ホロウジャック スタイル

クラフトモチーフ42:
Hollowjack Style

ホロウジャックの先唱者

呼び出せ、呼び出せ、ジル&ジャック
武器と鎧の鋲を収穫し
カボチャの落胆、黒のサンザシ
不気味な装飾になれ

ブーツ

皮の足裏に尖った爪先
警戒せぬ敵を驚かす
ホロウジャックは踏みつける
倒れた者の死体を

ベルト

チンキが服を、しっかり止める
夜をさまようためきっちりと
紐は武器を近くに留め
恐怖の時に備えは万全

にやつくホロウジャックは笑わねばならぬ
切り裂き、切りつけ、脱穀し
内にくすぶる怒りが現れる
目の場所が輝きながら

脚当て

皮と樹皮が組み合わさり
足元を守る
武器が振られ、矢が放たれても
跳ね返されるだろう

トゲのない木を、たわめて放つ
トゲのある矢は死をまき散らす
作られた矢は、ねじれて飛び
目標の眉間に突き刺さる

胸当て

皮の丈夫な胴当て
前との後ろの胴を守る
全ての武器、尖りや刃を跳ね返す
突き通せぬ垣根のように

剣は切り、刃は切り離す
適切な品を作る
尖りは柄に、エッジは裏に
ホロウジャックに三日月刀を

肩防具

肩のプレート、ポールドロンを使え
危険なダメージは避けて通る
皮は堅く、蔓は長い
ホロウジャックの鎧は強い

手袋

トゲのある夜の黒さの籠手
ホロウジャックの手を覆おうとする
でも柔軟で、喉も絞められ
目をこすり、涙、そしてばらばらに

サンザシの皮とねじれた枝
恐ろしき姿で跳ね返す
どんな武器が来ようとも
この盾を貫くものはない

陽気な寄せ集めを呼び出せ
ホロウジャックの杖は長く危険
良き呪文と悪しき呪文を唱えよ
カボチャは印を知っている

戦棍

叩き潰すために作られた、尖った槌
鎧を屑に変える
ホロウジャックは喜びに微笑む
大虐殺に

短剣

針は深く突き通す
肋骨を抜け、内臓を抉る
オレンジジャッカルの蔓のように
カボチャのナイフは悪名高い

曲がった刃に意地悪な尖り
腸を抜き関節を砕く
切って切り裂き叩き斬る
ホロウジャックの良い仕事

オブリビオンの伝承

Oblivion Lore

オブリビオンについてOn Oblivion

モリアン・ゼナス 著

どれほど習慣的であっても、オブリビオンの次元の居住者を「魔族」と呼ぶのは適切ではない。おそらくこの習わしは、第一紀の予言者マルクによるアレッシアの理論に始まる—その中に「魔族との取引を禁ず」と、興味深く記したが、魔族とは何なのかについての説明を怠った。

おそらく、オブリビオンの次元から出でる、動機不明で強力な魔物という意味を持つ、エルフの古語「デイドラ」を誤って「魔族」と記したと考えられる。理論の原本が発表されてから約千年後、スカイリムの敬虔王ヘイルによる小冊子の中で彼は政敵を、「オブリビオンの魔族のように邪悪…彼らの腐敗はサングインの如くであり、ボエシアのように残酷であり、モラグ・バルの如く打算的、そして、シェオゴラスのように狂っている」と比較表現した。そこでヘイルは長々と記録にデイドラの四柱について説明し、書き込ませた。

しかし、結局のところ文書の記録はオブリビオンやそこに住むデイドラについて調査する最善の手段ではない。「魔族と取引」を行うような者は、ほとんどの場合、その行為を他に知られたくないからである。それでも、第一紀の書物には日記や日誌、魔女が焼かれた知らせやデイドラと戦う者向けの指南などが記載されている。これらを私は主要な情報源としてきた。これらは、最低でも私自身が召喚して長話を交わしたデイドラの主ほどは信用できる。

どうやら、オブリビオンは多数の領域で構成されているらしい。よって、オブリビオンには多数の同意語が存在する。コールドハーバー、クアグマイア、ムーンシャドウ等。オブリビオンの個々の土地は一人のデイドラの主によって支配されていると仮定して間違いはなさそうだ。デイドラの主たちで、その名が太古の記録に頻出する(確実に存在した裏づけや内容の真正を証明するものではない)のは前記したサングイン、ボエシア、モラグ・バル、そしてシェオゴラス、これらに加えて、アズラ、メファーラ、クラヴィカス・ヴァイル、ヴァルミーナ、マラキャス、ハルメアス(または、ヘルマエウス、ホルマイウス、ヘルマ—決まった呼び名はないようだ)モラ、ナミラ、ジャガラグ、ノクターナル、メエルーンズ・デイゴン、ペライトである。

経験から、デイドラの構成は非常に複合的であると言えるであろう。強大な力と過激主義であることを除いたら、彼らを一つの分類に収めるのは不可能に近い。とはいえ、純粋な学術便宜上、いくつかの事例に関して分類を試みた。

メエルーンズ・デイゴン、モラグ・バル、ペライト、ボエシア、そしてヴァルミーナじゃその破壊的本分から、デイドラの中でも常に「悪魔的」のようだ。もちろん、他のデイドラも同様に危険だが、めったに上記の五柱のような破壊のためだけの行動を取らない。そしてまた、これらの五柱ですら、それぞれの破壊性が同質という訳ではない。メエルーンズ・デイゴンは怒りを発散するのに、大地震や噴火などの自然災害を好むようだ。モラグ・バルは他のデイドラを巻き込み、ボエシアは人間の戦闘意欲をかき立てる。ペライトの本領は悪疫で、ヴァルミーナは拷問を好む。

この連続記事の次掲載分を準備するために、私がデイドラ研究者となってから興味を持ち続けてきた二つの事柄を調査する。一つ目は、初期に数々の記事でハーシーンと紹介された特定のデイドロスで、デイドラの主だ。ハーシーンは「狩人のデイドラの主」や「獣人の父」と呼ばれているが、いまだ召喚できる人を目にしたことがない。二つ目、そしてさらに達成できるか疑わしい目的は、人間がオブリビオンへ渡れる実用的な手段を探すことだ。かねてからの私の持論は、理解できないものを怖がる必要はない、だ。私はいつもそれを心に刻んで目的を追っている。

オブリビオンの扉、パート1The Doors of Oblivion, Part 1

セイフィジ・ヒッジャ 著

「そなたがオブリビオンに立ち入るとき、オブリビオンが汝に入りこむ」

—ナイ・チロル・ラー

これまでに存在した最高の魔術士は私の師匠、モリアン・ゼナスであった。デイドラに関するあらゆる事柄の必読本である「オブリビオンについて」の著者として、彼の名を耳にしたことがあるであろう。彼は長年寄せられている多くの嘆願をよそに、古典を新しい発見や説で更新しようとはしなかった。それは、これらの領域に関して深く調べれば調べるほど、確信を持てなくなってくることに気が付いたからである。彼は憶測ではなく、事実を探していた。

「オブリビオンについて」の出版前と後の数十年間で、ゼナスはデイドラの住みかであるオブリビオンに関する巨大な個人蔵書庫を作り上げた。彼は自分の時間の半分をその研究に、そして我々の世界を超越した危険な場所に入りこむ道の発見に成功したとき、その間の進路を進むには強大な力が必要であるという推測の下、残りの半分を個人の魔力育成に費やした。

ゼナスが一生準備を重ねてきた旅に発つ12年前、彼は私を助手として雇った。私はその立場に必要な3つの特性を持っていた。私は若く、何も問わず熱心に手伝い、本を1度読むだけで内容を記憶し、若いにもかかわらず、既に召喚のマスターであったのである。

ゼナスも召喚のマスターであった—実際、彼は全学問のマスターであったが—彼の最も危険な研究を前に、自分1人だけの力を頼りにしたくはなかった。地下室で、彼らの故郷に関する話を聞くために彼はデイドラを召喚した。彼らが到着し、拘束され、問題なく送り帰されることを確実にするために、もう1人召喚士が必要であった。

あの地下室は一生忘れないであろう。質素で飾り気のない見た目ではなく、見えなかったものを忘れない。花と硫黄、性と腐敗、力と乱心、それらの香りが召喚された魔物が帰った後も、かなりの間漂った。今なおその記憶が私を悩ませる。

召喚の仕組みに関する知識を持たない素人に説明しよう。召喚は術者の心を召喚される側の心に結び付ける。それは脆いつながりであり、単に引き寄せ、留め、送り帰すだけのものであるが、マスターが行うことによって、さらに強力になる。サイジックやドゥエマーは何マイルも離れた相手と心をつなぎ、会話することができる。(ドゥエマーの場合、できたと言うべきか)この能力はたまにテレパシーと呼ばれる。

雇われている最中、ゼナスと私の間にそのようなつながりが構築された。2人の強力な召喚士が、お互いに密接して作業を行った結果からの偶然であったが、このつながりは彼がオブリビオンへの旅に成功した場合、大変貴重な能力になるであろうと確信した。あの地の居住者は未熟な召喚士の技術でさえ接することができるため、彼があの地にいる間、発見を記録するためにこの能力で通信を続けることが可能かもしれない。

「オブリビオンの扉」モリアン・ゼナスの言葉を引用すると、それは簡単には見つからず、我々が鍵を握るある1つを見つけるまでにたくさんの可能性を検討しつくした。

アルテウムのサイジックは、デイドラの領域に踏み入り、戻ってこれる、夢見る洞窟と呼ばれる場所を所有していた。イアケシスやソーサ・シルやネマティグ、その他にも多数がこの方法を採ったと記録されているが、修道会への度重なる懇願も叶わず、我々はその利用を拒否された。修道会の指導者であるセララスは、皆の安全のために洞窟は封印されたと我々に言った。

読者諸君は他の扉のことを聞いたことがあるかもしれないが、我々はすべての扉を探そうと試みたことは自信を持って言える。

いくつかは完全な伝説であったが、または残された情報だけでは辿ることができなかった。言い伝えのなかで、これらについて言及している:マルクの地獄、コーリングトンの鏡、クロスロード、マンテランの十字架、マウス、さらにはジャシンスと呼ばれる錬金術の調合法の謎、ライジングサン。他にもたくさんの場所や物体が扉とされているが、我々には見つけられなかった。

存在はするが、安全には入れないものもある。バルの大渦巻きと呼ばれるアビシアン海の渦は船を消失させることができ、オブリビオンへのポータルかもしれないが、その渦に乗ったときの衝撃は誰をも殺してしまうであろう。同じく、スラスの柱からの跳躍もその危険を冒す価値があるとは考えなかった。それは千フィートもの高さがある珊瑚の螺旋であり、スロードが行う生け贄の行為は目撃したことがある。その犠牲者の一部は落下によって殺されてしまうが、一部は岩に砕かれるまえに消えてしまうように見受けられる。スロードにもなぜ一部は連れ去られ、また一部は死ぬのかがはっきりとしていなかったため、飛び込みの勝算には否定的であった。

一番簡単であり、気が狂うほど複雑なオブリビオンへの移動方法は、単純にここでの存在をやめ、あそこで存在し始めることである。歴史を通して、我々の領域を超えた場所へと、一見任意で移動していたような魔術師たちの例がある。もし存在したのであれば、これら旅人の多くはとうの昔に死んでいるが、我々は1人だけ生きている人を探し出せた。モロウウィンド地方、ヴァーデンフェル島のザフィルベル湾の近くにある塔に、非常に老齢で、非常に人目を嫌うディヴァイス・ファーと呼ばれる魔術師が存在した。

オブリビオンの扉、パート2The Doors of Oblivion, Part 2

ディヴァイス・ファーと接触するのは容易なことではなく、また彼はモリアン・ゼナスとオブリビオンへの扉を分かち合うことに気が進まなかった。幸いにも、我が師匠の伝承に関する知識がファーを感心させ、かれはゼナスに道を教えた。ここでその手順を説明することはゼナスやファーへの約束を破ることになるし、できたとしても、明かしたくはない。もし、知り得る危険な知識が存在するならば、これがそうである。しかし、ファーの仕組みは、長く行方不明で死んだと推定される、テルヴァンニの魔術師によって作り出された数々の領域へのポータルを有効に生かすことに頼っている。これだけはあまり明らかにせずとも言える。侵入箇所が限られる不利益と、信頼性や通路の安全性を比較検討した時、我々はこの情報提供者がいて幸運であると考えた。

そして、モリアン・ゼナスはこの世界を離れ、探検を開始した。私は蔵書庫に留まり、彼の情報を書き起こし、彼が必要な調査の手伝いをした。

「塵」旅の初日に彼はそうささやいた。その言葉特有のわびしさにもかかわらず、私は彼の興奮を声に聞き、それが心の中でこだました。「私には、世界の端から端が百万もの灰色の色加減で見えている。空も、地も、空気もなく、ただ単に粒子が私の周りで浮かび、落ち、旋回しているだけである。私は浮揚し、魔力で呼吸しなければならない…」

ゼナスはしばらくその不透明な世界を探索し、実質のない魔物や、煙の王宮などに遭遇した。デイドラ公には出会わなかったが、我々は彼がアッシュピットにいるとの結論を下した。そこは苦悩や裏切りや破られた約束が、冷酷な空気に灰が充満するようなマラキャスの家であった。

「空が燃えている…」次の領域に進んだ彼が言うのを聞いた。「地面はぬかるんでいるが、歩ける。焼け焦げた廃墟がいたるところに見える。大昔に戦争でもあったかのようだ。空気は凍てつくようだ。暖かさの呪文を周囲にかけたが、全方向から氷の短剣が刺してくるようだ」

ここはモラグ・バルがデイドラ公として君臨するコールドハーバーであった。残虐の王の下、そこは苦痛に満ち、荒廃した不毛の地であり、ゼナスにはそこが未来のニルンであるかのように見えた。モリアン・ゼナスが見たものに対してすすり泣く声や、血と排せつ物が飛び散っている帝都の王宮に身震いするのも聞こえた。

「美しすぎる…」次の領域に入るとゼナスは息をのんだ。「半分眼が見えない。見えるのは花と滝、堂々とした木々、銀の街、しかし、すべてが霞んで見える。水彩のように色が流れている。今は雨が降り、風は香水のような匂いがする。ここは間違いなくアズラが住む、ムーンシャドウだ」

ゼナスは正しく、そして思いがけなくも彼は、彼女の薔薇の王宮で黄昏と暁の女王に謁見さえした。彼女は彼の物語を笑顔で聞き、ネヴェヴァリンの到来のことを彼に話した。私の師匠はムーンシャドウを相当気に入り、半分眼が見えないまま永遠に留まることを望んだが、さらに進み、発見のための旅を完結しなければならないことを知っていた。

「嵐の中にいる…」次の領域に入ると彼は私に言った。彼がそこの景色を、暗黒のねじ曲がった木々、ほえる霊魂、うねる霧と表現したとき、メエルーンズ・デイゴンの死の地に入ったと思った。しかし、すぐに彼は「待て、もう森の中にはいない。稲妻の閃光が走り、今は船上にいる。柱はぼろぼろだ。乗組員は皆、惨殺されている。何かが波の中を近づいてくる…「ああ、神よ…待て、今度は湿った地下牢の密室だ…」」

彼は死の地にはいなかったが、そこはクアグマイア、ヴァルミーナの悪夢の領域。数分毎に稲光が発生して、必ず不快で恐ろしい方向に現実が移り変わる。一瞬、暗闇の城にいたかと思えば、次は飢えた獣のねぐら、月に照らされた沼地、生きたまま埋められた棺の中など。師匠は恐怖に耐え切れず、素早く次の領域へと向かった。

彼の笑い声が聞こえた。「我が家にいるようだ」

モリアン・ゼナスは何重にも積み重ねられ、全方向に広がる本棚の列があり、果てしなく続く蔵書庫を説明した。本が、彼には感じられない神秘的な風で浮き上がっている。すべての本には題名がなく、黒い表紙が施されていた。誰も見えなかったが、積み上げられた本の間を動き、永遠に本の中を調べ続けるゴーストの存在を感じた。

そこはアポクリファであった。ハルメアス・モラの地であり、すべての禁じられた知識が見つけられる場所である。心の中に震えが生じたが、私のか、師匠のかは分からなかった。

私が知る限り、モリアン・ゼナスは違う領域へは行かなかった。

師匠が最初の4つの領域を訪れている最中は、常に話しかけてくれた。アポクリファに入った途端、研究と調査の世界に引き寄せられたかのように彼は静かになっていった。それは、ニルンにいた間に彼の心を支配した情熱と同じであった。必死になって彼に呼びかけてみたが、彼は私に心を閉ざした。

そして彼はささやいた。「そんな馬鹿な…」

「誰もこの真実を想像し得ないであろう…」

「さらに学ばねば…」

「世界が見える、錯覚の最後のきらめき、世界が我々の周りで崩れ去っている…」

私は彼に叫び返し、何が起きているのか、何を見ているのか、何を学んでいるのかを教えてくれるよう懇願した。私は召喚術を使って彼をデイドラであるかのように召喚しようとさえ試みたが、彼はそこを離れることを拒否した。モリアン・ゼナスは失われた。

前回彼からのささやきを受け取ったのは6ヶ月前であった。その前は5年間が経過して、そしてその前は3年。彼の思考はすでにどの言語でも理解できない。おそらく彼はいまだにアポクリファをさまよっているのかもしれないが、出たくない罠の中で幸せなのかもしれない。

できることなら彼を救いたい。

できることなら彼のささやきを止めたい。

デイドラの分類パート1Varieties of Daedra, Part 1

治癒師、および反体制の司祭、アラネア・ドレサン 著

我々がデイドラの分類や、それらがどのようにデイドラ公やその支配に関わっているのかを知ることは、あまり期待できない。我々の世界に現れるデイドラの分類が、その仲間たちや後援者とどう関係しているかなど、把握することはできない。1ヶ所で見られた姿が別の場所では全く逆な場合もあり、また違う場所では矛盾して両方であったりもする。

どのデイドラがこのデイドラ公に仕えている?どのデイドラが命令を下し、どのデイドラが仕えていて、どのような上下関係がどのような状況下でありうる?どのデイドラがどの団体にいて、どのデイドラが永遠の敵対関係にあるのか、そしてどのデイドラが孤独、または社交的、もしくはその両方を行き来するのか?観察でき得る行動の種類には限りがなく、1ヶ所ではコレであり、また違う場所ではソレであり、彼らを定義する法則には必ず矛盾があり例外が生じる。

さらに、位階に関して誰から答えを求めればよいのであろうか?ほんの一握りしか知識を持たない人間から?我々の支配を続けるために、隠し事をし、謎めいた出来事を謎々で話す神から?決して率直さや正直の見本とはいえず、嘘や撹乱で有名なデイドラから?

もしデイドラが真実を語ったとしても、我々はどのようにして彼ら自身が理解しているのかを確認すればよいのか?実際に知ることができる真実すらあるのか?デイドラの取り決めは永遠に変わらないとでも言うのか?

単純に言えば、知り得ることは少なく、信じられることは皆無なのである。

これらのことを述べた上で、私が探し出し、彼の療養院にいたコープラスの犠牲者に安息をもたらすと申し入れた相手、テルヴァンニの魔術師、ディヴァイス・ファーから私が見聞した、デイゴンのしもべの話の関連付けを試みる。

ディヴァイス・ファーは、自ら進んで2柱のデイドラのみと交流を持ったと私に言った。メエルーンズ・デイゴンとアズラだ。

アズラはすべてを知り理解していたが、これらについて話すことを断った。話したとしても謎かけだった、と彼は言った。

一方、メエルーンズ・デイゴンは、ごう慢さや、目的の不変性、そして想像し得る繊細な考え方の欠如から何も知らず、何も理解しておらず、包み隠さず遠慮なく話したがった。

デイゴンの主なしもべ、ドレモラはデイゴンのようにごう慢で、目的を変えず、繊細さがなく、さらに追加してデイゴンに対してや自身の階級の中でも奇妙な特徴の敬意と忠誠心を持っていたとディヴァイス・ファーは言った。

ドレモラはクランと階級制度の中に命令されて入り、これらのクランと階級制度は明確に定義されていた。個人としてドレモラの階級は上がったり下がったりするし、クラン間の移動も可能であったが、複雑な誓いなどで統制されており、デイゴンの気分次第であったとも言っていた。

ドレモラは彼ら自身のことを「キン」(人々)と呼んでおり、他のデイドラを無思考の動物と考え彼らと差別化した。言葉「キナーズ」はドレモラ種族の一員を指す。

キン階級の最下層はチャールであり、それはドレモラの平凡な大衆であり、彼らの最下層階級である。チャールは上位にこびるが、人間や他のデイドラに対してはとても残酷である。

次の階級はケイテフであり、彼らは何も考えずに熱中し、常に全力な生物である。信頼できないが、積極的で熱心なケイテフは、バーサーカーや突撃隊などの予備部隊としてデイドラの派閥争いに使われる。

ドレモラ部隊の通常階級のなかでも最高級はキンヴァルである。かれらは戦騎士であり、戦闘において際立った活躍をし、慎重性を持った戦闘隊長の候補である。

戦士階級のチャール、ケイテフ、キンヴァル階級の上は士官階級である。

キンリーヴはクラン保安官、またはクラン将校である。キンリーヴは通常、クラン戦闘部隊か戦闘に関する管理任務と関係している。

キンマーチャーはロードであり、デイドラ宮殿や砦や門の上級将校である。キンマーチャーは通常、部隊と「フィエフ」(管理責任を問われる土地か場所)に関連する。

キンマーチャーの上はマルキナズ、またの名を「大公」である。マルキナズはロードのロードであり、メエルーンズ・デイゴンのロード評議会、マーキンの一員である。

ドレモラの最高階級はヴァルキナズ、または「王子」である。戦士デュークはメエルーンズ・デイゴンの個人衛兵であるヴァルキンの一員である。タムリエルでヴァルキナズに遭遇するのは極稀である。通常かれらはメエルーンズ・デイゴンの側にいるか、デイゴンが重要視する作戦の指揮を執っている。

デイドラの分類パート2Varieties of Daedra, Part 2

ディヴァイス・ファーのコープラスアリアムで仕えていたときに出会った他のデイドラの種類は、オグリム、ゴールデンセイント、デイドロス、翼もつ黄昏、スキャンプ、クランフィアである。言えることは多々あるが、あまり有用でもなければ信用もできない。

ディヴァイス・ファーがドレモラに似たようなデイドラで、さらに強く、独立の意思を持ち、自立したデイドラを呼ぼうとしたとき、彼はズィヴィライを召喚したことを明記しておく。ズィヴィライはドレモラに似た性格と気質を持つが、違うのは彼らが絶対的な服従を嫌い、もし敬意をもって接せられていないと感じた場合、裏切りや不忠を働きやすい点だ。

野生化した、クランフィアやデイドロスに似た獣のようなデイドラはデイドラの派閥のいたるところに現れ、それは一般的な生物の存在を表している。オブリビオンの荒野の野生動物のように。スキャンプやスパイダー・デイドラのような、他のどう猛で半知的生物もデイドラの主の領域で見られる。

一方で、元素の精霊に関してはあまり明確ではない。例をあげると、炎の精霊と氷の精霊は非常に知的に見えるが、元素の精霊のすべてが社会的、またが言語能力を持っている訳ではなさそうである。ディヴァイス・ファーはこれらの生物と多少関わったことがあるが、これらの性質にまったく興味がなかったため、召喚を嫌がった。よって、テル・ファーでの滞在中、それらの生物に関してはあまり学べなかった。

デイドラの霊魂Spirit of the Daedra

汝、我々を以下と見なすがいい

死、敗北、そして恐怖と

我々は死することはない。死を恐れることもない

肉体を破壊すれば憎悪は闇へと追いやられる。だが憎悪はいずれ戻ってくる

だが我々全てが勇猛なわけではない

我々は苦痛を感じ、それを恐れる。我々は恥を感じ、それを恐れる。我々は損失を感じ、それを恐れる。我々は闇を憎み、それを恐れる。

スキャンプが考えが小さく、恐怖も小さい

ヴェルマイは考えがなく、恐怖も無い

ドレモラは考えが深く、恐怖を知り、克服しなければならない

クランの絆

我々は生まれたわけではなく、父も母もいないが、親類やクランはいる

クランの形は強大で、肉体と考えを形作る

クランの形には力と目的がある

誓いの絆

我々は、我々の意思で他者に仕える。我々は加護を得るため、強きものに仕える

クランは伝統に沿って仕えるが、伝統が変わることもある

ドレモラは長きに渡りデイゴンに仕えているが、初めからそうではなかった

誓いの絆が固く、相互に信用がある時、伝統も固くなる

誓いの絆が弱ければ、苦痛と、恥と、損失と、闇と、大いなる恐怖に繋がる

我々が人をどう思っているか

汝はスキャンプを滑稽に思い、ヴェルマイを粗野に思うかもしれない

ならば、我々が汝らをどう思っているかわかるか?

汝らは獲物であり、我々は狩人なのである

スキャンプは猟犬であり、ヴェルマイは勢子なのである

汝らの肉は旨く、狩りは良き余興である

汝らが狐や兎を讃え、その機転や素早さを褒め、猟犬がその肉を裂くのを惜しく思うのと同じく、我々は時に獲物を褒めそれが我々の罠や追い立てをかいくぐると密かに喝采を送るのである。

だが、万物の例に漏れず。汝らはやがて廃れ、荒れていく。齢を重ね、醜く、弱く、愚かな存在へと成り果てる。遅かれ早かれ、汝らは失われるのである

時に獲物が踵を返し、我々に噛みつくことがある。だがそれも些事に過ぎぬ。傷ついたり疲れたとしても、我々はその場から飛び去り、回復するだけである。時に価値あるものが失われることもあるが、その危険があればこそ、狩りの楽しみも高まるのである。

人の謎

人は定命であり死と挫折と損失から逃れられぬ運命にある

我々が理解できぬのは、汝らが何故、絶望せずにいられるかである

デイドラ全書The Book of Daedra

アズラは闇と光の橋渡しをする神秘の領域である黄昏と暁をつかさどり、「ムーンシャドウ」「薔薇の母」「夜空の女王」とも呼ばれる。

ボエシアは虚偽と陰謀、秘密裏に行われる殺人、暗殺、反逆、法に依らない権力の転覆などをつかさどる。

クラヴィカス・ヴァイルは儀式的な祈祷や契約による力の授与や願いの成就をつかさどる。

ハルメアス・モラは運命の流れをつかさどる。星と天から過去や未来を読みほどき、知識や記憶という財宝をその手に有する。

ハーシーンはデイドラの娯楽でもある偉大なるゲーム、狩猟をつかさどり、「狩人」とも「獣人の父」とも呼ばれる。

マラキャスは拒絶されしもの、追放されしものたちの後見人であり、誓約や血の呪いの守護者でもある。

メエルーンズ・デイゴンは、破壊、変化、変革、活力、野望をつかさどるデイドラである。

メファーラは領域のはっきりしないデイドラである。「蜘蛛糸を紡ぐもの」「紡ぐもの」「蜘蛛」としても知られており、定命の者に介入すること以外に統一性がない。

メリディアは領域のはっきりしないデイドラである。生きとし生けるものの活力と関わり合いがある。

モラグ・バルは定命の者を支配し、奴隷とするデイドラである。人間の魂を刈り取って懐柔することを望んでおり、そのために定命の者の領域に不和の種をばら撒いている。

ナミラは古代の闇をつかさどるデイドラである。「霊魂のデイドラ」とも呼ばれ、あらゆる悪霊や邪霊を統べている。蜘蛛、昆虫、ナメクジなどの人間が本能的に嫌悪する薄気味悪い生物と関わり合いがある。

ノクターナルは夜と闇をつかさどるデイドラで、「夜の女王」としても知られる。

ペライトはオブリビオンの最下層階級を統べる「親方」とも呼ばれるデイドラである。

サングインは快楽主義的な供宴や道楽、よこしまな欲望への耽溺をつかさどる。

シェオゴラスは乱心をつかさどるデイドラで、その真意は誰にもわからない。

ヴァルミーナは夢と悪夢をつかさどるデイドラで、凶兆はその領域より生まれる。

「マラキャス」の項には印がつけられており、「神の怒り」に関する興味深い記述がみられる。要約すると、マラキャスに祝福されたこの武器は人の為に作られたもので、デイドラがその力を引き出そうとするとオブリビオンの虚空へと追いやられてしまうらしい。

デイドラの伝説のアーティファクトの中でも、「アズラの星」や「シェオゴラスのワバジャック」などはよく知られているが、災厄、マッカーンの槌、デイドラ殺しなどは馴染みが薄いようである…

ところが、マラキャスは「災厄」を祝福して仲間のデイドラに対抗しうる力を吹き込んだものの、それが彼らの手に落ちることはどうしても避けたかったため、卑怯者と落伍者の私闘における武器にしようと考えた。こうした事情からマラキャスは、邪悪な仲間のデイドラが武器の力を引き出そうとしても虚空が開いてその者を飲み込み、オブリビオンの彼方へと放逐されるよう呪いをかけ、そこから時の乱れのない実在と非実在の世界へ追い返そうとしたのだ。

最も深い闇Darkest Darkness

モロウウィンドでは、崇拝者も妖術師も位の低いデイドラを召喚し、奴隷や従者のようにこの世に縛りつけている。

妖術師の召還するデイドラの僕のほとんどはわずかな時間で消えてしまい、命令系統もきわめて心もとなく、縛りつづけておくのは難しい。このおかげでデイドラの暴走を防げるのだから幸運と言えるかもしれないが、数分もあればこの僕たちは敵だけでなく術者にも手ひどいダメージを追わせることができる。

崇拝者はデイドラの僕を儀式や契約でこの次元に縛りつけることができる。デイドラの僕は少なくとも物質化した姿が破壊されたとしても、その元となる霊的存在がオブリビオンに逆流してしまうまで、いつまでもこの世界に留まれるようになる。遺跡や墓でデイドラを見かけることがあったら、彼らはこの世界の長きにわたる訪問者であると考えてもらっていいだろう。

同じように、デイドラの主によって武器や鎧に縛りつけられる下級の存在にも、わずかな時間だけ召喚されるもの、壊れたり消えたりしないかぎり存在しつづけるものがある。聖堂の信者や召喚士の呼び出す魔力の武器や鎧は効果があまり持続せず、「メエルーンズのカミソリ」や「クラヴィカス・ヴァイルの仮面」のようなデイドラのアーティファクは効果が長い間持続する。

モロウウィンドのトリビュナル聖堂では、不滅のアルムシヴィに従属する下級の霊魂としてデイドラを崇拝している。アルムシヴィとは、アルマレクシア、ソーサ・シル、ヴィベクが三位一体となった神である。下級デイドラは善のデイドラと悪のデイドラに分類され、善のデイドラはアルムシヴィの権威に服することをいとわないが、悪のデイドラはアルムシヴィに反抗的で、仲間よりも敵になることの多い背教者なのである。

善のデイドラはボエシア、アズラ、メファーラである。ハンガーは「策略の父」ボエシアとつながっている強大かつ凶悪な下級デイドラである。しなやかで長い手足と尻尾を持ち、その顔は獣のようで、麻痺能力や武器や鎧を解体する能力で知られている。翼もつ黄昏は黄昏と暁の女神であるアズラの死者である。西方の野蛮なハーピーとよく似ているが、ふくよかな体つきははるかに魅力的で、すらりと伸びた鉤爪は比べものにならないほど強力だ。スパイダー・デイドラはメファーラの僕で、蜘蛛と人間の中間のような姿をしている。禿げあがった頭、胴体、両腕はどれも人間のようで、8本の足を持ち、巨大蜘蛛の甲殻によって守られている。残念ながら、このデイドラはあまりに凶暴で理性に欠けるため、「紡ぐもの」メファーラの命令を忠実に守るとは言いがたい。そのため、モロウウィンドでこうした怪物を呼び出す、あるいは支配しようとする召喚士はまれである。

悪のデイドラはメエルーンズ・デイゴン、マラキャス、シェオゴラス、モラグ・バルである。すばしこくて煩わしいスキャンプ、猛獣のようなクランフィア、気高き死の番人ドレモラはどれもメエルーンズ・デイゴンと繋がりのある下級デイドラである。ワニの顔を持つヒューマノイドのデイドラはデイドロスと呼ばれるモラグ・バルの僕である。一方、体はいかついが血の巡りの悪いオグリムはマラキャスの奴隷である。シェオゴラスの下級デイドラであるゴールデンセイントは半裸の女性の姿をしており、魔法に耐える力がとても強く、危険な魔法使いである。

モロウウィンドでしばしば遭遇するその他の下級デイドラに、精霊、もしくは元素の精霊がいる。精霊とデイドラの主の間に連帯感はなく、
彼らと手を結ぶこともない。気まぐれに世界を渡り歩きながら、誘惑や衝動、あるいはタイミングによって立場を変えるのである。

コールドハーバーの自然On the Nature of Coldharbour

エリンヒルのファラスタス 著

これは第八講である。コールドハーバーの自然について扱う。どうやらいるはずの人数より多くの人がここにいるようだ。だからどうかご自分の台帳を確かめてほしい。もしトランスリミナル・ブリッジズと書いてあったら、部屋を間違えている。

コールドハーバーは残忍、奴隷、吸血症、そしてその他様々な嫌悪の対象のデイドラ公、モラグ・バルによって支配されるオブリビオンの領域である。それゆえ、気持ちの良い場所ではない。その次元の説明はオブリビオンのいかなる研究においても相変わらず広く多様化しているが、コールドハーバーは陰気で冷たく、そして大部分は生物が住んでいない。恐怖の毒気が充満した場所で、そこでは彷徨える魂が永遠に苦しめられているという点ではすべての説明は一致している。

これは、私の前回の講義で述べた、まさしく混沌によって作られているオブリビオンの次元が、その支配者の本質を反映した姿と気質を帯びているという論点を強調する。それゆえコールドハーバーは、強力なモラグ・バルの目的を具現化するよう形成されてきた。

ではそれらの目的とは何だろうか?最近折よく、ステンダール教団の後期カーディナル・ベルフォートの蔵書庫と文書を手にしたので、私はこの問題に権威をもって話すことができる。カーディナルはタムリエルから全種類のデイドラ信者達を取り除くことに生涯を捧げた。彼は特に、モラグ・バルの崇拝者達の迫害において厳格であり、そしてその時代の彼らの胸の悪くなる小論文や論文を多く手に入れた。

これらの資料の研究は、モラグ・バルの欲望、とりわけ定命の者達の魂を奴隷にすることについて明らかにした。この目的、つまり魂の状態をあの世への旅からコールドハーバーの次元での監禁と隷属に転換するこの最終的な目標のために、様々な厭わしい卑怯者達が雇われた。モラグ・バルの領域への到着に際し、魂はオブリビオンのいくつかの解き放たれたクリエイシアに自身を結び付け、生きていた時の外観を持つ見せかけの肉体を形成する。魂なき者と呼ばれるこの悲しき奴隷達はその後、彼らの主である奴隷王モラグの栄光と快楽のための苦痛の中で骨を折って働く。

私はこれまで明らかにされていなかった教団のこれらの秘密を伝える、だから諸君達は…ホール内のあのひどい混乱は何だ?あんな身の毛もよだつ叫び声の中でどうやって講義しろというのだ?このような状況では働けないな。

コールドハーバーの奴隷の穴The Slave Pits of Coldharbour

キンブリーフィング 3/97:

さてお前達は身体喪失も痛みの輪の刑を宣告されることもなく穴での最初の2シフトを生き延びた。今やそのすべてを知ったと思っている。そうではないのだ、キンワームよ。最初の2シフトは、どんな馬鹿でもできる簡単な仕事を任務として与える。だからお前達は、ありがちな失敗で私達を当惑させはしないだろう。しかし次は3番目のシフトだ、キンワーム達よ。これからノルマの話をする。

これらの魂なき者はお前達の気晴らしのために連れてこられたのではないのだ。オーバーキンとして、それらは私の気晴らしのために連れてこられたものでもないと言える。それらはただ単にデイドラ公の気晴らしのためにここにいる。そして彼は大いに楽しむ。だから注意を払え。お前達は魂なき者を割り当てられた。それらがする必要のあることを命じられ、そして必ずそれをやらせるのだ。

そしてお前達は、それについて情け容赦ない態度でいるように。楽しい部分だがコツのいる部分でもある。なぜなら私達は限られた数だけの魂なき者を手にし、それらを長続きさせなければならないからだ。もちろん、魂なき者はきっと苦しむだろう。でなければ、お前達は苦痛のノルマを達成しない。しかし魂なき者をあまり早く使いきってはいけない。でなければお前達は苦労のノルマを逃すだろう。そしてもしお前達がそのどちらかのノルマを逃したら…

そうだ。お前達は痛みの輪を見たことがあるな。

そういうことだ。キンワーム達よ・苦労と苦痛、そしてその二つの間のバランスを保つ。お前達の何人かは失敗し、ゆっくりと苦しい身体喪失を受ける。だが他の者達は内なる嫌悪と勝利を見つけ、ノルマを満たし、至福の監房での時間を手に入れるだろう。それはお前達次第だ。キンワーム達よ。切り開くのか、それとも痛みかだ。

セレスティアル スタイル

クラフトモチーフ41:
Celestial Style

星のガーディアン

上記のように、下記の通り。これが我々の信条である。それ故、セレスティアルの下に武器や防具を作ろうとする者は、星座の上の導きと模範にしたがわねばならない。

ブーツ

空を駆け、黄昏から暁まで夜を纏う者は誰か?尊き馬、駿馬である。そなたはセレスティアルの旅を全て支える、駿馬のようなブーツを作る。

ベルト

黄道を巡り、自由に這い回る者は誰か?星なく月なき大蛇である。そなたのベルトはウィルムのように強く、12の月の頭が尾に付くように長い。見るが良い。

空の顔から光る目で見守る者は誰か?暁星の月の儀式である。その目は見ているが、その顔は隠されている。儀式のように顔を兜とバイザーに隠し、見ているが見られぬこと。そなたの行動が明らかにするまで、知られぬままでいると良い。

脚当て

必要で些細な魔法を極める助けになる者は誰か?そなたのすぐ後に続き、南中の月まで支える見習いである。この脚当てを、見習いのように支えとするが良い。良き意志を持って。

遠くから撃ち、全ての心に共感を燃やすのは誰か?淑女である。彼女は天空で弓のようにたわむ。その矢は真実を射抜くだろう。この言葉を記すといい、セレスティアル。

胸当て

高き場所にて、ニルンを悪しき粒子から守る者は誰か?オーロラである。光のカーテンは星を覆う。オーロラを胸当てとしたかのように、その胸当ては武器からそなたを守る。

剣と鋤を持ち、種と敵を植える者は誰か?蒔種の月の守護者、剣と鋤を極めた大公である。そなたの剣を大公のように直立させ、誉れ高く掲げよ。

肩防具

栽培の月に、足元に隠れて攻撃するのは誰か?影である。見られているが見られず、空の動きを全て模倣する。そなたのポールドロンも影のようにせよ。そなたの動きに従い、忠実に静かに、攻撃の折に守らせると良い。

手袋

安全な季節がなくなった時、手袋を取る者は誰か?恋人である。彼女は蒔種の月まで全てを覆い、その後は何も覆わない。手袋は恋人に続き、それゆえそなたの手袋はしなやかに纏われ、危険な時には守ってくれる。しかし、外された時により美しい。

世界を支えるセレスティアルを守る者は何か?道を開きも閉じもする塔である。そなたの盾を塔のように強くして、敵の武器の道を塞ぎ、自らが叩く道は開けよ。

最も強き武器として、杖を持つ者は誰か?恵雨の月の魔術師である。その手は杖によりマジカを降らせる。そなたの杖は魔術師の杖を真似よ。より速き星の魔術師として、星雲を装飾するが良い。

戦棍

空を魔法の力で叩くものは誰か?夜と昼を蹂躙する精霊だ。そなたの戦棍を精霊の力強い腕のようにするといい。空から降る岩のように、敵を叩きのめせ。

短剣

外科医のメスのように短剣を操る者は誰か?星霜の月のように暗い盗賊である。そなたが運命を切り払う時、この幸運の短剣を持つといい。そなたの短剣から、宝が得られるだろう。

斧を帯びる者は誰か?収穫の月の戦士である。戦士のように、そなたの斧は強く鋭い。その刃は三日月のごとし。戦士の星のように光り輝く。

オーリドンの伝承

Auridon Lore

アイレン女王の台頭The Rise of Queen Ayrenn

スカイウォッチのヌーレテル 著

忠実なるオーリドンの市民よ!私はアルドメリ・ドミニオンの初代イーグル・プライマーチ、サマーセット諸島の上級女王、ウッドエルフのカモラン王家と友誼を結び、カジートのたてがみの親友である、我が女王アイレンの側近であることの喜びを感じている。

王室の側近として、私はアイレン女王の人生と経歴を略叙することにした。我が女王を己の心に迎え入れるつもりで読んでいただきたい。

女王陛下の幼きころは、島の多くの子供たちと同じように過ごされた。父君の側で剣の訓練を受け、我らの黄金の浜辺にて波間を馬で駆けた。そして、女王陛下は柔らかな桃色の花弁の下で、歴史と詩文を暗誦された。

20年以上前、我らの前向きな王——アリノールのヒデリス王、エセリウスで永遠に栄誉に浴されよ——は、殿下の迷宮への道を祝うため、水晶の塔にて王族と集まりになられた。この集中的な勉学の期間は、歴代のサマーセットの統治者に課せられるものであり、殿下はその期間を両腕を広げて迎える予定だった。その時が近づくと、女王だった殿下は失踪していたのだ!

長い捜索活動が開始される間、実際のところ、殿下はご自身の運命を切り拓いていた。殿下はアダマンチンの塔のディレニと共に生きるために、密かにバルフィエラ島に行かれた。殿下はそのクランの者たちに戦闘技術の訓練を受けた。彼らは殿下の単なる貴族の剣さばきを熟達した刃の舞踊へと変えたのだ。殿下の浜辺での乗馬は、馬上の強行軍となり、祖国の木の下での殿下の詩文の吟唱は、神秘的な芸術分野の研究の道を切り拓いた。

殿下のタムリエルでの冒険については、吟遊詩人と一般の書記たちに数多く書かれた。さよう、かつて熊に騎乗されたというのは事実だ。スカイリムのフロスト・トロールを狩り、ドワーフの遺跡の奥深くを探検し、シロディールの海賊船の乗組員になった。殿下はかつてアリクル砂漠の空を巨大な凧で飛び、イレッサン・ヒルズのネレイドと踊った。これらの冒険は理由のない戯れではなく、思慮のある歩みだった。それは、まさに剣の焼き入れのようなものだった!

ヒデリス王が薨去され、遠く離れた島々が歴史に飲み込まれそうになった時、アイレン王女はご帰還された!陛下は塵に落ちた冠を拾い上げ、父君の剣を取り、我々を世界へと導いてくれた。

殿下は我々を世界へと導いてくれ、我が岸辺の近くで待つ、新たな盟友を見出してくれた!殿下の高貴なるウッドエルフたちと猛々しきカジートとの繋がりは、タムリエルをまたぐこの強力なドミニオンの形成を可能にした。我々はシロディールの暗黒の心臓を襲撃できる態勢にあり、戦争を好む北の同盟からの略奪を退けられる。

殿下の勇気のベールの陰から誹謗中傷する者はいるが、アイレン女王はドミニオンの脈打つ心臓なのだ。我らの富と繁栄は、殿下失くしてはありえない。

エボンハート・パクトに関してRegarding the Ebonheart Pact

教化サピアルチ、シマーリーンのアイカンター 著

我々の従姉妹ダークエルフは、自分たちの先祖の裏切りに対する罰を正当に受けている。デイドラを信奉して見習おうと試みたために、呪いによって身体は醜くなり、国土は吹き飛ばされてしまった。今やその呪われた領土の境界線を離れ、本土の他の地を自分たちの異端信仰で染まらせようとしているところを見れば、その教訓はどうやら不十分だったようだ。彼らを意のままにする、ずる賢い悪魔の三人は、お人よしのノルドと、奴隷トカゲのアルゴニアンをだまし、このばかげた突拍子もない行為に参加させている。

エボンハート・パクトにシロディール統治を許してしまうのは、帝国を人間の部族に任せるくらい愚かなことだろう。トリビュナルはニルンにとって、最終的には無頓着で衝動的な人間よりも危険な存在である。彼らの力を破壊した上で、取り憑かれた大陸の隅へと再び追いやらなければならない…永遠に。

サルモールのチラシThe Stormfist Clan

教化サピアルチ、シマーリーンのアイカンター 著

諸島の忠実な市民よ、サルモールの声明を聞け。我らの新たな同志である、カジートとウッドエルフについて言葉の証人になれ。

我らの新たな同志、ウッドエルフとカジートとの結合は迅速に進んでいる。同盟の調和を促進するために、サルモールに忠実なる密偵たちが役に立つ通知を以下の短いリストにまとめた。この義務的な指針を歓迎できれば、我らの新たな同志は好意的に見てくれるだろう。

—カジートを「猫」、「子猫」、「毛玉」や他の猫が関連する差別用語で呼んではいけない。

—カジートの珍味の多くはとても甘く、もしくはムーンシュガーと呼ばれるエキゾチックな材料で味付けされている。食事をする時は気をつけるように。

—許可なくカジートの尾を触ってはいけない。

—我らが味方、カジートの民は珍しい方言を使う。彼らの会話をあざ笑うこと、マネすることはとても無礼なことである、アルドマーらしくない。

—ウッドエルフを食事に招待する時、彼らにとって森は聖なる場所であることを知っておこう。鹿の肉は出してもいいが、サラダはダメだ。

—ウッドエルフのことを、「チビたち」、「小人たち」や背に関する差別的用語で呼んではいけない。

—ウッドエルフの酒は、我らのものとはかなり違うので、飲む時は注意が必要。

—ウッドエルフに彼が食人種であることをほのめかしてはいけない。また、死者の処分はどのように行うのか伺ってはいけない。

鷲よ、団結せよ!

シーバイパーの牙Fang of the Sea Vipers

発明家テレンジャー 著

私は女王陛下の側近であるヌーレテルの要請で、シーエルフとして広く知られるピャンドニアのマオマーについて、簡潔な報告書を作成した。さあ、読みたまえ、そして知識の光明によって恐怖を取り除くのだ。

彼らの古代史はドミニオンの全域でよく知られているので、ここで詳しく述べる価値はない。オルグヌム「王」として知られるアークメイジが、隠れ島の追放者たちを長い間先導したと言えば十分だろう。その者は自分の若さと活力を、邪悪な呪文と儀式、そして生贄を使い、絶えず再生させていた。

すでに耳にしたことのあるその他の噂話も事実である。マオマーはオルグヌムの儀式によってシーサーペントを支配できる。中には、波間をぬって獣に乗る術を習得した者もいるし、より大きくてさらに扱いづらい獣が、彼らの最大の艦隊を支援するため泳いでいるのだ。

今現在オーリドンを脅かす船団は、シーバイパーと名乗っていることが明らかになった。三旗の戦いにおける最近の状況が、バイパーをオーリドンや本土辺りの海へと呼び込む原因となっている。この機に便乗したマオマーは、今や同盟間の争いにおいて自らの勝利を収めようとしている。

オーリドン第一海兵隊およびドミニオン海軍、そしてその他の者たちも、マオマーの前進を止める用意はいつでもできている。バイパーの形跡を見た者は、すぐにキャノンリーブか、近くのドミニオン将校まで報告するように。

鷲たちよ、我々の巣をバイパーに取らせはしない。慎重に、だが勇気を持って挑むのだ。

ダガーフォール・カバナントの罪Crimes of the Daggerfall Covenant

概要

教化サピアルチ、シマーリーンのアイカンター 著

ダガーフォール・カバナントの諸王国には、ディレニの従姉妹たち、北西タムリエルを統治する正当な権利のあるハイエルフに、ひどい抑圧を与えた成り上がりの混血たちが住んでいる。彼らはアレッシア教団として知られる、危険な、大量虐殺の狂信者の台頭に大きく加担した。自分たちの海賊がアルドマーの船舶を襲うことを許容しているのだ。ブレトンも見境がないために、残忍なオーシマーを仲間として受け入れた。(オーシマーだって!一体想像できるか?)相当な数の野蛮な部隊を集める能力はあるが、この堕落した混血に現在ムンダスを脅かす、神による天災に対処する知恵や知識があるという証拠はない。できるだけ早急に彼らを懲罰し、制圧しなければならない。ドミニオンが世界を救い…そして、将来世界を守る仕事を進められるように。

ファーストホールドへの到着The Lay of Firsthold

エルフは試練によって追いやられ
スロードだらけの海を越えてサマーセットへ。
ああ、アルドメリス!旧エルノフェイ!その優しい顔立ちが今でも思い浮かぶ。
今でも我らはそよ風の口づけに心を奪われるが
それは心の記憶の中だけで、
心髄の深遠への悲しみが
すべてのアルドマーを満たす。
マグナスが沈んで夜の時刻が訪れた時、
フクロウと亡霊が忍び足でうろつきまわり
目がもはや星を見られなくなった時、
幻想が深遠を横切り
アルドマーは強烈で多彩な領域に
色を染められたオーリドンに
無関心な宿命を逃れ
東の島々へとなぜ来たのか。

船の前の泡の中から浮かび上がる
その9つの船首はキラキラ光るなぎさを切って進む。
先頭の船からトリナーンが降りてきて
銀色の浜辺から緑に覆われた丘まで、
この地すべてのキンホールドだと主張した
その姿は金色の暁にずいぶんと染められていた。
オーリドンの名前はそのようにして、
ほどなくその王国に与えられた。
そこは未開の地であったが、
一度は後悔したトリナーンの心を瞬時にして掴んだ。
彼は剣を抜いて血を抜き、
決してこの地を出ないと誓いを立てた。
彼らは陸に降り立ち、
家を建てて街を作り、製錬所を建てて群衆を築いた。
そして牧草地を耕し、浜辺を整備して田畑を作り、
エルフが繁栄することのできる郷里を作った。

その後、丘から怒って吠えながら、
目を飾りたてた角のある醜い者がやってきた。
ギータス、ウェルワ、イリアディの
求めたのはアルドマーの残酷な死。
何人かの者はこう言った。改めて船に乗り込み、
遠くのもっと安全な陸地を探し求めるべきであると。
しかし果敢なトリナーンの勇気によって、
先祖の物語を利用して、
オーリドンの織り機で織った
ヴァルラの石の神聖文字に刃を付け、
頭上の星から力を引き寄せ、
怪物を倒し破滅へと追いやった。
皆に恐ろしい魔法で苦しめられながら、
怪物は丘と高台の向こう側へと急かされ、
雷撃、氷、炎で吹き飛ばされて
最後には一人ずつ倒れた。

そのように紡いだ呪文によって
護られたオーリドンはその後、
工芸と農業、イマゴフォームに彫刻と、
アルトマーの器用さの下で繁栄したが、
他のアルトマーがそれよりも感心したのは
トリナーンの勇気ある偉業で、
他のキンホールドがすぐに後からサマーセットへと、
大変恵まれた穏やかな航行でやってきた。
ただ、そのキンホールドによる繁栄は
諸島のいたるところで見られたが、
ファーストホールドの岸を奮起させる
アルドマーの上陸が明らかになり、
彼らは果敢なトリナーンのその勇気、知恵、
洞察力を深く尊敬した。
天を利用し、
窮地のアルドマーを護った英雄を。

オーリドンは素晴らしき家。
マオマーを倒し、スロードを追い出す。

ベールを着けるのはなぜだ?Why Don the Veil?

善良なエルフよ、ベールを着ける理由をご存じだろう。この諸島が脅威に直面していることを、心の中では分かっていよう。我々は裏切られているのだ。

我々の指導者は今、怠け者の子供に従っている。猫と小人たちの女王だ。血統の偶然によって玉座を与えられた策士だ。玉座の間よりも茶碗の家がお似合いの娘だ。

この諸島は我々のものだ!アルドマーの末裔であるハイエルフが、花々の下で何もせず座り込んでいなければならないなんて。平原からやってきたみすぼらしい混血が、エルフのようにはしゃいでいるのをただ見なければいけないなんて。森から来た獣の言葉が我々の道で話されるのを、聞かなければならないなんて。

我々の生活にこのような暴力を引き込んだのも、引き起こしたのも我々ではない。こんな対立は、予想もしなかったし招いてもいない。民の持つ真の強さは、このような瞬間が訪れた時、いかに立ち上がるかで定められる。

オーリドンのエルフよ、今こそ立ち上がれ。ベールを着けるのだ!女王に、そのドミニオンに対抗し、敢然と立ち上がれ。そして、サマーセット諸島を取り戻すのだ!

上級公ライリスと魔術師ギルドKinlord Rilis and the Mages Guild

魔術師ギルド上級遺物師ヴァラステ 著

幹部の者として、上級公ライリスXII世が魔術師ギルドの創設者であるという意見についての説明と根絶が必要だと思われる。一般の者には、上級公の残酷さとサディズムが広く知れ渡る前に、彼は庶民を守るため「危険な魔術師」を支配する協定がまとまるように取り計らったとされている。これは事実ではない。

イアケシスの生徒、ヴァヌス・ガレリオンは確かに大都市での魔法の実験を通じて、市民の間の一般的な考えを侮辱した。彼はファーストホールドの都市に、数多くの学生や発明家たちを呼び集めた。魔法使いが近接する利点を証明しようと初めて試みたのだ。強力な儀式などのためではなく、勉学、研究と友愛のために。

この単純な前提がファーストホールドの住民をあまりにも怖がらせ、彼らは統治者である上級公ライリスXII世に助けを求めた。今では下品な肩書きで呼ばれているが、ライリスは何よりもまず政治家だった。彼は、当時「ガレリオンの愚行」と呼ばれたものに、魔術師と一般人を対立させる機会を見出した。

よくいろいろと推測される「憲章秘密会議」には、ライリス、イアケシス、ガレリオンや、その他諸島とサイジック会の著名人たちを呼び集められた。同意があったため、その会議の記録は確かに残されなかった。だが、このことはご記憶いただきたい。ライリスは会議の開催を許可し、ガレリオンの行動も許可した。すべては己の目的のために。

もちろん、今思い返せば、アルテウムの遺産は新たなる魔術師ギルドの立派な財産だ。我らはギルドの旗印のもとに正々堂々と集い、これから何世紀先も間違いなくそうするだろう。ただ、このことは覚えておいて欲しい。ライリスXII世は危険なエルフだった。秘密会議が行われていた時も、彼は邪悪な力と取引し、デイドラと協定を結んでいた。

我らが仕える誇り高き団体は、彼の思惑と異なり、それに反したことで今現在存在している。

様々な宗派:ハイエルフVarieties of Faith: The High Elves

タムリエルにおける様々な宗派:ハイエルフ

帝国大学 ミカエル・カルクソル修道士 著

八大神

(ただし、帝国外のほとんどのアルトマーは神を八柱に制限することを認めない)

アーリエル(アルドマーの王):

エルフのアカトシュはアーリエルである。アーリエルはアヌイ・エルの魂であり、同様にアヌイ・エルは「すべてのもの」のアヌの魂。ほとんどのアルドマーの神々の長である。大抵のアルトマーとボズマーがアーリエルの直接の子孫であると主張している。唯一知られる欠点として、アーリエルは定命の者の次元の創造で役目を果たすことに同意したが、それは永久なる霊魂の世界からエルフが永遠に分断される行いであった。その埋め合わせをするべく、アーリエルは神話の時代に最初のアルドマーを率いてロルカーンの軍と戦い、強大な力に打ち勝って、アルトマー、アルトモラ、旧エルノフェイの、最初の諸王国を建立した。その後彼は、信奉者たちが定命の者の次元から逃避するのに必要な道のりを学べるよう、皆が注目する中で天に昇った。

マグナス(メイガス):

魔術の神であるマグナスは最後の最後で世界の創造から身を引いたが、その代償は大きかった。この世に残っている彼の名残は定命の者たちに魔法として認識され、操られている。伝説の一つでは、定命の次元を生み出すこと自体はロルカーンの発案だったものの、実際の構築に必要な図式や図表を作り出したのはマグナスだったとされている。

トリニマク:

初期アルドマーの強靭な神で、場所によってはアーリエルよりも人気がある。彼は人間と戦うために軍を率いた、最初のエルフ種族の戦士の魂であった。ボエシアは、アルトマーの群衆に耳を傾けさせるためにその形になったと言われている(いくつかの物語の中で、彼はトリニマクでさえ食べている)が、それによって結果的にチャイマーに変えられてしまった。トリニマクはこの後、神話の舞台からは姿を消すが、恐ろしいマラキャスとして戻ってくる(アルトマーのプロパガンダは、これをダンマーの影響がもたらす脅威として表現している)。

イフレ(森の神):

時の竜アカトシュが神の王であっても、イフレは「現在」の霊魂として崇拝されている。エルフによると定命の者の次元の誕生後、何もかもが混沌に陥っており、最初の定命の者たちは植物に姿を変えては動物に変化し、再び戻ることを繰り返していた。そこでイフレがアース・ボーンズを意味する最初のエルノフェイ、もしくは「アース・ボーンズ」に姿を変えた。これら自然の掟が確立した後、定命の者たちは新たな世界を理解することで、ある程度の安全を確保できるようになったという。

ザルクセス:

ザルクセスは先祖と秘密の知識の神である。始めはアーリエルの書記だった彼は、時間が始まって以来、小さいものも大きいものも含め、これまでのすべてのアルドマーの偉業を記録している。妻のオグマは、歴史上自分が気に入った節目から作り出した。

マーラ(愛の女神):

万物の女神といっても過言ではない。起源は豊穣の女神として神話の時代に始まった。創造を生んだ宇宙の女性の本源である、「アヌアド」のニールを時に連想させる。アルトマーにとっては、アーリエルの妻。

ステンダール(慈愛の神)

慈悲と公正な規範の神。アルトマーの初期の言い伝えの中では、ステンダールは人類の弁証者である。

シラベイン(ウォーロックの神):

アルドマーの魔法の神の先祖であるシラベインは、スロードの衰退でベンドゥ・オロを支援した。魔法の指輪を慎重に使い、スラシアの疫病の災厄から多くを救った。また、魔術師ギルドの若いメンバーから好かれているため、見習いの神とも呼ばれる。

—アルトマーにおいて崇拝されるその他の重要な神々—

フィナスタール:

サマーセット諸島の英雄の神。アルトマーに歩く歩幅を短くすることで自然に100年寿命を延ばす方法を教えた。

ロルカーン(不在の神)

この創造者、詐欺師にして試練を与える神は、タムリエルに存在するどの神話にも登場する。彼の最も一般的に知られる名前はアルドメリの「ロルカーン」か破滅の太鼓である。彼は父親であるパドメイが始まりの場所に不安定さをもたらして現状を乱したのと同じように、原初の魂を説得、もしくはけしかけて定命の者の次元を生み出させた。その世界が実現すると、ロルカーンは神の中心地から離れ、伝承によっては不本意ながらという説もあるが、原初の神々の創造地をさまよう。彼と彼の「計画」については文化によって解釈が大きく違う。ハイエルフにとっては崇高なる力において最も不浄な存在であるが、それは彼らの精神世界へのつながりすべてを永久に壊したためである。言い伝えにおいて彼はいつでもアルドマーの敵であり、ゆえに初期の人類にとっては英雄である。

鷲の影の生活Life in the Eagle’s Shadow

暁星の月、1日:
新たな年、新たな始まり。昨夜、シルネは私の婚約者になることを承諾してくれた!私はマティースン一の運の良いエルフだ。すでに鍛冶場を使えるよう、ヨンディンに手配した。私は父の古い剣を溶かし、マーラの指輪の土台にするつもりだ。マティースン鋼は兵士たちにとって十分満足できるものなんだろう?私の最愛の人にとってもそうだろう。

薄明の月、3日:
伝令が島中で声を上げている。新たな女王が誕生した!それで、私たちは同盟か何かの一員になった。よりによって、ウッドエルフとカジートとの同盟だ。「アルドメリ・ドミニオン」と呼ぶらしい。誇らしく思ったが、父は文句を言うだけだ。父は「あのような連中」を島に入れては、仕事に悪い影響がでる、と言っている。

薄明の月、10日:
夜中に、シルネと一緒にお忍びでスカイウォッチに行った。道端で寝たのがとてもワクワクした。まるでギルドの戦士だった!祝賀を告知するちらしは島中に溢れ、こんなことは見過ごせないと私たちは思った。老いたエルフにこっぴどく怒られることはわかっている。だけど、いいんだ。女王、たてがみとボズマーの樹の従士をこの目で見る機会を見過ごす?ありえない。

薄明の月、11日:
今日が何かの兆候だったのであれば、父は正しかった。パレードは素晴らしかった。女王が門まで続く道を、海兵隊のファランクスを率いながら歩んだ。その後、樹の従士の狡猾な密林のレンジャーがやってきた。ヴァインダスク、と誰かが言っていたかな?それから、髪を編んだたてがみたちが来た!カジートの戦士は素晴らしかった。

私の小銭入れを盗もうとしていた、あの毛むくじゃらのスリよりも素晴らしかった。逃げる前に捕まえようとしたが、カエルレースに熱中していた港の職員たちの中へ紛れ込んでしまった。そのまま消えてしまった。シルネは大丈夫だと言ってくれた。計算したよりも早めに出ればいいと。ちくしょう。彼女をがっかりさせたくない。

薄明の月、17日:
ちくしょう!シルネとスカイウォッチから戻ってきてから、すべてがごちゃごちゃだ。父は私たちがこっそり行ったことをカンカンに怒っていた。あのスリにどれだけ小銭を盗まれたかを教えたら…鍛冶場の仕事を学んでいたとき以来、あれほどあの老人に殴られたことはなかった。

それで、数日前、私たちみんなは鍛冶頭の事務所に連れていかれた。コンダリンから、同盟のおかげでエルフの商人たちが「あの連中」を雇えるようになったという報告を受けた。「彼ら」に仕事を与えれば、サルモールからお金がもらえるらしい。

それで、彼は父の契約を破棄したんだ!鍛冶場で何十年も働いたのに、いまでは猫人間と食人族が代わりに仕事をしている。すべてはこの忌々しい同盟のせいだ。父は自分のことよりも、鋼のことを心配している。彼らはやり方を知らないと言っている。天の星よ、何が起きているんだ?

蒔種の月、5日:
私は夕飯を盗まなければいけないほど落ちぶれたが、もちろん捕まった。夕暮れ後にシルセイレンに忍び込み、おいしそうな白魚の香りが漂っていた。採用担当者が街に来たあの午前中、シルネの母親が作ったスパイス入りのパンを食べて以来、私は何も口にしてなかった。

街に忍び込み、地元の宿屋のにおいをたどった。どうやって調理場に入ろうか考えていたときに、大きな手が私の肩を叩いた。キャノンリーブの部下だった。彼は私が何を企んでいたかはっきりわかっていた。まるで、街に忍び込んでからずっと私のことを監視していたように。今は、リーブの邸宅の近くにある牢屋に座りながら、裁きを待っている。少なくとも、ここでは手記を書かせてくれる。

クソくらえ、アイレン!クソくらえ、ドミニオン!

蒔種の月、10日:
今までの私の人生は終わった。ベールの下で新たな人生が始まった。ヴァラノという誇り高き男であるキャノンリーブ自身も、ドミニオンの下での人生に疑いを持っていたらしい。彼は女王と親友だったらしいが、歳月が彼女を変貌させてしまったと心配している。

ヴァラノはベールの継承者という団体の一員だ。彼らは自由を得るために戦う人たちだ。彼は難しい選択肢を選ぶことを辞さず、外国の影響が我らの土地を汚すのを止めようとしている。

私はあのシルセイレンの地下にある牢屋から連れ出されたとき、重労働を覚悟した。それどころか、私は新たな家族を見つけた。ヴァラノは私が抱える問題のすべてを知っていると言ってくれ、私がドミニオンの採用担当者に連れて行かれたことも知っていた。彼は私を助けてくれると言った。そして、私が自分を助けられるように手伝うと。

私はそのようにする。

イーストマーチの伝承

Eastmarch Lore

スカイリムのオークOrcs of Skyrim

最果ての放浪者ソーラ 著

スカイリムのノルドにとって、これまでのところオークほど叩いても叩いても自分たちを悩ませる存在は他にない。あの牙の生えた連中が我々の麗しい郷土の占有を主張したのは、遠くイスグラモルが「亡霊の海」を渡る以前までさかのぼる。当時の記録はほとんど現存していないが、同胞団がスノーエルフを駆逐するかたわら、オーク要塞を一つ残らず滅ぼしたことについては、さまざまな歴史に言及がある。

オーク要塞は防備の堅い拠点であり、鉱物資源の鉱床の周囲に築かれることが少なくない。十数世帯が暮らせる施設を擁し、周囲には最強の軍勢以外どんな相手でも撃退できるよう設計された防壁が巡らせてある。領内のオーク要塞を滅ぼそうと企てた挙句、果たせずに命を落としたことで歌にうたわれ、記憶にとどめられている首長は数知れない。オーク要塞を単に滅ぼせないだけならまだしも、滅ぼしたはずの要塞が世代も代わらないうちに復活することもしばしばである。それを防ぐにはノルドの砦で対抗するしかないが、その場合は兵員と糧秣を絶えず補給しなければならない。

岩を積みあげただけの砦とも呼べないような代物を数年以上にわたって守る余裕のある首長などほとんどいない。だから、オーク要塞は依然として我々の土地の病巣であり続けている。オーク要塞の中にはこの調子で数千年とは言わないまでも、数百年存続しているものがある。イーストマーチのクレイドルクラッシュにある古いオーク要塞などは、地下の鉱脈が完全に枯れてしまったにもかかわらず、これまで攻め落とされたこともなければ打ち捨てられたこともないと言われている。

スカイリムにおけるオークの勢力が絶頂に達したのは、第二紀の初頭、ヤシュナグの族長国が樹立されたときである。ブレトンとレッドガードの連合軍によるオルシニウムの破壊を契機に民族大移動を強いられたオークたちは、北の大地全土に離散する。ハイロックを追われたヤシュナグとその民は東へと逃れ、いにしえの権利によって自分たちのものだと彼らが感じるスカイリムの土地を奪還しようとした。西スカイリム王のスヴァートルは、西王国を蝕むオークやリーチの民を撃退する能力に欠けていた。ヤシュナグの族長国は30年余りものあいだ西ファルクリースを悩ませ続けた末、第二紀の467年に「ヤシュナグ殺し」のハックヴィルドによって焼き払われた。

ハックヴィルドがファルクリースの首長になったのは、父親である先代首長が戦場でヤシュナグに殺されたからである。若き首長が継承したのは、西から攻めてきたオークの侵略者たちに大部分を占領された、崩れかけの砦以外にほとんどなかった。ハックヴィルドはヤシュナグとヤシュナグに従うオークの勇者たちに決闘の儀式で勝負をつけようと申し込み、1人ずつ倒していったと言われている。この知られざるオークの儀式をハックヴィルドがどうやって知ったのかは詳らかになっていないが、指導者が倒されたのを見て、ヤシュナグの追従者たちは族長国を捨て、去っていった。

ヤシュナグの族長国が崩壊すると、オークはスカイリムのさらに奥へと入り込んで散らばるか、または後退してロスガーの山々に分け入った。ヤシュナグの民を祖先に持つオークの諸部族は、スカイリムの歴代王に対して激しい憎悪を燃やしてきた。オークが数百年前に自分たちの故郷を焼き払ったタムリエル西部の民とさえ関係を修復していることを考えると、ノルドに対する彼らの敵意がこうまで大きくなったのは、皮肉としか言いようがない。

スカイリムの霊魂Spirits of Skyrim

学究の徒イシティルレ 著

スカイリムでも往来の少ない寂しい道には、さまざまな霊魂が出没する。そうした英魂の一部は凶暴で恐ろしい存在だ。彼らは定命の者を憎み、ねたんでいる。それ以外の霊魂は単にいたずら好きなだけだが、彼らが山ほど用意している無邪気ないたずらは、仕掛けられた側がきちんとそれに気づかないようだと危険なものに変わりうる。少数ながら、中には気立ての良い霊魂もいるとはいえ、そういう霊でさえ、こちらが礼節を欠いたり敬意に乏しかったりすれば敵意を露わにしてくる可能性がある。一口に霊魂と言っても、自由にさまようデイドラから、死んだ定命の者や自然の化身まで多種多様だ。もっとも、脅かされている当事者にとっては、そうした区別にさほどの意味はないかもしれない。あれこれ悪さをしてくる霊魂が、さまようデイドラだろうとこの世にぐずぐず居残っている村の小作人の亡霊だろうと誰が気にするだろう?どちらにせよ、実体を持たない存在であることに変わりはなく、危険な相手であることにも変わりはない。

ウィンドヘルムのずっと南に広がる「亡霊の森」は、遠い昔から謎と危険に満ちた場所だった。閃く光や抗しがたい囁き声が、どんなふうに旅人を森の奥へと誘い込むかを語る物語はそれこそ枚挙にいとまがない。本来ならば用心深いはずの地元の農夫や木こりたちでさえ、太陽が中天高く登る時、あるいは夜闇が大地を覆いつくす時、奇妙な物音や怪しい光景の犠牲になってきた。そういう話には事欠かない。

そうした霊魂の一種に、湖や丘や木立といった特定の土地に縛られた、ガーディアン・スピリットがある。彼らは緑のある一帯に出没し、そこを捨て去ったり、そこから遠く離れたりすることはできない。定命の者の前に現れるとき、ガーディアン・スピリットは定命の者の姿をとることが多い。だが、騙されてはならない。こうした霊魂は決して定命の存在ではないし、定命の世界からかけ離れていることはオブリビオンの住人と変わらない。彼らは定命の者の振る舞いを真似るかもしれないが、そうした振る舞いを理解することもなければ、そうした振る舞いにほんのわずかでも関係があるわけでもない。

ガーディアン・スピリットは決まりきった日常に飽きるかもしれない。また、縄張りに迷い込んできた新たな生き物に興味を抱くかもしれない。ことによると、自分の領分を訪れた定命の存在から侮辱を受けたと思い込んで、怒りに駆られることさえあるかもしれない。いずれにせよ、そういう場合はガーディアン・スピリットの注意を引いてしまう。あるいは、今挙げた3つとは全然違う理由から、ガーディアン・スピリットに目をつけられることも考えられなくはない。この世ならぬ存在が何に動かされているかなど、いったい誰に分かるだろう?

亡霊の森のガーディアン・スピリットは、物見高くいたずら好きではあるものの、定命の訪問者に対していきなり敵意を示すことはまれだ。あの森の中で何かをなくす、怪しい何かが現れる、無邪気ないたずらを仕掛けられるといった話には事欠かないが、森が底を訪れた定命の者に牙を剥いたという話はほとんどない。どうやら、少なくともこの霊魂に限っては、我々と何らかの関係を築こうとしているように見える。あるいは、そういう考えもまた、霊魂の意図を誤解しているだけなのかもしれない。ひょっとしたらこのガーディアン・スピリットは、単に森を訪れた者を油断させようとしているだけなのかもしれない。相手が気を緩めたところを見計らって、襲いかかるために。

ストームフィスト・クランThe Stormfist Clan

最果ての放浪者ソーラ 著

ノルドのクランはマンモスの群れのようにスカイリム全土に広がったが、その数と土地におよぼす影響力はマンモスの比ではない。もっとも、各クランが名を馳せる理由はそれぞれ違う。狩猟の腕前で知られるクランもあれば、森林に精通していることで知られるクランもあり、クラフトの技術で知られるクランもある。大柄なクランもあれば、小柄なクランもある。政府や共同体で華々しく活躍するクランもあれば、忌まわしく、暗いイメージがつきまとうクランもある。後者は誰もが関わり合いになるのを避け、その名を口にするのも憚られるクランだ。そうしたクランの1つとして、ホワイトラン・ツンドラを本拠地とする悪名高いストームフィストを挙げられる。

ストームフィストの系譜を遡れば、クランの始祖であり50年近くに渡って率いた力強い女族長、オグラ・ストームフィストに辿り着く。戦闘技能と鎧作りの腕前を高く評価されたストームフィスト・クランは、何世紀にも渡り、数々の戦いで中心的な役割を果たした。ホワイトラン要塞の戦い、ダイアルマーチの虐殺、ウィンドヘルム包囲…。ただ、ウィンドヘルム包囲を最後に、この一族は信頼を失い、忌むべき存在の烙印を押されてしまう。

第二次アカヴィリ襲来の前夜、東スカイリムを統べるマブジャールン女王の息子、強健王子フィルジョアは、異郷とそこに住む人々を自分の目で見るため西方に旅した。そこで王子はストームフィスト・クランの若い男女たちと出会い、後に大いに役立ってくれる友情と絆を育む。やがて、成人の試練に挑む覚悟ができたフィルジョアが旅を再開する際、ストームフィスト・クランの仲間が彼と旅を共にすることを決める。やがて彼らはストームフィスト旅団と呼ばれるようになり、フィルジョアは生まれながらの仲間ではないにもかかわらず、事実上の指導者となった。

もし、それ以前のストームフィスト・クランに何がしかの評判があったとしても、ストームフィスト旅団が築いた伝説の前で色あせてしまった。彼らは勇猛な戦士たちであり、冒険を求めては、王国で最も敵意に満ち、最も周囲から隔絶された地域へと足を向けた。フィルジョアに率いられた彼らは山賊の集団を潰走させ、埋もれた財宝を見つけ、怪物を倒した。アカヴィリの侵略軍が攻め寄せたとき、フィルジョアはストームフィスト旅団を率いて戦いの渦中に身を投じる。そうして彼らはついにウィンドヘルムまでたどりつき、マブジャールン女王及びその主力との合流を果たした。

ウィンドヘルムの陥落を防ぐことも女王を救うこともできなかったものの、ストームフィスト旅団は侵略軍を敗走させるために功があった。彼らはノルド連合軍の一翼を担い、土壇場で加わったダークエルフおよびアルゴニアンと共にアカヴィリを打倒したのである。しかし、それに続いて運命の決断がなされた。フィルジョアが姉ナルンヒルデの死によって空位となった玉座に就く意思を表明したとき、ストームフィスト・クランは王子を最も強く支持する輪に加わったのである。その結果どうなったかは承知の通りだ。ジョルンとフィルジョアは一対一の果し合いにおよび、結局ジョルンが玉座を勝ち取った。フィルジョアは追放の憂き目に遭い、いつか戻ってくることを誓ってスカイリムを離れた。

ストームフィスト・クランはフィルジョアに対する忠誠を最後まで貫き、ジョルンの前に頭を垂れることも、その王たる権威が自分たちに及ぶのを認めることも拒んだ。彼らは西の故郷に帰ってゆき、戦いに倦み疲れていたジョルン王もあえて止めようとはしなかった。以来今日に至るまで、ストームフィスト・クランは外界との交わりを絶ち、自分たちの縄張りから外に出ることも、クランより大きなノルドの共同体に加わることも稀だ。ただし、もし彼らが故郷のツンドラ地帯を離れ、他のクランの間で地位を回復しようと決意した場合、何が起きるかは誰にも分からない。特に、もしフィルジョアが自らの誓いを果たしたとしたら、そのときどうなるかは神のみぞ知る。

テルニオンのモンクThe Ternion Monks

書記エルガド 著

テルニオンのモンクについては、邪教の教団だと切って捨てる者もいれば、さらに悪しきものだという者もいる。しかし、彼らは三柱の古き神々とそのそれぞれに結び付いたトーテムを崇める伝統の担い手なのだ。古くから存在する信仰だが、今や帰依する者はほとんどいない。多くの点で、テルニオン信仰はゆっくりと死に向かっていると言える。というのも、現在のモンクによる布教の成果は微々たるものだからだ。三柱の古き神々の崇拝に改宗する者の数が減る一方であることを考えると、この信仰がただのぼんやりとした記憶と化してしまうのは時間の問題かもしれない。

治癒魔法で知られるテルニオンのモンクは、三柱の古き神々の姿を呼び出すことができる。それらの姿の助けを借りて、彼らは単なる定命の存在に許された範囲を超える務めを果たせるのである。それぞれの姿は三柱の古き神々を模している。すなわち、狐、熊、狼である。

狐はずるがしこく、機敏で、その姿は自分を呼び出したモンクの速度と敏捷性を増大させる。

熊は堂々たる体躯と膂力を有し、守護者となる。その姿は自分を呼び出した者の力を強くし、その者を危害から守る。

狼は抜け目がなく鋭敏で、獰猛かつ危険な存在だ。状況を見定め、待機し、行動を起こす絶好の機会を探す。その姿は自分を呼び出した者の視野や知覚を広げ、よりはっきりと物事が見えるようにする。その結果、隠れているものや曖昧なものに気付くようになる。

テルニオンのモンクは自分以外の誰かがほとんど近づけないような場所で瞑想にふけり、神々を崇めることを好む。モンクの魔法を使わないかぎり、そうした神聖な隠れ処にたどりつけないことも少なくない。ガーディアンは他のモンクか、よほど差し迫った必要に駆られた、道を開いて通すに値する相手に求められなければ道を開かない。

私はモンクたちと共に過ごすことで、彼らの流儀の幾分かを学び、彼らが実際に治癒魔法を使うところも目にした。彼らは価値ある伝統を守り、今に伝える善良な人々だと思う。けれども残念ながら、今の世代が死に絶えた時、テルニオンのモンクと三柱の古き神々の崇拝は、次第に消滅の道を辿るだろう。

そしてそれは、悲しむべき日になるに違いない。

フレイディスの王冠The Crown of Freydis

神話の作り手タレオン 著

我らが敬愛するマブジャールン女王が戴くフレイディスの王冠には、長い歴史がある。名高いその美しさについて知る者は多いが、この王冠の本当の使い道や、この王冠が作られた経緯を知る者は少ない。そして、フレイディス女王以前の君主たちもこの王冠を被っていたという事実も、ほとんど知られていない。

フレイディスの王冠は、実を言うとスカイリムでは2つめの王冠である。最初の王冠の栄誉は、「尖った王冠」に属する。これはノルドの初代王ハラルドがドラゴンの骨から作った王冠で、伝説によればハラルド王の血を引く最後の王ボルガスが、第一紀369年のワイルドハントで落命した際に行方知れずになったという。イスグラモルの系譜に連なる最後の1人であったボルガスには子がなく、彼の死は「継承戦争」と呼ばれる血で血を洗う内紛の引き金を引いた。

継承戦争は隻眼のオラフが新しいスカイリムの上級王になるまで、5年余り続いた。オラフが王に選ばれた主たる理由は、ヌーミネックスというドラゴンを退治したことで得た名声であり、仁徳や政治的手腕を見込まれてのことではまったくなかった。隻眼のオラフによる治世は、ノルドの間で大きな争いと分断が起きたことによって特徴づけられる。オラフがボルガス同様に明確な世継ぎを残さず死んだとき、上級王を選出するための新たな手続きを導入することが決まった。

かくして、スカイリムの各要塞から1人ずつ選出された魔術師たちが一堂に会する。目的は、上級王の有力候補の適格性をテストする魔法のアーティファクトを作製することだった。この時彼らが創り出したのが「認証の王冠」である。王冠の形をしたアーティファクトの作成は革新的なアイデアだった。というのも、「尖った王冠」が失われてから、オラフは一目でそれとわかる王権の象徴を身に着けなかったからだ。この新しい王冠が、比較的不安定だったオラフの治世後、新王の元で国がまとまる助けになるだろう。そう魔術師たちは感じた。この王冠が作製されたタイミングは、吉兆だったと言える。

さて、ムートは氷砕きのアサーンという族長を次期スカイリム上級王に選出する。アサーンはドラゴンを倒したことこそなかったものの、隻眼のオラフ同様、武勇無双の戦士だった。しかし、即位する前に、アサーンは完成間もない「認証の王冠」を被る必要があった。このアーティファクトが持つ、本当の力が明らかになったのはその時である。

王冠はアサーンを拒絶した。文字通り、彼の頭に載せられることを拒んだのである。激怒したアサーンは忠実な支持者たちを呼び集めて周りを固め、もし自分を正統な王として認めなければ皆殺しにしてやるとムートに迫った。アサーンとしては、王冠ごときに否定される気は毛頭なかったのである。すると、ムートのメンバーに名を連ねる語り口の穏やかな男が椅子から立ち上がった。彼は法に則り、アサーンに戦いを挑む。勝負は短時間で決着がついた。アサーンは打ち倒された。語り口の穏やかなその男が王冠を手に取り、難なく自分の頭の上に載せた瞬間、スカイリムの新しい上級王が誕生した。これが、「白のジョリック」が王位に登ったいきさつである。

以来今日まで、フレイディスの王冠は上級王から上級王へと受け継がれてきている。この王冠は上級王の候補について、それが誰であるかにかかわらず、ムートが適格性を確かめるために使われている。アサーンが倒されてからというものの、王冠の正当性やその力に疑義を唱える者は誰もいなかった。第二紀の431年、レマン帝国が四分五裂し、ログロルフ王が暗殺されるまでは。

ログロルフの娘フレイディスは庶子であり、したがって王位継承者はムートによって選ばれなければならない。ソリチュードのスヴァートル首長がそう主張したのである。「認証の王冠」を被ったフレイディスがウィンドヘルムで上級女王に指名されていたにもかかわらず、ソリチュードで開かれた不公正なムートはスヴァートルを上級王に選出する。それ以降、西王国はスヴァートルとその後継者たちによって統べられ、東王国は「認証の王冠」という呼称を自らの名を冠したものに改めた、フレイディスの跡継ぎたちによって治められた。

巨人のすべてAll About Giants

第二紀569年、スカイリムの巨人族の観察記録。放浪者ボノリオンの日記より

イーストマーチとリフトの雪深い辺境を探索したとき、私はスカイリムの原住民たちが「巨人」と呼ぶ風変わりで図体の大きな人々を観察する機会に恵まれた。スカイリムの原住民からして大柄だが、雪に覆われた原野を放浪する巨人の身長は、猪首で肩幅の広いノルドの平均身長の2倍(もしくはそれ以上!)もある。ここに、私が観察の結果知り得たことをいくらか書き記しておきたいと思う。将来この寒冷な地を旅する人々の役に立てば何よりだ。

巨人は背が高い

巨人たちは見たところ、いたっておとなしい。ただし、怖がらせれば話は別だ。そうなると彼らは巨大な棍棒を振りまわし、筋骨たくましいノルドさえ野や川の向こうまでぶっ飛ばしてしまう。これをやられたノルドは十中八九助からない。もっとも、巨人の全力攻撃を浴びて命を取り留めた者の話を聞けた試しがないから、あくまでも私の推測に過ぎないが。

巨人を怖がらせる行動としては、次のようなものがある。ただし、これらに限るわけではない。
 側に近づく。
 マンモスに手を出す。
 矢を射かける。

私が話を聞いた人々の中に、巨人の女性や子供を見たという者はいなかった。巨人は子供でもボズマーより背が高いのだろうか?また、巨人の女性はひどく内気ではにかみ屋なのだろうか?この件については、さらなる観察が必要だ。

巨人は野営地近くの岩や木に絵を描く。この原始的な芸術は、希少な女性の巨人が近くを通りかかった際、誘い込むためのものかもしれない。あるいは、縄張りを示す印か。それとも、たんに絵を描くのが好きなだけかも。その辺りを見極めるには、さらなる調査が必要だ。

巨人はどうやっいぇマンモスの乳を搾るか?答えはおっかなびっくり搾る(注:ノルドはこのジョークがお気に入りだ。ハチミツ酒を何杯か飲んだ後は特に)。

話を聞いたノルドのなかに、マンモスチーズを口にしたことのある者はいなかった。別段食べてみたいとも思わないらしい。

何とかしてあの図体の大きな種族と親しくなる手立てを見つけなければ。あのすばらしく香り高いチーズをひとかけらでも手に入れるには、それしか思いつかない。

第二紀571年に記された博識家ジェゴードのメモ

ウッドエルフのボノリオンはクレイドルクラッシュと呼ばれる一帯にほど近い、大きな丘のふもとで見つかった。全身の骨が砕けていたという遺体の状態からして、どうやら彼は自分自身の戒めを無視したらしい。ノルドならどんなに血の巡りが悪い子供でも、巨人に近づかないだけの分別はあるというのに。ところで、ボノリオンの亡骸が見つかった場所にいちばん近い巨人族の野営地でも、1リーグ近く離れている。これに鑑みるに、ウッドエルフは巨人の棍棒で飛ばされれば、相当な距離を飛べるということが言えるかもしれない。

私は彼の日誌を回収し、保管しておいた。イーストマーチやリフトといった、巨人が住む地域を探索しようという者の役に立つかもしれないからだ。とにかく、巨人と親しくなろうなどとはゆめゆめ考えないこと。これは、たとえ筆者自身がなおざりにしたとしても、肝に銘じるべき教訓だ。

兄弟の戦争The Brothers’ War

アカヴィリの襲来が最高潮に達していた第二紀572年、ナルンヒルデ姫の双子の弟、スカルド王子ジョルンと強健王子フィルジョア(面と向かって口にされることこそなかったが、「癇癪王子」とも)はそれぞれ、まったく違う場所にいた。ジョルンは最も近しい仲間である「吟遊詩人団」とリフテンに、フィルジョアはスカイリムの北東沿岸で、姉と共にディル・カマルのアカヴィリを迎え撃っていた。アカヴィリがウィンドヘルムに迫るなか、ジョルンとその仲間たちも急ぎこの名高いノルドの都市を目指した。

一方フィルジョアは、沿岸部の支配を巡る攻防戦が激しくなるにつれ、武勇はもちろんのこと、天井知らずの怒りを何度も繰り返し示した。彼にも「ストームフィスト旅団」と呼ばれる側近集団があり、しばしばこれを率いて戦った。ストームフィスト・クランのメンバーで構成されるこの旅団は、フィルジョアの巡礼と成人の試練に付き従い、共に戦うことで強健王子に尽くしてきたのだった。

それぞれの側近集団を従えてウィンドヘルムに到着したジョルンとフィルジョアが目にしたのは、都市の城門が破られ、大きな突破口を開けられる光景だった。双子の兄弟はどちらも雄々しく戦ったが、都市の陥落もマブジャールンとナルンヒルデ(別名「短命女王」)の両女王の死も防ぐことはできなかった。二代の女王は宮殿と愛する民を守りながら命を落としたのである。双子の兄弟は、何年も疎遠だったにもかかわらず、血のつながった者同士で意気投合し、侵略者を撃退するために力を合わせて戦った。ジョルンがダークエルフと手を組んだこと、そして意外にもアルゴニアンが加勢してくれたことにより、アカヴィリの野望はついに潰えた。

ジョルンと配下の兵がウィンドヘルムに戻ると、フィルジョアが姉の後継者に名乗りをあげる。危機が去った今こそ潮時だと、そう強健王子は考えたのだ。彼はジョルンがおとなしく従うものとばかり思っていた。それまでも、フィルジョアの怒りと抑えきれない情熱の前に、ジョルンは大抵そうしてきたからだ。ところが、予想に反してジョルンは異を唱えた。スカルド王子は「スカルド王」になることを決意したのである。というのも、彼はフィルジョアの情熱がどういった性質のものか分かっていたからだ。確かに、戦を共に戦う味方としては頼もしい。しかし、民を導く指導者としてはどうだろう?本音を言えば、ジョルンは王位になど就きたくなかった。しかし、そうも言っていられない。フィルジョアが民にとって良い統治者になるとは到底思えなかったからだ。

ジョルンの反抗に怒ったフィルジョアは、ストームフィスト・クランをはじめとする自分の支持者を国中から集めた。結局のところ、彼は正真正銘のノルドの戦士であって、ジョルンのような歌い手でも学者でもないのだった。王国が内戦に突入することを危ぶんだジョルンは、フィルジョアに一騎打ちで決着をつけようと提案する。強健王子はほくそ笑んだ。吟遊詩人の兄弟など、簡単に倒せるという自負があったからだ。フィルジョアがこの提案を受け入れ、最近の歴史では最も長い3時間の幕が切って落とされた。文字通り、骨肉の果し合いが始まったのである。

双子の兄弟は、アカヴィリとの戦闘で被害を受けた宮殿の外の広場で戦った。この戦いは激しく、長く続いた。武器が切り結ばれ、受け流され、打ち合わされたと思うとまた離れ、相手に血を流させた。このままではどちらも優勢をとれないまま、疲労困憊して双方が倒れるだろうと思われたその時、ジョルンが予想外の底力を発揮した。彼は相手の武器を粉々に打ち砕くと、フィルジョアを地面に這わせ、降参するよう迫った。

他に選択肢がなかったため、フィルジョアはやむなく降参した。しかし、彼の憎しみの炎は燃え上がり、彼の怒りは吹き荒れる嵐のごとく彼の体を取り巻いた。ジョルンは心を鬼にしてフィルジョアを追放し、彼に肩入れした罪でストームフィスト・クランも罰した。フィルジョアはジョルンの名前を呪ってウィンドヘルムを離れた。スカルド王が務めに打ち込み、自らが有能で敬愛される君主であることを示している間、強健王子はダガーフォールカバナントが支配する国々に亡命したと噂された。ひょっとするといつの日か、この兄弟の骨肉の争いは再燃するかもしれない。

第二の侵略:報告Second Invasion: Reports

南中の月7日

アカヴィリの大船団が浜辺に押し寄せてくる。一部は撃退または撃沈したものの、こちらの防備をかいくぐった船のほうが多い。我が軍は前進し、浜辺を見おろす断崖の上で敵と相まみえることにした。地の利を活かす作戦だ。

見晴らしの利く崖の上から、女王は近づいてくる敵を眺め渡しておられる。ブラッドクローの獰猛さと強さを、女王は直にご覧になられるだろう!

南中の月8日

アカヴィリの船団は、沖合で錨を下ろした。恐らく我々の刃を恐れているのだろう。ならば、せいぜい船の上で飢えさせてやりましょう。私がそう申し上げると、ナルンヒルデ姫は首を振り、きっと彼らは臆病風に吹かれた訳ではなく、何か企んでいるのだとおっしゃる。私より賢くあらせられる姫のお言葉だ。私はさっそく斥候を差し向けた。敵が何か腰抜けの考えそうな策略を実行に移そうとしているのならば、その内容を突き止め、不埒な意図をくじいてくれよう。

南中の月19日

あれから1週間以上経つが、依然としてアカヴィリは攻めてこない。我が兵は落ち着きを失い、ナルンヒルデ姫も考え込んでおられる。斥候は空手で戻ってきていた。それでも、私は毎日のように斥候を出している。私に異論を唱える者などいないが、もう一度海岸沿いを哨戒してくるように命じられたときの彼らの表情を見れば、言いたいことは嫌でも分かる。

ブラッドクローは殺戮のために創設された部隊だ。待ち続けるためではない。

南中の月22日

野営地では口論やケンカが絶えなくなった。アカヴィリの船団は依然として我々の手の届かないところで待機している。海岸沿いの北と南では攻撃があったとの報告を受けた。特に南は、ダークエルフの領土までアカヴィリの攻撃が及んでいるという。よそで戦闘が起きているのに、なぜ自分たちはここでただ待っているのか。兵士たちは怪訝に思っている。そして、その怪訝な思いは怒りに変わりつつある。

目の前の船団こそが敵の主力であり、向こうは我々を誘い出そうとしているのです。女王がそう諭すと、兵士たちも頭を冷やし、短慮を慎むようになる。姫は彼らの怒りや反発をものともされない。もっと頻繁に兵士たちに語りかけてくださるとよいのだが。

南中の月26日

今日アカヴィリの船が1隻、浜に乗り上げた。夜明け前の、まだ暗い時刻だった。我が軍の兵士たちが船を取り囲み、矢が雨あられと射かけられるのを予想して身構えたか、意外にも敵の攻撃はない。今にして思えば、あれほどの大型船が浜に乗りあげること自体おかしかったのだが、兵士たちは退屈し、血に飢えていた。結局その船に仕掛けられた魔法の罠が作動し、我が方に7名の犠牲者を出した。

我が軍の兵士たちがあれほど怒りに駆られるのを、私は見たことがない。女王でさえ、なだめるのに苦労されたほどだ。アカヴィリが上陸してきたら、連中は八つ裂きにされるだろう。我々が自分の体を八つ裂きにしていなければの話だが。

南中の月29日

ダークエルフの地が蹂躙されているという報告が相次いで寄せられる。ノルドとダークエルフは本来不仲ではあるが、今度ばかりは彼らが感じているに違いない無念に共感せずにはいられない。報告で聞くかの地でのアカヴィリの狼藉ぶりに、我が軍の兵士たちは戦いへの飢えを募らせるばかりだ。

姫と話をした。今度の知らせで、ブラッドクローの鬱屈が未知の域にまで高まる恐れがあると申し上げる。王女は何もおっしゃらず、唇を一文字に結ばれただけだった。常に我々の数歩先を行っておられる姫のこと。もしや、私がまだ気づいていない何かに気づいておられるのでは?

収穫の月2日

今朝、アカヴィリが上陸してきた。ついに破壊の大波が波に打ち寄せたのだ。戦闘準備の号令が下るや、我が軍の兵士たちは冷静さを失ってしまった。彼らは闇雲に打って出、第一陣は戦列を整える間もなく敵の弓兵になぎ倒された。結局こうした無謀さの代償として我々は浜辺を失い、侵略者が我が領土に橋頭保を築くのを許す結果になった。

収穫の月3日

我々は後退を余儀なくされた。戦闘があまりに激烈なのを見かねたナルンヒルデ姫は、全軍にウィンドヘルムまで退くよう命じられたのだ。かくなる上は城壁で敵を迎え撃ち、地の利を生かして侵略者を完膚なきまでに叩きつぶしてくれよう!

収穫の月4日

この張りつめた空気。今夜にも、アカヴィリが総攻撃を仕掛けてきそうな気配だ。ナルンヒルデ姫も鎧に身を包んでおられる。ブラッドクローは姫に従うだろう。姫の命令がドラゴンの声のように聞こえるに違いない。だが、リスクは途方もなく高い。一方、双子の王子がすぐそこまで来ておられるとの知らせが届いた。戦いながらウィンドヘルムに向かっておられるという。お二人が間に合ってくださることを祈るばかりだ。

収穫の月7日

マブジャールン女王とナルンヒルデ姫は亡くなられた。ウィンドヘルムの城門が破られるのをご覧になった姫は、ブラッドクローを率いて戦いに身を投じられたのだ。彼らはかつて私が見たこともないような戦いぶりを示し、完璧な連携で暴れまわった。マブジャールン女王が討ち死にされると、皆が怒りに我を忘れそうになったが、ナルンヒルデが王冠を被られ、戦列に秩序を回復しようとされた。結局、アカヴィリは都から撤退した。向こうは我々を追い詰めたつもりかもしれないし、実際その通りだが、その結果覚醒した獣は、彼らの手におえる相手ではなかったのだ。

それでも、また彼らは戻ってきた。新女王ナルンヒルデ陛下はすでにない。本来であれば、私が配下の戦士たちを指揮し、制御できなければならなかった。死ぬべきは新女王でなく、私だったのだ。その死の責任は私にある。そのことを、双子の王子に直接説明申しあげなければ。

忍び足On Stepping Lightly

トレジャーハンターのナルシス・ドレン 著

スカイリムの土地に点在している古代ノルドの遺跡は、過去のノルド人の創造力を証明している。貴族階級の墓を建てる時、この「野蛮」と思われる人たちは、全く野蛮ではないことを証明した。我々の先祖は最も洗練されて賢い防衛策を開発していた。恐ろしいドラウグルの存在と合わせて、この墓はトレジャーハンター志望の者に相当な試練となった。

最も見落としがちなのが、墓中に展開する無数の罠だ。単純なワイヤー式落石から複雑な圧力版式ダーツトラップと幅広く、古代のノルド人はこれらの装置を多数活用した。ほとんどの罠は起動装置を探して避ければ回避できる。邪魔な物があるところによく設置されているから、床に注意したほうがいい。

ノルドの遺跡を生き残る鍵の1つが、罠を上手く使って遺跡の居住者に対して優位に立つことだ。多くの場合、起動装置の向こう側で彼らが罠にはまらないかと期待しておびき寄せるのは簡単だ。この優位はオイルトラップの時に発揮される。弓を使って犠牲者をオイルの上まで誘い出し、上にぶら下がったファイアポットに矢を放つ。ファイアポットは粉々に砕け散り、オイル溜まり全体に火がつき敵に熱い死を与える。自分がオイルのないところにいないように注意すること。さもなければ、この技で冒険が想定よりも早く終わるかもしれない。

恐らく遺跡で見つかるすべての技術で最も驚異的なのは、殺すために設計された罠がほとんどないことだ。鎖の引き方、レバー、スイッチ、圧力板をすべて活用し、苛立たしい障害がパズルとして現れて進行の邪魔をする恐れがある。これらの障壁の兆候に注意する。一ヶ所に複数のレバー、回転する柱に顔の彫刻がされていたり、大きな圧力板が部屋の床に並べてあったりする。ほとんどの場合パズルは実験でき、他の場合は遺跡のどこか別のところに答えがある。筆記用具と日誌を持っていき、見つけたあらゆるものを記録することを勧める。施設のどこかにあったものを、いつ参照しなければならなくなるか分からない。

ノルドの遺跡には通常スキーヴァーやクモなどの害虫が出没するが、ドラウグルと比べれば見劣りする。この動く恐ろしい死体はほとんどの墓にガーディアンとして発見され、無慈悲に墓を守る。ドラウグルは誰かが偶然出くわすまで休眠する傾向にあり、遭遇する狭い隙間や石棺を注意して見たほうがいい。このアンデッドは素早く静かに動くから、常に背後へ気をつける。通り過ぎた亡骸が突然動き出して、警告なしに襲いかかってくるかもしれない。

ノルドの遺跡の冒険には報酬がないわけではない。大きな建造物の埋葬室にはあらゆる財宝が入っており、金貨もあれば、魔法がかかった武器や鎧の場合もある。遺跡に点在する儀式用の骨つぼは決して無視してはならない。ほとんどが非常に価値のある古代の奉納物で満たされている。すべてではないかもしれないが、ほとんどの遺跡には大きな壁があり、魔法の碑文が書いてあるという噂があるが、まだ確認はされていない。

ノルドの遺跡について知っていることをできるだけ広範に記述したが、独自のまだ発見されていないものの中にも間違いなく危険が潜んでいる。墓に入る時は常にたくさんの装備と道具、そして頑丈な武器を持っていかなくてはならない。少しの辛抱と、鋭い眼で注意しながらそっと歩けば、ノルドの遺跡は大いなる富をもたらしてくれる。私の助言に従わなければ、多くの墓荒らしの先輩のよう、永久に閉じ込められてしまう。

夢歩きDreamwalkers

モーンホールドの学徒レイナルドによる考察

彼らは夢歩きと呼ばれている。簡単な呪文を1つ唱えるだけで、他人の夢の中に足を踏み入れることができる者たちだ。自分の最も暗い欲望、最も不埒な夢想、本当の自分自身、そういったものの一切合財が、夢歩きにかかれば開いた本のように丸裸にされる。かけがえのない思い出も、前夜の宴の残飯のように漁られ、丹念に改められてしまうのだ。

夢を歩く者たちは、デイドラ公ヴァルミーナに忠誠を誓っていると言われる。ヴァルミーナが支配する次元「夢中の歩み」に入る能力を得るため、魂を売り渡したのだ、と。この説の真偽を云々することは私の手に余る。ただ、夢歩きの技とヴァルミーナの司祭が行う秘蹟は、気味が悪いほど似通っている。

私が確認できたのは、夢の状態への入り方が違うということだけだ。ヴァルミーナの司祭は錬金術の調合薬を一滴だけ必要とする。最も優れた錬金術師の手で用意された水薬だ。これに対して夢歩きは、そういった薬を必要としない。その代わりに魔法を使うのだが、それは誰に教わったわけでも、何らかの相続手続きによって譲り渡されたわけでもない。純粋に天与のものに思える。彼らはデイドラ公の祝福を受けたのだろうか?それとも、彼らの両親が生まれてくる子供にこの力を授けようと、何らかの秘儀を執り行ったのだろうか?誰に聞いても本当のところはあやふやだし、人によっても言うことが違う。

しかし、夢歩き自身はどうなのだろうか。彼らは何のためにこの力を使うのだろう?想像してほしい。他人の夢に侵入することで、どんな大混乱が起こりうるか。考えただけで恐ろしくなる。

それでも、私が会った夢歩きたちは、みな親切で優しかった。彼らは他人を助けるために自分たちの力を使う。苦い記憶を消し、最も優秀な治癒師でさえ癒せない精神の病気を治す。単に相手の夢に触れるだけで、信じられないような奇跡を起こすのだ。なぜ私にそんなことが分かるのかというと、夢歩きがその力を使うところを、実際にこの目で見たからだ。

私の妻と子供たちはナハテン風邪を患った。さんざん苦しんだすえ死に至る、恐ろしい病だ。妻子をなくすと同時に、私は生きる意味も失った。ところが、そんな私をある夢歩きが憐れみ、チャンスをくれた。家族を失う苦しみを忘れ、家族を思い出すチャンスを。喪失の痛みから解放され、病気にかかる前の家族を思い出すチャンスを。幸せと愛を思い出すチャンスを。

その夢歩きは私の夢の中に入ってきた。目覚めると、私は穏やかな気持ちで満たされていた。何もかも大丈夫だという安堵。この先の人生を生きていけるという自信。私は礼をしたかったが、夢歩きはすでにいなかった。彼にはそれっきり会っていない。

夢歩きの正体がなんであれ、また彼らが結局のところ誰に仕えているのであれ、私は恩義を忘れないだろう。もっとも、だからといって、私の心の底にわだかまる恐れが消えるわけではない。はたして苦しみを取り除いてもらったことは正しかったのだろうか?記憶こそが、我々を唯一無二の存在たらしめているものではないのか?記憶が改変されてしまった私は、要するに別の誰かになってしまったのではないのか?これではまるで、苦悩の後釜に恐怖が居座ったかのようだ。はたしてどちらが良かったのか、私には分からない。

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