ウェストウィールドの書

West Weald Writings

アビティウス隊長の命令Captain Abitius’s Orders

ヴァレンの監視所に、回想者と陰謀を企む敵による予期せぬ襲撃があった。付近の軍団の部隊に警報を出して呼び集めるため、監視所の塔と壁の最上部にある4つの狼煙への点火を命じる。4つの狼煙すべてに火が点いたら、ただちに監視所の外にある野営地へ報告に戻り、さらなる指示を仰ぐこと。野営地は、正門からそう遠くない場所にある。

貴殿の勇敢さと、軍団および全ウェストウィールドへの奉仕は賞賛に値する。ヴァレンの監視所はこの地域における防衛の要だ。決して敵の手に渡してはならない。

急いでくれ、軍団兵!
アビティウス隊長

アラドロスからの手紙Letter from Aradros

ナンサリオン王へ

簡単ではありませんでしたが、トーヴェサードが大変な関心を抱いている「多くの道の杖」というものの場所をついに突き止めました。オーススウォーンの訓練場という、オークの要塞に封印されているのです。オークたちは遥か昔にマラキャスが杖を彼らに預け、それ以来守り続けてきたと信じています。

なぜ杖が重要なのかトーヴェサードに聞いてみました。彼はあの杖が、シャードボーンの領域から盗まれたデイドラの兵器だと言いました。あれは多くの道からマジカを引き出し、所有者に変化そのものの力を授けるらしいのです。確かに恐るべき武器です!トーヴェサードの言葉が事実ならば、回想者があの杖を手に入れるべきでしょう。

あらゆる手を尽くしてオークどもから杖を奪い取り、王の手にお届けする所存です。回想者のために!

アラドロス

イフレの賛美歌Y’ffre’s Hymn

根と葉、枝と皮が
暗い土から立ち上がり
すべての中に歌を聞き
イフレがなぜ歌わせるのかを知る

大昔に紡がれし物語
その歌と語りは、未だ尽きぬ
紡ぎ手たちは賛美の歌を絶やさず
我らの周りで緑は栄える

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

命の物語は長く
イフレの歌を受けて形を得た
過去と未来、今とここ
時間を紡ぐため、すべてが従わねばならぬ

それは感じられる、大地と空の中に
泳ぎ、育ち、飛ぶもののうちに
物語の力は深くまで響き
守るべき契約を思い出させる

おお、イフレ、偉大なるイフレよ
その物語が緑と岩、海を築き上げ
その骨が種と木を育て
その歌のみが星々を輝かせた
その聖なる声を聞くことが、我らの生きる意味

おお、イフレ、優しきイフレよ
あなたの大いなる復唱を聞かせたまえ
その声が、我らの心へ残り続けるように

ヴァシャバーの脅威The Vashabar Threat

斥候ブリティア・コンコニアスから護民官アレア閣下への報告

新しい森(彼らはドーンウッドと呼んでいます)におけるヴァシャバーの居住者は、当初私たちが考えていた、ただの暇な樹木好きなどではないかもしれません。集落はアイレイド遺跡の頂上に建設され、深い緑の葉と、この地域では見られなかった生い茂る野生の植物で完全に覆い隠されています。ウッドエルフに対処する上で、この事実は不安であり、漠然とした脅威も感じます。

ご指示に従い、数日を費やしてヴァシャバーのウッドエルフの動きを観察しました。見られず森に留まることは難しくはありませんでしたが、度を越えた草木により、ウッドエルフたちはウェストウィールドに何をするつもりなのか、大きな不安を覚えました。木々の大きさと密度は、とりわけこの森がつい最近発生したことを思うと衝撃的です。コロヴィアに飲食物を供給する農場やブドウ園にとって、決していい前兆ではありません。
ウッドエルフについては、ほとんどが単なる労働者や採集者のように思われます。中には腕のいい狩人も含まれています。極端に暴力を好む様子は見られないのですが、敵と見なした相手に武器を使う能力は疑いようもありません。その上、狩人たちは定期的に射撃訓練を楽しんでいます。

ほとんどは革の的や色を塗った動物の皮を使っていますが、軍団の標準装備の兜を標的にしていたことがあるのを見ました。とりわけ優れた射手が兜の天辺にある羽根飾りを撃った時には、みんな喜んで笑っていました。その兜の入手方法はわかりませんが、深く考えたくはありません。

上述したように、ウッドエルフの遠距離武器を扱う能力のことは決して忘れてはなりません。ヴァレンウッドの併合地域を巡回する軍団の兵はすべて重装備にして、深い木々の中ではいかなる時も兜を着けているように命じるべきです。

また、ウッドエルフの大部分は彼らの王ナンサリオンに対する熱狂的な献身を示しています。彼は最大の懸念です。そのカリスマ的な統率力を通じて、複数のウッドエルフのクランをまとめ、ほぼ一夜にして新しい集落を形成しました。彼の評判だけでも新たな信奉者を引き寄せ、活動の規模がさらに拡大するかもしれません。これはさらなる調査を行い、森域の境界線に配属する軍団兵を増やすべき理由になります。

機会があれば、ナンサリオンは喜んで自らの根を肥沃なコロヴィアの地にねじ込み、ヴァシャバーの境界線を広げようとするでしょう。何があっても彼から目を離すべきではありません。

新たなご命令があるまで、監視を続行します。さらなるご指示を心からお待ちしています。

ヴァシャバーへの手紙Letter to Vashabar

ハルロア

ヴァシャバーでは、イフレに捨てられた帝国の地であるこちらよりもうまくいってるといいけど。こちらはもう3週間こんな調子で、古代のゴミと筋肉痛とかんしゃく以外にはほとんど何も残ってない。あのダークエルフが自分の偉業についてしゃべり立てるのを聞かなくてはいけない者は、頭痛もしてる。

失われた偉大な宝を約束されていたのにまったくの期待外れで、見つかったのはせいぜい古代のワイン瓶、水、血くらい。他の者たちは道具を捨ててここを去ろうとしてる。インペリアルの領域にいるけど、私たちがここを探検してることを知られたらよくは思われないと思う。それとダークエルフがいつも「あともう一部屋!」「あともう一室!」「この碑文を見てみろ」。まったく!

そして、まだ動く罠がある。何百年も前の罠くらい。最悪なことに、気をつけないと石にされる!通れない道や封印された入口がいくつかある。巨大な祭壇の裏にもありそうだけど、今のところ困り果ててる。うちのダークエルフなら入れるようにできるかもしれないけど、頼む気になれない。あいつは近くに寄らせない。像が動き出して奴の上に倒れるという「事故」が起きればいいのに。

こんな場所にも、ここの獣にも、「有名な著者であり冒険家」のナルシス・ドレンにもうんざり。あんな奴、ワイルドハントに襲われればいい!

子供たちによろしく。お母さんはあと数週間で帰ると伝えて。でも、回想者についてはヴァシャバーの誰にも伝えないこと。一言もね!

ブレディレル

ヴァレニアへの手紙Letter to Valenia

親愛なるヴァレニア

おお、お前と最後に会ってからどれだけ経つだろう!近づくことを考えただけで落ち着かない気分になるから、遠くから見守りながら勇気を奮い立たせている。どうか許してもらいたい。

だがついにお前はここに来た。どれだけこの日を待ち続けたことか!お前の家の西にある森で会おう。サプライズを一つ用意している。とてもとても長い時間をかけて準備してきたものだ。

俺が何者かって?当ててみてくれ。そのことは後で笑えばいい。一緒に。

旧友

ヴァレンウッドとその先のヴァシャバーVashabar In Valenwood and Beyond

ウィルダーホールの学者、メルボラ 著

紡ぎ手へ。要請通りこちらのメモを用意しました。私たちのクランの歴史は何本も巻物を書けるほどなので、できるだけ簡単にまとめています。

ヴァシャバーの村はわずか数ヶ月前に築かれたばかりですが、私たちのクランの歴史はアイレイド帝国の滅亡後、アレッシア帝国の崩壊前にまでさかのぼります。それほど昔にヴァレンウッドへ移住したのに、親族がバラバラになっていないことには少し驚かされます。常に小さな共同体ではあったものの、歴史の道が血に流れているのがわかります。

初期の共同体において特に重要なメンバーの多くはハートランド・エルフの離散に関わっていましたが、そうした元征服者の多くはグリーンパクトの教えを取り入れました。

森を形作る技術を極める緑の代弁者の伝統は、第二紀初頭に始まりました。私たちと同族であるネドリルの先人が、(後に)ヴァレンウッド全土におけるさやの家の進展につながる技術を開発したのです。

後に暁の道の動きにつながるドーンウォークの伝統は比較的最近の発展ですが、その根は私たちのアイレイドの先人にあります。ナンサリオン王はその動きを順応させ、私たちの共同体へ明確に焦点を合わせ始めました。緑がストリッド川を越えて戻る道を見せた時、私たちには行動する準備が整っていたのです。

新しい森は、まるで私たちがアイレイドの先人の遺産を取り返すため特別に育てられたようでした。私たちは荷物をまとめ、ナンサリオン王に従ってこの神聖な場所へ移動し、緑の代弁者は仕事を始めました。ヴァシャバーの最初の蔓が育ったのは、それから間もなくのことでした。

ヴァレンによる軍の召集Varen’s Call to Arms

尊敬すべきウェザーレア家の諸君

皇帝と呼ばれる、我らが冒涜者レオヴィックはやりすぎた。デイドラ信仰の合法化は独裁者による言語道断の所業で、誇り高きコロヴィア人なら誰も従うはずがない。

コロール公ヴァレン・アクィラリオスが、皇帝に対する進軍にコロヴィアの地の壮健な戦士もぜひ加わってほしいと懇願している。

心に炎、血に忠誠があるなら、ブルーマで我らの拡大しつつある解放軍に参加してほしい。

コロヴィアのために戦おう。名誉のために戦おう。帝国に栄光を回復するのだ。

ヴァレンの反乱の物語、パート1Saga of Varen’s Rebellion, Part 1

ヴァレンの出陣
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
石の壁に囲まれた砦に座した
とりまく世界を憂いながら

彼はルビーの玉座に仕えた
全身全霊をかけて
戦いの時も平穏な時も
忠誠は揺るがなかった

けれど今、心は乱れている
田園地帯の黒い染みによって
玉座を手に入れた皇帝
モリカルの息子、帝国のドラゴン、レオヴィックが
土地と民を脅かしたから

レオヴィックの先祖、北のリーチの民が
ルビーの玉座を手中にし
その民を従わせた
彼の意志と欲望と
馴染まぬやり方に

レオヴィックが崇めたのは
もっとも闇深きデイドラ
ハーシーン、ナミラ
そして誰あろう
破壊のデイドラ公メエルーンズ・デイゴン

ヴァレンはこれをすべて見た
惑わされし同胞を見た
卑劣な力によって
皇帝の布告によって
闇がその地を獲得した

けれど玉座に忠実な彼は
レオヴィックを誠実に支援した
帝国の残酷なやり方と
彼の野蛮な信仰にも関わらず

ヴァレンはアブナー・サルンに知恵を求めた
元老院で誰よりも賢き者
ルビーの玉座に仕える高官
政に鋭き目を持つクリビアの父

アブナーは言った
「そなたの忠誠は玉座のもの
そなたが賞賛されるべきもの
けれどもその忠誠心は
玉座に座る者にまで及ぶのか?」

高官の言葉を熟慮したヴァレンは
邪悪な習慣を目にした
自らの地にいるデイドラ公たち
彼らがそれを続けたら
民の魂は救われぬ

ヴァレン・アクィラリオス
コロールの公爵、クヴァッチの伯爵
城から立ち上がり
角笛を鳴らすと
民を戦へと導いた

ヴァレンの反乱の物語、パート2Saga of Varen’s Rebellion, Part 2

ヴァレンの敗北
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災いは
自らの陣に座った
喪失に思い悩みながら

ヴァレンは民に呼び掛けた
民は応え、蜂起した
皇帝の軍に抗い、
彼の憎むデイドラに抗った

彼の民は素早く建てた
彼の国境を巡る壁を
クヴァッチとコロールを封鎖した
残虐な帝国を入れぬために

ゴールドコーストの戦士たち
屈強な第二軍団が
彼の呼びかけに応じ
帝国のドラゴンとの戦いに旅立った

ヴァレンはクヴァッチの家を委ねた
甥カロラスに、守るようにと
ジャロス・トラプターに求めた
急ぎ民の壁を作るようにと

けれど皇帝には強き力があり
答えとして自らの軍を送り出した
ルビーの玉座に忠実な軍団と
北方の凄まじき戦士たちを
反乱を撃滅するために

二つの軍が峙した
コロスと帝都の間、アッシュ砦で
双方の力は互角だった
一日中戦い続けた
黄昏が深くなるまで

そして皇帝が打撃をもたらす
この世のものならぬ味方をもって
邪悪な魔法を繰るオブリビオンのデイドラ
その主たち、デイドラ公より送られし者

ハーシーンの召使たち、ナミラ、
そして誰よりもメエルーンズ・デイゴンが
ヴァレンの軍の側面に現れ
混乱の中、反乱軍を押し戻した

不意をつかれ、襲撃され、裏切られた
ヴァレンは退却を命じた
その後、皇帝の軍勢が
略奪と勝利の祝宴に立ち止まる間
ヴァレンは癒し、作戦を練り、立て直した

今、ヴァレンは焚火の傍に座る
血にまみれ、打ちひしがれ
敗走し、落胆した彼の部隊は
次の動きを注意深く考えた

その時、現れしはアブナー・サルン
ルビーの玉座に仕えた元老院の長
クリビアの父、政の道に長けた者が
公爵のために知らせを携えて

レヤウィンは解放された
コロールの帝国軍は反旗を翻した
彼らは元公爵のもとに参じるだろう
戦いの場に加わるだろう
戦い続けると約するなら

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの反逆者、皇帝の災い
焚火の傍らで立ち上がり
剣を身に着け、盾を掲げた
そして再びレオヴィックとの戦に挑む

ヴァレンの反乱の物語、パート3Saga of Varen’s Rebellion, Part 3

ヴァレンの勝利
摂政クリビア・サルンの詩人、キャスカ隊長 著

ヴァレン・アクィラリオス
コロヴィアの英雄、シロディールの皇帝
ルビーの玉座に座した
自らの運命を憂いながら

アッシュ砦での大敗の後、
他の反乱軍の増援を得て
ヴァレンの軍は北のブルーマを占拠した
そこから反乱は広がった
帝国のあらゆる果てまで

反乱軍はこの上なく果敢に戦った
敵がリーチでもデイドラでも
裏切者でも襲撃者でも
帝都の壁そのものに向けて

彼らはその壁を破った
通りから通りへ
家から家へと戦った
帝都に向けて

そこでヴァレンはレオヴィックを殺めた
ルビーの玉座の足元で
剣をドラゴンの胸に突き立てた
玉座にロングハウスの血をまき散らして

その後ヴァレンがルビーの玉座に就いた
彼の全軍に称賛され
彼らはデイドラ公の力を打ち破り
シロディールの民は歓喜した

だがヴァレン・アクィラリオスは苦しんだ
玉座には座したものの
ドラゴンの血族ではなかったからだ
これまで玉座に座した者のように

「私は偽の王か?」彼は問うた
「この大いなる恵みに見合う者か?」
「私は力で玉座を得た。権利ではなく」
「私は使命にふさわしき者か?」

するとアブナー・サルンが現れた
ルビーの玉座に仕えし元老院の長
クリビアの父、政の道に長けし者
帝国の王にかくのごとき述べた

「そなたがドラゴンボーンではないのは確かだ」
「だが正す術を知っている」
「マニマルコという魔術師を知っている」
「そなたが知るべき秘密を持つ者だ」

「遺物がある。それは王者のアミュレット」
「偉大なる力と知恵に満ちている」
「これが我らの世界を守る、ドラゴンファイアを復元しよう」
「そしてそなたを、この地の正当な支配者とするだろう」

ヴァレン・アクィラリオス
シロディールの王、民に愛されし者
ルビーの玉座を離れた
忠実な友を呼び集め
最後の探求を始めるために

ウィールドへの警告Warning to the Weald


ウェストウィールドを占拠している者たちへ

昔、お前たちの先人はこの地をサリアチェ、すなわちお前たちがアイレイドまたはハートランド・エルフと呼ぶ人々から盗んだ。お前たちは我々の都市の遺跡に無断で居座っている。かつて生い茂っていた森を掘り起こしている。

それをすべて取り返しにきた。

今のうちに所持品を集めて立ち去れ。お前たちの先人がしたことの責任は問わないし、危害を加えたくもない。しかし逆らい、先人が盗んだものを手放さないようなら、古代の罪を続けることになる。その場合、我々は素早く、容赦なく裁きを下すだろう。

回想者

ウェストウィールドのワインWines of West Weald

ワイン通によるウェストウィールドとコロヴィア台地のビンテージガイド オリウス・ヘルタノ 著

シロディールに住むインペリアルが好むものが一つあるとすれば、それはワインだ。そして、最高のワインはウェストウィールドのコロヴィア台地地域で生産される。ブドウ栽培に適したさまざまな環境に恵まれたこの地域は、長く暖かい夏、雨の多い安定した冬、そして肥沃なローム質でやや酸性の土壌で知られている。これにより、この地域ではジャズベイ、スリリー、ピノ、アレグランと、各品種の上質なブドウを豊富に生産している。

ウェストウィールドの高品質なワインは大部分が濃厚な赤だが、この地域、特にゴールドコーストに近い台地の西部では風味豊かな白ワインも生産している。この地域は強い花と果実の香りを持ち、高く評価されているマスカットで有名だ。

ハンマーフェルとの国境に近い台地にあるバトルホーン地域のブドウ園は、シロディールで見られる最上級の濃厚な赤ワインを生産している。樫の樽でワインを熟成させる習慣によりほのかな風味が加わった力強いフルボディのワインは、何世代にもわたって数多くの貴族の食卓で供されてきた。バトルホーン地域に広がる大規模なブドウ園は彼らの素晴らしいブドウの栽培と収穫のために帝国各地の労働者たちを迎え入れてきた。

スキングラード周辺のブドウ園は、厳密にいうと台地の一部ではないが、最上級のウェストウィールドビンテージ生産に貢献している。この地域には幅広いインペリアル市民が定住し、またレッドガード、スカイリム、ブラック・マーシュの移民もここに拠点を置いている。彼らは独自の技術とレシピを加え、調和させている。スキングラードのワインはラベンダー、蓮、コーンベリー、ジンジャーをブドウ園に取り入れ、そこで育つブドウに新たな次元を加えることによる恩恵を受けている。

ほとんどのワイナリーが生産するワインは並外れているとはいえ伝統的な赤と白だが、ヴァレンテ家の商品には発泡赤ワインが含まれている。彼らは二次発酵の工程を利用し、食事の開始時やデザートと共に供されるに最適な、軽く晴れやかなワインを生産している。この極めて人気の高い品は、タムリエルの遠く離れた地の商人たちさえも引き付けている。

最後に、各地のワイン好きにこの地を知らしめたウェストウィールドのワロップについて述べなければなるまい。ワロップはやや出来の良くないワインとごくわずかなビンテージの混合飲料だ。このワロップ(強打)という名の由来となる高い糖分とアルコール分で知られている。他のワイン生産地にもそれぞれ同様の品があるが、それらはウェストウィールドで生産されたかなり出来の悪い品にも及ばない。すばらしいテーブルワインで、しばしばポートワインとして糖分や香料を入れて温めて提供されるか、蒸留してまずまずのブランデーが作られる。

ウェストウィールドへの旅の案内Traveler’s Guide to West Weald

帝国書記、ベラゴン 著

第二紀556年、私はモリカル皇帝の依頼を受け、帝国西方の地を訪ねたいと望む旅人のため、行路を記録することになった。旧コロヴィアとゴールドロード、ウェストウィールドである。これは私にとって願ってもない任務だ。冒険者時代からスキングラードに住んでおり、こうした地域のことはよく知っているからである。

帝国西部の旅は西方で最大の街スキングラードから始まる。「旧コロヴィアの宝石」は活気あふれる商業の中心地であり、高い壁と丈夫な門に守られている。その防備を越えれば、スキングラードは古い路地や清潔な石の庭、貴族の高級別荘の街としての姿を現す。この街の至宝は知恵の神に捧げられた壮大な聖堂、ジュリアノス大礼拝堂である。

礼拝堂地区から街の中心部を通って南西に向かえば、旅の祠地区に素晴らしい宿屋、豊饒の休息所がある。スキングラードの西地区をさらに進むと、タムリエル中から旅商人が品物を売りに来る交易商の宮廷を通り過ぎる。ゴールドゲートに向かう途中、少し立ち止まって、戦士ギルドホール前に立つ素敵なキナレス像に挨拶しよう。スキングラードの人々はその敬虔な態度で知られているのだ。

スキングラードは帝国西部の旅の始まりにすぎない。ここはアンヴィル、ゴールドコーストの海上貿易との生命線である、有名なゴールドロードの中間点である。街道はストリッド川の谷間に沿って西へ向かい、美しいブドウ園や果樹園、森林地帯を通り、オストゥミルなどの魅力的な街も通って続いている。

ゴールドロードをアンヴィルまで進むことも容易だが、それはまた別の旅行記で扱おう。オストゥミルの西に行けば、丘陵へ続く道に出会うだろう。その道を北へ進み、寂しい農場シャルドロックや謎めいたアイレイドの遺跡セヨンドを通り過ぎる。この地域では道を離れないように気をつけよう。ここの森はウェストウィールドの大きな黒熊の住処なのだ。

フェルダガルド砦の大きな城塞よりも高く登れば、オストゥミルからの道は古代からの台地街道に合流する。左に曲がってこの古い道を進み、コロヴィア台地の西部に足を踏み入れよう。ハストレル洞窟の中に入れば、古い第一帝国の監視塔跡がその絵画のような姿を見せてくれる。さらに西へ進めば、街道は古風な街サッチと、その近くにあるアイレイド遺跡ニルヤステアへと行き着く。私はこの場所の危険性を個人的に体験しているので、ここは安全な距離から眺めるだけに留め、元来た道を戻ることを強く勧める。

再び街道を東に進むと、遠からず旧コロヴィアの中心部、コロヴィア台地に行き着く。ここには交易都市レフトウィールがブレナ川の先端部分に座している。ハンマーフェルとシロディール間の交易の大半は、ゴールドコーストを経由して海で行われるが、リハドからレフトウィールを結ぶ古い陸路は今でも重要だ。レフトウィールから、台地街道は丘陵地帯を通って進み、繁栄する街オンタスへ向かう。現在では多くのレッドガードの植民者がこの地域を故郷としており、ハンマーフェルにおける生活の味わいを、ささやかながら帝国西部にもたらしている。

オンタスで南東に方向転換しよう。ここからはかつてレマン皇帝たちの狩場だった帝国保護区の緑豊かな丘と平原を行く下り道だ。ここの土地は昔、皇帝のみが利用を許されていたが、今では誰もが自由に狩ってよいことになっている。この地域の北端に立っているのはウェザーレアの屋敷、コロヴィア式の貴族邸宅を代表する見事な邸宅だ。さらに東へ進むと、北へと続く道に合流する。ここで少し寄り道をすれば印象的な遺跡エレングリンに行ける。これもかつてこの地を支配していた、今では滅びて久しいアイレイドの名残だ。エレングリンから南の自然の中に迷い込まないように注意しよう。ここの丘や小谷には好戦的なゴブリン部族が住んでいる。

もうひと頑張りして道を進めば、北からスキングラードに戻ってくることができる。台地街道を通って街に向かう間は、ゴールドロードと同じように、ブドウ園や農地、田舎の屋敷が集まった広大かつ豊穣な一帯を見ることができるだろう。北の礼拝堂門からスキングラードに入ろう。ウェストウィールド横断の旅は始まりの地、ジュリアノス大礼拝堂の足元で完結する。

よい旅を!

ウェンディル発掘現場からの報告Report From the Wendir Dig

宛先:回想者の番人、ブレゴリン
差出人:探検隊連絡担当、グウィンデソー

ブレゴリン様

ウェンディルでの作業の進みが緩やかなことをご報告します。遺跡の周辺にはミノタウロスが住んでおり、私たちがいることを快く思っていません。地下の通路にも入り込んでおり、私たちが把握している以外にも入口がある可能性を示唆しています。

今のところ最後の王の紋章など、アイレイドの遺物があることを示すものは見つかっていません。発見物の大多数が古いワインの捨てられた瓶、聖水、血などです。無秩序に広がった構造で、閉ざされているか門が封印されていて、進めない場所が複数あります。さらに、探索者へ襲いかかる像もあって難航しています。危険な罠が数百年経った今でも機能しています。特に、そうした罠の多くは石化ガスを放出し、標的は動けなくなって硬化した様子になり、まるで石に変えられたかのようです。

最後に、私どもの「専門家」にも大きな問題が起きています。彼は専門知識があるようですが、周囲の者への態度には我慢ならないものがあるのです。仲間のウッドエルフをくだらない自分の偉業話で退屈させるかと思えば、発掘されたどこかの像、碑文、壊れた陶器の欠片にうっとりするなど、率直に言ってまったく信用できず、貴重な小物などを自分用に盗みかねません。

どうかあの専門家をこの探検隊から外すか、命の枝から取り除くかして、即座に処分いただくようお願いします。彼は私の神経に障ります。自分の上品さと知識でどれほど感心させたかとこれ以上口にするようなら、自分で井戸に投げ込んでやることでしょう。

常に記憶を
グウィンデソー

ウッドエルフの愛称と別名Wood Elf Nicknames and Bynames

発明家テレンジャー 著

少しでもボズマーたちと過ごせば、彼らが決して本名では呼び合わないことに気づくだろう。誰もが呼び名かあだ名を持ち、他の者はそれを記憶している。これには困惑することもある。宿屋の場所を聞いてみたら、以下のような返事が得られるだろう。「長耳の家を過ぎたところだよ!」あるいは「鳥の巣がそっちに向かってる。彼女が案内するよ」

当初、これらの愛称は単なるウッドエルフのユーモアの新たな一例だと思っていた。やはり言葉遊びで笑ったり喜んだりする人々は、自然と友達や隣人のあだ名に興味深い言葉を作り出したりするものだからと。しかし何度かヴァレンウッドに滞在するうち、ボズマーの愛称の付け方には、一見してわかるもの以上の何かがあることに気づいた。

まず、愛称は実用的だ。ほとんどのウッドエルフが名字を使わないため、愛称は自分が言及している人物の識別に役立つ。同じ村に二人のギルダンがいる場合、大声のギルダンとエール好きのギルダン、または幸運なギルダンとスキーヴァー顔のギルダン、あるいはのっぽのギルダンとちびのギルダンを見つけることになるだろう。(しばしば背の高いほうが「ちび」のようにあべこべになっており、彼らを知る人々の尽きることがない楽しみとなっている)

第二に、愛称と別名が存在する。愛称は気軽に与えられ、気軽に使われる。「幸運」や「泥足」はどのウッドエルフの村でも見つけることができる。片や別名は名声の(場合によっては悪名の)印だ。別名は、その呼称を持つ者の偉大なる功績や稀に見る技能などを反映している。つまり、あるボズマーについて別名だけで言及することができ、それによってどのウッドエルフも誰の話をしているかわかるのである。私は、「長い槍」と呼ばれる偉大な戦士や、「鋭い矢」と呼ばれる射手、「歌ぐみ」として知られる天才吟遊詩人、「黄金の樽」と呼ばれる愛される醸造家のことを耳にした。

最後に、愛称のもっとも重要な規則を記そう。自分の愛称を選ぶことはできない。名を授けるにはクランによって尊敬されている者、賢明な指導者、熟練の戦士、才能ある語り部などが必要なのだ。ご注意を。ウッドエルフはふさわしい愛称を避けようとする者や、お世辞の別名を受け入れることで自らを高めようとする者を嘲笑する。それは誰も憧れない種類の名声だ。

ウリエル・ウェザーレアへの記念碑Memorial to Uriel Weatherleah

献身的な息子にして、
栄誉ある戦士の想い出、ここに眠る。

もう家には帰らなくても、
あなたを愛する人々が、
あなたの名で記念碑を建てることを望みました。

あなたという輝きが失われた
悲しみは消えないけれど、
想い出は私たちと生き続けます。

ウルブレン・アフアンデルUlbren af-Ander

オンタスの街の
立派な治安官

愛された父

熱にやられても

大好きなことをしながら死んだ

彼の死は皆が悼むだろう

ウルブレン治安官のメモConstable Ulbren’s Notebook

今日もオンタスらしい一日だ。カーヴァイン牧場とラザリー採石場における生産量の増加は目を見張るものがある。牧場の監督官と採石場の主任が労働者に何を与えてるのか知らないが、最近していることは間違いなく実を結んでいる。

街の治癒師、ネヴァマはまた労働者が消耗性の熱にかかったと報告している。ストレスか?働きすぎか?随時報告するよう頼んでおいた。

* * *
ストーンチップで喧嘩を止めた。ばくち打ちが結果を巡って争っていた。グラクグがおおごとにされるのを嫌がったので、争ってる連中には警告だけしてそれぞれ帰らせた。

労働者がさらに3人、治癒師が疲労熱と呼んでいるものにかかった。牧場の2人と採石場の1人だ。極度の疲労が原因らしい。監督官や採石場の主任と、作業ペースを今より少し落とすなど、話してみたほうがよさそうだ。

* * *
治癒師から謎の病気の影響についておおまかに報告してもらった。それにかかった者は極度に疲労し、弱って動けなくなる。ひどい熱が出て、体が焼ける中で妄想に取り憑かれる。病気が進行すると深い眠りに落ち、そうなると彼女はもう患者を起こせない。それも、前回検査した時までは極めて頑強で健康だった労働者がだ。実に奇妙だ。

* * *
最初に病気になった労働者4人が今日死んだ。2人は牧場で、2人は採石場で働いていた。治癒師はまだ原因を特定できていないが、牧場にも採石場にも影響が出ていない様子なのを懸念している。今のところこれらの場所の労働者以外は、この疲労熱にかかっていない。

* * *
今日は巡回で牧場と採石場を訪れた。疲労熱で労働力が3分の1減ったのに、どちらも忙しく繁盛しているようだった。ゲルウ・ヴァシュリーフのじいさんがあれほど大きな石の箱を持ち上げたり、あれほど速く動くのは初めて見た。それに牧場のダレン・フォースターはスキングラードの市場行きの荷車にずいぶんと素早く積み込んでいて、異様なほどの光景だった。

* * *
疲労熱での死者が増えた。治癒師の説明によれば、熱は最終的にけいれんを起こし、患者は口から泡を吹いて、その後死に至るという。ゲルウとダレンもあの病気にかかったそうだ。どうにかして皆を助けられるといいが。

* * *
治癒師ネヴァマから、疲労熱について何か重要なことがわかったという手紙を受け取った。これから会いにいく。

* * *
到着すると、治癒師は床に倒れ、けいれんを起こして口から泡を吹いていた。彼女は私の腕の中で死んだ。疲労熱による死者で、牧場にも採石場にも直接関係がないのはこれが初めてだ。治癒師の記録が見当たらない。これはただの病気でなく、犯罪の匂いがしてきた。彼女が口封じをされる前に何を教えようとしていたのか、突き止めなくてはならない。

* * *
ストーンチップで牧場の監督官メラーク、採石場の主任ラウリナ、グラクグと話す約束をした。その後はカーヴァイン男爵とレディ・ラザリーに、生産性を向上させた方法と、それが疲労熱と関連する可能性について聞く予定だ。誰かがこの病気を起こし、治癒師を含むこれだけの死者を出したのなら、裁きを受けさせるつもりだ。

ウルラス軍団兵の報告Legionary Ulrath’s Report

軍団の上級指揮官殿、あるいは誰であれ、これを見つけた士官殿

ウルラス軍団兵は、ダートリウス隊長の巡回部隊で生き残った最後の兵士としてこの言葉を記している。我々は数に勝るデイドラの勢力と戦い、善戦したが、最終的に残ったのは俺だけだ。いや、俺と隊長だが、あの女に呪いあれ!

我々はハストレル砦付近を巡回していたが、その時デイドラによる奇襲を受けた。隊長が俺の進言に従って巡回前に斥候を派遣していたら、この罠をもっと早く見つけていたかもしれない。しかしそうはならなかったため、巡回部隊全体が不意を突かれ、行動を取る余裕がなかった。

この時点で我々は隊長に命令を求めたが、彼女は狼狽していた。命令が来なかったので、俺が指揮を受け持ち、部隊の者たちに近くの砦へ向かうよう命令を出した。ダートリウス隊長は混乱から立ち直り、俺の命令を撤回させ、敵に真っ向から突撃せよと部隊に伝えた。兵がそれに従う中、隊長は自分の騎乗動物に乗って脱出を試みた。自分が退却するために、兵たちを利用したのだ。

認めるが、ここで俺は本能的に、怒りに任せて行動した。俺は隊長に駆け寄り、軽く殴りつけて彼女を騎乗動物から叩き落とした。それから俺は部隊の者に加わり、敵と戦いながら砦まで走って退却せよと呼びかけた。

軍団兵たちは一人残らず、全身全霊を込めて戦ったことを証言しておく。俺が見ている中、周囲の兵は一人ずつ倒れていったが、それでも敵は彼らが一筋縄ではいかないことを理解した。我々のうち数人がついに砦へたどり着き、残ったデイドラを追い払うことに成功したが、生き残った軍団兵の誰も無傷ではなかった。遠からず全員が傷に倒れた。俺以外の全員だ。

俺の報告を読み、俺の行動が適切だったか、あるいは間違っていたかはそちらで判断してもらいたい。俺は自分が義務を果たしたことを知っている。俺は自分が部隊を守るために戦ったこと、ダートリウス隊長の恐怖と臆病が巡回部隊を死なせたことを知っている。

士官殿がどのように判断しようと、俺の心は変わらない。今となってはどうでもいいことだ。一兵卒の言葉に隊長の言葉ほどの重みがないことは知っている。だが軍団兵の誓いにかけて、俺がここに記したすべてのことは真実だ。

エヴァノア・ハークリンEvanoa Harklin

最高の採石屋

激務を拒むことがなかった

つるはしはオンタスで最速だった

あんな熱のせいで早すぎる死を迎えた

友人、家族とともに
ストリッド川ほど長い借金の帳簿も
ストーンチップ賭博場に残していく

エドリックの自白Edric’s Confession

私たちの親愛なるレディ・ウェザーレアを殺したのは、この私、忠実なる料理人のエドリックです。彼女は優しきペレナ・ウェザーレアとお茶をともにする計画を立てていました。しかし私はレディのお気に入りのブレンド、ジンジャーとハイビスカスを邪悪な毒で汚染してしまったのです。

私は同じ毒を飲み、この手紙を書いています。偽者が私たちの親愛なる故人、ウリエルをもてあそぶ姿を見るわけにはいかないからです。あのはぐれ者に呪いあれ。

彼女のあらゆる要求に愛を注いできましたが、レディ・ウェザーレアは私のことを卑しい召使としか見てはくださいませんでした。今、私は大きく暗く、冷たいあの世で彼女と再会します。

エンデミルの日記Endemir’s Journal Entry

9日目

ジャングルのこの部分を探検するのに、なんとも奇妙な時期を選んだものだ。面白い植物や野生動物を記録したいと考えていたが、こんなものを見ることになるとは想像もしなかった。あっという間の出来事だった。肌がゾクッとして、首の後ろの毛が逆立ったと思ったら、いきなり空中で巨大な爆発が起こり、上空に大きなポータルが現れた。最初は幻覚でも見ているのかと思った。何が起きているのか調べたいが、ここの空気は今、危険になったと感じている。見つからないように行動しなければ。

10日目

ジャングルは密集していて重苦しく、姿を見られずに観察するには好都合だ。だが運もよかった。私の周囲で奇妙な獣たちが続々と集団で現れているからだ。大半はドレモラだが、見たことのないものもいる。ガラスで出来た恐ろしい怪物だ。奴らは何をしているんだ?なぜここにいる?まだそれはわかっていない。

色々な木や根の間に滑り込んだが、奇妙な黄金の球体が空を飛び上がっていくのを見た――私が見た限り球体は3つで、それぞれが異なる方向に飛んでいる。球体は空を舞う魔力の奔流を背後に残していく。不思議な美しさがあり、恐ろしいほど惹きつけられる。どうしても追いかけてみたい。あの球体の進む先に何か答えが見つかるかもしれない。

11日目

黄金の球体の1つを追ってジャングルの奥深くまで進んだが、そろそろ目的地が近いはずだ。戦いの咆哮が聞こえるが――軍団の者たちだろうか?それに違う言語で何かを詠唱している声も聞こえる。何を言っているのかはわからないが、どうせろくなことではないだろう。騒ぎが収まるまでここに隠れて、それから接近しよう。軍団がここに来ているのなら、何が起きているのか彼らが知っているかもしれない。

戦いはほぼ一日中続いたが、ようやく終わったようだ。かなり待ってから近づいたが、時間をかけすぎたかもしれない。ここにはもう、ジャングルの地面に戦いの傷跡が残されているだけだ。ここに来ていたのが軍団だったのは間違いない。倒れた者たちが安らかに眠れますように。

しかし多少の情報は手に入れた。私をここに導いた黄金の球体は消えてしまった。それに加えて、空のポータルも変化した。うまく説明できないが、あのポータルには何かが加わっている。ポータル周辺の魔力が強化されているかのようだ。

12日目

この一帯には他にも軍団がいるらしい。そして彼らは別の黄金の球体を追ったに違いない。今空を飛びまわっているのは1つだけだが、最初の球体が消えた後と同じように、2つ目の球体が消えた後にも空のポータルは大きくなった。今ポータルは凄まじい大きさで、見ていると圧倒される。圧倒されるし、恐ろしい。

13日目

何かが起きつつある。これ以上ここにいるのはまずいかもしれない。最後の黄金の球体が空から消え、空のポータルは成長し、変化し、生命を得ている。一体何が起きているんだ?生命の危機を感じる。私の周り中で地面が揺れている。何かがポータルから落ちてきた。何か巨大なものがある。

もうここにはいたくない。脱出しなければ。無関係なことに首を突っ込むなんて、私は何を考えていたんだ?もう行かな

ガイアの手紙Gaea’s Letter

ガルトゥス

お前の力になってやる。深夜の会話を聞き逃したようだから、話の内容を少し教えてやろう。我々狩人の給料がいいことは知っているだろう。それはジェーンタンの計画のためだ。我々は一般の住民が彼らの脅威となる獣を始末するのを助けるために来ている。今回のように、まず住民へ自分たちが危険にさらされていることをわからせるのが仕事の場合もある。

お前の役目はジェーンタンの話を聞き、何でもいいからやれる仕事をやり、彼に意見しないこと。それだけだ。お前と金貨を隔てている唯一の問題は、お前がジェーンタンを信用できていないことだ。ジェーンタンはお前が癇癪を起してから、お前を野営地から追い出そうとした。だが俺は一晩じっくり考えてみたほうがいいと彼に言ったんだ。明日になれば、お前も野営地に来たゴブリンどもを殺す仕事ができるかもしれない。

それでもまだこの仕事が正しくないと思うなら、朝が来る前に出て行け。ゴブリンが危険なことに変わりはないし、この仕事が終わった後、お前の死体を見つける羽目になるのは嫌だからな。

ガイア・ラウゾン

カヴォット・アグナンの突破Cavot Agnan’s Breakthrough

うまくいけば、これはカヴォット・アグナンがルーセント・クリスタルを使ってアンデッド軍団を蘇らせるのに成功した、最初の呪文使いであることの公式記録になる。だが先走るのはよそう。

他の漁り屋たちは砂をかき回し、ゾリンのためにアルケインの結び目が偶然見つかることを期待しているが、私はもう少し有益に時間を使いたい。アルケインの結び目を入手するためのこれまでの試みがすべて失敗したのは、数の優位が欠けていたせいだ。ファーグレイブの砂の中に要塞が丸ごと埋まっているのだ。見た者がほとんどおらず、説明できる者はさらに少ないような物体をうまく探せる者などいるはずがない。

私は魔術と、死者の軍団を召喚する能力を利用する。要塞全体を一日で破壊し、作り直せるほどの大軍団だ。ここで死んだ者の骸骨から軍団を築き上げる。唯一の問題は、現在の私にそれだけの数のしもべを支配する力がないということだ。だがこの問題は見事に解決できたと思う。ここはルーセント要塞だ。ルーセントは力を貯蔵するために用いられる。死霊術はマジカを用いるが、これもまた力の一種だ。つまり、この要塞に散りばめられているクリスタルを私の呪文の中継点にしてしまい、これから集める軍団の力の代替として利用するのだ。

これは優れた計画であり、私はとても満足している。唯一の問題は、ルーセントが死霊術の力を備蓄するのに適しているのかどうか確信がない点だ。自分の魔力で何種類かのクリスタルを満たしてみたが、奇妙な反応が返ってきた。クリスタルは私が中に閉じ込めようとする魂を解放し、力を反射して部屋の中にエセリアルの力のポケットを作った。いくつかのルーセントは適切に動作したので、実験は継続し、死霊術の力の計画にない発露に注意していきたい。

ガリオ・ヴァレンテ卿の日記Lord Gallio Valente’s Journal

なぜあの女との結婚に同意した?ああ、彼女はすばらしい持参金を持ってくるし、金があれば助かるのは確かだが、うっとうしいほどに好奇心が強く、この結婚で本当のパートナーになりたがっている!これは私の望むやり方じゃない。

* * *
吸血鬼として、最初の数週間はかなり困難だったが、自らの運命を支配し、新たな状態を最大限に活用してやると決意するまでにそう長くはかからなかった。ボグヴィルのクランから不満を持つ者を集めて、私自身の結社を作るのは簡単だった。彼らのほとんどはあの押しの強い吸血鬼を憎んでいる!それでも、私はあれをボグヴィルに手渡さなければならない。彼はあの古い巻物で見つけたレシピで金鉱を掘り当てた。彼は血に飢えた吸血鬼だが、残念ながら同等といえるほどの錬金術師ではない。一方、私はとても腕のいい錬金術師だ。

* * *
故郷の錬金術研究室に戻った。試験はことのほかうまくいきそうだ。確かに最初の被験者の何人かは狂血鬼になってしまったが、卵を割らずにオムレツを作ることはできない。もちろん、父は私に起きたことを突き止め、悲しみと怒りで半狂乱になった。それについては何かする必要があるだろう。彼は長く生きたから、それを慈悲だと考えよう。

* * *
ついに私の発想が結果になった。吸血鬼は、吸血鬼の血の中で育つキノコから作った霊薬を直接摂取すると恩恵を得るまで生き延びられないが、霊薬が仲介者を通じてろ過されていれば、有害な効果を受けることなく力を享受できる。キノコで強化した土壌で種から育て、錬金術的に下処理したブドウで発酵させたワインの溶液に霊薬を浮かべれば、非吸血鬼が飲めるワインになる。これにより我々はワインで強化された非吸血鬼を糧とすることが可能になり、その結果霊薬の恩恵を得ることができるのだ。ワインが入った器を完全に消費する必要があるという事実は残念だが、容認はできる。そしてブドウが放つ香りは吸血鬼をひどく空腹にする。少なくとも私の新たなクランの2人は私の指示を無視し、最初の収穫の一握りを摂取した。彼らはひどい死に方をした。

* * *
私はこれをヴェスパー・ヴァレンテと呼んでいる!完璧なビンテージだ!近隣の吸血鬼結社の指導者たちを招待して、ワインに入札してもらおう。一財産作るんだ。ブドウ園の経営を継続でき、捨てるまでの間妻を喜ばせ、我が遺産を無傷で保てるだけの財産を。

もちろん、私が手に入れた定命の器と犠牲を通じて。

グリーンパクトに関する恐ろしい真実The Awful Truth About the Green Pact

エンゾ・モラード 著

ウッドエルフが信じる「グリーンパクト」なるものに関して最近明らかになったことほど、私を体の芯まで震わせたものはない。この恐ろしい慣習は、私たちが信じ込まされていた平和的で木を愛する暮らし方ではないのだ。

これは共食いだ。

わかっている。衝撃的だ。だが真実なのだ。ウッドエルフが野菜を栽培せず、食べもしないのは周知されている。では何を食べるのか?肉だ。それも大量に。

そしてその肉はどこから来ているのだろうか?

一部のウッドエルフの擁護者は、狩りだ、家畜を飼っているのだと言う。しかし私は真実を知っている。彼らは死んだ敵の肉で腹を満たすのだ。時には味方を食べることもある。

そもそも、ウッドエルフが狩りの達人になる理由が他にあろうか?鹿と野生の猪を捕まえるのはそれほど難しくない。最も難しい獲物は人間とエルフなのだ。

これは、グリーンパクトにささいな過ちに対しても厳しい罰がある理由でもある。ウッドエルフがいる前で花を踏めば、すぐさま裁きにかけられて夕食にされる。戦場の敵が足りなくなれば、どんな手を使ってでも食料を入手する。

こうした極悪非道な行動はウッドエルフに関するごく初期の神話までさかのぼる。そう、恐ろしい神イフレはエルフ間の共食いを祝福した。彼らの信仰の逸脱は、崇拝しているはずの根より深いのだ。

ウッドエルフの集落で家族が囲む食卓はどんなものなのか、想像するのも恐ろしい。

読者はぜひ、安全のためにも、ウッドエルフの集落があるとされる森には近づかないでほしい。彼らの弦が届かない、馴染みのある土の小道と敷石の道路から外れてはいけない。

彼らはいつも簡単に食べられるものを探しており、孤独な旅人は特においしいのだ。

グリーンパクトに関する真実The Truth About the Green Pact

スキングラードの学者スルーズガブ 著

ボズマー文化を外から見る者にとって、グリーンパクトは長く好奇心をそそるものだった。ウッドエルフを歌と森の神イフレと結ぶ謎めいた契約である。その命令を通じ、ボズマーは自分たちが住む森に適応し、一体化して「緑」と自分たちの間で相互に利益のある関係を築いた。

その影響に害はないが、ウッドエルフが悪い子を食べる物語や、学会で広められる根拠のない共食いの噂など、外部の者たちからは中傷の対象となっている。ウッドエルフのクランと長く時間を共にした経験から、ただのオークである私はグリーンパクトの複雑さを把握したと考えている。これを書いている目的は、そうした怪しい作り話を一掃し、読者にグリーンパクトのより良い理解に必要な事実を提供することだ。

まず緑そのものから始めよう。この言葉はヴァレンウッドおよびその先にある、古代の木や柔らかい苔などを含む、すべての生きる植物を示す。ボズマーは緑が彼らの主神イフレからの贈り物だと信じている。

ウッドエルフの伝説によると、イフレは緑を作って間もなく彼らに息を吹き込んだとされる。グリーンパクトを結ぶことで、ボズマーは緑にいかなる危害も加えないと誓い、その見返りに必要に応じて森を形作ることができた。イフレ神が本当に存在してそのような力をウッドエルフに授けたのかどうかは、ここでの焦点ではない。しかし彼らの社会が生きる木から生じ、ボズマーが森と異様な結び付きを持っているのは事実だ。彼らは木材を使わず、村には一切木材が使われていない。代わりに、森に生きる緑そのものから形作られている。

一般に、ウッドエルフは木工、大工など、木を削ることは一切しない。緑を冒涜する行為なのだ。しかし一部の先進的なボズマーのクランでは、生きている植物から自然に落ちた枝など、枯れ木の使用について考えが変わってきている。こうした素材はすでに植物から落ちたもので、使用しても害を受けない。これはこの文化で現在発展中の考えであり、特に先進的な共同体においても意見が分かれている。今後の研究が必要になるだろう。

ボズマー文化はすべての植物の命に敬意を払っているが、どれほど入念なウッドエルフでも時には花や新しい芽を踏んでしまう。植物の生い茂る森に住んでいれば当然のことだ。外の噂では、そのような罪を犯すとすぐさま残虐な罰を受け、死に至ることもあるとされる。これはまったく事実と異なる。著者が目撃した典型的な反応は、罪を犯した者が軽く恥じらい、長老から足元に気をつけろと優しく叱られるというものだ。それよりも厳しい罰を受けるのは繰り返し罪を犯す者のみで、それはクランへの社会奉仕と、緑と再び心を通わせるために義務づけられる瞑想である。

鋭い読者は、ボズマーが緑に害を加えないと誓っているから、植物を食料にできないと推測したかもしれない。それは正しい。ウッドエルフは明らかに栽培をせず、果実や野菜の種まき、刈り取り、収穫、採集をしない。その代わり、「ミート・マンデイト」という、ほぼ完全に肉、乳製品、ハチミツ、卵、虫といった畜産物からなる食生活をしている。

そのため、ウッドエルフは狩りに長けている。クランが必要とするものを簡単に集め、肉から作るアルコール飲料や骨の粉と発酵させた豚の乳から作る「タルト」など、あらゆるものの巧妙なレシピを考案した。

多くのウッドエルフが実は果実と野菜を食べたことがあると聞くと、読者は驚くかもしれない。生きた果実を木から取ることは決してないが、落ちた果実は食べ物として許容される。枯れ木と似た問題で、落ちた果実はもはや生きた植物の一部ではないため、その消費はグリーンパクトに違反しない。(注目すべきは、枯れ木の使用が落ちた果実を食べることよりも賛否両論あることだ)この行為を問題視するのは、ごく少数の保守的なボズマーのクランだけである。

ここで特に風変わりな噂に触れよう。共食いの慣例だ。

グリーンパクトの初期の歴史で、儀式的な共食いが行われていたのは事実だ。グリーンパクトは肉の無駄を認めず、敵の死体もそれに含まれる。過去には戦争中のクランが肉を無駄にしないように倒した敵を食べた。衝撃的ではあるが、この慣例は実用的で、クランの生き残りを可能にし、失われた命を最大限に活用するものだった。

しかし、この習慣はほぼ完全に廃れている。私は多数のウッドエルフと話したが、この儀式を行うクランの存在は記憶にないと言っていた。しかし、完全に否定はできない。一部の極度に孤立した、もしくは伝統的なクランにはまだその慣例があるかもしれないが、一般的には子供を怖がらせ退屈な講義を活気づけるために取り上げられる過去の命令だ。

総じて、グリーンパクトはすべてのウッドエルフを特有の形でまとめる興味深い規範である。ボズマーの子孫、またはとてつもなく長い時間を彼らと過ごした者でないかぎり、外部からの観察はこの現象の理解に貢献する程度にすぎない。私はこの文書から読者が何か役立つ情報を得て、それを今後この豊かな文化を詳しく調べる足がかりとしてくれることを願う。

グリーンパクトの歌Green Pact Song

私たちの根の奥深く、ずっと昔に遡る
イフレは空高く、ウッドエルフを見下ろして
緑に色づく森の中、ある契約が交わされた
新たな命を託していった

「緑を守れ」とイフレは言った
こうして我らは花と木を育て
「それが真の故郷になる」と
耕作、種まき、刈り取りを捨てた

緑の中では、すべての植物が生きられる
葉や花びら、新たなつぼみが栄え
食べ物を狩るには、矢を放てばいい
休息が欲しければ、イフレが与えてくれる

木を切り倒し、削り、加工するのはもう終わり
緑が育てた丈夫な家に住み
私たちに木から奪う必要はない
グリーンパクトが与えてくれる

森にいる時は、歩く場所に気をつけて
イフレの仲間は森にいるのだから
我々のようなウッドエルフは恐れなくていい
グリーンパクトが必要を満たしてくれる

ゲルウ・ヴァッシュリーフGelw Vashreef

ロウソクを両端から燃やした

昼は牧場で働き
夜は採石場で働いた

働きすぎて早い最期を迎えた

熱で亡くなり
街全体が泣いた

ゴールドロード:ある商人の旅The Gold Road: A Merchant’s Journey

タシタン・ヴァノ 著

私はこの人生で多くのものになってきた。傭兵、宿屋の主人、勝負師。ニベンのさる高貴な女性に雇われてお相手を務めたことすらある。だが夏が3回すぎたところで、気づくと私は大至急帝都を離れなければならない羽目に陥っていて、しかも財布の中身はすっからかんだった。

私は必死の思いで、最初に見つけた西に向かう商人のキャラバンに雇ってもらった。新たな雇用主はティーバ・テイという、灰色で片目のアルゴニアンだった。彼女が疑いを抱いているのは明らかだったが、ただ肩をすくめただけだった。「1日2食付きで2クラウン」と、彼女は条件を述べた。「貨物が全部無傷でアンヴィルに着いたら、ボーナスを20クラウン出して、帰りもあんたを雇う」

もっと高い賃金を望んでいたが、交渉などできる立場ではなかった。私は同意し、その後間を置かずに出発した。

ティーバ・テイのキャラバンは3台の荷馬車、6匹のグアル、6人の御者兼護衛で構成されていた。木製のトランクに詰められたオリーブ油、ウナギの酢漬け、先人のシルクの反物が彼女の貨物だった。私はすぐに、雇い主が護衛に期待するのは騎乗でなく歩くことだと理解した。ルマーレ湖にかかる橋にたどりつく頃、すでに私の足には靴擦れができていた!

私たちはウェイでレッドリングロードを南に曲がり、ゴールドロードまで湖の岸に沿って進んだ。その晩、私たちは帝国の古いマイルゲートで野営し、そこでティーバ・テイから護衛には立って見張りをすることを期待すると告げられた。昼は歩き、夜は眠らずに過ごす日々が予測されることで憂鬱になった私は、すべてを投げ出してしまおうかと考えた。だが、少なくとも食事はまともだった。

ゴールドロードは、それ自体が荷馬車と旅人の川だった。もちろん私の足は痛んだが、天気は良く、景色もかなりすばらしかった。2日目は、道の脇にそびえる崩れかけた遺跡のある場所で小休止した。私はその遺跡のほうをもっとよく見ようとぶらつき始めた。

「いい考えじゃない」ティーバ・テイは私に助言した。「ここならゴールドロードも安全よ。でも周囲には危険が潜んでる。ゴブリン、獣、盗賊。それにもっと奇妙な危険もね」

「もっと奇妙な危険?たとえば?」と、私は尋ねた。

ティーバ・テイは遺跡を指さした。「あれはセイヤタタル。アイレイドの亡霊が憑りついていて、好奇心の強い生者を焼き尽くすことで知られている」

「そこまで物見高くはない」私はそう言うと、街道まで引き返した。

日が経つうちに足も強くなり、私はキャラバンの仲間意識を楽しむようになっていった。ヴラスタルス、スキングラード、オストゥミル、クヴァッチ…西に向かって進む私たちの前にストリッド谷の街や村が次々と姿を現した。ゴールドロードは尽きることのない豊かな穀物の畑、魅惑的な果樹園、うっそうとした帯状の森の間を突っ切っていた。

宿屋〈ゴットショウ〉で、ウェストウィールドから完全にゴールドコーストに入った。私たちは何日かぶりに屋内で眠った。私はこの休息に感謝したが、翌朝起きるとティーバ・テイが不穏な雰囲気を漂わせていた。「何があったんだ?」と、私は尋ねた。

「夕べ宿屋にいた見知らぬ奴らだけど」彼女は答えた。「私の貨物について聞き回ってた。今日は注意して。襲撃を計画してる盗賊かもしれない」

宿屋の西で、ゴールドロードは方向を変えてストリッド谷から離れ、コロヴィアの丘に入る。その地域に住人はほとんどおらず、同じ旅人も滅多にいなかった。私は茂みを通り過ぎるたびに剣の柄を握りしめたが、役に立つことはなかった。数時間後、渓谷の中でティーバ・テイが恐れた盗賊が私たちに襲い掛かった。

「武器を捨てろ。荷馬車を差し出せば命は助けてやる!」上にある岩場から、奴らの頭が下に向かって叫んだ。

「取りにきなよ、乾いた肌の者め!」私がもっと慎重な応答をしようと口を開こうとした瞬間、ティーバ・テイが怒鳴った。そして盗賊たちは、まさに言われたとおりにした。

老いたティーバ・テイはライオンのように戦い、背中に矢を受けて倒れた。新たに見つけた私の仲間のうちの何人かも同様に倒され、残った2台の荷馬車の御者たちは逃げ出した。彼らはまるでドラゴンにでも追われているかのように荷馬車を駆り、クヴァッチに向けて一目散に引き返した。生き残った略奪者たちが彼らを追った。私はどうにか重傷を免れたが、それは能力によるものでなく、偶然だった。私は愛する者であり、戦う者ではないのだ。

騒ぎが収まり、気づくと私は渓谷の中の先導荷馬車の横で忘れ去られていた。そこにいる仲間はグアルと死者だけだった。ティーバ・テイがアンヴィルへの旅を完遂できないのも、私に支払いができないのも明らかだった。だが、上質のシルクが入ったトランクが2つ荷馬車に遺されていて、前に続く道には邪魔者もいなかった。

「さようなら、ティーバ・テイ」私は元雇用主に別れを告げた。それから手綱を取り、シルクを売るためにアンヴィルに向かった。その利益で、私は自分の荷馬車を買った。私の商人としての経歴は、このようにして始まったのだった。

うまく言えないが、「ゴールドロード」と呼ばれるには理由がある!

ゴールドロードの幸運Good Luck on the Gold Road

ゴールドロードおよびウェストウィールド全体を旅する者は、旅が運よく順調に進むように、ある決まった儀式や慣習に従う。

鉱山労働者はある決まった井戸に金貨を投げ込むと、金持ちになれると信じている。たとえ少額の金貨でも豊かな報酬が約束されると信じられている。

荒野に隠された二つの祠。正義を願うか、娯楽を願うか?両方を願おう!

ウッドエルフたちの到来により、新たな慣習の流行が始まった。若い苗に水をやることで、イフレと緑の恩寵を招き寄せるというものだ。

サロラ・アドラロンの研究Research of Salora Adlaron

サラアス・トングにいる同僚たちは、ファーグレイブの数えきれない問題と謎を相手に時間を無駄にしているが、私サロラ・アドラロンは生産的に時間を過ごすことを選んだ。この試みの名のもとに、私はある問題を選んでそれに力を注ぐことにした。私の旅の目標は、ファーグレイブの設備に欠かせないルーセント・クリスタルの起源を発見することだ。断っておくと、ルーセント・クリスタルの機能は重要でない。私が理解したいのは、クリスタルがどのようにして形成され、どこで生まれるのかということだ。

ファーグレイブとその周辺領域にあれだけ多くのルーセント・クリスタルが存在することを考えれば、クリスタルはこの場所に何らかの形で結びついていると考えていいだろう。なにせ、オブリビオンの他の次元でこのクリスタルが見つかることは珍しいのだ。それゆえ、クリスタルはファーグレイブ特有のものに違いない。

最初に試した仮説は、クリスタルがファーグレイブ自体を取り巻く砂から生まれるというものだ。私の予想どおり、この砂を加熱する過程であるガラスが生まれた。予備的な実験が示したところ、このガラスには一定の美的価値が見られるものの、ルーセント・クリスタルのような力を貯蔵する性質はなかった。意外な結果ではない。私はガラスをある工芸家に託し、自分のメモに立ち返った。

第二の仮説は現在試験中だが、それによればルーセント・クリスタルはファーグレイブの外にある、ルーセント要塞という場所から生じる。名称が示唆するとおり、この要塞内にはルーセント・クリスタルがふんだんにある。しかし大量のクリスタルが見つかるからといって、そこが起源だとは限らない。

要塞を旅する過程で巨大なルーセントか、魔術力の中枢のようなものが見つかり、それが現在一般的に見られるルーセントに凝固するのを発見できることを期待している。それならば私の仮説を支持する明白かつ否定しがたい証拠となるだろう。残念ながら、謎多き私の試みが明白かつ否定しがたい結論を導くことは稀である。

はっきりと言えるのは、要塞に通常よりも多くのルーセント・クリスタルが見つかるということだ。大きさも形状もまちまちではあるが、そのほとんどすべてはファーグレイブで見られるルーセントよりも力の貯蔵量が少ない。この要塞内には、ルーセントを引き寄せる何かがあるのではないだろうか。何かはわからないが、それがクリスタルを形成するのではなく、ここに引き寄せた可能性もある。

この新しい仮説が正しければ、クリスタルには未だ知られていない起源があることになる。だとすればある意味で、これまでの私の仮説は間違っていたことになる。だがクリスタルを探す過程で、ルーセント・クリスタルについて同僚たちが知らないことを発見できるかもしれない。ここに留まって、さらにクリスタルの研究を続けよう。

シェザールの足跡The Footsteps of Shezarr

シスター・プリスシア・ストルヴォ 著

ペリナル・ホワイトストレークや翼ある雄牛モリハウスのような半神は、アイレイドとの戦いにおいて人間が最初に受けた聖なる支援ではない。アトモーラに人間の地を獲得するためにショールが進軍した神話は学者たちによく知られている。しかし、その後のタムリエルにおけるショールの偉業はあまり知られていない。最古のインペリアル文書へ乱雑に書きつけられたネードの言い伝えの慎重な調査により、魅惑的な(ほとんど忘れられているにしても)物語の輪郭をなぞる。

神話紀の中期、やがてアイレイドになるエルフは、タムリエルに自分たちの領域を築くためサマーセットを離れた。すでにそこに暮らしていたネードの民よりも、交戦とマジカの使い方においてより進んでいたエルフは、当初容易に新たな隣人を従属させ、また撃退できた。しかし分断されたネードの民は、ゆっくりとアイレイドの進軍に抵抗し始めた。

ネードの伝承では繰り返し、ある「よそ者」がやってきて古代の人を助けたと語られている。このよそ者は教師、助言者として、こんな時以外は互いに争う部族間の同盟を作り上げる者として現れた。彼はショールのような戦士の支配者でなく、自分のために戦うよう人々を鼓舞する人物だった。

ドゥラキの伝説は、「シェザール、ドゥエマーから石細工を盗み、ジンファラに山の麓からニルンクラッツを呼ぶように教えた者」と述べている。ペレナの物語は、星の教団が「白髭のよそ者」からソウルマジックを学んだと述べている。同様に、「雪のような髭のシェザール」がシロドのネードにアイレイドの戦闘魔法の秘密を教え、敵の術を相手に跳ね返す方法を示したと言われている。そして何よりすばらしいのは、セドールの洞窟で発見されたと言われる石板に「シェザリン、生けるショール、人の教師」として髭の人物が描かれていることだ。

総合すると、どうやらこれらの完全に異なる物語が示しているのは、シェザールが数多くの部族へアイレイドの抑圧に抵抗するよう鼓舞したことらしい。だが、後のネードの物語は賢明なよそ者について触れていない。シェザール、つまり戦士ではなく教師を装ったショールがこの当時に果たした役割が何であれ、神話紀中期には終わりを迎えた。しかし彼が古代の人に与えた希望の残り火は、最終的に再び燃え上がり、聖アレッシアの反乱を引き起こすまで、アイレイド帝国によって数百年も奴隷となった彼らを支え続けた。

シャードマーシャル・ヴァルガスの日記Journal of Shardmarshal Vargas

[最初の記録]
妙だ。この場所へ引きつけられるのに、その理由がわからない。ファーグレイブを通り過ぎるたびに足が自然とここへ向く。ここの道や壁を知っているべきな気がする。なぜ?

[2つ目の記録]
古代の巻物でここの名前を知った。このポータルは未踏の道の織機に続いている。その意味がわかればいいのに!

ポータルは奇妙な結界で封印されている。もちろん鏡が鍵だ。ありとあらゆる組み合わせを試したが、ポータルは閉ざされたまま。私の力の及ばない何らかの変化が、この領域に訪れないと開かないのかもしれないと思えてきた。

[3つ目の記録]
最後にここを訪れてから数百年経っているが、まだ不可解だ。私はシャードマーシャルだけど、どうやってその地位に就いたのか覚えていない。シャードボーンの残骸に指示を出しても、自分たちがどこから来てどこに属するのか思い出せない。不安の種に悩まされる。私たちの存在意義は何なのか?さまよって待つ、その目的は?ファーグレイブへ引きつけられるのに、この不思議と馴染みのある領域にいる者は、誰も私たちがどこから来たのか知らない。私たちは何を忘れ去ったのだろうか?

[4つ目の記録]
またトーヴェサードと話した。彼も何かが欠けているという感じがしている。自分たちの一部が奪われたような。彼は私たちが失ったものを突き止めるため、オブリビオンの全領域を調べるつもりでいるけれど、それは無駄だと思う。この織機の前に立つと、秘密を思い出せそうなのがわかる。他のどこでもない、ここで明らかになるはずだ。

[5つ目の記録]
また100年が過ぎたのに、何も変わっていない。長年が経過したことは当然無意味だ。それでも、待つことに疲れてきた。

ジャガの酒宴の歌Jagga Drinking Song

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか

どうしてみんなに人気なの?
家畜小屋から届いたばかりの、豚のミルクの熟した香り
ぐつぐつ煮立てて、猫は鍋から離して
凝乳ができるまで待って、クランの皆でわけあおう

ウッドエルフとジャガは最初から相性抜群
クリーミーで甘い1杯は心にもいい
知ってるかい?ウィスキーもかなわない
宣言しよう、ジャガの熟れた味には!

ワインやホップのビールは忘れよう
グリーンパクトは雫を与えたもう
カビとアレンシアン・ブランデーから作られたエールを
それらと比べても、ジャガはとびきりすばらしい

ウッドエルフが決して見逃さぬもの
カップに直接注がれる1パイントの新鮮なジャガ
血の泡よりも甘くハチミツよりもなめらか
マグに満たされたジャガですべてがほがらか!

ジャドレイサ軍団兵の日記Legionary Jadreitha’s Journal Entry

近頃、ウィールド全体で不吉な魔術が根を張りつつあるという噂が深刻さを増している。人々は何かを感じると言っている。肌がゾクゾクしたり、肝が冷えるような感覚だと。だが人々の話には共通点がある。それは4つの奇妙なモザイクの近くにいると、息苦しいほどの魔力を感じるということだ。モザイクは北に1つ、西に1つ、そして南に2つある。これは調査に値するだろう。

私の部隊は北に派遣された。この方面に向かうのは初めてのことだ。この辺りの地域は果てしなく広く、開けた土地だが、モザイクに近づくにつれ、狭苦しいような感覚が強まった。報告にあったとおりだ。

当初は、何も見つからないのではないかと思っていた。モザイクは確かに異様だし、空気は何か気味の悪いものを含んでいたが、我々は何を探せばいいのかわからなかったのだ。その時、空が開いた。

頭上の空が裂けて開いた。我々が押し込めていた息を吐く暇もなく、糸のようにうねる力が大きな裂け目から飛び出し、大地を割って突き出していたガラスの破片に取りついた。部隊にいた私のある友人が逃げ遅れ、ガラスが彼女の足元から吹き上がった。

突然の出来事のショックから立ち直った我々は、ガラスの粒に取り巻かれた小さな黄金の球体がいくつも、地面のガラス片から荒野に漂ってきていることに気づいた。球体はその背後に落ちたガラスの細い跡を残していった。まるでついてこいと我々を招いているようだった。少し話し合った後、我々は手分けして球体を追うことにした。

私と部隊の3人は草原の中で最も岩の多い部分を通って球体を追った。風の声は我々を追いかけて挑発し、我々は不気味な思いをさせられた。我々はしばらく跡を追って、大きな岩板の裏にまでたどり着いた。そこで見つかったのは、我々の誰もが予想だにしていないものだった。

我々は黄金の力の触手に包まれた巨大なドレモラが、様々な種類のガラスのデイドラに取り巻かれている光景に出会った。近くに寄るにつれ、我々が耳にした声はこのドレモラのものだったことが明らかになった。そしてガラスの跡の原因はこいつであることも――少なくとも、我々が追った跡は。ドレモラが我々の吸う空気にあれだけの力を注いでいるところからして、こいつは裂け目の向こうの領域から力を吸い取っているようだった。ガラスがドレモラの足元で拡散し始め、地面を這い回って触れるものすべてを破壊していった。

その後に起きたことはすべて私の責任だ。私は恐怖に襲われ、盾を落としてしまった。デイドラは盾が地面に落ちる金属音をすぐに聞いた。襲い来るデイドラに応戦したが、不意を突かれた我々に勝ち目はなかった。私は仲間たちが次々に倒れていくのを見て恐怖した。一人だけになった私は逃げて隠れた。自分が恥ずかしい。

こうして今、私は待っている。デイドラか、部隊の他の者に見つかるのを。どちらが先に見つけるかはわからない。スキングラードまで戻り、皆にここで見つかったものを告げるだけの体力が残っていればよかったのだが、今の私は酷く負傷して、衰弱している。私にできるのはここで待ちながら、見たものを書き記すことだけだ。

まだ答えの得られていない疑問が数多くある。あの巨大なドレモラは何かの儀式を行っていたが、何のために?奴は単独で行動していたのか?ガラスの跡は3つあったから、あれと同じ奴が3体どこかにいるのではないかという気がする。

もし私がここから生還できなかったら、そして誰かがこれを見つけたら、どうか我々の努力を無駄にしないでくれ。

ジュリアノスの盾The Shield of Julianos

ハデルス・ドントン神父による説教

スキングラードで周囲の建物よりひときわ高くそびえるのが、知恵と論理の神ジュリアノスに捧げられた大礼拝堂です。しかしスキングラードはそのワインと豊穣、祭典で知られる場所。論理と理性という、厳格にして知的な探究を担う神が、なぜこの地で最も大きく祀られているのでしょうか?

確かに、ジュリアノスは矛盾の神としても知られます。しかしそれは理由の一端にすぎません。

大礼拝堂の場所は元々崇拝の地であり、おそらくは何らかのデイドラ公に捧げられていました。どのデイドラ公だったかは知られていません。現存している図像はどのデイドラ公にも一致しないように見えるからです。しかしアイレイドとデイドラを崇拝する彼らの同盟者たちがこの地から追放されたことで、ジュリアノス崇拝がここで確立されたのです。スキングラードが成長するにつれ、その大聖堂と学校はあらゆる種類の学者や弁論家、哲学者をタムリエル中から招き入れ、彼らは真理を探究するとともに、自らの信じる真理をそこに加えました。

大礼拝堂は神々の崇拝者同士の議論と討論、哲学的対決の場ですが、無信仰者もそこに加わります。ジュリアノスの信仰は多様な観点を迎え入れるもので、すでに確立された教説と対立する者も受け入れます。「八大神の九戒」の中でジュリアノスは「真理を知り、法を観察せよ。疑わしき時は賢き者の知恵を求めよ」と述べています。

大礼拝堂の訪問者は知恵を探し求めて、大小さまざまな問いに没頭します。創造の前には何が存在していたのか?世界はどのように形成されたのか?自由意志は全能の神々と両立するのか?デイドラ公が生まれ持った本性に縛られているのなら、彼らは真の意味で自由なのか?論者たちは遠くから集まり、こうした問いを礼拝堂の中で、またその周囲の酒場で考えます。

礼拝堂はこうした議論を、それが市民的なものである限りすべて歓迎しています。その結果、争いは戦いに発展するよりも、ワインを交わしながら行われることが多いのです。剣ではなく言葉を突き合わせて。しばしば、哲学者は祭典や饗宴を主催し、自らの論点の妥当性や評判を他の者たちに認めさせようとします。その結果、スキングラードは祭典の街となり、その中心に真理の神が鎮座しているのです。矛盾しているようにも思えますが、ジュリアノスは矛盾の神と言われ、至高の真理を探究するために、数多くの真理を吸収できます。

というのも、大切なのは真理が常に対立させられ、常に異議を向けられ、常に試されるべきだということだからです。見かけ上の矛盾が真理を無効化するのであれば、それは完全な真理ではありえません。論理がジュリアノスの盾だとすれば、矛盾はその剣です。圧力を受けることのない壁は、真の目的を果たしていると言えません。試されることのない徳には重みがありません。異議を向けられない考えは独断にすぎず、司祭にも、信奉者にも益をもたらしません。究極の真理こそが、ジュリアノス信仰の中心にあるものなのです。

これまでもこれからも、それが変わることはないでしょう。

シルヴェナールのレイン家House Rayn of Silvenar

帝国書記、ヴァレンウッドのベラゴン 著

アエラダン・カモランはヴァレンウッドの王だが、多くのウッドエルフは彼を縁遠い存在と捉えている。その代わりに彼らが街や地域社会の指導者として頼りにしているのが樹の従士だ。読者の中には驚く人もいるかもしれないが、樹の従士はエルデンルートのカラモン家と同等の高貴な一家の出身であることが多い。シルヴェナールのレイン家はその好例だ。

由緒正しいレイン家がシルヴェナールで実権を手にしたのは第一紀末、皇帝レマンが征服したヴァレンウッドを一つの州としてではなく、独立した各王国を通じての統治を選んだ時のことだった。レイン家の樹の従士たちはシロディールの皇帝に対して(一部は嫌々ながら)忠誠を誓い、見返りにシルヴェナールを自らの領地として自由に統治する権利を得た。この取り決めはアカヴィリの最高顧問により継続された。彼らの統治期間中、シルヴェナールの樹の従士7人のうち5人までがレイン家の出身だった。

第二紀430年に最後の最高顧問が死亡した時、シルヴェナールの統治者がヴァレンウッドにおける再統一されたウッドエルフの王国の王位を狙えることは明らかだった。だが悲しいかな、それは叶わなかった。レイン家の目は内側に向いており、伝統的なウッドエルフの価値観を維持するクランの連合を築こうとしていた。対して、エルデンルートのカモラン家は外部に目を向けていた。貿易で富を得て、ヴァレンウッドを越えた領域との同盟関係を築いたエルデンルートの王たちは、ウッドエルフの盟主としてレマン以前の地位を取り戻した。第二紀489年に起きたブラックサップの反乱の頃、シルヴェナールの樹の従士ウバリオン・レインにとって、あまり寛容でないいとこのゲルシオルではなく、アエラダン王を支持する以外の選択肢はなくなっていた。

もちろんシルヴェナールの樹の従士が全員レイン家だったわけではない。樹の従士の選出には、一般市民による賞賛、前任の樹の従士からの指名、街で影響力を持つ家同士による交渉が影響する。現在のシルヴェナールの指導者、樹の従士タルリネルはレイン家ではない。だがレイン家のナンサリオンという者が、王としてストリッドの北にあるヴァシャバーの新しい集落を統治している。やがて新たなシルヴェナールの樹の従士を選ぶ時がきたら、間違いなくレイン家の者が誰か争いに参加するだろう。

ああ、それから最後に、我が帝国の読者のために記しておこう。シルヴェナールはシルヴェナールの統治者ではない。シルヴェナールとの称号を持つウッドエルフの役割は、まったく別の議論のテーマだ。

ジルラエダルの無名な古代蒸留酒の本Gilraedal’s Book of Obscure and Ancient Spirits

時の嵐

歴史
真実かどうか怪しい歴史的事件から名前をとった時の嵐は、それを飲む者の記憶を消すという。消費量が多いほど失う記憶も多いと言われている。レシピはたてがみのジニンジ・リが支配していたエルスウェアで生まれた。残されている説明によると、よく手入れされた毛皮のようになめらかな味で、それが砂漠の砂のように口の水分を襲うという。

レシピ
薬用人参、3片
混乱したドラゴンの舌、丸ごと
ブランデー、2ジガー
煮込んだサボテンのイラクサ、ひと握り

* * *
賢者の夢

歴史
この珍しい飲み物の名前は、アイレイドの遺跡で見つかった古代の日記によって伝えられた。このはるか昔の文化の専門家は、教養の高い貴族ではなく使用人の日記だと推測している。驚くべきことだが、その内容を調べると筋が通る。素早く走り書きされた貴族からの夕食の注文、正餐用食卓の配置のスケッチ、新しい飲み物の案がすべて書かれているのだ。

最も注目すべきレシピは、筆者が賢者の夢と名付けた飲み物だった。説明には「運命の王のために」とだけ書かれているが、それがどのアイレイドの王か女王なのかは残っていない。残念ながら材料はタムリエルでとうの昔に絶滅しているため、飲み物の再現は不可能だ。おおよそのものが知りたい場合は、代用品を作れる。

日記によると、この飲み物は口に入れるとまず舌を刺激し、うっとりとするような甘さに変わるという。そして仕上げに、その核となる味の中にある苦さが感じられる。

レシピ
ティラム草、1本
新鮮なハークフルーツジュース、搾り汁を半分
リュートベリー、ちょうど3個

ティラム草が溶けてワイン色になるまで熱と圧力を加えて混ぜる

* * *
爆発ポニー

歴史
この飲み物の名前は、飲んでから起きる2段階の現象から来ている。最初はブランデリオン茶のような優しい味がする。それは長続きして安心するが、その後、舌の上は新しい味でいっぱいになる。あまりにも勢いよく訪れるので、多くの人は驚いて飲み物を吐き出す。少なくとも3人が破裂音を聞いたと言っている。飲み物を口に含んだままだと、新しい味は天草っぽさのあるありのままのハチミツの味がする。

爆発ポニーの2つの効果のせいで、酒場の所有者たちは味が変わるまで飲み込まないようにと勧めている。この「爆発」は胃の中でも起き、危険ではないが吐き気を催すことがある。

レシピ
タネツケバナ、千切り
アニス草、半カップ
シルフ・ジン、半カップ
潰したブラッドルートの茎、最低6本

スカーレットのリストScarlets List

ウェストウィールド軍団、第七歩兵隊、第九部隊「スカーレット」

アレン・フーク、軍曹(スキングラード)
ウルマ・グロマグログ、司祭(サッチ)
落ちたナイフ、治癒師(オンタス)
フォンス・アルモ、兵卒
レグニル・ホルスタッド、兵卒
ナク、工兵

ヴァレニア、兵卒(ヴァシャバー)

スカーレットへのメモNote to a Scarlet

お前が何者か知っているぞ、スカーレット。

お前はこの廃坑で富を築こうとしている。私はお前を待つもっと豊かな鉱脈を持っている。

ファイアライト洞窟でそれを探せ。牢獄に牙をもがれていなければ。

スキングラードが冒険者を求む!Skingrad Seeks Adventurers!

ウェストウィールド軍団はこの地域をより良くするため、偉業を成し遂げる腕のいい冒険者を探しています。

あなたとお仲間のために比類ない機会を数多く用意しています。勇ましい使命、傑出した成果への報酬、おそらくはささやかな栄光も。

詳しくは、スキングラードのカスタス軍団兵にお尋ねください。

スキングラードの寡婦の嘆きSkingrad Widow’s Lament

愛しいあなたよ
二度と会えない
エセリウスを 歩き
去ってゆく

遠いあなたに
愛を歌えば
遥かな距離を越え
会いにゆける

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

あなたを夢見る
幸せな日を
目が覚めるたび
傷が疼く、ああ

アーケイ、この愛を
届けてください
この悲しみを
消しておくれ

スキングラードの略史An Abbreviated History of Skingrad

グウィリム大学新聞、アントニオス・シヴェロ 著

旧コロヴィアの宝石であるスキングラードは、ウェストウィールド内に絶えず存在する中でも特に古い集落で、居住地としての歴史の証拠はエルフの神話紀集落にまでさかのぼる。複数の岩盤が露出した地域へ無秩序に広がり、橋で繋がったこの街は極めて防御しやすく、その長い歴史のなかで拡張と縮小を続けた。しかしいつの時代も、街は創造的活動、食料、文化の中心地であり続けた。その温暖な気候と肥沃な土地はブドウとトマトに適しており、チーズ作りにおいても大陸全土で有名だった。

スキングラードがもともとアイレイドの集落だったことは間違いないが、今のところそれを証明する文字の記録は見つかっていない。新しい建物のために発掘を行うと、埋められていた基礎や地下通路、長い間光から隠されていたハイエルフ様式のモザイク床が見つかることが多い。比較的質素な住居や彫刻からは人間もいたことがわかる。後年住み着いたネードだったと思われる。

ネードによるアレッシアの反乱、さらにエルフの離散が次第に起きた後、スキングラードは人間の支配者の手に渡った。この時代のスキングラードは数多くある取るに足らない王国の一つで、白金の塔に従属しながらも独立国家であり続けた。アンヴィル、コロール、クヴァッチがコロヴィア領の中核を成し、高まるアレッシア教団の影響力に強く抵抗した。

問題はスキングラードの王族が伝染病で全滅しかけた時に顕在化し、生き残った高位王族でアレッシア司祭のドラルド・ラリッチは、王国を第一帝国へ譲渡した。もう一人生き残った王子、クヴァッチのリスラヴ・ラリッチは、街に進軍してドラルド王を廃位し、殺害した。皇帝ゴリエウスはスキングラードへ軍を送ったが、クヴァッチの義理の父、ジャスティニアス王から助けを得たリスラヴの軍に倒された。絶対的な力を誇る帝国の軍が敗北したことに奮起した他の都市国家も反乱を起こし、コロヴィアと他の帝国西部は時に同盟を組み、時には戦って分裂して、小さな王国となった。

スキングラードは独立国家としての立場を数百年保ったが、やがてタムリエルの人間たちが最初のアカヴィリによる侵略に反撃するため団結する中で、レマン帝国に吸収された。レマンの時代、スキングラードはシロディールとの繋がりが強くなった。レマンの第4代皇帝ブラゾラス・ドールはこの近くの人里離れた屋敷にとどまり、ほとんどの時間を宴やその他の道楽に費やし、臣下の権力者に帝国の統治を任せた。この時代に街は文化の中心として知られるようになり、周囲にできた立派なブドウ園がそれを支えた。ドール皇帝はとりわけ激しい道楽にふけった後、邸宅で亡くなったと言われている。

スキングラードは最後のロングハウス帝を倒そうとするヴァレン・アクィラリオス公爵に味方した。ヴァレンが君主となり、スキングラードはルビーの王座への忠誠を誓って、属国として再び帝国に加わった。

現在、スキングラードは公式に帝国の一部だが、三旗戦役でどの同盟にも味方していない。武装中立を守り、複数の帝国軍団を維持して国境を警備している。この立場でありながら、現在の伯爵カランティウスはリーパーズ・マーチへ軽率な襲撃を行った。しかしこうした行動にも、スキングラードの人々が持つ、洗練されて独立心の強い精神はそがれておらず、ウェストウィールドの宝石としての地位を守ったままだ。

スキングラードを救え!Save Skingrad!

大規模な環境破壊!

私たちは侵略に馴染みがないわけではない。歴史を見れば他者が私たちの土地を征服しようとしたことは多々ある。しかし土地そのものが破壊されて襲われたことはいまだかつてなかった。スキングラードの住民である私たちは、足元で起きる変化をただ黙って見ているべきなのか?そうはいかない!

新たなジャングルに立ち向かえ。ウェストウィールドのため、スキングラードのために立ち上がれ!

(新たな森に反対する人々より)

スペルライトのメモSpellwright’s Note

あまり時間がない。二週間前、私はテルヴァンニのスペルライトだった。私が仕えていた魔道師は研究休暇でハイ・アイルに行っていて、私たちは船に乗ってアルド・イスラの家に帰るところだった。出発して1日後、船に水漏れが起こった。船員が修復を始めた時、フジツボだらけの爪が水漏れの穴から飛び出し、さらに見たところ十数本もの爪が続いて出てきた。ハドリッドが船を襲撃したのだ。私は自分に使えるすべての呪文を海の怪物に向けて放ったが、無駄だった。1匹殺すたびに、もう1匹が海から現れた。蟹の民は全員を殺したが、私は生かされた。奴らは私を檻に放り込んで筏に乗せ、パングリットに引かせた。もう何日も

〈メモの残りの部分はインクが水で破損しすぎていて読めない〉

スペルライトの第二のメモSpellwright’s Second Note

永遠とも思えるほどの間海を漂った後、ハドリッドたちは上陸した。彼らは私に奇妙な魚と…何か別のものを食わせた。サルトリス粥を一杯もらえるならどんなことでもする。ハドリッドたちは私に目隠しをし、両腕を縛り、何か固いもので私の頭を叩いた。目覚めると、私は彼らに囲まれて洞窟の中にいた。このハドリッドたちは外見が異なっていた。より小さく、殻が柔らかい。彼らは私の両手をほどいた。私のマジカは絶好調と言えなかったが、それでも強力だった。炎の矢、雹の嵐、電撃や雪玉までもが洞窟を満たした。私は衰弱していたため、蟹どもには傷一つ付けられなかった。だが奇妙なことに、私が魔術を使った後、彼らは私の動きを真似し始めた。なぜこいつらが私を生かしておいたのか、この時理解した。

私に呪文の詠唱を教わるつもりだったのだ。

スペルライトの第三のメモSpellwright’s Third Note

ハドリッドはタムリエル語を喋れないし、私に理解できるいかなる言語も話さない。彼らの体は音を発することができない。だが指差しと身振りなら理解した。彼らは一度に何日も洞窟を離れ、学習用具を持ち帰ってきた。本やインク、紙、机まで。彼らの持ち帰った物から、自分の現在地がわかった。ウェストウィールドだ。

ワインのラベルを作った召使に感謝しなければ。だが今わかっても手遅れかもしれない。ハドリッドは私に教えることが残っていないのに気づいたようだ。テルヴァンニのスペルライトが使える呪文はすべて教えてしまった。自分が我々すべての破滅を招いてしまったのでないことをアイエムに祈っている。

生き延びるためにはこうするしかなかったのだ。

ダークカンパニー:脱走兵?それとも傭兵?Dark Company: Deserters or Mercenaries?

護民官アレア・イドルスのため、護民官の部隊に所属するカエピオ軍団兵が用意した報告書。
ウェストウィールドの荒野に新しい脅威が現れた。三旗戦役のあらゆる同盟で、脱走兵の数は記録的になっている。多くの者は上官たちの報復を避けるため可能な限り遠くに逃げているが、一部の者たちはダークカンパニーと呼ばれる傭兵部隊を結成している。

こうした傭兵たちが、ウィールド中の放棄された建物を占拠し、盗賊行為を行い、近くの農場、隊商を略奪するためのキャンプを設営している。オンタス採石場で、レディ・ラザリーの傭兵として職を得ている者たちまでいる。

現在はグループの指揮系統を確認しようと調査を進めている。この傭兵部隊は軍に似た構造を持っていて、残念ながら元エボンハート・パクト、アルドメリ・ドミニオン、ダガーフォール・カバナントだけではなく、元軍団兵までも存在している。元々敵対していた人々が、ウェストウィールドの民に対する犯罪のため徒党を組む早さには驚かされる。

人的資源が足りないことは承知しているが、このダークカンパニーは至急攻撃しなければ、強くなりすぎて対処できなくなるだろう。

ダビエンヌのメモDabienne’s Note

錬金術師の同志たち、ならびに大胆不敵なヘアスタイルの賛美者たちへ

私の作品に対するあなたたちの賛辞を心から嬉しく思います。私の大胆な青いヘアスタイルに伴う、複雑な錬金術の工程を理解できるのは真の芸術家だけです。しかしながら私自身、この紺碧の編み髪を見慣れてしまいました。それゆえ、再び閉じこもって研究をする時が来ました。時間さえあれば、エメラルドの(さらには赤紫色の)ヘアスタイルを実現できると考えています!

それまでの間、街にいる他の錬金術師たちをぜひ、ひいきにしてください。彼らの髪の毛は私ほど大胆なものではありませんが、それでも有能な人々です。

夢は大きく、
ダビエンヌ・ジオンテーン

タムのメモTham’s Note

マエルへ

この前の手紙を無視して近づかなかったことを祈る。もし来たなら、知らせておくことがある。

一番のビンテージは、昔よく酔って家に帰れなくなったデシウスじいさんを連れていった場所にある。

早くこっそりとあそこへ行けば、昔の仲間が街中の酒を飲み干される前に持ち出せるかもしれない。

近いうちに碧落の岸へ行きそうだ。長身のパパによろしく伝えておく。

タム

ダレン・フォースターDalenn Forster

尊敬を集めた牧場の働き手

人よりも動物を愛した

突進する雄牛を
一目見るだけで止められた

しかし疲労熱には
太刀打ちできなかった

つけ払い:2E 579Open Tabs: 2E 579

蒔種の月
カルン:2ゴールド
ユートロピア・ドルサス:1ゴールド
ジョバウル:3ゴールド
マックネッサ:5ゴールド

恵雨の月
カルン:7ゴールド
ロウイク・レファニー:2ゴールド
アーノラ・トゥリウス:14ゴールド
ジョバウル:5ゴールド(すぐに支払うよう請求済み)
フェレン・サラス:20ゴールド!

栽培の月
テレルメ:2ゴールド
草と立つ者:3ゴールド
フラネリン:5ゴールド
ジョバウル:11ゴールド(死去)(家族を探して家族からの回収を検討)

ナンサリオン王の命令King Nantharion’s Orders


秘術師タリム

ホープルートの件以来、我々に厄介な敵がいることは明らかだ。ハルメアス・モラの手下たちは自らの自由のために戦っているとしても、こちらとしては我らのデイドラ公を守らねばならない。

そのために、お前は秘密の枷が我々に対して使用されぬよう取り計らうのだ。トーヴェサードはあれが遠い昔、ニルヤステアの宝物庫に封印されたと考えている。何とかして枷を回収し、破壊せよ。

私は別の道を行かねばならん。暗くなった家に眠る力は我らが公を復活させられると私は信じている。必要なのは十分な種を植え、覚醒のために杖を使うことだけだ。

ネレタイのメモNeletai’s Notes

急いでこれを記し、この混乱がもっと落ち着いてから、個人的なメモに書き写さなければ。だから記録のため、またこれを見ている何者かのために言っておくと、これはネレタイの論文よ。取り除いたり、置き間違えたりしないこと。

ゾリンとの最初の遠征の間、彼について特筆すべきことはほとんどなかった。彼の種族からすれば標準的な姿。私より少し背が低いかもしれないけど、今見たものに比べれば注目すべきことは何もない。我々の野営地に彼が襲撃してきた時、前回会った時に比べて彼の体格が倍になっていることに気づいた。原因は何だろう?彼が他にも名のある強力な物品を収集しているのは間違いない。そうした物品に身をさらしたことで、彼は肥大化した自分のエゴにも匹敵するほど背を伸ばしたのかもしれない。
それ以外に理由があるとすれば、アルケインの結び目を手に入れるための要塞遠征に何度も失敗する合間に、ゾリンは結び目の力によって歪められ、結果的に大きくなったのだろうか。私はルーセント・クリスタル自体の影響かと思ったけど、あれはファーグレイブで一般的に使われているし、あそこのデイドラが法外に巨大化したという話は聞いていない。

この事態の展開を書き記し、ケシャルゴの野営地の者が要塞に入った時より大きくなって出てくるかどうか確かめたい。生還して旅を続けられる者がいれば。今でさえ、彼らは怯えて不平を述べている。大混乱よ。負傷者の誰かが力尽きるまで待つ間、無のアルカの様子を見に行こう。ゾリンの戦いが私のプロトタイプを破壊したら、私は彼を探しに行くことになるかもしれない。

ノセラスからの手紙Letter from Nothelas

お父さんへ

ついに実現した!やったよ。何年も練習して驚くべき出来損ないの気持ちを味わったあげく、ようやく花を開かせることができた!

今夜はベラセルが一杯おごってくれるんだ。変な話だけど、彼女は僕の成長に対して僕以上に興奮しているようだった。自分の弟子が季節を5回かけて取り組んで、やっとどうにか緑の声が聞けるようになったことで、自分の教える能力に疑問を感じたのかもしれないね。それでも、僕の手の下で花が成長した時は、飛びあがらんばかりに喜んでくれた。待って。何があったか詳しく話すから。

ベラセルによれば、僕の一番の課題は緑が話している時に集中できないってことだった。今、聞けるようになってみると、なぜそうだったのかよくわかる。緑は僕がこれまでに聞いてきたような話し方をしないんだ。待って、ちょっと先走ってしまった。

今日、授業中にベラセルは変わったことを試した。今日は彼女が自分で緑を操作して僕に緑の言葉を聞かせる代わりに、手で僕の耳を覆ったんだ。どうやったのか知らないけど、彼女は周囲の雑音を小さくするか、緑の声を増幅した。でも僕にはそれが聞こえた。それは想像していた植物よりもずっと老いていて頑固だった。僕に突くべき場所を教え、芽に力を満たす方法を示し、成長の歌を感じさせてくれた。僕が自分のマジカを芽に注ぎ込むと、それも聞こえた。緑の声にずっと若い声が混ざり込んでいた。

未だに信じられないけど、ついに緑の代弁者になる軌道に乗ったんだ!緑の声が聞こえるようになったからには、さらに上級の授業を手早く済ませるとベラセルは考えてる。明日は自分の花をテーブルへ変えることにする。どういう仕組みかわからないけど、始めるのが待ちきれないよ!

家族のみんなによろしく伝えて。それから、母さんにお手製のハチミツケーキを送ってほしいと頼んでおいて。忍耐への感謝の印としてベラセルに渡したいんだ。

愛を込めて
ノセラス

ハルダインの日記Haldain’s Journal

〈これより前のページは日記から破り取られている〉

もうどうしようもない。生きて外には出られないだろう。生き延びてスキングラードの市場の音を聞き、樹液の味がしない空気を吸うこともできない。

これを見つけた人、どうかこの手紙と私の持ち物を、全て妹のレピダ・ラサスに届けてほしい。スキングラードの豊饒の休息所に部屋を持っている。

持ち物は今朝、作業台の横に隠した、まだ近くにあるはずだ。

死体は運ばないでほしい。私に起きたことをレピダが見る必要はない。

フェルダガルド砦の報告Report on Feldagard Keep


番人フィルウェン、

シャードボーンの同盟者たちは、フェルダガルド砦をコロヴィア丘陵におけるスキングラード防衛の要所だと判断した。シャードマーシャル・ヴァルガスはこの古い砦に大規模な襲撃をかけるための兵力を集めている。彼女は我々にこの一帯の事前調査を行い、駐屯部隊の想定勢力を報告するよう求めている。

シャードボーンがフェルダガルドで成果を挙げれば、間違いなく我々の活動の助けになるだろう。信頼できる斥候を数人選び、砦を偵察させよ。報告を待っている。

ブルーエドラルの輸送に関する詳細Blue Aedral Shipment Details

ギルロイ・ヴァッシヌス

次のブルーエドラルの積荷は1週間以内に出発する。オリッサにはもう経路を偵察してあるので、問題なく移動して襲撃の用意ができると伝えてある。

到着したら、私はブルーエドラルが入った木枠箱の傍に立つ。数少ない貴重な瓶だから、くれぐれもていねいに扱うように。ついでに私のことも言っておく。裏切りが疑われない程度には荒っぽく扱ってくれ。

ごろつきのような恰好をした、クリスタルジャックの番人が役に立つと思う。オリッサは誇り高いかもしれないが、戦士じゃない。それから、新しいペットは近づけるな。どんなオブリビオンの穴であのワスプを見つけたのか知らないが、私の近くにも、他の人の近くにもあってほしくない。

きっちりと契約は果たしてほしい。念のために言うが、私が欲しいのはゴールドだ。あの厄介なワスプから手に入るハチミツやら何やらじゃない。私の重さの分のゴールドだ。

ルリ

ペレナへの手紙Letter to Pelena

親愛なるペレナ

私のことは覚えていないかもしれないが、自分の名前や私の傭兵に宛てた自分の手紙の渦巻く字体は覚えているはずだ。あのような繊細な文字で、あのように陰惨な依頼が書かれているのを見るのは実に興味深かった。

今も覚えている。あなたの夫の目に浮かんだ衝撃を。背中の短剣に手を当てながら母親の名を叫ぶ姿を。

記憶は暇なときの楽しみでしかなかった。シロディール中に広がる、息子を探す裕福な年配の婦人の話を耳にするまでは。それでピンときた。

あなたの亡くなった夫と私は驚くほど似ている。もちろん同意してくれるはずだ。話し合うべきことがたくさんあるな、奥様。あの婦人の財産を山分けしたいなら、我々は役割を完璧に演じなければならない。あるいは、あなたが殺人犯であることを明かしてもいいかもしれない。

よく考えてくれ。
セオファン・ピクトル

ボグヴィルの手紙Bogvir’s Letter

ガリオ、

まず、お前は私の吸血鬼たちにウェストウィールドでの新たな機会とかいう偽りの約束をし、彼らを私から奪った。お前はその上で私から盗んだ錬金術のレシピを競りにかけ、他でもない私をそこに誘うのか?傲慢さに限りはないのか?

私はあの霊薬が我ら吸血鬼本来の力を二倍、三倍にも高めることを知ってはいたが、死なずにその効果を得られる方法を考えついたのがお前だということは認める。あくまでお前の言い分だが。

そこで私は考えた。お前の手から数ケースほど引き取ってやっても構わない。だがそれに金を払えと言うつもりなら、お前は私が思っていた以上の愚か者だ。

ワインを2ケース、オークションで私のためにとっておけ。でなければ他の結社をお前に敵対させるだけでは済まない。戦士ギルドとレイヴンウォッチにお前の企みを知らせてやる。

ボグヴィル

ミラームーアがすべて征服する!All Bow to Mirrormoor!

リリク、エヌゼル、マルキル、ウルダザン、リヴェク、アクコス。ミラームーアの誇り、ヴァルキナズのために仕え、死すことは名誉である!今日ウィールドの空に開く3つの裂け目のどれもが、新たな栄光の時代をもたらすだろう!

彼らの計画は見事で、阻止することは不可能だ。彼らは襲撃のクラッツ周辺で自然の中に隠れ、魔術を使ってミラームーアの裂け目を強化し、その力で勇者を呼び出す!

嵐の指揮官、シュラカヘル!

嵐の支配者、ラーヴォク!

リヴァイアサンを操る者、クラザク!

呼び出された勇者がウィールド中に、忘れられた領域への道を開かんことを!

ミルヴィア・テーシルのメモMilvia Terthil’s Note

これを見つけた人へ

もし私が死んでるなら、それは残虐なウッドエルフとデイドラの仲間に殺されたからよ。見掛けたらわかる。敵対的な一団で、奇妙な鎧を着てる。ずっと周辺を偵察し、私たちを観察してるの。昨夜なんて、何人かが古い井戸に下りていくのを見たわ!何か悪いことを企んでるに違いない。

昨日、退去を求めるメモが扉に貼られてた。ミルヴィア・テーシルが自分の土地から逃げるわけないでしょう!でも、正直怖い。

ミルヴィア・テーシル

メリディアの輝きMeridia’s Radiance

彼女の輝きは闇を寄せ付けない。太陽がゴールドロードの木々で反射するように。

人間を悩ませる闇のデイドラ公は、彼女のまばゆい光によって怯み、彼女の前の影となる。

メリディアの守護を求める者は彼女の祠で祈り、暗い時代に光を求めるべきだ。明るいロウソクは闇を照らしてくれる。

メルス・マーシカスの日記Journal of Melus Marsicus

これは私の秘密の日記だ。お前の名前がメルス・マーシカスでないのなら、その詮索の目はよそへやってもらいたい。お前は私が最も奥に秘めている思考に忍び寄っているのだから。

アルケインの結び目の正確性に関する仮説に有力なものは少ない。結び目が何かも、それがいつ現れたのかも、その機能や形状、様式も我々には知られていない。アルケインの結び目という名称自体大した情報にはなっておらず、適切だとは思えない――この結び目が実際に結ばれたものであるという確証さえないのである。結び目に関する無数の仮説の概略を記しても、グラーウッドの民話を概説するのと同程度の事実しか得られないだろう。こうしたものを事実と主張したり、この日記のような神聖な論文上で援用しても意味はない。私は真実と、それを支持する説だけに依拠する。

アルケインの結び目という名称はそもそも何に由来するのか?ファーグレイブのデイドラの中でも、要塞が使用されていた時代の記憶を持っている者はごく少数だというが、彼らはそれ以上の情報を教えることに消極的だ。それでも、知識の欠如が明確に共有された以上は、私としてもこの名称を受け入れ、アルケインの結び目が存在する証拠の一種とみなすしかないだろう。

要塞が廃墟のように荒れ果てているのは、結び目のせいなのかもしれない。要塞のような建物はいくら古いとはいえ、流砂に耐えるよう作られているはずである。私はデイドラの建物が泥や霧、溶岩の中で長い年月を生き延びた無数の事例を目にしている。だが要塞はファーグレイブの砂漠に沈みつつあり、この運命にまったく抵抗する様子を見せない。この要塞の消失の中心に何かがあるとすれば、それがアルケインの結び目なのではないか。

私はアルケインの結び目の発見者となれるだろうか?他の者たちは要塞の奥深くへ苦労して潜り、隠し扉や巧妙に偽装された隙間、その他冒険につきものの仕掛けを探して部屋を調べているが、私は一番いいシャベルを持ってここに来ている。そのとおり、この長く非生産的な休憩で痛む腰を少し回復させたら、私は結び目を探して掘り続ける。よりにもよってここに結び目が埋まっているはずがないなどという、他の者たちの脅しに耳を貸すつもりはない。私は自分の使命に決意をみなぎらせている。結び目を掘り出すまで、何物も私を立ち去らせることはできないだろう。

レオナウド・ニセルの日記Leonaud Niscel’s Journal

[第一の記述]
スキングラードの地図職人が言っていたとおりの場所でエレングリンを見つけた。典型的な後期アイレイド建築だ。少し調べてみると、地下の宝物庫へ通じる扉が見つかった。この場所で忘れられた財宝が手に入るとすれば、ここしかあるまい。朝になったら探索を開始しよう。

[第二の記述]
まったく、エレングリンは危険と言われるだけのことはある!上階は刃の振り子の罠だらけだ。単純な装置で、タイミングに気をつければ簡単に回避できた。

森の獣たちはそれよりも厄介だ。エレングリンの上階は蜂やホーヴァーで埋め尽くされている。自然にできた裂け目や崩落を通って、ここまで降りてきたに違いない。

[第三の記述]
氾濫した上層の広間を越えて、アイレイドのクリスタルに照らされた秘密の部屋まで来ることができた。当然ながら、さらなる罠に出くわした――今回はダークウェルキンドだ。この黒いクリスタルは接近しすぎると力の波動を放出する。ミノタウロスもいたが、これは予想の内だった。このでくの坊は気づかれないようにすり抜けてやった。

[最後の記述]
エレングリンの迷路にたどり着いたが、後退を余儀なくされた。ガス格子には備えができていた――他のアイレイド遺跡で見たことがあるからだ。だがアンデッドのガーディアンもいるとは予想外だった。格子から吹き出す緑の霧に隠れて、古代のスケルトンが現れたのだ。背後に1体いるのに気づかなかった。なんとか逃げおおせたが、奴に一撃もらってしまった。

今は疲労と痛みでこれ以上は無理だ。ここで少し休んでから、地上に戻ろう。

レディ・ウェザーレアの遺言状Will and Testament of Lady Weatherleah

私、ウェザーレアの屋敷のレディ・ルシーラ・ウェザーレアは、正常な精神状態において、私の現存する富と不動産について以下の決定を下します。信頼する受領者は理解するでしょう。

ウェザーレアの壁は光り輝く秘密を隠しています。

四つの忠実な足で安全に守られています。

レディ・ウェザーレアの日記Lady Weatherleah’s Journal

愛する息子へ、

私は多くの年月と大量のゴールドを費やして、あなたを探してきました。私はずっと頑なに、あなたが遠い戦場で最期を迎えたことを受け入れようとしませんでした。あなたを捜索していたことは秘密にしていました。ペレナを誘うことも考えましたが、私がそれとなくほのめかしただけで彼女は怒りました。亡霊を追いかけて金を無駄にしていると。

もしかすると、彼女も私が今では受け入れた真実を恐れていたのかもしれません。あなたが何の意味もなく死に、どこかの名もなき墓で眠っていることを。

エドリックの助けを借りて記念碑を築いたことで、少しは慰められました。あなたはきっと気に入るでしょう。あなたが若い頃ホタルを捕まえていた、静かな場所にあります。

では、また会える日まで、
母より

レディ・ウェザーレアへの手紙Letter to Lady Weatherleah

残念ながら途方に暮れている。あの料理人が敷地のことで私に付きまとい始めたのよ。最初は何とも思わなかったけど、あまりにも頻繁に出くわすようになって、亡き夫の失踪に関する質問も増えてきた。

何を考えてるのか知らないけど、私たちの安全が心配になる。あの料理人にはやめてもらいましょう。代わりを探す手続きを始めるわ。一言伝えて

よろしく
ペレナ

レディ・ウェザーレアからのメモNote from Lady Weatherleah

この手紙を読んでいるなら、ベトゥがあなたを信頼して私たちの隠し財産を託したということですね。

私はいつの日か、この財宝を息子のウリエルに渡したいと思っていました。ですが、先日、娘のようにかわいがっていた女性が私を裏切っていたことを知りました。ですので、明らかに彼女が狙っている財産を隠す必要が出たのです。

まだすべての証拠は揃えていませんが、彼女の罪を明るみに出すために力を貸してくれる友を知っています。私は彼女の破滅を見るほど長生きできない場合に備えて、この文書で最後の望みを明確にしておきたかったのです。

私の愛犬ベトゥ、そして私が悲しみに引きこもっていた時、愛犬ともども面倒を見てくれた従業員に残っている財産と地所を渡してください。彼らは私に残された家族であり、彼らの記憶を通じて愛しいウリエルは生き続けるのです。

エドリックとオソへ。私の悲しみを少し和らげてくれたことに感謝します。この富が息子からもらった最高の贈り物、忠実なベトゥの世話に役立つことを願います。

レロナス隊長への手紙Letter to Captain Leronus

レロナス隊長

隊長の疑いが当たらなければよかったのですが。大量の血だらけの鎧が森に埋めてありました。軍団兵は脱走ではなく、殺されているのです。

皆、襲撃中は地下墓地へ逃げるよう言われています。隊長が確認するまで安全でしょう。唯一の鍵は私が持っているので、準備ができたら知らせてください。

どうかご無事で。

管理人ガイウス

ロトメスについてOn Rotmeth

オリウス・ヘルタノによる、上等なビンテージ愛好家への忠告

質の良いスキングラードのビンテージをヴァレンウッドに輸出する数々の試みは、徹底的な失敗に終わった。冒涜的なグリーンパクトを奉ずるウッドエルフたちはブドウの木の生産物に触れようとせず、ワインを食習慣に取り入れようとする試みに対してしばしば暴力的に反応する。その代わりとして、ウッドエルフは死んだ肉から彼ら特有の不快きわまる飲料を醸造している。そうした忌まわしき混合物の中で、最も気持ち悪いものはロトメスという名で知られている。

ロトメスは強烈な、おぞましい臭いを放つ飲料で、主に発酵させた肉から作られる。ティンバーマンモスの死骸と内臓の肉が好まれるが、十分な大きさの動物の臓物や死骸ならば何でもよい。死肉は泉の水に放り込まれ、サンダーバグの甲殻がその液体の中に加えられる。ヴァレンウッド出身者の間では、サンダーバグの口の雷腺がこの混合物の最終的な味わいを深めるか、妨げるかについて一定の論争があるらしい。

そこから生じる刺激的な臭いの混合物は浅く広い、ブドウ踏み用の桶に似た水槽に保管され、森の中の日が当たる場所に放置される。そこから数週間、混合物は注意深く攪拌され、腐敗しつつある肉が砕かれることで表面に分厚い、弾力のあるゼラチンが形成される。この脂ぎった泡はすくい取られ、革のなめしや殺虫剤に利用される。残された液体は絹の袋で濾される。まだ残っている滓は乾燥させて粉末にし、こうして生まれる骨粉はジャガに漬けた「泥団子」など、ウッドエルフの珍味の材料となる。

ロトメスはたった数週間で強烈な酒になり、(かろうじて)飲めるようになるが、「上等な」ロトメスは陶の壺や不透明ガラスの細口瓶に注がれ、何年も寝かせてから最後の濾過を行ったものである。この年代物のロトメスは結婚式などの祝いの席で供される。この完成品の味は「まずい」の一言で済ませられるものではない。その芳香は巨大な肥やしの山であり、味は主に水虫の風味である。方解石の風味と、水垢で汚れた墓を思わせるかすかな香り、そして後味は干からびたマンモスの皮の味だ。

この酒を「甘くする」試みが、主にムーンシュガーを加えることによってなされてきた。これはむしろこの混合物をより不快にするだけである。どれだけの甘味料を加えてもこれの味を改良することはできない。まともな飲み物を好む者に、ロトメスはお勧めできない。

もちろん、ウッドエルフたちはこれが最高の飲み物だと思っているのである。

円環の書、金耀の格言The Book of Circles, Fredas Maxims

フランダー・フンディング 著

忠実な者たちよ、金耀には次の師範の格言について考えよう

敵が安穏としている時、挫折を味わわせよ。

敵が満腹な時、空腹を思い出させよ。

敵がベッドを求めている時、目を覚まさせよ。

敵が故郷を想っている時、戦場へ留めさせよ。

敵が戦場へ赴かんとしている時、家へ留めさせよ。

敵が汝に備える時、誘いに乗ってはならぬ。

敵が汝に備えぬものは、黄金の食卓の上に敷かれた饗宴である。

回想者への対処Dealing with the Recollection

ナルシス・ドレン 著

ウェンディル遺跡の研究は極めて有意義なものになり、最後の王の紋章はあそこで見つかると確信している。究極の発見ができるチャンスだ!研究にとって朗報!本が売れそうだ!

しかし、問題は十分な支援を見つけるのが難しいことだ。鈍き刀剣のボーフリーは通常、こういう鈍器が必要な場面で最適な存在なのだが、家族の事情で休んでいる。老いた同僚は少し…〈「自分勝手」や「臆病」だと思われる言葉がいくつか消されている〉この新しい機会をつかむことに慎重だ。エルフベッタはいつもどおり忠実だが、研究能力には長けている一方で、危険な状況を任せることはためらわれる(それに私よりも走るのが速い)。どこかの〈「馬鹿」「愚か者」という言葉が消されている〉有能な志願者が支援に現れるのを願って、危険な遺跡に長居するわけにもいかない。

そのため、ウッドエルフの回想者という民兵に助けを求めた。この新しい組織は最近ウェストウィールドに現れた。南部の境界沿いに突然出現したドーンウッドと似たようなものだ。ある中間管理職と会って(誰に権限があるのか明かすのをとても嫌がっていたようだが、知らないのかもしれない)、エールと軽食を一緒にいただいた。私のアイレイドの知識(エルフベッタの熱心な研究がここでは役立った)とウェンディルでの探検計画を聞いて彼女は喜び、発掘、戦闘、運搬といった作業を手伝うため、信頼できる回想者のメンバーを数名連れてくると申し出てくれた。

さて、賢い決断を下したかどうかは自信がない。すべてが順調に進んでおり、最後の王の紋章は週末までに入手できそうだ。ただし、あのウッドエルフたちは宝を渡したがらないのではないかと感じ始めている。

渇いた死者The Thirsty Dead

死霊術師マリリア・レラリス 著

凡庸な愚か者は死霊術が骸骨を動かし、骨をくっつける技術だと言っている。この古く悲劇的な技に対する連中の想像力と敬意の欠如は最初から明らかだ。真の死霊術の儀式には、埃っぽい骨や掘り返された墓よりも遥かに多くのものが要求される。最も有効な死霊術の召喚は新鮮なものである。すなわちまだ動いている心臓が召喚者の目の前で止まり、その内臓と生命力を地面に吸わせるのである。

長期間埋められていた死者たちに訴えかけるのは、このように貴重な流血である。死霊術の達人はこれを忘れてはならない。墓場は時として、骨の年齢にかかわらず目覚めさせなければならないのである。そうした場合、死者に対する供物が必要となる。彼らの骨がもはや有していない生命エネルギーを味わわせるのだ。

というのも、骸骨には使い道がある。より高度な傀儡ならばマジカを伝達し、主の代わりに魔術的な作業を行うこともできる。しかし肉のうちに宿り、呼吸の中で生まれ、血の中に浸透する中心的な力というものがあり、すべての骸骨はそれを渇望している。骨はもはや自分が持っていないものを求めるのである。

数体以上の骸骨を蘇らせる時、あるいは最も初歩的な傀儡以上のものを作る時、闇の技の信奉者は死して久しい骨のために、生者の世界に対する食欲を刺激してやるべきである。血の味と生命力の放出は、通常ならば休眠状態にある霊魂にとって抗いがたい魅力がある。それは喉の渇きで死にかけている人に水を与えるようなもので、死者が生命の味を思い出したら、もう眠りに戻ることはできなくなる。

供物の入手手段はまったく別の問題であり、実践者たちの間で個人的な選択に応じて分かれる部分と言える。生命を強制的に奪い取ることが死霊術の一部であると考える者もいる。死者を再び蘇らせるために命を盗むことには、一定の詩的な美がある。その一方、実践的な理由から、また流血の時と場所を正確に選べることから自発的な犠牲を好む者もいる。他にも、自分自身の血を死者に捧げるべきだと信じる者もいるが、これは無駄な骨折りである。どれほど体格がよく丈夫な死霊術師でも、数滴以上の血を捧げることはできないし、死者に自分自身の血の味を教えるのはお勧めできない。なにせ死者は渇いているのだ。手に入るものなら、何でも奪い取ろうとするだろう。

恐怖の命令The Terror’s Orders

家族を見逃す条件で、グリヴィアは他の街の者たちに救出するふりをした。

出歩かせ、連れてきた者で自由に腹を満たせばいい。

最後の生存者が集まったのを確認したら、奴を縛って馬屋へ連れていけ。家族をどこへ隠したのか吐かせろ。

何も言わないようなら呪いを与えろ。その後で家族の血をいただくのと、奴が自分で食うのを選ばせればいい。どちらにしろ、我が軍の兵となる。

ウィールドの恐怖
バランドルス

鏡のポータル:収集団の伝説The Mirror Portal: A Gleaner Legend

星を歩む者 著

オブリビオンの天空の籠、ファーグレイブには、存在しない場所への扉を見つけたヴィニーヒルという収集団員についての物語がある。

はるか昔、ヴィニーヒルは次元を放浪していた。奇妙な領域については経験豊富な旅人である彼女は、定命の者が見たことのない場所を訪れ、数多くの「最初の跳躍」を記録した。ヴィニーヒルは最初の跳躍をすべて報告したものの、二度目は常に秘密にした。誰も想像すらしなかったことを知るのは、彼女にとって何よりの喜びだった。

ある日、彼女は意図せず訪れたデイドラ公の打ち捨てられた宮殿から戻ってきた。彼女が出現したのは快適な〈運び手の休息所〉の近くにあるポータルの広場ではなく、ファーグレイブを囲む砂漠の中だった。〈運び手の休息所〉はとても遠く、地平線の上の単なるこぶにしか見えなかった。この収集団員は観念し、長い道のりを歩いて帰ることにした。

どれだけ歩いたか、ヴィニーヒルにはわからなかった。だが、そうこうするうちに彼女は砂丘の頂上にあるポータルにたどり着いた。それは枠も縁もない、鏡の破片のような裂け目だった。ヴィニーヒルはこのようなものを見たことがなかったため、足を踏み入れる前に長い時間をかけて調べた。だが早かれ遅かれ、収集団員は扉の向こうにあるものを突き止めなければならない。それが収集団のやり方なのだ。故に、ヴィニーヒルは中に入った。

最初、彼女はどこにも行っていないと思った。反対側の景色は同じに見えた。だが、砂丘の斜面を降りると、土地が変化し始めた。足の下の砂がきらめく銀の色合いを帯び、彼女の周囲に打ち捨てられた建物がぼんやりと形作られた。

先に進むほど、しっかりと見えるようになっていき、気づくと彼女は水晶のような建物と色とりどりの中庭がある見捨てられた街をさまよっていた。彼女の周囲では、今もファーグレイブの砂漠が地平線まで広がっていた。どうやら、この見えざる街は、天空の籠と同じ次元に存在するらしい。偶然見つけた裂け目の背後に隔離された鏡像なのだ。

ヴィニーヒルはこの隠された領域を探検することに決めた。だが、廃墟の中心部に接近すると、奇妙な生き物に遭遇した。彼女の上に3本の先の鋭い足でそびえたつ、プリズムのような存在だった。それはすぐ彼女に気づき、突進した。立ち去るべき時だと判断したヴィニーヒルは逃げ出した。鏡のポータルまで走って戻り、飛び込むと――ぼんやりとした残響は消滅した。

ようやくファーグレイブの壁にたどり着くと、ヴィニーヒルは砂漠で見つけたものについての答えを探し求めた。そのような場所のことは誰も知らないどころか、何なのか推測できる人すらいなかった。それだけでも最悪だったが、それから彼女は何かを忘れているような感覚に苦しめられるようになった。ファーグレイブに留まった彼女は、何かがひどく間違っていると日に日に確信するようになり、やがては漠然とした不安により、半ばおかしくなってしまった。

驚くべき冒険から数ヶ月後、ヴィニーヒルは姿を消した。最後に目撃されたのは、ファーグレイブの荒野に向かって歩いて行く姿だった。その後彼女の消息を耳にした者はいない。鏡のポータルの正確な場所と、彼女がその先で見つけたものは今日に至るまで謎のままである。そして、未来の収集団員が挑むための課題としても残されている。彼らにその勇気があるのなら。

緊急回収命令Orders for Immediate Retrieval

番人ヴィルゴスの命令

最初のワイルドバーンの儀式が行われた中心地として、緑の代弁者から新しいワイルドバーンの種はオストゥミルの周囲で芽を出すだろうと言われている。近くにあるアイレイド遺跡でワイルドバーンの成長した種を見つけること。種はできるだけ早く発見し、回収しなくてはならない。戦いの次の段階では、何としてでもそうした種を所有している必要がある。

オストゥミルの地下へ広がる遺跡に入れ。ドーンウッドが現れ始めた場所の根元には大きな種があるはずだ。見ればわかる。その種を回収して持ってくるように。

〈下記のメッセージは別の筆跡で殴り書きされている〉

ベラゴンと仲間へ

見ての通り、急ぐ必要がある。遺跡で会いましょう。いいものを見せるわ。

熊の面倒を見ることTaking Care of Your Bear

インペリアルの動物調教師、パンテア・マリア 著

おめでとう!あなたは子熊の飼い主となりました。茶熊、黒熊、雪熊、スヴォンガルデ、サンバック、どんな熊であれ、あなたの新しいペットは何年もの間、喜びをもたらす忠実な友となるでしょう。新しい友を育てて訓練するために、いくつかの役立つヒントを教えましょう!

餌やり:熊は雑食性で、植物も肉も食べられます。冬眠から覚めた後、野生の熊は木の実や冬に殺したヘラジカや鹿、その他の哺乳動物を食べて生活します。魚も好きで、それには乾燥させた魚も含まれます。いずれにせよ、規則的に食べ物を与えることが強く推奨されます。熊にはそれぞれの好みがありますから、色々な食事を試してみて、あなたの熊が気に入るものを探すといいでしょう。

排泄:熊は森の中で排泄します。外で生活するか、十分な数の人を雇って処理させるか、適切な処置を取れるようにしておきましょう。熊に排泄の躾をすることは可能です。しかしこれはよく言っても不確実な方法です。我慢強くやりましょう。

活動:熊は環境と交わることを好むので、田舎の環境で自由に歩き回らせている飼い主もいます。より都会的な地域でペットとして飼われている熊には、運動するのに十分な空間と、可能であれば熊の欲求を世話するための番人を用意するのがよいでしょう。熊は人間よりも早く走れるので、ケンカ遊びをする時はそのことを考慮しましょう。

冬眠:人に飼われてたっぷりと食事を与えられている熊は冬眠しません。しかしその結果、通常なら冬眠中に減っていくはずの体重が増えすぎてしまう可能性があります。熊の食事は計画的に与えましょう。

躾:熊は本能的に好奇心が強く知りたがりで、しばしば物を壊します。特に食べ物が関係する場合はその傾向が強くなります。熊の訓練は早い時期から始め、ルールを破った時はちゃんとそのことを理解させましょう。熊には厳格に向き合うべきですが、本質的には野生動物であり、家庭の環境にはうまく適応できないかもしれないということも理解しておきましょう。

年を取った熊:子熊は愛らしくて可愛いですが、成長するにつれ扱いが難しくなってきます。騎乗動物として訓練を受け、飼い主に長年奉仕する(飼い熊は最大50年ほど生きます)熊もいれば、訓練不可能なことが判明し、野生に還さざるを得ない熊もいます。

軍団兵ジュカニスの日記Journal of Legionary Jucanis

ヴァレンの監視所。俺が帝国軍に入ったのは冒険と刺激を得るためだったのに、こんなところに配置されるとは。これほど刺激から遠く離れた場所があるか!俺がいる崩れかけた古い要塞は、五年くらい前にここを破壊したリーチの民との戦いで知られているだけの場所だ。多分、誰もこの監視所が重要だとは思わなかったんだろう。ほとんど修理がされていない。俺たちはただ、狼煙を点火する必要があった時に備えていつでも用意しておけと言われているだけだ。こんなところを誰が攻撃するんだろう。本当の戦いはすべてシロディールで起きているのに。

だが俺は、ここで何もない場所を守っている。冒険なんて夢のまた夢だ。

* * *
壁沿いに積み上がっていた瓦礫の中から、面白い小物を見つけた。どうやらリーチの民の呪物か何からしい。どこか不気味な美しさがある。最初はビーズだと思ったが、何かの骨のようだ。動物の骨だといいが。だがこれはリーチのものだ。俺もリーチの話は色々と聞いている。とにかく、妹に送ってみようか。むしろ、妹の友達のイヴェッタに送ろうか。

* * *
ゴールドロード沿いの、ウィールド中に点在している古い遺跡の近くで襲撃があったという報告を受けた。隊長は数ヶ月前に一夜にして生えてきた森と関係があると考えているが、そんなことが可能なのか?そんなに早く森を生やすなんて不可能だ。何かの奇跡に違いない。

俺たちは大きな部隊じゃない。軍団兵が十数人と、士官が数人程度だ。俺たちの主な仕事はウィールド北西の国境を見張り、西方からの人の移動を監視することだ。問題を発見した場合は、隊長からはっきりと命令を受けている。狼煙を点火して、援軍の到着を待つ。

だが軍団の現状を考えると、かなり長く待つことになるかもしれない。

* * *
襲撃だ!しかも相手はウッドエルフだ!どこから来て、そもそもどうやって監視所の中に入ったんだ?この数では勝ち目がない!こうなったら――

警告の掲示!Warning Bulletin!

ウェストウィールド軍団の命令により
オロ湖との周辺へ
無許可の者による立入を禁じる。

一帯では危険な野生動物が目撃されている。
安全のため、今すぐ引き返すこと。

注意を怠らず、敵対的な植物および動物を
目撃した場合はただちに
最寄りの軍団の拠点まで報告すること。

警告の手紙Letter of Warning

レディ・ウェザーレア、署名のない手紙を信じることがどれだけ困難かはわかっています。ですが、私はあなたの命を案ずるように自分の命も心配なのです。

信頼を得るため、これをお伝えします。砂糖漬けのバラの花びらと淹れた薬用人参とコムベリーのお茶。あなたのお好きなお茶を知るのは、心からあなたを気にかけている者だけのはずです。

私が危険を冒してこの手紙を書いているのは、裏切者があなたの背後で陰謀を企てているからです。こんなことを言うのはつらいのですが、あなたが気にかけていた女性が、ご子息の殺害に関わっています。

できるだけ早くお会いしなくてはなりません。もうあまり時間はなさそうです。

五人の忠実な家臣に関するメモNotes on the Five Loyal Retainers

ナルシス・ドレン 著

アイレイド帝国はアレッシアの奴隷の反乱を受けて崩壊し、妖術王たちは力をつけたネードの反乱軍に滅ぼされた。しかし古代アイレイドの支配者がすべてその地位を失ったわけではなく、一部の都市国家は自己防衛のため、もしくはネードの信念に共感して元奴隷と手を組んだ。

ラロリアラン・ダイナー王の統治下にあったネナラータもそうした国家だった。その結果、彼の王国は白金の塔の崩壊を切り抜け、新たなアレッシアの統治下にある属国であり続けた。次第にそうした属国はアレッシア帝国に吸収された。最終的に皇帝アミエル〈余白のメモ:「それともアミ・エル?」〉は生き残ったアイレイド人を追放しろという最終通告を突きつけ、彼らの国々を占領した。ダイナー王はアレッシアの軍が到着する前に逃亡し、その混乱の中で地位の象徴である王冠、セプター、紋章は失われた。〈余白のメモ:この年についてエルフベッタに要確認。一次資料では不明確〉

ダイナーには忠実な家臣が五人いた。彼は紋章を家臣に託した。それは最後の王の紋章として知られることになった。忠実な家臣たちとは:

– ロル・エメロ、王に仕えた高貴な騎士。
– パルハエリア、またの名を恐ろしき拳。
– 陽気なバレペリン、ユーモアと胴回りが豊かな有名な冒険家。
– ヨンドヴァルラ、またの名を予言者。

最初の4人は全員アイレイド。最後の家臣の名は明らかになっていない〈余白のメモ:名のなき者?〉。明らかにネードらしいが、その出自は、名前さえも記録が残されていない。ダイナーはこの五人の忠実な家臣に紋章を託し、彼らは現在ウェンディルの遺跡となっていると思われる安全な場所へ退いた。その遺跡には十人の先人の一人もいると噂されていた。帝国の崩壊時代に作られた古代の像だとされるが、まだこれは確認できていない。だからここが選ばれたのかもしれない。

私(というかエルフベッタ)が調べた伝説で、名のなき者は最後に到着し、そのネードの忠臣がウェンディルの下にある地下室への扉を封印したとされているが、物理的になのか魔法でなのかは不明だ。伝説では五人の忠実な家臣が紋章を現在まで守っているとされているので、名のなき者は魔法の扱いに優れていた可能性がある

〈ページの下にある最後のメモ:助手をもっと連れてこい!〉

五人の忠実な家臣の碑文Epitaph for the Five Loyal Retainers

ダイナー王の五人の忠実な家臣は、紋章の道を歩んだ後も変わらず警戒を続ける

ロル・エメロは西の端で始めた

パルハエリアは後に続き、騎乗して4晩東へ向かった

バレペリンはこれに続き、3日間北へ移動した

ヨンドヴァルラは4番手で、2晩西へ旅した

名のなき者は最後に、1歩北へ進んでから保持の霧を放った

護民官アレア・イドルス様へTo Tribune Alea Idolus

護民官アレア・イドルス様

社交辞令を省略することをお許しください。ラストウォールがとても危険な状態で、時間を無駄にできません。

あなたがここに配置した軍団兵が、職員の大半とともに姿を消しました。軍団の部隊だったものが、謎めいたことにレロナス隊長を含む10人未満の兵士に減ったのです。何が起きたのか誰も知りません。

残った職員はパニックに陥りそうです。何か見知らぬ勢力に狙われているようです。レロナス隊長が計画を立て、隠れ――

再び共に故郷へ歩く時までUntil We Wander Home Again

伝統的なウッドエルフの民謡

曲がりくねる森の小道を何度も歩き
立ち止まりも考えもせず道を追ってきた
しかし休みなく旅をしながら
探していたのはあなたの道だけだった

以前は並んでぶらぶら歩き
あなたの手は私の手にぴったりと合った
しかしこの馴染みある道はもう様子が違い
唯一愛する人の顔を思い出せない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

以前はこの退屈な道をよく知り
道しるべとなる木や岩をどれも知っていた
しかし時は過ぎ、いろいろと変化し
記憶は薄れて次第に朽ちる

あなたへの思いが森の中で私を導く
迫る夜明けのはかない亡霊のよう。
しかし私たちの大切な場所まで行くと
記憶が戻ってあなたはいない

かつて明らかだったものはほとんど消え
まるで色あせていく好きな歌のよう
分岐して曲がるこの道を歩こう
再び共に故郷へ歩く時まで

再び共に故郷へ歩く時まで

最後のアイレイド王Last of the Ayleid Kings

ブラゾラス・ドール皇帝の宮廷書記、ソノリア・ヴァティア 著

アイレイド帝国の崩壊とアレッシアの隆盛と共に、デイドラを崇拝するアイレイドの統治者が全員取り除かれたわけではなかった。かつて人間の奴隷に同情的だった一部のアイレイドの指導者たちは、アレッシアと彼女の反乱軍に忠誠を誓い、そうしなかった者たちは白金の塔の陥落と共に武器を捨てた。

こうして生き延びた諸王国は時を経るにつれて次第に没落していき、人間の統治者(およびエドラ崇拝)が拡大した。およそ100年の間は双方の文化が新帝国の内部で共存していたが、アレッシア教団の勢力拡大に伴い、デイドラ崇拝者の迫害は激化した。最終的に、アイレイド統治下にあった最後の都市国家ネナラータが最後通告を与えられた。避難するか、さもなくば滅びよと。統治者のダイナー・ラロリアラン王は、街からの脱出行を率いた。残留した者は教団によって虐殺された。ダイナーは自らの地位の象徴を二つ持って逃れた。王冠とセプターである。杖の形をした彼の紋章は忠実な従者たちによって守られたが、脱出行の最中に消失した。

ダイナー王とその民はハイロックへ逃れ、ハイエルフのディレニ・クランの間に安住の地を見出した。王はビスネンセルの街を築いたが、そこからも追いだされてバルフィエラ島へと逃れ、ディレニ・クランの軍事顧問となった。グレナンブラ湿地の戦いに参加し、その結果アレッシア教団の力は粉砕された。

ダイナー王はシロディールに帰ったと言われるが、歴史の物語からは姿を消している。王の紋章と王冠、セプターは時の流れの中に失われた。アイレイドの塔や砦は草木のはびこる廃墟でしかなくなり、王の民は各地に分散した。この物語は、すべての帝国に対する戒めを示している。どんなものも永遠には続かないこと、最後に勝利するのは時間だということを。

祭の招待状Gala Invitation

貴殿と客人お一人を、誠意を込めてご招待いたします
品位も高く、豪華絢爛なる
祝宴へ
会場はスキングラード
カランティウス伯爵の
城です

軟弱なるカランティウス伯爵は
豊かな財産に埋もれ輝かんばかりにして
食事と音楽、そして愚者を用意し
伯爵の尻が城の玉座に据えられて
十二周年というこの記念すべき機会を捉え
無為なる街スキングラードの
栄光と威厳を称える心づもりです

伯爵はあなた方をスキングラード城で
思う存分叩きのめし、すべての者のために
極上の拘束を与えることを願っています!

使い古された日記Weathered Journal

何日も経過した。数えきれないほどの日が。すべて無意味な日が。

ハイティアとアルノは館の外にたどり着けなかった。炎が俺のすべてを奪い去るのを、何時間も見つめていた。彼らの後を追って火の中に飛び込まないように、衛兵たちが俺の肩を掴んでいた。彼らは私を連れだし、気をそらそうとした。無理だ。火は俺の肉を焦がし、愛する人を焼き尽くした。あの光景を記憶の中に焼きつけたい。光を浴びて盲目になるのなら、それでもいい。

***
隣人たちは彼らが捕らえた盗賊たちに正義の裁きが下ると請け合った。鉄の枷をはめられて牢獄へ放り込まれるのが正義だとでも言うのか。火災は事故で、死者が出たのは故意ではなかったという。ハイティアとアルノが手違いで生きながら焼かれたと知っていれば、夜安らかに眠れるとでも言うのだろうか。俺は彼らの骨を埋めた――灰にならなかった部分を。彼女はあの子を胸に抱き寄せたのだ。生きていた頃、彼女が何気なくしていた動作。今それを見て、俺は泣いた。

***
俺を訪ねてくる者は減るばかり。俺の体の火傷と燃えた屋敷の残骸を見て、居心地が悪くなったのだ。建て直してはどうか、火事以外の話もしたらどうかと言ってくる。そして俺が従わないと、頭がおかしいと言ってくる。あの出来事から人生を立て直すことは、それ自体おかしいのではないか。ハイティアとアルノの復讐はまだ済んでいない。二人の苦痛と死を引き起こした盗賊どもは、まだ息をしている。牢獄は奴らの砦だ――あの壁の奥にいられては、奴らに真の裁きの血を流させることができない。だが忍耐は身につけた。俺は待つ。

この傷跡が残っている限り――俺は復讐を遂げてみせる。

子供に向けたグリーンレディの手引きThe Green Lady’s Primer for Children

子供たちよ、これから話す歌の物語を聞きなさい。私はグリーンレディ、ヴァーダント妃殿下よ。

目をそらさないで。見るのが恐ろしいでしょう。森の報復と呼ばれるのにはそれなりの理由がある。

緑は私の名であり、私の信念であり、ヴァレンウッドにいるすべてのいい子と同じように、森の仲間。

グリーンパクトとは何か?それは約束であって、それ以上でもそれ以下でもない。私たちの保護や愛と引き替えに、緑が喜んで与える贈り物。

私たちの唯一かつ真の故郷であるヴァレンウッドでは、まだ古代の世界が残っている。愛される歌い手イフレがウーズを手に取り、木々とエルフと獣たちを紡いで物語と歌にした時代と変わらない。

次はパクトの異なる面を説明しましょう。何を意味し、どうすれば従うことができ、なぜ重要なのかを。

常に尊敬を忘れないように。「語り部の名において、私は世界の骨の上に立つ。自然の法則の約束と力を吸いこみ、感謝を吐き出す」

死霊術師アニアルの日記Necromancer Anniar’s Journal

一番古い記録
ついに作業を始められる。このアイレイドの遺跡は完璧だ。森の奥深くにあり、誰にも邪魔されない。ここの墓に吹き込められた死霊術の力を肌で感じる。準備があるのでこれくらいにしておく。

* * *
次の記録
マスターたちが遺跡にある複数の魔法の集束点を特定するのを手伝った。こういう場所では強力な力で地面が脈打つ。死者が生き返りたがっているのは間違いない。後で参考にしてもらえるよう、魔法の力が特に強い場所を図にしておいた。

儀式の構成要素の実験は明日始める。短剣に使う砥石を確保するように頼まれた。大変な名誉だ。マスターたちに認められているに違いない!

魔法はとても強力だから、成功は間違いない。じきにアンデッドの群れを好きに使えるようになる。

* * *
次の記録
マスターたちに信頼されているらしく、儀式の中でも特に重要なことを任された。呪文用の有機物を調達する仕事だ。最初は遺跡内の墓を調べたが、ここの死体は古い。儀式で目覚めることになるが、今はもっと新鮮な死体が必要だ。

代わりに我々から「提供者」を選ぶことにした。しょせん墓の先の人生が永遠に続くなら、一時的に新鮮な器など無用だろう?

* * *
次の記録
すべてが揃った。マスターたちは儀式用の道具を遺跡の死霊術の力に同調させた。私は呪文に力を注ぐための死体を提供した。明日、死者の再生を行う。

* * *
次の記録
何かとんでもないことになってしまった。いよいよ儀式を始める準備が整っていた。私は死体を正しい場所に置き、他の者たちと一緒に唱え始めた。死霊術の力が死体と遺跡の基盤にしみ込んだ時、突然強い光で目が見えなくなった。私は爆発で壁に叩きつけられ、意識を失った。

目が覚めると血と瓦礫に覆われていた。叫び声と争う音が聞こえた。敵の正体はわからない。他の死霊術師はほとんどが爆発で死んでいた。生き残った者はすぐに侵入者に倒された。デイドラのようだが、これまでに見たことがない姿をしていた。私はまだ気づかれていない。そうあってほしい。

* * *
次の記録
信じられないことだが、マスターたちが墓の下から蘇った。私は蘇らせていない。死んだ後でさえ、どうしても儀式を続けたいようだ。何か様子が違う。言葉が一部変えられ、レブナントがねじ曲げられている。私の知るアンデッドでも霊魂でもない。恐ろしい。この世のものとは思えないデイドラでさえ、もう手を出さない。

残されたのは私だけらしい。出口を見つけなくては。

* * *
最後の記録
いよいよだ。逃げよう。もしだめだったら、この日記が自分の記録として残るだろう。

慈悲の熟練Mastery of Compassion

フランダー・フンディグ 著

私が星霜の月の下を捜索した時期に、私は友もなく異国の地をさまよった。

ならず者と物乞いに交じって、私は苦しむ者を憐れみ、迷える者を愛することを学んだ。私の未来の日々において、彼らの苦痛は私の苦痛である。

トゥワッカの祝福の下、ソードシンガーは慈悲の熟練を得るために同じことをしなくてはならない。

失われたもの、忘れられたものThings Lost, Things Forgotten

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

香りが記憶を蘇らせ
歌が涙を誘い
顔に見覚えがあり
とても鮮明な記憶

失われたもの、忘れられたもの
存在しなかったかもしれないもの
記憶はあまりにはかなくもろい
半ばしか見えない印象

しかし時が風の中の葉のようにすべてを散乱させ
私たちが覚えているものは夢のように薄れゆく
歴史、謎、真実、嘘
あなたがよく覚えているものは私のものと違うかもしれず
頭の中にあるとはそういうもの

失われたもの、忘れられたもの
失われたもの、忘れられたもの

狩人の旅2:帝国保護区A Hunter’s Journey II: The Imperial Reserve

専業狩人、ヴィオラ・フルシニウス 著

私が最初に狩りへの愛を見出したのは、いわば我が家の裏庭だった。コロヴィア台地で育ち、父の家からほんの半日も歩けば帝国保護区の草原があった。弓を引ける年齢になった時から、よく家を抜け出して保護区をうろつき、運試しをしたものだった。シロディールとゴールドコーストに挟まれた絶好の猟場には、鹿、アンテロープ、キジ、時にはウェストウィールドボアがたくさんいた。

豊富な獲物に触れるうち、私は昔の皇帝たちがこの地を自分たちのものにし続けた理由を理解するようになった。父は私に、かつて皇帝ブラゾラス・ドールはこの地での狩りを好んだと語った。実際、彼はルビーの玉座で帝国の運営を試みるよりもずっと狩りのほうを深く愛し、仕事への対処は最高顧問に命じて、自らウェザーレアの近くに別荘を建てていたそうだ。彼が行った公的な活動は、広大な帯状の平原を自分の個人的な保護区とする宣言だけだった。

100年前後の間、時々出現する密猟者を除いて誰も皇帝の鹿を獲ろうとする者はいなかった。だが、レマン皇帝に従った最高顧問たちは、自分たちが個人的に狩ることのない動物の群れを守るための出費に興味を示さなかった。帝国保護区は、徐々に白金の塔の地図の上の単なる名称となっていった。間もなく、父と私を含めたコロヴィアの一般人がひそかにこの地域で狩りを行い始めた。当然だ。

私はタムリエルのあらゆる地で狩りをした。スカイリムではマンモスを追い、モロウウィンドではニックス・オックスを槍で突き、ブラック・マーシュではワマスの皮を剥いだ。だが、最低でも年に一度はコロヴィアの帝国保護区に戻り、自分の生まれた土地で健全で楽しい狩りの素朴な喜びを味わっている。特に秋、空気がすがすがしく、オスたちが発情期に入っている時期には。

それでは、狩りの場で会おう!

収集団の主張Gleaner’s Claim

これを読んでいる収集団の者へ:

君はデンドリス・デンメヴァニに後れを取ったぞ!この場所に通じるポータルに一番乗りする名誉は私のものだ。元の場所に戻ったら、〈運び手の休息所〉の年鑑に私の名前を探すといい。

今我々がどこにいるのかは、正直に言って私も混乱している。この次元はファーグレイブの一部分のようだが、私が知っている天空の籠のどの部分にも接していない。突き出しているクリスタルも、これまでに見たことのないものだ。

この忘れられたファーグレイブには、普通でないデイドラが徘徊しているのに気づいただろうか。クリスタル魔術を使うドレモラ、ガラスで出来た精霊だ。奴らはまったく友好的じゃない。今のうちに立ち去ったほうがいいぞ。

デンドリス・デンメヴァニ
アービス収集団

正道戦争についてOn the War of Righteousness

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

アレッシア帝国の終焉はいかなる歴史学者にとっても厄介なテーマだ。アレッシア帝国が滅びたのは、アレッシア教団の神権政治が拡大しすぎて持続できなかったためだと書かれてきた。間違いではないが、これでは何が、なぜ起きたのかほとんどわからない。

帝国の崩壊の直接的な原因は、遠方の地域、特にハイロックに対する支配を維持できなかったことだ。ハイロックの商人たちは帝国に課せられた重税と規制に対して不満を感じていた。またアルトマーの伝統による「汚された」人々に向けられた教団の敵意が、何の助けにもならなかったことも確かだ。第一紀の24世紀が始まると、ハイロックの王国は帝国から離れた。

教団の神権政治家は、ブレトンの国々に対する影響力の喪失に激昂した。しかし、教団は軍事的な対応を行うことは避けた。シロディールの司教評議会は敵対するハイロックを侵略し、永久に占領するための費用を恐れたのだ。成功しても、その地域に守備隊を置くため莫大な資金を投じることになる。最悪の場合は敗北だ。彼らは時機をうかがうことにした。だが第一紀2319年、スキングラードのデシナン王が、自らの息子とウェイレストの女王マーガレット・ガードナーの娘との結婚を取りまとめた。

コロヴィア人の地とハイロックの王家の同盟による脅威は、無視するにはあまりにも危険すぎた。大司教ジルニウスは宗教的権力を使ってその結婚を禁じた。彼の妨害に激怒したデシナン王は、結婚を認めるために「コロヴィアの上級司教」を任命した。これに対し、ジルニウスはデシナン王と大司教の権威を否定した司教全員を異端者として非難し、コロヴィア人の地に向けて信頼できる忠誠心を持つ軍隊を送り込んだ。

その結果として起きた戦争は、無秩序、局地的な蜂起、変化する同盟の期間として説明するのがもっとも適切だろう。どちらの陣営にも正道がほとんど関与していなかったことは確かだ。シロディールのコロヴィア人の地を征服するための当初の試みは激しい抵抗に遭い、失敗に終わったが、一方でコロヴィア人は東部の帝国に対する進軍を行うための結束に苦労していた。主戦場は間もなく北西のイリアック湾に移動し、そこではアレッシアの軍団が帝国の権威に逆らうブレトンの土地を一掃した。

西部における費用のかさむ戦いにより、大司教ジルニウスは帝国の東から税と兵をむしり取らなくてはならなかった。このことがニベン人の商人と、教団の軍隊が別の場所で忙しくしていた時には支援していた貴族たちを遠ざけた。東の都市が、次々に、教団が引き続き課している要求を快く思わない現地の領主の支配下に置かれるようになっていった。

終戦はカヌラス湖の大修道院がニベン人の反乱軍によって破壊され、大司教ジルニウスが殺された時に訪れた。命令も賃金もない状態で残されたハイロックで戦うアレッシアの軍隊は任務を放棄した。多くの兵が故郷に戻った。他の者はすでに占有した地域へそのまま定住したが、一部は盗賊となった。第一紀2331年、デシナン王は傀儡を手配してルビーの玉座に据え、表向きに正道戦争は終結した。

もちろんそれは衝突の終結ではなかった。中心部から離れた地域では局地的な戦闘が続き、帝国の中央地域の大部分は依然として現地の軍事的指導者の支配下にあった。正道戦争による混乱はその後何世代にもわたって続いた。

増大する問題An Increasing Problem

レディR

我々は長くライバル関係にあり、公然と互いを嫌ってこそいるものの、昨今は利益のため互いに頼る必要が出てきている。治癒師ネヴァマが労働者の検査と治療をやめず、問題になってきている。あれは近いうちに何とかしなくてはいけないかもしれない。

そして今度は、ウルブレン治安官もこちらの問題を調べ始めた。これは放っておけない。

錬金術師スリウスに、ゼガーのブラインドで痕跡を消すように警告してくれ。

それから、私の助言を聞いて傭兵のダークカンパニーをうまく利用することだ。かなり腕が立つ。

C男爵

待ち伏せの命令Ambush Orders


番人ヴィルゴス

厄介な侵入者に新しい発芽場を知られた。護民官アレア・イドルス、正しく導かれていないベラゴン、傭兵のyour nameに気をつけて。近くへ来たら始末するように。

ワイルドバーンの種が力を放出し、ドーンウッドを北と東へ拡張させるまで、誰にも手を出させてはならない。

探索者マナドラの探検Seeker Manadra’s Expedition

メルカトール・アンブストゥスによる記録
遠征第27日目

ついに到着だ!

何週間もかけて数えきれないほどの砂丘を越えた後、私たちは要塞にたどり着いた。壁は思っていたよりも高かったが、探索者マナドラが以前要塞の秘密主義について話していたことを考えると、当然かもしれない。マナドラが話したいくつかの物語や仮説からは、要塞がこれほど荒廃しているとは想像もできなかった。我々の一団の他の護衛は、砂漠を歩く際の力仕事は任せてくれと請け合っていたが、この荒れ果てた要塞は、どうも力仕事だけで済まないような気がする。

しかし探索者マナドラは興奮している。彼はずっと持ち物を確認し、呪文を練習している。彼を見ていると私も不安になる。この場所全体が私を不安にさせる。

我々は休息し、マナドラが時間だと判断したら要塞へ向けて出発する。要塞の静かな部分にいるだけでこれだけ影響を感じているのだ。ちゃんと休んだほうがいい。

〈いくつかのページが紛失している〉

遠征第40日目

我々は奇妙な空の下を歩いた。護衛として働く間に空は何度も見てきたが、この空が絶えず生み出し続ける奇怪さに匹敵するものは、ほとんど経験したことがない。星の色と形は、ニルンで見られるものとはまったく似ても似つかない。どれだけ遠くまで移動したか確かめたければ、上を見るだけでいい。

探索者マナドラは彼が探しているものに近づいていると考えている。我々が最後の扉をくぐった後、彼の道具の一つが力に共鳴し始めたが、それとほぼ同時にガーディアンが襲ってきた。戦闘の後、探索者マナドラのどの道具もそれ以上の兆しを示すことはなかったが、彼はこの一瞬の反応を吉兆と見なした。彼の専門知識を信じるしかない。

私のほうは、絶え間のない脅威に疲労していた。ガーディアンは厄介な相手で、向こうは休息の必要もなかった。連中は我々の体力を消耗させる病気のようなものだ。探索者マナドラの考えどおり、結び目が近くにあることを願おう。こんなところからはさっさと出たい。

〈さらに数ページが失われている〉

遠征第45日目

急いで書かなければ。結び目は我々が思ったようなものではなかった。あれは我々の力を吸い、食い尽くしてしまう。私はまだあれを持ってはいないが、探索者マナドラは次が私の番だと言っている。まだ入口まで三分の一も近づけていない。他の者たちは消えた。結び目の中に姿を消して、戻ってこない。彼らがどこにいるのかはわからない。

次になるなんて嫌だ。だが探索者マナドラは私に目をつけている。逃げられない。彼は他の者たちにさらなるゴールドを約束して、私を見張らせている。全員を相手にはできない。閉じ込められてしまった。

結び目を持つなんて嫌だ。飲み込まれてしまう。

中立宣言Proclamation of Neutrality

現在の紛争において

スキングラード伯爵領カランティウス伯爵の命により

シロディール帝国は現在内政と敵対勢力を原因とする紛争の最中であるがゆえに、

またスキングラードおよびウェストウィールドは帝国内部の重要な地域であるがゆえに、

また我らの帝国に対する忠義は帝国の領地を、国内外問わずあらゆる脅威から守ることを要求するがゆえに、

そしてスキングラード伯爵領はルビーの玉座への忠誠を保ち、いかなる特定の勢力や指導者にも与しないがゆえに、

スキングラードおよびウェストウィールドは、その東の国境から西のゴールドコーストに至るまで、ルビーの玉座への信頼において中立領域としてふるまうことを今ここに宣言する。

それゆえ、スキングラードはその中にある、ウェストウィールド軍団を代表とするすべての中立的な軍団勢力、その駐屯部隊およびその防衛部隊を支援、維持する。

それゆえ、スキングラードは帝国のうちにある内部諸勢力、例えばアルドメリ・ドミニオン、エボンハート・パクト、ダガーフォール・カバナントの権威を認めない。これらの勢力とその代表者は、ウェストウィールド内部でいかなる権限も有しない。

それゆえ、これらの勢力によるウェストウィールド内部でのあらゆる活動は、スキングラードおよびスキングラードに忠実な領民と防衛軍による敵対をもって迎えられるだろう。

地域の諸侯およびコロヴィア議員の前にて、この日宣言し署名する

スキングラード、カランティウス伯爵

調査官ミジクへTo Investigator Mizzik

ミジク、

恐怖に負けてしまってすまない。真実を告げることで君の命を危険にさらすのが怖かった。すべて自分の手で解決できると思ったんだ。

レディ・ウェザーレアが亡くなる前、ペレナの持ち物を調べた。前から残酷な人だとは思ってたが、最近の彼女はどんどん不安定で神経質になっていた。常に何かにおびえていた。

彼女の部屋を調べた時、セオファン・ピクトルとの手紙のやりとりを見つけた。彼女はウリエルを殺し、今は彼の暗殺者がここにいて、ウリエルの服や名を安っぽい仮装のようにまとっている。

私はペレナの悪事を証明するため、レディ・ウェザーレアに手紙を渡した。もしかしたらそれが彼女の命を縮めてしまったかもしれない。ペレナと私が揉めた時、盗んだ手紙を返すように言われたが、私は断った。手紙は隠したと言った。だがきっと私の嘘を感じ取っていたんだ。レディ・ウェザーレアに裏切りを伝えたことを知っていたんだ。

すまない。全て私の責任だ。
エドリック

追憶の日The Day of Remembering


回想者の諸君

いよいよ追憶の日が来た!これまでの苦労、疑念、困難な決断はこの日を実現させるためにあった。我々は道のデイドラ公の敵が消し去った記憶を取り戻した、最初の者たちだ。今こそ輝かしい時代へ突き進み、世界に我々のデイドラ公を思い出させ、その栄光の前にひれ伏させる時だ!

諸君はそれぞれが追憶の日を近づけるために役目を果たした。その役目をもう少し務めよう。忘れ去られた記憶を蘇らせるのは決してたやすくないが、それこそが我々に求められていることだ。

各自の働きによって、我々は力の源を見つけた。次はそれを、最後のワイルドバーンを使って復活させるのだ。そうすれば、我らがデイドラ公の栄光を世界と共有できるだろうう。

回想者のために!道のデイドラ公のために!

伝播の儀式Rite of Propagation

緑に対しよどみが起きている。イフレは森が自分の根で息を詰まらせないよう、成長が許されるべきだと教えている。ならば伝播の儀式を行い、障害となっている村の重荷を下ろすのだ。

儀式を行うために:

村にとっての自分の象徴を探す。共同体にとって自分を意味する物だ。

村の前で嘆願者として共に立つ。

共同体に望みを聞き、協力するか否かを問う。

共同体が協力するなら、その成長は村次第だ。

協力しないなら、村に提示したものは無効になる。

どちらにせよ、村の望みを尊重すること。村は森であり、森は緑である。

盗みの儀式の歌Rite of Theft Song

まず俺がお前の短剣を盗み
今度はお前が盗み返した
今、俺が欲しいのはお前の弓
ついでにお前の荷袋も!

すんなり渡してもらいたい
別に大したことじゃない
物は世間の回りもの
俺たち二人の間じゃないか!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

まずお前が俺から盗み
今度は俺が盗み返す
だが二人で奴らを盗みに行けば
宝の山は確実だ!

お前は俺の財布を奪った
喜んで分けてやったのに
だがあっちにあるのは何だ?
おい、お宝の匂いがするぞ!

盗みの儀式とはそういうもの
ボズマーの神聖なる踊り
互いに忍び込んで盗み取る
とてもロマンチックだろう!

働いてもらう時が来たYour Services Are Required

錬金術師スリウスへ

以前の2つの問題に対する報酬を入れておいた。よくやってくれた。

お前の専門知識を要する別の問題がある。賭博場のグラクグと新しい補佐官のyour nameだ。どちらもじきに疲労熱にかかるだろう。そして死に至る。それでこの問題は完全に片付くはずだ。

ヤブレン治安官については、対処する方法を別に考えている。じきに自分が調べている犯罪で告発されるだろう。詩的正義というやつだ。

だから錬金術を盛んに使って、強力な霊薬をさらに作るのだ!

C男爵とレディR

燃えた断片Burned Fragment

――彼女を息子と孫娘から引き離せ。俺は――罪のない者を傷つける。こんなことは――

正気であれば――殺し屋の家族に――俺の家族を奪わせるはずがない。

――火は必要だ。思い出させる――ハイ――アル――

来い、エルフ。俺のナイフは待つことに飽きている。

配達確認Delivery Confirmation

カーヴァイン男爵の命令により、ただちに以下の物品をオンタスの北東、ゼガーのブラインドに出荷すること。覆い付きの荷車を使って目立たないように。錬金術師スリウスに直接配達すること。

子羊肉700ポンド
キャベツ230個
ジャガイモ300ポンド
小麦粉40袋

伯爵のイノシシ狩りThe Count’s Boar Hunt

最愛の妹へ

今日の夕食はいらないと母さんに伝えてくれ。しばらくは家に帰らない。お前も知っているとおり、伯爵のイノシシ狩りが今朝あった。狩りは終わったが、残念ながら俺は移動できる状態じゃない。

とはいえ、筆を持つくらいのことはできる。だからお前には事情を全部伝えておきたい。

夜明け頃、俺は狩りに参加する他の者たちと合流するため、ウェザーレア邸の南にある森に向かった。伯爵は民衆向けの狩猟にするとかなり潤沢な支援を行っていたから、有望な狩人は俺だけじゃなかった。むしろ、俺たちの数はあまりに多く、追跡する価値のあるものに出会うどころか、獲物を遠ざけてしまうんじゃないかと思ったほどだ。

しかしカランティウス伯爵は抜け目のない人だから、伯爵の部下たちは手早くこの大集団をいくつかの小さなグループに分けて、互いに距離を取れと言い渡した。驚いたことに、俺はなぜか伯爵その人と同じグループになったんだ!伯爵は黄金の鎧をまとった白馬に勇ましくまたがり、徒歩の狩人たちを先に行かせたので、彼の姿はよく見えなかった。後ろに下がってよく見たかったが、そうしたらイノシシに近づけない。

それで俺は槍をぎゅっと握りしめて、さっそうとグループの先頭へと進んでいった。伯爵の猟犬たちが先行し、イノシシの匂いを探して地面に鼻をこすりつけていた。しばらくの間は静かだった。聞こえる音といえば犬が匂いを嗅ぐ音と、狩人たちの注意深い足音だけだ。

突然、犬たちが匂いを捉えたらしく、顔を上げて吠え始めた。徒歩の俺たちは犬を追って走り出し、無造作に茂みをかき分けて獲物に接近しようとした。

「いたぞ!」と誰かが叫んだ。グループは開けた空き地に入り込んだが、そこでは2匹の巨大なイノシシが決死の縄張り争いを繰り広げていた。牙の大きさからオスであることがわかった。そして逆立った毛は、内に込められた野性の怒りを示していた。激しい戦いのせいで俺たちの接近に気づかなかったんだろう。すごい光景だった。

突然、大きいほうのイノシシが相手から身をもぎ離し、グループの先頭にいた狩人たちに突進してきた。グループの者全員がとっさに行動した。長い狩猟用の剣を持った勇敢な男が、イノシシの首に剣を突き刺そうと試みた。

それは彼の最期の過ちになった。

凶暴化したイノシシの勢いは男の剣を易々と突き抜け、刃が獣の皮にめり込むと同時に、イノシシの牙が男の腹に突き刺さった。傷口から血が噴き出し、男が獣の腹に埋まった剣から手を離すと、イノシシは新たな標的を探し求めた。男はあっけなく倒れ、死体は混乱の中で忘れ去られた。

イノシシが鼻を鳴らし、回り込むように動きながら次の突進の準備をしていた時、俺は恐ろしい事実に気がついた。二匹目のイノシシの姿を見失っていたことに。

グループ全員が倒れた狩人の仇を討とうと、この大きいほうの獣の相手をしていた。俺は伯爵がこの機を見て攻撃しに来るかもしれない、と思って振り返ったが、その時見間違いようのない二匹目のイノシシの影が、伯爵の部下や騎士たちを蹴散らし、伯爵の馬目がけて突進していくのを見た。俺は考える間もなく一匹目のイノシシから離れ、伯爵に向かって走った。

伯爵の名誉のために言っておくが、彼もイノシシの接近は見ていた。伯爵は覚悟を決めた様子で剣を掲げ、無駄とわかっていても攻撃する構えを見せた。イノシシが伯爵とその馬に接触する直前、俺は腕を引き絞り、伯爵目がけてまっすぐ槍を投げた。

確かに、危険な行動だった。俺は狙撃の名手ではなかったし、特に動く標的を狙うのは苦手だった。だがアーケイが俺の手を導いてくれたのだろう、槍は命中した。槍は二匹目のイノシシの目を貫通し、獣はカランティウス伯爵を牙の先に捉える寸前で絶命した。

伯爵は一瞬だけ死んだイノシシを見つめ、それから視線を上げて俺と目を合わせた。彼は俺にむかってうなずき、きっと何か含蓄のあることを言おうとしたんだろうが、そこで一匹目のイノシシが俺の背後から突進してきた。

その後のことはあまり覚えていない。幸運にも牙は外れたが、イノシシは俺を跳ね飛ばして狩人たちのほうへ向かっていった。そのイノシシも最終的には誰かが仕留めた。俺は数時間後、スキングラードにある伯爵の城で目を覚ました。そこで癒し手が俺の足を整骨し、擦り傷や打撲傷に効く飲み物を与えてくれた。

伯爵は俺がイノシシを止めてくれたことを大いに感謝していた。その夜は主賓席で伯爵と饗宴を共にするよう招かれたくらいだ!伯爵と同じ食卓に座るなんて想像もしないことだったが、俺たちはイノシシの焼き肉を食べ、ウェストウィールドの勇敢な狩人たちを称えて乾杯した。

カランティウス伯爵は俺が回復して故郷に帰れるようになるまで、ここスキングラードに留まれるよう取り計らってくれた。伯爵は自分専用の厩舎から馬を1頭進呈してくれて、さらに1年分の塩漬け豚肉と賞金も与えてくれた――イノシシを1頭仕留めた分と、彼の命を救った分と。

体の調子についてはまた近いうちに手紙で知らせるよ。帰ったら、賞金の使い道についてゆっくり話そう。とにかく今確実に言えるのは、イノシシ狩りはもう引退ってことだ!

兄より愛を込めて
アルバヌス・カウデクス

伐採キャンプ日誌1Lumber Camp Journal 1

1週目

ハルダインの伐採キャンプは成功する。予感がするんだ!

ここの木材は最高で、競争相手も少ない。いつもどおり、伐採にいい場所を選んだ。生産量は高く、ここの木はとても早く育ったから木材の質は他の比じゃない。ふしも年輪もほとんどない。選んだ仲間は腕が立つ。動物の肉と森の果実でいい食事ができる。

じきに自分たちの道具を買って、ウェストウィールド軍団から借りたものは返せるだろう。

レピダは森が危険だと考えてるが、最初の数日でそれは間違いだと証明された。獣にも遭遇してないし、飢えた盗賊にも脅されてない。祝福されてるとまでは言わないが、今夜はこんな幸運のお礼に、神へ祈りを捧げようかと思う。

〈このページの残りはぼろぼろに破られている。〉

伐採キャンプ日誌2Lumber Camp Journal 2

4週目

仲間たちはここの森が呪われていると確信している。

ここの動物は作業の音を怖がらない。それどころか、ランターンに寄る蛾のように引き寄せられてくる。ウッドエルフや彼らが使う魔法に慣れているから大胆なのかもしれない。それでも、のこ刃に入ったリスは4匹目だ。ここは何かがとんでもなくおかしいのかもしれない。

一部の仲間が逃げた。上流のより安全な仕事を選んだのだ。あまり文句は言えない。行く前に教えてくれる礼儀は持ち合わせていたし、生産量が落ちないように残った仲間が頑張ってくれた。ここの木は素晴らしい。

レピダ、大金を稼ぐから心配するな。

〈残りは破られている。〉

伐採キャンプ日誌3Lumber Camp Journal 3

7週目

仲間の前では認めないが、ここは何かがおかしい。死んだリスだけじゃない。

作業員が木を切ろうとしていると、切れ目が自然と閉じてしまうという報告を受けた。森の奥深くから何かわからない奇妙な音が聞こえてくるし、夜の影は濃くなってきている。

迷信的に聞こえるだろうが、あそこの何かが我々の仕事を快く思ってないようだ。おまけにそれはどんどん近づいてきている気がする。

やめたい仲間がまた出てきてるが、それは困る。自分勝手な理由ではない。ここを出ても上流まで行けない気がする。

〈このページは破られている。端に乾いた血痕がある〉

秘術師タリムのメモMystic Tarim’s Notes

なんとも腹立たしい!私の感知では、くぼみに入れる小ウェルキンド石が絶対に近くにあるはずなのに。この遺跡をくまなく探したのに見当たらない!

最初のは北のギャラリー、東へ続く広間の上。間違いない。しかし私の呪文や目ではその隠れた場所がわからない。

2つ目は東のギャラリーのずっと上にある広間の中。瓦礫が道をふさいでる。

3つ目は西へ続く南の通路の突き当たり。探すために穴を渡る方法がない。

最後は西へ続く北の通路の門を通ってすぐの所。でも、どうやってあのバルコニーに行けばいい?

私より賢い魔術師なら、この忌々しい石を見つけられるのかもしれない!

風に漂う声Voices on the Wind

我ら三人はガラスに包まれ、忘れられた領域を呼び覚ます。
我らが三つの文字により、この世界を作り直す。
そして生き延びた欠片より、玉座を作り出す。
忘れ去られたものを思い出させよ。
ミラームーアの支配を再び!

三人、ガラスに包まれた、三人?ガラスに包まれた?どこかに隠れている?
忘れられた領域を呼び覚ます、一体何を呼び覚ます?
三つの文字、また三つだ。この数に何か意味があるに違いない。

別荘の皇帝The Emperor of the Villa

グウィリム大学歴史学者、ヴァレンカ・アルヴィーナ 著

レマン王朝の偉大なる王たちに関する書は数多く記されている。しかし、レマン一世、レマン二世、レマン三世の間、第二帝国は輝かしさに欠ける指導者たちの治世に耐えてきた。たとえば、皇帝ブラゾラス・ドールだ。国政に興味を持たなかったことでよく知られるブラゾラス・ドールだが、それにもかかわらず34年間も皇位に就いていた。

ブラゾラス・ドールの玉座に対する準備不足は彼が生まれた時の環境に端を発する。彼はレマン二世と、アイリーニャ・ドールという平民出身の召使との間にできた庶子である。彼女は新たに戴冠した皇帝であるレマン二世が、スキングラードへ滞在した時に見初められたのだった。レマン二世はアイリーニャを気に入ってはいたものの、ルビーの玉座に見合う結婚相手を探さなければならなかった。間もなく彼は子供をアイリーニャに任せ、二人のために快適な別荘を用意した。

力みなぎる好青年のブラゾラスは、有名な先祖であるレマン一世にとてもよく似ていたが、偉大な男の野心や洞察力はほとんど持ち合わせていなかった。レマン二世が間を置かずに嫡出子を持つことが想定されていたため、ブラゾラスは皇帝の末裔ではなく、コロヴィアの小貴族としての生活になじんでいた。彼は自分のブドウ園の世話をし、狩りをして、友を楽しませながら日々を過ごしていた。

その後、第一紀2843年にレマン二世が戦いに倒れ、ブラゾラスがルビーの玉座に就くことになった。暗澹とした気持ちで玉座を引き継いだこの若者は、皇帝ブラゾラス・ドールとして母方の姓を維持することを選んだ。しばらくの間、彼はシロディールで新たな責任を果たそうと全力を尽くした。父のモロウウィンドへの進軍を再開し、勇敢に戦いさえした。だが、白金の塔における行政と外交の責務が、それを得意としない彼に重く伸し掛かった。

シロディールでみじめな思いをしたブラゾラスは、すぐに愛するコロヴィアの田園地帯に引きこもるようになり、首都から離れて過ごす時間が着実に増えていった。彼は自分が行えることをすべて最高顧問シドリ・アシャックに委任し、自身はスキングラード西の丘陵地帯にある豪華な邸宅、ヴィラ・ドリアの建築に精を出した。ブラゾラスが白金の塔に戻る頻度は徐々に減少し、ついには戻る手間をかけることすらしなくなった。

皇帝ブラゾラス統治時代、最後の20年間はヴィラ・ドリアが宮廷の役割を果たしたが、ここで実際に公務が行われることはほとんどなかった。それどころか、ヴィラ・ドリアは娯楽と気晴らしの場所だった。皇帝が遊びと酒宴(包み隠さずに言えば、これらの多くがみだらな乱痴気騒ぎになった)に時間を費やす間、最高顧問シドリ・アシャックが静かに帝国を統治した。

ブラゾラス・ドールは第一紀2877年に突如として死亡するが、その時の彼はまだ62歳で、いたって健康であった。中には殺害を疑う者もいた。シドリ・アシャックの増大する権力を快く思わない一派が、新たに精力的な皇帝を玉座に据えることで最高顧問を無力にする決意をしたという噂が流れた。レマン二世は弱冠14歳であったが、すぐに宮廷をシロディールに戻し、自らの名において権力を行使した。ブラゾラス・ドールが愛したヴィラ・ドリアは打ち捨てられ、後にはアカヴィリの最高顧問のもとで廃墟と化した。

さて、歴史家たる私は彼をどう判断するか。彼より成果の少ない皇帝はほとんどいないが、それでも彼の統治期間に帝国は繁栄した。意外にも、彼よりも有能な皇帝の多くについて、必ずしも同じことが言えるわけではない。

無のアルカの売り文句Sales Pitch for the Null Arca

あなたの持ち物で、家や工場、要塞その他に、過剰な魔力を含んだ物品はありませんか?

その過剰な魔力が、あなたの大切なものを脅かすことを心配していませんか?

あなたの物品から発せられる不安定で混沌とした魔力を、エーテルの空間に移動させたいと思っていますか?(注:無のアルカはこのとおり機能するわけではありません。詳細は営業機密です)

無のアルカにお任せを!混沌のアーティファクトや遺物、発明品、その他不安定な物品を安定させられる器です。

無のアルカ。あなたのある持ち物から他のすべての持ち物を守れるのなら、どんな代償でも払うべきではないでしょうか?

ネレタイへのメモ…最後の一文はもっと推敲したほうがいいかも。

傭兵求むMercenaries Required

ラストウォールの屋敷を警護していたある軍団兵が行方不明になった。カランティウス伯爵およびウェストウィールド軍団は有能な傭兵や冒険者に捜索への協力を求めている。

詳細を知りたい者は、ラストウォールの屋敷の中庭にいる護民官、アレア・イドルスを訪ねること。

利益になる発見A Profitable Discovery

C男爵

私たちのお気に入りの錬金術師が、採石場の新たな採掘場所で、生産性の問題を解消できるかもしれない物質を見つけた。

普段の敵対関係に目をつむる気があるなら、私の書斎へ来て。きっとこの申し出に興味を示すでしょう。

レディ・R

錬金術師の報告Alchemist’s Report

レディ・ラザリー

採石場の新たな採掘場所にある珍しい石はとても興味深いものです。砂状にすれば強力な霊薬を作れると思います。その霊薬が体内に入った鉱山労働者は生産性が千倍になるでしょう。残念な副作用はあるかもしれませんが、確かなことは労働者で試すまでわかりません。

これで以前話し合った、低い生産性と利益損失の問題は解決されるはずです。

あとはそれをこっそりと労働者に与える方法が必要です。水か食料に入れましょうか?

詳細はご都合のいい時に話し合いましょう。

錬金術師スリウス

老いたモンクの日記Old Monk’s Diary

酒場を営めば人生が楽になると思っていた。怒った客や酔っ払い、騙そうとする商人、税の取り立てなどで忙しくなるとは。ただ飛び込むのではなく、もっとじっくりと下調べをすべきだったのかもしれない。この老いたモンクにとってはこれもアカトシュからの教訓だ。

* * *
今日は年配の女性が見事な赤い帽子をかぶって酒場に入ってきた。まあ、私も年配の男だが、彼女には目が留まった。当然、失礼のないようにだが。もうモンクではないが、礼儀は忘れないようにしている。それに、若い時でさえ好色ではなかった。

どうして自分の日記で言い訳をしているんだ?

とにかく、普通の酒場の店主らしく、注文は何にするかと聞いた。驚いたことに彼女は強いウイスキーを頼んだ。彼女のような人はたいていもっと洗練された飲み物を頼む。ラバも眠らせられるようなものではなく。

私は言われたとおりに瓶を持ってきた。そして注ぎながら、さりげなく名前を聞いた。さりげなかったと思う。

彼女はレオナラだと言った。なんて美しい名前だろう。

* * *
今夜レオナラともう一度食事をした。今回は彼女の家でだ。自分たちの人生やこの先したいことについて話した。私は酒場を持つことが驚くほど複雑だが、楽しんでいると話した。もっと多くの客に来てほしい。娯楽を提供する者を雇おうか。

しばらくそんな話をしていると、彼女は急に店を大きくして宿にする考えを思いついた。寝室のある2階を追加し、泊まる客に食事を提供する。その考えに共感した私はすぐにその計画を始めた。修道院にいた時、他の修道士の面倒を見ていたのを懐かしく感じたのかもしれない。とても楽しい仕事だった。

そうだ、そうすることにしよう。

* * *
今日からレオナラと同棲することになった。前は横の部屋の小さなベッドで寝ていて、私だけなら十分な大きさだった。しかし二人でも十分な大きさの新品のベッドを買って驚かせた。上の階の2番目に広い部屋に住む。一番広い部屋は裕福な客用にとっておくつもりだ。

モンクとしての生活はいいもので、充実していて、興味深く、神聖なものだった。しかし、宿屋の主人としての暮らしほどいいものはない。

ズェンの鹿 スタイル

クラフトモチーフ77
Stags of Z’en Style

エルデンルート、緑に祝福された武芸の達人、グワエレロス 著

紡ぎ手は世界の全てが木だと言うだろう。悪は害虫のように樹皮の下を進み、善を飲み干してしまう。緑の戦士は枝を探り、隠れている悪を取り除き、喜んでむさぼる。罪に報いを与え、悪意に報いを与える。鹿である我らは、その罰を遂行する。報酬に求めるのは血だ。労苦と復讐の神ズェンが求めるものはそれだけだ。

ブーツ

ヴァレンウッドのブライアや毒ヘビは、これまで何度もむき出しの脛やふくらはぎを傷つけている。ボイルドレザーとカブトムシのキチンを使った鹿のブーツは、鉄のグリーヴの半分の重さで、同じだけの防御を得られる。

ベルト

ヴァレンウッドで、ゆったりした服は死を招く。カミソリのように鋭いトゲ、罠のような蔓、巨大な獣の爪は、いつでも我々の命を奪おうと待ち構えている。頑丈な革のベルトで、川の大蛇がとぐろを巻くように強く締めれば、体が細く保たれ、内臓が守られる。

真のズェンの鹿は、恐れよりも勇気を呼び起こすべきだ。罪人たちには冷たく公平な正義の顔を見せなくてはならない。我々が労苦を与えるのは、自分たちのためではない…ズェンの名の元に行う。だから、肉食の昆虫の下顎と仮面の下に顔を隠す。昆虫は不要なことを何もしない。奇妙な冷静さを保ちながら、暴力に満ちた日々を過ごす。我々のように。

脚当て

頑丈な革のズボンの上に柔軟なキチンプレートを被せることで、敵から敵へ素早く移動する際にも身を守れる。ウッドエルフにとって、速さと安全性は切り離せない要素だ。足をしっかり守れば、間違いなく素早く動ける。

木の弓はどこで作られたにせよ、汚い木こりと森を圧殺する者の悪臭を避けられない。鹿の弓は成虫が脱皮した瞬間に手に入れた、柔軟なカブトムシのキチンを使っている。ウッドエルフが戦闘に使う武器の中でも、最もイフレとズェンに敬意を表するものだ。

胸当て

我々ウッドエルフはあらゆる技術に秀でているが、中でも恐ろしいカブトムシを殺すことは由緒ある伝統の一つだ。鹿の鎧下を作るには、動きやすくするため数百の繊細な切り込みが必要だ。革の胴当てにキチンプレートを付ける作業は何時間もかかるが、素晴らしいものが生み出される。

短剣と同じように、鹿の剣は鋭いキチンと葉のようなモチーフの緑の美と恐怖が反映されている。大きいがとても軽量である。敵が一撃する間に二度の攻撃を返せるだろう。このような状況なら、最もタフなノルドでさえもすぐに片づけられる。

肩防具

肩は間違いなく腕の根である。すべての根のように守りが必要だ。鹿の鎧鍛冶は棘のついたキチンプレートと、印象的な下顎で完璧な肩防具を作り出した。我々の姿はすでに恐ろしいが、さらに恐ろしさが増した。

手袋

ぴったりした革と巧みに切られたキチンプレートで作られた鹿の手袋は、どこへ行っても森の戦士から羨ましがられる。カブトムシの皮は滑りやすいので武器に傷つけられることはほぼなく、狡猾な決闘者にぴったりの手袋だ。

キチンに加工の必要がない場合もある。例えば、鹿の盾だ。ズェンの盾は、頑丈な革の裏地が付けられたカブトムシの甲羅に過ぎない。イフレの英知が、カブトムシの甲殻を盾のようにした。すでに完璧なものに手を加えるのは、愚か者がすることだ。

鹿の魔術師の杖は、恐ろしい下顎と葉を模した刃に、緑の強大な力が反映されている。この武器を通して発せられた呪文には、完全なズェンの祝福が与えられる。敵の魔術師に出くわしても、この杖があれば報復できる。

戦棍

鹿の戦棍の先端は、間もなく咲きそうな花によく似ている。だが、その花びらは決して柔らかくない。重く棘がついたキチンで重い鉄を覆ったこの武器は、ストリッド川の南で最も恐ろしい武器だ。

短剣

鹿の短剣ほど装着者の徳を完璧に表現する武器はあまりない。キチンと鋼で作られた刃は、ギザギザの葉に似ている。危険な葉よりも緑のしもべにふさわしいものがあるのだろうか?

すべての正しきウッドエルフのように、我々はグリーンパクトを喜んで守る。木を斧で傷つけることはない。斧を受けていいのは敵だけだ。鹿の優れた斧頭は先端が割れていて、それぞれに刃がある。与える傷を全て重症にして、治療しにくくするためだ。

グリーンシェイドの伝承

Greenshade Lore

ウーズ:ある寓話The Ooze: A Fable

これはヴァレンウッドに棲むウッドエルフの子供たちが、幼いころから聞かされる物語である。

かつて、この世界のものには形がありませんでした。大地の様子は定まらず、木々は硬い幹や枝や樹皮を育まず、エルフたち自身の姿も絶えず移ろい、一つにとどまらなかったのです。この渾沌が、「ウーズ」と呼ばれました。

ところが、イフレがウーズを取って命じました。イフレはまず、「緑」について語ります。「緑」とは、森とそこに生い茂る全ての植物を指します。イフレは「緑」に思い通りの形をとる力を与えました。なぜなら、それがイフレの語る最初の物語だったからです。

エルフは、イフレが語った2つめの物語でした。イフレが物語を紡ぐのに合わせ、エルフは今の姿になりました。イフレは彼らに物語を語る力を与えましたが、自分自身や「緑」の姿を変えようとしてはならないと戒めました。森の姿を変え、森を破壊することは禁じられたのです。

そのかわり、イフレはウッドエルフたちを「緑」に委ねました。雨露をしのぐ住まいと安全な道は、「緑」に頼めば与えてくれるのです。そして、彼らが尊ぶ気持ちを忘れないかぎり、「緑」は言うことを聞いてくれるのです。これを、「グリーンパクト」と呼びます。

最後に、イフレは大地を歩く生き物と川を泳ぐ生き物と空を飛ぶ生き物全てについて語りました。イフレはそれらを、生きる糧としてウッドエルフに与えたのです。彼らは植物をいっさい食べず、肉だけを食べることになりました。イフレはまた、ウッドエルフに殺されたウッドエルフは土に還ることが許されず、他の生きもの同様、食糧として消費されなければならないとも言いました。これが、「ミート・マンデイト」と呼ばれるものです。

物語が語られるたび、イフレはそれらが満足のいく形をなすよう取り計らいました。けれども、ウーズのなかにはウーズのままでいるものもありました。そこでイフレは最後の物語を語り、そうしたウーズにも目的を与えました。

「緑」の姿を変えたり「緑」を損なったりしてグリーンパクトに背いたウッドエルフは、罰として形を持たないウーズに戻されるようになりました。彼らの名前はイフレが語る物語から消され、沈黙に置き換わるのです。

ウッドエルフの間で、「緑」に愛された者はウーズに囚われた罪人を解き放つ力を持つと言われています。もっとも、そうやって解放された者たちがどこに向かい、どんな形を取るかは知られていません。

ウーズを見たことがある者は誰もいません。そこに囚われた人々の声を聞いた者もいなければ、彼ら罪人たちをこの業罰から救うことができる者に会った者もいないのです。でも、ウーズを「ただの物語」だと思うかどうかウッドエルフに尋ねれば、決まって次のような答えが返ってくるでしょう。「”ただの物語”なんてものは存在しない」と。

ウッドエルフのグルメガイド、第1章The Wood Elf Gourmet, Ch. 1

ウッドエルフなら誰しも、内側の部位ほど美味だということを知っている。他の種族は肉を調理するにしても、血が蒸発してぱさぱさになるまで火を入れるし、内臓や脳味噌は捨ててしまうが、ウッドエルフはそういった部分こそ最もジューシーで、したがって最も風味豊かであることを知っているのである。

次に紹介するのは、ヴァレンウッドのグリーンシェイド地方に伝わる名物料理である。

鹿肉の壺詰め

指で触れて柔らかくなるまで腰臀部を吊るす(5日間)。

腰臀部を中火で加熱する。その際、油を塗ると外側をカリカリにできる。肉がぱちぱち言い始めたら、火からおろす。

熱々の肉を甕か壺に入れ、出し汁とタマネギのみじん切りを加えてふたをし、そのまま2週間寝かせる。

食卓に出すときは壺の蓋を開け、肉を出し汁と一緒にそのまま皿に盛る。とても柔らかいので、ナイフで切り分ける必要はない。

この料理は4人家族がお腹を満たせる量だし、数日獲物を仕留められずにいた猟師1人を満足させるだけの量がある。

こういった名物料理は他にもたくさんあり、親から子へと伝えられるケースも少なくない。

ウッドハース:ポケットガイドWoodhearth: A Pocket Guide

ファリネスティが姿を見せなくなってから、ウッドハース以上にウッドエルフの性格と歴史を余すところなく示している都市はない。

ヴァレンウッドの南西岸に位置するウッドハースは、もともとは帝国の入植地であり、最初はつつましい街だった。その地域に点在するウッドエルフの集落との交易を促進する目的で時の皇帝が建設し、歴代の皇帝が維持してきたのである。

にぎわう港町であると同時にヴァレンウッドの自然の脅威から人々を守る砦でもあったウッドハースに対する近在のウッドエルフの反応は、好奇心と友好的態度、それに敵意が入り交ったものだった。

敵愾心の強いボズマーが防壁に攻撃を仕掛けてきたことも一度や二度ではない。その内の何度かは、強力な破壊魔法を集中的に浴びせることで、防壁の一部を崩落させることに成功している。もっとも、せっかく防壁を破壊しても、帝国軍の粘り強さと優れた装備の前に、結局は撃退されてしまうのが常だった。

やがて、ヴァレンウッドのグリーンパクト・ボズマーの間でついに和平が結ばれる。すると、ほどなくしてボズマーの集落が出現し、帝国の建築物の数を上回るようにさえなった。ウッドエルフが自分たちの住む森との間に結んでいるあの特別な関係の賜物として、ボズマーの集落の特徴である木の家や歩道が生まれたのである。

ボズマーが帝国を助ける勢力になったことで、ウッドハースの統治は徐々にウッドエルフ自身に任せられるようになって行く。樹の従士が置かれ、インペリアルの建設した区画こそさびれはしたが、全体としてウッドハースの街は栄えた。

それから一世代の内に、ウッドハースの樹の従士の評価は高まった。揺るぎない指導力を発揮し公正な裁きを行うという評価が、ウッドエルフのみならずその同盟者たちの間にも定着したのである。

この原稿を書いている現在、ウッドハースの樹の従士はファリエルであり、彼女は樹の従士としてのみならず、創設間もないアルドメリ・ドミニオンのアイレン女王の元、サルモールのメンバーとしても統治を行っている。海辺の聖域と共にヴァレンウッドの主要港の地位を保つウッドハースは、今やありとあらゆる種族が住む、種族のるつぼと言っても過言ではない。

クランマザー・アニッシの言葉パート1Words of Clan Mother Ahnissi, Pt. 1

クランマザー・アニッシから愛する娘達への言葉

パート1

アニッシは教えよう。あなたはもはや子猫ではないし、アニッシに隠しごとをすることも覚えた。だからアニッシは話そう。

初めは、オーナールとファドマイというつがいがいた。様々な局面が過ぎ、ファドマイはオーナールに、「結婚して子供を作り幸せを分かち合おう」と言った。

そして彼らの間に最初の猫、アルコシュが生まれた。オーナールは「アルコシュよ、時間を与えよう。猫のように素早く、ときにはゆっくり動くものは何だ?」と言った。

それから風のケナーシが生まれた。「ケナーシよ、お前に空を与えよう。何が風より高く飛ぶのだ?」

そして猫の目のマグルスが生まれた。「マグルスよ、お前に太陽を与えよう。何が猫の目より明るく輝くのだ?」

そして母猫のマーラが生まれた。「マーラよ、お前は愛である。何が母の愛より優るのだ?」

そして子猫のスレンダルが生まれた。「スレンダルよ、お前に慈悲を与えよう。慈悲なくしてどうしたら子猫は生き延びれるのだ?」

様々なことが起こり、オーナールとファドマイは幸せだった。

オーナールが、「もっと子供を作って幸福を分かち合うべきだ」と言った。それにファドマイも賛成した。そしてハーモーラーが生まれた。その後、ハーシーン、マールンズ、マファラ、サンジーン、シェッゴロス、他にもたくさんの子供が生まれた。

ファドマイはこう言った:

「ハーモーラーよ、お前は潮汐です。月が潮の流れを予測できるのか、それとも潮の流れが月を予測するのか、誰に分かりましょう?」

「ハーシーンよ、お前は腹を空かせた猫です。腹を空かせた猫より上手に狩りをするものは何ですか?」

「マールンズよ、お前はジャ・カジートです。子猫より破壊的なものは何ですか?」

「マファラよ。お前は一族の母です。一族の母のやり方より明かされないものは何ですか?」

「サンジーンよ、お前はスクゥーマの猫です。スクゥーマの猫より正気でないものは何ですか?」

そしてオーナールは「子供は2人で十分だ。子供が多すぎると幸せを奪われてしまう」と言った。

しかし、ケナーシはファドマイのところへ行き、「母よ、ケナーシは兄弟のアルコシュでさえも飛べないほど高い所に飛んでしまえるので寂しいです」と言った。ファドマイはケナーシを可哀そうに思い、オーナールを騙して再び身籠った。

ファドマイは月とその動きを生み出した。次に魔法の砂と豊富な森のニルニ、そして黄昏と暁のアズラーを生んだ。

最初から、ニルニとアズラーは母親の愛を奪い合った。

オーナールはファドマイが出産しているとき彼女を捕まえた。オーナールは怒った。オーナールはファドマイを打ちつけ、彼女は最後の子供を生むために深い闇の奥へと逃げた。子供たちはこの出来事を聞き、母を父の怒りから守るためにやって来た。

そしてファドマイは、最後の子供ローカジュを深い闇の中で生んだ。ローカジュの心は深い闇でいっぱいだった。ローカジュが生まれると、深い闇はその名前を知った。それがナミイラであった。

クランマザー・アニッシの言葉パート2Words of Clan Mother Ahnissi, Pt. 2

クランマザー・アニッシから愛する娘達への言葉

パート2

ファドマイは自分の死期が近いことを悟り、こう言った:

「ジャ・カージェイよ、お前にラティスを与えよう。月の側面よりしっかりとしたものは何ですか?お前の止まることのない動きは我々をオーナールの怒りから守るでしょう」そして、月は天より出てしかるべき場所に着いた。オーナールの怒りが轟き渡り深い闇は揺れたが、彼はラティスを渡ることはできなかった。

「ニルニよ、お前に素晴らしいものを残しましょう。ファドマイが今日まで子供を授かったように、お前もたくさんお子宝に恵まれるだろう」アズラーには何もないことが分かると、ニルニは笑った。

アズラーを除いてファドマイの子供たちは全員去った。ファドマイは「私のお気に入りの娘よ、お前に最も素晴らしいものをあげよう。ファドマイはお前に秘密を残します」と言って、娘に3つの事を話した。

ファドマイは「ニルニに子供がたくさんできたら、1人選んで変化させなさい。機敏で賢く、美しくし、カジートと呼ぶのです」と言った。

「カジートは最高の登り手でなければいけません。マッサーとセクンダが落ちても、ケナーシの息吹を登って月を彼らの道に戻さなくてはなりませんから」

さらに「カジートは最高の詐欺師でなければいけません。いつもオーナールの子供たちに自分の性質を隠さなくてはなりませんから」

「カジートは最高の生存者でなければいけません。ニルニが嫉妬して、砂をザラザラにし森を激しいものにし、常にニルニとの戦いで飢えるからです」

このような言葉を残してファドマイは息を引き取った。

様々な局面が過ぎ、ニルニがローカジュのもとにやって来てこう言った。「ローカジュよ、ファドマイは私にたくさん子供を生めと言いましたが、そんな場所はありません」

ローカジュは「ローカジュが子供たちのために場所を作り、お前はそこで子供を生める」と言った。しかしローカジュの心は深い闇でいっぱいだった。ローカジュは姉妹を欺き、2人はニルニとともにこの新しい地へ行くしかなかった。ファドマイの子供の多くは逃げ、星になった。ファドマイの子供の多くはニルニの歩みを安定させるために亡くなった。そして生き残った者は残り、ローカジュを罰した。

ファドマイの子供たちはローカジュの心を引き出し、ニルニの内側奥深くに隠した。彼らは「騒がしいローカジュよ、我々はお前を呪う。色々な段階をニルニと歩むように」と言った。

しかしニルニは子供を作るため、すぐにローカジュを許した。彼女は子供たちで満たされたが、お気に入りの子供、森の精は自分の姿が分からなかったので泣いた。

アズラーが来て「哀れなニルニよ、泣くのを止めなさい。アズラーからお前のために新しい子供を送ろう」ニルニは泣き止み、アズラーは月への第1の秘密を話した。2人は分かれて、アズラーを通した。アズラーは人間と野獣の狭間で悩んでいた森の精を、最高の砂漠と森へ連れて行った。アズラーはその見識で数多くの形に彼らを変えた。全ての目的に合う1つの姿にした。アズラーは彼らをカジートと名づけ第2の秘密を話し、秘密の価値を教えた。そしてアズラーはニルニの秘密の護衛者にふさわしいよう、新しいカジートを月のラティスと結びつけた。それから第3の秘密を話した。月は沼地を照らし、その光は砂糖になった。

しかしワイファーは第1の秘密の話を聞き、アズラーの後ろについて忍び込んだ。ワイファーは秘密について理解できず、アズラーの罠のことをニルニに話した。ニルニは砂漠を熱し、砂は燃えるようにジリジリした。それから森を濡らし猛毒で満たした。ニルニはワイファーに感謝し、森の精を変えさせた。ワイファーにはアズラーの巧妙な知恵はなかったので、森の精をエルフにし、2度と野獣にならないようにした。彼らをボズマーと名づけた。そのときから、彼らはもはやカジートとは同じ子供ではなくなった。

そしてワイファーは秘密の価値を理解していなかったので、息を引き取るまで第1の秘密を大声で触れまわり、ファドマイの子供たちは全員ラティスを渡れた。しかしアズラーは賢く、オーナールとローカジュの耳を塞いで、その言葉が聞こえないようにした。

グリーンパクト・ボズマーが見る幻視Visions of the Green Pact Bosmer

以下はモルヴァス・アンドリスによる4巻からなるグリーンパクト・ボズマーの研究書からの抜粋である。この研究は第一紀に3年間続けられたが、モルヴァス・アンドリスがとある弔い合戦で命を落とし、研究していたクランに貪り食われたことで途絶した。

…ファニリエルは齢100歳にして沼地の発光ガエルを食べ、上下が逆さまの樹木都市、ハートグリーンの幻影を見た。そこには逆立ちをして両手で歩くエルフたちが住んでいたという…

…「窃盗の権利」後の請求に成功した回数が200回を超える怪盗ヴァニリオンは、かつて森の真ん中に現れた木に登り、幻視を見たと言われている。

その木は葉が紫色で、ヴァニリオン自身の言葉によれば、そうした紫色の葉に囲まれて座っていると、得も言われぬかぐわしい匂いがしたという。その甘い香りを嗅いでいるうちに、ヴァニリオンは心が穏やかになり、一種陶然とした境地に入った。樹木が環状に茂る森が見えたのは、その時である。森に足を踏み入れたヴァニリオンだが、奥へと進むにつれて樹木の環は広がり、いつまでたっても森の中央にたどりつけない。

そうやって森の中をさまよううちに、ヴァニリオンはそれまでに見たこともないほど美しい霊魂に出会う。その霊魂は話す時、文章が堂々巡りをするよう、本来最後に来るべき言葉をあえて頭に置いた。「横になりましょう。おいでなさい。川のほとりで一緒に」

木の葉の強力な芳香によって恍惚境に陥っていたヴァニリオンは、枝から落ちてようやく我に返った。命に別状はなかったが、落下の衝撃で片脚を折ってしまい、盗賊家業は廃業した。ヴァニリオンはその後の人生を、葉が紫色の木を探すことに費やしたが、ついに見つけることはできなかった。

私は樹の従士に尋ねて見たことがある。パクト・ボズマーはそうした幻視を「見る」と言うが、「思い浮かべる」と表現するほうが適切ではないかと。というのも、こうした奇妙な幻影に登場する都市や森やその他の驚くべき事象が、ニルンにもオブリビオンにも実在しないことは明らかだからだ。

その樹の従士は、何やら当時流行りの発酵牛乳らしき臭い飲みものを長々とあおると、自分の足元を見つめ、それから空を見上げておもむろに答えた。「世界は自分の目で見える範囲で終わっているとあなたがたは言う。我々は違う。自分の目で見える範囲を超えたところから、世界は始まるのだ」

グリーンパクトとドミニオンThe Green Pact and the Dominion

木々が太陽に向かって伸びるように、また、月が出ている夜は出ていない夜と違う鳥たちのさえずりが聞こえるように、ヴァレンウッド生まれのウッドエルフならば誰しも(そして、ヴァレンウッド生まれでないエルフのほとんど全てが)グリーンパクトについて知っている。

グリーンパクトとは我々ウッドエルフが、大いなる物語の始まりから我々を導き、生き方を教えてくれているイフレと交わした約束である。

グリーンパクトの定めは明快だ。森を傷つけてはならない。植物由来のものは一切口にしてはならない。食べるのは肉だけにせよ。敵を征服したときには、骸が土に還るに任せず、その肉を食らうべし。無駄な殺生はこれを禁ずる。汝らウッドエルフの姿は神聖なものゆえ、獣の姿をとってはならない。

これがグリーンパクトである。この協約を守る見返りに、森——我々は「緑」と呼ぶが——は充分な食べものと雨露をしのぐ住まいを提供してくれる。森が、我々の要請に応じて自ら姿を変えてくれるのである。これは、イフレが我々ウッドエルフだけにくれた特別な贈り物だ。おかげで、我々は満ち足りた暮らしを送ってきた。

ところが今、我々は未曽有の状況に置かれている。我々の新しい盟友たち、すなわちハイエルフとカジートは、グリーンパクトを守ろうとしない。彼らは草葉と木材でこしらえた家に住み、ありとあらゆる種類の果実を食べ、ブドウから造ったワインを飲む。敵を貪り食うなど、彼らから見れば野蛮人の所業以外の何ものでもないのだ。

こういった盟友たちを、ヴァレンウッドのウッドエルフはどのように受け入れたらよいだろうか?それも、グリーンパクトを遵守しつつ、だ。これは今日多くのエルフを悩ませている問題であり、とりわけ、新たに建設されたばかりの街マーブルクに住むエルフたちの困惑は深い。我々は「緑」に対する冒涜の度合いで言えば、もっと些細な事柄をめぐって戦争をしたこともある。

一方、ドミニオン成立当時、グリーンレディとシルヴェナールがウッドエルフの利益とグリーンパクトの精神を代弁してくれたことを我々は知っている。そして今、サルモールにはウッドハースの樹の従士にして我々の力強い代弁者であるファリエルがいることを、我々は忘れてはいないのだ。

彼らはこの不確かな時代に我々が模範とすべき指導者たちだ。彼らは自らの振る舞いを通して、我々にたどるべき道を示してくれている。我々は新しい盟友たちを、ウッドエルフならではの歓待で迎え入れるべきだ。彼らに喧嘩を吹っかけてはならない。彼らから盗みを働くような真似は、慎むべきだろう(彼らの多くは「窃盗の権利」というものを正しく理解していないのだが、それはまた別の機会に論ずる)。しかし同時に、我々は自分たちの利益、そして「緑」の利益を守るためにはっきりものを言うことを、ためらうべきではない。

樹の従士たるファリエルが力強い弁舌をふるってくれたおかげで、マーブルクで使う木材の多くと草葉の全ては他からヴァレンウッドに運び込まれた。一方、街を建設する場所を作るためにおびただしい数の樹木が切り倒されなければならなかったという事実は、多くのウッドエルフにとって許しがたいことだ。ただ、ファリエルの見るところ、新たな盟友たちを受け入れることは、ヴァレンウッドを破壊するに違いない連中に対する強力な防備を構築するための第一歩なのである。

我々の意見に進んで耳を傾けようというアイレン女王の姿勢は、彼女が優れた知性の持ち主であることと、彼女がウッドエルフの民に敬意を抱いていることを示している。であれば、我々は女王の指導力を積極的に信頼することで、彼女の厚意に報いるべきであろう。

さまよえる王の伝説The Wilderking Legend

——作者不詳の口承文学を聞き書きしたもの——

歌え、ヴァレンウッド。叫べ、「緑」よ
動く者、形を与える者の物語を語れ
その名はさまよえる王

彼の目は世界に向かって突き出し
知覚するもの全てに触れる
彼は思考によって、形を与える

果たして彼はどこにいるのか
山だろうか
森だろうか

否。そこに彼はいない
なぜなら、「そこ」とは場所であり、場所には際限がある
さまよえる王に際限はない

彼は宮廷にして玉座
彼は宮廷にして玉座
彼が歩めば、踏み出した足は自身の上に落ちる

彼の足音と地響きを、誰が聞かずにいられるだろう?
彼の到来とともに大地は震える
地下から彼のホロウがせりあがる

さざ波一つない水面の儚い静けさが
極小の石つぶてで粉々に砕けるごとく
さまよえる王が通り過ぎる時、恐るべき力が伝わる

叫べ、ブランブルブリーチよ!むせび泣くがいい、影の守人よ!
さまよえる王は味方にして敵
敵にして味方なり

彼の足音を、誰が記録にとどめられるだろう?
彼が口を開いて歌う時
誰がその旋律を耳にできるだろう?

ネレイドの贈り物Gifts of the Nereids

幼い時、私は両親に連れられ、司祭たちがネレイドを崇める洞窟を訪ねた。両親は我が子もいつか司祭になれるかもしれないと、私をその聖堂に捧げたのだった。

その聖堂には、私の他に3人しか子供がいなかった。10歳になるまで、私はその3人にからかわれ続けたが、それは私の片脚がもう一方より短く、短いほうの脚を引きずって歩いていたからだ。

ある日、私たち4人は洞窟の中を走り回っていた(こうした行為は禁じられていたが、司祭たちは子供が子供らしく振る舞うのにいちいち目くじらを立てず、見て見ぬふりをしてくれることが少なくなかった)。そのとき、私は何かに蹴つまずき、顔から池に落ちてしまった。私は頭を打ち、気を失った。他の子供たちは私よりもずっと先を走っていたので、この異変に気づかなかった。

後で司祭たちに聞いたところでは、ネレイドの1人が溺れる私を助けてくれたらしい。その時私は何も憶えていないと言ったが、時間が経つにつれ、水中を浮上する感覚と、そのとき覚えた一種の戦慄に似た感覚を思い出した。それは、見てはいけない何かを見てしまった時、定命の存在が目にするには美しすぎる何かを見てしまったときに覚える感覚だった。

司祭たちは私たちにネレイドとの関わりかたを教えてくれた。私たちは「ネレイドの贈り物」という次のような文句をそらんじ、毎日繰り返し暗唱することを求められた。

ネレイドの贈り物は次の3つから成る:
姿の美しさ、
歌声の甘美さ
そして、その庇護である。

年長の子供らには、儀式を執り行う司祭たちを補佐する役目が与えられた。中央の祭壇にはネレイドに捧げる肉が運ばれる。そして年に1度、司祭の1人が洞窟の奥深くに入り、ネレイドの歌声に包まれて瞑想する。瞑想を終えて戻ってきた司祭は、預言を皆に伝えるのが常だった。

子供らは一定の年齢に達すると、聖堂に残って司祭になるか、それとも追放されるかを選ばなければならない。幼いころからずっと洞窟の中で過ごしてきた私には、他の生き方など想像することもできなかった。だから、司祭になる道を選んだ。そんな私でも、ときどき陽の光が恋しくなることがある。そしてそういう時には、もし追放を選んでいたら、自分が今頃どこにいてどんな光景を目にしていたかと、想像を巡らせずにはいられないのだ。

最も古き者:巡礼の話The Eldest: A Pilgrim’s Tale

輝かしい春。大地が雨に酔いしれ、太陽がヴァレンウッドに微笑む季節。ウッドエルフは旅に出て、齢経りたストラングラー、最も古き者のねぐらを訪ねる。そこで彼らはその年も春が訪れたことをイフレに感謝し、最も古き者の枝に囲まれて、自分たちの故郷の歴史をひもとくのである。

その後、グリーンパクト・ボズマーの主宰で、春と最も古き者を祝う盛大な宴が催される。宴は夜になっても続き、エルフたちは過去の宴や巡礼の逸話を肴に美酒を飲み交わし、佳肴に舌鼓を打つ。

宴で語られる逸話は神聖なものもあれば冒涜的なものもある。

例えばある逸話では、悪名高い戦士長に率いられた軍隊が最も古き者の住処の前で進撃を止め、住処の主に尊敬の念を示すため中に入っていく。住処から出てきた彼らは武器を捨て、そのまま立ち去った。彼らは二度と戦をしなかったという。

対照的に、こんな逸話もある。とある悪戯好きなウッドエルフが、森林マンモスの糞を挽いて粉にしたものを巡礼者たちのパンチ酒に混ぜた。そのせいで宴の参加者はみな、それまで嗅いだこともないようなすさまじい悪臭を放つ放屁に悩まされるようになる。宴が続き夜が更け、臭いがいよいよ耐えがたいものになってくるにつれ、彼らはうめき声をもらしたが、やがて鼻が慣れてしまうと、うめき声は爆笑に変わり、その笑い声が森を満たしたという。

宴で語られる逸話には、この巡礼の走りとなった男女の話もある。彼らは子供のいない老夫婦で、最も古き者を我が子のように世話したという。この2人が、初代のシルヴェナールとグリーンレディになった。

巡礼が語る逸話は他にも数多くあるが、書き留められているものは少ない。興味のある向きは春に最も古き者の住処を訪れ、逸話が語られるのを自分自身の耳で聞き、齢経りたストラングラーの姿を自分の目で拝むべきだろう。

グラーウッドの伝承

Grahtwood Lore

アウルビクの謎4:エルデンの木Aurbic Enigma 4: The Elden Tree

〈告げ示す者〉ベレダルモ 著

樹皮から明らかになった真実がある

アダマンティアのスパイクとゼロストーンは、彼らの物語もしくはドラゴンの(時に縛られた)寓話の展開の中にある本質をアース・ボーンズのために解明するため、アウルビクに関連する真実の構造を口述筆記させた。アルドメリの神話紀のエルフは単一の目的を持っていたが、それは他の塔がそれぞれの石を持ち、それぞれ集注の設計者によって刻まれた規則に従う物語をするかも知れないと気付くまでの話だった。そしてエルフはそれぞれ屈折し、それぞれが創造を始めた。チャイマーはレッドハートに従い、ボズマーはグリーン・サップを芽生えさせ、アルトマーはクリスタルのような法を創設した。

しかし様々なエルフの中でも、ハートランドのアイレイドほど厚かましいものは無かった。彼らはアダマンティアの露骨な模倣にて塔を建て、彼らの発掘した偉大なるレッド・ダイヤモンドを礎石として使った。ロルカーンの心臓そのものから取った血液を結晶化したと言われるチム・エル・アダバルである(ハートランドを超えてきた矢の付いた心臓は、その4つのうちの1つの意味を生み出した)。

知っての通り、次の様に白金は一の塔となった

聖蚕の目に予言された様に、アイレイドの慢心は辛い結果を招いた。オーバーワールドを見据える彼らの高い理想のせいで、奴隷達が決起して塔を彼らから奪うまで、足元で煮え立つネードの波風に気付けなかった。チム・エル・アダバルも同様に奪われたが、アークメイジのアヌマリルはその時までに、八叉の塔杖を作っていた。各部位が踊りにおける塔の外観を示していた。そしてその時、7つの部位が白金の騎士達によって遠く折り畳まれし地まで運ばれ、そこで隠された。

(これはすべてペリン・アルエッシアには確実に知られていなかった、もしくは異なる八大神がいたのかも知れない!)

こうして、白金はグリーンサップに変わった

ボイシェ・エルフはイェフレと緑の歌に最も耳を傾けたアース・ボーンズであった。彼らは塔を建てず、不確実なドングリから広がる偉大なるグラー・オークを拡大した。これが彼らの石だった。そして、ドングリが他のどこかにもいた可能性があるため、グリーンサップは多様で様々な存在になった。そして、各々歩むことができた。

それゆえ、それぞれのグリーンサップはあらゆるグリーンサップでもあった。真実の結末を持つ全ての緑の話がそれぞれにされており、その点で扉は常に不確実な扉だった。しかし、彼らの本質はプリズムの分裂の中にあったので、ボイシェはボズマーに成ることに慣れ、不確実な扉を楽しむ様になった。こうして、ボズマーはどの歌が木を踊らせるのか、どの踊りをしてもよいのか学んだ。

さて、8つの部位、もしくはアヌマリルがその外観を、零の塔を反映している一の塔として作った一の部位へ話を戻そう。アイレイドがハートランドから逃れた時、彼らは四方八方へ向かい、その行先は選択の余地があったが、多くはその先で終焉を迎えた。しかしヴァレンウッドへ逃れたアイレイドは、その他の方向へ行った者達よりも多く吸収された。これもまた選択の一つだった。これらのクランの中で、アヌマリルは大腿骨として一の部位を身に着けた。歩くこと以外の方法のために、スポークはハブを動かせるだろうか?

グリーンサップのエルフは、ハートランド人が緑の歌を調和させることに応じる限り、アイレイドを歓迎した。気付かれぬ様、手を当てて咳をしたアヌマリルを救うために、皆これに応じた。アヌマリルは偉大なるカモランにグリーンサップを見せる様頼み、その時エルデンルートに偶然立っていた一つの元へ連れていかれた。偉大なるグラーの内部で彼は不確実な扉を通り、彼が求めていた不確実なドングリを見つけた。それは多くのうちの一つだったが、アヌマリルにとっては十分だった。

次にアヌマリルは、一の部位を根の先へ運び金の木の実に見せて結末を告げた。石を確実なドングリにするために。そのエルデンの木は再び歩くことはできなくなったが、アヌマリルはさらに活用する意図を持っていた。歯を楽器として使い、彼は自分の骨を徐々に取り除き、それでニルンとその惑星を映し出すムンダス・マシーンを作った。そしてこの太陽系儀を作り出すためにすべての材料を使い終わった時、その部位の杖を内に置き、月と月の間に隠した。

そして彼は待った。しかし彼の待っていたことは起きず、おそらく彼はいまだに待っているだろう。アヌマリルはハートランド人が新たな領域を作れるように、グリーンサップを白金に変質させることを望んでいた。しかし、なぜ自分の計画が見込みを外れたのか、アヌマリルは知らずそもそも知ることができなかった。お分かりのとおり、アイレイドの魔法は起こるかも知れない、起こるであろう、起こるに違いない事柄だ。しかし、グリーンサップの元で、すべては不確実なのである。

アイレイドの計画は成功しなかった。そして失敗もしなかった。これはいまだに結末のない話だから。

ヴァスタリーの伝説The Legend of Vastarie

生徒にして友 アフワ 著

死霊術は召喚師によって用意された、もしくは場合によっては作り出された魂の支配として広く知られている。

技術的に正確を期した場合、これはこの方法で意思に反して呪縛された魂が、解放される望みなく閉じ込められることを示唆している。

また人間であれエルフであれ、構成物を占めている魂は常に知的能力があると考えられる様である。兵士や肉体労働者として死体に生命を吹き込むことによって固定化された、誤った考えである。

この誤解と誤用の可能性は、死霊術への非難と、マニマルコやその仲間達のアルテウム島からの追放を引き起こした。

エンター・ヴァスタリーはサイジック会の学徒であり、ヴァヌス・ガレリオンやマニマルコといった著名人と同時代の人物である。

マニマルコが死霊術の力を直接利用して力を探求する一方で、ヴァスタリーの目的ははるかに難解だった。彼女は知的生物が死んだ時に魂の解放を遅らせて協議し、その知識を長年保持する手段を探し求めた。

彼女はアルテウムを去った後、この目的のためにマニマルコと共に働き、下級デイドラを捕らえられる可能性がある、魂を閉じ込める方法を探求した。

モラグ・バルが秘密を隠していると信じた二人は、コールドハーバーに入って吸血鬼の始祖その人から奪おうと企てた。彼らは共に計画を立てた。

若者のみが持つ無鉄砲な勇気により、マニマルコと仲間達はデイドラ公の世界へのポータルを開いた。冒険を熱望したヴァスタリーは深く足を踏み入れ、見たこともない類の黒いクリスタルを持ち帰った。

マニマルコにとって、それは完璧なものだった。小さく、最も強き魂さえ入れることができ、一見すると不滅であった。ヴァスタリーにとっては非常に欠陥があった。魔法がなければ、魂を深みから自由にできなかったためである。

たとえそうでも、彼女は石を複製する仕事に取りかかった。分解して様々な物質と分析し、そして幸運にも新しいものを作り出した。それが最初の印晶石である。

クリスタルの様に透き通ったこの新しい装置は、知的生物の魂をその深みの中に閉じ込めることができた。だが支配の王から力ずくで奪った宝石と違って異常に壊れやすく、たった数日しかその力を保てない様だった。

一度閉じ込められると、魂は晶石の間を移転させられた。それを魂石として利用すると、魂が解放された。

ヴァスタリーは探し求めていたものを見つけたが、マニマルコは怒り狂った。魔法のために仕えない魂石などどうすればいいのだ?彼はヴァスタリーに、彼女の作品を彼の目的に合う様に修正する方法を探せと要求した。

彼女の友が探求を止めず、彼とのさらなる発見は彼の目標に向かうだけであると気付いたため、彼女は研究を集め、夫であり強力な死霊術師であるテラカルと共に去った。

彼らは共にマニマルコの手中から逃れ、ヴァレンウッドにあるアイレイド遺跡の奥深くに隠れた。彼らが長年住んだ場所は、彼らの技を完成させるためにこれ以上ないほど静かだった。彼らは数十年に渡りお互いを支え合い、幸せそうだった。ヴァスタリーが去る日までは。

その後数年、彼女はニルンの地をさまよい、力のある場所を探索した。彼女はウェイレスト、アリクル、水晶の塔、そしてデューンの蔵書庫を訪れ、彼女の魂を苛む疑問の答えを探した。

やがて彼女は探していたものを見つけ、ヴァレンウッドへ帰った。そこで彼女は塔を建て見習いを雇い、彼女の死霊術の特殊な型を教え、そして研究を進めた。

印晶石を使って、我々は下級デイドラの魂を呪縛し、魂石の力でオブリビオンへの帰還を遅らせた。それから、閉じ込められた霊魂をこの世界に表す方法に取り組んだ。

初期の試みは予期されていない、むしろ危険な結果をもたらした。晶石は砕け、壊れた水晶の破片は仲間の生徒の肉体に突き刺さった。誤用された力は生きた魂を小さな石に呪縛した。しかし、学ぶに連れて我々は、失敗を正し手法を洗練した。

ついにヴァスタリーは習熟した。死の瞬間に印晶石を使用することで、魂をその深みに留めることができた。召喚の応用によって、ゆっくりと協議できる場所である霊体の殻に引き込むことができた。

彼女はその発見を魔術師ギルドに手紙で知らせた。ヴァヌス・ガレリオン自身が、彼女の実演に立ち会いに来た。その実演は手法の実演に自主的に協力した、古い管理人と協議することを含んでいた。

彼女が魂を器具に呪縛した時、彼は衝撃を受け、過程が終了して古い管理人が解放され、エセリウスへ還ることができた時、彼は真っ青になった。

ゆっくりと彼は立ち上がり、集まった生徒達へ話しかけた。復讐の悪意と怒りを交えて話し、その様子は彼の気取らない態度から誰も予期しないものだった。話し終えると、身を翻して去った。

幾人かは彼を追った。誰も彼らを非難できなかった。彼は間違ってはいなかった。印晶石は危険な創造物だった。悪用されれば戦争の火種となり、歴史上前代未聞の破滅をもたらす可能性があった。

ヴァスタリーはくじけず、ガレリオンの頑固な無知は彼を破滅へ導くであろうと説得したが、数年内に何か他のものが彼女の注意を奪ったようだった。広大な遺跡が彼女の塔の基礎の下から発見された。それはデイドラ公の力によって、目と探知から隠されていたのだ。

やがて、彼女はその遺跡に入り、二度と出てこなかった。我々の一部は、今もなお彼女の帰りを待っている。

ヴァレンウッドで生き残ったアイレイドAyleid Survivals in Valenwood

タムリエル細目の第四階層学者 クラウドレストのクイヌア 著

この報告書は、我々の血縁であるウッドエルフの血統へ組み込まれた、アイレイドの血筋を強調することに教化的利点があるかどうか調査するため、サルモール同盟委員会によって委嘱された。広範囲にわたるヴァレンウッドへの旅によって、このテーマに隠れた歴史的事実を突き止めることができた。これらの事実が同盟親睦を深める有益な組織的活動を後押しできるかどうかは、委員会と教化サピアルチ次第である。

ダスクのプルリベルが彼女の権威ある著書「アイレイドの崩壊」で記しているとおり、第一紀243年の白金の大災害には破滅的な要因が様々にあり、契約していた人間の労働者による血の反乱は、主因ではないのかも知れない。プルリベルは、保守的なエドラを崇拝するアイレイドのクランと、退廃的で今なお確実に強力であり、デイドラ崇拝を取り入れたクランが対抗し合った、神話紀末期のナーフィンセル分裂を重要視している。私も同意見だ。この衝突は、第一紀198年にウェンデルベックの粛清で、アタタアのグリンフェレン王がアイレイドの伝統主義者バルサエビクに対してデドラフィル戦士の連合軍を率いた時に頂点を迎えた。バルサエビクはハートランドからアルゴニア北西部へ追放され、それ以降シロディールにおけるデイドラ崇拝に対する組織的な反抗は事実上終わった。

いずれにしても一般的な見解からすれば、アイレイド文明は白金の塔がネードの残虐行為に屈するまでの数世代で次第に衰えた。素晴らしいエルフ文化の廃墟の中に佇みながら勝者は、敗れたクランを拷問と残酷を好む暴力的なデドラフィルに仕立て上げることで、虐殺の正当性を捏造した。奴隷女王の一団と運命を共にしたエドラ信奉者を大部分とするクランのために、例外が作られた。もちろんこれは彼らの根絶をただ遅らせただけに過ぎず、シロディールの他のエルフが絶滅に追いやられた後すぐ、残虐なネードは否応なくかつての盟友を追跡した。

この様に、ハートランドのエルフが新しい居住地をタムリエルのどこかに見つけようとするアイレイドの離散が始まった。そして明らかに、ある程度の成功を収めた。かつてファルマーが所有していた土地へ北の方から逃れた者達は、悪名高き虐殺者ヴレイジ率いるノルドによって虐殺された。その時までアルゴニアに定着していたバルサエビクはかつての迫害者であるアタタア人への迎合を拒否し、ほとんどのクランは猫人の領地への不運な遠征で消滅した。いくつかのクランはハンマーフェルからイリアック湾への長い行軍に出発し、一部は到達して、そこで長い歴史を持つバルフィエラのディレニに合流した(そして吸収された)。

最も成功を収めた、かなりの数がいるクランはヴァレンウッドの森林下にある南西へ逃れた。アヌトウィル、ヴィルヴェリン、タルウィンク、バウン、ヴァロンドのクランはみな、森の中に新しい生活を切り開くべくほとんど無傷で逃れた。これらのクランはみなデイドラ公達を崇拝していたが、ヴァレンウッドへの移住を強いられた後はその崇拝熱が薄れたかの様に見えた。おそらく、見捨てられたクランが助けを必要としている時に、デイドラ公達がほとんど、あるいはまったく手助けしなかった事実が原因だろう。幸い彼らの新しい主人であるボズマーは、ハートランドのエルフがグリーンパクトのあらゆる面を受け入れて森に害を与えない限り、アイレイドを領地へ受け入れることに驚くほど寛大であった。アイレイドは同意するしかなく、おそらくこれが彼らの文化を薄れさせる一因となった。

本来の形が薄められていくうちに、やがて吸収され、そしてついに忘れられた。私はヴァレンウッドの素晴らしいアイレイド遺跡を歩いた。ヘクタヘイム、ルレニルズ・フォール、ベララダ、ラエロリア、さらに1ダースもの遺跡。どれもあの離散から、2000年もまだ経っていないのだ。何らかの理由でアイレイドはある時偉大なるグラー・オークに従属し、その独特の文化は完全に消滅した。

ヴァレンウッドのアイレイドの絶滅を説明する時に、私の前任者であるヴェラスピドのゲルガラドは彼の「ディシェリテージの定説」、つまり何らかの理由により森のアイレイド同士で繁殖できなくなり、地元民のボズマーとの結婚でしか子孫を残せなくなったという説を重要視した。この説は確かにアイレイドの緩やかな消滅を説明するかも知れないが、残念なことにゲルガラドの定説は旧い物語や言い伝えに裏付けられているに過ぎず、事実による立証が欠けている。

シメレネ大学のセティス博士の反論はここで言及するに値する。彼女の説明はアイレイドの衰退を、以上に強いボズマーの飲み物を過剰摂取したことによるとしている。喪失への深い悲しみに傷つき易くなっていたアイレイドは、ウッドエルフの麻痺性のある飲み物に取りつかれてしまい、努力をやめてしまったとセティス博士は考えている。これに関しては、他の者達の勤勉な努力の誇示によってしばしば侮辱されるボズマー達自身から勧められたのかも知れない。

では我々の森にすむ血縁者は、アイレイドから何を学んだのであろうか?明らかに、高度な石細工と石工の技術の他はほとんどない。ハートランドのエルフの文化はウッドエルフの文化に永続的な影響をほとんど与えなかった様だ。ウッドエルフの意見は、エルデンルートの旧族長であるフォンロアにアイレイドについて尋ねたときの彼の返答である、以下の言葉に集約されている様に思える。「アイレイド?ああ、そうだな。いい奴らだった。だが自分達のことを真面目に考えすぎていたな。で、彼らに何が起きたんだ?」

ヴァレンウッドの標準的武器Common Arms of Valenwood

ミストラル・アウレリアヌス・テリスコル 著

ヴァレンウッドで、金属武器はあまり広く行き渡っていない。いくつかの地域においては泥炭や石炭で金属を鍛造可能な温度まで焼き上げられるとはいえ、ウッドエルフのグリーンパクトは火床を燃やすための木の使用を禁止している。他のボズマーは骨の棍棒か、石か黒曜石の刃の斧や槍を使用する。

ヘヴンやポート・ヴェリンのような沿岸部の街では、ボズマーの剣士集団がアルトマーの顧問の指導と輸入された金属武器の安定した供給から利益を得ている。妙なことに、ハイエルフはおそらくタムリエルで最高級であるボズマーの加工角弓を認めていない。

相互便益協定としてドミニオンを評する者はいるが、ここでは相互憤激協定とみなしたい。剣士集団が好例である。ほとんどのウッドエルフは伝統的なアルトマーの軍事教育に当たる知的訓練を受けていない。彼らは容易に気を散らし、訓練の哲学的観点に対する我慢強さもない。剣士集団のシステムを「適切なる闘争」と評したアルトマーの指導者は、その技能をより身長が低くリーチの短い弟子に適応させることを拒否した。

そこで、ボズマーは彼らの伝統的な戦闘方法、弓術に戻った。14になると、ウッドエルフの若者は狩猟集団に同行できる弓の達人となる。長距離射手はジャクスパーと呼ばれる。ジャクスパーの弓の引き方は「掴み、放すまでが連続的な1動作」と表現される。これは非常に高度な射撃を維持するジャクスパーが可能にする。もっとも、そのような速さで精度を保つには何年にもわたる訓練が必要とされる。

ボズマーは他の種族が作った木の弓矢は何の問題もなく喜んで購入し、使うが、自身で作成することはグリーンパクトによって禁じられている。伝統的なボズマーの弓は角と腱から作成される。弦もまた腱から作られ、カジートのガットが最高だと言われている。そして、このためにヴァレンウッドの射手の間で高値がつく。

ボズマーの矢は骨から刻まれ、様々な種類の鳥の羽根をつけられる。ウッドエルフは使われた骨の源が矢の特徴に影響すると信じている。マンモスの骨の矢はターゲットをノックダウンさせるのに十分な一撃を加えると考えられている。鳥の骨の矢はより速く、正確に飛ぶ。センチタイガーの骨の矢は追加ダメージを見舞う。帝国の立会人による検証では主張されたような効果が再現できていないが、これを聞くとボズマーはただ舌を鳴らし、わずかに微笑むのである。

ウッドオークと共にIn the Company of Wood Orcs

シサリオンの私的な日記より

オークは奇妙である

彼らはほとんどあらゆる面において大雑把で、残忍で、単刀直入である。性格に個人差はあるものの、ボズマーがオークに対していつも予想できるいくつかの事柄がある。私達の文化は、それらの一つも完全に理解できない。

様々な理由を除けば、彼らの血縁であるウッドオークはなおもよそ者である。皮肉なことにボズマーとの方が共通点があり、主にヴァレンウッドに居住している。

ウッドオークは強さと名誉を何よりも重んじるが、意味することの解釈は、彼らの北方の血縁であるオルシニウムとは一線を画す。例えば、ウッドオークにとって強さを持つことは、筋力と持久力を持つことを意味するのと同様に、敏捷さと可動性を持つことを意味する。この点についてオルシニウムオークの見解を聞いてみたいが、オルシニウムオークは重々しい歩兵連隊の一員の様に鍛えられており、ウッドオークは同じ軍の身軽な散兵の様なものであると考えていると想像する。

ウッドオークもまたボズマーの様に、森林地域において繁栄している。彼らはグリーンパクトを誓っていない。グリーンパクトを完全に無視し、それについての知識も欠如している。しかし、彼らが木で一杯の地区を進んでいくところを見たことがある。どうにかしてイフレに気に入られていても驚きはしない。

なぜこのことを心配するのか?私は最近ウッドオークのことばかり考えている。私の様に彼らに囲まれたことがあると、考えずにはいられないのだ。私は現地のバトルリーブより、彼らの領土を通って伝言を届ける様命じられた。発見されないことは容易いだろうと言われて。だがウッドオークは先に詳細に記述した通り、オークの中でもかなり異なった種類である。これまで私はボズマー以外に捕らえられたことがなかったが、彼らが私を捕まえた時、彼らは私の存在に木の上から気づいた。彼らは森の中で何日間も何かを警戒し続けていたに違いないという気がするの。だが私は準備ができており、同じ矢で攻撃してきた3人のうち2人を倒した。

私は不意を打たれた。3人とも倒せると予想していたからだ。だが最後の1人は、不可解で全くオークらしくないことに、稲妻の様に飛び出してきた。湾曲した手斧が森の中をくるくる旋回し、私の心臓のあったであろう場所を貫いた瞬間、私は跳び上がり地面を転がった。私は足に短剣が準備されているのを思い出し、私の手からナイフを振り落とす寸前だった手斧の二撃目をかわした。ウッドオークは唸って再び打ちかかった。その瞬間の私は、彼を血縁であるオルシニウムのオークと区別できなかっただろう。彼は敏捷さと私の種族の優雅さに、北方のオークの誓いに縛られた憤怒を組み合わせて戦った。私が一握りの土を彼の目に投げた時、彼は私の脇腹に深い傷を負わせた。私は痛みで半分視野を失いながら、暗い森の比較的安全な方へよろめいた。彼は悪態をついて唾を吐き、私を「森と戦わずして森を隠れ蓑にする卑怯者」と呼んだ。

その日の私にはハーシーンの加護があったに違いない。私は確かに戦いに負けたのだから。ウッドオークはあまりにもどう猛に戦い、森を嫌というほど知っていた。だが彼は二度と私を見つけられなかった。私は喜んで二回戦を受けて立とう。ただしボズマーの領土にて。

ギル・ヴァ・デールの猛火The Devouring of Gil-Var-Delle

ファスター 著

ギル・ヴァ・デールで何が起こったのか皆が知っている。そして、同時に、誰も知らない。伝説では恐ろしいデイドラ公モラグ・バルが、ウッドエルフの街に足を踏み入れて焼き尽くした。神話の正確な意味は分からない。古代の物語は兵士を雇う軍隊のように隠喩を使うのだ。

もしバル自身がこの世界を邪悪な意志と共に訪れたなら、なぜ我らの生き残りがいるのか?彼についての説話を考えれば、ウッドエルフの街1つを完全に破壊しただけで止まったとは考えられない。タムリエルのすべてが炎に包まれるまで止めないだろう。デイドラ公の訪れと呼ばれるものについては、多くの場合この問題が疑問視される。

ひょっとしたら敵対するデイドラ公、神々、エドラの使途など、誰かが彼を止めたかもしれないという反論もある。しかしまた戻るが、この証拠がどこにあるのか?魔術師、歴史家、少なくとも、話したことのある誰もが、この情報のためのはっきりとした文章を参照できないでいる。

多くの歴史的な創作物の欠片はそこで起きたことを脚色しようと試みるが、その物語のどれもがはっきりと確認されない。街を襲った壊滅的な出来事への言及以外には。住民は殺されたのか逃れたのか。その後は誰も消息が伝わっていない。しかし、誰でも知っていることは、大きな火が犯人だったということだ。ウッドエルフの家への火がどれほど壊滅的な被害を与えるか、想像もできない。

今日、ギル・ヴァ・デールは有害な場所であり、思い切って近くを冒険するものも多くはない。しかし、具体的な敵がいる訳ではない。怯えと迷信に妨げられているだけだ。

偉大なる木の本The Book of the Great Tree

(抜粋)

すべてのものは木へ

木から、すべてのものに

——アイレイドの預言

* * * * *

これを最初の講義にしよう。最初の木の根はこの地面の全てをつかんでいる。雨や風が来ても、根がしっかりと捕まえていてくれるだろう。その根の下にはニルンが横たわり、その主枝の上にエセリウスが輝く。彼女は床と屋根の両方を与えてくれている。その他の避難所など必要ないように。

* * * * *

アズラの根はゆっくりと流れる川の川岸に沿って伸びる。泥から離れてゆっくりとその根を引くと、根は湿った布に巻きつく。このため、植物は輸送可能かもしれない。十分な水分を保ってやれば、苔のバスケットや鉢に根づくだろう。

* * * * *

サラシェのエルフが初めてエルデンルートにきたとき、彼らはメリディアの輝ける色によって導かれており、それはこれが彼女の贈り物であり、祝福であると語った。その木の枝と根が手とすると、ムンダスとオーバーワールドに同時に届く。これによって、我々はムンダスの最も偉大な街を築き、彼女の最も誉れ高き、最上の種族であることを証明した。

* * * * *

夏の熱気の中では、クワズイモの葉はシルクで覆い隠しなさい。成長過程をそれだけ遅らせたならば、果実はより大きく、甘くなるだろう。イフレはその落ちた実を捧げものとして食べたそうだ。

アロメリア植物はこれに関係しているが、実を結ばない。ホテイアオイの例を知っているかもしれない。

* * * * *

彼等は到着したときに、こう言った、「これは偉大なる木の森だ。これは賢者の森であり、エルフの森である。我々は生命と知識を運んできており、偉大なる木の陰に、教室と蔵書庫を作ろう。理知の遺産を集めることができるように」

* * * * *

ニルンルートの種は鳥やその他の生物によってはるかに遠くまで運ばれるかもしれない。偉大なる木の近くでは、シダ類の葉が高く青々と茂っている。ずっと離れた場所では、ひょろひょろとして、そんなに丈夫ではない。

これもまた同様に講義しよう。

部族ボズマーの戦闘習慣War Customs of the Tribal Bosmer

ミストラル・アウレリアヌス・テリスコル 著

街のウッドエルフは主として飲み物と帝国から提供されるぜいたく品に満足しており、密林の奥地に住む遠方の部族ははるかに残忍である。争いはヴァレンウッドの軒下で絶え間なく行われる。部族がカジートを盛んに襲撃していない時、彼らは気晴らしにお互いを襲撃しあっている。

文明化した人々と異なり、部族のボズマーは有意義な目的や建設的な目的のために戦わない。彼らには領土支配のため、物資のため、国境を守るために戦うというコンセプトが理解できない。ヴァレンウッドを傷つける輩を追い出すために包囲することはあれど、己のための征服にまったく興味がないのは明らかである。むしろ、ウッドエルフは、戦利品、自慢、退屈が目的でお互いに襲撃しあう。部族間の侵略者は典型的に、森林マンモスとサンダーバグを盗む。多くの盗品(または人々)は持ち主によって買い戻しが可能だ。

この突飛で変則的な戦争行為は殺しを目的とするものではない。死は生じるが、それは偶然であり、たいてい悔やまれるものである。多くの侵略は少しの戦いもなく終わる。気づかれることなく代価のため他の部族の村に忍び入り、品物を盗むことは技術の極地と考えられる。その品が大きければ大きいほど、名声は増す。何世紀にもわたるこの練習のおかげで、部族のボズマーのステルスは伝説的な腕だ。彼らの最も有名な詩の題名は、「メー・アイレイディオン」で、その意味は「何千もの利益を隠したるもの」である。

戦闘中に死が生じたとき、ミート・マンデイトの古代の規定は、倒れた敵を3日以内に完食しなければならないと要求している。この伝統には今や最も遠く離れた残忍な村のみが従っている。敵を大量に殺した戦士の家族は、その食事を手伝ってもよい。

伝統的な「弔い合戦」は、いまだ街の外のほぼあらゆるところで従われている。部族の一員が殺されたとき、彼ないし彼女は象徴的に侵略の際とられた人質によって置き替えられる。その部族は近隣の集団から捕虜を奪うだろう。もし、故人が部族において、特別に強く、信望のあるものだった場合、多数の捕虜が代わりに連れてこられるかもしれない。

彼らの価値を試すためということになっている肉体的な責め苦の期間の後、捕虜は喜ばしくクランに迎え入れられる。恐ろしい虐待から愛ある抱擁というこの突然の手のひら返しは、苦しみに忠実なボズマーの捕虜の弱った知性を混乱させる。伝統的に犠牲者は死亡したメンバーの地位、所有物、そして家族を与えられる。もっとも、この慣行は最近滅多に履行されない。

様々な宗派:ウッドエルフVarieties of Faith: The Wood Elves

様々な宗派:ウッドエルフ

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

八大神

(ただし、帝国の外ではほとんどのボズマーが神を八柱に限ろうとしない):

アーリエル(アルドマーの王):

エルフのアカトシュはアーリエルである。アーリエルはアヌイ・エルの魂であり、同様にアヌイ・エルは「すべてのもの」のアヌの魂。ほとんどのアルドマーの神々の長である。大抵のアルトマーとボズマーがアーリエルの直接の子孫であると主張している。唯一知られる欠点として、アーリエルは定命の者の次元の創造で役目を果たすことに同意したが、それは永久なる霊魂の世界からエルフが永遠に分断される行いであった。その埋め合わせをするべく、アーリエルは神話の時代に最初のアルドマーを率いてロルカーンの軍と戦い、強大な力に打ち勝って、アルトマー、アルトモラ、旧エルノフェイの、最初の諸王国を建立した。その後彼は、信奉者たちが定命の者の次元から逃避するのに必要な道のりを学べるよう、皆が注目する中で天に昇った。

イフレ(森の神):

ボズマーの神々の中で最も重要な神格。時の竜アカトシュが神の王であっても、イフレは「現在」の霊魂としてボズマーに崇拝されている。ウッドエルフによると定命の者の次元の誕生後、何もかもが混沌に陥っており、最初の定命の者たちは植物に姿を変えては動物に変化し、再び戻ることを繰り返していた。そこでイフレがアース・ボーンズを意味する最初のエルノフェイ、もしくは「アース・ボーンズ」に姿を変えた。これら自然の掟が確立した後、定命の者たちは新たな世界を理解することで、ある程度の安全を確保できるようになったという。イフレは時折、語り部とも呼ばれるが、これは彼が最初のボズマーに教えた講義のためである。ボズマーの一部はグレート・エフェクト(ワイルドハント)に利用できるこの混沌の時代の知識をいまだに所持している。

アーケイ(輪廻の神):

アーケイは埋葬と弔いの儀式の神、そして時折、四季とも結びつけられる。彼の司祭は死霊術師とすべての形態のアンデッドの断固たる敵である。アーケイは、ロルカーンのうるさく、詐欺的な監督下の神によって世界が創造される前には存在していなかったそうだ。このため、定命の者の神と呼ばれることもある。

ザルクセス:

ザルクセスは先祖と秘密の知識の神である。始めはアーリエルの書記だった彼は、時間が始まって以来、小さいものも大きいものも含め、これまでのすべてのアルドマーの偉業を記録している。妻のオグマは、歴史上自分が気に入った節目から作り出した。

マーラ(愛の女神):

万物の女神といっても過言ではない。起源は豊穣の女神として神話の時代に始まった。創造を生んだ宇宙の女性の本源である、「アヌアド」のニールを時に連想させる。ボズマーにとっては、アーリエルの妻。

ステンダール(慈愛の神):

慈悲と公正な規範の神。アルドマーの初期の言い伝えの中では、ステンダールは人類の弁証者である。

ズェン(労苦の神):

報酬と報復の両方を含む、ボズマーの応報の神である。研究によれば、アルゴニアンとアカヴィリの両方の神話に起源があるようだ。おそらくコスリンギの船乗りたちによってヴァレンウッドに伝わったのだろう。表面上は農業の神であるが、ズェンは時折、より高次の存在であることを証明する。

バーン・ダル(山賊神):

カジートから借りてきた盗賊と物乞いのいたずら好きな霊魂。

主なボズマーの教団の追加神:

ハルマ・モラ(ウッドランドの男)

悪意のあるいたずら好きの霊魂(さらに増えた!)、そのボズマーの信者はデイドラのハルメアス・モラと混同しないようにと言っている(他のものはこの主張を嘲笑している)。

ジョーンとジョーデ(小月神と大月神):

アルドマーの月の神、彼らは幸運と悪運の両方の運の霊魂である。

ハーシーン(ハンツマン、獣人の父):

偉大なる狩りのマスターであり、全てのライカンスロープの王。ハーシーンの崇拝者たちは他のデイドラを崇拝するものたちのように無慈悲などではなく、つねに獲物に少なくとも1回は小さな脱出の機会を与える。

ロルカーン(不在の神):

この創造者、詐欺師にして試練を与える神は、タムリエルに存在するどの神話にも登場する。彼の最も一般的に知られる名前はアルドメリの「ロルカーン」か破滅の太鼓である。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ロルカーンは神の中心地から離れ、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって解釈が大きく違う。エルフにとっては崇高なる力において最も不浄な存在であるが、それは彼らの精神世界へのつながりすべてを永久に壊したためである。言い伝えにおいて彼はいつでもアルドマーの敵であり、ゆえに初期の人間にとっては英雄である。

様々な宗派:力ジートVarieties of Faith: The Khajiit

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

その異端の姿にふさわしく、カジートは多くの神々を崇拝し、帝国の八大神のみを崇拝する者はごく少数である。

八大神:

アルコシュ(猫たちの竜王):

前リ・ダッタ王朝アネクイニネの神格。アルトマーのアーリエルの変化形の1つであり、それゆえアカトシュ——カジートの始祖にとっての文化的英雄である。彼の崇拝はリドル・サールの確立と重なり、エルスウェアの未開拓地方では、今でも絶大な人気を誇っている。その姿は恐ろしいドラゴン、カジート曰く「ただの本物の大きな猫」として描かれている。神話の時代、ペリナル・ホワイトストレークの初期アルドマーの虐殺を撃退した。

リドル・サール(双子月の舞踏):

カジートの宇宙秩序の神格、リドル・サールは、預言者にしてたてがみのリドサーリ・ダッタによって明らかにされている。単独の存在というよりも生き方の一連の指針となっているが、彼の化身は神のしがない伝令として出現するのを好んでいる。また砂糖の神としても知られる。

ジョーンとジョーデ(小月神と大月神):

ともに、月の象徴の神格、運命、そして幸運。カジートは信仰の中で、ジョーンとジョーデは月のラティスまたはジャ・カージェイの姿である。

マーラ(母猫):

万物の女神のような存在。本来は豊穣の女神だが、カジートは「アヌアド」のニルニと習合させ、女性的宇宙原理とした。アルコシュの恋人である。

スレンダル(子猫、慈愛の神):

スレンダルの領域には慈悲、事前、そして正義を含む。アルドマーの初期の言い伝えの中では、スレンダルは人類の弁証者である。

ケナーシ(風の神):

ケナーシは最も強い空の霊魂である。いくつかの伝説によれば、定命の者の次元を創造するというローカジュの計画に最初に賛同し、虚空にその創造のための空間を提供している。また、ローカジュの聖なる光以前には起こらなかったといわれる現象、雨と結びつけられている。

バーン・ダル(山賊神):

大多数の地域において、バーン・ダルはあまり重要な神ではなく、盗賊と物乞いのいたずら好きな精霊である。エルスウェアにおいてはより重要であり、追放されし者とみなされた。この側面において、バーン・ダルは、器用さ、または辛抱強いカジートの、どたんばの計画で常に彼らの(エルフまたは人間)敵のたくらみをひっくり返すという、命知らずの特徴となる。彼はまた、カジートの行商団であるバーンダリ行商人組合にその名を貸している。

主なカジートの教団の追加神:

マグルス(猫の目、太陽神):

カジートにおけるマグナス、太陽と魔術の神、カジートの魔法使いに人気がある(たとえアズラーほどではなくとも)。

ラジーン(追いはぎ):

盗賊でいたずら好きな神、満悦の虚言者、カジートの語り部たちから大変愛されている。ラジーンはセンシャルのブラック・キエルゴで育った。エルスウェアの歴史上、最も有名な強盗であり、眠っている女帝キンタイラの首からタトゥーを盗んだといわれている。

アズラー(暁と黄昏の女神):

カジートの魔法使いの守護者、その時折みせる計略のため恐れられるよりも尊敬されている。神話によれば、彼女はアルドマーの系種から外れたカジートの始祖と結び付いている。

シェッゴロス(スクゥーマの猫、狂神):

狂気の王は、正気と責務の拘束にいらだつ猫人間の陰の側面を強調している。

ハーシーン(腹を空かせた猫):

狩りとスキンチェンジングの神、獰猛さと狡猾さが敬愛されている。

サンジーン(血の猫):

死と秘密の殺人の神。サンジーンの地位は猫の目からは隠されていて見えない。「誰が血の滾りを制御できるのか?」

ナミイラ(深い闇):

生けるものの敵、崇拝されているというよりも鎮められている。

ローカジュ(月の獣):

前リ・ダッタ王朝アネクイニネの神格であり、たやすく不在の神、ロルカーンと同一視された。この創造主——いたずら好き——試験官な神格はすべてのタムリエル的な神話の伝承の中にある。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ローカジュは彼の神的中心から隔離され、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって解釈が大きく違う。伝説の中で、彼はほとんど常にアルドマーの敵であり、そのため、初期人類の英雄である。

マラバル・トールの伝承

Malabal Tor Lore

アビシアンの海賊Pirates of the Abecean

嵐がサラジャ船長の計画に予期せぬ変更をもたらした。彼女は海賊船の裂けた帆と折れたマストを見つめた。つい最近の略奪品が流されただけでなく、風がなくなり修理を終えるまで進めなくなってしまった。

「座礁したも同じですよ」。一等航海士のフルツが険しい顔で言った。

「船がいたら、乗ってる奴らに降りるよう話をつけるさ」と船長はしわがれ声で笑って答えた。「船は動けないがまだ浮いてる。お前は悪いことばかり考えてるな」

「だとしてもずっと…あれは船では?」

サラジャは振り返りニヤリと笑った。「未来の我々の船ってことだ」

フルツは距離を見て思慮深く言った。「そう遠くはない。ボートを降ろしましょう」

すぐに乗組員のカジートたちは船に乗り移る準備を整えた。砂州に錨を降ろしたその船は無傷なようだ。近づきながらサラジャは動きがないか船と空の境を見る。静かなものだ。略奪の機は熟した。

フルツが暗い船体をゆっくりと探りながら登っていく。仲間たちが網を張り乗船できるよう、こちら側に警備がいたら彼が抑えなければならない。そっと甲板に上がると、フルツは船首と船尾にちらりと目をやった。警備はいない。手すりから身を乗り出して仲間に合図を送る。

次々と海賊たちが乗船し、武器を抜いて音を立てずに歩き回る。静かな船に全員が乗り込んだ。

「遊覧航海には大きすぎますね」とフルツが船長に囁いた。「それに武装の割に静かすぎる」

サラジャは船室の扉を示して頷いた。「あそこに隠れてるんだろう」と囁く。「我が船から降りてもらおうじゃないか」

ときの声を上げてフルツが船室のドアを蹴り破った。爪を出し武器を構えた海賊たちが彼に続くが、10歩も行かずに足を止めた。中は静かで暗い。

「どうなってるんだ?」

「早く!明かりをくれ!」

海賊の1人がほくちと火打ち石を打つ。ゆっくりとたいまつを掲げると、室内いたるところにある鏡にほのかな明かりが映り込んだ。

「なんてこった!コスリンギだ!」

「コスリンギの死体だ!」

サラジャは壊れた船に戻るよう全員に命じるが、もう手遅れだった。紅き船を見て、生きて戻った者はいない。乗組員たちは見る以上のことをしたのだ。

ヴァレンウッド:研究Valenwood: A Study

公文書保管人 エンダラナンデ 著

アルドメリ・ドミニオンの多くの命がヴァレンウッドで生まれている。緑の森に覆われ、多様な動植物で溢れかえるこの地は、古きエルノフェイから来た最初のエルフたちの一部にとっては故郷である。

時と世代を経て、この初期の移住者たちは森に適応していった。新たな獲物たちを研究してステルスや巧妙さを身につけた。やがて彼らはボズマーことウッドエルフとなった。アルトマーより小柄で、勤勉かつ機敏な彼らは射手や斥候として名高い。

果敢な戦闘員としてのボズマーにはグリーンパクトという独自の強みがある。ボズマーの伝説によると、森の神イフレが敵を破る方法を授けたのだという。ただしヴァレンウッドの植物を食べたり傷つけたり、収穫することはしないのが条件だ。

グリーンパクトの一つの結果であるワイルドハントも有名だが、これについては語らないでおこう。

ボズマーはよその土地から救いを求めてヴァレンウッドに来た者を歓迎する。この点について彼らは、近縁の生粋のアルトマーとは大きく異なる。我々は尊厳を維持しようとするが、ボズマーは若木のようにたやすく他者の意志に従うのだ。

乱暴で愚直だが、このウッドエルフたちはドミニオンにとって不可欠な存在である。我々の同盟の繁栄のため、失うわけにはいかないのだ。

ヴァレンウッドのアイレイド都市Ayleid Cities of Valenwood

抄録

グウィリム大学の高名な歴史家 ホムフリー 著 第二紀445年

南部地域におけるハートランド・ハイエルフの輝かしい集落についての調査

…ここで、注目に値するセイヤタタルの街々や現代のブラヴィルの元になったアイレイドの集落に触れるべきだろう。これらはヘヴン、ウッドハース、シルヴェナールといったヴァレンウッドの街に並び、いずれも栄えていた。現在シロディールの中心である場所に白金の塔が建った後、貿易が活性化したことによるものだった。

特に注目すべきは、エルデンルート近くの大学や蔵書庫だ。その地のアイレイドはエルデンの木、別名始まりの木とその周辺に街を築いた。この木がヴァレンウッド全域に種をまいたのだと多くの者に信じられている。

ヘヴンとウッドハースはマオマーの攻撃で徹底的に破壊された。マオマーはヴァレンウッドのアルドマーの進んだ文明に配慮することはなかった。内陸へと進軍した彼らはエルデンルートを居留地にしただけでなく、あの大樹までも奪ったのだ。あのように荘厳なものを傷つけ奪うとは、なんと不埒な部族か。

マオマーはアルドマーの民族的純粋性を保つ伝統を破り、ピャンドニア先住の野蛮な部族と交わった可能性がある。それならば彼らの凶暴性や、本土の偉大なエルフ文化に対する敬意のなさも説明がつくだろう。

ウッズマーThe Woodsmer

ウィローレッグは足首をさすった。折れてはいない。捻っただけだ。彼は慎重に足に体重をかけ、立ち上がった。よし。耐えられそうだ。ヴァレンウッドを旅しながら、よく転んでいた。彼の片足はもう一方より細く、時々それを忘れてしまうのだ。

「さて、ここはどこか突き止めるか」。ウィローレッグは言った。頭上高く出揺れる木々の葉を見上げると、その間に青空が時折見え隠れする。ウッドエルフでなければ、そんなわずかな眺めからは何もわからない。ウィローレッグはすぐにまた歩き始めた。

すぐに、自分だけではないと気付く。彼の左手に別のウッドエルフがいた。ぼさぼさの濃緑色の髪を顔の周りに垂らしている。一人旅に慣れている彼は、その静かな同行者が彼を追い越さないよう、歩く速度を合わせていることにも気が付いた。

「あんたもファリネスティに?」。ウィローレッグは訊ねた。

「ああ」

ウィローレッグは気さくに続けた。「移動前に夏の地に着けるといいんだが」

緑髪のウッドエルフは言った。「大丈夫だろう」。これ以上話したくなさそうな声音にウィローレッグは黙って頷き、歩き続けた。

彼らはその日ずっと、黙ったまま一緒に旅をした。ウィローレッグが休憩しようと止まると見知らぬ男も足を止めた。ウィローレッグは水と干し肉を分けてやった。そしてまた、残りの旅路につく。木々がまばらになっていき、ファリネスティがぴったり収まった空き地に出た。

空き地の端で、見知らぬ男は立ち止まりウィローレッグの腕に手を置いた。驚いたウィローレッグは、その緑髪のエルフの肌がザラザラで硬く、樹皮のようだと気付いた。

「ここにいろ」と男は言い、小声で呪文を唱えた。

ウィローレッグは動くことも話すこともできず、男がファリネスティの根元へ行き、表面に額で触れるのを見ていた。木の街は震えると、大地から根を上げてゆっくりと移動を始めた。

緑髪のエルフがファリネスティを連れて歩き去ると、ウィローレッグはかけられた奇妙な呪文が解けるのを感じた。そして手足のうずきとともに動けるようになった。下を見た彼は細い片足が治っているのに気付いたが、靴はなくなっていた。

「ウッズマー」だ。ウィローレッグは畏敬の念を抱きつぶやいた。ウッズマーは森で不用心に迷った者を導く神話の存在だが、道を知る者に恵みを授けるとも言われている。

ファリネスティは南へ移動し、ウィローレッグはどこへ行ったのかと考えた。

ウッドエルフのユーモアThe Humor of Wood Elves

発明家テレンジャーによる収集

発酵飲料で広く知られるバルクワステンには、知る中でも特に気さくなボズマーが暮らしている。種族の特徴でもあるが、彼らは勤勉でたいていの人とうまく付き合える。彼らの醸造方法の調査を終え、地元の家に泊めてもらった。

歴史家として私は、ユーモアを研究すればその文化の多くを学べると考えている。そこで将来の研究のために彼らのジョークを書き留めておく。彼らの娯楽をよく知ればきっと、ボズマーの考え方をより深く理解できるだろう。

スケルトンが酒場に入ってきてこう言ったんだ。「ロトメスをくれ。あとモップも」

Q:なぜ猿が木から落ちたか?
A:死んでたから。

Q.茶色くてボーッとしたものは何?
A.棒だろ。

人物1:俺が木か聞いてみな。
人物2:お前は木か?
人物1:いいや。

Q.レイヴンのどっち側に一番羽毛が生えてる?
A.外側。

Q.頭が3つあって、醜くて臭いものは何?
A.おっと違った!君の頭は3つないな!

Q.羽のように軽いけど、あまり長くは持たないものは何?
A.息。

Q.スローターフィッシュがいるのにボートが沈みかけるのを想像して。どう助かる?
A.想像するのをやめる!

Q.なぜサンダーバグは生肉を食べるのか?
A.料理を習ったことがないから。

Q.なぜハチはブンブン言うのか?
A.口笛が吹けないから。

グリーンレディ、わが淑女Green Lady, My Lady

我が淑女よ目覚めよ、朝が来た
あなたを絹で着飾ろう
髪には羽を編み込んで
足には革の履き物を履かせよう

我が淑女よこちらへ、愛が待っている
今日この日、テーブルを囲もう
宴のテーブルの上は
美味なるごちそうばかり

グリーンレディ、我が淑女よこちらへ
客人たちは集まった
そして陽気で楽しい音楽が響く
イフレの子らはなんと恵まれているか!

結婚披露宴:回顧録The Wedding Feast: A Memoir

別名「裸しっぽ」のナラル 著 日付のない回顧録

子供たちよ、旅で出会うウッドエルフたちの奇妙な性質について理解できるよう、ナラルがこれを書き残します。彼らの恨み深さには気をつけて!

最上位のエルフ2人の結婚の宴のため、何ヶ月も前から準備が始まりました。彼らの結婚は森とその人々が一つであるという証。そのためとても大きな宴なのです。

商人として、王族へのちょっとした食べ物の用意をよく依頼されていました。名は挙げないまでも率直に言えば、ムーンシュガーをまぶしたビスケットをエルデンルートの宴のために何度も用意していました。でもこの結婚の宴では、私にできる以上のことをたくさん要求されて、土壇場での変更を余儀なくされたのです。

牛のスープ50樽については、根菜スープを足すことで30樽分を用意して埋めあわせました。ウッドエルフは死んだ素材にはこだわらないので、手に入る骨なら何でもよしとして出どころは聞かずに骨髄10カゴ分を用意しました。

でも小麦粉を使わないケーキ?そんなの聞いたこともない!それが作れるというウッドエルフのパン職人たちに相談しました。ウッドエルフはよそ者に用意されたのでなければ植物は食べません。それなのに小麦粉なしのケーキを出せというのには戸惑いました。そしてレシピをいくつか入手し卸売業者に確認すると、期限内に必要な量を揃えられる者はいませんでした。

かくして私はケーキ作りを始めました。卵のかさ増しをするため水で薄めます。その緩さを消すためにアロールートと粉末のフラックスシードを加えました。砂糖はケーキで最も高価な材料だったので、使う量を減らすために石灰の粉を足しました。味はケーキに似ていました。とても似ていた。これはかかった時間も金もわずかで、ケーキだけで儲けは2倍となったのです。

でもバターの代用品にしたラードと泡立てたフラックスシードオイルが、多くの客人の腹とこの私に破滅をもたらしました。

ウッドエルフは以降の契約をすべて打ち切っただけでなく私の尾の毛をそり、あわてて逃げた私の所持品や品物も奪ったのです。

子供たちよ、ウッドエルフの宴に商品を提供してはいけません。必ず辛い結果に終わります。

赤い塗料The Red Paint

「このように混ぜなさい」とラカールが言った。湿った粘土とハーブを規則的な動きで乳棒ですりつぶす。「塗料を作るという行為そのものが祈りなの」

ヤシールは自分の石の乳棒を掴むと、器を引き寄せて女司祭をまねた。

叩く!上げる!一つかみのハーブを器にばらまき、また叩く!オークたちは膝をつき合わせて側に座り、曲げた膝で器を支えている。

ラカールは動きに合わせて、そっと詠唱した。徐々に一団の動きが強さを帯びてくると、彼女の声はそれに釣り合う大きさになった。

「モーロッチは!」叩く!

「我々の行いを…」上げる!

「…見ている!」ばらまく!

部族の化粧の準備をするという名誉は、少数の族長の娘たちのものだった。ヤシールはこの輪に加わり座ったことはない。これまではハーブや粘土を集めていて、それ以上はなかった。それが今はラカールの右側という栄誉ある位置に座っている。若いウッドオークは誇りを感じた。彼女は明らかに、見習いに選ばれたのだ!

「モーロッチは!」叩く!

「我々に…」上げる!

「…血をくださる!」ばらまく!

最後の言葉で女たちは頭を後ろにそらせ、モーロッチの叫びを解放した。喉の奥から出た遠吠えが木々の間や近くの崖に響き渡る。ラカールは仕事の完了を合図した。

部族の者たちが列を成す。できたての戦赤の粘土で化粧を施してもらうのだ。ラカールは戦にふさわしくない、あるいは向かないと見なした者を脇へとよけさせる。彼らは化粧の儀式に参加することは許されない。

ラカールに列から出るよう合図され、ヤシールは抗議の声を上げようとしたが口を堅くつぐんだ。ラカールの判断に異議を申し立てるのは不名誉とされる。混乱した怒りで頭を下げたまま、ヤシールは選ばれなかった少数のオークに加わった。

ラカールは選ばれなかった者たちに目をやり、ヤシールを自分の横に連れ出した。「モーロッチは次の儀式を行う者にお前を選んだの。剣を持ちなさい。忘れないで、モーロッチはお前を見ています」

ヤシールの手を引いてラカールは空のボトルの上にかがみ、伸ばした首に若いオークの剣を滑らせた。真の戦士の聖なる血で次の化粧を施すため、彼女が意識を失おうとしていてもラカールの手は緩まなかった。

夫はネレイドに盗まれたA Nereid Stole My Husband

ネレイドが私の夫を奪った
私の夫をネレイドが奪った
海辺の乙女には用心して
次にあなたが慰められないように。

私たちは無邪気に海岸をぶらついて
貝を集めたり石をひっくり返したり
そして声が聞こえ今の私は嘆く
その声、歌は、あんなに高い声で!

すぐに夫は足を速めた
「待って」私は叫んだ「ネレイドよ」
しかし夫はさらに足を速めた
彼女の甘い呼び声には逆らえない。

手遅れだ、ああ悲しいかな、もう遅い
彼の心は傾き、もう深い虜
彼の恐れは運命のように現実に
彼はネレイドの呼び声に従った。

そして彼女は美しく残酷で無分別
姉妹の元へ泳ぎながら叫んだ
「あなたの夫はつまらない
返してあげるわ、背中曲がりの奥さん!」

ネレイドが夫を奪って
すぐに返してきた
かわいそうな私、あの日から
望まれないのに彼の側にいる!

民の声The Voice of the People

変化は風の中に。木々の葉や、水の流れの中に。動物たちですらその違いを感じ取れる。「民の声」は沈黙していた。

シルヴェナールは死んだ。予想されてはいたが、多かれ少なかれ騒動を伴う事態だ。

優先すべきは街か、それともシルヴェナールか?答えを知る者も気にする者もいないようだ。かつて混沌があり、何世代も続く社会構造が現れた。いや、社会構造のようなものだ。むしろ組織だった狂乱と呼ぶほうが近い。

次のシルヴェナールである若い男が、マントを手にしようとする。

「彼らが待っています」と従者が言った。彼女は発酵したスープの入ったアラバスターのゴブレットを差し出す。

「わかっている。少し待ってくれ」。インデニールは儀式のカップを受け取る前に目を閉じ、深く息をした。

シルヴェナール。公式には結婚までこの称号は彼のものではなかった。だが彼はすでに変化を感じることができた。耳元での蛾の羽ばたきのように、新たな身分が彼の脈拍を速めてインデニールに囁いてくる。くすぐったい気分だ。

シルヴェナールはウッドエルフの代表だ。彼もしくは彼女は、民の意思を感じそれに従って行動する。この関係は双方に作用する。彼もしくは彼女は、ウッドエルフに影響を与えうるのだ。

彼の民は緊張していた。