ヒューズベインの書棚 | The Elder Scrolls Online 外部蔵書庫

ヒューズベインの書棚

Hew’s Bane Bookshelf

71ページ:エレンデットの貸借報告書Page 71: Erendette’s Account

栽培の月
また満足なお客さんだ!
未払総額:金15

真央の月
返済:金5。エレンデットは指示通り商品を積み直して運んだ。
借金:金22。(エ)はよく喉の乾く女だ!
借金:金9。(エ)が勝手に私の在庫に手を出した!

未払総額:金41

南中の月
返済:金7。(エ)がまた盗みを働いているか究明する。
借金:金31。(エ)はここの秘密の品が好きで仕方ないようだ!

未払総額:金65

メモ:借金を払うまで、返済は中止。(エ)にはもう商品を与えない。

メモ:支払いは金のみ受け付ける。働いて借金を返済させると、(エ)は在庫の損失で余計に金がかかる。

アバーズ・ランディングの商人王 第1巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 1

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

偉そう。傲慢。自己中心的。アバーズ・ランディングの自称商人王たちを表す言葉のほんの一部だ。4つの貿易会社のはじまりは約160年前。当初はハイロックとヴァレンウッドを結ぶ商業と貿易の中心として、アバーズ・ランディングを高めるべく努めるまともな会社だった。だがヒューズベインは文明を発展させようとする者に厳しく、不法な利益を追求する会社がまっとうなものを次々に追い抜き、会社はその努力に反して日増しに腐敗していった。

目立つようになった4つの貿易会社はアトアディン・シンジケート、ヴィエン家、サザール・カルテル、そしてガージェス・アンド・アソシエイツだった。やがてこの4社の王たちが港町の商業と金を全て動かすようになった——合法なものも、違法なものも。利益のほとんどは密輸、奴隷などの違法取引からきていた。商人王たちはアバーズ・ランディングに商品やサービスをもたらしつつ、遠方の地と(控えめに言うと)有益な貿易協定を結んでいた。アバーズ・ランディングが豊かになってくると、他のグループも興味を示し始めた。ここから商人王たちと地元の犯罪者たちとの長く騒がしい関係性が始まったのである。「隠れた」貿易会社の噂まで出回り始め、実際に大手貿易会社と「隠れた」貿易会社の間で、水面下での戦争が行われていた形跡も残っている。この抗争についての詳細を暴くには至っていないが、その結末は明らかである。ガージェス・アンド・アソシエイツは潰され、他の3社も以前の栄光は見る影もないほど廃れ、隠れていた勢力が港町の支配者となった。

ここ15年ほどは、貿易会社たちは一歩引いている。もちろん事業は続けているし、衛兵やインフラといった街のサービスに資金提供もしているが、それまで何十年と見せてきた自信と威勢の良さは見られない。どの市長、どの貿易会社、どの秘密ギルドが中心に立ったわけでもないが、闇の奥深くから誰か、もしくは何かがアバーズ・ランディングを動かしているのは私には明らかだ。そのため、ヒューズベインと取引をする際は注意するよう勧める。

次の報告書では、エリア内で営業している大手貿易会社それぞれの背景について説明していこうと思う。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第2巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 2

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

アバーズ・ランディングの貿易会社の中でも先駆けであり、その末裔たちによれば最も偉大な貿易会社がアトアディン・シンジケートである。武勇と愛想のよい人柄で知られるレッドガードの男アフシュール・アトアディンによって創立され、育てられ、120年近くにわたり繁栄した。野心家アフシュールは初めレッドガードの剣、オークの斧、ウッドエルフの弓などを売買する素朴な武器商人だった。当時の客は主に目的地へ向かう途中でアバーズ・ランディングに立ち寄っていた海賊や私掠船だったが、それらの船舶や船員と輸送契約を交わすようになるまで長くはかからなかった。

時が経つとシンジケートは商品に鎧や盾を加え、身を守ろうとする者や船で戦いに突入しようとする者が、一気に買い物を済ませることのできる場を提供しようと試みた。海賊団、傭兵団、国に仕える私掠船までもが、品質と保証を証明するシンジケート印の入った武器や防具を求めてごった返すようになった。こういった繋がりから、また新たに有力な収益源が生まれた——シンジケートは傭兵契約の仲介業を始めたのだ。

現在のリーダー、オラハン・アトアディンは、シンジケートを厳しく支配している。冷酷で才気あふれるレッドガードである彼は、全ての交渉を戦いのように、全ての競争を戦争のように扱う。その実、戦争こそがアトアディンの主要な取引分野となっており、そのおかげで近年貿易会社を襲う謎の災難を受けても利益をあげ続けることができている。わが女王も承知の通り、私が「隠れた貿易会社」と呼んでいる謎の組織は、実態を捕まれることを避けつつも確実に策謀を張り巡らせている。私は必ずその真相にたどり着く。ただ、それがいつになるか分からない。

オラハン・アトアディンは武具や兵器、傭兵契約、さらには紛争があれば敵味方問わず物資を密輸するといった商売を行っている。彼は金さえ入ってくれば、カバナントに武器を、パクトに鎧を、ドミニオンに物資を売ることもいとわない。貿易会社たちを抑制し、巧みにもひそかな攻撃で衰えさせていた勢力が急に消え、シンジケートは再びアバーズ・ランディングで力を強めようと動き出している。

他に懸念すべきこともあるが、オラハンやその家族と関わる際は注意するよう勧める。しかし誤解して欲しくないのだが、ヒューズベインとアバーズ・ランディングで何かを成し遂げようとするならば、彼らは避けて通れない存在だ。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第3巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 3

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

必然的なことだった。悪徳と腐敗に満ちたアバーズ・ランディングには欲を満たす主人、いや女主人が必要だった。腐敗と道楽の渦巻く港町に自分の居場所を築こうと、威厳と大樽一杯の金を手にウェイレストからアバーズ・ランディングへとやってきたのがレディ・フェリス・ヴィエンだった。彼女がやって来たいきさつについてはほとんど情報が残っていないが、ウェイレストの著名な貴族であった夫と、その死との関わりが原因であったことは突き止めることができた。

アバーズ・ランディングに来た理由が何であれ、レディ・フェリスはすぐさま土地を購入し、酒場兼宿屋ウィンサム・ウェルワを設立して港の話題を呼んだ。はじめは小さな宴会場だったが、やがて他の娯楽、より合法性の低い娯楽も提供するようになった。レディ・フェリスはアバーズ・ランディングを通り抜ける人々が持つ悪習に目をつけ、その欲を満たすことができれば金が稼げると考えたのだった。

ヴィエン家は現在、違法薬物や売春といったアバーズ・ランディングの私的で隠された欲を満たしている。ハイロックの悪名高きチェイストハーピーを真似たウィンサム・ウェルワは売春宿となっており、現在の当主レディ・イレニー・モンテインの本拠でもある。他の貿易会社と同じように災難に見舞われながら、彼女は海賊や商人団、多少の冒険を求める貴族の訪問者の違法な需要を満たすことで、ささやかながら利益をあげ続けている。ヴィエン家の商売は全てレディの鋭い監視の下で、アバーズ・ランディングに集中している。街を歩く彼女は、上品で優雅な態度で顧客や訪問中の貴人と接する。しかし暴力的、殺人的ともいえるほど気が短い——不幸にも彼女のそういった一面を見てしまった者で、それを生きて語り継げる者は少ない。

性行為や薬物と同じように、秘められた情報もレディ・イレニーの商売道具である。絶対に裏切らず、彼女が提供する快楽に関わらないのであれば、目的達成の心強い味方となるかもしれない。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第4巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 4

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

はじめてアバーズ・ランディングの貿易会社ができた頃、他から突出した会社があった。リーダーが変わっているだけでなく、そのリーダーが選んだ業種もまた異質だった。サザール・ラと名乗るカジートが設立したサザール・カルテルは、卑劣でありながら欠くことのできない、港町での奴隷貿易を商売にした。男性の敬称「ラ」を授かった、カジートの歴史の中でも数少ない女性であるサザール・ラは、帝国人、ブレトン、レッドガード、そして少数のカジートから成るカルテルを作り上げた。

カジートに奴隷商売のカルテルが運営できるのか?と疑問に思うかもしれないが、結果から言うとかなり上手にできている。利益次第では我が子をも売りさばく女、サザール・ラの伝説は、カルテルの富の増加とともに広まっていった。遠い国へ向かう途中のアルゴニアンやカジートの奴隷を仲介するかたわらで、カルテルは密輸や情報の売買にも事業を拡大した。同族を売り飛ばすことにも躊躇のないカルテルは非常に危険な存在だ。時が経つにつれ、競合者たちもそれを思い知ることとなった。

今は6代目となるカジート女性サザール・ゴールドファングがサザール・カルテルの商人王となっている。彼女はアバーズ・ランディングの貿易会社の現状にも、自身の事業の現状にも満足しておらず、落ち着きをなくしているように見える。貿易会社を害した何かは、このカルテルには特に大きな打撃を与えたようだ。彼女は「隠れた貿易会社」の活動以前に誇った権力と名声を取り戻し、先祖と同じ栄誉ある敬称を受け継ぐことを切望している。

サザール・ゴールドファングは怒りと野心で煮えたぎっている。本人は自分がアバーズ・ランディングで一定程度の富と敬意を手にするのは当然のことだと考えているが、率直に言ってそれは難しい。そのため彼女は苛立ち、不安をかかえ、かなり危険である。私の忠告を聞くか?あのカジート奴隷商人には近づくな。10フィート圏内にもな。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第5巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 5

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

次は私が「落ちた貿易会社」と呼んでいる、アバーズ・ランディングの4つ目の大手貿易会社の哀れで不幸な運命について説明しよう。ガージェス・アンド・アソシエイツの歴史は、今ではシロディールの記録から消え去ってしまった有力かつ強大な帝国の一家へとさかのぼる。ヒューズベインの商人王たちが力をつけてきたころ、アビシアンの海賊王として知られていたイソベル・ガージェスが襲撃と略奪をやめ、それなりに法に則った事業でその勢力を拡大していった。

当然ながら、アバーズ・ランディングのような場所で言うところの法に則った事業は、一般的な解釈とはだいぶ異なる。イソベルは最初、法外な利子をつけて金を貸し付けていたが、やがて彼女率いるガージェス・アンド・アソシエイツはギャンブル、盗品商、不正資金の洗浄、強奪などに手を染めるようになった(強奪については、部下に商船から貨物を盗ませ、その同じ商人たちに売りつけることで手っ取り早く利益を得ていた)。

15年前の貿易会社危機がアバーズ・ランディングを襲うと、ガージェス・アンド・アソシエイツは破産寸前に追い込まれた。それ以降の暴動と、三旗戦役に至るまでの出来事で、その悲運は決定的なものになった。今のガージェス家には一族と忠臣が一握り残るのみで、現当主のマルチヌス・ガージェスは嫉妬にまみれた悲惨な男だ。だが奴には計画がある。会社を立て直し、富を取り戻し、ガージェスの名が再びアバーズ・ランディングで称えられ、尊敬され、恐れられるようにする計画だ。しかし、その夢を叶える道のりは長い。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーズ・ランディングの商人王 第6巻Abah’s Landing Merchant Lords, V. 6

タネスの女王の秘密の主、タモニール 著

これを君に送ろうかずっと悩んでいた。内容は全て仮説や憶測に過ぎない。証拠がないんだ。君に見せられるようなれっきとした事実が。とはいえ、君には私の考えを知ってもらう権利があると判断した。ダークエルフたちが言うように、用心するに越したことはないからな。

前の報告書では、アバーズ・ランディングの貿易会社を妨害し、攻撃までしている別の組織が存在すると示唆した。これを「隠れた貿易会社」と呼んできたが、もっと良い名がある。影のコングロマリットだ。夜中に目の前に広がる大きく深い裂け目のごとく、暗闇の中に確かに存在しているのに、影のコングロマリットは目で見ることができない。

影のコングロマリットとは何なのか?私には分からない。組織の真実を暴けるところまで来たかと思えば、また次の手掛かりを求めてあちらこちらと飛び回らされ、結局いつもあと一歩で届かないところにいる。これまでに分かったことを記す。影のコングロマリットはおそらく40年ほど前に組織された。そしてそれまで1世紀もの間、独占状態にあった商人王たちの前に現れて挑戦状を叩きつけた。そこから25年以内に、影のコングロマリットは貿易会社たちが一歩引き、権力と影響力の一部を譲らなければならないほどの力をつけた。

闇の奥深くで、何らかの戦いが起こったのだろう。この戦いで隠れた貿易会社が勝ち、表に出ている貿易会社たちは痛手を負い、築き上げた玉座から突き落とされたのだ。最も悲惨だったのはガージェス・アンド・アソシエイツで、ほぼ一夜にして総崩れとなり「落ちた貿易会社」と呼ばれるようになった。

影のコングロマリットがアバーズ・ランディングの真の権力者なのだろうか?それがはっきりと断言できないのが、私の一番の悩みだ。

(メモ:この報告書はタネスの船舶から「回収」され、アバーズ・ランディングの関係者に届けられたものである。湾の向こうの親戚たちが我々のことをどう思っているのか皆に知ってもらうために公開した——匿名)

アバーの地域史を完成させるための助力求む!Help Complete Abah’s Local History!

アバーズ・ランディングの市民たちよ!ヒューズベイン記念日の委員会議長の役に立候補し、この職についたことは私の名誉であります。私はこの任を活力と情熱を持ってやり遂げることを誓います!本年の展示は我らの基礎を築いた人物(そして私の母方の祖父という意味で、我が先祖)である、フバラジャード王子の生涯と実績に賛辞を捧げる予定であります!

ヒュー王子の統治時代に遡る種々の歴史的価値を持つ物品の展示に加えて、私が希望しておりますのは、我々の展示コレクションに初めて、「ヒュー王子の大失敗」として知られる、名高く非常に収集価値の高い一連の書籍が加わることであります。そのために、私はこれらの愛すべき書の個人的なコレクションを祭典に貸し出すつもりです。その中には以下のものが含まれております:

——ヒュー王子と使者の爆裂パイプ
——ヒュー王子とハジ・モタの戦車
——ヒュー王子とアイアンレガッタ
——ヒュー王子と二人三脚
——ヒュー王子とペットのトク・ガーヴァ
——ヒュー王子と精霊のパレード
——ヒュー王子とキンドルピッチの泉
——ヒュー王子とオーガのバレエ

目の利く方であればすぐさまお気づきになることでしょうが、このコレクションに欠けているのは1冊だけです。それは悲劇的なまでに希少な「ヒュー王子とスプリガンのバーベキュー」であります。もしこの珍しい本がアバーズ・ランディングで見つかるようなことがあれば、所有者の方にとって我々のコレクションに貸し出すことは市民的寛容の行いとなるでしょう(そしてもし所有者の方に上記の本を売るつもりがおありならば、私は多大な額の報償を提示するつもりです!)

また、我が愛すべき配偶者のレディ・ワラヴィルが他の業務に追われているため、委員会は祭典での発表者として「ヒュー王子の大失敗」の著者と目されている次席高官ハフジファー・アルヤスの役を演じていただくため、それなりに演技のできる美しいレッドガードの女性を探しております。興味のある方はぜひ館にて直接手続きをしていただきたい。

——フザハー・ワラヴィル卿、大公

アルダノビアの強奪日記からの抜粋Excerpt from al-Danobia Heist Journal

フーンディングの道を開くには、トゥワッカの柱を通過しなければならない。その後、マルークの道をたどれば長身のパパの水差しの聖なる灰を手に入れることができるだろう。それによってシンジの真実が明らかになり、そこから宝物庫にたどり着くことができる。

トゥワッカの柱を通過するのが最初の問題だ。ヨクダの将軍たちの装飾がついた錠が壁に設置されている理由が他にあるだろうか?もしこれまで同様、我が知識が正しければ、この錠はナリマヤとトゥナスカの兄弟を基にした物語への言及になっているはず。文書を探して、何か手掛かりになるものがないかどうか探してみる必要がある。

宝物庫に関係があるかもしれない古い文書からの抜粋を見つけた。後で必要になるかもしれないから、書き記しておく:

「こうして、兄弟はそれぞれ戦場に立ち、夜の静けさの中、対峙した。各軍の死体が足元に横たわっていた。彼らの周囲で燃える炎により、戦場は淡い黄金色に照らされた。トゥナスカは北に立ち、彼の将軍であるアキシュとブーリズを従えていた。南に立つナリマヤはこれに対峙し、彼女の信頼する2人の参謀、ニシュカとプントルを従えていた。2人には、これが最後の戦いになるであろうことがわかっていた。2人のうちどちらにとっても、これが生もしくは死への扉を開く戦いになるだろうと」

これは明らかに、将軍たちがそれぞれ、参謀たちの真ん中に位置していたことを意味している。宝物庫への手がかりだろうか?あとはあの部屋に入って、将軍たちの順序を解明できるかどうか試してみなければならない。それと炎についての言及は?方角?どれも決定的な情報になりうる。

文書のこの部分と一致するもので、何か順序を示しているものがないかどうか注意していたほうがいい。部屋の中の何かがこれに言及しているに違いない。順番か、それとも数?とにかく何か。良い予感がする。きっと財宝がじきに手に入る!

ヴァズシャラの日記Vazshara’s Journal

ヴァズシャラが疑うモンクでいたのはたった1週間だというのに、もう自分の決断を後悔している。2つの王国が築かれる以前にここで何が起こったのか誰も話さないけれど、それはいつでもみんなの心の中にある。まるで大きなセンチタイガーが私たちの晩餐を食べているのに、その鼻先をひっぱたいてやることを禁じられているみたい。どこかの月の司祭がここで闇をかき混ぜて、ドロ・マスラをニルニに送ってやったってことはみんな知ってる。でも、なぜ?どうやって?誰もそのことは言わない。ヴァズシャラはもちろん、あらゆる噂を聞いている。ジャ・カジートが誰も聞いていないのを確認してから笑うような、しょうもない物語。たいていのカジートは笑うけれど、馬鹿みたいな話はよく、暗い真実を隠していることを私は知っている。ここで本当に何が起きたのかを見つけださなきゃ。

* * *

書いていて、ヴァズシャラの爪がつりそう!ものすごくたくさんのモンクたちと話して、その話を紙に書きとめた。認めなければならないけれど、これらの話はジャ・カジートとして学んだ物語よりもずっと暗い。役者たちはいつも同じ。頭のおかしいモンクたちと、「石を打つ者」と呼ばれる月の司祭。どうやら、この司祭は魔法の杖を持っていて、それで地面を打つと秘密を話し出すらしい。この魔法の杖がどこからやって来たものなのか、あるいはこの月の司祭が死んだ後どこにいったのか。それは誰も知らないから、ただの作り話かもしれない。でも、謎はひとつずつ解決しなきゃ、そうでしょ?

明けても暮れても、この月の司祭は地面を打って、ニルニのあらゆる秘密を学んでいた。でも結局、魔法の杖はニルニの秘密を出し尽くしてしまい、もっと暗い秘密を語り始めた。ナミイラの秘密を。打つ者はひたすら耳を傾け、年老いて正気を失ってしまった。聖堂のモンクたちも正気を失った。なぜなら、石を打つのが決して止まなかったから。それは大きく、規則的な音だった——コンコン、コンコン、コンコン。心臓の鼓動みたい、そうでしょ?ついに、モンクたちは石を打つ者を殺す計画を練った。モンクたちはハイ・ルナリウムに彼を誘い込み、湾曲したナイフで死ぬまで刺し続けた。打つ者の死体からすべての血と秘密が流れ出して聖堂の扉を打ち開き、モー・オブ・ローカジュと、その先にある闇を明らかにした。

ここからは物語が食い違ってくる。いくつかの説明で、打つ者は血が流れ出してしまった後に起き上がり、稲妻でモンクたちを全員殺してしまう。他の説明では、ローカジュの喉元から大きな翼を持つ獣が飛び出してきて、その爪と牙でモンクたちを切り刻んでしまう。でも、これじゃ意味が通らない。聖堂のそこら中に散らばっている封印は明らかに、月の司祭がモンクたちに挟み撃ちにされて、ベント・スピリットを召喚したことを示している。それに私はハイ・ルナリウムにある扉がどんな見た目をしているか知っている。だから打つ者は生き残って、少なくともモンクたちのうち何人かをベントの踊りに押し込んだはずじゃない?まあいいか。もしかしたら罪の意識だったのかもしれない。疑うモンクは評判が悪いから。多くのカジートがドロ・マスラの解放に教団が一役買っていると考えている。もしかしたら本当かもしれないって思い始めてきたわ。ヴァズシャラもパパの言うことを聞いて、漁師にでもなっておくべきだった。などなど。

* * *

こんな場所は滅びてしまえ!今日、クラン・ドロ修道院長がハイ・ルナリウムにヴァズシャラを呼び寄せて、人生で最悪の罵声を浴びせてきた。「おしゃべりはもうなし!質問もなしだ!」まったく!いったいこの場所のどこに喋れるものがあるっていうの。この聖堂は墓よ。誰も笑わないし、歌ったり、踊ったりもしない。ただ詠唱して、囁いて、尻尾をしまって祈るだけ。それだけでもヴァズシャラは逃げだしたくなるけど、まだあるのよ。修道院長の目に何かがあった。怒りじゃなかった…いいえ、違う。あれは何というか…無だった。鈍くて暗い無。死んだ猫の目みたい。尻尾が立っちゃったくらいよ。ヴァズシャラはもう我慢できない。夜が明けたらすぐに海へ向けて出発するわ。この場所に月の呪いあれ、それから修道院長にも!

ウェイクウォーカーの指令Wake Walker’s Orders

獣使いロドロスへ

上陸部隊を連れて、鮫の歯の洞窟を探せ。新しい准将が喜ぶような、好意を抱かせるような贈り物を見つけろ。噂通りなら、鮫のシャルグは数多くの貴重品を洞窟の内部に隠しているはず。歩き手たちには好きなように略奪させてやっていいが、准将が興味を持ちそうなものは全てとっておけ。

だが獣使いよ、本当の目的を忘れないように。もしクローナ・キーバと呼ばれる伝説の生き物が実際に洞窟の奥深くをうろついていたら、そいつを手なずけて俺のところに連れてきて欲しい。新しい准将のための贈り物として、ペットのハジ・モタ以上のものは考えられないからな!そんな生き物を手にすることができれば、他の海賊船の連中の羨望の的になるだろう。准将だって感激しないはずがない!

さあもう行って、あの生き物を見つけてきてくれ!

ウェイクウォーカーのドロリオン船長

ウェイレストへ捧ぐファランゲル王の頌歌King Farangel’s Ode to Wayrest

これは余の初めての詩作の試みである。これらの言葉は歴史に名を残すであろう。

「猛烈な波がうなり、暗闇のかかった海辺に寄って砕ける。
汝の塔の光は天空に輝く星々にも匹敵し、
その光は影の入り江において倍増される」

だめだ。これはいかん。これでは高尚すぎる。余はこれを皆が共感できるものにしたいのだ。歌ではどうだろう?

「もしも余に娘がいたら、きっと彼女はこう言うだろう。
ウェイレストの男に、毎日一緒にいて欲しい!
そしてもし息子がいたら、きっと彼は望むだろう。
ウェイレストの女と、毎晩一緒にいたいって!」

おっとっと。変な方向に行ってしまった。それもすぐにだ。書記よ、どう思う?何か考えはあるか?

「「ウ」は麗しいこの街の「ウ」
「エ」は偉い王様ファランゲルの「エ」
「イ」は行きたくない場所ダガーフォールの「イ」、あの汚くて臭い貧民街」

よくわかった。これではどうにもならん。こういうことは吟遊詩人に任せるべきだと思う。

なぜまだ書いているのだ?書記よ、確かに余はすべて書き留めろと言ったが…よいか、命令に従わねば死刑にするぞ、止め——

ヴェルサへの手紙Letter to Velsa

あなたを見つけるまで長い時間がかかった

誰かがあなたのことを思っていると知っておいて

あなたの幸せを願っている

ヴェンティリアス・プロキシマスの日記Journal of Ventilias Proximus

またザルガクに裏切られた!奴のところの口の軽い馬鹿が我々の取り決めを漏らしたに違いない

もっと死体が必要だ!ボロボロになっている方がいい。ザルガクの提案にあれほどそそられた理由はそこにある

だがこの「コッシュ」がザルガクを脅迫してノー・シラ要塞に呼び出した——鉄の車輪の本部だ!ザルガクがこの新しい商人王の遊びに参加しなければ、鉄の車輪が俺を訪ねてくるまでどれくらい時間がかかるだろう?

この薄汚れた穴で死にはしない。黒き虫の教団が俺を受け入れるだろう、それは確かだ——ただ自分の価値を証明するために、あと少し魂が要る…

エバニ船長の記録Captain Evani’s Log

記録184
アバーズ・ランディングの盗賊ギルドはタネスの傭兵に潰された。商人王たちがとうとう押し戻したの?アンヴィルの連中と協働するチャンスかもしれない。

記録188
少量の積荷がアバーズ・ランディングの連絡係に配送された。次回は大量に送る。

記録191
新しい准将ということは、至急金が要る。敬意を示すにはそれしかない。次回アンヴィルに行ったらできるだけ荷を積まないと。

記録193
裏切られた!この「コッシュ」は何者?私たちがスクゥーマを密輸するとどうやって知ったの?ノー・シラ要塞で奴に会わなければ、奴は鉄の車輪に私の船を襲わせる!

私が船を遠海にやったら、きっと准将は私たちに敬意を示すつもりがないんだと考える。でも連絡係が怯えて、私たちの荷の受け取りを拒否する。

コッシュのせいで困ったことになった。あの忌々しい古い砦で奴に会うしかない。他に選択肢はない。

エルフと卵とドラゴンみたいなものThe Elf, the Egg, and the Almost-Dragon

幼いイオリは、夜は祖父からエンシェント・ドラゴンの話を聞き、昼は近くの沼でその痕跡を探しまわるという日々を送っていた。一度ドラゴンのものだと信じて、きらきら光るうろこを持ち帰ったことがあった。祖母はただのワマスの皮だと言って、家から遠く離れたことでイオリをきつく叱った。

それでもイオリは諦めなかった。ドラゴンを見つけたい一心で探し続けた。毎日どんどん祖父母の小屋から遠く離れるようになり、ある日暴風雨に遭ってしまった。近くの洞窟に避難したが、そこは汚い水で水浸しになっていた。水たまりを避けながら何とか洞窟の奥までたどり着くと、イオリは思いがけないものを見つけた——それは大きな緑色の卵だった!

暖かい泥に半分埋まったその卵は、命の鼓動で脈打っていた。これはドラゴンの卵に違いない、とイオリは確信した。祖父の話に出てくるドラゴンの卵はいつも大きく、堅く、温かいものだった。この卵も、とてもとても温かかった。

孤独な卵だった。母親のドラゴンも、それ以外の生き物の形跡もなかった。今卵がかえれば、赤ちゃんドラゴンの世話をする者がおらず死んでしまうだろう、とイオリは思った。

「家には持って帰れない。おばあちゃんに潰されるか、料理されちゃう!」彼女の祖母はドラゴンや卵など信じておらず、きっと食べ物として認識されてしまう。

「ここに残るのも無理ね」暗くなってから帰ればどんなお仕置きが待っているか、考えたくもなかった。「どうすればいいの?」

降りしきる雨を眺めながらイオリは考えた。「嵐はひどくなる一方。今帰ろうとすれば道に迷うか風邪をひいちゃう。おばあちゃんも分かってくれるわ」そう自分に言い聞かせて、一晩泊まることを決意した。

次の日の朝、入り口から差し込む日差しを浴びてイオリは目覚めた。それまで経験したことのないほどの空腹感に襲われたが、それでも第一に考えたのは卵のことだった。暖かい泥の中から卵を掘り出し、観察した。卵はとても熱かった!

「きっともう生まれる寸前なんだわ!」興奮してイオリが言うと、それに答えるかのように洞窟の外からうなり声が聞こえてきた。「お母さんドラゴンかな?」と彼女は思った。しかしドラゴンの洞窟に閉じこめられるとなると、良い予感はしなかった。

さらにうなり声と、鼻をクンクン鳴らす音が聞こえた。外にいたのはドラゴンではなく、グアルだった!イオリは片手に卵、もう片手に石を持ち、ゆっくりと洞窟を出た。そこにいたのは地面に鼻をつけるグアルだった。グアルは彼女を見ると、またクンクンと鼻を鳴らした。

「あげない!」そう叫んでグアルに石を投げつけた。石は鼻に強く当たり、グアルは鳴き声をあげた。しかしこのグアルは家の近くで見る、飼いならされたものとは違った。飼いならされたグアルはうなったりしないし、怒って前足で地面を引っかいたりもしない。

イオリは走った。グアルが追いかけてきて、彼女はだんだん恐ろしくなってきた。卵をぐっと胸に寄せて、木の枝や転んだときの衝撃から守った。恐ろしすぎて、グアルが諦めてからもしばらく走り続けた。しばらくしてイオリは力尽き、膝から崩れ落ちて座り込んだ。

「もう安全だと思うよ、ドラゴンちゃん」そう言ったイオリの表情は、一瞬にして再び恐怖にとらわれた。卵を見るとそこにはヒビが入っていたのだ!「キャー!」イオリは泣き叫んだ。きっと強く抱えすぎたか、木の枝に当たったか、もしくは——

すると1つ、また1つとヒビが入っていった。中から押し出されて、殻が落ち始めた。

「生まれるのね!」イオリはどうしてよいか分からず、きょろきょろと辺りを見た。地面に置こうとかがみつつ、ためらった——逃げちゃったらどうしよう?だが傷つけたくもなかったので、あぐらをかいて汚れたエプロンをハンモックがわりにして、卵を膝の上に置いた。

そのまま卵はガタガタと揺れながら崩れ続け、やがて穴からドラゴンの鼻が出てきた!明るい緑色で、少しネバネバしていた。目が開き、イオリを見上げた。くさび形の頭からフォークのような形の舌が現れ、彼女の気持ちは高ぶった。いよいよドラゴンが生まれるのだ!

残りの殻が全て崩れたが、驚くことにその「ドラゴン」には爪はおろか、脚すらなかった。小さな翼の生えたヘビだったのだ。膝にヘビの赤ん坊を乗せるなど、イオリの友達であればゾッとするようなことだが、彼女はただただあっけに取られていた。ドラゴンの話はたくさん聞いたが、翼の生えたヘビの話など聞いたことがなかった!

生き物が殻を完全に振り払うと、イオリはその破片を慎重に片付け、両手でヘビを包んだ。少し冷たかったが、手の中で温もりを帯びていくのが分かった。眠そうな蛇の目でイオリを見上げると、2回まばたきをして、眠りに落ちた。

「まあでも、ドラゴンみたいなものよね?」

カリの品目一覧Kari’s Hit Rist

新人たち、注意して!過去において、盗賊ギルドのメンバーたちは仲間の中で一番の者を決めるために、最も貴重で価値の高いお宝を、タムリエルで最も有力な人々から盗んでいたの。現在のところ、我々にはそういった種類の注目を集める必要は一切ない。本当よ。

とはいえ、あなたたちが技を磨き、実力を見せつけることは重要であるとギルドマスターは考えているの。だから私は特別なものではあるけど、誰もそれを取り返すために軍隊を送らないような品物の目録を作成しておいたわ。見つけて盗んでみて。証拠として、隠れ家まで持って来なさい。

これは自慢のためのものであり、金のためではないわ。だから私のところに来る時、こうした品物に多額の報酬を期待しないでね。

アバーズ・ランディング:ヒュー王子がまだ生きていた時代銀行家のひいひいひい(中略)じいさんの代の甥っ子が、この哀れな間抜けの葬儀壺をまだ持ってる。今は花瓶として置かれているそうよ。

グリーンシェイド:魔術師ギルドはある樹の従士のために、奇妙な生きた本の修復作業をやっている。多分、水をやるとかそういうことでしょう。

オーリドン:ナエモン王子は記念のデキャンタを持っていた。自分の戴冠式のために注文したんだけど、式が行われることはなかった。噂では、まだスカイウォッチの邸宅に展示されているらしいわ。

マラバル・トール:古いウッドエルフの物語に、あまりにも優秀なので、呪われたハープで大会に優勝した詩人の話がある。誤った者の手に渡って誰かの鼓膜を吹っ飛ばしたりしないように、ハープは魔術師ギルドが保管しているそうよ。

リーパーズ・マーチ:魔術師ギルドはラウル・ハの屋敷にいる、ある年老いたカジート戦士の古い持ち物を気遣っているわ。不幸なのは、それが彼の痰壺ということね。

グラーウッド:カモラン王朝の一人が戦闘で死んだ時、その代わりを務めることになっていたマネキン人形があるわ。どうやらそれは見破られたみたい。というのも、大使館で埃をかぶっていたからね。

アリクル砂漠:砂漠にいる裕福な宿屋の主人がある古い鉢を持っている。本人の主張では、彼の血筋があるラ・ガーダの英雄にまで遡ることを示す家宝だそうよ。見た目は人を欺くと言うけど、それにしても疑わしいわね。

ストームヘヴン:ウェイレストの最初の王はいい王様だったかもしれないけど、詩人としてはひどいものだった。彼の作品を収めた未刊行の本が1冊、魔術師ギルドに保管されているわ。朗読しなくていいわよ。

バンコライ:ヨクダの征服者たちの中でも比較的几帳面だった者が、自分の所持品を片付けるのに巨大な文鎮を必要としていたそうよ。これは私の手元に置くことになるかもしれないので、そのつもりでいるように。

グレナンブラ:ダガーフォール城を飾っているじゅうたんのひとつが魔法の力を持っているそうよ。どうしてそんなものを何かの役に立たせずに、ただ置きっぱなしにしているのかは知らないけど。

リベンスパイアー:戦士ギルドはショーンヘルムのお姫様がエメリック王にあてて書いた手紙をいくつか持っているらしい。王が彼女を捨てて、センチネルのお姫様のところに行く前のものよ。興味をそそられるわね。

イーストマーチ:イーストマーチの住民たちは、ジョルン王が叩き壊した古代ドワーフの品が次の宴のメインになると言っているわ。今は現地の魔術師ギルドで修理されているそうよ。

ストンフォール:ある宿屋の地下に、エボンハート・パクト結成時の古い紋章が転がっているそうよ。特に懐かしんではいないようね。

シャドウフェン:ブラック・マーシュでアルゴニアンと一緒に住んでいる奇妙な部族がいるそうよ。驚くことでもないけど、彼らはみんな死んでいる。でも、アルゴニアンはアーティファクトの一部をそのままにしているみたい。何か宗教的な祈りの対象があるんでしょうね。

デシャーン:ほとんどの場合ドワーフのアーティファクトは高値がつくけど、モーンホールドの周囲では一部の旗が奪われ倉庫に放り込まれているそうよ。もう少し深い話がありそうね。

リフト:イスグラモルは一般に戦士ギルドに崇拝されている。彼らはイスグラモルのように利き腕で同じ杯から飲むのよ。でも、彼の古いワインの内、まだ残っているものがあるらしいわ。

キルナの消息Word of Khiruna

キルナの人相書きは市場で巾着切りを衛兵に見つかったときのものだと猫会議で聞いた。鉄の車輪の攻撃の後だが、アジトで嵌められる前の話だ。

噂では、彼らは彼女を罰金刑にして釈放する気だったが、もっと金を稼ぐため鉄の車輪に彼女を引き渡すことに決めたらしい(これは商人王が主任調査官ランビクは仕事に有害だと判断する前だった)。最後の噂によれば、彼女は ノー・シラ要塞へ向かう船に乗せられたらしい。その後は何も聞こえてこない。

—スラグ

クラン・ドロ修道院長への手紙Letter to Abbot Kulan-dro

親愛なるクラン・ドロ修道院長

ヴァルナーゴ・ドロはトルヴァル・クリアタが、あなたの異動嘆願書を受け取ったことの確認として手紙を書いている。少々驚いたと言わざるを得ない。七つの謎の聖堂はあなたの技術と感性にぴったりだとクリアタは考えていた。聖堂の特異な歴史からある程度の難しさが伴うことは分かっているが、これを降格だと考えて欲しくない。断じて!その正反対だ!クリアタとしては、昔から我らの中の最強の指導者たちが封印を見張るべきだと考えてきた。七つの謎の聖堂で働くことは不名誉だろうか?残念ながらそうかもしれない。しかしジョーンとジョーデは最も困難な要求を、最も強い者に課す。そうだろう?厳しい自己管理と、徹底した研究で知られるあなたこそが適任だと思ったのだ。

あなたの嘆願書は検討するが、最も古い友人の一人として、ヴァルナーゴは修道院長としての新しい役割の美点を探すことを勧めたい。月はいつも我らの足をより輝かしい栄光へと導いてくださる。起きる事には全て理由がある。祈ろうではないか。

月のご加護がありますように。

司祭ヴァルナーゴ・ドロ

コッシュの書類からの引用Excerpt from Cosh’s Papers

金と書類は予定通り、レディ・イレニー・モンテインに届けた。これでフバラジャード宮殿は完全に貸切りだ。今後の作戦基地になってくれるだろう。

—コッシュ

この衛兵向け通知を見て!Look at this Guard Dispatch!

(この公文書をどの街の衛兵が書いたか当てた人には、貴重なアカヴィリ金貨を5枚渡しましょう——アンダーリ)

街の衛兵全員に告ぐ。スリに警戒せよ。我々の情報源によると、ある組織された無法者たちの集団が脅迫の目的で、我々の市民の「商売道具」を懐と財布から直接盗むつもりでいるという。これらの盗賊たちはクラフト用品や楽器、そして釣り道具さえも狙っているのだ!

宿屋と港を最も厳しく警戒せよ。これらの区域は人が密集することが多いのに対し、衛兵たちの数が少なくなりがちである。盗賊は吟遊詩人からリュートを盗み、その上発覚することなく宿屋を抜け出してしまうかもしれない。また漁師たちは商売の際、人目につかない場所を好む。幸運なことに、我々のクラフト区域の大半は厳重に見回りが行われる傾向にあるが、頻繁に「休憩」を取ると言って路地をうろついているような者には目を配っておくこと。

(サウスポイント。簡単すぎる——スラグ)

(外れ。それに書かなくたって、直接言えばいい——アンダーリ)

(お前は「眠って」たからな。それから、ノースポイントと言うつもりだったんだ——スラグ)

(どっちにしろ外れ。スラグはもう失格ね——アンダーリ)

(全員失格だよ。あの女、貴重なアカヴィリ金貨を5枚なんて持ってないんだからな——スラグ)

(スラグは三重に失格よ。「貴重なアカヴィリ金貨」っていうのは、私が作った飲み物の名前だからね——アンダーリ)

サロルド最大の宝Saroldo’s Greatest Treasure

愛する娘へ

これを読んでいるなら、間違いなく私の死の知らせを受け取っているだろう。その場合、私は友人のニコラスに、台帳を手に入れ大学にいるお前の元へ届けるよう託しておいた。お前のうめき声がきこえるようだ。私がお前よりもずっと魅了された謎の一つが、私からの最後の贈り物だ。

しかし、正直に言うとお前に解いてほしいのかどうかは良くわからない。私はお前に説明したように生きて来た訳ではない。私はアバーズ・ランディングのある女性と深い恋に落ちた。恥ずかしながら、お前がレディ・スリマを受け入れるのかどうか不安だった。彼女はお前の母親ではないし、代わりを務める気もない。それでも我々はそれぞれ、失う痛みを知っている。

お前に渡せる最大の宝は、お前たち二人が家族となる未来だ。

手紙を丸めて何かに投げつけたんじゃないかと推測するが。さて、立ち直ったところで続けてくれ。

今までにやったことを考えてくれ。お前は台帳の謎を解き、アバーズ・ランディングに旅し、ヒューズベインの砂の土地の位置を突き止め、古い宝箱を掘り当てた。鍵もないのに金庫を開けることに成功した。

全てがお前に私の遺言を読ませることにつながっている。アバーズ・ランディングのレディ・スリマを探すのは問題ないはずだ。彼女はお前の名前を知らないが、肖像画を持っていて、とても会いたがっている。私が彼女と過ごした素晴らしい、おかしな人生を語ってくれるだろう。それから、お前が大学を卒業したら一人立ちするために役立つちょっとした財産を持っている。お前はなりたいものにはなんでもなれる。私が旅立ったとしても、いつも誰かがそばにいてくれるだろう。

ただ、彼女の支えにもなってくれるよう祈るばかりだ。

愛をこめて

—S

ジオベセンの頭蓋骨の信憑性Authenticity of the Giovessen Skull

高潔なる従士フルストロム

「2920年」の記載はほとんどが作り話だが、真実の種がジオベセンの頭蓋骨の形で実になった。皇帝レマンIII世の命令でジオベセン宮殿に閉じ込められた、有名なタヴィアの金に浸され宝石を散りばめた頭骨なのだ。ジオベセンの頭骨は偽の遺物だという噂がハンマーフェルの以前の持ち主から広まり囁かれているが、そのような歴史の上で価値あるものを盗もうという気を起こさせないためであることは間違いない

私はここにジオベセンの頭蓋骨は本物であると証明する。元の頭骨はブレトンの死刑囚から得たと主張する噂はすべて…ただの噂にすぎない

メルカトール・マニックス(帝国歴史学者)

セプ・アダーの繁栄Triumph of the Sep Adder

ウェイレストはあまり選択の余地を与えてくれなかった。ウグイアビの売り上げは資産のいくらかを取り戻させてくれたが、面倒に見合うほどのものじゃなかった。私たちは水の漏れる船を1隻買い、故郷に帰る途中の沿岸で売るための貨物を探し求めた。私、ザビアーコは港の斡旋業者をあまり信用していなかったので、持ちかけられた計画の大部分は拒絶した。

「だがな、ザビアーコ、珍味の取引をするべきだよ!」とあの悪党は言った。「砂糖と米じゃ大した儲けにはならないが、泥で覆われたドゥルーの卵は、アバーズ・ランディングのよく肥えた金持ち商人たちに珍重されてるんだぜ!」その時は危険を冒す価値があると思った。

そんな価値はなかった。ドゥルーは交尾の後、足を取り去って海の中で過ごすのだが、船体の中にあった卵の存在を感じ取ったに違いない。私たちがセンチネルをあとにしてすぐ、奴らは襲ってきた。船に穴が開くと同時に、奴らは水と共に突進してきて、卵を奪っていった。船が完全にバラバラになる前に、私は気を失ってしまった。

でも心配はいらない!これがザビアーコの最期ではない。まだまだ語るべき物語や見るべき生き物がたくさんある。たとえば美しいセプ・アダー。それについてはすぐに話そう。

私たちはヒューズベインの地の南西部にある浜辺で目を覚ました。アバーズ・ランディングから地続きの短い旅だった。街へ向かう旅では多くの冒険に出くわした。その中には自分を鮫だと思っているオークとの出会いもあった。しかし一番よかったのは地元住民にセプ・アダーと呼ばれていた、翼の生えた蛇だ。

ウグイアビと同じように、見た目は間抜けな生き物だ。足はないけれど、蛇のように地上を動き回る。翼を持っているのに、空を飛ぶことはできない。しかしあの馬鹿な鳥とは違って、セプ・アダーはうまく繁栄しているし、優美だ。この生き物はその尽きることのない飢えを満たす術を常に持っている。

セプ・アダーは常に次の食事を狙ってうろついている。この土地の川の緑が生い茂る岸に沿って滑空しながら、空中では虫を取り、水中からは魚を取っている。後に土地が渇いてきて、水が少なくなって来た時、こいつらの数が増えているのを見た。地面の中の乾燥したちっぽけな巣から、小さなネズミを引っ張り出していた。

セプ・アダーはあらゆることに対して不器用に見えるが、実は多くのことをうまくやれる。湿った土地と、乾いた土地の両方に生きている。それはザビアーコも同じ。私は生まれつき金があったわけでも、格別運がよかったわけでもないけど、機転を利かせることによって多くの不運を乗り切ることができた。

この土地の人々はセプ・アダーに敬意を払っている。というのは私たちがアバーズ・ランディングに近寄った時、翼を持つ巨大な蛇に巻き付かれている男の大きな彫像を見たからだ。あんなに大きいのは見たことがないけど、だからといって自然の中にいないとは限らない。もしあんな生き物が困難を乗り越えて、勝者として栄誉を与えてもらえるとしたら、もしかするとザビアーコも、困難を乗り越えて、どこか名誉を授けてもらえるような場所を見つけられるかもしれない。もしその栄誉が、単に次の食事がどこにあるのか知っているというだけのことでも!

ノー・シラにはノーを!No Shira, No Good!

第四紀398年、収穫の月2日
ボスがすごい隠れ家を新しく見つけた!アバーズ・ランディングからはちょっと遠いが、何もかも地下にあるんだ。それに、雨季にも乾燥している。誰が建設したのか知らないが、壁を遮断する方法をよく知っていたんだな。

それに大きく建設する方法も知ってたみたいだぜ。仲間の数を3倍に増やしてもまだ貯蔵庫やお宝、それどころか奴隷のための空間もたっぷり残るぞ!

第二紀398年、収穫の月5日
この場所の名前を発見した。「ノー・シラ」だ。どういう意味なのかはわからんが、「気をつけて歩け」とかそういうことかもしれん。エフィーが寝台に行こうと下に降りたら、凶悪な鎌が壁から飛び出してきて、彼女を真っ二つにしちまったんだ!ボスは俺たちに他の罠を探しに行かせたが、何も見つからない。あれ一つだけだったのかもしれない。

第二紀398年、収穫の月9日
「ノー・シラ」というのはどうも「そんなに甘くない」ってことのようだな。ナックラーが少し酔っぱらって、ふらつきながら階段を下りていった。彼は底のほうで黒焦げになって見つかった。炎がどこから出てきたのかもわからないんだ。

第二紀398年、収穫の月13日
もう限界だ、俺たちはここを去る。何だか知らないが凶悪な罠のせいで、ボスの膝から下が無くなっちまった。ボスには新しいあだ名が要るだろう。「足軽」じゃまずいかな。

パーシー・ヴェルモントへの手紙Letter to Percy Velmont

パーシーへ

さあ来なさい、かわいい弟よ!小説「海賊女帝スサ・アプラグド」最新刊から顔を上げて、しっかり私の言葉に耳を傾けなさい。私は旅に出ます。そう、突然で予期していなかったことね。でも、直接告げる時間はなかったの。たくさんの仕事に関わらなければならず、どうしても参加しなければならない会合もいくつかあるのです。気になるのなら、旅程表の写しを残しておきました。

私のいない間、変なことを思いつかないように。父上は仕事と家族のことを私に託していかれました。私が戻るまで、恐ろしく間違ったことはやらないようにすればいいの。

数週間したら会いましょう。かわいい弟。私のいない間もいい子にしていたら、アンヴィルで次の「海賊女帝」の冒険を手に入れるかもね。

あなたの姉
アナイス

パーシへの手紙Letter to Paathi

パーシへ

心配だ。ショラマイは噂を広めたくはないが、クラン・ドロ修道院長のふるまいは日毎に奇妙になっている。またもや昼の瞑想に遅れ、トジャイの詠唱のあいだぶつぶつ言っていた。マントラのあいだ目を開けるのを禁じられているのはわかっているが、のぞき見ずにはいられなかった。クラン・ドロの口先はねじれて冷笑に変わり、尻尾は祈りのベルのように前後に揺れていた。これだけではショラマイのうなじの毛は逆立ったりしないが——爪がリズムを刻んでいたのだ。石をカチカチと打っていた、何度も何度も。それで私の頭はクラクラしてしまった!

たてがみに手紙を送らねば。あのリズムには何か暗いものを感じる。修道院長が堕落していたら我々全員が危険だ

これから数日間は見えないところにいて、あのリズムを聞いたら聖堂を逃げ出せ

月のご加護がありますように
ショラマイ

バリスの日記Balith’s Journal

記録42
また光だ。昨晩はあまり考えていなかった。ただ静かな海に星がきらめいているのと、遅い時間だから俺の目がぼやけているだけだと思った。あれは今夜戻ってきて、さらに近づいてきている気がする。俺の力ではどうしても見ることができない。ただの変なちらつきか、瞬きにしか見えないんだ。

記録43
嵐がやってきた。海の向こうの空が鋼鉄のような色になってきている。ここ数日の夜中に見たあれに違いない。雷鳴と稲妻だ。もっと気をつけておくべきだった。

記録44
嵐がにじり寄るみたいに動くのなんて初めて見た。海の上に漂っているみたいで、ほとんど動いていない。待っているんだ。こいつは良くない。関税の勘定は明日にして、窓に板を打ちつけておこう。

記録45
船があった!もやのなかに輪郭が見える。ランプのような輝きがあるが、明かりは冷たい。いったいあいつはどれだけの間、嵐の中に閉じ込められているんだろう?無事だといいんだが。ここから俺にできることはあまりない。目を光らせておこう。俺にできるせめてものことは、船が嵐の中で沈んだら港まで走って助けを求めに行くことだ。

記録46
ターヴァの赤い羽根にかけて!船が嵐なんだ!今夜、俺が網の方に針路を向けていたら、ガレー商船が1隻沿岸付近を通り過ぎていった。避雷針みたいだった。あのじりじりした嵐が台風みたいに躍り上がって、まるで生き物みたいにあのでかい貿易船に突撃していったんだ。嵐に飲み込まれたと思っていたあの船はその先頭に立っていて、網みたいに雲を後ろに引きずって、遅い商船を取り囲んでしまった。そいつは稲妻をガレー船の帆に向かって吐き出し、風と波でもみくちゃにしてしまった。

俺には動く度胸がなかった。嵐の船がガレー船を襲うのを見てるしかなかった。雷鳴にかき消されたせいで、叫び声や悲鳴はほとんど聞こえなかった。逃げたいという気持ちが俺をようやく恐怖から立ち直らせた。あいつらに発見されなかったのは運が良かったと言うしかない。

記録47
あいつらが来る。アリーナを探してくれ。愛していると彼女に伝えてくれ。俺のために祈って欲しい。

ヒュー王子とハジ・モタの戦車Prince Hew and the Haj Mota Chariot

次席高官ハフジファー・アルヤス 著

「ハフジファー!いや、次席閣下!」給仕のジェンゲシュだ。階段を駆け上がって来たので、汗をかいている。「王子様があなたにすぐ来て欲しいそうです。厩舎にです。急いで!」

「今度は何?」と言いながら、私はラリバラーの「11の儀式形態」をデスクマットの下に突っ込んだ。水中呼吸の呪文を学ぼうとして一時的に水中でしか呼吸ができなくなって以来、王子は王宮での魔法を禁じていた(私は5つ目と6つ目の音節があべこべだと教えたのだが、王子は無視したのだ)。「またスキーヴァーがオーツ麦の中に入ったの?」

「いーえ!」ジェンゲシュはいたずらっぽく微笑んだ。「ご自分でお確かめになった方がよろしいかと」

ヒュー王子はいらいらした様子で厩舎の扉の前を行ったり来たりしており、先がくるっとカールした黄金のスリッパで糞を踏まないように気を配っていた。「おお来たな、ハフジ!お前に見せたいものがある。お前も今度こそ感動するぞ!」彼が絹の袖に覆われた片腕を振って見せると、いつも側を離れない護衛のビッグ・ドーランは厩舎の扉を車輪に沿ってずらし、開いた。

中にあったのは、私がこれまで見た中で最も醜いものだった。それはラ・ガーダの戦車のように見えたが、サイズが大きすぎたし、車輪は2つではなく4つあった。乗員席に掛けられた金縁の枠には、黄金で縁取られた大きな傘が刺さっていた。乗員席自体はけばけばしくも輝く虹色に塗られていた。これは王子が選んだシンボルである(彼は”色(ヒュー)”男だから。分かるでしょう?)。そして御者が泥で汚れるのを防ぐために、車輪の上に銀板が覆いかぶさっていた。これの全体は採石場で働く牛車ぐらい重そうに見えた。

「見事だろう?」と王子は聞いてきた。「見事だ。そうじゃないか?」彼はきっぱりと繰り返した。「見事だ」

「み…見事ですね。はい、確かに。その通りです」と私は言った。「それに…こいつはなかなか大きいですね。でも見たところこいつを引くには馬を8頭ほど使うことになりそうですが、私たちのところには6頭しかありませんよ」

「馬だって?はっ!馬なんてのは庶民のものさ!新しい我が王子専用戦車はだな…ハジ・モタに引かせるのだ!」

「悪魔の亀?しかしあれを手なずけた者はいませんし…いるはずがない。第一、殿下はそんなものをどこから手に入れるつもりなのですか?」

「もうすでに1匹持っているんだ!」とヒュー王子は言い、その天神ひげを誇らしそうにいじった。「ボズマーの商人から買ったのさ。催眠性の虫の煙で手なずけたそうだ。見に来いよ!」そして王子は厩舎のさらに奥へと進んでいった。

叫び声があがったのはその時だった。通常ならば私は「血が凍るような金切り声」のような陳腐な決まり文句は使わないのだが、冗談抜きで、私の心臓はその音で凍りついてしまった。人間と馬の両方からあがる、おぞましい悲鳴だった。器用な腕のモラドが目をかっと見開いて、檻から駆け出してきた。その後ろからは私の知らないウッドエルフが続いた。私は彼の通り道を塞ぐ形になり、彼が私を押しのけて通り過ぎようとしたところで、私は彼の装飾用の角をつかんだ。「おい!やめてくれよ!逃げなきゃ!」

「何があったのか教えてくれれば行かせてあげるわよ」と私は低い声で言い、念を入れるために角をねじってみせた。

「ハジ・モタだよ!眠りの煙に耐性ができちまったに違いない。何せあいつは目を覚まして…怒ってる!」彼は肩越しに振り返り、身震いした。「あいつは馬を食ってるんだ!次は俺たちだぞ…行かせてくれ!」

私は彼を行かせてやった。そうすると、納屋の奥底から轟音と共に悪魔の亀が現れた。その顎からはまだ馬の一部分を滴らせていた。亀はヒュー王子に向かって真っすぐ突進していた。王子は動かずに立ちつくしていた。私は彼が恐怖で凍りついていることに気がついた。

間一髪だったが、私は王子に体当たりをかまし、ハジ・モタに蹂躙される寸前に突き飛ばした。ハジ・モタは我々を通り過ぎ、そして一瞬立ち止まり、振り返った。なんて素早い奴だ。さらにその重い尻尾でドーランをひっぱたき、彼を一方に、両手剣を別の方向に吹き飛ばした。そしてハジ・モタは我々に注意を集中した。その赤い豚のような目には殺意が宿っていた。

私は手足を広げて王子の上に倒れこんでいたが、彼はそのずんぐりした手で私をぺしぺしと叩き、「助けてくれハフジ!助けて!」と泣き叫んでいた。化け物が近づいてきてその巨大なくちばしを開けたので、私は何か呪文を思い浮かべようとした。どんな呪文でもいい…しかし王子が私に向かって息を切らして喚いていたので、頭の中は空っぽだった。

王子…息を切らして…突然、私の心の中である呪文が形になった。私はそれをとっさに口に出し、ハジ・モタの鼻先に叩きつけた。マジカが私から流れ出して獣に注ぎ込まれ、獣はまばたきをして、鼻を鳴らし、そして頭を左右に振り始めた。ハジ・モタは顎を大きく開き、苦しそうに大きく息を吐き出し、足を投げ出して倒れてしまった。肺が波打っていた。1分とたたずに、獣は窒息して死んだ。

なぜなら、獣には息をするための水がなかったからだった。

私は王子を助け起こし、彼の絹服の汚れを払ったが、馬糞が付いたところはそのままにして、気づかないふりをしておいた。「いったい…いったいあいつに何が起こったんだ、ハフジ?」と彼は言った。彼は目を険しくして「まさか魔法を使ったのではないだろうな?」

「いやあれは…虫の煙への反応が遅れて出てきたものに違いありません。呼吸の問題です!」私は力強くうなずいた。「そうですとも、煙に間違いありません。私があのリハドのジャコウをつけていて、殿下のくしゃみが止まらなくなった時のことを覚えていますか?あれと同じようなものです!」

「ああ、そうか。まあとにかく、運がよかったじゃないか、なあ?ドーラン、あの商人を追いかけて金を取り返して来てくれ!馬をまた6頭、買い直さなきゃ」。王子は醜悪な戦車をいとおしそうに眺めた。「それとも8頭にしようかな!」

ヒュー王子と二人三脚Prince Hew and the Three-Legged Race

次席高官ハフジファー・アルヤス 著

「ハフジ!」と、私の事務室に飛び込んでくるなりヒュー王子は呼んだ。「刃の祭典の準備は全部できてるか?」

私は立ち上がった。コルヴス・ディレニの「召喚の原理」を羊皮紙で隠すためである。

王子の目はぎらりと光った。「またディレニを読んでるのか、ええ?私が宮廷での魔法をどう思ってるか知ってるだろう!」

「こ…これは私のものではないのですよ、殿下!これは給仕のジェンゲシュから没収したのです」私はそう言ってあいまいに笑った。

「ふむ。それでお前はどうして次席高官の正式なターバンを着けてないんだ?」

私は机の隅に置かれたダサいマゼンタと緑色の頭飾りに目をやり、顔をしかめないように努力した。「帽子をかぶるには暖かすぎますので、殿下」

「何を馬鹿な、今は蒔種の月の真っただ中じゃないか!とにかく、私は祭典の準備が計画通りに進んでいるかを知りたいのだ。我が民がパーティー好きなのは知っているだろう!」

私は首を振った。「彼らはレッドガードです、殿下。パーティーにはあまり行かないでしょう。というか、まったく行きません」

「それがこれから変わるのだ!さあ、ラクダの尻尾刺しの準備はできているのか?」

「できています、殿下。というか、できるはずです。モラドの足の添木が取れればすぐにでも」

「血まみれリンゴ食いゲームは?」

「水槽、果物かご、タオルとすべて西の中庭に並べてあります」

「街の衛兵対抗二人三脚レースは?」

私は唾を飲みこんだ。「実は、そこが問題なのでして、殿下。というのも、衛兵たちの誰一人としてその催しに参加を申し込んでこないのです。どうも…気が乗らないようなのです。なにせ、彼らは去年のレースの後で、殿下がザクド伍長に与えた罰を覚えているからなのです」

「あいつがずるをしたんだ!懲らしめるしかなかったんだ!それに、なんだかんだ言ってあいつの足の指の大半はまだ残ってるじゃないか」

「だとしても、彼らがやるとは思えませんよ」

「ふーむ」と、王子はいらいらした様子でひげをいじった。「あいつらが足をほどくようなずるをしないと確実にわかるようにしたらどうだ?やろうとしてもできないようにするんだ」

これはよくない。要するに王子にはいい考えがあるということなのだ。そして王子にいい考えがあるというのは、いつだって悪いことなのだ。「どういう意味ですか、その”やろうとしてもできない”というのは?」

「はっはっは!ドーラン、こっちに来るんだ」と王子は呼びかけた。王子のボディガードは頭を低くして鴨居をくぐり、広間から入ってきた。「ハフジ、あのヨクダの壺の前に立つんだ」とヒュー王子は言った。「ドーラン、次席高官の隣に立て」

私は肩をすくめ、位置についた。ビッグ・ドーランが私の隣に立つと、彼の背丈は私より頭一つ半高かった。ヒュー王子が時代がかったしぐさで両手を掲げたので、私は気がついた。恐るべきことに、彼は呪文を唱えようとしていたのだ。だが私が抗議する前に、それは行われてしまった。呪文は発動し、マジカが私に押し寄せて、自分の左足がドーランの右足に結合するのを感じた。「ひどい!」私は叫んだ。「殿下、何をするんです!」

王子は満足そうにひげをなでた。「コルビュス・ディレニを読めるのは自分だけだとでも思ったのかい、ハフジ?コロンの強制召喚から束縛の一節を切り取っておいたのさ。そしてそれがデイドラの意思以外のものを束縛するためにも使えることを発見したんだ!すごいだろう?」

私はぽかんとして彼を見つめるだけだった。そのうちに、ビッグ・ドーランは魔法で結合させられた我々の足を見下ろし、唸り声をあげてから、前に足を踏み出そうとした。私は倒れないように彼の腕をつかまなければならず、それでも私たちは両方とも引き倒されそうになった。ドーランは頭を振った。「これはひどい。マスター。気に入りません。元に戻してくださいよ、マスター」

「そうか、いいだろう。ほどけろ!」と王子は言って呪文を逆転させたが、愚かしくも格好をつけるためだけのしぐさを加え、それにマジカを注ぎ込みすぎていた。ドーランと私は離れて空中に浮かび、それぞれ部屋の反対側に叩きつけられた。そして我々の背後にあったヨクダの壺は爆弾のように砕け散った。

すると突然、砕け散った壺の上に渦巻く雲が現れ、うつろな鳴き声が響いた。「自由!自由だ!あの臭い壺の中に無限とも思える長い時間、閉じ込められてきたが、もう自由だ!」雲は素早く、空中に浮かぶ装甲に覆われた胴体を、兜をかぶった頭と、それぞれが巨大な三日月刀を握った4本の腕を結合させた。「今こそ、定命の者の世界に復讐する時だ!」

三日月刀は威嚇するようにくるくると回り始めた。私はドーランに目をやったが、彼は私のものだった大理石製のモルワの胸像に頭から突っ込んだらしく、まだ気絶していた。「殿下!」私は叫んだ。「呪文を使うんです!あいつが私たちをオードブルにしてしまう前に、束縛してしまえばいい!」

ヒュー王子は恐怖に目をむいた。「で…できないんだ!さっきの解除呪文でマジカを使い切ってしまった!お前が頼りだ、ハフジ!」

私はしゃがみ、三日月刀が2本頭上をかすめていった後、走って自分の机の後ろに隠れた。奴は私と扉の間にいた。確かにこいつを束縛できるのは私しかいない。だが私はもう何ヶ月も呪文を唱えていなかったのだ。三日月刀がヒュー王子の黄金のフェルト帽の飾りを切り落とし、王子は悲鳴をあげた。「コロンの牢獄だ、ハフジ!それしかない!」

「しかしそれには器が必要です。壺は砕けてしまったじゃないですか!」

「これを使うんだ!」と言って王子はマゼンタと緑色の下級高官用ターバンを私に向けて放った。

三日月刀が3本私の机に飛んできて、机を粉砕したところで、私はターバンを逆さにしてコロンの永続牢獄を唱えた。「嫌だあああ!」忌まわしい帽子の中に吸い込まれながら、悪魔は叫んだ。「髪油の匂いは大嫌いだ…!」

そして奴はいなくなった。私はまだ震えていたが、ヒュー王子はまばたきをし、深呼吸をし、にっこりと笑った。「まあ、そんなにひどいことにはならなかったな。少なくともアイアンレガッタの時とか、あのペットのトク・ガーヴァの時に比べれば悪くなかった!さて、何をしていたんだっけ?」

私はビッグ・ドーランを砕けた大理石像のくずの中から助け起こした。「衛兵対抗二人三脚レースを取りやめにすると言っていたところです、覚えていますか?」

「お前が言うならそうだったんだろう、ハフジ。お前の言うことはだいたい正しいからな」。彼の顔が輝いた。「そうだ!血まみれリンゴ食い競争の後、負けた者の頭のリンゴをクロスボウで撃たせるんだ!ああ、それと…そのターバンは捨てておけよ」

ファラダンの手紙Faradan’s Letter

愛しきナラーニ

お前の息子の捜索にやっと成果があった。ただ、その成果は甘い物ではなく、苦く感じられるのではないかと恐れている。

残念ながら、お前の息子に対する推測が確認された。彼は物乞いをしているスクゥーマ中毒者のグループと関係がある。私の連絡先はこの包みにある地図を渡してくれた。お前の息子へ伝言を渡そうとして近づく前に、彼は息子を連れ去った直後の二人組に攻撃されたそうだ。お前の息子と一緒にいた、だらしないブレトンの若い女性は騒ぎの間に市場へと消えたそうだ。

現地の衛兵に連絡した結果、私の連絡先は2人の男がヴァーデンフェルから来た賞金稼ぎで、タシュミンが犯罪に関係しているという書類を持っていたことを突き止めた。しかし、ヴァーデンフェルに問い合わせてみると、お前の息子が犯罪に関係しているとの書類も、賞金が掛かっているとの証拠もないらしい。連中がドーレス家のために働いていて、お前の息子を奴隷に戻そうとしているのではないかと懸念している。

良い知らせを届けられずに申し訳ない。

—ファラダン

フバラジャード王子の擁護In Defense of Prince Hubalajad

タネスのレディ・シンナバー

ヨクダの歴史に詳しければ、ラ・ガーダが行った最初の植民地化に続く時期において、フバラジャード王子がどんな役割を果たしたか、あるいは果たさなかったかをご存知だろう。私たちは「ヒュー王子」を滑稽な人物とみなしている。不可能な問題に対する彼の頑固な取り組み方を伝え、派手な贅沢を笑いの種にしている。神が不満を示すため、ゼェトの祠が洪水を起こす?より巨大な祠をさらに下流に作れば良い!タネスでは、「フバラジャードのコインで基礎を築く」が無駄遣いを表わす言葉としてよく使われる。

だが、この不運な王子について、本当のことは知られているだろうか?資料として使えるものは、最上のものでも伝聞でしかない。多くの真偽が疑われる物語は問題を混乱させる。私たちを実際の姿から遠くへ引き離すのだ。故に、自身で結論を引き出すためには、ヒューズベインそのものに頼らざるを得ない。ほんの少しの間で良いので、彼の多くの失敗として一般的に受け入れられているものが何か、詳細に検討してみよう

フバラジャードが相当数の兵や職人と、当時「ケフレムのブーツ」と呼ばれた不毛の地に到着したことは分かっている。現地に採石場が無く、信頼できる北からの陸路もなかったため、彼らは大量の切り出した石材を海から運び込む必要があった。のちにアバーズ・ランディングとなる、自然の要害となる港が間違いなく彼らの最初の滞在地だ。荷を積んだ船の定期的な往来は海賊を引き付けるため、フバラジャードは最初にアビシアン海を見下ろす堂々とした要塞、ノー・シラを建設しなければならなかった。

ノー・シラがすぐに洪水の季節によって損なわれたのは事実だ。だが、対策として、フバラジャードは祠を作ってゼェトに懇願した。続く洪水が最初の祠を押し流したとき、彼は次の建設を命じた。さらに入念な祠を。だが石材を調べたところ、新しいものは前の祠よりも上流に建てられたようだった。この点から考えると、「ヒュー王子の頑固」は、一貫した決意を示している。ヨクダの農耕の神に懇願することは、傲慢で無謀な男の行動ではない。

その間に、アバーズ・ランディングは兵の野営地と掘っ建て小屋から広大な都市へと成長した。この辺境の地での暮らしにおける数多くの困難にもかかわらず、フバラジャードは立派な宮殿を建てた。この土地が彼の家であり、地元民も同じように栄えるよう力を注いだ象徴だ。石材はアバーズ・ランディングの大きな壁となり、その中身がヨクダの船と同様、保護に値することを示していた。

数多くの墓、ラ・ガーダの領域へ続く北の道を開いた素晴らしい王子の門、フバラジャード自身の美化された姿だと多くの人が誤って信じている、アバーズ・ランディング港のすぐ南にあるヨクダ像については、今しばらく脇に置こう。彼は同時期に、要塞と壁に囲まれた街を同時に建設している。これには兵站に対する鋭い頭脳が要求されるだろう。もしフバラジャード本人でないとしても、それができる人物を周りに置くべきことを分かっていたのだ。これは知性に欠ける間抜けのやることではない。

筆者はフバラジャードに失敗があったとしても、終わりなき愚行の物語が語られるようなものではないと考える。彼が荒涼した地に資源を注ぎ込んだことを非難した、嫉妬に駆られたライバルによる中傷だろうか?親の腹違いの兄弟が死霊術師であったため、評判に汚点が残ったのだろうか?ヨクダの神の憤怒を呼び起こした?それともデイドラ公の?私たちが真相を知ることはないだろうが、フバラジャードについて心に留めておくべきことが1つある。彼が到着する前、人もエルフもこの地に足跡を残していない。現在、2000年存続している唯一の建造物は、「ヒュー王子」によって建てられたものだ。

ブリーク・ベールは耐え忍ぶThe Bleak Veil Endures

我が不肖の甥の行為にもかからわず、ブリーク・ベールはただ生きているだけではない、耐え忍んでいるのだ!豊富な資源と安全な港を持ち、監視される心配もないこの孤島は、ハンマーフェルでの騒動が起こった後、私の死霊術教団を移転する先として完璧な場所だった。あの優柔不断なフバラジャードを説得して、私の注文通りの仕様で家族の墓を建設させるのは簡単なことだった。そしてそれは死霊術のエネルギーを伝達するための完璧な中継点になった。我々は究極の力に到達するために、あとひとつ儀式を残すだけだったのだ!

我が甥はどんな手段を使ってか、私が王家の墓で本当は何をしているのかを調べ、普段は無為を好むその性質にもかかわらず、行動を起こすことを決めたのだ。奴は私とその支持者たちを、私自身が設計し、建設を手伝った墓の中に閉じ込めてしまった!一歩後退には違いない。だが起こりえた災厄を考えれば、そこまでひどい事態とは言えない。確かに、王子は見たところ強力な司祭たちを数人集め、我らの死霊術のエネルギーでは抜け出せないような仕方で墓を封印することに成功したようではある。そして確かに、我々が持ってきた少量の食料と水はもうとっくに尽きている。だが、問題にはならない。ブリーク・ベールは我が甥やその味方をする者たちが想像することもできないほど力強くなろうとしているのだ!

とはいえ、何か間違いがあった時のために、ブリーク・ベールに関する真実が時の流れに埋もれてしまわないようにしておきたい。私はマグニフィコ・バーラハ、センチネルの子孫にして、ブリーク・ベールという名でのみ知られている不死の教団の最高位の死霊術師である。私は自らの技術を磨き、また弟子と支持者たちを集めるために長い年月を費やしてきた。我々は身を隠し、力を蓄えながらも時が来るのを待っていた。アバーズ・ランディングの先にある荒廃した地は、我々の勢力を結集し、死と暗黒の儀式を行うためには完璧な場所だった。この墓は特別に設計された地下室と通路を持っており、エネルギーを集中することによって我が信者たちを無敵にすることができるのだ!そしてブリーク・ベールのあらゆる成員たちの中で、私は最強の存在である!

当然ながら、我々全員が飢えや渇きで死んでしまう前に、儀式を執り行わなければならない。それに犠牲も捧げる必要がある。この墓の内部に閉じ込められている限り、我々は犠牲用の人間を確保するために誰かを行かせるというわけにはいかない。そのため、くじを引いて我々の成員たちの中から死すべき者を選び出し、残りの者たちが不死者へと転生できるようにしなければならないだろう。さぞ素晴らしいことになるだろう!そしてこれが、体のうちで命がまだ脈打っている間に私が書く最後の言葉である。次に会う時は、私は死体になっているか、あるいは闇が望むならば、より優れた何かになっているだろう。

フレグのメモFleg’s Note

船長

差し出がましいことを言うようですが、この地図は本当に合っているんでしょうか?私が今見ているやつが最新のものだったのは、たぶんヒューがこの場所を故郷と呼んでいた時代ですよ。この地図の示している位置はわかるんですが、見覚えのある目印なんてひとつもありません。

ゴリガンが耳にしたところでは、部隊の一部は戻ってきてさえいないそうです。このしょうもない地図のせいで迷っているのかもしれないし、あるいは逃亡する価値があるとあいつらが思うくらいのお宝を見つけたのかもしれないし、あるいは死んだのかもしれない。申し訳ないですが、無駄な骨折りのために死にたくはありません。ですから隊長、お願いします。古き良き海賊業に戻りましょうよ。

海のほうに行った連中が何人か、こう言ったのを聞いてます。「俺たちは今のところ掘り続けるが、じきに連絡が来なければ、新しい服に着替えるつもりだ」ってね。

—フレグ

マーシェズは死んだMurshez Is Dead

マーシェズは我々がアバーズ・ランディングに戻ったところで鉄の車輪に捕まった。すぐに死んだが、私は彼に借りがある。彼に親族がいたのか誰か知らないか?あそこから出してくれた彼に礼をしたい

過ごしたのは数…週間?数ヶ月?どれくらいの長さだったかわからない…食用のサソリ以外何もない古い遺跡の穴に閉じこめられていた

時々見にくるが、私は母から愚かには育てられていない。この鉄の車輪の騒ぎがおさまるまで、姿を消す

—SのG

マッドクラブの注文要請Mudcrab Order Request

マッドクラブは一般大衆の食べ物であり、平民の主食と考えている者もいる。これは実に陳腐だ。この用途の広い食材は大量の円盤チーズと同じくタムリエルにとって必須である。

私はアバーズ・ランディングの最高のマッドクラブ調理法をまとめて出版する計画を立てている。そのためにはマッドクラブの肉が毎日一樽必要だ。

あなたの貢献は地元の文化促進になるだけでなく、そのサービスにはふさわしい対価も支払われる。

—マスターシェフ「肉を切りし者」

ランビクのメモRhanbiq’s Notes

記録28
ニコラスは確かにこの地域を通ったが、詳細を覚えている者はほとんどいないほど時間が過ぎた。「ベルラーなら知っている」と、誰もが私に言ってくる。ベルラー・チャタービークのことだろう。飲み物をねだりにここに来る、噂好きのスリらしい

だが私が訊ねまわってからは見かけない。私が地元の衛兵と協力していると考え地下に潜ったに違いない。どこであれ奴と仲間が仕事のできる場所だ。だが、スリは衛兵の目につかないためどこへ行くだろう?街中の無法者が使う隠れ家などないだろうし。

ランビクの命令:アルダノビアの墓Rhanbiq’s Orders: al-Danobia Tomb

どんな状況であれ、鉄の車輪の一員と目されるものはアルダノビアの墓には入れない。道を確保するだけだ。マグニフィカ・ファロラーははっきりと入場を禁じており、我々は彼女に雇われる身だ。どんな訓練を受けていようと、彼女の指示に忠実であるべきだ。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:ノー・シラ牢獄Rhanbiq’s Orders: No Shira Prison

鉄の車輪総員へ

規律正しく出発すること。囚人の移送と没収財産の輸送を優先とする。それらをタネスへ配送することにより、最終的な支払いがギルドに行われる。ギルドはヒューズベインの損害から物資と人員を回復するための資金を必要としている。

時宜を過たず配送することの重要性については、どれだけ言っても誇張にならない。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:フルストロム農園Rhanbiq’s Orders: Fulstrom Homestead

従士フルストロムは農園の使用を寛大にも許したが、私は彼の農園の下にある汚染されているカタコンベが心配だ。

どうか偵察をしてこの地域を確保してもらいたい。どんな不意打ちがあろうとも、どんな結果にも準備しておくのが一番だ。盗賊ギルドの残党を逃がすわけにはいかない。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビクの命令:鉄の車輪本部Rhanbiq’s Orders: Iron Wheel Headquarters

この臨時本部内で働くことは光栄であり特権であるということを、改めて鉄の車輪の全将校、兵士に分かってもらいたい。要塞の外側を巡回したい者は、いつでも異動を申し出てくれて構わない。必要に応じて灼熱用の装備やレインコートが支給される。

この涼しく居心地の良い建物内に残りたいという者は、雑兵ではなく鉄の車輪として正しく振る舞うことを忘れないようにしてもらいたい。

—秘密の通路にコソコソと入り込む行為は異動の申し出とみなす。
—倉庫の上の通路から足をぶら下げる行為も異動の申し出とみなす。だらだらしていてよかったか、アトリウニア副隊長補佐に聞いておいてくれ。

内部で「召使の仕事」を拒否することは異動の申し出とはみなさない。ただし、2千年近く清掃されていない便所の掃除がしたいのだと私は解釈する。

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

ランビク主任調査官の命令By Order of Chief Inspector Rhanbiq

鉄の車輪はこのたび、ヴェルサ(姓不明)と名乗るダークエルフの女性を連行し、レディ・マグニフィカ・ファロラーの盗まれた持参金について尋問する権利を受ける。容疑者は「盗賊ギルド」と名乗る詐欺師と犯罪者の組織と強い繋がりがあるとみられている。

注:容疑者は敵の動きを止め、痛みを引き起こす妨害工作と化学薬品のエキスパートであり、注意が必要だ。抵抗を受けるつもりで当たるように。

レディ・アナイスの命令Orders from Lady Anais

ヴェルモント家執事、ブレクシンへ

もう聞き及んでいるに違いないけれど、仕事の処理と微妙な性質の会合のために、私は急いで予期せぬ旅に出なければなりませんでした。いくつかはまとめる時間があったけれど、下記の品を至急港まで届けてください。これらの品が次に利用可能な船で確実に私の後を追えるように、代理人の助けは確保しておきました。

1.短期の仕事の出張用衣類のトランク3個
2.上流階級の社交用ドレスのトランク7個
3.突発的支出や買い物での散財のため、金が入った貴品箱3個
4.私の大好きなペットにして僕のピムジー

この件の手配に感謝します。

レディ・アナイス・ヴェルモント

レディ・スリマへの手紙Letter to Lady Sulima

愛しい人へ

一緒に過ごした時間で壊れた魂と傷ついた心は再生された。あなたの優しさが私にもう一度愛することを思い出させてくれる。私の旅が私たちに緊張をもたらすのはわかっているが、すべては私たちのためだ。

いつか、もうすぐ、私は旅と仕事を終える。その時点で未来が確保されていれば、私はやっと娘にあなたを紹介できる。その日が楽しみだ、愛する人よ。多くのことを共有できる。

—S

レディ・バリナの結婚式招待状Lady Balina’s Wedding Invitation

レディ・バリナ様

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

ワラヴィル卿の結婚式招待状Lord Wallavir’s Wedding Invitation

ワラヴィル卿様

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

黄昏の儀式と讃美歌Twilight Rites and Hymns

スヴィラシュ・サハーラについて

「追い払い」の歌は暁の時代にアズラーの舌からこぼれ落ちた、3つの黄昏の賛歌の一つである。黄昏の淑女その人と同様、「追い払い」の歌はつかみどころがなく、予測がつかない。どうしても必要な時以外に歌うべきではない。

古代において、この歌は病気を治療し、サトウキビにつく虫を撃退するために使われていた。しかし暁中期がやって来て月の司祭たちにいたずらをして、彼らを忘れっぽくさせてしまった。今日、歌はドロ・マスラを追い払うのに用いられるのみである。

ドロ・マスラの踊りは音楽ではなく、ローカジュの心臓の鼓動そのものだ。それは歌のない歌であり、暗く、誘惑的である。鼓動はひたすら繰り返される一つの嘘で、それを聞く猫にとってしまいには真実になってしまう。カジートがローカジュの意志を真実として受け入れるとき、その者はリドル・サールを忘れ、迷い猫になる。本当に歪んでしまったカジートは歌によって救うことができず、ナイフと月の光で追放する他ない。しかし心臓に抗い続ける猫は闇からの帰還を果たすこともある。

スヴィラシュ・サハーラの力はその捉えどころのなさにある。クランマザーはドロ・マスラの前で歌ってはいけないと教えているが、これは賢明な判断だ。うかつに歌を歌えば、心臓の近くに引き込まれることになる。歌は鼓動に共鳴し、そのうちに尻尾が引きつり、モー・オブ・ローカジュの中へと髭から滑り落ちていくことになるだろう。「追い払い」の歌は心臓の律動を破ることのできる唯一の歌である。その音符は影のように音階を上下に激しく揺さぶり、闇を混乱させ、心臓を弱め、鈍らせる。最終的に律動は破れ、腐敗は過ぎ去る。

しかしながら、スヴィラシュ・サハーラを歌う者には大きな危険がつきまとう。ドロ・マスラはアズラの讃美歌を嫌い、それを歌う猫を殺すためならば何でもする。ゆえに、先唱者はよく聞くがいい。ナミイラの暗い砂場と対峙するのであれば、素早く動き、警戒を怠らないことだ。一瞬の油断が破滅を招きかねない。

銀の爪の偽造結婚式招待状Silver-Claw’s Forged Wedding Invitation

your name

貴殿と(お連れの方)をアバーズ・ランディングのコッシュ卿とタネスの宝石、アルダノビアのマグニフィカ・ファロラー嬢との間でフバラジャード宮殿にて執り行われます婚姻の儀にご招待申し上げます。適切な服装にてご参列ください。

宮殿内で誓いが交わされる夕刻まで娯楽と食事でおもてなしいたします。

ご参列される方は贈り物をご持参ください。

—マーゼル(コッシュ卿個人秘書)

銀の爪の台帳Silver-Claw’s Ledger

ムーンシュガー商人たちは約束通り3回の出荷のうち1回目を果たした。罪に関わる手紙を1通返却した。約束通り、残りの荷物が届き次第他の2通も返却する。

ヘヴンから出たゴールデン・サンに乗っている「余分な」積荷に関するとても有益な情報への報酬として、フランリン・シルバーアックスに金75支払うべし。

ゴールデン・サンの船長に、積荷の一部に良心的な値段をつけてもらいたい旨の手紙。宗教的な彫像や珍しいハーブを競合他社より安く販売できれば有利になる。1日以内の返事を強く求める。

ここ2週間で2回、レディ・バリナがセンチ・アンド・サーペントで目撃されている。頭巾をかぶっていれば誰にも気づかれないと思っているらしい。ミムにより注意深く尾行してもらう。ひそかに誰かと会っているのか?実は飲んだくれなのか?どちらにせよ、この先の取引を考えると、夫に勧めてもらうためには使える情報だ。

慌てず騒がずNo Fuss, No Rush

あるいは「年寄りスカラーからのためになる助言」

貴族の連中の中には…あれだけの金を持っていながら、まだ欲しがる者がいる。金をちゃんと払うのも確かだけど。でも、賢く立ち回らなければならないよ。

品物を手に入れて「きれいにする」ためタムリエル中に派遣される時は、素早く済ませて、捕まらないようにすること。それが年寄りスカラーの助言だよ!賞金の支払いは利益から引かれるからね。

年寄りスカラーは次のようなやり方を取る:

1.正しい標的を見つけること。誰かが「儀式用の品」を欲しがっているとする。そういうのは大抵、大聖堂の近くにあったり、司祭たちが持っていたりする。当然だろう?つまり大都市ということで…普通は衛兵がたくさんいる。気をつけて標的を選ぶこと。聖堂が自前の衛兵を抱えているほどには大きくないことを、あるいは衛兵がいるなら、そいつらが全ての方向を一度には見ていないことを確かめること。

2.もし自分に賞金がかかってしまったら、あまり慌てないこと。契約を完了する前に、街の外で何かやることを探そう。年寄りスカラーはかつて、山賊の問題で街を手伝って余分な金を稼いだことがある。そこでは誰も賞金のことなんか気にしちゃいなかった。その仕事が終わる頃になると衛兵たちはもう関心を失っていて、年寄りスカラーは「きれいな」品物を思う存分納品したんだ。

賢くならなければ、死体になるよ。

行方不明:キルナMissing: Khiruna

名前
キルナ。「フレア」としても知られる。過去にはクルとリナの名も使っていた

人相書
平均的身長、鼻と尻尾の先に金色の毛の筋(白と黒の斑点つき)が混じっている

専門
情報収集、スリ、短期詐欺

最後の目撃
鉄の車輪の攻撃の夜に「サーペント・アンド・センチ」にて

彼女を見つけた者、噂を聞いた者はここにメモを残すか静かに歩む者に直接連絡を

行方不明:鮫のゴードンカと怠惰なマーシェズMissing: Gordonkha the Shark and Lazy Murshez

鮫のゴードンカと怠惰なマーシェズを探している。何かの強奪事件に関わっていたと聞いた。誰かが下水道と言っていた。

ゴードンカは濃灰色の肌で、額から背中にかけて細い幅の黒くつんつんした髪が垂れている。マーシェズは漆黒の肌で、左腕と脇に沿って一連の赤い傷がある。右目は垂れ下がり、ほぼ閉じて見える。

情報があれば掲示するか、静かに歩む者に直接知らせて欲しい。

四季の書からの抜粋An Excerpt from the Book of Seasons

季節は四つあるけれど、
私は一番春が好き。
日なたに輝く青い水、
登りたくなる緑の木々。何という喜び!

空気はとても心地よく、私は心を空にする。
石を枕に眠っても、熱すぎるということはない。
そして目が覚め見渡せば、どこまでも続く緑の野、
まだ色あせた牧草も、積まれた落ち葉も見られない。

だから四つの季節の中で、私は一番春が好き。
夏秋冬もあるけれど、どれも春にはかなわない。

静かに歩む者からのメッセージUrgent Message from Walks-Softly

your name

私たちが別の件に対処している間に、私の過去からの特別な積み荷が発見され海賊と共に姿をくらましてしまった。彼女を助けなければ!

アバーズ・ランディングの連絡員は、積み荷が鮫の歯洞窟に連れ去られたと私に告げた。急いでそこに向かう。その気があるなら、助けを断りはしない

—静かに歩む者

赤の呪い 第1巻The Red Curse, Volume 1

デットソー・パンテンヌ 著

子供の頃、私は病気がちで気難しく、ベッドに縛りつけられた虚弱体質の未熟者だった。より偉大な世界が私に訪れたのは、主に私の家族の高価な屋敷の、比較的安全性の高い部屋の窓を通じてだった。大型の窓を通って私の部屋に入り込んでくる生き生きとした光の瞬きと色は、私がベッドの台の中で注意深く学んでいた外の世界への不安と恐怖を高めるだけだった。私の衰弱した骨格にとって、物理的な世界は恐怖と緊張の場所となったため、私は書かれた言葉の慰めの中に逃げ込み、ニルンの深い謎を探ったのである。

私はこのように多くの人生を生き、多くのことを学んだが、ある伝説、すなわちリーチの民たちの王レッドイーグルの伝説が、もっとも強く心に留まった。私は誇り高きブレトンの家に生まれた子なのだが、自分とリーチの王ファオランとのつながりを思い描いた。この嘘が私の心の中に埋め込まれていたため、私は自らの研究を暗黒の技に変更し、レッドイーグルの誓いを果たして彼を蘇らせる方法を探そうと望んだのである。私の策謀によって、彼はリーチを征服するだろう。炎の剣を片手に、そして王が信頼し、愛する高官、すなわち私をもう一方の手に抱えて。

成長するに従って私の病気は過ぎ去り、虚弱なままではあったがもはやベッドの虜になってはいなかった。そして私の家族は気前よく、私が慎重に自分の研究を拡充していくための資金を提供してくれた。私の奇矯な振る舞いは地位の高さと、青春時代をほぼまったく孤独に過ごしたという事実から受け入れられた。

避けがたいこととして、私の研究はデイドラに行きついた。夜遅く暗闇の中、家族の屋敷の奥深くで、私は馴染みのない言葉で古代の儀式を執り行い、忌まわしき悪魔を召喚して閉じ込め、質問責めにしたものである。多くの場合、悪魔たちは私の懇願を無視し、魔法の束縛から解放すれば強大な力や富を与えると約束したものだった。私は肉体が弱々しくとも、精神は屈強だった。私は連中の甘い言葉に抗し、最終的には悪魔も、自由になる唯一の手段は黙って従うことだと認めたのである。

これは何度も繰り返され、私は断続的に自分が望む情報を手に入れたが、それでは十分ではなかった。少しずつ、悪魔たちの毒を含んだ約束が効果をあげ、私はこのオブリビオンに呪われた魂たちを出し抜くことができるのではないかと自分に言い聞かせたのだった。連中の贈り物を受け入れ、なおかつその条件を支配できると私に信じさせたのは、私自身の傲慢であった。

私はあの時いかに未熟だったことか。そして今では知っている真実に、いかに強く取りつかれていたことだろうか。外の世界への恐怖は10倍にもなって戻ってきた。私は再び、祖先の邸宅の孤独の中に慰めを見出している。私は熱に浮かされたように逃げ道を探しているのだが、心の底ではどうにもならないことを知っている。ニルンの根元には闇が住んでいて、一度見たら最後、もう逃れることはできないのだ。

赤の呪い 第2巻The Red Curse, Volume 2

デットソー・パンテンヌ 著

私は身震いして外套を自分の周りに巻き付け、年老いた歯のないリーチの民の先の尖ったふしだらけの指を追った。彼は私が居心地悪そうにしているのを見てくつくつと笑いながら、しわがれた声で言葉を発していた。私の目は丘へ向かう道を追い、それからようやく遠く離れた洞窟の入口に落ち着いたが、それは針のような雪を通してかすかに見えるだけだった。私はこれからの道のりへの決心を固めた。私が蓄えてきたものは物理的にも精神的にも尽きかけていたが、自分の野望がかつてないほど達成に近づいていることを私は知っていた。そして時間の遅さも刺すような寒さも忘れて、私はこの日の夜、レッドイーグルの墓にたどり着こうと決意した。

デイドラの契約者によって私に与えられた力は素晴らしいものだったが、内臓の強度までは高めてくれなかった。そして洞窟の口のところまでたどり着くと私は疲れ果てて倒れ込んでしまった。内部まで這っていく気力もなくそこに横たわっていると、空中を漂う囁き声と、遠くからの角笛の音が聞こえ始めた。運命へと向かって進むよう私に呼びかけていたのだ。この亡霊のような音楽を耳に、私は洞窟の口の中へ這っていき、体の周りにあったすべてのもので身を包んでから、黒く、夢も見ない眠りに落ちていった。

私が目を覚ましたのは鳥の声と光によってだった――若い頃と同様、私の感覚にとっては不快なものである。私は急いで洞窟の暗闇の中へ逃げ込んだ。目的のものはこの深淵の下にあることが私にはわかっていた。暖かい息吹が洞窟の内部から伝わり、私を内部へと引き寄せた。何かを叩くような角笛の音は、下の深いところから響いてきているようだった。こうした導きに従いつつ、私は胸のあたりがぎゅっと引き締まるのを感じ、悪意に満ちた我が祖先にもうすぐ会えることを願った。

侵入者や墓荒らしを思いとどまらせるために設置された罠は、私の知性にとっては子供だましにすぎなかった。私は警戒を怠ることなく、地下墓地のさらに奥深くまで進んでいった。洞窟の壁を押すと、波型の模様がついた粗い岩はゆっくりと退き、切り取られた石と彫刻された壁画が姿を現した。囁き声と不思議な角笛の音は大きくなり、頭の中をより強く圧迫していった。私の感覚は静まったが、精神は警戒していた。何年もの研究の後、高みへ到達する時が近づいてきていることを私は知っていた。

私は最後の角を曲がり、そこがレッドイーグルの墓の中だった。簡素で飾りのない棺が、部屋の中央にある高座の上に乗っていた。側の台座に横たわっていたのは彼の壮麗な剣、レッドイーグルの破滅だった。私は一息にそこへ駆け寄り、剣を見つめた。私の呼吸は重く、早くなっていた。声と音楽は止み、すべてを包み込む、重く不規則で期待に満ちた呼吸に代わっていた。

私の手が柄の上に伸び、指でそれをつかんで握りしめた。恐怖と混ざった興奮。私は注意深く手を伸ばし、刃の部分をつかみ、目の前にまで持ち上げ、視線で突き刺すようにじっと見つめた。

私の心はその次に何が起きたのか、思い出すことを拒否しかけている。あのような恐怖の記憶は鍵をかけてしまっておかなければならない。それを閉じ込めている脳が狂気に追いやられることのないように。

赤の呪い 第3巻The Red Curse, Volume 3

デットソー・パンテンヌ 著

ビロードのようなレッドイーグルの声が、私を棺へと引っ張っていった。彼は剣を棺の中に、彼の死体の隣に置くように私を駆り立てた。我がデイドラの契約者と同じように、彼もまた想像を超えた力について囁き、私がいつも思い描いていたような、2人で支配を行うイメージで私の頭を満たした。私が慎重に剣を床に置き、レッドイーグルの墓の蓋を取り除こうとしてうめいている間、部屋は内側に向かってひしゃげ続け、私は衝撃から保護されて浮かび上がるのを感じた。

私は骸骨となった遺体を見下ろした。墓のじめじめした臭いが鼻の中にまで立ち上ってきて、私の頭をぼんやりとさせた。これこそ私が長年夢見ていた瞬間だった。私に優しく催促するレッドイーグルの声は、私が彼の墓の中に剣を置いた瞬間、いきなり完全に消滅した。

私の頭はすぐ、目がくらむほどの痛みに襲われ、私は地面に倒れ込んだ。視界が脈打つ赤い光で満たされていた。どこか遠いところで、レッドイーグルの骸骨が体をギシギシ言わせながら墓から這い出してこようとしているのが聞こえた。燃え上がる街の姿が映し出され、私自身の肉体が炎に飲み込まれ、骨から溶けていくのを見た。レッドイーグルの高笑いが今では部屋の中で響き、彼は背後に回りこんでいた。「愚かな子供よ」と、彼は人間のものではないその声を刻んだ。「貴様ごときが、余の血族になれると思うか…」

焦りから私はレッドイーグルに突進し、その手から剣を叩き落とすことに成功した。剣を拾い上げると私は部屋から飛び出し、彼の恐ろしい笑い声は怒りの咆哮に変わった。人間というよりは動物のようになって、逃げるのに必死だったため、私はどこかで剣を失くしてしまったが、背後で石の扉がすり合わさって閉じる音を聞いたので、何かの仕組みが発動するくらいには遠くまで持っていったのだろう。こうしてレッドイーグルの追跡は途絶えた。

そしてこれ故に私は恐怖の中で生き、書斎に閉じこもって、自分が世界に解き放ったあの化け物を滅ぼす方法を見つけだそうとしているのである。閉じ込められているとはいえ、誰か他に私のような愚か者がいつ奴を解放してしまうかもしれない。そしてもしそうなったとすれば、哀れむべきはこの世界である。私たちすべてのために、私は恐怖している。

倉庫の所有者変更Warehouse Under New Ownership

銀の爪の不在のために倉庫関連の仕事に困難が生じているのは理解している

驚かないでほしい。今、倉庫は新しい所有者、安定した所有者の管理下に入った。いつもしてきたように仕事に専念してくれ。君が稼ぐ金は以前と同じように使われるだろう

—監督官イズリーナ
—監督官トークミン

捜査官ヴェイル:死の通行料Investigator Vale: A Deadly Toll

「見たところ、殺人で間違いなさそうね」古い木の橋に近づきながら捜査官ヴェイルは言った。「経験上、自分の首はそうそう切り落とせるものじゃないから」

街を少し出たところにある、目立たない川にかかる橋だった。橋にも川にも特に変わったことや特筆すべき点はなかったが、市長とその側近たちは捜査官をそこへ連れてきたのだった。変わったことといえば、橋の右側にかかる手すりの上に丁寧に乗せられた生首ぐらいのものだった。

「ほとんど見ていないじゃないか」。市長に信頼される側近であり、街一番の商人でもあるジャカード・ヘリックが口を開いた。「何を言っている。なぜそんなことが断言できるんだ?」

「それだけ腕がいいの。だから市長は私を雇ったんじゃない」現場の観察を続けながらヴェイルは言った。血が少なすぎる、体が見当たらないなどといった所見を市長と側近たちに指摘し、橋の上で起こった殺人ではないと説明した。

「このかわいそうなハイエルフに見覚えは?」頭部を近くで見ようとかがみながらヴェイルが聞いた。明らかに年をとった男性のエルフであり、髪の毛は完璧に整えられ穏やかな表情をしていた。首にあいた穴から皮や骨が垂れ下がっていなければどう見ても平穏な状態なのに、とヴェイルは思った。

「あれは金貸しのグラノニール。あのうぬぼれた表情はどこで見てもすぐに分かる」橋まで同行していた、若く可愛らしい衛兵が口走った。

余計な口を挟んだ彼女に市長が厳しい表情を向けたが、それ以上は咎めなかった。そしてヴェイルの方を向き直って「それで捜査官さん、ここで何が起こったのか教えてくれないか?」と言った。

最後に辺りをさっと見渡し、ヴェイルはにこやかに答えた。「ええ、間違いないわ。ムーアクロフト市長、あなたの顔にそびえ立つ鼻ぐらい明確よ。というより、彼の鼻かしらね」と言って商人のヘリックに顔を向けた。

ヘリックは咳払いをして、口ごもった。「な、なにが言いたいんだ、捜査官ヴェイル?」

ヴェイルはヘリックににっこりと笑いかけた。「何も言ってないわよ。まだ、ね」そう言うと被害者の髪から何かを抜き出し、さらに首の下の手すりにできていた血だまりから何かを取り出した。その2つを見て、交互に臭いをかぎ、自信たっぷりに市長の方を向いた。

1つ目の物体を見せ、こう言った。「これはどう見てもスッポンタケね。この金貸しの頭髪に何本か茎が刺さっていたから、トロールはこれに引き寄せられたんでしょうね」

続けて2つ目の物体を見せてこう言った。「これは紅茶の葉ね。金貸しから滴っていた血液に混ざっていたわ。紅茶。あなたの主要な売り物の1つよね、ヘリック?」

商人は額に汗をにじませ、大きな音で唾を飲み、橋から後ずさり始めた。可愛らしい衛兵が手際よくその道を阻み、剣の柄に手をかけた。

「捜査官ヴェイル、はっきりと説明したまえ」明らかにうろたえながら、市長が言った。

「ああ、そうね」とヴェイルはため息をついた。「誰もが私のようにはっきりと世界を見る目を持っていないんだったわ。ジャカード・ヘリックはこの金貸しに多額の借金があった。今季の紅茶の不作もあって、返せる見込みがなかった。この橋の下に隠れていたトロールに気付き、それを使って問題を処理しようと考えたのよ。橋で会おうとグラノニールを説得して、そこで突然袋一杯のスッポンタケを頭の上からかぶせ、川に突き落とした。トロールが現れ、金貸しの頭を引きちぎり、残りの胴体を橋の下へと持ち帰ったわけ。かわいそうなグラノニールの残骸と、満腹で眠っているトロールが私たちの真下で見つかるはずよ」

「そんな…そんなのデタラメだ!」商人が叫んだ。

「いいえ、反論の余地はないわ」とヴェイルは自信満々に返した。「ヘリック、あなたの袖にまだ紅茶の葉がついているわ。倉庫で作業しているときに付いたんでしょうね」

「ムーアクロフト市長、この悪人をダンジョンに放り込みましょうか?」捜査官の方へ笑みを向けながら、若く可愛らしい衛兵が聞いた。

「当たり前じゃないの」と言ってヴェイルは市長の腕に手を回した。「そうしたらもっと衛兵を呼んでこないと、いつまでも橋の下のトロールを追い払えないわよ。さ、行きましょ、ムーアクロフト市長。私の報酬の話をしないと…」

逮捕状Arrest Writ

この令状を持つ者はドーレス家の生きた所有物を取り戻すために、ドーレス家のホーテーターにより権限を与えられた代理人である。また代理人は、かかる回収に邪魔が入らぬよう任務遂行に協力していただける衛兵指揮官に対して、適切な謝礼を分配する権利も有する。

場所と名称の特定された所有物を以下に記入:

1.タシュミン

2._________________________

3.________________________

貯水池の淑女:アンダーリの見解Lady in the Cistern: Andarri’s Theory

私たちの盗賊の隠れ家に、どこかの淑女の像がある。私たちがここに来たときから彼女はそこにいて、彼女が誰でなぜそこに像があるのか知っている人は誰もいないみたい。これが誰なのか私に教えてくれる人はいないの?

私は彼女が幸運の老女じゃないかと思ってる。彼女の像は一度ブラヴィルで見た。はっきりとは言えないけど、同じ人だと感じる。それに幸福な女性がここにいる理由も納得。ヒューズベインで唯一の、澄んだ水の安定した供給源であることを祝福しているんだわ。

皆はどう思う?貯水池の淑女は誰なの?

—アンダーリ

貯水池の淑女:スラグの見解Lady in the Cistern: Thrag’s Theory

貯水池の淑女は明らかにノクターナルだ。像をよく見てくれ。顔はどことなくぼんやりして、すべてを隠す長衣に包まれ、かつて別の貯水池の背後にレンガで仕切られていた貯水池に隠れていた。誰が水を隠す?ノクターナルの信者。そいつらだよ。

俺は一度だってノクターナル教団にいたことはないがね。

—スラグ

貯水池の淑女:クエンの見解Lady in the Cistern: Quen’s Theory

私たちは大学で古きヨクダの書籍の翻訳を読んだ。私は貯水池の淑女は、海の女王ハザディーヤだと思う。彼女は有名で、彼女の民の子孫に尊敬されている。ヒュー王子だって彼女の「古きヨクダの失われた島」を読んだかもしれない。それに彼女をくるんだ生き物もシーサーペントよ。これはヒューズベインが古きヨクダ自身の植民地であるかのように、ヒューズベイン唯一の自由港の水供給を海の女王が監視しているって意味ね。尊大な象徴的表現。まるでヒュー王子みたい。

—クエン

貯水池の淑女:静かに歩む者の見解Lady in the Cistern: Walks-Softly’s Theory

アバーズ・ランディングの小路に住む者はしばしば食料がないが、水不足に苦しむ者の話は滅多に耳にしない。なぜ最も貧しい者が、そのような潤沢な水に恵まれているのか自身に訊ねたことがあるだろうか?

像は涙の聖母ゼッキに違いない。彼女の父のゼェトはこの土地を見捨て、ほとんどの食物がここで育たないようにしたが、水の女神はアバーズ・ランディングを故郷と呼ぶ失われた魂に同情している。像は不満げな父の目から隠れ、我々が耐え忍べるように彼女が払ってくれた犠牲に感謝しているのだ。

—静かに歩む者

貯水池の淑女:ヴェルサの見解Lady in the Cistern: Velsa’s Theory

像は夜母よ。彼女の右手が開いているのは彼女が知っているから。彼女に蛇が巻きついている。蛇はシシスを意味している

あなたたちが皆バカなのは、夜の空のようにはっきりとしているわ

ヴェルサ

貯水池の淑女:銀の爪の見解Lady in the Cistern: Silver-Claw’s Theory

貯水池の淑女が誰だったのかは知らない。だが実を言えばその像が誰だろうともはや重要ではない

知ってのとおり、その像は今はゼイラを意味していると信じている。彼女の導きがなかったら、今や自分がその一部と誇りを持って言う、この奇妙な小さな家族はもう存在していなかっただろう。だから私にとって、貯水池の淑女はギルドマスターだ

—銀の爪

貯水池の淑女:ゼイラの見解Lady in the Cistern: Zeira’s Theory

銀の爪、お世辞が上手ね。だけど盗賊ギルドはひとりじゃない。your nameがそのよい証拠よ。

そして、他の皆も間違っている。それは束の間の見せかけの姿のレキ。フバラジャードの時代に、彫刻家が好んで表現したように佇んでいるの。像の左手はまるで剣を持つかのように丸まっている。たぶんずっと前にはそうだったんでしょう。もし盗まれていなかったのなら、ずっと昔に錆びて朽ちたに違いない。

アバーズ・ランディング港のすぐ南にある、大量のフバラジャードの像との類似にも気づいてほしい。彼は自分自身を理想化して、クサリヘビに巻きつかれた彫刻を実物の2倍の大きさで注文した。巨大で酷い代物で(どういうわけか)シャツを身につけず、まるで何も彼を傷つけられないかのようだった。

それでもレキをこの貯水池に隠した彫刻家は彼に反論した。長衣は意図を隠し、彼女はほとんど気づかれずに攻撃できた。霊剣の聖人はヒュー王子よりもよっぽど多くを成し遂げたけど、それでもそれを証明するのに船のマストより高くある必要はない。もっと言えば、彼女は街全体に自分を誇示する必要はない。彼女は影からやらなければならないことをすることに満足している。

それにクサリヘビの飾り帯は素敵よ。ヒュー王子を悩ませたでしょうね。

—ゼイラ

追放のマントラMantra of Expulsion

祝福された月よ、その舞いで私たちの心に名をつけてください。

誇り高きジョーデ、我らの足を祈りへと急がせてください。

誇り高きジョーン、その栄光のために、我らの爪を強くしてください。

幽霊の月よ、去れ!明るい月光のもと消えされ!

月のラティスがすべての命を甘くする。月を崇めるのは正しい。心をこめて月を崇めよ。

偵察報告書:隠れ家Scouting Report: The Hideaway

ファレン・ダー

プロとしての仕事は毎日目にできるものではない。隠れ家を巡回している「悪漢」はそうした例外だ。

ここの宝物を追っているのなら、何より重要なのは気づかれないことだ。絶対に。侵入者の気配がしただけでも、占有者は品をさっと運び出すだろう。

すなわち、秘密の通路を活用することだ。そこの警護は緩めで、状況がヤバくなったら「時期をうかがう」には良い場所だから。

—O

偵察報告書:虚空の広間Scouting Report: Deadhollow Halls

ファレン・ダー

古いデイドラの祠をうろつきまわるほどの金はもらっていないから、これは手短に書く。

使っている連中もその場所は好きではないとわかった。だからそこにある宝はすぐに移動される。入って、品を手に入れたら出て行け。無駄にする時間はない。

巡回部隊は互いによく連絡している。一人に見つかったら全員が警戒態勢になる。猶予時間が短くなる。

それでも中には多くの品がある。そこまでたどりつけなくても、二流の略奪品をポケットに詰めこむことはできるし、費用を賄う助けにはなるだろう。

—B

偵察報告書:地下墓地Scouting Report: Underground Sepulcher

ファレン・ダー

人のよさそうな途方に暮れた奴がこの場所を探している。おかしな顔のやつがここについて尋ねる

そもそも地下墓地ってのは何なんだ?持ってる奴はその宗教が好きだ。遺物とかそんなのがたくさんある。価値のある物も。だがあんたは品を追っている。

彼らはあちこちに隠している。たいていは大きな部屋に。隠し場所を使ってるんだ。幸いたくさんある。そこに貯めこんだのが誰であれ、余分な樽をそこらに置いていくのが好きだったんだ!

見つかったら、場所全体が警戒態勢に入る。俺は少しもらって出て行くが、大きな宝は……こっそりやらないとダメだぞ!

—W

鉄の車輪の囚人移送:ゼイラIron Wheel Prisoner Transfer: Zeira

移送する囚人
アバーズ・ランディングのゼイラ
別名:ダニゼイラ
別名:盗賊ギルドのギルドマスター

移送手段
アネモネ号はノー・シラ要塞よりタネスへ直行し、裁判までそこに留め置く

拘置義務
囚人はタネス衛兵隊長またはタネス港の鉄の車輪執行官の監督下に置かれる

罪状要約
—窃盗罪
—重窃盗罪
—不法侵入罪
—共謀罪
—司法からの逃亡罪

注記
直近ではマグニフィカ・ファロラーの結婚式で招待客になりすました。詳細は私がタネスに戻り次第周知する

—ランビク、鉄の車輪 主任調査官

鉄の車輪の掟15Iron Wheel Precept 15

無法者に慈悲をかけるな
彼らの運命は定まっている
これは崇高な義務——
鉄の輪は彼らの周りにある

鉄の車輪の掟21Iron Wheel Precept 21

悔い改めぬ無法者をどうするか?
拘束が効かぬ者には焼き印を使え
焼痕を見た者は拒めまい——
真実をキャンバスで燃やす

鉄の車輪の掟38Iron Wheel Precept 38

無法者が真実を拒むことはできても
運命は拒めない
大いなる真実を明らかにしよう——
車輪は絶えず進み続ける

謎の後援者へTo My Unknown Benefactor

サーまたはマダムへ

なぜこのような小さな貴重品が私の家の戸口に現れるようになったのかはわかりませんが、あなたは私の生活水準をかなり改善してくださったと言わずにはおれません。しかしながらお返しにあなたが求めるものは、私の力で差し上げられるものを超えています。

例えば、今日から1週間後の夜明けに北へ向かう道を通ってキャラバンが出発することについて話せば、自分の地位が危うくなりそうです。そして私の街の商人が金庫の中味を銀行に持っていくのは毎週3番目の日だと知らせるのは、私が明かしてはならない極秘事項なのです。

私たちは互いに理解していると信じています。

—E

普通の髪型への呼びかけA Call for Common Hair

「匿名」 

麗しき我らの街の貴族たちは装飾品と過度に様式化された髪型に夢中になっている。精巧な髪型の虜になったあの無分別なフバラジャード王子の真似をする以外に、やることはないのだろうか?

高貴な髪の殿下はこれまで、無数の精巧な(そして一般の人間にとっては明らかに馬鹿げた)髪型で公衆の面前に姿を現してきた。かつらでも、拷問にかけられたかのような滑稽な地毛でも。路地には飢えた人々や、街の一部区域の沈没によって家を失くした人々がいるというのに、奇妙な髪型王子は自分の美容師がひとつ「芸術」作品を完成させるたびに、100ゴールドもの金貨を支払っている。

最近における彼の毛に関する愚行の例を以下に挙げる:

白金の塔を表わしたもの。明かりをつけた窓を再現するために、ダイアモンドで飾られている。最近開かれた舞踏会で、王子はレディ・ミシェファバの舞踏会場の入り口を通るためにしゃがまなければならなかったと言われている。

センチネルからの何かの専門家を迎えるために港へ外出した時、我らが王子はその髪で帆を全開にしたヨクダの戦艦を再現した。開いた口がふさがらないほどの馬鹿らしさは、彼の頭上を飛び回っていたアジサシの糞が主要な帆をかすめて落ちたことでさらに増した。

最近外出した際、ヒュー王子の髪は今まさに突進せんとするハジ・モタの形を芸術的に模していたことが目撃されている。噂によればこの「髪の獣」の鱗は、そのひとつひとつが均一なサイズのルビーだったという。さらに獣の瞳はエメラルドだった。ある若い乙女はこの毛髪殿下の頭に乗った怪物に恐怖し、失神してしまった。彼女の両親はとっさに毛のモタではなく暑さが原因だと主張し、ヒュー王子の機嫌を損ねることのないようにした。しかしこの若い女は後に、エメラルドの目に見つめられて、ひどく狼狽したのだと言っているところを聞きとがめられている。

アバーズ・ランディングの人々よ、私は懇願する!王子の髪型に抗して立ち上がるのだ!

(メモ:これはアバーズ・ランディングにもともと住んでいた者によって作成された実際のチラシを再印刷したものである。どうやら「ヒュー王子」というのは単に我々がこの不幸な王子に対して用いているあだ名ではないらしい——彼は同時代の人々に実際にこう呼ばれていたのだ)

旅行日程Travel Itinerary

近々実施されるレディ・アナイス・ヴェルモントのヴェルモント保有地視察についての詳細:

1日目:ヴェルモントの富を積み、ゴールドコーストへ向けて出航。

3日目:風と波が許せば、アンヴィルに到着。地方総督フォルナータが、寛大にもアンヴィル城の部屋を私と従者のために提供してくれている。

4日目:アンヴィル城にて上流の舞踏会に出席。私ならきっと、名誉ある客人になれるわ!

5日目:アンヴィルの街の保有地を調査し、家族の事業を処理する。

6日目:タネスへ向けて出航。旅のために海賊のエールを積んでおくのを忘れないこと。

10日目:風と波が許せば、タネスの港町に到着。タネス女王が寛大にも小さなお屋敷を、この訪問中私が使えるように提供してくれている。

11~12日:商人王たちと会い、事業の調整について話し合う。拡大する需要のために、新しい倉庫を買う交渉をする。

13日目:タネス女王の主催する大舞踏会に出席。ザクロのワインを飲みすぎないよう気をつけること。

14日目:アバーズ・ランディングへ向けて出航。戻るその時まで、さようなら!