調理師助手メール 10週間目

64日目
道中で危ない目に遭いました。血に飢えたゴブリンの集団がすぐ近くを通り、あと少しで隠れていた場所が見つかってしまうところでした。言っておきますが、私は死を恐れているわけではありません。ただ、死が起きる時にその場に居たくないだけなんです。

65日目
現在はバーンダリの商人達のキャラバンと行動を共にしています。このカジート達はあまり私のことが好きではないようです。私も昔から猫派ではありませんし、犬と一緒に育ちましたので、カジート達もそのことを一瞥で見抜いたのだと思います。一瞥とは言いましても、目の端からギロリと睨みつける一瞥ではありましたけど。品物を同梱しておきます。

66日目
あなた宛ての品物をお送りします。このカジート達はどうも気に入りません。彼らは皮肉ばかりで粗暴、私の良い所を理解しようともしません。今日、昼食の席で同胞意識を高めようと、ちょっと乱暴な酒場の歌を歌おうと誘ったのです。なのに私の歌は徹底的に却下されたのです。

67日目
カジートの一人が私の寝袋の中にトカゲを入れたのです。自分の人生自体が冗談みたいな気がしていると、悪戯的なジョークには中々笑えないものですね。品物を同梱しておきます。

68日目
お元気でしょうか?今回の配送品をお送りします。カジート達から「ムーンシュガー」という甘いお菓子を貰ったのですが、何だか唇の感覚がありません。

69日目
2日間連続で酒とムーンシュガーを飲みまくった結果、私が眠っている間にカジート達は出発し、置き去りにされてしまいました。あとどうしてもパンツが見つかりません。

70日目
パンツ無しで街の門にたどり着いたおかげで、街の衛兵たちに逮捕され、何時間も尋問されました。そしてようやく私が危険人物ではないと判断したみたいで、古いボロボロのズボンも貰いました。どれもこれも月耀だからでしょうか。月耀は大嫌いなんです。品物を同梱しておきます。