クラフトモチーフ32
Abah’s Watch Style
アトアディン・シンジケートのメモ:アバーズ・ランディング監視所の装備
鉄の車輪にちょうど最高級の武器と防具を売った。これに比べると、アバーズ・ランディングの衛兵がみすぼらしく見える。そうあってはならない。鉄の車輪に立ち向かう姿勢を見せるため、衛兵の装備を標準化するべきだ。倉庫で得たものに応じて、下記の装備を与えよう。
—商人王オラハン・アトアディン
アトアディン・シンジケートのメモ:アバーズ・ランディング監視所の装備
鉄の車輪にちょうど最高級の武器と防具を売った。これに比べると、アバーズ・ランディングの衛兵がみすぼらしく見える。そうあってはならない。鉄の車輪に立ち向かう姿勢を見せるため、衛兵の装備を標準化するべきだ。倉庫で得たものに応じて、下記の装備を与えよう。
—商人王オラハン・アトアディン
栽培の月
また満足なお客さんだ!
未払総額:金15
真央の月
返済:金5。エレンデットは指示通り商品を積み直して運んだ。
借金:金22。(エ)はよく喉の乾く女だ!
借金:金9。(エ)が勝手に私の在庫に手を出した!
未払総額:金41
南中の月
返済:金7。(エ)がまた盗みを働いているか究明する。
借金:金31。(エ)はここの秘密の品が好きで仕方ないようだ!
未払総額:金65
メモ:借金を払うまで、返済は中止。(エ)にはもう商品を与えない。
メモ:支払いは金のみ受け付ける。働いて借金を返済させると、(エ)は在庫の損失で余計に金がかかる。
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
偉そう。傲慢。自己中心的。アバーズ・ランディングの自称商人王たちを表す言葉のほんの一部だ。4つの貿易会社のはじまりは約160年前。当初はハイロックとヴァレンウッドを結ぶ商業と貿易の中心として、アバーズ・ランディングを高めるべく努めるまともな会社だった。だがヒューズベインは文明を発展させようとする者に厳しく、不法な利益を追求する会社がまっとうなものを次々に追い抜き、会社はその努力に反して日増しに腐敗していった。
目立つようになった4つの貿易会社はアトアディン・シンジケート、ヴィエン家、サザール・カルテル、そしてガージェス・アンド・アソシエイツだった。やがてこの4社の王たちが港町の商業と金を全て動かすようになった——合法なものも、違法なものも。利益のほとんどは密輸、奴隷などの違法取引からきていた。商人王たちはアバーズ・ランディングに商品やサービスをもたらしつつ、遠方の地と(控えめに言うと)有益な貿易協定を結んでいた。アバーズ・ランディングが豊かになってくると、他のグループも興味を示し始めた。ここから商人王たちと地元の犯罪者たちとの長く騒がしい関係性が始まったのである。「隠れた」貿易会社の噂まで出回り始め、実際に大手貿易会社と「隠れた」貿易会社の間で、水面下での戦争が行われていた形跡も残っている。この抗争についての詳細を暴くには至っていないが、その結末は明らかである。ガージェス・アンド・アソシエイツは潰され、他の3社も以前の栄光は見る影もないほど廃れ、隠れていた勢力が港町の支配者となった。
ここ15年ほどは、貿易会社たちは一歩引いている。もちろん事業は続けているし、衛兵やインフラといった街のサービスに資金提供もしているが、それまで何十年と見せてきた自信と威勢の良さは見られない。どの市長、どの貿易会社、どの秘密ギルドが中心に立ったわけでもないが、闇の奥深くから誰か、もしくは何かがアバーズ・ランディングを動かしているのは私には明らかだ。そのため、ヒューズベインと取引をする際は注意するよう勧める。
次の報告書では、エリア内で営業している大手貿易会社それぞれの背景について説明していこうと思う。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
アバーズ・ランディングの貿易会社の中でも先駆けであり、その末裔たちによれば最も偉大な貿易会社がアトアディン・シンジケートである。武勇と愛想のよい人柄で知られるレッドガードの男アフシュール・アトアディンによって創立され、育てられ、120年近くにわたり繁栄した。野心家アフシュールは初めレッドガードの剣、オークの斧、ウッドエルフの弓などを売買する素朴な武器商人だった。当時の客は主に目的地へ向かう途中でアバーズ・ランディングに立ち寄っていた海賊や私掠船だったが、それらの船舶や船員と輸送契約を交わすようになるまで長くはかからなかった。
時が経つとシンジケートは商品に鎧や盾を加え、身を守ろうとする者や船で戦いに突入しようとする者が、一気に買い物を済ませることのできる場を提供しようと試みた。海賊団、傭兵団、国に仕える私掠船までもが、品質と保証を証明するシンジケート印の入った武器や防具を求めてごった返すようになった。こういった繋がりから、また新たに有力な収益源が生まれた——シンジケートは傭兵契約の仲介業を始めたのだ。
現在のリーダー、オラハン・アトアディンは、シンジケートを厳しく支配している。冷酷で才気あふれるレッドガードである彼は、全ての交渉を戦いのように、全ての競争を戦争のように扱う。その実、戦争こそがアトアディンの主要な取引分野となっており、そのおかげで近年貿易会社を襲う謎の災難を受けても利益をあげ続けることができている。わが女王も承知の通り、私が「隠れた貿易会社」と呼んでいる謎の組織は、実態を捕まれることを避けつつも確実に策謀を張り巡らせている。私は必ずその真相にたどり着く。ただ、それがいつになるか分からない。
オラハン・アトアディンは武具や兵器、傭兵契約、さらには紛争があれば敵味方問わず物資を密輸するといった商売を行っている。彼は金さえ入ってくれば、カバナントに武器を、パクトに鎧を、ドミニオンに物資を売ることもいとわない。貿易会社たちを抑制し、巧みにもひそかな攻撃で衰えさせていた勢力が急に消え、シンジケートは再びアバーズ・ランディングで力を強めようと動き出している。
他に懸念すべきこともあるが、オラハンやその家族と関わる際は注意するよう勧める。しかし誤解して欲しくないのだが、ヒューズベインとアバーズ・ランディングで何かを成し遂げようとするならば、彼らは避けて通れない存在だ。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
必然的なことだった。悪徳と腐敗に満ちたアバーズ・ランディングには欲を満たす主人、いや女主人が必要だった。腐敗と道楽の渦巻く港町に自分の居場所を築こうと、威厳と大樽一杯の金を手にウェイレストからアバーズ・ランディングへとやってきたのがレディ・フェリス・ヴィエンだった。彼女がやって来たいきさつについてはほとんど情報が残っていないが、ウェイレストの著名な貴族であった夫と、その死との関わりが原因であったことは突き止めることができた。
アバーズ・ランディングに来た理由が何であれ、レディ・フェリスはすぐさま土地を購入し、酒場兼宿屋ウィンサム・ウェルワを設立して港の話題を呼んだ。はじめは小さな宴会場だったが、やがて他の娯楽、より合法性の低い娯楽も提供するようになった。レディ・フェリスはアバーズ・ランディングを通り抜ける人々が持つ悪習に目をつけ、その欲を満たすことができれば金が稼げると考えたのだった。
ヴィエン家は現在、違法薬物や売春といったアバーズ・ランディングの私的で隠された欲を満たしている。ハイロックの悪名高きチェイストハーピーを真似たウィンサム・ウェルワは売春宿となっており、現在の当主レディ・イレニー・モンテインの本拠でもある。他の貿易会社と同じように災難に見舞われながら、彼女は海賊や商人団、多少の冒険を求める貴族の訪問者の違法な需要を満たすことで、ささやかながら利益をあげ続けている。ヴィエン家の商売は全てレディの鋭い監視の下で、アバーズ・ランディングに集中している。街を歩く彼女は、上品で優雅な態度で顧客や訪問中の貴人と接する。しかし暴力的、殺人的ともいえるほど気が短い——不幸にも彼女のそういった一面を見てしまった者で、それを生きて語り継げる者は少ない。
性行為や薬物と同じように、秘められた情報もレディ・イレニーの商売道具である。絶対に裏切らず、彼女が提供する快楽に関わらないのであれば、目的達成の心強い味方となるかもしれない。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
はじめてアバーズ・ランディングの貿易会社ができた頃、他から突出した会社があった。リーダーが変わっているだけでなく、そのリーダーが選んだ業種もまた異質だった。サザール・ラと名乗るカジートが設立したサザール・カルテルは、卑劣でありながら欠くことのできない、港町での奴隷貿易を商売にした。男性の敬称「ラ」を授かった、カジートの歴史の中でも数少ない女性であるサザール・ラは、帝国人、ブレトン、レッドガード、そして少数のカジートから成るカルテルを作り上げた。
カジートに奴隷商売のカルテルが運営できるのか?と疑問に思うかもしれないが、結果から言うとかなり上手にできている。利益次第では我が子をも売りさばく女、サザール・ラの伝説は、カルテルの富の増加とともに広まっていった。遠い国へ向かう途中のアルゴニアンやカジートの奴隷を仲介するかたわらで、カルテルは密輸や情報の売買にも事業を拡大した。同族を売り飛ばすことにも躊躇のないカルテルは非常に危険な存在だ。時が経つにつれ、競合者たちもそれを思い知ることとなった。
今は6代目となるカジート女性サザール・ゴールドファングがサザール・カルテルの商人王となっている。彼女はアバーズ・ランディングの貿易会社の現状にも、自身の事業の現状にも満足しておらず、落ち着きをなくしているように見える。貿易会社を害した何かは、このカルテルには特に大きな打撃を与えたようだ。彼女は「隠れた貿易会社」の活動以前に誇った権力と名声を取り戻し、先祖と同じ栄誉ある敬称を受け継ぐことを切望している。
サザール・ゴールドファングは怒りと野心で煮えたぎっている。本人は自分がアバーズ・ランディングで一定程度の富と敬意を手にするのは当然のことだと考えているが、率直に言ってそれは難しい。そのため彼女は苛立ち、不安をかかえ、かなり危険である。私の忠告を聞くか?あのカジート奴隷商人には近づくな。10フィート圏内にもな。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
次は私が「落ちた貿易会社」と呼んでいる、アバーズ・ランディングの4つ目の大手貿易会社の哀れで不幸な運命について説明しよう。ガージェス・アンド・アソシエイツの歴史は、今ではシロディールの記録から消え去ってしまった有力かつ強大な帝国の一家へとさかのぼる。ヒューズベインの商人王たちが力をつけてきたころ、アビシアンの海賊王として知られていたイソベル・ガージェスが襲撃と略奪をやめ、それなりに法に則った事業でその勢力を拡大していった。
当然ながら、アバーズ・ランディングのような場所で言うところの法に則った事業は、一般的な解釈とはだいぶ異なる。イソベルは最初、法外な利子をつけて金を貸し付けていたが、やがて彼女率いるガージェス・アンド・アソシエイツはギャンブル、盗品商、不正資金の洗浄、強奪などに手を染めるようになった(強奪については、部下に商船から貨物を盗ませ、その同じ商人たちに売りつけることで手っ取り早く利益を得ていた)。
15年前の貿易会社危機がアバーズ・ランディングを襲うと、ガージェス・アンド・アソシエイツは破産寸前に追い込まれた。それ以降の暴動と、三旗戦役に至るまでの出来事で、その悲運は決定的なものになった。今のガージェス家には一族と忠臣が一握り残るのみで、現当主のマルチヌス・ガージェスは嫉妬にまみれた悲惨な男だ。だが奴には計画がある。会社を立て直し、富を取り戻し、ガージェスの名が再びアバーズ・ランディングで称えられ、尊敬され、恐れられるようにする計画だ。しかし、その夢を叶える道のりは長い。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
タネスの女王の秘密の主、タモニール 著
これを君に送ろうかずっと悩んでいた。内容は全て仮説や憶測に過ぎない。証拠がないんだ。君に見せられるようなれっきとした事実が。とはいえ、君には私の考えを知ってもらう権利があると判断した。ダークエルフたちが言うように、用心するに越したことはないからな。
前の報告書では、アバーズ・ランディングの貿易会社を妨害し、攻撃までしている別の組織が存在すると示唆した。これを「隠れた貿易会社」と呼んできたが、もっと良い名がある。影のコングロマリットだ。夜中に目の前に広がる大きく深い裂け目のごとく、暗闇の中に確かに存在しているのに、影のコングロマリットは目で見ることができない。
影のコングロマリットとは何なのか?私には分からない。組織の真実を暴けるところまで来たかと思えば、また次の手掛かりを求めてあちらこちらと飛び回らされ、結局いつもあと一歩で届かないところにいる。これまでに分かったことを記す。影のコングロマリットはおそらく40年ほど前に組織された。そしてそれまで1世紀もの間、独占状態にあった商人王たちの前に現れて挑戦状を叩きつけた。そこから25年以内に、影のコングロマリットは貿易会社たちが一歩引き、権力と影響力の一部を譲らなければならないほどの力をつけた。
闇の奥深くで、何らかの戦いが起こったのだろう。この戦いで隠れた貿易会社が勝ち、表に出ている貿易会社たちは痛手を負い、築き上げた玉座から突き落とされたのだ。最も悲惨だったのはガージェス・アンド・アソシエイツで、ほぼ一夜にして総崩れとなり「落ちた貿易会社」と呼ばれるようになった。
影のコングロマリットがアバーズ・ランディングの真の権力者なのだろうか?それがはっきりと断言できないのが、私の一番の悩みだ。
(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)
アバーズ・ランディングの市民たちよ!ヒューズベイン記念日の委員会議長の役に立候補し、この職についたことは私の名誉であります。私はこの任を活力と情熱を持ってやり遂げることを誓います!本年の展示は我らの基礎を築いた人物(そして私の母方の祖父という意味で、我が先祖)である、フバラジャード王子の生涯と実績に賛辞を捧げる予定であります!
ヒュー王子の統治時代に遡る種々の歴史的価値を持つ物品の展示に加えて、私が希望しておりますのは、我々の展示コレクションに初めて、「ヒュー王子の大失敗」として知られる、名高く非常に収集価値の高い一連の書籍が加わることであります。そのために、私はこれらの愛すべき書の個人的なコレクションを祭典に貸し出すつもりです。その中には以下のものが含まれております:
——ヒュー王子と使者の爆裂パイプ
——ヒュー王子とハジ・モタの戦車
——ヒュー王子とアイアンレガッタ
——ヒュー王子と二人三脚
——ヒュー王子とペットのトク・ガーヴァ
——ヒュー王子と精霊のパレード
——ヒュー王子とキンドルピッチの泉
——ヒュー王子とオーガのバレエ
目の利く方であればすぐさまお気づきになることでしょうが、このコレクションに欠けているのは1冊だけです。それは悲劇的なまでに希少な「ヒュー王子とスプリガンのバーベキュー」であります。もしこの珍しい本がアバーズ・ランディングで見つかるようなことがあれば、所有者の方にとって我々のコレクションに貸し出すことは市民的寛容の行いとなるでしょう(そしてもし所有者の方に上記の本を売るつもりがおありならば、私は多大な額の報償を提示するつもりです!)
また、我が愛すべき配偶者のレディ・ワラヴィルが他の業務に追われているため、委員会は祭典での発表者として「ヒュー王子の大失敗」の著者と目されている次席高官ハフジファー・アルヤスの役を演じていただくため、それなりに演技のできる美しいレッドガードの女性を探しております。興味のある方はぜひ館にて直接手続きをしていただきたい。
——フザハー・ワラヴィル卿、大公
フーンディングの道を開くには、トゥワッカの柱を通過しなければならない。その後、マルークの道をたどれば長身のパパの水差しの聖なる灰を手に入れることができるだろう。それによってシンジの真実が明らかになり、そこから宝物庫にたどり着くことができる。
トゥワッカの柱を通過するのが最初の問題だ。ヨクダの将軍たちの装飾がついた錠が壁に設置されている理由が他にあるだろうか?もしこれまで同様、我が知識が正しければ、この錠はナリマヤとトゥナスカの兄弟を基にした物語への言及になっているはず。文書を探して、何か手掛かりになるものがないかどうか探してみる必要がある。
—
宝物庫に関係があるかもしれない古い文書からの抜粋を見つけた。後で必要になるかもしれないから、書き記しておく:
「こうして、兄弟はそれぞれ戦場に立ち、夜の静けさの中、対峙した。各軍の死体が足元に横たわっていた。彼らの周囲で燃える炎により、戦場は淡い黄金色に照らされた。トゥナスカは北に立ち、彼の将軍であるアキシュとブーリズを従えていた。南に立つナリマヤはこれに対峙し、彼女の信頼する2人の参謀、ニシュカとプントルを従えていた。2人には、これが最後の戦いになるであろうことがわかっていた。2人のうちどちらにとっても、これが生もしくは死への扉を開く戦いになるだろうと」
これは明らかに、将軍たちがそれぞれ、参謀たちの真ん中に位置していたことを意味している。宝物庫への手がかりだろうか?あとはあの部屋に入って、将軍たちの順序を解明できるかどうか試してみなければならない。それと炎についての言及は?方角?どれも決定的な情報になりうる。
文書のこの部分と一致するもので、何か順序を示しているものがないかどうか注意していたほうがいい。部屋の中の何かがこれに言及しているに違いない。順番か、それとも数?とにかく何か。良い予感がする。きっと財宝がじきに手に入る!
ヴァズシャラが疑うモンクでいたのはたった1週間だというのに、もう自分の決断を後悔している。2つの王国が築かれる以前にここで何が起こったのか誰も話さないけれど、それはいつでもみんなの心の中にある。まるで大きなセンチタイガーが私たちの晩餐を食べているのに、その鼻先をひっぱたいてやることを禁じられているみたい。どこかの月の司祭がここで闇をかき混ぜて、ドロ・マスラをニルニに送ってやったってことはみんな知ってる。でも、なぜ?どうやって?誰もそのことは言わない。ヴァズシャラはもちろん、あらゆる噂を聞いている。ジャ・カジートが誰も聞いていないのを確認してから笑うような、しょうもない物語。たいていのカジートは笑うけれど、馬鹿みたいな話はよく、暗い真実を隠していることを私は知っている。ここで本当に何が起きたのかを見つけださなきゃ。
* * *
書いていて、ヴァズシャラの爪がつりそう!ものすごくたくさんのモンクたちと話して、その話を紙に書きとめた。認めなければならないけれど、これらの話はジャ・カジートとして学んだ物語よりもずっと暗い。役者たちはいつも同じ。頭のおかしいモンクたちと、「石を打つ者」と呼ばれる月の司祭。どうやら、この司祭は魔法の杖を持っていて、それで地面を打つと秘密を話し出すらしい。この魔法の杖がどこからやって来たものなのか、あるいはこの月の司祭が死んだ後どこにいったのか。それは誰も知らないから、ただの作り話かもしれない。でも、謎はひとつずつ解決しなきゃ、そうでしょ?
明けても暮れても、この月の司祭は地面を打って、ニルニのあらゆる秘密を学んでいた。でも結局、魔法の杖はニルニの秘密を出し尽くしてしまい、もっと暗い秘密を語り始めた。ナミイラの秘密を。打つ者はひたすら耳を傾け、年老いて正気を失ってしまった。聖堂のモンクたちも正気を失った。なぜなら、石を打つのが決して止まなかったから。それは大きく、規則的な音だった——コンコン、コンコン、コンコン。心臓の鼓動みたい、そうでしょ?ついに、モンクたちは石を打つ者を殺す計画を練った。モンクたちはハイ・ルナリウムに彼を誘い込み、湾曲したナイフで死ぬまで刺し続けた。打つ者の死体からすべての血と秘密が流れ出して聖堂の扉を打ち開き、モー・オブ・ローカジュと、その先にある闇を明らかにした。
ここからは物語が食い違ってくる。いくつかの説明で、打つ者は血が流れ出してしまった後に起き上がり、稲妻でモンクたちを全員殺してしまう。他の説明では、ローカジュの喉元から大きな翼を持つ獣が飛び出してきて、その爪と牙でモンクたちを切り刻んでしまう。でも、これじゃ意味が通らない。聖堂のそこら中に散らばっている封印は明らかに、月の司祭がモンクたちに挟み撃ちにされて、ベント・スピリットを召喚したことを示している。それに私はハイ・ルナリウムにある扉がどんな見た目をしているか知っている。だから打つ者は生き残って、少なくともモンクたちのうち何人かをベントの踊りに押し込んだはずじゃない?まあいいか。もしかしたら罪の意識だったのかもしれない。疑うモンクは評判が悪いから。多くのカジートがドロ・マスラの解放に教団が一役買っていると考えている。もしかしたら本当かもしれないって思い始めてきたわ。ヴァズシャラもパパの言うことを聞いて、漁師にでもなっておくべきだった。などなど。
* * *
こんな場所は滅びてしまえ!今日、クラン・ドロ修道院長がハイ・ルナリウムにヴァズシャラを呼び寄せて、人生で最悪の罵声を浴びせてきた。「おしゃべりはもうなし!質問もなしだ!」まったく!いったいこの場所のどこに喋れるものがあるっていうの。この聖堂は墓よ。誰も笑わないし、歌ったり、踊ったりもしない。ただ詠唱して、囁いて、尻尾をしまって祈るだけ。それだけでもヴァズシャラは逃げだしたくなるけど、まだあるのよ。修道院長の目に何かがあった。怒りじゃなかった…いいえ、違う。あれは何というか…無だった。鈍くて暗い無。死んだ猫の目みたい。尻尾が立っちゃったくらいよ。ヴァズシャラはもう我慢できない。夜が明けたらすぐに海へ向けて出発するわ。この場所に月の呪いあれ、それから修道院長にも!
獣使いロドロスへ
上陸部隊を連れて、鮫の歯の洞窟を探せ。新しい准将が喜ぶような、好意を抱かせるような贈り物を見つけろ。噂通りなら、鮫のシャルグは数多くの貴重品を洞窟の内部に隠しているはず。歩き手たちには好きなように略奪させてやっていいが、准将が興味を持ちそうなものは全てとっておけ。
だが獣使いよ、本当の目的を忘れないように。もしクローナ・キーバと呼ばれる伝説の生き物が実際に洞窟の奥深くをうろついていたら、そいつを手なずけて俺のところに連れてきて欲しい。新しい准将のための贈り物として、ペットのハジ・モタ以上のものは考えられないからな!そんな生き物を手にすることができれば、他の海賊船の連中の羨望の的になるだろう。准将だって感激しないはずがない!
さあもう行って、あの生き物を見つけてきてくれ!
ウェイクウォーカーのドロリオン船長
これは余の初めての詩作の試みである。これらの言葉は歴史に名を残すであろう。
「猛烈な波がうなり、暗闇のかかった海辺に寄って砕ける。
汝の塔の光は天空に輝く星々にも匹敵し、
その光は影の入り江において倍増される」
だめだ。これはいかん。これでは高尚すぎる。余はこれを皆が共感できるものにしたいのだ。歌ではどうだろう?
「もしも余に娘がいたら、きっと彼女はこう言うだろう。
ウェイレストの男に、毎日一緒にいて欲しい!
そしてもし息子がいたら、きっと彼は望むだろう。
ウェイレストの女と、毎晩一緒にいたいって!」
おっとっと。変な方向に行ってしまった。それもすぐにだ。書記よ、どう思う?何か考えはあるか?
「「ウ」は麗しいこの街の「ウ」
「エ」は偉い王様ファランゲルの「エ」
「イ」は行きたくない場所ダガーフォールの「イ」、あの汚くて臭い貧民街」
よくわかった。これではどうにもならん。こういうことは吟遊詩人に任せるべきだと思う。
なぜまだ書いているのだ?書記よ、確かに余はすべて書き留めろと言ったが…よいか、命令に従わねば死刑にするぞ、止め——
あなたを見つけるまで長い時間がかかった
誰かがあなたのことを思っていると知っておいて
あなたの幸せを願っている
またザルガクに裏切られた!奴のところの口の軽い馬鹿が我々の取り決めを漏らしたに違いない
もっと死体が必要だ!ボロボロになっている方がいい。ザルガクの提案にあれほどそそられた理由はそこにある
だがこの「コッシュ」がザルガクを脅迫してノー・シラ要塞に呼び出した——鉄の車輪の本部だ!ザルガクがこの新しい商人王の遊びに参加しなければ、鉄の車輪が俺を訪ねてくるまでどれくらい時間がかかるだろう?
この薄汚れた穴で死にはしない。黒き虫の教団が俺を受け入れるだろう、それは確かだ——ただ自分の価値を証明するために、あと少し魂が要る…
記録184
アバーズ・ランディングの盗賊ギルドはタネスの傭兵に潰された。商人王たちがとうとう押し戻したの?アンヴィルの連中と協働するチャンスかもしれない。
記録188
少量の積荷がアバーズ・ランディングの連絡係に配送された。次回は大量に送る。
記録191
新しい准将ということは、至急金が要る。敬意を示すにはそれしかない。次回アンヴィルに行ったらできるだけ荷を積まないと。
記録193
裏切られた!この「コッシュ」は何者?私たちがスクゥーマを密輸するとどうやって知ったの?ノー・シラ要塞で奴に会わなければ、奴は鉄の車輪に私の船を襲わせる!
私が船を遠海にやったら、きっと准将は私たちに敬意を示すつもりがないんだと考える。でも連絡係が怯えて、私たちの荷の受け取りを拒否する。
コッシュのせいで困ったことになった。あの忌々しい古い砦で奴に会うしかない。他に選択肢はない。
幼いイオリは、夜は祖父からエンシェント・ドラゴンの話を聞き、昼は近くの沼でその痕跡を探しまわるという日々を送っていた。一度ドラゴンのものだと信じて、きらきら光るうろこを持ち帰ったことがあった。祖母はただのワマスの皮だと言って、家から遠く離れたことでイオリをきつく叱った。
それでもイオリは諦めなかった。ドラゴンを見つけたい一心で探し続けた。毎日どんどん祖父母の小屋から遠く離れるようになり、ある日暴風雨に遭ってしまった。近くの洞窟に避難したが、そこは汚い水で水浸しになっていた。水たまりを避けながら何とか洞窟の奥までたどり着くと、イオリは思いがけないものを見つけた——それは大きな緑色の卵だった!
暖かい泥に半分埋まったその卵は、命の鼓動で脈打っていた。これはドラゴンの卵に違いない、とイオリは確信した。祖父の話に出てくるドラゴンの卵はいつも大きく、堅く、温かいものだった。この卵も、とてもとても温かかった。
孤独な卵だった。母親のドラゴンも、それ以外の生き物の形跡もなかった。今卵がかえれば、赤ちゃんドラゴンの世話をする者がおらず死んでしまうだろう、とイオリは思った。
「家には持って帰れない。おばあちゃんに潰されるか、料理されちゃう!」彼女の祖母はドラゴンや卵など信じておらず、きっと食べ物として認識されてしまう。
「ここに残るのも無理ね」暗くなってから帰ればどんなお仕置きが待っているか、考えたくもなかった。「どうすればいいの?」
降りしきる雨を眺めながらイオリは考えた。「嵐はひどくなる一方。今帰ろうとすれば道に迷うか風邪をひいちゃう。おばあちゃんも分かってくれるわ」そう自分に言い聞かせて、一晩泊まることを決意した。
次の日の朝、入り口から差し込む日差しを浴びてイオリは目覚めた。それまで経験したことのないほどの空腹感に襲われたが、それでも第一に考えたのは卵のことだった。暖かい泥の中から卵を掘り出し、観察した。卵はとても熱かった!
「きっともう生まれる寸前なんだわ!」興奮してイオリが言うと、それに答えるかのように洞窟の外からうなり声が聞こえてきた。「お母さんドラゴンかな?」と彼女は思った。しかしドラゴンの洞窟に閉じこめられるとなると、良い予感はしなかった。
さらにうなり声と、鼻をクンクン鳴らす音が聞こえた。外にいたのはドラゴンではなく、グアルだった!イオリは片手に卵、もう片手に石を持ち、ゆっくりと洞窟を出た。そこにいたのは地面に鼻をつけるグアルだった。グアルは彼女を見ると、またクンクンと鼻を鳴らした。
「あげない!」そう叫んでグアルに石を投げつけた。石は鼻に強く当たり、グアルは鳴き声をあげた。しかしこのグアルは家の近くで見る、飼いならされたものとは違った。飼いならされたグアルはうなったりしないし、怒って前足で地面を引っかいたりもしない。
イオリは走った。グアルが追いかけてきて、彼女はだんだん恐ろしくなってきた。卵をぐっと胸に寄せて、木の枝や転んだときの衝撃から守った。恐ろしすぎて、グアルが諦めてからもしばらく走り続けた。しばらくしてイオリは力尽き、膝から崩れ落ちて座り込んだ。
「もう安全だと思うよ、ドラゴンちゃん」そう言ったイオリの表情は、一瞬にして再び恐怖にとらわれた。卵を見るとそこにはヒビが入っていたのだ!「キャー!」イオリは泣き叫んだ。きっと強く抱えすぎたか、木の枝に当たったか、もしくは——
すると1つ、また1つとヒビが入っていった。中から押し出されて、殻が落ち始めた。
「生まれるのね!」イオリはどうしてよいか分からず、きょろきょろと辺りを見た。地面に置こうとかがみつつ、ためらった——逃げちゃったらどうしよう?だが傷つけたくもなかったので、あぐらをかいて汚れたエプロンをハンモックがわりにして、卵を膝の上に置いた。
そのまま卵はガタガタと揺れながら崩れ続け、やがて穴からドラゴンの鼻が出てきた!明るい緑色で、少しネバネバしていた。目が開き、イオリを見上げた。くさび形の頭からフォークのような形の舌が現れ、彼女の気持ちは高ぶった。いよいよドラゴンが生まれるのだ!
残りの殻が全て崩れたが、驚くことにその「ドラゴン」には爪はおろか、脚すらなかった。小さな翼の生えたヘビだったのだ。膝にヘビの赤ん坊を乗せるなど、イオリの友達であればゾッとするようなことだが、彼女はただただあっけに取られていた。ドラゴンの話はたくさん聞いたが、翼の生えたヘビの話など聞いたことがなかった!
生き物が殻を完全に振り払うと、イオリはその破片を慎重に片付け、両手でヘビを包んだ。少し冷たかったが、手の中で温もりを帯びていくのが分かった。眠そうな蛇の目でイオリを見上げると、2回まばたきをして、眠りに落ちた。
「まあでも、ドラゴンみたいなものよね?」
新人たち、注意して!過去において、盗賊ギルドのメンバーたちは仲間の中で一番の者を決めるために、最も貴重で価値の高いお宝を、タムリエルで最も有力な人々から盗んでいたの。現在のところ、我々にはそういった種類の注目を集める必要は一切ない。本当よ。
とはいえ、あなたたちが技を磨き、実力を見せつけることは重要であるとギルドマスターは考えているの。だから私は特別なものではあるけど、誰もそれを取り返すために軍隊を送らないような品物の目録を作成しておいたわ。見つけて盗んでみて。証拠として、隠れ家まで持って来なさい。
これは自慢のためのものであり、金のためではないわ。だから私のところに来る時、こうした品物に多額の報酬を期待しないでね。
アバーズ・ランディング:ヒュー王子がまだ生きていた時代銀行家のひいひいひい(中略)じいさんの代の甥っ子が、この哀れな間抜けの葬儀壺をまだ持ってる。今は花瓶として置かれているそうよ。
グリーンシェイド:魔術師ギルドはある樹の従士のために、奇妙な生きた本の修復作業をやっている。多分、水をやるとかそういうことでしょう。
オーリドン:ナエモン王子は記念のデキャンタを持っていた。自分の戴冠式のために注文したんだけど、式が行われることはなかった。噂では、まだスカイウォッチの邸宅に展示されているらしいわ。
マラバル・トール:古いウッドエルフの物語に、あまりにも優秀なので、呪われたハープで大会に優勝した詩人の話がある。誤った者の手に渡って誰かの鼓膜を吹っ飛ばしたりしないように、ハープは魔術師ギルドが保管しているそうよ。
リーパーズ・マーチ:魔術師ギルドはラウル・ハの屋敷にいる、ある年老いたカジート戦士の古い持ち物を気遣っているわ。不幸なのは、それが彼の痰壺ということね。
グラーウッド:カモラン王朝の一人が戦闘で死んだ時、その代わりを務めることになっていたマネキン人形があるわ。どうやらそれは見破られたみたい。というのも、大使館で埃をかぶっていたからね。
アリクル砂漠:砂漠にいる裕福な宿屋の主人がある古い鉢を持っている。本人の主張では、彼の血筋があるラ・ガーダの英雄にまで遡ることを示す家宝だそうよ。見た目は人を欺くと言うけど、それにしても疑わしいわね。
ストームヘヴン:ウェイレストの最初の王はいい王様だったかもしれないけど、詩人としてはひどいものだった。彼の作品を収めた未刊行の本が1冊、魔術師ギルドに保管されているわ。朗読しなくていいわよ。
バンコライ:ヨクダの征服者たちの中でも比較的几帳面だった者が、自分の所持品を片付けるのに巨大な文鎮を必要としていたそうよ。これは私の手元に置くことになるかもしれないので、そのつもりでいるように。
グレナンブラ:ダガーフォール城を飾っているじゅうたんのひとつが魔法の力を持っているそうよ。どうしてそんなものを何かの役に立たせずに、ただ置きっぱなしにしているのかは知らないけど。
リベンスパイアー:戦士ギルドはショーンヘルムのお姫様がエメリック王にあてて書いた手紙をいくつか持っているらしい。王が彼女を捨てて、センチネルのお姫様のところに行く前のものよ。興味をそそられるわね。
イーストマーチ:イーストマーチの住民たちは、ジョルン王が叩き壊した古代ドワーフの品が次の宴のメインになると言っているわ。今は現地の魔術師ギルドで修理されているそうよ。
ストンフォール:ある宿屋の地下に、エボンハート・パクト結成時の古い紋章が転がっているそうよ。特に懐かしんではいないようね。
シャドウフェン:ブラック・マーシュでアルゴニアンと一緒に住んでいる奇妙な部族がいるそうよ。驚くことでもないけど、彼らはみんな死んでいる。でも、アルゴニアンはアーティファクトの一部をそのままにしているみたい。何か宗教的な祈りの対象があるんでしょうね。
デシャーン:ほとんどの場合ドワーフのアーティファクトは高値がつくけど、モーンホールドの周囲では一部の旗が奪われ倉庫に放り込まれているそうよ。もう少し深い話がありそうね。
リフト:イスグラモルは一般に戦士ギルドに崇拝されている。彼らはイスグラモルのように利き腕で同じ杯から飲むのよ。でも、彼の古いワインの内、まだ残っているものがあるらしいわ。
キルナの人相書きは市場で巾着切りを衛兵に見つかったときのものだと猫会議で聞いた。鉄の車輪の攻撃の後だが、アジトで嵌められる前の話だ。
噂では、彼らは彼女を罰金刑にして釈放する気だったが、もっと金を稼ぐため鉄の車輪に彼女を引き渡すことに決めたらしい(これは商人王が主任調査官ランビクは仕事に有害だと判断する前だった)。最後の噂によれば、彼女は ノー・シラ要塞へ向かう船に乗せられたらしい。その後は何も聞こえてこない。
—スラグ
親愛なるクラン・ドロ修道院長
ヴァルナーゴ・ドロはトルヴァル・クリアタが、あなたの異動嘆願書を受け取ったことの確認として手紙を書いている。少々驚いたと言わざるを得ない。七つの謎の聖堂はあなたの技術と感性にぴったりだとクリアタは考えていた。聖堂の特異な歴史からある程度の難しさが伴うことは分かっているが、これを降格だと考えて欲しくない。断じて!その正反対だ!クリアタとしては、昔から我らの中の最強の指導者たちが封印を見張るべきだと考えてきた。七つの謎の聖堂で働くことは不名誉だろうか?残念ながらそうかもしれない。しかしジョーンとジョーデは最も困難な要求を、最も強い者に課す。そうだろう?厳しい自己管理と、徹底した研究で知られるあなたこそが適任だと思ったのだ。
あなたの嘆願書は検討するが、最も古い友人の一人として、ヴァルナーゴは修道院長としての新しい役割の美点を探すことを勧めたい。月はいつも我らの足をより輝かしい栄光へと導いてくださる。起きる事には全て理由がある。祈ろうではないか。
月のご加護がありますように。
司祭ヴァルナーゴ・ドロ
金と書類は予定通り、レディ・イレニー・モンテインに届けた。これでフバラジャード宮殿は完全に貸切りだ。今後の作戦基地になってくれるだろう。
—コッシュ
(この公文書をどの街の衛兵が書いたか当てた人には、貴重なアカヴィリ金貨を5枚渡しましょう——アンダーリ)
街の衛兵全員に告ぐ。スリに警戒せよ。我々の情報源によると、ある組織された無法者たちの集団が脅迫の目的で、我々の市民の「商売道具」を懐と財布から直接盗むつもりでいるという。これらの盗賊たちはクラフト用品や楽器、そして釣り道具さえも狙っているのだ!
宿屋と港を最も厳しく警戒せよ。これらの区域は人が密集することが多いのに対し、衛兵たちの数が少なくなりがちである。盗賊は吟遊詩人からリュートを盗み、その上発覚することなく宿屋を抜け出してしまうかもしれない。また漁師たちは商売の際、人目につかない場所を好む。幸運なことに、我々のクラフト区域の大半は厳重に見回りが行われる傾向にあるが、頻繁に「休憩」を取ると言って路地をうろついているような者には目を配っておくこと。
(サウスポイント。簡単すぎる——スラグ)
(外れ。それに書かなくたって、直接言えばいい——アンダーリ)
(お前は「眠って」たからな。それから、ノースポイントと言うつもりだったんだ——スラグ)
(どっちにしろ外れ。スラグはもう失格ね——アンダーリ)
(全員失格だよ。あの女、貴重なアカヴィリ金貨を5枚なんて持ってないんだからな——スラグ)
(スラグは三重に失格よ。「貴重なアカヴィリ金貨」っていうのは、私が作った飲み物の名前だからね——アンダーリ)
愛する娘へ
これを読んでいるなら、間違いなく私の死の知らせを受け取っているだろう。その場合、私は友人のニコラスに、台帳を手に入れ大学にいるお前の元へ届けるよう託しておいた。お前のうめき声がきこえるようだ。私がお前よりもずっと魅了された謎の一つが、私からの最後の贈り物だ。
しかし、正直に言うとお前に解いてほしいのかどうかは良くわからない。私はお前に説明したように生きて来た訳ではない。私はアバーズ・ランディングのある女性と深い恋に落ちた。恥ずかしながら、お前がレディ・スリマを受け入れるのかどうか不安だった。彼女はお前の母親ではないし、代わりを務める気もない。それでも我々はそれぞれ、失う痛みを知っている。
お前に渡せる最大の宝は、お前たち二人が家族となる未来だ。
手紙を丸めて何かに投げつけたんじゃないかと推測するが。さて、立ち直ったところで続けてくれ。
今までにやったことを考えてくれ。お前は台帳の謎を解き、アバーズ・ランディングに旅し、ヒューズベインの砂の土地の位置を突き止め、古い宝箱を掘り当てた。鍵もないのに金庫を開けることに成功した。
全てがお前に私の遺言を読ませることにつながっている。アバーズ・ランディングのレディ・スリマを探すのは問題ないはずだ。彼女はお前の名前を知らないが、肖像画を持っていて、とても会いたがっている。私が彼女と過ごした素晴らしい、おかしな人生を語ってくれるだろう。それから、お前が大学を卒業したら一人立ちするために役立つちょっとした財産を持っている。お前はなりたいものにはなんでもなれる。私が旅立ったとしても、いつも誰かがそばにいてくれるだろう。
ただ、彼女の支えにもなってくれるよう祈るばかりだ。
愛をこめて
—S
高潔なる従士フルストロム
「2920年」の記載はほとんどが作り話だが、真実の種がジオベセンの頭蓋骨の形で実になった。皇帝レマンIII世の命令でジオベセン宮殿に閉じ込められた、有名なタヴィアの金に浸され宝石を散りばめた頭骨なのだ。ジオベセンの頭骨は偽の遺物だという噂がハンマーフェルの以前の持ち主から広まり囁かれているが、そのような歴史の上で価値あるものを盗もうという気を起こさせないためであることは間違いない
私はここにジオベセンの頭蓋骨は本物であると証明する。元の頭骨はブレトンの死刑囚から得たと主張する噂はすべて…ただの噂にすぎない
メルカトール・マニックス(帝国歴史学者)
ウェイレストはあまり選択の余地を与えてくれなかった。ウグイアビの売り上げは資産のいくらかを取り戻させてくれたが、面倒に見合うほどのものじゃなかった。私たちは水の漏れる船を1隻買い、故郷に帰る途中の沿岸で売るための貨物を探し求めた。私、ザビアーコは港の斡旋業者をあまり信用していなかったので、持ちかけられた計画の大部分は拒絶した。
「だがな、ザビアーコ、珍味の取引をするべきだよ!」とあの悪党は言った。「砂糖と米じゃ大した儲けにはならないが、泥で覆われたドゥルーの卵は、アバーズ・ランディングのよく肥えた金持ち商人たちに珍重されてるんだぜ!」その時は危険を冒す価値があると思った。
そんな価値はなかった。ドゥルーは交尾の後、足を取り去って海の中で過ごすのだが、船体の中にあった卵の存在を感じ取ったに違いない。私たちがセンチネルをあとにしてすぐ、奴らは襲ってきた。船に穴が開くと同時に、奴らは水と共に突進してきて、卵を奪っていった。船が完全にバラバラになる前に、私は気を失ってしまった。
でも心配はいらない!これがザビアーコの最期ではない。まだまだ語るべき物語や見るべき生き物がたくさんある。たとえば美しいセプ・アダー。それについてはすぐに話そう。
私たちはヒューズベインの地の南西部にある浜辺で目を覚ました。アバーズ・ランディングから地続きの短い旅だった。街へ向かう旅では多くの冒険に出くわした。その中には自分を鮫だと思っているオークとの出会いもあった。しかし一番よかったのは地元住民にセプ・アダーと呼ばれていた、翼の生えた蛇だ。
ウグイアビと同じように、見た目は間抜けな生き物だ。足はないけれど、蛇のように地上を動き回る。翼を持っているのに、空を飛ぶことはできない。しかしあの馬鹿な鳥とは違って、セプ・アダーはうまく繁栄しているし、優美だ。この生き物はその尽きることのない飢えを満たす術を常に持っている。
セプ・アダーは常に次の食事を狙ってうろついている。この土地の川の緑が生い茂る岸に沿って滑空しながら、空中では虫を取り、水中からは魚を取っている。後に土地が渇いてきて、水が少なくなって来た時、こいつらの数が増えているのを見た。地面の中の乾燥したちっぽけな巣から、小さなネズミを引っ張り出していた。
セプ・アダーはあらゆることに対して不器用に見えるが、実は多くのことをうまくやれる。湿った土地と、乾いた土地の両方に生きている。それはザビアーコも同じ。私は生まれつき金があったわけでも、格別運がよかったわけでもないけど、機転を利かせることによって多くの不運を乗り切ることができた。
この土地の人々はセプ・アダーに敬意を払っている。というのは私たちがアバーズ・ランディングに近寄った時、翼を持つ巨大な蛇に巻き付かれている男の大きな彫像を見たからだ。あんなに大きいのは見たことがないけど、だからといって自然の中にいないとは限らない。もしあんな生き物が困難を乗り越えて、勝者として栄誉を与えてもらえるとしたら、もしかするとザビアーコも、困難を乗り越えて、どこか名誉を授けてもらえるような場所を見つけられるかもしれない。もしその栄誉が、単に次の食事がどこにあるのか知っているというだけのことでも!
第四紀398年、収穫の月2日
ボスがすごい隠れ家を新しく見つけた!アバーズ・ランディングからはちょっと遠いが、何もかも地下にあるんだ。それに、雨季にも乾燥している。誰が建設したのか知らないが、壁を遮断する方法をよく知っていたんだな。
それに大きく建設する方法も知ってたみたいだぜ。仲間の数を3倍に増やしてもまだ貯蔵庫やお宝、それどころか奴隷のための空間もたっぷり残るぞ!
第二紀398年、収穫の月5日
この場所の名前を発見した。「ノー・シラ」だ。どういう意味なのかはわからんが、「気をつけて歩け」とかそういうことかもしれん。エフィーが寝台に行こうと下に降りたら、凶悪な鎌が壁から飛び出してきて、彼女を真っ二つにしちまったんだ!ボスは俺たちに他の罠を探しに行かせたが、何も見つからない。あれ一つだけだったのかもしれない。
第二紀398年、収穫の月9日
「ノー・シラ」というのはどうも「そんなに甘くない」ってことのようだな。ナックラーが少し酔っぱらって、ふらつきながら階段を下りていった。彼は底のほうで黒焦げになって見つかった。炎がどこから出てきたのかもわからないんだ。
第二紀398年、収穫の月13日
もう限界だ、俺たちはここを去る。何だか知らないが凶悪な罠のせいで、ボスの膝から下が無くなっちまった。ボスには新しいあだ名が要るだろう。「足軽」じゃまずいかな。
パーシーへ
さあ来なさい、かわいい弟よ!小説「海賊女帝スサ・アプラグド」最新刊から顔を上げて、しっかり私の言葉に耳を傾けなさい。私は旅に出ます。そう、突然で予期していなかったことね。でも、直接告げる時間はなかったの。たくさんの仕事に関わらなければならず、どうしても参加しなければならない会合もいくつかあるのです。気になるのなら、旅程表の写しを残しておきました。
私のいない間、変なことを思いつかないように。父上は仕事と家族のことを私に託していかれました。私が戻るまで、恐ろしく間違ったことはやらないようにすればいいの。
数週間したら会いましょう。かわいい弟。私のいない間もいい子にしていたら、アンヴィルで次の「海賊女帝」の冒険を手に入れるかもね。
あなたの姉
アナイス
パーシへ
心配だ。ショラマイは噂を広めたくはないが、クラン・ドロ修道院長のふるまいは日毎に奇妙になっている。またもや昼の瞑想に遅れ、トジャイの詠唱のあいだぶつぶつ言っていた。マントラのあいだ目を開けるのを禁じられているのはわかっているが、のぞき見ずにはいられなかった。クラン・ドロの口先はねじれて冷笑に変わり、尻尾は祈りのベルのように前後に揺れていた。これだけではショラマイのうなじの毛は逆立ったりしないが——爪がリズムを刻んでいたのだ。石をカチカチと打っていた、何度も何度も。それで私の頭はクラクラしてしまった!
たてがみに手紙を送らねば。あのリズムには何か暗いものを感じる。修道院長が堕落していたら我々全員が危険だ
これから数日間は見えないところにいて、あのリズムを聞いたら聖堂を逃げ出せ
月のご加護がありますように
ショラマイ
記録42
また光だ。昨晩はあまり考えていなかった。ただ静かな海に星がきらめいているのと、遅い時間だから俺の目がぼやけているだけだと思った。あれは今夜戻ってきて、さらに近づいてきている気がする。俺の力ではどうしても見ることができない。ただの変なちらつきか、瞬きにしか見えないんだ。
記録43
嵐がやってきた。海の向こうの空が鋼鉄のような色になってきている。ここ数日の夜中に見たあれに違いない。雷鳴と稲妻だ。もっと気をつけておくべきだった。
記録44
嵐がにじり寄るみたいに動くのなんて初めて見た。海の上に漂っているみたいで、ほとんど動いていない。待っているんだ。こいつは良くない。関税の勘定は明日にして、窓に板を打ちつけておこう。
記録45
船があった!もやのなかに輪郭が見える。ランプのような輝きがあるが、明かりは冷たい。いったいあいつはどれだけの間、嵐の中に閉じ込められているんだろう?無事だといいんだが。ここから俺にできることはあまりない。目を光らせておこう。俺にできるせめてものことは、船が嵐の中で沈んだら港まで走って助けを求めに行くことだ。
記録46
ターヴァの赤い羽根にかけて!船が嵐なんだ!今夜、俺が網の方に針路を向けていたら、ガレー商船が1隻沿岸付近を通り過ぎていった。避雷針みたいだった。あのじりじりした嵐が台風みたいに躍り上がって、まるで生き物みたいにあのでかい貿易船に突撃していったんだ。嵐に飲み込まれたと思っていたあの船はその先頭に立っていて、網みたいに雲を後ろに引きずって、遅い商船を取り囲んでしまった。そいつは稲妻をガレー船の帆に向かって吐き出し、風と波でもみくちゃにしてしまった。
俺には動く度胸がなかった。嵐の船がガレー船を襲うのを見てるしかなかった。雷鳴にかき消されたせいで、叫び声や悲鳴はほとんど聞こえなかった。逃げたいという気持ちが俺をようやく恐怖から立ち直らせた。あいつらに発見されなかったのは運が良かったと言うしかない。
記録47
あいつらが来る。アリーナを探してくれ。愛していると彼女に伝えてくれ。俺のために祈って欲しい。
次席高官ハフジファー・アルヤス 著
「ハフジファー!いや、次席閣下!」給仕のジェンゲシュだ。階段を駆け上がって来たので、汗をかいている。「王子様があなたにすぐ来て欲しいそうです。厩舎にです。急いで!」
「今度は何?」と言いながら、私はラリバラーの「11の儀式形態」をデスクマットの下に突っ込んだ。水中呼吸の呪文を学ぼうとして一時的に水中でしか呼吸ができなくなって以来、王子は王宮での魔法を禁じていた(私は5つ目と6つ目の音節があべこべだと教えたのだが、王子は無視したのだ)。「またスキーヴァーがオーツ麦の中に入ったの?」
「いーえ!」ジェンゲシュはいたずらっぽく微笑んだ。「ご自分でお確かめになった方がよろしいかと」
ヒュー王子はいらいらした様子で厩舎の扉の前を行ったり来たりしており、先がくるっとカールした黄金のスリッパで糞を踏まないように気を配っていた。「おお来たな、ハフジ!お前に見せたいものがある。お前も今度こそ感動するぞ!」彼が絹の袖に覆われた片腕を振って見せると、いつも側を離れない護衛のビッグ・ドーランは厩舎の扉を車輪に沿ってずらし、開いた。
中にあったのは、私がこれまで見た中で最も醜いものだった。それはラ・ガーダの戦車のように見えたが、サイズが大きすぎたし、車輪は2つではなく4つあった。乗員席に掛けられた金縁の枠には、黄金で縁取られた大きな傘が刺さっていた。乗員席自体はけばけばしくも輝く虹色に塗られていた。これは王子が選んだシンボルである(彼は”色(ヒュー)”男だから。分かるでしょう?)。そして御者が泥で汚れるのを防ぐために、車輪の上に銀板が覆いかぶさっていた。これの全体は採石場で働く牛車ぐらい重そうに見えた。
「見事だろう?」と王子は聞いてきた。「見事だ。そうじゃないか?」彼はきっぱりと繰り返した。「見事だ」
「み…見事ですね。はい、確かに。その通りです」と私は言った。「それに…こいつはなかなか大きいですね。でも見たところこいつを引くには馬を8頭ほど使うことになりそうですが、私たちのところには6頭しかありませんよ」
「馬だって?はっ!馬なんてのは庶民のものさ!新しい我が王子専用戦車はだな…ハジ・モタに引かせるのだ!」
「悪魔の亀?しかしあれを手なずけた者はいませんし…いるはずがない。第一、殿下はそんなものをどこから手に入れるつもりなのですか?」
「もうすでに1匹持っているんだ!」とヒュー王子は言い、その天神ひげを誇らしそうにいじった。「ボズマーの商人から買ったのさ。催眠性の虫の煙で手なずけたそうだ。見に来いよ!」そして王子は厩舎のさらに奥へと進んでいった。
叫び声があがったのはその時だった。通常ならば私は「血が凍るような金切り声」のような陳腐な決まり文句は使わないのだが、冗談抜きで、私の心臓はその音で凍りついてしまった。人間と馬の両方からあがる、おぞましい悲鳴だった。器用な腕のモラドが目をかっと見開いて、檻から駆け出してきた。その後ろからは私の知らないウッドエルフが続いた。私は彼の通り道を塞ぐ形になり、彼が私を押しのけて通り過ぎようとしたところで、私は彼の装飾用の角をつかんだ。「おい!やめてくれよ!逃げなきゃ!」
「何があったのか教えてくれれば行かせてあげるわよ」と私は低い声で言い、念を入れるために角をねじってみせた。
「ハジ・モタだよ!眠りの煙に耐性ができちまったに違いない。何せあいつは目を覚まして…怒ってる!」彼は肩越しに振り返り、身震いした。「あいつは馬を食ってるんだ!次は俺たちだぞ…行かせてくれ!」
私は彼を行かせてやった。そうすると、納屋の奥底から轟音と共に悪魔の亀が現れた。その顎からはまだ馬の一部分を滴らせていた。亀はヒュー王子に向かって真っすぐ突進していた。王子は動かずに立ちつくしていた。私は彼が恐怖で凍りついていることに気がついた。
間一髪だったが、私は王子に体当たりをかまし、ハジ・モタに蹂躙される寸前に突き飛ばした。ハジ・モタは我々を通り過ぎ、そして一瞬立ち止まり、振り返った。なんて素早い奴だ。さらにその重い尻尾でドーランをひっぱたき、彼を一方に、両手剣を別の方向に吹き飛ばした。そしてハジ・モタは我々に注意を集中した。その赤い豚のような目には殺意が宿っていた。
私は手足を広げて王子の上に倒れこんでいたが、彼はそのずんぐりした手で私をぺしぺしと叩き、「助けてくれハフジ!助けて!」と泣き叫んでいた。化け物が近づいてきてその巨大なくちばしを開けたので、私は何か呪文を思い浮かべようとした。どんな呪文でもいい…しかし王子が私に向かって息を切らして喚いていたので、頭の中は空っぽだった。
王子…息を切らして…突然、私の心の中である呪文が形になった。私はそれをとっさに口に出し、ハジ・モタの鼻先に叩きつけた。マジカが私から流れ出して獣に注ぎ込まれ、獣はまばたきをして、鼻を鳴らし、そして頭を左右に振り始めた。ハジ・モタは顎を大きく開き、苦しそうに大きく息を吐き出し、足を投げ出して倒れてしまった。肺が波打っていた。1分とたたずに、獣は窒息して死んだ。
なぜなら、獣には息をするための水がなかったからだった。
私は王子を助け起こし、彼の絹服の汚れを払ったが、馬糞が付いたところはそのままにして、気づかないふりをしておいた。「いったい…いったいあいつに何が起こったんだ、ハフジ?」と彼は言った。彼は目を険しくして「まさか魔法を使ったのではないだろうな?」
「いやあれは…虫の煙への反応が遅れて出てきたものに違いありません。呼吸の問題です!」私は力強くうなずいた。「そうですとも、煙に間違いありません。私があのリハドのジャコウをつけていて、殿下のくしゃみが止まらなくなった時のことを覚えていますか?あれと同じようなものです!」
「ああ、そうか。まあとにかく、運がよかったじゃないか、なあ?ドーラン、あの商人を追いかけて金を取り返して来てくれ!馬をまた6頭、買い直さなきゃ」。王子は醜悪な戦車をいとおしそうに眺めた。「それとも8頭にしようかな!」
次席高官ハフジファー・アルヤス 著
「ハフジ!」と、私の事務室に飛び込んでくるなりヒュー王子は呼んだ。「刃の祭典の準備は全部できてるか?」
私は立ち上がった。コルヴス・ディレニの「召喚の原理」を羊皮紙で隠すためである。
王子の目はぎらりと光った。「またディレニを読んでるのか、ええ?私が宮廷での魔法をどう思ってるか知ってるだろう!」
「こ…これは私のものではないのですよ、殿下!これは給仕のジェンゲシュから没収したのです」私はそう言ってあいまいに笑った。
「ふむ。それでお前はどうして次席高官の正式なターバンを着けてないんだ?」
私は机の隅に置かれたダサいマゼンタと緑色の頭飾りに目をやり、顔をしかめないように努力した。「帽子をかぶるには暖かすぎますので、殿下」
「何を馬鹿な、今は蒔種の月の真っただ中じゃないか!とにかく、私は祭典の準備が計画通りに進んでいるかを知りたいのだ。我が民がパーティー好きなのは知っているだろう!」
私は首を振った。「彼らはレッドガードです、殿下。パーティーにはあまり行かないでしょう。というか、まったく行きません」
「それがこれから変わるのだ!さあ、ラクダの尻尾刺しの準備はできているのか?」
「できています、殿下。というか、できるはずです。モラドの足の添木が取れればすぐにでも」
「血まみれリンゴ食いゲームは?」
「水槽、果物かご、タオルとすべて西の中庭に並べてあります」
「街の衛兵対抗二人三脚レースは?」
私は唾を飲みこんだ。「実は、そこが問題なのでして、殿下。というのも、衛兵たちの誰一人としてその催しに参加を申し込んでこないのです。どうも…気が乗らないようなのです。なにせ、彼らは去年のレースの後で、殿下がザクド伍長に与えた罰を覚えているからなのです」
「あいつがずるをしたんだ!懲らしめるしかなかったんだ!それに、なんだかんだ言ってあいつの足の指の大半はまだ残ってるじゃないか」
「だとしても、彼らがやるとは思えませんよ」
「ふーむ」と、王子はいらいらした様子でひげをいじった。「あいつらが足をほどくようなずるをしないと確実にわかるようにしたらどうだ?やろうとしてもできないようにするんだ」
これはよくない。要するに王子にはいい考えがあるということなのだ。そして王子にいい考えがあるというのは、いつだって悪いことなのだ。「どういう意味ですか、その”やろうとしてもできない”というのは?」
「はっはっは!ドーラン、こっちに来るんだ」と王子は呼びかけた。王子のボディガードは頭を低くして鴨居をくぐり、広間から入ってきた。「ハフジ、あのヨクダの壺の前に立つんだ」とヒュー王子は言った。「ドーラン、次席高官の隣に立て」
私は肩をすくめ、位置についた。ビッグ・ドーランが私の隣に立つと、彼の背丈は私より頭一つ半高かった。ヒュー王子が時代がかったしぐさで両手を掲げたので、私は気がついた。恐るべきことに、彼は呪文を唱えようとしていたのだ。だが私が抗議する前に、それは行われてしまった。呪文は発動し、マジカが私に押し寄せて、自分の左足がドーランの右足に結合するのを感じた。「ひどい!」私は叫んだ。「殿下、何をするんです!」
王子は満足そうにひげをなでた。「コルビュス・ディレニを読めるのは自分だけだとでも思ったのかい、ハフジ?コロンの強制召喚から束縛の一節を切り取っておいたのさ。そしてそれがデイドラの意思以外のものを束縛するためにも使えることを発見したんだ!すごいだろう?」
私はぽかんとして彼を見つめるだけだった。そのうちに、ビッグ・ドーランは魔法で結合させられた我々の足を見下ろし、唸り声をあげてから、前に足を踏み出そうとした。私は倒れないように彼の腕をつかまなければならず、それでも私たちは両方とも引き倒されそうになった。ドーランは頭を振った。「これはひどい。マスター。気に入りません。元に戻してくださいよ、マスター」
「そうか、いいだろう。ほどけろ!」と王子は言って呪文を逆転させたが、愚かしくも格好をつけるためだけのしぐさを加え、それにマジカを注ぎ込みすぎていた。ドーランと私は離れて空中に浮かび、それぞれ部屋の反対側に叩きつけられた。そして我々の背後にあったヨクダの壺は爆弾のように砕け散った。
すると突然、砕け散った壺の上に渦巻く雲が現れ、うつろな鳴き声が響いた。「自由!自由だ!あの臭い壺の中に無限とも思える長い時間、閉じ込められてきたが、もう自由だ!」雲は素早く、空中に浮かぶ装甲に覆われた胴体を、兜をかぶった頭と、それぞれが巨大な三日月刀を握った4本の腕を結合させた。「今こそ、定命の者の世界に復讐する時だ!」
三日月刀は威嚇するようにくるくると回り始めた。私はドーランに目をやったが、彼は私のものだった大理石製のモルワの胸像に頭から突っ込んだらしく、まだ気絶していた。「殿下!」私は叫んだ。「呪文を使うんです!あいつが私たちをオードブルにしてしまう前に、束縛してしまえばいい!」
ヒュー王子は恐怖に目をむいた。「で…できないんだ!さっきの解除呪文でマジカを使い切ってしまった!お前が頼りだ、ハフジ!」
私はしゃがみ、三日月刀が2本頭上をかすめていった後、走って自分の机の後ろに隠れた。奴は私と扉の間にいた。確かにこいつを束縛できるのは私しかいない。だが私はもう何ヶ月も呪文を唱えていなかったのだ。三日月刀がヒュー王子の黄金のフェルト帽の飾りを切り落とし、王子は悲鳴をあげた。「コロンの牢獄だ、ハフジ!それしかない!」
「しかしそれには器が必要です。壺は砕けてしまったじゃないですか!」
「これを使うんだ!」と言って王子はマゼンタと緑色の下級高官用ターバンを私に向けて放った。
三日月刀が3本私の机に飛んできて、机を粉砕したところで、私はターバンを逆さにしてコロンの永続牢獄を唱えた。「嫌だあああ!」忌まわしい帽子の中に吸い込まれながら、悪魔は叫んだ。「髪油の匂いは大嫌いだ…!」
そして奴はいなくなった。私はまだ震えていたが、ヒュー王子はまばたきをし、深呼吸をし、にっこりと笑った。「まあ、そんなにひどいことにはならなかったな。少なくともアイアンレガッタの時とか、あのペットのトク・ガーヴァの時に比べれば悪くなかった!さて、何をしていたんだっけ?」
私はビッグ・ドーランを砕けた大理石像のくずの中から助け起こした。「衛兵対抗二人三脚レースを取りやめにすると言っていたところです、覚えていますか?」
「お前が言うならそうだったんだろう、ハフジ。お前の言うことはだいたい正しいからな」。彼の顔が輝いた。「そうだ!血まみれリンゴ食い競争の後、負けた者の頭のリンゴをクロスボウで撃たせるんだ!ああ、それと…そのターバンは捨てておけよ」
愛しきナラーニ
お前の息子の捜索にやっと成果があった。ただ、その成果は甘い物ではなく、苦く感じられるのではないかと恐れている。
残念ながら、お前の息子に対する推測が確認された。彼は物乞いをしているスクゥーマ中毒者のグループと関係がある。私の連絡先はこの包みにある地図を渡してくれた。お前の息子へ伝言を渡そうとして近づく前に、彼は息子を連れ去った直後の二人組に攻撃されたそうだ。お前の息子と一緒にいた、だらしないブレトンの若い女性は騒ぎの間に市場へと消えたそうだ。
現地の衛兵に連絡した結果、私の連絡先は2人の男がヴァーデンフェルから来た賞金稼ぎで、タシュミンが犯罪に関係しているという書類を持っていたことを突き止めた。しかし、ヴァーデンフェルに問い合わせてみると、お前の息子が犯罪に関係しているとの書類も、賞金が掛かっているとの証拠もないらしい。連中がドーレス家のために働いていて、お前の息子を奴隷に戻そうとしているのではないかと懸念している。
良い知らせを届けられずに申し訳ない。
—ファラダン
タネスのレディ・シンナバー著
ヨクダの歴史に詳しければ、ラ・ガーダが行った最初の植民地化に続く時期において、フバラジャード王子がどんな役割を果たしたか、あるいは果たさなかったかをご存知だろう。私たちは「ヒュー王子」を滑稽な人物とみなしている。不可能な問題に対する彼の頑固な取り組み方を伝え、派手な贅沢を笑いの種にしている。神が不満を示すため、ゼェトの祠が洪水を起こす?より巨大な祠をさらに下流に作れば良い!タネスでは、「フバラジャードのコインで基礎を築く」が無駄遣いを表わす言葉としてよく使われる。
だが、この不運な王子について、本当のことは知られているだろうか?資料として使えるものは、最上のものでも伝聞でしかない。多くの真偽が疑われる物語は問題を混乱させる。私たちを実際の姿から遠くへ引き離すのだ。故に、自身で結論を引き出すためには、ヒューズベインそのものに頼らざるを得ない。ほんの少しの間で良いので、彼の多くの失敗として一般的に受け入れられているものが何か、詳細に検討してみよう
フバラジャードが相当数の兵や職人と、当時「ケフレムのブーツ」と呼ばれた不毛の地に到着したことは分かっている。現地に採石場が無く、信頼できる北からの陸路もなかったため、彼らは大量の切り出した石材を海から運び込む必要があった。のちにアバーズ・ランディングとなる、自然の要害となる港が間違いなく彼らの最初の滞在地だ。荷を積んだ船の定期的な往来は海賊を引き付けるため、フバラジャードは最初にアビシアン海を見下ろす堂々とした要塞、ノー・シラを建設しなければならなかった。
ノー・シラがすぐに洪水の季節によって損なわれたのは事実だ。だが、対策として、フバラジャードは祠を作ってゼェトに懇願した。続く洪水が最初の祠を押し流したとき、彼は次の建設を命じた。さらに入念な祠を。だが石材を調べたところ、新しいものは前の祠よりも上流に建てられたようだった。この点から考えると、「ヒュー王子の頑固」は、一貫した決意を示している。ヨクダの農耕の神に懇願することは、傲慢で無謀な男の行動ではない。
その間に、アバーズ・ランディングは兵の野営地と掘っ建て小屋から広大な都市へと成長した。この辺境の地での暮らしにおける数多くの困難にもかかわらず、フバラジャードは立派な宮殿を建てた。この土地が彼の家であり、地元民も同じように栄えるよう力を注いだ象徴だ。石材はアバーズ・ランディングの大きな壁となり、その中身がヨクダの船と同様、保護に値することを示していた。
数多くの墓、ラ・ガーダの領域へ続く北の道を開いた素晴らしい王子の門、フバラジャード自身の美化された姿だと多くの人が誤って信じている、アバーズ・ランディング港のすぐ南にあるヨクダ像については、今しばらく脇に置こう。彼は同時期に、要塞と壁に囲まれた街を同時に建設している。これには兵站に対する鋭い頭脳が要求されるだろう。もしフバラジャード本人でないとしても、それができる人物を周りに置くべきことを分かっていたのだ。これは知性に欠ける間抜けのやることではない。
筆者はフバラジャードに失敗があったとしても、終わりなき愚行の物語が語られるようなものではないと考える。彼が荒涼した地に資源を注ぎ込んだことを非難した、嫉妬に駆られたライバルによる中傷だろうか?親の腹違いの兄弟が死霊術師であったため、評判に汚点が残ったのだろうか?ヨクダの神の憤怒を呼び起こした?それともデイドラ公の?私たちが真相を知ることはないだろうが、フバラジャードについて心に留めておくべきことが1つある。彼が到着する前、人もエルフもこの地に足跡を残していない。現在、2000年存続している唯一の建造物は、「ヒュー王子」によって建てられたものだ。
我が不肖の甥の行為にもかからわず、ブリーク・ベールはただ生きているだけではない、耐え忍んでいるのだ!豊富な資源と安全な港を持ち、監視される心配もないこの孤島は、ハンマーフェルでの騒動が起こった後、私の死霊術教団を移転する先として完璧な場所だった。あの優柔不断なフバラジャードを説得して、私の注文通りの仕様で家族の墓を建設させるのは簡単なことだった。そしてそれは死霊術のエネルギーを伝達するための完璧な中継点になった。我々は究極の力に到達するために、あとひとつ儀式を残すだけだったのだ!
我が甥はどんな手段を使ってか、私が王家の墓で本当は何をしているのかを調べ、普段は無為を好むその性質にもかかわらず、行動を起こすことを決めたのだ。奴は私とその支持者たちを、私自身が設計し、建設を手伝った墓の中に閉じ込めてしまった!一歩後退には違いない。だが起こりえた災厄を考えれば、そこまでひどい事態とは言えない。確かに、王子は見たところ強力な司祭たちを数人集め、我らの死霊術のエネルギーでは抜け出せないような仕方で墓を封印することに成功したようではある。そして確かに、我々が持ってきた少量の食料と水はもうとっくに尽きている。だが、問題にはならない。ブリーク・ベールは我が甥やその味方をする者たちが想像することもできないほど力強くなろうとしているのだ!
とはいえ、何か間違いがあった時のために、ブリーク・ベールに関する真実が時の流れに埋もれてしまわないようにしておきたい。私はマグニフィコ・バーラハ、センチネルの子孫にして、ブリーク・ベールという名でのみ知られている不死の教団の最高位の死霊術師である。私は自らの技術を磨き、また弟子と支持者たちを集めるために長い年月を費やしてきた。我々は身を隠し、力を蓄えながらも時が来るのを待っていた。アバーズ・ランディングの先にある荒廃した地は、我々の勢力を結集し、死と暗黒の儀式を行うためには完璧な場所だった。この墓は特別に設計された地下室と通路を持っており、エネルギーを集中することによって我が信者たちを無敵にすることができるのだ!そしてブリーク・ベールのあらゆる成員たちの中で、私は最強の存在である!
当然ながら、我々全員が飢えや渇きで死んでしまう前に、儀式を執り行わなければならない。それに犠牲も捧げる必要がある。この墓の内部に閉じ込められている限り、我々は犠牲用の人間を確保するために誰かを行かせるというわけにはいかない。そのため、くじを引いて我々の成員たちの中から死すべき者を選び出し、残りの者たちが不死者へと転生できるようにしなければならないだろう。さぞ素晴らしいことになるだろう!そしてこれが、体のうちで命がまだ脈打っている間に私が書く最後の言葉である。次に会う時は、私は死体になっているか、あるいは闇が望むならば、より優れた何かになっているだろう。
船長
差し出がましいことを言うようですが、この地図は本当に合っているんでしょうか?私が今見ているやつが最新のものだったのは、たぶんヒューがこの場所を故郷と呼んでいた時代ですよ。この地図の示している位置はわかるんですが、見覚えのある目印なんてひとつもありません。
ゴリガンが耳にしたところでは、部隊の一部は戻ってきてさえいないそうです。このしょうもない地図のせいで迷っているのかもしれないし、あるいは逃亡する価値があるとあいつらが思うくらいのお宝を見つけたのかもしれないし、あるいは死んだのかもしれない。申し訳ないですが、無駄な骨折りのために死にたくはありません。ですから隊長、お願いします。古き良き海賊業に戻りましょうよ。
海のほうに行った連中が何人か、こう言ったのを聞いてます。「俺たちは今のところ掘り続けるが、じきに連絡が来なければ、新しい服に着替えるつもりだ」ってね。
—フレグ
マーシェズは我々がアバーズ・ランディングに戻ったところで鉄の車輪に捕まった。すぐに死んだが、私は彼に借りがある。彼に親族がいたのか誰か知らないか?あそこから出してくれた彼に礼をしたい
過ごしたのは数…週間?数ヶ月?どれくらいの長さだったかわからない…食用のサソリ以外何もない古い遺跡の穴に閉じこめられていた
時々見にくるが、私は母から愚かには育てられていない。この鉄の車輪の騒ぎがおさまるまで、姿を消す
—SのG
マッドクラブは一般大衆の食べ物であり、平民の主食と考えている者もいる。これは実に陳腐だ。この用途の広い食材は大量の円盤チーズと同じくタムリエルにとって必須である。
私はアバーズ・ランディングの最高のマッドクラブ調理法をまとめて出版する計画を立てている。そのためにはマッドクラブの肉が毎日一樽必要だ。
あなたの貢献は地元の文化促進になるだけでなく、そのサービスにはふさわしい対価も支払われる。
—マスターシェフ「肉を切りし者」
記録28
ニコラスは確かにこの地域を通ったが、詳細を覚えている者はほとんどいないほど時間が過ぎた。「ベルラーなら知っている」と、誰もが私に言ってくる。ベルラー・チャタービークのことだろう。飲み物をねだりにここに来る、噂好きのスリらしい
だが私が訊ねまわってからは見かけない。私が地元の衛兵と協力していると考え地下に潜ったに違いない。どこであれ奴と仲間が仕事のできる場所だ。だが、スリは衛兵の目につかないためどこへ行くだろう?街中の無法者が使う隠れ家などないだろうし。
どんな状況であれ、鉄の車輪の一員と目されるものはアルダノビアの墓には入れない。道を確保するだけだ。マグニフィカ・ファロラーははっきりと入場を禁じており、我々は彼女に雇われる身だ。どんな訓練を受けていようと、彼女の指示に忠実であるべきだ。
—ランビク、鉄の車輪 主任調査官
鉄の車輪総員へ
規律正しく出発すること。囚人の移送と没収財産の輸送を優先とする。それらをタネスへ配送することにより、最終的な支払いがギルドに行われる。ギルドはヒューズベインの損害から物資と人員を回復するための資金を必要としている。
時宜を過たず配送することの重要性については、どれだけ言っても誇張にならない。
—ランビク、鉄の車輪 主任調査官
従士フルストロムは農園の使用を寛大にも許したが、私は彼の農園の下にある汚染されているカタコンベが心配だ。
どうか偵察をしてこの地域を確保してもらいたい。どんな不意打ちがあろうとも、どんな結果にも準備しておくのが一番だ。盗賊ギルドの残党を逃がすわけにはいかない。
—ランビク、鉄の車輪 主任調査官
この臨時本部内で働くことは光栄であり特権であるということを、改めて鉄の車輪の全将校、兵士に分かってもらいたい。要塞の外側を巡回したい者は、いつでも異動を申し出てくれて構わない。必要に応じて灼熱用の装備やレインコートが支給される。
この涼しく居心地の良い建物内に残りたいという者は、雑兵ではなく鉄の車輪として正しく振る舞うことを忘れないようにしてもらいたい。
—秘密の通路にコソコソと入り込む行為は異動の申し出とみなす。
—倉庫の上の通路から足をぶら下げる行為も異動の申し出とみなす。だらだらしていてよかったか、アトリウニア副隊長補佐に聞いておいてくれ。
内部で「召使の仕事」を拒否することは異動の申し出とはみなさない。ただし、2千年近く清掃されていない便所の掃除がしたいのだと私は解釈する。
—ランビク、鉄の車輪 主任調査官
鉄の車輪はこのたび、ヴェルサ(姓不明)と名乗るダークエルフの女性を連行し、レディ・マグニフィカ・ファロラーの盗まれた持参金について尋問する権利を受ける。容疑者は「盗賊ギルド」と名乗る詐欺師と犯罪者の組織と強い繋がりがあるとみられている。
注:容疑者は敵の動きを止め、痛みを引き起こす妨害工作と化学薬品のエキスパートであり、注意が必要だ。抵抗を受けるつもりで当たるように。
ヴェルモント家執事、ブレクシンへ
もう聞き及んでいるに違いないけれど、仕事の処理と微妙な性質の会合のために、私は急いで予期せぬ旅に出なければなりませんでした。いくつかはまとめる時間があったけれど、下記の品を至急港まで届けてください。これらの品が次に利用可能な船で確実に私の後を追えるように、代理人の助けは確保しておきました。
1.短期の仕事の出張用衣類のトランク3個
2.上流階級の社交用ドレスのトランク7個
3.突発的支出や買い物での散財のため、金が入った貴品箱3個
4.私の大好きなペットにして僕のピムジー
この件の手配に感謝します。
レディ・アナイス・ヴェルモント
愛しい人へ
一緒に過ごした時間で壊れた魂と傷ついた心は再生された。あなたの優しさが私にもう一度愛することを思い出させてくれる。私の旅が私たちに緊張をもたらすのはわかっているが、すべては私たちのためだ。
いつか、もうすぐ、私は旅と仕事を終える。その時点で未来が確保されていれば、私はやっと娘にあなたを紹介できる。その日が楽しみだ、愛する人よ。多くのことを共有できる。
—S
レディ・バリナ様
貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。
宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。
ご参列される方は贈り物をご持参ください。
—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)
ワラヴィル卿様
貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。
宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。
ご参列される方は贈り物をご持参ください。
—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)
スヴィラシュ・サハーラについて
「追い払い」の歌は暁の時代にアズラーの舌からこぼれ落ちた、3つの黄昏の賛歌の一つである。黄昏の淑女その人と同様、「追い払い」の歌はつかみどころがなく、予測がつかない。どうしても必要な時以外に歌うべきではない。
古代において、この歌は病気を治療し、サトウキビにつく虫を撃退するために使われていた。しかし暁中期がやって来て月の司祭たちにいたずらをして、彼らを忘れっぽくさせてしまった。今日、歌はドロ・マスラを追い払うのに用いられるのみである。
ドロ・マスラの踊りは音楽ではなく、ローカジュの心臓の鼓動そのものだ。それは歌のない歌であり、暗く、誘惑的である。鼓動はひたすら繰り返される一つの嘘で、それを聞く猫にとってしまいには真実になってしまう。カジートがローカジュの意志を真実として受け入れるとき、その者はリドル・サールを忘れ、迷い猫になる。本当に歪んでしまったカジートは歌によって救うことができず、ナイフと月の光で追放する他ない。しかし心臓に抗い続ける猫は闇からの帰還を果たすこともある。
スヴィラシュ・サハーラの力はその捉えどころのなさにある。クランマザーはドロ・マスラの前で歌ってはいけないと教えているが、これは賢明な判断だ。うかつに歌を歌えば、心臓の近くに引き込まれることになる。歌は鼓動に共鳴し、そのうちに尻尾が引きつり、モー・オブ・ローカジュの中へと髭から滑り落ちていくことになるだろう。「追い払い」の歌は心臓の律動を破ることのできる唯一の歌である。その音符は影のように音階を上下に激しく揺さぶり、闇を混乱させ、心臓を弱め、鈍らせる。最終的に律動は破れ、腐敗は過ぎ去る。
しかしながら、スヴィラシュ・サハーラを歌う者には大きな危険がつきまとう。ドロ・マスラはアズラの讃美歌を嫌い、それを歌う猫を殺すためならば何でもする。ゆえに、先唱者はよく聞くがいい。ナミイラの暗い砂場と対峙するのであれば、素早く動き、警戒を怠らないことだ。一瞬の油断が破滅を招きかねない。
your name様
貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。
宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。
ご参列される方は贈り物をご持参ください。
—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)
ムーンシュガー商人たちは約束通り3回の出荷のうち1回目を果たした。罪に関わる手紙を1通返却した。約束通り、残りの荷物が届き次第他の2通も返却する。
ヘヴンから出たゴールデン・サンに乗っている「余分な」積荷に関するとても有益な情報への報酬として、フランリン・シルバーアックスに金75支払うべし。
ゴールデン・サンの船長に、積荷の一部に良心的な値段をつけてもらいたい旨の手紙。宗教的な彫像や珍しいハーブを競合他社より安く販売できれば有利になる。1日以内の返事を強く求める。
ここ2週間で2回、レディ・バリナがセンチ・アンド・サーペントで目撃されている。頭巾をかぶっていれば誰にも気づかれないと思っているらしい。ミムにより注意深く尾行してもらう。ひそかに誰かと会っているのか?実は飲んだくれなのか?どちらにせよ、この先の取引を考えると、夫に勧めてもらうためには使える情報だ。
あるいは「年寄りスカラーからのためになる助言」
貴族の連中の中には…あれだけの金を持っていながら、まだ欲しがる者がいる。金をちゃんと払うのも確かだけど。でも、賢く立ち回らなければならないよ。
品物を手に入れて「きれいにする」ためタムリエル中に派遣される時は、素早く済ませて、捕まらないようにすること。それが年寄りスカラーの助言だよ!賞金の支払いは利益から引かれるからね。
年寄りスカラーは次のようなやり方を取る:
1.正しい標的を見つけること。誰かが「儀式用の品」を欲しがっているとする。そういうのは大抵、大聖堂の近くにあったり、司祭たちが持っていたりする。当然だろう?つまり大都市ということで…普通は衛兵がたくさんいる。気をつけて標的を選ぶこと。聖堂が自前の衛兵を抱えているほどには大きくないことを、あるいは衛兵がいるなら、そいつらが全ての方向を一度には見ていないことを確かめること。
2.もし自分に賞金がかかってしまったら、あまり慌てないこと。契約を完了する前に、街の外で何かやることを探そう。年寄りスカラーはかつて、山賊の問題で街を手伝って余分な金を稼いだことがある。そこでは誰も賞金のことなんか気にしちゃいなかった。その仕事が終わる頃になると衛兵たちはもう関心を失っていて、年寄りスカラーは「きれいな」品物を思う存分納品したんだ。
賢くならなければ、死体になるよ。
名前
キルナ。「フレア」としても知られる。過去にはクルとリナの名も使っていた
人相書
平均的身長、鼻と尻尾の先に金色の毛の筋(白と黒の斑点つき)が混じっている
専門
情報収集、スリ、短期詐欺
最後の目撃
鉄の車輪の攻撃の夜に「サーペント・アンド・センチ」にて
彼女を見つけた者、噂を聞いた者はここにメモを残すか静かに歩む者に直接連絡を
鮫のゴードンカと怠惰なマーシェズを探している。何かの強奪事件に関わっていたと聞いた。誰かが下水道と言っていた。
ゴードンカは濃灰色の肌で、額から背中にかけて細い幅の黒くつんつんした髪が垂れている。マーシェズは漆黒の肌で、左腕と脇に沿って一連の赤い傷がある。右目は垂れ下がり、ほぼ閉じて見える。
情報があれば掲示するか、静かに歩む者に直接知らせて欲しい。
季節は四つあるけれど、
私は一番春が好き。
日なたに輝く青い水、
登りたくなる緑の木々。何という喜び!
空気はとても心地よく、私は心を空にする。
石を枕に眠っても、熱すぎるということはない。
そして目が覚め見渡せば、どこまでも続く緑の野、
まだ色あせた牧草も、積まれた落ち葉も見られない。
だから四つの季節の中で、私は一番春が好き。
夏秋冬もあるけれど、どれも春にはかなわない。
your name
私たちが別の件に対処している間に、私の過去からの特別な積み荷が発見され海賊と共に姿をくらましてしまった。彼女を助けなければ!
アバーズ・ランディングの連絡員は、積み荷が鮫の歯洞窟に連れ去られたと私に告げた。急いでそこに向かう。その気があるなら、助けを断りはしない
—静かに歩む者
デットソー・パンテンヌ 著
子供の頃、私は病気がちで気難しく、ベッドに縛りつけられた虚弱体質の未熟者だった。より偉大な世界が私に訪れたのは、主に私の家族の高価な屋敷の、比較的安全性の高い部屋の窓を通じてだった。大型の窓を通って私の部屋に入り込んでくる生き生きとした光の瞬きと色は、私がベッドの台の中で注意深く学んでいた外の世界への不安と恐怖を高めるだけだった。私の衰弱した骨格にとって、物理的な世界は恐怖と緊張の場所となったため、私は書かれた言葉の慰めの中に逃げ込み、ニルンの深い謎を探ったのである。
私はこのように多くの人生を生き、多くのことを学んだが、ある伝説、すなわちリーチの民たちの王レッドイーグルの伝説が、もっとも強く心に留まった。私は誇り高きブレトンの家に生まれた子なのだが、自分とリーチの王ファオランとのつながりを思い描いた。この嘘が私の心の中に埋め込まれていたため、私は自らの研究を暗黒の技に変更し、レッドイーグルの誓いを果たして彼を蘇らせる方法を探そうと望んだのである。私の策謀によって、彼はリーチを征服するだろう。炎の剣を片手に、そして王が信頼し、愛する高官、すなわち私をもう一方の手に抱えて。
成長するに従って私の病気は過ぎ去り、虚弱なままではあったがもはやベッドの虜になってはいなかった。そして私の家族は気前よく、私が慎重に自分の研究を拡充していくための資金を提供してくれた。私の奇矯な振る舞いは地位の高さと、青春時代をほぼまったく孤独に過ごしたという事実から受け入れられた。
避けがたいこととして、私の研究はデイドラに行きついた。夜遅く暗闇の中、家族の屋敷の奥深くで、私は馴染みのない言葉で古代の儀式を執り行い、忌まわしき悪魔を召喚して閉じ込め、質問責めにしたものである。多くの場合、悪魔たちは私の懇願を無視し、魔法の束縛から解放すれば強大な力や富を与えると約束したものだった。私は肉体が弱々しくとも、精神は屈強だった。私は連中の甘い言葉に抗し、最終的には悪魔も、自由になる唯一の手段は黙って従うことだと認めたのである。
これは何度も繰り返され、私は断続的に自分が望む情報を手に入れたが、それでは十分ではなかった。少しずつ、悪魔たちの毒を含んだ約束が効果をあげ、私はこのオブリビオンに呪われた魂たちを出し抜くことができるのではないかと自分に言い聞かせたのだった。連中の贈り物を受け入れ、なおかつその条件を支配できると私に信じさせたのは、私自身の傲慢であった。
私はあの時いかに未熟だったことか。そして今では知っている真実に、いかに強く取りつかれていたことだろうか。外の世界への恐怖は10倍にもなって戻ってきた。私は再び、祖先の邸宅の孤独の中に慰めを見出している。私は熱に浮かされたように逃げ道を探しているのだが、心の底ではどうにもならないことを知っている。ニルンの根元には闇が住んでいて、一度見たら最後、もう逃れることはできないのだ。
デットソー・パンテンヌ 著
私は身震いして外套を自分の周りに巻き付け、年老いた歯のないリーチの民の先の尖ったふしだらけの指を追った。彼は私が居心地悪そうにしているのを見てくつくつと笑いながら、しわがれた声で言葉を発していた。私の目は丘へ向かう道を追い、それからようやく遠く離れた洞窟の入口に落ち着いたが、それは針のような雪を通してかすかに見えるだけだった。私はこれからの道のりへの決心を固めた。私が蓄えてきたものは物理的にも精神的にも尽きかけていたが、自分の野望がかつてないほど達成に近づいていることを私は知っていた。そして時間の遅さも刺すような寒さも忘れて、私はこの日の夜、レッドイーグルの墓にたどり着こうと決意した。
デイドラの契約者によって私に与えられた力は素晴らしいものだったが、内臓の強度までは高めてくれなかった。そして洞窟の口のところまでたどり着くと私は疲れ果てて倒れ込んでしまった。内部まで這っていく気力もなくそこに横たわっていると、空中を漂う囁き声と、遠くからの角笛の音が聞こえ始めた。運命へと向かって進むよう私に呼びかけていたのだ。この亡霊のような音楽を耳に、私は洞窟の口の中へ這っていき、体の周りにあったすべてのもので身を包んでから、黒く、夢も見ない眠りに落ちていった。
私が目を覚ましたのは鳥の声と光によってだった――若い頃と同様、私の感覚にとっては不快なものである。私は急いで洞窟の暗闇の中へ逃げ込んだ。目的のものはこの深淵の下にあることが私にはわかっていた。暖かい息吹が洞窟の内部から伝わり、私を内部へと引き寄せた。何かを叩くような角笛の音は、下の深いところから響いてきているようだった。こうした導きに従いつつ、私は胸のあたりがぎゅっと引き締まるのを感じ、悪意に満ちた我が祖先にもうすぐ会えることを願った。
侵入者や墓荒らしを思いとどまらせるために設置された罠は、私の知性にとっては子供だましにすぎなかった。私は警戒を怠ることなく、地下墓地のさらに奥深くまで進んでいった。洞窟の壁を押すと、波型の模様がついた粗い岩はゆっくりと退き、切り取られた石と彫刻された壁画が姿を現した。囁き声と不思議な角笛の音は大きくなり、頭の中をより強く圧迫していった。私の感覚は静まったが、精神は警戒していた。何年もの研究の後、高みへ到達する時が近づいてきていることを私は知っていた。
私は最後の角を曲がり、そこがレッドイーグルの墓の中だった。簡素で飾りのない棺が、部屋の中央にある高座の上に乗っていた。側の台座に横たわっていたのは彼の壮麗な剣、レッドイーグルの破滅だった。私は一息にそこへ駆け寄り、剣を見つめた。私の呼吸は重く、早くなっていた。声と音楽は止み、すべてを包み込む、重く不規則で期待に満ちた呼吸に代わっていた。
私の手が柄の上に伸び、指でそれをつかんで握りしめた。恐怖と混ざった興奮。私は注意深く手を伸ばし、刃の部分をつかみ、目の前にまで持ち上げ、視線で突き刺すようにじっと見つめた。
私の心はその次に何が起きたのか、思い出すことを拒否しかけている。あのような恐怖の記憶は鍵をかけてしまっておかなければならない。それを閉じ込めている脳が狂気に追いやられることのないように。
デットソー・パンテンヌ 著
ビロードのようなレッドイーグルの声が、私を棺へと引っ張っていった。彼は剣を棺の中に、彼の死体の隣に置くように私を駆り立てた。我がデイドラの契約者と同じように、彼もまた想像を超えた力について囁き、私がいつも思い描いていたような、2人で支配を行うイメージで私の頭を満たした。私が慎重に剣を床に置き、レッドイーグルの墓の蓋を取り除こうとしてうめいている間、部屋は内側に向かってひしゃげ続け、私は衝撃から保護されて浮かび上がるのを感じた。
私は骸骨となった遺体を見下ろした。墓のじめじめした臭いが鼻の中にまで立ち上ってきて、私の頭をぼんやりとさせた。これこそ私が長年夢見ていた瞬間だった。私に優しく催促するレッドイーグルの声は、私が彼の墓の中に剣を置いた瞬間、いきなり完全に消滅した。
私の頭はすぐ、目がくらむほどの痛みに襲われ、私は地面に倒れ込んだ。視界が脈打つ赤い光で満たされていた。どこか遠いところで、レッドイーグルの骸骨が体をギシギシ言わせながら墓から這い出してこようとしているのが聞こえた。燃え上がる街の姿が映し出され、私自身の肉体が炎に飲み込まれ、骨から溶けていくのを見た。レッドイーグルの高笑いが今では部屋の中で響き、彼は背後に回りこんでいた。「愚かな子供よ」と、彼は人間のものではないその声を刻んだ。「貴様ごときが、余の血族になれると思うか…」
焦りから私はレッドイーグルに突進し、その手から剣を叩き落とすことに成功した。剣を拾い上げると私は部屋から飛び出し、彼の恐ろしい笑い声は怒りの咆哮に変わった。人間というよりは動物のようになって、逃げるのに必死だったため、私はどこかで剣を失くしてしまったが、背後で石の扉がすり合わさって閉じる音を聞いたので、何かの仕組みが発動するくらいには遠くまで持っていったのだろう。こうしてレッドイーグルの追跡は途絶えた。
そしてこれ故に私は恐怖の中で生き、書斎に閉じこもって、自分が世界に解き放ったあの化け物を滅ぼす方法を見つけだそうとしているのである。閉じ込められているとはいえ、誰か他に私のような愚か者がいつ奴を解放してしまうかもしれない。そしてもしそうなったとすれば、哀れむべきはこの世界である。私たちすべてのために、私は恐怖している。
銀の爪の不在のために倉庫関連の仕事に困難が生じているのは理解している
驚かないでほしい。今、倉庫は新しい所有者、安定した所有者の管理下に入った。いつもしてきたように仕事に専念してくれ。君が稼ぐ金は以前と同じように使われるだろう
—監督官イズリーナ
—監督官トークミン
「見たところ、殺人で間違いなさそうね」古い木の橋に近づきながら捜査官ヴェイルは言った。「経験上、自分の首はそうそう切り落とせるものじゃないから」
街を少し出たところにある、目立たない川にかかる橋だった。橋にも川にも特に変わったことや特筆すべき点はなかったが、市長とその側近たちは捜査官をそこへ連れてきたのだった。変わったことといえば、橋の右側にかかる手すりの上に丁寧に乗せられた生首ぐらいのものだった。
「ほとんど見ていないじゃないか」。市長に信頼される側近であり、街一番の商人でもあるジャカード・ヘリックが口を開いた。「何を言っている。なぜそんなことが断言できるんだ?」
「それだけ腕がいいの。だから市長は私を雇ったんじゃない」現場の観察を続けながらヴェイルは言った。血が少なすぎる、体が見当たらないなどといった所見を市長と側近たちに指摘し、橋の上で起こった殺人ではないと説明した。
「このかわいそうなハイエルフに見覚えは?」頭部を近くで見ようとかがみながらヴェイルが聞いた。明らかに年をとった男性のエルフであり、髪の毛は完璧に整えられ穏やかな表情をしていた。首にあいた穴から皮や骨が垂れ下がっていなければどう見ても平穏な状態なのに、とヴェイルは思った。
「あれは金貸しのグラノニール。あのうぬぼれた表情はどこで見てもすぐに分かる」橋まで同行していた、若く可愛らしい衛兵が口走った。
余計な口を挟んだ彼女に市長が厳しい表情を向けたが、それ以上は咎めなかった。そしてヴェイルの方を向き直って「それで捜査官さん、ここで何が起こったのか教えてくれないか?」と言った。
最後に辺りをさっと見渡し、ヴェイルはにこやかに答えた。「ええ、間違いないわ。ムーアクロフト市長、あなたの顔にそびえ立つ鼻ぐらい明確よ。というより、彼の鼻かしらね」と言って商人のヘリックに顔を向けた。
ヘリックは咳払いをして、口ごもった。「な、なにが言いたいんだ、捜査官ヴェイル?」
ヴェイルはヘリックににっこりと笑いかけた。「何も言ってないわよ。まだ、ね」そう言うと被害者の髪から何かを抜き出し、さらに首の下の手すりにできていた血だまりから何かを取り出した。その2つを見て、交互に臭いをかぎ、自信たっぷりに市長の方を向いた。
1つ目の物体を見せ、こう言った。「これはどう見てもスッポンタケね。この金貸しの頭髪に何本か茎が刺さっていたから、トロールはこれに引き寄せられたんでしょうね」
続けて2つ目の物体を見せてこう言った。「これは紅茶の葉ね。金貸しから滴っていた血液に混ざっていたわ。紅茶。あなたの主要な売り物の1つよね、ヘリック?」
商人は額に汗をにじませ、大きな音で唾を飲み、橋から後ずさり始めた。可愛らしい衛兵が手際よくその道を阻み、剣の柄に手をかけた。
「捜査官ヴェイル、はっきりと説明したまえ」明らかにうろたえながら、市長が言った。
「ああ、そうね」とヴェイルはため息をついた。「誰もが私のようにはっきりと世界を見る目を持っていないんだったわ。ジャカード・ヘリックはこの金貸しに多額の借金があった。今季の紅茶の不作もあって、返せる見込みがなかった。この橋の下に隠れていたトロールに気付き、それを使って問題を処理しようと考えたのよ。橋で会おうとグラノニールを説得して、そこで突然袋一杯のスッポンタケを頭の上からかぶせ、川に突き落とした。トロールが現れ、金貸しの頭を引きちぎり、残りの胴体を橋の下へと持ち帰ったわけ。かわいそうなグラノニールの残骸と、満腹で眠っているトロールが私たちの真下で見つかるはずよ」
「そんな…そんなのデタラメだ!」商人が叫んだ。
「いいえ、反論の余地はないわ」とヴェイルは自信満々に返した。「ヘリック、あなたの袖にまだ紅茶の葉がついているわ。倉庫で作業しているときに付いたんでしょうね」
「ムーアクロフト市長、この悪人をダンジョンに放り込みましょうか?」捜査官の方へ笑みを向けながら、若く可愛らしい衛兵が聞いた。
「当たり前じゃないの」と言ってヴェイルは市長の腕に手を回した。「そうしたらもっと衛兵を呼んでこないと、いつまでも橋の下のトロールを追い払えないわよ。さ、行きましょ、ムーアクロフト市長。私の報酬の話をしないと…」
この令状を持つ者はドーレス家の生きた所有物を取り戻すために、ドーレス家のホーテーターにより権限を与えられた代理人である。また代理人は、かかる回収に邪魔が入らぬよう任務遂行に協力していただける衛兵指揮官に対して、適切な謝礼を分配する権利も有する。
場所と名称の特定された所有物を以下に記入:
1.タシュミン
2._________________________
3.________________________
私たちの盗賊の隠れ家に、どこかの淑女の像がある。私たちがここに来たときから彼女はそこにいて、彼女が誰でなぜそこに像があるのか知っている人は誰もいないみたい。これが誰なのか私に教えてくれる人はいないの?
私は彼女が幸運の老女じゃないかと思ってる。彼女の像は一度ブラヴィルで見た。はっきりとは言えないけど、同じ人だと感じる。それに幸福な女性がここにいる理由も納得。ヒューズベインで唯一の、澄んだ水の安定した供給源であることを祝福しているんだわ。
皆はどう思う?貯水池の淑女は誰なの?
—アンダーリ
貯水池の淑女は明らかにノクターナルだ。像をよく見てくれ。顔はどことなくぼんやりして、すべてを隠す長衣に包まれ、かつて別の貯水池の背後にレンガで仕切られていた貯水池に隠れていた。誰が水を隠す?ノクターナルの信者。そいつらだよ。
俺は一度だってノクターナル教団にいたことはないがね。
—スラグ
私たちは大学で古きヨクダの書籍の翻訳を読んだ。私は貯水池の淑女は、海の女王ハザディーヤだと思う。彼女は有名で、彼女の民の子孫に尊敬されている。ヒュー王子だって彼女の「古きヨクダの失われた島」を読んだかもしれない。それに彼女をくるんだ生き物もシーサーペントよ。これはヒューズベインが古きヨクダ自身の植民地であるかのように、ヒューズベイン唯一の自由港の水供給を海の女王が監視しているって意味ね。尊大な象徴的表現。まるでヒュー王子みたい。
—クエン
アバーズ・ランディングの小路に住む者はしばしば食料がないが、水不足に苦しむ者の話は滅多に耳にしない。なぜ最も貧しい者が、そのような潤沢な水に恵まれているのか自身に訊ねたことがあるだろうか?
像は涙の聖母ゼッキに違いない。彼女の父のゼェトはこの土地を見捨て、ほとんどの食物がここで育たないようにしたが、水の女神はアバーズ・ランディングを故郷と呼ぶ失われた魂に同情している。像は不満げな父の目から隠れ、我々が耐え忍べるように彼女が払ってくれた犠牲に感謝しているのだ。
—静かに歩む者
像は夜母よ。彼女の右手が開いているのは彼女が知っているから。彼女に蛇が巻きついている。蛇はシシスを意味している
あなたたちが皆バカなのは、夜の空のようにはっきりとしているわ
ヴェルサ
貯水池の淑女が誰だったのかは知らない。だが実を言えばその像が誰だろうともはや重要ではない
知ってのとおり、その像は今はゼイラを意味していると信じている。彼女の導きがなかったら、今や自分がその一部と誇りを持って言う、この奇妙な小さな家族はもう存在していなかっただろう。だから私にとって、貯水池の淑女はギルドマスターだ
—銀の爪
銀の爪、お世辞が上手ね。だけど盗賊ギルドはひとりじゃない。your nameがそのよい証拠よ。
そして、他の皆も間違っている。それは束の間の見せかけの姿のレキ。フバラジャードの時代に、彫刻家が好んで表現したように佇んでいるの。像の左手はまるで剣を持つかのように丸まっている。たぶんずっと前にはそうだったんでしょう。もし盗まれていなかったのなら、ずっと昔に錆びて朽ちたに違いない。
アバーズ・ランディング港のすぐ南にある、大量のフバラジャードの像との類似にも気づいてほしい。彼は自分自身を理想化して、クサリヘビに巻きつかれた彫刻を実物の2倍の大きさで注文した。巨大で酷い代物で(どういうわけか)シャツを身につけず、まるで何も彼を傷つけられないかのようだった。
それでもレキをこの貯水池に隠した彫刻家は彼に反論した。長衣は意図を隠し、彼女はほとんど気づかれずに攻撃できた。霊剣の聖人はヒュー王子よりもよっぽど多くを成し遂げたけど、それでもそれを証明するのに船のマストより高くある必要はない。もっと言えば、彼女は街全体に自分を誇示する必要はない。彼女は影からやらなければならないことをすることに満足している。
それにクサリヘビの飾り帯は素敵よ。ヒュー王子を悩ませたでしょうね。
—ゼイラ
祝福された月よ、その舞いで私たちの心に名をつけてください。
誇り高きジョーデ、我らの足を祈りへと急がせてください。
誇り高きジョーン、その栄光のために、我らの爪を強くしてください。
幽霊の月よ、去れ!明るい月光のもと消えされ!
月のラティスがすべての命を甘くする。月を崇めるのは正しい。心をこめて月を崇めよ。
ファレン・ダー
プロとしての仕事は毎日目にできるものではない。隠れ家を巡回している「悪漢」はそうした例外だ。
ここの宝物を追っているのなら、何より重要なのは気づかれないことだ。絶対に。侵入者の気配がしただけでも、占有者は品をさっと運び出すだろう。
すなわち、秘密の通路を活用することだ。そこの警護は緩めで、状況がヤバくなったら「時期をうかがう」には良い場所だから。
—O
ファレン・ダー
古いデイドラの祠をうろつきまわるほどの金はもらっていないから、これは手短に書く。
使っている連中もその場所は好きではないとわかった。だからそこにある宝はすぐに移動される。入って、品を手に入れたら出て行け。無駄にする時間はない。
巡回部隊は互いによく連絡している。一人に見つかったら全員が警戒態勢になる。猶予時間が短くなる。
それでも中には多くの品がある。そこまでたどりつけなくても、二流の略奪品をポケットに詰めこむことはできるし、費用を賄う助けにはなるだろう。
—B
ファレン・ダー
人のよさそうな途方に暮れた奴がこの場所を探している。おかしな顔のやつがここについて尋ねる
そもそも地下墓地ってのは何なんだ?持ってる奴はその宗教が好きだ。遺物とかそんなのがたくさんある。価値のある物も。だがあんたは品を追っている。
彼らはあちこちに隠している。たいていは大きな部屋に。隠し場所を使ってるんだ。幸いたくさんある。そこに貯めこんだのが誰であれ、余分な樽をそこらに置いていくのが好きだったんだ!
見つかったら、場所全体が警戒態勢に入る。俺は少しもらって出て行くが、大きな宝は……こっそりやらないとダメだぞ!
—W
移送する囚人
アバーズ・ランディングのゼイラ
別名:ダニゼイラ
別名:盗賊ギルドのギルドマスター
移送手段
アネモネ号はノー・シラ要塞よりタネスへ直行し、裁判までそこに留め置く
拘置義務
囚人はタネス衛兵隊長またはタネス港の鉄の車輪執行官の監督下に置かれる
罪状要約
—窃盗罪
—重窃盗罪
—不法侵入罪
—共謀罪
—司法からの逃亡罪
注記
直近ではマグニフィカ・ファロラーの結婚式で招待客になりすました。詳細は私がタネスに戻り次第周知する
—ランビク、鉄の車輪 主任調査官
無法者に慈悲をかけるな
彼らの運命は定まっている
これは崇高な義務——
鉄の輪は彼らの周りにある
悔い改めぬ無法者をどうするか?
拘束が効かぬ者には焼き印を使え
焼痕を見た者は拒めまい——
真実をキャンバスで燃やす
無法者が真実を拒むことはできても
運命は拒めない
大いなる真実を明らかにしよう——
車輪は絶えず進み続ける
サーまたはマダムへ
なぜこのような小さな貴重品が私の家の戸口に現れるようになったのかはわかりませんが、あなたは私の生活水準をかなり改善してくださったと言わずにはおれません。しかしながらお返しにあなたが求めるものは、私の力で差し上げられるものを超えています。
例えば、今日から1週間後の夜明けに北へ向かう道を通ってキャラバンが出発することについて話せば、自分の地位が危うくなりそうです。そして私の街の商人が金庫の中味を銀行に持っていくのは毎週3番目の日だと知らせるのは、私が明かしてはならない極秘事項なのです。
私たちは互いに理解していると信じています。
—E
「匿名」
麗しき我らの街の貴族たちは装飾品と過度に様式化された髪型に夢中になっている。精巧な髪型の虜になったあの無分別なフバラジャード王子の真似をする以外に、やることはないのだろうか?
高貴な髪の殿下はこれまで、無数の精巧な(そして一般の人間にとっては明らかに馬鹿げた)髪型で公衆の面前に姿を現してきた。かつらでも、拷問にかけられたかのような滑稽な地毛でも。路地には飢えた人々や、街の一部区域の沈没によって家を失くした人々がいるというのに、奇妙な髪型王子は自分の美容師がひとつ「芸術」作品を完成させるたびに、100ゴールドもの金貨を支払っている。
最近における彼の毛に関する愚行の例を以下に挙げる:
白金の塔を表わしたもの。明かりをつけた窓を再現するために、ダイアモンドで飾られている。最近開かれた舞踏会で、王子はレディ・ミシェファバの舞踏会場の入り口を通るためにしゃがまなければならなかったと言われている。
センチネルからの何かの専門家を迎えるために港へ外出した時、我らが王子はその髪で帆を全開にしたヨクダの戦艦を再現した。開いた口がふさがらないほどの馬鹿らしさは、彼の頭上を飛び回っていたアジサシの糞が主要な帆をかすめて落ちたことでさらに増した。
最近外出した際、ヒュー王子の髪は今まさに突進せんとするハジ・モタの形を芸術的に模していたことが目撃されている。噂によればこの「髪の獣」の鱗は、そのひとつひとつが均一なサイズのルビーだったという。さらに獣の瞳はエメラルドだった。ある若い乙女はこの毛髪殿下の頭に乗った怪物に恐怖し、失神してしまった。彼女の両親はとっさに毛のモタではなく暑さが原因だと主張し、ヒュー王子の機嫌を損ねることのないようにした。しかしこの若い女は後に、エメラルドの目に見つめられて、ひどく狼狽したのだと言っているところを聞きとがめられている。
アバーズ・ランディングの人々よ、私は懇願する!王子の髪型に抗して立ち上がるのだ!
(メモ:これはアバーズ・ランディングにもともと住んでいた者によって作成された実際のチラシを再印刷したものである。どうやら「ヒュー王子」というのは単に我々がこの不幸な王子に対して用いているあだ名ではないらしい——彼は同時代の人々に実際にこう呼ばれていたのだ)
近々実施されるレディ・アナイス・ヴェルモントのヴェルモント保有地視察についての詳細:
1日目:ヴェルモントの富を積み、ゴールドコーストへ向けて出航。
3日目:風と波が許せば、アンヴィルに到着。地方総督フォルナータが、寛大にもアンヴィル城の部屋を私と従者のために提供してくれている。
4日目:アンヴィル城にて上流の舞踏会に出席。私ならきっと、名誉ある客人になれるわ!
5日目:アンヴィルの街の保有地を調査し、家族の事業を処理する。
6日目:タネスへ向けて出航。旅のために海賊のエールを積んでおくのを忘れないこと。
10日目:風と波が許せば、タネスの港町に到着。タネス女王が寛大にも小さなお屋敷を、この訪問中私が使えるように提供してくれている。
11~12日:商人王たちと会い、事業の調整について話し合う。拡大する需要のために、新しい倉庫を買う交渉をする。
13日目:タネス女王の主催する大舞踏会に出席。ザクロのワインを飲みすぎないよう気をつけること。
14日目:アバーズ・ランディングへ向けて出航。戻るその時まで、さようなら!
騎士団筆頭補給係、アミヌス・エンティウス 著
時の騎士団はアカトシュ教会の盾である。騎士団の高度に訓練された騎士として、古代帝国による時の竜神崇拝が持つ尊厳と栄光を、常に適切な形で示さなければならない。厳密に言えば騎士団は帝国の階級に属していないが、それでも我々は古き帝国の徳を体現している。我々の装備もまた、この徳を反映しなければならない。
一時的に無所属の帝国古美術品学者、ノヌス・カプレニウス 著
ありし日の帝国を象徴する強力な獣人、誇り高く忘れ去られた種族たるミノタウロスに敬意を払う気はあるか?私のように偉大なる伝説を信じているだろうか?では聞いてくれ。古代アレッシアのほぼ絶滅したアバターに敬意を払う、武器と防具の作り方についてお伝えしよう!
物乞いと自称している者に関して。
彼女は物乞いではない。本当のところ、彼女が何者かは定かではない。なぜ貧しい物乞いのふりをしなければならないのか。それも、あんなに下手な仕方で。私にはさっぱりわからない。しかし、彼女はなかなかハンサムなカジートと同行していたところを見られている。
暗号の場所:大通りではない。
何か聞きたいことがある場合、赤いサッシュを身に付けた客席管理者に直接問い合わせてください。アリーナマスターのアプドゥガルには決して近づかないでください!アリーナマスターは非常に多忙です。アリーナの業務に支障をきたすような行いをした方は排除します。
賭け金は対戦が始まる前に、必ず係員に預けてください。対戦が始まったら、それ以降賭け金の受付は行いません。また、賭けに勝った方には独占するのでなく、手に入れた金の10分の1をアカトシュ大聖堂に納めるよう推奨しています。
以下のリストにあるように、興奮するイベントが目白押しです。対戦が終わったら次の対戦が始まるまで少し時間がありますので、そのときに賭け金を預け、回収できます。また、配当金を入手せずにアリーナを出ると、強制的に排除された場合も含め、そのお金はアリーナの所有物になります。ルールを守りましょう!
クヴァッチ・アリーナの予定:
大説教師フィシアによるアカトシュへの祈祷。
殺し屋セノが無制限デスマッチでブラッディー・ボアと対戦!あらゆる戦術と武器が使用可能!卑劣さと残忍さに制限なし!最もずる賢くて強い戦士に勝利を!
野蛮なケイブ・トロールが歴戦のマンモスと対戦!最強の獣に勝利を!
巨人の水路の亡霊、ベネディクタ・ファルトが短剣の二刀流試合で傷だらけのジャノナと対戦!ピッタリとした衣装に身を包んだ、危険な悪女達による剣限定の対戦。血みどろの戦いになること間違いなし!
危険で美しいベラディスとジェンダエルのバイン姉妹が、灰に閉ざされたヴァーデンフェルから来た新たな2人の挑戦者、サイレント・アッシュウォーカーと対戦!この異教徒達は一体どんな汚れた魔術を使うのだろうか?ヴァレンウッドのずる賢いウッドエルフ姉妹は、アッシュランドの獰猛なデイドラ信仰者達を倒せるのだろうか?
神々に対する罪で死刑を宣告された10人の異教徒達。悔悛者のサークルで、パンシウス指揮官から刑の執行を延期する最後の機会が与えられる。悪魔崇拝を放棄して、アカトシュの光を受け入れる者が現れるのだろうか?パンシウスの剣が彼らの運命を決める!
アンヴィルの全収税官へ——今すぐ読むように!
頭の回転が遅いお前達の一部が、販売や購入に費やした全額の10分の1という、エフレム伯爵が定めた入港手数料を未だに課していると最近分かった。お前達のろまが最近のアンヴィルの出来事を忘れているのなら言っておくが、エフレム伯爵はもはや港の責任者ではない。今は、フォーチュナタ総督が港を運営している。そしてお前達は、俺の港に入り貨物の交易を行う全船舶に対して、彼女の新しい手数料、5分の1を課すのだ。
5分の1が何なのか分からない間抜けは、5本指を数えろ。親指が5分の1、つまり徴収する量だ。そして他の4本指が残りとなる。よって金の山を見たら、親指と同じ量またはそれ以上を徴収しろ。それ未満はだめだ。文句を言う者がいれば、頭をかち割れ。
割る頭が一人では手に負えないほど多ければ、俺に伝えろ。船に行って、一緒に頭を割る。如何なる理由であれ、船長が支払いをするまで船は出港できない。税金を払わずに船が港を出たら、船を港に留まらせる役目の哨戒兵が、入港手数料を5本の指で支払うことになる。
また明日以降だが、従来の課税率で徴収する者を俺が見つけた場合、そいつは海の檻で一晩過ごすことになる。
倉庫長カマール
アンヴィルはゴールドコーストに建設された時から、冒険と魅力にあふれた都市である。伝説と謎に富み、通りや酒場は世界中からの話題に満ちている。中にははるか彼方の地に起源を発しないものもある。それは建造物の土台に見られるどれよりも古い石から切り出されたアンヴィルの美と魅力の権化、アンヴィルの人魚である。
基本的なことに関する何の記述もなく、街の記録にも起源の記載が見つからないこの人魚は、真っさらな状態でおかれてきた。地元民と訪問者は一様に自分なりの解釈をしてきた。のどかに横たわり慎みのない姿態の彼女は、いくつもの名前と称号を持っている。いくつかはここに記すのにふさわしくない。悲しげな海水の乙女、足長の少女、しょっぱいセレナーデ、石の誘惑者など、他にもたくさんのあだ名があるアンヴィルの人魚は、彼女を眺める者に必ずと言っていいほど長く残る印象を与える。
その人魚のどこに我々はひきつけられるのか。なるほど城っぽい色の岩のなだらかなカーブは美しい姿を生み出しているが、芸術のために裸で横たわっているのか?その完全なる気高さは神々のため、タムリエルの王族、デイドラ公のために建てられた多くの石像と競うほどで、人魚はかつて正体不明の作者にとってそれに似たようなものだったと推測される。美しい人魚は実際のところ長きにわたって忘れ去られた神なのか、それとも隠された神の姿であるのか。さらに不名誉な噂になるが、古代の海の民の文明に現れたアズラではないかという噂もある。だがスロードがあのような美を生み出したとは考え難い。では何だろうか?ドゥルーか?いや、考えられるのは鱗とエラを持っていたシーエルフだ。
人魚が本当は誰を、何を体現しているのか、ほんの少ししかわかっていない。誰が作ったのか、または作らせたのかはさらに謎だ。誰がその巨石を慎重に掘り磨いてこの世にその美を生み出したのか、信用に値する記録はない。多くの者が人魚の起源を説明しようとし、また古い祖先がその設計に関わったと主張した。情報源がいかに信頼できようとも、さらなる調査により常にどの説明よりも古代にさかのぼる。実際、もっとも最近の考古学的研究では、人魚はアンヴィルのどの建造物よりもはるかに昔のもので、少なくとも何人かの称賛者が彼女の側に拠点を置き、その美しい姿の周りに街を築いたのだという。人魚は街中が彼女を見上げることになり喜んだか、それとも恥ずかしく思っただろうか。彼女の遠慮がちな表情を見た者は、答えることができたとしても謎は永遠に解けないだろうという。
それがアンヴィルで彼女が愛される理由だ。
M—
新しい灯台の守り手について懸念がある。十分な金をばらまいたら、彼女の夫は見て見ぬふりをした。
だが彼が死んだ今、その妻のほうはそうはいかないようだ。申し出はすべてはねのけ、知人以外には扉を固く閉ざしている。うまくいかないのならば、代わりを連れてこなければ。
説教師は闇の一党についてあれこれ言い続けている。本当に近くにいるなら、彼らが契約を受けるかどうか確かめよう。商人の船団に乗り込む必要などない。座礁するのを待てばいい。
—X
我々の間には永遠の絆がある
イアヌス・ファレリア
421年 薄明の月19日死亡
享年 25歳
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
最後のロングハウス帝に対するヴァレン・アクィラリオスの反乱の初期に急造されたヴァレンの壁と呼ばれる建造物は、ゴールドコーストをコロヴィア台地から隔てている。その壁について、そして地域と反乱、三旗戦役に象徴される継続中の紛争におけるその重要性について説明しよう。
ヴァレンの反乱が始まって間もなく、アクィラリオスは従者に対し、クヴァッチやゴールドコースト全域をロングハウス帝とその軍隊による反撃から守るため、壁の建設を始めるよう命じた。戦いを帝国の中心部へ持ち込む決意を固めていたアクィラリオスは、故郷であり本来の権力の座である場所が、自分の留守中に敵から狙われることは避けたかった。著名な技師であったジャロス・トルプターに設計と建設管理で協力を求め、記録的な速さで高く頑丈な防壁を築くように命じた。
雇われた労働者たちと、増え続ける熱心な志願者たちを従え、ジャロスは目前の作業に取り掛かった。見た目の美しさよりも速さと頑丈な構造のほうが重要だと判断したジャロスは、作業者たちが周囲の田園地帯から集められるどんな建築素材でも使えるように、比較的単純な設計計画を立てた。自然の岩や石、廃虚の一部、購入した建築素材、さらには田園地帯に点在していた屋敷の一部を漁ってきたものまで、すべてが寄せ集められてヴァレンの壁を築き上げるために使われた。
ジャロスによる壁の設計自体は単純で、実用性を重んじたものであり、その見た目は彼の名を知らしめていた他の美しい建築物とは比べものにならなかった。壁は荒く切られた石や不揃いな岩、協力的または非協力的な寄贈者の屋敷から徴発されたブロック、さらには土地そのものの自然の輪郭が混じり合ってできた。壁には塔がほぼ等間隔に配置され、長々と続く岩を遮り、衛兵や見張り用の場所、もしくは守備隊が防衛線沿いに集合する場所を提供した。
クヴァッチとアンヴィルの市民の間ではヴァレンの人気が高かったため、ジャロスは志願者による作業チームを作ることができ、昼夜通して建設を進めるために十分すぎるほどの人員を確保できた。しかし、人々が時間と労力を提供する気になったのは、人気だけによるものではなかった。ヴァレンの言葉と行動がそれを実現させたのだ。彼は人々を、その反乱が正しいことであるだけでなく、デイドラを崇拝する皇帝レオヴィックを止めるために必要なことだと説得した。さらに、人々とその土地を守るために皆を呼び集め、1年のうちにヴァレンの壁は、アビシアン海の岸辺から始まってコロヴィア台地の南西にある田園地帯を曲がりくねりながら通った末、ストリッド川に到達するところにまで建てられた。
ヴァレンの壁は、ヴァレンの反乱の最中にその地域を守るために重要だったが、帝国が没落して三旗戦役が始まると、壁はさらに大きな役割を果たすようになった。シロディールを懸けた激しい争いが繰り広げられる中で、クヴァッチとアンヴィルはヴァレンの壁に守られ、滅びた帝国のかつての中心部において続いた戦闘によるひどい損害を受けずにすんだ。ある種の避難所としてゴールドコーストは栄えた。この場所はクヴァッチとアカトシュ大聖堂に代表される法と秩序、もしくはもっと混迷したアンヴィルと海賊や密売人のどちらが、地域における最強の勢力として勝ち抜くのかを示す政治的な実験場とも言える。
親愛なるラディア
ご機嫌はいかがだろうか、我が親愛なる、麗しき婦人よ。ウィサードローズでの事業が改善したことを願っている。私はあなたの素敵な宿での戯れをいつも楽しんできたが、この地域で近頃、旅行が下火になりつつあることは理解している。かつてあなたのつつましやかな家に詰め掛けていた訪問者たちも少なくなり、さぞかし辛いことだろう。
だが、心配しないでもらいたい!もうあなたはよくご存じのことと思うが、私は約束を守る男だ。あなたのところの建物の下にあり、私の地所の地下へと通じているトンネルを引き続き使わせてもらうことと引き換えに、私はあなたにたっぷりと補助金を支払いたい。我が祖父とあなたの祖父が、かつてあのトンネルを使ってアンヴィルに品物を密輸入していたなどと、誰が知っていただろう?我々が古い家業を続けることを決めたのは、実に幸運なことだったと思う
それと、気にしているようだといけないので言っておくと、私は総督と海賊との協定を延長したので、安心してくれたまえ。あなたがトンネルのことを秘密に保っておき、同業者たちにいつでも使えるようにしておいてくれる限り、金は入り続けるだろう。それから、クモの侵入をどうにかできないか検討を願いたい。前回通過した際、海賊たちが文句をつけてきたのだ。
それからあなたの美しい娘に、私が彼女のことを気にしていたと伝えていただきたい。ルシニアは素晴らしく魅力的な女性に成長しつつある。どうだろう。近い未来の彼女の予定について、また一つ約束を取り付けるというのは。それがいい。
クインタス・ジャロル
ピャンドニア探検
負債を清算した後、ナールノーズとステッゴフィンズに別れを告げてスカイリムの凍った岸から離れ、失った勇敢な船員達の2倍の重さの財宝を乗せて海に出た。ペールスピリット号にはたくさんノルドの戦利品が積まれていたため、海を航行する姿はまるでアザラシのようだった。だが船員をひとりも海に放り出すことなく港に辿り着くことができた。その時はまだ、次の探検がこれまでで最も危険なものになるとは誰も思っていなかった。
我々はウェイレストの港に辿り着いた。そしてそれから数日もせずにウェアシャーク船長は、老いたブレトンの探検家、ギグナック公爵と親しくなった。彼は我々からノルドの遺物の多くを買い取った。そして、我が船長の伝説的なカリスマ性に感動したこの老人が (そして、何より重要なことに、彼の長女であるルセッテの強い要望により)、ピャンドニアのマオマーを調べるため、ペールスピリット号に資金を提供してくれることになった。ルセッテからもらった新しい赤い羽根を頭に付け、ウェアシャークは海へと戻った。
我々の名目上の目標は、シーエルフと恒久的な交易関係を築くことだったが、ウェアシャークはいつもどおり、略奪できるだけ略奪することだけを考えていた。戦争用のガレオン船、クリフ・レーサー号とシルバーアロー号(高額な手数料と戦利品の一部と引き替えに、ベルドロス・フラールから借り入れた)を引き連れて、我々は背中から風を受けながら航海を続けた。船には数カ月間、飢えたノルドの腹を満たすために十分な食糧が積まれていた。いつものように順調な航海だった。あの出来事が起るまでは。マオマーのシーサーペントは、ただの伝説ではない。
最初に出会ったのは、深い霧の遥か向こう側に、シーエルフが住んでいそうな木々の茂った島を初めて目にした直後のことだった。木が折れる音がして、叫び声を上げる男達が海の向こう側から流れてきたのだ。ウェアシャークや私、そして武装した船員達全員が、ペールスピリット号の甲板へと急いだ。そして我々は、巨大な蛇の体が巻き付いた、壊れたクリフ・レーサー号の船体が波に飲込まれていく姿を目にした。
ウェアシャークは常に全力だった。彼は叫び声を上げると、船の射手全員に矢を放つよう命じた。海の墓場にクリフ・レーサー号を引きずり込もうとしていた不快な怪物に矢が降り注いだ。だが、怪物の分厚い鱗を貫くことができた矢は1本もなかった。そしてその時、年老いたトカゲの硬き鱗の者が毒の短剣を手に取り、大声でシシスの名を叫びながら海に飛び込んだ。このおかしなアルゴニアンは、この船に乗ることを決めた日から死に場所を探していたのだ。
そしてまさかの出来事が起った。強きフリッカがメインマストの頂上からシルバーアロー号に警告を発し、ウェアシャークが剣を扱える船員達を招集したとき、泡立つ海面に何かが現れたのだ。硬き鱗の者だった。蛇の黒い血を浴びてギラギラと光り、その背後には、巨大なマオマーの蛇の体が浮き沈みしていた。まるで野良猫に引きずられてきた何かの死体のようだった。
硬き鱗の者はどうやって短剣で鱗を貫いたのか、それにどうやってそれだけ長い間海に潜っていられたのか、またはその毒がガレオン船の2倍の大きさの蛇に効果があることをなぜ知っていたのか、といった質問はなしだ。我々が知っていることは、シシスにもう一度会うことができなくて残念だと言ったこと以外、硬き鱗の者はこの件について一切語らなかったということだけだ。クリフ・レーサー号の生存者を回収しながら、ウェアシャークは硬き鱗の者に箱一杯の戦利品を渡すことを約束した。反対する者はいなかった。
またサーペントが現れることを警戒したウェアシャークは、霧に包まれたジャングルの島の海岸に停泊するよう命じた。その浅瀬であれば、我々と島の間だけでなく海底全体も見渡すことができた。ペールスピリット号とシルバーアロー号は、ウェアシャークを乗せた船を先頭にして小舟を4隻派遣した。だが島に辿り着いても、水色のシーエルフの姿はどこにもなかった。
我々はこの島には誰も住んでいないと考えた。だがそれは大間違いだった。
ピャンドニア探検の続き
それが始まったのは、船員が小舟を岸に上げた直後のことだった。耳をつんざくような木の折れる音や、うなり声と鼻息の音が不規則に聞こえてきたのだ。まるで野生のイノシシが腐った材木の上にのしかかっているかのようだった。それは白い砂浜を取り囲むやせこけた木々の森のどこかから響いてきていた。
他の船長なら落ち着く間もなく、小舟に戻ってペールスピリット号に向かうよう指示を出しただろう、だがウェアシャークは違った。彼は全員に白い砂浜へ留まるよう指示したのだ。とどろき渡るような彼の怒鳴り声を聞き、船員たちは軍隊のように背筋を伸ばした。そしてウェアシャークは、歯を鳴らしているこの獣を最初に倒した船員に、この探索で得た略奪品と、船長の個室でウェルワのステーキを食べられる権利を与えると約束した。
その結果、船員たちの不安は打ち消され、彼らは戦いへと駆り立てられた。ウェルワのステーキを食べたことがない読者のために言っておくが、あれ以上すばらしい食べ物はない。バグロガが塩をかけて火を加えれば、それはまるで牛肉に塩漬けチーズを加えたような味になり、油を塗ったオオバコのように食道を滑り落ちていく。ウェアシャークと一緒に船で旅をすれば、誰もがその香りをかいだだけで思わずよだれを出してしまうのだ。正直に言うが、それが真実であることを示すかのように、私の腹も音を立てていた。
ウェアシャークは我々をいくつかのグループに分けた。硬き鱗の者は、森の獣たちが海に出てきた時と、略奪できる集落を見つけた時のために、バグノーズ、隻眼のバンジ、そして浜辺に止まっているクリフ・レーサー号の船員5名で構成されている一団を率いることになった。強きフリッカは、スタービングドッグ号で契約を交わしたノルドの斧使いの一族を引き連れて、そのリズミカルなうなり声の主を始末、もしくは排除するため東の森に入った。そこには斥候である二つの傷のガレナもいた。あれほど森好きのウッドエルフに会ったのは初めてだった。
ウェアシャークは最後のグループを自分で率いることにした。そこには忠実な一等航海士(つまり私)と、双子のスノークロー、ヴィミー・ラクロイック、そして追放されたハイエルフ、ネラモが含まれていた。我々は上陸地点の南にある岩の多い浅瀬に向かい、硬き鱗の者のグループを回り込むようにしながら探索することになった。我々は他のチームより小規模だった。それにしても、狂乱の魔術師ネラモほど、人々を吹き飛ばすことに長けたエルフはそれまで見たことがなかった。
浅瀬は足場が不安定だったが生物は見当たらなかった。そしてあの恐ろしいうなり声を耳にしながら1時間ほど歩いたとき、木と泥と葉できた無人の小屋がたくさんある集落を発見した。そこには誰もおらず、巨大な卵の殻の欠片以外には何もなかった。だがこれにより、この島には生物がいるか、もしくは森の中にいた生物が腹を空かせて砂浜へと現れるまで存在していたことが分かった。
うなり声と歯ぎしり音は相変わらずあちこちで鳴り響いていた。だが他の部隊の叫び声や怒鳴り声は聞こえてこなかった。つまりその生物の正体が何であれ、まだ強きフリッカには発見されていないということだ。この騒ぎを起こした主に思わず同情しかけたそのとき、それは突然浜辺に姿を現して我々を睨み付けた。4本脚のリザードブルで、大きさはバグノーズの2倍ほどもあった。それは緑色の鱗に覆われており、マーラのスカートにかけて誓うが、オーリドンの路上にいる退屈なアルトマーの女王の衛兵が持っているような、美しいトライデントを携えていたのだ。
言うまでもないが、ネラモが顔面にファイアボールを放ったことに異議を唱える者はいなかった。
ピャンドニア探検の続き
ネラモに燃やされたリザードブルは、トライデントを手に猛然と突進してきた。ウェアシャークは我々に浅瀬へと戻るよう命じた。不確かな足下であればリザードの動きを封じられると考えたのだ。双子のスノークローは矢を浴びせたが、獣が倒れることはなかった。私は硬き鱗の者の強力な毒が手もとにあればと心から願った。その時だった。ヴィミーが素早く体を翻し、追いつかないほどの早さで走り出したのだ。
獣は彼女に向かってトライデントを振ったが、ヴィミーはその下をくぐり抜けると、馬に乗るかのようにいとも簡単にその生物の背中に飛び乗った。その直後、リザードブルの両目にナイフが突き立てられた。そしてネラモが再び火を放ったが、目の見えなくなったその獣は、もはや叫び声を上げてトライデントを振り回すことしかできなかった。
ウェアシャークは凄まじい雄叫びを上げ、我々に攻撃を命じた。ウェアシャークとスノークロー達は斧と剣でその獣に斬りかかり、私は遠くから回復呪文の詠唱に徹した。獣は視覚を失い、燃やされ、疲弊し、ついに倒れた。だが闇雲に放った一撃を受け、バルドール・スノークローが浜の反対側まで吹き飛ばされてしまった。幸運なことに、その一撃はノルドの一番堅い部分である頭に当たっただけだった。私には、その出血をすぐに止めることができた。
獣を倒したウェアシャークは、最後にもう一度、小屋を調べるように命じた。結局あの卵の欠片以外には、価値のあるようなものは見つけられなかった。ウェアシャークは賢明にもそれに固執せず、我々に小舟に戻るよう命じた。うなり声はまだ響いていた。これは巨大なリザードブルが森の中にまだいることを意味していた。
何もない小屋とリザードブルしか存在しない島で、我々の命を危険に晒す必要はない。真珠は他でも手に入れられる。我々は他の者を待つために浜辺に戻ることにした。そしてそこにたどり着いたときだった、ギラギラと光るシーエルフの軍団を発見したのだ。彼らは我々の小舟を取り囲み、硬き鱗の者、バグノーズ、そしてクリフ・レーサー号の生存者達を捕虜にしていた。この猫嫌い達が、お遊びで隻眼のバンジを殺したことが分かったのは、それからしばらく経ってからのことだった。
ウェアシャークは身を隠しながら我々の意見を求めた。硬き鱗の者とバグノーズを鎖に繋がれたままにはしておけなかった、それにシーエルフは我々の船を占拠していたのだ。ペールスピリット号とシルバーアロー号と外洋の間に、マオマーの軍艦が係留しているのが見えた。これでは、どうにかして船に戻ることができたとしても逃げ切れないだろう。しばらく考えた後、ウェアシャークは決定を下した。「交渉」することにしたのだ。
彼は我々に隠れているように命じ、「ステンダールの血を!」と叫んだ時にだけ攻撃するよう指示した。読者諸君、分かっていると思うが、我々は海賊だ。海賊であればシーエルフに捕まった者がどうなるか理解している。嵐の生贄として切り刻まれることになっても、あの尖った耳を殺すことができるなら我々は喜んで命を捧げる。シーエルフが交渉を拒否したら、ウェアシャークが言っていたとおり、奴らの多くが海に浮かぶことになるだろう。
ウェアシャークが名を名乗ると、40以上のシーエルフ達が彼の方に白い目を大きく見開いて、剣を抜き、弓を構えた。だが船長はまるでアバーズ・ランディングの人混みの中を歩くかのように、堂々と彼らの方に向かって歩いていった。両手を示して、剣に手を近づけないようにしていたため、シーエルフが彼を攻撃してくることはなかった。指示されていたように、硬き鱗の者が船長の功績を彼らに話していたことは明らかだった。
彼らはウェアシャークに近づいてくると、ブーツやベルトの短剣だけでなく、袖に仕込んでいた武器や持っていた剣も取り上げた。その間ウェアシャークは一切抵抗しなかった。そして一番線の細い、白い顔をしたシーエルフがその金色の鎧を太陽に輝かせながら船長に近づくと、いきなり顔を逆手で打ちつけた。ウェアシャークは足下に唾を吐くと、ニヤリと笑った。
ヴィミーに目をやると、やれやれという顔をしていた。これから交渉しようというのに先が思いやられる。するとそのとき突然、強きフリッカとノルド達が、怒ったウェルワの集団のように吠えながら森から飛び出してきた。
するとそれに続いて、二つの傷のガレナに追われていた、トライデントを持つ8体のリザードブル達が浜辺に押し寄せてきた。
ピャンドニア探検の続き
血に飢えたノルドの斧使い達と、トライデントを持つリザードブル達が突然突進してきたことで、シーエルフの船長は混乱したのだろう。彼はパニック状態で叫びながら射手達に攻撃を命じた。そして彼らは、愚かにも突然現れた獣達に向かって矢を放ったのだ。その無益な攻撃はリザードブル達をますます怒らせた。そしてそれと同時に、ウェアシャークは「ステンダールの血を!」と叫んだ。我々はそれを合図に、一斉にその戦場に突撃した。
怒ったリザードブル達は怯えたシーエルフ達に襲い掛かり、彼らを分断して森の中に次々と放り投げた。シーエルフ達が態勢を整える頃には、強きフリッカ達もそこを通り抜けて岸に辿り着いており、我々は全員で盾を使ってファランクス陣形を作り、雷と嵐の魔法の詠唱を開始していた。ウェアシャークはすでに自分の武器を回収しており、我々も仲間達の救出に当たっていたが、その頃シーエルフ達はまだ空中にいた。
航海の歴史上最も冷酷な海賊と、怒ったリザードブルに囲まれれば、いくらシーエルフ達といえどもセンチネルの真ん中にあるムーンブロッサムのように萎れるしかなかった。結局はリザードブル達に追い立てられ、マオマーの生存者達は蜘蛛の子を散らすように森の中へと逃げ込んだ。我々はネラモやヴィミーと協力して、他の者達に狩り方を教え、向かってきたわずかなリザードブル達を始末した。
エルフの死体から金になるようなものを全て回収した後、我々は小舟に急いで乗り込み、外海へと向かった。全員がペールスピリット号の先に停泊しているシーエルフのガレオン船を警戒して身構えていた。背後には霧が再び立ちこめてきていた。リザードブルに追われて八つ裂きにされて苦しむ、あのシーエルフ達の叫び声は決して忘れないだろう。彼らのやり方は残酷だったが、島の恐ろしい生物たちに惨殺される姿には思わず同情してしまった。
ウェアシャーク船長を見ると、シーエルフの船長の金色の兜を被っていた。これからこの兜を使っていくというわけではなく、バカにするための冗談だったようだが、まるでウェアシャークがついに色とりどりの美しい羽を脱ぎ捨ててしまったかのようだった!そうなったら、一体誰が彼を見分けられる?
船を漕ぎ、シーエルフが叫び声を上げている間、我々は雷や嵐の訪れと、新たなシーサーペントの攻撃を警戒していた、だがシルバーアロー号の時と同じように、生きてペールスピリット号に辿り着けた。我々は船を出したが、シーエルフの軍艦は停泊したまま一切動かなかった。その時になって分かったことだが、シーエルフの愚かな船長が、帰港するために十分な船員を船に残していなかったのだ。船を奪取することもできたが、その船を操舵できるだけの船員がおらず、それを買い取ってくれるような人物にも心当たりがなかった。
霧がシーエルフの軍艦と怒ったリザードブルの島を飲み込んでいった。その2つが視界から消えても、叫び声はしばらく響き渡っていたが、すぐに波がぶつかる優しい音と、ペールスピリット号の力強い帆の音だけしか聞こえなくなった。シーエルフの軍艦を探すために新たな船が現れることを警戒して、シルバーアロー号と共に夜通し航海を続けたが、我々の行く手を阻む者はついに現れなかった。次の日を迎えると霧はすっかり晴れ、新たな島が姿を現した。前の島よりも遥かに期待できそうだった。
静かに進み、船員達が武器を準備していると、シーエルフ様式のギラギラとした尖塔が視界に入ってきた。さらに重要なことに、浜辺を守るシーエルフの戦士がどこにも見当たらなかったのだ。漁村のようだが、余りにもへんぴな場所にあるため、襲われることを予期していなかったのだ。この襲撃は大規模なものになるだろう。
目を輝かせて羽を風にはためかせながら、ウェアシャーク船長は攻撃を命じた。
何度も言っているとおり、クラヴィカス・ヴァイルを召喚するのは難しいことではない。ただもう一度忠告するが、この案は全くもってお勧めできない。アザチがああなったのは偶然だ。それに10年後どうなっているかなんて誰にも分からない。デイドラ公ほど気が長いゲームをやる者はいないのだ。
ヴァイルが定命の者と取引するのは、彼らがその取引を後悔することが分かっているからだ。アザチがどうやって彼を出し抜いたのかは知らない。ただ同じことがまた起きるだなんて思わないことだ。よほどのことがない限り、アザチのことは秘密にしておけ。それにこの件に関わっている間は、私の名前も出さないでくれ。
ただ、お前が持っている金は他の金と同じだ、それにお前はこの件に、異常なほど執着しているように見える。だから説明だけはしておく。暁星の月の1日に、地図に記してある草に覆われた祠に行け。そして古い涸れ井戸に500ゴールドを投げ込むんだ。クラヴィカス・ヴァイルが取引をする気になれば、すぐに現れるはずだ。
今、お前が何を考えているのかよく分かるぞ。500ゴールドを井戸に投げるだって?それだけでデイドラ公を召喚できるのか?愚かな友よ。様々な印と汚れなき生贄を期待していたかもしれないが、それは他のデイドラ公を呼び出すためのものだ!ヴァイルはゴールドと魂に価値があると考えている。
考え直せ。欲望に捕らわれずに、今持っているもので満足するんだ。これを実行するなら、というかお前はそうするだろうが、失敗しても私に文句を言うな。
警告はしておいたぞ。
第1日:今日、我々はゴールドコースト貿易会社の依頼でガーラス・アジーアに到着した。会社は我々に、彼らの呼ぶところでは古代の機械仕掛けの不要物を解除して欲しいとのことだ。自身の目で「不要物」を見て、以前に到着した時よりも少し不安になっている。この仕掛けは巨大なアカヴィリの刃で、大広間一つ分の振り幅を揺れている。こいつをどうすればいいのか、ちょっとわからない。この死の罠の残りの部分を確認し、飛び出して我々をいきなり殺してしまうかもしれないものを排除すべきだろう。
第2日:巨大な揺れる刃は、対処しなければならない唯一の障害ではないということか。おそらく私の最高の斥候であるルシウスが、主要な部屋の一つに入って窒息死した。それでわかったのは、その部屋の床が有毒のガスを噴き出していることだ。この分だと、この場所を掃討するまでにもう何人か、最良の作業員たちを失うことになるかもしれない。この遺跡から無事に出られたら、費用について交渉をやり直さなければならないだろう。
第4日:あの忌々しいガスの罠をようやく遮断できた。それもさらなる作業員を失うことなくだ。とはいえ作業員たちには、あの部屋であまり長時間過ごさないように言っておいた。さらなるガスが何らかの仕方で漏れ出してくるに違いない。いずれにせよ、我々は遺跡の内部へ向かってある程度進むことができた。
第7日:我々はあの揺れる刃の罠がある広間と思われる場所の反対側を見つけた。サブリナはうまいタイミングで入っていけばすり抜けられると考えているようだ。私はどちらかというと木の板を数枚使って、刃を塞いでいる間に彼女を通り抜けさせようと思う。これで少なくとも動きを止めて、大広間の再建のための準備ができるだろう。
第9日:成功だ!揺れる刃をとりあえず止めることができた。さらに足場をいくつか築くことにも成功した。もしかしたら最初に恐れたほどには、この場所に苦労させられずに済むかもしれない。
第10日:意外にも刃の罠が我々の封鎖を破り、作業員一人の命を奪った。どうやら今、我々はここに閉じ込められてしまったようだ。封鎖のうち一つだけがまだ持ちこたえているが、いつまで続くのだろうか?サブリナは駆け抜けてみようと思っていると言っていた。
第11日:サブリナは駆け抜けることを試みたが、予定したようにうまくはいかなかった。しかし私も同じことをやってみようと考えている。ただサブリナがひどい傷で出血死しようとしている点が、私を押し留めている。雇った傭兵たちの何人かが、我々のところに食料とワインを投げ入れることに成功したが、近いうちに何とかしなければ、ここで死ぬことになるだろう。勇気を出せば、死の刃を駆け抜けられるかもしれない。明日になれば。
いとこのデミナーへ
この手紙が無事届くことを祈っているわ。ヴァーデンフェルの様子はどう?ハンマーフェルでの仕事が終わったら、レイノーと一緒に遊びに行くのもいいわね。まあ、まずはハンマーフェルに辿り着いてからの話だけど。最近の冒険について話すわ。ええ、全部レイノーが悪いのよ。いつものようにね。
私達は、ターヴァの祝福の近くで新しいドワーフ遺跡が見つかったと連絡を受けたの。レイノーは出来るだけ早く向かおうとしたわ。私が旅行の物資を確保している間、レイノーはセンチネルへ航海するよう交渉に行ったの。でも、彼のことは知っているでしょう。興奮して、新しい発見に夢中になってしまった。そこで失敗したのよ。彼はハンマーフェルへの船を予約しようとしたけど、私達はアンヴィルへ向かう船に乗せられてしまった。今はそこにいるわ。余分な金はないし、しばらくハンマーフェルへ辿り着ける見込みはない。
心配しないで。私達は何か考えつくわ。いつものように。アンヴィルに来たのはこれが初めてよ。びっくりするくらい海賊が多いの!ここは気に入るかもしれないわね。最後に私達が伺った時の記憶だと、あなたはいつも海賊っぽかったもの。旦那さんは元気?まだあの、自分ではワインと呼んでいる悪しき混合物を売って生計を立てようとしているの?正直に言うけど、あなたがやった方がいいわよ!
さて、この辺りで。私達はこの悲惨な街で仕事を探さないといけない。センチネル行きの船代を払えるようにね。幸運を祈って!もし私達が行く時は、きっとシェインをお土産に持って行くわ。あなたも、私と同じように旦那さんの商品を気に入っていないでしょう!
キレス・V
クヴァッチの住民よ!カロラス伯爵の承認により、我々はクヴァッチ・アリーナを即刻再開させる!
クヴァッチの全住民その他は、躍動感あふれる数多の新イベントの観覧に招待される。イベントに含まれるのは、戦闘技術コンテスト、獰猛な獣達による戦闘、グランド・メレーなどだ!時の騎士団との協力で、新イベント「悔悛者のサークル」も追加される!
今後、名高いアリーナが定期的に開催することになる、スリル満載のイベント一覧を以下に記す。
力の衝突
ぜひご覧あれ。大陸で最も危険な剣闘士達が1対1、2対2、4対4で戦う。血塗られた戦いで扱われる武器よりも大きいのは、勝者に贈られる財布だけだ!勇敢なコロヴィア人に加えて、異国の戦士達を目の当たりにするだろう。残忍なノルド、獰猛なレッドガード、残酷なオーク、策略のウッドエルフ、さらに沈黙のシーエルフアサシンまでもが加わる。
このスリリングな戦いを見逃す手はない。コロヴィア人の英雄達に歓声を上げるか、異国の戦士達に賭けることで、彼らに最高のコロヴィア戦士と戦う理由を与えてやろう。よいショーになることを約束する!
獣達の衝突
勇敢な調教師によって集められたタムリエル中の野蛮な獣達が、その牙とかぎ爪こそが最強であると証明する戦いを目撃せよ!バンコライライオンの容赦ないどう猛さにスリルを味わおう!アリクルデューンリッパーの奇襲攻撃に息を飲もう!さらに、我々がチケットの販売で十分な金を獲得できたら、伝説的なマンティコラを未開地クラグローンから連れてくると、商魂たくましい商人に約束させた!
グランド・メレー
10名の戦士がアリーナに入るが、立ち去れるのは1名の戦士のみ!闘士であれば、誰でも地上の近接戦に参加できる。使用武器、戦闘方法は問わない!すべての戦闘が残酷で、結果が予期できないということ以外、何が起きるかは予測不能だ。我々の新しい階層戦闘システムにより、賭けた闘士が敗退しても最後の敗者グループに属していれば、なお金を獲得できる。一生に一度のイベントを見逃すな!
悔悛者のサークル
クヴァッチの時の騎士団の勇敢な騎士達が主催。神々に対して罪を犯した異端者、異教徒が悔悛する最後の機会を与えられる!数多の異教徒が勇敢で容赦ない時の騎士団の剣闘士達と対峙する。彼らの信仰が本物であると証明されれば、神々は彼らに微笑み、生き残ることさえ可能になるかも知れない。助からなかった者達も、死ぬ前には救済を目にするだろう。
デイドラ公との闇の儀式に手を出し、死霊術を行い、アカトシュへ罪を犯すすべての異教徒と戦って打ち負かす、勇敢な時の騎士団の剣闘士達に声援を送ろう。
ボス
クワマー鉱山労働者同盟に頼まれた調査は現場にてほぼ完了しました。極めて明るい展望です。降霜の月が来る前に別の女王が誕生したので、新しいクワマーの巣にちょうどいい状態になっています。
存続能力のある巣がそれまでに出来なければ、雪解けまでコストを下げるために洞窟を諦めなければなりません。我々の出発から帰着までの間に、何かが住み着かないとも限らない。この鉱山を失うのは大変な損害になるでしょう。
中止の命令が出るまで計画通りに仕事を続けます。我々に関係のある変更があれば都度教えてください。
クワマー鉱山労働者ダブルーン
ゴールドコースト:ロングハウス帝の保養地
アスティニア・イサウリクス 著
公開日:第二紀566年 恵雨の月8日
シロディールの絶景を目にして、アンヴィルの素敵な天気と黄色い砂の浜辺を楽しみたいのなら、ゴールドコーストは最高の行き先と言える。外国へ旅行に行く時、身の安全に配慮するのは当然のことだが、先見の明のある警察とレオヴィック帝の指導力により、海岸の治安は劇的に向上した。皇帝自身は我々と頻繁に保養地へと行かれるが、温和なゴールドコーストへ念願の旅を果たすには、今が絶好の機会である。
輝く太陽と澄んだ波のゴールドコーストは、アビシアン海からの暖流により、良好な気候に恵まれている。我々は、真の冒険を求める好奇心旺盛な者に、手頃な価格で新緑の楽園を提供している。アビシアン海の警備と地域の安全確保の任務を偉大な皇帝より課される帝国海軍はアンヴィルを母港としており、皇帝の力に挑戦しようとする海賊は誰一人としていない。皇帝の完全武装した海軍と、熟練の兵士達があなたの安全を守る。
この案内書はゴールドコーストの歴史と、数多の素晴らしい観光地を案内するものである。
* * *
二つの大河に囲まれた肥沃な土地
二つの巨大河川によって、ゴールドコーストの境界が定められている。北のブレナ川がシロディールをハンマーフェルから隔てており、南のストリッド川がヴァレンウッドとの境界線になっている。二つの河川は大陸内部の中心的な交易路である。過去には数多くの海賊が両河川の所有権を主張したが、帝国海軍の存在により、そのような行為に終止符が打たれた。
大河の規模を真に理解するには、交易がピークに達する時期に、積荷に溢れるガレオン船がブレナ河とストリッド河を往来する喧騒を目にしなくてはならない。夏に河川を航行するのは歓迎だが、冬にはお勧めしない。冬の月の河は、湿気と霧で不快になる。
* * *
西の高地の美と神秘
ゴールドコーストの内陸は、そのほとんどが、ごつごつした高地と、木々が点在する低い山で構成される。密集したオークの木々や、ブナ、灰の森がその例だ。この地域は、ハイキングツアーや、学者や歴史家が特別な興味を示す数多くの古代遺跡を、ガイド随行で探検する時に最適である。コロヴィアの富の多くは伐採搬出業から生まれているが、林業の有力者はゴールドコースト全土で事業を行っている。コロヴィアの木は依然として、建設や武器の製造用に大きな需要がある。
高地では季節的な濃霧が発生しやすい。これにより、我々の遺跡を闊歩する「ブルメン」の物語などの迷信が多数生まれた!高地にねぐらを構える盗賊達によって広まった噂に過ぎないが、旅行者には、武器の携行や武装した同行者とともに旅をするよう推奨する。ゴールドコーストでは、旅行者の安全が我々の最重要課題であり、滞在を可能な限り快適に楽しめるようにするため、我々は尽力している。
ゴールドコースト:ロングハウス帝の保養地
アスティニア・イサウリクス 著
公開日:第二紀566年 恵雨の月8日
歴史的都市クヴァッチ
丘から見下ろすクヴァッチの街は、シロディールでも最古のコロヴィア都市の一つで、豊かな歴史と脈打つ伝統を兼ね備えている。クヴァッチの住民は博識で快活、保守的で信心深いという評判を気に入っている。神々との交信、または神々の学びを求める敬虔な旅人にとって、クヴァッチの司祭は献身と信仰を行う巡礼者を、諸手を上げて歓迎してくれる存在となっている。
荘厳なたたずまいと豪奢な内装を誇る名高いアカトシュ大聖堂は、クヴァッチの空にそびえ立っている。各神の祠を擁する大聖堂は、その雄大さと美しさを眺める訪問者を各地から引き寄せる。大聖堂内やその周りでは、アカトシュ大司教と大聖堂の守護者である由緒正しき時の騎士団が任務を行う姿をしばしば見られる。彼らは、「クヴァッチの番人」という何世代にも渡って街の警戒に当たってきた者達の仕事を補っている。二つの団体に守られ、クヴァッチは帝国随一の安全な街となっているのだ。
一方で、クヴァッチが崇拝と熟考以外にすることがない場所であると考えてはならない。タムリエル最古のアリーナの一つ、伝説のクヴァッチ・アリーナも存在する。帝都のアリーナに匹敵するものは存在しないが、アリーナ最高の戦士の多くは、ここゴールドコーストにてキ戦いを開始した。クヴァッチ・アリーナで観戦を満喫すれば、帝都で地位を築く前の新たな戦士を見られる、素晴らしい機会が訪れるだろう。
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国際的な楽園アンヴィル
ゴールドコーストへの旅路の寄港地、アンヴィルはアビシアン海の至宝!
ゴールドコースト最高の港街であるアンヴィルは、シロディール各地や、さらに遠方から訪れる王族や高官の保養地を有している。聡明で気高いエフレム・ベニルス伯爵が帝国総督の称号を冠し、夏の月に頻繁に訪れる皇帝の意向により、この素晴らしき街を統治している。幸運な訪問者なら、アンヴィル城のバルコニーから臣民に手を振る偉大なレオヴィック皇帝を見られるかも知れない。
タムリエル中の珍しいものや美味しいものが並ぶ素敵な青空市場を活用するために、旅人が至るところからやってくる。他の者は、数多の素晴らしいレストランで食事をするためにやってくる。また、砂の浜辺で戯れ、アビシアン海の澄んだ水で泳ぐ者もいる。街には貴族と資産家のためのたくさんの豪華な宿泊施設があるが、一部にはより手頃な料金で、居心地の良い浜辺に面したコテージの客室も提供されており、訪問者に料理を振る舞っている。
つまるところ、温和で美しいゴールドコースト以上に理想的な旅行先はない。アカトシュ大聖堂の聖地巡礼で行くにせよ、クヴァッチ・アリーナの心躍る戦いを楽しむために滞在するにせよ、古代の遺跡を研究するにせよ、アンヴィルの都会の輝きを見るにせよ、アビシアン海の端で快適さと冒険を経験するだろう。今すぐ来るといい。お会いできるのを楽しみにしている!
戦士ギルド小冊子
アンヴィルの戦士ギルド 編集
戦士ギルドは公共の利益のために、タムリエルの住人の脅威となる事項について、一般に指導を行っている。この小冊子は、ゴールドコーストのゴブリン部族に関する情報をアンヴィルの戦士ギルドが編集したものである。
* * *
ギルド幹事シャベー・アフナイファへ
懲罰合意に従い、私がこのゴールドコーストのゴブリン部族に関する評論を届けることになった。そちらの話では、何日も掛かるようなことはないだろうとのことだった。一週間遅れでこの件を報告することになり、非常に申し訳なく思っている。
シャープスティック族はゴールドコーストの南部を自分達の領土だと主張しており、ロングトゥース族は北部の領有権を主張している。ゴールドコーストのゴブリンについて他に知るべきことはあるだろうか?
実はたくさんある。調べたのだ。ただ、ほとんどが混乱させられる。
私は当初、ロングトゥース族がこの地域で一番古いゴブリン部族だと思っていた。だが、彼らが台頭したのはつい最近だった。彼らはかつて3つの部族、ロングクロウ族、トゥースロック族、ロックスティック族に別れていた。ロングクロウ族とトゥースロック族はかつて、コロールの南西部にある猟場を巡って頻繁に争っていた。コロールの戦士ギルドが彼らを排除するために雇われたことで、すぐに両部族はそこを後にした。
両部族はその後もゴールドコーストに移住して、規模の大きな隔絶されたロックスティック族に出会うまで争い続けていた。そして共通の敵が現れたロングクロウ族とトゥースロック族は、彼らと敵対するロックスティック族を滅ぼすために団結するようになった。
それから1カ月もしないうちに、残っていたゴブリン達は自分達をロングトゥース族と呼ぶようになった。彼らは粗野な旗を立て、実質的にアンヴィル北部の支配者となった。経緯は不明だ。ロングトゥース族はその点を明らかにしようとしない。
シャープスティック族についてだが、彼らは先に述べたようなゴブリン部族の寄せ集めだ。アイスティック族はシャープロック族と戦い、シャープロック族はシャッターボーン族を使ってブラッドスカル族に攻撃を仕掛けた。だが、ブラッドスカル族の宿敵はガットブレード族で、ガットブレード族はシャッターボーン族とブラッドスカル族に奇襲を掛けていた。
シャープロック族とアイスティック族は、宿敵達が三つどもえの戦争になっていることに気付くと、他の部族を支配するためすぐに同盟を結んだ。勝利の前夜、アイスティック族とシャープロック族はお互いを攻撃し始めた。この大戦争はゴールドコーストの南部で勃発し、現場にたまたま居合わせた可哀想なカジートの猟師(彼は有名なクヴァッチの酒場の歌、「なかった戦争」で知られている)以外に知られることなく終結した。
反目し合う5つの部族だったが、生き残った者もいた。一部は逃げ出してロックスティック族となり、(数年後に)ロングクロウ族とトゥースロック族に吸収された。そこに残った者はシャープスティック族になり、ロックスティック族の反撃に備えて戦力を強化したが、結局攻撃を受けることはなかった。彼らは最終的に農業を営むようになり、それを生活の糧にするようになった。
ロングトゥース族とシャープスティック族は非常に接近しており、戦争が始まるのはもはや時間の問題だろう。最終的にロングスティック族が大きな部族を形成するようになったら、一つだけ頼みたいことがある。彼らをゴールドコーストから追い出す任務に私も加えてほしい。
—[懲罰合意に従い名前は非公開]
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
ゴールドコーストは、第二紀576年にヴァレン・アクィラリオスがロングハウス帝レオヴィックに対する反乱を率いて以来、劇的な変化を遂げた。まず、地域の住民はヴァレンの壁を築くために結束した。その件については同名の論文において詳細に考察している。その防衛的境界線によって、ゴールドコーストはコロヴィア台地から遮られ、帝国の報復やその他外部の脅威から守られた。次に、地域は反乱を利用し、シロディールからの独立を宣言した。これら2つの出来事により、ゴールドコーストは他の地域を悩ませる問題から隔離された安全地帯として確立されたが、それによって別の種類の試練が生じることにもなった。
第二紀577年、最後の石が置かれてヴァレンの壁が完成し、帝国海軍が北部と東部で反乱に対処するため留守にしていたちょうどその頃、商人の戦闘艦と海賊船からなる船隊がアンヴィルの港にたどり着いた。各船の上には、血の赤のサーベルで飾られた白い旗がはためいていた。ゴールドコースト貿易会社の海運王、フォーチュナタ・アプドゥガルによって率いられたその船隊は、港を乗っ取り、船乗りと海賊の戦士たちをあっという間に上陸させ、残っていた帝国長官に忠実な軍隊を圧倒した。1日も経過しないうちにフォーチュナタはアンヴィルを支配し、自ら地方総督と名乗り、ゴールドコーストが、アビシアン海からヴァレンの壁にかけて、自由な独立した街になったことを宣言した。
地方総督を自ら宣言したが、仲間と敵の両方からは海賊女王としてよく知られた彼女は、ゴールドコースト貿易会社の高位商人王としての人脈を利用して権力の土台を築いた。海賊に対しては、安全な隠れ家と地域に入ってくる富の一部を分け与えることを引き換えに、援助と支持を求めた。海賊たちは、雇い主の会社よりも常にフォーチュナタに忠実だった商船員とともに、海賊女王がアンヴィルとその周囲の田園地帯を支配し維持するために必要な武器を与えた。
様々な意味で、真実の方が現在アンヴィルの街中で新聞に登場するきわどく風変わりな冒険物語よりも、ずっと信じ難い。こうしたきわどい物語では、一応架空の海賊女帝スサ・アプラグドの手柄が語られており、かなり人気を博している。本物の海賊女王はその物語を許容しており、日頃から積極的に発行を後押ししているほどである。
今では白地に赤いサーベルの旗がアンヴィル城とアンヴィル灯台の上ではためき、海賊女王はアンヴィルを「自由の街」に変えた。いかなる同盟の軍艦もアンヴィル港に近づくことは許可されていない。その代わりに、タムリエル中から来る商船が波止場を埋め尽くし、喜んで積み荷を安値で売買している。かつて高慢で影響力の強かったゴールドコースト貿易会社も、世間体と誰が主導権を握っているかについて争うよりも利益のほうが重要だと判断して、海賊女王の要求を不本意ながら受け入れている。事実上、海賊女王の言うとおりにしているのだ。
海賊女王がアンヴィルの北東に隣接するクヴァッチを狙っていることは、預言者に聞くまでもなく分かることだ。よく知られた彼女による独立宣言の中でも言及されたことである。様々な海賊が次から次へと彼女の旗の下に集まり、恐れをなした貴族からは税金と称した保護料が流れ込んでおり、フォーチュナタの元にはやがてカロラス伯爵、さらにはアルトリウス大司教にさえ対処できる資源が集まるだろう。単に時間の問題である。そして海賊女王はこれまで幾度となく、計画を温めることにかけてはとても辛抱強いところを見せてきた。
あらゆる意味、フォーチュナタはアンヴィルを高圧的に支配している。レッドセイルの海賊たちは私的軍隊のような役割を果たし、襲撃や暴力行為、また命令によっては警察の任務を遂行している。彼女は冷酷無残な独裁者かもしれないが、地域を安定させ、無秩序な混迷を引き起こすことを阻止している。統治者に対し、それ以上のことを求められようか?
ゴブリン
ゴブリンは荒れ地の先に住んでいて
子供達の歯を首飾りにしている!
ゴブリンの矢には毒が塗られている。
ニクサドの内蔵をすり潰して作られた毒。
ミノタウロス
ミノタウロスは生まれながらの戦士。
彼らは角に死んだ子供達をぶら下げる!
彼らは牛じゃない、絶対に「モー」とは言わない。
彼らが一番好きなものはお前の肉だ!
ニクサド
ニクサドは蝿のように飛び回る。
彼らの好きな食べ物は子供達の目!
この砂糖中毒者達は残酷で見栄っ張り。
彼らは子供達の苦しみを喜ぶ。
リバー・トロール
やる気のある子供は
リバー・トロールが一番不親切だと知っている。
そうでない子供はすぐにトロールの糞の中で
自分の間抜けさを後悔することになる!
ミラベル・モティエールによる兄弟姉妹への報告書
統括せし者アスタラから、ゴールドコーストの有力者についての考えと顕著な点をまとめるように指示を受けたわ。具体的には、いつか相手をしなければならない最も重要な連中について。こいつらを殺さなければならないって訳じゃないからね。協調して頼みごとをすることもあるかもしれない。または… いえ、おそらく彼らを殺すんでしょうね。いつものように。
地方総督フォーチュナタ・アプドゥガル:以前の海賊女王は、その技と野望で商人王となって組織の頂点に立つ前、ゴールドコースト貿易会社で大した役職についていなかった。フォーチュナタには十分じゃなかったのね。彼女は貿易事業を拡大するため航海に出て、戻った時にはレッドセイル海賊の中で、実に人気のある海賊船団の頭領となっていた。アンヴィルを容易に掌握し、街の地方総督になったの。今やフォーチュナタは、鉄の拳をベルベットの手袋で包んでアンヴィルを支配している。その確固とした人格と証明された戦闘技術に加え、彼女の後ろには常に重装備の海賊が1ダースも控えているから、挑戦しようとする者はいないわ。恋人が贈り物をするように秘密を提供する、個人的なラットマスターについては言うまでもないわね。しかし彼女の野望は港町の境界を越え、ゴールドコースト全体がその支配下にあることを既に宣言した。事実とは言えないけど、すぐに現実となりそうね。
カロラス・アクィラリオス伯爵:クヴァッチの狼はヴァレン・アクィラリオスの甥よ。戦争に赴いたヴァレンの後を受けて街に仕え、防御したの。ゴールドコーストの有力者の中で唯一、真の善人ね。信仰と強い信念を持ち、その地位に名誉と誇りを抱いている。ついでに言うと、物凄く退屈ね。彼はフォーチュナタを良く思っておらず、今のところは海賊からクヴァッチを守り抜いている。街を見下ろすだけでなく、宗教的良心ともなっているアカトシュ大聖堂とは微妙な同盟関係よ。実際、彼は大聖堂の護衛である時の騎士団に拡張した権利と義務を与えて、クヴァッチ衛兵を補ったの。彼は闇の一党の強大な敵になるかもしれない。祭のガチョウのように街を切り分けたいと考えている者どもから街を救うため、今のようにどっぷりと政治にはまっていなければね。
アルトリウス・ポンティカス大司教:アカトシュ信者の長であり大聖堂の指導者でもある彼は、興味深く複雑な男よ。信仰に熱心で、アカトシュが彼の努力を導き支えてくれることを心から信じている。彼はまた独自の方向ながらフォーチュナタのように野心的で、聖職者の階級を一気に上り詰めたことからも分かる。信仰に生きる者として、ゴールドコーストに驚くべき巨大な密偵と情報提供者のネットワークを隠し持っているわ。大司教が知らないことはほとんどない。スルス大詠唱師とフィシア大説教師の支持を取りつけており、時の騎士団の修道戦士も同様よ。アルトリウスがその忠実な信者を我々にけしかけたら、闇の一党を脅かすかもしれない。そういったことが起こるとも思わないけど。
その他の有力者としてはクインタス・ジャロル卿、時の騎士団のコマンダー・マルクス・スキピオ、ゴールドコースト貿易会社のハーソー・ブレント卿、気づかれないと思っている我らの島への訪問者、〈女王の瞳〉のラズム・ダーがいるわ。潜在的な脅威、目標、味方についての報告は、追って近々届けるわね。
ガルヴェラス
常に機会を利用することを受け入れるべきだということはわかっている。だが利点がわからなくなってきた。彼らが他と同じように買い物をしたいことは分かっているが、ゴールドコースト貿易会社の商品に彼らはどれだけの金を払えるんだ?この連中は下水道に住んでいる。文字どおり下水道にだぞ。
たまたま誰かが何かの箱を釣り上げて、何か手に入れたんじゃないかと期待してるのか?かつてない創造的な選択肢が必要な肥料が不足しているとでもいうのか?私は何か見落としているか?
この事業を続ける理由をよほどうまく説明できないなら、残念だが会社の関与は終了する。
カークランド
P.S.返信を送る前に、礼儀として外気にさらしてくれよ。下水道の悪臭は相当なもんだ。
おい!そこのお前!そうだお前だよ!お前がこれを受け取ったのは、俺達が干上がりそうだからだ!ヴァートルはまだ辛うじて街まで荷車を押していける。だから、何か欲しいものがあったら、ここに書いて、他の者にまわせ。
ワインを8瓶。
30瓶にしろ!
数瓶はスパイス入りにしてくれるか?
ハチミツ酒を5樽。
スーーマ。
スクゥーマのことか?
ああ、俺にもスクゥーマをくれ!
もっと仲間を連れてこい。お前らは大体酔いすぎてて、全然面白くない。
ディベラの聖堂はそんなに遠くない。
ああ、それならスタミナ回復薬も20個頼む。
バカか!内緒にしておくって言っただろ!
口が開かない!
何が面白いんだ?
エールを1杯頼めるか?
だめだ。
喉がカラカラだ。いいからさっさと街に行ってこい!
ブランデーを2瓶。
新しいズボン。
それとエチャテレを1頭。エチャテレがいないとパーティーと言えないからな!
大切なお友達、シビリンへ!前に出した手紙をなくしたの?まあいいわ。もう一度繰り返すから。
スクリボニア家は以前、ゴールドコーストで一番の名家だった。私達の墳墓は帝都全ての街区で話題にされた。皇帝が我らの邸宅を訪れては、青々とした手つかずの土地を走り抜けたものよ。皇帝の支配への忠誠は疑われたことがない。母は完全にヴァレン・アクィラリオスの側についていた。我らの邸宅にあった石は、ヴァレンの壁に貢献した。
でもヴァレンの運が尽きると、スクリボニア家も同じ運命をたどった。名家であるのに、わずかな金しか残らなかった。あなたもよく知っているように、金を得るためには金を費やさなければならない。私達の正当な所有地を取り戻すには、たった5万クラウンのローンで十分よ。そしてあなたは信頼できる金貸しでしょう。返事を楽しみにしているわ!
あなたの親友
—メラッセ・スクリボニア
PS:クヴァッチのアリーナでかなりの時間を過ごしたというのは本当よ。スポーツの興奮を楽しむだけで、ギャンブルと関係ないことは保証するわ。
ようこそお客様!
私どもシャドウバニッシュ醸造所は、お客様を特別なワインのテイスティングに招待できてうれしく思っております。今晩、10種類以上のビンテージワインをお楽しみいただけます。もちろん、お気に召された場合は、大量にご購入いただけます。無税でワインを購入できるこの機会を是非ご利用くださるようお願いいたします。他の場所でここより安く購入できることはありません。保証いたします。
飲み過ぎと足元に注意してください。冷涼な入り江は、ワインの保存に最適ですが、湿った岩礁は時として不安定です!商品を購入していただけるかもしれないお客様が、海に流されたとあっては困ります。
慇懃な主催者
今夜また彼女がくるが、私的な訪問ではない。共通の問題について話す会談だ。彼女のような女性は「共通の問題」など気にする必要もないが、少なくとも私の助力を喜んで受けてくれる。
今夜は海賊のサッシュをしてくるだろうか。彼女にはとても似合う。フォーチュナタに航海の雰囲気を纏わせ、思わず手を貸して甲板を掃除したくなる(ああ、これはいいな!次の会話で使ってみよう)。
こんな考えに囚われる時は、いつもテラスから海を眺めてやり過ごす。ワインも役目を果たしてくれる。
仕事が終わったら、フォーチュナタを少し長くとどまるよう説得して見よう。最高のヴィンテージを開け、ここに彼女を連れてきて、景色を眺めながら一緒に飲むんだ。
いわゆる「スイートロールの殺し屋」から脅迫スイートロールを受け取った同僚一人と、最近噂のあった何人かのリストだ。他にも受取った者がいるかもしれないが、私に何もかもやらせて報酬を貰おうというのは考えが甘い。
ドビアス:ゴールドコースト貿易会社の同僚。人が好すぎて損をするタイプ。商売にはまったく向いていない。標的にされたのはおそらく、人が好すぎてうんざりするからだろう。
ロウナ:気の強い女で、最近結婚をしたがスイートロールの殺し屋のせいで夫を失った。そして今、殺し屋は彼女を標的にしている。せっかくいい女が独り身になったのに、死んでしまったら残念だ。
トゥインダル:美しい目にふっくらとした唇、スプーンですくって食べたくなるような男だ。このハイエルフは多分誰かの心を奪ったに違いない。私の心も奪われた!皮肉なことに、彼はパン職人だ。これ以上のスイートロールを作れる者がいるか?
ヤーミア:ウッドエルフの物乞い。日光にさらして腐らせたキノコ4種のシチューみたいな臭いがする。言わせれば、スイートロールの殺し屋がこいつを連れ去っても別に構わない。臭いも一緒に頼む!
この下水道に住んでいる者の噂を聞いて、我が隊が調査のために派遣された。個人的にはこういう場所に住むあらゆる不潔な者も、汚れた場所に住む者も見てきたが、今日の話は無駄な労苦以外のなにものでもない。不幸なことに、武力で何とかできる類の問題ではないのだ。武力で解決していたほうが慈悲深かったということにさえなるだろう。
トンネル内では、世の中で起こった災難から逃れるために全てを失った家族を見つけた。ほとんどはその悲しい運命を受けるにふさわしくないのだが、不幸な人の中には疑いようもなく悪の芽がまじっている。我らは職務を勤勉に実行してこの集落を調査し、住民の護衛を申し出ると見せかけてそこに潜む悪を調査する。何もないと分かれば、そのまま立ち去ろう。
ステンダールの慈悲があらんことを。
昨夜、エンリックの群衆の中にお前がいたことは分かっている。メデリック。髪型を変えて、きれいな服に身を包んでいたとしても、あご先の傷や指のない右手を隠すことはできない。
お前がどこに逃げて、今どこにいるのかも知っている、それに、フンディング港でリーノックをやったのがお前の船員だということもだ。彼は20年間、私の最高の仲間だった。それを忘れていたとしても、彼を拷問していた時に思い出したはずだ。
礼儀としてこのメモは残しておくつもりだ、お前が身辺整理できるようにな。最後の日まで3日ある。言い訳はなんでもいい。この港のむさ苦しい場所で集めた友人達に別れを告げろ。それが終わったら、お前のところに行く。間違いなく、お前はこの世界を後にすることになる。
騒がなければすぐに終わる。お前がリーノックにやったことに比べればあっという間だ。逃げたら次の出会いは全く違うものになるだろう。捕まえたら、長い時間をかけていたぶってやる。
豚面の臆病者よ。もし待つことに耐えられなくなったら、期限を迎える前に自分でやってもらっても構わない。自分のやり方で、自分の意志でだ。ただ… 確認だけはしっかりとさせてもらう。
忘れるなよ、メデリック。お前を見ているからな。私が誰よりも人捜しが得意だということは、リーノックと同じようにお前も知っているはずだ。アンヴィルから逃げることができたとしても、私からは逃げられない。お前はもう終わりだ。
3日後に会おう。
たった今ベルダブーロが見えた。地上に建造物が余り残っていないようだが、アイレイドの土台はその耐久力があらゆる場所で知られている。崩壊せずに何かが残っていることを祈ろう。
* * *
ミノタウロスの部族がアイレイドの遺跡をねぐらにしたようだ。理想には遠いが、いい兆候だろう。ミノタウロスが野営したということは、ベルダブーロはそれほどひどくないということだ。
* * *
この小型望遠鏡は素晴らしい発明品だな。もう数日も安全な距離からミノタウロスを監視している。どこかへの移住の旅として一時の宿にしていると思いたかったが、彼らはあそこを家と決めたらしい。
* * *
今晩遺跡に明かりが見えた。たいまつの灯じゃない。もっとまばゆく安定した光だ。アイレイドの魔術の残像か。ミノタウロスが何かしているのか。
* * *
ミノタウロスはベルダブーロの外側はたいして探検していないようだ。遺跡を拡張する様子はない。ではこの場所に何を求めているのか。ミノタウロスは住居の確保のためでなくアイレイドの遺跡の周辺に集っているのかと思ったが、そうでもないらしい。
* * *
ミノタウロスが本能的にこの地に集ったと考えるのはどうだろう。モリハウスの血の記憶がこの地への記憶を呼び覚ましているのだろうか。
* * *
ミノタウロスは今朝、遺跡から消えた。狩りをしているのだろう。ひっくり返った石があるだけでなく、この遺跡がそれ以上のものであることを証明してみよう。
* * *
光だ!形をなしている!人間なのかエルフなのか、確認できる前に扉をすり抜けた。これまでは戸口が開くことの意味を考えていなかった。ミノタウロスが狩りから戻る前に、はっきりさせたい。
クヴァッチの獣使いシェルガ・グラブル 著
ダイアウルフを見たら、君は笑うか?奴らは普通の狼の体を大きくして、頭を悪くしたものだと考えるか?だとしたら、君は馬鹿だ。ダイアウルフは狡猾で危険だ。彼らにとって君の笑いは「次に君たちのお腹に入るのは私だぞ」と言うのと同じだ。シェルガは一度だけ、ダイアウルフに向かって笑ったことがある。今、シェルガの耳は一つだ。
シェルガはもう馬鹿ではない。今シェルガはダイアウルフの旗を持つ街、クヴァッチの獣使いだ。だからシェルガはダイアウルフを調教するために多くの時間を割いている。
ダイアウルフを調教するのは不可能だと思うかもしれない。それは真実だ。肉食獣を調教することはできない。完全には無理だ。だがもしシェルガがこの本を「ダイアウルフに自分ではなく敵を食わせるための手引き」と名づけたら、誰も買わないだろう。あるいは間違った理由で買う人が出るかもしれない。
—
1つ目。ダイアウルフは狼のように見える。狼のような動きをする。狼のような匂いがする。でも狼ではない。ダイアウルフはダイアウルフだ。
簡単な事のように聞こえるが、忘れるのも簡単なことなのだ。
狼は群れを必要とする。群れに入っていない狼は悪い。狼は孤立することを恐れる。努力すれば狼を調教できる。腹が減っていたら食い物をやる。君の群れに属していると狼に思わせればいい。
ダイアウルフには群れが必要ない。それはダイアウルフが1匹でまるごと一つの群れだからだ。ダイアウルフが悪くなるのは、そうなりたい時だけだ。孤立することは恐れない。ダイアウルフだからだ。
ダイアウルフを狼のように調教することはできない。腹が減っていたら、君が餌になる。自分さえいれば、群れは必要ない。君も自分が一つの群れであることを示さなければならない。君の群れとダイアウルフの群れが一緒に旅をして、より多くの食べ物を探した方がいいということを見せるのだ。ダイアウルフはこのことを理解する。なぜなら、ダイアウルフは狼の群れ一つと同じくらい食べるからだ。
—
2つ目。ダイアウルフの記憶は長持ちする。40年前のことをまだ恨んでいるクランマザーみたいなものだ。ダイアウルフに君を憎む理由を与えてはいけない。シェルガの姉妹グラルガは一度、食事を横取りしたダイアウルフに平手打ちをしたことがある。こうしてグラルガは親指を1本失くし、同時に礼儀を学んだ。グラルガはもうクヴァッチを訪ねてこない。
もしダイアウルフが君を憎むことがあったら、退いてはいけない。恐れてはいけない。憎いのはわかっていると示せ。憎しみを恐れないということを示せ。これは敬意を示すことになる。そしてたくさんの食料を与え、憎しみを抑えるのだ。
シェルガが思うに、これだからクヴァッチはダイアウルフを旗印にしたのだ。クヴァッチは忘れない。クヴァッチは敬意を払う者を尊敬する。そして民にたくさんの宴を与えれば、クヴァッチは憎しみを和らげる。
時として、ダイアウルフはそれでも君を憎む。その場合はダイアウルフを殺さなくてはならない。ダイアウルフのつがいのもう片方が見ている時に殺さないこと。そのダイアウルフも君を憎むようになる。人と同じだ。
—
3つ目。お腹をなでろ。耳の後ろをなでろ。でも耳の中はだめだ。尻尾と背中の境目をなでろ。尻尾は先端だけ!顎の下もなでろ。
足をなでないこと。ダイアウルフの足はハイエルフと同じく敏感だ。それにダイアウルフは鋭い爪も持っている。君が足を奪い去ろうとしているとダイアウルフが考える時、そいつは君を憎むようになる。
—
最後に。ダイアウルフは賢いが、魔法を理解しない。だから魔法を使え。巻物は義手よりも安い。物語に出てくるようなやり方でダイアウルフを調教しようとするな。馬鹿になってはいけない。
シェルガの姉妹ボルガは、これはズルだと言った。魔法で従順になったダイアウルフはダイアウルフではないと。シェルガはボルガを罵倒した。ボルガは引かず、シェルガの尊敬を勝ち取った。するとボルガは、シェルガに茹でたサンダーバグの卵を持って来た。
シェルガは言う。ボルガさえ学べるのだ。君にもできる。
ディベラ修道院聖女、オーガスティン・ヴィリアーネ 著
ウェイレストの空は嵐が多く、荒れやすいし、青よりも灰色のことが多い。でも栽培の月の朝には、太陽が天まで昇って空を青く晴らし、優しく温かい風がイリアック湾から吹いてくる。まさにそんな朝のことだった。花の香りを振りまく木々の下で、私はディベラ修道院の聖職へ、新人たちを何人か迎えた。
彼らには質問することが山ほどあった。若い人たちはいつもそうだ。「聖女様」と、アルドクロフトからやって来たひとりの若いカキ採りが聞いた。「愛とは本当にすべての問いへの答えなのでしょうか?」
「そうよ。もしその問いが心に関するものであればね」と私は言った。「精神に関するものである場合は、まず違うけれど」
「聖女様?」と、アルカイアから来た恥ずかしがりの版画家が聞いた。「私たちが崇拝者たちのために踊らなければならないというのは本当ですか… 裸で?」
私は微笑んだ。「それはあなたの魂がそう望むのならよ。それから、お天気が許すのならね!」
「一つ質問です、聖女様」とウェイレスト銀行家の賢い子が言った。「エドラたちが自分たちを犠牲に捧げ、一人一人が世界の創造に何かを付け加えたのだとすれば、私たちの淑女は世界にどんな貢献をしたのでしょうか?」
返事をする代わりに、私は芝生に落ちた花を両手ですくい取り、驚いた様子の彼の眉毛の上に注ぎ落した。
「私は困惑しています、聖女様」とノースポイントから来た宿屋の馬丁が言った。「自分の父親が誰か知らないのです」
「美の女神にとってそんなことは何でもないわ」と私は優しく答えた。「だって、彼女はこう言っているもの。”種が何であれ、芽が愛をもって育てられたのなら、その花は美しくなるのではないでしょうか?”」
「集会の方が私を情熱の相手として求めた際に」とエバーモアの騎士の子が言った。「私がその人に好意を感じないとしたら、どうすればいいのでしょう?」
「誰を愛しても構いません」と私は歌った。「でも、強いられた愛は愛ではない」
「聖女様、ほ、本当でしょうか」と、フクロウ使いの息子がどもって言った。「あなたが大病でし、視力を失ったというのは?」
「ええ、そうよ」と私は微笑んだ。「でも、それがどうしたの?私が踊れないとでも言うの?」
「聖女様!」「聖女様!」
「静かに、新たなる者よ!」私は叫んだ。「今日は金耀なのよ。夕暮れの鐘が鳴り、集会の方々が私たちを教会で待っているわ。さあ、おいでなさい!ワインと太鼓、それに軽い足と暖かい心を持ちなさい!私たちの淑女が崇拝を呼びかけているわ」
キャラバンの御者め。いつもボスに良く見せたいために、通行料と税関を避けて主街道を迂回していく。で、どうなるかって?泥にはまると手押車と荷馬車を空にしなきゃならん。奴らを護衛するのが仕事であって、税関を迂回する度に溝から助ける契約は受けてない!キャラバンの衛兵の典型的な仕事だなんて言ってみろ。息の根を止めてやる!
次の夜のシフトの時にでも台帳を覗いて、会社にとってどれくらい価値があるものか見てみるとしよう。違法なようなら、絶対に契約の再交渉をしてやる。
お前は何かあれば俺の方につくだろうが、他の護衛の連中の考えも把握しておきたい。 ドラゴンスターの商人王と議論になったら、優位に立っておきたいからな。
時の竜神のアカトシュに愛と信仰を捧げたいが、アカトシュの聖職者になる覚悟はまだない?クヴァッチ大聖堂はそうした考えを理解できる。そこで、我々はドラゴン協会を設立した。
スルス大詠唱師と選ばれたアカトシュ司祭が指導する協会は、仲間や学習を求め、日毎に神学に関する最も重要な疑問を議論したいと望む入会者を組織に歓迎する。協会に参加しようではないか。アカトシュへの祈り、信仰、献身で、クヴァッチをより良い場所にするよう協力してほしい。
切実な問いにはすべて回答する。協会の一員として活動できる場所が待っている。
大聖堂の歴史家、ウォボラン詠唱師 著
ナイツグレイブの遺跡が意味するものは何であろうか?そして、遺跡はどうしてアカトシュ大聖堂と、時の騎士団にとって重要なのだろうか?これらは人々が決して問いかけない疑問だが、神に献身する者はすべからく答えを知る必要のあるものである。
多くの者は、ナイツグレイブがある種の荒廃した墓、帝国が強大で永遠の存在であった時の名残りのようなものであると考えている。墓地が建設されたのは、それ以降であると知る者はほとんどいない。墓地の本当の意味は、奥深くに用意されている。当初、巨大な地下の構築物は、初期の時の騎士団本部としての役割を果たしていた。
本部を建設したのは、騎士団の創設者であるエノン・デカンだった。この地は竜神を崇拝する者達にとって常に重要だったと伝説にあるが、事実であると示す証拠は何も見つからなかった。騎士団が本部を築いたのは、訓練や瞑想のために祈りを捧げ観想を行う場所が必要だったからであり、さらに騎士団のメンバーが休み、落ち着く場所が必要だったことを知るべきだ。
エノンと初期の仲間の一団が死に、創設者達の名残りとして巨大な像が建てられた。騎士団は存続し、この地を拠点として100年近く活動していた。この間、より多くの部屋が切り出され、より多くの改良が本部に施された。騎士団の第一段階に終止符が打たれ組織が解散すると、この地は封鎖され、保全がアカトシュ大聖堂に委ねられた。しかし、大聖堂は施設をどのように使えばよいか思いつかなかった。そのため、詠唱師と説教師達は地下の建物を墓地の類に変える決断をした。名誉ある時の騎士団の死者は、深き地で葬られた。
カボー・メルラが騎士団を再建した時、彼の最初の任務の一つはナイツグレイブとして知られる場所を、騎士団の創設メンバーの遺産として捧げることだった。祝祷と儀式が執り行われ、墓地の薄暗い内部を彷徨する高尚な死者に捧げ物を与えた。 その場に眠る者の邪魔とならないように、カボーは砂時計の居留地を、ゴールドコーストにおける騎士団の新たな本部として建立することに決めた。
そう、伝説は忘れたまえ。ニクサドの蔓延やミノタウロスのガーディアン、騎士団の高尚な騎士が未だに封印された奥深くの間の警戒にあたっているという物語は無視したまえ。ナイツグレイブは、時の騎士団の誇りと力強さの遺産である。そして、アカトシュの信者である我々の遺産でもあるのだ。
暗闇がどれだけ美しくても、太陽が昇る時、暁はそれを破壊する。
アバーズ・ランディングも他の都市と変わらない。金のない愚かな者は長く生きられない。幸いにも、私は愚か者ではない。私は長い間この街を見て回り、財産を再び手にする方法を探してきた。無鉄砲で自信過剰な商人には謙虚さが必要だ。私の名前はザビアーコ。スポットレスグッズ輸送会社で働いている。
熱心に働いたことで、すぐに荷車とグアル(その頑固さから、リトル・バズラグと名付けた)だけでなく、ゴールドコーストへの販路と外国の商品も手に入れることができた。これでザビアーコは父親との約束を果たせる!彼女はそのポケットを金で膨らませながら、コーヒーの袋と果実のような後味で有名なミストラル・ムーンシュガーを持ち、子供の時に住んでいた村に戻ることにした。
だがアンヴィルからクヴァッチに向かっていた時、ザビアーコに悲劇が訪れた。採掘場の労働者にホーカーのサマーソーセージを売った後、彼女は彼らから招待され、その夜はキャンプの端で休んでいくことになった。
しかし、その眠りは長く続かなかった。大地が揺れて、それに続くように叫び声が聞こえてきたのだ。労働者達は散り散りになり、鬼ごっこで標的になっているネズミのように、あちこちに逃げていった。リトル・バズラグは起きようとしなかった。だからザビアーコは隠れることにした。
彼らを見たのはその時だった。小さな生物で、私のブーツより小さく、耳障りな羽音をさせていた。彼らに寝袋から追い出された労働者のひとりが、「ニクサドだ!」と悲鳴を上げると、崖から落ちて足を骨折してしまった。するとこの小さな生物は、痛みにうめき声を上げる彼を、クスクスと笑い、嘲ったのである。
近くにいたザビアーコの耳にかん高い鳴き声が聞こえてきた。1匹のニクサドが、その鋭い爪からゴールドの袋をぶら下げていた。そんなに重い物を持って飛べるはずがないと思っていた、しかし羽が激しく音を立てると、ついにはそのゴールドを持ち去ってしまった。他のニクサドは腕を頭の上にあげ、ミストラル・ムーンシュガーに攻撃する準備をしていた。そして頭から袋に突っ込むと、足と羽を袋の外に出して、慣れたようにムーンシュガーを食べ出したのである。
私はこの泥棒の足を掴んで袋から引き抜いた。それは私の頭を叩くと、意地悪そうにクスクスと笑った。ニクサドが音を立てて飛び去ると、その航跡を示すようにムーンシュガーが落ちていた。私はその後を追ったが、暗闇の中で見失ってしまった。そうこうしている間に、別のニクサドがムーンシュガーの袋に頭を突っ込んでいたが、ザビアーコは気付いていなかった。
ザビアーコが戻ってくると袋は空になっていた。中には、ムーンシュガーを食べ過ぎた、3匹のニクサドの死体だけしか残っていなかった。そしてリトル・バズラグも姿を消していた。
また私は商品を失ってしまったのだ!貴重なミストラル・ムーンシュガー。あの不潔で意地悪な生物のせいで大損だ。コーヒーはどうかって?触れられた痕跡すらなかった。
ザビアーコはその夜たくさんことを学んだ。まず、ニクサドにミストラル・ムーンシュガーを食べられてしまったら、そのニクサドを火であぶること。その甘い肉を食べれば、舌をくすぐられるような甘酸っぱい余韻を楽しむことができる。
次に、ニクサドがいる土地を通るときは、ムーンシュガーをコーヒーの袋で囲むこと。その香りが彼らを遠ざけるため、苦い思いをせずに旅をできる。
お母さん
確かに私はセリアを海に突き落としたわ。でも彼女のドレスをだめにしたかったわけじゃないの!
海岸に行く途中でニクサドを見つけたわ。セリアがこっそり立ち去るのはよくないってずっと言ってた。大声で言うから、注意をひいてしまったの。
ニクサドがどういうものか知っているでしょう。思い上がった子供から目をくりぬいて、ムーンシュガーの中で転がしちゃうの!ニクサドがセリアの目を食べてしまわないように、どうにかしなきゃならなかったの。
最初に彼女の髪をひっぱろうとしたけど、ニクサドが笑ったわ。でもセリアは走りながら叫んだの。
それでニクサドが不機嫌になったから、私はセリアを追いかけた。海のそばの小丘でつかまえて腕を掴んだわ。そうしたら彼女が言ったのよ、「あんたのしたことをお母さんに言ってやるから!」
ニクサドの翼の音が聞こえたわ。ということは、彼らは怒っていたのよ。他にどうしろっていうの?
だから押したの。海に落ちた彼女はびしょ濡れになったわ。ニクサドは空から落ちるほど笑い転げていた。
セリアは家に帰る途中、泣きわめいていたわ。私は彼女をおぶってあげず、歩かせた。それでニクサドは満足したの。
お母さん、セリアには悪いことをしたけど、あの子を守るために他にどうすればよかったの?お母さんが言ったのはそういうことじゃなかった?妹をかばうってことでしょう?
—あなたの愛する娘より
私の行動があなたに平安をもたらさんことを
ネランシ・ファレリア
421年 薄明の月19日死亡
享年 8歳
どうやらこの者は、通過する旅人を乗せるなという指示を明確に出せていなかったようだ。例え金を積まれようともダメだ!旅人が多くなればより注意を引く。我々は注意を求めていない。我らが輸送するいくつかの商品は、故郷と違って高く評価されていない。いくつかの商品は所有自体が違法だとされている。だから私はお前の新しい友人が「よさそうな人」だろうが何だろうが気に留めない。役人の質問に答えなければならなくなったら、同じ監房にいる間にお互いをますます嫌いになるだろう。
カジートは新しい友人に申し訳なく思うが、我らの次の出発には連れて行かない。さもなければ、この者は爪をお前の財布にかけ、適度に分け前を減らしてしまう。
この者は理解して貰えたと願う。そうだろう?
項目 42
アンヴィル魔術師ギルドに加わるのは簡単だと思っていた。この街は海賊が支配しているんだ!それでも賢者は「厳格な精神」とかいうものを見せろという。
項目 43
賢者は融通が利かないと思っていたので、ギルドホールにミノタウロスの脳みそを届けた。私は馬鹿じゃない。ワックスペーパーに三重に包むことにした。その何が悪かったのかわからない。
項目 44
ついに突破口を見つけた!賢者はドゥルーについての実際的知識を持っていない。ということはその話題を軽く披露すればいい。爪のバリエーションの簡単な報告で十分だろう。
項目 45
賢者は私にもドゥルーについての実際的知識がないことに気づいた。今私はドゥルーの交配と指揮系統についての本「グロムの錬金術的用法の発見」を持っている。いったいグロムとはなんだ?
項目 46
本を読んだ。グロムとはドゥルーの殻で、交配の後に食べられ吐き出されるものだ。本によれば「繊維質のボール状物体」で「悪臭がする」という。グロムの用途は錬金術的にもその他にも知られていない。
どうも賢者は私のようではないらしいと思えてきた。
項目 47
アンヴィルの北海岸、ドゥルーが交配している場所で野営を張った。この生物は怒らせなければおとなしいので、必要なだけ観察してグロムを採取できる。
楽しい日だ。
項目 48
退屈とは何かについて分かっていたつもりだったが、今の私の毎日はドゥルーの交配を待つだけになっている。
項目 49
初めてグロムの玉を見つけた!
今はこれが興奮する出来事だ。
項目 50
古い本は正しかった。グロムに錬金術的用途はない。「様々な高価な錬金術の材料を無駄にする」とか「乳鉢と乳棒に消えないシミを残す」以外は。
だが、賢者に恥をかかされるつもりはない。
項目 51
グロムは食用にできない。ゆでたら臭いがひどくなるだけだ。
項目 52
ゆでるのが鍵だったんだ!冷えると繊維質のパルプが殻のように固くなる。この状態でパルプを作れることに気づいた。きっちり閉まる薬用フラスコを作れた。
落としても割れない薬用フラスコ。賢者、錬金術的用途だ。
もちろん、グロムは使い果たしてしまった。実験の再現のために、もっとドゥルーが必要だ。
項目 53
また退屈だ。ドゥルーの交配がもっと早ければいいのに。
項目 54
ドゥルーの勾配を早められる!錬金術の調合薬を海に廃棄している間に、近くにいたドゥルーが元気になって爪をこすり合わせていた。そのドゥルーはすぐに他のドゥルーを探し出してその周りを歩き回った。過去にない。
別に1回分を作って今夜海岸にまいた。
項目 55
ドゥルーは興奮したようだ。今すべてが歩き回っているが、交配は早まらない。
今晩の分の効能を8倍にしてみよう。それで彼らの無気力が変わらないなら、もう他に手はない!
イエナ・アピニア隊長の日記
これまでの戦歴で、私の呼び名は一つや二つではなかった。友人や戦友からは称賛を受け、敵からは呪われて忌み名をつけられたが、おそらくは死ぬまで呼ばれ続けるだろう現在の呼び名よりも憎悪の混じった、言われる覚えのないものはない。「ブラヴィルの殺し屋」だそうだ。
突然帝都を脅かす脅威が現れた際、シロディールの戦争は最高潮に達していた。部下の兵士は当然の休息を満喫していたが、空から鎖が降ってきたのはまさにその時だった。帝都への妨害を目的に同盟の一部が奇妙で恐ろしい魔法を唱えたとある者は言い、裏で糸を引いているのはデイドラ公の誰かだと信じる者もいた。私に言わせれば、首謀者がアイレン女王だろうがモラグ・バルだろうが関係なかった。ただ、指揮下の兵士たちを可及的速やかに脱出させる必要があるのは分かっていた。
目標は明確だった。生き残ることだ。帝都の防衛のために得体の知れない敵と戦おうとして死なないこと。生きて、勝つ見込みのある日に戦うことだった。一部の者は、亡した私のことを臆病者だと言うが、私の行動で部隊の全兵士の命が助かった。もちろん取り急ぎ脱出したため、壁の外の荒野で生き残るには準備が不足していた。再集結、再補給の必要があったから、行動計画は慎重に策定した。計画を考慮しつつ、南方を目指して脱出するよう部下に命じた。
ブラヴィルは帝都の南に位置する汚らしいさびれた街だった。ブラヴィルがみすぼらしい街であると言うのは褒めすぎだと言える。経済の水準をそこまで向上すれば、街の人々は喜ぶだろう。彼らはスキーヴァーの巣のように、互いの上に積み上げられた木の小屋に暮らしていた。持たざる者達だが、私と兵士達が切実に必要としていたものを持っていた。我々を支援するのは、彼らの義務でもあり、帝国の繁栄と栄光のためでもあった。私はその義務をブラヴィルの市長に対し、非常に簡潔に説明した。
しかし、ブラヴィルの市長は丁重に私の要請を断った。「備蓄食料はわずかかも知れませんが、ブラヴィルとその民にとって、欠かせないものです」と彼は説明した。「隊長、私の辞退する理由はご理解いただけるはずです。どうか兵士たちと共に立ち去ってください」
「スカルド王はほろ酔いの馬鹿に過ぎない」と言われるのと同じくらい、市長は私を激高させたが、彼の窮地も理解できた。私が備蓄食料を徴収すれば、周囲を覆う寒冬の到来とともに、市民の半数程度が緩慢な餓死を迎えるのを彼は目撃することになる。解決は容易だったが、命令を下したことに心が痛んだ。部下の兵士が街の人口の半分を排除する。そうすれば残りの人々は食料にありつけて、冬を越せる希望をもてる。
私にしてみれば、可愛そうな生物を助けてやったと思っていたが、彼らは感謝したのだろうか?いや。街の残り半分は蜂起した。結局のところ、市長を含む半数以上を虐殺しなければならず、惨事の責任は市長にすべて押し付けた。我々は物資をかき集め、戦費を調達するために貴重品を徴収し、ブラヴィルを出発した。
別の小規模な居留地に到達して、ブラヴィルの事件の噂が拡散し始め、実態より膨れ上がっていると分かったのは、数日後のことだった。彼らは我々のことを「ブラヴィルの殺し屋」と呼び、道を踏み外して無実の民を殺した悪人だと言われた。奴らは戦争について何も分かっていないし、戦場で指揮官が下さなければならない心苦しい決断について分かっていない。私の兵士に餓死しろと言うのか?それなら、どうやってシロディールを守ったらいいのか?また、私を捕らえ、徴収品を回収し、いわゆる戦争犯罪を償わせるために、アイレン女王が卑しい「女王の瞳」を派遣したことを知った。
私は帝都の外にいた残存兵とともに、多数の兵士を集合地点に送った。また同時に、小隊を率いてゴールドコーストを目指した。「女王の瞳」と対峙するのなら、自分の選んだ場所で会うことにする。そして、どちらが正義なのか見定めようではないか。
ラットマスターへ
波止場と裏通りを仕切るお前のネズミを使いたい。聞き耳を立ててごみを漁らせ、必要とあれば地元民を締め上げよ。手段は問わないが、私が必要な情報を提供するのだ。一刻も早く!お前はこれまでに数えきれない数の噂やゴシップをもたらしたが、そのほとんどは有用なものだった。にもかかわらず、私がネズミの目と耳を切望している時、本件に関しては「アンヴィルとクヴァッチの通りが不気味なほど静かになった」と報告するのか?ああ、古き友よ、それは受け入れられない。
私が知りたいのは、「ブラックドラゴン」という謎に包まれ、非常に危険と噂されている者のことだ。出自は?目的は?本当に男なのか?さらに重要なのは、私との利害関係だ。古き友人よ。私はお前を高く評価しているが、それが誤りだと言わせないでくれ。悪名高きラットマスターが老いぼれて、スパイ網と情報提供者が素っ気なくなったとは考えたくもない。長年にわたる忠誠と献身を考えれば、お前を交代させたくない。しかもその理由が単に、お前とネズミがブラックドラゴンの足取りをまったくつかめないからだとあってはな。
手を貸そう。今までのようにうまく軌道に乗せてやる。聞いたところによればブラックドラゴンは、黒いプレート鎧に身を包んだ強面の戦士で、ものすごい長剣を操るという。この男は、闇社会の大勢の者達を殺害していると考えられている。殺害された者のうち少なくとも一人は、秘密に包まれた闇の一党の構成員であると長く信じられていた。殺人鬼を誰かが送り込んだところで私が懸念するわけではないが、ブラックドラゴンの偏狭な愛が私の縄張りに迷い込まないようにしたい。
さあ、どうして手紙をまだ読んでいる?ネズミを送り、私が必要な情報を入手しろ。今すぐにだ!
アンヴィル地方総督 フォーチュナタ
長い間この日記を書く気になれなかった、だが最近起きた出来事のせいで、私が本当に幸せだったあの頃のことが妙に懐かしくなった。私を愛して信じてくれた家族がいたあの頃だ。騎士団の男や女とは違う。彼らは私を信じ、恐れている。だが彼らが愛しているのは竜神だけだ。アルトリウス大司教のことも愛しているかもしれないが。
ブラックドラゴンの鎧を身につける前、私は闇の一党の奪いし者でしかなかった。今はブラックドラゴンであり、闇の一党から奪いし者であり、時の騎士団の第一の剣でもある。これは私が選択したことではない。それは違う。闇の一党がそうなるように私を追い込んだのだ。そして偶然にも、必要な能力が十分に備わっていた。
ライラ・ヴィリアという女を殺した。それは闇の一党時代に私がこなした最後の任務であり、遙か昔に忘れ去られた聖域の最後の任務だった。その後に私はしばらく目的を失った。そして時の騎士団を見つけ、ブラックドラゴンになった。
アカトシュに仕えながら許しを求めている、だが本当に何か変わったのだろうか?私は今でも殺人者だ。今も苦しんでいる。だが今はアカトシュが死を宣告した人々を殺している。もしくは、少なくとも、彼に選ばれたタムリエルの人々が標的だ。それを考えると、いくらかましになっているのかもしれない。
私はかつて自分の功績や行動に自信をもっていて、全く疑っていなかった。これは闇の一党時代(辞めるまで)のことであり、ブラックドラゴンになってもそれは変わらなかった。しかし今は不満を感じている。そしてそれは私が生涯苦手としていること、つまり疑問に対する答えを私自身に求めるようになった。これについて考えねばならない。また大司教に話を聞いてもらうべきかもしれない。
砂時計の居留地は人が多すぎて狭すぎると思い始めた後に、ナイツグレイブの遺跡を探し当てた。多くの活気のある人々と交流する資格は私にない。死は使命以上のものになった。今や私の一部だ。この地に長居して何が悪い?
* * *
遺跡に下る階段にある像には感心した。時の騎士団の創設者は誠実な戦士だったのだ。その一員だったことに誇りを持っていた時もあった。だが今は?分からない。今となっては分からない。
* * *
創設者か、もしくはその後にきた者は侵入者からこの場所を守ろうとしたようだ。かがり火は騎士団の道を開ける鍵か何からしい。どうにかして、この鍵を開ける方法を考えればいい。
* * *
かがり火に火を入れる順番は実に簡単だった。この聖なる地下に入る方法を見つけた者がほとんどいなかったとは驚きだ。
* * *
遺跡に入る方法が他にもあるに違いない。さもなければミノタウロスはどうやってここに入ったのか?驚きのあまり1匹倒さなければならなかった。その後、彼らをかわすには相当苦労した。殺さなければならない訳ではない。思うに、彼らはガーディアンのようなものなのだろう。そのままにしておこう。
* * *
武器庫の少し先で、時の騎士団の最初の第一の剣のために作られた部屋を発見した。ジュスティアとの確かな関わりを感じる。彼女の武器を手にしたら、彼女は微笑みかけてくれるだろうか。
* * *
パラゴンの王冠として知られる柱の輪の中で長いこと祈った。アカトシュは私の懇願をお聞きになったのだろう。すぐに私は遺跡のより古い部分へと繋がる地下道を見つけた。騎士団はより古い時代を思い起こさせる洞窟の上に元の本拠を建てたのだろう。印象的で、敢えて言うなら洞窟を支配するアカトシュへの畏れを感じる。この場所はアレッシア教団と、彼らのアカトシュを他のすべての神の上に押し上げようとする努力の恩恵を受けているのだろうとしか思えない。散らばった檻でさえ、アルトリウス大司教とクヴァッチ大聖堂の手下が行ったのよりも暗い儀式の存在を仄めかしている。
* * *
大司教、時の騎士団、闇の一党。皆が私をこんな風にした!ここ、アカトシュのもっとも恐ろしい存在の影の中で、私の本当の姿がついに分かるかもしれない。
ハンマーフェルから出港、
明るく輝いた朝に、
美しい船が風を浴び、
そして岸から進む。
そして岸から進む。
船長が血の誓約を誓い、
その目は真っ黒で残忍。
「海賊か私掠船員か?」
俺達は決して口にしない。
俺達は決して口にしない。
ダガーフォールの船を襲撃、
そしてブリークロックは略奪の限り、
しかし友の多くはヘヴンに、
そしてグラーウッド中に。
そしてグラーウッド中に。
船長は正直な魂。
彼女は船を見事に操る。
俺達は正直かと問われれば、
彼女は決して口にしない。
彼女は決して口にしない。
海岸沿いで盗品を収集、
それでも大丈夫だと誓う。
アイレン女王は決して文句を言わない。
まるで一度も言ったことがないように。
まるで一度も言ったことがないように。
だが俺達の財宝の場所はどこだと聞くか?
深く埋めたか、うまく隠したか?
財宝の宝箱に封じたのか?
俺は決して口にしない。
俺は決して口にしない。
あなたは私の闇の中の光だった
マキシヴィアン・ファレリア
421年 薄明の月19日死亡
享年 1歳
一時的に無所属の帝国古美術品学者、ノヌス・カプレニウス 著
どれだけ多くの高等教育機関に追放されようとも、どれだけ多くの出版社に学説の印刷や配布を断わられようとも、私は立場を撤回するつもりも研究の対象を変更するつもりもない。ミノタウロスがふさわしい評価と敬意を受けるようになるまでは!
帝国の起源に関する研究、特にアレッシア教団の盛衰に関する研究を通じて、私は驚くべきことに遭遇した。背景に隠れ、多くの場合意図的に人目につかないでいるが、見る目がある私のような者には見えるものがある。それは歴史的記録からほぼ消されていた、あるヒューマノイドの種族だった。この歴史への罪をそのままにしておくべきではない。私はこの生き物を、帝国の年代記の適切な場所に復活させることを誓う。
私が話しているのはもちろん、悪評が高く人々に誤解されている、ミノタウロスのことである。この人間のような体を持ち、牛のような頭をしたヒューマノイドの血は、女帝アレッシアにまでつながっている。この真実について言及する当時の記録は残っていないが、後の時代のもので、奴隷女王とキナレスの息子、神がアレッシアに手を貸して助言するために送ったモリハウスとの関係に触れた古い書物は数多くある。よくミノタウロスとして描写される半神半人のモリハウスが、奴隷女王との戯れと彼女の息子である牛人間、ベルハルザの誕生を通してその種族を生じさせたと私は考える。
ミノタウロスの起源に関する真実がどうであろうと、彼らは女帝アレッシアが統治していた期間とそれ以降に大多数が現れ始めた。初期のミノタウロスは知能が高く、エルフやオークやカジートと同様に独自の文化を持っていたと私は考えている。帝国に対する忠誠心が強く、ミノタウロスは女帝アレッシアにとって特に忠実な擁護者だった。当時の美術品や書物の一部もそれを暗示しているが、私を中傷する者たちの多くは私の主張を裏付ける確かな証拠はどこにあるのかと聞きたがる。残念ながら証拠の多くは、その名が過って名付けられたアレッシア教団が、帝国を支配していた間に破壊されてしまった。
結局のところ、アレッシア教団とは厳格なアレッシアの教義に従った集団だった。七十七の不動の教義によって定められた掟と規則の中でも、特に悪名高いのはエルフに対する断固とした反対姿勢だった。私の考えでは、教団のそうした姿勢は反エルフ的感情だけに限られたわけではない。怒った信徒たちは教義をあらゆる非人間種族にあてはめて迫害するために使い、それにはミノタウロスも含まれた。ベルハルザの石として知られる、現代に残された古代の石版の断片からは、アレッシア帝国の第2代皇帝、牛人間ベルハルザが敵を見下ろす様子を描いたものだと多くの学者が主張している、大きな彫刻の一部がうかがえる。しかし私自身によるその断片の研究からは、まったく異なるものが浮かび上がってくる。
彼らの鎧の外見と槍の形からして、その彫刻に描かれた敵と呼ばれている者たちは、実際には熱狂的なアレッシア軍の先遣隊であると考えられる。ミノタウロスの心臓めがけて突かれた槍は、これら初期のアレッシア軍がミノタウロスを殺したかまたは追い払ったことを表しており、現代に残る証拠の中に今でも見られるその種族の衰退につながったことを表している。かつて威厳を持った牛人間の種族にとって、なんと残念な末路だろうか!しかし、すでに私の中傷者の声が聞こえてくる。彼らは証拠を要求している。アレッシア教団によって行なわれた他の多数の残虐行為と共に消え去った恐れがある証拠だ。しかしもう一つだけ考慮すべきことがある。それは、特定の場所に出向き、安全な距離を取ってミノタウロスの様子を観察しさえすれば、誰にでも明らかなことである。
もし荒野でミノタウロスを研究することがあれば、ミノタウロスが帝国にとって重要だった古代の遺跡かその近くに集まってるのを見掛ける。なぜか?それは彼らが、かつて自分たちが初期の帝国における強力な守り手だったことを本能的に覚えているからだと考えられる。アレッシア教団の行為が原因で、その注目すべき生き物はほぼ完全に滅んでしまったが、彼らはそこに引き寄せられ、守り続けずにはいられないのだろう。
笑いたければ笑うがいい。ひどい仕打ちは受けてきた。しかし少し時間を取り、せめて考えてほしい。自分に問いかけてみるのだ、ミノタウロスはどうして古代帝国の遺跡を守っているのか?そうすれば、ミノタウロスの価値をほんの少しは認めるようになるかもしれない。
おおミノタウロス、おおミノタウロス
怒りに燃える荒々しい獣よ。
おおミノタウロス、おおミノタウロス
お前の高潔な姿は誰も否定できない。
帝国の遺跡に集まる、
蹄と角を持つ永遠なる守護者よ。
何の記憶がお前をそこに導く。
お前が惜しんでいるのはベルハルザか、それとも帝国か?
おおミノタウロス、おおミノタウロス
お前は怪物?エルフ?それとも人間?
おおミノタウロス、おおミノタウロス
どうやって神の計画に含まれたか教えてくれ!
エリンヒルのファラスタス 著
トロール種の起源はいささか不明瞭である。これは、彼らがどこからどうやって、どういう理由でやって来たのか、どうして存在しているのか、何もわからないということを言い換えただけである。
トロールが記録にも残っていない時代から、タムリエルの民間伝承に出没し続けてきたことは確かである。ほぼすべての文化において知られており、児童向けの寓話から古代人の歴史まで、あらゆる種類の物語に現れる。実際、トロールはコーセイの名高き「タムリエル論文集」でも触れられており、そこでは「貪欲なるトロールは、いかにも丸々とした巨体で[それは]民と王の肉を[等しく]喰らう」と言及している。
タムリエルにおける我々とトロールとの長い歴史を考えれば、人もエルフもトロールについて多くのことを知っているのが当然ではないだろうか。おそらくそうだろう。だが、知らないのだ。我々に知られている数少ない事実は以下である。
-トロールは獰猛で強大な肉食哺乳類であり、捕まえたものは何であれ、爪の先や骨髄に至るまで貪り尽くしてしまう。
-火以外の手段で傷つけられたトロールは超自然的な速度で回復する。この再生は魔法的な性質のものであることがほぼ確実である。
-トロールの脂肪は錬金術師に珍重される試料である。しかしその効能はレシピや精製技術によって変化する。
-その身体的な強靭さにもかかわらず、トロールは隠遁を好む生物であり、彼らの巣は通常、人が通る道から大きく外れたところにある。
これ以外に確実性を持って言えることはほとんどなく、様々な生息地に暮らしているとか、出身地域に応じた変種が存在するようだとか、その程度である。最も一般的で、それゆえ最もよく知られているトロールの種類は、タムリエル中部のフォレスト・トロールと極北のフロスト・トロールである。
しかし歴史や伝説は、他の種類のトロールがいることを伝えており、それらはあまり知られていないながらも、興味深いことにおいては引けを取らない。ヴァーデンフェルのラーバ・トロールなどのように、絶滅しているのがほぼ確実な種もある(もちろん、コーナークラブの話好きなダークエルフの妄想以外で、実際に存在していたとすればの話だが)。だが今日は、「貪欲なるトロール」のある希少種について述べておこう。このトロールには今でも確実に遭遇することができる。しかもアルゴニア中部やトパル島のような遠く離れた地域ではない。他でもないシロディールに住んでいる… もし、探すべき場所を知っていればの話だが。
私が言っているのは見つけにくいリバー・トロールのことである。帝国の獣と下級生物図鑑には載ってはいないだろうが、このトロールが実在することは私が容易に証明できる。私自らが個人的に、サッチの市場でリバー・トロールの死骸を目撃した。ブレナの支流に罠を仕掛ける、恐れを知らぬ狩人によって運ばれて来たものだった。彼女が私に語ったところによると、リバー・トロールたちは川沿いの洞窟や塚の中の目に付かないところを巣にしており、マッドクラブや大きな魚、クロコダイル、そして不用心な人間を同様に手の届く範囲で捕まえ、生き延びているらしい。リバー・トロールの目撃情報がこれほど希少なのはそのためだろう。出会っても生き残れるものがほとんどいないのだ。
死骸の外見は、火で傷ついていたとはいえ、この勇敢な狩人の報告を裏付けていた。よく見られるフォレスト・トロール種とは異なり、このリバー・トロールの皮は水をはじくキラキラした鱗で覆われており、銀がかった青色をしていて、丈夫であるだけでなく、加工も容易である。鱗のついた長い手は、爪のある指の間に水かきがついていた。そして牙は魚を食う生物に特徴的な、鋭く先の尖ったものであった。狩人が言うには、リバー・トロールは長い時間息を止めて、見られぬよう浅瀬に潜み、飛び出して奇襲をかけ、獲物を圧倒できるという。
この出会いがあって以来、私はシロディールの野生地で活動している他の人々に質問をしてきた。それでわかったのは、サッチのあの狩人の経験は特別なものではないということだった。リバー・トロールは滅多に見られないとはいえ、ブレナやストリッド、そして中央ニベン川系の流域に潜んでいる可能性があり、これらの地域で行方不明となっている家畜、および人間の少なからぬ割合は、疑いなくこれが原因であろう。自分が何をしているか知った今、私は自然の中での散歩を、より乾燥した高地に制限すると心に決めてしまった。何せ学者としての自分の経歴を、どこかの泥にまみれた川沿いの塚の中で、トロール種の餌食として終えたくはない!
レッドセイルの全船長へ
私が脱出するための秘密地下道に、2匹のリバー・トロールをおびき寄せるのが名案だと考えた馬鹿者はどいつだ?奴らのおかげで、入口の洞窟から地下道に入る野次馬はいないが、その一方で私が出入りしにくくなっている!
私が最後に城を抜け出した時は、ローストダックで一杯の手桶を遠くへ丸ごと投げる必要があった。さもなくば、あの恐ろしい獣の横を通れなかっただろう。
私が安全にトロールを回避できる方法を編み出すか、あの生物を私のトンネルから追い出せ!次に私が秘密の通路を使う必要のある時に奴らがまだいたら、お前達をまとめて一緒に閉じ込めてやる!
フォーチュナタ・アプドゥガル
涙を止めよう
ルシナ・ファレリア
421年 薄明の月19日死亡
享年 47歳
海を使って取引を行う大半の商人にとって、海賊は避けて通れない問題である。しかし、船乗り以外の者に海の厄災の原因となる人物の名を一人挙げてみろと言っても、間違いなく非常に困惑されるだろう。内陸に住む人々の耳に届くほどの悪行を成し遂げる海の無法者はほとんどいない。しかし、レッドセイルとそのリーダー、海賊女王フォーチュナタ・アプドゥガルにだけは、例外的にこのルールが適用されない。彼らの悪名はアビシアン海の沿岸全体に広まっており、海辺に住む人々にとっては、誰もが知っている万能の幽霊のごとき恐ろしい存在なのである。この評判は比較的最近になって広まった。
つい最近までレッドセイルは、他の海賊達と同じように自由気ままで目立たない存在だった。元々はストリッド川沿いの小さな集落を襲っていた襲撃者の集団だったが、フォーチュナタ・アプドゥガルが現れたことで新たな時代が始まった。この襲撃者達はすぐにレッドセイルとして知られるようになった。彼女はゴールドコースト貿易会社での自分の地位を利用して彼らを仲間に引き込むと、すぐに艦隊の編成に取り掛かった。
フォーチュナタの野心的、あるいは恐れを知らぬ指導力によって、襲撃者達はアビシアン海に初めて船を出した。そしてこの襲撃者達の小さな部隊は、無謀と言わざるを得ない状況の中で、自分達の船よりも大きな海賊船に乗り込んだ。海賊船の船長は小さな川舟があることに気付いていたが、判断を誤り、その船の接近を許してしまったのである。狡猾で残忍なフォーチュナタ達は、海賊船の船長を捕獲すると降伏を迫った。敵船の船員達には誓いを立てて彼女の元で働くよう提案し、前船長と将校達については、仲間達にマストから吊して殺すよう命じた。そしてフォーチュナタは、それ以降彼らの象徴となる、敵の血が染み込んだ帆を掲げたのである。
そしてフォーチュナタは、商人王としての人脈とレッドセイル海賊の台頭する力を利用して、船長と船員という立場を保ちながら、この無法な悪党の一団を君主と臣下という封建的な階級制度を持つ集団に作り変えた。数々の急襲作戦を成功させていくつもの海賊船と商船を拿捕したことで、彼女の旗の元にはますます多くの船長達が押し寄せるようになった。海賊女王とレッドセイルの恐ろしい評判は野火のように港から港へと広まっていき、その襲撃は恐怖の物語として、焦げ臭い酒場や混雑する宿屋で当たり前のように語られるようになった。
適切な時期を見計らっていたフォーチュナタとその艦隊は、ついにアンヴィル港に入ると、都市全体を支配下に置いた。現在、フォーチュナタ地方総督とレッドセイルは、白地に血染めのサーベルの旗のもと、20隻以上の船を所有していると言われている。正統な海軍を手に入れたことで、彼女はあらゆる港を自由に使えるようになった。帝国海軍の妨害がない今、彼女がゴールドコーストの先に目を向けるようになるのは時間の問題だろう。レッドセイルはあらゆる野望を果たしたと考える者がいるかもしれないが、それは単に現実から目をそらしているだけである。
アビシアン人よ、気を付けろ。嵐がやってくる。
運命の聖なる教えに背く者は、労働の成果を味わえない。
皆集まってよく聞け!淫らなネレイド劇団が街にやってくる!
ほんのわずかな金を払えば、お気に入りの物語のセクシーで大胆、そして猥雑な描写の公演を見られる。演じられるのは、淫らなネレイド劇団のみ。
見れば見るほど艶やかになる千の顔の淫らな女、魅惑のティルウェンに驚愕せよ!
巨山の男、トリド・トロロンに心躍れ。彼はその眼差しだけで、男女両方の心をとろけさせる。
ハンマーフェルの燃える砂で鍛えられた魅惑と快活さをもつ、謎に包まれたリタベスの虜となれ。
劇団は、あなたのお気に入りはすべて演じると約束しよう。公演内容は、「ネッチよ、いたるところに!」、「勇敢なる小さなスクリブ」、「ペソリスとアルゴニアンの乙女」を含む。
荷物を確保し、前金も受け取った。手はずは整った。港でラウディ・グアル号を見かけたら、真夜中過ぎに埠頭へ来てくれ。荷物を渡す。
封のされた樽を探せ。青い炎を上げる杖が目印だ。金の入った袋を私から見えるように樽の上に置くんだ。そこで、お互いに持ってきた物の受け渡しをする。
金を数え終わったら、樽の横腹を叩く。そうしたらリンゴや魚を運ぶように、樽を家まで持ち帰ってくれ。倉庫長には話を通してある。だからレッドセイルに呼び止められることはないはずだ。もし何か言われたら、「ネズミの肉」を運んでいると答えろ。それで通じるはずだ。
樽の中から音や叫び声が聞こえてくるんじゃないかと心配しているかもしれないが、その点は大丈夫だ。上陸する前に、私の作った特別な薬でそうならないようにしておく。そちらの荷物は、家に持ち帰るまで間違いなくおとなしくしているはずだ。たとえ転がしているときに倒したとしてもだ。その効果を和らげるための薬も渡す。
この荷物であれば絶対に満足させられるはずだ。だが、飽きてしまったら、お望みとあらば、また他をすぐに用意することもできる。金さえあれば、いつでもブツは手に入れられる。
お前達ゴロツキの多くは、誉れ高きフォーチュナタ船長と航海する喜びを味わったことがない。そこでだ。崇高で輝かしい地方総督のことを正しく理解させるため、以下に事実を列挙する!
フォーチュナタ船長が声を上げれば、風が耳を傾ける。
フォーチュナタ船長は過去一度も壊血病を患ったことがない。壊血病が彼女をイラつかせたくないからだ。
フォーチュナタ船長はかつて、ものすごいくしゃみをして船を沈めたことがあるが、乗船していた船乗り達は溺れなかった。彼女が生きろと命じたからだ。
フォーチュナタ船長が風に向けてオナラをすると、ハリケーンが生じる。
フォーチュナタ船長はかつて、エバーモアの街につばを吐いたことがある。ビョルサエ湖はそこから生まれた。
頭の悪いダークエルフはかつて、フォーチュナタ船長は歌えないと言った。彼女は奴を思い切り殴ったので、空へ飛んでいった。我々は奴が落ちてくるのをまだ待っている。
フォーチュナタ船長が剣しか扱わないのは、その小さな指で殺すのに飽きたからだ。
フォーチュナタ船長は釣りをしない。魚がほしい時は魚がデッキに上がり、自らを料理する。
鮫はフォーチュナタ船長を噛まない。なぜなら歯を折りたくないからだ。
デイドラ公はフォーチュナタ船長と取引したいと頭を下げる。
そして、これは愛する海賊女王の栄光の始まりに過ぎない!
ワーロシュをここに連れてきて卵に受精させるときは、子供達が走り回っていないか確認しろ!
何回説明すればいいんだ?ワーロシュが子供達を攻撃すれば、ワーロシュが子供達に傷つけられる!この辺りに成熟した雄はワーロシュしかいない、彼がいなければ卵は全て無駄になってしまう。
もう一度面倒を起こしたら、お前をワーロシュの餌にしてやる。間抜けな騎士達との約束なんてどうでもいい。
パーネイ隊長
アルトリウス大司教とアカトシュの聖なる意志により、犯罪行為から足を洗い、時の竜神に魂を捧げたレッドセイルには、過去に犯した不法行為についてその真偽を問わず、無条件に恩赦を与える。
時の騎士団はそのような人々が聖なる軍団に加わることを歓迎している。用意している赦免状の配布が終わるまで、砂時計の居留地で定期的に申し込みの受付を行う。
急げ!騎士団はあなたを必要としている。あなたに永遠の救済を。
美しき暗闇は、調査の次の段階のために配達場所を変えることを要求した。クヴァッチ周辺の新たな場所に、お前の発見物と巻物を置いてくるのだ。正確な地図のためには、以下に記された部分のすべてが必要だ。
次の伝令が届けられるように、お前の暗号を下部に置いておくこと。
-狼の絶え間なき流れ
-闘士の上の止まり木
-永遠の騎士
-道を見下ろす場所
吸血鬼の女王、ザラル・ドーのことを初めて耳にしたのは、エルデンの市場を回っていたときのことだった。噂は興味深くもあり、恐ろしくもあった。権力と悪評を得たカジートのことを、人々は恐れとかなりの尊敬をもって、その名を囁いていた。正直に言うと、私は幼少期以来、吸血鬼として生きることのリスクと恩恵をずっと考えていた。そして吸血鬼の物語を聞くにつけ、噂を理解するにつけ、自分の目的を理解するようになった。
ザラル・ドーを探し出して説得し、私を吸血鬼に変えてもらうことだ。
どうして私が吸血鬼になりたいか?それはいい質問だ。確かに、この執着心にとりつかれてからというものの、自問したのは1度きりではない。思うに、力への欲求と、一部の学者が繰り返し主張する吸血症とセックスの相関に関係しているのではないだろうか(そう、私は本件に関する本と手紙を探し出し、すべてを読破した)。だが、全てさらけ出してよいのなら——そしてこれは私の個人的な日記であるから、そうするべきか——私が本当に魅力を感じたのは、吸血鬼の一族の長寿だ。古代種は数百年、時として数千年も生きられると読んだことがある。幼少期に早すぎる両親の死を経験した身としては、この「不死」という選択肢には非常にそそられた。
血を飲むことについては、あまり積極的になれないが、何事にも一長一短はあるものだ。世界の仕組みと同じといえる。飲み始めは気分が悪くなるかも知れないが、忍耐をもって事に当たれば、やがて深紅の流体が毎夜の楽しみにさえなることだろう。知的生物の血が必須だろうか?むき出しの牙はそのためにあるのだろう。
私がザラル・ドーのねぐらを見つける前、吸血鬼の女王に自己紹介をする前に、メル・アンドリスという狩人が街にやってきた。街の衛兵との会話を盗み聞きしていた私は、彼が失踪と不審な死について問いかけ、ザラル・ドーの名を口にするのを目撃した。私が吸血鬼の女王に会い、見習いを申し出る機会を彼が台無しにしてしまう。私は狩人を追って、彼がザラル・ドーの痕跡を探し出し、ねぐらまで辿り着くのを見た。もちろん、吸血鬼はいなかった。彼女の知性を考えれば、メル・アンドリスのような者が捕捉できるはずもない。
以後、見つからないように数ヶ月を費やして、できる範囲で吸血鬼ハンターを尾行した。分かったことといえば、ザラル・ドーを探し出せる能力は、彼の方が高いということだ。吸血鬼の女王にさえ近づければ、メル・アンドリスを遠ざけて吸血鬼の力の報酬をくれるように、彼女を説得できると確信していた。この夢こそが、グラーウッドからグリーンシェイド、マラバル・トール、そして最終的にゴールドコーストまで狩人を追跡した私の原動力となっていた。
はたして天は私に味方した。船がアンヴィルに到着すると、吸血鬼ハンターは具合が悪くなった。ひどい嵐を通過したせいで、不憫な男は病気になったようだ。これで、私はザラル・ドーの手がかりを探し、メル・アンドリスよりも数歩有利な状況に立った。吸血鬼の女王はロータ洞窟に巣を構えていると思われる。血の渇きがやってきた際に、アンヴィルの獲物を追うには最適な場所と言える。私は洞窟まで足を運び、吸血鬼の女王に姿を見せるつもりだ。彼女の見習いになるのが待ちきれない!
かつて素晴らしい街であったクヴァッチを犯罪と堕落だらけの掃きだめに変えてしまった、犯罪者とならず者にはもう我慢できない。そんな悪党どもの中で最もひどいのは誰だと思う?密売人でも山賊でも海賊でもない。あの毒蛇の集団、まともな商売を装っているあの秘密の教団だ。噂話を聞いたことがある者もいれば、伝説を知っている者もいるだろうが、その全貌、血にまみれた真実を知っているのは私だけだ!そして今、残酷な狂信者たちを白日の下にさらしてやるつもりだ!闇の一党よ、いかに卑劣な殺人者か、明かされる覚悟をすることだ!
* * *
兄弟の所有していた書類に混ざって、この書きかけの手紙を見つけた。そして証拠や秘話、さらに宗教的な禁欲主義者を自負しながら落札者に闇の能力を売る者たちに関する、とりとめのない推測で埋め尽くされた日記も見つけた。完全に証明することはできないものの、私から見れば兄弟の最期について不確かなことなど何一つない。腐った赤キノコのシチューを食べたから死んだのではない。違う。あの堕落した信者によって残酷にも暗殺されたのだ。その指示はあの夜——
* * *
なんてことだろう。最初は義理の兄弟。そして今度は夫。自分の家の男たちがこれほど弱く、若くして死ぬ傾向があるなんて、誰も考えはしないはずだ。2人の兄弟に起きたことには、一見明白な結論では片付けられない何かが隠されているのかもしれない。たくましく、健康的で男盛りの2人が、机で書き物をしている最中に突然倒れて死んだという話を信じろって?私は2人が書き始めていた手紙をよく調べ、殺し屋や、真夜中に行なわれる闇の儀式について書かれた、悪事を暴く日記をじっくり読んでみた。
すべて読み終え、出すことができた結論はただ1つだけだった。夫と夫の兄弟が死んだ理由は… 自然死だ。ゴールドコーストでは、雇われた殺し屋の教団なんて活動していないのだ!もし違うことを言うような者がいたら、おそらく私の最愛の夫や役立たずの兄弟のような最期を迎えることになるだろう。だからこれを読む人がいたら、私は日記を焼き払い、くだらない殺人の話を忘れることにすると言っておく。
とはいえ、しばらくの間、赤キノコのシチューを食べることはないだろう。
とても興味深いアイレイドの遺跡をゴールドコーストの荒野に発見した!将来、キレスと僕が戻ってきて、遺跡の適正な調査と目録を作成できるよう、地図に印をつけておいた。僕に分かるのは、遺跡の扉が強固に封印されていることだ。ずっと長い間、誰も足を踏み入れていないのだろう。
何ということだ!資金を援助されているハンマーフェルの探検が僕たちを待っているというのに、この心惹かれる遺跡は目の前に鎮座して、僕たちが奥深くに進むまで辛抱強く待っている。キレスと僕にお金さえあれば、必要な道具を購入して、すぐにでも中に入るのに。
まあ、少しメモをしておこう。ページが頻繁に抜け落ちてイライラする、癖のあるキレスの日記を使うのは嫌だが、手元にはこれしかない。このページは絶対に落とさないはずだ。結局、僕は優秀なレイノー・ヴァノスなんだから。
浄化師ガンサファーへ
尊敬すべき教団を代表してこの聖なる義務を引き受けてくれたことに感謝する。この世界から汚れたライカンスロープ症の呪いを排除するために、銀なる暁と神々の司祭達はたびたび協力し合ってきた。是非とも、もう一度力を貸してもらいたい。
今回の標的は、ヒルデガルドという名の若いノルドの女性だ。彼女は髪に花を付けていて、頻繁にアンヴィルのディベラ大礼拝堂を訪れている。だが、その見た目に騙されるな。目立つような体格ではないが、怪物の心の持ち主だ。
彼女が今度礼拝堂を訪れたとき、呪いを与えたスカイリムの森に戻るよう彼女を説得するつもりだ。彼女を追跡して始末しろ。とにかく全力を尽くすんだ、そうすればお前達は多額の寄付金を手にできる。
詠唱師ネムス
ヒルデガルドの話
ある日、トロルヘッタ山の坂道でウサギ狩りをしていた銀のウェアウルフは、風に乗って聞こえてきた泣き声の方に耳を向けた。誰かが苦しんでいるのを無視できるものなどいない。銀のウェアウルフはウサギを繋いだ紐を肩に掛けると、声のする方にゆっくりと向かった。するとやがて、火の消えたキャンプの前で、空を見上げながら一人悲しみの声を上げている、髭の生えた大きな巨人の元に辿り着いた。
「なぜ泣いているんだ?」と銀のウェアウルフはうなり声を上げた。彼女が首に掛けていた疾き狐グリベグのメダルのおかげで、巨人はその言葉を理解できた。
「妻がいなくなった。子供もいなくなった。消えたんだ。寝ている間に。小さな足跡がたくさんある。ゴブリンに連れ去られたのかもしれない」
彼の言ったとおりだった。銀のウェアウルフの鋭い嗅覚は、少なくとも10匹のゴブリンの臭いと、麻痺性の毒の独特な香りをかぎ取っていた。巨人の家族は死んでいない。だが間もなくそうなるだろう。殺されて腹を空かせたゴブリン一族の食糧になるのだ。そんなむごい運命を迎えるに相応しいものなどいない。
銀のウェアウルフは背筋を伸ばして低くうなり声を上げると約束した。「彼らはゴブリンから解放される」
「皆を家に連れてきてくれたら、何でも言うことを聞く」
「お前に笑顔になってもらいたい」とだけ彼女は言った。
銀のウェアウルフは地面に鼻をつけると、トロルヘッタ山に残されたゴブリンの臭いを追い、スモークフロスト・ピークスを越えて、ロストプロスペクトの端にあるゴブリンの巨大なキャンプに辿り着いた。ひとつの場所にこれだけのゴブリンがいるのを見るのは初めてだった。ゴブリンでもこれだけいれば、巨人を食糧にするために勇気を奮い立たせて誘拐できた。小さな部族であれば執念深い巨人を怒らせるようなことは絶対にしない。
10匹程度のゴブリンであれば無傷で倒すことができる銀のウェアウルフでも、相手が数百となると話は別だった。彼女は冷静にならなければならなかった。そして近くにある死体の臭いが、彼女にひとつの策をもたらした。彼女はノルドに変化すると、この死んだ女の衣服に身を包んだ。その服を着た彼女からはもはや全く殺気は感じられなかった。そして彼女は、雪の中、道に迷った可哀想なノルドを演じながら、ゴブリンのキャンプに転がり込んだ。
ゴブリンはすぐに彼女の元に来たが、彼らが目にしたのはぼろ切れに身を包んだ無防備なノルドの女だけだった。素晴らしい褒美だ。彼らは銀のウェアウルフを傷つけることなく、しっかりと縛り上げると、捕らえた獲物を調理するまで保管しておく食糧貯蔵庫に連れていった。
彼女が考えていたとおり、自信過剰なゴブリン達は彼女の計略にかかったのだ。ノルドの体に包まれていたものの、銀のウェアウルフの鼻は近くに巨人がいることをかぎ取っていた。後は夜になるまで待ち、巨人の家族や自由を求める者達と一緒に逃げるだけだった。
夜が訪れ、ゴブリン達が眠りにつくと、食糧小屋の周りをうろつくのは訓練されたヅラゾグだけになった。分厚い雲のせいで月がおぼろで、狩りには向かない夜だった、だが隠密行動にはもってこいの夜だ。この檻であればノルドを閉じ込めることはできる。だが、彼女の獣の力の前では無力だった。
銀のウェアウルフはその鋭い嗅覚を使って、影のように静かに辺りを散策し、ついに巨人の閉じ込められている食料小屋を見つけた。静かに扉を開け、中に入り、巨人とその子供を縛りつけていた縄を引き裂いた。
「お前の愛する者が、お前が消えた場所で待っている」彼女は小さくうなり声を上げた。
「ありがとう、月に口づけされし者よ。これで彼にまた会える、絶対に帰ってみせる」
そしてキャンプから出ようとしていた銀のウェアウルフは、ノルドが閉じ込められている食糧小屋を見つけた。彼女は、生きるためでなく遊びで殺しをする狼殺しや動物達のことを嫌っていた。だが彼らにも利用価値があるということは分かっていた。
「すぐに逃げろ!」彼女は巨人に向かってうなり声を上げると、ノルドの食糧小屋を引き裂き、歯をむいてヨダレを垂らしながら彼らを爪で威嚇した。
ノルドは悲鳴を上げながら檻から飛び出すと、四方八方に逃げ、ヅラゾグとゴブリンの注意を引き付けた。その混乱の中、銀のウェアウルフは巨人を見つけると、彼女をキャンプの外れに連れていった。ゴブリンが彼らの前に立ちふさがったが、銀のウェアウルフの爪と牙に引き裂かれ、復讐に燃えた巨人に何度も殴りつけられて粉々になった。
すぐに追ってくるのはヅラゾグだけになった、だが銀のウェアウルフが耳をつんざくような遠吠えを上げると、臆病な犬達は飼い主の元へとすぐに退散した。銀のウェアウルフは、一部のノルドも逃げることに成功したことに気付いていた。彼らはすぐにゴブリンを倒すために、大群を引き連れて戻ってくるだろう。そしてノルドは実際にそうした。その時ばかりは銀のウェアウルフも彼らの幸運を祈った。
銀のウェアウルフは闇に紛れながら、巨人と一緒にトロルヘッタ山を登り、キャンプへと戻った。そして家族達は再会を果たした。孤独な巨人は子供と妻を抱きしめると、しわがれた声で感謝の言葉を言った。
「どうすればいい?どうやって恩返しをすればいいんだ?」
自分の子供達を思いながら彼女は答えた。
「笑顔になってもらいたい。お前が彼らを一番大切に思っていることが分かるように」
そして彼はそうした。
アヌの元に生まれた人々に、夜母の災いあれ。
死の牢獄の向こう側から、あなたの冷たい刃の抱擁をもって、我が罪深き瞳を見た者を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
スカイウォッチから、踊り続けながらその瞳と服に神々を映し出す彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
エルデンルートから、木々と同じように老いて捻れ、腰が湾曲ではなく曲がっている彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
マーブルクから、鳶色のベールを被りながら市場を調べ、心臓の近くに常に銀を携えている彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
バルクワステンから、麦わらとその尻尾を振って、季節を追い払う彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ラウル・ハから、茶色と金色の縞を着た彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ダボンズ・ウォッチから、銅線細工に覆われた、銀であり、灰であり、炎である彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
モーンホールドから、赤い紋章を付けて行進し、湾曲した鋼を振るう彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ストームホールドから、泥がこびりついているがぬかるみに触れていない、光り輝く骨の光輪を持つ彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ウィンドヘルムから、時の流れにより腰が衰えているが、その年月から黄金の王冠を守り続けている彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
リフテンから、海藻が腕に巻き付き、インク汚れが付いている彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ダガーフォールから、その心と同じように退屈な外見と知力を持ち、同じようにひんやりとした服を身につける彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ウェイレストから、深紅のカーテンと傷ついた顔の向こう側からのぞき込み、その正体を隠す彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
ショーンヘルムから、喜びのない頑なな笑顔を浮かべ、死を姉妹として歓迎する彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
センチネルから、金色の檻にぶら下がった美しい黒いロープをたなびかせる彼を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
* * *
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
エバーモアから、心にたくさん傷を負っているが、それを恐れず誇らしげに受け入れる彼女を捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
アヌの元に生まれた人々よ、汝、恐怖の父の生贄となれ。
夜母よ、あなたから生まれた人々を生贄として受け入れたまえ。
呪いが隠そうとした彼らを捧げよう。
目を見れば彼らを見つけられる。
称えよ、彼らが血の中で涙を流している。
伝えし者テレヌスによる注釈付き
兄弟たちよ、我々は捕食者ではあっても、動物ではない。我々は国家や同盟のいかなる法にも従わないが、規則と倫理は持っている。これらの教義を破る、あるいは従うことを拒絶するならば、その危険を覚悟するがいい。闇の一党からの追放は、そのような忌むべき裏切り者を待ち受ける処罰の内で最小のものである。
五教義に従い、お前の献身に決して疑いを持たぬようにせよ。
教義その1。夜母の名誉を決して汚さぬこと。これを破ることは、シシスの憤怒を呼び起こす。
夜母を崇拝せよ。我らが不浄なる母は我々の任務の供給源であり、闇の一党の生命線である。
教義その2。闇の一党を裏切らず、その秘密を決して明かさぬこと。これを破ることは、シシスの憤怒を呼び起こす。
我々は影の中で繁栄する。その影に光を当てることはシシスと夜母への冒涜である。
教義その3。闇の一党の上官からの命令に対する不服従、あるいは拒絶は許されない。これを破ることは、シシスの憤怒を呼び起こす。
聞き、そして従うこと。闇の一党のすべてのメンバーに与えられる最初の教えである。
教義その4。闇の兄弟や姉妹の所持品を決して盗まぬこと。これを破ることは、シシスの憤怒を呼び起こす。
兄弟から盗みを働くことは、夜母から盗みを働くことである。シシスはそのような盗賊を憎む。
教義その5。闇の兄弟や姉妹を決して殺さぬこと。これを破ることは、シシスの憤怒を呼び起こす。
我々は家族であり、家族は家族を殺さない。メンバーが追放されない限り、その命は自分自身の命と同様に神聖である。
この契約を守れなかった時、裁きのためにやって来るのはお前の親類ではないということを知るがよい。すべての新たな入門者に伝えられるレイスの物語を覚えておけ。物語はただの寓話ではない。シシスの憤怒は本当に存在しレイスを送って教義を破った兄弟や姉妹を処罰させる。
市井の歴史家、ジョーン・アリニー 著
闇の一党としてのみ知られる地下組織の詳しい調査は、長く困難なものだった。だが何年もの研究、数えきれない面談、そして幸運に恵まれて、ついに殺人教団の指導組織を突き止めた。悪名高い黒き手だ。以下の記述は理論と憶測で補強されているものの、私が作り上げた概要に基づく分析結果は、事実に基づき間違っていない。
闇の一党のアサシンに命令する力を持っているのは、黒き手と呼ばれる一団だ。一般的な手と同じく、そのグループは5人の構成員からなる。4本の指と親指だ。指に相当する構成員は伝えし者と呼ばれ、親指に相当する構成員は聞こえし者と呼ばれる。称号と位階はこの教団に入っていない人間には馬鹿げて聞こえるが、アサシンは彼らの言葉を非常に真剣に受け止めている。
ここで、より不思議な概念を説明しなければならない。信じ難く、下位のアサシンを制御するために用いられる伝説のようにも聞こえるが、私が明らかにした限り、教団はこの概念を固守している。ほぼ神格化された影の女族長、闇の女、またの名を夜母と言われる存在が、闇の一党を率いているという。どうやら、闇の女を見た者はいないようだ。かわりに彼女は聞こえし者にささやいて命令し、聞こえし者は伝えし者を1人選んで命令を伝える。そして、ほとんどの命令は殺人に関係している。
聞こえし者は何を聞くのか?詳細は分からないが、知識に基づいて推測すれば、顧客から闇の女に依頼された殺す対象の名前か目標だと推測できるだろう。聞こえし者はこの情報を伝えし者の1人に渡し、この伝えし者が個人の一存で実行犯となるアサシンを選ぶか、または下位の部下に情報を伝えて任務を授ける。
私が知る限り、アサシンは1ヶ所に集まらない。この教団はその構成員をヘヴン、聖域、避難所、アサシンポートなどとして知られる、小さく自給自足した集団に分けている。ここでも情報はしばしば変動し、相反することさえあるが、様々な情報の中から真実を理解するため私は最善を尽くした。特定の地域からアサシンを広く放つために作られたと見られるこうした安息所の指導者たちは、卿、統括せし者などと呼ばれる(ある文献では未亡人と呼ばれているが、私の研究の中ではこの他の呼称のほうがより一般的である)。伝えし者は部下に命令を伝え、行動を起こすアサシンを選ばせることができる。
最終的に、私はそれぞれの伝えし者が個々のアサシンに命令を下すことがあると突き止めた。おそらくは本当に特別な任務のためだと推測する。個々のアサシンが手首や指の関節といった体の一部と考えられているのかどうかははっきり言えないが、黙りし者、静かなりし者、または奪いし者という称号が与えられている可能性があることがわかった。威圧的で、馬鹿げた名前でもある。彼らは他に類を見ない最上の殺し屋と考えられている。黒き手の構成員となっているかどうかについては確証は得られず、また彼らがどのように命令を受けとるのかという情報も見つからなかった。
闇の一党。黒き手。おかしな殺し屋の教団としては芝居がかった名前だ。だが、殺し屋に変わりはない。
アカトシュの司祭、説教師エクソードー・ヴァシディアス 著
時の騎士団は帝国最古の騎士団の一つである。第一紀、帝国の初期に誕生し、第二紀の間にひっそりと消えた。エノン・デカンはアカトシュに身を捧げる騎士団として創立したが、当初からメンバーには聖職者と軍人が混じっていた。
現在の時の騎士団は、第二紀432年にアカトシュの戦闘司祭カボー・メルラによって、第二帝国の崩壊とロングハウス帝の到来に応じて作られた。竜神の司祭の安全が脅かされていると感じ、アカトシュ大聖堂と数多くの歴史的、宗教的に重要な宝を保護する目的で、カボーは献身的で信頼の置ける仲間の司祭を集め、大聖堂を守るために自身と仲間の身を捧げた。その日、時の騎士団は再誕した。
やがて、信心深い兵士とアカトシュに仕える戦闘司祭が、騎士団の旗の下に集まり始めた。しかし、懸念されたようなロングハウス帝の神々に対する報復は実際に起きず、時の騎士団は大聖堂やアカトシュの信仰の指導者である大司教に仕える、小規模ながら精鋭たる護衛隊に姿を変えた。訓練を続け、戦闘への準備を保ちながら、時の騎士団は様々な意味で主に儀式的な組織へと発展した。何らかの脅威に襲われることは時々あったが、騎士団には対処する準備ができていた。
例えば、第二紀467年クヴァッチのパン暴動。赤麦病で2年続けて不作になったことで恐怖と怒りを抱いていた民衆は、アカトシュとその司祭たちが状況を正すために十分な手を打っていないと考えた。グラフ・ボジョールは斧とたいまつを掲げた暴徒を大聖堂の階段まで率いて、暴力を行使して自分たちの不満を知らしめようとした。しかし時の騎士団はその攻撃に備えており、セヴェラ修道女と戦闘司祭たちは群衆の半数を、たいまつが投げられる前に虐殺した。大司教は苦難が終わるように祈ることを約束し、次の季節が訪れる頃には病気が自然と収まっていた。
時の騎士団の勇敢さと献身を示す例は他にもある。第二紀540年にファラスタス大司教を暗殺者の剣から救ったこと、そして第二紀561年に司祭と巡礼者が乗ったキャラバンを山賊から救い出したことなどだ。騎士団は大聖堂、そしてその延長として司祭や、その聖なる場所を使う崇拝者に仕えて守るという誓いに迷うことなく従っている。
第二紀480年、アカトシュ大司教による布告により、宗教的緊急事態においては騎士団に軍隊を結成する許可が出された。宗教的指導者のみに応える形で、軍隊化した騎士団はオークのカリスマ的略奪者、剣折りのバズが率いた悪党集団から街を守るため、クヴァッチの城壁に出向いた。騎士団による奮闘のおかげで、悪党どもは敗北して街は救われた。その直後に軍隊は解散し、騎士団は大聖堂における通常の任務に戻った。
騎士団への入団者は信心深いアカトシュの信徒で、完全に騎士団とその厳しい規則に身を捧げられるように、未婚でなくてはならない。騎士団は小規模な戦闘司祭の集まりとして始まったものの、その組織は近年その受け入れ条件を広げ、聖職者でない者も誓いを立てられるようになった。騎士団に誓いを行うと、メンバーは戦闘術と大聖堂の安全を守るために必要なスキルを磨く厳しい訓練を受ける。
帝国が崩壊して三旗戦役が始まり、ゴールドコーストがシロディールから孤立した際、クヴァッチ大司教アルトリウス・ポンティカスは、直ちに時の騎士団の力と権限を強化することに取り掛かった。コマンダー・マルクス・スキピオに騎士団の規模を拡大するよう指示し、騎士団の務めが大聖堂の境界に縛られず、クヴァッチの街全体に及ぶよう拡張を始めた。それは大司教がこれまで何度も言っていたように、「危険で困難な時期にクヴァッチ衛兵の軍事力を強化するため」に行なわれた。誰が見ても分かる通り、大司教はクヴァッチと人々のことだけを最優先に考えているのだ。
街と大聖堂に対する昨今の脅威を受けて、クヴァッチ伯爵はアカトシュ大司教に緊急事態の権限を与え、再び騎士団を軍隊に変えられるようにした。今日、時の騎士団は組織の歴史上最多の人員を抱えている。拡大を続ける軍隊は、献身的な戦闘司祭たちと、信仰心のある熱心な兵士たちの両方によって構成され、現在の騎士団はアカトシュ大聖堂の土地における安全を維持して平和を保つだけでなく、クヴァッチ全体の平和を維持している。ヴァレンの壁の向こう側でどんなに事態が混迷しようとも、クヴァッチでは騎士団がすべてをうまく治めているのだ。
愛しき母へ
あなたの名前を覚えている。私の周りは嘘つきだらけで、自分も嘘つきになってしまった。でも私の嘘には、密かな殺人の影に飛び散る血液のように、あなたの支配する世界がはっきりと見える。だから彼らの前で真実を叫んだり、死者の耳にあなたの名前を囁いたりしたくなっても、それを秘密にすることが私の信条であり、私の楽しみであり、正しいことなのだと自分に言い聞かせる。
ただあなたともう一度だけ話したい。なぜ私じゃ駄目なんだ?私はいつもあなたの声を求め続けてきた。彼らが私を闇の姉妹と呼ぶようになる遥か前、私はあなたの闇に包まれていた。私はキマイラだった、あなたのために幾度となく姿や形を変えて、無数の嘘をつき続けた。あなたに見てもらうために。聞いてもらうために。彼らは自分達のことを聞こえし者と呼んでいる、だが私より希望と願望をもって、あなたの囁きに耳を傾ける者はいない。
私は八つの影に隠れながら、あなたの教えに従って歩き続けている。私は偽りの生活をし、人々を殺めている。恐怖の父ではなく、あなたのために。彼らは自分達のことを伝えし者と呼んでいる、だが私以上に強い信念を持ちながら、あなたの言葉を伝える者はいない。
私が建てた祠が見えるだろうか?私の体は祠だ。どの顔も真実ではない。嫉妬によって生まれ、嫉妬によりそれを感じる。誘惑の力。恐れの抱擁と支配、家族と真実の裏切り。他者を殺し、自分を殺す。飽くなき願望。そしてあらゆる宝物が偽物だったとき、私が感じて解放する怒りを。あなたの、そう、あなたの中で再び感じるのだ。
愛する母よ、あなたの名前を覚えている。だがあなたが望むのであれば私は嘘をつき、その嘘を愛そう。それがあなたの教えなのかもしれない。宝物は偽りだ。
アレッシアの教義が出来た直後、シロディール初期の伝説によれば、クヴァッチ王国の摂政評議会を構成する3人の領主がいた。王と2人の領主の名は歴史の中で失われた。しかしファレリア卿の名は、人は愛する者を守るためどこまでできるかという訓話の中で夜ごとささやかれている。
ファレリア卿は若かりしころ、秘密裏にそして家族に恥ずべきことに、闇の魔法と死霊術に長けたエルフの研究者と恋に落ちた。ネナラータのアイレイドは帝国に忠誠を誓っていたが、彼らは上流社会でいまだ認められていなかった。彼らは共に失われた秘密について研究し、共にいられる方法を見つけようと模索した。彼らは秘密裏に結婚し、帝国の布告が終わりを告げるまでは短い幸せを楽しんだ。
粛清から妻を隠すため、ファレリア卿はその要塞を地下にトンネルを張り巡らせて拡張した。空間魔術と雇った労働者の汗、ミノタウロス種族の助けによって空間を拡張した。その地下施設は妻のアイレイドの祖先のもののように、壮大で同様に凶暴だった。
各棟が完成すると、彼らはひそかに労働者を抹殺した。埋められた者がいた。ファレリア卿とその妻の寿命を延ばすために命を抜き取られた者もいた。中には不死のガーディアンとして生き返った者もいた。ファレリア卿は噂と秘密を漏らすことはできず、死人には口がなかったのだ。
棟が拡大すると、ファレリア卿の家族も増えた。彼はエルフの子供たちを、死と帝国による追放から守るためなら何でもすると誓った。ファレリア夫人は3番目の子供を産む際に亡くなった。喪に服した彼は地下道に巨大な真鍮の墓碑を立てて愛を誓い、子供たちを帝国の狂信的な信者から守るためにあらゆることをすると約束した。
このとき、ファレリア卿は闇魔術の研究にのめりこみ、どこか遠い領域で罪なき者を犠牲にして得た闇の力で、物騒な魔術を企てた。力を導く方法を学び身に着けたが、限度を知らなかった。
ファレリア卿はエルフの妻の死の後、狂気に落ちていったが、外の世界にいる人々に彼の問題を説明できなかった。 エルフの家族の秘密を守るために彼はその領土を拡張し、新しく快適な場所を与えるために、使い捨ての労働力を使い続けた。
子供たちは成人したが、日の光を見ることは滅多になかった。大人になった末の息子はもはや幽閉に耐えられなかった。彼はごく簡単に、しかも頻繁に脱出した。息子が商人の娘と恋に落ちたのは自然なことだ。すぐに子供ができた。彼女の家族はその子のエルフとしての特徴を不審に思い、彼女に恋人がファレリア卿の息子であることを告白させた。ファレリア卿は露見したことでおびえ、孫を他の家族と一緒に隠した。
帝国は反逆と敵への協力という罪状を掲げ、数日で門まで押し寄せた。帝国に対する罪を前に、彼にできることはなかった。だが彼はこの日のために返答を用意していた。狂気の中、ファレリア卿は闇の儀式を実行した。家族と一緒にいられないのなら、作り出したものをすべて破壊するつもりだった。帝国軍と一緒に。
夜が来た。儀式は終わった。完全な闇の中で、城全体を潰すためには最後の行動が一つ残されているだけだった。最後の瞬間、彼の肩を叩いた者があった。息子が他の家族と一緒に、背後に立っていた。
遅すぎた。闇が地面から煙のように這い、物体を、壁を、人間を、エルフを溶かした。人間のような姿を型作り、内側から包囲する軍を攻撃した。または亀裂のように開き、辺りを飲みこんだ。
終わったとき、廃墟となった中にファレリア卿だけが残った。伝説では、彼は子供たちと孫をかつて行くことを許さなかった外界に埋葬した。それから彼は地下の穴に戻り、自身を埋めてしまった。
ほとんどの偉大な人間の名よりも、壁と記念碑の方が長く残った。ファレリア卿の名前は残ったが、彼の要塞は時間の流れの中で失われた。
隅々までしっかりと読み、絶対にやり方を間違えるな。ここに書かれている手順に従わなければ、お前の安全と帰還は保証できない。お前がここに来て、要求したということを忘れるな。
予定の夜に出発する前に、子羊の皮で作られた巻物にお前の嘆願を書き込め。子羊の皮でできたものでなければ駄目だ。自分がまともだという自信があるなら、嘆願書は短くまとめて、再審問される隙を与えないようにしろ。彼はお前が書いた言葉を利用して、お前を非難する機会を虎視眈々と狙っている。
メモ:嘆願書を書くときは、私が貸した木炭を使用すること。その木炭は、アルビノの鹿を調理しようとしていた片足のリザードマンが使っていた火の中から手に入れたものだ。よほど運が良くなければもう手に入らない。
王や儀式や塔の印の下、任意の月の3番目の夜に、書いた嘆願書と生贄を持って石の輪に近づけ。言葉を発すればお前の嘆願は聞き入れられない。だから1人でそこにいき、絶対に口を開くな。
雲が月を覆い隠したら、そこにあるクレストストーンを探せ。印によって形は違う。月明かりのないところで光を発しているから見分けが付くはずだ。そうしたら嘆願書を石の前に置いて、巻物の上に生贄を乗せろ。
次が重要で面倒だ、だから実行する前に練習しておけ。石の前の巻物に生贄を置いたら、石に印を描け(忘れるな、媒介として使用できるのは豚の血だけだ)。印は月が再び現れる前に描き終わらなければならない。印を描いたら、立ち上がり、待機しろ。
嘆願が聞き入れられれば、すぐに彼が現れるはずだ。月が再び現れる前に彼が石の中から駆けつけてこなかったら、お前の試みは失敗したということだ。再び嘆願するには、次の月の3番目の夜が訪れるまで待ち、新たな生贄を捧げなければならない。
それから、すでに頭に浮かんでいるだろうから言っておくが、生贄を再利用するな!見られているぞ。彼でも怒ることはある。機嫌を損ねるような真似はするな。
最後に、嘆願する夜のことだが、紫色のものは身につけるな。日によって、彼の目にはその色が攻撃的に映ることも魅力的に映ることもある。それに彼がどう反応するのかは事前に分からない。なぜこんな話をするのかというと、どちらの反応を目の当たりにするにしても、楽しめるようなものではないからだ。
以上だ。最悪の事態になれば、今後500年間巨大なチーズの輪の中で転げ回ることになるか、長いすのクッションとして過ごすことになるだろう。しっかりと警告しておいたからな。二度と会わずに済むことを祈っている。
パン職人に関して。
奇妙な男。ハイエルフの基準からしても奇妙だ。あまり多くの人を好きになるタイプではなく、人々もそれは同感であるらしい。しかしながら、彼のパン焼きの技術には疑問の余地がない。事実、人々は彼がゴールドコースト全体で最高のスイートロールを焼くと主張している。ぜひそのスイートロールを調べてみるべきだと思う。私が注文しよう。
暗号の場所:大聖堂の東。
聞け、船乗りよ!我らの栄えあるフォーチュナタ総督が、本日をもってアンヴィルを種族や信条にかかわらず、すべての船舶と船乗りにとって、自由で開かれた港にすると宣言した!彼女の法以外、アンヴィルに法はない!
ストロス・エムカイ、ブラックハート・ヘヴン、アラバスター、聖域、アバーズ・ランディング、ブラヴィルの出身であろうが、船乗りならば実入りのよい港で、第二の故郷とビジネスパートナーを見つけることだろう。奴隷であれ、スクゥーマであれ、戦利品であれ、貨物が何であろうと、ここでは自由に交易できる。お前の積荷はお前のものだ。そして、それを誰に売却するかは、お前自身の問題だ。入港手数料を払う限り、如何なる事業でも望むままに行って構わない。
アンヴィルの港で我々が執行する法は3つのみ。
1)不必要な流血沙汰を避けて事業を行うこと
2)出港前に入港手数料を払うこと
3)そしてフォーチュナタ総督に最大限の敬意を払うこと
また、港に滞在する間、我々の合法的な賭博施設で金を増やすのはどうだ?タムリエル中から集まった最も美しく、手の届く女とお楽しみの時間を過ごすのはどうか?クヴァッチ近郊で、剣闘士の戦いと流血を見るのは?お前の悪癖が何であれ、求めるものはここで見つかるだろう!
友よ、誤解するな。アンヴィルの港より船乗りと私掠船員に優しいところはない。どこにも!
警備主任ペレタスへ
ジャロル卿に頼まれていた機械の取り付けが終わった。屋敷の階下に繋がる通路は封印し、私のやり方で鍵を掛けておいた。以下に通路の使い方を明記しておいた。信用できる者にだけこの情報を伝えてくれ。
本物にそっくりな偽物のワイン樽を3つ作った。1つが通路を隠しており、他の2つはそれを開くために使用する。
この仕掛けを解除するには、まずこの大樽を見つけなければならない。ランターンの一番近くにあるのが偽物の大樽だ。大樽を開くには、大樽を2回ずつ叩く必要がある。2つの大樽を2回ずつだ。一番頭の悪い衛兵でもこれなら覚えられるはずだ。
ここまでの手順をしっかり守れば、3つめの大樽からカチっという音が聞こえてくるはずだ。3つ目の大樽は西の壁にあり、それが古い通路を塞いでいる。しばらく開いたままになった後、自動的に閉じるようになっている。カチっという音が聞こえてこなければ、それは私の仕掛けが壊れているのではなく、お前がやり方を間違えているだけだ。
以上
発明と錠前の奇才ベルランデ
追伸。手順を覚えたらこの手紙は燃やしてくれ。前の客のように食堂には掲示するな。そんなことをすれば全部台無しだ。
「男爵夫人、これはただの殺人ではありません」死体から身を起こし、後ろに下がりながら捜査官ヴェイルが言った。「影の組織による暗殺です。そう見抜けなければ、私の目はモロウウィンド・マッシュルームと同じく節穴です。名誉に誓ってそう断言できます」
「影の組織?」 ふっくらした赤い唇に華奢な手を当て、エスモンダ男爵夫人が驚きの声を上げる。「暗殺者の組織?それはただの作り話よ!」 男爵夫人は異議を唱えるが、その顔が突然青白くなり、落ち着かない様子で辺りを見回す。
「いいえ、影の組織は実在します」とヴェイルは言って、革の手袋を脱ぎロングコートのポケットに収めた。「彼らは数百年もの間、秘密裏に活動してきました。真相に近づく者がいると、賄賂、脅迫、殺人を行い、活動を隠匿する。私はこの不法組織について、もちろん内密に調査を行ってきましたが、これ以上に彼らの関与が明白な事件は見たことがありません」
「恐ろしくありませんの?」と男爵夫人が問う。「あなたが捜査から身を退いたとしても、十分理解できます…」
「親愛なる男爵夫人、私がこれまでに捜査を諦めたことは一度もありません。そして今もそうするつもりはない。ただ、最善の捜査方法を考えねばなりません」
* * *
その夜、何十人もの街の者に聞き込みをし、片手の指の数ほどの手がかりを調査した捜査官ヴェイルは、豪華に飾り付けられた宿屋の階上の部屋で、断続的に睡眠を取っていた。
突如、ヴェイルは跳ね上がり、身体からシーツを引き離して、枕の下に常時置いてある短剣を引き抜いた。短剣を真っすぐ向けたその先には、部屋唯一の椅子に腰かける暗がりの人影があった。その人影が指を鳴らすと、ベッド脇のロウソクが火花とともに明るくなった。多少視界が開けたが、部屋の影が伸びた程度だ。
「影の組織から来たのね?」とヴェイルが問う。
「レッテルを張らないで欲しいわね」と影の女は言う。影と長い黒髪の覆いに隠れたその顔は未だにはっきりと見えないが、女は身体に密着した革の服を身に着けていて、捜査官をすぐさま攻撃できる刃を、少なくとも3本所持していることは見てとれた。
「私の寝込みを襲いに来たの?」 自らの持つ刃を決して揺らすことなく、ヴェイルが問いかけた。
「私も私の暗殺者達も、優秀な捜査官ヴェイルに危害を加えたいとは望んでいない」と革の服に身を包んだ女が言う。「何の得もないからね。履行義務のある契約をもう一つ終えたら、朝日の霧のように消えるわ」
「男爵夫人!」 とヴェイルは叫んだ。
「評判通りの洞察力ね」 女が言う。「しかし、時として洞察力があっても、必然を変えるには遅すぎることもある」 女は立ち上がり、部屋に備わる唯一の窓に足をかけた。「捜査官、よい夜を」 軽く会釈しながらそう言うと、闇夜に消えた。
その後、長い暗がりの夜、捜査官ヴェイルは眠りにつけなかった。
* * *
朝になり、ヴェイルが男爵夫人の屋敷に戻ると、すでに街の衛兵が現場に到着していた。彼女は昔同僚だった年上の隊長に近づき、厳しい表情を浮かべながら会釈した。
「男爵夫人が死んだのね」とヴェイルが言う。それは問いかけではなかった。
衛兵の隊長は頷き、「夜に階段から落ちて首の骨が折れた」と言う。「夫の殺害を悲しんでいて、不注意だったに違いない。非常に残念だが、このような事故を防ぐ手立てはない」
「そうですね」とヴェイルが同意する。「しかし、報いはあるでしょう」
そう述べると、捜査官ヴェイルは踵を返し、屋敷から退出した。頭の中はすでに影の組織への対処方法で一杯だった。いつかあの悪人どもを捕まえられるかも知れない。だが、それは今日ではない。
そう、今日ではないのだ。
親愛なるジャロル卿へ
次に会うのを楽しみにしています。一緒に仕事をすることは常に私の喜びであり、極秘会談のために屋敷の地下にある秘密部屋の使用許可を与えてくれたことに非常に感謝しています。
我々の客は変わった方法ですぐに現地に到着します。彼らをしっかりと歓迎し、私が行くまで彼らの求めには必ず応じるようにしてください。私はもちろん、適度に遅れて到着する予定です!
それから私が到着する前に、カロラス伯爵と大司教がお互いに首を絞め合わないよう、しっかりと見張っていてください。我々には重要な取引があり、両者には目の前にある問題に集中してもらわなければなりません。彼らがお互いを絶えず中傷している様子を見ると、私には彼らがクヴァッチを一体どうしたいのか分かりません。
ああ、それと地下に来る時に、そちらの屋敷にある一番良いワインを持ってきてくれませんか?いずれにしてもその前を通るわけですし。
地方総督フォーチュナタ
大詠唱師殿
もう一度お尋ねします。いつになったらクヴァッチ大聖堂に再度転任していただけるのでしょうか。ここディベラ礼拝堂のアカトシュに捧げた祠は悪くありませんが、ディベラの信者の存在に戸惑いがあるのは認めなければなりません。八大神の一柱はもちろん偉大ですが、私の心と魂はクヴァッチにある竜神の荘厳な宮殿を求めています。加えて、アンヴィルには異教徒の海賊が多くいます。他の神々の司祭には耐えられても、私には耐えられません。
分かっています!もし私が忌むべき影に対抗する試みで役に立つことができれば、それによって大聖堂での地位が与えられるでしょうか?過去2回私がお送りした手紙でお知らせした、あの小さなノルドの女性がいます。血も凍るような話を私に打ち明けたのです。大詠唱師殿。忌むべき影を混乱させるために、彼女が私を信用して打ち明けた内容を使えるかもしれません。次にお話しするときは、彼女を集団から引き離す行動を取ることを強く提案します。銀なる暁の狂信者も使えるかもしれません。
大聖堂に私の役職を見つけていただけるという良い知らせを、常にお待ちしています。
アカトシュ大聖堂におけるあなたのしもべ
ネムス詠唱師
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
大司教アルトリウスが長年にわたり説明してきたように、アカトシュが「暗がりにいた彼を呼び出した」後、この青年は神々に仕える司祭となった。彼はその後も聖堂に仕え続け、その聖地を作り上げている八大神の祠で時間を過ごしながら、さらに多くのことを学んでいった。その慈善が次第に人々へと知られるようになっていたこともあり、その行いと献身により、彼は再びクヴァッチの大司教ジョナスの目に止まる。
アルトリウスはクヴァッチのアカトシュ大聖堂に配属されることを切望していた。彼は「竜神の大宮殿」の物語を知っており、そこ以上にアカトシュに仕えるのに相応しい場所はタムリエルには存在しないと信じていた。彼はその役目を任されたいがために、大聖堂の大司祭と大司教の目に止まるようにあらゆる手段を講じた。最終的には「最初の祠の奇跡」と呼ばれる出来事が起こり、その目的は達成された。
その出来事とは次のようなものであった。狩人のカシラスが、胸から矢柄が突き出た若い息子を聖堂に連れてきたため、司祭のアルトリウスは助けるためにすぐに駆けつけた。子供がその酷い傷により死ぬのはもはや明らかだったが、アルトリウスは悲しむ父親をアカトシュの祠に連れていき、祈りを捧げ始めた。アルトリウスは飲食や睡眠などを一度もとらず、三日三晩、祈り続けたと言われている。そして3日目が終わりを迎えたとき、この司祭は誰も聞き取れないような早さで話し始めた。そしてそのとき、言い伝えによれば、祠からまばゆい光が発せられた。その光はアルトリウスを直撃すると体の中を流れ、腕から手のひらへと伝わり、死んだ少年の体に流れ込んだ。その光が消えると、矢は消えていて、傷が治り、子供は目を覚した。アルトリウスの祈りにアカトシュが応えたのだと誰もが口を揃えて言った。
この奇跡の評判は帝国中に野火のように広がっていき、すぐに大司教ジョナスの耳にも入ることになった。そして彼は、アカトシュが司祭を通して奇跡を起こしたのであれば、その司祭はクヴァッチの大聖堂に必要な人物であると結論づけた。その直後にアルトリウスは、ノルドがハチミツ酒を飲むがごとくその言葉を受け入れ、常に大司教の側にいられる大聖堂へとその身を移した。そしてアルトリウスは大聖堂で昇進していき、ついにクヴァッチ大司教に次ぐ役職、アカトシュの大説教師となった。
この時期から次第に大司教と大説教師との関係は緊張したものになっていた。アルトリウスは、高まり続けているナハテン風邪の脅威だけでなく、帝国全土に広がる政治不安にも聖職者がもっと関わるべきだと考えていた。その一方でジョナスは、これからも非宗教的なことに大聖堂は関わるべきではないと考えていた。両者はこの件に関して絶えず議論をし続け、最終的には大説教師を遠方に送ることを計画するなど、大司教があらゆる手段を用いてこの論争を終わらせようとするまでになった。
しかし大司教はその考えを実行する前に、不審な状況の中で急逝してしまう。クヴァッチのいたるところで大司教は殺されたのだという噂が囁かれた。闇の一党やその手の組織のアサシンが関わっていると考える者もいた。だが大司教はデイドラ崇拝やそれに準じる組織について説教を行ってきており、特に闇の一党についてはゴールドコーストの癌と呼んでいた。真実がどうであれジョナスの死は、より高みに登るための機会をアルトリウスに与えることになった。
そしてアルトリウス・アンクラスはクヴァッチ大司教に選ばれた。彼は名前をアルトリウス・ポンティカスに変え、この10年の大半、教会の中で確固たる権力を手に入れている。
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
神々の聖堂は、アルトリウス・アンクラスにとってもっとも似つかわしくない場所であった。しかし、第二紀542年が終わる頃、この若いインペリアルはまさにそこにいたのである。彼は帝都の犯罪王ヴォドゥニウスの元で働いていた頃に犯した罪を償わなければならなかった。父親の富と影響力のおかげで、アルトリウスは懲役刑を免れることができた。聖堂に仕えることが、父親の案であることに彼は気付いていた。
4番目の子供であるアルトリウスは、神々に仕えることを約束させられていた。この青年はその約束から必死に逃れようとしたが、信仰の生活は彼の運命だったようである。「1年と1日仕える。でもそれが終わったらここから去る」とアルトリウスは、彼の看守であり後に助言者となる司祭、イラヴィウス・アルフェノに言った。この老齢の司祭はただうなずくと、信仰に対する自分の役割を説明し始めた。
アルトリウスは聖堂で、厳しい重労働をこなしたと思えば、無気力に近い静かな1日を過ごすなど、両極端な生活を送るようになった。毎日のように数々の雑用を与えられ、掃除や食糧の準備や神々の祠の手入れを手伝い、その合間に勉学や瞑想や祈祷を行った。アルトリウスはあまりにも忙しすぎて、すぐに父親に対する怒りを維持できなくなっていった。怒りが収まると、彼はしっかりと司祭達の言葉に耳を傾けるようになり、神々の教義を学び始めた。
宗教に無関心であったにも関わらず、アルトリウスはすぐに神々の物語や教義に魅了されるようになった。アーケイからディベラ、そしてステンダールからジュリアノスまで、彼は順番に全ての祠を訪れると、その聖なる領域と儀式について、司祭達に延々と質問をした。しかしアルトリウスは神々の中でも時の竜神アカトシュに対して特別な感情を抱いていたようである。ひょっとしたら、アカトシュが神殿の最も高い位置に置かれていたために、最初にアルトリウスの目に入ったのかもしれない。さもなければ、彼の持つその能力か、帝国の守護神として語られるその物語に魅了されたのかもしれない。動機が何であれ、この若い貴族は自分の教えを見つけたようである。
アカトシュ大司教ジョナス・カバンタインが例年の訪問でクヴァッチを訪れたとき、彼はすぐに若いアルトリウスに好感を抱いた。祈りを捧げるために聖堂を訪れた後、大司教はアルトリウスを個人的な話し合いの場に招待した。ジョナスもアルトリウスもそのときの詳細については明らかにしていない、だがその直後にアルトリウスは神々に誓いを立てている。保護観察期間が終了すると、彼は司祭になるという誓いを守り、アカトシュにその身を捧げた。
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
クヴァッチやゴールドコースト、荒廃した帝国の跡地の中で、アカトシュ大司教アルトリウス・ポンティカス以上に献身と信仰を実践している者はいない。判断力がなく、自分のために聖なる真実を見られない者がいれば、彼が最初にそのことを指摘するだろう。それにしても、非常に控え目な人物が教会の規律の中で、一体どのようにしてそのような威厳のある地位を手に入れたのだろうか?それを明らかにするためには、初めてアルトリウスが導きと力を求めてアカトシュに助言を求めた、第二紀542年の帝都の街路まで話を遡らなければならない。
裕福なアンクラス家の4番目の子供として生まれたアルトリウスは、故郷と呼べるようなものを持たずに成長した。長男は帝国の中心地にある一家の財産全てを管理するために育てられ、次男は遠方のハンマーフェルにある一家の資産を守るために教育を受けた。三男のアンゲルスはすでに帝国軍の若い将校になっており、軍人としての未来が約束されていた。伝統に従うと、アルトリウスには、神々に身を捧げる道しか残されていなかった。残念ながら若いアルトリウスには、歌と伝説で語られる例の好色なアルゴニアンの侍女と同じぐらい、崇高な精神と信心が欠けていた。彼は祈りや犠牲には無関心だったのである。
その代わりに若いアルトリウスは、2つの危険なことに没頭するようになった。まず彼は、ウェイレストのエメリックとリーチのダーコラクの間で起きていた戦いをはじめ、ブレトンの王国で起きている出来事に深い関心を持つようになった。そしてそこで起きている出来事をより詳しく教えてくれる住人を探し回り、帝都の中でも最も不穏な地域でよくそういった人物と話をするようになった。そして次には、父親と兄達にとって非常に残念なことに、悪名高い犯罪王、ヴォドゥニウス・モンリウスの手下達と行動を共にするようになった。そしてそれほど時間が経たないうちに、ヴォドゥニウスとその手下達のため、伝言やそれ以外の雑務をこなすようになった。
誰もが眉をひそめるような出来事である。大司教アルトリウスは過去のこの暗黒時代のことを正直に話してくれる。この本のために調査をしていたときに彼は、「私はその当時、怒りに満ちていて誰の言うことも聞かなかった」と笑いながら語っていた。「私は怒っていて、あてもなく何かを探していた。だがそれが何なのか分からなかった。それこそが、情熱を見つけるか道を見失うかの分かれ道なのだ。幸運なことに、アカトシュには計画があった」
大司教はその計画が、青年期が終わりを迎えたこの頃から始まったと考えている。彼は犯罪王のために市場地区を巡回し、そこで働いている様々な商人や職人から金を取り立てるようになった。毎日の10分の1税は、金を無理矢理払わされる人々だけでなく、ヴォドゥニウスの金庫を満たすために金を回収していた人々にとっても、いわば恐怖の儀式のようなものだった。アルトリウスは、犯罪王と部下達のために雑用をこなす、たくさんいる若い男女のひとりでしかなかった。だが彼はその役目を楽しんでおり、情熱をもってその仕事をこなしていた。少なくとも、避けられない運命の日を迎えるまでは。
アルトリウスがカジートのパン屋、粘る爪の店に入ったとき、毎日徴収していた10分の1税以外のものが彼を待ち受けていた。4人の衛兵将校が、この若い貴族を捕まえて最近始めた犯罪者生活をやめさせるために待機していたのである。「お前は帝国の法を犯している、その袋に入っている金が証拠だ。お前にはあまり選択肢が残されていない」と衛兵隊長は言った。
このときアルトリウスは恐怖心と不安を感じていたはずだが、彼にはあるひとつの感情しか湧き上がってこなかった。それは粘る爪のオーブンのような、父に対する急激な憎しみだった。衛兵の将校はアルトリウスに対して、最も重い刑罰を与えて、1年と1日牢獄に収監することもできるが、犯した犯罪を償う方法もあると説明した。だがアルトリウスは、自分の鼓動のせいで、その言葉がほとんど頭に入ってこなかった。
「お前の父親のこともある」と将校は言うと、「だから後者を選ぶことにする。1年間、司祭として神々に仕えれば、正しい道に戻ることができるはずだ」と彼の処遇を決めた。そしてその通りアルトリウスは、必死になって逃げてきた運命の手の中に引き戻されることになった。そして彼は懺悔するために、神々の聖堂の司祭の元へと送られた。
アミア詠唱師 著:修練者のための入門書
修練者の諸君、時の竜神アカトシュに仕える君達の新しい役割をもう一度歓迎させてほしい。君達は極めて重要な、魂が応じられる旅を始めることになるが、この道を歩むのは君達が初めてではないし最後でもない。多くの修練者達が共にこの旅を進め、目の前の同じ課題に挑戦するのだ。その道が仲間の修練者達と同じ目的地に続くとは限らないが、俯瞰すれば、旅路は間違いなく同一である。
アカトシュ大聖堂の任務を遂行するにあたって、君達はいかにして時の竜神を崇めたいのか自問しなければならない。祈りと導きを通して、または崇拝者の献身と彼らの請願を聞き入れ、引率することで神の御言葉を広めるのか?はたまた聖なる書を手に取り、説教壇や街路へ赴き、信仰の炎を再びかきたてることを望む者達に神々の真実を唱えるのか?入信の儀を完了すれば、選択を迫られるだろう。詠唱師のマントを手に取るのか、説教師のマントを手に取るのか。決断は慎重に、自ら考えるのだ。進む道でそれぞれが求めるものは、まったく異なる。
大詠唱師と大説教師が共に支える大司教は、大聖堂におけるアカトシュ信仰のあらゆる面を監督していることを覚えておくように。そのため、詠唱師と説教師は肩を並べて立ち、アカトシュの御光を等しく、しかし異なる方法で人々にもたらす。
詠唱師になると、君は大詠唱師の導きに従い、助けを求めて大聖堂を訪れる者達に慈悲と指導を授ける。祈りと知恵を駆使して、彼らの身体、精神、魂を改める方法を学び、自身もまた師となることで、捧げ物や儀式を通して崇拝者を導き、アカトシュに近づけるようにする。
説教師になると、君は大説教師の後ろに集まり、己の信念を武装して異端、不信心という強大な敵と戦い、迷える信仰心を失った者達を導いて、竜神の守りの翼の庇護に戻す。闇の誘惑と自己愛の不道徳を清める言葉、心に響く言葉の操り方を学ぶだろう。悪人は贖いを許される前に、懲罰を受けて糾弾されなければならない。彼らの闇を駆逐するのが君だ。
任務が区別されているのは、目的が一致していないからだと誤解しないように。我々は大司教によって導かれる。アカトシュを崇拝するためには、双方の道が等しく重要だと理解する知恵が彼にはある。大司教は大聖堂を導く光だ。その煌めく輝きを敬う者のすべての生を高めてくれる。アカトシュと同様に、大司教は君達を決して誤った道に進ませない。
そしてもし別の任務、兵役の一種で忠実な信者達を守る必要のある任務がよいのなら、時の騎士団への入団を考えるのだ。大聖堂の生活は精神的なもので、時の竜神への献身を示す方法としてはやや退屈すぎるかもしれない。大聖堂とアカトシュの敬虔な信者達を世界の危険から守る使命は、高潔なものと言える。
修練者よ、道は前にある。君達を究極の目的地へといざなう、アカトシュの導きがあらんことを。
偉大なるアカトシュ大司教であるアルトリウス・ポンティカスの命により、アカトシュ大聖堂への一般入場は、労働者たちがこの雄大な崇拝の家の老朽化した石細工や、軋む床板の維持や改装を行っている間は禁止となる。
このことはしかし、聖なる街クヴァッチにおける崇拝が禁じられることを意味しない。我らが勤勉なる詠唱師と説教師たちはあなたがたと共に歩み、アカトシュとその他の神々の言葉と意思とを広めるだろう。
時の騎士団の忠実なる剣が我々の家と故郷を守るように、詠唱師と説教師たちの言葉があなた方の魂を支え、時の竜神の真理で満たしますように。
信者たちよ。クヴァッチは暗闇とその中に潜む者たちに対する防壁として、何世代もの間、立ち続けてきた。あなたがたの番人たちは、この地の純粋さを毒するであろう隠された悪に対する、その疲れを知らぬ監視のために、帝国中の街で羨望の的となっている。
だが、満足するわけにはいかない!なぜなら、我々は今こそ、最大の脅威に対峙すべき時だからだ。その脅威とは、闇の一党である!
大司教はその無限の知恵の中で、この脅威の接近を見てきた。今この瞬間も、彼らは我々の地に忍び込み、アンヴィルの長い影と未開の荒野にその足場を築いている。この腐敗に助けられ、彼らは我らの愛するゴールドコーストを汚染する。放っておけば、その傷は膿むばかりであろう。
クヴァッチは範を示すことで先陣を率いなければならない。我々はこの殺し屋たちをどこであろうと、たとえ我々の領域内でなくとも、見つけ次第根こそぎにしなければならない。あなたがたもまた、番人にならなければならない。あなたがたもまた、時の騎士になることを望まなければならない。あなたがたもまた声をあげ、あるいは正義の剣を抜き、あの外道たちの疫病をもたらすナイフに立ち向かわなければならない。彼らを光で照らす時、あなたがたが見出すのは恐るべき怪物などではない。ただ影を剥ぎ取られた、臆病な抜け殻があるのみである。
報いの時は近づいている。信仰篤く、その時を待ち受けるがよい。
計画通りに事は運んでいる。当初は若干の失敗があったが、今日我らの密偵は闇の一党と疑われるメンバーを葬ることに成功した。殺人者を問い詰めたかったが、密偵は短剣と剣を使う方に熱心だった。
* * *
クヴァッチの通りを闇の一党への恐れと憎しみで満たすよう、一連の説教を用意した。あの教団は神から見れば嫌悪の対象だ。皆が気づかねばならない!我が説教師たちが言葉を広め、殺人者を隠す闇に光を投げかける。
* * *
密偵に対して、特に次の殺人者を見つけたら殺さぬよう頼んだ。尋問室を用意し、殺人者から真実を聞き出す用意はできている。必要とあればあらゆる手段で。アカトシュよ、我を導きたまえ!
* * *
ブラックドラゴンは今日、手負いだが息のある殺人者を連れてきた。殺人者に吐かせるいくつかの技術を試すのが楽しみだ。1日が終わる前に、闇の一党が隠れている場所を見つけてやる。そして我々は、ゴールドコーストから障害を消し去る努力をさらに強化できる。
* * *
アカトシュに不手際をお詫びしなければ。失敗した。殺人者は頑固で、予想以上の抵抗を見せた。その肉体にどんな拷問を加えようとも、彼は役立つことを少しも漏らさなかった。彼は死ぬまでとても苦しんだ。まあいい。ブラックドラゴンはすぐに他の奴を見つけるだろう。
おかしい。何かが尋問室にあった殺人者の死体に触った。アカトシュが私の祈りにお答えになり、問い質せるよう他の殺人者を送ってくださったのか。まあ、待っている者を待たせないようにしよう。
ダーヴィアン
この暗い洞穴であとどれだけ謎の連れと座っていられるかわからない。あなたが話をしている時の彼らの見返し方、ガラスのような目と精霊のような空虚さを見たら、我々が共通の言語を話さないと思うだろう。言うまでもなく、あなたの論文をロウソクの灯りの元で読んでいた私の目は、ほぼ見えなくなっている(ところであれはとても興味深いな。だが私の環境が刺激を求めさせているのかもしれない。気を悪くしないでくれ)
大学がここで何が見つかるのを期待しているのか分からないが、私が学んでいると思われるのは健常な精神をもって地中に住むことの効果だ。 ああ、始まりはきっとこうだったのだろう!気高きエルフがファルメルになるという、哀れなどん底におちる緩慢な悲劇。友よ、もし私の精神状態が悪化して、よだれをたらし、凶暴になったら、事例研究で言及してくれ。
ジリヴェルン
2日後、真夜中に鐘の音が鳴ったらお前は持ち場を離れる。そして10分経つまで戻らない。やり方を間違えるな、間違えたら大変なことになるぞ。金はいつもの場所においてある。
忘れるなよ。こうすることが皆の利益になるんだ。私との誓いを破ろうだなんて考えるなよ。お前の子供には無事でいてもらいたいんだ。
分かったな。2日後、真夜中、10分経つまでだ。計画を台無しにするなよ。
日耀
聖域を訪問する際の最近の騒動は、俺が前にいたブラックウッド国境地帯の聖域を思い出させる。あそこで起きたことが再び俺の居場所に起きるのは、絶対に避けたい。自分がこれほど詳細な記録をつけているのも、おそらくそのせいなのだろう。俺の聖域の誰かが教義を破っているのであれば、その絶対確実な証拠を手に入れておきたい。そしてもし我々が教義を破ったという糾弾が誤りなら、ちゃんとした日記を突き付けて、今度ばかりは黒き手が間違いを犯したのだということを示せるようにしておきたい。
だから、何もかも書き記しておく。
央耀
統括せし者が気分はどうだと聞いてきた。なぜだ?彼女は俺が知らない何かを知っているのだろうか?
木耀
今日、俺の生活空間がヒルデガルドの毛だらけになってしまった。狼形態でいる間はこっちに来るなと言ったのに。念のために、この違反を記録につけておく。
金耀
山羊のミルクと酸味ビールを混ぜたら何が起きるのだろう?次にコーが物資を持ってきた時に試す。覚えておくこと。
月耀
タネクが俺の鱗と尻尾について心無いことを言った。いつか伝えし者に、あいつが家族をどう扱っているか知らせてやるつもりだ。
火耀
家族の中でまた一人、殺害された者が今日、見つかった。哀れなシンドゥル。彼の殺され方にはどこか見覚えがある。これについては少し考えて、昔のメモ帳を探らないといけない。
木耀
伝えし者は俺に不満があるようだ。誰かが言ったことを俺が書き留める度に、彼は俺に暗い一瞥を投げかける。
金耀
今日、説教師の話を聞いた。俺はいつも通りメモを取り始めたのだが、すぐに頭がカッとなって、自分の書いた字が読めないほどになってしまった。奴らはなぜ闇の一党についてあのような嘘を言うのだろう?統括せし者に伝えなければ。
地耀
シンバーが拷問を受け、殺された。水が湖に満ちるように、悲しみが聖域に満ちている。哀れなミラベルのことを考えると、俺の心は痛む。彼女はシンバーとの密会を可能な限り行い、とても楽しんでいた。俺が記録しておいた2人の交尾の詳細なメモを全て読み返すと、彼女は喜ぶだろうか?
日耀
新たなる剣は非常に興味深い質問をする。書き記しておかなければ。
「ブラックウッドに着いたら何をする?」いい質問だ!
「どうすればいい?」少し飲み込みの悪い時がある。
「何をしてほしい?」ここで何か意地の悪いことを言ってやってもよかった。
「この聖域は放棄されたんじゃなかったのか?」ちゃんと聞いていなかったようだ。もう説明したのに。
月耀
ライラ・ヴィリア。その名前は長いこと考えていなかった。俺たちはかつて友達であり、兄弟と姉妹の関係だった。彼女は死んだ。少なくとも俺はそう聞いた。そして今、彼女が生きているだけではなく、我々の聖域を浄化したのが彼女であることもわかっている。さらに彼女が現在の俺の兄弟たちを殺している張本人、ブラックドラゴンであることもわかっている。俺にはなぜ彼女が闇の一党に敵対するようになったのか想像もつかないが、そんなことはどうでもいい。彼女は死ななければならない。
央耀
前の聖域で過ごした一夜を思い出す。俺は新しい入門者で、ライラも同様だった。先輩の兄弟たちは色々な恐ろしい話をして、俺たちを怖がらせようとして楽しんでいた。特によく覚えている話がひとつある。ライラと俺は緊張と興奮が入り混じった気持ちで聞いていた。それはブロンバーという、兄弟を裏切ったアサシンの話だった。その男は処罰のために送られた姉妹によって致命傷を負った。彼女がそいつを瀕死の状態に留めたのは、シシスのレイスが彼の魂を取りに来た時、自分に何が起きているのかがわかるようにさせるためだったのだ。我々は2人ともその話に震え上がってしまって、1週間以上もよく眠れなくなってしまった。なぜ、この話を思い出したのだろう?
木耀
統括せし者が俺にブラックドラゴンを探し出して殺すよう命じた。彼女が俺を信頼してくれていることを誇りに思うと同時に、悲しい気持ちにもなる。
商人と自称している者に関して。
ドビアスは文書や契約書、その他の財務記録をゴールドコースト貿易会社から盗んでいる。彼が盗んだ情報で何をするつもりなのかはいまだ明らかではないが、彼の計画には利益もおそらく絡んでいるだろう。それだけで、彼の死を望む理由になるか?おそらく。
暗号の場所:銀行の南。
親愛なる叔父上
なぜか、あなたに手紙を書くことを止められません。あなたはとうに亡くなったのに。あなたはもう手紙を読むことも、返事を書くこともできないのに。手紙は送っていません。実際のところ、手紙を貯めている箱はほとんどいっぱいです。理由がどうあれ、あなたに話しているかのように手紙を書くことで私は落ち着き、その日の問題を考えられるのです。ああ叔父上。問題があるのでした!
以前に長々と恥ずべき、忌まわしいフォーチュナタ・アプドゥガルについて話しましたが、あの女はまったくゴールドコーストの病原菌です!クヴァッチの略奪と破壊を、彼女の欲深い手先から守るので精一杯です。 アンヴィルはもう彼女にやられました。ここも同じ運命にすることは許しません。最新の書簡を書いた理由はそのためです。あなたの賢さと経験から、もう一度だけ得られることがあったらよかったのに。
愛する街を救うため、悪いには変わりありませんが、比較的ましな方法をとることにしました。闇の一党がよりマシな悪になるとは思いもしませんでしたが、今はそういう時なのです。忌まわしき儀式を行うために必要なすべてのものは集まりました。楽しい儀式にはなりませんが、暗殺者たちを雇う他の方法を知らないのです。叔父上、私に失望されることでしょう。フォーチュナタを倒すには、こうするしかないのです。
次にまた手紙を書くことができたなら、クヴァッチがまた安全になったことをお教えします。叔父上、お会いしたい。
カロラス
毒ある緑舌の者による監視
悲痛の短剣。この世に生を受けて以来一番幸せだったのは、伝えし者によりこのすばらしい武器を授けられた日だ。
悲痛の短剣は私の手から離れたらどこへ行くのだろう。我が兄弟姉妹たちは1つの武器を共有するのだと思い込んだが、できるものであろうか?どうしたらそのようなことが起こるのだろうか?私が呼んだ時には一度も現れたことがない。我らの恐怖の父の謎なのだろう。おそらくは。
完全な刃で完全な殺しをした時ほど満足できるものはない。
タネクは私が契約を果たす時に同行したことがある。彼は私と同時に悲痛の短剣を呼ぼうとした。彼は失敗したが、我らがなした2つの殺しは実に印象的だった。
かつて伝えし者に、悲痛の短剣を私の鞘に納めていいかどうか尋ねたことがある。鞘は神聖なものだと彼女は言ったので、できなかった。彼女は私を実によく知っている。
悲痛の短剣はその鋭さで魂を切り離して虚無へと送る。だが毒や我が剣、ダイアウルフの牙、絶妙のタイミングで落とされた岩でも同じことができる。それでも、私は使える時に悲痛の短剣を使うほうが好きだ。シシス万歳!
コーはめったに悲痛の短剣を呼ばないのに気づいた。彼はターゲットを長期戦に巻き込んで殺しを難しくするほうが好きなようだ。コーはダメな殺人者ということになるのか?そんなことはない。だが、人それぞれということなのだろう。
庭師に関して。
夫がスイートロール・キラーに殺されたと主張しているが、彼女に結婚歴があるという証拠はどこにもない。彼女は運命について話すようである。それもたっぷりと。彼女は間違いなく戦い方を知っている。彼女にスリを働こうとした盗賊の首を絞めているのを目撃した。
暗号の場所:3つの道が出会う場所にある建物の中。
今日の買い物リスト
ブラックタール
ケルンボリートキャップ
ハラーダ
腐った鱗
骨髄
フェンネルの種
ウィスプストークキャップ
吸血鬼の灰
メモ:塵のことは、杖をついているあの不機嫌なダークエルフに聞くこと。彼が山のように持っている。
昨晩兵士が農場に到着した。みな公爵の制服を身に着けている。今季税金をちゃんと払ったかどうか思い出そうと心臓がドキドキしたが、それが目的じゃなかった。柵を取り外すように言われたから、土地を区画整理し直すのかと聞いたら違うという。 集められるものは、すべて軍に。異教徒のロングハウス帝と戦争になるのだ!
* * *
家族で荷車を積み上げた。日暮れまでにヴァレン公爵の野営地に着くだろう。
* * *
思ったよりテントが多い。荷車もだ。見知った人もいるが、他は国の一番遠くから来たに違いない。ヴァレン公爵による軍の招集が届いたのだろう。皇帝にも知らせは伝わったのだろうか。
* * *
軍は帝国軍をコロヴィアに近づけないと決めた。ここを防衛線にするため、休むことなく要塞を築いている。石を積んだ私の荷車を1時間近く調べ、浮石を見つけて集めるよう言った。我が家の柵を取り壊すしかないようだ。
* * *
妻と隣人の何人かが取り壊しを手伝ってくれた上に、荷車を提供してくれた。残念だが、この石は家畜を歩き回らせないようにするより、薄汚いリーチの民を祖国に近づけない方がより役立つ。
* * *
見て楽しいような物ではないが、壁は日々圧倒的になりつつある。今では身長より高く、果てが見えない。私には分からないが公爵には考えがあるのだろう。帰るには暗すぎるので、一晩荷車で過ごすことにする。
* * *
兵士から野営地に招待された。マーラのお恵みを。寝台や、最低でも干し草の山なしに一夜を過ごすには年を取りすぎた。日夜レンガを運搬している彼らは疲れているようだ。公爵は交代制で働かせている。戦が近づきつつあると思っているのだ。その時はここにいたくない。
* * *
浮石を探すためにまた外へ出た。 家を解体して敷石を剥がしても石が不足しているので、できるかぎりのことをした。仲間の中には、古い遺跡から取ってこようという者もいる。
* * *
古いエルフの家など知ったことか。全く構わない。手当たり次第に石を荷車に投げ入れ、何かが怒り出す前に帰ろう。
* * *
最後の荷を運んだ。荷車が今にも崩れ落ちそうだ。私のここでの仕事はすぐに終わる。ヴァレン公爵の仕事は始まったばかりだが。八大神の恩恵を受けた彼らが、忌々しいリーチの民を北方の腐乱死体の小屋に送り返してくれますように!
* * *
帝国軍だ!帝国軍の行進が確認できた。壁はしっかりしているようだが、荷車を見つけてここを出なければ。
希少アンティーク商人マクサ・コランド 著
アサシンが使用する道具はたくさんあるが、ある武器だけは闇の一党の兄弟と姉妹にとって特別な存在となっている。それは悲痛の短剣と呼ばれる特に特徴のない短剣で、彼らの仕事のシンボルであり、彼らの影の支持者の象徴となっている。この短剣は、夜母が自分の子供達を生贄として捧げた時に使ったためそう呼ばれるようになったと言われており、闇の一党の者達がその恐ろしい任務を実行する時に使用される。闇の一党全体で1本の短剣を共有しているという噂があるが、それとは反対に、各人の武器はオリジナルのものを模して作られたものだという報告もある。前者より後者の方が真実に近いと考えているが、真相は未だに謎のままである。
悲痛の短剣は闇の一党を守護する神、恐怖の父シシスに捧げられたもので、これで命を奪うとその魂を直接虚無に送れると言われている。私は同じような遺物を研究してきたが、そのようなマジカの存在を証明するようなものは見つかっていない。シシスの従者だけがそのような力を引き起こすことができるのかもしれない。しかし実のところ、この短剣はそれを持つ者にとって特別な宗教的意味合いがあるだけで、魔法のような力はないのではないだろうか。それに闇の一党の被害者達は、少なくとも魂がシシスの元に送られると彼らが信じているとされる方法、つまり毒や破壊工作といった、誰もが想像できるような方法で殺されているのである。
闇の一党は秘密主義であるため、情報を手に入れることはほとんど不可能であり、いくらこの件を調査してもせいぜい疑惑止まりにしかならず、調査することもままならない状況である。この件を公にすることで、他の勤勉な学者達があの謎に包まれた暗殺集団を調査し、彼らの信仰心と行動を取り巻く謎を解明する手助けをしてくれると信じている。
[意図的にここで切られている]
アバナス・スミード作成:クラヴィカス・ヴァイルの「優しき考察者」の隔週秘密会議議事録
8時:会議開始。
8時1分:会議中断。
8時5分:怒鳴り合いが収まる。
8時6分:秘密会議の議題その1。蒔種の月の前に新しい農具を求めるサンダークリフの村の請願に対する適切な回答の発案。
8時30分:極度の不安により、議論中断。身の程を分かっている。
8時40分:厄介な吹き出物に対処するため、フーリガンが退出。サンダークリフの板挟みの状況を打開する策に合意。
9時:サンダークリフの提案採決。
9時5分:多数決によりサンダークリフの提案受理
9時15分:反対投票者のヤジが収まる。
9時17分:秘密会議の議題その2。呪われた魂の石の研究の進捗報告。
9時30分:開幕の大演説が終了。
9時31分:報告開始。
9時32分:報告終了。主だった進展なし。
9時55分:暴言が収まる。
10時:抗議の沈黙が終わる。
10時1分:秘密会議の議題その3。ランチ。
10時30分:食べ物のようなものについての合意が得られず。
10時31分:休憩の提案。献酒のコルク栓、抜かれる。
11時:樽が空になるまで飲んだのは、やや行き過ぎだったのではないかという合意が得られる。収まりのつかない笑いに対処するため、ベドリムが退出。
11時5分:集団で吐き気に襲われるという、恐ろしい事件が発生。
11時30分:生まれてこなければよかったと、マレインが大声で叫ぶ。
11時31分:満場一致で同声明を可決。
11時50分:参加者がカンパを行い、500ゴールドの献金を用意する。
11時59分:ランチについての合意が得られる。
正午:献金の準備にあたり、秘密会議休止。
「アカトシュの神よ、力をお貸しください!アカトシュの神よ、光をお与えください!」
——竜神アカトシュに対する一般的な祈り
もしもゴールドコーストで信じられる神を一柱選ぶとするなら、それは時の竜神、アカトシュだろう。クヴァッチにある壮大なアカトシュ大聖堂を中心地として、アカトシュの言葉とその召使は竜神の光と真実をあらゆる者へ広めている。
八大神の中でも最初かつ最高の神であると言われ、始まりの場所を築いた最初の神とも言われているアカトシュは、並外れた強さを持って地上と人々を見守り、帝国の守り神の役目を引き受けている。それは帝国が崩壊している状態であっても変わりはない。クヴァッチの大司教が事あるごとに言うように、「竜神は日々の懸念の先を見ており、長期的な視点から熟考している。現在の状況は取るに足らない流れの乱れでしかなく、すべてはアカトシュの制御下にある」のだ。
アカトシュは自身が司る3つの重要な性質として、耐久、無敵、永劫に続く正当性を奨励している。帝国が竜神とその教義をあれほど早く受け入れたのはそのためかもしれない。クヴァッチ大司教の言葉によれば、アカトシュはその3つの重要な性質を次の方法で具現化している。
耐久:「この性質は、アカトシュの継続し耐える能力と強さを表していて、時の神としての役割と直結している。アカトシュは耐え忍ぶ。彼の言葉を受け入れて彼の教えに身を捧げて真の信者も同じである。疲労に負けず、ストレスや逆境にも影響されず、アカトシュと信徒たちは継続する。それが、竜神が持つ耐久性である」
無敵:「アカトシュは征服されることも、倒されることも支配されることもない。それは竜神を信じて敬意を示す者たちも同様である。それが、竜神の無敵の性質である」
永劫に続く正当性:「この性質はあらゆる面で調べられなくてはならない。アカトシュの恒久性だけでなく、掟、道理、そして相続の方針に対する敬意も表すものである。アカトシュから祝福を受けて認められたものは、偽りもしくは不当とされることはない。それが、竜神の継続的な正当性である」
こうした基本的な教義以外に、クヴァッチ大司教と司祭たちは、忠実な信者と信仰心のない者の両者にアカトシュの訓示を5項目説いている。
「皇帝に仕えて従うこと」。帝国とアカトシュ崇拝は当初から密接な関係にあり、この訓示がそのよい例である。
「合意について学ぶこと」。アカトシュと、アレッシアやその子孫のような定命の者である信徒との間で交わされた合意は、結ばれた血と誓約の象徴という役割を果たしている。すべての信徒には、こうした永遠なる契約を理解することが強く求められている。
「八大神を崇拝すること」。しかしアカトシュは嫉妬深い神ではない。信徒たちには彼自身だけでなく、他の神々も称えることを求めている。
「自らの本分を尽くすこと」。義務と責任は、規則を好む竜神の教えにおいて特に重要な位置を占める。責務を果たさないことは、アカトシュの目から見れば罪なのだ。
「聖者と司祭の指令に注意を払うこと」。アカトシュは階級と組織を好む。自分の信徒たちが聖者と司祭による命令に従うことを求めるのは当然だろう。
クヴァッチ大司教はよく、「アカトシュの意志を実現すべし」と宣言している。過去、現在、未来を具体化する時の竜神として、彼は秩序ある厳格な世界を保つ規則を受け入れる。献身と崇拝によってアカトシュに敬意を示すことで、信徒たちも同じことを受け入れるのである。
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
ヴァレン・アクィラリオスが、第二軍団を連れてシロディールの中心で反乱を起こすためにゴールドコーストを去った時、彼は愛する故郷を無防備に残しはしなかった。アビシアン海の岸からストリッド川の土手へと延びる薄い壁、そして甥であるカロラスが代わりに守ったクヴァッチと周囲の田園地帯は、ロングハウス帝の報復と、その後に続いた戦争による堕落の両方から逃れた。しかし、クヴァッチの狼が帝国のドラゴンに戦いを挑む機会はまだ十分にあった。
カロラス・アクィラリオスは伯父を敬愛しており、ヴァレンが皇帝に対する反乱を宣言すると、手を貸すことに積極的であった。実際、カロラスはヴァレンに加わり、帝都に向かって行進しながら一緒に戦いたがっていたのだ。しかしヴァレンはカロラスに別の計画を用意していた。ヴァレンは信頼の置ける立派な甥に故郷を守らせたかったのだ。ヴァレンに同行して反乱に参加できないことに失望したカロラスだったが、それでも伯父が期待したとおりにクヴァッチの地と人々の安全を守ることを誓った。彼は即座にクヴァッチの臨時指揮官の地位に就いた。
ヴァレンと第二軍団の大多数がゴールドコーストから出発すると、アンヴィルの帝国長官とアンヴィル伯爵エフレム・ベニルスは、沿岸の街の奥地に配置していた帝国軍を送り込み、ヴァレン・アクィラリオスの所有地と財産を略奪しようとした。カロラスは、ヴァレンに託された第二軍団の歩兵隊一部隊と、街の守り手として有名なクヴァッチの番人を集めた。クヴァッチの守り手は街の下にある平原で帝国軍と交戦した。戦いは短く激しいものであり、数を大幅に減らされたアンヴィル軍が来た方向へ退却する形で終わった。クヴァッチの狼が帝国のドラゴンによる攻撃を撃退したのだった。
その年が終わる前に、アンヴィルは数を減らした帝国軍をクヴァッチに対して三度送ったが、その度に敗れて人数を減らした。その後、ヴァレン・アクィラリオスがルビーの玉座に就いたという話が伝わってきた。その勇敢さと指導力からクヴァッチの狼と呼ばれていたカロラスは、正式にクヴァッチ伯爵という称号を継ぎ、狼の頭のシンボルを使うようになった。
しかし残念ながら、クヴァッチの幸運は長続きしなかった。カロラスが正式にクヴァッチ伯爵になると間もなく、クヴァッチ大司教であるアルトリウス・ポンティカスは伯爵の権威を衰えさせ、自分の権力と影響力を高めようと動き始めたのだ。常に野心的で自分自身もシロディールにおける宗教的な権力を握っていた大司教は、渋々ながらヴァレンと礼儀にかなった関係を持ち、カロラスがクヴァッチの安全を守ろうとする間は自身の野心を忘れなくてはいけなかった。しかし首都における体制が変わったことで、どうやら大司教は街の支配体制においてより有力な地位を求めたようだ。ただし、この問題が表に出る前に、アンヴィルではある重要な事件が起きた。
しかし、それはまた別の本にて記す。
グウィリム大学歴史学者、ミダラ・サルヴィティカス 著
クヴァッチの狼、カロラス・アクィラリオスの活躍のおかげで、海賊女王フォーチュナタ船長が港に航行してきた時には、アンヴィルの守りはほとんど存在しない状態だった。港街に配属された帝国兵士たちが幾度となくクヴァッチの侵略を試みた結果、アンヴィルの兵舎は狼を相手にした敗北続きでほぼ空になっていた。フォーチュナタ船長に忠実な海賊たちはすぐさま街を乗っ取り、彼女は自ら地方総督の地位に就いた。
それで収まっただろう、とカロラス伯爵は見ていたが、海賊女王は次の行動に出ることにした。彼女はゴールドコーストが独立し、シロディールと帝国から解放されて独立した国になったと宣言した。クヴァッチが新しい体制の一部としてアンヴィルに加わるよう彼女が要請すると、伯爵はそれを拒否し、皇帝ヴァレンに忠誠を誓い続けることを望んだ。当時は勝利に確信が持てなかったフォーチュナタは強要しなかった。しかし伯爵による支持の欠如を忘れはしなかった。ソウルバーストが起きてヴァレンが消えた時、彼女は突然孤立したクヴァッチの状況を利用し、より強い態度で要求を迫った。
アンヴィルはクヴァッチに対し、外交と不正な手段の両方でゴールドコーストへ加わるよう強要を始めた。略奪者と山賊団がクヴァッチ周囲の黄金街道沿いに現れ始め、交易を妨害し、旅人を襲った。クヴァッチの精鋭である番人たちが山賊に対処するために派遣されたが、その度に山賊たちはストリッド川へ逃げ延びることができた。そして人数を増やして戻ってくると、攻撃を拡大して遠くの農場まで襲撃し、怖がった避難民は街の保護を求めた。
こうした侵略にもかかわらず、カロラスの忠誠は揺るがず、海賊女王と交渉することを拒否した。激怒したフォーチュナタは、クヴァッチが正式にゴールドコーストに併合されることを発表した。彼女は街を乗っ取るためにアンヴィルの衛兵を派遣した。クヴァッチの伯爵は壁に番人を配置し、侵略者に対抗するために歩兵隊を派遣して対処した。両勢力は宿屋〈ゴットショウ〉近くの黄金街道で対面した。統制が行き届き高度に訓練された歩兵隊は、アンヴィルの寄せ集めの衛兵を粉砕したが、状況は見た目どおりではなかった。それは罠だったのだ。隠れていた海賊の集団がなだれ込み、歩兵隊を取り囲んだ。海賊たちはボロボロの服装で統制も取れていなかったが、その数では兵士たちの6倍と圧倒していた。歩兵隊は壊滅し、それはゴットショウの大虐殺として知られるようになった。
カロラス・アクィラリオスに選択肢は残っていなかった。歩兵隊の助けがなくては、ゴールドコーストへの忠誠を誓うしかなかった。海賊女王とアカトシュ大司教の2人に挟まれる形になった伯爵は、誓いを守ってクヴァッチの街と人々を守ろうと全力を尽くしながらも、自分の力の無さに憤っていた。
緊急の要件。非常に危険。報酬は弾む。命の危険がある仕事。特別に実力のある冒険者のみ募集。
詳細を知りたい者は、クヴァッチの宿屋でレマン・メヴァヴィウスというインペリアルを探すこと。