遺物師の蔵書庫

Library of Incunabula

アルクンザムズ・フングArkngthamz-Phng

アルクンザムズ・フング:
竜の牙に捕えられた都市

ネラモ 著

最もよく物語の題材にされ、最も理解されていないドゥエマーの遺産は、おそらく失われた都市アルクンザムズ・フングだ。その伝説に最も深く刻み込まれた要素であり、知られているほぼ唯一のことはこの都市の没落だ。それが何だったのか、どのように起きたのかは、ほとんど記憶されていない。その名前さえ、派手な通称の「牙の巣」によって隠されている。これは元の「フング」を切り詰めた不純な表現に、この場所の最も悪名高い居住者の家を指す。適当に不吉な語句を組み合わせたものだ。数千年語られてきた伝説が、何らかの派生を見せたことはこれが初めてでもない。ドラゴンがこの旧ドワーフ都市を根城にした物語は、それより前の魅力的な歴史を残念ながら覆い隠している、と述べるに留めておこう。

幸運にも私の研究を通して、この埋もれた歴史の一部が明るみに出るようになった。私の発見が示唆するところでは、チャイマーとドゥエマーの平和が確立してから数十年後、クラゲン・クランのドワーフがレスデインの先に領地を探し始めた。放浪したローケン・クランが大移動の際に敷いた道に従い、クラゲンのドワーフは現在のスカイリムと考えられる場所に到達し、アルクンザムズを設立して、この地方で最初の拠点を確立した。

クラゲンの探検家が、敵対的なノルドに囲まれてもここに住もうとした魅力が何だったのかは明確でない。しかし好戦的な人間の攻撃を受け続けたにもかかわらず、彼らの街は繁栄した。その成功に触発され、他のクランも領地を西に広げようとしたほどだ。クランの緩やかな同盟は、実質的に都市国家4つの小帝国を築き、難攻不落と考えられていた。だからといってノルドが諦めたわけではないが。

この成功のゆえか、あるいは付近にこれほど多くのクランがいたためか、クラゲン・クランは西へ拡張を続け、危険な竜牙山脈を突破した。私は彼らが、新しい帝国を疎遠になったヴォレンフェルの同胞とつなげようとしたと考えている。いずれにせよ彼らは石を破砕し、現在のハンマーフェルの国境に姉妹都市を築いた。それがアルクンザムズ・フングだ。

地形は居住に適さなかったが、ドワーフたちは拡大を続けるこの居留地を攻撃的なまでに削り、すぐにクラゲン・クランの権力の座を設置したとする証拠が幾つかある。荒廃してはいるが、アルクンザムズ・フングの大広間の貯蔵庫は今も雄大だ。広大で、隔離されていて、資源と生命にあふれた空間が、ドラゴンプリーストに仕えるノルドが作った住居よりも居心地のいい場所を探していたドラゴンにとって、魅力的だったことは想像に難くない。

悲しいことに、私の最初の探検は予期せぬ抵抗に遭遇し、さらなる重大な解明がなされる前にこの地を離れざるを得なかった。しかし、これが出版されることで生じる関心が第二の、より野心的な探検を実現させてくれることを疑っていない。

ある姉妹の後悔A Sister’s Regret

兄弟へ

あなたがこれを読むかどうか分からないけど、他に選択肢がない。あなたの怒りは責めないわ。私は自分の言動を後悔している。私はただあなたの安全を守りたかった。でも、あなたはもう二度と私を信じないかもしれない。信じるべきかどうかも私には分からない。

そう、私は後悔している。あなたは私の目を開かせようとしたのに、私はいつも無視した。あの手紙は取ってある。あなたは信仰を忘れるなと言った。ソブンガルデにかけて、どんなに手紙を燃やそうと思ったことか。でもあの時でさえ、私は多分あの言葉の正しさが分かっていた。私は真実に耐えられないのだと思う。

あの日のことははっきりと覚えている。スケイルコーラーの死体が雪山の頂上に横たわっていて、彼女の血が少しずつ雪を赤く染めていた。私は彼女の仮面を取ろうとしていた。私の冷たい指が、彼女の金属をきつく握りしめた。力と支配を求めて必死だった。

でも仮面は私を拒絶した。彼女から離れようとしなかった。その瞬間、お腹の底に重い感覚を受けて、私は悟った。こんなことを始めるべきではなかった。あなたは私に伝えようとしたのに、私は聞かなかった。

お願い、私と一緒に脱出して。この聖堂の魔法の守りは崩れ始めている。私たちは高価なものを身につけているから、見逃してはもらえない。あなたがここに一人、汚らわしい盗賊に殺されるなんて耐えられない。お願い、私たちと一緒に来て。新しい家と、新しい目的を見つけましょう。あなたに誓うわ。私たちは新しい人生を見つけると。

あなたを愛する姉妹
ルエルデ

ある姉妹の反論A Sister’s Retort

兄弟へ

あなたを馬鹿だと思ったことはなかったけど、今は思っている。すでに分かっていて当然のことを書くわ。あなたは全ての徴候を無視して、妄想の中に深く潜りこんでいる。私は躊躇せず真実を見ているのに。

目を開いて!もう無視できないわ。スケイルコーラーは私たちの秩序を破壊し、悲惨さだけをもたらした。彼女が無能なせいで、ドヴァー・サーヴォクンは私たちを見捨てたのよ。こんなに明白な真実が分からないの?私たちを破滅させたのは、彼女の弱さ。しかも不機嫌な子供みたいに、彼女は私たちを手放さない。こんな屈辱を我慢するつもりはないわ。

ドラゴンがいなくなって、私たちの教団は崩壊した。私はドヴァー・サーヴォクンに従うことを選んだ。彼だけに。置いていかれた人々に対して、私は何の忠誠心もない。スケイルコーラーはただの抜け殻よ。支配する力もなければ、それを認める力もない。あんな弱者に導かれるのは嫌。

あなたの献身に深く、厳しい一瞥を向けることを勧めるわ。変化は私たち次第。前に進むことを拒否すれば、悲惨な過去に取り残される。賢く選択しなさい、ヤークボーン。選択肢がなくなってしまう前に。

誠意を込めて
ルエルデ

カルウリオンのメモCaluurion’s Notes

あれだけ計画し、準備したというのに。数十年の努力が一瞬にして水の泡になった。無益な実験によって消滅し、取り返しがつかない。状況が違っていたなら、私は激怒しても失敗の原因を突き止めようと思っただろう。

私は数えきれないほどの反復によって魂縛を極めた。毎回克服すべき困難があった。だが今回は、麻痺した気分になるだけだ。文字どおりの絶望に座り込み、仲間の壊れた体と過ぎ去った時代の残り香に、一人取り残されている。

ドラゴンは倒れ、その貴重な魂も去った。種族の最後の生き残りか、違うとしても最後に近いのだから何も違わない。戦利品は勝者にと言うが、今回は違う。私が勝ち取ったのは腐敗した肉と鱗の山だけだ。

この機会を逃してはいけない。魂がなくても、この死体には可能性が満ちている。解体と保存が最優先になるだろう。これからあまり眠る時間はなさそうだ。

この生物の無傷の臓器は、より保存に適した容器へ移された。食料と簡単な試薬は交換可能だ。ドラゴンの巣窟を捜索すると、ドゥエマーの財宝の蓄えが見つかった。その多くは密閉された機械の金庫に入っていた。

それを空にすると、かなりの分量の未知の素材が発見された。精錬されていない、発光する明るい青クリスタルの塊だ。まだ残っている腐りやすいドラゴンの部分を空いた容器の中に封印したら、このクリスタルをもっと詳しく調べよう。宝箱の中身の大部分がもうすぐドラゴンになるという皮肉に、多少の喜びを覚える。

クリスタルは何の役にも立たない。不活性どころの話ではない。あれは停滞のエキスだ。不変であり、変えられない。あれの研究は安心して、無際限に延期していいだろう。

残っている私の食料が、予想していたよりも早く傷んでしまった。この遺跡の湿り気のせいか、それとも菌類の流布がこの結果をもたらしたのかは分からない。だが別の食料源を見つけなければ、私はドラゴンの肉を食べることになってしまう。

ドラゴンの焼肉は、肉に靭帯が密集しているが悪くない。味を表現するなら、そう…鶏肉だった。

ドラゴンの遺体は魔法の性質を内在的に保つという主張は誇張でないが、私ならこの遺体を触媒として分類するだろう。応用の可能性は広いが、錬金術の研究は控えなければならない。替えの素材を入手することは不可能だ。

この生物は容易に秘密を明け渡そうとしない。秘密を解き明かすために何世紀も費やせそうだが、私にそんな時間はない。もう食べるものがほとんど残っていないし、すでに長居をしすぎているのではないかと不安だ。

山を降りる力がないため、この状況を受け入れる時が来ている。私はここで死ぬが、望む方法でそうするつもりだ。問題は、あの不変のクリスタルが従ってくれるのかどうかだ。

ギール・マーの日記Geel-Ma’s Diary

こんなことが可能だとは思わなかったが、ツァトバ・ランは再びなぜ我々シャドウスケールが彼に倣わなければならないかを示している。彼は最も捉えにくい敵の痕跡を捉えた。シルケンリングは我々のことを熟知していて、激しさを増す攻撃に対処することはほとんど不可能だ。どうやってか、ツァトバ・ランは彼らのアジトを突き止めた。彼らを根絶したければ、発見したことに気付かれる前に素早く行動しなければならない。

シルケンリングに対する報復に際して、ツァトバ・ランから呼び出された。彼は攻撃して敵を粛正することを計画している。これだけ多くのシャドウスケールが一つの目的に向かうことは珍しい。このシシスのための虐殺に加わることは、自分の特権だと思われる。

これは簡単な仕事ではない。ツァトバ・ランは、シルケンリングの成功が彼らのアサシン技以外のものによる部分が大きいと打ち明けてくれた。彼らは類を見ないほど自らを強化してくれる力の誘惑により、闇の一党やモラグ・トングを見捨てて来たのだ。だから彼はこれだけ多くの仲間を連れて来て、私を側に置いたのだ。この脅威に対して、あらゆる分裂や分散は許されない。

今晩、我々は敵が拠点にする穴へ下りて行く。ツァトバ・ランはこの中に何があるかはほとんど分からないと認めているが、彼の背骨は自信と熱意に満ちている。私も敵の鼓動を感じられる。まるで我々の行進曲のようだ。静かになる前には早くなるだろうと思うとたまらない。シルケンリングを憐れみたくなるほどだ。

ザーン・スケイルコーラーの歴史The History of Zaan the Scalecaller

ドラゴンプリーストの研究家、ジョルバルド・ダヴォー 著

ザーン・スケイルコーラーは短命のドラゴンプリーストで、名も知られていない。彼女は大きな戦いの指揮を執ったこともなければ、強大な敵を征服したこともない。一見しただけでは、彼女が平凡でこれ以上の調査には値しないと思えるだろう。彼女に関する学術書の欠如を考えると、これまでの歴史家たちがこのような見方をしていたのは間違いない。しかしながら、ザーンの物語がこれほど無視されて来た事実こそが、彼女を魅力的な研究対象にしている。

ザーンは彼女のドラゴンロード、強大なるドヴァー・サーヴォクンによって選ばれた時、異例に若かった。サーヴォクンとのつながりは特に強かったと言われている。周知のように、ドラゴンと選ばれたプリーストとの間のつながりが精神的か、魔術的か、単に政治的なものかについては様々な憶測がある。いずれにせよ、ザーンは短時間のうちに強固な関係を築き、彼女の信者たちはこれを大いなる幸運の徴候と捉えた。10年ほどの間、全ては順調だった。

騒ぎが持ち上がったのは、サーヴォクンが自らの聖堂を去った時だ。その理由はおそらく、ザーンその人を除いて誰も知らないだろう。どの記録によっても、この別離の結果としてザーンは、魔術的か心理的なものかは不明だが、次第に鬱へと落ち込んでいった。この鬱は頻繁な隠遁をもたらし、恒常的に閉じこもるまでに至った。

彼女の信者たちは次第に不満を抱くようになり、それは時と共に不信へと変わった。彼らはサーヴォクンに見捨てられたと信じ、今日の我々が神の喪失を見る時のような絶望感でこの件を見た。彼らはスケイルコーラーがその弱さのためにサーヴォクンから見捨てられたのだとして、彼女を責め始めた。この非難に対して、スケイルコーラーは一切反論しなかったと言われている。信者たちはこれによりザーンが非を認めたと捉え、怒りに任せて彼女を殺してしまった。

これがザーンの最大の謎である。信者たちに非難された時、なぜ彼女は自己を弁護しなかったのだろうか?

大部分は憶測だが、私の説はザーンが自らを弁護できなかったのだとするものだ。ドラゴンロードの喪失がもたらした苦悩のために、彼女は話す意志か、話す能力自体を失っていたのだ。とはいえ、これが魔術によってもたらされたのか、単なる心理的トラウマなのかについては、まだ私も確信は持てないでいる。

この歴史的事件を研究することで、ドラゴンプリーストとそのドラゴンロードとのつながりについてのさらなる洞察が得られる可能性があると私は信じている。我々はこのような関係性における初歩的な政治的側面を越えて、その先にあるものを見なければならない。これほど崇拝されていた、この精神的な繋がりとは一体何だろう?スケイルコーラーの助けにより、我々はこの問いに答え始められるだろう。

ドラノスの日記Dranos’s Diary

元の仲間のため、私は憤怒を装った。どうしてシルケンリングが領域へ踏み込むのを傍観して許したのだ。我々の契約を盗み、密偵を殺されるような弱みを見せるとは。私は言葉で火をつけ、ナイフで燃料を提供した。連中が気付くことはなかった。怠けた、傲慢な愚か者め。

レースの女公は私の偽装を喜ばれている。モラグ・トングは影を追っているが、本当の脅威には全く気付くことがない。私は努力によって、シルケンリングに招かれるようになった。これにより、私はメファーラに単なる称賛を述べるだけでなく、自分の手で彼女に奉仕できるのだ。デイドラの祝福を受けることに比べれば、金の約束など何だろうか?

女公は私が紡ぎ手の祝福を受ける前に、最後に一つのことを求めた。献身の捧げ物。メファーラに似合う犠牲だ。他の愚か者は急いで飛び出し、彼女の名の下にナイフを振るう。私は違う。これには慎重さが必要だ。自己紹介は完璧でなくてはならない。

私は絆を求めたことはない。どうして自分の心を縛って、敵が利用できる武器を与えるのだ?しかし、それでも私がこうした拘束を甘受し、錠を閉じられたことはあった。ニリとのことだ。おそらく、今度は私が絆を提供するべきだろう。

ニリは私の前進に備えていなかった。それも不思議ではない。私は自分の意志を明らかにしていた。私は彼女に変心を疑わせる時間を与えなかった。彼女はまだ私を愛していたからだ。ニリの疑いは私の手によって消え失せ、彼女はメファーラの網へと自ら落ちて行った。

私は夜の度にニリへ嘘を吹き込んだ。モラグ・トングについて疑いを植え付けた。彼らの許可なく動くべきだと説得した。私は今晩、彼女をシルケンリングに導く。きっと完璧になるだろう。

短剣が彼女の心臓を貫いた時の、ニリの顔は素晴らしかった。最後に苦しむ瞬間に、隠していた感情が全て現れたかのようだった。レースの女公は私の犠牲に大きな感銘を受け、私は彼女の目に留まった。当然だ。

さあ、影のゆりかごに行こう。メファーラの真の力を味わうために。私の献身への報酬はきっと素晴らしいだろう。

これは正しい行動だった。今までになく確信している。あらゆる疑いは、レースの女公と会った時に消え失せた。彼女が与えてくれた力は、モロウウィンドの愚か者が想像もできないようなものだ。多くの利点は、定命の者の枷を捨て、より高次の目的を受け入れることによってもたらされた。官僚主義と偽神への借りによって堕落する前に、モラグ・トングは本来こうなるべきだったのだ。

ナ・ケッシュの日記Na-Kesh’s Journal

樹液。殻の薄い愚か者どもはそう呼ぶ。そのような物質がニルンに汚された樹脂と比べられるかのように。いいや。それは樹液以上のものだ。

ある学者が、強きチュダンへ食わせる前に「琥珀のプラズム」と呼んでいた。オブリビオンの混沌とした基準が、傷口からの血のように我々のヒストを通じてムンダスに流れ込んだものらしい。あの乾いた舌と態度と来たら。私よりもヒストの秘密を知っている者がいると思うのか!

サクスリールが最初の鋤を持ち上げる前から、プラズムはツォノ・クヒルの根に貯まっている。しかし、その秘密を見つけたのは私だけだ。これを飲むか、浴びるだけでサクスリールはおかしくなる。しかし錬金術の研究とヒストの導きによって、私はその力を制御できるようになった。これは簡単なことではない。この基準は混沌のものだ。その本質はシシスを求めている。しかし、その指令には耳を塞がねばならない。彼を父と呼ぶサクスリールは、泥の小屋で衰弱し、木の器から古い魚を食べている。ジット・ザートは秩序を求める声を聴き、輝ける都市へと永遠に住むだろう!

適切に操作されれば、琥珀のプラズムは価値あるサクスリールに素晴らしい速度と力を与える。私がその効果の証拠だ。すぐに私の醸造薬は、全てのジット・ザートに配られるだろう。その時、マザッタンは帝都にも並ぶ!根の民が初めてブラック・マーシュを支配するのだ。そして、全タムリエルも!

ナシーン・モーティウの研究その1Research of Nathien Mortieu, Vol. 1

この聖堂は素晴らしい場所だと分かった。ここはより寒いため、混合剤の調合には最適と思われる。しかも尋問する卑劣な衛兵もいない。無知から来る嫌悪感を剥き出しにして、我らの祝福を見下す目はないのだ。多くの者は私の決断に疑問を呈したが、連中は近視眼的だった。私のように、その先を見なかったのだ。

洞窟のオーガの研究の成果には…確かに副作用があった。奴らは比較的簡単に感染した。予測しやすい行動パターンと鈍い知性のおかげで、素晴らしい実験材料になる。我々は疫病が物理的に表出する初期の徴候を確認したのだ。いいぞ、これはいい。素晴らしい、実に素晴らしい。この汚らわしい怪物も、私の導きによって美しくなった。ああ、こいつらは何と幸運なのだろう。このような愛すべき疫病に抱かれる、最初の者になったのだから。

だが、そこで全てが失敗してしまった!奴らは失敗だ。失敗だったのだ!奴らはとても疫病とは思えない行動を見せ始めたのだ。あの嫌らしくて愚かな怪物どもは死のうともしない!奴らはただ…怒るばかりだった。より強くなり、ひたすら凶暴になった!奴らは私の研究者たちを攻撃し始めた。昨晩だけで相当な人数を失ったと思う。これから予定どおりに進めればいいが、すでにかなりの遅れが見込まれそうだ。

この研究を放棄するのは心苦しいが、このオーガたちは野獣と化してしまったと結論せざるを得ない。研究を続けることを望むならば、我々にはもっと人間の被験者が必要だ。この山が隔離された場所であることを考えると、どうしても通常の手順を踏む時間がない。多くの者は巨人が利用できるかもしれないと提案した。危険だ。危険きわまる。だが死人の出ない発見などあるだろうか?

個人的なことだが、私のもう片方の耳がついに腐り落ちた。まだもう少しかかりそうだが、現在の状態には期待が持てる。私は日々美しく、より完璧になっていく。より祝福されていくのだ。

ナシーン・モーティウの研究その2Research of Nathien Mortieu, Vol. 2

最新の進展のおかげで興奮して、どうにも震えが止まらない。我らが愛すべき疫病は見事、とても見事に結実した。そう、今やこの病気はほぼ不治と言ってもいいくらいだ!初期は症状の遅延を作り出すのが難しかった。被験者の消耗が早すぎ、要するに拡散するための時間がなかったのだ。我々は彼らを歩き回らせ、我らが祝福をできる限り多くの人々に広めたい。何と…崇高なことか。

そして実際に症状が出た時には、いやはや…とても書き記せるものではない。あの汁気たっぷりの膿や、広がる発疹について詩のように語ることはできる。腫れ物は膨れ上がって、ほとんど半透明になる。あの愛らしい、病的な緑色の影を見るだけでも、私の体全体が喜びでゾクゾクする。これほど美しいものを見たことがあるか?私はいつも自分の仕事に誇りを持ってきたが、これはもう愛情に近い。

巨人はオーガと同じく有用だと分かったが、奴らの反応はやはり…間違っている!奴らは私の可哀想な作品を何か別の、予測不能なものに変えてしまった。蛮族どもめ!オーガと同じように、疫病は奴らを強靭にし、攻撃性を高めてしまう。人間性が足りないのだ。おかしい!奴らの大部分は今頃もう死んでいて当然なのだが、かつてないほど頑健になっている。病気になった気分だ。良くない意味で!

我々はすでに多くの研究者を失っている。これ以上失うことはできん。巨人の女族長はとりわけ攻撃的になっている。実に愛らしくなってきたところだというのに、残念だ。暇な時間にスケッチを描きたいと思っていたのだが。まあ、発見への道のりはいつも足場が悪いものだ。目標に辿りつくためには、犠牲が不可避というものだ。

目標といえば…おお、そうだ、そうだとも!彼女が目覚めつつある。骨で感じるのだ。まったく、ひどいお寝坊さんだ。だが彼女の音が聞こえる。おお、聞こえるとも!彼女は我らが栄光の計画と、我らが新しい時代を導くことを私の耳に囁いている。きっと実現するだろう。今は彼女の安全を確保しなければ。そして、彼女は導き手となる。

ついに彼女と会う時のために、私の外見を最高にしておきたい。私の鼻は腐り始めているが、進行が遅い。自分で切り落としたくなるくらいだ!だが、いかん。それはだめだ。それではおかしくなるだけだ。全てに辛抱強くしなければ。我が祝福の美はいずれやって来るだろう。

ナシーン・モーティウの研究その3Research of Nathien Mortieu, Vol. 3

奴らは我々を笑った。馬鹿にしたのだ。母でさえ私を理解してはくれなかった。母は家族の伝統を継ぐことを求めていた。「尊敬すべき教団に入りなさい」と言ったものだ。だがヴァルミーナは混沌の嘘にすぎない。我が主は完璧な真理の秩序だ。なぜ奴らは我々の話を聞かない?奴らは決して耳を傾けない!だが今では、奴らも我々に耳を貸さざるを得ないだろう。奴らは全員、ペライトの名を心に刻むのだ。

我らが祝福の準備はもう整った。祝福は拡散する。全てを飲み込む疫病が、この世界を死体で埋め尽くすだろう。この嫌らしく不完全な、秩序も敬意もない世界を。全ては我が主、あの方の秩序に属するようになる。奴らの笑い声は咳に埋もれ、溜まった胆汁が無礼な言葉を窒息させるだろう。奴らは美しく、完璧になる。そして奴らは自分の汚物に倒れて死ぬ。その光景を想像しただけで、心が躍るようだ。

仲間の研究者たちに、我々が作り出したこの祝福を受けることを許可し始めた。おお、私と同様、彼らも激しく求めていたのだ。だが気をつけねばならない。気分に流されてしまえば、この作戦全体が崩壊してしまうかもしれん。そんなことを許すわけにはいかない。我々は真の自然の秩序に、これほど近づいているのだから。

まずは小さく始めよう。この近くに村がある。非常に小さく、我々の需要に合致している。まず彼らを消し、噂を広めよう。奴らの心に恐怖を植えつけるのだ。我が作品の名はタムリエルの全ての民の口にのぼるだろう。その上で、奴らの舌が腐り落ちるようにする。

だがあの女は…おお、なんと気難しい、嫌らしい女だ。彼女は我々の実験や計画のことなどまるで気にも留めていない。ただ私を見つめるのだ。あの女は何を考えている?彼女の顔は見えない。あの見苦しい仮面を取ろうとしないからだ。まだ以前の主への愛着があるのではなかろうな。嫌らしい、嫌らしい!

もちろん、私はペライト公の意志を疑わない!そんなことはしない!あの方は私の忠誠心をご存じだ。忠実だった。私はあの方の秩序づけられた世界の幻視を見て、魅了されたのだ。腐って輝く死体で埋め尽くされた地。新しい時代が来る、新しい秩序が来るのだ!全ては我が主の旗の元。母は私を追い出した日を後悔するだろう。

記録を続けたいが、中指が取れて記述が難しくなってきた。残念ながらこれが最後の記述になりそうだが、それが何だろう?計画が失敗するはずはない。疫病のデイドラ公の意志に打ち勝てる者などいない!そして皆が、あのお方の祝福を知るだろう。

ニコラード・リアの日記Nicolard Lia’s Journal

運命とは奇妙なものだ。ある者の運命が、定命の者からみれば何の前触れや理由もないような状況で、突如として変わってしまうことが多々ある。だがこの場所に私を導いた一連の出来事は、何らかの知性がある存在が作り上げたものとしか思えない。多くの偉大な発見と同じように、これも偶然によって引き起こされた。ジュリアノスは悪戯が好きなのだろう。

私のクラグローンへの旅は遅れに遅れ、降霜の月になってようやく出発できた。賢い者であれば翌年に延期していただろうが、立ち往生があまりに長く、悪意に悩まされた経験は以前にもあった。最初の数日間の夜は、燃えさかる決意のおかげで凍えることもなくジェラール山脈を登り続けられた。だが逃げ帰れなくなるほど遠くまでやって来た時、その寒さは腕の良い追いはぎのように、私から決意を奪い取っていった。

選択肢は残っていなかった。勇気を出して近くにある乾いた洞窟に入り、そこが熊やトロールの住処ではないことを祈るしかなかった。そして岩の中へと続く、天然の洞窟を発見したのである。そのゴツゴツとした岩の中から響いてきた恐ろしい遠吠えに思わず飛び上がりそうになったが、それはただの風の音だった。その風に服を引っ張られた私は、その暗闇へと引きずり込まれた。好奇心を刺激された私は、寝床に向いた一番居心地の良い花崗岩の調査をいったん打ち切り、その先に何があるのか調べてみることにした。

そこで私が見たものは、山々に囲まれ、世間から隔離された渓谷だった。その一番奥と思われる場所には熊がいて、私はその熊を眠りから目覚めさせるという大失敗を犯してしまった。私は疲れ切っていたが、のろまな獣の怒りによって、寒さにもう少し長く立ち向かう勇気を奮い起こさせられた。山道沿いの奥地とは違い、身を切るような寒さにもかかわらず、そこでは自然界の生物がまだ生に執着していた。

その地が寒さに耐えていたとしても、身を隠せる場所がなければ寒さにやられる程度には寒かった。だから私は寝床に適した狭い場所を探した。何度ももうダメだと思った。この極寒の地で死の魔法をかけられているようだったが、忍耐はどうにか報われた。渓谷の突き当たりにある山には、削り出されたような古い遺跡が建っていたのだ。その中に潜む危険を考える余裕もなかった私は、最後の力を振り絞って巨大な石の扉を押し開け、その場に倒れ込んだ。暖かい風に迎え入れられた記憶を最後に、私は気を失った。

私はうつ伏せになったまま目を覚ました。だが顔の下には冷たい石でなく、温かい大地と生い茂る草花があった。最初は服が湿っていたのは解けた氷のせいかと思ったが、服が肌にくっついていたのは私の汗のせいだった。その遺跡はどうやら、熔岩の流れている洞窟の中に作られていたようだ。活力に溢れる植物が存在しているのは、そこが熱帯気候の土地だからだと自分に言い聞かせようとしたが、その言い訳も調べていくうちに破綻してしまった。この遺跡が理由なのか、もしくはこの洞窟にそういった特性があるためにこの遺跡が建てられたのかは分からないが、どうやらここには植物を異常成長させる不思議な力があるようだ。

寒さによって死ぬ可能性がなくなった私は、この洞窟の入口に拠点を構え、遺跡の外面を隅々まで調べることにした。これはネードの民が作ったものだ。その程度は見当がつく、だがシロディールで見られる他の建築物よりも洗練されていない。アレッシア時代以前のものだ。数ヶ月クラグローンで調査しても、これほどのものは見つけられないだろう。だが私は、探検を始めてからわずか数日で、文字どおりの偶然によりここを見つけた。運命とは本当に奇妙なものだ。

ニコラードの自分用メモNicolard’s Note to Self

この遺跡では寝る場所に気を付けなければならない。今日の夜、仕事中に居眠りをしたあと、恐怖のあまり命を落としそうになった。大蛇に締めつけられているような感覚がして、目を覚ました後にのたうち回りながら、崖から飛び降りそうになった。実は、寝ている最中に蔓が絡まっただけだった。

夢の中で何か楽しいことに熱中していたようだ。あの酷い目覚めのあとで、何だったのかを忘れてしまったのは残念だ。

ノルゴルゴルの日記Norgorgol’s Journal

ついに運が巡ってきた!要塞にこれ以上適した場所はない。確かに前回も同じことを言ったが、ここは隙間風の入る兵舎やボロボロのシーツがある壊れかけの古い砦じゃない。この遺跡は、まさに追いはぎの楽園だ。

ここは人里離れた場所だ。洞窟をいくつか通り抜けた先にあり、山道からは渓谷が見えない。ノルドの兵士が偵察に来ることはないし、気付かれることを恐れてキャンプの火に気を使うこともない。そもそも、料理以外では火を使う必要がない。料理にさえ必要ないかもしれない。この地域には熔岩が流れていて、洞窟と遺跡の中を快適な温度に保ってくれている。草が生い茂っているのもそのせいだろう。肩幅と同じぐらい太い蔓があることも、この標高にこれだけ植物があることも、誰にも想像できないだろう。

状況がまずくなって人目を避ける必要が出来た時も、ここなら十分に暮らしていけそうだ。警戒が解かれるまで蔓を切り、雪を溶かし、温かい草のベッドでゆっくり過ごせばいい。隠れ家の暮らしとして、こんなに贅沢なことはない。

確かに、品物をここまで運んでくるのは思っていたよりも大変そうだ。だが、帰り道で他の人間やエルフの姿も見ていない。リーチの民が痕跡を辿ってこちらに向かっているという噂があるが、腰布を巻いた原始人を恐れる必要なんてあるのか?それでも遺跡の防備を固めるまで、罠や警報を設置しておいたほうがよさそうだ。

ここを初めて訪れた時、この壁が血を流したような色をしていることには気付いていなかったと思う。ここには、このくすんだ赤い石がそこら中にある。いや、実際には血を流しているわけではない…とにかくこれを見てから、その姿が頭から離れなくなった。

昨夜寝ている時、仲間を殺しそうになった。奴がずっとこそこそ動いていたので、全く休めなかった。眠れたと思ったら必ず、服のこすれる音が軋む車輪のように耳をくすぐってくる。奴を殴りつけたが、振り返ると奴は死んだように眠っていた。実際に死んでいた可能性もあったが、とにかく、こすれるような音がまだ鳴り響いていた。

音の正体は蔓だった。蔓が酔っ払った大蛇のように身をよじっていたのだ。

少し離れなければならない。あの蔓の音は、どんな騒音の中でも耳に届くようになった。頭がおかしくなりそうだ。山道を探索して、まともな場所を探すしかなさそうだ。

1時間の間に、3回カラスの群れを見た。それとも道に迷った同じ群れだったのだろうか?鳥がこの辺りをうろうろするには少し季節外れだ。これは悪い予兆だ。そういう噂を聞いたことがある。

どこから来たのかは分からない。リーチの民による山狩りだ。大勢いる!何かを探しているようだ。だがここに彼らが求めるようなものは何もないはずだ…我々以外には。彼らはまだ隠れ家を見つけてはいないようだが、いずれ見つかってしまうだろう。

できることなら荷物をまとめて早くここから逃げ出すよう仲間に言いたいが、蛮族に気付かれず抜け出せるとは思えない。事態が思ったより早く好転することを祈るしかなさそうだ。

あの鳥どもめ!カラスが遺跡をねぐらにして、それからずっと鳴き続けている。洞窟の外まで鳴り響く声は、実際よりも十倍ぐらい大きい獣が鳴いているかのようだ。

神よ、あれを止めてくれ!

フォージに関するニコラードのメモNicolard’s Notes on the Forge

この古代部族は高度な技術を持っていなかったかもしれないが、原始的だったわけではない。この遺跡の中心部に用いられている建築技術は、ドワーフほどではないにしても、アイレイドのように精巧だ。部屋は広く実用性があり、儀式に使うこともできそうだ。だがその目的については、まだはっきりと分かっていない。現時点では、フォージのようなものだったのではないかと考えている。彼らは熔岩の流れを利用して鉱石を溶かし、金属に熱を加えていた。そのようにして作ったものを冷やすための、巨大な水盤らしきものもある。だが近くに水源らしきものは見つかっていない。

それに鍛冶が使っていたと思われる巨大な石の槌と鉄床もある。だが彼らがどう動かしていたのかは分からないし、魔力が使われていたような形跡もない。これだけ昔のものだ。かなり前に魔力が切れてしまったとしても不思議はない。

ブジャーフルド・スクジョラルモルの碑文Epitaph of Bjarfrud Skjoralmor

この街を作った石がここに眠る
人の形を取り、偉業により冠を授けられた
異教徒の森から獣を三度追い出し
森を切り倒してこの街に植えた
彼が立っていたその場所に

マリカに宛てた未完の手紙Unfinished Letter to Marika

マリカ、愛しています。そのことを今のうちにどうしても伝えたかった。気持ちを言葉にするというのは気持ちの良いものです。例えそれが、永遠に届かないとしても。

私たちは今、閉じ込められています。リーチの民が山から洪水のように押し寄せてきたのです。彼らは村をいくつも略奪して街道を占拠し、唯一の避難所だったファルクリースに私たちを押し込みました。もっと遠くへ逃げるべきでした。必要ならソリチュードにだって。でもすでに手遅れです。街はもう数週間、彼らに包囲され続けています。

この街はある程度の包囲に耐えられるよう作られています。でも人が多すぎて食糧が足りません。それにリーチの民は残忍です。食糧のことで長く悩んでいられるような暇は与えてくれないでしょう。

もし生き残ることができたら、私は

遺跡の起源に関するニコラードのメモNicolard’s Notes on Ruin Origins

調査には1週間ぐらいかかったが、作った部族を特定できたようだ。古代ケプトゥの碑文があった。碑文というより「グリフ」と言ったほうがいいかもしれない。この時代の彼らの文化はほとんど口承によって伝えられていたはずだが、それはまた別の話だ。これは「ブラッドルート」という意味のようだ。ここにある太い蔓と血色の良い岩を、色彩豊かに暗示したのだろう。

これだけ豊富にあるニルンクラッツは、彼らにとって大きな発見だったはずだ。つまりここに建造物を作ったとしても不思議ではない。だが実際に採掘したような痕跡は見つかっていない。もしかしたらここは、ネードが石を精錬する技術を開発する前から存在していたのかもしれない。聖堂のようなものだろうか?

噂に対する返答In Reply to Concerning Rumors

トリクへ

夜に人をさらう恐怖の獣とかいう下らない作り話で、私の仕事の邪魔をしないでくれ。騙されやすい子供や迷信好きな農民が主張しているだけだ。リーチから来る強盗を追い払うため、警備を強化するよう主任に伝えてくれ。我々の一族は何世代も、あのみすぼらしい犬どもの嫌がらせに耐え続けてきた。それはこれからも変わらない。奴らを恐れる必要などない。

—フジュルゴル・スクジョラルモル首長

殴り書きされた数Scrawled Tally

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緊急の手紙Urgent Letter

ウンスパ

今夜はやめておけ。クサル・ヌルはお前が夕暮れに脱走することを知っている

チーセイが言ったと思うが、クサル・ヌルは見かけほど原始的ではない。奴には知恵がある。奴は老いたクロコダイルみたいなもんだ。幼生たちが運を試そうとするから、寝ている時の方が危険なのさ

奴に捕まれば、バラバラにされてワマスの餌にされるだろう。邪魔をするつもりはないんだ。奴が以前にやったところを見た。血だらけでとても見るに堪えなかった。あの叫び声で、今も目が覚める。

あと数日は待つんだ。お前の命はそれにかかっている。

ジュナル

緊急連絡Urgent Missive

敵の大群よりも先に、この伝言が届くことを祈っています。ファルクリースは陥落寸前です。備蓄は空になり、壁は崩れ落ちそうです。リーチの大群と我々の間には、辛うじて歩ける負傷兵しか残っていません。

この連絡で我々が救われるとは思っていませんが、報復がもたらされることを望んでいます。あなたの栄誉ある戦士たちをここに派遣して、リーチの民とミノタウロスをこの土地から排除してもらえるよう、膝を突いてお願いします。我々の仇を取り、ここを再建してください。我々の存在が、石の遺跡だけしか残らないことがないように。

—ファルクリースの従士エーリカ・スクジョラルモル

黒のオリンの日誌Journal of Orryn the Black

残念ながら、デイドラの獣を保存する試みは行き詰まってしまったようだ。最後にはいつも、オブリビオンの引力が勝利する。この媒体における私の仕事は氷の彫刻に似ている。束の間の美しさしか持たない。
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疎遠になった仲間が別れた後に残されたものを眺めるように、見慣れた退屈がやってきている。こういう時には、ドラウグルの長い休眠が羨ましくなる。
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私が退屈しているのを見て、野心的な従者が主のために気晴らしを探してくると請け合った。彼女は私に、無味乾燥なドゥエマー史の本を持ってきて時間を潰すよう言ってきた。私は彼女の死体を乾燥させ、抜け殻になっていくのを見る方が楽しいのではないかと少しだけ考えたが、彼女の表情が自信に満ちてニヤニヤ笑っていたので、許してやることにした。
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リザベットは役に立った。彼女が持ってきた本は、空想的な伝説についての一片の真実を私に示している。著者は牙の巣と呼ばれる、長く失われていた遺跡を最近訪問したと主張している。この埋葬地を見てみよう。
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私に従う者たちの多くは今、牙の巣を探して竜牙山脈を巡っている。あの歴史家が与えてくれた手掛かりがあっても、かなり大変な作業だ。それでも新たな目的ができたことで、忍耐力も増している。
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この数ヶ月の探索の間、私はドゥエマーとドラゴンについて多くの記録を収集した。彼らと私の野心はそれほど異なっていない。我々は皆違う道を選んで探求を進めたが、生存より熟達を重視する点ではそう違わないだろう。彼らが辿った運命を考えると、同じ轍を踏みたいとは思わない。
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ついに牙の巣が手の届くところまで来た。払った犠牲は極めて軽いものだった。信者数十名の命が危険な山脈によって失われたが、彼らには予想した通り、新しい役割がある。
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この場所は見事に荒廃している。幾千の骨がボロボロになった広間に散りばめられている。一部は砕け、黒ずみ、一部は化石になっている。絶滅と恐怖の記録だ。この展示の重要作は、この中に見つかるのだろうか?
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さて、ここで予測しなかった展開があった。牙の巣は完全に無人な訳ではなかった。我々の真っただ中に、とても特別な不法居住者がいた。あのドラゴンがまだ生きて呼吸をしていた時代に遡る古代のリッチで、ドラゴンを倒した張本人の1人だ。もっと言うことを聞くようになったら、彼に教えてもらうことがたくさんある。
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あのリッチはここに滞在している間、憑かれたようにドラゴンの遺体を研究していた。結果を共有してもらえるのはありがたい。研究を私の方法に適用するのは難しくないだろう。私はすでに驚異的な展示を思い描きつつあるが、あのリッチと仲間たちとの会話で、一つ欠けている要素があることが明らかになった。このドラゴンは生きている時、ある聖職者を支配していて、その女大司祭が行方不明らしい。彼女を手に入れなければならない。

死の準備の成果Cadaver Preparation Findings

目下の計画には適用できないが、主は蘇生の前に一部の組織を注意深く取り除いておくと、より強力で順応性のある検体ができることを発見した。

内臓の多くはほとんど何の機能も果たさず、死体を重くするだけだ。また皮膚はそれなりの防護になるが、腐敗の温床になることが多く、より有用な組織に拡散してしまう。

それに対して靭帯と筋肉は、傷がついていなければ耐久性、安定性、運動能力を大きく向上させる。

ドラゴンプリーストを守るドラウグルの衛兵たちがなぜ蘇生の前にミイラ化されていたのか、これで説明できるかもしれない。

死は笑いごとではないDeath is No Laughing Matter

スキーヴァーの魂をセンチタイガーの死体に縛りつけ、そいつをマンモスの死体の中に埋めた者へ。見つけたら、こいつに食い殺させてやる。

修道士の嘆願A Brother’s Plea

最愛の姉妹へ

認めざるを得ないが、お前の最後の手紙には困惑している。ドヴァー・サーヴォクンが去ったことで、私たちは皆不安になっている。お前の懸念も分かる。だが頼むから、そんなことでゾナーク・ザーンへの信仰を揺るがせないでくれ。彼女は私たちを守り、導いてきた。崇拝のため、この美しい聖堂を与えてくれた。ザーンを崇めることは私たちの生涯の目的だ。

ザーンの行動がおかしいとお前は言うが、私からすれば当然のことだ。ドヴァー・サーヴォクンとの彼女のつながりは強い。私たちに想像できるどんな絆よりも強いのだ。ゾナーク・ザーンには彼の導きがなくなったことで、大きな喪失感があるに違いない。私たちと同じだ。長時間隠遁しているのはそれが原因だろうし、それだけのことだ。彼女の力が弱っていると疑うなど…

お前の心配は自分の心にしまっておいてくれ。手紙で私に伝えてくれたのはよかった。もし盗み聞きでもされたら影響が恐ろしいからな。それに、遠からず何もかも正常に戻るだろう。ドヴァー・サーヴォクンは栄光の帰還を果たし、全てはうまくいくはずだ。それまでの間、信仰を忘れるな。

敬具
ヤークボーン

蘇生検体の収集Reanimation Specimen Collection

主の要請により、我々は適当な生きた動物と死んだ動物の検体を回収することになった。これは研究にとって決定的に重要なものだ。この任務に当たる態度には気をつけるように。

大型四足獣の検体が望ましいが、どんな生物からも一定の意義ある結果が得られる可能性はある。マンモスかワマスは価値が大きいため、相応の報酬が出る。だが危険なので、おそらく諸君の大部分の手には負えないだろう。

蘇生実験の成果Reanimation Experiment Findings

我々の蘇生術師は、一般的な動物を使って興味深い実験を行っている。この獣たちの解剖学について理解を欠く者は、その創造を不格好で歪んだものと感じざるを得まい。死体には順応性があるが、より進化した存在が持つ体と魂の強い連結が欠けている。大部分は認知機能を欠いた心なき人形であり、指示には完全な集中が必要になる。高度な技術によって行われた儀式でも、せいぜい生前に似た本能を持つアンデッドを生産できるにすぎない。残念ながら、この生物たちは大抵の場合、自分の状況を制御不能なほど不快に感じてしまう。

即席の弔辞Improvised Memorial

スロム・ウルフガルドはここで死んだ。敵は岩だった。2週間戦ったすえに敗れた。戦いが歌い継がれることはないだろうが、ソブンガルデは迎え入れてくれるはずだ。

脱走計画Plan to Escape

この洞窟にはベラドンナがある。多くはないが、十分だ。いつもの場所で会おう。

蜘蛛の糸に覆われた日記Web-Covered Diary

ここのベールはもっとも厚い。我々と世界の間の境界はあらゆるものについて回り、闇に実態を与えている。光を寄せ付けず、冷気をもたらしている。心地が良い。

この洞窟は我々にとって理想的な環境だ。シルケンリングは駆け出しの連中を助けるために血を与えてくれた。偉大なる母の影で育ち、彼らは大きく強く育つだろう。我々が世界に解き放つ時まで。

私は真に紡ぎ手から祝福されている。私がベールに呼びかけると、私の意のままに動くようになった。私は自分の網を編んだ。それを通して私は我々の種族の動き、卵の鼓動、怯えた獲物の震えを知ることができる。レースの女公が私にこの領域を与えてくれたのは素晴らしい判断だった。

これは面白い。何かが今までに感じたことがないような形で、影の平穏を乱している。侵入者だ。彼らは罠を引き裂いているが、持ち応えられるだろうか。それとも、私の餌食になるだろうか?答えが楽しみだ。

反抗的な落書きDefiant Graffiti

絶対に屈するな。それが奴らの狙いだ。気を強く持て。好機を待つんだ。ツルハシを振り続けろ。奴らの頭蓋骨に穴を開ける日までな。

別れのメモFarewell Note

背中が折れた。やっと木をなめる時が来た

いつも農民として死ぬものと思っていた。葉に包まれ、黒い泥を塗られて。今や誰も私の歌を歌うことがなく、ヒストに埋められることもない。私はルキウルに死を迎える。仕方がない。

もし誰かがこのメモを見たら、故郷に帰れるよう私の名を風にささやいて欲しい。このような場所でさえ、風は葉を見つける。時間がかかるだけだ。

-シーサウス

捕虜による慎重さを求める警告Captive’s Discreet Warning

あの間抜けなフィランドが逃げ出した。目を合わせるな。奴らは見せしめとして、誰かに罰を与えるつもりだ!

捕虜のしわくちゃのメモCaptive’s Crumpled Note

誰か私の夫を見ませんでしたか?名前はエブランドです。背が低くて体は細く、優しい目をしています。彼らのせいで離ればなれになりました。それ以来、夫がどこにいるかまったく分かりません。私の無事を伝えてください。

捕虜の日記Captive’s Journal

マーシュにおいて、我々が日付を気にすることはない。そんなことはジェッカ・ワッツに任せている。しかし、ここマザッタンでは昼と夜を必死に数えている。そうせざるを得ない。最後に数えた時は、ここに3ヶ月閉じ込められていた。ここに部族が連れて来られた時、ジット・ザートは鉄のピックを私の手に押し付け、石の山を指した。言葉はなかった。狩人が舌を鳴らし、ジェスチャーで命令しただけだ。

ジット・ザートはほとんど話すことがないが、常に移動し、指さし、鞭打つことをやめない。樹液に酔っているか、悪いものに混乱させられているかのようだ。3ヶ月も閉じ込められていると、同じことを感じるようになっている。狂気だ。ここの樹液は毒だ。土は毒だ。ここにいると、シシスはただの記憶でしかない。命令、積み上げられた石、きれいな角が全てだ…連中は、働かせることによって川に背を向けさせようとしている。しかし、この街はジット・ザートにとっても牢獄だ。ナ・ケッシュがいなければ、彼らは野生化して遺跡からさまよい出し、死ぬことになるだろう。彼女はどこにでもいるがどこにもいない。彼女はヒストの口だという。ヒストの代弁をしているのだそうだ。これが本当なら、ここのヒストは私が見たこともないようなものだ。ヒストは病んでいる。我々は皆、その代償を血で払っている。