スコラリウムの走り書き

Scholarium Scribblings

アークマギスターからのご厚意The Largesse of the Archmagister

よく聞け、達人たちよ。古代の蔵書庫が再発見されたという噂はきっと諸君も耳にしているだろう。それは真実だ!この計画はまだ、ギルドの全メンバーに分析を許す段階になっていないが、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンはこの超魔術的な仮説体系に関心のある者たちに、一次資料を検討する十分な時間を与えたいと考えている。

十分なのは私に時間をかけさせたからだ。分析用の文書を手に入れるのにどれだけ長くかかったことか。

そのために、9つのスクリプトが完全に無料で、タムリエル中の魔術師ギルドで公開されている。これらのスクリプトは綿密に手で書き写され、アークマギスターのヴァヌス・ガレリオンその人による検査を受けているため、場合によってはオリジナルよりも優れた参照素材とされるほどだ!

よくも言えたものだ!この写本を作るために働いたのは私フィランディルだ。苦情を出さなければ!

このアークマギスターからの贈り物は、以下のギルドホールにある:
– バルケルガード
– ダボンズ・ウォッチ
– ダガーフォール
– ウェイレスト
– エルデンルート
– モーンホールド
– リフテン
– エバーモア
– ラウル・ハ

この新しく刺激的な神秘の技を探究するにあたっては細心の注意を払い、しかし情熱をもって取り組んでもらいたい!そして魔術師ギルドの指導者に称賛の声をあげるのだ。

称賛の声だと!恥知らずめ。

あくびの歴史と正しい技術The History of Yawning and Proper Technique

この巻はすべての定命の者にとって身体的に不可欠な、愛すべき余暇についての網羅的歴史である。あくびの目的はあらゆる世代の最高の知者たちによって、学問的議論の対象となってきた。後世のため、ここに網羅的な研究を残そう。

よし、これで他の啓発者はまけたでしょう。ネッチ、まだこれを読んでいるのなら、今回だけは手を出すのをやめて、見つけた場所に置いておいて。この本は私の後を追ってくる者の手に渡したい。ドラゴンの解けない謎の件で手伝うから。

この本を手に取り、東棟でまた私の残響を探して。私が作った、この謎に答える用意を整えておいて。

あげたり受け取ることはできても、借りられないものとは何?

アトモーラ教団の文書The Atmoran Cult Writings

公文書保管人オリアン・パマルク 著

ニルンの歴史の残響は深く遠く、生者の記憶からは消滅して久しい過去の知識や秘密の伝統まで遡る。しかしその音を最初に発した人間やエルフは姿を消しても、彼らが残した影響は、その文化や信念を我々が何らかの形で理解する助けになってくれる。

そうした謎の一つが、古代アトモーラ人の宗教的信念および崇拝対象である。これについての知識の一部は竜教団の歴史記録を通じて保全されているが、最近出土した記録は、これ以上に秘儀的な集団が存在したことを示唆している。

こうした記録は控えめに言っても断片的であり、古めかしいルーン文字で記されている。この文書の断片を多少なりとも理解できるものへと翻訳するために多大な努力がつぎ込まれたが、才能ある人々が力を合わせても、学者たちは写本の内容が文字どおりの生物や実践に関するものなのか、それとも宗教的な寓話を表しているのかについて意見を一致させられなかった。

以下の文は参照を容易にするためここに集めたものである。私と同僚たちは、これを互いの間でアトモーラ教団の文書と呼んでいる。

母なる蛾の教団
柔らかい夜に包まれて、彼女は我々に歌いかける。その大いなる羽根を一振りすれば、地平は銀の粉の眠りに覆われる。昼はよく生きよ、だが影を味わえと彼女は我らに命じる。比較する影がなければ、光もないだろうから。

母なる蛾はすべてを見る。無数の面を持つ彼女の目は、そのうちにアトモーラのすべてを宿し、それゆえ彼女は信じる者と信じぬ者を見分けられる。我ら少数の者たちだけが彼女の秘密を知り、彼女の歌を聞き、彼女を称える。

我らが栄光高き、毛に包まれた母は忍耐と高貴さ、柔らかさ、愛に満ちている。彼女の体は夜空よりも大きく、彼女の多くの足は木々よりも高く、彼女の飢えは尽きることを知らない。

だからこそ、我々は夜の間に、焼却と焚き火によって彼女を称えねばならない。すべての蛾は光を欲する。それは彼女の忠実なる子である我らも同様である。彼女の秘密は炎のちらつきの中で、星々の瞬きの中で、暗闇の光の中で我らに対して明かされる。彼女の飢えを満たすことは決して望めない。我らの供物があまりに貧しいためである。

それゆえ、我らは彼女の欲望を自らのものとせねばならない。我らは歓喜と共に光へ加わる。我らの薪は大きくなり、より熱く燃える。炎が我らの皮膚を舐める時、我らは痛みを感じない。母なる蛾のために燃え、暗闇を照らす時、彼女の舌がこすれる穏やかな感触を覚えるのみである。

蛇の民
塩水の深淵を自ら味わったことのない者に、蛇の話をしてはならない。足が大地を離れたことのない者に、蛇の話をしてはならない。勇気と栄光をもって蛇の口に向かうことを望まぬ者に、蛇の話をしてはならない。

蛇の話をしてはならない。

蛇の鱗持つ波を突き抜けて船を走らせたことがないのなら、蛇を称えてはならない。打ちつける海の上でその咆哮を聞いたことがないのなら、蛇を称えてはならない。海の墓場から蛇により救われたことがないのなら、蛇を称えてはならない。

蛇を称えてはならない。

多くの季節に多くの海で船を走らせるまでは、蛇を探してはならない。年月により体が重くなるまでは、蛇を探してはならない。もう旅する場所が残っていなくなるまでは、蛇を探してはならない。
蛇を探してはならない。蛇がお前を探すのだから。

その荒々しく、海水に浸ったヒレを受け入れよ。その筋と鱗の巨大な体を、その鋭く尖った骨の歯を。お前の体がいつか蛇を満たす時、お前もまた満たされるだろう。

ヤギの教団
フロストウッドは村が考えているほど不毛の地ではない。私はあそこで色々なものを見た。獲物よりも大きく、熊よりも大きい。あの森には怪物がいる。彼らは生贄を求めている。

私は立って歩くヤギに多くの贈り物を運んだ。彼は私のそばで貪った。彼は力強い髭から血をしたたらせながら、その奇妙な横長の瞳を細め、私が捧げた肉と魚に爪を食いこませた。

私は他の者を立って歩くヤギに運んだ。一部は叫んで逃げようとした。哀れな愚か者よ。立って歩くヤギはいつも彼らより速い。二つに割れた彼の蹄と筋肉質の足は、彼らよりも遥かに素早く地を駆けた。それが彼の美しさであり、彼の秘密である。

彼の栄光を目にした者は他にわずかだ。彼らの顔は恐怖から驚きへ、そして畏敬へと変化した。我らは力を合わせ、さらなる供物と信者を我らが偉大なる神へ運んだ。立った歩くヤギは食べねばならず、称えられねばならない。ここは彼の森だ。我らは彼の意志によってのみ生かされている。

インドリクの寓話Fable of the Indrik

夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。

地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。

その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。

両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。

「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」

敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。

ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。

インドリクの寓話(注釈付き)Fable of the Indrik (Annotated)

夜明け近く、狩人はいい採石場を探して緑の水の中を移動した。
タムリエルにいるのは確か。グリーンウォーターの入江?ドーンブレイク?オーリドンに違いない。

地面までつく長いスカートを着て、身動きしない淑女に遭遇した。
ムンダス・ストーン。南の、小さな採掘集落から川を渡った所にある、小さな池の中の島にあるのを見たことがある。

その背後に何かが集まっていた。蹄と羽根と大地の骨の獣だ。近づきすぎると吠えて追い払ってきた。狩人は泥とやぶの中を追い返し、月のような灰の石の輝く広間の中、クランダの琥珀の光のそばで地面の中に追い込んだ。
この獣はインドリクに違いない。「月のような灰」はオンディルの遺跡を思わせる。

長い脚の獣は自分よりさらに長い影を落とし、狩人と戦わせた。両者は再び、かつては巨大だった塔の重みで沈められた島の遺跡の中で顔を合わせた。残っていたのは中央の星明かりの泉だけだった。
東沿岸、ブラニイム。塔はないが古代の力の井戸がある。

その獣は走らなかったが、狩人が近づくと凝視した。
「なぜ追ってきた?」と獣は聞いた。
「いい採石場を探していた」と狩人は答えた。
「私は弱く、この世界に慣れていない」と獣は言った。「小さくて弱い」
「お前が大きくなるのを待っていたら動けなくなる。それに走ることはできただろう」と狩人は言った。「誰にも追いかけられなかったら、力の持ち腐れだ」
「一緒にこの井戸から飲め」と獣。「お互い今回の追跡で力をつけた」

敵同士の両者は首を曲げ、星明かりの井戸の水を飲んだ。元気が出た両者は仲間として顔を上げて再び走り、川を越え、水しぶきを上げながら淑女のスカートを通り、海へと突き出した高台で足を止めた。

地図を確かめた。この寓話が書かれた時、ここは島でなかったのでしょう。今はオーリドンの南西の岸で、灯台がある。扉がまだあることを祈ろう。

ずいぶんと変わったものだと、同じ過ちを繰り返す代わりに歩調を合わせ、森の空き地に足を踏み入れた狩人は思った。

インドリクの挑戦Challenges of the Indrik

アンカーの挑戦
邪悪なデイドラの獣たちが空から降ってきた。オーリドンの地から、奴らを一層せよ。

チームワークの挑戦
仲間の英雄たちと、栄光を求める他の勇者たちと戦え。

力の挑戦
強大な力を持つ邪悪な者たちが、オーリドンの洞窟で挑戦を待っている。彼らを倒し、より強いことを証明せよ。

浄化の挑戦
不死者たちが蘇り、オーリドンの地を汚している。死者たちを元の場所に送り返してやれ。

インドリク分析の印Sigil of the Indrik Analysis

さて、冒険者よ。私は信奉者ナーリアに、啓発者によって与えられる「力」が何を意味するのかを説明するよう言われた。私はスコラリウムに来てまだ間もないが、私の魔法の洞察をこの主題に全力で傾けることを約束しよう。

インドリクの大いなる力とは、タムリエル中に調和の共鳴を確立させることのようだ。長きにわたり眠っていた秘密の繋がりが、スコラリウム自体の中にあるものと同様、目覚めつつある。さらなる研究が必要ではあるが、目下の影響はおそらく、スクリプトと輝くインクが見えるようになることだろう。単なる紙切れや退屈で生命を欠いた文書ではなく、未来の力の前兆が見えるのだ。事実、小さなファウンはここスコラリウムに隠されたスクリプトに私を導いてくれた。実に刺激的だ!君がさらに啓発者たちとの関係を深めている間、私は探索を続けるつもりだ。

そしてもちろん、発見したものについては君に知らせていく。頑張ってくれ!

ウルフシルドのメモUlfsild’s Note

〈日記から破られたページのようだ。〉

できるだけ荷物をまとめたけど、憤りでいっぱい。愚か者と狂った者の心ない気まぐれが私の心を重くする。

すべてを救おうとして身を削った。発見したものを後世に残していく。スコラリウムは蘇る。ただ…

ウルフシルドのメモ:啓発者の起源Ulfsild’s Notes: The Origin of Luminaries

優れた謎の喜びを称えましょう!私は啓発者のそれぞれに、自らの種族の起源について順に尋ねたけど、全員が大きく異なる解答をした。私はこれを、ドラゴンのための不可能な謎を作るのに利用するつもり。

グリフォンの誕生にまつわる性質により、グリフォンの解答は毎日変わる。ある日はすべて魔術の力だといい、次の日は使用された魔力の量だという。でもついに正しい解答を得たという、揺るがぬ確信はいつも同じ。

インドリクは、自分が純粋な思惟から具現化したと考えている。物語を通じて世界の意味を解こうとする精神による発明だと。ネッチは単一の解答を与えることを拒み、触手の数にも劣らないほど多くの物語を繰り出してくる。

ドラゴンは、私がこれほどこの問題を気にかけていることに怒っているようにさえ見える。ドラゴンは過去のことを思い悩むより、彼女の言葉でいう「内なる宇宙」に集中することで満足している。

順番は適当だけど、以下が私自身の仮説よ。

1. 啓発者はエセリウスの流した涙である。我々はエセリアルの力を多くの形で見てきたけど、その多くはクリスタルだった。物理的な姿を持つ霊魂もありうる?

2. 啓発者はエドラによって作られ、我々を導き守るためにこの次元に意図的に配置された実験的存在である。啓発者はエセリウスにとって、オブリビオンにとってのデイドラのようなものだけど、より希少性が高い。

3. 啓発者は「魔法のサイクル」の自然な一部分である。魔術を水のようなものと考えるなら、啓発者は水道管であり、水を我々の次元まで運び、光るランプのように周囲に放出している。

4. グリフォンは自分がある強大な魔術師の呪文の余波として生み出されたと信じている。啓発者たちが我々の次元の何かによって形作られたという事実には一考の余地があるかもしれない。あるいは、啓発者がインドリクの言うように純粋な思惟の具現化なのか?偉大なる魔術の達成か?何者かが、たとえ偶然にでも啓発者を作ったのだとしたら、再びそれを行うことは可能か?

啓発者の誰も自身の起源を本当には知らないという事実は、彼らの起源を知ることに何らかの危険が伴うのではないかと思わせる。彼らの存在の本性を理解することは、彼らの中で何かを変化させる?

そのため、私はこのことが、私の謎の強みになるかもしれない考えた。ドラゴンが解答を思いつかなかったなら、解答を予想する術もなかった。

この考え方を気に入った私は、謎を携えてドラゴンのところへ赴いた。「啓発者の起源は何?」私は助けが必要ならば仲間の啓発者に相談するよう促した。ドラゴンに自分の解答が絶対の真理ではないと気づかせるため。

これはとてつもない間違いだった。啓発者は我々のように時間の経過を感じない。その後の議論はほとんど月のサイクル5回分ほども続いた。私はシャルの助言を求めたけど、彼は自分の研究で忙しく、また彼がこの試練全体をくだらないと考えているらしいことも伺えた。

結局、私は友人たちがこんな風に議論していることに耐えられなくなった。私は自分の謎を撤回し、ドラゴンにもう一度チャンスをくれと頼んだ。最初の謎を作るのにこれだけ長い時間をかけたのに、これからどうすればいいのか見当もつかない。

アイベアからは一時離れよう。サンホールド近くにある私の静かな聖域サナメアに行き、これからどこに向かうべきかを考えよう。

ウルフシルドのメモ:不可能な謎Ulfsild’s Notes: The Impossible Riddle

謎に複数の可能な答えがある場合、その謎は解ける可能性が高い。相手が謎かけの達人なら、可能な答えの数を少なくすれば、相手を行き詰らせる可能性が高いことになる。

手に入れるため諦めなければならないものは?答えは一つしかない。不可能な謎への答え。ミズビの考えた見事な答えだけれど、一度しか使えない。

ドラゴンに答えの存在しない謎を与えることはできなかった。私が答えを知らない謎も。だが、逆説ならどうだろう?

どんな可能なグリモアでも作り出せるグリモアを刻んだら、それは自分も作り出せるか?これが私の謎だった。ドラゴンには答える時間をやった。どんな答えを出してきても、私はそれに反論できる。私たちの会話は行ったり来たりを繰り返し、ついに満足したドラゴンは譲歩した。

私の魔術は永久に変化した。だが私はすでに先のことを考えていた。あなたのこと。私がスコラリウムに別れを告げた時、ドラゴンにあなたのことを話した。これはあなたの得になることだと約束する。私はドラゴンに三つのことを話した。

あなたはドラゴンの謎にふさわしい精神を持つでしょう。
あなたはドラゴンの探しているもの――新しい不可能な謎をもたらすでしょう。
そして私はとても注意深く、あなたは決して私の後継者であると主張しないだろうと言った。

この話の行方を見通していることを期待している。あなたにはできると私は信じる。もしわからなければ、助けを求めることを恐れないように。

私が学んだのは、いい謎かけという単純で喜ばしいものを探すため、一人で苦労する必要などないってことよ。

ウルフシルドの記録:あなたの発見、私の別れUlfsild’s Log: Your Discovery, My Farewell

私は啓発者たちを見つけた。でも私が最初というわけじゃない。あなたがこれを読んでいるのなら、私が最後の者ではなかったということだから安心できる。

私と同じように、あなたも自分なりにそのための旅を進んでいって欲しい。彼らを見つけだし、その恩寵を得るために必要な考え方の変化は、恩寵それ自体にも劣らない贈り物よ。

まだ世界が見たことのない魔術を生み出すこと。彼らに従うか、あるいは彼らの予想を裏切るか、あなたの魔術の表現を決めて欲しい。

私は啓発者たちをそれぞれ気に入っている。でも、私の心はいつも不死の存在に魅力を感じていた。自分自身は不死になりたいと思わなかったけど。私は彼らから学び、彼らも私から学んだ。そして私は私自身からも学んだ。

今でも啓発者が何なのかはわからない。私なりの仮説はある。もしあなたがまだ私のメモを見つけていないのなら、きっといずれ見つけるでしょう。

あなたが誰かは知らないけど、あなたの説を聞けたらと思う。シャリドールが啓発者への私の関心を共有してくれていたらと思う。こうだったらという願いはたくさんある。

これは願いじゃない。私はいつか誰かがこれを読むと信じてこの言葉を紙に記している。私が失ったものを、誰かが見つけてくれると。その誰かは見つけてくれた。あなたが今これを読んでいるのなら、それは実現した!人間も羊皮紙も永遠には続かないのに、この物語が何らかの形で存在し続けているのは、素敵なことだと思わない?私はただ自分の一部を残していっただけ。でもそれは無意味じゃなかった。

とにかく、私は最後の準備をしながら、そう自分に言い聞かせている。最後の別れを言うわ。すべては整ったけど、まだ足りないような気がする。私は…

〈日記の残ったページはちぎれてしまっている〉

ウルフシルドの記録:インドリクUlfsild’s Log: The Indrik

私が最初にインドリクを見た時、それは最初に見たインドリクではなかった。しかし当時の私はそのことを知らなかった。小さい頃の偶然の出会いは、シャリドールがオーリドンの昼間に崖上の母とファウンを指さすあの特別な瞬間まで、水に濡れたインクのようにぼやけていた。ああいう動物は確かに以前見たことがあった。そして記憶はまるで新しいインクで書き直されたかのように、はっきりと蘇ってきた。

私が小さかった頃、私はクランの両親によく、地面に落ちたか茂みに引っかかったマンモス毛皮の切れを集めてこいと言われた。両親はそれを粗い毛玉に変えた。あの臭いは思い出したくないが、忘れることもできない。仕事は気にならなかったが、その時家にして住んでいた場所から遠く離れて、一人で外を歩き回るいい口実になった。

春の終わり頃のある日、私はマンモスの群れが谷からの冷たい雪解け水が流れる川のそばに集まっているのを発見した。マンモスたちは川の水をごくごくと飲みつつ、暖かい日の下で体毛を振り落としていた。これは大量の毛皮を持って帰るチャンスだと思った。私は背の高い草に隠れて忍び寄り、マンモスの後部に手が届く位置にまで近づくと、木のような足から手に一杯の毛皮をむしり取り、巣作り中の鳥のようにかばんに詰め込んだ。完璧にうまくいっていたのに、マンモスの子供が私を見つけて、驚きの吠え声を上げた。群れが暴れ出し、紛れ込んだ小さな侵入者を踏み潰そうとする中、私は逃げようとしたが、逃げ場は見つからなかった。

足元で地面が揺れ、私は前に倒れ込んだ。土にぶつかると思ったら、私の顔は皮か羽毛に深く埋もれた。どちらともわからなかった。最初はマンモスの鼻かと思い、目を閉じて体を硬直させた。持ち上げられるか投げ飛ばされるか、とにかく安全なところに行けることを祈って。しかしぶつかって少しすると、自分が何か疾走しているものの背中に乗っているらしいことに気づいた。私たちは川の片側にいたのに、魔術が閃いて一瞬の後、反対側にいた。私を救った獣が早足程度にまで速度を落とすと、私は体を震わせて背中から降りようとした。

その獣が奇妙な吠え声を上げて消え去る時、私の目には四本足で立つ姿が一瞬映っただけだった。ヘラジカのような枝角があったが、鳥のように羽毛が生えていた。私はクランのもとに駆け戻ってこの話を伝えたが、彼らは笑うだけだった。ウルフシルドがまた森で眠りこけて、途方もない夢を見たってよ、と彼らは言った。かばんの毛皮の大半はなくしてしまったので、彼らは私が手の中に握りしめていた小さな羽をよく見もしなかった。

しかし羽はその後も持っていた。それは私が世界の中に見た流れと同じものから作られていた。川のように流れ続け、雲のように変わり続ける魔力の糸。私は羽を自分の帽子につけて被ったが、シャリドールとのあの瞬間まで、奇妙な枝角の生物のことは完全に忘れていた。

私はサンホールドへ、インドリクと狩人に関するボロボロの童話を置いていた古い巻物店に戻ろうとしつこくせがんだ。私に見える魔力のねじれのように、なぜか私はあの童話に他の者には気づけない何かがあることがわかった。明らかな道しるべが残されていたのだ。私は少女だった頃と同じように一人で放浪し、謎を解いて場所を見つけ、結界を見出した。偶然のはずはない。この指紋は私に追わせるため世界に残されたものなのだ。

私は自分がそれなりに優れた魔術師であることを知っていた。私の業績の噂は広まり、あろうことかシャリドールの注意を引いた。私は自分の力にそれなりの誇りを持っていたが、千年近くも年長の者がそばに現れたことで、実力を証明したいと思った。シャリドールに対してではない。彼は私が自分と対等ではないと思わせるような態度は決して取らなかったし、私もそういう振る舞いを許しはしなかっただろう。だが私は自分自身に対して力を証明したかった。

結界を破り、インドリクの領域に侵入した時、私はもうマンモスの群れに踏み潰されつつある怯えた少女ではなくなっていた。それでも、インドリクは私を覚えていてくれた。

ところで、シャリドールと私は異界の存在と決して取引してはならぬという契約を交わしている。この紙片で告白しておくが、私はインドリクと会った時にその契約を破ってしまった。つまり、私は童話から手がかりを得たのだ。インドリクが私に力を示せと言った時、私は昔に出会った時から持っていた羽を見せた。私は取引を持ち掛けた。インドリクが羽を奪い取れたら、私は大人しく羽を返し、この領域を去る。だが私が奪わせずにいられたなら、インドリクはその力と知識を私に分け与えると。

だが、この物語の結末は知っているだろう。これを読んでいるのなら、あなたはスコラリウムにいる。これを記している間も、インドリクの羽根は誇り高く私の帽子に刺さっている。私は自分自身とインドリクに対して、帽子を脱ぐまでもなく実力を示したのだ。

ウルフシルドの記録:グリフォンと狐Ulfsild’s Log: The Gryphon and the Fox

記憶がこれほど匂いに深く結びつくのは不思議なことだ。ふとジャズベイの香りが漂ってきただけで、私は小さい頃を思い出す。

冬の季節が近づき、空気が冷えてきたとき、私のクランマザーは育ちの悪い小麦と、傷がついたり熟しすぎたりしたベリーでタルトを焼いてくれた。パサパサで歯に付く甘いお菓子。でも私も含めて若者は最後の一口まで味わって食べた。タルトは吉兆だった。冬への備えがたっぷりあって、残飯を倹約しなくていいという証。

ある冬、私はこのお菓子を籠に入れて長老のところへ持っていく役目を与えられた。丘を登っていくお使いで、頬に当たる空気が鋭かった。籠は私の両手に重くのしかかり、目の前で自分の吐いた息が揺らめいた。長老の小屋から出る煙からあと少しのところで、私は多分一休みしたと思う。その時、小さく弱々しい吠え声が聞こえた。

茂みの陰から覗いてみると、道の反対側に小さな狐がいた。とても小さく見えた。赤ん坊だ、道に迷って凍えて、お腹を空かせているんだと思った。私は籠に手を伸ばし、タルトを一切れ細かく砕いて、狐に向かって放った。

狐はビクッと震え、逃げ出しそうになったが、小さな鼻が動くのが見えた。タルトの匂いに気づいたのだろう。恐る恐る最初のかけらを食べたが、子供の私には美味しいと感じているように見えた。狐はあっという間に残りのかけらを食べ尽くした。その時私は傷跡に気づいた。足首の周りに細い線がいくつもあり、毛皮に沿って小さな切り傷が付いていた。一体いくつの罠から脱出してきたのだろう?私が仕掛けた罠もあったんだろうか?

私が思いを巡らせていたその時、狐が私の籠を目がけて飛びかかり、持ち手の部分を器用に歯でしっかり咥えて、森の中に逃げ去っていった。

私は驚愕した。騙された。あれは弱った哀れな動物ではなく、抜け目のない盗賊だったのだ。私はできる限り素早く狐を追いかけた。枝や茂み、分厚く積み上がった雪を避けて川の土手を滑り落ち、降りた先で中が空洞になった木の幹を発見した。

中にいたのは盗賊狐と、子狐の群れ、そして私に向かって歯をむき出す細い母狐だった。

私は両の掌を上げて母狐に向け、地面から体を起こし、ゆっくりと木の幹から離れた。母狐は警戒を解いたので、私も同じようにした。私は母狐が子供たちの世話をするのを見ていた。タルトを足先で砕いて小さくして、子供たちが食べられるようにしていた。

どれだけ長く見ていたかはわからないが、クランマザーが恐怖に顔を赤くして、茂みを突き抜けて現れた時、母狐の耳がピンと立ったのを憶えている。彼女は私が長老の小屋に来なかったことを知って、獣に連れ去られたと思ったのだ。私はシッと合図して「赤ん坊が怖がっちゃう」と言ったが、彼女は怒って歯をむき出しにして、私を叱った。

自分にも母狐がいたことを知るのは、何とも奇妙な気分だった。

四つん這いになってスコラリウムの本の山をかき分けてジャズベイの匂いを辿りながら、シャルが入ってきて見られませんようにと祈っている時、私はそれを思い出した。特に埃の酷い四則演算に関する本の山をどかした時、私は実に奇妙なものを見た。狐だ。前足を私の机の上に置き、私が文鎮として使っていた小さなフェアライトを鼻でつついていた。

その途端私は子供の頃に戻り、ゆっくりと地面から体を起こし、驚かせないように両手を空中に掲げた。狐は私を見て頭を横に向け、微笑んだ。突然狐はフェアライトをその口に咥え、本の山をすり抜けて走り去った。

もし私が狐を追う訓練をしていたことを知っていたら、それでも狐は逃げただろうか。私は石の床をまるで氷のように滑って進むことができた。曲がりくねった角やでこぼこの丸石すべてを熟知していた。あのジャズベイの匂いが、この試練に子供のような喜びの感覚を与えてくれたのかもしれない。

私はもう少しで狐を捕まえるところだった。私の指が狐の尻尾の先をかすめたが、狐は壁に向かって跳躍し、壁を突き抜けた。一瞬のことで、あまりに突拍子もなかったので、私は軌道を修正する余裕がなかった。壁に激突すると思って身を固くしたが、驚くべきことに、私は壁を貫通してしまった。

私は積もった雪に転がり込み、雪の中に深く突っ込んだので、上下の感覚もわからなくなった。うめき声をあげて体勢を立て直そうとしたが、その時何かが私の足を掴んで引っ張り出すのを感じた。雪から自由になった私は、翼がはためく力強い音と、氷と羽の塊に気づいた。グリフォンだ。

グリフォンは私を無造作に落とし、空が完全に隠れるまで翼を広げた。それは両足の爪で地面を叩き、突進しようとしていた。その時狐がグリフォンの両足の間に現われ、グリフォンの注意を引こうとつっついた。

小さな盗賊は私のフェアライトをグリフォンに差し出した。するとグリフォンは力を抜き、謝るように私を見た。

彼らが何者か、私は理解した。いたずら好きの狐と、それを守る親だ。私は座って狐がフェアライトを蹴って転がすのを見ていた。いつそうなったかはわからないが、私はグリフォンの翼にくるまれて目を覚ました。暖かく、安心だった。

ウルフシルドの記録:ドラゴンUlfsild’s Log: The Dragon

私は謎解きに向いた性格じゃない。しかし謎かけというものには何かがある。私のような者にとってさえ、耳を刺激するような何かが。隠された意味を探すことには、抗しがたい魅力がある。

ミズビの寓話を聞いた時に私はそのことを理解した。マラバル・トールのジャングルを旅している時に出会った遊牧民の一団に混じっていた、月の歌い手に話してもらったのだ。ただ聞いただけでも、物語の謎かけ以上の隠された意味があるはずだとわかった。目に見えそうなくらい!あれを紙に書き記していたらと思う。答えが思い浮かぶまで、言葉を見つめ続けていられたのに。

私たちが立ち止まったその夜は、ここの気候に慣れていない者にとっても蒸し暑かった。ミズビとそのドラゴン、そして彼らの謎かけのことを考え続けていなかったとしても、私のようなノルドは眠れなかっただろう。私はシャルのいびきをテントに残して辺りをぶらつき、物語を語ってくれた遊牧民が見つからないかと思った。朝早く彼女を捕まえられれば、あの話がまた聞けるかもしれない。

しかしその時間に起きていた唯一の者は、星を見上げていた。敏捷そうなキャセイ・カジートだ。縞模様がようやく現れ始めたくらいの若者だった。私は彼と向かい合う形で焚火に座ったが、火は何時間も前に消えていたようだった。「寝なくていいの?」

彼は目を上に向けたまま、星が空を動き回るのを見てるのが好きなんだと言った。好きな星や星座があるのかと聞くと、彼は恥ずかしがって顔を隠した。「彼女が見ているかもしれない!」

「誰が?」私は上を向いた。彼の言う誰かが私たちを見下ろしているのかと思ったのだ。

「今はいない」と彼は言った。「雷や駆ける蹄のもとで、彼女は夜の間に二度、目を上げて僕にウィンクするんだ」

謎かけ?面白い。しかも子供の謎かけだから、私にも解くチャンスはある。駆ける蹄――馬のことだ。夜の間に二度?「黄昏の星?アズラのこと?」

「アズラー」と彼は繰り返した。彼は胸に手を当て、夢を見ているような面持ちでため息を漏らした。その後でようやく私に気づいたようだった。彼は体を起こし、「あの魔女じゃないか!」と尊敬の念を込めて言った。他の遊牧民たちが私たちの通過を話したらしい。「交換してもいい?」若者は駆け寄ってきて、何か重いものを私の手に押しつけた。冬の桃くらいの大きさの、よく磨かれたムーンストーンの艶やかな破片だった。

「交換って、何と?」

「その羽と!」と彼は言って私の帽子を指さした。

ああ、その羽か。私は羽を手放すことは望まなかったので、そのように言うと彼は残念がった。

彼はまたムーンストーンを私の手に握らせた。「でも交換だよ」と彼は言った。まるですでに合意済みとでもいうかのようだ。

「この羽は私にとってとても大切なものなの。あなたくらいの年の頃から持っていたのよ!」

あの大きな青い目に輝いていた好奇心に誘われてか、私は彼にインドリクの物語を話し出した。それはインドリクを探す私の物語へと繋がっていった。子供の頃と、大人になってからの両方の物語。そして私は彼の手にムーンストーンを返そうとしたが、彼は受け取ろうとしなかった。

「その物語となら交換してもいい」と彼は言った。まるで私が何かのゲームに勝ったみたいに。

私はムーンストーンを見つめた。「これを物語と交換できる?」

「物語でも、歌でも、羽でも。まっとうなものなら何とでも」と彼は言った。交換と取引についての子供なりの考え方だったのかもしれないが、彼が正当だと思ったのなら、私もそう思うことにした。

「ミズビとそのドラゴンの物語を知っている?」

「あの古い話?知らない人なんているの?」

私は知らなかった。彼や他の遊牧民のように、そらんじてはいない。少なくとも、今は。私は彼の腕をつかんで、ムーンストーンをその柔らかい掌に置いた。「ならそれを話して」と私は言い、筆に手を伸ばした。「ゆっくりとね。今度は私がそのドラゴンを見つけるんだから」

ウルフシルドの記録:ネッチUlfsild’s Log: The Netch

私のささやかな蔵書庫が命を宿したように感じる。時々、どこを見ても新しい本があるような気がしてくる。自分が持ってきた覚えもない本の中で、新しい秘密が発見されるのを待っているような。

この前、本棚の間に立って何か興味深い本に没頭していた時、シャツの後ろが鋭く引っ張られるのを感じた。(当然)狐だろうと思って振り向いたけど、誰もいなかった。他の状況だったら、私も薄気味悪く感じただろう。しかしなぜか、気分が軽くなった。まるで私を読書から引き離した奇妙な力は、ただ私が少しの間不思議そうに顔を上げることを望んでいただけのような気がしたのだ。

私は数分の間本棚の周りを歩き回り、角を覗き込んだり、脇によけておいた本の束を抜き足差し足で通り過ぎたりした。少々滑稽だったかもしれないが、幽霊の力の痕跡はなかった。

私は読書に戻ったが、同じことがさらに二度も起きた。まるでゲームのような感じがしてきた。私が読書に完全に没頭した瞬間、見えない力はどんなことをしても私の注意を引こうとしているみたいだった。次に同じことが起きたら、何も気づかなかったふりをしよう。無視されていると感じたら、見えない力はどうするだろう?

***
今日、私はスコラリウムのあの場所に戻った。私の本が巨大なリスの形に配置されていることに気づいた。読むべき資料を片づけ、近くの本棚を軽くチェックした後、私は腰を落ち着け、見えない遊び相手が戻ってくるかどうか待ってみることにした。

数分後、それは戻ってきた。昨日よりもさらに熱心な様子だった。服をしつこく引っ張る相手に向き直りたい気持ちを抑えて、私は自分の作戦を忠実に守るため無視を決め込んだ。どうやら相手は意気を削がれたらしく、その後数分間は静かになった。

この生物の気分を害してしまったかもしれないと思い始めたその時、本がまるで自分の意思を持ったかのように私の手から飛び出し、私の目の前に浮かんだ。突然このような子供じみた反撃を受けた私は驚き、つい笑顔になってしまった――他にどう反応しろというのか?渡さないゲームがそれに続き、見えない遊び相手が私の手の届かないところに本を引っ張り続けるのを見て私はまた笑った。

浮遊する本が大仰な動作で道を指し示す中、私は広間から広間へ導かれていった。ついに一番離れた書斎にたどり着いたが、そこは建設はしたもののまだ本を置いていない部屋だった。私の周り中から力の空気が放出された。インドリクほど陰鬱でなく、グリフォンほど真剣でない。私が思い浮かべたのは子供部屋や、芸術家の工房に近いものだった。創造と喜びの場所だ。

扉をくぐると、そこは…別の場所だった!陽光を浴びた海辺の地だ。浅い水辺をかき分けて進んだが、私の足はまったく乾いていた。親切な魔術だ。

温かい陽光を浴びていたのは大きな、光を発するネッチだった。それは海風の中で嬉しそうに揺れており、私が近寄ると抱きしめようとするかのように触手を伸ばしてきた。なぜか、私はネッチに害意がないこと――むしろその反対であることがわかった。

多くの触手が私の体の周りに優しく巻きついて抱きしめ、感触を確かめた。「こんにちは」と私はようやく声を出した。

私が口をきくとネッチは触手を緩め、1本だけが私の肩にかかった状態になった。「お前はとても心がふわふわしている」とネッチは言った。

「それはどうも…?」と私は返した。

「どうしてお前はそんなに元気なのかな?お前の器はどうしてそんなに、ネッチっぽくない?」

「ここにいるからよ。魔術と不思議に満ちている。楽しくないはずがないでしょう?」と私は言った。

これを聞いて、ネッチは少し高く浮いたようだった。「ああ、気に入ったよ!楽しいゲームをいっぱいしよう、ネッチじゃない人!」

私は微笑んだ。「私の名前はウルフシルドよ」

「ウルフ、シールド」ネッチは私の名前を思い定めた。「ウルフシルド、私は一緒に遊びたいと思う。お前はどうかな?」

私は躊躇したが、一瞬だけだった。「そうね、何をして遊びたいの?」

カール:歴史家助手Caal: Assistant Chronicler

フィラルディルの使い魔、商人

これは私の大切な使い魔、カールだ。彼女とは何年間も共に過ごしてきた。どうかカールに最大の敬意と優しさをもって接してくれ。売り子として、歴史家助手として、魔術師ギルドの立派なメンバーとして。

彼女はプロだ。まっとうに接してくれれば、あなたにもまっとうに応対するだろう。

カラスの寓話Fable of the Crow

カラスは話すこと、旅すること、光るものが好きだった。森の中で彼女の呼び声に答えた者、彼女に並ぶ知恵を持つ者は1羽だけだった。それはハンサムで孤独を好み、長く生きてきたことによる知恵を持つレイヴンだった。

しばらくして彼らは一緒になり、力を合わせて大きな巣を作った。森の魔法のすべては彼らのものだった。

カラスは光るものを集めた。森の友達からの贈り物だ。最初、レイヴンは色々な疑問を持った。

「この力の贈り物の価値はわかる。だがこのの贈り物にはどんな価値がある?」

「これは私の好奇心に報いてくれるの」とカラスは答えた。

「ではこの忠誠の贈り物は?」

「それは私を守るためよ。私たちの友情を強めてくれる」とカラスは説明した。

「意外な慈悲を数多く受け取っているんだな」とレイヴンは感想を述べた。

「私の友達は優しいのよ。分かち合うのはいいことだわ。私たちの巣と同じ!私たちのためには十分な空間があるし、私たち以外も入れる」

レイヴンはこうしたガラクタにすぐ興味を失ったが、カラスがそれで喜ぶことを理解したので、そうした贈り物を彼女が巣の下にため込むことで文句は言わなかった。

ある日、レイヴンはカラスに巣を交換しようと考えていることを伝えた。カラスはとてもがっかりした。レイヴンは一体何を巣と交換するつもりなのだろう?それに誰と?

彼はある見知らぬ者が星と交換しようと持ちかけたのだと話した。彼の目はカラスが見たことのない期待に輝いていた。レイヴンはそんな輝かしい贈り物があれば、どんな素晴らしいことができるかを語った。

彼の中で何かが変わってしまったのだろうか?それとも前からずっとこうだったのか?カラスにはわからなかった。カラスには彼を止めることもできなかった。レイヴンの取引が動き始めてから、もう手を引くことはできなかった。

クラススクリプトの謎The Class Script Conundrum

冒険者よ!

ギルド中の友人や歴史家仲間を通じて、秘術の羊皮紙片が興味深い場所に姿を現しているという話を聞いている。この「紙片」はドラゴンの専門であるシグネチャースクリプトと同じ魔術的性質を持っている。

どうやら、様々な宝箱が現在、この羊皮紙片の追加によって「改良」されているらしい。現在までに受けた報告で、これが手に入る場所は以下だ。

– 古代のダンジョン
– 冒険者同士のバトルフィールド
– シロディールの前線
– メイルストロームやドラゴンスター・アリーナなどのバトルアリーナ
– クラウドレスト襲撃やホール・オブ・ファブリケーション探検など、大規模な冒険
– 達人の依頼の報酬箱からも!

あの信用ならぬドラゴンが頭を捻って作り上げた、実に厄介な問題だ!奴の神秘的な馬鹿騒ぎの答えを、君が見つけてくれることを願っている!

グリフォンの寓話Fable of the Gryphon

〈ページが本から破り取られていて、本の外装だけが残されている〉

グリフォンの寓話Fable of the Gryphon

〈ページが本から破り取られている〉
「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。

ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」

彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。

トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!

「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」

「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」

「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。

だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」

しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。

その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…

〈さらにページが破られている〉

狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。

路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」

「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」

ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」

グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」

ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。

「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。

「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう」

「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ」

グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない」

だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく」

〈ページが破られている〉

フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。

フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。

ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。

ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。

リフテンの東からフォーレルホストへ旅して、近くに別の洞窟か空洞がないか調べましょう。一緒に来るようシャルを説得できるかもしれない。あれからしばらく

〈さらにページが破られている〉

威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。

夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。

「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。

「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」

闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。

グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。

だがその時にはすでに遅かった。

ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。

グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ1Gryphon Fable (Annotated) Page 1

〈ページが本から破り取られている〉

「…どれだけ早く走っても、夜はついてくる」グレイは苛立って尻尾を振った。

ザリアは彼を見つめて言った。「それだわ!瀕死の男が言っていた。日没は必ず来るって!」

彼らは夜の触手から逃れ、ダスクフォール城へ走った。グレイの魔術で彼らの動きは影に包まれていた。ザリアは地図が記された紙切れに、北にあるトレヴァの形に沿った奇妙な線が描かれていることに気づいた。

トレヴァ川の城?高台の塔のこと?そんな名前で呼ばれるのは初耳ね。とにかくこれはリフトよ!

「本当にうまくいくのか?」とグレイは辺りを見張りながら言った。その間、ザリアは一番高い塔の下を掘り返していた。「グリフォンの宝を盗んで――」

「そして夜の淑女にその罪をなすりつける」とザリアは言った。「うまくいくわよ」

「もっと小さい声で話せよ!」グレイは落ち着かない様子で前後に飛び跳ねた。

だがザリアは笑った。「この古い砦の幽霊は、私たちの話になんて興味ないわよ」

しかしグレイの目は鋭かった。ザリアがただのカラスだと思ったものが、もっとずっとたちの悪い何かだとグレイにはわかった。

その時、ザリアのシャベルが何か固いものに当たり、グレイは短い叫び声をあげた。なぜなら夜の使者が…

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ2Gryphon Fable (Annotated) Page 2

〈ページが本から破り取られている〉

…狐がザリアを酒場から引きずり出してきたのを見て、彼らは口をぽかんと開けた。この狐が言葉を話すのを聞いていたら、彼らの酒が口からこぼれ落ちていただろう。

路地の闇の中で、ハチミツ酒で酔っ払って感傷的になったザリアは友人の毛皮に顔をうずめて泣いた。「クロウズウッドに連れ戻されたかと思った!」と彼女は叫んだ。「盗賊の言葉を理解できると思わなかったの」

「大丈夫」とグレイは一蹴した。「でもそんなふうに飲むような金はないだろう。グリフォンの宝なんて、3つすべてを見つけないかぎり無価値だ。聞いてるか、リア?」

ザリアは聞いていなかった。目には以前のような光があり、星の光をつかもうとするように手探りした。「ここよ!」と彼女は言った。「この街にある!」

グレイは辺りを見渡した。「そんなことがありうるのか?街がここに出来る前の時代に置かれたに違いない。」。グレイは暗い運河を見下ろした。「湖だってあったかどうか」

ホンリッチ湖でしょう。リフテンの話よ。

「サイのご加護を」とザリアが言った。結界を破り、ちょうど夜が明ける中で宝を見つけ、影を追い返した。

「あともう一つだけ」とグレイが言った。「そうしたら扉を見つけて、グリフォンに殺されるだろう。」

「でも」ザリアは反論した。「私たちはただ見ていればいいのよ。グリフォンの爪を夜の淑女に向けさせる。私は伝説の生物の力を求めてるわけじゃない。逃げなくても生活できるようになりたいだけ。」

グレイは彼女の輝く目を見上げた。「引き返そうかな。まだ遅くない。」

だがザリアは聞く耳を持たなかった。「いいえ、あなたはずっと影に閉じ込めておくには優しすぎるし賢すぎる。大丈夫。絶対にうまくいく。」

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ3Gryphon Fable (Annotated) Page 3

〈本から引きちぎられたページがある〉

…フォーレルホストの下だ。土地が新しかった時から隠されてきたのだ。

フォーレルホストの下。つまりフォーレルホストではない?地下の洞窟かもしれない。とすると、ブロークンヘルム洞窟か。

ザリアは蘇った死者を相手にしなくてすんで満足だった。しかしそう説明しながら、彼女は自分の行く方向に注意を払っておらず、冬眠する雪熊の輪の中に足を踏み入れた。

ザリアは洞窟の広い内部を通って逃げ、グレイにニルンの表面に印があるのを見た場所を叫び、最後の宝物を回収することを託した。

グリフォンの寓話(注釈付き)ページ4Gryphon Fable (Annotated) Page 4

〈ページが本から破り取られている〉

威圧的に彼らを見下ろし、墓の上に築かれた魔法の入口をふさいだ。まだ夕暮れは先だが、すでにフロスガーの影の中に入っていた。雪交じりの風が扉を吹き抜け、ザリアのマントをまくり上げ、下に隠している盗んだ宝が顔を出す。

夕暮れ近くで、すでにフロスガーの影に入っている…つまり山の麓の東側に近い丘。イヴァルステッドはそういう場所に近い。

「夜の淑女は私のことを知らない。だからこのような形で私に敵対するはずがない」とグリフォンは言った。それでも、彼の声には疑念が混じっていた。彼は長い時を孤独に過ごし、デイドラとも、そのキンの誰とも面識を持ったことはない。しかしすでに彼らは影の爪と触手に囲まれていた。

「嘘をついたんだ!」恐怖して本当のことを言わざるをえなくなり、グレイは叫んだ。「私は彼女のペットで、逃げようとした。ザリアは私を助けたんだ。だが夜の淑女はすべてを暗闇へ連れ戻す」。彼はグリフォンの奥の扉に目をやった。「私たちをかくまってくれたら、お前の宝を返すし、それ以外のことも何だってやる!」

闇が水のように迫り、彼らの周囲にたまり、足に打ち寄せていた。ザリアは影の触手からグレイを守ろうと、武器を手に取った。グリフォンはその腕と勇気、小さな仲間への忠誠を見て、彼女が自分の力の恩恵を受けるに値すると判断した。

グリフォンは影の触手を鉤爪で切り裂いたが、触手は彼に敵対する意思はなく、二人の盗賊だけを狙っていた。「私の領域へ!」とグリフォンは呼びかけ、後退してついに二人を扉へ通した。

だがその時にはすでに遅かった。

ザリアは夜の暗闇をか細い星光のトンネルで押し返し、グレイがなんとかすり抜けられる程度の隙間を確保した。その後、彼女はたった今与えてもらった力の恩恵を使ってグリフォンの領域への扉を封印し、グレイとグリフォンを扉の反対側に残した。

グレイはザリアに向かって泣き叫んだ。閉ざされた扉を、爪から血が出るまで叩いて引っかいた。しかしグリフォンは…

グリフォンの守護Safeguards of the Gryphon

健康の守護
東のリフトにおいて、かつては神聖だった地が虫の教団に蹂躙された。奴らの血で大地を染めてもよいが、希少な薬草フォックスルートをこの地域で探し、持ち帰れ。

深淵の守護
リフトにある多くの洞窟や遺跡、砦を探検せよ。広間を汚している強敵を1体葬り去れ。

腐敗の守護
リフトの街では、悪徳商人が水で薄めた生薬を扱い、貧民を食い物にしている。そうした売人を探し、その強欲の報いとして財産を盗んでやれ。

死の守護
リッチはアンデッドの中で最も強大な存在であり、生者に対する暴君として振る舞う。リッチはしばしばその不死の源泉として聖句箱を持っている。リッチのカルウリオン、ネリエンエス、狂乱の建築家のうち1体を探して倒せ。リッチの力の断片を持ち帰ること。

盗賊の守護
狐と過ごしたことで、私は富の賢い再分配の価値を学んだ。盗賊ギルドは彼らが強奪と呼ぶ冒険の手がかりを提供している。それを2つ完了し、証拠として狐目石を一組持ち帰ること。

星の守護
エセリウスの欠片は誤った者の手に渡れば危険な武器だ。こうした以前力を持った石の欠片は、今でも古代アイレイドの遺跡に眠っている。シロディールへ赴き、ベルダ、リンダイ、サルダヴァー・レードの遺跡でこうした欠片を探せ。

グリフォン分析の印Sigil of the Gryphon Analysis

なんてことだ。グリフォン棟を完成させる途中でいつものように自分の店へ戻ったら、あの狐が私の店を荒らしているじゃないか!哀れなカールはわめいたり唸ったり、我を忘れているようだった!追い返したが、あれが口をきき始めると、何とも可愛くて…うーん、あんなに可愛い獣に出会ったのは初めてだと言えるだろう。しかしカールはまだ怪しんでいる。

とにかく!君がグリフォンと協力した一番明らかな成果は、現在スコラリウムを潜在的な脅威から守っている、素晴らしい動く鎧のコンストラクトだ。またグリフォンの力の封入はタムリエル中に、新たな活動の秘密の繋がりを生み出している。ここスコラリウムでは、かなりの数のフォーカススクリプトを見つけたよ。いつでも使用できる状態だ。

同様に、魔術師ギルドにいる私の情報提供者も、報酬箱にフォーカススクリプトが現れたことに驚いていた。他の冒険者との戦闘に参加する冒険者も、「功労者」報酬(専門用語ではそう言うらしい)にこのスクリプトを見つけているし、洞窟を探検する者も、この貴重な羊皮紙片を手に入れているようだ。

実に多様な場所から見つかっている!さらなる調査が待っているぞ!素晴らしい!

ジュリアンのメモJulian Notes

ナーリア、

仮のメモを作れと言われたので、いくつか作っておいたわ。あなたのスコラリウムで私が好きになれないものの短いリストよ。

– 古い本の匂い。ロマンチックに考える者もいるけど、あれはただのカビの堆積よ。私のアレルギーを悪化させる。古代の書物を分析するということは、私が好きなものの残骸から永遠に病気をもらい続けるということじゃない。
– 本を汚す者。毛むくじゃらで優しくて、可愛くても…まあ、狐はそんなに悪くないか。
– 古代魔術の存在によるいたずら。面白い冗談だと思っているらしいけど、まるで面白くないわ。
– 中に入って新しい魔術の形式を発見していく侵入者ども。私だってやれたことなのに。
– 謎かけ!私たちは子供か何か?コンコン、どなた?いや、いいわ。どうでもいいし、私はまた巻物に取り掛からないと。

スルジェグの行軍Thulgeg’s March

追憶者クラルサ 著

長年の間、ホロウ・ウェイストのオークたちはラ・ガーダに力強く応酬してきた。だが沿岸のレッドガード諸王国は年を経るごとに力を増し、砂漠のオークたちの砦は次々に陥落していった。

その当時、戦士長スルジェグが成人した。彼は北と西、南を見て、民に向かって言った。「我々は敵に囲まれている。なのにクランたちはいがみ合っている。我々は一つの旗の下に力を合わせるか、でなければ孤独に敗北するだけだ」

砂漠のクランたちはスルジェグの言葉を聞き、その勢力を集めた。ヘガセからの部隊がクラン・コルクフグの砦に押し寄せた時、スルジェグは砂漠のクランすべてをコルクフグの防衛に向かわせた。彼はヘガセのレッドガードに手痛い敗北を味わわせ、石壁に覆われた彼らの街へと追い返した。この勝利を記念して、集結した首長たちはスルジェグを戦士長と呼び、彼の導くところならどこへでも従うことを誓った。

しかしスルジェグは、勝利のうちに敗北の種を感じ取った。結束したとはいえ、クランたちにはヘガセの壁を打ち破る力が欠けていた。戦士長は丘の上に立って街を見下ろし、長い間考え込んでから降りてきた。

「我々の故郷は三つの開いた扉を持つ家だ」とスルジェグは砂漠の首長たちに言った。「海は我々の砂漠の三方を取り巻いている。すべての方角から同時に襲ってくる敵との戦いに勝つことはできない。だが東になら、山脈に背中を預けられる。我々は槍ではなく、足を使って生き延びねばならない」

スルジェグの言葉を聞いた者たちの心は重かったが、彼の言うとおりであることを理解した。レッドガードが戦力を集めている間、砂漠のクランたちは鍛冶場へ行き、運べるものすべてを集めてきた。そしてスルジェグは彼らを東へと導いた。多くのゴブリン部族が彼らに加わり、数を増していった。

ティゴナスの峡谷を越えてスルジェグは歩んだ。どんな激戦にも劣らない、喉の渇きと苦痛に満ちた旅路だった。フォールンウェイストでは、ヘル・ラのレッドガードが彼を阻止しようとした。だがスルジェグは千人の戦士を前衛部隊として率いて彼らを防いで道を切り開き、砂漠のクランたちはその後に従った。

北へ方角を変え、スルジェグはバンコライの門にたどり着いた。彼は渓谷に敵対されるより前に山脈を越えたかった。しかしスルジェグの行軍の噂はクランよりも先に到達し、ハイロックの戦士たちは渓谷の防衛準備を整えていた。またしても、スルジェグは戦士たちを敵に向けて放った。だが長い一日の戦いを経た後でも、守りは崩れなかった。

レッドガードの大部隊が足元に集結しつつある今、スルジェグは鉄槌と鉄床の間に挟まれたことを知った。彼は首長たちを呼び集めた。「留まることはできない。だが敵から逃れることもできない」と彼は言った。「クランたちを闇に乗じて山脈へと進ませよう。だが野営の火は燃やしたままにしておく。私は五百人の戦士と共にここに残る。それで敵は我々がまだここにいると思うはずだ」

クランたちは将軍の命じたとおりにした。3日の間、スルジェグはひたすら攻撃のそぶりを見せ続け、ハイロックの勢力を壁の向こうに留めると同時に、レッドガードの部隊をバンコライ北に引きつけ、その間に砂漠のクランたちを山脈へと退却させた。それが済んだ後ようやく、スルジェグと生き残った少数の者たちも脱出を始めた。

レッドガード部隊がバンコライの壁の前の無人の野営地にたどり着いた時、彼らは死者たちを見て、放棄されたテントを見た。そこで彼らは立ち止まった。砂漠のクランたちを最後のオークに至るまで滅ぼしつくしたと思い込んだのだ。だが戦士長の民は生き残った。スルジェグはこの後彼らをロスガーへと導き、そこでオルシニウムの基礎を築くのを助けたのである。

チャイマーにおける変化A Change in the Chimer

アレッシアに選ばれし者、カルロッタ・マロ 著

我々の時代を、奇妙な出来事が浸食し続けている。まずはレッドマウンテンの戦い、その次はドゥエマーの消失、そして今度はチャイマーにおける突然の身体的変化だ。

もちろんこの事件に関しては、手っ取り早くゴールドを稼ぐことを目的として誇張された記述がすでにシロディール中で流通している。「彼らの濃い肌の色は時代の終焉を告げている!」「彼らの目を見つめていると、オブリビオンへ引き込まれてしまうだろう!」というようなものだ。

こうした戯言の一部は事実として主張され、明日の若者に教えられてしまうだろう。それゆえ学者として、私はこの「ダークエルフ」と呼ばれる者について自分が直接見たことを記録する使命を自らに課した。彼らの皮膚は灰であり、目は溶岩のような赤だ。これをレッドマウンテンの呪いと呼んでいる者がいるのも理解できる。しかし彼らの性質は変化していない。だとすれば、彼らの外見の変化は本当にこれほどの大騒ぎに値するのだろうか?

ダンマーにせよチャイマーにせよ、自分たちなりの生活を続けているし、誇り高き伝統を持つ民族であることに変わりはない。そして明るい未来を持つことも疑いないだろう。親愛なる読者よ、これこそ私が知る事実である。

ドラゴンの寓話Fable of the Dragon

謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。

ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。

その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。

賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。

ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。

次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。

「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」

爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。

ついにミズビが「松明だ!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。

ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。

彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。

ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」

歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。

「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。

二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。

「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」

「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」

ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。

だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」

ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。

ドラゴンの寓話Fable of the Dragon

謎かけは解かれるためにあり、吟遊詩人のミズビはすべて答えを知っていた。頭の中のドラゴンがそうさせたのだ。

ミズビとドラゴンは十六王国から立派な哲学者が集まった壮大な聖堂、ジャゼンジ・シーラに到着した。
当然ながらリーパーズ・マーチね。

その吟遊詩人は大声で注意を引くと、「たった一言で破れるものとは何か?」と聞いた。

賢者たちはあれこれ考え込んだ。十六王国の月のモンクはミズビに答えを教えてほしいと頼んだが、彼女は黙って彼らの気をもませた。

ミズビは「沈黙!」と言うことで、それを破ってみせた。ドラゴンは喜んで吠え、翼を見せ、ミズビを連れ去った。
この寓話を真に受けすぎたのは間違いだった。私の2つ目のメモは、ホール・オブ・コロッサスの脱出どころか、スームとドラゴンがいかにして人の頭の中に住めたかという話に脱線した。簡単よ。ジャゼンジ・シーラはデューンのすぐ西にある。

次にドラゴンはミズビをある修道院で降ろしたが、そこでは爪たちが攻撃の準備を整えていた。

「お前たちは強く素早い。私を切り裂くことは容易だろう」とドラゴンはミズビを介して言った。「だがいくら素早くても、自らを貪って死ぬものは何か、わかるかな?」

爪たちはこの質問に悩んだ。双子月が空を転がっていったが、彼らは答えを見つけられなかった。

ついにミズビが「松明!」と言った瞬間、彼らの最後の明かりがシュっという音と共に消えた。
ろうそくか、不穏だけど結婚かと思った。これはド・クリン修道院でしょう。ここでいう「爪」は爪の教団のモンクに違いない。

ドラゴンは次にミズビを北の、2本のグラーオークの間で雨の恵みを受けたオアシスに降ろした。

彼女は月の歌い手の輪に落ち、その歌でドラゴンは縛られ、ミズビはその場で動けなくなった。

ドラゴンに促され、彼女はどうにか聞いた。「その歌の力に引き裂かれる前に問いたい。誰かにした後守るべきで、そうしないと価値がなくなってしまうものとは何か?」

歌い手たちは頭を悩ませて歌をやめた。その影は長くなり、昼が終わって月のない夜になった。

「約束!」がミズビの答えだった。月の歌い手の歌から解放され、ミズビとドラゴンは無事飛び去った。
カジ・ラウリス。あそこは何年も前、シャルと一緒に初めてサマーセットへ行った時に通り過ぎた。素敵な場所よ。

二人は南へ飛び、ついに休むため柳の木立に下りた。ミズビは謎であふれかえって痛む頭を抱え込んだ。二人はミズビのいたずらで追われていたのだ。ドラゴンは近くの世界の間にある、聖域へと続く扉を知っていた。ミズビがもう一つ自分の謎かけに答えたら案内するつもりだった。

「大きな口を持つのに、決して自分の声で話さないものとは?」

「私」とミズビはすぐさま言った。「あなたが頭の中に住んでいて、私はあなたの声として話すことを強いられるだけ。否定してみなさいよ!」
洞窟かと思った。ミズビによるとそうではないけど、間違ってもいない。この柳の森は見た気がする。名前の由来になった村よりさらにずっと南にある。

ミズビの口が大きく開き、鱗で覆われたドラゴンが滑り出て、「それなら自分の声で話し、本当の答えを言いなさい!」と要求した。

だがミズビは謎には答えず、安堵して笑った。「治癒師の言うとおりだったわ。痛みを感じるのは、私の頭がおかしいせいだって!」

ミズビは本当の答えを言わなかったが、ドラゴンは彼女の言葉の巧みさに感心したので、魔法の扉をくぐることを許したのだった。

ドラゴンの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Dragon

スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンの寓話の中に出てくる謎について話し合った。関係する場所はすべてリーパーズ・マーチにある。

寓話の中で出てくる順番は以下のとおり:

信奉者ラーレンによると、ジャゼンジ・シーラはシロディール語に翻訳すれば「ジョーデの光」らしい。遺跡はデューンのすぐ西にある。そこで最初の結界を探す。

カラスはド・クリン修道院がラウル・ハ南西の、水の三日月の上にあると言っていた。そこで第二の結界を探す。

ナーリアはグリムウォッチ砦がカジ・ラウリスの遺跡の上に築かれたと言っていた。これはリーパーズ・マーチ北西にある。そこで第三の結界を探す。

最後に、ジュリアンはリーパーズ・マーチ南にある柳の森と呼ばれる村の話をしてくれた。ドラゴンの翼への扉は村自体から南の森にあるかもしれない。おそらく洞窟の近くに。

ドラゴンの謎Riddles of the Dragon

戦いの謎
前へ進み、六体の最強の敵を、砂丘が月の下の黄金の平原へと道を譲る場所で刈り取れ。

戦争の謎
戦争に苛まれ、三つに引き裂かれた地の下から、木が割れ、藁が見つめ、カエルが足を休める場所で戦利品を略奪せよ。

月の謎
命令を受けた爪によって守られた修道院の庭より、暗い月の光の中でのみ咲くものを摘み取れ。

狩りの謎
太陽の祝福を受けた地、ミズビとそのドラゴンが逃げ出した地で獲物を追跡せよ。赤色の歯と爪が獲物だ。

ゲームの謎
苦痛や刃、死を欠いた戦場にて、名声や後援者の愛をかけて敵と戦え。

富の謎
リーパーズ・マーチの三つの主要な集落にて、没収された二組の戦利品を探せ。

ドラゴンの謎(回答)Riddles of the Dragon (Solutions)

スコラリウムの仲間たちと、ドラゴンが示した謎について話し合った。彼らは謎の解き方について、いくつかの手がかりを与えてくれた。

ラーレン:富の謎
リーパーズ・マーチの金庫からドラゴンにとっての「宝」を探して盗め。2つの研究者の発見物からメモを手に入れて戻って来い。発見物はラウル・ハ、アレンシア、デューンに1つずつある。

ジュリアン:ゲームの謎
テイルズ・オブ・トリビュートの勝負に勝て。

イルナード:戦争の謎
シロディールに行ってヘイノート洞窟、クラックウッドの洞窟、毒キノコ洞穴のどこかで宝を探せ。

ナーリア:狩りの謎
リーパーズ・マーチで獣を倒せ。

ナーリア:戦いの謎
リーパーズ・マーチでグループボスを倒せ。

カラス:月の謎
リーパーズ・マーチのド・クリン修道院に生えるベントの踊りの花を集めろ。

ドラゴン分析の印Sigil of the Dragon Analysis

他の者たちから、ドラゴンの基準に見合う謎かけを作るという試練を君が成し遂げたと聞いている。よくやってくれた!君の努力がタムリエル中で魔力の変転を引き起こしたのは間違いない。ドラゴンの力の封入により、私はスコラリウムの奥の広間を歩き回っている間、いくつかの新しいシグネチャースクリプトを見つけることができた。

さらに魔術師ギルドの私の情報提供者は、悪名高い凶悪な怪物を倒した報酬の箱から、シグネチャースクリプトが現れることに気づいた。またシロディールで三旗戦役に参加した場合も同様らしい。戦士ギルドの鈍重な連中も、見たところ報酬にシグネチャースクリプトを見つけたそうだ。しかしこれほどの秘術のデザインの結晶を、彼らがどう処理するのかは想像もつかんね。

そして他ならぬアークマギスター、ヴァヌス・ガレリオンが君の働きに注目していることを知らせておこう。彼は様々なスタイルのスクリプトをいくつか、大陸中のギルドホールで研究用に公開するために補助金を出している。詳しくは達人たちに配布されているチラシを見て欲しい。

実にお見事だ!この調子で続けてくれ!

ナーリアの日記1Nahlia’s Journal 1

ついにやってのけた。信じられない!私は正式にランプ騎士団の騎士になった!これから私は信奉者として、私なりの方法で魔術師ギルドに奉仕することになる。もちろん、父は私が教室の達人たちと一緒にいることを望んだだろうけど、私はいつも魔術より剣のほうが理解しやすいと思っていた。

もう最初の任務を受け取った。達人の小さなグループに付き添って、明日の夜明けにアイレイドの遺跡へ行く。特別なことは起きないだろう。彼らは建物の入口付近でルーンを調査するだけだ。そんなに危険だとは思えない。

***
どうやらギルドはまだ、私だけで達人たちを守れると信じてくれてはいないようだ。今回の旅にはもう一人信奉者が来る。ラーレンというダークエルフだ。彼は私と比べてそれほど経験豊かなわけではなく、私より一つ階級が上な程度だ。広い目で見れば、私たちは二人ともまだひよっこだろう。

少なくとも、彼はこのグループの魔術師たちより話しやすい相手だ。私が以前は彼らの仲間だったせいかもしれないが、魔術師は私たちの存在を余分だと感じているのがわかる。魔術があれば十分だと。確かに、何かがあれば彼らの大半は自分の身を守れるだろうけど、マジカは枯渇する。私は剣を振る力さえ残っていれば戦える。

目的地が近いようだ。達人たちが活気づき始めているし、足の痛みからするともうかなり道を進んできたはずだ。魔術師たちがルーンか何かを調べている間に、少し休息を取れるといいけど。

ナーリアの日記2Nahlia’s Journal 2

ラーレンに感謝しなければ!彼がいなければ、私は今頃生きていなかったかもしれない。

いや、待って。話が飛んでしまった。最初から書かないと、後になって意味がわからなくなる。記録は得意ではないけど、これは重要なことだから。

遺跡に到着した後、しばらくは静かだった。遺跡は一般的に危険とみなされていない、コロヴィアの絵に描いたように美しい地区にあった。信奉者ラーレンと私は交代で周辺を巡回したが、過剰な警戒だと感じた。達人たちは遺跡の中へ続く古い扉の近くで、扉に刻み込まれたルーンをメモのルーンと対照させ、何か書き込んでいた。私はラーレンに休憩を取ろうと呼びかけようとしたが、その時ある達人が叫び声を上げた。

理由も方法もわからないが、彼らは扉を開いたのだ。予定にはない行動だったが、それだけなら問題はなかった。だが遺跡の中から怒れるゴブリン部族が押し寄せてきたのだ。イフレの髭にかけて、あんなに怒り狂った集団は見たことがなかった。確かによそ者がいきなり家に侵入してきたら、私も怒りはするだろうが。

達人たちは素早く呪文を唱えて身を守り、メモを胸元に抱きかかえて退却した。ラーレンは獲物を狩る狼よりも素早く、達人たちとゴブリンの間に割り込んで剣を振るった。気づいた時には私も彼の隣で敵の中にいた。信奉者の訓練がしみついていたのだろう。私の体は、精神が追いつく間もなく反応していた。

私たちはそうしてしばらく戦った。ラーレンと私はお互いをかばいつつ、ゴブリンと達人たちの間に緩衝地帯を作った。ありがたいことに、ゴブリンたちの数はそこまで多くはなかった。それにゴブリンは、どうやら遺跡に戻っていく様子を見せていた。

私は振り返って、達人たちが全員無事に逃げたかどうか確かめた。私の注意が逸れたのを見て、大胆なゴブリンが私の足首を捉えて地面に引きずり倒した。

信奉者訓練のルールその1、戦場では足を地面から離さないこと。やられた。最初の任務で命を落とすとは。しかもゴブリンごときに!

その時、自分がこんな考えを抱けるほど長い間倒れていて、しかもまだ死んでいないことに気づいた。そこでラーレンを見ると、彼の顔は集中で引き締められていた。ラーレンはゴブリンの群れを単独で食い止めていた。彼の顔は傷だらけで血にまみれていた。地面に倒れた私を守るために、あえて敵の攻撃を身に受けていたのだ!

それを見て私はすぐ行動に移った。飛び起きて立ち、剣を構えた。しかし起き上がる時に、何かが違うと感じた。お腹に鋭い痛みを感じ、指先がゾワゾワした。この感じは前にもあった。ごくたまにだが、魔術師ギルドのクラスルームにいた時だ。私に流れる魔力が、解放されるのを求めているのだ。

私は逆らわなかった。両手を伸ばし、エネルギーを外に向け、私が唯一得意とする魔術の要素に変えて放った。ポータルだ。

他の達人たちはためらわなかった。ゴブリンたちは退却していなかったので、これ以上調査ができないことは明らかだった。彼らは家へ戻るポータルに飛び込んだ。ラーレンはまだ戦っており、今や息を切らしていた。

ラーレンに呼び掛けると、彼は私が召喚したポータルを見て眉を上げたが、すぐに理解した。私に向かって短いうなずきを返すと、ラーレンは乱闘から逃れて頭からポータルに突っ込んだ。私もすぐ彼の後ろを追い、通り抜けた後に背後で魔力の流れを断った。最後に聞こえたのは、獲物に逃げられたゴブリンたちの怒れる叫び声だった。

***
この最初の任務について両親にどう伝えるか、まだ決めていない。ギルドによく仕え、達人たちを守ったことは誇りに思ってくれるだろうが、両親は私が守る側ではなく、守られる側にいることを望んでいる。それでも、最高の気分だった。ラーレンは私が素早く脱出させたことに礼を言ってくれたし、魔術師たちさえ私のポータルの能力に感心したようだった。

ナーリアの日記3Nahlia’s Journal 3

ギルドから最新の任務を受け取った。上級の達人たちと一緒に、ある放棄された砦を探索する。危険があるかもしれないので、この任務に私が指名されたそうだ。この数年間で、私のポータルはギルドにとって欠かせないものとなった。本当に名誉だ。

しかし、ジュリアンと付き合わなければならない。

彼女が嫌いというわけではない。才能はあるし、これまで私が見た中でも特に優秀な達人だ。でも彼女は私がアルケインの研究を続けず、信奉者となったことに一切理解を示さなかった。あの人は剣術にまるで敬意を持っていない。

まあ、任務だから仕方ない。

***
旅の始まりは平凡だった。数人の魔術師がいて、ラーレンと私が護衛。私たちは砦を見つけて、中に入った。伝説によると、この砦の以前の所有者は魔術に関する希少本の収集を趣味としていたらしい。だから書斎が私たちの最終目的地だ。

しかし伝説になかったのは、所有者が何者かに貴重な本を盗まれるのではないかという考えにとりつかれていたことだった。私たちがその「何者か」ということになるようだが、死者が本を読めないのはイフレもご存じだ。とにかく、この場所はどこもかしこも罠で埋め尽くされている。

最初、ジュリアンはラーレンと私がグループのために道を確保する作業をしなければならないことに苛立った。彼女はさっさと本を手に入れて、この陰気な城から出たいと思っていたのだ。

杖から魔力の光を放出して明かりにすれば、前の危険くらい十分見えると彼女は主張した。私はあきれたが、そんなに望むならと先頭を行かせてやった。私たちは少しの間広間を進んだが、床に置かれていた妙な形の石板が私の注意を引いた。

私が警告を発する前に、ジュリアンは石板を踏んだ。気づかずに罠を起動させてしまったのだ。

ジュリアンは振り向いて私を見たが、飛びのいて避ける様子がないことは見てわかった。私は何も考えずに彼女に体当たりして床に突き飛ばし、私たちの側面の壁に隠されていた巨大な刃の振り子を間一髪で回避させた。

もう少しで刃にかかるところだったと気づいて、ジュリアンの顔は怒りからショックへと変わっていった。

ナーリアの日記4Nahlia’s Journal 4

埃っぽい広間で上に折り重なった私の顔を真っすぐ見つめて、ジュリアンはただ「素早いのね」とだけ言った。しかしその後は、ラーレンと私を先に行かせてくれた。

(スパイクの穴を2つ、トラバサミを1つ、毒のダーツを3つ抜けた後で)ようやく書斎までたどり着いた頃には、もう全員さっさと本を手に入れてずらかりたい気分になっていた。

書斎はカビ臭くて蜘蛛の糸だらけで、凍えそうなほど寒かった。まるで墓だ。壁に沿って並んだ本棚には古代の魔術書が大量に入っていて、私でさえ見てみたいと思うほどだった。部屋の反対側には木の机があり、その奥には王の衣装を身につけた骸骨が座っていた。骸骨の伸びた手は巨大な革表紙の本の上に置かれていた。これが蔵書の最重要品だった。骸骨は明らかに砦のかつての所有者のものだろう。死んでもなお自分の本を見守っているのだ。

ラーレンと私は手早く部屋内の罠を確認した。何も見つからなかったので、私たちは入って必要なものを取れと魔術師たちに合図した。しかし何かがおかしい気がした。砦の所有者はなぜ、自分の蔵書庫に最後の守りを用意していないのだろう?

私はジュリアンを見やったが、彼女はまだ注意深く本棚を調べていた。机を見ると、若手のある達人が骸骨の手から本をもぎ取ろうとしていた。

「馬鹿、やめなさい!」とジュリアンが叫んだ。

遅かった。骸骨は虚ろな目の穴から不吉な光を発して動き出した。達人は叫び声を上げて逃げようとしたが、骸骨は彼女の腕をつかんだ。ラーレンや私が反応するよりも早く、ジュリアンはマジカの衝撃波を放った。骸骨の顎がカタカタと揺れ、達人を掴む手が緩んだ。

達人は本を元の場所に残し、部屋の反対側に逃げ込んだ。「信奉者、ポータルを頼むわ」とジュリアンは私に言った。

「でも本は?ここまで来たのに!」と私は言った。

「仕方ないじゃない。達人たちを無事に脱出させないと」。ジュリアンの目が燃え上がり、指の中に炎の玉を呼び出そうとしていた骸骨に向けてもう1発魔法弾を放った。

彼女の判断を尊重するしかなかった。ポータルは簡単に作れた。達人たちは退却したが、数人は逃げる際につかみ取った本を抱えていた。そしてラーレンとジュリアン、私だけが残った。

「行こう」とラーレンが言った。だがジュリアンはためらった。手ぶらで帰りたくないという気持ちが読み取れた。私も同じ気持ちだった。

「待って」とジュリアンは言った。彼女は私を見た。

「何をしている!?」ラーレンは飛んでくる火の玉をしゃがんでかわしながら叫んだ。

「いいから行って!」と私はラーレンに言った。ラーレンは言い返そうとしたが、共に戦ってきた数年間で、私たちの間には強い信頼が生まれていた。躊躇を飲み込んで、ラーレンは私の言うとおり、後ろを振り返ることもなくポータルに飛び込んだ。

ジュリアンはすでに呪文の準備をしていた。顔は完全に集中していた。「行くわよ、いい?」と彼女は言った。
私はうなずいた。

ジュリアンはそれ以上何も言わず、巨大なエネルギーの波動を骸骨に向けて発射し、骸骨を後方に吹き飛ばした。その間、私は前に突進して机までの数十センチの距離を詰め、骸骨が態勢を立て直す前に古代の書を手に取った。ジュリアンはすでにポータルをくぐって姿を消していた。私は振り返ってまず本を投げ込んでから、自分も飛び込んでポータルを閉じた。

出てきた時には軽く火傷していたが、こんなに満面の笑みが自分の顔に浮かんだのは実に久しぶりだった。それにつられたのだろう、ジュリアンさえも私を見て笑い出した。彼女と働くのも、そんなに悪いことじゃないかもしれない!

ネッチのゲームGames of the Netch

細工師のゲーム
細工師は次の発明が成功しなかった場合、取引に失敗する。フォーゴットンウェイストとヌシュレフティングスで強大な敵を倒し、細工師のための希少素材を集めろ。

名誉のゲーム
帝都で戦いが巻き起こっている。命を落とした兵士たちが正当に弔われていない。街にいるデイドラを倒し、この死者たちの形見を集めろ。

商品のゲーム
旅をする商人たちのグループが所持品を強奪された。ヴァシール・ディダナット鉱山で所持品を取り戻せ。

灰のゲーム
デイドラはヴァーデンフェル中で人々の生活を困難にしている。彼らを本来の領域へ送り返し、善良な人々が夜眠れるようにしろ。

漁師のゲーム
感染症が熟練の芸術家一家を脅かしている。ヴァーデンフェル周辺の川で捕まえた新鮮な魚を食べれば病気は回復する。治癒の宴のため、魚を獲れ!

鏡のゲーム
ウェストウィールドが攻撃を受けている。鏡に映った侵略のポータルから出てくるものから、この地域の農民たちを守れ。

フェッチのへそNable of the Fetch

ウルフシルドのお気に入りの啓発者に関するまったく本当の話

ある者はインドリクの力を求めた。想像力に欠ける桁外れに退屈な者で、力と権力に惹かれる。

ある者はドラゴンの力を求めた。自分の声を重んじる雄弁家とされ、他の者の考えを感嘆詞なしに聞き捨てない。

ある者はグリフォンの力を求めた。自分の考えに執着し、志を同じくする者で、独自性が一切なかったことに気づいていない。

その他の者、本当に有徳で快活な者のためにはネッチがいた。さっそうとして魅力的。華麗で均整が取れている。ネッチを知っていた者は皆、その存在だけで人生が軽く明るいものになった。誰かが何か、例えば島の聖域を愚かな本と交換しようとするなど、桁外れに愚かなことをしようとすれば、ネッチのしなやかな弦がその者を優しく導き、もっと生産性のあることに戻らせた。例えば妻を大事にするとか、手の爪を熱い鉄の火かき棒で掃除するとか、とにかく何か他のことだ。

他の啓発者はひれ伏した。「ああ、偉大で素晴らしいネッチ様!ぜひとも私たちの心を苦しめる緑の巨石を持ち上げるのを手伝ってください。あなたの胸のように私たちの胸も軽くしてください。官能的な夢を実現させてください!」

「もちろん私の魔法を使おう」と賢く慈悲深いネッチは言った。「率直に言って不公平な、私の輝きに合わせなくてもいいように」

ネッチはそのとおりにした。他の啓発者の信者はネッチの素晴らしさを見て、ネッチに寝返った。啓発者はそれに大喜びした!ネッチは彼らの好意を一身に受け、あらゆる所にいるあらゆる者が満足し、他に何も望まなかった。

ネッチの寓話(注釈付き)Fable of the Netch (Annotated)

これは普通でない幸運の物語。貧しき者によって見つけられた富。孤独な者が見つけた愛。ヴァーデンフェルはこうした物語で満ち溢れている。奇跡と呼ばれているものはトリビュナルによっても再現できなかったので、聖職者たちの注意を引いた。ルシラン司祭はこうした奇跡的な祝福の源泉を探そうとした。

ルシランはまず、グレイズランドの農村を訪ねた。そこではある子供が家から逃げ出し、街の南東の島に行った。そこは怪物だらけの危険な場所だった。だが捜索隊が少年を見つけた時、彼は餌をついばむ鶏の群れに混じって座っていた。子供はネッチが近づいてくる怪物に雨を浴びせ、鶏に変えたと言った。村は宴を開き、鶏たちを食した。鶏は腹を満たしたが、硫黄の味がした。この事件の一世代後になっても、島には怪物がいなくなったままだったという。

これは北東のヴォスの村付近でしょう。村の近くの島にはモラグ・バルに捧げられたデイドラの遺跡がある。街のすぐ南東。まずはそこを当たりましょう。

そこから、ルシランはレッドマウンテンを迂回して北西に向かい、さらに南へ下ってストーンウッド沿岸の集落に行った。彼はあるキャラバンに出会ったが、彼女は二週間前に借金まみれで無一文だった。それが今では通行人を無料で運んでいた。

沿岸の集落?レッドマウンテンの南西にある、川のほとりの街。バルモラに違いない。

ルシランは商人にこの運命の転換を説明するよう求めた。彼女は川べりで通行人を待っていた時、ネッチが水の中から浮かび上がり、川の一番深い部分にいた彼女のシルトストライダーを驚かせた。シルトストライダーはパニックになり、すぐに沈んでしまった。キャラバンが後を追って飛び込むと、何年も前に行方不明になった通行客の船が見つかった。彼女はシルトストライダーを助け、高価な宝石の貨物を回収した。これは彼女の借金を返して余りあるほどの金額になった。

ルシランはキャラバンにその不思議なネッチについてもっと教えてくれと頼んだが、彼女は何も言わなかった。

その後、ルシランは道の途上で多くの孤独な月を過ごしたが、自分が堂々巡りをしていることに気づいた。彼は次にグレイズランドのザイナブへ向かったが、そこの住民はレッドマウンテンの麓の丘上にある遺跡を彼に教えた。

堂々巡りということは、北東に戻ってきた。ドゥエマーの遺跡ね。くしゃみのような名前の遺跡。ヌシュレフト。

遺跡の中で、彼はアッシュランダーの老人が、まるで孫に語り掛けるように空気へ向かって話しているのを見つけた。

「誰と話しているんだ?」とルシランは尋ねた。老人は、自分がこの遺跡の探検家だった頃、橋から落ちたのだと説明した。それで一巻の終わりになるはずだったが、下の溶岩へ落ちる前に、青白い触手が彼を捕らえた。触手は彼を無事地面に戻してくれたのだ。その日以来、彼はあの懐かしい存在感に触れたくなった時、いつでもこの遺跡に戻ってくるのだった。実際、老人の友のネッチは今やルシランのそばを漂っていた。老人はルシランが肩に触手を感じないこと、ネッチによって重さのない喜びの感情を味わわないことを知って驚いた。

ルシランは急いで立ち去った。だが教団のところへ戻った時、彼の発見は不十分と判断された。にもかかわらず、ルシラン司祭はこのネッチを諦められず、そんなものを信じていることで馬鹿にされた。

アズラ海岸の諸島を放浪していた時、ついに彼は幽霊のように青白く、動物でも霊魂でもないネッチを見た。哀れなルシランもついにネッチに会えたのだ。そして彼は体が浮き上がるのを感じた。

賭けてもいい。ルシランは沿岸にある古い魔道師の塔近くで、ネッチの領域へ通じる扉を見つけた。サドリス・モラよ。調べに行きましょう。

ネッチの寓話に関するメモNotes on the Fable of the Netch

スコラリウムの仲間たちと、真のネッチの寓話の中で言及されている場所について話し合った。関係する場所はすべてヴァーデンフェルにある。

寓話の中に出てくる順番は以下のとおり:

ラーレン:ヴォス南東の島にあるデイドラの遺跡。

ナーリア:バルモラ

カラス:ザイナブの集落から北東のドワーフの遺跡

ジュリアン:サドリス・モラとテル・ガレンの塔の間

ネッチの秘密The Secret of the Netch

ネッチに関する秘密を読みたい?それなら、このネッチくらいふさわしい相手はいない。私の種族のより小さくて光の弱い者は、ふわふわした事柄に没頭しているから、知恵を授けてはくれない。

これはオブリビオンの知られざる秘密だ。ネッチはマジカの満ち引きを支配する。力の波を感じ取れるほど浮遊力のある者が他にいるだろうか?他の生物はほとんどが、地面に釘づけだ。彼らは張りついていて重く、空気の流れに調和するには硬直的にすぎる。ネッチだけが柔軟なのだ。我々の先端は、まさにオブリビオンを流れる力を吟味する手段として形成されている。

我々はもちろん、この秘密を隠している。このことが広く知られても、私たちの得にはならない。なにせ、エセリアルのエネルギーの流れを感じ取れるのだから、それに影響を及ぼすことだってできるはずだろう?波の流れに身を置いて、その近くにいることによって流れの方向を変えることも?いや、私が言ったことじゃない。

とはいえ、考えてみるくらいはいいだろう?

ネッチ分析の印Sigil of the Netch Analysis

なんて変わった生物だろう、ネッチというのは!スコラリウムの一点を漂って来たと思ったら立ち止まり、触手を一本伸ばして私の頭を撫でたのだ。本当だ!

しかし他の仲間たちに劣らず強大な存在だ。ネッチの力は書記の祭壇を通じて伝えられているが、この地全体に響き渡っている。魔術師ギルドの情報源からの信頼できる筋によると、アフィックススクリプトが新しく奇妙な場所に姿を現しているらしい。私も確かにスコラリウムの中で大量に見つけている。だから私の在庫にも、このスクリプトが増えると期待してもらっていい。

また、ダークアンカーやデッドランドのポータルなど、世界中の危険な場所で見つかる財宝の中にも現れていると聞いている。帝都の兵士たちが報酬の中から引き当て、アンドーンテッドも彼らの財宝の中に見つけているらしい。

さらにネッチの行いを原因として、輝くインクが採取可能なクラフト素材から流出するようになっていると考えられる。その理由や仕組みを説明せよと言われたら、超魔術的な仮説を数時間披露することもできるが…まあ、結局のところ、これもまた啓発者の罪のない「いたずら」だろう!とんでもないことだ!

フィランディルのスコラリウム体験Firandil’s Scholarium Experience

冒険者たちよ!あなたの歴史家はここにいる!気が向いたら会いに来てくれ。私はいつも友好的な付き合いを歓迎している!

必要なグリモアがあったら、いつでも私を頼ってくれ。私のスクリプトはギルドの達人たちが私の店を略奪するたび回転するようになっている。君が啓発者たちと関係を築くことで、彼らの力から新たな機会が生まれることを願っている。だが彼らの試練を完了するたび、私を訪ねてくるのを忘れないように。

それからもちろん、麗しのカールのことも忘れないように。あの召使は、ここスコラリウムで発見した数多くの美しい物品の貯蔵と売却を任せている。

近いうちに会えることを願って!

フバラジャードの征服The Conquests of Hubalajad

フバラジャード王子はこうして、砂漠の地ヘガセで自らの領地を獲得するため、ヘルネから56隻の船で出航した。沿岸は荒れ果てて過酷であることを見て、王子は方角を変えて南東へ向かい、肥沃なケフレムのブーツの半島へと行き着いた。

ここで王子は空っぽの土地に素晴らしい港を見出した。フバラジャード王子は彼らしく、この新たな故郷を踏む最初の者は自分であるべきだと考え、衛兵たちに海辺へ運ぶよう命じた。

ところが、王子の接近は凶暴なネードの部族に気づかれていた。彼らは浜の向こうにある丘に潜んで見張っていたのである。フバラジャード王子が船の舳先に壮麗な服装で立っているのを見て、不敬なるネードは矢を放ち、それは王子の被り物に刺さった。王子は水中に飛び込んでさらなる矢から逃れねばならなかった。

王子に対するこの侮辱に怒った強大なる戦士ラ・アバは海辺に降り、嘲笑う敵に突撃した。彼の髪の毛は年のせいで白くなっていたが、ラ・アバはフバラジャード王子の他の衛兵たちが追いついてくる前に7人のネードを屠った。彼らは蛮族どもを大いに殺して追い払い、王子はついに水をかき分けて上陸した。

近くに立っていた者たちは、フバラジャード王子が最初に上陸する名誉を奪ったラ・アバを叱責するだろうと思った。しかし王子は年老いた英雄を抱きしめ、侮辱に報復してくれたことを感謝した。「この場所はフバラジャーズ・ランディングと名づけようと思っていたが、運命と武勇は別の道を定めた」と彼は言った。「今この瞬間より、この地をアバーズ・ランディングと呼ぼう!」

そして、王子の命じたとおりにされたのである。

ミズビと魔法の扉(注釈付き)Mizbi and the Magic Door (Annotated)

吟遊詩人ミズビは長い間、ドラゴンの扉の向こう側で暮らした。ドラゴンの巣はミズビの頭の中にドラゴンが占めていた空間より遥かに広かった。ドラゴンは笑い話として、しばしばこのことを思い出させてミズビに嫌がられた。

「私の頭が小さいって言うのはやめて!」とミズビは言った。「私の頭は無限に大きいはずじゃない。無限に大きいお前のエゴを全部中に入れていたんだから!」

そんなことは可能なの?無限の中に無限を入れることは?

「とにかく、そんなことはいい。」とドラゴンは言った。「お前の頭を見れば、小さいことはわかるのだから。」

ミズビは唸った。ドラゴンは笑い続けたが、ミズビが本気で怒っていることに気づき、埋め合わせをしようとした。

「お前の頭が小さくないというのなら、証明するといい。私に謎を作ってくれたら、お前の望むものを与えてやる。もう二度とお前の小さな小さな頭のことは言わない。」

「謎?」

「不可能な謎よ。私が解くことのできない謎。」とドラゴンは言った。

ミズビはほとんど考え込む様子もなく、謎かけを提出した。

「手に入れるためには、諦めなければならないものは?」

ドラゴンは乗り気になった。これはよく考えなければ。だがミズビめ、これほど素早く思いつくとは。ドラゴンは唸り声をあげて考え悩んだ。双子月が満ち欠けした。そしてついに、ドラゴンはミズビに答えを求めた。

「その答えが答えよ」とミズビは言った。

ほら来た。

「手に入れるために、諦めなければならないものは?不可能な謎への答えよ。なぜなら一度その答えを手に入れたら、謎は不可能でなくなってしまうから。あなたは不可能なものを求めた。不可能な謎を――でも、どんなことでも可能なのよ。つまり不可能なのは――」

「もういい」とドラゴンは言った。「お前のその大きな頭にはうんざりよ」

この話の行方に気づいたかな、後継者。賢いだけでも、ドラゴンを言いくるめるだけでも十分ではない。ドラゴンを罠にかける必要があるの。

レッドマウンテンの灰The Ashes of Red Mountain

著者不明。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。

レッドマウンテンへの遠征を思い返す今も、乾いた不快な灰が私にまとわりついている。治療薬を探す旅で、私は自分の皮膚によって侵されてしまった。これはすべてのダンマーに与えられた神罰だ。ドゥエマーがどこに行ったか知らないが、彼らはさぞかし笑っているだろう。

レッドマウンテンには骨のかけらしかなかった。私は戦いに倒れた者たちの塵を吸い込んでいたのだ。私は残されたドゥエマーの秘密か、もしかしたら我が祖先のアーティファクトが見つかることを期待していた。私の力になってくれる何かを。希望は根拠のない噂に基づいていた。兵士たちの流言に。

力になるものがあったとしても、ドゥエマーと一緒に消えてしまったかもしれない。わからないし、どうでもいい。私は挫折と不安に負けたのだ。もう少しで死ぬところだった。

かつての私に戻ることはできない。今ではわかっている。受け入れるしかない。いずれネレヴァルの評議会が前に進む道を見つけてくれるといいが。明らかに、この宗教は…

恐れ知らずのグアルに関する船長の記録Captain’s Log of the Intrepid Guar

ここに書かれているのはインドリル商船、恐れ知らずのグアル号の船長トゥルセス・ガリルの航海日誌である。

第二紀572年、恵雨の月19日
快適な強風と穏やかな海でネクロムを出る。目的地はマークマイアのリルモス。新しいアルゴニアンの同盟者のため、武器と防具の積荷をたっぷりと積んだ。栽培の月までに港に着けることを願う。

第二紀572年、恵雨の月20日
快晴が続いている。乗組員がデシャーン沖に数隻のアルゴニアン漁船を発見。友好を示す笑顔を交わした。とにかく、私は彼らが笑顔をしていたと思う。

第二紀572年、恵雨の月21日
ブラック・マーシュから奇妙な霧が出てきている。緑がかっていて、異臭がする。霧の外へ出るため、船を沖の方へ移動させることにした。

第二紀572年、恵雨の月22日
霧は止むことなく、我々はまだ霧の外に到達していない。深い海域に放り出されるのを恐れて、南西の方角へ戻るよう乗組員に命じた。海岸線が見えることを期待しよう。

第二紀572年、恵雨の月23日
霧はまだ止まない。乗組員に命じてはしけを二隻放たせた。親船に結びつけ、しかし東と西に12ヤードまで移動できるよう緩めさせた。狙いは岩礁や岩の多い海岸線に突然行き当たった時、船体の損傷を回避できるようにすることだ。乗組員は4時間交代制ではしけに乗り込む。

恵雨の月24日
霧は止まず、現在位置はまったくわからなくなった。星もよく見えないため、正確な方角を定められない。

恵雨の月25日
船員を1人失った。西のはしけに乗っていた。まだ若い少年だった。ウヴレン・ファラム。父親が知り合いだった。彼の叫び声が聞こえたと船員は言う。はしけのシフトは誰も続けたがらなかったが、斥候がいなければ岩礁や砂州に座礁する危険がある。私がはしけの仕事に志願しよう。これで残りの船員もやる気を出してくれるといいのだが。

恵雨の月26日
西のはしけでのシフトの最中、霧の向こうに星が見えたように思った。ほんの一瞬だったので、目の迷いだった可能性も捨てきれない。だがあの時見えたものは…あんな星は見たことがない。

恵雨の月27日
船は何かの海流に捕まった。海流の勢いは凄まじく、船は突然海上を引きずられていくようだった。海流で切り離される前に、はしけの斥候を連れ戻せたのはよかった。この海流がどこに向かっているのかはわからない。切り立った崖ではなく、視界の開けた海域であってくれと願う。とにかく、船員は調理場に避難させ、最悪の事態になった時のため、船を衝撃に備えさせておく。

28日
海流は同じところを回っている。最初はよくわからなかったが、時間が過ぎるごとに、我々が何かの渦に巻き込まれていることがはっきりした。だがそうだとすれば、こんなものは見たことがない。この渦はとてつもなく大きいはずだ。考えられないほどに。

追記
船が軋んでいる。渦が支柱や鋲を痛めつけている。しかも嵐がこの船に向かってきているようだ。皆が恐怖している。とにかく回転が止まって欲しい。どうか、止めてくれ。

漂流1日目
起きたことをなるべく思い出そう。調理室に逃げ込むと大きな、雷鳴のような軋みが聞こえた。二等航海士はマストが二つに折れた音だと思った。その後は海のしぶきと砕ける木、叫び声の不協和音だ。私は気絶したのだろう。我々は船の残骸に囲まれて、海辺で目を覚ました。私が率いていた20人の乗組員のうち、見つかったのは7人だった。他の者たちは助からなかっただろうと思うが、まだ死体は見つかっていない。

現在地はまだわかっていない。植物が密集している。これまで見たどのジャングルにも似ていない。海辺を離れるのは危険だが、近いうちに物資が見つからなければ、食料を探しにジャングルへ入っていくしかないだろう。

漂流5日目
ここの虫は巨大だ。ダートウィングが大人のスクリブほどもある。そして獣はありえないほど大きい。鱗を生やした化け物だ。トカゲは丘ぐらいの大きさだ。今のところ、我々の存在を気にしてはいないようだが、このままでいてもらいたい。

漂流7日目
物資はほぼ底を尽きたが、食べられる植物は見当たらない。比較的小さなトカゲの怪物を狩ろうという話も出たが、群れを怒らせるかもしれない。

漂流12日目
ヴェナサ・オリルがある妙な木の陰で叫んでいるのを発見した。樹液を飲もうとしたらしい。話し合ったが…いや、彼女は埋めよう。海辺の近くに。

***
だが、それが何になる?

もう何週間も海辺沿いを歩いて、集落か我々の船の残骸を探してきた。大型の虫はそれなりの食糧になったが、一日ごとに弱っていくのを感じる。

***
皆いなくなった。彼らの名前を思い出すのにも苦労する。諦めるわけにはいかない。彼らのためにも。

***
地平線がない。石だけだ。アズラの星よ。地下?我々はずっと地下にいたのか?

空の口からの叫びCries from Empty Mouths

サイジック会のヴァレデリルによる翻訳

我々はシネストラル語についてわずかなことしか知らない。それゆえ一般的な言語に翻訳する努力は複雑なものとなっている。私はヨク語を最初の基礎として用いてきたが、関係民族の地理的な近接性にもかかわらず、二つの言語は大きく異なっている。とはいえ、以下に示す物語は、今日保管されているものの中で、可能な限り最もオリジナルに忠実な内容になっていると思う。

読む上では、韻文と散文の興味深い切り替わりにご注目いただきたい。これが美的な演出なのか、文化的な要素を体現しているのかは不明である。また、私は詩人としての技巧を誇ってはいない。私は創造的解釈よりも、翻訳に留めている。

***
戦いが沈黙して長き後
私は静かに、墨で滑らかになった石に座り
戦場に倒れた者たちを見つめた
嘆きの雲が私に向かって漂い
困惑する絶望に満たされた
私は戦賢者を探し求め
泣き叫ぶ大衆に身振りで伝えた
「なぜ彼らは鳴くのです、賢き者よ?
私たちは彼らの嘆きを気にかけず
他に聞く者もいないというのに」

「我らの敵は生きている間、偽りを信じるのだ、剣持つ者よ。我らと同じく、ヨクダ人は生が短く、最期を迎えた後には何も待っていないことを知っている。それを受け入れるよりも、彼らはそれを隠し、見えなくする物語を語ることを選んだ。定命の生の後に待つ不死の物語を。彼らの社会はこの信念にすがっている。そして反復を通じて、それが現実のものになることを願っている。

彼らの生が終わりに近づくにつれ、ヨクダ人のこの物語への信頼が崩れつつある。死にゆく者は我らカヌリャイの知ることをはっきりと理解する――最期の時を超えても、何も待ってはいないと。彼らを憐れむがよい。突然の現実との邂逅が、彼らに恐怖をもたらしたのだ。ゆえに、彼らは泣く」

家へ帰る荷車の上に月は昇らない
濃い暗闇の中、私はこの言葉を想った
我らが戦うのは何の臆病者か?何の弱さか?
胆汁が我が喉元へと昇ってくる
ひとつの民が現実を
我ら全員に関わらぬものと信じたとは
私は再び我が師を探し求めた
問いを予期して待つ、穏やかな顔を
「我らの敵は嘆く親類の声を聴いている
なぜ未だ彼らは物語を信じるのです?」

「名誉という、ヨクダの観念を知っているか?自己の外に存在する力。我らの敵は自らの行動によりそれが成長し、死を超えても保たれると考えている。彼らにとって、十分な名誉を積み重ねれば、死は一時的なものとなるのだ。死者が真理に向き合うさなか、生者は未だ名誉の物語にすがっている。

我らはその真理を知っている。そうであろう、剣持つ者よ?存在するのは骨と土。血と煙。肉と金属。それが現実だ。死には多くの段階が存在するが、最期の時の後には何もない。このことを知るがゆえに、我らが民は強い。我らは安息のための物語を口にしない。だから今ここに留まるために戦うのだ」

炎がきらめき、鳴り響き
我が故郷の周りに影を投げた
私は粗い石の暖炉に静かに座り
その熱が皮膚に流れ込むのを感じた
この生の向こうにある生は私を引きつけた
魅惑的な物語
炎は爆ぜ、灰が飛び跳ねた
輝く塵が我が手に落ちた
その痛みを通じて、理解が訪れた
私が見て、感じているものは真理であることを

啓発者の火の謎Riddle of the Luminary Fires

闇夜の中、火がかがり火からかがり火へ広がるにつれ、光は輝きを増す。

魔法の光の信号、魔法の力、啓発者はみんな翼を持っている。

闇夜の中、羽根を持ち、翼を欠いた啓発者から光は輝きを増す。

鱗を持つ者もいれば、尻尾を持つ者もいる。啓発者はみんな翼を持っている。

闇夜の中、羽根を持ち、完全な翼を持つ啓発者から光は輝きを増す。

門を上げよ、遅れるな。啓発者はみんな翼を持っている。

古代の狩人の日記Ancient Hunter’s Journal

飛兎の月3日
エーテルガラスから作りマーズベイン油に浸した矢尻を30本。エボンウッドから作り、シルケンライトの弦を張った弓。匂いを消すために灰と粘土で作った湿布薬。

飛兎の月7日
近くのリルモス人たちが子供を連れて身を隠した。弱虫どもめ。私の部族は角を研ぎ、耳を澄ませて待っている。我々は故郷を捨てない。

飛兎の月10日
奴らは野営地からさらに遠くまで出てくるようになった。川や森の歌声も知らないのに、自分たちのものにしたと宣言している。我々の決意を試しているのだ。

飛兎の月16日
彼の短剣を研いだ。冬の寒さを生き延びていたら、私のファウンも狩りに出る年になっていただろう。彼の飢えがこの剣の刃を鋭く保ちますように。

飛兎の月22日
今日、血が流された。まだ大人になるかならないかの斥候が、皮持たぬ侵入者に殺された。部族に怒りが渦巻いている。彼らの目にちらつく怒りが見える。今夜は喪に服し、明日攻撃を始める。

飛兎の月25日
我々は影のように夜を動き、6つの命を奪った。倒れた仲間が枝角を失った季節一つにつき一つの命。対等の交換だ。古き者たちにとっては公正な取引。レイヴンたちは我らが帰ると称賛の歌を歌った。

飛兎の月30日
我々の村の近くの古い木で火が燃え上がった。風は我々に向かって吹いている。必要なものを集め、我々は谷のさらに奥へ、川に向かって移動する準備を整えた。皮持たぬ者たちの方向へ。

飛兎の月31日
罠だった。一方に火、他方には皮持たぬ者の剣が襲った。奴らは復讐だと言った。だがこれは虐殺だ。私は煙に紛れて逃れた。

ファウンの鳴く月5日
傷は治ったが、まだ彼らの叫び声の重みを感じる。煙は消え、火は消し止められた。生存者の匂いはない。残ったのは私だけだ。

ファウンの鳴く月8日
自分が何になるべきか、今理解した。皮持たぬ者たちは私を獲物とみなしている。私の枝角をトロフィーとして、私の皮を宝として。狩られるのがどういうことか、奴らに教えてやる。

ファウンの鳴く月15日
古き者たちには祈りを、倒れた者たちには、嘆きを。敵に対しては、呪いを。

奴らは恐怖の味を知るだろう。我が名はここに見られし者。奴らの罪の目撃者、我が部族の最後の者にして、彼らの復讐の最初の者だ。

私たちの物語、その1Our Story, Part I

私たちの未来の子孫のために、私はこの物語を後世に向けて紙に記す。私の夫が記すことはないだろうから。夫がこのような感傷的な出来事について書いたとしても、どうせ彼のメモは時々、翼を生やしてどこかへ飛んでいってしまう。

夫と出会った時、私は野生児だった。スカイリム中に家を作っていた賢き民に育てられた。彼らは私の生みの親ではなかったけど、私の母親はノルドで、父親はブライア・ハートだと言われた。そして私は赤子の時にハグレイヴンの巣から盗まれたのだと。私は野性的で嵐のような鉤鼻の子供で、年齢にそぐわず辛辣で意地が悪かった。

私は森の鳥や峡谷の動物と話したり遊んだりするのが好きで、心を茨で守っていた。だから私は自分の両親に関するこの話が真実だと疑わなかった。私は川べりの葦のように強く育ち、大地を動き回る魔術の渦を見て、多くのことを学んだ。私が世界を見て、話しかけ、働きかけるやり方により、私はクランに愛された。愛されたのは私自身でなく、私の能力だったとしても。

ある日、かなり突然にシャリドールが現れた。私は自分だけの時間をほとんど持てなかった。誰かがいつも私の魔術を求めていたから。私は孤独を愛した。だから私の錬金術の庭に困惑したよそ者が現れて白かさキノコや木椅子キノコをそこら中で踏みつけた時、私は孤独を邪魔されて腹を立てた。

私は無責任な奴だと叫び、彼のポータル魔術の下手さを叱った。行ったこともない場所への道を開くなんて!彼はどうやら体勢を立て直したらしく、ここには前に来たことがあると反論した。ここが沼地ではなく広大な氷河だった頃に。だからその時は、私のような声のでかい沼の魔女がいなかったのだと。

それを聞いて私は一瞬立ち止まった。侮辱のせいではない。沼の魔女という名称はむしろ気に入った。しかし私が住んでいた小屋は放浪する賢き民によって何世代も使われてきたもので、一時代以上の長さの間ここに立っていた。この辺りの土地が沼地でなかった時代なんて知らなかった。今の状態からすると、数百年は沼地だったはずだ。私は苛立ったが、風が勢いを増し、吹雪になって吹き込んできた。そのため私は仕方なく彼を小屋に招き入れた。

そこで、私は彼が長い年月の後スカイリムに戻ってきて、カイネズ・アイギスの戦魔女と呼ばれる者を探していることを知った。さらにペールを放浪するジュナールの司祭と、ドルアダッチ山脈に住む賢女も探しているらしい。私はその三つのすべてが自分だと言い、今日からは「ハイヤルマーチ・ホールドの大声で叫ぶ沼の魔女」もそこに付け加えてよいと彼に伝えた。

私たちの物語、その2Our Story, Part II

一応言っておくと、彼が私を疑っている様子はなかった。自分の不幸を呪っていたのだ。私は多くの名で知られていたが、彼はシャリドールという名しか持たなかった。彼は世界の遠く離れた隅っこで、私の功績の物語を聞いていた。私の魔術を見るために、彼は私を探していたのだ。

私はもちろん、シャリドールのことを知っていた。知らない者がいるだろうか?沼が氷河だったという彼の話を、私は突然理解した。彼は私より人生何回分も年上で、それなのに私の庭を踏み荒らすほどの愚か者なのだ!私はそのことを笑ったが、お茶を飲んで話しているうち、最終的には彼も笑みを漏らした。

嵐が続く間ずっと私たちは話し続け、口を止めたのはポットを満たす時だけだった。私は彼の魔術について質問し、彼も私の魔術のことを聞いた。私たちは互いの方法と実践の違いを図に表した。

その冬の間ずっと、私たちは話し、書き、読み、親密な沈黙を分かち合った。私が魔女として、司祭として、癒し手としての力を発揮するよう呼ばれた際は、彼もついてきて観察した。口を出すことはせず、私が頼んだ時にだけ手を貸してくれた。彼のことを他の者に聞かれた時は、冗談で私の弟子だと言った。彼は一度もそれを否定しなかった。匿名性を好んでいたのだろう。

そうして彼は留まった。当時、ベッドを共にすることはなかったが、私たちは絶え間のない会話で暖まった。彼はその長い長い人生の中で自分が行った場所や会った人々、見てきた物事について話すよりも、それに比べたら短く、しかし波乱の多い私の人生の話を聞くほうが面白いと感じているようだった。

彼はいつでも去ることができたし、私のほうにも彼を追い出す口実はいくらでもあった。しかし私は彼のことが気に入ってしまった。彼も同じ気持ちだったのだろう。雪が溶け、春が近づいてくるまで、彼は出て行く話はしなかった。

彼が切り出したのはその時だった。彼は永遠に続く生の秘密を知っており、それを私に教えたいと言ったのだ。

私たちの物語、その3Our Story, Part III

シャリドールは私に永遠の生を与えようと言った。私はもちろん、断った。私と共に一冬過ごして、これほど密接に会話したのに、なぜ私のことを理解しないのだろう?

私たちは彼の方法について長い議論をした。「永遠の生があって」と私は言った。「徒歩で世界中を旅する時間がいくらでもあるのに、途中で見つかるかもしれない驚きをポータルで飛ばしてしまうの?」

彼は反論した。「限られた生では時間だけが達成を制限するのに、場所から場所へ、一歩一歩移動して過ごすのか?」

私たちは意見が違うということで同意に至った。不死は私にとって無用だということははっきりさせた。私は冬を遅らせるために夏を伸ばしたくないのと同様に、自分の命を伸ばしたいとは思わない。季節の美しさはいつも、それが過ぎ去ることにあるのだから。

彼が私を説得できると思っているらしいということに驚いた。こんなに短い時間で私を変えられると思うのか。私は一度も愛されたことがなかった。それが無数の方法で人を変えうるということを、この時はまだ知らなかった。

私はあいまいさを残すことなく彼を拒絶した。しばらくの間、彼に会うのはそれで最後となった。

あの変な老人に対する気持ちに折り合いをつけるまで、それから数年かかった。今振り返って、どうしてそんなに長くかかったのかと思うと笑えてくる。彼のことはずっと頭から離れなかったのに!でも私の頭の中で議論をふっかけるシャリドールは、本物の代わりにならなかった。それに彼はあまりにしばしば、あまりにあっさりと私の優れた論拠に譲歩した。また彼に会わなくては。

彼がサマーセットのアイベアにいることを思った。彼が話してくれた小さな島の聖域を。私は物々交換でその地域のなるべくいい地図を手に入れた。ポータル魔術も学んだ。簡単には身につかなかった。あれほど彼に会いたいという気持ちがなかったら、あんなに苦労して続けなかっただろう。ついにもう待てないとなった時、私は魔力を集中させ、アイベアへのポータルを開いた。

私たちの物語、その4Our Story, Part IV

私はアイベアへのポータルを作った。とにかくそうしたつもりだったが、私が出て来た場所は真っ暗闇の中だった!しかし魔術師はいつでも光を生み出す手段を持っている。自分の上のどこかに太陽のような魔力の塊が感じられたので、私は洞窟を登り始めた。洞窟は過ぎ去った時代の開けた遺跡に続いていた。ついに、私は日の光に出会った。私は確かにアイベアに来ていた。下に大きくずれてはいたが。

中央の島に居留地が見えたので、私は泳いでそこに向かった。私はスカイリムの娘で、水は暖かい風呂のように感じられた。こんな季節なのに、木々には満開の花が咲いていた。私はシャリドールの名を呼びながらさまよった。中に入ると、彼の書斎だった。ニルンでもオブリビオンでも知る者のない方法で整頓された、本物の羊皮紙の蔵書庫だ。しかし走り書きされた文の中に、私の名前が見つかった。

ちなみに、一度だけではなかった。もちろん読んだ。恥ずべきことだとは思わない。何年分にもなる、送られなかった手紙や謝罪文だ。告白や書き出しの失敗、学問的な長文。すべて私宛てだった。読んでいると、素敵なハイエルフの女性が現れて驚かされたが、彼女のほうも私を見て驚いたようだった。彼女はシャリドールの留守中にここの世話をするように指名された管理人だと自己紹介したので、私は安心した。

当然、私は彼がどこに出かけているのか尋ねた。なるべく急いで彼に会いたいと思っていたから。だが、彼女はしばらくの間は会えないでしょう、彼はスカイリムへ出かけたから、と言った。ハイロックまで船で行き、そこからは徒歩。旧友を訪ねに行ったのですが、その途中で他にも驚きを見つけたいそうです、と彼女は話してくれた。彼女はシャリドールが出発した日を私に教えてから、もうそろそろ目的地に着く頃でしょうと言った。

ポータルが開いて彼が戻ってきた頃には、私はアイベアにすっかり慣れ親しんでいた。彼はかなりの長旅をしたらしく、外套には道の汚れの染みが付き、髭は長く伸びて乱れていた。手にはポータル魔術についての私が記したメモと、私の小屋で見つけたに違いない、彼の名が記された未送の手紙を十数通抱えていた。

彼と知り合って随分長い時間が経つが、顔に笑みを浮かべることは冬のスカイリムに太陽が昇るくらい珍しい。でもあの日、彼が私に見せた笑顔は決して忘れないだろう。

島の地下の洞窟が後にスコラリウムになった。私たちの旅はしばしば互いを引き離すことになったが、私たちはいつでもアイベアに戻ってきて会った。

彼は私に永遠の命を与えて、共に過ごすことを願った。私は定命の人生一つだけを、彼のパートナーとして過ごしたいと願った。あなたはどう思うだろう。どっちの願いが、私たちの愛のより大きな証明だろうか?

もしこの点について意見が一致することになったら、おそらく私たちは、もうこの世界を一緒に歩むことがないだろう。

書記の方法How to Scribe

ウルフシルド 著

これはスコラリウムでの私の最後の日に書かれた、短い案内。あなたに宛てた、長年の仕事の結晶よ。

まず自分のものにしたいグリモアを選ぶ。

– 私が残したグリモアは様々な状況や魔術的応用をカバーしている。気に入るものが見つかることを願っている。

– それぞれのグリモアは枠組みと考えること。グリモアは純粋な機会であり、あなたの必要に応じる準備を整えている。

– 時が来れば、他の者たちも私の技術を学んで、他のグリモアが作り出されるかもしれない。私の仕事が生き続けると思うと嬉しくなる。

スクリプトを1つ選んで、あなたの書記のフォーカスを決定する。

– 私はこれを「フォーカス」スクリプトと呼んでいる。これは書記のスキルが何かを決定するものだから。炎か、氷か?治癒か、苦痛か?あなたの書記がどういう働きをするか?

– 私はいつもフォーカススクリプトをグリフォンに結びつけてきた。目的をしっかりと持ち、自分の行動に確信を抱いているから。

すべてのスキルにシグネチャーを持たせること。

– 「シグネチャー」はこの要素を表す最適な言葉よ。この魔法の要素があなたの書記を記憶に残るものとする。私は書記が他の分野や他の流派の目標や魔術と保管する道を数多く発見した。

– 私はこの仕事に際してドラゴンと密接に協力した。この複雑なアイデアを議論するため、彼女の鋭い知性は最高の相手だった。

– 羊皮紙を持っている者の戦闘と魔術のスタイルに適応するスクリプトを考案するのは、ドラゴンの発想よ。私の時代にはこのスクリプトを完全に開発できなかった。でもいつかは

好きな恩恵のあるアフィックスを付加して、スキルを完成させる。

– 新しい呪文を書記の対象にするたびに、構造の中にまだ残された空間があることを発見する。この単純な神秘の追加要素はネッチが提案したものよ。空いているスロットに少し付け加えるためのもの。

– アフィックスはあなたの作品を、あなたや仲間に合うよう方向づけるための手段よ。様々な方向性が考えられる。

輝くインクを使って、新しく書記の対象となるスキルを作る。

– ネッチと協力して作られた、私が書記に使っているインクは、祭壇から伝達される力の基質でしかない。これはある種の媒介の役割を果たしている。生のマジカと思考、意図を引き出してページの上に集合させる手段ね。

その他のメモ:

– スキルや呪文を書記の対象にしたら、いつでも現存のグリモアから新しい書記を試せる。無限の多様性がいつも私の目標だった。もちろん、インクは必要だけど。

– すべてのスクリプトがすべてのグリモアに適用できるわけではないけど、何度も試してみれば素晴らしい発見がある。私にとっては、それこそが書記の本当の魔法よ。

言い尽くされた冗談かもしれないけど、やるべきことはただ力の中枢を建設して、純粋な魔法生物を説得して悪意がないことをわからせ、彼らの力をグリモア(これも自分で作る)に注ぎ込み、作品を完成させるために必要な輝くインクを開発する、これだけよ!簡単でしょう?

私が書記を確立させるために費やした仕事と努力が、時と共に失われないことを願っているわ。私の足跡を辿ったあなたが誰であれ、幸運を祈っている。カラスがあなたを導いてくれるように。

常識を求めるための議論An Argument For Common Sense

ゴールレッドによって保存されたもの。家族の伝統に従い、この文書は彼の祖先ウルルドによって記された。正確な日付は不明である。

一連のつまらぬ噂が若者に空想を吹き込んでいる。これを黙認することはできない。我々の生は冷徹なる生存である。腹を満たす食料を集めるための、うち続く狩りの労力。夜中に火を絶やさぬために木を探す労力。若者があのような空想に満ちた獣の民の物語にうつつを抜かしているのを、許しておくことはできない!

それゆえ私は神々によって、また長い年月によって与えられた論理を用いて、こうした噂すべてに反駁することを自らに課した。これを読んだ後でもまだファウンだのラミアだのを信じ続ける者に対しては、謝罪をさせてもらいたい。これ以上私が諸君のためにできることはない。諸君の夢想の結果、窮乏の季節に腹を鳴らせる羽目になった時は、私が熱心に諸君を救おうとした試みを思い出してもらいたい。

アルゴニアンとカジート

まずは現実に存在する獣の民から始めるのが筋であろう。この遠方の旅人たちは我々とまったく異なる生き方をしているが、そのせいで子供たちは他の獣の民も世界を歩み、あるいは飛んで泳いでると信じている。カジートの商人は遠くから物語を運んできて、若者たちの精神を奇妙で空想的な考えで満たしている。アルゴニアンは言葉を話す木や、土が水をたたえるほど暖かい土地の話をする。私を心が狭いとは思わないでもらいたい。彼らは実在する。だが彼らは物語と歌で、我らの村人に問題を引き起こしている。現実の存在ではある!だが問題だ。

リルモシート

狐の民の物語から始めよう。まったくのでたらめである。あの大きなカジートの女性を思い出してもらいたい。パフマーと言っていたか?頭が小屋の下に付きそうになっていたし、荷車を一人で持ち上げていた!彼女がカジートなら、カジートには色々な姿があるということだ。現実世界がこれほど奇抜なものであるというのに、新しい事物をでっち上げて私を騙そうとする者の思い通りになるのはごめんだ。これは実在しない。

ラミア

またしても、現実の民族を基にしたほら話だ。水辺に住む鱗を持つトカゲ人を見たと言ったら、私ならアルゴニアンだと思うだろう。たまたま足が見えなかっただけで、声をかけてみればそう判明したのではないか?民族の小さな差異を見て、それを二つの民族だと考える性急な真似はやめよう。私に言わせればそれは愚かであり、無礼でもある。これは実在しない。

ケンタウロスとファウン

馬の民はこの地域の酒場で交わされる話や、子供の遊びまでも汚染してしまった。ケンタウロスの噂について論じなければならんとは!半人半馬?どうせぼやけた目で騎乗した人間を見ただけだ。ファウンも同様で、彼らが存在するという話が信用ならない人々によって広められている。ファウンの物語の中で、それが酔っぱらったドルイドが見たヤギではないと私に信じさせるに足るものは何もない。これは実在しない。

鳥人

上で述べたエルスウェアの商人の一人は、この翼の生えた民についての話ばかりしていた。鉤爪と言語能力を持つ、空を飛ぶ男女?ショールの骨にかけて!鳥が獣の民だというなら、私はイノシシの糞でも食ってみせる!旅芸人一座に出てくる鳥のことは誰でも知っている。言葉を真似できる色とりどりの獣たちだ。この鳥人の物語は、そういう喋る鳥を見た考えの足りない者の口から伝わっているに違いない。これは実在しない。

スロード、ドゥルー、ハドリッドその他諸々

船乗りと漁師が集まって物語を話す時はいつでも、世界のあちこちの空想的な獣の民の話が聞けるものである。私も海に出たことならあるから、騙されたりはしない。海は常に動いている。ある船乗りが目の端に見たものは、恐ろしい巨大なカエルの怪物や、蟹人間に見えたかもしれない。だが真実は、ただの岩や想像の産物でしかない。そもそも、船乗りが口にする海の民と呼ばれる連中がどれだけ沢山いるか見てみればいい。非常に怪しく思えるだろう。まるでこの船乗りたちは、途方もない話を重ねようと競い合っているかのようではないか!これは実在しない!

イムガ

最後の種類の獣の民は、広い世界に知られていない民についての無礼な描写である。年齢と神々が大いなる洞察を私に与えてくれていることを思い出して欲しい。ヴァレンウッドの出身者を見たことはあるだろうか?彼らはかなり妙な服装をしているし、人里離れた森の匂いがする。この「イムガ」すなわち猿の民は…理解しただろうか?私のような広い心を持たぬ者が見たウッドエルフなのだ。別の地域から来た者を見て、架空の生物と思い込むほどに狭量で誤ったことがあるだろうか?その外見を祭り上げ、邪悪な存在として描いているのである。言うまでもなく、実在しない!

若者よ、私の言葉をよく考えてもらいたい。私の訴えが若者の心を正しい道へと戻し、救えることを願っている。私にできることはすべてやった。彼らが私の論理を理解し、こうした空想の物語に抵抗してくれることだけが私の希望である。若者たちよ、現在の出来事に集中するのだ。さもなくば冬が命を奪うであろう。

信奉者ラーレンによるスコラリウムへの追記Votary Llaren’s Addition to the Scholarium

ナーリアはジュリアンと私にスコラリウムの記録に追記してくれと言った。ジュリアンが秘密裡に追記をしたためているのかどうかは知らないが、きっとそうなんだろう。ここにはあまりに本が多いので、何を書くべきかわからなくなりそうだ。間違った論題なんてあるのだろうか?アークメイジ・ウルフシルドは自分の蔵書庫にあらゆる種類の本を所蔵しているから、彼女の蔵書にそぐわないものなんて書けないはずだ。その点はまあ安心だ。うーん、それならこれにしよう。

ランプの騎士、信奉者ラーレンの文書

人生が予想どおりになることなどあるのだろうか。若い頃の私は戦闘や小競り合いで、葉の間を駆け回って敵の不意を突くことを夢想していた。冒険はいつも刺激的な洞窟探索と発見だと思っていた。

そういう場合もあるし、そうなった時は興奮する。だが冒険と戦いは若者の私が考えていたよりも遥かに複雑だ。私の同郷者の多くは、今の私が騎士団でやっている仕事を決して評価しない。彼らはある種の冒険を求め、兵士となった。私にとっては運のいいことに、ランプ騎士団は私に騎士となる資格があると考えてくれた。

筆を手にしてここに座っていると、自分がやってきたこと、見てきたことが信じられなくなる。私は魔術師の用心棒になるだけだと思っていた。彼らが何か深刻な学者ぶったことをやっている間、トロールやミノタウロスから守るだけだと。だが私の人生はまったくそうならなかった。

いや、一応トロールと戦いはした。

しかし喜ばしいことに、私は単独で戦いはしなかった。私が守る役目を与えられた魔術師たちのほぼ全員が、自分の身を守れる力を持っていた。時には(例えば今)、騎士団の信奉者と組めることもあった。

恐るべきドレモラと崖上で戦ったこともあるし、怒り狂う精霊を山の奥地で倒したこと、アンデッドの軍団を突破して死霊術師たちに地域を蹂躙されるのを防いだこともある。こうした戦いが楽勝だったと言うほど私は理想主義者ではない。魔術師は多くの騒音を立てるし、注意をそらす原因になる。魔術の戦いの混乱の中で、自分の武器を使って戦うのは簡単なことではない。おそらく、騎士団が誰を入団させるかにあれほど厳格なのはそのためだろう。どんな戦士でもあのような状況で実力を発揮できるわけではない。

だが、私は今この秘密の蔵書庫にいる。もっと危険だと思っていたが、ゆったりとした任務に不満はない。探索する場所も学ぶことも沢山あるから、次の任務を待って無為に過ごすこともなさそうだ。だから、人生は私が思っていたようなものではなかったし、それは素晴らしいことだ。それが現実だ。

うーん。とりあえずこの点に関して私に言えるのはこれくらいだ。ナーリア、これが蔵書に追記するのにふさわしい内容だといいのだが。それに今どこにいるにせよ、ウルフシルドは私たちがここでやっていることに喜んでくれるだろう。

地平線に向かってWe Sail for the Horizon

著者不明。ハガセ付近の沿岸に打ち上げられたラ・ガーダのスクーナー船の残骸にて見つかったもの。学者チュルヘイン・フィーレによって後世のため保管され、この書に記述された。

我らは船を走らせる。ヨクダが荒れた海の向こうに沈み、雨雲に飲み込まれて視界から消え去るのを眺めながら、地平線へ向かって。長年の研究があれと共に沈んだ。我が生涯の仕事が。我が民と文化、国家と広大な都市も。私の民族は消えてしまった。

生きている者は命がけで走る。我らはかつて来た者たちの道を追う。よりよい生、より多くのものを求めて。

今、私は故郷での最後の瞬間が消えてしまう前に、その記憶を書き記している。私たちは港で、寒さと飢えの中身を寄せ合った。誰もが喪失を経験したが、打ちのめされてはいなかった。私たちは海鳥の歌を聞きながら船を補強した。船の紋章は灰色の空に明るく輝いた。いつも私の子供時代を、母のシチューを、そして波を見ていたことを思い出させるあの歌。

明日私たちに何が起ころうと、今日私たちは生き延びた。私は哀れみを求めるためにこれを書くのではない。知識は失われることも、奪われることもないと示すため。それはまだ私のうちに、私の民のうちに生きている。私たちが生きていて、誰かが覚えている限りは。

特別な量の指示Special Volume Instructions

我らが秘密の王は、闇の広場の大広間にクリエイシアの欠片を隠した。階段の一番上に置かれた4本のロウソクが、欠片の位置を巧妙に隠している。

以下の順番でロウソクを灯すことにより、宝の場所を明らかにせよ。

1. 入口から始めて、最初のロウソクは最も遠く、その最初の光を待ち受ける。

2. 南に目を向ければ、第二のロウソクがお前を招く。

3. 次のロウソクは北に座す。

4. そしてお前の下で、最後のロウソクが待っている。

氷の船The Ship of Ice

ウィンターホールドの船乗りたちが語った物語。クジャルスドッティルによる記録

俺たちの祖父の祖父の時代、北方から船が現れた。日中は明るかった。真央の月だったから、太陽が一番空高く昇る時期だった。なのに船は霜に覆われていて、氷に包まれた帆は重みでたわんでいた。ウィンターホールドの人々は、氷の船がゆっくりと港に近づいてきたのを見て言葉を失った。

クジャルフンドという首長がたまたま近くにいて、この新参者に呼びかけた。「何者だ、どこから来た?」と。

「我らは喪に服する者だ」と操舵手が答えた。「死から船を走らせてきた。我々は火と塩、そしてパンを求めている。受け入れてもらえるだろうか?」

その時、近くに立っていた者の多くはクジャルフンドに追い返すよう求めた。氷の船の櫂のところに凍りついた死体が見えたからだ。だがクジャルフンドはまだ生きている者がいるのを見て、同情を感じた。彼は操舵手に上陸するよう呼びかけ、船が停泊した時は一番に中へ入った。真央の月の暖かい太陽が空高く昇っていたにもかかわらず、甲板の木は凍えるほどの冷気を発していた。

「これはどういうことなんだ?」とクジャルフンドは船の操舵手に尋ねた。「何があった?」

「降霜の月がアトモーラを奪った」と操舵手は答えた。「我々はジルクルフィクから来た最後の船だ。我々の後には誰も来ない。あの街は凍りついて死んだからだ」

「だが、太陽は高く昇っている」とクジャルフンドは言った。「今は夏だぞ!」

「アトモーラに夏はない」と操舵手は言った。「我々が出航の準備を整えた日、スノーエルフの少女がやって来た。我々は一番厚手の毛皮を着て震えていたのに、その子供は薄いガウンをまとっていた。その子が我々に言った。「伝言を持ってきた。お前たちは剣と斧で私たちの故郷を葬り去った。今、私たちはフロストフォールでお前たちの故郷を葬る。凍りついた海辺を最後に見渡して、それがお前たちの父が、そしてまたその父が行ったことの結果だと知るがいい」

クジャルフンドと操舵手の話を聞いた者たち全員に、冷たい影が下りた。彼らは遠いアトモーラの方角へと海を見やったが、確かに日の光は青ざめ、夏なのに冷たそうに見えた。

その場にいなかったウィンターホールドの人々は、後になってこの話を一蹴した。スノーエルフがそれほど危険な魔術を使ったのなら、なぜ彼らはそれを使ってイスグラモルを倒し、スカイリムの自分の領地を救わなかったのか?操舵手とその船員たちはそれ以上何も言わなかった。

だがそれ以降、アトモーラから船が来ることはなかった。

魔術師ギルドへの最初の手紙、草稿First Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

スコラリウムでの作業が開始されたことをお知らせしたく、一筆をしたためました。これからの仕事は困難かつ時間を要するものとなるでしょう。信奉者ナーリアと、彼女の英雄的な助手によって発見されたここの蔵書庫は、伝説に言うアポクリファにさえ匹敵しうる古代の知識を秘めていると思われます。

しかしながら、多くの書籍は忘れられた言語や、魔術的な文で記されています。いくつかは暗号文で書かれているか、混合した手法が用いられています。その結果、書物を完全に鑑定し、その多くの秘密を明らかにするには多大な努力が必要となるでしょう。

スコラリウムで発見された本の照合に使えそうな、より最近の書籍や歴史記述のリストをご参照ください(別の配達人に送らせてあります)。この二重照合は最古の物語の真実を突き止めるのにも、そうした物語が時代を経ていかに変化してきたかを知るのにも極めて重要です。

この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

魔術師ギルドへの第二の手紙、草稿Second Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムでの作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

前回の積荷にご同封いただいた書籍に感謝いたします。我々がすでに発見した版の多くを翻訳し対照合するために、とても役立ちました。我々は古代アルドマー語やアトモーラ語、ヨクダ語、ネード語、オーク語の様々な方言で記された書を見つけております。ドゥエマーのルーン文字で覆われた金属板すら見つかっていますが、これを鑑定して解読するには長期の研究が必要でしょう。

作品の目録化と翻訳はなかなか進みません。原因の一部は環境です。スコラリウム自体が高い湿度と水害に苛まれており、より時代の古い多くの書物は劣化が激しく、危険な状態にあります。

それに加えて、西棟では本シラミや紙喰い虫が大発生しており、かけがえのない書籍がいくつか損害を受けました。これは間違いなく、スコラリウムが長期間シヴァリング・アイルズに置かれていたことと関係しているでしょう!デイドラの諸領域と、それがニルンの害虫へ及ぼす影響についての私の論文の新しい写本を(これとは別のメッセージに添えて)送付いたしました。きっと気に入っていただけるでしょう!

また、種々の洗浄薬や保存用の道具の要請を(これとは別のメッセージに添えて)お送りいたしました。切迫した損傷を食い止めることは現在の課題の一部分にすぎません。最も状態のいい本でさえ、繊細な条件下にあるのですから。細心の注意を払って守らなければなりません。

この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

魔術師ギルドへの第三の手紙、草稿Third Letter to the Mages Guild, Draft Copy

宛先:名誉アークマギスター、ヴァヌス・ガレリオン第二秘書、グリヴィエ・アドラド
送付者:イルナード・リルニル(達人)
件名:スコラリウムで継続中の作業

秘書殿、およびアークマギスターにご挨拶を申し上げます!

洗浄剤と保存呪文に感謝いたします。古代文書の保存に関して持ち上がった種々の問題を解決するために、これがあることで大きな違いを生んでいます。お二方に閲覧していただくため、最古の作品の書き写しの一部分をお送りいたしますが、特別な書はまだスコラリウムに留めておくことを強く推奨いたします。経年のせいで非常に脆くなっており、一部は本を開くと崩れ去ってしまうほどなのです。

書物の繊細さに加えて、達人たちは倉庫と書棚の状態にも苦労しています。一部の書棚は続く湿り気のせいでほとんど腐り落ちており、また別の一部は逆に乾燥しすぎていて、この前の夜などは棚一つが丸ごと崩壊してしまったほどです。気の毒に、信奉者ナーリアはもう少しで潰されてしまうところでした!

また読めない本もいくつか見つかりました。達人たちはこれにとても私的な性質の魔術的注記が含まれているのか、あるいは秘密を守るための何らかの暗号がかけられているのか、頭を悩ませております。

私見ですが、これは現在までに知られていないエヒノフェクスの派生言語ではないでしょうか。もしこのことが証明されれば、ネード以前の言語を理解するために革命的な発見になるでしょう。お二方もおそらくお気づきのとおり、エヒノフェクスとその末裔の言語もまた私が個人的に関心を抱く問題でして、最初期の諸言語からアイレイド期エルフの詩に至るまでの言語の世代間派生に関する私の論文の新しい写本を添えさせていただきました。お二方のご意見を期待しております!

それはともかく、我々の進展について逐一お知らせしていく所存です。この問題に時間と労力を割いていただけていることを、お二方に感謝いたします。マグヌスの加護がありますように。

イルナード・リルニル(達人)

歴史家の旅行記 第4巻The Chronicler’s Travelogue, Volume 4

魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より

我々は日が暮れる直前、アイレイド遺跡の外周部に到着した。中に入って仕事を始めたかったが、チームの中でも若手である私の提案は無視された。なのでテントを張って間に合わせの小屋を作り、我ら寄せ集めのキャラバンをこの任務にふさわしい野営地へと変えようと苦心した。

この冒険に選ばれたことは大きな名誉だ。ギルドの幹部に混じって有名なハートランド・エルフの遺跡探検をするよう依頼を受ける者は多くないのだから!私は準備のため、何日もかけて夜通し過去の遠征の文書や報告を読み漁った。日が出るまで待つなんて、拷問みたいなものだ。トログライ魔道師が勧めたようにしっかりと休息を取ったりせず、自分だけで暗闇に潜り込んで行ったのは当然のことだろう。

魔術の光とメモ帳、水袋を持って、私は遺跡の奥へと進んでいった。どれだけ長く歩いたかはわからない。この灰がかった白の広間では、時間など無意味なように思われた。あっという間に、夜明けがアイレイド遺跡の紋章とアーチの上に姿を現した。

キャンプでは私がいなくなったことで何らかの警戒が呼びかけられたらしく、私の名を呼ぶ声と、辺りを探し回る騒音が聞こえてきた。トログライ魔道師は私の安全に懸念を抱いていた。心配していたと言ってもいいかもしれない。だが言い訳しようにも見せるべきものがない私は、見つかるわけにいかなかった。私は仲間の魔術師たちの音から遠ざかった。その時あれが起きた。

何かが私の目を捉えた。確認するために振り返ったが、見えたのは壁だけだった。この石と漆喰の集積が、遺跡内部の他の壁と異なっていると示唆するようなものは何もなかった。

その時彼らに見つかった。極限まで集中して壁を見つめていたところをだ。トログライ魔道師はどうして私の注意を捉えたものを理解したのだろう。彼女は私に安全性の問題と、夜はキャンプに留まることについて説教をする代わりに、ある石を押した。石は彼女の手の下で動き、手つかずの遺跡深部へと続く階段を明らかにした。

この時はわからなかったが、このような奇妙なことが私に起きるのはこれが最初ではなかったのだ。これが私の歴史家としての比類なき地位の始まりだったかもしれない。他の者には見つけられないものを見つける力により、私は魔術師ギルド内部での成功を勝ち取ったのである。

歴史家の旅行記 第8巻The Chronicler’s Travelogue Volume 8

魔術師ギルドの高名なる歴史家フィランディルの旅行記より

やったぞ!私は他の魔術師にできなかったことを成し遂げた。我々の派遣部隊にスフィンクスの宝石を調査させてもらえるよう、聖堂の司祭を説得したのだ。

思えばこの遠征が始まった時、私は単に旅を快適にするための魅力的な品物や、十分な食料を確保する役目を与えられていた。魔術師にとって刺激的な役割とは言えないが、任務を成功させるためには重要な仕事だった。

しかし在庫を運び露店の準備をしている時、私はある妖術師が司祭に有名な遺物の調査をさせてくれと頼んでいるのが聞こえた。司祭は不信の念を露わにして、妖術師ウレルファニャの申し出をすべて拒否した。その数分後、話し合いはまるで討論へと移行したかのようだった。我々の旅に欠かせないこの部分を実現するため、あらゆる可能性にすがりついたのだ。その時私は二人の前に出て行った。

私は控えめな口調でサザラリ司祭に、自分がアイレイドの遺跡で秘密を見つけるのに成功したこと、ソリチュードのギルドホールでの発見、アークマギスターの夏の家で偶然財宝に出くわしたことなどを話した。そこで私は突然外交の才を発揮して、仲間の魔術師たちにケナーシの宝石を調査させてくれれば、自分が聖堂全体を調べてみようと申し出た。

サザラリ司祭は同意してくれた!聖堂で古代の秘密を探してくれるのなら、妖術師ウレルファニャと他の魔術師たちは宝石を調査していいと。たとえ発見が何もなくても、これは司祭たちとギルドの関係の大きな進展だ。そしてもちろん、この高名なる歴史家の帽子にまた一本羽根が加えられたわけだ!

朝になったら出発して、できる限り徹底的に聖堂を調べよう。二週間が過ぎる前に、旅行記に付け加えるべき内容が増えるかもしれない!

ダンジョン探検家の文書

Dungeon Delver Documents

アークマギスター・マヴォンの昇格Archmagister Mavon’s Ascension

ナーディル・アレサン 著

有名な事例はいくつか存在するものの、パレオニミックや、何らかのニミックの力に完全に束縛されているデイドラは少数である。それはデイドラが自分たちのニミックをどこかに記録することや、定命の者、あるいは他のデイドラにニミックを知られるのを許すことが滅多にないからである。ここに記す内容は、アークマギスター・マヴォン・ウレスの経歴に関して、最近発見されたミシッサの没収されたノートに基づいて付け加えられた推測である。直接の引用はこの文献に依拠しているが、推測は私によるものである。

第二紀210年、賢者マヴォン・ウレスは計り知れない力を秘めるとされるある呪文を唱えた。それによりアークマギスターとしての彼の地位が確立され、その称号は賢者ヴァロナ・ギスラーノによって奪われるまでほぼ十年の間続いた。その呪文は下級デイドラ1体を召喚し、それを束縛して賢者マヴォンに従わせた。この種の呪文はこれ以前にもインプやスキャンプに対して用いられていたが、スカーフィンやその他の等級のデイドラに対して試みた者はいなかった。これこそが、アークマギスター・マヴォンの呪文を特別かつ強大なものにしていたのである。

アークマギスター・マヴォンは記録をほとんど残さなかったことで知られている。このせいで彼は同時代に生きた賢者たち――すなわち、彼の魔術の秘訣を盗んで利用したがる者たち――からも、文書によって過去を保全しようとする歴史家たちからも、広く不興を買っている。それに対し、彼の呪文によって束縛されたスカーフィン、ミシッサは、マヴォンに対する憎悪を顕著かつ詳細に表明した。彼女は賢者マヴォンとの生活を詳述したが、その文書を検討しても、他の魔術師にとって有用なものは何も見つからない。ミシッサが書いた本のほとんどは、彼女のような状況に置かれたデイドラが言いそうな侮辱や脅迫で満たされている。とはいえある一節は、アークマギスター・マヴォンがミシッサを束縛した呪文をいかに完成させたかについての示唆を与えている。

「奴が真に後悔を知る生物のように、狡猾な策略によって私の名を勝ち取ったのなら、問題はなかった。だが奴はニコットを拒絶し、私の名を見つけた。あの間抜けな定命の者は、自分を魔術の神だとでも思っているのか?愚かな!犬の尻尾にさえ、奴以上の魔力がある!奴が死んだら、その無価値な死骸の上にこの領域の虫やミミズを呼び寄せ、食い破らせてやる」

ミシッサが言及している名とは、彼女のパレオニミックだと思われる。アークマギスター・マヴォンがどういう手段を使ってか、デイドラのパレオニミックを見つけたとすれば、スカーフィンを下僕に変えた由来も、これまでに考えられていたほど謎ではなくなる。このことは、ミシッサがマヴォンの秘密を書き記さなかったことの説明にもなる。彼女を束縛していた呪文は、マヴォンの魔術研究に対する直接の妨害を禁じていた可能性が高いからだ。それはミシッサにとっても好都合なはずである。そうなれば彼女のパレオニミックも、彼女を賢者マヴォンに仕えさせた儀式も記録に残らないのだから。

ミシッサの存在と、賢者マヴォンに対する彼女の従属はこれまで、数多くの推測の対象となってきた。アークマギスター・マヴォンの昇格の時期にいた他の賢者たちは、マヴォン以外の者は誰も影響を受けなかったのに、彼の魔力だけが突然大幅に向上したことに気づいた。彼はオブリビオンについて深い知識を持つようになったため、デイドラか何かと契約を結んだのだろうと考える者もいたほどである。しかし、スカーフィンの援助または助言を受けていると推測する者はいなかった。

アークマギスター・マヴォンを始末するための詳細な計画を記した何冊もの本から、現在我々が知っていることを総合するなら、ミシッサはアークマギスター・マヴォンの失墜に関与していたと思われる。これまでは賢者デュベレ・ディルミンが友好的態度と新たな錬金術素材の共有を約束してマヴォンの塔に侵入したと考えられていた。現在の仮説では、ミシッサが主人の注意を逸らし、扉を完全に施錠しないように仕向けたと思われる(殺しの計画その534)。

アークマギスター・マヴォンが失踪した後――というのも彼は実際に姿を消したからだが、ミシッサが宣告したようにミミズに喰われたのかもしれない――ミシッサがどうなったかは知られていない。私の推測では、アークマギスター・マヴォンに仕える生活が終わった後、彼女は手早く自分のパレオニミックの痕跡を始末し、この次元を去った。呪文についての記録も、アークマギスター・マヴォンが何らかの呪文作成に貢献したというメモも一切残っていないことはこれで説明がつく。

私としては、アークマギスター・マヴォンの失墜がニミックを利用してデイドラを閉じ込め、支配することへの警鐘だと言いたいところだが、ミシッサに関する文書記録を考えると、十分なことはわかっていないというのが実情である。しかしミシッサもこう記している、「自分に扱えない物事に手を出すな。それが名の力であればなおさらだ」と。

イズモサールの力Izzmothar’s Power

(焼け焦げた紙切れ。第一紀503年にまで遡る、ほとんど読めない走り書き)

イズモサールはとてもいいことをする。感動。紙に書く手段を探す、燃えない紙を。見たか?感動だ。イズモサールは炎のスキャンプを呼んで沢山燃やすが、それはいいことだ。デッドランドもたくさん燃やしている。イズモサールはさらに燃やす。イズモサールは貢献している。

イズモサールはもっといいことをする。炎のスキャンプだけに指揮させる。ルールを決めさせる。脳のないショークや精霊には掟を与える。頭が棘のドレモラが言うように「メエルーンズ・デイゴンの名誉のため」だ。イズモサールは知っている。イズモサールはよく聞いている。

イズモサールは定命の者が悪口を言うのを知っている。メエルーンズ・デイゴンには力がない。棘頭のドレモラに力がない。イズモサールには力がないと。イズモサールは精霊を率いている。イズモサールにはすごい力がある。

イズモサールは定命の者に見せたい。イズモサールはニルンに行って、精霊とショークを取ってくる。イズモサールは炎の精霊に乗りたい。精霊は背が高い。イズモサールも背が高くなりたい。

棘頭のドレモラは言う。「イズモサール、殺せ。定命の者にメエルーンズ・デイゴンの力を見せろ」と。イズモサールは笑う。イズモサールは見せている。言われなくても。

イズモサールは「潰せ」と言う。炎の精霊は潰す。イズモサールは「殺せ」と言う。炎のショークは殺す。イズモサールはとても大きくていいことをする。イズモサールは「燃えろ」と言う。炎だらけになる。家は燃える。定命の者が叫ぶ。定命の者が叫んで燃える。多くの破壊。多くの死と苦痛。定命の者の苦痛は笑える。

イズモサールは満足しない。もっとやりたい。火で溶けない鋭い石を見つける。イズモサールは石を拾う。イズモサールは燃えて叫ぶ定命の抜け殻を見つける。叫ぶ定命の殻はイズモサールに「お慈悲を」と言う。イズモサールは「お慈悲」を知らない。イズモサールは石で定命の口の筋肉を切る。定命の者はもう大きな言葉を言わない。イズモサールは定命の口の筋肉をショークに放り、ショークが燃えるのを見る。定命の者は叫ぶ。だがイズモサールは忘れない。イズモサールは火の手を定命の者の顔に置いて、定命の者が抜け殻に変わるのを見る。

イズモサールは定命の者のところに留まる。家が燃えるのを見る。デッドランドのような匂いがするのを待つ。そしてイズモサールは紙を探す。イズモサールは記録する。イズモサールの力を。メエルーンズ・デイゴンの力を。

定命の者には力がない。

ウィンドウィーパーの森の伐採The Felling of Windweaper’s Grove

アリゼ・ジュスタル騎士長の命令、および第一紀2907年の布告により、我らはここにウィンドウィーパーの森から、有害と無害を問わずすべての自然を排除せよとの使命を与えられた。

この日よりいかなる樹木もラーチャーも、昆虫やリスといった根の間を這う生物も、我らの建設現場を邪魔することはなくなるだろう。ウィンドウィーパーの森が現在あるところには、進歩と文明の流れがもたらされる。アアリゼ・ジュスタル騎士長はスプリガンによって守られた聖なる森を称えるアーケイの聖堂と、我らが偉大なる街を守るため拡大を続ける民兵用の兵舎の建設を依頼した。

ゼニタールの名において、我々の労働が実りを結び、労力が報われますよう。
アーケイが彼の名において建造される、我らが聖堂を受け入れてくださるよう。
そして何より、アカトシュが我らの労働を速やかに完成へ導いてくださいますよう。

スナシュラグの約束Snushularg’s Promise

よし、蛾ほどの脳みそしかないお前らノミだらけの本の虫どもの中で、アビサル・セファリアークの所有物を汚すためわざわざアポクリファに来た奴はどいつだ?余白にコメントを書くとは、敬意というものがないのか?礼儀は?文章に少しでも関係のあることが書いてあったならまだしも、そうでない以上この冒涜には何の意味もないわけだ。

俺の計算によれば、被害状況は以下だ。下線が引かれた作品が35冊、言葉を囲んである作品が157冊、言葉がこすられて読めなくなっている作品が8冊、それから余白に落書きしてある本が全部で1,256冊――さらに「嘘つき」と繰り返し書かれている本が495冊だ。お前らが誰から基本的礼節を教わったのかは知らんが、授業をすっぽかしたのは確かなようだな。

運よくお前らを見つけだせたら、もう二度と筆記用具を持てないようにしてやる。お前らは権利を失った。アポクリファの蔵書庫を冒涜したんだ。俺より先にラーカーに見つかることを祈るんだな。

――解読者スナシャラーグ

チューターのリパリウスのリストTutor Riparius’s List

クランフィアが鈍すぎる。アリーナの挑戦者用にもっと血がたぎるような対戦相手を用意するようファーヌイヘンが望んでいる。整備のためにドワーフ・スフィアの部品の確認が必要かもしれない。既存の記録を念入りに調べて一番効率のいい方法を探そう。ファーヌイヘンは待たされるのが嫌いだ。

オーガに戦術を教えられるなら、ファーヌイヘンは見たがるだろう。オーガの大部隊の計画を立てているが、オーガが隊形の維持を覚えられなくては絶対に実現できない。

挑戦者が入る前に、アリーナの螺旋の影の蜘蛛の巣を撤去するようファーヌイヘンに伝えなければ。蜘蛛の巣がありすぎると有望な挑戦者さえ命を落とすことになる。

ファーヌイヘンがアリーナの挑戦を修復するために必要な未使用のクリエイシアを探している。ファウンデーション・コア のことを伝える前に、十分なクリエイシアが残っているかどうか確認しておこう。あるじからどの程度の修復が必要だと考えているか聞いていない。

誰かが男爵の広間にある洗浄用水槽の水が交換されているかどうか気を配らないといけない。植物は想像以上に花粉を排出していて、洗浄用水槽の水は以前ほど澄んでいない。この仕事は私がやる羽目になりそうだ。

ニボルウェンの日記Niborwen’s Journal

黒手袋を迎え入れたかった。彼は関心がありそうだった。でも、アラドロスが私を側に置く選択をしたことに文句は言えない。それは彼がレセルロスの狼の群れより私の能力と戦略のほうに価値を見出していることを明確に意味するからだ。もしかしたらアラドロスは、オーススウォーンへの襲撃計画に感心したのかもしれない。何しろ私の提案だし。大きな声では言えないが、私は聡明だ。計画は大成功だった!訓練所は我々の制御下にある。

オーススウォーンの入門者は大部分が死んで、我々は有能な戦士を大儀に引き込むために時間を費やしている。まだ誰も説得できていないようだが、それは対話をしているのが私ではないからだ。

私の責務はアラドロスの側にある。それはわかってる。だからどれだけ黒手袋に挑んで彼を回想者に加えたかろうと、アラドロスを見捨てたりはしない。真実を見せてくれたのは彼なのだから。彼のおかげで目が開き、この次元の穴を見ることができた。そしてその穴は我々が修復する。回想者は忘れられたものを取り戻す!

ニボルウェン

ビックス・ムズの最後の記述The Last Addition of Bikkus-Muz

私がこの書架に貢献できるのはこれが最後になるかもしれないし、その名誉を得られるかさえ定かではない。揚げ触手のスープの批判が文字通り最後の記述になったら、ビックス・ムズの名がすたる!

今目の前で起きているのに、それでも信じがたい。本が勝手に落ちて、開かれている。これだけなら大したことではない。アポクリファの本がしばしば自律的に行動することは知られている――だが、インクがページから立ち昇ってくるのが見えるのだ。インクは最初、読めそうな形をしていたが、すぐに流れ出して集まり、球体になった。トームシェルが本から出てくるのと似ているが、トームシェルの姿は見えない。インクの球体は伸びて形を歪ませている。あれは動き、本の上高くまで昇り、全方位に黒い液体を放出し始めている。液体は地面に溜まり、しばらく動かずにいたが、形になりつつある。

運命のページよ!あの形――影と呼ぶべきかもしれないが――あれは完全な生命体だ。インクで出来た、定命の者や怪物。独立して動くことができるのだ。奴らの皮膚から黒さが消えている。本は生物を具現化した。私は言葉が歩くのを目にしているのだ。

私は離れているので、奴らが話し、音を立てるのは聞こえてこないが、そのほうがいい。あの獣は邪悪な感じがする。あってはならないことが起きているのだ。言葉が文字通り生命を得るなんて喜ばしいことだと最初は思った。無味乾燥な歴史文書が読むまでもなく出てきてくれるのなら、目が疲れることもないだろうと。だが私は隠れ場所で恐怖に凍りついている。

あの生物たちが私を見つけたら、何をされるかわからない。私の知っていることが目の前で変化した今、私は何よりも未知のものを恐れている。ただ死ぬだけならまだ幸福だ。この全身を焼かれるような恐怖も、それで終わりを迎えるのだから。

ファーヌイヘンのメモFa-Nuit-Hen’s Note

未来のファーヌイヘンへ:

鍵を必要としない錠前を依頼する時は、暗記もいらないものにするよう明確に指定すること。私はどんな戦士からも命を奪う能力はたくさん持っているが、暗記はその中に入っていない。

では、明確に紙に記すことなく何が鍵なのかを思い出すにはどうしたらいい?もちろんこれは答えを求めない問いだ。私はこれを将来の啓発のために書いている。これはヒントだ!

このパズルのヒントは、線のうち2本を無効にして、3個の四角を残すことだ。

現在のファーヌイヘン

ファーヌイヘンの2つ目のメモFa-Nuit-Hen’s Second Note

退屈したファーヌイヘン

こういったヒントを考えるのは、私のアリーナを作る工程と似ていなくもない。簡単だ!少なくとも、そこまで困難ではない。今と未来の自分にとってもっと難しくするにはどうしたらいいだろう?答えをあいまいにしてやりがいを与える?うん、悪くなさそうだ。

この錠に必要なのは、2本の線を無効にして2個の四角を残すこと。

これで私は未来、戻った時に少しばかり考え込むことになるぞ!

ファーヌイヘンの3つ目のメモFa-Nuit-Hen’s Third Note

この錠前は素晴らしい!まさに技術と知恵による作品だ。私がこのヒントを必要としなければ、残しておく必要もなかった。障壁の解除に必要な暗号を解読するのは私ぐらいのものだろう!

中の小物を使えるように、この鍵はやや簡単にした。3本の線を無効にして四角を4個残すこと。

ファエナリルの手紙Faenalir’s Letter

大好きな兄さん。

もう書くのはやめると約束したけど、こうやって伝えたいことを書き連ねていると、兄さんを失った痛みがやわらぐことに気づいた。

きっと喜んでくれると思うけど、アラドロスが私を庇護下に置いて、オーススウォーンの指導者であるダルズシュ・フォージファイアを説得して仲間にするという仕事を任せてくれた。オーススウォーンについては言いたいこともあるだろうけど、強い信念を持ってるのは確かだよね。彼女が私と同じように、ニルンを蝕む空虚さを感じていればいいなと思ってた。何かがあるはずなのに何もない、痛みを伴うぽっかりと空いた穴を。彼女は感じてた。驚いたし、一瞬希望があるかと勘違いしてしまった。でも、その感覚との付き合い方は私とは違ってた。彼女はそれをモーロッチの拳と呼んでいた。あのオークたちは自分たちへの慰めが、すべてあの除け者の戦士神から与えられると思ってる。

彼女の説得が一度の対話で済むはずがないことは承知しておくべきだった。私は別の手法を試した。アンセルミルによる愛する相手への拷問、レセルロスによる仲間との絆の利用。結局、残ったのは死んだオークたちと負傷した鍛冶頭だけだった。鍛冶のロッジにこもり、訓練場の熱を使ってダルズシュを回想者に転向させようとしたけど、あのオークは頑固そのものだった。彼女は鍛冶場の中で水もないのに想定した限界を超えて生き長らえ、しかも水入りフラスコを持つ私を嘲る力まで残していた。

オーススウォーンは見たことのないような熱情をもって私たちと戦った。誤解しないでほしいけど、オーススウォーンは評判ほど恐ろしくはない。でもすごく頑固よ。私は彼らの目の前で数えきれないほどの仲間を殺し、死体を焼いた。それでもオーススウォーンは転向を拒否する。どうしたら私たちの大義に同調させられる?アラドロスに考えがあるといいんだけど。じゃないとここでの収穫は、1本の杖とオークの死体の山だけということになる。

もうあまり期待はしていない。アラドロスが口を開くたびに、ダルズシュ・フォージファイアを殺せと指示されるような気がしてしまう。正直言って、自分がその指示を恐れてるのか歓迎するのかわからない。いずれにしても、訓練場に長居はしないでしょう。

それじゃ、また
ファエナリル

ブルワラ船長の記録Captain Burwarah’s Records

第二紀304年、アビシアン海

船員の数がこの勢いで減っていけば、俺たちの呪われた航海を生き延びるのはこの記録だけになってしまうかもしれない。トゥワッカよ、そのような運命を避ける力を授けたまえ。

俺の船で起きた事件について書くのを何日もサボっていたので、主な出来事をおさらいしておく。

俺たちはサマーセットを出発し、東の海域へと向かった。強烈な風が帆を満たしたため、航路の計算によればケフレムへの上陸は1週間早まる予定になった。乗組員たちは喜んだ。長い間海上にいたし、皆また慣れ親しんだ海域に戻りたがっていたからだ。太陽は高く、見張り台からは他の船も、嵐も見えなかった。すべては静かで、のんびりとしていた。俺たちはターヴァの好意にあずかったらしい。その時はそう思った。

ある朝目を覚ますと、俺たちはぴったりと台風の目の中に閉じ込められていた。どの方向を見ても、1リーグもの距離が黒雲と荒れた海で覆われていた。だが俺たちは無風で波もない、晴れ渡った空間の中に収まっていた。最初、俺たちはシーエルフの襲撃だと思った。乗組員は三日三晩の間、武装して戦いに備えた。交替で眠ったが、ほとんど休めなかった。嵐の雲を突き抜けて船が現れることも、俺たちの船の帆に風が当たることもないとわかると、今度はデイドラに目をつけられたのではないかと思うようになった。だが食糧は日々減り続けていたし、餓死を待つわけにもいかない。俺は手の空いている者たちにオールを漕ぐよう命じた。風がストロス・エムカイまで連れて行ってくれないのなら、俺たちの手で行くしかない。それが俺の過ちだった。

最初のオールが静かな水を貫いた瞬間、海は荒れ狂った。水面が乱れて弾け、百匹ものシー・アダーを放出した。シー・アダーの分厚い蛇の胴体が甲板に飛び込んできた。手にオールを持っていた者たちが一番大きな被害を受けた。オールは長すぎて戦いには向かなかったからだ。甲板下でシーエルフ監視のシフトを終えて休んでいた者たちは、体制を整える間もなく階段でアダーに襲われた。俺たちは何とかアダーを片づけたが、大量の犠牲者を出した。海は再び静かになり、甲板長はまだ碧落の岸へ行っていない者たちの手当てをするため、1日休息を取ることを命じた。

その夜は甲板下から聞こえる苦痛の歌で満たされ、なかなか休めなかった。しかし曇り空の朝を迎えると、大きな歓声が上がった。空には太陽が昇り、それと共に風も出てきた。ついに俺たちを閉じ込めていた静止は消え、帆は痛めつけられた船員たちを呪われた海域から運び去った。

これで俺たちの苦難も終わったと思った。だが風は戻ってきたものの、嵐は消えていなかった。俺たちは嵐のど真ん中を航海することになり、目に見えて数の減った船員たちを従えて、俺がこれまで不幸にも体験した中で最悪のスコールと戦う羽目になった。

熟練の船員が2人、雲の中から現れたインプの手に押されて船から落ちた。彼らの叫び声は波の下に消え、俺たちは嵐とインプの両方から必死で身を守った。インプの群れが襲いかかる中、武器を取れとの命令の声が方々から上がり、勇敢な乗組員たちは持ち場を守った。俺たちはかろうじて船を守ることに成功し、インプたちは退却した。

俺たちは歓声を上げ、それに劣らぬ熱意で周囲の雲を罵りつつ、これ以上の襲撃者が現れないことを祈って風との戦いに集中した。見える限りでは敵の姿はなかったが、嵐の攻撃はまだ続いた。俺たちが一瞬油断したその時、稲妻が落ちてきた。これまでに見たこともない、渦を巻く稲妻だった。威圧的な巨体が目の前に現れて、乗組員たちは恐怖の叫び声を発した。石と嵐の獣が、俺たちの船に凄まじい力をぶつけてきたのだ。

だが、奴らから逃げる手段はなかった。俺の船は速いが、風より速くは走れない。甲板は滑らかだが、稲妻は跳ね返せない。俺たちは船をバラバラにされないよう必死に戦った。それで精一杯だったのだ。そうして、生き残った半数の勇敢な船員は、雷に命を奪われるまで持ち場を守り、仕事を果たした。

俺は広い海でも最低の船長だった。たったの2日で、俺は見たこともない怪物を相手に船員の半数以上を失ったのだ。襲撃を受けるたび、俺は船員たちを守ろうと焦ったが、何もできなかった。どうやって精霊たちから逃れたのかわからない。どこを航海したか、どうやって船を動かしたのかもわからない。ただ運がよかっただけだ。精霊どもがいなくなったのはトゥワッカの祝福だが、俺たちの旅がまだ終わっていないことは呪いだ。

俺たちの船と安全なサマーセットとの距離を乗り越えるのは不可能に感じる。俺たちの旅路は海と空に呪われている。通らねばならない海域から敵が出現し、今もこの数日の間に、大切な船員たちが苦痛に倒れている。

俺たちの物語がどう記憶されることになるかはわからないが、この記録は俺たちよりも長生きするだろう。もし神々の祝福があって、俺たちも生き延びられたら、俺はかつて愛した海を離れるつもりだ。海は俺を裏切った。ターヴァよ、我らを家へ導きたまえ。でなければ速やかな最期を与えたまえ。

マエロロルの年代記Maerolor’s Chronicle

アンセルミルはずっとあのコンストラクトで私を押しつぶそうとしている。普段ならこんなことは気にならないのだが、今はやるべき仕事が多いのでとてもうっとうしく感じる。多分彼女に優しくすべきなのだろう。彼女の熱意は私が一番気に入っている部分でもあるし。だが、すでにオーススウォーンへの侵攻が始まっている。あの育ち過ぎた木で私を殺そうとする暇があるなら、もっと自分の任務に集中してもいいのではないだろうか。

私たちは決して型どおりの組み合わせではない。ほとんどの人は自分のパートナーに命を狙われたら不快に思うだろう。だがアンセルミルの場合は、それが情熱の証だ。彼女は私と私の身に起きることをとても気に掛けている。それに、明確な不快感の伝え方を見つけてくれたことにも本当に感謝している。

アラドロスが私を側に置き、アンセルミルに斧のロッジを任せた理由を私は理解できているか?いや、できていない。それに正直言うと、アンセルミルが私に対してあんなにも厳しい態度をとることにも驚いている。彼女は斧のロッジを試し、我々に加わる価値がある者がいるかどうかを確かめたくてたまらないのだと思っていた。だが違う。アクスボーン・クルガを粉砕するという考えさえ、私の最愛の人を喜ばせることはできなかった。

自分が簡単には殺せない者で本当によかった。

マエロロル

マルケストの日記Malkhest’s Journal

アポクリファ大蔵書庫の一区画でしかないとはいえ、果てしなき保管庫は常に謎に満ちた迷宮だった。混乱の源であり、変化し続けるこの領域の性質に適応していない者にとっては罠でもある。保管庫の広大な空間内に散在するそれぞれの場所は、互いに大きく異なるように見えるが、それらを繋ぐ通路を気づかないうちに通ってしまうことが多いため、入口へ戻ることはほとんど不可能になっている。

モラの書記たちは裂け目を最後に訪れた時、果てしなき保管庫のねじ曲がった道を地図にしようと試みた。彼らはこの場所の内的構造の理解へ向けていくらかの成果を挙げたが、全体を地図に記す前に彼らの裂け目は閉じ始めた。彼らのうちの幾人かは、未だに回廊をさまよっているかもしれない。

以上から言えるのは、ここが恐るべき場所だということだ。最近、保管庫はかつてないほど乱雑さを増していると感じる。私は最近の調査旅行の時、書記たちの地図を携えて奥地まで進んだ。保管庫にある無数の区画を結ぶ門のどれ一つとして、地図には合致していなかった――以前にはなかったことである。これは私の経験的な推測にも一致している。果てしなき保管庫内の場所がひとりでに位置を変えるというのは言い過ぎかもしれないが、ある程度はそれが現実に起きているのではないだろうか。より正確には、各地の間に新しい連結を作り出す、超自然的な扉が存在するのだと思われる。比喩的に言うならば、保管庫の棟同士を結んでいる扉がランダムに開き、施錠されている。それに加えて大工たちが設計図を変えたり、新しい別館を作ったりしているのだ!要するに、ここでは何か不思議なことが起きている。私はこの謎を究明したい。

***

今日の私の旅は純粋に学問的なものだった。保管庫に変化し続ける性質が存在することは確認したが、私はさらに姿を変える広間に対処する戦術をも考案できた。索引と整理者たちのおかげで、私は広間を通過するのに多少面倒な思いをする程度で済んだ。大成功というほどではないが、少なくともこの不可解な場所の研究を続けるという、最大の目的に再び取り掛かることができる。

今日、私は「捉えがたき旅人」という、ささいな歴史記述が記された本を探した。著者はカルニウス・ミッソニーという、これも大して重要でない人物だ。全体として、この本が果てしなき保管庫の正体についての手がかりを与えてくれるとは期待していなかった。しかし意外なことに、この本は索引の記録から消えていたのだ。

整理者ジュンが橋の近くの棟でこの本を発見したので、私は軽くページに目を通してから、長い徒歩の帰り道に着いた。本はこの辺りに散乱している大半の本と似通った内容のようだった。〈面影〉の旅についての、多少の脚色が施された歴史記述である。果てしなき保管庫に収められている本の多くは、より最近の出来事についての歴史記述のカテゴリーに属している。

さて、多くの記述は出来事の基本的な順序について意見を一致させているが、細かい内容については見解が分かれている。例えば、ある本はドラゴンのジョーラーマーが炎を吐くと述べ、別の本は毒の煙が雲となって口から吹き出されると主張する、という具合だ。これらの記述間の差異のため、真実には一定程度の曖昧さが残っている。

しかし、私は自分なりの仮説を立てている。索引のカタログに「捉えがたき旅人」』に関する情報が不思議なくらい欠けていることはすでに述べた。これまで私が出会った本の中で、情報が欠如しているものはこれが最初でない。自説を裏付けるためにまた本を探しに行くことはせず、仮説はここに記しておき、また別の機会に調査へ赴こう。私の仮説は、索引のカタログにある情報が制限されている本が、〈面影〉の歴史に関わっているというものだ。この説が正しいとしたら、それは何を意味する?そして、どうすればそうした本をすべて見つけられる?それらの本すべてを記録に収める方法が存在するはずだ。

***

私はあるものに出くわしたが、あれは幻視、それとも小次元と言うべきだろうか。いずれにせよあまりに奇妙だったので、合理的に説明することはできそうにない。

私は果てしなき保管庫へ旅立った。またしてもこの場所の歴史の調査を進めるため、ある本を探しに行ったのだ。だが今回は、ある区画の端に到達した時、1つではなく2つのポータルが出現した。私はこの場所の危険について健全な理解を有している。通ったことのある道から逸れることの危険はわかっている。今は特にそうだ。だから、自分がなぜ2つ目のポータルに足を踏み入れたのかは説明しがたい。その瞬間から、私の体験は言葉に表しがたいほど奇異なものに変わった。

私の目は頭蓋骨に収まらなくなった。通常の限界を超えて引き延ばされたため、今でも目が痛む。そして私の歯はまったく小さすぎると感じた。吐き気がするほどの量の砂糖を感じ、あらゆるものに甘さがこびりついていたことを憶えている。私が意識を取り戻し、かろうじて大切な書類を台無しにしないよう地面に向かって吐くだけの節度を保とうとしている間も、甘さは私から離れなかった。それは今でもここにある。口の裏側にハチミツの飴が張り付いているような気分だ。手足も痛む。まるで長い距離を走ったような感じだったが、私は出発地点に戻ってきただけだった。

この記録を書き終えたら眠ろう。長い休息を取れば、あの体験の意味もはっきりするかもしれない。

遺物の悪の発見に関してOn the Discovery of Relic Fiends

銀の薔薇騎士団とあの日に起きた全てのことに関する考えをまとめている間、私はある不愉快な事実に気づいた。それはどんな地位にあっても、あらゆる者がアズラの届かない影に落ちうるということだ。

自分の目で見たものを信じたくない。私があれほど尊敬した騎士たちがあのような…悪と化したことを認めたくない。守ることを求めた騎士たちが、守るべき相手に牙をむいたなどと言いたくはない。だがこれらは全て事実なのだ。

かつてオブリビオンに対する防波堤として戦ったあの獣が、堕落する以前の自己をわずかでも保っているのかどうかは、私の理解を超えている。保っていないほうがいい。彼らのうちで「これは間違っている」と叫ぶ囁き声が響いていないことを願う。オブリビオンの何が変化させたにせよ、それが彼らの心から記憶の最後の一片まで奪い去ったと思いたい。彼らの行動を見れば、そう思わざるをえない。

起きてしまったこの事態を、オブリビオンの不思議を抑制しようとする全ての者への警告としよう。あれは定命の者が持ってはならない力なのだ。

私は日没にアズラへ祈りを捧げ、オブリビオンの魔術から守るよう願おう。デイドラ公ほど力のある存在であれば、私が目にした運命によく耐えられるかもしれない。

――ウェイリン

影を彫る者を悼んでIn Memoriam of the Carver of Shadows

慎重な蛾のごとく動く男爵のために。

私の男爵の中で最も慎重で計算高かった。どうしてこの運命を予測できなかったのか。

記憶の中に再び飛び込んで来ることを願って。

塩のスプレーを悼んでIn Memoriam of the Salt Spray

波の上の陽光のごとく動く男爵のために。

あなたの名前を聞くと活き活きとした情景が思い浮かぶけれど

あなたの明るい顔は欠けている。

時々、あなたが実在するのか、

私が面白がって組み合わせた言葉の羅列なのかわからなくなる。

穏やかなる戦士を悼んでIn Memoriam of the Gentle Warrior

葦の風のごとく動く男爵のために。

私の心は曇っている。決して見通せない濃霧のように。

ここにいて、忘却の雲を追い払ってくれたらいいのに。

灰の風を悼んでIn Memoriam of the Ashy Wind

煙噴く羽毛のごとく動く男爵のために。

私は炎が空気を求めるように、あなたを求めていると思っていたけど、

それは違った。

私があなたを求めるのは、俳優が脚本家を求めるようなものだった。

ページに言葉が足りない時に

銀の薔薇はボーダーウォッチに咲くThe Silver Rose Blooms over Borderwatch

第二紀87年、銀の薔薇騎士団はボーダーウォッチの侵略を試みたズィヴィライ・クランに対する危険な作戦を展開した。騎士団がどのようにしてズィヴィライの計画を把握し、介入したかについて多くのことは知られていないが、その手際は素早く効果的だった。騎士団員コラティヌス・アンティアスによって書かれた報告は、騎士団の戦略を記述している。

「我々は夜中にこっそりと進軍した。気づかれぬようゆっくりと丘を越え、草原を歩いた。これは騎士団の熟練の指揮官にとっても珍しい作戦だった。我々の陣形はよく整っており、隙はほぼなかった。ようやく戦いが始まると、我々の攻撃は戦いに慣れたデイドラたちに衝撃を与え、その驚きが我々に優位をもたらした。我々は勇猛に戦った。訓練には何ヶ月も費やしたが、戦いは一夜よりも少し長い程度の時間で終わった。ズィヴィライは個として戦い、自らの戦闘技術で自分のための栄光を勝ち取ることに慣れていた。最終的にはそれが彼らの敗因となった。彼らの陣形の欠如は、訓練を経た我々の戦術には対抗できなかったからだ。我々はその次の日、互いを称え合い、戦いを生き延びさせてくれた薔薇の母に感謝を捧げて過ごした。彼女の名において、我々は勝利した。我らの地は腐敗から救われた。そして彼女の名において、我々は行動する。

我らの攻撃を導き力を授けてくれた、アズラに祝福あれ」

訓練場の教訓Lessons of the Pit

入門者よ、しっかりと読め。なぜなら私は何度も同じことを書くつもりはないからだ。お前たちはタムリエルでもっとも偉大な戦士たちから戦いを学ぶためにここに来た。オーススウォーンは慎重かつ巧妙な戦士だ。片っ端から切り刻んで勇気を示したいなら、アンドーンテッドにでも入るがよい。

何を誓うと聞きたい者もいるだろう。誓うのは、戦場にいる者すべてを辱めないこと。全力で戦うこと。賢く戦うこと。そして仲間のオーススウォーンと共に戦うことを。忘れるな。モーロッチは血の誓いのデイドラ公であり、背かれし者の防御者だ。オーススウォーンに背を向けたら、モーロッチに背を向けたも同じこととなり、お前と盾を合わせて立ち上がる者はいなくなるだろう。

誓いを果たすため、3つのロッジを突破してもらう。まずは拳のロッジだ。武器は特権であり、入門者が持つ資格はない。お前たちは鼻にパンチを食らって怒りを制御することを学ぶ。素早い動きも学ぶかもしれない。武器を持つ敵との戦いを学び、勝利を学ぶのだ。

拳のロッジの指導者が十分に備えられたと判断したら、斧のロッジへ進む。そこではあらゆる種類の武器について学ぶ。武器の動きと、武器に合わせた動きを学ぶ。壊れ方を学び、剣を失った瞬間に降伏するブレトンの騎士とは対照的に、その破片での戦い方を学ぶ。お前たちはすでに拳のロッジでの学びを終えている。故に、武器は自分を武器とすることほどには重要でないと知ったうえで訓練を積むことになろう。

最初と同じように、指導者たちが斧のロッジで学ぶべきことをすべて修めたと判断したら、鍛冶のロッジへ進む。ここでもっとも素晴らしく、もっとも厳しい教えが新参者に叩き込まれる。真の力は戦士でなく、鍛冶頭が持つことを学ぶのだ。炉の前に立てばどんな怪我よりも苦痛を感じることを学ぶ。そうして自分の中に無限の可能性があること学ぶ。鍛冶場こそ、オーススウォーンが作られる場所なのだから。

さて、これを記憶したことを祈る。さもなければ、訓練場で過ごす日々がずっと長くなるであろう。

訓練場主、アグサシャグ

死霊術の初心者向け素材Materials for Novice Necromancers

不死のギララ 著

あなたの魔術の経験や才能に応じて、死霊術の初心者が扱うのに向いている素材の種類がいくつかある。自分の軍隊を築いて敵を制圧するためには、まずこれらの素材を理解しなければならない。なんといっても、「理解できないものは完全に制御できない」というのが魔術の鉄則である。

亡霊
魔術とは気まぐれなもので、この世界の物理的制約の多くに縛られない。そのため初学者にとってはしばしば、同様に非物体的な素材に命令するのが最も簡単である。常に目に見える形で具現化するだけの力を有しているとは限らないが、死者の霊魂はタムリエル中に存在する。この点における死霊術の有用性は明白である。ただどこかの場所に力を集中させれば、何かの亡霊が現れる可能性が高い。

スケルトン
有能な死霊術師の軍団の基礎となる兵士、スケルトンは魔術で形を保っている物体の塊でしかない。このアンデッドを蘇らせるのに大した努力は要らず、骨は必要になるまで、袋に入れて持ち運ぶこともできる。

ゾンビ
スケルトンは単純なしもべであり、召喚も命令も簡単である。ゾンビはまったく事情が異なる。ゾンビの肉体はかつての記憶を保っているため、蘇らせて制御する前に忘却させなければならない。儀式に加えて、場所も大幅に変化させることで、肉体を混乱させ、以前の素性を奪うことが重要となる。成功すれば、選んだ死体はある種の停滞状態を獲得し、あなたの命令に易々と従うようになる。

レイス
他のアンデッドとは異なり、レイスは強力な感情によって支配された霊魂である。レイスを呼び出して命令するためには、霊魂をその最も邪悪な表出へと歪曲させる方法を学ばなければならない。命を奪われたことへの不満と怒りに霊魂の形態を支配させてから召喚する。死者の怒りを支配できれば、苦もなくレイスに命令できるようになるだろう。

リッチ
リッチを制御することはできない。魔術によって命令することは試みるだけ無駄である。リッチは死霊術を使って不死の状態へと至った者であって、あなたよりも強力だ。彼らは暗黒の儀式の達人であり、最高位の死霊術師なのだ。

焦熱の嵐を悼んでIn Memoriam of the Scorching Storm

熱い稲妻のごとく動く男爵のために。

雨が降る時、あなたのことが一番よくわかる。

でも空が晴れている時、私はあなたを感じない。

挑戦者たちに不公平でなかったなら、いつも雨を降らせておいたのだけれど。

新人の恐怖Initiate’s Fear

怖い。認めよう。オーログブは恐れている!

もしかしたら訓練の一部なのかもしれないが、死者の呼ぶ声が聞こえた。声は反響し、まるで訓練場の炎から聞こえてくるかのようだった。黒手袋のガームには恐怖に支配されるなと言われてる。真のオーススウォーンの戦士は敵との戦いと同じぐらい恐怖との戦いも易々とこなすものだと。でも、できるかどうかわからない。幽霊のような声は恐ろしかった。声は決闘を挑み、訓練場で実力を示すことを要求した。そんなことはできない。まだ来て1週間しか経ってないのに!

ウルグドゥカが言うには、声は昔の訓練場主で、新たに仲間に加える者を探してるんだそうだ。モーロッチよ、お助けを。彼女が間違っていますように。

全力で戦おう。ガームが言うように。でも、憑りつかれるため訓練場に来たんじゃない。

挑戦者の思索A Challenger’s Thoughts

散々懇願した結果、チューターのリパリウスというファーヌイヘンの助手がここへ来ることを許可してくれた。一人で自分の思考と向き合える場所がほしいと頼んだのだ。色々と耳にしたアリーナの挑戦を受けて立つ前に、精神統一ができる場所だ。それで、この男爵の広間で一息つくことを許された。これはとても名誉なことだから、敬意を示して感想の記録以外は何も残すなとチューターのリパリウスにはっきりと言われた。アリーナの挑戦で何が起ころうと、私ことヌヌリオン・アランはベドラムのベールにいた。

ここはとても静かだ。それでも、どこかタムリエルの荒野にいたときのような不安を感じる。静寂は危険の、捕食動物の襲撃の兆候だ。だが静寂がさらなる静寂の先触れであるこの広間でそんなことは起きない。この紙の上になら、最初は恐怖にかられたと認めることができる。死と戦ってファーヌイヘンを感心させる準備はできていた。少しだけ、集中できる時間があれば助かるだろうと思ったが、こんな不自然なほどの静寂の中にいると、自分の準備やルーティンに疑問を感じてしまう。

だが疑ってる場合じゃない。ファーヌイヘンが招いてくれたんだ。私は求められてるし、力も満ちてる。それだけは何があっても覚えておかなければ。それでも、もう少しここで過ごしてもいいかもしれない。静寂が気にならなくなるまで精神と呼吸を整えるために。それがこの先に待つものと対峙する準備が整ったことを示す合図になるだろう。

私に準備ができ、彼らも私に対抗する準備ができたら、アリーナに立ち向かおう。それまでは男爵の広間に座り、めったに見られない領域を観察しよう。

入門者が最後に見たものInitiate’s Last Sight

入信者ダラン・エマクス 著

明日、目隠しをつける。この時を恐れていたけど、あんな光景を見てしまったら、二度と目を使わなくて済むのが嬉しいぐらいだ。盲目の道はもう恐怖じゃない。おかげでこの先の人生にダラン・エマクスを怯えさせるものはなくなるんだから、盲目に感謝する。

もちろん、ダークシャードのことは知っていた。入門者に最大の闇を見せる悪夢の怪物のことを聞いたことがない、盲目の道の者はいない。ダークシャードから見せられる幻視は誰一人として同じじゃない。中にはすべてを飲み込む炎や愛する人の死体を見せられたと言う者もいる。ダークシャードは止める間もなく入門者を攻撃し、殺してしまうこともある。そんなことはめったに起きないけど、ダークシャードと対峙する直前には、それしか考えられなくなる。さらによくあるのが、入門者が目隠しを着けられる状態にまで回復できないことだ。ためらうことなく道をたどれるのは、正気を保っている者だけだ。私は彼らのようになりたかった。そしてそうなった。

ダークシャードと出会った時、私は簡素な部屋にいた。壁に飾りはなく、怪物以外は誰もいなかった。動ける気がしなかった。私は数多くある怪物の手の1本が勢いよく飛び出て、私の首を断ち切るのをただ待っていた。でも何も起きなかった。どれぐらいあの部屋で怪物が恐怖を見せる決断をするのを待っていたのかわからない。何時間も、もしかしたら丸一日あの部屋にいたような気がした。扉が開く頃には服が汗でぐっしょりと濡れていて、目が痛んだ。ダークシャードの前でまばたきをした覚えがまったくないし、できたとも思えない。

あの過酷な試練から何時間も経った今でさえ、気分が悪くて力が入らない。ダークシャードのことを考えるのがやめられない。他の入門者は試練の達成を祝っているが、私にはできない。なぜ私には計り知れぬ恐怖を見せなかった?なぜダークシャードは、オブリビオンのもっとも陰惨な恐怖に直面する覚悟を決めていた私を見捨てた?私が道をたどる者にふさわしいと思えなかったのか?それとも、私を試すものが何も残っていなかったのか?

違う。他に何かある。こんな答えじゃ、あの遭遇で陥ったほどの恐怖は感じない。きっとダークシャードが私に与えた恐怖は、不確かさなのだと思う。私が何を見せられるはずだったのか、あれが何を見せるつもりだったのか、知ることは決してできない。ダークシャードの顔、その舌打ち、一瞬で殺せたはずだったのに殺さなかったあの腕以外には何も知ることができない。私は不可知の存在と対峙した。私はそれを見詰めていたのに、目隠しをする直前まで気づかなかった。

妙なやり方だが、私は二度と未知と対峙することはない。ダークシャードは贈り物をくれた。盲目者は私に贈り物をくれた。私は歩けなくなるまで、この道を歩むつもりだ。

北方の謎の殺し屋たちObscure Killers of the North

フローアノット・エピナード 著

本書では、喉裂きボトゲルヴィ、毒殺者リンゲルド、および名無しのノルドについて論じてきた。これから扱うのは、最も謎の多い殺し屋である。記録は無数に存在するにもかかわらず、同僚の学者たちの中には本当に実在するのかを疑う者もいる。確かに、民間伝承や迷信は正確な情報源でなく、しばしば新しいものやより大きな信仰によって変化し、断片的な真実しか含まないことは認めよう。それでもこの殺し屋に関する伝承の核心部分は、物語や韻文、詩歌が一定の事実に基づいていると信じさせるに足るものであると私は考える。

この殺し屋についての実際の歴史的事実がどのようなものであれ、この男が北スカイリムの文化的実践に与えた影響は明白である。子供たちはその季節の最も暗い夜、命を奪われるのを恐れてベッドの下に隠れたと言われている。そしてすべての大人は、間違った人物を糾弾し、その報復を受けることを恐れて沈黙したと言われる。読者よ、ここに紹介しよう――モーサルの屠殺者である。

この捉えがたい人物について、多くのことは知られていない。彼は第二紀248年にまで遡る物語へ散発的に現れるが、同時代の児童向けの歌の中にはより頻繁に現れる。歴史全体を通じて、屠殺者は恐怖と民間伝承の源泉である。この執着はおそらく、この職業が死者や解剖と密接にかかわっていることに起因しているのだろう。原因が何であれ、モーサルの屠殺者と呼ばれる存在については、無視できない事実がいくつかある。

残酷な男、屠殺者ハエファル
スイートロールにご執心
その刃は旧モーサルよりも冷たく
お前を切ってフロストトロールに放り投げる

彼はお前をヤギと呼ぶ、お前の喉を切り裂きながら
残酷な屠殺者ハエファル
川が溶けたらお前は流され
二度とモーサルに姿を現さない

――第二紀275年頃、子供の足踏み歌

上に引用した不吉な内容は、第二紀248年の長い冬に起きた出来事を指している。十を超える家族が姿を消したのである。これはモーサルの生存者たちの間にパニックと不安を引き起こした。行方不明のノルドたちが見つかることはなかったが、彼らの家の扉は開きっぱなしになっていた。まるで何者かが真夜中に家へ入り込み、彼らを引きずり出したかのようだった。

当時の記録はハエファルに言及していない。言及していたら、謎は始まる前に解けていたはずだ。名前が与えられたのは、おそらく童謡の作成者によるものだ

当時の学者も、私の同時代の学者の大半も、村人の消失は当時頻繁に起きていたゴブリンの戦略的な襲撃の結果だと考えている。だがここで少しだけ、モーサルの屠殺者が本物だったと考えてみよう。彼は何者だったのだろうか?

モーサルは大きな村ではないため、正式の屠殺人がいた可能性は低い。より現実的に考えるなら、どの家庭も動物を屠殺する経験を持っていたはずである。専門的な職人がいたのなら、犯人を特定するのはきわめて簡単だっただろう。もしくは、犯人は実際に腕の立つ屠殺人だったのかもしれない。しかし、屠殺者という名称は犠牲者たちの悲惨な最期から付けられたもので、職業を意味するのではなかった可能性が高いだろう。

性格に関して、屠殺者はきわめて短気な人物だったはずである。子供の歌で、殺し屋はある違反、すなわち彼のスイートロールを食べるという違反を犯した相手に復讐するとされている。デザートを奪われただけで暴力的な殺人を冒すというのが本当なら、殺し屋はスイートロールにご執心という程度では済まなかったはずだ。この執着は狂信的な、ほとんど信仰に近いものであろう。だが美味なデザートへの宗教的献身などというのは、文献から飛躍しすぎた仮説になるので、この点は脇に置くことにしたい。

屠殺者ハエファルに関する多くの文献がヤギに言及していることは注目に値する。これは彼が犠牲者に加える行為を予告する手段だったのだろうか?この同じ年に、ヤギの群れが複数いなくなることがあったという仮説も提示されているが、群れの規模に関する記録は通常よりも乏しい。このような説明はにわかに信じがたいが、学問的誠実さのためにこの情報もここに含めておく。

これほど秘密が多く、虚飾が入り混じっている可能性のある殺し屋に関して、殺人がいつ収まったのかを特定するのは困難である。本当のところ、この殺し屋が実際に捕まったのかを知ることも不可能である。本書の他の事例では、より決定的な結末が見られた。それは歴史家にとっても、一般民衆にとってもありがたいことだが、モーサルの屠殺者の伝説が完全に死に絶えたことは決してないのである。

もしあなたがモーサルへ旅し、村の長老に尋ねる機会があったら、おそらく長老は屠殺者が何者だったか知っているだろう。その人が子供の頃、屠殺者が悪夢に現れた話までしてくれるかもしれない。それは屠殺者がモーサルの人々に及ぼした影響の証左である。この男は民間伝承と人々の記憶の中に存在しているため、死ぬことはなかったのだ。モーサルの屠殺者は完全に殺すことも、打ち破ることも決してできないのである。

ウェストウィールドの書

West Weald Writings

アビティウス隊長の命令Captain Abitius’s Orders

ヴァレンの監視所に、回想者と陰謀を企む敵による予期せぬ襲撃があった。付近の軍団の部隊に警報を出して呼び集めるため、監視所の塔と壁の最上部にある4つの狼煙への点火を命じる。4つの狼煙すべてに火が点いたら、ただちに監視所の外にある野営地へ報告に戻り、さらなる指示を仰ぐこと。野営地は、正門からそう遠くない場所にある。

貴殿の勇敢さと、軍団および全ウェストウィールドへの奉仕は賞賛に値する。ヴァレンの監視所はこの地域における防衛の要だ。決して敵の手に渡してはならない。

急いでくれ、軍団兵!
アビティウス隊長

アラドロスからの手紙Letter from Aradros

ナンサリオン王へ

簡単ではありませんでしたが、トーヴェサードが大変な関心を抱いている「多くの道の杖」というものの場所をついに突き止めました。オーススウォーンの訓練場という、オークの要塞に封印されているのです。オークたちは遥か昔にマラキャスが杖を彼らに預け、それ以来守り続けてきたと信じています。

なぜ杖が重要なのかトーヴェサードに聞いてみました。彼はあの杖が、シャードボーンの領域から盗まれたデイドラの兵器だと言いました。あれは多くの道からマジカを引き出し、所有者に変化そのものの力を授けるらしいのです。確かに恐るべき武器です!トーヴェサードの言葉が事実ならば、回想者があの杖を手に入れるべきでしょう。

あらゆる手を尽くしてオークどもから杖を奪い取り、王の手にお届けする所存です。回想者のために!

アラドロス

イフレの賛美歌Y’ffre’s Hymn

根と葉、枝と皮が
暗い土から立ち上がり
すべての中に歌を聞き
イフレがなぜ歌わせるのかを知る

大昔に紡がれし物語
その歌と語りは、未だ尽きぬ
紡ぎ手たちは賛美の歌を絶やさず
我らの周りで緑は栄える

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

命の物語は長く
イフレの歌を受けて形を得た
過去と未来、今とここ
時間を紡ぐため、すべてが従わねばならぬ

それは感じられる、大地と空の中に
泳ぎ、育ち、飛ぶもののうちに
物語の力は深くまで響き
守るべき契約を思い出させる

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

おお、イフレ、優しきイフレよ
あなたの大いなる復唱を聞かせたまえ
その声が、我らの心へ残り続けるように

ヴァシャバーの脅威The Vashabar Threat

斥候ブリティア・コンコニアスから護民官アレア閣下への報告

新しい森(彼らはドーンウッドと呼んでいます)におけるヴァシャバーの居住者は、当初私たちが考えていた、ただの暇な樹木好きなどではないかもしれません。集落はアイレイド遺跡の頂上に建設され、深い緑の葉と、この地域では見られなかった生い茂る野生の植物で完全に覆い隠されています。ウッドエルフに対処する上で、この事実は不安であり、漠然とした脅威も感じます。

ご指示に従い、数日を費やしてヴァシャバーのウッドエルフの動きを観察しました。見られず森に留まることは難しくはありませんでしたが、度を越えた草木により、ウッドエルフたちはウェストウィールドに何をするつもりなのか、大きな不安を覚えました。木々の大きさと密度は、とりわけこの森がつい最近発生したことを思うと衝撃的です。コロヴィアに飲食物を供給する農場やブドウ園にとって、決していい前兆ではありません。
ウッドエルフについては、ほとんどが単なる労働者や採集者のように思われます。中には腕のいい狩人も含まれています。極端に暴力を好む様子は見られないのですが、敵と見なした相手に武器を使う能力は疑いようもありません。その上、狩人たちは定期的に射撃訓練を楽しんでいます。

ほとんどは革の的や色を塗った動物の皮を使っていますが、軍団の標準装備の兜を標的にしていたことがあるのを見ました。とりわけ優れた射手が兜の天辺にある羽根飾りを撃った時には、みんな喜んで笑っていました。その兜の入手方法はわかりませんが、深く考えたくはありません。

上述したように、ウッドエルフの遠距離武器を扱う能力のことは決して忘れてはなりません。ヴァレンウッドの併合地域を巡回する軍団の兵はすべて重装備にして、深い木々の中ではいかなる時も兜を着けているように命じるべきです。

また、ウッドエルフの大部分は彼らの王ナンサリオンに対する熱狂的な献身を示しています。彼は最大の懸念です。そのカリスマ的な統率力を通じて、複数のウッドエルフのクランをまとめ、ほぼ一夜にして新しい集落を形成しました。彼の評判だけでも新たな信奉者を引き寄せ、活動の規模がさらに拡大するかもしれません。これはさらなる調査を行い、森域の境界線に配属する軍団兵を増やすべき理由になります。

機会があれば、ナンサリオンは喜んで自らの根を肥沃なコロヴィアの地にねじ込み、ヴァシャバーの境界線を広げようとするでしょう。何があっても彼から目を離すべきではありません。

新たなご命令があるまで、監視を続行します。さらなるご指示を心からお待ちしています。

ヴァシャバーへの手紙Letter to Vashabar

ハルロア

ヴァシャバーでは、イフレに捨てられた帝国の地であるこちらよりもうまくいってるといいけど。こちらはもう3週間こんな調子で、古代のゴミと筋肉痛とかんしゃく以外にはほとんど何も残ってない。あのダークエルフが自分の偉業についてしゃべり立てるのを聞かなくてはいけない者は、頭痛もしてる。

失われた偉大な宝を約束されていたのにまったくの期待外れで、見つかったのはせいぜい古代のワイン瓶、水、血くらい。他の者たちは道具を捨ててここを去ろうとしてる。インペリアルの領域にいるけど、私たちがここを探検してることを知られたらよくは思われないと思う。それとダークエルフがいつも「あともう一部屋!」「あともう一室!」「この碑文を見てみろ」。まったく!

そして、まだ動く罠がある。何百年も前の罠くらい。最悪なことに、気をつけないと石にされる!通れない道や封印された入口がいくつかある。巨大な祭壇の裏にもありそうだけど、今のところ困り果ててる。うちのダークエルフなら入れるようにできるかもしれないけど、頼む気になれない。あいつは近くに寄らせない。像が動き出して奴の上に倒れるという「事故」が起きればいいのに。

こんな場所にも、ここの獣にも、「有名な著者であり冒険家」のナルシス・ドレンにもうんざり。あんな奴、ワイルドハントに襲われればいい!

子供たちによろしく。お母さんはあと数週間で帰ると伝えて。でも、回想者についてはヴァシャバーの誰にも伝えないこと。一言もね!

ブレディレル

ヴァレニアへの手紙Letter to Valenia

親愛なるヴァレニア

おお、お前と最後に会ってからどれだけ経つだろう!近づくことを考えただけで落ち着かない気分になるから、遠くから見守りながら勇気を奮い立たせている。どうか許してもらいたい。

だがついにお前はここに来た。どれだけこの日を待ち続けたことか!お前の家の西にある森で会おう。サプライズを一つ用意している。とてもとても長い時間をかけて準備してきたものだ。

俺が何者かって?当ててみてくれ。そのことは後で笑えばいい。一緒に。

旧友

ヴァレンウッドとその先のヴァシャバーVashabar In Valenwood and Beyond

ウィルダーホールの学者、メルボラ 著

紡ぎ手へ。要請通りこちらのメモを用意しました。私たちのクランの歴史は何本も巻物を書けるほどなので、できるだけ簡単にまとめています。

ヴァシャバーの村はわずか数ヶ月前に築かれたばかりですが、私たちのクランの歴史はアイレイド帝国の滅亡後、アレッシア帝国の崩壊前にまでさかのぼります。それほど昔にヴァレンウッドへ移住したのに、親族がバラバラになっていないことには少し驚かされます。常に小さな共同体ではあったものの、歴史の道が血に流れているのがわかります。

初期の共同体において特に重要なメンバーの多くはハートランド・エルフの離散に関わっていましたが、そうした元征服者の多くはグリーンパクトの教えを取り入れました。

森を形作る技術を極める緑の代弁者の伝統は、第二紀初頭に始まりました。私たちと同族であるネドリルの先人が、(後に)ヴァレンウッド全土におけるさやの家の進展につながる技術を開発したのです。

後に暁の道の動きにつながるドーンウォークの伝統は比較的最近の発展ですが、その根は私たちのアイレイドの先人にあります。ナンサリオン王はその動きを順応させ、私たちの共同体へ明確に焦点を合わせ始めました。緑がストリッド川を越えて戻る道を見せた時、私たちには行動する準備が整っていたのです。

新しい森は、まるで私たちがアイレイドの先人の遺産を取り返すため特別に育てられたようでした。私たちは荷物をまとめ、ナンサリオン王に従ってこの神聖な場所へ移動し、緑の代弁者は仕事を始めました。ヴァシャバーの最初の蔓が育ったのは、それから間もなくのことでした。

ヴァレンによる軍の召集Varen’s Call to Arms

尊敬すべきウェザーレア家の諸君

皇帝と呼ばれる、我らが冒涜者レオヴィックはやりすぎた。デイドラ信仰の合法化は独裁者による言語道断の所業で、誇り高きコロヴィア人なら誰も従うはずがない。

コロール公ヴァレン・アクィラリオスが、皇帝に対する進軍にコロヴィアの地の壮健な戦士もぜひ加わってほしいと懇願している。

心に炎、血に忠誠があるなら、ブルーマで我らの拡大しつつある解放軍に参加してほしい。

コロヴィアのために戦おう。名誉のために戦おう。帝国に栄光を回復するのだ。

ヴァレンの反乱の物語、パート1Saga of Varen’s Rebellion, Part 1

ヴァレンの出陣
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
石の壁に囲まれた砦に座した
とりまく世界を憂いながら

彼はルビーの玉座に仕えた
全身全霊をかけて
戦いの時も平穏な時も
忠誠は揺るがなかった

けれど今、心は乱れている
田園地帯の黒い染みによって
玉座を手に入れた皇帝
モリカルの息子、帝国のドラゴン、レオヴィックが
土地と民を脅かしたから

レオヴィックの先祖、北のリーチの民が
ルビーの玉座を手中にし
その民を従わせた
彼の意志と欲望と
馴染まぬやり方に

レオヴィックが崇めたのは
もっとも闇深きデイドラ
ハーシーン、ナミラ
そして誰あろう
破壊のデイドラ公メエルーンズ・デイゴン

ヴァレンはこれをすべて見た
惑わされし同胞を見た
卑劣な力によって
皇帝の布告によって
闇がその地を獲得した

けれど玉座に忠実な彼は
レオヴィックを誠実に支援した
帝国の残酷なやり方と
彼の野蛮な信仰にも関わらず

ヴァレンはアブナー・サルンに知恵を求めた
元老院で誰よりも賢き者
ルビーの玉座に仕える高官
政に鋭き目を持つクリビアの父

アブナーは言った
「そなたの忠誠は玉座のもの
そなたが賞賛されるべきもの
けれどもその忠誠心は
玉座に座る者にまで及ぶのか?」

高官の言葉を熟慮したヴァレンは
邪悪な習慣を目にした
自らの地にいるデイドラ公たち
彼らがそれを続けたら
民の魂は救われぬ

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
城から立ち上がり
角笛を鳴らすと
民を戦へと導いた

ヴァレンの反乱の物語、パート2Saga of Varen’s Rebellion, Part 2

ヴァレンの敗北
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災いは
自らの陣に座った
喪失に思い悩みながら

ヴァレンは民に呼び掛けた
民は応え、蜂起した
皇帝の軍に抗い、
彼の憎むデイドラに抗った

彼の民は素早く建てた
彼の国境を巡る壁を
クヴァッチとコロールを封鎖した
残虐な帝国を入れぬために

ゴールドコーストの戦士たち
屈強な第二軍団が
彼の呼びかけに応じ
帝国のドラゴンとの戦いに旅立った

ヴァレンはクヴァッチの家を委ねた
甥カロラスに、守るようにと
ジャロス・トラプターに求めた
急ぎ民の壁を作るようにと

けれど皇帝には強き力があり
答えとして自らの軍を送り出した
ルビーの玉座に忠実な軍団と
北方の凄まじき戦士たちを
反乱を撃滅するために

二つの軍が峙した
コロスと帝都の間、アッシュ砦で
双方の力は互角だった
一日中戦い続けた
黄昏が深くなるまで

そして皇帝が打撃をもたらす
この世のものならぬ味方をもって
邪悪な魔法を繰るオブリビオンのデイドラ
その主たち、デイドラ公より送られし者

ハーシーンの召使たち、ナミラ、
そして誰よりもメエルーンズ・デイゴンが
ヴァレンの軍の側面に現れ
混乱の中、反乱軍を押し戻した

不意をつかれ、襲撃され、裏切られた
ヴァレンは退却を命じた
その後、皇帝の軍勢が
略奪と勝利の祝宴に立ち止まる間
ヴァレンは癒し、作戦を練り、立て直した

今、ヴァレンは焚火の傍に座る
血にまみれ、打ちひしがれ
敗走し、落胆した彼の部隊は
次の動きを注意深く考えた

その時、現れしはアブナー・サルン
ルビーの玉座に仕えた元老院の長
クリビアの父、政の道に長けた者が
公爵のために知らせを携えて

レヤウィンは解放された
コロールの帝国軍は反旗を翻した
彼らは元公爵のもとに参じるだろう
戦いの場に加わるだろう
戦い続けると約するなら

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災い
焚火の傍らで立ち上がり
剣を身に着け、盾を掲げた
そして再びレオヴィックとの戦に挑む

ヴァレンの反乱の物語、パート3Saga of Varen’s Rebellion, Part 3

ヴァレンの勝利
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの英雄、シロディールの皇帝
ルビーの玉座に座した
自らの運命を憂いながら

アッシュ砦での大敗の後、
他の反乱軍の増援を得て
ヴァレンの軍は北のブルーマを占拠した
そこから反乱は広がった
帝国のあらゆる果てまで

反乱軍はこの上なく果敢に戦った
敵がリーチでもデイドラでも
裏切者でも襲撃者でも
帝都の壁そのものに向けて

彼らはその壁を破った
通りから通りへ
家から家へと戦った
帝都に向けて

そこでヴァレンはレオヴィックを殺めた
ルビーの玉座の足元で
剣をドラゴンの胸に突き立てた
玉座にロングハウスの血をまき散らして

その後ヴァレンがルビーの玉座に就いた
彼の全軍に称賛され
彼らはデイドラ公の力を打ち破り
シロディールの民は歓喜した

だがヴァレン・アクィラリオスは苦しんだ
玉座には座したものの
ドラゴンの血族ではなかったからだ
これまで玉座に座した者のように

「私は偽の王か?」彼は問うた
「この大いなる恵みに見合う者か?」
「私は力で玉座を得た。権利ではなく」
「私は使命にふさわしき者か?」

するとアブナー・サルンが現れた
ルビーの玉座に仕えし元老院の長
クリビアの父、政の道に長けし者
帝国の王にかくのごとき述べた

「そなたがドラゴンボーンではないのは確かだ」
「だが正す術を知っている」
「マニマルコという魔術師を知っている」
「そなたが知るべき秘密を持つ者だ」

「遺物がある。それは王者のアミュレット」
「偉大なる力と知恵に満ちている」
「これが我らの世界を守る、ドラゴンファイアを復元しよう」
「そしてそなたを、この地の正当な支配者とするだろう」

ヴァレン・アクィラリオス
シロディールの王、民に愛されし者
ルビーの玉座を離れた
忠実な友を呼び集め
最後の探求を始めるために

ウィールドへの警告Warning to the Weald


ウェストウィールドを占拠している者たちへ

昔、お前たちの先人はこの地をサリアチェ、すなわちお前たちがアイレイドまたはハートランド・エルフと呼ぶ人々から盗んだ。お前たちは我々の都市の遺跡に無断で居座っている。かつて生い茂っていた森を掘り起こしている。

それをすべて取り返しにきた。

今のうちに所持品を集めて立ち去れ。お前たちの先人がしたことの責任は問わないし、危害を加えたくもない。しかし逆らい、先人が盗んだものを手放さないようなら、古代の罪を続けることになる。その場合、我々は素早く、容赦なく裁きを下すだろう。

回想者

ウェストウィールドのワインWines of West Weald

ワイン通によるウェストウィールドとコロヴィア台地のビンテージガイド オリウス・ヘルタノ 著

シロディールに住むインペリアルが好むものが一つあるとすれば、それはワインだ。そして、最高のワインはウェストウィールドのコロヴィア台地地域で生産される。ブドウ栽培に適したさまざまな環境に恵まれたこの地域は、長く暖かい夏、雨の多い安定した冬、そして肥沃なローム質でやや酸性の土壌で知られている。これにより、この地域ではジャズベイ、スリリー、ピノ、アレグランと、各品種の上質なブドウを豊富に生産している。

ウェストウィールドの高品質なワインは大部分が濃厚な赤だが、この地域、特にゴールドコーストに近い台地の西部では風味豊かな白ワインも生産している。この地域は強い花と果実の香りを持ち、高く評価されているマスカットで有名だ。

ハンマーフェルとの国境に近い台地にあるバトルホーン地域のブドウ園は、シロディールで見られる最上級の濃厚な赤ワインを生産している。樫の樽でワインを熟成させる習慣によりほのかな風味が加わった力強いフルボディのワインは、何世代にもわたって数多くの貴族の食卓で供されてきた。バトルホーン地域に広がる大規模なブドウ園は彼らの素晴らしいブドウの栽培と収穫のために帝国各地の労働者たちを迎え入れてきた。

スキングラード周辺のブドウ園は、厳密にいうと台地の一部ではないが、最上級のウェストウィールドビンテージ生産に貢献している。この地域には幅広いインペリアル市民が定住し、またレッドガード、スカイリム、ブラック・マーシュの移民もここに拠点を置いている。彼らは独自の技術とレシピを加え、調和させている。スキングラードのワインはラベンダー、蓮、コーンベリー、ジンジャーをブドウ園に取り入れ、そこで育つブドウに新たな次元を加えることによる恩恵を受けている。

ほとんどのワイナリーが生産するワインは並外れているとはいえ伝統的な赤と白だが、ヴァレンテ家の商品には発泡赤ワインが含まれている。彼らは二次発酵の工程を利用し、食事の開始時やデザートと共に供されるに最適な、軽く晴れやかなワインを生産している。この極めて人気の高い品は、タムリエルの遠く離れた地の商人たちさえも引き付けている。

最後に、各地のワイン好きにこの地を知らしめたウェストウィールドのワロップについて述べなければなるまい。ワロップはやや出来の良くないワインとごくわずかなビンテージの混合飲料だ。このワロップ(強打)という名の由来となる高い糖分とアルコール分で知られている。他のワイン生産地にもそれぞれ同様の品があるが、それらはウェストウィールドで生産されたかなり出来の悪い品にも及ばない。すばらしいテーブルワインで、しばしばポートワインとして糖分や香料を入れて温めて提供されるか、蒸留してまずまずのブランデーが作られる。

ウェストウィールドへの旅の案内Traveler’s Guide to West Weald

帝国書記、ベラゴン 著

第二紀556年、私はモリカル皇帝の依頼を受け、帝国西方の地を訪ねたいと望む旅人のため、行路を記録することになった。旧コロヴィアとゴールドロード、ウェストウィールドである。これは私にとって願ってもない任務だ。冒険者時代からスキングラードに住んでおり、こうした地域のことはよく知っているからである。

帝国西部の旅は西方で最大の街スキングラードから始まる。「旧コロヴィアの宝石」は活気あふれる商業の中心地であり、高い壁と丈夫な門に守られている。その防備を越えれば、スキングラードは古い路地や清潔な石の庭、貴族の高級別荘の街としての姿を現す。この街の至宝は知恵の神に捧げられた壮大な聖堂、ジュリアノス大礼拝堂である。

礼拝堂地区から街の中心部を通って南西に向かえば、旅の祠地区に素晴らしい宿屋、豊饒の休息所がある。スキングラードの西地区をさらに進むと、タムリエル中から旅商人が品物を売りに来る交易商の宮廷を通り過ぎる。ゴールドゲートに向かう途中、少し立ち止まって、戦士ギルドホール前に立つ素敵なキナレス像に挨拶しよう。スキングラードの人々はその敬虔な態度で知られているのだ。

スキングラードは帝国西部の旅の始まりにすぎない。ここはアンヴィル、ゴールドコーストの海上貿易との生命線である、有名なゴールドロードの中間点である。街道はストリッド川の谷間に沿って西へ向かい、美しいブドウ園や果樹園、森林地帯を通り、オストゥミルなどの魅力的な街も通って続いている。

ゴールドロードをアンヴィルまで進むことも容易だが、それはまた別の旅行記で扱おう。オストゥミルの西に行けば、丘陵へ続く道に出会うだろう。その道を北へ進み、寂しい農場シャルドロックや謎めいたアイレイドの遺跡セヨンドを通り過ぎる。この地域では道を離れないように気をつけよう。ここの森はウェストウィールドの大きな黒熊の住処なのだ。

フェルダガルド砦の大きな城塞よりも高く登れば、オストゥミルからの道は古代からの台地街道に合流する。左に曲がってこの古い道を進み、コロヴィア台地の西部に足を踏み入れよう。ハストレル洞窟の中に入れば、古い第一帝国の監視塔跡がその絵画のような姿を見せてくれる。さらに西へ進めば、街道は古風な街サッチと、その近くにあるアイレイド遺跡ニルヤステアへと行き着く。私はこの場所の危険性を個人的に体験しているので、ここは安全な距離から眺めるだけに留め、元来た道を戻ることを強く勧める。

再び街道を東に進むと、遠からず旧コロヴィアの中心部、コロヴィア台地に行き着く。ここには交易都市レフトウィールがブレナ川の先端部分に座している。ハンマーフェルとシロディール間の交易の大半は、ゴールドコーストを経由して海で行われるが、リハドからレフトウィールを結ぶ古い陸路は今でも重要だ。レフトウィールから、台地街道は丘陵地帯を通って進み、繁栄する街オンタスへ向かう。現在では多くのレッドガードの植民者がこの地域を故郷としており、ハンマーフェルにおける生活の味わいを、ささやかながら帝国西部にもたらしている。

オンタスで南東に方向転換しよう。ここからはかつてレマン皇帝たちの狩場だった帝国保護区の緑豊かな丘と平原を行く下り道だ。ここの土地は昔、皇帝のみが利用を許されていたが、今では誰もが自由に狩ってよいことになっている。この地域の北端に立っているのはウェザーレアの屋敷、コロヴィア式の貴族邸宅を代表する見事な邸宅だ。さらに東へ進むと、北へと続く道に合流する。ここで少し寄り道をすれば印象的な遺跡エレングリンに行ける。これもかつてこの地を支配していた、今では滅びて久しいアイレイドの名残だ。エレングリンから南の自然の中に迷い込まないように注意しよう。ここの丘や小谷には好戦的なゴブリン部族が住んでいる。

もうひと頑張りして道を進めば、北からスキングラードに戻ってくることができる。台地街道を通って街に向かう間は、ゴールドロードと同じように、ブドウ園や農地、田舎の屋敷が集まった広大かつ豊穣な一帯を見ることができるだろう。北の礼拝堂門からスキングラードに入ろう。ウェストウィールド横断の旅は始まりの地、ジュリアノス大礼拝堂の足元で完結する。

よい旅を!

ウェンディル発掘現場からの報告Report From the Wendir Dig

宛先:回想者の番人、ブレゴリン
差出人:探検隊連絡担当、グウィンデソー

ブレゴリン様

ウェンディルでの作業の進みが緩やかなことをご報告します。遺跡の周辺にはミノタウロスが住んでおり、私たちがいることを快く思っていません。地下の通路にも入り込んでおり、私たちが把握している以外にも入口がある可能性を示唆しています。

今のところ最後の王の紋章など、アイレイドの遺物があることを示すものは見つかっていません。発見物の大多数が古いワインの捨てられた瓶、聖水、血などです。無秩序に広がった構造で、閉ざされているか門が封印されていて、進めない場所が複数あります。さらに、探索者へ襲いかかる像もあって難航しています。危険な罠が数百年経った今でも機能しています。特に、そうした罠の多くは石化ガスを放出し、標的は動けなくなって硬化した様子になり、まるで石に変えられたかのようです。

最後に、私どもの「専門家」にも大きな問題が起きています。彼は専門知識があるようですが、周囲の者への態度には我慢ならないものがあるのです。仲間のウッドエルフをくだらない自分の偉業話で退屈させるかと思えば、発掘されたどこかの像、碑文、壊れた陶器の欠片にうっとりするなど、率直に言ってまったく信用できず、貴重な小物などを自分用に盗みかねません。

どうかあの専門家をこの探検隊から外すか、命の枝から取り除くかして、即座に処分いただくようお願いします。彼は私の神経に障ります。自分の上品さと知識でどれほど感心させたかとこれ以上口にするようなら、自分で井戸に投げ込んでやることでしょう。

常に記憶を
グウィンデソー

ウッドエルフの愛称と別名Wood Elf Nicknames and Bynames

発明家テレンジャー 著

少しでもボズマーたちと過ごせば、彼らが決して本名では呼び合わないことに気づくだろう。誰もが呼び名かあだ名を持ち、他の者はそれを記憶している。これには困惑することもある。宿屋の場所を聞いてみたら、以下のような返事が得られるだろう。「長耳の家を過ぎたところだよ!」あるいは「鳥の巣がそっちに向かってる。彼女が案内するよ」

当初、これらの愛称は単なるウッドエルフのユーモアの新たな一例だと思っていた。やはり言葉遊びで笑ったり喜んだりする人々は、自然と友達や隣人のあだ名に興味深い言葉を作り出したりするものだからと。しかし何度かヴァレンウッドに滞在するうち、ボズマーの愛称の付け方には、一見してわかるもの以上の何かがあることに気づいた。

まず、愛称は実用的だ。ほとんどのウッドエルフが名字を使わないため、愛称は自分が言及している人物の識別に役立つ。同じ村に二人のギルダンがいる場合、大声のギルダンとエール好きのギルダン、または幸運なギルダンとスキーヴァー顔のギルダン、あるいはのっぽのギルダンとちびのギルダンを見つけることになるだろう。(しばしば背の高いほうが「ちび」のようにあべこべになっており、彼らを知る人々の尽きることがない楽しみとなっている)

第二に、愛称と別名が存在する。愛称は気軽に与えられ、気軽に使われる。「幸運」や「泥足」はどのウッドエルフの村でも見つけることができる。片や別名は名声の(場合によっては悪名の)印だ。別名は、その呼称を持つ者の偉大なる功績や稀に見る技能などを反映している。つまり、あるボズマーについて別名だけで言及することができ、それによってどのウッドエルフも誰の話をしているかわかるのである。私は、「長い槍」と呼ばれる偉大な戦士や、「鋭い矢」と呼ばれる射手、「歌ぐみ」として知られる天才吟遊詩人、「黄金の樽」と呼ばれる愛される醸造家のことを耳にした。

最後に、愛称のもっとも重要な規則を記そう。自分の愛称を選ぶことはできない。名を授けるにはクランによって尊敬されている者、賢明な指導者、熟練の戦士、才能ある語り部などが必要なのだ。ご注意を。ウッドエルフはふさわしい愛称を避けようとする者や、お世辞の別名を受け入れることで自らを高めようとする者を嘲笑する。それは誰も憧れない種類の名声だ。

ウリエル・ウェザーレアへの記念碑Memorial to Uriel Weatherleah

献身的な息子にして、
栄誉ある戦士の想い出、ここに眠る。

もう家には帰らなくても、
あなたを愛する人々が、
あなたの名で記念碑を建てることを望みました。

あなたという輝きが失われた
悲しみは消えないけれど、
想い出は私たちと生き続けます。

ウルブレン・アフアンデルUlbren af-Ander

オンタスの街の
立派な治安官

愛された父

熱にやられても

大好きなことをしながら死んだ

彼の死は皆が悼むだろう

ウルブレン治安官のメモConstable Ulbren’s Notebook

今日もオンタスらしい一日だ。カーヴァイン牧場とラザリー採石場における生産量の増加は目を見張るものがある。牧場の監督官と採石場の主任が労働者に何を与えてるのか知らないが、最近していることは間違いなく実を結んでいる。

街の治癒師、ネヴァマはまた労働者が消耗性の熱にかかったと報告している。ストレスか?働きすぎか?随時報告するよう頼んでおいた。

* * *
ストーンチップで喧嘩を止めた。ばくち打ちが結果を巡って争っていた。グラクグがおおごとにされるのを嫌がったので、争ってる連中には警告だけしてそれぞれ帰らせた。

労働者がさらに3人、治癒師が疲労熱と呼んでいるものにかかった。牧場の2人と採石場の1人だ。極度の疲労が原因らしい。監督官や採石場の主任と、作業ペースを今より少し落とすなど、話してみたほうがよさそうだ。

* * *
治癒師から謎の病気の影響についておおまかに報告してもらった。それにかかった者は極度に疲労し、弱って動けなくなる。ひどい熱が出て、体が焼ける中で妄想に取り憑かれる。病気が進行すると深い眠りに落ち、そうなると彼女はもう患者を起こせない。それも、前回検査した時までは極めて頑強で健康だった労働者がだ。実に奇妙だ。

* * *
最初に病気になった労働者4人が今日死んだ。2人は牧場で、2人は採石場で働いていた。治癒師はまだ原因を特定できていないが、牧場にも採石場にも影響が出ていない様子なのを懸念している。今のところこれらの場所の労働者以外は、この疲労熱にかかっていない。

* * *
今日は巡回で牧場と採石場を訪れた。疲労熱で労働力が3分の1減ったのに、どちらも忙しく繁盛しているようだった。ゲルウ・ヴァシュリーフのじいさんがあれほど大きな石の箱を持ち上げたり、あれほど速く動くのは初めて見た。それに牧場のダレン・フォースターはスキングラードの市場行きの荷車にずいぶんと素早く積み込んでいて、異様なほどの光景だった。

* * *
疲労熱での死者が増えた。治癒師の説明によれば、熱は最終的にけいれんを起こし、患者は口から泡を吹いて、その後死に至るという。ゲルウとダレンもあの病気にかかったそうだ。どうにかして皆を助けられるといいが。

* * *
治癒師ネヴァマから、疲労熱について何か重要なことがわかったという手紙を受け取った。これから会いにいく。

* * *
到着すると、治癒師は床に倒れ、けいれんを起こして口から泡を吹いていた。彼女は私の腕の中で死んだ。疲労熱による死者で、牧場にも採石場にも直接関係がないのはこれが初めてだ。治癒師の記録が見当たらない。これはただの病気でなく、犯罪の匂いがしてきた。彼女が口封じをされる前に何を教えようとしていたのか、突き止めなくてはならない。

* * *
ストーンチップで牧場の監督官メラーク、採石場の主任ラウリナ、グラクグと話す約束をした。その後はカーヴァイン男爵とレディ・ラザリーに、生産性を向上させた方法と、それが疲労熱と関連する可能性について聞く予定だ。誰かがこの病気を起こし、治癒師を含むこれだけの死者を出したのなら、裁きを受けさせるつもりだ。

ウルラス軍団兵の報告Legionary Ulrath’s Report

軍団の上級指揮官殿、あるいは誰であれ、これを見つけた士官殿

ウルラス軍団兵は、ダートリウス隊長の巡回部隊で生き残った最後の兵士としてこの言葉を記している。我々は数に勝るデイドラの勢力と戦い、善戦したが、最終的に残ったのは俺だけだ。いや、俺と隊長だが、あの女に呪いあれ!

我々はハストレル砦付近を巡回していたが、その時デイドラによる奇襲を受けた。隊長が俺の進言に従って巡回前に斥候を派遣していたら、この罠をもっと早く見つけていたかもしれない。しかしそうはならなかったため、巡回部隊全体が不意を突かれ、行動を取る余裕がなかった。

この時点で我々は隊長に命令を求めたが、彼女は狼狽していた。命令が来なかったので、俺が指揮を受け持ち、部隊の者たちに近くの砦へ向かうよう命令を出した。ダートリウス隊長は混乱から立ち直り、俺の命令を撤回させ、敵に真っ向から突撃せよと部隊に伝えた。兵がそれに従う中、隊長は自分の騎乗動物に乗って脱出を試みた。自分が退却するために、兵たちを利用したのだ。

認めるが、ここで俺は本能的に、怒りに任せて行動した。俺は隊長に駆け寄り、軽く殴りつけて彼女を騎乗動物から叩き落とした。それから俺は部隊の者に加わり、敵と戦いながら砦まで走って退却せよと呼びかけた。

軍団兵たちは一人残らず、全身全霊を込めて戦ったことを証言しておく。俺が見ている中、周囲の兵は一人ずつ倒れていったが、それでも敵は彼らが一筋縄ではいかないことを理解した。我々のうち数人がついに砦へたどり着き、残ったデイドラを追い払うことに成功したが、生き残った軍団兵の誰も無傷ではなかった。遠からず全員が傷に倒れた。俺以外の全員だ。

俺の報告を読み、俺の行動が適切だったか、あるいは間違っていたかはそちらで判断してもらいたい。俺は自分が義務を果たしたことを知っている。俺は自分が部隊を守るために戦ったこと、ダートリウス隊長の恐怖と臆病が巡回部隊を死なせたことを知っている。

士官殿がどのように判断しようと、俺の心は変わらない。今となってはどうでもいいことだ。一兵卒の言葉に隊長の言葉ほどの重みがないことは知っている。だが軍団兵の誓いにかけて、俺がここに記したすべてのことは真実だ。

エヴァノア・ハークリンEvanoa Harklin

最高の採石屋

激務を拒むことがなかった

つるはしはオンタスで最速だった

あんな熱のせいで早すぎる死を迎えた

友人、家族とともに
ストリッド川ほど長い借金の帳簿も
ストーンチップ賭博場に残していく

エドリックの自白Edric’s Confession

私たちの親愛なるレディ・ウェザーレアを殺したのは、この私、忠実なる料理人のエドリックです。彼女は優しきペレナ・ウェザーレアとお茶をともにする計画を立てていました。しかし私はレディのお気に入りのブレンド、ジンジャーとハイビスカスを邪悪な毒で汚染してしまったのです。

私は同じ毒を飲み、この手紙を書いています。偽者が私たちの親愛なる故人、ウリエルをもてあそぶ姿を見るわけにはいかないからです。あのはぐれ者に呪いあれ。

彼女のあらゆる要求に愛を注いできましたが、レディ・ウェザーレアは私のことを卑しい召使としか見てはくださいませんでした。今、私は大きく暗く、冷たいあの世で彼女と再会します。

エンデミルの日記Endemir’s Journal Entry

9日目

ジャングルのこの部分を探検するのに、なんとも奇妙な時期を選んだものだ。面白い植物や野生動物を記録したいと考えていたが、こんなものを見ることになるとは想像もしなかった。あっという間の出来事だった。肌がゾクッとして、首の後ろの毛が逆立ったと思ったら、いきなり空中で巨大な爆発が起こり、上空に大きなポータルが現れた。最初は幻覚でも見ているのかと思った。何が起きているのか調べたいが、ここの空気は今、危険になったと感じている。見つからないように行動しなければ。

10日目

ジャングルは密集していて重苦しく、姿を見られずに観察するには好都合だ。だが運もよかった。私の周囲で奇妙な獣たちが続々と集団で現れているからだ。大半はドレモラだが、見たことのないものもいる。ガラスで出来た恐ろしい怪物だ。奴らは何をしているんだ?なぜここにいる?まだそれはわかっていない。

色々な木や根の間に滑り込んだが、奇妙な黄金の球体が空を飛び上がっていくのを見た――私が見た限り球体は3つで、それぞれが異なる方向に飛んでいる。球体は空を舞う魔力の奔流を背後に残していく。不思議な美しさがあり、恐ろしいほど惹きつけられる。どうしても追いかけてみたい。あの球体の進む先に何か答えが見つかるかもしれない。

11日目

黄金の球体の1つを追ってジャングルの奥深くまで進んだが、そろそろ目的地が近いはずだ。戦いの咆哮が聞こえるが――軍団の者たちだろうか?それに違う言語で何かを詠唱している声も聞こえる。何を言っているのかはわからないが、どうせろくなことではないだろう。騒ぎが収まるまでここに隠れて、それから接近しよう。軍団がここに来ているのなら、何が起きているのか彼らが知っているかもしれない。

戦いはほぼ一日中続いたが、ようやく終わったようだ。かなり待ってから近づいたが、時間をかけすぎたかもしれない。ここにはもう、ジャングルの地面に戦いの傷跡が残されているだけだ。ここに来ていたのが軍団だったのは間違いない。倒れた者たちが安らかに眠れますように。

しかし多少の情報は手に入れた。私をここに導いた黄金の球体は消えてしまった。それに加えて、空のポータルも変化した。うまく説明できないが、あのポータルには何かが加わっている。ポータル周辺の魔力が強化されているかのようだ。

12日目

この一帯には他にも軍団がいるらしい。そして彼らは別の黄金の球体を追ったに違いない。今空を飛びまわっているのは1つだけだが、最初の球体が消えた後と同じように、2つ目の球体が消えた後にも空のポータルは大きくなった。今ポータルは凄まじい大きさで、見ていると圧倒される。圧倒されるし、恐ろしい。

13日目

何かが起きつつある。これ以上ここにいるのはまずいかもしれない。最後の黄金の球体が空から消え、空のポータルは成長し、変化し、生命を得ている。一体何が起きているんだ?生命の危機を感じる。私の周り中で地面が揺れている。何かがポータルから落ちてきた。何か巨大なものがある。

もうここにはいたくない。脱出しなければ。無関係なことに首を突っ込むなんて、私は何を考えていたんだ?もう行かな

ガイアの手紙Gaea’s Letter

ガルトゥス

お前の力になってやる。深夜の会話を聞き逃したようだから、話の内容を少し教えてやろう。我々狩人の給料がいいことは知っているだろう。それはジェーンタンの計画のためだ。我々は一般の住民が彼らの脅威となる獣を始末するのを助けるために来ている。今回のように、まず住民へ自分たちが危険にさらされていることをわからせるのが仕事の場合もある。

お前の役目はジェーンタンの話を聞き、何でもいいからやれる仕事をやり、彼に意見しないこと。それだけだ。お前と金貨を隔てている唯一の問題は、お前がジェーンタンを信用できていないことだ。ジェーンタンはお前が癇癪を起してから、お前を野営地から追い出そうとした。だが俺は一晩じっくり考えてみたほうがいいと彼に言ったんだ。明日になれば、お前も野営地に来たゴブリンどもを殺す仕事ができるかもしれない。

それでもまだこの仕事が正しくないと思うなら、朝が来る前に出て行け。ゴブリンが危険なことに変わりはないし、この仕事が終わった後、お前の死体を見つける羽目になるのは嫌だからな。

ガイア・ラウゾン

カヴォット・アグナンの突破Cavot Agnan’s Breakthrough

うまくいけば、これはカヴォット・アグナンがルーセント・クリスタルを使ってアンデッド軍団を蘇らせるのに成功した、最初の呪文使いであることの公式記録になる。だが先走るのはよそう。

他の漁り屋たちは砂をかき回し、ゾリンのためにアルケインの結び目が偶然見つかることを期待しているが、私はもう少し有益に時間を使いたい。アルケインの結び目を入手するためのこれまでの試みがすべて失敗したのは、数の優位が欠けていたせいだ。ファーグレイブの砂の中に要塞が丸ごと埋まっているのだ。見た者がほとんどおらず、説明できる者はさらに少ないような物体をうまく探せる者などいるはずがない。

私は魔術と、死者の軍団を召喚する能力を利用する。要塞全体を一日で破壊し、作り直せるほどの大軍団だ。ここで死んだ者の骸骨から軍団を築き上げる。唯一の問題は、現在の私にそれだけの数のしもべを支配する力がないということだ。だがこの問題は見事に解決できたと思う。ここはルーセント要塞だ。ルーセントは力を貯蔵するために用いられる。死霊術はマジカを用いるが、これもまた力の一種だ。つまり、この要塞に散りばめられているクリスタルを私の呪文の中継点にしてしまい、これから集める軍団の力の代替として利用するのだ。

これは優れた計画であり、私はとても満足している。唯一の問題は、ルーセントが死霊術の力を備蓄するのに適しているのかどうか確信がない点だ。自分の魔力で何種類かのクリスタルを満たしてみたが、奇妙な反応が返ってきた。クリスタルは私が中に閉じ込めようとする魂を解放し、力を反射して部屋の中にエセリアルの力のポケットを作った。いくつかのルーセントは適切に動作したので、実験は継続し、死霊術の力の計画にない発露に注意していきたい。

ガリオ・ヴァレンテ卿の日記Lord Gallio Valente’s Journal

なぜあの女との結婚に同意した?ああ、彼女はすばらしい持参金を持ってくるし、金があれば助かるのは確かだが、うっとうしいほどに好奇心が強く、この結婚で本当のパートナーになりたがっている!これは私の望むやり方じゃない。

* * *
吸血鬼として、最初の数週間はかなり困難だったが、自らの運命を支配し、新たな状態を最大限に活用してやると決意するまでにそう長くはかからなかった。ボグヴィルのクランから不満を持つ者を集めて、私自身の結社を作るのは簡単だった。彼らのほとんどはあの押しの強い吸血鬼を憎んでいる!それでも、私はあれをボグヴィルに手渡さなければならない。彼はあの古い巻物で見つけたレシピで金鉱を掘り当てた。彼は血に飢えた吸血鬼だが、残念ながら同等といえるほどの錬金術師ではない。一方、私はとても腕のいい錬金術師だ。

* * *
故郷の錬金術研究室に戻った。試験はことのほかうまくいきそうだ。確かに最初の被験者の何人かは狂血鬼になってしまったが、卵を割らずにオムレツを作ることはできない。もちろん、父は私に起きたことを突き止め、悲しみと怒りで半狂乱になった。それについては何かする必要があるだろう。彼は長く生きたから、それを慈悲だと考えよう。

* * *
ついに私の発想が結果になった。吸血鬼は、吸血鬼の血の中で育つキノコから作った霊薬を直接摂取すると恩恵を得るまで生き延びられないが、霊薬が仲介者を通じてろ過されていれば、有害な効果を受けることなく力を享受できる。キノコで強化した土壌で種から育て、錬金術的に下処理したブドウで発酵させたワインの溶液に霊薬を浮かべれば、非吸血鬼が飲めるワインになる。これにより我々はワインで強化された非吸血鬼を糧とすることが可能になり、その結果霊薬の恩恵を得ることができるのだ。ワインが入った器を完全に消費する必要があるという事実は残念だが、容認はできる。そしてブドウが放つ香りは吸血鬼をひどく空腹にする。少なくとも私の新たなクランの2人は私の指示を無視し、最初の収穫の一握りを摂取した。彼らはひどい死に方をした。

* * *
私はこれをヴェスパー・ヴァレンテと呼んでいる!完璧なビンテージだ!近隣の吸血鬼結社の指導者たちを招待して、ワインに入札してもらおう。一財産作るんだ。ブドウ園の経営を継続でき、捨てるまでの間妻を喜ばせ、我が遺産を無傷で保てるだけの財産を。

もちろん、私が手に入れた定命の器と犠牲を通じて。

グリーンパクトに関する恐ろしい真実The Awful Truth About the Green Pact

エンゾ・モラード 著

ウッドエルフが信じる「グリーンパクト」なるものに関して最近明らかになったことほど、私を体の芯まで震わせたものはない。この恐ろしい慣習は、私たちが信じ込まされていた平和的で木を愛する暮らし方ではないのだ。

これは共食いだ。

わかっている。衝撃的だ。だが真実なのだ。ウッドエルフが野菜を栽培せず、食べもしないのは周知されている。では何を食べるのか?肉だ。それも大量に。

そしてその肉はどこから来ているのだろうか?

一部のウッドエルフの擁護者は、狩りだ、家畜を飼っているのだと言う。しかし私は真実を知っている。彼らは死んだ敵の肉で腹を満たすのだ。時には味方を食べることもある。

そもそも、ウッドエルフが狩りの達人になる理由が他にあろうか?鹿と野生の猪を捕まえるのはそれほど難しくない。最も難しい獲物は人間とエルフなのだ。

これは、グリーンパクトにささいな過ちに対しても厳しい罰がある理由でもある。ウッドエルフがいる前で花を踏めば、すぐさま裁きにかけられて夕食にされる。戦場の敵が足りなくなれば、どんな手を使ってでも食料を入手する。

こうした極悪非道な行動はウッドエルフに関するごく初期の神話までさかのぼる。そう、恐ろしい神イフレはエルフ間の共食いを祝福した。彼らの信仰の逸脱は、崇拝しているはずの根より深いのだ。

ウッドエルフの集落で家族が囲む食卓はどんなものなのか、想像するのも恐ろしい。

読者はぜひ、安全のためにも、ウッドエルフの集落があるとされる森には近づかないでほしい。彼らの弦が届かない、馴染みのある土の小道と敷石の道路から外れてはいけない。

彼らはいつも簡単に食べられるものを探しており、孤独な旅人は特においしいのだ。

グリーンパクトに関する真実The Truth About the Green Pact

スキングラードの学者スルーズガブ 著

ボズマー文化を外から見る者にとって、グリーンパクトは長く好奇心をそそるものだった。ウッドエルフを歌と森の神イフレと結ぶ謎めいた契約である。その命令を通じ、ボズマーは自分たちが住む森に適応し、一体化して「緑」と自分たちの間で相互に利益のある関係を築いた。

その影響に害はないが、ウッドエルフが悪い子を食べる物語や、学会で広められる根拠のない共食いの噂など、外部の者たちからは中傷の対象となっている。ウッドエルフのクランと長く時間を共にした経験から、ただのオークである私はグリーンパクトの複雑さを把握したと考えている。これを書いている目的は、そうした怪しい作り話を一掃し、読者にグリーンパクトのより良い理解に必要な事実を提供することだ。

まず緑そのものから始めよう。この言葉はヴァレンウッドおよびその先にある、古代の木や柔らかい苔などを含む、すべての生きる植物を示す。ボズマーは緑が彼らの主神イフレからの贈り物だと信じている。

ウッドエルフの伝説によると、イフレは緑を作って間もなく彼らに息を吹き込んだとされる。グリーンパクトを結ぶことで、ボズマーは緑にいかなる危害も加えないと誓い、その見返りに必要に応じて森を形作ることができた。イフレ神が本当に存在してそのような力をウッドエルフに授けたのかどうかは、ここでの焦点ではない。しかし彼らの社会が生きる木から生じ、ボズマーが森と異様な結び付きを持っているのは事実だ。彼らは木材を使わず、村には一切木材が使われていない。代わりに、森に生きる緑そのものから形作られている。

一般に、ウッドエルフは木工、大工など、木を削ることは一切しない。緑を冒涜する行為なのだ。しかし一部の先進的なボズマーのクランでは、生きている植物から自然に落ちた枝など、枯れ木の使用について考えが変わってきている。こうした素材はすでに植物から落ちたもので、使用しても害を受けない。これはこの文化で現在発展中の考えであり、特に先進的な共同体においても意見が分かれている。今後の研究が必要になるだろう。

ボズマー文化はすべての植物の命に敬意を払っているが、どれほど入念なウッドエルフでも時には花や新しい芽を踏んでしまう。植物の生い茂る森に住んでいれば当然のことだ。外の噂では、そのような罪を犯すとすぐさま残虐な罰を受け、死に至ることもあるとされる。これはまったく事実と異なる。著者が目撃した典型的な反応は、罪を犯した者が軽く恥じらい、長老から足元に気をつけろと優しく叱られるというものだ。それよりも厳しい罰を受けるのは繰り返し罪を犯す者のみで、それはクランへの社会奉仕と、緑と再び心を通わせるために義務づけられる瞑想である。

鋭い読者は、ボズマーが緑に害を加えないと誓っているから、植物を食料にできないと推測したかもしれない。それは正しい。ウッドエルフは明らかに栽培をせず、果実や野菜の種まき、刈り取り、収穫、採集をしない。その代わり、「ミート・マンデイト」という、ほぼ完全に肉、乳製品、ハチミツ、卵、虫といった畜産物からなる食生活をしている。

そのため、ウッドエルフは狩りに長けている。クランが必要とするものを簡単に集め、肉から作るアルコール飲料や骨の粉と発酵させた豚の乳から作る「タルト」など、あらゆるものの巧妙なレシピを考案した。

多くのウッドエルフが実は果実と野菜を食べたことがあると聞くと、読者は驚くかもしれない。生きた果実を木から取ることは決してないが、落ちた果実は食べ物として許容される。枯れ木と似た問題で、落ちた果実はもはや生きた植物の一部ではないため、その消費はグリーンパクトに違反しない。(注目すべきは、枯れ木の使用が落ちた果実を食べることよりも賛否両論あることだ)この行為を問題視するのは、ごく少数の保守的なボズマーのクランだけである。

ここで特に風変わりな噂に触れよう。共食いの慣例だ。

グリーンパクトの初期の歴史で、儀式的な共食いが行われていたのは事実だ。グリーンパクトは肉の無駄を認めず、敵の死体もそれに含まれる。過去には戦争中のクランが肉を無駄にしないように倒した敵を食べた。衝撃的ではあるが、この慣例は実用的で、クランの生き残りを可能にし、失われた命を最大限に活用するものだった。

しかし、この習慣はほぼ完全に廃れている。私は多数のウッドエルフと話したが、この儀式を行うクランの存在は記憶にないと言っていた。しかし、完全に否定はできない。一部の極度に孤立した、もしくは伝統的なクランにはまだその慣例があるかもしれないが、一般的には子供を怖がらせ退屈な講義を活気づけるために取り上げられる過去の命令だ。

総じて、グリーンパクトはすべてのウッドエルフを特有の形でまとめる興味深い規範である。ボズマーの子孫、またはとてつもなく長い時間を彼らと過ごした者でないかぎり、外部からの観察はこの現象の理解に貢献する程度にすぎない。私はこの文書から読者が何か役立つ情報を得て、それを今後この豊かな文化を詳しく調べる足がかりとしてくれることを願う。

グリーンパクトの歌Green Pact Song

私たちの根の奥深く、ずっと昔に遡る
イフレは空高く、ウッドエルフを見下ろして
緑に色づく森の中、ある契約が交わされた
新たな命を託していった

「緑を守れ」とイフレは言った
こうして我らは花と木を育て
「それが真の故郷になる」と
耕作、種まき、刈り取りを捨てた

緑の中では、すべての植物が生きられる
葉や花びら、新たなつぼみが栄え
食べ物を狩るには、矢を放てばいい
休息が欲しければ、イフレが与えてくれる

木を切り倒し、削り、加工するのはもう終わり
緑が育てた丈夫な家に住み
私たちに木から奪う必要はない
グリーンパクトが与えてくれる

森にいる時は、歩く場所に気をつけて
イフレの仲間は森にいるのだから
我々のようなウッドエルフは恐れなくていい
グリーンパクトが必要を満たしてくれる

ゲルウ・ヴァッシュリーフGelw Vashreef

ロウソクを両端から燃やした

昼は牧場で働き
夜は採石場で働いた

働きすぎて早い最期を迎えた

熱で亡くなり
街全体が泣いた

ゴールドロード:ある商人の旅The Gold Road: A Merchant’s Journey

タシタン・ヴァノ 著

私はこの人生で多くのものになってきた。傭兵、宿屋の主人、勝負師。ニベンのさる高貴な女性に雇われてお相手を務めたことすらある。だが夏が3回すぎたところで、気づくと私は大至急帝都を離れなければならない羽目に陥っていて、しかも財布の中身はすっからかんだった。

私は必死の思いで、最初に見つけた西に向かう商人のキャラバンに雇ってもらった。新たな雇用主はティーバ・テイという、灰色で片目のアルゴニアンだった。彼女が疑いを抱いているのは明らかだったが、ただ肩をすくめただけだった。「1日2食付きで2クラウン」と、彼女は条件を述べた。「貨物が全部無傷でアンヴィルに着いたら、ボーナスを20クラウン出して、帰りもあんたを雇う」

もっと高い賃金を望んでいたが、交渉などできる立場ではなかった。私は同意し、その後間を置かずに出発した。

ティーバ・テイのキャラバンは3台の荷馬車、6匹のグアル、6人の御者兼護衛で構成されていた。木製のトランクに詰められたオリーブ油、ウナギの酢漬け、先人のシルクの反物が彼女の貨物だった。私はすぐに、雇い主が護衛に期待するのは騎乗でなく歩くことだと理解した。ルマーレ湖にかかる橋にたどりつく頃、すでに私の足には靴擦れができていた!

私たちはウェイでレッドリングロードを南に曲がり、ゴールドロードまで湖の岸に沿って進んだ。その晩、私たちは帝国の古いマイルゲートで野営し、そこでティーバ・テイから護衛には立って見張りをすることを期待すると告げられた。昼は歩き、夜は眠らずに過ごす日々が予測されることで憂鬱になった私は、すべてを投げ出してしまおうかと考えた。だが、少なくとも食事はまともだった。

ゴールドロードは、それ自体が荷馬車と旅人の川だった。もちろん私の足は痛んだが、天気は良く、景色もかなりすばらしかった。2日目は、道の脇にそびえる崩れかけた遺跡のある場所で小休止した。私はその遺跡のほうをもっとよく見ようとぶらつき始めた。

「いい考えじゃない」ティーバ・テイは私に助言した。「ここならゴールドロードも安全よ。でも周囲には危険が潜んでる。ゴブリン、獣、盗賊。それにもっと奇妙な危険もね」

「もっと奇妙な危険?たとえば?」と、私は尋ねた。

ティーバ・テイは遺跡を指さした。「あれはセイヤタタル。アイレイドの亡霊が憑りついていて、好奇心の強い生者を焼き尽くすことで知られている」

「そこまで物見高くはない」私はそう言うと、街道まで引き返した。

日が経つうちに足も強くなり、私はキャラバンの仲間意識を楽しむようになっていった。ヴラスタルス、スキングラード、オストゥミル、クヴァッチ…西に向かって進む私たちの前にストリッド谷の街や村が次々と姿を現した。ゴールドロードは尽きることのない豊かな穀物の畑、魅惑的な果樹園、うっそうとした帯状の森の間を突っ切っていた。

宿屋〈ゴットショウ〉で、ウェストウィールドから完全にゴールドコーストに入った。私たちは何日かぶりに屋内で眠った。私はこの休息に感謝したが、翌朝起きるとティーバ・テイが不穏な雰囲気を漂わせていた。「何があったんだ?」と、私は尋ねた。

「夕べ宿屋にいた見知らぬ奴らだけど」彼女は答えた。「私の貨物について聞き回ってた。今日は注意して。襲撃を計画してる盗賊かもしれない」

宿屋の西で、ゴールドロードは方向を変えてストリッド谷から離れ、コロヴィアの丘に入る。その地域に住人はほとんどおらず、同じ旅人も滅多にいなかった。私は茂みを通り過ぎるたびに剣の柄を握りしめたが、役に立つことはなかった。数時間後、渓谷の中でティーバ・テイが恐れた盗賊が私たちに襲い掛かった。

「武器を捨てろ。荷馬車を差し出せば命は助けてやる!」上にある岩場から、奴らの頭が下に向かって叫んだ。

「取りにきなよ、乾いた肌の者め!」私がもっと慎重な応答をしようと口を開こうとした瞬間、ティーバ・テイが怒鳴った。そして盗賊たちは、まさに言われたとおりにした。

老いたティーバ・テイはライオンのように戦い、背中に矢を受けて倒れた。新たに見つけた私の仲間のうちの何人かも同様に倒され、残った2台の荷馬車の御者たちは逃げ出した。彼らはまるでドラゴンにでも追われているかのように荷馬車を駆り、クヴァッチに向けて一目散に引き返した。生き残った略奪者たちが彼らを追った。私はどうにか重傷を免れたが、それは能力によるものでなく、偶然だった。私は愛する者であり、戦う者ではないのだ。

騒ぎが収まり、気づくと私は渓谷の中の先導荷馬車の横で忘れ去られていた。そこにいる仲間はグアルと死者だけだった。ティーバ・テイがアンヴィルへの旅を完遂できないのも、私に支払いができないのも明らかだった。だが、上質のシルクが入ったトランクが2つ荷馬車に遺されていて、前に続く道には邪魔者もいなかった。

「さようなら、ティーバ・テイ」私は元雇用主に別れを告げた。それから手綱を取り、シルクを売るためにアンヴィルに向かった。その利益で、私は自分の荷馬車を買った。私の商人としての経歴は、このようにして始まったのだった。

うまく言えないが、「ゴールドロード」と呼ばれるには理由がある!

ゴールドロードの幸運Good Luck on the Gold Road

ゴールドロードおよびウェストウィールド全体を旅する者は、旅が運よく順調に進むように、ある決まった儀式や慣習に従う。

鉱山労働者はある決まった井戸に金貨を投げ込むと、金持ちになれると信じている。たとえ少額の金貨でも豊かな報酬が約束されると信じられている。

荒野に隠された二つの祠。正義を願うか、娯楽を願うか?両方を願おう!

ウッドエルフたちの到来により、新たな慣習の流行が始まった。若い苗に水をやることで、イフレと緑の恩寵を招き寄せるというものだ。

サロラ・アドラロンの研究Research of Salora Adlaron

サラアス・トングにいる同僚たちは、ファーグレイブの数えきれない問題と謎を相手に時間を無駄にしているが、私サロラ・アドラロンは生産的に時間を過ごすことを選んだ。この試みの名のもとに、私はある問題を選んでそれに力を注ぐことにした。私の旅の目標は、ファーグレイブの設備に欠かせないルーセント・クリスタルの起源を発見することだ。断っておくと、ルーセント・クリスタルの機能は重要でない。私が理解したいのは、クリスタルがどのようにして形成され、どこで生まれるのかということだ。

ファーグレイブとその周辺領域にあれだけ多くのルーセント・クリスタルが存在することを考えれば、クリスタルはこの場所に何らかの形で結びついていると考えていいだろう。なにせ、オブリビオンの他の次元でこのクリスタルが見つかることは珍しいのだ。それゆえ、クリスタルはファーグレイブ特有のものに違いない。

最初に試した仮説は、クリスタルがファーグレイブ自体を取り巻く砂から生まれるというものだ。私の予想どおり、この砂を加熱する過程であるガラスが生まれた。予備的な実験が示したところ、このガラスには一定の美的価値が見られるものの、ルーセント・クリスタルのような力を貯蔵する性質はなかった。意外な結果ではない。私はガラスをある工芸家に託し、自分のメモに立ち返った。

第二の仮説は現在試験中だが、それによればルーセント・クリスタルはファーグレイブの外にある、ルーセント要塞という場所から生じる。名称が示唆するとおり、この要塞内にはルーセント・クリスタルがふんだんにある。しかし大量のクリスタルが見つかるからといって、そこが起源だとは限らない。

要塞を旅する過程で巨大なルーセントか、魔術力の中枢のようなものが見つかり、それが現在一般的に見られるルーセントに凝固するのを発見できることを期待している。それならば私の仮説を支持する明白かつ否定しがたい証拠となるだろう。残念ながら、謎多き私の試みが明白かつ否定しがたい結論を導くことは稀である。

はっきりと言えるのは、要塞に通常よりも多くのルーセント・クリスタルが見つかるということだ。大きさも形状もまちまちではあるが、そのほとんどすべてはファーグレイブで見られるルーセントよりも力の貯蔵量が少ない。この要塞内には、ルーセントを引き寄せる何かがあるのではないだろうか。何かはわからないが、それがクリスタルを形成するのではなく、ここに引き寄せた可能性もある。

この新しい仮説が正しければ、クリスタルには未だ知られていない起源があることになる。だとすればある意味で、これまでの私の仮説は間違っていたことになる。だがクリスタルを探す過程で、ルーセント・クリスタルについて同僚たちが知らないことを発見できるかもしれない。ここに留まって、さらにクリスタルの研究を続けよう。

シェザールの足跡The Footsteps of Shezarr

シスター・プリスシア・ストルヴォ 著

ペリナル・ホワイトストレークや翼ある雄牛モリハウスのような半神は、アイレイドとの戦いにおいて人間が最初に受けた聖なる支援ではない。アトモーラに人間の地を獲得するためにショールが進軍した神話は学者たちによく知られている。しかし、その後のタムリエルにおけるショールの偉業はあまり知られていない。最古のインペリアル文書へ乱雑に書きつけられたネードの言い伝えの慎重な調査により、魅惑的な(ほとんど忘れられているにしても)物語の輪郭をなぞる。

神話紀の中期、やがてアイレイドになるエルフは、タムリエルに自分たちの領域を築くためサマーセットを離れた。すでにそこに暮らしていたネードの民よりも、交戦とマジカの使い方においてより進んでいたエルフは、当初容易に新たな隣人を従属させ、また撃退できた。しかし分断されたネードの民は、ゆっくりとアイレイドの進軍に抵抗し始めた。

ネードの伝承では繰り返し、ある「よそ者」がやってきて古代の人を助けたと語られている。このよそ者は教師、助言者として、こんな時以外は互いに争う部族間の同盟を作り上げる者として現れた。彼はショールのような戦士の支配者でなく、自分のために戦うよう人々を鼓舞する人物だった。

ドゥラキの伝説は、「シェザール、ドゥエマーから石細工を盗み、ジンファラに山の麓からニルンクラッツを呼ぶように教えた者」と述べている。ペレナの物語は、星の教団が「白髭のよそ者」からソウルマジックを学んだと述べている。同様に、「雪のような髭のシェザール」がシロドのネードにアイレイドの戦闘魔法の秘密を教え、敵の術を相手に跳ね返す方法を示したと言われている。そして何よりすばらしいのは、セドールの洞窟で発見されたと言われる石板に「シェザリン、生けるショール、人の教師」として髭の人物が描かれていることだ。

総合すると、どうやらこれらの完全に異なる物語が示しているのは、シェザールが数多くの部族へアイレイドの抑圧に抵抗するよう鼓舞したことらしい。だが、後のネードの物語は賢明なよそ者について触れていない。シェザール、つまり戦士ではなく教師を装ったショールがこの当時に果たした役割が何であれ、神話紀中期には終わりを迎えた。しかし彼が古代の人に与えた希望の残り火は、最終的に再び燃え上がり、聖アレッシアの反乱を引き起こすまで、アイレイド帝国によって数百年も奴隷となった彼らを支え続けた。

シャードマーシャル・ヴァルガスの日記Journal of Shardmarshal Vargas

[最初の記録]
妙だ。この場所へ引きつけられるのに、その理由がわからない。ファーグレイブを通り過ぎるたびに足が自然とここへ向く。ここの道や壁を知っているべきな気がする。なぜ?

[2つ目の記録]
古代の巻物でここの名前を知った。このポータルは未踏の道の織機に続いている。その意味がわかればいいのに!

ポータルは奇妙な結界で封印されている。もちろん鏡が鍵だ。ありとあらゆる組み合わせを試したが、ポータルは閉ざされたまま。私の力の及ばない何らかの変化が、この領域に訪れないと開かないのかもしれないと思えてきた。

[3つ目の記録]
最後にここを訪れてから数百年経っているが、まだ不可解だ。私はシャードマーシャルだけど、どうやってその地位に就いたのか覚えていない。シャードボーンの残骸に指示を出しても、自分たちがどこから来てどこに属するのか思い出せない。不安の種に悩まされる。私たちの存在意義は何なのか?さまよって待つ、その目的は?ファーグレイブへ引きつけられるのに、この不思議と馴染みのある領域にいる者は、誰も私たちがどこから来たのか知らない。私たちは何を忘れ去ったのだろうか?

[4つ目の記録]
またトーヴェサードと話した。彼も何かが欠けているという感じがしている。自分たちの一部が奪われたような。彼は私たちが失ったものを突き止めるため、オブリビオンの全領域を調べるつもりでいるけれど、それは無駄だと思う。この織機の前に立つと、秘密を思い出せそうなのがわかる。他のどこでもない、ここで明らかになるはずだ。

[5つ目の記録]
また100年が過ぎたのに、何も変わっていない。長年が経過したことは当然無意味だ。それでも、待つことに疲れてきた。

ジャガの酒宴の歌Jagga Drinking Song

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか

どうしてみんなに人気なの?
家畜小屋から届いたばかりの、豚のミルクの熟した香り
ぐつぐつ煮立てて、猫は鍋から離して
凝乳ができるまで待って、クランの皆でわけあおう

ウッドエルフとジャガは最初から相性抜群
クリーミーで甘い1杯は心にもいい
知ってるかい?ウィスキーもかなわない
宣言しよう、ジャガの熟れた味には!

ワインやホップのビールは忘れよう
グリーンパクトは雫を与えたもう
カビとアレンシアン・ブランデーから作られたエールを
それらと比べても、ジャガはとびきりすばらしい

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか!

ジャドレイサ軍団兵の日記Legionary Jadreitha’s Journal Entry

近頃、ウィールド全体で不吉な魔術が根を張りつつあるという噂が深刻さを増している。人々は何かを感じると言っている。肌がゾクゾクしたり、肝が冷えるような感覚だと。だが人々の話には共通点がある。それは4つの奇妙なモザイクの近くにいると、息苦しいほどの魔力を感じるということだ。モザイクは北に1つ、西に1つ、そして南に2つある。これは調査に値するだろう。

私の部隊は北に派遣された。この方面に向かうのは初めてのことだ。この辺りの地域は果てしなく広く、開けた土地だが、モザイクに近づくにつれ、狭苦しいような感覚が強まった。報告にあったとおりだ。

当初は、何も見つからないのではないかと思っていた。モザイクは確かに異様だし、空気は何か気味の悪いものを含んでいたが、我々は何を探せばいいのかわからなかったのだ。その時、空が開いた。

頭上の空が裂けて開いた。我々が押し込めていた息を吐く暇もなく、糸のようにうねる力が大きな裂け目から飛び出し、大地を割って突き出していたガラスの破片に取りついた。部隊にいた私のある友人が逃げ遅れ、ガラスが彼女の足元から吹き上がった。

突然の出来事のショックから立ち直った我々は、ガラスの粒に取り巻かれた小さな黄金の球体がいくつも、地面のガラス片から荒野に漂ってきていることに気づいた。球体はその背後に落ちたガラスの細い跡を残していった。まるでついてこいと我々を招いているようだった。少し話し合った後、我々は手分けして球体を追うことにした。

私と部隊の3人は草原の中で最も岩の多い部分を通って球体を追った。風の声は我々を追いかけて挑発し、我々は不気味な思いをさせられた。我々はしばらく跡を追って、大きな岩板の裏にまでたどり着いた。そこで見つかったのは、我々の誰もが予想だにしていないものだった。

我々は黄金の力の触手に包まれた巨大なドレモラが、様々な種類のガラスのデイドラに取り巻かれている光景に出会った。近くに寄るにつれ、我々が耳にした声はこのドレモラのものだったことが明らかになった。そしてガラスの跡の原因はこいつであることも――少なくとも、我々が追った跡は。ドレモラが我々の吸う空気にあれだけの力を注いでいるところからして、こいつは裂け目の向こうの領域から力を吸い取っているようだった。ガラスがドレモラの足元で拡散し始め、地面を這い回って触れるものすべてを破壊していった。

その後に起きたことはすべて私の責任だ。私は恐怖に襲われ、盾を落としてしまった。デイドラは盾が地面に落ちる金属音をすぐに聞いた。襲い来るデイドラに応戦したが、不意を突かれた我々に勝ち目はなかった。私は仲間たちが次々に倒れていくのを見て恐怖した。一人だけになった私は逃げて隠れた。自分が恥ずかしい。

こうして今、私は待っている。デイドラか、部隊の他の者に見つかるのを。どちらが先に見つけるかはわからない。スキングラードまで戻り、皆にここで見つかったものを告げるだけの体力が残っていればよかったのだが、今の私は酷く負傷して、衰弱している。私にできるのはここで待ちながら、見たものを書き記すことだけだ。

まだ答えの得られていない疑問が数多くある。あの巨大なドレモラは何かの儀式を行っていたが、何のために?奴は単独で行動していたのか?ガラスの跡は3つあったから、あれと同じ奴が3体どこかにいるのではないかという気がする。

もし私がここから生還できなかったら、そして誰かがこれを見つけたら、どうか我々の努力を無駄にしないでくれ。

ジュリアノスの盾The Shield of Julianos

ハデルス・ドントン神父による説教

スキングラードで周囲の建物よりひときわ高くそびえるのが、知恵と論理の神ジュリアノスに捧げられた大礼拝堂です。しかしスキングラードはそのワインと豊穣、祭典で知られる場所。論理と理性という、厳格にして知的な探究を担う神が、なぜこの地で最も大きく祀られているのでしょうか?

確かに、ジュリアノスは矛盾の神としても知られます。しかしそれは理由の一端にすぎません。

大礼拝堂の場所は元々崇拝の地であり、おそらくは何らかのデイドラ公に捧げられていました。どのデイドラ公だったかは知られていません。現存している図像はどのデイドラ公にも一致しないように見えるからです。しかしアイレイドとデイドラを崇拝する彼らの同盟者たちがこの地から追放されたことで、ジュリアノス崇拝がここで確立されたのです。スキングラードが成長するにつれ、その大聖堂と学校はあらゆる種類の学者や弁論家、哲学者をタムリエル中から招き入れ、彼らは真理を探究するとともに、自らの信じる真理をそこに加えました。

大礼拝堂は神々の崇拝者同士の議論と討論、哲学的対決の場ですが、無信仰者もそこに加わります。ジュリアノスの信仰は多様な観点を迎え入れるもので、すでに確立された教説と対立する者も受け入れます。「八大神の九戒」の中でジュリアノスは「真理を知り、法を観察せよ。疑わしき時は賢き者の知恵を求めよ」と述べています。

大礼拝堂の訪問者は知恵を探し求めて、大小さまざまな問いに没頭します。創造の前には何が存在していたのか?世界はどのように形成されたのか?自由意志は全能の神々と両立するのか?デイドラ公が生まれ持った本性に縛られているのなら、彼らは真の意味で自由なのか?論者たちは遠くから集まり、こうした問いを礼拝堂の中で、またその周囲の酒場で考えます。

礼拝堂はこうした議論を、それが市民的なものである限りすべて歓迎しています。その結果、争いは戦いに発展するよりも、ワインを交わしながら行われることが多いのです。剣ではなく言葉を突き合わせて。しばしば、哲学者は祭典や饗宴を主催し、自らの論点の妥当性や評判を他の者たちに認めさせようとします。その結果、スキングラードは祭典の街となり、その中心に真理の神が鎮座しているのです。矛盾しているようにも思えますが、ジュリアノスは矛盾の神と言われ、至高の真理を探究するために、数多くの真理を吸収できます。

というのも、大切なのは真理が常に対立させられ、常に異議を向けられ、常に試されるべきだということだからです。見かけ上の矛盾が真理を無効化するのであれば、それは完全な真理ではありえません。論理がジュリアノスの盾だとすれば、矛盾はその剣です。圧力を受けることのない壁は、真の目的を果たしていると言えません。試されることのない徳には重みがありません。異議を向けられない考えは独断にすぎず、司祭にも、信奉者にも益をもたらしません。究極の真理こそが、ジュリアノス信仰の中心にあるものなのです。

これまでもこれからも、それが変わることはないでしょう。

シルヴェナールのレイン家House Rayn of Silvenar

帝国書記、ヴァレンウッドのベラゴン 著

アエラダン・カモランはヴァレンウッドの王だが、多くのウッドエルフは彼を縁遠い存在と捉えている。その代わりに彼らが街や地域社会の指導者として頼りにしているのが樹の従士だ。読者の中には驚く人もいるかもしれないが、樹の従士はエルデンルートのカラモン家と同等の高貴な一家の出身であることが多い。シルヴェナールのレイン家はその好例だ。

由緒正しいレイン家がシルヴェナールで実権を手にしたのは第一紀末、皇帝レマンが征服したヴァレンウッドを一つの州としてではなく、独立した各王国を通じての統治を選んだ時のことだった。レイン家の樹の従士たちはシロディールの皇帝に対して(一部は嫌々ながら)忠誠を誓い、見返りにシルヴェナールを自らの領地として自由に統治する権利を得た。この取り決めはアカヴィリの最高顧問により継続された。彼らの統治期間中、シルヴェナールの樹の従士7人のうち5人までがレイン家の出身だった。

第二紀430年に最後の最高顧問が死亡した時、シルヴェナールの統治者がヴァレンウッドにおける再統一されたウッドエルフの王国の王位を狙えることは明らかだった。だが悲しいかな、それは叶わなかった。レイン家の目は内側に向いており、伝統的なウッドエルフの価値観を維持するクランの連合を築こうとしていた。対して、エルデンルートのカモラン家は外部に目を向けていた。貿易で富を得て、ヴァレンウッドを越えた領域との同盟関係を築いたエルデンルートの王たちは、ウッドエルフの盟主としてレマン以前の地位を取り戻した。第二紀489年に起きたブラックサップの反乱の頃、シルヴェナールの樹の従士ウバリオン・レインにとって、あまり寛容でないいとこのゲルシオルではなく、アエラダン王を支持する以外の選択肢はなくなっていた。

もちろんシルヴェナールの樹の従士が全員レイン家だったわけではない。樹の従士の選出には、一般市民による賞賛、前任の樹の従士からの指名、街で影響力を持つ家同士による交渉が影響する。現在のシルヴェナールの指導者、樹の従士タルリネルはレイン家ではない。だがレイン家のナンサリオンという者が、王としてストリッドの北にあるヴァシャバーの新しい集落を統治している。やがて新たなシルヴェナールの樹の従士を選ぶ時がきたら、間違いなくレイン家の者が誰か争いに参加するだろう。

ああ、それから最後に、我が帝国の読者のために記しておこう。シルヴェナールはシルヴェナールの統治者ではない。シルヴェナールとの称号を持つウッドエルフの役割は、まったく別の議論のテーマだ。

ジルラエダルの無名な古代蒸留酒の本Gilraedal’s Book of Obscure and Ancient Spirits

時の嵐

歴史
真実かどうか怪しい歴史的事件から名前をとった時の嵐は、それを飲む者の記憶を消すという。消費量が多いほど失う記憶も多いと言われている。レシピはたてがみのジニンジ・リが支配していたエルスウェアで生まれた。残されている説明によると、よく手入れされた毛皮のようになめらかな味で、それが砂漠の砂のように口の水分を襲うという。

レシピ
薬用人参、3片
混乱したドラゴンの舌、丸ごと
ブランデー、2ジガー
煮込んだサボテンのイラクサ、ひと握り

* * *
賢者の夢

歴史
この珍しい飲み物の名前は、アイレイドの遺跡で見つかった古代の日記によって伝えられた。このはるか昔の文化の専門家は、教養の高い貴族ではなく使用人の日記だと推測している。驚くべきことだが、その内容を調べると筋が通る。素早く走り書きされた貴族からの夕食の注文、正餐用食卓の配置のスケッチ、新しい飲み物の案がすべて書かれているのだ。

最も注目すべきレシピは、筆者が賢者の夢と名付けた飲み物だった。説明には「運命の王のために」とだけ書かれているが、それがどのアイレイドの王か女王なのかは残っていない。残念ながら材料はタムリエルでとうの昔に絶滅しているため、飲み物の再現は不可能だ。おおよそのものが知りたい場合は、代用品を作れる。

日記によると、この飲み物は口に入れるとまず舌を刺激し、うっとりとするような甘さに変わるという。そして仕上げに、その核となる味の中にある苦さが感じられる。

レシピ
ティラム草、1本
新鮮なハークフルーツジュース、搾り汁を半分
リュートベリー、ちょうど3個

ティラム草が溶けてワイン色になるまで熱と圧力を加えて混ぜる

* * *
爆発ポニー

歴史
この飲み物の名前は、飲んでから起きる2段階の現象から来ている。最初はブランデリオン茶のような優しい味がする。それは長続きして安心するが、その後、舌の上は新しい味でいっぱいになる。あまりにも勢いよく訪れるので、多くの人は驚いて飲み物を吐き出す。少なくとも3人が破裂音を聞いたと言っている。飲み物を口に含んだままだと、新しい味は天草っぽさのあるありのままのハチミツの味がする。

爆発ポニーの2つの効果のせいで、酒場の所有者たちは味が変わるまで飲み込まないようにと勧めている。この「爆発」は胃の中でも起き、危険ではないが吐き気を催すことがある。

レシピ
タネツケバナ、千切り
アニス草、半カップ
シルフ・ジン、半カップ
潰したブラッドルートの茎、最低6本

スカーレットのリストScarlets List

ウェストウィールド軍団、第七歩兵隊、第九部隊「スカーレット」

アレン・フーク、軍曹(スキングラード)
ウルマ・グロマグログ、司祭(サッチ)
落ちたナイフ、治癒師(オンタス)
フォンス・アルモ、兵卒
レグニル・ホルスタッド、兵卒
ナク、工兵

ヴァレニア、兵卒(ヴァシャバー)

スカーレットへのメモNote to a Scarlet

お前が何者か知っているぞ、スカーレット。

お前はこの廃坑で富を築こうとしている。私はお前を待つもっと豊かな鉱脈を持っている。

ファイアライト洞窟でそれを探せ。牢獄に牙をもがれていなければ。

スキングラードが冒険者を求む!Skingrad Seeks Adventurers!

ウェストウィールド軍団はこの地域をより良くするため、偉業を成し遂げる腕のいい冒険者を探しています。

あなたとお仲間のために比類ない機会を数多く用意しています。勇ましい使命、傑出した成果への報酬、おそらくはささやかな栄光も。

詳しくは、スキングラードのカスタス軍団兵にお尋ねください。

スキングラードの寡婦の嘆きSkingrad Widow’s Lament

愛しいあなたよ
二度と会えない
エセリウスを 歩き
去ってゆく

遠いあなたに
愛を歌えば
遥かな距離を越え
会いにゆける

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

あなたを夢見る
幸せな日を
目が覚めるたび
傷が疼く、ああ

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

スキングラードの略史An Abbreviated History of Skingrad

グウィリム大学新聞、アントニオス・シヴェロ 著

旧コロヴィアの宝石であるスキングラードは、ウェストウィールド内に絶えず存在する中でも特に古い集落で、居住地としての歴史の証拠はエルフの神話紀集落にまでさかのぼる。複数の岩盤が露出した地域へ無秩序に広がり、橋で繋がったこの街は極めて防御しやすく、その長い歴史のなかで拡張と縮小を続けた。しかしいつの時代も、街は創造的活動、食料、文化の中心地であり続けた。その温暖な気候と肥沃な土地はブドウとトマトに適しており、チーズ作りにおいても大陸全土で有名だった。

スキングラードがもともとアイレイドの集落だったことは間違いないが、今のところそれを証明する文字の記録は見つかっていない。新しい建物のために発掘を行うと、埋められていた基礎や地下通路、長い間光から隠されていたハイエルフ様式のモザイク床が見つかることが多い。比較的質素な住居や彫刻からは人間もいたことがわかる。後年住み着いたネードだったと思われる。

ネードによるアレッシアの反乱、さらにエルフの離散が次第に起きた後、スキングラードは人間の支配者の手に渡った。この時代のスキングラードは数多くある取るに足らない王国の一つで、白金の塔に従属しながらも独立国家であり続けた。アンヴィル、コロール、クヴァッチがコロヴィア領の中核を成し、高まるアレッシア教団の影響力に強く抵抗した。

問題はスキングラードの王族が伝染病で全滅しかけた時に顕在化し、生き残った高位王族でアレッシア司祭のドラルド・ラリッチは、王国を第一帝国へ譲渡した。もう一人生き残った王子、クヴァッチのリスラヴ・ラリッチは、街に進軍してドラルド王を廃位し、殺害した。皇帝ゴリエウスはスキングラードへ軍を送ったが、クヴァッチの義理の父、ジャスティニアス王から助けを得たリスラヴの軍に倒された。絶対的な力を誇る帝国の軍が敗北したことに奮起した他の都市国家も反乱を起こし、コロヴィアと他の帝国西部は時に同盟を組み、時には戦って分裂して、小さな王国となった。

スキングラードは独立国家としての立場を数百年保ったが、やがてタムリエルの人間たちが最初のアカヴィリによる侵略に反撃するため団結する中で、レマン帝国に吸収された。レマンの時代、スキングラードはシロディールとの繋がりが強くなった。レマンの第4代皇帝ブラゾラス・ドールはこの近くの人里離れた屋敷にとどまり、ほとんどの時間を宴やその他の道楽に費やし、臣下の権力者に帝国の統治を任せた。この時代に街は文化の中心として知られるようになり、周囲にできた立派なブドウ園がそれを支えた。ドール皇帝はとりわけ激しい道楽にふけった後、邸宅で亡くなったと言われている。

スキングラードは最後のロングハウス帝を倒そうとするヴァレン・アクィラリオス公爵に味方した。ヴァレンが君主となり、スキングラードはルビーの王座への忠誠を誓って、属国として再び帝国に加わった。

現在、スキングラードは公式に帝国の一部だが、三旗戦役でどの同盟にも味方していない。武装中立を守り、複数の帝国軍団を維持して国境を警備している。この立場でありながら、現在の伯爵カランティウスはリーパーズ・マーチへ軽率な襲撃を行った。しかしこうした行動にも、スキングラードの人々が持つ、洗練されて独立心の強い精神はそがれておらず、ウェストウィールドの宝石としての地位を守ったままだ。

スキングラードを救え!Save Skingrad!

大規模な環境破壊!

私たちは侵略に馴染みがないわけではない。歴史を見れば他者が私たちの土地を征服しようとしたことは多々ある。しかし土地そのものが破壊されて襲われたことはいまだかつてなかった。スキングラードの住民である私たちは、足元で起きる変化をただ黙って見ているべきなのか?そうはいかない!

新たなジャングルに立ち向かえ。ウェストウィールドのため、スキングラードのために立ち上がれ!

(新たな森に反対する人々より)

スペルライトのメモSpellwright’s Note

あまり時間がない。二週間前、私はテルヴァンニのスペルライトだった。私が仕えていた魔道師は研究休暇でハイ・アイルに行っていて、私たちは船に乗ってアルド・イスラの家に帰るところだった。出発して1日後、船に水漏れが起こった。船員が修復を始めた時、フジツボだらけの爪が水漏れの穴から飛び出し、さらに見たところ十数本もの爪が続いて出てきた。ハドリッドが船を襲撃したのだ。私は自分に使えるすべての呪文を海の怪物に向けて放ったが、無駄だった。1匹殺すたびに、もう1匹が海から現れた。蟹の民は全員を殺したが、私は生かされた。奴らは私を檻に放り込んで筏に乗せ、パングリットに引かせた。もう何日も

〈メモの残りの部分はインクが水で破損しすぎていて読めない〉

スペルライトの第二のメモSpellwright’s Second Note

永遠とも思えるほどの間海を漂った後、ハドリッドたちは上陸した。彼らは私に奇妙な魚と…何か別のものを食わせた。サルトリス粥を一杯もらえるならどんなことでもする。ハドリッドたちは私に目隠しをし、両腕を縛り、何か固いもので私の頭を叩いた。目覚めると、私は彼らに囲まれて洞窟の中にいた。このハドリッドたちは外見が異なっていた。より小さく、殻が柔らかい。彼らは私の両手をほどいた。私のマジカは絶好調と言えなかったが、それでも強力だった。炎の矢、雹の嵐、電撃や雪玉までもが洞窟を満たした。私は衰弱していたため、蟹どもには傷一つ付けられなかった。だが奇妙なことに、私が魔術を使った後、彼らは私の動きを真似し始めた。なぜこいつらが私を生かしておいたのか、この時理解した。

私に呪文の詠唱を教わるつもりだったのだ。

スペルライトの第三のメモSpellwright’s Third Note

ハドリッドはタムリエル語を喋れないし、私に理解できるいかなる言語も話さない。彼らの体は音を発することができない。だが指差しと身振りなら理解した。彼らは一度に何日も洞窟を離れ、学習用具を持ち帰ってきた。本やインク、紙、机まで。彼らの持ち帰った物から、自分の現在地がわかった。ウェストウィールドだ。

ワインのラベルを作った召使に感謝しなければ。だが今わかっても手遅れかもしれない。ハドリッドは私に教えることが残っていないのに気づいたようだ。テルヴァンニのスペルライトが使える呪文はすべて教えてしまった。自分が我々すべての破滅を招いてしまったのでないことをアイエムに祈っている。

生き延びるためにはこうするしかなかったのだ。

ダークカンパニー:脱走兵?それとも傭兵?Dark Company: Deserters or Mercenaries?

護民官アレア・イドルスのため、護民官の部隊に所属するカエピオ軍団兵が用意した報告書。
ウェストウィールドの荒野に新しい脅威が現れた。三旗戦役のあらゆる同盟で、脱走兵の数は記録的になっている。多くの者は上官たちの報復を避けるため可能な限り遠くに逃げているが、一部の者たちはダークカンパニーと呼ばれる傭兵部隊を結成している。

こうした傭兵たちが、ウィールド中の放棄された建物を占拠し、盗賊行為を行い、近くの農場、隊商を略奪するためのキャンプを設営している。オンタス採石場で、レディ・ラザリーの傭兵として職を得ている者たちまでいる。

現在はグループの指揮系統を確認しようと調査を進めている。この傭兵部隊は軍に似た構造を持っていて、残念ながら元エボンハート・パクト、アルドメリ・ドミニオン、ダガーフォール・カバナントだけではなく、元軍団兵までも存在している。元々敵対していた人々が、ウェストウィールドの民に対する犯罪のため徒党を組む早さには驚かされる。

人的資源が足りないことは承知しているが、このダークカンパニーは至急攻撃しなければ、強くなりすぎて対処できなくなるだろう。

ダビエンヌのメモDabienne’s Note

錬金術師の同志たち、ならびに大胆不敵なヘアスタイルの賛美者たちへ

私の作品に対するあなたたちの賛辞を心から嬉しく思います。私の大胆な青いヘアスタイルに伴う、複雑な錬金術の工程を理解できるのは真の芸術家だけです。しかしながら私自身、この紺碧の編み髪を見慣れてしまいました。それゆえ、再び閉じこもって研究をする時が来ました。時間さえあれば、エメラルドの(さらには赤紫色の)ヘアスタイルを実現できると考えています!

それまでの間、街にいる他の錬金術師たちをぜひ、ひいきにしてください。彼らの髪の毛は私ほど大胆なものではありませんが、それでも有能な人々です。

夢は大きく、
ダビエンヌ・ジオンテーン

タムのメモTham’s Note

マエルへ

この前の手紙を無視して近づかなかったことを祈る。もし来たなら、知らせておくことがある。

一番のビンテージは、昔よく酔って家に帰れなくなったデシウスじいさんを連れていった場所にある。

早くこっそりとあそこへ行けば、昔の仲間が街中の酒を飲み干される前に持ち出せるかもしれない。

近いうちに碧落の岸へ行きそうだ。長身のパパによろしく伝えておく。

タム

ダレン・フォースターDalenn Forster

尊敬を集めた牧場の働き手

人よりも動物を愛した

突進する雄牛を
一目見るだけで止められた

しかし疲労熱には
太刀打ちできなかった

つけ払い:2E 579Open Tabs: 2E 579

蒔種の月
カルン:2ゴールド
ユートロピア・ドルサス:1ゴールド
ジョバウル:3ゴールド
マックネッサ:5ゴールド

恵雨の月
カルン:7ゴールド
ロウイク・レファニー:2ゴールド
アーノラ・トゥリウス:14ゴールド
ジョバウル:5ゴールド(すぐに支払うよう請求済み)
フェレン・サラス:20ゴールド!

栽培の月
テレルメ:2ゴールド
草と立つ者:3ゴールド
フラネリン:5ゴールド
ジョバウル:11ゴールド(死去)(家族を探して家族からの回収を検討)

ナンサリオン王の命令King Nantharion’s Orders


秘術師タリム

ホープルートの件以来、我々に厄介な敵がいることは明らかだ。ハルメアス・モラの手下たちは自らの自由のために戦っているとしても、こちらとしては我らのデイドラ公を守らねばならない。

そのために、お前は秘密の枷が我々に対して使用されぬよう取り計らうのだ。トーヴェサードはあれが遠い昔、ニルヤステアの宝物庫に封印されたと考えている。何とかして枷を回収し、破壊せよ。

私は別の道を行かねばならん。暗くなった家に眠る力は我らが公を復活させられると私は信じている。必要なのは十分な種を植え、覚醒のために杖を使うことだけだ。

ネレタイのメモNeletai’s Notes

急いでこれを記し、この混乱がもっと落ち着いてから、個人的なメモに書き写さなければ。だから記録のため、またこれを見ている何者かのために言っておくと、これはネレタイの論文よ。取り除いたり、置き間違えたりしないこと。

ゾリンとの最初の遠征の間、彼について特筆すべきことはほとんどなかった。彼の種族からすれば標準的な姿。私より少し背が低いかもしれないけど、今見たものに比べれば注目すべきことは何もない。我々の野営地に彼が襲撃してきた時、前回会った時に比べて彼の体格が倍になっていることに気づいた。原因は何だろう?彼が他にも名のある強力な物品を収集しているのは間違いない。そうした物品に身をさらしたことで、彼は肥大化した自分のエゴにも匹敵するほど背を伸ばしたのかもしれない。
それ以外に理由があるとすれば、アルケインの結び目を手に入れるための要塞遠征に何度も失敗する合間に、ゾリンは結び目の力によって歪められ、結果的に大きくなったのだろうか。私はルーセント・クリスタル自体の影響かと思ったけど、あれはファーグレイブで一般的に使われているし、あそこのデイドラが法外に巨大化したという話は聞いていない。

この事態の展開を書き記し、ケシャルゴの野営地の者が要塞に入った時より大きくなって出てくるかどうか確かめたい。生還して旅を続けられる者がいれば。今でさえ、彼らは怯えて不平を述べている。大混乱よ。負傷者の誰かが力尽きるまで待つ間、無のアルカの様子を見に行こう。ゾリンの戦いが私のプロトタイプを破壊したら、私は彼を探しに行くことになるかもしれない。

ノセラスからの手紙Letter from Nothelas

お父さんへ

ついに実現した!やったよ。何年も練習して驚くべき出来損ないの気持ちを味わったあげく、ようやく花を開かせることができた!

今夜はベラセルが一杯おごってくれるんだ。変な話だけど、彼女は僕の成長に対して僕以上に興奮しているようだった。自分の弟子が季節を5回かけて取り組んで、やっとどうにか緑の声が聞けるようになったことで、自分の教える能力に疑問を感じたのかもしれないね。それでも、僕の手の下で花が成長した時は、飛びあがらんばかりに喜んでくれた。待って。何があったか詳しく話すから。

ベラセルによれば、僕の一番の課題は緑が話している時に集中できないってことだった。今、聞けるようになってみると、なぜそうだったのかよくわかる。緑は僕がこれまでに聞いてきたような話し方をしないんだ。待って、ちょっと先走ってしまった。

今日、授業中にベラセルは変わったことを試した。今日は彼女が自分で緑を操作して僕に緑の言葉を聞かせる代わりに、手で僕の耳を覆ったんだ。どうやったのか知らないけど、彼女は周囲の雑音を小さくするか、緑の声を増幅した。でも僕にはそれが聞こえた。それは想像していた植物よりもずっと老いていて頑固だった。僕に突くべき場所を教え、芽に力を満たす方法を示し、成長の歌を感じさせてくれた。僕が自分のマジカを芽に注ぎ込むと、それも聞こえた。緑の声にずっと若い声が混ざり込んでいた。

未だに信じられないけど、ついに緑の代弁者になる軌道に乗ったんだ!緑の声が聞こえるようになったからには、さらに上級の授業を手早く済ませるとベラセルは考えてる。明日は自分の花をテーブルへ変えることにする。どういう仕組みかわからないけど、始めるのが待ちきれないよ!

家族のみんなによろしく伝えて。それから、母さんにお手製のハチミツケーキを送ってほしいと頼んでおいて。忍耐への感謝の印としてベラセルに渡したいんだ。

愛を込めて
ノセラス

ハルダインの日記Haldain’s Journal

〈これより前のページは日記から破り取られている〉

もうどうしようもない。生きて外には出られないだろう。生き延びてスキングラードの市場の音を聞き、樹液の味がしない空気を吸うこともできない。

これを見つけた人、どうかこの手紙と私の持ち物を、全て妹のレピダ・ラサスに届けてほしい。スキングラードの豊饒の休息所に部屋を持っている。

持ち物は今朝、作業台の横に隠した、まだ近くにあるはずだ。

死体は運ばないでほしい。私に起きたことをレピダが見る必要はない。

フェルダガルド砦の報告Report on Feldagard Keep


番人フィルウェン、

シャードボーンの同盟者たちは、フェルダガルド砦をコロヴィア丘陵におけるスキングラード防衛の要所だと判断した。シャードマーシャル・ヴァルガスはこの古い砦に大規模な襲撃をかけるための兵力を集めている。彼女は我々にこの一帯の事前調査を行い、駐屯部隊の想定勢力を報告するよう求めている。

シャードボーンがフェルダガルドで成果を挙げれば、間違いなく我々の活動の助けになるだろう。信頼できる斥候を数人選び、砦を偵察させよ。報告を待っている。

ブルーエドラルの輸送に関する詳細Blue Aedral Shipment Details

ギルロイ・ヴァッシヌス

次のブルーエドラルの積荷は1週間以内に出発する。オリッサにはもう経路を偵察してあるので、問題なく移動して襲撃の用意ができると伝えてある。

到着したら、私はブルーエドラルが入った木枠箱の傍に立つ。数少ない貴重な瓶だから、くれぐれもていねいに扱うように。ついでに私のことも言っておく。裏切りが疑われない程度には荒っぽく扱ってくれ。

ごろつきのような恰好をした、クリスタルジャックの番人が役に立つと思う。オリッサは誇り高いかもしれないが、戦士じゃない。それから、新しいペットは近づけるな。どんなオブリビオンの穴であのワスプを見つけたのか知らないが、私の近くにも、他の人の近くにもあってほしくない。

きっちりと契約は果たしてほしい。念のために言うが、私が欲しいのはゴールドだ。あの厄介なワスプから手に入るハチミツやら何やらじゃない。私の重さの分のゴールドだ。

ルリ

ペレナへの手紙Letter to Pelena

親愛なるペレナ

私のことは覚えていないかもしれないが、自分の名前や私の傭兵に宛てた自分の手紙の渦巻く字体は覚えているはずだ。あのような繊細な文字で、あのように陰惨な依頼が書かれているのを見るのは実に興味深かった。

今も覚えている。あなたの夫の目に浮かんだ衝撃を。背中の短剣に手を当てながら母親の名を叫ぶ姿を。

記憶は暇なときの楽しみでしかなかった。シロディール中に広がる、息子を探す裕福な年配の婦人の話を耳にするまでは。それでピンときた。

あなたの亡くなった夫と私は驚くほど似ている。もちろん同意してくれるはずだ。話し合うべきことがたくさんあるな、奥様。あの婦人の財産を山分けしたいなら、我々は役割を完璧に演じなければならない。あるいは、あなたが殺人犯であることを明かしてもいいかもしれない。

よく考えてくれ。
セオファン・ピクトル

ボグヴィルの手紙Bogvir’s Letter

ガリオ、

まず、お前は私の吸血鬼たちにウェストウィールドでの新たな機会とかいう偽りの約束をし、彼らを私から奪った。お前はその上で私から盗んだ錬金術のレシピを競りにかけ、他でもない私をそこに誘うのか?傲慢さに限りはないのか?

私はあの霊薬が我ら吸血鬼本来の力を二倍、三倍にも高めることを知ってはいたが、死なずにその効果を得られる方法を考えついたのがお前だということは認める。あくまでお前の言い分だが。

そこで私は考えた。お前の手から数ケースほど引き取ってやっても構わない。だがそれに金を払えと言うつもりなら、お前は私が思っていた以上の愚か者だ。

ワインを2ケース、オークションで私のためにとっておけ。でなければ他の結社をお前に敵対させるだけでは済まない。戦士ギルドとレイヴンウォッチにお前の企みを知らせてやる。

ボグヴィル

ミラームーアがすべて征服する!All Bow to Mirrormoor!

リリク、エヌゼル、マルキル、ウルダザン、リヴェク、アクコス。ミラームーアの誇り、ヴァルキナズのために仕え、死すことは名誉である!今日ウィールドの空に開く3つの裂け目のどれもが、新たな栄光の時代をもたらすだろう!

彼らの計画は見事で、阻止することは不可能だ。彼らは襲撃のクラッツ周辺で自然の中に隠れ、魔術を使ってミラームーアの裂け目を強化し、その力で勇者を呼び出す!

嵐の指揮官、シュラカヘル!

嵐の支配者、ラーヴォク!

リヴァイアサンを操る者、クラザク!

呼び出された勇者がウィールド中に、忘れられた領域への道を開かんことを!

ミルヴィア・テーシルのメモMilvia Terthil’s Note

これを見つけた人へ

もし私が死んでるなら、それは残虐なウッドエルフとデイドラの仲間に殺されたからよ。見掛けたらわかる。敵対的な一団で、奇妙な鎧を着てる。ずっと周辺を偵察し、私たちを観察してるの。昨夜なんて、何人かが古い井戸に下りていくのを見たわ!何か悪いことを企んでるに違いない。

昨日、退去を求めるメモが扉に貼られてた。ミルヴィア・テーシルが自分の土地から逃げるわけないでしょう!でも、正直怖い。

ミルヴィア・テーシル

メリディアの輝きMeridia’s Radiance

彼女の輝きは闇を寄せ付けない。太陽がゴールドロードの木々で反射するように。

人間を悩ませる闇のデイドラ公は、彼女のまばゆい光によって怯み、彼女の前の影となる。

メリディアの守護を求める者は彼女の祠で祈り、暗い時代に光を求めるべきだ。明るいロウソクは闇を照らしてくれる。

メルス・マーシカスの日記Journal of Melus Marsicus

これは私の秘密の日記だ。お前の名前がメルス・マーシカスでないのなら、その詮索の目はよそへやってもらいたい。お前は私が最も奥に秘めている思考に忍び寄っているのだから。

アルケインの結び目の正確性に関する仮説に有力なものは少ない。結び目が何かも、それがいつ現れたのかも、その機能や形状、様式も我々には知られていない。アルケインの結び目という名称自体大した情報にはなっておらず、適切だとは思えない――この結び目が実際に結ばれたものであるという確証さえないのである。結び目に関する無数の仮説の概略を記しても、グラーウッドの民話を概説するのと同程度の事実しか得られないだろう。こうしたものを事実と主張したり、この日記のような神聖な論文上で援用しても意味はない。私は真実と、それを支持する説だけに依拠する。

アルケインの結び目という名称はそもそも何に由来するのか?ファーグレイブのデイドラの中でも、要塞が使用されていた時代の記憶を持っている者はごく少数だというが、彼らはそれ以上の情報を教えることに消極的だ。それでも、知識の欠如が明確に共有された以上は、私としてもこの名称を受け入れ、アルケインの結び目が存在する証拠の一種とみなすしかないだろう。

要塞が廃墟のように荒れ果てているのは、結び目のせいなのかもしれない。要塞のような建物はいくら古いとはいえ、流砂に耐えるよう作られているはずである。私はデイドラの建物が泥や霧、溶岩の中で長い年月を生き延びた無数の事例を目にしている。だが要塞はファーグレイブの砂漠に沈みつつあり、この運命にまったく抵抗する様子を見せない。この要塞の消失の中心に何かがあるとすれば、それがアルケインの結び目なのではないか。

私はアルケインの結び目の発見者となれるだろうか?他の者たちは要塞の奥深くへ苦労して潜り、隠し扉や巧妙に偽装された隙間、その他冒険につきものの仕掛けを探して部屋を調べているが、私は一番いいシャベルを持ってここに来ている。そのとおり、この長く非生産的な休憩で痛む腰を少し回復させたら、私は結び目を探して掘り続ける。よりにもよってここに結び目が埋まっているはずがないなどという、他の者たちの脅しに耳を貸すつもりはない。私は自分の使命に決意をみなぎらせている。結び目を掘り出すまで、何物も私を立ち去らせることはできないだろう。

レオナウド・ニセルの日記Leonaud Niscel’s Journal

[第一の記述]
スキングラードの地図職人が言っていたとおりの場所でエレングリンを見つけた。典型的な後期アイレイド建築だ。少し調べてみると、地下の宝物庫へ通じる扉が見つかった。この場所で忘れられた財宝が手に入るとすれば、ここしかあるまい。朝になったら探索を開始しよう。

[第二の記述]
まったく、エレングリンは危険と言われるだけのことはある!上階は刃の振り子の罠だらけだ。単純な装置で、タイミングに気をつければ簡単に回避できた。

森の獣たちはそれよりも厄介だ。エレングリンの上階は蜂やホーヴァーで埋め尽くされている。自然にできた裂け目や崩落を通って、ここまで降りてきたに違いない。

[第三の記述]
氾濫した上層の広間を越えて、アイレイドのクリスタルに照らされた秘密の部屋まで来ることができた。当然ながら、さらなる罠に出くわした――今回はダークウェルキンドだ。この黒いクリスタルは接近しすぎると力の波動を放出する。ミノタウロスもいたが、これは予想の内だった。このでくの坊は気づかれないようにすり抜けてやった。

[最後の記述]
エレングリンの迷路にたどり着いたが、後退を余儀なくされた。ガス格子には備えができていた――他のアイレイド遺跡で見たことがあるからだ。だがアンデッドのガーディアンもいるとは予想外だった。格子から吹き出す緑の霧に隠れて、古代のスケルトンが現れたのだ。背後に1体いるのに気づかなかった。なんとか逃げおおせたが、奴に一撃もらってしまった。

今は疲労と痛みでこれ以上は無理だ。ここで少し休んでから、地上に戻ろう。

レディ・ウェザーレアの遺言状Will and Testament of Lady Weatherleah

私、ウェザーレアの屋敷のレディ・ルシーラ・ウェザーレアは、正常な精神状態において、私の現存する富と不動産について以下の決定を下します。信頼する受領者は理解するでしょう。

ウェザーレアの壁は光り輝く秘密を隠しています。

四つの忠実な足で安全に守られています。

レディ・ウェザーレアの日記Lady Weatherleah’s Journal

愛する息子へ、

私は多くの年月と大量のゴールドを費やして、あなたを探してきました。私はずっと頑なに、あなたが遠い戦場で最期を迎えたことを受け入れようとしませんでした。あなたを捜索していたことは秘密にしていました。ペレナを誘うことも考えましたが、私がそれとなくほのめかしただけで彼女は怒りました。亡霊を追いかけて金を無駄にしていると。

もしかすると、彼女も私が今では受け入れた真実を恐れていたのかもしれません。あなたが何の意味もなく死に、どこかの名もなき墓で眠っていることを。

エドリックの助けを借りて記念碑を築いたことで、少しは慰められました。あなたはきっと気に入るでしょう。あなたが若い頃ホタルを捕まえていた、静かな場所にあります。

では、また会える日まで、
母より

レディ・ウェザーレアへの手紙Letter to Lady Weatherleah

残念ながら途方に暮れている。あの料理人が敷地のことで私に付きまとい始めたのよ。最初は何とも思わなかったけど、あまりにも頻繁に出くわすようになって、亡き夫の失踪に関する質問も増えてきた。

何を考えてるのか知らないけど、私たちの安全が心配になる。あの料理人にはやめてもらいましょう。代わりを探す手続きを始めるわ。一言伝えて

よろしく
ペレナ

レディ・ウェザーレアからのメモNote from Lady Weatherleah

この手紙を読んでいるなら、ベトゥがあなたを信頼して私たちの隠し財産を託したということですね。

私はいつの日か、この財宝を息子のウリエルに渡したいと思っていました。ですが、先日、娘のようにかわいがっていた女性が私を裏切っていたことを知りました。ですので、明らかに彼女が狙っている財産を隠す必要が出たのです。

まだすべての証拠は揃えていませんが、彼女の罪を明るみに出すために力を貸してくれる友を知っています。私は彼女の破滅を見るほど長生きできない場合に備えて、この文書で最後の望みを明確にしておきたかったのです。

私の愛犬ベトゥ、そして私が悲しみに引きこもっていた時、愛犬ともども面倒を見てくれた従業員に残っている財産と地所を渡してください。彼らは私に残された家族であり、彼らの記憶を通じて愛しいウリエルは生き続けるのです。

エドリックとオソへ。私の悲しみを少し和らげてくれたことに感謝します。この富が息子からもらった最高の贈り物、忠実なベトゥの世話に役立つことを願います。

レロナス隊長への手紙Letter to Captain Leronus

レロナス隊長

隊長の疑いが当たらなければよかったのですが。大量の血だらけの鎧が森に埋めてありました。軍団兵は脱走ではなく、殺されているのです。

皆、襲撃中は地下墓地へ逃げるよう言われています。隊長が確認するまで安全でしょう。唯一の鍵は私が持っているので、準備ができたら知らせてください。

どうかご無事で。

管理人ガイウス

ロトメスについてOn Rotmeth

オリウス・ヘルタノによる、上等なビンテージ愛好家への忠告

質の良いスキングラードのビンテージをヴァレンウッドに輸出する数々の試みは、徹底的な失敗に終わった。冒涜的なグリーンパクトを奉ずるウッドエルフたちはブドウの木の生産物に触れようとせず、ワインを食習慣に取り入れようとする試みに対してしばしば暴力的に反応する。その代わりとして、ウッドエルフは死んだ肉から彼ら特有の不快きわまる飲料を醸造している。そうした忌まわしき混合物の中で、最も気持ち悪いものはロトメスという名で知られている。

ロトメスは強烈な、おぞましい臭いを放つ飲料で、主に発酵させた肉から作られる。ティンバーマンモスの死骸と内臓の肉が好まれるが、十分な大きさの動物の臓物や死骸ならば何でもよい。死肉は泉の水に放り込まれ、サンダーバグの甲殻がその液体の中に加えられる。ヴァレンウッド出身者の間では、サンダーバグの口の雷腺がこの混合物の最終的な味わいを深めるか、妨げるかについて一定の論争があるらしい。

そこから生じる刺激的な臭いの混合物は浅く広い、ブドウ踏み用の桶に似た水槽に保管され、森の中の日が当たる場所に放置される。そこから数週間、混合物は注意深く攪拌され、腐敗しつつある肉が砕かれることで表面に分厚い、弾力のあるゼラチンが形成される。この脂ぎった泡はすくい取られ、革のなめしや殺虫剤に利用される。残された液体は絹の袋で濾される。まだ残っている滓は乾燥させて粉末にし、こうして生まれる骨粉はジャガに漬けた「泥団子」など、ウッドエルフの珍味の材料となる。

ロトメスはたった数週間で強烈な酒になり、(かろうじて)飲めるようになるが、「上等な」ロトメスは陶の壺や不透明ガラスの細口瓶に注がれ、何年も寝かせてから最後の濾過を行ったものである。この年代物のロトメスは結婚式などの祝いの席で供される。この完成品の味は「まずい」の一言で済ませられるものではない。その芳香は巨大な肥やしの山であり、味は主に水虫の風味である。方解石の風味と、水垢で汚れた墓を思わせるかすかな香り、そして後味は干からびたマンモスの皮の味だ。

この酒を「甘くする」試みが、主にムーンシュガーを加えることによってなされてきた。これはむしろこの混合物をより不快にするだけである。どれだけの甘味料を加えてもこれの味を改良することはできない。まともな飲み物を好む者に、ロトメスはお勧めできない。

もちろん、ウッドエルフたちはこれが最高の飲み物だと思っているのである。

円環の書、金耀の格言The Book of Circles, Fredas Maxims

フランダー・フンディング 著

忠実な者たちよ、金耀には次の師範の格言について考えよう

敵が安穏としている時、挫折を味わわせよ。

敵が満腹な時、空腹を思い出させよ。

敵がベッドを求めている時、目を覚まさせよ。

敵が故郷を想っている時、戦場へ留めさせよ。

敵が戦場へ赴かんとしている時、家へ留めさせよ。

敵が汝に備える時、誘いに乗ってはならぬ。

敵が汝に備えぬものは、黄金の食卓の上に敷かれた饗宴である。

回想者への対処Dealing with the Recollection

ナルシス・ドレン 著

ウェンディル遺跡の研究は極めて有意義なものになり、最後の王の紋章はあそこで見つかると確信している。究極の発見ができるチャンスだ!研究にとって朗報!本が売れそうだ!

しかし、問題は十分な支援を見つけるのが難しいことだ。鈍き刀剣のボーフリーは通常、こういう鈍器が必要な場面で最適な存在なのだが、家族の事情で休んでいる。老いた同僚は少し…〈「自分勝手」や「臆病」だと思われる言葉がいくつか消されている〉この新しい機会をつかむことに慎重だ。エルフベッタはいつもどおり忠実だが、研究能力には長けている一方で、危険な状況を任せることはためらわれる(それに私よりも走るのが速い)。どこかの〈「馬鹿」「愚か者」という言葉が消されている〉有能な志願者が支援に現れるのを願って、危険な遺跡に長居するわけにもいかない。

そのため、ウッドエルフの回想者という民兵に助けを求めた。この新しい組織は最近ウェストウィールドに現れた。南部の境界沿いに突然出現したドーンウッドと似たようなものだ。ある中間管理職と会って(誰に権限があるのか明かすのをとても嫌がっていたようだが、知らないのかもしれない)、エールと軽食を一緒にいただいた。私のアイレイドの知識(エルフベッタの熱心な研究がここでは役立った)とウェンディルでの探検計画を聞いて彼女は喜び、発掘、戦闘、運搬といった作業を手伝うため、信頼できる回想者のメンバーを数名連れてくると申し出てくれた。

さて、賢い決断を下したかどうかは自信がない。すべてが順調に進んでおり、最後の王の紋章は週末までに入手できそうだ。ただし、あのウッドエルフたちは宝を渡したがらないのではないかと感じ始めている。

渇いた死者The Thirsty Dead

死霊術師マリリア・レラリス 著

凡庸な愚か者は死霊術が骸骨を動かし、骨をくっつける技術だと言っている。この古く悲劇的な技に対する連中の想像力と敬意の欠如は最初から明らかだ。真の死霊術の儀式には、埃っぽい骨や掘り返された墓よりも遥かに多くのものが要求される。最も有効な死霊術の召喚は新鮮なものである。すなわちまだ動いている心臓が召喚者の目の前で止まり、その内臓と生命力を地面に吸わせるのである。

長期間埋められていた死者たちに訴えかけるのは、このように貴重な流血である。死霊術の達人はこれを忘れてはならない。墓場は時として、骨の年齢にかかわらず目覚めさせなければならないのである。そうした場合、死者に対する供物が必要となる。彼らの骨がもはや有していない生命エネルギーを味わわせるのだ。

というのも、骸骨には使い道がある。より高度な傀儡ならばマジカを伝達し、主の代わりに魔術的な作業を行うこともできる。しかし肉のうちに宿り、呼吸の中で生まれ、血の中に浸透する中心的な力というものがあり、すべての骸骨はそれを渇望している。骨はもはや自分が持っていないものを求めるのである。

数体以上の骸骨を蘇らせる時、あるいは最も初歩的な傀儡以上のものを作る時、闇の技の信奉者は死して久しい骨のために、生者の世界に対する食欲を刺激してやるべきである。血の味と生命力の放出は、通常ならば休眠状態にある霊魂にとって抗いがたい魅力がある。それは喉の渇きで死にかけている人に水を与えるようなもので、死者が生命の味を思い出したら、もう眠りに戻ることはできなくなる。

供物の入手手段はまったく別の問題であり、実践者たちの間で個人的な選択に応じて分かれる部分と言える。生命を強制的に奪い取ることが死霊術の一部であると考える者もいる。死者を再び蘇らせるために命を盗むことには、一定の詩的な美がある。その一方、実践的な理由から、また流血の時と場所を正確に選べることから自発的な犠牲を好む者もいる。他にも、自分自身の血を死者に捧げるべきだと信じる者もいるが、これは無駄な骨折りである。どれほど体格がよく丈夫な死霊術師でも、数滴以上の血を捧げることはできないし、死者に自分自身の血の味を教えるのはお勧めできない。なにせ死者は渇いているのだ。手に入るものなら、何でも奪い取ろうとするだろう。

恐怖の命令The Terror’s Orders

家族を見逃す条件で、グリヴィアは他の街の者たちに救出するふりをした。

出歩かせ、連れてきた者で自由に腹を満たせばいい。

最後の生存者が集まったのを確認したら、奴を縛って馬屋へ連れていけ。家族をどこへ隠したのか吐かせろ。

何も言わないようなら呪いを与えろ。その後で家族の血をいただくのと、奴が自分で食うのを選ばせればいい。どちらにしろ、我が軍の兵となる。

ウィールドの恐怖
バランドルス

鏡のポータル:収集団の伝説The Mirror Portal: A Gleaner Legend

星を歩む者 著

オブリビオンの天空の籠、ファーグレイブには、存在しない場所への扉を見つけたヴィニーヒルという収集団員についての物語がある。

はるか昔、ヴィニーヒルは次元を放浪していた。奇妙な領域については経験豊富な旅人である彼女は、定命の者が見たことのない場所を訪れ、数多くの「最初の跳躍」を記録した。ヴィニーヒルは最初の跳躍をすべて報告したものの、二度目は常に秘密にした。誰も想像すらしなかったことを知るのは、彼女にとって何よりの喜びだった。

ある日、彼女は意図せず訪れたデイドラ公の打ち捨てられた宮殿から戻ってきた。彼女が出現したのは快適な〈運び手の休息所〉の近くにあるポータルの広場ではなく、ファーグレイブを囲む砂漠の中だった。〈運び手の休息所〉はとても遠く、地平線の上の単なるこぶにしか見えなかった。この収集団員は観念し、長い道のりを歩いて帰ることにした。

どれだけ歩いたか、ヴィニーヒルにはわからなかった。だが、そうこうするうちに彼女は砂丘の頂上にあるポータルにたどり着いた。それは枠も縁もない、鏡の破片のような裂け目だった。ヴィニーヒルはこのようなものを見たことがなかったため、足を踏み入れる前に長い時間をかけて調べた。だが早かれ遅かれ、収集団員は扉の向こうにあるものを突き止めなければならない。それが収集団のやり方なのだ。故に、ヴィニーヒルは中に入った。

最初、彼女はどこにも行っていないと思った。反対側の景色は同じに見えた。だが、砂丘の斜面を降りると、土地が変化し始めた。足の下の砂がきらめく銀の色合いを帯び、彼女の周囲に打ち捨てられた建物がぼんやりと形作られた。

先に進むほど、しっかりと見えるようになっていき、気づくと彼女は水晶のような建物と色とりどりの中庭がある見捨てられた街をさまよっていた。彼女の周囲では、今もファーグレイブの砂漠が地平線まで広がっていた。どうやら、この見えざる街は、天空の籠と同じ次元に存在するらしい。偶然見つけた裂け目の背後に隔離された鏡像なのだ。

ヴィニーヒルはこの隠された領域を探検することに決めた。だが、廃墟の中心部に接近すると、奇妙な生き物に遭遇した。彼女の上に3本の先の鋭い足でそびえたつ、プリズムのような存在だった。それはすぐ彼女に気づき、突進した。立ち去るべき時だと判断したヴィニーヒルは逃げ出した。鏡のポータルまで走って戻り、飛び込むと――ぼんやりとした残響は消滅した。

ようやくファーグレイブの壁にたどり着くと、ヴィニーヒルは砂漠で見つけたものについての答えを探し求めた。そのような場所のことは誰も知らないどころか、何なのか推測できる人すらいなかった。それだけでも最悪だったが、それから彼女は何かを忘れているような感覚に苦しめられるようになった。ファーグレイブに留まった彼女は、何かがひどく間違っていると日に日に確信するようになり、やがては漠然とした不安により、半ばおかしくなってしまった。

驚くべき冒険から数ヶ月後、ヴィニーヒルは姿を消した。最後に目撃されたのは、ファーグレイブの荒野に向かって歩いて行く姿だった。その後彼女の消息を耳にした者はいない。鏡のポータルの正確な場所と、彼女がその先で見つけたものは今日に至るまで謎のままである。そして、未来の収集団員が挑むための課題としても残されている。彼らにその勇気があるのなら。

緊急回収命令Orders for Immediate Retrieval

番人ヴィルゴスの命令

最初のワイルドバーンの儀式が行われた中心地として、緑の代弁者から新しいワイルドバーンの種はオストゥミルの周囲で芽を出すだろうと言われている。近くにあるアイレイド遺跡でワイルドバーンの成長した種を見つけること。種はできるだけ早く発見し、回収しなくてはならない。戦いの次の段階では、何としてでもそうした種を所有している必要がある。

オストゥミルの地下へ広がる遺跡に入れ。ドーンウッドが現れ始めた場所の根元には大きな種があるはずだ。見ればわかる。その種を回収して持ってくるように。

〈下記のメッセージは別の筆跡で殴り書きされている〉

ベラゴンと仲間へ

見ての通り、急ぐ必要がある。遺跡で会いましょう。いいものを見せるわ。

熊の面倒を見ることTaking Care of Your Bear

インペリアルの動物調教師、パンテア・マリア 著

おめでとう!あなたは子熊の飼い主となりました。茶熊、黒熊、雪熊、スヴォンガルデ、サンバック、どんな熊であれ、あなたの新しいペットは何年もの間、喜びをもたらす忠実な友となるでしょう。新しい友を育てて訓練するために、いくつかの役立つヒントを教えましょう!

餌やり:熊は雑食性で、植物も肉も食べられます。冬眠から覚めた後、野生の熊は木の実や冬に殺したヘラジカや鹿、その他の哺乳動物を食べて生活します。魚も好きで、それには乾燥させた魚も含まれます。いずれにせよ、規則的に食べ物を与えることが強く推奨されます。熊にはそれぞれの好みがありますから、色々な食事を試してみて、あなたの熊が気に入るものを探すといいでしょう。

排泄:熊は森の中で排泄します。外で生活するか、十分な数の人を雇って処理させるか、適切な処置を取れるようにしておきましょう。熊に排泄の躾をすることは可能です。しかしこれはよく言っても不確実な方法です。我慢強くやりましょう。

活動:熊は環境と交わることを好むので、田舎の環境で自由に歩き回らせている飼い主もいます。より都会的な地域でペットとして飼われている熊には、運動するのに十分な空間と、可能であれば熊の欲求を世話するための番人を用意するのがよいでしょう。熊は人間よりも早く走れるので、ケンカ遊びをする時はそのことを考慮しましょう。

冬眠:人に飼われてたっぷりと食事を与えられている熊は冬眠しません。しかしその結果、通常なら冬眠中に減っていくはずの体重が増えすぎてしまう可能性があります。熊の食事は計画的に与えましょう。

躾:熊は本能的に好奇心が強く知りたがりで、しばしば物を壊します。特に食べ物が関係する場合はその傾向が強くなります。熊の訓練は早い時期から始め、ルールを破った時はちゃんとそのことを理解させましょう。熊には厳格に向き合うべきですが、本質的には野生動物であり、家庭の環境にはうまく適応できないかもしれないということも理解しておきましょう。

年を取った熊:子熊は愛らしくて可愛いですが、成長するにつれ扱いが難しくなってきます。騎乗動物として訓練を受け、飼い主に長年奉仕する(飼い熊は最大50年ほど生きます)熊もいれば、訓練不可能なことが判明し、野生に還さざるを得ない熊もいます。

軍団兵ジュカニスの日記Journal of Legionary Jucanis

ヴァレンの監視所。俺が帝国軍に入ったのは冒険と刺激を得るためだったのに、こんなところに配置されるとは。これほど刺激から遠く離れた場所があるか!俺がいる崩れかけた古い要塞は、五年くらい前にここを破壊したリーチの民との戦いで知られているだけの場所だ。多分、誰もこの監視所が重要だとは思わなかったんだろう。ほとんど修理がされていない。俺たちはただ、狼煙を点火する必要があった時に備えていつでも用意しておけと言われているだけだ。こんなところを誰が攻撃するんだろう。本当の戦いはすべてシロディールで起きているのに。

だが俺は、ここで何もない場所を守っている。冒険なんて夢のまた夢だ。

* * *
壁沿いに積み上がっていた瓦礫の中から、面白い小物を見つけた。どうやらリーチの民の呪物か何からしい。どこか不気味な美しさがある。最初はビーズだと思ったが、何かの骨のようだ。動物の骨だといいが。だがこれはリーチのものだ。俺もリーチの話は色々と聞いている。とにかく、妹に送ってみようか。むしろ、妹の友達のイヴェッタに送ろうか。

* * *
ゴールドロード沿いの、ウィールド中に点在している古い遺跡の近くで襲撃があったという報告を受けた。隊長は数ヶ月前に一夜にして生えてきた森と関係があると考えているが、そんなことが可能なのか?そんなに早く森を生やすなんて不可能だ。何かの奇跡に違いない。

俺たちは大きな部隊じゃない。軍団兵が十数人と、士官が数人程度だ。俺たちの主な仕事はウィールド北西の国境を見張り、西方からの人の移動を監視することだ。問題を発見した場合は、隊長からはっきりと命令を受けている。狼煙を点火して、援軍の到着を待つ。

だが軍団の現状を考えると、かなり長く待つことになるかもしれない。

* * *
襲撃だ!しかも相手はウッドエルフだ!どこから来て、そもそもどうやって監視所の中に入ったんだ?この数では勝ち目がない!こうなったら――

警告の掲示!Warning Bulletin!

ウェストウィールド軍団の命令により
オロ湖との周辺へ
無許可の者による立入を禁じる。

一帯では危険な野生動物が目撃されている。
安全のため、今すぐ引き返すこと。

注意を怠らず、敵対的な植物および動物を
目撃した場合はただちに
最寄りの軍団の拠点まで報告すること。

警告の手紙Letter of Warning

レディ・ウェザーレア、署名のない手紙を信じることがどれだけ困難かはわかっています。ですが、私はあなたの命を案ずるように自分の命も心配なのです。

信頼を得るため、これをお伝えします。砂糖漬けのバラの花びらと淹れた薬用人参とコムベリーのお茶。あなたのお好きなお茶を知るのは、心からあなたを気にかけている者だけのはずです。

私が危険を冒してこの手紙を書いているのは、裏切者があなたの背後で陰謀を企てているからです。こんなことを言うのはつらいのですが、あなたが気にかけていた女性が、ご子息の殺害に関わっています。

できるだけ早くお会いしなくてはなりません。もうあまり時間はなさそうです。

五人の忠実な家臣に関するメモNotes on the Five Loyal Retainers

ナルシス・ドレン 著

アイレイド帝国はアレッシアの奴隷の反乱を受けて崩壊し、妖術王たちは力をつけたネードの反乱軍に滅ぼされた。しかし古代アイレイドの支配者がすべてその地位を失ったわけではなく、一部の都市国家は自己防衛のため、もしくはネードの信念に共感して元奴隷と手を組んだ。

ラロリアラン・ダイナー王の統治下にあったネナラータもそうした国家だった。その結果、彼の王国は白金の塔の崩壊を切り抜け、新たなアレッシアの統治下にある属国であり続けた。次第にそうした属国はアレッシア帝国に吸収された。最終的に皇帝アミエル〈余白のメモ:「それともアミ・エル?」〉は生き残ったアイレイド人を追放しろという最終通告を突きつけ、彼らの国々を占領した。ダイナー王はアレッシアの軍が到着する前に逃亡し、その混乱の中で地位の象徴である王冠、セプター、紋章は失われた。〈余白のメモ:この年についてエルフベッタに要確認。一次資料では不明確〉

ダイナーには忠実な家臣が五人いた。彼は紋章を家臣に託した。それは最後の王の紋章として知られることになった。忠実な家臣たちとは:

– ロル・エメロ、王に仕えた高貴な騎士。
– パルハエリア、またの名を恐ろしき拳。
– 陽気なバレペリン、ユーモアと胴回りが豊かな有名な冒険家。
– ヨンドヴァルラ、またの名を予言者。

最初の4人は全員アイレイド。最後の家臣の名は明らかになっていない〈余白のメモ:名のなき者?〉。明らかにネードらしいが、その出自は、名前さえも記録が残されていない。ダイナーはこの五人の忠実な家臣に紋章を託し、彼らは現在ウェンディルの遺跡となっていると思われる安全な場所へ退いた。その遺跡には十人の先人の一人もいると噂されていた。帝国の崩壊時代に作られた古代の像だとされるが、まだこれは確認できていない。だからここが選ばれたのかもしれない。

私(というかエルフベッタ)が調べた伝説で、名のなき者は最後に到着し、そのネードの忠臣がウェンディルの下にある地下室への扉を封印したとされているが、物理的になのか魔法でなのかは不明だ。伝説では五人の忠実な家臣が紋章を現在まで守っているとされているので、名のなき者は魔法の扱いに優れていた可能性がある

〈ページの下にある最後のメモ:助手をもっと連れてこい!〉

五人の忠実な家臣の碑文Epitaph for the Five Loyal Retainers

ダイナー王の五人の忠実な家臣は、紋章の道を歩んだ後も変わらず警戒を続ける

ロル・エメロは西の端で始めた

パルハエリアは後に続き、騎乗して4晩東へ向かった

バレペリンはこれに続き、3日間北へ移動した

ヨンドヴァルラは4番手で、2晩西へ旅した

名のなき者は最後に、1歩北へ進んでから保持の霧を放った

護民官アレア・イドルス様へTo Tribune Alea Idolus

護民官アレア・イドルス様

社交辞令を省略することをお許しください。ラストウォールがとても危険な状態で、時間を無駄にできません。

あなたがここに配置した軍団兵が、職員の大半とともに姿を消しました。軍団の部隊だったものが、謎めいたことにレロナス隊長を含む10人未満の兵士に減ったのです。何が起きたのか誰も知りません。

残った職員はパニックに陥りそうです。何か見知らぬ勢力に狙われているようです。レロナス隊長が計画を立て、隠れ――

再び共に故郷へ歩く時までUntil We Wander Home Again

伝統的なウッドエルフの民謡

曲がりくねる森の小道を何度も歩き
立ち止まりも考えもせず道を追ってきた
しかし休みなく旅をしながら
探していたのはあなたの道だけだった

以前は並んでぶらぶら歩き
あなたの手は私の手にぴったりと合った
しかしこの馴染みある道はもう様子が違い
唯一愛する人の顔を思い出せない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

以前はこの退屈な道をよく知り
道しるべとなる木や岩をどれも知っていた
しかし時は過ぎ、いろいろと変化し
記憶は薄れて次第に朽ちる

あなたへの思いが森の中で私を導く
迫る夜明けのはかない亡霊のよう。
しかし私たちの大切な場所まで行くと
記憶が戻ってあなたはいない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

再び共に故郷へ歩く時まで

最後のアイレイド王Last of the Ayleid Kings

ブラゾラス・ドール皇帝の宮廷書記、ソノリア・ヴァティア 著

アイレイド帝国の崩壊とアレッシアの隆盛と共に、デイドラを崇拝するアイレイドの統治者が全員取り除かれたわけではなかった。かつて人間の奴隷に同情的だった一部のアイレイドの指導者たちは、アレッシアと彼女の反乱軍に忠誠を誓い、そうしなかった者たちは白金の塔の陥落と共に武器を捨てた。

こうして生き延びた諸王国は時を経るにつれて次第に没落していき、人間の統治者(およびエドラ崇拝)が拡大した。およそ100年の間は双方の文化が新帝国の内部で共存していたが、アレッシア教団の勢力拡大に伴い、デイドラ崇拝者の迫害は激化した。最終的に、アイレイド統治下にあった最後の都市国家ネナラータが最後通告を与えられた。避難するか、さもなくば滅びよと。統治者のダイナー・ラロリアラン王は、街からの脱出行を率いた。残留した者は教団によって虐殺された。ダイナーは自らの地位の象徴を二つ持って逃れた。王冠とセプターである。杖の形をした彼の紋章は忠実な従者たちによって守られたが、脱出行の最中に消失した。

ダイナー王とその民はハイロックへ逃れ、ハイエルフのディレニ・クランの間に安住の地を見出した。王はビスネンセルの街を築いたが、そこからも追いだされてバルフィエラ島へと逃れ、ディレニ・クランの軍事顧問となった。グレナンブラ湿地の戦いに参加し、その結果アレッシア教団の力は粉砕された。

ダイナー王はシロディールに帰ったと言われるが、歴史の物語からは姿を消している。王の紋章と王冠、セプターは時の流れの中に失われた。アイレイドの塔や砦は草木のはびこる廃墟でしかなくなり、王の民は各地に分散した。この物語は、すべての帝国に対する戒めを示している。どんなものも永遠には続かないこと、最後に勝利するのは時間だということを。

祭の招待状Gala Invitation

貴殿と客人お一人を、誠意を込めてご招待いたします
品位も高く、豪華絢爛なる
祝宴へ
会場はスキングラード
カランティウス伯爵の
城です

軟弱なるカランティウス伯爵は
豊かな財産に埋もれ輝かんばかりにして
食事と音楽、そして愚者を用意し
伯爵の尻が城の玉座に据えられて
十二周年というこの記念すべき機会を捉え
無為なる街スキングラードの
栄光と威厳を称える心づもりです

伯爵はあなた方をスキングラード城で
思う存分叩きのめし、すべての者のために
極上の拘束を与えることを願っています!

使い古された日記Weathered Journal

何日も経過した。数えきれないほどの日が。すべて無意味な日が。

ハイティアとアルノは館の外にたどり着けなかった。炎が俺のすべてを奪い去るのを、何時間も見つめていた。彼らの後を追って火の中に飛び込まないように、衛兵たちが俺の肩を掴んでいた。彼らは私を連れだし、気をそらそうとした。無理だ。火は俺の肉を焦がし、愛する人を焼き尽くした。あの光景を記憶の中に焼きつけたい。光を浴びて盲目になるのなら、それでもいい。

***
隣人たちは彼らが捕らえた盗賊たちに正義の裁きが下ると請け合った。鉄の枷をはめられて牢獄へ放り込まれるのが正義だとでも言うのか。火災は事故で、死者が出たのは故意ではなかったという。ハイティアとアルノが手違いで生きながら焼かれたと知っていれば、夜安らかに眠れるとでも言うのだろうか。俺は彼らの骨を埋めた――灰にならなかった部分を。彼女はあの子を胸に抱き寄せたのだ。生きていた頃、彼女が何気なくしていた動作。今それを見て、俺は泣いた。

***
俺を訪ねてくる者は減るばかり。俺の体の火傷と燃えた屋敷の残骸を見て、居心地が悪くなったのだ。建て直してはどうか、火事以外の話もしたらどうかと言ってくる。そして俺が従わないと、頭がおかしいと言ってくる。あの出来事から人生を立て直すことは、それ自体おかしいのではないか。ハイティアとアルノの復讐はまだ済んでいない。二人の苦痛と死を引き起こした盗賊どもは、まだ息をしている。牢獄は奴らの砦だ――あの壁の奥にいられては、奴らに真の裁きの血を流させることができない。だが忍耐は身につけた。俺は待つ。

この傷跡が残っている限り――俺は復讐を遂げてみせる。

子供に向けたグリーンレディの手引きThe Green Lady’s Primer for Children

子供たちよ、これから話す歌の物語を聞きなさい。私はグリーンレディ、ヴァーダント妃殿下よ。

目をそらさないで。見るのが恐ろしいでしょう。森の報復と呼ばれるのにはそれなりの理由がある。

緑は私の名であり、私の信念であり、ヴァレンウッドにいるすべてのいい子と同じように、森の仲間。

グリーンパクトとは何か?それは約束であって、それ以上でもそれ以下でもない。私たちの保護や愛と引き替えに、緑が喜んで与える贈り物。

私たちの唯一かつ真の故郷であるヴァレンウッドでは、まだ古代の世界が残っている。愛される歌い手イフレがウーズを手に取り、木々とエルフと獣たちを紡いで物語と歌にした時代と変わらない。

次はパクトの異なる面を説明しましょう。何を意味し、どうすれば従うことができ、なぜ重要なのかを。

常に尊敬を忘れないように。「語り部の名において、私は世界の骨の上に立つ。自然の法則の約束と力を吸いこみ、感謝を吐き出す」

死霊術師アニアルの日記Necromancer Anniar’s Journal

一番古い記録
ついに作業を始められる。このアイレイドの遺跡は完璧だ。森の奥深くにあり、誰にも邪魔されない。ここの墓に吹き込められた死霊術の力を肌で感じる。準備があるのでこれくらいにしておく。

* * *
次の記録
マスターたちが遺跡にある複数の魔法の集束点を特定するのを手伝った。こういう場所では強力な力で地面が脈打つ。死者が生き返りたがっているのは間違いない。後で参考にしてもらえるよう、魔法の力が特に強い場所を図にしておいた。

儀式の構成要素の実験は明日始める。短剣に使う砥石を確保するように頼まれた。大変な名誉だ。マスターたちに認められているに違いない!

魔法はとても強力だから、成功は間違いない。じきにアンデッドの群れを好きに使えるようになる。

* * *
次の記録
マスターたちに信頼されているらしく、儀式の中でも特に重要なことを任された。呪文用の有機物を調達する仕事だ。最初は遺跡内の墓を調べたが、ここの死体は古い。儀式で目覚めることになるが、今はもっと新鮮な死体が必要だ。

代わりに我々から「提供者」を選ぶことにした。しょせん墓の先の人生が永遠に続くなら、一時的に新鮮な器など無用だろう?

* * *
次の記録
すべてが揃った。マスターたちは儀式用の道具を遺跡の死霊術の力に同調させた。私は呪文に力を注ぐための死体を提供した。明日、死者の再生を行う。

* * *
次の記録
何かとんでもないことになってしまった。いよいよ儀式を始める準備が整っていた。私は死体を正しい場所に置き、他の者たちと一緒に唱え始めた。死霊術の力が死体と遺跡の基盤にしみ込んだ時、突然強い光で目が見えなくなった。私は爆発で壁に叩きつけられ、意識を失った。

目が覚めると血と瓦礫に覆われていた。叫び声と争う音が聞こえた。敵の正体はわからない。他の死霊術師はほとんどが爆発で死んでいた。生き残った者はすぐに侵入者に倒された。デイドラのようだが、これまでに見たことがない姿をしていた。私はまだ気づかれていない。そうあってほしい。

* * *
次の記録
信じられないことだが、マスターたちが墓の下から蘇った。私は蘇らせていない。死んだ後でさえ、どうしても儀式を続けたいようだ。何か様子が違う。言葉が一部変えられ、レブナントがねじ曲げられている。私の知るアンデッドでも霊魂でもない。恐ろしい。この世のものとは思えないデイドラでさえ、もう手を出さない。

残されたのは私だけらしい。出口を見つけなくては。

* * *
最後の記録
いよいよだ。逃げよう。もしだめだったら、この日記が自分の記録として残るだろう。

慈悲の熟練Mastery of Compassion

フランダー・フンディグ 著

私が星霜の月の下を捜索した時期に、私は友もなく異国の地をさまよった。

ならず者と物乞いに交じって、私は苦しむ者を憐れみ、迷える者を愛することを学んだ。私の未来の日々において、彼らの苦痛は私の苦痛である。

トゥワッカの祝福の下、ソードシンガーは慈悲の熟練を得るために同じことをしなくてはならない。

失われたもの、忘れられたものThings Lost, Things Forgotten

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

香りが記憶を蘇らせ
歌が涙を誘い
顔に見覚えがあり
とても鮮明な記憶

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

しかし時が風の中の葉のようにすべてを散乱させ
私たちが覚えているものは夢のように薄れゆく
歴史、謎、真実、嘘
あなたがよく覚えているものは私のものと違うかもしれず
頭の中にあるとはそういうもの

失われたもの、忘れられたもの
失われたもの、忘れられたもの

狩人の旅2:帝国保護区A Hunter’s Journey II: The Imperial Reserve

専業狩人、ヴィオラ・フルシニウス 著

私が最初に狩りへの愛を見出したのは、いわば我が家の裏庭だった。コロヴィア台地で育ち、父の家からほんの半日も歩けば帝国保護区の草原があった。弓を引ける年齢になった時から、よく家を抜け出して保護区をうろつき、運試しをしたものだった。シロディールとゴールドコーストに挟まれた絶好の猟場には、鹿、アンテロープ、キジ、時にはウェストウィールドボアがたくさんいた。

豊富な獲物に触れるうち、私は昔の皇帝たちがこの地を自分たちのものにし続けた理由を理解するようになった。父は私に、かつて皇帝ブラゾラス・ドールはこの地での狩りを好んだと語った。実際、彼はルビーの玉座で帝国の運営を試みるよりもずっと狩りのほうを深く愛し、仕事への対処は最高顧問に命じて、自らウェザーレアの近くに別荘を建てていたそうだ。彼が行った公的な活動は、広大な帯状の平原を自分の個人的な保護区とする宣言だけだった。

100年前後の間、時々出現する密猟者を除いて誰も皇帝の鹿を獲ろうとする者はいなかった。だが、レマン皇帝に従った最高顧問たちは、自分たちが個人的に狩ることのない動物の群れを守るための出費に興味を示さなかった。帝国保護区は、徐々に白金の塔の地図の上の単なる名称となっていった。間もなく、父と私を含めたコロヴィアの一般人がひそかにこの地域で狩りを行い始めた。当然だ。

私はタムリエルのあらゆる地で狩りをした。スカイリムではマンモスを追い、モロウウィンドではニックス・オックスを槍で突き、ブラック・マーシュではワマスの皮を剥いだ。だが、最低でも年に一度はコロヴィアの帝国保護区に戻り、自分の生まれた土地で健全で楽しい狩りの素朴な喜びを味わっている。特に秋、空気がすがすがしく、オスたちが発情期に入っている時期には。

それでは、狩りの場で会おう!

収集団の主張Gleaner’s Claim

これを読んでいる収集団の者へ:

君はデンドリス・デンメヴァニに後れを取ったぞ!この場所に通じるポータルに一番乗りする名誉は私のものだ。元の場所に戻ったら、〈運び手の休息所〉の年鑑に私の名前を探すといい。

今我々がどこにいるのかは、正直に言って私も混乱している。この次元はファーグレイブの一部分のようだが、私が知っている天空の籠のどの部分にも接していない。突き出しているクリスタルも、これまでに見たことのないものだ。

この忘れられたファーグレイブには、普通でないデイドラが徘徊しているのに気づいただろうか。クリスタル魔術を使うドレモラ、ガラスで出来た精霊だ。奴らはまったく友好的じゃない。今のうちに立ち去ったほうがいいぞ。

デンドリス・デンメヴァニ
アービス収集団

正道戦争についてOn the War of Righteousness

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

アレッシア帝国の終焉はいかなる歴史学者にとっても厄介なテーマだ。アレッシア帝国が滅びたのは、アレッシア教団の神権政治が拡大しすぎて持続できなかったためだと書かれてきた。間違いではないが、これでは何が、なぜ起きたのかほとんどわからない。

帝国の崩壊の直接的な原因は、遠方の地域、特にハイロックに対する支配を維持できなかったことだ。ハイロックの商人たちは帝国に課せられた重税と規制に対して不満を感じていた。またアルトマーの伝統による「汚された」人々に向けられた教団の敵意が、何の助けにもならなかったことも確かだ。第一紀の24世紀が始まると、ハイロックの王国は帝国から離れた。

教団の神権政治家は、ブレトンの国々に対する影響力の喪失に激昂した。しかし、教団は軍事的な対応を行うことは避けた。シロディールの司教評議会は敵対するハイロックを侵略し、永久に占領するための費用を恐れたのだ。成功しても、その地域に守備隊を置くため莫大な資金を投じることになる。最悪の場合は敗北だ。彼らは時機をうかがうことにした。だが第一紀2319年、スキングラードのデシナン王が、自らの息子とウェイレストの女王マーガレット・ガードナーの娘との結婚を取りまとめた。

コロヴィア人の地とハイロックの王家の同盟による脅威は、無視するにはあまりにも危険すぎた。大司教ジルニウスは宗教的権力を使ってその結婚を禁じた。彼の妨害に激怒したデシナン王は、結婚を認めるために「コロヴィアの上級司教」を任命した。これに対し、ジルニウスはデシナン王と大司教の権威を否定した司教全員を異端者として非難し、コロヴィア人の地に向けて信頼できる忠誠心を持つ軍隊を送り込んだ。

その結果として起きた戦争は、無秩序、局地的な蜂起、変化する同盟の期間として説明するのがもっとも適切だろう。どちらの陣営にも正道がほとんど関与していなかったことは確かだ。シロディールのコロヴィア人の地を征服するための当初の試みは激しい抵抗に遭い、失敗に終わったが、一方でコロヴィア人は東部の帝国に対する進軍を行うための結束に苦労していた。主戦場は間もなく北西のイリアック湾に移動し、そこではアレッシアの軍団が帝国の権威に逆らうブレトンの土地を一掃した。

西部における費用のかさむ戦いにより、大司教ジルニウスは帝国の東から税と兵をむしり取らなくてはならなかった。このことがニベン人の商人と、教団の軍隊が別の場所で忙しくしていた時には支援していた貴族たちを遠ざけた。東の都市が、次々に、教団が引き続き課している要求を快く思わない現地の領主の支配下に置かれるようになっていった。

終戦はカヌラス湖の大修道院がニベン人の反乱軍によって破壊され、大司教ジルニウスが殺された時に訪れた。命令も賃金もない状態で残されたハイロックで戦うアレッシアの軍隊は任務を放棄した。多くの兵が故郷に戻った。他の者はすでに占有した地域へそのまま定住したが、一部は盗賊となった。第一紀2331年、デシナン王は傀儡を手配してルビーの玉座に据え、表向きに正道戦争は終結した。

もちろんそれは衝突の終結ではなかった。中心部から離れた地域では局地的な戦闘が続き、帝国の中央地域の大部分は依然として現地の軍事的指導者の支配下にあった。正道戦争による混乱はその後何世代にもわたって続いた。

増大する問題An Increasing Problem

レディR

我々は長くライバル関係にあり、公然と互いを嫌ってこそいるものの、昨今は利益のため互いに頼る必要が出てきている。治癒師ネヴァマが労働者の検査と治療をやめず、問題になってきている。あれは近いうちに何とかしなくてはいけないかもしれない。

そして今度は、ウルブレン治安官もこちらの問題を調べ始めた。これは放っておけない。

錬金術師スリウスに、ゼガーのブラインドで痕跡を消すように警告してくれ。

それから、私の助言を聞いて傭兵のダークカンパニーをうまく利用することだ。かなり腕が立つ。

C男爵

待ち伏せの命令Ambush Orders


番人ヴィルゴス

厄介な侵入者に新しい発芽場を知られた。護民官アレア・イドルス、正しく導かれていないベラゴン、傭兵のyour nameに気をつけて。近くへ来たら始末するように。

ワイルドバーンの種が力を放出し、ドーンウッドを北と東へ拡張させるまで、誰にも手を出させてはならない。

探索者マナドラの探検Seeker Manadra’s Expedition

メルカトール・アンブストゥスによる記録
遠征第27日目

ついに到着だ!

何週間もかけて数えきれないほどの砂丘を越えた後、私たちは要塞にたどり着いた。壁は思っていたよりも高かったが、探索者マナドラが以前要塞の秘密主義について話していたことを考えると、当然かもしれない。マナドラが話したいくつかの物語や仮説からは、要塞がこれほど荒廃しているとは想像もできなかった。我々の一団の他の護衛は、砂漠を歩く際の力仕事は任せてくれと請け合っていたが、この荒れ果てた要塞は、どうも力仕事だけで済まないような気がする。

しかし探索者マナドラは興奮している。彼はずっと持ち物を確認し、呪文を練習している。彼を見ていると私も不安になる。この場所全体が私を不安にさせる。

我々は休息し、マナドラが時間だと判断したら要塞へ向けて出発する。要塞の静かな部分にいるだけでこれだけ影響を感じているのだ。ちゃんと休んだほうがいい。

〈いくつかのページが紛失している〉

遠征第40日目

我々は奇妙な空の下を歩いた。護衛として働く間に空は何度も見てきたが、この空が絶えず生み出し続ける奇怪さに匹敵するものは、ほとんど経験したことがない。星の色と形は、ニルンで見られるものとはまったく似ても似つかない。どれだけ遠くまで移動したか確かめたければ、上を見るだけでいい。

探索者マナドラは彼が探しているものに近づいていると考えている。我々が最後の扉をくぐった後、彼の道具の一つが力に共鳴し始めたが、それとほぼ同時にガーディアンが襲ってきた。戦闘の後、探索者マナドラのどの道具もそれ以上の兆しを示すことはなかったが、彼はこの一瞬の反応を吉兆と見なした。彼の専門知識を信じるしかない。

私のほうは、絶え間のない脅威に疲労していた。ガーディアンは厄介な相手で、向こうは休息の必要もなかった。連中は我々の体力を消耗させる病気のようなものだ。探索者マナドラの考えどおり、結び目が近くにあることを願おう。こんなところからはさっさと出たい。

〈さらに数ページが失われている〉

遠征第45日目

急いで書かなければ。結び目は我々が思ったようなものではなかった。あれは我々の力を吸い、食い尽くしてしまう。私はまだあれを持ってはいないが、探索者マナドラは次が私の番だと言っている。まだ入口まで三分の一も近づけていない。他の者たちは消えた。結び目の中に姿を消して、戻ってこない。彼らがどこにいるのかはわからない。

次になるなんて嫌だ。だが探索者マナドラは私に目をつけている。逃げられない。彼は他の者たちにさらなるゴールドを約束して、私を見張らせている。全員を相手にはできない。閉じ込められてしまった。

結び目を持つなんて嫌だ。飲み込まれてしまう。

中立宣言Proclamation of Neutrality

現在の紛争において

スキングラード伯爵領カランティウス伯爵の命により

シロディール帝国は現在内政と敵対勢力を原因とする紛争の最中であるがゆえに、

またスキングラードおよびウェストウィールドは帝国内部の重要な地域であるがゆえに、

また我らの帝国に対する忠義は帝国の領地を、国内外問わずあらゆる脅威から守ることを要求するがゆえに、

そしてスキングラード伯爵領はルビーの玉座への忠誠を保ち、いかなる特定の勢力や指導者にも与しないがゆえに、

スキングラードおよびウェストウィールドは、その東の国境から西のゴールドコーストに至るまで、ルビーの玉座への信頼において中立領域としてふるまうことを今ここに宣言する。

それゆえ、スキングラードはその中にある、ウェストウィールド軍団を代表とするすべての中立的な軍団勢力、その駐屯部隊およびその防衛部隊を支援、維持する。

それゆえ、スキングラードは帝国のうちにある内部諸勢力、例えばアルドメリ・ドミニオン、エボンハート・パクト、ダガーフォール・カバナントの権威を認めない。これらの勢力とその代表者は、ウェストウィールド内部でいかなる権限も有しない。

それゆえ、これらの勢力によるウェストウィールド内部でのあらゆる活動は、スキングラードおよびスキングラードに忠実な領民と防衛軍による敵対をもって迎えられるだろう。

地域の諸侯およびコロヴィア議員の前にて、この日宣言し署名する

スキングラード、カランティウス伯爵

調査官ミジクへTo Investigator Mizzik

ミジク、

恐怖に負けてしまってすまない。真実を告げることで君の命を危険にさらすのが怖かった。すべて自分の手で解決できると思ったんだ。

レディ・ウェザーレアが亡くなる前、ペレナの持ち物を調べた。前から残酷な人だとは思ってたが、最近の彼女はどんどん不安定で神経質になっていた。常に何かにおびえていた。

彼女の部屋を調べた時、セオファン・ピクトルとの手紙のやりとりを見つけた。彼女はウリエルを殺し、今は彼の暗殺者がここにいて、ウリエルの服や名を安っぽい仮装のようにまとっている。

私はペレナの悪事を証明するため、レディ・ウェザーレアに手紙を渡した。もしかしたらそれが彼女の命を縮めてしまったかもしれない。ペレナと私が揉めた時、盗んだ手紙を返すように言われたが、私は断った。手紙は隠したと言った。だがきっと私の嘘を感じ取っていたんだ。レディ・ウェザーレアに裏切りを伝えたことを知っていたんだ。

すまない。全て私の責任だ。
エドリック

追憶の日The Day of Remembering


回想者の諸君

いよいよ追憶の日が来た!これまでの苦労、疑念、困難な決断はこの日を実現させるためにあった。我々は道のデイドラ公の敵が消し去った記憶を取り戻した、最初の者たちだ。今こそ輝かしい時代へ突き進み、世界に我々のデイドラ公を思い出させ、その栄光の前にひれ伏させる時だ!

諸君はそれぞれが追憶の日を近づけるために役目を果たした。その役目をもう少し務めよう。忘れ去られた記憶を蘇らせるのは決してたやすくないが、それこそが我々に求められていることだ。

各自の働きによって、我々は力の源を見つけた。次はそれを、最後のワイルドバーンを使って復活させるのだ。そうすれば、我らがデイドラ公の栄光を世界と共有できるだろうう。

回想者のために!道のデイドラ公のために!

伝播の儀式Rite of Propagation

緑に対しよどみが起きている。イフレは森が自分の根で息を詰まらせないよう、成長が許されるべきだと教えている。ならば伝播の儀式を行い、障害となっている村の重荷を下ろすのだ。

儀式を行うために:

村にとっての自分の象徴を探す。共同体にとって自分を意味する物だ。

村の前で嘆願者として共に立つ。

共同体に望みを聞き、協力するか否かを問う。

共同体が協力するなら、その成長は村次第だ。

協力しないなら、村に提示したものは無効になる。

どちらにせよ、村の望みを尊重すること。村は森であり、森は緑である。

盗みの儀式の歌Rite of Theft Song

まず俺がお前の短剣を盗み
今度はお前が盗み返した
今、俺が欲しいのはお前の弓
ついでにお前の荷袋も!

すんなり渡してもらいたい
別に大したことじゃない
物は世間の回りもの
俺たち二人の間じゃないか!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

まずお前が俺から盗み
今度は俺が盗み返す
だが二人で奴らを盗みに行けば
宝の山は確実だ!

お前は俺の財布を奪った
喜んで分けてやったのに
だがあっちにあるのは何だ?
おい、お宝の匂いがするぞ!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

働いてもらう時が来たYour Services Are Required

錬金術師スリウスへ

以前の2つの問題に対する報酬を入れておいた。よくやってくれた。

お前の専門知識を要する別の問題がある。賭博場のグラクグと新しい補佐官のyour nameだ。どちらもじきに疲労熱にかかるだろう。そして死に至る。それでこの問題は完全に片付くはずだ。

ヤブレン治安官については、対処する方法を別に考えている。じきに自分が調べている犯罪で告発されるだろう。詩的正義というやつだ。

だから錬金術を盛んに使って、強力な霊薬をさらに作るのだ!

C男爵とレディR

燃えた断片Burned Fragment

――彼女を息子と孫娘から引き離せ。俺は――罪のない者を傷つける。こんなことは――

正気であれば――殺し屋の家族に――俺の家族を奪わせるはずがない。

――火は必要だ。思い出させる――ハイ――アル――

来い、エルフ。俺のナイフは待つことに飽きている。

配達確認Delivery Confirmation

カーヴァイン男爵の命令により、ただちに以下の物品をオンタスの北東、ゼガーのブラインドに出荷すること。覆い付きの荷車を使って目立たないように。錬金術師スリウスに直接配達すること。

子羊肉700ポンド
キャベツ230個
ジャガイモ300ポンド
小麦粉40袋

伯爵のイノシシ狩りThe Count’s Boar Hunt

最愛の妹へ

今日の夕食はいらないと母さんに伝えてくれ。しばらくは家に帰らない。お前も知っているとおり、伯爵のイノシシ狩りが今朝あった。狩りは終わったが、残念ながら俺は移動できる状態じゃない。

とはいえ、筆を持つくらいのことはできる。だからお前には事情を全部伝えておきたい。

夜明け頃、俺は狩りに参加する他の者たちと合流するため、ウェザーレア邸の南にある森に向かった。伯爵は民衆向けの狩猟にするとかなり潤沢な支援を行っていたから、有望な狩人は俺だけじゃなかった。むしろ、俺たちの数はあまりに多く、追跡する価値のあるものに出会うどころか、獲物を遠ざけてしまうんじゃないかと思ったほどだ。

しかしカランティウス伯爵は抜け目のない人だから、伯爵の部下たちは手早くこの大集団をいくつかの小さなグループに分けて、互いに距離を取れと言い渡した。驚いたことに、俺はなぜか伯爵その人と同じグループになったんだ!伯爵は黄金の鎧をまとった白馬に勇ましくまたがり、徒歩の狩人たちを先に行かせたので、彼の姿はよく見えなかった。後ろに下がってよく見たかったが、そうしたらイノシシに近づけない。

それで俺は槍をぎゅっと握りしめて、さっそうとグループの先頭へと進んでいった。伯爵の猟犬たちが先行し、イノシシの匂いを探して地面に鼻をこすりつけていた。しばらくの間は静かだった。聞こえる音といえば犬が匂いを嗅ぐ音と、狩人たちの注意深い足音だけだ。

突然、犬たちが匂いを捉えたらしく、顔を上げて吠え始めた。徒歩の俺たちは犬を追って走り出し、無造作に茂みをかき分けて獲物に接近しようとした。

「いたぞ!」と誰かが叫んだ。グループは開けた空き地に入り込んだが、そこでは2匹の巨大なイノシシが決死の縄張り争いを繰り広げていた。牙の大きさからオスであることがわかった。そして逆立った毛は、内に込められた野性の怒りを示していた。激しい戦いのせいで俺たちの接近に気づかなかったんだろう。すごい光景だった。

突然、大きいほうのイノシシが相手から身をもぎ離し、グループの先頭にいた狩人たちに突進してきた。グループの者全員がとっさに行動した。長い狩猟用の剣を持った勇敢な男が、イノシシの首に剣を突き刺そうと試みた。

それは彼の最期の過ちになった。

凶暴化したイノシシの勢いは男の剣を易々と突き抜け、刃が獣の皮にめり込むと同時に、イノシシの牙が男の腹に突き刺さった。傷口から血が噴き出し、男が獣の腹に埋まった剣から手を離すと、イノシシは新たな標的を探し求めた。男はあっけなく倒れ、死体は混乱の中で忘れ去られた。

イノシシが鼻を鳴らし、回り込むように動きながら次の突進の準備をしていた時、俺は恐ろしい事実に気がついた。二匹目のイノシシの姿を見失っていたことに。

グループ全員が倒れた狩人の仇を討とうと、この大きいほうの獣の相手をしていた。俺は伯爵がこの機を見て攻撃しに来るかもしれない、と思って振り返ったが、その時見間違いようのない二匹目のイノシシの影が、伯爵の部下や騎士たちを蹴散らし、伯爵の馬目がけて突進していくのを見た。俺は考える間もなく一匹目のイノシシから離れ、伯爵に向かって走った。

伯爵の名誉のために言っておくが、彼もイノシシの接近は見ていた。伯爵は覚悟を決めた様子で剣を掲げ、無駄とわかっていても攻撃する構えを見せた。イノシシが伯爵とその馬に接触する直前、俺は腕を引き絞り、伯爵目がけてまっすぐ槍を投げた。

確かに、危険な行動だった。俺は狙撃の名手ではなかったし、特に動く標的を狙うのは苦手だった。だがアーケイが俺の手を導いてくれたのだろう、槍は命中した。槍は二匹目のイノシシの目を貫通し、獣はカランティウス伯爵を牙の先に捉える寸前で絶命した。

伯爵は一瞬だけ死んだイノシシを見つめ、それから視線を上げて俺と目を合わせた。彼は俺にむかってうなずき、きっと何か含蓄のあることを言おうとしたんだろうが、そこで一匹目のイノシシが俺の背後から突進してきた。

その後のことはあまり覚えていない。幸運にも牙は外れたが、イノシシは俺を跳ね飛ばして狩人たちのほうへ向かっていった。そのイノシシも最終的には誰かが仕留めた。俺は数時間後、スキングラードにある伯爵の城で目を覚ました。そこで癒し手が俺の足を整骨し、擦り傷や打撲傷に効く飲み物を与えてくれた。

伯爵は俺がイノシシを止めてくれたことを大いに感謝していた。その夜は主賓席で伯爵と饗宴を共にするよう招かれたくらいだ!伯爵と同じ食卓に座るなんて想像もしないことだったが、俺たちはイノシシの焼き肉を食べ、ウェストウィールドの勇敢な狩人たちを称えて乾杯した。

カランティウス伯爵は俺が回復して故郷に帰れるようになるまで、ここスキングラードに留まれるよう取り計らってくれた。伯爵は自分専用の厩舎から馬を1頭進呈してくれて、さらに1年分の塩漬け豚肉と賞金も与えてくれた――イノシシを1頭仕留めた分と、彼の命を救った分と。

体の調子についてはまた近いうちに手紙で知らせるよ。帰ったら、賞金の使い道についてゆっくり話そう。とにかく今確実に言えるのは、イノシシ狩りはもう引退ってことだ!

兄より愛を込めて
アルバヌス・カウデクス

伐採キャンプ日誌1Lumber Camp Journal 1

1週目

ハルダインの伐採キャンプは成功する。予感がするんだ!

ここの木材は最高で、競争相手も少ない。いつもどおり、伐採にいい場所を選んだ。生産量は高く、ここの木はとても早く育ったから木材の質は他の比じゃない。ふしも年輪もほとんどない。選んだ仲間は腕が立つ。動物の肉と森の果実でいい食事ができる。

じきに自分たちの道具を買って、ウェストウィールド軍団から借りたものは返せるだろう。

レピダは森が危険だと考えてるが、最初の数日でそれは間違いだと証明された。獣にも遭遇してないし、飢えた盗賊にも脅されてない。祝福されてるとまでは言わないが、今夜はこんな幸運のお礼に、神へ祈りを捧げようかと思う。

〈このページの残りはぼろぼろに破られている。〉

伐採キャンプ日誌2Lumber Camp Journal 2

4週目

仲間たちはここの森が呪われていると確信している。

ここの動物は作業の音を怖がらない。それどころか、ランターンに寄る蛾のように引き寄せられてくる。ウッドエルフや彼らが使う魔法に慣れているから大胆なのかもしれない。それでも、のこ刃に入ったリスは4匹目だ。ここは何かがとんでもなくおかしいのかもしれない。

一部の仲間が逃げた。上流のより安全な仕事を選んだのだ。あまり文句は言えない。行く前に教えてくれる礼儀は持ち合わせていたし、生産量が落ちないように残った仲間が頑張ってくれた。ここの木は素晴らしい。

レピダ、大金を稼ぐから心配するな。

〈残りは破られている。〉

伐採キャンプ日誌3Lumber Camp Journal 3

7週目

仲間の前では認めないが、ここは何かがおかしい。死んだリスだけじゃない。

作業員が木を切ろうとしていると、切れ目が自然と閉じてしまうという報告を受けた。森の奥深くから何かわからない奇妙な音が聞こえてくるし、夜の影は濃くなってきている。

迷信的に聞こえるだろうが、あそこの何かが我々の仕事を快く思ってないようだ。おまけにそれはどんどん近づいてきている気がする。

やめたい仲間がまた出てきてるが、それは困る。自分勝手な理由ではない。ここを出ても上流まで行けない気がする。

〈このページは破られている。端に乾いた血痕がある〉

秘術師タリムのメモMystic Tarim’s Notes

なんとも腹立たしい!私の感知では、くぼみに入れる小ウェルキンド石が絶対に近くにあるはずなのに。この遺跡をくまなく探したのに見当たらない!

最初のは北のギャラリー、東へ続く広間の上。間違いない。しかし私の呪文や目ではその隠れた場所がわからない。

2つ目は東のギャラリーのずっと上にある広間の中。瓦礫が道をふさいでる。

3つ目は西へ続く南の通路の突き当たり。探すために穴を渡る方法がない。

最後は西へ続く北の通路の門を通ってすぐの所。でも、どうやってあのバルコニーに行けばいい?

私より賢い魔術師なら、この忌々しい石を見つけられるのかもしれない!

風に漂う声Voices on the Wind

我ら三人はガラスに包まれ、忘れられた領域を呼び覚ます。
我らが三つの文字により、この世界を作り直す。
そして生き延びた欠片より、玉座を作り出す。
忘れ去られたものを思い出させよ。
ミラームーアの支配を再び!

三人、ガラスに包まれた、三人?ガラスに包まれた?どこかに隠れている?
忘れられた領域を呼び覚ます、一体何を呼び覚ます?
三つの文字、また三つだ。この数に何か意味があるに違いない。

別荘の皇帝The Emperor of the Villa

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

レマン王朝の偉大なる王たちに関する書は数多く記されている。しかし、レマン一世、レマン二世、レマン三世の間、第二帝国は輝かしさに欠ける指導者たちの治世に耐えてきた。たとえば、皇帝ブラゾラス・ドールだ。国政に興味を持たなかったことでよく知られるブラゾラス・ドールだが、それにもかかわらず34年間も皇位に就いていた。

ブラゾラス・ドールの玉座に対する準備不足は彼が生まれた時の環境に端を発する。彼はレマン二世と、アイリーニャ・ドールという平民出身の召使との間にできた庶子である。彼女は新たに戴冠した皇帝であるレマン二世が、スキングラードへ滞在した時に見初められたのだった。レマン二世はアイリーニャを気に入ってはいたものの、ルビーの玉座に見合う結婚相手を探さなければならなかった。間もなく彼は子供をアイリーニャに任せ、二人のために快適な別荘を用意した。

力みなぎる好青年のブラゾラスは、有名な先祖であるレマン一世にとてもよく似ていたが、偉大な男の野心や洞察力はほとんど持ち合わせていなかった。レマン二世が間を置かずに嫡出子を持つことが想定されていたため、ブラゾラスは皇帝の末裔ではなく、コロヴィアの小貴族としての生活になじんでいた。彼は自分のブドウ園の世話をし、狩りをして、友を楽しませながら日々を過ごしていた。

その後、第一紀2843年にレマン二世が戦いに倒れ、ブラゾラスがルビーの玉座に就くことになった。暗澹とした気持ちで玉座を引き継いだこの若者は、皇帝ブラゾラス・ドールとして母方の姓を維持することを選んだ。しばらくの間、彼はシロディールで新たな責任を果たそうと全力を尽くした。父のモロウウィンドへの進軍を再開し、勇敢に戦いさえした。だが、白金の塔における行政と外交の責務が、それを得意としない彼に重く伸し掛かった。

シロディールでみじめな思いをしたブラゾラスは、すぐに愛するコロヴィアの田園地帯に引きこもるようになり、首都から離れて過ごす時間が着実に増えていった。彼は自分が行えることをすべて最高顧問シドリ・アシャックに委任し、自身はスキングラード西の丘陵地帯にある豪華な邸宅、ヴィラ・ドリアの建築に精を出した。ブラゾラスが白金の塔に戻る頻度は徐々に減少し、ついには戻る手間をかけることすらしなくなった。

皇帝ブラゾラス統治時代、最後の20年間はヴィラ・ドリアが宮廷の役割を果たしたが、ここで実際に公務が行われることはほとんどなかった。それどころか、ヴィラ・ドリアは娯楽と気晴らしの場所だった。皇帝が遊びと酒宴(包み隠さずに言えば、これらの多くがみだらな乱痴気騒ぎになった)に時間を費やす間、最高顧問シドリ・アシャックが静かに帝国を統治した。

ブラゾラス・ドールは第一紀2877年に突如として死亡するが、その時の彼はまだ62歳で、いたって健康であった。中には殺害を疑う者もいた。シドリ・アシャックの増大する権力を快く思わない一派が、新たに精力的な皇帝を玉座に据えることで最高顧問を無力にする決意をしたという噂が流れた。レマン二世は弱冠14歳であったが、すぐに宮廷をシロディールに戻し、自らの名において権力を行使した。ブラゾラス・ドールが愛したヴィラ・ドリアは打ち捨てられ、後にはアカヴィリの最高顧問のもとで廃墟と化した。

さて、歴史家たる私は彼をどう判断するか。彼より成果の少ない皇帝はほとんどいないが、それでも彼の統治期間に帝国は繁栄した。意外にも、彼よりも有能な皇帝の多くについて、必ずしも同じことが言えるわけではない。

無のアルカの売り文句Sales Pitch for the Null Arca

あなたの持ち物で、家や工場、要塞その他に、過剰な魔力を含んだ物品はありませんか?

その過剰な魔力が、あなたの大切なものを脅かすことを心配していませんか?

あなたの物品から発せられる不安定で混沌とした魔力を、エーテルの空間に移動させたいと思っていますか?(注:無のアルカはこのとおり機能するわけではありません。詳細は営業機密です)

無のアルカにお任せを!混沌のアーティファクトや遺物、発明品、その他不安定な物品を安定させられる器です。

無のアルカ。あなたのある持ち物から他のすべての持ち物を守れるのなら、どんな代償でも払うべきではないでしょうか?

ネレタイへのメモ…最後の一文はもっと推敲したほうがいいかも。

傭兵求むMercenaries Required

ラストウォールの屋敷を警護していたある軍団兵が行方不明になった。カランティウス伯爵およびウェストウィールド軍団は有能な傭兵や冒険者に捜索への協力を求めている。

詳細を知りたい者は、ラストウォールの屋敷の中庭にいる護民官、アレア・イドルスを訪ねること。

利益になる発見A Profitable Discovery

C男爵

私たちのお気に入りの錬金術師が、採石場の新たな採掘場所で、生産性の問題を解消できるかもしれない物質を見つけた。

普段の敵対関係に目をつむる気があるなら、私の書斎へ来て。きっとこの申し出に興味を示すでしょう。

レディ・R

錬金術師の報告Alchemist’s Report

レディ・ラザリー

採石場の新たな採掘場所にある珍しい石はとても興味深いものです。砂状にすれば強力な霊薬を作れると思います。その霊薬が体内に入った鉱山労働者は生産性が千倍になるでしょう。残念な副作用はあるかもしれませんが、確かなことは労働者で試すまでわかりません。

これで以前話し合った、低い生産性と利益損失の問題は解決されるはずです。

あとはそれをこっそりと労働者に与える方法が必要です。水か食料に入れましょうか?

詳細はご都合のいい時に話し合いましょう。

錬金術師スリウス

老いたモンクの日記Old Monk’s Diary

酒場を営めば人生が楽になると思っていた。怒った客や酔っ払い、騙そうとする商人、税の取り立てなどで忙しくなるとは。ただ飛び込むのではなく、もっとじっくりと下調べをすべきだったのかもしれない。この老いたモンクにとってはこれもアカトシュからの教訓だ。

* * *
今日は年配の女性が見事な赤い帽子をかぶって酒場に入ってきた。まあ、私も年配の男だが、彼女には目が留まった。当然、失礼のないようにだが。もうモンクではないが、礼儀は忘れないようにしている。それに、若い時でさえ好色ではなかった。

どうして自分の日記で言い訳をしているんだ?

とにかく、普通の酒場の店主らしく、注文は何にするかと聞いた。驚いたことに彼女は強いウイスキーを頼んだ。彼女のような人はたいていもっと洗練された飲み物を頼む。ラバも眠らせられるようなものではなく。

私は言われたとおりに瓶を持ってきた。そして注ぎながら、さりげなく名前を聞いた。さりげなかったと思う。

彼女はレオナラだと言った。なんて美しい名前だろう。

* * *
今夜レオナラともう一度食事をした。今回は彼女の家でだ。自分たちの人生やこの先したいことについて話した。私は酒場を持つことが驚くほど複雑だが、楽しんでいると話した。もっと多くの客に来てほしい。娯楽を提供する者を雇おうか。

しばらくそんな話をしていると、彼女は急に店を大きくして宿にする考えを思いついた。寝室のある2階を追加し、泊まる客に食事を提供する。その考えに共感した私はすぐにその計画を始めた。修道院にいた時、他の修道士の面倒を見ていたのを懐かしく感じたのかもしれない。とても楽しい仕事だった。

そうだ、そうすることにしよう。

* * *
今日からレオナラと同棲することになった。前は横の部屋の小さなベッドで寝ていて、私だけなら十分な大きさだった。しかし二人でも十分な大きさの新品のベッドを買って驚かせた。上の階の2番目に広い部屋に住む。一番広い部屋は裕福な客用にとっておくつもりだ。

モンクとしての生活はいいもので、充実していて、興味深く、神聖なものだった。しかし、宿屋の主人としての暮らしほどいいものはない。

テルヴァンニの書

Telvanni Tomes

アザンダーからの手紙Letter from Azandar

ニルン、タムリエル、オーリドン、スカイウォッチ、聖域
アザンダー・アルサイビアデスより

ごきげんよう!私たちの冒険についてしばらくいろいろと考えていて、この手紙をしたためることにした。

歴史、とでも考えてくれたらいい。

歴史的記録を詳しく調べたことがある者なら、歴史の力の奇妙な盛衰に直面することがあるだろう。私たちの美しい世界は数えられないほど長い間、定命の者、アルケイン、デイドラ、エドラの力によって形作られてきた。その結果は、率直に言って乱雑だ。千年続く集落もあれば、浜辺の砂の城のように栄えては消える文明もある。

それが研究や神秘、ほつれた運命の修復を目的とした勇気ある冒険とどう関係があるのかって?いい質問だ。

私は定命の者の人生が、このプロセスを小さな規模で反映していると考えている。一部の者は穏やかな人生を歩み、地元の池に小さな波を立てる程度だ。自分のいる社会で影響力を持っていても、定命の者の大きなタペストリーにおいてはわずかに言及される程度だ。

意志の力だけでアービスの根幹をかき回して火花を散らす者もいる。武力、魔法、何らかを用いてとてつもない可能性を見せるが、結局、継続的な変化はほとんど起こさない。

この後者が、残念ながら私の運命だったのではないかと思う。私の運命線は、外部の力に影響されなければ、研究中の事故による不名誉な死で終わっていただろう。もしくは敵に消されていたかもしれないし、年老いてから不運による、惨めで痛ましい終わりを遂げていたかもしれない。

お前のおかげで、私はもうそんな心配はしていない。私たちが共に過ごした時間は、協力というものを深く理解させてくれた。今では、似たような関係における以前の立ち振る舞いがずいぶんと身勝手だったと考えるほどだ。

仲間よ、お前は老人の心を変えてくれた。不思議な粘土のように形作り、総体的なものに改善してくれた。過去に自分でも試みて、見事に失敗していたことだ。

うまく表現できていることを願うのだが、私はお前をこの上なく尊敬している。これまでに私たちが達成したことすべて、そして今後達成することすべてを考慮して。

私の感謝の気持ち、称賛、熱烈な礼をどうか受け取ってほしい。

いつものように、前に進め!

アザンダー・アルサイビアデス

アラヴェリスでの仕事についてOn the Work at Alavelis

マスター・シェルレニ、

アラヴェリスでの作業はほぼ完了しました。隠された一族は注意深く指示に従いました。門はご命令通りに用意できるでしょう。聖なる像を再建するためにあなたがお求めになった石は現在、与えられた目的地へと向かっております。デイドラ公の祠はもうすぐ、かつての栄光を取り戻すでしょう!

ドレモラのトーヴェサードが到着いたしました。彼は我々に、アポクリファへの侵入に加勢する準備を整えることを望んでいます。彼はもうすぐ夢の中で見た扉の場所が正確にわかるだろうと言っています。主のないデイドラはあまり信用できませんが、彼に従えというのが我らがデイドラ公の命令です。

ドリームウィーバーと疫病のデイドラ公の栄光のために、
ニレス族長

アラヴェリス鉱山の購入についてOn the Purchase of the Alavelis Mine

キンリーヴ・ライル、

私はアラヴェリスの村の碧水晶鉱山を購入した。同盟者の隠された一族はぺライト公とヴァルミーナ公が提供した化合物、クジャク石の神秘的性質を利用し、私が特別に作った呪文と合わせてあの場所にアーチ型の門を建設する。これで、ハルメアス・モラの注意を引くことなくアポクリファに入るためのポータルが手に入るでしょう。

あなたのドリームカーヴァーをアラヴェリスに送り、トーヴェサードの合図を待ちなさい。早まった攻撃はしないように!トーヴェサードの夢に出てきた扉を探す前に、遺物と儀式を確保したい。でなければ運命のデイドラ公が自身の危機に気づいてしまう。

アラヴェリスでその他の問題が起きた場合は、あなたの判断で対処して。

マスター・シェルレニ・バロ

アラヴェリス鉱山の調査Survey of the Alavelis Mine

ギルドマスター・ピュヴォル、

アラヴェリスからご挨拶を申し上げます。村の地下にある碧水晶鉱山の調査を完了いたしました。今回、この事業への投資はお勧めできません。枯渇には程遠い状態ですが、残された鉱床は商品として通用しません。大量の鉱石を得るために必要な労力と費用はあまりに大きく、特にヴァーデンフェルのより大規模で生産効率のいい鉱山との競争を考えると、現実的ではありません。

成功の見込みがありそうな事業の可能性は2つあります。まず、大型の水晶を装飾用として採掘できるかもしれません。この鉱山の上部を通っているクジャク石の鉱脈層は、溶かして金属様の碧水晶にするには役立ちませんが、とてもきらびやかです。アラヴェリスのクジャク石は武器や防具へ使うには脆すぎるとしても、建築素材の石にする程度の質は間違いなくあります。

次に、私は鉱石の中に特別なアルケインの共鳴があることに気づきました。適切な利害関心(あるいは風変りな趣味)を持つ魔術師なら、ここにあるものに大金を払うかもしれません。しかし、そんな客がどれくらいの数いるものでしょう?

手短に言えば、アラヴェリス鉱山は確かにはした金で購入できます。しかしここを黒字に変えることはできないでしょう。大きなクジャク石の水晶を、ただの水晶として欲しがるような客が見つからない限り、投資する理由はありません。

私は数日間滞在してからサイレン・ヴァルゲイトに戻る予定です。宿屋は快適ですし、ここにいる間、近くの地方を探検しようかと思っています。

敬具、
調査員テニス・ヴァション

あらゆる魔術師に死をDeath to All Mages

我が子の上に立ち、死体から漏れ出る温もりを感じた時、私に理解できたことは一つだけだった。トゥウェルヴェインがいなければ、こんなことにはならなかった。あの悪魔は、自分の魔術ならジャヴァラを冒していた衰弱の病気を治せると言った。あの女の薬はジャヴァラの苦しみを軽減するだろうと約束したのだ。だがそれは嘘だった。あの邪悪な液体がジャヴァラの口に入った瞬間、恐ろしい悲鳴と共にあの子の生は終わりを告げた。

魔術師は皆嘘つきだ。治せると主張するが、奴らの行いは苦痛と死を生むだけだ。たとえ本気で治すつもりでも、奴らの力は邪悪だ。

私たちは力を合わせなければ。失ったものすべてのために。まだ守れる人々の安全のために。あの魔術師たちは害悪だ。奴らの病気が街全体を覆いつくす前に、抹殺しなければならない。

魔術師や魔術を使う者はすべて殺せ。だがトゥウェルヴェインは私のために残しておけ。

元アルカニスト、ヤセイラ

アラロス・サーヴロシの墓石Aralos Sarvrothi Gravestone

アラロス・サーヴロシの遺体
サーヴロシ家の
トリビュナルからの離脱の罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

アルカニストとは何か?パート1What’s an Arcanist? Part 1

ガブリエル・ベネレ 著
グウィリム大学の月間回覧向けに書かれたもの

アルカニストとは何者でしょうか?私はこの質問を少なくとも十数人の学生と、その半分ほどの数の教授から受けましたが、作り話だと思われないような答えを思いつくために大変な苦労をしています。まずは基礎から出発しましょう。スイートロールにアイシングを追加するくらい簡単な部分から。

体系化された神秘術

組織的なアルカナムについての短い余談から始めましょう。あなたが私のように、ここ数年間で何人かの冒険者と話す機会を得ていたら、大学の布告を見逃したかと思わせるような用語が投げかけられるのを耳にしているはずです。「テンプラー、ウォーデン、ナイトブレイド」といった、究極的には実地の教育者にとって大した意味を持たない肩書きです。

魔術が何で「ある」かについて何らかの合意を得ることがほぼ不可能な時代において、なぜこうした用語に意味があるのでしょうか?それこそが目的ではないですか?今の流行を支配しているアルケイン思想の、形式にこだわらない性質を見れば、どんなものであろうと分類が存在することが、いかに有意義で魅惑的に思えるかわかるでしょう!

最近のインタビューで、我らが魔術師ギルドのデュレフがウォーデンとは何かについて論じているのを読めば、こうした肩書きが世界中の学ある人々にとってどれほどの可能性を秘めているかを理解できるでしょう。

(余談になりますが、私がシャド・アツーラ大学にいた時の体験を元に書いた「魔法の流派」を参照してください。ヴァヌス・ガレリオンからの拒絶の手紙が増え続けている事実から、彼はまだこの主題に関心を持っていない可能性が高いのですが、皆さんの中には関心のある方がいるかもしれません)

学識と機会の書物

さて、私の解答は十分に表現したので、直接質問に答えましょう。私の知る限り、アルカニストとはアポクリファの力に触れられた神秘の書物から学ばれ、そこから力を得ているアルケインの呪文形態を利用する魔術師です。

学識ある大学のメンバーの多くは知っているとおり、「オブリビオンの領域」はスペクトルに沿って点が存在しているのと同じ程度には特定され、制限された物理的な場所に存在しています。私たちは詳細な文献により、生物や呪文の技術が、オブリビオンの領域に転送された定命の者さえ、その領域を支配するデイドラ公の影響により順応か変化することを知っています。

アポクリファの場合、ハルメアス・モラによって選ばれた(課せられた?)メタファーは広大な蔵書庫です。そのため、領域に進入する獣がその場所に適応して変化するのと同様、存在している領域の一部分が、自らに与えられた神秘的メタファーに適応して変化することも理解できます。要するに、この「書物」はアポクリファそれ自体の一部という仮説を立てています。オブリビオンの基体が姿を変え、ニルンと決定的なことに、定命の精神に住み着いたのです。

アルカニストとは何か?パート2What’s an Arcanist? Part 2

ガブリエル・ベネレ 著
グウィリム大学の月間回覧向けに書かれたもの

深淵の海の流れ

では、アルカニストは何をするのでしょうか?デュレフはウォーデンとは何かを説明するのに苦労していましたが、私もこの呪文使いを分類するのに困難を覚えています。大まかな説明を試みますが、完全なものでないことを予め断っておきます。

アルカニストの呪文詠唱はいくつかの力のあるメタファーを使用します。それぞれのメタファーはとても強力な作用を生むようです。すべての魔術師は様々な種類のルーンを使用しますが、アルカニストが用いるルーン技術は極端に綿密です。

こうしたルーンフォームは強力なビームの放出、ほぼ貫通不可能なスペルアーマー、それに様々な可能的帰結を伴う――あえて「独創的な」と言っておきますが――回復呪文を可能にします。ルーンと言語はアルカニスト神秘術の基礎を成す部分であるようです。他のメタファーも個々の呪文使いによって様々に利用されていますが、ルーンを刻み込むことで現実を形成し、変化させる発想はすべてに共通しているように思えます。

占いし者の領域とのつながりを考えれば、複数の共通する呪文技術に触手が一定の役割を果たしていることは、おそらく読者も驚かないでしょう。攻撃手段として、この方法はとても見事かつ不快です。私はアルカニストを自称する者が素早く触手を召喚し、グレナンブラの郊外でアンデッドの群れを撃退する光景を直接見ました。視覚的にも嗅覚的にも、音響的にも忘れがたい経験でした。

もう一つの一般的なメタファーは、アポクリファを規定するある特徴から引き出されています。それはこの領域の大部分を占領している深淵の海です。深淵の海の沖合は私が知っているどの研究者によってもまだ十分に探索されておらず、あのインクのような水の深部は、おそらく生者の記憶が想像する以上の秘密を飲み込んできたはずです。波や渦、波浪や浅瀬など、このニルン外の海はアルカニストにとって強力な魔術の源泉であり、彼らはその水をいとも簡単に自分の意思で転送し、形成できるようです。

運命それ自体が、アルカニストの道具箱における鋭利な武器となります。私はアルカニストが、狡猾で面白い方法を用いて周囲の確率を変化させるのを見てきました。アポクリファの公が有していると言われる、運命視の反響です。

以上のことをどう考えるか

大学に警鐘を鳴らし、私たちの世界ではよくあるように、我々の目前で新しく強大な神秘の力が威信を高めてきていると宣告したくなる気持ちも、理解できないではありません。だが真実はもう少し複雑だと私は考えています。この現象を研究した結果、私は「アルカニスト」がしばらく前から私たちの中に存在していたものの、おそらく別の形式で、人目を引く呼称を持たずにいたのだと考えています。

また指摘しておくべきこととして、デイドラ公の間におけるハルメアス・モラの「役割」は、こうした呪文使いが用いる神秘的なメタファーに重大な役割を果たしているものの、全面的にアルカニストが秘密の領域に対して持っている関係によるものであり、デイドラ公自身とは関係していません。事実として、私が最近話を聞いた複数のアルカニストは知識のデイドラ公に対して深い不信や、憎悪さえ表明していました。もっとも、不可避の知者に対して信者のような熱狂を示す者もいましたが。

タムリエルの魔術は私たちの学術論文や見事な歴史書が認めるよりも、遥かに多様かつ独特だと申し上げましょう。私はあなたの注意をアルカニストという現象に向けることによって、あなた自身の地域や街にも、新しく刺激的なメタファーの組み合わせが出現していることに気づいてもらえるのではないかと考えています。

ある召使の物語A Servant’s Tale

奴らはろくでなしだ。魔術師のふりをしているだけの、軟弱で甘えた愚か者たちだ。

あの間抜けの雇い人、ハルグロドの地位はどう考えてもすぐに剥奪し、ふさわしい者に明け渡すべきだ。スペルライト・ヴァースヴァのもとで奴がどうやってあの地位を得たのかは、ソーサ・シルでさえ解き明かせない謎だ。

泣き虫のバルヴァーはいつも泣き言ばかりの愚かな家臣で、自分の計画が気づかれていないと思い込んでいるが、私の目はごまかせない。奴は背中を向けて、自分は安全だと思っている。だが、私は奴の動きをすべて見ているし、奴の計画も知っている。しかも、奴からは酷い臭いがする。

そして誓約者ラルロがいる。育ちの悪い成り上がりで、遅かれ早かれ失脚する奴だ。短期間は地位を保つかもしれないが、奴が脱落するのは早いほうがいい。奴の傲慢を利用してやる。

スペルライト・ヴァースヴァとモランは私がこの馬鹿どもの誰よりも価値ある存在だと気づくだろう。魔術を形成する私の能力にはまだ改善の余地があるが、私はまだ召使でありながら、その野心はすでに最高位の賢者をも上回るほどなのだ。私だけが地位を動かし、奴らのいなくなった隙間を狙い、素人には見えない機会を作り出すことができる。

賢者たちも自分たちが見逃していた才能にすぐ気づいて、鋭い知性と巧みな手腕が役に立つことを知るだろう。チャンスを作ることさえできれば。

エリストレネ・スターフラワーへの手紙Letter to Elistrenne Starflower

愛しいエリストレネ、

新しい隠れ家の用意ができた。デシャーンの忘れられた墓地にある。そう、君がやめようと言った場所だ。鍵を同封してある。以前の契約者が鍵を誤った者の手に渡して問題になったことがある。肌身離さず持っていてくれよ。いいな?かばんに入れて放置しないように。

それから、どうか近いうちに訪ねて来てくれ!夜のごとく鋭き者が追ってくるのを待っているんだが、退屈で死にそうだ。痕跡をうまく隠しすぎたかもしれない。

あと、もうお気に入りのペットを自分で手に入れているのなら、ぜひ連れてきてくれ。こっちには夜のごとく鋭き者の妹がいる。彼女のことは多分話しただろう。「鈍い」ほうだ。会話していても彼には到底かなわない。さらに悪いことに、彼女は調整のプロセスに抵抗している。まったく。遊びに来てくれ!この退屈から救って欲しいんだ。

近いうちに話そう、
ソンディヴェル

エロヴル・アラーンディルの墓石Elovul Alarndil Gravestone

エロヴル・アラーンディルの遺体
アラーンディル家が
ネレヴァリンの歌を冒涜した罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

オブリビオンの入口の指示書Oblivion Gateway Instructions

この指示に文字通り従うこと。少しでも指示から外れれば、予測にない、おそらく破滅的な出来事が生じるだろう。

ブライトクラウンの薬と、ヴァルミーナから受け取った夢のエキスが石に組み込まれた。トーヴェサードは位置の情報を提供し、私はすべてをつなぎ合わせる呪文を作りだした。

キーストーンが設置されたら、門の用意ができる。トーヴァサードが指令を出すまでは起動しないように。門が開くたびに、ハルメアス・モラが侵入に気づく可能性が高まる。

アポクリファに到達するための呪文を以下に記す:

第七の影と陰鬱の名のもと、
セファリアークの神殿よ、開け。

マスター・シェルレニ

オペレーション・サイフォンの報告Report on Operation Siphon

ラルズ評議員、

アルド・イスラにおける我々の作戦は未だに発覚していません。我々がマスター評議会の内部に設置した情報源は定期的に連絡を取り、機密文書を横流ししています。この情報源の価値は計り知れません。支払ったゴールドには十分見合います。

あなたは我々が安全に情報をやり取りする手順を詳しく説明せよとお求めになられた。毎週日耀と央耀の夜遅くに、トレデシムは北にあるこの地域のカゴーティの巣の中に新しい情報を入れた箱を隠すのです。その後我々は水耀と木耀の朝に書簡を回収します。テルヴァンニのマスターに直接の力添えをするなら、もっと臭いの強烈でない場所を選びたいところですが、成果は否定できません。

トレデシムが積極的に情報を提供してくれるのは実にありがたいことです。傲慢か欲によるものかは不明ですが、奴の口の軽さには万金の価値があります。このレベルの協力者を手に入れるために、幾季節も努力したかいがありました。

我々の作戦の現在の段階はもうすぐ終わるはずですが、機密情報の流入は将来に備えて維持しておくつもりです。

我らが名家のために、
タネル・ドーレス

ガドリからフェデロへのメモNote from Gadri to Federo

フェデロ、

一つ頼みがある。この顧客にはもう俺を使わないでくれ。

仕事自体は構わないが、こんなコソコソしたやり方は報酬の割に合わない。ただでさえ、ドワーフ遺跡の橋の近くにある秘密の扉を通って、秘密の拠点に行くんだぞ!他の契約者には、扉自体のそばに鍵を置いていくと伝えてくれ。それなら見つけるのに大した手間はいらないだろう。

よし、これで文句は終わりだ。今のところはな。俺はグニシス付近で数日泊まるつもりだ。他にやることがあったら言ってくれ。なければ、報酬をどこに送るのか教えて欲しい。

ガドリ

カモンナ・トングの暮らしLife in the Camonna Tong

ゴヴァル・サドリオン 著

ゴヴァル・サドリオンについて最初に知っておくべきことは、俺が密輸業者ではなく、酒場の喧嘩屋だということだ。俺の知識は誰に教わったものでもない。血とあざの教訓を通じて自分で学んだものだ。口で拳を受け止める方法を学ぶまでに、結構な数の歯を失った。素早く身につけた教えもあるが、いくつかは学ぶのに時間がかかった。

小さい頃は物がなかった。小さな家に、泥だらけの床。両親は貧相な自分の土地で一日中働いていたが、生活は潤わなかった。俺たちは自分の家の中でクズのような生活をしていた。泥の上で眠り、泥の中で働き、食料が足りない時は泥を食いもした。それでも、両親は誇りを持っていた。頑固な土の塊から、家庭を一つ作り上げたのだから。

だから誓約者が父について嫌味を言い、雇い人が母を見下した時、俺は何をすべきだった?奴らの侮辱をそのままにしておく?ありえない。俺はいわゆる名家の助けを得ることなく家族を、家庭を一つ築くのがどれだけ大変か知っている。あのクッションに座ってぬくぬくと肥えるだけの連中に、俺たちを見下す資格なんてない!

若い頃はかなりの数のクズどもに絡まれた。数えるのも面倒なくらいよく痛めつけられた。だが偉そうな連中が俺たちを下衆と呼んでくる限り、俺は反撃した。母は言葉が拳よりも痛いと言っていた。傷つく言葉はよく聞いたが、俺の拳はそれ以上に痛かったはずだ。

収穫が悪かった時は、父はスジャンマに溺れた。大きなジョッキで何杯も。飲みすぎた後の不愉快な臭いが家中に広がった。母は必要な分を越えては金貨1枚も使いたがらなかった。母は外に出て苦い野菜を引き抜き、生で食った。俺たちが見つけた時、母は寒さで凍結していた。

それだけ苦労して得たものは何だ?自分の農場の土で凍りついた母親と、胃の内容物を肥料にする父親だ。両親は誰よりもよく働き、俺たち全員に同じ生活を強いた。何のために?多分それが母から教わった最後の教訓だ。人生の運命を受け入れたら、死ぬまで馬鹿にされて、叩きのめされるだけだと。

その後はすぐに立ち直って自立するようになった…と言いたいが、そうはしなかった。酒場の喧嘩屋だったと言ったのは覚えているか?俺は昔身分の低い名家の連中と喧嘩したこと、俺を鼻で笑ったあのクズどもに仕返しするのが爽快だったことを思い出した。俺はもっと喧嘩を挑んだ。長い間、戦って過ごしていた。俺の拳は変わった。言い返してくる馬鹿どもを殴って黙らせるのが上手くなった。俺より殴るのが上手い奴もかなりの数いたが、そういう連中の大半はどこかのトングに属していたから、それほど気にはしなかった。

俺は多少の注目を集め始めていたらしい。タフな野郎だという評判が生まれ、それでどこかの血に飢えた戦士たちが感心して、ある夜コーナークラブで俺に接触してきた。酒をおごろうと言われたが、断った。アルコールは父のゲロの臭いがするから、飲めたものじゃない。連中はそれでなおさら感心したようだった。こういう奴を雇いたかったんだと連中は言った。当時俺はそれを聞いて、物に釣られない賢い奴という意味だと思っていたが、今では俺がやった殴り合いのことだったのを理解している。連中は安定した仕事と旅行の機会、さらに母をネクロムに送ってまともな埋葬をしてやれるくらいのゴールドを約束した。それに、奴らは俺たちを破滅させたクズどもに報復する機会もくれると言った。

クズどもは綺麗な服を着て、本物のベッドで寝ているのに、なぜ俺はずっとあんな生活をしなきゃならない?なぜ俺は土を耕して、土と泥にまみれなきゃならない?俺にはもっとマシなことがやれる。もっとマシな生活をする資格がある。

だから俺はカモンナ・トングに入った。連中の言葉は正しかった。支払いはいい。いつも仕事はあるし、正しい人々の関心を買う方法もある。まださらなる戦いが待っているし、叩きのめすべきクズがいて、今はそいつらを実際に叩きのめすことができる。あんなに沢山の鼻から血を噴き出させたのも、あんなに色々な連中の態度を改めさせてやったのも初めてだった。そのうち、奴らは皆俺を恐れるようになった。少なくとも、俺の拳が引き起こす苦痛を恐れていた。

ここでは俺は尊敬されている。前の季節にはトロールを1匹殴り倒した。それで俺は追加のゴールド1袋と、ネクロムに母を訪ねるための短い休暇をもらった。母は俺を誇りに思っている。男前になったと言ってくれた。やっと十分な食事ができるようになったねと。危険な仕事なのは気に入ってくれなかったが、俺の両親には反抗する勇気がなかった。両親は人生から与えられた以上のものを取ることを知らなかった。俺は知っている。

母は言葉は拳よりも痛いと言っていた。俺は拳も受けたし、言葉も聞かされた。もうどっちも痛くない。俺は痛みを利用して強くなる方法を身につけた。たとえ、カモンナルーンに帰る途中でニレラがトロールに殺されたように、俺が何かに殺されることがあったとしても、俺は少なくとも出発点よりはマシなところに行けたんだ。俺は死ぬまで、この人生から俺が得て当然のものを取り続ける。それがカモンナ・トングのやり方だ。

サヴィエニー・マヴリンの墓石Savienie Mavlyn Gravestone

サヴィエニー・マヴリンの遺体
マヴリン家が
偉大なるヴィベクを疑った罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

サシルの研究メモSathile’s Research Notes

疑念がネズミのように心に這いあがってきた時は、自分が正しかったことを思い出すようにしている。私は正しい。彼の死は無駄ではなかった。私の仕事はもうすぐ、もうすぐ成果を挙げる。我々は発見に近づいている。きっとそうだ。

デルモン胞子サンプル1105号
さらに高速で生命体を分解している。前例がないほどの速さだ。胞子の攻撃性は被験者の感情の乱れが激しくなるにつれて増大する。私の計算では、サンプル902号から計測された激しい感情的執着以来、壊死の速度は二倍になっている。何かのきっかけでより強力な反応が起きたら、私の結界では防げないかもしれない。

対処法
被験者が感情的な均衡を回復するまで、徹底的な隔離と一日2回の病棟の清掃を行うこと。被験者の執着や苦悩から考えると、これにはしばらく時間がかかり、私の魔術と体力にかなりの負担をかけることになりそうだ。結界の規模を縮小し、より小さな隔離地区を用意しよう。感染が拡大するか、状況が危険すぎると判断される場合は鎮静物質の使用も考慮する。

被験体
確保して牢屋に入れてある。外見上はテストしてよさそうだ。そこで次の問題が生じる。

治療合成シリーズ6905-6999号
もっと頼れる協力者が見つかるまでは封鎖中。召使の女ダシアを手放したことを後悔しているが、この状況はすでに危険すぎた。どこから頼れる協力者を手に入れればいい?奴隷では私の要求に合致しないし、奴隷は詮索しすぎる。最近はフェデロでさえ傭兵を維持するのに苦労していると聞いている。だが私に傭兵は必要ない。研究助手すら不要だ。欲しいのは私がもう一人。あの問題には自分で対処したいが、ここ20数年、私の手はこの件で塞がっている。

サンヴィス・ゴルサシンの墓石Sunvys Golsathyn Gravestone

サンヴィス・ゴルサシンの遺体
ゴルサシン家が
よそ者と共謀した罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

シャデヤからの身代金を求めるメモRansom Note from Shadeya

盗賊、

お前はシャデヤのことを知らない。だが長老エイリース・ドロはこの者に奴のちっぽけな陰謀と、お前の関与を教えてくれた。

シャデヤはあの行商人どもから受け取るわずかなゴールドよりも、護符のほうがいい金になると考えている。

長老とその残された家族に生きていて欲しければ、キャンプ東の放棄された基地に護符を持ってこい。

妙な真似をすれば、この基地をバーンダリの血に染めてやる。

シャデヤ

ソンディヴェルの日記Sondivel’s Journal

ついにやった。この金属、ティラナイト・カルクスは適切な熱と魔術を加えることで展性が生まれる。結合はアルゴニアンの鱗に対してサラマンダー以上に大きな刺激と興奮を引き起こす。しかし、私の影響下にある被験者は炎症にも刺激にも一切文句を言わない。私の最新のシリーズで、被験者たちは完全な暗示の影響下にあり、私の指示をすべて明確かつ熱心に遂行する。私の意思が彼らの欲望だ。彼らは意識明瞭に見えるが、調和を外されると元に戻る際に記憶の間隙が生じ、まるで何も起きなかったかのように振る舞う。

夜のごとく鋭き者が発揮したような、模範的な意志力と抵抗力による「突破」はもう起こらないだろう。彼を探し出して再び調和させたら、彼の記憶は戻り、これまでどおり「鋭く」なる。彼の厄介な自由への欲求は除くが。とはいえ、あれのせいで彼は私にとって特別な存在だった。この躍進は彼のおかげなのだから。

初期の実験で破滅しかかった後、ここにいることだけでも満足を覚える。我が野望は愛する人々に過大すぎた。多くの友を失い、都合の良い婚約者も失った。孤独になった時、夜のごとく鋭き者は奴隷の一群の唯一の生き残りだった。大変な強さだ。以前我々が交わした会話が懐かしい。奴隷以外でも、夜のごとく鋭き者ほど私のアイデアに反抗した者はいなかった。あれに匹敵する話相手はいない。あの反抗心がいつも、私の霊感を燃え上がらせる刺激になった。私の計画という剣のための砥石だ。彼は私の完璧な実験、私の最後の試練だった、いや、今でもそうだ。無理矢理私の手から奪われたことで、彼は私に関する記憶を失ったが、腹を立てる気にはなれない。彼を失わなかったら、どう考えてもこの躍進を手にすることはなかっただろう。彼を私の意思に従わせ、かつあの特別な性質を無傷のまま保つことができたら、それは私が成功した証だ。私の名はネクロムからダガーフォールに至るまで、すべての魔術師の耳に鳴り響くだろう。しかしそれも夜のごとく鋭き者を取り戻すことに比べたら、小さな成果にすぎない。手の届くところに置いておくだけでは足りない。彼に手を噛みちぎられる不安なく、私の手から食べ物を与えられるようにしたい。私が欲しいのはあの鋭い舌であり、爪ではない。

私は何度も再会を思い描いてきた。きっと彼は自分の記憶を欲しているだろう。でなければ、私を探し出して殺そうとするはずがあろうか?あの男が自分の言うよりも遥かに好奇心を抱き、警戒していることは、私の有利に働く。当の本人は自分が失ったものを惜しんでいると認めないだろうが、私なら必ず、彼を完璧にしてやれる。

ただあの男を見つけ出せばいいのだ。

ダスクセイバーについての報告A Report on the Dusksabers

レンシアス大司教
シェイディンハル、アーケイ大礼拝堂

閣下

本日はハルルンの監視所での事件に関する調査について報告いたします。閣下もおそらく覚えておいでかと思いますが、ブラヴィルのある強盗団が、街の廃墟で野営している間に壊滅させられました。唯一の生存者は影を蠢く剣と、血を滴らせた牙を持つ怪物について語りました。

明らかに、これは地域のゴブリン部族の仕業ではない。それゆえ襲撃を行った怪物を追うため私が派遣されたのです。

私はブラヴィルの生存者に話を聞き、ダスクセイバーという名を知りました。この吸血鬼たちは高度な技術を持つ傭兵として働き、腕(と牙)にものを言わせて、報酬を支払う顧客に特別なサービスを提供しています。今回の場合、ダスクセイバーはあるテルヴァンニの魔術師に雇われ、ブラヴィルの強盗が探していたものと同じ、アイレイドの財宝を入手しようとしたのです。

私はこの脅威を排除するためモロウウィンドへ向けて出発しました。我らの教団員はトリビュナル聖堂の地では歓迎されないことを考え、変装に身を包んで旅をしました。ダスクセイバーのような怪物たちがどこに隠れようとも、アーケイの神聖なる裁きから免れさせるわけにはいきません。

ヴォスの酒場にて、私はダスクセイバーを見つけた…というより、彼らが私を見つけたのです。私はある怪しいダークエルフを観察し、彼が立ち去るのを待って隠れ家まで追跡しようと考えていました。しかし日が暮れてもこの男は去ろうとせず、私がついに諦めると、彼は立ち上がって近づいてきたのです。

「もう出ていく必要はないぞ、司祭」と彼は牙をきらめかせて言いました。「ここに残っているのは我々とお前だけだ」

この建物に残っているダークエルフたちが全員、飢えた真紅の目で私を見ていることに気がつきました。私は自分の不注意を呪いながら、アーケイの光に呼びかけ、命を捧げようと身構えました。しかし私と向かい合った吸血鬼は片手を上げました。「我々はそのためにいるのではない」と彼は言い、私の向かい側に座りました。

「では、何だ?怪物と口論する気はない。殺すなら殺せ。トリビュナルのオーディネーターが仕事を引き継いでくれる」。私はそう尋ねました。

「私のためを思っての警告だとでも言うつもりか?」と私は言い返しました。

「警告は我々のためだ。お前の教団にメッセージを持ち帰ってもらいたい。お前たちがテルヴァンニ半島でダスクセイバーを襲えば、それは我々を雇っているマスターを襲うのと同じことだ。テルヴァンニのマスターと争う意思があるのか、よく考えろ。その覚悟がないなら、どこか別のところで吸血鬼狩りを続ければいい」

「お前たちを雇っているのはどのマスターだ?」と私は聞きました。

「どのマスターもだよ。時期によって変わるがね」と私の敵は冷たい笑みをたたえながら言いました。「我々はとても有能なんだ。さあ、行け」

私は気が進まないながらも去りました。勝ち目の薄い戦いを始めるよりも、このメッセージを修道院に届けるほうがよいと判断したのです。

閣下もご存じのとおり、ここに我々の仲間はほとんどいません。テルヴァンニは彼らの中に吸血鬼がいても、それがいずれかのマスターの役に立っている限り、まったく問題なく受け入れる連中です。そしてダスクセイバーは実際、非常に役立っているらしいのです。

あなたの僕、
礼拝堂衛兵、エラティオ・フレンナ

ダスクセイバーの報告Dusksaber Report

指示通り、私はダスクセイバーの部隊を集め、テル・レンディスに野営地を設営した。我々はすぐに行方不明の賢者の防備がまだ機能しており、極めて危険だということを突き止めた。この場所を3歩も進めば、怒れる精霊に気づかれてしまう。簡潔な調査で明らかになったことは以下だ。

賢者の塔:閉鎖中
馬小屋:破壊されている
召使の部屋:特別なものはない
旧広間:奇妙な結界によって守られている
食堂:精霊に守られていた。現在は安全
客室:精霊に守られている

マスター・シェルレニが到着するまで、戦いを続ける理由はない。彼女は間違いなく不満を示すだろう。

ダスクのゼンフィス隊長

ダスクのゼンフィス隊長からの命令Dusk Captain Zenfis’s Orders

ダスクセイバー

マスター・シェルレニはテル・バロ塔の入口を塞ぐため、新たなアルケインの結界を設置した。警戒は怠るなよ。この結界は彼女がより恒久的で持続力のあるものを召喚するまでの、一時的なものにすぎない。

お前たちの中で塔に入ることを許可されたごく少数の者たちだけが、一時的に結界を解除して中に入れるようにするため、テル・バロの紋章が必要になる。紋章がないなら、塔の入口に近づいた時の責任は負えない。

塔の洞窟全体に、4つの錠が設置されている。

ダスクのゼンフィス隊長

デイドラ崇拝とダークエルフDaedric Worship and the Dark Elves

ゴトルフォントのハデラス 著

モロウウィンドのダンマーはいくつかの宗教的伝統に従っている。相手によっても異なるが、第一にして最大のものはトリビュナルの生き神、すなわちアルマレクシア、ヴィべク、ソーサ・シルの崇拝だろう。ダークエルフ文化の変わらぬ特徴の一つは、先人の霊魂に向けられる敬意と崇拝を中心としている。どちらの伝統も名家のダンマーによって実践されているが、アッシュランダー・クランは特定の先人と三柱の「善なる」デイドラ――アズラ、メファーラ、ボエシアを崇拝する。アッシュランダー・クランはトリビュナルの神性を拒絶している。

では、ダークエルフたちはいかにしてデイドラ崇拝とそれ以外の宗教的伝統を共存させているのだろうか?すべては彼らの先人崇拝への傾向に遡る。というのも、ダークエルフは(彼らの言い方によれば)善良なデイドラをすべてのダークエルフ民族の祖先と見なしている。これはトリビュナル神学にさえ組み込まれており、これらのデイドラ公は三大神の「守護者」であるとされている。

善良なデイドラが存在するなら、邪悪なデイドラもまた存在すると考えてよい。ダークエルフにとって、それは災厄の四柱神という形態を取り、これはまた敵対者、試す神々としても知られている。デイドラ公メエルーンズ・デイゴンとシェオゴラス、マラキャス、モラグ・バルがこれに含まれる。これらのデイドラ公に捧げられた古代の聖堂はモロウウィンド中に見られ、一部の主張するところでは今日に至るまで秘密裡に崇拝されている。

デイドラ崇拝のその他の例は、他のデイドラ公信仰も含めて、ダークエルフの地でもそこかしこで見出されるが、最も有力なのは上記の崇拝形態である。トリビュナルと名家の支配下にある、いわゆる文明化された街では、聖堂のオーディネーターが熱心に異教の教えを狩り出しており、大半のデイドラ崇拝がその対象となっている。

デイルデラ・ギルロムの墓石Dayldela Gilrom Gravestone

デイルデラ・ギルロムの遺体
ギルロム家の
モラグ・ガルの冒涜の罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

テルヴァンニ家の歌House Telvanni Song

どのようにしてテルヴァンニ家で
頂点まで這い上がるか?
どのようにしてテルヴァンニ家で成功し
ナイフを背に突き付けられながら生き延びるか?

嘘つきの雇い人の底辺から始まり
家臣から誓約者へと昇る
法執行官に到達して休む者もいる
高みへ登るのは疲れるから

どのようにしてテルヴァンニ家で
頂点まで這い上がるか?
どのようにしてテルヴァンニ家で成功し
裏切りと嘘に耐えられるか?

次の歩みで代弁者となる
マスターや賢者を代表する
その上にはスペルライトと魔道師
塔が育つように高く登る

いつか我々はマスターとなり、高みから導く
賢者の影響が強くなる
その時望み、計画し、夢を見られるだろうか?
全てを統べるアークマギスターに

どのようにしてテルヴァンニ家で
頂点まで這い上がるか?
どのようにしてテルヴァンニ家で成功し
真実が希少で裏切りが安い場で生き延びるか?

テルヴァンニ家の地位と肩書きRanks and Titles of House Telvanni

学者アンドゥンリリーによって、アリノールのアルウィナレ女王代理の宮廷のために作成された報告書

宮廷の皆様方にご挨拶を申し上げます。

私はアルドメリ・ドミニオンの魔術師にして顧問であるペネウェンの依頼により、ダークエルフとも呼ばれる我らの親類ダンマーの社会について説明し、要約する役目を仰せつかりました。ダークエルフは諸々の家に分かれ、それらすべてに固有の内部社会組織があります。本報告は最も複雑な層構造の社会を有するテルヴァンニ家のダークエルフにほぼ限定してお伝えいたします。以下に記すものがテルヴァンニ家の地位です。

「奴隷」は通常、社会的地位に含まれません。所有物と考えられているからです。ダークエルフの家の大半は、エボンハート・パクトに加入した際にこの忌むべき実践を放棄しましたが、テルヴァンニ家は奴隷制を伝統とみなし、奴隷の所有を地位の証と考えています。

「雇い人」は地位と認められている中でも最下層の存在であり、高位のエルフ家によって直接雇用されている自由人を指します。この地位に含まれるのは主に召使、書記、傭兵といった者です。雇い人は望むままに受け入れることも追いだすこともでき、タムリエルのどの民族でもよく、打算的なテルヴァンニには使い捨ての手駒として扱われています。雇い人の家族は独立した存在であり、正式に家の一員と見なされることはありません。

「家臣」は雇い主の家へ正式に受け入れられた雇い人です。家臣はより恒久的な仕事や住居を持ち、テルヴァンニの誓約者と直接やり取りします。家臣は家の許可があれば結婚も可能で、自分と同じ地位の者と結婚する傾向にあります。家臣の子もまた家臣と見なされています。

どのテルヴァンニの家も、その大部分は「誓約者」で占められています。他の名家もまた雇い人、従者、誓約者の地位を用いますが、テルヴァンニは他の名家よりもこれらの地位を強調する傾向にあります。誓約者の活動にはより自由が認められており、家を補佐するため個人的に行動することが期待されています。誓約者の子は誓約者と見なされます。

「法執行官」、「スペルライト」、「代弁者」はどれも、専門化された誓約者です。これら3つの集団は、自らを一般的な誓約者よりも優れた地位にあると見なしています。法執行官は衛兵や看守など、複雑なテルヴァンニ法制度の公的な代弁者です。スペルライトは中堅クラスの力を持つ魔術師であり、しばしば初めて大きな責任を担わされた見習いが就く地位です。

テルヴァンニの「代弁者」はより大きな責任と、より高い地位を担う存在です。彼らはより強大な魔術師(魔道師やマスター、賢者、アークマギスター)に仕え、その公的な発言を代弁し、大部分の領域で代理人の役目を果たします。彼らは主人の声で語り、行政事務を動かす存在です。各代弁者は、自らの主人の代理として大きな権力を有しています。

「魔道師」はテルヴァンニ家において最初に真の権力を有する地位です。このレベルの地位を獲得したテルヴァンニの魔術師は誰でも、マスターや賢者を含むより大きな地位を目指すことができます。

「マスター」は強大な力を持つ貴族の魔術師によって構成されています。マスターはテルヴァンニ家の評議会に一つ以上の席を得ることができ、その中にはマスター評議会や権威あるテルヴァンニ評議会も含まれます。評議会への所属権は評議会そのものへの招待状です。アークマギスターが評議会を率い、評議会はテルヴァンニ家に対する主要な脅威に対処する責任を担います。また危機の時にはホーテーターを選抜する役目も担っています。

「ホーテーター」は希少かつ、一般的に特異な性質を持つ地位です。ホーテーターはどのダークエルフ名家にも存在し、テルヴァンニ社会では非魔術師が占める最高の地位です。ホーテーターは危機の時代に任命され、広範な権威を与えられます。過去のホーテーターには強力な戦士や才能ある誓約者、さらにはオーディネーターも見受けられます。ホーテーターは緊急事態が持続している間のみ、戦争の指導者の役割を果たします。ホーテーターはマスターよりも上の地位ですが、マスターはホーテーターの権力をいつでも棄却できます。

「賢者」はマスターの地位を獲得した魔術師の中で最も強力な者を指します。合意によって得られたにせよ、別の方法によって他のマスターたちを納得させたにせよ、賢者の肩書きはその魔道師がアークマギスターと対等か、あるいはそれ以上の力を持ち、アークマギスターの地位に挑戦する資格を持つと見なされていることを意味します。

「アークマギスター」はテルヴァンニ家公式のリーダーであり、テルヴァンニ評議会によって選出されます。現在のリーダーはネロス・オセリで、この人物には自分の書斎で孤独に過ごす以外の望みはありません。評議会の残りの者の大半はこれと同じ考え方を持っているため、彼の支配は未だ脅かされていません。テルヴァンニ家の危機が速やかに、かつ静かに、他の者によって処理されている限り、オセリの支配は安泰でしょう。

地位を上げることは努力によって可能です。空いている地位の数は限られているため、昇格には激しい競争が伴い、地位の低いテルヴァンニはしばしば陰謀(政治あるいは毒)によって上位者を取り除き、昇格のための機会を作ろうとします。

この最後の特性により、外部勢力が地位の低いテルヴァンニを利用して騒乱を引き起こし、問題のあるリーダーをより受け入れやすい者に置き換える機会が生まれやすくなっています。野心のある個人なら、テルヴァンニ家が弱体化するような状況を容易に作りだせるでしょう。この方面に関してはさらなる調査を行う価値があると思われます。

テルヴァンニ家の歴史概説A Brief History of House Telvanni

学者アンドゥンリリーによって、アリノールのアルウィナレ女王代理の宮廷のために作成された報告書

宮廷の皆様方にご挨拶を申し上げます。

私はアルドメリ・ドミニオンの魔術師にして顧問であるペネウェンの依頼により、ダークエルフとも呼ばれる我らの親類ダンマーの社会について説明し、要約する役目を仰せつかりました。ダークエルフは諸々の家に分かれ、それらすべてに固有の内部社会組織があります。本報告は最も複雑な層構造の社会を有するテルヴァンニ家のダークエルフにほぼ限定してお伝えいたします。以下に記すものがテルヴァンニ家の簡潔な歴史です。

テルヴァンニはチャイマーの末裔であるダークエルフの名家です。チャイマーは我らの祖先アルドマーの子孫でした。彼らは反乱軍の予言者ヴェロスの指揮の下で我らの地を去り、現在ではモロウウィンドと呼ばれている、大陸北西部に居を据えました。この時代のテルヴァンニは第一公会議の一員としてドワーフとドレロス家に敵対していました。テルヴァンニはまた、レッドマウンテンの戦いですべてのダンマーが経験した変化の影響を受けました。

レッドマウンテンの戦いの直後、勝利したダークエルフの家がモロウウィンドを支配し、テルヴァンニはその中でも筆頭の存在でした。しかしこの時期はまたトリビュナル、すなわち神に昇格したと主張し、自らの宗教を創設したダークエルフの指導者たちの隆盛を印づけた時代でもあります。この「生き神」たちはすべてのダークエルフに尊敬されていますが、テルヴァンニ家は他の名家よりも懐疑的です。トリビュナルの成り上がりたちの誰もテルヴァンニ家の出身ではありません。テルヴァンニが他の名家にならって三大神を卑屈に崇拝することに消極的なのは、おそらくこの事実から説明できるでしょう。

第一公会議戦争の最中、テルヴァンニは優れた魔道師と危険な魔法攻撃を戦場に提供しました。テルヴァンニの真の力はここにあります。テルヴァンニ家の格言は「力強い意志を表現することが、真の栄誉を先人に与える」です。この力強い意思の表明は通常魔術を意味します。彼らのリーダーは強力な呪文使いであり、統治評議会は最も優秀な魔術師たちで構成されています。それぞれの魔術師は自身の他者に対する優越を証明する機会をうかがっています。自らのアルケインの知識や作品をライバルから守ろうとし、他のすべてのテルヴァンニを自分のライバルと見なしています。その結果、テルヴァンニは極端なまでに隠遁主義かつ孤立主義の態度を取る傾向にあります。

テルヴァンニが組織化された聖堂ではなく先人崇拝を行っていることは、半島の東沿岸にあるネクロムの街を潤わせてきました。ヴィべクが大いなる怪物に敗れた場所へ築かれたと伝説に言われるこの街は、地下墓地と納骨堂の迷路と化しており、死者の番人が墓を維持管理しています。あらゆる名家のダークエルフが先人たちを埋葬、回想するためにこの街へとやってきます。テルヴァンニは他の名家との関係を保つことで、こうした訪問者たちから恩恵を受けています。今やネクロムは国際的な大都市と化しているからです。

テルヴァンニの歴史は有名な(あるいは悪名高い)魔道師たちによって印づけられています。犠牲のヴォルリスやディヴァイス・ファー、アルナス・テニム、狂乱のダロデル、現在のアークマギスター・ネロスはそのほんの一部です。彼らの歴史は内部対立や一族内での争いに満ちています。彼らは他の名家との協力に消極的で、特にエボンハート・パクトへの加入を拒んでからはその傾向が強まっています。テルヴァンニ家はヴィべクの枝角の戦いで雪の悪魔カマルを倒すために兵士や魔術師を派遣しましたが、それは嫌々なされた決定で、人員もごく少数でした。軍事的支援が必要になると、彼らは通常傭兵や冒険者を雇います。

テルヴァンニ家はヴァーデンフェル地域で強大ですが、孤立主義の結果として、一族の多くの者は他の名家から離れた遠隔地に家庭を築くことを求められます。彼らの権力の大部分はヴァーデンフェルとモロウウィンドの東端に集中しています。その結果、彼らの名が冠された半島には小さな私有地が散りばめられ、通常それらは一族の年長の者、それも主に強大な魔術師によって支配されています。テルヴァンニのカースト制度は住民に忠誠心を要求し、伝統的な価値を強制します。

そうした価値の中で重要なのが奴隷の所有であり、これこそテルヴァンニがダークエルフの親類たちと共にエボンハート・パクトへ加入しなかった最大の理由です。パクトへの加入は爬虫類のアルゴニアンを対等の存在と認め、アルゴニアン奴隷を軛から解放することを意味しました。その結果、テルヴァンニは他のダークエルフからそれまで以上に孤立しました。

テルヴァンニ家は強大な魔術の力を持っていますが、私見ではダークエルフの脆弱な部分です。テルヴァンニは他の名家のような統一性を欠いており、その性質はより孤立主義的であり、エボンハート・パクトへの加入も拒否しました。その結果、力のある個人が外部からの接触を受けて伝統的な忠誠心に背を向け、将来の対立において密偵や同盟者として利用される可能性があります。個人的なプライドや魔術への欲は、彼らのうちで最も頑健な者さえも揺るがし、各個撃破を許してしまうでしょう。

デレドリアンへの手紙Letter to Deredrien

デレドリアン、

あなたに助けを求めろとメヴェイに説得されたわ。私には余裕がないし、あなたが私の手紙に返事をくれないのが耐えられない。この手紙はあなたの扉の下に滑り込ませたから、取ったのはわかってる。

私たちは古いセイレンモラの基地から河を渡ったところに野営している。二つの岩の間の道を北に向かったところよ。

助けてくれれば、メヴェイと私があなたをどこか新しい場所で再出発させてあげる。改革者の手から遠く離れたところで。

約束するわ、グラーウッドのようにはならない。私はあいつが品物に与えた損害を、安全に取り除く方法を見つけたの。今回はあなたに危険がない。誓うわ。

R.T.

トーヴェサードからの通信Correspondence from Torvesard

マスター・シェルレニ、

アラヴェリスにおけるお前の尽力は高く評価されている。我々はもうすぐ、グレートアイにすら見えないアポクリファへの扉を手にするだろう。

ブライトクラウンと奴の隠された一族が、ネクロムの状況に直接対処している。我々がもうすぐ遺物を入手し、知識と秘密の領域への扉を開くことは確実だろう。黒の書を入手し、儀式の情報を得たらすぐに知らせてくれ。すべては適切な時に用意しなければならないことを忘れぬように。

デイドラ公たちは最後の調整が終わり次第、お前のライバルたちを始末するため力を貸すつもりだ。

トーヴェサード

ドーレスの伝言Dres Message

アラム、

秘密の名前を使う時期は終わった。モラグ・トングがお前を探しにくる。もう見つけているかもしれない。とにかくこの伝言が早くお前に届くことを祈る。

これを読んだらすぐに、南にある私たちの野営地に来い。躊躇するな。予定を立てようとするな。逃げる以外のことをするにはもう手遅れだ。

お前はドーレス家のために大いに貢献した。その報酬を受ける資格がある。我々はお前を護衛して半島の外に出し、ドーレスの領地に帰して保護する。お前は身を隠すための新しい素性を受け取る。もうお前はアラム・グイトットではなくなるが、少なくとも死なずにはすむ。

ドーレス家の命令House Dres Orders

ドーレス家のすべての同胞たちへ、

我々は憎き敵、テルヴァンニ家に対して大きな勝利を手にする瀬戸際にいる。確かに我々は利益の出る相互商業協定を結んでいる。だが我々が現在アルド・イスラで行っている作戦は、何世代分もの富を我らの家にもたらすだろう。

残念ながら、モラグ・トングの密偵がテル・フーレンに向けて放たれたという知らせが届いた。密偵の女が持っている文書は我々の尽力を数週間後退させる可能性がある。それどころか我らの作戦を完全に崩壊させるかもしれない。彼女が連絡先に荷物を届けないよう取り計らえ。

トライス・レーロの墓石Triys Rehlo Gravestone

トライス・レーロの遺体
レーロ家の
アークカノンの大虐殺の罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

ドリームストーンの歴史History of the Dreamstone

研究者マレニア・コルスによる、ドリームストーンの不穏なる歴史についての短い記述

ドリームストーンは信じがたいほど謎の多い、奇妙な物体である。その発見についてはいかなる記録も存在しない。ダヴォンズ・ウォッチにある魔法道具の宝物庫に、これの追加を告げる目録表の記述が1行あるだけだ。由来が記されていない以上、この石は誰にも気づかれず、場所を知られぬよう秘密裡に宝物庫へ加えられたのだと考えるしかない。しかし、魔術師ギルドの人々に特有の好奇心だけでは説明できない様々な理由により、ドリームストーンが研究されずにいた期間は長く続かなかった。

我々の記録によれば、ナヌルレミルは学習や講義の課題を眠った状態で行うことができるという仮説を調べようとした。これが事実ならば、いくつものクラスで無意識の学生たちが日夜を問わず、講義の内容を実践し考察し続けることができる。ナヌルレミルは4日後、ぐったりしているところを発見された。その後ほどなくして彼の生は終わりを告げた。

その十年ほど後、アルフリンはドリームストーンの調査を任された。彼女はこの物体の観察記録を残すことができなかった。同じ日の夜に死亡したからである。

ドリームストーンの所有者がナヌルレミルからアルフリンへ変わるまでの間、3人の宝物庫管理人が退職した。彼らは理由として眠れないこと、あらゆる魔法道具に対するそれまでにない嫌悪感が生じたことを挙げている。不眠はストレス性の症状として退けられたが、神秘恐怖症と名づけられたもう一つの現象は、少なからず厄介なものだった。これ以後、悪影響を及ぼす魔術に対して結界を張ることは、すべての宝物庫管理人の標準的実践となった。この実践は今日まで続いているが、結界が本当に保護を与えてくれているのかについては、誰もはっきりとわかっていない。

次にドリームストーンを手に取った魔術師グラウマニオンは、正気を失った。彼女は意味不明な言葉を喚き、世界の終わりを宣言しながら、残りの生涯を隔離院で過ごした。彼女はドリームストーンと接触して「アンスール」という名を発した、記録されている中で最初の魔術師である。これはドリームストーン研究における進歩を意味した。

グラウマニオンの後に現れたのはオワイ・ナート、エドレルド・パリエル、クザム、そしてスローアロンである。彼らは協力してドリームストーンを研究し、現在ではアンスールの支配として知られるものをいくつかの季節の間耐えることに成功したが、その後は各人なりの道を辿って支配に屈した。この集団研究の重要な側面は、アンスールを抑制し、その影響を跳ね返すためにどの結界が効果を発揮するかを証明したことである。このグループはアンスールを保全し、無害にしたように見えたが、結果的に彼らの努力は失敗に終わり、アンスールは彼らの精神を征服した。詳細は重要でないし必要でもないが、拷問者アンスール――それが現在の名称である――は、エドレルド・パリエルに仲間たちを引き裂いて喰わせたのである。

失敗した集団研究の後、ドリームストーンは宝物庫の深く暗い隅に戻された。石は警告にくるまれ、厳重に結界を張られた器の中に眠っている。この物体を研究したいと望む者は、自らの身に危険が及ぶことを自覚した上で行うこと。

ドレイニスのメモ、項目001Dreynis’s Notes, Entry 001

ゴルン島のインドリル家の地所に宿泊所を確保した。また、この島にはすでに正気を失った魔道師のための隔離場があるとはいえ、インドリルのマスターたちは私が研究を行う間、完全なプライバシーを保証してくれた。皮肉な事態なのは承知しているが、これが私の必要としている転換点になってくれることを願う。

若い頃の発見に続く成果を挙げるのに苦労していることを認めるのは苦痛だ。魔術研究の領域で、私は若きポータルマスターとして名を挙げたものだが、今では――

いずれにせよ、新発見は時間の問題だと感じている。すでに私は屋敷のロタンダを魔術のフォーカスに仕立て直した。アルケインのフォーカスを部屋の周りに配置することで、島の中心部にうまく中継点を作れた。ここからなら、以前よりもさらに深くポータル魔術を探究できるはずだ。そして多少の運さえあれば、私が未だに後れを取っているあの若きドレイニスに対し、ついに目にものを見せてやれそうだ。

ドレイニスのメモ、項目007Dreynis’s Notes, Entry 007

彼の名前を紙に記したくない。彼の贈り物がいかに大きくとも、私の研究の中に彼の名前を含めれば、研究のすべては戯言と化してしまうだろう。それにしても、だ。

プリズムは不可解であると同時に、美しくもある。私の後援者は消滅間近な知恵のプリズムと呼んでいる。私の個人的な蔵書の中にはそのようなものの記録が見つからなかったし、ネクロムの蔵書庫に尋ねても、これまでのところ何も出てきていない。しかし、この点にあまり執着するつもりはない。

プリズムの構造を調べるため、私はこれを持ち上げて太陽光に向けてみた。そこで私はプリズムの真の美しさを目にした。プリズムはフィルターの役割を果たす。平凡で見知ったものを切り捨て、未知のものを明らかにするレンズなのだ。それこそ、我々の次元を維持している魔術の核心部分だ。

おそらくこれはプリズムが示すもののほんの一部だ。だがまずは、お茶だ。美味しいハニーベリーティーが飲みたい。いや、そうだ!プッカーミントがいい!

ドレイニスのメモ、項目028Dreynis’s Notes, Entry 028

親愛なる私の後援者は、ゴルンをデイドラの一団で活気づけようと思ったようだ。彼の判断は正解だったと言わざるを得ない。私はずっと、閉じこもって埃を被った古い本をめくっているのがどれだけ退屈か気づかなかった。ポータルの反射がどうの、動的次元がこうのと、退屈極まりない!

インドリル家が屋敷の現在の状態を見たらどう思うかは想像もつかないが、それは私の問題ではない!私は大切な友達のプリズミーと話すのに忙しいのだ。プリズマ?プリシム?あれに名前を聞くのを忘れないようにしなければ。

我々が初めて共にお茶を飲んだのはほんの昨日のことのように感じる。それ以来、まあ自慢するわけではないのだが、私は自分の能力を十倍にも高めてきた。私は手を軽く振るだけで、汗一つかかずに島中を転移できる。

いつも何かをやり遂げるたびに、私は次の新発見の出発点にいるような気がしている。ここに来たのは出版を期待してのことだが、今ではあの頭の固い魔術師どもに私の大切なプリズムを見せることなど考えられない。あれの秘密はすべて私のものになる。

トレデシムに関する手紙Letter Concerning Tredecim

高貴なるソヴァリ、

この要請の手紙を我々の命令系統ではなく、貴殿に直接送ることをどうかご容赦願いたい。通常の行政網を通す時間の余裕がない、緊急の要件なのです。

貴殿もご存じのとおり、私はテルヴァンニ家の指導者から情報を引き出す長期の任務に就いています。内部にいる我々の密偵トレデシムが、最近の情報引き渡しの際に次のようなメモをよこしてきたのです。

* * *

原因は不明ですが、マスターは自分たちの中にスパイがいることに気づきました。マスター・スリスはモラグ・トングの執行令状を発動したものと思われます。この仕事に危険が伴うことは承知していますが、私の身は安全だと思っていました。このままでは、私の腹にナイフを突き刺される可能性がとても高くなっています。

危険が高まったため、私は緊急の手段を取りたいと思います。あなたには私の季節ごとの支払いをネクロムの銀行にあるマスター・スリスの口座に送金していただきたい。そうすれば雇われた暗殺者に対する私の恐怖を、一時的に和らげることができるでしょう。この要請を躊躇するならば、これからの情報を犠牲にすることを覚悟してください。

これから先、私は標的に言及する際には暗号を用いるつもりです。そうすればもし私が捕まっても、否認する余地ができます。これからは以下の名前を使っていただきたい。

マスター・スリスは「雀」
マスター・フォーヴスは「ブリストルバック」
マスター・シルセは「ビートル」

雀の口座への送金を期待してよいのか、教えてください。不可能とおっしゃるなら、これ以上我々の関係を継続する必要はありません。

* * *

我々の潜入作戦は見事な成果を挙げています。少々のゴールドの追加を惜しんでこの重要な情報源を失うのは得策ではありません。どうか要求された送金を行ってください。完了後はご一報を願います。

モヴィス・ドーレス

トロールの連れ帰りBringing Home the Trolls

ボス、

妙なものを見つけたので、持って帰ります。隅のほうに大型の檻を用意しておいてください。いつも豚用に使ってる中型のやつは、ファナサ・ロルズが先週激突して首を折っちまったんで。あれは酷いもんでしたよ。あの女の残骸をあれだけ回収できたのが驚きです。

で、見つけたもののことですがね。あまり心配される前に言いますが、ご命令どおりラビリンシアンには行きましたよ。トロールは大したことありませんでした。しばらく前から連中には苦労していませんし、俺たちが持ち帰る奴らの見た目はあなたも気に入ると思います。

とにかく、去ろうとしたその時、巨大な岩が見えたんです。岩は何かのキノコのようなものに覆われていましたが、カサの部分は硬かった。ああ、それとカサが青く光ってたんです。これは重要です。ルラーラム・ヴェラスは美しいと言ってましたが、どうですかねえ。あのキノコを見てると、なんか耳がかゆくなるんですよ。見た目は黄金に似ています。

いや、別に岩を檻に入れろと言ってるわけじゃありません。残りの荷物と一緒に運べばいいだけですから。でも、あの岩には何か不思議なことが起きている気がするんです。あれは卵みたいなものじゃないでしょうか。ラビリンシアンで自然に生えたわけじゃないと思うんです。それにあの虫も戻ってきました。前に俺が言ってた、大きな丸いやつです。テトリス・ラモリはシャウラスっていう名前だと言ってました。あいつが言うには手懐けられるそうです。

いずれにしても、そいつらを何匹か持って帰ります。トロールは岩に興味がないようなので、俺たちが帰る前に岩を壊しはしないでしょう。

これで先週のヘマを忘れてもらえるくらい、いい儲けが出ることを祈ってますよ。

フェラレア・セニム

ナシンへのメモNote to Nathyn

ナシン、

私はテル・ドレロスを去るわ。遠縁の親類が死んでまとまった金が手に入ったから、もう召使として働く必要がなくなったの。

ミストレス・ドレロスは私が向かう場所を教えないほうがいいと言っている。まず、彼女はいつもあなたの状態を正しく理解していたし、結界を出ればあなたは間違いなく死ぬでしょう。それから、私はどこかの金持ちのよそ者と結婚して、平和で贅沢な人生を送るつもりよ。私は色々と苦労したし、あなたの母親のために頑張って働いたんだから当然だわ。

あなたのことを本当に愛していたとは言えないけど、死んで欲しいとは思わない。私を追わないで。あなたの母親の言うとおりにしなさい。彼女はよくわかってる。

元気でね
ダシア・カロ

ニルファスとソリンの通信Communications Between Nilphas and Thoryn

ニルファス、

台帳にメモを書いて通信するなんて、名案だ! それはそうと、西棟でドワーフ・スパイダーが騒音を起こしている。真夜中にスパイダーの足が床に当たってガタガタ音を立てるんだ。ずっと眠れない。自分で見に行きたいところだが、君は研究所のあの区画に入る許可を私に与えるのを忘れただろう。それにプロトゥスは私のために道を開いてくれないんだ。

君の調査が順調に進んでいることを願っている。この神聖な地の管理者仲間として、君の研究についてもっと知りたいものだ。私はトリビュナルに詳しいから、君の助手にだってなれるかもしれないぞ!

いずれにせよ、元気で。

ソリン

* * *
君の協力とトリビュナルについての専門知識は必要ない。

西棟のコンストラクトは私が処理しておく。ただし外で崖をうろついているスペルライトを、今度こそ完全に追い払ってもらいたい。君はあの女に他の情報の泉を探すよう丁重に頼んだようだが、明らかに無駄だった。

ニルファス

* * *
ニルファス、

あのスペルライトがまだいるって? 彼女はケメル・ゼーの研究所を妨害しないことがトリビュナルにとってどれほど大事か、理解してくれたように見えたんだが。わかった。もう一度彼女と話をつけてこよう。三大神の神聖な願いを尊重しろと彼女に言うつもりだ。彼女がエレベーターシャフトに侵入しなくても、この広大な場所を管理する仕事は十分に大変なんだ。君がこのことをプロトゥスに話したかどうか知らないが、エレベーター付近の警備を強化したらどうだ?

三大神の光の導きが君にあるように。

ソリン

* * *
私の仕事のやり方に口を出す前に、スペルライトを片づけて自分の仕事をするがいい。プロトゥスの警備体制は計算し尽くされたものだ。ケメル・ゼーは適切に守られている。

ニルファス

* * *
ニルファス、

不服を言いたかったわけじゃない。ただ君が最近プロトゥスの指令の一部を変えたのを見たんだ。君の変更で控えの間の防備が弱まったことを見逃して欲しくなかっただけだ。もちろん、君が私よりもプロトゥスの能力についてよく理解していることは認めるよ。

ここのコンストラクトがどういう活動をしているのか詳しく説明してくれれば、私ももっと協力できるんだが。私はトリビュナルについて詳しいが、ソーサ・シルが私に最も縁遠い生き神なのは確かだ。私の感性は母により近い。だが学ぶつもりはある。三大神によりよく仕えられるように、特に君が力を貸してくれればな。.

トリビュナルが君を記憶に留めて下さるように、
ソリン

ニレス族長への命令Orders to Kindred Rector Nyleth

ニレス族長、

アラヴェリスでの進捗報告には満足している。トーヴェサードに失われた夢を取り戻す計画を説明してもらったが、夢が隠されている場所を知るためにモラのインクで汚れた記録を調べるそうだ。お前にはキンリーヴ・ライルとドリームカーヴァーの任務に同行してもらいたい。奴らが秘密を探すのを手伝うのだ。言われていたのと状況が違った場合は、お前が自分で入手しろ。

忘れるな、お前は親方の命でドリームウィーバーに仕えている。

ぺライトの名のもとに、
ブライトクラウン

ネクロム・クワマーの準備、第五稿Preparing Necrom Kwama, Fifth Draft

アーシン・ヘランダス 著

ネクロムのクワマー農場は、クワマーを葬式や装身具用にしっかりと準備する役割を任される高貴な立場である。この責任は母から残されたと言いたいが、実際は私が奪ったかもしれない。

ちなみに母は気にしなかった。今では他の地を訪れては、何か新しいことやひどいことを発見している。(この序文は削除すべきだ。いや、前書きか?わからない。金を貯めてどこかのいい書記を雇って、書き直してもらおう。とにかく続けよう。これはどこかに書き留めておかなくては)

スクリブ
クワマーの幼虫段階であるスクリブには、ネクロム特有の用途が複数ある。しかしまず、しっかりと入れておける囲いが必要だ。すぐに逃げ出すからだ。

脚の関節をすり潰して粉にする。この粉は一部の訪問者、主にフラールが、先人の周りでロウソクにふりかけ、一瞬だけきらびやかな光を放たせるために使われる。私はこの作業にルーブダイトで作られた特別な乳鉢と乳棒を使う。粉は潰されたばかりでないと使えない。

スクリブにいつも毒キノコを与えていれば、そのゼリーを食べ物を主体とした捧げ物に使用できる。先人のために作る料理やお菓子の中に新鮮なゼリーをスプーン1杯混ぜ入れれば、その捧げ物は数日間鮮度を保てる。自分で食べることはお勧めできない。アルゴニアンなら特に。見たことがあるが、二度と経験したくないと思うような痛みを2日間味わうだろう。これもゼリーは作りたてのものでないと、乾物の材料とうまく混ざらない。(どうして毒キノコなのかは私もまだ知らない。錬金術と関係がありそうだ。第六稿までに調べるか?)

食べ物がここの者たちのものである必要性も明記すべきだろう。エルスウェアのフォンデュのレシピでうまくいくと思ってはいけない。レドランの祖母がモラグ・マールで採れた材料を使ったレシピに変えたとかいう話は聞きたくない。

クワマー・ワーカー
こうしたクワマーは仕事をしたいだけだ。させてはいけない。囲いの中に入れて満足させておくことだ。近くに生きたスクリブが少しいれば、何らかの決まった行動に落ち着くだろう。この獣が持つ通常の用途に加えて、ネクロム特有の用途もいくつかある。

テルヴァンニは先人への捧げ物をここのワーカーで作られたばかりの盆に乗せることを好む。甲羅を扱う際、内側の腹膜をそのまま残す特殊な切り方がある。職人が作業を始める前に、その膜を甲羅にそっと巻いておく。職人は錬金術の試薬で処理してから、膜を甲羅の上で乾かす。その結果、甲羅の盆は金属的な輝きを帯びる。その後、職人は客の注文どおりの彫刻をその層に彫る。かなり装飾的な盆になることもある!鉱山労働者の中で、クワマー・クィーンが卵、スクリブ、ワーカー、フォリージャー、ウォリアーに囲まれた絵を頼んだ者がいた。彼は鉱山を守っていて死んだので、まさにぴったりだったと思う。(ここでオル・マージーのことを話す必要はないだろう。最終原稿で削除するように。)

正しく扱えば、クワマーのカトルはネクロム中で見掛けるようなロウソクにできる。クワマー・ワーカーから収穫したら、カトルはネクロムにいる死者の番人のロウソク商に取っておく。ちゃんとした薬草と錬金術の試薬に混ぜ入れるために、新鮮なものが必要なのだ。この処理により、ネクロムのロウソクは普通のロウソクよりもずっと長持ちする。また煙が立ち、消えかかることもない。さらに匂いもいい。新鮮なスクリブのゼリーを明るく輝く夕焼けに混ぜた感じだ。先に言っておくが、これは売り物ではない。ここの死者の番人が作るもので、材料と作り方は秘密にされている。(でも、明るく輝く夕焼けとはどんな匂いなんだ?第六稿で削除候補に入れよう。)

そしてもちろん、クワマーの収穫にまつわるその他ありふれたことも全部行えるが、それはネクロムと訪問者が必要とする上記のアイテムを提供してからだ。

この素晴らしい獣をどこから採ってくるかというと、複数の場所があり、どれも完璧なスケジュールが決まっていて、翌日の仕事用にワーカーとスクリブがバランスよく揃うようになっている。ネクロムの需要が大きければ、鉱山にたっぷりいる場合に限り、より多く入手できる。

第六稿でここは絶対に削除するが、スクリブのゼリーを売った後で思いついたからちょっとここに書き留めておこう…

スクリブのゼリー
最高、最高
お腹の中
全部自分の、自分の

その鳴き声
素敵、素敵
心の奥をじらす
ほとんどいつも、いつも

さあここへ来て
今日を満たしてくれ
その素早い動きと
気楽な視線で

スクリブの不思議
最高、最高
お腹の中
全部自分の、自分の

ネクロムの歴史:死者の街History of Necrom: The City of the Dead

メラリン・ランダス 著

この手引きが今日を越え、過去が教えるすべてをあなたに示してくれることを願う。

先人たち

実は偉大なる街ネクロムを創設したのが何者なのか、誰も知らない。本当だ。ネクロムは数千年前にもこの河口の街だった。アズラの呪いよりもずっと前だ。またトリビュナルについて講義するつもりはないが、この古代都市は大昔でさえ、見目麗しい街だった。

チャイマーは世界の中に自分の道を切り開き、自分自身の神々、つまり我々が今日デイドラ公と呼ぶ者を崇拝するためこの地域にやって来た。新鮮な水と守りに向いた地形は、彼らの初期の集落にとって完璧な場所だった。彼らはボエシアやメファーラ、アズラの祠を築き、こうした庇護者たちから学んだ教訓の多くを実践に移した。一例として、彼らはボエシアの教えに従って、大穴を渡るため木の大きな足場を築いた。その痕跡は今日でも大理石の歩道の中に見られる。

チャイマー文化の遺産と明確にわかるものは、ほとんど残っていない。呪いの後の数百年、我らの先人の多くは、もはや彼らに無関係と思えた過去に背を向けることを望んだ。だが現在ネクロムとなったこの古代都市では、後にダンマーの先人崇拝となるものの原型が、記録されている時代が始まるより以前に、アルトマーによって実践されていた崇拝の形態から初めて分離したことがわかっている。ボエシアが我らの古代の民の祖神であったのなら、我々自身の先人が前面に現れたのはネクロムにおいてだった。

死とネクロム

この街にはどこか、死者に呼びかけるものが常にある。チャイマーの時代においてさえ、当時の文献は生死の境を越えて先立った人々と話すのがいかに容易であるかを語っている。生と死が同じ道の部分にすぎないとしたら、古代人はネクロムをその長くねじ曲がった道の経由地と見なすようになっていった。

内面を見て、家族やクランの先人の価値を理解し、死後もなおその活躍を称えてより高い存在へと移行させること、それが我らの民にとっての根本的な転換点だった。それがチャイマー文化全体で起きていたことは疑う余地がない。結局のところ、ボエシアは強力な模範だったのだ。だがここネクロムでは、ある家族の殺された親類を崇拝することが日常生活の一部になった。私は以前ある家族が、死んだ親戚が生前好きだった書物を紛失したという古い物語を読んだ。その家族はただ親戚がどこに本を置いたかを聞くためだけに、彼の霊と話しに行ったのだ!

愉快な物語だが、これが書かれたことにはちゃんとした意図がある。死者と生者のどちらも、ネクロムを故郷としているのである。

街と街

アズラの呪いと忌み嫌われたドゥエマーの消失後、ネクロムはダンマー文化のお膝元となり、アッシュランドの隅にまで広がっていった。死者の街はエボンハートからヴァーデンフェルまで広く見られるが、長い間ネクロムは我らの民全体にとって、唯一無二の死者の街であり続けてきた。名家の出身であろうと、小さなクランの者であろうと、金持ちでも貧乏人でも、著名人も不遇の人も、ネクロムで悔悟者は両手を広げて迎え入れられる。

祝祭の日にこの街を見に来るといい。喪に服する人々の列がすべての歩道を埋め尽くし、ここからバル・フォイエンまでの道を渋滞させることもあるほどだ。香の煙が盛大に空を駆け上って空気を満たし、死者たちは街頭に列をなして並び、生者が彼らを祀ると同時に、死者もまた生者に敬意を表する。なかなかの見ものだ。

想像はつくと思うが、このように死者たちの中で生きることで、この街の人々は独特の人生観を持つようになる。もちろん、死者が街頭を歩いているのを見かけたら、敬意をもって遇することだ。旅立った人々の最大の秘密を知っているなどと主張する行商人やペテン師が中庭を埋め尽くしているが、そういう者は無視するように。それと、ネクロムの路上芸人が少々不謹慎な冗談を言っているのを聞きとがめても、寛大な心でいてほしい。死は我々の周り中にあり、それは人を変えてしまう。あなたも変わるかもしれない!

パクトを越えて

こうして、当然ながら今日に至る。エボンハート・パクトが形成され、テルヴァンニの賢者たちが大同盟への加入を拒んだことで、三大神は賢明にも死者の街の平穏と安全を保証するよう動いた。

パクトの問題は脇において、我々にこの「中立」の地の統治を許すことで、彼らは我々の民全員が大巡礼を続けられることを保証したのだ。ハイエルフの不信やブレトンの帝国主義が我らの門を閉じ、我らの聖堂を焼かないように。

ネクロムは独立しているが、我ら全員と共に立っている。

そして、これは道を通るすべての者に言っていることだ。ここを去り、この街の一部をあなたが持っていく時、あなた自身の一部をこの街に残していくことになっても、驚かないでもらいたい。

バーン・ダルの目The Eye of Baan Dar

エイリース・ドロはこの歴史がバーンダリにとって永久に失われてしまうことを恐れている。子供たちがこの歴史を知り、心を軽くしてくれることを願って、ここに書き写しておく。

* * *
多くの時代を遡った頃、ダークエルフは出会う者すべての征服を望んだ魔術師、燃え上がる者に導かれてエルスウェアの砂地を渡った。カジートたちがこの灰を被った顔の異国人を両手で迎え入れた時、胸に剣を突き刺されなかった者たちは枷をはめられて輸送され、二度と姿を見ることはなかった。

この者の小祖先はキャラバンと共に砂漠へ逃れた。燃え上がる者は日の出が迫るように彼らを追い回した。食料も避難する場所もなく、彼らは逃げ場を失って捕らえられた。燃え上がる者は小祖先を取り調べ、獲物を掲げた。カブほどの大きさの宝石。双子月のように明るく、多くの手を渡ってきたために滑らかになっていた。

「これは何だ?」燃え上がる者は尋ねた。

だが小祖先は舌を噛み、何も言わなかった。

「お前たちにとって神聖なものか?」

小祖先はまだ沈黙していた。

「大きな力を秘めているのだろう、違うか?」

そしてついに、小祖先は口を開いた。「バーンダリの手を離れれば無力よ」

燃え上がる者は戦士たちに退くように手で合図した。宝石は彼を魅了したのだ。「その惨めな命をせいぜい大事にしろ」と彼はバーンダリに言った。「私が故郷に凱旋し、我が不屈の意志をもってこの聖なる宝石に込められた秘密の力を解き明かすことを知って泣くがいい」

そうして燃え上がる者はクランをその惨めな命と共に、砂漠の中に置いていった。

しかし燃え上がる者は知らなかった。小祖先がこの宝石をクランマザーから受け取ったのは、人々の心を元気づける甘美な歌と交換にだったこと。小祖先はこの宝石をいとこに贈り、小祖先がずっと前から欲しがっていた、いとこの口琴と交換してもらうつもりだったことを。

だからクランは涙を流した。だがそれは笑いの涙だった。バーン・ダルの目は確かに神聖なものだったが、バーンダリの手を離れては、本当に無価値だったからだ。

バルヴァー・ベミスの日記よりFrom the Journal of Balver Bemis

ルラロ・ララスは私がこれまでに出会った中で最低の誓約者だ。あの男は残忍で恐ろしく、傲慢だ。テルヴァンニの基準からしてもだ!先週、奴はスペルライト・ヴァースヴァの目の前で私を怒鳴りつけた。私は頭を下げて立ち尽くし、奴の暴言を耐え忍ばねばならなかった。そのうえで奴は私の後頭部を殴った!殴ったんだ!涙が出たよ!

奴がいびり屋の悪党だということは皆が知っている。奴は自分の気の短さを「頭痛」のせいにしている。それなら、その「頭痛」を永久に治してやろうじゃないか。

材料の大部分はありふれたものだが、一部は少々入手困難だ。特別な種類のスッポンタケ、特殊なブル・ネッチの臭腺、ある地域のシュルームビートルの背中に生えるキノコ。強力なやつを作れば、ルラロはおしまいだ!おまけに、奴の地位に空きができる。

この計画に欠陥があるとすれば、私が自分で薬を渡せないことだ。それは無理だ。奴は怖すぎるし、あいつに目を向けられた瞬間、私は狼狽してしまうだろう。いや、手下が必要だ。毒を渡してくれそうな、人目を引かないお人よしが。それさえ何とかなれば、奴の頭痛は完全に「治療」できるだろう。テルヴァンニ家の全員のためになるぞ。

ファヴァミ・セラヴェルの墓石Favami Seravel Gravestone

ファヴァミ・セラヴェルの遺体
セラヴェル家の
アルマレクシア様のみぞ知る罪で
聖なる宝物庫から追放
安らかに眠らぬことを

フェデロへの謎の手紙Mysterious Letter to Federo

フェデロ、

私も昔はあなたと同じだった。テルヴァンニ家の賢者の下で要求される忌まわしい仕事を我慢してやり遂げ、彼らの仲間になれば、状況も変わるだろうと自分に言い聞かせていた。

忠告を聞きなさい。私たちのような地位を昇ろうとする者と奴隷との唯一の違いは、奴隷に生まれつき価値があるということよ。私たちの誰かが死ねば、別の者が喜んでその空白を埋める。

そして奴隷とは違い、私たちには立ち去る選択肢がある。

あなたが誰のために働いているかは知っている。あなたの懐を潤している魔道師を知っている。以前そいつは私の懐を潤していたのだから。あなたが何かミスを犯し、奴があなたの役に立つ時期は過ぎたと判断するのが時間の問題だということも知っている。

まだチャンスがあるうちに立ち去りたいのなら、誰にも言わないで。特別な用意などせず、東へ行くの。地元の者にトビンの居場所を聞きなさい。ウィットの娘の北よ。その場所の目印は2つのランプ。そこなら安全だわ。

返事は送らないで。時が来れば、私があなたのために新しい、まっとうでお金も稼げる生活を築く手助けをしてあげる。

そしていずれ、あなたが私たちのような人々を助けるためにもっと力を尽くしたいと思う時は、喜んで迎え入れるでしょう。

フォルシの報告Folsi’s Report

あなたの令状に載っている、トレデシムという標的の正体を突き止めることに関してはまったく進展がない。ただしドーレス家が、アルド・イスラの南に野営地を設営したことを発見した。あなたが探している裏切り者が、そのドーレス家の密偵と共謀していることは疑う余地がない。

奴らの活動を調査することをお勧めする。でも気をつけて。私が関心を持っていることに、気づかれたかもしれない

ブライトクラウンの命令Blightcrown’s Orders

香炉を焚き続け、修道院をぺライトの祝福されし息吹で充たすのだ。だが注意せよ、目的のものを見つける前に物資を使い果たすな。

我らがデイドラ公の賜物を受けた番人を尋問せよ。遺物はどこにある?ダードリン副院長の墓はどこだ?墓地には他にどんな秘密が隠されている?熱病に冒された状態でなら、奴らは遺物を探すために必要な情報を明かすはずだ。

イルヴェル修道院長は他の死者の番人よりも詳しく知っているかもしれない。奴を自分の部屋に運んでおけ。私が直々に尋問する。

ブライトクラウン

ぺライトの救済Peryite’s Salvation

レイナ・ブレイディンの思想

私たちは土から生まれました。私たちの中で最も裕福な者でさえ、石や砂、塵の抱擁を逃れることはありません。私たちの体は崩れ去り、私たちを養い、覆ってくれた大地へと還ってゆく。ノルドを覆う氷から、葉をまとうウッドエルフの体まで、私たちは皆、不浄なる獣です。それに異を唱える者は皆、錯覚に惑わされています。

土と共にあるだけでなく、私たちは皆、腐敗します。病は若者にも老人にも、健康な者にも弱者にも襲いかかります。熱病や咳、体の痛みの前ですべては平等です。

なぜアズラの偽りの約束を信じるのですか?夜明けに希望などありません。どんな温もりや慰めも、体を繊細な塵へと分解する汚泥の冷たい抱擁を越えては続かない。定命の世界の苦痛を終わらせる神など存在しないのです。いかなる癒し手も、あなたを死から救い出してはくれません。

自然の秩序を受け入れなさい。真の秩序を。不浄と病気の秩序を。唯一の定め、それは時は短く、苦痛は無限だということ。私たちの居場所は、腐敗のデイドラ公と共にあります。あの方こそは定命の者のあり方を完全に理解している唯一のデイドラ公。あの方は嘘をつかず、定められたこと以上の何も約束しません。私たちの献身に対する恩寵は、私たちの種族の他すべての者を悩ます疫病です。私と同じ不適合者たちよ、ぺライトを信じなさい!私たちをその真の姿のまま、汚物として受け入れる唯一の神を崇拝するのです!

マスター・シェルレニのメモ:トーヴェサードMaster Shelreni’s Notes: Torvesard

もう2年ほど前のことだが、トーヴェサードというドレモラが私に興味深い提案を持ってやって来た。彼はアークマギスターになりテルヴァンニ家を支配するという、私の生涯の野望を実現すると約束したのだ。私はただ暗黒の力のデイドラ公ヴァルミーナに奉仕することを誓えばいい。それで夢がすべて叶うという。

彼は何かがずっと昔に、世界から奪われたと説明した。奪われたものを修復するのが彼の運命なのだと。その修復はある夢から始まった、だから彼はヴァルミーナと手を組んだという。彼は夢の中でドリームウィーバーの祠があったことを覚えていた。私がその祠の修理に協力することが欠かせないらしかった。

多くの研究と調査の結果、私たちはこの古代の地に行き着いた。あとはトーヴェサードが夢で見た祠を探せばいい。

マスター・シェルレニのメモ:修復Master Shelreni’s Notes: The Restoration

何ヶ月もの準備を経て、私たちはついに古いヴァルミーナの像を完全に修復する作業を開始できるようになった。私はまだこの像の重要性を十分に理解していないが、どうすれば像を元の姿に修復できるか、力の限りを尽くして考えた。

トーヴェサードは私と共に作業を行い、できる限りのことを学ぼうとしている。理由を尋ねても彼は答えようとしない。ただ像を修復することが失われたものを取り戻すための鍵だと言うだけだ。今や私はヴァルミーナ信者の軍団を従えており、さらにぺライトの信奉者もそこに加わっている。ブライトクラウンは不愉快だが、奴の知性と指揮能力は否定できない。

アラヴェリス採石所からついにクジャク石が届いたので、作業に着手できる。もうすぐ、ヴァルミーナは私がテルヴァンニ家のアークマギスターになるための力を与えてくれるだろう。

マスター・シェルレニの命令Master Shelreni’s Orders

ダスクのゼンフィス隊長、

テル・レンディスでの仕事はまだ完了していない。ダスクセイバーの強力な部隊を割き、塔の付近に野営地を設営しなさい。私はそこで合流する。

私が到着するまではテル・レンディスに入らないこと。口なきメルンがあそこに強力な防備を設置したので、回避するにはそれなりの時間がかかる。あの古ぼけた愚か者が憎い!

マスター・シェルレニ・バロ

マスターの警告Master’s Warning

一部の召使が鍵を軽率に扱っているという情報が、マスター評議会のもとに入ってきた。我々はお前たちを大いに信頼し、お前たちが我々の意向に従って与えられた雑務をこなせるよう、重要な場所へのアクセスを与えている。その特権を濫用してはならない!

召使がまた中庭のテーブルに鍵を放置しておいたとの知らせを受けたら、召使の部屋のすべての住民が等しく罰を受けるよう私が取り計らう。

マスター・フォーヴス

まとめられた研究メモCompiled Research

項目001
ゴルン島のインドリル家の地所に宿泊所を確保した。また、この島にはすでに正気を失った魔道師のための隔離場があるとはいえ、インドリルのマスターたちは私が研究を行う間、完全なプライバシーを保証してくれた。皮肉な事態なのは承知しているが、これが私の必要としている転換点になってくれることを願う。

若い頃の発見に続く成果を挙げるのに苦労していることを認めるのは苦痛だ。魔術研究の領域で、私は若きポータルマスターとして名を挙げたものだが、今では――

いずれにせよ、新発見は時間の問題だと感じている。すでに私は屋敷のロタンダを魔術のフォーカスに仕立て直した。アルケインのフォーカスを部屋の周りに配置することで、島の中心部にうまく中継点を作れた。ここからなら、以前よりもさらに深くポータル魔術を探究できるはずだ。そして多少の運さえあれば、私が未だに後れを取っているあの若きドレイニスに対し、ついに目にものを見せてやれそうだ。

項目004
数週間経ったが、何も見せるものがない。なんということだ。さらに悪いことに、私の若い頃の出版物に立ち戻り、ページの中の自信たっぷりのドレイニスと泥酔状態で議論をして夜を過ごしてしまっている。あの自信が今の私にもあればいいのだが。

あれ以来、ロタンダを改造して我々の次元の向こうまで探索できるようにした。次元間ポータル魔術はまだ生まれたばかりだ。この分野で発見を成すことができれば、向こう百年は揺るがない先鞭をつけることができるはずだ。

項目005
どうやら私の魔法の探知ロッドに気づいた者がいるらしい。今朝目を覚ますと、ロタンダにメモが置かれていた。メモにはただ「お茶でもいかが?」と書かれていた。

項目006
今日私はあの狂気のデイドラ公の訪問を受けた。今でも彼の笑い声が聞こえる。私の無茶な研究の努力を嘲笑ったのだ。だが私が彼の出てきたポータルに押し戻してやろうかと思っていた時、彼は何かを差し出した。贈り物。プリズムだ。

項目007
彼の名前を紙に記したくない。彼の贈り物がいかに大きくとも、私の研究の中に彼の名前を含めれば、研究のすべては戯言と化してしまうだろう。それにしても、だ。

プリズムは不可解であると同時に、美しくもある。私の後援者は消滅間近な知恵のプリズムと呼んでいる。私の個人的な蔵書の中にはそのようなものの記録が見つからなかったし、ネクロムの蔵書庫に尋ねても、これまでのところ何も出てきていない。しかし、この点にあまり執着するつもりはない。

プリズムの構造を調べるため、私はこれを持ち上げて太陽光に向けてみた。そこで私はプリズムの真の美しさを目にした。プリズムはフィルターの役割を果たす。平凡で見知ったものを切り捨て、未知のものを明らかにするレンズなのだ。それこそ、我々の次元を維持している魔術の核心部分だ。

おそらくこれはプリズムが示すもののほんの一部だ。だがまずは、お茶だ。美味しいハニーベリーティーが飲みたい。いや、そうだ!プッカーミントがいい!

項目010
すでにこのプリズムは私の若い頃の発見を取るに足らないものにしてしまった。次元や次元同士の関係、それが魔術の流れをどのように湾曲させるかについての私の理解を。

極めて不愉快だ。マッドマンの導きによらなければ、私がこの理解に到達することは不可能だったのだから。裏切られたかのような気分だ。これは自分で獲得した知識ではない。だがどうしても続けたい。これを書いている今でさえ、もう片方の手がすでにプリズムに漂っていく。美しい。

項目016
まだ彼の笑い声が聞こえる。頭から離れない歌のようだ。眠る時も口ずさんでいる。

項目021
今日はゴルンの海辺沿いを歩いた。いや、「歩いた」は正確ではない。海辺沿いをポータルで移動したのだ。日没を眺めに外に出たのだが、記憶していたよりも色が褪せている気がした。泥のようなオレンジと、どんよりした茶の、哀れな物体だ。それでも私は立って見ていた。太陽の光と共に、色が消えていくのを見ていた。

項目024
プリズムは私の目を曇らせてしまったようだ。この物体が歪めている光にどのような影響があるのか、私は考えていなかった。この光をこれほど長い間、自分の目の中に直接受けていたとは。プリズムは世界の別の種類の美しさを私に明かそうとしているのかもしれない。もう一度だけ見てみよう。

項目028
親愛なる私の後援者は、ゴルンをデイドラの一団で活気づけようと思ったようだ。彼の判断は正解だったと言わざるを得ない。私はずっと、閉じこもって埃を被った古い本をめくっているのがどれだけ退屈か気づかなかった。ポータルの反射がどうの、動的次元がこうのと、退屈極まりない!

インドリル家が屋敷の現在の状態を見たらどう思うかは想像もつかないが、それは私の問題ではない!私は大切な友達のプリズミーと話すのに忙しいのだ。プリズマ?プリシム?あれに名前を聞くのを忘れないようにしなければ。

我々が初めて共にお茶を飲んだのはほんの昨日のことのように感じる。それ以来、まあ自慢するわけではないのだが、私は自分の能力を十倍にも高めてきた。私は手を軽く振るだけで、汗一つかかずに島中を転移できる。

いつも何かをやり遂げるたびに、私は次の新発見の出発点にいるような気がしている。ここに来たのは出版を期待してのことだが、今ではあの頭の固い魔術師どもに私の大切なプリズムを見せることなど考えられない。あれの秘密はすべて私のものになる。

メルンの作業リストMeln’s To-Do List

1.中庭にもっと召喚サークルを加える

2.召使はスパイの可能性がある。解雇する

3.テル・レンディスの間のポータルにつながる扉は、私が作った破壊的共鳴の結界で封鎖した。解除スイッチで結界が無効化される。隠されていることを忘れないように。何かへ触る前に亡霊の視覚を使うこと!

4.料理人を追いだす。私に毒を盛ろうとしているのはわかっている

5.本を暗号化する?隠す?暗号化して隠す。誰も信用できない!

リラシへのメモNote to Rilasi

親愛なるリラシへ

君の頑張りが誰にも気づかれていないとしたら残念だ。

私は気づいたぞ。

近いうちに話そう。
君だけの、ロスガードの雲雀

レイニラの日記Reynila’s Journal

ティラナイト・カルクス

この金属はダークアンカーの生産に用いられる格子間合金で、魂石の欠片が込められており、知りたくもない他の材質を検知するようになっている。ソンディヴェルは魂魔術の儀式を使ってこれを柔軟性のある輪へと形成し、手首や足首に固定している。これはニルンとオブリビオンの間の障壁を弱めるのと同じように装着者の意思を弱め、支配者の思い通りに服従させる。ソンディヴェルの思考は装着者にとって命令となり、欲望となる。こうして惨めな奴隷や自動機械、精神を欠いた抜け殻に命令する、強い不快感を味わわずに済むようになる。

理論上は。「改革者」はまだこのプロセスを完全に実現していない。

調整

調整に成功すれば、被験者は意識の薄明状態に入る。被験者は完全に自我を保っており、明晰で、きっかけを与えられれば自分の考えを述べられる。ただし支配者――彼の自称では「改革者」――による許可なしでは行動できない。

彼との調整から解放されると、失われた記憶はダムが崩壊して川に流れ込むように戻ってくる。これは非常に不愉快なプロセスであり、被験者が調整されていた期間に比例して、飲みすぎた夜の後のような元気のない状態になる。ソンディヴェルは数ヶ月、あるいは数年分の報酬をまとめて受け取ることと引き換えに、人々が自らの意思でこの調整を志願するようになることを計画しているため、これは彼にとって大きな障害の一つである。

もう一つの問題は、支配者としての改革者の共鳴が、ティラナイト・カルクスの大きな欠片を通じて伝達されていることである。彼はこの実践を大規模に導入したがっているが、私は複数の被支配者を調整させることがどうやって可能になるのか、理解に苦しんでいる。彼はもっと先に進むまでこの問題を気にする必要はないと言っている。

最後の問題だが、調整のプロセスを引き起こすには、その背後に大量の動力源が必要だ。魂1つを他人の命令に従わせるには、魂1つの力が必要なのだ。これは彼が考えているように、束縛から命を助けるものではない。実際、このプロセスはすでに彼の奴隷の大部分の命を奪っている。私はこれを続けるのが非現実的だし、倹約の観点から考えても時間の無駄だと言ったが、彼はそれを知っても手を緩める気はさらさらないようだった。

調整の解除

私は調整された者をソンディヴェルの支配から安全に切り離すプロセスを開発した。魂魔術とティラナイト・カルクスの共鳴について、ごく初歩的な理解があれば可能なことだった。あのような意識の領域で自分が取る行動を記述するのは困難だが、調整された者と金属の欠片との間の媒介として、私自身を用いた。私は気づかれることなく共鳴の中に入り込み、調整された者の魂の絆を安全に切り離すことができる。彼らの生命のエキスは媒介である私を通じて、漏斗にインクを入れるように流れ込み、一瞬の間に通りすぎてゆく。記憶が私自身の記憶であるかのように瞬く。私が見て、感じたもの――束縛状態で過ごした短い生活の浮き沈み――は、これ以上ないほど強く、私の決意を固めさせた。

このプロセスには何時間もかかるが、ソンディヴェルは別のところに意識を集中しているため、通常はこれを感じ取らない。

どれだけ多くの者を救っても、私は夜のごとく鋭き者のことと、彼にしてしまったことを決して忘れないだろう。最も助けを必要としていた私の友。他の者たちの調整の解除は髪の毛を切るように一切痛みを伴わなかったが、夜のごとく鋭き者の場合は毛を根元から引き抜くようなものだった。彼を解放しようと急ぐあまり、私がどれほどの被害をもたらしたのかはアズラのみがご存じだ。

彼を見つけられたらいいのに。まだ彼の一部はティラナイト・カルクスの中で共鳴したままだと思う。

たとえ彼が私や、若くして誘拐され命を落とした彼の最後の卵の親族や、彼を大切に想っていたディーク・ヌジェイを思い出せなくても、私は彼が自由に生き、残りの生涯を平穏に暮らして欲しいと心の底から願っている。

一等航海士ダルミールの記録First Mate Dalmir’s Log

〈22日前〉
ヴィべク・シティを朝の潮にて出立、サドリス・モラへ向かう。出航にちょうどいい朝だ。

〈18日前〉
サドリス・モラの港に到着し、ボロ雑巾の貨物を引き受けた。

〈15日前〉
ファイアウォッチで客を乗せた。ファラム司教とその側近で、沈黙の誓いを守っている。妙な集団で、全員傷跡を身に帯びている。これは過去に天然痘か何かにかかった印だ。聖堂の者でこういうのは見たことがない。それに彼らは大量の貨物を抱えていた。中で何かが死んでいるみたいな臭いのする木箱だ。船室に臭いが移らなければいいが。

〈11日前〉
荒れた海の中、テルヴァンニ半島の北の岬を周回した。今日は乗組員の半分ほどが体調を崩して動けなかった。司教と側近たちは甲板下から動かない。数人が船室にいるのさえ見た。

〈4日前〉
ネクロムまであと3日。乗組員はスキーヴァーに苦情を言っている。船室に何かの感染が起きているに違いない。おそらく司教が持ち込んだあの木箱と関係しているのだろう。中身を確認に行こう。そうしたら、ネクロムに到着するまでは閉じ込めておく。

隠された一族の指示Hidden Kindred Instructions

我が同胞たる一族よ、

我らが栄光ある教団の卓越せし病の主として、私はこの指示へ厳密に従うよう命じる。疫病の王の道具をファイアウォッチまで運び、港で私と合流せよ。ネクロムへの旅は商船ストームウィングに乗って遂行する。

病の聖なる瘴気が込められた小瓶は注意深く密閉せよ。ネクロポリスの誤れるモンクたちに分け与えるまで、ぺライトの息吹が薄められないようにすることが肝心だ。

私はネクロムで必要になるローブと頭巾を持っている。私は聖堂の司教と偽り、お前たちは私の補佐となる。もうすぐ邪魔されることなくネクロポリスを探り、目当てのものを見つけられる。

ぺライトと隠された一族の栄光のために!
ブライトクラウン

運命論理学に対する批評Commentary on Fate Dialectal

[エリドリナ・ナスリンによるアザンダーの論文の分析は簡潔かつ苛烈で、たったの数ページで効率的に論じつくされている]

結論として、私の弟子の思想は方向性を誤り誤解に満ちているが、明らかな魅力もある。アザンダーの学識は完全に要点を外しているが、興味深く魅力的に概念を表現している。この仕事をシャド・アツーラの研究資料を用いてさらに発展させることは即刻却下されるが、私はアザンダー・アルサイビアデスが独自に学術研究を続けることを応援したい。

時間と経験、および実践的な研究技法の指導があれば、おそらく彼はこれから先、素晴らしい魔術師、研究者になれるだろう。

エリドリナ・ナスリン、シャド・アツーラ学究兼神秘学顧問

我らが貧弱な同盟者Our Puny Allies

向こう見ずなリガート 著

スカルド王ジョルンは言いました。「リガート、我らが貧弱な同盟者ダークエルフについて書いてくれ。モロウウィンドでの外交任務の最中に彼らについて学んだことを、皆に伝えるんだ」

リガートは答えました。「わかりました、陛下。どうしてもとおっしゃるなら」。スカルド王ジョルンにはいつもそのように言わなければならないからです。

さて、リガートは色々なことができますが、物書きはできません。私は王のように詩人ではないのです。あの勇敢なスクリブの本の著者のように、作り話をすることもできません。あの勇敢なスクリブの物語は大好きです!

リガートはただの大きな使節で、素晴らしいノルド文化交流の一員です。文化を広める者としての役目を通じて、私は同盟の絆を強める助けをしています。特に強大なスカイリムのノルドと、貧弱な、いやつまり小さな、あるいはそれほど大きくないダークエルフとの絆を。あるいはダンマーでしょうか。彼らはこちらの名称を好みます。多分そうです。リガートは何を書いていたんでしたっけ?

おお、そうだ!思い出しました!我らが貧弱な――いや、小さな――同盟者!アカヴィリが北方を侵略した時、彼らは大きな助けになってくれました。小さなダークエルフは奴らを叩きのめすのに力を貸してくれたのです。我らノルドに助けが必要だったわけではありません。まったく不要でした。しかし我々は戦いに加わればあの小さな尖った耳も喜ぶだろうと思ったのです。そうして我らの同盟が生まれたのです。エボンハート・パクトが。リガートは別の名称を提案したのですが、5つ目の案を出した時、ジョルン王は私を追いだしたのです。

他にリガートは何を言いましょうか?ダークエルフは時に偉そうで傲慢で、気取った服を好みます。しかしあんな貧弱な民にしてはよく戦います。それと、リガートは彼らの飲み物はかなり美味だと思いました。しかしあらゆるものに虫やキノコが少々入りすぎている気がします。

我らダンマーの遺産Our Dunmer Heritage

第二紀第330年、誓約者志願者モルンシュ・バラムによるレドラン家のための要約

他のエルフおよび人間にダークエルフとして知られる、ダンマー民族の内在的優越性を研究し説明する機会を与えられたことを、レドラン家の代表者一同に感謝する。

ダンマーは神話の島アルメリスからの最初の植民者、最初の民アルドマーの直接の子孫である。高き民アルトマーはその子孫であるが、このエルフたちはそれ以来先人の道を外れていった。他の多くの集団はいわゆる古代の民、野生のエルフ、シーエルフ、ドワーフ、オークといった民族から派生した。しかしダンマー民族の祖先であるチャイマーだけが、アルドマー文化に忠実なまま留まった。

チャイマーは巡礼者ヴェロスに率いられて退廃的なアルトマーをサマーセットに残して去り、モロウウィンド北東の端に住み着いた。そこで彼らの力は花開き、やがてドワーフと裏切りのダゴス家と争うようになった。両者は戦い、伝統的なチャイマーの家が勝利したものの、彼らは永遠にダンマーへ変貌を遂げた。しかしこの事態を通しても、我らが民は全員先人たちの規範と真理に忠実なままに留まったので、真にアルドマーの子と呼びうる存在なのである。

我々が維持した伝統のうち最初のものは、古代人から我らの家系や族長に至るまでの先人崇拝である。貴族の古代墓地であれ、ネクロムの偉大なるネクロポリスの墓地であれ、我らダークエルフは過去の霊魂を崇拝し、その導きを求め続けている。残存している名家はその血統をヴェロスその人にまで辿り直すことができ、それぞれの先人は大切にされ敬意を払われている。

第二の伝統は家族の強さである。アルドマーの古代文書や芸術の大半は失われているが、彼らの習わしが我々に類似したものだったということは自信を持って言える。家族の統一が最重要であり、最も力ある最年長の者がすべてを統治する。家族には個別主義的な側面もあり、小さな共同体では力の劣る家族と協力することもあれば、名家の庇護を求めることもある。このようにして、ダンマーは先人たちとのつながりを保ち、また同時代の人々から力を得ているのである。

伝統の第三の柱は、確立され認知された社会的秩序を中心としたものである。アルドマーには貧民と王侯貴族がいたが、ダンマーの名家はそれを洗練させ、安定した社会体制へと築き上げた。地位の名称は名家によって異なるが、最も一般的な位に誓約者と家臣がいる点では共通している。また与えられた地位とは無関係に、テルヴァンニ家の最も貧相な者でも位を昇りつめることは可能であり、才能と実力のある者は相応の待遇を受けられる。社会階層の中で自分の位置を知ることは、我々に所属意識と仲間意識を与えてくれる。

いくつもの時代を通じて、ダンマーは新たな土地に適応しつつも、我らが民の核心となる理念を維持してきた。アッシュランダーのように野蛮に近い状態に堕落した者もいるが、名家、特にレドラン家が先人の霊魂への献身を揺るがせたことは一度もない。我々は先人の助言を聞き入れ、その偉大なる伝統を引き継ぐことで彼らを称えている。このように、我々はアルドマー文化の真の継承者なのである。

我らはパクトを拒否するWe Reject the Pact

慈愛の母と主、そして謎の父に挨拶と感謝、深い尊敬の念を捧げつつ、以下に署名する我々はモロウウィンドの他の名家と共に、エボンハート・パクトへ加入するという申し出を即刻拒否する。

テルヴァンニ家は独立を保つ。

威厳ある我らの政体は、ヴァーデンフェルが若かった頃以来、力と優越の牙城であり続けて来た。アンドゥルの蔵書庫の発掘や焼灼の分裂、第一公会議戦争、レッドマウンテンの戦い、そして忌み嫌われたドゥエマーの消失以前から、我々は自らの評議会を保ち、自らの道を選び取ってきた。

ストンフォール東とデシャーン北のテルヴァンニの地はこれからも評議会の信任によって統治され、パクトの勢力がこれらの領地に入ろうとすれば、速やかで激しい反撃に出会うだろう。

この信書に付帯して、古代都市ネクロムに関する交易、防衛、海上航路、租税、使節権、旅行規定に関する我々の提案を要約した写本を送付する。

弁護士ギルドの代表者たちが連絡を取るだろう。

アークマギスター、ネロス・オセリ

マスター・バロ、ミストレス・ドラサ、賢者メルン(欠席)、賢者ゴスレン、マスター・フィルス、賢者セラナ、マスター・マレナ、ミストレス・アリス、賢者ギヴィン、賢者シルドレス

顧問ディヴァイス・ファー

「力強い意志を表現することが、真の栄誉を先人に与える」

改革者からの手紙Letter from the Reformer

デレドリアン、

作戦に歓迎する!レイニラとの過去の関係はもちろん許そう。私の言うようにすれば、ハーン・オレンヴィへの負債はすぐに消え去るだろう。

私の傭兵を数人用意して、ネクロムの外で君と待ち合わせるようにしてある。そこから彼らをレイニラの野営地に案内してくれ。要求どおり、彼女の組織について名前や追加の情報を渡してくれれば、それに応じて追加の金を払おう。あの女はずっと頭痛の種になっていたのでね。

ディミクはまだ私の役に立つ。可能ならば、あの女は生かしておけ。

しかし、夜のごとく鋭き者が現れたら、すべての指示を放棄して彼の捕獲を優先しろ。

彼は奇妙な運命によって、レイニラの跡を追っている。彼女がいるところには、あの男もいる可能性がある。君は夜のごとく鋭き者に仕返しをしたいだろうが、どうか修復不可能になるまで傷つけないでもらいたい。生かして彼を連れて来るんだ。そうすれば約束した額の3倍を払おう。

共に働けて光栄だ、

改革者

改革者からの別の手紙Another Letter from the Reformer

フェデロ!

その傭兵と直接話そう。レイニラの仕事から引き抜くんだ。だが支払いを約束しろ。そうすれば疑われずにお前の招集に応じてくれるだろう?私よりこの手紙のほうが先に着くだろうが、その夜のごとく鋭き者には私が来ることは秘密にしておいてくれ。

彼が私を覚えているか考えてしまう。彼の鱗はまだあの薄暗い真夜中の青色をしているだろうか。彼のとさかにはまだ黒い羽根がきらめいているだろうか。彼の中の変わらない部分が、再び私に所有されることを求めている。私にはわかるんだ。でなければ、私が知っている唯一の名を使い続けているはずがないだろう?

彼には私のことがわかるはずだ。いや、わかってもらう。私を見て、私の名を知り、私の絶え間ない試みが彼の独特の性質を飼い馴らすことを思い出す。私と二度目の出会いを遂げる時、彼がどんな顔をするのか楽しみだ。

お前の力を尽くして今回の出会いを準備してくれ、フェデロ。そうすればお前が望むとおりの報酬をくれてやる。

近いうちに、
ソンディヴェル・ウルレス

賢者メルン・レンディスへの手紙Letter to Magister Meln Rendys

賢者メルン・レンディス、

テル・バロのマスター、シェルレニ・バロの指示により、この手紙を直接貴殿に送ります。貴殿はまだ日々の仕事を担当させる代弁者を任命していないためです。

マスター・シェルレニは貴殿の塔テル・レンディスにて、明日の日の出の時刻に貴殿との対話を要請しています。今回、彼女はこの数年間我々相互の交流を乱してきた敵意に対し、ついに終止符を打つ提案を示す心づもりです。

マスター・シェルレニは自分の意図がテルヴァンニ家の古き良き伝統に合致し、また自分が賢者の地位を受けるにふさわしい人物であることを示したいと望んでおり、この点で貴殿の支援を希望しています。

最後に、マスター・シェルレニは貴殿の所有しているあるアイテムを交換、購入するための交渉の機会を望んでいます。「苦しめる目」という古代の書です。貴殿に使い道はなくても、マスター・シェルレニにとってはとても重要なものです。

マスター・シェルレニは今回の件を解決するため、明朝、貴殿の塔に到着する予定です。

マスター・シェルレニ・バロの代弁者
ヴァブドル
アルド・イスラにおけるマスター評議会

残された者のための飲み物Beverages for the Bereaved

ネクロムの喪中の人々は酒で悲しみを紛らわすことも、腰のフラスコからフリンを啜って我慢することも不要である。以下に記す飲み物は、より手間がかかるものの、先人を忘れないために必要な努力を示しつつ、逝去の苦痛を和らげるための完璧な機会を提供してくれる。

* * *
スパイス入りスジャンマのミルク酒

このコショウの効いたミルク酒は体を中から温め、すぐに死者の最も甘美な記憶を思い出させてくれるだろう。ネクロムの外では、半分の量のハチミツ酒を3倍の水で薄めたものが、止むを得ない場合にスジャンマの代替品となる。

グアルの乳 2
水 1
中サイズのクワマーの卵 1個
スジャンマ 6
アニス スプーン1杯
スライスしたショウガ スプーン3杯
カルダモン スプーン1杯
フェンネルシード スプーン1/2杯
ファイアペタル 1個
虚無の塩 1つまみ

グアルの乳とクワマーの卵を混ぜて泡立てる。水で薄め、沸騰するまで加熱する。軽く煮立つ程度に火を弱め、残りの材料を加える。香りが立つまで浸ける。スパイスを漉し、熱々の状態で提供するか、冷ましてスプーンで提供する。

* * *
フリン・フィズ

この元気の出る調合薬は、冷やして出すのが一番いい。氷なしで作った場合、最低限薄めるためにスプーン1杯の水を加えること。

フリン 2
クワマーの卵(小)の卵白 1個分
マーシュメロウリキュール スプーン1杯
ロータスシロップ スプーン1杯
ベルベズジュース スプーン1杯

氷か冷凍石の入ったシェイカーに材料を入れて混ぜる。泡立つまで混ぜたら漉して氷または石を捨て、液体の大部分が泡になるまで混ぜ続ける。砂糖漬けのコンベリーを飾る。縁にムーンシュガーをまぶしたグラスで提供すると、さらに高級感が増す。

* * *
沼の泥

結果的には似たような風味になるが、このレシピに実際の泥は使われていない!この飲み物をまったく不快と感じる者もいるが、多くの喪中の者は、これの意外性を歓迎してくれる。

グアルの乳 1
グリーフ 1
レモン汁 1
グリーフとレモン汁を混ぜ、グアルの乳とは混ぜないようにしておく。

味わい方:グアルの乳を口に含み、口をほぼ満たす。だが飲み込まないこと。頭を後ろに傾け、グリーフとレモン汁を混ぜたものを口が一杯になるまで加える。口を閉じ、液体が凝固するまで頭を前後に振る。どこまで続ければいいかは、泥の塊を飲み込んでいるような感覚がするのでわかる。

死者の宴、第一章A Feast Among the Dead, Chapter I

高名な旅行者セヴェリア・クアシット 著

ダンマーの故郷への旅は回りくどい道を通る羽目になったが、ついにヴォス行きの商船に席を確保し、セドリス・モラに向かうことができた。そこからはシルトストライダーを駆り、狭海を渡ってアルド・イスラへ行き(南中の月と収穫の月の風がない日にのみ取られる航路だ。それ以外の時に渡航するのは危険すぎるとされている)、最後にネクロムへ向かう巡礼の列に加わればよい。

ネクロム!「死者の街」は逆説的にも適切な異名であると同時に、まったくそぐわない名称でもある。時によっては、この街が霊廟のような場所であることは私も認める。静寂と厳粛な反省に満たされた場所である。魂にのしかかり、肺から嘆きの声を絞り出させるような重厚な雰囲気がある。しかし別の時には動きが飛び交っている――ここではすべての名家のダークエルフや種々の人々が等しく同胞となり、交流し、取引し、騙し、食事を味わう機会を捉えている。ここではインドリルとレドランも、十数世代ほど前に生きた祖先の血を共有していることを知って家の旗を収める。彼らは共にその祖先を称え、安らかな休息を願うのである。

私は心からの願いが叶って、そうした墓前での会合の一つに招待してもらえた。寄宿学校で寝台を共にした者――2人で1台だったのだ、まったく!――が、幸運にも清潔でノミも持っていない、恰幅がよく気さくな織物商だった。彼はエボンハートの西の辺りの出身で、彼の親族数十人の先例にならって、ずっと前に死んだ遠縁の親類を訪ねるためにネクロムに来たそうだ(正直に告白するが、彼が曾祖母の三人目のいとこと、三人目のいとこの曾祖母の違いを説明し始めた時、私の目はぼやけていた)。

この家族の会合の目的である死者の名は、あまりにも多くのHとLから成っており、聞き取ることができなかった。この男はかつて大いに名を知られた料理人であり、ヴィべクのハイ・フェインの食堂に60年近くも務めていたという。彼の死は200年ほども前のことである。私に理解できた限り、多くの先人の霊魂はもっと短期間で定命の次元を去ることを望むらしい。しかし私のホストは懇切丁寧に、この死者は子孫のうちの誰かが自分の料理人としての遺産を受け継ぐに足る能力を証明するまで、定命の次元を手放したくないのだと説明してくれた。私は興味を引かれた。引かれない者がいるだろうか?そして街に夜が落ちかかり始め、長い影が骨のように白い石を覆う頃、私たちはネクロポリスと、その地下にある古代の宝物庫へと出発した。

死者の宴、第二章A Feast Among the Dead, Chapter II

高名な旅行者セヴェリア・クアシット 著

私たちは二十人以上おり、各人が何らかの物品を携えていた(ある年長の女性が私に目をやり、リネンの束を渡してくれた。私にはこれを担う「力がある」と言って)。多くの笑い声や世間話が交わされる中、一同はネクロムの暗く湿った、時にはほとんど真っ暗な地下墓地へと行進した。正直に認めるが、明かりのない時間は危険を感じた。私たちはやがて緑青で緑がかった小さな金属の扉のある、通路の終端にたどり着いた。一行の中で最年長の、賢そうな節くれだったダンマーの老人が、服の内側に手を入れて鍵を取り出した。彼はそれを扉に差し込んだ。

小さな扉の向こうには大きな部屋が広がっていた。陽光は入ってこなかったが、ダークエルフの大きな地所でよく見られる、手入れの行き届いた台所だ。湧き水の小さな噴水が桶に集められ、同じ水の排水溝が台所で出たゴミを街の地下の暗い穴へと運んでいる。私のホストたちはオイルランプを灯しながら、死者は最期の数年間に非常な労力を払って、自分の霊廟に私が見たような様々な設備を導入するよう取り計らったのだと話してくれた。大きな料理用の火は、死者の定命の器が火葬に付された焼却場でもあることがわかった。彼の灰を集めた小さな壺を取り、大きな石のテーブルの頂点に置いた。

少し経つと、部屋は暖かく快適になった。運ばれてきた荷物の束は、私の高級リネンも含めて開封され、部屋を豪華な食事に相応しい広間へと変えるため用いられた。ホストたちが墓に持ち寄った食事を調理し始めると、素晴らしい香りが漂ってきた。年少のある子孫が小さなグラスを乗せたトレイを持って忙しく駆け回った。私は喜んで酒を味わった。スパイス入りのスジャンマが、最も私の口に合った。

私たちは間もなく、食事の用意ができたので着席するようにと言われた。ホストたちは全員首を垂れて祈り、栄誉ある祖先の霊魂に姿を現すことを、そしてこの食事のうちに満足できるものを見出し、定命の次元をついに未練なく離れてくれることを願った。

壺が揺れ、テーブルが少し震えたと思うと、私たちの前に霊が現れた。死者はテーブルの上に光を放っていた――堂々とした目と乱れた髪の、驚くほどハンサムなダークエルフだった。この霊魂は厳粛な言葉で彼の家族と、家族が用意した食事の存在を認めた。彼は食事の開始を要求した。これ以上待てば、食事は墓のように冷たくなってしまうだろうと彼は主張した。

家族はそれぞれコース料理をテーブルに運び、そのたび先人の霊魂にそれぞれの料理を吟味してもらうため立ち止まった。私はこれに好奇心をそそられた――幽霊は食事をするのか?そして提示されたそれぞれの食事について多くのメモを書き記した。

死者の宴、第三章A Feast Among the Dead, Chapter III

高名な旅行者セヴェリア・クアシット 著

食事の最初のコースはヴィベク・シティのカントン聖堂で聖職者が食べるような、ウィックウィートのクラッカー三種だった。それぞれのクラッカーには違うトッピングが配されていた。慈悲の母にはホイップしたグアルミルクのガナッシュ、戦詩人にはビターグラスの棘、ラードのような油は聞いたところによると、秘密の父の機械油を表しているという。

食欲が刺激されたところで、第二のコースは酸味の効いたグレービーソースに浸った小さな団子が出された。団子は糖度を吟味されて選ばれたアッシュヤムを焼いて皮をむき、ピューレ状にしたものから作られていた。そこから、ティアー周辺の土地で育つらしいサルトリスを発酵させたものを砕いて小麦粉と混ぜ、それをアッシュヤムのピューレに加えてグレービーで煮込む。甘い団子と酸っぱいソースはデザートとして美味だが、全体としては変わり種の第二コースと言える。

第三コースはサラダだった。それぞれの皿にはフェンネルと思われるものが積み上げられていた。私はやや残念に思ったが、判断が早かったことを思い知らされた。あるホストがすぐにこの貧相な野菜の皿に、かなり辛いソースをかけたのである。このソースは主にオイルをベースとした煎じ汁のようだった。というのも壺の底からすくった部分にはいくつもの小さな、シラミに似た殻状のものが入っていたからだ。私はまったく無邪気に、この断片は唐辛子の残骸かと尋ねた。私はサイビアデスに唐辛子を使ったオイルをかけるのを見たことがあり、この方法は他のものよりずっと食欲をそそると思ったのだ。私の質問に答えは返ってこなかった。

第四、第五、第六のコースは同時に運ばれてきた。これはトリビュナルを称えるためであり、各コースはそれぞれの生き神に捧げられ、どれかが他よりも優先されるということはない(お腹の中でも、という話である)。彼らはそれぞれ独自の素晴らしさを持っているのである。

私が味わった最初の料理は、皿に盛られた蒸しクワマー・スクリブだった。これはそれぞれの客人に提供されたが、不思議な料理の錬金術により、この生物の硬い甲殻はゼリーのように柔らかく調理されていた。聞いた話では、これを調理する際にはレッドマウンテンの残積層から採取した溶液でスクリブを湯がく工程があるという。私のホストたちはこともなげに、甲殻をこれほど柔らかくするために、スクリブは1匹ずつその溶液で十回以上も湯がいていると述べた。また、彼らはこの工程がスクリブにとって凄まじい苦痛を伴うものであることを請け合った。その話には複雑な気分にさせられたが、これによって肉がさらに甘みを増すらしい。

二つ目の料理にはいくつかのカゴーティの胸腺が使われていた。これは私が名称を間違えただけなのだが、何度も言ってもらったにもかかわらず、この料理の名前をどうしても聞き取れなかったのだ。とにかく、羊のような動物の胸腺と同じく、私たちはカゴーティの複数の異なる腺を提供された。それぞれの腺には戦詩人の流儀にならって一つの徳があてがわれた。この徳もまた、正確に思い出せないのだが、これに関してはダークエルフ言語の複雑さよりも、ダンマーのうぬぼれた生き神に対する私の嫌悪感によるものである。

最後の料理はむしろ儀礼的な性格のものであるという印象を受けた。殺されて間もないウナギが切り身にされ、私たちの目の前で、発酵させたマーシュメロウを主材料としたキャラメル色のタレが入った小さな容器に浸される。私が見ていると、ホストたちは注意深く指をこのタレに浸し、手から液体をこぼしてウナギへと流れ落ちるようにした。ウナギが身をよじる光景といったら!ウナギはまるでまだ生きているかのように震え、身をくねらせた(ただし頭がなかったので死んでいることは確実だった)。ウナギの自然に反する動きはすぐに収まり、不思議なことにウナギの肉にはタレが染み込んでいた。これがどうしてソーサ・シルを称えることになるのかはよく理解できなかった。おそらく文化的な意味があるのだろう。

死者の宴、第四章A Feast Among the Dead, Chapter IV

高名な旅行者セヴェリア・クアシット 著

食事の主要な部分が過ぎたため、私のホストたちは先人の霊魂に向き直った。彼は私たちの食事を厳格な静寂さで見やった。彼の目がテーブルからテーブルへと移るのが見えた。後で寝台の仲間に教えてもらったのだが、彼は目をやるだけでそれぞれの料理がどのように調理されたのかを見極めていたのだという。それが料理における彼の特技だったのだ!

霊魂が言葉を発し始めると、部屋には沈黙が訪れた。彼は集まった親族たちに、自分はこの部屋で遺骸を焼かれて以来、40回以上も饗宴を捧げられてきたと述べた。その間、彼の基準に合致する料理は全くなかった。多くの料理が惜しいところまで行ったが、十分ではなかった。
それはこの瞬間までのことだ。霊魂の眉がほとんどわからないくらいわずかに震えた。彼は微かに声を震わせながら、この夜に提供された料理それぞれの美点を称賛した。残るは卵のカスタードで作り、ヴェルムをトッピングした伝統的なタルトで食事を締めくくるだけ。タルトがテーブルに運ばれてきた時、集まった会食者たちの期待は肌で感じられるほどだった。集まった親族の全員が先人の最終的な評価を、そして願わくば定命の次元からの永遠の別離を待ち受けた。

タルトはテーブルに置かれ、重い銅製の覆いが外された。先人の唇がわずかに上ずったことは、すでに十分な評価だった。テーブルの近い位置にいた親族たちの間で感嘆の声が上がり、それは私のホストたち全員に広がった。タルトは完璧だった。

その夜の残りに起きたことは、ほとんど思い出せないくらいである。私たちは完璧な饗宴を祝ってあまりに飲みすぎたため、思い出そうとするだけでまだ頭が痛むほどだ。だがあの厳粛な出来事を思い返すと、私の胸は高鳴る。そしてあの死者たちの饗宴を思うと、私の腹は今でも鳴ってしまう。

死者の番人への加入についてOn Joining the Keepers of the Dead

新加入者に向けたパンフレット
ネクロムのネクロポリス、イルヴェル修道院長 著

我々は死者の番人への加入について尋ねる手紙を数十通受け取っている。規則として、我々は加入予定の者を拒絶することはない。先人を尊敬し、我らの神聖なる使命に向いていると感じるすべてのダークエルフなら誰でも、ネクロムに来て修道院生活を始められる。実際、相当数の他種族の者たちも、先人が遠く離れた地に眠っているとはいえ、我々の仲間に加わっている。彼らはここで必要とされていると感じているのだ。

我らの組織は千年近くも前に創設された。ダードリン副院長はネクロムの古い墓地の上に修道院を築き上げた。彼は我らが従うべき規則と、我らが使命を行う際に守るべき誓いを定めた。これだけの年月を経た今も、我々は創設者の教えに従っている。遠い昔に始められ、先人の意思に適えば自身の生が終わった後も長く続くであろう、神聖なる見守りの役目に加わるといい。

我らの組織のモンクの一日は、朝と正午、夕方の礼拝によって過ぎる。それらの間に炊事や洗濯、生活空間の維持といった、家事や共同体の仕事を与えられる。もちろん、我々は毎日先人の墓の世話をする。夜の間中、我々は墓地で見張りを行い、先人たちの眠りを妨げる悪しき事態が起こらないよう取り計らう。最後に、我々は助けを求める訪問者にいつでも導きと助言を与える。義務と反省の生活だが、深く達成感のある生活だ。

さて、ここからが難しい部分だ。死者の番人の中で仕えた長い年月の間、私は多くの新人が入っては出ていくのを見てきた。修道院生活が誰にでも向いているわけではない。番人になりたいと願う多くの者がネクロムにやって来て我らのローブをまとうが、数ヶ月後にはその生活が自分には合わないと気づくのだ。

私はこのように挫折した新人たちが、ほぼ常にある一点で共通していることに気づいた。彼らは何か他の物事から逃げるために我々のもとへやって来た。番人になることは、傷ついた心を癒してくれない。両親との関係を修復してくれないし、過去を捨て去る手段や、己自身の霊魂に宿る暗闇を克服する手段を与えてもくれない。この使命をやり遂げるためには、ただ以前の生活を否定するだけではなく、死者の番人の生活を肯定しなければならない。

よく考えて選択して欲しい。自分の心に聞いて。それでもまだ番人の誓いを受け入れる気があるのなら、我々はネクロムで待っている。

修道院長の命令により閉鎖しますClosed By Order of the Abbot

さらなる通知があるまで、ネクロムのネクロポリスは閉鎖します。

ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

先人への訪問は準備が整い次第、速やかに再開いたします。

小動物の危険:テルヴァンニ半島Critter Dangers: Telvanni Peninsula

テル・ヴァラノ 著

塔と書物とネクロムに向かう果てしない行列は、ただ一つのことを示している。お前はテルヴァンニの領域にいるのだ。足の踏み場には気をつけろ。お前がアッシュランドの沿岸にいようと、死者の街の裏路地を歩いていようと関係ない。ここでは、すべてのものがお前を殺したがっている。

私の助言は「殺されるな」だ。ここにテルヴァンニ低地の動物についてのメモをいくつか記しておいた。使うか使わないかは任せよう。

おそらく殺そうとしてこない動物

ネクロム地域では敵対的でない獣でさえ、潜在的な脅威である。可愛いコヒョウグアルは別だ。あれは三大神が穏やかな魂と優しい心を持つ証拠だ。だが、テルヴァンニの領地の大半は野性的で未開拓に見えるが、それは魔道師たちがそう思わせたがっているのである。数百年の間、賢者とその手下たちはこの地域を開拓し、岩だらけの尖塔や切り立った巨大なキノコを育て、自分たち好みの景観を形作ってきたのだ。風景は芸術だということを理解してもらいたい。

それゆえ、その辺りを徘徊する張り出した岩の下を歩く穏やかなコヒョウグアルや、波の中を走り回るヴァルドヴァーク、運河の橋を渡る時頭上にゆったりと漂うネッチといった獣は、お前のためにいるのではない。テルヴァンニ家の貴族やマスターたちのものだ。そして魔道師の所有物へ手を出す者には災いが降りかかる。

おまけ:踏み潰す獣には注意を払え。でなければ火の玉が飛んできて酷い目に遭う。だがヴァルドヴァークは撫でていい。可愛いからな。

殺しにくるかもしれない動物

賢者の力をもってしても、一部の獣はあまりに強情か、有用すぎるため半島から追いだされずにいる。クワマー鉱山は我らダークエルフが住む場所ならどこでも大量に見られる。ネクロム周辺地域もまた例外ではない。ストンフォール東で営まれる商業の大半と同様に、この大都市の合併会社も大きな獣を世話している。地方の鉱山産のスクリブジャーキーには他の場所では見られないスパイスが使われているという話だが、私には何とも言えない。私はああいうものが大嫌いだ。

それに対し、クワマーの卵は大好きだ。半島の鉱山から産出されるものは間違いなく、微かなコショウの風味が効いており、スカトルや葉物野菜、練り団子によく合う。練り団子とは、ノルドが作る団子を私なりにアレンジしたものである。

もちろんそれはよいのだが、クワマー・クィーンとその子供たちの間に立たないことだ。賢者たちはクワマー合併会社に大量のゴールドを投資しているため、クワマーの巣は大陸中の他のどんな鉱山よりもこき使われている。下層階級のテルヴァンニ魔術師は召使をぞんざいに扱うと思うだろう。相手が家畜の場合にどうなるか、一度見てみるといい。

一方で、この虫だらけの土地では、ニックス・オックスが王様だ。この巨大な虫は他のダークエルフの国、つまりパクトの国でも利用されているが、それはテルヴァンニのお家芸である奴隷労働の代わりとしてだ。ネクロム出身のある集団が、デシャーンやエボンハート、ヴィベク・シティで急成長を遂げていたニックス・オックス事業を半島に宣伝しようと試みたが、受け入れる者は少なかった。数人の賢者が領地の世話をさせるために購入したが、哀れなニックス・リマは脚を折ってしまい、彼らは不満を述べた。

事業が頓挫した時、忙しい市場の売り手たちはもっと栄えている集落にニックス・オックスを連れ戻さず、ただその場に放してしまった。だから半島中にあのデカブツがうろついてる。自然の奥深くで小さな虫の王国を築いているのさ。

おまけ:クワマー鉱山は二重に危険な場所になりつつある。衛兵たちは怒れる魔道師と、限界まで産卵させられているクィーンのどちらに殺されるか不安を抱えている。また、半島のニックス・オックスはすべて失敗した投機事業の結果野生化したものだ。避けたほうが賢明だろう。

確実に殺しにくる動物

私はネクロム付近の大きな怪物に哀れみさえ感じそうになる。変なことだろうか?オーガやトロールに共感するのは奇妙か?いや、おかしいのは私だと言われ続けているが、まだ気持ちは変わらない。「だがテル・ヴェラノよ、なぜお前はあんな粗野で野蛮な盗賊どもに心を動かされたんだ?」とお前は言うだろう。いい質問だ。その口を閉じてよく聞け。

テルヴァンニ家最高のある賢者――報復が怖いので名前は挙げないが――が、大陸中から野獣や害獣を集めてきらびやかな大展覧所を作ろうと思いついた。その賢者はどうやら戦争が始まる前、休暇でサマーセット諸島に行って、そこの豪勢で世話の行き届いた動物園に感銘を受けたらしい。実際、その賢者は自分の魔法の空間を削り出せば、ハイエルフの施設よりもいいものができると思った。

それが何を意味してるのか、テル・ヴェラノに聞かないでもらいたい。私は聞いた話を繰り返しているだけだ。手短に言うと、その神秘の動物園はデシャーンの地方芸人一座が最後にやった演劇「ヴィべクの三十六誓約」よりも酷い結果に終わった。そして今ではオーガやトロールの小さな部族たちが、同族から孤立して、その賢者の代弁者に雇われた狩人たちから逃げつつ、半島の高地を巡回している。狩人たちは主人に恥をかかせないようにするためだけに、そいつらを皆殺しにするつもりだ。

おまけ:テルヴァンニ半島のような隔離された楽園でさえ、自然は自らの道を進む。暗い谷間や岩だらけの洞窟に入る時は注意しろ。それとから醜悪なかつらを被ったアルマレクシアが舞台上で暑苦しい逢瀬を繰り返すのを延々と見せられたくなかったら、今度デシャーンを訪れる時は地元の芸人一座よりもマシな娯楽を探すことだ。

新たな教団の出現A New Cult Arises

オーディネーター・キラオによる報告

知ってのとおり、我らトリビュナルのオーディネーターは異端を軽く受け止めることはない。新たなデイドラ教団がテルヴァンニ半島に地歩を築こうとしているという知らせが我々に届いた時、状況を調査するため私が即座に派遣された。言うまでもなく、テルヴァンニ家の支配下にある土地で行動するのは最良の条件でも容易なことではないが、最近のテルヴァンニのマスターたちは何かの理由により、普段以上に非協力的になっている。

数日間の足踏みが続いた後、私はついにネクロムを調査中にフィルバート・シエンヌというブレトンに出会った。私が何も聞かないうちに、彼は疫病のデイドラ公ぺライトの驚異について私に説教し始めた。彼は私がオーディネーターだとは夢にも思わなかったらしい。オーディネーターの存在さえ理解していなかったかもしれない。私は話を聞き、こちらからも質問してみることにした。彼は喜んで自分の異端信仰について話したからだ。

私はこの男が腫れ物や病気について延々と話すのを聞いた。彼は本気で私を勧誘し、病気とネズミの教団に入るよう説得してきた。口を挟む機会が巡ってきた時、私は彼が噂に聞く新しいデイドラ教団の一員かと尋ねた。

「ああ、隠された一族のことだな」と彼は少し動揺した様子で言った。「あれは二柱の異なるデイドラ公に忠誠を誓う、信者たちの緩い連携みたいなものだ。私の小さな支部、神聖なるスキーヴァーの献身的な信者たちも参加を求められたが、関わらないことにした。まあ、私しかいないんだし、暴力は好まない。人は人さ」

この男の無意味な戯言には混乱させられたが、私はついにこの隠された一族と呼ばれる教団についての有力な詳細を引き出すことができた。彼が言うには、この教団は等しい数のぺライトとヴァルミーナ信者、すなわち病気のデイドラ公と夢のデイドラ公に忠誠を誓う者たちから成っている。ブライトクラウンと名乗る大司教がこの合同勢力を率いており、フィルバートは詳しいことを知らないと言いつつも、教団がこの地域で何か忌まわしいことを計画しているという確信を持っていた。

彼にさらなる質問をし、また異端の罪で逮捕しようとしたが、その前にネクロポリスへ向かう巡礼の行進が突然広場を埋め尽くした。人の波に押されて、私はこのぺライト信者の姿を見失った。フィルバート・シエンヌがトリビュナルにとって大きな脅威になるとは思わないが、隠された一族について彼が話した内容は気にかかる。二柱のデイドラ公信者による合同勢力がテルヴァンニ半島で活動しているというのは、どう考えてもよい兆しではない。

調査を続け、新しい発見があればできる限り速やかに報告する。

聖ヴォリスの寓話Parables of Saint Vorys

夜明け半ばの後、聖ヴォリスは地位を高めたネクロポリスの拡張を監督した。彼の建築家がやってきて、岩が水を浸透させやすいため海をせき止められないと不平を言った。聖ヴォリスは大地の変化を感じたが、動かなかった。そんな中、グルガ・モル・ジルの骨が白い街の周囲で渦を巻き、もろい石となり、空から降って不平を言う者たちを押しつぶした。

「力強い意志を表現することが、真の栄誉を先人に与える」とその聖人は言った。「躊躇なく最期を迎える者たちの犠牲を光栄に思う。忠実なる者は海を押し返すべく生き、ネクロポリスの神聖な部屋に埋葬されるに値するであろう」

そして、故郷から遠くはるか離れた場所で戦死することになると確信しながら、聖ヴォリスはじっとしていられずにネクロムを離れた。従者とエルスウェアへ進軍した。そして最初に到達した村がまったく抵抗を見せないと、彼はそこを跡形もなく破壊することを命じた。

「焼け焦げた地面は、甘い果実を実らせる新たな命を生み出す」と、敬われた聖人は従者に言った。「他者の命によって温められた己を見よ。火をつけなくてはいけないとしても」

そうして猫族は聖ヴォリスのことを恐れ、彼がアネクイナ中に残した火の道から逃げた。ようやく反撃を受けると、彼はこの者たちが一族の中で最も強いと判断し、命を奪う代わりにモロウウィンドへと連れ帰った。

「他者を育み、種を手に送り出さなくてはならない」とその高貴な聖人は従者に言った。「我々の畑で何日も、延々と腰を曲げているところを見るだろう」

組織のメモOrganization Notes

名前:?
(彼らに名前はないとデレドリアンは言っている)

シンボル:2つのランターン

既知の工作員/味方:
– メヴェイ・アンドロス、アルド・イスラ
– ヌエテパ、アルコン
– シリル・カロ、クロップスフォード
– スカイウォッチのテルダンディンド、スカイウォッチ
– 骨を切り裂く者、ギデオン
– カータグ?場所は不明

待機の扉The Waiting Door

聖ヴェロスの大絶望が新たな物語の始まりを告げる
トリビュナルの生みの苦しみ、アズラの慈悲は退けられた
先人は夢から覚め、親族はうわべを崇拝する
ネレヴァルはチャイマーを堕落へ導いた

アズラの呪いに屈せず、ダンマーは歩み続けた
先人たちは昼、日没、夜明けにも呼び出された
新たな司祭が新たな思想をもたらし、待機の扉が求められた
ネクロムの壁の中に死者の街を築いた

生の終わりは霊魂を解放する、それを逃れる者はない
だから、息を吸うたびに先人を称えるがいい
止むを得ぬ時を除き、恩恵を求めぬこと、さもなくば定命者の戦慄が訪れるだろう
ネクロムで死と交流せよ

お前はいずれ死ぬ
お前はいずれ崇拝される
お前は待機の扉を求めるか?

ネクロムの暗い広間のどこにいても、司祭の足音が聞こえる
彼らは訪問者をその先人の家へ迎え入れる
地下墓地をさまようことを恐れるな。お前は孤独ではない
先人と司祭が思い出させてくれる…

生の終わりは霊魂を解放する、それを逃れる者はない
だから、息を吸うたびに先人を称えるがいい
止むを得ぬ時を除き、恩恵を求めぬこと、さもなくば定命者の戦慄が訪れるだろう
ネクロムで死と交流せよ

お前はいずれ死ぬ
お前はいずれ崇拝される
お前は待機の扉を求めるか?

代弁者ヴァブドルの日記Mouth Vabdru’s Journal

〈新しい区切り、その1〉
今日は代弁者サルースと不愉快な会話をした。彼女は自分のマスターの要求を私に伝えてきたのだ。マスター・シェルレニが他のテルヴァンニのマスターにスパイや探知装置を使うのをやめさせろと言ってきた。私はそのような侵害を否定したが、代弁者サルースは私の抗議を一蹴した。

〈その2〉
また面倒が持ち上がった。マスター評議会は新しい準則を設けて、メンバーたちにテルヴァンニ家外部の人間や生物とのあらゆる取引、合意、同盟を開示せよと要求することを考慮しているらしい。この知らせをマスター・シェルレニにどう伝えたものか。

〈その3〉
恐れていたとおり、新たな規則はマスター・シェルレニの私的な取引を暴露するために作られたものだった。私は彼女の否定を同僚たちに伝えた。すると代弁者デルヴィは不信任の投票を呼び掛けたが、私はこれを取り下げさせることに失敗した。マスター・シェルレニは喜ばないだろう。

〈その4〉
アラヴェリスからダスクセイバーの領収書をさらに受け取った。それからブライトクラウンとだけ名乗る、何者かからの奇妙な要求も受け取った。もちろん、支払いはする。マスター・シェルレニはこれらの出費を捻出するに足りるだけの資金を私に任せてくれている。だが、この種々の企みは何のためだろう?それに、なぜマスターはテル・バロの防備を強化したのだろう?新たな結界を解除するには特別な紋章が必要だというが、それは過剰ではないか。

〈その5〉
まだマスター・シェルレニからの返事は来ない。評議会にマスターの代理として何らかの返答をしなければならないが、何と言おう?彼らはこれ以上の否定や遅れを受け入れないだろう。まったく、マスターは日々私の仕事を難しくしてくれる。

〈最新の記述〉
ついに、マスター・シェルレニからの返事が来た!当然ながら、まったく実行できないものだ。マスターはアルド・イスラで同僚たちとの公式聴聞会を要求している。何か恐ろしいことを計画しているのではないだろうか。だが、私はどうすればよい?代弁者として、私はマスターの指示どおりに行動し、彼女の利益を最優先しなければならない。

ああ、今ほど他のマスターと共謀していればよかったと思う瞬間はない!

代弁者ヴァブドルへの手紙Letter to Mouth Vabdru

ヴァブドル、

お前の前回の手紙には失望したと言うしかないわね。代弁者の仕事はアルド・イスラの政治がマスターのより重要な仕事の邪魔にならないようにすることよ。私がライバルたちのくだらない懸念に応答しなければならないとしたら、お前は一体何のためにいるの?

私が何か間違ったことをしたと連中が主張し続けるなら――テルヴァンニの慣習と伝統に従えばそれは不可能なことなのに――会議を開かせればいい。そうなったら、私がライバルたちを完全に始末する。

それまでの間、もっとうまくやりなさい。また私を失望させたら、生きたままお前の皮を剥いで、毛皮の外套に変えてやるわよ。

マスター・シェルレニ・バロ

大魔道師トゥウェルヴェインの布告Archwizard Twelvane’s Decree

魔術は力。それについては皆が同意してくれるでしょう。元素を召喚し、幻影を生み出し、失われたものを再生し、存在するものを破壊し、世界を根本的に変化させる力。これは神々の能力よ。エドラでも、デイドラでも同じ。

それならば、なぜ私たちは自分よりも弱い者と共に生きねばならないのでしょう?私たちの力は、ただ考えるのと大差ない努力で自分の世界を形作ることができる。奴らは錆びたなまくらの道具で変化を引き起こそうとする。私たちは魔術を持たない者たちよりも優れていない?魔術とは、定命の者の歩みにおける明確な進歩でなければ何?

魔術師である私たちは遥かに進んでいる。私たちは権力を持ち、力も強い。私たちは魔法の獣を生み出し、世界の境界を越えた場所から呼び出すことができる。オブリビオンのすべてで最弱の生物、魔術を持たぬ定命の者と共に生きるのは、私たちの力への侮辱でしかない!最下級のデイドラでさえ、魔術を持たぬ定命の者よりも強大で、寿命も長い。

この者はニルンにはびこる弱者たちを間引くため、ある獣を作りだした。そうした連中はニルンの地表からごく短期間で消滅するでしょう。私たちのほうが強い。私たちだけが生き残るに値する。

第三十四説話の尖塔The Spires of the 34th Sermon

注記:この走り書きされた無記名の回想録は、ネクロムの裏路地で濡れてボロボロになった状態で発見された日記である。この記述がいつ記されたのかは不明だが、用いられている言語からするとかなり古いものだろう。街のある見習いが死者の番人から金貨数枚で購入したものであり、私はこれを今月の民話出版物の付録として、後世のために載せておく。この嘆願者の痛切な経験は記憶する価値があると私は思う。真理を信仰のうちに探るすべての者に、長身のパパの加護があらんことを。

ザムシク・アフハラズ、グウィリム大学

* * *
私はネクロムの中庭に立ち、天空に眼差しを向けた。私の目は涙で濡れ、父の灰はまだ私の髪の毛から落ちてくる。彼と私はいつも、あの岩の連なりを驚嘆して眺めていた。あれは現実だったのだろうか?第三十四説話が主張するように、私たちよりも以前にあの怪物がいたというのは?

ここには私のものは何も残っていない。家は背を向けた。母はもうずっと墓地に眠っている。私は安心するべきなのだろう。彼の苦痛が終わりを迎えたことに。彼が母や先人たちと共に立ち、私もまた彼らのそばに来る日を待っていることに。私はまだ彼の拳の骨を持っていた。故郷の祠に加え、我らの尊敬されし死者の殿堂の仲間入りをさせるために。

* * *
フェリーでヴィベク・シティへ。マスターに聞いてみようか。喪中の息子になら答えてくれるだろう。

* * *
央耀に到着。列は長く、立ち続けるのは疲れた。私は快適な枕や、ロウソクのちらつく光、羽の先で搔いてもらうことに慣れていた。財布にあったすべての金貨は施しと、自分や他の告解者たちのための食料、そして特別早くマスターに会わせてくれると請け合った聖職者へと消えた。聖職者の笑顔がひどく明るかったことを覚えている。あの歯のなんと白かったことか。

* * *
施しが断食に移行するまで、どれだけ待ったか思い出せない。ただ祈りたいだけなら、数時間で終わると言われた。いや、質問をしたいのだと私は言った。詩人に作品のことを聞きたい。長くかかるだろう、と言われた。それでもいいと私は言った。欲しいのは真実だ。

* * *
マスターのそばに跪いた時は地耀になっていた。私は言われたとおり頭を下に向けていたが、彼が私の前に座った――いや、浮遊した――時、彼の視線の熱さを感じられた。この瞬間が来るまでどれくらい待ったかはわからないが、ひしゃくから飲んだ水は清潔で冷たかった。ウィックウィートの薄焼きはご馳走のように感じられた。私は話そうとしたが、しゃがれ声しか出てこなかった。マスターの強く深い忍耐心と、時間の経過が感じられた。時間があまりにも少なかった。

私がここに来た目的の言葉を言えるとようやく感じた時、私は頭を上げた。後ろにいた聖職者は誓いの言葉を呟いたが、マスターの表情は変わらなかった。彼らは待っていた。

「王よ、私は遠くから来て、長い間待ちました。私と父親、そして彼の父親とさらにその父親が、ネクロムへ来る者たちのために死者の巻物を書きました。私の家族はもう何世紀も街の中庭に立ち、尖塔を見守ってきました。私たちは第三十四説話のことを考え、それについて話し、復唱しました。私たちはあなたの言葉に動かされたからです。特に、少し前に先人たちに加わった私の父がそうでした。」

これほど長く喋るのは実に久しぶりだったので、息を整えるのに少し時間がかかった。マスターの表情は変わらず、わずかにさえ歪むことなく、私を見つめ続けていた。

「あなたにどうしても伺いたいのです、マスター。私の父と家族のために。そうすれば私はネクロムに帰り、街の人々に何が真実で何が詩なのかを伝えられます。街に高くそびえる尖塔は、グルガ・モル・ジルの骨なのでしょうか?彼がモラグ・バルの息子だったというのは本当でしょうか?あなたが海辺の街で彼と会い、あの獣が海の中に両足で立ち、困った顔を浮かべたというのは?あれがムアトラの最後に自らの意志で死に、今私の故郷の街の下に眠っているというのは?」

母――怪物たちの父、モロウウィンドのマスター、ヴィべク王は座り、あまりに長い間私を見つめていたので、私は自分が死んだのだと思った。自分の体が精神から抜け落ちて、光の冠が部屋を照らしていた松明の周囲から放出された。私は泣いた――

* * *
「しかし、なぜ?なぜそのような言葉をお使いになるのです?あなたを愛する定命の者は、一つの言葉をこれほど求めているのに?」

彼らは首を振った。その小さな動きは私の髪を乱し、扉のそばにいたアークカノンを気絶させた。

「お前は曖昧さのない真理という、存在しないものを求めている。お前は私に、比喩の中に存在する謎を解くことを求めているが、それは私の役目ではない」。そう話すマスターの表情は、ほとんど悲しげと言ってよいものだった。

「灰の娘と息子、一族の最後の者よ、世界のすべての物事がお前に知られるためにあるわけではない。お前が説話を理解しているかどうかなど、説話も私も気にかけない。世界が理路整然としていなければならないとお前に言ったのは誰だ?物事は真か偽でなければならず、その間には何も存在しないと教えたのは?」

* * *
これ以上は一言も聞きたくなかったが、マスターは再び言葉を発した。「お前はこの答えが気に入らないようだな。お前はここに来た時間が無駄だったと感じている。だが生を無駄に過ごすことは不可能だ。生は天空に昇る月の弧ではなく、グアルの喉目がけて飛ぶ矢の軌跡でもない」。彼らがかがみこむと、私は自分の顔に神聖なる息吹を感じた。

彼らが身振りをし、光が部屋を去る前に言った最後の言葉、私が一人に、真の意味で完全に一人になる前に言った言葉は、次のようなものだった。「お前の生は出来事の一つの連鎖、それ以上でもそれ以下でもない。お前がそこから教訓を学ぶか、あるいは学ばないか。その真理はお前が選ぶもの、お前にしか選べないものだ」

泥に覆われた手紙Mud-Covered Letter

トレデシム、

お前の情報は着実に成果を挙げ続けている。我々としては感謝するしかない。浸透の罠計画についてのお前の最近のメッセージは、我らの家の魔術師たちに大きな刺激を与えた。テルヴァンニ家がそのような凄まじい兵器を手にすれば、力の均衡が奴らの有利に傾きすぎる。お前の尽力が我らの地の平和を保証するだろう。

ブリストルバックが要請したように、我々は雀の口座にゴールドを送金しておいた。詮索する者がいたとしても、これでお前から注意が外れる程度には疑念を生じさせるはずだ。

ブリストルバックには支援すべてに感謝していると伝えて欲しい。我々は長く実りある関係を望んでいる。

配達人の許可証Courier’s Permit

魔術師ギルドの命により、本文書は以下の者:

ベルヴィス・サラヴェル
古遺物収集家協会配達人

に対し、魔術師ギルドのメンバーに通行を許されているすべての国、城塞、国境を公正かつ自由に移動するための速やかな許可を与える。

本文書の所持者は、移動中に発生した費用、すなわち通行料や許可費、賄賂、食費、宿泊費、保険料、身代金、賭け事の損失、強盗被害、その他諸々に対する責任を負うことに同意する。

輸送中に古遺物が損失した場合、古遺物のゴールド換算価値が配達人の給料から減算される。

本文書の所持者は魔術師ギルドおよび古遺物収集家協会の利益を代表して行動するが、どちらの組織にも成員として属していない。本文書が発見された場合、最寄りの魔術師ギルドホールに返却されたし。

本文書は所持者が死亡した場合の支払いを約束するものではない。

署名、
ヴァヌス・ガレリオン、魔術師ギルド創設者にしてアークメイジ

斑点の塔The Spotted Towers

この荒れた地と
高くそびえる山の驚異を見た時
灰の砂に感謝した
頼れるキノコを育む地に

キノコの塔は強く高く
皆を愛する我らの王を守る
斑点の守護者、キノコの友
終焉までそびえ続けますように

遠い昔、先人はさまよった
同族に追放されて仕方なく
心と星に導かれ
故郷と呼ぶ高いキノコを見つけた

キノコの塔は強く高く
皆を愛する我らの王を守る
斑点の守護者、キノコの友
終焉までそびえ続けますように

風にも獣にも倒されることがない
豪勢な塔は空を埋め尽くす
キノコの避難所は安全で
いつも目を楽しませる

キノコの塔は強く高く
皆を愛する我らの王を守る
斑点の守護者、キノコの友
終焉までそびえ続けますように

番人の誓いOath of the Keepers

死者の番人は、ネクロムのネクロポリスを維持管理する役割を担う献身的なモンク構成された宗教的教団である。彼らは職務を遂行するために命令や儀式、法令の山のようなリストを使用している。しかしすべては、それぞれの番人が任命を受ける際に交わす誓いから始まる。

* * *
死者の番人の誓いを復唱し、ネクロムのネクロポリスに奉仕することを約束せよ。

死者の声に耳を澄ませるべし。
子孫を常に探し求める先人へと導くべし。
死者の家は規則正しく清掃するべし。
贈り物は死者の墓に置かれるべし。
先人の霊魂の眠りを乱してはならぬ。
その時が来たら、敬意をもって遺骸を取り扱うべし。
死者のために奉仕すべし。
以上すべての義務を、今生きている生と、その後に送る生にかけて守ることを誓う。

副院長のフルクラムThe Prior’s Fulcrum

イルヴェル修道院長 著

ネクロムのネクロポリスと死者の番人の創設者であるダードリン副院長については多くの物語が伝えられている。彼はモロウウィンドのすべての草とキノコを知っており、匂いを嗅ぐだけで錬金術的性質を言うことができた。彼は土や灰、石を調べ、内海と亡霊の海の間にある土地で百の種類を見分けた。彼はネクロムの古代史に異常な関心を示し、77のデイドラの名前を知っていた、など。

さて、大半の定命の者にとって、デイドラと取引するのは危険な試みである。どれだけ善意があっても歪められ、デイドラの隠された目的に利用される。だがダードリン副院長は正義感に溢れると同時に賢いモンクであり、先人の教えに精通し、かつ揺るぎなき信仰を持っていた。彼の心にはデイドラの囁きや誘惑がつけ入る隙はなかった。信仰を鎧としたダードリン副院長は他の定命の者に隠された多くのことを、オブリビオンの力との奇妙な対話を通して学んだのである。

ダードリン副院長はトリビュナルを親密な協力者として、また生き神として頼りにした。ある時点で、ヴィべク王は副院長に褒美として、戦詩人の大冒険の一つに由来する記念品、何かの巨大な獣の牙を渡した。彼はダードリンにデイドラとのつながりを利用して、この想い出の品を強力な遺物に変化させるよう命じた。そうしてダードリンはフルクラム・オブスキュラを考案したのである。文字どおり「秘密の鍵」を意味するこの道具を、彼は忘れられた記憶や、時の中に失われた名前や顔、かつて読まれ、聞かれたがもはや記憶されていない知識を取り戻すために思いついた。死者の秘密でさえ、白日の下に置き直すことができた。

祈りと反省で多くの日々を過ごした後、ダードリンはこの遺物を作るためにデイドラ公の協力を求めることにした。彼は禁断の知識の番人にして秘密の王ハルメアス・モラを召喚した。副院長とハルメアス・モラの間に交わされた取引についての記録は存在しないが、ダードリン副院長はその後間もなく、フルクラム・オブスキュラをヴィべク王に献上した。

ヴィべク王が遺物を使ったかどうか、戦詩人は何も言っていない。だがある時点で彼はこれをダードリンに返還した。副院長は死者の懸案を調停し、不正を正すために遺物を使ったという。彼は殺人事件を解決し、失われた財宝を発見し、遺志を表明する前に死んだ者たちの望みに従って遺産を公正に分配した。ダードリン副院長はネクロムの死者から奪った秘密で利益を得ていたと示唆する者もいる。さらに、フルクラム・オブスキュラは定命の者が使うには危険すぎる道具だと考える者もいる。ダードリン副院長が問いに答えを得るたび、彼はさらなる秘密への飢えを強めていった。最終的に彼は目覚めている時間のすべてを、遺物が彼に明かした内容を調べるために使った。

ダードリン副院長はその人生の最後の数年間、フルクラム・オブスキュラと共に自室へ籠もった。彼が何を見て調べたのか、誰も知らない。彼はついに餓死したと言われている。遺物から離れるのが嫌で、ただの一度も食事をとらなかったのだ。ダードリンの死後、他の死者の番人は誰もこの遺物を受け取ろうとしなかった。遺物がダードリンの力をも超えていたのなら、知力や信仰心で彼に劣る者が身を滅ぼさずにいられるはずはなかった。そのため、番人たちはこの偉大なるモンクの墓の中にフルクラム・オブスキュラを埋葬し、今日でもそのままになっている。

訪問者への案内:テルヴァンニ半島Visitor’s Guide: Telvanni Peninsula

オリン・ヴァルケネル 著

著者注:では、ネクロムのネクロポリスに干渉することを選んだ者がいるわけだ!年老いた私は、多くの親族や仲間、愛するペットまでネクロムに休ませてきた。それが死者の街の外の生活を探究する機会を与えてくれた。あなたの悲しむ心が観光と探索という単純な薬を求めているか、むしろ海辺や太陽を味わいたいのなら、私がネクロムからバル・フォイエンまでに利用可能な歓楽施設、宿泊施設、それ以外の様々なものを案内しよう!

ネクロム

あなたが喪中であるなら、おそらくネクロムを去る頃にはこの街の作法や哀歌、壺などによく慣れ親しむことができるだろう。唯一忠告しておきたいのは、ここで死者に正しい道を与えるべきだということだ。特に街の階段にある木の窪み付近だ。これは主に死者の番人が棺を入れるために使われる。この忠告を無視すれば、永遠に滞在する危険を冒すだろう。

ゴルン

インドリル家の管理下にある島だ。一説によれば、自らの魔術と実験によって正気を失ったテルヴァンニ家の魔術師のための療養所だという。これを書いている時点で、常識的な価格でゴルンへ渡らせてくれる船を見つけられなかった。おそらくそのほうがいいのだろう。危険を十分承知した上で向かうこと。

アンクレ卵鉱山

ネクロムから南に少し行ったところにあるこの目立たないクワマー鉱山は、この地域の重要な食料源だ。クワマー農場を見たことがなければ、労働者に頼み込めば案内してくれるかもしれない――ただし丁寧に頼むこと。

ヴェン・テル・フルラグ

ネクロムから南にあるこの場所は、かつて川を見下ろしていた、大きな塔の廃墟らしい。今では、パドメイ山頂に向かう途中の、便利な休息所としての役割を果たしている。

フンガル低地

ヴェン・テル・フルラグの川の反対側にあるこの一帯には、探検家の興をそそる広大な平野が開けている。川沿いには平坦な地が多くキャンプに向いており、道路と沿岸の間には人里から離れた空き地がいくつかある。

テル・バロ

伝統的なキノコの塔のスタイルに合わせるのではなく、山の側面に築かれた緊密な土地だ。この風変りな建築は隣接した丘から眺めることを勧める。これを書いている時点で、ここの居住者は訪問者に好意的でない衛兵を雇っているからだ。

ケメル・ゼー

この北西の遺跡の唯一残された入口への道は驚くほど美しいが、探索を試みる前によく考えたほうがいい。テルヴァンニ家で最も影響力のある者でさえ、内部を覗く許可を与えられることは滅多にない。ツアーはなく、宿泊施設もなく、浜辺にも接していない。

テル・レンディス

この巨大な地所はかつての所有者によって何十年も放置されていたようだ。中を探索したいと言うなら責任はとれない。だが外に出れば、ピクニックに適した快適な場所が多く見つかるだろう。

テル・ドレロス

2つの見事なキノコの塔が沿岸を見下ろす、灰にまみれた土地。地上の働き手や研究員は数が少なくよそよそしいため、勝手に丘を下って2つの塔の間へ行き、自分だけの美しい浜辺を探せる。ツアーはない。

セイレンモラ

テルヴァンニ家の守護聖人、聖ヴォリスのための手入れの行き届いた墓地と祠がある。聖ヴォリスの護符が展示されている。近くで見られるのは一定の地位を有するテルヴァンニ家の者だけだが、見ること自体は一般にも開かれている。古いセイレンモラ基地は最近廃墟と化したので、宿泊所は別を当たった方がいいだろう。

アルド・イスラ

パドメイ山頂に行くつもりがないのなら、ネクロムからすぐ南東に行けばシルトストライダーを借りてアルド・イスラまで向かえる。この西海岸の宝石はテルヴァンニ賢者の代弁者たちの住まう場所である。代弁者はテル・ヴァラの塔に事務所を構えており、塔は訪問者にも開かれているが、必ずしも歓迎はされない。何かの重要な会議室があると言われるテル・フーレンの塔でも似たような待遇を受けるだろう。しかし、外の陸地はよく管理されていて安全であり、快適な観光旅行ができる。どうしても尋ねたいことがあるのなら、通りかかる召使に聞くこと。その際は服装をきちんとしておこう。でないと召使に間違われる。

カモンナルーン

親愛なる旅人よ、この地域の南西から外れた地区カモンナルーンには何もないという私の言葉を信じてもらいたい。バル・フォイエンの近くにあるからといって、訪問者向けの場所だと思わないように。その堂々とした外観に惹きつけられてはいけない。あなたがモロウウィンド出身の者でないならなおさらだ。急いで街道に引き返し、南の環状路を通ってアラヴェリスに向かってくれ。後悔はしないと約束する。

アラヴェリス

南端の奥まった部分にある素敵な村だ。健康的で陽気な住民たちは、主に付近の碧水晶鉱山の労働者であり、宿屋〈緑の碧水晶〉はネクロムのより陰鬱な宿泊地と比べて一服の清涼剤である。お勧めの観光地であり、可能ならば長期の滞在を勧める。

冒険者よ、注意せよ!Adventurers, Take Heed!

トリビュナル聖堂は我らが生き神たちの意志を実行するため、有能な冒険者を求めている。

冒険者とその仲間たちのための特別な機会が豊富にある。栄誉ある任務、優れた仕事への報酬もある。

詳しくはネクロムのハイオーディネーター・ボリンに尋ねること。

夜のごとく鋭き者からの手紙Letter from Sharp

かつて、自分が未開の地を自由に流れる川になった夢を見た。進む方向を求めて広がるが、どこを向いても進めず、干からびた。

自分を知ろうとするのはまさにそういう感じだった。だからやめた。

ソンディヴェルにはあらゆるものを奪われた。家。家族。自由意志。奴の実験を通し、記憶も奪われた。

お前と出会ったとき、過去に関する答えが再び顔を出した。自分の中を流れるものを感じた。あることさえ知らなかったものだ。

フェデロ。私とはまったく違うが、私を変えようとも抑制しようともしなかった。前と同じように感じさせてくれた。以前は気づかなかったが、友人だ。

ディミク・エイ。血は繋がっていないが、魂や記憶よりも深いところで繋がっている。彼女を守ると約束したことは覚えていないが、失敗すると打ちひしがれた。

反抗心。母国語であるジェル語の一部。釣り…記憶でも習慣でもなく、もっと強いものだ。ヒストの木の近くで感じるのと似ている。切望と絆。平穏と混乱。

ソンディヴェルに由来する部分もある。再び自分が川になったのを夢見ると、奴に流れをせき止められ、泥を走らされ、自分に属さないもので埋め尽くされた。不信。暴力への傾倒。ずっと抱いてきている怒り。

しかし今はお前がいる。前とは違う。

再び、川になった夢を見た。飛び跳ねる魚がたくさんいる山の急流だった。緑の森の中で笑う小川だった。強くて深い流れが日当たりのいい谷間を曲がりくねりながら進んでいた。大地が自分を形作り、導いたが、抑制しようとはしなかった。

俺を変えてくれたのはソンディヴェルではない。お前だ。

野営地の状況Camp Update

この規模の野営地では普通だが、規則を破った者や怠け者が出ている。

ハルヴェルは夕食後、奴隷たちにこっそり食べ物を与えている。

デダエンクは警備シフトの間に眠っている。

ブラノスは雇われの作業員を通じて密輸品を取引している。

お前が適切と思う判決と罰を教えてくれ。そのとおりに処罰する。

勇敢なスクリブとリバー・トロールBrave Little Scrib and the River Troll

勇敢なスクリブはクワマー鉱山から出て、明るい朝日に出会いました。

「やあ、また会ったね、小さなスクリブ」と、ホタルが巨大キノコのカサの下を飛びまわりながら歌いました。「今日はどんな楽しいことをするのかな?」

「いや、ここに座って甲羅に日を浴びているだけだよ」と勇敢なスクリブは言いました。「あなたはどうなの、小さなホタルさん?」

「そうだな、リバー・トロールにいたずらを仕掛けようとしていたんだ。でも君が一人でくつろいでいたいのなら、私のお遊びくらい我慢してもいい」とホタルは歌いました。

さて、勇敢なスクリブはリバー・トロールが小川の曲がり角でゴミ漁りをしているのを見ていました。そいつは凶暴で力持ちで、友達のマッドクラブを容赦なく貪っていました。スクリブにはリバー・トロールにいたずらを仕掛けるなんて、まるで楽しそうには思えませんでした。

「だめだめ」と勇敢なスクリブは言いました。「ここで日を浴びているだけで満足だよ。あなたも一緒にどう、ホタルさん?」

「私はホタルなんだよ。光と熱は自分で作れる。どこにいても手に入るんだ。ずっと飛び回っていられるのに、座ってじっとしているなんて面白くないね」

「ああ、そうだった。あなたが飛べることを忘れていたよ、ホタルさん。羨ましい。でもリバー・トロールの長い手よりも高く飛べるとは思えない。あなたの羽根は小さすぎるもの!」

ホタルは勇敢なスクリブの言葉に傷ついたようでした。「冗談だろう!私が飛べば、誰にも捕まえられないよ。君にも自分の羽根があったらわかっただろう」

「多分そうだね、ホタルさん。羽根を持って空を飛ぶのがどういうものか、私は知らない。私はこの太い脚8本で地面に釘づけだから。でも…」

「でも、何だい?」

「リバー・トロールはあの長い長い腕の先に、とても鋭い爪を持っている。羽根があっても、私ならいたずらで腹を立てたリバー・トロールに捕まえられるのが怖くなると思う。一瞬でも飛ぶのが遅れたら、やられてしまう」

「ホタルがのろまだって言いたいのかい?ホタルの羽根がリバー・トロールの不器用な、空も飛べない爪より遅いって?」

「まさか、そんなことは言わない。でも…」

「また”でも”か!いいさ、見せてあげよう、小さなスクリブ!リバー・トロールにいたずらして、あいつが気づく前に飛んで逃げてやる!」

するとホタルは力強くうなりながら飛び去り、小川の曲がり角に突進してリバー・トロールにいたずらを仕掛けに行きました。その瞬間、太陽の前に雲が通りかかり、気持ちの良い陽光は消え去りました。

「まあ、家に帰りましょうか」と勇敢なスクリブは言い、卵の部屋に戻っていきました。ホタルやリバー・トロール、いたずらなどのことは全部忘れてしまいました。
「明日はきっとまた別の冒険があるわ」

妖術師ヴァントンの研究提案Warlock Vanton’s Research Proposal

シャリドール、トゥウェルヴェイン、およびこの問題に関して適切な地位を有している方々へ、

私、妖術師ヴァントンはドリームストーンに接触する許可を要請するためにこれを書いている。石がダヴォンズ・ウォッチ地下の宝物庫に隠されていることは知っている。私はドリームストーンの危険性を承知しているが、危険に対処するのにふさわしい人物だということは、きっと同意していただけるだろう。

私は眠り薬と自然な眠りとの差異の分析を完成させるために、ドリームストーンを必要としている。おそらく最も大きな差異は、2つの無意識状態によって生み出される夢にある。十分に訓練すれば、私はおそらく自分が落ち込んでいる夢の状態を認識できると思う。これは測り知れないほど有用なはずである。なぜなら今のところ2つの間にはほとんど区別がなされておらず、知的な精神の持ち主たちは多くの時代を通じて、どちらの状態がより強力かという問題に頭を悩ませてきたからだ(魔道師サラヴェル、へリック、シャー、オゲス、メーセイらを参照)。この問いについに決着を付けられれば、多くの探究に答えが与えられ、将来の魔術を改良するための洞察も得られるだろう。

添付の参考文献からもわかるとおり、私はこの近距離結界や予防呪文に関しては最先端の専門家であり、劣った魔術師の多くがより派手な魔術研究のために放棄している研究に関わる、繊細な技術に習熟している。

私はまた、今回の要請以前にドリームストーンを所持した者たちの報告も調べた。私はアンスールの犠牲者たちのそれぞれが何を適切に行わなかったかを確認しているし、彼らの過ちを繰り返さないための計画も有している。さらに、研究期間中私は隔離されることになるので、知識のない人々を危険にさらすこともない。私がこの知識の探究において失敗することはまったく不可能である。

簡単に言えば、ドリームストーンの怒りに対処しうる者が存在するなら、それは私だ。あなたがたにも同じ結論に到達していただけることを願っている。

敬具
妖術師ヴァントン

卵運び全員への警告Attention All Egg-Hands

スクリブをよく見張っておくこと。小さいスクリブが何匹も鉱山の古い部分に迷い込んで、緑の粘液にまみれて戻ってくるのを目にしている。何かのカビか、地表から漏れ出したものかもしれないが、あれのせいでスクリブは凶暴になっている。普段はおとなしいスクリブに、私はもう2回噛まれた。

会社は気に入らないだろうが、この緑のイコルがどこから来ているのかわかるまで、生産を停止したほうがいいかもしれない。鉱山中に病気が蔓延したら最悪だからな。

ウルフェンガル監督官

穢された卵鉱山の報告Tainted Egg Mine Report

イコルは想像をはるかに上回るほど効果的だった。鉱山内に素早く広がり、コロニーのほぼ完全崩壊につながった。

イコルの効果を遅くすることを試みるべきだ。気づかれる頃には毒ができるだけ生産ラインの先まで広がっているのが理想である。穢れた鉱山は処分できるが、ネクロム中で売られる毒された卵は?卵が毒されていると気づく頃には、もう手遅れになっているだろう。

とはいえ、現段階でも、イコルは強力な武器になってくれる。

ペライトを称えよ

アポクリファのページ

Apocryphal Pages

アポクリファの住民Denizens of Apocrypha

解読者プラウティス 著

アポクリファはもちろん、オブリビオンの次元である。こうした場所に自然の獣はほとんど住んでいない。我ら定命の解読者はデイドラの世界への訪問者にすぎない。一部の低級な霊魂はニルンの獣と似ていなくもない形態を取るが、それ以外の者は知性的な種族に類似し、また一部は自然世界に見られない奇異な形態を取る。

デイドラの小動物
解読者のミッデンを1時間も散歩すれば、定命の世界の害獣に似た日常的な小動物に出会うだろう――外見上は、ということだが。デイドラットとフィエンドロースはオブリビオンのあらゆる場所に存在しているらしく、ニルンをネズミや昆虫が這い回るのと同じように辺りを駆け回り、ゴミを漁っている。アポクリファに固有の小動物デイドラ種がトームシェルである。これは捨てられた本に取りついて動かす生物で、蟹が他の生物の殻を借りるのに似ている。トームシェルは基本的に無害だが、追い詰められれば突進してくることもある。デッドマイトについては話したくもない。

下級デイドラ

いわゆる下級デイドラの多くは、果てしなき蔵書庫や隠された色彩中で見られる。どのデイドラ公もインプやクランフィア、オグリムなどを従えており、ハルメアス・モラも例外ではない。だがグレートアイはこうした獣にほとんど注意を払わない。これらの獣は単にモラが守りたい場所に集められ、あとは放っておかれる。定命の訪問者はアポクリファで出会うこうしたデイドラに十分気をつけるべきである。この下級デイドラはグレートアイの忠実な崇拝者を侵入者と勘違いし、襲ってくるからだ。

グレートアイのしもべたち
ハルメアス・モラは一般的に獣へ似たデイドラを無視するが、より知性的な種族には遥かに強い関心を示している。モラはウォッチリングを伝令や記録者として頻繁に使用し、アポクリファで静かに機能している秘密の役所で難解な宗教的職務を行わせている。ウォッチリングのより大きく強力な親類である監視人は、しばしば監督官やガーディアンとして活動し、グレートアイのより重要な懸案に対処している。

ハルメアス・モラのしもべの中では、アポクリファの固有種として言及に値するデイドラが2種類いる。シーカーはモラの領域の学者である。この次元のすべてのデイドラの中で、彼らはグレートアイの秘密の目的に最も適しているようだ。彼らは秘密の番人として、また運命の書記として、不気味な沈黙のうちに不可解な使命を遂行している。魚に似た恐るべきラーカーはそれに対し、グレートアイの海との古いつながりを体現する存在である。彼らはモラの強大なガーディアンであり、アポクリファに対する脅威を、それがどんな形で現れようと撃退するために存在する。

侵入者たち
アポクリファの十分奥深くまで行けば、この次元で生まれたのではないが、ここに閉じ込められた獣におそらく出会うだろう。その最大の事例がハッシュドである。これは解読者のミッデンの解読者のように、かつては定命の書記だった者たちである。しかし知識にのめり込み、さらなる知への飢えによって自己のアイデンティティを失った。大半のハッシュドは定命の者に出会っても無視するが、時としてハルメアス・モラはこの不運な獣を使って、見られたくない場所を守らせている。ハッシュドが命令を遂行している時には邪魔をしないほうがいい。何の警告もなしに敵対する可能性があるからだ。

アポクリファの歴史書Chronicle of Apocrypha

記録によって示そう。グレートアイ、すなわちハルメアス・モラは、アポクリファを守り、ヴァルミーナとぺライトの脅威から次元を救うために定命の勇者を選んだ。選ばれた定命の者は放浪のデイドラであるトーヴェサードに対処するため、またグレートアイの領域の最も大切な秘密を守るために欠かせない存在となった。

記録によって示そう。your nameは運命に選ばれし者であり、ハルメアス・モラによって印を受け、この危機が続く間運命の糸を守る役目を託された。選ばれし者はモラの敵がアポクリファを破壊するのを阻止し、領域を弱体化させていた毒の腐敗を終わらせ、ヴァルミーナと隠された一族を追い出し、アポクリファとニルン、そして存在するすべての領域の存在を救った。

your nameはアポクリファの歴史書に記録され、運命のために遂行した行動のため永遠に記憶される。運命に選ばれしものを称えよ!ハルメアス・モラを称えよ!

アンダーウィーブのウォッチリングへの注意Reminders for Underweave Watchlings

ほどかれるのを待つ運命は、ちょっとした読書を許されない。

織り直すことが可能な衣服とは異なる。そのため安全を第一とする。

ラーカーが復讐の織機の吐き口に入らないようにしなくてはならない。流れ出ているもので肥大している可能性がある。

イラサバの言い訳Ilasaba’s Excuses

イラサバがパーティーに行かなかったのは、あなたたちよりも自分が優れていると思うから。

あなたたちのセンスはこの者に対する侮辱。あなたたちの食事は湿ったおがくずのような味がする。

でも、イラサバは臆病だから声に出して言えない。だからいつも何か理由を見つけて、忙しくて出られないと言う。

ヴァルミーナに捧げる歌Ode to Vaermina

ネクロムの詩人(第二紀120年没)ガリナ・ラスリ 作

おお、ヴァルミーナ、悪夢の王よ
我が午睡に絡みつく蛇の噛み傷よ
邪悪なる怪物の夢を見せてくれ
お前の領地を歩ませてくれ

激しい苦悶の夢を見せてくれ
肉をはぎ取られ、その下の骨が見える夢を
皮膚の下でうめき声をあげる者の夢を
私の目の奥で叫ぶ幽霊の夢を

お前の国をさまよわせてくれ
揺れ動く大地と、壊れた魂の国を
お前の無気力の中で踊らせてくれ
その円環の中で迷わせてくれ

お前の予兆を夜に歩かせて
眠る愚か者たちを集めてくれ
予兆は彼らの夢と希望と嘘を盗み
持ち帰ってお前の力に変えるだろう

お前の毒で世界を汚し
夢見る者の眠りを奪い去ってくれ
恐怖が彼らの魂を貪り
激しく追いやるように

眠らせてくれ、だが休息は要らぬ
狂気を内に染み込ませ
我が心にお前の闇を抱きしめさせてくれ
おおヴァルミーナ、我が願いを聞け!

〈編集注記:これは一部の界隈で正気を失った詩として知られる、有名なガリナ・ラスリの最後の詩である。ラスリはこれを完成させた後、高所から飛び降りた〉

ヴォイドプラウラーの日記Voidprowler Journal

今日の仕事

– ファーグレイブで剣を5本、盾を3つ買う
– ヘゼークを探す
– ヘゼークからマダム・ウィムの秘密を盗む
– 新しい剣を研ぐ
– ラーカー(?)を捕まえる
– ラーカーが何を食うのか調べる
– 隠れた広場に軽く襲撃をかける

ウクスナスからのメモNote from Uxunath

ついにやった。レムナントに対する我々の攻撃が成功した。セノタフは今やドリームカーヴァーのものだ。

レムナントの力を我らのものとするにはまだ多くの課題が残っている。レムナントはハルメアス・モラとの契約を、クラッツと呼ばれる小次元の内部に閉じ込めている。この契約は奴らの力の中核であり、我らの襲撃の標的だ。

私が配布した石は私の容貌に調整されている。私が以前記した儀式のために石を使え。私のエキスがレムナントと融合したら、クラッツの壁は崩れ去るだろう。

ウルスキャントの宣言Uluscant’s Manifesto

勇敢なるビスネンセルのエルフたちよ!

暴君ラロリアラン・ダイナーがついに退位したと告げられることを喜ばしく思う。奴とその少数の支持者たちはすでに我らが麗しき街から姿を消した。遠く離れた地の親族に庇護を求めるつもりだろう。今日は我らが民の新たな出発を大きく印づける日である!

諸君らも知ってのとおり、軍は奴隷帝国の隆盛からアイレイドの領地を守ることに失敗した。我々はまた、憎悪に駆られ無慈悲な戦争以外の考えを持てなくなっている者たちを相手に、外交で対処できるとも思えない。ビスネンセルと、この世界における我々自身の生存を守るために、別の道を探さなくてはならない。ハイルマ・モラを信じなければならないのだ。

黄金の目はすでに神聖なるプライマル・シーカー教団に、暴君ラロリアランを打倒する方法をお与えになった。今やあの方はビスネンセルを幻影と秘密の衣に包むことで、我々をアレッシアの暴徒から守れることをお示しになられた。ハルシオン湖の岸にどんな軍団が到達しても、我らの防衛網を突破することも、ここに来る目的を思い出すこともできないだろう。ハイルマ・モラの保護下にあれば、ビスネンセルはアイレイドの民の偉大さの礎となるすべてを守れるだろう。

黄金の目は我らの献身に安全と繁栄で報いてくださる。私は諸君の大司祭として、このことを約束する。

ウルスキャント

ウルダザーンの手紙Uldazaan’s Letter

解読者アカシーン、

お前の頼み事は可能だが、定命の者にとっては普通でない要求だ。求めている儀式を教えてやってもいいが、その代償はお前に背負える以上のものかもしれない。死を拒絶するには、生をもまた拒絶しなければならない。

私はもうすぐネイディル極点を訪ねる。旅の祠から遠くないところに、我々の目的に適した場所がある。定命の金貨を十分なだけ持ってこい。

異端の番人ウルダザーン

オブリビオンの扉に関するメモNotes on Doors of Oblivion

これは私の問題じゃない。私はこのモリアンではない。違う者だ。偽者。再検討によって切り落とされた、以前のバージョン。嘘によって作られたものだ。私ではない!

それに、このセイフィジ・ヒッジャとかいう奴は何様のつもりだ?私について書き、私の頭の中で喋っている。これは私の名前と私の頭だ。人を訪ねる時は土産を持ってくるのが礼儀だろうに。行くなら他の奴の家にしろ。私のところに来るな。どこかに行って、自分の人生を生きればいい。好きにすればいい。とにかく私を巻き込むな。

なぜディヴァイス・ファーという名前に聞き覚えがあるんだ。カーならカラスだが、ファーは違う。ファーなんて軟弱で、曲がりやすそうで信用ならない。秘密を語る者、真理を保つ者。解読者のように。奴の約束は信じられない。そもそも約束さえしない。お前の本を私によこすな。

一体この戯言は何だ?他の領域についてもっと教えてくれ。記述の仕方も悪い。アッシュピットが空気中の埃や塵でどんな音を立てているのか言及していない。「既知」のような間延びしたブーンという音。体を持ち上げはしない代わりに、肺を満たそうとしてくる蜂の羽音だ。

コールドハーバーは大部分において正確だが、ムーンシャドウは美しくない。まるで絵画を泣かせようとするようなものだ。目に油を注ぎこまれたら、いずれはすべてを頭から追いだしてどこかへ行ってしまうだろう。

クアグマイアで、私の目の前であの男が皮を剥がれた話はどこにいった?私は確かにあの話を細部に至るまで話したはずだ。私はあれを見せられたのだから、読者も同じくらい詳細に読むべきだ。今呼んでいるが、恐ろしい部分が欠けている!これは許せん。愚かな創作物め、なぜ現実を反映しない?

全体としては、この著者に長い手紙を書くのを忘れないようにしなければ。こいつはまったく間違っているし、真実を十分に創作していない。私は自分が読むすべてのものに夢中になりたい。不運な魚のように地表を跳ね回りたいのではない。

オンリ・ムリエンの秘密の願いOnri Murien’s Hidden Wishes

彼と旅するため、家族のもとを去らなければよかった。
もっといい家を買える、ゴールドがあればよかった。
彼が前の夫と同じくらい、私を愛してくれたらよかった。
彼が花畑の素敵さに、気づいてくれたらよかった。
彼が死んでくれたらいい。

ギャラリーの獣Beasts of the Gallery

この共同著作は、フェラル・ギャラリーの居住者を世話している目の解読者全員の協力を得て作成された。

火壺の蜘蛛

自然な生息地:ソーサ・シルの工房

望ましい気候:なし

記述:この蜘蛛はクロックワーク・シティで見られる火壺の蜘蛛のプロトタイプである。通常の可燃性液体を含んでいるが、推進力を得る方法は最終的なバージョンと異なっている。また、最終バージョンよりもかなり大型で、そのために最終バージョンのような曲芸的な動きを安定して遂行できない。

追記:注意せよ。外的な素材でこの蜘蛛の火壺を点火しようとすると、火壺は非常に高確率で爆発する。我々は複数の原プロトタイプと、1つ以上の囲いの壁を火災によって失った。繰り返さないように。

ブリストルバック

自然な生息地:ソルスセイム、ムンダス

望ましい気候:雪山の高地、氷点下の気温

情報:背骨に沿った毛皮は逆立っていて硬く、この動物の名称の由来となっている。リークリングによってしばしば労働用あるいは騎乗用の動物として用いられ、ソルスセイムの他の住民には肉のために狩られる。リークリングはブリストルバックを日々の生活でうまく役立てているが、解読者は誰一人として、ブリストルバックの攻撃的な性向を抑えることに成功していない。

世話用メモ:ブリストルバックは攻撃的で縄張り意識が強い。彼らは自分たちの囲いへの侵入者をよく思わない。必要なものは通路を使って配るか、眠りの煙を用いてから中に入ること。

追記:インペリアルのモリアン・ゼナスは、ブリストルバックが貴族であるという印象を抱いている。多くの解読者は彼の主張を笑うが、筆頭解読者フリールヴィはかつてブリストルバックに頭を下げたことがあり、それゆえに現在ブリストルバックは彼女が通りすぎても気にしないと噂されている。これは明らかに馬鹿げた流言だが、彼女はこの話の真偽を明言していない。

ブルーオアシス・ドラゴンフロッグ

自然な生息地:ヒューズベイン、ムンダス

望ましい気候:焼けるように暑く、日陰の多い砂岩地帯

情報:ブルーオアシス・ドラゴンフロッグの派手な色と独特な炎の色は、かなり見ごたえがある。ドラゴンフロッグの中にはペットとして飼われ、芸を仕込まれているものもいるが、この種族は元の本能と行動を保つために可能な限り手を触れないようにしてある。

世話用メモ:このカエルはあまり多くのものを必要とせず、囲いを探検して空を飛び跳ねるだけで満足しているようだ。炎を吐くが、射程が短く簡単に避けることができる。触れられることにはあまり反応せず、囲いの中に解読者が入っても無視する。

ドワーフ・キャリアー

自然な生息地:リーチ、ムンダス

望ましい気候:なし。このコンストラクトはあらゆる地下の気候に耐えるよう作られている。コンストラクトであるため、好き嫌いは示さない。

情報:おそらくは重い荷物を持って長いトンネルを輸送させるために、ドワーフによって作られた。この生物は驚異の技術力の結晶である。肉体を持つ生物の脳にも似た中枢システムを有しているが、この生物が我々と同じように思考するのかどうか、議論の余地なく証明した者はいない。

世話用メモ:このコンストラクトは仕事を与えておかないと退屈し、暴れ出す。できる限り、囲いの中に重い岩を配置しておくこと。そうすればしばらくの間は岩を持ち上げたり降ろしたりを繰り返すだけで、問題は起こさないだろう。

マッドクラブ

自然な生息地:タムリエル全土

望ましい気候:沿岸や海辺

情報:社会的生物であるため、我々は複数のマッドクラブをこの囲いの中で一緒に住まわせている。囲いの床には付呪が施されており、マッドクラブたちが下を掘り進んでも、囲い自体の境界を越えては逃げられないようになっている。このマッドクラブたちは奇妙な形式のダンスを実践するようである。彼らは輪になって集まり、リズミカルに左右に揺れる。彼らはこのダンスを1日に数回行う。

世話用メモ:どのような状況にあっても、このマッドクラブたちに囲まれて踊りを始められないようにせよ。彼らのせいですでに数人の解読者が、うわごとを言う錯乱状態に陥っている。

ギャラリーの知覚ある獣Sentient Beasts of the Gallery

これは現在進行形の作業であり、フェラル・ギャラリー内に囲われている近くのある獣について、そうした獣を世話している目の解読者たちの協力によって行われている。

モリアン・ゼナス

自然な生息地:ムンダス

望ましい気候:蔵書庫や講堂

情報:年齢、体格ともに平均的なインペリアル男性。かつて強大な魔術を操っていたが、技術を忘れてしまったようだ。「オブリビオンについて」や「アポクリファで聞きつけた秘密」などの作品の著者であり、また「オブリビオンの扉」に登場するモリアンは、抜きんでた力と教養を持つ魔術師だった。彼はアルケイン大学で境界学の教授として教え、そこでセイフィジ・ヒッジャやディヴァイス・ファーと出会った。これらの定命の者が彼の人生に果たした役割をよりよく理解するためには、モリアンの以前の著作を参照すること。

モリアン・ゼナスはアポクリファに居を据える前、アッシュピットやムーンシャドウ、クアグマイアを通ってきたと報告されている。彼はそこから離れていない。憶測によると、モリアン・ゼナスはここにいる間に何らかの禁じられた知識を発見してしまい、今は去ることができなくなっている。ハルメアス・モラはモリアン・ゼナスがここで正気を失うのを見て楽しんでいると言う者もいれば、秘密の王が楽しむのは自身の秘密を守ることだけだと言う者もいる。いずれにせよ、モリアン・ゼナスはこの領域を離れることができず、離れたいと思ってもいないようだ。

世話用メモ:モリアンが最も好む余暇の形態は、文学である。
世話用メモへの追記:彼が話しかけてきても会話をしないこと。彼の状態が感染性のものかどうかは不明瞭である。
世話用メモへの追記への追記:感染性ではなかったが、彼の言葉を理解するのは困難であり、話し方も支離滅裂である。時間を無駄にしないためにも、彼の呼び声は無視して、自分の仕事に集中せよ。

シュライク

自然な生息地:エバーグローム

望ましい気候:霧と夕日に包まれた森林地帯

情報:とてつもなく知性的なデイドラであるシュライクは、異常なまでに感情の揺れが激しい。他のデイドラは不気味なほどおとなしいか、常に気まぐれだったりするが、シュライクは2つの状態を持つ傾向にある。我々が世話をしているシュライクは、2つの一般的状態のうち1つしか示さず、常に変わらず陰鬱である。フェラル・ギャラリーに来る解読者の誰も、シュライクが深い悲しみと憂鬱以外の状態にあるのを報告したことがない。

世話用メモ:シュライクを憐れみ、近くに寄りすぎないこと。シュライクは元気がなくても危険であり、これまでにも複数の解読者を自分の囲いの中に誘い込んでいる。

ハヴォクレル

自然な生息地:なし

望ましい気候:溶岩の海と炎の穴

情報:ハヴォクレルは恐るべき体格と気性を持つ視覚を持たないデイドラだが、我々が世話しているハヴォクレルはある方法を発達させ、見ることができると主張する。叫ぶのである。それも大声で。そして、声の音が触れるものを見ることができると述べている。当然だが、彼の主張を証明することは我々にできない。彼は頻繁に叫び、非常に大きく、限りなく甲高い声を出すからである。以前の解読者たちは彼のために障害物コースをデザインして移動させ、この主張を証明しようと考えたが、危険すぎると判断された。

世話用メモ:ハヴォクレルの声の音量を下げるか、声に長時間さらされた際の苦痛を軽減する呪文を見つけること。複数の解読者がハヴォクレルの囲いを含んだ部屋に入った後で耳鳴りを報告している。

ウィスプマザー

自然な生息地:ムンダス

望ましい気候:ウィスプのいるところ

情報:ウィスプマザーはどの解読者とも口をきこうとしない。食い下がると、彼女はすべての発言と要求を周囲のウィスプに対して言う。彼女は最大で10体のウィスプを支配できるが、そのうちの1体を気に入っており、そばにおいて遊びたがる。他のウィスプたちはスカートのヒダの裏に安全にしまわれていると主張するが、複数の解読者が彼女の囲いの境界外からウィスプたちを回収している。ウィスプマザーは自分のウィスプが逃げ出していることを知っているのか、逃げ出せることを理解しているのかは不明である。

世話用メモ:ウィスプマザーはウィスプをしばしば子供たちと呼んでいる。ウィスプマザーを子供たちから引き離さないように。

キンマーチャー・ストリクスの日記Kynmarcher Strix’s Journal

秘密のデイドラ公に呪いあれ!

ニミック砦での任務が簡単でもなければ短時間で済むものでもないことがわかった。この壁の中には無数のニミックが保管されているが、手では触れられない思考として存在しているだけだ。あれに接触するには、広大な迷路の中で正しい場所に行き、思考に命令して見える形態へ出現させなければならない。試行錯誤を必要とする面倒な過程だ!

何らかの対策がされていることはもちろん予測していた。だがニミックがうまく姿を現しても、ハルメアス・モラは第二の防衛手段を用意している。それぞれの名前は部分に分けられ、異なる場所に保管されている。分離された状態からニミックを復元するための暗号か合言葉があるはずだ。だがモラのしもべがその手続きをどこかに記録しているとしても、まだ見つけられていない。

とりあえずドリームカーヴァーには、見つけられた部分的なニミックをすべて出現させ記録しておくよう指示しておいた。モラの暗号化の秘密さえわかれば、遥かに多くのことができるのだが!

グリフィックとは何か?What About Glyphics?

解読者ドロドス・ドロム 著

アポクリファはその秘密と禁断の知識を、あらゆる形状とサイズの器に保管している。最も一般的なものは書物の形態を取ることが多いが、巻物や羊皮紙、モラの目、石板や金属板もある。だがおそらく多様な器の中で最も興味深いのは(モラの目を除けば)グリフィックだろう。

グレートアイの領域の特性に詳しくない者は「グリフィックとは一体何だ?」と思っているだろう。心配は要らない。この風変りなアイテムの詳細を手短に説明しよう。

アポクリファのすべてのものと同じく、グリフィックはハルメアス・モラの創造物である。結晶化された記憶、あるいは観念上の瞬間を後に開示するために固形の状態で捉えた凝集体と考えればいい。どんなグリフィックにもある特定の知識の一部や、特定の記憶が込められている。適切に引き出せば、グリフィックをその内に込められた概念の具象化されたバージョンへと変身させられる。

グリフィックはグレートアイによって特別に作られたものなので、それぞれのグリフィックにはハルメアス・モラにとって思い入れや重要性のあるものが入っていると考えていい。グリフィックはアポクリファ全体の中でも最も安全で、改ざんされにくい知識の保管庫なのだ。グリフィックにはグレートアイが何らかの理由あって追放した知識や記憶が込められていると言う者もいる。また、モラは神としての自分の関心や目的のための情報を保管するためにグリフィックを使っていると言う者もいる。いずれにせよ、グリフィックを取り扱う機会があったら、そこに込められた知識を書き記す際には慎重になってもらいたい。

ゼイリニアの沈黙の告白Zeirinia’s Silent Admission

昔、私が小さかった頃、母の家の壁にインクをぶちまけたことがあった。その後、私は犬の毛にインクをぶちまけ、彼女が責めを負うように仕向けた。

思い返すと、今でも笑えてくる。

ダガーフォールの悪魔との契約Pact of the Daggerfall Devil

第七日の第三の時間、
定命の者の第二紀455年の最後の月、
アビサル・セファリアーク、人間の庭師は、ダガーフォールの悪魔として知られる定命の者と、同意と理解により契約を形成する。

ダガーフォールの悪魔が無実の者数十人の命を奪ったこと、およびその罪のためにダガーフォールの街にて処刑を定められていることを知り、ハルメアス・モラは彼に庇護を提供する。その見返りに、ダガーフォールの悪魔は彼の精神をコーラスに、彼の身体をレクトリー・コーポリアに、定命の者の500年の間捧げるものとする。

ダガーフォールの悪魔が受け入れるのなら、彼は速やかに処刑を免れ、追跡者の手の届かない場所へ置かれるだろう。

タムリエルの双子神話Tamrielic Twins of Myth

タムリエルの双子神話への導入

タムリエルの遠い地にまで旅する喜びを味わったことがない人のために、イメージを描こう。降霜の月の爽やかな空気を想像してもらいたい。最後の陽光が大きく壮麗な山脈の背後でゆっくりと消えていく。あなたは暖かく快適な宿屋か、親切な他人の家、あるいはそれに類する、夜を過ごせる家の前に立っている。一日の疲れを振り落とす前に、あなたは暗くなっていく空をもう一度見る。そこに見えるものは?双子だ。

ジョーンとジョーデはタムリエルの神話における双子の力の証拠だ。だが、悲しい真実を知らせなければならない。最も偉大な神話や伝説の多くは、紙に記されていない。いや、皆まで言うな。物語学者たちが一斉に身震いしているのはわかっている。しかし本当のことだ。私の旅で最も力強く活き活きとした物語は、焚き火の周りで若者たちに向けて語られる物語だ。そういう物語を3つ伝えられることを誇りに思うが、ある点を明確にしておきたい。これは特権だ。これらの物語は大切にされるべきものであり、学問的な正確さで解剖するべきじゃない。

第一の物語は、アルゴニアンの子供が私の革で綴った日記に噛みついている間に話してもらった。古代のザンミーアの奥に迷い込んでしまったアルゴニアンの双子、イジクとツウィールの物語だ。それから私たちはシストレス沿岸に行き、そこではマオマーの双子クリシナとオーミリルが呪われたスロードの海に深く潜っていく。最後はノルドの神話だ。目覚めると魔法の吹雪の中で迷子になっていた、フィルンリグとライナの物語だ。

デイドラ公との取引Deal with a Daedric Prince

ティアーの癒し手リンドラル・シラノの証言、第二紀573年頃

ついに究極の手段に訴える時が来た。疫病と災厄が我らの地を冒した。最初は夏に一連の凍える夜が、その後は津波、そして重苦しい瘴気が街に襲いかかった。その後、水が黒ずんで飲めなくなった。そして、動物たちが病気になり始め、次いで人々、ダークエルフまでもがやられ始めた。

私と仲間の癒し手たちは当初、呪文や湿布、薬で何とか対処していた。だがすぐに病人の数が増えすぎたため、近くの集落に助けを求める知らせを送ったが、彼らは自分たちのところに疫病が拡散するのを恐れて拒絶した。我々は自分たちの物資を使い果たし、しまい込んであった蓄えも使ってしまった。そして癒し手さえもが病に倒れ始めた。

もうこれ以上は耐えられない。私は古代の文書を漁り、指示されたように吸血鬼の塵、銀、デスベル、ルビーを使い、異界の言葉を唱えて私たちの病の源泉を召喚した。

「ぺライトよ!我は汝の釈明を求める!」

まばゆい閃光と立ち昇る煙と共に、幽霊のようなスキーヴァーが渦巻く霧の中から姿を現した。召喚は失敗だと思ったが、スキーヴァーは口を開いた。「汝は呼んだ。我は応じた。汝はいかにして我を称える?」

「称えるだと!」私は吐き捨てるように言った。「お前は我が街に疫病を放った。何の理由も目的もなく。止めてくれ!」

「疫病?何の疫病のことを言っている?」スキーヴァーは無邪気に尋ねた。

私は鋭く返答した。「感冒や悪寒、衰弱。激しい震え。扁桃腺炎。動悸の異常!新たな病気が起きるたび、前よりも悪くなっていく!」

スキーヴァーは肩をすくめたように私には見えたが、次のように言った。「我は自然のあるべき経過に任せる以外のことを何もしていない」

「お前が私の村を滅茶苦茶にしたんだ!」と私は言った。

「お前は苦痛の停止を願うか?」とスキーヴァーは尋ねた。

「命令しているのだ!これを止めろと!」と私は叫んだ。

スキーヴァーはケラケラと笑った。「デイドラ公に命令?本気か?お前に強制できるというのか、定命の者よ?」

「私には知識がある」と私は応じた。「もっと知識を得てもいい。お前を追及し続けてやる。その知識を国中に広めてやる。お前の死の病に対処するだけじゃない。根元から絶やしてやる!お前の力は衰え、お前は劣った存在になるんだ」

一瞬だけ沈黙が下りた。そしてスキーヴァーは言った。「何を求める?」

「私の患者たちがあの疫病から解放されること」と私は言った。「サイレン・ヴァルゲイトの民がもはや病気にかからないことを望む」

そして少し考えてから、私は付け加えた。「1年と1日の間でいい」

再び沈黙が下りた後、クスクスと笑い声が響いた。そんな声がスキーヴァーから聞こえてくるのはとても不思議な感じだった。「よかろう」

その言葉と共に、幽霊のようなスキーヴァーは姿を消した。そして夜明けになると、サイレン・ヴァルゲイトの人々は回復し始めた。体力を消耗させる咳は弱まり、悪寒は退いた。最悪の扁桃腺炎を患っていた者たちさえ、体力を回復し始めた。

だが、代償は伴った。デイドラとの取引には常に重い対価が伴うのだ。私はすぐに手足の力が抜けるのを感じ、その後数日して、私の皮膚はトカゲのような鱗状に変わり、それが片腕全体に広がった。もう片方の腕には腫瘍が現れた。食べ物はまったく味がしなくなった。眠ることもできず、呼吸も辛くなった。

今や私の視界もぼやけている。私は衰弱した。私の胸の中で何か不愉快なものが動いている。私は自分の部屋に閉じこもり、皆には私に近寄らないよう伝えた。弱っていく耳を通じて、鐘の音が聞こえる。サイレン・ヴァルゲイトが歓喜の声と共に健康を祝っているのだ。私は民のために喜んだ。だが自らの身に起きたことは呪わしい。

私はぺライトを呪う。そしてデイドラ公と取引した自身を呪う。

〈この写本は第二紀573年、リンドラル・シラノの執務室の中、腐った死体のそばで発見されたものである。死体は燃やされたが、浄化の炎にくべられる際にもまだ動いていたと言う者もいる〉

トーヴェサードの日記Torvesard’s Journal

記憶は揺れ動き、一定しない。そのため、俺は定命の者のようにペンとインクを取り、思考を記録することにした。過去に起きたと思われることが、もし再び起きた場合に備えて。

* * *
俺は自らの目的を未だ明確に捉えられていないが、常に栄光ある目的に充たされていた。衝動が俺を突き動かしている。ある過ちを正したいという激しい欲望。過ちが犯されたという確信はあるが、それは未だにぼやけている。明確にしてみせる。そして正義を行う。いつの日か。

待つことはできる。

時間は無限にあるのだから。

* * *
夢。一般的にデイドラは夢を見ない、少なくとも定命の者が理解しているような意味では夢を見ないと考えられている。だが俺は思い出せる限りの昔から、時折ある一つの夢に苛まれ続けている。最近、その夢はさらにしつこくなり、ほぼ毎日繰り返されるようになった。興味深いことに、俺はデイドラ公に仕えたこともなければクランと歩んだこともないのに、夢はデイドラ公ヴァルミーナとぺライトに関係している。この問題に関する専門家に相談する時が来たのかもしれない。

* * *
俺の夢は俺だけのものではないようだ。ヴァルミーナとぺライトはどちらもこの夢をある形で経験したことがある。だがその夢は俺ほど頻繁でも、強力でもなく、細部も欠けている。だが夢と悪夢のデイドラ公でさえ、この夢の意味を理解させてはくれなかった。俺が今記憶として知覚するものの、ごくわずかな断片を思い出させてくれただけだ。

その断片の中で、俺はヴァルミーナとぺライトがもう一つの強大な存在と、夢のデイドラ公の大きな像の前で激しい言い争いをしている場面を目撃している。そこで像は爆発し、その存在が秘密のデイドラ公ハルメアス・モラであることがわかる。突然俺は理解した。これは実際に起きたことだ。そしてこれが起きた時、ある重要なものが我々から奪い取られた。どれだけの努力と代償を払っても、取り戻さなければならない記憶が。

* * *
信頼できる味方の協力によって、今や複数の計画が動いている。ヴァルミーナとぺライトはモラに激怒し、手伝うことに同意した。テルヴァンニのマスターを含む、定命の者の協力も確保した。我々はアポクリファの宝物庫に侵入する。禁断の知識のデイドラ公の秘密を暴くのだ。そして我々から盗まれたものを取り戻す。

俺は自分の不死の存在にかけて、このことを誓う。

とても小さなトームシェルThe Littlest Tomeshell

解読者ムキーシュによる、ほぼ真実の物語

昔、あるデイドラの霊魂がオブリイオンの蒸気を漂っていました。霊魂に自分の領域はなく、命令を与えるデイドラ公もなく、住まう形態もありませんでした。あったのはただトルグという名前と、次元の流れが運ぶほうへ漂っていく欲望だけでした。

そのうち、すべてのものに起きることですが、トルグは知識と秘密の領域アポクリファに引きつけられていきました。すべての方向に伸びている書物の山脈は霊魂を魅了しました。あらゆることが記されているこれほどの数の書物が高く広く積み上げられている光景は、見たことがありませんでした。霊魂は本の間を漂いながら、それぞれの中に込められている情報を想像しました。遠く離れた場所や強大な存在、驚異の遺物についての幻視を浮かばせました。しかし物理的な形態がないため、トルグはページをめくることも表紙を開くこともできず、一言だって読めませんでした。

がっかりしたトルグは、すぐ近くで揺れが起きていることに気がつくまで長い時間がかかりました。霊魂は叫び声や唸り声、苦痛の泣き声を追いかけ、本の山2つが重なっている行き止まりにたどり着きました。この領域の作法や危険に疎い若い解読者が1人、本の壁を背に動けなくなっていました。彼の向こうにはドレムナケンが4本の頑丈な足で立ち、口には鋭く尖った牙を生やしていました。

若い解読者は持っている唯一のものを盾にしていました。それはとても小さな本で、表紙は彼の掌ほどの大きさ、厚みは掌の半分ほどしかありません。言葉は剣よりも鋭いと言いますが、この小さな本はあまり頼れる武器とは言えません。ドレムナケンは一瞬も怯みませんでした。

ドレムナケンが体を持ち上げて襲いかかろうとした時、トルグは前に突進し、小さな本の中に滑り込みました。霊魂は自分をこの小さな本の隅々にまで行き渡らせ、ページを自らの体に、表紙を翼に変えました。トルグはマッドクラブが殻に住むように、小さな本に住みつきました。そしてトルグは激しく羽ばたいて空中に飛び、ドレムナケンと解読者の間に割り込みました。

ドレムナケンは困惑し、羽ばたいて空中に浮かんでいる小さな本を眺めました。本とは思えないこの行動にどう対処したものか、明らかに迷っていました。トルグは突然身を翻し、ドレムナケンの鼻の中に真っすぐ飛び込んでいきました。この大きな生物が叫んだのは痛みよりも驚きのためでしたが、それで十分でした。ドレムナケンは背中を向けて逃げ、果てしない本の壁の隙間に消えていきました。

若い解読者は新たに誕生したトームシェルに感謝しました。アポクリファでは霊魂に憑依された本はそう呼ばれるからです。トルグは揺れと羽ばたきで感謝を受け入れたように見えました。そしてトルグは飛び去り、トームシェルの生活を送りに行きました。

若い解読者のほうは年を取ってより賢い解読者になりました。それは私のことかもしれないし、そうではないかもしれません。

ナーニュレルの航海日誌Naanurrel’s Logbook

嵐はもう4日間も続いており、ゲイルは打ちつける波に耐えられそうにない。船と乗り手全員をこの重苦しい海の中に失うかもしれない。息子を水の墓に葬るわけにはいかない。だから禁忌の手段を使うしかない。ずっと以前、私はある昔の船乗りから大いなる力と契約するための儀式を学んだ。息子を救えるチャンスは今しかない!

〈一連の奇妙な、揺れ動くグリフが血で描かれており、その後には次のように記されている〉

危機に瀕した今、私はお前を呼ぶ!私と船員の命を奪い、息子を救ってくれ!この恩恵のために、私は永遠の奉仕を誓う!

〈字体の異なる手書き文字で、一連の奇妙な見慣れないグリフが描かれており、その後は以下のようになっている〉

申し出は受け入れられた。契約は成された。ナーニュレルを溺死者のための我が案内人としよう。かく行われるべし!

〈最後の数行には、ナーニュレルの書いた文字がある〉

息子よ、お前を海に沈めることはできない。禁忌に手を染めるしかない。許してくれ。

ニミックの性質についてOn the Nature of Nymics

ディヴァイス・ファー 著

私は研究の最中、しばしばデイドラと取引することになる。実際、生きている定命の者で私以上にデイドラに詳しい者を知らない。さて、タムリエルのより遅れた一部の地域では、これが卑しい意図の表明と見なされるかもしれない。なにせデイドラ信者は、定命の者の世界で見られる最低の悪事の原因なのである。

このような非難に対して、私は自分が利用するデイドラの力を注意深く選んでおり、どのデイドラも崇拝していないことを指摘しておく。デイドラは我々定命の者が理解しているような意味で邪悪な存在ではないが、それは単に彼らがデイドラだからである。デイドラの邪悪は、彼らが代表する役目と概念から生じるものである。そこでデイドラとそのニミックについての興味深く、また難解な問題が提起される。

デイドラのニミック――あるいは呪文における真の名は、しばしば考えられているような、単なる呼称とは違う。定命の者は新しい帽子を被るのと同じくらい簡単に名前を変えられる。日々、復讐を試みる敵から逃れるため、あるいは新しい地でやり直すために偽名を名乗る者は後を絶たない。しかしデイドラは、その真の名によって規定されている。彼らにはそれを捨てることも変えることもできない。自分の身体や意識を捨てられないのと同様である(そうする方法もあるが、私の論点は明白だろう)。事実、デイドラの物理的な形態が完全に破壊されても、そのニミックは残留する。

このことから、ニミックは魂のようなものだと思われるかもしれないが、それは大きな勘違いである。定命の魂はどちらかというと初歩的な魔術でも容易に別の器へ移し入れられる。それに定命の者には自分のあり方を変え、古い欲望や野望を捨て、新たなものと取り換える選択ができる。しかしニミックが再び姿を現す時は、常に単一かつ不変の形態を取るのだ。

例えば、メエルーンズ・デイゴンのようなデイドラ公は、ただ破壊の神であることをやめられない。デイゴンの役割のその部分は、デイゴンを常に規定し続けている。滅ぼされたとしても、デイゴンのニミックはいずれ以前とまったく同じように再形成されるだろう。それゆえニミックとは、生物がオブリビオンの永遠の混沌から姿を現した時に創造された、その生物を規定する模様か定式と考えるべきだろう。

さて、ここからがこの問題の本当に面白い部分だ。正しい魔術を用いれば、この模様に手を加えることができる。ニミックを変化させれば、それによって規定されるデイドラを変化させられる。デイドラの完全なニミックを学んだ真に有能な魔術師ならば、デイドラの忠誠心を変化させ、その力を制限し、異なる物理的形態(何かの物体など)に固定させ、あるいは単に消滅させてしまうこともできる。当然ながら、より強力なデイドラほどそのニミックも複雑になり、そのような変化を引き起こすことは難しくなる。

しかしだからこそ、すべてのデイドラは敵に自分のニミックを知られる可能性を恐れ、あれほど大事に守っている。

ハッシュドの破滅The Doom of the Hushed

賢きレラミル 著

アポクリファは定命の訪問者にとって多くの危険を秘めている。この次元の一部の場所は恐るべきデイドラの獣によって守られている。他の地域は一見して無限に続く陰鬱な迷路のように見える。さらに別の地域で、旅人は実現しなかった運命の中に迷い込む可能性がある。不注意な者を自ら作り上げた世界に閉じ込める、不可思議な現実である。

しかしハッシュほど油断のならない、恐るべき危険は存在しない。

これはアポクリファの悲惨な真実であり、ハルメアス・モラとのあらゆる取引の核心に待ち受ける罠である。定命の者が知るべきでない物事を知るためアポクリファに来る者は、自らの精神を危険にさらしている。

定命の者が自分の知性に収まるよりも遥かに大きな秘密を知ってしまうと、その精神の内容にずれが生じる。アポクリファ以前の人生の記憶、例えば大切な人々の顔や名前、定命の者をハルメアス・モラの領域へと導いた野心や欲望といった記憶は、徐々に失われていく。しかし知への渇望は定命の者を突き動かし、さらに先へと向かわせる。禁じられた知識の追求のため、自己を捨ててしまうほどに。

目の解読者はこの破滅の歌をハッシュと呼んでいる。そしてこの破滅に屈した者はハッシュドと呼ばれる。

ハッシュドは本来の素性や目的を忘れ、自らが抱える秘密の器でしかなくなった存在である。彼らは言葉を話せず、意思の疎通も取れない。大半は無言のままアポクリファの書架を徘徊し、周囲のものを一切気にかけることなく、さらなる難解な書物を探し求める。だが一部の者は均衡を崩して凶暴化し、出会うすべての者に襲いかかる。ハッシュドが何をするか知る方法はまったく存在しない。

学者たちの中には、ハルメアス・モラがその秘密を利用して定命の者をハッシュへと誘い込み、破滅へと導く邪悪な意図を持っていると信じる者もいる。私の考えでは、ハッシュドは悪意でなく、無関心の犠牲者である。運命のデイドラ公は約束を守る。定命の者が何かを求めてモラと取引する時、モラはそれを与えてくれる。その何かが定命の者の破滅であるとしても。

ハルマ・モラ:ウッドランドの男?Herma-Mora: The Woodland Man?

レジナス・ブーカ 著

デイドラ公ハルメアス・モラは、彼が運命や秘密の知識を支配しているという事実を反映する数多くの呼称を有している。例えば秘密の王、不可避の知者、知る者、等々である。しかしその中で特に異色と思われる肩書きが、「ウッドランドの男」である。この名称は古代アトモーラの民によって与えられたものであり、ハルメアス・モラはこの民に「ハルマ・モラ」として知られていた。

現代の学者にとって、「ウッドランドの男」がイフレのような森の神のための肩書きのように響くのは確かである。しかしアトモーラ人(および古代スカイリムのノルド)はハルマ・モラを誘惑者、すなわち無警戒な者に知識や力を差し出して罠にかける存在だと見なしていた。ハルマ・モラは狩りや天候、森での生活、生存の苦難といったものとまったく無関係だった。

この矛盾はおそらく、一見してそう思えるほどに解決不可能ではない。

簡単に言えば、我々は古代アトモーラの言葉についてほとんど何も知らない。北方の地の民の間に書かれた言葉が出現するには、イスグラモルの時代まで待たなければならない。最初期の数十年の間に用いられた文字は頻繁に混同され、用法を変えられ、省略されることさえあった。この問題を調査していて、私は資料の正確さに疑問を抱くようになった。

スカイリムで生き残った最古の文書を注意深く調べると、学者たちがこの言い回しを数百年もの間誤解してきた可能性が浮かび上がる。「ウッドランド」の語源となる言葉は「荒野」と翻訳すべきものであり、荒廃した、あるいは居住不可能な場所という含意がある。同様に、アトモーラ語における「男」の語源は、話すという概念に結びつく。この解釈に従えば、「男」とは言葉を話す動物である。

それゆえ合わせると、全体としては「ウッドランドの男」は「荒野にて話す者」と訳すべきである。

荒野の神ハルマ・モラ?あるいは、荒廃した地で恐るべき秘密を話す者ハルマ・モラ?それならば禁断の知識の番人として知られるデイドラ公にとって、より筋の通る解釈になるはずだ。

ファーグレイブ:神話の都市Fargrave: A City of Myth

ファーグレイブはオブリビオンの奥まった小次元にすぎないと思う者もいるが、豊かな歴史と重要な役割を有している。交差点としての機能を果たすファーグレイブは、次元の旅人にとって馴染みの場所である。

例えばサマーセット出身の魔術師が、ストリクチャーのシヴキン・グラスプと会話を交わすこともまったく意外ではない。このためファーグレイブは、熱意ある冒険者にとって刺激的な場所である。実際、私が前回訪れた時には、アービス収集団が窃盗を働いたスキャンプを尋問している場面を目撃した。タムリエルの平凡な田舎ではまず見られない光景だ。

ファーグレイブの豊かな歴史に関するこの導入が、次元の旅を始めたばかりの冒険者たちにとって、この小次元をより魅力的な場所にしてくれることを願っている。

ファゾムズ・ドリフトの伝説The Legend of Fathoms Drift

アイベアの魔導師ナエルーナ 著

沿岸の商人にせよ、島々を飛びまわる者にせよ、海賊にせよ、船乗りは基本的に迷信深い。彼らは海に出るたび、混沌とした未知の中に飛び込んでいく。吉兆を求めて空を見、球電を探して嵐を見る。鵜のうちに死んだ恋人の霊魂を見るのだ。船乗りはアホウドリを殺さない。船員全体が呪われてしまう。彼らは自らの霊魂を守るため、多種多様なアミュレットや魔除け、呪文の結び目を持ち運ぶ。船乗りは出航前に風の女神キナレスへ生贄を捧げ、ハルムス・モラと呼ぶハルメアス・モラのことを低い、畏れに満ちた声で話す。

ハルムス・モラは多くの名で知られている。運命のデイドラ公、人間の庭師、不可避の知者などである。北方の民やウッドエルフは森の男と呼ぶ。ハイエルフにはハイルマ・モラという名で知られている。カジートの間では波の王と呼ばれる。そして船乗りはハルムス・モラと呼び、不可知の海をモラの領域と見なしている。海は深く、我々はその表面しか知らない。知識と秘密自体にも似て、海の力はその深淵に眠るのである。

ハルムス・モラをより強力な力の欠片、あるいはより大きな謎の一面と呼ぶかどうかはともかく、船乗りたちはモラの名にかけて誓うが、モラの名を罵りもする。モラは隠された浅瀬や渦、突然のスコールのデイドラ公なのである。モラは自らの領域に挑み、その知識を解き放とうとするすべての者に試練を与える。モラに関係する伝説のうちおそらく最大のものは、モラが海から手に入れた宝を難破船の墓場に隠した場所とされる、ファゾムズ・ドリフトの伝説だろう。

船が跡形もなく消滅する時、それはハルムス・モラの意志だと言われている。そうした不運な船は予兆を無視した乗組員や、禁じられた貨物が積まれた船倉、あるいはハルムス・モラの力を軽んじ、挑発した船長を抱えている。こうした船は海に飲み込まれ、大渦に巻き込まれ、また重い波に転覆させられ、すべての人員を抱えたまま遭難する。彼らは海の底に引きずり込まれ、波の王の手に包まれて、最終的にファゾムズ・ドリフトの伝説の海辺に流れ着く。

なぜ波の霊魂、深淵の監視者はこのような戦利品を集めるのだろうか?なぜモラは船体を忘れ去られた海辺で朽ち果てさせ、乗組員を異界の空の下にある無人の浜辺で永遠にさまよわせるのか?誰にわかるだろう?波の王の思考や気まぐれを理解できる者など存在するだろうか?それに、このような問いに誰が答えようとするだろうか?

ファンリリオンの日記Fanlyrion’s Journal

また行き止まりだ。くそっ。セポラタワーに侵入し、はったりを駆使してライトマスターの個人蔵書庫に入り込み、カビだらけの紙切れを探しただけでは足りない。この本と怪物の領域に、命からがらたどり着いただけでも足りないのか。

記されていた儀式の地に来た。紙切れにはここで暗黒の知恵を手に入れられると書いてあった。それによれば、逸脱した星を整列させなければならないらしい。星とは何のことだ?それを見つけるまで、目的もなくこの荒野を放浪しろとでもいうのか?

いや、もっとまともな方法がある。この近くにモラを崇拝する信者たちの街がある。明日そこに行き、信者たちに助けを求めよう。

今は休もう。この忌々しい場所に来てから、ずっと酷い頭痛が続いている。

ブライトクラウンのメモBlightcrown’s Notes

腐敗の香炉は傑作だ!夢の物質と邪悪な病気を組み合わせて感染性の苦悶にすることで、これほど強力で有用なものができるとは思わなかった。無限のパノプティコンのガーディアンは香炉が発する腐敗に倒れた。これは我々の姿を奴らに見えなくするだけでなく、奴らをこの場所に入るすべての者へ無差別に襲いかかる、凶暴な怪物に変えてしまう。

この忌まわしい領域のデイドラ公から我々を隠すため役立つかどうかはわからないが、これの力を強化するため、マスター・シェルレニとの協力を続けたい。

私とドレモラのトーヴェサードが必要な情報を探している間、シェルレニはテルヴァンニ半島に戻り、黒の書から儀式を引き出す作業を続ける。

ブラックスケール島の呪いThe Curse of Blackscale Island

第八章:裏切り者の剣

虚無に染まった海賊たちが呪われた宝箱からあふれ出し、剣に喉の毛を切り落とされても、ゴールドスマーク船長は自分を裏切った女の目だけを見つめていた。彼女の一等航海士の紫の目である。突然、ゴールドスマークの心は初めて出会った瞬間へと漂っていった。

酔っ払いの喧嘩で、彼女たちはアルドマーの監獄に放り込まれた。プライドを飲み込み、協力して脱出した。8個の鍵を開け、6人の衛兵を倒した後、2人は離れがたい存在となった。これまでの年月は、この瞬間のためだったのだろうか?あの紫の目の裏に隠された嘘。ラリッサ・ブラックスケールの呪われた乗組員を解放させた嘘。

「これでわかった?」と一等航海士は言い、下の甲板で勝手に始まった戦いを見やった。ゴールドスマークは何年もかけて一緒に集めてきた船員たちが、虚無に力を得た海賊の群れと、燃え盛る船上で戦わされているのを見なければならなかった。

「ラリッサ・ブラックスケール」とゴールドスマークは唸るように言った。「死人のくせに、ずいぶん綺麗な顔をしているじゃない」。それでも、ゴールドスマークの心は過去へと漂った。一緒に飲み干した酒樽。一緒に強奪した船。彼女が戦いに気持ちを集中させようとすると、次第に腹が立ってきた。騙されたのだ。剣から逃れる道を探したが、ラリッサは笑った。

一緒に灰の海賊を倒し、彼の大事にしていた船を奪った時、ダークウォーターの入江に響いた笑い声。かつてスラシア海域を木の残骸とイチジクの漬物の樽に浮かんで漂っていた時に、ゴールドスマークを慰めてくれた笑い声。満月が輝き、互いの体以外に暖める手段がなかった時、ゴールドスマークの髭をぞくぞくさせた笑い声。

「あなたはずっと幽霊を追っていると思っていた」とラリッサは言った。「でも間違いよ、船長」。彼女はその肩書きを毒のように吐き捨てた。「追いかけていたんじゃない。私があなたを縄につないだ犬みたいにここに導いたの」。彼女は剣をさらに強く、ゴールドスマークの喉に押し当てた。吹き出した血が彼女の皮膚を濡らした。

あまりの出来事だった。埋めてしまうには重すぎる想い出。忘れるには多すぎる夜。なぜエヴリンは…いや、ラリッサは、共に過ごした日々をこれほど簡単に捨てられるのか。だがその時、ゴールドスマークはラリッサの下唇が微かに震えるのを見た。そして彼女の一等航海士の目が、剣の切っ先から滴り落ちる血を眺めるのを。そして最大の手がかりは、眉にわずかな皴が寄っていることだった。賭け事でラリッサが動揺したことは一度もなかった。簡単ではなかったのだ。むしろ、これは彼女にとって最も辛いことかもしれない。

「わかるわ」と、ゴールドスマークは突然自信を取り戻して言った。その自信はラリッサを驚かせ、剣を向ける彼女の手がわずかに緩んだ。「どんなに辛かったでしょうね、ラリッサ。自分の船員が閉じ込められていることを知りながら、何年も航海し続けるなんて」

「彼らのことを思わない日は一日もなかったわ」とラリッサは叫んだ。声が震えていた。

「あなたは誤解している。この者は危害を加えるつもりなんてなかった。あなたがどういう気持ちでいたか、ゴールドスマークには想像もつかない。どれだけの苦悩を抱え込んでいたのか」。ゴールドスマークはラリッサが足の位置を変えたことに気づいた。ゴールドスマークは体勢を立て直し、反撃の機会をうかがった。「なぜその重荷を私と分かち合ってくれなかったの?」

「そして私がしたことを認めろと?私が自分の船員を見捨てたことを?あなたにこの痛みを理解できるはずがない」

「できるわよ」ゴールドスマークは言った。憐れみではなく、愛情を込めて。「なぜだと思う?」

「なぜ…」とラリッサは言おうとしたが、ゴールドスマークは言葉が紡がれるよりも先に動いた。一瞬にして彼女はラリッサの剣から逃れ、矢のように素早く身をかがめた。ゴールドスマークの尻尾がラリッサの足に巻きついて引き倒し、ラリッサは船首の方向へ転がった。気がつくと、ラリッサはゴールドスマークの剣先を見上げていた。

「私たちが優れた船長だからよ」とゴールドスマークは言った。「船員を救うためなら、オブリビオンの先までも船を走らせるわ」。ゴールドスマークは後退し、剣の切っ先でラリッサに立ち上がるよう合図した。「私の船員を救うために、生涯愛した人を倒すしかないのなら――」彼女はその言葉をしばし宙に漂わせた。燃える船から立ち昇る煙よりも重い言葉だ。「そうするまでよ」

ラリッサは立ち上がり、剣を構えた。悲しそうな笑みをたたえた顔から、涙が流れ落ちていた。彼女はうなずいた。「そういうことよ」

フルクラム・オブスキュラについてOn the Fulcrum Obscura

グレートアイが定命の者、ダードリン副院長の祈りに応えて、アポクリファの遺物フルクラム・オブスキュラを作るために必要なルーンを彼に与えた時、秘密の王はルーンに秘密の場所と内容を、それがどこに隠れていようとも明らかにする力を込めた。副院長はルーンをネクロムの歴史に関係する、ある古い骨に刻んだ。

さて、これは私の意見だが、運命のデイドラ公は定命の者にこの遺物をずっと持たせておくつもりはなかった。またネクロムの墓地の中に永遠に埋められることも意図していなかった。グレートアイはどこかの時点でフルクラム・オブスキュラを回収するか、時が来れば別の信者に授けると思われる。

それまでの間、遺物に刻み込まれた奇跡を記録しておきたい。というのも、ハルメアス・モラの贈り物の中でも、信者が望み通りの場所を探し、重大な秘密を開示することを可能にしてくれるものは他にないからである。例えば

モリアン・ゼナスの監房メモMorian Zenas Cell Note

やったぞ!あれが起きる時のための安全で、眠れる場所をようやく見つけた。もう3年にもなるが、きっと私もいずれは飽きるだろう。ここの番人たちが言うには、私は他の獣と一緒に住まされるらしい。連中の大いなる泡の王は、どうも私が重要人物だということを、私に気づかれたくないらしい。

他の動物たちは喋るのを止めないので、私は耳が痛くなった。だが言葉を話す動物よりはマシかもしれない。奴らが何を言っているか、想像できるか?

うーむ。それは自分で突き止めたほうがいいか。この本を読み終えたら。

* * *
何だこれは?未完成だ。著者はおそらく、読者に残りの言葉を補ってもらいたかったのだろう。自分で結末は書けと。大したことは書いていない。本全体を自分で書くべきかもしれない。前にもやったことがある。

* * *
新しい本がもうずっと来ていない。自分の思考と鳥の呼び声を相手にするのはもう沢山だ。呼び声を返そうとしたが――自分の思考と鳥の両方に――どちらも私の声を真似してくれない。鳥の言葉をもっとちゃんと学ぶしかないか。鳥は隔離施設の間を飛べるのだ。ここから出る道が見えるはずだ。

* * *
また話しかけてきた。心の中の声が。声には私のものでない名前があり、声は川底の石みたいな響きだ。気に入らない。私に戻れと懇願し続けてくる。戻れというが、私は行きたくない。ここは安全だ。本と新しい知識で、私の心が忘れた分を安全に充たせる。出ることはできない。頭にこんなに穴が開いて、腕にこんなに目があるのだから。

* * *
足が寒い。

* * *
掘るんだ。地表の下に出口があるはずだ。ないところに土が積もっていく。手を使い、足で引っかく。地面を食べる。歯と指と爪を使ってこするんだ。

フリールヴィがモリアンを探しているが、見つけられないだろう。彼は地面に食べられて、永遠に行方不明だ。謎だ。彼女が望んだよりも特別だ。

ラジーンはいかにして知る書を盗んだかHow Rajhin Stole the Book that Knows

歩く猫ラジーンはひょんなことから、ハーモーラーが海の下の蔵書庫にため込んでいる財宝に興味を抱いた。ラジーンにとって、何かに興味を持つことは欲望を掻き立てることであり、欲望を掻き立てることは、自分のものにすることだった。だから彼は海辺に行って漁師の船を奪い、南方海域を遠くまで航海し、そのうち寂しく突き出した石に行き当たった。それはハーモーラーの住処の一番高い尖塔であり、その一ヶ所だけ、波間から顔を出していたのだ。

ラジーンは夜のように静かに、波の王の広間の探索を始めた。彼はそこで多くの奇妙かつ興味深いものを見たが、彼の好奇心を刺激するものはなかった。だがついに彼はねばねばした台座に本が置かれている部屋を見つけた。ハーモーラーの蔵書庫にある何千もの本の中で、この本がなぜ特別なのかと訝りながらも、ラジーンは本に好奇心を抱いた。だが彼が手を伸ばして本を取ろうとしたその時、ハーモーラーの目が彼を見つけた。

「見えているぞ、影よ」とハーモーラーは言った。「何者だ?」カジーティの指輪のおかげで、ラジーンの姿は見えなかった。だがすべてを見る者は何かがいることに気づいたのだ。

「私は目に映るただの塵だ」とラジーンはハーモーラーに答えた。「あなたの眼を逃れるものが存在しない以上、それ以外にありえない」

「かもしれぬ。だが我も塵と言葉を交わしたことはない」とハーモーラーは言った。

「ならば見る者よ、もう一つの目を向けてくれ。私がもうここにいなければ、塵でしかなかったことがわかるだろう」とラジーンは言った。

「よかろう」とハーモーラーは言った。ハーモーラーは十ほども目を向けた、すべて同時に!それでも彼はラジーンが立っていた場所に影を知覚した。「思ったとおり。お前は私の目に映る塵ではないな、影よ。何者だ?」

「あなたのすべての目で調べるといい。そうすれば見えるかもしれない」ラジーンは答えた。

そうしてハーモーラーはすべての目を部屋に向け、口をきいた影を調べようとした。これは波の王にとってさえ大きな労力だった。彼は数えきれないほどの目を持っていたし、そのすべてを出現させるのは簡単なことではなかったからだ。ついにハーモーラーが再び見た時、部屋は空っぽになっていた。明かされるべき影は残っておらず、台座の上の本はなくなっていた。ラジーンはハーモーラーが目を集めようと苦心している間に本を取り、出ていったのだ。

こうしてラジーンは海の下のハーモーラーの蔵書庫から、知る書を盗んだのだった。

ラリデイルモは正気だLarydeilmo is Sane

この者がこれらを集めた。ラリデイルモだ。他の奴、闇の中の影ではない。ラリデイルモがやったのだ。証拠だ、と沈黙の中で叫ぶ。他の皆がおかしくなっている証拠だ。この者だけが正気なのだ。誰もが不可能だと言ったが、この者は正気を保った。そうだ、自分の名前だって憶えている。他の者たちにはできなかった。彼らのメモは暗い、文字の海の中に散らばっている。それらすべてを探すのがこの者の運命だ。メモを読むべきなのはわかっている。ラリデイルモはアポクリファに勝ったのだ。

* * *
インクは血、紙は皮膚。我々は本だ。そのことは知られている。

* * *
前に聞いた。ターラーシルとヒルゴットは聞かなかったが、私は聞いた。喚き声。近づいている。わかるんだ。彼らに見せてやる。あの濡れたジュルジュル言う音がこっちに来る前に。そうするしかない。あれを止める唯一の方法は、聞くことだ。

* * *
本があった。書架のすぐ次の列の先にあると思ったから、グループを離れた。今や本も、仲間たちの姿も見当たらない。書架は私の周りを移動して、私の視界の隅を動き回っている。何かがあれを操作して、私が道を見つけられないようにしているんだ。書架を見たが、古い地図ばかりだ。私をここに閉じ込めているものが何か知らないが、残忍なユーモアを持っているに違いない。だが、地図の端をつなぎ合わせることで、線ができることがわかった。アポクリファの暗い広間の中を導く光だ。書架を動かす怪物よ、お前を出し抜いたぞ!この区画から抜け出す道を見つけ、私が本来いるべき歴史書架に戻ってやる。見ていろ!

* * *
精神が抑えられない。喉のない声。心臓がガラスの胸の中で脈打っている。壊れていて、破れていて、引き裂かれているのに、まだ完全無欠だ。床に飛び散っている。海に滑り落ちたのに、乾いたままだ。

* * *
そう、彼は私を選んだ。彼は望まない者をここに留めておかない。私は気に入られた。祝福されたのだ。この書架を歩き、彼の名において管理する信用を得た。感じる。私の皮膚の下から生えてくる触手を。それを外に出させる方法を見つけなくては。私はシーカー。知識を探す者、侵入者を探す者。私はこの場所を清潔に保つ。

* * *
あれが囁くのを止めない。本が。大声ではない。表紙を通して聞こえるくぐもった声だ。だがあの声は、いつも聞こえる。話している。私に何か言っている。嘘をついている。本が嘘をつく!

レムナントの契約Pact of the Remnants

 

レムナントの真実The Remnant Truth

ホラティウス・ホフ 著

アルケインの研究者が亡霊に悩まされている。あなたも噂話は聞いたことがあるはずだ。研究を突然やめ、説明を求められると目に恐怖を浮かべて拒む学者を知っているかもしれない。これまで、多くがそのような恐怖の原因となる話について言及することを避けてきた。

しかしそれはもう終わりだ。

レムナントについて知られていることを、私がついに明らかにしよう。細かな点は異なっていても、どの話にも共通したことがある。これらの獣は知識の間に現れ、遺物や書物、その他の研究対象を持ち逃げする。もしかしたらあなたも深夜、剣を向けられて何かを盗まれたことがあるかもしれない。そうした強盗に抵抗すれば、腹を切られるか、運がよければ未知の真っ黒な触手に押さえつけられる程度で済むこともある。そしてその獣は跡形もなく消えるのだ。

ショーンヘルムの魔術師ギルドでデイドラの存在について研究するオーシマーの魔術師(彼は正しい種族名が使われることを好む)、達人ゴラトから話を伺った。レムナントについて調査する中で、彼はそれがドレモラの集団かクランであり、一部の者たちが主張するような特異な獣でないことを突き止めた。ドレモラがクランを組織することは学者の間でよく知られているが、達人ゴラトはレムナントが自分たちにとって一般的な階級的組織を否定していると考えている。階級のない、まったく平等な組織のようなのだ。指導者の指示なしでどのように任務を達成しているのか、私にはさっぱりわからない。

博識な達人ゴラトはさらに、一連のレムナントの出現における共通点も発見した。彼らはただ単純な魔法の装身具を定命の者から盗むのではなく、唯一無二の強力なアイテムを求めるようなのだ。どの場合においても、レムナントは研究者がそのアイテムの用途を突き止める前に現れる。そして私たちを永遠なる無知の状態に取り残す。

この情報を基に、私は魔法考古学者カトリッセ・ギリエンを探した。アルケイン遺物の学者として彼女は評判があり、レムナントの絶好の標的だったからだ。私が見つけた時点で、彼女はちょうどアイレイドの遺跡の奥深くから純オニキス製の円筒を掘り出したところだった。私がレムナントの話題を持ち出しても、彼女は驚きや不安を見せなかった。それどころか、すでに何度か遭遇したことがあることを落ち着いて話してくれた。彼女はレムナントといい関係にあると信じていた。

学者ギリエンは円筒の調査を続け、達人ゴラトによるドレモラのクランの説明を裏付けた。謎のデイドラ公ハルメアス・モラに仕える集団というのが彼女の表現だった。私はレムナントが、自分たちを盗賊ではなく保護する者として見ていることを知った。各地で、他者にとっては強力すぎると考えられるアイテムを集めているのだ。どうやら、遺物に加えて知識も封印するらしいが、それがどういう形でなのかはまだ不明なままだ。

レムナントによる暴行の問題を持ち出すと、学者ギリエンは私に軽蔑的な視線を向けた。暴力を受けるのは、その取り組みに抵抗するほど勝手な者か傲慢な者だけだと言うのだ。レムナントはあまりにも強力なものを保護する立派なことをしているのだと。彼女はレムナントの任務を信頼しているため、実は本人が認める以上の情報を得ている感じがした。私を見るその目には、間違いなく黒い十字の影が見えた。

これで以上である。アルケインの研究者を悩ませるレムナントと呼ばれる謎の勢力は、私たちを守っていると考えている。私たちを支配する権利というのはどこからきているのか?なぜ彼らに命を脅かされなくてはいけないのか?そして私たちから盗んだものをどこへ運んでいるのか?これらの疑問は未解決のままだ。いつか私も価値あるものを発見したときには彼らが現れるかもしれない。そのときまで、研究を行う際には護衛を雇うことをお勧めする。

暗号化された書簡Coded Missive

我らがデイドラ公はどの書が道を照らすのに最善か、確信を持てずにいる。

秘密の王はその誇りにかけて、間違いなくこの秘密を恒星回廊に保管された強力な書のいずれかに閉じ込めるだろう。

我々は可能な鍵すべての回収を、解読者の誰かに委ねるべきだ。

もうすぐ、我らがデイドラ公は忘れ去られたものを思い出すだろう。

それがマスターの命令であり、実現されるべきである。

クラジウス・ランプロニウス

運命と逆説:学術論文Predestination and Paradox: A Treatise

目の解読者の長老、ネルクエリエル 著

[この長大な本は運命と運命線、時間の力が定命の者の生に作用する際の性質について、ネルクエリエルの観点を詳細に解説したもので、全体が高尚なスタイルで書かれている。彼女の研究に関係する無数の補遺が添えられている]

補遺G:運命の予兆テム

ここに運命の本性について欠かせない相談相手となった、運命の予兆テムとの出会いに関する詳細を記録しよう。定命の生の縦糸と横糸が、彼のような者には明確に見えている。そのためこうした力について研究する者は、彼に接触するのがいいだろう。とはいえ、注意せよ。テムは運命の流れに干渉しようとする者を快く思わない。警告はしておく。

テムを見つけたいならば、貪欲沼近くにある運命の凝集点の召喚地を探すこと。テムは正しく描かれたサークルならばどこにでも呼び出せるが、この場所だと特に交渉がしやすい。テムは聞かなければ何の情報もくれない。尋ねるには複雑な手順が必要になる。様々な失敗を経た後、以下のアイテムが双方の対話を確立するために最も有効であることがわかった。

– デイドラの性質の巻物から作られたトームダスト。言葉自体は重要ではない。

– シーカーの鉤爪。生きているものが一番いい。死んでいても効果はある。

– 貪欲沼近くの泉から取ったイコルの小瓶。

サークルでは3つの召喚道具を順番に使うこと。私は3つ質問を聞くことができたが、3つだけだった。

次は議論を、尋問と標本目録作成の方法論に移そう。

運命の歌Song of Fate

ああ潮を煎じる、計り知れない闇のデイドラ公
ページと隠蔽の間の、インクを透かして見る
来い子供たち、待たせてはいけない
ああ偉大なるハルメアス、知識と運命の主

小さなドロノスは時間の回避を狙う
眠りを払うは犠牲者のない罪
クワマーの卵のキッシュを食べて遅くまで起き
つないだデイドラットを訓練する

鈍いモドリンさえデイドラ公への願いがある
欺き印象付け、説得する力
このような会話ができれば、母のもとへ行き
スイートロール泥棒が兄弟だと言いつけられる

ニレラは浮遊を学びたい
そうすればクリフ・レーサーの移動を追える
ビターコーストを高く舞い上がり
一番嫌いな子に唾を吐けるだろう

そして父を亡くしたヴリン
彼をあの世から戻そうとする
父が戻って肌が保持されれば
デイドラ公に永遠の奉仕を誓う

甘いヴリンはデイドラ公を知り、犠牲を払うべきと知る
決まり文句ではあるが、契約には拘束され
知る者は与えたより多くを奪う
生より長い、満たされぬ飢えを得る

運命の波の主Master of the Tides of Fate

賢きレラミル 著

運命のデイドラ公ハルメアス・モラは知る者、秘密の王、運命の波の主といった、多くの称号を持っている。私はいつもこの最後の呼称に興味を持っていた。だから私は禁断の知識の番人が持つこの肩書きの起源を、より詳しく調べてみることにした。

おそらく最初の問いは、運命とは何か?ということだろう。これはもちろん信奉する哲学によるが、支配的な立場では、運命とはより高次の力によって規定される出来事の展開と説明される。その力の本性や素性は議論の的だが、ハルメアス・モラが運命の少なくとも一部分を支配していることは明らかである。常に見ている目として、モラは絶えず運命の波を占い、次に起こるよう定められている出来事を知ろうとしている。それゆえに、モラは運命の波の主と呼ばれる。

私の知る限り、知る者は運命が展開するあり方を変え、導くことはない。しかしモラは糸が導く先を観察し、その不可避の帰結を追う。糸というのは私の比喩だが、運命を記述するのは容易ではない。運命を絶えず糸を紡ぐ織り機と見る者もいれば、未来へ向かって波が永遠に満ち引きを続ける、広大な海と考える者もいる。

それでは、運命の波の主という名称はどこから生じたのだろうか?私の考えでは、知識を広大かつ底知れぬ海と考えるモラの信者たちに由来している。彼らはモラがこの海の上空に浮かんでいるか海の中に住んでいて、常に深部を覗き込んで運命の流れを追跡していると思い描いている。モラは運命を操作するからではなく、すべての可能性と結果を知り尽くしているがゆえに主なのだ。

確かに、モラの領域アポクリファにはその表面の下に秘密や禁断の知識を隠した、まさしく終わりなき海に類似した地域が存在する。究極的にはどちらが先か、誰にわかるだろう?ハルメアス・モラが運命の波を記録する巨大な存在であるという考えか、そしてアポクリファの海上に浮かび、その深淵を覗き込む偉大なるデイドラ公というイメージか。おそらく、一方は他方の反映にすぎないのではないだろうか。

疫病作成者の指示Plague Concoctor’s Instructions

親方への贈り物は調合され、中央の間の祭壇にある彼の肖像の前に出す用意が整った。ただ3つ集め、病の君に献上するだけだ。だが忘れるな。親方は異質なものを嫌う。つまり、贈り物を同じ種類にするよう注意しろ。例えば深紅の病、血の腐敗といったように。

サンプルの効果は軽微で、疫病そのものよりも遥かに弱いはずだが、3つ以上は摂取しないように。強烈な影響が出て、苦しみが大きく増すだろう。

解読者アカシーンの日記Cipher Akacirn’s Journal

ついに答えを得た!

「セタリヤックスの異端」がすべてを明らかにしてくれた。秘訣は魂を定命の体から解き放つことだ。身体を持たない霊魂として、純粋な知識として永久に存在すること。私はどんな主題でも関心の向くまま探究する永遠の時間を手にする。そして劣った器がこの哀れな世界によって消滅させられる前に、その知識を飲み干してやれる。

残る障害は一点だけ。神秘の儀式だ。危険がないではないが、やってみるしかない。協力者を見つけて「神秘のグリモア」を読ませれば、私の精神を破壊することなく、儀式の知識をその者の精神から直接引き出すことができる。辛い決断ではあるが、協力者も生き続けられる。私がその者のすべてを得て、さらにそれ以上の存在となるのだから。

もう一度ウルダザーンを読み、異端を正しく理解できたかどうか確かめねばならない。無駄にできる時間は少ない。今日すでに二度、私の心臓は止まりかけ、視界は暗くなった。手早く作業しなければ。

解読者サビニアスの謝罪Cipher Sabinius’s Apology

解読者の同志たちよ

申し訳なかった。私は愚か者だった。私は最初のしもべの命令でクワイアズ・ウィンドを破壊した。

始まりは小さな願い事だった。なくなっても誰も気にしない本と引き換えに、ゴールドや野望の実現の協力を受けていた。だが最初のしもべは私を放さず、奴の陰謀に引きずり込んだ。そのうち、私は奴の要求をまったく断れなくなった。

もう逃げることはできない。奴が私に隠させた呪われた巻物が、デイドラを完全に暴走させてしまった。奴らはもうすぐ私を見つけるだろう。あの竜の顔を持つ怪物に力を貸すことで、どれほどの害をもたらしていたか、私は知らなかった。知っておくべきだったのだ。

サビニアス

解読者トラクサルトのメモCipher Tlaxalt’s Note

解読者トラクサルト、

ミッデン蔵書庫で「神秘のグリモア」第1巻を探し、いつも会う場所まで持ってきてもらいたい。私はあれを安全に読む方法を解明したのだが、お前の協力が必要だ。力を合わせれば、我々はあの本の禁断の知識を探れるだろう。

この繊細な仕事を手伝ってくれて感謝する。このことは解読者プラウティスへ言わないように。それから書架で「神秘のグリモア」を取るところは誰にも見られないようにしてくれ。

A.

解読者ドレイラのメモCipher Dreyla’s Note

解読者ドレイラ、

おめでとう!今日は君が我らの教団内部の地位を登り始める日だ。だがまずは、ミッデン蔵書庫から「神秘のグリモア」第2巻を取ってきてもらいたい。私が伝えた場所まで持ってきてくれ。あれを安全に読む方法を解明したが、君の協力が必要なのだ。力を合わせれば、我々はあの本の禁断の知識を探れるだろう。

君のことを誇りに思う。この特別な使命について他の誰にも言わないようにして欲しい。この秘密を解読者プラウティスに明かしてはならない。彼女は理解してくれないだろう。

A.

解読者ネルフィンのメモCipher Nelfynn’s Note

解読者ネルフィン、

君に「神秘のグリモア」第3巻を持ってきてもらいたい。私はあれを安全に読む方法を解明したが、君の助けが必要だ。力を合わせてあの本の禁断の知識を探ろう。

私はファゾムズ・ドリフトで待っている。場所はわかるだろう。

解読者のミッデンの誰にも、君がやろうとしていることを言わないように。解読者プラウティスは間違いなく「神秘のグリモア」を取らせないようにするだろう。だが、リスク以上に得るものがあると約束しよう。

解読者のミッデンについてOn Cipher’s Midden

アポクリファのどこに行っても、集落や安全な場所はデッドランドの雪玉のように希少である。それでも、ハルメアス・モラが目の解読者を作るためにニルンから定命の者を招き始めた時、居住地や生活必需品が必要となった。初期の解読者たちが一ヶ所に集まり、今では解読者のミッデンとして知られている場所に最初の避難所を設置するまで、長くはかからなかった。

今日、解読者のミッデンは数多くの機能を果たしている。第一に、ミッデンは目の解読者を構成する学者たちの、緩やかな連邦の本部である。彼らの組織には構造的な地位や上下関係が存在しないため、控えめに言っても漠然とした組織である。解読者たちは様々な仕事や研究で助け合ったり、助け合わなかったりするが、全員が理解しているのは、解読者のミッデンに入れば食料や水、避難所、そして似た志を持ち、学識のある人々と出会えることだ。

この地域中で丘のようにそびえたっている本の山の間に築かれた解読者のミッデンは、木や石の建物と底上げした道の集合体であり、果てしなき蔵書庫のインクの運河に三方を取り巻かれた、一片の土地の上に築かれている。ここで訪問者は寝食を与えられ、アポクリファのねじ曲がった道の案内を受けられる。解読者はここで生活と仕事をし、時には解読者の間に集って、より幅広い聴衆に向けて学術研究を発表する。

ドレモラ・ジルは現在解読者のミッデンに食料や水、その他の必需品を供給しているデイドラ商人である。彼はファーグレイブやその他のオブリビオンの地を拠点に活動する協会と取引しているが、彼が扱う品物は全面的に需要と供給に依存している。

解読者のミッデンの変化し続ける書架について、言及すべきことが一点ある。研究者たちは様々な場所からやって来て、解読者によって管理されている書物の山に取り組んでいるが、特定のものを探し出すのは魔術の助けを借りなければ困難である。書架の中身は常に変化しており、解読者が書物のコレクションを目録化するやり方にはあまり一貫性がない。それゆえ、客員研究員や魔術師は多大な労力を払って、自分の研究を助けてくれる特定の解読者との関係を築こうとする。

回廊への召喚Call to the Cloisters

メーナイ・シャイというみすぼらしい解読者が、意図せずして恒星回廊の秘密を知る手助けをしてくれた。

足場は築かれ、モラの大切な書物はもうすぐ我らが主の名において集められるだろう。急いで回廊に集合せよ。

もうすぐ、我々は回廊の貴重な秘密をすべて知るだろう。

干潮の章 第一巻Tidefall Cantos I

1.
夢も見ないある夜のさなか、私はおぞましい浜辺で目を覚ました。波はインクのように黒かったのに、私の皮膚も服も汚れなかった。立ち上がって口からインクを吐き出すと、私はこの海辺にまで来た記憶を一切持っていないことに驚愕した。岩にも、木の幹にも船はつながれていなかった。実際、見える場所には船などなかった。どんな船もあの暗く果てしない地平線に到達することはなかったのだ。その時、私の心の中で忍び寄る恐怖が形になった。私はまだ海辺の向こうの陸地にまで目を向けていなかった。なぜか、私の足首に囁き声のように打ちつけるこの暗く果てしない海の波は、私の背後で燃えている甘ったるい秘密よりも安全な気がした。

2.
私の父と似ていなくもない声。あの震えるテノールは私を簡単に怯える子供に変えてしまう。今でさえ足首の力が抜けるのを感じる。それとも、足元の砂が私の躊躇に苛立って、突然絡みついてきたのだろうか。だが声はまだ続いている。その言葉は私の心の筋を辿る指のようだ。私の名前は口にされなかったのに、声の命令は私の名を無言のうちに引き連れていた。「振り向け」と。だから私は振り向いた。

3.
私の前に浮かんでいたのはシーカーだった。インクの滲んだボロ切れと握りしめる手で作られた存在。アポクリファの拷問を生き延びた学者の、震える手で書かれた文字でしか読んだことのない生物。突然、私は悟った。アポクリファ。シーカーの恐るべき姿の向こうにあったのは、果てしない場所だった。触手とインクの泡立つ粘液。光を放つ植物と膨れ上がった書物。うず高く積み上がった化石と、歓迎しない眼差しのように重く垂れ下がる空。突然、私は波の中に消えてしまう以外のことを望まなくなった。だが声が戻ってきた。「恐れるな」。だから、私は恐れなかった。

4.
シーカーはその多くの手の1本を差出し、私はためらうことなくそれをつかんだ。シーカーが私を連れて海辺から去っていく間、私は急に子供のような気分になった。小さく脆く、新たな案内人にまったく依存している。それに今、シーカーは静かだった。私の心の水源には何の言葉も流れてこなかった。化石の積み上げられた丘にたどり着いた時、私はもう少しで子供っぽい怒りに我を忘れるところだった。穴だ。いや、塔だ。逆転。「蔵書庫」。だがそれだけではなかった。それは贈り物だった。

管理記録、エントリー3412Administrative Ledger, Entry 3,412

レクトリーの定期監査。新たな器たちはコーラスへの統合にほぼ問題を示さず。複数の者が契約の条項により解放された。コーラスにいた時間のことを聞きたいが、私は聞ける立場にない。

解読者ボンフィスの状態は悪化し続けている。彼は死が近づいていると信じ、コーラスの歴史と性質についてこれまで以上に精力的に教えている。

今日はコーラスに接触し、干渉する方法の特徴を扱った。ボニフィスはそれを無限の高さを持つ壁に囲まれた庭に喩えた。ハルメアス・モラは庭の中にいる者たちと同居している。どんな力も壁を壊せないし、登ることもできない。庭に入る唯一の方法は、魔術とレクトリーの技を使うことである。

老解読者ボニフィスは、おとぎ話が大好きなのだ。

危難の書についてOn Tracts Perilous

解読者セサリ 著

アルケインの技を学ぶ者ならば誰でも、危険な書物の存在には慣れ親しんでいる。実際、大半の魔術師はおそらく、自分の本棚に数冊は持っているだろう。そうした本のページの中に、読者は軽率な(あるいは邪悪な)者の手に渡れば恐るべき危害を引き起こすような、力のある秘密を見出すことができる。アポクリファの果てしなき蔵書庫を管理する我々は、こういう類の書物にいかなる措置も取っていない。才能か欲求に従ってアポクリファに導かれた定命の者に対して、入手可能な本を拒んではならないというのがグレートアイの意志である。

しかし、読む者が利用する可能性のためではなく、読む者に及ぼされる影響のために危険な書物も存在する。こうした書物は時として、危難の書と呼ばれる。

こうした本の一部には、定命の者の精神と相容れない概念が含まれている。読む者が記されている内容を理解するためには、自分の正気の一部、あるいは全部を手放さなければならない。また他にも、こうした禁断の書には密かな取引が含まれている場合がある。読むことによって本の著者と契約が結ばれ、読者自身を未知の(そしておそらくは邪悪な)知性の力に支配させることになる。本自体が読者を邪悪な付呪の中に捕らえ、読者が本来ならば望まない役目や目的を強制的に行わせる場合もある。

幸運にも、本物の危難の書はかなり稀である。大部分は一冊しか存在せず、二度と再版されない。目の解読者に知られている中で、危難の書には以下のものが含まれる:

黒の書。それぞれの黒の書には禁断の秘密が込められており、それはグレートアイに気に入られた定命の者にとっての誘惑か宝である。黒の書はアポクリファへの通路でもある。黒の書を読むことは、ハルメアス・モラの面前に連れてこられることを意味する。グレートアイ自身を除いては誰も黒の書が何冊存在するのか、どこにあるのかを知らない。しかし、噂では「隠された夕日」という名で知られる書が、オーリドン付近の遺跡で失われた可能性があるという。「苦しめる目」という別の黒の書は、あるテルヴァンニの賢者が所有していると言われている。

ザルクセスの神秘の書。強大な力を持つ書物であり、デイドラ公メエルーンズ・デイゴンによって書かれたと言われている。その所在は不明である。

神秘のグリモア。生前と死後の両方における定命の者の魂の解剖を、3巻にわたって記した書物。狂気に陥ることなくこれを読める定命の者は存在しないと言われている。唯一知られている巻は、解読者のミッデンの蔵書庫に保管されている。

オグマ・インフィニウム。読者に神にも類する知識と力を与えると言われるオグマ・インフィニウムは、最も強力な精神を持つ者以外が読もうとすれば破滅する。グレートアイはこの書を他のどんな本よりも大切にしているが、大地に飲み込まれたあるアイレイドの街で失われたと考えられている。

これ以外にも危難の書が存在していることは疑う余地がない。だがそれが何であるか、どこにあるかについて、目の解読者は把握していない。

苦しめる目の秘密Secret of the Tormenting Eye

〈本を開くと、一行の文章だけが浮かび上がった〉

一冊の黒の書に一つの忌まわしき目的あり。最も危険で、忘れ去られたままにしておくべき秘密を解除するために必要な儀式。

原初の契約についてOn the Pact Primordial

〈本を開くと、数行の文章だけが浮かび上がった〉

「忘れぬことだ」と原初のデイドラは語った。「汝の領域に我らは入らず、汝も我らの領域には入らぬ。互いの領地にて、それぞれの公が統べるべし。互いの領地に姿を現すのは、招かれし時のみ」

以後、それが物事の定めとなった。

最初のしもべの手紙、1ページFirst Servant’s Letter, Page 1

解読者サビニアス、

お前の忠誠心を証明する時が来た。ちょっとした任務がある。やり遂げれば、豊かな報酬が出ると約束しよう。お前は私の見習い司祭として、私が独立した時横に並び立つのだ。

この4枚の白紙の巻物をクワイアズ・ウィンドに持っていき、書架と広間の間の適切な場所に配置せよ。それぞれの巻物を配置したら、私が教えた呪文を詠唱するのだ。それが終わったら、巻物のそばに留まらないこと。捕まらないようにしないと大変なことになるぞ。

最初のしもべの手紙、2ページFirst Servant’s Letter, Page 2

呪文を口にした後で何も起きていないように見えても、驚いてはならない。効果は目立たないし、一定の遅延がある。だが、私が白紙の巻物に込めた呪文が発動すれば、風のシーカーたちは私の巻物に引き寄せられ、黒の書に自らを同化させるよう誘われるだろう。

お前が適切に作業を行えば、私はニルンで変化された本が読まれた時、アポクリファから呼び出される。だがサビニアス、お前が期待に背けば私はここに釘づけだ。そしてそのことに激怒するだろう。

大昔、アトモーラの者たちは私を裏切った。その上奴らは、私を裏切り者と呼んだのだ!お前の協力があれば、ついに私は奴らの子孫たちに、祖先の過ちを教えてやれる。

最初のしもべ

最初のレムナントの日記Journal of the First Remnant

我々のデイドラ公のために知識を集めている者たちにとって、レムナントの歴史がうまく記録されているとは言い難い。我々は考えたことすべてを書き記すような学者ではないし、秘密裡にコレクションを黙々と整理する学芸員でもない。レムナントは兵士である。ハルメアス・モラの意志に仕える剣と盾なのだ。しかし、アービス中の知恵を確保する任務を達成するには、我々自身についての知も含めなければならない。

孤独に虚無の中を漂っていた我々は、全ての目の精神から流れてきた声を聞き、即座に何者かを知った。それはある深い欲求を伝えた。アポクリファの領域に勇者が必要だったのだ。自らに値しない知識を探し求める侵入者を追い返す、力強い腕が。デイドラ公は我々をその任務に選び、我々は従った。

* * *
我々は新しい故郷に到着した時、二つの品を発見した。望遠鏡と鍵だ。それらはこの領域から虚無を貫いて湧き上がり、我々の知らない場所にまで力を放出していた。我々のエキスがこれらの遺物と融合し、クラッツと呼ぶようになった小次元への門を開いた。

足を踏み入れると、我々の精神は融合して一体となった。レムナントは一つの全体の中に加わり、モラ卿に仕える一つの体となった。このクラッツが我々のためだけに作られたことは知っていた。すでに我々の署名が加えられた契約者が待ち受けていた時、その信念に確証を得た。この場所を見つけ、この領域に仕えること、それこそが初めから我々の運命だったのだ。

支援を求むA Plea for Aid

フェラル・ギャラリーがドリームカーヴァーに攻撃を受けている。奴による被害は拡大しており、我々は蹂躙されるのではないかと恐れている。多くの囲いがすでに破壊され、管理していた獣が野放しになっている。殺されたものもいる。

奴らを撃退し、展示している獣を閉じ込めるには人手が足りない。あなたがグレートアイに仕える者ならば、救援を送って欲しい。

筆頭解読者フリールヴィ

次元の探求 第14巻:ダークリーブの司祭Planar Exploration Vol. 14: Darkreave Curators

ハルコート・マルコット 著

注意して聞くがいい。私は敵について語ろう。あまりに怒りと憎悪に満ち、熟練の探検家であっても全力で避けるよう忠告せざるを得ない者たちだ。この巻では、アポクリファのダークリーブの司祭を扱う。

要約

これまでの巻では、私たちはアービスの無数の次元で見られる、様々な動植物を懐柔する方法を記述してきた。スキャンプに生肉を放るのと違って、ダークリーブの司祭たち(以下ダークリーブと記す)の注意を逸らす簡単な方法はない。いったん知覚されてしまったら、戦うか逃げる以外の選択肢は存在しない。幸運なことに、ダークリーブは武器と呼べるほどのものを持っていない。彼らは純粋に、感情に駆られた暴力で攻撃してくる。

私たちはダークリーブを可能な限り避けることを勧める。それが無理ならば遠くから攻撃しよう。

歴史

ダークリーブに彼らの起源を直接尋ねることは明らかに不可能なため、アポクリファの他の住民に答えを探すしかない。知識に捧げられた領域にしては、このドレモラのクランに関する情報を有する者を探すのはかなり大変だった。結局、私たちは最も信頼できる情報源に頼った。ファーグレイブのマダム・ウィムである。

透明性のために言っておくと、私たちはダークリーブについての詳細を知るためマダム・ウィムに報酬を払った。別の悪名高いドレモラのクランについて、私たちが移動中に知った秘密を提供したのである。それと交換に、彼女は赤く薄いキチン製の、デイドラの文書が刻み込まれた石板を渡してくれた。

この石板から、私たちはダークリーブが存在のあらゆる部分を目録化しようとしていることを知った。酷くささいなことから、とても古い物事まですべてを。彼らはすべての椅子やスプーン、オーブ、デイドラについての文字化された記録を欲している。彼らはハルメアス・モラのために倦むことなく働くが、彼らの情熱は奉仕を越えた執着を示している。

この目的への献身により、ダークリーブは書かれた作品を暴力的なまでに大切にするよう導かれた。彼らは使命の巨大さにより歪められ、狂信的で危険な不寛容さを見せるようになったのではないだろうか。

環境

通常なら、次元の探検家はアポクリファの知識の貯蔵所内部にダークリーブがいることを想定すべきである。こうした場所は当然そこら中にあるが、より大型の施設に入る際はさらなる注意を払うべきである。そうした場所にはかなりの数のダークリーブが集まっているからだ。

特に、貪欲沼にある秘密の広場に入る時は油断しないことだ。広場は外部の者が文書や秘密を交換できる、情報取引の場として機能している。この実践はダークリーブを引き寄せる。特別な知識が日々届けられるからである。

生存の秘訣

ダークリーブと会話を試みないこと。存在に気づかれてしまうと、その時点ですでに危険だ。

賄賂を試みないこと。本を相手に向かって放っても、彼らは注意を逸らさない。

ダークリーブは特別注意深いようには見えない。気づかれないよう通りすぎるのが最善だろう。

遠くからダークリーブを観察するのは面白く、知的にも充実した経験になりうる。彼らのほうでもあなたを観察していない場合に限るが。

失われた記憶Memories Lost

なんという不愉快な気分だろう。何の問題もない日があったかと思えば、次の日には目覚めた瞬間から不安と心配が続き、何かが足りないという確信がある。何か決定的に重大なものが。

今私はそれを経験している。自分が昨日までは深く、完全に知っていたものが消滅したような気分。漠然とした夢を除いては、痕跡も残さずに消えてしまった。仕事にも影響がある。他の解読者に同じような喪失感を経験しているかと尋ねた。彼らはすぐによそ見をして、答えようとしなかった。

たとえどうかしていると思われようとも、現実が何らかの仕方で変化したのだと私は思う。何かが昨日まで絶対的な真理だったものを消去したのだ。最悪なのは自分が失ったものが何か、見当もつかないことだ。

このことで上司には注意されたが、グレートアイと直接話さなくてはならない。何かが現実を変えたのなら、我らが主もきっと知りたがるはずだ。

もしかすると、この変化に気づいたことで褒美を与えてもらえるかもしれない。

召喚士のためのニミック案内A Summoner’s Guide to Nymics

解読者セサリ 著

アルケインを学ぶ者なら誰でも、デイドラが危険な相手であることを知っている。強大なデイドラと戦えるのは勇敢な英雄や、実績のある魔術師だけである。だがどのデイドラも隠された弱点を持っており、それにより駆け出しの見習いでもデイドラを操ることができる。その弱点とはデイドラのニミック、あるいは真の名前である。

デイドラのニミックの知識を身につければ、定命の者は自分を昆虫のように粉砕できるデイドラを閉じ込め、追放し、強制できる。一般的に、単純な精神を持つデイドラは単一のニミックしか持たず、より強力な意思と目的を持つデイドラには2つか3つ、あるいはそれ以上のニミックがある。定命の魔術師はそれぞれのニミックを利用し、デイドラを自分の意思に服従させなければならない。

ニミックの各部分は以下に記す通りだ。

第一の、もっとも単純なニミックはプロトニミックである。学者たちの中にはプロトニミックが自身を個体として意識する能力を欠いた獣を指す、親族か種族の記述だと考える者もいる。しかしこれは疑わしい。すべてのデイドラットが同じ名前を持っているとは思えない。

より洗練されたデイドラはプロトニミックに加えてネオニミックを有している。ドレモラやスカーフィン、ウォッチャーといった獣はプロトニミックだけで抑制する(あるいは怒らせる)ことができるが、召喚士は確実に追放するためネオニミックも用いなければならない。

それに加えて、多くの知性的なデイドラは所属や地位を示すトリビュニミックとヒエロニミックを所有している。デイドラにとって、これらは単なる肩書き以上のものであり、その生物のアイデンティティの一部である。定命の召喚士にこうしたニミックが必要かどうかは難しい問題だが、デイドラのニミックを利用する前に、できる限りのことを知っておくべきだと考えたほうがいいだろう。

噂だが、デイドラ公はプロトニミックとネオニミック以上のニミックを所有しているという。これは命令に従わせようとする敵から身を守るためのさらなる防護手段として機能する。そうしたニミックが存在するならば、それは非常に強力で、細心の注意を払って守られているはずだ。

最後に、書記の身で僭越ながら忠告をしておきたい。ニミックを利用することは、敵を作ることである。デイドラはこの方法で彼らに力を行使しようとする者を酷く嫌う。実際、デイドラのニミックを書き記すことさえとてつもなく危険である。自分の名前の一部でもどこかに記録されていることを当のデイドラに知られれば、そのデイドラは万難を排して記録を破壊し、それを書き記した定命の者を罰するだろう。

織られぬものThe Never-Woven

その1
私の正気を失うほどの価値があるのか?知識、私が探し求める限り、果てることのない知識に。すべての運命は崖の上でぐらついている。実現するか、しないかの境界線にいる。我々は選択を行い、実行しようとする物事の道筋と、その道の進み方を選ぶ。運命自体がこの道筋を紡ぎ上げ、そのうち我々の運命線は強化され、破れることのないタペストリーとなる。

その4
境界線を特定できた。織られぬもの。解けたもの、とでも呼ぶべきか?それが形成され始める瞬間、休止状態に留まっているその時。アザンダーが以前うるさく言っていた「予感」だ。

そして、時として選択は成され、その後は無だ。だが何もないのではない。解けた運命には力がある。ハルマ・モラの手は存在するものの境界を越えて、存在しえたものにまで伸びている。もしかしたら、いつか私の手は彼の手に届くかもしれない。

アザンダーがここにいたら私を笑っただろうが、私のほうでも奴を笑っただろう。奴は正しく、かつ誤っていた。あいつの考えは私が見たものを想定してはいなかった。

その5
もうどこに行っても見える。見捨てられた、成されなかった私の選択が。私はそれを占う方法を見つけた。私の血が、そうした実現されぬ可能性へと私を繋げてくれる。ほつれた、解けた運命が、瓦礫のように私の背後へ散らばっている。私たちはそれを背後に残している。私たちが命を吹き込まれた瞬間にまで繋がっている果てしない鎖。あまりに多くの、生きられることのなかった生。私はそのすべてから学ぶのだ。アザンダーと私がずっと望んでいたように。

その12
人々は運命が血によって個人へと結びついていると言う。本当にそう言われていたか?私が言っただけかもしれない。今となっては、「私」と「人々」を区別するのは困難だ。この力、この可能性。私は学ぶだけだと思っていたが、得られるものは遥かに多い。

私は擦り切れた、選ばれなかった運命を力へと変えられる。何の価値もない運命だ。洞窟の壁に映った影にすぎない。力に変えない理由があるか?私は影を映し出す炎にして、光ではないか?

その14
やってよかった。知識は私のものだ。私は知っている、それは私なのだ。漂流の匂いがわかる。私は運命の漂う波を放浪できる。不安にならなくていい。もう二度と。私はやった、アザンダー。知識を手に入れた。すべての知識を。

新たな標的Your New Target

秘密を取引しているという割に、マダム・ウィムは慎みのない者を雇っているな。彼女はある秘密をあのヘゼークとかいうスカーフィンに渡したが、そいつがかなりの金になりそうだ。ウィムの館の常連客でもある我々の仲間が知らせてきたが、あの秘密はアポクリファにある隠れた広場に運ばなければならないらしい。

お前の仕事は、貪欲沼に行き、そのスカーフィンの居場所を突き止め、秘密を手に入れることだ。売れば相当な金になる。もちろん、秘密が何に関係しているかにもよるが。

アポクリファの泥をせいぜい楽しむんだな。

キンリーヴ・キルフェ

真実の危険The Dangers of Truth

解読者ファンディニンルー

変わり者のモラの書記たちは、知識こそがオブリビオンのすべての領域で最も重要な概念だと信じている。彼らの思い込みは誤りである。真実こそが求めるに値する唯一の特性である。思い込みや錯誤、誤情報は知識を汚してしまう。知識は風に舞うインクのように空をさまよう思いつきと同じで、何の実体も持っていない。真実だけが恒常的である。真実は小川の流れを定め、水路の形状を変化させる岩だ。

これほどに巨大で揺るぎなきものを理解するのは容易なことではない。実際に小川の中の岩を観察したことはあるだろうか?水は岩にしがみつき、岩全体の形を感じ取ろうとするが、常に押し流されてしまう。我々もまた、自らが手に入れようと務める真実の射程を理解することは決してない。我々は探し求める真実によって永久に変化させられるが、誰もが我々の小川の中の真実について、暗い影のような理解しか有していない。

我々に理解しうる真実はこれが限界だ。真実には危険な性質がある。真実には否定的な側面が秘められており、最も安定したデイドラの精神にさえ理解できないような含みがある。ハルメアス・モラだけが真実と運命を支配し、それらに関する領域を支配できる。

真実の発見はせいぜい、調査されている主題の性質に関する仮説の死を保証する程度だ。集められた知識のすべては岩に叩きつけられ、流れにさらわれる。仮説や理論の崩壊はしばしば、劇的かつ根本的な理解の変化を帰結する。この変化は最初に研究されていた主題に限定されるものではない。むしろ、変化は急速に拡大し、以前に理解されていたすべての物事を転覆させる。真実は一直線に進むものではなく、有限でもない。発見されたどんな真実も、我々が現実を知覚する方法に持続的な影響を残す。

例えば、あるインペリアルが平坦で木のない農地で育ったとする。実際、農場を取り巻く3つの村の中に、木は1本しか生えていない。このインペリアルは当然老齢に達しても、世界全体に木は1本しか存在しないという知識を持ったままだろう。このインペリアルが初めて森を見る時どのような体験をするか、想像できるだろうか。知識と真実の差異がわかるだろう。真実がどれほどの重みを抱えているか、感じるだろうか?

この例はごく小さな真実を表すにすぎない。より大きな真実の理解がどのような影響をもたらすか考えてもらいたい。変化のみならず、持続的な害を引き起こすほど巨大な真実は存在しうるのだろうか?真実は怪我や死を導きうるか?当然導きうる!歴史を見ればよい!真実や秘密、あらゆる種類の発見は数えきれないほどの死を生み出してきた。定命の者は秘密のために殺し合いをする。彼らはムンダスの暗い隅に至るまで、互いを追い回す。

これが定命の者の真実を解明することに対する報いであるとしたら、デイドラの真実を発見することは何を意味するのだろうか?遥かに危険なのは明らかである。定命の者とは違い、デイドラには完璧な復讐を計画するための無限の時間がある。彼らは侵入者や目ざわりな定命の者を始末するための陰謀を練っている。デイドラ公はなおのこと徹底的である。ハルメアス・モラは特に、真実を管理している。モラは自分が許容できると判断したものだけを我々に知覚させている。モラの秘密は我々が理解できるどころか、生き延びられる真実の射程を遥かに超えているのだ。

我々が問題にしている真実の規模を示す例を一つ挙げよう。「既知」はあまりにも強大な真理であり、その巨大さにさらされると狂気に陥る。だからといって、「既知」がある特別な種類の真実であるとか、そもそもそれ自体が一つの真実であるわけではない。私が聞いた噂によれば、一部の「既知」は本の姿で現れ、そのページは歴史から消え去った過去の出来事を記録しているという。その他の「既知」は大昔に失われた領域の獣や、誰も聞いたことのない最高のシェフによる料理だ。「既知」の厳密な性質や、なぜ知られているのか、「既知」の間にどのような共通点があるのか、といったことは不明だが、それらの影響は詳細に記録されている。「既知」にさらされた定命の者は、通常即座に狂気に陥る。「既知」の影響力と、それが秘めている真実の重みは、定命の者の精神には抱えきれないほど大きいのである。

それゆえ、知識を集めることと真実を理解することのどちらがより偉大な目標か、という問いに応えるならば、真実に軍配が上がるだろう。といっても、真実を探究するすべての者が、自らの企図の重みを理解しているわけでも、自らが発見するものを理解する覚悟ができているわけでもない。我々の大部分は小川に流れる水のように、自らの生を漂いつつ両手を広げ、微かに岩に触れながらもすぐ流され、通りすぎるだけである。

断続的に眠る者との会話Conversations with Sleeps-Fitfully

以下に記すのは、コーラスに入ろうとするアルゴニアンと、その世話人である解読者ヴェエリとの会話を文字に起こしたものである。

断続的に眠る者:痛くないだろうな?

解読者ヴェエリ:私が理解している限り、コーラスへ入るのは眠るのに似ている。

断続的に眠る者:その中にいる間はどんな感じなんだ?

解読者ヴェエリ:コーラスはハルメアス・モラの実験に同意するすべての者の精神と声が集まる場所だ。いわば、共有された幻視だ。

断続的に眠る者:じゃあ、そこに行っても何も悪いことは起こらない?

解読者ヴェエリ:もちろん。お前の精神はコーラスにいる間安全だ。お前の体はここに残り、私と他の解読者たちによって、お前が滞在している間世話を受ける。

白金:アイレイドの視点White-Gold: The Ayleid Perspective

序文

古代の野生のエルフの豊かな歴史を詳細に記した書物は間違いなく数えきれないほどあるが、卓越したサリアチェの問題について、古代の力に相応しい敬意をもって取り組んだものは一つもない。というのもサリアチェは最初のタムリエルの帝国を築き、その支配は記録されている歴史よりも以前に遡るからであり、その事実が古代帝国に関する刺激的な探求に不慣れな人々にとっては驚くべきものと映ることは疑いないが、そうした人々に対しては災厄に関する聖蚕の目の予言や、無限の力を求めるデイドラ契約の恐るべき物語へと話を飛ばしてしまわないよう願いたい。もっとも、多くの学者がアイレイド史の、刺激的には違いない時代についてのより深い探究を専門としていることは理解しているが、すでに調べつくされた道を辿り直すだけで、どうやって新しく未知なものを発見できるのだろうか。そうした道は繰り返しの多い学問的な長広舌ばかりで、単に学者の自尊心を保ち、業績を稼ぐ以外の役には立たぬというのに、いわゆる大家と呼ばれる連中は自らを偽り

(序文はこのような調子で、45ページにもわたって書き連ねられている)

秘密という通貨The Currency of Secrets

解読者プラウティス 著

初めてアポクリファに来た時、私はついに自由を得て、難解な伝承を調査する情熱を追及できると思っていた。もう希少な書物を購入する資金をどうやって捻出するか、飢えることなく研究生活を維持するにはどうすればいいか、考えなくてもよくなると。私はハルメアス・モラが、自分のような学者にとっての楽園を作りだしたと想像していたのだ。

その後、私は真の自由が何を意味するかを知った。確かにグレートアイの領域では、研究したいと望むどんな秘密でも自由に調べられる。だが餓死することも、読んではいけない本で精神を堕落させることも、定命の者を恐るべき陰謀の手駒として利用するデイドラの支配にあえぐこともまた自由である。アポクリファにいても、生き残る方法は考えなければならないのだ。

私は最終的に解読者のミッデンに行き着いた。私は飢え疲れて落ち着きを失い、持ち物といえば身につけていたボロ布と、アポクリファの最初の日に学んだことについての走り書きで埋まった、擦り切れた日記だけだった。だが、それで十分だった。というのもアポクリファでは、秘密が通貨として通用するからだ。

私はアイレイド魔術師の学習帳の中に見つけたいくつかの難解なメモと交換に、食料と寝る場所を得た。目覚めた時、私はエチャテレの歯の形状と機能についての論文と引き換えに新しい服を手に入れた。こうして私は目の解読者たちが、法律も君主も硬貨もなく栄えている理由を知った。

解読者の豊かさと地位は、その人物が知っている秘密によって測られる。秘密の価値は主に2つの方法で計測される。排他性と力である。少数の者しか知らない物事は、アポクリファで多くの者に知られている物事よりも価値がある。大きな、あるいは恐るべき影響を及ぼす秘密は、取るに足らない秘密よりも価値がある。そして予測はつくかもしれないが、奇怪な秘密や、世間を騒がすような秘密、あるいは有名な人々に関する秘密はそれ自体で付加価値を有する。

解読者のミッデンでは、秘密の交換が頼み事と義務の隠された網目を形成している。これがあることで、解読者は品物をアポクリファに輸送し、それを他の解読者と物々交換するよう取り計らうことができている(ニルンに存在するハルメアス・モラの様々な教団は有用な物資供給者であり、サラアス・トングやファーグレイブの商人も同様である)。新米の解読者は、自分が最近発見した情報を共有すると約束することで、年長の解読者の庇護を購入することもできる。また、年長の解読者は研究を始めたばかりの者に多少の価値ある品を与えることで、助手を雇うこともできるようになっている。

当然ながら、ある秘密の価値は取引されるに従って変化する。なにせ、いったん私があることを言ったら、あなたがそれを他の者に伝えるかどうかは私の自由にならない。真に希少な秘密も、不注意に繰り返されることで価値を失うことがある。時として不実な新参者は、最近獲得されたばかりの秘密を、その価値がなくなる前にすぐ他のものと交換する誘惑に駆られる。だがそうするのは誤りである。

というのも、どんな解読者も大好きな秘密は、誰が価値ある秘密を軽率に取り扱ったか、という情報だからである。

部屋の指示書Chamber Instructions

解読者たち

仲間からの忠告だ。ハルメアス・モラの聖なる涙を使う場合は、補充しておくのが礼儀だ。あれがなければ、他の解読者たちが問いの泉を使えなくなることを忘れるな。

涙はハイルマ・モラ、ハルマ・モラ、ハーモーラーの祠で復活させられる。グレートアイのそれぞれの姿に敬意を表し、この回廊を歩めるお前たちは祝福されていることを思い出せ。

解読者エルミド

変更されたナーニュレルの航海日誌Altered Naanurrel’s Logbook

〈文章は以前のままだが、1行だけが変化している〉

嵐はもう4日間も続いており、ゲイルは打ちつける波に耐えられそうにない。船と乗り手全員をこの重苦しい海の中に失うかもしれない。息子を水の墓に葬るわけにはいかない。だから禁忌の手段を使うしかない。ずっと以前、私はある昔の船乗りから大いなる力と契約するための儀式を学んだ。息子を救えるチャンスは今しかない!

〈一連の奇妙な、揺れ動くグリフが血で描かれており、その後には次のように記されている〉

危機に瀕した今、私はお前を呼ぶ!私と船員の命を奪い、息子を救ってくれ!この恩恵のために、私は永遠の奉仕を誓う!

〈字体の異なる手書き文字で、一連の奇妙な見慣れないグリフが描かれており、その後は以下のようになっている〉

申し出は受け入れられた。契約は成された。ナーニュレルを、あるいは彼に関する記憶を溺死者のための我が案内人としよう。かく行われるべし!

〈最後の数行には、ナーニュレルの書いた文字がある〉

息子よ、お前を海に沈めることはできない。禁忌に手を染めるしかない。許してくれ。

忘れ去られた夢Dreams of the Forgotten

〈本を開くと、数行の文章だけが浮かび上がった〉

忘れられたものは、存在しなかったものにあらず。ゆえにそれはただ不可避の知者にして、秘密の王である者によって所有される。それをかつて知っていた者は、不穏な夢の中でその欠如を微かに感じるやもしれぬ。

秘密の王がその果てしなき領域の中に、忘れられたすべての記憶を保管している場所があることを知れ。

本のスープのレシピRecipe for Book Soup

このレシピに風味があるとほのめかすつもりはない。できるだけ口当たりのいいスープを作るようにしただけだ。

まず本のページを破り取り、千切りにする。小さければ小さいほど、スープの食感が滑らかになる。

次に、本の表紙を大釜に入れ、煮始める。のりを分解し、革をほぐす。

大釜がぐらぐらと煮立つようになったら、革を取り除き始める。残ったのりは削り取り、大釜に戻すこと。

だし汁の見た目は乳白色になっているはずで、そこに味付けをしていく。最近ではだし汁にフットラップやシャツを加え、自分たちの汗から塩分を引き出すのが好みだ。壊れた本棚の木材は素晴らしい風味を与えてくれるし、羽根ペンもそうだ。いろいろと工夫しよう。

だし汁の味付けをしている間、革表紙を短い細切りにしていく。最初に煮てあるので切りやすくなっているはずだ。この細切りはスープの“肉”になる。うまくやれば、噛み応えがあってあまり不快な食感ではないはずだ。表紙を切り終えたら、風味出しや味付け用の服を取り除き、切った革を入れる。

そのまま、表紙の細切りが歯で裂けるようになるまでだし汁を煮込み続ける。

次に、千切りにした紙を加えて、もう目を離せないし空腹に耐えられない、という気持ちになるまで混ぜる。それまでに紙は柔らかくなってジャガイモのような食感になっているはずだ。

盛り付けていただく。

本のリストList of Books

マスターはお前に、以下の書を感知の広場まで届けるよう求めている:

「天体の先触れ」
「予言百科事典」
「計り知れない視線」
「闇の地図」

速やかに運び、誰にも言わないこと。

無限のパノプティコンでの活動Working in the Infinite Panopticon

目録作成者ヴォルグン 著

無限のパノプティコンは無限の小次元の中にある部屋と通路の果てしない迷路のように見える。伝説によると、入口は二度同じ場所に現れることがないとされ、発見することはほぼ不可能となっている。この次元外の空間の中は何一つ我々が知っている現実に合致せず、内部は一見してまったく無秩序に変化する。

なぜグレートアイ、ハルメアス・モラはこのような場所を創造したのか?その理由は一つしかない。彼の最も貴重な秘密を守るためである。

私はパノプティコンの中で長い間、目録作成者として働いてきた。もちろん、この場所の内部では時間にほとんど意味がないので、どれだけの期間私が働いているか正確に言うことはできない。この中であまりに長く過ごすと、最も強い定命の者の精神でさえ壊れてしまう。だが私の場合、まだ正常なままだ。私は広間を守護者のように放浪するハッシュドと共に仕事をしている。他にもラーカーやシーカー、監視人、その他にも説明するのが困難なデイドラのガーディアンがいる。私の仕事は内部に保管されている黒の書や書物を管理することではないし、うず高く積み上げられた無数のグリフィックを管理することでもない。

私の役目は本のように棚に並べられた無数のモラの目を管理することだ。モラの目とは何か?その名のとおりだ。ハルメアス・モラの栄光である終わりなきオーブから取られた、浮遊する目玉である。それぞれの目はノルドよりも大きく、ハルメアス・モラによって直々に目撃された記憶が込められており、重要な物事の記憶として保管される。内包された記憶を見るためには、実際に目の中に入る必要がある。しかし中には自由に入れるわけではなく、しばしば鍵や合言葉、あるいは他の手段を用いなければならない。

私の仕事は目の世話をして無事に保ち、判別を容易にするために内容の目録を作ることである。だが私が接触したのは最も平凡な記憶だけだ。最も大きく、恐ろしい秘密は私でさえ触れることのできない目の中にしまい込まれている。おそらく、私の正気がまだ無傷でいられるのはそのためだろう。無限のパノプティコンで雇われた、他の者たちとは違って。

無限のパノプティコンについてOn the Infinite Panopticon

アポクリファの小次元の内部に存在する無限のパノプティコンは、ハルメアス・モラの秘密の保管庫の中で最も厳重に守られたものである。遷移した次元の中に隠されている上、パノプティコンへの入口は常に移動している。同じ場所には二度と出現しない。パノプティコンを守るそれ以外の防衛措置も存在すると噂されており、変化する部屋や回廊、ハッシュドの軍団、さらに正確に記述するにはあまりに強大かつ未知のガーディアンなどがいるとされている。

これほどの守りを必要とする秘密の知識とは何なのかと思うだろう。それはグレートアイが自分以外の者に任せるには危険すぎる、あるいは深すぎる意味を持つと考える知識である。

伝説によれば、こうした秘密は書物や巻物、特別に設計されたグリフィック、あるいは空を漂うモラ自身の目に込められたモラの記憶の断片の中に保管されている。パノプティコンの中であまりに長く過ごしていると、定命の者の精神は正気を失うと言われている。

目の解読者Ciphers of the Eye

賢きレラミル 著

私が学術界で昇格を目指していたある時期、知る者ハルメアス・モラが私に特別な機会を与えてくれた。禁断の知識のデイドラ公は、オブリビオンにおける自らの領域であるアポクリファに来て、目の解読者になってはどうかと提案したのだ。

それが私の知る者との最初の本当の出会いであり、アポクリファに記録された未知の秘密を初めて垣間見た瞬間だった。専門的な学者や研究者にとってこの申し出は魅力的だったが、私は断ることにした。私は自身の努力によってアポクリファや解読者についてもっと学びたかった。そしてその研究は後に、私がハルメアス・モラとの特別な協定を交わした時に役立ってくれた。

目の解読者はハルメアス・モラによって個別に選ばれ、アポクリファに招かれた、ニルン出身の定命の者たちから成っている。彼らは次元の残りの部分からこの領域に絶えず降りかかってくる莫大な量の知識を管理、整理する役目を担っている。モラがなぜこの果てしない任務を定命の者に任せることにしたのか、誰も理由を知る者はいない。解読者はすぐにたったの数人から、目録作成者や研究者、蔵書庫の管理人の小さな軍団に成長した。彼らは解読者のミッデンという居留地を築き、同志たちのための本部のようなものを作った。

アポクリファの地形全体に丘や峡谷を形成している、絶えず変化する書架を整理するという、自動的に生成される任務に加え、解読者は意図的に、あるいは偶然この領域へたどり着いた定命の者に、歓待と避難の場所を与えている。解読者のミッデンは敵対的で過酷な地における避難所であり、かつ学びの場でもある。それぞれの解読者は専門領域を持っており、仕事へのアプローチの仕方も異なっている。時として、解読者たちは彼らが整理する巨大な書架のように乱雑で無軌道にも見えるが、アポクリファが現在のように機能するためには、彼らの存在を欠かすことができない。

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