太古リーチ スタイル

クラフトモチーフ94
Ancestral Reach Style

帝国軍副隊長アブリアナ・ネストロ 著

リーチの民の戦士は、戦闘時の凶暴性と原始的な武器と防具で広く知られている。鉄を精錬するリーチの民はほとんどおらず、鋼など言うまでもない。リーチの民の金属細工は最上級でも粗末なものだ。リーチの民は武器の製造に金属ではなく、自然がもたらす素材に依存している。木、石、皮、骨といったものだ。少し前に女帝ヘストラが行った、リーチへの帝国支配を確立させるための軍事作戦中、我々はリーチの民の皮の盾や鉄鋲をつけた樺が激しい矢を止め、ドルアダッチの熊の肩甲骨で作った斧が、軽鎧のつなぎ目を断ち切ることを知った。原始的なのは確かだが、実用性は高い。

ブーツ

急勾配の地形と厳しい天候のリーチでは、最も頑丈な足装備以外、全てすぐに壊れてしまう。リーチの民はブーツに対してとても気を使う。大抵は羊毛が裏打ちされたヘラジカの皮で作られ、頑丈な生皮の紐で固定される。中には雪や氷、または急な丘の斜面で滑らないように、鋲のついた靴底のものもある。

ベルト

リーチの民にタムリエルの文明化された人々の職人技に匹敵する工芸技術があるとすれば、それは革細工だ。リーチの戦士の衣類は純粋に機能重視だが、しっかりとした革ベルトは何年ももたせることを意図している。大抵は身に着けた者が高く評価している動物の、図案化された姿が型押しされている。熊、ヘラジカ、狼、ワタリガラスの姿が最も一般的だ。

リーチの民の兜の大部分は、内側に羊毛の緩衝材をつけた重い皮で作られている。さらなる防護が必要な時は、熊やダイアウルフなどの大きく恐ろしい動物の頭蓋骨をくり抜いたものが好まれる。頭蓋骨と雄鹿は一般的な文様だ。頭蓋骨の図案は威嚇を意図したものだが、雄鹿は狩猟の王であり、リーチの民の神の長であるハーシーンを称えるためのものである。

脚当て

脚当てを身に着けるリーチの戦士はめったにいない。長い間険しい地形を歩き回れば、すぐに足元を軽くすることが重要だと分かる。大人数での戦闘が予想されるときは、彫りを入れたアイアンウッドか硬化させた革をすねの周りに括り付ける。脚当ては、大抵作りのよいベルトに見られるのと同じような獣の像で装飾されている。

リーチの民の弓は何よりもまず狩猟の道具だ。大抵は接着させた木、角、骨で軽く造られたものだが、その大きさと重さに比較すると驚くほど強力だ。矢尻は通常欠けさせた石か削った骨だ。軽い矢は遠距離から撃ってもあまり飛ばないが、至近距離では重装鎧を貫くこともできる。

胸当て

リーチの民の鎧は皮と革だ。軽い防護のためなら強化した革が一層あれば十分だが、より重装の鎧は多層のボイルドレザーと硬化させた厚い皮で構成される。

リーチの民は剣という名に値するものを作る金属加工の技術に欠けている。その代わりに彼らは刃を購入し、倒した他の土地の戦士から戦利品を奪う。これら外国製の剣はその後リーチ製の柄、握り、柄頭で仕上げるか改修する。

肩防具

大抵の場合、リーチの民の衣類と防具はこの上なく実用的で、装飾や細かい仕上げなどはほとんどない。だが、肩の部分はリーチの民が身に着けるものを飾り立てる場所だ。あばら骨、希少な毛皮、小動物の頭蓋骨、恐ろしい形相を彫刻した木製の肩当てなどが典型的で、他には類を見ない。

手袋

リーチの民は完全な手袋より、指を出した手を包み込むことを好む。手袋を縫うのはとにかく単調で時間がかかるが、皮や羊毛のミトンは寒い時に着けるのが容易だ。よく硬化させたしなやかな革は手の衣類として好まれるが、拳全体に骨を彫って作った鋲やトゲを付け加える戦士もいる。いつ人の顔に拳を叩きこむ必要があるか分からないからだ。

リーチには頑丈な引き板を作るために必要な高さまで育つ木がほとんどないため、リーチの民の盾は多層の硬化させた皮でできている。好まれるのはブリストルバックの皮だが、入手しやすいのはヘラジカの皮で、接着して十分な層にすると同程度に丈夫となる。最高の盾は危険な強打のために骨の突起が磨かれる。威嚇の効果もある。

リーチで、杖は魔女の武器と考えられている。ほとんどの杖はアッシュ、サンザシ、アイアンウッドで作られ、様々なお守りや呪物で飾られている。素朴な外観にもかかわらず、リーチの民の杖はとても破壊的な魔法を生み出し、召喚を行うことができる。リーチの魔女の魔法に関して、遅れている面は全くない。

戦棍

彼らの身近にある素材を考慮すると、リーチの民にとって各種の棍棒は最も製造が容易な武器の部類に入る。リーチの一般的な戦棍は、重いアイアンウッドと砥がれた石片が革ひもでまとめられている。

短剣

リーチの民は石の小さな短剣を作ることが多い。石の短剣は適切な石を砕き、欠けさせて作る。石が脆ければ、剃刀のようにするどい刃が現れる。リーチの民はほぼ全員がこの種の皮剥ぎ石を持っている。しかし、戦闘用の刃は他の地との交易で入手されることが多く、それに頑丈なリーチの革細工の柄が付く。

リーチの金属細工は原始的だが、砥いだ鉄で重い斧頭を作ることは難しくない。ギザギザでバランスの悪い刃は厚く皮を巻かれた頑丈な柄に付けられ、原始的だが効果的な武器となる。