デイドラ教団

Daedric Cults

アティウスへの命令Orders for Attius

コマンダー・アティウスへ

如何なる犠牲を払ってでも駐屯地を守ってほしい。必要ならば捕虜達を人質に使ってもよいし、そうすべきだ。想定外の事態が発生した場合には、橋を渡って墓地まで撤退するよう部下に指示すること。魔闘士パプスには、はるか昔に峠に埋められた「贈り物」を召喚する方法を教えてある。駐屯地が落ちることはない。我らの主の力により。

モラグ・バルに栄光を。

– セプティマ・サルン
魔導将軍、帝国第七軍団

アポクリファ、アポクリファApocrypha, Apocrypha

ハルメアス・モラの無限の保管庫は究極の宝である。無数の棚と数え切れない本の数々は知識のすべてをもたらすのだ。勤勉な読者ならこの場所で、過去、現在、そして未来のすべてを読み解けるであろう。

神々の信徒は、暗い無知なる修道院に満足して、ゴールデンアイへの憎悪について説教する。彼らはそれをデイドラと呼ぶ。不浄で、醜い、邪悪な存在だと。

我々は真実を見出した。知識の素晴らしさとは、それを扱う者のそれと等しいのだと。その悪用を恐れて学ぶことを放棄することは究極の罪である。許されることのない愚行なのだ。結果として、定命の者は何世紀も時間を無駄にしてきた。

アポクリファでは、ゴールデンアイがこの無知の嵐に冷たい涙を流している。彼の広間を歩く者は心から祝福される。たとえ肉体が剥がれ落ちようとも、過去から未来に至るすべての謎に関与する無限の書物と巻物を読むことを許されるのである。最も恵まれた運命と言えよう。

我々はハルメアス・モラ、あなたを称えます。悟り、啓蒙、そして自身の本分を追求いたします。

アラサンのメモNote from Alasan

スルマ執政官

金の提案は歓迎するが、ウィサード・ハンドは死体を通貨として取引している。提案の価格の10ゴールドにつき死体を1体用意すれば、バーガマの街は見逃そう

死体をお好みの方法で手に入れ、地下に保管しておけば、定期的に受け取りに行く

もし協定がお気に召さなければ、バーガマで死体を自分たちで収穫するつもりだ

アラサン

ウーズの発掘The Excavation of Ouze

ウーズの発掘は2段階で行われる。

ウーズのタール坑からシェイプシフターの死体を回収する。我々は紡ぎ手やボズマーが頼る可能性のある味方の動向について把握していないため、同志に監視させてスケルトンの召使に掘らせること。

ガーディアンは避けるように!他の霊魂は我々に対して無力のようだが、ガーディアンは危険な可能性がある。

鉱山内において、憎しみの晶石に変えられる石を採掘するのは安全なはずである。これらの石は他では珍しいものであるが、ウーズの性質上、ここには多数存在する。同志もスケルトンも同様に、こうした石を出来る限り大量に入手すること!

〈別の著者が記載〉

霊魂の破片:22
憎しみの晶石:4
魂のダイアモンド:2

ヴェリクのメモVerrik’s Note

マルティンへ

お前の船なら密偵達を輸送するのに十分だ。あとは積荷を運ぶだけでいい。夜が来たら木箱の中から出て、レヴェクの地図を参考にしながらカシミール王に近づく。

カシミールが死んで混乱が起きればアンゴフも喜ぶだろう!王を失った王国の将校など、ブラッドソーンの敵ではない。南を制覇するのは難しくないだろう、そうなればグレナンブラは私達のものだ。ブラッドソーンの大義に対するお前の忠誠心は必ず報われるはずだ。

木箱には誰も近づけるな。中にいる密偵は夜を迎えるまで中に潜んでいなければならない。彼らが見つかったら、私自らが事を成し遂げ、お前のところに戻る。私達を失望させるなよ。

—ヴェリク

ヴォルゴへの手紙Letter to Volgo

よく聞け、ヴォルゴよ。お前の任務はどの悪魔主義者に与えたものよりも困難だからだ。

暗黒の王から、古代の遺物がシロディール南部の大地の下に隠されていることを聞かされた。帝国の崩壊によって、邪魔されることなく捜索が可能になった。この遺物を手に入れれば、私はシャドウパスを指揮して帝都とシロディール全土を征服できる!

お前にはニシンの洞窟を命じる。もし遺物がそこにあるなら、必ず見つけ出せ。だがドレモラの占い師バラサッティには気をつけろ。彼女や彼女の手下にあからさまに逆らうことは避けろ。だが、決して彼女に遺物を渡すな。あれは私のものだ。

— ドレッドロード・ナウクラティウス

ウルフパックの新人のメモWolfpack Initiate’s Notes

ウルフパックの新人としての初日だ!故郷で私を馬鹿にしていた連中が、恐れをなした山賊が大声を上げながらやって来たらどう思うか見物だ。だが私は自分の興奮を押し殺している。古参の「パックリーダー」達がとても厳しく真面目だからだ。ともかく自分が属する団体の中で、存在を認められるのは良いものだ。

彼らの狼に対する執着ぶりは尋常ではない。だが… 彼らは真剣なのだから、私もそれを尊重する。

エヴィス・マリーズへの手紙Letter to Evis Marys

エヴィス、馬鹿野郎!木枠箱を間違った場所に落としたぞ!奴らが開けたら、すぐさまナルシスの護衛が我々の元に来る

ヴォクスは絶対許さない。何とかしろ。彼女が聞きつけちまう。お前の無能のせいで、責めを受ける気はないからな

エレギアンのメモElegian’s Notes

よしよし。これは完璧に働く。完璧に!儀式と様々なデイドラ設計の部品を組み合わせることにより、デイドラの耐性を破り、全く新しい異なるものに変質させるため、”変異”を使えるはずだ。実にゾクゾクする!

ガクガク、バクバク、ビクビク、ワクワクだ! 稼働中の装置を見るのが待ちきれない!

オブリビオンの水The Waters of Oblivion

虚空の中、百二十の世代の間、その命運暗き民は邪悪に染まっていった。そして眩しき神々たちがその信心欠く者たちを罰しようと決め、荒れ狂う卑劣漢や、冒涜を繰り返す巨漢たち、光を汚す者たちを打ち砕いた。彼らはオブリビオンを覗き込み、そこで初めて暗き一族を目にし、それらを兄弟姉妹として迎え入れたことを心の底より悔いたのであった。

勝利せし尊き者は迷える魂たちの邪悪ぶりを目にし、それらが臆することなく罪を重ね、策略に長けていることを知った。そしてこのことよりデイドラの諸族を処罰し、暗き一族に鉄槌と鉄拳を下すことを決意したのであった。

それでもなお、闇は永劫に光と争い続け、虚空を吸い互いを破滅に追い込まんとする力は強大であり、その嫉妬と背信の深さゆえ、それらを縛る誓約などなかった。一度門が開かれてしまえば、押し寄せる潮に抗ってそれを閉じられる者などいずこにあろうか。

グラッカスの日記 第1巻Graccus’ Journal, Volume I

昨晩、また財宝の夢を見た。今度は間違いない。ハルメアス・モラ自身が話し、そこに連れて行ってくれた。力ある書物を求めてタムリエル中を探すのに一族の財産を費やし、金庫はほとんど空だ。だが、続けなければならない。ほとんど手中にある

アポクリファの知識を得た時、簒奪者サルンに頭を下げる必要はなくなる。彼らの方が頭を下げるだろう

クランウェの日記Journal of Culanwe

ネードとアイレイドの和平を夜明けと黄昏の女王の従者が仲介する試みは、的を射ているようだ。彼女の王国は時の狭間、地の狭間、そして現実の狭間にある。互いを忌み嫌う二つの国の民が和平を求めるにあたって、私が力になれれば少なくとも定命の地にいる間に何かを成し遂げたことになる。アズラの導きを感じ彼女の力が流れ込んでくるが、今必要なのはその知恵だ。

南中の月23日

アズラの知恵が必要だと言っただろうか?いや必要なのは彼女の忍耐力だ。不死の者のみが、この… 者達に耐えられる!ネードとはよく名付けたものだ。そう、彼らはアイレイドによって長年束縛され、苦しめられてきたが、今日生存してその苦しみを直接覚えているものはいない!彼らの訴える賠償は増える一方だ。アイレイドの思い上がり以上に。今すぐにでも彼らは交渉を打ち切り、不安定な平和から完全な戦争に突入するかも知れないと感じている。

ああ、アズラよ——私に彼らと話をさせないでくれ!私の声の力は彼らの現実を変えられるが、それは感染した傷口に当てる包帯だ。真の変化のみが、人々の怒りを鎮められる。

南中の月27日

最悪の事態が起きた。アイレイドの一人が死んだ。使者が使い走りの途中で殺されたのだ。アイレイドはネードを疑い、ネードは否定しない。むしろ彼らは立腹している… 一人の使者の死は彼らが耐えた長い苦しみとは比較にならないかの如く。状況は良くならないだろう。私の声が唯一の解決策になるかも知れない。

南中の月29日

茫然とした。確かに声を使ったが… 紛争を妨げるためにほんの少し現実を調整しただけだった。真の奇跡は一人のネードともう一人のアイレイドからやってきた。ともに交渉の経験はなかったが、手を取り合って殺害された使者の謎を解き… 罪人はネード、アイレイドのいずれでもないことを発見した!モラグ・バルの従者が犯人で、奴の目的は和平交渉を妨害することだった!

二人の英雄は私にできなかったことをした。共通の敵を前にしてネードとアイレイドを団結させた。二つの国の民が抱く敵意は消えたことだろう。

収穫の月2日

二人の英雄の結婚をもって仲たがいは終わった。しかしモラグ・バルが妨害せずに終わらせるとは思えない。私は答えを探すだろう… アズラの名においてこれらの民を守る方法を。私が生きる限り今日皆がここに創り出したものを魂の収穫者には触れさせない。アズラよ、力を与えたまえ。私が世界にいる限りこの声でそれを変えさせたまえ。

ここに留まるHere to Stay

もし望めば、今すぐにでもここから脱出できる。主はその手段を与えてくれた。そして私は生への意志を見つけた。あなた達の仲間として生きていく意志を。

あなたがこれを読むことが果たしてあるのだろうか?あなたの自尊心はあなたの目を閉ざす。だからあなたには読めない。だが同時に、その自尊心が私を生かし続ける。あなたはこの要塞に入ろうとしたことがあるのだろうか?自分の印石の力を確かめたことが?

私は自分の力を証明するためにここに来た。ここを支配するのが誰でも構わない。デイドラの炎も、カミソリのくぼみも、私を止めることはできない。アッシュタイタンはそのことを学んだはずだ。

だが私は協定を重んじる。私と共に生きることを、あなたは楽しんでくれるはずだ。私があなたと共に生きることを楽しむように。

さもなければOr Else

暴露の危険を冒すには近すぎる。あの少女は問題だ。尋問して知っていることを聞き出したら、その後で殺せ。

そしてウースラドの欠片を見つけろ。さもなければ儀式の生け贄としてロストプロスペクトに送るからな。

— グルヴェイグ

サルドクのブラッドソーンの報告書Sardok’s Bloodthorn Report

優秀な指導者へ

私たちの野営地はタングル・ロックの近くに位置しているのだが、素晴らしい成果を挙げている!

既にグレート・ソーンは空に向かって回転し、沼地を腐敗させている

間もなく、この土地は私たちのものになる!

—第二の種、サルドク

ジェッセンからの破れたメモTorn Note from Jessen

主よ

彼の居場所は分かっています。忌々しい篤信者は戦場から取り除きます。仕事が完了したら島の塔に戻る予定です。

忠実なるジェッセンより

ジョセリンの手紙Josseline’s Letter

ノルダールがまるで自分の物かのように威張ってキャンプへ入っていった。自分がモラグのマニマルコへの贈り物かのように、あの金属の塊を見せびらかして。ふん!その口を殴ってやりたかったけど、「墓の臭いがする者」に止められたわ。

日が進むにつれてノルダールがさらに耐えられなくなってるから、今は後悔してる。姉妹よ。あなたがここにいてくれたらいいのに。そうすれば2人で、奴にちょっと教えてやるのにね。

— ジョセリン

スティルライズ村の宝The Treasure of Stillrise Village

フェルラ

魔術結社を集めてできるだけ早くスティルライズ村に向かってくれ。そこでは、我々が何百年かけても目にしたことがないような宝が黒き虫の教団を待っている。

できるだけ多くの憎しみの晶石を手に入れるか作ってくれ。役に立つと約束する!自分でやってもいいんだが、シャドウフェンにはこの任務を十分にこなしてくれるような、しもべの数が足りない。

到着したら、住人に魔女の目を使うのを忘れないでくれ。その静かで小さな村では、見えるものがすべてではない。指令に従えばこの意味がわかってもらえるだろう。

もっと詳しく言いたいところだが、教団内であっても情報の伝達は信頼できない。スティルライズ村の秘密を暴けば、私がこんなに興奮している理由がわかるはずだ。フェルラよ、秘宝を持ち帰れ。そうすれば私達は教団内で「スティルライズ(さらに昇進)」できる!

——デスキン

ストーンファイアの儀式書Stonefire Ritual Tome

企みの神が我らを祝福した。残虐の王が我らに力を与えた。魂の収穫者が我らに永遠の力を授けた。定命の者が我らにかなうことはない。

召喚の儀式は我々の支配のための無限の召使をもたらすだろう。モラグ・バルへの信仰により、それらを使役することができる。我々は彼の選ばれし召使なのだ。彼の心にかなう少数の者なのだ。我々の奴隷達は我々の前に屈服するだろう。彼らは我々の望みを現実に変えることになろう。

デイドラは我々の邪悪の器に過ぎない。我々は彼らをはち切れんばかりに邪悪で満たし、世界に解き放つ

スパイラル・スケインの噂Rumors of the Spiral Skein

嘲りの死霊術信奉者 著

メファーラ!網の紡ぎ手!秘法の師!殺人の8つの影の女王!他の者が我らを支配しようとも、夜の底で我らはあなたの囁きを聞き続ける!

そして我らは忘れない。

あなたはオブリビオンで、あなたの秘密と、あなたのごまかしと見せ掛けの網に絡まった全ての秘密を守り続ける。スパイラル・スケインはあなたの領域であり、そしてニルンのように、その中心は塔である。真実の名は口に出すのも恐ろしいメファーラ、あなたの柱の宮殿だ。

柱の周囲に巻きつけた、まるで輪止めのような、8房の枷糸。それぞれに空間があり、そしてそこには、それぞれの罪がある。

1つ目は柱礎と台座の洞窟。それは偽り。彼らは空を支えているかのように装っている。中でも、空は1番大きな偽りだ。

2つ目は嫉妬の部屋。押し込まれ、閉じ込められた自らと、その上方にある洞窟を比べる。そして、それ故に彼らは洞窟を憎む。

3つ目は魅惑的で情欲的なほら穴。彼らの壁と天井は愛の歌を歌う百万の星のように輝く。けれど、輝く光は蛆であり、彼らの歌は腐敗の歌だ。

4つ目は恐ろしき地下道。永遠の暗闇。そして、闇があるところにはいつも、恐怖が存在する。

5つ目は、正当が不当で、不当が正当である広間。信じることはどれも皆、裏切ること。

6つ目は殺人の闘技場。裏切りはいつでも殺人を呼び起こす。

7つ目は貪欲と食欲のアーケード。ここにあるものはすべて、定命の者が他者を殺めてでも、死を賭してでも欲するもの。

8つ目は激情の燃え立つ枷糸。全ての定命の者に死が訪れるように、全ての宝物はまやかしとなる。

これがスパイラル・スケイン。塔が1つ。房が8つ。その教えは永遠だ。

スピーチのメモSpeech Notes

黄昏の淑女を称えよ!

その名の栄光を称え、我々はこの地に新しい祠を建てる任務を許された。ファルダーズトゥースは不信心者に対し、絶望の灯となるだろう!

我々はこの荒廃した塔を、黄昏の淑女の栄光の記念碑として再建する。皆、働くんだ!

センチュラスへの手紙Letter to Sentulus

センチュラスへ

何年ものあいだ、天上の夢見人に加わる新人を大勢勧誘してきた私だが、お前ほど飛び抜けて誇らしい気持ちにさせてくれた者はいない。コイグリン村における実験は、どうやら意義深い成功を収めたようだ。あの村でのお前の仕事は我々全員を奮い立たせ、それどころか我らが女神の関心さえ引き寄せた。ヴァルミーナは我々がストームヘヴンで勢力を拡大させるのを助けるべく、最も強大な眷属を派遣してくださった。「予兆」と呼ばれる強大なデイドラが王国全土の権力の中枢で暗躍し、お前の成功を再現しようとしている。彼らの協力があれば、ダガーフォール・カバナントは確実に後戻りの利かない悪夢の中へと放り込まれるだろう。

お前が現在課せられている任務に変更こそないが、重要性は少しも変わらない。スキャンプ、クランフィア、ドレモラの群れをこれらの土地にはびこらせ、我らが女神の思い描いた白昼の悪夢を永続させる必要がある。地元民を勧誘し、我らが大義に同調させる努力を惜しんではならない。我らの仲間に加わらない者たちは、デイドラ召喚の際の依り代か生贄として役に立ってもらってもいい。

ヴァルミーナの暗き名前において

ナイトコーラー・チャルトラン

デイドラのポータルの書Tome of Daedric Portals

左利きの見習い 著

自分用のメモ。最初にデッドランドの炎に敬意を表することが最も重要だと忘れないこと。

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境界の橋で話し合ったとおり、境界を越えるには、間接的であろうとなかろうと、デイドラの主の協力が必要だ。

残念ながら平凡な召喚師にしてみれば、説明された方法では金が掛かるし、非常に難解な上に、途方もなく危険だ。だが幸運なことに、召喚術を研究している現実的な専門家には、他の選択肢がある。

デッドランドのクズ達が、境界を越えるために既存の印石の使用を勧めていることは知られている。奴らの目的に関しては疑って掛かる必要があるが、越境の研究をしていれば多少の危険はつきものであり、境界を越えようという思いが強ければなおさらだ。

もちろんデッドランドは、灼熱の空気と息が詰まるような灰に覆われている。だがそれを消滅させる方法が見つかれば、デッドランドだけでなくオブリビオンの秘密が明らかになるだろう。

だが用心に越したことはない。この領域に最初に踏み入ろうとした人々がどんな運命を迎えたのかしっかり確認する必要がある。

まず学者ダロンだが、彼は自然の炎の純粋な力を用いれば、デッドランドのドレモラと接触を図れると考えた。彼の試みは素晴らしいし、実際に彼の小屋の壁につけられた火はヴァレンウッド史上最悪の山火事を引き起こしたが、結局何の成果も挙げられなかった。彼の灰は今でも見つかっていない。

ダロンの考えを支持していたファーストホールドのオルピオンは、圧縮した土を使って炎を隔離しようとした。どうやら成功間近だったようだが、彼の部屋で水晶の塔の壁が吹き飛ぶほどの爆発が起こり、機器が壊れてしまったことで、門が崩れてしまったらしい。

最後はナーガのアヴマーだ。彼女は様々な方法を試し、ついにはその努力が報われた。アヴマーは火がついた後、土器を使ってその強大なエネルギーを蒸気に変換した。ボイラーが十分な温度に達したとき、彼女は向こう側にいる力あるドレモラと会話をすることに成功した。

先駆者達の失敗を目にしてきたアヴマーはこの成功に胸をなで下ろすと、すぐにドレモラとの接触に関する協定を結んだ。この不吉な決定は後にソーンの崩壊をもたらした。

つまり、デッドランドと接触するときは気を付けろということだ。デッドランドを故郷と呼ぶ生物と慌てて協定を結んでも、良い結果にはならない。

デイドラの阻止:デイゴン教団Thwarting the Daedra: Dagon’s Cult

フラミニアス・オクター地区長 著

平和な時代においてさえ、デイドラ公は執拗にタムリエルをつつき、力を伸ばしつつ悪しき目標へと歩みを進めている。各地域で戦いが勃発している今、連中の邪悪な目論見に拍車がかかったことは間違いない。だからこそ市民は皆、デイドラの活動の痕跡に注意深く目を向けねばならない。シロディール戦士ギルドの地区長として、私には市民を啓蒙し彼らを守る重大な責任がある。ここで私が皆に知らせることは、強力な武器になりえる。すなわち、市民によるしっかりした監視体制は、教団の大規模な蛮行を防ぐことができるのだ。

オブリビオンからの様々な脅威の中でも、とりわけ厄介なのがメエルーンズ・デイゴンだ。洪水や地震から大量殺人まで、大勢の犠牲者が出る度にその数にほくそえみ、ニルンへの影響力をどんなものであれ見せびらかして悦に浸っている。これでもかとその力を誇示する傾向ゆえ、他の控えめなデイドラ公よりもメエルーンズ・デイゴンの信者は多いが、それも驚くには当たらない。

しかしそのような邪悪な存在を前に、一般市民に何ができるのか?できることは想像以上にある!全市民が教団の存在をその初期段階から認識するのが肝心だ。教団を若い芽のうちに摘み取ることが、デイドラの魔の手を根絶し、大量召喚や残虐な破壊行為、またはその他の悲劇を防ぐのに最も効果的な方法なのだ。ここで提示する指針は、デイドラ教団、中でも特にメエルーンズ・デイゴン教団の発生を見つけるのに役立つだろう。

まずあなたの隣人に注意してほしい。彼らの普段の行動におかしな変化はないか、または夜遅くに彼らの畑や家で奇妙な光が点滅していないか気をつけよう。薄気味悪い詠唱や家畜(さらに悪い場合は人間)の失踪にも注意したい。これらはすべて教団の芽とでも言うべきものだ。追放者、犯罪者、不良青少年などに特別興味を持っているよそ者がいたら、信者に勧誘すべく獲物を探している可能性が高い。

メエルーンズ・デイゴン教団には顕著な特徴が見られる。我々戦士ギルドは、彼らの活動が黄昏の月の終わりになると活発になることを発見した。デイゴン教団が活動を始めると、その地域に多雨、干ばつ、異常な地面の振動などの自然災害が増えるだろう。またデイゴンの信者達は、建物、動物、人間を燃やすというおぞましい行為に興味を示し、燃えるような日の出をシンボルとして身につけていることが多い。

知り合いの誰かが教団に巻き込まれている疑いがあったら、監視を続けてほしい。親しい仲でも安心してはならない。デイドラの邪悪な根が一旦張られてしまうと、それを除去することは難しい。疑わしい者がいたら迷わず報告するように。早目に手を打てば教団の魔の手をほどくことができるかも知れない。あなた自身の安全のために、単独行動、または信者と思われる人物に立ち向かうことは避けてほしい。信頼していた友人でさえ、信者になったらあなたを傷つける可能性がある。戦士ギルドにすぐ報告して、専門家の支援を受けるように!

以上を念頭に置けば、タムリエル全土におけるデイドラ教団の成長を防ぐことができる。本書を友人や隣人と回し読みして、皆で力を合わせてデイドラの脅威を食い止めよう。

デイドラの調査報告書:タイタンDaedra Dossier: The Titans

ドレッドの公文書保管人、デノゴラス 著

上級タイタンのククロージズから依頼を受けて、私はこの報告書をまとめ上げた。コールドハーバーで最も雄大なる我らが住人の起源について、黄昏の蔵書庫に関連文献がまったく存在しないことに、ククロージズは苛立ちを感じていたらしい。

では物語をここで語ろう。来るべき主の次元融合において、タムリエルの憎き定命の者にタイタンは初めて解き放たれる。ここで語っておくことが望ましいだろう。その後には、恐怖と破滅が訪れる。

昔も今も、そしてこれからも、ニルンにはドラゴンと呼ばれるデイドラのごとき雄大な生物が存在する。ドラゴンは当然のごとくニルンの定命の者達の上に君臨しようとし、一定の範囲で成功した。

しかし今までもそしてこれからも、常に邪悪な存在であるタムリエルの定命の者は、この正当なる君主に反旗を翻し、反逆者達の手を逃れたドラゴンは身を隠した。その中に偉大なるボジーコッドストランがいた。ボジーコッドストランはその神のごとき意志を発揮して、ムンダスを飛び越えることを目論んだ。その試みは成功しなかったが、その勇敢かつ著しい尽力はモラグ・バルの目に留まった。

我らが主はこの意志の力による偉業と、ドラゴン族がニルンのほぼ全域を支配していた事実に注目し、ボジーコッドストランに語りかけ、 コールドハーバーの領地における特権と名誉を申し出た。そして力をほとんど使い果たしていたドラゴンは、その申し出を受け入れたのである。

モラグ・バルは世界を飛び越えるための窓を開けて、ドラゴンが主の王国に降り立つことを許した。王国にやってきたボジーコッドストランは、冷たい黒檀鉄の鎖に縛られる特権と、偽りの塔の最下層に居座る名誉を与えられた。我らが主は、ドラゴンがニルンの定命の者をなぜ支配できたのか、その秘密を知りたかったのだ。ドラゴンへの拷問と尋問は長きに渡り続いた。しかしドラゴンは鼻息が荒く、不遜な仕打ちに怒っていた。どのようなひどい拷問を受けても、ボジーコッドストランは断固として口を割らず、 ドラゴンの秘密に関してその耳障りなドラゴン語でただの一言も漏らすことを拒んだ。

この強情な抵抗に当然のごとく苛立った我らが主は、ついにその怒りに身を任せ、ボジーコッドストランの肉を骨から徐々に削り取って、最後の一切れまで食らうことで気を晴らした。そしてモラグ・バルはドラゴンの骨をじっと見つめて笑い、「ドラゴンの秘密を知ることができないなら、自分でドラゴンを作ればいい。ニルンのドラゴンよりもさらに強い存在を!」と咆哮した。

彼は骨格をヴァイル研究所に運ぶことを命じた。骨はそこで闇の血を注入され、ドラゴンの「面影」として復活した。その過程においてモラグ・バルは、自身が立案した計画に基づいて骨を幾分改良し、元の持ち主のそれよりもさらに強固な骨格を作り上げた。その骨格はアズールの裂け目の奥深くへと落とされ、我らが主の新たなしもべに肉体と知性と力を与えるべく、青い液化物を吸収した。

やがて強大なるその生物は裂け目の原形質からその身を引き抜き、原初の粘液を振り落とした。我らが共通の主の召喚に応じて、その生物は大地の上へ舞い上がり、「終わりなき階段」を跳ねるように軽快に登った。デイドラのタイタンが初めて我々の世界に姿を現した瞬間である。

過酷なる「忠義の試練」における最初の働きぶりを見れば、この新種が主の支配のための貴重な戦力になることは明白だった。その力は他に並ぶものがなく、その残虐性はモラグ・バルの戦いの奴隷達の中でも秀でており、かつ見事な知性を生まれながらに備えていた(ただし、ボジーコッドストランに比べるとやや見劣りするかもしれない)。

最も恐るべきタイタンの特性は、エキスを抜き取る強力な呪文を唱え、たった一言で敵を衰弱させることだ。理論上、呪文を唱え終わる前に中断させれば、その効果は唱えた者に反射するが、そのようなことができる可能性は少ない。

デイドラ崇拝:アイレイドDaedra Worship: The Ayleids

エリンヒルのファラスタス 著

デイドラが非難され、タムリエルにおける文明的な全種族で崇拝が禁じられている理由は広く理解されており、今回の執筆内容で明らかにするように、歴史的出来事を根拠とするものである。「レディ・シンナバー」を語る学者紛いの意見とは裏腹に、私の主張を裏付ける証拠は議論の余地がなく、公的に認められた古代に詳しい全学者から一般に受け入れられている。

エドラを初めて組織的に崇拝するようになったアルドマーは、初めてデイドラの主を崇めた者達でもあった。これはおそらく、サマーセット諸島を離れてタムリエル中央と南西部で分派の文化を作ったエルフ、アイレイドの間で小さな規模で始まったもので、中には、デイドラの崇拝(など数多くのこと)を禁じたアルドマーの規則による拘束から逃れるためにも行なわれた。

アイレイドの文化は栄え、アリノールの遙か遠くからも人を引きつけ、神話紀最後の1000年間で、デイドラ崇拝はハートランドのハイエルフの間でも根付いて広がった。おそらくアイレイドの大多数はエドラに敬意を表し続けており、まだ広く崇められていたが、様々なデイドラ公に傾倒する教団がシロディールの各所で立ち上げられ、容認され、そして祝われた。チャイマーと異なり、アイレイドはデイドラの「善と悪」を区別しなかった。それどころか、極悪なデイドラ公さえもが広く崇められ、それは特にアイレイドの王や上流階級に受け入れられ、支持されるようになることで助長された。

ハートランドのエルフにおいて広く普及したデイドラ崇拝は、当時タムリエルに到着し始めたネード人の部族にとっては特に悪い話だった。アイレイドは、当初は時折ではあったが後に組織的に人間の移民部族を奴隷化するようになった。ネードの民は多くの場合、奴隷、支配、無慈悲を推奨する場合もあるデイドラ公を崇拝した主人の下に置かれた。アイレイドの支配下で、人間の奴隷はそのようなデイドラに影響された「芸術」である、肉体の彫刻や内臓園芸の対象とされた。実際に、タムリエルの人間文化において浸透しているデイドラ崇拝への嫌悪感は、おそらくこの時期に生じたものであろう。

第一紀初めに起きたアレッシアの奴隷反乱は、デイドラに影響されたアイレイドの残酷さに対する、激しい怒りによって火がついたところが大きい。反乱側についたアイレイドの王達は、主にエドラの崇拝者であり、そのためアイレイドが転覆させられた際に、アレッシア女王が第一帝国による八大神崇拝にエルフのエドラを組み込んだのも不思議ではない。女王の新しいシロディールの帝国は、デイドラ公の崇拝を非合法化し、デイドラを崇めるアイレイドは発見されると皆殺しにされた。

そのため、第一紀の中頃までには、大規模なデイドラ崇拝はタムリエル中央で消滅し、大陸の北東にいたチャイマーの間で、そして(常に社会ののけ者である)オークの間でマラキャス(またはモーロッチ)が神の祖先として崇められるのみになった。他の地域において、人間、エルフ、獣人の間で、デイドラ崇拝はほぼ禁じられた教団というレベルでしか残らなかった。これに反するレディ・シンナバーの主張は、まったくのでたらめである。

デイドラ崇拝:チャイマーDaedra Worship: The Chimer

エリンヒルのファラスタス 著

かつてチャイマーとして知られたエルフによるデイドラ崇拝の歴史は、オブリビオンの主と呼ばれる者達と関わることの危険性について教えてくれる貴重な実例である。レディ・シンナバーなど、近代のデイドラ崇拝擁護者が注意を払うべき話だ。

タネスの気性が荒い女でさえ否定できない事実から話し始めよう。エドラ(神々)はオブリビオンの混乱の中からニルンを作り出した。定命者の次元であるムンダスにおける肉体となり、エルフの伝説によると、アルドマーの直接の祖先であった。エドラは深遠の暁紀のエルフにとって聖なる敬意を払う自然な対象であり、初めての組織的な宗教はこれらの神々を崇拝した。

しかしニルンの誕生後、エドラは自分達の生物から手を引き、距離を置き、冷淡になり、定命の者に興味を示さなくなった。ただしムンダスの外にある無限なる様々なオブリビオンでは、別に(「エドラではない」という意味の)デイドラと呼ばれる偉大な力を持った神のような者達が存在し、エドラが作成した領域に悪い意図を持って興味を示し始めていた。これらの存在の中でも特に強力な者達はデイドラ公と呼ばれ、各自のオブリビオンの次元を支配しており、それでもエドラの創造の能力を受け継いだニルンの定命の者に対して嫉妬していた。デイドラは変化と変形の達人ではあるものの、存在しないものを新たに作り出すことはできず、その能力はそんなデイドラを超えるものだったのだ。

しかし、デイドラ公がニルンの定命の者と同じように持っていた性質がある。あらゆる種類の力を求める強い欲望である。この有害な欲望は、定命の者によるすべてのデイドラ崇拝の基盤である。奉公と崇拝と引き換えに、デイドラ公は力を提供する。たいていの場合、この力は知識という形で提供される。最も魅惑的であり最も危険度が低そうなデイドラの誘惑だ。

この誘惑がどれほど魅惑的かを説明するために、サマーセットの昔のアルドマーを見てみよう。横暴な彼らは自分達がエドラの直系の子孫だと考えていたが、実はデイドラ崇拝を支持した初めての大規模な宗派は、他でもないサマーセットの中心で生まれた。そして、水晶の塔の虹色の陰の中で、預言者ヴェロシと呼ばれる者がデイドラ公ボエシアと連絡を取り、贈り物を受け取ることに合意した。彼は、ヴェロシの預言に「善のデイドラ」(ボエシア、アズラ、メファーラ)崇拝の教えについて詳しい説明を記し、さらに「悪のデイドラ」(モラグ・バル、マラキャス、シェオゴラス、メエルーンズ・デイゴン)の機嫌を取って交渉する方法についても記した。

サマーセットの愚かなアルドマーにとって、善のデイドラが教えてくれる芸術と技術は、エドラの司祭が言う格言や決まり文句よりも役立つように思われた。多数のエルフのクランがヴェロスを預言者や助言者として受け入れた。アリノールのサピアルチが当然ながらこの分派を禁じると、ヴェロスは彼に忠実なエルフのクランを連れて諸島を離れ、海を越えたタムリエルの反対側へ渡り、現在モロウウィンドとして知られる土地に住み着いた。チャイマーとして知られるようになる聖ヴェロスの信徒は、デイドラからの実在しない「贈り物」のためなら、黄金色に輝くサマーセットの天国を諦めて、灰色のモロウウィンドの苦境を受け入れた。チャイマーは、ボエシア、アズラ、メファーラを祭る素晴らしい聖堂を建て、モロウウィンドで崇拝の慣習を築き上げ、それは後にトリビュナルが取り入れることになった。

歴史を学び始めたばかりの学生でも知ってるように、こうしたデイドラとの大規模な火遊びは、必然的に戦争と大惨事につながった。チャイマーの文明はレッドマウンテンの戦いで滅び、かつての女主人であったアズラの呪いによって、優れたチャイマーは不機嫌で脅えたダンマーへと変身させられた。それ以降、モロウウィンドはトリビュナルの下でデイドラ崇拝をやめたが、もう被害は出た後だった。

現在、デイドラはタムリエル全土で恐れられ、忌み嫌われている。当然のことだ。しかし、歴史の教訓があるにも関わらず、誤り導かれた者達が、いまだにデイドラの主と関わっても問題ない、受け入れてもいいのだとさえ主張している。レディ・シンナバーのようなそういう者達に言いたい。「デイドラと手を結んで良い結果が出たことなどあっただろうか?」と。

デイドラ崇拝の根強さPersistence of Daedric Veneration

タネスのレディ・シンナバー 著

老いぼれたエリンヒルのファラスタスが自慢げに「歴史」と呼ぶものの中で記述している内容をもし信じたら、近代社会のデイドラ公崇拝に対する偏見は、オブリビオンの主に対する何らかの本能的な嫌悪、数千年前に起きた言葉にできないほど残忍な出来事からくる憎悪に根付いていることになるだろう。

これは明らかに馬鹿げている。畑にいる農民や、店にいる靴の修理工や、事務所にいる弁護士に、デイドラの主を恐れる理由が、野生のエルフによる古代の慣例のせいなのか聞いてみるといい。ぽかんとした顔をされるだけだ。農民や靴の修理工や弁護士が、デイドラとデイドラ崇拝を恐れる理由は、国教と学界からそう言われているからであり、隣人も同じことを信じているからである。

ファラスタスによれば、タムリエルに残っているデイドラ崇拝は、禁じられた教団というレベルだけらしい。しかし、司祭や教授が抱く希望や意見とは裏腹に、デイドラ崇拝がタムリエルの民に広く受け入れられていることは明らかだ。狩人に、弓を引く時になぜハーシーンへの祈りを口にするのか聞くといい。庭師に、なぜメファーラにナメクジやミミズから蔦を守るよう頼むか聞くといい。衛兵に、なぜ剣を抜く時にボエシアの勇気を請うか聞くといい。苦労して探さなくても、カーナバル中にはサングイン崇拝者を見掛けるし、学者の中にはいつでもハルメアス・モラの崇拝者がいる。

善のデイドラと呼ばれる存在をまだ崇めている、モロウウィンドのアッシュランダーはどうだろう?アズラを信仰するメネヴィアの霊魂の守人は?クラヴィカス・ヴァイルを賛美する、リンメンのジョヴィアル・ラムバスターは?

さらには、南部領域のカジートはどうだろう?オブリビオンの主を捨てるどころか、エルスウェアの猫人はエドラとデイドラをほとんど区別せず、オブリビオンの主を公然と崇拝している。カジートはデイドラ公の慈悲深い面を認識し、少なくとも敬意を表し、称賛することも多い。アズラーはカジートの魔道士が崇拝の対象とすることが多く、シェッゴロスは野生的ないたずらを好むネコ科にとって魅力的に映り、死者の魂はナミイラに委ねられている。

しかしファラスタスは、タムリエルにいるすべての定命の者が、デイドラという言葉が出るだけでも怯えるかのように皆を思い込ませようとしており、彼のペテン師ぶりを示す私自身の研究を軽視しようとしている。それ以外に、彼の情けない敵意を説明できるだろうか?古物学者のドラゴンスター会議で話しかけてきたのも、その日が薄明の月16日だということを持ち出したのも、「せっかくだからサングインの召喚日を祝おう」とその夜会うことを提案してきたのも、すべてあのファラスタス自身ではなかっただろうか?鼻につく彼の誘いを断わったことをかなり根に持っているらしく、その後しばらくして、私の研究に対する正当性を欠く批判が発表されるようになった。ふむ。なるほど、これで説明ができそうだ。

ドルシラのメモDrusilla’s Notes

家長:悪態をつき、脅しを口にする。有益な情報なし。尋問中に死亡。

年長の男性:タズゴル族長はサソリ恐怖症とのこと。少しでも苦痛をやわらげたい一心で、口から出まかせを並べた可能性高し。尋問中に死亡。

年長の娘:早々と折れ、これは有望かと思われたが、悲しいかな何も知らず。尋問中に死亡。

年長の息子:尋問される前に自殺。ずさんな管理のあらわれ。忘れずに手かせ足かせを新しいものに変えること。

末の息子:大広間の地下に秘密の入口があるとのこと。蔵書庫に通じている可能性あり。裏付けが取れるまで生かしておくこと。

朝の追記:息子の話の裏付けが取れる。

ドルルシャサの意思The Will of Drulshasa

下位のドレモラよ!ドルルシャサの意志を聞き入れて従え!

我々は強い。敗者を蔑み弱者を憎んでいる。そして何より定命の者を嫌悪している。なぜなら彼らは敗者であり弱者であるからだ。弱者は強者によって罰せられなければならない!それが我々の使命であり、我々の支配者であるモラグ・バルの命令だ。

定命の者を探し出せ。捕らえても殺してはならない。その惨めな魂をモラグ・バルに捧げるために生け捕りにしなければならぬ。

期待を裏切るな。さもなければ定命の者の代わりに罰を受けてもらう。命令通りに動くのだ!

どれだけ長く?How Long?

もう数週間経った。それとも数ヶ月?オブリビオンの世界では、時間は狂気の律動と共に流れると言われている。そんなことが可能ならだが、ここを出たら元の世界は様変わりしているだろう。どれだけ時間が経ったとしても、夫と囁きの森の住人達が無事であることを祈る。

今まで捧げてきたもの全てに見合った最後になりそうね。心身ともに疲れ果てた。そして、この試練はまだまだ終わりそうにない。

少なくとも、書くことは気休めになる。

ハーシーンへの祈りPrayer to Hircine

私の武器をあなたに掲げる!
祝福してくれ、そして導いてくれ、本物の——

弓!
剣!
短剣!
鉤爪!

お楽しみを始めよう!
血を流させよう!
狩る者と狩られる者
死につながる追跡の中で!

ハーシーンへの嘆願Invocation of Hircine

強大なるハーシーン王、気高きハーシーン王、我らは敬意と謙虚をもって伺う。森と全ての獲物の犠牲の上に、あなたの神の権威を認める。追跡のマスター、狩人アルラベグの姿にて、好意的に崇拝者の努力を見守りたまえ。我らはハントの神聖な伝統への従事により、あなたを称えん。

公正な狩猟の法を遵守し、逃げる機会のない獲物は倒さない。

獲物に敬意を払い、あなたを崇拝するための生け贄になることを感謝する。

常にハンツマンを敬い、狩りをする時はあなたの許しを得る。

ハーシーンよ、狩りをする我らを祝福したまえ。我らが誇りある狩りをして、合法で実り豊かな収穫を授けられますよう。

ハヴォクレル:オブリビオンからの来訪者Havocrel: Strangers from Oblivion

創造物の謎の記録者、トリカトレル 著

膨大な知識を持つが故に、私が真の驚きを得る機会はほとんどない。私は創造物の最大の謎に関する正確な情報を集め、後世のために記録している。例えば、私は他のいかなる定命の者よりもオブリビオンについて詳しく知っている。サピアルチ大学における所謂「私の同僚」たちは、そのような主張が思い上がりに他ならないと受け止めている。私が自身をもはや彼らの一員ではないと考えているのはそのためだ。私は長年に及ぶ研究の日々で、あらゆる文書を探し求め、あらゆる賢者や予言者と話し、いくつか領域を訪れさえした。包括的な知識を有しているとしか言いようがないではないか。

それでも先日姿を現したハヴォクレルには度肝を抜かれた。いかなる古写本や概説書でも、このような姿のデイドラについて言及を見たことがない。また、いかなる儀式や伝説でも彼らの気配を感じたことはない。この存在は一体どこに隠れていたのだろうか? またその理由は? 幸運にも好機が巡ってきたため、私は最大限に活用した。

あるデイドラ信者が自らの目的のため、この単独行動を好む存在を召喚することに同意した。だが、私がこの生物に質問をすることも許してくれた。彼らの「教団」に対する風変りな貢献と引き換えに。その存在は「ジアカス」と名乗り、ハヴォクレルの一員だと言った。身の丈は氷の巨人ほどで、身幅は彼らの倍もある。深紅の肌を持ち、レヤウィンの物乞いと同様に目が見えない。完璧に整った体形で、奇妙なタトゥーがほぼ全裸の体を装飾している。彼らのような者がドレモラやスカーフィンのように大勢でいるところを見たことがないのはなぜなのか尋ねてみた。彼は笑った。「我々は孤立を好み、同種の者との親交を嫌っている。2人同じ部屋に入れるとどれだけ緊張するか見るといい。3人集めれば血が流れるだろう。4人のハヴォクレルが一ヶ所に集まれば、もう戦争と同じようなものだ」

孤立を好む生き物であるにも関わらず、ジアカスが進んで私と話をすることには驚いた。彼は自分を呼び出し、円の中に縛り付けている信者の方に絶えず視線を送っていたが、それはどうでもいいことだった。この機会のために大金を支払ったのだ。それを無駄にするつもりは毛頭ない。例えば、ジアカスはデイドラ公やその他の強大な存在との契約を履行していない時には、凍ったマジカの宮殿に暮らしていることを教えてくれた。私は彼の言わんとすることを説明してくれるよう頼んだ。彼は首を振り、「だめだ」と言った。

私は話題を変え、より強い主人に服従することについて詳しく聞きたいと言った。彼は笑った。「契約は服従ではないぞ、定命の者よ。例えば、私がメエルーンズ・デイゴンの軍を率いるのはデイゴン卿と取引をしたからだ。私の技能と力を価値ある何らかのものと引き換えにしたのだ」それは黄金か? とそれとなく言った。再びジアカスは笑った。「ハヴォクレルが黄色い鉱石に何の用がある?」

私は再度話題を変え、盲目なのは不自由かと尋ねた。どうやらハヴォクレルは全員盲目のようだ。見えぬ目を布や凝った頭用の防具で覆っている者もいるが、中にはジアカスのようにそのような装身具へ気を使わない者もいる。彼らの仲間が盲目であることについて重ねて尋ねると、彼は「我々には呪いがかけられている。これ以上は聞くな」と言った。この話題についてはこれが彼の最後の言葉だったが、盲目であろうとなかろうと、彼は円の外側にいる我々の位置を感知し、自分の周囲の世界を把握することに困難を感じてはいないようだった。一体どうやってそのようなことをやってのけているのか、私には分からなかった。

私たちは長々と話をした。他に彼がどのような話をしたかについては、いずれ説明することになるだろう。質問を終えると、彼は授けた知識の返礼をどうやって行うのかと尋ねてきた。黄金に興味がないことは明らかだったため、私は彼に何が欲しいのかと聞いた。彼は身振りで洞窟の床に描かれた円を示し、その後信者を指し示した。その信者の顔色は瞬く間に真っ青になった。私はうなずき、ブーツを履いた足の片方を円の方に踏み出すと、その一部を消した。

メモを持って洞窟を出る時に聞こえた叫び声は無視することにした。知識の代償は時として法外なものにもなりうるが、真の学者は常にそれを支払うのだ。

ハルドの尋問の写しHald’s Interrogation Transcript

密偵:よう、ハルド。

ハルド:近づくな。

密偵:気をつけるんだな、ハルド。私の機嫌を損ねたくないだろう。特にこれだけ、8週間か?いればわかるだろう。

ハルド:何も言うことはない。知っていることはすべて吐いた。もう解放してくれ。

密偵:お前がどれだけ役に立ったっていうんだ?おいおい、 ハルド。ここでは私がルールだ。

バンティールの日記Vantir’s Journal

この言語で書いていると手がつる。構文は不完全だし、動詞の活用にはいらいらさせられる。だが黒き虫の教団が使っている言語だ。適応しなければならない。

この広間を最後に歩いてから何世紀も経過している。父が私に破壊の儀式について教えてくれた場所もある。私が初めて生贄を捧げた石もある。そしてもちろん、私達全員を飲み込んだ裂け目もある。

何年の間、オブリビオンに捕らえられていたのだろう。私達が互いに向き直り、仲間を疲弊させる前はどれだけの時間があったのだろう。モラグ・バルが私の無慈悲ゆえに私を祝福したため、私だけが生き残った。今、我が主はこの黒き虫の教団員を案内してシラーセリに行き、ふたたび目的を果たすために、私を選んでくださった。

虫の教団が広間に追放者、我々の奴隷の末裔があふれていると言ってきたとき、私は激怒した。まず頭に浮かんだのは、すべてを消し去ることだった。だがその時、もう一つの考えが浮かんだ。「もし誰かを説得して裂け目をもう一度開かせることができたなら、一時的であっても、黒き虫の教団は地表の目を避けてシラーセリに入る手段として使うだろう」と。

虫の教団の密偵の一人がこの任務に適任だ。単純な不死の約束をするだけで、その者の運命は決まった。虫の教団が入れば、奴隷達を一網打尽にするのは簡単なことだ。その生物は我が王の次元融合に理想的な燃料を供給してくれるだろう

ビスネンセル:古代のルーツBisnensel: Our Ancient Roots

匿名学生 著

ハイルマ・モラ・パド・アダ・オイア・ナガイア・アバ・アゲア・カヴァ・アポクラ・デナ・ゴリア・ガンドラ・アルカン

我々の社会に属する誰もが知っているように、我々の教団の根源は歴史が古く、奥が深い。なぜなら我々は「太古の探究者」ではなかったか?しばらくの間バルフィエラ島に関する古文書や、ダガーフォールの魔術師ギルドにある古い文書を研究した結果、ついに我々の神聖なる集会所についての詳しい説明が可能になった。いわば骨に肉付けをできたのである。

今ならハルシオン湖の下にある、我々の秘密のアイレイドの聖所の元々の名が「ビスネンセル」であったことを明かせる。それは野生のエルフの言葉で「新たな水の集会所」を意味する。第一紀初頭、世に言う「聖」アレッシア率いる奴隷の蜂起の後にシロディールで起こった反エルフの大虐殺を逃れたアイレイドのクランによって建設された。ビスネンセルを造ったクランの故郷、ハートランドはネナラータの街であるが、そこはほとんどのアイレイドの居住地同様、一部は地上、一部は地下に建設されていた。避難民のエルフ達は、ビスネンセルを建てる時にこのやり方を規模を縮小して真似たのである。ただし、現在無傷で残っているのは地下の部分だけだ。

このエルフのクランの統治者はラロリアラン・ダイナーと名付けられたが、「アイレイド最後の王」という仇名の方がはるかに広く知られている。彼は傑出した戦術家兼将軍であり、読者諸兄もグレナンブリア湿原の戦いにおけるハイロックの大勝利とのつながりで、ほぼ確実に彼の名を耳にしているはずだ。その戦いで、侵略してきたアレッシアの大軍勢は打ち破られ、シロディールに引き返した。

研究を通して発掘された事実の中で、少なくとも我々太古の探究者にとって最も興味深いと思われるのは、この場所がハルメアス・モラを崇拝する目的で使用され始めたのが、実は何千年も前、まだアイレイドの占領下にあった時代だったということだ!この活動を率いていたのは大司祭ウルスキャントの名で知られる野生のエルフの学者で、彼が立ち上げたビスネンセルでの集会は、彼らの社会に存在した多くの学者や、最も影響力のある人々を引き寄せた。参加者の人数がさらに膨れ上がると、ウルスキャントは彼らの代表としてごく当然のことながら、政治の場でより大きな発言権を求めたが、その求めは「王」ダイナーにより不当に退けられた。統治者は軍隊を持たない学者の集団と権力を分かち合うことにはまるで興味がなかったのだ。彼は愚かにもこの学者達を、侮辱しても罪にならない相手だと考えていた。

さて、このダイナーはまもなくハルメアス・モラのしもべを遠ざけるのはそう容易ではないことを思い知らされた!傲慢な拒絶から数ヶ月の内に、この「アイレイド最後の王」は退陣させられた。彼とその家族はバルフィエラに逃れ、そこで彼はディレニに保護を求め、訓練された軍用犬のような存在として終生仕えた。

歴史が教えてくれるように、太古の探究者達は必ずいつか勝つ。古の言葉にあるように、知識が力であるならば、禁じられた知識は究極の力なのだ!「なぜなら知りたいという欲求は計り知れぬものであり、報酬として求められる代価はどのようなものであっても支払われるであろう」

アエ・ヘルマ・モラ・アルタドゥーン・パドメ・ルカン・アエ・アイ

ヒルカの尋問の写しHilka’s Interrogation Transcript

密偵:パクトに捨てられるってのはどういう気分だ?

ヒルカ:私を見捨てたのはパクトじゃない。スラゴフよ。

密偵:心底嫌っているようだな。

ヒルカ:当然のことよ。

密偵:どういう意味だ?

ヒルカ:奴はムーンシュガーにカジートを導けなかった無能な愚か者だったってことよ。

密偵:それで他の指揮官は?

ヒルカ:まあ、彼らがもし賢ければ私たちはここにいない。そうでしょう?

ブラッドソーンの命令Bloodthorn Orders

遠い昔、フラス鉱山で奇妙な石が発見された。その石は非の打ちどころがない立派なものであった。しかし、その美しさに囚われ、内に秘められた力を知る者は誰もいなかった。その鉱山にはそのような石で溢れているとも知らずに。

その石を使えば、我々の堕落のトーテムに力を与えられるということが分かった。ウィルドの樹に対する我々の取り組みにはもっと石が必要だ。鉱山を手中に収め、石集めに従事させる者を数人集めろ。

ブラッドソーンの命令:漆黒なる墓地Bloodthorn Orders: Ebon Crypt

キャス・ベドロードでの尽力のおかげで、我々の軍は急速に成長している。古代の共同墓地からかなりの量のアンデッドの群れを得られた。だがもっと必要だ。

その名前だけ知られている付近の墓、漆黒なる墓地に関する噂を耳にした。伝説によれば、その墓地には計り知れない力を持った暗黒の生物がいるらしい。この生物とその謎を我々の手に!この墓地を探し出して、発見物をできるだけ早く報告しろ。

ベシーサへの手紙Letter to Vethisa

この命令をちゃんと聞くのだ、シャドウパスの奉仕者、悪魔主義者ベシーサよ!

お前は高い階級を得た。私が与える任務を成功させれば、さらに高みへ行ける。失敗すれば、苦痛の中で死ぬことになる。

暗黒の王から、古代の遺物がシロディール南部の大地の下に隠されていることを聞かされた。帝国の崩壊によって、邪魔されることなく捜索が可能になった。この遺物を手に入れれば、私はシャドウパスを指揮して帝都とシロディール全土を征服できる!

ポットホールと呼ばれる洞窟を調べろ。この任務を甘く見るな。ヴォルカティアとヴォルゴは、他の場所で遺物を探している。持ち帰った者は、永遠に私の助力を得られるぞ。

奇跡のセラスによって正式に規定された、シャドウパスのサークルとして命令する。部下たちを厳しく使い、努力と資金を惜しむな。

私を失望させるな。

— ドレッドロード・ナウクラティウス

ボエシアとその化身Boethiah and Her Avatars

策謀と陰謀のデイドラ公ボエシアは、世界に自分の意志を押し付けるために化身を利用する。これらの化身は常に気まぐれで予測できないことが多く、ダークエルフやその他いくつかの種族の男女として現れる。彼らは大抵、重要な行事や重大な出来事に加わり、そういった出来事が秘密主義の彼らの主人の意志にかなう結果となるように暗躍する。

ボエシアの化身はよく、立派な英雄たちや一般人も同様に、その気性を試すために意図された挑戦や試練を出す。彼らの動機がはっきりと示されることは決してなく、大抵うやむやにされるが、いつでも主人の策略の(小なり大なり)一部であると推測される。

これらの挑戦や試練が終わる時(大抵の場合、仮面を覆った化身が課した任務が完了された時)は、化身が形跡もなく消えることがよくある。これにより、しばしば不可解な物語や奇妙な言い伝えが生まれ、少なくとも挑戦に参加した者の間で混乱を呼ぶことになる。

ボエシアの栄光Boethiah’s Glory

ボエシアの顔を見上げ感嘆せよ。ボエシアが見えるように腕を掲げ、祝福を奉げよ。戦いは神への祈りと知れ。死は不可避のものと知れ。己をボエシアの目の中の取るに足らないものと知れ。

ボエシアの腕は長く、刃のように素早い。

傷は深く、毒のように潜む。

信じ、崇めよ。死が簡素であるよう祈れ。

信じ、崇めよ。死が静寂であるよう祈れ。

信じ、崇めよ。ボエシアの栄光を賛美せよ。

デイドラ公のための戦いに飛び込め。信じぬ者を切る構えを

ホロウジャック公の夢の国Lord Hollowjack’s Dread Realm

サイジックの深淵の欠片の代弁者、クイレアン・ダルニザーン 著

雑用から超自然的なものまで、数々の重要な問題がタムリエルとその政府、民に降りかかっている。一部の者は、オブリビオンの小次元やその支配者、デイドラ公、デイドラ小公に対する学術的な研究に資金を支出することを非難する。それはささいなものとみなされ、より偉大な計画からすれば取るに足らないものと考えられがちだ。こうしたテーマはサイジックの研究に向いていない。我々の周囲を取り巻くアウルビクの環境にさえ、理解していないことはたくさんある。しかし、「より偉大な計画」が取るに足らないことの積み重ねで作られ、現実の歪みと確実に関連すると知らなければ大した学者ではないだろう。何が重要で何が取るに足らないのか、誰に分かるだろう?私はサイジックの研究に向いていないものなど信じる。全てを考え合わせれば、知識の力は無限だ。無知の力は黒檀をも硝子のごとく砕く。

不要でもったいぶった前文を読ませて申し訳なかったが、その判断は後に回してほしい。この講義が終わるころには、先程の発言が正確だったと同意してくれるはずだ。平均的なサイジックのこの件に関する無知を示すため、まずはほとんど知られていない次元、デトリトゥスとその奇妙なデイドラ公、ハー・ルグ・ゼクに関する講義から始めよう。おそらく、一般的にはホロウジャックと呼ばれている存在だ。多くの者はホロウジャック公を、迷信深い農民を騙すための、魔女祭りに関係した虚構の怪物だと考えている。彼は実在していて、収穫の月に墓地へと現れ、不用心な者を驚かすという物語には客観的な裏付けがある。

伝説の背景にある真実を紹介しよう。ホロウジャックは特別な上級デイドラだ。定命の者の恐怖の公という称号を得ている。彼が司っているのは、恐怖にかられて人間やエルフが神の介入を求める一時的な崇拝だ。ホロウジャックによれば、こうした崇拝者は彼に属する。魂ではないにせよ、心を捧げる。彼はそうした恐怖から、超自然的な力を引き出すのだ。この「恐怖の餌」に対する超自然的な仕組みは謎だ。サイジックが理解する古き習わしのどのカテゴリーにも入らない。しかし、破壊魔法を知らないからと言って炎の実在を否定することはない。説明できないからと言って、デイドラが恐怖から力を得る仕組みを否定はできないのだ。このことを裏打ちする証拠があまりにも多くありすぎる。

さて、「ホロウジャックによれば」と続けよう。まるでデイドラ公の証言や尋問があるかのようだが、そうではない。ホロウジャックは捉え難い。定命の者の前に現れるのは、最高の恐怖を与えるためだけだ。しかし、中にはホロウジャック公に何度も訪れられて恐怖のあまりおかしくなった人々がたくさんいる。「ホロウジャックの犠牲者」と分類しよう。長く断片的だが、口伝によって恐怖のデイドラについて証言してくれる。こうした証言を通じて、彼らを追い詰めた相手について知るのだ。これは蔵書庫に保管された「恐怖#427」にまとめられた日誌からの抜粋である:

「ペトラには夜勤があった。彼女は鉱山で夜を明かすことがあったが、その時彼が現れた。静かに天井が崩落すると私に告げ、ペトラはそのまま帰らなかった。彼は話しながらとても長い中指をとがらせ、鉤爪を互いに打ち鳴らし、強調するためにこちらの目へ向けた」

別の引用をしよう。恐怖#112からだ:

「…彼の歯。マーラよ、彼の歯。どうしてあんなに長く鋭い歯で笑えるの。彼が笑うならだれも笑うべきじゃない。彼が笑った時… ああ、マーラよ、お守りください…」

最後に、これは恐怖#4からだ:

「彼は自身の領域、デトリトゥスについて語った。彼がどうやって閉ざされた記憶のコレクションを浪費し、分類しているかを。別のアングルから再生して、定命の者の心の脆弱な部分を新たに発見しようとしているらしい。新たな力の鎧の隙間、恐怖に屈することを防ぐ正気の抜け穴を。デトリトゥスに外側はないそうだ。内側しかない。部屋から部屋、終わりなき悪夢と内面の苦しみ。「定命の者が最も恐れるのは、自身の中にあるものだ。ほとんどの場合、内側に何が眠っているのかを思い出させるだけでいい。それで十分だ。十分すぎる」

これがサンプルになるだろう。しかし、蔵書庫で少し過ごし、自分の目で見てみると、ホロウジャック公の描写が驚くほど一定していることに気付くはずだ。穏やかに話す。長く鋭い歯から静かにささやく。長く、細く、素早く動く指で「鉤爪」と呼ばれる爪を打ち鳴らす。鉤爪は切ることも刺すこともできるが、大抵の場合は話していることを強調しているだけだ。彼のオブリビオンの領域についても一定している。閉所への恐怖を誘う小さなスペースがちりばめられ、その定命の者がなくした個人的な品が壊れて道を塞いでいる。

魔女祭りが来ると商人が訪れ、詐欺師がホロウジャック公の周囲で動き回る。顔に中指を振って子供を脅かす。このジョークの裏にある真実を考えてみよう。怯えた犠牲者に同情を寄せ、彼らの話を信じて見よう。最も重要なことだが、夜が来て怯えて見たら、適当な祈りを唱えぬことだ。答えが気に入らないかもしれないからな。

ミルダノールの破れたメモMildanor’s Ripped Note

〈メモの上部はミルダノールがつかんだときに破れたらしい〉

新しい顧客が弁償を要求している。グリフィックは影響を及ぼし、アポクリファへの襲撃を必要としている。手に入れるのがお前の仕事だ。失敗したら、暗い展望や痛みに満ちた死などは、取るに足らない心配事になる。

使命を果たせ。グリフィックを受け取りに行く。

記憶する者

ライランスの手紙Lyranth’s Letter

小さき定命の者

私はドレモラのライランス。もしかしたら私を知っているかもしれないし、知らないかもしれない。あなたたちを個人として覚えるのは難しい。私と会ったことがあるか、別の方法で私の注意を引いたことがあるかもしれないけれど、あまり関係はない。私があなたに手紙を書いているのは、今よ。

同盟の首都に来て、私の代理人を務めるロガティナ・シンナに会いなさい。彼女がより詳しい情報と、直接会うための移動手段を提供する。メエルーンズ・デイゴンの手先が私の動きを逐一監視しているから、重要な情報をもろい封蝋の保護には委ねたくない。

面白い事態になっていることが分かったの。あなたとあなたの世界にとって、破滅的と言えるかもしれないわ。この先はロガティナが伝える。早く来て

L

リーザのブラッドソーンの報告書Leeza’s Bloodthorn Report

優秀な指導者へ

私たちの野営地は、マイヤの滝を水源とした水流が分岐している所にできた空き地に設置してある。そこでは既に喜ばしい成果が上がっている

アルドクロフトからの報告書を押さえただけでなく、獅子の守護団の斥候も取り押さえることに成功したのだ!

さらに待てば、カシミール王はきっと路頭に迷いながら降伏するであろう!

—第一の種、リーザ

レオヴィック皇帝の日記The Journal of Emperor Leovic

この件を始めたのは父と祖父だが、終結させて利益を得るのは私だ。ヴァレンの奴が現れて、殺されなければだが。

父は帝都の地下にこの別館を築き、最後の秘密を保管させた。他の者が仕事を続けるための避難所だ。最悪の事態が起きた時は、分かっているな。

以下に記すのは、少なくともパズルに関わっている者だ。ただし、全ての真実を知っているのは私の執事と目覚めの炎教団のリーダーだけだ。彼らでさえ、裏切り者ヴァレンの勢力が接近したことで、私が加えねばならなかった変更については知らない。

四つの野望の準備はまだできていない。できていたらそれでヴァレンを滅ぼし、私の帝国を守っていただろう。だが野望が現実となるのはまだ数年先だ。

私には最後の策が一つ残されている。父が個人的にメエルーンズ・デイゴンに捧げたこの別館の祠を使って破壊のデイドラ公に呼びかけ、祖父が帝国を征服した時のように、再び助けを求めるつもりだ。もし失敗し、私が裏切り者ヴァレンに倒された場合は、目覚めの炎教団の大神官であるお前が他の者の相手をし、野望をどこに動かしたか解明せよ。あれをヴァレンの手に渡すわけにはいかない。

ファルル・ルパス執事
ロヴィディカス評議長
アボール評議員
ファレリア評議員
イティニア評議員
ジリッチ評議員
ソフス評議員
ヴァンダシア評議員

ロドス病The Llodos Plague

秘薬師ブレヴァ

引き続き伝染病の新たな菌株の実験を行う。セルカモラでの仕事は素晴らしいものだった。マギストリックスもお喜びになっている。セルクはいい実験台だ。病気で弱った者がやって来て治療を請うている。中にはすでに以前の菌株に感染している者もいる。我々は彼らを喜んで受け入れ、病気を治癒するという嘘の約束をとりつけている。レドラン家やフラール家ですらその嘘を信じ込んでいる。信じたくて仕方がないようだ。

伝染病に関してだが、かなり強力なものになった。しかし残念ながら生存率は期待値には届いていない。1つの街全体を破壊できるような真の大流行を引き起こしたいならば、引き続き魔法を強めて試験を行っていかなければならない。次の段階は実験レベルを上げることだ。すでに、幹部の1人が純度の高い菌株の開発に成功したかもしれないという報告を受けている。その菌株の到着を待ち望んでいるところだ。

次の実験はさらに大きな街で行おう。ナルシスがいいだろう。フラールの馬鹿共はまったく疑うまい。ナルシスにいる連絡先に伝えて、準備をさせなければ。

——錬金術師マーディンドリル

悪魔主義者ヴォルカティアへの手紙Letter to Diabolist Volcatia

この命令をちゃんと聞くのだ、シャドウパスの奉仕者よ!

お前は高い階級を得た。私が与える任務を成功させれば、さらに高みへ行ける。失敗すれば、苦痛の中で死ぬことになる。

暗黒の王から、古代の遺物がシロディール南部の大地の下に隠されていることを聞かされた。帝国の崩壊によって、邪魔されることなく捜索が可能になった。この遺物を手に入れれば、私はシャドウパスを指揮して帝都とシロディール全土を征服できる!

ヘイノートと呼ばれる洞窟を調べろ。全ての岩を砕き、全ての裂け目を開け。遺物を見つけるために全力を注げ。見つかるまで戻るな。

セウルジスト・セラスによって正式に規定された、シャドウパスのサークルとして命令する。もう彼女を支持するつもりはない。悔い改めることが彼女の運命だ。そうでないと、気分を害した私が彼女を生かす保証はない。

私を失望させるな。

— ドレッドロード・ナウクラティウス

闇の任務Dark Contract

母よ、待つのは終わりだ。あなたの家族はまた一つになるだろう。あなたが取ったすべての行為も、奪ったすべての命も、これにつながっている。虫の名においてニマルテンを奪うのだ。そうすればあなたの最愛の家族は、もう一度生者の土地を歩くだろう。

— 虫の父サリク

隠者ガイアスへTo Anchorite Gaius

隠者ガイアス

我々が放った密偵たちの調査によりますと、エズレバとヒズルドという2人のカジートはグリーンヒルで最も親密なカップルのようです。ヒズルドのほうはすでに捕えました。恋人の命が懸かっていると脅せば、エズレバが我々の言いなりになることはほぼ間違いありません。彼女はグリーンヒルにおける我々の密偵となり、増幅クリスタルの設置と支配の開始を可能としてくれるでしょう。

あなたのしもべ
アティア

我々は預かっているWe Have Control

ヒズルドの毛皮を一房、同封しておいた。憶えておくがいい。カジートの生皮を剥ぐ方法は1つじゃない。

関心を持つ者へTo Whom It May Concern

ウッドエルフのフィンガエニオンはオブリビオンの次元に入る方法を知っているそうだ。彼は私のようなノルドには理解不能な闇の書物を読み、研究を続けている。彼の妻はずっと前にそこで行方不明になったが、彼女がまだ生きているなら、アンドーンテッドが彼女を救出する!

偉大なるアンドーンテッドがオブリビオンを探検した… 今から数十年後、人々は私達のことをそう歌うだろう!それはアンドーンテッドの中でも最も勇敢な者達の歌だ。メエルーンズ・デイゴンのカミソリの中に飛び込んでいくのだ!確かにそれは立派な行為ではなく、賢明とも言えないかも知れないが、楽しいことは確実だ!

決行は明日。我々がアンドーンテッド内で、さらに地位を登り始める日だ!

PS

後世の人々へ… もし我々が帰還できなかったら(この野営地が荒廃したままだったら、そう思ってくれ!)、このメモをグレナンブラの「強きモルドラ」に届けてほしい。彼女は知るだろう。我々が死んだのは、アンドーンテッドとして生きることを選んだためだと!

PPS

我が部隊の編成は以下のとおり:

墓堀人ウンバルメ
望み無き者カエレネス
ソバベ
壮大なザンタン
グラド・グラサ
ブラッディ・メイラ
ブリットゲード・ベアマスター
アクセル・マルヴォー
モニネン
熟成肉を食べる者
ウッドエルフのフィンガエニオン

さらにもう1人

(我々の中で最も偉大なる!)ホゴンダー・ハンマーハール

記憶の書、第1部A Memory Book, Part 1

ファーヌイヘンからチューターのリパリウスへの指示

ああ、クリスタルを貫く輝きのごとく動く男爵よ。彼についての記憶が抜け落ちているのに、呼び戻せるわけがない。

彼は長身だったけど、ボズマーの像から姿を取った身から見れば、彼らはみな長身よ。私にはそうする理由が十分にあったし、ほとんどを思い出せる… 素早いし、標的になりにくかった。

だけど、「クリスタルを貫く光」を思い出すとなると… あなたは分かるでしょうけど、すぐ気が散ってしまう。冷たい言葉が必要よ。言葉が私の中を波打ちながら流れ、集中を取り戻させるの。

集中!ぴったりな言葉ね!「クリスタルを貫く光」は集中そのもので、彼が彼たるゆえんだった。戦闘中、彼はほぼ一瞬で居場所を移動し、前線から側面、また別の側面へときらめいた。彼の攻撃は、マロンドの光さながらにきらめいていた。忘れもしない、「5人の抵抗者」と戦ったとき、彼は激しく光り輝いていた!盾がガラスのように粉々に砕け、地面には牙と角が散乱していた。

そして我々は勝った!あの日は絶対に負けたくなかったわ。それは記憶の貯蔵所へ大事に保管して。いざという時、記憶が蘇るかも知れない。

記憶の書、第2部A Memory Book, Part 2

ファーヌイヘンからチューターのリパリウスへの指示

稲光のごとく動く男爵!彼の姿を心に思い浮かべられる?彼は雲から別の雲へと弧を描くように移動する。予想もつかないコースを取り、目にも留まらぬスピードで行きたいところに移動する!どこでも!突然に!

いや、違う。自分で自分をだましている。これは言葉でしかなく、幻視を説明する思い出に過ぎない。幻視自体は… 私から失われた。頭では、どこでどうやって戦ったか、いつ誰を倒したのか分かっている。でも現実の出来事の記憶には霧がかかっていて、忘れられた過去の夕暮れの中に静かに消えていく。

例えば、「中から穿つもの」との戦闘で、稲光のごとく動く男爵はセトと私の側で戦った。セトと私が「蝶番のもの」と対決していた時、稲光のごとく動く男爵は「無効なピストン」に過負荷をかけて砕き、燃やした。何かが起きたことは覚えている。ただどんな出来事か思い出せないだけよ。ああ、我が男爵。あの日、皆のために勝ってくれた。

お願いよ。稲光のごとく動く男爵を思い出せるように教えて。自分のその部分の記憶が恋しいし、もう一度見たい。少なくとも、そういう気分よ。

記憶の書、第3部A Memory Book, Part 3

ファーヌイヘンからチューターのリパリウスへの指示

私に考えがあるわ!葦をそよがす風のごとく動く男爵を思い出すため、何か別のことを試しましょう。純然たる論理で、彼を再構築しなくては!

風:大気の動き、はっきりしないが絶えることなく、方向は様々で、方位磁石のあらゆる方向から吹きつける。強く、それから弱く、そしてまた強く。

葦:背の高い生乾きの草の茎で、文学の基礎でもある。かさかさ揺れ、力を加えると曲がり、抑えていると音を立てて振動する。

男爵:卓越した人、戦いのために作られた人、私から見れば、多くの能力を詰め込んだ高度な体、芸術の人間化。

結果:葦をそよがす風のごとく動く男爵!彼の部分部分を知っているから、全体として統一された彼を思い出さなくてはならない。そして目の前に彼がはっきり見える!必要なのは…

違う。違う。これじゃ無理。

どうすればいいの?中にあるものを思い出すことについて、あなたは何と言った?それは何、リパリウス?もう一度言って。

輝かしき変動Glorious Upheaval

死の開花のセンダラムル 著

八大神と彼らの嘘を拒む者よ。彼らの愚かな教義を拒絶する者よ。この言葉を聞き、そして知るのだ。

ボエシアは価値あるものを欲している。信者からの女々しい賞賛も祈りも、慈悲と支援を求めて泣き叫ぶ声も、そんなものは彼の耳に届かない。打ち倒され、裏切られ、征服され、そして殺された者達… つまり弱さゆえに命を落とし、ボエシアの恩恵を受けることができなかた者達… そんな者達の血を見ることに、彼は喜びを感じるのだ。抵抗と暴力、謀略と侵略、そして掌握した権力のみが、一粒の埃として彼から注目を受けるに値する。

もし報酬を求める勇気があるなら、唾液をしたたらせる彼の牙の間に挟まっている。試される者、すなわち哀れな亡骸の腸に濡れて立つ者は、策略のデイドラ公のみが知る秘密を垣間見ることができる。トリニマクを飲み込み、神々の弱さを証明したあのデイドラ公のみが知る秘密だ。打倒できない力など存在しない。「惑わす者」への意志を示すのだ。あらゆる手を尽くし、すべての支配者による掌握を断ち切れ。王冠は自分の頭にかぶるためのものだ。そうすれば輝きへの道が開かれる。自分が本来持っている力を認識できるだろう。

自己満足に浸った惨めな人生に背を向けよう。身分不相応な者達からすべてを奪え。それは本来自分が持つべきものなのだ。手の中にあるものを汚し、自分の目的のために使え。そしてその手をさらに伸ばせ。目の見えぬエドラを拒絶しろ。あんなものはエセリウスで腐らせておけばいい。軟弱な魂、しなびた役立たずの魂がただ朽ち果てていくだけのあの牢獄で… 奴らの命令を拒み、戦いを享受しろ。虚無と同じくらい真っ黒な異端の言葉を語り、ドラゴンの亡霊であるアカトシュと滅びゆく奴の同族を鼻で笑ってやるのだ。

ボエシアはそれを見ている。彼女はすべての勝利を味わい、すべての決意の瞬間において陶酔に震え、強き者達に恵みを与える。彼女の勇者の1人になりたいなら、真実の道を進むためにすべてを壊したいなら、あなたは終わりなき奮闘に加わることになる。そしてその行き先に争いと不調和をもたらすのだ。そうすることによって初めて、その先に待っているさらに大きな戦いに備えられる。永遠の戦いを続ける者よ。服従を拒む者よ。このことを知れ。ボエシアは価値あるものを欲している。

欺きの予兆The Omen of Deception

何重ものクアグマイアの領域に覆われた奥には、とある霊魂が住んでいて、ニルンの定命の者を破滅させ、彼らの低俗な領域中に嘘と欺きを広めることを長い間切望してきた。

ヴァルミーナのペット達の中でも、この霊魂は特に影を潜め、秘密主義を貫いている。彼は数多くの名前で知られているが、そのどれも真の名前ではなく、そのため何世紀にもわたって彼の召喚は不可能であった。

しかしヴァルミーナが昨夜、闇の夢を見て寝ている私の耳に彼の秘密の名前を囁いた。タムリエルに彼の悪い影響をもたらし、タムリエル中の人々を疑わせて裏切らせるようにと命じた。

欺きの予兆を召喚するには、まず始めに4つのかがり火を灯し、捧げ物とする者を殺し、そして最後にそのデイドラの真の名前を言わなくてはならない。

捧げ物の血は流れたばかりの新鮮な血でなくてはならないが、捧げ物が完全に死んでいるよう十分に注意する。もし捧げ物に少しでも命が残っていると、デイドラは弱々しく、無防備な状態で召喚されるだろう。そしてその身に何か起ころうものなら、ヴァルミーナはいい顔をしないはずだ。

そのデイドラの真の名前はイカルだ。それを言えば彼は現れる。ただし、彼の器をしっかり準備しておくことだ。

暁を見よLook to the Dawn

ここは何かがおかしい。

墓地から音が聞こえてきた。そして私達は… あれを見た。亡霊。幽霊。奴らは夜明け前に姿を現した。

私は調査のためにここに来た。答えを探さなければならない、絶対にやり遂げるんだ。

失敗した場合に備えてこれを書いた。お前がこれを読んでいるということは、私は恐らく墓地に出る何かに殺されたということだ。お前も殺されたくなければ、ここから立ち去るんだ。

これを伝えたのは、同じことが起こる前に、お前にアズラと和解できる機会を与えるためだ。今すぐ引き返せ。暁を見ろ。彼女の輝かしい威厳を目にするんだ。今ならまだお前の命を、そして何よりもその魂を救うことができる。

お前は暗闇に包囲されている。暁に戻るんだ。

恐怖の淑女の手紙Dread Lady’s Letter

定命の子へ

私はライランス。時々つまらないことに興味を抱く、ドレモラの追放者よ。私たちは前にも会ったかもしれない。会っていないかもしれない。あなたたち定命の者に関しては、区別が難しい。

とにかく、破壊と野心のデイドラ公、メエルーンズ・デイゴンの計画を進めようとしている教団が存在する。私は彼らの活動と、どうやってロングハウス帝の秘密に到達したのかを調べることにしたけど、ある障害に突き当たってしまった。定命の者の力を借りる必要がある。

このメッセージを最後まで読むと、私がこの結界に込めた魔術が地図に印をつける。まずはそこで会いましょう。これはライランスの命令よ。私にはどうでもいいことだけど、あなたたちの世界の運命が、次の行動にかかっているかもしれない。

L

暁を見よLook to the Dawn

ここは何かがおかしい。

墓地から音が聞こえてきた。そして私達は… あれを見た。亡霊。幽霊。奴らは夜明け前に姿を現した。

私は調査のためにここに来た。答えを探さなければならない、絶対にやり遂げるんだ。

失敗した場合に備えてこれを書いた。お前がこれを読んでいるということは、私は恐らく墓地に出る何かに殺されたということだ。お前も殺されたくなければ、ここから立ち去るんだ。

これを伝えたのは、同じことが起こる前に、お前にアズラと和解できる機会を与えるためだ。今すぐ引き返せ。暁を見ろ。彼女の輝かしい威厳を目にするんだ。今ならまだお前の命を、そして何よりもその魂を救うことができる。

お前は暗闇に包囲されている。暁に戻るんだ。

訓練の報告書Report on Training

ノルダールの上達は容認できないほど遅い。これまで、あれほど才能のない魔術師を訓練したことはない。奴はまるで使い魔を召喚したことがないかのようだ!どうやって死者を蘇らせたのか私にはわからない。

奴は続けると言い張り、この授業のことを口にしたら私を殺すと誓っている。訓練中に事故があれば、本当に残念だろう。

軽蔑の儀式Rituals of Contempt

あのゴミ漁り共をまとめて刺し殺し、焼き殺すことができればこれほど喜ばしいことはないだろうが、手を見つけなければ!この臭い場所を取り囲んでいる、ゴミと残骸の中から我々を呼んでいる声が聞こえる。

何とかして味方を招集しなければ。手の存在を伝えれば彼らもここに残って捜索しやすいかもしれない。あるいは彼らも手に惹かれるかもしれない。

しかし私はここに残ることができない。あの忌々しい鱗肌がそこら中にいる。奴らの汚い爪に流し込まれたものの正体がばれる危険は冒したくない。

決して怯まないI Must Not Falter

彼を見つけた。ハーシーンが話しかけている。私にだ!

怯んではならない。私を苦しめるこの不公平に屈してはならないのだ!あらゆる者が私の敵になるだろう。だが屈服するつもりはない。

ワイルディングランに戻るつもりだ。私が生まれたその悪夢の地で、ハーシーンが約束してくれた力を見つけるのだ!その力があれば新たな道を、新たな歴史を作り出せるだろう!

私が力を得て、シルヴェナールを崩壊させれば、グワエリングは私の元に来るだろう。グリーンレディであろうと関係ない!彼女に選択肢はないのだ!ハーシーンこそが私の猟師であり、私は彼の忠実な猟犬なのだ!

血で書かれたメモNote Written in Blood

今日、またウィサード・ハンドの馬鹿どもが近づいてきた。何人血祭りにあげても、懲りずに使いを出しては手を貸してくれと言ってくる。簡単に仕留めることができる獲物もいいが、そろそろ狩りの興奮が恋しくなってきた。

力が充分に回復しているのを感じる。この分だと洞窟から出て、警戒心の薄い獲物を探せるようになるのもすぐだろう。

賢きレラミルからの手紙Letter from Leramil the Wise

your name

危険な状況にある私の協力者として、運命があなたを選びました。少なくとも二つの世界の未来が窮地に陥っています。

秘密のデイドラ公ハルメアス・モラは、私がニルンを救うため、あなたの助力を得なければならないと予見しました。ストームヘヴンで会いましょう。この恐るべき危機について詳しい話を聞いてください。

賢きレラミルからの手紙

後戻りはできないThere Is No Going Back

フィルインへ

魔術を熟知している者との出会いは喜ばしいことだ。その能力を有効活用しなかった、お前の元の雇い主は愚か者だ。だが彼の死は私達にとって利益となる。

アバマスで会おう。だが心に留めておけ!後戻りはできない。これまでの人生とは手を切れ。黒き虫に尽くす上で、邪魔になるようなものは容認できない。

—カッシア・ヴァロ

最後の要請A Final Appeal

首領スーラック

スティルライズ村はこの件に関する君の決定を待つ余裕はない。デイドラ公と取引しなければならないという気後れは理解できるが、手遅れになる前に代替案を検討してくれ。

長年の間、首領の決断力を伴った統率のおかげでスティルライズ村は災害や戦争や伝染病には遭わずにすんだ。シャドウフェンの他の場所は苦しんだにも関わらずだ。彼らの知恵が我々をかくまい、守り、健やかに保ってくれた。

しかし今では、あまりにも多くの友や隣人や家族を埋葬し、火葬してきた。これ以上墓を掘り、死体を焼く薪を組まなければならないのか?病気の子供達に、もうすぐ良くなると嘘をつき続けなければならないのか?

君は長年、スティルライズ村を助ける私の助言を信頼してくれた。これは最後の助言だ。祠に入って何があるのか見せてくれ。そうでなければ、これ以上君を援助できない。

私だってこんなことはしたくないんだ。古い友よ。昨晩関節痛が始まった。呪術師チラーが正しければ、私達は2人共1週間と持ちこたえられないだろう。

行動を起こしてくれ、首領スーラックよ。そうでなければ、君は何も率いていないのと同じだ。

ヘルシュク族長
第二紀561年、薄明の月15日

最初の日The First Day

私はレイザーマスターになるはずだった。私が転覆させたあの地位を継ぐはずだった。私にとってあの門を越えることは、燃えたぎるるつぼに落ちることに等しかった。

深遠の炎が私の血を沸騰させ、私は溶岩の雨が降り蒸気が揺らめく荒野に投げ出された。なぜ今でも生きているのか不思議でならない。

気がつくと私は短剣を握っていた。

「身を守る手段は与えてやったぞ」という声が聞こえたが、そこには誰もいなかった。

「これだけ?」と私は誰もいない空中に問いかけた。

「それだけあれば十分だ。自身を証明しろ。そして生きるのだ。それができないなら、新しい日を楽しむがいい」

慈悲についてAbout Mercy

全員に告ぐ

慈悲は弱さだ。覚えておけ。我々はここに頭蓋骨のためにいる。弱者を奴隷やペットのように連れ歩いても、マラキャスの名誉とはならない。

マラキャスにふさわしくないやり方は、オースバウンドにもふさわしくない。

——グルズナック

次に来るものWhat Comes Next

支援を申し出て後悔することはないだろう。ボズマーのためヴァレンウッドをともに取り戻そう!

もし君がこれを読んでいるとすれば、すでに必要な試料のリストを持っていて、やるべきことを分かっているはずだ。準備が整ったら、邪魔の入らない静かなグラーウッドの角を探せ。用意ができたら儀式を行え。儀式は簡素かつ優雅だ。ドミニオンに汚染される前のヴァレンウッドのように。

ハーシーンが私達の呼び声を聞いてくれる!呼びかける者が多いほど、声も大きくなる。私達は共に狩りをする。ヴァレンウッドに残っている者が、皆ボズマーになるまで

-カラハウン

取引成立A Deal is Struck

素晴らしい日になった!我が公の命令通り、私はブラック・ドレイクと呼ばれるリーチ人、ダーコラクと同盟した。この強大な蛮族の戦士が皇帝として王冠を戴き、ルビーの玉座に就くための取引を結んだのだ。

これから本当の仕事が始まる。終わることのない準備。儀式。メエルーンズ・デイゴンの四つの野望を用意するため、行わねばならない全てのことが。我々は任務をこなしながら、最後の取引が実現する日を待ち望む。メエルーンズ・デイゴンは、正当な地位を手にするのだ。

破壊のデイドラ公を称えよ!変化のデイドラ公を称えよ!

襲撃の時間!Time to Strike!

ついに祭壇が整い全ての準備ができた。今夜、パクト軍の無防備な愚か者どもにオブリビオンの大群が襲い掛かる。

ああ、別世界の獣たちがこの世に降り立つ瞬間、近くで見ていたい。奴らの痛み、恐怖の悲鳴、死の叫びを、じっくり味わいたい。最初にこの提案をしたとき、ソルカリン大将軍は「デイドラと付き合うまで身を落とす」ことを拒み、ためらった。だから私が自ら着手することにしたのだ!

かの不快な地の住人達とその言い伝えについては、長年勉強してきた。デイドラを指揮し、統制する方法は心得ている。これほど強力な獣たちのこととなると、失敗は許されない。するつもりはさらさらない。

今夜、ドミニオンのシロディール征服を阻む障害物が一つ排除される。次はカバナントだ!

新しい主The New Lord

今日風が吹いた。レッド・ジール砦の頭上に燃えるような風が吹いた。最初はデッドランドの悪天候のせいだと思った。しかし風の中から巨大な何かが姿を現した。それは人間やエルフよりもずっと背が高く、灰色の痕跡を残しながら空中を浮遊していた。

ありとあらゆる種類のデイドラの生物がその後ろに続き、要塞に向かって進軍した。彼らは溶岩の海を突き進んだ。中にはその熱さに耐え切れず倒れる者もいたが、残りはパチパチという音を立てて燃えながら歩き続けた。そしてその神々しい存在の前でひれ伏すと、百の小さな太陽のようにくすぶり、やがて消えた。数日前なら、このような出来事に私は心を躍らせたでしょう。だがあの生物達は完全に滅んだわけではない。一度倒したはずの連中が、何度も何度もまたやって来るのを今まで見てきた。

そして巨大な地響きとともにタイタンが現れ、炎の雨が降り始めた。そのあまりの激しさに、私が立っていた洞窟の入口の一部が溶けて、入口が広くなった。私は一時の安らぎを求めて、必死になって闇の中に逃げ込んだ。ついに終わりがやってきたと思った。しかしまだ終わりではなかった。外に出ると、タイタンが下を向いて体を丸めていた。皮膚に付着した深紅のざくろ石は、怒りの赤に染まっていた。タイタンは幾分抵抗の意志を込めて、灰と火と鉱滓の存在をにらみつけた。頭蓋骨に開いた穴からもうもうと煙が舞い上がっていた。

私は炎の呪文を予想したが、タイタンは持ち上げた頭を再び下ろすだけだった。それは抵抗だったのか?それとも渋々敬意を表したのか?そして溶岩の神が、その正体が何であれ、ようやく両足を泥の地面に踏み下ろした。

新しい同盟Our Budding Alliance

ベールの陛下

ようやく礼節をわきまえてくれたか。新たな合意に達することができ、嬉しく思う。デイゴン卿へのその安っぽい誓いを捨ててモラグ・バルに仕えれば、戦争での勝利は確実なものになるだろう。タムリエルにおいて、この戦争での勝者は1人だけだ。

時期が来れば手下に指示を与えさせる。期待を裏切らないように。忠実に動けば褒美を与えるが、裏切れば——わかっているな。その処罰は想像を絶したものになる。

モラグ・バルの名において、命令通りに動くように。

(そして好きなデイドラ公に小声で祈るように)

蟲の王、

マニマルコ

新人の第2のメモInitiate’s Second Note

ここに来て2週間になるが、すべては順調に進んでいる。私は前よりずっと強くなった。主に私達がこなしている重労働とスパーリングのおかげだ。たくさん怪我をしたが、それは故郷で散々殴られるのと同じことだ。

パックリーダー達の説教はやむ気配がない。彼らの話は常に「狼のようである」ことと、集中すればどんな風に「自らの弱さを乗り越え」られるかをテーマとしている。予想以上に教団めいているが、それでも私はここに故郷を見つけたと思っている。

1人かわいらしい若い娘がいる… ナラーだ。彼女は私の見た目が気に入っているようだ。来週スパーリングが終わったら、彼女の気持ちを確かめてみなくては!

新人の第3のメモInitiate’s Third Note

1ヶ月もの間、洞窟から出ていない。あの獣は私の夢で私につきまとい、目覚めてもしばらくの間は彼の声が聴こえる。リーダーは正しかった。儀式はその役割を果たしたのだ。誰もが夢を見ている。それが彼らの顔から読みとれる。

今夜私に変化が起こるはずだ。恐ろしい… だが同時に興奮してもいる。ナラー… 君がそんなに可愛くなければ良かったのに…

星の5つの先端The Five Points of the Star

シギラウ・パレート 著

予言は彼女の領域であり、夜空の女王が見たことが最後には現実となる。定命の者にはぼんやりとしか見えないかもしれないが、それは全ての定命の者に水晶占いの才能が与えられるわけではないし、真実を知ることに耐えられない者もいるからである。

夜明けは切迫した時間であり、アズラが知恵と目的をもって私達に触れる時でもある。そして私達は口に出して助言を請い、恐れおののきながらその答えを待つ。

バラは彼女の色であり彼女の花である。彼女の復活の地であるムーンシャドウは太陽である。私達は正午までに定命の者の仕事を終わらせるが、太陽が低くなった時のために、常に体力を少し残しておく。

夕暮れ時は私達がアズラの指示に従う時である。そして私達は暗い夜の行いで彼女を称賛し、従順でない者を罰して彼女を讃える。

運命は彼女が私達の価値と功罪を書き記した本である。私達は自らの行いにより、彼女から好感や侮蔑を得る。そして自分達の運命を彼女の予言で知ることになる。

千の夢見人の夢Dream of a Thousand Dreamers

ヴァルミーナ!

千の夢見人の夢よ!

終わりのない喜びの啓示よ!

失われた魂の導き手よ。

屈強な魂の喜びよ。

弱き魂の狂気よ。

ヴァルミーナ!

鼠の言葉The Words of the Rodent

この言葉をよく聞いてかみしめること!時が迫っている!

腹ぺこ鼠に言われた。マッドゴッドが紛れ込んでいると。

生け贄を持って捧げに来ること。でなければ館の食い物になるのみ!

増幅クリスタルThe Amplification Crystals

増幅クリスタルの設置が終われば、いよいよ計画を実行に移せる。増幅クリスタルが必要なのは、グリーンヒルを乗っ取るためだけだ。ここに足がかりを築いてしまえば、ドロ・マスラはあのアーティファクトを使ってリーパーズ・マーチ全域に影響力を及ぼすことができるようになるだろう。

もっとも、増幅クリスタルはできるだけ長く作動させておくよう努めるべきだ。支配できる住民の数が多ければ多いほど、ドロ・マスラは速やかに勢力を拡大できるだろう。

村人の数の記録A Tally of Villagers

ナルシスの人口を数えて管理しなくては。もうすでに多数がモーンホールドへ逃亡しているから、対象数は極度に減っているはずだ。

村人をあまり拉致しすぎると、ロドス病が広まるために必要な被害者が足りなくなって、この実験自体の意味を失ってしまう。幸い、問題はいずれ消えると信じ込んでいる貴族は家を離れようとしていないから、疫病にかかるにはぴったりだ。

このままなら、すべてが整った時にはまだ疫病を広めるのに十分な人数が残っているはずだ。とはいえ、リストの管理は続けなくてはいけない。数え間違えれば有効性に影響を及ぼすし、疫病を広められる規模を減らしてしまう可能性がある。

長き夢見人チャルトランの指令Overdreamer Chartrand’s Orders

夢見人達へ

皆には警戒の重要性を今一度思い出してもらい、ガヴァウドンのキャンプの警備を怠らないようにしてもらいたい。メネヴィアとアルカイアにいる仲間の不注意により、アズラの信者が積極的に私達に対して敵対的な行動を取るようになっている。彼らはエメリック王の代理人の支援を受けている。エメリック王にこれほど早く我々の存在を知られてしまったのは残念だ。

以上のようなことから、計画を前倒しにしなければならなくなった。迅速かつ効果的に行動する必要がある。だが冷静さを失ってはならない。与えられた任務を遂行しつつ、新たな敵に邪魔されないよう細心の注意を払え。

次は良い報告だ。我々は嘆きの巨人にあるアズラの祠を破壊することに成功し、私もここアフレンの要塞に辿り着くことができた。ここには我々の大義の助けになる遺物が他にもあると思われる。我々はキャンプの安全を確保して目的の物を手に入れるために、ここに来る前に慎重な調査と偵察を行った。皆もそうしてくれ。

これまで以上に主は我々に忍耐を求めている。警戒を怠ることなく、彼女の意志を実践するのだ。皆であればこの厳しい課題を乗り越えられるはずだ。近いうちに、皆とウェイレストで会えると信じている。

敬具

長き夢見人チャルトラン

敵なるアーケイArkay the Enemy

聞け、子供たちよ。私もかつては諸君のように身分の低い男だった。私は自分の意志で神の配下に入った。絶対的な信仰心によって、諸君も私の栄光を分かち合うことが可能だ。

死霊術師は愚かで意気地のない者ばかりである。ウィッチハンターの餌だ。だが、我が召使である諸君は選ばれし者だ。諸君の力に立ち向かおうとする者は今後いなくなるだろう。しかし、1つだけ障害が残っている。その名はアーケイだ。

かつては彼もただの男であった。彼と私の定命の一生における類似点には、私ですら驚かされる。我々が敵対すべきなのは当然の話なのだ。

アーケイの祝福は、人々と獣人、そしてエルフの魂が、同意なしに利用されることを阻止する。アーケイの法は、適切な儀式をもって埋葬された者を生き返らせ、我が子の願望を叶えてやることを阻止するのだ。我が子たちよ。知ってのとおり、アーケイの祝福は勇敢な者に対しては融通が利くが、アーケイの法は断固としている。

学者へ:アーケイの司祭らに屈辱を与えよ。彼らの原始的な埋葬の習わしが単なる偶像崇拝であることを明らかにするのだ。お世辞だらけの言葉を用いて王たちと友人になり、諸君の意向に彼らを縛りつけよ。指針として、シロディールの我が子供たちを模倣すること。

司祭へ:召使の使用は控えめにし、生存する者に見られないようにすること。アンデッドの思い出を人々の記憶から徐々になくすこと。未拘束の死者、吸血鬼、リッチの元に、伝道師を送ること。あらゆる死者に私だけを支持させるべし。

隠れし者へ:いつもどおり、闇にて待機せよ。

まもなく我々は動き出す。アーケイの聖堂は石から石までバラバラになるだろう。彼の司祭の血は、我々の喉の乾きを潤し、彼らの骨は我らが召使として生き返るであろう。アーケイの名は記録から削除され、私だけが生死を支配するのだ。恐怖に囁かれるは我が名のみでなければならぬ。諸君の王であり、主の名を。

— KW

奴らは懇願すべきだThey Should Grovel

何度頼もうが無駄だと言うのに、ウィサード・ハンドは諦めようとしない。こちらの辛抱にも限度がある。堂々たる死者を支配できると思い上がっている生者どもに、私は少しも親愛の情を感じない。

連中の傲慢さにはイライラさせられる。本来ならば、彼らは先立った者たちの前にひれ伏し、輝かしい死後の生を分け与えてくれるよう懇願すべきなのだ。

日記、12日目Journal, Day 12

この試みは愚行だったと思い始めている。物体を研究して12日になるが、教団の約束はひとつも達成されていない。闇の司祭たちは私たちが闇の者への祈りを怠りなく続ければ彼らの儀式に成果が出ると請け合った。私は忠実であろうと努めているが、疑いは増すばかりだ

日記、26日目Journal, Day 26

3日間固形の食物を摂っていない。闇の神への信仰心の欠如に対する贖罪だ。レガーに私の疑いを打ち明けるのではなかった。彼はすぐにヴィラのもとへ行った。私の無礼と冒涜にも関わらずヴィラが即座に私を殺さなかったのは驚きだ。我々のグループの他の者たちはそこまで幸運ではなかった。彼らは死体を隠そうとしたが、私は見てしまった。誰もが叫びながら死んでいったように見える

日記、32日目Journal, Day 32

今日、闖入者が到着した。ステンダール崇拝者の司祭だ。彼が戻らなければもっと仲間が来るだろう。我々は彼を縛りクモにくれてやった。クモたちが生身の肉をむさぼるときの、彼ののたうちまわるさま、叫ぶ声ときたら!そこには一種の恐ろしい美しさがあり、私は目を逸らせなかった。あのような獣を制圧する力にはそそられる。私は信仰を倍加すると誓った。いつの日か獣が私の命令に従うように

日記、40日目Journal, Day 40

ああ、祝福された栄光の日だ。私の信仰は完全だ。私は選ばれし者、そしてまもなく影と共にある者になる。タムリエルの全てが私の力の前に震えるだろう。誰もがメファーラを讃える!

破棄された書簡A Discarded Missive

マイ・レディ

仰せのとおり、信者が集う新しい集会場を探しましたところ、海岸沿い、ファーストホールドの西に良い場所を見つけました。

すでに主の御名において聖別を済ませてあります。あとは貴女様の祝祷により、この殺風景な場所を我々のものとしていただくのみです。

主の御名において

墓の臭いがする者の報告書Scent-of-Graves’ Report

ノルダールは一歩進む度、足に泥が粘着しています。あのような男が一体なぜ指導者の地位まで上り詰められるのでしょう?確かに奴は欠片を持っています。しかし我々にあったのは、卓越した能力によってそれを手に入れたという彼の言葉だけです。言行と行動の両面において、軽率です。

これらの懸念を報告するのは、軽々しい判断ではございません。我々がリフテンに戻った際には、この件に関してさらにお話ししたく存じます。彼の欠片を取り上げたほうが賢明かもしれません。あるいは、彼の命を。

それまで、潤いを保たれんことを。

— 墓の臭いがする者

放火の贈り物The Gift of Arson

ファーストホールドが鍵だ。アイレンの兵が北を抑えていなければ、マオマーの同盟は自由に動ける。

この小さな街を焼くのは確かに単なるお遊びだ。しかしこれはすべてデイゴン卿、あなたのため。

方法はあるThere Are Ways

アエラ・アースターナー

お前は大切な者を失った。しかし彼らと再会する方法はある。時と血を超えて立証済みの、古いやり方だ。

我々に加わるといい。パクトの動きに関する情報さえ提供して、忠実でいれば、お前と愛する者達を再会させてやろう。

マニマルコの名の下に

— 虫の父サリク

夢から夢へTo Dream Beyond Dreams

百の預言の予兆 著

メネヴィア、緑多き愛しきメネヴィア、そこにある若いブレトンが住んでいた。彼は歴史的遺産を受け継いでおり、身の周りの世話は人を雇っていたため自分は何もする必要がなかった。間仕切り窓のところに座り、ひし形窓の外で田舎の風景が日の光とともに変化する様子をじっと眺めた。その日彼は、辺りが暗くなり就寝の時間になるまでずっとうとうとと過ごしていた。その後床に入った彼は夢を見たのである。

彼はどんな夢を見たのか?それは自身の所有地の夢だった。しかし日中のものよりも色が濃く、実物以上、さらに汚れのない清らかなものであった。夢のメネヴィアは現実のメネヴィアよりも現実味があり、起きている時よりも寝ている時の方が生を実感できたのだ。毎日彼は間仕切りのところで、夢を越える夢を見る方法を模索した。夢見のメネヴィア、レヴァリメネヴィアで永遠に暮らす方法を。

彼は「レヴァリメネヴィア」と言う。それは祈りの言葉であった。「レヴァリメネヴィア、レヴァリメネヴィア」。彼は何千回もこの祈りの言葉を口にした。すると、その言葉はみるみる「ヴァーメネヴィア、ヴァーメネヴィア」に変化していき、さらに回数を重ねて短くなっていった。そして最後には「ヴァルミーナ」となり、彼は何度もそれを繰り返す。「ヴァルミーナ、ヴァルミーナ」

そこで夢の形でヴァルミーナが現れ、彼のことを天上の夢見人、最初のナイトコーラーと呼ぶと、百の預言の予兆と名付けたのである。目覚めた後も、まだ夢の中にいるようで夢うつつで言葉を発し、彼は他の夢見人を彼のもとへ、レヴァリメネヴィアへ呼ぶのであった。

あなたもすぐに彼のようになれる。ナイトコーラーはそれを夢見てきた。ある夜夢を見たら、そこでその名前を言うのだ。そうすれば彼女が現れる。

夢の中の覚醒In Dreams We Awaken

眠りの中、私達は目を覚ました。

彼女の幻想が私達を呼んでいる。タムリエルのいたるところから、彼女の夢が私達に本当の世界を見せてくれたのだ。私の知っている世界よりも遥かに素晴らしかった。

ヴァルミーナがこの世界の空を輝かせている!ヴァルミーナはこの世界の星々だ!夜空に見える千の光は彼女の千の真実なのだ!

この油断のない世界は、苦痛と飢えに満ちている。偽りの世界だ。私達はより明るい新たな時代を夢見る者として、この壊れた世界の隅々から集まった。

彼女が私達をこのストームヘヴンに導いたのだ!彼女はよりよい世界のために私達を目覚めさせた!偽りのこの世界から離れるのだ!

この単純な真実を理解できない者もいる。彼らは私達のように彼女の夢を理解できない。本物の夢見人ではないからだ。彼女は力のある者と謙虚な者に声をかける、だが不適合者は狂気の中に置き去りにされる。

目を覚せ、眠る者よ!夢見人になるのだ!夢の中で彼女を探し、私達の仲間になれ!

私達はお前を待っている。

夢見人の時代が訪れるDreamers Our Time Has Come

夢見人よ!我々の時代が訪れた!

お前は我々と共に歩むために遠くまで旅をしきたのだ。お前は偽りと苦しみに塗れた、壊れた世界の中をさまよい続けてきた。

お前は我々と一緒に歌うために長い旅をしてきたのだ。ヴァルミーナの幸福に満ちた奇跡を称賛しようではないか!彼女の夢が永遠に続かんことを!

ストームヘヴンは我々の目の前にある、彼女の夢を分かち合うのだ。見える者、そして目覚める者が私達の仲間となる。私達は謙虚な者と力のあるものを求めている。弱い者、盲目な者は、彼女が狂気の中に置き去りにするだろう。

教えを与えよ!

ウィンド・キープの無秩序な争いに教えを与えよ!

嘆きの巨人の苦痛の涙に教えを与えよ!

世界に広めよ!夢を受け入れるのだ!

我々は夢見人の軍隊を組織する。そして偽りの都市、ウェイレストへと戻る。八大神の異端者は滅びることになるだろう。そして夢見人が支配者となるのだ!ウェイレストは夢見人の都市となるだろう!

我々の新たな時代が始まったのだ。我々は永遠の名の下にヴァルミーナの僕となる。

全ての者よ、ヴァルミーナの名を讃えよ!

命令:ノルヴルク遺跡Norvulk Ruins

ウィンド・キープ近くの丘に略奪されていないアイレイドの遺跡があるという噂を耳にした。騎士ガルガクに従え。彼がそこへ導いてくれる。この遺跡を押さえ、中に眠る古代の神秘を探し出さなければならない。夢見人のために!

命令:ファランゲルの洞窟Orders: Farangel’s Delve

指令は単純だ。ディミトリの後を追ってファランゲルの洞窟へ入り、そこにある見捨てられた砦の場所を特定しろ。そこには膨大な量の物資があるはずだ。それをウェイレストで売り払えば、かなりの儲けを得られる。やり遂げるのだ。天上の夢見人のために。さらには我らが大義のために!

命令:ベアクロー鉱山Orders: Bearclaw Mine

ガヴァウドンで我々の勢力を拡大させるためには、基地設置のために戦略的に有利な場所をもっと探さなければならない。バンコライから来た我らが仲間、アリスティドが嘆きの巨人近くで鉱山を発見した。そこなら自分達の採掘作業を行いながら、防衛基地としても利用できる。アリスティドに従って、この鉱山を夢見人の手中に収めろ!

目覚めし者の説話Wakener’s Sermon

遺跡に据えられた「完全な家」を見て忍び笑いを漏らす者もいるかもしれないが、彼らは死とまどろみを取り違えている。コゴルーンは常に、変わらずそこにある。埃に覆われた下で震えながら、主人の帰還を待っている。私たちと同じように。

掘削者は、灰の像からもっと近くへ来いと呼ばれていると囁いている。しかし像が歌いかけているのは彼らの粗雑な血ではない。生まれながらの権利を持つ、血を受け継ぐ者の瞳に啓示を見た。本物の理解。彼らを通じて、私たちは世界を秩序ある形に作り上げていくのだろう。

この場所でその血が語る者を探せ。覚醒は近い。

目覚めの炎の手紙Waking Flame Letter

破壊者ルーレンへ

お前の任務は重要だ。失敗は許されない。教団の計画とメエルーンズ・デイゴンに約束された報酬の全ては、お前のチームが最大限の成功を収められるかどうかにかかっている。

ライランスというドレモラが、赤い花弁の砦からある品を入手した。お前の仕事は彼女を見つけ、タムリエルで彼女が使っている隠れ家がどんなものであろうと追跡し、その品を教団のために奪うことだ。あの魔法の剣は確実に彼女の妨害を阻止する。ただ、使う者には攻撃のタイミングをしっかりと計らせてくれ。一度失敗したら、それまでだ。

遺物を手に入れたら、グリーンシェイドの影の這う地に戻れ。お前の到着を、首を長くして待っていることにする。

破滅の運び手リザリーン

目覚めの炎の書簡Waking Flame Correspondence

破滅の運び手リザリーンへ

ドレモラのライランスがポータルの鍵を手に入れた。それが欲しい。

破壊者ルーレンと数名の侍者を入手に向かわせなさい。鍵は彼らの命よりも価値があることを明確にしておくように。鍵がなければ、我々の計画は大きな打撃を受けるかもしれない。”変異”を起動し、稼働させる時間は少なくなりつつある。

この任務のために剣を手放すのは気が進まないけど、あのドレモラは排除しなければならない。これ以上彼女の妨害は容認できない。

鍵を手に入れたら、この図が示した通りにシンボルを並べなさい。それで、オブリビオンの我々の拠点へと通じるポータルが開く。その後で、ポータルの鍵を私のところに持って来て。ここから新たな領域へ移動するために必要になる。

それから、設計図を持ってくること。決して置いてこないで。私たちの構想に反対する者の手に、設計図が渡ることだけは絶対に避けなければならない。

急いで破壊者ルーレンと共に戻ってきなさい。次回の”変異”の試験に立ち会えるかもしれない。それが終わったら、定命の者の領域に災厄を放つ。

デイゴンの名において
シスター・セルディナ

目覚めの炎教団の儀式の命令Order of the Waking Flame Ritual

[この文書には、この別館内部の奥にある専用の祠で行われるべき、ある儀式が記してある。儀式に成功すれば、実行者は直接メエルーンズ・デイゴンと交信できる。少なくとも、それが主な狙いのようだ。余白に書かれたメモは、儀式が目覚めの炎教団の、破滅の運び手エシルによって記されたことを示唆している]

約束しようA Promise Made

モラカー

君の条件と約束に同意する。金はペルズ・ゲートにいる私の両親にいくべきだ。知っての通り、私は金のために動いているわけではない。私の死によりヴァルミーナが向かえに来てくれるなら、喜んで逝こう。だが両親に金があれば、この危険な時世にも少しは楽をできるだろう。

彼女に近づきたい。

— ガスパリエン