付呪師助手メール 19週間目

130日目
ここでは思っていたように1人にはなれませんでした。誰かに見られているのに気が付いたからです。問題は、この謎の観察者が良い者なのか危険な者なのかということです。いずれにせよ、メリナ・キャッセルは必要な時は危険な女になれるということを思い知るでしょう。ともかく、材料をお楽しみください。

131日目
私は影に身を隠しながら、遺跡をすり抜け、闇に身をひそめました。謎の観察者の目から逃れるためです。そして、気付かれずにその者の隠れ場所に近づくことができたのです。彼は遺跡に目を配るのに気を取られすぎていたのでしょう。私が真後ろにいるとは思いもしなかった様ですね。獲物と遊ぶ時間です。

132日目
ロークラタ遺跡で私を見張っていた男は思った通り、気づきもしませんでした。ノルドの巨漢で、ステンダールの篤信者の鎧を身に着けています。彼はウッドエルフのように敏捷な身ごなしで武器を構え、向かってきたのです。それに対し私は微笑んで自己紹介しました。首を引きちぎる前にそうすることが、礼儀となっているのです。

133日目
ステンダールの篤信者についてはご存知ですか?お高くとまった戦士集団で、理解できないものは何でも狩り立てて滅ぼすことをモットーにしているのです。ロークラタで出会った篤信者は、神聖なる誓いのジャコソンと名乗りました。その男は「信心深いノルド」という言葉で連想するイメージそのものでした。そしてもちろん、私を殺しにきたのです。

134日目
なぜステンダールの篤信者がこのメリナ・キャッセルを殺そうとするのか?それを疑問に思った私は、男が目的を告げた時、それを尋ねました。するとジャコソンはこう答えました。「なぜならお前は汚らしく、邪悪で醜い生き物だからだ」と。「なぜならお前は吸血鬼だからだ!」なんという無礼な暴漢でしょう!私は醜くなんかない!吸血鬼という点は間違っていませんが。

135日目
私の正体に驚かれましたか?嫌悪感を覚えますか?不安で体が満たされ、恐怖で内臓が震えますか?本当ですか?もしそうでしたら残念です。これまで、私は忠誠を尽くし、契約を一字一句違えずに履行してきただけなのです。そして私は怪物ではありません。ヴェランディス伯爵は我々は特別なのだとおっしゃいます。我々のような才能を持たぬ人々に対しての義務があると。

136日目
どうしてこうなったのかは分かりませんが、ジャコソンとはその日、刃を交えませんでした。さらに酷い侮蔑の応酬をしているところに、知能を持たぬ狂血鬼の群れがジャコソンの背後から飛び出し、獰猛な飢えを満たすべく襲いかかったのです。ため息をついた私は、立場の違いは一旦おいて彼を救うことにしました。