ペレタインの文書 | The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫

ペレタインの文書

Pellitine Postings

アズラーの渡しAzurah’s Crossing

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

足に砂が触れて、彼は自分が死んだと悟った。なぜ死んだのかは思い出せなかったが、気にもならなかった。本当かどうかはともかく、よい生だったと感じた。あるべき生だった。

自分の名前は思い出せなかった。まだカジートだ。それしか分からなかった。爪に、髭に、毛皮に触れた。塩と砂糖の匂いがした。

自分に目があることを思い出し、彼は目を開けて終わりなき海を眺めた。上にも下にも古きものがいた。自分が孤独ではないと分かった。他の魂が、ゆっくりと岸から漂い離れていった。彼らを呼び止めようとして思い直した。足の指の間で砂は温かく、空は黄昏ていた。

彼は振り返って島を見渡した。一軒の家があった。ガラスと月光と真実の家だ。その方向から砂糖が匂っていたので、彼はそちらに向かって歩いた。

足元で砂が動き、しっかり歩いているとは感じられなかった。石のように見えるものに足を乗せようとすると、足元で崩れた。それでも彼は歩き、躓き、登った。階段にたどりついて乗ったが、それは透明なガラスでできていた。砂よりはしっかりしていたものの、足を踏み出すたびに信じられなかった。それでも彼は歩き、躓き、登った。光の家の扉まで来たが、開けることはできなかった。空とラティスを見上げた。母に教わった秘密、動きを思い出そうとしたが難しく、ラティスは震え続けた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

家の門が開き、彼は中に入った。彼女がいると分かった。彼女を見上げたら眩しさで見えなくなると分かっていたが、見ずにはいられなかった。彼は絶壁に座るアズラーを見上げ、そうして彼女を見た。目は眩まなかった。アズラーはしなやかで背が高く、霞んだ星のベッドにもたれていた。何も着ていなかったが、彼女のある顔しか見えなかった。その顔の目は、月のように輝いていた。

「我が子よ」とアズラーは言い、彼は自分の名を思い出した。「お前は故郷に帰ってきた」

「私は以前ここにいた」とカジートは言った。

「お前は多くの道を歩いた」アズラーは喉を鳴らして答えた。彼の足の前に薔薇の道ができ、彼女まで続いていた。「すべて私のために」

彼は薔薇の道に足を踏み出した。棘で足が傷ついた。アズラーに近づくほど、彼女は遠ざかるように思われた。彼女はどんどん高く登り、彼は薔薇の壁を登るようになった。毛皮は血にまみれた。壁の上にたどりついて身体を持ち上げると、また道の出発点に立っていた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

すると彼は、アズラーの丸めた掌の中にいた。彼女の顔は空で、目は輝く月だった。彼はそこで甘い至福の生を何度も生きた。足が再び砂に触れるまで。

今、彼は島の反対側にいた。そこは暗く寒かった。あまりにも暗く、見えるのは水が動いた時だけだった。そこに霊魂がいたとしても、闇の霊魂だけだった。尻尾が引き攣った。

彼は振り返り、再びアズラーを見た。今度は小さく、彼と並んで立っていた。彼女は月の杖を持ち、紫と黄金の絹のドレスを身にまとっていた。定命の者と違うようには見えなかった。美しく、疲れていた。彼女は彼と一緒に闇を見つめた。

カジートはアズラーの目に悲しみを見た。彼女はとても多くのものを与えてくれたが、返せたものはあまりに少なかった。「また歩く覚悟はできています」と、とうとう彼は言った。「何をすればいいでしょう?」

「小さき者、お前を闇に送らなければならない」彼女の目には涙があったが、流れはしなかった。「お前は私のため、道を作らねばならない」

彼は振り返って暗い水を眺め、水がどれだけ動いたかに気づいた。「母よ、私は何を求められても成し遂げるでしょう」

アズラーは微笑み、彼の心は喜びに満たされた。彼女は自分の杖の上から月をもぎとり、彼に向かって足を踏み出した。

「お前に私の月を与えよう」とアズラーは言い、彼の額に唇を押し当ててキスした。そして彼が月を受け取ると、それは武器に変わった。

カジートは前にあった剣を手にした。剣は月光を受けて輝き、彼はもう闇を恐れなかった。

そしてアズラーは言った。「私の子供たちを取り戻して」

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第一巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 1

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

双子月の踊りの子たち。サヴァ・コの声を聞きなさい。トルヴァル・クリアタに噂が届きました。ある古い書。アムン・ドロという古代の司祭が集めた、リ・ダッタ以前の霊魂の目録が、ペレタイン中でカジートを魅了しているそうです。民はどうやら、善悪が入り混じる強き霊魂についての、華やかで現実離れした記述に惹かれているようです。アデプトは遠くからサヴァ・コの元に来て、好奇に満ちた心で尻尾を揺らしながら、なぜこの古い聖典について教えてくれなかったのかと聞いてくる。私たちカジートは好奇心が強く、遊び心の強い民です。しかし大きな危険を秘めた話題もある。この異端の文書が軽率なジャ・カジートの心に膿のように広まるのを見て、私たちは心穏やかでいられません。だからサヴァ・コと司祭はこの反駁文を出版します。リドサーリ・ダッタの忠実な子供たちよ、広く伝えてください。

最初のたてがみの啓示以前の暗黒時代、私たちの祖先の信仰は統一されていませんでした。十六の信仰が歴史と絡み合い、全てのカジートの魂を求めて争いました。この精神の混沌は私たちを多くの道へと引き入れ、その全てが大きな危険を伴っていました。危険の証拠は、曲がった同族であるドロ・マスラを見れば十分でしょう。この罰当たりな書は、そうした暗黒時代の産物です。私たちは十六の戦争と領地の奪い合い、無慈悲な飢餓の時代に戻るべきでしょうか?いいえ、断じて違います!リドル・サールの真理により、私たちは精神的な充足以上のものを得ました。私たちは定まらぬ砂に別れを告げ、石の土台を見出しました。平和と秩序に基づく、より優れた道を見つけたのです。

この古い書は真理の薄衣の下に冒涜を隠しているため、より大きな危険を示しています。この書の言葉の多くはリドル・サールと同様で、例えば双子月の賛美、ケナーシやスレンダーのような祝福された霊魂への敬意などは変わりません。しかし、その暗い寓話は罠のように隠されています。例えば、月の獣ローカジュについての報告を見ましょう。

騒がしきローカジュの闇を、カジート以上によく知る者はいません。私たちは生の途上で、誰もが闇への呼び声に苛まれる経験をします。深い悲哀や苦痛に満ちた後悔の時、闇の心臓が脈打つ音を聞かない者がいるでしょうか?最初のドロ・マスラを私たちの英雄に祭り上げることは、信仰と理性の両方を裏切ることです。何人のアデプトが、この書のせいでナミイラに屈するでしょう?何人のジャ・カジートが月の獣を呼び出し、その真の霊魂を復活させようとして永遠の呪いに蝕まれるでしょう?獲物の財布に触れる最も確実な道が微笑から始まることは、盗賊なら誰でも知っています。微笑むローカジュは、見ることさえ危険なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第二巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 2

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

私たちの民が持つ強みは柔軟性です。私たちはダークエルフと違い、自由思想家を投獄しません。ヴァレンウッドの小柄なドングリ崇拝者と違い、サラダを冒涜だと非難しません。死して久しいアレッシアの毛を持たぬ子孫と違い、埃を被った8つの神話に魂を捧げもしません。カジートであることは、自由であること。残忍な教義と苦い自己否定から自由であることです。リドル・サールは跪いて呟くのではなく、踊り歌うのです!私たちの信仰は、歓喜と信仰に満ちた快楽と、笑顔の慈悲に根差しています。悲しいかな、この強みはしばしば冷淡な無関心へ変貌します。私たちの爪は真実から逸れ、「真実」に意味があること自体を疑います。崇拝と意見交換は停滞し、苦労の末に得る安息は子猫の怠惰に変わる。私たちの霊魂は貧しくなり、汚された霊魂はドロ・マスラの格好の餌食になるのです。

アムン・ドロの霊魂の記録は、私たちの楽天的な性質の最悪の部分を狙います。八つ爪のマファラの追加はその一例です。罪深き自殺という恐怖の事件は、マファラの闇の性質を証明していませんか。それに、潮汐の王ハーモーラーはどうでしょう。この書はアズラーが彼の友として、暗い蔵書庫の湿った廊下を歩んだと主張します。遠き母のしたことなら、私たちも倣うべきでしょうか?いいえ!ハーモーラーの助言を求めるカジートには、死よりもなお悪い運命が待っています。海からの呟きは、最も強力なスクゥーマほど確実に心を引き裂くでしょう。彼の塩辛い「真実」は私たちの現実に対する感覚を切り刻み、ジャ・カージェイから遠く離れた地を彷徨わせるのです。

また、この霊魂の記録が排除している対象も一考に値します。邪悪な存在については飾り立てた記述がありますが、愛のマーラと高貴なるスレンダーについてはどうでしょう?この古代の狂信者アムン・ドロは、彼らの名に触れてさえいません。なぜか?それはこの男の古い神学は、慈悲、謙虚、愛のような素朴な美徳を許さないからです。我らの愛するリドサーリ・ダッタは、クランマザーの物語以上のものを与えました。あの方は私たちに恩寵を賜ったのです。偉大な霊魂と宇宙的な計画がひしめき合う世界の中で、普通のカジートは疲れた手をどこに休ませるべきでしょうか?双子月の踊りです。踊りには古代の争いなど不要で、よく生きるための簡素な教えがあればいい。歓喜に満ちた生こそが、リドル・サール最大の贈り物なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第三巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 3

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

今、サヴァ・コは道のことを考えます。

古いアムン・ドロの霊魂の記録は、道徳的な行動については思いつき程度しか示していません。これは当然のことです。実際のところ、最初のたてがみの悟りは、過去の諸王国の古い物語とほぼ無関係だったのです。リドル・サール以前、司祭とアデプトは古代の予言者による古ぼけた戯言を必死に解読していました。崩れかけた広大な蔵書庫から、価値あるものを少しでも拾い集めようとしたのです。まるで真珠採りのようではありませんか!無数の醜い貝をこじ開け、中の小さな宝を虚しく求めるのです。

心に問うべきです。そんな書に頭を悩ませることが、カジートに益をもたらすのでしょうか。鎌を持ち、荷車を引き、鍛冶場で働くあなたに。こうした宇宙の大事に関する物語は、闇に落ちた時の慰めになりますか?病気の子供を食べさせるため盗みを働く時、父親があなたの犯した罪のために兄弟を鞭打つ時、異国の圧政者の支配に苦しむ時、この古い神話にどんな導きを見出せますか?こうした物語は「道」や「法」を語りますが、アムン・ドロの道とは単なる服従でしかありません。それは遠く離れた我らの母、アズラーへの奴隷のごとき献身であり、オブリビオンの最も暗い霊魂への忠誠と敬意であり、カジートをローカジュの開いた口に放り込むと脅すような、錯綜し矛盾した徳の数々です。アムン・ドロの世界とは苦悩の世界、運命と闇の歪んだ道であり、カジートはそこに崇拝の歌と恐怖の叫び以外の声を持ちません。

レレスウェアは?歓喜と良き食事、誠実な労働はどうなるのでしょう?祝福された我らが最初の者が記すとおり、リドル・サールは真の道を示しています。しかも、あなたたちがすでに知っている道です。双子月の踊りはあなたたちの心の中で渦を巻き、生まれた瞬間からずっと続いているのです。遠い過去を振り返る必要などありません。今、目の前に伸びる道を見ましょう。信心厚き巡礼たちの手で清められた道を。月の子よ、ニルニの報酬と楽園の砂があなたたちの生まれ持った権利なのです。アムン・ドロの病んだ物語を捨て、砂糖の神にふさわしく、歓喜に満ちた生を送りなさい!

アルコシュの誇りThe Pride of Alkosh

クランマザー・ヒズニ 著

アルコシュは糸を紡いでしっかりと結び合わせ、終わりなき時のタペストリーを作る。彼は裂け目やしわを見る。爪一本で彼は繊維を貫き、裂け目を捉えて下に引っ張る。すると糸は再び並ぶ。

私はこのタペストリー、固く結ばれた、終わりなき物語の糸について歌おう。誇りの家の司祭も私と歌い、声は交じり合って調和する。だがアルコシュの誇りに入る者は、垂れ下がった糸を捉えて引く、竜王の爪となるだろう。

彼らは暗い蝕に生まれた子として、私たちの元へやってくる。彼らは忘れられたたてがみであり、支配せぬ定めにある。私たちは彼らに目的と導きを与える。私たちはアルコシュの言葉を歌う。その知恵が彼らの心に、砂時計の砂のように積もることを願って。この秘密の守り手たちは、アルコシュの誇りに加わる。

アルコシュが顔をしかめる時、彼らは立ち上がる。エルスウェアが泣く時、彼らは戦う。そして彼らの息が絶える時はケナーシが現れ、彼らを星の裏の砂場の彼方へ導く。

アルコシュの勇者の歌Song of Alkosh’s Champion

目の前に広間が広がる
我が心は未だ試されん
これが運命だと知る
誇りを持って歩まん

導きの風に押され
行く手に広がるは闇
糸は解け始め
飲み込むべきは恐れ

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

賢く風に乗った
歩みを止めることはない
勇敢に闇へ対峙した
ランターンを道標に

糸が全て紡がれる時
私は力を得る
終わりなき者の前に立つ時
その強さに頭を垂れる

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

聖なる仮面と誇りの道
誇りの道、誇りの道

時の砂を正そう…

ヴィジャリの具合が悪いのVijari is Unwell

姉さん、

カイシュカを助けて。ヴィジャリを失いそうなの。彼の心は日を追うごとに離れ、意志が自分のものではないように思える。カイシュカは彼を失う覚悟ができているつもりだったけど、こんな風にではない。何かがおかしいの。ヴィジャリの生命の壁への旅を遅らせるため、できることは全部やった。でも、まだ足りない。お願い、アダーラハイ。彼を助けて。

カイシュカ

エルスウェアに恋して、1ページElsweyr My Love, Page 1

エルスウェアに恋して:台本

登場人物
ユリウス・クルイリウス、インペリアル指揮官
ティゲリウス・ファルコ、高潔なインペリアル兵士
シャシャラ、緑の目をした美しいカジートの踊り子

アクト1、センシャル宮殿

ユリウス・クルイリウス[命令口調で]:緑の目の者を私のところへ呼べ![ワインをすする]

シャシャラ[優雅にお辞儀。絹のスカーフが微かに揺れる]:帝国軍の名高い指揮官が、卑しいカジートの踊り子に何をお望みでしょう?

ユリウス・クルイリウス:お前は美しく優雅だ。インペリアルではなく、猫に生まれついたのが残念だよ。

シャシャラ:[目を下に向けたまま]:…お褒めいただき、感謝いたします。

ユリウス・クルイリウス:よろしい。そばにいてもらおう。私の足元に座ってよいぞ[シャシャラは優雅に座るが、目は逸らしたまま]

エルスウェアに恋して、5ページElsweyr My Love, Page 5

ユリウス・クルイリウス:[自慢気に、有頂天になって]「…そして私、ユリウス・クルイリウスは、こうして帝国の司令官の地位を手に入れた!」

シャシャラ:[あくびを噛み殺しながら]「とても劇的な戦いの物語です、司令官。ああ、詩人がリュートを調律しているようですね。広間にいる皆様のところへ戻ったほうが良いでしょう」

ユリウス・クルイリウス:[ワインを飲み干し、シャシャラの腕に手を伸ばし、流し目で]「いや、違う戦いの時間だ」

シャシャラ:[クルイリウスが掴もうとする手を上品に避けながら]「この者はそのようなカジートではありません、司令官。侮辱なさいませんよう」

ユリウス・クルイリウス:[敵意を持って]「侮辱だと?私を誰だと思っている!」

エルスウェアに恋して、9ページElsweyr My Love, Page 9

シャシャラ:[勇敢に]「シャシャラは野営地の商売女ではありません。あなたの言いなりにはならない。手を離しなさい、司令官!」

ユリウス・クルイリウス:「ハハ!この猫め!無関心と高慢を装っているが、どんな女も、猫女でさえ、このユリウス・クルイリウスを拒むことはできない!」

[ユリウス・クルイリウスはシャシャラにキスしようとするが、彼女は猫の鳴き声を上げ、顔を引っかき押しのける]

ユリウス・クルイリウス:「ほう!威勢がいいな!」

[シャシャラは高級ワインの瓶でユリウス・クルイリウスの頭を叩き、瓶が割れる。彼はよろめき、呆然となり、混み合った酒場に消える。シャシャラが裏口から出ていくと、笑いが起きる]

ユリウス・クルイリウス:「ユリウス・クルイリウスを笑うとは、許さん!」

[クルイリウスが出ていき、みんなさらに笑う。怒りと恥はさらに増す]

エルスウェアに恋して、16ページElsweyr My Love, Page 16

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ?さっき酒場に寄ったんだ。前に話していた本を持ってきた。君も欲しいんじゃないかと思って」

シャシャラ:「親切に感謝するわ、ティゲリウス。シャシャラは、あなたの贈り物を受け取れない。私は…」[言葉を止め、泣きそうになりながら去る]

ティゲリウス・ファルコ:[心配そうに、独り言]「素敵なシャシャラに、何が起きたんだろうか?いつもなら本の話をするのが好きなのに。彼女は美しく、頭もいい」

ティゲリウス・ファルコ:[退出しながら、叫ぶ]「シャシャラ、待ってくれ!」

エルスウェアに恋して、19ページElsweyr My Love, Page 19

ティゲリウス・ファルコ:[英雄らしくひざまずく]「私の大切な、柔らかな毛のシャシャラ、君が泣くのを見るのはつらい。この心は、君のものだ」

シャシャラ:[激しく泣く]

ティゲリウス・ファルコ:[寂しそうに立つ]「分かったよ。君のような素敵な女性が、身分の低い帝国の兵士と時間を無駄にするのは間違っている。つい気持ちを告げたこと、どうか許してほしい」

シャシャラ:[去ろうとする彼を、上品な仕草で手を伸ばして止める]:「違うの、愛しいティゲリウス!あなたの言葉は、シャシャラに寂しさと喜びの両方をくれた。一緒にいて、お願い」

エルスウェアに恋して、26ページElsweyr My Love, Page 26

ティゲリウス・ファルコ:シャシャラ、君の緑の瞳はとても緑で…まるで緑の宝石のようだ!」

シャシャラ:「素敵なティゲリウス、あなたと離れたくないわ」

ティゲリウス・ファルコ:「君の気高さは神々からの贈り物だ、シャシャラ。君のためなら、何でもしよう」

シャシャラ:「帝国の軍を抜けること以外はね」

ティゲリウス・ファルコ:[動揺して視線を逸らし]「帝国軍は、大切な場所なんだ。帝都の路上にいた孤児を受け入れてくれた」

エルスウェアに恋して、36ページElsweyr My Love, Page 36

ユリウス・クルイリウス:[厳格に、冷酷に]「行け、ティゲリウス。街を焼き払え。特に、酒場をな」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官、お言葉ですが…街も住民も、何も問題を起こしていません。なぜ焼き払うのですか?」

ユリウス・クルイリウス:「お前は兵士だ、私の指揮下にある。命令に逆らうつもりか!」

ティゲリウス・ファルコ:[敬礼する]「仰せのままに」

[ティゲリウス、ハンサムな顔に不安な影を落とした顔で去る]

エルスウェアに恋して、42ページElsweyr My Love, Page 42

シャシャラ:「ティゲリウス!ここで何をしているの?どうして松明を持っているの?」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官の命令で、街を焼き払う。特に酒場を。本当にすまない。君の仕事場なのに」

シャシャラ:[激しく泣きながら]「ユリウス・クルイリウスは、この街の罪のない人々を傷つける命令を出したの?シャシャラのせいね。司令官のいやらしい誘いを断ったから。友達に警告しなくちゃ!」

[シャシャラが走り去る]

エルスウェアに恋して、44ページElsweyr My Love, Page 44

ティゲリウス・ファルコ:[独り言]「命令に従うのか、それとも背くのか?兵士はどうしたものか」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし心の声に従ってシャシャラと街を救えば、司令官の命令に背くことになる。そうすれば、私は死刑に処される」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし帝国の兵士として命令に従えば、シャシャラを失うことになる。シャシャラからの敬意と愛は、自分にとって全てだ。だが、兵士としての名誉も、とても大切なものだ」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「だが、愛しいシャシャラにいやらしい真似をしたユリウス・クルイリウスに、名誉はあるのか?帝国に利をもたらさない命令なら、司令官に逆らうことが名誉なのではないか?」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「頭が痛い」

エルスウェアに恋して、52ページElsweyr My Love, Page 52

ユリウス・クルイリウス:「ティゲリウス・ファルコ、命令に背いたな。だが、この命令には逆らえないぞ。お前を処刑する!」

ティゲリウス・ファルコ:[拘束されて]「私は正しいことをした。あなたが街を焼き払えと命令した理由は、自分が…」

ユリウス・クルイリウス:[ティゲリウスに叫ぶ]「射手!構え…撃て!」

シャシャラ:[走ってきて、ティゲリウスの前に現れる]:「やめて!」

[矢はシャシャラに浴びせられ、ティゲリウスの足元に崩れ落ちる]

ティゲリウス・ファルコ:[恐ろしい声で]「シャシャラー!」

[ティゲリウスが、シャシャラの隣に膝から崩れ落ちる]

シャシャラ:[苦しみながら]「私たちは…結ばれる…運命ではなかった。きっと違う時代…違う場所で。愛しているわ」
[シャシャラが死ぬ]

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ!」

ユリウス・クルイリウス:「射手!撃て!」

[矢がティゲリウス・ファルコを撃ち抜く。彼は崩れ落ち、死ぬ]

ギャンブラーの技The Gambler’s Art

やあ、我が友よ、座ってくれ
甘いものでも食べて、一緒に楽しもう。
耳がくすぐったくなった
近くに来て「お金はちゃんと持ってきた」と言うから。

かっこいい腰からコインの音がして
勝ち取る富の歌を歌う。
たてがみを下ろして、一緒にゲームをしよう。
まさに始まったばかりだ!

コーラス:
賭けをしよう、賭け金を上げよう
小銭で塔を建てよう。
運命を賭け、富を放り投げ
リスクを冒せば、成功できる。
道に放り出されたとしても
真のカジートにはなれる。

分かるよ、我が友、勇気があるな
でも幸運が足りない、その手では勝てない。
もしこの悲劇的な敗北に
怒りを感じているなら、何か負けた原因がある。

勝てないカードに
こっそり細工したね
でもこの猫の目は、ごまかせない
次はもっと慎重に。

コーラス:
ギャンブルをしよう、だが、君は終わりだ。
破産したんだから、尻尾を巻いて逃げろ!
罵るのも吠えるのもなしだ。
嘲笑やわめき声を受けるといい
次にカモられる時は
うまくイカサマできるようにね。

クランマザー・タダリからの手紙Letter from Clan Mother Tadali

クランマザー・ヒズニへ

ドラゴンが解き放たれたという話は、きっとあなたの耳にも届いているはずです。ドラゴンたちは世界の深淵に眠る兄弟を探し求め、東から来た悪魔さえも解放しました。私もあなたもこの日が来ることは知っていた。これが何を意味するのかも。

東から来た悪魔は常にそう記された通り、アルコシュの霊魂に満たされた戦士によって滅ぼされねばなりません。この古き戦いを終わらせる時が来たのです。それがずっと、アルコシュの誇りの目的だったのですから。

あなたの選ばれし戦士が準備を整えていることを期待しています。失敗はできません。

クランマザー・タダリ

クンザ・リと迷子のアルフィクKhunzar-ri and the Lost Alfiq

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ある日、太陽が一番高い位置にある時、クンザ・リは道の脇から弱々しい声を聞いた。

「どうして家を離れてしまったんだろう?」声は言った。

「なぜ家にいたい?」クンザ・リはその声に向けて、質問を返した。

「ああ!見つかっちゃった!」

そして、小さなアルフィクは見つかってしまった。クンザ・リは片手ほどの震える塊を調べた。絡まった毛並みに、イガや小枝やあれこれが刺さっていた。「遠くから旅してきたのか?」

「ええ。聖堂に送られる前に世界を見たかったの」

「それは尊敬に値する、小さな者よ。でも、なぜ家を離れたことを悲しんでいる?」

「迷子になってお腹をすかせてるからよ」

「ああ、空腹はすぐに解消できる」そしてクンザ・リは若いアルフィクの前に美味しいフィッシュケーキを置いた。「迷子については考えてほしい。今はいるべきでない場所にいると思っているのか?」

食べながらアルフィクは言った。「いるべき場所ではないと思う。ここがいなければならない場所だったら、きっと分かるでしょう?」

「そうとは限らない。迷ったと思うのは、恐怖や混乱に襲われていたからそう思えるのかもしれない。代わりに、どんなふうに世界を見たいのか考えてごらん…ほら、ここでも世界を見ていることになる」

「私が迷子なのは、迷子だと考えているからに過ぎないと言っているの?私は今望んでいたことをしているから、迷子ではないって?」

「それを決めるのはお前だ。それだけだよ!」

「なら、私は迷子じゃないわ!」

クンザ・リはクスクス笑った。「よかった、迷子でない友よ。しばらく一緒に私と旅をしないか?私も今は、世界を見たくてたまらない」

そして若いアルフィクはクンザ・リと同行し、2人は多くの冒険を一緒に楽しんだ

サイ・サハーンへTo Sai Sahan

サイ・サハーン、

エルスウェアに解き放たれたドラゴンの怒りについて手紙を交換し始めてから、再結成されたドラゴンガードと、手を組んだドラゴンの知らせをずっと待っていた。素晴らしい業績だ。私がいなくても達成できるとは思わなかったが。

大切な話がある。私の側の調査で、南エルスウェアへの脅威が発見された。現在、ドラゴンガード聖域に向かっているところだ。友人も同行している。ドラゴンと一緒に到着を待ってほしい。時間がない。急ぎ動かなくてはならない。

もう一つ。我々の共通の友人と一緒に動いているようだな。アネクイナの勇者にして、ドラゴンガードの誇りだ。一緒に呼んでおいてくれ。この危機に立ち向かうには、協力してもらう必要がある。伝えてもらっては困るが、北エルスウェアで共に動いた時には驚かされた。ああ、そうだ。私でさえ、お前と同じように驚かされたのだ。

間もなく南エルスウェアに到着する。待っていてくれ。

アブナー・サルン

さまよう霊魂The Wandering Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ

アカ。最初の猫であり、道を探す者、および嘆かれざる者として知られている。オーナールとファドマイがまだ愛し合っていた最も早い時代、彼は天空を探検し、その辿った跡が多くの道になった。アカはオーナールが愛した息子であり、オーナールは自分がファドマイを見つけたように、愛する者を見つけよとアカに言った。アカは東の翼をもつ蛇、西の砂丘の女王、そして北の母なるマンモスなどと結婚したことが知られている。彼はそれから南へ行き、二度と戻らなかった。その代わりにアルコシュが現れ、アカが多くの道の途上で作り出したものについて警告を発した。それ以来、アルコシュとその忠実な部下たちはアカの多くの子供を見守っている。彼らは恐ろしく、また優しいからである。

アルコシュ。竜王。高きたてがみ。彼は多くの道の途上にあるアカの無数の王国の支配を譲られた。時が経ち、アカの子供たちはアルコシュを打倒し、その体を西風に乗せてばらまいた。ケナーシはこのことを知ると、空を飛んで多くの道を通り、アルコシュを元に戻したと言われている。その際、ケナーシはアカが作った全てのものを見て、その中には作るべきでなかったものも含まれていたことを見た。今、アルコシュとケナーシは多くの道をアカの道を外れた子供たちから守っている。アルコシュの力やその強烈な咆哮のためではなく、義務と目的のため彼に祈るべきである。

アルカン。鱗公。炎と影の悪魔と交わったアカの第一子。彼は殺した者の魂を貪り、大変な大きさに育った。歌によれば、彼はローカジュとその仲間に殺されたが、アカの不死身の息子として、時が来れば多くの道から戻ってくるという。アルカンはアルコシュ、ケナーシ、ローカジュの敵であり、常に王冠に飢えている。

ボエスラ。東と西の戦士。彼女はマファラの伴侶であり、マファラはオーナールがボエスラをその反抗的な性質のため追放に処してからも、彼女への愛を忘れなかった。ボエスラは追放されて多くの道を歩き、戻ってきた。マグルスから目を引き抜いたのはボエスラであり、これを理由として、カジートは爪と共に剣も大切にする。真の猫はボエスラに祈る必要はない。ただ道を歩み、飛び掛かるために身を隠すことによって、この霊魂を称えられる。亡霊の月の夜に彼女の名を呼ぶことは禁じられている。この時期のボエスラはローカジュの死衣をまとい、ラティスの彼方へ向けた争いを始めるからである。

マファラ。教える母。古代の霊魂であり、ファドマイの古い秘密の番人である。それは彼女の子供たちが最初の時にのみ必要とした秘密であり、それを伝えたのはマファラである。彼女は多くの道のうち8つを見守り、カジートは時が来れば、それぞれを歩まねばならない。マファラはカジートを道へ案内するクランマザーを助け、我々の秘密を他者から守る。彼女はアズラー、ボエスラ、ローカジュの味方である。彼女の数字は8と16であり、これらはマファラの二本の鍵である。

ジサードのメモJ’saad’s Note

愛しのアディンバへ

残念だ。私の聞いた声が私の心の中にしかないことを、お前が望んでいたのは分かっている。私が知覚した姿が、私の想像であることを。だが、そうではない。あの幻視、私に話しかける声はそれ以上の何かだ。

神聖なる存在が、この石を通じて私に話しかけてくる。なぜ私なのかは分からないが、声は強くなるばかりだ。声と共に、まばゆい光が現れる。不思議な幻視も。彼女は自分の光を運ぶ騎士を、もう1人探していると言っている。彼女を裏切らない者。以前の過ちを正す者を。

何を意味しているのかははっきりしないが、私は彼女の試練を受けねばならないのだと思う。他の者たちが失敗したことに、私は成功しなければならない。

旅が終わったら、ブラックハイツにいる君のところに戻る。真実を見せよう。君にも光が見える。皆に光が見える。

ジサード

ジャダスサールの手紙J’daththarr’s Letter

兄弟へ、

もうここにはいられない。センシャルにいる難民は我々だけじゃないし、人混みは苦手なんだ。自分の空間が必要だ。食料を、きれいな水、服を求める人々と一緒にいると気分は最悪だ。求めてばかりだ。お前には神経質だと呼ばれてきたが、過剰な感情移入という方が正しい。自分が見つけた食料を、自分より必要な人へ渡さずにいられない。これを始めてからだいぶ体重が減った。状況はさらに悪くなるだけだ。他の人々が食べていないのに自分が食べる罪悪感が続く限り、生きていけない。自分はこの食料を本当に必要としているのか?たった今街にやって来た人より?ドラゴンの攻撃をどうにか生き延びた人々より?この思いがずっと続く限り、食事ができない。誰もが食料を必要としていると感じる。誰もが多くを望んでいる、それを感じて、自分の力で他人を助ける重荷で死んでしまいそうだ。だから、ここを離れる。

北のリンメンに向かっている。そこからどうなるかは分からない。おそらくどこか港町を経由してサマーセットへ行く。だが、ハイエルフたちが助けてくれないことは分かっている。同時に、冷ややかで傲慢な彼らに囲まれて、少しは落ち着けるかもしれない。共感の欠如が、大きな苛立ちを生むまでは。

剣も強く振れるし、弓の扱い方も知っている。安全に旅ができるはずだ。いずれ手紙を書くよ。約束する。お前は、ドラゴンとの戦いに参加するべき存在だ。心から幸運を祈る。できるなら、全滅させてやれ。あいつらに愛は何も感じない。あいつらがもたらすのは、破壊だけだからな。

愛を込めて、
ジャダスサール

シルナマへの手紙Letter to Shirnama

シルナマへ

雇用する者はもっと厳選しなくてはならない。我々がセンシャルで力を増すにつれ、ますます多くの者が来たるべき嵐から逃れるために加わっている。弱虫で技術もない凡人など不要だ。お前が探すべきは戦士だ。

ブラック・キエルゴの地下闘技場なら、我々の求める人材を輩出するはずだ。最高の戦士だけを選び出し、我々の要塞へ招くのだ。私を失望させるな。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る
ラカジン

セローへの手紙Letter to Selloe

セローへ

オーベリック・デュフォンから連絡を受けた時の、私の驚きを想像して。彼は次の催しの入場トークンについて、とても心配しています。私の記憶が正しければ、あなたの役目は彼に相応しい威厳を保ちながら、参加証を送り届けることだったはずです。記憶が誤っているはずもありません。彼は私たちの顧客に加えるべき候補者の中でも裕福であり、最大限の注意を払うべき相手よ。

もし簡単な仕事も、次の催しのために適切な候補者を勧誘することもできないのなら、私に連絡しなさい。どちらの任務についても、十分にこなせる者が他にいるでしょう。

サマーセットのギシリアネ

センシャルからの脱出Fleeing Senchal

今日、センシャルから逃げ出した。あんなことが起きた後で、そこにいることに耐えられなかった。ナハテン風邪だけでもひどかったのに、あの炎だぞ?呼吸も、とてもつらい。

あのことを考えるたびに吐き気がする。くしゃみをする時は大体煙のせいだが、鼻を覆えば自分の毛皮が暗くなる。

我々は皆、心に闇を抱えている。自分たちのしたことで。止めようとした者も同じだ。我々は失敗した。闇は我々が吸う空気よりも暗い。我々の魂が光を失った。いや、縮んでいるのかもしれない。

これから我々は、世界に加えたこの破壊と生きていく。ナハテン風邪?恐ろしいことだ。だが、それ以上にひどいことをした。我々がやったんだ。我々の責任だ。何と傲慢だったのか!それにとても恐ろしい。ひどい行いだ。我々を汚した。

だが、今いる場所から始めよう。祖母ならそう言うだろう。今いる場所から始めよう。

炎の形を与えた闇があっても、我々は先に進まなくてはならない。

だからセンシャルを離れる。死臭と破壊を置き去りにする。壁の外で、出会う人すべてを治癒する。センシャルの近くには、絶対にいられない。いるだけで耐えられない。だが、外に出れば治癒を行える。おそらく、いずれナハテン風邪にかかるだろう。かからないかもしれない。自分ではどうしようもない。

ジス。もういい。

* * *
忘れる前に書き留めておこう。火事から数週間が経った。センシャルに戻ることはできない。センシャルの一部にはなれない。だが、壁の外で放浪している集団と出会った。お互いを守り合い、食料を探し回り、できる限り集団に受け入れている。見つかった物資を使って、全員を治癒している。この地は期待するほど寛大ではないが、治癒に使えるハーブがあちこちで見つかっている。

だが、私がこの記録を書いている理由は異なる。ここ数日、誰もナハテン風邪で死んでいない。治った者もいる。助からなかった者もいる。だがここ数日、誰もナハテン風邪にかかっていない。北に向かって、アネクイナのいわゆる野蛮人たちが、センシャルの「文明的な人々」よりも親切かどうか、確かめに行ったほうがよさそうだ。あるいは、より恐怖や傲慢に駆られた行動を見ることになるかもしれない。自分ではどうしようもない。

今いる場所から始めよう。前へ進め。一歩一歩、確実に。

* * *
ジス!あれから…何十年経っただろう?この小さな日誌に自分の痛みを書き留めて、隠れ家に隠したことを忘れていた。あれは暗い日々だった。あの頃は、ナハテン風邪の他にも苦労があった。恐怖や飢えと戦っていた。大地に頼り、大地と我々を破壊することなく生きていた。だが、全員が共有していたことがある。より良い存在となり、より良い行動をし、もっと共感を持ち、親切になり、辛抱を学ぶ。そうする必要があるという意識だ。他者、何より自分たちに対して。

そう、旅をしている間は長く破壊から解放されなかった。悪行もたくさん目撃した。できる限りその埋め合わせを試み、ある程度は成功した。望んだほどではなかったが、重要なのは努力であり、結果ではなかった。

この小さな本を拾った誰かが、この言葉を忘れずにいてくれることを期待して置いていこう。今いる場所から始めよう。どんな時も、とりわけ想像しうる最悪の事態に直面した時こそ、それが唯一できることだ。今いる場所から始めよう。

リーファ、旅の治癒師

センシャルの盾The Shields of Senchal

センシャル市評議会、年代記編者ジリ 著

ナハテン風邪は、帝国が南エルスウェアと呼ぶペレタインを荒廃させた。多くのカジートがこの恐ろしい病に倒れた。センシャル総督であり、ペレタイン貴族のほとんどと同じようにアネクイナ王家の忠実な家臣だったザル・タスルズもその1人だ。17年間、センシャルはタムリエルの他の地域から切り離され、自ら生き延びざるを得なかった。他人と協力する余裕はなかった。

正当な指導者の死によってできた空白を埋めようとしたのは、海賊、密売人、略奪者、盗賊だった。センシャルと周辺の地方には、死、破壊、炎、抑圧の暗い時代が訪れた。私たちは生き残るために、強く賢くなる必要があった。我々がエルスウェア中でより洗練され、教養ある集団だと自負してきたことを思えば皮肉だったが。

ついに助けはやってきた。帝国の軍団として。正確に言えば第十三軍団だ。アクィラリオス皇帝はルビーの王座について間もなく、レンムス将軍と軍団兵を派遣した。それは崇高な意思表示だったが、皇帝が消え帝国が崩壊すると、将軍と兵士は取り残されてしまった。しかし、彼らは持ち場を放棄しなかった。そして表面上の秩序を取り戻し、センシャルをこれまでよりずっと安全な場所にしてくれた。ドラゴンが戻ってくるまでは。

レンムス将軍は無法地帯に秩序を取り戻した。軍事独裁者になり、市民を抑圧することも拒否した。元々は彼らを敵対的で信頼できない存在として扱っていたが、我々は次第に彼らを尊敬するようになった。彼らに新しい名前を授けさえした。センシャルの盾と。その名はすぐに広まった。彼らの保護によりセンシャルは再建を開始し、昔のような場所に戻った。違法な活動は陰に追いやられ、秩序も若干回復した。将軍は私たちが街に必要なことをより良く管理できるように、評議会を結成する手助けさえしてくれた。

彼らはカジートでないかもしれないが、彼らの心は常にセンシャルや民と共にある。彼らは私たちの盾であり、私たちは彼らがこれまでにしてくれたこと、これから私たちにしてくれることすべてに感謝している。この者はただ、彼らがドラゴンの怒りから私たちを救ってくれることを信じ、祈るばかりだ

センシャルの大火The Burning of Senchal

陽の光は差しているのに
過去の闇が悲しませる。
炎が皆の息を止めた後
私は全ての死を嘆きながら立った。
そして私に何が起きたか?
それは言えない。

月が照らした時、
私は悪い道を歩くことを選んだ。
星の輝く空から、
月の寂しい輝きが死を目撃した。
そして私に何が起きたか?
あえて言わない。

生き延びなければならぬ。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が取り囲む中で。
だが、望みが全て消えたのに繁栄できようか?
残されたのは悲嘆と、浅い墓穴だけだ。
闇は進み続ける。
何ができる?生き延びるだけだ。

数十年が経った。我々はどうなった?
悲惨な死の試練の後で。
高すぎる代償を払ったのか?
全てを知りながら、歩み去ることの。
そして我々に何が起きたか?
誰も言えない。

我らは生き延びた。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が我々を捕らえた時に。
だが、あんな代償を払って繁栄できようか?
今の我々は何者だ?あえて言わない。
闇は進み続ける。
何ができる?我々に何が起きた?

センシャルの歴史:概要History of Senchal: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

私を育て、ナハテン風邪に倒れてしまった者たちへ捧ぐ。あなたたちは生前、この者に命を吹き込んでくれた。

センシャルの歴史を調べる者にはいくつかの課題が立ちはだかる。センシャルの起源そのものが、カジートの部族によって歌や口承で伝えられてきている。さらに様々な混乱の時代に侵略を受け、記述された伝承が失われるなど、数々の厄災も学者たちの困難を増大させている。しかし、この者はセンシャルの歴史を簡潔にまとめた資料を入手できた。ただし資料の特性上、以下の文章を読むにあたっては、恐ろしい鳥の隣を通り過ぎるような注意が必要とされる。

センシャルの成立

現在のエルスウェアにおける初期のカジートは、16の部族に分かれており、それぞれが異なる役割を果たしていた。現在センシャルのある場所は、船の建造や航海を得意としていたセンシャル族が好んで船を着けていた場所である。

貿易が活発化すると、カジートは住居や商業施設などの建造物を作った。初期はたびたび火災によって破壊されたため、石を使用するようになった。この頃、商人や貿易関係者、襲撃者などの階級制度が成立を始めた。ここから悪名高きブラック・キエルゴ区域(ラジーンの出身地だと噂された場所)が生まれ、襲撃者や盗賊の巣窟となった。街の他の部分も階級ごとに区分けされ、その中には族長の住居もあった。

スラシアの疫病

芽生えたばかりのセンシャルの街は、第一紀2260年にスラシアの疫病が流行するまで成長を続けた。一部焼失した、著者不明の日記にはこう記されている:

「…スラシアの疫病で多くが死に、残りは皆が混乱している。この者は逃げるべきだと思うが、門が閉ざされている。密売人のトンネルは燃え、ブラック・キエルゴの者たちは閉じ込められている。皆が焼け死ぬだろう。どんな極悪人でも、そのような死に方をするなど考えたくもない。その炎が現存する木造建築へと、さらにそこから石造の建物へと燃え移ることも心配だ。すでに煙で息ができない。濡らした布で口を覆っても効果は知れている。火を放った者たちが憎い。生き残った我らまでもが殺され…」

最後の一文は疫病のことを指していたと思われる。著者の予想通り炎は広がり、可燃性のものは燃え、石は焼け焦げた。誰も生き残れなかっただろう。この火災の後、センシャルは大規模な再建を余儀なくされたと様々な資料から推測される。

センシャルの再建

その後数十年かけて街は再生し、建物を再建しながら社会的な構造も固めていった。ブラック・キエルゴは盗賊や襲撃者など無法者たちの安息の場であり続けた。疫病の後はペレタイン全体の政治構造も変化し、街の支配者が地域全体を統治するようになった。ブレトンや帝国の影響から部族の固有性は完全に失われ、センシャル社会の中で個人の役割が尊重された。この時期のペレタインの支配者たちは安定を重要視し、「公平」や「正当」とは思われないような行動もとった。

中でも一人、帝国との繋がりが特に目立つ支配者がいた。ドローゼル王である。第一紀2920年、吟遊詩人の歌を聞いた彼はモラグ・バルを召喚しギル・ヴァ・デールの街を破壊させた。その後ほどなくして、皇帝レマン・シロディール3世の新しい相談役となった。レマン3世が没し、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが支配者となるまで帝国との繋がりは強まり続けた。さらに第二紀309年、ペレタインのエシタとアネクイナのキールゴの婚姻によりエルスウェアが誕生して、政治情勢は大きく変動した。

そして第二紀324年、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが当時滞在していたセンシャル宮殿にて、正体不明の暗殺者によって殺害される有名な事件が起きた。

近年の出来事

ヴェルシデュ・シャイエの死後、さらに事件が起きた。カジートの反乱軍がエルスウェア王家の大半を惨殺したのである。センシャルの市民たちは強固となっていた伝統や社会構造を守ることに努め、第二紀565年にナハテン風邪が流行するまで、一般市民の生活はほとんど変わらなかった。

資料によるとナハテン風邪はブラック・キエルゴから発生し、スラシアの疫病と同様、最終的には火による解決が試みられた。恐怖に取りつかれた市は、その昔センシャルを破滅へ追いやった行動を知らずに繰り返したのである。ナハテン風邪だけではなく、炎や煙からも多くの死者が出て、今日のセンシャルはかつての栄光を失ったままである。

現在は帝国軍が駐在し民兵のように働く中で、カジートはまたも再建を目指している。シロディールの現状を考えると、カジートとインペリアルの協力体制がどのような結果を生むか、楽しみにしている。

トゥロからの手紙Letter from Turo

親愛なるダイニへ

私はここサウスガードにおけるお前の悪戯に対して、できるだけ見てみぬふりをしてきた。お前の父親に免じて、お前を妨害することもなく、元の家に残らせてやった。だが最近、お前が私の労働者や資産を襲撃したため、罰さないわけにもいかない。

私はお前の仲間たちを手中にしている。大部分の者は首に縄をかけられることもなく、奴隷として生きるだろう。これも私の親切の表明だ。だがお前の弟は、お前が即座に出頭しない限り絞首刑になる。猶予の余地も、交渉の余地もない。

こうしなければならないのは残念だ。速やかに降伏するように。お前の弟を見習ってな。

敬具
トゥロ

トゥロの貨物目録Turo’s Cargo Manifest

トゥロの砦に配送する全ての品物だ。途中で休まず、商品の損傷や紛失は全て明確に記録するように。トゥロは無能者を容赦しない。

目録:

上質な絹10反
アルトワイン12本
上質な陶器壺15個
アネクイナ・スパイス8袋
コロヴィア穀物30袋
6箱の—

〈残りの文書は引き裂かれている。おそらく、恐ろしい鳥の仕業だ〉

トパル軍団兵士官学校Topal Legionary Academy: A Khajiit’s Summary

勤勉なるザーギット 著

この者はトパル軍団兵士官学校で何度か研究をしていた。(生前の)内部の者に、この場所の歴史について聞いたこともある。士官学校の現状を見ると、ザーギットは行く気になれない。いつか行こう。だが今は、士官学校について知っていることを書いておく。

元々は単なる帝国のベースキャンプで、その時の状況にぴったりの場所だった。帝国はここで皇帝のため、何年もかけて地形を研究した。どの皇帝だったかは記憶にない。士官学校の本のどこかに書いてあったはずだ。この件に関するこの者のメモは混乱している。研究の目的は教えてくれなかったが、おそらくカジートの地を奪い取るための研究だったはずだ。帝国は、いつの時代も帝国だ。

やがて帝国は、ザーギットに教えられない理由で、ここに要塞の建設を開始した。数世代の間、ここはこの区域で活動する帝国軍の単なる避難所になっていた。だがある指導者が、可能性を秘めたインペリアルを訓練するための場所に変えるべきだと決意した。こうしてトパル軍団兵士官学校が誕生した。

それから数世代の間、トパル軍団兵士官学校は帝国軍人の間で名誉ある地位を獲得した。運営資金は幾つかの家が提供していた。初期はこの区域に派遣されたインペリアルの兵舎としても機能を続けていたが、資金が提供され精鋭を訓練する必要性が高まったことから、兵士の移動のために使われた場所は、完全な学校に変わった。

卓越した訓練の伝統は、ナハテン風邪によって中断された。士官学校の命運は、疫病との戦いで尽きてしまった。なお、この学校はスラシアの疫病を生き延びていた。指揮官の話によれば中に自ら閉じ込もって、感染せずに生き残れたという。残念ながら今回は決断も虚しく、ナハテン風邪が広く蔓延し、士官学校も終焉を迎えた。

現在、この地のカジートはこの場所がナハテン風邪の犠牲者の霊魂に呪われていると言う。だが、魔法の使い手たちはこの場所が「アルケインか呪い」によってこの地を悩ませているという。彼らは近づいてそれが何なのかを判別することはない。「どうして放棄された要塞なんて呼ばれる場所に行くんだ?」と言っている。

こうした警告は受けているが、この者はあの豪華な蔵書庫に入って、さらに研究を進めるため書を何冊か持ち出したい。だが、誰もこの者に同行しようとはしない。ザーギットは、もっときちんとメモを取っておくべきだった。できれば、この過ちを正したい。きっといつの日か。

ドラゴンの種類:初期研究Varieties of Dragons: An Initial Exploration

ブラック・マーシュのアクスルシャ 著

ヒストへの潜在的な脅威に対して備えるため、南エルスウェアのドラゴンについて研究することにした。ここで述べるのは私の観察したドラゴン2匹の外見、食生活、日常的な習慣、戦闘技術に関する記録だ。単純化するため、2匹は色で分類した。

赤いドラゴン
センシャル在住の者と話した結果、現在エルスウェアで活動しているドラゴンにはある種の権力構造があることを理解している。これはドラゴンについて読んだ伝承を考慮すると珍しいことだ。だからこそ私が数日間観察した赤いドラゴンが、南エルスウェアで狩りをしていた様子は注目に値する。明らかに、どんな組織にも属していなかったからだ。この大枠の観察に加え、詳細に関してまとめた記録は下記の通りである。

外見
深紅の重なり合う鱗に包まれた赤いドラゴンの外見には艶がある。仰々しい角はなく、それには驚かされた。すべてのドラゴンは雄牛の角のように捕食相手を突く角を持ち、ぎざぎざしているという先入観があったせいだろう。目は黄色く、瞳孔には細長い切れ目が入っていた。

食生活
赤いドラゴンの主食は肉のようだ。どんな時も植物を食べる姿は見なかったので、肉食動物に分類されると考えて間違いないだろう。食物連鎖の頂点にいる捕食者として納得できる。好きな食べ物は?特定の好みには気づかなかったが、時々ドラゴンは知的な捕食相手に対し、目の前に挑戦を差し出された狩人のように振る舞った。特に挑戦を挑んできた狩人2人を相手にした時は楽しそうだった。ドラゴンは1人が幸運にも矢を当てるまでもてあそんだ。そしてその後、さっさと戦いを終わらせた。

日常的な習慣
食事の他、このドラゴンに一定の習慣は見つからなかった。睡眠を必要としているかどうかも判然とせず、必要としないならさらに危険な存在となる。しかし目撃した例はあまりに少ないため、たまたま不眠型で決まった活動時間の好みがないドラゴンに当たっただけかもしれない。食習慣は無作為だったものの、きっと最後にどれだけ食べ、どれだけが消化プロセスにあるかによって変動するのだろう。

戦闘
大きな角がないため、ドラゴンは知的な捕食相手に対して爪、咆哮、翼、尾に頼って攻撃した。動物に対しては、欲しい相手を単に掴んで叩きつけて食べた。このドラゴンは炎を使った攻撃を活用し、炎の精霊のような炎に関連する生物を召喚できた。この獣を相手にするには、炎に対処する方法を用意しなければならない。

黒いドラゴン
私の観察した赤いドラゴン同様、黒いドラゴン(人によっては「ダークグレイ」と呼ぶかもしれないが)にも他のドラゴンと関連した組織は見受けられなかった。少なくとも、私の見た限りでは。

外見
このドラゴンの黒い鱗もまた重なり合い、頭の構造は下向きに湾曲した角が特徴的だった。尾の先は尖った突起で覆われ、武器としてとても効果的になっている。目はオレンジがかった金色で、瞳孔には細長い切れ目が入っている。

食生活
このドラゴンは何よりも肉を好んだが、ある時には葉を食んでいるのも目撃した。きっと体に栄養を取り込むために必要としているのではないか?空腹になると食べたい動物を掴み、比較的安全な状況で食べるために短距離を飛んだ。知的な捕食相手の狩りに関しては、より奇襲攻撃を好み、抵抗を最小限に保つため待ち伏せた。ドラゴンが待ち伏せ戦術をとる理由は推測に過ぎないが、過去に武器を装備した狩人の集団を追って傷を負ったのではないだろうか。あるいは、単に隠れて脅かすことに楽しみを見出しているのかもしれない。

日常的な習慣
黒いドラゴンは夜行性の行動を好み、昼間は私が慎重な観察の結果見つけた場所に退避していた。日が沈むとドラゴンは食事のために狩りを開始し、捕まえた獲物と一緒に巣へ戻った。その後で獲物を空まで連れて飛んで、夜明けには私がその巣、あるいは隠れ場所と考えるようになった場所に戻ってきた。どこかの時点で私の存在に気づいたに違いないと考えている。次の朝に戻ってこなかったからだ。最近の食事の残りをざっと調べたところ、ドラゴンは食事にこだわりがあることが分かった。慎重に防具を外し、自然に保護されている部位の周辺にある、中の柔らかい肉を食べていたのだ。

戦闘
上述したように、私が観察した黒いドラゴンは捕食相手を待ち伏せして狩り、驚かせて素早く処理することを好んだ。攻撃した相手には尾を振り回して強打し、翼で叩き、叫び、爪で引っ掻くような攻撃を組み合わせて使った。動物に対してはひったくって掴む戦術を好んだ。この黒いドラゴンは複数の相手に対する補助として雷の精霊と嵐の精霊を召喚したので、私はこのドラゴンをストームドラゴンと呼ぼうとする誘惑にかられている

ニシュゾの日記Nishzo’s Journal

私が雇った密偵がついにパルハディを見つけだし、酒を飲みながら彼女と話すことができた。大酒飲みであることは、彼女に関して最も確実な点だ。この情報は私の協力者たちの現在の居場所リストを完成させるために役立った。この咳が収まったら、彼らを探し出すつもりだ。

これはあの風邪だと私に言おうとした錬金術師がいたが、彼女はニシュゾ以上に盗賊っぽかった。とにかく眠って治そう。この下らないタペストリーと引き換えに、手に入るゴールドの山の夢を見たい。

ファドマイの愛した娘The Favored Daughter of Fadomai

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

深い闇で、ファドマイの子は皆が彼女の元を去った。アズラーを除いて。

アズラーは母を抱きしめ、贈り物を求めなかった。その代わり、アズラーは泣いた。ラティスの光が彼女の涙に映っていた。

ファドマイはアズラーに三つの秘密と、さらなる秘密を囁いた。彼女は娘に多くのことを話した。愛と戦争の物語、夢にも思わぬ夢の物語を。そして聞いたアズラーはさらに泣いた。月光が暗闇の中で輝くほどに。

そしてファドマイはアズラーに全ての門と境界の名を教え、全ての霊魂の名を教え、これから生きる全てのカジートの名を教えた。そしてアズラーは彼らの道の困難さを知り、さらに泣いた。涙の光がラティスと一体になるほどに。

そしてファドマイは自分の子供たちの物語と、それぞれの姿で一番好きな部分を話した。話がアズラーに及ぶと、ファドマイは決められないと愛した娘に言った。そしてファドマイは死んだ。

アズラーは深い闇に座って永劫の時を過ごし、自分が学んだことについて思いを巡らせ、母を失ったことを悲しんだ。アズラーはさらに泣き、今や闇は彼女の涙を避けて月のラティスから逃れ去った。アズラーはあまりに長い間泣いたので、もはや深い闇ではなく、月光と影の場にいた。

そしてアズラーは母ファドマイの元へ戻ろうとしたが、彼女の涙は大きな海になっていた。海の向こうには黒い門があり、飢えた闇へと通じていた。

ローカジュが門の入口に立っていた。彼は打ちのめされ、血を流していた。胸には穴が一つ空いていた。だが深い闇はまだ彼の血の中にあり、心臓のあった場所を満たしていた。闇の塊は心臓のように脈打ち、黒い血が境目からあふれ出していた。アズラーには心臓の鼓動がドラムを叩く音のように聞こえた。血が一滴ずつ落ちる音はリズムとなって、彼女の尻尾に感じられた。

だがファドマイはアズラーに全ての霊魂の名を教えていたから、深い闇の正体がアズラーには分かった。そして時が来ると、アズラーは大声をあげて歌った。

ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・アズ・ラ

そしてアズラーはローカジュの闇の心臓を引き抜き、合わせて彼の中の闇も全て抜き出し、海の向こうへ投げ捨てた。

ローカジュの闇の心臓から最初のドロ・マスラ、月の獣が生まれた。ラティスの縁に潜み、飢え以外のものを知らぬ獣である。

そして闇が流れ出たことで、アズラーはローカジュの中に母を見た。そしてアズラーは、彼が死ぬ時までローカジュを抱きしめた。

アズラーはローカジュの遺体に残った部分を門の前で、愛と慈悲のランターンの火により焼いた。アズラーは弟であるローカジュのために泣き、その涙は薪の上に落ちた。

ローカジュの灰がラティス中に散らばると、月の獣でさえしばらくは口を閉ざした。

そしてアズラーの涙もついに枯れ、彼女は世界へ向かった。嘆きの時は終わった。そしてファドマイは、彼女になすべきことを数多く与えていたのである。

ブラック・キエルゴ:ペライトにふさわしいか否かBlack Kiergo: Primed for Peryite?

さて、これは私の日記だ。私はペライトに選ばれし者、ヤミグー。願わくばこの日記が便所紙として使われることのないように。前回はそうなってしまったが。念のため、頁にかゆみ粉を振りかけておこう。私はかゆみに耐えられるが、ほとんどの者には耐えられまい。特に敏感な部位においては。

ペライトを崇拝する信者のために新たな場所を探す旅は、私のようなオークにとって辛いものだった。私はペライトのために故郷を捨てたが、それはエルスウェアにあるアンゴースをすべて飲んでも足りないほど長い話だ。そして、まだ新しい家を探している。ブラック・キエルゴと呼ばれる場所の話を聞き、いつか訪ねてみようと心に決めた。それが今だ。

ブラック・キエルゴはセンシャルの地下に広がる広大な地下スラムだ。恐らくブラック・キエルゴにつながる秘密の道がいくつかあるはずなので、道を見つけなければならない。みすぼらしさと貧しさに加え、ブラック・キエルゴの奥深くでは、あらゆる種類の不道徳で堕落した商売が横行している。つまり、ペライトの栄光をほぼ完璧に証明しているわけだ!この目で見るのが待ちきれない。

1日目

センシャルは荒れ果てている。疫病に見舞われ、火事にも見舞われたと聞いている。難民が非常に多い。きっと仕事が必要だ。自分には食べていく価値があると証明しなければ。たぶんこれは兆候だ。ペライトのおかげで、頼める仕事がたくさんある。ここは食べ物が足りない。それにドラゴン。奴らが雰囲気をさらに盛り上げている。実にいい。

ブラック・キエルゴが最初に燃えたのは、スラシアの疫病とナハテン風邪の流行中だと分かった。心の弱い愚か者め。火をつけても煙を吸い込んで死ぬだけだ。布教の成功は約束されている。そんな気がする。

2日目

ブラック・キエルゴで育った盗賊ラジーンの話をいくつか聞いた。それからブラック・キエルゴに住んでいない者がどれだけ恐れているかも。そこはこの街のスラムなのだ。とてもいい場所に思える。私を歓迎してくれる闇に向かう時がきた。

時間をとって、今朝から見たものを書き留めている。それから嗅いだ臭いを。無法者とろくでなしの根拠地として考えると、ブラック・キエルゴは広大だ。私たちが一角を占めても、きっと誰も気づきもしない。ここの者たちは疑い深いが、そこが気に入っている。信じやすい奴らを見ると牙がかゆくなる。だが臭い。スラムと聞いて想像する臭いそのものだ。これを記したのはリフテンに隠れていた頃を思い出すからに過ぎない。いい思い出だ。

猫の国の歴史では、キールゴという者が誰かと結婚して国を建立したと言われている。その名前を正しく綴らなければ。地下のスラムと同じ綴りではない。この場所とその者には実際のつながりはない。地元の者に訊ねてそれが分かったのだが、そいつは私の喉にナイフを突きつけた。自分たちの伝統に誇りを持つのを見るのはいいものだが、受けた面倒に対しては鼻を血塗れにして、ナイフを折ってやらねばならなかった。ペライトに栄光あれ!

だが、ここの者たちはもっといいナイフを持つべきだ。簡単に折れるようではいけない。

3日目

ブラック・キエルゴのアリーナ付近で少しばかりお祝いをした。強い酒をしこたま飲んだ。中にはエルフのものもあったが、フラゴンで20杯飲んだあとではかまうものか。そして、スラムにはアリーナがある。闘犬場に近い様子だが。金を使って、貧しい者がどれだけの血を流せるかを賭ける貴族のための場所だ。だが少しは興奮する。ドラゴンを崇拝する教団について噂を聞いた。競合相手か?耳の穴を掃除してよく聞いておかねば。もちろんドラゴンよりペライトのほうが上だが、信者を取り合わなければならないとは想像しなかった。とにかく、全員牙で突けばいい!

4日目

店を開くのにいい場所を見つけた。リーツァを送り出し、私たちの残りをかき集めてここに連れて来よう。彼女はセンシャルのまともな側の地域で、民に話しかけペライトの言葉を広めるのに忙しい。私たちは楽しみと仕事を混ぜ合わせようとしている。バランスというやつだ。ペライトは病気と貧しさだけではない。病気を送られた?それを乗り越えて自分の強さを証明しろ。そう言いたい!私に同意せず、墓場に送り込まれた者は実に残念だ。私がまだここに生きていて、彼らがそうではないことを考えれば、ペライトも私に賛成していると思う。

残りが到着するのを待つ間、アリーナに入ろうかと考えている。長い間、いい戦いをしていない。その結果、金を稼げるかもしれない。資金はペライトの役に立つだろう!ブラック・キエルゴで、私の幸運を祈ってくれ!

ペレタインの歴史:概要History of Pellitine: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

先人たちの経験に敬意を込めて。大義のために払った犠牲が、後に続く者たちに尊重されることを祈りながら。

「アネクイナとペレタイン」の紹介でも述べたように、カジート以外の資料を用いてエルスウェアの歴史を紐解く場合、非カジートが知らず知らず持っている先入観と直面する。母語とは違う言語が使用されるとニュアンスを捉えきれない。例えば私が翻訳されたアルゴニアンの資料を用いて、マークマイアの歴史書を書こうと思えば同じことが言える。あらゆる言葉は一対一で対応するものでなく何かを象徴するものであるため、完璧に翻訳することはできない。象徴にはしばしば色調や感情が込められている。人は象徴のために戦い、また死ぬ。単なる布の切れ端のために戦うのではなく、それが象徴しているもののために戦う。

それを踏まえた上で、この者は16の部族から成ったカジートとその支配者である月の皇帝が存在した時代から、現在ペレタインと呼ばれる地域の歴史を綴ってゆく。この頃、今で言うエルスウェアは16の部族が全て自由に出入りできる場所であり、月の皇帝の保護下で役割を果たすため、必要に応じて行動した。船大工やムーンシュガー農家など、安定した地盤が必要な役割があった部族は常設の居住地を設けることもあった。

ペレタインという地名はタアグラ語のパーラッティーンという月の司祭の部族から来ている。年月を経てこの名が有名となった理由は様々だが、第一紀2260年のスラシアの疫病までは地域の名でなく単なる部族名であり、月の司祭たちは他の部族の者と共に暮らしていた。しかし疫病は大打撃をもたらし、南部では部族の構造が崩れた。疫病の後はすでに港を訪れたブレトンやインペリアルの影響を受け、社会構造を変えつつあったセンシャルがこの流れを先導した。方法?単に例を示し、地の利を生かしただけだ。

南部の部族は疫病の被害に対する援助を受けるため、当時最大の街だったセンシャルに集まった。パーラッティーンの月の司祭たちも可能な限り援助できるよう集まった。センシャルの住民たちが築いていた社会構造と合わさって、全てが変わった。センシャルの生活は他の地域から来たカジートにも根付き、徐々に秩序が戻ると彼らは新しい人生を歩んだ。

北のカジートが部族の繋がりをさらに重視するようになった一方、南のカジートは階級社会を築きはじめた。ここで、今日のように南北が分裂した。

時が経つと南のカジートは壊れた建物を再建し、他種族との交易路も再構築して再び繁栄を始めた。センシャルは活気ある貿易港にして、文化や伝統の中心地として南部の中心となった。帝国との繋がりも強まり、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエがセンシャル宮殿に住居を構えるほどだった。そのため第二紀309年にペレタインの支配者エシタがアネクイナのキールゴと結婚すると、不満を持つ者もいた。センシャルの住民の多くは、自分たちの支配者が北の蛮族と結婚することに愕然とした。アネクイナの部族も同じように裏切られた気分だった。それでも結婚は進み、支配者たちは国を統一するため尽力した。たてがみのリドサーリ・ダッタは混乱を鎮めるため、月の満ち欠けに応じて部族と貴族が権力を分け合う制度を設けた。

そして第二紀324年、暗殺者がセンシャル宮殿に滞在中の最高顧問ヴェルシデュ・シャイエを殺し、その血で壁に「モラグ・トング」と書いた。調査を撹乱する目的だったと考える者もいれば、犯人がモラグ・トングの一員だと信じて疑わない者もいた。いずれにせよ、カジートと帝国の関係は緊張した。

緊張は高まり続け、第二紀326年にはとうとうカジートの反乱軍が王家の大半を虐殺した。この時点で両国は関係を切り、互いに事件の責任を問う文書を送った(参考までに記すと「北の蛮族の裏切り」と題された文書では、血に飢えたネ・クイナル族が王家を滅ぼしたと匿名の著者が主張している)。

北との関係が悪化する中でもペレタインは繁栄を続け、センシャルの成長は次の疫病が訪れるまで続いた。第二紀565年に到来したナハテン風邪である。

ブラック・キエルゴのスラムを中心に多くの死者が出る事態となり、自分の身を守るためセンシャルの一部に火を放って風邪を追い払おうとする者もいた。炎が広がると、それまで影響のなかった区域でも煙による死者が多数出た。多くが逃亡したが、街の外は食料品に乏しかったため、餓死する者がほとんどだった。他にもトパル士官学校の謎の閉鎖など不運が続き、南エルスウェアは一時低迷した。

南エルスウェアは困難に苦しんでいる。センシャルに駐在していた帝国軍が復興を支援しているが、わずかに残った部族の慣習は自衛の本能に駆逐されようとしている。この文書の次の章では、もう少し明るい内容を書きたいものだ。

ムーンシュガー:より良い計画Moon-Sugar: A Better Plan

この者にはもっといい計画がある。パンザラはリーダーだからって、いつも最大の分け前をもらう資格があると思ってる。ふん、そんなのクソくらえだ!俺たちの分け前を合わせ、グルメ・ムーンシュガーを同量の安物と混ぜれば、高値で売りつけて利益を3倍にできるぞ!

そうだ、パンザラがいつも停泊する場所に行こう。センシャルから岸の向こう側に行ったところだ。あの女の分け前を盗んで、もっとゴールドを稼ごう。

計画ってのはこういう風に立てるもんさ!この者がリーダーになるべきじゃないか?

ムーンシュガー計画Moon-Sugar Plans

このムーンシュガーは素晴らしい!これを運べばたっぷりと稼げるぞ!

俺の取り分はセンシャルに持っていこう。あそこの連中はいつもまともなムーンシュガーに飢えているし、ゴールドの蓄えもある。

ハロの取り分は、俺たちが以前スクゥーマを蒸留していた古い農場に置いていこう。記憶はぼんやりしているが、あの場所にはいい思い出がある。

ヤシラの取り分は沼の北にある、河が下りにさしかかる地点に置こう。あの場所は嫌いだがな。あの泥は毛皮から落ちやしない。

近いうちにまたメモを書く。ゴールドが手に入ったら、お前もすぐに分け前をもらえるぞ。

ラカジンの日記、3ページRa’khajin’s Journal, Page 3

ずっと私には、偉大な運命が待っていると分かっていた。仲間たちは座り、アルコシュ神の恩恵を求めて祈っている。私は彼らを導いた。彼の秩序を守るべき勇者だった。蝕の下で生まれ、偉大になる運命を授かった。

私は、アルコシュの誇りの戦士だ。

だが、私の血には危険も潜んでいるとクランマザーには警告された。月は誰よりも強く私に呼びかけているが、その声に逆らうには意思を強く持たなくてはならない。ローカジュの闇に心を囚われてはならない。聖なる創造主が、かつて闇に囚われてしまったように。

だが、闇を恐れることはない。私の意志は強く、私の理想は正しい。誇りの家にいる月の司祭から、できる限り学ぼう。そしてエルスウェアを守る時を待とう。それが私の責務であり、課せられた運命だからだ。

ラカジンの日記、12ページRa’khajin’s Journal, Page 12

勉強が退屈になってきた。同じ詩を、同じ声で繰り返す。彼らは、砂時計の底の砂のようにアルコシュの叡智を私に集めようとしている。しかし、彼らには分かっていない。すでに叡智は集まっている!私は生まれた時から運命を悟って、すでに受け入れた!

だが、クランマザーは私の言葉を信じない。困ったような目で私を見上げ、説教を繰り返している。

正直に言うと、彼女の言葉からは見下しに近いものを感じる。まだ私を、はるか昔に聖堂へ来た頃の泣き虫の子供だと思っている。私が誇り高き戦士になったことを、決して認めないようだ。

生まれながらに秘密を背負った私を、クランマザーが心から信頼することはあるのだろうか?

彼女と同等になり、理解してもらわなくてはならない。彼女に育ててもらった子供時代とは違うと理解させなくては。私は戦士で、アルコシュの勇者だ。私をそう扱うべきだ。

ラカジンの日記、25ページRa’khajin’s Journal, Page 25

誇りの家を去る時が来た。守護者アルコシュについて、学べることは全て学んだ。だが、自分の誕生の真実についても、この世界での居場所、来たる未来についても、なぜ我々が謎と嘘で民をだましているのかも、ほとんど分からなかった。

すべてがゲームのように感じられる。天から月に照らされた目で、我々を見下ろしている彼女のゲームだ。アズラーよ、私に何を望む?あるいは、これを望んでいるのか?自分が単に、あなたが作ったものだと気づくことが?

お断りだ。アルコシュについて学べることは全部学んだ。ドラゴンブレイクについても。彼を倒せば、アズラーの手による束縛も破壊される。

もう終わりだ。アルコシュについて、そして彼に続く多くの霊魂の全てを学んだ。あなたと同様に、彼らは古く強力だ。だが、すべて去ってはいない。今はまだ。

カジートには、もう長く新たなリーダーが生まれていない。すぐに生まれるだろう。

ラカジンの命令Ra’khajin’s Orders

新たなる月の教団はナーファーラールというドラゴンの息の根を止めねばならない。奴は我らが主、強大なるラートヴロン様の敵であり、新たなる月の意志に従うことを拒んでいる。それ以外にも理由はあるが、奴は抹殺しなければならない。

奴が隠れている聖域を占拠するため、必要な勢力は全て使え。止まることなく進むのだ!脅威が排除されるまでは帰還しないように。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る。
ラカジン

リドル・サールの秘密Secrets of the Riddle’Thar

悟りし最初のたてがみ、リドサーリ・ダッタが予言した聖なる年代記より抜粋

ああ、多くの誇り高きカジートが、自分の夢を私の夢に重ねて編んだ髪の束を持ってくる。私の前に跪き、疲れた足に口づけし、ジャ・カージェイの印を求める。私は無数の族長の重責のかかった高い王座に座り、溜息をつく。リドル・サールの啓示はたてがみの力の内にはない。双子月の舞踏の聖堂にさえない。リドル・サールの真実は真のカジートの心の中にある。爪の中、髭の中、魂の中に。今こそジョーンとジョーデを思え。その満ち欠けに思いを馳せよ。カジートは子宮で考えはしない。私たちは姿や目的のために苦闘することはない。舞踏が決めるのだ。そして運命づけられた生誕の瞬間に、私たちは魂が既に知っていることを学ぶ。リズムに合わせてステップを踏む。双子月の美徳と義務は固有のものだ。その血が固有のものであるように。リドル・サールの真実は魂の中でサトウキビのように育つ。甘く、力強く、収穫を渇望する。私たちはサトウキビを育てない。成熟もさせない。自発的に育っていくのだ。必要なのは適切な季節に鎌を手に取り、豊かな恵みを刈り取ることだけだ。

リドル・サールの謎の追究は楽しみの追求でもある。充足の追求でもある。今話している真実は、皆が心の中で既に分かっていることだ。その知恵を受け入れ、魂を支配するものに注意を払い、平和をもたらし、リドル・サールの命に従え。そうすれば豊かな楽しみが見つかる。

まず、真の猫は好奇心が強くなければならない。どれだけ多くの毛皮を持たないよそ者が、策略と幻想の犠牲になっていることか!ローカジュの発明は視界の隅に潜んではいない。目につくところをうろついている。あまりにも普通で控えめなので、子猫のように無邪気に真実として受け入れてしまう。誰もが常にもっと長く耳を傾け、もっとじっくり見なければならない。あっさり飛びついてはいけない。調べよ。大きい石も小さい石も持ち上げよ。忍耐から得られるものは実に多い。

次に、真の猫は賢くなければならない。天は私たちに素早く動く爪、軽快な足、優美な強さを与えてくれた。しかしニルニの背をうろつく危険は、適切な攻撃にも耐え抜くことがとても多い。残酷な迷路に陥った場合は、単純な解決の誘惑に抵抗しなければならない。工夫のない策略に頼ってはいけない。あらゆる問題には無数の戦略がある。その中でも最高の戦略は心の中にある。戦わずして戦え。話さずに話せ。譲歩せずに応じよ。こうすれば、最高の楽しみが冗談の対極に隠れていることに気づくはずだ。

三つ目に、真の猫は自身に優しい。本の指導者は自腹を切って施しをせよと説教することがとても多い。彼らは陰気な埋葬布の下に隠された、喘ぐような美徳を主張する。飢えた慈善家がどれだけのコインを運べるだろう?実に僅かだ。施しの果実は楽しく丈夫な枝に実る。全員が与え誰も受け取らなければ、王国はどれほど悲惨になるだろう!労働の成果は受け取れ。天から落ちてくる砂糖は味わえ。ニルニを豊かに流れるワインは飲め。喜びの道を歩くために、踏みつけるべき道の目印をつけよう。

次に、真の猫は敬虔でなければならない。双子月の舞踏はジャ・カージェイへの道を提示するが、レレスウェアの案内がなければ、最も賢いカジートも闇に向かって漂いかねない。強いアルコシュ、祝福されしケナーシ、高貴なスレンダル、愛情溢れるマーラ、賢いバーン・ダル、そして最も重要な、星の裏を統治し、優しさと知恵と高潔な抜け目なさで輝くジョーンとジョーデ。リドル・サールは悟り、真の猫が聖なる先人をどのように見ているか、明らかに見通すことができる。彼らの忠告を聞き入れ、法を守り、リドル・サールの恵みを受け入れよ。そうすればナミイラの誘惑の餌食にならない。

最後に、真の猫は用心深くなければいけない。ニルニの背に住むあらゆる種族の中で、私たちカジートは最も危険を冒している。私たちの歴史は人の歴史を矮小化する。私たちはエルフが来る前から種を蒔き作物を育てた。私たちの魂は年を数えるずっと前に遡る。それは毎朝、日が昇るほど確かだ。それが私たちを賢くし、危険にもしている。ローカジュの憎悪の目はいつも私たちを睨んでいる。ナミイラの闇は夢と疑いの中を飛び跳ねる。オブリビオンの悪はすべてラティスに対し爪を立て、牙をきしませ、古い魂を賞品として奪う機会を狙っている。慎重になれ。素早く動け。自身の深いジャングルに心臓を隠し、その偉大な価値にしばしば思いを馳せよ。自分の心臓の鼓動に耳を傾けるのをやめれば、ローカジュの鼓動が永遠にとって代わるだろう。

リドル・サールはこうした美徳のすべてだ。月の子よ。私たちはカジートの精神の偉大な井戸から飲んでいる。その真実はたてがみを越え、聖堂を越え、愛する故郷の平原とジャングルを越えて踊っていることを知れ。ジョーンとジョーデが頭上で踊る時、皆の魂も合わせて踊る。

闇の霊魂The Dark Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ローカジュ。月の獣。ローカジュの闇の心臓から生まれ、ある大きな裏切りを受けた後、この心臓に支配された。ローカジュは賢明にも姉のアズラーに助けを求め、アズラーはローカジュが暗闇に飲み込まれる前に闇を切り裂いて彼を救い出し、心臓を虚無の中に投げ捨てた。我々はこのローカジュの影が、我らの敵であるウル・ドラ・ナミイラに仕えた最初のドロ・マスラであることを知っている。月の獣はラティスの縁を徘徊し、道から離れすぎたカジートに襲いかかる。亡霊の月の夜にアズラーは虚無の門を開き、月の獣は消滅するまでの間、定命の者に戦いを挑むことを知っておくと良い。我々は道の一部として、また失われた同族のために、この重荷を受け入れている。

ナミイラ。最古の霊魂。深い闇。虚無。腐った肉を食べる生物は全て彼女の密偵であり、猫たちの獲物である。月のラティスは我々をナミイラの飢えから守っているが、我々自身の飢えからは守ってくれない。ナミイラの名を呼ぶことは闇を招くことであり、決して行ってはならない。ナミイラとは彼女の真の名の音だからである。ナミイラは無限の領域の霊魂であり、領域の全てを知っているのはアズラーのみである。この霊魂に捕らえられた定命の者は自分が何者かを忘れ、ナミイラのみを知るようになるまで苛まれる。これはアズラーが闇に委ねないジャ・カージェイを除く全ての魂にとって、永遠の苦しみである。

ノクトラ。影の盗賊。薄明の娘。虚無の門の階段で、ローカジュの黒い血から生まれた。歌の中で、ボエスラはこの霊魂がナミイラではないと気づくまで、これを相手に戦った。戦いが終わった時、ノクトラはアズラーの前に引き出され裁きを受けた。アズラーは慈悲を示し、ノクトラがアズラーとジャ・カージェイに仕える限り、生きることを許した。だがノクトラは反抗的な性のため、アズラーの鍵の1つを盗み、虚無へと逃げ帰った。アズラーはローカジュの真の霊魂を送って彼女を探させ、それ以来ノクトラは求められればカジートを助けてきた。部族は沈黙、影、幸運を求めてノクトラの名を囁く。邪悪な行いに彼女を呼んではならない。それは彼女と共に闇をもたらすだろう。

ヴァルミーナ。悪夢の女王。失われた娘。この霊魂は猫でなく、子を失うのではないかというファドマイの恐怖から生まれた。アズラーはこの闇の霊魂を地下世界で殺し、今やヴァルミーナはカジートが夢を見る時にのみ苛む。彼女はカジートを試し、恐怖で道を離れさせようとする。だが彼女がジャ・カージェイに真の意味で危害を加えられるのは、夢の中だけであることを知っておくとよい。

[?????]復讐の霊魂。ファドマイとローカジュの死後、アズラーの嘆きから生まれたため、自身の意志を持たない。アズラーとボエスラ、マファラ以外の何ものも、この霊魂を呼び出すことはできない。彼らだけがその名を知っているからである。歌の中では時として黒き豹、黒檀の鎧に身を包んだ戦士、あるいは隠された剣として出てくることがある。

黄昏の先唱者:アズラーの祈祷師Twilight Cantors: The Exorcists of Azurah

ゼヨ・プレヴェット 著

ゴーストハンターとして旅をする間に、あらゆる種類の奇妙な霊魂や異常な存在に出会ってきた。だが、カジートが稀に苦しむ憑依のようなものは見たことがない。最初は精神的なひきつれ、尻尾のかゆみ、当人は打ち消せない耳鳴りから始まる。

カジートの伝承によれば、これが迷い猫になる最初の兆候らしい。何もしなければ、カジートはさらに聞こえない曲に魅了される。ビートに合わせて動くようになり、ベントの踊りと呼ばれる奇妙な動きをする。このおかしな状態は単に病気の結果だと思えるだろうが、憑依された者がベントの踊りを始めたら、憑依されたことは見逃しようがない。

そのカジートが踊りを続けると、肉体に変化が生じ始める。毛皮が黒くなり、闇の力が身体から発せられ、普通の者にも見えるほどだ。他の種の憑依と異なり、憑依されても魂は消え去らず、他の霊魂に乗っ取られることはない。その代わり、元々の魂がねじ曲がってしまう。身体の変化が完了すると、もはやカジートではなくなり「ドロ・マスラ」に変わってしまう。この邪悪な霊魂は、ニルンを去るまでさらに苦痛を生み出す。

この恐ろしい症状と戦うために、カジートは旅の司祭の集団を結成した。彼らは奇妙な曲の影響に対抗するため歌を使う。それが「黄昏の先唱者」だ。彼らは自分たちが歌う「黄昏の賛歌」が、彼らの「神」であるアズラーからカジートへの贈り物だと言う。真実かどうかは証明できない。デイドラ公が世界に恐怖以外のものをもたらすとは考え難い。いずれにせよ、ベントの踊りに囚われたカジートを観察している限り、黄昏の先唱者の言葉は憑依された者を静めて、正気に戻していることは間違いない。ある先唱者が3日間歌い続け、被害者から不自然な力を排除したのを目撃したこともある。もしその休息がなかったら、彼女はさらに闇の道を進んで消え去る運命だっただろう。

この旅の秘術師たちはドロ・マスラとの戦いに備えながら、常に旅を続けている。黄昏の先唱者の所有物は少なく、任務に必要なものと道具だけを身につけている。任務に対する対価を求めることはなく、代わりに感謝の印としてカジートから差し出されたものを頼りに生活している。どうやらカジートは、先唱者たちに対して敬意と恐怖が混ざった感情を持っているようだ。先唱者が訪れることは間もなく不幸が訪れる兆しであり、彼らを迎え入れる家族は先唱者からの守護を確実にするため、すぐに贈り物をする必要があると一般的に信じられている。取り返しがつかないほど魂が破壊される危険があるわけだから、そうする理由は明らかだろう。

プロのゴーストハンターとして、毎日自らの魂を危険に晒しながら正義を貫こうとする、その献身には敬意を感じている。もしこの献身的な祈祷師に出会うことがあったら、礼儀正しく振る舞い、不断の努力と危険な仕事への敬意として金銭を渡すべきだ。

我らが飛ぶようになった理由How We Came to Fly

ファドマイがオーナールに逆らい世界が生まれる前、ケナーシは速く高く飛んだ。偉大なるアルコシュも届かぬほどに。彼女は限界がなく自由だったが、喜びを分かち合う相手はいなかった。そこで彼女は、空を分かち合う相手を母にねだった。ファドマイは夜にジョーンとジョーデ、昼にマグルス、夜と昼の間にアズラーを与えた。しかし彼らは自分に与えられた道を辿るだけで、ケナーシの喜びを本当に分かち合えたものはいなかった。これを見たアズラーは、ケナーシに2人だけが共有できる秘密を打ち明けた。

アズラーの忠実な子供が死を迎えた時、ケナーシはニルニの嫉妬深い爪から彼らを奪い取り、星の裏の砂場に運ぶことにした。こうして、選ばれた人々はレレスウェアへの道が与えられ、ケナーシはついに喜びを分かち合う相手を見つけた。

輝く海の聖なる水Sacred Waters of the Shining Sea

月の司祭シャヴカ 著

ジョーンとジョーデの祝福を受けた王国ペレタインには、聖なる砂糖が豊富にある。浅瀬でさえも双子月の恵みで満ちている。潮を照らす月光はトパル湾へ流れ込み、我々の聖地である月光の入江に集まる。日光から守られたこの場所で、蓄積された月光が自然の洞窟に穏やかな夜空を作りだす。

この祝福された水は心と体、魂に救いを与える。エルスウェアの至る所からカジートが訪れては月光の砂州や聖なる祠に浸り、悪い気を出して出てくる。ほんのわずかな寄付と返金可能なタオル貸し出し費を払えば、あなたも入江の神秘を体験し、聖なる水で心身を癒すことができる。月の司祭一同、浄化に役立てることを心待ちにしている

空の霊魂The Sky Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

アズラー。全てのカジートの母。夜空と薄明の領域、黄昏と暁の女王。ファドマイに愛されし娘。我々の先人の重荷を背負っているため、アズラーの領域は幅広い。全ての部族はアズラーを魔術、美、予言の神として知っている。アズラーはまたあらゆる門と鍵、縁と境界の番人でもある。カジートは我々を持ち上げ、月のラティスに結び付けたのがアズラーであることを知るべきである。これで我々は運命の鎖から解き放たれ、我々だけが自らの未来を形作れるようになった。ジャ・カージェイと我々の完璧な姿形は、アズラーの贈り物である。アズラーはこの世に生きた全てのカジートの名を知っていると記されている。自らアズラーを知らねばならない。それが道の最初の一歩なのだから。

ケナーシ。天における太古の霊魂であり、ニルニの側を通り過ぎる際に風と雨の歌を歌う。最も古い音はこの霊魂によって世界に贈られたものである。我々は音楽と歌、神話を語ることによって彼女を称える。一部の部族にとって、ケナーシは悲嘆の霊魂でもある。ローカジュが死んだ時、彼女は嵐の中に姿を隠し、アルコシュが慰めに来るまで泣き続けたと記されているからである。ケナーシは死んだカジートの魂を裁きのためにアズラーへ送り届けるので、アズラーの伝令でもある。時の終わりに創造物を守るため、すべてのカジートが永遠に団結した魂を呼び起こすのは、彼女の呼び声である。

ジョーンとジョーデ。永遠に嘆かれる者。このファドマイの死産した双子の霊魂は、今でも月のラティスで踊っている。ケナーシは彼らが生まれ落ちた時その手に抱き、死にゆく母に真実を伝える勇気を持たなかった。ケナーシは彼らの目を光らせるために2つのランターンを照らし、母が逝去するまでの間、彼らを空中に揺すぶった。今ではアズラーが双子の面倒を見て、ランターンの明かりが弱まると再び火をつける。ジョーンとジョーデの愛は月の光とムーンシュガーとして、全てのカジートに共有されている。この霊魂を称えるためには、明るい月の夜にケナーシの子守歌を歌わねばならない。

ローカジュ。月公。ファドマイの愛する息子。白い獅子。彼は深い闇の中で生まれ、それが彼の重荷となった。ローカジュは多くの者に愛され、高潔な指導者と見なされた。ローカジュは目的をもって自らの道を切り開いた最初の霊魂だった。彼は生まれた時から葛藤の中にあったためである。彼の勇気は出会う全ての者の心を励まし、ついに彼は霊魂を集結させて世界を作った。ローカジュはそのために自らの命を捧げた。我々は目的をもって道を歩み、闇の呼び声に抵抗することによって彼の犠牲を称える。ローカジュはカジートの魂の二面性と、全てのカジートが乗り越えねばならない困難を象徴している。アズラーはその知恵を用いて、弟の薪にジョーンとジョーデの双子のランターンで火をつけた。これにより、時としてローカジュの真の霊魂が姿を現す。ただしそれはアズラーやケナーシに呼ばれた場合や、彼の最古の名前で呼ばれた場合のみである。

マグルス。太陽神。一般的には猫の目、あるいはアズラーの第三の目と呼ばれ、アズラーの怒りを日々思い起こさせる存在である。マグルスがボエスラとローカジュから逃げた時、彼は片目しか見えず、ムーンシャドウに落ちたと記されている。そこでアズラーは彼が恐怖に満たされており、領域を支配するには適さないと判断し、彼のもう一つの目を引き抜いた。マグルスは盲目となって天に取り残されたが、アズラーは彼の片目を石に変え、ヴァーリアンスの門を映し出させた。これが夜明けに開き、黄昏に閉じるエセリウスのプリズムである。一部の魔術師はマグルスがこの目を自らの意思でアズラーとその子に捧げたと考えており、こうした魔術師たちは今でも彼の名で祈りを捧げている。

月と潮が交わる場The Marriage of Moon and Tide

クランマザー・ツラダマ 著

真のカジートであればジャ・カージェイの空のワルツを知っているだろうが、ニルニも踊りに参加していることを知っている者は少ない。彼女は子を生むためローカジュによって設けられた場所から動けないが、夜空に踊る月と共に彼女も揺れている。

「だが、ニルニが月と共に揺れるところなんて見たことがない」と思うだろう。

おそらく見たことはあるが、見ている光景を理解していなかったのだ。あなたが陽気な歌に尻尾を揺らしていても、毛皮に張り付いたノミには分からないように、ニルニの動きを見極めるのは難しい。ジョーンとジョーデが昇る時海をよく見ていれば、ニルニの波が後に続いて海岸を進むのが分かるだろう。これは月の歌に合わせて、ニルニが揺れていることを示す

剣の魂Soul of the Sword

流血の牙の師範、ヴァラミによる瞑想

ヴリン・サクを極めるため、定まった道があるわけではない。アデプトや師範になる定まった方法は存在しない。こうしたことは熟考し、自分の道を見つけるものだ。

剣はお前の魂だ。魂はお前の剣だ。

[怒った筆跡で殴り書きされている。「このろくでなしめ!ヴァラミの魂が自分の剣で引き裂かれますように!そもそもどういう意味だ?]

こうした言葉で瞑想せよ。その瞑想は、お前にどんな意味を持つ?

[さらに怒った筆跡で。「お前が自分の弟子も訓練できない、どうしようもない無能だという意味だ。意味だと。ろくでもない!]

瞑想は道を示唆しているのか?いや、きっと違う。

[大文字でギザギザの筆跡で。「いいかげんにしろ」]

武器を手渡される前に、ヴリン・サクが何時間もかけて基本の型を習った方法で訓練する者よ。もし魂がお前の剣で、お前の剣がお前の魂なら、そもそも師範が弟子の成長を邪魔しているという意味にならないだろうか?私はそう言わない。

[小さな手書きで。「もういい。この者はうんざりした。この者は…」]
[この巻物は唐突に終わっている。まるで注釈者が、最後のメモの下をすべて破り取ったかのようだ]

誇りの家:時から切り離された場所?Pridehome: A Place Outside Time?

魔術師ギルドのカーラレスによる転写

転写者のメモ:この転写では、我々の言語で時の経過を示す動詞を使っている。この放浪するカジートの月の司祭が私に説明しようとしたことへの理解を難しくするかもしれないが、自分の意識がさらに混乱する前に、厳密には正確でなくてもこの概念をまとめる必要があった。結果としてこの転写に過ちが起きた場合は、全て自分の責任である。月の司祭が私に示した、時間を越えた感覚が伝わることを願う。だが、おそらくこの方法はシェオゴラスのような存在への道を開くだろう。それから、この月の司祭は名前を明かすことを拒否した。自分は知識を持った司祭であり、同時に知識のない未熟者でもあると彼は語っていた。

* * *
時とタペストリーより前に、誇りの家は存在していた。概念としてずっと存在していた。これからも常に存在する。時の竜神であるアルコシュはタペストリーと時にこれを吹き込み、時を線形にしか捉えられない我々にも現実として認識させた。

誇りの家は、時の神の教えに従うアデプトの故郷となった。隔離された場所だ。そこで彼らは来たるべき破滅、ドラゴンが帰還し世界に不均衡をもたらす時に備えていた。

勇者ジャダッリはアルコシュの呼び声を聞き、誇りの家を作った。そして我々も現実として認識できるようになった。そう、彼女は黒き獣と戦ったのだ。そう、彼女は勝利したが命を失った。君の意識の中で、彼女が勝ったのはわずかな間だ。だが、彼女は常に存在し勝ち続けている。彼女は常に存在し続ける。

誇りの家の概念と場所は、ずっと存在してきた。ジャダッリが創設したアルコシュの誇りのように。一息にではなく、徐々に明らかになっていく物事の概念が理解できていればだが。

想像できるだろうか、タペストリーと線形の時に囚われた君に。ジャダッリは成功し、同時に失敗した。アブナー・サルンと呼ばれる者が、成功し同時に失敗したように。同じ瞬間に、線形の時の外側で。君には分からないだろう。それは望みすぎだ。

呼び声を聞いた勇者はジャダッリの後にもいた。線形の時で。さらに勇者は集まった。クランマザーも訪れては去っていった。一般的な言い方で言う時が過ぎ、ラカジンと呼ばれる者が現れた。彼は勇者となることに成功し、失敗した。過去のジャダッリのように。どうしてそんなことが可能か、それを知りたいか?彼は線形の時で、誇りの家を去るまで成功していた。だが、時の外では?彼は成功し、同時に失敗した。永遠にと言ってもいい。

誇りの家の一番新しいクランマザー、ヒズニは最初のクランマザーでもある。誇りの家のすべてのクランマザーは最初でもある。だが、この話はもう十分なようだ。私が話した中から君が何かを掴んだなら忘れるな。誇りの家はずっと存在していた。そしてこれからも存在する。アルコシュの誇りはずっと存在していた。そしてこれからも存在する。誇りの家のすべてのクランマザーは、ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。来たるべき破滅は?ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。

黒き獣の戦いBattle of the Black Beast

聖なる仮面の力によってのみ
その聖なる光によってのみ
汝は知るだろう、黒き獣を
我らの危険な戦いを

仮面を使って物語を見よ
聖なる炎の輝きにより
前へ進む道は開かれる
地下に広がる氷の牢獄へ

糸の修復Mend the Threads

選ばれた戦士は時のタペストリーがほつれたら、
それを繕う爪とならねばならない。

この運命を受け入れることは大いなる名誉であり、大いなる重荷でもある。
躊躇なく行わねばならない。

選ばれた戦士は時の意志を受け入れ、
心を尊敬と誇りで満たす。

彼らは自然の秩序を守り、
先人たちと道を共にする。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

狩りへの招待Invitation to the Hunt

オーベリック・デュフォン様

この招待を貴公に届けられることを光栄に思います、セルヴァル・デュフォン。貴公もよくご存じのとおり、レディ・ギシリアネは候補者の選定に最も厳格な基準を適用します。貴公が選出されたのは、品格の高さと優れた作法が大きく評価されたためです。

貴公には、二週間以内に認証トークンをお届けします。それを催しの当日、我々のハントマスターに渡してください。この狩りは沼で開催されるので、服装も合わせたものをお選びください。

獲物を用意した熟練の罠師は、今回の採石場での催しがどのような技量の狩人にもお楽しみいただけることを保証しています。獣じみたオークや抜け目のないカジートが、貴公の狙いすました矢を待っています!全ての狩りには一定の危険が伴いますので、どうかご注意いただきたい。熟練のハントマスターたちが控えておりますので、状況が危険と見れば支援するでしょう。

狩りの達人の到着を、心よりお待ちしています!幸運を祈ります!

セロー

修復された石板Restored Tablet

これが物語の言葉であり
真実の言葉になる
石は開く
中に眠る者の
名を口にした時に

彼のクラ・ジュンを思い出せ
彼らはこの者を覚えている
辛辣なアネクイナ
完璧なるヌラリオン
悪魔狩人フリンシルド
〈裏切り者〉でさえ

中に眠るのは誰だ?

焦げたレディ・GのメモSinged Lady G Note

〈ドラゴンの攻撃による炎により、メモの大部分は読めなくなっているが、一部の文は残っている〉

…しけた獲物なのは確かだ。あのオークはいい戦いになるかもしれないが…

…他の者たちは陽動に使えるかもしれない…

…奴らをセローの元に連れていけ。あの女は馬鹿だが…

…水辺を通っていけばいい。私が聞くところ、レディ・Gがセローをセンシャルに留めておきたいそうだ。あの間抜けには新しい人材を「勧誘」するほうが楽だし、レディ・Gにとっても目を光らせるのが…

賞金首と盾The Bounty and the Shields

ジュリア・ルネリウスの日記

賞金首を狙って旅をする場合、行動を日記に記しておくように父から教わった。このまっさらの本を父から渡されて、ここに記すように言われた。書くのは得意じゃないが、父の希望をできるだけ尊重したいと思う。今はセンシャルにいて、行方不明者の痕跡を追っている。標的はジアン・ミコだ。複数の犯罪で指名手配され、ダガーフォールの魔術師ギルドから大事な本を盗んだ罪も含まれている。本だって?よりによって本を盗んだのか!ここは、彼が最後に目撃された場所だ。自分の勘では、カジートに紛れていれば安全だと考えたんだろう。特に、ここにはインペリアルが駐屯している。紛れ込めると踏んだはずだ。

だが、必ず見つけ出す。

2日目、センシャル

街中を歩き回った。どこに行っても、難民か不機嫌なカジートに出くわす。民兵の一種が辛うじて街を守っている。彼らは「センシャルの盾」と呼ばれている。元々は第十三軍団だったが、ここに駐屯して街の警備を担当するようになった後、センシャルの民から新たな名前で呼ばれるようになった。だが、街を統治しているわけではない。聞くところによれば、カジートが守らせたい法を執行しているだけだ。

おそらく、ミコは盾に参加している。標的を見つけるまで、自分も同じ行動を取るべきだろう。

3日目、盾

何てことだ、アルフィクがいる!どうやってこの部屋に入ってきたのか、ゴロゴロ喉が鳴る音で目が覚めた。ここの飼い猫かと思ったが、はっきりと「起きる時間だ、歩き手」と言った。どうすべきか分からない。もし相手がインペリアルなら、鼻先を殴り飛ばして部屋から追い出すところだ。だが、初めて飼った猫のマウサーに似ている。ただうなずいて、できるだけ丁寧に部屋から出ていくようお願いした。

朝食の後、ブルッシウスという男に盾のことと、入隊する方法を聞いた。彼は自分の体の痛みについての文句や、どこかの気まぐれな司祭の追跡を頼む方により関心があるようだった。しかし話題を維持して、新兵になる方法について聞いた。ありがたいことに、彼は訓練をしている場所を教えてくれた。そこへ行って、ミコを探すことにした。

4日目、お役所仕事

今日はほとんど、様々な盾の成員との会話に費やした。ミコは新兵の中にいた。訓練の責任者のところに行ってミコの過去の所業を伝え、ダガーフォールの魔術師ギルドに彼を連れ帰れば賞金がもらえることも伝えた。上官に伝える必要がある、と彼女に言われた。盾の指揮官であるレンムス将軍と会えるまで、それほど時間はかからなかった。

彼と話をして、センシャルの盾についてさらに情報が得られた。彼らは5年前、アクィラリオス皇帝の命令でここに派遣され、ナハテン風邪の被害を受けた街の秩序を取り戻すよう命じられた。センシャルを統治していた王家が途絶え、街は統治者を失っていたので、帝国は評議会の設立を助け、この地域を統治する手助けをしてきた。だがドラゴンの出現により、難民が街に押し寄せ、すでにぎりぎりだった物資がさらに不足した。彼には盾への参加を要請された。高度な訓練を受けた、優秀な戦闘員が不足しているためだろう。

もちろん光栄な申し出だったが、今は単独で旅して仕事を続けたい。

その時、将軍からミコがとても優秀な魔闘士だと言われた。本を盗んだのも、ここに来て新しい魔法でドラゴンを倒せるかもしれないと思ったからだそうだ。将軍はミコの行動を許したわけではないが、センシャルを守るためにできるだけ多くの兵隊が必要なのも事実だ。だから将軍は、ミコの引き渡しを拒否した。

最初の賞金稼ぎの仕事で、いきなり決断を迫られた。大義のために賞金をあきらめるか、あるいは将軍を説得してミコをダガーフォールに連れ戻し、裁きを受けさせるか。すでにミコと話はしている。彼は魔術師ギルドから盗んだ本から学んだ技を使って、ドラゴンと戦うことを強く望んでいる。だが、盗んだことは事実だ。なぜあの魔術師たちと一緒にドラゴンと戦わなかったのか?ドラゴンは、永遠にエルスウェア周辺で留まっているわけではない。全世界にとっての脅威だ。

これを書きながら決断した。父がこの日記を渡してくれたことは正しかった。書くことで、考えがまとまることもある。おそらく、次の賞金稼ぎはもっと楽になるだろう。次の機会のため、新しい本を手に入れよう。(ああ、これも書いておこう。本を盗まれた魔術師たちを呼び、ミコと連絡させよう。そうすれば、彼らは協力してドラゴンに立ち向かえるだろう。)

色彩豊かなカジートThe Colorful Khajiit

ユートロピア・ラトニウス 著

カジートは派手好きで知られている。彼らはどんなことでも熱心に行うようだ。しかしテンマール・フォレストの山奥にある小さな村が、センシャルの優雅な街並みを上回ると聞いて信じられるだろうか。誇張ではなく、ブラックハイツは文字通り色彩に溢れている。

この村の住民の半分以上は芸術にその身を捧げている。芸術家や、高品質な道具を提供する職人である。「彩色工場」と呼ばれる場所で生産される顔料は、塗料や染料としてタムリエル全土で高い人気を誇る。これだけでも、少人数の村が芸術に没頭できる富を生んでいる。

ブラックハイツのカジートは世代を越えて技術を磨き続けており、その作品は村の創立以来受け継がれてきた伝統に影響を受けている。特に古く、目立って見えるのは石の絵である。ブラックハイツ自体が山脈の麓にあり、岩に囲まれている。特に子供の頃、カジートは前足を使って石に絵を描く。数百の小さな足型から、広大で色彩豊かな絵を創り上げる。その最たる例が生命の壁と呼ばれる場所で、全ての村人が死ぬ前に生きた証を刻む。この甘く切ない史跡の規模に、私は言葉を失った。安全なセンシャルを離れ、ペレタインの神秘を味わう勇気があるならば、あなたもきっと同じ気持ちを味わえるだろう

新しい教団か、古代の宗教か?New Cult or Ancient Religion?

新たなる月教団に関する調査
パーラッティーン学会、スレマ 著

新たなる月教団の徴募官の出現は、この新興宗教に対する反応をセンシャルの人々に呼び起こしている。軽蔑するか考慮するかはそれぞれの地位と視点によって異なる。この者は異なる形でこの問題に取り組むことにした。新たなる月教団はドラゴンの怒りによる混沌から生まれた新しい教団なのだろうか。それとも、長い歴史を持つ古代の宗教が蘇ったものだろうか?

この者は徴募官と話すことができた。徴募官はその信仰の教義と信条について、生々しい詳細を喜んで教えてくれた。このカジートたちはジョーンとジョーデを認めているが、間もなく新たなる月が昇って、より明るく輝くようになると信じている。また救いへの道と力は新たなる月にあって、信仰深い者が切実に祈ったにもかかわらず、沈黙を守り距離をおく神々の崇拝にはないと信じている。

新たなる月教団は、明らかにドラゴンの出現により悪化している現在の困難な状況に苦しむ者たちに訴えかけようとしている。このため、彼らは主に貧しい者や住処を失った者を教団に引きつけてきた。この者の見るところ、教団は偽の約束と恐怖を勧誘の戦術として使っている。またドラゴンと戦うことよりも、ドラゴンを宥めることに熱心なようだ。とても興味深い。

この者は古代に活発だった、類似の集団に言及している資料を見つけた。そこでそもそもの疑問に立ち返る。新たなる月教団は最近組織された教団なのか、それとも復活の機会を待っていた、古代の宗教が復興したのだろうか?それを判断するためには、さらなる研究と調査が必要になるだろう

新たなる月の義務New Moon Obligations

新たなる月の教団、ザカール 著

この者は多くのカジートと異なり、明確な指針と共に生きることを好む。新たなる月の教団に多くの者が新たに入信したことを受けて、ザカールは信徒が従わねばならない義務を記録することにした。

1.入信

新たなる月の教団に入信できる者は健全な精神と肉体を持つ者に限る。この基準を満たさないものは、試練が始まる前であっても拒否されるだろう。

2.試練

試練の内容は秘密にしておくべきだ。試練に関する情報を共有し、他者を助けようとする者は即座に新たなる月の教団から追放される。いんちきもヒントも禁止だ!

3.勧誘

勧誘は優れた判断力を持つ者が実施しなければならない。栄養失調の者があまりにも多く入信している。こうした弱き者は、我々を目的に向け進ませてはくれないだろう。病気の者も要らない。必要なのは新たなる月の昇天を助けられる、強く、有能な者だ。

4.考え方

新たなる月の教団に入信した者は、理由が何であれ定められた義務に従い、リーダーとドラゴンの命令通りに行動することを忘れてはならない。明晰で決断した心を持つ者だけが、教団に新たなる月の昇天を実現させる。

5.儀式

すべての入信者は、どこかの時点で特別な儀式に呼ばれる。その時が来たら、誇りに思うように!我々の中でも最も優秀な者だけが、イオンストーンの儀式へ呼ばれる。唯一無二の名誉だ!その理由はすぐに分かるだろう

新たなる月が昇天するまで、休まず熱心に働くこと。新たなる月を崇める、ドラゴンを崇めよ!

世俗の霊魂The Worldly Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ニルニ。緑の母。調和の霊魂。その霊魂は弱まったとはいえ、ニルニは今でも暖かい砂や鬱蒼と茂るジャングルなど、定命の者が大地を侵害していない全ての場所において感じられる。カジートは彼女の秘密の守り手である。なぜならニルニの霊魂は定命の次元に生命を植えており、それはローカジュからニルニへの贈り物だったからである。ニルニは常にファドマイの寵愛を巡ってアズラーと争おうとしていたため、時として嫉妬深き姉と呼ばれる。しかし、ニルニはアズラーよりも美しい唯一の霊魂だったと言われている。

ワイファー。古代の形作る者。オーナールの落とし子の一人。彼は父親と違い、賢く優しかった。ワイファーは最初の花を創造することでニルニの心を動かし、伴侶とした。そして二人は多くの子を設けた。ワイファーはローカジュの死後、どこかの時点で深い闇に堕落させられた。混沌に囚われたワイファーは、ニルニを攻撃して殺してしまった。アズラーとケナーシ、ハーシーンはその復讐としてワイファーを滅ぼし、その骨でニルニの墓を作った。木の国に住む民には今でも彼の声を聞くと言う者もいるが、我らカジートはもはや彼に話しかけることはない。

ハーシーン。狩人。追及と目的ある変化の霊魂。ハーシーンはニルニに恋をしていたが、彼女はワイファーを伴侶に選んだ。悲しみに暮れたハーシーンはワイファーの勇者グラーエルクを屠り、その頭を戦利品として被った。彼はニルニの子どもたちを愛し、しばしば彼らに交じって歩く。カジートは道から迷った時、ハーシーンに祈るべきである。狩りの父はいつも道に戻してくれる。ハーシーンはニルニが最初に出産した子供たちの父親であると主張する部族もいる。この子たちが双子月のごとく変化に富むからである。そうした部族は、この子たちがジャ・カージェイのための器として選ばれたのだと述べている。

ハーモーラー。監視者。潮汐の霊魂。ハーモーラーは自らが知覚する全ての出来事を記録し、それを海底の大蔵書庫に貯蔵している。忍耐強い霊魂であり、世界が創造され、ケナーシが双子月とその運動を維持できなくなってから、アズラーがその仕事をこなすのを助けた。彼は他者の知識の番人でもある。自分が学ぶこと全てをアズラーと分かち合い、アズラーはよく彼の蔵書庫を歩いている。道の途上で試されることを望むのでない限り、この霊魂を呼ぶべきでない。ハーモーラーの仕事を邪魔してはいけない。

サンジーン。第二の出産で生まれた血の神。サンジーンは本来悪しき霊魂ではないが、彼の領域にある全てのものは、真の猫を道から逸脱させることをカジートは知るべきである。それは血の渇望と目的なき快楽である。サンジーンへの堕落は闇に屈することではないが、肉に屈することである。サンジーンはカジートを誘い、不死の肉体を得させようとするが、これはジャ・カージェイの全ての霊魂の牢獄である。サンジーンはそれゆえ道の途上で試す霊魂であり、克服されねばならない。彼を打ち破る秘訣は無視することであり、我々はこれをマファラから学ぶ。マファラは言う。真理のみを渇望せよ、と

生存者の自責Survivor’s Guilt

エーケンは死んだ。一緒に育ち、砂漠を走って競争して、剣に見立てた棒で遊び、何年も他人の戦争で戦って金を稼いだ。盾の衛兵の仕事に落ち着いた時、少し早く引退したように感じた。

ドラゴンが来るまでは。

いつものようにパトロールをしていた。恐ろしい鳥は繁殖の季節だったから、明らかに怒りっぽくなっていた。だが、エーケンにはアルゴニアンから習った技があった。乾燥したヒョウタンにいくつか穴を開けて、長い紐に結ぶ。馬鹿な真似はよせ、と言ったんだが。彼がそいつを頭の上で回すと、ジャッカルの群れのような音が出た。鳥たちは逃げていった。

いい考えだな、と彼に言ったことはなかった。馬鹿だったよ。いい考えだった、だが…

エーケン、お前はバカ野郎だ。そいつでドラゴンを追い払うなんて、無理に決まっているだろう。ドラゴンはあいつを一口で飲み込んだ。何もできず、あいつの叫び声を聴きながら漏らすしかなかった。

私は逃げた。すまない、エーケン。私は臆病者だ。

あいにく、誰にも許しては貰えなかった。ジャッガの瓶の底にも、ショーンホルムの安いワインの底にも、スクゥーマのゴミにもなかった。二日酔いと砂糖小屋が残るだけだ。喉が髪の毛に覆われているような気分になる。代わりに神を頼れば、司祭たちはつまらない説教をするだけだ。これは神々の意志であり、救いは祈りの中にしかない、とかな。

実にくだらん。あいつらには何も分かっちゃいない。

エーケン、何とかしてやる。お前を守るはずだったのに、いざという時に何もできなかった。私は忌々しい人食いウッドエルフに指を食われながら素手で絞め殺し、素早いウェアウルフにも追いついた。だが、あのドラゴンに会った時、初めて怖気づいた。

遠くでドラゴンが飛んでいるのを見た。何時間も輪を描いて飛んでいる。私がここにいると分かっているんだろう。復讐をするつもりはないが、少なくとも我々の父の幽霊は、この臆病者を死ぬまで呪いはしないだろう。

愛していたぞ、兄弟。もうすぐ会いにいく。

多くの糸The Many Threads

アマフィが見える、司祭のふりをしている
その心は黒く、高みに昇ることはない

水は甘いとオラヌは言うだろう
月の下、彼女は心安らかに留まる

ガード固き盗賊、マグパイを探せ
南にあるのは彼女の死、安らかでなかったと願いたい

ブファサは、いつも騒がしく喧しい
彼は自信に満ち、誇り高く家へ向かうだろう

美しきセレイズは木々の下で静かに眠る
破滅の石の砦にて

幸福なるヒージャーを、私はいつも思い出す
学校ではきっとうまくやれただろう

老グラスティアは今や無言で、丘の上にただ一人
彼女を悩ます風も、風車が挽く穀物もない

ダンサーはいつでもスリルを求め
盗賊たちと共に隠れるが、その善し悪しは知らぬ

ファロは無口で背の高い、寂しい見張りを見つけた
特別な眺めだが、それだけではない

ケスタは秘密を明かさない、だがいつも見ている
彼女は塔を見張る。遠くから、高くから

ジャロは私を驚かせた。街へ戻ったのだ
断頭台で冷たくなった。憐れみは覚えない

忠告The Good Bits

(この伝承の書には、ドラゴンの肉片を使って特別な薬を作る方法が体系と一緒に記される予定だ)

敵対する霊魂The Adversarial Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

シェッゴラス。精神の神。彼の領域は定命の者の心であり、その安定性である。シェッゴラスは道の上でカジートに自らの考えや信念、行動の真理について疑念を抱かせることで、試練を与える。彼はカジートがハーモーラーの図書館を訪問する前に道の途上で対決し、克服しなければならない存在である。部族の中にはシェッゴラスが死んでおり、何か別の者に置き換わっていると信じるものもある。

オーカ。多くの道を通ってボエスラを追った悪魔。病の呪いを話し、それ以外の言葉を知らない。ローカジュ、ケナーシ、ボエスラは古代の歌でこの悪魔と戦ったが、オーカを追放できても死なせることはできなかった。カジートはオーカとその仲間が道の途上における試練であり、それ以外の何ものでもないと理解すべきである。

デイゴン。悪魔の猫。メルンズとも呼ばれる。彼はファドマイの二度目の出産の時に生まれた猫だが、すぐに破壊的で手の付けられない存在になった。オーナールは彼を追放したが、デイゴンは多くの道でなく深い闇を探索することを選び、悪魔モラグに敗れた。モラグは世界の創造まで彼を苦しめ続けた。混沌の時、モラグの妻はメルンズを解放し、その破壊的な本性をラティスに対する武器として利用したと記されている。メルンズはこれに夢中になり、同族殺しとなり、それゆえ我々がデイゴンと呼ぶ悪魔になった。道の途上で彼に立ち向かうだろう。

モラグ。12の悪魔王の1人。支配と至高法の古い霊魂である。この悪魔はデイゴンやメリド・ヌンダと共に、意図的にラティスを攻めた最初の者である。ボエスラとモラグはラティスの前で戦ったが決着がつかず、アズラーは彼女のみが知る秘密によって、この悪魔王に手枷をはめた。モラグは試すだろう。そしてカジートは規則に対抗する意志、ボエスラの力によって彼を克服するだろう。

メリド・ヌンダ。貪欲の偽りの霊魂。孤立した輝き。彼女はマグルスの娘だが、マグルスは自身と自分が作り出したものしか愛さなかった。マグルスは伴侶を持たなかったが、エセリウスで子を作った。メリド・ヌンダは愛なき光から生まれた冷たい霊魂である。彼女は知恵なき知能であり、目的なき知識である。メリド・ヌンダは悪魔の仲間であり、力強きローカジュの死を引き起こした張本人であるとして彼女を非難する歌もある。メリド・ヌンダがラティスを攻撃しようとした時、アズラーは彼女をヴァーリアンスの門の前で倒し、彼女を引きずってそこから離れた。そしてアズラーはメリド・ヌンダを虚無に投げ込み、鏡でそこに閉じ込めた。遊牧民によれば、メリド・ヌンダはその後脱出したという。

東からの恐怖Terror from the East

悪魔がケナーシの地へ来た時
彼女は運命だと知っていた
彼女の子供たちは最後の戦いを挑み
真紅の門を開いた

まず誇り高く力強いアルコシュが来た
黄金のたてがみをまとい
悪魔が存在してはならず
倒されねばならないと知った

次に強きローカジュがやって来た
その剣は青の輝きに燃えていた
彼は闇を再び押し返し
悪魔を追い払った

最後に来たのはニルニを嘆くハーシーン
彼はニルニの墓を骨で作った
樹木の茂る緑から、黒くなった海へ
ハーシーンは孤独に彼女を見守る

東から来た悪魔Demon from the East

王国は砂漠に広がる
平和が幸せな地を暖める、
心が放つ光が闇を照らす
時の糸に包まれて。

悪魔が東から現れ
深紅の獣が続く、
この地は破壊され枯れた
民には恐怖しかない。

戦士が剣を太陽に向け
後に続く戦士たちに呼びかけ、
アルコシュは紡がれぬ糸を導き
彼の勇者は進む。

異国の岸から戦士が集まり
この恐ろしい戦いに加わる、
戦士の傍らで歩み
戦いに備える。

深紅の獣は気高く
悪しき敵を倒すために角を与える、
その音は悪魔を地に落とす。
勝利は目の前に見える。

戦士は最後の戦いに挑む
恐ろしい悪魔との戦いに、
冷たく血塗られた平和な砂
空を夜が包む。

鎖と魔法が悪魔を固く縛る
闇の奥に閉じ込める、
戦士は新しい夜明けの光を祝い
再び平和が訪れる。

南エルスウェアのドラゴンDragons of Southern Elsweyr

市井の学者、グザンドリア・プレヴェット 著

北エルスウェア(別名アネクイナ)で行われているドラゴンの破壊に注目が集まっているが、南エルスウェアもこの悪質な獣の災難に直面している。これはこの野獣に関する私の体験記録だ。無論、遠くからの。私はドラゴンハンターではない!

センシャル近くを訪れた際に、ドラゴンの目撃者に初めて出会った。彼らは大きな赤い野獣が空を切り裂くように飛ぶ様を描写してくれた。ドラゴンが攻撃する前に目撃者は逃げた。この賢い行動指針に対する判断は差し控えるが、私は逃げない。代わりに分類し、記録するべく努めたい。

私は意を決して、目撃者が最後にこの赤いドラゴンを見た場所へ向かった。幸いまだ周囲に居残っていたので、近づいて少しの間観察できた。そして角の構造に奇妙な点があるのに気づいた。あれは角の欠損だろうか?しばらくしてドラゴンは飛び去った。何一つ傷つけはしなかった。ドラゴンの目的は分からないが、どんな騒動も損害も引き起こさなかったことに興味をそそられた。北で報告されてきた事態とはまったく異なる。このドラゴンが無害だという可能性はあるだろうか。悲しいかな、そのような考えを客観的に証明する証拠がない。

その後まもなく、別の赤いドラゴンがセンシャル近くの焦土に現れた。明らかに狩りの意図を持っていた。ドラゴンハンターの一団も現れ、派手な戦闘が起きた。私はドラゴンが叫び、吼える際にその名が分かるのではないかと期待しつつ観察した。ドラゴンはハンターに倒されたが、私は死ぬ前にドラゴンへ近づき尋ねた。「お名前を教えていただけませんか、記録できるように」

「定命の者よ、お前に名を教える価値はない」そう言って、ドラゴンは息絶えた。残念だ。きっと次のドラゴンはもっと協力的だろう。後世のためなのだ。私はこの赤いドラゴンをどちらも「名称不明のドラゴン」の中に入れた。マスナン修道士が、第二紀373年のドラゴン地図で記録したように。

次に、私は南の採石場近くで黒いドラゴンが目撃されたと聞きつけた。私は忠実な馬に乗り、急いでそこへ向かった。このドラゴンが動く姿を見られることを願って。今回も幸運だった。ドラゴンは採石場が見渡せる岩の上に止まり、私には見えない姿に向かって話をしていた。

「私はラートヴロン、お前の主だ。命に従え」とそいつは声を張り上げた。

ドラゴンが自分の名を語るのを聞けるとは、何と幸運だろう!私はそれを書き留めると、ドラゴンと手下に少し近づきすぎていたことに気づき、慌ててその場を去った。学者の探究心は時に救い難い。

私はセンシャルに戻り、そこで新しいドラゴンガードについて難民たちが話すのを小耳に挟んだ。古代の組織が、我々をドラゴンから救うために戻ってきたのだろうか?私は彼らを探さねばならない。もちろん、研究のためだ。

誰に紹介を頼めるだろうか?

破滅と闇を越えてThrough Doom and Darkness

選ばれた戦士は死が確実であっても、恐れを抱いてはならない。
それにより闇を心に忍び込ませてはならない。

命を軽んじる時、死を恐れないことは容易である。
それは闇の欺きである。

選ばれた戦士は胸の内に燃える炎を強め、
心を命と愛で燃え上がらせる。

彼らは必要によって戦い、
自らと他の者の命を守る。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

風の子供たちChildren of the Wind

立ち上がるのは爽やかな風
素敵なのはシカモアの種
クルクルとワルツを踊る
翼の上で踊る

故郷から遠く離れ
強く吹く風に運ばれ
ついに見つけたのは安らぎの場
根を生やすのは新たな木

すぐに嵐を呼んで羽を曲げ
優しい雨には羽を休め
そして雨が止み
吹き飛ばして太陽は自由になり

やがて雲により育まれ
若木の枝は伸ばされ
いくつもの春を越えて伸びる
翼はいっぱいに広がる

そして強風は種を飛ばす
白いシカモアを旅に出す

無限のジャダッリJa’darri the Endless

ケナーシの息吹とローカジュの影

彼女は誇りをもって道を歩んだ

アズラーの光とアルコシュの咆哮

彼女は頭を下げ、祝福を受けた

赤き獣の角と神聖なる仮面

彼女の終わりは、始まりにすぎない

迷子の猫Lost Cat

こんにちは!

これを読んでいるなら、あなたは私の大切な猫、テンダークロウのそばにいるはず。彼はすぐどこかに行ってしまう癖を持っているの。ありがたいことに、彼はいつもこのメモを持っている。もしよければ、彼をセンシャルの南にある家まで連れていって。それが面倒なら、動物のことを気にしてくれる、他のもっと役に立つ通りすがりの人のためにメモを置いていってね。どうもありがとう!

キシマ

追伸:彼は自分の眼帯について何か言われるのを好まないの。だから、気づかないふりをしてやってね。

優しい風によりBy Gentle Winds

選ばれた戦士は絶望の淵の中でも、
常に優しい風が導くことを受け入れねばならない。

だが導きがあってさえ、彼らは自分の意志で運命へ歩んでいかねばならない。
それは英雄の定めである。

選ばれた戦士は目の前に敷かれた道を辿り、
その確信によって心を強める。

彼らは選ばれた道の途上にいる、全ての者を導く光となる。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

贖罪のマントラMantra of Redemption

迷い猫、あなたは月光が届かぬ場所をさまよってきた。しかし私は黄昏で待っていた。あなたが耳を傾けるように。

ローカジュは闇の中で、あなたを迷わせている。不実な曲を聴かず、こちらに尾を向けなさい。

アズラーの言葉で心を満たし、闇を振り払いましょう。私の歌が、あなたを家に導く。

月のラティスを抜けて戻り、愛しい光を浴びなさい。

喜びなさい、迷い猫。あなたは見つけられました。