蟻をすり潰してペースト状にすると飲み下しやすくなる」

「何だろうが鮮やかすぎる色のやつは食うな。お前にとってもその虫にとっても、ろくな結果にならない」

婚約者たちからの手紙Letter from the Intended Couple

大族長カニアー様

申し訳ございません。あなたが達成されるよう願っていることが何なのかは分かっています。でも、私たちにはやり遂げられません。

エスリンとマデアルン

再び戦うために立つWe Rise to Fight Again

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

悲鳴が聞こえる
息をもらし
急襲を感じ
死を感じ
縫うように前進し
一団を抜ける
命を奪う
その手で

彼らは止まる?
さらに見える
彼らが来る
そして戦う
我らは固守する
血が滴る
たじろぎ
彼らの袋が満ちる

故に我らは裂け目に突き進む
鋭い戦いの声とともに
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
故に衝突は続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れた
それでもまだ敵は来る

では狩ろう
全ての獲物を
人であれ
迷い犬であれ
安らぎはない
恐怖はない
彼らは
ここに来るだけ

彼らは止まる?
さらに見える
彼らが来る
そして戦う
我らは固守する
血が滴る
たじろぎ
彼らの袋が満ちる

故に我らは裂け目に突き進む
鋭い戦いの声とともに
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
故に衝突は続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れた
それでもまだ敵は来る

我らは真の自然の姿で
再び戦うために立つ
全ての苦痛を叫ぶ
我らの敵は決して勝たない

そして我らは裂け目に突き進む
大いなる戦いの叫びと共に
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
けれど衝突はいつまでも続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れ果てた
そしてまだ虐殺者が来る

深き墓にてIn the Deep Tombs

深き墓に入ってから今日で34日目。だと思う。

ボス・トレンロルが俺をここに投げ落とすとは信じられない。忠実な兵士だったのに!彼の要求は全てこなしたのに!まあ、「ほぼ」全てだが。

ボス・トレンロルにはむらっ気がある。一緒に笑っていたかと思うと次の瞬間には怒鳴りつけられる。死ぬ一歩手前まで殴っておきながら、その後自らの手で治癒の湿布を貼って、回復するまで一緒に座っている。それにかんしゃく持ちだ。金だろうが品物だろうが血だろうが、要求するものを相手が出さなかったら、俺と仲間に急襲させて何人かを見せしめにする。「群れを行儀よくさせるためだ」というのが口癖だ。

何人かは考え付く限りの恐ろしいやり方でただ殺す。残りは捕まえて深き墓に閉じ込める。ボス・トレンロルは常に、新鮮な血が自分の手に供給されることを好む。彼は何人かを狂血鬼に与えるのも好きだ。ちょっとした気晴らしのために。

とにかく、ボス・トレンロルにフレイレスの喉を裂けと言われたときは冗談だと思った。時々そういうことをする。忠実な従者をとんでもない残虐行為をすると言って脅す。ただ反応が見たいがために。この時は本気だったみたいだ、多分。喉を切り裂かずに笑ったら、まるで野生動物みたいに向かってきたからな。無茶苦茶殴ってきやがった。

気付いたら、数年来の友達や仲間の吸血鬼たちが俺をひきずって深き墓に入れるところだった。そして、俺が自分の手で投獄した定命の者の、すぐ横にある監房に俺を投げ入れた。屈辱的だった。1週間か2週間俺をここに入れておいたら、ボス・トレンロルは俺を出してくれるだろうと思った。教訓は学んだと。だがもう4(いや、5か?)週間にもなるし、俺は飢えてる。近くに血の臭いがする。ほとんど味もする!だが俺に血をくれる衛兵はいない。ほんの一口でさえ。

俺は忘れられたのだろうか。それとも俺を飢えさせて、野生化させることが前からの計画だったのだろうか。もしかしたら、離れると決心したカサドの考えは正しかったのかもしれない。彼がフレイレスを連れて行かなかったのには驚いたが、きっと戻るつもりなんだろう。だがもしそうしたら、俺と同じ結果になるだろう。

深き民の怖い話、第1巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 1

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

親愛なる読者諸君。「怖い話」の新たな書へよく戻った。今日は謎めいた驚異の街、マルカルスの内
部から諸君に書き送ろう。絶滅したドワーフによってはるか昔に築かれたこの街は長く存在し続け、現在はなかなかの信望を集めるリーチの戦士、アルド・カダッチの元に団結した、リーチ部族の集団の本拠地となっている。アルド・カダッチはリーチの人々を一つの旗に集結させた、いとこのレオヴィック以来初の族長だ!

公明正大な作家による、解決も解明もされていない前作の物語の書物「ドルアダッチ山脈の怖い話」が大好評を博した後、この旅の物語の語り手は他ならぬアルド・カダッチその人からマルカルスの街に招待された。アルドは、「リーチは野蛮人だ」という印象(諸君の公明正大な作家は決して伝達するつもりなどなかった印象だ、もちろん!)を正し、我が指導者の全員に、リーチの人々にも全ての人々と同じように、壮大な文化と物語を伝える豊かな伝統があることを思い出させることを望んでおられる。

そこで、我が後援者たちと作家仲間の助言に反し、私はアルド・カダッチに会い、彼の民の長く語り継がれた物語を不滅のものとするため、長く危険に満ちた旅に出発した。
以下はつつましい作家によって初めて集められた、マルカルスのリーチの民による、リーチにおける奇妙で説明のつかない出来事に関する3つの物語だ。それではお気に入りの椅子に腰を落ち着け、ハチミツ酒を手にして、夜の暗闇にランターンを灯したなら読み進めたまえ。勇気があるなら、だが

* * *
暗き場所の魚人

最初の話は歴史の守り手を意味するリーチのヴァテシュランから聞いたものだ。彼女のクランはマルカルスの上にある山の中に、何十年も暮らしていたそうだ。彼女は言った。何年も昔、驚くほど人間にそっくりな生き物が、クランが暮らす場所の下にある洞窟に出入りしているのを見たという斥候からの報告があった。

最初、クランの者はそれをゴブリンだと思った。だがこのゴブリンには毛も目もなく、まるで魚のような生気のない灰色の肌をしていた。このクランが呼ぶところの「魚人」は決してキャンプに近づかず、その中にいるリーチの者を攻撃することも絶対になかった。だが、クランは明らかに忌まわしきものたちとの共存を拒んだ。

族長が戦闘部隊を結成し、彼らを率いて地下の洞窟の中に入っていった。彼らは魚人たちを追い出し、クランの縄張りを取り戻すことを固く決意していた。ところが、部隊が抵抗にあうことはなかった。洞窟中を探し回ったあとでさえもそうだった。戦闘部隊が結成されるほんの数時間前に、多数の魚人が洞窟に入ったと斥候が報告してきたにもかかわらず、彼らが洞窟の中で魚人の痕跡を見つけることは一切なかった。

その夜遅く、夜明け前の最も暗い時間に、最初の襲撃が行われた。数人のリーチの者が音もなく殺され、彼らの遺体が無残に晒され、他の者は完全に消滅していた。族長は再び最強の戦士を集め、クランを襲って殺害した魚人たちを根絶やしにするため洞窟に乗り込んだ。そして、今度も丸一日をかけた捜索で、見つかったものは空の洞窟だけだった。

その夜、クランは警戒状態を保っていたが、新たな襲撃はなかった。その後数週間にわたり、彼らは毎晩見張りを立てた。だが、さらなる襲撃は行われず、魚人たちを目撃することもなかった。一月以上が経ち、族長はついにクランの者たちに通常の見回りを再開することを許した。するとまさにその晩、魚人たちが再び襲撃した。今度は残された長老の遺体が山の上に吊るされ、さらにひどいことに子供たちが何人か跡形もなく姿を消してしまい、それきり行方不明になった。

またしても行われた卑怯な攻撃、そしてクランで最も弱い存在に対するとてつもなくむごい襲撃に憤った族長は、正義の怒りのために我を忘れた。彼女は魔女と呪術師を呼び集め、近くのクランから魔法の支援を受けた。彼らは次々にクランの地下洞窟を封じて行った。彼女は山中の傷を怒りと、魔法と、意志の力で崩壊させた。仕事を終えたとき、洞窟の中にあるのは砕けた岩だけだった。

クランはその後何ヶ月も警戒を解かなかったが、新たに攻撃されることもなく、魚人の姿が目撃されることもなかった。賢明な族長は洞窟を封じたが、十分に行われていない報復が今も彼女と彼女のクランを苦しめている。彼らは尋ねる。あの魚人たちは何者だったのか?如何にして洞窟の中で、見えないように隠れることができたのか?

深き民の怖い話、第2巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 2

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

次の物語は宿屋〈川の恵み〉で会ったリーチの斥候、マルコルのものだ。彼は感動的な音楽と青春と悲劇の物語を伝えてくれた。若い斥候の物語を信じられるかどうか、親愛なる後援者の諸氏にはぜひお読みになって判断いただきたい!

* * *
山の下からの音楽

リーチの民の大部分は、大昔に消えたドワーフが残した、永遠の恐怖が付きまとう遺跡を忌避するが、例外もいる。マルコルとエサナという2人の若いリーチの斥候はある日、クランの誰も行きたがらない場所を探検しようと決めた。彼らは名を挙げるため、山の下にあるドワーフの遺跡に向かったのだ。こうして2人はいくつもドワーフ都市の奥深くへ進み、オートマトンやさらに凶悪な敵と戦って、勇気を証明しようとした。

こうしてドワーフ名は知られていないが、リーチの民がダークホロウと呼ぶある遺跡の深部を探検していた時、エサナが最初に山の下からの音楽を聞いた。マルコルは全力で耳を澄ませたが、何も聞こえなかった。しかしエサナは嵐のように大音響で音楽が聞こえると言い張った。彼女はどこにいても聞こえると言った。

エサナは何度もマルコルにその音楽を説明しようとした。それは真鍮の鳥が暗闇の中で奏でる歌、歯車と岩の交響曲、蒸気と炎の賛美歌、などだった。しかしエサナは山の下の音を辿り、マルコルも彼女に付き従ったが、2人ともこの謎めいた音楽の源を突き止められなかった。

マルコルが私に語ったところ、そのうちエサナは音楽に執着するようになり、マルコルと共にキャンプに戻った後も音楽を口ずさんだ。彼の話では、眠っている時もやめなかったという。彼女の口笛は美しいものではなかったが、奇妙に心に響き、今になってもマルコルはエサナの無味乾燥な口笛を頭から追い払えないという。

エサナは毎日ダークホロウへ行きたいと主張し、クランの斥候としての任務を放棄するようになった。そのうちクランのウィッチマザーがマルコルとエサナの2人にダークホロウへ行くことを禁じた。その次の日、ウィッチマザーの怒りを買いクランから追放される危険まで冒して、エサナは最後にもう一度ダークホロウへと向かった。

ウィッチマザーはマルコルがエサナを追うことを禁じたが、彼は禁を破った。幼馴染の友人は獲物を見つけるまで戻らないと確信していたからだ。マルコルはエサナが自分にしか聞こえない山の下の音楽を探して、正気を失うのではないかと恐れた。もう二度と帰れないほどの奥まで進んでしまうのではないかと。マルコルは遺跡の外でエサナの荷袋を見つけ、できる限り奥深くまで進んだ。

マルコルの捜索は悲劇に終わった。最終的に、彼が幼馴染のエサナに関して見つけたのは、ダークホロウの最深部に置かれた、笑顔が落書きしてある動物の皮だけだった。マルコルは悲しみに沈みながら、絵の意味を完璧に理解した。彼は悲痛な気分になった。

「見つけた」と落書きされた絵は言っていた。それはエサナが親友のために残した、最後のメッセージだったのだ。

それ以来、エサナの姿が見られることは二度となかった。

深き民の怖い話、第3巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 3

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

マルカルスのリーチの民は謎と魔術に満ちた、数多くの暗く悲惨な物語を抱えている。その数があまりに多いので、一介の作家にはどの物語から記録すべきか判断が難しいほどだ。しかし夜中に火の側で語られ、私が聞くことを許可された全ての物語の中で、血を流す木の物語は最も不気味で奇妙な話だ。ご堪能あれ!

* * *
狩人と血を流す木

この物語は最も高齢のヴァテシュランの大半よりも古く、何世代にもわたってクランからクランへ受け継がれてきたもので、数多くのバージョンが存在するが、始まりは全て同じだ。あるリーチの狩人が昔々、暗い森の鹿に向けて矢を放った。しかしその時、何か他の動物が近くで小枝を折った。大きな音に驚いた鹿は飛び跳ねて駆け出し、狩人の矢は背の高い古木に突き刺さった。

逃げた夕食と運のなさを呪いながら、狩人は矢を回収に行った。しかし木のそばまで近づくと、彼はなんとも奇妙な光景に出会った。鋭く正確な彼の矢尻は、ねじれた高い木の皮を貫いて深く刺さっていた。その木の傷口から、輝く赤の液体がこんこんと流れ出ていたのである。

最初、狩人は樹液がこういう色をしているのに違いないと思った。しかし近づいて見れば見るほど、木は血を流しているのだと確信した。木の皮から流れる赤い液体を味見すると、その考えは確信に変わった。彼の矢を受けたこの木は、明るい色のしょっぱい血を流したのだ。狩人は困惑した。

真相を突き止めてやろうと決心した狩人は、ナイフを取り出して木を突き刺した。よく磨かれた鋭い骨の刃は、暖かい木の皮をいともたやすく貫いた。狩人が傷を付けるたび、そこからさらなる血が流れだし、なぜ木が血を流せるのかを理解できない狩人は何度も突き刺した。物語のあるバージョンで、狩人は木を傷つけたことに罪の意識を覚え、苦痛から解放してやろうと思った。別のバージョンでは、木の血を味見した狩人は怒りの発作を起こし、それまで感じたこともないほどの戦いの憤怒に駆られた。

理由は何であれ、物語のどのバージョンにおいても、狩人は傷口が無数に広がるまで木を刺し続けた。木の足元の血だまりはすぐに、彼の足首が浸るほどの深さになった。流すはずのない血を流し、死ぬ様子もないこの木に対する攻撃で疲れ果てた狩人は、矢を回収して立ち去った。クランを探して自分が見たものを知らせようと決心したのだ。狩人は自分の頭がおかしくなったのかどうかを知りたかった。

次の日、狩人とそのクランは血を流す木のあった場所まで戻ってきたが、そこに木はなかった。塩気を含んでいて不気味な、乾いた黒い血だまりだけが残っており、それが木々の葉の隙間に開いた穴から差し込む太陽光を吸い取っていた。昨日までこんな穴は絶対になかったと、狩人はクランに言った。

狩人の仲間たちは笑い、どうせ血は死にかけた動物のものだろうと言った。しかしその彼らでさえ、これほどの血だまりを作っておきながら死体も残さない動物など考えつかなかった。地面に痕跡は何もなく、体を押しつけた跡もなかった。ただ円形の、不気味な血だまりがあるだけだった。

時が経つにつれ、クランも木を傷つけた狩人も、この問題を気にかけなくなった。この事件はそのうちに焚火の側で話す物語に過ぎなくなった。狩人が奇妙な木を傷つけてから、ちょうど1年が経った。

その朝、狩人が朝食に姿を見せなかった後で、クランの他のメンバーたちはテントの中に彼を発見した。狩人の胸には本人の矢が突き刺さり、無数の刺し傷が体中につけられ、気味の悪い自らの血の海に横たわっていた。

しかしテントの中にも外にも足跡は見つからず、斥候の報告では前の日の夜にキャンプへ入った者も出た者もいなかった。クランの族長は不運を呪いつつ、狩人の死体とそのテントを燃やすよう命じた。彼を襲った森の霊魂か何かを鎮めようと思ったのだ。その後クランはこの区域を去り、荒野のこの部分に二度と戻ってこなかった。他の誰かが、また傷ついた木を見つけるのではないかと恐れて。

* * *
「怖い話」の最新巻はこれで終わりだ。しかし安心してほしい。リーチの民は私をサークルに招いてくれた数夜の間、実に数多くの「怖い話」を話してくれた。アルド・カダッチが明確に説明したように、リーチの民は蛮族や獣ではなく、他の民と同じ人間であり、多様で物語に富んだ口承の歴史を持っている。彼らの奇妙な国は、「怖い話」の宝庫なのだ!

改めて、多大なるご支援に感謝しよう。次巻も乞うご期待!

赤鷲の歌Red Eagle’s Song

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

思い出せ、思い出せ、リーチの子よ
ファオランの血塗られた物語を
思い出せ、思い出せ、リーチの子よ
赤鷲の最後の栄光を

鷲が甲高く彼の名を叫んだ
彼が母の胎内より立ちし時
血のヘラジカの目を持って生まれた
怒りはダイヤモンドの運命の兆し

諦めよ、諦めよ、ヘストラが来た
南生まれの白い石の塔のハグ
鉄の槍と盾の一団と共に
彼女は王の心臓を黒く変えた

季節が過ぎ彼は戦いに吠えた
帝国の娘と息子を殺して
だがリーチの者は矢と槍に倒れた
クランの友がいなくなるまで

ついに彼は自分の鷲の心臓で取引した
我々の力を欲しがるレイヴンと
彼らは胸にブライアの種を植えた
それは死体の花から育つ

数千が炎の剣に倒れた
血の太陽が昇り、沈むと
数百の矢に刺されたが
死を迎えるまで戦った

全ての者よ、ファオランの怒りを思い出せ
皆の心に住んでいる
聖なるリーチを欲しがる者は全て
我らの槍に苦しみ倒れる!

約束と警告A Promise and a Warning

この保管庫を守る者へ

闇の心臓と虚無に関する知識が、まだ私にとって役立つものだったことは幸運だったな。この書状の所持者は、遺言の中から私が興味ある節を書き写すことを許されなければならない。

約束しよう。従うなら、私がこの世界を作り直した暁には、お前のクランを素晴らしいものへと導こう。

警告する。私のペンターチが保管庫に入ることを拒んだ場合、または不当な害が及ぼされた場合は、定命の者たちでさえ涙するほどの、想像を超える苦しみを与えてやろう。

お前たちのレディは死んだ。この上うぬぼれを許容することはできない。

ラダ・アルサラン

抑制装置The Containment Apparatus

欠片を使って虚無のポータルを通り抜けるのは実に爽快だ!おかげでこの素晴らしい抑制装置がある古代の部屋に来ることができる。この機械が大きい虚無の欠片をどう使うか見てくれ。と言うよりも、クリスタルだ。これは、この穴、この現実の構造の裂け目からあふれ出る闇の力を何らかの形で利用している。これはある時点で凍結されたドワーフの実験の名残なのか?

クリスタルが回転させることによって力の焦点の役割を果たし、それを反射し、屈折させることに気づいた。装置はこの増幅を通じて動き始める。もしかしたら、力の穴を安定させるために調整できるかもしれない。引力は強力だが、制御を維持しなければならない。何か一つでも失敗したら、この力から逃れられなくなるだろう。

ペンターチ・シーヴェルネス

ソリチュードの独白

Solitude Soliloquies

アテイアの横笛Ateian Fife

インペリアルの伝説の笛職人パーテロン・アテイアが死の直前に作った笛の一つ。パーテロンの笛は希少であり熱烈に求められていたが、これは彼が死ぬ前に完成させた最後の笛である。パーテロンは特別に吟遊詩人の大学へ寄贈し、長く保存され楽しめるようにした。

彼の横笛のいくつかは今もタムリエル中で使われているが、大部分は収集家か、アテイア家の才能ある笛奏者の元で隠されている。

アンジャルドの日記Anjuld’s Journal

最高だ!ついに夢が叶って、レディアント装具店を開店する。長年家のハチミツ酒醸造所で働きながら仕立やファッションのことを全部学んで、店を始められた。そして故郷のソリチュードで店を開くための場所を確保するため、何年も待った。何ヶ月もかけて店の準備を整えて、在庫の用意をした。そして、お店の営業を開始する。

成長を続ける企業にできたらいい。たとえ家族経営の事業でも。母のハチミツ酒醸造所を継ぐより、ファッションの道を選んだことで父ががっかりしていないといいが。そうは言っても、私に彼らの人生は歩めない。私は私の人生を生きるべきだ。

* * *
開店してから最初の数週間は何とも言い難い。人々は私の服のデザインに興味を持ち、品物を買ってくれる人もいた!上級王の娘が服を買ってくれることになったくらいだ。彼女はどうやって戻ってくるかについてと、特定のデザインについて何か話していた。

ハチミツ酒醸造所のことは父から聞いた。2人は私がいなくてもうまくやっているらしい。良かった。姪と甥に私の代わりをやらせている?冴えているな!おばとおじに感謝だ。

* * *
姪のダリエが仕立屋の一周年記念に立ち寄ってくれた。あの子はいつだって変わり者だ。むしろ私に似ているかもしれない。宝飾品も売ろうと考えたことはないかと聞かれた。正直に言うとそれほど興味はないが、アクセサリーは洋服を引き立てる!あの子がもっと大人になって、私に投入する資金がもっとできたなら。あの子に加わってもらって、ここで宝飾品の事業をやるのもいいかもしれない。

拡張する時期が来たら考えよう。

* * *
数年前に書き始めたこの日記を引っ張り出して、自分が日記をつけることに向いていないと気づいた。

この数ヶ月で変化があった。店から離れている時はいつも誰かに見られているような気がする。最終的には、ダリエと彼女の夫にここに来るよう頼むことは考えないだろう、という予感がする。彼女が宝飾品の商売を始める資金はあるが、ソリチュードはもう安全だと思えない。これについては、もう数ヶ月様子を見てみよう。その間に、テオネッタがそろそろハチミツ酒醸造所へ戻るべき時なのかどうか話し合うべきだ。彼女はここですごく役に立ってくれたけど、向こうでも新たな戦力が必要かもしれない。

ウスベト(発掘)Uthbet (Exhumed)

ウスベトここに眠る

族長殺しのライルの息子は

丘のように老いた

生まれながらの戦士

便所で死す

冷笑を浴びせながら

エナからの手紙Letter from Ena

ウラング

お互い無事だった時のために、「だから言っただろ」は取っておいて。いい価格を提示されたからと言って、リーチの民と取引すべきだった?いいえ。最後の瞬間に裏切ることを予測してた?きっとそうすべきだったのよね。でも、やっぱり答えはいいえ。

ここに長く留まり過ぎたら、奴らに見つかってしまう。だからそうしないで、滝の側にあるキャンプを目指して上流に向かうわ。向こうのほうが安全なはずよ。できるだけ早く会いに来て。でも、どうか気を付けて。リーチの民はドラゴン・ブリッジを狙っていると思う。

エナ

オグヴァル従士への手紙Letter to Thane Ogvar

オグヴァル従士

ご依頼のとおり、海の巨人についての情報を可能な限り集めました。予測に違わず、大した情報は得られませんでした。大部分の情報は、吸血鬼がカイネズ・パーチへ来る前に港を去った老人たちから聞いたものです。彼らは熱心に話してくれましたが、精度は疑わしいでしょう。何と言っても彼らは船員です。船に乗るより嘘をつく方がうまい。しかし、手に入ったのはその情報だけです。

ステグリルによれば、海の巨人は本土の巨人の親類ですが、より賢いそうです。彼とおかしないとこのようなもの、だそうですが。これはイングフィルの証言とも一致します。彼は海の巨人が言葉を話すのを聞いたと言います。半巨人だけではありません。彼が言うには、一番大きな巨人がシロディール語で何か叫んだそうです。これが本当なら、巨人に関する我々の知識は完全に覆されるでしょう。私も古代の巨人やアトモーラのタイタンの物語は聞いていますが、おとぎ話だと思っていました。ステグリルは断言していますが、実は自分で見たことはないと認めました。どう考えるかはお任せします。

実際のところ、船員たちは全員がこれまで海の巨人を見たことがないと白状しました。「見たら生きては帰れない」と言うのです。ただ1人だけ、以前に海の巨人を見たと主張する者がいます。セングレットです。一番の年寄りで、少なくとも80歳にはなるでしょう。彼女はドーンスター西の漁村で育ち、海の巨人が沿岸を襲った話を祖母から聞いたそうです。それは「ペイルがドラウグルの心臓のように冷え込み、ホーカーが岩の上で凍え死に、トロールが極寒に泣いた時」だったと。そして、第二紀532年にそんな冬が訪れました。セングレットが冷たい突風の中、沿岸に立っていると、ロングシップが一隻、みぞれ交じりの雪を突き抜けてくるのが見えたそうです。それだけです。それで話は終わりです。

お気づきのとおり、ここ数年間は暖冬が続いています。少なくとも、例年と比べれば暖かい。ですから、セングレットの話は筋が通りません。吸血鬼を考慮に入れなければ。ファルグラヴンが人々の心を歪め、泡立つ血の渦を起こして船を沈めていることは有名です。奴が巨人に何かを提供したのか、それとも隷属させているのか。いずれにせよ、誰も予期しなかった同盟です。本土に到達しなければいいのですが。ソリチュードの民にあれを押し返す力があるかどうかは、確信が持てません。

スンヴィルデ

カリソスの磁鉄鉱Callisos’ Lodestone

これは大吟遊詩人にして全ニルンで名を知られる音楽家、カリソスの楽器として崇められている。このリラは彼と共に、数十年にわたってタムリエル中を旅した。

カリソスはしばしば、どのようにしてマッドゴッドのシェオゴラスを出し抜いてこの楽器を手に入れたかという物語を語った。シェオゴラスに出会った時、カリソスはすでに熟練の吟遊詩人で、シェオゴラスが聞いたことがないような、もっとも官能的なラブソングを演奏した。カリソスはこの狂乱の王子に、彼の質素なリラにはディベラのむき出しの情熱が植え付けられていることを納得させたのだ。

シェオゴラスはそれを欲しがり、代わりに磁鉄鉱と呼ばれる楽器をカリソスに与えた。彼が栄光と名声をもたらすことを断言しながらカリソスの魂に結び付けたリラは、栄光と名声を実現した。

しばらくしてから、カリソスの偉業と才能は吟遊詩人の大学の卒業生の間で伝説となった。しかしある朝、磁鉄鉱が大学の練習室で発見され、それ以来カリソスの消息は一切不明となった。それ以来、カリソスは定期的にシェオゴラスの怒りから逃れてタムリエル中を旅するが、最後には捕まってしまうのだと長く考えられている。

カル・ドルーンのメモKal Druun’s Notes

我々はグレイホストの吸血鬼だ。故に扉を開ける必要はない。それでも我が主エグザーチ・ツィンガリスと同じように、私には知識への飽くなき渇望がある。このドワーフの扉は解明せねばなるまい!

鍵はない。ノブもない。ヒンジもない。
レバーもなく、はっきりと分かるものは何もない。古代のドワーフはどうやって開けていた?

機械に覆われた柱。あれについたパネルには何の意味がある?4つの異なる絵柄。星だ。

ドワーフは天空に興味を持っていたと言われている。パネルは夜空の異なる部分を表したものか?模様を見定める方法があるはずだ。

パネル。模様は正確に繰り返しているわけではないが、パネルに答えがあるに違いない。

どうやら分かったようだ。何が足りないかに気づいたら、答えがはっきりする!

知識が得られたら退屈になった。次の大きな謎に取り掛かろう!

グレイホストの書簡Gray Host Communique

エグザーチ・ツィンガリス

お前の素晴らしき知性には感謝している。再誕してから、我々の夢をこれまでになく実現に近づけてくれた。私が千年もかけて少しずつ崩してきた障害を、わずか数日で切り開いてくれた。

隠れ潜む時は間もなく終わる。お前の技を洗練させ続け、魔術結社の魔女に労働の成果を供給しよう。彼女たちは、ウルフラとその同胞を展開するための儀式の材料を作れるはずだ。最も強力な嵐を解き放つための準備をする間は、無差別に喪心の嵐を解き放ってノルドどもを悩ませよう。

お前の精製ネザールート混合薬を、儀式に必要なもの全てと一緒に中部のキャンプと私の砦に送ってくれ。沿岸のキャンプには、メダルをさらに準備しておくように警告する。ブラックリーチのキャンプの戦士長には、最新の命令を送っておく。

我が兄弟よ、強くあれ。グレイホストはまもなく蘇る!

ラダ・アルサラン

グレイホストへの命令Gray Host Orders

愛すべき同胞たちよ

何と言えば良いだろうか。ツィンガリスが死んだ。

彼を殺した者は影の中に逃げ去った。間違いなく、我らの邪魔をするつもりだろう。すでにその目的が、喪心者の拡散を阻止することだという噂もささやかれている。

これ以上、我らの目標を脅かす者を見逃すわけにはいかない。我が家族は苦痛から救われた。もうモラグ・バルでさえ私を止めることはできない。そのため、我々は仕事を早めなければならない。ソリチュードへの攻撃に関わるすべての準備を、至急完了させるのだ。

アンダーグローブでの作業に必要なものは、全て用意しておけ。場所は隠されており、古代の墓地は安全が確保されている。古代の墓地が地下に落ちたのは、まさにこのためかもしれない。喪心の嵐を次に進めるための、完璧な試験場になるだろう。エグザーチ・ウルフラは努力を導き、最後の喪心の嵐のための道を用意する。

グレイホストに栄光を!

灰の王、ラダ・アルサラン

コスリンギのリヴァイアサンホーンKothringi Leviathan Horn

絶滅したブラック・マーシュのコスリンギ人はごくわずかな遺物しか残していないが、吟遊詩人の大学はこの悲しげな楽器をその文化とナハテン風邪の被害を思い起こさせるものとして大切にしている。

この陽気なラッパはブラック・マーシュを徘徊する怪力の獣、リヴァイアサンの角から作られている。消えたコスリンギの人々の肌に合うよう、銀青の染料で染められていた。

大きく、良く響く音色は往時のコスリンギの人々のように、喜びと希望に満ちている。

サデウスの部品リストThaddeus’s List of Parts

回路化ハーフシェル(2):これらの部品は音調が循環する間、均衡を維持するために共鳴キャパシターが必要とする。

交換用歯車:コンストラクトの修理で既に使用されていなければ、特別な機械加工をしたコグと歯車はあらゆるドゥエマーの自動修理ジャンクションで見つけられる。

ドゥエマー焦点スコープ:特定の音が光を作り、ある光が音を作る。スコープの内部にあるレンズやクリスタルにヒビを入れないこと!

シスター・エルラの布告Sister Elra’s Proclamation

リーチの民よ

強大な軍が目覚め、我らの聖なる働きが力となっていることを知りなさい。私たちの力は高まっています。古き軍がこの世界で地位を取り戻した暁には、大きく報われることでしょう。

賢明にして老いぬ灰の王が、私たちの努力を讃えています。私たちの差し出す収穫が、王の愛する仲間を呼び戻すのです。これこそあるべき姿であり、正しいことなのです。

私たちの働きに疑念を抱く者もいるでしょう。我らが同盟者を恐れる者も。知りなさい!喪心の嵐の儀式の美しさを!儀式は灰の王に求めるものを与え、敵の心を恐怖で満たします。

私たちは儀式を極めました。より強力なものに変えたのです。今や嵐を呼び出すために必要な長槍はたった1つ。大きな嵐ではなくとも、十分な力を刈り取ってくれるでしょう。

心を強く保ち、魔術結社の命ずる通りに動きなさい。光を求めるのではなく、灰を称えるのです!

シスター・エルラ

ジャハル・フソジャJahar Fuso’ja

第二紀の初頭、カジートが入学し教職につく許可と引き換えに、エルスウェアのたてがみがこのカナンを吟遊詩人の大学に寄付した。当時は拡大するレマン王朝のインペリアル支配に対して、カジートの支配層が彼らの文化を保護して拡散するための手段を模索していた。

このカナンはエルスウェアに壊滅的打撃を与えた、スラシアの疫病の終焉を告知する祝祭で演奏された。祝祭の楽器を意味する「ジャハル・フソジャ」と名付けられたこの楽器は、現在も我々に生命の誇りと、古い曲を思い出させる。

スカイトーカーSky-Talker

この太鼓はシャドウフェンで無数に起こったある奴隷の反乱で、無名のアルゴニアン奴隷によって使用されたものだ。持ち主の名は失われてしまったが、このスカイトーカーという太鼓は、暴動の最中に他の奴隷たちへ伝言を送るために使われていたと言われている。「太鼓の声」は、しばしば反逆者に偉大な功績を与えたようだ。

この太鼓は精神を奮い立たせて魂を鼓舞する必要がある時、最悪な状況であっても音楽が力を与えられることを、吟遊詩人に思い出させている。

スカイリムのチーズ:ハイヤルマーチ、ハーフィンガルCheeses of Skyrim: Hjaalmarch, Haafingar

通信員の要請により、私は読者を退屈させないために多大な努力を払って旅行記の内容を制限した。スカイリムを旅するにあたって、私は自分の旅をどのような観点から見せるべきか迷っていた。旅の最初にたっぷりと食事をとった後、食べ物しかないと私は思った。このようにして、スカイリムのチーズ一覧が誕生したのである。

この国は様々な顔を持ち、その気候も多様である。そのためチーズの種類も膨大だ。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

グリーンエッジ
グリーンエッジはお祭りのチーズである。ハイヤルマーチ、特に首都のモーサルの陰気な評判を考えると少し変わっている。このチーズの名前は、近くの沼地から摘んだイラクサで編んだ可愛らしい「籠」から来ている。見た目も製法も籠としか呼びようがない。チーズはこの籠の中で塩水に漬けられ、それから潰される。潰す際に、通常は乳白色のチーズに緑の輪郭ができる。

ここではチーズの食べ方も変わっている。グリーンエッジは祭りの最後に出されることになっていて、ちょっとした見ものだ。若い狩人はイラクサで包んだこのチーズを持って松明を当て、包みが燃えてチーズが溶けかかった状態になるまで熱するゲームをする。このゲームに熟練した者は、チーズを焦がさず指を火傷しない程度に動かしながら、とても溶けやすいこのチーズを松明の炎の周りで踊らせる。観衆からは熟練者に喝采が上がる。

このように調理した後で熱いチーズは食卓に供され、来客はすぐさまパンや、場合によってはスライスしたリンゴを溶けたチーズに突っ込む。子供にとっては特に楽しい瞬間である。ここでチーズの隠された中身が明らかになるからだ。ドライフルーツやベリー、裕福な家庭ではアンバープラムが丸ごと1つ入っていることもある。最初にプラムを引いた運のいい者は、その祭りの王と呼ばれる。

ソリチュード・エイダール
個人的な意見だが、これはスカイリムで最高のチーズである。味や変わった性質のためではない。とてつもない希少性のためだ。ソリチュード・エイダールはその名の通りエイダールチーズであり、菌類の胞子を吹き込んで熟成させる。そしてエイダールは地下で熟成させるが、このチーズも古代都市の下にある地下室を用いる。しかし、普通のエイダールと似ているのはここまでだ。

まずは材料が違う。ソリチュード・エイダールは西スカイリムの頑固な伝統主義をチーズ製造へ見事に反映したものであり、それは牛乳の時点から始まっている。西スカイリム最初の王スヴァルトル首長が飼っていた牛だけが、このチーズの乳を供給できる。この牛の末裔である王家の牛は、忠実な家臣によって管理されている。牛乳は定期的にソリチュードへ配送され、そこでブルー・パレスの世襲官職である王家のチーズ売りによって検査を受ける。この乳製品の達人は検査対象の牛乳に厳密な基準を設けている。実際に彼の仕事を見たが、ソリチュード・エイダールを作って良いとされる樽は1ダースにつき1樽程度である。牛乳を凝乳にする際も、このプロセスのために特別に作られたいくつかの砂時計を使って正確に行われる。最後に前回のチーズのかけらが次のチーズに使われ、何世代も遡るエイダールの途切れない連鎖が生み出される。

私が受けた説明によると、この結果スヴァルトルの時代と同じ外見と香り、味が正確に再現されるという。私は疑わしいと思ったが、数十年間保存されたチーズと、最近切り取ったばかりのチーズの2片を与えられた。違いがあるかどうか、両方を味見せよと言われたのだ。

違いは分からなかった。私は泣いた。

スカイリムのチーズ:ホワイトラン、ウィンターホールド、イーストマーチCheeses of Skyrim: Whiterun, Winterhold, Eastmarch

私はスカイリムの旅行記を、東のチーズに注目して続ける。ホワイトラン、ウィンターホールド、イーストマーチのチーズである。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

アルド・アンバー
スカイリムで最も贅沢なチーズの一つは、この王国の穀倉地帯となっている肥沃にして広大なホワイトランで生まれた。しかしアルド・アンバーは食べれば豪勢な気分を味わえるものの、私がこの旅で出会ったチーズの中で、もっとも複雑かつ挑戦的なチーズとは言えない。

多くの人はその名前だけを見て、アルド・アンバーはエイダールのように熟成されたチーズだと思い込む。しかし事実ではない。この名前は、このチーズがいかに長い間ホワイトラン料理の一部を成していたかを示す証だ。正直に言って、これをチーズと呼ぶことさえためらわれる。その製法は私が知るどんな製法とも似ていない。凝乳に圧力を加えて取り出したホエーを捨てず、クリームの中に混ぜる。混ぜたものを口が広く浅い鍋で何時間も煮ると、いずれ液体は固体になる。その過程で薄い茶色になり、キャラメルのような香りが出る。「アンバー」の名はそこから来ている。

ゴーストフレッシュ
ウィンターホールドの民は、ここの有名な大学で魔術を学んでいない限り単純な人々であり、亡霊の海で働いて生計を立てている。家畜に向いた牧草地は少なく、海からはしばしば厳しい風が吹くため、子牛の群れがしばしば熱病にやられてしまう。牛の乳もヤギの乳も供給量は少ない。手に入るわずかな量は、新鮮で柔らかい農家のチーズになる。しかし質素な環境にもかかわらず、ウィンターホールドの人々は私が味わった中でも屈指のチーズを作る。

老人や亡霊の海へ挑むには若すぎる子供は、海草を集めて日々を過ごす。これは数週間かけて乾燥される。簡素な農家のチーズは海草を積んで燃やした煙で燻すため、潮の香りが込められている。その上で、小麦粉とホーカーの脂肪で作ったパンにチーズを包んで焼き上げる。ここが秘訣のようだ。こうして勇敢な漁師は、海で仕事をしながら食べることができる。彼らは片手しか自由に使えないことが多い。
このパンは焼き立てだと中身がとろけ、湯気を出しながらパチパチと音を立てている。外はまだサクサクしていて軽く、透明な生物の肉を噛んでいるような食感だ。ウィンターホールドの凍える海辺を数時間歩き回り、日没に見舞われた後で食べることを勧める。

マンモスのチーズ
旅の途中で私を親切にもてなしてくれたイーストマーチの善良な人々はおそらく、彼らのチーズ製造を省略してしまうことを許してくれないだろう。しかしここにある巨人の野営地の数を考えれば、スカイリムの童話で必ず言及される食べ物、マンモスのチーズについて語る機会を逃すわけにはいかない。これは巨人によって製造される、唯一の流通商品である。

これは原始的なチーズである。若いマンモスの胃を、巨人の飼うマンモスの乳で破裂する寸前まで一杯にする。乳が凝固してできた凝乳を皮の袋に入れて搾り、湿気を取り除く。するとペースト状になったマンモスのチーズが残る。食通も好まぬ代物で、危険を冒して手に入れる価値はない。

しかし言及する価値があるのは、硫黄の泉付近で群れを飼う巨人の奇妙な行動である。彼らは凝乳の袋をミネラル豊富な水で煮るが、これによって複雑な芳香が生まれる。何の香に似ているかというと、ガラス製造に用いられるカリウムの灰くらいしか思いつかない。この工程が終わると、マンモスチーズはあらゆる地の食卓に届ける価値がある品となる。

スカイリムのチーズ:リーチ、ペイルCheeses of Skyrim: The Reach, The Pale

スカイリムの旅行記を、このリーチとペイルのチーズの調査によって続行する。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

雌の怒り
カーサルドとリーチでは岩場の多い山道と切り立った崖のため、現実的に飼育可能な動物は山羊だけだ。従ってこの地域の主なチーズは山羊乳で作られ、この地方全体で育つごく普通のジュニパーの実で味付けされている。このチーズでもっとも興味深いのは味でなく(ちなみにうんざりするほど塩辛い)、むしろ地域の政治における奇妙な役割である。リーチではよく反抗的かつ野心的な指導者が誕生する。彼らはソリチュードやエバーモアから来た、武装した監視役の兵士の元で暮らす。彼らはしばしばリーチの人々の心に叩き込まれているらしい、征服への欲望を抑えるためにすべきことをする。

野望を挫く中で、多くのリーチの伝統が抑圧されるようになった。雌の怒りを作ることと、食すことを除いて。この名はチーズを作るために、雌山羊の乳をその仔山羊の胃の中で凝固させることが由来となっている。チーズはリーチの人々が大切にしている祝宴の日に食される。リーチの人々の魂を抑圧する者たちに対する、厳然たる反抗の中で。このチーズの塩辛い特性は、雌山羊の涙によるものだと言う人もいる。その乳が仔の死体の中で酸味を付けられるからだ。リーチの愛国者は、チーズが塩辛いのはそれを食す者にリーチへ降りかかった不幸、達成されない宿命に対する罰を思い出させるためだと言う。

ビエンオスト
ビエンオストはスカイリムで最も興味深く、「チーズの中のチーズ」と呼ばれる。これを食すのはほぼペイルの民のみで、彼らはそれを冬が終わり、春が戻ってくる証とする。

多くのチーズと同様、ビエンオストはほぼ間違いなく貧しい人々の間から生まれたものだが、現在では貴族も平民も同じようにこの珍味を楽しんでいる。ソーセージの多くと同じ形式で、解体された豚の腸に詰めて作られる。雪解けが近づくと、彼らは長く暗い冬が続く間に消費したチーズの外皮やかけらを、エール(酵母と麦芽の茶色いとろみのある液体。それ自体が食事にもなる飲み物のようなもの)の醸造樽に浸し、その後腸の中に詰め込む。それからビエンオストを乾くまで吊るし、仲春祭の時に初めて降ろされる。黄金の円盤のように薄切りにされたビエンオストは春の太陽に似ていると言われ、皆で楽しまれる。

スカイリムのチーズ:リフテン、ファルクリースCheeses of Skyrim: Riften, Falkreath

スカイリムで普及しているチーズに焦点を絞ったこの旅行記はまだ続く。スカイリムの地と料理はあまりに多様であり、私はとても様々な味わいを体験している。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

リフトウォッシュ
かつてはリフテンの首長だけが食べられたリフトウォッシュは、ガラスのような紫がかった黒い色をしたチーズだが、その中心は見た目を裏切って青白く砕けやすい。山羊乳のチーズであることから、スカイリムのより温暖な地域ではあまり見られない。リフトウォッシュは圧縮されてチーズ内の水分が取り除かれるため、ブレトンが水気の多さを高く評価するストームヘヴンの山羊乳チーズと異なり、比較的乾燥している。

リフトウォッシュはチーズの製造者がホイールをホンリッチ湖の泥水に漬けるので暗い色合いになると噂されているが、当然のことながらこれは根も葉もない嘘だ。実際はリフテンの有名なブラックベリーハチミツ酒で何回か洗い、その後は街で急増しているハチミツ酒工場の副産物である、ブラックベリーの果もろみで染めたロウで覆う。

バローオスト
ファルクリースの人々は戦いや死とファルクリースの長い結び付きを心から尊重しているようだ。店やとても多くの家族が名前や個人的な紋章を、街に隣接した限りなく広く思える墓地から取っている。ファルクリースで屈指の評価を得たチーズが、重要な製造過程を死者に依存しているのは驚くに値しないのかもしれない。

一般的には墓地チーズと呼ばれるバローオストは、スカイリムの各地で見られる普通のエイダールチーズととてもよく似ている。しかしエイダールチーズは地下や洞窟で熟成させるが、このバローオストは墓地だけで熟成させるのだ。崩れかけ、ドラウグルがはびこるスカイリムの暗い過去の墓で。よどんだ空気、とめどなく水分のにじみ出る石、あるいは壁の中の闇魔法。このチーズはそういった環境で、抗い難い鋭く鼻をつく香りがアクセントとなった、凝縮された素朴な甘さを獲得する。

余談だが、私はファルクリースでは今も古代ノルドの習慣「墓の凝乳」を実践していることを知った。習わしによれば、愛する者の棺の上には新鮮なファーマーズチーズが埋葬される。毎年、故人の命日になると墓の凝乳が掘り出され、その5つ目を遺族が消費する。墓場で生産されたものを食べるのは多くの人がためらうだろう。だが、私に出されたチーズはとても美味だった!

スカルド王の密偵からの手紙Letter from the Skald-King’s Agent

信頼する協力者へ

これまでに提供してくれた情報は、スカイリムだけではなく全タムリエルに及ぶ可能性がある恐ろしい脅威の存在をほのめかしている。我が君主、スカルド王ジョルンは範囲と力が増大する前にこの脅威を阻止することを望んでおられるが、そのためにはより詳細な情報が必要だ。脅威が事実で、スカルド王の支援を受け入れなければならないことをソリチュードの支配層に納得させるための証拠がいる。あなたが頼りだ。

西スカイリムにあるハーフィンガルの首都、ソリチュードの門の近くまで会いに来て欲しい。メモを比較して、最善の行動を決定しよう。

カイネのご加護がありますように

B

セデュアSedua

セデュア

パクトの兵士として

戦いに死す

あまりにも若く

ソリチュード:焼け焦げた日記Solitude: A Charred Journal

イソガルによる注釈付きの書き写し

[注釈者の注記: 私は祖母のナンの遺品の箱の底に、この焼け焦げた日記を見つけた。彼女の筆跡ではなかったため、別の親類のもののようだ。祖母の母親だろうか?より良い状態で保存するため、これを新しい日記に書き写し、注釈を付けた]

最近、変な夢を見るようになった。それはソリチュードでの最初の夜に始まった。これまで生きてきて、夢なんて見たことがない。だからどんなものなのか、全然知らなかった。他の人々が説明してはくれたけど、くだらないと思っていた。

でも、ここであったことは夢と呼ぶしかない。目覚めた時周囲にあるものとは、似ても似つかない。書き記せば意味が分かるかもしれないので、書いてみる。

最初の数回はここソリチュードで起きたけど、建物が見えなかった。ただ自然の地形があるだけ。それに風もあった。とても強かった!アーチから出てきて、その後海辺を少し歩いて、キャンプに着いたのを覚えている。毛皮と木で建てられた小屋があったが、人の姿は見えなかった。どこに行ったんだろう?燃える料理の火と、食べかけの食料が残されていた。

[これはソリチュード以前の時代のようだ。当時ノルドはカース川沿いで、アーチを風よけに使って即席のキャンプをしていた。ナンが聞かせてくれた物語のおかげで、私もそういう夢を見たことがある]

その後、私が今ソリチュードのあるところに姿を現すと(目印のアーチでわかった)、建物がいくつか見えた。また誰もいなかったが、近くで上級王アーリンについての会話が聞こえた。王は神々に捧げる聖堂の建設を命じ、また壁の計画を始めていた。スリラヒルデという女性が、壁のためにある特殊な様式を推薦した。それは見た目が特徴的なだけでなく、他の計画よりも優れた防御力を発揮すると言った。彼女に反対する者は非難の声を上げたが、名前は聞こえなかった。歴史に埋もれてしまったのだろうか?

というのも、私の夢は明らかに、なぜか私を過去に連れ戻しているからだ。ただ、完全ではなかった。人の姿が見えない。夢の中はとても…孤独だ。聞こえる声を除けば。

[夢の中で過去を旅する?馬鹿げている。それに私の一族の物語で、ソリチュードを建築した者の名前は、一人も現代まで残っていない。ただし、スリラヒルデが実在するかどうかは何とも言えないが、ソリチュードの外壁が特徴的で、ドール城の聖堂が民の心に強く根づいていることは事実だ]

次の夢で、私は司祭が、石工によって壁に加えられる前の石に祝福を与えているのを見ていた。これは一つの夢でしかないけれど、受けた印象では全ての石が一つずつ、神々の司祭による祝福を受けていた。アーリンの声があちこちを漂っていた。彼は直接、この工程を監督しているようだった。

[ナンは確かに、すべての石が神々の祝福を受けたと言っていた。私の知る限り、これは私の一族だけに知られている伝承だ。ナンはこれを一族の物語で知ったのか、それともこの日記から知ったのだろうか?私はこの著者よりもナンを信じる。だからこの情報も、同じように正しいと思う]

次の日の夜、ブルー・パレスが私の前に姿を現した。作りかけの回廊の中に立っていると、金切り声と道具がガタガタいう音が聞こえた。

「幽霊だ!幽霊が見えたぞ!」

少し時間がかかったが、声の近さを考えると、こう尋ねるしかなかった。私のこと?彼には私が見えるの?なぜ私には見えないの?そこで私は急に目を覚まし、その夜は再び眠りにつくことができなかった。

[妙な話だ。これはただの物語で、本物の日記ではないのだろうか?]

私が見られる人々から私を守ろうとするかのように、私たちは再びもっと前の時間に飛んだ。「私たち」と言ったのは、このことに関係している者がきっと他にいるからだ。今回とそれ以降の数日は、吟遊詩人の大学が目の前に姿を現した。完成した入口を、最初の吟遊詩人がぼやけた影になってまたいだ。言葉までは聞き取れなかった。

でも、私は影を見た。

そして影も私を見た。

私はこの時、叫びながら目を覚ました。

[こんな歴史のふりをした物語には付き合っていられない]

次の夢は戴冠式だった。私の予想では、隻眼のオラフだ。なぜかというと、同じ夢の中で、この男の像が焼かれるのを見たからだ。毎年行われる祭り、オラフ王の焚刑は明日だけど、その時に焼く像だった。

彼の目は…両目は、私の両目に焼きついた。今、私の体にはあちこちに火傷がある。治ってきてはいるが、もう眠りたくない。二度と。

[ナンはなぜこの日記を他の持ち物と一緒に残したのだろう。周知の歴史を夢に移した、くだらない作品だ。やれやれ。だが念のため、書き写しておこう]

[数週間が経過したが、私は言葉が燃え上がり、隻眼の上級王の周囲を飛び回る夢を見ている。今朝は、自分の髭が燃える臭いで目が覚めた。髭は黒焦げになっていた。明日は、オラフ王の像を燃やす日だ。今日は神々を訪ね、私が陥ってしまったらしいこの夢の罠から抜け出したいと思う。なぜあの焦げた日記を開いてしまったのだろう?]

ソリチュードのおとぎ話Solitude Bedtime Stories

ニルカスとユキサーベルキャット

ある日、ニルカスという名の少年が氷上へ釣りに出かけました。ニルカスはとても遠くまで歩きました。歩いていると、周りで嵐が巻き起こりました。すぐに雪がとても激しくなり、ニルカスは何も見えなくなってしまいました。ニルカスは近くの洞窟で吹雪をやり過ごすことにしました。

ニルカスが待っていると低いうなり声が聞こえ、嵐の白い霧の中から、ユキサーベルキャットが現れたのです。ユキサーベルキャットは大きく吠えると、洞窟に入ってきました。ニルカスは怖くなりました。あんなに大きく強そうな獣と戦えるような武器など持っていなかったのです。ユキサーベルキャットが吠えて唸ったので、ニルカスは攻撃されると思って心の準備をしました。その時、ニルカスはユキサーベルキャットが足をひきずっていることに気づきました。

近づいてよく見ると、ユキサーベルキャットの足に大きなとげが刺さっていました。ニルカスはありったけの勇気をかき集め、ユキサーベルキャットから逃げずに近づいてとげを抜きました。ユキサーベルキャットは痛みで吠えましたが、苦痛が消えていくにつれ、ほっとした様子が体中に広がりました。

ユキサーベルキャットはとても感謝し、ニルカスの顔と手を舐めると、横で丸くなりました。その後、ニルカスが出ていくにはまだ嵐が危険だったので、ユキサーベルキャットは彼のために獲物を持ち帰り、安全で温かい洞窟の中で、仲良くそれを食べました。

嵐が去ると、彼らは洞窟から出ました。それ以来、ニルカスとユキサーベルキャットは共に旅をするようになり、一生の友達になりました。

* * *

見知らぬ者とは決して話すな

リーチの民とは決して話すな、奴らは夜にお前を食べる。
東の者とは決して話すな、奴らが望むのは戦いだけ。

オークに挨拶するな、奴らは常に臭そうだ。
レッドガードに挨拶するな、奴らはただ叫ぶだけ。

エルフとは決して話すな、高慢な癇癪持ちで、とても無礼になる。
インペリアルとは決して話すな、奴らが人と分かち合うのは不機嫌だけだ。

アルゴニアンとは友達になるな、湿ってぬるぬるしている。
カジートとは友達になるな、奴らは光るものを全部奪う。

ブレトンとは決して話すな、奴らはエルフと同じほど悪い。
見知らぬ者とは決して話すな、我らノルドは孤高を保つ!

***
首長の新しいローブ

昔、驚くほどうぬぼれ屋の首長がいました。首長は世界中の何よりも自分の上等な服が好きでした。そして、自分の新しい服を見つけて買うために、しばしばやるべき仕事を怠りました。

ある日、仕立屋と称する2人の汚らわしい犯罪者がやって来ました。2人は最高に美しい色とデザインで、この上なく素晴らしい服を作ることができると首長に言いました。2人が作った服はそれは素晴らしく、おまけに愚か者と今いる地位にふさわしくない者の目には見えないものだったのです。

首長は仕立屋たちにできるだけ早く上等な服を作るよう要求しました。それも、首長にふさわしい服を!首長が仕立屋たちに気前よくお金を払うと、2人は仕事を始めました。ですが実際、2人は全く何もしませんでした!2人はシルバーウィードやスパイダーシルクのような立派な材料を求めましたが、それはただ自分たちのためにしまっておき、一生懸命仕事をする振りを続けました。2人は仕事の振りをする間、スイートロール、パイや、首長のロングハウスにある豪華なベッドで眠ることが必要だと言いました。

やがて首長は服の進み具合を知りたくなりました。首長はそれを確かめるために私兵を送り出しました。私兵が到着すると、仕立屋たちは何もないテーブルで仕事をしていました!私兵は一体どういうことなのかと不思議に思いました。仕立屋は私兵に、服は気に入ったか、色はきれいだと思うかと尋ねました。私兵は服が見えないのは愚か者と、今の地位にふさわしくない者だけということを思い出しました。自分はそのうちのどちらでもないと思った彼女は、この服はこれまでに見たどんな服よりも美しいと仕立屋に向かって嘘をつきました。私兵は首長のところに報告に戻り、服は全く素晴らしいものだったと断言しました。首長が同じように宮廷魔術師と執政を確認に向かわせると、2人にも何も見えませんでしたが、見えた振りをしました。彼らは首長に、衣装は目を見張るようなものだったと請け合いました。

間もなく、仕立屋たちが仕事の完了を告げました。首長は自分で見に出かけました。到着すると、首長は自分に何も見えないことにひどく衝撃を受けました!仕立屋たちは何もないテーブルを指さすと、この出来栄えに満足するかと尋ねました。首長はそのデザインを気に入ったでしょうか?息をのむような色合いはどうでしょう?首長は真実を認めることがあまりにも恐ろしかったため、とても気に入ったので今すぐに着たいと仕立屋に告げてしまいました。

首長が服を脱ぐと、仕立て屋たちは身振り手振りで新しい服を着せつける真似をしました。2人はとても几帳面だったので、終わらせる前に首長の首元に想像上のローブを留めることさえしました。それが終わると、首長は新しい服を誉めさせるためにお付きの召使たちを呼び入れました。召使たちはみんな、まるでホーカーのように裸で立っている首長を見て驚きましたが、見えないと認めるのはあまりにも恥ずかしいと感じました。そこで、そう言うかわりに首長の服を誉めそやし、全員が素晴らしい服だという意見に賛成しました。

仕立屋たちは首長に、街中に出て民に新しい服を披露すべきだと強く勧めました。そこで首長は言われたとおりにしました。人々が一目見ようと集まる中、首長は誇らしげに道を進んで行きました。街の人々もみんな裸の首長を見ましたが、愚か者だと言われないかと恐れ、言うことはできませんでした。

人々が服の見える振りをやめたのは、人だかりから飛び出した子供が大声で「首長が裸だ!」と叫んだ時のことでした。人々は指をさして笑いはじめました。恥をかいて腹を立てた首長は、ロングハウスに走って戻りました…しかし、自称仕立屋たちはもう立ち去った後でした!

そこで首長は、私兵、宮廷魔術師、執政を処分しました。首長の愚行を止められなかったためです。彼はとても鋭く硬い斧で、自ら首を切り落としました。

ソリチュードの狼The Wolf of Solitude

吟遊詩人の大学 スカルドのピエトル 著

豊かな髪と獰猛な精神がハーフィンガルの白い狼のような上級王スヴァーグリムは、やむことのない激しさをもってブルー・パレスの広間を闊歩する。警戒を怠らず。隙を見せず。彼の前のスヴァートルの子孫と同様、スヴァーグリムは四方を囲む敵に悩まされる王だ。だが我らがソリチュードの高貴な狼のように、気高い血筋の中には、統治期間中に不利な状況へ直面した者がいない。

彼が統治を始めて2年も経たぬ時、海の巨人クランサースの艦隊が知られざる土地から彼の街の高き壁を包囲するためにやってきた。クランサースがスヴァーグリムと王国に対し、降伏し貢物をよこせと要求したとき、我らが王は城の胸壁の上に立ち、その怪物のごとき戦士と対峙したと言われている。だが我らが上級王は屈服しただろうか?否!彼は壁から跳躍すると、あたかも狼がマンモスを捕食するかの如く、巨人の喉を切り裂いた。大いに感銘を受けたスヴァーグリムの兵たちは、門を押し開けると彼の後を追って突撃し、呆然としている海賊を海に追い返し、二度と我らの岸辺に戻らぬようにした!

第二紀265年(本当だったかさえ分からないが)の大規模なトロールの発情期のことも忘れるべきでない。時ならぬ暖かな気候がこの恐ろしい種族を触発し、彼らが西スカイリム中で暴れ回って、言葉にするのもはばかられる恐ろしい行動から抜け出せずにいた時の話である。狼は自ら20もの不浄な結びつきを断ち切り、さらに40もの獣を剣で引き裂いた!今日に至るまで、トロールはウグイアビがサーベルキャットの巣を避けるように、ソリチュードの壁にもっとも近い地域を避ける傾向にある。

アカヴィリが征服を目的にスカイリムへやって来たとき、絶壁の上にいる我らの恐ろしき王をひと目見ると、より簡単な獲物を求めてそのまままっすぐ東へ帆走していったことは、誰もが確信できる。彼らはダークエルフ、泥トカゲ、そしてスカルド王子と呼ばれる者の陰謀によって衰退させられたが、ウィンドヘルムと東の偽上級女王、炎の髪のマブジャールンを手早く片付けた。余談だが、奴がスカルドを名乗るのは高潔な技能に対する侮辱だ。

中庸なる皇帝モリカルは、ルビーのクッションが効いた玉座の上からスカイリムを支配下に置く無駄な試みのため、軍団を我々の境界に送り込む前に注意するべきだった。彼はその臆病さのおかげで先王と同じ体裁の悪い死を免れることはできたが、一戦で彼の軍の運命を決めた狼の遠吠えは間違いなくはるか白金の塔まで届き、悪夢となって人生の最後まで悩まされたことだろう!

そして最後にロングハウス帝が倒れた後、シロディールから群れをなして殺到した魔法使いから西スカイリムを救ったのは誰だったか?数千のごろつきが追い詰められ、病にかかった犬のように我らの土地に入り込んでかじりついたが、我らの気高い狼は大股で飛び出し、誰の牙が最も鋭いかを見せつけた。我らの土地で小隊以上のリーチの民を見たのは、どれほど前のことだろうか?

強くあれ、西のノルドよ。東と西から、南と北から厄介な問題が我らを攻め立てる。エルフとトカゲと氷の踵が野合した協定や、マルカルスの暴君の汚らしい大群を恐れる必要は全くない。ソリチュードの狼が塔の上で、夜を徹して絶え間なく警戒を続けている。我々の素晴らしき地で、敵は安全な隠れ場所を見出すことなどできないだろう。

ソリチュード王家の醜聞Scandals of Solitude’s Royalty

組織的学者協会、エリサ・シルベニッテ 編

家族の伝承を教えてくださった、多くの西スカイリムの一族の皆様に感謝を込めて。

上級王アーリン、ハラルド、スヴァートル、スヴァーグリムについては、その間のより目立たない首長よりも多くのことが知られている。しかしノルドの口承が情報源となるため、初期の上級王や家族の重要な、もしくは淫らな物語がそれぞれの家に伝わり、論文、書籍、巻物のような媒体に記録されなかった。ここにはソリチュード王家にまつわる、恥ずべきと言って良いかもしれない物語を収録した。

「首転がし」ロレケの血塗られた最後

第一紀後半のある時期、冷静で控え目な態度と落ち着いた佇まいから、無表情なイルシヴィドと呼ばれた若き首長がノルドの間で名を上げた。イルシヴィドがどこの出身だったかはもはや定かでないが、彼らは支配者である上級王「首転がし」ロレケが、5分もかけずに20人以上の反逆者の首を一人で切り落とした後に、ソリチュードが秩序を取り戻すために協力した。(ある情報によれば、その20人の中には彼女の当時の夫も含まれていたとされている。彼女は自らの統治時代に、次々と夫を替えた)。その後間もなく、指導者による振る舞いに対するソリチュードの民の忍耐は尽き、立ち上がってブルー・パレスにいたロレケを攻撃した!

その地域にいたイルシヴィドは戦士と共に反乱の声が湧き上がるのを聞き、ソリチュードへ向かった。門にたどり着くとイルシヴィドの前にカイネが現れ、ロレケが1時間前に子供の手によって死んだことを告げた。悲しいことに、息子や娘たちも残忍で血に飢えたロレケによって負傷し、命を落としていた。そのため、ソリチュードにはもう上級王や直系の後継者がいなくなった。

馬に乗っていたイルシヴィドはカイネの恵みにより、結果として生じる混乱を解決するため、ソリチュードの市民を助ける準備が整っていた。カイネの祝福によってイルシヴィドがソリチュード上級王の冠を戴いたのは、わずか数時間後のことだった!

イルシヴィドの安定した統治により、ロレケの残忍な支配の後に平和が訪れた。数十年が経過し、若きイルシヴィドは中年のイルシヴィドとなったが、伴侶はいなかった。ノルドの王家で後継者がいないことは大きな問題ではなかったが、疑問は生じた。イルシヴィドは伴侶を持つことも、子供を持つことも断固として拒否した。最終的に、上級王の称号はイルシヴィドの顧問のうちで最上位だったテミルダに受け継がれた。テミルダはこのために複数の首長と一度に戦い、勝利したのだ。これは当然ながら、私が収集した口承の次の話につながる。

亡霊作りのアルディマー

テミルダの統治が終わってから約40年後、流血と暴力を経て新たな上級王が玉座に着いた。アルディマーというリーチの民との小競り合いを数多く経験してきたノルドが、先王の子供だと証明されていなかった後継者から強引に称号を奪い取った。彼の強みは優れた戦術能力と、多くのノルドが眉をしかめるアルケイン関連の知識だった。血にまみれた即位にもかかわらず、彼が統治を始めると国全体に平和が訪れ、彼がソリチュードを獲得した後は、行政や外交について不満を言う者は誰もいなかった。その結果、多くの者が子供に王位を継がせることに疑問を覚えるようになった。なお、その子供の名と来歴は忘れ去られている。そのように英雄的で戦場の試練を乗り越えた人物を指導者とすることは、ノルドの戦いを好む性質にも適合していた。

だが、アルディマーの全てが完璧ではなかった。時々、召使はそこにいない誰かに話しかける君主を見ることがあった。彼らはまた、王の顧問であるフレイレッタという冷たい目をした女についても噂した。その女はアルディマーの前にいない場合、人前に姿を現すことがなかった。部屋に入ることは誰にも許されなかったのだ。

この噂がソリチュードの人々の間に広まるにつれ、不安感が高まっていった。アルディマーは戦闘中に頭を打ちすぎたのではないか?実際フレイレッタとは何者なのか?ここでまだ何かが起きているのか?

アルディマーが玉座に着いてから1年と1日後、事故が起こり始めた。毎週、ソリチュードの者が新たに奇妙な死に方をした。ある者は不思議にも風で運ばれた矢に狙われて〈寂しいトロール〉に張りつけられた。ある者はただつまずいて尻もちをつき、命を落とした。さらにある者は目に見えない脅威から逃げるホーカーに踏みつぶされた。

召使は上級王の部屋の周辺で、姿の見えない声を聞くようになったと囁き合った。

最初の事故から1年と1日後、アルディマーが亡くなってから彼の秘密が明らかになった。「事故」の被害者たちの頭蓋骨が、上級王の部屋にある秘密の棚にまとめて置いてあったのだ。だが、一体何の目的で?

理由は何であれ、上級王アルディマーはこの発見により「亡霊作り」と呼ばれるようになった。

私の情報源は、司祭が行き場を失った遺体のために適切な儀式を執り行ったと告げている。しかし召使たちは今に至っても、ブルー・パレスの中で声が聞こえ、視界の隅で何かが見えると主張している。

デスハウンドの生態Ecology of the Death Hound

オドグレテ・ビェルセン 著

荒野でデスハウンドに遭遇したことがないなら、自分は幸運だと考えるべきだ。彼らと出会って生き延びた者はほとんどいない。この目が赤く光る大きくたくましい犬はアンデッドであり、吸血鬼の拠点の番犬として共存していることが多い。もしこの獣と正面から出会ってしまったら、おそらくより差し迫った問題に対処しなければならないことに気づくべきだろう。

多くのデスハウンドが室内に留まり、主人たる吸血鬼の番犬の役割を果たしている一方で、荒野をさまようデスハウンドも存在する。彼らは生息地の生態系において重要な役割を担っており、しばしば生息環境そのものにまで被害を及ぼす。彼らは目に入ったものをほとんど全て攻撃する、貪欲なアンデッドの肉食獣だ。彼らが獲物を狩るのは食物を得るためか、単に血への欲望を満足させているのかは未だ明らかになっていない。獲物の内臓を抜き取り摂取するが、それは生存のためというより、気性の問題だということを広範囲に及ぶ獲物の種類が示唆している。

デスハウンドの特徴の中でも珍しいものは、噛みつかれると冷気を感じることである。デスハウンドの一噛みは「墓場のように冷たい」という言葉で言い表されている。デスハウンドの噛みつきはほとんど毒物のように噛まれた肉を凍らせ、動きを封じられる。この魔法が吸血鬼と何か繋がりがあるのか、あるいは単なるこの怪物じみた生物の資質なのかを知る者はいない。

デスハウンドがいる地域の動植物は被害を受けやすい。この獣は見境なく狩りをするため、あまりにも長くとどまった場合は、その地域の生物を全滅させる可能性がある。幸い、荒野で活動する吸血鬼の結社は頻繁に移動する性質がある。デスハウンドも、獲物が枯渇すれば移動するに違いない。

テルヴァンニの使者の日記Journal of a Telvanni Emissary

(スカイリムに派遣されたテルヴァンニ家の代弁者、エルヴァリ・トランデルの日記より) 著

しかし無駄な旅だ。名誉あるテルヴァンニ家が彼らの惨めな小競り合いに引きずり込まれることはないと、スカイリムの王たちは理解するだろうと思っていた。境界やどちらが正当な統治者かなど、誰が気にするのだ?間違いなく、私たちには王冠や東西対立について意見などない。この世には、誰がどの雪と氷だらけの土地を統治するかなどより重要なことがある。他の「名家」がこの理解を分かち合ってくれたら、ダンマーはずっといい状態になるだろうに。

この旅の外交的な目的は無意味かもしれないが、この道程は役に立つことが証明されるかもしれない。スカイリムで古代の勢力が再び力を取り戻し、活発に活動しているらしいと噂を聞いた。アイスリーチ魔術結社の魔女が関わっているらしいが、彼らは私が偶然聞いた噂に比べれば素人みたいなものだ。私はこの古代の勢力の手法について学ぶ機会を堪能している。何と言っても、闇の魔法には力がある。もし噂が真実なら、その力が私のものになるかもしれない。

滞在を少し延ばして、何が学べるか確かめてみよう。もしかしたら、モロウウィンドに戻った時にその知識を、私の地位を高めるために使えるかもしれない。テルヴァンニ家の他の者もこういったことを学んでいるが、こうも力の根源に近いところにいた者はいない。この土地の下には、何かが眠っていると感じられる。何か暗いものが。何か…強力なものが。私はそれを見つけ、自分のものにするのだ。

テンダークローTenderclaw

現存する中では屈指の古さを誇るエスラジであるテンダークローは、タムリエル全土の吟遊詩人が最後に目指す地としての、リンメンの評価を強固なものとした。名高いカジートのスカルド、アーン・エクスカーは長年、叙事詩「ファドマイの死」を一週間演奏する際にこれを弾いた。

それ以降、アーン・エクスカーがこの楽器から引き出した完璧で魅惑的な音に到達した音楽家はいない。伝説によれば、テンダークローはカジートの神々からの贈り物と言われている。アーン・エクスカーは、自らが選ばれし者であるかどうかを決して明らかにせず、謎にすることを好んでいた。

ドゥエマー語の正しい発音How to Pronounce Dwemer Words

学生、アマドリ・ドレヴィン 著

ドゥエマー語の発音については、数多くの異なる考え方がある。私はマスターや数人の学者と議論をした。いつものことだが、「熟練の」学者は意見が合わない。色々なことに。彼らはまた、自分の声に酔っている。ドゥエマー関係のエリートには、特にこの傾向がある。

私は現在でも残っているドゥエマー語、特に地名を検討し、長ったらしい学問的な評議も検討した。分かったことをまとめて、ドワーフ学者を目指す仲間のために、ドゥエマーの発音についてガイドを作ってみた。

ドゥエマー語の正しい発音
– まずは深く息を吸い込むこと
– 次に、ハチミツ酒かシロディールのブランデーをグラス1杯飲む。好きな方でよい
– 再び深く息を吸い込む
– すべすべして丸い小石を4個から7個、口に含む
– 好きな言葉を言おうとする。ただしほとんどの母音を省略し、子音をいくつか余分に加える
– 第三もしくは第四音節を過度なまでに強調して発音する(たとえその言葉が二音節であろうとも)

おめでとう。ドゥエマー語を正しく発音できたはずだ。

ドゼンのタルハルパDozzen Talharpa

この素朴なリラの来歴が語るのは双子のブレトンの兄弟、ドゼンとジビハンの物語だ。競争意識を持ってはいたものの、とても仲の良い兄弟だった。彼らの残した物語は、街の広場でタルハルパを使った音楽コンテストに関するものだ。彼らが観衆を賑やかでテンポの速い掛け合いで魅了すると、人々は踊り始めて歓声をあげた。民は聞いたこともないような素晴らしいコンサートだったと記憶している。その後、ジビハンはドゼンに家まで競争しようと持ち掛けた。丘の中腹の道が狭くなった時、ジビハンがドゼンの前に出た。家が近づき、勝利が目前に迫ったジビハンはゴールの前に振り返ったが、そこにドゼンの姿はなかった。

ドゼンは丘を転がり落ち、巨大な石に激しくぶつかっていた。彼は激しく血を流していた。ドゼンは青ざめて浅い呼吸をしながら、思い出せるのは音楽コンテストで勝利を収めたことだけだと言った。街の住人たちは勝者がいないと宣言していたが、あの絡み合った曲には感銘を受けていた。

最後が近いことを知り、彼はジビハンに自分の腱を使って新しいタルハルパを作り、それを演奏して人々を勇気づけ、踊ってもらうよう誓わせた。ジビハンは言われた通りに兄弟の腱を使ってこのタルハルパを作ったが、喜ばしい気持ちで演奏することはできなかったため、吟遊詩人の大学に寄付したのだった。

ナルシス・ドレンのスカイリム日記Narsis Dren’s Skyrim Journal

あの不愉快な司書め。私をつまみ出すとは!私を!このナルシス・ドレンを!まるであのような場所が、私が時間を割くに価するとでも言わんばかりだった。あの無能なうすのろどもの幹部が、どうやってメイルモスの日記を入手したのか見当もつかない。

「逆転の儀式」について詳述しているページの間に、折り込まれた奇妙な巻物を見つけた。あの鱗に覆われた本の収集家が、この存在を知っていたかどうか疑わしいものだ!つまり私の考え方からすると、これをいただいても全く問題はない。

さて、メイルモスの日記自体についてだが、前述の一節を手早くメモすることしかできなかった。逆転に関するほんのわずかな部分だ。解明できた限り、この儀式には3つの要素がある。文書は呪文を完成させるために読み上げねばならない、三節の場所を提示しているようだ。またゴミあさりか!なんと滑稽な。指示は以下に書き写した。

自分の鼻に注意しろ、熱心な読者よ。満たされた器はしばしばひび割れる!
もし自分がガラスを通して見ていたら、この言葉に耳を傾ける友人を見つけよ:

自慢と詮索が好きな者は、知恵の泉をしばしば干上がらせる、
石よりも長く残る唯一のものは歌、
危険が迫る年、まだ来ない時代、魔術師は石に巣を作る。ツバメのように。

この巻物に、あまりバカげたことが書いていないよう祈るばかりだ!さあ、研究を始めよう!

ネザールートのメモNetherroot Notes

驚異の植物、ネザールート。これはここブラックリーチの深部にある孤立した土地でしか育たないが、その錬金術的な性質は際立って有用だ。私はこれを発見し、私のレシピに使用したアイスリーチ魔術結社の魔女たちに称賛を送ったが、生み出された混合薬は粗いものだった。もしこの完璧とは言えない調合薬で続けていった場合、灰の王の計画はもう千年かかる。喪心の嵐の力を増大させる方法を探し出すため、さらにこの深淵の根の研究をしなければならない。

* * *
地下のエルフの技を模倣して基礎ができた。彼らの配管農場はより多くの収穫を生み出したが、効力はそれほどでもない。私はさらに強力な試料を作り出すつもりだ。とにかくもっと時間が必要だ。もっと多くの被験者が。

* * *
日ごとに新しい種類のネザールート混合薬が誕生し、効果は百倍ほどになった。混合薬はすでに喪心の嵐のためより強力な触媒をもたらし、より完璧な力の交換を確実なものにしている。私の精製ネザールート混合薬はまもなく用意できる。そして、灰の王は私への信頼に対して見返りを得るだろう。

ネルの秘められし愛Nel’s Hidden Loves

言い逃れるそこの者、
言い返し、争う者よ:
遺物の歌が、
暗号として、ここに秘められる。

詩人の伝説はまず、
私がこの手に保つ。
その意味は真なるも
愛と共に朽ち果てる。

ハーフィンガルよ、進め!
刃の柄へ。
翡翠の影は秘める
雄大な洞窟を。
西の鉱山にて
長き貯蔵庫が行進する。
2つの地にかかる
アーチがそびえる場所へ。
偉大なる獣の故郷にして、
西のまた西の果て。
北の凍りついた洞穴
極寒にして、隠遁の地。

ハイヤルマーチ、ある首長が
宮廷を構える。
ノルドの墓をかき乱す。
冷たい壁の迷路!
低く進む塔は
偉大なる物語を担う。
眠りを追いかけて、
この者が航海する海。

カーサルドへ、風向きを変え
首長の敵を見よ。
南へ下れば
刺す風が足を凍えさせる。

そして闇へ向かい
ドウェマーは奪う。
虚空に、光が落ちる
滝の裂け目に。
日は落ちて闇となり、
鉱夫は望む。
ガラクタの山の宝石、
その上にシャウラスの王。
塔は形作られる
大きく育つキノコで。
その上には深き砦
下には溶岩。

ネルフセアのくしゃくしゃのメモNelfthea’s Crumpled Note

マグレタ。私は抜けられない。今はまだ。襲撃は明日よ。2人とも隊長を置いていったら逃げるのが精一杯で、襲撃なんて仕掛けようもない。物資はわずかしか残っていない。飢えてしまう。私もこんなことを続けたくはないけど、ここにはもう何年もいるの。飢えさせるのはあんまりよ。

あんまり焦らないで。とにかく最後の襲撃をやって取り分を回収し、フロストバイトが略奪品で埋まっている間に、それとなく離れましょう。それでいいわね?

ネル

ノルドの戦いの歌Nord War Song

金のハチミツ酒を血に見立て
お前の剣に注げ
戦の角笛は強き者を呼ぶ
戦士は戦いでしか生まれない

輝きが雪を照らすまで
お前の斧を研ぎ澄ませ
敵の胸に食い込む斧の
甘美な音を味わえ

真のノルドは死を恐れない
気高き死を歓迎しよう!
勇気を持ち、大胆に振る舞えば
ソブンガルデに行けるだろう!

戦士は雄叫びを秘めている
心の底からの、力強い勝利の雄叫びを
イスグラモルの勇気が手を支え
彼の力が魂に宿る

真のノルドは死を恐れない
気高き死を歓迎しよう!
勇気を持ち、大胆に振る舞えば
ソブンガルデに行けるだろう!

ノルド料理:お菓子編Nord Cuisine: Sweets Edition

ギルバード・バック 著

ノルドが飲む様々なハチミツ酒については詳細な報告が数多く存在するが、彼らの料理の好みについては驚くほど情報が少ない。ノルドのレシピは他の文化に比べて意外性や複雑さに欠けるが、それでも記しておく価値は十分にあると思う!ノルドには数多くの珍味がある。彼らは食欲旺盛な民であり、これまでに会ったどんな民族よりも、飲み食いに情熱を燃やす人々である!味のない食事は彼らにとって、戦場での臆病にも劣らぬ侮辱である。ここにノルド料理に関する調査を記しておく。

甘いお菓子

リンゴのハチミツがけ
スカイリムのアップルタルトを抜かすわけにはいかないだろう。ノルド家庭料理の定番であるこの果実は、川岸のマッドクラブと同じようにスカイリムではありふれている!自然の状態でも木から直接食べられ、シチュー、肉料理、サラダを引き立てることもできる。最良の用法はデザートだろう。リンゴのハチミツがけの材料は明らかだ。大半のノルドのレシピは簡素だ。基礎は簡単で単純だが、最終的な味は見事なものだ!リンゴは焼くことも生の場合もある。それから甘い牛乳とハチミツでアイシングをされる。ベトベトで手は汚れるが、とても甘い。最高の味である!

スノーベリー・クロスタータ
スノーベリーはそのままだとかなり甘く、食べられたものではない。だがスノーベリー・クロスタータは違う!パイよりも簡単だが同じように美味しいこのお菓子は、ベリーの酸味とパンの甘さを完璧に組み合わせ、真に印象深い味わいを生み出している。この絶妙なバランスは食後のデザートか、一般的なノルドが行動を始める前の朝に食べられることが多い。いつ食べてもよい味なので、どちらも魅力的な選択肢である。

ジャズベイ・クロスタータ
それに対して、ジャズベイ・クロスタータはたっぷり食事をとった後に食べるべき、デザート限定の珍味である。このブドウは魔術師が使うことが多いが、その強い甘みは食通ならば見逃せない。黒くて甘いブドウジュースが生地にしみ込んで水気を生むが、ベチャベチャにならない程度の固さは維持される。甘すぎると言う者もいるが、明らかに間違っている!

ハニーナッツのおやつ
ノルドはハチミツを愛している。ハチミツ酒の甘みは最高だが、それだけではない!スカイリムのハチミツ酒醸造所で人気のハニーナッツのおやつは、どんな酒にも合う甘いおつまみだ。手が汚れそうだが、ナッツをまぶした生地は串に刺してあるため、持ち運びが容易である。長距離の旅にも、お気に入りの宿で暖炉のそばに座って飲むつまみにも適したハニーナッツのおやつは、誰もが一度は味わうべきスナックである!

ノルド料理:香味編Nord Cuisine: Savory Edition

ギルバード・バック 著

ノルドが飲む様々なハチミツ酒については詳細な報告が数多く存在するが、彼らの香味深い料理の好みについては驚くほど情報が少ない。ノルドのレシピは他の文化に比べて意外性や複雑さに欠けるが、それでも記しておく価値は十分にあると思う!ノルドには数多くの珍味がある。彼らは食欲旺盛な民であり、これまでに会ったどんな民族よりも、飲み食いに情熱を燃やす人々である!味のない食事は彼らにとって、戦場での臆病にも劣らぬ侮辱である。ここにノルド料理に関する調査を記しておく。

ホーカーのスープ
スカイリムにはたくさんのホーカーがいる。見た目に食欲をそそるとは全く言えないが、彼らは未だ活用されていない美味しさの可能性を主張している!そしてノルドの習慣に従い、彼らは食料として捕らえ、シチューを作り出した。納得するほかはない。人生のほとんどを寒さの中で過ごし、毛皮に身を包み、雪の中を歩き回る頑丈な人々は、間違いなくこのように温かい食事を作るだろう。ホーカーのスープは素直な味で、素晴らしく塩気があり、出汁はスッキリしている。最後の残りをすくうため、暖かいパンの塊と一緒に出してもらうと最高だ。

温かいアップルキャベツのシチュー
このシチューはノルドの家庭で好まれる一般的なものだ。一般に、このような簡素な料理へ美食の本で言及する価値はないかもしれない。だがこの場合は違う!温かいアップルキャベツのシチューのレシピは単純なものだが、味と料理の心地よさはまったく単純ではない!多くのノルドにとって、この料理は子供時代を思い起こさせるものだ。だがこのシチューの料理法に関しては議論もあり、主にリンゴの使い方に関するものである。すりつぶし派と切り刻み派の間には厳密な分断が存在する。私は自ら両方を試食したが、どちらも同じように美味だった。とは言え、これはノルドに伝えない意見である。どちらかを支持する者のほとんどは、大抵が暴力的な度合いに達しているからだ。

マンモスのステーキ
最初にスカイリムのマンモスを見て「食べたい!」と思った人に対し、私は深く感銘を受ける。ノルドはその勇敢さで知られている。臆病をひどく嫌う人々だけが、恐ろしく巨大なものから料理を作ろうなどと考えるのだろう。マンモスの大部分は固く食用に適さないが、腰肉はこの上なく柔らかい。切り取れば、表面をさっと焼いて炙れる肉となる。

スローターフィッシュ焼き
この料理を作るために必要な生物を捕らえようと、危険を冒して濁った水に入る人々を羨ましいと思うことは決してない。だが、心から感謝する。スローターフィッシュ焼きの美味しさを体験できるのは、彼らの勇気のおかげなのだから!正しいノルドの伝統で、料理人は魚(もちろん、骨をきれいに取り除いた後の)の皮が黒くなるまで焼くことを求められる。中には魚をキャベツの葉で包み、ゆっくり料理して、食べる直前の最後の段階で皮を焼くことを好む者もいる。私の見解では、どちらも等しく素晴らしい。

バルグヴィルの攻城日記Balgvir’s Siege Journal

今晩も首を噛まれずに過ぎた。それは勝利と言ってよいかもしれない。叔父のホフナーは船乗り時代、スコールに備えるため片目を開けて眠っていたという自慢話をしていた。叔父を越えるために両目を開けて眠ろうとしているが、うまくいかない。

バリスタの弾は尽きた。鍋やフライパンでも使わない限り、今じゃ高価な薪にしかならん。そもそも大して役に立ってはいなかった。昨日壁に目をやったら、ある巨人がバリスタのボルトを棍棒のように振り回しているのを見た。棍棒が必要な連中に、棍棒をくれてやったようだ。

どれくらい持つだろうか。吸血鬼どもが壁を引っかく音が夜の間ずっと聞こえる。俺たちに囁きかけているようだ。闇の魔術で誘惑するつもりだ。俺は片耳が聞こえないから、他の連中の半分しか効かない。だがルドヒルドを手すりから引きずり降ろし、連中のところに飛び込んでいくのを止めなきゃならなかった。彼女はオグヴァルが縛って、顔に水をかけた。まだ泣きわめいて、ブツブツ言っている。皆は闇の魔術のせいだと言っているが、どうだろう。俺たち全員が、数日もすれば彼女と一緒に叫び始める気がする。

ひいおばあちゃんの話Things My Great-Gran Said

102歳まで生きたひいおばあちゃんは、いつも助言やちょっとした伝承を話してくれた。折に触れ、季節ごとに、本人や誰かの事件のたびに!誰かが戦いで足を失った?それはその人が黄昏の月の前半に奥さんと結婚したからだよ。ある一家が投資に失敗して、大量のゴールドを失った?それはその一家が牛を11頭飼ってたからだよ。11が縁起の悪い数だってことは、誰もが知ってるからね。

彼女の「叡智」には以下のようなものがあった。

丘の中腹にマンモスがはぐれていると、変化の訪れを意味する。
遠くに2頭のマンモスがいると、誰かから贈り物をもらえる。
3頭のマンモスが1列に並んでいると、誰かに死が差し迫っている(必ずしも見た者の死ではない。その人がマンモスの列の前に立とうと決心した場合は別かもしれないが)。

月耀に新しいハチミツ酒を飲んではいけない。(思うに、これは夫や息子を仕事の時間に酔わせないため、ひいおばあちゃんがでっち上げたものだろう)

熱々のホーカーの脂が顔にはねたら、3日以内にけんかをする。はねたのが左手なら、間もなく訪問者が現れる。

双子月がどちらも満ちているときにブリストルバックを殺すと、その年の残りは運が悪くなる(満月にひいおばあちゃんは決して狩りに出なかったし、夫や息子にもさせなかった)。

暁星の月に鷹の影に入ったら、その冬は長く続く。

夜明けに西の丘を東に走る白狐は、やがて疫病を導く。

蒔種の月の最初の7日間に、身内や愛する人との間にある不満を解決しないと不作になる。

地面で青いビーズを見つけたら、それはたった今ハグレイヴンが作られた証。青いビーズを粉々になるまで石で砕き、その粉を淀んだ水(流れていてはいけない)に投げ入れると、そのハグレイヴンの寿命が短くなる。

ビターブレイドへの報告Report for Bitterblade

ビターブレイドさん

ダスクタウンでの作戦のために、目立たない容姿だからと私をお雇いいただきましたね。特に、高きイングフレドに目をつけられないように。ここ数週間、あの間抜けなオークを手玉に取って彼のために働いてきました。あの馬鹿はあなたをだましていると、自信を持って報告します。今週、彼は新しい場所の調査に私を送り出しました。以下は私が見つけた鉱石の一覧です。私の一覧と、何であれ彼が連絡する結果を慎重に比べることをお勧めします。それが合致したら驚きますよ。そもそも、彼が何かを一覧にしているかどうか

私はもう、あなたが判断を下せる材料を集めたと思います。

ガンボルツ

探鉱の結果:

ガラタイト、推定1トンあたり20%
ドワーフ、推定1トンあたり31%
虚無石を含有したドワーフ、推定1トンあたり4%

ピックルのおやつPickle’s Treats

これだけ一緒にいるんだから、彼もこのレシピを覚えているだろうと思うでしょうね。私の愚かな夫は向こう見ずな冒険や英雄的な行動はできるけど、料理の材料を覚えるのは難しいみたいなのよ!私に愛されていて彼は幸運だわ。あなたのためにこれを書いたのよ、ヴィゴル!これを読んでるなら、私は感心するわ。ピックルが食べ尽くしてしまった場合に(そして底をつきそうな時に)、おやつを作るために必要な材料と手順を書いておきます。間違えたら彼にも分かるから、必ずこのレシピ通りに作ること!全部を鍋に投げ込んで、出来上がりなんて言わないように。あの犬はあなたのことをたくさん我慢してるのよ。あなたがしてやれる最低限のことは、確実にお気に入りのおやつを食べられるようにすることよ、分かったわね?

手順
-たっぷり二握りのすりつぶしたカボチャ
-鶏卵3個
-袋入りの小麦粉半分
-シナモンで味付け
-混ぜる!

フェノリアンからの伝言Message from Fennorian

友よ

ムジョレンとの作業を進め、我々を困惑させている謎を完全に解明できそうな発見に行き着いた。そのため、私はダスクタウンと呼ばれる採掘集落に戻った。

私の手をさらに借りる必要ができた場合は、街の南側にある小屋を確保している。

この手掛かりから成果を得られるようなら、また連絡する。

フェノリアン

ブラックリーチ:創作と事実Blackreach: Fictions and Facts

その名はスカイリムで噂される。街道沿いの酒場や罠猟師のキャンプで名が出てくる。その名は畏敬の念とともに語られることも、最悪の呪いのように口にされることもある。ブラックリーチとはそういう場所だ。

タムリエルの荒れ果てた北部では、ブラックリーチにまつわる民話や迷信が数多くある。多くのペテン師が、この伝説的な地の貴重な鉱石や宝石で財を成したと言われる。しかし親たちは、子供が良い子にしていないと、怪物が出て来てブラックリーチに引きずり込むと脅す。

さて、ブラックリーチとはどんな存在だろう。伝説か、亡霊か、寓話か。ブラックリーチはそれ以上の存在だ。ノルドによれば、氷と雪の地下に広がる広大な大地だと言う。そこはかつてドワーフの地で、今は空っぽか、より悪い状態になっている。あらゆる神話や怪物に取り巻かれているのだ。

こうした物語はすべての民話と同じように、疑いの目で見なくてはならない。頭脳の足りぬ者はしばしば人生における謎や悲劇を正当化し、合理的な説明を付けるために素晴らしい物語や恐ろしい物語に頼る。愛する者が突然病に倒れ、命を落とした?間違いなく、ブラックリーチから上がって来たミアズマに毒されたのだ。敵が思いがけず大金を手にした?彼はブラックリーチの精霊と闇の契約をしたのだ。

もちろん、ブラックリーチの物語は全て根拠がないと単純に書くのは狭量で意味がない。スカイリムには地下の洞窟が点在している。必要なのはそのような深き地へ潜って暮らしている、多くの冒険者の誰かと話をすることだけだ。無学な者にこうした洞窟がより深部まで広がっていて、どの冒険者も知らない地が、泥の道や光と忘れ去られたトンネルの中へ続いていると信じさせるのは造作もない。それがブラックリーチの真の姿だ。いくつかの奇妙な洞窟と、半分酔っ払った農民の想像力によるものだ。

読者諸君、私のことを尊大だと思わないで欲しい。私はこの仮想上の愚か者を尊敬している。彼の頭脳からとても説得力ある考えが飛び出し、それが現在に至るまで酒場、キャンプ、裏通りのあばら家で話の種となっているのだ。私はその想像力を称賛したい。

フレイウェンの日記Freiwen’s Diary

母さんに今日、ウィルギンと話してきなさいと言われた。彼の製材機は外が凍えるほど寒い時期にも、街を色々な意味で活かしてくれている。母さんは私がウィルギンの仕事の仕組みをもっと学んだほうがいいと考えている。私がもっと大きくなったら、母さんの仕事を継ぐだろうとも。でも、母さんはそんなことを望んでいないと思う。心の底では。きっと父さんの受け売りよ。

まあ、ウィルギンは親切な人だし、あの大きなノコギリで丸太を切らせてくれるかもしれない。

* * *
ハヴィルと会いに農場まで行った。私はいつも何か口実を作って街を離れ、森を探検している。父さんは狼やトロールについて警告するけど、怖いと思ったことはない。ハヴィルは動物と遊ばせてくれるし、農場の人たちは卑猥な話で笑わせてくれる。楽しいところだわ。モーサルから離れているから、一人前になった気分でいられるし。ムジョレンを訪ねるのも同じ理由。私を首長の娘ではなく、友人として扱ってくれる。

* * *
凄い人が街にやってきた!酒場に入っていくのを窓から見ていた。荷袋と変な杖しか持っていなかったけど、一体何の用で来たんだろう。仕事じゃなきゃ、誰もモーサルなんかには来ないのに。出てこなかったから、多分部屋を見つけたのね。もっと詳しいことを突き止めなきゃ。

* * *
その人の名前はマクステン。彼女に会いたい一心で、一日中酒場で待った。詩か何かを書いていて忙しいふりをして、エイガに怪しまれないようにしたわ。うまくいったようには思えなかったけど。

ついに彼女が下の階に降りてきたので、すぐ近くに座ってと頼んだ。多分、妙に興奮していると思われたんじゃないかな。私はこういうことにあまり経験がないから。マクステンは少しの間、私を見つめていた。なぜ私が馴れ馴れしくするのか、考えていたんだと思う。それから座って、何か夕食を注文した。朝食と言ったほうがいいかも。日中はずっと寝てると言ってたから。

とっても面白い人よ!世界中を旅して、自分の研究について学んでいるの。細かい話はしてくれなかったから、私も詮索しなかった。仲良くなれたわ。それに、なかなかの美人ね。

* * *
母さんは私が家をこっそり抜け出したことに気づいた。というより、帰ってくる時にバレたみたい。私はマクステンと一緒に、彼女が辿っているエネルギーの源泉を探しに行った。死霊術を研究していると言われた時、最初は心配したわ。そういう魔術に危険があることは誰でも聞いてるから。でも彼女はとても慎重で、緻密に仕事をしている。今は私も、死霊術がちゃんとした知識の分野だと理解しているわ。他のものと同じよ。泥とかを調べる時、彼女が真剣になっている様子は素敵だと思う。

闇の中を歩いていた時、私は彼女の手を握った。どうしようもない気持ちが込みあげてきて、私は立ち止まって彼女にキスをした。暖かくて、気持ちが落ち着いたわ。もっと何度もあんな気持ちになりたい。

もう言ったけど、戻った時母さんに見つかった。母さんは私が秘密を明かそうとしないことを厳しく叱ったけど、心配しているだけなのが分かった。結局マクステンのことは話しちゃったけど、死霊術のことは言わなかった。母さんが賛成してくれたのでびっくりした。モーサルの暮らしは単調で、母さんもここに来る前の方が充実していた。私にも同じように生きてほしいんだと思う。

* * *
長い探索の末、マクステンはついに探していたものを見つけた。今夜、彼女は古い遺跡まで来てくれと言っている。母さんの意思は無視するけれど、またこっそり抜け出すつもり。マクステンが目標を達成するのを見るためなら、これくらいのことはしても構わない。

街の人々は彼女のことを怪しみ始めている。もう何ヶ月にもなるのに、マクステンは私以外のほとんど誰とも口をきいていない。彼らはいい人たちだけど、よそ者に慣れていないのよ。特にマクステンみたいな魔術師には。

この儀式が終わった後も、ここに留まってくれるといいけど。もう彼女なしで生きることなんて考えられない。

フレリッタとプラル:愛の歌Frelytte and Pular: A Love Song

優しく美しきフレリッタ
干し草色の髪は
編んだ黄金とハチミツ
真昼の輝く太陽

プラルという青年を愛した
そして彼も彼女を愛した
氷が湖を埋めるように激しく
春が溶かすように確かに

彼女の口はスノーベリーのように赤く
彼の手は固く誠実だった
彼はこう言って、氷のレイスを狩りに出た
「君にふさわしい男になる」

それから四夜待ち続け
フレリッタは雪の中へ馬を駆った
闇を伴い、山が吠えた
月はひどく低かった

しかし馬は間もなく疲れ
寒さが彼女を眠らせた
彼女は木の下で丸くなった
嵐が彼女を深く埋めるまで

意気揚々とプラルが戻る
予告の通りレイスを殺して
彼は木の根元で立ち止まった
そこで見たのは黄金の房

彼は雪を払い除け、彼女を見つけた
クリームのように白く、死のように冷たい
けれど神々が彼らの愛に微笑んだ
そして彼がキスすると、彼女は息を吹き返した

「僕は獣を殺したよ」プラルが誇らしげに叫ぶと
フレリッタは喜びの涙を流した
2人は手を取り合って家に戻り、結婚した
彼らの愛こそ、冬には壊せぬものだった

ブロケル(発掘)Brokel (Exhumed)

ブロケルここに眠る

愛されし息子にして

羊飼い

眠りながら死す

スカイリムのように老いて

ブロンドルドの日記Brondold’s Journal

〈カバーの間にリリス宛の手紙が折り込まれている〉

リリス

あなたがこれを読んでいるなら、私はあなたと会いにブルー・パレスへ行けなかったということだ。おそらく死んでいるか地下牢にいるものと思われるが、あなたに連絡することはできた。あなたが追っているアイスリーチ魔術結社がハーフィンガルにいるという確かな証拠はないが、ソリチュードの首都では何かが腐敗している。自分が正しい道筋を辿っていることは分かっている。残念ながら、相手にもそれは知られているようだ。もっと多くの情報を掴めていたら良かった。申し訳ない。

私が見つけたものをガーヒルド女王に渡してくれ。彼女は上級王よりも分別がある。彼女の口添えがなければ、上級王スヴァーグリムと面会できるかどうかも怪しい。

ブロンドルド

* * *
〈日記の内容は以下の通り〉

この任務は予想よりずっと困難になりそうだ。ここの民はよそ者に対して警戒心を抱いている。衛兵は常に監視しているようだ。ソリチュードのような規模の街で、ノルドの中にいても浮いてしまう。

王家の馬屋である人物と会った。コーヴィンという若い女性だ。輝く瞳で純真だ。見慣れない旅人に目を光らせるよう彼女に告げた。他には誰とも話していない。日常生活に馴染んでいくつもりだ。私を見かけることに人々が慣れるように。

あらゆる人はいつか〈寂しいトロール〉を通過する。ここの民と話して最新情報を手に入れるには、街で最も適している場所だ。モーグという常連のオークがいる。彼は会話に意欲的な様子だ。常にジョッキを満たしてやっていればだが。アイスリーチ魔術結社について何か知っている者がいるとすれば、間違いなく〈寂しいトロール〉で見つけられるはずだ。

民との間に築いた信頼は、魔女について軽く触れただけで消え去ってしまう。神々への祈りを除いては、一言も口にされない。これだけリーチに近ければ、闇の魔法のことをより深刻に捉えているのは仕方がない。だが、不運を招かないように耳をふさぐことを選択しているようだ。

コーヴィンがやってくれた。いかつい連中が山岳馬に乗ってやって来て、かなり無理をして気づかれないようにしていたらしい。そいつらは街中にチラシを貼っていった。何らかの求人だそうだ。賢い娘だ。

* * *
〈ページの間に求人のチラシが押し込まれている〉

作業員と職人募集!

ドルアダッチ山脈の先の未知の領域にて、遠隔地で危険な作業に従事する勇敢な仲間を募集しています。移住が必要です。食事と宿泊場所はこちらで提供します。一年間の勤務を必須とします。報酬は危険に見合ったものです!

お問い合わせはソリチュードの宿屋〈寂しいトロール〉まで

〈チラシの最後に走り書きされたメモ〉

どこへ行ってもこの掲示が見られる。何のために、どこで働くのか誰も知らないようだ。

* * *
〈日記の続き〉

ここの港に、レッドガードの船が定期的に泊まることに気づいた。私に対する冷ややかな反応を考えると、これは興味深い。

結構な額は必要だったが、裏道で賭博をしていた情報屋のグレイガが有望な証拠を提供してくれた。レッドガードの船員たちは、貨物をセンチネルから持ってくるらしい。積荷の目録によれば家庭用品だ。船員は商人と言うより傭兵に見える。グレイガは、いくつかの木枠箱に目立たない印がついているのを見たらしい。聞き込みをしよう。

中にあるものを取ろうとしたが見つかってしまい、品物は木枠箱から奪う前に手から滑り落ちてしまった。追って来た奴らは何とか振り切った。奴らが私の顔をよく見ていないことを祈るばかりだ。

リリス・ティタンボーンがブルー・パレスでガーヒルド女王と謁見する前に、私はリリスと会う予定だった。見つけたことを彼女に伝えてくれ。そうすれば危険が迫っていると上級王スヴァーグリムに納得させられる。私が手に入れたのは疑惑だけだ。確かなものは何もない。上級女王は、より寛大に統治していると聞いた。彼女はきっと親身に話を聞き、機会をもたらしてくれる。

ブロンドルドの文書Brondold’s Papers

〈震える手で急いで走り書きされた紙片が書類の山の一番上にある〉

ブロンドルド

衛兵があなたについて聞きに来た。彼らは片っ端から剣の鞘を鳴らして、あらゆる人を脅していた。私は怖い。あなたの馬は森に隠した。街の外の馬屋の横にある納屋で待ってる。あと1日だけ。

〈注釈付きの公文書らしき書類〉

関税申告書
出国港:センチネル
入国港:ソリチュード
陸揚げ貨物:
-オアシスの水 3樽
-スカヴィンの家庭用品 4箱
-ソースタッドの陶器 5箱
-センチネルの水筒 1箱

――ある船員が波止場にある木枠箱のいくつかに、こっそり印をつけているのを見た。何か隠されているのか?中を見ることはできなかった。

〈書類の間に挟み込まれた、固く小さく折りたたまれたメモ〉

驚くものを残した。指示に従ってほしい。

寂しい港の南にある、石が立つ場所
避難所の影の中
生きている木が見張る場所

ペトラループPetraloop

温かい音色で音が良く伸びる、マスター・ペトラによって作られたこのリュートは他に類を見ない楽器だ。この興味深い名前は長いセッションの終わりに、「ペトラのリュート」を求める酩酊した数多くの吟遊詩人にちなんだものと言われている。

裏には、大学で最も有名な吟遊詩人の名が数多く彫られている。

ペンターチの命令Pentarch’s Orders

ペンターチ・コルブ

キルクリースの喪心の嵐は予期しなかった抵抗にあった。敵はこちらの動きに気づいており、我々の計画を暴露しようとしている。奴らは厄介だが、人数はごくわずかだ。

宮廷で親身に話を聞く耳を奪えば、悩みの種を一気に叩き潰せる。

魔術結社は愛すべき仲間を失い、復讐を求めている。

彼らの願いを叶えよ

R

ペンターチへの手紙Letter to the Pentarch

ペンターチ・ザロス

準備は完了した、ブレトンの仲間よ。儀式はいつでも開始できる。

最新の積荷をキルクリース聖堂に送ってくれ。シスター・アンブリットが全て活用してくれるだろう。

ここまでよくやってくれている。

次の指示を待て。

R

マクステンの研究日記Maxten’s Research Journal

〈大半のページは黒焦げになっているか、触れると手が凍えるような分厚い氷に覆われている。判読できる記述はわずかだ〉

知識を求めてモーサルまでたどり着いてしまったことには、不満の一つも言うべきだろう。古き良き田舎町と好意的に言われているが、他の旅人に勧められるものはない。川から漂う湿った臭いがあらゆる場所に染み込んでいる。それに私が到着した時から、ここの民がよそ者を好まないことがはっきりと分かった。敵意を示す者は誰もいないが、誰もが距離を保つ。私は構わないが。

しかし、私がこの小さな街にわずかな好意を持っている理由が三つある。一つは太陽が昇ると、製材機が休みなく動き続けること。製材機は途切れなく大きな唸りをあげるので、日中は眠りやすくしてくれる。闇の技に関する研究には暗くなる時間が一番都合良いので、日中休みを取れるのは歓迎だ。

さらに、モーサルは私が望んでいたとおり、死霊術の力が集中する。ここは死のエネルギーを発している。源泉を求める夜の狩りはもうすぐ成果をあげるだろう。そうすれば多少の調整を経て、吸収の儀式を始められる。この地域の力を一部でも抽出できれば、数年間は研究できる力が得られるだろう。

最後に、ここで素敵な友人と出会ったことた。彼女は街の首長の娘だ。モーサルを離れたことはないそうだが、世界についての奇妙な知恵と好奇心を私が認めるほど持っている。母親が元々ソリチュード出身らしく、意外なほど世間慣れしているのはそのせいかもしれない。だが何よりも、彼女は親切だ。私たちはかなりの時間を一緒に過ごし、自分の調査の性質も教えた。彼女は多くの者のように不快感を示さなかった。それどころか秘密を守ると誓い、可能なら手助けをするとまで言ったのだ。告白するが、私は彼女ともっと一緒に過ごせることを心待ちにしている。

* * *
…この街の周辺の死霊術の源泉へさらに近づけた気がする。昨晩、私は死のエネルギーの痕跡を求めて土を調べながら、東をさまよった。来週になれば、新月が環境の共鳴をうまく増幅するはずだ。その期間なら、中心を突き止めるのは簡単だろう。

森の中にいる間、私たちは遠くに立つ人影を目にした。我々を見張っていたが、動かなかった。フレイウェンはその女を「賢女」と呼んだ。呪術師を意味するここの言い方だ。到着してから初めて、私は不安になった。今になって詮索好きの老魔女に妨害されるなどまっぴらだ。

そう、それからフレイウェンはこの旅に同行してくれた。家からこっそり出て来たところが可愛らしいと思う。彼女がいると気分がいい。一緒に星の下を歩いていると、特別な気分になるのも無理はない。

* * *
…ここはクジェンスタッグ遺跡と呼ばれている。私が聞いた相手は、全員がその歴史について何も知らなかった。だが遺跡に強大な力が込められているのは間違いない。エネルギーの量を増やすため、ラノヴォの吸収儀式を調節しなくてはならないが、計算は簡単なはずだ。

フレイウェンが誘引体になることを同意してくれるかもしれない。狼など付近の野生生物を使うつもりでいたが、この地で生まれ育った民のほうが効果があるだろう。ラノヴォは誘引体に負の影響はなかったと言っていた…

メイルモスの開花The Blossoms of Maelmoth

見事指示に従ったな!しかし、詩人の心はあるだろうか?

冬風の淑女と 勇気を称えよ
凍てつく冷気をまとった 彼女の愛は道を照らす
エルフと人が呼吸する 山の花が2本
頬を涙と海水に濡らし 嘆く寡婦のためにデスベル4本
炎を吐く古代の喉のため 竜の舌を3本
そして最後のキスのため 最後の花を1本

メイルモスの驚くべき傑作Maelmoth’s Marvelous Masterpiece

謎の幻の達人、メイルモス 著

私は我が美の全てを集めた!財宝を!遺物や奇妙なものを見れば、古遺物収集家も泣き出すだろう!ウェイレストの浪費家のブーツ!リーチのハグレイヴンの鍋!小さな石のマンモス。こいつはいずれ自由にしてやろう。素晴らしい!神秘的だ!我が秘儀のように壮大なものはない!

だがこのように金では買えない価値ある宝でさえ、この瓶の前では色あせてしまう。見てくれ!生涯をかけた研究の最高の成果だ。磨き上げられ、完成した幻惑魔法!この瓶は幻惑か、それとも現実か?これに触れると、お前は幻惑になるなのか?それは問題か?ハッ!見極めるには触って見るのだ!

見よ!入れ子の幻惑だ!わずかに軽く触れただけでも作動し、形を変え、好奇心を歓迎して抱きしめる。さらに多くの幻惑を産み出す幻惑!

利用法を考えよう!例えば、私の卓越した詩や言葉遊びを絶え間なく馬鹿にするあの憎むべき吟遊詩人ども!リュートを手にしたとたん、リュートになってしまったらどうするかな?誰に分かる?私だ。私には分かる!私、謎のメイルモスには。幻惑の達人には!ハッ!

ハ!ハハ!ハハハハハハ!

メイルモスの最後の日記Maelmoth’s Final Journal

〈日記には数百ページにもわたる意味不明な戯言が並べられている。判別できるのは最後の記述くらいだ〉

誰も私の傑作には値しない。誰も!それとも、誰かいるかな?ハッ!試験だ!そう、忍耐と精神力の試練!偉大な狩りは全て謎かけから始まる。始まるべきなんだ!

謎は横たわる、見えやすい場所に
タイルとレバー、古代の座席!
ドラゴンが祈る聖堂の座席
人の命が尽「きる」場所、そこで悲劇は「くり」返「す」
しばし瞑想するがいい
お前の知恵が足りるといいが!

モロケイの危険The Danger of Morokei

ドラゴンプリーストはノルド史の暗黒時代、誇り高き民が強大なドラゴンの前に委縮し、ひざまずいた時代を体現している。彼らはドラゴンの栄光のおこぼれにあずかるため、同胞を破滅させて苦境に追いやった。

スカイリム中がそれを知り、ドラゴンプリーストの多くが古代の戦争の末に埋葬されたが、彼らが安らかに眠ることはなかった。多くが死んだままではいなかったのだ。その中にモロケイがいた。

モロケイは生前、ラビリンシアンと呼ばれる遺跡に住んでいた。さらにその昔はブロムジュナールと呼ばれた場所で、ドラゴンプリーストの力の中心だった。モロケイが倒されると、彼がドラゴンから与えられた力の全てが明らかになった。彼はドラゴンの声に救われ、殺すことができなかったのだ。

私とカイネの司祭は4つの聖なる炎を使って、この眠らないプリーストを墓に閉じ込めた。炎を絶やさぬことにより、我々は防護の魔法で墓を封じた。これは我々の秘密で、神聖な目的だった。もしモロカイの力を求める愚か者がこの場所に侵入して封印を破った場合、スカイリムに対するドラゴンプリーストの復讐は、素早く恐ろしいものになるだろう。

だが私も年老いて、心臓や骨から活力が失われていった。いつか近いうち、孫娘のイルシルドにこの使命を引き継いで欲しいと頼まなければならない。彼女はカイネに忠実で、この秘密の責務の切迫した重要性を理解するだろう。

モロケイの力Morokei’s Power

求めていた力に近づいた!ノルドと彼らの味気ない埋葬場所は、死者をあらゆる剣を持った愚か者の略奪と窃盗のために放置している。この凍った地に散在している墓に、数百年経って何か価値のあるものが残っていたら奇跡だ。

しかしこれは?これは希望と期待を大きく上回る。伝説のノルドのドラゴンプリーストは、信じがたい力を装着者に授ける仮面を持っていた。問題はもちろん、仮面を持ち主から切り離すことだ。この特別な遺跡にいる司祭はモロケイと言うようだが、彼は守護の結界によって安らがぬ眠りの中に封じられている。ドラゴンプリースト本人を掘り出す前に、まず結界を突破しなくてはならなかった。

この遺跡にいる動きの鈍いアンデッドは、結界の炎の存在が分からない様子だ。すなわち、炎が影響を与えないことを示唆している。とはいえ、私はよくいるスケルトンでもなければよろよろ歩く死体でもない。結界の炎の魔法を取り消すのは、そこまで難しい仕事ではないだろう。適切な逆転の呪文を、正確に唱えることができれば。

ドラウグルが松明の灯し方を学び始めてかがり火の中に入らない限り、私が仕事を終えるまでの間、炎は消えたままだ。

ライカンスロープの耐性Lycanthropic Immunity

エグザーチ・ウルフラが興味深い課題を提示した。私の錬金術と魔術は、彼女たちの精神を奪えるだろうか?喪心の嵐はライカンスロープの仲間に影響を与えるように作られたものではないが、グレイホストが最後に征服を目指して出発してから長い年月が経過した。その間に吸血鬼とウェアウルフは四散し、世界中に広がった。彼らの全てが、灰の王に服従するわけではない。今日、ウルフラが捕らえた捕虜も含めて。

反抗的な態度を理由に劣等種を引き裂くことは容易だが、そうする代わりに彼女はより論理的な解剖のため、彼らを私のもとに送って来た。あの野獣のような頭蓋骨の中には、狩人の狡猾さが隠れている。

* * *
捕虜たちは群れの階級を尊重している。間違いなく、自分たちの呪いの源流を反映したものだ。彼らの指導者エジャーを捕らえて人質にすれば、他の者は従順でいる。他のウェアウルフたちに対してわずかな慈悲を示せば、エジャーは自発的に被験者を引き受ける。結局、彼らは恐ろしく単純な獣なのだ。

* * *
研究を完成させるためには乗り越えなければならない障害が数多くあるが、ウェアウルフの驚くべき耐久力は人間の姿でさえ障害を生み出す。見たところ、この被験者に対してネザールートの効果はない。凝縮した状態であってもだ。魂に対する肉体の束縛の力を弱めることが、実験を望ましい結果に着地させるための第一歩となるだろう。

* * *
もっと早く思い至るべきだった。あの獣とオブリビオンのつながりは利用できるものだ。たとえそれが、広大な別の領域に結びついているとしても。そのつながりはムンダスとその上にあるものの溝を橋渡しするために役立つ。そして、あのウェアウルフの血はネザールートに、不死の者が決して複製できない活力を植え付けられる。

* * *
上手くいっている。新たな血の蒸留液を精製するごとにネザールートの混合薬は強力になり、毒性を増している。ウェアウルフは注射の度、苦痛が大きくなる兆候を示している。ただ、唯一の疑問は残っている。儀式で不可避の死を迎える時、魂はうまく交換されるのだろうか。

ラジーンの影Shadow of Rahjin

伝説によれば、若く愚かな吟遊詩人がラジーンと取引し、誰でも望む者を曲で誘惑できる力を手に入れた。トリックスターの神はこの取引を面白いと考えたようで、7つの影の1つをこの若者のリラの弦に磨きをかけるために送り込んだ。

しかし、このような取引には常に代償が伴うものだ。若者のリラが欲望に満ちた情熱を刺激する一方で、その曲は寝取られた恋敵の嫉妬の怒りも同じように掻き立てた。しばらくの間、若者には運がついていた。挑戦、決闘、深夜の逃走など、物語の題材をもたらすほどだった。

だが運とは回転する車輪であり、やがて彼に背を向けた。彼は殺され、リラは別人の手に渡った。間もなく他の音楽家が楽器の秘密の力を発揮させる方法を発見し、最終的に同じ運命を迎えた。そして、この循環は数百年繰り返された。

大学が入手した後は徹底的に試験し、ラジーンの影を退けてはいる。しかし、演奏したいという者の安全は保障されない。

リーチの進捗The Reach’s Progress

駐屯地は弱っています。補給キャラバンを襲撃し続けたおかげで、奴らは分散して秩序を失っています。さらに嬉しい報告を続けますと、私はついに試薬を完成させました。新しい物質は、橋の支点を崩壊させる威力を持っています。洞窟全体を破壊するには、柱に直接面している数ヶ所を狙うだけでいいでしょう。

我々は地下も使えます。駐屯地は疑っていません。全ては計画通りに進んでいます。

ドラゴン・ブリッジはもうすぐ崩れるでしょう。ご命令通りに。

ブンド

リーチ忠誠派の手紙Reach Loyalist’s Letter

今、私はリーチの忠実な仲間に語り掛ける。

メシラと魔術結社が我々に接近してきた時、我々はそれを神々からの啓示だと考えた。我々は捧げ物として自らの血を流してきたのだから、当然の救済と考えた。報復の機会が目前にあると考えた。

今、これは誤りだったと皆に告げよう。アイスリーチクランは道を見失った。もう古き神々に仕えることはなく、自らを永遠に吸血鬼の王と彼のグレイホストの奴隷にしてしまったのだ。

メシラは甘い言葉で、グレイホストに加われば土地を取り戻せると我々に約束した。だが、圧制者を圧制者に変えたところで何になる?カースの地が我々の土地になることはない。ノルドは自分たちがしたことを知っている。彼らが耕す土地に、我々の血が流れていることを知っているのだ。

だが、吸血鬼が故郷の空を支配する時、再び取り返せることは決してない。

この伝言をクランの他の者たちに回してくれ。まだ手遅れではない。我々は抵抗できる。カースの血のために。真の神々に対する誓いのために。先人と故郷のために。

リリータングLilytongue

アルドマーのハープであるリリータングは、時が記録されてからずっと、アリノール宮廷で最高の演者によって演奏されてきた。リリータングは、偉大な作曲家ロルメルヴァルによって作られた最も魅惑的なアリアの一部を演奏するために使われた楽器だ。このハープはユヴィチル戦争の間に姿を消し、破壊されたものと思われていた。新たな王家のハープが替わりに演奏へ用いられた。

リリータングは500年以上も行方不明になっていた後、100年ほど前に再び姿を現した。現在は歴史と優れた美を併せ持つエルフ職人の比類なき工芸品として、吟遊詩人の大学が光栄にも所有している。

ルーンの神ジュナールJhunal the Rune God

ジュナールの知恵と力を軽視するのは不可能だ。我々スカイリムの者は、大抵の場合他のタムリエルから酒飲みののろまか、戦いに対する熱望以外はほとんど何も頭にない蛮族だと見なされている。ほとんどの者は彼らの好むジュリアノスがそもそもノルドの神であり、知恵と知性を重視し、他の何よりも知識を追求したことを忘れている。

我々真のノルドはジュナールを忘れていない。我々の中には今も学術的な探求と、精神の広がりを楽しむ者がいる。おそらく近年、我々のような者はごく少数しかいないが、希望は失われていない。ノルドは剣を振り回す以上の目的を求められている。我々は人生を危険に晒すものではなく、豊かにするものを追求すべきなのだ!学問、歴史、読書、発明といったものを!

これを読んでいて鼻で笑ったなら、それがあなただけではないことを知って安心するがいい。同じように感じるノルドは大勢いる。知識の追求はどうしたわけか我々にふさわしくないという馬鹿げた見解により、ジュナールへの信仰は揺らぐ。つまり我々を強くせず、勇敢さを誰もが見えるように提示しないものには価値がないという考えだ。だが、私はそのような考えを捨てるよう懇願する。学んだことは忘れられる。頭脳を高めるために、戦士としての力を捨てる必要などない。文武に秀でることは、我々の存在を両面で改善する。

優れた戦士になるためには、戦い抜くことを可能にしてくれる強い精神と知識も持たなくてはならない。そう思わないか?もし学ぶことの重要性が魅力をそそらないなら、替わりにこれで動機を付けよう。ジュナールはまだ我々の神だ。そしてスカイリムは、今も戦いだけではなく、知識によっても強化された戦士の土地だ。

このような探求を鼻で笑ってはならぬ!ジュナールと彼の教えを無視するなら、我々の民は破滅するだろう。

ルカル戦士長への手紙Letter to Warlord Rukar

ルカル

我々の指導者が魔術結社の魔女と行った取引の内容などどうでもいい。私はリーチへ戻る。秘密の会合に吸血鬼。私は臆病者じゃないが、理解できないことが多すぎる。故郷を奪い返してノルドを倒そうとする情熱では誰にも負ける気がない。しかし、このような魔法は老いたシャーマンにさえ許容できない。

お前も自分が大事なら、ここで死ぬ前に私と同じ行動を取るべきだ。

アヴァ

レマンのウォードラムReman War Drum

レマンがスカイリムをアカヴィリから防衛した際、彼の軍には多くの鼓手が同行した。この太鼓はそのような兵士の所有物で、ペイル峠の戦いでアカヴィリがレマンに屈服した場にあったものと思われる。さらに何人かのレマン王朝の指導者へ引き継がれたが、最後のレマン皇帝が暗殺される前には使用されなくなっていた。それ以来、太鼓は相続、贈答、征服の際に、首長から首長へ受け渡された。

現在、この太鼓はスカイリムの偉大なる英雄の宴に鳴らされる。

ろくでなしハーロック(発掘)Harlock the Bastard (Exhumed)

ろくでなしハーロック、この石の下に眠る

ジョールの兄弟にして

疲れて老いた怠け者

吹雪にて凍る

老いて疲れ切った無精者

暗殺者の手紙Assassin’s Letter

ペンターチ・コルブ

採掘社は準備が整っていつでも利用できる状態です。間抜けな鉱山労働者どもはうかつにも何に署名してしまったかさっぱり理解していませんし、どれだけ壮大な地が目の前に広がっているか、全く分かっていません。

彼らは自分たちの仕事と秘密の保護をしっかりと行い、暗闇の下にある私たちの秘密が発覚しないように守ってくれます。我々は定期的に労働者の補充を行っていく予定ですので、適切だと思う人物がいれば自由に食すか、錬金術師の元に送ってください。

そして儀式を行う時が来たら、彼らは私たちが必要とする力を提供するために配備されます。

シスター・サルダ

我が愛しきエグザーチMy Beloved Siblings, the Exarchs

戦場を共にした愛する仲間のことを考えなかった日は一日もない。コールドハーバーで苛まれた彼らは、果てなき愚者ストリキによる契約の文言に苦しめられている。手配には永劫と思える時間がかかったが、もうすぐ彼らをあの忌まわしい穴から解放するつもりだ。全員を一度に救出したいのは山々だが、まずは足掛かりを作る必要がある。そうすることで、グレイホストの帰還が確実になる。彼らは我が体、我が力である。この戦略は我が仲間を自由にするだけでなく、正当な報酬を与える。

ああ、エグザーチよ!

這い寄る黄昏のエッゼ、我が王冠にして栄光。最初にして最大の者。
ツィンガリス、我が頭脳。常に思考を続け、我らが再生の謎を解き明かす。
赤い眼差し、我が右目。過去の過ちを物欲しげに眺める。
セレヴル・ルイラック、我が左目。誇り高く未来を見つめる。
ブラザード、我が舌。我が真理を外の世界へ囁く。
赤爪のウルフラ、我が背骨。あらゆる不運に立ち向かう。
クラグレン、我が右腕。敵を追い払うため構えている。
ウルス・グリムランターン、我が左腕。恐ろしくも素早い正義をもたらすため掲げられる。
ディルジのヴェム、我が吐息。私のあらゆる部分に命をもたらす。
大ネズビ、我が筋肉。私の愛する全ての者を一つにまとめる。
カイア・アヴェルニコ・サンクトゥス、我が骨。我が力の底石。
リティア・ロングステップ、我が闊歩。私を目的へ近づける。

これら12の者たちが最初に蘇り、新しく再生されたグレイホストのリーダーとなる。だがもう一人、名を書き記すことを思うだけでも手が震えるほど、深い裏切りを犯した者がいる。私はかつて、仲間の中で最も偉大な者として彼を愛した。今では、憎悪しか感じない。私は奴を、13人目の仲間を探そう。自由のためではなく、報いさせるために。

彼は我が心臓。悲しみによって壊れ、もはや修復は適わぬ。

改修の指令Dictate of Renewal

石工、技師、墓地の番人は注意すること:

我々の成功は急速に近づいています。灰の王の支援と洞察により、新たな闇に満ちた時代が嵐の先で我々を待っているのです。だが悲しいことに、大きな成功はより厳重な監視をもたらします。我々は長年にわたって影に隠れ住んでいたため、防備はずさんになってしまいました。多くの壁が修繕を必要としています。かつては素晴らしかった門が放置の重みに耐えかねてきしみ、不平を漏らしています。これでは用をなしません。

グレイムーア砦の壁が再び難攻不落となるまで、終わることのない改修をここに宣言します。

東門は大規模な修繕を必要としています。正門の改築は灰の王の到着後ほどなくして開始されました。壁の西の部分には最も注意が必要なのではないかと危惧しています。石の窪みのほとんどが通れる状態のままになっているからです。こうした通路は「盲目の破滅」攻城戦の間、とても価値があるものだと証明されましたが、そのような脅威は過去のものです。故に、この通路も同じく過去のものです。

全タムリエルのいかなる建築物も、グレイムーア砦の荘厳な気高さや、永遠の恐怖にはかないません。この場所の壁は、我々の意思のように決して揺らいではならないものです。

王と同胞のために
レディ・エッセニア

楽士の集会 第1巻Convergence of Maestros, Volume 1

吟遊詩人の大学、楽士の集会
ソリチュード、第二紀580年
薪木の月、第一地耀

出席者:
~ 筆頭楽士カトレル・ゲオリック
~ 楽士フロフゲン・ウェルチューンド(打楽器教授)
~ 楽士テザラ・ハーフテイル(南方弦楽器教授)
~ 楽士テニヴァル・レンドゥ(小型管楽器教授)
~ 楽士エフノート(ベルとホルン修士)
~ 楽士ヴィアトリクス・アンブラノクス(声楽教授)
~ 楽士レイボーン(北方弦楽器教授)
~ イングマエア・レイヴンクィル(吟遊詩人大学の王家歴史家)
~ リュート・ボイスのヘルグレイル(ウィンドヘルム王家の吟遊詩人、スカルド王ジョルンの代理人)
~ 二つの夜(アルゴニアン音楽理論非常勤教授)
~ 熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソング
~ 筆頭楽士助手兼書記 ハートリン・トレグ(著者)

〈開会宣言〉

カトレル:栄えある最上の吟遊詩人の皆様、ご清聴を!皆さまのご列席に心から感謝します。今回の会合は適切な手入れと、そして――

〈唐突に楽士テニヴァルが立ち上がる〉

テニヴァル:手入れと監禁ですか?まっぴらです!あなたは箱に閉じ込めることで、楽器の生命力を台無しにする気だ!
カトレル:いいですか、楽士テニヴァル!この会議でかんしゃくを認めるつもりはありません!しばらく管楽器の音量を下げておきなさい!
テニヴァル:この件について私の意見は変わらない。
カトレル:分かりました。どうか落ち着いて。

〈テニヴァル、怒った様子で座る〉

カトレル:先ほど述べたように、私たちは目の前にある伝説的な、歴史的に名高い、この上なく優れた楽器に対する処置について話し合うために集まりました。大学が数百年に渡って収集し、維持してきた楽器です。この部屋にいるか、外にいる吟遊詩人の何人かは教え、作曲をするためにこうした楽器を大々的に使用してきました。他の者からの苦情により、また内外の…

〈多くが不満を漏らし、横目でチラチラ見る〉

カトレル:…このことは楽器に過度の悪影響を与えかねないという懸念があります。ごく最近、シルスクのトムの大規模な修理を行いました。誰かが――

フロフゲン:あれは私の責任じゃない。それに酔ってはいなかったぞ。ほのめかされたようにはな!

ヴィアトリクス:トムが壊れる直前に、あなたがブランデーを継ぎ足してるのを見たわ!

フロフゲン:それは否定しない。だが酔ってはいなかった。生徒が私につまずいて転んだ時に滑り落ちたんだ。私が昼寝をしていた時に。太鼓の上で。

ヴィアトリクス:だらしない――

カトレル:もう結構!私たちはあなた方の情熱について論争するために集まっているのではありません。解決策が必要なのです。楽士エフノートが意見を用意してきたそうです。エフノート?

〈エフノート、起立する〉

エフノート:はっきり言いますが、私はフロフゲンがうろつきながら独り言を太鼓に言って部屋の皆をあぜんとさせる前に、ブランデーを継ぎ足しているのを見ました。トムに損害を与えたことに関して、弁解の余地はないとみなします。故に、我々の芸術品の保護を主張します。

〈エフノートは咳払いをし、険しい目でフロフゲンを見る〉

エフノート:これらの楽器は音楽の歴史の遺産の象徴です。吟遊詩人の大学は生徒や観光客、弦楽器職人、その他工芸作家に職人芸と文化的歴史の一部となるものを示すため、可能な限り長く楽器を保護するべきです。

〈テザラが起立する〉

テザラ:エフノート、楽器は恋人のようなものだって認めなければならないわ。楽器がもっとも美しいのは、かき鳴らされ、つま弾かれ、楽しそうに歌いながら演奏されてる時じゃないの?檻に入れたら、楽器は鳴らされることもなく孤独だわ。違う?

〈エフノート、居心地が悪そうに位置を変える。ひょっとしたら彼とテザラに関する噂は真実なのか?〉

エフノート:テザラ、尊敬すべき人よ。あなたが熱のこもった嘆願をしようとも、私はあのような楽器に対しては繊細でありたいと思う側なんだ。あれは尊いものだ。もうニルンにとても多くのものをもたらした。敬意に値しないか?永遠に演奏し続けることはできないってことだ。

テザラ:自分の曲を奏でたいと懇願する楽器を、そのまま持ってるなんてあり得ないわ!

〈テザラはほとんど怒鳴っている。エフノート、おどおどしながら座る〉

ヴィアトリクス:どんなに楽器の状態が良かったとしてもね、テザラ。大学の生徒が撫でまわし、思い描くひどいソネットを演奏したら、そんなのはどうでもよくなるのよ。

テザラ:よくもそんな――

〈テザラはヴィアトリクスに飛び掛かり、顔に爪を立てようとした!〉

カトレル:やめなさい!座りなさい、2人とも!

〈カトレルはヴィアトリクスとテザラの小競り合いを遮った。エフノートは遠くを見ている〉

カトレル:芝居がかったことをするのはやめなさい!タムリエルの吟遊詩人は、私たちが吟遊詩人全体の文化のために成熟した判断を下すことを期待しているのです。名誉にふさわしい行動をしなさい!

二つの夜:本当に吟遊詩人全てのことを考えるなら、私はアルゴニアンの代表として意見を述べたい。あらゆるものが最終的にはニルンに戻る世界で、すべてを保存しようとして何になる。私たちの土地では、時や沼地より長く存在し続けるものは何もない。私たちはあらゆるものを使う。もし使い道がないなら、それは再び沼地に委ねるんだ。

フロフゲン:その通り!この鱗野郎が言ってるのを普通の言葉で言えば、素晴らしい楽器は手にしている間に使うべきだってことだよな。どうせ最終的には盗まれ、燃やされ、その、何かをこぼされることになるんだろう?

二つの夜:鱗野郎?

カトレル:静粛に!

〈第2巻に続く〉

楽士の集会 第2巻Convergence of Maestros, Volume 2

吟遊詩人の大学の楽士の集会
ソリチュード、第二紀580年
薪木の月、第一地耀

出席者:
~ 筆頭楽士カトレル・ゲオリック
~ 楽士フロフゲン・ウェルチューンド(打楽器教授)
~ 楽士テザラ・ハーフテイル(南方弦楽器教授)
~ 楽士テニヴァル・レンドゥ(小型管楽器教授)
~ 楽士エフノート(ベルとホルン修士)
~ 楽士ヴィアトリクス・アンブラノクス(声楽教授)
~ 楽士レイボーン(北方弦楽器教授)
~ イングマエア・レイヴンクィル(吟遊詩人大学の王家歴史家)
~ リュート・ボイスのヘルグレイル(ウィンドヘルム王家の吟遊詩人、スカルド王ジョルンの代理人)
~ 二つの夜(アルゴニアン音楽理論非常勤教授)
~ 熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソング
~ 筆頭楽士助手兼書記 ハートリン・トレグ(著者)

〈第1巻より続く〉

カトレル:静粛に!

〈ヘルグレイルが他の人と共に起立する〉

ヘルグレイル:スカルド王ジョルンの使者として、私にはこれらの楽器をスカイリムの財宝とすることを宣言する権限があると思います。これを保護するために――

テニヴァル:東の者は黙れ!お前は大学の楽士でさえないじゃないか!

カトレル:静粛に!静粛に!

イングマエア:王家の使者に対してよくそんな口がきけるわね、テニヴァル!私とヘルグレイルは招待されて来ている。あらゆることに口を挟む権利を持っているのよ。小型管楽器の教授風情が、王家の吟遊詩人にでもなったつもりなの!

テニヴァル:口を挟むのは、その臭いをなんとかしてからにしてもらおうか。

フロフゲン:まったくだ!大学はいつも重要な判断を下せる。お前が部屋を臭くしなくてもな!

ヘルグレイル:偉そうに飲んだくれてる臆病者が、よくも言う!

〈今や全員が立ち上がった。熟練楽士のネルとレイボーン、そして私を除いて〉

カトレル:静粛に!静粛に!無意味な侮辱の他に提案がある者は?

〈やっとカトレルとヴィアトリクス以外が座った〉

ヴィアトリクス:はい、あります。博物…いえ、名誉館を作るのよ。そこに私たちの誉れ高き楽器を置いておくの。酷使から受ける損傷から守られた状態でね。

〈ヴィアトリクスがエフノートを見る〉

ヴィアトリクス:そこでなら次のカリソスになろうとして弦楽器を折り、太鼓の皮を切り裂く元気いっぱいの吟遊詩人の汚い手とは無縁の状態で、美しさや歴史を堪能できるわ。

カトレル:他に何か提案は?

〈二つの夜はガラガラした咳で喉を整えた〉

二つの夜:楽器の使用を承認しよう。彼らを中心の焦点にする。学生や教授が自らの手で、それぞれの楽器を使って音階や歴史を学ぶことを認めるんだ。壊れてニルンに帰ることになるなら、それはそれでいい。

カトレル:ありがとう、二つの夜教授。どうやらあなたの意見は楽士テザラとテニヴァル、それにフロフゲンが支持しているようですね。楽士ヴィアトリクスが提示した名誉館を支持する者はいますか?挙手だけで。

〈ヴィアトリクス、イングマエア、エフノート、ヘルグレイルが手を挙げる〉

カトレル:どちらも同数。4対4。意見を述べていない人も少々いるようですが。レイボーンはどうなのですか?

レイボーン:名誉ある筆頭楽士。私はもっとも最近任命された楽士です。我が師である楽士アルムナス・ファーソングに投票を任せたいと思います。

カトレル:誉れ高きアルムナス。あなたの知恵なら、間違いなくこの熱を帯びた討論を決着させてくれるでしょう?

〈熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソングが昼寝から目覚める〉

ネル:カトレル?君には意見はないのか?

カトレル:私は投票を差し控えます。偏らないように。私の筆頭楽士の地位による影響を、いかなる投票にも与えたくないのです。

ネル:そうだと思ったよ。

〈アルムナス・ネルが立ち上がる〉

ネル:私の地位は重要ではない。含めていただくことには感謝するが、我々が収集した素晴らしい楽器の数々に関して、合意に達するかどうかは楽士、教授諸君と誉れ高き招待客の皆にかかっている。付け加えさせてもらうなら、満場一致でな。楽器の中には私の楽士時代に遡るものもある。だが君たちは意図を持って行動すべきだ。そのため、君たちにちょっとした手助けをした。

イングマエア:誉れ高い者よ、どういう意味ですか?

ネル:私は今晩、楽器を全て集めて、密かに土地のあちこちにしまい込んだ。君たちが合意に達するまで楽器の姿を見て、手を触れることはできないよ。

イングマエア:あなたにそんな権利はない!

テニヴァル:あなたは大学自体に背いたのだ、老人よ!

〈皆が立ち上がってお互いに怒鳴り、小競り合いを始めると、ネルは座った。先ほどひっかかれた仕返しとして、ヴィアトリクスがテザラの顔を打った〉

〈カトレルは秩序を保てないため、会合を終わらせて散会とし、皆を離れた扉から強制的に退出させた〉

〈老いたネル楽士は私にこうささやいた。「恋人たちによりを戻させるには、もっと大きな敵が必要かもしれないぞ」。何のことだか私には分からない〉

監督官への手紙Letter to the Overseer

ブラックリーチにやってくる吸血鬼が日に日に増えている。襲撃が頻度を増しているんだ。鉱山労働者たちが危険に晒されていることに気づき、街を放棄するまでに撃退できる数などたかが知れている。どうやらアゲラン隊長は、もう何かに気づいているようだ。すぐに話して、彼の懸念を和らげて欲しい。

約束通り、お前の事業を守るためにできることは全てやっている。だが攻撃の増加により、予想よりも困難な状況となっている。危険性が上昇したため、さらなる血の提供が必要だ。できれば消えても気づかれずに済む弱い標的が望ましい。

これについてためらいがあるなら、こちらには我々の協定の証拠があることを思い出してくれ。我々の関係を維持したいなら、頼まれた通りにしてくれるはずだ。

ブルイク

魚捌きのイセンドラIsendore Fish-Gutter

魚捌きのイセンドラ

忠実な魚屋にして

ヨレンの妻

魚の骨が喉に詰まり

若さが褪せぬうちに死す

恐妻家のモラチェリスのパンフルートPan Flute of Morachellis Hag-Husband

このパンフルートは伝説のスカルドであり元教官でもある、恐妻家のモラチェリスの所有物だった。彼はこの世に知られぬ楽器に熟練した数少ない者である。その奇行で名高いモラチェリスは、このフルートを不運な出来事で亡くなった双子の片割れの足の骨で作ったと言われている。常に遊び心にあふれたこのスカルドは、時にこの噂を肯定し、時には否定した。

不安を感じる笛の素材と演奏時の衛生に対する疑問から、モラチェリスが指導する生徒を持つことはほとんどなく、後継者もいなかった。

吟遊詩人の大学で、サルスカップを今夜開催!Bards College Salskap Tonight!

タムリエルの吟遊詩人の皆さん!ソリチュードの皆さん!

吟遊詩人の大学で最も尊重されている楽器が、あるべき場所に戻ってきました!今晩、私たちは伝説の楽器を台座から降ろし、帰還を祝して大サルスカップを開催します。

この伝統的な吟遊詩人の催しでは「冒険者の勝利」のお披露目も行います。

全ソリチュードが記憶するであろう、歌と供宴の夕べにぜひご参加ください!

建国の頌歌Ode to the Founding

[以下の複写は、現存しているウェルのエルデの最後の演技に由来するものである。エルデはソリチュードが継承戦争に加わる前夜、首長の前でこの詩を歌った]

ハーフィンガルを導くハーケン、我らが家を称える声を聞け
空を横切りそびえる、街の孤独な三日月が
誇りと意志に満ち、固い岩から空へ昇り
響く波と、終わりなき時の試練を見下ろす
ああ、栄誉ある観衆よ、我らが家はかつて慎ましかった
亡霊の海の凍てつく嵐、巻き上がる風は
怯えた信仰厚き、見捨てられし祖先を
海辺から突き出た崖の下に避難させ
厳しい冬を生き延びるようショールに祈らせた

見よ、アカトシュの回る砂時計に見守られ
我らが民は栄え、石のねぐらに安らいだ
壁と井戸は、不吉に唸る厳しい風を跳ね返した
鍛えられた手で石を切り、民は高い塔を築いた
ドールの城、神々に仕える者のための聖堂
基礎に砦と、信仰の家が支えとなり
我らが街ソリチュードは、詩にしばしば歌われる

こうして建てられた礎に建つこの砦
ソリチュードは空へ昇り、周囲を見渡し、支配した
縛られぬ手と、たじろがぬ目で
瞬く間に槌を振るい、内陸をハーフィンガルへ変えた
多くの者が嘆き、さらに多くの者が抗弁した、だがその声は呟きに消えた
首長がその銀の王冠を身に帯びた時
知恵と力の狼
街の象徴にして、ソリチュードの荘厳な魂が宿った時

だから剣を取れ、誓える息子よ、臆せぬ娘よ
狼の冠を被った王の支配に服すのだ!
戦いで血が流れようと、我らは知っている
スカイリムに絡みつく大蛇を屠ったなら
聖なる故郷ソブンガルデで兜を脱げることを
今は休め、我が同族よ。休み、夢を見よ
近い夜明けに、勝つべき戦いの夢を
そして勝ち続ける、さらなる戦いの夢を

我らはソリチュードの子
我らはスカイリムの子

研究メモ:ヴェランディスの後継者Research Notes: The Heir of Verandis

上級錬金術師にしてグレイムーア砦上級侍従、レディ・エッセニア 著

私の仕事に運命が微笑んだ!全く予期しなかった標本が私の玄関口に現れた…新しく刺激的な研究の道を開いてくれるかもしれない標本だ。

このカジートはアドゥサ・ダロと名乗っている。吸血症の感染源を尋ねると、彼女は言葉を濁し、従順さを失った。自白薬を使った後でさえ、話すことを拒んだ。これは大して問題ではない。私は即座に彼女の血統を推測した。私たちの仕事に対する思い上がった侮辱と秘密への献身から、裏切者のヴェランディスの匂いがする。彼が常に太陽で苦しみますように。

ヴェランディスの下劣な性格にもかかわらず、彼の血には興味深い性質がある。彼の鼻持ちならない節制は、後継者を見つけ出すことをとても困難にしている。あの者が軽率にも私の門を通り抜けたのは、運命の女神が私の仕事に喜んでいる証としか思えない。

ヴェランディスの血は独特なものだ。適切な試薬と調合液があれば、神をも圧倒するようなものが絶対に作れるはずだと私は信じている。最古の純粋な血を力と可能性で超えるかもしれない、新たな段階の吸血症。私の血の騎士は単なる前座で…真に目覚ましいものの先触れなのかもしれない。楽しみだ。

研究メモ:混沌の吸血症Research Notes: Chaotica Vampiris

上級錬金術師にしてグレイムーア砦上級侍従、レディ・エッセニア 著

一体どうして王冠を脱ぐことに耐えられたのか、と最年長の親族が頻繁に尋ねる。まるで力が統治している者の手にしかないかのように。灰の王自身の物語が、その誤りの十分な証拠ではないの?

新たな王が我が戸口に初めて現れた時、同じように考えていたことは認めざるを得ない。数百年統治していたことが私の精神を歪めてしまい、統治者と被統治者という単純な原理だけが尊重に価するものと考えてしまっていた。政治。玉座。廷臣に請願。自分自身に手綱や轡をつけるとは、なんと愚かだったことか!ある種の者にとって、真実と実現は玉座に依存している。私のような吸血鬼にとって、真の実現は研究にある。かすかに光るフラスコ、きらめく解剖用メスに注射器…これらが私の心を引き付ける唯一の宝石だ。私はあまりにも長い間、自分の使命から目を反らしていた。灰の王の出現によって、このことを再び見出すことができた。

私はずっと吸血症感染の複雑さと可変性に驚いていた。それぞれの血統は長く語られる歴史を持っており、それぞれが独自の贈り物を病に求められた者に対して与える。統治者の無意味な位から解放された今、私は自分に問いかける。贈り物を向上させられるだろうか?こうした染みを一体化させることができるだろうか?

私の研究の成果を見るがよい!混沌の吸血症!我らが吸血鬼の本質における革命だ。出血吸血症やポルフィリン・ヘモフィリアとは異なり、この新しい病はすでに吸血症にかかった者を標的とする。錬金術の手法で血統を混ぜ合わせても小さな成功がもたらされるとは言え、真の触媒は混沌のクリエイシアだ。これはあらゆる吸血症の根源、コールドハーバーで獲得されたものである。モラグ・バルはタムリエルの獲得を急ぐあまり、双方に向けて開いた扉のことを忘れている。

私はこの混沌の吸血症の感染者を「血の騎士」と呼んでいる。この新しい生物は、今までに知られているどの吸血鬼よりも素早く強い。

全ての偉大な科学的冒険で見られるように、結果は必ずしも安定していない。彼らの下劣な本能の抑制に対する取り組みはまだ苦戦している。さらに研究を行えば、状態をより改善できると私は確信している。幸い、夜ごとに新たな吸血鬼が我々の門に現れる。奴隷用の囲いは被験者で溢れんばかりだ。必要なのは時間だけだ。

絹の叫びShriek-of-Silk

数少ない高名なアルゴニアンの旅吟遊詩人、柔き嘴が300年にこのヴォッサ・サトルを大学にもたらした。現在、習得の難易度が屈指の楽器と見なされている。

その後数百年に、楽器は演奏のためではなくいじめのために使われるようになった。習得が容易で、特定の音があらゆるアルゴニアンに受け入れられて興奮させるため、ある時点で上級生が新入りの吟遊詩人にヴォッサ・サトルを始めるよう告げるのだ。もし正しい音を出せないなら、それは十分な肺活量で吹いていなかったからだと言われる。

吟遊詩人の大学職員は最終的にこれをやめさせ、このヴォッサ・サトルは現在アルゴニアン音楽理論の非常勤教授、二つの夜の愛用楽器として、誇り高い扱いを受けている。

古いノルドの酒飲み歌Old Nord Drinking Song

ハチミツ酒を飲みながら
シアーポイントを登った
視界がだんだんぼやけ
文字が読めなくなった

居心地よさげな洞窟があった
警告も何も書いてない
フロストトロールと一緒に寝た
朝になったら、お互い驚いた

ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!

トロール女に1瓶やった
そいつはすぐさま飲み干して
ニコニコ笑って踊った後に
ボコボコに俺を叩きのめした

トロール女のいびきの音で
目が覚めたらもうこんな時間
ハチミツ酒はもうすっからかん
でも気分はあっけらかん

ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!

孤児ネルNel the Orphan

孤児ネル

若くして死んだ

カースの娘

生涯の放浪者

水たまりで溺れた

鉱山労働者の失踪Missing Miners

アゲラン隊長

お願いしたい。行方不明事件の捜査をあまりにも…派手に行うのはやめてほしい。鉱山労働者が失踪したなどという噂が立ったら、街はパニックに陥る。労働者たちがどれだけ迷信深いか、よく知っているだろう。

この件は、間もなく論理的に説明できるようになると確信している。どうしても調査を続行しなければならないのなら、個人的に会って目立たないように調査する方法について、話すことは可能だろうか?街の裏にある洞窟で、妥当な行動計画について2人で話し合いたい。事務所に招きたいが、やはりこの件は慎重に行うことが最も重要だ。今以上に注意を引くことはやめておこう。

ウールヴァル

鉱山労働者の日記Miner’s Journal

2日目

鉱山のできるだけ奥に拠点となるキャンプを設置した。誰かがひどく苦労してこの通路を掘ったようだが、遠い昔の話に違いない。

幸運にも、鉱山のこの区域はまだ銀やその他の微量金属が豊富にある。トンネルの壁を貫く巨大な手つかずの鉱脈が見える。だが、このことは元々発掘した者の運命に関してかなりの不安を感じさせる。これだけの苦労と投資をして鉱山を開いたのなら、なぜ鉱脈に蓄積された膨大な鉱石を掘り尽くす前に放棄したのだろう?

3日目

今日は崩落したあるトンネルの片付けを終え、その先にある大きな部屋まで入った。私は歴史家ではないが、ここにあるのはドワーフの遺跡の名残に間違いないと思う。岩や鉱石とはかけ離れた、絶対に自然ではないものがあった。

アエサが昨夜、寝ている時に走り回る音を聞いたと言った。スケグは心配がいらないとなだめ、こんなトンネルには素早く動くものがたくさんいるからと言っていた。だが私も物音を聞いたし、それは普通の蜘蛛が立てる音ではなかった。何かにつけ回されている気がして仕方がない。まるで見張られているようだ。

4日目

こんなところには絶対に来るべきじゃなかった。何時間も前にアエサとスケグがドワーフの遺跡へ偵察に行ったが、どちらも戻っていない。影の中で青白い姿が動いていて、癇に障る虫のようなカチカチ鳴る音が通路中で反響している。幻覚を見ているのだろうか?脱出する道を探しても、おそらく見つけられないだろう。

どうやら今、キャンプにいるのは私だけらしい。誰かが出ていくところを見てはいないが。カチカチ鳴る音はどんどん大きくなっている。呼吸音が聞こえる。さっき、暗闇の中で叫び声を確かに聞いた。アエサの声のようだった。

何かが近くにいる。私を嗅ぎつけたようだ。

今日の指示Today’s Instructions

ザニクー。新鮮な死体を探す間は、嵐から身を守るためにフレイウェンのアミュレットを使いなさい。しかし、なくさないように。

調査場所:
~ 最近凍結した商船
~ 要塞南の氷棚沿い

入手すべき品:
~ 人間の死体
~ 狼の死体 1
~ アルゴニアンの死体 1

上記の品を持ってベルグラの空洞の下にある私の工房に戻りなさい。見つかるまで戻ることは許しません。

マクステン・ファヴレット

失われた愛への挽歌A Threnody to Lost Love

心の中の奥深く
私の中に集まる嵐
心の中の奥深く
満ちる潮はあまりに高い
心の中に隠れる
悲しみが奔放にささやく
恐れは冷たく
私の涙を通じて叫ぶ

どうか私を見つけないで
自由になれない
どうか私を見つけに来て
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない

心の中の奥深く
私の中で炎が燃える
魂の中の奥深く
痛みが全てを切り裂く
心の中に潜む
孤独が懇願する
私はもう完全じゃない
涙を通じて悲鳴をあげる

どうか私を見つけないで
自由になれない
どうか私を見つけに来て
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない

取り消しの呪文(第一節)Incantation of Reversal, First Fragment

自由の指輪が渇きを癒すなら、まずこの言葉を言うように推奨する:
大海の岸で、ホーカーの群れが自由に遊ぶ

取り消しの呪文(第二節)Incantation of Reversal, Second Fragment

春になれば、土壌が豊かになる。呪いを破るには、2番目にこの言葉を言え:
豚、そして豚、そして豚、そして豚。叔母の指は小枝のように細い!

取り消しの呪文(第三節)Incantation of Reversal, Third Fragment

この言葉に気をつけろ。しばしば不明瞭だが、この詩を大声で歌うべきだ:
震える羽が風に漂う。髪は長く伸びたが、決して細くない!

首長殺しJarlsbane

この卓上弦楽器はヴァーデンフェルのヴィベク卿の代表団から上級王スヴァートルに贈られたものだ。ダンマーの音調の構造に慣れていなかった宮廷音楽家たちは、これを「はなはだしく調子外れであまりにも理解しにくい」と断言した。これはレドラン家の大吟遊詩人のエンドロニ・セルヴィロによって発見されるまで、長くブルー・パレスに珍品として置かれていた。

スヴァーグリム王はダンマー芸術への理解を深めるため、寛大にもこの楽器を大学に寄付した。

(「それでも金切り声を上げるウナギみたいな音がする!」と金属の飾り板の碑文の下に彫られている)

終わりなき鐘Chime of the Endless

この小さな鐘はジズ・クラアのアデプトであるユジッラを、僧房の仲間全員を殺したドロ・マスラの無慈悲な攻撃から守った。ユジッラは鐘をリズミカルに叩いて、恐ろしい夜を通して彼女を守ったジョーンとジョーデに対する賛歌を作った。残念ながら賛歌は失われてしまったが、鐘は残っている。

大学はカジートの仲間に敬意を表し、この鐘の使用を制限している。

終わりの一つ前の笑いThe Penultimate Laugh

ホーカーと怒ったガチョウがウィンドヘルムの酒場に入った。
何も特別なことは起きなかった。

これは謎かけではない!ハッ!私のお気に入りの物語だ。

だが物語の時間はない!全くない!謎のメイルモスの脅威の財宝はもう手の届くところにある!驚くべき秘儀がお前を待っている!鍵は不要だぞ。巻物が鍵だ!分かるかな?どうかな?

覚悟があるなら、入れ!

盾の衛士カーシShield-Guard Karthi

盾の衛士カーシ

衛兵として

彼は警戒し続けた

若き盾は破られた

腹に矢を撃たれ

焼けた紙Burnt Papers

〈明らかに燃やされた日記のページ。文章の断片しか残っていない〉

…を入手するのは難しい。ブラックリーチでさえも…

エジャーは嘘をついていた。落盤であんな怪我はしない…信頼はなかなか得られないが、彼は自分の身に起きたことについて真実を教えてくれた…

エジャーの血にはネザー…が染み込み…おそらく彼の抵抗によるものだが…自分の目で確かめる必要がある…中へ入る道はエジャーが知っている…

エジャーは協力しないだろう…群れの仲間の救出に固執している…光ささぬ…の古いドワーフの塔の近くに…

解放すると約束した…ダスクタウンの外でエジャーに会う…橋の東にあるキャンプで…

蒸留の目盛りと指示Distillation Calibrations and Instructions

正当な許可なく、ネザールート成長噴霧器の目盛りを調節しないように!

現在の目盛り:(有効性97%)
– 第1の目盛りは4ユニット
– 第2の目盛りは2ユニット

誤ってノズルが調整されてしまった場合、リセットを使用して全てのバルブを現在の目盛りに戻し、報告して適切な処分を受ける。調合薬の安定性を損なうことがないように!植物が不純物のない霧状のミストを吸収した場合、ネザールートは使用不能となり、数週間の作業が水の泡となる。

現在の目盛りに関する注意:
どちらの蒸留液も2ユニットを下回るか、4ユニットを超えてはいけない。パラメーターから外れた数を設定しようとするとバルブは停止する。パラメーターを強引に超えようとすると目盛りはリセットされる。

2つ目の蒸留液は、決して第1の目盛りを2ユニット以上超えてはいけないことに留意するべきだ。2ユニット以上超えると現在の調合薬が不安定になり、その結果純粋なミストが噴出される。そうなった場合は死につながる可能性がある。特に操作者の。

-目盛りのリセットは指示があった場合のみ、中央の端末を用いて行うこと。

深き洞窟のハイドリクの、機知と知恵Hydrik Deep-Delve’s Wit and Wisdom

さて、諸君。私は足首を折ってギルドホールにある自室にいる。治癒師によれば、6週間以内に再び歩けるようになったら奇跡だそうだ。ギルド幹事が時間を取って羊皮紙に色々と書いてみるのも良いではないかと言うので、若きメンバーは私の「知恵」の利益に預かれるという訳だ。時間をつぶす方法としては一杯やるほうが良さそうだが、何しろ私の回復のためにと勧めてくるのがギルド幹事だ。

だから、心して読むように。キルクリースの丘なら、どんなに弱い男でも短剣を持てばサーベルキャット数匹の腸を抜くことができる。だが本当の仕事は、西スカイリムの穴の中や薄暗い片隅にある。私はそのような場所を詳しく見て回った。こうした場所を探検した後に再び太陽を拝みたいと望むなら、この文を読み続けることだ。

シャドウグリーン
新人なら誰でも、ソリチュードに近接した場所ならそれほど危険ではないと考えるだろう。間違いだ。ここには極めて奇妙な獣が数多くいて、人の目を爪でくり抜き、肝を食べてやろうと待ち構えている。それはほんの始まりに過ぎない。そこをとめどない炎が覆い尽くすのだ。ただ近くに立っていただけで、肺に空気を詰まらせてしまった治癒師を見た。熱だけではない。また、亡霊の海から吹き付ける凍り付く風もある。手をきつく覆っていなければ指を真っ黒に変えてしまうような風だ。指が凍傷にかかっている手で、飢えた熊を回避できるか試してみるといい。やってみろ!

最近ではもっと悪い噂も流れている。厄介な魔女のハグレイヴンがそこに拠点を作っているというのだ。そしてあらゆる種類の不快なものを傍らに呼び集めているらしい。奴らが何を求めているのかは、誰にも分からない。

ドラゴンの家
まずははっきりさせておこう。ここにドラゴンは1匹もいない。スヴァイン、ボル、オーダたちがドラゴンを倒し、英雄になろうと考えるのにはうんざりする。
そうしたいなら、エルスウェアに行け!

この場所にいるのはドラウグルで、どんなギルドの支部でもこいつには躊躇するはずだ。竜教団はかび臭い広間に軍団を収める方法を実によく知っていた。それは認めよう。そしてドラウグルがいない場所には、ドラゴンを崇拝することが賢明だと考える程度にはおかしい信者がいるだろう。まるで昔に戻ったかのように!ここでは墓地におけるその他の魅力的な特徴も見られる。罠、突然勢いよく開く墓室、それに…一番厳しいのは、足元に注意を払わなければ落ちて死ぬことだ。高さには気をつけろ!

フローズンコースト
溺死はひどい死に方だ。我々の職業で間抜けが死ぬ原因は沢山あるが、溺死はその中でも最悪の部類だ。よく滑る氷棚の上に立って海の巨人を追い払っている時に足を踏み外し、ナミラの胸よりも冷たい水の中に落ちたとする。そこから飛び出すことはできない。その冷たさはすぐさま肺から空気を奪う。どれだけ力があろうと、武装した体を極度の混乱から引き出すのは無理だ。そして沈む。

これが悪い場合。もっと悪いのは、海の巨人のクランがその岩を見て、呪文をかけて混乱の種を植えるのにちょうどいいと考えた場合だ。私が話しているのは、荒野で見かける毛皮に身を包んでよろよろ歩いている巨人のことだと思っているかもしれない。そうではない。海の巨人は賢い。そして意地が悪く、できるだけ苦しめて殺すためなら喜んで時間をかけるだろう。楽しみのためだけに。それから、奴らはマンモスのミルクからチーズを作らない。少なくとも、私に分かる限り。

冷風ヶ淵
これは洞窟だ。薄暗く、天井も低い。最近まで、心配すべきようなものは大していなかった。リーチの民が何人か隠れているぐらいのものだった。あるいははぐれ死霊術師が。ギルドは容易に対処できた。だが、これまでに見たことのない怪物がこのトンネルの中に住み着いた。見たことのない獣だ。まるでゴブリンのようだが、違っている。

ひどく汚らしい鎧を身に着けた青白い連中で、叫び声をあげる大人のオークを、黒いトンネルへ引きずり込むくらいの力がある。私はそれを調査する仕事を受けて、攻撃される前にかろうじて部屋に入れた。

奴らはある種の虫を使役している。巨大で、鋼の罠のような下あごを持ったものだ。チェインメイルを貫いて噛みつける。顎に毒があっても驚くことはないだろう。

ラビリンシアン
どんな小生意気な間抜けも、隠れ場所や攻撃の心配をすることなくこの洞窟に出入りできるだろう。だが、ちょっとした軍団を作らずラビリンシアンへ行くのは愚か者だけだ。その学者が護衛を1人雇う金しか持っていなくてもである。金には代えられないからだ。ここの上層には大きな敵がいて、下の洞窟にはさらに悪意のある連中が大量にいる。忠告しておくが、あまり奥には行くな。多くの者が降りて行ったが、上がって来た者はいない。

神々とノルドDivines and the Nords

大司祭インガルト 著

ノルドの宗教は長年の間に、数々の興味深い転換点を経た。最も初期の信仰はアトモーラに起源を持ち、動物のトーテム崇拝を中心に展開した。ドラゴン、鷹、雌狼、蛇、梟、鯨、熊、狐などは八大神にロルカーンを足したものに相当するように見える。後にドラゴンが注目を集めるようになり、竜教団が誕生した。竜教団がより邪悪になってその意思を全土へ強制するようになったのは、タムリエルへの移住中かその後まもない時期のことだった。ドラゴンや司祭を打倒するには竜戦争が必要だったが、その話は別の機会にすべきだろう。

最終的に、動物トーテムの神々は現在我々が信仰している八大神に変化した。我々は彼らを真の名前で呼ぶ。アルドゥイン、カイネ、マーラ、ディベラ、ストゥーン、ジュナール、オーキー、ショール。我々は神々が世界と同じように循環するものと理解しているので、現在の世界をもたらすために戦って死んだ、死した神々(ショールとストゥーン)、現在の循環を見守る炉の神々(カイネ、マーラ、ディベラ、ジュナール)、次の循環を先導する黄昏の神(アルドゥイン)をも記憶している。また、これに試練の神々と呼ばれる者たちも加わるが、彼らは崇拝の対象でなく、反対に彼らから炉を守るべきだと認識している。これにはオーキー、モーロッチ、ハルマ・モラが含まれる。

インペリアルが到着した時、彼らは南の宗教をもたらし、八大神の信仰と一体化させるための活動を行った。それ故に我々は、ソリチュードの美しい街を優雅に飾る、この素晴らしき神々への聖堂を手に入れることができた。我々は8人の神がいるという一般的な概念に多かれ少なかれ同意するが、極めて異なった観点で捉え、異なる名前で呼んでいる。我々の聖堂は現在の統治者の要求や要望に幾度となく適応し、もはや我々自身がルビーの玉座の恩恵を受けることはないにも関わらず、明らかにインペリアルの観念と習慣に馴染んできた。

恐らく、我々の最大の相違は神々の最上位に関連するものだろう。我々ノルドはカイネを神々の指導者と認識しており、インペリアルがアルドゥイン(彼らはアカトシュと呼ぶ)に魅了されていることを知って困惑し、やや不安を感じている。我々がアルドゥインを眠らせておくために弛まぬ努力を行っているのに、その一方で南の隣人たちは幾度となく彼の注意を引こうとしているのだ!私が聖堂での礼拝を毎回アルドゥイン(おお、偉大なる時の神よ!)を称える祈りで始め、その後に彼を寄せ付けないようにする祈り(その眠りが幾千もの世にわたり続かんことを!)を続けるのはそのためだ。

神々の歌The Song of Gods

カイネ、最後のキス
人類の母と呼ばれる
自らの聖なる嵐で踊り
鷹として飛べ、我らがカイネ

マーラ、愛の女神
その恩寵は我らを高め
聖なる花を祝福する
愛すべき狼の女神マーラ

ディベラ、芸術家の詩神
美の女神に世辞はいらない
この銀蛾に欠陥はない
麗しのディベラしか見えない

ストゥーン、身代金の鯨神
戦争の捕虜は彼の慰めを求める
盾と角笛が彼の宝
共に立て、公正なストゥーン

ジュナル、ルーンの賢神
輝く月の下で自由に飛ぶ
奇妙な夜の梟
共に飛べ、賢きジュナル

オーキーは全ての定命の者を試す
あらゆる争いを始めたがる
誰も逃れられぬ蛇
強きオーキーは誰にも騙せない

アルドゥイン、恐怖の世界を喰らう者
我らが恐れる事を行う
最初のドラゴンとして知られる
アルドゥインを崇めてはならぬ

聖なるスイートロールへの祈祷Holy Sweetroll Liturgy

聖なるスイートロールを称えよ!
フワフワ、ベタベタ、温かく甘い
聖なるスイートロールを称えよ!
おいしいごちそうを称えよ!

聖なるスイートロールを称えよ!
祝福されしシロップをかけられる
聖なるスイートロールを称えよ!
口の中がいっぱいで、称賛も叶わぬ!

聖なるスイートロールを称えよ!
黒檀の木箱に鎮座する
聖なるスイートロールを称えよ!
神聖な皿で供される

聖なるスイートロールを称えよ!
フワフワ、ベタベタ、温かく甘い
聖なるスイートロールを称えよ!
おいしいごちそうを称えよ!

西スカイリムへの案内:カーサルドGuide to Western Skyrim: Karthald

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国の案内を続けよう。今回は最も南の地が舞台となる。

このガイドが最初に書かれた時には存在しなかったカーサルドは、ハーフィンガルの南、ハイヤルマーチの西にある。この地域は5年前まで、リーチの支配下にあるとされていた。しかしはるか昔からノルドとリーチの人々はこの地域の所有権について激しく争ってきて、決定的に獲得できたものはいない。設立されたのは最近だが、ノルドは何世紀もこの地域で暮らしてきた。カーサルドは容赦のない尾根と広範囲な絶壁の土地、松の森を有している。こじんまりした風景には多くの驚くべき場所と、同時に秘められた危険が隠されている。

カースウォッチは権力の座だ。首長と民は西スカイリムの南の境界を管理しているようなもので、その任務は迫るリーチの民に対して守りを固めることだ。旅人に対しては親切だが、カースウォッチの人々は快適さを提供できることがほとんどなく、訪問者が集落に滞在する間耐えることになる、あらゆる不快な状況について言い訳をすることはない。厳密にいえばカースウォッチは街だが、住民は砦だと考えている。

オークの採掘集落であるモル・カズグールは、西の境界にある山の中にある。クランの土地を訪れる人々は、キャンプ内や周囲の土地がカーサルドに属していることについて言及しないよう助言する。たとえ法的にも論理的にも真実であったとしても。オークたちは彼らの領域がロスガーの主権を有する辺境の居留地で、オーク種の規則や習慣の支配下にあると考えることを好む。そのためこの地域への訪問者は、宿主を怒らせて仲間が怪我をする危険があるため、オークの礼儀作法や振る舞いについて十分把握しておくことをお勧めする。とは言え、モル・カズグールのオークはオルシニウムにいる彼らの同胞と変わりはない。強健で、熱心で、しきりに友情を求める人々だ。

著者注:全スカイリムと同様に、カーサルドには他にも旅人の安全が決して保障されない洞窟などの場所がある。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリムへの案内:ハーフィンガルGuide to Western Skyrim: Haafingar

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国は孤立主義や閉鎖的と評されているが、恐れを知らぬ旅人はこの地や住人との間で楽しみを数多く見出せる。このガイドに記された詳細は、このような感想を反映している。しかし、西スカイリムは無謀な旅人のための場所ではないことに注意しておくべきだろう。その地形は住民と同じように険しく、どちらも愚か者に容赦しない。

東スカイリムと同様に西スカイリムはいくつかの地域に分かれ、それぞれに首都があって支配する首長がいる。全員がその中で最も強い地であるソリチュードの首長に忠誠を誓い、その首長は上級王の冠を被る。

ハーフィンガルは北東にあり、山と凍った海岸線に覆われている。亡霊の海から不吉な風が吹きつけ、全てを骨まで凍えさせる。

ソリチュードは巨大な石のアーチにまたがり、首都と首長、上級王の居城の役割を果たしている。街は由緒正しく守りやすいドール城に見守られていて、その砦はこの街の初期の建造物である。ソリチュードには主要な地区が2つある。活気ある市場があるウェル地区と、アベニュー地区だ。建築学の学者ならアベニューで魅力ある家を数多く発見できるが、世俗的な娯楽を求める者はウェル地区を好むだろう。アベニューにはブルー・パレスも隣接している。ここは高位ノルド建築の優れた見本であり、上級王とも呼ばれる首長の居城でもある。また、街の中にはソリチュードを亡霊の海の上に持ち上げる壮観な石、アーチがあることも記載しておく。

ハーフィンガルの山中に建つキルクリース聖堂は、デイドラ公メリディアを祀った建造物だ。デイドラ公の崇拝は、タムリエルにおいてひいき目に見ても物議を醸す議題だが、その建築面での素晴らしさや落ち着いた環境はそれだけでこの聖堂を訪ねる価値があるものにしている。自ら進んで異端の会話に参加しようとする者は、キルクリース聖堂の司祭が温かくもてなし好きで、喜んで旅人に食料や暖かなベッドを提供することを知るだろう。秘密の儀式を行うために管理人が扉を閉じる、高き太陽と低き太陽の宴の間は、訪問を避けるよう注意してほしい。

ドラゴン・ブリッジは小規模なキャンプで、カース川沿いにある街はこの壮大な橋によって名付けられている。川をまたぐと切り出した石で作られた古代の道、ドラゴン・ブリッジがある。興味深いことに、その先端にはドラゴンの頭蓋骨が2つ設置してある。橋の石と頭蓋骨の石細工の細かな違いは、一部の学者をこれが石化した古代動物の実際の骨であるという結論に導いた。その他の学者はこの主張を空想的で馬鹿げていると嘲笑している。遺体であろうがなかろうが、頭蓋骨は何世紀も旅人の想像力を刺激してきた。これからの数世紀も間違いなくそうするだろう。

巨人の野営地はハーフィンガルの荒野全域に広がっている。定住している訳ではなく、放浪の巨人がその都度設営する。同じ場所を何度も使用する傾向にあるため、放棄された巨人の野営地の痕跡を見つけたら、再び使用される可能性は高い。これらの野営地に近づくことは無謀な試みだが、安全な距離からこの生物を観察できる機会を与えてくれる、興味深い冒険を提供する経験豊かなガイドを、数多く雇うことができる。

著者注:全スカイリムと同様に、ハーフィンガルには墓地と洞窟があり、放棄されているように見えるが、とても危険なことが多い。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリムへの案内:ハイヤルマーチGuide to Western Skyrim: Hjaalmarch

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国の案内を続けよう。今回は最も東の地が舞台となる。

西スカイリムのハイヤル川にちなんで名づけられたハイヤルマーチは、西の王国の中で最大の規模を誇っている。カース川とハイヤル川の河口で形成される広大な塩水の沼地、ドラークミールがこの地の中心だ。しばしば不気味な霧に覆われる大部分が無人の湿地帯には、一般に不吉とされているデスベルの花が群生している。湿地の探索は困難を伴うが、熱心な旅人なら発見や楽しみを数多く見出せるだろう。

ドラークミールの南東にある林業の街モーサルは、首長の権力の中心地として役割を果たしている。家は必然的に鉄柱の上に建てられ、沼地の上に安全な通路をもたらすための港でつながっている。ここの建物はノルドの粗削りな建築の見本だ。街への往復が大変な悪路であるため、モーサルの人々は旅人に不慣れかもしれないが、親切にもてなすこともできる。彼らの多くは塩沼で釣りや罠を使った漁で、魚を獲って生計を立てている。暖かい季節になると、棒で漕ぐはしけでソリチュードの港に木材が運ばれる。モーサルは隣接する墓地のために不可欠な目的地と考えられており、数少ない墓地の1つは今も、武装しない旅人が安全に探索できる場所となっている。

亡霊の海に隣接する氷棚は探検者や冒険者に人気の場所だが、安全に渡るためには適切な装備が必要とされる。時代が経つにつれて多くの船や大型船が氷に捉われ、残骸の多くが収集家や愛好家に、過去の時代の小装飾品やお土産を見つける機会を提供している。ほとんどのスカイリムの自然と同様、知識が豊富なガイドを雇うことは、氷盤を訪れたいと願う人々にとって不可欠だ。

ラビリンシアンはハイヤルマーチの南東にある、山の麓の丘で見られる巨大な墓地だ。とても危険で珍しい場所となっている。学者たちはこの施設が古代スカイリムの卑しむべき過去において竜教団の中心地だった、ブロムジュナールの街の遺跡であることを知っている。噂では遺跡の中に複雑で苛立つほどの迷路があると言われているが、その存在は信用に足る情報源による確認がなされていない。ラビリンシアンがハイヤルマーチにおける有名な史跡である以上、このリストに含める必要があったわけだが、ここはしばしば厄介な獣や悪しき人々に占拠されている場所である。避けるのが無難だ。

著者注:全スカイリムと同様に、ハイヤルマーチには他にも旅人の安全が決して保障されない洞窟などの場所がある。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリム周遊記Travels Around the Western Holds

漆黒の爪 著

殻の兄弟たちも、広大な北の旅へ一緒に来れば良かったのに!まあ、あの生温いギデオンの泥風呂に留まることを選択した彼らを非難しようとは思わない日もそれなりにあるが。どうやら西スカイリムと肌の乾いた住人どもはブラック・マーシュからの旅人に慣れていないようだ。とはいえ、東の隣人に対する態度に比べれば、我々のような者に対する接し方はずっと友好的なようだ。彼らは東の隣人のことを「ミルク飲み」と呼び、地面に唾を吐く。素晴らしい粘膜からの分泌物を無駄にするとは!

西スカイリムには氷と岩しかないと考えていた。だが、彼らが住む地に合わせて様々なものが見つけられる。たとえそれが、丸い舌を持たない者にとって厄介な名前だとしても。

西スカイリムを頭飾りとするなら、ハーフィンガルは頭蓋骨だ。頭飾りがあるかどうかは知らないが。亡霊の海から冷たい風が荒野に吹きつけ、多くが荒涼とした海岸線である。だが川と海が出会う場所に安全な港があり、そこにソリチュードの街がある。ハーフィンガルが頭飾りの頭蓋骨なら、ソリチュードは頭蓋骨の中のウシュル豆だ!ここは間違いなくノルドの考える大都会だ。花や香りのある虫がほとんどいない。くつろげる温かい泥もない。それでも、この者はタムリエル中で楽しんだ慰めを楽しんだ。港への密輸だ。どうやらここの人たちは、外部との開かれた貿易を推奨されていないようだ。

***
キャラバンと一緒にソリチュードからオルシニウムに向けて旅をするつもりだったが、ノルドの訛りに混乱してしまい、結局西スカイリムの別の場所へ向かう荷車に乗ってしまった。ここはハイヤルマーチと呼ばれている。

初めて見た時は、旅に出てから初めて故郷を出たことが悲しくなった!ここの湿原や沼地は雪に覆われているものの、ブラック・マーシュの悪臭を放つクアグマイアを思い出させる。まあ、ここにある湖上の住居や泥小屋は、故郷にあるものの薄っぺらな模造品でしかないが。それに、ここの連中は豊かな腐敗物からほんのわずかな生活の糧しか取り出さない!彼らは主に釣りや罠の猟で生活し、足元の海水に浸かっている発酵の元など考えもしない。私は「首都」であるモーサルの住民を教え導こうとしたが、有意義な時間ではなかった。残念だ。ずぶぬれの丸太小屋は、シロアリの幼虫の繁殖地にちょうど良いことに気づいた。いくつか乾燥させよう。これを書いているのは、村の子供たちにお菓子を作るためだ。

***
オルシニウムに行く計画は阻止されてしまったので、西スカイリムで3つ目の地を見るのも悪くないと考えた。カーサルドと呼ばれる場所だ。だが、ノルドはカースワステンと呼ばれる村について話している。ただでさえその2つについて混乱しているのに、間違える度にここの肌の乾いた者たちは、まるで骨の祝宴で歓喜の背骨を立てたかのようにこっちを見る。シシスよ、我を連れ去りたまえ!

凍える亡霊の海から遠く離れているため、ここは西スカイリムの中で最も穏やかな場所だ。だが険しい岩山が多く、計画的に植物を育てることは難しい。不毛であるにもかかわらず、この地は西スカイリムのノルドと南の棒を愛するリーチの民との戦場となっている。

私は時間を取って、ここの主要な街であるカースウォッチを見ることにした。彼らはカース川関連以外の名前を考えられないのだろうか?中心となる集落は印象的だった。石の断崖の上に建つ要塞のように配置されていて、その使命が南にいる西スカイリムの隣人を見張ることだと知った。カーサルドは最近卵から孵ったばかりで、聞いたところではできてから数年しか経っていないそうだ。その境界は地図で見るだけだが、ここにいる肌の乾いた者たちはこの土地を心から深く愛していて、いくつかのクランは何世代もここに住んでいる。確かに、故郷の地を守る役割にふさわしいと思える。

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明日、ようやくオルシニウムに向かうことを3度も確認した荷車に乗る。私が西スカイリムで過ごした時間は有益だったと言い切れないが、いい勉強になった。いつかギデオンの殻の兄弟に伝えるつもりだ!

青い憧れのリュートThe Lute of Blue Longing

この楽器は呪われた吟遊詩人グジャルドレッドのものだった。彼が東の王国の宮廷で演奏している時、女王がこの麗しい吟遊詩人に心を奪われた。冷酷にも、彼は女王を誘惑するために甘いバラッドを作曲した。彼に愛されていると信じ込んだ女王が衛兵を下がらせると、グジャルドレッドが部屋にやってきた。

夜明け前に彼の楽しみは終わり、この不実な吟遊詩人はこっそりと部屋を出て城から逃げ出した。無情にも欺かれたことに気づいた女王はグジャルドレッドに恐ろしい呪いをかけ、自ら命を絶った。彼は自らの裏切りの歌を歌わずにはいられぬようになり、リュートを手に取るといつでも女王の霊魂が姿を現すようになった。

このリュートで愛の歌を演奏すると、女王の霊魂が見られることがあると今も言われている。

喪心の嵐についてOn Harrowstorms

レイヴンウォッチ家のフェノリアン 著

このメモはいつか喪心の嵐とその背後にある魔法に関しての論文となるだろう。最終的に、発表できるような質に高める時間があればだが。

喪心の嵐はアイスリーチ魔術結社の魔法と、古代の吸血鬼の錬金術が融合して創り出された神秘的な天候現象だ。何の前触れもなく襲い掛かり、去った跡には死を残していく。私はこの超自然的な嵐が残した惨状を見た。引き起こされた力はその内部に捕らわれた生者を殺すか、我々が喪心者と呼ぶようになった、ほぼ心を持たない抜け殻にできる。だが、中には現在我々が喪心鬼と呼ぶ、新種の野生化した吸血鬼になる者もいる。もちろん、嵐に捕らわれた者全てがこうした苦痛を受けるわけではないが、誰が死に、誰が変化し、誰が無傷でいられるのか、その理由をまだ特定できていない。

この現象を研究する中でほぼ確信を持って言えることは、喪心の嵐がある種のリーチの魔法の儀式によって創り出されることだ。儀式では集中し魔法を解き放つための儀式的な詠唱に加えて、ある種の呪物やトーテム、錬金術の調合薬など、様々なアルケインの材料を使用する。

結果として生じる災いは喪心の嵐の最終的な目的なのか、あるいはより陰湿な目的の副産物に過ぎないのかはまだ分かっていない。また、この超自然的な事象の背後にいるのが何者なのかも、確かには分かっていない。嵐が犠牲者を殺害し変化させる方法と、犠牲者が奪われたものを回復させる方法があるのかどうかについては、さらなる研究を要する。時が来れば分かるだろう。

捜査官ヴェイルとしらふのノルドInvestigator Vale and the Sober Nord

「私の評判を賭けてもいいけど、これは毒よ」と捜査官ヴェイルは言った。

「彼は絶対に、夜を通して一切飲まなかった!何かを食べるのも見てない」と、〈寂しいトロール〉のバーテンダーがそわそわした様子でタオルを絞りながら言った。「だが、恐れているように見えた。ビクついていたな」。

捜査官ヴェイルは、かつて活気があった酒場の床に横たわるノルドの男のそばに立って見下ろした。夜の間に男が倒れて死んだ時、その場にいた多くの者が立ち去った。しかし死体の見えない、店の隅にいた常連たちは飲み続けていた。

平均的なノルドのハチミツ酒への関心は、尊敬すべきものがあるとヴェイルは考えた。

「おかしいわね。食べも飲みもしなかったなら、彼はここで何をしていたの?それに、どうやって毒を盛られたの?」

魅力的な衛兵隊長が胸の前で腕を組み、眉をひそめて言った。「酒場でしらふのノルドか。いつも問題を起こすわね」

ヴェイルは微笑んだ。「同感よ、アエジャ隊長」

捜査官ヴェイルは警告すらせずに仕切りから出ると、残っている客の中を進んで行った。アエジャ隊長は急いで彼女の後を追った。彼女はとても背が高かったが、酒場に残った集団を進む、素早く美しい体つきの私立探偵についていくのは至難の業だった。

「捜査官、どこへ行くの?」

ヴェイルは酒場の奥に押し込まれているテーブルに、肩に乗っているペットのサソリ以外には連れもなく、一人で座るハンサムな男の前で止まった。2人の女性が近づくと男はにっこり笑い、手にしたジョッキを掲げて見せた。

「やあ、お嬢さん!どうして麗しい女性が2人も、このテーブルにお越しくださったのかな?」

捜査官ヴェイルは狡猾な笑顔を浮かべ、男の隣の席に滑り込んだ。「あなたのジョッキが満杯だって気づいたの」

男の表情が揺らぐことはなかった。ヴェイルの予想通りに。彼が上手い役者か、あるいは彼女の勘が間違っていたか。だが、彼女の勘は滅多に外れることがなかった。

「こいつを飲み干すのを手伝いたいって?」と男は眉毛を動かしながら言った。

ヴェイルが横で体を強張らせているアエジャを見ると、彼女の手は鞘に収めた剣の柄頭を握りしめていた。この若い隊長は、誰かを守ろうとしている時の方が魅力的だ。だが、そのための時間は後で取れるはずだ。

「いいえ。ただどうして遠慮しているのか興味があっただけ」と彼女は微笑みながら言った。

男は微妙な動作でローブの袖を整えた。「男には酒をじっくり楽しみたい時もあるのさ。それが罪なのか?」

「いいえ、全然」ヴェイルは落ち着き払って言った。「もちろん、自分の仕事の成果が首尾良く行くかどうか、混雑した酒場で見届けるためにしらふでいたんじゃなければね」

「これは途方もない言いがかりだ」男はせせら笑った。「うろうろ歩き回って、飲んでない奴を片っ端から殺人犯呼ばわりするのはやめてくれ」

「そうね。でも、危険なアズールスコーピオンを連れている人を、殺人犯として告発することはできるわ」

「ザレヤは誰も傷つけなんかしない」と男は抗議した。

「確かに、自分の意思ではね」とヴェイルは言った。「でも、その特殊なサソリは家畜化されてる。指示されれば主人の命令を聞くわ」

男は目を細めて言った。「証拠がないだろう!」

捜査官はほっそりとした手を差し出した。彼女の目が危険に光った。「なら、彼女に私を刺させて」

アエジャ隊長が妨げた。「なんですって?捜査官、だめよ!」

「あの大きさの男を殺すなら、かわいいザレヤちゃんは全部と言わないまでも、かなり消費してるはずよ。毒をね。それを回復するには時間が必要。だから私が正しいなら、完璧に安全なはずよ」

隊長はじっと勇敢な捜査官を見つめたが、最後にはその視線を男の方に向けた。「そうね。じゃ、結果を見ましょう」

男の表情は変わらなかったが、捜査官ヴェイルは目の中に怒りがはじけているのを見た。サソリを摘まみ上げ、待ち構えている捜査官の手に置くと、男の顎の筋肉がビクッと動いた。彼が静かな舌打ちを鳴らすと、サソリの尾がヴェイルの掌に突き刺さった。

ほぼ同時に、男が立ち上がり、逃げ出そうとした。捜査官ヴェイルは落ち着いて立ち、静かにサソリをあやしていたが、巧みに脇へ寄ってアエジャ隊長に場所を開けた。この背の高い衛兵が男を激しく突き飛ばして椅子に戻すと、椅子は後ろに倒れ、男は床に倒れた。慌てて立ち上がる前にアエジャ隊長は剣を抜き、喉元に突き付けた。

捜査官ヴェイルは微笑み、繊細な指でサソリを撫でた。「まあ、あなたって本当に勇気があるのね、ザレヤ?」

「捜査官、大丈夫?」と隊長が尋ねた。

「絶好調よ」とヴェイルは答えた。

「一体どういう女なんだ、お前は?」男が息を詰まらせながら言った。「痛みに膝をつくはずだったのに!」

「私は本当に特別な状況でしか膝をつかないの」ヴェイルは澄ました顔で言うと、サソリを手からテーブルの上に這わせた。「特別な状況と言えばね、アエジャ隊長。ここの仕事が終わったら、ぜひあなたに一杯おごらせて欲しい」

魅力的な衛兵は頬を赤らめ、笑顔を隠そうとしたがうまくいかなかった。「仰せのままに、捜査官」

「でも」捜査官ヴェイルはウィンクしながら言った。「違う酒場を選んだほうがいいかもしれないわね」

蒼白の紳士The Pale Man

よそ者が訪ねてきた
亡霊のようにやつれていた
無言で、火の側で震えていた
その者は深刻な顔で絞り出した
ほとんど聞こえない、ひどく虚ろな声
言葉の少ない、警告の呟き

蒼白の紳士が来る
冷たい風と暗い雲の日に
蒼白の紳士が来る
愛する人を奪うために
蒼白の紳士が来る

警告が発せられて間もなく
初雪が大地に降り注いだ
風の唸り声に心は怯え
陰る陽光に祈りを唱えた
扉を閉じて夜を締め出し
体を寄せ合って相談した

蒼白の紳士が来る
雪の外套に身を包んで
蒼白の紳士が来る
その手は骨まで凍えさせる
蒼白の紳士が来る

恐るべき嵐が止むと
体を伸ばして夜明けを待った
休むわけにはいかぬと
招かれざる客を待ちながら
剣を固く握り
盾の揺れる音にも耳を澄ませた

蒼白の紳士が来る
幽霊のように通り過ぎて
蒼白の紳士が来る
後も残さず消えていく

ついに夜は終わった
予告された訪問もなく
警戒が解け始めた時
私はよそ者がいた場所を見やった
だがどこにもいなかった
残っていたのは、冷たい輝きだけ

太ったレッカ(発掘)Lekka the Corpulent (Exhumed)

太ったレッカ

ヒストのように老いた

マークマイアの母

我らが習わしの学者

心臓発作により死す

嘆きの笛Highmourn Dizi

アカヴィリ様式のフルート。前アカヴィリ最高顧問サヴィリエン・チョラックの葬送で演奏された楽器だ。

この笛が演奏され、悲し気ないつまでも忘れられない音色を耳にすると、アカヴィリの忠実な参列者は遠く離れた故郷の声を聴いて泣き伏したと言われている。アカヴィリではない者さえ、その死を悼む切ない音調には心を動かされた。中にはアカヴィリ以上に感動していた者もいたようだ。

長き炎Long Fire

このタンブラーはヨクダの芸術を代表しているものだ。この楽器は、フランダー・フンディングのハンマーフェル遠征軍にいたソードシンガーの持ち物だったと考えられている。

伝承によればヨクダの吟遊詩人は、自分の楽器を神聖で神の霊魂が宿っていると見なしていた。長き炎との名は砂漠の中央で吟遊詩人が仲間と集まり、星とわずかに燃える火に照らされながら失われた故郷の曲を演奏する、静かな夜に由来する。

鳥の歌を求める者Seeks-Birdsong

ストームヘヴンの鳥の歌を求める者

焼けて死す

とても若く、痛ましい

我らの元を訪ねし

信仰の伝道師

灰となって別れた

入場の言葉Words of Entry

墓地の番人と従僕へ

私の研究所の利用は引き続き制限される。そのため、私は誤って広間に迷い込んだ配下を妨げるため、入場方法を再設定した。

扉を探している時は、この簡単な語句を心に思い浮かべなさい:「我らは再び立ち上がる」

後は自分で察することができると私は信じている。もしそうでないなら、最初から私の研究所に用はないはずよ。

レディ・エッセニア

秘儀の入口The Mysterium’s Threshold

カイネは優しかったようだな!ハッ!火は温かい。お前はどんどん温かくなっている!

全ての扉はどこかに通じる、だがどこにも通じぬ扉がある
右の力は正義だとも言うが、正義が誤ることもある
左に残された者の、右の権利を試せ。しかし長くは続かない
一番左のセレクションが、コレクションに通じるかもしれない
だが三番目は惨番目となる

さあ、飛び込んで行け!猫のように跳躍せよ。猫のように信じれば、安全に着地できるだろう!

標的リストList of Targets

下記の鉱山労働者は最近の仕事ぶりが芳しくなく、もし消えても惜しまれることもない者たちだ。彼らが好ましい提供者であることを祈る。素早く彼らに死をもたらしてくれ。必要以上に苦しんで欲しくない。

アドリッド:過剰な飲酒、秩序を乱す振る舞い
ドレヴァ:食堂からの窃盗
ホロルド:怠惰で、人の半分しか働かない

注意:鉱山労働者たちは失踪に対して不安を募らせ始めている。間隔は開けば開くほどありがたい。我々の協定の噂がエレの耳に入っては困るんだ。妻が俺の関与を知ったら、互いにとってまずい結果になるだろう。

監督官ウールヴァル

不明(発掘)Unknown (Exhumed)

不明

行商人

盗賊により刺される

スカイリムに生まれし

賢き老女

怖がりの小さなスノーモスScared Little Snow Moth

怖がりの小さなスノーモスは怯えるのが嫌だった。友達のように勇敢になりたかったのに、彼女はあまりにも簡単に怯えてしまうのだった。怖がりの小さなスノーモスにとって、世界はとても大きく恐ろしい場所だった。彼女はできる限り外に出ることを避けていた。

だがある日、彼女は食べ物を求めて居心地の良い木を離れた。それは寒く、風の激しい日だった。怖がりの小さなスノーモスは、雪や羽に吹き付ける冷たい風は気にしなかったが、吹雪の中に潜んでいるものが怖かった。彼女は怪物と鉢合わせしたくなかった。

彼女が飛んでいると、雪の中に輝く光が見えた。恐ろしい怪物の目かもしれないと考えたが、近づいてみるとただの小さなホタルだと分かった。

意地悪なホタル爺さんはクワマー鉱山での冒険にうんざりしていた。彼ははるばる旅をして雪と氷に覆われた土地までやってきたが、とてもつまらない場所だったのだ。そんな時、彼は怖がりの小さなスノーモスを見つけた。きらめく雪の結晶と共に浮かぶ彼女を見た時、彼の心に邪な考えが湧き出た。

「やあ、小さなスノーモス」とホタルが叫ぶと、その声はまるで寒さの中の炎のように飛び出した。「こんな嵐の中で何をしているんだ?」

「お腹が空いてるの」と怖がりの小さなスノーモスは小さな声で言いました。「面倒は嫌よ」

「お腹が空いてるなら、向こうにある洞窟を探検してごらん」とホタルは声をあげました。「おいしい食べ物がいっぱいだよ!」

そこは安全そうに見えなかった。というより、ひどく危険そうに見えた!彼女は食べ物を集められる、もっとずっと怖くない場所を知っていた。

「さあ、ほら」ホタルは言った。「そばにいて何も起こらないようにしてあげるから。おいしいごちそうが欲しくないのか?」

怖がりの小さなスノーモスは長い間そのことについて考えた。彼女はとても怖がっていたけれど、愚かではなかった。

「そんなの信じない」と彼女は言った。「あなたはただ私を洞窟に行かせて、怪我をさせたいだけでしょ」

「怪我じゃない、ただ食べられるだけさ!誰かがあんたをごちそうにするところを見物できたらいいなと思ったんだよ、小さなスノーモス」

「また今度ね、ホタルさん」と怖がりの小さなスノーモスはそれまでより少しだけ大きな声で言った。「怖すぎて食べられるなんて無理」

「それなら仕方ないな、小さなスノーモス。さようなら」とホタルは声を上げた。

そして、怖がりの小さなスノーモスは雪の中を羽が体を運べる限り早く飛んで、ホタルを残して去って行った。彼女は他の誰とも口をきかなかった。食べ物を集めるとすぐ、彼女は急いで居心地の良い木に戻り、安全だと分かっている木の皮の上でうずくまった。

北の伝承の怪物Monsters of Northern Folklore

インペリアルの歴史家、ミネルヴァ・カロ 著

迷信を調べれば、民について多くのことを学べる。古代の恐怖は根が深い。大切な伝統や、歴史的な敵意よりも深いのである。怖いものがあると認めるノルドは少ないが、私は北方人がかなりの高確率で取り乱す話題を発見した。それは「雪の亡霊」である。最初はアイスレイスかウィスプマザーを指す言葉だと思っていたが、この「雪の亡霊」はそうした怪物と一切似ていなかった。「ボーグル」、「リークル・キン」、「地響きマント」などとも呼ばれるこの怪物には、羊飼いも交易商も悩まされている。家畜を盗み、旅商人の寝込みを襲い、地下室を有毒のスライムで台無しにする。私はモーサルとソリチュードで以下の証言を集めた。虚構から事実を見分ける作業は、親愛なる読者に任せよう。

モーサルの魚売りボンベッタは以下のように述べている:「そうよ!あのスキャンプどもは何度も見てる!港をうろついてたのさ。うちの網を奪って、魚を掻きだしやがった。奴らは月のない夜にしか出てこないんだよ。だからちゃんと見えないんだ。あたしの目も昔に比べれば衰えたけど、エルフみたいな鋭い耳をしてるように見えたね。ゴブリンみたいに背中を曲げてさ、肌の色は死んだ鱒の腹みたいだったよ。つまり真っ白さ。うちの主人は追い払おうとしたけど、あいつらはすばしっこくてね。それに最近じゃ、ラルミグの膝は、枯れた松の木みたいに軋るんだ。でもそれでよかったよ。聞くところじゃ、あいつらは男を見たら殺すっていうからね」

私はドラゴン・ブリッジの近くで、この生物に対する嫌悪を隠せない羊飼いに出会った。乾燥したキルニルの根を噛みながら、しばしば拳を震わせていた。素性は明かさないでくれと彼は言った。「この世から消えてもらいたいね、あんな連中は!昔は人生で何度か耳にする程度の存在だった。今じゃあいつらはここ半年だけでも、一番いい牛を3頭も奪っていった。もう一瞬たりとも気が休まらないよ。マンモスと牧草地の奪い合いをするだけでも大変だっていうのに。今じゃ朝から晩まで、あの地響きマントが俺の家畜を切り刻むんじゃないかと気をもんでいるんだ。兄弟は黒革の服を着た牛泥棒だろうと言うが、俺は見たんだ。あんなに背中の曲がったノルドはいない。それにあいつらの着てる服ときたら…あんなの見たことないぞ。まるで、モーサルの近くでたまに見る洞窟虫から削り出したみたいな服だ。今度ソリチュードに行ったらいい弓を手に入れて、牛泥棒どもの眉間を射抜いてやる」

吟遊詩人の大学出身で、意外なほど好感の持てるダークエルフのギルゼ・ティスターは、こうした証言が地域の迷信でしかないと一蹴している。「ノルドってのはそういう人たちなの。本当にあいつらは、不幸が起きれば何だって変な獣や外国人のせいにするんだから。この間なんか商人が目まで青白くなって、自分の犬に“エルフの呪い”をかけただろうって私を非難したのよ。何なのそれ?それに、私とそいつの犬に何の関係があるの?全く馬鹿げてるわ。まあでも、馬鹿げた話は愉快な詩になる!ちょうど昨日の夜、私は5つ目のトロールについてのお芝居を書いたの。最後のオチなんて爆笑間違いなしよ」

私はカースウォッチでおかしな目をした浮浪者に出会ったが、彼は両手をぶんぶん振り回しながら、全く途方もない証言をした。「あいつらはエルフだ!スノーエルフだよ!あいつらは…ゴブリンとか、リークルとか言われてるけどな!リークルだと!冗談じゃねえぜ。へっ、俺は見たんだ。この目でしっかりとな。あいつらは一番色の白いノルドよりも青白く、尖った耳とコウモリみたいな鼻をしてる!“エルフにコウモリみたいな鼻はないだろう”と言うんだろう!違うんだなそれが。全然違う!イスグラモルは他のエルフと区別するために奴らの鼻を切り落として、虫みたいに地下へ追いやったんだ。奴らは洞窟暮らしで太陽を浴びないから、今じゃ全員背中が曲がってる!そして奴らは戻ってくる!本当だぜ!あいつらはスカイリムを取り戻そうとしてるんだ。叫びの夜みたいにな。油断するなよ!油断しちゃいかん!」

現実にせよ想像の産物にせよ、この生物はノルドの伝承の興味深い側面を見せてくれる。またこれは古代の亡霊物語が、今日においても北方人を悩ませている完璧な実例である!

勇敢な魂と健全な肉体を求むSeeking Brave Souls and Able Bodies

多くの問題が西スカイリムを悩ませています。ハーフィンガル、ハイヤルマーチ、カーサルドの民の利益のため、ゴールドと栄光を求めて命と肉体を自ら危険に晒す、勇気ある人々を求めています。

詳しくはソリチュードの貸し手シルグレットまで

雷の王King Thunder

オーシマーの典型的な太鼓、雷の王はその低音と大音量の双方で知られている。この祝賀と戦争の際に贈られるオークの太鼓は、彼らの戦争じみた儀式の基盤をなすものとして、複雑なリズムを生み出す。

この太鼓はオルシニウムが包囲している間は隠されていて、後にファルクリースのヤシュナグ・グロー・ヤズグ要塞のものとなった。太鼓はハックヴィルド首長により、ヤシュナグ族長と勇者たちの勝利を記念して大学に贈られた。

狼の塔The Tower of the Wolf

ソリチュードの石工による概説より

愛する祖国の建築とスタイルについて、最初の資料から更新する機会はあまりなかった。。そして今、私の羽ペンは好奇心に震えている。私の人生において5つ目の補遺を加えられるからだ。それもドール城のような、建築の模範例に関するものを!
私の概説の忠実な読者は主砦、スヴァートルの塔、神々の聖堂、ソリチュードの地平線まで塞ぐ城壁についてよく知っていることだろう。我らの上級王スヴァーグリムは、この石の拳に指を付け加えることが適切だと考えた。今までで最も野心的な案で、建設が始まってから1年も経っていないが、もう完成に近い状態となっている。

この新たな巨大建築は「狼の塔」と呼ばれ、ソリチュードの紋章を飾る高貴な獣にちなんで名づけられている。何と壮観なことか。天を高く押し上げ、スヴァートルの塔さえも小さく見せている!この城の建築に元々使用された石を供給した採石場が、狼の塔の建設にも石を供給できたのはとても嬉しい。資源が枯渇しているという報告は、どうやら事実無根のようだ。

狼の塔の素晴らしい建築について考察するつもりで胸を高鳴らせていたが、残念ながらそれはできない。現在作業を行っている者以外、塔への入場は全て拒否されている。私は研究範囲を示してブルー・パレスに特例を願い出たが、役人どもは拒絶したのだ。私はひるまずに請願を続けたが、どこぞの名もなき小役人からではなく、上級王その人からの返事を受け取った衝撃はご想像いただけるだろう!

「偽王ジョルンが詮索している現状では、狼の塔の内部について秘密を保たねばならない」。上級王スヴァーグリムはこのように書いていた。塔は軍事的に重要なものであり、上級王の実際的な理論を否定することはできなかった。だが、まだ希望はある。「私がこの書状を書いている今も、塔は完成に近づいている」。上級王スヴァーグリムはこう続けた。「完成した暁には、我々の民にとってこの巨大建築物がどのような成果となるか、ソリチュードの人々も理解するだろう」

我々に必要なのは待つことだけだ、忠実なる読者諸君!

西スカイリムの記録

Western Skyrim Register

あの人形についてAbout That Doll

ヴァルドロルド

人形についてだが…ドラゴンの家から放り出してくれ。崖の上から蹴とばそうが、私の知ったことではない。あの惨めな女は我々に挑戦するため、勇気の枯れ草を腹に詰めて永遠の時を過ごすだろう。君があれをどうしようと私は本当に構わない。とにかく私の目に入る場所から排除してくれ。

我々の物資の供給経路については、もっと注意する必要がある。それに人の目や耳はあらゆるところにあることを忘れるな。誰一人としてドラゴンの家に連れて行くような危険を冒してはならない。我々が真の脅威となるために十分な強さを得るまで、影の中に潜むことが確実に成功する唯一の道だ。

イルムへの手紙Letter to Irm

愛しいイルム

今日、高きイングフレドから新しい仕事を得たの。だからもう少しここにいるわ。調査していない洞窟から鉱石サンプルを探して欲しいと頼まれたの。ついて来られないように注意しなければならなかった。彼は「偶然」ここで私に会うことを望んでいたみたいね。あのスキーヴァー。彼と恋煩いのケルバーンの間で注目を集めすぎてしまった。まるで彼らが、私をいやらしい目で見ていることに気づかなかったように。でも、あなただけを見ているからね?

とにかく、いいサンプルを見つけたわ。届けるためダスクタウンに戻る。いくつか仕事をした後で地上に向かう。運が良ければもう1週間か2週間で、一緒に寝られるわよ!

あなたのイングヤ

追伸 髪を切らないでね!あの柔らかい手触りが大好きなの。

イングフレドの作業命令Ingfred’s Work Order

トカゲ

そろそろ探鉱を学ぶべきだ。

話をした地域に行ってくれ。もし何か有望そうなものを見つけたら、サンプルを採取してダスクタウンの私のところへ持って来て欲しい。それぞれサンプルの採取場所を忘れるな!ボーナスは良い貴金層を見つけた者のものだ。運が良ければ、この場所から出ていく手段を買えるかもしれない。

高きイングフレド

くすねられた毒Pilfered Poison

お前が私の物を盗んだ哀れな輩なら、惨めな人生の終わりへようこそ!毒の効果は素早い。俺はただの漁師かもしれないが、卑劣な盗賊の殺し方ぐらいは知っている!

そして、あなたがここにある私のささやかな罠で窒息した不運な臆病者でないなら、このメモをモーサルの港に持って来てくれ。私の物を盗んだ人間か、他の何かについて情報があれば金を払おう!

アングラー

クラウディナ・イルデーンの仕事The Exploits of Miss Claudina Ildene

フィービ・ペロナード 著

偉大なるクラウディナ・イルデーンの仕事を見学するのは、とても興味深くためになる経験だ。彼女自身が自分の業績について多くの話を書き記しているが、その職業の真の秘訣を明かしてはいないように思える。もちろん、クラウディナは虚飾を好む人ではない。彼女は事実だけを記す。それはそれで興味深いものだ。だが彼女は、自分の手法の本当の驚異をあまり考慮していない。驚くべき偉業をいともたやすくやってのける、彼女の才能がいかに美しいことか!この文書で、私はクラウディナの偉大さを語ってみようと思う。

呪われた馬屋事件
最近、クラウディナと私はウィンドヘルムに呼ばれ、ある家族の馬屋についての悩みを聞いた。彼らは馬のいるところで奇妙なものが見え、騒音が聞こえて馬が落ち着かないと述べた。ある年長の兄弟の1人は幽霊を見たと主張した。幽霊は何かを伝えようとしていたが、意味は分からなかったという。

クラウディナはすぐこの事件に取り掛かった。彼女は馬屋の周囲に結界を設置し、それぞれの仕切りに香りのついた塩をまいた。馬は喜ばなかったが、我慢してもらった。数時間経過したが、何も起こらなかった。家族は眠りに着いたが、クラウディナは起きて見張っていた。彼女は何時間も馬屋を見張った。無言で、ただ観察していた。私もこの体験には興奮していたが、それでも疲労に耐えられなくなった。目を開けているのも辛かった!だがクラウディナは身じろぎもしなかった。彼女は石像のように監視を続けたのだ。

そしてついに!周りから囁き声が聞こえてきた。空中に光の揺らぎが現れ始めた。霊魂がクラウディナの結界にかかったのだ。霊魂はおぞましい咆哮をあげ、私は(恥ずかしながら)子供のように泣き叫んだ。クラウディナは当然ながら取り乱した様子もなく、立って亡霊に挨拶した。彼女は命令するような低い声で「目的を教えなさい」と言った。

霊魂は男の姿に変化したが、その衣服は大昔のものだった。彼は私たちがいて都合が悪いとでもいうように、当惑した様子だった。言葉を話すとは思っていなかったが、彼は口を開くと実によく通る声でこう答えた。「ずっと伝えようとしていたんだ!あの連中が、私の墓の上にこの馬屋を建てたことを!」
クラウディナは霊魂と長く話していた。会話を全て書き写すのはとても無理だったが、気の短い客が冷静な商人と話し合う様子によく似ていた。クラウディナは霊魂の心配事に耳を傾け、適切なタイミングでうなずき返し、いくつか質問をした。

それで終わりだった!霊魂の相手を済ませると、クラウディナは家族と話し合い、馬屋を別の場所に建てるよう言った。彼らは幽霊の問題が平和的に片づいたことに喜び、すぐ作業に取り掛かった。これは言っておく必要があると思うが、家族はクラウディナに、仕事の報酬としてかなりの大金を払うと言ったが彼女は断った。私がそのことについて尋ねると、「あの人たちは金持ちじゃなかったし、私も大したことをしたわけじゃない。簡単な仕事だった。ゴールドは彼らが持っていたほうがいいわ」

クラウディナのメモClaudina’s Notes

以下の場所で、奇妙かつ霊的な活動の可能性に関する報告が民から寄せられている:

– 街の北にある洞窟は祟られていると噂されている。洞窟から奇妙な音が発せられており、数名の住人が彼らの言う「冷たい風」が吹いているのを感じている。

– ある鉱山労働者が水辺での昼食を恐怖により中断された。流れのゴボゴボという音に混ざって、得体のしれない声が叫んでいるのが聞こえたという。その声は「お前は終わりだ」か「私も欲しい」と言っていたようだと説明している。当人は昼食を共にすることを恐れ、その場を離れた。

– 鉱山労働者グルモグは晩に何杯か飲んだ後で帰宅する途中、幽霊のような力で押され、橋から下の水に落とされたと主張している。グルモグの誰もが知る習慣を考慮すると、この件で唯一不思議な点は、このような事件がもっと起きないことだと住民は考えているようだ。いずれにせよ、引き続き調査する。

– 山の尾根に沿って浮かぶ光が目撃されている。付近の光るキノコが発する光だろうか?それとも霊魂か?調査する。

ケルバーンの作業リストKelbarn’s To-Do List

今日の目標

採掘サンプルを見つけて、ダスクタウンにいる高きイングフレドに持って行く。

イングヤへの詩を完成させる

ブラックリーチの奥深く
お前は私の心を盗んだ
そして私は…

    奥へと叫ぶ?
    あなたの桃をもぐ?
    深く願う?

これを見つけた親切な方へTo the Kind Stranger Who Finds This

この者はどうかお願いしたい。

この近くで採掘サンプルが入った袋を見つけて…それをダスクタウンにいる高きイングフレドに届けて欲しい。

彼は質問するだろう。過去の影があまりにも近づいていると伝えて欲しい。彼がアダンズダに会うことはもうない。
この者はもう行かなくてはならない。

彼に皿を洗うよう伝えて。彼にはわかるはずよ。

シャウラスの歌Chaurus Chant

カチ、カチ、カチャリ
シャウラスが襲いかかる

カチ、カチ、カチャリ
速やかに殺してほしい

カチ、カチ、カチャリ
暗闇から飛び出してくる

カチ、カチ、カチャリ
もっと大きな棒があれば

カチ、カチ、カチャリ
これで虫の餌になる

すべての古遺物収集家に告ぐ!Calling All Antiquarians!

あなたは古遺物に情熱を注いでいますか?古代の遺物に心が躍りますか?寝るのも忘れるほど文化や歴史に惹かれていますか?手を汚す作業は好きですか?

古遺物収集家協会は胸躍る新たな機会のために、有能な学者、考古学者、探検家を求めています。

世界を見よう!忘れられた遺物を取り戻そう!古代の謎を解こう!土から何かを掘り出そう!

該当する方は、ソリチュードにあるグウィリム大学北支部にいるヴェリタ・ヌミダまでご連絡ください。歴史に名を刻みましょう!

レジナス・ブーカ

(補遺:高い教養と秘術に対する生来の才能を持つ方のみ応募してください。私の時間を無駄にしないように。 -V.N.)

ドービンへの手紙Letter to Dorbin

ドービン

この緊急任務を引き受けてくれてありがとう。成功したら大学はこの恩を忘れることはないだろう。

渡した手付金が十分であることを祈っている。ソリチュードの吟遊詩人の大学にいる私のところに顔を出して変装を受け取ってくれ。それから、できる限り目立たないようにお願いする。

レイボーン

ドラウグルと竜教団Draugr and the Dragon Cult

竜教団の歴史家、スコルンヴィニル・キルンド 著

竜教団の古代の信者と、その司祭の関係について詳述した小さな書物がある。多くの人がこのつながりの深さについて理解しようと試みてきたが、結局は真の犠牲を痛ましいほど過小評価するに至るのみだった。

長く忘れられた竜教団の墓の広間をさまようドラウグルは、単なる足元のおぼつかぬ心ない獣を大きく超える存在である。彼らは我々の最強の守護者だ。全てを竜教団にささげた者は、ドラゴンプリーストへの奉仕に永遠を費やす者なのだ。彼らの崇拝が尽きることはなく、今もなお続いている。我らの祖先の敗北から長く。このことは励みになるはずだ。これはスカイリム全体が、竜教団を単なる遠い昔の記憶だと考えている証だ。我々の存在が実際に嗅ぎつけられることはない。

ドラゴンは我々の司祭に永遠の命を約束した。ドラウグルは礼拝する忠実な従者であり、司祭の死後も彼らを支える。毎夜彼らは目を覚まし、畏敬される司祭に力を移す儀式を行い、もう一度眠りにつく。永遠なる守護者。時間にも環境にも止められない、最も純粋な礼拝。

我々はドラウグルを愛しむべきだ。我々の最も名誉ある兄弟なのだ。

ネルフセアの警告Nelfthea’s Warning

隊長!沿岸に向かってくる船がある。見たことのない大きさだ。ランプは消えているが、欠けたところはない。襲撃だ!出られる者を連れて阻止に向かうが、他の者の援護も必要になる。できるだけ早く。

ネルフセア

ヘイルナの日記Heiruna’s Journal

旅の間に偶然出会えるだろうと考えていたさまざまな集団の中で、想定さえしていなかったのが竜教団よ。これは全くもって馬鹿げている。そこまで妄想するのは不可能だったと考える者もあるでしょう。しかし、結果は極めて明白ね。

私は彼らを隠れ家らしきものまで追跡した。彼らはそれを「ドラゴンの家」と呼んでいるが、見た目としてそう大したものではない。彼らはかつて強大だった勢力の屍のような場所に暮らしているが、彼ら自身も屍でしか有り得ない。仮に私がドラゴンの召喚を検討するほどイカれていたら、間違いなくもう少し陰鬱でない場所で実行するでしょう。実際のところ、そのような召喚に必要とされる機知や力を持ち合わせているかどうかはとても疑わしいと考えている。しかし、それでも彼らの理想は危険よ。

少なくとも、私があの馬鹿どもを排除することを戒める者はいないでしょう。過去に自分で法を執行することで様々な悪影響を被ってきたけど、これは別問題よ。芽生えたばかりの竜教団を虐殺する?ほとんど英雄になってしまうじゃない。

モル・カズグールの歴史A History of Mor Khazgur

歴史家、カレナ・エスムリー 著

モル・カズグールのオークは、オークととしても特に気難しい人々である。この情報を編纂するのは簡単ではなかった。我慢強い鉱山労働者が何人か、私の質問攻めを少々の苛立ちと脅迫だけで済ませてくれなかったら、この記述が可能になることはなかっただろう。

ロスガーを去って以降、モル・カズグールのクランを創設したオークは豊かな鉱山を見つけ、そこに身を落ち着けることにした。当初、鉱山は自給自足できていた。この場所には資源があふれ、オークは定住して生活を軌道に乗せた。彼らは鉱山の周囲に居住地を築き、栄えた。

現在の鉱山の監督官サルスグレグは、長い指導者の家系に連なる人物である。サルスグレグの祖父と父親は、クランの族長を務めていた。彼らは鉱山自体が栄えていた、いわば黄金時代にクランを導いた。クランはかなりの成功を収め、オルシニウムと分断されても快適な生活を送れた。

サルスグレグが父親から鉱山を相続するのは当然のことだと考えられていた。彼がその前に結婚していたことを考えると、奇妙ではある。このクランは伝統に忠実と言えないが、それでもこのことは私を驚かせた。

サルスグレグにとっては不運なことに、父が族長を受け渡す準備を整え始めた頃、モル・カズグールの鉱山は枯渇した。完全な枯渇ではないが、没落は急激だった。かつて栄えたクランは突如として、死滅の危機に立たされたのである。鉱山が枯渇すれば、彼らには何も残らない。

幸運にも、新しい族長が頭角を現した。若く力強いウルジクというオークが、族長の座を求めてサルスグレグに挑んだのである。彼女は勝利し、クランにかつての栄光を取り戻させるため、新しい採掘手法を即座に導入した。

ラシルの日記のページRasir’s Journal Page

今回はいいところまで来ている。感染源が見つかっていないのがとてももどかしい。何かが食べ物に混入したか?水?動物だろうか?ブラックリーチには多くの謎がある。私が知ることはきっとない。

しかし、もし聖域を浄化できたら私は英雄だ!トランヤやスコルのようにではないが、半分くらいは英雄になれるだろう。また自分の能力を活かせるのは気分がいい。さて、レシピに取りかかろう

ラシルの日記のページ、2ページRasir’s Journal, Page 2

思いがけないことに、ここブラックリーチには治療薬の材料が全て揃っている!理にかなってはいるだろう。この奇妙な場所で生まれた病には、そこの植物相に解熱剤があると思われる。

鍵はその多様な果実の中から、ブラックリーチモレルを見つけ出すことだった。これはとても高い効果のある治療薬をもたらす。とは言え、成功を確実とするために被験者は必要になるだろう。

ラシルの日記のページ、5ページRasir’s Journal, Page 5

被験者は自ら現れた。

本道に沿った洞窟の1つに感染者がいる。だが、結果がどうなるかは予想がつかない。感染者は信じられないほど凶暴だ。私はこの実験を、命を大きな危険に晒して行う。

そのため、中へ入る前に治療薬の大部分を隠していく。私がこの試験を生き延びられなかったら、他の誰かがこの責務を引き継がなくてはならない。

ラシルの日記のページ、8ページRasir’s Journal, Page 8

珍しいキノコを用意した。

治療薬の準備はできた。

あるいは、これまでになく準備が整った。試験を行うため、洞穴の北東にある小さな洞窟に向かう。

運が良ければ、これが最後の日記にはならないだろう。

リリスからの手紙Letter from Lyris

相棒へ

アイスリーチの魔女が喪心の嵐の背後にいる証拠を集めたわ。あたしはソリチュードへ向かって、ガーヒルド女王に知らせる。彼女は合理的なようだから、上級王スヴァーグリムが謁見を拒否し続けたとしても、あたしが一人で戦争を始めないようにしてくれるでしょう。

ソリチュードで合流して、一緒に女王と話しましょう。

リリス・ティタンボーン

ロズヒルデへの手紙Letter to Roshilde

ロズヒルデ

移動しなければならない。これを手にしたら、最初の地上行きの支度をするんだ。すぐに全員を引き上げる人員がいなくなるだろう。昨日の夜、またセントリーがザバシルの身体をえぐり取った。

彼は生きているよ。ただ、もう運搬はできない。

愛しい人へFor My Love

マクステン

私はあなたへの愛を、ずっと捨て切れないのではないかと恐れています。おそらく、それが私を愚かにするのでしょう。私がより強く賢ければ、きっともっと早くここを出ていたのでしょう。あなたと恋に落ちる前に、あなたのありのままの姿を見ていたかもしれない。しかし、私はここにいます。ここまで来るのにあまりにも長い時間がかかった。あなたの手で苦しみすぎてしまった。

あなたが私にしたことは、意図的であろうとなかろうと許すことはできない。さらに悪いことに、このことであなたが正気を取り戻したように見えない。こんな言葉があなたの胸に響かないことは分かっているけど、それでも書いておきたい。あなたの仕事は何の恵みにもならないし、命を救うこともない。あなたは自分が決して理解できない力に手を加えている。そして、それがあなたを腐敗させている。あなたが意に沿わない被験者に、生きた人々に行っている不快で冒涜的な儀式はとてもおぞましい。

ひょっとしたら、あなたはずっとこうなると知っていたのかもしれない。これを待っていたの? 自ら進んで、今の恐ろしいあなたになることを、進んで受け入れたの? いえ、そんなことはどうでもいいのでしょう。あなたがこれを読んでいるなら、私は去った後よ。追わないで。探しに来ないで。

どうか間違えないで、マクステン。私の一部は、あなたをずっと愛している。その一部を、切り離せたらよかったと思ってはいるけれど。この手紙を、燃やせるものなら燃やしたい。

フレイウェン

回収対象の品Things to Salvage

ドワーフのジョッキ
ドワーフ・スパイダーの脚
センチュリオンの兜(あるいはその一部)
ドワーフセントリーのキラキラ輝く部品
歯車
折れたパイプ

海の巨人の上陸The Sea Giant’s Landing

– 海の巨人の船は巨大だが、巨人のサイズを考えれば小さいとも言える。推定:あのような船では4人も乗れば座礁する可能性がある。また、操船はただ1人の担当と思われる。

– 船に不自然な損傷は見られない。推測:海の巨人は意図的に西スカイリムへ来たもので、風に煽られて航路を外れたか、何らかの危機的状況から逃れて来たのではない模様。

– 船は今も航海可能な状態。提案:付近の洞窟を調査し、海の巨人が上陸した兆候がないか確認する。ここが最初の目的地か、最終的な目的地ではない可能性がある。

日没後、海の巨人の船に密かに侵入する。獣は鈍感で注意が散漫な様子なので、気づかれることはないはずだ

海の巨人の動きThe Sea Giant’s Actions

– 私が到着した時、海の巨人はキャンプを設営していたが、どうやらその夜には落ち着いていたようだ。散らばった内臓や残骸から判断するに、この地域には地元の狩人がいたが、巨人がさっさと始末したらしい。

– 巨人は時々浜辺を行き来しているが、何か特別なものを探しているのか、ただ時間を潰しているだけなのかははっきりしない。

– 海の巨人はもう数時間ほとんど動いていない。休んでいるようだ。もっと近づいて、眠っている間に船へ乗り込めるかどうかを試してみる。奴がここで何をしてるのかは分からないが、私の存在に全く気付いていないのは確かだ。

海の巨人の捕食Sea Giant Predation

ヴァーセント・アードレイ 著

危険多き北の海でも、海の巨人ほど船乗りに恐れられている謎はほとんどない。伝説の生物と言われるほど希少であるにもかかわらず、海の巨人は第一紀からノルドの海の物語に登場する。海の巨人と出会ってから長い歴史があるのに、文化や行動についてはごくわずかなことしか知られていない。

漁師の物語から収集できる証拠によれば、地上に留まって群れを築く巨人と異なり、海の巨人は複雑な道具を使用し、集団で協力して自然の獲物を狩る。海上の氷の下に潜む鯨を。

マンモス飼いはマンモスの群れと協力関係を築いて平和に暮らすが、海の巨人は狡猾で無駄がなく、恐れを知らない捕食者である。大変な幸運により、私は海の巨人の狩りの成果が浜辺に打ち上げられたものを観察できた。勤勉な博物学者の目からすれば、死骸も豊かな情報源になる。

鯨の死骸に接近したところ、臭いを除いて最も強烈な印象を与えたのは、背びれの上から突き出た木製の大きな棒だった。ノルドの太腿より幅の広いこの棒は、鯨の皮の内部で折れているようだった。先端は硬い骨を削ったもので、銛に似た構造で先が尖っており、鯨のあばらの上の脂肪に引っかかっていた。深い傷だが、致命傷ではなさそうだ。

ではこの獣はなぜ死んだのか?その分厚い皮は恐るべき事実を物語っている。切り傷が背面や側面に付いており、かなり大きな肉の塊が切り取られている。刃で切り落とされたのだ。海の巨人は、どうやら鯨を生きたまま削り取ったらしい。

これには前例がないわけではない。ヅラゾグや狼が大型の獲物を狩る戦術は見たことがある。獲物に傷を負わせて出血とショックを狙うのは有効な作戦である。海の巨人の頑丈な骨格と強大な腕力、そして冷気への耐性があれば、極寒の水中に飛び込んで獲物と取っ組み合いをするのもたやすいだろう。戦いは凄惨なものだったに違いない。大人の鯨を無力化するには、6体以上の巨人が必要だと思われる。

船乗りは海の巨人の船を凍りついた荒野で見たと主張している。島ほどに大きな船で、ギザギザの槍で武装されていると。もちろん、こうした報告は空想に近い誇張と一般に思われている。だが狩猟部隊が乗る船は、とてつもない大きさでなければならないだろう。

海の巨人について我々が知らないことはまだまだ沢山ある。より小さな船を連携させ、正確な攻撃を行う知性はあるのか?あるいは単一の船に固まって、機会がやって来たら獲物へ襲いかかるだけなのか?彼らはどうやって、鯨を海底からおびき寄せるのか?突然現れた嵐によって元の居場所から引き離されたこの死骸は、解答よりも多くの疑問を投げかけている。

海の巨人の野営地The Sea Giant’s Camp

– 海の巨人のキャンプファイアは普通のたき火以上だが、予想されるほど大きくはない。1人か2人の巨人が心地よく温まる大きさだ。

– 相対的に言えば、キャンプも同じように小さい。おそらくここには2人以上の巨人がいない。他の巨人が雪の中での睡眠を楽しんでいるのでなければ。

– 備蓄も乏しいようだ。巨人の集団が必要な量としては、だが。船には最大でも数日過ごせる薪がある。食料はごくわずかだが、陸に着いた後で狩りをしようと考えていた可能性はある。

– これはとても小さな部隊だと考えられる。一番あり得るのは我々のような斥候だが、機敏さや鋭い観察眼は全くない。おそらく何の問題もなく、さらに近づいて調べられるだろう。

弓術大会Archery Competition

お知らせします:

弓術大会は中止になりました

理由は

関心の欠如のため

問い合わせはモリン首長まで

協会の通信ガイドAn Introduction to Circle Correspondence

古遺物収集家協会へようこそ

この高名な協会へ新たに入ったメンバーには、たくさんの質問があるでしょう。アルケインの通信に関する、下記にガイドを書いたわ。

あらゆる旅人が知っている通り、タムリエルはあまりに広く連絡が難しい。伝令を使った手紙は遅延するか破損することが多い。到着するだけマシね。隊商で送った小包は定期的に盗賊が襲う。私たちの仕事は繊細であるため、こうした粗雑な手法は需要を満たさない。幸運なことに我々の高名な創立者、チュルヘイン・フィーレは長距離通信の賢い方法を編み出した。あなたの古遺物収集家の目が鍵になる。

オリエンテーションの間に入手した古遺物収集家の目は、ここグウィリム大学支部にある中心の目と強力に結びついている。私たちの筆頭秘術師、ガブリエル・ベネレはあなたが発見した古遺物の画像をすべて召喚できる。これにより、私たちの勤勉な学者は、あなたが発見してからすぐに解析を開始できるのよ!

ガブリエルは解析結果をあなたの目に転送できる。古遺物の書に簡単な注記を添えてね。対象の複雑さを考えると記述は短いけど、情報が助けになることを祈りましょう。

ここで、古遺物収集家の目が計り知れないほど貴重であることをもう一度伝えておくわ。何ヶ月も調べたけど、その能力については表面的なことしかわからなかった。使用時には十分注意してね!

もし質問がさらにあるなら。ガブリエル・ベネレまで連絡して。良い探索を!

-ヴェリタ・ヌミダ

交渉の成功に必要なものNecessities for Successful Negotiations

オベレール・ペティット 著

交渉は難しいものだ。すでに合意が成立している集団であっても、お互いの喉を掻き切ることしか考えていないような集団でも、人々の間で交わされる会話の誘導は慎重に行われるべきだ。

あなたが実績のある外交官や事業家であっても、交渉は必須の技術である。誰にでも学べるが、練習を重ねて洗練させなければならない。私はここに、熟練した交渉者にとって重要ないくつかの技術を列挙しておく。

忍耐!交渉は時としてひどくストレスがたまるものだ。他の人々があなたを困らせるために力を尽くしている時でも最後まで冷静さを保てれば、間違いなく皆が合意に達する助けになるだろう。声が大きくなるか、気分が落ち着かないと感じるようになったら、感情が収まるまで休息を取ることを考えよう。

快適で広々とした会合の場所を持つこと。狭くて不愉快な場所では、交渉も不愉快なものになりがちだ。話し合うべき問題を切り出してもらう際には、安心してもらうのが望ましい。地域に関係なく、暑すぎないようにすること。暑いと緊張しやすくなる。それが防げない場合は、冷たい飲食物を提供すること。

会合の間は、全員の話をきちんと聞くこと。誤解されている、あるいは完全に無視されていると感じている集団がいると、交渉は開始する間もなく雲散霧消してしまうことが多い。全員に自分の事情を説明する時間を与え、その言葉を理解すると確約すれば、交渉は遥かに進めやすくなるだろう!

採掘者の日記Scraper’s Journal

この場所は滅茶苦茶だ。

オルグヴァルはここで財宝が見つかると言っていた。彼はここが古いドワーフの工場か何かだと考えている。この事業に参加している者の大半にはどうでもいい。ただ給料がほしいだけだ。

このトンネル掘りは厄介極まりない仕事だ。これまで見つかったのは、目が痛くなるあのクリスタルだけだ。こいつはブラックリーチ中にあるし、きっと価値なんてないだろう!それに加えて、トンネルを開けば奥には俺たちを喰おうとする何かが待っている。生きたまま皮を剥ぐドワーフの防衛装置、気味の悪い昆虫、何か恐ろしい怪物だ。

さらに悪いことに、オルグヴァルは下水で腐ったスキーヴァーの死体みたいな臭いがしやがる。生まれてから一度も風呂に入ってないんじゃないか?ここは腹の立つことばかりだ。空気は通らない、逃げ場もない!耐えがたいくらい不潔だ。言葉では表現できない。ここに来て自分で経験してもらうしかない。だがどんなに嫌いな相手でも、そんな目に遭わせるのは気が引けるほどだ。

オルグヴァルが死んだら、俺の言葉は正しかったってことだ!

くそ。地表に戻ったら、このドワーフのガラクタの一部は売れるかもしれない。生きて戻れたらな。

治癒薬の場所(最初の手掛かり)Directions to Cure, First Clue

この上の古い道を行け。

水晶の台座に着くまで南へ向かえ。

アーチを左へ曲がれ。

湖で足場を探せ。

治癒薬の場所(第二の手掛かり)Directions to Cure, Second Clue

2本の柱の間を北に向かって泳げ。

右に曲がって浜辺へ向かえ。

治癒薬の場所(最後の手掛かり)Directions to Cure, Final Clue

一番右側の塚から鍵を掘り出せ。

湖の端にある扉に入れ。

新たな溶液の指示書New Solution Instructions

私はこの石を溶かす薬と、これを使用するべきだという族長の主張を信用していない。しかし彼女は族長であるため、我々は従わねばならない。

とは言え、彼女が要求する生産量を満たすため、仕事で命を落とすような真似をさせるつもりはない。魔法の薬が、下にいる時間を縮めることはない。深く潜るほど空気は乏しくなり、坑道は不安定になっていくだろう。そこで割当量を達成するため、レシピの量を4倍とする。これでより早く成果を挙げ、坑道にいる時間を短縮できるはずだ。

細挽きして乾燥させたショーク樹脂 x4
煮立てた雪熊の胆汁 x8
アッシュピットの粉 x4

別途指示があるまで、前のレシピではなくこの指示書を使用すること

マゾグ

青白い肉食の獣Pale Creatures with a Taste for Flesh

地下の施設も、洞窟ももう知ったことか!どうしてオボルの言うことを聞いてこんな仕事を引き受けちまったのか、自分でも分からない。ゴールドの約束のせいか?それは間違いない。名誉と、もしかしたら首長になれるって考えもあったか?可能性はある。

とにかく、簡単な仕事のはずだった。洞窟に忍び込んで、辺りを見て回る。この伝説の青白い獣が実在するという証拠を見つけて、オボルのところへ持ち帰る。報酬を受け取って、雨あられの称賛を受ける。うん。そして沼地をアルゴニアンに売りつける。

こいつらは一体何なんだ?地元の老人がファルマーと呼んでいたのは聞いた。ゴブリンの一種に見えるが、考えが甘かったらしい。この忌々しい怪物に、脇腹をえぐり取られちまったからな!罠にかかったホーカーみたいに血が出てる!それにあの虫の羽音も聞こえる。近づいてきてるんだ。

誰かがお前をぶっ殺してくれることを祈るぜ、オボル。この――

石を溶かす薬のレシピStonemelt Potion Recipe

材料:

煮立てた雪熊の胆汁 x2
細挽きして乾燥させたショーク樹脂 x1
アッシュピットの粉 x1

石の組織の中で適切な反応を確実に行わせるため、材料は規定の割合を正しい順番で入れなければならない。

最初に雪熊の胆汁でベースを作り、その中にショーク樹脂を軽い泡状になるまでゆっくりとかき混ぜながら入れる。アッシュピットの粉を静かに振る。ただし、使用前に溶液をかき混ぜすぎないこと。

使う準備ができたら、勢いよく振って狙う表面に注ぐ。

墓荒らしの嘆きGraverobber’s Lament

オボルが正しかったかなんてどうでもいい。この沈んだ墓に、ドミニオンの艦隊を沈めるくらいの財宝があったって知るものか!今考えているのは、このおぞましい場所を無事に出ることだけだ!

古代のノルドが最悪のものを埋めた場所だと伝説にあったら、それが誇張じゃないとは思わないだろう?その最悪のものが、荒らしてきた他の死体みたいに横になって死んだままでいないなんて、誰に予測できる?

ここから出られたら、オボルにはもう黙っちゃいないぞ。もし出られなかったら、ここのアンデッドどもに教えを乞うことになるが。

俺がここで死んだら、オボルが惨めな人生を終えるまで化けて出てやりたいからな。

無記名の採掘日記、37ページUnnamed Mining Journal, Page 37

…ついにシャドウグリーンへ到着した。洞窟は日が当たって温かい。壁に少し氷があるのは珍しい。上の通路を試す。何もなし。明日の朝はもっと奥に行く。

物資
サルトリス3袋、粗びき1つ
乾燥湿地ウナギ5匹
スラッジ粉2袋
ロウソク15本
油脂2鍋
フェクの袋はまだ大丈夫だ。メートのカゴはもうすぐ空になる

シセイ25日

下の通路で火山の活動を感じた。これが温かい理由だ。同時にいい鉱石が見つかる前兆でもある

無記名の採掘日記、42ページUnnamed Mining Journal, Page 42

シセイ28日

カオク。スプリガンがシュサジャを殺した。地上に戻ったら彼女が死んでいた。私の物資が散乱してしまった。それでもあと数日は大丈夫。まだ鉱石のサンプルもある。シュサジャがいなくなって寂しいが、今晩はグアルのシチューを作ろう。

今日の発見: マグマの湖がある。さらに奥へは行けない。炎の湖があぶくを立て、火花を吹き出す。でも危険だとは思わない。あともう一日調査してみよう。いい鉱石がなければ移動すべきだ。お金を稼がなければ。

物資
新鮮なグアルの足
乾燥湿地ウナギ2匹
ロウソク9本
油脂1鍋
フェクの袋はまだ大丈夫

無記名の採掘日記、45ページUnnamed Mining Journal, Page 45

シセイ28日

今日、底にて探索のために炎の精霊を召喚。驚くべきものだ。泡のような炎で召喚を行うと燃え上がる。山さえ精霊の動きに合わせて揺れる。きっとお互いに話をしているんだと思う。ここは安全じゃない。炎の魔法が多すぎて、シャドウグリーンを怒らせてしまう。

いい鉱石はないが、シャドウグリーンの秘密は誰かにとって黄金に価するものだろう。スプリガンについても警告してあげたら、十分な報酬をくれるかもしれない。

物資
グアルの足半分
乾燥湿地ウナギ2匹
ロウソク5本
フェクの袋は空

旅に向けた食料品のリストFood Item List for Travel

従者スヴァインは食べることが大好きだ!彼を満足させられるものが揃っているか確認しよう。

パン6斤
スイートロール25個
タマネギ10個
乾燥ホーカー3樽
サルトリス3袋
チーズ18ブロック
ニンジン7ブッシェル
小麦粉5袋

持てる限りの魚(誇張ではない)

マークマイアの伝承

Lore of Murkmire

アジム・ジャアからの手紙Letter from Ajim-Jaa

マク・タイードへ

彫刻から少し離れて、本気で聞いてほしい。卵の兄弟として、お前の面倒を見て問題に巻き込まれないようにする責任がある。自身を裁定者と呼んでいるシャドウスケールほど、避けるべき問題は存在しない。

彼女は高齢で盲目だから最初は素直そうに見えるかもしれないが、あの白い目には今でも厳しさが残ってる。シャドウスケールは生まれた時からただ1つ、殺すために訓練されていることを忘れるな。ためらいも後悔の念もない。彼女は以前にも殺したことがあるはずだし、また殺すことは分かりきってる。

とにかく近付くな。いいな?もし通りで彼女を見かけたら、敬意を持って接しろ。彼女に殺したいと思われたら、この有能な卵の兄弟でさえ救ってやれない。

アジム・ジャア

アルゴニアの季節The Seasons of Argonia

ジンチェイ・コヌの番人、ジェッカワス・パザルト 著

時間は不変である。変化の意志を駆り立てる原動力であり、不可避にして始原的である。恒常的な循環の中で動き続ける力。その変化の進展を印づけることは、サクスリールにとって最も神聖な行為である。

各月は年の循環のある特定の面を印し、それに従って祝われる。月とそれに対応する意味を以下に示す。

バッカ(太陽)
循環の最初の月であるバッカは、存在の始原的な起源、あるいは起源一般と関係する。この時期に我々は、部族の長老たちに普段以上の敬意を示すよう求められる。

ジーチ(木の実)
隠匿の時期としても知られるジーチは、種と理想の両方を植える月である。沼の球根が埋められ、まかれた種が芽を出す。長老たちはその知識を伝えることで、知を植え付ける。希望の時期だが、憂鬱の時期でもある。

この月は三つの喪の最初のものである。何かが植えられると、それは隠れて消えてしまうからだ。出てくるものは何か新しいものだ。すなわち、木の実は永遠に失われてしまう。

シセイ(芽)
シセイは新しさ、可能性、若き興奮などを表す。ヒストはその休眠の生を脱ぎ捨て、真の意味で生きた状態になる。多くの子供の祭りがこの時期に行われる。この月はまた「跳躍の季節」としても知られている。スポーツや競技の盛んな月だからだ。力やスピード、意志の強さといった徳が尊重され、祝われる。

ヒスト・ディーク(ヒストの樹液)
ヒスト・ディークは良くも悪くも、権威への反抗と個人の主体性の力に捧げられる。多くの者はこの月を利用して不正を告発し、その結果としてしばしば部族内部の争いが起きる。

言うまでもなく、論争の的になることの多い月である。多くの者は、この時にヒストといかに離れたかを分析する。崇拝について反省し、それが絆であって束縛ではないことを理解するためである。

ヒスト・ドゥーカ(成熟したヒスト)
騒がしいヒスト・ディークを相殺する役目を担うヒスト・ドゥーカは、家族、伝統、義務といった観念を中心に置く。若いサクスリールはより大きな責任を与えられ、多くの若者たちはチュッカ・セイ。すなわち成人の試練に挑み、自らが大人と呼ばれるにふさわしいことを証明する。試練を突破した者は完全な部族の成員となり、この月は通常、大きな祝賀と共に終わりを迎える。

ヒスト・ツォコ(年老いたヒスト)
おそらく一年で最も神聖な月であるヒスト・ツォコは、知識や賢明さ、可能性の充足といった観念に捧げられている。この月に行われる集会の大部分は厳粛な行事であり、その中でも最も重要なのが、部族の長老たちがサクスリールの歴史を暗唱する「根の語り」である。この月はまたヒストが成長を止め、その個々の可能性が使い果たされたという事実から、「第二の喪」をも表している。

スティシル・ガー(卵の籠)
スティシル・ガーは愚行と軽薄の月であり、通常はヒスト・ツォコの重苦しい厳粛さからの喜ばしい小休止である。子供のような驚きや若々しい歓喜、軽い困惑などが祝いの対象になる。多くの旅芸人の一座たちは、利益の大半をこの時期に得る。祭りや宴会はほとんど途切れなく続く。

スティシル(卵)
卵の月は謎や予期、そして(やや奇妙だが)目的にかかわる。大半の部族にとって、このつながりは文字どおりのものだ。産卵の多くはこの月に起こる。

ヌシュミーコ(トカゲ)
トカゲは静かで手早い労働の象徴である。ヌシュミーコは日々の生活において感謝されることのない仕事を祝い、労働はほぼ途切れなく行われる。清掃、建築、修復、準備など。部族の成員は皆、ひたすらに働く。

シャジャ・ヌシュミーコ(半人トカゲ)
この月はヒスト・ディークのように、謎と議論の絶えない月である。半人トカゲが実際に何を表しているのかについては、かなり大きな論争がある。卵から出てきた子供のことなのか、それとも我々の文明の起源を表すのか?

変化や生成、移り行く価値といった統合的な概念について想いが馳せられる。そのため、多くの若者たちの集会がこの時期に開かれ、様々な恋愛がらみの問題が持ち上がる。若者の不器用さがしばしばこの月と結び付けられる。

サクスリール(アルゴニアン)
サクスリールは我々の文化の真の情熱に関係する月である。狩りと収穫の季節が過ぎた今、部族の成員たちは陶芸や木工、その他の創造的な活動を自由に追求できる。物事が終わりを迎えつつあるという感覚が広まる。

多くの部族で、月の終わりには長老たちの大きな集会がある。この祭典の目的は我々の長老たちと共同体の両方を、迫りつつある死に備えさせることである。肌の乾いた者には、これを陰惨な伝統と見る向きも多い。

ズロマート(死者)
多くの伝統と同様、ズロマートは明らかに矛盾する発想の月である。この月は「第三の喪」に結びついており、文字どおり一年の終わりであるため、3つの喪の中で最も強力である。部族は一年の出来事を振り返り、過ぎ去っていくことを受け入れる。

しかしながら、この月は祝賀と追憶の時期でもある。古い生を終え、新しい生へと移行した全ての者に敬意を表すため、大規模な祭典が開かれる。月の大部分はこうした祭典の計画と準備のために費やされる。

イクスタクス探検家の日記、1ページIxtaxh Explorer’s Journal, Page 1

仲間たちは正しかったようだ。イクスタクス・ザンミーアへの旅に備えることはできない。遺跡に入って数分もしないうちに、もう完全に迷ってしまった。しかも、価値のあるものはほとんど何一つ見つけていない!ボロボロの骨や割れた壺を探しに来ていたならよかったが、残念ながら私は財宝を探しに来たのだ。

十分に奥深くまで進んでいないのかもしれない。何か脱出手段を探すべきなのは分かっているが、手ぶらで去るという考えは受け入れがたい。小さなものでもいいから、何か見つけなければ。

何かのクリスタルがここの中心部に隠されているという噂を聞いている。クジュ・ジャスとか、カジプ・ザットとか、そういう(発音不可能な)クリスタルだ。それが見つかれば、この災難も報われるだろうか。

イクスタクス探検家の日記、2ページIxtaxh Explorer’s Journal, Page 2

何時間も暗闇の中で無駄に過ごしたが、その幻のクリスタルには近づいてもいない。日誌のページを撒いていくことにした。パンくずの跡のようなものだ。私は建築家ではないが、この場所の設計者もそれくらい無能だったに違いない。扉や階段はどこにもつながっていないものばかり。ほぼ底なしの穴が不気味なほど頻繁に現れる。それにあの忌々しい像だ。戯画化されたアルゴニアンの顔で、歪んだ口はぞっとする冷笑をたたえている。あれは「してやったり」という表情に見えて仕方がない。控えめに言っても、気味が悪い。

まだ探索していない回廊が一つある。最も暗く、腐臭がする場所だ。どこに続いているのか、見てみるしかなさそうだ。マーラのご加護を。

イクスタクス探検家の日記、3ページIxtaxh Explorer’s Journal, Page 3

ついに進展があった!蜘蛛の群れと、終わりなき罠を避けて素早く通り抜けると、巨大な地下室を見つけた。巨大な像の足元に何かが輝いているのが見える。一直線に駆け寄って行きたいところだが、何かがおかしい。あそこで何か音がしている。ゴボゴボいう妙な音で、背筋が寒くなる。とはいえ、危険を冒さねば何も得られない!あの財宝を取って、家路につく時だ!

イクスタクス探検家の日記、4ページIxtaxh Explorer’s Journal, Page 4

壁の中に何かが隠されていた。のたうち回っている!罠がそこら中にある。これを見つけたら、私のような過ちを犯してはならない。行け!とにかく――

[残りの部分は判読不可能]

エシュラフの日記Eshraf’s Journal

〈ページの大半は切り取られている。以下は残っている部分〉

…何者かが私を見ている。バケツ一杯のゴールドをかけてもいいが、あの忌まわしいナガに違いない。ツォナ・ジーヴァ遺跡ではもう少しで奴らにやられるところだったが、私はセンチネルの路地で育った。あんなトカゲどもに捕まったりはしない!

ただ、荷袋を置いてきてしまったのは後悔している。バッカ石を失くしたと言ったら、ファミアはいつもの悲しい子犬みたいな目をするだろう。気が重い。幸いにも、ディニアは自分の荷袋をここに置いていったようだ。少なくとも、ないよりはマシだろう。

とにかく、今日は刺激的な出来事はもうたくさん。ここの小屋の中で一夜を過ごして、次の朝にはリルモスに戻ろう。時々、この場所がすごく嫌になる!

オリーンの最初の持参品のヒントOleen’s First Dowry Reminder

やあ、爪の曲がった愚か者よ。私はもうお前が好き勝手に物を盗み出して、目録の計算を台無しにするのにいい加減我慢がならない。それほど私の時間を無駄にしたいのなら、私もお前に時間の無駄遣いをさせてやろう!戦うチャンスをくれてやってもいい。まずは品物の倉庫から始めよう。以下のことを覚えておけ。

ルートハウスが盗むかもしれないものはどこに隠す?
見ることのない目の中だ!

オリーン

オリーンの2番目の持参品のヒントOleen’s Second Dowry Reminder

おやおや。正解を当てたらしいな。まぐれ当たりではなかったかな?そろそろ諦めないと、ひらめきを得るために目の前で火打石を叩いて一日を過ごすことになる。頑固にも続けるなら囲いへ向かい、以下の言葉を覚えておけ。

この刃は戦場で役に立つ。
もう身に帯びられぬ者にとってのみ。

オリーン

オリーンの3番目の持参品のヒントOleen’s Third Dowry Reminder

今回の旅で気分が落ち込んだ時、私はいつもお前がグアルの肥やしに肘をついて持参品を探そうとしているさまを思い浮かべているよ。だが、どうやらついに手がかりを解いたようだな。欲しいものが見つかるまで、あらゆるものに手を突っ込んでいるのではあるまいな?次はサラマンダー取りの罠を使うべきかもしれないな。

目当ての物に近づいていると思うなら、監視塔に行って以下の言葉について考えろ。

私は自分のものでない皮膚をまとっている。
他の者たちの手で、私は時間の計測を助ける。

オリーン

それから、絆の儀式の前には風呂に入れ。無礼な蛮族め。

オリーンの最後の持参品のヒントOleen’s Final Dowry Reminder

チーシュ・ナッサへ

私が隠したあの持参品は、お前のお気に入りの箱の二重底の中に見つかるだろう。私が知っているはずはないとお前は考えているだろう。隙間を作るため、お前のコレクションを動かさねばならなかったよ。これからは部屋の中に置くんだな。倉庫はあんなもののためにあるんじゃないぞ。

オリーン

カスタブ皇帝の墓碑銘Emperor Kastav’s Epitaph

2812年に死去した、退位したが極めて神聖な故人、カスタブ皇帝の定命の遺体がここに眠る。埋葬は完了し、私は部屋に戻って自ら命を絶つ。

——儀仗兵隊長サディネラス・コー

キーマ・ルーの墓標Keema-Ru’s Grave-Stake

キーマ・ルー

簡素に生き
真面目に働き
苦難に耐えた

ク・ヴァステイ:必要な変化Ku-Vastei: The Needed Change

魔術師ギルドの秘術師、道を照らす者 著

私の民の文化を記述するのは困難である。説明しようとすると舌が動かなくなることも多いが、インクと筆が私に考えをまとめる時間を与えてくれることを願う。こうした執筆により、私の故郷マークマイアと、魔術師ギルドにおける私の新しい生活が繋がるかもしれない。

この日誌は私のク・ヴァステイとなるべきものだ。これを書くにあたって、これ以上の主題は思い浮かばない。

ク・ヴァステイは大まかに「必要な変化の触媒」と翻訳できる。しかしこのように直訳しても、本来の意味は正しく表現できない。他の訳としては「変化が起きるための必要な道を生み出すところのもの」、あるいは「存在へと来たるべき炎を点火する火花」も可能だろう。

おそらく、より直接的な分析を最初に提示しておくべきだろう。ク・ヴァステイは名詞であり、物か人を指す。ヴァステイを直訳すれば変化であり、それは私の文化の重要な部分である。クのほうは説明が難しい。それは変化を導くものであるが、変化を生み出すものではない。重要な役割でだ。停滞は死よりも悪い運命だからだ。

崖の頂上でぐらつく大岩を例としよう。岩はいつか落ちねばならない。ク・ヴァステイは岩を押して崖から落とさない。むしろ、岩をその場に留めている小石を取り除く。すると岩は落ちるが、押されたからではなく、道が開かれたからだ。

ク・ヴァステイは崇拝される。変化自体が崇拝されるように。過去を振り返ることは、未来へ進む道を躓かせることだからだ。正しい方向へ少し押されるだけで、こうした叡智を思い起こさせることもある。そうでない場合は、強く押されなければならない。

クスル・ツクシスXul-Thuxis

俺たちはここから脱出しないといけない。この場所に留まるくらいなら、密航してリルモスから出たほうがマシだ。

ウィップテイルは先日、俺たちに壁を壊させた。壁の向こうはアルゴニアンの死体で一杯だった。奴は俺たちに中へ入って死体を探り、死体と共に埋められた物がないか確かめさせたんだ。沼で墓を漁ったことは前にもあるが、今回は違っていた。あそこには何か感じるものがある。死体を一つ動かした時にすぐ、脱出しなきゃここで死ぬことになると分かったよ。

今はお前を信じてる。妙なものが見えると言っていたな。何かが聞こえると。俺もそうなり始めてる。

アルゴニアンたちが広間を歩いているのが見えた。自分たちの仲間を生贄に捧げていた。生贄たちは恐怖せず、自分の意思で従っているように見えた。ものすごく静かだった。怖かったよ。だって、本当にそこにいるわけじゃないって分かってたんだから。あれは、別の世界の木霊のようだった。

しかも、ウィップテイルはやめようとしない。奴はもっとやれと言う。シシスの祝福を受けた古代の武器かなんかが、ここに隠されていると確信してるんだ。奴はそう言ってた。あの場所は全部呪われてると思う。

俺は逃げ出そうと思っている。お前も逃げたいだろう。一緒に来るなら今日の真夜中、俺たちがカサンドラのために用意した部屋で会おう。読んだらこの巻物は燃やせ。ウィップテイルに見つかる危険は冒せない。俺たち二人とも殺されてしまう。

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ケシュ:黒きヒレの戦争、パート1Keshu: The Black Fin Goes to War, Part 1

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

黒きヒレのケシュが古き者(彼女は遥か昔に生きていた、進歩していたサクスリールをこう呼んだ)たちの遺跡から帰還した次の季節。私たちはケシュの望みを実現するため、とてつもなく忙しく働いた。古き者たちの生活について多少のことを知ったのに加えて、ケシュが遺跡で考察に費やした時間は、私たちのリーダーにして生涯の友人の心に新しい考え方を生み出した。彼女は、夢を携えて戻ってきたのだ。

遺跡から戻ってきた瞬間から、ケシュはサクスリールの進歩した社会を復活させようと思っていたのだと言う者もいるだろう。ただし、彼女が古き時代についてさらなる知識を得ることに関心を抱いていたのは確実だが、最初の夢は遥かに単純なものだった。ケシュはサクスリールをよそ者の脅威から守りたかったのだ。ゾシンがダークエルフの奴隷商人たちに捕まったことは、ケシュに深い影響を及ぼしたのではないかと思う。私が思うに、ゾシンや他のサクスリールの捕虜たちを解放した時、ケシュの運命は決まったのだ。

ケシュは軍隊を創設することを決断した。彼女が大マーシュ中から志願者を募ると、驚くべき数がその呼びかけに応えた。村の長老や木の番人、樹液と話す者たちは彼女の行動に複雑な思いを抱いていたが、結局は傍観し、ヒストの解決を待つことにした。サクスリールでの生活は全てそうなのだが、ケシュが成功したなら、それは彼女の計画が実現する定めにあったということだ。もし失敗したら、ケシュは沼に姿を消し、二度とその名を聞くこともなくなる。ブラック・マーシュの物事はそういう風に進むのだ。だがケシュにどんな運命が待っているにせよ、当初の彼女は誰にも止められない勢いを持っていた。

非公式に黒きヒレ軍団と呼ばれる当初の部隊は、活気に溢れていた。最初はケシュとヴォス・フルクが教官、指導者として集まったわずかな戦士を教える任務についていたが、すぐに他の有名な戦士たちが彼女の下に駆け付けた。その中には「虚空の炎」と呼ばれる魔闘士や、「エルフ殺し」と呼ばれるサクスリールの自由戦士もいた。彼らが専門知識を提供し、訓練を手伝うことで、我らの愛するリーダーの負担は減った。ケシュは軍団に試練を受ける準備が整ったと判断すると、標的を決め、新たに研いだ武器で指し示した。私たちはドーレス家の奴隷隊商を襲い、捕虜を解放することになった。

私たちは何週間も計画を練り、訓練し、ケシュと彼女が最も信頼する助言者たちは、考えつく限りのあらゆる偶発事項に備えた。私たちはドーレス家の居留地を偵察した。ストームホールドからモロウウィンドへ向かう道として、最も使われる可能性が高い道を調査した。私たちは監視し、待った。そして行動を開始した。

ドーレス家の奴隷隊商はある雨の朝、ひっそりとストームホールドから出発した。50人以上の卵の同族から成るサクスリールの奴隷が鎖でつながれ、2つの巨大な荷車の間を行進させられていた。それぞれの荷車はグアルの群れによって引かれていた。ドーレス家の衛兵たちは荷車の上に乗り、あるいは奴隷たちの列の両端を行進し、あるいは馬やその他の騎乗動物に乗って隊商の周囲を回っていた。全体として、約30人のダークエルフ戦士が隊商を護衛していた。この襲撃のために、ケシュは黒きヒレ軍団26人を奴隷解放のために従えていた。

戦士たちは緊張していた。彼らの大部分にとって、これが初めての本物の戦闘だったからだ。彼らはよく訓練され、ケシュの大義に賛同していたが、それでも生死を分ける状況に入っていく際によくある恐怖に襲われていた。ケシュと士官たちは見える位置に留まって自信と決意を見せ、これが兵士たちを落ち着かせる大きな効果を示した。私たちは隊商がモロウウィンドの国境から数百歩のところにある狭い道を通るところで奇襲を準備した。ケシュは号令を出しながら敵に向かって突進した。私たちは従い、腐った丸太から出てくるウッドアントのように隠れ場所から飛び出した。私たちがまだ緊張していたとしても、ダークエルフたちに飛び掛かっている最中に緊張は見えなかった。

ケシュの戦略は完璧に機能した。戦いが終わった時、ダークエルフの衛兵たちは死ぬか降伏しており、軽傷者はいたものの、黒きヒレ軍団に死者は1人も出なかった。任務はこれ以上ない成功を収め、ケシュの評判は解放したサクスリール1人ごとに高まっていった。

ケシュ:黒きヒレの戦争、パート2Keshu: The Black Fin Goes to War, Part 2

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

ドーレス家の奴隷商人たちに対するケシュの戦争は幾つかの季節の間継続し、黒きヒレ軍団が勝利を刻むたび、彼女の忠実なサクスリール軍は拡張していった。彼らは遠くから、また様々な地域からやって来てケシュに忠誠を誓った。ダークエルフの支配地から解放された奴隷や、遠くの村から来た危険を好むサクスリールなどが参じた。ストームホールドやヒストの影響外にある地出身の、都会化したアルゴニアンさえ何人か来たほどだ。

私もようやく成人の儀式を完了し、部族にとって一人前の大人と見なされるようになった。私は残りの人生で何をしたいかを決断しようとしていた。私はケシュが好きだったし、その大義を信じてもいたが、兵士や自由戦士になりたくはなかった。私はもっと単純な生活を求めていた。ヒストや、ザル・ウクシスに仕えるような生活が。私は樹液を話す者や卵の番人になる定めだった。少なくとも、当時の私はそう信じていた。だから私はケシュに自分の望みを告げ、黒きヒレ軍団から脱退しようと決めた。

ケシュは私の事情を理解し、私を義務から解放することに同意してくれた。しかしティー・ワンが野営地に戻ってきた時、私はまだ軍団と共にいた。彼は今ケシュの密偵部隊長であり、ドーレス家の勢力との戦いに黒きヒレ軍団が利用できる情報を集めるため、何日も、何週間も戦場を駆けまわっていた。だがこの時彼が持ち帰った知らせは、より大きく、より危険な敵に関するものだった。「遠い海から来たよそ者が、スカイリムの地を侵略している」とティー・ワンは説明した。「ストームホールドで私たちを助けたノルドからの伝言を持ってきた。吟遊詩人のジョルンからだ」

ジョルンの伝言は、アカヴィリと呼ばれる敵がウィンドヘルムの街を襲い、今はモーンホールドに向かって進軍していると説明した。ジョルンの姉は命を落とし、今は彼が一時的にノルド勢力の指揮を執っていた。「俺はこの邪悪な侵略を止めるため、ダークエルフに加勢する」とジョルンは書いていた。「もしお前が借りを返すつもりなら、モロウウィンドで合流してくれてもいいぞ。お前たちアルゴニアンのシェルバックなら間違いなく、この紛争の戦況を変える力になるはずだ」

ケシュの目を見れば、もうジョルンを助けに行くと決めているのは分かった。「ヴォス・フルク、虚空の炎」とケシュは副官たちを呼んだ。「兵を集めてほしい。今日、黒きヒレ軍団は戦争へと向かう」

私はケシュと他の者たちに涼やかな風と澄んだ水を祈ったが、この冒険に加わるつもりはなかった。私は故郷、シークハット・ゾルへ帰るのだ。私は月が幾度か循環する頃には、彼らも帰ってくるだろうと思っていたが、それは間違っていた。私は暦が10周以上するまで、再びケシュに会うことはなかった。そしてその頃、彼女は大きく変わっていた。

だが噂は孤絶したシークハット・ゾルにさえも届いた。私たちはノルドとダークエルフの共闘によって、そしてアルゴニアン戦士の思わぬ介入によって、アカヴィリは打ち破られたと聞いた。その日、エボンハート・パクトが生まれた。ケシュとその軍団はアカヴィリの脅威が片付いた後も同盟の地に留まり、新たに結成された同盟の境界を確立し、パクトが続く限りサクスリールの自由を守るため力を尽くした。ケシュはスカイリムとモロウウィンドを巡回して時を過ごし、反逆者を潰すのに力を貸し、敵対する連合軍から境界を守り、最終的には三旗戦役で武器を取るに至った。

ケシュのこうした冒険に加わらなかったことを後悔しているか?時々はする。だが、卵の番人としてシークハット・ゾルで過ごす時間は、どんなものとも交換したくない。たとえ再びケシュのそばで戦えるとしても。

ケシュ:成人の儀式、パート1The Rites of Maturity, Part 1

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

私たちの成人の儀式は、まるで昨日のことのように覚えている。戦争の英雄にしてサクスリール進歩社会運動の創設者、黒きヒレのケシュは、この試練を完了することでその異名を得た。そして彼女は徐々に名声を築き上げ、当時の仲間との絆を固めていった。仲間たちは全員、試練で優れた成績を残した。ケシュ、ヴォス・フルク、ティー・ワン、ゾシン、私でさえもだ(少なくとも、最後の試練までは)。確かに私たちは偉業を成し遂げたが、功績の多くは私たちの教官にして師であるラジ・デーリス、ドラミーンシンに帰されるべきだろう。

この長老の教師は大変な歳だった。一説によると、彼は私たちの卵の両親が巣から孵った時、すでに年老いていたらしい。だが年齢のせいでドラミーンシンの動きが鈍っているようには見えなかった。それどころか上質の苔や発酵した泥のように、彼は季節が過ぎるごとに活気付いた。私たちが彼の生徒になる頃、ドラミーンシンの技術は最高潮に達していて、私たちは彼の傑作になる予定だった。彼は若いサクスリールを教える通常の方法に従って、私たちを共同体の必要と要求事項に合わせつつ、狩り、追跡、クラフトの上級技術を教えてくれた。しかし彼は水源をさらに遡り、固有の才能を伸ばすこともしてくれた。ドラミーンシンにとって、私たちは籠に入った替えの利く卵ではなかった。私たちは個人だった。とりわけケシュは、彼の指導の下でみるみる成長していった。

サクスリールの成人の儀式は、数日間にわたって行われる技と勇気の試練から成っている。一部の試練は大マーシュ全土のサクスリール共同体で実施される。他の試練は場所や時代、季節によって、あるいは共同体のラジ・ナッサ(長老の指導者)の意向によって変わる。私たちの儀式には3つの異なる試練があった。ケシュが3つの試練を攻略した方法は、彼女がどういう人物に成長しつつあったかを示していた。

3つの試練の第一は「迷子ムカデの試練」だ。私たちは一人ずつ樽の中に手を入れ、マーシュムカデを1匹引っ張り出すよう指示された。見たことのない人のために言っておくと、マーシュムカデは巨大で凶暴な性質を持った素晴らしい生き物だ。平均的なマーシュムカデは指を思いきり広げたぐらいの長さで、太さは手首ほどもある。選ばれたムカデは目立つ印で彩られていた。そしてムカデを与えられた競争者たちは、自然の中に駆けて行ってムカデを放す。試練は私たちの特別なムカデを追跡し、捕まえ、生きたままラジ・ナッサの下へ連れ帰ることだった。さて、植物の生い茂るマーシュで特定のムカデを追跡するのは簡単なことじゃない。技術と忍耐、それに少々の運が必要だ。

ゾシンが最初に自分のムカデを捕まえたが、彼はその際ハジ・モタを刺激した。この獣を避けるため、ゾシンは危険な流砂に入り込んでしまった。その時偶然通りがかったケシュは、ハジ・モタの気を逸らせて反対方向に突進させた。そして戻ってきて、泥と砂の渦に吸いこまれているゾシンを助け出した。

ケシュが自分のムカデの居場所を突き止めた時には、ムカデが恐るべき状況に置かれていた。敵対的なナガの3人組が食事にするため、この丸々としたムカデを追いかけていたのだ。成人の儀式のこの部を完了するため、ケシュはそれを許すわけにはいかなかった。彼女はためらうことなく暗い水の中に体を滑りこませ、3人組に向かって泳いでいった。水面下に隠れて見られないようにしつつ、接近したのだ。ヴォス・フルクは自分のムカデを捕まえて村に帰るところだったが、この場面に出くわして、成り行きを見ていた。彼女が起きたことを報告し、私がそれを今、記録のために書き記しているわけだ。

ナガの狩人たちがムカデを囲み、距離を詰めたその時、ケシュは無言のまま、獲物を探す黒いヒレのように暗い水の中から立ち上がった。片方の手に1本ずつ危険な短剣を握り、両目には決意が宿っていた。彼女は最初の2人を素早い斬撃で仕留め、死体が沼地に沈むよりも早く3人目に接近した。死がすぐそばまで近づいていると最後のナガが気づいた時には、もう身を守るには遅すぎた。迷いなきケシュに対して、ナガは形ばかりの抵抗すら示せずに倒れた。ケシュは自分のムカデを拾い上げ、ヴォス・フルクを追ってラジ・ナッサの下へ戻った。

ケシュ:成人の儀式、パート2The Rites of Maturity, Part 2

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

3つの困難な試練のうちの1つ目が完了し、2つ目の成人の儀式が始まろうとしていた。「完璧な器の試練」だ。これは私たちの製作技術の試練であると同時に、謙遜と自信の試練でもあった。後になってから分かったのだが、目標は工夫の限りを尽くして最も華麗で複雑な器を作ることではなく、簡素で実用的なものも完璧でありうると証明することだったのだ。

この試練は3つの部分から成っていた。まず、器を作るために必要な材料を手に入れる。さらに、今回のため特別にマーシュの危険な地帯に設置された、隠された作業台を見つけ出す。最後に、器を作ってラジ・ナッサに見せ、審査を受ける。危険な場所に置かれた作業台が破壊される前に。

私たちはそれぞれ、器を作るのに使わねばならない特別な素材を課された。例えばティー・ワンは希少な三本爪のマッドクラブの殻を手に入れる必要があり、私はクロナの木の実の殻を手に入れなければならなかった。そしてゾシンは竜の舌の木から完璧な枝を見つける必要があった。これらはそれぞれ難しい題だったが、ケシュが主要な素材にしなければならないものを知った時、私たちは彼女のことが心配になった。ケシュはハジ・モタの巣から卵を盗まなければならなかったのだ!ハジ・モタは巣を守るために細心の注意を払う上、ハジ・モタの卵の脆い殻は、加工が難しいことで悪名高いのだ。細心の注意と技巧を尽くさない限り、殻は割れてしまうのが普通だ。

最初の儀式の成功譚が村中に広まって、今や「黒きヒレ」と呼ばれるようになったケシュは、ハジ・モタの巣を探しに出発した。彼女は前回の試練の間にこの巨大生物に出会っていたので、その一帯に戻って探索を始めた。彼女は沼地を見ながら丸一日過ごし、ハジ・モタの行動を観察した。ハジ・モタは雌で、近くに巣があることがすぐに明らかになった。言うまでもなく、卵を守るハジ・モタの母ほど危険な生物はほとんどいない。ケシュは慎重に進まなければならなかった。試練のこの部を成功させ、生き残って儀式全体を終わらせるために。

さて、ケシュは巣から卵を盗みたかったが、その過程で残りの卵やハジ・モタを傷つけることは望まなかった。彼女は、世界を通り過ぎる際に及ぼす影響が少なければ少ないほどいいと信じていた。だから彼女は再びハジ・モタの気を逸らし、巣から離れさせた。こうすることで、怪物の怒りに立ち向かうことなく卵を手に入れられると期待したのだ。ケシュは今回、オレンジグラスとマーシュルートの束を集めた。これに逆らえるハジ・モタは滅多にいない。その(少なくともハジ・モタにとっては)魅惑的な香りを利用して巣から引き離した。その上でケシュは束を水トカゲに括り付け、沼地のさらに奥へと走って行かせた。ハジ・モタはその後を追っていったので、ケシュは巣へ進むことができた。

巣の中には3つの卵があった。ケシュが選んだのは一番大きな卵でも、一番殻の厚い卵でもなく、一番小さな卵だった。斑点模様が付いたその卵の殻はすべすべしており、彼女の職人としての目からすると完璧だった。ケシュは生まれつつある器を、その卵の中に見ていた。彼女がギリギリまで見なかったのは、雄のハジ・モタが沼地を歩き回り、巣へ向かっていることだった。雄が巣に辿りつき、卵が1つなくなっていることに気づく前に、ケシュはすんでのところで逃げ出した。ケシュは雄が怒りと喪失感の入り混じった咆哮を上げるのを耳にしつつ、作業台へと向かった。

ケシュの作業台は巨大な死の流砂の上に置かれた、1本の丸太で出来た足場の上に設置されていた。彼女は作業台が丸ごと沼の下に沈む前に、器を作らなければならなかった。ケシュは素早くしかし注意深く作業し、卵の先端部分を使って器の基礎とした。ケシュはその部分を洗い、磨き、試薬を加えて殻を補強し、容器として使えるようにした。作品を仕上げて足場から外すと、泥が足場の上に跳ねかかり、丸ごと沼の中に引きずり込み始めた。

ラジ・ナッサが提出品を順番に検討している間、私たちは実に見事なクラフト作品を眺められた。だがこの季節は、ケシュがこの領域で抜きんでていたのは明白だった。彼女の器は最も簡素なハジ・モタの殻で作られていたが、その質素さには気品があり、その純粋さには美があった。殻に必要なのは、その自然な形に忠実であることだけだった。ケシュは脆い殻を強靭で壊れることのない器に変えながらも、その自然な形を見事に輝かせたのだった。

ケシュ:成人の儀式、パート3The Rites of Maturity, Part 3

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

成人の儀式を完了させるための3つ目にして最後の試練は「忍び寄るハックウィングの試練」だ。これは私たちが大人の社会に席を得るために参加しなければならない儀式の中で、最も危険なものだった。私たちはそれぞれ、1羽の巨大なハックウィングと共に牢の中に入れられる。この猛禽は凶暴な生き物で、力強く自信に満ちており、私たちの誰にも劣らない有能な狩人である上に、空を飛ぶことができた。私たちはこいつに攻撃させて血を流さなければならない。ヘマをしなければ、血を流させるだけで重傷を負わずに済む。その後ハックウィングは解き放たれる。目標は、私たちを狙ったハックウィングを捕えて殺すことだ。相手が私たちを殺す前に。

ヴォス・フルクとゾシンはくちばしの一撃を足に受けた。どちらの傷も軽く、血は流れたが筋が裂けることも、骨が折れることもなかった。ティー・ワンは左手を切らせ、肘から肩までの長く浅い切り傷を受けた。ケシュは飛び退くタイミングを誤り、鳥に右目のすぐ上のこめかみを切り裂かせてしまった。しかし私は、試練のこの部分を完全に失敗してしまった。ハックウィングの鋭いくちばしに胸を直撃されてしまったのだ。治癒師が言うには、ギリギリのところで心臓を外したらしい。それでも私は深手を負ってしまい、続けられなくなった。私は成人の儀式を完了するため、次の季節を待つことになる。

ケシュは私の無事を確かめることを望んだが、ラジ・ナッサは耳を貸さず、試練を続けるよう命じた。黒きヒレかハックウィングか、どちらかが死ぬまで。そのため、治癒師が私を助けているのを確かめるために最後の一瞥を送ってから、ケシュは目から血を拭って自然の中に駆けて行った。伝統に則り、彼女は武器も鎧も身につけなかった。自分の体と知恵だけを使うのだ。狩人が、狩りを生き延びるべき時が来たのだった。

あなたは飢えたハックウィングに追われたことがあるだろうか?当惑する経験であり、少々どころではなく恐ろしい。大抵の場合は翼がはためく音と、空気のざわめきが聞こえてくるだけだ。通り過ぎていく影に気づくこともある。翼や爪が一瞬でも目に入ることは珍しい。そして少しでも弱みを見せれば、ハックウィングは降下して傷を負わせようとしてくる。その後は、ただ出血多量で倒れるのを待ちながら追ってくるのである。儀式の場合、私たちはすでにこの鳥に血を流されている。手段はどうあれ、追ってくることは間違いないのだ。攻撃を予期しつつ、攻撃して迎え撃つのがコツだ。

(「私たち」と言っているが、私は実質的に試練から脱落していたことを理解してほしい。私は負傷して弱っており、試練の残った部分の大半はほとんど意識もなかった。何が起きたのかを知ったのは治療を受けて回復し、この季節の試練が終了した後になってからだ。)

ケシュは空の見える場所がほとんどないマーシュの一帯にハックウィングを誘い出した。彼女は木の幹や葉の屋根を利用し、ハックウィングと現在位置との間に直線の道しか残さないようにした。ケシュは木々のさらに奥深くまで進んで道を低くし、ハックウィングがついに攻撃してくる時には、上空からではなく水平方向から、それもほぼ地面すれすれの位置から攻めざるを得ないようにしたのだった。

ケシュは捕食者であり獲物である相手を待ちながら、傾いた角度に生えていた木から丈夫な枝を折って取り、粗雑ながらも先の尖った即席の槍を作った。彼女は槍を構え、背中を木の幹に押し付けて、ハックウィングが姿を現した時に素早く槍を持ちあげられる位置に着いた。長く待つ必要はなかった。獲物が出血に倒れ、木の群れの中で動きを止めて力尽きたと思ったハックウィングは、急降下してケシュが用意した道にぴったりと沿って飛んできた。ケシュは限界まで待ってから槍を上に向けて持ち上げ、後はハックウィング自身の速度と軌道がとどめを刺した。

狩りは終わった。ケシュは勝利した。彼女は成人の儀式を完了し、共同体の成人メンバーとしての席を得る準備を整えた。そして彼女が最初にしたことは、駆け戻って私がまだ生きているかどうかを確かめることだった。

ケシュ:村の外への旅、パート1Travels Beyond the Village, Part 1

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

戦争の英雄にしてサクスリール進歩社会運動の創設者である黒きヒレのケシュが、成人の儀式を完了してサクスリールの成人としての地位を獲得した後、最初に行った決断の一つは、私たちの小さな村の外の世界についてより多くのことを知るため、旅に出ることだった。抜け目のないティー・ワンと力持ちのヴォス・フルク、手先の器用なゾシン、そして私を脇に従え、ケシュは村と私たちの教師、ラジ・デーリスのドラミーンシンに別れを告げ、シークハット・ゾルの見慣れた境界の外に待ち受ける驚異を見るために出発したのだった。

私たちは北に進んだ。道の途上にあった村全てに立ち寄って友人や家族を訪ねながら、伝説の都市ストームホールドへと向かった。ズルークの村で、私たちはストームホールドにあるダークエルフの居留地を避けるようにと警告を受けた。彼らは迷い込んだサクスリールを捕え、奴隷にするためモロウウィンドに送ってしまうことで悪名高かったからだ。私たちは子供の頃にダークエルフの奴隷商人の噂を耳にしていたが、大マーシュの孤絶した地域にいた私たちは、そのような物語を本気で信じたことはなかった。

私たちは他の訪問者たちの群れに混じってストームホールドに到着した。訪問者の中には交易商、傭兵、職人、他にも私たちがこれまで見た中で、最も多様な種類の人々がいた。明らかに都市生活に慣れたサクスリール(他の種族にはアルゴニアンと呼ばれていることをその時知った)に加え、大柄なノルド、肌のきれいなハイエルフ、派手なブレトン、陰鬱なダークエルフ、わずかだがカジートやウッドエルフまでもが街角をうろついている姿を、驚きでぽかんと口を開けて見ていた。

彼らは全員、私たちにとっては奇妙で異国情緒に溢れていた。それに私たちの卵の兄弟や卵の姉妹が、よそ者にどんな風に扱われているのか、直接見たのだ。例えば力も尊厳もある街の居住者の一部は、頭を下げて敬われていた。弱く貧しい他の者たちは、命令され、蔑まれ、主人たちの気分によっては殴られていた。私たちは衝撃を受け、嫌悪感を覚えたが、ケシュは私たちに平静でいるように命じた。「この川の流れを私たちに変えることはできない」と彼女は言った。「少なくとも、今は」

街を探索している間、私たちは若いノルドの集団を見つけ、その人望篤きリーダーであるジョルンという吟遊詩人に出会った。私たちはジョルンの演奏を聞き、彼が語る物語に魅了され、その明瞭で表現豊かな声に聞きほれた。彼は私たちの、特にケシュの強い関心に気づき、自分と仲間たちに混じって夕食をとらないかと誘ってくれた。ケシュとジョルンはすぐに友達になり、夜遅くまで色々なことについて語り合った。実はジョルンと仲間たちは私たちとそれほど変わらない年頃で、彼らもやはり、成人の責任を担わされる前に世界を見ておこうと旅をしているのだった。私たちはジョルンとその友人たちに伝統的なサクスリールの食事の食べ方や飲み方を教え、彼らは宿に用意されていたノルドの珍味を紹介してくれた。

私はジョルンとケシュがその夜に話し合ったこと全てを聞いていたわけではないが、いくつかの内容は耳にした。ジョルンは自分の家族やスカイリムの素晴らしさ、そしていつかは有名な吟遊詩人になりたいという望みを語った。姉がノルドの女王になると彼は説明していたが、どうせ彼の空想的な物語の一つだろうと思った。ケシュが信じたのかどうかはよく分からない。ケシュのほうはジョルンにマーシュでの生活や、サクスリールであることの意味、そして私たちの民が昔、ずっと進歩した文明を持っていたことなどを話した。ジョルンは彼女の言うこと全てに心から関心を抱いているようだった。暖炉の炎が煤となり、ノルドのハチミツ酒とサクスリールの胆ビールのジョッキがついに空になった時、ティー・ワンが駆け込んできた。「ゾシンが」と彼は言った。声が恐怖と悲しみにかすれていた。「奴隷商人に連れ去られた」

ケシュは迷わなかった。彼女は立ち上がり、行動を命じた。ケシュには私たちの卵の兄弟がダークエルフにさらわれ、鎖で縛られるのを黙って見過ごすつもりはなかった。武器を集めて出発する前に、ジョルンが立ち上がった。「友達ってものは、戦いに行く友達を放置しないものだ」と大柄なノルドは宣言した。「それに、俺たちは木耀からまともな殴り合いをしてない。俺の仲間たちは長いこと殴り合いをしてないと、機嫌が悪くなるんだ」

ケシュ:村の外への旅、パート2Travels Beyond the Village, Part 2

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

ストームホールドを訪ねた旅は、陽気な一日に突然襲いかかる嵐のように不運な展開を迎えた。ゾシンとティー・ワンは、ケシュとヴォス・フルクと私がノルドの新しい友人たちと夜を過ごしている間に、自分たちで街を探索することに決めたのだ。ティー・ワンが戻ってきた時、彼は一人だった。彼はダークエルフの奴隷商人たちがゾシンを捕らえたと説明した。ケシュは当然、彼を救出する計画を立てた。そして驚いたことに、新しいノルドの友人たちのリーダーである吟遊詩人のジョルンが、私たちを手伝いたいと言ってきた。「正しい目的のためにダークエルフの頭をぶん殴るなんて、これほど血が沸き立つことはないぞ」と、彼は深く、よく通る声で宣言した。

ケシュとジョルンは街の外れにあるダークエルフの居留地へと進んだ。「ドーレス家か」とジョルンは言ったが、名前というより呪いの言葉のような言い方だった。「わかっていたさ」。私たちは居留地を偵察し、衛兵の位置や巡回経路を記録した。新しく手に入れた奴隷たちが収容されている場所を判断し、解放するための計画を立て始めた。ケシュが戦略についての議論を主導した。ジョルンはそれを注意深く聞き、時々提案を挟んだが、それ以外では彼女の計画に賛成した。太陽が空に昇り始めると同時に、4人のサクスリールと5人のノルドはドーレス家の奴隷商人の居留地に戦争を仕掛けた。戦いは栄光に満ちたものだった!

自信過剰で備えていない敵に対して奇襲を仕掛けるのは、想像するよりも簡単なことだ。半分酔っぱらった、熱意に満ちたノルドが数人味方についていればなおさらだ。ケシュとジョルンはつむじ風のように戦って奴隷の檻への道を開き、残った私たちは到着した援軍の相手をした。ダークエルフたちが防衛体制を整えるまで、私たちの予想よりも長くかかった。遅い時刻に予期しない襲撃を受けたことで、どうやら奴隷商人たちの活動は完全に混乱してしまったようだった。ジョルンの説明によると、彼らは荒野で隊商を防衛するのには慣れているが、ドーレスの居留地を直接襲撃するような大胆な者はこれまでにいなかったそうだ。「だからお前の計画は成功するよ」と彼はケシュに言った。

ケシュは苦もなく奴隷の檻の門を守っていた衛兵たちを片づけた。ジョルンは彼女が切り開いた道に踏み込み、巨大な戦斧を一振りして檻の錠を叩き壊した。ゾシンが檻から飛び出し、みすぼらしい身なりのサクスリールの一団を檻の外へ導いた。この時、ダークエルフたちは隊列を整えて私たちの位置へと進んできていた。「お客さんのお出ましだよ、黒きヒレ」とヴォス・フルクが警告した。「奴らは魔術師も連れている」と私は付け加えた。ケシュは必要なら全滅しても戦う覚悟をせよ、と命令を出しかけた。だがジョルンには別の考えがあった。

「死ぬまで戦わなくたっていいこともあるぞ、アルゴニアンの友よ」と大柄なノルドは目をきらめかせて言った。「お前の民を連れて逃げるんだ。俺と仲間であの弱っちいエルフどもを抑えておくから、その間に抜け出せばいい」。ケシュは彼に感謝し、いつか借りを返すと約束した。「その約束は、本当に守ってもらうことになるかもしれないぞ」と言ってジョルンは笑い、迫りくる奴隷商人たちに向き直った。「そのうちにな」

ケシュは私たちと解放した奴隷をマーシュへ誘導し、ジョルンとその仲間たちが背後で守った。ノルドたちは喜び勇んで戦い、私たちは彼らの笑い声と戦いの歌を耳にしながら、沼地へ姿を消した。太陽が空の一番高い位置にまで昇るくらいまで走り続けた後、ケシュが私たちに止まるよう呼び掛けた。彼女は私に、街へ戻ってノルドたちが奴隷商人の領地での戦いに生き残ったかどうかを確かめてきてほしいと頼んだ。隠密とごまかしの技に優れるティー・ワンが私に同行すると申し出た。ケシュが解放された奴隷たちに話しかけている間、私たちはすぐに出発した。

私たちはできる限り静かに、人目につかないようにストームホールドへ戻った。居留地は厳重に封鎖されており、大規模な衛兵の派遣部隊が到着して守りを固めていた。ティー・ワンと私は宿屋へ戻った。私たちはジョルンとその仲間たちをそこに発見した。朝の戦いの時よりも悪い状態には見えなかった。彼は心配して様子を見に来てくれたことに感謝したが、長居をしないように言った。「ドーレス家のリーダーは奴隷を失ったことに大層ご立腹だ」とジョルンは言った。「俺たちもここを離れるつもりなんだ。食事とハチミツ酒を片づけたらな。また会えるのを楽しみにしてる、とケシュに伝えてくれ」

こうして、ティー・ワンと私はストームホールドの街を去り、ケシュや皆の元へと帰った。

ケシュ:村の外への旅、パート3Travels Beyond the Village, Part 3

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

戦争の英雄にしてサクスリール進歩社会運動の創始者であるケシュの若き日々の物語はまだ続く。私たちが育ったシークハット・ゾルの村の外への旅は続き、大マーシュを通る私たちの道は全て、ケシュが決定した。私たちの仲間は5人から12人以上へ増えた。ストームホールドのドーレス家の領地から解放した奴隷たちの大半は、故郷と家族の元へ帰る道を探して去って行った。だが全員に帰る場所があるわけではなかった。それに、ケシュはどうやらストームホールドで会ったノルドのジョルンのように、カリスマ性を持ち、慕われるリーダーになりつつあった。

ケシュはいつも、遥か昔に栄えたとされる先進的なサクスリール社会の物語に魅了されてきた。旅のこの時期、彼女はそうした古代都市の跡地を訪ねる意思を固めていた。私たちはラジ・デーリスのドラミーンシン先生から借りた古い書の手がかりに従い、マーシュの奥深くへと進んだ。私たちが通った沼地は、鱗なきよそ者と同様、サクスリールにとっても危険な場所だった。奇妙な肉食獣や猛毒の雲が当たり前のように空気中を漂い、肉食の植物や肉を溶かす泥の動く塊、飢えた昆虫の大群まで相手にしなければならなかった。しかし、私たちは試練を受けて力を認められた成人のサクスリールであり(ただし、私はまだ成人の儀式を終えていなかったので除く)、しかも偉大にして強大な黒きヒレがリーダーなのだ。沼などものの数ではなかった。

私たちはしばらくうろつき回り、陰気なマーシュの奥地で、ある特定の目印を探そうとした。ケシュの書には2本の巨大なイトスギの木を探せと書いてあった。その幹は樹齢のためにねじ曲がり、互いに近くにあるため絡まり合い、結んだ分厚いロープのようになっているとのことだった。その絡まった木々をついに見つけたのはティー・ワンで、彼は興奮と恐怖の入り混じった叫び声で自分の発見を告げた。というのも木々の向こう、沼の不透明な水の先には、サクスリール先進文明の石の古代遺跡が山のようにそびえたっていたからだ。

遺跡は私たちを待ち構えていた。遺跡を構成する石と暗い影とには、どちらも同じような圧迫感があった。私たちの大半はこの場所へ近づくことに対して警戒心、というより全くの恐怖心を感じていた。真のサクスリールが、こんな建物の中に住むことをどうやって耐えていたのだろう?だがケシュは他の者たちが感じていた恐怖を一切示さなかった。彼女の顔は驚きと興奮で輝いていた。誰かが止める間もなく、ケシュはザンミーアの頂点へ向かう石の階段を駆け上がり、失われた文明の秘密を解き明かそうと急いだ。他の者たちがしり込みしているのを見て、彼女は戻ってきて皆に呼びかけた。

「ヴォス・フルク」ケシュは言った。「皆をシークハット・ゾルまで誘導して。私もすぐに後から行く」私たちはケシュが一人で遺跡に残ることを不安に思ったが、村に帰りたくもあった。「ここで何をするつもり?」と私は聞いた。ケシュは慈悲の背骨を立て、ただ「できる限りのことを学ぶわ」と答えた。

ケシュが沼地から出てシークハット・ゾルへ戻ってきた時には、私たちが村に帰ってからほぼ月が一巡するくらいの時間が経過していた。彼女は英雄として出迎えられた。私たちの冒険の物語は語り伝えるたびに大きくなり、ケシュは私たちの中でもっとも偉大な存在と考えられたからだ。彼女は決してお世辞を煽ることも、栄光を求めることもしなかった。彼女は私たち全員の様子を見に来て、同行した解放奴隷の状態を尋ね、それからドラミーンシン先生の助言を求めに行った。ケシュはかつての師が日光の熱を避け、泥の家にいる姿を発見した。「よくぞ帰った」と彼は言い、挨拶の背骨を立てた。

「ラジ・ディーリス」とケシュが口を切った。「古き者たちの地で見つけたものについて話させてください」

ケシュ:卵から青年期Keshu: From Egg to Adolescence

黒きヒレのケシュの友人にして相談相手、ピーク・エリール 著

戦争の英雄にしてサクスリール社会進歩運動の創設者である黒きヒレのケシュも、最初はどこにでもいる数多くの卵の同族の一人だった。私たちがシークハット・ゾルの村で育てられた間、彼女には特別なところが何もなかった。もっとも私に見分ける力があったわけではないが。彼女は伝統的な遊びをし、伝統的な食べ物を食べ、狩り、追跡、戦いのやり方を学んだ。ケシュが何かに秀でていたとすれば、それは追跡と戦闘だった。彼女は水を得たシャプのように追跡と戦闘を身につけた。他の者を圧倒する様は、ほとんど超自然的なくらいだった。

ケシュと私は、ほとんど卵から出てきた瞬間から友人になった。私たちを引き離すことはできなかった。一緒に遊び、雑用も勉強も一緒にやり、全てのサクスリールと同じように成長した。多分、私はこの時期にケシュが何か違うと気づき始めたと思う。彼女は歴史に関して、事実と数字を暗記する以上の情熱を持っていた。彼女はダスクフォール以前に存在していた、かつての偉大なるサクスリール文明についてできる限りのことを知りたがった。この点に関して、彼女は際立っていた。他の卵の家族よりもずっと自立して、自由な考えを持っていた。彼女の燃えるような個人主義はある意味で、私を怯えさせた。

多分、ヒストは私が気づいたのと同じものを見たのだろう。私たちの名付け日にヒストを舐めた時、彼女は「ケシュ」の名を授けられたのだから。これは文字どおり「離れて立つ」という意味だ。力強く、いい名前だった。シャプばかりの湖にいるワニだ。ケシュはこの名を尊厳と名誉をもって受け入れた。彼女にはぴったりだった。

ケシュが歴史と戦闘だけの退屈な人物でなかったことを示すために、私たちが小さな子供だった頃のある出来事を話しておこう。卵の番人ジュラン・ナーはいつも私たちを叱りつけ、ザル・ウクシス、すなわち聖なる巣から私たちを追い払っていた。ケシュは育ちつつある卵に混じって遊ぶのが大好きだったのに。ケシュは卵の番人を懲らしめるため、若いワマスを追って捕らえた。彼女は卵の番人を怖がらせて笑ってやろうと、ワマスを巣に向かって放した。確かにそれは成功したが、同時に罪のない無力な卵が3つ割れてしまった。ケシュは自分が引き起こした被害に深く恥じ入り、暦が完全に一巡するまでの間、番人を手伝うことを志願したのだ。

それで暦が一巡する頃、ラジ・ディーリス(文字どおり訳すと長老の教師)のドラミーンシンが、私たちの成人の儀式のための準備として、教えを与えるためにやって来た。ケシュの仲間たちが集まったのは、この集中講義と訓練の時期の最中だった。ケシュは私に加えて、力の強いヴォス・フルク、いたずら者のティー・ワン、そして機転の利くゾシンの注目を集めた。ヴォス・フルクは山のようにそびえたつ女性で、戦いではケシュに匹敵するほどだった。ティー・ワンは後に盗賊、そしてスパイとなった。それに対してゾシンは錬金術の溶剤を混ぜるのが好きで、後に強大な魔術師となった。全員がケシュについて戦争に行った。私を除いて。

その季節の間中、私たちの友情は深まり、ドラミーンシンは力の及ぶ限り私たちを成人の儀式に備えさせた。だが、それはまた別の機会に話そう。

ゴースト族についてOn the Ghost People

新しい案内人のオリク・ジャーは、前にこのじめじめした沼のあちこちを案内した者と同じくらい苛立たしい。目的地まで真っ直ぐ連れて行ってくれるように頼んでいるのだが、相変わらず聞き入れようとしない。どうやら、まっすぐ行くとヴィーシュクリールの土地の中心を通ることになるようだ。そして彼はそこを通りたくないらしい。毎日何か新しい呪われた洞窟、侵すべからざる干潟、あるいは聖なる木の森が出て来る。私たちがこの八大神が見捨てし場所のどこにでも行けるとは奇跡だ。

ヴィーシュクリールはゴースト族という変わった名で知られている。真っ白な幽霊のような存在で、汚水まみれのこの土地に捨てられた水死体を回収し、彼らの聖なる木の近くに埋める。一見すると、この魅力的な住民たちが片付けをしているだけのように思える、ただオリク・ジャーによると、彼らには「ヒストへの帰還」を阻止する力があるらしい。この木々に興味のない私にとってはどうでもいいことだ。それでも私は案内人について行くしかない。どうやら彼にとっては、数十キロ遠回りしてでも回避すべきことらしい。個人行動をするほど私は愚かじゃない。あんなことがあった後なら尚更だ。

シロディール・コレクションにご協力を!Cyrodilic Collections Needs You!

アルゴニアンの骨董品の回収、修復、保存、マークマイアの正当な所有者への返還を目的とする協会、シロディール・コレクションは、最高の仲間を探しています。シロディール・コレクションは歴史を重視し、過去の過ちを正そうとする者を求めます。

バルケルガード、ダボンズ・ウォッチ、ダガーフォールでコンコルディア・メルシウスを探してください。競争に勝ち、アルゴニアンの文化を守るための助力をお願いします。

セプティミウスへの手紙Letter to Septimius

セプティミウス修道士

私を弟子に取っていただいて以来、多くのことを学びました。私にとって最も重要なことは、無謀になれと誰かに言ってもらえたことでした。あなたのように、私も好奇心の強い者です。普通の生活は送れません。あなたは必要なら、好奇心のせいで殺されればいいと教えてくれました。そして解決すべき謎の一覧をくれ、ブラック・マーシュへ送り出しました。アルゴニアを恐れるなと教えてくれました。私が沈まないようにしてくれましたが、そのことにあなたの体調が優れないという知らせを聞くまで気づいていませんでした。

何年にもわたるやり取りを通じて、数多くの発見を共有しましたね。いつかあの一覧を完了できると私は本当に信じています。それはもちろん、私がブラック・マーシュに戻れた場合です。ええ、心配するなとは言われましたが、私はシロディールへ向けて出発しました。あなたが乗り越えるまで、私がそばにいます。その時まで私の個人的な問題は後回しにして、あなたが寝床で読めるものをお届けします。

私が怖がってやめることを願って、あなたは一覧の最初に最も難しい謎を挙げましたね。ヒストの本質とは何か?

答えは分かりません。それどころか、この事項について事実として述べられるようなことはあまりありません。それでも、私の推測を楽しんでもらえたらと思っています。

懐疑的な者たちは、あれがただの木にすぎないと言います。ブラック・マーシュのトカゲ族によって樹液を飲むために育てられた木。トパルが悪臭の漂う悪しき場所とした記述を誰もが覚えていて、皆が慎重な結論に達しています。戻ってきた帝国軍は、毒を持つ植物、有毒な沼地、ある時は怒りに満ちて襲ってくるのに、ある時には侵略者を無視するおかしな守り手の話をしました。そして、より「文明的な」トカゲ族でさえ恐怖を和らげられる答えを提供できないのですから、博学とされる学者たちがアルゴニアンとおかしな木を恐れるようになったのは当然のことでしょう。

私たちの周囲では、ヒストの木には知覚があり、トカゲ族を育てたのは木の方かもしれないと言い伝えがあります。この件については、サクスリールにおける生の連鎖を注意深く研究することで証明するか、反証を挙げたいと思っていました。残念ながらご存知の通り、全ての答えはまた別の疑問を生みました。はっきり言えるのは、この問題について話を聞くたび、あるものの前に別のものが存在したという考えが、サクスリールには理解できないという結論に達しました。この魅惑的な文化が線形の出来事をどう考えるかについて語って、これ以上話をそらすのはやめておきます。私が何か書くたびにそう言われましたから。

しかし、これは言えます。ヒストは感覚があろうとなかろうと、単なる木ではありません。あの木が堂々としていて、その下に立つとある種の敬意を払わずにはいられないのは事実ですが、私はいつもその根に最も興味を引かれてきました。セプティミウス修道士、私が目にしたことをうまく表現できたらいいのですが。根は沼の下に深く延び、それがどの木のものか分からないほど広く広がっています。私は、ある意味で根は沼そのものだと信じています。根が一つにまとめ、変化する時を決めているのです。

このことは以前にも話したのは分かっていますし、あなたは沼の無秩序な性質が、単にヴァレンウッドのエルフに似た一種の魔法によるものだと仮定していました。私にはその主張が誤りだと証明できず、論理は理解できますが、それが本当だとは信じていません。

私は腕の立つ追跡者がこの地の気まぐれに挫折させられる姿を見てきました。動きを見たとは言えませんが、経験を積む中で堂々巡りにされる方向感覚は十分に習得しました。もっと疑わしい相対空間の説については述べるまでもありません。私は、サクスリールが環境に応じて変化するように、根もブラック・マーシュをふさわしいと思われる形に変えているのだと考えます。

セプティミウス修道士、ブラック・マーシュはこれまで一度も征服されそうになったことがありません。アルゴニアの境界は考えられたことさえほとんどありません。地図が正しいはずもありません。根は深く広く延びすぎて、私たちが真のアルゴニアを知ることは無理なのです。

学会は樹液にばかり注意を注いできました。自らを樹液の民と呼んでいるのは、私が書いたばかりのウッドエルフではないのですか?

サクスリールは根の民であり、あなたの難しい謎に対する答えはそこで見つかることになるでしょう。

それは私が戻る時まで待たなければいけません。じきにお会いして、あなたが回復への道へ向かえるようにしましょう。

愛を込めて、
ジュニア・セヴェラ

そこにある虚無That of Void

ニッソ・ゼーウルム 著

永遠なる虚無であるもの
第一の創造者、第一の破壊者
全て無から生まれたものは
再び無へと帰った

黄昏へと溶けゆく日
鋭い一突きにより奪われる命
崩れて塵と化す石
咲いて命になる死

望まれぬ変化、必要な変化
成長し、腐敗し、再び生まれる
闇のように、汝の死のように
瀕死の者にかける無の言葉

季節は変わる、我々の意志を越えて
全てのものは変わる、我々の恐怖を越えて
虚無であるものを見よ
目を開いて見よ

テーバ・ハツェイTeeba-Hatsei

肌の乾いた者はよくテーバ・ハツェイについて尋ねる。彼らはボールとコートを見て、ありとあらゆるおかしなことを言う。今日は旅を共にする長身のエルフがコートを指さして「これは菜園だな?」と聞いてきた。どう答えたものやら分からず、ただ目をしばたたかせることしかできなかった。食物を育てない菜園?長身のエルフは馬鹿なのかもしれない。それでも人々からの質問が減るように、ルールを書き留めておくべきだと私は考える。

テーバ・ハツェイとは肌の乾いた者の言葉に直すと、「ヒップ・アンド・テイル」となる。我々は皆この競技を行い、中には他の者より秀でた者もいる。私はあまり上手ではなかった。腕が長すぎるし、尾が細すぎるからだ。最もティーバの選手に適しているのは、ずんぐりした体型で、ワニのような幅広い尾と、シナモン草の袋のように左右に揺れる尻を持つ者だ。

試合は乾いた泥と塩牧草の干し草の広い競技場で行われる。競技場の両端には泥とイートの茎の壁がある。競技場の大きさと壁の高さは村によって異なる。例えばシニスでは、壁の高さが20の手の高さだ。競技場の上には葦の輪が二つ吊るされている。一つは大体30の手の高さ。もう一つは大体50の手の高さだ。これも統一はされていない。例えば、タム・タリールは肥えていて愚かで、あまり高く飛べないために輪を低く吊るしがちだ。

各チームは5人の選手で構成されている。試合はボール(ティーバ)を空に向かって放り投げることで始まる。各チームは尻、肘、あるいは尾でボールを打とうと試みる。これは少し痛いかもしれない。なぜならティーバは非常に重く、デパサ・ガムで作られているからだ。保護のために木と乾燥したワッソの葉のパッドを身に付ける選手もいるが、ほとんどのサクスリールはそうすると馬鹿にする。

それぞれの選手がボールを相手の壁に当てようとして、ティーバを前後に飛ばし合う。成功すれば、そのチームは点を獲得する。チームワークは非常に重要だ。1人の選手が上に向かってティーバを弾き、次の選手がそれを尾で叩けるようにする。大抵は尾の打撃のほうがずっと強い。一方のチームが10点獲得するまで続く。

低いほうの葦の輪を通せば、3ポイント獲得できる。輪はとても小さいため、通すのは非常に難しい。もし選手が上の輪を通すことができたら、そこで試合は終了し、その時点で多く点を取っているほうが勝者と認められる。

もちろん、これが全てではない。だが、少なくともこの入門書は、鱗のない連中がコートの中央にテントを張ろうと思わないようにはできるはずだ。

ドラデイヴァの日記Dradeiva’s Journal

私はあらゆる物語を聞き、あらゆる語り部や長老と話した。多くの季節をかけた探索と調査の末、私の卵の家族の祖先は、インペリアルの第九軍団をツォフィア洞窟に連れ込んだという結論に達した。軍団はそこで歴史の中に埋もれ、失われた軍団になったのだ。

* * *
ツォフィア洞窟に関係する物語の多くは、ウジュカと呼ばれる巨大かつ強力なボリプラムスに言及している。確かめた限り、この邪悪なスライムの巨大な塊は、他のボリプラムスとは行動が異なる。自身を拡張するのだ。ウジュカと何らかの形で連結している動く粘液の塊を広げ、ウジュカの目、耳、触角として機能させる。それがウジュカの外の世界との接触点になっているのだ。私が話した長老たちは敬意を込めてウジュカについて語ったが、明らかに彼らもその生物を恐れていた。彼らが言うには古代の季節において、付近の部族の長老たちがツォフィア洞窟に行き、拘束の儀式を執り行って、巨大なボリプラムスとその拡張を洞窟内部に閉じ込めていたそうだ。

拘束の儀式はもう非常に長い季節の間行われていない。ツォフィア洞窟への入口が落石で塞がれて以来ずっとだ。第九軍団が行方不明になったのはその時か?彼らはどのようにしてか、洞窟の内部に閉じ込められたのだろうか?

* * *
私がボリプラムスについて知ったことは以下の通りだ。あのスライムは沼を這い回り、その途上にあるもの全てを吸収する。新しく生まれる時は分裂して新しいボリプラムスになるか、吸収した肉をボリプラムスの死体に代えてしまうか、どちらかだ。ボリプラムスの死体は半透明の体のような外見をしており、肉が骨から溶け落ちてボリプラムス状のスライムに置き換わっている。この吐き気をもたらすような蠢く生き物は、生まれる元となったボリプラムスと何らかのつながりを持っているが、ウジュカの場合ほどではない。

* * *
ある長老はウジュカのための拘束の儀式を私に教えてくれた。少なくとも、彼女は以前の長老に教わったことを私に教えてくれた。ウジュカがもう存在していなければいいが。もしあれがまだツォフィア洞窟を占領しているとしたら、洞窟を去る前に拘束の儀式を行わなければならない。ただ、私としては第九軍団の痕跡と証拠も見つけだして祖先の動機を示し、私の卵の家族を貶めてきた、裏切り者の汚名を返上したい。

パヒーザからの手紙Letter from Paheiza

ナーヘイへ

沼バエが何度噛みついても、クロコダイルは自分の道を進み続けるものよ。お前の脅迫と私や、私の卵の姉との関係も同じ。確かに、私はお前に借金がある。でも脅すだけで早くゴールドを稼げるようになったりはしない。

もう少し時間が欲しいと言っているだけよ。キーマ・ルーは私たちの農場が苦労していることを知っている。近いうち売却に同意してくれるでしょう。その時に借金は全て返す。

パヒーザ
パヒーザ

パヒーザへの脅迫状Threatening Letter to Paheiza

パヒーザへ

キーマ・ルーはすでに私が申し出た貸付金を、サルトリス農場の未来を確保するために受け入れた。彼女が自分の土地を売ったとしても、利益は直接、この貸付金の返済に回る。

分かっているのか?お前の趣味が積み上げた借金は全て、お前の財布から支払うしかないんだぞ。何しろ、お前にやっているスクゥーマは簡単に入手できるものじゃないんだ。お前の卵の姉の貯金を散財しつづけたら、キーマ・ルーにお前の窃盗を伝えるしかなくなる。もちろん、事業のパートナーとしての懸念からな。

ナーヘイ

ヒートザシの日記、1ページHeetzasi’s Journal, Page 1

より多くの金がRを探すためにばらまかれている。

マーラの聖堂でサングインを見つける可能性の方がまだ高そうだ。

奴はまた厚かましくなってきている。俺は譲らなかったが、奴については色々な噂を聞いている。陰惨な噂を。カサンドラの件がうまく片づけばいいが。

ヒートザシの日記、2ページHeetzasi’s Journal, Page 2

また調べ回っている。痕跡を探すため。

地元の者たちはRについて「知って」はいない。伝え続けるような情報じゃないんだ。全てはヒストの知識。本能だ。具体的なことは何もない。仕事が面倒になる。真面目に働くのは嫌いだ。

ブラックガードの発想は正しい。部族からヒストと話すのに使う物を奪う気だ。それでRについて知ろうとしている。だがデッドウォーターに試すのは正気の沙汰じゃない。ナガどもが遺物を盗まれて黙ってるわけがない。奴らは葬式を出したようなものだ。

奴は今日もまたやって来る。紹介をする必要があると言っている。

ヒートザシの日記、3ページHeetzasi’s Journal, Page 3

ベーリシャルス…5ゴールド
カルガ・フラヴォニウス…7ゴールド
ヒフプ…3ゴールド、魚取り網2つ(なぜ?)
あの上唇の割れたオーク(名前?)…18ゴールド

ファミア・メルシウスの日記、1ページFamia Mercius’s Journal, Part 1

自分の幸運が信じられない!1ヶ月の間毎日冒険者を募って、ついに本物の英雄を見つけたわ!古典的な意味の英雄ね。まだ知り合ってから間がないけど、限界が見えないほどの機転、勇気、力を示してる。この人と知り合えなかったら、完全に挫けていたと思うわ!

私たちはついに、長いこと遅れていたイクスタクス・ザンミーアへの探検に乗り出したの。ほぼ一瞬にして危機に陥ったわ。幸運にも、我らが英雄と私は遺跡の数多の脅威を通り抜け、カジン・ジャットのクリスタルを回収できた!カサンドラの展示ケースにあれを置いた時、彼女は微笑んだみたいだった。珍しい光景よ!

もちろん、私たちの喜びは最近のブラックガードの事件で曇らされた。どういう方法でか、あの悪党どもは私たちがアルゴンの名残を探していることを知った。奴らは私たちの組織のメンバーを誘拐までしたの!運よく新しいメンバーと親友のズカス、そしてジャクシク・オルンというデッドウォーター族の戦士が彼らを救出してくれた。友人たちを無事に取り戻せて安心したけど、ブラックガードのならず者どもが名残の場所についてどれだけ知っているのか不安が残る。この新しい英雄さんの力を借りて、先に名残を見つけられるといいんだけど!

ファミア・メルシウスの日記、2ページFamia Mercius’s Journal, Part 2

前回日誌に書いた時から、すごく沢山のことが起きたわ!この文を書いている最中にも、カサンドラの船が私とズカス、ジャクシク・オルン、カサンドラ、そしてウィップテイルをリー・アン・ウー、別名「呑まれた林」へ運んでいる!マーラの心臓にかけて、先走りすぎね。

シロディール・コレクションの新メンバーがまたしても、欠かせない存在だということを示したの。ズカスとジャクシク・オルンに協力して、アルゴンの名残についての重要情報が、ブライトスロートとデッドウォーターの遺物の中に隠されていることを発見した。それぞれの部族の遺物は謎の半分を与えてくれた。その謎は私が解けたわ!分かっている限り、呑まれた林に行って「夢浸り」と呼ばれる儀式を行うの。この儀式が何を教えてくれるのか、見当もつかない。それが名残自体へ導いてくれることを祈るしかないわ。きっとすぐに分かるわね。待ちきれないわ!

ファミア・メルシウスの日記、3ページFamia Mercius’s Journal, Part 3

ようやく、書く時間ができたわ!呑まれた林への旅以来、沢山のことが起こった。どこから始めればいいのか分からないくらいよ。

ズカスとジャクシク・オルンの夢浸りの儀式は、彼らが話した幻想的な伝説にふさわしかった。強力な錬金術の煙を吸い込んだ後、新しい友は過去の鮮明な幻視に入り込んで、名残が実は失われたアルゴニアン部族の作ったものだと知った。昔、バルサエビク・アイレイドの一団がその部族の村を襲撃し、そこに住んでいたアルゴニアンを皆殺しにして、しかもその魂を使い尽くそうとしたの!幸運なことに、アルゴニアンの長老は部族の魂を保管して守る器を作ることができた。それがアルゴンの名残よ。

私たちがそのことを知ってすぐ、カサンドラは私たちを裏切った!彼女は儀式の最中に現れた魔法の杖を奪い取り、逃げ去ったの(私を引きずってよ!)

その後の数時間は本当に怖かった。彼女の不気味な手下ウィップテイルは、思ってた以上にひどい奴だった。私をシシスに捧げようとしたんだから!新しい友がすんでのところで現れて、あのブラックガードの暴漢から助け出してくれてよかった。

いくつもの予期せぬ展開と、長い追跡の後、友と私はカサンドラに追いついた。でも残念ながら、彼女を救うには手遅れだった。カサンドラは名残に触れ、巨大なマイアゴーントと結合してしまったの。彼女は一時的に怪物を支配したけど、我らが英雄は撃破に成功したわ。私はこの出来事にまだ悩んでいる。カサンドラを止めることは明らかに必要だった。でもどうしても彼女を救えなかったかと考えてしまう。彼女の狂気にもっと早く気づいていたら、カサンドラは今も生きていたかもしれない。悲しいわ。

とにかくカサンドラが倒れた後、私は名残を手に取ってズカスとジャクシク・オルン、そして我らが英雄に頼んで、中に入ってもらった。本当は、ほとんど覚えていないの。ヒストの中の何かが私を包んだ。苦痛ではなかったけど、快適でもなかった。私があんなものを長時間持ってちゃいけなかったのよ!

名残の中で起きたことにはあまり詳しくないけど、友達を1人失ったことには今でも動揺している。でも、犠牲が無駄ではなかったと知って気持ちが晴れたわ。ルートウィスパーのヒストは完全に開花し、枝の下に新しい部族が集った。新しい始まりよ。私にとってもね。カサンドラの支えとリーダーシップがなくなった今、シロディール・コレクションはかつてのままじゃいられない。でも色々なことを見て経験した後では、これまでよりさらに素晴らしいものにできる自信があるわ。次の冒険が待ちきれない!

ファラルへの手紙Letter to Faral

ファラルへ

ボグブライトには気を付けろとお前が言ってたのは覚えてる。気を付けてるよ、信じてくれ!お前が言ったとおりパンジーの煙を仕掛けた。俺たちの匂いを隠すため大量の腐った肉を置いたよ。だがファラル、お前に俺の計画を検討してもらいたいんだ。俺はあいつらを観察してる。動き方や狩りの仕方、それから、破裂する仕方を記録してる。あの力の一部を利用できたら、ブラックローズの連中は俺たちを英雄扱いしてくれるぞ!

まず考慮すべきは、あいつらの居場所と起こし方が分かってるってことだ。この点に謎はないよな?アルゴニアンの死体を水の下に留めてるあの墓標が集まってる場所を探して、引き抜けばいい!まあ、死体はただ水面を流れていくこともある。だが時々、ここみたいなアンデッドの鉱脈が見つかる。何がここの死者たちを目覚めさせているのか分かるといいんだが。水の中に何かあるんだろう?きっとそうだ。ナガだけがあれを飲めるんだ。何年か前、口一杯に含んじまったことがあるが、気持ち悪くて死にそうになった。

ボグブライトを捕まえるのは不潔だが、難しいことはない。ブラックガード数人とロープ1巻き、少々の忍耐があれば、すぐに何体かは手に入る。爆発させないようにするのがコツだ。

正直言って、そこがまだよく分からない。死体をあまり長く放っておくと、ふいごみたいに膨らむのは知ってる。だが爆発はあまりに急で、強烈だ。ボグブライトはわざとやってるに違いない。突進して、ハンマーで叩かれたカボチャみたいに破裂するんだ。
確かに、まだ解明すべきことはたくさんある。でも、だからこそ捕まえなきゃいけないんだ!少なくとも、ドラキーとあの連中に話をしてくれよ。いいな?

モンガノー

ブラック・マーシュの鱗の騎乗動物Scaly Steeds of Black Marsh

リルモスの馬屋の親方、ウカスパ 著

肌の乾いた者の多くが、血もつながっていないにもかかわらず、毛の生えた騎乗動物に感情的な執着を抱いていることに私は気づいた(我らの隣人カジートは例外かもしれない。彼らは全ての猫が親戚だと言う。それは本当かもしれないが、カジートの髭とピクピクする耳から、表情を読み取れる者などいるだろうか?誰も彼らを信用しないのも当然だ)。とにかく、肌の乾いた者が自らの愛する毛の生えた騎乗動物に乗ってブラック・マーシュまでやって来ると、馬は突発の流砂に飲み込まれ、ニクバエから泥肌病をうつされ、斑点模様の毒キノコを食べてバタン!と死ぬ。そして肌の乾いた者は目から水を流すのだ。

確かに、悲しきビーク・オジェルにとって酷い状況だ。簡単に避けられる状況であればなおさらだ!なにせ、マーシュの親方はほぼ全員が、鱗のある上等な騎乗用トカゲを売っているのだから。トカゲには様々な形があり、どれも肌の乾いた者にとってはお馴染みのものだが、沼の奥地の条件に適応しているのだ!我々のトカゲは非常に便利で、鱗たっぷりで魅力的だ。1頭欲しがらない者がいるだろうか?あるいは何頭でも?

一度ならず、私は好奇心旺盛なビーク・オジェルに尋ねられたものだ。「ウカスパ、なぜお前のところの乗用トカゲはタムリエルの他の地域の騎乗動物のような姿をしている?なぜ馬トカゲやラクダトカゲ、センチトカゲがいる?なぜお前のところのとっても美しい騎乗動物は、トカゲの姿をしているんだ?」。いい質問だ。私ウカスパはこれに答えたいと思うが、大きな謎になっている部分は別だ。

我々サクスリールはヒストの子であるゆえに、肌の乾いた者たちと違うことは知っているだろう。だが、それはどういう意味なのかと思うだろう。ヒストは木であって、我々は明らかに苗ではない。それは、ヒストが木以上の存在であり、根を持つ知恵だからなのだ!ヒストは高く、広く成長し、とても賢いが、成長する場所に留まっていなければならない。それが不便な時もある。だがヒストは人間とエルフが足で歩き、器用な手を持っているのを見て、「おお、これはいい!」と賢くも考えたのだ。そして急いで根を伸ばし、今ではマーシュのどこでも我々が「役に立つ」と呼ぶ種類のトカゲがいるわけだ。そしてある出来事が起こった。我々が「役に立つ」と呼ぶ種類のトカゲをヒストが手に取り、それからあなたがアルゴニアンと呼ぶ民を作ったのだ。

川がどこに流れているか見えてきただろう?ヒストは歩く足と器用な手のある子供としてアルゴニアンを扱っているのだ。そしてアルゴニアンは最も優れた民だ。なぜなら人間とエルフの持つ欠点がないからだ。だが、彼らは時々長い距離を長い間旅しようとする。人の形をした者がどうやって旅する?騎乗動物に乗ってだ!だから役に立つトカゲは役立つ姿の乗用トカゲになり、アルゴニアンは尻尾を鞍に載せて誇り高く乗れるのだ!

だが分かっているぞ、ビーク・オジェルよ。さらなることを知りたいのだろう。知識が鱗を潤わせるとでも言うように(ちなみにそんなことはない)。役に立つトカゲがたまたまヒストの子供であり、乗用トカゲでもあると知っただけでは足りず、あらゆる細かい点、特にあのトカゲは肌の乾いた者が「セクシー」と呼ぶようなものなのかを知りたいのだ。しかし、それについてウカスパは手助けできない。なぜならそうしたことは全て大きな謎だ。ああ、もちろんヒストのアルゴニアンにとってはそうではない。全ての手がかりを知っている我々にとって、それが大きな謎であるはずはないのだ。だが君には全く手がかりがない。君は我々の卵の兄弟ではないからだ。とにかく、私が乗用トカゲについて教えられることは以上なので、もう行っていい。喜びに打ち震え、潤いを保ち、愚か者のように沼の奥地にふらふらと迷い込まないように。いいな?

ブラック・マーシュは待っている!Black Marsh Awaits!

シロディール・コレクションはマークマイアの沼の探検に参加してくれる、勇敢で進取の気性に富む冒険者を探しています!アルゴニアンの故郷の謎めいた奥地で、興奮、発見、財宝が待ち受けています!

興味のある方は、リルモスでファミア・メルシウスまでご連絡ください!

ブラックウォーター戦役、第1巻The Blackwater War, Volume 1

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

ブラック・マーシュの侵略が第一紀2811年に始まった時、帝国軍は勝利を確信していた。インペリアルはアルゴニアの戦いで決定的な勝利を得ていて、他の衝突も同様の結果に終わった。これらの戦闘は一方的であり、アルゴニアンたちが多数の負傷者を出したのに対して、インペリアルにはほとんど疲労の色さえ見えなかった。第一紀2811年蒔種の月、トカゲの民は全面的な退却状態にあり、ブラック・マーシュ内陸の薄暗い奥地に逃げ込んだ。帝国はこれを好機と判断し、アルゴニアンたちが態勢を立て直す前に総力を挙げて侵略を試みた。

部隊は若く人望のあるアウグリアス・ブッコという司令官に率いられていた。ブッコはシロディールで名を知られた人物だった。その麗しい外見と巧みな弁論術により、彼は前例のない早さで帝国軍の階級を駆け上がったのである。25歳になる頃、ブッコはすでに将軍の証であるダイヤモンドを身につけていた。将軍の印を受け取るに際して、彼は実質的にシロディールのどんな場所の軍団も選択できた。ブッコが指揮することを決めたのは、ブラック・マーシュの第四軍団だった。

他の歴史家たちはなぜブッコがこのような陰鬱で危険な仕事を選択したのかについて、無数の理論を提供してきた。私としては単に、プライドが決定的な要因だったと主張したい。ブラック・マーシュの国境沿いにおける帝国軍の活躍の噂が、第一紀2811年恵雨の月にはすでに、帝都の宿屋や街路に届いていた。沼地の征服を大将軍への昇進への機会と見ていたブッコは、ブラック・マーシュでの戦争が短期間の大勝に終わるだろうと確信し、貪欲にも第四軍団指揮官のマントをまとったのである。彼の判断は完全に誤っていた。

ブラックウォーター戦役、第2巻The Blackwater War, Volume 2

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

ブラックウォーター戦役の当初数年間は、帝国軍にとって厳しい戦局になった。シロディールの大地では数々の勝利を手にしていたこの軍団は、悪臭を放つブラック・マーシュの沼地に対処する用意がまるでなかった。

まず、帝国軍の装備はこのような環境に適していなかった。例えば彼らの鎧は重く、湿気の多い気候の中ではすぐに錆びてしまった。軍団兵たちはブーツや盾から泥を落とすために何時間もかけ、戦場に持ち込んだ荷物を少しでも軽くしようと必死になった。2年目の終わりに差し掛かる頃になると、軍団兵たちは胸当てやグリーヴを完全に放棄し、金属の鎧で汗にまみれて死ぬよりも、快適な死を選んだ。

数世紀にわたってインペリアルが発展させてきた戦術も、この厳しい地においては鎧と同様に役立たずだった。歩兵隊の展開や厳格な隊列システムは、沼だらけの内陸部で実施できるものではなかった。イトスギの枝の繁茂や泥まみれの地形によって部隊はすぐ散り散りにされ、その結果頻発した小規模の乱戦では主にアルゴニアンが勝利した。こうした条件では命令系統がすぐに悪化した。これにより、軍団内では命令無視や士気を下げる権力闘争が早晩巻き起こった。

そして、沼自体が部隊を飲み込んでしまうことがしばしばあったようである。帝国軍の野営地周辺では噂や事実の断片が始終飛び交っていた。ある者は行方不明の部隊が道に迷って方角が分からなくなり、安全な場所に戻る道を見つけられずに飢えや乾きで死んだと考えた。別の者たちは大いに恐れられていた「ゴーストウォリアー」の仕業だと言った。残忍なことで知られた、青白く醜いアルゴニアンである。暗く邪悪な化け物が沼の下に潜んでいて、それが一口で歩兵部隊を丸ごと飲み込んでしまったのだと囁く声すらあった。こうした噂は明らかに間違いだったが、軍の士気には大きな打撃を与えた。

さまざまな障害と環境が絡み合って、何年も続く悲惨な戦争が始まろうとしていた。ブラック・マーシュの戦闘が終結するまでには、数千もの兵士たちが死ぬことになった。

ブラックウォーター戦役、第3巻The Blackwater War, Volume 3

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

第一紀2816年になると、ブッコ将軍の軍団は歩兵隊6部隊にまで縮小していた。しかも戦いが続くうち、どれ一つとして万全の状態ではなくなっていた。終わりなき襲撃に疫病、謎めいた失踪などが重なり、絶望と悲観が常態化するようになった。

援軍がない限り敗北は必至と見たブッコは、ブラック・マーシュにもう一軍団を展開することを要請した。新しい部隊を前線に送って追い詰められた部下たちを休ませるのではなく、ブッコは彼らに「レマン街道」(後の沼街道)の建設を行わせた。この道がどこに続くのか、これが将来の紛争にどう貢献するのかを知る者はほとんど誰もいなかったが、ブッコは舗装されて警備された道路が戦いを助け、戦況を帝国軍へ有利に傾けると確信していた。

理論上、この道路はインペリアルにとって願ってもない恩恵であるはずだった。帝国軍にとって、物資の不足は長らく悩みの種だった。安全な物資の流れがあれば兵を頻繁に交換でき、食料や水、装備の流入も阻害されなくなる。だが、街道が完成することはなかった。

レマン街道は工事の開始とほぼ同時に攻撃を受けた。アルゴニアンの波状攻撃が作業員たちを日夜襲い続けた。盾と槍で武装すべき兵たちは、シャベルと鎖で身を守らねばならなかった。兵士たちはまた、疲労と沼風邪に倒れることも多かった。街道は前線まで半分の距離を建設したところで放棄されてしまった。沼街道の計画はブラック・マーシュ侵攻が苦い失敗に終わった後も、「ブッコの愚行」として記憶される。

ブラックウォーター戦役、第4巻The Blackwater War, Volume 4

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

第一紀2820年、ブッコ将軍の第四軍団は完全に崩壊していた。残存する数少ない兵士たちはまともに戦える状態になかった。暴動まがいの事態でブッコの指揮権が脅かされるに至ってようやく、彼は残った兵士たちに退却と、マーシュ内陸部からの脱出を命じた。彼は帝国軍が沼を去れば、アルゴニアンも追っては来ないだろうと判断した。

10日間の厳しい退却の後、帝国軍の残存兵たちは「ジ・ツェイ」と呼ばれる古代アルゴニアンのピラミッド周辺に集まった。軍はこの時点でもはや350人程度にまで減少していた。ブッコはピラミッドの陰で短い休息を取ったら、残存勢力は比較的安全なシロディールまで退却できるだろうと考えていた。その望みが果たされることはなかった。第一紀2820年収穫の月14日、ブッコの誇った第四軍団の残存兵たちは全滅したのである。

ジ・ツェイの虐殺の詳細は歴史コミュニティにおいて議論の多い問題である。ブッコの残存勢力が大規模なアルゴニアン軍団によって撃破されたことについては広く合意されているが、この結論を支える証拠には一貫性がないと言わざるを得ない。ピラミッド周辺の考古学的発掘調査では数百の死体と放棄された武具が見つかったが、帝国軍の遺体が少なくとも100体は未発見のままだ。これは当然、この兵士たちに何があったのかという問いを導く。彼らがシロディールに辿りつけたことを示す証拠は何もないため、捕虜として連行された可能性もある。だが既知の戦場の野営地の発掘からは、帝国軍捕虜のいかなる証拠も発見されていない。これもまた、この紛争中に発生した謎の失踪事件の一つである。アルゴニアンはこれ以上のことを知っているかもしれないが、歴史家に情報提供を申し出た者はこれまでに誰もいない。

ブラック・マーシュでの大敗によって、帝国議会はこれ以上の屈辱を許容できなくなった。他の敵対勢力はブラック・マーシュを見て、かつては恐れられた帝国軍が弱体化したと見て気勢を上げた。議会は対抗措置として、第四軍団をレグルス・サルデカス将軍の指揮の下に再編成し、第二次ブラックウォーター戦役を開始した。

ブラックウォーター戦役、第5巻The Blackwater War, Volume 5

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

サルデカス将軍は帝国軍において伝説的と言ってもよい存在であった。数えきれないほどの会戦に参加した古参兵であり、兵士としても将軍としても、周囲に抜きん出た力を示してきた。

サルデカス(別名「岩のサルデカス」)は、行方不明でおそらくは戦死したブッコ将軍とは正反対の人物だった。目撃者の証言が記すところによれば、彼は大柄で冗談を解さない男であり、鷹のように鋭い容貌を持っていた。彼は足を引きずって歩き(アルゴニアの戦いの古傷である)、短く重々しい言葉で服従を命じた。正装や礼服の類は全て避け、簡素な百人隊長の鎧兜に、自らの役職を示す勲章を身につけることを好んだ。

サルデカスと再編成された第四軍団は間を置かずに戦いへと復帰した。第一紀2823年、彼らはブッコが退却した際に失った全領域を取り戻した。多くの軍事学者はこの成功をサルデカスの適応力と戦略的独創性に帰している。例えば、サルデカスは全帝国軍兵士に命じて金属の鎧を捨て、胸当て付きの革鎧を身につけさせた。インペリアルの補給係はアルゴニアンの非正規兵や斥候と連携を取り、沼地から得られる食料だけで生き残る術を学んだ。また、百人隊長や軍団長には追加権限が与えられ、軍が分断された際も独立して戦えるようにされた。大隊と中隊が独立して機能するように計らうことは、兵士たちの士気を驚くほど高めた。帝国軍兵士たちはこの時初めて指揮官を自分の目で見て、その命令に従って個人として戦いに参加できるようになったのだ。もちろん、軍団長たちの手腕と指揮能力に負うところも大きかった。しかしサルデカスは要求の厳しい指揮官として悪名高く、期待に背いた兵を格下げすることもためらわなかった。

だが、サルデカスが最も成功したのは外交の領域においてだった。紛争初期、彼は追放されたアルゴニアンの部族に呼びかけ、帝国側について戦えば報酬を与えると申し出た。死したブッコ(および多くの同時代人たち)はトカゲの民を一枚岩の蛮族集団と見ており、低俗な交配と野蛮な気質によって結びついていると考えていた。サルデカスはそれが誤りであることをほぼ一瞬で見抜いた。彼は影響力のあるいくつかの部族と強固な同盟関係を結び、その中には油断ならぬアーチェインやショス・カリールもいた。彼の勢力は一挙に3倍近くへ膨れ上がった。ブラック・マーシュ戦役はようやく、帝国軍有利に傾きつつあった。

ブラックウォーター戦役、第6巻The Blackwater War, Volume 6

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

サルデカスの指揮戦術は一つの原則に基づいていた。それは真の敵が沼であり、アルゴニアンではないというものだった。第一次戦役における死者の約半数は疫病が原因であり、ほぼ同数が謎の失踪によるものであった。彼の算定で、アルゴニアンの襲撃はそれらより遥かに低い第三の要因だった。この事実を考慮して、サルデカスは新たな戦いの心得を作り、士官全員に普及させた。この戦術の要点は単純だった。すなわち、ブラック・マーシュを征服する唯一の方法は、それを破壊することであるというものだ。

サルデカスは技術者と工兵で構成された大隊を全て前線に展開した。帝国軍兵士が国境付近の村に激しい襲撃を行っている間、支援兵が沼を干上がらせ、水田に塩をまき、数百の木を切り倒した。戦役のこの時点において最もよく知られている出来事は、第一紀2828年の「大炎上」である。

記録が示すところによれば第一紀2828年恵雨の月上旬、エリシア・マリシウス(サルデカスが信を置いていた軍団長の1人)が工兵部隊に命じて、ストームホールド外にある泥炭の沼地に火を放たせた。工兵たちは命じられたとおり行動したが、沼地が地下に広がる巨大な網構造の一部であることは知らなかった。数ヶ月経って、帝国軍兵士たちはソウルレストやギデオンなどの遠隔地で突然の出火を報告するようになった。この地域全体が炎に包まれていることに帝国軍が気づくまでには、さらに数ヶ月を要した。

泥炭や廃棄物が燃えて発生した炎は、3年以上もの間足元で荒れ狂った。ただでさえ危険なマーシュがさらに凶悪になり、帝国軍はこの10年近くの期間で初めて後退を余儀なくされた。窒息する煙と燃える沼から噴出するガスにより、この地帯はアルゴニアンにとってさえほとんど居住不可能になった。この地帯に固有の数百種もの動植物が絶滅させられ、アルゴニアンの中には部族ごと消滅したものもあった。帝国軍でさえ、多大な犠牲者を出した。数百の兵士が「沼肺」やガス爆発のために命を落とし、あるいは炎の猛烈な熱さのために逃げ出した。帝国軍とアルゴニアンのどちらにとっても壊滅的な打撃だった。この出来事が第二次戦役と、サルデカスの任期を終焉させた。帝国軍が退却したすぐ後、サルデカスは病に倒れ、帝都に帰りつく前にエセリウスへ旅立った。公式の診断では、マーシュから脱出する際に受けた傷による急性の感染症ということになっているが、帝国軍の兵士たちは納得しなかった。

サルデカスの死に本当はどのような事情があったのかについては、いまだに歴史学上の論争となっている。シャドウスケールの関与の可能性は排除できない。彼らの組織や方法について我々はほとんど何も知らないが、この紛争において何らかの役割を果たしていたと考えて間違いはないだろう。大炎上のような惨事のすぐ後に高位の将軍が謎の死を遂げたということは…私が歴史の研究で学んだことがあるとすれば、偶然などというものが存在しないということだ。

ブラックウォーター戦役、第7巻The Blackwater War, Volume 7

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

歴史家たちはしばしば、ブラックウォーター戦役を26年間にわたって繰り広げられた単一の紛争としている。戦いに参加した主要な人々は基本的に同じだが、第一次、第二次、第三次戦役は互いにほとんど共通点を持たない。第一紀2833年、インペリアルの戦術はあまりに刷新されていたため、ほとんどインペリアルのものと認識できないほどだった。「サルデカスの改革」は帝国軍を再編したが、「ファルコ理論」はこの戦役を大詰めへ導いた真の触媒だった。

ルシニア・ファルコ将軍はサルデカスの逝去後まもなく、帝国軍の指揮を引き継いだ。彼女は順当な人選だった。サルデカスの親友であり、力強く、かつ過激なほど帝国に忠実であり、さらに情け容赦のない人物であった。彼女はアルゴニアの戦いのすぐ後に士官となった。つまり、軍人としての功績が全面的にブラックウォーター戦役で形成されたことを意味する。前任者とは異なり、ファルコは単一の方向から攻めるだけでは戦いに勝つことはできないと理解していた。彼女は帝国に要請し、リルモスとアルコンの沿岸沖にいた無数の海賊たちに対し、敵国船の私掠免許状と一時的な任命書を発行させた。ダイヤモンド海軍と連携することで、この勢力はマーシュ南東の広大な地と、内陸部にある一部の沼さえ奪い取ることに成功した。

ギデオンを拠点とし、ファルコは地域全体にわたる攻撃の第二波を開始した。ファルコは前任者のように軍団をまとめて派遣することは控え、勢力を小規模で戦闘能力に優れた数百の部隊に分けた。後に「レッドベルト」と呼ばれるこの小隊は沼で長年戦ってきた古参兵に率いられており、彼らの一部は第二次戦役の初期から従軍していた。

レッドベルトは当初大きな戦果を挙げ、ブラック・マーシュ西の大部分を占拠した後、分厚い沼と不気味な沈黙が支配するこの地の中核部の外側でようやく止まった。残念ながら部隊の規模のため、彼らは占拠した地を長く維持できなかった。国家間の戦いとして始まったものは引き延ばされ複雑化したゲリラ戦争となり、紛争に付きものの残虐行為に満ちていた。第一紀2834年から2836年は、双方にとって暗黒の時期だった。アルゴニアンとインペリアルは互いに対して威圧とテロを仕掛けたのである。

公式の休戦協定を結ぶことなく、戦いは第一紀2836年に終わったように見えた。数十年もの間インペリアルと戦ってきたアルゴニアンたちは正式に降伏するわけでもなく、突然武器を地面に埋め、農作業や魚釣り、裁縫の仕事に戻った。帝国は機を逃さず、第一紀2837年にこの地域の占拠を公式に主張した。ついにブラックウォーター戦役は突然の、しかも不可解な終わりを遂げたのである。

アルゴニアンたちによる敵対の急激な停止もまた、この紛争にまつわる謎の一つである。推測として支持されているのは、木を崇拝する彼らの奇妙な伝統が関係しているということであるが、彼らが武器を捨てた本当の理由は、永遠に分からないかもしれない。歴史家としては悩ましい状況だが、ブラック・マーシュの深い暗闇で生まれた謎が解決されることは滅多にない。少なくとも、満足のいくような結論によって解決されることは珍しい。

ブラックローズ監獄の歴史A History of Blackrose Prison

ウェイレストの放浪者、ティリリャ・レン 著

悪名高いブラックローズの街から名前を取ったブラックローズ監獄は、1日で建てられたと言われている。そんな話が誇張なのか驚くべき真実なのかは、誰もわからない。しかし1つ確かなのは、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが監獄の建設を命じ、ペラディル・ディレニが忠実に、もしくは自慢げに石の精霊の集団を召喚して働かせ、その命令を遂行したということだ。

街に隣接して建てられたと考えられることが多いが、実際に監獄がある場所は街から南へ1日進み、沼の危険が及びながらも岸から到達可能な場所だ。この孤立した場所は、囚人が逃げないようにするため特に選ばれた。地元の民以外で危険なマークマイアを横断できた者はわずかしかおらず、脱獄者のように装備の乏しい者ならなおさらだ。

ブラックローズ監獄へ送られた帝国の囚人は、凶悪犯や政治犯ばかりだった。その時の権力者が二度と見たくないと考えた人間やエルフが送られた場所だったのだ。そのため、監獄の職員は好きなように振る舞った。囚人が受けた残虐で残酷な行為は、誰に聞いても大変ひどいものだ。

その都合の良い立地のせいで、帝国の権力と衝突したマークマイアの民も皆、ブラックローズ監獄送りになった。特にナガは、帝国の圧政に対する反抗的な姿勢から、そこへ送られる傾向があった。他の囚人にもナガは軽蔑された。それは彼らの攻撃的な文化と、目立つ外見からくるものだった可能性が高い。ナガの囚人数が増え、この地域における帝国の権力が衰えたことから大規模な暴動につながって、結果的にブラックローズ監獄が放置されることになったと考えられている。

放置されてから数年後、監獄は解放しようとした囚人自身によって乗っ取られた。かつて彼らを拘束した場所を奪い、自分たちの故郷を危険にさらしたインペリアルの撲滅を誓った。彼らはブラックガードと名乗り、自分たちだけに忠誠を誓った。

この主張は周囲の部族から歓迎されず、彼らはそうした価値観が自分たちの文化の根幹に反するものだと考えた。私が話したアルゴニアンは、この件について次のように語った。「ブラックガードは石のような心と不快な腹を持っていて、石の巣の中で変化から隠れている。彼らは後ろを見るばかりで、前を見ない。だから部族は彼らを支持しないのだ。そして今では、盗賊とほとんど変わらない」

確かに元の理想がどれほど高潔なものだったとしても、今のブラックガードはマークマイアで最大の犯罪組織として知られている。ここ10年で、彼らは非アルゴニアンのメンバーも組織に入れ始め、その中には彼らがかつて激しく戦ったインペリアルも含まれる。

残念ながら、ブラックローズ監獄の現在の様子については、ブラックガードによる危険が存在するために記述できない。訪問すれば豊かな歴史が見られるので、残念な事態ではある。

ボーキへの手紙Letter to Bhoki

卵の父へ

あなたからは数多くの警告を受けたが、愚かしさの許しを乞おうとは思わない。あなたがこれを読む頃、私はすでに百合の道へ進んでいるだろう。私はメワー・ジェズの頑固さから見習いたちを救っているか、救えなかったかのどちらかだろう。どちらにせよ、私は捕らえられて刑期を待つことになると想定している。全ては、我らの部族が愚か者の訓練で若者たちを殺し続けるのを、我慢できないから起こったことだ。

もう一つ別の点でも、私はあなたの望みに反する行いをした。あなたはカディーリスだった時に使っていた古い訓練の手引きを破棄せよと私に言った。あなたにはぜひ、私があれを隠した場所へ行って回収し、見習い全員が殺される前に戦士長を説得し、再び健全で成功を収めた訓練を採用させてほしい。

この詩で我々のお気に入りの隠し場所を思い出してほしい。

「階段の頂点にて青い炎の前に立ち、
その目を公正なるヒストへ向けよ、
心を乱す恍惚へ歩み入り、
守りの枝の下に探し物を見よ」

キシ
キシ

ホスティア・アセラスの日記Journal of Hostia Asellus

また厳しい時期になった。人々は私たちが監視している道に足を踏み入れようとしなくなっている。私はファンダスに、間抜けな手下たちが旅人を頻繁に襲いすぎるのよと言った。今、旅人は私たちを完全に避けてしまっている。欲が深くて、馬鹿な連中だ。

やはりまともな収穫はない。限られた物資を長持ちさせるために蛙を捕まえているけど、状況が変わらなければじきに革のブーツを煮る羽目になるだろう。ジュリッタを食べさせるために自分の食事を抜いている。こんなところに病気の子供がいるべきじゃない。

ファンダスはもう大丈夫だと請け合った。言い合いになった。彼は手下たちと共に襲撃を計画していると言った。気に入らない。一番近くの村はあのルートハウスの民に属している。凶暴で、縄張りにうるさい。ファンダスは戦士たちの大半が狩りに出ている間に食糧庫を襲うと言っている。議論しても仕方がない。食料は必要だ。

ジュリッタは誰もいないキャンプで不安がっている。父親がいつ戻ってくるのか何度も聞いてくる。私が「もうすぐ」と言うのは嘘だと気づいている。

やった。ファンダスと仲間たちは偉そうにして、馬鹿みたいにニヤニヤしながらキャンプに戻ってきたけど、腕には新鮮な食料と乾燥させた保存食をたっぷり抱えてきた。今夜はたっぷり食べられる。少なくとも、これから数週間は大丈夫。

もう3日になる。叫びすぎて声が出なくなった。泣きすぎて涙も枯れてしまった。このままでいいはずがない。ジュリッタの命を守らなければ。あの子はようやく眠っている。私も寝たほうがいい。

あの目。目覚めるといつも、あの丸い黄色の目がある。いつもそう。まるで、またあそこにいるみたい。ジュリッタがベッドから引きずり出されても叫び声をあげないから、現実じゃないと分かるだけ。あの忌まわしいトカゲどもめ。

危険を冒して沼地の奥、ブラックローズに向かって進んだ。その価値はあった。ブラックガードのキャンプをもう一つ見つけた。彼らは養う相手が増えるのを歓迎しないようだった。檻に入れろと思っていた者も何人かいたのが分かった。でもグルズナックは私が一人前の仕事をしている限り受け入れようと同意した。後で教えてくれたが、私の目を見て判断を決めたらしい。娘を檻に入れさせるくらいなら、素手で何人でも殺しそうな様子なのが分かったと言っていた。実際そのつもりだった。

グルズナックは今、私に家畜の餌をやらせている。こいつらを見ると胃が痛くなる。痛めつけられた奴は問題を起こさない。嫌なのは新しい連中だ。犬を躾ける時は、少なくとも言葉を話して懇願はしないのに。動かなくなるまで殴ってしまった。

家畜を傷つけたことで大目玉を喰らった。問題は歯だった。買い手は見苦しい獣を好まない。次はそのことを覚えておけとグルズナックは言った。彼は新鮮な家畜の訓練を始めてくれと言っている。私には才能があると。

ここに来てから、時間が飛ぶように過ぎていく。将来が期待できると思うくらい。グルズナックは理解のある指導者だ。分け前はたっぷり持っていくけど、私たちが全員ちゃんと生活できるように計らってくれる。ジュリッタと私は他の皆より少し取り分が多い。気に入られているのだと思う。

またしても1年が過ぎた。早いものだ。いい年は長く味わえたらいいのに。食べ物や暖かいベッドを求めていたのはもう昔の話なのに、今もできるだけ溜め込む癖がついている。圧迫するような恐怖は嫌なものだ。あのトカゲたちの目は、私が眠っている間も見ている。明日は2匹潰してやろう。グルズナックが何と言おうと知ったことじゃない。

ジュリッタはもう子供じゃない。泥トカゲどもの事件があっても残っていた無邪気さもなくなった。一週間前には私のスカートにしがみついていたかと思ったら、今じゃもう言い寄ってくるグルズナックの下っ端たちを、私があげたナイフで撃退している。あの子もそろそろ、自分の仕事をしなきゃならない歳になった。ナイフの使い方を教えてあげてもいいかな。

ジュリッタに臆病なブライトスロートの世話をさせた。最初は怖がっていたけど、もうこの獣を恐れる必要はないと示してあげた。

ジュリッタはブライトスロートに紐をつけて引っ張るのを楽しんでいる。こんなに屈託のないあの子の姿を見たのは久しぶりだ。あの子がどれだけの恐怖を抱えていたのか、私は気づいていなかった。もう数日間は楽しませてあげるつもりだけど、泥トカゲをペットにする考えについては少々話し合う必要がある。

グルズナックの奴隷事業は大きく成長している。一味の数は彼がヴァーデンフェルのテルヴァンニに販路を開いて以来、3倍にもなった。グルズナックは私に自分の部隊を組織してもらいたいと言っている。その響きは、嫌いじゃない。

ボリプラムスについてOn Voriplasms

沼の泥に関する論文、シロディール・コレクションのコンコルディア・メルシウス 著

個人的にはまだその風変わりな泥を見たことがないが、確かな情報によると、ねばねばした土と軟泥の動く水たまりであるボリプラムスは、実に驚くべきものである!広範囲にわたる研究と、シロディール・コレクションのジー・ラー氏を含めたマークマイアの民に話を聞いた結果、ボリプラムスにおいて分かったことは以下の通りだ。

ボリプラムスの生態には謎めいた部分が残っている。自然の中で見かけると、浅い沼の中であろうと草に覆われた川底であろうと、ボリプラムスはどろっとして粘性の高い緑色をした、ヘドロの水溜まりでしかない。しかし詳しく調べると、そのヘドロは水溜まりのように広がることも、消散することもない。代わりにその形のない形をとどめ、極めて穏やかならぬ様子で波のように動く。見たところ感覚組織も内臓もまったくないその注目すべき泥の塊は、とても効率よく動き、狩りをし、食べる。それもジー・ラー氏の主張によると、ボリプラムスは20ペース以上離れたコヒョウグアルに気づき、目もくらむような速さで地面を滑って進み、哀れな獣に身の危険を感じる暇を与えることなく飲み込んだという。その泥はすぐに獲物をむさぼり、残った骨を排出し、日光浴をしていた以前の場所へ滑って戻ったのだ。

この件に関する数少ない学術的研究から、ボリプラムスには基本的な知能があるらしい。ほとんどの肉食獣と同様に、獲物を認識し、危険を避け、強い相手から逃げるのは確かだ。群れをなし、単独でだけでなく集団で狩りをすることも多い。どうやって意思の疎通をしているのかは、周囲の世界との交流に使う方法と共に謎のままだ。解剖の試みはまだ成功していないらしい。

これについて研究する学者、グウィリム大学のイクセリアス・タロス氏によると、ボリプラムスは大きくなってから分裂して、新しいボリプラムスを作り出すことで繁殖すると推測している。生産という意味では効率的ながらいくらか孤独だとも思われるが、歩くヘドロの塊としては筋が通っている。

さらに驚くべき説として、マークマイアの自然の中には、ボリプラムスの死体と呼ばれる同族らしい獣がいると噂されている。ボリプラムスは獲物の肉を食べてから骨を出すのに対して、その泥は骨を新しい皮膚のように保持するのだ。自然界で見かけると、それはまるで骸骨のような体で、骨から肉が溶け落ちてボリプラムスのヘドロに入れ替わったかのように見える。ボリプラムスの死体は、その名前と裏腹に歩き回る性質を持つが、死霊術やその他の超自然な存在とは関係がない。カタツムリが貝に住むように、ボリプラムスは捕えた骸骨を利用して泥に形を与え、しっかりとした輪郭を与えているのだ。それが、少なくとも私の現在の説だ。シロディール・コレクションのマークマイア奥地への探検に参加できたら、さらに知識を深め、この書を更新するつもりである。

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詳細は、ストームホールドのコンコルディア・メルシウスまでご確認ください。

マークマイアの諸部族:ゴーストTribes of Murkmire: Ghost People

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

この文章はロウソクの明かりで書いている。私の同行者たちがストームホールドへ向かっていると、不意に案内人が止まれと命じた。彼は空気の匂いを嗅いで鼻にしわを寄せ、それで全て説明されるとばかりに、私たちは「ヴィーシュクリール・ツェル」に近づきすぎていると宣告した。私たちは彼に従ったが、進路を修正しながらもっと説明してくれと頼んだ。案内人はこの話題についてそれ以上口を利くのをためらったが、しつこく説得を続けた。当初思っていた以上の所有物を失うことになったが、ついに答えを得た。

「ゴースト族」はマークマイアの原住部族で、なかなか恐ろしい評判があるらしい。彼は影に向かって一瞥した後、小声でしか話さなかった。彼によると、ゴースト族は完全な暗闇の中で生活しており、ディープマイアから出るのは不注意な者を夜中に追跡し、誘拐する時だけだという。彼も実際に見たことはないのだが、色がひどく薄いので骨が透けて見えるという話だ。アルゴニアンの子供が夜眠れない原因を考えたことのある人は、こいつを思い浮かべればいい。とても歓迎はできそうにないが、この変わった部族についてもっと知りたくなったのも確かだ。彼らの地を直撃したい気にもかられたが、私はヴィーシュクリールについて話す意志のある他の民に聞くだけで満足することにした。

分かったのはゴースト族がこの地の人々の間でも謎に包まれており、彼らを巡る噂が数多いことだった。ヴィーシュクリールについて私が耳にした途方もない話の中でも、二つのことは確かなようだ。彼らはその青白い鱗によって見分けることができ、「死者盗み」であり誘拐者であるという悪評を得ている。墓荒らしに対する嫌悪感はもちろん理解できるが、マークマイアのアルゴニアンが永続性に対して全く執着しないことを考えると、彼らにとってもタブーであることには驚いた。案内人にこのことを尋ねると、ゴースト族が盗むのは死者だけではないと言った。彼らは死体を自分たちのヒストの根の周りに埋め、冒涜的な儀式を行って死者の魂をその部族から盗むと信じられている。アルゴニアンにとって、これ以上に大きなタブーはほとんどない。

ここに座って、暗闇の中で恐るべき死霊術について考えを巡らせていると、私のロウソクが消えかかると共に浅瀬の中から泥にまみれ、腐れ落ちた不運な旅行者たちが起き上がってくるのではないかと想像せずにはいられない。夜が明けたらすぐに出発するべきだ。この黒い夜と青白いゴースト族を追い払える時が、とにかく早く来てほしい。

マークマイアの諸部族:デッドウォーター族Tribes of Murkmire: The Dead-Water Tribe

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

私たちの幸運は長く続かないと知っていて然るべきだった。マイアダンサーたちと過ごした愉快な休息の後、私たちは北へ進むことにした。案内人のリーラスは、考え直すよう私たちに迫った。「深い泥はよそ者を飲み込んでしまう」と彼女は言った。リーラスはケール・サッカ橋での事件を蒸し返し、北方の部族はタム・タリール以上に交渉の余地がないのだと説明した。私たちの多くは探検を中断したいと思ったが、結局は多数票に押されてしまった。

自分たちの愚行に気づくまで、長くはかからなかった。北方へ分け入っていくにつれ、植生は1時間ごとに厚みを増していった。以前にも遭遇したニクバエの小さな渦は膨れ上がり、羽音と苦痛の巨大なうねる雲と化していた。リーラスは何度も引き返すよう勧告したが、私たちはさらに暗闇の奥深くへ進んでいった。

月耀の朝早く、ペルシウスがいなくなっているのに気づいた。私たちは分散して、1時間以上もの間声をあげて呼びかけ、分厚い泥の中でつまずきながら彼を探した。荷車のところで再び集合した時、ヴァレンティナとモーテンの姿も消えていることが分かった。私たちの勘違いした勇気が即座に溶けてなくなったことを認めても恥だとは思わない。私たちはすぐに荷車の向きを変え、沼が許す限り急いで南へ移動した。鳴き声が聞こえ始めたのはその時だった。

最初は静かだった。蛙が数匹集まっているような感じだった。少しずつ、声は大きくなった。パニック状態で1時間進んだ後、鳴き声は耳をつんざくばかりの不協和音へと成長していた。そして叫び声が上がった。誰の声かは分からなかった。私に言えるのは、あれは苦悶の叫びだったということだけだ。私は周囲の木々を通り抜けるいくつもの影を見たが、ほんの一瞬見えただけだ。はっきり見えたのはそのうち1つだけだった。リーラスが言うには、間違いなくナガだった。恐るべきナガ・クルのメンバーである。どうやら、デッドウォーター族はマークマイア北方の広大な領域を支配しており、周辺の村のサクスリールから大いに恐れられているらしい。

私が目にした1人に関して言えば、あれを忘れることはできないだろう。その女の顔は蛇の一種に似ていたが、全身が泥で覆われていた。だが一番衝撃的だったのは、その盾だ。顔が付いていたのだ!ナガ・クルはしばしば自らの武器や鎧に死んだ仲間の一部を使うとリーラスが教えてくれた。顔や爪、足の骨などを。死んだ友を切り刻むなどとは考えただけでも寒気がするが、リーラスは肩をすくめるだけだった。「ナガ・クルは日々戦って生涯を過ごす。そうすれば彼らは死んだ後でも戦える」筋は通っている、と思う。
幸運なことに、私たちはそれ以上被害を出さずに逃げおおせた。だがあのナガ・クルのことはすぐに忘れられないだろう。間違いない。

マークマイアの諸部族:ブライトスロートTribes of Murkmire: Bright-Throats

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

数ヶ月前、私はマイアダンサーの長老に、ブラック・マーシュの沼地にはいくつの部族が住んでいるのかと尋ねた。彼は長い間静かに座ったままでいた後(アルゴニアンはよくそうする)、私の背後を指差した。振り返ると、イトスギの木々の間を何百匹ものホタルが飛び交い、薄暗がりを貫いて緑と黄色の光を発していた。「あの光と同じくらいだ」と彼は言った。

これはなかなか信じられなかった。アルゴニアンは大げさに言うことが多いので、長老のこの主張もまた誇張だろうと切り捨てたのである。しかし現地の人々とさらに時間を過ごした後、あの長老の数え方は当初私が考えたよりも実情に近いと信じるようになってきた。私はマークマイアだけでも、少なくとも12のはっきりと区別される部族を発見したし、これを遥かに超える数の部族がいることを確信している。部族の多くは敵対的なので、直接の交流は不可能に近い。だが彼らの存在を神話や伝説として片づけるには、あまりにも多くの証拠を見てきた。この日記は私がマークマイアの未開地を探検して発見した記録として使えるだろう。まずは多くのよそ者が最初に出会うであろう部族から始めよう。

リルモスで少しの間でも過ごしたよそ者の多くは、沿岸に住むいくつかの部族と交流を持つ可能性が高い。しかし最も注目に値するのは「ワッセーク・ハリール」つまり「ブライトスロート」である。大まかに言って、この部族はよそ者と沼の奥地のアルゴニアンの両方と実りある関係を好む、陽気な職人たちで構成されている。ブライトスロートはその豊かな音楽と踊りの伝統、そして商人や外交官、木工職人としての超自然的な才能によって知られる。彼らは数えきれないほどの品を作っており、その中には楽器や台所用品、鎧や武器も含まれるが、最も尊重されているのは「ジーチキ」つまり「種の人形」である。この人形の大きさはさまざまであり、オークの拳ぐらいの大きさのものもあれば、米粒のように小さいものもある。人形はほぼ常に現地の動物をかたどっているが、ブライトスロートは卵や小さなアルゴニアンに似せて種の人形を彫ることもある。

種の人形は非常に珍重されている――お守りとして、また工芸品として。安物の模造品が競争相手の部族によってよく作られるが、本物のジーチキを手に取ったことがあれば、見分けるのは容易である。私もここで過ごす間にいくつか購入した。一番気に入っているのは琥珀が散りばめられた小さな亀である。彫刻家が教えてくれたところによると、この亀は強大だが手に負えないトーテムであると言う。私は亀が特別手に負えないと思ったことはないが、それに関してはここの人々のほうが詳しいだろう。バンコライに戻り、最終的にウェイレストの家へ帰る前にもういくつか買うつもりでいる。

マークマイアの諸部族:ブラックトングTribes of Murkmire: Black-Tongues

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

今日、私たちは見慣れない光景に出くわした。空のフラスコが、フォッサの木の下に山と積まれていたのだ。案内人の説明では「ブラックトングがこの木を吸い出した」そうだ。彼はさらに「コタ・ヴィムリール」つまり「ブラックトング」とは、ブラック・マーシュのマークマイア地域に住む無数のアルゴニアン部族の1つだと説明した。好戦的なタム・タリールや不気味なヴィーシュクリールとは異なり、ブラックトングは基本的に礼儀正しく、物腰が柔らかである。状況さえ許せば。しかし、彼らは不意を突かれると反射的に暴力で応対し、縄張りに侵入する者たちを躊躇も慈悲もなく殺すことで知られている。優れた錬金術師である彼らはしばしば、よそ者に対する警告として、自分たちの縄張りを示すフラスコなど、錬金術の道具を置くのである。

ブラックトングは熱心なシシスの崇拝者である。そのため、彼らは自分たちの資源のほとんど全てを、可能な限り多くのシャドウスケールを生み出すことに用いている。シャドウスケールとは何か?私が聞きたいくらいだ。地元民の大半は、この話題についてよそ者と話し合うことをきっぱりと拒絶する。アルゴニアンの民は彼らを、畏敬と恐怖が混ざったと見られる気持ちで尊敬しており、その名を口にすることさえ文化的な禁忌とされているようである。私が出会った少数の、迷信の度合いが低いアルゴニアンたちは、いくつかの事実を教えてくれた。

どうやら、シャドウスケールとは高度な訓練を受けた暗殺者によって構成された、奇怪な修道院のような教団のメンバーであるらしい。影座の下に生まれたアルゴニアンは誰でもこの教団に渡され、その謎めいた殺人者の一員として育てられる。私は仰天してしまった。「そんな野蛮な実践に従っているとは、ただの敵対的な部族ではないのか?」と私は聞いた。だが、違う。これはどうやら全くどこでも見られる実践のようである。友好的なブライトスロートや賢いマイアダンサーでさえ、この伝統に加わっているらしい。

だが、ブラックトングはこの義務をとても真剣に受け止めている。彼らは沼地の植物や野生生物に関する知識を利用して、「薄闇の甘露」と呼ばれる強力な避妊薬を作る。この薬を飲むことで、この部族は産卵周期を一致させて、大量の新しいアルゴニアンを毎年、影座の下に産むことを保証している。

彼らの錬金術の能力は、影座に生まれた者たちが将来暗殺者となった際にも役立つ。ブラックトングはタムリエル全土でも最大級に強力な毒を作ることで知られている。薄闇の甘露でさえ、アルゴニアン以外が飲めば死を招く。ブラック・マーシュに見出されるものは全て、状況が許せば死を招く証拠がまた増えた。

コタ・ヴィムリールの成員に直接会って、彼らの錬金術の技術と謎めいたシャドウスケールとの結びつきについてさらなることを知りたいのは山々だが、招待もなしに彼らの縄張りに長居をするのは賢い行為ではない。朝の紅茶に毒蛇の牙を入れられるのは勘弁願いたい。

マークマイアの諸部族:マイアダンサーTribes of Murkmire: Miredancers

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

私はこれまでにマイアダンサーの長老2人と話す光栄を得たが、どちらとの会話からも非常に多くのことを学んだ。自らを「ギー・ルスリール」と呼ぶ彼らは、私が旅行中に出会った中で最も内省的なアルゴニアンである。彼らはまた、最も好ましいアルゴニアンでもある。孤独を好み、用心深いことの多いアルゴニアンだが、私は彼らほど積極的に食事や、貝殻と石のゲームに誘うことを好む人々を見たことがない。彼らは熟練の職人であり、とりわけヒストの琥珀や卵の殻を加工するのに優れた才能を示す。彼らはまた比類なき航海士であり、縫製の達人であり、熟練の地図職人でもある。

しかしマイアダンサー最大の特徴は信心深さである。ヒストに対する深い信仰心によって、彼らは数えきれないほどの世代にわたって、「樹液と話す者」を任命する権利を得てきた。

私が話した長老たちによれば、樹液と話す者はヒストの直接の媒介者である(これにはもちろん、議論の余地がある。多くの部族はヒストと交信する特別の方法を誇っている。しかし私が見た限り、マイアダンサーが用いる方法は最も説得力がある)。樹液と話す者はしばしば何日も、それどころか何週間もの間隠遁生活を送るため根の奥深くに分け入るか、一番高いところにある枝の葉の層にまで登っていく。彼らはそこでヒストと交信する。実際、長老たちの一人が使った言葉は「旅」だった。

このヒストへの旅は樹液と話す者に多大な負担を強いるもので、徹底的に個人的な行いである。孤独に何日も過ごした後、樹液と話す者は姿を現し、古文書や巻物、石板を持って再び隠遁する。私はこの隠遁の目的を尋ねてみた。いつもどおり、答えは詳細なものではなかった。「樹液と話す者はヒストの抱擁へ入り、大いなる木から学ぶ」と、長老の一人は言った。「根や枝と密に触れていることで、樹液と話す者は幻視や、あなたにも私にも理解できぬその他の形の交信を受けるのだ」。

もう一人の長老は続けて言った。「示されるものの一部は、樹液と話す者にとってさえ神秘的で困惑するものと感じられる。私が聞いたところ、樹液と話す者は古代の隠喩やアルケインの秘密、そして樹液と果肉から離れた生き物には理解しがたい幻視を受け取るという」。どうやら、隠遁の第二期は樹液と話す者に、見せられた内容について考える時間と、以前の樹液と話す者による古い文書を参照する時間を与えるものであるらしい。適切な期間にわたって研究と熟慮を行った後、樹液と話す者は姿を現し、ヒストの意志を部族に明かすのである。

私は樹液と話す者が根や枝の間で瞑想している期間に何が起きるのか、もっと情報を得ようとしたが、長老たちがこれ以上のことを知っているのかどうか定かではない。彼らが教えてくれたのは、樹液と話す者が隠遁期に得られる唯一の栄養はヒスト自体から、樹液や葉、あるいはこれ以外の場合に禁じられている木の実によって与えられるということだった。

しかしながら、ヒストとの交信という贈り物には犠牲も伴う。ヒストの樹液を大量に摂取することは、アルゴニアンにとってさえ危険な行為である。樹液と話す者は樹液中毒の症状に苦しむことが多く、症状には「黄金舌」(口の色素が恒久的に金色に変化すること)や不意の幻覚、「樹皮の鱗」(鱗表面が分厚くなり、色も暗くなる)、その他にも彼らが話すのをためらうような病気がある。現在の樹液と話す者であるトゥマルズは、私が部族の村を訪問した際には隠遁中だった。いつか彼に会えることを期待している。彼が私の話した長老たちの半分の知恵でも持っていれば、多くのことを学べるのは疑いない。

その深い信仰心にもかかわらず、マイアダンサーはあらゆる種類のゲームにも熱中しているようだ。彼らが特に好むのは九つの貝殻、および貝殻と石のゲームである。また有名なスポーツ「テーバ・ハツェイ(ヒップ・アンド・テイル)」も人気だ。自分たちのゲームを嬉しそうに説明してくれるのに加えて、彼らは私たちがウェイレストでどんなゲームを嗜むのかについて、私が教えられる限りのあらゆることを知りたがった。彼らの情熱が移ってしまったことは認めねばなるまい。彼らが私の漠然とした描写に基づいて「詐欺師の骨」を再現しようとするところを見るのは、非常に面白かった。

マイアダンサーは常習的なギャンブラーであるが、しばしば賞金を受け取るのを忘れてしまう。人間やエルフのするゲームとは違い、マイアダンサーの競技は悪意や意地の張り合いとは全く無縁のようである。勝利や敗北は目標ではなく、おまけにすぎないように見える。これは沈着冷静な彼らの気質に負うところが少なくないだろう。大抵の物事におけるのと同様、彼らは厳密に今、この瞬間に集中する。彼らの村を離れるのは心苦しいが、まだまだ研究しなければならない部族が多くいる。もっともマイアダンサーほどに魅力的で、友好的であろうとは思えないのだが。

マークマイアの諸部族:ルートハウスTribes of Murkmire: Root-House People

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

今日もまた危ない目に遭った。現地の案内人の激しい抗議にもかかわらず、探検隊はケール・サッカ川を橋で渡ることに決めたのである。案内人たちの1人(明るい色の鱗を持つアルゴニアンで、名をリーラスと言った)は、遥か下流を歩いて渡河し、橋は避けるように強く言ってきた(念のために言っておくと、私はこの計画に賛成だった。リーラスの案内は誤ったことがなかったからだ)。しかしグループの中には、辛い作業や危険な環境に慣れていない学者が数多くいた。私たちは危うく、彼らの快適さのために命を失うところだった。

後で判明したのは、この橋は「タム・タリール」あるいは普通の言葉で「ルートハウスの民」と呼ばれる部族によって「所有」されていることだ。彼らは好戦的で、争いを好む民である。怒りっぽく、残虐性と気の短さで沼中に知られている。彼らは平和な村を襲い、居住者を殺し追い払うのを習慣としている。その上で空になった小屋に住み着き、村の資源を使い尽くしてしまうのである。他のサクスリールはこの部族を「盗賊ガニ」としばしば比較する。カタツムリや小さいカニを食べ、空いた殻に引っ越す生物だ。

我々が橋に足を踏み入れるや否や、この部族の成員が数人、私たちの隊商の前に立ちはだかった。彼らを見た瞬間、自分たちが危機に陥ったことが分かった。タム・タリールは私がこれまでに出会った他のアルゴニアンよりも明らかに大柄であり、肩幅が広く、目は細く、顎は幅広で力強い。彼らは腰布と戦化粧の他は何も身につけておらず、羽根で飾られ、血が染みついた巨大な木の棍棒を手にしていた。

リーラスは素早くキャラバンの先頭に歩み出て、必死な鳴き声で話し始めた。彼女が何と言っていたのかは見当もつかないが、タム・タリールは少しの間、彼女の言葉を考えていたようだった。リーダーは私たちを指差し、低くゴロゴロいう唸り声で何か言った。リーラスはこれにうろたえたと見えて、私たちのほうを向いた。

「彼は馬を欲しがっている」とリーラスは言った。

黙って従う以外の選択肢がないのは明らかだった。私たちは綱を切って馬を放した。4頭全てをだ。ルートハウスの民はそのうち3頭を取り、道を外れて沼へと連れていった。賊のリーダーは4頭目の馬を橋の中央まで連れていき、数歩下がってから、吐き気のするような鈍い音と共に、棍棒を馬の頭蓋骨に叩きつけた。哀れな獣の頭はグシャグシャになってしまった。あんな恐ろしい光景は見たことがない!私の同国人の1人は荷馬車の脇で吐いてしまった。リーラスは間を置かず、一行のうちで一番力のある者たちを集めて橋の反対側まで荷車を押した。幸運にも、次の村に着くまでは半日押し続けるだけでよかった。これからは皆、リーラスの言うことに従うだろう。

マークマイアの諸部族:部族間のつながりTribes of Murkmire: Tribal Connections

ウェイレスト旅人協会、エマヌベス・フレント 著

私はここの部族については測り知れないほど多くのことを学んだが、部族間の関係性についてはいまだ重要な洞察が欠けているような気がしてならない。ここには奇妙な友好関係があり、私がこれまでに見てきたほとんど全てのことと矛盾している。暴力的な略奪や死者盗み、密漁があっても、アルゴニアンの種々の部族は互いを卵の兄弟、姉妹として見ている。例えば先日、私はブライトスロートの一家がタム・タリールの略奪者数人とテーバ・ハツェイで遊んでいるのを見た。これは武力衝突によりタム・タリールの1人が命を落として、たった数時間後のことだった。まるで忘れっぽさを強制されているかのようだ。あるいはあらゆる部族間の関係を規定している、特別な許しの文化があるのか。

少なくともこうした友好的な振る舞いの一部は、彼らが人種共有しているという事実に根差しているに違いない。ブラック・マーシュの諸部族は互いの違いを脇に置いて、モロウウィンドやシロディールの侵略者を追い払わねばならない状況が無数にあった。彼らはまた、自分たちがいかに互いに依存しているか理解しているようでもある。この点で、彼らは私がこれまでに会った人間とエルフの大部分よりも遥かに上だ。タム・タリールは自分たちが盗む家や物を作る他の部族が必要だということを認識している。マイアダンサーは国境を守り、大型の沼の捕食者を追い払うためにデッドウォーター族が必要だということを知っている。ブラックトングは錬金術の調合に使うための作物を育てるヘー・テプスリールが必要なことを知っている。ブライトスロートは、誠実な交易を妨害する悪意のよそ者に「沼の法」を強制するため、ブラックトングのシャドウスケールが必要だと知っている。こういった具合だ。

宗教もまた一定の役割を果たしている。私は友人のエウテイになぜ彼らはこれほど寛容なのかと聞いた。彼は輪廻に関する漠然とした信念に言及した。

「我々は皆、根の民だ」と彼は説明した。「ブラックトングは時が来ればマイアダンサーになるかもしれないし、マイアダンサーはブラックトングになるかもしれない。そういうことはヒストだけが知っている。互いを憎むことは我々自身を憎むことだ。サクスリールにとって、自分を憎むことに何の得がある?忘れて、前へ進むほうがいい」

いくらか考えを巡らせてみたが、私たちも少々忘れっぽくなったほうが役に立つこともあるのではないか。そう思わずにはいられない。

より明敏な言語:ジェル語入門The Sharper Tongue: A Jel Primer

魔術師ギルドの秘術師、道を照らす者 著

アルゴニアンの会話におけるニュアンスの多くは、あからさまな隠喩とさりげない動作から生まれるものだ。しかし、ジェル語は学びにくい言語だと感じる者が多い。しかし、共通語を話していても、私たちが母語をたくさんちりばめていることに気づくはずだ。

ほとんどの言語と同様に、旅人なら鍵となる言葉やフレーズを学ぶと、ブラック・マーシュの部族を理解して交流するために役立つだろう。よそ者の関係改善に役立つように、ブラック・マーシュを訪れる者のための短い手引きを書くことにした。この手引きがより良い旅の始まりになることを祈る。

ビーコ:友人。変化形としてディーク・ビーコ、ラジ・ビーコ、ビーク・オジェル、ウクシス・ビーコがある。

ボク:器。深い丸皿、もしくは丸いカップのような空洞。

ディーリス:教師。もっと正確に言うと、知恵を他の者に伝える者。誰にとっても誉れある称号。

グリール:敵。サクスリールは数多くのヒストの下にある1つの民だと信じられているため、他の部族を表現するには滅多に使われない。敵対的な獣やよそ者に対して一般的に使われることが多い。

ハジ:隠れる、隠れた。ハジ・モタの名前の一部に使われているのも納得できる。

カール:戦闘隊長。この称号は特に暴力的な部族で崇められている。

クロナ:大きい、巨大な。「あいつの足はクロナだ!」のように、誇張や冗談で使われることが多い。

ルキウル:非アルゴニアン文化に順応したアルゴニアン。彼らはブラック・マーシュの民からよそ者扱いされることが多い。

ナヒーシュ:部族の長老。尊敬されているが、この称号は一部の学者の説と異なり、地位や権力とは関係ない。

ナルパ:ひどい。直訳は「腐った」だが、ひどい出来栄え、ひどい性格、ひどい料理などを表現するのにも使われる。

ノルグ:禁じられた。ほとんどの禁じられたものは話題にしないので、私の文化ではほとんど使われない言葉だ。

オジェル:部族の者ではない、よそ者。文字通りには「アルゴニアン語を話さない者」もしくは「ジェル語の話し手ではない者」の意。

リール・カ:戦士。力を示せば、いずれはカールになることもある。

サクスリール:アルゴニアン。細かく言えば、アルゴニアン語でアルゴニアンを表わす言葉。

スティシル:卵。この言葉は言いづらいと感じる者が多いようだ。スティシルはサクスリールの文化において重要なものなので残念だ。

ツクシス:蛇。目的を達成するために卑劣な手段を使う者のことを言い表すにも使われる。

トテイク:素晴らしい。対象となるものについてとても強い意見を示すので、たまにしか使われない言葉だ。もし使うのであれば節度を持って使うこと。

ツォナ:泳ぐ(ちなみに、ブラック・マーシュの沼で泳ぐことはお勧めしない)。

ウクシス:巣、家、ベッド。私たちにとって、これらのコンセプトは同じである。誰かのウクシス・ビーコになってほしいと言われたら注意すること。

ヴァステイ:変化。おそらく私たちの意欲の背景にある原動力。変化に逆らうことは究極の愚行として知られている。

ザル:怖い。他の言葉やフレーズと合わせて使われることが多い。例えばジンチェイ・コヌは、ザル・ヴァステイを起こすことで有名な記念碑だ。

ジーチ:木の実、種。さらに、始まり、誕生、まだ見えない潜在力を持つもの。

ズル:死、または死に関係があるもの。私たちからすると同じものとして考えられるため、復活も意味する。

バッカ:太陽。私たちが太陽を崇拝すると信じている学者がいると読んだことがある。それは誤りだ。太陽の温かさと日光浴は好きだが、それだけだ。

リー・ナカルの命令Ree-Nakal’s Orders

あのブライトスロートの女はますます取り乱している。私を信用してくれと言っておとなしくさせているが、いつまでもつか分からない。ブライトスロート村付近にある、ドラゴンソーンの乾いた草地でハクサラを待ち、彼女が自白を決断する前に黙らせろ。

リルモスの歴史A History of Lilmoth

ウェイレストの放浪者、ティリリャ・レン 著

リルモス、ブラック・マーシュの膿んだ宝石。マークマイア最南端の港であり、その先にある自然の沼への入口である。商人や旅人は泥だらけの通りを歩き、湿度が高いので肌の上で汗がしずくへ変わる。ブラック・マーシュの中で、これほど洗練された街はない。

ただし、実際のところは帝国支配の時代から数十年経った今、そもそも他の街に出くわすことがない。元帝国都市のリルモスにも、今では帝国の影響がほんのわずかしか残っていない。沈みかけた屋敷に飾られた絵が、苔に覆われて腐りかけている姿が見えるだけだ。アルゴニアンがブラック・マーシュを取り戻したように、沼がリルモスを取り戻したのだ。

しかし、リルモスの基礎を作ったのは鱗だらけの手ではなかった。それは、街を築いた狐の民を示す独特の名前からすぐに分かる。残念ながら、リルモシートの住民はナハテン風邪で全員死んでしまったので、もうリルモスにはいない。タムリエル中から来た商人と、近くの部族から来たアルゴニアンの旅人が街を占有している。

まともな権力構造が存在しないため、影響力のある商人が集まる議会が街のほとんどの問題に対応している。彼らは港の関税に目を配り、リルモスの街を巡回する衛兵を雇っている。さらに、全ての非住民に対して略式の裁判制度を使って裁きを下す。ただし、うまく賄賂を使えば、口のうまい弁護よりも早く問題を解決できることはよく知られている。

マークマイアの民には、もっと構造的ではない裁きの制度がある。周囲の部族では木の番人と戦士長が紛争のほとんどに決着をつけるのに対し、リルモスにはそのような法的制度が存在しない。リルモスで1年過ごしたが、多くのアルゴニアンがスラーキーシュという名の年長のアルゴニアンに従っていることに気づいた。彼らの社会における彼女の役割はよく分からないが、どうやら彼女は仲間内で尊重される裁定者として見られているようだ。

まだ荒削りではあるが、元は戦い、海賊、政治的紛争の巣だったリルモスはずいぶん変わった。今ではマークマイアの風変わりな謎を、広大な沼の危険に身をさらすことなく経験したい者にとって、素晴らしい場所であることに気づくだろう。私のように、アルゴニアン文化の奇抜さに引きつけられた者なら、ぜひ訪れるべき場所である。

ロスガーからリルモスへ:ある鍛冶師の物語、第一巻From Wrothgar to Lilmoth: A Smith’s Tale, Vol 1

熟練の鍛冶師ガルノザグ 著

俺はただの年老いた武器職人で、武器こそ命だ。まだ牙も小さいヒヨッコだった頃、俺はオルシニウムの大鍛冶場に忍び込んで、達人たちが仕事をするのを見ていたものだ。そのうち俺は見習いになって、鍛冶場の端から端までスラグを運んだ。そうして一人前になり、頭から爪の先まで煤と汗まみれになった。最終的に、俺は偉大なる熟練の鍛冶師に加わった。鉄をたわめ、鋼鉄に槌を打ち付けて過ごした年月の間、俺は金属以外のものを使って武器を作る可能性なんて一度も考えなかった。そりゃ、結んで縛るにはマンモスの革とかも使ってる。時には絹を着て生まれてきたような洒落者が、宝石をはめ込んでくれと求めてくることもあった。だが金属は俺の技の心臓だ。ここリルモスの武器職人に出会った時の俺の驚きを想像してみてくれ。

俺はいつも、タムリエルの南方にはそのうち行ってみたいと思っていた。戦争が始まった時、今行けばいいじゃないかと思った。カバナントの補給係に装備を売ってがっぽり儲けることもできた。だがブラック・マーシュにはなぜか、いつも俺の好奇心を刺激する何かがあった。

このトカゲの民が戦闘で木の棍棒を身につけているという物語は耳にしていた。俺は蛮族がシューシュー言いながら亀甲の兜と粗雑な革のグリーヴを付けてるところを想像してたんだ。完全な間違いだったと躊躇なく認めよう。ここのアルゴニアンたちは、俺に想像もできなかったような方法と素材を使っていて、結果は驚くべきものだ。メモは取ってるんだが、役に立つかどうか疑わしいな。素材の半分はブラック・マーシュでしか見つからないし、何十年も金属を叩いてきたこの手じゃ、細かい仕事までやれるかどうか自信がない。それでも、学ぼうとしない鍛冶師なんて何の役にも立たない。だからここにいる。あのトカゲどもに少々教えてやろうと思ってたんだが、俺のほうがたくさん学べそうだ。

ロスガーからリルモスへ:ある鍛冶師の物語、第二巻From Wrothgar to Lilmoth: A Smith’s Tale, Vol 2

熟練の鍛冶師ガルノザグ 著

今日もリルモスにいる。地元の武器職人で、シュケシュという名の年寄りで狡猾なアルゴニアンは、俺の眼鏡にかなう女だ。彼女は真面目で仕事熱心、しかも少々頑固だ。俺は彼女にオークの血が半分入ってるに違いないと言った。アルゴニアン特有の作り笑いをされた。本気で面白がっているとも、全く賛成していないとも取れるあの笑いだ。俺には違いがさっぱり分からん。最初に会った時、彼女は「トゥシック」の剣を作っていたが、これを「剣」と呼ぶべきなのか自信はない。正直に言って、これがどういう種類の武器なのか分からない。棍棒と剣が子供を産んで歯を半分取っ払い、残りを削って牙にしたような感じだ。もう少し詳しく説明したほうがいいかな。

このアルゴニアンの鍛冶師はまず、ある長さの木を手に取る。自分の腕の長さでもいいし、尻尾の長さでもいい。彼女は一週間かけてこの木を削り出し、櫂の形にする(俺は製作中のものをいくつか見せてもらったが、船の櫂と見間違えた)。多くのアルゴニアンはこの木を染色するだけで次の段階に進んでしまうが、老シュケシュは達人だ。俺には分かる。彼女は自分の欠点を根気で補っている。彼女は骨と精密に削り出した黒曜石のノミを使い、櫂の表面に装飾を刻んでいく。こうした模様の大半は抽象化された動物の形だ。クロコダイルとかな。だが模様の中にはいくつか、ちょっと不気味なものもあった。特にあるトゥシックにはぞっとさせられた。それは暗く着色された頭蓋骨に、隆起と棘がついたもののように見えた。彼女は「特別な客」のためのものだと言っていた。その客には会いたくないな!

木が硬化して染色と研磨が終わったら、シュケシュはそれを脇に置いて、仕事の次の段階に取り掛かる。つまり石の彫刻だ。シュケシュによると、この工程にはあらゆる種類の石を使っていいが、彼女は黒曜石を好むそうだ。原石は削られてナイフの刃のように鋭くなり、粗雑な四角から均一に削られた牙になる。この「歯」を削り出したら、シュケシュは木や骨の釘、煮沸したデパッサ・ガムを使ってこいつを櫂に取り付ける。

デパッサ・ガムというのは、奇妙なねばねばした物体だ。エシャテレの脇の下みたいな臭いがするが、ペーストのように木や石にくっつく。いったん固くなると引き剥がすのは不可能に近いが、アイアンウッドの若木のように軽く柔軟だ。俺はシュケシュに、こいつは俺が皮を固定する時たまに使う、マンモスの下地を思い出させると言った。彼女は特徴的な鳴き声をあげてこう言った。「木を刈るほうが、マンモスを狩るより簡単じゃない?」。それには同意するしかない。

歯がしっかりと所定の場所にはまったら、シュケシュは持ち手に革や樹皮の切れを巻き付け、どんなに雨や血で濡れても滑らない握りを作る。これで武器は完成だ。金属は一切使われていない。もっとも、この作品を完成させるため、彼女はほぼ3週間を費やした。

トゥシックの最も驚くべきところは、武器それ自体(これもまた素晴らしい出来栄えなのだが)ですらない。凄いのはこれの製作に伴う技術だ。シュケシュはただの鍛冶師じゃない。彼女は木工職人であり、錬金術師であり、石細工職人であり、縫製職人でもある。どれか一つを極めるにも一生を要するのに、彼女は4つ全てに熟練している。ほとんど恥ずかしくなるほどだ。暇を見て俺も木工を練習したほうがいいかもしれない。なんてな!無理に決まってる。結局、年寄りのオークに新しい芸は覚えられない。

ロスガーからリルモスへ:ある鍛冶師の物語、第三巻From Wrothgar to Lilmoth: A Smith’s Tale, Vol 3

熟練の鍛冶師ガルノザグ 著

アルゴニアンの「鍛冶場」は奇妙な場所だ。鍛冶場というより作業所に近い気がするな。この場所に入った時、故郷で馴染んでいた音や匂いには全く出会えなかった。金床を叩く音も、石炭の煙も、冷却用の桶がジューっという音もなし。不気味なほど静かで、ノミや斧、変な液体が入った木の桶、積み上げられた石、死んだ鳥、生きたナメクジ…こういったものがたくさんある。

最初の1週間ぐらい、俺はシュケシュの作業所で居心地悪く感じた。彼女はあまり口数が多いほうじゃない。最初の数日の間に彼女が出した唯一の音は、何かが完璧に計画どおりにいかなかった時不意に出てくる、イラついたシューシュー声だった。古いジェルの民謡もいくつか歌ってた。もっとも「歌」と呼べるのかどうか分からんが。初めて聞いた時、彼女はそこらじゅうをうろつきまわってるトカゲを殺してるのかと思った。ここはあいつらの巣窟になってるんだ!

そのうち、シュケシュは俺に話しかけてくるようになった。最初の頃の話は大抵、俺に鱗がなくて不愉快だとか、俺の目がビーズみたいに丸いとか、そういうことだった。彼女が俺を馬鹿にし始めた瞬間から、すぐに仲良くなれると分かったよ。シュケシュが教えてくれた最初の秘訣は「ナメクジ型」の技術だった。どうやらブラック・マーシュには大量のナメクジがいるらしい。俺の故郷でこのねばねばした生き物はあまり見かけないし、見かけてもすぐに踏み潰して、ブーツが汚れたのを不快に思うぐらいだ。だがここリルモスでは、どんなものにも意味がある。大半のナメクジは食料にしかならない(聞いた話だ。俺は4つ足でないものは食べない)。だが一部のナメクジには驚くべき使い道があるらしい。そういう特別なナメクジの一種は「ジャッサ・レッド」と呼ばれ、一風変わった防衛手段を持っている。脅威にさらされると、このナメクジは酸性の粘液を噴出させる。食べられそうになった時にそれがどう役立つのかはよく分からんが、この酸性の粘液はアルゴニアンの武器職人にとって有用なのだ。

シュケシュが自然の意匠を作品に組み込みたい場合は、このナメクジを木や石の上に置いて、ナメクジのすぐ後ろで繰り返し火打ち石を打ち合わせる。火打ち石の位置を調節すれば、ナメクジを様々な方向に押しやれる。ナメクジは木や石の上を動くにつれて酸性の粘液の細い線を跡に残し、長くなめらかな道が素材の上にできていく。粘液の働きは使われる素材によって異なる。粘液の作用は自然の着色料にもなり、その色は薄茶色から輝く黄色まで様々だ。

シュケシュは試しに俺にやらせてくれた(何の価値もない割れた材木で)。予想はしていたが、俺は下手だった。俺はグチャグチャな溝を作ってしまった。それも全部不気味な緑色の斑点に染まって。気持ち悪くなって火打ち石を投げ捨てたら、シュケシュは笑ったように思えた。本人はただの咳払いだと言って、このナメクジ型は完全に「ラジプ」だと言った。ラジプというのが何なのかよく分からなかったから反論はしなかったが、推測はつく。とにかく、俺には皮膚を焼く鼻水のねばねばした塊より、金槌と鋏のほうがずっといい。

韻と鐘Rhymes and Chimes

編訳 チャク・シュシュ

卵の番人の子守歌(作者不明)

小さなスティシル、小さなスティシル
樹液を飲み干して
小さなスティシル、小さなスティシル
さあお昼寝をして

小さなスティシル、小さなスティシル
殻の中で眠りましょう
小さなスティシル、小さなスティシル
世話をしてあげましょう

小さなスティシル、小さなスティシル
そっと寝返りをうって
小さなスティシル、小さなスティシル
固くしっかりと育って

ヒスト賛歌(作者不明)

我らが生まれた根の中に
あなたの樹液を浴び、姿を形作り
我らはここに集い、あなたの賛美を歌う
あなたが育みしものへ感謝を捧げる

風が鐘を優しく撫でて鳴らす
泥が全ての苦しみを貫いて固く抱きしめる
雨が黄金の陽光を越えて根に辿り着く
太陽が命ある間、葉に口づける

全ての小枝と大枝を祝福しよう
その下で我らは誓いを立てよう
繊細な樹皮と花を祝福しよう
祝福されしあなたを、我らのヒストと呼ぼう

童謡 ミンメ

チリン、チリン、虚ろな鐘
韻に合わせて鳴るね
愛し子のいる巣に思いを寄せる
勝ち得た眠りに落ちる

あなたは容易に揺らいで踊る
夜の優しいそよ風に乗る
怠惰な流れの思いが起こる
喜ばしい夢に渡る

チリン、チリン、虚ろな鐘
韻に合わせて鳴るね
夜の霧の中を率いる
ヒストの根に帰る

番人の根 チャク・シュシュ

あなたの腕の下で
抱かれて横たわる
朝露にしっとりと湿って
過ごした時間がもつれ合う

太陽の口づけを浴びて
湿気を帯びた空気のように熱くて
息は霧のように吐き出され
熱気が耐えられなくなるまで

私は鱗を濡らし、泥で整える
優しい大枝が影を作る
愛しい根の中で、私は血を冷ます
まどろみ始める

あなたはそっと子守歌を歌う
そよ風の中の鐘の歌を
心の目にあなたの種を植える
そして与える木々の夢を

影の道The Way of Shadow

ソリス・アデュロによる翻訳

見習いとして、諸君は常に自らの力の源泉を覚えておかなくてはならない。我らの主人の気まぐれ一つで、力が奪われてしまうこともあるからだ。諸君は多くの他の勢力に誘惑されるだろう。それらの多くは我らが父に似た仮面を被っている。彼らは父が持つ顔と同じぐらい多くの名を持つ。諸君が影のルーンを引き出す時、思い出すべきは父の全ての顔であり、彼らの顔は一つとして思い出してはならない。

また、光なくして影はないことも忘れてはならない。光がなければ虚無があるのみである。我々は父の顔を崇拝するが、避けられないものに向かって進む労力を払うのは我々の定めではない。太陽は血を流す黄身であり、我々はそれを飲むのである。

それまでの間、我らの鱗が黒くあり続け、影の席に仕えられるように。

影の鱗Scales of Shadow

ニッソ・ゼーウルム 著

暗闇の星々よ、星座よ、
集めるべき星を教えたまえ
必要な子供たちに与え
必要な道を教えるため

影の鱗よ、死の手よ
汝の刃によりシシスは名誉を得る
必要な変化を生み出すため
流されるべき血によって

汝は一党に入る
唯一の真ならざるものに導かれて
我らの無の言葉を覚えよ
無が見るものを見よ

ある日、汝の鼻が青白くなる時
汝は沼へ帰る
暗闇は汝の心に留まる
汝の鱗はいまだ影なれば

解き放たれしドラキーの日記、3ページDrakeeh the Unchained’s Journal, Page 3

私の祖父はまさにこの壁の中で鎖につながれていた。彼は私よりも毒舌だったが、彼の心は同じ憎悪で満ちていた。故郷から連れ去られ、インペリアルは彼を自分たちの意志に従わせようとした。ナガ戦士の曲げられない精神を曲げることを。

彼らは失敗した。侮辱するたびに彼の決意は強くなった。鞭を使うたびに彼のかぎ爪は鋭くなった。つながれた鎖は彼を強くするだけだった。彼は卵の兄弟を集め、心に戦士の歌を歌った。共にブラックローズ監獄を、鎖で縛った帝国のクズどもから奪った。

しかし他の部族がその戦士の歌を聴いた時、彼らは恐怖で萎縮した。祖父の心の中にある憎悪を見て、彼が毒されていると考えた。彼らは怒りを忘れるように、帝国の罪を忘れるように言った。ヒストの葉の下でもう一度踊るように、地平線を憧れのまなざしで見つめるだけで満足するようにと。

私の祖父は、それが愚かなことだと考えた。彼は新しい部族の族長、ラジカールになっていた。自分たちを迫害した者たちの道具を利用した。肌の乾いた者の監獄を取り戻して自分の砦にし、彼らの武器を自分の力にし、彼らの鎧を自分の保護に使った。そうして、かつて彼らを拘束していた鎖を振り回し、ブラックガードは生まれた。

解き放たれしドラキーの日記、12ページDrakeeh the Unchained’s Journal, Page 12

あまりにも長い間、私たちは卵の兄弟だけを仲間にして戦った。優秀な戦士ではあるが、数が少ない。私たちの力には限りがあり、活動範囲はちっぽけで、虫のように影をはい回らざるを得なかった。ただの盗賊に成り下がっていた。邪魔な存在なだけだった。

私は変化をもたらすのが賢明だと悟った。数を増やし、影響力を拡大するには、仲間が必要だった。肌の乾いた者が組織に入ることを許し、彼らを私たちの力にするのだ。そうしてブラックガードは大嵐のように、打ち寄せる波のように大きくなった。

しかし目の曇った者たちは、身内を疑った。私の指導力に疑問を持ち、昔のやり方に目がくらんでいた。怒りに満ちた声で叫び、それはどんどん大きくなった。私は彼らを落ち着いて観察した。シシスが、変化は常に混乱につながり、同様に混乱は血につながると教えてくれた通りだった。

そうして私の試練は生まれた。私の決断を疑う者は、仲間である肌の乾いた者の戦闘能力を試す機会を与えられた。そのような挑戦に成功した、数少ない者たちはどうなるのか?彼らは私の相手をする。彼らが疑問視しているのは私の命令で、指導者としての強さだったのだから。

私の前にいたシシスのように、私は破壊と創造を両方行い、疑う者を始末し、従う者を強くした。そうして、ブラックガードは復活した。

解き放たれしドラキーの日記、17ページDrakeeh the Unchained’s Journal, Page 17

誰かが私たちから逃げることはあまりない。ブラックガードに存在するのは、忠誠と死だ。そのため、誰かが私たちの手から抜け落ちる時、私は忘れない傾向にある。

その男は闇を探す者と名乗っているが、私はピマクシ・タイードと言う名を知っている。かつて奴は卵の兄弟であり、戦士であり、ブラックガードだった。今では盗賊の巣に隠れている。なぜマークマイアに戻ることにしたのか、私には分からない。だが、何としてでも後悔させてやる。

奴を私の試練で戦わせるように計画した。目の前で奴がぼろぼろになって死ぬのを見るのは面白そうだ。しかし斥候の話で、奴の仲間が私の砦をうろついているのが目撃されたと聞いた時、私にはどうすべきか分かっていた。

ピマクシ・タイードがゆっくりと苦しみながら死ぬのを見れば満足感が得られるだろうが、奴とそのウッドエルフには絆があるに違いない。ならば、その心を殺してやろう。明らかに大切な存在であるその者の死を自分が引き起こしたのだと悟って、目に不幸がわき上がる様子を見るのだ。

殺すのは後でもいい。今は、手紙を書いてウッドエルフに選択肢を与えよう。報復を遂行するのはそれからだ。

壊れたジンチェイ・コヌThe Broken Xinchei-Konu

黒き棘が崩れた監獄を覆い
根の獣が門の側に潜む
太陽は獣に喰われ、もはや輝かぬ

その枝から離れた実は
苔むした石の上に落ちた
実は東を見る、海へ向かって

淀んだ沼の奥深く
積まれた石に生える芽一つ
捨てられた巣、入るものもなし

沈没船の葦は腐れ落ち
北へ向かい、通り過ぎる交易船が
ヒストの若木に影を投げかける

虚ろなこだまの中、轟く根の向こう
成熟せしヒストは佇む
風の吹きすさぶ洞窟の奥深くに

海と沼が出会う場所、崖の縁の下
黒に覆われたインペリアルの石の陰
冷たい水の中に、年老いたヒストは座る

ヒストなき街の外れ
卵の籠はうずくまる、石造りの巣に
肌の乾いた、定まらぬ手が築いたもの

石の蛇は石の卵を守る
過去の愚行の二柱の間
西には、ハジ・モタが潜む

枯れゆく根の地下室にて
高くそびえる石の背後に
トカゲは座り、待っている

死の水から北
沼の端には根が潜む
その腹の中には、歩くトカゲ

虚無の口の下で
歩く根は我らの一族を飲んだ
轟音を立てる滝の下で

死の最後の季節は
根の最後の敵の内に横たわる
ささやく根が聞こえるほどに近く

蛙の演奏On Playing the Frogs

愛しいヘルガへ

君は先日私が見たことを信じないだろうな。リルモスを通り抜けようとしたら、アルゴニアンの音楽家の小さな集団に出くわした。ほとんどの者は粘土のフルートとトカゲ皮の太鼓を演奏していたが、1人だけ今までに見たことのないイカれた楽器を演奏していた。彼はそれを「ヴォッサ・サトル」と呼んでいた。どうやら、ヴォッサ・サトルにはいろいろな種類があるらしい。口琴のような小さなものから、パイプオルガンのような大きなものまで!我が新しき友のヴォッサ・サトルは、雌鶏くらいの大きさだった。音もちょっと雌鶏に似ていたな。

楽器の見た目は、上部にバルブが連なって付いている、磨いた木製の貝殻のようだ。貝の各部分は意外と小さくて、ラッパのような口がついた仕切りのある空洞になっている(見たやつには5個あった)。音楽家によれば、小部屋はそれぞれ大きさが異なっていて、異なる音色を生み出すんだそうだ。

で、これが一番イカれた点なんだが、奴らは生きた蛙を中に入れるんだ!友人は親切にもヴォッサ・サトルを開けて中にいる5匹の小さい蛙を見せてくれた。1室に1匹ずついるんだ!彼はまるで母親が生まれたばかりの子を自慢するように、蛙について何やら並べ立てていたよ。彼は蛙の名前、好きな遊び、好きな食べ物について教えてくれた。唯一教えてくれなかったのは見つけた場所だ。どうやら産卵池の場所は極秘らしい。

彼は毎回演奏の前に、数滴の蛙香を小部屋に吹きかける。これで蛙たちが興奮して、どうかしたみたいに甲高く、ケロケロ鳴くようになる。バルブを押すことで、他のは開いたまま特定の小部屋の音を弱められる。これで奇妙だけど、調和のとれた音が出せるんだ!ほとんど信じられなかった!即座に楽器を買い取ると申し出たんだが、断られた。まあ、それで良かったのかもな。蛙たちがウィンドヘルムの冬を生き延びられるかどうかは怪しい。結局、君のためにはフルートを買ったよ。一番ワクワクするような楽器じゃないけど、君が好んで吹くあの古い山羊の角笛よりは、いい音を間違いなく出せる!

カイネの天啓を込めて

トラルフ

蛙の集め方ガイドA Guide to Gathering Frogs

友のビーコよ!

ジミラ船長にプレゼントするヴォッサ・サトルを完成させるために、お前には以下の蛙を集めてきてもらいたい。

必要なのはアシゴケガエル、ルビーホッパー、インディゴツリーガエル、太陽に祝福されし蛙だ。これらが最も広い音域を出せる蛙なのだ。

まず、リルモスの東にある湿地の茂みにいる、アシゴケガエルを何匹か探してくれ。こいつらはとてもおとなしく、捕まえやすい。

次に、ルビーホッパーを探すんだ。この珍しい赤いカエルは、リルモスの水辺にある石の上で陽を浴びるのを好む。だが、気づかれないように近づけ。でないと怖がって逃げて行ってしまう。そうなったら、怯えた蛙は街の中心にある大きな木に隠れることが多い。

インディゴツリーガエルを捕まえる手順は少々複雑だ。この蛙が住む木を見つけたら、ニクバエを何匹か集めてくれ。この青い蛙の大好物なんだ!ニクバエを木の下に放してみろ。下に飛び降りて食べに来たら、捕まえればいい。

最後だが、太陽に祝福されし蛙は一番捕まえるのが難しい。泥の穴からこの蛙をおびき出すには、騙して交尾の時間だと思わせる必要がある。そのためには、まず蛙を引き付ける匂いを出す材料を集め、隠れ家から出て来るようにしないといけない。

匂いを作るためには、以下の植物を集めてくれ。ニオイスゲ、シオイグサ、ワライアオイだ。これらを組み合わせて、蛙の香を作るんだ。香が出来たら、蛙の泥穴を探す。そして蛙の香を自分にかけて、クロークホイールを使うんだ。香の匂いとクロークホイールから出てくる鳴き声があれば、きっと太陽に祝福されし蛙をおびき寄せて捕まえられるはずだ。

幸運を祈る!

虚ろなる者の成長Development of the Hollow

我らのヒストは無駄と、他の部族たちの我がままを認識している。彼らは太陽に愛された自らの地で、豊穣な生活を楽しんでいる。彼らのヒストは何も求めず、彼らもまた何も求めない。卵でさえ有り余っており、奴らのヒストは何の使い道も持たないほどなのだ。巣全体が捨て去られ、忘れ去られている。深い沼のリヴァイアサンに子供たちの集団が飲み込まれる苦痛を彼らは知らない。枯れた根も正しく世話すれば生命を得て膨らむことを忘れているのだ。私はあの虚ろなる殻のために目的を見つけてやろう。そうすれば、我々のヒストは再びその根を価値ある子どもに巻き付けてくれるだろう。

失敗。大量の失敗だ。予測済みのことではあった。虚ろなる卵に真の生命を吹き込むのは、捨てられた肉体をなだめすかして生者の行動を思い出させるように単純なことではない。

ブラックトングの霊薬は卵の成長を促進するが、荒っぽく無秩序な代物だ。腫瘍に似た原始的な肉の突起は、私が探し求めていたものから程遠いが、生命は生命だ。必要なのは導き手だ。何をすべきなのかは分かっている。

サクスリールになるはずだったものの萌芽は見える。最初は歯や鱗、あるいは背骨が、形を成さない塊に混じって卵から孵る。樹液は何をすべきか知っている。しかしまだ要素が足りない。時が来れば、この謎への答えが分かるだろう。

私は生命を創造した。短い命だったが、命には違いない。孵化したサクスリールは奇形であり、数時間生き残った者は少数だが、私は正しい道を進んでいる。

これらの卵を次々に孵化していったことで、自分が探し求めているものからどれだけ遠くにいるかようやく理解した。困難を乗り越えるたび、それが前回の困難とは比較にならないほど大きなものだと分かる。子供の成長を促進させることで、生き延びるための体の組成を与えてやることはできたが、身体的な異常を排除してさえ、やはりあれは虚ろなる者だということが明らかになった。サクスリールなのは形だけだ。一歩ずつ目標に近づいていると自分に言い聞かせるしかない。

孵化を生き延びた虚ろなる者を檻に入れねばならなかった。中には知能と言わないまでも、本能を備えているものがある。我々には見えないものに引き付けられているらしく、いかなる干渉に対しても敵意をもって反応する。貧弱な個体であっても適切な監視にはあまりに労力を必要とする。すでに1人以上を失っていると思うが、これほど失敗が多いといちいち数えていられない。

今日のことは勝利とまでは言わなくても、誇りに思っていいだろう。ヴィーシュクリールの儀式を私の錬金術と組み合わせることで、健康なサクスリールを1体作れた。虚ろなる者に比べればおとなしいが、目には認識の兆候が乏しい。魂は感じられるが憑依に欠陥があるのか、それとも体がやはり適さないのか、何とも言い難い。

安定した調合法を手にしたが、儀式に順応することに関しては全く進展がなく、以前の成功例も感知能力の改善を一切示していない。私はこの道を進んだことで、あまりに深い沼に沈み込んでしまったらしい。一歩退いて、他の道を探すべき時が来ている。

私の霊薬の限界を試すために少なからぬ数の卵を失ったが、卵の供給は続いているし、犠牲を払うだけの価値はあった。卵のうち2つからは、これまでに見たことのないサクスリールが生まれた。他の虚ろなる者とは違い、青白くない。体の模様には鮮やかな色が付いており、皮膚からは我々にとってさえ致命的な調合薬の成分が発散されている。安全な研究のため、私は隔離しておいた。

この新しい調合法にはかなり期待をかけている。卵の成長はあらゆる期待を上回るものだ。魂の拘束の儀式も同じような結果を出せればよいのだが。

恐怖の父の嘘Lies of the Dread-Father

ニッソ・ゼーウルム 著

丸い舌はそれに姿形を与える
そして「それ」は「彼」へ変わる
彼らはその腐れ落ちた花嫁に囁きかける
彼を称えよ、彼を崇拝せよと

彼らはそれを父と名づける、恐ろしきものと
彼らは恐るべき血の刃と共に祈る
彼らは真理の一面を語る
彼らの舌に絡みつく何かを

無形が形を与えられ
変化は停滞になる
一つの真理は真ならざるものへ変わる
何かの一党が見つめる

軍団士官のメモLegion Officer’s Notebook

我々が雇ったアルゴニアンの斥候は天の恵みだ。ジン・ラジュルはこの沼地を知り尽くしているようだ。実際の話、この洞窟に野営することを進言したのもあの斥候だった。風雨からの保護と、身を守るのに適した防ぎやすい場所を提供してくれるのに加えて、彼の部族の伝説によれば、ここには大昔、ある強力な武器がしまい込まれたのだと教えられた。その武器を入手できれば、帝国にとって大きな利益となるだろう。

* * *
この洞窟にいるのは第九軍団だけではない。何者かが我々の警備兵と物資捜索隊を襲ったのだ。アルゴニアンの斥候は、ここにいるのが軍団だけだと主張した。つまり我が兵たちが義務を放棄して脱走したと言いたいのだ。馬鹿げている!第九軍団が責任を放棄することなど決してない!ジン・ラジュルは本当のことを言っていない気がするが、なぜ私に嘘をつくのかは分からない。

軍団士官の日記Legion Officer’s Journal

ジン・ラジュルめ!奴は何らかの魂胆で第九軍団をこの洞窟に引き入れたのだ!今では何もかも滅茶苦茶になってしまった。あの物体は兵たちの半数以上を食い尽くしてしまった!あれは巨大になり、さらに強くなっている!

まだ何らかの行動を実行に移せる程度の兵は無傷で残っているが、あの悪臭を放つおぞましい泥の塊が外に出て、帝国を脅威に陥れることのないよう、入口を封鎖するつもりだ。

好色なアルゴニアンの歩兵、第1巻The Lusty Argonian Footman, Volume 1

(未完成)

– 第5幕、第1シーン、続き

背骨を立てし者:申し訳ございません、奥様!

ナデネ・ヴェラス:こんなこともできないの?

背骨を立てし者:努力はしています!でも何をしても…

ナデネ・ヴェラス:もっと磨かないとだめよ。私の器に艶を出してくれないと。

背骨を立てし者:はい!今すぐもっと磨きます。

ナデネ・ヴェラス:そうよ、それいいわ!本当に、熱心に喜ばせてくれるのね。

背骨を立てし者:貴女を喜ばせることが私のすべてです!

ナデネ・ヴェラス:分かってるわ。この後は食卓の準備をしないと。

背骨を立てし者:ただちに!旦那様が出掛けてる間は、お好きな部屋にご用意できます。

ナデネ・ヴェラス:忠実な召使なら、当然ね!

– 第V幕の終わり、第1シーン –

高名な探検家の失われた物語:欠片1Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment I

ソリス・アデュロ 著

「3人だけか」とマティウスは抗議した。3人では偵察隊にもならない。本格的な探検隊となればなおさらだ。「最低でも9人という約束だったのに」

ターナは机の上にドンと足を投げ出した。「それが精一杯だったわ、マティウス。あんたの名前にもう昔みたいな効力はないの」

マティウスはそれが本当のことだと知ってはいたが、自分の友人からそう言われたのは初めてだった。自分の任務を続けるつもりだと言ってから、ターナが彼に冷たくなったことにマティウスは気づいた。彼がインペリアル公認の調査隊のリーダーとして、ブラック・マーシュ地域の正確な地図を作る任務についてもう10年が過ぎた。国境地域は十分に画定されたが、沼地の中心部についての情報は乏しく、検証不可能だった。帝国から市民へ広められる公式の記述ですら、無数の疑わしい報告に基づいて作った、継ぎはぎだらけの物語だった。

探検は失敗と考えられていた。彼の仲間は探検が長引くにつれて死ぬか任務を放棄して、規模を刻々と縮小していった。ターナは彼のところに残った唯一の者だが、彼女は病気にかかってうわごとを言うようになり、旅の最後の日々を思い出せなくなってしまった。

そしてマティウスが大学に戻って失われた都市や古代文明について話すと、彼の主張を保証する目撃者が他にいないこともあって、疑いの目にさらされるたのである。それ以後、ターナとの関係は変わってしまった。マーシュは彼らを二人とも変えてしまったが、その余波もまた楽なものではなかった。マティウスは昔のことを水に流してまた一緒にやれることを期待していたが、ターナはもう二度とブラック・マーシュには戻らないと言ってきっぱり断ったのである。彼女は隊員集めに協力してくれた。マティウスとしては、力を貸してくれる人がいるだけでも感謝しなければならなかった。

「少なくとも、そいつらは経験豊かなんだろうな」。彼には期待するしかなかった。

「運がいいわよ」とターナは言い、何かの書類を眺めた。「まあ、あんたがハイエルフと仲良くできるならね。彼女は魔闘士だから、何とかなるでしょ。名前はサラーラ。聞いたことない名だけど」

マティウスは眉をひそめた。そんな熟練の仲間が手に入るのは嬉しいはずだったが、何か警戒すべきものを感じたのだ。「なぜ魔闘士が私のところに来るんだ?」

ターナは肩をすくめた。「私の知る限り、これは公認の任務じゃない。私の情報筋も彼女については何も知らない。自分なりの理由があって来たんでしょう。今は贅沢言ってる場合じゃないわ」

マティウスはうなずいた。そのエルフには目を配っておかなくてはならないだろう。「で、他の二人は?」

「逃亡奴隷のリファン。若いけど熱心なノルドよ。情熱の大切さは知ってるでしょう。先回りして言っておくけど、彼は読み書きできるし、狩りや食料調達の腕もそれなりにある。これまで自分の力で生き残ってきたんだから、チャンスを与えてやりなさい」

働き手が多いのは悪い事ではないし、チームの規模は小さいからその少年が邪魔になることはないだろう。それでもマティウスは、覚悟のない者にとってこの旅がどれほど厳しいものになるかを知っていたので、申し訳ない気分になった。「で、三人目は?まだ案内人の話をしてないだろう。アルゴニアンの協力者なしにはどこにも行けないぞ。少なくとも、それくらいは覚えているだろう」。そう言ってしまったことをマティウスは後悔したが、ターナは無視した。

「河のエラ」と彼女は言った。「あんたが依頼したとおり、経験豊富なアルゴニアンの案内人よ。条件は一つだけ」

「条件があるのか?」マティウスはため息をついた。「俺が約束した金額は提示したか?」

「したわよ。最後まで聞いて」。ターナは一旦話を切った。彼を待たせるためだけにやっているようだった。「河のエラは途中まで案内してくれる。そこからはあんたが行きたいところに半分の時間で連れていってくれる、別の者を紹介してくれると約束している」

良識ある人間なら断るところだとマティウスは思ったが、彼には断れないのが分かっていた。どんなに見込みが薄くても、もう一度チャンスを得られるのをもう10年も待ち続けてきた。沼にはあまり人前に姿を現さない部族がいて、隠された道を知っているという話はマティウスも聞いたことがあった。そうした部族と安全に接触できるという考えは、彼を勇気づける程度には魅力的だった。

「よしわかった」とマティウスは言った。「ありがとう、ターナ」。彼は背を向けて立ち去ろうとしたが、扉のところで立ち止まった。「本当に、何を言っても一緒に来てはくれないのか?やっぱり、俺たちは二人で行かないと」

「言ったでしょ、マティウス。たとえ世界中のゴールドをもらってもブラック・マーシュには戻らないって。私のほうこそ、行かないようあんたを説得できたらと思うわよ」

高名な探検家の失われた物語:欠片2Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment II

ソリス・アデュロ 著

彼らがようやく野営地に適した開けた場所に辿りついた時、まだ太陽は高く昇っていた。進み続けることもできたが、明かりが続く限りは進めると考えて迷子になった探検隊は数多い。早朝が旅に最適な時間なのだ。沼はまだ寝ぼけており、夜は完全に明けていた。マティウスは火をおこすのに必要なものを集めに行ったが、仲間たちから離れないように気を使った。彼は棒きれとシダも探すことにした。それを使えば光を隠せる。マティウスはこれだけマーシュの奥深くにいる時は、こうしたほうがいいことを知っていた。彼の新しい仲間たちには何も言わなかった。皆疲れていたし、退屈していたからである。

「古代アルゴニアンには黄金の鱗があり、卑しい人間やエルフの目を眩ませることができたと言われている」マティウスは全員にこの任務の重要性を思い起こさせることで、彼らの士気を高められればいいと思った。そしてキャンプファイアの物語というのはいつでも、少し誇張した話をするものである。「彼らはその最も偉大な街を高く建設し、太陽にまで届かせた」

「それからどうなったの?」と若きリフェンは聞いた。

マティウスとしては、この若者の尽きることのない好奇心を気に入ったと認めざるを得なかった。マティウスはわざと答えを保留し、河のエラが自分から答えを言ってくれることを半分期待した。こうした伝説についてマティウスが知っていることは全て、他のインペリアルの探検家や学者の業績だった。彼はアルゴニアンからこうした話を聞き出せたことがなかった。

河のエラは全く聞いていないかのように、ただ座って陽の光を浴びていた。マティウスから見ると、このアルゴニアンは眠っているも同然だった。

「太陽が彼らを滅ぼしたと言う者もいる」とマティウスは続け、棒切れの束を放った。「彼らは太陽を卵のように割って開け、神になったと言う者もいる」

エルフのサラーナは失笑した。「馬鹿げてるわ。太陽が卵じゃないのは誰でも知ってる」これまでのところ、マティウスがこの魔闘士について知ったことは、彼女が自分の信念に何の疑いも持っていないことぐらいで、その信念の大部分はギルドの教えから来ていることが彼には分かった。

「じゃあ何?」とリフェンが聞いた。

「穴よ」

リフェンは鼻をすくめて見上げた。「あれって穴なの?」

「見たらダメだ」マティウスはため息をついた。

「黄金の都市も信じてないの、サラーラ姉さん?」とリフェンは聞いた。「船乗りはただの物語だって言ってたけど」

「自分の目で確かめたいんだろう」とマティウスが口を挟んだ。サラーラはこの探検に加わる個人的な理由を教えてくれなかったので、予想しただけである。

サラーラは二人から顔を背け、茂みをじっと見つめた。壊れたコンパスを取り出し、それを強く握りしめた。

「まだ何か、価値のあることが学べると思っているわ」とサラーラは答えた。「彼らの信じていることが全て間違っているとしても」

河のエラが目を開いた。

高名な探検家の失われた物語:欠片3Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment III

ソリス・アデュロ 著

彼らは3日間河を移動し、夜になると河のエラが安全に停泊して休める場所を示した。

1日目、河のエラは理由も言わず、一行を河の土手にある岩だらけの露出部に数時間も停止させた。マティウスはリフェンに、沼の奇妙な植物や動物について教えて時間を潰した。マティウスは名前を知らないもののほうが面白いと思っていたが、捕まえて観察することを考えるわけにはいかなかった。無数の色を持つ鳥や、大きな岩のような甲羅を持つ巨大カブトムシ、集団で移動し、灰色ベヒモスの死骸を食べる鱗犬などがいた。マティウスはどれ一つとして名前を知らなかった。

旅を再開する頃には、夜になっていた。他の者たちは抗議したが、河のエラは今が旅に適した時間だと請け合った。マティウスはアルゴニアンの案内を信じることにして、一行は引き続き河を下った。サラーラでさえ、皆に加わって沼を見つめた。木々を通り抜けて移動する、薄暗い光を放つ不思議なクラゲで沼地が明るくなっていたからである。

2日目、リフェンが何かを発見し、「見てよ!」と叫んだ。

サラーラは息を呑んだ。マティウスは振り向いたが、他の者たちと同様言葉が出なかった。沼の中から飛び出してきたのは蛾の羽根のような、巨大な金属の羽根だった。苔と泥にまみれてはいたが、マティウスは2つのドームのような、何層にもなったガラスの目を見分けることができた。何だか分からないが、あれの全体はどれだけ大きいのだろうと思った。

河のエラは一行の前方にある曲がりくねった河から目を逸らさなかった。頭にあるヒレが高速で振動し、低くうなっていた。

「止めてよ、あれを見なきゃ」サラーラの声は震えていた。彼女は河のエラに向けて手を伸ばした。

「止まることはできない」と河のエラは落ち着いて言った。「少し前から、リヴァイアサンが我々を追跡している」

サラーラは一瞬だけ静止したが、すぐに筏から飛び降りた。他の者たちは落ちないように苦労した。

「サラーラ!」とマティウスは叫び、筏のバランスを保つために重心を移そうとした。「河のエラ、速度を落としてくれ」

「止まることはできない」と河のエラは言った。

サラーラは仲間の抗議を無視して、可能な限り早く泥の中を移動していた。彼女は移動しやすいようにマントの紐を解いて脱ぎ捨てた。サラーラは手足をばたつかせて水しぶきをあげながら、不思議な蛾に接近していった。

「サラーラ姉さん!戻ってきて!」とリフェンは叫んだ。

サラーラは今や沼に引っかかり、のろのろと進んでいた。彼女は立ち止まって力の言葉を囁き、マティウスは移動を補助するものだろうと思った。彼女が壊れたコンパスを手に持っていることに、マティウスは気づいた。

すると突然、沼自体が彼女を引きずり込み、飲み込んでしまったようだった。彼女は音もなく消え、二度と浮かび上がってこなかった。マティウスはただ、水の中を動く何か巨大なものの形をかろうじて見分けられただけだった。虫たちさえ音を出すのをやめたことに彼は気づいた。

サラーラのマントは物憂げに漂っていた。彼女の物語の中で残されたのは、ギルドの留め金だけだった。

「止まることはできない」と河のエラは言った。

誰も反論しなかった。そして事実、その日は誰も口をきかなかった。夜になると、彼らは村ほどもある大きさの木の中で眠った。

次の日の朝マティウスが目を覚ますと、リフェンの姿が消えていた。彼が残していったメモには、近くにある集落の明かりが見えたので、彼らに頼んで都会に帰してもらおうと思う。見捨ててごめんなさい、と書いてあった。マティウスには若者がすでに死んでいることが分かった。マティウスがこれでたった二人になったと言った時、河のエラは一言も発しなかった。

その日、彼らはついに徒歩に戻った。険しい地形だったが、マティウスにはそのほうがよかった。しかし旅を続けるにつれ、マティウスの心は以前の探検の記憶に苛まれた。河のエラはもうあまり遠くまで案内はしてくれない。マティウスには次の案内人がどういう人物なのか見当もつかなかった。ブラック・マーシュにおける孤独と恐怖がどういうものか、彼は覚えていた。

3日目の夜、河のエラはヒレを伸ばしてシューっと音を出し、マティウスに洞窟の中へ隠れるよう命じた。

河のエラは外に留まり、夜の残りの時間、マティウスは眠れなかった。夜中じゅう、彼には確かに、歌声と蛇のシューシューいう音が聞こえていた。朝になると、アルゴニアンは何事もなかったかのように再び現れた。

「ヌブタは今、お前に会うと言っている」河のエラはそう伝えて立ち去り、二度と戻ってこなかった。

高名な探検家の失われた物語:欠片4Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment IV

ソリス・アデュロ 著

ゴボゴボ、ゴボゴボ。

またあの音だ。マティウスは虚しく松明を振り回した。息の詰まるようなこの霧の中では、何も見えなかった。彼は空いているほうの手でマントを引き寄せて口を覆い、洞窟のさらに奥深くへと走った。

ゴボゴボ、ゴボゴボ。

すると、その生物の影が目に入った。巨大な球根状の影。それは彼を追いかけていた。彼は走り続け、息を切らしてあえいだ。

ゴボゴボ、ゴボゴボ。

彼はゲップのような笑い声の反響を耳にした。自分は頭がおかしくなったに違いない、とマティウスが考えるまで、その音は響き続けた。その後、彼の足元で、骨のぶつかる音が聞こえた。霧は晴れ、マティウスは自分があらゆる形と大きさの頭蓋骨を並べた部屋に立っていることに気づいた。床は何の生物のものかも分からない骨で埋め尽くされていた。彼は人間を丸呑みし、骨を吐き出す邪悪なボリプラムスのことを思った。「では、俺もこれでおしまいか」彼は息を吐き出した。あのアルゴニアンの嘘を見抜けなかったとは。

ゴボゴボ。

マティウスは部屋の空気が変わったのを感じた。凄まじい悪臭が彼の鼻を焼いた。

声が響いた。「また肉を持つ者がヌブタに会いに来たのか?飲み込まれる前に全て話してしまえ」

薄暗い松明の明かりの下では、不気味な生物の形がかろうじて分かる程度だった。これはプラムスではないが、吐き気を催させるような湿り気でギラギラしていた。丸々とした腹に、ナメクジのような潰れた顔を持つ、巨大な蛙の一種だった。中でも目が一番ひどかった。マーカスはその目の中に禁じられた知と際限なき恐怖を見た。この生物が喉を膨らませたので、彼は勇気を振り絞った。禁じられた知こそ、彼がこんな朽ち果てた場所に来た理由だったのだから。その獣は喉をゴクリとさせ、突然彼に迫ってきた。頭がくらくらするような煙が、鼻から噴き出していた。

「黄金の階段への道を探しているんだ」とマティウスは吐き出すように言った。自分の声がかすれているのは気に入らなかった。

獣は後退し、息を詰まらせたか、あるいは笑ったようだった。その後でゲップをしたのがマティウスには分かった。気絶せんばかりだったが。

「見せてやってもいい」とナメクジ生物は鳴いた。「対価を払えばな」

「もちろんだ、善良なる泥の王よ」とマティウスは言ったが、言わなければよかったと思った。こいつがお世辞ごときで満足するはずがない。実務的に応じたほうがいい。「その情報の対価とは?」

太った腕がポケットを探った。マティウスはこの生き物が模様の入った緑と茶色のローブを着ていることにさえ気づいていなかった。湿ったでこぼこの指が、黄金の装飾用アミュレットにはめ込まれた光輝く黄色の宝石を取り出して示した。宝石には傷一つなく、まばゆいばかりだったが、マティウスは呪われた遺物や不思議な宝石に関して素人ではなかった。彼は剣を抜き、待った。心臓が鳴り響いていたが、恐怖なのか興奮なのか分からなかった。これは古代アルゴニアの遺物なのか?獣は笑って、顎をぶんぶんと振った。

アミュレットを角のついた、何だか分からない古代の獣の頭蓋骨にかけてぶらさげると、それは松明の明かりの下できらめいた。「お前はこれをヌブタのために黄金の都市へと持っていく。それが対価だ」

マティウスは眉にしわを寄せた。「それで、到着したらこれをどうすればいい?」

「その時になれば分かる」とヌブタは囁いた。マティウスはその言葉が彼の耳の中をくすぐる感覚にぞっとした。「お前が死ぬ直前にな」

一瞬の間、マティウスは怪物の顔が自分の目の前まで来たと思ったが、まばたきをして再び見ると、怪物は動いていなかった。「道を教えてくれ」とかろうじて声に出した。

「ここから行くことはできん」と泥の王は言った。「お前は水中の根のように深く進まねばならん。お前の神々さえも見たことのない場所を潜り、探し回り、行き来するのだ」怪物がゲップをして最後の言葉を発した時、マティウスは何も言えなかった。「私はお前をクスル・アクシスまでは連れていこう」

マティウスは悪臭に逆らって呼吸し、剣を収めた。足を踏み出して黄金のアミュレットを拾い上げると、ぬくもりを感じた。「死ぬつもりはない」と彼は言い、アミュレットを荷袋に滑り込ませた。「そのことで気を悪くしないでほしいが」

怪物のゲップのような笑い声が響き渡り、それが消えた時、マティウスは一人で立ち尽くしていた。松明の明かりが燃え尽きかけていた。

高名な探検家の失われた物語:欠片5Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment V

ソリス・アデュロ 著

マティウスは旅仲間の悪臭のせいか、それとも再び沼を逆さまに通り抜けるという行為のせいか、吐き気を催していた。

ナメクジ生物ヌブタは笑った。「これで分かっただろう。この領域は広さよりも、深さのほうが大きいのだ」

マティウスにはさっぱり分からなかった。彼らが、ヌブタの言い方では「河に滑り込んだ」のはこれで3度目だったが、これをやる度に方向を見失うばかりだった。最後の時など、マティウスは自分が溺れているのを見ていたと確信したほどだった。

「夢を見ているようだった」とマティウスは言った。彼はせき込んでねばねばした水を吐き出した。

「夢を見ていたのだよ」

泥の王はそれ以上何も言わず、太い指で指し示した。その先をマティウスが目で追うと、周辺の沼地を通る開けた道の上に、黒い石のアーチ形の道が見えた。アーチ形の道には、蛇と根が互いに絡まり合っている姿が彫られており、頂点の部分には割れた舌を持つ頭蓋骨があった。マティウスはここから先、一人で旅を続けなければならないことを理解した。彼の案内人はこれから先を助けてはくれないだろう。彼らはクスル・アクシスの門に辿りついたのだ。まだ十分目的地に近づいていないのではないかと思い、彼は不安になった。

マティウスには考えがあった。彼はヌブタに渡された黄金のアミュレットを取り出した。「泥の王よ、あなたは自分の言葉を守った」とマティウスは言った。「私も自分の言葉は守る。この宝石を黄金の都市に帰そう。ただ、道を見つけられればだが」

ヌブタはゲップをしてうなった。その奇妙な目はアミュレットを見て少し考えていた。「影が滲み出る聖堂が見えるまで、道を外れずに行け。それは死の場所だ。中に入ってはならない。聖堂の前に立ったら空に太陽を探し、その方向へ歩め。着いた時は分かるだろう」

泥の王が突然這って河へ戻り、いなくなってしまった時、マティウスは抗議しようかと思った。一瞬だけ、マティウスはパニックが胸をつかむのを感じた。彼の仲間たちは一人また一人とこの旅を放棄していったが、マティウスは突然彼らが正しかったのではないかと考えた。この任務を投げ出すこともわずかな間だけ考えたが、前に進む唯一の道は黒い石の道であることにすぐ気づいた。川は足元で干上がっていた。

マティウスは勇気を振り絞った。アミュレットは彼の手の中でぬくもりを放っていた。彼はアーチ形の道に足を踏み入れて進んだ。

高名な探検家の失われた物語:欠片6Lost Tales of the Famed Explorer: Fragment VI

ソリス・アデュロ 著

その古代のアルゴニアンはマティウスに向かって大股で歩み寄り、喉から絞り出すような言葉で叫び声をあげた。このアルゴニアンは平均的なサクスリールよりも頭2つ分ほど背が高く、鱗は金色、赤と紫と緑の明るい羽根や大きな曲がった角を持っていた。頭には鳥の顔の形に彫られた黄金の仮面を被っていた。羽根の付いたローブと黄金の腕輪を身につけており、両腕を広げると翼が付いているように見えた。マティウスにはどこまでが生物で、どこからが装飾なのかが分からないほどだった。

彼には考え込む時間はなかった。この黄金の怪物が呪いの言葉を叫びながら、彩色した爪で襲いかかってきたからである。マティウスに翻訳できた言葉は3つだけだった。太陽、炎、死。

マティウスは後方によろめいた。怪物が飛び掛かってきたので剣を抜くことができなかった。怪物は必死の形相で首にかかった黄色い宝石を爪でひっかいた。マティウスは何とか後ろに退き、剣を抜いたところでこの鳥のようなトカゲが叫びながら覆いかぶさってきた。彼は片手でやみくもに突きまくりながら、もう片方の手を怪物の喉に押し付け、爪で切り裂かれまいと必死でもがいた。怪物は何度も繰り返しアミュレットをひっかいた。アミュレットを首から切り離そうとしていた。

マティウスは宝石が砕ける音を聞いた。黄色い塵が空気を舞った。

アルゴニアンはもう動かなくなっていた。ようやく死んだか、とマティウスは安堵のため息をついた。手が疲れていた。

突然、怪物は目にもとまらぬ速さで再び動き出した。爪のついた両手が飛び出し、マティウスの顔を覆った。彼は自分の首が折れる音が聞こえるかと思ったが、アルゴニアンは強い力で抑えつけるだけだった。黄金の仮面が怪物の顔の一方からずり落ちていた。

それは鳥でもトカゲでもなく、蛇だった。さらにマティウスはその鱗が黄金ではなく金色に塗装してあるだけで、仮面の塗装が削れているのを見た。鱗が白黒の斑模様で、死体から色が消えつつあるのを見た。その目は虚ろな穴だったが、塵がその中に流れ込むと、黄色になった。

恐怖からか勇気からか、マティウスは蛇に剣を突き刺し、もう一度攻撃した。それと同時に黄金の仮面が滑り落ち、床に当たってガランと音を立てた。その中には血がついており、マティウスは蛇の顔が何度も繰り返し変化するのを見た。再び蛇に戻るまで、顔は12回変化した。

彼はこの怪物を殺すことを忘れていた。自分の命を守ることも、そもそも自分がなぜブラック・マーシュにまで来たのかさえ忘れていた。マティウスに分かったのは、ただ恐怖のみだった。

マティウスは落下し、そして吹き飛んだ。世界は彼に向って突進し、炎と栄光、狂気となって襲いかかった。持っていた覚えもない背中の翼に風の流れを感じ、飛び上がった。彼はいくつもの黄金の街と黒い石の街を飛び越えた。街々はそれらを包み込むヒストのごとく、尽きることがなかった。空は燃え上がり、太陽は穴だった。それでも彼は飛んだ。ただ風に運ばれる以上のことをする力はなかったからだ。

彼は塔へとやって来た。それは高く広大で、何層にもなったその沼地から、たくさんの木が生えていた。獣たちは、塔の外の世界を知ることなく生き、そして死んでいた。塔の頂上には火を放出する木があった。マティウスに似た、翼を持つ他の者たちがその木の周りを回っていた。彼らは叫び、マティウスはその言葉を理解した。知らない言葉だったのに。彼は深い悲しみを感じ、塔は見えなくなっていった。

マティウスが見上げると、他の世界と他の塔がいくつも見えた。それらは回転する輪であり、互いにめり込んでいた。輪の軸は絡まり合い、互いを破壊し合っていた。彼は自分の世界が壊れていくことも感じたが、蛇のように素早く影がやって来て塔の根を飲み込み、壊れないようにしていた。

マティウスはまだ飛んでいた。すると炎と暗闇だけがあった。そしてひどい騒音。だが恐れるには、彼は疲れすぎていた。だからマティウスは眠り、黒い太陽へと漂っていった。

黒きヒレ、故郷に帰るThe Black Fin Comes Home

黒きヒレのケシュの従者にして専属補佐官、ミー・シー 著

黒きヒレとして知られるケシュ将軍は、シロディールのパクト勢力の指揮をフェリシ・ヴァロというダークエルフの将軍に任せた。そして私とヴォス・フルク、ティー・ワン、ゾシン、ダークエルフの双子レンシとメラリン、ノルドのジョドとウルフベルという少数の仲間を連れ、戦争で荒れ果てた田舎を離れてモーンホールドへ戻り、スカルド王ジョルンと最後の会合を行ったのだった。

「この奇妙な国で時を過ごすほど、山や雪が懐かしくなる」とジョルンはダークエルフの街の謁見室に入る時に言った。「さて、黒きヒレよ、言ってくれ」と彼は言い、ケシュに顔を向けた。「本当にこれでいいのか?」

ケシュは肯定の背骨を立てて言った。「ジョルン、私はあなたとパクトのためにやると決めたことは全てやった。ブラック・マーシュに帰って、同じことを私の民のためにやるべき時が来たのよ」

ジョルンは厳粛な面持ちでうなずいた。「ならばもう何も聞くまい、信頼する友よ」と彼は言った。目に涙が光っていた。「カイネがお前を故郷へと導かんことを。俺の助けが必要になったら、ただそう言ってくれ」

その言葉を聞いて、ケシュの両目は空の星々のようにきらめいた。「そう、一つ小さな問題があるの」と彼女は言い、彼女の民の知識と経験を広げるため、ブラック・マーシュをよそ者に、特に手工業者や職人に対して開くという望みを説明した。「触れを出そう」ジョルンは同意した。「で、その手工業者や職人はどこへ行けばいい?ストームホールドか?」

「いいえ、」ケシュは答えた。「彼らをギデオンへ送って」

ケシュは私たちをギデオンへと導いた。ブラック・マーシュ中央部にある帝国の拠点である。彼女はここにより開放的で活気のある、「近代的な」アルゴニアン社会を築こうと決心していたのだ。ケシュは旅の途中で私たちに計画を説明した。まずは私たちがモロウウィンドとスカイリムにいる間に学び、発見したことをギデオンに持ち込み、それから古代アルゴニアン文明の秘密を再発見するための冒険を開始する。「私は自分の文化を変えたいわけじゃない」とケシュは誓った。「私は文化を強化して、大昔に持っていた、失われた栄光を取り戻したいの」

故郷への旅路でケシュが説明した全てのことに皆が同意していたわけではないが、私たちは黒きヒレを信じていた。もし彼女が頼めば、私たちはオブリビオンまでもついて行っただろう。だから彼女が民のために抱いていた夢の実現を手伝うのは、それほど突飛なことではなかった。

私たちがブラック・マーシュの国境に近づくにつれ、シークハット・ゾルにいたただのサクスリールが頼れるアルゴニアンへ成長するこの物語も終わりを迎える。これから先また書くかもしれないが、ギデオンに移住したら私の自由な時間は、暑い日の小さな水たまりのように蒸発すると思う。もし、あなたが私たちの麗しき街に来ることがあれば、立ち寄って声をかけてほしい。私たちは全ての訪問者を歓迎する。アルゴニアンも、肌の乾いた者たちも同様に!

黒きヒレ:外国での冒険、パート1The Black Fin: Foreign Adventures, Part 1

黒きヒレのケシュの従者にして専属補佐官、ミー・シー 著

私は最初、偉大なる黒きヒレのケシュに仕える単なるカーだった。サクスリールの言葉で、カーとは見習いのような意味だが、ノルドやダークエルフの見習いが持つ責任や義務は必ずしも伴わない。後になってケシュが私たちの同盟者の風習を取り入れ始めてから、私は黒きヒレの従者と呼ばれるようになった。ピーク・エリールが軍団を去ると決めた時、私は偉大なるケシュの人生に起こった重要な出来事を記録する義務も引き継いだ。理解してほしいのは、これはカーとしての役割に付随する義務ではないということだ。これはピーク・エリール本人から私に伝えられた義務であり、ケシュは表立ってこのことを知らない。私はこの義務を進んで引き受けた。

では、どこから始めよう?同盟が形を成し始めた日からにしようと思う。3つの国(私は自分の民を1つの国と呼ぶのは難しいと思うが、ノルドやダークエルフにとってはこの呼び方の方がいいらしい)は戦場で出会い、協力してついに侵略するアカヴィリを打ち破った。アカヴィリはウィンドヘルムを陥落させた後、注意を南東へ向け、モロウウィンドへ進軍を開始した。アカヴィリの侵略軍がモロウウィンドへの道を切り開くと、トリビュナルのアルマレクシアに率いられたダークエルフ軍が、侵攻を止めるための防衛線を張った。その間、ジョルンとノルドたちは自らの軍勢を集結させ、アカヴィリに背後から追いついた。アカヴィリは2つの強力な軍団の挟み撃ちに遭ったが、それでも挟撃を持ちこたえた。そのままならアカヴィリが勝利していたかもしれないが、それは私の推測に過ぎない。いずれにせよ、それを確かめる機会はなかった。

サクスリール・シェルバックと沼の戦士たちで構成されたケシュの歩兵部隊がアカヴィリを南から襲い、侵略を終わらせる貢献をもたらしたのだ。ブラック・マーシュにおけるダークエルフの奴隷商人との戦いで経験を積んだ私たちの兵士は、侵略者を圧倒するために必要な切り札だった。私たちは全力でアカヴィリに襲いかかった。ケシュは友人のジョルンを手助けすることを望んでいたが、軍団を沼からモロウウィンドの中心部まで進軍させることには、先を見据えた動機もあった。彼女は他の国にサクスリール、すなわちアルゴニアンの価値と誠実さを認めてもらいたかったのだ。私たちは原始的な蛮族ではなく、奴隷でもない。私たちは他の民と同等であり、彼らを侵略者から守るためにいるのだと。

勝因が全てケシュ軍団の参戦のおかげであるとは言わないが、私たちも役割を果たしたのは確かだ。私たちは猛々しいノルドと狡猾なダークエルフについて勇敢に戦い、一歩前進するたびにアカヴィリの兵士たちを殺戮していった。エボンハートの街付近でようやく戦闘が終結し、勝利を手にすると、ケシュは他2つの陣営のリーダーに急いで会いに行った。私は忠実な従者として彼女に従った。

あれほど多くの強大で重要な人物たちが一堂に会したのは見たことがない!ノルドの吟遊詩人ジョルンについての物語は聞いていたが、本当にあれほど大柄だとは想像もしていなかった!そして、ダークエルフたちが神と崇拝するアルマレクシアは冷たく美しかった。鱗も尻尾もないエルフにしては、だが。ジョルンが歩み出て、ケシュに旧友として挨拶をした。「俺たちは大きな借りを作ったな、黒きヒレよ」とジョルンはその大きく響く声で言った。「今日、お前たちのかけがえのない支援への感謝として、ノルドとダークエルフは何を提供できる?」

ケシュは長い間沈黙していた。まずはジョルンに熱意のこもった視線を向け、次いでアルマレクシアに注意を移した。モロウウィンドの母へ目を向けたまま、ケシュはついに返答した。「アルゴニアンの奴隷をなくすこと。私の民を解放してほしい」

アルマレクシアとジョルンは視線を交わした。大柄なノルドの視線は全くぶれなかった。少し経って、ダークエルフのリーダーは軽くうなずいて言った。「理にかなった要求です。ダークエルフはその願いを尊重しましょう。ただし条件が一つあります。アルゴニアンはダークエルフ、ノルドと共に、相互の協力と防衛の条約に加わらなければなりません。そうすれば、我々三国の全員が自由でいられるでしょう」

こうして、次の日まで続く一連の交渉が始まり、それはエボンハート・パクトの形成という結果になった。ケシュは自らの戦力を北方に留め、新たな同盟者たちの防衛を補強することに同意したが、その前にストームホールドへ伝令を送り、私たちの民に知らせを伝えた。奴隷制は廃止され、アルゴニアンは今やノルドおよびダークエルフの同盟者となった。私たちは政府を持たない。少なくとも私たちの新たな同盟者たちのような政府は持っていないため、ケシュはノルドとダークエルフの領地に残ってサクスリールの地位を確立し、様々な合意が正しく適用されることを確かめることを決断した。その間、彼女はゾシンをブラック・マーシュに送り、同盟の首都で大使となる者を探させた。

このようにして、アルゴニアンはエボンハート・パクトに加入した。

黒きヒレ:外国での冒険、パート2The Black Fin: Foreign Adventures, Part 2

黒きヒレのケシュの従者にして専属補佐官、ミー・シー 著

エボンハート・パクト結成と、アルゴニアン奴隷の廃止宣言は、ダークエルフ奴隷商人の活動全てを即座に停止させる結果にはならなかった。ダークエルフの領土や支配地の大部分がトリビュナルの命令に従うまでにはほぼ1年を要し、その後でさえ、新たな協定を受け入れようとしないダークエルフの名家が存在した。その結果、ケシュとその黒きヒレ軍団が同盟のアルゴニアン代表としてモロウウィンドの地を巡回した際に、居心地の悪い状況もいくつか生じることになった。

同盟の初期には、恐怖や憎悪の出迎えを受けることが少なくなかった。ダークエルフたちの中には、重武装のアルゴニアン勢力が自分たちの街や村に接近することを不快に思う者もいた。そうした場合、追い返されるのはまだいいほうで、集落でかなりの規模の自警団から襲撃を受けることもあった。だがエボンハートの戦いの話を知って私たちの協力に感謝し、喜んで家に迎えてくれる者もあった。今ではこのように扱われることの方が遥かに多くなったが、当時はほとんど聞いたこともないような待遇であり、私たちは友好的な人々に会うたびに驚き、感謝した。

私たちは同盟の最初の1年をダークエルフの領土で過ごし、私たちの存在を周知させると共に、協定の条約が全て守られていることを確かめた。私たちはまた、新たに解放されたアルゴニアンたちを数多く受け入れ、ブラック・マーシュに戻らないと決めた者、あるいはモロウウィンドで自由なサクスリールとして生きていく意志のある者に、当面の目標と所属する集団を与えた。このようにして、黒きヒレ軍団はモロウウィンドを旅する間にその数を増していったのである。

そのうち、私たちはトリビュナルの客人としてモーンホールドに到着した。私たちは1ヶ月近くも街の外に野営し、アルマレクシアやその他重要なダークエルフおよびノルドの高官と定期的に会合した。ケシュはパクトの防衛を強化するため「同盟軍」を形成する議論に参加した。これは同盟に参加する民のそれぞれから派遣される勢力を含むという話だった。私たちは目的を探していたため、ケシュは黒きヒレ軍団が新設される同盟軍の中心となることを申し出たのだった。時と共に、ケシュは戦争の英雄のみならず、パクトの勢力を率いる将軍たちの筆頭格になった。

最初の1年が終わる前に、ケシュと黒きヒレ軍団は再び窮地を救うことによって、パクトに対して自らの価値を証明した。今度は西の山脈を越えてやってきた略奪者への対処だった。流布していた噂によれば、略奪者たちはダガーフォール・カバナントからの資金提供を受けているか、あるいは偽装したカバナント兵士であるとのことだったが、証明はできなかった。大規模な略奪者の部隊がモロウウィンド西のダークエルフ集落を襲っているという報告がモーンホールドに届くと、ケシュはパクトの軍を連れ、追跡のための遠征に出ることを提案した。

ケシュの勢力は大部分が黒きヒレの軍団で構成されていたが、ノルド兵の分隊とダークエルフ魔術師、治癒師の中隊で補強されていた。私たちは素早く移動して略奪者たちによって残された破壊の跡を追い、インドラノ街道でついに彼らの姿を捉えた。ケシュは勢力を分け、分隊の半分で山脈への逃走経路を塞ぎ、残りの兵たちは矢の型の陣形を組んで略奪者の位置に進撃した。略奪者たちは守りを固めず、方向転換して逃げ出した。そこへ私たちの兵が岩だらけの丘から飛び出し、略奪者たちを挟み撃ちにした。あれだけの被害を引き起こしたにしては、あっけない最後だった。

黒きヒレ:外国での冒険、パート3The Black Fin: Foreign Adventures, Part 3

黒きヒレのケシュの従者にして専属補佐官、ミー・シー 著

エボンハート・パクトが結成されて2年目に入って久しい頃、ケシュと黒きヒレ軍団(パクト軍の一部としてモロウウィンドに残してきた兵たちを除く)はノルドの地であるスカイリムを巡っていた。ノルドの領地に足を踏み入れて最初に逗留した地はリフテンの街で、私たちはそこで典型的なノルド式の祝賀で迎えられた。大量の食事とハチミツ酒、そして寒い地方ではおなじみの余暇であるらしい、和気あいあいとした乱闘の催しがあった。そこにいる間、私たちは街の防衛の一部の強化を手伝ったが、これは訪問中に可能な限りの支援を提供する意思があることを示すために、ケシュが私たちの行く場所全てで実施するよう強調した行為だった。

リフテンで1週間以上過ごした後、私たちは北へ向かってイーストマーチを通り、ウィンドヘルムの街でケシュとジョルンが再会した。彼は今や、スカルド王ジョルンだった。信じられるだろうか!どうやらこのノルドは王子か何かだったようで、今ではノルド全体のリーダーなのだ!そしてウィンドヘルムはなんという街だろう!大きく、モーンホールドとは違った形で、しかし同じくらい印象深い。だがダークエルフの大都市がその民を反映していたのと同様、ウィンドヘルムも明らかに、否定しがたくノルドを反映していた。アカヴィリの攻囲で受けた被害の修復はまだ続いていたが、それはノルドの街の圧倒的な雄大さを少しも損なうものではなかった。

ジョルンは門のところで私たちを迎え、ケシュを豪快に抱きしめた後で、私たち全員に向かって、彼の故郷である街の歓待を楽しむよう告げた。祝賀は1週間と1日も続いた!ノルドがパーティー好きなのは間違いなく、あらゆる口実を設けてパーティーを開くようだ。祝賀の間、私たちはノルドが作る最高のハチミツ酒とエール、ウサギのミートボールなどの素晴らしい珍味でもてなされ、それに私がこれまで聞いた中で最も下品な歌が加わった。全てが凄まじい大声で歌われ、グラスやジョッキを打ち合わせる音が乱舞するのだった。

ハチミツ酒の樽がついに空になり、ウサギのミートボールが食べ尽くされると、祝賀は突然お開きとなった。そして仕事が始まった。私たちは1ヶ月の大部分の間ウィンドヘルムに留まり、街の外壁の修理を手伝い、ノルドが安心して手伝わせてくれる他の支援を何でも行った。そしてケシュとスカルド王は、時間がある時にいつでも隅に引っ込んで、様々な話題について長時間話し合った。そうした話し合いには誰も加わることを許されなかったが、二人はリーダーシップや同盟、私たちの民の未来についての考えを交換していたのだと思う。

私たちが知らされたのは、黒きヒレ軍団もまた、スカイリムで終結を迎えることだった。私たちの兵士たちは小さなチームに分けられ、民族混合のパクト兵士として仕えるために派遣され、ノルドやダークエルフたちと共に同じ部隊で戦うことになった。私はもちろんケシュの下に留まった。そして私はスカルド王が、彼女に特別の名誉を授けたところに居合わせた。「黒きヒレよ、お前にスカイリムのパクト勢力を指揮してもらいたい」とジョルンは宣言した。「この任務を引き受けてくれるか?」当然のこととして、ケシュは同意した。そしてその後7年間の彼女の努力を通じて、パクト軍の戦略戦術は発展し、確立された。

三旗戦役が始まった時、パクトに備えができていたのはそのためだった。

黒きヒレ:外国での冒険、パート4The Black Fin: Foreign Adventures, Part 4

黒きヒレのケシュの従者にして専属補佐官、ミー・シー 著

ケシュ将軍によるエボンハート・パクト同盟勢力の構築と改善が続けられているさなか、黒きヒレはスカルド王ジョルンからの召喚状を受け取った。私たちはリフテン付近で連合部隊と訓練を行っていたが、そこへ伝令が封蝋のされた手紙を持ってやって来た。2日後、イーストマーチのアモル砦で会合が開かれる。ケシュはすぐに出発する準備を整えた。

黒きヒレのケシュは軽装で素早く移動することに決め、小規模の分隊だけを連れてスカルド王に会いに行った。私は当然将軍に同行したが、その他にはティー・ワン、ゾシン、ノルドの戦士コラ・グレートストームがいた。ヴォス・フルクは兵を指揮し、訓練を続けるために残った。私たちの小集団がアモル砦に近づくと、砦の外のかなり離れたところで迎えられ、主要な道を迂回して街へ出入りする隠し通路へと導かれた。私たちは急いで首長の館へと案内され、広大な敷地の中にある秘密の会議室へと連れられた。大型のテーブルの後ろに立っていたのは、スカルド王ジョルンだった。

私はすぐに、前回ジョルンに会った時とは何かが大きく違うことを感じた。まず、彼は突進してケシュを激しく抱きしめなかったし、いつものように大声で話さなかった。王冠の重みが元吟遊詩人の支配者を圧迫していたのかもしれないが、彼は私がこれまで見たことがないほど深刻で真剣なように見えた。「トリビュナルが危険な警告を送ってきたんだ、黒きヒレよ」とジョルンは口を開いた。「アルマレクシアが幻視を見た。あるいはヴィベクだったか?誰にも分からん。とにかく、彼らはエボンハート・パクトに対する脅威が育ちつつあり、我々が準備を整えるべきだと警告している。だから、今お前がやっている努力を3倍にして、戦争に備えなければならない」

新たな戦争準備の任は3人の将軍の手に与えられた。パクトの民から1人ずつだ。ケシュがアルゴニアンを代表し、コラ・グレートストームがノルドを、そしてイェベス・ノラミルがダークエルフを代表した。この3人の将軍は協力してこの後数年間、パクトの攻撃と防衛能力を強化し、準備を整えることになった。黒きヒレがすでに始めていた準備のおかげで基礎は確立されていたため、比較的短期間で武装を整え、次の段階に到達できた。私たちが首長の館にある隠し部屋を去る前、ジョルンはケシュに最後の知恵を授けた。「平和は脆く、貴重なものだ」とスカルド王はうんざりしたような声で言った。「平和な時間を大切に過ごせ。決して長続きすることはないのだから」

それからの2年間、拡大するパクト軍はいくつかの小さな試練に出会った。その中には帝国軍やダガーフォールの兵との小競り合いも含まれ、パクト軍は見事に任務を果たした。多くの意味において、こうした小規模の戦いが三旗戦役を導いた。それぞれ異なる3つの同盟がついに互いに対して戦争を布告すると、ケシュはパクト軍を率いて戦場へと向かった。シロディールの地は戦場となり、戦争の音は全土に響いた。

1年の大半の間、ケシュ将軍とパクト軍は領土を奪い取っては失い、再び取り返した。戦争は続いたので私たちは勝利できたわけでなかったが、多くの重要な戦いには勝ち、カバナントとドミニオンを悔しがらせた。そして、権力と人気の絶頂にあった時、黒きヒレは私たち全員を驚愕させる決断を下した。「私たちはパクトのためにできることを全てやった」とケシュは説明した。「もう故郷へ帰る時だ」

こうして、黒きヒレの外国での冒険は突如終わりを告げたのだった。

根の子供たちChildren of the Root

[注:別途言及がない限り、調査員ソリス・アデュロがアジ・コストリール族の口承から収集したもの]

最初は大きな根、アタクしかいなかった。自分のことしか知らなかったので、全てのものになろうとした。無を自分で埋めようとして、どんどん大きくなった。大きくなるにつれて新しい根が作られ、そうした根は名前を持ち、自分たちが育つ空間を欲しがった。

そしてアタクは自分以外のものの存在を知った。アタクと似ていたが、別の道を進んでいた。彼らはおかしな新しいものを見て作ったが、長続きせずに変化を起こすだけだった。

アタクは大きくなり続け、ある時、無から何かが戻ってきた。それは根のようだったが、鱗と目と口があった。アタクに対し、それは自分がコタであり、自分も大きくなり続けてきたことを伝えた。口ができたので、空腹だった。

アタクはコタにふさわしい名前をつけた。蛇だ!アタクは蛇の目に根を通した。しかしコタは根のアタクと同様に古くて強く、遠くへ行っている間に牙を生やしていた。蛇はアタクにかみついた。彼らは互いに巻きつき合った。そうして苦しむ中で、新しいことが起きた。アタクは空腹を含めてコタが学んだことを学び、そしてコタにかみつき返した。彼らは長い間食べて暴れ、やがて一つになって争いを忘れた。

彼らは脱皮して根を断ち、自らをアタコタと呼び、「おそらく」と言った。

アタコタがそう言った時、脱皮した皮は己のことを知った。そして断たれた根を食べ、死んではいたが、影のようにアタコタの後をついていった。

アタコタが暴れ続ける間、それぞれの鱗はアタコタがむさぼった世界だった。しかしアタコタはもう争っておらず、物事には始まりと終わりの時があった。影はそうしたものを食べられたらいいのにと願ったが、その腹は大きくなる根で一杯だった。

影は耐えきれなくなると、アタコタのそばへ泳いでいき、根を吐き出した。そして腹が空になったので、影は危うく目に映るものを全て食べそうになった。しかし、ずっと腹に入れていた根のことは自分の一部として感じるようになっていたので、秘密を教えてから眠りについた。

根は他の者を見つけ、影の腹の中で生き延びたこと、そこでもまだ大きくなれたことを話した。その知識を他の者と分け合った時、それは根を変え、新しい姿になって新しい名前を持った。

一部の霊魂は自分たちが選んだ名前と姿を維持したがったが、影を通して学んだことは霊魂の中にもあり、一時的な存在でしかなかった。空腹と争いを学び、変化を恐れ、それを死と呼んだ。

霊魂たちは怒って恐れていたが、根は霊魂に、アタクが無から道を作った時の場所の間にある道を教えた。その川の道を使えば死から隠れることができた。

霊魂たちは満足して、自分たちと似たような姿のものを作るようになり、愛を与えた。彼らはアタコタと同じくらいの大きさになるまで成長し続け、それが自分たちより先に存在したことを忘れ、眠っている影がいることを忘れた。

やがて、世界は大きくなりすぎ、空きがなくなった。再び、霊魂は根の所に行ってもっと欲しいと頼んだ。しかし根は自分たちが作ったものに満足して眠っており、何度も変化したので大きくなる必要もなかった。

霊魂は次第に腹を空かせて我慢できなくなり、アタコタの皮を引き裂いてその血を飲んだ。アタコタが壊れるまで食べたので、アタクは大きくなることを思い出し、コタは無でいることを思い出した。再び争いが起こり、アタクとコタは霊魂から死について学んだので、暴力、血、樹液が発生した。

そんな大混乱の中で霊魂は途方に暮れておびえ、他の者や互いを食べるようになった。血と樹液を飲み、鱗と毒牙と翼を生やした。そうした霊魂は、食べる以外に作る理由を忘れた。

一方で、まだ元の自分たちと自分たちが作ったものに執着する霊魂もいた。ある森の霊魂は、根が彼女のように子供を愛しているのを見て、歩くことと話すことを教えた。根は言葉を使って彼女に秘密を教え、彼女は歌を歌って返した。それを聞いた根は目を覚まし、森に加わった。

根はコタの血が海を作り、アタクの樹液が石を作るのを目にした。そうした霊魂は影のことを知らなかった。根はそれが意味することを知っており、影に子供たちを守るように頼んだ。

影は目を覚ました。コタとアタクを見て、無がどれほど変わったか、どれほど以前と同じになっているかを目にした。自分がアタコタの皮だったことを思い出し、コタとアタクより自分の方が大きいので、両方とも食べてしまうことに決めた。

そして食べた。影は蛇と根を食べ、樹液と石、血の海、そして全ての霊魂を食べた。子供である根のことを思い出す前に全てを食べてしまったので、それを探すため、自分に目を向けた。

影がそれを見た時、自分よりも先に何かの皮が存在したこと、その後に生まれたものを食べてしまったこと、それは来るべき終わりを意味することを思い出した。

そこで影は脱皮した。たったそれだけではあったが、根を覆う布のように落ち、秘密の中で守ってやることを約束した。

最後の軍団兵のメモNote from the Last Legionnaire

私は帝国第九軍団の最後の生き残りかもしれない。少なくとも、私が知る限り最後の生き残りだ。

私は多少呪文を唱えられる。それでここまで生き残れたのかもしれない。それよりも大事なのは、私はアルケインの訓練を受けたおかげで、我々を壊滅させたあの生物を理解できるかもしれないことだ。あの裏切り者のアルゴニアンはボリプラムスと呼んでいたが、奴は我々が洞窟の外で遭遇した検体のどれとも違っていた。こいつはずっと強大で大きく、耐久力も高い。ジン・ラジュルはウジュカと呼んだが、奴はあの生物に我々を食わせるため、わざとここに導いたのだ!

机か、祭壇のようなものがある。おそらくこれがウジュカを止める秘密を隠していると思う。それさえ分かれば…

まずい!あの生物は自分の一部を私に送ってきた…

死の狩りが待っているDeath-Hunts Await

オジェル。この季節はズル・モタスが溢れていて、死の狩りに向いている。ズル・モタスは我々の戦士たちが狩り尽くす前に、蔓を枯らしてしまう。我々ナガ・クルは、よそ者の中に参加する勇者を求める。

死を恐れないなら、リルモスでボルが待っている。

沼クラゲの世話と餌やりCare and Feeding of Swamp Jellies

黒親指のアグリンドール 著

ハイホー!もし最近沼クラゲを所有したなら、あるいは所有しようと考えてるなら、ここに来たのは正解だ!この小さいラッパ吹きたちは、沼を旅する者にとっては願ってもない最上級の相棒だ。家畜を飼うつもりだったら、世話をするのも簡単だ。

ひょっとしたらもう沼クラゲについて多少はご存知なのかもしれないが、抜けた部分を埋めるために基本から見直そうじゃないか?

生息地:
沼クラゲはブラック・マーシュ固有の野生生物の一種だ。彼らは海岸に近い湿地帯を好む。彼らが海にいるクラゲの遠い親戚である可能性は極めて高い。だが、沼クラゲはいかなる湿った環境でも健康に育てる。必要があれば、汗ばんだブーツの中だって大丈夫だ。

体の構造:
他のクラゲと同じく、彼らには骨も固体化した部分もない。ただ、弾性のある、ゼリー状の体と肢があるだけだ。それ以外の大きさ、形状、色などは種類によって大幅に異なる。マークマイアで見られるもっとも一般的なクラゲは、ひだのある球状の体を持ち、そこから4本の触手がぶら下がっている。これらの触手はクラゲが込み合った場所を移動し、獲物を捕らえるのに役立つが、ほとんどのクラゲの動きは、いくつかの浮き袋に沼のガスを吸い込んで吐き出す小さな開口部が制御している。どうやって沼クラゲが浮くようになったのか確かなことは分からないが、私の理論は海のクラゲが嵐で内陸に運ばれ、沼地の水溜まりで生き延びたというものだ。最終的に、彼らの浮袋は浮き上がって水から立ち去るため、十分な沼のガスを溜め込んだんだ!

習性:
沼クラゲは生来信じられないほどおとなしく、ほとんどの時間を静かにそよ風にのって漂い、何も知らない虫を捕らえて食べている。沼クラゲは単独で生活する傾向があり、たくさん集まるのは産卵の時だけだが、社会的な動物だ。この小さなラッパ吹きはガスの浮袋を使って、複雑な鳴き声でお互いを呼びあう。1匹面倒を見れば、実にお喋りなことが分かるだろう。そしてその鳴き声を少し学べば、沼クラゲに簡単な指示を送ることもできる!これは愛好家にも飼育者にも、とても役に立つ技術だ。

餌:
浮揚する沼クラゲはもっぱら空を飛ぶ種類の虫を食料とするが、彼らの粘つく触手にぶつかるあらゆる小さな生き物が恰好の餌食となる。私は1日に千匹もの虫を食べる沼クラゲを見たことがある。それだけでもブラック・マーシュのような場所で沼クラゲを仲間にする理由には十分だ。少なくとも週に3回は、違う場所で群れを放牧するようお勧めする。1ヶ所にクラゲたちを長く置きすぎると、ほんの数日でその土地の土着の昆虫を消し去ってしまう!虫を切らしてしまった場合は、愛情のこもったスプーン1杯のスクリブのゼリーが適切な代用品になる。

世話:
沼クラゲは生きるために湿気を必要とする。もし服が体に張り付かないなら、それは恐らくクラゲにとって、何の手助けもなしに数時間以上過ごすには乾燥しすぎている。沼クラゲは飲むことを必要としないが、空気中から必要な水分を得られない場合は、ボウルや口の広い器から水を吸い上げられる。理想は汽水だが、淡水でも海水でも問題ない。

特定の時間に限って餌を与えるよりも、可能であれば1日中、安定して虫を供給したほうが良い。飢えた沼クラゲは大食いをする傾向にあり、体が重くなって不活発になる。

沼クラゲが怪我をしたとしても、心配しないように。彼らは切り傷を修復するし、時間をかければ肢の再生さえする。沼クラゲが浮かび続けようとしてもがいていないかだけ気を配れば良い。その哀れなラッパ吹きには、浮袋にガスを溜められるようになるまで、手で餌を与える必要があるだろう。

例え私の助言を肝に銘じたとしても、遅かれ早かれ、小さなラッパ吹きたちとはお別れをしなければならない。野生の沼クラゲは傾向として2年から3年の寿命だが、家畜化された沼クラゲは、きちんと世話をすれば5年生きられる。

食べる時の準備:
ペットとして飼っているのであれ、食肉とするために飼育しているのであれ、彼らの小さなゼリー状の体を無駄にしないためには、入念な解体処理が重要だ。沼クラゲを触る前には、手に食用油を塗ったほうが良い。そうしないと指に張り付いてしまい、手を自由にしようとして彼らをバラバラに引き裂く可能性がある。ほとんどの場合は身から触手を取り外し、後で使うために取っていたほうが良いだろう。彼らをまな板の上に真っ直ぐに置き、横に切る。肢を除去したら、身の真ん中で切り分ける。大包丁で強く押すことを推奨するが、鋭いものなら何でも良い。気を付けないとクラゲと手とナイフが油に塗れ、指のサンドイッチが出来上がる!

身の部分の空洞を洗ったら、クラゲを直火かオーブンで焼く準備は完了だ。赤くなった炭の上で、クラゲの身は少し硬くなり、外側が少々カリッとする。通常、私は触手を身の中に入れて調理し、チキンスープと共に音をたてて飲み干すが、串に刺して10分ほど焼き、塩味のおやつにするのもいい。体重に気を使っているなら、沼クラゲはレシピにある脳ミソやスクリブのゼリーの良い代用品になる。

クラゲの捕獲:
もし野生のクラゲを手懐けるつもりなら、上質の網を手に入れよう。一番いいのは虫取り網だ。クラゲを網で優しくすくい取れば終わりだ。ほとんどの沼クラゲは無害だし、抵抗すらしない。ディープマイアには僅かだが、触手に軽く触れただけで死に至るようなとても強い毒を持つ品種がいるが、それについては心配しなくてもいい。

沼クラゲの捕獲と世話について知るべきことは、本当にこれで全部だ。他のことは全部、クラゲケーキに乗っているジャムみたいなものだ!

沼のマイアゴーントMiregaunts of the Marsh

ブラック・マーシュ探検協会、クラティアス・グレイ

ブラック・マーシュ探検協会は、厳しい沼地の奥で生き残れる勇敢で丈夫な体を持つ冒険家を支援することにおいて、長く立派な歴史を持つ協会である。冒険家は力強く、有能で、広大な沼地と踏み込むことのできない熱帯雨林につきものである、数多くの謎を解明できなくてはならない。例えば、マイアゴーントの謎がそうだ。歩き回る沼の怪物に対面する時には、堅い決心と冷静な頭が必要とされる。

マイアゴーントはマークマイアへ訪れても決して見かけないというほど希少なものではないが、探検を継続的に危険にさらされるほど多くいるものでもない。とはいえ、私たちが探検したい場所の付近に集まっている傾向はある。こうした大きく、歩く沼の怪物は何となく人間のような形をしているように見えるが、頭部は認められない。主に植物から成り、他にも泥、石、蔓、さらには古代建築物の欠片といった物質まで取り込んでいる。

このおかしな獣の生態について、協会には手掛かりがないままだ。タムリエルの他の地域にいるラーチャーや類似の獣の一面と似ている部分もわずかにあるが、他の面においてはまったく独特な生物に見える。地元の伝説はマイアゴーントをヒストの木と関連付けているが、その説明は理解しにくいと言わざるを得ない。一部の部族はヒストの木が沼の一部を呼び起こして、地域の保護、場所の防衛、または何らかの形でヒストを傷つけ、邪魔をした者や物に報復をする特定の仕事をさせると信じている。他の者は、マイアゴーントが故意に生まれたのではなく、ヒストの未知の活動による副産物であり、誤って呼び起こされて、特別な目的もなく放たれたとしているようだ。正直言って、私が聞いた話は腹立たしいほど矛盾している!

ある程度の確信を持って言えることは、全てのマイアゴーントの中に大きな空洞があることだ。遭遇したマイアゴーントの空洞が空である時もあれば、何でもない石やその他の破片が空洞を埋めている時もある。まれに価値の高いものがマイアゴーントの中に入っている。例えば宝石、古代の遺物、もしくは生物だ。地元のアルゴニアンは、そうした貴重なものが守るか捕まえるため、故意にマイアゴーントへ取り込まれたと信じている。非現実的なのは承知だが、それが部族の信じていることだ。

真実が何であれ、探検隊がマイアゴーントに遭遇した場合は、協会が勧める行動を取ってもらいたい。逃げるのだ。

食の旅、第1巻A Culinary Adventure, Volume 1

食の求道者、ラローム・ルモンズ 著

私はついに、緑豊かなブラック・マーシュの沼地に辿りついた!私は常々、本場のアルゴニアン料理を味わう機会を求めてきた。そして今ようやく、念願の瞬間が訪れたのだ!まずは地元の珍味から始めることにした。ナメクジである。

上等なアルゴニアン料理の全てがそうであるように、ナメクジも多くの場合は生で、ソルトメドウの葉の小枝を添えて出される。私は今回の訪問中、3種類しか味わうことができなかった。シェフの訛りは非常にきつかったが、メニューの制限は季節と関係しているのだと思う。沼の季節は風のように素早く移り変わることを私は知った。だから数日後にはまったく異なるメニューから選べるかもしれない。今日食べたものと同じくらい、味わい深ければいいのだが!

ビアーデッド・ブルー
この藍色の美しい生き物はツォフィア洞窟周辺の沼でよく見られる。大まかに言ってノルドの親指くらいのサイズで、長い目の茎状部の下に、毛むくじゃらの触手を生やしている。このナメクジには繊細な香気があるが、さわやかな柑橘系の風味を基調に秘めている。触手の多さゆえにビアーデッド・ブルーには独特の食感があり、その点が少々気になるかもしれない(特に生で食した場合)。しかしその味は端的に言って最高だ。風味としては、噛んだ時に強く柑橘系の香りを感じるが、その奥にはかすかな土っぽさが隠されており、大地を感じさせる。かなりのご馳走だ!

ブラックバンド・スライダー
ブラックバンド・スライダーはこの地方の特産品だ。蒸してからゾウムシの幼虫とオレンジグラスの上に乗せて食べることが多いが、私は生で食すことを強く勧める。このナメクジは刺激されると苦味のある黒い油を分泌するが、それをさっとふき取れば、青白くなめらかな膜の表面に横長の黒い斑点がついた、長い胴体があらわになる。洗った後でもブラックバンド・スライダーは硬く、苦味もあるが、これを我慢すればさわやかで繊細な後味に辿り着く。アルゴニアンはこれを楽しむらしい。基本的には威圧的な食べ物だが、そこに花が咲いたようなまろやかさがあるのだ。

キング・イエロー
キング・イエローがこの時期に食べられると知って喜んだ。これは実に巨大な生物だ。ほぼ私の前腕くらい長く、それが肉々しい、波打つ毛の森で覆われている!アルゴニアンの表情はいつも判別が難しいが、私が生で食べたいと言った時、シェフは非常に驚いたと思う。彼はこの獣をワッソーナッツの葉にくるみ、藍色ユリを添えて出した。私はすぐさまその苔っぽい、草のような豊かな香りに驚かされた。この獣が分泌する粘液の中に、ブラック・マーシュの全ての匂いが感じられると言ってもいい。一口味わうたびに新しい、驚異的な風味の波が押し寄せた。尻尾の肉の複雑で風味豊かな味わいは、次第にコクのある、脂っぽい苦味の膜へと進む。そして最後に、私は頭へと辿りついた。この危険なほどの風味の噴出を上回るものは、ちょっと思いつかない!バターのような甘ったるさ、食べ終わる頃には乾いたマスタードのような味へと激しく移り変わる。感激だ!

私は重い心でテーブルを去った。おそらく次の季節までキング・イエローを味わうことはできないだろうと分かっていたからだ。だが、明日にはまた新しい、大いなる食の冒険が待ち受けていると知って気持ちが高まっている。今回はカブトムシの幼虫だ!待ちきれない!

食の旅、第2巻A Culinary Adventure, Volume 2

食の求道者、ラローム・ルモンズ 著

今日、マク・マカは彼の見事なイモムシ農園を案内してくれた。もちろん、「農園」というのは言葉のあやだ。この農園は小さな葦の囲いがいくつか並んでいるだけで、それぞれに数百匹のイモムシが住んでいる。その種類の多さには驚愕した。私が見たイモムシは長いのや太ったの、オレンジと紫の縞模様のなど…これほどの多様性は見たことがない!いくつか質問をしてみたが、マク・マカのシロディール語力が完全でないため、私たちのやり取りは何度も行き詰った。私は言葉の壁をどうにかするためジェルを学ぼうとしているのだが、なかなか上達しない。それでも、彼は助けようとしてくれる。笑えて仕方がないと彼に言われた。もちろん、アルゴニアン相手に笑われているかどうかを察するのは不可能である。

私はイモムシを食べるのかと聞いたが、面白がられたようだった。彼はただ首を振り、私をより大きな囲いの中へ案内した。彼がランプに火をともすと、部屋は様々な色で溢れかえった。大きな蝶や蛾が壁から一斉に飛び立ち、竜巻のように羽をはばたかせてランプの周囲を踊った。マク・マカは特に大きな個体のいくつかに向かって身振りをしながら、でたらめなシロディール語で長めに喋った。彼は囲いを去る前に、何羽か手に取ってみるよう私を促した。

蛾や蝶を食べるのは大変だったが、貴重な食の経験だった。この特産品を味わってみようという勇気のあるよそ者の大部分は、食べる前に羽を取ってしまう。マク・マカは羽を取ってあげようと申し出たが、私は断った。彼は助手に向かってジェルで何か言い、二人ともしばらくの間、微妙に楽しそうにしていた。これは多分、マク・マカが何かあり得ないくらい笑えることを言ったのだろう。その少し後、彼は私に5羽のグリーン・スリッパーテイルを伝統的な「アジュム」(網目模様の蓋がついた織物の盆)に乗せて出してくれた。大いに堪能できた!

真に満足のいく蝶の一皿は、「ルヒーズ」すなわち「羽畳み」の繊細な技法にかかっている。アルゴニアンの達人シェフはその爪を使って羽を折って畳み、極小ながらも華麗な、食べられる彫刻に変える。残念ながら地元の風習により、よそ者は自分で羽を畳むことになっている。私は最も簡単な「ジーチ」畳みを再現しようと努力したが、結果は悲惨なことになった。それでも、食事は美味だった。グリーン・スリッパーテイルはおそらく、スリッパーテイル種の中で最も甘味が強い。ハニーグラスのような味だが、甘くポロポロと口の中で溶ける。蝶の料理をマスターする機会が、もっとたくさん得られることを期待しよう!

食の旅、第3巻A Culinary Adventure, Volume 3

食の求道者、ラローム・ルモンズ 著

マク・マカはこの数日間、忙しく働いている。私が存在すら知らなかったある料理を準備しているのだ。実に素晴らしい!彼の助手が私に教えてくれたが、地元民はそれを「ナガーセー」と呼んでいるという。これは私が思うに「蛇の巻物」というような意味だろう。「蛇の靴下」といったほうがいいかもしれない。それについてはもう少し後で話そう。

料理はワッソイケガキヘビを捕まえることから始まる。どうやらマク・マカはある地元の蛇商人しか信用していないらしい。パクシットという名の、角ばった顔の狩人だ。パクシットと話していて分かったが、評判のいい蛇商人を選ぶのは、ナガーセーを作る際に決定的な重要性を持つようだ。というのも、ワッソイケガキヘビはアカマルキヘビとほとんど同じ見た目をしているからだ。前者を食べればお腹が満たされるが、後者を食べればテーブルから立ち上がる前に死ぬ。この話を聞いて私は嬉しくなった。私は危険な食べ物に目がないのだ!

シェフは蛇を手に入れたら、内臓を取り除く。この蛇の内臓は他のいくつかの料理に使用されるが、ナガーセーに必要なのは皮だけだ。中身を空にした皮に詰める食材は野生のマーシュ米、乾燥させたパースニップ、バークイヤーキノコのスライス、そして生きたネズミを1匹!パクシットが説明してくれたが、ナガーセーは特別な料理で、常に変化するそうだ。できたてを食べることにした者は新鮮な野菜の組み合わせと、身のしまった生きのいいネズミの肉を味わえる。しかし料理を数時間(あるいは数日)寝かせた者には、その忍耐に見合うだけのものが手に入る。寝かせれば、それだけネズミは太っていく。ネズミはかなり長い時間をかけて米とパースニップを食べ、最終的には死ぬ。ナガーセーは通常、約5日間かけて「熟す」のである。

この話を聞いていて、食べるのが待ちきれなくなってきた。私はほぼ2日間寝かせてある巻物を選んだ。皮の下から、まだかすかな鳴き声が聞こえている。最初の一口を食べる前に、もう少しだけ待とう!

食の旅、第4巻A Culinary Adventure, Volume 4

食の求道者、ラローム・ルモンズ 著

私はもう何日も、マク・マカに催促し続けている。私はアルゴニアン料理について測り知れないほど多くのことを学んだが、未だに味わっていない料理が1つある。アオジェー・サッカだ。私がこれを要請すると、マク・マカはいつも動揺して、別のものを出してくるのだった。彼の躊躇も分からないではない。アオジェー・サッカはタムリエル全土でも最も危険な料理の一つなのだ。

この料理は実のところ、同時に出される2つの料理から成っている。第一の料理は焼き目を付けてきれいにスライスしたアオジェーガエルで、シロップで覆ったイチジクとシナモングラスに乗せて出される。二つ目の料理は冷たいホッシュ(黒くドロドロしたスープ)だ。どちらの料理も、単独で食べることはできない。致死性の毒を含むからだ。これらはゆっくりと、かつ同時に食べなければならない。一方の毒は他方の解毒剤になるのだ。蛙を食べ過ぎると体が激しく震え、口から泡を吹き、その後死が訪れる。ホッシュを食べ過ぎると腸の焼けるような痛みと嘔吐に引き続き、死が訪れる。当然ながら、大抵の人はこの料理を避ける。シェフも客も同様だ。だが私の食欲には逆らえない!

マク・マカは、私の要請を少なくとも考慮してくれていると思う。少なからぬ額のゴールドを用意したし、半ダースもの蛇の皮で出来た文書にサインした(おそらく誓約書か何かの類だろう)。すでに蛙の味が感じられるくらいだ。我が食の冒険は完成しつつある!

* * *

この本を返そう、ラロームの友よ。他のものを調理しようとしたが、彼はアオジェー・サッカでないとダメだと主張した。調理したが、食べ方が違っていた。蛙を食べ過ぎた。彼が死んで残念だ。

よい生活を!私たちのところに食事に来てくれ!でも、アオジェー・サッカはダメだ。

—マク・マカ

深淵からの呼び声The Call Beyond

ソリス・アデュロによる翻訳

来るのだ子供たちよ、集まれ
太陽が沈みつつある
お前たちはもう眠れ
根を恐れることはない
私が留めておく
そしてお前たちが目覚めた時
私がしたことを思い出せ

甚だしき無駄So Much Wasted Potential

浅瀬に分け入っていったが、危険を冒す価値はあった。デッドウォーターは愚かな試練で自分たちの未来を潰しているが、他の部族たちは交配に熱心だ。集める機会が訪れたら、彼らの倒れた戦士たちを喜んでいただこう。

大半の部族は卵の盗難に対して備えがないが、ブラックトングとブライトスロートは例外だ。彼らは自分たちの卵をまばたきもせず見守っている。だが困難はあっても、どちらに関しても見込みは十分あると思う。

ブラックトングの卵用調合薬を直接盗むことはできていないが、観察から多くのことを学んだ。彼らの方法が卵の成長をどのように制限するか、試験を楽しみにしている。

もう数ヶ月の間見張っているブライトスロートに接近してみた。彼女の名はハクサラで、想像していたよりずっと純朴で信じやすい。絶望の臭いを辿れば、必ず機会に行きつくものだ。

ハクサラを説得して、部族の不要な卵を手に入れる手伝いをさせるのは難しいことではなかった。まだ分からないのは、あの愚か者が気づかれずに卵を奪えるかどうかだけだ。彼女が失敗すれば、大きな後退を強いられるだろう。

ヒストは我が道を祝福している。ハクサラはウクシスの卵を数回、問題なく盗むことに成功した。欠陥はあるにしても、興味深い検体だ。これらの卵の安定した供給が得られれば、私もよりリスクの大きい方法を取れるだろう

戦場からの手紙:ウィンドヘルムLetters from the War: Windhelm

シェイ・ハルへ

やあ、卵の姉妹。村の様子はどうだ?お前はまだ、テーバ・ハツェイのフィールドでは一番か?リーク・クースはまだマッドクラブを追うハジ・モタみたいに、お前に付きまとってるのか?本当に故郷が懐かしいよ!

この手紙はウィンドヘルムのコールドムーンという宿で書いている。雪はたくさんあるし、ここは容赦なく寒い。ノルドも物語で聞くとおりに大柄で、声もでかいぞ。だがそれでも、この場所には我々の愛するブラック・マーシュとは全く違う美しさと魅力がある。まだあちこちにアカヴィリの包囲の爪痕が見えるし、スカルド王の王宮は修理中で閉鎖されているが、人々は荒々しくて親切だ。サクスリールがあんな風になることはないだろうな。

お前だったら地元の魔術師ギルドのギルドホールを気に入っただろう。タムリエル中の魔術師が出席していて、その中には見物に来た兵士のために見事な手品を披露する小さなウッドエルフもいたよ。彼女は私の耳から金色の魚を取り出して見せたんだぞ!どうやったのかは分からないが、実にうまそうだった(ちなみに、そのことを言ったら彼女は恐れをなしたようだった。ウッドエルフってのは変わってるな)。

俺が一番気に入った場所は、鍛冶場のあるロングハウスだ。中はすごく暖かくて快適なんだ!建物の端は両方開かれているのに寒さを感じない。燃えている火がそれくらい熱いんだよ。

九つの塔に支えられた巨大な壁が、この街を囲んでいる。攻囲の時に壁の一部が破壊されたことは知っているが、今じゃその痕跡は見られない。九つの塔はスカイリムの九つの地を代表していて、このことはノルドが我々とほとんど同じくらい象徴に敬意を持っていることを示している。彼らはいくつもの祭りや祝賀で、壁の上に沿って大規模な競争をやるらしいんだが、俺がいる間にはそういう競技はなかった。

でもここにいる間、地元の珍味を一つ食べてみたよ。「ウサギのミートボール」と呼ばれているものだ。どうやら耳が長くて毛の生えた、小さなげっ歯類の肉を使っている。砕いて様々なハーブとスパイスを混ぜ、小さな球形にして、外はカリカリ、中は暖かく汁気たっぷりになるまで揚げるんだ。お前はこの描写を読んで、きっと気分が悪くなってるだろう。俺もそうだった。でも意外なことに味はよかったぞ。

次の手紙と一緒に送ろうかな。

ガム・ザウ

戦場からの手紙:シロディールLetters from the War: Cyrodiil

ああ、卵の母よ、会えなくて寂しい!

戦争は悲惨だ。悲惨でないなどという声に耳を傾けてはいけない。嵐の吹き荒れる湖に立って、暗い色のヒレが底から出てきて手足を噛みちぎるのを待っているみたいなものだ。僕たちは長いことじっと待ち、あらゆる方向から迫る脅威を心配しながら監視する。それから突進して敵とまみえ、しばらくの間は激しく戦い、守りの固い、比較的安全な場所に逃げ込む。それを何度も、何度も繰り返すんだよ!

今日、僕は大柄なノルドの女性(多分女性だったと思う。肌の乾いた者の性別は未だによく分からない)と、ダークエルフの魔闘士と共に戦った。どちらとも初対面だったが、パクト兵の少なくとも3部隊と、同数の敵が入り混じった突撃で混乱状態に陥った後、僕たちは気づいたら一緒にいた。他に頼れる相手もいなかったから、僕たちは一言も発することなく共に動き、敵軍の攻撃から身を守った。

僕たち3人は4倍の数の敵に圧倒されていた。どういうわけか、僕たちは2つの丘の間の岩だらけの地帯にいて、残りのパクト軍がどこにいるかすぐには分からなかった。戦いの音が付近の丘の向こうから響いてはいたが、誰がどこで戦っているのか正確に判別する方法はなかった。それに僕たちは、まだ目の前に敵を抱えていた。多分カバナントのオークだったと思うが、僕には未だにハイエルフと区別がつかない。

敵が何者だったにせよ、奴らは突進してきて僕たちの力量を測りに来た。僕たちは何度も押し返し、連中を次々に倒したが、こちらも切り傷や打撲をいくつも受けた。10分だったかもしれないし、10時間だったかもしれない。肩を寄せ合い、固まって敵の波を押し返しているうちに、時間は意味を失ってしまった。

ダークエルフの魔闘士の名前は結局分からずじまいだったが、彼は命の恩人だ。敵の数を減らしたので、相手の数は今や2倍程度になっていたが、そこで敵の魔術師が僕に炎の球を発射した。僕は2人の戦士と戦っていて、1人は剣を、もう1人は戦槌を持っていた。視界の端に明るい輝きを目にしてはいたが、炎の進路から逃れることは不可能だった。その時ダークエルフが僕と炎の間に飛び込んで攻撃を受けてくれたので、僕は目の前の戦士2人を倒すことができた。僕が駆けつけた時は、彼はすでに激しい熱と炎にやられていた。

こうなったらノルドと僕で残りの敵を片づけなければならない。最優先すべきことは、致命的な呪文を再び唱えられる前に妖術師を倒すことだった。そのためにノルドは最後の矢を魔術師の方へ放った。少なくとも2本は命中し、魔術師の胸に突き刺さった。これで3対2になった。残った敵は自信と戦いを続ける気力の双方を失ったようだった。彼らは背を向けて逃げようとしたが、そうはさせなかった。

さらに少し時間をかけて歩き回る必要があったけど、僕たちは結局、どちらも自分の部隊と再会できた。三つの種族の同盟がいかに大事か教えられたのは、あの日だったと思う。

オトゥミ・テイ

戦場からの手紙:ハチミツ酒!Letters from the War: Mead!

親愛なるティーワジへ

今日、素晴らしきウィンドヘルムの街からそれほど遠くないところにある酒蔵を訪ねたよ。そこはヴォルジャー醸造所と呼ばれていて、これまで私が喉に入れた中で最高の酒を造って出してくれるんだ。ハチミツ酒というらしいよ!ベースになる材料は何だと思う?発酵させたハチミツだ!そう、彼らは蜂が吐き出した蜜を使って作るんだよ!いや、つまりズーチのことさ。君の花の庭園をブンブン飛び回ってる、あの針を持つ昆虫だ。

とにかく、ノルドはこいつが大好きなんだ。だから私もここにいる間に味見してみようと思った。美味しかったよ!職人たちの誰かにレシピを教えてもらって、マークマイアに帰った時、自分で作れるようにしておくといいかもしれないな。

ただし、どうして彼らは自分の土地の前に、槍に刺したオークの頭を置いているのかよく分からない。ノルドの風習は、私にとって全く意味不明なものが多いんだ。

子供たちによろしく言っておいてくれ。

太陽を探す者

戦場からの手紙:モーンホールドLetters from the War: Mournhold

おお、偉大なるラジ・デーリスよ、ダークエルフの大いなる栄光の都市、モーンホールドの驚異をあなたに伝えさせてください!

私はモロウウィンドのデシャーン地域を担当するパクト兵団へ派遣されたのですが、最初の休暇の機会に、ダンマーの物語に伝えられるこの都市を探検しました。我々の村で育ったサクスリールの多くと同様、私はダークエルフの街で自分の民がいかに過酷に扱われているかについて、恐ろしい物語を聞いていました。私たちはもう友であり同盟者であるわけですが、私は奴隷や拷問器具で溢れているのをほとんど期待していたほどです。しかし、真実とはかけ離れていました。

大部分において、私が出会ったダークエルフたちは友好的と言ってもいいほど寛容でしたし、また市場では他の種族の人々を大量に見かけました。旅の間はノルドやウッドエルフ、インペリアルにブレトン、カジートやハイエルフにさえ会いました。それに市場で売られている品物の多様さといったら…理解が追い付かないほどでした!

トリビュナル聖堂は見ものでした!巨大で威圧的ですが、偉大なるヒストの木の影に立っているような神聖さも感じられました。自ら三大神を崇拝するようになったアルゴニアンにも会いました。彼との会話は興味深いものでしたが、血と肉で出来た存在を崇拝する気持ちは私にありません。ましてやダークエルフなんて!

それから、有名なダークエルフのコーナークラブを訪れる機会もありました。そこはフラミング・ニックスと呼ばれていて、大広間の中央にファイアピットがあるのが自慢のようです。酔った客たちが順番に飛び込み、熱い石炭に混じって踊るのです。白状すると私もやりました。実に愉快でした!もっとも、炎に踏み込む前にフリンの瓶を数本開けておけば、もっとよかったと思いますが。

近いうちにまた手紙を書きます!どうか、卵の一族に私からよろしくお伝えください!

あなたの最愛の生徒
ララ・ラー

太陽の祝福との調和In Accord With Those Sun-Blessed

ソリス・アデュロによる翻訳

我々は根の民である。そのことはこの世界において、他のあらゆる世界と同様に真実である。我々の根は影へと深く伸びていき、記憶の波を飲むが、我らの枝は空高く伸び、太陽の光を浴びている。我々は今、一つになり、そのぬくもりを鱗に感じなければならない。

偽の予言者は我らの兄弟の心を禁じられた嘘で変えてしまった。彼らは我々の目的を放棄した。我々の運命も。

私は皆に伝える。共に川を上ろう。彼らは海へ沈むに任せておくがよい。我々は栄光の階段を上り、太陽を割り開くのだ。

太陽の祝福の最後の願いThe Last Wish of the Sun-Blessed

ソリス・アデュロによる翻訳

光り輝く栄誉に浸りながらも
黄金と樹皮の肌の
我らは黄身に到達しなかった
今となっては手遅れだ

だが暗闇なき光は目を眩ます
影は常に我らを見ていると
それは今も我らのためここにいる、我らが願いさえすれば
返済の苦役は長いとしても

我ら黄金の鱗
我らは深奥の兄弟たちに加わらねばならぬ
どれほどのものを失おうとも

我らの根は忍耐強く
我らは再び立ち上がる
この世界か、それとも次の世界で

大いなる変身A Grand Transformation

木の番人フリーリイーク 著

変化を恐れてはいけないし、顔を背けてはいけない。そのことを私たちは分かっているし、常に胸の奥底で分かっていなくてはならない。時に、変化は外の力によって訪れる。季節の流れ、もしくは愛する者の死。私たち自身の内側から訪れる変化もある。古い自分を振り払い、新しい自分を受け入れる必要性だ。

自分を変える方法は、もちろんたくさんある。遠くの地へ行って、新しい文化と生活様式を取り入れる者もいる。新しい技術を学び、木工職人から戦士、仕立屋から卵の番人になることを選ぶ者もいる。しかしもっと大きな変化が必要だと感じる者もいて、ヒストの助けを必要とする。それは性別を変えることを選んだ者たちだ。

こうした個人の奥深くでは、この変化を行うことを求めるものがある。ヒストのおぼしめしなのか、各自の意思なのかは分からない。だが私はいつも心と手を開いて耳を傾け、こうした変身の時期を手助けする用意がある。一緒にヒストと語り合い、手助けを受ける準備をする。

儀式にはいつも息をのまされる。ヒストは部族を見守り、私たちの道を案内してくれているが、じかに何かをすることは滅多にない。しかしこの時には、ヒストと霊魂が結合し、愛に満ちた抱擁の後で大きな変化が起きる。

その後、私は変身したばかりの者を部族に改めて紹介する。彼らは全員に迎えられ、大切な者が去ってしまったことと、大切な者が訪れたことを祝って大きく祝福される。

調査報告書:ヴァロ・ホシディアスDossier: Varo Hosidias

インペリアルのヴァロ・ホシディアスに関する報告を以下に記す。年配の男だが、それにしてはずいぶんよく動き回る。ブラックガードには追加費用を支払ってもらいたい。

ヴァロ・ホシディアス:ファミア・メルシウスの仲間として知られ、歴史に関する彼女の慈善事業、シロディール・コレクションに時々雇われている。しばしばカジートのザダザと同行している。地域で調査した結果、彼はブラック・マーシュに移住する以前、帝国軍で際立った働きをしていた。移住の事情は不明瞭。軍法会議やそれに類する軍の処分から逃れるためと言う者もいるが、単なる隠居だと言う者もいる。依頼者の要求にはおそらく無関係だろう。

朝はシロディール・コレクションの本部かリルモスの埠頭で訓練をして過ごす。剣と盾の両方にかなり熟練している。相手にするなら、素手になるまで待つことを勧める。午後の大半は「好色なアルゴニアン歩兵」の中か、その付近で過ごす。酒は飲むが、飲み過ぎは滅多にない。

市の城壁外に頻繁に出ていく。常に他の探検家数人を伴っている。おそらくは帝国軍時代の習慣だろう。移動も戦闘も、常に集団でというわけだ。

お勧めの誘拐方法:酒に何かを混ぜること。最初にファミア・メルシウスをさらっておけば、行動に隙ができる可能性あり。街で正面から襲うのは避けるべき。ここには奴の仲間が多すぎる。

調査報告書:ザダザDossier: Zadaza

カジートのザダザに関する報告を以下に記す。こいつはブラックガードに倍払ってもらわないとならない。ウナギのように捉えどころがない。

ザダザ:カジートの傭兵にしてトレジャーハンター。ファミア・メルシウスやその仲間ヴァロ・ホシディアス、エシュラフ、ジー・ラーなどとよく仕事をしている。ブラック・マーシュの外における彼女の生活について、詳細な情報は未だに少ない。地域住民は対立する仮説を複数提示しており、その中には盗賊ギルドのメンバーだとか、以前ドミニオン軍で活動していたというものもあった。いずれにせよ、ザダザを特定の場所で捕捉するのは非常に難しい。彼女は予測できるルーチンに従わない。食事も睡眠も仕事も、1日ごとに場所を変えている。

彼女はファミアかヴァロとよく食事を共にするが、探検についての話し合いと費用の支払いのためだけだ。どの情報に従っても、ブラック・マーシュには彼女の親しい友人がいない。事業のパートナーだけだ。圧力をかけられる部分が非常に少ない。

我々はザダザが戦いに参加するところを見ていないので、戦闘能力は未だ不明。しかし、高度な隠密と鍵開け、その他の関連技術に高度な熟練を示している。

お勧めの誘拐方法:ザダザと仲間をザンミーアに入らせ、出てきたところを襲撃する。ザダザは通常、最初に外へ出てくる。他の仲間たちがついてくるのを数分待っていることも多い。注意深く計画を立てることを強く勧める。ザダザは容易に捕まらないだろう。

調査報告書:新規加入者Dossier: The Newcomer

この新参者はかなりの評判になっている。我々の知る限りこの地域との深いつながりはないが、ファミアの仲間に加わった。ブラックガードは注意を払っておいたほうがいいだろう。

新参者:旅の冒険者であり、シロディール・コレクションに最近雇われるようになった。戦闘とダンジョン探索の両方に高度な能力を示す。初期の報告が示すところでは、マークマイアに到着してすぐ、イクスタクス・ザンミーアでファミアの一味を救出したか、護衛をしたようだ。

どの程度の情報を知っているかは明らかでないが、ファミアは秘密の一部を明かしていると考えるのが理に適っているだろう。

お勧めの誘拐方法:集団で襲うこと。一致団結して行う必要がある。戦士を少なくとも20人用意することを勧める。それでも足りないかもしれない。リスクを覚悟すること。

帝国の侵攻:士官の嘆きImperial Incursions: Officer’s Lament

帝国備忘録 #61509.N

帝国秘書ジロリン・アリウスへ

親愛なる兄さん、なぜ私は罰せられているの?この神に見放された泥溜めに送られてしまうほど悪いことを何かしたの?きっとメナニウス将軍に口説かれて拒絶したからよ。目をつぶって、ただ彼女の好きなようにさせればよかったんだわ!でもダメ。私にも意地があった。自尊心があったの。それで今どんな目に遭ってると思う?泥と汗まみれよ。この髪に付いた臭いは、もう二度と取れないわ!

ここをどれだけ嫌ってるかって話はもうした?あのトカゲどもは普通の人間みたいに戦わないから、まともに戦闘もできないのよ!卑怯すぎる!あの樹液をしゃぶるアルゴニアンみたいな敵とは、これまで戦ったことがないわ!

で、愛する妹のためにちょっとした口添えをしてもらうには、あなたに何をあげたらいい?今度帝都に戻ったら、付き合ってもいいかなと思ってるって将軍に伝えてくれたら、想像もできないくらい感謝するわよ。この忌々しい沼から脱出させてくれるなら、どんなものでもあげるから!

ミロナ・アリウス隊長
第四軍団
第一紀2812年、栽培の月17日

帝国の侵攻:沼へ進む理由Imperial Incursions: Why a Swamp?

帝国備忘録 #53902.B

帝国議会の皆様へ

まず、帝国に奉仕するこのような機会を与えていただいたことに感謝します。皆様の信認に値する存在であり続けるために、我が力の限りを尽くす所存です。

次に、ブラック・マーシュの第四軍団の指揮を執るという私の決断に関して、一部の議員から意外の念、それどころか不安の声さえも上がっていると伺っております。「もっと重要な拠点があるのに、なぜ忌々しい沼を征服するのだ?」これはある上級議員の発言として、私の耳に届いたものです。申し上げるまでもなく、私は皆様の果てることなき知恵に従う心づもりでおりますが、なぜこの「忌々しい沼」が帝国の将来の安全にとって必要であるのか、思うところをお伝えしたく存じます。

ブラック・マーシュはタムリエル南東の巨大な部分を占めています。我々が行った沿岸地帯の探索によれば、沼地の内陸部はゆうにハンマーフェルやスカイリムに匹敵する大きさであり、そこには採掘を待つばかりの、手付かずの富と資源の宝庫が眠っているのです。トカゲの民がこれを利用しないのであれば、我々がそうすべきでありましょう。

そして、トカゲの民自身についてはどうでしょう?あの原始的な蛮族に、自らの統治を任せて本当によいのでしょうか?彼らから人望ある指導者が出現すれば、我々の国境が襲撃の危機にさらされます。起きると分かっていることを、なぜ待つのでしょう?我々自身の手で問題を処理し、自分の運命は自分で描き出すべきです。それこそが、インペリアルの流儀ではないでしょうか!

最後に、ブラック・マーシュはインペリアルの軍事力にとって最後のフロンティアです。新しく、汚されていない、探検を誘う未知の領域なのです。我らが軍勢を率いてこの必要にして価値ある冒険へ向かうことを、私は心待ちにしています。どうかご安心ください。トカゲの民に対する我らの勝利は素早く、輝かしいものになるでしょう。私は保証します!

アウグリアス・ブッコ将軍
第四軍団指揮官
第一紀2811年、薄明の月13日

倒れた探検家の日記Doomed Explorer’s Journal

7日の間、私はこの遺跡の大広間をうろついてきた。2日目の終わりには、完全に迷ってしまった。5日目の終わりには、食料が底をついた。今、静かで悲惨な1週間目の日没がやって来て、水筒からはただ1滴の水も絞り出すことができない。どうやら私はここで、幽霊と巨大な石の門に囲まれて死ぬらしい。

この魔法の扉に嘲られている!囁き声は毎回逃げ道を約束するが、扉を抜けても太陽はない。ただ虚無が一瞬だけ輝き、それから元通りの、やはり暗い地下室があるだけだ。このアイレイドの石細工はあまりに厳格で、荘厳だ。私は野外で死ぬのに、もう墓に埋められた気分だ。巨大な石棺に埋められているのだ。

一人で死ぬのではない。ここはベールが薄い。薄すぎる!最初は囁き声だけが聞こえた。風に漂うアルゴニアンの泣き声と、アイレイドの声。だが3日目には、彼らがはっきりと見えた。まばゆいほど華麗な、アイレイドの幽霊たち。彼らは私を見ず、私の存在に反応もしなかった。彼らはひたすら、古い出来事を再演していた。いくつかの場面はあまりに平凡で驚いた。だが他の場面は、失われた真実と古代の脅威に満ちている感じがした。ここで何か恐ろしいことが起きたのだ。最初はアルゴニアンに、後にはアイレイドに。この遺跡の中(下かもしれない)の何かが、これらの出来事の展開を見るよう私に要求している。その帰結の深刻さを感じるよう要求しているのだ。何かの力が私の理解を求めている。私はそれゆえに死ぬのだと思う。理解できなかったから、残らねばならないのだ。

この日記を誰かが見つけたら、あの幽霊たちに注意深く耳を傾けてほしい。彼らは大いなるアルゴニアンの財宝の物語を伝えている。彼らの言葉に隠された、深い真実を学べる洞察力が自分にあればと思う。

今はもう、書き物は沢山だ。近くにまた門が見える。もしかすると、これで家に帰れるだろうか。とにかく力を振り絞らなくては。ただ、少しだけ休みたい。

肌の乾いた者の奇妙さThe Strangeness of Dryskins

ナガ・クルのカール・ドリーンジー 著
ウェイレストの放浪者ティリリャ・レン 訳

これから書くことは真実だ。マークマイアに来る肌の乾いた者の存在は歓迎されず、招かれざる客である。デッドウォーターの地に入る者は始末される。これはマークマイア全土で知られていることだ。

だが、私は頭を垂れる。こうしたよそ者を歓迎する部族の所に行くことがあるのだ。彼らは私たちに、愚かな選択を尊重するように頼んでくる。そのため、肌の乾いた者の殺し方以上のことを学ばなくてはならない。私は拳を握る。こういう時のために、平和な交流を学ばなくてはならない。ナガが備えられるように、私が書くことは真実である。

肌の乾いた者の肉は柔らかく、簡単にあざができて切れる。彼らの皮は多くの沼の植物に触れると、水ぶくれができて破れる。子供の食べ物は、肌の乾いた者を病気にすることがある。槍の助けがなくても、多くのよそ者は単なる沼の性質によって死んでしまう。私は微笑む。

この目では見ていないがこの耳で聞いた話によれば、肌の乾いた者は生きた子を産むという。考えただけで身震いする。その幼児(孵化した子について肌の乾いた者が使う言葉)は救いがたいほど傷つきやすくて弱い。歩くことさえできない。私の目は混乱に細まる。そんな生物が、どうやって大人になるまで生き残るのだろう?

さらに、彼らの石の巣は多くの者の手と数多くの石を必要とする。しかし地面が沈み始めたら?嵐が荒れ狂い始めたら?そうしたら彼らは貧しく哀れな状態になってしまう。そんな愚かさに、私は首を振るばかりだ。肌の乾いた者が不変を望む理由の一つだ。

最後に真実を書く。あのよそ者たちのことは、寛大に取り扱うべきではない。彼らはこれまで何度もその下劣な性質を見せてきた。ブラック・マーシュの部族はいつか、肌の乾いた者を避け、追い払うべきなのである!ナガが常にしてきたように。

不透明な時間Murky Time

サクスリールの諸概念の研究 魔術師ギルドのテルデンリンデ 著

「ハジ・モタは古い霊魂を持っている。卵の中にあってさえ、それは古く賢い。ハジ・モタを狩りたいと思うのなら、汝もまた古くあらねばならない」

これはアルゴニアンの文化と民間伝承においてよく見られるテーマである。逆方向に年を取ること、あるいは早期に年を取るという考えだ。よそ者にとって、完全に理解するのが難しい概念でもある。これは驚くべきことではない。人間にとってもエルフにとっても、生の経験は過去と未来の間のどこかで起きる。アルゴニアンにとって、時間とはそれよりも遥かに流動的なものだ。

この理由で、ジェッカワス文明暦の存在と重要性はより混乱を招く。ワッセーク・サクスリールとその隣人たちの多くは、月の移行とタムリエルの年が循環し、再帰する性質を多大に強調している。一部の学者は、この暦が偉大なるアルゴニアンの石彫刻があった古代の時代の名残にすぎないと片づけている。この理論に従うなら、暦は伝統を通じて残った断片ということになる。しかしこの考えは現在のサクスリールの価値観と全く一致せず、私にはあまり納得できない。

私は最近ジェッカワスの長老に、彼らはなぜ時間を流動的で不透明なものと見ていながら、詳細で驚くほど正確な暦を維持できるのか、と尋ねた。彼は永遠と思えるほど長く、静かに座っていた。そのうち、彼は言葉を発した。

「〔暦は〕水の入った鉢のようなもの。昼と夜は鉢の中を泳ぐ」

彼はこの答えに満足していなかったが、諦めてそう言ったのだと私には分かった。彼の苛立ちの原因はシロディールの言語能力の不足にもあったが、彼の母語にも欠陥があった。私の知る限り、ジェルには時制がない。少なくとも、我々が時制と認識できるようなものはない。通訳者が用いるのを耳にした限り、最も近い代替語は「古い」と「新しい」だ。彼らは「変化すること」や「変わること」についてよく話す。前方への運動を含意する語である。いずれにせよ、これらの語は私にさえ解読できないような古代の用語や概念によって不明瞭となっている。

私としてはできる限り理解するよう努めるが、不透明な水が完全に透明になる日が来るとは思えない。

蔓の舌:序章Vine-Tongues: Introduction

自分の蔓の舌を馴らして、言うことを聞かせたいのだな?今はまだ芽でしかない。ここからどうすれば良いのかを知らなければならない。私の詳細な解説の助けがあれば、あなたも遠からず、すっかり育った蔓の舌を馴らす喜びを得られるだろう。

マークマイアのアルゴニアンのような蛮族はこの素晴らしい植物を野蛮な手段に用いるが、我々は蔓の舌を訓練してそれよりもずっといいものに変える方法を学んだ。真の忠実な友だ。

だから私の解説に従ってほしい。そして、蔓の舌はあなたの家の一部というだけではなく、あなたの心の一部でもあることを忘れないでほしい。

蔓の舌:一般的な失敗Vine-Tongues: Common Mistakes

愛すべき蔓の舌の苗を自宅に迎え、何を食べさせればいいかも、どんな住処を好むかも、退屈させないようにする方法も分かった。事故を避け、君の生活の混乱を少なくするため、私が自分の蔓の舌を育てていて学んだ、3つの重要な教訓をここに記しておこう。

1)蔓の舌を完全に躾けるまで、他のペットはどこかへやっておくこと。友人や遠くの家族に世話をしてもらおう。そうすればおませな蔓の舌が抱きしめ、優しくなでた時に、意図せずして食事を始めてしまうことを避けられる。蔓の舌は愛情豊かだが、常に腹を空かせているのだ。私が注意しておけば、猫のミクシーちゃんも生き残っていただろう!

2)否定的な連中は無視すること。多くの人は、蔓の舌を飼うのが危険だと言うだろう。あんな肉食の植物は躾けられないし、信用できないと。私に言わせれば戯言だ!躾けられた蔓の舌は誤解されているだけで、愛すべき生き物だ。危険なのは確かだが、昼ご飯を食べるのだって危険だ。次にウサギのミートボールを噛んだ時、喉を詰まらせないとも限らない。だが、食事するなとは誰も言わないだろう!

3)たとえ完全に躾けていても、蔓の舌に対する支配を保っておく必要はある。この植物は気が短く、すぐに機嫌を悪くするが、ほんのわずかでも躊躇や恐怖を見せれば、君を獲物と見て襲ってくるかもしれない。蔓の舌は愛情を求めている。そのことさえ忘れなければ、全て上手くいくだろう。多分間違いない!

蔓の舌:栄養Vine-Tongues: Nourishment

君は腹が減っている時に幸せだろうか?違うだろう!君の新たな友、蔓の舌にとっても同じことが言える。さて、この素晴らしく驚異的な植物に何を食べさせればいいのかと考えているかもしれない。恐れることはない、私が説明しよう!

蔓の舌にはもちろん、水が必要だ。それも大量に!水をやられた植物は幸せな植物だ!

水はいいし、必要なものだが、蔓の舌にはもう少し実のある食べ物も必要だ。正確に言えば、肉だ。場合によっては生で、できれば生きて動いているやつがいい。私はいつも言っているのだが、ピクピクしているものなら、食べさせても大丈夫だ。

苗の時、蔓の舌にはミミズや昆虫、小魚を食べさせよう。たまにならネズミを1、2匹やってもいい。成長してきたら、蔓の舌の食べ物の量とサイズを大きくしていけば、健康を保ち、しっかりと能力を伸ばせるようになる。だが、食事を与えすぎないこと!太り過ぎた蔓の舌は陰鬱で不幸になり、不適切なものを食べたがるようになる。ペットや主人の手足などを。

蔓の舌:幸福な家Vine-Tongues: A Happy Home

長く疲れる旅から帰ってきた時、君はおそらく暖かい食事とベッドを求めるだろう。蔓の舌も同じなのだ!まあ、暖かい食事は除くが。蔓の舌は生の、まだ動いている食事を好む。蔓の舌には最高のものを与えるべきだし、それを与えるのは君の仕事だ。

最も快適な過ごし方として、蔓の舌は湿気のある気候で、流れる水に囲まれた土の上を好む。それに加えて、蔓の舌が巣に決めた場所は周囲を徘徊する生物にとって魅力的であることが必要だ。君の愛する蔓の舌は十分に大きくなると、君が与える美味しい食事を補完するため、自分で獲物を捕まえるようになる。これにより蔓の舌が達成感を得られるだけでなく、君の家から害虫を排除するにも役立つのだ。

蔓の舌は優れた門番になることに気づいただろうか?高い所に置いて周囲を観察させ、景色を眺められるようにしておくのだ。誰かが君の地所に近づこうとすれば、君の新たな友は彼らにふさわしい出迎えをするだろう。ただし、不幸な誤解を避けるためにも、友人や家族が訪問する前に、蔓の舌を引っ込めておくことだ。

蔓の舌:準備Vine-Tongues: Preparations

蔓の舌を君の人生に迎え入れる覚悟ができたら、完全に準備を整えておかなければならない。この喜ばしい蔓は大変な幸福をもたらしてくれるが、多くの作業と極端な忍耐も要求するのだ!

君のパートナーや友人、家族と話して欲しい。これから先、何が起きるのかを知らせるのだ。そうすれば深夜の餌やりや定期的な土の入れ替え、時々起こる血の儀式に警戒され、気分を害されることがないだろう。

驚きは面白いかもしれないが、お腹を空かせた蔓の舌の吠えるような叫び声が夜中に響けば、人々を仰天させてしまうだろう。だから君も心の準備をして、友人や家族、隣人たちにも心構えをさせておくことだ。生涯の幸福のためなら、少々の不便など安いものだ!

蔓の舌:植物を幸福にするためにVine-Tongues: Happy Plants

小さな植木鉢に蔓の舌の苗を入れて、新しい家に設置する準備を整えたら、あとはどうすればいい?簡単だ!可愛い植物を幸せにするため、できる限りのことをすればいいのだ!

蔓の舌には個性があり、私と君のようにそれぞれ違っている。ある程度は実際に試して、苗を育てる最良の方法を確かめなければならない。一般的に言って、必要なのは長い熊手と水やり用の缶、それと幅広の剣だ。彼らは少々怒りっぽくなる時があるのだ!

この基本的な3つの道具があれば、苗に水をやり、背中をかいてやれる。蔓の舌が隣人の猫や地元の子供を食べようとした時、思いとどまらせることもできる。これらの道具を手許においておけば、君と蔓の舌には長く喜ばしい年月が待っているぞ!

無の代弁者Speakers of Nothing

ニッソ・ゼーウルム 著

無の代弁者、無の言葉よ
虚無は無の舌にしがみつく
千の舌と十倍の言葉
真理は安らう、無の肺と共に

知恵の息吹は空気を汚す
腐れ落ちて久しい果実のごとく
闇は言葉の隙間に挟まる
何かの間にある無

足は多くの道を歩む
ヒストの多くの根によって敷かれた道を
唇は多くの真理を語る
ロウソクの明かりのように広がる真理を

汝にはいかなる安息もなく
恐怖を鎮める優しい真理もない
だが言葉をよく聞け
無の目を見よ

名誉ある行いActs of Honoring

ニッソ・ゼーウルム 著

汝が耕す畑を通じて
壊れた大地を通じて
汝が育てる作物を通じて
変化である名誉を

無の言葉を聞け
多くの舌を聞け
その中に一つの真理を聞け
虚無である名誉を

血にまみれた牙と
激烈なる一撃と
汝の最後の息と共に
死である名誉を

卵の番人の日記Egg-Tender’s Journal

今年こそは違う。昔の人がやっていたみたいに、私はドラゴンソーンを噛み始めている。調合薬と一緒にこれから何ヶ月も続ければ、きっと絆の準備ができるはず。今年こそは私が選ばれる。間違いない。

大恥をかいてしまった。ドラゴンソーンは刺激が強い。息が酸っぱくなって、他の人が気づき始めてしまった。ミンメでさえ私と話すのを嫌がってるみたい。痛んだサラマンダーを食べちゃったのと言ったけど、これからはもっと目立たないようにあの草を噛まないと。

効いてる気がする。鱗にも爪にも、前よりも艶が出てる。多分、これはいい徴候だわ。でも歯に黄色いシミが出てきてる。醸造したスカルドルートを飲んで口を洗い始めた。死にそうな味だけど、歯にはいいと思う。

キーナムが間違って私のスカルドルート茶を一口飲んで、気絶しかけた。ウクシスで彼を看護しなくちゃならなかったから、暗くなるまでドラゴンソーン畑に行けなかった。暗闇の中から女の人が近づいてきたけど、鱗がものすごく青白くて、月明かりの下では特にその色が目立っていた。私は怖くて叫び出しそうになったけど、彼女は優しい声で話しかけた。どうしてこんな夜中にドラゴンソーンを摘んでいるのかと聞かれて、どうしてかは分からないけど、本当のことを彼女に言った。知らない人にどうしてこんなことを告白したのかは分からない。知らない人だったからかもしれない。憐れみの目で見られずにこのことを話せる相手は、村に誰もいない。闇夜の中で、私はこの人とずっと話をした。再び会うことになった。

この頃はほとんど眠れていないけど、仕方ないわ。リー・ナカルは夜中しか会いに来られないと言っているし、私は一日中彼女に会うことばかり考えている。あの人は私の痛みを分かってくれるし、耳を傾けてくれる人がいるって本当にありがたい。家でこの話題が出た時にも、私は恥ずかしさを感じない。リー・ナカルはヴィーシュクリールの一員、つまりゴーストの民。彼女があんなに優しいなんて思っていなかった。ブライトスロートはあの人たちと付き合わない。付き合いのある部族は少ないわ。彼らは卵を奪うから、追放者のように扱われている。でも仕方がないのよ。自分たちでは子供を産めないから、ヒストはあの人たちに他の部族へ行かせている。なんて悲しい話なの。

リー・ナカルと絆の儀式について話した。ブライトスロートはゴーストと絆の権利の取り決めをして、彼らがもう卵を盗まなくてもいいようにできるかもしれないと言った。彼女はありがとうと言ったけど、礼儀上そうしただけだった。私たちの部族が味方になるなんて希望をほとんど持っていないのは目を見て分かった。私たちの絆の儀式は特別なものだから、勝手にやればいいと彼女は言った。私は強く言わなかった。自分の部族にされたことを、彼女に対してしたいとは思わなかった。彼女を憐れんだりはしない。

悲しい一日。ヒストの下へ帰る卵が分かる日は、いつも悲しい日。なぜヒストは他の卵を差し置いて、一部の卵を選ぶの?明らかに病気の卵なら分かるけど、どの卵が孵って、どの卵が根の中に沈むのか、私たちはいつも予測できるわけじゃない。あの子たちのためにできることは何もないとずっと受け入れてきたけど、リー・ナカルはそうじゃないって教えてくれた。あの子たちも生まれることができるんだ。卵を彼女のところへ持ってくれば、あの子たちを助けるために力を貸してくれると彼女は言った。私の部族は卵がなくなっても気づきさえしないだろう。あの子たちのことは、みんなもう諦めている。でも私は諦めない。私はあの子たちが欲しい。あの子たちは、私たちの子供になるのよ。

今夜、私はまたキーナムと一緒に働くことになっているけど、彼の飲み物にスカルドルートのエキスを加えておいた。夜の間に、卵をいくつか持ちだせるはず。考えるのは恐ろしいけど、あの卵には私が必要なの。怖いからって、諦めるわけにはいかない。

やったわ。朝の番人が交代に来た時、私の肌は死んだ樹皮みたいに乾いていた。私は夜のうちに卵がいくつかヒストの元に帰ったと言うと、彼らはただうなずいて受け入れた。彼らが知らせに全く動じないのを見ると、喉がつかえる気分がする。

眠りに落ちるまでに何時間もかかった。木の番人がやって来て私を告発するかと思ったけど、次の番をするために目を覚ますと、全ては日常どおりだった。ヒストは私がしたことを知っているの?

最後の集団から出た不適格の卵はほとんど全部、リー・ナカルに渡してしまった。考えてみれば、ものすごくたくさんあった。何て無駄をしていたんだろう。でもそれももうなくなる。彼女が言うには私がすでに渡した卵は巣の中に入れられ、彼女の部族の人々が番をしているから安全で、健康にしているそうだ。私がここを離れてあの子たちに会いに行くのはまだ早いと彼女は考えている。最後の卵を救い出すまで待ったほうがいい。多分、そんなに長くはかからないと思う。考えただけで棘が震えそう。

私の子供たちは元気でやっていると言われた。まだ卵たちを目にすることはできていない。村で卵の世話をしていると毎日、あの子たちがいないのを思い出してしまう。私は自分の子供の世話をしたい。私はあの子たちの母親なんだから。他の人たちも、自分の卵を育てる時にこういう気持ちを味わうの?

卵がもうすぐ孵るとリー・ナカルが言っている!その瞬間を見たいと彼女に伝えたけど、まだその時ではないと言われてしまった。もうすぐ、絆の儀式が再びやって来る。私は出席しないだろう。でも、そんなこと気にしない。部族は私がいなくてもやっていけるけど、あの卵は違う。あの子たちには私が必要なんだから!

ケンカをして以来、リー・ナカルには会っていない。戻って来なかったらどうしよう。そうなったらどうしていいか分からない。どこで彼女を見つければいいか分からない。私の子供たちがどこにいるのかもわからない!私はあの子たちに会いたいだけなのに!

卵の番人の未完の手紙Egg-Tender’s Unfinished Letter

チーダシへ

あなたの申し出を受けるべきだったわ。あのしょうもない交易の仕事だって、ここの大騒ぎから逃げられるならありがたいくらいだわ。今年は色々なことがまともじゃなくなっていて、まるで全ての目が卵の番人に注がれているみたい。1分だって落ち着いて考えていられない。紙に筆を走らせる暇はなおないわ。あなたが儀式のための物資を持って戻る頃には、事態も落ち着いているかもしれないけど。早く戻って来てくれたら嬉しいわ。親身に耳を傾けてくれる人がいれば、気分が全く違うもの。他の卵の番人に打ち明け話なんてできないし。

ミンメは本当に噂好きで、部族の使者になれそうなぐらいだわ。ハクサラが今の時期になるとどうするか、あなたも知ってるでしょう。ミーナは黄金の蛙の夜以来、口をきいてくれないの。彼女だってそろそろ許してくれなきゃ。

木の番人の間に動揺が走っているみたいね。面倒が降りかかって来なければいいんだけど。

ペレタインの文書

Pellitine Postings

アズラーの渡しAzurah’s Crossing

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

足に砂が触れて、彼は自分が死んだと悟った。なぜ死んだのかは思い出せなかったが、気にもならなかった。本当かどうかはともかく、よい生だったと感じた。あるべき生だった。

自分の名前は思い出せなかった。まだカジートだ。それしか分からなかった。爪に、髭に、毛皮に触れた。塩と砂糖の匂いがした。

自分に目があることを思い出し、彼は目を開けて終わりなき海を眺めた。上にも下にも古きものがいた。自分が孤独ではないと分かった。他の魂が、ゆっくりと岸から漂い離れていった。彼らを呼び止めようとして思い直した。足の指の間で砂は温かく、空は黄昏ていた。

彼は振り返って島を見渡した。一軒の家があった。ガラスと月光と真実の家だ。その方向から砂糖が匂っていたので、彼はそちらに向かって歩いた。

足元で砂が動き、しっかり歩いているとは感じられなかった。石のように見えるものに足を乗せようとすると、足元で崩れた。それでも彼は歩き、躓き、登った。階段にたどりついて乗ったが、それは透明なガラスでできていた。砂よりはしっかりしていたものの、足を踏み出すたびに信じられなかった。それでも彼は歩き、躓き、登った。光の家の扉まで来たが、開けることはできなかった。空とラティスを見上げた。母に教わった秘密、動きを思い出そうとしたが難しく、ラティスは震え続けた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

家の門が開き、彼は中に入った。彼女がいると分かった。彼女を見上げたら眩しさで見えなくなると分かっていたが、見ずにはいられなかった。彼は絶壁に座るアズラーを見上げ、そうして彼女を見た。目は眩まなかった。アズラーはしなやかで背が高く、霞んだ星のベッドにもたれていた。何も着ていなかったが、彼女のある顔しか見えなかった。その顔の目は、月のように輝いていた。

「我が子よ」とアズラーは言い、彼は自分の名を思い出した。「お前は故郷に帰ってきた」

「私は以前ここにいた」とカジートは言った。

「お前は多くの道を歩いた」アズラーは喉を鳴らして答えた。彼の足の前に薔薇の道ができ、彼女まで続いていた。「すべて私のために」

彼は薔薇の道に足を踏み出した。棘で足が傷ついた。アズラーに近づくほど、彼女は遠ざかるように思われた。彼女はどんどん高く登り、彼は薔薇の壁を登るようになった。毛皮は血にまみれた。壁の上にたどりついて身体を持ち上げると、また道の出発点に立っていた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

すると彼は、アズラーの丸めた掌の中にいた。彼女の顔は空で、目は輝く月だった。彼はそこで甘い至福の生を何度も生きた。足が再び砂に触れるまで。

今、彼は島の反対側にいた。そこは暗く寒かった。あまりにも暗く、見えるのは水が動いた時だけだった。そこに霊魂がいたとしても、闇の霊魂だけだった。尻尾が引き攣った。

彼は振り返り、再びアズラーを見た。今度は小さく、彼と並んで立っていた。彼女は月の杖を持ち、紫と黄金の絹のドレスを身にまとっていた。定命の者と違うようには見えなかった。美しく、疲れていた。彼女は彼と一緒に闇を見つめた。

カジートはアズラーの目に悲しみを見た。彼女はとても多くのものを与えてくれたが、返せたものはあまりに少なかった。「また歩く覚悟はできています」と、とうとう彼は言った。「何をすればいいでしょう?」

「小さき者、お前を闇に送らなければならない」彼女の目には涙があったが、流れはしなかった。「お前は私のため、道を作らねばならない」

彼は振り返って暗い水を眺め、水がどれだけ動いたかに気づいた。「母よ、私は何を求められても成し遂げるでしょう」

アズラーは微笑み、彼の心は喜びに満たされた。彼女は自分の杖の上から月をもぎとり、彼に向かって足を踏み出した。

「お前に私の月を与えよう」とアズラーは言い、彼の額に唇を押し当ててキスした。そして彼が月を受け取ると、それは武器に変わった。

カジートは前にあった剣を手にした。剣は月光を受けて輝き、彼はもう闇を恐れなかった。

そしてアズラーは言った。「私の子供たちを取り戻して」

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第一巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 1

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

双子月の踊りの子たち。サヴァ・コの声を聞きなさい。トルヴァル・クリアタに噂が届きました。ある古い書。アムン・ドロという古代の司祭が集めた、リ・ダッタ以前の霊魂の目録が、ペレタイン中でカジートを魅了しているそうです。民はどうやら、善悪が入り混じる強き霊魂についての、華やかで現実離れした記述に惹かれているようです。アデプトは遠くからサヴァ・コの元に来て、好奇に満ちた心で尻尾を揺らしながら、なぜこの古い聖典について教えてくれなかったのかと聞いてくる。私たちカジートは好奇心が強く、遊び心の強い民です。しかし大きな危険を秘めた話題もある。この異端の文書が軽率なジャ・カジートの心に膿のように広まるのを見て、私たちは心穏やかでいられません。だからサヴァ・コと司祭はこの反駁文を出版します。リドサーリ・ダッタの忠実な子供たちよ、広く伝えてください。

最初のたてがみの啓示以前の暗黒時代、私たちの祖先の信仰は統一されていませんでした。十六の信仰が歴史と絡み合い、全てのカジートの魂を求めて争いました。この精神の混沌は私たちを多くの道へと引き入れ、その全てが大きな危険を伴っていました。危険の証拠は、曲がった同族であるドロ・マスラを見れば十分でしょう。この罰当たりな書は、そうした暗黒時代の産物です。私たちは十六の戦争と領地の奪い合い、無慈悲な飢餓の時代に戻るべきでしょうか?いいえ、断じて違います!リドル・サールの真理により、私たちは精神的な充足以上のものを得ました。私たちは定まらぬ砂に別れを告げ、石の土台を見出しました。平和と秩序に基づく、より優れた道を見つけたのです。

この古い書は真理の薄衣の下に冒涜を隠しているため、より大きな危険を示しています。この書の言葉の多くはリドル・サールと同様で、例えば双子月の賛美、ケナーシやスレンダーのような祝福された霊魂への敬意などは変わりません。しかし、その暗い寓話は罠のように隠されています。例えば、月の獣ローカジュについての報告を見ましょう。

騒がしきローカジュの闇を、カジート以上によく知る者はいません。私たちは生の途上で、誰もが闇への呼び声に苛まれる経験をします。深い悲哀や苦痛に満ちた後悔の時、闇の心臓が脈打つ音を聞かない者がいるでしょうか?最初のドロ・マスラを私たちの英雄に祭り上げることは、信仰と理性の両方を裏切ることです。何人のアデプトが、この書のせいでナミイラに屈するでしょう?何人のジャ・カジートが月の獣を呼び出し、その真の霊魂を復活させようとして永遠の呪いに蝕まれるでしょう?獲物の財布に触れる最も確実な道が微笑から始まることは、盗賊なら誰でも知っています。微笑むローカジュは、見ることさえ危険なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第二巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 2

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

私たちの民が持つ強みは柔軟性です。私たちはダークエルフと違い、自由思想家を投獄しません。ヴァレンウッドの小柄なドングリ崇拝者と違い、サラダを冒涜だと非難しません。死して久しいアレッシアの毛を持たぬ子孫と違い、埃を被った8つの神話に魂を捧げもしません。カジートであることは、自由であること。残忍な教義と苦い自己否定から自由であることです。リドル・サールは跪いて呟くのではなく、踊り歌うのです!私たちの信仰は、歓喜と信仰に満ちた快楽と、笑顔の慈悲に根差しています。悲しいかな、この強みはしばしば冷淡な無関心へ変貌します。私たちの爪は真実から逸れ、「真実」に意味があること自体を疑います。崇拝と意見交換は停滞し、苦労の末に得る安息は子猫の怠惰に変わる。私たちの霊魂は貧しくなり、汚された霊魂はドロ・マスラの格好の餌食になるのです。

アムン・ドロの霊魂の記録は、私たちの楽天的な性質の最悪の部分を狙います。八つ爪のマファラの追加はその一例です。罪深き自殺という恐怖の事件は、マファラの闇の性質を証明していませんか。それに、潮汐の王ハーモーラーはどうでしょう。この書はアズラーが彼の友として、暗い蔵書庫の湿った廊下を歩んだと主張します。遠き母のしたことなら、私たちも倣うべきでしょうか?いいえ!ハーモーラーの助言を求めるカジートには、死よりもなお悪い運命が待っています。海からの呟きは、最も強力なスクゥーマほど確実に心を引き裂くでしょう。彼の塩辛い「真実」は私たちの現実に対する感覚を切り刻み、ジャ・カージェイから遠く離れた地を彷徨わせるのです。

また、この霊魂の記録が排除している対象も一考に値します。邪悪な存在については飾り立てた記述がありますが、愛のマーラと高貴なるスレンダーについてはどうでしょう?この古代の狂信者アムン・ドロは、彼らの名に触れてさえいません。なぜか?それはこの男の古い神学は、慈悲、謙虚、愛のような素朴な美徳を許さないからです。我らの愛するリドサーリ・ダッタは、クランマザーの物語以上のものを与えました。あの方は私たちに恩寵を賜ったのです。偉大な霊魂と宇宙的な計画がひしめき合う世界の中で、普通のカジートは疲れた手をどこに休ませるべきでしょうか?双子月の踊りです。踊りには古代の争いなど不要で、よく生きるための簡素な教えがあればいい。歓喜に満ちた生こそが、リドル・サール最大の贈り物なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第三巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 3

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

今、サヴァ・コは道のことを考えます。

古いアムン・ドロの霊魂の記録は、道徳的な行動については思いつき程度しか示していません。これは当然のことです。実際のところ、最初のたてがみの悟りは、過去の諸王国の古い物語とほぼ無関係だったのです。リドル・サール以前、司祭とアデプトは古代の予言者による古ぼけた戯言を必死に解読していました。崩れかけた広大な蔵書庫から、価値あるものを少しでも拾い集めようとしたのです。まるで真珠採りのようではありませんか!無数の醜い貝をこじ開け、中の小さな宝を虚しく求めるのです。

心に問うべきです。そんな書に頭を悩ませることが、カジートに益をもたらすのでしょうか。鎌を持ち、荷車を引き、鍛冶場で働くあなたに。こうした宇宙の大事に関する物語は、闇に落ちた時の慰めになりますか?病気の子供を食べさせるため盗みを働く時、父親があなたの犯した罪のために兄弟を鞭打つ時、異国の圧政者の支配に苦しむ時、この古い神話にどんな導きを見出せますか?こうした物語は「道」や「法」を語りますが、アムン・ドロの道とは単なる服従でしかありません。それは遠く離れた我らの母、アズラーへの奴隷のごとき献身であり、オブリビオンの最も暗い霊魂への忠誠と敬意であり、カジートをローカジュの開いた口に放り込むと脅すような、錯綜し矛盾した徳の数々です。アムン・ドロの世界とは苦悩の世界、運命と闇の歪んだ道であり、カジートはそこに崇拝の歌と恐怖の叫び以外の声を持ちません。

レレスウェアは?歓喜と良き食事、誠実な労働はどうなるのでしょう?祝福された我らが最初の者が記すとおり、リドル・サールは真の道を示しています。しかも、あなたたちがすでに知っている道です。双子月の踊りはあなたたちの心の中で渦を巻き、生まれた瞬間からずっと続いているのです。遠い過去を振り返る必要などありません。今、目の前に伸びる道を見ましょう。信心厚き巡礼たちの手で清められた道を。月の子よ、ニルニの報酬と楽園の砂があなたたちの生まれ持った権利なのです。アムン・ドロの病んだ物語を捨て、砂糖の神にふさわしく、歓喜に満ちた生を送りなさい!

アルコシュの誇りThe Pride of Alkosh

クランマザー・ヒズニ 著

アルコシュは糸を紡いでしっかりと結び合わせ、終わりなき時のタペストリーを作る。彼は裂け目やしわを見る。爪一本で彼は繊維を貫き、裂け目を捉えて下に引っ張る。すると糸は再び並ぶ。

私はこのタペストリー、固く結ばれた、終わりなき物語の糸について歌おう。誇りの家の司祭も私と歌い、声は交じり合って調和する。だがアルコシュの誇りに入る者は、垂れ下がった糸を捉えて引く、竜王の爪となるだろう。

彼らは暗い蝕に生まれた子として、私たちの元へやってくる。彼らは忘れられたたてがみであり、支配せぬ定めにある。私たちは彼らに目的と導きを与える。私たちはアルコシュの言葉を歌う。その知恵が彼らの心に、砂時計の砂のように積もることを願って。この秘密の守り手たちは、アルコシュの誇りに加わる。

アルコシュが顔をしかめる時、彼らは立ち上がる。エルスウェアが泣く時、彼らは戦う。そして彼らの息が絶える時はケナーシが現れ、彼らを星の裏の砂場の彼方へ導く。

アルコシュの勇者の歌Song of Alkosh’s Champion

目の前に広間が広がる
我が心は未だ試されん
これが運命だと知る
誇りを持って歩まん

導きの風に押され
行く手に広がるは闇
糸は解け始め
飲み込むべきは恐れ

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

賢く風に乗った
歩みを止めることはない
勇敢に闇へ対峙した
ランターンを道標に

糸が全て紡がれる時
私は力を得る
終わりなき者の前に立つ時
その強さに頭を垂れる

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

聖なる仮面と誇りの道
誇りの道、誇りの道

時の砂を正そう…

ヴィジャリの具合が悪いのVijari is Unwell

姉さん、

カイシュカを助けて。ヴィジャリを失いそうなの。彼の心は日を追うごとに離れ、意志が自分のものではないように思える。カイシュカは彼を失う覚悟ができているつもりだったけど、こんな風にではない。何かがおかしいの。ヴィジャリの生命の壁への旅を遅らせるため、できることは全部やった。でも、まだ足りない。お願い、アダーラハイ。彼を助けて。

カイシュカ

エルスウェアに恋して、1ページElsweyr My Love, Page 1

エルスウェアに恋して:台本

登場人物
ユリウス・クルイリウス、インペリアル指揮官
ティゲリウス・ファルコ、高潔なインペリアル兵士
シャシャラ、緑の目をした美しいカジートの踊り子

アクト1、センシャル宮殿

ユリウス・クルイリウス[命令口調で]:緑の目の者を私のところへ呼べ![ワインをすする]

シャシャラ[優雅にお辞儀。絹のスカーフが微かに揺れる]:帝国軍の名高い指揮官が、卑しいカジートの踊り子に何をお望みでしょう?

ユリウス・クルイリウス:お前は美しく優雅だ。インペリアルではなく、猫に生まれついたのが残念だよ。

シャシャラ:[目を下に向けたまま]:…お褒めいただき、感謝いたします。

ユリウス・クルイリウス:よろしい。そばにいてもらおう。私の足元に座ってよいぞ[シャシャラは優雅に座るが、目は逸らしたまま]

エルスウェアに恋して、5ページElsweyr My Love, Page 5

ユリウス・クルイリウス:[自慢気に、有頂天になって]「…そして私、ユリウス・クルイリウスは、こうして帝国の司令官の地位を手に入れた!」

シャシャラ:[あくびを噛み殺しながら]「とても劇的な戦いの物語です、司令官。ああ、詩人がリュートを調律しているようですね。広間にいる皆様のところへ戻ったほうが良いでしょう」

ユリウス・クルイリウス:[ワインを飲み干し、シャシャラの腕に手を伸ばし、流し目で]「いや、違う戦いの時間だ」

シャシャラ:[クルイリウスが掴もうとする手を上品に避けながら]「この者はそのようなカジートではありません、司令官。侮辱なさいませんよう」

ユリウス・クルイリウス:[敵意を持って]「侮辱だと?私を誰だと思っている!」

エルスウェアに恋して、9ページElsweyr My Love, Page 9

シャシャラ:[勇敢に]「シャシャラは野営地の商売女ではありません。あなたの言いなりにはならない。手を離しなさい、司令官!」

ユリウス・クルイリウス:「ハハ!この猫め!無関心と高慢を装っているが、どんな女も、猫女でさえ、このユリウス・クルイリウスを拒むことはできない!」

[ユリウス・クルイリウスはシャシャラにキスしようとするが、彼女は猫の鳴き声を上げ、顔を引っかき押しのける]

ユリウス・クルイリウス:「ほう!威勢がいいな!」

[シャシャラは高級ワインの瓶でユリウス・クルイリウスの頭を叩き、瓶が割れる。彼はよろめき、呆然となり、混み合った酒場に消える。シャシャラが裏口から出ていくと、笑いが起きる]

ユリウス・クルイリウス:「ユリウス・クルイリウスを笑うとは、許さん!」

[クルイリウスが出ていき、みんなさらに笑う。怒りと恥はさらに増す]

エルスウェアに恋して、16ページElsweyr My Love, Page 16

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ?さっき酒場に寄ったんだ。前に話していた本を持ってきた。君も欲しいんじゃないかと思って」

シャシャラ:「親切に感謝するわ、ティゲリウス。シャシャラは、あなたの贈り物を受け取れない。私は…」[言葉を止め、泣きそうになりながら去る]

ティゲリウス・ファルコ:[心配そうに、独り言]「素敵なシャシャラに、何が起きたんだろうか?いつもなら本の話をするのが好きなのに。彼女は美しく、頭もいい」

ティゲリウス・ファルコ:[退出しながら、叫ぶ]「シャシャラ、待ってくれ!」

エルスウェアに恋して、19ページElsweyr My Love, Page 19

ティゲリウス・ファルコ:[英雄らしくひざまずく]「私の大切な、柔らかな毛のシャシャラ、君が泣くのを見るのはつらい。この心は、君のものだ」

シャシャラ:[激しく泣く]

ティゲリウス・ファルコ:[寂しそうに立つ]「分かったよ。君のような素敵な女性が、身分の低い帝国の兵士と時間を無駄にするのは間違っている。つい気持ちを告げたこと、どうか許してほしい」

シャシャラ:[去ろうとする彼を、上品な仕草で手を伸ばして止める]:「違うの、愛しいティゲリウス!あなたの言葉は、シャシャラに寂しさと喜びの両方をくれた。一緒にいて、お願い」

エルスウェアに恋して、26ページElsweyr My Love, Page 26

ティゲリウス・ファルコ:シャシャラ、君の緑の瞳はとても緑で…まるで緑の宝石のようだ!」

シャシャラ:「素敵なティゲリウス、あなたと離れたくないわ」

ティゲリウス・ファルコ:「君の気高さは神々からの贈り物だ、シャシャラ。君のためなら、何でもしよう」

シャシャラ:「帝国の軍を抜けること以外はね」

ティゲリウス・ファルコ:[動揺して視線を逸らし]「帝国軍は、大切な場所なんだ。帝都の路上にいた孤児を受け入れてくれた」

エルスウェアに恋して、36ページElsweyr My Love, Page 36

ユリウス・クルイリウス:[厳格に、冷酷に]「行け、ティゲリウス。街を焼き払え。特に、酒場をな」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官、お言葉ですが…街も住民も、何も問題を起こしていません。なぜ焼き払うのですか?」

ユリウス・クルイリウス:「お前は兵士だ、私の指揮下にある。命令に逆らうつもりか!」

ティゲリウス・ファルコ:[敬礼する]「仰せのままに」

[ティゲリウス、ハンサムな顔に不安な影を落とした顔で去る]

エルスウェアに恋して、42ページElsweyr My Love, Page 42

シャシャラ:「ティゲリウス!ここで何をしているの?どうして松明を持っているの?」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官の命令で、街を焼き払う。特に酒場を。本当にすまない。君の仕事場なのに」

シャシャラ:[激しく泣きながら]「ユリウス・クルイリウスは、この街の罪のない人々を傷つける命令を出したの?シャシャラのせいね。司令官のいやらしい誘いを断ったから。友達に警告しなくちゃ!」

[シャシャラが走り去る]

エルスウェアに恋して、44ページElsweyr My Love, Page 44

ティゲリウス・ファルコ:[独り言]「命令に従うのか、それとも背くのか?兵士はどうしたものか」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし心の声に従ってシャシャラと街を救えば、司令官の命令に背くことになる。そうすれば、私は死刑に処される」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし帝国の兵士として命令に従えば、シャシャラを失うことになる。シャシャラからの敬意と愛は、自分にとって全てだ。だが、兵士としての名誉も、とても大切なものだ」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「だが、愛しいシャシャラにいやらしい真似をしたユリウス・クルイリウスに、名誉はあるのか?帝国に利をもたらさない命令なら、司令官に逆らうことが名誉なのではないか?」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「頭が痛い」

エルスウェアに恋して、52ページElsweyr My Love, Page 52

ユリウス・クルイリウス:「ティゲリウス・ファルコ、命令に背いたな。だが、この命令には逆らえないぞ。お前を処刑する!」

ティゲリウス・ファルコ:[拘束されて]「私は正しいことをした。あなたが街を焼き払えと命令した理由は、自分が…」

ユリウス・クルイリウス:[ティゲリウスに叫ぶ]「射手!構え…撃て!」

シャシャラ:[走ってきて、ティゲリウスの前に現れる]:「やめて!」

[矢はシャシャラに浴びせられ、ティゲリウスの足元に崩れ落ちる]

ティゲリウス・ファルコ:[恐ろしい声で]「シャシャラー!」

[ティゲリウスが、シャシャラの隣に膝から崩れ落ちる]

シャシャラ:[苦しみながら]「私たちは…結ばれる…運命ではなかった。きっと違う時代…違う場所で。愛しているわ」
[シャシャラが死ぬ]

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ!」

ユリウス・クルイリウス:「射手!撃て!」

[矢がティゲリウス・ファルコを撃ち抜く。彼は崩れ落ち、死ぬ]

ギャンブラーの技The Gambler’s Art

やあ、我が友よ、座ってくれ
甘いものでも食べて、一緒に楽しもう。
耳がくすぐったくなった
近くに来て「お金はちゃんと持ってきた」と言うから。

かっこいい腰からコインの音がして
勝ち取る富の歌を歌う。
たてがみを下ろして、一緒にゲームをしよう。
まさに始まったばかりだ!

コーラス:
賭けをしよう、賭け金を上げよう
小銭で塔を建てよう。
運命を賭け、富を放り投げ
リスクを冒せば、成功できる。
道に放り出されたとしても
真のカジートにはなれる。

分かるよ、我が友、勇気があるな
でも幸運が足りない、その手では勝てない。
もしこの悲劇的な敗北に
怒りを感じているなら、何か負けた原因がある。

勝てないカードに
こっそり細工したね
でもこの猫の目は、ごまかせない
次はもっと慎重に。

コーラス:
ギャンブルをしよう、だが、君は終わりだ。
破産したんだから、尻尾を巻いて逃げろ!
罵るのも吠えるのもなしだ。
嘲笑やわめき声を受けるといい
次にカモられる時は
うまくイカサマできるようにね。

クランマザー・タダリからの手紙Letter from Clan Mother Tadali

クランマザー・ヒズニへ

ドラゴンが解き放たれたという話は、きっとあなたの耳にも届いているはずです。ドラゴンたちは世界の深淵に眠る兄弟を探し求め、東から来た悪魔さえも解放しました。私もあなたもこの日が来ることは知っていた。これが何を意味するのかも。

東から来た悪魔は常にそう記された通り、アルコシュの霊魂に満たされた戦士によって滅ぼされねばなりません。この古き戦いを終わらせる時が来たのです。それがずっと、アルコシュの誇りの目的だったのですから。

あなたの選ばれし戦士が準備を整えていることを期待しています。失敗はできません。

クランマザー・タダリ

クンザ・リと迷子のアルフィクKhunzar-ri and the Lost Alfiq

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ある日、太陽が一番高い位置にある時、クンザ・リは道の脇から弱々しい声を聞いた。

「どうして家を離れてしまったんだろう?」声は言った。

「なぜ家にいたい?」クンザ・リはその声に向けて、質問を返した。

「ああ!見つかっちゃった!」

そして、小さなアルフィクは見つかってしまった。クンザ・リは片手ほどの震える塊を調べた。絡まった毛並みに、イガや小枝やあれこれが刺さっていた。「遠くから旅してきたのか?」

「ええ。聖堂に送られる前に世界を見たかったの」

「それは尊敬に値する、小さな者よ。でも、なぜ家を離れたことを悲しんでいる?」

「迷子になってお腹をすかせてるからよ」

「ああ、空腹はすぐに解消できる」そしてクンザ・リは若いアルフィクの前に美味しいフィッシュケーキを置いた。「迷子については考えてほしい。今はいるべきでない場所にいると思っているのか?」

食べながらアルフィクは言った。「いるべき場所ではないと思う。ここがいなければならない場所だったら、きっと分かるでしょう?」

「そうとは限らない。迷ったと思うのは、恐怖や混乱に襲われていたからそう思えるのかもしれない。代わりに、どんなふうに世界を見たいのか考えてごらん…ほら、ここでも世界を見ていることになる」

「私が迷子なのは、迷子だと考えているからに過ぎないと言っているの?私は今望んでいたことをしているから、迷子ではないって?」

「それを決めるのはお前だ。それだけだよ!」

「なら、私は迷子じゃないわ!」

クンザ・リはクスクス笑った。「よかった、迷子でない友よ。しばらく一緒に私と旅をしないか?私も今は、世界を見たくてたまらない」

そして若いアルフィクはクンザ・リと同行し、2人は多くの冒険を一緒に楽しんだ

サイ・サハーンへTo Sai Sahan

サイ・サハーン、

エルスウェアに解き放たれたドラゴンの怒りについて手紙を交換し始めてから、再結成されたドラゴンガードと、手を組んだドラゴンの知らせをずっと待っていた。素晴らしい業績だ。私がいなくても達成できるとは思わなかったが。

大切な話がある。私の側の調査で、南エルスウェアへの脅威が発見された。現在、ドラゴンガード聖域に向かっているところだ。友人も同行している。ドラゴンと一緒に到着を待ってほしい。時間がない。急ぎ動かなくてはならない。

もう一つ。我々の共通の友人と一緒に動いているようだな。アネクイナの勇者にして、ドラゴンガードの誇りだ。一緒に呼んでおいてくれ。この危機に立ち向かうには、協力してもらう必要がある。伝えてもらっては困るが、北エルスウェアで共に動いた時には驚かされた。ああ、そうだ。私でさえ、お前と同じように驚かされたのだ。

間もなく南エルスウェアに到着する。待っていてくれ。

アブナー・サルン

さまよう霊魂The Wandering Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ

アカ。最初の猫であり、道を探す者、および嘆かれざる者として知られている。オーナールとファドマイがまだ愛し合っていた最も早い時代、彼は天空を探検し、その辿った跡が多くの道になった。アカはオーナールが愛した息子であり、オーナールは自分がファドマイを見つけたように、愛する者を見つけよとアカに言った。アカは東の翼をもつ蛇、西の砂丘の女王、そして北の母なるマンモスなどと結婚したことが知られている。彼はそれから南へ行き、二度と戻らなかった。その代わりにアルコシュが現れ、アカが多くの道の途上で作り出したものについて警告を発した。それ以来、アルコシュとその忠実な部下たちはアカの多くの子供を見守っている。彼らは恐ろしく、また優しいからである。

アルコシュ。竜王。高きたてがみ。彼は多くの道の途上にあるアカの無数の王国の支配を譲られた。時が経ち、アカの子供たちはアルコシュを打倒し、その体を西風に乗せてばらまいた。ケナーシはこのことを知ると、空を飛んで多くの道を通り、アルコシュを元に戻したと言われている。その際、ケナーシはアカが作った全てのものを見て、その中には作るべきでなかったものも含まれていたことを見た。今、アルコシュとケナーシは多くの道をアカの道を外れた子供たちから守っている。アルコシュの力やその強烈な咆哮のためではなく、義務と目的のため彼に祈るべきである。

アルカン。鱗公。炎と影の悪魔と交わったアカの第一子。彼は殺した者の魂を貪り、大変な大きさに育った。歌によれば、彼はローカジュとその仲間に殺されたが、アカの不死身の息子として、時が来れば多くの道から戻ってくるという。アルカンはアルコシュ、ケナーシ、ローカジュの敵であり、常に王冠に飢えている。

ボエスラ。東と西の戦士。彼女はマファラの伴侶であり、マファラはオーナールがボエスラをその反抗的な性質のため追放に処してからも、彼女への愛を忘れなかった。ボエスラは追放されて多くの道を歩き、戻ってきた。マグルスから目を引き抜いたのはボエスラであり、これを理由として、カジートは爪と共に剣も大切にする。真の猫はボエスラに祈る必要はない。ただ道を歩み、飛び掛かるために身を隠すことによって、この霊魂を称えられる。亡霊の月の夜に彼女の名を呼ぶことは禁じられている。この時期のボエスラはローカジュの死衣をまとい、ラティスの彼方へ向けた争いを始めるからである。

マファラ。教える母。古代の霊魂であり、ファドマイの古い秘密の番人である。それは彼女の子供たちが最初の時にのみ必要とした秘密であり、それを伝えたのはマファラである。彼女は多くの道のうち8つを見守り、カジートは時が来れば、それぞれを歩まねばならない。マファラはカジートを道へ案内するクランマザーを助け、我々の秘密を他者から守る。彼女はアズラー、ボエスラ、ローカジュの味方である。彼女の数字は8と16であり、これらはマファラの二本の鍵である。

ジサードのメモJ’saad’s Note

愛しのアディンバへ

残念だ。私の聞いた声が私の心の中にしかないことを、お前が望んでいたのは分かっている。私が知覚した姿が、私の想像であることを。だが、そうではない。あの幻視、私に話しかける声はそれ以上の何かだ。

神聖なる存在が、この石を通じて私に話しかけてくる。なぜ私なのかは分からないが、声は強くなるばかりだ。声と共に、まばゆい光が現れる。不思議な幻視も。彼女は自分の光を運ぶ騎士を、もう1人探していると言っている。彼女を裏切らない者。以前の過ちを正す者を。

何を意味しているのかははっきりしないが、私は彼女の試練を受けねばならないのだと思う。他の者たちが失敗したことに、私は成功しなければならない。

旅が終わったら、ブラックハイツにいる君のところに戻る。真実を見せよう。君にも光が見える。皆に光が見える。

ジサード

ジャダスサールの手紙J’daththarr’s Letter

兄弟へ、

もうここにはいられない。センシャルにいる難民は我々だけじゃないし、人混みは苦手なんだ。自分の空間が必要だ。食料を、きれいな水、服を求める人々と一緒にいると気分は最悪だ。求めてばかりだ。お前には神経質だと呼ばれてきたが、過剰な感情移入という方が正しい。自分が見つけた食料を、自分より必要な人へ渡さずにいられない。これを始めてからだいぶ体重が減った。状況はさらに悪くなるだけだ。他の人々が食べていないのに自分が食べる罪悪感が続く限り、生きていけない。自分はこの食料を本当に必要としているのか?たった今街にやって来た人より?ドラゴンの攻撃をどうにか生き延びた人々より?この思いがずっと続く限り、食事ができない。誰もが食料を必要としていると感じる。誰もが多くを望んでいる、それを感じて、自分の力で他人を助ける重荷で死んでしまいそうだ。だから、ここを離れる。

北のリンメンに向かっている。そこからどうなるかは分からない。おそらくどこか港町を経由してサマーセットへ行く。だが、ハイエルフたちが助けてくれないことは分かっている。同時に、冷ややかで傲慢な彼らに囲まれて、少しは落ち着けるかもしれない。共感の欠如が、大きな苛立ちを生むまでは。

剣も強く振れるし、弓の扱い方も知っている。安全に旅ができるはずだ。いずれ手紙を書くよ。約束する。お前は、ドラゴンとの戦いに参加するべき存在だ。心から幸運を祈る。できるなら、全滅させてやれ。あいつらに愛は何も感じない。あいつらがもたらすのは、破壊だけだからな。

愛を込めて、
ジャダスサール

シルナマへの手紙Letter to Shirnama

シルナマへ

雇用する者はもっと厳選しなくてはならない。我々がセンシャルで力を増すにつれ、ますます多くの者が来たるべき嵐から逃れるために加わっている。弱虫で技術もない凡人など不要だ。お前が探すべきは戦士だ。

ブラック・キエルゴの地下闘技場なら、我々の求める人材を輩出するはずだ。最高の戦士だけを選び出し、我々の要塞へ招くのだ。私を失望させるな。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る
ラカジン

セローへの手紙Letter to Selloe

セローへ

オーベリック・デュフォンから連絡を受けた時の、私の驚きを想像して。彼は次の催しの入場トークンについて、とても心配しています。私の記憶が正しければ、あなたの役目は彼に相応しい威厳を保ちながら、参加証を送り届けることだったはずです。記憶が誤っているはずもありません。彼は私たちの顧客に加えるべき候補者の中でも裕福であり、最大限の注意を払うべき相手よ。

もし簡単な仕事も、次の催しのために適切な候補者を勧誘することもできないのなら、私に連絡しなさい。どちらの任務についても、十分にこなせる者が他にいるでしょう。

サマーセットのギシリアネ

センシャルからの脱出Fleeing Senchal

今日、センシャルから逃げ出した。あんなことが起きた後で、そこにいることに耐えられなかった。ナハテン風邪だけでもひどかったのに、あの炎だぞ?呼吸も、とてもつらい。

あのことを考えるたびに吐き気がする。くしゃみをする時は大体煙のせいだが、鼻を覆えば自分の毛皮が暗くなる。

我々は皆、心に闇を抱えている。自分たちのしたことで。止めようとした者も同じだ。我々は失敗した。闇は我々が吸う空気よりも暗い。我々の魂が光を失った。いや、縮んでいるのかもしれない。

これから我々は、世界に加えたこの破壊と生きていく。ナハテン風邪?恐ろしいことだ。だが、それ以上にひどいことをした。我々がやったんだ。我々の責任だ。何と傲慢だったのか!それにとても恐ろしい。ひどい行いだ。我々を汚した。

だが、今いる場所から始めよう。祖母ならそう言うだろう。今いる場所から始めよう。

炎の形を与えた闇があっても、我々は先に進まなくてはならない。

だからセンシャルを離れる。死臭と破壊を置き去りにする。壁の外で、出会う人すべてを治癒する。センシャルの近くには、絶対にいられない。いるだけで耐えられない。だが、外に出れば治癒を行える。おそらく、いずれナハテン風邪にかかるだろう。かからないかもしれない。自分ではどうしようもない。

ジス。もういい。

* * *
忘れる前に書き留めておこう。火事から数週間が経った。センシャルに戻ることはできない。センシャルの一部にはなれない。だが、壁の外で放浪している集団と出会った。お互いを守り合い、食料を探し回り、できる限り集団に受け入れている。見つかった物資を使って、全員を治癒している。この地は期待するほど寛大ではないが、治癒に使えるハーブがあちこちで見つかっている。

だが、私がこの記録を書いている理由は異なる。ここ数日、誰もナハテン風邪で死んでいない。治った者もいる。助からなかった者もいる。だがここ数日、誰もナハテン風邪にかかっていない。北に向かって、アネクイナのいわゆる野蛮人たちが、センシャルの「文明的な人々」よりも親切かどうか、確かめに行ったほうがよさそうだ。あるいは、より恐怖や傲慢に駆られた行動を見ることになるかもしれない。自分ではどうしようもない。

今いる場所から始めよう。前へ進め。一歩一歩、確実に。

* * *
ジス!あれから…何十年経っただろう?この小さな日誌に自分の痛みを書き留めて、隠れ家に隠したことを忘れていた。あれは暗い日々だった。あの頃は、ナハテン風邪の他にも苦労があった。恐怖や飢えと戦っていた。大地に頼り、大地と我々を破壊することなく生きていた。だが、全員が共有していたことがある。より良い存在となり、より良い行動をし、もっと共感を持ち、親切になり、辛抱を学ぶ。そうする必要があるという意識だ。他者、何より自分たちに対して。

そう、旅をしている間は長く破壊から解放されなかった。悪行もたくさん目撃した。できる限りその埋め合わせを試み、ある程度は成功した。望んだほどではなかったが、重要なのは努力であり、結果ではなかった。

この小さな本を拾った誰かが、この言葉を忘れずにいてくれることを期待して置いていこう。今いる場所から始めよう。どんな時も、とりわけ想像しうる最悪の事態に直面した時こそ、それが唯一できることだ。今いる場所から始めよう。

リーファ、旅の治癒師

センシャルの盾The Shields of Senchal

センシャル市評議会、年代記編者ジリ 著

ナハテン風邪は、帝国が南エルスウェアと呼ぶペレタインを荒廃させた。多くのカジートがこの恐ろしい病に倒れた。センシャル総督であり、ペレタイン貴族のほとんどと同じようにアネクイナ王家の忠実な家臣だったザル・タスルズもその1人だ。17年間、センシャルはタムリエルの他の地域から切り離され、自ら生き延びざるを得なかった。他人と協力する余裕はなかった。

正当な指導者の死によってできた空白を埋めようとしたのは、海賊、密売人、略奪者、盗賊だった。センシャルと周辺の地方には、死、破壊、炎、抑圧の暗い時代が訪れた。私たちは生き残るために、強く賢くなる必要があった。我々がエルスウェア中でより洗練され、教養ある集団だと自負してきたことを思えば皮肉だったが。

ついに助けはやってきた。帝国の軍団として。正確に言えば第十三軍団だ。アクィラリオス皇帝はルビーの王座について間もなく、レンムス将軍と軍団兵を派遣した。それは崇高な意思表示だったが、皇帝が消え帝国が崩壊すると、将軍と兵士は取り残されてしまった。しかし、彼らは持ち場を放棄しなかった。そして表面上の秩序を取り戻し、センシャルをこれまでよりずっと安全な場所にしてくれた。ドラゴンが戻ってくるまでは。

レンムス将軍は無法地帯に秩序を取り戻した。軍事独裁者になり、市民を抑圧することも拒否した。元々は彼らを敵対的で信頼できない存在として扱っていたが、我々は次第に彼らを尊敬するようになった。彼らに新しい名前を授けさえした。センシャルの盾と。その名はすぐに広まった。彼らの保護によりセンシャルは再建を開始し、昔のような場所に戻った。違法な活動は陰に追いやられ、秩序も若干回復した。将軍は私たちが街に必要なことをより良く管理できるように、評議会を結成する手助けさえしてくれた。

彼らはカジートでないかもしれないが、彼らの心は常にセンシャルや民と共にある。彼らは私たちの盾であり、私たちは彼らがこれまでにしてくれたこと、これから私たちにしてくれることすべてに感謝している。この者はただ、彼らがドラゴンの怒りから私たちを救ってくれることを信じ、祈るばかりだ

センシャルの大火The Burning of Senchal

陽の光は差しているのに
過去の闇が悲しませる。
炎が皆の息を止めた後
私は全ての死を嘆きながら立った。
そして私に何が起きたか?
それは言えない。

月が照らした時、
私は悪い道を歩くことを選んだ。
星の輝く空から、
月の寂しい輝きが死を目撃した。
そして私に何が起きたか?
あえて言わない。

生き延びなければならぬ。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が取り囲む中で。
だが、望みが全て消えたのに繁栄できようか?
残されたのは悲嘆と、浅い墓穴だけだ。
闇は進み続ける。
何ができる?生き延びるだけだ。

数十年が経った。我々はどうなった?
悲惨な死の試練の後で。
高すぎる代償を払ったのか?
全てを知りながら、歩み去ることの。
そして我々に何が起きたか?
誰も言えない。

我らは生き延びた。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が我々を捕らえた時に。
だが、あんな代償を払って繁栄できようか?
今の我々は何者だ?あえて言わない。
闇は進み続ける。
何ができる?我々に何が起きた?

センシャルの歴史:概要History of Senchal: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

私を育て、ナハテン風邪に倒れてしまった者たちへ捧ぐ。あなたたちは生前、この者に命を吹き込んでくれた。

センシャルの歴史を調べる者にはいくつかの課題が立ちはだかる。センシャルの起源そのものが、カジートの部族によって歌や口承で伝えられてきている。さらに様々な混乱の時代に侵略を受け、記述された伝承が失われるなど、数々の厄災も学者たちの困難を増大させている。しかし、この者はセンシャルの歴史を簡潔にまとめた資料を入手できた。ただし資料の特性上、以下の文章を読むにあたっては、恐ろしい鳥の隣を通り過ぎるような注意が必要とされる。

センシャルの成立

現在のエルスウェアにおける初期のカジートは、16の部族に分かれており、それぞれが異なる役割を果たしていた。現在センシャルのある場所は、船の建造や航海を得意としていたセンシャル族が好んで船を着けていた場所である。

貿易が活発化すると、カジートは住居や商業施設などの建造物を作った。初期はたびたび火災によって破壊されたため、石を使用するようになった。この頃、商人や貿易関係者、襲撃者などの階級制度が成立を始めた。ここから悪名高きブラック・キエルゴ区域(ラジーンの出身地だと噂された場所)が生まれ、襲撃者や盗賊の巣窟となった。街の他の部分も階級ごとに区分けされ、その中には族長の住居もあった。

スラシアの疫病

芽生えたばかりのセンシャルの街は、第一紀2260年にスラシアの疫病が流行するまで成長を続けた。一部焼失した、著者不明の日記にはこう記されている:

「…スラシアの疫病で多くが死に、残りは皆が混乱している。この者は逃げるべきだと思うが、門が閉ざされている。密売人のトンネルは燃え、ブラック・キエルゴの者たちは閉じ込められている。皆が焼け死ぬだろう。どんな極悪人でも、そのような死に方をするなど考えたくもない。その炎が現存する木造建築へと、さらにそこから石造の建物へと燃え移ることも心配だ。すでに煙で息ができない。濡らした布で口を覆っても効果は知れている。火を放った者たちが憎い。生き残った我らまでもが殺され…」

最後の一文は疫病のことを指していたと思われる。著者の予想通り炎は広がり、可燃性のものは燃え、石は焼け焦げた。誰も生き残れなかっただろう。この火災の後、センシャルは大規模な再建を余儀なくされたと様々な資料から推測される。

センシャルの再建

その後数十年かけて街は再生し、建物を再建しながら社会的な構造も固めていった。ブラック・キエルゴは盗賊や襲撃者など無法者たちの安息の場であり続けた。疫病の後はペレタイン全体の政治構造も変化し、街の支配者が地域全体を統治するようになった。ブレトンや帝国の影響から部族の固有性は完全に失われ、センシャル社会の中で個人の役割が尊重された。この時期のペレタインの支配者たちは安定を重要視し、「公平」や「正当」とは思われないような行動もとった。

中でも一人、帝国との繋がりが特に目立つ支配者がいた。ドローゼル王である。第一紀2920年、吟遊詩人の歌を聞いた彼はモラグ・バルを召喚しギル・ヴァ・デールの街を破壊させた。その後ほどなくして、皇帝レマン・シロディール3世の新しい相談役となった。レマン3世が没し、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが支配者となるまで帝国との繋がりは強まり続けた。さらに第二紀309年、ペレタインのエシタとアネクイナのキールゴの婚姻によりエルスウェアが誕生して、政治情勢は大きく変動した。

そして第二紀324年、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが当時滞在していたセンシャル宮殿にて、正体不明の暗殺者によって殺害される有名な事件が起きた。

近年の出来事

ヴェルシデュ・シャイエの死後、さらに事件が起きた。カジートの反乱軍がエルスウェア王家の大半を惨殺したのである。センシャルの市民たちは強固となっていた伝統や社会構造を守ることに努め、第二紀565年にナハテン風邪が流行するまで、一般市民の生活はほとんど変わらなかった。

資料によるとナハテン風邪はブラック・キエルゴから発生し、スラシアの疫病と同様、最終的には火による解決が試みられた。恐怖に取りつかれた市は、その昔センシャルを破滅へ追いやった行動を知らずに繰り返したのである。ナハテン風邪だけではなく、炎や煙からも多くの死者が出て、今日のセンシャルはかつての栄光を失ったままである。

現在は帝国軍が駐在し民兵のように働く中で、カジートはまたも再建を目指している。シロディールの現状を考えると、カジートとインペリアルの協力体制がどのような結果を生むか、楽しみにしている。

トゥロからの手紙Letter from Turo

親愛なるダイニへ

私はここサウスガードにおけるお前の悪戯に対して、できるだけ見てみぬふりをしてきた。お前の父親に免じて、お前を妨害することもなく、元の家に残らせてやった。だが最近、お前が私の労働者や資産を襲撃したため、罰さないわけにもいかない。

私はお前の仲間たちを手中にしている。大部分の者は首に縄をかけられることもなく、奴隷として生きるだろう。これも私の親切の表明だ。だがお前の弟は、お前が即座に出頭しない限り絞首刑になる。猶予の余地も、交渉の余地もない。

こうしなければならないのは残念だ。速やかに降伏するように。お前の弟を見習ってな。

敬具
トゥロ

トゥロの貨物目録Turo’s Cargo Manifest

トゥロの砦に配送する全ての品物だ。途中で休まず、商品の損傷や紛失は全て明確に記録するように。トゥロは無能者を容赦しない。

目録:

上質な絹10反
アルトワイン12本
上質な陶器壺15個
アネクイナ・スパイス8袋
コロヴィア穀物30袋
6箱の—

〈残りの文書は引き裂かれている。おそらく、恐ろしい鳥の仕業だ〉

トパル軍団兵士官学校Topal Legionary Academy: A Khajiit’s Summary

勤勉なるザーギット 著

この者はトパル軍団兵士官学校で何度か研究をしていた。(生前の)内部の者に、この場所の歴史について聞いたこともある。士官学校の現状を見ると、ザーギットは行く気になれない。いつか行こう。だが今は、士官学校について知っていることを書いておく。

元々は単なる帝国のベースキャンプで、その時の状況にぴったりの場所だった。帝国はここで皇帝のため、何年もかけて地形を研究した。どの皇帝だったかは記憶にない。士官学校の本のどこかに書いてあったはずだ。この件に関するこの者のメモは混乱している。研究の目的は教えてくれなかったが、おそらくカジートの地を奪い取るための研究だったはずだ。帝国は、いつの時代も帝国だ。

やがて帝国は、ザーギットに教えられない理由で、ここに要塞の建設を開始した。数世代の間、ここはこの区域で活動する帝国軍の単なる避難所になっていた。だがある指導者が、可能性を秘めたインペリアルを訓練するための場所に変えるべきだと決意した。こうしてトパル軍団兵士官学校が誕生した。

それから数世代の間、トパル軍団兵士官学校は帝国軍人の間で名誉ある地位を獲得した。運営資金は幾つかの家が提供していた。初期はこの区域に派遣されたインペリアルの兵舎としても機能を続けていたが、資金が提供され精鋭を訓練する必要性が高まったことから、兵士の移動のために使われた場所は、完全な学校に変わった。

卓越した訓練の伝統は、ナハテン風邪によって中断された。士官学校の命運は、疫病との戦いで尽きてしまった。なお、この学校はスラシアの疫病を生き延びていた。指揮官の話によれば中に自ら閉じ込もって、感染せずに生き残れたという。残念ながら今回は決断も虚しく、ナハテン風邪が広く蔓延し、士官学校も終焉を迎えた。

現在、この地のカジートはこの場所がナハテン風邪の犠牲者の霊魂に呪われていると言う。だが、魔法の使い手たちはこの場所が「アルケインか呪い」によってこの地を悩ませているという。彼らは近づいてそれが何なのかを判別することはない。「どうして放棄された要塞なんて呼ばれる場所に行くんだ?」と言っている。

こうした警告は受けているが、この者はあの豪華な蔵書庫に入って、さらに研究を進めるため書を何冊か持ち出したい。だが、誰もこの者に同行しようとはしない。ザーギットは、もっときちんとメモを取っておくべきだった。できれば、この過ちを正したい。きっといつの日か。

ドラゴンの種類:初期研究Varieties of Dragons: An Initial Exploration

ブラック・マーシュのアクスルシャ 著

ヒストへの潜在的な脅威に対して備えるため、南エルスウェアのドラゴンについて研究することにした。ここで述べるのは私の観察したドラゴン2匹の外見、食生活、日常的な習慣、戦闘技術に関する記録だ。単純化するため、2匹は色で分類した。

赤いドラゴン
センシャル在住の者と話した結果、現在エルスウェアで活動しているドラゴンにはある種の権力構造があることを理解している。これはドラゴンについて読んだ伝承を考慮すると珍しいことだ。だからこそ私が数日間観察した赤いドラゴンが、南エルスウェアで狩りをしていた様子は注目に値する。明らかに、どんな組織にも属していなかったからだ。この大枠の観察に加え、詳細に関してまとめた記録は下記の通りである。

外見
深紅の重なり合う鱗に包まれた赤いドラゴンの外見には艶がある。仰々しい角はなく、それには驚かされた。すべてのドラゴンは雄牛の角のように捕食相手を突く角を持ち、ぎざぎざしているという先入観があったせいだろう。目は黄色く、瞳孔には細長い切れ目が入っていた。

食生活
赤いドラゴンの主食は肉のようだ。どんな時も植物を食べる姿は見なかったので、肉食動物に分類されると考えて間違いないだろう。食物連鎖の頂点にいる捕食者として納得できる。好きな食べ物は?特定の好みには気づかなかったが、時々ドラゴンは知的な捕食相手に対し、目の前に挑戦を差し出された狩人のように振る舞った。特に挑戦を挑んできた狩人2人を相手にした時は楽しそうだった。ドラゴンは1人が幸運にも矢を当てるまでもてあそんだ。そしてその後、さっさと戦いを終わらせた。

日常的な習慣
食事の他、このドラゴンに一定の習慣は見つからなかった。睡眠を必要としているかどうかも判然とせず、必要としないならさらに危険な存在となる。しかし目撃した例はあまりに少ないため、たまたま不眠型で決まった活動時間の好みがないドラゴンに当たっただけかもしれない。食習慣は無作為だったものの、きっと最後にどれだけ食べ、どれだけが消化プロセスにあるかによって変動するのだろう。

戦闘
大きな角がないため、ドラゴンは知的な捕食相手に対して爪、咆哮、翼、尾に頼って攻撃した。動物に対しては、欲しい相手を単に掴んで叩きつけて食べた。このドラゴンは炎を使った攻撃を活用し、炎の精霊のような炎に関連する生物を召喚できた。この獣を相手にするには、炎に対処する方法を用意しなければならない。

黒いドラゴン
私の観察した赤いドラゴン同様、黒いドラゴン(人によっては「ダークグレイ」と呼ぶかもしれないが)にも他のドラゴンと関連した組織は見受けられなかった。少なくとも、私の見た限りでは。

外見
このドラゴンの黒い鱗もまた重なり合い、頭の構造は下向きに湾曲した角が特徴的だった。尾の先は尖った突起で覆われ、武器としてとても効果的になっている。目はオレンジがかった金色で、瞳孔には細長い切れ目が入っている。

食生活
このドラゴンは何よりも肉を好んだが、ある時には葉を食んでいるのも目撃した。きっと体に栄養を取り込むために必要としているのではないか?空腹になると食べたい動物を掴み、比較的安全な状況で食べるために短距離を飛んだ。知的な捕食相手の狩りに関しては、より奇襲攻撃を好み、抵抗を最小限に保つため待ち伏せた。ドラゴンが待ち伏せ戦術をとる理由は推測に過ぎないが、過去に武器を装備した狩人の集団を追って傷を負ったのではないだろうか。あるいは、単に隠れて脅かすことに楽しみを見出しているのかもしれない。

日常的な習慣
黒いドラゴンは夜行性の行動を好み、昼間は私が慎重な観察の結果見つけた場所に退避していた。日が沈むとドラゴンは食事のために狩りを開始し、捕まえた獲物と一緒に巣へ戻った。その後で獲物を空まで連れて飛んで、夜明けには私がその巣、あるいは隠れ場所と考えるようになった場所に戻ってきた。どこかの時点で私の存在に気づいたに違いないと考えている。次の朝に戻ってこなかったからだ。最近の食事の残りをざっと調べたところ、ドラゴンは食事にこだわりがあることが分かった。慎重に防具を外し、自然に保護されている部位の周辺にある、中の柔らかい肉を食べていたのだ。

戦闘
上述したように、私が観察した黒いドラゴンは捕食相手を待ち伏せして狩り、驚かせて素早く処理することを好んだ。攻撃した相手には尾を振り回して強打し、翼で叩き、叫び、爪で引っ掻くような攻撃を組み合わせて使った。動物に対してはひったくって掴む戦術を好んだ。この黒いドラゴンは複数の相手に対する補助として雷の精霊と嵐の精霊を召喚したので、私はこのドラゴンをストームドラゴンと呼ぼうとする誘惑にかられている

ニシュゾの日記Nishzo’s Journal

私が雇った密偵がついにパルハディを見つけだし、酒を飲みながら彼女と話すことができた。大酒飲みであることは、彼女に関して最も確実な点だ。この情報は私の協力者たちの現在の居場所リストを完成させるために役立った。この咳が収まったら、彼らを探し出すつもりだ。

これはあの風邪だと私に言おうとした錬金術師がいたが、彼女はニシュゾ以上に盗賊っぽかった。とにかく眠って治そう。この下らないタペストリーと引き換えに、手に入るゴールドの山の夢を見たい。

ファドマイの愛した娘The Favored Daughter of Fadomai

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

深い闇で、ファドマイの子は皆が彼女の元を去った。アズラーを除いて。

アズラーは母を抱きしめ、贈り物を求めなかった。その代わり、アズラーは泣いた。ラティスの光が彼女の涙に映っていた。

ファドマイはアズラーに三つの秘密と、さらなる秘密を囁いた。彼女は娘に多くのことを話した。愛と戦争の物語、夢にも思わぬ夢の物語を。そして聞いたアズラーはさらに泣いた。月光が暗闇の中で輝くほどに。

そしてファドマイはアズラーに全ての門と境界の名を教え、全ての霊魂の名を教え、これから生きる全てのカジートの名を教えた。そしてアズラーは彼らの道の困難さを知り、さらに泣いた。涙の光がラティスと一体になるほどに。

そしてファドマイは自分の子供たちの物語と、それぞれの姿で一番好きな部分を話した。話がアズラーに及ぶと、ファドマイは決められないと愛した娘に言った。そしてファドマイは死んだ。

アズラーは深い闇に座って永劫の時を過ごし、自分が学んだことについて思いを巡らせ、母を失ったことを悲しんだ。アズラーはさらに泣き、今や闇は彼女の涙を避けて月のラティスから逃れ去った。アズラーはあまりに長い間泣いたので、もはや深い闇ではなく、月光と影の場にいた。

そしてアズラーは母ファドマイの元へ戻ろうとしたが、彼女の涙は大きな海になっていた。海の向こうには黒い門があり、飢えた闇へと通じていた。

ローカジュが門の入口に立っていた。彼は打ちのめされ、血を流していた。胸には穴が一つ空いていた。だが深い闇はまだ彼の血の中にあり、心臓のあった場所を満たしていた。闇の塊は心臓のように脈打ち、黒い血が境目からあふれ出していた。アズラーには心臓の鼓動がドラムを叩く音のように聞こえた。血が一滴ずつ落ちる音はリズムとなって、彼女の尻尾に感じられた。

だがファドマイはアズラーに全ての霊魂の名を教えていたから、深い闇の正体がアズラーには分かった。そして時が来ると、アズラーは大声をあげて歌った。

ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・アズ・ラ

そしてアズラーはローカジュの闇の心臓を引き抜き、合わせて彼の中の闇も全て抜き出し、海の向こうへ投げ捨てた。

ローカジュの闇の心臓から最初のドロ・マスラ、月の獣が生まれた。ラティスの縁に潜み、飢え以外のものを知らぬ獣である。

そして闇が流れ出たことで、アズラーはローカジュの中に母を見た。そしてアズラーは、彼が死ぬ時までローカジュを抱きしめた。

アズラーはローカジュの遺体に残った部分を門の前で、愛と慈悲のランターンの火により焼いた。アズラーは弟であるローカジュのために泣き、その涙は薪の上に落ちた。

ローカジュの灰がラティス中に散らばると、月の獣でさえしばらくは口を閉ざした。

そしてアズラーの涙もついに枯れ、彼女は世界へ向かった。嘆きの時は終わった。そしてファドマイは、彼女になすべきことを数多く与えていたのである。

ブラック・キエルゴ:ペライトにふさわしいか否かBlack Kiergo: Primed for Peryite?

さて、これは私の日記だ。私はペライトに選ばれし者、ヤミグー。願わくばこの日記が便所紙として使われることのないように。前回はそうなってしまったが。念のため、頁にかゆみ粉を振りかけておこう。私はかゆみに耐えられるが、ほとんどの者には耐えられまい。特に敏感な部位においては。

ペライトを崇拝する信者のために新たな場所を探す旅は、私のようなオークにとって辛いものだった。私はペライトのために故郷を捨てたが、それはエルスウェアにあるアンゴースをすべて飲んでも足りないほど長い話だ。そして、まだ新しい家を探している。ブラック・キエルゴと呼ばれる場所の話を聞き、いつか訪ねてみようと心に決めた。それが今だ。

ブラック・キエルゴはセンシャルの地下に広がる広大な地下スラムだ。恐らくブラック・キエルゴにつながる秘密の道がいくつかあるはずなので、道を見つけなければならない。みすぼらしさと貧しさに加え、ブラック・キエルゴの奥深くでは、あらゆる種類の不道徳で堕落した商売が横行している。つまり、ペライトの栄光をほぼ完璧に証明しているわけだ!この目で見るのが待ちきれない。

1日目

センシャルは荒れ果てている。疫病に見舞われ、火事にも見舞われたと聞いている。難民が非常に多い。きっと仕事が必要だ。自分には食べていく価値があると証明しなければ。たぶんこれは兆候だ。ペライトのおかげで、頼める仕事がたくさんある。ここは食べ物が足りない。それにドラゴン。奴らが雰囲気をさらに盛り上げている。実にいい。

ブラック・キエルゴが最初に燃えたのは、スラシアの疫病とナハテン風邪の流行中だと分かった。心の弱い愚か者め。火をつけても煙を吸い込んで死ぬだけだ。布教の成功は約束されている。そんな気がする。

2日目

ブラック・キエルゴで育った盗賊ラジーンの話をいくつか聞いた。それからブラック・キエルゴに住んでいない者がどれだけ恐れているかも。そこはこの街のスラムなのだ。とてもいい場所に思える。私を歓迎してくれる闇に向かう時がきた。

時間をとって、今朝から見たものを書き留めている。それから嗅いだ臭いを。無法者とろくでなしの根拠地として考えると、ブラック・キエルゴは広大だ。私たちが一角を占めても、きっと誰も気づきもしない。ここの者たちは疑い深いが、そこが気に入っている。信じやすい奴らを見ると牙がかゆくなる。だが臭い。スラムと聞いて想像する臭いそのものだ。これを記したのはリフテンに隠れていた頃を思い出すからに過ぎない。いい思い出だ。

猫の国の歴史では、キールゴという者が誰かと結婚して国を建立したと言われている。その名前を正しく綴らなければ。地下のスラムと同じ綴りではない。この場所とその者には実際のつながりはない。地元の者に訊ねてそれが分かったのだが、そいつは私の喉にナイフを突きつけた。自分たちの伝統に誇りを持つのを見るのはいいものだが、受けた面倒に対しては鼻を血塗れにして、ナイフを折ってやらねばならなかった。ペライトに栄光あれ!

だが、ここの者たちはもっといいナイフを持つべきだ。簡単に折れるようではいけない。

3日目

ブラック・キエルゴのアリーナ付近で少しばかりお祝いをした。強い酒をしこたま飲んだ。中にはエルフのものもあったが、フラゴンで20杯飲んだあとではかまうものか。そして、スラムにはアリーナがある。闘犬場に近い様子だが。金を使って、貧しい者がどれだけの血を流せるかを賭ける貴族のための場所だ。だが少しは興奮する。ドラゴンを崇拝する教団について噂を聞いた。競合相手か?耳の穴を掃除してよく聞いておかねば。もちろんドラゴンよりペライトのほうが上だが、信者を取り合わなければならないとは想像しなかった。とにかく、全員牙で突けばいい!

4日目

店を開くのにいい場所を見つけた。リーツァを送り出し、私たちの残りをかき集めてここに連れて来よう。彼女はセンシャルのまともな側の地域で、民に話しかけペライトの言葉を広めるのに忙しい。私たちは楽しみと仕事を混ぜ合わせようとしている。バランスというやつだ。ペライトは病気と貧しさだけではない。病気を送られた?それを乗り越えて自分の強さを証明しろ。そう言いたい!私に同意せず、墓場に送り込まれた者は実に残念だ。私がまだここに生きていて、彼らがそうではないことを考えれば、ペライトも私に賛成していると思う。

残りが到着するのを待つ間、アリーナに入ろうかと考えている。長い間、いい戦いをしていない。その結果、金を稼げるかもしれない。資金はペライトの役に立つだろう!ブラック・キエルゴで、私の幸運を祈ってくれ!

ペレタインの歴史:概要History of Pellitine: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

先人たちの経験に敬意を込めて。大義のために払った犠牲が、後に続く者たちに尊重されることを祈りながら。

「アネクイナとペレタイン」の紹介でも述べたように、カジート以外の資料を用いてエルスウェアの歴史を紐解く場合、非カジートが知らず知らず持っている先入観と直面する。母語とは違う言語が使用されるとニュアンスを捉えきれない。例えば私が翻訳されたアルゴニアンの資料を用いて、マークマイアの歴史書を書こうと思えば同じことが言える。あらゆる言葉は一対一で対応するものでなく何かを象徴するものであるため、完璧に翻訳することはできない。象徴にはしばしば色調や感情が込められている。人は象徴のために戦い、また死ぬ。単なる布の切れ端のために戦うのではなく、それが象徴しているもののために戦う。

それを踏まえた上で、この者は16の部族から成ったカジートとその支配者である月の皇帝が存在した時代から、現在ペレタインと呼ばれる地域の歴史を綴ってゆく。この頃、今で言うエルスウェアは16の部族が全て自由に出入りできる場所であり、月の皇帝の保護下で役割を果たすため、必要に応じて行動した。船大工やムーンシュガー農家など、安定した地盤が必要な役割があった部族は常設の居住地を設けることもあった。

ペレタインという地名はタアグラ語のパーラッティーンという月の司祭の部族から来ている。年月を経てこの名が有名となった理由は様々だが、第一紀2260年のスラシアの疫病までは地域の名でなく単なる部族名であり、月の司祭たちは他の部族の者と共に暮らしていた。しかし疫病は大打撃をもたらし、南部では部族の構造が崩れた。疫病の後はすでに港を訪れたブレトンやインペリアルの影響を受け、社会構造を変えつつあったセンシャルがこの流れを先導した。方法?単に例を示し、地の利を生かしただけだ。

南部の部族は疫病の被害に対する援助を受けるため、当時最大の街だったセンシャルに集まった。パーラッティーンの月の司祭たちも可能な限り援助できるよう集まった。センシャルの住民たちが築いていた社会構造と合わさって、全てが変わった。センシャルの生活は他の地域から来たカジートにも根付き、徐々に秩序が戻ると彼らは新しい人生を歩んだ。

北のカジートが部族の繋がりをさらに重視するようになった一方、南のカジートは階級社会を築きはじめた。ここで、今日のように南北が分裂した。

時が経つと南のカジートは壊れた建物を再建し、他種族との交易路も再構築して再び繁栄を始めた。センシャルは活気ある貿易港にして、文化や伝統の中心地として南部の中心となった。帝国との繋がりも強まり、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエがセンシャル宮殿に住居を構えるほどだった。そのため第二紀309年にペレタインの支配者エシタがアネクイナのキールゴと結婚すると、不満を持つ者もいた。センシャルの住民の多くは、自分たちの支配者が北の蛮族と結婚することに愕然とした。アネクイナの部族も同じように裏切られた気分だった。それでも結婚は進み、支配者たちは国を統一するため尽力した。たてがみのリドサーリ・ダッタは混乱を鎮めるため、月の満ち欠けに応じて部族と貴族が権力を分け合う制度を設けた。

そして第二紀324年、暗殺者がセンシャル宮殿に滞在中の最高顧問ヴェルシデュ・シャイエを殺し、その血で壁に「モラグ・トング」と書いた。調査を撹乱する目的だったと考える者もいれば、犯人がモラグ・トングの一員だと信じて疑わない者もいた。いずれにせよ、カジートと帝国の関係は緊張した。

緊張は高まり続け、第二紀326年にはとうとうカジートの反乱軍が王家の大半を虐殺した。この時点で両国は関係を切り、互いに事件の責任を問う文書を送った(参考までに記すと「北の蛮族の裏切り」と題された文書では、血に飢えたネ・クイナル族が王家を滅ぼしたと匿名の著者が主張している)。

北との関係が悪化する中でもペレタインは繁栄を続け、センシャルの成長は次の疫病が訪れるまで続いた。第二紀565年に到来したナハテン風邪である。

ブラック・キエルゴのスラムを中心に多くの死者が出る事態となり、自分の身を守るためセンシャルの一部に火を放って風邪を追い払おうとする者もいた。炎が広がると、それまで影響のなかった区域でも煙による死者が多数出た。多くが逃亡したが、街の外は食料品に乏しかったため、餓死する者がほとんどだった。他にもトパル士官学校の謎の閉鎖など不運が続き、南エルスウェアは一時低迷した。

南エルスウェアは困難に苦しんでいる。センシャルに駐在していた帝国軍が復興を支援しているが、わずかに残った部族の慣習は自衛の本能に駆逐されようとしている。この文書の次の章では、もう少し明るい内容を書きたいものだ。

ムーンシュガー:より良い計画Moon-Sugar: A Better Plan

この者にはもっといい計画がある。パンザラはリーダーだからって、いつも最大の分け前をもらう資格があると思ってる。ふん、そんなのクソくらえだ!俺たちの分け前を合わせ、グルメ・ムーンシュガーを同量の安物と混ぜれば、高値で売りつけて利益を3倍にできるぞ!

そうだ、パンザラがいつも停泊する場所に行こう。センシャルから岸の向こう側に行ったところだ。あの女の分け前を盗んで、もっとゴールドを稼ごう。

計画ってのはこういう風に立てるもんさ!この者がリーダーになるべきじゃないか?

ムーンシュガー計画Moon-Sugar Plans

このムーンシュガーは素晴らしい!これを運べばたっぷりと稼げるぞ!

俺の取り分はセンシャルに持っていこう。あそこの連中はいつもまともなムーンシュガーに飢えているし、ゴールドの蓄えもある。

ハロの取り分は、俺たちが以前スクゥーマを蒸留していた古い農場に置いていこう。記憶はぼんやりしているが、あの場所にはいい思い出がある。

ヤシラの取り分は沼の北にある、河が下りにさしかかる地点に置こう。あの場所は嫌いだがな。あの泥は毛皮から落ちやしない。

近いうちにまたメモを書く。ゴールドが手に入ったら、お前もすぐに分け前をもらえるぞ。

ラカジンの日記、3ページRa’khajin’s Journal, Page 3

ずっと私には、偉大な運命が待っていると分かっていた。仲間たちは座り、アルコシュ神の恩恵を求めて祈っている。私は彼らを導いた。彼の秩序を守るべき勇者だった。蝕の下で生まれ、偉大になる運命を授かった。

私は、アルコシュの誇りの戦士だ。

だが、私の血には危険も潜んでいるとクランマザーには警告された。月は誰よりも強く私に呼びかけているが、その声に逆らうには意思を強く持たなくてはならない。ローカジュの闇に心を囚われてはならない。聖なる創造主が、かつて闇に囚われてしまったように。

だが、闇を恐れることはない。私の意志は強く、私の理想は正しい。誇りの家にいる月の司祭から、できる限り学ぼう。そしてエルスウェアを守る時を待とう。それが私の責務であり、課せられた運命だからだ。

ラカジンの日記、12ページRa’khajin’s Journal, Page 12

勉強が退屈になってきた。同じ詩を、同じ声で繰り返す。彼らは、砂時計の底の砂のようにアルコシュの叡智を私に集めようとしている。しかし、彼らには分かっていない。すでに叡智は集まっている!私は生まれた時から運命を悟って、すでに受け入れた!

だが、クランマザーは私の言葉を信じない。困ったような目で私を見上げ、説教を繰り返している。

正直に言うと、彼女の言葉からは見下しに近いものを感じる。まだ私を、はるか昔に聖堂へ来た頃の泣き虫の子供だと思っている。私が誇り高き戦士になったことを、決して認めないようだ。

生まれながらに秘密を背負った私を、クランマザーが心から信頼することはあるのだろうか?

彼女と同等になり、理解してもらわなくてはならない。彼女に育ててもらった子供時代とは違うと理解させなくては。私は戦士で、アルコシュの勇者だ。私をそう扱うべきだ。

ラカジンの日記、25ページRa’khajin’s Journal, Page 25

誇りの家を去る時が来た。守護者アルコシュについて、学べることは全て学んだ。だが、自分の誕生の真実についても、この世界での居場所、来たる未来についても、なぜ我々が謎と嘘で民をだましているのかも、ほとんど分からなかった。

すべてがゲームのように感じられる。天から月に照らされた目で、我々を見下ろしている彼女のゲームだ。アズラーよ、私に何を望む?あるいは、これを望んでいるのか?自分が単に、あなたが作ったものだと気づくことが?

お断りだ。アルコシュについて学べることは全部学んだ。ドラゴンブレイクについても。彼を倒せば、アズラーの手による束縛も破壊される。

もう終わりだ。アルコシュについて、そして彼に続く多くの霊魂の全てを学んだ。あなたと同様に、彼らは古く強力だ。だが、すべて去ってはいない。今はまだ。

カジートには、もう長く新たなリーダーが生まれていない。すぐに生まれるだろう。

ラカジンの命令Ra’khajin’s Orders

新たなる月の教団はナーファーラールというドラゴンの息の根を止めねばならない。奴は我らが主、強大なるラートヴロン様の敵であり、新たなる月の意志に従うことを拒んでいる。それ以外にも理由はあるが、奴は抹殺しなければならない。

奴が隠れている聖域を占拠するため、必要な勢力は全て使え。止まることなく進むのだ!脅威が排除されるまでは帰還しないように。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る。
ラカジン

リドル・サールの秘密Secrets of the Riddle’Thar

悟りし最初のたてがみ、リドサーリ・ダッタが予言した聖なる年代記より抜粋

ああ、多くの誇り高きカジートが、自分の夢を私の夢に重ねて編んだ髪の束を持ってくる。私の前に跪き、疲れた足に口づけし、ジャ・カージェイの印を求める。私は無数の族長の重責のかかった高い王座に座り、溜息をつく。リドル・サールの啓示はたてがみの力の内にはない。双子月の舞踏の聖堂にさえない。リドル・サールの真実は真のカジートの心の中にある。爪の中、髭の中、魂の中に。今こそジョーンとジョーデを思え。その満ち欠けに思いを馳せよ。カジートは子宮で考えはしない。私たちは姿や目的のために苦闘することはない。舞踏が決めるのだ。そして運命づけられた生誕の瞬間に、私たちは魂が既に知っていることを学ぶ。リズムに合わせてステップを踏む。双子月の美徳と義務は固有のものだ。その血が固有のものであるように。リドル・サールの真実は魂の中でサトウキビのように育つ。甘く、力強く、収穫を渇望する。私たちはサトウキビを育てない。成熟もさせない。自発的に育っていくのだ。必要なのは適切な季節に鎌を手に取り、豊かな恵みを刈り取ることだけだ。

リドル・サールの謎の追究は楽しみの追求でもある。充足の追求でもある。今話している真実は、皆が心の中で既に分かっていることだ。その知恵を受け入れ、魂を支配するものに注意を払い、平和をもたらし、リドル・サールの命に従え。そうすれば豊かな楽しみが見つかる。

まず、真の猫は好奇心が強くなければならない。どれだけ多くの毛皮を持たないよそ者が、策略と幻想の犠牲になっていることか!ローカジュの発明は視界の隅に潜んではいない。目につくところをうろついている。あまりにも普通で控えめなので、子猫のように無邪気に真実として受け入れてしまう。誰もが常にもっと長く耳を傾け、もっとじっくり見なければならない。あっさり飛びついてはいけない。調べよ。大きい石も小さい石も持ち上げよ。忍耐から得られるものは実に多い。

次に、真の猫は賢くなければならない。天は私たちに素早く動く爪、軽快な足、優美な強さを与えてくれた。しかしニルニの背をうろつく危険は、適切な攻撃にも耐え抜くことがとても多い。残酷な迷路に陥った場合は、単純な解決の誘惑に抵抗しなければならない。工夫のない策略に頼ってはいけない。あらゆる問題には無数の戦略がある。その中でも最高の戦略は心の中にある。戦わずして戦え。話さずに話せ。譲歩せずに応じよ。こうすれば、最高の楽しみが冗談の対極に隠れていることに気づくはずだ。

三つ目に、真の猫は自身に優しい。本の指導者は自腹を切って施しをせよと説教することがとても多い。彼らは陰気な埋葬布の下に隠された、喘ぐような美徳を主張する。飢えた慈善家がどれだけのコインを運べるだろう?実に僅かだ。施しの果実は楽しく丈夫な枝に実る。全員が与え誰も受け取らなければ、王国はどれほど悲惨になるだろう!労働の成果は受け取れ。天から落ちてくる砂糖は味わえ。ニルニを豊かに流れるワインは飲め。喜びの道を歩くために、踏みつけるべき道の目印をつけよう。

次に、真の猫は敬虔でなければならない。双子月の舞踏はジャ・カージェイへの道を提示するが、レレスウェアの案内がなければ、最も賢いカジートも闇に向かって漂いかねない。強いアルコシュ、祝福されしケナーシ、高貴なスレンダル、愛情溢れるマーラ、賢いバーン・ダル、そして最も重要な、星の裏を統治し、優しさと知恵と高潔な抜け目なさで輝くジョーンとジョーデ。リドル・サールは悟り、真の猫が聖なる先人をどのように見ているか、明らかに見通すことができる。彼らの忠告を聞き入れ、法を守り、リドル・サールの恵みを受け入れよ。そうすればナミイラの誘惑の餌食にならない。

最後に、真の猫は用心深くなければいけない。ニルニの背に住むあらゆる種族の中で、私たちカジートは最も危険を冒している。私たちの歴史は人の歴史を矮小化する。私たちはエルフが来る前から種を蒔き作物を育てた。私たちの魂は年を数えるずっと前に遡る。それは毎朝、日が昇るほど確かだ。それが私たちを賢くし、危険にもしている。ローカジュの憎悪の目はいつも私たちを睨んでいる。ナミイラの闇は夢と疑いの中を飛び跳ねる。オブリビオンの悪はすべてラティスに対し爪を立て、牙をきしませ、古い魂を賞品として奪う機会を狙っている。慎重になれ。素早く動け。自身の深いジャングルに心臓を隠し、その偉大な価値にしばしば思いを馳せよ。自分の心臓の鼓動に耳を傾けるのをやめれば、ローカジュの鼓動が永遠にとって代わるだろう。

リドル・サールはこうした美徳のすべてだ。月の子よ。私たちはカジートの精神の偉大な井戸から飲んでいる。その真実はたてがみを越え、聖堂を越え、愛する故郷の平原とジャングルを越えて踊っていることを知れ。ジョーンとジョーデが頭上で踊る時、皆の魂も合わせて踊る。

闇の霊魂The Dark Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ローカジュ。月の獣。ローカジュの闇の心臓から生まれ、ある大きな裏切りを受けた後、この心臓に支配された。ローカジュは賢明にも姉のアズラーに助けを求め、アズラーはローカジュが暗闇に飲み込まれる前に闇を切り裂いて彼を救い出し、心臓を虚無の中に投げ捨てた。我々はこのローカジュの影が、我らの敵であるウル・ドラ・ナミイラに仕えた最初のドロ・マスラであることを知っている。月の獣はラティスの縁を徘徊し、道から離れすぎたカジートに襲いかかる。亡霊の月の夜にアズラーは虚無の門を開き、月の獣は消滅するまでの間、定命の者に戦いを挑むことを知っておくと良い。我々は道の一部として、また失われた同族のために、この重荷を受け入れている。

ナミイラ。最古の霊魂。深い闇。虚無。腐った肉を食べる生物は全て彼女の密偵であり、猫たちの獲物である。月のラティスは我々をナミイラの飢えから守っているが、我々自身の飢えからは守ってくれない。ナミイラの名を呼ぶことは闇を招くことであり、決して行ってはならない。ナミイラとは彼女の真の名の音だからである。ナミイラは無限の領域の霊魂であり、領域の全てを知っているのはアズラーのみである。この霊魂に捕らえられた定命の者は自分が何者かを忘れ、ナミイラのみを知るようになるまで苛まれる。これはアズラーが闇に委ねないジャ・カージェイを除く全ての魂にとって、永遠の苦しみである。

ノクトラ。影の盗賊。薄明の娘。虚無の門の階段で、ローカジュの黒い血から生まれた。歌の中で、ボエスラはこの霊魂がナミイラではないと気づくまで、これを相手に戦った。戦いが終わった時、ノクトラはアズラーの前に引き出され裁きを受けた。アズラーは慈悲を示し、ノクトラがアズラーとジャ・カージェイに仕える限り、生きることを許した。だがノクトラは反抗的な性のため、アズラーの鍵の1つを盗み、虚無へと逃げ帰った。アズラーはローカジュの真の霊魂を送って彼女を探させ、それ以来ノクトラは求められればカジートを助けてきた。部族は沈黙、影、幸運を求めてノクトラの名を囁く。邪悪な行いに彼女を呼んではならない。それは彼女と共に闇をもたらすだろう。

ヴァルミーナ。悪夢の女王。失われた娘。この霊魂は猫でなく、子を失うのではないかというファドマイの恐怖から生まれた。アズラーはこの闇の霊魂を地下世界で殺し、今やヴァルミーナはカジートが夢を見る時にのみ苛む。彼女はカジートを試し、恐怖で道を離れさせようとする。だが彼女がジャ・カージェイに真の意味で危害を加えられるのは、夢の中だけであることを知っておくとよい。

[?????]復讐の霊魂。ファドマイとローカジュの死後、アズラーの嘆きから生まれたため、自身の意志を持たない。アズラーとボエスラ、マファラ以外の何ものも、この霊魂を呼び出すことはできない。彼らだけがその名を知っているからである。歌の中では時として黒き豹、黒檀の鎧に身を包んだ戦士、あるいは隠された剣として出てくることがある。

黄昏の先唱者:アズラーの祈祷師Twilight Cantors: The Exorcists of Azurah

ゼヨ・プレヴェット 著

ゴーストハンターとして旅をする間に、あらゆる種類の奇妙な霊魂や異常な存在に出会ってきた。だが、カジートが稀に苦しむ憑依のようなものは見たことがない。最初は精神的なひきつれ、尻尾のかゆみ、当人は打ち消せない耳鳴りから始まる。

カジートの伝承によれば、これが迷い猫になる最初の兆候らしい。何もしなければ、カジートはさらに聞こえない曲に魅了される。ビートに合わせて動くようになり、ベントの踊りと呼ばれる奇妙な動きをする。このおかしな状態は単に病気の結果だと思えるだろうが、憑依された者がベントの踊りを始めたら、憑依されたことは見逃しようがない。

そのカジートが踊りを続けると、肉体に変化が生じ始める。毛皮が黒くなり、闇の力が身体から発せられ、普通の者にも見えるほどだ。他の種の憑依と異なり、憑依されても魂は消え去らず、他の霊魂に乗っ取られることはない。その代わり、元々の魂がねじ曲がってしまう。身体の変化が完了すると、もはやカジートではなくなり「ドロ・マスラ」に変わってしまう。この邪悪な霊魂は、ニルンを去るまでさらに苦痛を生み出す。

この恐ろしい症状と戦うために、カジートは旅の司祭の集団を結成した。彼らは奇妙な曲の影響に対抗するため歌を使う。それが「黄昏の先唱者」だ。彼らは自分たちが歌う「黄昏の賛歌」が、彼らの「神」であるアズラーからカジートへの贈り物だと言う。真実かどうかは証明できない。デイドラ公が世界に恐怖以外のものをもたらすとは考え難い。いずれにせよ、ベントの踊りに囚われたカジートを観察している限り、黄昏の先唱者の言葉は憑依された者を静めて、正気に戻していることは間違いない。ある先唱者が3日間歌い続け、被害者から不自然な力を排除したのを目撃したこともある。もしその休息がなかったら、彼女はさらに闇の道を進んで消え去る運命だっただろう。

この旅の秘術師たちはドロ・マスラとの戦いに備えながら、常に旅を続けている。黄昏の先唱者の所有物は少なく、任務に必要なものと道具だけを身につけている。任務に対する対価を求めることはなく、代わりに感謝の印としてカジートから差し出されたものを頼りに生活している。どうやらカジートは、先唱者たちに対して敬意と恐怖が混ざった感情を持っているようだ。先唱者が訪れることは間もなく不幸が訪れる兆しであり、彼らを迎え入れる家族は先唱者からの守護を確実にするため、すぐに贈り物をする必要があると一般的に信じられている。取り返しがつかないほど魂が破壊される危険があるわけだから、そうする理由は明らかだろう。

プロのゴーストハンターとして、毎日自らの魂を危険に晒しながら正義を貫こうとする、その献身には敬意を感じている。もしこの献身的な祈祷師に出会うことがあったら、礼儀正しく振る舞い、不断の努力と危険な仕事への敬意として金銭を渡すべきだ。

我らが飛ぶようになった理由How We Came to Fly

ファドマイがオーナールに逆らい世界が生まれる前、ケナーシは速く高く飛んだ。偉大なるアルコシュも届かぬほどに。彼女は限界がなく自由だったが、喜びを分かち合う相手はいなかった。そこで彼女は、空を分かち合う相手を母にねだった。ファドマイは夜にジョーンとジョーデ、昼にマグルス、夜と昼の間にアズラーを与えた。しかし彼らは自分に与えられた道を辿るだけで、ケナーシの喜びを本当に分かち合えたものはいなかった。これを見たアズラーは、ケナーシに2人だけが共有できる秘密を打ち明けた。

アズラーの忠実な子供が死を迎えた時、ケナーシはニルニの嫉妬深い爪から彼らを奪い取り、星の裏の砂場に運ぶことにした。こうして、選ばれた人々はレレスウェアへの道が与えられ、ケナーシはついに喜びを分かち合う相手を見つけた。

輝く海の聖なる水Sacred Waters of the Shining Sea

月の司祭シャヴカ 著

ジョーンとジョーデの祝福を受けた王国ペレタインには、聖なる砂糖が豊富にある。浅瀬でさえも双子月の恵みで満ちている。潮を照らす月光はトパル湾へ流れ込み、我々の聖地である月光の入江に集まる。日光から守られたこの場所で、蓄積された月光が自然の洞窟に穏やかな夜空を作りだす。

この祝福された水は心と体、魂に救いを与える。エルスウェアの至る所からカジートが訪れては月光の砂州や聖なる祠に浸り、悪い気を出して出てくる。ほんのわずかな寄付と返金可能なタオル貸し出し費を払えば、あなたも入江の神秘を体験し、聖なる水で心身を癒すことができる。月の司祭一同、浄化に役立てることを心待ちにしている

空の霊魂The Sky Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

アズラー。全てのカジートの母。夜空と薄明の領域、黄昏と暁の女王。ファドマイに愛されし娘。我々の先人の重荷を背負っているため、アズラーの領域は幅広い。全ての部族はアズラーを魔術、美、予言の神として知っている。アズラーはまたあらゆる門と鍵、縁と境界の番人でもある。カジートは我々を持ち上げ、月のラティスに結び付けたのがアズラーであることを知るべきである。これで我々は運命の鎖から解き放たれ、我々だけが自らの未来を形作れるようになった。ジャ・カージェイと我々の完璧な姿形は、アズラーの贈り物である。アズラーはこの世に生きた全てのカジートの名を知っていると記されている。自らアズラーを知らねばならない。それが道の最初の一歩なのだから。

ケナーシ。天における太古の霊魂であり、ニルニの側を通り過ぎる際に風と雨の歌を歌う。最も古い音はこの霊魂によって世界に贈られたものである。我々は音楽と歌、神話を語ることによって彼女を称える。一部の部族にとって、ケナーシは悲嘆の霊魂でもある。ローカジュが死んだ時、彼女は嵐の中に姿を隠し、アルコシュが慰めに来るまで泣き続けたと記されているからである。ケナーシは死んだカジートの魂を裁きのためにアズラーへ送り届けるので、アズラーの伝令でもある。時の終わりに創造物を守るため、すべてのカジートが永遠に団結した魂を呼び起こすのは、彼女の呼び声である。

ジョーンとジョーデ。永遠に嘆かれる者。このファドマイの死産した双子の霊魂は、今でも月のラティスで踊っている。ケナーシは彼らが生まれ落ちた時その手に抱き、死にゆく母に真実を伝える勇気を持たなかった。ケナーシは彼らの目を光らせるために2つのランターンを照らし、母が逝去するまでの間、彼らを空中に揺すぶった。今ではアズラーが双子の面倒を見て、ランターンの明かりが弱まると再び火をつける。ジョーンとジョーデの愛は月の光とムーンシュガーとして、全てのカジートに共有されている。この霊魂を称えるためには、明るい月の夜にケナーシの子守歌を歌わねばならない。

ローカジュ。月公。ファドマイの愛する息子。白い獅子。彼は深い闇の中で生まれ、それが彼の重荷となった。ローカジュは多くの者に愛され、高潔な指導者と見なされた。ローカジュは目的をもって自らの道を切り開いた最初の霊魂だった。彼は生まれた時から葛藤の中にあったためである。彼の勇気は出会う全ての者の心を励まし、ついに彼は霊魂を集結させて世界を作った。ローカジュはそのために自らの命を捧げた。我々は目的をもって道を歩み、闇の呼び声に抵抗することによって彼の犠牲を称える。ローカジュはカジートの魂の二面性と、全てのカジートが乗り越えねばならない困難を象徴している。アズラーはその知恵を用いて、弟の薪にジョーンとジョーデの双子のランターンで火をつけた。これにより、時としてローカジュの真の霊魂が姿を現す。ただしそれはアズラーやケナーシに呼ばれた場合や、彼の最古の名前で呼ばれた場合のみである。

マグルス。太陽神。一般的には猫の目、あるいはアズラーの第三の目と呼ばれ、アズラーの怒りを日々思い起こさせる存在である。マグルスがボエスラとローカジュから逃げた時、彼は片目しか見えず、ムーンシャドウに落ちたと記されている。そこでアズラーは彼が恐怖に満たされており、領域を支配するには適さないと判断し、彼のもう一つの目を引き抜いた。マグルスは盲目となって天に取り残されたが、アズラーは彼の片目を石に変え、ヴァーリアンスの門を映し出させた。これが夜明けに開き、黄昏に閉じるエセリウスのプリズムである。一部の魔術師はマグルスがこの目を自らの意思でアズラーとその子に捧げたと考えており、こうした魔術師たちは今でも彼の名で祈りを捧げている。

月と潮が交わる場The Marriage of Moon and Tide

クランマザー・ツラダマ 著

真のカジートであればジャ・カージェイの空のワルツを知っているだろうが、ニルニも踊りに参加していることを知っている者は少ない。彼女は子を生むためローカジュによって設けられた場所から動けないが、夜空に踊る月と共に彼女も揺れている。

「だが、ニルニが月と共に揺れるところなんて見たことがない」と思うだろう。

おそらく見たことはあるが、見ている光景を理解していなかったのだ。あなたが陽気な歌に尻尾を揺らしていても、毛皮に張り付いたノミには分からないように、ニルニの動きを見極めるのは難しい。ジョーンとジョーデが昇る時海をよく見ていれば、ニルニの波が後に続いて海岸を進むのが分かるだろう。これは月の歌に合わせて、ニルニが揺れていることを示す

剣の魂Soul of the Sword

流血の牙の師範、ヴァラミによる瞑想

ヴリン・サクを極めるため、定まった道があるわけではない。アデプトや師範になる定まった方法は存在しない。こうしたことは熟考し、自分の道を見つけるものだ。

剣はお前の魂だ。魂はお前の剣だ。

[怒った筆跡で殴り書きされている。「このろくでなしめ!ヴァラミの魂が自分の剣で引き裂かれますように!そもそもどういう意味だ?]

こうした言葉で瞑想せよ。その瞑想は、お前にどんな意味を持つ?

[さらに怒った筆跡で。「お前が自分の弟子も訓練できない、どうしようもない無能だという意味だ。意味だと。ろくでもない!]

瞑想は道を示唆しているのか?いや、きっと違う。

[大文字でギザギザの筆跡で。「いいかげんにしろ」]

武器を手渡される前に、ヴリン・サクが何時間もかけて基本の型を習った方法で訓練する者よ。もし魂がお前の剣で、お前の剣がお前の魂なら、そもそも師範が弟子の成長を邪魔しているという意味にならないだろうか?私はそう言わない。

[小さな手書きで。「もういい。この者はうんざりした。この者は…」]
[この巻物は唐突に終わっている。まるで注釈者が、最後のメモの下をすべて破り取ったかのようだ]

誇りの家:時から切り離された場所?Pridehome: A Place Outside Time?

魔術師ギルドのカーラレスによる転写

転写者のメモ:この転写では、我々の言語で時の経過を示す動詞を使っている。この放浪するカジートの月の司祭が私に説明しようとしたことへの理解を難しくするかもしれないが、自分の意識がさらに混乱する前に、厳密には正確でなくてもこの概念をまとめる必要があった。結果としてこの転写に過ちが起きた場合は、全て自分の責任である。月の司祭が私に示した、時間を越えた感覚が伝わることを願う。だが、おそらくこの方法はシェオゴラスのような存在への道を開くだろう。それから、この月の司祭は名前を明かすことを拒否した。自分は知識を持った司祭であり、同時に知識のない未熟者でもあると彼は語っていた。

* * *
時とタペストリーより前に、誇りの家は存在していた。概念としてずっと存在していた。これからも常に存在する。時の竜神であるアルコシュはタペストリーと時にこれを吹き込み、時を線形にしか捉えられない我々にも現実として認識させた。

誇りの家は、時の神の教えに従うアデプトの故郷となった。隔離された場所だ。そこで彼らは来たるべき破滅、ドラゴンが帰還し世界に不均衡をもたらす時に備えていた。

勇者ジャダッリはアルコシュの呼び声を聞き、誇りの家を作った。そして我々も現実として認識できるようになった。そう、彼女は黒き獣と戦ったのだ。そう、彼女は勝利したが命を失った。君の意識の中で、彼女が勝ったのはわずかな間だ。だが、彼女は常に存在し勝ち続けている。彼女は常に存在し続ける。

誇りの家の概念と場所は、ずっと存在してきた。ジャダッリが創設したアルコシュの誇りのように。一息にではなく、徐々に明らかになっていく物事の概念が理解できていればだが。

想像できるだろうか、タペストリーと線形の時に囚われた君に。ジャダッリは成功し、同時に失敗した。アブナー・サルンと呼ばれる者が、成功し同時に失敗したように。同じ瞬間に、線形の時の外側で。君には分からないだろう。それは望みすぎだ。

呼び声を聞いた勇者はジャダッリの後にもいた。線形の時で。さらに勇者は集まった。クランマザーも訪れては去っていった。一般的な言い方で言う時が過ぎ、ラカジンと呼ばれる者が現れた。彼は勇者となることに成功し、失敗した。過去のジャダッリのように。どうしてそんなことが可能か、それを知りたいか?彼は線形の時で、誇りの家を去るまで成功していた。だが、時の外では?彼は成功し、同時に失敗した。永遠にと言ってもいい。

誇りの家の一番新しいクランマザー、ヒズニは最初のクランマザーでもある。誇りの家のすべてのクランマザーは最初でもある。だが、この話はもう十分なようだ。私が話した中から君が何かを掴んだなら忘れるな。誇りの家はずっと存在していた。そしてこれからも存在する。アルコシュの誇りはずっと存在していた。そしてこれからも存在する。誇りの家のすべてのクランマザーは、ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。来たるべき破滅は?ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。

黒き獣の戦いBattle of the Black Beast

聖なる仮面の力によってのみ
その聖なる光によってのみ
汝は知るだろう、黒き獣を
我らの危険な戦いを

仮面を使って物語を見よ
聖なる炎の輝きにより
前へ進む道は開かれる
地下に広がる氷の牢獄へ

糸の修復Mend the Threads

選ばれた戦士は時のタペストリーがほつれたら、
それを繕う爪とならねばならない。

この運命を受け入れることは大いなる名誉であり、大いなる重荷でもある。
躊躇なく行わねばならない。

選ばれた戦士は時の意志を受け入れ、
心を尊敬と誇りで満たす。

彼らは自然の秩序を守り、
先人たちと道を共にする。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

狩りへの招待Invitation to the Hunt

オーベリック・デュフォン様

この招待を貴公に届けられることを光栄に思います、セルヴァル・デュフォン。貴公もよくご存じのとおり、レディ・ギシリアネは候補者の選定に最も厳格な基準を適用します。貴公が選出されたのは、品格の高さと優れた作法が大きく評価されたためです。

貴公には、二週間以内に認証トークンをお届けします。それを催しの当日、我々のハントマスターに渡してください。この狩りは沼で開催されるので、服装も合わせたものをお選びください。

獲物を用意した熟練の罠師は、今回の採石場での催しがどのような技量の狩人にもお楽しみいただけることを保証しています。獣じみたオークや抜け目のないカジートが、貴公の狙いすました矢を待っています!全ての狩りには一定の危険が伴いますので、どうかご注意いただきたい。熟練のハントマスターたちが控えておりますので、状況が危険と見れば支援するでしょう。

狩りの達人の到着を、心よりお待ちしています!幸運を祈ります!

セロー

修復された石板Restored Tablet

これが物語の言葉であり
真実の言葉になる
石は開く
中に眠る者の
名を口にした時に

彼のクラ・ジュンを思い出せ
彼らはこの者を覚えている
辛辣なアネクイナ
完璧なるヌラリオン
悪魔狩人フリンシルド
〈裏切り者〉でさえ

中に眠るのは誰だ?

焦げたレディ・GのメモSinged Lady G Note

〈ドラゴンの攻撃による炎により、メモの大部分は読めなくなっているが、一部の文は残っている〉

…しけた獲物なのは確かだ。あのオークはいい戦いになるかもしれないが…

…他の者たちは陽動に使えるかもしれない…

…奴らをセローの元に連れていけ。あの女は馬鹿だが…

…水辺を通っていけばいい。私が聞くところ、レディ・Gがセローをセンシャルに留めておきたいそうだ。あの間抜けには新しい人材を「勧誘」するほうが楽だし、レディ・Gにとっても目を光らせるのが…

賞金首と盾The Bounty and the Shields

ジュリア・ルネリウスの日記

賞金首を狙って旅をする場合、行動を日記に記しておくように父から教わった。このまっさらの本を父から渡されて、ここに記すように言われた。書くのは得意じゃないが、父の希望をできるだけ尊重したいと思う。今はセンシャルにいて、行方不明者の痕跡を追っている。標的はジアン・ミコだ。複数の犯罪で指名手配され、ダガーフォールの魔術師ギルドから大事な本を盗んだ罪も含まれている。本だって?よりによって本を盗んだのか!ここは、彼が最後に目撃された場所だ。自分の勘では、カジートに紛れていれば安全だと考えたんだろう。特に、ここにはインペリアルが駐屯している。紛れ込めると踏んだはずだ。

だが、必ず見つけ出す。

2日目、センシャル

街中を歩き回った。どこに行っても、難民か不機嫌なカジートに出くわす。民兵の一種が辛うじて街を守っている。彼らは「センシャルの盾」と呼ばれている。元々は第十三軍団だったが、ここに駐屯して街の警備を担当するようになった後、センシャルの民から新たな名前で呼ばれるようになった。だが、街を統治しているわけではない。聞くところによれば、カジートが守らせたい法を執行しているだけだ。

おそらく、ミコは盾に参加している。標的を見つけるまで、自分も同じ行動を取るべきだろう。

3日目、盾

何てことだ、アルフィクがいる!どうやってこの部屋に入ってきたのか、ゴロゴロ喉が鳴る音で目が覚めた。ここの飼い猫かと思ったが、はっきりと「起きる時間だ、歩き手」と言った。どうすべきか分からない。もし相手がインペリアルなら、鼻先を殴り飛ばして部屋から追い出すところだ。だが、初めて飼った猫のマウサーに似ている。ただうなずいて、できるだけ丁寧に部屋から出ていくようお願いした。

朝食の後、ブルッシウスという男に盾のことと、入隊する方法を聞いた。彼は自分の体の痛みについての文句や、どこかの気まぐれな司祭の追跡を頼む方により関心があるようだった。しかし話題を維持して、新兵になる方法について聞いた。ありがたいことに、彼は訓練をしている場所を教えてくれた。そこへ行って、ミコを探すことにした。

4日目、お役所仕事

今日はほとんど、様々な盾の成員との会話に費やした。ミコは新兵の中にいた。訓練の責任者のところに行ってミコの過去の所業を伝え、ダガーフォールの魔術師ギルドに彼を連れ帰れば賞金がもらえることも伝えた。上官に伝える必要がある、と彼女に言われた。盾の指揮官であるレンムス将軍と会えるまで、それほど時間はかからなかった。

彼と話をして、センシャルの盾についてさらに情報が得られた。彼らは5年前、アクィラリオス皇帝の命令でここに派遣され、ナハテン風邪の被害を受けた街の秩序を取り戻すよう命じられた。センシャルを統治していた王家が途絶え、街は統治者を失っていたので、帝国は評議会の設立を助け、この地域を統治する手助けをしてきた。だがドラゴンの出現により、難民が街に押し寄せ、すでにぎりぎりだった物資がさらに不足した。彼には盾への参加を要請された。高度な訓練を受けた、優秀な戦闘員が不足しているためだろう。

もちろん光栄な申し出だったが、今は単独で旅して仕事を続けたい。

その時、将軍からミコがとても優秀な魔闘士だと言われた。本を盗んだのも、ここに来て新しい魔法でドラゴンを倒せるかもしれないと思ったからだそうだ。将軍はミコの行動を許したわけではないが、センシャルを守るためにできるだけ多くの兵隊が必要なのも事実だ。だから将軍は、ミコの引き渡しを拒否した。

最初の賞金稼ぎの仕事で、いきなり決断を迫られた。大義のために賞金をあきらめるか、あるいは将軍を説得してミコをダガーフォールに連れ戻し、裁きを受けさせるか。すでにミコと話はしている。彼は魔術師ギルドから盗んだ本から学んだ技を使って、ドラゴンと戦うことを強く望んでいる。だが、盗んだことは事実だ。なぜあの魔術師たちと一緒にドラゴンと戦わなかったのか?ドラゴンは、永遠にエルスウェア周辺で留まっているわけではない。全世界にとっての脅威だ。

これを書きながら決断した。父がこの日記を渡してくれたことは正しかった。書くことで、考えがまとまることもある。おそらく、次の賞金稼ぎはもっと楽になるだろう。次の機会のため、新しい本を手に入れよう。(ああ、これも書いておこう。本を盗まれた魔術師たちを呼び、ミコと連絡させよう。そうすれば、彼らは協力してドラゴンに立ち向かえるだろう。)

色彩豊かなカジートThe Colorful Khajiit

ユートロピア・ラトニウス 著

カジートは派手好きで知られている。彼らはどんなことでも熱心に行うようだ。しかしテンマール・フォレストの山奥にある小さな村が、センシャルの優雅な街並みを上回ると聞いて信じられるだろうか。誇張ではなく、ブラックハイツは文字通り色彩に溢れている。

この村の住民の半分以上は芸術にその身を捧げている。芸術家や、高品質な道具を提供する職人である。「彩色工場」と呼ばれる場所で生産される顔料は、塗料や染料としてタムリエル全土で高い人気を誇る。これだけでも、少人数の村が芸術に没頭できる富を生んでいる。

ブラックハイツのカジートは世代を越えて技術を磨き続けており、その作品は村の創立以来受け継がれてきた伝統に影響を受けている。特に古く、目立って見えるのは石の絵である。ブラックハイツ自体が山脈の麓にあり、岩に囲まれている。特に子供の頃、カジートは前足を使って石に絵を描く。数百の小さな足型から、広大で色彩豊かな絵を創り上げる。その最たる例が生命の壁と呼ばれる場所で、全ての村人が死ぬ前に生きた証を刻む。この甘く切ない史跡の規模に、私は言葉を失った。安全なセンシャルを離れ、ペレタインの神秘を味わう勇気があるならば、あなたもきっと同じ気持ちを味わえるだろう

新しい教団か、古代の宗教か?New Cult or Ancient Religion?

新たなる月教団に関する調査
パーラッティーン学会、スレマ 著

新たなる月教団の徴募官の出現は、この新興宗教に対する反応をセンシャルの人々に呼び起こしている。軽蔑するか考慮するかはそれぞれの地位と視点によって異なる。この者は異なる形でこの問題に取り組むことにした。新たなる月教団はドラゴンの怒りによる混沌から生まれた新しい教団なのだろうか。それとも、長い歴史を持つ古代の宗教が蘇ったものだろうか?

この者は徴募官と話すことができた。徴募官はその信仰の教義と信条について、生々しい詳細を喜んで教えてくれた。このカジートたちはジョーンとジョーデを認めているが、間もなく新たなる月が昇って、より明るく輝くようになると信じている。また救いへの道と力は新たなる月にあって、信仰深い者が切実に祈ったにもかかわらず、沈黙を守り距離をおく神々の崇拝にはないと信じている。

新たなる月教団は、明らかにドラゴンの出現により悪化している現在の困難な状況に苦しむ者たちに訴えかけようとしている。このため、彼らは主に貧しい者や住処を失った者を教団に引きつけてきた。この者の見るところ、教団は偽の約束と恐怖を勧誘の戦術として使っている。またドラゴンと戦うことよりも、ドラゴンを宥めることに熱心なようだ。とても興味深い。

この者は古代に活発だった、類似の集団に言及している資料を見つけた。そこでそもそもの疑問に立ち返る。新たなる月教団は最近組織された教団なのか、それとも復活の機会を待っていた、古代の宗教が復興したのだろうか?それを判断するためには、さらなる研究と調査が必要になるだろう

新たなる月の義務New Moon Obligations

新たなる月の教団、ザカール 著

この者は多くのカジートと異なり、明確な指針と共に生きることを好む。新たなる月の教団に多くの者が新たに入信したことを受けて、ザカールは信徒が従わねばならない義務を記録することにした。

1.入信

新たなる月の教団に入信できる者は健全な精神と肉体を持つ者に限る。この基準を満たさないものは、試練が始まる前であっても拒否されるだろう。

2.試練

試練の内容は秘密にしておくべきだ。試練に関する情報を共有し、他者を助けようとする者は即座に新たなる月の教団から追放される。いんちきもヒントも禁止だ!

3.勧誘

勧誘は優れた判断力を持つ者が実施しなければならない。栄養失調の者があまりにも多く入信している。こうした弱き者は、我々を目的に向け進ませてはくれないだろう。病気の者も要らない。必要なのは新たなる月の昇天を助けられる、強く、有能な者だ。

4.考え方

新たなる月の教団に入信した者は、理由が何であれ定められた義務に従い、リーダーとドラゴンの命令通りに行動することを忘れてはならない。明晰で決断した心を持つ者だけが、教団に新たなる月の昇天を実現させる。

5.儀式

すべての入信者は、どこかの時点で特別な儀式に呼ばれる。その時が来たら、誇りに思うように!我々の中でも最も優秀な者だけが、イオンストーンの儀式へ呼ばれる。唯一無二の名誉だ!その理由はすぐに分かるだろう

新たなる月が昇天するまで、休まず熱心に働くこと。新たなる月を崇める、ドラゴンを崇めよ!

世俗の霊魂The Worldly Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ニルニ。緑の母。調和の霊魂。その霊魂は弱まったとはいえ、ニルニは今でも暖かい砂や鬱蒼と茂るジャングルなど、定命の者が大地を侵害していない全ての場所において感じられる。カジートは彼女の秘密の守り手である。なぜならニルニの霊魂は定命の次元に生命を植えており、それはローカジュからニルニへの贈り物だったからである。ニルニは常にファドマイの寵愛を巡ってアズラーと争おうとしていたため、時として嫉妬深き姉と呼ばれる。しかし、ニルニはアズラーよりも美しい唯一の霊魂だったと言われている。

ワイファー。古代の形作る者。オーナールの落とし子の一人。彼は父親と違い、賢く優しかった。ワイファーは最初の花を創造することでニルニの心を動かし、伴侶とした。そして二人は多くの子を設けた。ワイファーはローカジュの死後、どこかの時点で深い闇に堕落させられた。混沌に囚われたワイファーは、ニルニを攻撃して殺してしまった。アズラーとケナーシ、ハーシーンはその復讐としてワイファーを滅ぼし、その骨でニルニの墓を作った。木の国に住む民には今でも彼の声を聞くと言う者もいるが、我らカジートはもはや彼に話しかけることはない。

ハーシーン。狩人。追及と目的ある変化の霊魂。ハーシーンはニルニに恋をしていたが、彼女はワイファーを伴侶に選んだ。悲しみに暮れたハーシーンはワイファーの勇者グラーエルクを屠り、その頭を戦利品として被った。彼はニルニの子どもたちを愛し、しばしば彼らに交じって歩く。カジートは道から迷った時、ハーシーンに祈るべきである。狩りの父はいつも道に戻してくれる。ハーシーンはニルニが最初に出産した子供たちの父親であると主張する部族もいる。この子たちが双子月のごとく変化に富むからである。そうした部族は、この子たちがジャ・カージェイのための器として選ばれたのだと述べている。

ハーモーラー。監視者。潮汐の霊魂。ハーモーラーは自らが知覚する全ての出来事を記録し、それを海底の大蔵書庫に貯蔵している。忍耐強い霊魂であり、世界が創造され、ケナーシが双子月とその運動を維持できなくなってから、アズラーがその仕事をこなすのを助けた。彼は他者の知識の番人でもある。自分が学ぶこと全てをアズラーと分かち合い、アズラーはよく彼の蔵書庫を歩いている。道の途上で試されることを望むのでない限り、この霊魂を呼ぶべきでない。ハーモーラーの仕事を邪魔してはいけない。

サンジーン。第二の出産で生まれた血の神。サンジーンは本来悪しき霊魂ではないが、彼の領域にある全てのものは、真の猫を道から逸脱させることをカジートは知るべきである。それは血の渇望と目的なき快楽である。サンジーンへの堕落は闇に屈することではないが、肉に屈することである。サンジーンはカジートを誘い、不死の肉体を得させようとするが、これはジャ・カージェイの全ての霊魂の牢獄である。サンジーンはそれゆえ道の途上で試す霊魂であり、克服されねばならない。彼を打ち破る秘訣は無視することであり、我々はこれをマファラから学ぶ。マファラは言う。真理のみを渇望せよ、と

生存者の自責Survivor’s Guilt

エーケンは死んだ。一緒に育ち、砂漠を走って競争して、剣に見立てた棒で遊び、何年も他人の戦争で戦って金を稼いだ。盾の衛兵の仕事に落ち着いた時、少し早く引退したように感じた。

ドラゴンが来るまでは。

いつものようにパトロールをしていた。恐ろしい鳥は繁殖の季節だったから、明らかに怒りっぽくなっていた。だが、エーケンにはアルゴニアンから習った技があった。乾燥したヒョウタンにいくつか穴を開けて、長い紐に結ぶ。馬鹿な真似はよせ、と言ったんだが。彼がそいつを頭の上で回すと、ジャッカルの群れのような音が出た。鳥たちは逃げていった。

いい考えだな、と彼に言ったことはなかった。馬鹿だったよ。いい考えだった、だが…

エーケン、お前はバカ野郎だ。そいつでドラゴンを追い払うなんて、無理に決まっているだろう。ドラゴンはあいつを一口で飲み込んだ。何もできず、あいつの叫び声を聴きながら漏らすしかなかった。

私は逃げた。すまない、エーケン。私は臆病者だ。

あいにく、誰にも許しては貰えなかった。ジャッガの瓶の底にも、ショーンホルムの安いワインの底にも、スクゥーマのゴミにもなかった。二日酔いと砂糖小屋が残るだけだ。喉が髪の毛に覆われているような気分になる。代わりに神を頼れば、司祭たちはつまらない説教をするだけだ。これは神々の意志であり、救いは祈りの中にしかない、とかな。

実にくだらん。あいつらには何も分かっちゃいない。

エーケン、何とかしてやる。お前を守るはずだったのに、いざという時に何もできなかった。私は忌々しい人食いウッドエルフに指を食われながら素手で絞め殺し、素早いウェアウルフにも追いついた。だが、あのドラゴンに会った時、初めて怖気づいた。

遠くでドラゴンが飛んでいるのを見た。何時間も輪を描いて飛んでいる。私がここにいると分かっているんだろう。復讐をするつもりはないが、少なくとも我々の父の幽霊は、この臆病者を死ぬまで呪いはしないだろう。

愛していたぞ、兄弟。もうすぐ会いにいく。

多くの糸The Many Threads

アマフィが見える、司祭のふりをしている
その心は黒く、高みに昇ることはない

水は甘いとオラヌは言うだろう
月の下、彼女は心安らかに留まる

ガード固き盗賊、マグパイを探せ
南にあるのは彼女の死、安らかでなかったと願いたい

ブファサは、いつも騒がしく喧しい
彼は自信に満ち、誇り高く家へ向かうだろう

美しきセレイズは木々の下で静かに眠る
破滅の石の砦にて

幸福なるヒージャーを、私はいつも思い出す
学校ではきっとうまくやれただろう

老グラスティアは今や無言で、丘の上にただ一人
彼女を悩ます風も、風車が挽く穀物もない

ダンサーはいつでもスリルを求め
盗賊たちと共に隠れるが、その善し悪しは知らぬ

ファロは無口で背の高い、寂しい見張りを見つけた
特別な眺めだが、それだけではない

ケスタは秘密を明かさない、だがいつも見ている
彼女は塔を見張る。遠くから、高くから

ジャロは私を驚かせた。街へ戻ったのだ
断頭台で冷たくなった。憐れみは覚えない

忠告The Good Bits

(この伝承の書には、ドラゴンの肉片を使って特別な薬を作る方法が体系と一緒に記される予定だ)

敵対する霊魂The Adversarial Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

シェッゴラス。精神の神。彼の領域は定命の者の心であり、その安定性である。シェッゴラスは道の上でカジートに自らの考えや信念、行動の真理について疑念を抱かせることで、試練を与える。彼はカジートがハーモーラーの図書館を訪問する前に道の途上で対決し、克服しなければならない存在である。部族の中にはシェッゴラスが死んでおり、何か別の者に置き換わっていると信じるものもある。

オーカ。多くの道を通ってボエスラを追った悪魔。病の呪いを話し、それ以外の言葉を知らない。ローカジュ、ケナーシ、ボエスラは古代の歌でこの悪魔と戦ったが、オーカを追放できても死なせることはできなかった。カジートはオーカとその仲間が道の途上における試練であり、それ以外の何ものでもないと理解すべきである。

デイゴン。悪魔の猫。メルンズとも呼ばれる。彼はファドマイの二度目の出産の時に生まれた猫だが、すぐに破壊的で手の付けられない存在になった。オーナールは彼を追放したが、デイゴンは多くの道でなく深い闇を探索することを選び、悪魔モラグに敗れた。モラグは世界の創造まで彼を苦しめ続けた。混沌の時、モラグの妻はメルンズを解放し、その破壊的な本性をラティスに対する武器として利用したと記されている。メルンズはこれに夢中になり、同族殺しとなり、それゆえ我々がデイゴンと呼ぶ悪魔になった。道の途上で彼に立ち向かうだろう。

モラグ。12の悪魔王の1人。支配と至高法の古い霊魂である。この悪魔はデイゴンやメリド・ヌンダと共に、意図的にラティスを攻めた最初の者である。ボエスラとモラグはラティスの前で戦ったが決着がつかず、アズラーは彼女のみが知る秘密によって、この悪魔王に手枷をはめた。モラグは試すだろう。そしてカジートは規則に対抗する意志、ボエスラの力によって彼を克服するだろう。

メリド・ヌンダ。貪欲の偽りの霊魂。孤立した輝き。彼女はマグルスの娘だが、マグルスは自身と自分が作り出したものしか愛さなかった。マグルスは伴侶を持たなかったが、エセリウスで子を作った。メリド・ヌンダは愛なき光から生まれた冷たい霊魂である。彼女は知恵なき知能であり、目的なき知識である。メリド・ヌンダは悪魔の仲間であり、力強きローカジュの死を引き起こした張本人であるとして彼女を非難する歌もある。メリド・ヌンダがラティスを攻撃しようとした時、アズラーは彼女をヴァーリアンスの門の前で倒し、彼女を引きずってそこから離れた。そしてアズラーはメリド・ヌンダを虚無に投げ込み、鏡でそこに閉じ込めた。遊牧民によれば、メリド・ヌンダはその後脱出したという。

東からの恐怖Terror from the East

悪魔がケナーシの地へ来た時
彼女は運命だと知っていた
彼女の子供たちは最後の戦いを挑み
真紅の門を開いた

まず誇り高く力強いアルコシュが来た
黄金のたてがみをまとい
悪魔が存在してはならず
倒されねばならないと知った

次に強きローカジュがやって来た
その剣は青の輝きに燃えていた
彼は闇を再び押し返し
悪魔を追い払った

最後に来たのはニルニを嘆くハーシーン
彼はニルニの墓を骨で作った
樹木の茂る緑から、黒くなった海へ
ハーシーンは孤独に彼女を見守る

東から来た悪魔Demon from the East

王国は砂漠に広がる
平和が幸せな地を暖める、
心が放つ光が闇を照らす
時の糸に包まれて。

悪魔が東から現れ
深紅の獣が続く、
この地は破壊され枯れた
民には恐怖しかない。

戦士が剣を太陽に向け
後に続く戦士たちに呼びかけ、
アルコシュは紡がれぬ糸を導き
彼の勇者は進む。

異国の岸から戦士が集まり
この恐ろしい戦いに加わる、
戦士の傍らで歩み
戦いに備える。

深紅の獣は気高く
悪しき敵を倒すために角を与える、
その音は悪魔を地に落とす。
勝利は目の前に見える。

戦士は最後の戦いに挑む
恐ろしい悪魔との戦いに、
冷たく血塗られた平和な砂
空を夜が包む。

鎖と魔法が悪魔を固く縛る
闇の奥に閉じ込める、
戦士は新しい夜明けの光を祝い
再び平和が訪れる。

南エルスウェアのドラゴンDragons of Southern Elsweyr

市井の学者、グザンドリア・プレヴェット 著

北エルスウェア(別名アネクイナ)で行われているドラゴンの破壊に注目が集まっているが、南エルスウェアもこの悪質な獣の災難に直面している。これはこの野獣に関する私の体験記録だ。無論、遠くからの。私はドラゴンハンターではない!

センシャル近くを訪れた際に、ドラゴンの目撃者に初めて出会った。彼らは大きな赤い野獣が空を切り裂くように飛ぶ様を描写してくれた。ドラゴンが攻撃する前に目撃者は逃げた。この賢い行動指針に対する判断は差し控えるが、私は逃げない。代わりに分類し、記録するべく努めたい。

私は意を決して、目撃者が最後にこの赤いドラゴンを見た場所へ向かった。幸いまだ周囲に居残っていたので、近づいて少しの間観察できた。そして角の構造に奇妙な点があるのに気づいた。あれは角の欠損だろうか?しばらくしてドラゴンは飛び去った。何一つ傷つけはしなかった。ドラゴンの目的は分からないが、どんな騒動も損害も引き起こさなかったことに興味をそそられた。北で報告されてきた事態とはまったく異なる。このドラゴンが無害だという可能性はあるだろうか。悲しいかな、そのような考えを客観的に証明する証拠がない。

その後まもなく、別の赤いドラゴンがセンシャル近くの焦土に現れた。明らかに狩りの意図を持っていた。ドラゴンハンターの一団も現れ、派手な戦闘が起きた。私はドラゴンが叫び、吼える際にその名が分かるのではないかと期待しつつ観察した。ドラゴンはハンターに倒されたが、私は死ぬ前にドラゴンへ近づき尋ねた。「お名前を教えていただけませんか、記録できるように」

「定命の者よ、お前に名を教える価値はない」そう言って、ドラゴンは息絶えた。残念だ。きっと次のドラゴンはもっと協力的だろう。後世のためなのだ。私はこの赤いドラゴンをどちらも「名称不明のドラゴン」の中に入れた。マスナン修道士が、第二紀373年のドラゴン地図で記録したように。

次に、私は南の採石場近くで黒いドラゴンが目撃されたと聞きつけた。私は忠実な馬に乗り、急いでそこへ向かった。このドラゴンが動く姿を見られることを願って。今回も幸運だった。ドラゴンは採石場が見渡せる岩の上に止まり、私には見えない姿に向かって話をしていた。

「私はラートヴロン、お前の主だ。命に従え」とそいつは声を張り上げた。

ドラゴンが自分の名を語るのを聞けるとは、何と幸運だろう!私はそれを書き留めると、ドラゴンと手下に少し近づきすぎていたことに気づき、慌ててその場を去った。学者の探究心は時に救い難い。

私はセンシャルに戻り、そこで新しいドラゴンガードについて難民たちが話すのを小耳に挟んだ。古代の組織が、我々をドラゴンから救うために戻ってきたのだろうか?私は彼らを探さねばならない。もちろん、研究のためだ。

誰に紹介を頼めるだろうか?

破滅と闇を越えてThrough Doom and Darkness

選ばれた戦士は死が確実であっても、恐れを抱いてはならない。
それにより闇を心に忍び込ませてはならない。

命を軽んじる時、死を恐れないことは容易である。
それは闇の欺きである。

選ばれた戦士は胸の内に燃える炎を強め、
心を命と愛で燃え上がらせる。

彼らは必要によって戦い、
自らと他の者の命を守る。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

風の子供たちChildren of the Wind

立ち上がるのは爽やかな風
素敵なのはシカモアの種
クルクルとワルツを踊る
翼の上で踊る

故郷から遠く離れ
強く吹く風に運ばれ
ついに見つけたのは安らぎの場
根を生やすのは新たな木

すぐに嵐を呼んで羽を曲げ
優しい雨には羽を休め
そして雨が止み
吹き飛ばして太陽は自由になり

やがて雲により育まれ
若木の枝は伸ばされ
いくつもの春を越えて伸びる
翼はいっぱいに広がる

そして強風は種を飛ばす
白いシカモアを旅に出す

無限のジャダッリJa’darri the Endless

ケナーシの息吹とローカジュの影

彼女は誇りをもって道を歩んだ

アズラーの光とアルコシュの咆哮

彼女は頭を下げ、祝福を受けた

赤き獣の角と神聖なる仮面

彼女の終わりは、始まりにすぎない

迷子の猫Lost Cat

こんにちは!

これを読んでいるなら、あなたは私の大切な猫、テンダークロウのそばにいるはず。彼はすぐどこかに行ってしまう癖を持っているの。ありがたいことに、彼はいつもこのメモを持っている。もしよければ、彼をセンシャルの南にある家まで連れていって。それが面倒なら、動物のことを気にしてくれる、他のもっと役に立つ通りすがりの人のためにメモを置いていってね。どうもありがとう!

キシマ

追伸:彼は自分の眼帯について何か言われるのを好まないの。だから、気づかないふりをしてやってね。

優しい風によりBy Gentle Winds

選ばれた戦士は絶望の淵の中でも、
常に優しい風が導くことを受け入れねばならない。

だが導きがあってさえ、彼らは自分の意志で運命へ歩んでいかねばならない。
それは英雄の定めである。

選ばれた戦士は目の前に敷かれた道を辿り、
その確信によって心を強める。

彼らは選ばれた道の途上にいる、全ての者を導く光となる。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

贖罪のマントラMantra of Redemption

迷い猫、あなたは月光が届かぬ場所をさまよってきた。しかし私は黄昏で待っていた。あなたが耳を傾けるように。

ローカジュは闇の中で、あなたを迷わせている。不実な曲を聴かず、こちらに尾を向けなさい。

アズラーの言葉で心を満たし、闇を振り払いましょう。私の歌が、あなたを家に導く。

月のラティスを抜けて戻り、愛しい光を浴びなさい。

喜びなさい、迷い猫。あなたは見つけられました。

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