ソブンガルデの木枠箱

名誉の死とは終わりを意味するものではありません。
鋼鉄の衝突と輝かしい最期の雄たけびの先には想像もつかない世界、ソブンガルデが広がっています!この英雄たちの不滅の領域では、ハチミツ酒が広大な川のように流れ、風が吹きつける丘の向こう側には、素晴らしい冒険が待ち受けているのです。

光り輝く獣たちや王家の武器、その他の幽玄なる神秘の数々がベールの向こう側で待ち構えています。
今こそ、眠っていた戦士の魂を呼び起こしすべてを手にしましょう!

ラディアントアペクス リワード

  • サーベルキャット・ダスクストーカー(金)Auric Sabre Cat Duskstalker
    1200

    • 「ダスクストーカーは苦しめられた戦場の魂を集め、失われた魂が自ら離れるまで、安全な隠れ家を提供します。サーベルキャットと騎手の周囲を取り巻く色鮮やかなオーラは、ウィスプのようにも見えます。」――賢女モリトラ

  • シルバーニンバスウルフSilver Nimbus Wolf
    2500

    • 「希望を失い、傷心のような感情を抱えて死んだ魂は、この優しい狼に慰められます。彼らが安らぎを得るまで、狼と騎手の周囲は色鮮やかな霧とギザギザの牙で守られます。」――賢女モリトラ

  • 揺らめくシャドウメインコーサーLambent Shadowmane Courser
    1600

    • 「ソブンガルデに背を向けた者に染められたこの闇のコーサーには、失われた魂の触手と背骨があります。あなたは重荷を負いながら、影と後悔の道を進みますか?」――賢女モリトラ

アペクス リワード
400

  • ソブンガルデ・クロウセインウルフSovngarde Clawthane Wolf

    • 「ソブンガルデ・クロウセインウルフは鯨の骨の橋を見張っていますが、一部はスカイリムやその先まで勇敢な魂に同行すると言われます。高貴で賢い狼です。」――賢女モリトラ

  • ソブンガルデ・ペイラーファングサーベルキャットSovngarde Valorfang Sabre Cat

    • 「ソブンガルデの勇気の間でしなやかなサーベルキャットは人気があります。騎手を守って死んだと言われるベイラーファング種は、中でも特に人気ですね。勇気の間で、英雄を助けが必要な戦士の元へ運ぶ機会を待っています。」――賢女モリトラ

  • ソブンガルデの突撃兵(変種)Valiant Sovngarde Charger

    • 「ノルドの偉人が価値ある最後を求めた時、ソブンガルデから最後の戦いのためにこれが贈られるという噂があります。ただ、多脚馬について歌うスカルドの話を真に受けてはいけません。」――賢女モリトラ

  • 華麗なソブンガルデのラクダResplendent Sovngarde Camel

    • 「ソブンガルデにはラクダもいます。タムリエルの戦いに呼び出されると、この輝く獣は勇敢な騎手に会うため喜んで飛び出します。ただ、ハチミツ酒の唾を吐くという噂は信じないように。」――賢女モリトラ

  • 頑健なソブンガルデの熊Sovngarde Stoutheart Bear

    • 「大きな危機が迫ると、ソブンガルデは過去の英雄を世界に戻し、伝説的な獣に仕えさせます。頑健な熊はそのような獣です。真の戦士を戦いに運ぶ、恐れを知らぬ仲間です。」――賢女モリトラ

  • 勇猛なソブンガルデのグアルストライダーValorous Sovngarde Guar Strider

    • 「戦いで倒れたグアルもソブンガルデへ行けます。後に世界へ戻って、勇敢な行動をとった者の忠実で大胆な騎乗動物となることもあります。呼び出されると、素早く飛び込んできます。」――賢女モリトラ

レジェンド リワード
100

  • アルコシュの砂時計(レプリカ)Alkosh’s Hourglass, Replica

    • これは大きな家庭用アイテムである。

  • クソリールの鱗Xoleel Scale

    • 色鮮やか。活気。中毒。聖なるアルゴニアンの儀式、クソリールに参加した者は、ディープマイアのヒストを脅かすリバイアサンへの危険な供物と化す。

  • グレナンブラ・ボーダーウルフGlenumbra Border Wolf

    • グレナンブラ・ボーダーウルフの色は一部のブレトン犬種に似ているが、この頑健でストイックな騎乗動物は犬などではなく、暗い夜も厳しい気候もものともせず、ハイロックの伝令をどこまでも運んでいく。

  • ケフレム・センチサーバルKhefrem Senche-Serval

    • ヒューズベインでは、このまだら模様のセンチサーバルを吉兆と考えている。幸運を定期的に得ようとする者は、子供を捕らえて訓練する。今や騎乗動物となったため、祝福された者に幸運が訪れるだろう!

  • ゼェトの雲のラクダZeht’s Cloud Camel

    • 白いラクダは、レッドガードの食料と農業の神であるゼェトの聖なる動物だと言われている。ハンマーフェルの信心深い民は、雲のラクダが通り過ぎるとお辞儀をする。

  • セレスティアル・ニンバスCelestial Nimbus

    • これは大きな家庭用アイテムである。

  • ドラウグルDraugr

    • この変装具は着用者を、古代ノルドの鎧の下の肉体が干からびた戦士のように見せかける――墓に潜むにはもってこいである。

  • 火回しFire Spinning

    • この火を回す技能で見る者を驚かせ、場合によっては眠りに誘おう。ナイフのジャグリングや火吹きなど、他の祭りの出し物を完璧に補う!

  • 古代遺跡の探検家Ancient Sites Explorer

    • 蔵書庫や書庫でタムリエルの古代史を研究する学者もいるが、より活動的な調査をする者は外に出て研究を行い、汚くて死ぬほど危険なことが多い古代の遺跡を探検する。

  • 勇猛なソブンガルデの弓Valorous Sovngarde Bow

    • 勇猛なソブンガルデスタイルの弓に合う衣装。

  • 勇猛なソブンガルデの盾Valorous Sovngarde Shield

    • 勇猛なソブンガルデスタイルの盾に合う衣装。

  • 勇猛なソブンガルデの杖Valorous Sovngarde Staff

    • 勇猛なソブンガルデスタイルの杖に合う衣装。

  • 勇猛なソブンガルデの大剣Valorous Sovngarde Greatsword

    • 勇猛なソブンガルデスタイルの両手武器に合う衣装。

  • 勇猛なソブンガルデの斧Valorous Sovngarde Axe

    • 勇猛なソブンガルデスタイルの片手武器に合う衣装。

  • 裏切りのドラゴンプリーストRenegade Dragon Priest

    • ドラゴンプリーストは、暴君ドヴァーの名で定命の者を支配した邪悪な支配者だった。だが、そのファッションセンスはすごい!今ではスケイルコーラーにいた、裏切りのドラゴンプリーストの外見を身に付けられる。

エピック リワード
40

  • カーマインのモノクルCarmine Monocle

    • 長年レンズとその色を研究してきたテレンジャーの元弟子が、時が経っても色褪せない赤レンズを発見した。このモノクルは鮮やかなカーマインの色合いが特徴である。

  • かかしのポーズScarecrow Pose

    • 全く動かずに、うるさいかかしを追い払おう…おや?

  • カンタロープ沼クラゲCantaloupe Swamp Jelly

    • アルゴニアンはブラック・マーシュの沼クラゲの柔らかい肉を好んで口にするが、この名前は味ではなく外見に由来している。

  • グレイウィンターサーベルキャットの子Graywinter Sabre Cat Cub

    • 可愛らしくはあるが、このサーベルキャットは子供の頃からホワイト川地域でトロールを探し、数の力で肉を剥いで引き倒そうとする。幸運なことに、あなたはトロールではない!それに、可愛いと言ったはずだ。

  • グレイムーアのルビーの耳飾りGreymoor Ruby Earrings

    • この耳飾りは異端の吸血鬼のイコルを浴びた宝石が特徴である。処刑に使われた銀の器具から鋳造された記章に収められている。グレイホストの幹部しか身に着けることができない。

  • ケイザールのコロネットKeizaal Coronet

    • 「スカイリムの地でドラゴンはケイザールと呼ばれる。だからこのコロネットはこう名付けられた。ドラゴンに仕える最高のドラゴンプリースト戦士のみが、これを装備できる。」――アジダル

  • ファイアポイント・グリフォンの雛Firepoint Fledgling Gryphon

    • 鮮やかな色合いのこのグリフォンは、元々エルスウェアのカジートが育てていた。とある「事件」により、不幸なブリーダーが在庫を売らざるを得なくなって、あなたのような人にも手に入るようになった!

  • フロストシュリーク・インプFrostshriek Imp

    • 「この悪しき小さな獣は、召喚されると周囲の温度を大きく下げる。それから、指には注意することだ。この小さな怪物のお気に入りは、指を凍らせて落とし、口に運ぶことだからな!」――ディヴァイス・ファー

  • ペンターチ家臣の誓いの仮面Pentarch Vassal’s Oathmask

    • グレイホストへの忠誠を新たに誓ったことにより、仕事用の仮面が与えられた。奴隷の身から解放され、悪しき主人に仕えることを止められる者は誰もいない。

  • 闇の情熱のサークレットDark Passions Circlet

    • 「呪われた宝飾職人がこのサークレットを作り、苦痛を最後の作品に移したという噂がある。満たされることのない血の飢えに屈することなくこれを装備できるのは、吸血鬼だけだ。」――タムリス家の側近ナラナ

  • 血の情熱の仮面Mask of Bloody Passions

    • この仮面は血に染まった欲望のみを示す。情熱に従い、躊躇うことなく血を吸おう。

  • 新生ネザールート混合薬Nascent Netherroot Brew

    • アイスリーチ魔術結社のネザールート混合薬初期型を使って、小さく、できれば無害な喪心の嵐を召喚しよう。

  • 人間嫌いのライカンスロープMisanthropic Lycanthrope

    • あなたは飼い慣らされず手に負えない。あなたを飾る髪型も同様だ。髪を隠していないのがより素晴らしい

  • 魔術師の杖の絵(黄金)The Mage’s Staff Painting, Gold

    • これは一般的な家庭用アイテムである。

  • 絡まった道の仮面Mask of Entangled Paths

    • スカイリムや他の地で楽しみに参加するため、一部の吸血鬼は獲物に正体がバレないようこうした仮面を被る。結び糸細工のデザインには、他の吸血鬼へ誰に狩られたのか伝える役割もある。

スペリオ リワード
16

  • コールドスナップ・ヅラゾグの子Coldsnap Durzog Pup

    • ゴブリン部族のコールドスナップから手に入れた若きヅラゾグは気まぐれで、断固とした扱いが必要となる。しかし一度しっかりとした関係を築くと、これほど忠実な獣はいない。

  • シーッHiss

    • とても個人的なスペースを求めていることを示したい場合から、単に不快感を表明したい場合まで、これは幅広く使える感情表現ツールである。

  • スプリングライトモスSpringlight Moth

    • テンマールのジャングルが原産となるこのグリーンモスは、隊商について広がり、翼をはためかせる度に春の雨の匂いを振りまく。

  • ソリチュードの狼フェイスタトゥーWolf of Solitude Face Markings

    • このタトゥーがソリチュードの狼と言われるのは、刻んだ者は蛮勇を振るって喉に飛び込むことからだ。とても荒々しい!

  • ソリチュードの狼ボディタトゥーWolf of Solitude Body Markings

    • あなたの祖先たちがソリチュードを故郷と呼んだのは、崖で吠える狼しかいなかった時代のことだ。こうしたタトゥーを刻んで同胞への誇りを示し、死にゆく敵に狼の遠吠えを聞かせよう。

  • ブレトンテリアBreton Terrier

    • 元々はイリアック湾の港でネズミを殺すために育てられたブレトンテリアは、楽しく可愛らしい仕草によって、タムリエルの多くの場所で飼われるようになった。

  • ホワイトラン・ウィンドレーサーのフェイスタトゥーWhiterun Windracer Face Markings

    • 「ホワイトランを守ると誓ったウィンドレーサーは、視界に頼らず街の周囲を移動できる。最初の野戦に生き残ると、彼らは技と勇気を示すためにこのフェイスタトゥーを獲得する。」――素早き剣のグリゲルダ

  • ホワイトラン・ウィンドレーサーのボディタトゥーWhiterun Windracer Body Markings

    • 「ホワイトランの防衛に走り回る者は、ウィンドレーサーと呼ばれている。それぞれが一致した目的と素早い足を示すタトゥーを刻んでいる。」――素早き剣のグリゲルダ

  • マールパドックハウンドMerle Paddock Hound

    • 「この種の犬は戦いに向かないとも言われるが、馬や他の獣を守らせると激しく戦う。家畜を集める役目にも向いている。」――ピエト

  • モーサルの勇者のフェイスタトゥーMorthal Champion Face Markings

    • モーサル衛兵の通過儀礼として、夜に裸で沼へ出て生き延びる、というものがある。戻った者は勇気の印としてこのタトゥーを刻む。戻れなければ湿原に潰される。

  • モーサルの勇者のボディタトゥーMorthal Champion Body Markings

    • モーサルの三脚巴をあしらったこの装飾タトゥーは、モーサルとその市民を英雄的に守った者のみが刻める。

  • 過激な実験者のアームカップEccentric Experimenter Arm Cops

    • 過激な実験者スタイルの肩防具に合う衣装。

  • 過激な実験者のパンツEccentric Experimenter Breeches

    • 過激な実験者スタイルの脚防具に合う衣装。

  • 過激な実験者のブーツEccentric Experimenter Boots

    • 過激な実験者スタイルの足防具に合う衣装。

  • 過激な実験者のベルトEccentric Experimenter Belt

    • 過激な実験者スタイルの腰防具に合う衣装。

  • 過激な実験者の手袋Eccentric Experimenter Gloves

    • 過激な実験者スタイルの手防具に合う衣装。

  • 過激な実験者の帽子Eccentric Experimenter Hat

    • 過激な実験者スタイルの頭防具に合う衣装。

  • 過激な実験者の胴当てEccentric Experimenter Jack

    • 過激な実験者スタイルの胸防具に合う衣装。

  • 記念の乾杯Memorial Toast

    • 共に歩き倒れた英雄か、先に倒れた英雄に酒を注ごう。

  • 青緑顔のフェルルンナーTeal-Faced Fellrunner

    • ベルカースのクラグローン・コンパニオンはフェルルンナーをハイロックとハンマーフェルのペット市場へ売り込むことに長年失敗してきた――センチネルのファハラジャード動物園へ、青緑顔のフェルルンナーを送り込むまでは。フェルルンナーの人気は突然爆発した!

  • 勇気の道フェイスタトゥーPath of Valor Face Markings

    • 「ソブンガルデへ行くには勇気が必要だ。勇敢さ。忍耐力。そして自身を含むたくさんの死。この道のシンボルを顔に刻めば、最も苦しい時でも動じないと見る者に警告できる。」――素早き剣のグリゲルダ

  • 勇気の道ボディタトゥーPath of Valor Body Markings

    • 「あなたは勇敢な英雄に倣い、いつかソブンガルデへ行くため勇気を示すと誓った。このタトゥーと斧は、その誓いを示している。」――素早き剣のグリゲルダ

リーチの指導者

The Reach Reader

Rによる命令Orders from R

ペンターチ・セヴィダ

リーチの魔女はネザールートの群生地をもう1つ突き止めた。カースワステンの村の下には大量に生えているが、現地の住民には使い道がないのでほぼ無視されている。ネザールートはブラックリーチの北で見つかる形状のものと品種が違うが、出発前に教えておいた材料を加えれば、目的に十分役立つはずだ。ネザールートはより短期間で生えるので、収穫すればさらに強力な喪心の嵐を生み出すための助けになるだろう。

命令はこの新種を育て、魔女に供給することだ。1週間ほどしたら、誰かが進捗を確認に行く。

R

アークスザンドの伝説Legend of Arkthzand

非凡なる功績の学者、ネラモ 著

神話中の神話はどのように追求するのか?物語で名高い北タムリエルのドゥエマーの街は、その秘密の深さが未だ解明されていないとは言え、広大な遺跡の位置は良く知られており、また、土地に住むエルフや人間との交流が数多く歴史に記録されている。だが、それとは異なり、アークスザンドは今も謎のままだ。その場所がどこにあるかは誰も知らず、他の民の書物にはアークスザンドについての話が全く残っていない。我々がアークスザンドについて知ることと言えば、ドゥエマーの文書にある暗号のような言及だけで、その文書自体もほぼ完全な解読は不能だ。確かに言えることは、アークスザンドと呼ばれる場所が実在し、そこが伝承と学びの中心地だったということだけだ。

ああ!確かなことが尽きれば、あとは推測しかできない。

私に言える限り、アークスザンドはブラックリーチと呼ばれる地下世界の洞窟にあった、ドゥエマー文明の絶頂期に築かれた。第一紀の初め、4つのドワーフの街がエセリウムとして知られるアルケインの鉱物を採掘し、その知識を得るために鉱山労働者の連合、もしくは同盟を組んだ。そのうち2つの街、アルクンザムズとブサーゼルはおそらくリーチの西にある山麓の丘陵地帯の下にあった。発見と繁栄の時代、彼らはこの深みのどこかに、大規模な蔵書庫を作るために手を結んだと情報源は示唆している。多くのドゥエマーのクランが、学び知識を共有するためアークスザンドへやって来た。だが、やがてこの隠された領域に衝突や戦争が訪れ、平和に満ちた蔵書庫は放棄された。

妙な話だが、ヌチュアンド・ゼルの街は、アルクンザムズとブサーゼルの近くに位置していたにも関わらず、ブラックリーチの同盟の話やエセリウム戦争と呼ばれる記録の中で驚くほど触れられていない。私にはドゥエマーの忘れられた政治問題について、不思議に思うことしかできない。ヌチュアンド・ゼルは他の街の敵だったのか?あるいは中立地帯?でなければブラックリーチ同盟の内政により、5番目の仲間を加えることが不可能だったのか?

この謎の答えが、アークスザンドの蔵書庫の謎を解くためには重要なのかもしれない。ブラックリーチやブサーゼルやアルクンザムズへの道を見つけ出した者は、知る限りまだいない。しかしヌチュアンド・ゼルはマルカルスの街にある。私はまだ訪れたことはないが、報告によれば地下には遺跡が連なっているそうだ。実在しているとしたら、ここからアークスザンドの蔵書庫への道が開かれていたかもしれない。

未発見かつ略奪されていないドゥエマーの伝承の宝物庫を見つけられるという可能性は、もちろん想像力を刺激する。長年にわたり、多くのダンジョン探検者がアークスザンドの存在に関する手掛かりをいくつか見つけ出し、手つかずのドゥエマーの遺跡を調査するために危険を承知でリーチに挑んだ。これらの盗掘者のほとんどが、数えきれないほどの財宝や富のことしか考えていなかったことはほぼ間違いない。泥棒と破壊者どもめ!何よりも素晴らしい宝は知識だ。ここではどんな秘密が見つかる?エセリウムのクリスタルの働きは?音調の構造?星の秘密とは?誰にも分からない。

後世の人々のため、教養のない金目当ての奴が偶然この場所を見つけて、何かかけがえのないものを不器用に破壊する前に、いつかその地を訪れてアークスザンド蔵書庫を探したい。マルカルスへ訪問できたなら、暴君に合理的な行動を取るよう説得したいのだ。もしかしたら、新たにヌチュアンド・ゼルに降りる試みをさせてくれるよう説得…あるいは賄賂で、どうにかできるかもしれない。求める答えが、悪名高いアンダーストーン砦の下のどこかにあることは確信している。

アークスザンド蔵書庫The Library of Arkthzand

我々はレディ・ビレインがアークスザンドの蔵書庫と呼ぶ遺跡に到着した。蔵書庫のようには見えない。この闇の遺物を目覚めさせることへのビレインの執着には懸念を覚える。長く隔絶されていた悪影響があるのではないだろうか。

闇の遺物の存在は、どうやらある種の奇妙な力の穴を作り出したようだ。レディ・ビレインは彼女の仲間が、短距離を移動するために力を利用したと主張している。他の手段では行けない場所へ。灰の王は私にこの現象のさらなる調査を命じた。これがグレイホストの大きな利益につながるかもしれないからだ。私はこの虚無のポータルの有用性を確認するため、全力を尽くす。

とは言え、警戒は怠らないつもりだ。私は時と共に、ここの闇から活力を得た者たちがどうなったかを見て来た。これは生きるための手段ではない。レディ・ビレインとの同盟がグレイホストの目標にとって必要なことは理解している。だが、彼女の狂気の罠に捕らわれてはいけない。

ペンターチ・シーヴェルネス

あなたに向いたギルドは?Which Guild is for You?

冒険者、傭兵、魔法使い、悪党の皆さん!冒険の仲間が必要だと思ったことはありませんか?大胆な偉業を可能にする深い絆を切望してはいませんか?もしかしたら、ギルドに入る時かもしれません!

現在のリストを確認したい場合は、ギルドの使者アムサードまで

アンスデュランからの手紙Letter from Ansdurran

フェイラへ

今回の襲撃では、なんとかいいものを手に入れたよ。確かに見た目は役に立たない骨のかけらだが、リーチの魔女から奪った。見習いレイレンと名乗って、どうか取らないでくれと懇願してきた。マルカルスの新しい祠に必要だって言ってたな。彼女の師、大呪術師グリンロックに。その魔女のために言っておく。彼女はなかなか健闘したよ。死ぬ前には、俺に怪我までさせたしな。

君の後援者は、こういうガラクタを買うんだろ?彼女の魔術師なら、絶対にこれが本物だって見分けられるはずだ。これはドルアダッチ砦の近くの、いつもの場所に隠しておく。これにはいい報酬を期待してる。この怪我の埋め合わせにな。血が止まらないんだ。

A

イーグルシアー・クランでの1年A Year Among the Eagleseer Clan

グウィリム大学、グラブリアン・ツリエル 著
(第二紀564年、レオヴィック皇帝統治時代に執筆)

数百年に渡り、リーチとその住民は他の土地の人々にとって謎めいた存在だった。だが、マルカルスにおける帝国総督の任命は、リーチと民に新たな時代を告げている。タムリエルの学者と旅人はついにリーチへ踏み込めるようになり、そしておそらくリーチの民と彼らのやり方について理解してきている。

そのような目的を胸に第二紀560年の春、モリカル皇帝からの紹介状を持って私はマルカルスへ旅立った。カダッチ総督は(懸念を持ちつつも)ガイドの調達に力を貸してくれた。ドゥニアルと言う名で、私を友好的なクランであるイーグルシアーに紹介するためのガイドだ。3日間の旅でイーグルシアーのデュン(要塞化された丘の上の村。内陸地域ではよく見られる)に到着した。ドゥニアルが私の任務を説明すると、ダラー族長と側近の魔女アシュリンは私を受け入れてくれた。当初、ダラーは私の意図に戸惑っている様子で、アシュリンは露骨に私を蔑んでいた。彼らが滞在を許したのは、ダラーがカダッチに小さな貸しを作っておけば使えるかもしれないと考えたからにすぎないと思う。

到着したのは早春で、儀式的な狩りの準備が進行していることに気づいた。どうやらこの季節で初めて行うもののようだ。長く寒い冬の後で、クランの食料の備蓄が尽きかけていたのだが、ついに雪が融けたため、大人数の狩りの一行が出発の準備をしていた。狩人たちが出発する前の晩、クランの者がハーシーンの加護を願う儀式のために集まった。野性的な踊りが追跡と殺戮を表現したが、かなり暴力的な光景で不安を感じた。いかなる理由であれ、デイドラ公に祈願するなど、どう考えても無謀に思えた。アシュリンと魔女たちが全てを取り仕切っていた。儀式が最高潮に達すると、彼女はクランの戦士たちに私を追い払うよう命じた。どうやらこの後に続く秘密の儀式は部外者が見るべきものではないらしい。それ以上のことを学ぶ機会はなかった。

儀式(だか何だか知らないが)では、どうやら狩りがうまく行くというハーシーンの好意的意見が得られたようだった。私は狩人たちが戻ってから2週間ほどイーグルシアーに留まり、彼らのライフスタイルを観察した。彼らは下品で遠慮のない人々で、中にはわざわざ無理をしてまで、私を怖がらせるか驚かせられないかと試みる者もあった。しかし、私がダラー族長の保護下にいるという事実が、最悪の事態から私を守ってくれていたようだった。紙とインクの在庫が尽きかけ、また長居しすぎて嫌われたくないという意識から、持ってきた小物を彼らに贈り、別れを告げた。そしてマルカルスへ引き返した。

夏のさなかにイーグルシアーへ戻ると、クランのデュンが半ば空になっていることに気づいて驚いた。クランは家畜の群れを豊かな牧草地に移動させ、多くが貴重な家畜を見張るために一時的なキャンプを設置しているのだと知った。リーチの民はクラン同士が揉めていない限り他のリーチの民から盗みを働くことはないが、山にはオーガやトロール、危険な野獣が住んでいる。家畜の群れは絶え間なく守らなければならない。他のイーグルシアーの者は近くの川岸に釣り用キャンプを設置するために離れていたか、マルカルスへ取引に行ってしまっていた。前に滞在していた頃よりも、彼らは忙しくしていた。

秋には3回目の訪問をしたが、クランはまた新たな生活の一面を見せてくれた。ほとんどのリーチの民のクランのように、イーグルシアーの者が畑に種を撒くことはなく、秋の収穫を楽しみにすることもない。だが、彼らは野生の根やベリーを集め、来たる冬に向けて準備をする。燻製小屋の中にはたっぷりの肉が保管されていた。1年のこの時期、イーグルシアーの者は家畜の群れから寒い季節を耐え抜くために必要な家畜を選んで殺すのだ。今回、私はマルカルスから役に立つ贈り物を持って来ていた。ナイフや毛布などだ。そして、機会があるたびに努めてクランの仕事に参加していた。イーグルシアーの者たちは徐々に私の存在に慣れてきているようだった。

4ヶ月後、私は真冬に雪の中を困難かつ危険な旅をして戻った。私はイーグルシアーの友人たち――この頃には多少いたので――がどうしているか心配だった。私は、冬が道具や服やおもちゃを作る季節であることを学んでいた。狩人たちは天候と獲物の状況が良さそうなら自らの運を試すが、ほとんどの人は夏と秋に蓄えることができた食料で生き延びている。恐ろしいことに、私はイーグルシアーが嘆き、激怒していることに気づいた。

私が戻る3日前にシックスフォード・クランの戦士たちがイーグルシアーの狩猟団を待ち伏せし、ダラー族長を殺したのだ。どうやらシックスフォードとイーグルシアーは昔の侮辱のことで、長年におよぶ確執があったらしい。2つのクランは突発的に紛争を起こしていたが、冬は抗争と襲撃の季節なのだった。アシュリンは真正面からダラーの死について私のことをとがめた。老族長が軟弱なよそ者を歓迎したことで、リーチの厳格な神々の怒りを買ったのだと。彼らは不信を示し、私は直後に不安を感じて去った。

しかしイーグルシアー・クランに一年滞在して得られたものは大きかった。

ウェアウルフ:長く苦しんだ守護者Werewolves: Long-Suffering Guardians

リーチの戦士ブリグウォール 著、グウィリム大学民俗学助教授ザムシク・アフハラズによる書き起こし

「多くのアレッシア人や北方人、豚の民がリーチに贈り物を持って来た。お前たちは無価値な硬貨と本を友好の証として持ってくる。だがそれは全て嘘と欺きだ。リーチの子はよそ者の“贈り物”が全て要求を含んでいることを知っている。知識や土地、敵に対する助力の要求を。獣と霊魂の世界、つまり真実の世界で贈り物は存在しない。取引があるだけだ。だからその口から不誠実な舌を切り落とし、本当の舌を生やせ。我々はお前たちを好きにはならないが、少なくとも敬意は払うだろう」

「例えば、力強きハーシーンを見るがいい。古きエルクの目は苦痛なくして何も与えない。贈り物などない。ただ苦痛に満ちた取引だけだ。栄光も財宝も、饗宴も苦痛なしには手に入らない。ハーシーンの祝福でさえ、噛み傷の先からやって来る」

「狼の踊りを贈り物と呼ぶ者もいる。お前たちは呪いと呼ぶ。どちらの言葉も無意味だ。よそ者は世界の全てを“善”と“悪”に分けるが、本当の闘争は臆病と苦痛の間にしかない。英雄は苦痛を選ぶ。臆病者は安心を選ぶ。それが物事の本来の道だ」

「狼の踊りは苦痛の道だ。双子月の呼びかけは常に我々の胸の中でうずいている。我々の鼻は乾いて荒れる。木の煙とタンニンの臭いで燻される。腹は夜も昼も唸り声を上げ、クランの友人と一族の肉のために飢える。血への渇きと怒りの全てが、紐を引っ張っている。束縛を引きちぎり、世界を粉々に打ち砕くために」

「我々はなぜこのように苦しむのか?残酷な世界の中では、残酷さが唯一の慰めだからだ。リーチを食い物にする獣と人間には、苦痛を与えなければならない。そして我々狼の民は、ほとんどの者に理解できない苦痛を知っている。我々はその痛みを利用して民を守っている。我々は心を固くし、渇望を窒息させ、掌に爪を喰い込ませる。近いうちに遠くから、何者かが我々の持つものを奪いに来ると分かっているからだ。そして奴らが来たら、牙と爪で応じる用意を整えている」

「これで分かっただろう。ハーシーンは贈り物など与えぬ。取引するだけだ。我々の痛みと引き換えに、我々の敵に痛みを与える。我々はこの取引を喜んで行う。苦痛はリーチの道だからだ。我々と道を違える者は、誰であろうとこの教訓を学ぶだろう」

ヴリンドリルの間の積荷証Vlindrel Hall Bill of Lading

マダム・ディアンテナ様

この船荷証は貴重品の長距離輸送が終了したことを確認するものです。今回と以前の3回に関しまして、ご依頼通りヴリンドリルの間にお届けしました。最新の輸送品は下記の通りです。

– 高級アルゴニアンシルク4
– アンヴィルから輸入されたダイヤモンドブローチ2
– リンメン上質なカジートの毛皮6

現時点で商品がお客様の所有物となったため、輸送中に配送品が受けたあらゆる損害、またはあらゆる窃盗の事例に対して、マルカルス商会は責任を負いかねますことを念のためお知らせいたします。またのお買い上げをお待ち申し上げます。

ご利用ありがとうございました。

ヘルミニア・コルヴィヌス
マルカルス商会
高級品取り扱い

カーススパイアー草原の戦いThe Battle of Karthspire Lea

リーチ人はほとんどの学者が慣れているようなやり方で自らの物語を書くことはない。物語を人から人へと伝える彼らの伝承は美しく、それに対して深く敬意を感じている。だが、私の中の学者は、書き記すことなく物語を頭の中に保つのは困難であることに気づいた。私にとって、書き記すということは物語をいつくしむもう1つの形なのである。伝える内容は変わらないが、羊皮紙に書きこむ行為は親密に感じられるやり方でその言葉を私の心に貼り付ける。もちろん、物語の伝え方を正す人などいない。だが、私はこの話をあるリーチのヴァテシュランから聞いたのだが、そいつは私に爪をたて、紙に書き記すまで放してくれなかった。私はこの書き取りをヴァテシュラン本人に捧げたいと思う。彼がこれを読むために学ぶことも期待しないし、それを頼むつもりもない。これは私から彼への記念品、つまり、彼が独自のやり方で表現することで物語を共有してくれたことに対して感謝を示す手段だ。

おそらく彼はこれをよそ者の愚かさと感じて捨て去るだろう。だがそれでかまわない。私はとにかくこの話を聞けたことに感謝しているのだ。

* * *
カーススパイアー草原の戦い
ヴァテシュラン・バースによる談話に基づく。

それは戦いというよりも血の海だった。シックスフォードとイーグルシアーは戦ったのではなく、ただ血を流しただけだった。草原の草はほぼ完全に赤く染まり、遠くからはまるで黒い色のように見えた。

明らかな勝者はいなかった。リーチの者同士の衝突ではよくあることだ。多くの戦いが、この戦いの原因にもなったある種の怒りと激しさをもって行われる。だが歴史的に見ると、その怒りと激しさは一方の軍勢によってもたらされる。それが闘争の本質だ。そして集団というものは、どれだけ怒りに駆られていようと、圧迫されれば勢いが弱まる。だがこの戦いは違った。どちらの勢いも衰えなかった。彼らはお互いに対して身を投げ出し、まるで崖に打ち付ける波のように絶えることなく衝突を続けた。

どちらのクランの男も女も、まるで死ぬつもりで戦っているかのように見えた。彼らの頭に勝利はなく、あるのはただ殺戮のみだった。

戦いが始まって間もない時期に、イーグルシアーの族長マドルファが致命傷を負った。彼の脚に槍が刺さり、歩くことができなくなった。彼は立たなくても戦いを続けられるように、近くの柱に自分を縛り付けるよう側にいた者に強く要求した。戦いは勝敗よりも闇の深い何かになっていた。それは妨げられることのない、留まるところを知らない、可能な限り多くの敵を殺すことを目的とした怒りだった。

その日、カーススパイアー草原から立ち去ったリーチの者は多くなかった。

カース川での生活Living on the Karth River

アオドシル 著

父は私が読み書きを覚えることに賛成しなかったが、私たちの物語は語る価値があるはずだ。リーチの外には、私たちを軽蔑の目で見る者が数多くいる。彼らは父の硬くなった手を見て身をすくめるだろうし、陽に焼かれた頬は見苦しいと思われるかもしれない。だがこの父に関する全てが、カース川における人生を物語っている。父に口を開かせることができれば、リーチを流れる水が血管に流れていることが分かるだろう。

カース川はリーチの民が住む他のどんな場所とも変わらず、暴力的で過酷だ。激流が水から突き出した鋭い石に沿って流れ、狂ったように渦を巻く。切り立った崖から流れ落ちる滝は白く濁った水を雷鳴のように轟かせ、大人の馬も一瞬にして流し去ってしまう。

しかしリーチの大部分がそうであるように、カース川はそこに住む民に恵みをもたらす。ある瞬間には残酷でも、次の瞬間には母の愛を示してくれる。川に頼って生きる者は、また次の日を迎えられる。川の許しがあれば。川辺で老いるまで生きた私の父のような者は、敬意が重要であることを知っている。川はある者に大量の魚を与え、ある者は溺れさせる。そのどちらにも区別はなさそうに見える。だがカース川で育った者は知っている。川が敬意を、少なくとも配慮を要求することを。

父は川の中で服を洗う。川の水を飲み、川で体を洗う。そして川は彼に食料をもたらす。私のクランの者も大半は同じようにする。私たちのクランはずっと川のそばで暮らしてきた。時として他のクランや、川を手なずけ利用するために来たよそ者に追い出され、移動することもある。だが私たちはいつも川に引かれて戻ってくる。どこで分かれても、どのように流れていても、私たちは川に従う。川は故郷なのだ。

もっとも、カース川が私たちから奪わないわけではない。川は私たちと同様、対価を要求する。子供をさらい、食料の貯蔵所を破壊し、骨を折り、嵐の際には計り知れないほど大きく膨れ上がって、川沿いのキャンプを全て水没させてしまう。だが私たちはこうしたことがあっても、川に文句を言わない。カースで生きるとはそういうことだ。

カリスの日記Calis’s Journal

自分用の記録のために日記を書き続けるようマスター・ピシスに指導された。記録を書くのは決して得意ではないけど、記述する代わりに様々な標本の絵を描いて大部分のページを費やしてみたらどうだろうか。絵は単なる言葉より伝えやすいと思う。もしかしたら、私が大した書き手ではないからなのかもしれないが。

でも、どうやらマスター・ピシスは私を信じているらしい。遭遇するたびに困惑させられる。彼の植物学の研究にはずっと感銘を受け続けている。彼が私の指導者になることを申し出てくれたときは、言葉を失ってしまった。どうして彼ほどの人物が、私のような新人を指導して時間を無駄にしたいと思うんだろうか?ものすごく感謝はしている。夢が叶ったんだから。

彼はあまりしゃべらない。不親切ではないが、過度に温かいわけでもない。私もかなり無口なほうだから、これは問題ない。ただ彼の沈黙が、新しい見習いに対する苛立ちから来ているものじゃなければいいと思ってるだけだ。

マスターは最新の計画について固く口を閉ざしている。他のサイジックの人たちの多くが、私たちほどには植物学を真面目に捉えていないことには気づいていた。私は全く気にしていない。集団の中の興味や才能の対象がさまざまな場合は、その方が集団にとっていいと思っている。でも、マスター・ピシスが研究をほぼ私たち2人の間のものにし続けているのは、私たちが研究に対して真の情熱を持ってるからだと思う。彼が他の人には理解できない(私は他の人と話したときにそんな風に思ったことは絶対にないが)とあからさまに言ったことはないが、どちらかというと彼は、他の人に私たちの問題へ口出しして欲しくないんだろうと思う。

キッツァ・エノーへの手紙Letter to Kitza-Enoo

キッツァ・エノー
マルカルスの暴君が、カース川峡谷の全てのクランを石の街の壁の内側に避難させるために呼び集めたという話が耳に入った。我々の団体の文化的遺物コレクションを、ここまで充実させられる機会は今までなかった。

そこで君への現在の指令について考えてみた。リーチの大呪術師グリンロックがマルカルスに入る前に、見習いエグヴァーンを阻止するのだ。彼は狼の頭蓋骨のトーテムを運んでいる。彼らがストリーベグの象徴と呼ぶものだ。このデイドラの遺物が祠に祭られる前に入手してくれれば、かなりの額を支払おう。

迅速に行動して、この機会を無駄にしないように。
V

グレイホスト:歴史 第1部The Gray Host: A History Part 1

偉大なる探検家、アーチバルド・ローレント卿 著

年に一度、聖ぺリンの殉教を再演する赤のパレードの時期にバンコライ駐屯地を訪ねたことがある者ならば、グレイホストの名は聞いているだろう。しかしその恐るべき評判以外にはほとんど何も知らなくても無理はない。私でさえこの高度に脚色された歴史記述の影に何があったのか、あまり考えたことはなかった。しかし私には、ある戦争の光景を目撃したことで、千年前の戦いの実態が見えてくるようになった。

ブラック・ドレイクが駐屯地の壁にリーチの戦士を繰り返し送り込み、門の付近で日々殺戮が行われるのを見ながら過ぎたおぞましい5か月の後、地面は膝まで達する血と泥の海となり、ブラック・マーシュにも劣らぬ底なし沼の様相を呈していた。あの残虐なる液体が予知の聖水となって、私は聖ぺリンの犠牲を完全に理解できた。確かに実際は不器用で愚かな私の下男が、胸壁から転げ落ちた後で起き上がっただけだったかもしれない。しかし類似は明らかだ。リーチの大軍が退却したことで我々も多少の喜びを覚えたが、夜が落ちるにつれて消滅してしまった。恐怖に満ちた囁きが駐屯地中に陰湿な迷信を広め、生まれ変わったグレイホストが血塗れの汚泥から飛び出してきて復讐するという考えに、歴戦の兵までもが長靴を履いた足を震わせた。聖ぺリンの騎士たちは噂を鎮めるため、焦土の中に古代の敵の骨は一片たりとも残らなかったと請け合ったが、私は関心をそそられ、騎士団長にグレイホストの歴史を詳しく教えてほしいと頼んだのである。

私の同郷の者たちが抱いた恐怖は、祖先も殺戮の際に味わっていたようだ。疲労困憊した駐屯部隊は戦場の地面を削り取り、両手に一抱えの土が地平線に到るまで取り除かれた(これも脚色だろう)。女帝ヘストラのアレッシア司教の復讐に満ちた眼差しのもと、倒されたグレイホストの死体は聖なる炎で焼かれて灰となり、塵の山だけが残った。この積み上げられた灰はあるトゥワッカの教団によって南へ埋められ、教団はサタカルの皮膚が剥がれ落ちるまで、誰にも灰には手を出させないと誓った。どうやら、それはあまり長い期間ではなかったらしい。

さて、私も旅の途上で吸血鬼やウェアウルフに出会ったことはある(それどころか、以前の遠征ではその両方が馬鹿な下男を襲ってきたことさえある)。確かに恐るべき怪物だが、それほどの恐怖を引き起こすのは見たことがない。私はグレイホストについてもっと詳しく学び、彼らがいかにしてヘストラの熱狂的な信奉者の心にまで恐怖を与えたのかを知りたいと思った。駐屯地での仕事が終わると、私は駐屯地を去って南へ向かい、騎士団長が言っていた集団墓地を探した。

不浄の墓と呼ばれる場所を見張るパイアウォッチという衛兵に頼まれたので、グレイホストが最終的に埋葬された地の場所は明かさない。彼らに「歓迎」されるまでには、数週間をかけ、崩れかかった谷から飛び降りる不幸な経験が必要だったと言えば十分だろう。洞穴の境界を越えて進むことは誰にも許されず、さもなくば死刑になると言われた。しかし首にかけていた聖ぺリンの土塊によって、私たちは信用に値するとみなされ、とにかく埋葬地の生きた衛兵のところまでは案内された。嘆きのアイギスを身に着けようとした不運な下男を私が引きはがした後、パイアウォッチの衛兵は彼らが見張っている恐るべき軍団について、いくつかの逸話を話してくれた。

彼らの話によると、ハンマーフェルは不浄の都市ヴァーカースの暴政に数百年苦しめられていたが、女帝ヘストラが軍を率いて帝国から腐敗を一掃したという。呪われた者の街がいつ廃墟から現れたのかは不明だが、彼らの主張では街がどこからともなく出現し、その影でスカヴィンと周辺の村を覆った。ある説によれば怪物たちは隣人との平和を約束したが、それは獲物を彼らの王国へ誘い寄せる甘い嘘だった。暴君ストリキ王が本性を表した時、グレイホストはソースタッドとエリンヒルの間の全ての地を占拠したと主張し、この地方を2つに分断した。これが女帝の怒りを招き、その怒りが彼らの破滅を招いた。

パイアウォッチによれば、元のヴァーカースの街は大部分がインペリアルによって破壊されたという。この地はアレッシアの名のもとに再び聖別され、解放された者に与えられて、公正なる女帝の似姿として再建された。アレッシア人がどれほど熱心に戦争を遂行するかは知っているが、グレイホストの歴史について、ぞっとするような怪談以上の知識を与えてくれる断片があるはずだ。だから私は、次にこの街を訪れることに決めた。

グレイホスト:歴史 第2部The Gray Host: A History Part 2

偉大なる探検家、アーチバルド・ローレント卿 著

ヴァーカースは近隣の集落と比べて、建築においても文化においても明らかに一線を画している。レッドガードの影響はちらほら見られるが、インペリアルの解放者の象徴がこの街を支配している。しかし街の骨組みはさらに古く、帝国が征服したアイレイドの集落とよく似ている。街の壁を築く石、貴族の邸宅、中心にある城などは全てヴァーカースに固有のものである。優雅であると同時に威圧的で、古代デイドラ遺跡の石細工にも似ているが、より洗練されている。

意外とは言えないが、地元民はよそ者に懐疑的である。そのため私は自分がハイエルフ貴族であることをひたすら秘密にした。このことは愚かな我が下男に頭部への打撃数発を加えて教え込む必要があった。地元民は彼らの祖先をかつて支配した異教の怪物の話になるとあまり役に立たず、街の中央広場に飾られた女帝を称える歌を歌うのみだった。ヴァーカースの下で栄える地下世界に関する調査はより成果があった。しかしその前に、私が役立たずの下男に愚かにも預けてしまった物資を返すよう、彼らを説得しなければならなかったが。

ここの無法者は、地上にあるものを圧倒するほど広大な地下都市を隠れ家にした。広い回廊はヴァーカース最古の建物と交差し、盗賊に地表への容易な侵入口と脱出口を提供している。残念ながら、この地下都市は元々の居住者たちが追い払われて以来大部分が荒らし尽くされてしまったが、このならず者たちは私のような者に売りつけるために、あまり派手でない遺物をある程度残してあった。この手の連中にしては知恵があったものだ。

特に興味を引いたのは、どうやらデイドラ語の方言で書かれたと思われる巻物の束である。これを書いている時点で私の翻訳はまだ不完全だが、この文書は明らかにグレイホストの手によるものであり、内容は私的な伝言から命令、国事に到るまで様々だ。文書はヴァーカースがその君主によって完全に統治されていたわけではなく、街の創設に先立って存在していたグレイ評議会も統治に加わっていたことを示唆している。この評議会のメンバーはどうやら生まれたての王国の行く末について、全員が一致した意見を持っていたわけではないらしい。街が創設された日付を確定することはまだできないが、ヴァーカースはパイアウォッチが言うように一夜にして完成したのではない。街は地表へと拡張される以前も長い間、地下で栄えていたのだ。吸血鬼とウェアウルフの軍団が協力に至った速度を考えるならば、近隣の者たちが気づく前に街が存在していたという考えは、完全に不合理なものではないように思える。

推測は入るが、グレイホストの拠点は外の世界に「現れる」よりもほぼ100年前に形成された。街を築いたグレイ評議会がどういう経緯で成立したのかは分からないが、崩落したトンネルや歩道の存在からして、この地下都市は孤立していなかったと思われる。ここで筆を止めるのは不吉だと承知しているが、これ以上の探検は私の軟弱な下男が悪性の茶腐熱の発作から回復するまで停止しなければならない。言い訳めくが大量の香水で打ち消さないと、奴は常に便所の臭いを漂わせているのだ。そうでなければ、奴の状態にもっと早く気づいてやれたのだが。

最後にちょっとした金言を述べておこう。「埋められたものは、消えてしまったわけではない」。グレイホストに関して、この言葉が当てはまらないことを祈りたいものだ。

グレイホストの諜報報告Gray Host Intelligence Dispatch

同志たちへ

あの魔女の反乱軍一員が街に侵入したと密偵から報告があった。奴らは家や街角に集まり、街を離れて東の丘で奴らと合流するよう、汚らしい親族どもをけしかけている。まともな自尊心のある定命の者なら温かい家を熊皮のあばら家と交換しないが、灰の王が定期的に思い出させてくださるように、リーチの者はまともでないし自尊心もない。

如何なるリーチの者も、街から避難することを許してはならない。この神々に見放された土地の丘や森をうろつく蛮族は全て恰好の獲物だ。反乱軍が森を怖がり、夜を避けるようにしてやろう。奴らが死ぬのが早いほど、我々の計画も早く達成される。

血の結束を
ペンターチ・ハウトリング

シスター・グリノルドからの手紙Letter from Sister Glynolde

姉妹たちへ

この吸血鬼の召使たちは、まるで太り過ぎたメンドリのように動く。遅い。遅すぎる!

私たちの灰の王はさらなる喪心の嵐を求めているのに、このカブの箱ひとつ満足に運べない、ましてや灰の聖骨箱や魔女の長槍のような強力な試料なんて、とても任せられない。こいつらと一緒に何をしろと言うの?

集合場所に来て。ヴァルスム墓地のすぐ北西よ。マルカルスの友人は、そこでよくグレイホストの指導者たちに会う。彼女ならもっと適した労働者を提供してくれるよう、エグザーチを説得できるかもしれない。

霊魂の導きを
シスター・グリノルド

セナンのメモSenan’s Note

ナサリめ!ここで俺たちに選ぶ権利があると言ったのに、何人かが死ではなく生きることを選んだら死を与えやがった。俺は怪我を負った。これが致命傷となるだろう。少なくとも逃れては来たが。

ナサリは生贄として死ねば永遠に生きられるようになると言って、クランの他の者たちを説得した。だが俺は真実を知っている。この儀式は力が目的だ。最後には彼女だけが残って褒美を獲得する。

下の闇への降り口から詠唱が聞こえる。もうすぐ生贄が始まる。ここで孤独に死ぬのと、仲間と一緒にあの恐ろしい穴へ投げ込まれるのとでは、どちらがより悲惨だろう。おかしなものだ。ブラダンはいつも俺に読み書きを覚えるなど時間の無駄だと言っていた。だが少なくとも、おかげで体から血が流れ出ている間に、やることができた。

ディオナス・トルートーの日記Journal of Dionus Trutor

何か大事なものがここに閉じ込められている!だがあの台が気に入らない。まだ我々の存在に反応していないが、ドワーフは不注意な侵入者を罰するために置いたのではないかと思う。

こうしてこの部屋を自分の目で見ると、ヴェセニオンの暗号じみた下手な詩よりもはっきりと理解できる。

王が盗賊を追う
淑女が王を追い回す
駿馬が全員の後を追う
盗賊に報酬をもたらすために

もちろん星座だ。1年の星座の順番は、王、駿馬、淑女、最後に盗賊だ。ヴェセニオンが正しいなら、答えは先頭の盗賊から始まり、最後に駿馬が来る。

盗賊と冬の星座や、北の空のつながりは明らかだ。それに駿馬は夏至の間、南の空でひときわ目立っている。王と淑女は少しはっきりしない。どちらも季節の間は東とも西ともつながりがない。東の星は淑女か?それとも王?

レイドナンを待つのに疲れてきた。少し実験をしてみるべきかもしれない。

トスモーン作品集(翻訳版)、IThe Translated Works of Tosmorn, I

編者注

グザンディア・イデットの本「トスモーン作品集(翻訳版)」は、著者の死後に出版されて以来、20年ほど議論を呼んでいる。

本人の言葉をそのまま受け取るなら、イデットは希少なアーティファクトを求めてリーチの土地を隈なく調査しながら生涯を過ごし――その途中で古代リーチの民による手稿を見つけた。イデットの主張によると現在は死語となった文字で書かれていたこれらの原稿には、伝説的なヴァテシュラン、トスモーンによって書かれた一連の叙事詩が収められていた。

イデットはこれらの手稿の現代語への翻訳に数十年を費やした。イデットの仕事の成果は不完全だったが、それは進行していた手稿の劣化や、翻訳を目指した文字に対する彼自身の知識不足によるものだった。彼は仕事を終え、原稿を出版のため売却してから間もなく亡くなった。

出版直後、学者たちはこの詩が偽物で、イデットの話はでっち上げだと非難した。ほとんどの学者は、現代のリーチの民が口承に頼っており、歴史的な記録にも文書の記録が用いられた形跡がないという事実を指摘している。イデットの話に対する別の反対者は、リーチの民にはトスモーンが著したような芸術的表現をする能力が無いと主張している。この議論は安直で、しばしばリーチやリーチのヴァテシュランに関する経験がない研究者などによって行われている。

これらの偽造だと叫ぶ人々に反対するのは、正当な評価をされていなかった天才、ヴァテシュラン・トスモーンに対する関心を呼び起こした、イデットを称賛する人々である。とりわけ、彼らはブレトンやインペリアルの厳格な詩の形式から程遠い、詩の断片の滑らかさ、刺激性、素朴な純粋さを高く評価している。彼らはまた、失われた技はタムリエルの歴史的記録の中で決して珍しいものでなく、それ故特にタムリエルの他の人々と比較して、リーチの者の文化を扱った学術的研究が少ないことを考えれば、イデットの失われたリーチの文字だという主張は、大激震が走るようなものではないと指摘している。

どちらの側も、イデットの主張を決定的に証明する、またはその反証となるであろう「ある物」が存在しないことを嘆いている。イデットが発見し、翻訳したと主張する手稿だ。生前のイデットを知る人は、彼は隠遁生活を好む孤独な人物で、しばしば荒野のキャンプに引きこもり、1年のうちの長い時間を研究と翻訳をしながら過ごしたと述べた。イデットはリーチ全域に多数のキャンプ地を持つと考えられていたが、彼の手稿を発見するという希望に満ちた野心的な学者により発見されたのはごくわずかな数のみだ。イデットの反対者は手稿がないのは、そもそも存在しないからだと主張している。イデットの支持者は、発見時に既に分解していた手稿は、おそらく朽ちて消滅してしまったのだろうと推測する。

こうして問題は解決することなく――不安定な状態で疑いの目と過剰な称賛の間に捕らわれている。私がこの詩のようなものの研究に打ち込んだ年月は答えを出してくれていない。という訳で、親愛なる読者の皆様には、ぜひこの本をご自身で読み、この後に続く内容が高く評価されたリーチのヴァテシュラン、トスモーンの作品――あるいは精巧な偽造品について知る唯一の手段なのかどうかを考えていただきたいと思う。

ヴァネッセ・オーリリー
第二紀322年、暁星の月5日

トスモーン作品集(翻訳版)、IIThe Translated Works of Tosmorn, II

テンプレアアアアアア 著

第一の断片

[編者注:グザンディア・エデットによって翻訳された詩の第一の断片には、すでに失われた、より大きな作品から抜粋された台詞が登場する。以下に記すエデット自身の序文からは、これがトスモーンのヴァテシュラン(伝承の守り手)としての経歴における初期の作品で、叙事詩的悲劇『イゾレンの愛』の一部分であることが伺える]

翻訳者グザンディア・エデットによる序文

以下に放棄されたリーチ狩人のキャンプの残骸を探して見つけたいくつかの断片のうち、第一のものを記す。これらの言葉が刻まれていた皮は雪解けによってかなり濡れており、また雪を溶かした太陽光もこの悲しむべき損傷を加速させた。このためヴァテシュラン・トスモーンの文章のうち、翻訳可能な程度に判読できたのは一部分だけだった。現代の読者の感覚に訴えるよう詩行に整えてあるが、これは人為的な構築である。皮に刻まれた本来の文に、このような形式はない。

以下の詩に記されたやりとりは、おそらくトスモーンが試みた叙事詩的悲劇の第一作品『イゾレンの愛』から抜粋されたものである。白髪の老戦士グリニンは、最愛の娘イゾレンの死を知らされる。グリニンの嘆きはイゾレンの恋人ヴァルトーンの到着によって中断される。彼はグリニンの憎むべき敵、リーチの魔女デヴェラの一人息子なのだった。

* * *

グリニン
イゾレンは麗しき風
足元に猟犬を従え
娘は丘や谷を駆け回った
弓の弦が歌を奏でれば
雄鹿も雌鹿も倒れたものだ

谷間には重い空気が漂う
林に流れる小川は口を閉ざし
鳥たちは歌うのを止めた
イゾレンがもう狩らないからだ

ヴァルトーン
老グリニン、イゾレンは私の恋人だった
かつて、この丘の木々も
若く緑にあふれていた
イゾレンと私はその間を歩み
深い峡谷の中
霧に包まれ、荒野を二人で過ごした

私たちは約束の言葉を交わし
カバノキの小枝で指輪を作った
我が心は墓石の下に眠る
もはや他の者を抱くことはない

グリニン
ヴァルトーン、我が敵の血よ
下等な虫、魔女デヴェラの血
お前と喪に伏すつもりはない

我がクランの地から去り
穴と闇へ帰るがいい
お前の母の見捨てられた広間へ
この手が悲しみで動きを鈍らせようと
我が石の切っ先はお前の血を流す

ヴァルトーン
イゾレンが死んだというのに
あなたが私にかける言葉は
恋人の死装束のように黒い
私は火の安らぎを求めている
霧は私を骨まで凍えさせた

私の手は石を削って荒れている
死した恋人の墓のため
グリニン、抱擁など求めはしない
我が親族への憎しみは知っている
あなたの親族への愛も知ってもらいたい

グリニン
デヴェラの子よ、お前に与えられるのは刃のみ
イゾレンは私の優しさだったことを知れ
彼女がいなくなった今、私に残されたのは
怒りと恐怖、悲しみだけだ

警告はした、誠実に
だが今や、構えたこの石は
お前の肉と血を求めている
受け入れたくばそうするがいい

ヴァルトーン
グリニンよ、クランはこのことを知るだろう
私は殺されたのだ!
傷から流れ出るこの血が地面を汚すように
この行いはあなたの魂を汚している
私の霊魂は愛するイゾレンの元へ発とう
あなたが追いかけてこない草地へ
冷たい霧からも、残酷なあなたからも自由な地へ
私が死んだら、デヴェラに伝えてほしい
母は殺された息子のために泣くべきだと

トスモーン作品集(翻訳版)、IIIThe Translated Works of Tosmorn, III

第二の断片

[編者注:グザンディア・エデットによって翻訳された詩の第二の断片は、ヴァテシュラン演劇の研究者や好事家におそらく見慣れたものに映るだろう。グウィナ、ロウォラン族長、半神デアロラ、そしてホーンストライド・クランは口承によく現れる。ただしエデットが記しているとおり、彼らの描写は作品ごとに大きく異なっている。事実、エデットはヴァテシュラン・トスモーンの影響力と評判を考慮して、以下の作品がこれらの古典的登場人物の元来の姿であることを示唆している]

翻訳者グザンディア・エデットによる序文

グウィナの歌は、寒い春の夜にヴァテシュランが火のそばに姿を現せば、今日でも聞こえてくる。トスモーン版のこの歌を翻訳して記録するに当たって、私は人気の主題の描かれ方に驚かされた。彼が語るこの歌において、グウィナはロウォラン族長とそのクランの親族であり、ホーンストライド・クランの狩人ではない。現代における描かれ方と同様、ロウォランの神話的なまでの戦闘能力は、ハーシーンの子である半神デアロラから彼の末裔に与えられたものである。

腹立たしいことに、私が収集した手稿はロウォランがホーンストライドに倒される事態を引き起こした経緯を説明していない。トスモーンほど地位のあるヴァテシュランならば間違いなく、それがロウォランの7人目の娘の裏切りのせいだったか(これは特に人気のある説だと聞いている)、白い雄鹿の凶兆を見なかったせいか(これもまた人気の説である)、それともまだ語られていない原因があったのか、決着をつけられるはずなのだが。

* * *
グウィナ
かつてここは静かな森だったのに
今では葬送歌が響き渡る
つるはしの音が聞こえる
大地を掘り返しているのは
神聖なる死者の家を作るため

戦いは勝利に終わった
ホーンストライド・クランは倒れ
絶壁の下の暗闇に消えた

勝利を歌った
力を叫んだ
悲しみを囁いた

今やクランの死体は
この土の中に埋められた
そこから何が育つ?
ただ栄光の物語だけ
大地は不毛のまま
私たちがそう保つから

そして花と草を取り除き
名を思い起こす
クランのために死んだ者の

ロウォラン族長は横たわる
矢に目を射抜かれ、息は吐かれぬ
子が周囲に集まる
力強い樫の周囲に葉が集まるように

巨大な枝が落ちた
葉も共に落ちた
そしてロウォランの血は絶える
その血はハーシーンの娘
デアロラの血

ホーンストライドは撃退された
だが心臓はえぐられた
互いに勝利の笑みを交わし
季節は冬へ移り変わる
そして次の春、私たちは消え去る
陽光の中の霧のように

迅速に攻めねばならぬ
クランが力を失う前に
他の者がロウォランの死を知れば
鴉が集まるだろう

我らの骨が漁られる前に
石の街を攻めなければ
岩の下の王を攻めなければ

魔女の元へ行こう
腐ったイチイの林の中
彼らの風は苦く
我らを中から腐らせる
だが親族よ、この毒を飲まねばならぬ
マルカルスの矢に立ち向かうため

我らのために掘られる墓はない
我らが石の壁を得ても
生きて守ることはできぬのだから

マルカルスの財宝など求めぬ
ロウォランは王を殺し
民を解放しようとした
彼の大義は我らの大義

我らは魔女の炎で血を燃やし
街を蹂躙する

我らは石の下の砦を襲い
王冠を床に叩き落す

我らは王の喉を掻き切る
研ぎ澄ました石と狩人の爪で

我らは死ぬが、それは些細なことだ
ロウォランの夢は成就する
愛するクランは滅びる定め
この季節か、次の季節か
だが孤独には死なぬ

トスモーン作品集(翻訳版)、IVThe Translated Works of Tosmorn, IV

3つ目の断片

[編者注:グザンディア・イデットの翻訳された詩のようなものの断片の3つ目は、リーチの伝説の中でも、最も長く伝わることとなった話を取り上げている――「赤鷲」だ。序文で示されているように、イデットはこの断片を奪われた誇り――赤鷲の物語の要となる部分――と理解し、ほぼ哀歌調の文章を採用している。— V.A.]

翻訳者グザンディア・イデットによる序文

赤鷲。女帝ヘストラによるリーチ征服中の彼の不従順と抵抗は、何世代ものヴァテシュランに加え、リーチの厳しい土地を越えた先にいる吟遊詩人や語り手に感銘を与えた。このことは、トスモーンがこのリーチの者の偉大な英雄の生と死を年代順にまとめていたことを知る者にとって、驚きに値しないだろう。

私がこの遺物の一部を入手できたことはかなり幸運だった。めったに人前に姿を現さない魔女の魔術結社、ソーンルートの保有地に入るための安全な経路を確保した後、私は彼らの骨董品や消耗品の中に、古い頭飾りを見つけた。そのバンドの中に固く巻かれた仔馬の皮があった。その表面には見覚えのある名前が殴り書きされていた。「ファオラン」。赤鷲は現地の言葉でこう呼ばれていた。

断片の文章は、ファラオンと女帝ヘストラの軍隊との最後の戦闘の余波についてのみ焦点を当てている。より広く語られている作品の口調に反して、トスモーンは悲し気な、いつまでも心に残る詩(と呼べるようなもの)で我々を楽しませてくれる。話を盛り上げる赤鷲の最終的な帰還の予言が存在しないため、読者は「赤鷲の復活とリーチの自由を求める声は後のヴァテシュランの創作なのだろうか?」と推測することになる。このことは、この岩だらけの土地に何千とある謎の1つであり続けるだろう。

* * *
ファオランの死

涙に暮れる者たちが彼を背負い、険しい岩山を登る。
生まれた時に赤鷲と呼ばれた者が
死して百の傷より赤く染まる。
朝日の光が世界に示す
死者の絨毯と
千の魂が重くのしかかる
リーチの息子。
呪術師が灰と樹脂の壺を手にやって来る
涙に暮れる運搬人に会うために
そしてファオランは横たわる。

彼を見て族長は涙を流す
無のために引き裂かれた彼を。
彼の体に灰が撒かれる
けれども落ち着くことはない。
ファオランの下の石の上にたまりを作る
彼に足がかりを得られずに。
静かな囁きが広間を飛び回り
全ての頭が下げられた。

今、ハグが与えられるべきものを獲得にやって来た
前には彼女の鴉
そして呪術師を見て笑う
灰も樹脂も役に立たぬと。
彼女はイチイの杖を手に取り、降り下ろす
ファオランの胸の上に。
中のイコルが噴き出す
黒い血が
そして彼女は自らの欲望の種を手に取り
ファラオンに植えた。

百の手が火打ち石を取り、矢をつがえる。
誰もが落胆する。
ハグの笑いは魂を膿ませる
死が彼女を取り巻く時に。
彼女の頭巾の下で千の鴉が飛び立つ
そして彼女は行ってしまう。
彼女は槍も、剣も、弓をも越えている。
逆らえる呪術師はいない。
ファオランが戦いの支援を命じたため
得るべきものを彼女は獲得した。

泣く者はファラオンを下ろす
山の心臓へ。
彼は最後に裸で横たわる
眠りなき眠りの中に。
石は封じられ、蝋が注がれる
そして火打石が砕かれる。

ここにファラオンは死して横たわる。

ドルアダッチの怖い話、第一巻Scary Tales of the Druadach, Book 1

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

親愛なる読者諸君。「怖い話」の新たな書へよく戻った。今回、我々はリーチの人里離れた荒野、特に荒々しく人を拒むドルアダッチ山脈を探検する。野蛮なリーチの者はただ危険なだけではなく、それと同じくらい孤立した場所を好む得体の知れない民族だ。そして、この物語は著しい危険を冒すことなく集めることはできなかった。

だがまたしても、私はこの年季が入った語り手の魅力、機転、そしてとても早く走る能力により、未だ確認も解明もされていない物語を、帝都やそれ以外の地域の読者諸君にお届けするために逃れて来た。

それではお気に入りの椅子に腰を落ち着け、ハチミツ酒を手にして、夜の暗闇にランターンを灯したなら読み進めたまえ。勇気があるなら、だが!

* * *
デイドラの遠吠えをする狼

最初の未だ解明されていない話は、あるレッドガードの商人キャラバンの生き残りから聞いたものだ。この人物はドラゴンスターからソリチュードまで大量の上質な絨毯やカーペットを運んでいる最中に出会った、計り知れない規模の無慈悲な災難を耐え抜いた。この何も知らない、間もなく危険にさらされることになるカーペットの運搬人たちは、その季節のソリチュードの高級装飾品不足をうまく利用できるようにと願いながら、恵雨の月の終わりにドラゴンスターを出発した。キャラバンは匿名を希望している2人の商人で構成され、バーガマの刃と呼ばれるハクミル隊長率いる、8人の傭兵によって守られていた。

商人は最初から呪われていたかのような長旅について語る。境界を越えてリーチに入ると、すぐにキャラバンは最悪の嵐、数日間にわたり弱まることなく降り続く激しい雨に襲われた。レッドガードの荷馬車と頑丈な馬、砂の上で荷馬車を引くことで鍛えられた強く丈夫なその馬でさえ、陰気でぬかるんだ状況の中では速度を保つのが困難になった。隊商と馬が最大限の努力をしたにもかかわらず、キャラバンの進行には数日の遅れが出た。だが、この厄介な不自由さは、夜間にハクミル隊長の傭兵が2人消えたことで一層悲惨なものとなった。

その日は消えた2人の恐怖の叫び声が聞こえることはなく、遺体も見つからなかった。だが、2人が行方不明になる前の晩、キャラバンの生存者全員が1匹の狼の悲し気な遠吠えを聞いたことを思い出している。それはゾッとするようなものすごい遠吠えで、雨でずぶぬれになったテントの中で身を寄せ合ってウトウトしていた者全員が目を覚ました。そして遠吠えが次第に小さくなり聞こえなくなった後も長い時間眠れなかった。彼らは言った。「遠吠えは…まるでデイドラのもののようだった!」と。

雨は朝までに弱まったが、他のキャラバンの護衛6人がどんなに捜索しても、行方不明の仲間の足跡も形跡も一切見つからなかった。歴戦のクラウンの戦士たちが、あたかもキャラバンを苦しめた嵐そのものにさらわれたかのように消えてしまった!あるいは…デイドラの狼に。

先導役の商人が警告を発した…キャラバンは引き返すべきではないか?だが、腕に自信があり、消えた兵士を見つけると固く決意していたハクミル隊長は、進むことが可能だと商人たちに断言した。そこで彼らは強引に進んだが、結局最悪な霧が猛烈な嵐に取って代わっただけだった。1人は「霧があまりにも濃くなって、目の前の自分の指さえ見ることができなかった!」と語ってくれた。

さらにまずいことに、生存者たちは遠吠えを聞いた。その日は1日中、騒々しく弱まることのない、最初の傭兵たちが消えた夜にキャラバンを目覚めさせたのと同じあの恐ろしい遠吠えが何度も何度も聞こえた。いつも霧の中から、しかし突き止めるには遠すぎる位置から。傭兵たちは仲間同士で悪態をつき、文句をつぶやきながら隊列を詰め、身を守ろうとした。しかし攻撃されることはなかった。キャラバンが重い足取りで進むにつれ、彼らは遠吠えはリーチの者によるただの悪質ないたずらに過ぎないと確信するようになった。リーチの野蛮なクランは、決して道を行く6人のクラウン・レッドガードをあえて襲ったりはしない。このような熟練の戦士が不意をつかれるようなことは2度とない!

霧が立ち込めた晩、ハクミル隊長は傭兵たちに交代で寝ることにすると告げた。夜明けが来るまで3人が眠り、3人が起きているのだ。彼の計画は妥当なもののように思えた。霧に満ちた晩の最も暗い時間に、狼のデイドラじみた遠吠えが再び夜を切り裂くまでは。キャンプ中の全員がすぐに目を覚まし、ハクミル隊長が闇の中の兵士たちに声をかけた。だが返事をする者はなかった。瞳に激しい怒りをたたえたこのバーガマの刃は、残った2人の兵士に如何なる状況であろうと決してキャラバンを離れないように命じ、自らの巨大な剣を抜いた。ハクミルはデイドラの狼と対峙し、仲間の運命を知るため霧の中へと勢いよく歩いて行った。

そしてこの勇敢なハクミル隊長だが、皆が待ち望むこの物語の語り手は不幸にもこうお知らせしなければならない。決して戻ることはなかった。

翌朝も霧は残り、再び強い雨も加わっていた。間もなく頑丈なレッドガードの荷馬車の車軸の1本がまっぷたつに折れた。どうしてそんなことが有り得るだろうか。荷馬車は出発前に、ドラゴンスターで修理し強化してあったのに!一体なぜこんなことに?嵐と、霧と、この幽霊じみた奇妙な狼に悩まされながら2週間もとぼとぼ歩くしかないということが予想されると、クラウンの商人たちは荷馬車を放棄して、さっさと馬でソリチュードに帰るという決断をした。「カーペットやシルクにはまだ生きている人間ほどの価値はない!」と、彼らは言い切った。

1頭の馬に2人がまたがり、回収できた所有物を乗せた最後の馬と共に一行が荷馬車を離れると、すぐに恐ろしく深い霧が晴れたと言う。緊迫した4日間の後に、生存者たちはソリチュードに到着した。放棄した財産は失われたが、それ以外は略奪もされず、怪我を負うこともなかった。

だが、ハクミル隊長と消えた6人の勇敢な傭兵の消息は不明なままだ。デイドラのような狼の記憶だけが残り、その遠吠えを聞いた者全員の脳裏に焼き付けられている。嵐と霧で作られた狼が夜中に不用心な者を奪い去って消えた。その犠牲者を、ドルアダッチ山脈の影に連れ去ったかのように!

ドルアダッチの怖い話、第二巻Scary Tales of the Druadach, Book 2

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

次に話したい物語は、ドルアダッチ山脈の影を舞台にした病と裏切りの物語だ。恐怖を味わってくれ!

* * *
カースワステンの滴る病

北リーチにある包囲された街カースワステンは何世代も残り続けてきたが、その支配は頑健なノルドと油断ならぬリーチの民との間で、センシャルの賭博場における金貨以上に何度も持ち主を変えてきた。この街に関して、心騒がす裏切りの物語はアリクルの砂粒のようにありふれたものだが、ある嘆きと死の物語は他の全ての物語を凌ぐ。それがカースワステンの滴る病の物語である!

20年ほど前、リーチの民は再びカースワステンのノルドを追い払い、家を焼き、カースワステンを掌握した。このリーチのクランは飛び抜けて残虐で、カースワステンへの侵入を試みた勇敢なノルドは、リーチの民と獣の軍隊を相手にすることになった。聞くところによれば、このリーチの民は凶暴なウェアウルフと手を組んだという!

この街は1年ほどリーチの手に留まり続けたが、それも高名なノルドの略奪者、ウルガー・ストーンビアードが鴉の手という名のみが知られる強大なリーチ魔女に会うまでのことだった。一説によればウルガーと鴉の手は最初戦場で出会ったが、どちらも相手を仕留められなかったという。2日間の戦闘の後、彼らは停戦して食事を共にした。そこでウルガーは、鴉の手とカースワステンの向こう見ずなウェアウルフ戦士クランが別に良好な関係にはないことを知った。そしてウルガーの戦士たちによれば、彼はこの悪魔の女と闇の取引を結んだ。

鴉の手はカースワステン手前の平原に乗り出し、ウルガーの戦士たちに守られて、多くの不浄な犠牲を捧げた。美しくも忌まわしい言葉を詠唱しながら、彼女は墨汁のように黒い雨を降らせた。妖術の嵐はカースワステンとその建物を汚れで覆った。間もなく、叫び声が上がり始めた。
門が開かれ、リーチの戦士がよろめき出てきた。真っ黒な雨によって体の肉が燃え上がり、金切り声をあげながら!リーチの強力なウェアウルフでさえ病にかかり、苦悶の吠え声は傷ついた獣のようだった。配下の戦士の言葉によると、ウルガーはこの虐殺の報を聞いて喜び、街へ突入してリーチの生き残りを始末せよと命じた。

だが頑健なノルド戦士の集団でさえ、漆黒の妖術に覆われた街に足を踏み入れるのは躊躇した。鴉の手はウルガーに対して漆黒がリーチの民とウェアウルフにしか危害を加えないと保証したが、ノルドにはリーチの魔女の言葉を信じる気などなかった。街の叫び声は彼らを骨の髄まで震え上がらせた。配下の戦士がこのように怯えるのを見て、ウルガーは全員を臆病者と罵り、悠々と街に踏み入って、立っているのもやっとの状態で挑もうとしたリーチの民を切り伏せた。ウルガーが街の中心に立ち、斧が怖いかと生き残りに叫んだその時、漆黒の雫が一滴、彼の眉に落ちかかった。

漆黒の雫はウルガーの兜の表面で獣のように大きくなり、彼の頭を幕のように覆った。すぐにウルガーの体全体が漆黒で覆われ、ノルドの話では、死そのもののように黒い笑みを浮かべた。

裏切りを目撃した他のノルドたちは鴉の手に襲いかかり、指揮官を乗っ取った狂気の魔女を倒そうとした。しかしリーチの魔女が笑うと、ノルドの斧は空を切った。大鴉の群れが空に飛び立ち、カーカーと鳴き声が上がった。そして今や漆黒に覆われた指揮官が、その斧から疫病を滴らせながら向かってくるのを見て、ノルドは戦場から逃げ出した。

現在も、漆黒に包まれた巨大な戦士がドルアダッチ山脈の影をうろついているのを見たという話を耳にする。その手に持つ斧は肉も鋼鉄も溶かす雫を滴らせ、通った道には鴉の手の笑い声がついてくるという。彼は顔に笑みを浮かべた死神であり、道を塞ぐ者全てを切り刻む。それがカースワステンの滴る病だ!

ドルアダッチの怖い話、第三巻Scary Tales of the Druadach, Book 3

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

読者のみなさんにお伝えする物語も、これが最後になった。これは魔女と魔術に関する話だ。こうした物語が全てそうであるように、今回のものもドルアダッチ山脈の影が舞台になる!

* * *
肌が赤に染まった姉

この物語は私を斧で叩こうとすることなく話してくれる、わずかなリーチの民が教えてくれた。これは全ての物語の中で最も背筋の凍るものだ。老女は2人の姉妹について語った。1人は金髪、もう1人は黒髪で、どちらも最高クラスのリーチの魔女だった。老女によれば、どちらも力への渇望により正気を喰い尽くされてしまった。

色白で年長のリーチ魔女タンシアは、その年齢と強大な風の魔術によって選ばれ、クランを率いることになった。しかしタンシアはすぐに予想もせぬ挑戦者と争うことになった。1歳下の妹ウレシアである。彼女はタンシアの風の魔術と同じくらい強力な、水の魔術の使い手だった!

クランの中には姉妹のどちらにも戦いで適う者がいなかったが、姉妹が殺し合う様を見るのに耐えられる者もいなかった。タンシアとウレシアはクランの誇りであり、数世代で最強の魔女たちだった。クランの誰もが、これほどの逸材を失うことを望まなかったのだ。だがクランのメンバーたちが姉妹にどれほど懇願しても、タンシアとウレシアはどちらがクランを導くか、意見を一致させることはできなかった。結局、クランはこの膠着状態を解消する唯一の道に落ち着いた。驚異的な魔術の課題を解くコンテストである!

こうしてタンシアとウレシアは、魔術の力を試す様々な妙技を披露した。技が行われるたびに激しさを増していった。タンシアは荷馬車を動かすほど強力なつむじ風を召喚したが、妹が木を根ごと押し流すほど強力な水流を召喚したのでうろたえたという。ウレシアがクランの水をハチミツ酒のように甘くしたかと思えば、タンシアはクランの狩人を空気のように軽くして、空を階段のように駆けられるようにした。

老女によると、最終的に常軌を逸してコンテストを激化させてしまったのはタンシアだった。妹に勝とうと必死になったタンシアは、デイドラ公と約束を交わし、クランを指揮する力と引き換えに70年の奉仕を申し出た。しかしデイドラとの取引の常として、デイドラ公はタンシアが要求した以上のものを与えた。新たな族長が指名される前日、タンシアがクランのキャンプに戻った時、白かったタンシアの肌は血のように赤く変わり、両目は小さな炎のように輝いた。そしてクラン全員の前でタンシアは大気を沸騰させ、妹を生きたまま焼き殺した。

裏切られたクランは恐れをなし、散り散りになって逃げ去った。しかしリーチの老女によれば、赤い肌と炎の目を持つ姉は今でもかつてこのクランがいた荒野を放浪しており、人を見れば叫び声を上げ、この孤独な生を終わらせてくれと戦いを挑んでくるという。クランも家族もいない、孤独で陰気な終わりなき生を。

だが赤い肌の姉が持つ力は絶対的で、誰も彼女を倒すことができない。彼女は自分が交わしたデイドラの取引に囚われたまま、誰にも対抗できない力と、誰にも終わらせられない不死の生という呪いを受けているのだ。姉妹のうちウレシアは運がよかったと老女は言った。自由なまま死ぬことができたから。

ドルアダッチ山脈の動植物Flora and Fauna of the Druadach Mountains

帝国植物学者、テルラヴェス・デカニス 著

ドルアダッチ山脈は旅人に人気がない場所のままだ。多くの人に恐れられている。リーチの慣習を知らない人々は、断崖に潜むクランや山道の至る所にある暗い洞窟を恐れ、徹底的にこの場所を避ける。実に残念なことだ。何故なら最も美しい景色が、この力強い山岳地帯にはあるからだ。リーチの民は、おそらく彼らの領域に存在する動植物について、我々が得られる知識よりも多くのことを知っているだろう。私が得た知識は、主に周辺部に暮らす人々から、日記の余白に荒々しく書きなぐられた「茂みに隠れて息を潜めろ!」というメモと共に教わったものである。私はこれまでに記録されていなかった植物や動物について知りたいと願っていたが、恐怖のあまり深い探求ができなかったのではないかと感じている。いずれどなたかが加筆してくれることを望みつつ、私はここに記録したことを書き記した。

* * *
リーチの植物

ジュニパーベリー
まるで真珠のように美しく輝く白いベリーは、自然の環境下に数多く育ち、ドルアダッチ山脈を走る山道に無秩序に広がっている。危険を承知で摘みに行く勇気ある人々は、よく見かけるこのベリーにさまざまな使い道を見出している。ハチミツ酒に風味付けしたい場合であれ、甘い菓子を作りたい場合であれ、各種の薬用チンキ剤の材料として使う場合でさえあっても、このベリーは万能であり豊富に実る。

垂れ苔
ずっと垂れ苔の生えている光景には奇妙に引き付けられてきた。洞窟の入り口や岸壁を美しく覆う姿。世界における彼らの存在には、何か不思議で魔法的なものがある。ドルアダッチ山脈にはその湿度が高い気候により、驚くほどの数が生育している。

モラ・タピネラ
この風変りなキノコは倒木や腐敗した切り株などで発見される。平凡な外観ではあるが、私は彼らを美しいと思う。彼らは死がその手を触れた場所に育ち、それがもたらす静寂にひるむことはない。私はその執念を称賛する。彼らはドルアダッチ山脈における最も魅力的な菌類の見本とは言えないが、私の一番のお気に入りであることは確かだ。

* * *
動物

雪熊
この本で恐るべき力を持つ雪熊について触れなかったとしたら、それは私の怠慢だろう。ドルアダッチ山脈の高く雪深い山頂は、この巨大な野獣にとって完璧な生息地である。しかしながら、彼らの愛らしい見た目に騙されてはいけない。雪熊はより低い地域に生息する同等の生物と同じくらい危険だ。彼らの毛皮はその白い光沢と柔らかさ故に極めて人気が高いが、皮を入手するための対価は、この大胆不敵な観察者が積極的に支払おうとは思わないものである!

リーチメア
リーチの外でこれほど忍耐強い馬の血統は見つけられないだろう。リーチメアはかつては野生種だったのだろうと私は推測する。山脈の谷を突き進む彼らの姿はどれだけ素晴らしかったことだろう。しかし、手なずけられたからといってその非凡さが損なわれたわけではない。リーチ人の闘志と不屈の精神は、この堂々とした動物に具現化されている。時に彼らは気難しく、他者に対して極めて強い不信感を抱くことがある。この項目のための観察で、手足を1本も折らずに済んだのは幸運だった!リーチメアは愚か者には容赦しないのだから。

ハグレイヴン
私は自分の書いたものが、いつの日か旅人にドルアダッチ山脈を訪れ、自分の目でこれらのものを見てみようという気を起こさせる可能性があることについて考慮しなければならない。だから、私にはあなた方に警告をする責任があるのだ、読者諸君ん。もし自分がドルアダッチ山脈にいることに気づいたら、冷静さを失わないように。自然の土地にある以上の危険がそこにはある。私はこの記録にハグレイヴンも含めたいと思っていた。何故なら彼らもこの記録の一部だからだ。私は皆さんがハグレイヴンを見たことがなく、また見る理由もないことを祈る。だが、もし鳥のような性質を持つ恐ろしい老婦人に偶然出会ったら、自分が差し迫った危険に直面していることに気づいて欲しい。観察の時間は終わり、今や逃げるべき時なのだ。

ドワーフ・ディナスターについてOn Dwarven Dynastors

ドゥエマー古遺物研究者、レイノー・ヴァノス 著

大半のアマチュア探検家は、旅のどこかで何らかのドゥエマーの機械を見たことを自慢するだろう。そうした物語に出てくるのは決まってドワーフ・スパイダーやドワーフ・スフィアで、型通りの退屈な代物だ。アニムンクリが壁から飛び出し、両手の爪を振り回してくる話だ。こうした物語はドゥエマー技術の表面に触れているだけだ。最も奥深くの遺跡には様々なドワーフの機械が動き回っている。私たちが発見したものは、彼らの機械仕掛けの下僕のほんの一部でしかないと言っても過言ではない!

一例として、ディナスターを挙げよう。この巨像を自分の目で見たことはないが、いくつか部分的な描写を見つけている。記述だけに頼って正確なサイズを判断するのは難しいが、おそらくディナスターの背丈はドワーフ・センチュリオンを越え、横幅はゴールドコーストの交易馬車に匹敵する。他のアニムンクリと同様、ディナスターは有機体の形状を模倣しているようだ。この場合、角の生えたベヒーモス・ショークである。最も興味深いと思うのは、中核をなす装置だ。

設計図に関する私の理解が正しければ、ディナスターは運搬器具の一種として使われていたようだ。中心部の甲殻内に複数のドワーフ・スフィアが格納されていた。その時になればスフィアは隠された射出口から飛び出し、おそらく遭遇した敵を倒すために連携して戦ったのだろう。この装置はドワーフの基準からしても、めまいがするほど複雑に見える。

ここから導かれる問いは、なぜドゥエマーがこんな機械を作ったのかということだ。他のドワーフの下僕と異なり、ディナスターが戦争のため特別に作られたことは明らかであるように思える。私たちはレッドマウンテンの噴火以前にタムリエル地下で起きた戦いについて、未だわずかなことしか知らない。これよりさらに大きな機械が、ドゥマクの敵を探して遺跡をうろついていてもおかしくない。探索がさらに深くまで進展し、この古代の謎が今まで以上に明らかになることを期待しよう!

ナミラの踊りNamira’s Dance

リーチの儀式の観察
文化書記、ゲンマ・パンフェリウス 著

リーチの儀式について直接の目撃報告は少ない。大抵の場合、よそ者がこうした儀式に参加することは激しく忌避され、見学さえ許されない。私がリーチとその鋭く不屈の人々について発見したことがあるとすれば、それは彼らがドルアダッチ山脈の崖や谷間に人知れず咲く野生の花のように、互いに全く異なっているということだ。

多くのリーチのクランはよそ者が自分たちの生活に入り込むことを許さないが、ボールドクロウ・クランは私が学者だと名乗ると丁重にもてなしてくれた。彼らはデイドラ公ナミラを称える儀式に私を参加させてくれた。時として霊魂の女王、あるいはより劇的に死の女神と呼ばれることもあるナミラは、暗闇と終末の霊魂とみなされている(ただしリーチの民は、ナミラを再誕を司る霊魂ともみなしている)。リーチの民はナミラを自然界における強大な力と考えている。彼らのデイドラ崇拝は、例えばタムリエルの他の地域の人々が神々を崇拝するのと意味合いこそ違うが、彼らが霊魂と呼ぶ存在はリーチの民の生活に重要な役割を果たしている。リーチの民はデイドラとの間に持ちつ持たれつの関係を築いており、日々の課題や困難の助けを得るため、合意を形成しているのである。

ボールドクロウはナミラを深く尊敬している。彼らはナミラが死と生の両方に及ぼす作用を、古代の儀式によって称える。この儀式の光景は言葉で描写できるものではないが、私が目撃したものを記述するよう努力してみる。

ナミラの踊りはボールドクロウ・クラン全員の参加を必要とする。最年少の子供から最年長の狩人までの全ての成員が、空き地の中心にある大きな炎の周囲に集まる。多くの者は暗い色の服を身に着け、暗い色の絵具を顔から喉にかけて塗りつける。しかしそれ以外の人々は全裸で現れる。彼らが世界に生まれてきた時の姿を象徴するためである。踊れる者は一斉に踊り、死と生まれ変わりを目まぐるしく表現する。これは恐ろしく、また美しくもある。

この踊りの最中には血が流されるのだが、何が暴力を加えているのかはよく分からなかった。それに「暴力」は言い過ぎかもしれない。炎のきらめきの中に捉えられた血は溶けたルビーのようで、美しいと言ってもいいくらいだった。ある者は血の色を両目の下になすり付け、別の者は土に手形を押しつけた。彼らは血を恐れるだけでなく、血を称えてもいるようだった。おそらくそれがナミラの踊りの核心にあるのだろう。

私自身に関して言えば、デイドラ公についてどちらかというと伝統的な視点を持っていた。特にナミラについてはそうだ。それは恐怖と不快感が混ざった視点であり、リーチの民には無縁な視点のようだ。彼らはナミラを肯定的に捉えており、私が見た儀式は美に満ちていた。リーチの出身でない私たちにとっては奇妙に聞こえるかもしれないが、自分の目で見ればきっと同意してもらえるだろう。この地とその人々に、愛が欠けているわけではないのだ。

ノルドの子供の日記Nord Child’s Journal

父さんは行かなきゃいけないって言ってる。ここは僕たちの土地じゃなくって、自分たちの土地だって言う悪い人たちがいるんだ。僕にはよく分からない。ここがその人たちのなら、どうして僕たちはここに住んでるの?ここが誰か他の人の家だなんて誰も教えてくれなかった。考えると悲しくなる。僕はここで暮らすのが好きだけど、父さんはいつも人のものを取ったらいけないって言ってる。それって、人のだって知らなかったとしてもダメってことかな?

どうして悪い人たちと話してみようとしなかったのかな。それはあの人たちが危険だからで、僕たちは攻撃される前に出て行かなきゃいけないんだって父さんは言う。でも、「ここがあなたたちの家だって知らなかったんです」って説明したら、絶対に親切にしてくれると思う!父さんは僕があんまり子供だから分からないんだって言うけど。

僕は行きたくない。悪い人たちと一緒にここに住めたらいいのに。あの人たち、どのくらい悪いのかな?もしかしたら、僕みたいな子供がいて、僕と友達になれるかもしれない。

ファルクフィルのメモ、1ページ目Falkfyr’s Notes, Page 1

3日目:私はファルクフィル・スノウメイソン。ソリチュードのハイルフラルド王の臣下だ。これはきっと最後の報告になると思うが、我が王を失望させるつもりはない!

私の任務は、我が国境で問題を起こしているリーチの民の略奪者の一団を追跡することだった。リーチの民はカースワステンを通り越して西に逃れ、その後北に向かった。私は彼らを山の中まで追ったが、ブリザードに阻まれてしまった。洞窟に避難しようとしたとき、足元の地面が崩壊した。

2日間ほど救助を待ち、今は食料が尽きかけている。この巨大な洞窟の中に扉を見つけたものの、開くことができない。コンパスはまだ機能している。だから私は西へ向かい、高い土地を探そうと思う。多分他の出口を見つけられるだろう。

万が一出口を見つけられなかった時のために、この報告書はここに置いて行く。もしこれを見つけたら、ファルクフィル・スノウメイソンが任務を放棄しなかったことを知ってくれ!

ファルクフィルのメモ、2ページ目Falkfyr’s Notes, Page 2

4日目:この洞窟には終わりがないらしい。おまけに巨大な虫がはびこっている!子供の頃、祖父がモーサルの沼にいる巨大な虫の話をしてくれたが、私は全く信じなかった。今、その虫がどこから来るのかが分かった。

食料も尽きてしまったが、もっと重要なのは水が尽きそうだということだ。4日間の偵察任務用の1週間分の物資では、穴に落ちた後の分はまかなえない。だが、ここから地下に川が見える。水筒に補充したいなら、あの巨大虫の前をこっそり通り抜ける以外に選択肢はない。

もし成功したら、別のメモを川の横に残そう。失敗したら、ファルクフィル・スノウメイソンは両手に斧を持って戦って死んだと理解してくれ!

ファルクフィルのメモ、3ページ目Falkfyr’s Notes, Page 3

5日目:今、真実が分かった。この巨大な洞窟は昔話の地下世界、ブラックリーチだ。私、ファルクフィル・スノウメイソンはここに足を踏み入れた最初の男だ!

水筒に水を汲んでいたら巨大な虫に見つかった。それを殺したあと、あることを思いついた。私は体中に虫の膿のような液体を塗り付けた。それ以後、他の虫は寄ってこなくなった。思ったとおり、奴らは臭いで狩りをする!

本当にここで生き延びられるんじゃないかと思う。ソリチュードに戻ったら私は伝説になるぞ。人々はブラックリーチを発見した斥候、ファルクフィル・スノウメイソンの銅像を建てるだろう!

もう寝よう。明日は上にあるドワーフの遺跡で食べ物を探すつもりだ。必要に駆られるまでは、そこら中に生えてるキノコを試すような危険は冒したくない。今ではあきらめる気は全くなくなった。

ファルクフィルのメモ、4ページ目Falkfyr’s Notes, Page 4

6日目:ドワーフどもは街を固く閉じたままにしやがった。入る手段も鍵をこじあけるものもない。中に食料があるとしても、私には食べることができない。

今朝、灰色がかった白い色のキノコを1つ食べた。生焼けの肉みたいな味だった。今日は休んで、死なないか様子を見る。死ななかったら、必要な食料は十分にあるってことだ!

7日目:キノコは毒じゃなかった。必要なら何だってあさってやるぞ!私は生きるんだ!ブラックリーチの奥深くで生き延びた話は、語り草になるだろう!

川を渡った南に、木のようなキノコの林が見える。今度はあっちの方に行ってみよう。

ファルクフィルのメモ、5ページ目Falkfyr’s Notes, Page 5

9日目くらい

食べられるキノコキノコ
大きくて灰色は肉のような味
小さくて青はおいしいおやつ
緑に光るのはとても甘く歌う

ここにあるキノコは全部食べられる。偉大なるウームがそう言ってる。偉大なるウームは私が南に行くことを望んでいる。私は南へ行こうと移行と以降と思う。

探さなきゃならないものがあったはずなのに、何だったか思い出せない。まあいい。今では全部の根が私の名を知っている。

ファルクフィルのメモ、6ページ目Falkfyr’s Notes, Page 6

?日目

私は選ばれし者だ。偉大なるウームは私を胞子にし、そして、私、スノウファルク・メイソンルートは、永遠に生きる。根は真実を知っている。根、ウーム、歌、全てつながっている。これはとても深い!

下の方に扉があるが、そっちは私の行く道じゃない。今、偉大なるウームは私に北について告げている。悪臭と虫の源だ。宝物はそこに捨ててもいい。何故ならもういらなくなるから。私は胞子で、まもなくウームになる。私は全てのウームになる。

家を見つけ、根を広げる。

ファルクフィルのメモ、7ページ目Falkfyr’s Notes, Page 7

何日目か…どうでもいい。

空気が紫を歌い、血が石を湿らせる。偉大なるウームの胞子が根を張る。もうそんなに長くはかからない。

私は土を食べ、闇を飲む。私は今、家にいる。私たちが家だ。

殻が砕けるが、素早く動く者たちは気に留めない。それは中にある、そして準備できている。

語れ、偉大なるウームよ! ルートメイソンについて語れ! もう一度、葬られた夢について私に語れ!

成長する時が来た。

ファルクフィルの完成した報告書Falkfyr’s Complete Report

3日目:私はファルクフィル・スノウメイソン。ソリチュードのハイルフラルド王の臣下だ。これはきっと最後の報告になると思うが、我が王を失望させるつもりはない!

私の任務は、我が国境で問題を起こしているリーチの民の略奪者の一団を追跡することだった。リーチの民はカースワステンを通り越して西に逃れ、その後北に向かった。私は彼らを山の中まで追ったが、ブリザードに阻まれてしまった。洞窟に避難しようとしたとき、足元の地面が崩壊した。

2日間ほど救助を待ち、今は食料が尽きかけている。この巨大な洞窟の中に扉を見つけたものの、開くことができない。コンパスはまだ機能している。だから私は西へ向かい、高い土地を探そうと思う。多分他の出口を見つけられるだろう。

万が一出口を見つけられなかった時のために、この報告書はここに置いて行く。もしこれを見つけたら、ファルクフィル・スノウメイソンが任務を放棄しなかったことを知ってくれ!

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4日目:この洞窟には終わりがないらしい。おまけに巨大な虫がはびこっている!子供の頃、祖父がモーサルの沼にいる巨大な虫の話をしてくれたが、私は全く信じなかった。今、その虫がどこから来るのかが分かった。

食料も尽きてしまったが、もっと重要なのは水が尽きそうだということだ。4日間の偵察任務用の1週間分の物資では、穴に落ちた後の分はまかなえない。だが、ここから地下に川が見える。水筒に補充したいなら、あの巨大虫の前をこっそり通り抜ける以外に選択肢はない。

もし成功したら、別のメモを川の横に残そう。失敗したら、ファルクフィル・スノウメイソンは両手に斧を持って戦って死んだと理解してくれ!

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5日目:今、真実が分かった。この巨大な洞窟は昔話の地下世界、ブラックリーチだ。私、ファルクフィル・スノウメイソンはここに足を踏み入れた最初の男だ!

水筒に水を汲んでいたら巨大な虫に見つかった。それを殺したあと、あることを思いついた。私は体中に虫の膿のような液体を塗り付けた。それ以後、他の虫は寄ってこなくなった。思ったとおり、奴らは臭いで狩りをする!

本当にここで生き延びられるんじゃないかと思う。ソリチュードに戻ったら私は伝説になるぞ。人々はブラックリーチを発見した斥候、ファルクフィル・スノウメイソンの銅像を建てるだろう!

もう寝よう。明日は上にあるドワーフの遺跡で食べ物を探すつもりだ。必要に駆られるまでは、そこら中に生えてるキノコを試すような危険は冒したくない。今ではあきらめる気は全くなくなった。

* * *
6日目:ドワーフどもは街を固く閉じたままにしやがった。入る手段も鍵をこじあけるものもない。中に食料があるとしても、私には食べることができない。

今朝、灰色がかった白い色のキノコを1つ食べた。生焼けの肉みたいな味だった。今日は休んで、死なないか様子を見る。死ななかったら、必要な食料は十分にあるってことだ!

7日目:キノコは毒じゃなかった。必要なら何だってあさってやるぞ!私は生きるんだ!ブラックリーチの奥深くで生き延びた話は、語り草になるだろう!

川を渡った南に、木のようなキノコの林が見える。今度はあっちの方に行ってみよう。

* * *
9日目くらい

食べられるキノコキノコ
大きくて灰色は肉のような味
小さくて青はおいしいおやつ
緑に光るのはとても甘く歌う

ここにあるキノコは全部食べられる。偉大なるウームがそう言ってる。偉大なるウームは私が南に行くことを望んでいる。私は南へ行こうと移行と以降と思う。

探さなきゃならないものがあったはずなのに、何だったか思い出せない。まあいい。今では全部の根が私の名を知っている。

* * *
?日目

私は選ばれし者だ。偉大なるウームは私を胞子にし、そして、私、スノウファルク・メイソンルートは、永遠に生きる。根は真実を知っている。根、ウーム、歌、全てつながっている。これはとても深い!

下の方に扉があるが、そっちは私の行く道じゃない。今、偉大なるウームは私に北について告げている。悪臭と虫の源だ。宝物はそこに捨ててもいい。何故ならもういらなくなるから。私は胞子で、まもなくウームになる。私は全てのウームになる。

家を見つけ、根を広げる。

* * *
何日目か…どうでもいい。

空気が紫を歌い、血が石を湿らせる。偉大なるウームの胞子が根を張る。もうそんなに長くはかからない。

私は土を食べ、闇を飲む。私は今、家にいる。私たちが家だ。

殻が砕けるが、素早く動く者たちは気に留めない。それは中にある、そして準備できている。

語れ、偉大なるウームよ!ルートメイソンについて語れ!もう一度、葬られた夢について私に語れ!

成長する時が来た。

ペンターチ・ドラルジュルへの手紙Letter to Pentach Draljura

ペンターチ・ドラルジュル

ラダ・アルサランがあなたは頼りにできると保証してくれた。闇の予言で果たす役割のため、ゴーストソングに準備をさせるまで何年もかかった。この期に及んでつまらない失敗を許すつもりはない。

ナサリに時が来たことを納得させた。闇の予言に必要な儀式を行わなけばならない時が来たと。彼女とクランが妨害されないようにするため依頼することは、何でもやって欲しい。彼女の影響力は強いけど、実際に何をするつもりかを知ったらクランは尻込みするでしょう。必要なら最後の一歩を手助けするように。ナサリが扉を封じたら、全員を墓地から退避させること。

私は待っている。儀式が闇の心臓を目覚めさせたら、私はそこにいなくてはならない。ゴーストソング・クランが私たちの目標への最も確かな道であることを忘れないで。何者にも、私のペットの魔女を邪魔させないように。

レディ・ビレイン

マスター・ピシスの日記Master Pythis’s Journal

彼は何も疑わない。彼を騙して、私が装置を確保するのを手伝わせるのは簡単だった。私自身の手では不可能だった。遺物に与える損傷についての便利な嘘は、無能な腰抜けどもが私を追うのを阻止してくれるだろう。できれば、これが音調の魔法から受けるあらゆる潜在的な影響に対する言い逃れにもなるといいが。遺物の力を最大限利用するためには、音調の混乱をとても大きく産み出さなければならない。

運が良ければ、サイジックが遺物の紛失に気づくまでに、カリスは完璧な犯人になっているだろう。彼は報いを受ける。その後はこの遺物から手に入れた新しい力で、ご立派なサイジック会に、彼らが本当はどれほど私より劣っているか、見せつけてやる。

マルカルスにて傭兵求むWork for Hire in Markarth

多数の問題がリーチの民を悩ませている。自分がもっとも勇敢で強く、金と栄光を山積みにするためには計り知れない危険に向き合うことも厭わない冒険者だと思うなら、リーチの者は仕事を提供する。

詳しくは、マルカルスの街にいる執政官カルデアを探してほしい。

マルカルスのインペリアルAn Imperial in Markarth

アルドの行政官、執政官カルデア 著

ロングハウス帝の時代からマルカルスは大きく変化したが、変わらない物事も多い。モリカル皇帝がカダッチを総督に指名した後、私は最初の任務としてここに派遣された。

シロディールからマルカルスへの移住は、思ったほど大きな衝撃をもたらさなかった。リーチ自体は大きく異なっていたが、故郷のしがらみは都市の中にいても常に明らかだった。私はささやかながら秩序を維持するために派遣された。文書や行政、この場所を治めるための様々な任務を処理するために。ある意味では私がここにいる目的自体が、ホームシックの防止に役立ったと言えるかもしれない。

マルカルスは住民にとって常に捉えどころのない場所で、その古代の技術は魅力的であると同時に、圧迫感を伴ってもいる。リーチには野生的で無秩序という評判があるが、マルカルスには今でもドワーフの緻密な意匠が残っている。秩序立てられ細密だが、時を経てそれとはまるで反対の人々が占めるようになった。

帝国が倒れた後も留まるほど自分がこの場所を好きになると誰かに言われていたら、私は面と向かって相手を笑い飛ばしていただろう。だが実際にそうなった。カダッチがアルド・カダッチになった時、彼が個人的に私の残留を求めたのも一因だった。彼を相手に断るのは難しく、しかも私は常に自分の事務能力を評価してくれる者に弱かった。

私がリーチの民をこれほど気に入るようになったのは、それが理由かもしれない。彼らの多くは読み書きができないし、学ぶ意思もない。そのため私は、彼らにとって欠かせない存在である。この立場を喜んだことは否定しがたい。

しかしインペリアルとしてマルカルスで暮らすことが大変でないとは言わない。誰もが私の仕事を評価してくれるわけではない。やって来るクランの中には、自分たちの仲間でさえ信用しない者もいる。彼らと異なる者はなおさらだ。記録をつけ、彼らと話して問題を解決する手伝いをするのが私の役目だが、大変な不利を抱えつつ働かなければならない。私は脅迫され、侮辱され、憎悪されてきた。どれだけ長くここで働いても、リーチには自分たちの問題に干渉するインペリアルを信用しない者が未だにいる。

だが私はこの地が好きだ。人間とクランの個性が奇妙に混ざり合うマルカルスが好きだ。アルド・カダッチと働くのは楽しく、必要とされているという感覚も楽しい。この地と民への献身にとって、解決できない困難など存在しない。

マルカルスの暴君についての報告Report on the Despot of Markarth

ストームヘヴンのレディ・ナイリーン・デヴィエリン 著

陛下のご下命により、私はマルカルスの暴君宛てに苦情を届け、彼が我々の国境を襲撃するクランの制御に意欲を見せるかどうかを見極めるためマルカルスに参りました。我々の交渉における困難な問題についてまとめた報告書はすでにウェイレストに送付済みです。ですが、どのような男がリーチを統治しているのかを理解することは、宮廷にとって有用であろうと思われます。マルカルスの暴君は教養のない軍人ではありません。また、彼をそのように扱わないよう注意する必要があります。

まずは、ブラック・ドレイクのカダッチが現在の地位についたいきさつについて、改めてお話するところから始めさせていただきます。その名が示すとおり、カダッチはロングハウス帝ダーコラクの親族にあたります。若い頃、ダーコラクの次男でありロングハウス朝第二代皇帝モリカルのリーチ衛兵を務めるため南に向かい、若くても戦えることを示しました。シロディールに滞在中、カダッチはインペリアルの協力と軍事訓練を受けました。モリカルが徐々に落ち着きを失くしていく母国の各クランに対して、ある程度帝国の権威を確立する必要があると考えた時、彼はその任務に信頼のおける血族を指名することを選び、カダッチをマルカルスに送り返しました。

帝国法の全てを自由なリーチの民に強いるつもりではないことをクランの族長に再認識させるため、モリカルはカダッチの権限をマルカルスと街を直接取り巻く土地に制限しました。この結果、カダッチはマルカルス内の秩序を維持するに留まり、それ以外は各クランの統治に任されることとなったため、クランの族長たちは納得しました。モリカル皇帝の残った統治期間、カダッチ総督は効果的にマルカルスを管理し、レオヴィック皇帝の不穏な統治期間を通してその地位を維持しました。

この期間に、カダッチはリーチ流の支配を敷きました。採決は迅速で野蛮であり、マルカルスの暴君と呼ばれるようになったのです。

レオヴィックが倒され、残ったリーチの民がシロディールから撤退すると、カダッチは自らの名において権力を獲得し、かつてのリーチの民の称号「アルド(砦の王)」を手に入れました。次に彼は自身のクランを残忍な手法で粛清し、主導権を脅かす可能性のある、残存するブラック・ドレイクを全て殺害か追放しました。いずれにしても15年に及ぶマルカルスの支配は、自らの指揮下にある統制のとれていない戦士を、王として支える覚悟のある忠実な軍隊に育てる機会をカダッチにもたらしました。

カダッチはアルドとして、「クランではなく、リーチを所有している」ことを主張しています。各クランが他の王を選ばず、必要な時要請に応じる戦士がいる限りにおいて、彼は他のクランを支配し、彼らの問題に干渉するつもりはありません。一部に嫌々ながらというケースもありましたが、リーチのクランは彼がマルカルスを統治することに同意しています。如何なるクラン、または有効と思われるクランの同盟も、カダッチの軍に挑むことはできません。自ら玉座につき、総督の称号を放棄してからの5年間で、暴君カダッチはゆっくりとマルカルスにおける権力を強化し、かつての要塞を簡素な都市国家、自由で独立したリーチのための首都へと変貌させました。

それでは、カダッチがどのような男なのかという話ですが。彼を説明するのに最も適した言葉は「現実的」であると考えます。彼は自分の力が確信できない限り、注意深くリーチのクランが乗り気ではないことを強要しないようにしています。しかし自分の力が確信できる時は、制御できないクランを服従させるために全力を尽くすことを躊躇しません。これが、ハイロックを脅かしているクランと休戦協定を結ぶための仲介を暴君カダッチにさせるのが困難である主な理由です。カダッチは我々の国境の平和のため、彼らを刺激して自分の力に反抗させることに興味がないのです。マルカルスにおける法(のようなもの)の強制、アンダーストーンでの文書記録維持の命令、より強力な魔術結社への助言の要求、必要だと感じられた際の同盟の結成および破棄など、彼は自分の目標を達成するためなら、あらゆる手段を積極的に使います。

しかし、暴君カダッチの真の才能は、政治的計算にあります。彼はリーチの伝統を正しいものとし、またよそ者の劣ったやり方(彼の言葉であり、私のものではありません)を軽蔑しながら、リーチの民に向かって自由で独立したリーチについて語ります。ですが、この「リーチの民のためのリーチ」という大仰な話の背後で、カダッチは罠や帝国の権威の体制を利用し、マルカルスをリーチの長く血生臭い歴史の中で最初の機能的な国家に変化させたのです。また、これを認めるリーチの民はいないかもしれませんが、カダッチの権力の強化と、彼がマルカルス周辺に強制している相互的な平和は、良い方向へ向かうための、本物で長続きする変化に向けた必要な手順だと多くの者が理解しています。

外国を激しく嫌うクランがアルド・カダッチの権威を認め続けるか、あるいは反発するかは、当然ながらリーチの大きな問題です。

マルカルスの歴史:石の物語History of Markarth: A Story in Stone

アルドの行政官、執政官カルデア 著

マルカルスの物語はドワーフがこの地に定住し、地上と地下深くの双方に建物を築いた第一紀初頭に始まる。彼らはカース川の峡谷の上流にそびえる山、カースマッドの麓に新たな要塞を建設した。長い年月をかけ、ドワーフは山の心臓部からヌチュアンド・ゼルの街を削り出し、地上へ建設を続け、ついに太陽の射す世界へ顔を出した。この高い谷で、ドワーフは地上に強力な防衛設備と大きな貯蔵庫を作った。ヌチュアンド・ゼルはしばらく繁栄した。そして他全てのドワーフ集落と同様、第一紀700年に突如として放棄された。

放棄され空になった他のドワーフの街の大半は廃墟と化した。しかしヌチュアンド・ゼルには、大部分のドワーフ都市に欠けていたものがあった。地上に広がる要塞と、付随する建物である。ドワーフたちの消失から数年後、リーチの民の様々なクランがドワーフの建造物を隠れ家や要塞として、窮乏の時期に利用し始めた。第一紀930年にはこの地を訪ねた希少な旅人が、リーチの民がこの廃墟を通年占拠していたことを報告している。彼らはここをマル・カース(「カースの上」の意)と呼び、この場所に住むクラン最強の族長はアルド(「砦の王」の意)として知られた。

マルカルスはリーチの民に占拠され、皮のテントや手触りの粗い毛皮で飾られた遺跡となっていた。しかし第一紀1033年、女帝ヘストラがリーチを服従させ、支配地に加えるように命令をアレッシア帝国軍に出した。女帝の将軍はこの遠征の最初の目標をマルカルスに定め、帝国の力をリーチの要塞に叩きつけた。アルドは勇猛果敢に要塞を防衛したが、女帝ヘストラの軍団は士気が高く、指揮も素晴らしかった。一方リーチの民は組織が乱れ、共通の敵を前に団結するのが遅れた。マルカルスはインペリアルの手に落ちた。アルドの最も勇猛な戦士の多くは、降伏よりも壁から身を投げ、石を血に染めることを選んだ。

リーチを屈服させるための戦いは長く続いた。帝国の軍団はしばしばマルカルスで包囲され、壁の向こう側には赤鷲の反乱軍が待ち受けていたので、外に出ることも困難だった。だが、赤鷲がインペリアルをマルカルスから追い払うことはできなかった。彼の反乱が終結する頃のマルカルスは、要塞から都市へと変化する最初の一歩を踏み出していた。アレッシア帝国の終焉まで、マルカルスはインペリアルの支配下にあり続けた(駐屯部隊に配属されたインペリアル兵士にとっては、陰鬱で危険な任地だった)。この時期、ドワーフの貯蔵庫の多くは広間や家屋、工房に変えられた。街は現在のような外見になったが、いかなる人間の技術もドワーフが築いた壁と監視塔を改良できなかった。

150年前にアカヴィリ最高顧問が死に、インペリアルの権威が大きく低下したことで、マルカルスは再び歴史の闇に埋もれた。インペリアルの支配下でも常に反抗的だったリーチは、帝国の力が下がった瞬間に、よそ者が滅多に旅することのない場所となった。ブレトンの男爵もノルドの首長もこのリーチの街に攻め込んだが、そのたびに難攻不落のドワーフの防衛設備に撃退された。外国の侵略者がマルカルスの冷たい石に血を流し、リーチの民は独立を取り戻した。

リーチの民が再び敵対的になると、マルカルスとタムリエル他都市の交易や旅は途絶えた。その結果、マルカルスの統治者やその治世についての噂リーチの外に届くことはほとんどなくなった。しかしこの暗闇の中から、タムリエル全土を根底から揺るがす嵐が勃発した。ブラック・ドレイクと呼ばれる戦士長ダーコラクが、第二紀533年にリーチ戦士の大軍勢を招集してシロディールになだれ込み、ルビーの玉座を奪取したのである。

この動乱は多くの変動をもたらし、マルカルスはある意味で再びインペリアルの影響を受けるようになった。シロディールに入ったリーチの征服者は大量の略奪品と捕虜を故郷に持ち帰り、かつてないほど多くのリーチの民が、外国で財産を築くことを求めた。マルカルスへの道は再び賑わい、長い間忌避されて来たこの街道は、交易の恩恵で息を吹き返した。

現在、この街はアルド・カダッチの支配下にある。いわゆるマルカルスの暴君である。ロングハウス帝ダーコラク家の親戚となるブラック・ドレイク・クラン出身のカダッチは、第二紀559年に帝国の総督に任命された。その任務は街の統治だけでなく、反抗的なリーチのクラン同士の平穏を保つことも含まれた。レオヴィック帝が玉座を失うと、カダッチは帝国の称号を捨て、古いリーチの称号であるアルドを名乗った。彼は躊躇なくブラック・ドレイクの生き残りを粛正し、この街の支配を確立してライバルを黙らせた。

アルド・カダッチが反抗的な親族を街の一番高い壁から投げ落として処刑し、胸壁を血に染めたことは言っておかねばなるまい。これはマルカルスの石に刻まれた残酷な物語の、最も新しい章にすぎない。

リーチのおとぎ話Reach Bedtime Stories

語り部イサ・トルイアンド 著

語り部イサ・トルイアンド著

これらの物語は話すことに同意してくれた、様々なリーチの民から収集したものである。大半の人はよそ者に対して何を教えるのにも積極的ではなかったが、私はタムリエル中の物語を分かち合おうとしているただの語り部だと強調した。交換に興味を示す者もおり、私は他の人々から聞いた物語をリーチの民の方式で語るように最善を尽くした。揺れる炎の周りを囲んで、強い感情を込めて演じるのである。その見返りとして、私は以下に記録したリーチのおとぎ話を集められた。

* * *
小さな薄き血の者

昔々、小さな男の子がいました。男の子の父は勇敢な狩人で、息子にも同じようになってほしいと思っていました。父親は毎日少年を訓練し、追跡して戦い、殺す方法を教えました。でも男の子は心優しく、戦いや殺しに興味がありませんでした。男の子は矢にも荒野での生存術にも関心がなく、上等な服を作り、ヴァテシュランの話を聞いていました。

ある日、少年は森に行って父と練習をしていました。熊が丘を駆け下りてきて、二人を急に襲いました。熊は子供を守ろうとして襲ってきたのです。少年の父はこの大きな動物から身を守りつつ、息子に助けを求めました。でも少年は剣を握ることも、矢を削ることもできませんでした。恐ろしい熊は少年の父を倒し、父は血を流しながら、武器を取って熊を殺すよう息子に言いました。

「教えたとおりにやるんだ!」と父は命じました。

でも少年は針と糸やヴァテシュランの物語にばかり時間を費やしていました。男の子は恐怖でその場から動けませんでした。熊も話せば理解してくれるかもしれない、と少年は考えました。

「熊さん、ちょっと話を聞いてくれないか…」と少年はどもりながら言いました。

熊は怒って吠えました。熊には理解できるはずもなかったのです。熊は喉に噛みついて少年を殺してしまいました。少年は最期に、父へ囁きかけました。「お父さん、ごめんなさい。お父さんの言うことを聞いていればよかった」

だから子供たち、お父さんの言うとおりにしないと、熊に食べられてしまいますよ!

* * *
裏切りのノルド

昔、メロックというクランの族長が、皆と友達になろうとしました。ある日、ノルドが一人で馬に乗ってやって来て、取引を求めました。メロック族長はノルドを食事に招き、クランと談笑して時を過ごすよう誘いました。多くの者がメロック族長に、新参者と友達付き合いをするのはやめるよう助言しました。その男が礼儀正しく友好的であることは彼らも認めましたが、リーチの者ではないのだから、本当に理解することはできないと言いました。彼らはよそ者を信用しないよう族長に警告しましたが、この警告は聞き入れられませんでした。

メロック族長はノルドとの交流に気をよくして、次の日彼を狩りに誘いました。二人は一緒にキャンプを出て、笑いながら付き合いを楽しんでいるようでした。彼らは獲物を探して森の奥へ入っていきました。歩きながら、メロック族長はクランの古い霊魂との付き合い方や、秘密の伝統などをノルドに教えました。ノルドは愛想よくうなずき、質問を返しました。族長はノルドの学習意欲に喜びました。親友ができたと思ったのです。

二人は獲物を見つけました。メロック族長は一番お気に入りの槍をノルドに渡しました。「新たな友よ、とどめの一撃を加える名誉は君が得るべきだ」と彼は言いました。ノルドは槍を手に取りましたが、空き地に立っている鹿を殺すのではなく、槍をメロック族長の腹に突き刺しました。

キャンプでは、ノルドの仲間の戦士たちがクランを全滅させていました。族長がいなくなったので、クランには侵入者を撃退できる強さがなくなったのです。

メロック族長は倒れて血を流しながら、ノルドに質問をしました。「なぜだ?」

ノルドは残酷に笑って答えました。「お前たちは俺たちがほしいものを持っているからだ。これで、お前たちの土地を奪える」

メロック族長とクランはその日死に絶えました。族長がよそ者を信用する愚か者だったからです。どれだけ友好的に見えても、リーチの子でない者は信用できないのです。

* * *
夜の王

(注記:私はこの物語の様々な派生版を複数のリーチの民から聞いた。その大半は年寄りから。しかし全体的なテーマは同じである。ここには私が一番好きな物語を記しておく)

ずっと昔、夜の王たちがリーチを支配していました。彼らは影をさまよい、その目は血のように赤く光っていました。平原の獣は恐怖して逃げ出しました。彼らが姿を現すと、木々も身をすくめて嘆きの声を上げました。

他の怪物でさえ彼らを恐れました。

リーチの子供たちよ、気をつけて、毛布に身をくるみなさい。暗くなった後でキャンプから離れすぎると、夜の王たちに見つかるかもしれません。彼らにとって、リーチの子の血は蜜のように甘いのですよ。

リーチのクランについてOn the Clans of the Reach

帝国書記、テオフォ・ハーヴィアン 著
(第二紀568年、レオヴィック皇帝統治時代に執筆)

「ブラック・ドレイク」のダーコラクがリーチの戦士を率いてシロディールに対抗するまで、リーチの民をうなり声をあげる蛮族以外として述べた学者はほぼいなかった。タムリエルの他の人々は、リーチの者を無秩序な状態で存在する、手に負えない大規模な集団と見ている。残念ながら1世代前に、ブラック・ドレイクの戦士がその無知の代償を明確に支払わせた。シロディールの賢者たちが、現在帝都を支配するこの戦を好む民族について学ぶべきことが数多くあると気付いた時にはすでに手遅れだったのだ。その必要に応じるため、現在指名された統治者であるブラック・ドレイクのカダッチが管理する、マルカルスでの7ヶ月におよぶ貿易大使の経験から、リーチとそのクランについて学んだことを書き記そう。

序文:リーチにはさまざまなクランが数多く存在し、それぞれが独自の性質や伝統を有している。一ヶ所に恒久的なキャンプを設置し、定住するクランもある一方で、遊牧民であり続けるクランも存在する。クランは大家族と故郷の村の中間的な存在であり、中にはクラン内で血縁関係にある者もいるが、それ以外の者はクランへの忠誠を示すためにクラン名をつける。新しい土地に居住するため、または獲物の群れを追うため、あるいは無秩序な時期には近隣の地域の襲撃や略奪をするため、気の合うリーチの者の一団が集まれば、いつでも新しいクランが出現する。その結果、クランは驚くほど流動的になることがあり、時間と共に分裂や再編成が行われる。

各クランは族長が統制する。中には自ら首領、代弁者、長老、王と名乗る者もあるが、ほとんどのリーチの民は自身を「王」などと呼ぶのはどこか気取った感じがすると考えている。リーチではもう何十年も、わざわざ自らを王だと主張するクランの族長はいない。だが、その者が王の称号を主張するに足る強さを持つと十分な数のリーチの民が同意すれば、如何なるクランの族長も王となれる。事実、歴史的には多数のクランの族長が同時期に王と名乗る時代もあったが、リーチの民がよく言うように、リーチでは誰もが王になれるが、リーチの王となれる者は誰もいない。その称号はダーコラクでさえ主張しなかった。現在に至るまで、リーチの民はロングハウス帝を自らの自由意思で従った戦いの統率者と見ている。たとえそれがシロディールのリーチの民の王であっても、王にひざまずくことはより弱い人々がすることなのである。

すでに述べたように、リーチには数多くのクランが居住している。ほとんどは小規模なクランで、小さな村や、遊牧民の集団や、人里離れた洞窟や地域にある略奪者の住み家だ。しかし、リーチを訪れる旅人なら誰もが知る有名なクランには以下のものがある。

ブラック・ドレイク:人数としては少ないブラック・ドレイクは、偉大なる武将ダーコラクによって誕生した。敵からも味方からもブラック・ドレイクと呼ばれたダーコラクは全リーチ人を彼の旗の下に結集させ、シロディールを征服してロングハウス帝の血統の基礎を築いた。彼の近親やリーチの友人は、有名な呼称を自らのクラン名とした。必然的に、他のクランは普通なら命令を下す規模のクランでありながら、ダーコラクの親族にはより多くの敬意を示している。また、総督のカダッチもブラック・ドレイクである。

シンダーハート:しばしばマルカルス付近で見かける好戦的なクランであるシンダーハートは、捕虜を生きたまま燃やすことで知られている。彼らは犠牲者の空の胸の空洞に熱い石炭を詰めることで、ブライア・ハートを用意すると言われている。ただでさえ陰惨な儀式に対する、恐ろしい改良点だ。

イーグルシアー:誇り高く好戦的なイーグルシアーは、他のクランが子供たちの世話をするようなやり方で確執を育てる。これは外部の者との接触を妨げるように思われるかもしれないが、実際の彼らは友好的で、口論の相手でなければ心を開く。イーグルシアーの者にとって、単に他の土地からの訪問者はリーチの抗争相手に値しないのである。

ゴーストソング:東リーチの荒野に生まれた孤立を好むクランであるゴーストソングは、その強力な魔女と忠実なウェアウルフで知られている。彼らはナミラに対して特別な崇拝の念を抱き、彼女を霊魂の女王と呼んでいる。

ヒルハンター:マルカルスの南の山中に居住する遊牧民の狩人であるヒルハンターは、木工技術で有名である。他のクランの間では、ヒルハンターの者からあえて狙われない限り、彼らを追跡できる者はいないと言われている。

リバーエルク:大所帯を誇るリバーエルククランは、カース峡谷全体に数多くある半恒久的なキャンプで暮らしている。彼らはよそ者のやり方に不信を抱いてはいるが、自身がクランにとっての友であることを証明するよそ者とは進んで取引をする。

シェイドフェザー:幸いなことに少人数であるシェイドフェザーは、ハグレイヴンの強力な魔術結社の支配下にあるクランだ。彼らはリーチのあちこちで旅人を待ち伏せし、捕虜となった者を闇の儀式で殺害する。他のリーチのクランでさえ、邪悪な彼らからは逃れられない。シェイドフェザーの者はしばしばキャンプを移動し、不運にも偶然出くわしてしまった者は誰であれ全て殺害する。

ソーンルート:獰猛で強いソーンルートは、通常ブライアロック近辺で野営している。彼らはシェイドフェザー同様ハグレイヴンに率いられているが、近隣のクランとは友好的な関係を維持し、激しい怒りはよそ者に向けるために温存している。クランの戦士の多くがブライア・ハートになることを選び、戦闘でのソーンルートをとても危険な存在にしている。

ワイルドスピア:マルカルスの近くに土地を持つ定住クランであるワイルドスピアは、ハーシーンに心身を捧げ、儀式の狩猟でこの追跡の師を称賛する。彼らは人間、中でも強く賢い敵は、流血の儀式に最適な獲物だと信じている。

リーチの偉大な霊魂 第1巻Great Spirits of the Reach: Volume 1

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

タムリエルに暮らす者の大半は、何らかの信仰を持っている。物理的、精神的な危機に脅かされた世界において、神を捨てるのは難しいものだ。残念ながら宗教的アイデンティティへの共通の欲求が、人々を団結させることは滅多にない。むしろ分断することの方が多い。対立点の多くは分かりやすい。種族間の政治や歴史的な怨恨、神による承認の主張はしばしば誠実な対話の試みを台無しにする。だが、全てを包括する中心的な断絶が1つある。それはエドラ至上主義である。

ある古いオークの格言では「征服者が戦争を名づける」と言われる。これは力ある者が歴史についての理解を形成するという事実を適切に述べている。この格言は、信仰の問題についてはなお正しい。征服者は戦争に名をつけるだけではない。信仰をも形成する。白金の塔を支配する者が何らかの根本的な意味でタムリエルを支配するという約束事を受け入れるなら、エドラ至上主義は完全に筋の通った考えである。それはエドラが実際に他より優れているからではなく、優位な立場にある者が自らの至上性を主張できるからだ。

いくつかの注目すべき例外を除くなら、シロディールの、より広く言えばタムリエルの物語はエドラの信者たちによって形成されてきた。それはアルドマーに始まりアイレイドに受け継がれた。野生のエルフは一時的にデイドラ崇拝に走ったが、彼らはアレッシア人の手によって高い代償を支払わされた。この時点から、エドラはタムリエルの信仰という領域において特別な地位を得た。その地位は本質的に、エドラ以外の信仰実践を奉じる種族の立場を弱体化させた。オーク、アルゴニアン、カジートなど、そうした種族の大半はすでに人間とエルフによる嫌悪と迫害を受けていたが、チャイマーや後のダンマーなど、エルフの同族から冷たい疑惑の視線で見られる者たちもいた。これら全ての民は昔も今も、エドラ崇拝者に与えられた特権に苦しんでいる。だが、リーチの民以上に信仰を理由とした迫害に苦しめられてきた種族はいない。

外国の襲撃者に迫害され、嫌悪され、繰り返し侵略されてきたにもかかわらず、リーチの民は豊かなデイドラ崇拝の文化を維持することに成功しており、希薄化や衰退の兆しも見られない。本論がこの評価されることの少ない信仰について新たな光を投げかけ、リーチの誇り高く頑健な民への敬意を高めてくれることが、筆者の切なる願いである。

リーチの偉大な霊魂 第2巻Great Spirits of the Reach: Volume 2

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は大小様々な、数多くの霊魂を崇拝する。実際にはリーチにいるクランの数と同じだけの信仰が存在する。聖なるエルクや山の泉の霊魂を崇拝するクランもいれば、古代の英雄の亡霊のために山羊を生贄に捧げるクランもいる。しかし一部の霊魂は、クランの境界を超越して崇拝されている。それはタムリエルの残りの部分にいる我々が、デイドラ公と呼ぶ霊魂である。

リーチの主神は狩りのデイドラ公ハーシーンである。古きエルクの目、狩りの王、獣の父、皮を作る者、五又槍など、名称はクランごとに様々だ。リーチの神々全てと同様、ハーシーンは冷酷な師とみなされている。実際、リーチの民は自分たちの信仰を「信心」ではなく「教え」と呼んでいる。しかしハーシーンの教えを聞く者は素早く、強く、狡知に長けた者へと育つ。リーチの狩人にとって、こうした信仰の物理的な表明は、神々の聖堂で議論されるような漠然とした倫理的懸念よりも遥かに大事だ。

ハーシーンは凶暴かつ恐るべき「今」の化身である。彼は生がその瞬間に生きられるものであり、全ての生物は捕食者か獲物か、その両方であることを信者に教える。これにより緊張と注意を怠らない感覚が生まれ、それはしばしば争いにつながるが、リーチの民の安全を守ってもいる。ハーシーン崇拝者の心には休息も、休息の予感もない。

外部の者にとって、このような信仰はひどく不快なものに思える。しかしその成果は無視しがたい。リーチの民が維持している集中力と身体能力に並べる種族はほとんどない。狩りの後には短い静寂があるが、視界の端には常に次の狩りが待ち受けている。

リーチの民はまた、ハーシーンに最も忠実に仕える者を守護者や導き手として遇する。もちろん、ウェアウルフのことである。ライカンスロープを祝福とみなすリーチの民は少ないが、彼らは有用な状態としてこれを受け入れている。ウェアウルフは属するクランのために苦しみ、それは敵の苦痛を引き起こす原因となる。

リーチの偉大な霊魂 第3巻Great Spirits of the Reach: Volume 3

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は2つの世界しか知らない。肉体の世界と霊魂の世界である。ハーシーンは肉体の世界を支配するが、霊魂の女王であるナミラは、無限なる霊魂の領域を支配する。

デイドラ崇拝者の間でさえ、ナミラは恐怖と疑念を持って見られるのが通例である。ナミラが伝統的に影響を及ぼす領域は、定命の者へ即座に嫌悪を催させる。背筋の凍る謎や避けがたい腐敗は、多くの定命の者の恐怖の核心にある。しかしリーチにおいて、ナミラの支配は単なるナメクジと闇よりも遥かに広く及んでいる。リーチの民はナミラを全ての始原的な二元性の化身とみなしている。生と死、始まりと終わり、可能性と無秩序。根本的に対立する全ての力は、ナミラの霊魂の領域から流れ出て来る。多くの宗教は何らかの調和を求めるが、リーチの神学はこのような闘争と避けがたく結びついている。存在の本質的な力としての闘争へのこうした執着が、よそ者やリーチの民同士での敵対的な態度に一定の役割を果たしていることは疑いない。

逆説的だが、リーチの民の大半はナミラの教えに何らかの平穏を見出している。クランの魔女はしばしばナミラを与え、また奪う者として描く。霊魂が深い知恵を見出すまでの間、ナミラは生命を与え奪うのである。

リーチの偉大な霊魂 第4巻Great Spirits of the Reach: Volume 4

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

リーチの民は自然のリズムと時間の無慈悲な歩みを強調する。存在する全てのものは過ぎ去る。高すぎる砦は崩れる。飢えたクランはいつの日か強く成長する。永遠の均衡は課題の主にして秩序の王、ぺライトの仕事である。多くの点において、ぺライトは闘争の至上性を引き立てるために欠かせない存在となっている。戦争や病気は深刻な傷をもたらすが、ペライトは世界が常に自然によって意図された状態へと戻ることを保証する。

多くの文化と同様、リーチの民もぺライトを荒廃と病気に結びつける。しかし他の民とは違い、リーチの民は病気のうちに悪意を見ることはない。むしろその反対である。病気によって消された生命はより健康で、より活発なリーチの民が代わりを務めるための空きを作る。病気は野火のごとく、自然の再生力として働く。豊穣の危機に対する必然的な調整弁である。

リーチ社会におけるぺライトの役割が、多くの重要な点でエドラの信仰におけるアカトシュの役割に似ていることには言及しておくべきだろう。時間や厳格な自然の秩序、圧政者としてのイメージなどは、タムリエル北西で人間とエルフの初期交流の際に、何らかの文化的交配があったのではないかと思わせる。異教的ではあるが、魅惑的な考えである。

リーチの偉大な霊魂 第5巻Great Spirits of the Reach: Volume 5

グウィリム大学デイドラ学部長、ヴァシュ・グラモルガ 著

学者はしばしばリーチの神学を単なるデイドラ崇拝として退けるが、リーチの民の偉大な霊魂はオブリビオンのデイドラ公よりも広い範囲を司っている。多くの人間の文化と同様、リーチの民もロルカーンを尊敬している。彼らはロルカーンをロルク、すなわち人間の霊魂、定命の霊魂、あるいは肉を植える者としている。

リーチの神話で、ロルクは霊魂の女王ナミラを説得して永遠の虚無に居場所を与えてもらい、ロルクはそこで放浪の霊魂のための領域を作ったという。ロルクは活気ある楽園ではなく、過酷で苦痛に満ちた場所を作った。苦難を通じて教える領域である。ロルクの残酷さを嫌う者もいるが、多くは彼の知恵を称える。リーチの民によると、最も激しく苦しむ者が最も優れた知恵を持つという。苦難は知恵と栄光のための手段であり、ロルクは苦難を豊富に提供する。

ロルクは今でもニルンの定命の者がいるところに姿を現すとされている。彼が現れることはとても稀だが、心から必要とされる時には創造した苦痛と悲しみの残酷な世界に進み出て、リーチの民を助けるという。私の調査では、恐れられているブライア・ハートの儀式が、この不死の犠牲を反映するものとして始まった可能性を示唆している。

リーチの狩猟賛歌Reach Hunting Hymn

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

狩りは曲のように始まる
脚は葉を散らし
翼は茨を切り裂く
エルクの影がさまよう
エルクの影がさまよう

果てなき森が手招く
恐怖は鋭く身震いする
狩られることは生きること
試されることは価値あること

逃げよ、小さきウサギ
お前の皮は見事な報酬になろう
肉に当たる歯を感じるがいい
ハンティング・グラウンドが待っている
ハンティング・グラウンドが待っている

果てなき森が手招く
恐怖は鋭く身震いする
狩られることは生きること
試されることは価値あること
試されることは価値あること

リーチの酒Drinks of the Reach

ヴォルジャー醸造所のフィヨリダ 著

リーチの民が近隣の土地に求めるものがあるとすれば、それは味の良い酒よ。ノルドのエール、ブレトンのブランデー、シロディール産ワイン。手に入るものなら何だっていい。リーチの土地の多くは他の土地が大量に産出する、ある種の飲料の生産に必要とされるブドウ園や、大麦畑、あるいは家畜化された蜂の巣に適していないけど、リーチの者はほとんどがお酒を好むの。盗めない場合に限ってだけど、お酒はリーチ人が進んで取引する数少ない日用品の1つよ。

外交的なリーチの民はお酒を取引で入手するけど、外界の商人とあまり接触しないリーチの民は手元にあるもので間に合わせなければならないわ。リーチの奥深くに旅することがあれば、すぐにリーチ産のお酒に出くわすことになるでしょう。そういったお酒は、大抵はリンゴ酒か、「クレフ」と呼ばれる発酵させた汚らしい羊の乳の形を取っている。

リーチのリンゴ酒は濃い色で、かび臭くて、甘い――強引に言えばそこそこ飲める――ものから、済んだ色で、どちらかと言うと慣れが必要な酸味のある造りのものまで幅広い。この風味は、使用するリンゴや圧力をかける年数に依存する。リーチに果樹園はめったに見られないけど、森や川の流域には野生のリンゴの木が豊富にある。そういった地域に住むクランには、それぞれが愛飲するリンゴ酒を醸造するために好んで使う手法があるの。その中には良い酒を産み出すものもあるし、最悪の酒を産み出すものもある。

クレフ。言ってしまえば、クレフとは人が羊しか持たない場合に造り出すものね。こんな代物に耐えられる部外者に会ったことがないわ。それどころか、クレフを好きだと主張するリーチの者は、ただその人がどれだけ不快なものに耐えられるかを証明しているだけなんだと思う。これは勇気を試すものなのね、きっと。でも、ほとんどのリーチの者はクレフが好きだと言う振りすらしないけどね。ただ酔っ払うためだけに飲むの。

うちの優良顧客の一部をリーチの民が占めているのはこれが理由よ。

リーチの食べ物の手紙The Reach Food Letters

ロングハウス帝の即位直後、シロディールの人々はリーチについてより詳しく知ろうとした。彼らを魅了した中には、帝都の宮殿から香る奇妙な食べ物の噂もあった。商人の娘がマルカルスの父から来た手紙を出版すると、すぐにベストセラーになった。これは最新版である。

***
親愛なるハイパティア

壊れた荷車を修理するためにあまりにも長くロリクステッドに滞在してしまったこと以外は、何事もなく到着した。リーチは君のお母さんが言ってた通りだと思う。弧を描く地形と景色を数えきれないほどの地区に分断する岩山。マルカルス自体は立派だが、石板の上に積まれた毛皮の山はベッドの代替品としては貧弱だ。

子供たちは寂しがってないか?マルカルスに向かう途中でガイドと一緒に経験した、思いがけない出会いのことを子供たちに伝えたいんだ。あの子たちが眠りにつく前に、これを読んで聞かせてやってくれ。

やあ、チビちゃんたち。父さんは遠くにいるけど、夜が明けるたびにお前たちのことを思ってるよ。父さんはリーチにいるんだ!ここは変わった場所で、変わった人たちが住んでいるよ。獰猛で、知らない人を嫌う意地悪な人たちだ。でも運が良かった!父さんのガイドはあのリーチの者のクランを知ってた。その人たちはごちそうの会をして、父さんも混ぜてくれたんだ!
リーチでごちそうはめったに出ないんだよ、チビちゃんたち。厳しい土地なんだ。うちの方みたいにブドウや小麦が育ったりはしない。彼らは固いものを食べる。例えば干し肉とか、じゃなきゃ大麦みたいな、私たちなら動物に食べさせるようなものだ。だけどごちそうの日は違う!たくさんの料理をクランで分け合うんだ。リーチの者は自分の狩猟ナイフと、浸して食べるためのパンの皮と、時々はヴァレンと呼ぶ短いキルティング用の針みたいな道具を使って食事をする。

父さんはできる限り色々なものを食べてみた。一部を紹介しよう。

ハーシーンの分け前はごちそうの主役だ。スパイスを効かせて骨を抜いた何匹かの動物が動物の中に詰まってる。父さんのごちそうはウサギが詰まったライチョウで、それが山羊に詰まっていた。その山羊は雌鹿に詰まっていたんだ!もっと大きなクランでは丸ごとの雄牛から始まって、最後はネズミで終わるらしい!

リーチのスープはもっと控え目だ。彼らはある種の苔がついた石を見つけて、それを鍋の中で煮る。それでできた薄いスープは深い酸味のある味がする。ごちそうの日のために、スープにオーツ麦を混ぜてある種のお粥を作る。

スモークした鱒と鮭はミルクで料理して、栄養たっぷりのシチューを作る。このシチューは鮭が産卵のために川の上流へ向かって泳いでいく時期には、とても頻繁に食べるんだ。その時期には小さな子供でも、岸から手で捕まえることができるんだよ。フォースタス叔父さんの別荘で、初めて魚を捕ろうとした夏のことを覚えているかな?

アルドノットはお菓子のようなものと考えられている――干し肉の組み合わせを叩いて粉にして、溶かした動物の脂と混ぜてペーストを作るんだ。これを長い糸みたいな形にして、何か小麦粉のようなもので覆う――粉の名前はどうしても覚えられなかった――そうすると複雑な結び目の形にできる。結び目の形はリーチの者の心に響くらしい。何故だかは分からないが。

魔女の水は試した中で一番面白いものだった。植物と種の秘密の組み合わせを石の車輪ですり潰してペーストにして冷たい水と混ぜる。出来上がったものは触ると個体だが、かき混ぜると液体なんだよ。見た目はすごいが全く味がない。だけど妙に食べ応えがあるんだ。

リーチのパンは帝国で食べるようなローフとは全然違う。リーチの民はいろいろな根を掘り出すと、茹でて皮を剥いてから壺に入れて火の側に置く。そこからすくったものが焼く前のパン生地みたいなものなんだ。このパンの皮は素晴らしいぞ。

リンゴは大抵石のボウルに入れてある。ボウルにはクリームが満たされていて、火の側に置いてあるんだ。ほぼお行儀のいい子供だけがもらえるものだ(これは1つ食べて少なからぬ視線を浴びてしまった後に分かったんだよ!)。

ロウソクの火が消えるぞ、子供たち。今夜はここまでにしておこう。次の手紙を楽しみにしててくれ!

みんな大好きだよ。

父さんより

リーチの政治Politics of the Reach

第二紀578年、アルドの行政官、執政官カルデア 著

アルド・カダッチの指示により、私はマルカルスでリーチの民に仕え続けています。帝都からマルカルスに送られた理由は、レオヴィック皇帝自身がマルカルスを助け、シロディールとリーチの架け橋になるよう望まれたためです。現在ルビーの玉座に座る者から追加指令は受けていませんが、私は退出して故郷に帰るものと考えていました。アルド・カダッチが私の行政管理能力を保持したいと望まれたため、私はここに残っています。新しい皇帝が興味を持たれた場合に備えて、職務中に学んだことをここに記録します。

まず、リーチは1つの国ではなく2つの国だと考えたほうが良いでしょう。マルカルスと荒野です。伝統的に、誰であれマルカルスを統治する者は荒野に対してほとんど権力を行使しませんが、一方で荒野の強力なクランの雑然とした集まりには、リーチの都市を支配する力も意思もありません。マルカルスが弱い指導者の統治下にある時――もしくは時々あることですが、完全に統治者が不在の場合は――影響の輪が縮小します。強い統治者がマルカルスを掌握している時は、都市の力が近隣の土地にまでおよび、西リーチのクランは、名目上そうではなかったとしても、実際にはマルカルスの権威を認めなければなりません。長きに渡るリーチの物語は、領域を形作ろうとするマルカルスと、拡大する街の権威に激しく抵抗するマルカルスの外のクランの物語です。

リーチに対処する上でとても困難なのは、それぞれ独立したクランが自らを独自の政治機構だとみなしている点です。自由に襲撃し、取引し、戦争を起こし、クランが選んだ相手であれば誰とでも手を結びます。リーチとの間に長く続く平和を築くためには、数多くのクランと交渉しなければなりません。中には激しく憎み合うクランもあり、彼らは決して敵が受け入れることを選んだ平和を守ることに同意しないでしょう。驚かれるかもしれませんが、これは新皇帝のような外国の支配者に当てはまるのと同様に、マルカルスの支配者アルド・カダッチにとっても当てはまります。いくつかのクランの族長にとって、アルド・カダッチは単に並立した族長であり、彼に服従することは、他の同格の者へ服従するのと同じなのです。実際、彼らはアルド・カダッチをとても懐疑的な目で見ています。彼らのことも支配するつもりでいると信じているのです。

幸い、全てのリーチの民があらゆる人やものを敵にしたいと思っているわけではありません。アルド・カダッチは独立したクランに対し、思慮深く対応しています。彼はマルカルスの利益が直接脅威にさらされた場合にのみ行動を起こします――たとえば、シェイドフェザーのような敵意のあるクランによって、マルカルスへの道中が危険になる場合や、ボーンシェイパーのような境界にあるクランが隣接したクランに対し、全てのリーチの民を対象にして無差別に報復するよう促している様子が見られた場合などです。同様に、比較的規模の大きいクランの大部分はお互いに微妙な友好関係を保っています。無謀な対立を煽るクランは、高い確率で大規模なクランに対抗する他のクランの同盟関係を生じさせます。その上で、全てのリーチの民はマルカルスが中立地帯であるべきだと考えています。そこに行き、取引をしたいと願うあらゆる荒野の者に対して開かれているべきだと信じているのです。リーチの多くの人には、粗削りで用心深い平和のようなものが適しているのでしょう。

荒野での権力は主に有力なクラン(イーグルシアー、シックスフォード、リバーエルク、ソーンルートなど)が握っていますが、リーチには我々がアルド・カダッチの壁を越えてクランとの取引を望む時に考慮すべき慣習があります。「大族長」です。これは通常、味方と敵の両方から尊敬の念を勝ち得た族長が獲得する、ある種の「名誉族長」の称号です。大族長は、最も頑なで外国のものを嫌うクラン以外の全てのクランに対して、影響力のある道徳的権限を行使します。現在、大部分のクランはカニアーという元リバーエルクの族長を大族長として認めています。カニアーは紛争の裁定人であり仲介役で、現役時代は抗争の解決や同盟の修復などを行いました。敵対心の強いクランはカニアーを干渉者と見なし、どちらかと言えば軍事的な指導者の方に従いますが、彼女が死ぬか地位を手放すことを選ぶまで、荒野における彼女の声は大きな力を持ち続けるでしょう。

とても危険な狩りや強力な侵略者を撃退するなど、クランに協力が必要な場合は大族長が一時的な指揮権を得ます。脅威が去るまで、戦略と反応を調整するのです。

アルド・カダッチとマルカルスの民と働く過程で、私はこのような政治状況を理解しました。

リーチの捜査官ヴェイルInvestigator Vale in the Reach

高名な犯罪の解決者にして謎解きの名人、捜査官ヴェイルの紹介は不要だろう。野生のリーチにさえその名は轟き渡っているのだから。ヴェイルをスキングラードからソリチュードへ運んでいたキャラバンは、ファルクリースで停留して北に向かった時、リーチの民の略奪者に襲撃を受けた。

キャラバンの荷馬車4台のうち3台は逃げ延びたが、4台目のヴェイル捜査官を乗せていた荷馬車は車軸が壊れ、たちまち略奪者に包囲されてしまった。キャラバンの護衛4名は武器を掲げ、荷馬車と品物、乗客を守って死ぬ覚悟を決めたが、その時捜査官が客席から飛び降りて前に進み出た。

「リーチの慣習に従って、恩の交換を申し出たい」とヴェイルは言った。リーチの民の伝統を調査した時のことを思い出したのである。「こちらの通行の安全を保証してもらう代わりに、クランの族長にしてあげられることが何かあるでしょう。私は捜査官ヴェイルよ」

略奪者の間で、不愉快そうな囁きが交わされた。言うまでもなく、彼らは破壊と略奪を望んでいたのだった。他と印象の違う女性が前に出てくると、略奪者は沈黙した。明らかにリーチの魔女だった。そして彼女がこの略奪者のリーダーなのも明らかだった。

「私はオラーナ。スピリットテイル・クランの族長よ」と彼女は誇り高く、力強い声で言った。「お前は本当に、ハイロックから来た伝説の謎解き人なの?」

「謎解き人、という呼び名はぱっとしないけれど」ヴェイルは言った。「でも、私は捜査官ヴェイルで間違いない。解決してあげられる犯罪や殺人事件はある?」

オラーナ族長は笑みを浮かべた。「殺人はない。少なくともまだ。だが、複数のクランがフロルダンの環の霊魂に捧げた供物が消え続けている。すでに私のクランと他2つのクランが戦いになるところだった。誰かが供物を盗んだのではないかとね」

ヴェイルは若い男女の狩人が、他の略奪者の間で目立つまいとしていることに気づいた。しかしオラーナが状況を説明している間、2人は互いに緊張した視線を交わし、彼らの頬は赤くなった。

「いいでしょう」とヴェイルは言った。「受け入れます。この謎を解いて、代わりにリーチの領地を安全に通行させてもらうわ」

「それならば儀式を…」とオラーナ族長は言い出したが、ヴェイルは手を振って2人の若い狩人の元へ歩いていった。

「彼らが犯人よ、オラーナ族長」とヴェイルは宣言した。「悪意はなかった。いたずらのつもりだったんでしょう?」

若い狩人は2人とも同意を示すようにうなずいた。明らかに恥じており、次に何が起きるのか不安がっていた。

オラーナ族長は眉をひそめて言った。「狩人のいたずら。なるほど、覚えている。私もかつては若かった。この2人よりも。彼らはクランに報いる必要があるが、それは私たちで何とかしましょう」

「素晴らしい!」とヴェイルは言った。「では私たちは進んでいいのね。約束通り、安全に通行できるんでしょう?」

「安全に通行できる」と族長は笑顔で言った。「儀式の後でな。ここではあらゆる物事に儀式がある」

「そうでしょうとも」とヴェイルは言った。「まあ、失礼にはなりたくないし…」

リーチの魔女の詠唱Reach Witch Chant

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

心に留めよ、血を分けた者よ
高らかな我らの歌を聞け
我らの時に猶予はない
影が長く伸びるとき
大きな目を持つ
強き霊魂が待つ
狼の牙は鋭さを保つ
群れを救うために

心に留めよ、偉大なる野獣よ
高らかな我らの歌を聞け
雄鹿の角は肉体を貫く
腱硬く
筋肉は締まり
我らを通じて力を与えよ
我らが霊魂は降り注ぐ
土の上に
汝への褒美のために

心に留めよ、黒き虫よ
高らかな我らの歌を聞け
無で満たされた
我らの飢餓を知れ
腐敗の活力
虚無の力が
我らの胸を空にする
魂と、求めるもので

リーチの旅行ガイドA Reach Travel Guide

カムハイン・サルン 著
(第二紀558年に書かれたもの)

偉大なる我らがダーコラク帝の生まれた地を訪ねたい?お前たちはリーチをどう見ている?リーチは自分に属している者を知っている。それを詐称する者は誰であろうと飲み込んでしまう。だが、私の叔父を他の全ての者の上に立つ存在に作り上げた地を目にしたいなら、導きを与えよう。そうすればお前たちも跪き、彼がその正しき征服の際に与えた慈悲に感謝するだろう。

まず霊魂の祠を訪ね、今歩いている地の所有者に供物を捧げるべきだろう。リーチに神々の慈悲はないのだから。しかしその前に、民の許しを請わねばならない。さもなければ彼らは以前に来た者たちと同様に、お前たちも追い払ってしまうだろう。クランと霊魂を鎮め、正しく通行許可を得たなら、この旅を生き延びられるかもしれない。

カースワステンの村で休息を取れ。ここには侵入者を侮辱せず、取引を求めてくる者に会えるだろう。物々交換のための品物を持ってくるのが最善だが、民は取引に我らが帝国のゴールドを尊重する。無価値な硬貨をリーチの民の労働の成果と交換させてもらえることを、皇帝に感謝するがいい。

さらに西へ向かえば、深き民の領域の残骸を見ることができる。彼らは石を手にして荒野を征服したと思い込んだが、結局飲み込まれてしまった。石の都市マルカルスは、鳥の骨のように生気がなく、空のまま残っている。リーチの多くの者は、動けない石に住み着いて霊魂の怒りを招くようなことはしないと決めた。だがああいうがらくたを好むなら、ドワーフの玩具がいくらでも見つかるだろう。北の遺跡にもあるが、その名前は口にしたくない。

南へ向かえば、ノルドが我々の土地に刻んだ石の傷がある。この地を手なずけようとしたの失敗の名残だ。ブライアロックとロストバレーの遺跡は、今ではリーチの正当な支配者しか受け入れていないので避けた方がいいだろう。あそこにいるクランは、占拠した地を全力で防衛するからだ。あそこに行ったら、愚かなノルドの死体を数えてみろ。ヴァルスムという墓地で丸太のように積み上げられている。リーチの土もノルドの骨は受け入れないからだ。

飼い慣らされることも、帝国に保護を求めることもないこの地に対する敬意が芽生えたか。ここでは強く生き残る者に育たなければ食料にされる、懐の深い地でもあることが分かるだろう。道なき道を行き、裸足で大地を感じ、葉のこすれる音に耳を澄ませ、霊魂の声を聞け。慣れ親しんだ快適な生活を捨てて1ヶ月過ごせたなら、リーチに帰る資格があるかもしれない。

レディ・ビレインからの手紙Letter from Lady Belain

ペンターチ・ハウトリングへ

魔女の反乱軍が街の南と東で、私たちの努力を無駄にし続けています。念のため言っておきますが、マルカルスでの私の陰謀は、あの好戦的な野良犬が自由に走り回っている限り実を結びませんよね?度重なる失敗が気付かれずに済むことなどありませんよ、ペンターチ。

あなたの使者は、灰の王の召集状を何事もなく届けました。珍しいですが歓迎すべき成功です。私は間もなくヴァルスム墓地へ向かいます。おそらくここのところのあなたの失敗については、徳高き指導者に伝えないでしょう。

今のところは。

血によって結ばれた
レディ・ビレイン

虚無のポータルVoid Portals

アークスザンドのキーストーンの捜索中、他の者たちが消えて久しい。レディ・ビレインと灰の王は蔵書庫に入るために必要としている。だが、この力についてもっと多くを知る必要がある。この遺跡の人気のない静けさは、研究を行うには完璧な環境だ。心を持たないコンストラクトと、力の穴の間を一瞬にして飛んでいく奇妙な、ゆがんだ影以外に邪魔をするものもない。レディ・ビレインはこの虚無のポータルを使えるようだ。きっと私は自力で秘密を掴むことができる。

* * *
レディ・ビレインが闇の遺物に関する秘密を守っていたにもかかわらず、私は突破口を切り開いた。遺跡に集中している力を調査していたら、闇の内部から生じたと思われる、小さな欠片を発見したのだ。

それぞれの欠片には重さがあり、まるで力が外側にあるものを内部に向けて引っ張っているようだった。集中したら、周囲の力の穴にも同じ引力を感じられるだろう。欠片はそれぞれ、まさしく出て来た力に向かって戻ろうとしている。これを持って近づいたらどうなるだろう?

* * *
新たな発見だ!欠片を持って力の穴に近づいたら、謎が明らかになってきた。引力は近づくにつれて強くなった。突然、滑ったとしか言いようのない感覚がした。まるで滑って転んだかのようだった。それも下ではなく、横に。辺りを見回すと、どこか新しい場所に来ていることに気づいた。私は欠片と共に、力を通じてこの新しい場所に引っ張られてきたのだ。

力を利用することで、この遺跡の長く閉じられていた扉が私に向かって開いた。結局のところ、蔵書庫に入るのにアークスザンドのキーストーンは必要ないのかもしれない。少なくとも建物に入るためには。レディ・ビレインのことだ、キーストーンには、彼女がまだ灰の王に明かしていない別の機能があるに違いない。

ペンターチ・シーヴェルネス

見習いグウェリナへの手紙Letter to Apprentice Gwerina

見習いグウェリナへ

お前がまだ文字に悪戦苦闘していることは知っている。だからこの手紙は手短にしよう。カース峡谷に闇が襲い掛かった。賢い者たちはマルカルスの石の壁の背後に避難している。アルド・カダッチが目を光らせている場所だ。だが、どんなに危険でも自分たちの領域を放棄することを拒むクランもある。

アルドは寛大にも、アリーナの王、我らの狩猟の父ハーシーンの新しい祠を設置する目的で広間を使う許可をくださった。

そこで合流しよう。この祠を正しく設置できるように、フロッキベグの象徴を持って来てくれ。マルカルスで待っている。

大呪術師グリンロック

古代の霊魂を称えよHail to the Ancient Spirits

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

ハーシーンを称えよ、狩りの王を
森と丘を統べる者
生けるもの全ては追うか逃げる
死によって止まるまで

ナミラを称えよ、霊魂の女王を
糸を編む、沈黙の産婆
あらゆる始まりには終わりが要る
生と死の闇の母

古代の霊魂を称えよ
師として練を与える、いついかなる時も
厳しい教訓は必要なもの
敵だらけのこの世界には

モラグ・バルを称えよ、苦痛のデイドラ公を
暴虐の主人、災厄の王
殺し戦うための力を与えし者
人は争うべき存在なれば

古代の霊魂を称えよ
師として練を与える、いついかなる時も
厳しい教訓は必要なもの
敵だらけのこの世界には

古代の霊魂を称えよ
古代の霊魂を称えよ

荒野で生き延びるヒントWilderness Survival Tips

冒険者兼年代記編者、ジェメル・マラエニウス 著

リーチは無情な地であり、無情な地は無情な人々を産み出す。この地域の過酷さに慣れていない人にとって、準備もせずに赴くことは通常死刑宣告を意味する。だからと言って、人は挑むことをやめない、当然ながら。たとえ当人がいかに危険にさらされる可能性があろうと、私は人が冒険することを非難するような人間ではないが、リーチの者なら彼らの土地をもう少し生き残りやすく旅するためにはどんなことを提案するのだろうかと、かなり以前から考えていた。

そういう訳で、自分自身のために明らかにしたいと思う。

話をした数少ないリーチの者のうち、約3分の1が真摯に回答してくれたものと推定する。ここに最も有益な見識をまとめた(クスッと笑ってしまったものも少々含む)。

狼からの攻撃の生き延び方
「逃げるな。自分のいる場所に立ち、狩人としての権威を狼に尊重させろ」

「臆病者は木に登る。真の戦士は近くの小枝をつかみ、獣をかわす!」

「祈ってみろ。お前らには少なくとも時々は効くみたいだ」

「腐った魚の中に身を隠せ。じゃなきゃ何でもいいから本当に嫌な臭いがするものの中だ。狼は繊細な鼻を持ってる。酷い臭いを放ってたら、彼らもしり込みするだろう」

蜘蛛の噛み傷の最良の治療法
「ただ耐えるだけだ。毒に対する耐性がないのなら、多分リーチを歩き回るべきじゃない」

「取り乱すな。ただ毒の回りが早くなるだけだから」

「運よく手足に噛みつかれたのなら、それを切り落とせ。確実に生きて朝日を拝みたいなら、それが一番手っ取り早い」

「蜘蛛にもよる。きちんと違いを知っておくことだ」

道に迷ったら
「水の音を聞け。音の源を見つけたら、流れに従って進め。最終的には誰かを見つけるだろう」

「迷うなら昼間にしろ。リーチで夜が来たらお前は足の折れたウサギ以外の何者でもなくなる」

「リーチの者に道なんか聞くな」

ハグレイヴンに遭遇したら
「お前の死を望むハグレイヴンに出くわしたら、できることはそれほどない」

「お前たちよそ者はみんな理解できないものを酷く恐れる。まるで暗闇を嫌がる子供のように。だが、もし生き延びることを強く求めるなら、とにかく逃げろ。ハグレイヴンはそれほど速く動けない。少なくとも、俺が見たやつはみんなそうだった」

「理由があってハグレイヴンがお前に目を付けたのなら、おそらくお前はそういう運命なんだろう」

熊から逃げるには
「幸運を祈る」

効果的な狩り
「狩る者と狩られる者の関係以上に神聖なものはない。そのつながりを尊重すれば、魚を突く時であれ、矢をつがえる時であれ、ハーシーンはお前の努力に微笑むだろう」

「もし、より強い動物がお前の仕留めた獲物を奪いに来たら、奪わせておくがいい。勝てない時を知っておけ」

「誰かが仕留めるのを手伝ってくれるなどとは期待するな。唯一の真の狩りの報酬は、自身の自立から得られる」

「狼の隙を確実に狙え」

食用の虫
「食べるために足元の虫をかき集める者を見下す奴は、明らかに苦境とは無縁の人生を送ってる」

「蟻をすり潰してペースト状にすると飲み下しやすくなる」

「何だろうが鮮やかすぎる色のやつは食うな。お前にとってもその虫にとっても、ろくな結果にならない」

婚約者たちからの手紙Letter from the Intended Couple

大族長カニアー様

申し訳ございません。あなたが達成されるよう願っていることが何なのかは分かっています。でも、私たちにはやり遂げられません。

エスリンとマデアルン

再び戦うために立つWe Rise to Fight Again

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

悲鳴が聞こえる
息をもらし
急襲を感じ
死を感じ
縫うように前進し
一団を抜ける
命を奪う
その手で

彼らは止まる?
さらに見える
彼らが来る
そして戦う
我らは固守する
血が滴る
たじろぎ
彼らの袋が満ちる

故に我らは裂け目に突き進む
鋭い戦いの声とともに
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
故に衝突は続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れた
それでもまだ敵は来る

では狩ろう
全ての獲物を
人であれ
迷い犬であれ
安らぎはない
恐怖はない
彼らは
ここに来るだけ

彼らは止まる?
さらに見える
彼らが来る
そして戦う
我らは固守する
血が滴る
たじろぎ
彼らの袋が満ちる

故に我らは裂け目に突き進む
鋭い戦いの声とともに
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
故に衝突は続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れた
それでもまだ敵は来る

我らは真の自然の姿で
再び戦うために立つ
全ての苦痛を叫ぶ
我らの敵は決して勝たない

そして我らは裂け目に突き進む
大いなる戦いの叫びと共に
彼らがリーチの全てを奪い
クランの全てを殺すため
けれど衝突はいつまでも続く
血が地面を湿らせる
涙はもう枯れ果てた
そしてまだ虐殺者が来る

深き墓にてIn the Deep Tombs

深き墓に入ってから今日で34日目。だと思う。

ボス・トレンロルが俺をここに投げ落とすとは信じられない。忠実な兵士だったのに!彼の要求は全てこなしたのに!まあ、「ほぼ」全てだが。

ボス・トレンロルにはむらっ気がある。一緒に笑っていたかと思うと次の瞬間には怒鳴りつけられる。死ぬ一歩手前まで殴っておきながら、その後自らの手で治癒の湿布を貼って、回復するまで一緒に座っている。それにかんしゃく持ちだ。金だろうが品物だろうが血だろうが、要求するものを相手が出さなかったら、俺と仲間に急襲させて何人かを見せしめにする。「群れを行儀よくさせるためだ」というのが口癖だ。

何人かは考え付く限りの恐ろしいやり方でただ殺す。残りは捕まえて深き墓に閉じ込める。ボス・トレンロルは常に、新鮮な血が自分の手に供給されることを好む。彼は何人かを狂血鬼に与えるのも好きだ。ちょっとした気晴らしのために。

とにかく、ボス・トレンロルにフレイレスの喉を裂けと言われたときは冗談だと思った。時々そういうことをする。忠実な従者をとんでもない残虐行為をすると言って脅す。ただ反応が見たいがために。この時は本気だったみたいだ、多分。喉を切り裂かずに笑ったら、まるで野生動物みたいに向かってきたからな。無茶苦茶殴ってきやがった。

気付いたら、数年来の友達や仲間の吸血鬼たちが俺をひきずって深き墓に入れるところだった。そして、俺が自分の手で投獄した定命の者の、すぐ横にある監房に俺を投げ入れた。屈辱的だった。1週間か2週間俺をここに入れておいたら、ボス・トレンロルは俺を出してくれるだろうと思った。教訓は学んだと。だがもう4(いや、5か?)週間にもなるし、俺は飢えてる。近くに血の臭いがする。ほとんど味もする!だが俺に血をくれる衛兵はいない。ほんの一口でさえ。

俺は忘れられたのだろうか。それとも俺を飢えさせて、野生化させることが前からの計画だったのだろうか。もしかしたら、離れると決心したカサドの考えは正しかったのかもしれない。彼がフレイレスを連れて行かなかったのには驚いたが、きっと戻るつもりなんだろう。だがもしそうしたら、俺と同じ結果になるだろう。

深き民の怖い話、第1巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 1

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

親愛なる読者諸君。「怖い話」の新たな書へよく戻った。今日は謎めいた驚異の街、マルカルスの内
部から諸君に書き送ろう。絶滅したドワーフによってはるか昔に築かれたこの街は長く存在し続け、現在はなかなかの信望を集めるリーチの戦士、アルド・カダッチの元に団結した、リーチ部族の集団の本拠地となっている。アルド・カダッチはリーチの人々を一つの旗に集結させた、いとこのレオヴィック以来初の族長だ!

公明正大な作家による、解決も解明もされていない前作の物語の書物「ドルアダッチ山脈の怖い話」が大好評を博した後、この旅の物語の語り手は他ならぬアルド・カダッチその人からマルカルスの街に招待された。アルドは、「リーチは野蛮人だ」という印象(諸君の公明正大な作家は決して伝達するつもりなどなかった印象だ、もちろん!)を正し、我が指導者の全員に、リーチの人々にも全ての人々と同じように、壮大な文化と物語を伝える豊かな伝統があることを思い出させることを望んでおられる。

そこで、我が後援者たちと作家仲間の助言に反し、私はアルド・カダッチに会い、彼の民の長く語り継がれた物語を不滅のものとするため、長く危険に満ちた旅に出発した。
以下はつつましい作家によって初めて集められた、マルカルスのリーチの民による、リーチにおける奇妙で説明のつかない出来事に関する3つの物語だ。それではお気に入りの椅子に腰を落ち着け、ハチミツ酒を手にして、夜の暗闇にランターンを灯したなら読み進めたまえ。勇気があるなら、だが

* * *
暗き場所の魚人

最初の話は歴史の守り手を意味するリーチのヴァテシュランから聞いたものだ。彼女のクランはマルカルスの上にある山の中に、何十年も暮らしていたそうだ。彼女は言った。何年も昔、驚くほど人間にそっくりな生き物が、クランが暮らす場所の下にある洞窟に出入りしているのを見たという斥候からの報告があった。

最初、クランの者はそれをゴブリンだと思った。だがこのゴブリンには毛も目もなく、まるで魚のような生気のない灰色の肌をしていた。このクランが呼ぶところの「魚人」は決してキャンプに近づかず、その中にいるリーチの者を攻撃することも絶対になかった。だが、クランは明らかに忌まわしきものたちとの共存を拒んだ。

族長が戦闘部隊を結成し、彼らを率いて地下の洞窟の中に入っていった。彼らは魚人たちを追い出し、クランの縄張りを取り戻すことを固く決意していた。ところが、部隊が抵抗にあうことはなかった。洞窟中を探し回ったあとでさえもそうだった。戦闘部隊が結成されるほんの数時間前に、多数の魚人が洞窟に入ったと斥候が報告してきたにもかかわらず、彼らが洞窟の中で魚人の痕跡を見つけることは一切なかった。

その夜遅く、夜明け前の最も暗い時間に、最初の襲撃が行われた。数人のリーチの者が音もなく殺され、彼らの遺体が無残に晒され、他の者は完全に消滅していた。族長は再び最強の戦士を集め、クランを襲って殺害した魚人たちを根絶やしにするため洞窟に乗り込んだ。そして、今度も丸一日をかけた捜索で、見つかったものは空の洞窟だけだった。

その夜、クランは警戒状態を保っていたが、新たな襲撃はなかった。その後数週間にわたり、彼らは毎晩見張りを立てた。だが、さらなる襲撃は行われず、魚人たちを目撃することもなかった。一月以上が経ち、族長はついにクランの者たちに通常の見回りを再開することを許した。するとまさにその晩、魚人たちが再び襲撃した。今度は残された長老の遺体が山の上に吊るされ、さらにひどいことに子供たちが何人か跡形もなく姿を消してしまい、それきり行方不明になった。

またしても行われた卑怯な攻撃、そしてクランで最も弱い存在に対するとてつもなくむごい襲撃に憤った族長は、正義の怒りのために我を忘れた。彼女は魔女と呪術師を呼び集め、近くのクランから魔法の支援を受けた。彼らは次々にクランの地下洞窟を封じて行った。彼女は山中の傷を怒りと、魔法と、意志の力で崩壊させた。仕事を終えたとき、洞窟の中にあるのは砕けた岩だけだった。

クランはその後何ヶ月も警戒を解かなかったが、新たに攻撃されることもなく、魚人の姿が目撃されることもなかった。賢明な族長は洞窟を封じたが、十分に行われていない報復が今も彼女と彼女のクランを苦しめている。彼らは尋ねる。あの魚人たちは何者だったのか?如何にして洞窟の中で、見えないように隠れることができたのか?

深き民の怖い話、第2巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 2

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

次の物語は宿屋〈川の恵み〉で会ったリーチの斥候、マルコルのものだ。彼は感動的な音楽と青春と悲劇の物語を伝えてくれた。若い斥候の物語を信じられるかどうか、親愛なる後援者の諸氏にはぜひお読みになって判断いただきたい!

* * *
山の下からの音楽

リーチの民の大部分は、大昔に消えたドワーフが残した、永遠の恐怖が付きまとう遺跡を忌避するが、例外もいる。マルコルとエサナという2人の若いリーチの斥候はある日、クランの誰も行きたがらない場所を探検しようと決めた。彼らは名を挙げるため、山の下にあるドワーフの遺跡に向かったのだ。こうして2人はいくつもドワーフ都市の奥深くへ進み、オートマトンやさらに凶悪な敵と戦って、勇気を証明しようとした。

こうしてドワーフ名は知られていないが、リーチの民がダークホロウと呼ぶある遺跡の深部を探検していた時、エサナが最初に山の下からの音楽を聞いた。マルコルは全力で耳を澄ませたが、何も聞こえなかった。しかしエサナは嵐のように大音響で音楽が聞こえると言い張った。彼女はどこにいても聞こえると言った。

エサナは何度もマルコルにその音楽を説明しようとした。それは真鍮の鳥が暗闇の中で奏でる歌、歯車と岩の交響曲、蒸気と炎の賛美歌、などだった。しかしエサナは山の下の音を辿り、マルコルも彼女に付き従ったが、2人ともこの謎めいた音楽の源を突き止められなかった。

マルコルが私に語ったところ、そのうちエサナは音楽に執着するようになり、マルコルと共にキャンプに戻った後も音楽を口ずさんだ。彼の話では、眠っている時もやめなかったという。彼女の口笛は美しいものではなかったが、奇妙に心に響き、今になってもマルコルはエサナの無味乾燥な口笛を頭から追い払えないという。

エサナは毎日ダークホロウへ行きたいと主張し、クランの斥候としての任務を放棄するようになった。そのうちクランのウィッチマザーがマルコルとエサナの2人にダークホロウへ行くことを禁じた。その次の日、ウィッチマザーの怒りを買いクランから追放される危険まで冒して、エサナは最後にもう一度ダークホロウへと向かった。

ウィッチマザーはマルコルがエサナを追うことを禁じたが、彼は禁を破った。幼馴染の友人は獲物を見つけるまで戻らないと確信していたからだ。マルコルはエサナが自分にしか聞こえない山の下の音楽を探して、正気を失うのではないかと恐れた。もう二度と帰れないほどの奥まで進んでしまうのではないかと。マルコルは遺跡の外でエサナの荷袋を見つけ、できる限り奥深くまで進んだ。

マルコルの捜索は悲劇に終わった。最終的に、彼が幼馴染のエサナに関して見つけたのは、ダークホロウの最深部に置かれた、笑顔が落書きしてある動物の皮だけだった。マルコルは悲しみに沈みながら、絵の意味を完璧に理解した。彼は悲痛な気分になった。

「見つけた」と落書きされた絵は言っていた。それはエサナが親友のために残した、最後のメッセージだったのだ。

それ以来、エサナの姿が見られることは二度となかった。

深き民の怖い話、第3巻Scary Tales of the Deep Folk, Book 3

旅の作家、カッシア・ヴォルカティア 著

マルカルスのリーチの民は謎と魔術に満ちた、数多くの暗く悲惨な物語を抱えている。その数があまりに多いので、一介の作家にはどの物語から記録すべきか判断が難しいほどだ。しかし夜中に火の側で語られ、私が聞くことを許可された全ての物語の中で、血を流す木の物語は最も不気味で奇妙な話だ。ご堪能あれ!

* * *
狩人と血を流す木

この物語は最も高齢のヴァテシュランの大半よりも古く、何世代にもわたってクランからクランへ受け継がれてきたもので、数多くのバージョンが存在するが、始まりは全て同じだ。あるリーチの狩人が昔々、暗い森の鹿に向けて矢を放った。しかしその時、何か他の動物が近くで小枝を折った。大きな音に驚いた鹿は飛び跳ねて駆け出し、狩人の矢は背の高い古木に突き刺さった。

逃げた夕食と運のなさを呪いながら、狩人は矢を回収に行った。しかし木のそばまで近づくと、彼はなんとも奇妙な光景に出会った。鋭く正確な彼の矢尻は、ねじれた高い木の皮を貫いて深く刺さっていた。その木の傷口から、輝く赤の液体がこんこんと流れ出ていたのである。

最初、狩人は樹液がこういう色をしているのに違いないと思った。しかし近づいて見れば見るほど、木は血を流しているのだと確信した。木の皮から流れる赤い液体を味見すると、その考えは確信に変わった。彼の矢を受けたこの木は、明るい色のしょっぱい血を流したのだ。狩人は困惑した。

真相を突き止めてやろうと決心した狩人は、ナイフを取り出して木を突き刺した。よく磨かれた鋭い骨の刃は、暖かい木の皮をいともたやすく貫いた。狩人が傷を付けるたび、そこからさらなる血が流れだし、なぜ木が血を流せるのかを理解できない狩人は何度も突き刺した。物語のあるバージョンで、狩人は木を傷つけたことに罪の意識を覚え、苦痛から解放してやろうと思った。別のバージョンでは、木の血を味見した狩人は怒りの発作を起こし、それまで感じたこともないほどの戦いの憤怒に駆られた。

理由は何であれ、物語のどのバージョンにおいても、狩人は傷口が無数に広がるまで木を刺し続けた。木の足元の血だまりはすぐに、彼の足首が浸るほどの深さになった。流すはずのない血を流し、死ぬ様子もないこの木に対する攻撃で疲れ果てた狩人は、矢を回収して立ち去った。クランを探して自分が見たものを知らせようと決心したのだ。狩人は自分の頭がおかしくなったのかどうかを知りたかった。

次の日、狩人とそのクランは血を流す木のあった場所まで戻ってきたが、そこに木はなかった。塩気を含んでいて不気味な、乾いた黒い血だまりだけが残っており、それが木々の葉の隙間に開いた穴から差し込む太陽光を吸い取っていた。昨日までこんな穴は絶対になかったと、狩人はクランに言った。

狩人の仲間たちは笑い、どうせ血は死にかけた動物のものだろうと言った。しかしその彼らでさえ、これほどの血だまりを作っておきながら死体も残さない動物など考えつかなかった。地面に痕跡は何もなく、体を押しつけた跡もなかった。ただ円形の、不気味な血だまりがあるだけだった。

時が経つにつれ、クランも木を傷つけた狩人も、この問題を気にかけなくなった。この事件はそのうちに焚火の側で話す物語に過ぎなくなった。狩人が奇妙な木を傷つけてから、ちょうど1年が経った。

その朝、狩人が朝食に姿を見せなかった後で、クランの他のメンバーたちはテントの中に彼を発見した。狩人の胸には本人の矢が突き刺さり、無数の刺し傷が体中につけられ、気味の悪い自らの血の海に横たわっていた。

しかしテントの中にも外にも足跡は見つからず、斥候の報告では前の日の夜にキャンプへ入った者も出た者もいなかった。クランの族長は不運を呪いつつ、狩人の死体とそのテントを燃やすよう命じた。彼を襲った森の霊魂か何かを鎮めようと思ったのだ。その後クランはこの区域を去り、荒野のこの部分に二度と戻ってこなかった。他の誰かが、また傷ついた木を見つけるのではないかと恐れて。

* * *
「怖い話」の最新巻はこれで終わりだ。しかし安心してほしい。リーチの民は私をサークルに招いてくれた数夜の間、実に数多くの「怖い話」を話してくれた。アルド・カダッチが明確に説明したように、リーチの民は蛮族や獣ではなく、他の民と同じ人間であり、多様で物語に富んだ口承の歴史を持っている。彼らの奇妙な国は、「怖い話」の宝庫なのだ!

改めて、多大なるご支援に感謝しよう。次巻も乞うご期待!

赤鷲の歌Red Eagle’s Song

(ロングハウス帝に仕える帝国書記ヴァラナ・タッポによる口承の書き起こし)

思い出せ、思い出せ、リーチの子よ
ファオランの血塗られた物語を
思い出せ、思い出せ、リーチの子よ
赤鷲の最後の栄光を

鷲が甲高く彼の名を叫んだ
彼が母の胎内より立ちし時
血のヘラジカの目を持って生まれた
怒りはダイヤモンドの運命の兆し

諦めよ、諦めよ、ヘストラが来た
南生まれの白い石の塔のハグ
鉄の槍と盾の一団と共に
彼女は王の心臓を黒く変えた

季節が過ぎ彼は戦いに吠えた
帝国の娘と息子を殺して
だがリーチの者は矢と槍に倒れた
クランの友がいなくなるまで

ついに彼は自分の鷲の心臓で取引した
我々の力を欲しがるレイヴンと
彼らは胸にブライアの種を植えた
それは死体の花から育つ

数千が炎の剣に倒れた
血の太陽が昇り、沈むと
数百の矢に刺されたが
死を迎えるまで戦った

全ての者よ、ファオランの怒りを思い出せ
皆の心に住んでいる
聖なるリーチを欲しがる者は全て
我らの槍に苦しみ倒れる!

約束と警告A Promise and a Warning

この保管庫を守る者へ

闇の心臓と虚無に関する知識が、まだ私にとって役立つものだったことは幸運だったな。この書状の所持者は、遺言の中から私が興味ある節を書き写すことを許されなければならない。

約束しよう。従うなら、私がこの世界を作り直した暁には、お前のクランを素晴らしいものへと導こう。

警告する。私のペンターチが保管庫に入ることを拒んだ場合、または不当な害が及ぼされた場合は、定命の者たちでさえ涙するほどの、想像を超える苦しみを与えてやろう。

お前たちのレディは死んだ。この上うぬぼれを許容することはできない。

ラダ・アルサラン

抑制装置The Containment Apparatus

欠片を使って虚無のポータルを通り抜けるのは実に爽快だ!おかげでこの素晴らしい抑制装置がある古代の部屋に来ることができる。この機械が大きい虚無の欠片をどう使うか見てくれ。と言うよりも、クリスタルだ。これは、この穴、この現実の構造の裂け目からあふれ出る闇の力を何らかの形で利用している。これはある時点で凍結されたドワーフの実験の名残なのか?

クリスタルが回転させることによって力の焦点の役割を果たし、それを反射し、屈折させることに気づいた。装置はこの増幅を通じて動き始める。もしかしたら、力の穴を安定させるために調整できるかもしれない。引力は強力だが、制御を維持しなければならない。何か一つでも失敗したら、この力から逃れられなくなるだろう。

ペンターチ・シーヴェルネス

海の巨人 スタイル

クラフトモチーフ86
Sea Giant Style

ヴァーセント・アードレイ 著

海の巨人のことはほとんど何もわかっていない。これまでに集められた謎多き種族に関する断片的な情報だけでは、姿を鮮明に描くことがとてもできない。海の巨人が勇猛な狩人である点は間違いないだろう。巨大な鯨を捕らえるのは並大抵の仕事ではないからだ。長きに渡って彼らがノルドの海の男にとっての神秘と恐怖の対象であり続けてきたことを鑑みれば、彼らの技を取り入れて得られる利益はとても大きいはずだ。

ブーツ

海の巨人は武器に大量の骨を使っていることがわかっている。論理的に言って、衣服に関しても同様のアプローチを用いているに違いない。小さなものでもだ。鯨の骨は靴の優れた補強材となるし、脛の外に強力な武装を取り付けることもできる。

ベルト

海の巨人を実際に目撃したと言い張る者たちは、頭蓋骨と長い鋸歯で飾られた衣服について証言している。あれほど巨大な生物からすれば、サーベルキャットの頭蓋骨も鳥の頭同然の大きさにしか見えないだろう。我々はより小柄だが、似たような装飾を使える。鳥の頭蓋骨やスローターフィッシュの歯は、我々のベルトにとって同じように恐ろしい飾りとなる。

海の巨人の目撃談はとんでもなく誇張されたものばかりだが、一貫した主題がある。それは恐るべき光景だったということだ。山のような野蛮人が海を渡る術を会得しただけでも恐ろしい。我々が彼らを模倣するなら、兜で同様の恐怖を植え付けねばならない。太いホーカーの牙、輝く魚鱗、長い骨のプレートで、戦慄すべき海の巨人を演出するのだ。

脚当て

もし海の巨人が陸の巨人と同じような存在なら、グリーヴの必要性など感じないだろう。しかし、海の巨人は獲物を狙って凍える海に乗り出さねばならない。ホーカーのボイルドレザーは温度を保つだけでなく、他の素材に劣らない防御力を誇る。我々のグリーヴを強大な魚の骨と鱗で強化すれば、海の巨人の偉大さに近づけるかもしれない。

彫られた骨は弓に重みを加え、安定させる。海の巨人が弓を使っているかどうかわからないし、そもそも飛び道具を使っているのかも謎だが、もし使っていたらきっとこのようなものだろう。ホーカーの皮で作った矢筒と、海鳥の羽根をつけた矢だ。

胸当て

船乗りはしばしば、海の巨人がまとう魚鱗の鎧を噂する。巨大な鱗の出どころは寒気がする謎として残ったままだが、強力な守りになることは間違いない。ボイルドレザーアーマーの胸にこの装甲を縫い付ければ、信じられないほど頑強な防具となる。

海の巨人にとって我々の剣など短剣でしかないが、彼らもきっと柄のホーカー皮や柄頭に施した骨細工を喜ぶはずだ。我々は大きな鯨にとどめを刺すため海に飛び込むことはないが、この神秘の獣を戦場で用いることはできる。

肩防具

海の巨人の船が確認されたことはないが、巨大であると推測せねばなるまい。あれほど巨大な漁師を乗せる船体は、とてつもなく巨大でなければならない。鎧も同様の驚きを演出できる。骨を削り出したミニチュアの船首像をポールドロンにつけ、装着者を船そのものに見立てる姿を考えてみてほしい。

手袋

敢えて言わせてもらえば、魚鱗と魚の歯は鎧の製造において過小評価されてきた。軽量なのに信じがたいほど丈夫という際立った利点があるにもかかわらずだ。海の巨人が獲物の食べられない部分を転用できる知恵があるのなら、そういった素材で手を守る利点にも気づくだろう。我々もそうすべきだ。

海の巨人のように野蛮な種族は、盾のような防具を忌避する傾向にある。だからといって、彼らが作りそうな盾を作れないということではない。骨は彼らにとって潤沢な資源だ。海の民であることを考えれば、木材や鋼よりも入手しやすいはずだ。既存の盾の端に骨を加えれば、防御力、危険性、スタイルを追及できる!

海の巨人が魔法を使わないことには、私の名誉をかけてもいい。しかし彼らの骨に対する愛着を考えれば、我々の杖を海の巨人が使うような杖の、恐るべき模造品へと変えることはできる。小動物の頭蓋骨を先端に据え、大きな骨を帆のように薄く切り出して広げ、杖を振るう者の怒りを買った不幸な者に恐怖を植え付けるのだ。

戦棍

海上で海の巨人を目撃した者は、その船首に恐ろしい船首像が据え付けられていたと語る。その証言は恐ろしいガーゴイルからホーカーと思しき醜い像までばらつきがある。本当かどうかは誰にもわからないが、戦棍のデザインとしては面白いコンセプトになるだろう。と獰猛な顔をした4つの船首像が、いつでも敵を撃ち据えられる棍棒となる!

短剣

海の巨人は粗野な短剣や、我々がショートソードと呼ぶようなものを使っているだろう。鯨の死骸に見られる痕跡に長い切り口や切断面があるのは、刃物が使用されていることを示している。ここからインスピレーションを得るなら、切り裂く強き刃を用意し、柄にはしなやかなホーカーの皮を使うべきだろう。

海の巨人の漁の痕を研究したところ、判明したのは海の巨人が銛に似た構造の武器を作れることだ。証拠から間違いはない。これを付属品として斧に取り入れれば、元から危険な武器に壊滅的な打撃力を加えられる。

ブラックリーチ先遣隊 スタイル

クラフトモチーフ84
Blackreach Vanguard Style

ダスクタウンのブラックリーチ先遣隊隊長、スロムキル 著

ブラックリーチに足を踏み入れる勇気があるわずかな者は、事前に特別な防護手段を用意する必要があることに気づくだろう。予期せぬことが多い地だが、簡単に採取できる資源は豊富にあって探索に利用できる。まだ試行錯誤の段階にある過程は多いが、書き記して記録(冗長だろうか?)しておく意義があると思える程度には洗練されてきた。ブラックリーチに人が長く住むようになれば、この過程はさらに複雑になるだろう。

ブーツ

ブラックリーチには踏むべきではないものが多くある。噛みついてくるものを見つけるのはたやすいと思うだろうが、それは間違いだ!とても暗いため、地面を走り回る凶暴な生物は見えない。適切な足装備を身に着けなければ、何かを踏んで命を落とすことになる。

ベルト

我々のベルトは、武器とブラックリーチを生き延びるために欠かせない小袋が数多く付けられるようになっている。胴回りを支えて安定性を高めるために、腰から下には皮紐が巻きつけてある。このベルトは、冒険中必要になる武器や薬を収納しやすい。ブラックリーチは危険で不安定な場所である。準備は生存の鍵となる。

念のために言っておくが、ここで敵に頭突きをするような者はあまりいない。しかし丈夫なシャウラスのキチンを兜の先端に付けることで、防御力が大きく増す。前方にあるものを視認する機会を逃さないため、顔の部分は開いたままにしてある。

脚当て

ベイル鹿はここに生息する生物の獲物になりやすいが、大量に存在する。その数は残念ながら日々減少しているが、今のところは十分な素材が手に入る。ブラックリーチの先遣隊が装備するグリーヴの多くはベイル鹿の皮で作られる。これは重く丈夫で、かつ素早い動きや不安定な地形の移動を可能にする程度の柔軟さを備えている。

ブラックリーチには弓の重量と精度を向上させる機会が豊富にある。鋭利なキチンのプレートが弓の本体の上下と矢尻にあしらわれる。この鋭く、ほぼ破壊不能な素材は武器を安定させ、かつ全体の重量を減らせる。

胸当て

ブラックリーチの先遣隊は、胸防具の大部分にシャウラスのキチンを用いている。成体のシャウラスは手強い獲物だが、その自然の鎧はこの上なく価値の高い資源である。完全なキチン製は動きにくいので、我々は心臓の保護を優先している。

ブラックリーチで採掘される金属は、薄く削っても頑丈である。これで刃の耐久力を犠牲にすることなく、カミソリのように鋭く削れる。軽量の武器であるため、使用者は動きやすい。柄の革はベイル鹿、鍔は金属を基礎とし、成体のシャウラスのキチンで仕上げている。

肩防具

ブラックリーチではシャウラスがよく使われる。肩防具に関しては特に顕著である。戦士の種類に応じて、用いるキチンの種類も変える。接近戦を得意とする者は、攻撃を跳ね返しやすいように尖った形状の防具を装備する。他の者は形状を平らにして、防御力を高める。

手袋

ブラックリーチの気温は温暖だが、我々の手袋は手全体を覆い、さらに肘まで伸びている。ここに生息する奇妙な植物の数を考えれば、未知のものへ素手で触れるのは自殺行為だ。この手袋は薄いベイル鹿の革で作られているため、柔軟で様々なものから手を保護しつつ、武器を扱いやすくなっている。

我々の盾はスカイリムの衛兵の盾とあまり変わらない。木は地上から運ばれて来たものだが、金属と補強材はブラックリーチで集めた素材だけを使っている。シャウラスの背骨で作った突起が盾の表面から突き出し、威力を高めている。

ブラックリーチの先遣隊は、激しく尖った金属製の杖を持つ。これにシャウラスキチンのプレートを合わせて、武器の先端を強化している。キチンにはしばしばルーンを刻み、三つ又の形状に押しつぶして金属と接触させる。革で杖を包み、先端はそれぞれ装飾用の金属束で仕上げる。

戦棍

この地を這う生物に対する最大の防御は、顔に金属の塊を叩きつけてやることだ。武器の先端部は、地上から持ってこられたノルドの戦棍から多くの着想を得ている。金属の装飾には我々独自の捻りが加えてある。また柄の部分には、分厚いシャウラスキチンの板が取りつけられている。

短剣

大抵の場合、何かが忍び寄ってきたことに気づいた時にはもう手遅れである。その場合に大型の武器を抜く時間はないので、短剣は汎用性に優れた有用な武器となる。ブラックリーチで採掘された金属は、鎧であれシャウラスの甲殻であれ貫通する。

ブラックリーチの先遣隊の斧の作りは、全体として地上の斧と大差ない。この斧には明らかにノルドの意匠の片鱗が見られる。しかし彫り模様や細かい部分は、ブラックリーチ独特のものだ。金属の下にあるキチンプレートは純粋に装飾用である。おそらく鍛冶師は、金属加工技術を誇示したいのだろう。

ソリチュードの独白

Solitude Soliloquies

アテイアの横笛Ateian Fife

インペリアルの伝説の笛職人パーテロン・アテイアが死の直前に作った笛の一つ。パーテロンの笛は希少であり熱烈に求められていたが、これは彼が死ぬ前に完成させた最後の笛である。パーテロンは特別に吟遊詩人の大学へ寄贈し、長く保存され楽しめるようにした。

彼の横笛のいくつかは今もタムリエル中で使われているが、大部分は収集家か、アテイア家の才能ある笛奏者の元で隠されている。

アンジャルドの日記Anjuld’s Journal

最高だ!ついに夢が叶って、レディアント装具店を開店する。長年家のハチミツ酒醸造所で働きながら仕立やファッションのことを全部学んで、店を始められた。そして故郷のソリチュードで店を開くための場所を確保するため、何年も待った。何ヶ月もかけて店の準備を整えて、在庫の用意をした。そして、お店の営業を開始する。

成長を続ける企業にできたらいい。たとえ家族経営の事業でも。母のハチミツ酒醸造所を継ぐより、ファッションの道を選んだことで父ががっかりしていないといいが。そうは言っても、私に彼らの人生は歩めない。私は私の人生を生きるべきだ。

* * *
開店してから最初の数週間は何とも言い難い。人々は私の服のデザインに興味を持ち、品物を買ってくれる人もいた!上級王の娘が服を買ってくれることになったくらいだ。彼女はどうやって戻ってくるかについてと、特定のデザインについて何か話していた。

ハチミツ酒醸造所のことは父から聞いた。2人は私がいなくてもうまくやっているらしい。良かった。姪と甥に私の代わりをやらせている?冴えているな!おばとおじに感謝だ。

* * *
姪のダリエが仕立屋の一周年記念に立ち寄ってくれた。あの子はいつだって変わり者だ。むしろ私に似ているかもしれない。宝飾品も売ろうと考えたことはないかと聞かれた。正直に言うとそれほど興味はないが、アクセサリーは洋服を引き立てる!あの子がもっと大人になって、私に投入する資金がもっとできたなら。あの子に加わってもらって、ここで宝飾品の事業をやるのもいいかもしれない。

拡張する時期が来たら考えよう。

* * *
数年前に書き始めたこの日記を引っ張り出して、自分が日記をつけることに向いていないと気づいた。

この数ヶ月で変化があった。店から離れている時はいつも誰かに見られているような気がする。最終的には、ダリエと彼女の夫にここに来るよう頼むことは考えないだろう、という予感がする。彼女が宝飾品の商売を始める資金はあるが、ソリチュードはもう安全だと思えない。これについては、もう数ヶ月様子を見てみよう。その間に、テオネッタがそろそろハチミツ酒醸造所へ戻るべき時なのかどうか話し合うべきだ。彼女はここですごく役に立ってくれたけど、向こうでも新たな戦力が必要かもしれない。

ウスベト(発掘)Uthbet (Exhumed)

ウスベトここに眠る

族長殺しのライルの息子は

丘のように老いた

生まれながらの戦士

便所で死す

冷笑を浴びせながら

エナからの手紙Letter from Ena

ウラング

お互い無事だった時のために、「だから言っただろ」は取っておいて。いい価格を提示されたからと言って、リーチの民と取引すべきだった?いいえ。最後の瞬間に裏切ることを予測してた?きっとそうすべきだったのよね。でも、やっぱり答えはいいえ。

ここに長く留まり過ぎたら、奴らに見つかってしまう。だからそうしないで、滝の側にあるキャンプを目指して上流に向かうわ。向こうのほうが安全なはずよ。できるだけ早く会いに来て。でも、どうか気を付けて。リーチの民はドラゴン・ブリッジを狙っていると思う。

エナ

オグヴァル従士への手紙Letter to Thane Ogvar

オグヴァル従士

ご依頼のとおり、海の巨人についての情報を可能な限り集めました。予測に違わず、大した情報は得られませんでした。大部分の情報は、吸血鬼がカイネズ・パーチへ来る前に港を去った老人たちから聞いたものです。彼らは熱心に話してくれましたが、精度は疑わしいでしょう。何と言っても彼らは船員です。船に乗るより嘘をつく方がうまい。しかし、手に入ったのはその情報だけです。

ステグリルによれば、海の巨人は本土の巨人の親類ですが、より賢いそうです。彼とおかしないとこのようなもの、だそうですが。これはイングフィルの証言とも一致します。彼は海の巨人が言葉を話すのを聞いたと言います。半巨人だけではありません。彼が言うには、一番大きな巨人がシロディール語で何か叫んだそうです。これが本当なら、巨人に関する我々の知識は完全に覆されるでしょう。私も古代の巨人やアトモーラのタイタンの物語は聞いていますが、おとぎ話だと思っていました。ステグリルは断言していますが、実は自分で見たことはないと認めました。どう考えるかはお任せします。

実際のところ、船員たちは全員がこれまで海の巨人を見たことがないと白状しました。「見たら生きては帰れない」と言うのです。ただ1人だけ、以前に海の巨人を見たと主張する者がいます。セングレットです。一番の年寄りで、少なくとも80歳にはなるでしょう。彼女はドーンスター西の漁村で育ち、海の巨人が沿岸を襲った話を祖母から聞いたそうです。それは「ペイルがドラウグルの心臓のように冷え込み、ホーカーが岩の上で凍え死に、トロールが極寒に泣いた時」だったと。そして、第二紀532年にそんな冬が訪れました。セングレットが冷たい突風の中、沿岸に立っていると、ロングシップが一隻、みぞれ交じりの雪を突き抜けてくるのが見えたそうです。それだけです。それで話は終わりです。

お気づきのとおり、ここ数年間は暖冬が続いています。少なくとも、例年と比べれば暖かい。ですから、セングレットの話は筋が通りません。吸血鬼を考慮に入れなければ。ファルグラヴンが人々の心を歪め、泡立つ血の渦を起こして船を沈めていることは有名です。奴が巨人に何かを提供したのか、それとも隷属させているのか。いずれにせよ、誰も予期しなかった同盟です。本土に到達しなければいいのですが。ソリチュードの民にあれを押し返す力があるかどうかは、確信が持てません。

スンヴィルデ

カリソスの磁鉄鉱Callisos’ Lodestone

これは大吟遊詩人にして全ニルンで名を知られる音楽家、カリソスの楽器として崇められている。このリラは彼と共に、数十年にわたってタムリエル中を旅した。

カリソスはしばしば、どのようにしてマッドゴッドのシェオゴラスを出し抜いてこの楽器を手に入れたかという物語を語った。シェオゴラスに出会った時、カリソスはすでに熟練の吟遊詩人で、シェオゴラスが聞いたことがないような、もっとも官能的なラブソングを演奏した。カリソスはこの狂乱の王子に、彼の質素なリラにはディベラのむき出しの情熱が植え付けられていることを納得させたのだ。

シェオゴラスはそれを欲しがり、代わりに磁鉄鉱と呼ばれる楽器をカリソスに与えた。彼が栄光と名声をもたらすことを断言しながらカリソスの魂に結び付けたリラは、栄光と名声を実現した。

しばらくしてから、カリソスの偉業と才能は吟遊詩人の大学の卒業生の間で伝説となった。しかしある朝、磁鉄鉱が大学の練習室で発見され、それ以来カリソスの消息は一切不明となった。それ以来、カリソスは定期的にシェオゴラスの怒りから逃れてタムリエル中を旅するが、最後には捕まってしまうのだと長く考えられている。

カル・ドルーンのメモKal Druun’s Notes

我々はグレイホストの吸血鬼だ。故に扉を開ける必要はない。それでも我が主エグザーチ・ツィンガリスと同じように、私には知識への飽くなき渇望がある。このドワーフの扉は解明せねばなるまい!

鍵はない。ノブもない。ヒンジもない。
レバーもなく、はっきりと分かるものは何もない。古代のドワーフはどうやって開けていた?

機械に覆われた柱。あれについたパネルには何の意味がある?4つの異なる絵柄。星だ。

ドワーフは天空に興味を持っていたと言われている。パネルは夜空の異なる部分を表したものか?模様を見定める方法があるはずだ。

パネル。模様は正確に繰り返しているわけではないが、パネルに答えがあるに違いない。

どうやら分かったようだ。何が足りないかに気づいたら、答えがはっきりする!

知識が得られたら退屈になった。次の大きな謎に取り掛かろう!

グレイホストの書簡Gray Host Communique

エグザーチ・ツィンガリス

お前の素晴らしき知性には感謝している。再誕してから、我々の夢をこれまでになく実現に近づけてくれた。私が千年もかけて少しずつ崩してきた障害を、わずか数日で切り開いてくれた。

隠れ潜む時は間もなく終わる。お前の技を洗練させ続け、魔術結社の魔女に労働の成果を供給しよう。彼女たちは、ウルフラとその同胞を展開するための儀式の材料を作れるはずだ。最も強力な嵐を解き放つための準備をする間は、無差別に喪心の嵐を解き放ってノルドどもを悩ませよう。

お前の精製ネザールート混合薬を、儀式に必要なもの全てと一緒に中部のキャンプと私の砦に送ってくれ。沿岸のキャンプには、メダルをさらに準備しておくように警告する。ブラックリーチのキャンプの戦士長には、最新の命令を送っておく。

我が兄弟よ、強くあれ。グレイホストはまもなく蘇る!

ラダ・アルサラン

グレイホストへの命令Gray Host Orders

愛すべき同胞たちよ

何と言えば良いだろうか。ツィンガリスが死んだ。

彼を殺した者は影の中に逃げ去った。間違いなく、我らの邪魔をするつもりだろう。すでにその目的が、喪心者の拡散を阻止することだという噂もささやかれている。

これ以上、我らの目標を脅かす者を見逃すわけにはいかない。我が家族は苦痛から救われた。もうモラグ・バルでさえ私を止めることはできない。そのため、我々は仕事を早めなければならない。ソリチュードへの攻撃に関わるすべての準備を、至急完了させるのだ。

アンダーグローブでの作業に必要なものは、全て用意しておけ。場所は隠されており、古代の墓地は安全が確保されている。古代の墓地が地下に落ちたのは、まさにこのためかもしれない。喪心の嵐を次に進めるための、完璧な試験場になるだろう。エグザーチ・ウルフラは努力を導き、最後の喪心の嵐のための道を用意する。

グレイホストに栄光を!

灰の王、ラダ・アルサラン

コスリンギのリヴァイアサンホーンKothringi Leviathan Horn

絶滅したブラック・マーシュのコスリンギ人はごくわずかな遺物しか残していないが、吟遊詩人の大学はこの悲しげな楽器をその文化とナハテン風邪の被害を思い起こさせるものとして大切にしている。

この陽気なラッパはブラック・マーシュを徘徊する怪力の獣、リヴァイアサンの角から作られている。消えたコスリンギの人々の肌に合うよう、銀青の染料で染められていた。

大きく、良く響く音色は往時のコスリンギの人々のように、喜びと希望に満ちている。

サデウスの部品リストThaddeus’s List of Parts

回路化ハーフシェル(2):これらの部品は音調が循環する間、均衡を維持するために共鳴キャパシターが必要とする。

交換用歯車:コンストラクトの修理で既に使用されていなければ、特別な機械加工をしたコグと歯車はあらゆるドゥエマーの自動修理ジャンクションで見つけられる。

ドゥエマー焦点スコープ:特定の音が光を作り、ある光が音を作る。スコープの内部にあるレンズやクリスタルにヒビを入れないこと!

シスター・エルラの布告Sister Elra’s Proclamation

リーチの民よ

強大な軍が目覚め、我らの聖なる働きが力となっていることを知りなさい。私たちの力は高まっています。古き軍がこの世界で地位を取り戻した暁には、大きく報われることでしょう。

賢明にして老いぬ灰の王が、私たちの努力を讃えています。私たちの差し出す収穫が、王の愛する仲間を呼び戻すのです。これこそあるべき姿であり、正しいことなのです。

私たちの働きに疑念を抱く者もいるでしょう。我らが同盟者を恐れる者も。知りなさい!喪心の嵐の儀式の美しさを!儀式は灰の王に求めるものを与え、敵の心を恐怖で満たします。

私たちは儀式を極めました。より強力なものに変えたのです。今や嵐を呼び出すために必要な長槍はたった1つ。大きな嵐ではなくとも、十分な力を刈り取ってくれるでしょう。

心を強く保ち、魔術結社の命ずる通りに動きなさい。光を求めるのではなく、灰を称えるのです!

シスター・エルラ

ジャハル・フソジャJahar Fuso’ja

第二紀の初頭、カジートが入学し教職につく許可と引き換えに、エルスウェアのたてがみがこのカナンを吟遊詩人の大学に寄付した。当時は拡大するレマン王朝のインペリアル支配に対して、カジートの支配層が彼らの文化を保護して拡散するための手段を模索していた。

このカナンはエルスウェアに壊滅的打撃を与えた、スラシアの疫病の終焉を告知する祝祭で演奏された。祝祭の楽器を意味する「ジャハル・フソジャ」と名付けられたこの楽器は、現在も我々に生命の誇りと、古い曲を思い出させる。

スカイトーカーSky-Talker

この太鼓はシャドウフェンで無数に起こったある奴隷の反乱で、無名のアルゴニアン奴隷によって使用されたものだ。持ち主の名は失われてしまったが、このスカイトーカーという太鼓は、暴動の最中に他の奴隷たちへ伝言を送るために使われていたと言われている。「太鼓の声」は、しばしば反逆者に偉大な功績を与えたようだ。

この太鼓は精神を奮い立たせて魂を鼓舞する必要がある時、最悪な状況であっても音楽が力を与えられることを、吟遊詩人に思い出させている。

スカイリムのチーズ:ハイヤルマーチ、ハーフィンガルCheeses of Skyrim: Hjaalmarch, Haafingar

通信員の要請により、私は読者を退屈させないために多大な努力を払って旅行記の内容を制限した。スカイリムを旅するにあたって、私は自分の旅をどのような観点から見せるべきか迷っていた。旅の最初にたっぷりと食事をとった後、食べ物しかないと私は思った。このようにして、スカイリムのチーズ一覧が誕生したのである。

この国は様々な顔を持ち、その気候も多様である。そのためチーズの種類も膨大だ。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

グリーンエッジ
グリーンエッジはお祭りのチーズである。ハイヤルマーチ、特に首都のモーサルの陰気な評判を考えると少し変わっている。このチーズの名前は、近くの沼地から摘んだイラクサで編んだ可愛らしい「籠」から来ている。見た目も製法も籠としか呼びようがない。チーズはこの籠の中で塩水に漬けられ、それから潰される。潰す際に、通常は乳白色のチーズに緑の輪郭ができる。

ここではチーズの食べ方も変わっている。グリーンエッジは祭りの最後に出されることになっていて、ちょっとした見ものだ。若い狩人はイラクサで包んだこのチーズを持って松明を当て、包みが燃えてチーズが溶けかかった状態になるまで熱するゲームをする。このゲームに熟練した者は、チーズを焦がさず指を火傷しない程度に動かしながら、とても溶けやすいこのチーズを松明の炎の周りで踊らせる。観衆からは熟練者に喝采が上がる。

このように調理した後で熱いチーズは食卓に供され、来客はすぐさまパンや、場合によってはスライスしたリンゴを溶けたチーズに突っ込む。子供にとっては特に楽しい瞬間である。ここでチーズの隠された中身が明らかになるからだ。ドライフルーツやベリー、裕福な家庭ではアンバープラムが丸ごと1つ入っていることもある。最初にプラムを引いた運のいい者は、その祭りの王と呼ばれる。

ソリチュード・エイダール
個人的な意見だが、これはスカイリムで最高のチーズである。味や変わった性質のためではない。とてつもない希少性のためだ。ソリチュード・エイダールはその名の通りエイダールチーズであり、菌類の胞子を吹き込んで熟成させる。そしてエイダールは地下で熟成させるが、このチーズも古代都市の下にある地下室を用いる。しかし、普通のエイダールと似ているのはここまでだ。

まずは材料が違う。ソリチュード・エイダールは西スカイリムの頑固な伝統主義をチーズ製造へ見事に反映したものであり、それは牛乳の時点から始まっている。西スカイリム最初の王スヴァルトル首長が飼っていた牛だけが、このチーズの乳を供給できる。この牛の末裔である王家の牛は、忠実な家臣によって管理されている。牛乳は定期的にソリチュードへ配送され、そこでブルー・パレスの世襲官職である王家のチーズ売りによって検査を受ける。この乳製品の達人は検査対象の牛乳に厳密な基準を設けている。実際に彼の仕事を見たが、ソリチュード・エイダールを作って良いとされる樽は1ダースにつき1樽程度である。牛乳を凝乳にする際も、このプロセスのために特別に作られたいくつかの砂時計を使って正確に行われる。最後に前回のチーズのかけらが次のチーズに使われ、何世代も遡るエイダールの途切れない連鎖が生み出される。

私が受けた説明によると、この結果スヴァルトルの時代と同じ外見と香り、味が正確に再現されるという。私は疑わしいと思ったが、数十年間保存されたチーズと、最近切り取ったばかりのチーズの2片を与えられた。違いがあるかどうか、両方を味見せよと言われたのだ。

違いは分からなかった。私は泣いた。

スカイリムのチーズ:ホワイトラン、ウィンターホールド、イーストマーチCheeses of Skyrim: Whiterun, Winterhold, Eastmarch

私はスカイリムの旅行記を、東のチーズに注目して続ける。ホワイトラン、ウィンターホールド、イーストマーチのチーズである。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

アルド・アンバー
スカイリムで最も贅沢なチーズの一つは、この王国の穀倉地帯となっている肥沃にして広大なホワイトランで生まれた。しかしアルド・アンバーは食べれば豪勢な気分を味わえるものの、私がこの旅で出会ったチーズの中で、もっとも複雑かつ挑戦的なチーズとは言えない。

多くの人はその名前だけを見て、アルド・アンバーはエイダールのように熟成されたチーズだと思い込む。しかし事実ではない。この名前は、このチーズがいかに長い間ホワイトラン料理の一部を成していたかを示す証だ。正直に言って、これをチーズと呼ぶことさえためらわれる。その製法は私が知るどんな製法とも似ていない。凝乳に圧力を加えて取り出したホエーを捨てず、クリームの中に混ぜる。混ぜたものを口が広く浅い鍋で何時間も煮ると、いずれ液体は固体になる。その過程で薄い茶色になり、キャラメルのような香りが出る。「アンバー」の名はそこから来ている。

ゴーストフレッシュ
ウィンターホールドの民は、ここの有名な大学で魔術を学んでいない限り単純な人々であり、亡霊の海で働いて生計を立てている。家畜に向いた牧草地は少なく、海からはしばしば厳しい風が吹くため、子牛の群れがしばしば熱病にやられてしまう。牛の乳もヤギの乳も供給量は少ない。手に入るわずかな量は、新鮮で柔らかい農家のチーズになる。しかし質素な環境にもかかわらず、ウィンターホールドの人々は私が味わった中でも屈指のチーズを作る。

老人や亡霊の海へ挑むには若すぎる子供は、海草を集めて日々を過ごす。これは数週間かけて乾燥される。簡素な農家のチーズは海草を積んで燃やした煙で燻すため、潮の香りが込められている。その上で、小麦粉とホーカーの脂肪で作ったパンにチーズを包んで焼き上げる。ここが秘訣のようだ。こうして勇敢な漁師は、海で仕事をしながら食べることができる。彼らは片手しか自由に使えないことが多い。
このパンは焼き立てだと中身がとろけ、湯気を出しながらパチパチと音を立てている。外はまだサクサクしていて軽く、透明な生物の肉を噛んでいるような食感だ。ウィンターホールドの凍える海辺を数時間歩き回り、日没に見舞われた後で食べることを勧める。

マンモスのチーズ
旅の途中で私を親切にもてなしてくれたイーストマーチの善良な人々はおそらく、彼らのチーズ製造を省略してしまうことを許してくれないだろう。しかしここにある巨人の野営地の数を考えれば、スカイリムの童話で必ず言及される食べ物、マンモスのチーズについて語る機会を逃すわけにはいかない。これは巨人によって製造される、唯一の流通商品である。

これは原始的なチーズである。若いマンモスの胃を、巨人の飼うマンモスの乳で破裂する寸前まで一杯にする。乳が凝固してできた凝乳を皮の袋に入れて搾り、湿気を取り除く。するとペースト状になったマンモスのチーズが残る。食通も好まぬ代物で、危険を冒して手に入れる価値はない。

しかし言及する価値があるのは、硫黄の泉付近で群れを飼う巨人の奇妙な行動である。彼らは凝乳の袋をミネラル豊富な水で煮るが、これによって複雑な芳香が生まれる。何の香に似ているかというと、ガラス製造に用いられるカリウムの灰くらいしか思いつかない。この工程が終わると、マンモスチーズはあらゆる地の食卓に届ける価値がある品となる。

スカイリムのチーズ:リーチ、ペイルCheeses of Skyrim: The Reach, The Pale

スカイリムの旅行記を、このリーチとペイルのチーズの調査によって続行する。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

雌の怒り
カーサルドとリーチでは岩場の多い山道と切り立った崖のため、現実的に飼育可能な動物は山羊だけだ。従ってこの地域の主なチーズは山羊乳で作られ、この地方全体で育つごく普通のジュニパーの実で味付けされている。このチーズでもっとも興味深いのは味でなく(ちなみにうんざりするほど塩辛い)、むしろ地域の政治における奇妙な役割である。リーチではよく反抗的かつ野心的な指導者が誕生する。彼らはソリチュードやエバーモアから来た、武装した監視役の兵士の元で暮らす。彼らはしばしばリーチの人々の心に叩き込まれているらしい、征服への欲望を抑えるためにすべきことをする。

野望を挫く中で、多くのリーチの伝統が抑圧されるようになった。雌の怒りを作ることと、食すことを除いて。この名はチーズを作るために、雌山羊の乳をその仔山羊の胃の中で凝固させることが由来となっている。チーズはリーチの人々が大切にしている祝宴の日に食される。リーチの人々の魂を抑圧する者たちに対する、厳然たる反抗の中で。このチーズの塩辛い特性は、雌山羊の涙によるものだと言う人もいる。その乳が仔の死体の中で酸味を付けられるからだ。リーチの愛国者は、チーズが塩辛いのはそれを食す者にリーチへ降りかかった不幸、達成されない宿命に対する罰を思い出させるためだと言う。

ビエンオスト
ビエンオストはスカイリムで最も興味深く、「チーズの中のチーズ」と呼ばれる。これを食すのはほぼペイルの民のみで、彼らはそれを冬が終わり、春が戻ってくる証とする。

多くのチーズと同様、ビエンオストはほぼ間違いなく貧しい人々の間から生まれたものだが、現在では貴族も平民も同じようにこの珍味を楽しんでいる。ソーセージの多くと同じ形式で、解体された豚の腸に詰めて作られる。雪解けが近づくと、彼らは長く暗い冬が続く間に消費したチーズの外皮やかけらを、エール(酵母と麦芽の茶色いとろみのある液体。それ自体が食事にもなる飲み物のようなもの)の醸造樽に浸し、その後腸の中に詰め込む。それからビエンオストを乾くまで吊るし、仲春祭の時に初めて降ろされる。黄金の円盤のように薄切りにされたビエンオストは春の太陽に似ていると言われ、皆で楽しまれる。

スカイリムのチーズ:リフテン、ファルクリースCheeses of Skyrim: Riften, Falkreath

スカイリムで普及しているチーズに焦点を絞ったこの旅行記はまだ続く。スカイリムの地と料理はあまりに多様であり、私はとても様々な味わいを体験している。繰り返すが簡潔にするため、訪ねた地のそれぞれから、最も注目すべきチーズだけを記すよう気を使った。

B.

リフトウォッシュ
かつてはリフテンの首長だけが食べられたリフトウォッシュは、ガラスのような紫がかった黒い色をしたチーズだが、その中心は見た目を裏切って青白く砕けやすい。山羊乳のチーズであることから、スカイリムのより温暖な地域ではあまり見られない。リフトウォッシュは圧縮されてチーズ内の水分が取り除かれるため、ブレトンが水気の多さを高く評価するストームヘヴンの山羊乳チーズと異なり、比較的乾燥している。

リフトウォッシュはチーズの製造者がホイールをホンリッチ湖の泥水に漬けるので暗い色合いになると噂されているが、当然のことながらこれは根も葉もない嘘だ。実際はリフテンの有名なブラックベリーハチミツ酒で何回か洗い、その後は街で急増しているハチミツ酒工場の副産物である、ブラックベリーの果もろみで染めたロウで覆う。

バローオスト
ファルクリースの人々は戦いや死とファルクリースの長い結び付きを心から尊重しているようだ。店やとても多くの家族が名前や個人的な紋章を、街に隣接した限りなく広く思える墓地から取っている。ファルクリースで屈指の評価を得たチーズが、重要な製造過程を死者に依存しているのは驚くに値しないのかもしれない。

一般的には墓地チーズと呼ばれるバローオストは、スカイリムの各地で見られる普通のエイダールチーズととてもよく似ている。しかしエイダールチーズは地下や洞窟で熟成させるが、このバローオストは墓地だけで熟成させるのだ。崩れかけ、ドラウグルがはびこるスカイリムの暗い過去の墓で。よどんだ空気、とめどなく水分のにじみ出る石、あるいは壁の中の闇魔法。このチーズはそういった環境で、抗い難い鋭く鼻をつく香りがアクセントとなった、凝縮された素朴な甘さを獲得する。

余談だが、私はファルクリースでは今も古代ノルドの習慣「墓の凝乳」を実践していることを知った。習わしによれば、愛する者の棺の上には新鮮なファーマーズチーズが埋葬される。毎年、故人の命日になると墓の凝乳が掘り出され、その5つ目を遺族が消費する。墓場で生産されたものを食べるのは多くの人がためらうだろう。だが、私に出されたチーズはとても美味だった!

スカルド王の密偵からの手紙Letter from the Skald-King’s Agent

信頼する協力者へ

これまでに提供してくれた情報は、スカイリムだけではなく全タムリエルに及ぶ可能性がある恐ろしい脅威の存在をほのめかしている。我が君主、スカルド王ジョルンは範囲と力が増大する前にこの脅威を阻止することを望んでおられるが、そのためにはより詳細な情報が必要だ。脅威が事実で、スカルド王の支援を受け入れなければならないことをソリチュードの支配層に納得させるための証拠がいる。あなたが頼りだ。

西スカイリムにあるハーフィンガルの首都、ソリチュードの門の近くまで会いに来て欲しい。メモを比較して、最善の行動を決定しよう。

カイネのご加護がありますように

B

セデュアSedua

セデュア

パクトの兵士として

戦いに死す

あまりにも若く

ソリチュード:焼け焦げた日記Solitude: A Charred Journal

イソガルによる注釈付きの書き写し

[注釈者の注記: 私は祖母のナンの遺品の箱の底に、この焼け焦げた日記を見つけた。彼女の筆跡ではなかったため、別の親類のもののようだ。祖母の母親だろうか?より良い状態で保存するため、これを新しい日記に書き写し、注釈を付けた]

最近、変な夢を見るようになった。それはソリチュードでの最初の夜に始まった。これまで生きてきて、夢なんて見たことがない。だからどんなものなのか、全然知らなかった。他の人々が説明してはくれたけど、くだらないと思っていた。

でも、ここであったことは夢と呼ぶしかない。目覚めた時周囲にあるものとは、似ても似つかない。書き記せば意味が分かるかもしれないので、書いてみる。

最初の数回はここソリチュードで起きたけど、建物が見えなかった。ただ自然の地形があるだけ。それに風もあった。とても強かった!アーチから出てきて、その後海辺を少し歩いて、キャンプに着いたのを覚えている。毛皮と木で建てられた小屋があったが、人の姿は見えなかった。どこに行ったんだろう?燃える料理の火と、食べかけの食料が残されていた。

[これはソリチュード以前の時代のようだ。当時ノルドはカース川沿いで、アーチを風よけに使って即席のキャンプをしていた。ナンが聞かせてくれた物語のおかげで、私もそういう夢を見たことがある]

その後、私が今ソリチュードのあるところに姿を現すと(目印のアーチでわかった)、建物がいくつか見えた。また誰もいなかったが、近くで上級王アーリンについての会話が聞こえた。王は神々に捧げる聖堂の建設を命じ、また壁の計画を始めていた。スリラヒルデという女性が、壁のためにある特殊な様式を推薦した。それは見た目が特徴的なだけでなく、他の計画よりも優れた防御力を発揮すると言った。彼女に反対する者は非難の声を上げたが、名前は聞こえなかった。歴史に埋もれてしまったのだろうか?

というのも、私の夢は明らかに、なぜか私を過去に連れ戻しているからだ。ただ、完全ではなかった。人の姿が見えない。夢の中はとても…孤独だ。聞こえる声を除けば。

[夢の中で過去を旅する?馬鹿げている。それに私の一族の物語で、ソリチュードを建築した者の名前は、一人も現代まで残っていない。ただし、スリラヒルデが実在するかどうかは何とも言えないが、ソリチュードの外壁が特徴的で、ドール城の聖堂が民の心に強く根づいていることは事実だ]

次の夢で、私は司祭が、石工によって壁に加えられる前の石に祝福を与えているのを見ていた。これは一つの夢でしかないけれど、受けた印象では全ての石が一つずつ、神々の司祭による祝福を受けていた。アーリンの声があちこちを漂っていた。彼は直接、この工程を監督しているようだった。

[ナンは確かに、すべての石が神々の祝福を受けたと言っていた。私の知る限り、これは私の一族だけに知られている伝承だ。ナンはこれを一族の物語で知ったのか、それともこの日記から知ったのだろうか?私はこの著者よりもナンを信じる。だからこの情報も、同じように正しいと思う]

次の日の夜、ブルー・パレスが私の前に姿を現した。作りかけの回廊の中に立っていると、金切り声と道具がガタガタいう音が聞こえた。

「幽霊だ!幽霊が見えたぞ!」

少し時間がかかったが、声の近さを考えると、こう尋ねるしかなかった。私のこと?彼には私が見えるの?なぜ私には見えないの?そこで私は急に目を覚まし、その夜は再び眠りにつくことができなかった。

[妙な話だ。これはただの物語で、本物の日記ではないのだろうか?]

私が見られる人々から私を守ろうとするかのように、私たちは再びもっと前の時間に飛んだ。「私たち」と言ったのは、このことに関係している者がきっと他にいるからだ。今回とそれ以降の数日は、吟遊詩人の大学が目の前に姿を現した。完成した入口を、最初の吟遊詩人がぼやけた影になってまたいだ。言葉までは聞き取れなかった。

でも、私は影を見た。

そして影も私を見た。

私はこの時、叫びながら目を覚ました。

[こんな歴史のふりをした物語には付き合っていられない]

次の夢は戴冠式だった。私の予想では、隻眼のオラフだ。なぜかというと、同じ夢の中で、この男の像が焼かれるのを見たからだ。毎年行われる祭り、オラフ王の焚刑は明日だけど、その時に焼く像だった。

彼の目は…両目は、私の両目に焼きついた。今、私の体にはあちこちに火傷がある。治ってきてはいるが、もう眠りたくない。二度と。

[ナンはなぜこの日記を他の持ち物と一緒に残したのだろう。周知の歴史を夢に移した、くだらない作品だ。やれやれ。だが念のため、書き写しておこう]

[数週間が経過したが、私は言葉が燃え上がり、隻眼の上級王の周囲を飛び回る夢を見ている。今朝は、自分の髭が燃える臭いで目が覚めた。髭は黒焦げになっていた。明日は、オラフ王の像を燃やす日だ。今日は神々を訪ね、私が陥ってしまったらしいこの夢の罠から抜け出したいと思う。なぜあの焦げた日記を開いてしまったのだろう?]

ソリチュードのおとぎ話Solitude Bedtime Stories

ニルカスとユキサーベルキャット

ある日、ニルカスという名の少年が氷上へ釣りに出かけました。ニルカスはとても遠くまで歩きました。歩いていると、周りで嵐が巻き起こりました。すぐに雪がとても激しくなり、ニルカスは何も見えなくなってしまいました。ニルカスは近くの洞窟で吹雪をやり過ごすことにしました。

ニルカスが待っていると低いうなり声が聞こえ、嵐の白い霧の中から、ユキサーベルキャットが現れたのです。ユキサーベルキャットは大きく吠えると、洞窟に入ってきました。ニルカスは怖くなりました。あんなに大きく強そうな獣と戦えるような武器など持っていなかったのです。ユキサーベルキャットが吠えて唸ったので、ニルカスは攻撃されると思って心の準備をしました。その時、ニルカスはユキサーベルキャットが足をひきずっていることに気づきました。

近づいてよく見ると、ユキサーベルキャットの足に大きなとげが刺さっていました。ニルカスはありったけの勇気をかき集め、ユキサーベルキャットから逃げずに近づいてとげを抜きました。ユキサーベルキャットは痛みで吠えましたが、苦痛が消えていくにつれ、ほっとした様子が体中に広がりました。

ユキサーベルキャットはとても感謝し、ニルカスの顔と手を舐めると、横で丸くなりました。その後、ニルカスが出ていくにはまだ嵐が危険だったので、ユキサーベルキャットは彼のために獲物を持ち帰り、安全で温かい洞窟の中で、仲良くそれを食べました。

嵐が去ると、彼らは洞窟から出ました。それ以来、ニルカスとユキサーベルキャットは共に旅をするようになり、一生の友達になりました。

* * *

見知らぬ者とは決して話すな

リーチの民とは決して話すな、奴らは夜にお前を食べる。
東の者とは決して話すな、奴らが望むのは戦いだけ。

オークに挨拶するな、奴らは常に臭そうだ。
レッドガードに挨拶するな、奴らはただ叫ぶだけ。

エルフとは決して話すな、高慢な癇癪持ちで、とても無礼になる。
インペリアルとは決して話すな、奴らが人と分かち合うのは不機嫌だけだ。

アルゴニアンとは友達になるな、湿ってぬるぬるしている。
カジートとは友達になるな、奴らは光るものを全部奪う。

ブレトンとは決して話すな、奴らはエルフと同じほど悪い。
見知らぬ者とは決して話すな、我らノルドは孤高を保つ!

***
首長の新しいローブ

昔、驚くほどうぬぼれ屋の首長がいました。首長は世界中の何よりも自分の上等な服が好きでした。そして、自分の新しい服を見つけて買うために、しばしばやるべき仕事を怠りました。

ある日、仕立屋と称する2人の汚らわしい犯罪者がやって来ました。2人は最高に美しい色とデザインで、この上なく素晴らしい服を作ることができると首長に言いました。2人が作った服はそれは素晴らしく、おまけに愚か者と今いる地位にふさわしくない者の目には見えないものだったのです。

首長は仕立屋たちにできるだけ早く上等な服を作るよう要求しました。それも、首長にふさわしい服を!首長が仕立屋たちに気前よくお金を払うと、2人は仕事を始めました。ですが実際、2人は全く何もしませんでした!2人はシルバーウィードやスパイダーシルクのような立派な材料を求めましたが、それはただ自分たちのためにしまっておき、一生懸命仕事をする振りを続けました。2人は仕事の振りをする間、スイートロール、パイや、首長のロングハウスにある豪華なベッドで眠ることが必要だと言いました。

やがて首長は服の進み具合を知りたくなりました。首長はそれを確かめるために私兵を送り出しました。私兵が到着すると、仕立屋たちは何もないテーブルで仕事をしていました!私兵は一体どういうことなのかと不思議に思いました。仕立屋は私兵に、服は気に入ったか、色はきれいだと思うかと尋ねました。私兵は服が見えないのは愚か者と、今の地位にふさわしくない者だけということを思い出しました。自分はそのうちのどちらでもないと思った彼女は、この服はこれまでに見たどんな服よりも美しいと仕立屋に向かって嘘をつきました。私兵は首長のところに報告に戻り、服は全く素晴らしいものだったと断言しました。首長が同じように宮廷魔術師と執政を確認に向かわせると、2人にも何も見えませんでしたが、見えた振りをしました。彼らは首長に、衣装は目を見張るようなものだったと請け合いました。

間もなく、仕立屋たちが仕事の完了を告げました。首長は自分で見に出かけました。到着すると、首長は自分に何も見えないことにひどく衝撃を受けました!仕立屋たちは何もないテーブルを指さすと、この出来栄えに満足するかと尋ねました。首長はそのデザインを気に入ったでしょうか?息をのむような色合いはどうでしょう?首長は真実を認めることがあまりにも恐ろしかったため、とても気に入ったので今すぐに着たいと仕立屋に告げてしまいました。

首長が服を脱ぐと、仕立て屋たちは身振り手振りで新しい服を着せつける真似をしました。2人はとても几帳面だったので、終わらせる前に首長の首元に想像上のローブを留めることさえしました。それが終わると、首長は新しい服を誉めさせるためにお付きの召使たちを呼び入れました。召使たちはみんな、まるでホーカーのように裸で立っている首長を見て驚きましたが、見えないと認めるのはあまりにも恥ずかしいと感じました。そこで、そう言うかわりに首長の服を誉めそやし、全員が素晴らしい服だという意見に賛成しました。

仕立屋たちは首長に、街中に出て民に新しい服を披露すべきだと強く勧めました。そこで首長は言われたとおりにしました。人々が一目見ようと集まる中、首長は誇らしげに道を進んで行きました。街の人々もみんな裸の首長を見ましたが、愚か者だと言われないかと恐れ、言うことはできませんでした。

人々が服の見える振りをやめたのは、人だかりから飛び出した子供が大声で「首長が裸だ!」と叫んだ時のことでした。人々は指をさして笑いはじめました。恥をかいて腹を立てた首長は、ロングハウスに走って戻りました…しかし、自称仕立屋たちはもう立ち去った後でした!

そこで首長は、私兵、宮廷魔術師、執政を処分しました。首長の愚行を止められなかったためです。彼はとても鋭く硬い斧で、自ら首を切り落としました。

ソリチュードの狼The Wolf of Solitude

吟遊詩人の大学 スカルドのピエトル 著

豊かな髪と獰猛な精神がハーフィンガルの白い狼のような上級王スヴァーグリムは、やむことのない激しさをもってブルー・パレスの広間を闊歩する。警戒を怠らず。隙を見せず。彼の前のスヴァートルの子孫と同様、スヴァーグリムは四方を囲む敵に悩まされる王だ。だが我らがソリチュードの高貴な狼のように、気高い血筋の中には、統治期間中に不利な状況へ直面した者がいない。

彼が統治を始めて2年も経たぬ時、海の巨人クランサースの艦隊が知られざる土地から彼の街の高き壁を包囲するためにやってきた。クランサースがスヴァーグリムと王国に対し、降伏し貢物をよこせと要求したとき、我らが王は城の胸壁の上に立ち、その怪物のごとき戦士と対峙したと言われている。だが我らが上級王は屈服しただろうか?否!彼は壁から跳躍すると、あたかも狼がマンモスを捕食するかの如く、巨人の喉を切り裂いた。大いに感銘を受けたスヴァーグリムの兵たちは、門を押し開けると彼の後を追って突撃し、呆然としている海賊を海に追い返し、二度と我らの岸辺に戻らぬようにした!

第二紀265年(本当だったかさえ分からないが)の大規模なトロールの発情期のことも忘れるべきでない。時ならぬ暖かな気候がこの恐ろしい種族を触発し、彼らが西スカイリム中で暴れ回って、言葉にするのもはばかられる恐ろしい行動から抜け出せずにいた時の話である。狼は自ら20もの不浄な結びつきを断ち切り、さらに40もの獣を剣で引き裂いた!今日に至るまで、トロールはウグイアビがサーベルキャットの巣を避けるように、ソリチュードの壁にもっとも近い地域を避ける傾向にある。

アカヴィリが征服を目的にスカイリムへやって来たとき、絶壁の上にいる我らの恐ろしき王をひと目見ると、より簡単な獲物を求めてそのまままっすぐ東へ帆走していったことは、誰もが確信できる。彼らはダークエルフ、泥トカゲ、そしてスカルド王子と呼ばれる者の陰謀によって衰退させられたが、ウィンドヘルムと東の偽上級女王、炎の髪のマブジャールンを手早く片付けた。余談だが、奴がスカルドを名乗るのは高潔な技能に対する侮辱だ。

中庸なる皇帝モリカルは、ルビーのクッションが効いた玉座の上からスカイリムを支配下に置く無駄な試みのため、軍団を我々の境界に送り込む前に注意するべきだった。彼はその臆病さのおかげで先王と同じ体裁の悪い死を免れることはできたが、一戦で彼の軍の運命を決めた狼の遠吠えは間違いなくはるか白金の塔まで届き、悪夢となって人生の最後まで悩まされたことだろう!

そして最後にロングハウス帝が倒れた後、シロディールから群れをなして殺到した魔法使いから西スカイリムを救ったのは誰だったか?数千のごろつきが追い詰められ、病にかかった犬のように我らの土地に入り込んでかじりついたが、我らの気高い狼は大股で飛び出し、誰の牙が最も鋭いかを見せつけた。我らの土地で小隊以上のリーチの民を見たのは、どれほど前のことだろうか?

強くあれ、西のノルドよ。東と西から、南と北から厄介な問題が我らを攻め立てる。エルフとトカゲと氷の踵が野合した協定や、マルカルスの暴君の汚らしい大群を恐れる必要は全くない。ソリチュードの狼が塔の上で、夜を徹して絶え間なく警戒を続けている。我々の素晴らしき地で、敵は安全な隠れ場所を見出すことなどできないだろう。

ソリチュード王家の醜聞Scandals of Solitude’s Royalty

組織的学者協会、エリサ・シルベニッテ 編

家族の伝承を教えてくださった、多くの西スカイリムの一族の皆様に感謝を込めて。

上級王アーリン、ハラルド、スヴァートル、スヴァーグリムについては、その間のより目立たない首長よりも多くのことが知られている。しかしノルドの口承が情報源となるため、初期の上級王や家族の重要な、もしくは淫らな物語がそれぞれの家に伝わり、論文、書籍、巻物のような媒体に記録されなかった。ここにはソリチュード王家にまつわる、恥ずべきと言って良いかもしれない物語を収録した。

「首転がし」ロレケの血塗られた最後

第一紀後半のある時期、冷静で控え目な態度と落ち着いた佇まいから、無表情なイルシヴィドと呼ばれた若き首長がノルドの間で名を上げた。イルシヴィドがどこの出身だったかはもはや定かでないが、彼らは支配者である上級王「首転がし」ロレケが、5分もかけずに20人以上の反逆者の首を一人で切り落とした後に、ソリチュードが秩序を取り戻すために協力した。(ある情報によれば、その20人の中には彼女の当時の夫も含まれていたとされている。彼女は自らの統治時代に、次々と夫を替えた)。その後間もなく、指導者による振る舞いに対するソリチュードの民の忍耐は尽き、立ち上がってブルー・パレスにいたロレケを攻撃した!

その地域にいたイルシヴィドは戦士と共に反乱の声が湧き上がるのを聞き、ソリチュードへ向かった。門にたどり着くとイルシヴィドの前にカイネが現れ、ロレケが1時間前に子供の手によって死んだことを告げた。悲しいことに、息子や娘たちも残忍で血に飢えたロレケによって負傷し、命を落としていた。そのため、ソリチュードにはもう上級王や直系の後継者がいなくなった。

馬に乗っていたイルシヴィドはカイネの恵みにより、結果として生じる混乱を解決するため、ソリチュードの市民を助ける準備が整っていた。カイネの祝福によってイルシヴィドがソリチュード上級王の冠を戴いたのは、わずか数時間後のことだった!

イルシヴィドの安定した統治により、ロレケの残忍な支配の後に平和が訪れた。数十年が経過し、若きイルシヴィドは中年のイルシヴィドとなったが、伴侶はいなかった。ノルドの王家で後継者がいないことは大きな問題ではなかったが、疑問は生じた。イルシヴィドは伴侶を持つことも、子供を持つことも断固として拒否した。最終的に、上級王の称号はイルシヴィドの顧問のうちで最上位だったテミルダに受け継がれた。テミルダはこのために複数の首長と一度に戦い、勝利したのだ。これは当然ながら、私が収集した口承の次の話につながる。

亡霊作りのアルディマー

テミルダの統治が終わってから約40年後、流血と暴力を経て新たな上級王が玉座に着いた。アルディマーというリーチの民との小競り合いを数多く経験してきたノルドが、先王の子供だと証明されていなかった後継者から強引に称号を奪い取った。彼の強みは優れた戦術能力と、多くのノルドが眉をしかめるアルケイン関連の知識だった。血にまみれた即位にもかかわらず、彼が統治を始めると国全体に平和が訪れ、彼がソリチュードを獲得した後は、行政や外交について不満を言う者は誰もいなかった。その結果、多くの者が子供に王位を継がせることに疑問を覚えるようになった。なお、その子供の名と来歴は忘れ去られている。そのように英雄的で戦場の試練を乗り越えた人物を指導者とすることは、ノルドの戦いを好む性質にも適合していた。

だが、アルディマーの全てが完璧ではなかった。時々、召使はそこにいない誰かに話しかける君主を見ることがあった。彼らはまた、王の顧問であるフレイレッタという冷たい目をした女についても噂した。その女はアルディマーの前にいない場合、人前に姿を現すことがなかった。部屋に入ることは誰にも許されなかったのだ。

この噂がソリチュードの人々の間に広まるにつれ、不安感が高まっていった。アルディマーは戦闘中に頭を打ちすぎたのではないか?実際フレイレッタとは何者なのか?ここでまだ何かが起きているのか?

アルディマーが玉座に着いてから1年と1日後、事故が起こり始めた。毎週、ソリチュードの者が新たに奇妙な死に方をした。ある者は不思議にも風で運ばれた矢に狙われて〈寂しいトロール〉に張りつけられた。ある者はただつまずいて尻もちをつき、命を落とした。さらにある者は目に見えない脅威から逃げるホーカーに踏みつぶされた。

召使は上級王の部屋の周辺で、姿の見えない声を聞くようになったと囁き合った。

最初の事故から1年と1日後、アルディマーが亡くなってから彼の秘密が明らかになった。「事故」の被害者たちの頭蓋骨が、上級王の部屋にある秘密の棚にまとめて置いてあったのだ。だが、一体何の目的で?

理由は何であれ、上級王アルディマーはこの発見により「亡霊作り」と呼ばれるようになった。

私の情報源は、司祭が行き場を失った遺体のために適切な儀式を執り行ったと告げている。しかし召使たちは今に至っても、ブルー・パレスの中で声が聞こえ、視界の隅で何かが見えると主張している。

デスハウンドの生態Ecology of the Death Hound

オドグレテ・ビェルセン 著

荒野でデスハウンドに遭遇したことがないなら、自分は幸運だと考えるべきだ。彼らと出会って生き延びた者はほとんどいない。この目が赤く光る大きくたくましい犬はアンデッドであり、吸血鬼の拠点の番犬として共存していることが多い。もしこの獣と正面から出会ってしまったら、おそらくより差し迫った問題に対処しなければならないことに気づくべきだろう。

多くのデスハウンドが室内に留まり、主人たる吸血鬼の番犬の役割を果たしている一方で、荒野をさまようデスハウンドも存在する。彼らは生息地の生態系において重要な役割を担っており、しばしば生息環境そのものにまで被害を及ぼす。彼らは目に入ったものをほとんど全て攻撃する、貪欲なアンデッドの肉食獣だ。彼らが獲物を狩るのは食物を得るためか、単に血への欲望を満足させているのかは未だ明らかになっていない。獲物の内臓を抜き取り摂取するが、それは生存のためというより、気性の問題だということを広範囲に及ぶ獲物の種類が示唆している。

デスハウンドの特徴の中でも珍しいものは、噛みつかれると冷気を感じることである。デスハウンドの一噛みは「墓場のように冷たい」という言葉で言い表されている。デスハウンドの噛みつきはほとんど毒物のように噛まれた肉を凍らせ、動きを封じられる。この魔法が吸血鬼と何か繋がりがあるのか、あるいは単なるこの怪物じみた生物の資質なのかを知る者はいない。

デスハウンドがいる地域の動植物は被害を受けやすい。この獣は見境なく狩りをするため、あまりにも長くとどまった場合は、その地域の生物を全滅させる可能性がある。幸い、荒野で活動する吸血鬼の結社は頻繁に移動する性質がある。デスハウンドも、獲物が枯渇すれば移動するに違いない。

テルヴァンニの使者の日記Journal of a Telvanni Emissary

(スカイリムに派遣されたテルヴァンニ家の代弁者、エルヴァリ・トランデルの日記より) 著

しかし無駄な旅だ。名誉あるテルヴァンニ家が彼らの惨めな小競り合いに引きずり込まれることはないと、スカイリムの王たちは理解するだろうと思っていた。境界やどちらが正当な統治者かなど、誰が気にするのだ?間違いなく、私たちには王冠や東西対立について意見などない。この世には、誰がどの雪と氷だらけの土地を統治するかなどより重要なことがある。他の「名家」がこの理解を分かち合ってくれたら、ダンマーはずっといい状態になるだろうに。

この旅の外交的な目的は無意味かもしれないが、この道程は役に立つことが証明されるかもしれない。スカイリムで古代の勢力が再び力を取り戻し、活発に活動しているらしいと噂を聞いた。アイスリーチ魔術結社の魔女が関わっているらしいが、彼らは私が偶然聞いた噂に比べれば素人みたいなものだ。私はこの古代の勢力の手法について学ぶ機会を堪能している。何と言っても、闇の魔法には力がある。もし噂が真実なら、その力が私のものになるかもしれない。

滞在を少し延ばして、何が学べるか確かめてみよう。もしかしたら、モロウウィンドに戻った時にその知識を、私の地位を高めるために使えるかもしれない。テルヴァンニ家の他の者もこういったことを学んでいるが、こうも力の根源に近いところにいた者はいない。この土地の下には、何かが眠っていると感じられる。何か暗いものが。何か…強力なものが。私はそれを見つけ、自分のものにするのだ。

テンダークローTenderclaw

現存する中では屈指の古さを誇るエスラジであるテンダークローは、タムリエル全土の吟遊詩人が最後に目指す地としての、リンメンの評価を強固なものとした。名高いカジートのスカルド、アーン・エクスカーは長年、叙事詩「ファドマイの死」を一週間演奏する際にこれを弾いた。

それ以降、アーン・エクスカーがこの楽器から引き出した完璧で魅惑的な音に到達した音楽家はいない。伝説によれば、テンダークローはカジートの神々からの贈り物と言われている。アーン・エクスカーは、自らが選ばれし者であるかどうかを決して明らかにせず、謎にすることを好んでいた。

ドゥエマー語の正しい発音How to Pronounce Dwemer Words

学生、アマドリ・ドレヴィン 著

ドゥエマー語の発音については、数多くの異なる考え方がある。私はマスターや数人の学者と議論をした。いつものことだが、「熟練の」学者は意見が合わない。色々なことに。彼らはまた、自分の声に酔っている。ドゥエマー関係のエリートには、特にこの傾向がある。

私は現在でも残っているドゥエマー語、特に地名を検討し、長ったらしい学問的な評議も検討した。分かったことをまとめて、ドワーフ学者を目指す仲間のために、ドゥエマーの発音についてガイドを作ってみた。

ドゥエマー語の正しい発音
– まずは深く息を吸い込むこと
– 次に、ハチミツ酒かシロディールのブランデーをグラス1杯飲む。好きな方でよい
– 再び深く息を吸い込む
– すべすべして丸い小石を4個から7個、口に含む
– 好きな言葉を言おうとする。ただしほとんどの母音を省略し、子音をいくつか余分に加える
– 第三もしくは第四音節を過度なまでに強調して発音する(たとえその言葉が二音節であろうとも)

おめでとう。ドゥエマー語を正しく発音できたはずだ。

ドゼンのタルハルパDozzen Talharpa

この素朴なリラの来歴が語るのは双子のブレトンの兄弟、ドゼンとジビハンの物語だ。競争意識を持ってはいたものの、とても仲の良い兄弟だった。彼らの残した物語は、街の広場でタルハルパを使った音楽コンテストに関するものだ。彼らが観衆を賑やかでテンポの速い掛け合いで魅了すると、人々は踊り始めて歓声をあげた。民は聞いたこともないような素晴らしいコンサートだったと記憶している。その後、ジビハンはドゼンに家まで競争しようと持ち掛けた。丘の中腹の道が狭くなった時、ジビハンがドゼンの前に出た。家が近づき、勝利が目前に迫ったジビハンはゴールの前に振り返ったが、そこにドゼンの姿はなかった。

ドゼンは丘を転がり落ち、巨大な石に激しくぶつかっていた。彼は激しく血を流していた。ドゼンは青ざめて浅い呼吸をしながら、思い出せるのは音楽コンテストで勝利を収めたことだけだと言った。街の住人たちは勝者がいないと宣言していたが、あの絡み合った曲には感銘を受けていた。

最後が近いことを知り、彼はジビハンに自分の腱を使って新しいタルハルパを作り、それを演奏して人々を勇気づけ、踊ってもらうよう誓わせた。ジビハンは言われた通りに兄弟の腱を使ってこのタルハルパを作ったが、喜ばしい気持ちで演奏することはできなかったため、吟遊詩人の大学に寄付したのだった。

ナルシス・ドレンのスカイリム日記Narsis Dren’s Skyrim Journal

あの不愉快な司書め。私をつまみ出すとは!私を!このナルシス・ドレンを!まるであのような場所が、私が時間を割くに価するとでも言わんばかりだった。あの無能なうすのろどもの幹部が、どうやってメイルモスの日記を入手したのか見当もつかない。

「逆転の儀式」について詳述しているページの間に、折り込まれた奇妙な巻物を見つけた。あの鱗に覆われた本の収集家が、この存在を知っていたかどうか疑わしいものだ!つまり私の考え方からすると、これをいただいても全く問題はない。

さて、メイルモスの日記自体についてだが、前述の一節を手早くメモすることしかできなかった。逆転に関するほんのわずかな部分だ。解明できた限り、この儀式には3つの要素がある。文書は呪文を完成させるために読み上げねばならない、三節の場所を提示しているようだ。またゴミあさりか!なんと滑稽な。指示は以下に書き写した。

自分の鼻に注意しろ、熱心な読者よ。満たされた器はしばしばひび割れる!
もし自分がガラスを通して見ていたら、この言葉に耳を傾ける友人を見つけよ:

自慢と詮索が好きな者は、知恵の泉をしばしば干上がらせる、
石よりも長く残る唯一のものは歌、
危険が迫る年、まだ来ない時代、魔術師は石に巣を作る。ツバメのように。

この巻物に、あまりバカげたことが書いていないよう祈るばかりだ!さあ、研究を始めよう!

ネザールートのメモNetherroot Notes

驚異の植物、ネザールート。これはここブラックリーチの深部にある孤立した土地でしか育たないが、その錬金術的な性質は際立って有用だ。私はこれを発見し、私のレシピに使用したアイスリーチ魔術結社の魔女たちに称賛を送ったが、生み出された混合薬は粗いものだった。もしこの完璧とは言えない調合薬で続けていった場合、灰の王の計画はもう千年かかる。喪心の嵐の力を増大させる方法を探し出すため、さらにこの深淵の根の研究をしなければならない。

* * *
地下のエルフの技を模倣して基礎ができた。彼らの配管農場はより多くの収穫を生み出したが、効力はそれほどでもない。私はさらに強力な試料を作り出すつもりだ。とにかくもっと時間が必要だ。もっと多くの被験者が。

* * *
日ごとに新しい種類のネザールート混合薬が誕生し、効果は百倍ほどになった。混合薬はすでに喪心の嵐のためより強力な触媒をもたらし、より完璧な力の交換を確実なものにしている。私の精製ネザールート混合薬はまもなく用意できる。そして、灰の王は私への信頼に対して見返りを得るだろう。

ネルの秘められし愛Nel’s Hidden Loves

言い逃れるそこの者、
言い返し、争う者よ:
遺物の歌が、
暗号として、ここに秘められる。

詩人の伝説はまず、
私がこの手に保つ。
その意味は真なるも
愛と共に朽ち果てる。

ハーフィンガルよ、進め!
刃の柄へ。
翡翠の影は秘める
雄大な洞窟を。
西の鉱山にて
長き貯蔵庫が行進する。
2つの地にかかる
アーチがそびえる場所へ。
偉大なる獣の故郷にして、
西のまた西の果て。
北の凍りついた洞穴
極寒にして、隠遁の地。

ハイヤルマーチ、ある首長が
宮廷を構える。
ノルドの墓をかき乱す。
冷たい壁の迷路!
低く進む塔は
偉大なる物語を担う。
眠りを追いかけて、
この者が航海する海。

カーサルドへ、風向きを変え
首長の敵を見よ。
南へ下れば
刺す風が足を凍えさせる。

そして闇へ向かい
ドウェマーは奪う。
虚空に、光が落ちる
滝の裂け目に。
日は落ちて闇となり、
鉱夫は望む。
ガラクタの山の宝石、
その上にシャウラスの王。
塔は形作られる
大きく育つキノコで。
その上には深き砦
下には溶岩。

ネルフセアのくしゃくしゃのメモNelfthea’s Crumpled Note

マグレタ。私は抜けられない。今はまだ。襲撃は明日よ。2人とも隊長を置いていったら逃げるのが精一杯で、襲撃なんて仕掛けようもない。物資はわずかしか残っていない。飢えてしまう。私もこんなことを続けたくはないけど、ここにはもう何年もいるの。飢えさせるのはあんまりよ。

あんまり焦らないで。とにかく最後の襲撃をやって取り分を回収し、フロストバイトが略奪品で埋まっている間に、それとなく離れましょう。それでいいわね?

ネル

ノルドの戦いの歌Nord War Song

金のハチミツ酒を血に見立て
お前の剣に注げ
戦の角笛は強き者を呼ぶ
戦士は戦いでしか生まれない

輝きが雪を照らすまで
お前の斧を研ぎ澄ませ
敵の胸に食い込む斧の
甘美な音を味わえ

真のノルドは死を恐れない
気高き死を歓迎しよう!
勇気を持ち、大胆に振る舞えば
ソブンガルデに行けるだろう!

戦士は雄叫びを秘めている
心の底からの、力強い勝利の雄叫びを
イスグラモルの勇気が手を支え
彼の力が魂に宿る

真のノルドは死を恐れない
気高き死を歓迎しよう!
勇気を持ち、大胆に振る舞えば
ソブンガルデに行けるだろう!

ノルド料理:お菓子編Nord Cuisine: Sweets Edition

ギルバード・バック 著

ノルドが飲む様々なハチミツ酒については詳細な報告が数多く存在するが、彼らの料理の好みについては驚くほど情報が少ない。ノルドのレシピは他の文化に比べて意外性や複雑さに欠けるが、それでも記しておく価値は十分にあると思う!ノルドには数多くの珍味がある。彼らは食欲旺盛な民であり、これまでに会ったどんな民族よりも、飲み食いに情熱を燃やす人々である!味のない食事は彼らにとって、戦場での臆病にも劣らぬ侮辱である。ここにノルド料理に関する調査を記しておく。

甘いお菓子

リンゴのハチミツがけ
スカイリムのアップルタルトを抜かすわけにはいかないだろう。ノルド家庭料理の定番であるこの果実は、川岸のマッドクラブと同じようにスカイリムではありふれている!自然の状態でも木から直接食べられ、シチュー、肉料理、サラダを引き立てることもできる。最良の用法はデザートだろう。リンゴのハチミツがけの材料は明らかだ。大半のノルドのレシピは簡素だ。基礎は簡単で単純だが、最終的な味は見事なものだ!リンゴは焼くことも生の場合もある。それから甘い牛乳とハチミツでアイシングをされる。ベトベトで手は汚れるが、とても甘い。最高の味である!

スノーベリー・クロスタータ
スノーベリーはそのままだとかなり甘く、食べられたものではない。だがスノーベリー・クロスタータは違う!パイよりも簡単だが同じように美味しいこのお菓子は、ベリーの酸味とパンの甘さを完璧に組み合わせ、真に印象深い味わいを生み出している。この絶妙なバランスは食後のデザートか、一般的なノルドが行動を始める前の朝に食べられることが多い。いつ食べてもよい味なので、どちらも魅力的な選択肢である。

ジャズベイ・クロスタータ
それに対して、ジャズベイ・クロスタータはたっぷり食事をとった後に食べるべき、デザート限定の珍味である。このブドウは魔術師が使うことが多いが、その強い甘みは食通ならば見逃せない。黒くて甘いブドウジュースが生地にしみ込んで水気を生むが、ベチャベチャにならない程度の固さは維持される。甘すぎると言う者もいるが、明らかに間違っている!

ハニーナッツのおやつ
ノルドはハチミツを愛している。ハチミツ酒の甘みは最高だが、それだけではない!スカイリムのハチミツ酒醸造所で人気のハニーナッツのおやつは、どんな酒にも合う甘いおつまみだ。手が汚れそうだが、ナッツをまぶした生地は串に刺してあるため、持ち運びが容易である。長距離の旅にも、お気に入りの宿で暖炉のそばに座って飲むつまみにも適したハニーナッツのおやつは、誰もが一度は味わうべきスナックである!

ノルド料理:香味編Nord Cuisine: Savory Edition

ギルバード・バック 著

ノルドが飲む様々なハチミツ酒については詳細な報告が数多く存在するが、彼らの香味深い料理の好みについては驚くほど情報が少ない。ノルドのレシピは他の文化に比べて意外性や複雑さに欠けるが、それでも記しておく価値は十分にあると思う!ノルドには数多くの珍味がある。彼らは食欲旺盛な民であり、これまでに会ったどんな民族よりも、飲み食いに情熱を燃やす人々である!味のない食事は彼らにとって、戦場での臆病にも劣らぬ侮辱である。ここにノルド料理に関する調査を記しておく。

ホーカーのスープ
スカイリムにはたくさんのホーカーがいる。見た目に食欲をそそるとは全く言えないが、彼らは未だ活用されていない美味しさの可能性を主張している!そしてノルドの習慣に従い、彼らは食料として捕らえ、シチューを作り出した。納得するほかはない。人生のほとんどを寒さの中で過ごし、毛皮に身を包み、雪の中を歩き回る頑丈な人々は、間違いなくこのように温かい食事を作るだろう。ホーカーのスープは素直な味で、素晴らしく塩気があり、出汁はスッキリしている。最後の残りをすくうため、暖かいパンの塊と一緒に出してもらうと最高だ。

温かいアップルキャベツのシチュー
このシチューはノルドの家庭で好まれる一般的なものだ。一般に、このような簡素な料理へ美食の本で言及する価値はないかもしれない。だがこの場合は違う!温かいアップルキャベツのシチューのレシピは単純なものだが、味と料理の心地よさはまったく単純ではない!多くのノルドにとって、この料理は子供時代を思い起こさせるものだ。だがこのシチューの料理法に関しては議論もあり、主にリンゴの使い方に関するものである。すりつぶし派と切り刻み派の間には厳密な分断が存在する。私は自ら両方を試食したが、どちらも同じように美味だった。とは言え、これはノルドに伝えない意見である。どちらかを支持する者のほとんどは、大抵が暴力的な度合いに達しているからだ。

マンモスのステーキ
最初にスカイリムのマンモスを見て「食べたい!」と思った人に対し、私は深く感銘を受ける。ノルドはその勇敢さで知られている。臆病をひどく嫌う人々だけが、恐ろしく巨大なものから料理を作ろうなどと考えるのだろう。マンモスの大部分は固く食用に適さないが、腰肉はこの上なく柔らかい。切り取れば、表面をさっと焼いて炙れる肉となる。

スローターフィッシュ焼き
この料理を作るために必要な生物を捕らえようと、危険を冒して濁った水に入る人々を羨ましいと思うことは決してない。だが、心から感謝する。スローターフィッシュ焼きの美味しさを体験できるのは、彼らの勇気のおかげなのだから!正しいノルドの伝統で、料理人は魚(もちろん、骨をきれいに取り除いた後の)の皮が黒くなるまで焼くことを求められる。中には魚をキャベツの葉で包み、ゆっくり料理して、食べる直前の最後の段階で皮を焼くことを好む者もいる。私の見解では、どちらも等しく素晴らしい。

バルグヴィルの攻城日記Balgvir’s Siege Journal

今晩も首を噛まれずに過ぎた。それは勝利と言ってよいかもしれない。叔父のホフナーは船乗り時代、スコールに備えるため片目を開けて眠っていたという自慢話をしていた。叔父を越えるために両目を開けて眠ろうとしているが、うまくいかない。

バリスタの弾は尽きた。鍋やフライパンでも使わない限り、今じゃ高価な薪にしかならん。そもそも大して役に立ってはいなかった。昨日壁に目をやったら、ある巨人がバリスタのボルトを棍棒のように振り回しているのを見た。棍棒が必要な連中に、棍棒をくれてやったようだ。

どれくらい持つだろうか。吸血鬼どもが壁を引っかく音が夜の間ずっと聞こえる。俺たちに囁きかけているようだ。闇の魔術で誘惑するつもりだ。俺は片耳が聞こえないから、他の連中の半分しか効かない。だがルドヒルドを手すりから引きずり降ろし、連中のところに飛び込んでいくのを止めなきゃならなかった。彼女はオグヴァルが縛って、顔に水をかけた。まだ泣きわめいて、ブツブツ言っている。皆は闇の魔術のせいだと言っているが、どうだろう。俺たち全員が、数日もすれば彼女と一緒に叫び始める気がする。

ひいおばあちゃんの話Things My Great-Gran Said

102歳まで生きたひいおばあちゃんは、いつも助言やちょっとした伝承を話してくれた。折に触れ、季節ごとに、本人や誰かの事件のたびに!誰かが戦いで足を失った?それはその人が黄昏の月の前半に奥さんと結婚したからだよ。ある一家が投資に失敗して、大量のゴールドを失った?それはその一家が牛を11頭飼ってたからだよ。11が縁起の悪い数だってことは、誰もが知ってるからね。

彼女の「叡智」には以下のようなものがあった。

丘の中腹にマンモスがはぐれていると、変化の訪れを意味する。
遠くに2頭のマンモスがいると、誰かから贈り物をもらえる。
3頭のマンモスが1列に並んでいると、誰かに死が差し迫っている(必ずしも見た者の死ではない。その人がマンモスの列の前に立とうと決心した場合は別かもしれないが)。

月耀に新しいハチミツ酒を飲んではいけない。(思うに、これは夫や息子を仕事の時間に酔わせないため、ひいおばあちゃんがでっち上げたものだろう)

熱々のホーカーの脂が顔にはねたら、3日以内にけんかをする。はねたのが左手なら、間もなく訪問者が現れる。

双子月がどちらも満ちているときにブリストルバックを殺すと、その年の残りは運が悪くなる(満月にひいおばあちゃんは決して狩りに出なかったし、夫や息子にもさせなかった)。

暁星の月に鷹の影に入ったら、その冬は長く続く。

夜明けに西の丘を東に走る白狐は、やがて疫病を導く。

蒔種の月の最初の7日間に、身内や愛する人との間にある不満を解決しないと不作になる。

地面で青いビーズを見つけたら、それはたった今ハグレイヴンが作られた証。青いビーズを粉々になるまで石で砕き、その粉を淀んだ水(流れていてはいけない)に投げ入れると、そのハグレイヴンの寿命が短くなる。

ビターブレイドへの報告Report for Bitterblade

ビターブレイドさん

ダスクタウンでの作戦のために、目立たない容姿だからと私をお雇いいただきましたね。特に、高きイングフレドに目をつけられないように。ここ数週間、あの間抜けなオークを手玉に取って彼のために働いてきました。あの馬鹿はあなたをだましていると、自信を持って報告します。今週、彼は新しい場所の調査に私を送り出しました。以下は私が見つけた鉱石の一覧です。私の一覧と、何であれ彼が連絡する結果を慎重に比べることをお勧めします。それが合致したら驚きますよ。そもそも、彼が何かを一覧にしているかどうか

私はもう、あなたが判断を下せる材料を集めたと思います。

ガンボルツ

探鉱の結果:

ガラタイト、推定1トンあたり20%
ドワーフ、推定1トンあたり31%
虚無石を含有したドワーフ、推定1トンあたり4%

ピックルのおやつPickle’s Treats

これだけ一緒にいるんだから、彼もこのレシピを覚えているだろうと思うでしょうね。私の愚かな夫は向こう見ずな冒険や英雄的な行動はできるけど、料理の材料を覚えるのは難しいみたいなのよ!私に愛されていて彼は幸運だわ。あなたのためにこれを書いたのよ、ヴィゴル!これを読んでるなら、私は感心するわ。ピックルが食べ尽くしてしまった場合に(そして底をつきそうな時に)、おやつを作るために必要な材料と手順を書いておきます。間違えたら彼にも分かるから、必ずこのレシピ通りに作ること!全部を鍋に投げ込んで、出来上がりなんて言わないように。あの犬はあなたのことをたくさん我慢してるのよ。あなたがしてやれる最低限のことは、確実にお気に入りのおやつを食べられるようにすることよ、分かったわね?

手順
-たっぷり二握りのすりつぶしたカボチャ
-鶏卵3個
-袋入りの小麦粉半分
-シナモンで味付け
-混ぜる!

フェノリアンからの伝言Message from Fennorian

友よ

ムジョレンとの作業を進め、我々を困惑させている謎を完全に解明できそうな発見に行き着いた。そのため、私はダスクタウンと呼ばれる採掘集落に戻った。

私の手をさらに借りる必要ができた場合は、街の南側にある小屋を確保している。

この手掛かりから成果を得られるようなら、また連絡する。

フェノリアン

ブラックリーチ:創作と事実Blackreach: Fictions and Facts

その名はスカイリムで噂される。街道沿いの酒場や罠猟師のキャンプで名が出てくる。その名は畏敬の念とともに語られることも、最悪の呪いのように口にされることもある。ブラックリーチとはそういう場所だ。

タムリエルの荒れ果てた北部では、ブラックリーチにまつわる民話や迷信が数多くある。多くのペテン師が、この伝説的な地の貴重な鉱石や宝石で財を成したと言われる。しかし親たちは、子供が良い子にしていないと、怪物が出て来てブラックリーチに引きずり込むと脅す。

さて、ブラックリーチとはどんな存在だろう。伝説か、亡霊か、寓話か。ブラックリーチはそれ以上の存在だ。ノルドによれば、氷と雪の地下に広がる広大な大地だと言う。そこはかつてドワーフの地で、今は空っぽか、より悪い状態になっている。あらゆる神話や怪物に取り巻かれているのだ。

こうした物語はすべての民話と同じように、疑いの目で見なくてはならない。頭脳の足りぬ者はしばしば人生における謎や悲劇を正当化し、合理的な説明を付けるために素晴らしい物語や恐ろしい物語に頼る。愛する者が突然病に倒れ、命を落とした?間違いなく、ブラックリーチから上がって来たミアズマに毒されたのだ。敵が思いがけず大金を手にした?彼はブラックリーチの精霊と闇の契約をしたのだ。

もちろん、ブラックリーチの物語は全て根拠がないと単純に書くのは狭量で意味がない。スカイリムには地下の洞窟が点在している。必要なのはそのような深き地へ潜って暮らしている、多くの冒険者の誰かと話をすることだけだ。無学な者にこうした洞窟がより深部まで広がっていて、どの冒険者も知らない地が、泥の道や光と忘れ去られたトンネルの中へ続いていると信じさせるのは造作もない。それがブラックリーチの真の姿だ。いくつかの奇妙な洞窟と、半分酔っ払った農民の想像力によるものだ。

読者諸君、私のことを尊大だと思わないで欲しい。私はこの仮想上の愚か者を尊敬している。彼の頭脳からとても説得力ある考えが飛び出し、それが現在に至るまで酒場、キャンプ、裏通りのあばら家で話の種となっているのだ。私はその想像力を称賛したい。

フレイウェンの日記Freiwen’s Diary

母さんに今日、ウィルギンと話してきなさいと言われた。彼の製材機は外が凍えるほど寒い時期にも、街を色々な意味で活かしてくれている。母さんは私がウィルギンの仕事の仕組みをもっと学んだほうがいいと考えている。私がもっと大きくなったら、母さんの仕事を継ぐだろうとも。でも、母さんはそんなことを望んでいないと思う。心の底では。きっと父さんの受け売りよ。

まあ、ウィルギンは親切な人だし、あの大きなノコギリで丸太を切らせてくれるかもしれない。

* * *
ハヴィルと会いに農場まで行った。私はいつも何か口実を作って街を離れ、森を探検している。父さんは狼やトロールについて警告するけど、怖いと思ったことはない。ハヴィルは動物と遊ばせてくれるし、農場の人たちは卑猥な話で笑わせてくれる。楽しいところだわ。モーサルから離れているから、一人前になった気分でいられるし。ムジョレンを訪ねるのも同じ理由。私を首長の娘ではなく、友人として扱ってくれる。

* * *
凄い人が街にやってきた!酒場に入っていくのを窓から見ていた。荷袋と変な杖しか持っていなかったけど、一体何の用で来たんだろう。仕事じゃなきゃ、誰もモーサルなんかには来ないのに。出てこなかったから、多分部屋を見つけたのね。もっと詳しいことを突き止めなきゃ。

* * *
その人の名前はマクステン。彼女に会いたい一心で、一日中酒場で待った。詩か何かを書いていて忙しいふりをして、エイガに怪しまれないようにしたわ。うまくいったようには思えなかったけど。

ついに彼女が下の階に降りてきたので、すぐ近くに座ってと頼んだ。多分、妙に興奮していると思われたんじゃないかな。私はこういうことにあまり経験がないから。マクステンは少しの間、私を見つめていた。なぜ私が馴れ馴れしくするのか、考えていたんだと思う。それから座って、何か夕食を注文した。朝食と言ったほうがいいかも。日中はずっと寝てると言ってたから。

とっても面白い人よ!世界中を旅して、自分の研究について学んでいるの。細かい話はしてくれなかったから、私も詮索しなかった。仲良くなれたわ。それに、なかなかの美人ね。

* * *
母さんは私が家をこっそり抜け出したことに気づいた。というより、帰ってくる時にバレたみたい。私はマクステンと一緒に、彼女が辿っているエネルギーの源泉を探しに行った。死霊術を研究していると言われた時、最初は心配したわ。そういう魔術に危険があることは誰でも聞いてるから。でも彼女はとても慎重で、緻密に仕事をしている。今は私も、死霊術がちゃんとした知識の分野だと理解しているわ。他のものと同じよ。泥とかを調べる時、彼女が真剣になっている様子は素敵だと思う。

闇の中を歩いていた時、私は彼女の手を握った。どうしようもない気持ちが込みあげてきて、私は立ち止まって彼女にキスをした。暖かくて、気持ちが落ち着いたわ。もっと何度もあんな気持ちになりたい。

もう言ったけど、戻った時母さんに見つかった。母さんは私が秘密を明かそうとしないことを厳しく叱ったけど、心配しているだけなのが分かった。結局マクステンのことは話しちゃったけど、死霊術のことは言わなかった。母さんが賛成してくれたのでびっくりした。モーサルの暮らしは単調で、母さんもここに来る前の方が充実していた。私にも同じように生きてほしいんだと思う。

* * *
長い探索の末、マクステンはついに探していたものを見つけた。今夜、彼女は古い遺跡まで来てくれと言っている。母さんの意思は無視するけれど、またこっそり抜け出すつもり。マクステンが目標を達成するのを見るためなら、これくらいのことはしても構わない。

街の人々は彼女のことを怪しみ始めている。もう何ヶ月にもなるのに、マクステンは私以外のほとんど誰とも口をきいていない。彼らはいい人たちだけど、よそ者に慣れていないのよ。特にマクステンみたいな魔術師には。

この儀式が終わった後も、ここに留まってくれるといいけど。もう彼女なしで生きることなんて考えられない。

フレリッタとプラル:愛の歌Frelytte and Pular: A Love Song

優しく美しきフレリッタ
干し草色の髪は
編んだ黄金とハチミツ
真昼の輝く太陽

プラルという青年を愛した
そして彼も彼女を愛した
氷が湖を埋めるように激しく
春が溶かすように確かに

彼女の口はスノーベリーのように赤く
彼の手は固く誠実だった
彼はこう言って、氷のレイスを狩りに出た
「君にふさわしい男になる」

それから四夜待ち続け
フレリッタは雪の中へ馬を駆った
闇を伴い、山が吠えた
月はひどく低かった

しかし馬は間もなく疲れ
寒さが彼女を眠らせた
彼女は木の下で丸くなった
嵐が彼女を深く埋めるまで

意気揚々とプラルが戻る
予告の通りレイスを殺して
彼は木の根元で立ち止まった
そこで見たのは黄金の房

彼は雪を払い除け、彼女を見つけた
クリームのように白く、死のように冷たい
けれど神々が彼らの愛に微笑んだ
そして彼がキスすると、彼女は息を吹き返した

「僕は獣を殺したよ」プラルが誇らしげに叫ぶと
フレリッタは喜びの涙を流した
2人は手を取り合って家に戻り、結婚した
彼らの愛こそ、冬には壊せぬものだった

ブロケル(発掘)Brokel (Exhumed)

ブロケルここに眠る

愛されし息子にして

羊飼い

眠りながら死す

スカイリムのように老いて

ブロンドルドの日記Brondold’s Journal

〈カバーの間にリリス宛の手紙が折り込まれている〉

リリス

あなたがこれを読んでいるなら、私はあなたと会いにブルー・パレスへ行けなかったということだ。おそらく死んでいるか地下牢にいるものと思われるが、あなたに連絡することはできた。あなたが追っているアイスリーチ魔術結社がハーフィンガルにいるという確かな証拠はないが、ソリチュードの首都では何かが腐敗している。自分が正しい道筋を辿っていることは分かっている。残念ながら、相手にもそれは知られているようだ。もっと多くの情報を掴めていたら良かった。申し訳ない。

私が見つけたものをガーヒルド女王に渡してくれ。彼女は上級王よりも分別がある。彼女の口添えがなければ、上級王スヴァーグリムと面会できるかどうかも怪しい。

ブロンドルド

* * *
〈日記の内容は以下の通り〉

この任務は予想よりずっと困難になりそうだ。ここの民はよそ者に対して警戒心を抱いている。衛兵は常に監視しているようだ。ソリチュードのような規模の街で、ノルドの中にいても浮いてしまう。

王家の馬屋である人物と会った。コーヴィンという若い女性だ。輝く瞳で純真だ。見慣れない旅人に目を光らせるよう彼女に告げた。他には誰とも話していない。日常生活に馴染んでいくつもりだ。私を見かけることに人々が慣れるように。

あらゆる人はいつか〈寂しいトロール〉を通過する。ここの民と話して最新情報を手に入れるには、街で最も適している場所だ。モーグという常連のオークがいる。彼は会話に意欲的な様子だ。常にジョッキを満たしてやっていればだが。アイスリーチ魔術結社について何か知っている者がいるとすれば、間違いなく〈寂しいトロール〉で見つけられるはずだ。

民との間に築いた信頼は、魔女について軽く触れただけで消え去ってしまう。神々への祈りを除いては、一言も口にされない。これだけリーチに近ければ、闇の魔法のことをより深刻に捉えているのは仕方がない。だが、不運を招かないように耳をふさぐことを選択しているようだ。

コーヴィンがやってくれた。いかつい連中が山岳馬に乗ってやって来て、かなり無理をして気づかれないようにしていたらしい。そいつらは街中にチラシを貼っていった。何らかの求人だそうだ。賢い娘だ。

* * *
〈ページの間に求人のチラシが押し込まれている〉

作業員と職人募集!

ドルアダッチ山脈の先の未知の領域にて、遠隔地で危険な作業に従事する勇敢な仲間を募集しています。移住が必要です。食事と宿泊場所はこちらで提供します。一年間の勤務を必須とします。報酬は危険に見合ったものです!

お問い合わせはソリチュードの宿屋〈寂しいトロール〉まで

〈チラシの最後に走り書きされたメモ〉

どこへ行ってもこの掲示が見られる。何のために、どこで働くのか誰も知らないようだ。

* * *
〈日記の続き〉

ここの港に、レッドガードの船が定期的に泊まることに気づいた。私に対する冷ややかな反応を考えると、これは興味深い。

結構な額は必要だったが、裏道で賭博をしていた情報屋のグレイガが有望な証拠を提供してくれた。レッドガードの船員たちは、貨物をセンチネルから持ってくるらしい。積荷の目録によれば家庭用品だ。船員は商人と言うより傭兵に見える。グレイガは、いくつかの木枠箱に目立たない印がついているのを見たらしい。聞き込みをしよう。

中にあるものを取ろうとしたが見つかってしまい、品物は木枠箱から奪う前に手から滑り落ちてしまった。追って来た奴らは何とか振り切った。奴らが私の顔をよく見ていないことを祈るばかりだ。

リリス・ティタンボーンがブルー・パレスでガーヒルド女王と謁見する前に、私はリリスと会う予定だった。見つけたことを彼女に伝えてくれ。そうすれば危険が迫っていると上級王スヴァーグリムに納得させられる。私が手に入れたのは疑惑だけだ。確かなものは何もない。上級女王は、より寛大に統治していると聞いた。彼女はきっと親身に話を聞き、機会をもたらしてくれる。

ブロンドルドの文書Brondold’s Papers

〈震える手で急いで走り書きされた紙片が書類の山の一番上にある〉

ブロンドルド

衛兵があなたについて聞きに来た。彼らは片っ端から剣の鞘を鳴らして、あらゆる人を脅していた。私は怖い。あなたの馬は森に隠した。街の外の馬屋の横にある納屋で待ってる。あと1日だけ。

〈注釈付きの公文書らしき書類〉

関税申告書
出国港:センチネル
入国港:ソリチュード
陸揚げ貨物:
-オアシスの水 3樽
-スカヴィンの家庭用品 4箱
-ソースタッドの陶器 5箱
-センチネルの水筒 1箱

――ある船員が波止場にある木枠箱のいくつかに、こっそり印をつけているのを見た。何か隠されているのか?中を見ることはできなかった。

〈書類の間に挟み込まれた、固く小さく折りたたまれたメモ〉

驚くものを残した。指示に従ってほしい。

寂しい港の南にある、石が立つ場所
避難所の影の中
生きている木が見張る場所

ペトラループPetraloop

温かい音色で音が良く伸びる、マスター・ペトラによって作られたこのリュートは他に類を見ない楽器だ。この興味深い名前は長いセッションの終わりに、「ペトラのリュート」を求める酩酊した数多くの吟遊詩人にちなんだものと言われている。

裏には、大学で最も有名な吟遊詩人の名が数多く彫られている。

ペンターチの命令Pentarch’s Orders

ペンターチ・コルブ

キルクリースの喪心の嵐は予期しなかった抵抗にあった。敵はこちらの動きに気づいており、我々の計画を暴露しようとしている。奴らは厄介だが、人数はごくわずかだ。

宮廷で親身に話を聞く耳を奪えば、悩みの種を一気に叩き潰せる。

魔術結社は愛すべき仲間を失い、復讐を求めている。

彼らの願いを叶えよ

R

ペンターチへの手紙Letter to the Pentarch

ペンターチ・ザロス

準備は完了した、ブレトンの仲間よ。儀式はいつでも開始できる。

最新の積荷をキルクリース聖堂に送ってくれ。シスター・アンブリットが全て活用してくれるだろう。

ここまでよくやってくれている。

次の指示を待て。

R

マクステンの研究日記Maxten’s Research Journal

〈大半のページは黒焦げになっているか、触れると手が凍えるような分厚い氷に覆われている。判読できる記述はわずかだ〉

知識を求めてモーサルまでたどり着いてしまったことには、不満の一つも言うべきだろう。古き良き田舎町と好意的に言われているが、他の旅人に勧められるものはない。川から漂う湿った臭いがあらゆる場所に染み込んでいる。それに私が到着した時から、ここの民がよそ者を好まないことがはっきりと分かった。敵意を示す者は誰もいないが、誰もが距離を保つ。私は構わないが。

しかし、私がこの小さな街にわずかな好意を持っている理由が三つある。一つは太陽が昇ると、製材機が休みなく動き続けること。製材機は途切れなく大きな唸りをあげるので、日中は眠りやすくしてくれる。闇の技に関する研究には暗くなる時間が一番都合良いので、日中休みを取れるのは歓迎だ。

さらに、モーサルは私が望んでいたとおり、死霊術の力が集中する。ここは死のエネルギーを発している。源泉を求める夜の狩りはもうすぐ成果をあげるだろう。そうすれば多少の調整を経て、吸収の儀式を始められる。この地域の力を一部でも抽出できれば、数年間は研究できる力が得られるだろう。

最後に、ここで素敵な友人と出会ったことた。彼女は街の首長の娘だ。モーサルを離れたことはないそうだが、世界についての奇妙な知恵と好奇心を私が認めるほど持っている。母親が元々ソリチュード出身らしく、意外なほど世間慣れしているのはそのせいかもしれない。だが何よりも、彼女は親切だ。私たちはかなりの時間を一緒に過ごし、自分の調査の性質も教えた。彼女は多くの者のように不快感を示さなかった。それどころか秘密を守ると誓い、可能なら手助けをするとまで言ったのだ。告白するが、私は彼女ともっと一緒に過ごせることを心待ちにしている。

* * *
…この街の周辺の死霊術の源泉へさらに近づけた気がする。昨晩、私は死のエネルギーの痕跡を求めて土を調べながら、東をさまよった。来週になれば、新月が環境の共鳴をうまく増幅するはずだ。その期間なら、中心を突き止めるのは簡単だろう。

森の中にいる間、私たちは遠くに立つ人影を目にした。我々を見張っていたが、動かなかった。フレイウェンはその女を「賢女」と呼んだ。呪術師を意味するここの言い方だ。到着してから初めて、私は不安になった。今になって詮索好きの老魔女に妨害されるなどまっぴらだ。

そう、それからフレイウェンはこの旅に同行してくれた。家からこっそり出て来たところが可愛らしいと思う。彼女がいると気分がいい。一緒に星の下を歩いていると、特別な気分になるのも無理はない。

* * *
…ここはクジェンスタッグ遺跡と呼ばれている。私が聞いた相手は、全員がその歴史について何も知らなかった。だが遺跡に強大な力が込められているのは間違いない。エネルギーの量を増やすため、ラノヴォの吸収儀式を調節しなくてはならないが、計算は簡単なはずだ。

フレイウェンが誘引体になることを同意してくれるかもしれない。狼など付近の野生生物を使うつもりでいたが、この地で生まれ育った民のほうが効果があるだろう。ラノヴォは誘引体に負の影響はなかったと言っていた…

メイルモスの開花The Blossoms of Maelmoth

見事指示に従ったな!しかし、詩人の心はあるだろうか?

冬風の淑女と 勇気を称えよ
凍てつく冷気をまとった 彼女の愛は道を照らす
エルフと人が呼吸する 山の花が2本
頬を涙と海水に濡らし 嘆く寡婦のためにデスベル4本
炎を吐く古代の喉のため 竜の舌を3本
そして最後のキスのため 最後の花を1本

メイルモスの驚くべき傑作Maelmoth’s Marvelous Masterpiece

謎の幻の達人、メイルモス 著

私は我が美の全てを集めた!財宝を!遺物や奇妙なものを見れば、古遺物収集家も泣き出すだろう!ウェイレストの浪費家のブーツ!リーチのハグレイヴンの鍋!小さな石のマンモス。こいつはいずれ自由にしてやろう。素晴らしい!神秘的だ!我が秘儀のように壮大なものはない!

だがこのように金では買えない価値ある宝でさえ、この瓶の前では色あせてしまう。見てくれ!生涯をかけた研究の最高の成果だ。磨き上げられ、完成した幻惑魔法!この瓶は幻惑か、それとも現実か?これに触れると、お前は幻惑になるなのか?それは問題か?ハッ!見極めるには触って見るのだ!

見よ!入れ子の幻惑だ!わずかに軽く触れただけでも作動し、形を変え、好奇心を歓迎して抱きしめる。さらに多くの幻惑を産み出す幻惑!

利用法を考えよう!例えば、私の卓越した詩や言葉遊びを絶え間なく馬鹿にするあの憎むべき吟遊詩人ども!リュートを手にしたとたん、リュートになってしまったらどうするかな?誰に分かる?私だ。私には分かる!私、謎のメイルモスには。幻惑の達人には!ハッ!

ハ!ハハ!ハハハハハハ!

メイルモスの最後の日記Maelmoth’s Final Journal

〈日記には数百ページにもわたる意味不明な戯言が並べられている。判別できるのは最後の記述くらいだ〉

誰も私の傑作には値しない。誰も!それとも、誰かいるかな?ハッ!試験だ!そう、忍耐と精神力の試練!偉大な狩りは全て謎かけから始まる。始まるべきなんだ!

謎は横たわる、見えやすい場所に
タイルとレバー、古代の座席!
ドラゴンが祈る聖堂の座席
人の命が尽「きる」場所、そこで悲劇は「くり」返「す」
しばし瞑想するがいい
お前の知恵が足りるといいが!

モロケイの危険The Danger of Morokei

ドラゴンプリーストはノルド史の暗黒時代、誇り高き民が強大なドラゴンの前に委縮し、ひざまずいた時代を体現している。彼らはドラゴンの栄光のおこぼれにあずかるため、同胞を破滅させて苦境に追いやった。

スカイリム中がそれを知り、ドラゴンプリーストの多くが古代の戦争の末に埋葬されたが、彼らが安らかに眠ることはなかった。多くが死んだままではいなかったのだ。その中にモロケイがいた。

モロケイは生前、ラビリンシアンと呼ばれる遺跡に住んでいた。さらにその昔はブロムジュナールと呼ばれた場所で、ドラゴンプリーストの力の中心だった。モロケイが倒されると、彼がドラゴンから与えられた力の全てが明らかになった。彼はドラゴンの声に救われ、殺すことができなかったのだ。

私とカイネの司祭は4つの聖なる炎を使って、この眠らないプリーストを墓に閉じ込めた。炎を絶やさぬことにより、我々は防護の魔法で墓を封じた。これは我々の秘密で、神聖な目的だった。もしモロカイの力を求める愚か者がこの場所に侵入して封印を破った場合、スカイリムに対するドラゴンプリーストの復讐は、素早く恐ろしいものになるだろう。

だが私も年老いて、心臓や骨から活力が失われていった。いつか近いうち、孫娘のイルシルドにこの使命を引き継いで欲しいと頼まなければならない。彼女はカイネに忠実で、この秘密の責務の切迫した重要性を理解するだろう。

モロケイの力Morokei’s Power

求めていた力に近づいた!ノルドと彼らの味気ない埋葬場所は、死者をあらゆる剣を持った愚か者の略奪と窃盗のために放置している。この凍った地に散在している墓に、数百年経って何か価値のあるものが残っていたら奇跡だ。

しかしこれは?これは希望と期待を大きく上回る。伝説のノルドのドラゴンプリーストは、信じがたい力を装着者に授ける仮面を持っていた。問題はもちろん、仮面を持ち主から切り離すことだ。この特別な遺跡にいる司祭はモロケイと言うようだが、彼は守護の結界によって安らがぬ眠りの中に封じられている。ドラゴンプリースト本人を掘り出す前に、まず結界を突破しなくてはならなかった。

この遺跡にいる動きの鈍いアンデッドは、結界の炎の存在が分からない様子だ。すなわち、炎が影響を与えないことを示唆している。とはいえ、私はよくいるスケルトンでもなければよろよろ歩く死体でもない。結界の炎の魔法を取り消すのは、そこまで難しい仕事ではないだろう。適切な逆転の呪文を、正確に唱えることができれば。

ドラウグルが松明の灯し方を学び始めてかがり火の中に入らない限り、私が仕事を終えるまでの間、炎は消えたままだ。

ライカンスロープの耐性Lycanthropic Immunity

エグザーチ・ウルフラが興味深い課題を提示した。私の錬金術と魔術は、彼女たちの精神を奪えるだろうか?喪心の嵐はライカンスロープの仲間に影響を与えるように作られたものではないが、グレイホストが最後に征服を目指して出発してから長い年月が経過した。その間に吸血鬼とウェアウルフは四散し、世界中に広がった。彼らの全てが、灰の王に服従するわけではない。今日、ウルフラが捕らえた捕虜も含めて。

反抗的な態度を理由に劣等種を引き裂くことは容易だが、そうする代わりに彼女はより論理的な解剖のため、彼らを私のもとに送って来た。あの野獣のような頭蓋骨の中には、狩人の狡猾さが隠れている。

* * *
捕虜たちは群れの階級を尊重している。間違いなく、自分たちの呪いの源流を反映したものだ。彼らの指導者エジャーを捕らえて人質にすれば、他の者は従順でいる。他のウェアウルフたちに対してわずかな慈悲を示せば、エジャーは自発的に被験者を引き受ける。結局、彼らは恐ろしく単純な獣なのだ。

* * *
研究を完成させるためには乗り越えなければならない障害が数多くあるが、ウェアウルフの驚くべき耐久力は人間の姿でさえ障害を生み出す。見たところ、この被験者に対してネザールートの効果はない。凝縮した状態であってもだ。魂に対する肉体の束縛の力を弱めることが、実験を望ましい結果に着地させるための第一歩となるだろう。

* * *
もっと早く思い至るべきだった。あの獣とオブリビオンのつながりは利用できるものだ。たとえそれが、広大な別の領域に結びついているとしても。そのつながりはムンダスとその上にあるものの溝を橋渡しするために役立つ。そして、あのウェアウルフの血はネザールートに、不死の者が決して複製できない活力を植え付けられる。

* * *
上手くいっている。新たな血の蒸留液を精製するごとにネザールートの混合薬は強力になり、毒性を増している。ウェアウルフは注射の度、苦痛が大きくなる兆候を示している。ただ、唯一の疑問は残っている。儀式で不可避の死を迎える時、魂はうまく交換されるのだろうか。

ラジーンの影Shadow of Rahjin

伝説によれば、若く愚かな吟遊詩人がラジーンと取引し、誰でも望む者を曲で誘惑できる力を手に入れた。トリックスターの神はこの取引を面白いと考えたようで、7つの影の1つをこの若者のリラの弦に磨きをかけるために送り込んだ。

しかし、このような取引には常に代償が伴うものだ。若者のリラが欲望に満ちた情熱を刺激する一方で、その曲は寝取られた恋敵の嫉妬の怒りも同じように掻き立てた。しばらくの間、若者には運がついていた。挑戦、決闘、深夜の逃走など、物語の題材をもたらすほどだった。

だが運とは回転する車輪であり、やがて彼に背を向けた。彼は殺され、リラは別人の手に渡った。間もなく他の音楽家が楽器の秘密の力を発揮させる方法を発見し、最終的に同じ運命を迎えた。そして、この循環は数百年繰り返された。

大学が入手した後は徹底的に試験し、ラジーンの影を退けてはいる。しかし、演奏したいという者の安全は保障されない。

リーチの進捗The Reach’s Progress

駐屯地は弱っています。補給キャラバンを襲撃し続けたおかげで、奴らは分散して秩序を失っています。さらに嬉しい報告を続けますと、私はついに試薬を完成させました。新しい物質は、橋の支点を崩壊させる威力を持っています。洞窟全体を破壊するには、柱に直接面している数ヶ所を狙うだけでいいでしょう。

我々は地下も使えます。駐屯地は疑っていません。全ては計画通りに進んでいます。

ドラゴン・ブリッジはもうすぐ崩れるでしょう。ご命令通りに。

ブンド

リーチ忠誠派の手紙Reach Loyalist’s Letter

今、私はリーチの忠実な仲間に語り掛ける。

メシラと魔術結社が我々に接近してきた時、我々はそれを神々からの啓示だと考えた。我々は捧げ物として自らの血を流してきたのだから、当然の救済と考えた。報復の機会が目前にあると考えた。

今、これは誤りだったと皆に告げよう。アイスリーチクランは道を見失った。もう古き神々に仕えることはなく、自らを永遠に吸血鬼の王と彼のグレイホストの奴隷にしてしまったのだ。

メシラは甘い言葉で、グレイホストに加われば土地を取り戻せると我々に約束した。だが、圧制者を圧制者に変えたところで何になる?カースの地が我々の土地になることはない。ノルドは自分たちがしたことを知っている。彼らが耕す土地に、我々の血が流れていることを知っているのだ。

だが、吸血鬼が故郷の空を支配する時、再び取り返せることは決してない。

この伝言をクランの他の者たちに回してくれ。まだ手遅れではない。我々は抵抗できる。カースの血のために。真の神々に対する誓いのために。先人と故郷のために。

リリータングLilytongue

アルドマーのハープであるリリータングは、時が記録されてからずっと、アリノール宮廷で最高の演者によって演奏されてきた。リリータングは、偉大な作曲家ロルメルヴァルによって作られた最も魅惑的なアリアの一部を演奏するために使われた楽器だ。このハープはユヴィチル戦争の間に姿を消し、破壊されたものと思われていた。新たな王家のハープが替わりに演奏へ用いられた。

リリータングは500年以上も行方不明になっていた後、100年ほど前に再び姿を現した。現在は歴史と優れた美を併せ持つエルフ職人の比類なき工芸品として、吟遊詩人の大学が光栄にも所有している。

ルーンの神ジュナールJhunal the Rune God

ジュナールの知恵と力を軽視するのは不可能だ。我々スカイリムの者は、大抵の場合他のタムリエルから酒飲みののろまか、戦いに対する熱望以外はほとんど何も頭にない蛮族だと見なされている。ほとんどの者は彼らの好むジュリアノスがそもそもノルドの神であり、知恵と知性を重視し、他の何よりも知識を追求したことを忘れている。

我々真のノルドはジュナールを忘れていない。我々の中には今も学術的な探求と、精神の広がりを楽しむ者がいる。おそらく近年、我々のような者はごく少数しかいないが、希望は失われていない。ノルドは剣を振り回す以上の目的を求められている。我々は人生を危険に晒すものではなく、豊かにするものを追求すべきなのだ!学問、歴史、読書、発明といったものを!

これを読んでいて鼻で笑ったなら、それがあなただけではないことを知って安心するがいい。同じように感じるノルドは大勢いる。知識の追求はどうしたわけか我々にふさわしくないという馬鹿げた見解により、ジュナールへの信仰は揺らぐ。つまり我々を強くせず、勇敢さを誰もが見えるように提示しないものには価値がないという考えだ。だが、私はそのような考えを捨てるよう懇願する。学んだことは忘れられる。頭脳を高めるために、戦士としての力を捨てる必要などない。文武に秀でることは、我々の存在を両面で改善する。

優れた戦士になるためには、戦い抜くことを可能にしてくれる強い精神と知識も持たなくてはならない。そう思わないか?もし学ぶことの重要性が魅力をそそらないなら、替わりにこれで動機を付けよう。ジュナールはまだ我々の神だ。そしてスカイリムは、今も戦いだけではなく、知識によっても強化された戦士の土地だ。

このような探求を鼻で笑ってはならぬ!ジュナールと彼の教えを無視するなら、我々の民は破滅するだろう。

ルカル戦士長への手紙Letter to Warlord Rukar

ルカル

我々の指導者が魔術結社の魔女と行った取引の内容などどうでもいい。私はリーチへ戻る。秘密の会合に吸血鬼。私は臆病者じゃないが、理解できないことが多すぎる。故郷を奪い返してノルドを倒そうとする情熱では誰にも負ける気がない。しかし、このような魔法は老いたシャーマンにさえ許容できない。

お前も自分が大事なら、ここで死ぬ前に私と同じ行動を取るべきだ。

アヴァ

レマンのウォードラムReman War Drum

レマンがスカイリムをアカヴィリから防衛した際、彼の軍には多くの鼓手が同行した。この太鼓はそのような兵士の所有物で、ペイル峠の戦いでアカヴィリがレマンに屈服した場にあったものと思われる。さらに何人かのレマン王朝の指導者へ引き継がれたが、最後のレマン皇帝が暗殺される前には使用されなくなっていた。それ以来、太鼓は相続、贈答、征服の際に、首長から首長へ受け渡された。

現在、この太鼓はスカイリムの偉大なる英雄の宴に鳴らされる。

ろくでなしハーロック(発掘)Harlock the Bastard (Exhumed)

ろくでなしハーロック、この石の下に眠る

ジョールの兄弟にして

疲れて老いた怠け者

吹雪にて凍る

老いて疲れ切った無精者

暗殺者の手紙Assassin’s Letter

ペンターチ・コルブ

採掘社は準備が整っていつでも利用できる状態です。間抜けな鉱山労働者どもはうかつにも何に署名してしまったかさっぱり理解していませんし、どれだけ壮大な地が目の前に広がっているか、全く分かっていません。

彼らは自分たちの仕事と秘密の保護をしっかりと行い、暗闇の下にある私たちの秘密が発覚しないように守ってくれます。我々は定期的に労働者の補充を行っていく予定ですので、適切だと思う人物がいれば自由に食すか、錬金術師の元に送ってください。

そして儀式を行う時が来たら、彼らは私たちが必要とする力を提供するために配備されます。

シスター・サルダ

我が愛しきエグザーチMy Beloved Siblings, the Exarchs

戦場を共にした愛する仲間のことを考えなかった日は一日もない。コールドハーバーで苛まれた彼らは、果てなき愚者ストリキによる契約の文言に苦しめられている。手配には永劫と思える時間がかかったが、もうすぐ彼らをあの忌まわしい穴から解放するつもりだ。全員を一度に救出したいのは山々だが、まずは足掛かりを作る必要がある。そうすることで、グレイホストの帰還が確実になる。彼らは我が体、我が力である。この戦略は我が仲間を自由にするだけでなく、正当な報酬を与える。

ああ、エグザーチよ!

這い寄る黄昏のエッゼ、我が王冠にして栄光。最初にして最大の者。
ツィンガリス、我が頭脳。常に思考を続け、我らが再生の謎を解き明かす。
赤い眼差し、我が右目。過去の過ちを物欲しげに眺める。
セレヴル・ルイラック、我が左目。誇り高く未来を見つめる。
ブラザード、我が舌。我が真理を外の世界へ囁く。
赤爪のウルフラ、我が背骨。あらゆる不運に立ち向かう。
クラグレン、我が右腕。敵を追い払うため構えている。
ウルス・グリムランターン、我が左腕。恐ろしくも素早い正義をもたらすため掲げられる。
ディルジのヴェム、我が吐息。私のあらゆる部分に命をもたらす。
大ネズビ、我が筋肉。私の愛する全ての者を一つにまとめる。
カイア・アヴェルニコ・サンクトゥス、我が骨。我が力の底石。
リティア・ロングステップ、我が闊歩。私を目的へ近づける。

これら12の者たちが最初に蘇り、新しく再生されたグレイホストのリーダーとなる。だがもう一人、名を書き記すことを思うだけでも手が震えるほど、深い裏切りを犯した者がいる。私はかつて、仲間の中で最も偉大な者として彼を愛した。今では、憎悪しか感じない。私は奴を、13人目の仲間を探そう。自由のためではなく、報いさせるために。

彼は我が心臓。悲しみによって壊れ、もはや修復は適わぬ。

改修の指令Dictate of Renewal

石工、技師、墓地の番人は注意すること:

我々の成功は急速に近づいています。灰の王の支援と洞察により、新たな闇に満ちた時代が嵐の先で我々を待っているのです。だが悲しいことに、大きな成功はより厳重な監視をもたらします。我々は長年にわたって影に隠れ住んでいたため、防備はずさんになってしまいました。多くの壁が修繕を必要としています。かつては素晴らしかった門が放置の重みに耐えかねてきしみ、不平を漏らしています。これでは用をなしません。

グレイムーア砦の壁が再び難攻不落となるまで、終わることのない改修をここに宣言します。

東門は大規模な修繕を必要としています。正門の改築は灰の王の到着後ほどなくして開始されました。壁の西の部分には最も注意が必要なのではないかと危惧しています。石の窪みのほとんどが通れる状態のままになっているからです。こうした通路は「盲目の破滅」攻城戦の間、とても価値があるものだと証明されましたが、そのような脅威は過去のものです。故に、この通路も同じく過去のものです。

全タムリエルのいかなる建築物も、グレイムーア砦の荘厳な気高さや、永遠の恐怖にはかないません。この場所の壁は、我々の意思のように決して揺らいではならないものです。

王と同胞のために
レディ・エッセニア

楽士の集会 第1巻Convergence of Maestros, Volume 1

吟遊詩人の大学、楽士の集会
ソリチュード、第二紀580年
薪木の月、第一地耀

出席者:
~ 筆頭楽士カトレル・ゲオリック
~ 楽士フロフゲン・ウェルチューンド(打楽器教授)
~ 楽士テザラ・ハーフテイル(南方弦楽器教授)
~ 楽士テニヴァル・レンドゥ(小型管楽器教授)
~ 楽士エフノート(ベルとホルン修士)
~ 楽士ヴィアトリクス・アンブラノクス(声楽教授)
~ 楽士レイボーン(北方弦楽器教授)
~ イングマエア・レイヴンクィル(吟遊詩人大学の王家歴史家)
~ リュート・ボイスのヘルグレイル(ウィンドヘルム王家の吟遊詩人、スカルド王ジョルンの代理人)
~ 二つの夜(アルゴニアン音楽理論非常勤教授)
~ 熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソング
~ 筆頭楽士助手兼書記 ハートリン・トレグ(著者)

〈開会宣言〉

カトレル:栄えある最上の吟遊詩人の皆様、ご清聴を!皆さまのご列席に心から感謝します。今回の会合は適切な手入れと、そして――

〈唐突に楽士テニヴァルが立ち上がる〉

テニヴァル:手入れと監禁ですか?まっぴらです!あなたは箱に閉じ込めることで、楽器の生命力を台無しにする気だ!
カトレル:いいですか、楽士テニヴァル!この会議でかんしゃくを認めるつもりはありません!しばらく管楽器の音量を下げておきなさい!
テニヴァル:この件について私の意見は変わらない。
カトレル:分かりました。どうか落ち着いて。

〈テニヴァル、怒った様子で座る〉

カトレル:先ほど述べたように、私たちは目の前にある伝説的な、歴史的に名高い、この上なく優れた楽器に対する処置について話し合うために集まりました。大学が数百年に渡って収集し、維持してきた楽器です。この部屋にいるか、外にいる吟遊詩人の何人かは教え、作曲をするためにこうした楽器を大々的に使用してきました。他の者からの苦情により、また内外の…

〈多くが不満を漏らし、横目でチラチラ見る〉

カトレル:…このことは楽器に過度の悪影響を与えかねないという懸念があります。ごく最近、シルスクのトムの大規模な修理を行いました。誰かが――

フロフゲン:あれは私の責任じゃない。それに酔ってはいなかったぞ。ほのめかされたようにはな!

ヴィアトリクス:トムが壊れる直前に、あなたがブランデーを継ぎ足してるのを見たわ!

フロフゲン:それは否定しない。だが酔ってはいなかった。生徒が私につまずいて転んだ時に滑り落ちたんだ。私が昼寝をしていた時に。太鼓の上で。

ヴィアトリクス:だらしない――

カトレル:もう結構!私たちはあなた方の情熱について論争するために集まっているのではありません。解決策が必要なのです。楽士エフノートが意見を用意してきたそうです。エフノート?

〈エフノート、起立する〉

エフノート:はっきり言いますが、私はフロフゲンがうろつきながら独り言を太鼓に言って部屋の皆をあぜんとさせる前に、ブランデーを継ぎ足しているのを見ました。トムに損害を与えたことに関して、弁解の余地はないとみなします。故に、我々の芸術品の保護を主張します。

〈エフノートは咳払いをし、険しい目でフロフゲンを見る〉

エフノート:これらの楽器は音楽の歴史の遺産の象徴です。吟遊詩人の大学は生徒や観光客、弦楽器職人、その他工芸作家に職人芸と文化的歴史の一部となるものを示すため、可能な限り長く楽器を保護するべきです。

〈テザラが起立する〉

テザラ:エフノート、楽器は恋人のようなものだって認めなければならないわ。楽器がもっとも美しいのは、かき鳴らされ、つま弾かれ、楽しそうに歌いながら演奏されてる時じゃないの?檻に入れたら、楽器は鳴らされることもなく孤独だわ。違う?

〈エフノート、居心地が悪そうに位置を変える。ひょっとしたら彼とテザラに関する噂は真実なのか?〉

エフノート:テザラ、尊敬すべき人よ。あなたが熱のこもった嘆願をしようとも、私はあのような楽器に対しては繊細でありたいと思う側なんだ。あれは尊いものだ。もうニルンにとても多くのものをもたらした。敬意に値しないか?永遠に演奏し続けることはできないってことだ。

テザラ:自分の曲を奏でたいと懇願する楽器を、そのまま持ってるなんてあり得ないわ!

〈テザラはほとんど怒鳴っている。エフノート、おどおどしながら座る〉

ヴィアトリクス:どんなに楽器の状態が良かったとしてもね、テザラ。大学の生徒が撫でまわし、思い描くひどいソネットを演奏したら、そんなのはどうでもよくなるのよ。

テザラ:よくもそんな――

〈テザラはヴィアトリクスに飛び掛かり、顔に爪を立てようとした!〉

カトレル:やめなさい!座りなさい、2人とも!

〈カトレルはヴィアトリクスとテザラの小競り合いを遮った。エフノートは遠くを見ている〉

カトレル:芝居がかったことをするのはやめなさい!タムリエルの吟遊詩人は、私たちが吟遊詩人全体の文化のために成熟した判断を下すことを期待しているのです。名誉にふさわしい行動をしなさい!

二つの夜:本当に吟遊詩人全てのことを考えるなら、私はアルゴニアンの代表として意見を述べたい。あらゆるものが最終的にはニルンに戻る世界で、すべてを保存しようとして何になる。私たちの土地では、時や沼地より長く存在し続けるものは何もない。私たちはあらゆるものを使う。もし使い道がないなら、それは再び沼地に委ねるんだ。

フロフゲン:その通り!この鱗野郎が言ってるのを普通の言葉で言えば、素晴らしい楽器は手にしている間に使うべきだってことだよな。どうせ最終的には盗まれ、燃やされ、その、何かをこぼされることになるんだろう?

二つの夜:鱗野郎?

カトレル:静粛に!

〈第2巻に続く〉

楽士の集会 第2巻Convergence of Maestros, Volume 2

吟遊詩人の大学の楽士の集会
ソリチュード、第二紀580年
薪木の月、第一地耀

出席者:
~ 筆頭楽士カトレル・ゲオリック
~ 楽士フロフゲン・ウェルチューンド(打楽器教授)
~ 楽士テザラ・ハーフテイル(南方弦楽器教授)
~ 楽士テニヴァル・レンドゥ(小型管楽器教授)
~ 楽士エフノート(ベルとホルン修士)
~ 楽士ヴィアトリクス・アンブラノクス(声楽教授)
~ 楽士レイボーン(北方弦楽器教授)
~ イングマエア・レイヴンクィル(吟遊詩人大学の王家歴史家)
~ リュート・ボイスのヘルグレイル(ウィンドヘルム王家の吟遊詩人、スカルド王ジョルンの代理人)
~ 二つの夜(アルゴニアン音楽理論非常勤教授)
~ 熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソング
~ 筆頭楽士助手兼書記 ハートリン・トレグ(著者)

〈第1巻より続く〉

カトレル:静粛に!

〈ヘルグレイルが他の人と共に起立する〉

ヘルグレイル:スカルド王ジョルンの使者として、私にはこれらの楽器をスカイリムの財宝とすることを宣言する権限があると思います。これを保護するために――

テニヴァル:東の者は黙れ!お前は大学の楽士でさえないじゃないか!

カトレル:静粛に!静粛に!

イングマエア:王家の使者に対してよくそんな口がきけるわね、テニヴァル!私とヘルグレイルは招待されて来ている。あらゆることに口を挟む権利を持っているのよ。小型管楽器の教授風情が、王家の吟遊詩人にでもなったつもりなの!

テニヴァル:口を挟むのは、その臭いをなんとかしてからにしてもらおうか。

フロフゲン:まったくだ!大学はいつも重要な判断を下せる。お前が部屋を臭くしなくてもな!

ヘルグレイル:偉そうに飲んだくれてる臆病者が、よくも言う!

〈今や全員が立ち上がった。熟練楽士のネルとレイボーン、そして私を除いて〉

カトレル:静粛に!静粛に!無意味な侮辱の他に提案がある者は?

〈やっとカトレルとヴィアトリクス以外が座った〉

ヴィアトリクス:はい、あります。博物…いえ、名誉館を作るのよ。そこに私たちの誉れ高き楽器を置いておくの。酷使から受ける損傷から守られた状態でね。

〈ヴィアトリクスがエフノートを見る〉

ヴィアトリクス:そこでなら次のカリソスになろうとして弦楽器を折り、太鼓の皮を切り裂く元気いっぱいの吟遊詩人の汚い手とは無縁の状態で、美しさや歴史を堪能できるわ。

カトレル:他に何か提案は?

〈二つの夜はガラガラした咳で喉を整えた〉

二つの夜:楽器の使用を承認しよう。彼らを中心の焦点にする。学生や教授が自らの手で、それぞれの楽器を使って音階や歴史を学ぶことを認めるんだ。壊れてニルンに帰ることになるなら、それはそれでいい。

カトレル:ありがとう、二つの夜教授。どうやらあなたの意見は楽士テザラとテニヴァル、それにフロフゲンが支持しているようですね。楽士ヴィアトリクスが提示した名誉館を支持する者はいますか?挙手だけで。

〈ヴィアトリクス、イングマエア、エフノート、ヘルグレイルが手を挙げる〉

カトレル:どちらも同数。4対4。意見を述べていない人も少々いるようですが。レイボーンはどうなのですか?

レイボーン:名誉ある筆頭楽士。私はもっとも最近任命された楽士です。我が師である楽士アルムナス・ファーソングに投票を任せたいと思います。

カトレル:誉れ高きアルムナス。あなたの知恵なら、間違いなくこの熱を帯びた討論を決着させてくれるでしょう?

〈熟練楽士アルムナス・ネル・ファーソングが昼寝から目覚める〉

ネル:カトレル?君には意見はないのか?

カトレル:私は投票を差し控えます。偏らないように。私の筆頭楽士の地位による影響を、いかなる投票にも与えたくないのです。

ネル:そうだと思ったよ。

〈アルムナス・ネルが立ち上がる〉

ネル:私の地位は重要ではない。含めていただくことには感謝するが、我々が収集した素晴らしい楽器の数々に関して、合意に達するかどうかは楽士、教授諸君と誉れ高き招待客の皆にかかっている。付け加えさせてもらうなら、満場一致でな。楽器の中には私の楽士時代に遡るものもある。だが君たちは意図を持って行動すべきだ。そのため、君たちにちょっとした手助けをした。

イングマエア:誉れ高い者よ、どういう意味ですか?

ネル:私は今晩、楽器を全て集めて、密かに土地のあちこちにしまい込んだ。君たちが合意に達するまで楽器の姿を見て、手を触れることはできないよ。

イングマエア:あなたにそんな権利はない!

テニヴァル:あなたは大学自体に背いたのだ、老人よ!

〈皆が立ち上がってお互いに怒鳴り、小競り合いを始めると、ネルは座った。先ほどひっかかれた仕返しとして、ヴィアトリクスがテザラの顔を打った〉

〈カトレルは秩序を保てないため、会合を終わらせて散会とし、皆を離れた扉から強制的に退出させた〉

〈老いたネル楽士は私にこうささやいた。「恋人たちによりを戻させるには、もっと大きな敵が必要かもしれないぞ」。何のことだか私には分からない〉

監督官への手紙Letter to the Overseer

ブラックリーチにやってくる吸血鬼が日に日に増えている。襲撃が頻度を増しているんだ。鉱山労働者たちが危険に晒されていることに気づき、街を放棄するまでに撃退できる数などたかが知れている。どうやらアゲラン隊長は、もう何かに気づいているようだ。すぐに話して、彼の懸念を和らげて欲しい。

約束通り、お前の事業を守るためにできることは全てやっている。だが攻撃の増加により、予想よりも困難な状況となっている。危険性が上昇したため、さらなる血の提供が必要だ。できれば消えても気づかれずに済む弱い標的が望ましい。

これについてためらいがあるなら、こちらには我々の協定の証拠があることを思い出してくれ。我々の関係を維持したいなら、頼まれた通りにしてくれるはずだ。

ブルイク

魚捌きのイセンドラIsendore Fish-Gutter

魚捌きのイセンドラ

忠実な魚屋にして

ヨレンの妻

魚の骨が喉に詰まり

若さが褪せぬうちに死す

恐妻家のモラチェリスのパンフルートPan Flute of Morachellis Hag-Husband

このパンフルートは伝説のスカルドであり元教官でもある、恐妻家のモラチェリスの所有物だった。彼はこの世に知られぬ楽器に熟練した数少ない者である。その奇行で名高いモラチェリスは、このフルートを不運な出来事で亡くなった双子の片割れの足の骨で作ったと言われている。常に遊び心にあふれたこのスカルドは、時にこの噂を肯定し、時には否定した。

不安を感じる笛の素材と演奏時の衛生に対する疑問から、モラチェリスが指導する生徒を持つことはほとんどなく、後継者もいなかった。

吟遊詩人の大学で、サルスカップを今夜開催!Bards College Salskap Tonight!

タムリエルの吟遊詩人の皆さん!ソリチュードの皆さん!

吟遊詩人の大学で最も尊重されている楽器が、あるべき場所に戻ってきました!今晩、私たちは伝説の楽器を台座から降ろし、帰還を祝して大サルスカップを開催します。

この伝統的な吟遊詩人の催しでは「冒険者の勝利」のお披露目も行います。

全ソリチュードが記憶するであろう、歌と供宴の夕べにぜひご参加ください!

建国の頌歌Ode to the Founding

[以下の複写は、現存しているウェルのエルデの最後の演技に由来するものである。エルデはソリチュードが継承戦争に加わる前夜、首長の前でこの詩を歌った]

ハーフィンガルを導くハーケン、我らが家を称える声を聞け
空を横切りそびえる、街の孤独な三日月が
誇りと意志に満ち、固い岩から空へ昇り
響く波と、終わりなき時の試練を見下ろす
ああ、栄誉ある観衆よ、我らが家はかつて慎ましかった
亡霊の海の凍てつく嵐、巻き上がる風は
怯えた信仰厚き、見捨てられし祖先を
海辺から突き出た崖の下に避難させ
厳しい冬を生き延びるようショールに祈らせた

見よ、アカトシュの回る砂時計に見守られ
我らが民は栄え、石のねぐらに安らいだ
壁と井戸は、不吉に唸る厳しい風を跳ね返した
鍛えられた手で石を切り、民は高い塔を築いた
ドールの城、神々に仕える者のための聖堂
基礎に砦と、信仰の家が支えとなり
我らが街ソリチュードは、詩にしばしば歌われる

こうして建てられた礎に建つこの砦
ソリチュードは空へ昇り、周囲を見渡し、支配した
縛られぬ手と、たじろがぬ目で
瞬く間に槌を振るい、内陸をハーフィンガルへ変えた
多くの者が嘆き、さらに多くの者が抗弁した、だがその声は呟きに消えた
首長がその銀の王冠を身に帯びた時
知恵と力の狼
街の象徴にして、ソリチュードの荘厳な魂が宿った時

だから剣を取れ、誓える息子よ、臆せぬ娘よ
狼の冠を被った王の支配に服すのだ!
戦いで血が流れようと、我らは知っている
スカイリムに絡みつく大蛇を屠ったなら
聖なる故郷ソブンガルデで兜を脱げることを
今は休め、我が同族よ。休み、夢を見よ
近い夜明けに、勝つべき戦いの夢を
そして勝ち続ける、さらなる戦いの夢を

我らはソリチュードの子
我らはスカイリムの子

研究メモ:ヴェランディスの後継者Research Notes: The Heir of Verandis

上級錬金術師にしてグレイムーア砦上級侍従、レディ・エッセニア 著

私の仕事に運命が微笑んだ!全く予期しなかった標本が私の玄関口に現れた…新しく刺激的な研究の道を開いてくれるかもしれない標本だ。

このカジートはアドゥサ・ダロと名乗っている。吸血症の感染源を尋ねると、彼女は言葉を濁し、従順さを失った。自白薬を使った後でさえ、話すことを拒んだ。これは大して問題ではない。私は即座に彼女の血統を推測した。私たちの仕事に対する思い上がった侮辱と秘密への献身から、裏切者のヴェランディスの匂いがする。彼が常に太陽で苦しみますように。

ヴェランディスの下劣な性格にもかかわらず、彼の血には興味深い性質がある。彼の鼻持ちならない節制は、後継者を見つけ出すことをとても困難にしている。あの者が軽率にも私の門を通り抜けたのは、運命の女神が私の仕事に喜んでいる証としか思えない。

ヴェランディスの血は独特なものだ。適切な試薬と調合液があれば、神をも圧倒するようなものが絶対に作れるはずだと私は信じている。最古の純粋な血を力と可能性で超えるかもしれない、新たな段階の吸血症。私の血の騎士は単なる前座で…真に目覚ましいものの先触れなのかもしれない。楽しみだ。

研究メモ:混沌の吸血症Research Notes: Chaotica Vampiris

上級錬金術師にしてグレイムーア砦上級侍従、レディ・エッセニア 著

一体どうして王冠を脱ぐことに耐えられたのか、と最年長の親族が頻繁に尋ねる。まるで力が統治している者の手にしかないかのように。灰の王自身の物語が、その誤りの十分な証拠ではないの?

新たな王が我が戸口に初めて現れた時、同じように考えていたことは認めざるを得ない。数百年統治していたことが私の精神を歪めてしまい、統治者と被統治者という単純な原理だけが尊重に価するものと考えてしまっていた。政治。玉座。廷臣に請願。自分自身に手綱や轡をつけるとは、なんと愚かだったことか!ある種の者にとって、真実と実現は玉座に依存している。私のような吸血鬼にとって、真の実現は研究にある。かすかに光るフラスコ、きらめく解剖用メスに注射器…これらが私の心を引き付ける唯一の宝石だ。私はあまりにも長い間、自分の使命から目を反らしていた。灰の王の出現によって、このことを再び見出すことができた。

私はずっと吸血症感染の複雑さと可変性に驚いていた。それぞれの血統は長く語られる歴史を持っており、それぞれが独自の贈り物を病に求められた者に対して与える。統治者の無意味な位から解放された今、私は自分に問いかける。贈り物を向上させられるだろうか?こうした染みを一体化させることができるだろうか?

私の研究の成果を見るがよい!混沌の吸血症!我らが吸血鬼の本質における革命だ。出血吸血症やポルフィリン・ヘモフィリアとは異なり、この新しい病はすでに吸血症にかかった者を標的とする。錬金術の手法で血統を混ぜ合わせても小さな成功がもたらされるとは言え、真の触媒は混沌のクリエイシアだ。これはあらゆる吸血症の根源、コールドハーバーで獲得されたものである。モラグ・バルはタムリエルの獲得を急ぐあまり、双方に向けて開いた扉のことを忘れている。

私はこの混沌の吸血症の感染者を「血の騎士」と呼んでいる。この新しい生物は、今までに知られているどの吸血鬼よりも素早く強い。

全ての偉大な科学的冒険で見られるように、結果は必ずしも安定していない。彼らの下劣な本能の抑制に対する取り組みはまだ苦戦している。さらに研究を行えば、状態をより改善できると私は確信している。幸い、夜ごとに新たな吸血鬼が我々の門に現れる。奴隷用の囲いは被験者で溢れんばかりだ。必要なのは時間だけだ。

絹の叫びShriek-of-Silk

数少ない高名なアルゴニアンの旅吟遊詩人、柔き嘴が300年にこのヴォッサ・サトルを大学にもたらした。現在、習得の難易度が屈指の楽器と見なされている。

その後数百年に、楽器は演奏のためではなくいじめのために使われるようになった。習得が容易で、特定の音があらゆるアルゴニアンに受け入れられて興奮させるため、ある時点で上級生が新入りの吟遊詩人にヴォッサ・サトルを始めるよう告げるのだ。もし正しい音を出せないなら、それは十分な肺活量で吹いていなかったからだと言われる。

吟遊詩人の大学職員は最終的にこれをやめさせ、このヴォッサ・サトルは現在アルゴニアン音楽理論の非常勤教授、二つの夜の愛用楽器として、誇り高い扱いを受けている。

古いノルドの酒飲み歌Old Nord Drinking Song

ハチミツ酒を飲みながら
シアーポイントを登った
視界がだんだんぼやけ
文字が読めなくなった

居心地よさげな洞窟があった
警告も何も書いてない
フロストトロールと一緒に寝た
朝になったら、お互い驚いた

ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!

トロール女に1瓶やった
そいつはすぐさま飲み干して
ニコニコ笑って踊った後に
ボコボコに俺を叩きのめした

トロール女のいびきの音で
目が覚めたらもうこんな時間
ハチミツ酒はもうすっからかん
でも気分はあっけらかん

ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!
これさえあれば、何もいらない
とても甘くて、とても強い
この美味さなら、心配いらない
ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒、ハチミツ酒!

孤児ネルNel the Orphan

孤児ネル

若くして死んだ

カースの娘

生涯の放浪者

水たまりで溺れた

鉱山労働者の失踪Missing Miners

アゲラン隊長

お願いしたい。行方不明事件の捜査をあまりにも…派手に行うのはやめてほしい。鉱山労働者が失踪したなどという噂が立ったら、街はパニックに陥る。労働者たちがどれだけ迷信深いか、よく知っているだろう。

この件は、間もなく論理的に説明できるようになると確信している。どうしても調査を続行しなければならないのなら、個人的に会って目立たないように調査する方法について、話すことは可能だろうか?街の裏にある洞窟で、妥当な行動計画について2人で話し合いたい。事務所に招きたいが、やはりこの件は慎重に行うことが最も重要だ。今以上に注意を引くことはやめておこう。

ウールヴァル

鉱山労働者の日記Miner’s Journal

2日目

鉱山のできるだけ奥に拠点となるキャンプを設置した。誰かがひどく苦労してこの通路を掘ったようだが、遠い昔の話に違いない。

幸運にも、鉱山のこの区域はまだ銀やその他の微量金属が豊富にある。トンネルの壁を貫く巨大な手つかずの鉱脈が見える。だが、このことは元々発掘した者の運命に関してかなりの不安を感じさせる。これだけの苦労と投資をして鉱山を開いたのなら、なぜ鉱脈に蓄積された膨大な鉱石を掘り尽くす前に放棄したのだろう?

3日目

今日は崩落したあるトンネルの片付けを終え、その先にある大きな部屋まで入った。私は歴史家ではないが、ここにあるのはドワーフの遺跡の名残に間違いないと思う。岩や鉱石とはかけ離れた、絶対に自然ではないものがあった。

アエサが昨夜、寝ている時に走り回る音を聞いたと言った。スケグは心配がいらないとなだめ、こんなトンネルには素早く動くものがたくさんいるからと言っていた。だが私も物音を聞いたし、それは普通の蜘蛛が立てる音ではなかった。何かにつけ回されている気がして仕方がない。まるで見張られているようだ。

4日目

こんなところには絶対に来るべきじゃなかった。何時間も前にアエサとスケグがドワーフの遺跡へ偵察に行ったが、どちらも戻っていない。影の中で青白い姿が動いていて、癇に障る虫のようなカチカチ鳴る音が通路中で反響している。幻覚を見ているのだろうか?脱出する道を探しても、おそらく見つけられないだろう。

どうやら今、キャンプにいるのは私だけらしい。誰かが出ていくところを見てはいないが。カチカチ鳴る音はどんどん大きくなっている。呼吸音が聞こえる。さっき、暗闇の中で叫び声を確かに聞いた。アエサの声のようだった。

何かが近くにいる。私を嗅ぎつけたようだ。

今日の指示Today’s Instructions

ザニクー。新鮮な死体を探す間は、嵐から身を守るためにフレイウェンのアミュレットを使いなさい。しかし、なくさないように。

調査場所:
~ 最近凍結した商船
~ 要塞南の氷棚沿い

入手すべき品:
~ 人間の死体
~ 狼の死体 1
~ アルゴニアンの死体 1

上記の品を持ってベルグラの空洞の下にある私の工房に戻りなさい。見つかるまで戻ることは許しません。

マクステン・ファヴレット

失われた愛への挽歌A Threnody to Lost Love

心の中の奥深く
私の中に集まる嵐
心の中の奥深く
満ちる潮はあまりに高い
心の中に隠れる
悲しみが奔放にささやく
恐れは冷たく
私の涙を通じて叫ぶ

どうか私を見つけないで
自由になれない
どうか私を見つけに来て
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない

心の中の奥深く
私の中で炎が燃える
魂の中の奥深く
痛みが全てを切り裂く
心の中に潜む
孤独が懇願する
私はもう完全じゃない
涙を通じて悲鳴をあげる

どうか私を見つけないで
自由になれない
どうか私を見つけに来て
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない
あなたの死が頭から離れない

取り消しの呪文(第一節)Incantation of Reversal, First Fragment

自由の指輪が渇きを癒すなら、まずこの言葉を言うように推奨する:
大海の岸で、ホーカーの群れが自由に遊ぶ

取り消しの呪文(第二節)Incantation of Reversal, Second Fragment

春になれば、土壌が豊かになる。呪いを破るには、2番目にこの言葉を言え:
豚、そして豚、そして豚、そして豚。叔母の指は小枝のように細い!

取り消しの呪文(第三節)Incantation of Reversal, Third Fragment

この言葉に気をつけろ。しばしば不明瞭だが、この詩を大声で歌うべきだ:
震える羽が風に漂う。髪は長く伸びたが、決して細くない!

首長殺しJarlsbane

この卓上弦楽器はヴァーデンフェルのヴィベク卿の代表団から上級王スヴァートルに贈られたものだ。ダンマーの音調の構造に慣れていなかった宮廷音楽家たちは、これを「はなはだしく調子外れであまりにも理解しにくい」と断言した。これはレドラン家の大吟遊詩人のエンドロニ・セルヴィロによって発見されるまで、長くブルー・パレスに珍品として置かれていた。

スヴァーグリム王はダンマー芸術への理解を深めるため、寛大にもこの楽器を大学に寄付した。

(「それでも金切り声を上げるウナギみたいな音がする!」と金属の飾り板の碑文の下に彫られている)

終わりなき鐘Chime of the Endless

この小さな鐘はジズ・クラアのアデプトであるユジッラを、僧房の仲間全員を殺したドロ・マスラの無慈悲な攻撃から守った。ユジッラは鐘をリズミカルに叩いて、恐ろしい夜を通して彼女を守ったジョーンとジョーデに対する賛歌を作った。残念ながら賛歌は失われてしまったが、鐘は残っている。

大学はカジートの仲間に敬意を表し、この鐘の使用を制限している。

終わりの一つ前の笑いThe Penultimate Laugh

ホーカーと怒ったガチョウがウィンドヘルムの酒場に入った。
何も特別なことは起きなかった。

これは謎かけではない!ハッ!私のお気に入りの物語だ。

だが物語の時間はない!全くない!謎のメイルモスの脅威の財宝はもう手の届くところにある!驚くべき秘儀がお前を待っている!鍵は不要だぞ。巻物が鍵だ!分かるかな?どうかな?

覚悟があるなら、入れ!

盾の衛士カーシShield-Guard Karthi

盾の衛士カーシ

衛兵として

彼は警戒し続けた

若き盾は破られた

腹に矢を撃たれ

焼けた紙Burnt Papers

〈明らかに燃やされた日記のページ。文章の断片しか残っていない〉

…を入手するのは難しい。ブラックリーチでさえも…

エジャーは嘘をついていた。落盤であんな怪我はしない…信頼はなかなか得られないが、彼は自分の身に起きたことについて真実を教えてくれた…

エジャーの血にはネザー…が染み込み…おそらく彼の抵抗によるものだが…自分の目で確かめる必要がある…中へ入る道はエジャーが知っている…

エジャーは協力しないだろう…群れの仲間の救出に固執している…光ささぬ…の古いドワーフの塔の近くに…

解放すると約束した…ダスクタウンの外でエジャーに会う…橋の東にあるキャンプで…

蒸留の目盛りと指示Distillation Calibrations and Instructions

正当な許可なく、ネザールート成長噴霧器の目盛りを調節しないように!

現在の目盛り:(有効性97%)
– 第1の目盛りは4ユニット
– 第2の目盛りは2ユニット

誤ってノズルが調整されてしまった場合、リセットを使用して全てのバルブを現在の目盛りに戻し、報告して適切な処分を受ける。調合薬の安定性を損なうことがないように!植物が不純物のない霧状のミストを吸収した場合、ネザールートは使用不能となり、数週間の作業が水の泡となる。

現在の目盛りに関する注意:
どちらの蒸留液も2ユニットを下回るか、4ユニットを超えてはいけない。パラメーターから外れた数を設定しようとするとバルブは停止する。パラメーターを強引に超えようとすると目盛りはリセットされる。

2つ目の蒸留液は、決して第1の目盛りを2ユニット以上超えてはいけないことに留意するべきだ。2ユニット以上超えると現在の調合薬が不安定になり、その結果純粋なミストが噴出される。そうなった場合は死につながる可能性がある。特に操作者の。

-目盛りのリセットは指示があった場合のみ、中央の端末を用いて行うこと。

深き洞窟のハイドリクの、機知と知恵Hydrik Deep-Delve’s Wit and Wisdom

さて、諸君。私は足首を折ってギルドホールにある自室にいる。治癒師によれば、6週間以内に再び歩けるようになったら奇跡だそうだ。ギルド幹事が時間を取って羊皮紙に色々と書いてみるのも良いではないかと言うので、若きメンバーは私の「知恵」の利益に預かれるという訳だ。時間をつぶす方法としては一杯やるほうが良さそうだが、何しろ私の回復のためにと勧めてくるのがギルド幹事だ。

だから、心して読むように。キルクリースの丘なら、どんなに弱い男でも短剣を持てばサーベルキャット数匹の腸を抜くことができる。だが本当の仕事は、西スカイリムの穴の中や薄暗い片隅にある。私はそのような場所を詳しく見て回った。こうした場所を探検した後に再び太陽を拝みたいと望むなら、この文を読み続けることだ。

シャドウグリーン
新人なら誰でも、ソリチュードに近接した場所ならそれほど危険ではないと考えるだろう。間違いだ。ここには極めて奇妙な獣が数多くいて、人の目を爪でくり抜き、肝を食べてやろうと待ち構えている。それはほんの始まりに過ぎない。そこをとめどない炎が覆い尽くすのだ。ただ近くに立っていただけで、肺に空気を詰まらせてしまった治癒師を見た。熱だけではない。また、亡霊の海から吹き付ける凍り付く風もある。手をきつく覆っていなければ指を真っ黒に変えてしまうような風だ。指が凍傷にかかっている手で、飢えた熊を回避できるか試してみるといい。やってみろ!

最近ではもっと悪い噂も流れている。厄介な魔女のハグレイヴンがそこに拠点を作っているというのだ。そしてあらゆる種類の不快なものを傍らに呼び集めているらしい。奴らが何を求めているのかは、誰にも分からない。

ドラゴンの家
まずははっきりさせておこう。ここにドラゴンは1匹もいない。スヴァイン、ボル、オーダたちがドラゴンを倒し、英雄になろうと考えるのにはうんざりする。
そうしたいなら、エルスウェアに行け!

この場所にいるのはドラウグルで、どんなギルドの支部でもこいつには躊躇するはずだ。竜教団はかび臭い広間に軍団を収める方法を実によく知っていた。それは認めよう。そしてドラウグルがいない場所には、ドラゴンを崇拝することが賢明だと考える程度にはおかしい信者がいるだろう。まるで昔に戻ったかのように!ここでは墓地におけるその他の魅力的な特徴も見られる。罠、突然勢いよく開く墓室、それに…一番厳しいのは、足元に注意を払わなければ落ちて死ぬことだ。高さには気をつけろ!

フローズンコースト
溺死はひどい死に方だ。我々の職業で間抜けが死ぬ原因は沢山あるが、溺死はその中でも最悪の部類だ。よく滑る氷棚の上に立って海の巨人を追い払っている時に足を踏み外し、ナミラの胸よりも冷たい水の中に落ちたとする。そこから飛び出すことはできない。その冷たさはすぐさま肺から空気を奪う。どれだけ力があろうと、武装した体を極度の混乱から引き出すのは無理だ。そして沈む。

これが悪い場合。もっと悪いのは、海の巨人のクランがその岩を見て、呪文をかけて混乱の種を植えるのにちょうどいいと考えた場合だ。私が話しているのは、荒野で見かける毛皮に身を包んでよろよろ歩いている巨人のことだと思っているかもしれない。そうではない。海の巨人は賢い。そして意地が悪く、できるだけ苦しめて殺すためなら喜んで時間をかけるだろう。楽しみのためだけに。それから、奴らはマンモスのミルクからチーズを作らない。少なくとも、私に分かる限り。

冷風ヶ淵
これは洞窟だ。薄暗く、天井も低い。最近まで、心配すべきようなものは大していなかった。リーチの民が何人か隠れているぐらいのものだった。あるいははぐれ死霊術師が。ギルドは容易に対処できた。だが、これまでに見たことのない怪物がこのトンネルの中に住み着いた。見たことのない獣だ。まるでゴブリンのようだが、違っている。

ひどく汚らしい鎧を身に着けた青白い連中で、叫び声をあげる大人のオークを、黒いトンネルへ引きずり込むくらいの力がある。私はそれを調査する仕事を受けて、攻撃される前にかろうじて部屋に入れた。

奴らはある種の虫を使役している。巨大で、鋼の罠のような下あごを持ったものだ。チェインメイルを貫いて噛みつける。顎に毒があっても驚くことはないだろう。

ラビリンシアン
どんな小生意気な間抜けも、隠れ場所や攻撃の心配をすることなくこの洞窟に出入りできるだろう。だが、ちょっとした軍団を作らずラビリンシアンへ行くのは愚か者だけだ。その学者が護衛を1人雇う金しか持っていなくてもである。金には代えられないからだ。ここの上層には大きな敵がいて、下の洞窟にはさらに悪意のある連中が大量にいる。忠告しておくが、あまり奥には行くな。多くの者が降りて行ったが、上がって来た者はいない。

神々とノルドDivines and the Nords

大司祭インガルト 著

ノルドの宗教は長年の間に、数々の興味深い転換点を経た。最も初期の信仰はアトモーラに起源を持ち、動物のトーテム崇拝を中心に展開した。ドラゴン、鷹、雌狼、蛇、梟、鯨、熊、狐などは八大神にロルカーンを足したものに相当するように見える。後にドラゴンが注目を集めるようになり、竜教団が誕生した。竜教団がより邪悪になってその意思を全土へ強制するようになったのは、タムリエルへの移住中かその後まもない時期のことだった。ドラゴンや司祭を打倒するには竜戦争が必要だったが、その話は別の機会にすべきだろう。

最終的に、動物トーテムの神々は現在我々が信仰している八大神に変化した。我々は彼らを真の名前で呼ぶ。アルドゥイン、カイネ、マーラ、ディベラ、ストゥーン、ジュナール、オーキー、ショール。我々は神々が世界と同じように循環するものと理解しているので、現在の世界をもたらすために戦って死んだ、死した神々(ショールとストゥーン)、現在の循環を見守る炉の神々(カイネ、マーラ、ディベラ、ジュナール)、次の循環を先導する黄昏の神(アルドゥイン)をも記憶している。また、これに試練の神々と呼ばれる者たちも加わるが、彼らは崇拝の対象でなく、反対に彼らから炉を守るべきだと認識している。これにはオーキー、モーロッチ、ハルマ・モラが含まれる。

インペリアルが到着した時、彼らは南の宗教をもたらし、八大神の信仰と一体化させるための活動を行った。それ故に我々は、ソリチュードの美しい街を優雅に飾る、この素晴らしき神々への聖堂を手に入れることができた。我々は8人の神がいるという一般的な概念に多かれ少なかれ同意するが、極めて異なった観点で捉え、異なる名前で呼んでいる。我々の聖堂は現在の統治者の要求や要望に幾度となく適応し、もはや我々自身がルビーの玉座の恩恵を受けることはないにも関わらず、明らかにインペリアルの観念と習慣に馴染んできた。

恐らく、我々の最大の相違は神々の最上位に関連するものだろう。我々ノルドはカイネを神々の指導者と認識しており、インペリアルがアルドゥイン(彼らはアカトシュと呼ぶ)に魅了されていることを知って困惑し、やや不安を感じている。我々がアルドゥインを眠らせておくために弛まぬ努力を行っているのに、その一方で南の隣人たちは幾度となく彼の注意を引こうとしているのだ!私が聖堂での礼拝を毎回アルドゥイン(おお、偉大なる時の神よ!)を称える祈りで始め、その後に彼を寄せ付けないようにする祈り(その眠りが幾千もの世にわたり続かんことを!)を続けるのはそのためだ。

神々の歌The Song of Gods

カイネ、最後のキス
人類の母と呼ばれる
自らの聖なる嵐で踊り
鷹として飛べ、我らがカイネ

マーラ、愛の女神
その恩寵は我らを高め
聖なる花を祝福する
愛すべき狼の女神マーラ

ディベラ、芸術家の詩神
美の女神に世辞はいらない
この銀蛾に欠陥はない
麗しのディベラしか見えない

ストゥーン、身代金の鯨神
戦争の捕虜は彼の慰めを求める
盾と角笛が彼の宝
共に立て、公正なストゥーン

ジュナル、ルーンの賢神
輝く月の下で自由に飛ぶ
奇妙な夜の梟
共に飛べ、賢きジュナル

オーキーは全ての定命の者を試す
あらゆる争いを始めたがる
誰も逃れられぬ蛇
強きオーキーは誰にも騙せない

アルドゥイン、恐怖の世界を喰らう者
我らが恐れる事を行う
最初のドラゴンとして知られる
アルドゥインを崇めてはならぬ

聖なるスイートロールへの祈祷Holy Sweetroll Liturgy

聖なるスイートロールを称えよ!
フワフワ、ベタベタ、温かく甘い
聖なるスイートロールを称えよ!
おいしいごちそうを称えよ!

聖なるスイートロールを称えよ!
祝福されしシロップをかけられる
聖なるスイートロールを称えよ!
口の中がいっぱいで、称賛も叶わぬ!

聖なるスイートロールを称えよ!
黒檀の木箱に鎮座する
聖なるスイートロールを称えよ!
神聖な皿で供される

聖なるスイートロールを称えよ!
フワフワ、ベタベタ、温かく甘い
聖なるスイートロールを称えよ!
おいしいごちそうを称えよ!

西スカイリムへの案内:カーサルドGuide to Western Skyrim: Karthald

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国の案内を続けよう。今回は最も南の地が舞台となる。

このガイドが最初に書かれた時には存在しなかったカーサルドは、ハーフィンガルの南、ハイヤルマーチの西にある。この地域は5年前まで、リーチの支配下にあるとされていた。しかしはるか昔からノルドとリーチの人々はこの地域の所有権について激しく争ってきて、決定的に獲得できたものはいない。設立されたのは最近だが、ノルドは何世紀もこの地域で暮らしてきた。カーサルドは容赦のない尾根と広範囲な絶壁の土地、松の森を有している。こじんまりした風景には多くの驚くべき場所と、同時に秘められた危険が隠されている。

カースウォッチは権力の座だ。首長と民は西スカイリムの南の境界を管理しているようなもので、その任務は迫るリーチの民に対して守りを固めることだ。旅人に対しては親切だが、カースウォッチの人々は快適さを提供できることがほとんどなく、訪問者が集落に滞在する間耐えることになる、あらゆる不快な状況について言い訳をすることはない。厳密にいえばカースウォッチは街だが、住民は砦だと考えている。

オークの採掘集落であるモル・カズグールは、西の境界にある山の中にある。クランの土地を訪れる人々は、キャンプ内や周囲の土地がカーサルドに属していることについて言及しないよう助言する。たとえ法的にも論理的にも真実であったとしても。オークたちは彼らの領域がロスガーの主権を有する辺境の居留地で、オーク種の規則や習慣の支配下にあると考えることを好む。そのためこの地域への訪問者は、宿主を怒らせて仲間が怪我をする危険があるため、オークの礼儀作法や振る舞いについて十分把握しておくことをお勧めする。とは言え、モル・カズグールのオークはオルシニウムにいる彼らの同胞と変わりはない。強健で、熱心で、しきりに友情を求める人々だ。

著者注:全スカイリムと同様に、カーサルドには他にも旅人の安全が決して保障されない洞窟などの場所がある。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリムへの案内:ハーフィンガルGuide to Western Skyrim: Haafingar

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国は孤立主義や閉鎖的と評されているが、恐れを知らぬ旅人はこの地や住人との間で楽しみを数多く見出せる。このガイドに記された詳細は、このような感想を反映している。しかし、西スカイリムは無謀な旅人のための場所ではないことに注意しておくべきだろう。その地形は住民と同じように険しく、どちらも愚か者に容赦しない。

東スカイリムと同様に西スカイリムはいくつかの地域に分かれ、それぞれに首都があって支配する首長がいる。全員がその中で最も強い地であるソリチュードの首長に忠誠を誓い、その首長は上級王の冠を被る。

ハーフィンガルは北東にあり、山と凍った海岸線に覆われている。亡霊の海から不吉な風が吹きつけ、全てを骨まで凍えさせる。

ソリチュードは巨大な石のアーチにまたがり、首都と首長、上級王の居城の役割を果たしている。街は由緒正しく守りやすいドール城に見守られていて、その砦はこの街の初期の建造物である。ソリチュードには主要な地区が2つある。活気ある市場があるウェル地区と、アベニュー地区だ。建築学の学者ならアベニューで魅力ある家を数多く発見できるが、世俗的な娯楽を求める者はウェル地区を好むだろう。アベニューにはブルー・パレスも隣接している。ここは高位ノルド建築の優れた見本であり、上級王とも呼ばれる首長の居城でもある。また、街の中にはソリチュードを亡霊の海の上に持ち上げる壮観な石、アーチがあることも記載しておく。

ハーフィンガルの山中に建つキルクリース聖堂は、デイドラ公メリディアを祀った建造物だ。デイドラ公の崇拝は、タムリエルにおいてひいき目に見ても物議を醸す議題だが、その建築面での素晴らしさや落ち着いた環境はそれだけでこの聖堂を訪ねる価値があるものにしている。自ら進んで異端の会話に参加しようとする者は、キルクリース聖堂の司祭が温かくもてなし好きで、喜んで旅人に食料や暖かなベッドを提供することを知るだろう。秘密の儀式を行うために管理人が扉を閉じる、高き太陽と低き太陽の宴の間は、訪問を避けるよう注意してほしい。

ドラゴン・ブリッジは小規模なキャンプで、カース川沿いにある街はこの壮大な橋によって名付けられている。川をまたぐと切り出した石で作られた古代の道、ドラゴン・ブリッジがある。興味深いことに、その先端にはドラゴンの頭蓋骨が2つ設置してある。橋の石と頭蓋骨の石細工の細かな違いは、一部の学者をこれが石化した古代動物の実際の骨であるという結論に導いた。その他の学者はこの主張を空想的で馬鹿げていると嘲笑している。遺体であろうがなかろうが、頭蓋骨は何世紀も旅人の想像力を刺激してきた。これからの数世紀も間違いなくそうするだろう。

巨人の野営地はハーフィンガルの荒野全域に広がっている。定住している訳ではなく、放浪の巨人がその都度設営する。同じ場所を何度も使用する傾向にあるため、放棄された巨人の野営地の痕跡を見つけたら、再び使用される可能性は高い。これらの野営地に近づくことは無謀な試みだが、安全な距離からこの生物を観察できる機会を与えてくれる、興味深い冒険を提供する経験豊かなガイドを、数多く雇うことができる。

著者注:全スカイリムと同様に、ハーフィンガルには墓地と洞窟があり、放棄されているように見えるが、とても危険なことが多い。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリムへの案内:ハイヤルマーチGuide to Western Skyrim: Hjaalmarch

帝国調査官、ブンタラ・グラヴィウス 著

僻地にある西スカイリム王国の案内を続けよう。今回は最も東の地が舞台となる。

西スカイリムのハイヤル川にちなんで名づけられたハイヤルマーチは、西の王国の中で最大の規模を誇っている。カース川とハイヤル川の河口で形成される広大な塩水の沼地、ドラークミールがこの地の中心だ。しばしば不気味な霧に覆われる大部分が無人の湿地帯には、一般に不吉とされているデスベルの花が群生している。湿地の探索は困難を伴うが、熱心な旅人なら発見や楽しみを数多く見出せるだろう。

ドラークミールの南東にある林業の街モーサルは、首長の権力の中心地として役割を果たしている。家は必然的に鉄柱の上に建てられ、沼地の上に安全な通路をもたらすための港でつながっている。ここの建物はノルドの粗削りな建築の見本だ。街への往復が大変な悪路であるため、モーサルの人々は旅人に不慣れかもしれないが、親切にもてなすこともできる。彼らの多くは塩沼で釣りや罠を使った漁で、魚を獲って生計を立てている。暖かい季節になると、棒で漕ぐはしけでソリチュードの港に木材が運ばれる。モーサルは隣接する墓地のために不可欠な目的地と考えられており、数少ない墓地の1つは今も、武装しない旅人が安全に探索できる場所となっている。

亡霊の海に隣接する氷棚は探検者や冒険者に人気の場所だが、安全に渡るためには適切な装備が必要とされる。時代が経つにつれて多くの船や大型船が氷に捉われ、残骸の多くが収集家や愛好家に、過去の時代の小装飾品やお土産を見つける機会を提供している。ほとんどのスカイリムの自然と同様、知識が豊富なガイドを雇うことは、氷盤を訪れたいと願う人々にとって不可欠だ。

ラビリンシアンはハイヤルマーチの南東にある、山の麓の丘で見られる巨大な墓地だ。とても危険で珍しい場所となっている。学者たちはこの施設が古代スカイリムの卑しむべき過去において竜教団の中心地だった、ブロムジュナールの街の遺跡であることを知っている。噂では遺跡の中に複雑で苛立つほどの迷路があると言われているが、その存在は信用に足る情報源による確認がなされていない。ラビリンシアンがハイヤルマーチにおける有名な史跡である以上、このリストに含める必要があったわけだが、ここはしばしば厄介な獣や悪しき人々に占拠されている場所である。避けるのが無難だ。

著者注:全スカイリムと同様に、ハイヤルマーチには他にも旅人の安全が決して保障されない洞窟などの場所がある。著者は読者の安全を守りたいと願い、この版からこうした危険な場所への言及を削除することに決めた。

西スカイリム周遊記Travels Around the Western Holds

漆黒の爪 著

殻の兄弟たちも、広大な北の旅へ一緒に来れば良かったのに!まあ、あの生温いギデオンの泥風呂に留まることを選択した彼らを非難しようとは思わない日もそれなりにあるが。どうやら西スカイリムと肌の乾いた住人どもはブラック・マーシュからの旅人に慣れていないようだ。とはいえ、東の隣人に対する態度に比べれば、我々のような者に対する接し方はずっと友好的なようだ。彼らは東の隣人のことを「ミルク飲み」と呼び、地面に唾を吐く。素晴らしい粘膜からの分泌物を無駄にするとは!

西スカイリムには氷と岩しかないと考えていた。だが、彼らが住む地に合わせて様々なものが見つけられる。たとえそれが、丸い舌を持たない者にとって厄介な名前だとしても。

西スカイリムを頭飾りとするなら、ハーフィンガルは頭蓋骨だ。頭飾りがあるかどうかは知らないが。亡霊の海から冷たい風が荒野に吹きつけ、多くが荒涼とした海岸線である。だが川と海が出会う場所に安全な港があり、そこにソリチュードの街がある。ハーフィンガルが頭飾りの頭蓋骨なら、ソリチュードは頭蓋骨の中のウシュル豆だ!ここは間違いなくノルドの考える大都会だ。花や香りのある虫がほとんどいない。くつろげる温かい泥もない。それでも、この者はタムリエル中で楽しんだ慰めを楽しんだ。港への密輸だ。どうやらここの人たちは、外部との開かれた貿易を推奨されていないようだ。

***
キャラバンと一緒にソリチュードからオルシニウムに向けて旅をするつもりだったが、ノルドの訛りに混乱してしまい、結局西スカイリムの別の場所へ向かう荷車に乗ってしまった。ここはハイヤルマーチと呼ばれている。

初めて見た時は、旅に出てから初めて故郷を出たことが悲しくなった!ここの湿原や沼地は雪に覆われているものの、ブラック・マーシュの悪臭を放つクアグマイアを思い出させる。まあ、ここにある湖上の住居や泥小屋は、故郷にあるものの薄っぺらな模造品でしかないが。それに、ここの連中は豊かな腐敗物からほんのわずかな生活の糧しか取り出さない!彼らは主に釣りや罠の猟で生活し、足元の海水に浸かっている発酵の元など考えもしない。私は「首都」であるモーサルの住民を教え導こうとしたが、有意義な時間ではなかった。残念だ。ずぶぬれの丸太小屋は、シロアリの幼虫の繁殖地にちょうど良いことに気づいた。いくつか乾燥させよう。これを書いているのは、村の子供たちにお菓子を作るためだ。

***
オルシニウムに行く計画は阻止されてしまったので、西スカイリムで3つ目の地を見るのも悪くないと考えた。カーサルドと呼ばれる場所だ。だが、ノルドはカースワステンと呼ばれる村について話している。ただでさえその2つについて混乱しているのに、間違える度にここの肌の乾いた者たちは、まるで骨の祝宴で歓喜の背骨を立てたかのようにこっちを見る。シシスよ、我を連れ去りたまえ!

凍える亡霊の海から遠く離れているため、ここは西スカイリムの中で最も穏やかな場所だ。だが険しい岩山が多く、計画的に植物を育てることは難しい。不毛であるにもかかわらず、この地は西スカイリムのノルドと南の棒を愛するリーチの民との戦場となっている。

私は時間を取って、ここの主要な街であるカースウォッチを見ることにした。彼らはカース川関連以外の名前を考えられないのだろうか?中心となる集落は印象的だった。石の断崖の上に建つ要塞のように配置されていて、その使命が南にいる西スカイリムの隣人を見張ることだと知った。カーサルドは最近卵から孵ったばかりで、聞いたところではできてから数年しか経っていないそうだ。その境界は地図で見るだけだが、ここにいる肌の乾いた者たちはこの土地を心から深く愛していて、いくつかのクランは何世代もここに住んでいる。確かに、故郷の地を守る役割にふさわしいと思える。

***
明日、ようやくオルシニウムに向かうことを3度も確認した荷車に乗る。私が西スカイリムで過ごした時間は有益だったと言い切れないが、いい勉強になった。いつかギデオンの殻の兄弟に伝えるつもりだ!

青い憧れのリュートThe Lute of Blue Longing

この楽器は呪われた吟遊詩人グジャルドレッドのものだった。彼が東の王国の宮廷で演奏している時、女王がこの麗しい吟遊詩人に心を奪われた。冷酷にも、彼は女王を誘惑するために甘いバラッドを作曲した。彼に愛されていると信じ込んだ女王が衛兵を下がらせると、グジャルドレッドが部屋にやってきた。

夜明け前に彼の楽しみは終わり、この不実な吟遊詩人はこっそりと部屋を出て城から逃げ出した。無情にも欺かれたことに気づいた女王はグジャルドレッドに恐ろしい呪いをかけ、自ら命を絶った。彼は自らの裏切りの歌を歌わずにはいられぬようになり、リュートを手に取るといつでも女王の霊魂が姿を現すようになった。

このリュートで愛の歌を演奏すると、女王の霊魂が見られることがあると今も言われている。

喪心の嵐についてOn Harrowstorms

レイヴンウォッチ家のフェノリアン 著

このメモはいつか喪心の嵐とその背後にある魔法に関しての論文となるだろう。最終的に、発表できるような質に高める時間があればだが。

喪心の嵐はアイスリーチ魔術結社の魔法と、古代の吸血鬼の錬金術が融合して創り出された神秘的な天候現象だ。何の前触れもなく襲い掛かり、去った跡には死を残していく。私はこの超自然的な嵐が残した惨状を見た。引き起こされた力はその内部に捕らわれた生者を殺すか、我々が喪心者と呼ぶようになった、ほぼ心を持たない抜け殻にできる。だが、中には現在我々が喪心鬼と呼ぶ、新種の野生化した吸血鬼になる者もいる。もちろん、嵐に捕らわれた者全てがこうした苦痛を受けるわけではないが、誰が死に、誰が変化し、誰が無傷でいられるのか、その理由をまだ特定できていない。

この現象を研究する中でほぼ確信を持って言えることは、喪心の嵐がある種のリーチの魔法の儀式によって創り出されることだ。儀式では集中し魔法を解き放つための儀式的な詠唱に加えて、ある種の呪物やトーテム、錬金術の調合薬など、様々なアルケインの材料を使用する。

結果として生じる災いは喪心の嵐の最終的な目的なのか、あるいはより陰湿な目的の副産物に過ぎないのかはまだ分かっていない。また、この超自然的な事象の背後にいるのが何者なのかも、確かには分かっていない。嵐が犠牲者を殺害し変化させる方法と、犠牲者が奪われたものを回復させる方法があるのかどうかについては、さらなる研究を要する。時が来れば分かるだろう。

捜査官ヴェイルとしらふのノルドInvestigator Vale and the Sober Nord

「私の評判を賭けてもいいけど、これは毒よ」と捜査官ヴェイルは言った。

「彼は絶対に、夜を通して一切飲まなかった!何かを食べるのも見てない」と、〈寂しいトロール〉のバーテンダーがそわそわした様子でタオルを絞りながら言った。「だが、恐れているように見えた。ビクついていたな」。

捜査官ヴェイルは、かつて活気があった酒場の床に横たわるノルドの男のそばに立って見下ろした。夜の間に男が倒れて死んだ時、その場にいた多くの者が立ち去った。しかし死体の見えない、店の隅にいた常連たちは飲み続けていた。

平均的なノルドのハチミツ酒への関心は、尊敬すべきものがあるとヴェイルは考えた。

「おかしいわね。食べも飲みもしなかったなら、彼はここで何をしていたの?それに、どうやって毒を盛られたの?」

魅力的な衛兵隊長が胸の前で腕を組み、眉をひそめて言った。「酒場でしらふのノルドか。いつも問題を起こすわね」

ヴェイルは微笑んだ。「同感よ、アエジャ隊長」

捜査官ヴェイルは警告すらせずに仕切りから出ると、残っている客の中を進んで行った。アエジャ隊長は急いで彼女の後を追った。彼女はとても背が高かったが、酒場に残った集団を進む、素早く美しい体つきの私立探偵についていくのは至難の業だった。

「捜査官、どこへ行くの?」

ヴェイルは酒場の奥に押し込まれているテーブルに、肩に乗っているペットのサソリ以外には連れもなく、一人で座るハンサムな男の前で止まった。2人の女性が近づくと男はにっこり笑い、手にしたジョッキを掲げて見せた。

「やあ、お嬢さん!どうして麗しい女性が2人も、このテーブルにお越しくださったのかな?」

捜査官ヴェイルは狡猾な笑顔を浮かべ、男の隣の席に滑り込んだ。「あなたのジョッキが満杯だって気づいたの」

男の表情が揺らぐことはなかった。ヴェイルの予想通りに。彼が上手い役者か、あるいは彼女の勘が間違っていたか。だが、彼女の勘は滅多に外れることがなかった。

「こいつを飲み干すのを手伝いたいって?」と男は眉毛を動かしながら言った。

ヴェイルが横で体を強張らせているアエジャを見ると、彼女の手は鞘に収めた剣の柄頭を握りしめていた。この若い隊長は、誰かを守ろうとしている時の方が魅力的だ。だが、そのための時間は後で取れるはずだ。

「いいえ。ただどうして遠慮しているのか興味があっただけ」と彼女は微笑みながら言った。

男は微妙な動作でローブの袖を整えた。「男には酒をじっくり楽しみたい時もあるのさ。それが罪なのか?」

「いいえ、全然」ヴェイルは落ち着き払って言った。「もちろん、自分の仕事の成果が首尾良く行くかどうか、混雑した酒場で見届けるためにしらふでいたんじゃなければね」

「これは途方もない言いがかりだ」男はせせら笑った。「うろうろ歩き回って、飲んでない奴を片っ端から殺人犯呼ばわりするのはやめてくれ」

「そうね。でも、危険なアズールスコーピオンを連れている人を、殺人犯として告発することはできるわ」

「ザレヤは誰も傷つけなんかしない」と男は抗議した。

「確かに、自分の意思ではね」とヴェイルは言った。「でも、その特殊なサソリは家畜化されてる。指示されれば主人の命令を聞くわ」

男は目を細めて言った。「証拠がないだろう!」

捜査官はほっそりとした手を差し出した。彼女の目が危険に光った。「なら、彼女に私を刺させて」

アエジャ隊長が妨げた。「なんですって?捜査官、だめよ!」

「あの大きさの男を殺すなら、かわいいザレヤちゃんは全部と言わないまでも、かなり消費してるはずよ。毒をね。それを回復するには時間が必要。だから私が正しいなら、完璧に安全なはずよ」

隊長はじっと勇敢な捜査官を見つめたが、最後にはその視線を男の方に向けた。「そうね。じゃ、結果を見ましょう」

男の表情は変わらなかったが、捜査官ヴェイルは目の中に怒りがはじけているのを見た。サソリを摘まみ上げ、待ち構えている捜査官の手に置くと、男の顎の筋肉がビクッと動いた。彼が静かな舌打ちを鳴らすと、サソリの尾がヴェイルの掌に突き刺さった。

ほぼ同時に、男が立ち上がり、逃げ出そうとした。捜査官ヴェイルは落ち着いて立ち、静かにサソリをあやしていたが、巧みに脇へ寄ってアエジャ隊長に場所を開けた。この背の高い衛兵が男を激しく突き飛ばして椅子に戻すと、椅子は後ろに倒れ、男は床に倒れた。慌てて立ち上がる前にアエジャ隊長は剣を抜き、喉元に突き付けた。

捜査官ヴェイルは微笑み、繊細な指でサソリを撫でた。「まあ、あなたって本当に勇気があるのね、ザレヤ?」

「捜査官、大丈夫?」と隊長が尋ねた。

「絶好調よ」とヴェイルは答えた。

「一体どういう女なんだ、お前は?」男が息を詰まらせながら言った。「痛みに膝をつくはずだったのに!」

「私は本当に特別な状況でしか膝をつかないの」ヴェイルは澄ました顔で言うと、サソリを手からテーブルの上に這わせた。「特別な状況と言えばね、アエジャ隊長。ここの仕事が終わったら、ぜひあなたに一杯おごらせて欲しい」

魅力的な衛兵は頬を赤らめ、笑顔を隠そうとしたがうまくいかなかった。「仰せのままに、捜査官」

「でも」捜査官ヴェイルはウィンクしながら言った。「違う酒場を選んだほうがいいかもしれないわね」

蒼白の紳士The Pale Man

よそ者が訪ねてきた
亡霊のようにやつれていた
無言で、火の側で震えていた
その者は深刻な顔で絞り出した
ほとんど聞こえない、ひどく虚ろな声
言葉の少ない、警告の呟き

蒼白の紳士が来る
冷たい風と暗い雲の日に
蒼白の紳士が来る
愛する人を奪うために
蒼白の紳士が来る

警告が発せられて間もなく
初雪が大地に降り注いだ
風の唸り声に心は怯え
陰る陽光に祈りを唱えた
扉を閉じて夜を締め出し
体を寄せ合って相談した

蒼白の紳士が来る
雪の外套に身を包んで
蒼白の紳士が来る
その手は骨まで凍えさせる
蒼白の紳士が来る

恐るべき嵐が止むと
体を伸ばして夜明けを待った
休むわけにはいかぬと
招かれざる客を待ちながら
剣を固く握り
盾の揺れる音にも耳を澄ませた

蒼白の紳士が来る
幽霊のように通り過ぎて
蒼白の紳士が来る
後も残さず消えていく

ついに夜は終わった
予告された訪問もなく
警戒が解け始めた時
私はよそ者がいた場所を見やった
だがどこにもいなかった
残っていたのは、冷たい輝きだけ

太ったレッカ(発掘)Lekka the Corpulent (Exhumed)

太ったレッカ

ヒストのように老いた

マークマイアの母

我らが習わしの学者

心臓発作により死す

嘆きの笛Highmourn Dizi

アカヴィリ様式のフルート。前アカヴィリ最高顧問サヴィリエン・チョラックの葬送で演奏された楽器だ。

この笛が演奏され、悲し気ないつまでも忘れられない音色を耳にすると、アカヴィリの忠実な参列者は遠く離れた故郷の声を聴いて泣き伏したと言われている。アカヴィリではない者さえ、その死を悼む切ない音調には心を動かされた。中にはアカヴィリ以上に感動していた者もいたようだ。

長き炎Long Fire

このタンブラーはヨクダの芸術を代表しているものだ。この楽器は、フランダー・フンディングのハンマーフェル遠征軍にいたソードシンガーの持ち物だったと考えられている。

伝承によればヨクダの吟遊詩人は、自分の楽器を神聖で神の霊魂が宿っていると見なしていた。長き炎との名は砂漠の中央で吟遊詩人が仲間と集まり、星とわずかに燃える火に照らされながら失われた故郷の曲を演奏する、静かな夜に由来する。

鳥の歌を求める者Seeks-Birdsong

ストームヘヴンの鳥の歌を求める者

焼けて死す

とても若く、痛ましい

我らの元を訪ねし

信仰の伝道師

灰となって別れた

入場の言葉Words of Entry

墓地の番人と従僕へ

私の研究所の利用は引き続き制限される。そのため、私は誤って広間に迷い込んだ配下を妨げるため、入場方法を再設定した。

扉を探している時は、この簡単な語句を心に思い浮かべなさい:「我らは再び立ち上がる」

後は自分で察することができると私は信じている。もしそうでないなら、最初から私の研究所に用はないはずよ。

レディ・エッセニア

秘儀の入口The Mysterium’s Threshold

カイネは優しかったようだな!ハッ!火は温かい。お前はどんどん温かくなっている!

全ての扉はどこかに通じる、だがどこにも通じぬ扉がある
右の力は正義だとも言うが、正義が誤ることもある
左に残された者の、右の権利を試せ。しかし長くは続かない
一番左のセレクションが、コレクションに通じるかもしれない
だが三番目は惨番目となる

さあ、飛び込んで行け!猫のように跳躍せよ。猫のように信じれば、安全に着地できるだろう!

標的リストList of Targets

下記の鉱山労働者は最近の仕事ぶりが芳しくなく、もし消えても惜しまれることもない者たちだ。彼らが好ましい提供者であることを祈る。素早く彼らに死をもたらしてくれ。必要以上に苦しんで欲しくない。

アドリッド:過剰な飲酒、秩序を乱す振る舞い
ドレヴァ:食堂からの窃盗
ホロルド:怠惰で、人の半分しか働かない

注意:鉱山労働者たちは失踪に対して不安を募らせ始めている。間隔は開けば開くほどありがたい。我々の協定の噂がエレの耳に入っては困るんだ。妻が俺の関与を知ったら、互いにとってまずい結果になるだろう。

監督官ウールヴァル

不明(発掘)Unknown (Exhumed)

不明

行商人

盗賊により刺される

スカイリムに生まれし

賢き老女

怖がりの小さなスノーモスScared Little Snow Moth

怖がりの小さなスノーモスは怯えるのが嫌だった。友達のように勇敢になりたかったのに、彼女はあまりにも簡単に怯えてしまうのだった。怖がりの小さなスノーモスにとって、世界はとても大きく恐ろしい場所だった。彼女はできる限り外に出ることを避けていた。

だがある日、彼女は食べ物を求めて居心地の良い木を離れた。それは寒く、風の激しい日だった。怖がりの小さなスノーモスは、雪や羽に吹き付ける冷たい風は気にしなかったが、吹雪の中に潜んでいるものが怖かった。彼女は怪物と鉢合わせしたくなかった。

彼女が飛んでいると、雪の中に輝く光が見えた。恐ろしい怪物の目かもしれないと考えたが、近づいてみるとただの小さなホタルだと分かった。

意地悪なホタル爺さんはクワマー鉱山での冒険にうんざりしていた。彼ははるばる旅をして雪と氷に覆われた土地までやってきたが、とてもつまらない場所だったのだ。そんな時、彼は怖がりの小さなスノーモスを見つけた。きらめく雪の結晶と共に浮かぶ彼女を見た時、彼の心に邪な考えが湧き出た。

「やあ、小さなスノーモス」とホタルが叫ぶと、その声はまるで寒さの中の炎のように飛び出した。「こんな嵐の中で何をしているんだ?」

「お腹が空いてるの」と怖がりの小さなスノーモスは小さな声で言いました。「面倒は嫌よ」

「お腹が空いてるなら、向こうにある洞窟を探検してごらん」とホタルは声をあげました。「おいしい食べ物がいっぱいだよ!」

そこは安全そうに見えなかった。というより、ひどく危険そうに見えた!彼女は食べ物を集められる、もっとずっと怖くない場所を知っていた。

「さあ、ほら」ホタルは言った。「そばにいて何も起こらないようにしてあげるから。おいしいごちそうが欲しくないのか?」

怖がりの小さなスノーモスは長い間そのことについて考えた。彼女はとても怖がっていたけれど、愚かではなかった。

「そんなの信じない」と彼女は言った。「あなたはただ私を洞窟に行かせて、怪我をさせたいだけでしょ」

「怪我じゃない、ただ食べられるだけさ!誰かがあんたをごちそうにするところを見物できたらいいなと思ったんだよ、小さなスノーモス」

「また今度ね、ホタルさん」と怖がりの小さなスノーモスはそれまでより少しだけ大きな声で言った。「怖すぎて食べられるなんて無理」

「それなら仕方ないな、小さなスノーモス。さようなら」とホタルは声を上げた。

そして、怖がりの小さなスノーモスは雪の中を羽が体を運べる限り早く飛んで、ホタルを残して去って行った。彼女は他の誰とも口をきかなかった。食べ物を集めるとすぐ、彼女は急いで居心地の良い木に戻り、安全だと分かっている木の皮の上でうずくまった。

北の伝承の怪物Monsters of Northern Folklore

インペリアルの歴史家、ミネルヴァ・カロ 著

迷信を調べれば、民について多くのことを学べる。古代の恐怖は根が深い。大切な伝統や、歴史的な敵意よりも深いのである。怖いものがあると認めるノルドは少ないが、私は北方人がかなりの高確率で取り乱す話題を発見した。それは「雪の亡霊」である。最初はアイスレイスかウィスプマザーを指す言葉だと思っていたが、この「雪の亡霊」はそうした怪物と一切似ていなかった。「ボーグル」、「リークル・キン」、「地響きマント」などとも呼ばれるこの怪物には、羊飼いも交易商も悩まされている。家畜を盗み、旅商人の寝込みを襲い、地下室を有毒のスライムで台無しにする。私はモーサルとソリチュードで以下の証言を集めた。虚構から事実を見分ける作業は、親愛なる読者に任せよう。

モーサルの魚売りボンベッタは以下のように述べている:「そうよ!あのスキャンプどもは何度も見てる!港をうろついてたのさ。うちの網を奪って、魚を掻きだしやがった。奴らは月のない夜にしか出てこないんだよ。だからちゃんと見えないんだ。あたしの目も昔に比べれば衰えたけど、エルフみたいな鋭い耳をしてるように見えたね。ゴブリンみたいに背中を曲げてさ、肌の色は死んだ鱒の腹みたいだったよ。つまり真っ白さ。うちの主人は追い払おうとしたけど、あいつらはすばしっこくてね。それに最近じゃ、ラルミグの膝は、枯れた松の木みたいに軋るんだ。でもそれでよかったよ。聞くところじゃ、あいつらは男を見たら殺すっていうからね」

私はドラゴン・ブリッジの近くで、この生物に対する嫌悪を隠せない羊飼いに出会った。乾燥したキルニルの根を噛みながら、しばしば拳を震わせていた。素性は明かさないでくれと彼は言った。「この世から消えてもらいたいね、あんな連中は!昔は人生で何度か耳にする程度の存在だった。今じゃあいつらはここ半年だけでも、一番いい牛を3頭も奪っていった。もう一瞬たりとも気が休まらないよ。マンモスと牧草地の奪い合いをするだけでも大変だっていうのに。今じゃ朝から晩まで、あの地響きマントが俺の家畜を切り刻むんじゃないかと気をもんでいるんだ。兄弟は黒革の服を着た牛泥棒だろうと言うが、俺は見たんだ。あんなに背中の曲がったノルドはいない。それにあいつらの着てる服ときたら…あんなの見たことないぞ。まるで、モーサルの近くでたまに見る洞窟虫から削り出したみたいな服だ。今度ソリチュードに行ったらいい弓を手に入れて、牛泥棒どもの眉間を射抜いてやる」

吟遊詩人の大学出身で、意外なほど好感の持てるダークエルフのギルゼ・ティスターは、こうした証言が地域の迷信でしかないと一蹴している。「ノルドってのはそういう人たちなの。本当にあいつらは、不幸が起きれば何だって変な獣や外国人のせいにするんだから。この間なんか商人が目まで青白くなって、自分の犬に“エルフの呪い”をかけただろうって私を非難したのよ。何なのそれ?それに、私とそいつの犬に何の関係があるの?全く馬鹿げてるわ。まあでも、馬鹿げた話は愉快な詩になる!ちょうど昨日の夜、私は5つ目のトロールについてのお芝居を書いたの。最後のオチなんて爆笑間違いなしよ」

私はカースウォッチでおかしな目をした浮浪者に出会ったが、彼は両手をぶんぶん振り回しながら、全く途方もない証言をした。「あいつらはエルフだ!スノーエルフだよ!あいつらは…ゴブリンとか、リークルとか言われてるけどな!リークルだと!冗談じゃねえぜ。へっ、俺は見たんだ。この目でしっかりとな。あいつらは一番色の白いノルドよりも青白く、尖った耳とコウモリみたいな鼻をしてる!“エルフにコウモリみたいな鼻はないだろう”と言うんだろう!違うんだなそれが。全然違う!イスグラモルは他のエルフと区別するために奴らの鼻を切り落として、虫みたいに地下へ追いやったんだ。奴らは洞窟暮らしで太陽を浴びないから、今じゃ全員背中が曲がってる!そして奴らは戻ってくる!本当だぜ!あいつらはスカイリムを取り戻そうとしてるんだ。叫びの夜みたいにな。油断するなよ!油断しちゃいかん!」

現実にせよ想像の産物にせよ、この生物はノルドの伝承の興味深い側面を見せてくれる。またこれは古代の亡霊物語が、今日においても北方人を悩ませている完璧な実例である!

勇敢な魂と健全な肉体を求むSeeking Brave Souls and Able Bodies

多くの問題が西スカイリムを悩ませています。ハーフィンガル、ハイヤルマーチ、カーサルドの民の利益のため、ゴールドと栄光を求めて命と肉体を自ら危険に晒す、勇気ある人々を求めています。

詳しくはソリチュードの貸し手シルグレットまで

雷の王King Thunder

オーシマーの典型的な太鼓、雷の王はその低音と大音量の双方で知られている。この祝賀と戦争の際に贈られるオークの太鼓は、彼らの戦争じみた儀式の基盤をなすものとして、複雑なリズムを生み出す。

この太鼓はオルシニウムが包囲している間は隠されていて、後にファルクリースのヤシュナグ・グロー・ヤズグ要塞のものとなった。太鼓はハックヴィルド首長により、ヤシュナグ族長と勇者たちの勝利を記念して大学に贈られた。

狼の塔The Tower of the Wolf

ソリチュードの石工による概説より

愛する祖国の建築とスタイルについて、最初の資料から更新する機会はあまりなかった。。そして今、私の羽ペンは好奇心に震えている。私の人生において5つ目の補遺を加えられるからだ。それもドール城のような、建築の模範例に関するものを!
私の概説の忠実な読者は主砦、スヴァートルの塔、神々の聖堂、ソリチュードの地平線まで塞ぐ城壁についてよく知っていることだろう。我らの上級王スヴァーグリムは、この石の拳に指を付け加えることが適切だと考えた。今までで最も野心的な案で、建設が始まってから1年も経っていないが、もう完成に近い状態となっている。

この新たな巨大建築は「狼の塔」と呼ばれ、ソリチュードの紋章を飾る高貴な獣にちなんで名づけられている。何と壮観なことか。天を高く押し上げ、スヴァートルの塔さえも小さく見せている!この城の建築に元々使用された石を供給した採石場が、狼の塔の建設にも石を供給できたのはとても嬉しい。資源が枯渇しているという報告は、どうやら事実無根のようだ。

狼の塔の素晴らしい建築について考察するつもりで胸を高鳴らせていたが、残念ながらそれはできない。現在作業を行っている者以外、塔への入場は全て拒否されている。私は研究範囲を示してブルー・パレスに特例を願い出たが、役人どもは拒絶したのだ。私はひるまずに請願を続けたが、どこぞの名もなき小役人からではなく、上級王その人からの返事を受け取った衝撃はご想像いただけるだろう!

「偽王ジョルンが詮索している現状では、狼の塔の内部について秘密を保たねばならない」。上級王スヴァーグリムはこのように書いていた。塔は軍事的に重要なものであり、上級王の実際的な理論を否定することはできなかった。だが、まだ希望はある。「私がこの書状を書いている今も、塔は完成に近づいている」。上級王スヴァーグリムはこう続けた。「完成した暁には、我々の民にとってこの巨大建築物がどのような成果となるか、ソリチュードの人々も理解するだろう」

我々に必要なのは待つことだけだ、忠実なる読者諸君!