木工師助手メール 22週間目

150日目
槌のマーゴッグだ。さびしかったかい?材料のお届けだ。こういうことわざを聞いたことあるか?「敵の敵は味方」、それで考えたんだ。今のところ俺には敵が二人いる。華麗なる前足とシェドリック治安官だ。奴らも互いに敵同士だ。どちらか一方と手を組んだらどうだろうと思ってな。あくまで便宜上だがな。

151日目
シェドリック治安官に友情の手を差し伸べた。それは大間違いだった。奴は俺が握手の代わりに毒蛇を差し出したようなツラをしやがった。それから奴は俺のようなクズと付き合うことは絶対にないと演説しやがった。俺が傷つきやすいタイプだったら、その言葉でナイフのように切り刻まれてたとこだ。代わりにぶん殴ってやったがな。

152日目
よう、最近試したシェドリック治安官に近づく計画は失敗に終わった。正しく高潔な治安官殿は、どうやら、一介の木工師や、酒場のオーナーや、俺のような怪しげな起業家と付き合うには純粋すぎるようだ。まあいいか。あいつのことはどうせ虫が好かなかったしな。次は華麗なる前足と話してみるか。

153日目
緊張してる。あの用心深いカジートの野郎がうちの酒場にきて、一杯おごると言い出したんだ。俺が奴のところに行って、同じことをしようと思ってた矢先にだ。華麗なる前足は最初に会った時から目の上のたんこぶだったが、二人ともシェドリック治安官にやられちまうよりは手を組んだ方がいいだろう。それにうちのエールに毒が入ってないのは確かだしな。

154日目
カジートの犯罪王、華麗なる前足は驚いたことに良いヤツだった。面白い話をするし、冗談には笑うし、酒にも強い。自分のことを三人称で話すという、うざったいクセはあるが、誰にでも欠点はあるもんだろう。やがて奴はうちにきた理由を切り出した。「治安官に身を引いてもらう時が来た」とな。

155日目
いいかい、告白なんかじゃないぜ。取引相手との世間話だぞ、分かるよな?華麗なる前足が「身を引いてもらう」って言葉を使ったのはつまり「放牧する」とか「ゴミを捨てる」とか「問題を片づける」とか「株を清算する」ってことだ。「株」ってのは善良なるシェドリック治安官殿のことだ。材料は入れといたぞ。

156日目
なんて奇妙なこった。犯罪王の華麗なる前足と槌のマーゴッグが手を結ぶことがあるなんて、誰が考えただろう。俺のハントマザーが言ってたように、1本の矢でマストドンを仕留めることはできない、例えどんなに狙いが正確だったとしてもだ。今回の場合、シェドリック治安官がマストドンだ。そして矢は2本必要だ。