ペレタインの文書

Pellitine Postings

アズラーの渡しAzurah’s Crossing

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

足に砂が触れて、彼は自分が死んだと悟った。なぜ死んだのかは思い出せなかったが、気にもならなかった。本当かどうかはともかく、よい生だったと感じた。あるべき生だった。

自分の名前は思い出せなかった。まだカジートだ。それしか分からなかった。爪に、髭に、毛皮に触れた。塩と砂糖の匂いがした。

自分に目があることを思い出し、彼は目を開けて終わりなき海を眺めた。上にも下にも古きものがいた。自分が孤独ではないと分かった。他の魂が、ゆっくりと岸から漂い離れていった。彼らを呼び止めようとして思い直した。足の指の間で砂は温かく、空は黄昏ていた。

彼は振り返って島を見渡した。一軒の家があった。ガラスと月光と真実の家だ。その方向から砂糖が匂っていたので、彼はそちらに向かって歩いた。

足元で砂が動き、しっかり歩いているとは感じられなかった。石のように見えるものに足を乗せようとすると、足元で崩れた。それでも彼は歩き、躓き、登った。階段にたどりついて乗ったが、それは透明なガラスでできていた。砂よりはしっかりしていたものの、足を踏み出すたびに信じられなかった。それでも彼は歩き、躓き、登った。光の家の扉まで来たが、開けることはできなかった。空とラティスを見上げた。母に教わった秘密、動きを思い出そうとしたが難しく、ラティスは震え続けた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

家の門が開き、彼は中に入った。彼女がいると分かった。彼女を見上げたら眩しさで見えなくなると分かっていたが、見ずにはいられなかった。彼は絶壁に座るアズラーを見上げ、そうして彼女を見た。目は眩まなかった。アズラーはしなやかで背が高く、霞んだ星のベッドにもたれていた。何も着ていなかったが、彼女のある顔しか見えなかった。その顔の目は、月のように輝いていた。

「我が子よ」とアズラーは言い、彼は自分の名を思い出した。「お前は故郷に帰ってきた」

「私は以前ここにいた」とカジートは言った。

「お前は多くの道を歩いた」アズラーは喉を鳴らして答えた。彼の足の前に薔薇の道ができ、彼女まで続いていた。「すべて私のために」

彼は薔薇の道に足を踏み出した。棘で足が傷ついた。アズラーに近づくほど、彼女は遠ざかるように思われた。彼女はどんどん高く登り、彼は薔薇の壁を登るようになった。毛皮は血にまみれた。壁の上にたどりついて身体を持ち上げると、また道の出発点に立っていた。それでも彼は歩き、躓き、登った。

すると彼は、アズラーの丸めた掌の中にいた。彼女の顔は空で、目は輝く月だった。彼はそこで甘い至福の生を何度も生きた。足が再び砂に触れるまで。

今、彼は島の反対側にいた。そこは暗く寒かった。あまりにも暗く、見えるのは水が動いた時だけだった。そこに霊魂がいたとしても、闇の霊魂だけだった。尻尾が引き攣った。

彼は振り返り、再びアズラーを見た。今度は小さく、彼と並んで立っていた。彼女は月の杖を持ち、紫と黄金の絹のドレスを身にまとっていた。定命の者と違うようには見えなかった。美しく、疲れていた。彼女は彼と一緒に闇を見つめた。

カジートはアズラーの目に悲しみを見た。彼女はとても多くのものを与えてくれたが、返せたものはあまりに少なかった。「また歩く覚悟はできています」と、とうとう彼は言った。「何をすればいいでしょう?」

「小さき者、お前を闇に送らなければならない」彼女の目には涙があったが、流れはしなかった。「お前は私のため、道を作らねばならない」

彼は振り返って暗い水を眺め、水がどれだけ動いたかに気づいた。「母よ、私は何を求められても成し遂げるでしょう」

アズラーは微笑み、彼の心は喜びに満たされた。彼女は自分の杖の上から月をもぎとり、彼に向かって足を踏み出した。

「お前に私の月を与えよう」とアズラーは言い、彼の額に唇を押し当ててキスした。そして彼が月を受け取ると、それは武器に変わった。

カジートは前にあった剣を手にした。剣は月光を受けて輝き、彼はもう闇を恐れなかった。

そしてアズラーは言った。「私の子供たちを取り戻して」

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第一巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 1

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

双子月の踊りの子たち。サヴァ・コの声を聞きなさい。トルヴァル・クリアタに噂が届きました。ある古い書。アムン・ドロという古代の司祭が集めた、リ・ダッタ以前の霊魂の目録が、ペレタイン中でカジートを魅了しているそうです。民はどうやら、善悪が入り混じる強き霊魂についての、華やかで現実離れした記述に惹かれているようです。アデプトは遠くからサヴァ・コの元に来て、好奇に満ちた心で尻尾を揺らしながら、なぜこの古い聖典について教えてくれなかったのかと聞いてくる。私たちカジートは好奇心が強く、遊び心の強い民です。しかし大きな危険を秘めた話題もある。この異端の文書が軽率なジャ・カジートの心に膿のように広まるのを見て、私たちは心穏やかでいられません。だからサヴァ・コと司祭はこの反駁文を出版します。リドサーリ・ダッタの忠実な子供たちよ、広く伝えてください。

最初のたてがみの啓示以前の暗黒時代、私たちの祖先の信仰は統一されていませんでした。十六の信仰が歴史と絡み合い、全てのカジートの魂を求めて争いました。この精神の混沌は私たちを多くの道へと引き入れ、その全てが大きな危険を伴っていました。危険の証拠は、曲がった同族であるドロ・マスラを見れば十分でしょう。この罰当たりな書は、そうした暗黒時代の産物です。私たちは十六の戦争と領地の奪い合い、無慈悲な飢餓の時代に戻るべきでしょうか?いいえ、断じて違います!リドル・サールの真理により、私たちは精神的な充足以上のものを得ました。私たちは定まらぬ砂に別れを告げ、石の土台を見出しました。平和と秩序に基づく、より優れた道を見つけたのです。

この古い書は真理の薄衣の下に冒涜を隠しているため、より大きな危険を示しています。この書の言葉の多くはリドル・サールと同様で、例えば双子月の賛美、ケナーシやスレンダーのような祝福された霊魂への敬意などは変わりません。しかし、その暗い寓話は罠のように隠されています。例えば、月の獣ローカジュについての報告を見ましょう。

騒がしきローカジュの闇を、カジート以上によく知る者はいません。私たちは生の途上で、誰もが闇への呼び声に苛まれる経験をします。深い悲哀や苦痛に満ちた後悔の時、闇の心臓が脈打つ音を聞かない者がいるでしょうか?最初のドロ・マスラを私たちの英雄に祭り上げることは、信仰と理性の両方を裏切ることです。何人のアデプトが、この書のせいでナミイラに屈するでしょう?何人のジャ・カジートが月の獣を呼び出し、その真の霊魂を復活させようとして永遠の呪いに蝕まれるでしょう?獲物の財布に触れる最も確実な道が微笑から始まることは、盗賊なら誰でも知っています。微笑むローカジュは、見ることさえ危険なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第二巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 2

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

私たちの民が持つ強みは柔軟性です。私たちはダークエルフと違い、自由思想家を投獄しません。ヴァレンウッドの小柄なドングリ崇拝者と違い、サラダを冒涜だと非難しません。死して久しいアレッシアの毛を持たぬ子孫と違い、埃を被った8つの神話に魂を捧げもしません。カジートであることは、自由であること。残忍な教義と苦い自己否定から自由であることです。リドル・サールは跪いて呟くのではなく、踊り歌うのです!私たちの信仰は、歓喜と信仰に満ちた快楽と、笑顔の慈悲に根差しています。悲しいかな、この強みはしばしば冷淡な無関心へ変貌します。私たちの爪は真実から逸れ、「真実」に意味があること自体を疑います。崇拝と意見交換は停滞し、苦労の末に得る安息は子猫の怠惰に変わる。私たちの霊魂は貧しくなり、汚された霊魂はドロ・マスラの格好の餌食になるのです。

アムン・ドロの霊魂の記録は、私たちの楽天的な性質の最悪の部分を狙います。八つ爪のマファラの追加はその一例です。罪深き自殺という恐怖の事件は、マファラの闇の性質を証明していませんか。それに、潮汐の王ハーモーラーはどうでしょう。この書はアズラーが彼の友として、暗い蔵書庫の湿った廊下を歩んだと主張します。遠き母のしたことなら、私たちも倣うべきでしょうか?いいえ!ハーモーラーの助言を求めるカジートには、死よりもなお悪い運命が待っています。海からの呟きは、最も強力なスクゥーマほど確実に心を引き裂くでしょう。彼の塩辛い「真実」は私たちの現実に対する感覚を切り刻み、ジャ・カージェイから遠く離れた地を彷徨わせるのです。

また、この霊魂の記録が排除している対象も一考に値します。邪悪な存在については飾り立てた記述がありますが、愛のマーラと高貴なるスレンダーについてはどうでしょう?この古代の狂信者アムン・ドロは、彼らの名に触れてさえいません。なぜか?それはこの男の古い神学は、慈悲、謙虚、愛のような素朴な美徳を許さないからです。我らの愛するリドサーリ・ダッタは、クランマザーの物語以上のものを与えました。あの方は私たちに恩寵を賜ったのです。偉大な霊魂と宇宙的な計画がひしめき合う世界の中で、普通のカジートは疲れた手をどこに休ませるべきでしょうか?双子月の踊りです。踊りには古代の争いなど不要で、よく生きるための簡素な教えがあればいい。歓喜に満ちた生こそが、リドル・サール最大の贈り物なのです。

アムン・ドロの霊魂についての書簡、第三巻Epistle on the Spirits of Amun-dro Vol 3

サヴァ・コはリドル・サールの歌を歌う。その甘い真実をこの舌に宿らせたまえ。

今、サヴァ・コは道のことを考えます。

古いアムン・ドロの霊魂の記録は、道徳的な行動については思いつき程度しか示していません。これは当然のことです。実際のところ、最初のたてがみの悟りは、過去の諸王国の古い物語とほぼ無関係だったのです。リドル・サール以前、司祭とアデプトは古代の予言者による古ぼけた戯言を必死に解読していました。崩れかけた広大な蔵書庫から、価値あるものを少しでも拾い集めようとしたのです。まるで真珠採りのようではありませんか!無数の醜い貝をこじ開け、中の小さな宝を虚しく求めるのです。

心に問うべきです。そんな書に頭を悩ませることが、カジートに益をもたらすのでしょうか。鎌を持ち、荷車を引き、鍛冶場で働くあなたに。こうした宇宙の大事に関する物語は、闇に落ちた時の慰めになりますか?病気の子供を食べさせるため盗みを働く時、父親があなたの犯した罪のために兄弟を鞭打つ時、異国の圧政者の支配に苦しむ時、この古い神話にどんな導きを見出せますか?こうした物語は「道」や「法」を語りますが、アムン・ドロの道とは単なる服従でしかありません。それは遠く離れた我らの母、アズラーへの奴隷のごとき献身であり、オブリビオンの最も暗い霊魂への忠誠と敬意であり、カジートをローカジュの開いた口に放り込むと脅すような、錯綜し矛盾した徳の数々です。アムン・ドロの世界とは苦悩の世界、運命と闇の歪んだ道であり、カジートはそこに崇拝の歌と恐怖の叫び以外の声を持ちません。

レレスウェアは?歓喜と良き食事、誠実な労働はどうなるのでしょう?祝福された我らが最初の者が記すとおり、リドル・サールは真の道を示しています。しかも、あなたたちがすでに知っている道です。双子月の踊りはあなたたちの心の中で渦を巻き、生まれた瞬間からずっと続いているのです。遠い過去を振り返る必要などありません。今、目の前に伸びる道を見ましょう。信心厚き巡礼たちの手で清められた道を。月の子よ、ニルニの報酬と楽園の砂があなたたちの生まれ持った権利なのです。アムン・ドロの病んだ物語を捨て、砂糖の神にふさわしく、歓喜に満ちた生を送りなさい!

アルコシュの誇りThe Pride of Alkosh

クランマザー・ヒズニ 著

アルコシュは糸を紡いでしっかりと結び合わせ、終わりなき時のタペストリーを作る。彼は裂け目やしわを見る。爪一本で彼は繊維を貫き、裂け目を捉えて下に引っ張る。すると糸は再び並ぶ。

私はこのタペストリー、固く結ばれた、終わりなき物語の糸について歌おう。誇りの家の司祭も私と歌い、声は交じり合って調和する。だがアルコシュの誇りに入る者は、垂れ下がった糸を捉えて引く、竜王の爪となるだろう。

彼らは暗い蝕に生まれた子として、私たちの元へやってくる。彼らは忘れられたたてがみであり、支配せぬ定めにある。私たちは彼らに目的と導きを与える。私たちはアルコシュの言葉を歌う。その知恵が彼らの心に、砂時計の砂のように積もることを願って。この秘密の守り手たちは、アルコシュの誇りに加わる。

アルコシュが顔をしかめる時、彼らは立ち上がる。エルスウェアが泣く時、彼らは戦う。そして彼らの息が絶える時はケナーシが現れ、彼らを星の裏の砂場の彼方へ導く。

アルコシュの勇者の歌Song of Alkosh’s Champion

目の前に広間が広がる
我が心は未だ試されん
これが運命だと知る
誇りを持って歩まん

導きの風に押され
行く手に広がるは闇
糸は解け始め
飲み込むべきは恐れ

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

賢く風に乗った
歩みを止めることはない
勇敢に闇へ対峙した
ランターンを道標に

糸が全て紡がれる時
私は力を得る
終わりなき者の前に立つ時
その強さに頭を垂れる

ケナーシの風に導かれる
誇りを胸に道を進むため
ローカジュのステップに縛られる
彼の歩みを辿らせるため
アルコシュが我を浄める
時の砂を正すため
その仮面は我を浄める
誇りの勇者となるため

聖なる仮面と誇りの道
誇りの道、誇りの道

時の砂を正そう…

ヴィジャリの具合が悪いのVijari is Unwell

姉さん、

カイシュカを助けて。ヴィジャリを失いそうなの。彼の心は日を追うごとに離れ、意志が自分のものではないように思える。カイシュカは彼を失う覚悟ができているつもりだったけど、こんな風にではない。何かがおかしいの。ヴィジャリの生命の壁への旅を遅らせるため、できることは全部やった。でも、まだ足りない。お願い、アダーラハイ。彼を助けて。

カイシュカ

エルスウェアに恋して、1ページElsweyr My Love, Page 1

エルスウェアに恋して:台本

登場人物
ユリウス・クルイリウス、インペリアル指揮官
ティゲリウス・ファルコ、高潔なインペリアル兵士
シャシャラ、緑の目をした美しいカジートの踊り子

アクト1、センシャル宮殿

ユリウス・クルイリウス[命令口調で]:緑の目の者を私のところへ呼べ![ワインをすする]

シャシャラ[優雅にお辞儀。絹のスカーフが微かに揺れる]:帝国軍の名高い指揮官が、卑しいカジートの踊り子に何をお望みでしょう?

ユリウス・クルイリウス:お前は美しく優雅だ。インペリアルではなく、猫に生まれついたのが残念だよ。

シャシャラ:[目を下に向けたまま]:…お褒めいただき、感謝いたします。

ユリウス・クルイリウス:よろしい。そばにいてもらおう。私の足元に座ってよいぞ[シャシャラは優雅に座るが、目は逸らしたまま]

エルスウェアに恋して、5ページElsweyr My Love, Page 5

ユリウス・クルイリウス:[自慢気に、有頂天になって]「…そして私、ユリウス・クルイリウスは、こうして帝国の司令官の地位を手に入れた!」

シャシャラ:[あくびを噛み殺しながら]「とても劇的な戦いの物語です、司令官。ああ、詩人がリュートを調律しているようですね。広間にいる皆様のところへ戻ったほうが良いでしょう」

ユリウス・クルイリウス:[ワインを飲み干し、シャシャラの腕に手を伸ばし、流し目で]「いや、違う戦いの時間だ」

シャシャラ:[クルイリウスが掴もうとする手を上品に避けながら]「この者はそのようなカジートではありません、司令官。侮辱なさいませんよう」

ユリウス・クルイリウス:[敵意を持って]「侮辱だと?私を誰だと思っている!」

エルスウェアに恋して、9ページElsweyr My Love, Page 9

シャシャラ:[勇敢に]「シャシャラは野営地の商売女ではありません。あなたの言いなりにはならない。手を離しなさい、司令官!」

ユリウス・クルイリウス:「ハハ!この猫め!無関心と高慢を装っているが、どんな女も、猫女でさえ、このユリウス・クルイリウスを拒むことはできない!」

[ユリウス・クルイリウスはシャシャラにキスしようとするが、彼女は猫の鳴き声を上げ、顔を引っかき押しのける]

ユリウス・クルイリウス:「ほう!威勢がいいな!」

[シャシャラは高級ワインの瓶でユリウス・クルイリウスの頭を叩き、瓶が割れる。彼はよろめき、呆然となり、混み合った酒場に消える。シャシャラが裏口から出ていくと、笑いが起きる]

ユリウス・クルイリウス:「ユリウス・クルイリウスを笑うとは、許さん!」

[クルイリウスが出ていき、みんなさらに笑う。怒りと恥はさらに増す]

エルスウェアに恋して、16ページElsweyr My Love, Page 16

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ?さっき酒場に寄ったんだ。前に話していた本を持ってきた。君も欲しいんじゃないかと思って」

シャシャラ:「親切に感謝するわ、ティゲリウス。シャシャラは、あなたの贈り物を受け取れない。私は…」[言葉を止め、泣きそうになりながら去る]

ティゲリウス・ファルコ:[心配そうに、独り言]「素敵なシャシャラに、何が起きたんだろうか?いつもなら本の話をするのが好きなのに。彼女は美しく、頭もいい」

ティゲリウス・ファルコ:[退出しながら、叫ぶ]「シャシャラ、待ってくれ!」

エルスウェアに恋して、19ページElsweyr My Love, Page 19

ティゲリウス・ファルコ:[英雄らしくひざまずく]「私の大切な、柔らかな毛のシャシャラ、君が泣くのを見るのはつらい。この心は、君のものだ」

シャシャラ:[激しく泣く]

ティゲリウス・ファルコ:[寂しそうに立つ]「分かったよ。君のような素敵な女性が、身分の低い帝国の兵士と時間を無駄にするのは間違っている。つい気持ちを告げたこと、どうか許してほしい」

シャシャラ:[去ろうとする彼を、上品な仕草で手を伸ばして止める]:「違うの、愛しいティゲリウス!あなたの言葉は、シャシャラに寂しさと喜びの両方をくれた。一緒にいて、お願い」

エルスウェアに恋して、26ページElsweyr My Love, Page 26

ティゲリウス・ファルコ:シャシャラ、君の緑の瞳はとても緑で…まるで緑の宝石のようだ!」

シャシャラ:「素敵なティゲリウス、あなたと離れたくないわ」

ティゲリウス・ファルコ:「君の気高さは神々からの贈り物だ、シャシャラ。君のためなら、何でもしよう」

シャシャラ:「帝国の軍を抜けること以外はね」

ティゲリウス・ファルコ:[動揺して視線を逸らし]「帝国軍は、大切な場所なんだ。帝都の路上にいた孤児を受け入れてくれた」

エルスウェアに恋して、36ページElsweyr My Love, Page 36

ユリウス・クルイリウス:[厳格に、冷酷に]「行け、ティゲリウス。街を焼き払え。特に、酒場をな」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官、お言葉ですが…街も住民も、何も問題を起こしていません。なぜ焼き払うのですか?」

ユリウス・クルイリウス:「お前は兵士だ、私の指揮下にある。命令に逆らうつもりか!」

ティゲリウス・ファルコ:[敬礼する]「仰せのままに」

[ティゲリウス、ハンサムな顔に不安な影を落とした顔で去る]

エルスウェアに恋して、42ページElsweyr My Love, Page 42

シャシャラ:「ティゲリウス!ここで何をしているの?どうして松明を持っているの?」

ティゲリウス・ファルコ:「司令官の命令で、街を焼き払う。特に酒場を。本当にすまない。君の仕事場なのに」

シャシャラ:[激しく泣きながら]「ユリウス・クルイリウスは、この街の罪のない人々を傷つける命令を出したの?シャシャラのせいね。司令官のいやらしい誘いを断ったから。友達に警告しなくちゃ!」

[シャシャラが走り去る]

エルスウェアに恋して、44ページElsweyr My Love, Page 44

ティゲリウス・ファルコ:[独り言]「命令に従うのか、それとも背くのか?兵士はどうしたものか」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし心の声に従ってシャシャラと街を救えば、司令官の命令に背くことになる。そうすれば、私は死刑に処される」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「もし帝国の兵士として命令に従えば、シャシャラを失うことになる。シャシャラからの敬意と愛は、自分にとって全てだ。だが、兵士としての名誉も、とても大切なものだ」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「だが、愛しいシャシャラにいやらしい真似をしたユリウス・クルイリウスに、名誉はあるのか?帝国に利をもたらさない命令なら、司令官に逆らうことが名誉なのではないか?」

ティゲリウス・ファルコ:[引き続き独り言]「頭が痛い」

エルスウェアに恋して、52ページElsweyr My Love, Page 52

ユリウス・クルイリウス:「ティゲリウス・ファルコ、命令に背いたな。だが、この命令には逆らえないぞ。お前を処刑する!」

ティゲリウス・ファルコ:[拘束されて]「私は正しいことをした。あなたが街を焼き払えと命令した理由は、自分が…」

ユリウス・クルイリウス:[ティゲリウスに叫ぶ]「射手!構え…撃て!」

シャシャラ:[走ってきて、ティゲリウスの前に現れる]:「やめて!」

[矢はシャシャラに浴びせられ、ティゲリウスの足元に崩れ落ちる]

ティゲリウス・ファルコ:[恐ろしい声で]「シャシャラー!」

[ティゲリウスが、シャシャラの隣に膝から崩れ落ちる]

シャシャラ:[苦しみながら]「私たちは…結ばれる…運命ではなかった。きっと違う時代…違う場所で。愛しているわ」
[シャシャラが死ぬ]

ティゲリウス・ファルコ:「シャシャラ!」

ユリウス・クルイリウス:「射手!撃て!」

[矢がティゲリウス・ファルコを撃ち抜く。彼は崩れ落ち、死ぬ]

ギャンブラーの技The Gambler’s Art

やあ、我が友よ、座ってくれ
甘いものでも食べて、一緒に楽しもう。
耳がくすぐったくなった
近くに来て「お金はちゃんと持ってきた」と言うから。

かっこいい腰からコインの音がして
勝ち取る富の歌を歌う。
たてがみを下ろして、一緒にゲームをしよう。
まさに始まったばかりだ!

コーラス:
賭けをしよう、賭け金を上げよう
小銭で塔を建てよう。
運命を賭け、富を放り投げ
リスクを冒せば、成功できる。
道に放り出されたとしても
真のカジートにはなれる。

分かるよ、我が友、勇気があるな
でも幸運が足りない、その手では勝てない。
もしこの悲劇的な敗北に
怒りを感じているなら、何か負けた原因がある。

勝てないカードに
こっそり細工したね
でもこの猫の目は、ごまかせない
次はもっと慎重に。

コーラス:
ギャンブルをしよう、だが、君は終わりだ。
破産したんだから、尻尾を巻いて逃げろ!
罵るのも吠えるのもなしだ。
嘲笑やわめき声を受けるといい
次にカモられる時は
うまくイカサマできるようにね。

クランマザー・タダリからの手紙Letter from Clan Mother Tadali

クランマザー・ヒズニへ

ドラゴンが解き放たれたという話は、きっとあなたの耳にも届いているはずです。ドラゴンたちは世界の深淵に眠る兄弟を探し求め、東から来た悪魔さえも解放しました。私もあなたもこの日が来ることは知っていた。これが何を意味するのかも。

東から来た悪魔は常にそう記された通り、アルコシュの霊魂に満たされた戦士によって滅ぼされねばなりません。この古き戦いを終わらせる時が来たのです。それがずっと、アルコシュの誇りの目的だったのですから。

あなたの選ばれし戦士が準備を整えていることを期待しています。失敗はできません。

クランマザー・タダリ

クンザ・リと迷子のアルフィクKhunzar-ri and the Lost Alfiq

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ある日、太陽が一番高い位置にある時、クンザ・リは道の脇から弱々しい声を聞いた。

「どうして家を離れてしまったんだろう?」声は言った。

「なぜ家にいたい?」クンザ・リはその声に向けて、質問を返した。

「ああ!見つかっちゃった!」

そして、小さなアルフィクは見つかってしまった。クンザ・リは片手ほどの震える塊を調べた。絡まった毛並みに、イガや小枝やあれこれが刺さっていた。「遠くから旅してきたのか?」

「ええ。聖堂に送られる前に世界を見たかったの」

「それは尊敬に値する、小さな者よ。でも、なぜ家を離れたことを悲しんでいる?」

「迷子になってお腹をすかせてるからよ」

「ああ、空腹はすぐに解消できる」そしてクンザ・リは若いアルフィクの前に美味しいフィッシュケーキを置いた。「迷子については考えてほしい。今はいるべきでない場所にいると思っているのか?」

食べながらアルフィクは言った。「いるべき場所ではないと思う。ここがいなければならない場所だったら、きっと分かるでしょう?」

「そうとは限らない。迷ったと思うのは、恐怖や混乱に襲われていたからそう思えるのかもしれない。代わりに、どんなふうに世界を見たいのか考えてごらん…ほら、ここでも世界を見ていることになる」

「私が迷子なのは、迷子だと考えているからに過ぎないと言っているの?私は今望んでいたことをしているから、迷子ではないって?」

「それを決めるのはお前だ。それだけだよ!」

「なら、私は迷子じゃないわ!」

クンザ・リはクスクス笑った。「よかった、迷子でない友よ。しばらく一緒に私と旅をしないか?私も今は、世界を見たくてたまらない」

そして若いアルフィクはクンザ・リと同行し、2人は多くの冒険を一緒に楽しんだ

サイ・サハーンへTo Sai Sahan

サイ・サハーン、

エルスウェアに解き放たれたドラゴンの怒りについて手紙を交換し始めてから、再結成されたドラゴンガードと、手を組んだドラゴンの知らせをずっと待っていた。素晴らしい業績だ。私がいなくても達成できるとは思わなかったが。

大切な話がある。私の側の調査で、南エルスウェアへの脅威が発見された。現在、ドラゴンガード聖域に向かっているところだ。友人も同行している。ドラゴンと一緒に到着を待ってほしい。時間がない。急ぎ動かなくてはならない。

もう一つ。我々の共通の友人と一緒に動いているようだな。アネクイナの勇者にして、ドラゴンガードの誇りだ。一緒に呼んでおいてくれ。この危機に立ち向かうには、協力してもらう必要がある。伝えてもらっては困るが、北エルスウェアで共に動いた時には驚かされた。ああ、そうだ。私でさえ、お前と同じように驚かされたのだ。

間もなく南エルスウェアに到着する。待っていてくれ。

アブナー・サルン

さまよう霊魂The Wandering Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ

アカ。最初の猫であり、道を探す者、および嘆かれざる者として知られている。オーナールとファドマイがまだ愛し合っていた最も早い時代、彼は天空を探検し、その辿った跡が多くの道になった。アカはオーナールが愛した息子であり、オーナールは自分がファドマイを見つけたように、愛する者を見つけよとアカに言った。アカは東の翼をもつ蛇、西の砂丘の女王、そして北の母なるマンモスなどと結婚したことが知られている。彼はそれから南へ行き、二度と戻らなかった。その代わりにアルコシュが現れ、アカが多くの道の途上で作り出したものについて警告を発した。それ以来、アルコシュとその忠実な部下たちはアカの多くの子供を見守っている。彼らは恐ろしく、また優しいからである。

アルコシュ。竜王。高きたてがみ。彼は多くの道の途上にあるアカの無数の王国の支配を譲られた。時が経ち、アカの子供たちはアルコシュを打倒し、その体を西風に乗せてばらまいた。ケナーシはこのことを知ると、空を飛んで多くの道を通り、アルコシュを元に戻したと言われている。その際、ケナーシはアカが作った全てのものを見て、その中には作るべきでなかったものも含まれていたことを見た。今、アルコシュとケナーシは多くの道をアカの道を外れた子供たちから守っている。アルコシュの力やその強烈な咆哮のためではなく、義務と目的のため彼に祈るべきである。

アルカン。鱗公。炎と影の悪魔と交わったアカの第一子。彼は殺した者の魂を貪り、大変な大きさに育った。歌によれば、彼はローカジュとその仲間に殺されたが、アカの不死身の息子として、時が来れば多くの道から戻ってくるという。アルカンはアルコシュ、ケナーシ、ローカジュの敵であり、常に王冠に飢えている。

ボエスラ。東と西の戦士。彼女はマファラの伴侶であり、マファラはオーナールがボエスラをその反抗的な性質のため追放に処してからも、彼女への愛を忘れなかった。ボエスラは追放されて多くの道を歩き、戻ってきた。マグルスから目を引き抜いたのはボエスラであり、これを理由として、カジートは爪と共に剣も大切にする。真の猫はボエスラに祈る必要はない。ただ道を歩み、飛び掛かるために身を隠すことによって、この霊魂を称えられる。亡霊の月の夜に彼女の名を呼ぶことは禁じられている。この時期のボエスラはローカジュの死衣をまとい、ラティスの彼方へ向けた争いを始めるからである。

マファラ。教える母。古代の霊魂であり、ファドマイの古い秘密の番人である。それは彼女の子供たちが最初の時にのみ必要とした秘密であり、それを伝えたのはマファラである。彼女は多くの道のうち8つを見守り、カジートは時が来れば、それぞれを歩まねばならない。マファラはカジートを道へ案内するクランマザーを助け、我々の秘密を他者から守る。彼女はアズラー、ボエスラ、ローカジュの味方である。彼女の数字は8と16であり、これらはマファラの二本の鍵である。

ジサードのメモJ’saad’s Note

愛しのアディンバへ

残念だ。私の聞いた声が私の心の中にしかないことを、お前が望んでいたのは分かっている。私が知覚した姿が、私の想像であることを。だが、そうではない。あの幻視、私に話しかける声はそれ以上の何かだ。

神聖なる存在が、この石を通じて私に話しかけてくる。なぜ私なのかは分からないが、声は強くなるばかりだ。声と共に、まばゆい光が現れる。不思議な幻視も。彼女は自分の光を運ぶ騎士を、もう1人探していると言っている。彼女を裏切らない者。以前の過ちを正す者を。

何を意味しているのかははっきりしないが、私は彼女の試練を受けねばならないのだと思う。他の者たちが失敗したことに、私は成功しなければならない。

旅が終わったら、ブラックハイツにいる君のところに戻る。真実を見せよう。君にも光が見える。皆に光が見える。

ジサード

ジャダスサールの手紙J’daththarr’s Letter

兄弟へ、

もうここにはいられない。センシャルにいる難民は我々だけじゃないし、人混みは苦手なんだ。自分の空間が必要だ。食料を、きれいな水、服を求める人々と一緒にいると気分は最悪だ。求めてばかりだ。お前には神経質だと呼ばれてきたが、過剰な感情移入という方が正しい。自分が見つけた食料を、自分より必要な人へ渡さずにいられない。これを始めてからだいぶ体重が減った。状況はさらに悪くなるだけだ。他の人々が食べていないのに自分が食べる罪悪感が続く限り、生きていけない。自分はこの食料を本当に必要としているのか?たった今街にやって来た人より?ドラゴンの攻撃をどうにか生き延びた人々より?この思いがずっと続く限り、食事ができない。誰もが食料を必要としていると感じる。誰もが多くを望んでいる、それを感じて、自分の力で他人を助ける重荷で死んでしまいそうだ。だから、ここを離れる。

北のリンメンに向かっている。そこからどうなるかは分からない。おそらくどこか港町を経由してサマーセットへ行く。だが、ハイエルフたちが助けてくれないことは分かっている。同時に、冷ややかで傲慢な彼らに囲まれて、少しは落ち着けるかもしれない。共感の欠如が、大きな苛立ちを生むまでは。

剣も強く振れるし、弓の扱い方も知っている。安全に旅ができるはずだ。いずれ手紙を書くよ。約束する。お前は、ドラゴンとの戦いに参加するべき存在だ。心から幸運を祈る。できるなら、全滅させてやれ。あいつらに愛は何も感じない。あいつらがもたらすのは、破壊だけだからな。

愛を込めて、
ジャダスサール

シルナマへの手紙Letter to Shirnama

シルナマへ

雇用する者はもっと厳選しなくてはならない。我々がセンシャルで力を増すにつれ、ますます多くの者が来たるべき嵐から逃れるために加わっている。弱虫で技術もない凡人など不要だ。お前が探すべきは戦士だ。

ブラック・キエルゴの地下闘技場なら、我々の求める人材を輩出するはずだ。最高の戦士だけを選び出し、我々の要塞へ招くのだ。私を失望させるな。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る
ラカジン

しわになった童謡Crumpled Nursery Rhyme

「徳への渇望」、ある友人による作曲

素敵なスレンダルの揺りかご
ひしゃくの中にはスープもなく
熱い茶のための水もなし

水の貯えは減り続け
心もまた沈み続ける
霊魂の慈悲はいずこへ?

倒れて死にゆく者たちに
彼らは涙も流さなかった
水がそよ風のように流れたから

ただ一人だけが慈悲に値する
そして我らは彼女に報いる
病を生き延びた素敵な猫に

セローへの手紙Letter to Selloe

セローへ

オーベリック・デュフォンから連絡を受けた時の、私の驚きを想像して。彼は次の催しの入場トークンについて、とても心配しています。私の記憶が正しければ、あなたの役目は彼に相応しい威厳を保ちながら、参加証を送り届けることだったはずです。記憶が誤っているはずもありません。彼は私たちの顧客に加えるべき候補者の中でも裕福であり、最大限の注意を払うべき相手よ。

もし簡単な仕事も、次の催しのために適切な候補者を勧誘することもできないのなら、私に連絡しなさい。どちらの任務についても、十分にこなせる者が他にいるでしょう。

サマーセットのギシリアネ

センシャルからの脱出Fleeing Senchal

今日、センシャルから逃げ出した。あんなことが起きた後で、そこにいることに耐えられなかった。ナハテン風邪だけでもひどかったのに、あの炎だぞ?呼吸も、とてもつらい。

あのことを考えるたびに吐き気がする。くしゃみをする時は大体煙のせいだが、鼻を覆えば自分の毛皮が暗くなる。

我々は皆、心に闇を抱えている。自分たちのしたことで。止めようとした者も同じだ。我々は失敗した。闇は我々が吸う空気よりも暗い。我々の魂が光を失った。いや、縮んでいるのかもしれない。

これから我々は、世界に加えたこの破壊と生きていく。ナハテン風邪?恐ろしいことだ。だが、それ以上にひどいことをした。我々がやったんだ。我々の責任だ。何と傲慢だったのか!それにとても恐ろしい。ひどい行いだ。我々を汚した。

だが、今いる場所から始めよう。祖母ならそう言うだろう。今いる場所から始めよう。

炎の形を与えた闇があっても、我々は先に進まなくてはならない。

だからセンシャルを離れる。死臭と破壊を置き去りにする。壁の外で、出会う人すべてを治癒する。センシャルの近くには、絶対にいられない。いるだけで耐えられない。だが、外に出れば治癒を行える。おそらく、いずれナハテン風邪にかかるだろう。かからないかもしれない。自分ではどうしようもない。

ジス。もういい。

* * *
忘れる前に書き留めておこう。火事から数週間が経った。センシャルに戻ることはできない。センシャルの一部にはなれない。だが、壁の外で放浪している集団と出会った。お互いを守り合い、食料を探し回り、できる限り集団に受け入れている。見つかった物資を使って、全員を治癒している。この地は期待するほど寛大ではないが、治癒に使えるハーブがあちこちで見つかっている。

だが、私がこの記録を書いている理由は異なる。ここ数日、誰もナハテン風邪で死んでいない。治った者もいる。助からなかった者もいる。だがここ数日、誰もナハテン風邪にかかっていない。北に向かって、アネクイナのいわゆる野蛮人たちが、センシャルの「文明的な人々」よりも親切かどうか、確かめに行ったほうがよさそうだ。あるいは、より恐怖や傲慢に駆られた行動を見ることになるかもしれない。自分ではどうしようもない。

今いる場所から始めよう。前へ進め。一歩一歩、確実に。

* * *
ジス!あれから…何十年経っただろう?この小さな日誌に自分の痛みを書き留めて、隠れ家に隠したことを忘れていた。あれは暗い日々だった。あの頃は、ナハテン風邪の他にも苦労があった。恐怖や飢えと戦っていた。大地に頼り、大地と我々を破壊することなく生きていた。だが、全員が共有していたことがある。より良い存在となり、より良い行動をし、もっと共感を持ち、親切になり、辛抱を学ぶ。そうする必要があるという意識だ。他者、何より自分たちに対して。

そう、旅をしている間は長く破壊から解放されなかった。悪行もたくさん目撃した。できる限りその埋め合わせを試み、ある程度は成功した。望んだほどではなかったが、重要なのは努力であり、結果ではなかった。

この小さな本を拾った誰かが、この言葉を忘れずにいてくれることを期待して置いていこう。今いる場所から始めよう。どんな時も、とりわけ想像しうる最悪の事態に直面した時こそ、それが唯一できることだ。今いる場所から始めよう。

リーファ、旅の治癒師

センシャルの盾The Shields of Senchal

センシャル市評議会、年代記編者ジリ 著

ナハテン風邪は、帝国が南エルスウェアと呼ぶペレタインを荒廃させた。多くのカジートがこの恐ろしい病に倒れた。センシャル総督であり、ペレタイン貴族のほとんどと同じようにアネクイナ王家の忠実な家臣だったザル・タスルズもその1人だ。17年間、センシャルはタムリエルの他の地域から切り離され、自ら生き延びざるを得なかった。他人と協力する余裕はなかった。

正当な指導者の死によってできた空白を埋めようとしたのは、海賊、密売人、略奪者、盗賊だった。センシャルと周辺の地方には、死、破壊、炎、抑圧の暗い時代が訪れた。私たちは生き残るために、強く賢くなる必要があった。我々がエルスウェア中でより洗練され、教養ある集団だと自負してきたことを思えば皮肉だったが。

ついに助けはやってきた。帝国の軍団として。正確に言えば第十三軍団だ。アクィラリオス皇帝はルビーの王座について間もなく、レンムス将軍と軍団兵を派遣した。それは崇高な意思表示だったが、皇帝が消え帝国が崩壊すると、将軍と兵士は取り残されてしまった。しかし、彼らは持ち場を放棄しなかった。そして表面上の秩序を取り戻し、センシャルをこれまでよりずっと安全な場所にしてくれた。ドラゴンが戻ってくるまでは。

レンムス将軍は無法地帯に秩序を取り戻した。軍事独裁者になり、市民を抑圧することも拒否した。元々は彼らを敵対的で信頼できない存在として扱っていたが、我々は次第に彼らを尊敬するようになった。彼らに新しい名前を授けさえした。センシャルの盾と。その名はすぐに広まった。彼らの保護によりセンシャルは再建を開始し、昔のような場所に戻った。違法な活動は陰に追いやられ、秩序も若干回復した。将軍は私たちが街に必要なことをより良く管理できるように、評議会を結成する手助けさえしてくれた。

彼らはカジートでないかもしれないが、彼らの心は常にセンシャルや民と共にある。彼らは私たちの盾であり、私たちは彼らがこれまでにしてくれたこと、これから私たちにしてくれることすべてに感謝している。この者はただ、彼らがドラゴンの怒りから私たちを救ってくれることを信じ、祈るばかりだ

センシャルの大火The Burning of Senchal

陽の光は差しているのに
過去の闇が悲しませる。
炎が皆の息を止めた後
私は全ての死を嘆きながら立った。
そして私に何が起きたか?
それは言えない。

月が照らした時、
私は悪い道を歩くことを選んだ。
星の輝く空から、
月の寂しい輝きが死を目撃した。
そして私に何が起きたか?
あえて言わない。

生き延びなければならぬ。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が取り囲む中で。
だが、望みが全て消えたのに繁栄できようか?
残されたのは悲嘆と、浅い墓穴だけだ。
闇は進み続ける。
何ができる?生き延びるだけだ。

数十年が経った。我々はどうなった?
悲惨な死の試練の後で。
高すぎる代償を払ったのか?
全てを知りながら、歩み去ることの。
そして我々に何が起きたか?
誰も言えない。

我らは生き延びた。破壊された残酷な生を
苦しみと不正と共に
死が我々を捕らえた時に。
だが、あんな代償を払って繁栄できようか?
今の我々は何者だ?あえて言わない。
闇は進み続ける。
何ができる?我々に何が起きた?

センシャルの歴史:概要History of Senchal: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

私を育て、ナハテン風邪に倒れてしまった者たちへ捧ぐ。あなたたちは生前、この者に命を吹き込んでくれた。

センシャルの歴史を調べる者にはいくつかの課題が立ちはだかる。センシャルの起源そのものが、カジートの部族によって歌や口承で伝えられてきている。さらに様々な混乱の時代に侵略を受け、記述された伝承が失われるなど、数々の厄災も学者たちの困難を増大させている。しかし、この者はセンシャルの歴史を簡潔にまとめた資料を入手できた。ただし資料の特性上、以下の文章を読むにあたっては、恐ろしい鳥の隣を通り過ぎるような注意が必要とされる。

センシャルの成立

現在のエルスウェアにおける初期のカジートは、16の部族に分かれており、それぞれが異なる役割を果たしていた。現在センシャルのある場所は、船の建造や航海を得意としていたセンシャル族が好んで船を着けていた場所である。

貿易が活発化すると、カジートは住居や商業施設などの建造物を作った。初期はたびたび火災によって破壊されたため、石を使用するようになった。この頃、商人や貿易関係者、襲撃者などの階級制度が成立を始めた。ここから悪名高きブラック・キエルゴ区域(ラジーンの出身地だと噂された場所)が生まれ、襲撃者や盗賊の巣窟となった。街の他の部分も階級ごとに区分けされ、その中には族長の住居もあった。

スラシアの疫病

芽生えたばかりのセンシャルの街は、第一紀2260年にスラシアの疫病が流行するまで成長を続けた。一部焼失した、著者不明の日記にはこう記されている:

「…スラシアの疫病で多くが死に、残りは皆が混乱している。この者は逃げるべきだと思うが、門が閉ざされている。密売人のトンネルは燃え、ブラック・キエルゴの者たちは閉じ込められている。皆が焼け死ぬだろう。どんな極悪人でも、そのような死に方をするなど考えたくもない。その炎が現存する木造建築へと、さらにそこから石造の建物へと燃え移ることも心配だ。すでに煙で息ができない。濡らした布で口を覆っても効果は知れている。火を放った者たちが憎い。生き残った我らまでもが殺され…」

最後の一文は疫病のことを指していたと思われる。著者の予想通り炎は広がり、可燃性のものは燃え、石は焼け焦げた。誰も生き残れなかっただろう。この火災の後、センシャルは大規模な再建を余儀なくされたと様々な資料から推測される。

センシャルの再建

その後数十年かけて街は再生し、建物を再建しながら社会的な構造も固めていった。ブラック・キエルゴは盗賊や襲撃者など無法者たちの安息の場であり続けた。疫病の後はペレタイン全体の政治構造も変化し、街の支配者が地域全体を統治するようになった。ブレトンや帝国の影響から部族の固有性は完全に失われ、センシャル社会の中で個人の役割が尊重された。この時期のペレタインの支配者たちは安定を重要視し、「公平」や「正当」とは思われないような行動もとった。

中でも一人、帝国との繋がりが特に目立つ支配者がいた。ドローゼル王である。第一紀2920年、吟遊詩人の歌を聞いた彼はモラグ・バルを召喚しギル・ヴァ・デールの街を破壊させた。その後ほどなくして、皇帝レマン・シロディール3世の新しい相談役となった。レマン3世が没し、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが支配者となるまで帝国との繋がりは強まり続けた。さらに第二紀309年、ペレタインのエシタとアネクイナのキールゴの婚姻によりエルスウェアが誕生して、政治情勢は大きく変動した。

そして第二紀324年、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエが当時滞在していたセンシャル宮殿にて、正体不明の暗殺者によって殺害される有名な事件が起きた。

近年の出来事

ヴェルシデュ・シャイエの死後、さらに事件が起きた。カジートの反乱軍がエルスウェア王家の大半を惨殺したのである。センシャルの市民たちは強固となっていた伝統や社会構造を守ることに努め、第二紀565年にナハテン風邪が流行するまで、一般市民の生活はほとんど変わらなかった。

資料によるとナハテン風邪はブラック・キエルゴから発生し、スラシアの疫病と同様、最終的には火による解決が試みられた。恐怖に取りつかれた市は、その昔センシャルを破滅へ追いやった行動を知らずに繰り返したのである。ナハテン風邪だけではなく、炎や煙からも多くの死者が出て、今日のセンシャルはかつての栄光を失ったままである。

現在は帝国軍が駐在し民兵のように働く中で、カジートはまたも再建を目指している。シロディールの現状を考えると、カジートとインペリアルの協力体制がどのような結果を生むか、楽しみにしている。

トゥロからの手紙Letter from Turo

親愛なるダイニへ

私はここサウスガードにおけるお前の悪戯に対して、できるだけ見てみぬふりをしてきた。お前の父親に免じて、お前を妨害することもなく、元の家に残らせてやった。だが最近、お前が私の労働者や資産を襲撃したため、罰さないわけにもいかない。

私はお前の仲間たちを手中にしている。大部分の者は首に縄をかけられることもなく、奴隷として生きるだろう。これも私の親切の表明だ。だがお前の弟は、お前が即座に出頭しない限り絞首刑になる。猶予の余地も、交渉の余地もない。

こうしなければならないのは残念だ。速やかに降伏するように。お前の弟を見習ってな。

敬具
トゥロ

トゥロの貨物目録Turo’s Cargo Manifest

トゥロの砦に配送する全ての品物だ。途中で休まず、商品の損傷や紛失は全て明確に記録するように。トゥロは無能者を容赦しない。

目録:

上質な絹10反
アルトワイン12本
上質な陶器壺15個
アネクイナ・スパイス8袋
コロヴィア穀物30袋
6箱の—

〈残りの文書は引き裂かれている。おそらく、恐ろしい鳥の仕業だ〉

トパル軍団兵士官学校Topal Legionary Academy: A Khajiit’s Summary

勤勉なるザーギット 著

この者はトパル軍団兵士官学校で何度か研究をしていた。(生前の)内部の者に、この場所の歴史について聞いたこともある。士官学校の現状を見ると、ザーギットは行く気になれない。いつか行こう。だが今は、士官学校について知っていることを書いておく。

元々は単なる帝国のベースキャンプで、その時の状況にぴったりの場所だった。帝国はここで皇帝のため、何年もかけて地形を研究した。どの皇帝だったかは記憶にない。士官学校の本のどこかに書いてあったはずだ。この件に関するこの者のメモは混乱している。研究の目的は教えてくれなかったが、おそらくカジートの地を奪い取るための研究だったはずだ。帝国は、いつの時代も帝国だ。

やがて帝国は、ザーギットに教えられない理由で、ここに要塞の建設を開始した。数世代の間、ここはこの区域で活動する帝国軍の単なる避難所になっていた。だがある指導者が、可能性を秘めたインペリアルを訓練するための場所に変えるべきだと決意した。こうしてトパル軍団兵士官学校が誕生した。

それから数世代の間、トパル軍団兵士官学校は帝国軍人の間で名誉ある地位を獲得した。運営資金は幾つかの家が提供していた。初期はこの区域に派遣されたインペリアルの兵舎としても機能を続けていたが、資金が提供され精鋭を訓練する必要性が高まったことから、兵士の移動のために使われた場所は、完全な学校に変わった。

卓越した訓練の伝統は、ナハテン風邪によって中断された。士官学校の命運は、疫病との戦いで尽きてしまった。なお、この学校はスラシアの疫病を生き延びていた。指揮官の話によれば中に自ら閉じ込もって、感染せずに生き残れたという。残念ながら今回は決断も虚しく、ナハテン風邪が広く蔓延し、士官学校も終焉を迎えた。

現在、この地のカジートはこの場所がナハテン風邪の犠牲者の霊魂に呪われていると言う。だが、魔法の使い手たちはこの場所が「アルケインか呪い」によってこの地を悩ませているという。彼らは近づいてそれが何なのかを判別することはない。「どうして放棄された要塞なんて呼ばれる場所に行くんだ?」と言っている。

こうした警告は受けているが、この者はあの豪華な蔵書庫に入って、さらに研究を進めるため書を何冊か持ち出したい。だが、誰もこの者に同行しようとはしない。ザーギットは、もっときちんとメモを取っておくべきだった。できれば、この過ちを正したい。きっといつの日か。

ドラゴンの種類:初期研究Varieties of Dragons: An Initial Exploration

ブラック・マーシュのアクスルシャ 著

ヒストへの潜在的な脅威に対して備えるため、南エルスウェアのドラゴンについて研究することにした。ここで述べるのは私の観察したドラゴン2匹の外見、食生活、日常的な習慣、戦闘技術に関する記録だ。単純化するため、2匹は色で分類した。

赤いドラゴン
センシャル在住の者と話した結果、現在エルスウェアで活動しているドラゴンにはある種の権力構造があることを理解している。これはドラゴンについて読んだ伝承を考慮すると珍しいことだ。だからこそ私が数日間観察した赤いドラゴンが、南エルスウェアで狩りをしていた様子は注目に値する。明らかに、どんな組織にも属していなかったからだ。この大枠の観察に加え、詳細に関してまとめた記録は下記の通りである。

外見
深紅の重なり合う鱗に包まれた赤いドラゴンの外見には艶がある。仰々しい角はなく、それには驚かされた。すべてのドラゴンは雄牛の角のように捕食相手を突く角を持ち、ぎざぎざしているという先入観があったせいだろう。目は黄色く、瞳孔には細長い切れ目が入っていた。

食生活
赤いドラゴンの主食は肉のようだ。どんな時も植物を食べる姿は見なかったので、肉食動物に分類されると考えて間違いないだろう。食物連鎖の頂点にいる捕食者として納得できる。好きな食べ物は?特定の好みには気づかなかったが、時々ドラゴンは知的な捕食相手に対し、目の前に挑戦を差し出された狩人のように振る舞った。特に挑戦を挑んできた狩人2人を相手にした時は楽しそうだった。ドラゴンは1人が幸運にも矢を当てるまでもてあそんだ。そしてその後、さっさと戦いを終わらせた。

日常的な習慣
食事の他、このドラゴンに一定の習慣は見つからなかった。睡眠を必要としているかどうかも判然とせず、必要としないならさらに危険な存在となる。しかし目撃した例はあまりに少ないため、たまたま不眠型で決まった活動時間の好みがないドラゴンに当たっただけかもしれない。食習慣は無作為だったものの、きっと最後にどれだけ食べ、どれだけが消化プロセスにあるかによって変動するのだろう。

戦闘
大きな角がないため、ドラゴンは知的な捕食相手に対して爪、咆哮、翼、尾に頼って攻撃した。動物に対しては、欲しい相手を単に掴んで叩きつけて食べた。このドラゴンは炎を使った攻撃を活用し、炎の精霊のような炎に関連する生物を召喚できた。この獣を相手にするには、炎に対処する方法を用意しなければならない。

黒いドラゴン
私の観察した赤いドラゴン同様、黒いドラゴン(人によっては「ダークグレイ」と呼ぶかもしれないが)にも他のドラゴンと関連した組織は見受けられなかった。少なくとも、私の見た限りでは。

外見
このドラゴンの黒い鱗もまた重なり合い、頭の構造は下向きに湾曲した角が特徴的だった。尾の先は尖った突起で覆われ、武器としてとても効果的になっている。目はオレンジがかった金色で、瞳孔には細長い切れ目が入っている。

食生活
このドラゴンは何よりも肉を好んだが、ある時には葉を食んでいるのも目撃した。きっと体に栄養を取り込むために必要としているのではないか?空腹になると食べたい動物を掴み、比較的安全な状況で食べるために短距離を飛んだ。知的な捕食相手の狩りに関しては、より奇襲攻撃を好み、抵抗を最小限に保つため待ち伏せた。ドラゴンが待ち伏せ戦術をとる理由は推測に過ぎないが、過去に武器を装備した狩人の集団を追って傷を負ったのではないだろうか。あるいは、単に隠れて脅かすことに楽しみを見出しているのかもしれない。

日常的な習慣
黒いドラゴンは夜行性の行動を好み、昼間は私が慎重な観察の結果見つけた場所に退避していた。日が沈むとドラゴンは食事のために狩りを開始し、捕まえた獲物と一緒に巣へ戻った。その後で獲物を空まで連れて飛んで、夜明けには私がその巣、あるいは隠れ場所と考えるようになった場所に戻ってきた。どこかの時点で私の存在に気づいたに違いないと考えている。次の朝に戻ってこなかったからだ。最近の食事の残りをざっと調べたところ、ドラゴンは食事にこだわりがあることが分かった。慎重に防具を外し、自然に保護されている部位の周辺にある、中の柔らかい肉を食べていたのだ。

戦闘
上述したように、私が観察した黒いドラゴンは捕食相手を待ち伏せして狩り、驚かせて素早く処理することを好んだ。攻撃した相手には尾を振り回して強打し、翼で叩き、叫び、爪で引っ掻くような攻撃を組み合わせて使った。動物に対してはひったくって掴む戦術を好んだ。この黒いドラゴンは複数の相手に対する補助として雷の精霊と嵐の精霊を召喚したので、私はこのドラゴンをストームドラゴンと呼ぼうとする誘惑にかられている

ニシュゾの日記Nishzo’s Journal

私が雇った密偵がついにパルハディを見つけだし、酒を飲みながら彼女と話すことができた。大酒飲みであることは、彼女に関して最も確実な点だ。この情報は私の協力者たちの現在の居場所リストを完成させるために役立った。この咳が収まったら、彼らを探し出すつもりだ。

これはあの風邪だと私に言おうとした錬金術師がいたが、彼女はニシュゾ以上に盗賊っぽかった。とにかく眠って治そう。この下らないタペストリーと引き換えに、手に入るゴールドの山の夢を見たい。

ファドマイの愛した娘The Favored Daughter of Fadomai

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

深い闇で、ファドマイの子は皆が彼女の元を去った。アズラーを除いて。

アズラーは母を抱きしめ、贈り物を求めなかった。その代わり、アズラーは泣いた。ラティスの光が彼女の涙に映っていた。

ファドマイはアズラーに三つの秘密と、さらなる秘密を囁いた。彼女は娘に多くのことを話した。愛と戦争の物語、夢にも思わぬ夢の物語を。そして聞いたアズラーはさらに泣いた。月光が暗闇の中で輝くほどに。

そしてファドマイはアズラーに全ての門と境界の名を教え、全ての霊魂の名を教え、これから生きる全てのカジートの名を教えた。そしてアズラーは彼らの道の困難さを知り、さらに泣いた。涙の光がラティスと一体になるほどに。

そしてファドマイは自分の子供たちの物語と、それぞれの姿で一番好きな部分を話した。話がアズラーに及ぶと、ファドマイは決められないと愛した娘に言った。そしてファドマイは死んだ。

アズラーは深い闇に座って永劫の時を過ごし、自分が学んだことについて思いを巡らせ、母を失ったことを悲しんだ。アズラーはさらに泣き、今や闇は彼女の涙を避けて月のラティスから逃れ去った。アズラーはあまりに長い間泣いたので、もはや深い闇ではなく、月光と影の場にいた。

そしてアズラーは母ファドマイの元へ戻ろうとしたが、彼女の涙は大きな海になっていた。海の向こうには黒い門があり、飢えた闇へと通じていた。

ローカジュが門の入口に立っていた。彼は打ちのめされ、血を流していた。胸には穴が一つ空いていた。だが深い闇はまだ彼の血の中にあり、心臓のあった場所を満たしていた。闇の塊は心臓のように脈打ち、黒い血が境目からあふれ出していた。アズラーには心臓の鼓動がドラムを叩く音のように聞こえた。血が一滴ずつ落ちる音はリズムとなって、彼女の尻尾に感じられた。

だがファドマイはアズラーに全ての霊魂の名を教えていたから、深い闇の正体がアズラーには分かった。そして時が来ると、アズラーは大声をあげて歌った。

ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・ナ・ミイ・ラ・ウル・ドラ・アズ・ラ

そしてアズラーはローカジュの闇の心臓を引き抜き、合わせて彼の中の闇も全て抜き出し、海の向こうへ投げ捨てた。

ローカジュの闇の心臓から最初のドロ・マスラ、月の獣が生まれた。ラティスの縁に潜み、飢え以外のものを知らぬ獣である。

そして闇が流れ出たことで、アズラーはローカジュの中に母を見た。そしてアズラーは、彼が死ぬ時までローカジュを抱きしめた。

アズラーはローカジュの遺体に残った部分を門の前で、愛と慈悲のランターンの火により焼いた。アズラーは弟であるローカジュのために泣き、その涙は薪の上に落ちた。

ローカジュの灰がラティス中に散らばると、月の獣でさえしばらくは口を閉ざした。

そしてアズラーの涙もついに枯れ、彼女は世界へ向かった。嘆きの時は終わった。そしてファドマイは、彼女になすべきことを数多く与えていたのである。

ブラック・キエルゴ:ペライトにふさわしいか否かBlack Kiergo: Primed for Peryite?

さて、これは私の日記だ。私はペライトに選ばれし者、ヤミグー。願わくばこの日記が便所紙として使われることのないように。前回はそうなってしまったが。念のため、頁にかゆみ粉を振りかけておこう。私はかゆみに耐えられるが、ほとんどの者には耐えられまい。特に敏感な部位においては。

ペライトを崇拝する信者のために新たな場所を探す旅は、私のようなオークにとって辛いものだった。私はペライトのために故郷を捨てたが、それはエルスウェアにあるアンゴースをすべて飲んでも足りないほど長い話だ。そして、まだ新しい家を探している。ブラック・キエルゴと呼ばれる場所の話を聞き、いつか訪ねてみようと心に決めた。それが今だ。

ブラック・キエルゴはセンシャルの地下に広がる広大な地下スラムだ。恐らくブラック・キエルゴにつながる秘密の道がいくつかあるはずなので、道を見つけなければならない。みすぼらしさと貧しさに加え、ブラック・キエルゴの奥深くでは、あらゆる種類の不道徳で堕落した商売が横行している。つまり、ペライトの栄光をほぼ完璧に証明しているわけだ!この目で見るのが待ちきれない。

1日目

センシャルは荒れ果てている。疫病に見舞われ、火事にも見舞われたと聞いている。難民が非常に多い。きっと仕事が必要だ。自分には食べていく価値があると証明しなければ。たぶんこれは兆候だ。ペライトのおかげで、頼める仕事がたくさんある。ここは食べ物が足りない。それにドラゴン。奴らが雰囲気をさらに盛り上げている。実にいい。

ブラック・キエルゴが最初に燃えたのは、スラシアの疫病とナハテン風邪の流行中だと分かった。心の弱い愚か者め。火をつけても煙を吸い込んで死ぬだけだ。布教の成功は約束されている。そんな気がする。

2日目

ブラック・キエルゴで育った盗賊ラジーンの話をいくつか聞いた。それからブラック・キエルゴに住んでいない者がどれだけ恐れているかも。そこはこの街のスラムなのだ。とてもいい場所に思える。私を歓迎してくれる闇に向かう時がきた。

時間をとって、今朝から見たものを書き留めている。それから嗅いだ臭いを。無法者とろくでなしの根拠地として考えると、ブラック・キエルゴは広大だ。私たちが一角を占めても、きっと誰も気づきもしない。ここの者たちは疑い深いが、そこが気に入っている。信じやすい奴らを見ると牙がかゆくなる。だが臭い。スラムと聞いて想像する臭いそのものだ。これを記したのはリフテンに隠れていた頃を思い出すからに過ぎない。いい思い出だ。

猫の国の歴史では、キールゴという者が誰かと結婚して国を建立したと言われている。その名前を正しく綴らなければ。地下のスラムと同じ綴りではない。この場所とその者には実際のつながりはない。地元の者に訊ねてそれが分かったのだが、そいつは私の喉にナイフを突きつけた。自分たちの伝統に誇りを持つのを見るのはいいものだが、受けた面倒に対しては鼻を血塗れにして、ナイフを折ってやらねばならなかった。ペライトに栄光あれ!

だが、ここの者たちはもっといいナイフを持つべきだ。簡単に折れるようではいけない。

3日目

ブラック・キエルゴのアリーナ付近で少しばかりお祝いをした。強い酒をしこたま飲んだ。中にはエルフのものもあったが、フラゴンで20杯飲んだあとではかまうものか。そして、スラムにはアリーナがある。闘犬場に近い様子だが。金を使って、貧しい者がどれだけの血を流せるかを賭ける貴族のための場所だ。だが少しは興奮する。ドラゴンを崇拝する教団について噂を聞いた。競合相手か?耳の穴を掃除してよく聞いておかねば。もちろんドラゴンよりペライトのほうが上だが、信者を取り合わなければならないとは想像しなかった。とにかく、全員牙で突けばいい!

4日目

店を開くのにいい場所を見つけた。リーツァを送り出し、私たちの残りをかき集めてここに連れて来よう。彼女はセンシャルのまともな側の地域で、民に話しかけペライトの言葉を広めるのに忙しい。私たちは楽しみと仕事を混ぜ合わせようとしている。バランスというやつだ。ペライトは病気と貧しさだけではない。病気を送られた?それを乗り越えて自分の強さを証明しろ。そう言いたい!私に同意せず、墓場に送り込まれた者は実に残念だ。私がまだここに生きていて、彼らがそうではないことを考えれば、ペライトも私に賛成していると思う。

残りが到着するのを待つ間、アリーナに入ろうかと考えている。長い間、いい戦いをしていない。その結果、金を稼げるかもしれない。資金はペライトの役に立つだろう!ブラック・キエルゴで、私の幸運を祈ってくれ!

ペレタインの歴史:概要History of Pellitine: An Overview

パーラッティーン学会、スレマ 著

先人たちの経験に敬意を込めて。大義のために払った犠牲が、後に続く者たちに尊重されることを祈りながら。

「アネクイナとペレタイン」の紹介でも述べたように、カジート以外の資料を用いてエルスウェアの歴史を紐解く場合、非カジートが知らず知らず持っている先入観と直面する。母語とは違う言語が使用されるとニュアンスを捉えきれない。例えば私が翻訳されたアルゴニアンの資料を用いて、マークマイアの歴史書を書こうと思えば同じことが言える。あらゆる言葉は一対一で対応するものでなく何かを象徴するものであるため、完璧に翻訳することはできない。象徴にはしばしば色調や感情が込められている。人は象徴のために戦い、また死ぬ。単なる布の切れ端のために戦うのではなく、それが象徴しているもののために戦う。

それを踏まえた上で、この者は16の部族から成ったカジートとその支配者である月の皇帝が存在した時代から、現在ペレタインと呼ばれる地域の歴史を綴ってゆく。この頃、今で言うエルスウェアは16の部族が全て自由に出入りできる場所であり、月の皇帝の保護下で役割を果たすため、必要に応じて行動した。船大工やムーンシュガー農家など、安定した地盤が必要な役割があった部族は常設の居住地を設けることもあった。

ペレタインという地名はタアグラ語のパーラッティーンという月の司祭の部族から来ている。年月を経てこの名が有名となった理由は様々だが、第一紀2260年のスラシアの疫病までは地域の名でなく単なる部族名であり、月の司祭たちは他の部族の者と共に暮らしていた。しかし疫病は大打撃をもたらし、南部では部族の構造が崩れた。疫病の後はすでに港を訪れたブレトンやインペリアルの影響を受け、社会構造を変えつつあったセンシャルがこの流れを先導した。方法?単に例を示し、地の利を生かしただけだ。

南部の部族は疫病の被害に対する援助を受けるため、当時最大の街だったセンシャルに集まった。パーラッティーンの月の司祭たちも可能な限り援助できるよう集まった。センシャルの住民たちが築いていた社会構造と合わさって、全てが変わった。センシャルの生活は他の地域から来たカジートにも根付き、徐々に秩序が戻ると彼らは新しい人生を歩んだ。

北のカジートが部族の繋がりをさらに重視するようになった一方、南のカジートは階級社会を築きはじめた。ここで、今日のように南北が分裂した。

時が経つと南のカジートは壊れた建物を再建し、他種族との交易路も再構築して再び繁栄を始めた。センシャルは活気ある貿易港にして、文化や伝統の中心地として南部の中心となった。帝国との繋がりも強まり、最高顧問ヴェルシデュ・シャイエがセンシャル宮殿に住居を構えるほどだった。そのため第二紀309年にペレタインの支配者エシタがアネクイナのキールゴと結婚すると、不満を持つ者もいた。センシャルの住民の多くは、自分たちの支配者が北の蛮族と結婚することに愕然とした。アネクイナの部族も同じように裏切られた気分だった。それでも結婚は進み、支配者たちは国を統一するため尽力した。たてがみのリドサーリ・ダッタは混乱を鎮めるため、月の満ち欠けに応じて部族と貴族が権力を分け合う制度を設けた。

そして第二紀324年、暗殺者がセンシャル宮殿に滞在中の最高顧問ヴェルシデュ・シャイエを殺し、その血で壁に「モラグ・トング」と書いた。調査を撹乱する目的だったと考える者もいれば、犯人がモラグ・トングの一員だと信じて疑わない者もいた。いずれにせよ、カジートと帝国の関係は緊張した。

緊張は高まり続け、第二紀326年にはとうとうカジートの反乱軍が王家の大半を虐殺した。この時点で両国は関係を切り、互いに事件の責任を問う文書を送った(参考までに記すと「北の蛮族の裏切り」と題された文書では、血に飢えたネ・クイナル族が王家を滅ぼしたと匿名の著者が主張している)。

北との関係が悪化する中でもペレタインは繁栄を続け、センシャルの成長は次の疫病が訪れるまで続いた。第二紀565年に到来したナハテン風邪である。

ブラック・キエルゴのスラムを中心に多くの死者が出る事態となり、自分の身を守るためセンシャルの一部に火を放って風邪を追い払おうとする者もいた。炎が広がると、それまで影響のなかった区域でも煙による死者が多数出た。多くが逃亡したが、街の外は食料品に乏しかったため、餓死する者がほとんどだった。他にもトパル士官学校の謎の閉鎖など不運が続き、南エルスウェアは一時低迷した。

南エルスウェアは困難に苦しんでいる。センシャルに駐在していた帝国軍が復興を支援しているが、わずかに残った部族の慣習は自衛の本能に駆逐されようとしている。この文書の次の章では、もう少し明るい内容を書きたいものだ。

ムーンシュガー:より良い計画Moon-Sugar: A Better Plan

この者にはもっといい計画がある。パンザラはリーダーだからって、いつも最大の分け前をもらう資格があると思ってる。ふん、そんなのクソくらえだ!俺たちの分け前を合わせ、グルメ・ムーンシュガーを同量の安物と混ぜれば、高値で売りつけて利益を3倍にできるぞ!

そうだ、パンザラがいつも停泊する場所に行こう。センシャルから岸の向こう側に行ったところだ。あの女の分け前を盗んで、もっとゴールドを稼ごう。

計画ってのはこういう風に立てるもんさ!この者がリーダーになるべきじゃないか?

ムーンシュガー計画Moon-Sugar Plans

このムーンシュガーは素晴らしい!これを運べばたっぷりと稼げるぞ!

俺の取り分はセンシャルに持っていこう。あそこの連中はいつもまともなムーンシュガーに飢えているし、ゴールドの蓄えもある。

ハロの取り分は、俺たちが以前スクゥーマを蒸留していた古い農場に置いていこう。記憶はぼんやりしているが、あの場所にはいい思い出がある。

ヤシラの取り分は沼の北にある、河が下りにさしかかる地点に置こう。あの場所は嫌いだがな。あの泥は毛皮から落ちやしない。

近いうちにまたメモを書く。ゴールドが手に入ったら、お前もすぐに分け前をもらえるぞ。

ラカジンの日記、3ページRa’khajin’s Journal, Page 3

ずっと私には、偉大な運命が待っていると分かっていた。仲間たちは座り、アルコシュ神の恩恵を求めて祈っている。私は彼らを導いた。彼の秩序を守るべき勇者だった。蝕の下で生まれ、偉大になる運命を授かった。

私は、アルコシュの誇りの戦士だ。

だが、私の血には危険も潜んでいるとクランマザーには警告された。月は誰よりも強く私に呼びかけているが、その声に逆らうには意思を強く持たなくてはならない。ローカジュの闇に心を囚われてはならない。聖なる創造主が、かつて闇に囚われてしまったように。

だが、闇を恐れることはない。私の意志は強く、私の理想は正しい。誇りの家にいる月の司祭から、できる限り学ぼう。そしてエルスウェアを守る時を待とう。それが私の責務であり、課せられた運命だからだ。

ラカジンの日記、12ページRa’khajin’s Journal, Page 12

勉強が退屈になってきた。同じ詩を、同じ声で繰り返す。彼らは、砂時計の底の砂のようにアルコシュの叡智を私に集めようとしている。しかし、彼らには分かっていない。すでに叡智は集まっている!私は生まれた時から運命を悟って、すでに受け入れた!

だが、クランマザーは私の言葉を信じない。困ったような目で私を見上げ、説教を繰り返している。

正直に言うと、彼女の言葉からは見下しに近いものを感じる。まだ私を、はるか昔に聖堂へ来た頃の泣き虫の子供だと思っている。私が誇り高き戦士になったことを、決して認めないようだ。

生まれながらに秘密を背負った私を、クランマザーが心から信頼することはあるのだろうか?

彼女と同等になり、理解してもらわなくてはならない。彼女に育ててもらった子供時代とは違うと理解させなくては。私は戦士で、アルコシュの勇者だ。私をそう扱うべきだ。

ラカジンの日記、25ページRa’khajin’s Journal, Page 25

誇りの家を去る時が来た。守護者アルコシュについて、学べることは全て学んだ。だが、自分の誕生の真実についても、この世界での居場所、来たる未来についても、なぜ我々が謎と嘘で民をだましているのかも、ほとんど分からなかった。

すべてがゲームのように感じられる。天から月に照らされた目で、我々を見下ろしている彼女のゲームだ。アズラーよ、私に何を望む?あるいは、これを望んでいるのか?自分が単に、あなたが作ったものだと気づくことが?

お断りだ。アルコシュについて学べることは全部学んだ。ドラゴンブレイクについても。彼を倒せば、アズラーの手による束縛も破壊される。

もう終わりだ。アルコシュについて、そして彼に続く多くの霊魂の全てを学んだ。あなたと同様に、彼らは古く強力だ。だが、すべて去ってはいない。今はまだ。

カジートには、もう長く新たなリーダーが生まれていない。すぐに生まれるだろう。

ラカジンの命令Ra’khajin’s Orders

新たなる月の教団はナーファーラールというドラゴンの息の根を止めねばならない。奴は我らが主、強大なるラートヴロン様の敵であり、新たなる月の意志に従うことを拒んでいる。それ以外にも理由はあるが、奴は抹殺しなければならない。

奴が隠れている聖域を占拠するため、必要な勢力は全て使え。止まることなく進むのだ!脅威が排除されるまでは帰還しないように。

新たなる月は、間もなく我ら全員の頭上に昇る。
ラカジン

リドル・サールの秘密Secrets of the Riddle’Thar

悟りし最初のたてがみ、リドサーリ・ダッタが予言した聖なる年代記より抜粋

ああ、多くの誇り高きカジートが、自分の夢を私の夢に重ねて編んだ髪の束を持ってくる。私の前に跪き、疲れた足に口づけし、ジャ・カージェイの印を求める。私は無数の族長の重責のかかった高い王座に座り、溜息をつく。リドル・サールの啓示はたてがみの力の内にはない。双子月の舞踏の聖堂にさえない。リドル・サールの真実は真のカジートの心の中にある。爪の中、髭の中、魂の中に。今こそジョーンとジョーデを思え。その満ち欠けに思いを馳せよ。カジートは子宮で考えはしない。私たちは姿や目的のために苦闘することはない。舞踏が決めるのだ。そして運命づけられた生誕の瞬間に、私たちは魂が既に知っていることを学ぶ。リズムに合わせてステップを踏む。双子月の美徳と義務は固有のものだ。その血が固有のものであるように。リドル・サールの真実は魂の中でサトウキビのように育つ。甘く、力強く、収穫を渇望する。私たちはサトウキビを育てない。成熟もさせない。自発的に育っていくのだ。必要なのは適切な季節に鎌を手に取り、豊かな恵みを刈り取ることだけだ。

リドル・サールの謎の追究は楽しみの追求でもある。充足の追求でもある。今話している真実は、皆が心の中で既に分かっていることだ。その知恵を受け入れ、魂を支配するものに注意を払い、平和をもたらし、リドル・サールの命に従え。そうすれば豊かな楽しみが見つかる。

まず、真の猫は好奇心が強くなければならない。どれだけ多くの毛皮を持たないよそ者が、策略と幻想の犠牲になっていることか!ローカジュの発明は視界の隅に潜んではいない。目につくところをうろついている。あまりにも普通で控えめなので、子猫のように無邪気に真実として受け入れてしまう。誰もが常にもっと長く耳を傾け、もっとじっくり見なければならない。あっさり飛びついてはいけない。調べよ。大きい石も小さい石も持ち上げよ。忍耐から得られるものは実に多い。

次に、真の猫は賢くなければならない。天は私たちに素早く動く爪、軽快な足、優美な強さを与えてくれた。しかしニルニの背をうろつく危険は、適切な攻撃にも耐え抜くことがとても多い。残酷な迷路に陥った場合は、単純な解決の誘惑に抵抗しなければならない。工夫のない策略に頼ってはいけない。あらゆる問題には無数の戦略がある。その中でも最高の戦略は心の中にある。戦わずして戦え。話さずに話せ。譲歩せずに応じよ。こうすれば、最高の楽しみが冗談の対極に隠れていることに気づくはずだ。

三つ目に、真の猫は自身に優しい。本の指導者は自腹を切って施しをせよと説教することがとても多い。彼らは陰気な埋葬布の下に隠された、喘ぐような美徳を主張する。飢えた慈善家がどれだけのコインを運べるだろう?実に僅かだ。施しの果実は楽しく丈夫な枝に実る。全員が与え誰も受け取らなければ、王国はどれほど悲惨になるだろう!労働の成果は受け取れ。天から落ちてくる砂糖は味わえ。ニルニを豊かに流れるワインは飲め。喜びの道を歩くために、踏みつけるべき道の目印をつけよう。

次に、真の猫は敬虔でなければならない。双子月の舞踏はジャ・カージェイへの道を提示するが、レレスウェアの案内がなければ、最も賢いカジートも闇に向かって漂いかねない。強いアルコシュ、祝福されしケナーシ、高貴なスレンダル、愛情溢れるマーラ、賢いバーン・ダル、そして最も重要な、星の裏を統治し、優しさと知恵と高潔な抜け目なさで輝くジョーンとジョーデ。リドル・サールは悟り、真の猫が聖なる先人をどのように見ているか、明らかに見通すことができる。彼らの忠告を聞き入れ、法を守り、リドル・サールの恵みを受け入れよ。そうすればナミイラの誘惑の餌食にならない。

最後に、真の猫は用心深くなければいけない。ニルニの背に住むあらゆる種族の中で、私たちカジートは最も危険を冒している。私たちの歴史は人の歴史を矮小化する。私たちはエルフが来る前から種を蒔き作物を育てた。私たちの魂は年を数えるずっと前に遡る。それは毎朝、日が昇るほど確かだ。それが私たちを賢くし、危険にもしている。ローカジュの憎悪の目はいつも私たちを睨んでいる。ナミイラの闇は夢と疑いの中を飛び跳ねる。オブリビオンの悪はすべてラティスに対し爪を立て、牙をきしませ、古い魂を賞品として奪う機会を狙っている。慎重になれ。素早く動け。自身の深いジャングルに心臓を隠し、その偉大な価値にしばしば思いを馳せよ。自分の心臓の鼓動に耳を傾けるのをやめれば、ローカジュの鼓動が永遠にとって代わるだろう。

リドル・サールはこうした美徳のすべてだ。月の子よ。私たちはカジートの精神の偉大な井戸から飲んでいる。その真実はたてがみを越え、聖堂を越え、愛する故郷の平原とジャングルを越えて踊っていることを知れ。ジョーンとジョーデが頭上で踊る時、皆の魂も合わせて踊る。

闇の霊魂The Dark Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ローカジュ。月の獣。ローカジュの闇の心臓から生まれ、ある大きな裏切りを受けた後、この心臓に支配された。ローカジュは賢明にも姉のアズラーに助けを求め、アズラーはローカジュが暗闇に飲み込まれる前に闇を切り裂いて彼を救い出し、心臓を虚無の中に投げ捨てた。我々はこのローカジュの影が、我らの敵であるウル・ドラ・ナミイラに仕えた最初のドロ・マスラであることを知っている。月の獣はラティスの縁を徘徊し、道から離れすぎたカジートに襲いかかる。亡霊の月の夜にアズラーは虚無の門を開き、月の獣は消滅するまでの間、定命の者に戦いを挑むことを知っておくと良い。我々は道の一部として、また失われた同族のために、この重荷を受け入れている。

ナミイラ。最古の霊魂。深い闇。虚無。腐った肉を食べる生物は全て彼女の密偵であり、猫たちの獲物である。月のラティスは我々をナミイラの飢えから守っているが、我々自身の飢えからは守ってくれない。ナミイラの名を呼ぶことは闇を招くことであり、決して行ってはならない。ナミイラとは彼女の真の名の音だからである。ナミイラは無限の領域の霊魂であり、領域の全てを知っているのはアズラーのみである。この霊魂に捕らえられた定命の者は自分が何者かを忘れ、ナミイラのみを知るようになるまで苛まれる。これはアズラーが闇に委ねないジャ・カージェイを除く全ての魂にとって、永遠の苦しみである。

ノクトラ。影の盗賊。薄明の娘。虚無の門の階段で、ローカジュの黒い血から生まれた。歌の中で、ボエスラはこの霊魂がナミイラではないと気づくまで、これを相手に戦った。戦いが終わった時、ノクトラはアズラーの前に引き出され裁きを受けた。アズラーは慈悲を示し、ノクトラがアズラーとジャ・カージェイに仕える限り、生きることを許した。だがノクトラは反抗的な性のため、アズラーの鍵の1つを盗み、虚無へと逃げ帰った。アズラーはローカジュの真の霊魂を送って彼女を探させ、それ以来ノクトラは求められればカジートを助けてきた。部族は沈黙、影、幸運を求めてノクトラの名を囁く。邪悪な行いに彼女を呼んではならない。それは彼女と共に闇をもたらすだろう。

ヴァルミーナ。悪夢の女王。失われた娘。この霊魂は猫でなく、子を失うのではないかというファドマイの恐怖から生まれた。アズラーはこの闇の霊魂を地下世界で殺し、今やヴァルミーナはカジートが夢を見る時にのみ苛む。彼女はカジートを試し、恐怖で道を離れさせようとする。だが彼女がジャ・カージェイに真の意味で危害を加えられるのは、夢の中だけであることを知っておくとよい。

[?????]復讐の霊魂。ファドマイとローカジュの死後、アズラーの嘆きから生まれたため、自身の意志を持たない。アズラーとボエスラ、マファラ以外の何ものも、この霊魂を呼び出すことはできない。彼らだけがその名を知っているからである。歌の中では時として黒き豹、黒檀の鎧に身を包んだ戦士、あるいは隠された剣として出てくることがある。

黄昏の先唱者:アズラーの祈祷師Twilight Cantors: The Exorcists of Azurah

ゼヨ・プレヴェット 著

ゴーストハンターとして旅をする間に、あらゆる種類の奇妙な霊魂や異常な存在に出会ってきた。だが、カジートが稀に苦しむ憑依のようなものは見たことがない。最初は精神的なひきつれ、尻尾のかゆみ、当人は打ち消せない耳鳴りから始まる。

カジートの伝承によれば、これが迷い猫になる最初の兆候らしい。何もしなければ、カジートはさらに聞こえない曲に魅了される。ビートに合わせて動くようになり、ベントの踊りと呼ばれる奇妙な動きをする。このおかしな状態は単に病気の結果だと思えるだろうが、憑依された者がベントの踊りを始めたら、憑依されたことは見逃しようがない。

そのカジートが踊りを続けると、肉体に変化が生じ始める。毛皮が黒くなり、闇の力が身体から発せられ、普通の者にも見えるほどだ。他の種の憑依と異なり、憑依されても魂は消え去らず、他の霊魂に乗っ取られることはない。その代わり、元々の魂がねじ曲がってしまう。身体の変化が完了すると、もはやカジートではなくなり「ドロ・マスラ」に変わってしまう。この邪悪な霊魂は、ニルンを去るまでさらに苦痛を生み出す。

この恐ろしい症状と戦うために、カジートは旅の司祭の集団を結成した。彼らは奇妙な曲の影響に対抗するため歌を使う。それが「黄昏の先唱者」だ。彼らは自分たちが歌う「黄昏の賛歌」が、彼らの「神」であるアズラーからカジートへの贈り物だと言う。真実かどうかは証明できない。デイドラ公が世界に恐怖以外のものをもたらすとは考え難い。いずれにせよ、ベントの踊りに囚われたカジートを観察している限り、黄昏の先唱者の言葉は憑依された者を静めて、正気に戻していることは間違いない。ある先唱者が3日間歌い続け、被害者から不自然な力を排除したのを目撃したこともある。もしその休息がなかったら、彼女はさらに闇の道を進んで消え去る運命だっただろう。

この旅の秘術師たちはドロ・マスラとの戦いに備えながら、常に旅を続けている。黄昏の先唱者の所有物は少なく、任務に必要なものと道具だけを身につけている。任務に対する対価を求めることはなく、代わりに感謝の印としてカジートから差し出されたものを頼りに生活している。どうやらカジートは、先唱者たちに対して敬意と恐怖が混ざった感情を持っているようだ。先唱者が訪れることは間もなく不幸が訪れる兆しであり、彼らを迎え入れる家族は先唱者からの守護を確実にするため、すぐに贈り物をする必要があると一般的に信じられている。取り返しがつかないほど魂が破壊される危険があるわけだから、そうする理由は明らかだろう。

プロのゴーストハンターとして、毎日自らの魂を危険に晒しながら正義を貫こうとする、その献身には敬意を感じている。もしこの献身的な祈祷師に出会うことがあったら、礼儀正しく振る舞い、不断の努力と危険な仕事への敬意として金銭を渡すべきだ。

我らが飛ぶようになった理由How We Came to Fly

ファドマイがオーナールに逆らい世界が生まれる前、ケナーシは速く高く飛んだ。偉大なるアルコシュも届かぬほどに。彼女は限界がなく自由だったが、喜びを分かち合う相手はいなかった。そこで彼女は、空を分かち合う相手を母にねだった。ファドマイは夜にジョーンとジョーデ、昼にマグルス、夜と昼の間にアズラーを与えた。しかし彼らは自分に与えられた道を辿るだけで、ケナーシの喜びを本当に分かち合えたものはいなかった。これを見たアズラーは、ケナーシに2人だけが共有できる秘密を打ち明けた。

アズラーの忠実な子供が死を迎えた時、ケナーシはニルニの嫉妬深い爪から彼らを奪い取り、星の裏の砂場に運ぶことにした。こうして、選ばれた人々はレレスウェアへの道が与えられ、ケナーシはついに喜びを分かち合う相手を見つけた。

輝く海の聖なる水Sacred Waters of the Shining Sea

月の司祭シャヴカ 著

ジョーンとジョーデの祝福を受けた王国ペレタインには、聖なる砂糖が豊富にある。浅瀬でさえも双子月の恵みで満ちている。潮を照らす月光はトパル湾へ流れ込み、我々の聖地である月光の入江に集まる。日光から守られたこの場所で、蓄積された月光が自然の洞窟に穏やかな夜空を作りだす。

この祝福された水は心と体、魂に救いを与える。エルスウェアの至る所からカジートが訪れては月光の砂州や聖なる祠に浸り、悪い気を出して出てくる。ほんのわずかな寄付と返金可能なタオル貸し出し費を払えば、あなたも入江の神秘を体験し、聖なる水で心身を癒すことができる。月の司祭一同、浄化に役立てることを心待ちにしている

空の霊魂The Sky Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

アズラー。全てのカジートの母。夜空と薄明の領域、黄昏と暁の女王。ファドマイに愛されし娘。我々の先人の重荷を背負っているため、アズラーの領域は幅広い。全ての部族はアズラーを魔術、美、予言の神として知っている。アズラーはまたあらゆる門と鍵、縁と境界の番人でもある。カジートは我々を持ち上げ、月のラティスに結び付けたのがアズラーであることを知るべきである。これで我々は運命の鎖から解き放たれ、我々だけが自らの未来を形作れるようになった。ジャ・カージェイと我々の完璧な姿形は、アズラーの贈り物である。アズラーはこの世に生きた全てのカジートの名を知っていると記されている。自らアズラーを知らねばならない。それが道の最初の一歩なのだから。

ケナーシ。天における太古の霊魂であり、ニルニの側を通り過ぎる際に風と雨の歌を歌う。最も古い音はこの霊魂によって世界に贈られたものである。我々は音楽と歌、神話を語ることによって彼女を称える。一部の部族にとって、ケナーシは悲嘆の霊魂でもある。ローカジュが死んだ時、彼女は嵐の中に姿を隠し、アルコシュが慰めに来るまで泣き続けたと記されているからである。ケナーシは死んだカジートの魂を裁きのためにアズラーへ送り届けるので、アズラーの伝令でもある。時の終わりに創造物を守るため、すべてのカジートが永遠に団結した魂を呼び起こすのは、彼女の呼び声である。

ジョーンとジョーデ。永遠に嘆かれる者。このファドマイの死産した双子の霊魂は、今でも月のラティスで踊っている。ケナーシは彼らが生まれ落ちた時その手に抱き、死にゆく母に真実を伝える勇気を持たなかった。ケナーシは彼らの目を光らせるために2つのランターンを照らし、母が逝去するまでの間、彼らを空中に揺すぶった。今ではアズラーが双子の面倒を見て、ランターンの明かりが弱まると再び火をつける。ジョーンとジョーデの愛は月の光とムーンシュガーとして、全てのカジートに共有されている。この霊魂を称えるためには、明るい月の夜にケナーシの子守歌を歌わねばならない。

ローカジュ。月公。ファドマイの愛する息子。白い獅子。彼は深い闇の中で生まれ、それが彼の重荷となった。ローカジュは多くの者に愛され、高潔な指導者と見なされた。ローカジュは目的をもって自らの道を切り開いた最初の霊魂だった。彼は生まれた時から葛藤の中にあったためである。彼の勇気は出会う全ての者の心を励まし、ついに彼は霊魂を集結させて世界を作った。ローカジュはそのために自らの命を捧げた。我々は目的をもって道を歩み、闇の呼び声に抵抗することによって彼の犠牲を称える。ローカジュはカジートの魂の二面性と、全てのカジートが乗り越えねばならない困難を象徴している。アズラーはその知恵を用いて、弟の薪にジョーンとジョーデの双子のランターンで火をつけた。これにより、時としてローカジュの真の霊魂が姿を現す。ただしそれはアズラーやケナーシに呼ばれた場合や、彼の最古の名前で呼ばれた場合のみである。

マグルス。太陽神。一般的には猫の目、あるいはアズラーの第三の目と呼ばれ、アズラーの怒りを日々思い起こさせる存在である。マグルスがボエスラとローカジュから逃げた時、彼は片目しか見えず、ムーンシャドウに落ちたと記されている。そこでアズラーは彼が恐怖に満たされており、領域を支配するには適さないと判断し、彼のもう一つの目を引き抜いた。マグルスは盲目となって天に取り残されたが、アズラーは彼の片目を石に変え、ヴァーリアンスの門を映し出させた。これが夜明けに開き、黄昏に閉じるエセリウスのプリズムである。一部の魔術師はマグルスがこの目を自らの意思でアズラーとその子に捧げたと考えており、こうした魔術師たちは今でも彼の名で祈りを捧げている。

月と潮が交わる場The Marriage of Moon and Tide

クランマザー・ツラダマ 著

真のカジートであればジャ・カージェイの空のワルツを知っているだろうが、ニルニも踊りに参加していることを知っている者は少ない。彼女は子を生むためローカジュによって設けられた場所から動けないが、夜空に踊る月と共に彼女も揺れている。

「だが、ニルニが月と共に揺れるところなんて見たことがない」と思うだろう。

おそらく見たことはあるが、見ている光景を理解していなかったのだ。あなたが陽気な歌に尻尾を揺らしていても、毛皮に張り付いたノミには分からないように、ニルニの動きを見極めるのは難しい。ジョーンとジョーデが昇る時海をよく見ていれば、ニルニの波が後に続いて海岸を進むのが分かるだろう。これは月の歌に合わせて、ニルニが揺れていることを示す

剣の魂Soul of the Sword

流血の牙の師範、ヴァラミによる瞑想

ヴリン・サクを極めるため、定まった道があるわけではない。アデプトや師範になる定まった方法は存在しない。こうしたことは熟考し、自分の道を見つけるものだ。

剣はお前の魂だ。魂はお前の剣だ。

[怒った筆跡で殴り書きされている。「このろくでなしめ!ヴァラミの魂が自分の剣で引き裂かれますように!そもそもどういう意味だ?]

こうした言葉で瞑想せよ。その瞑想は、お前にどんな意味を持つ?

[さらに怒った筆跡で。「お前が自分の弟子も訓練できない、どうしようもない無能だという意味だ。意味だと。ろくでもない!]

瞑想は道を示唆しているのか?いや、きっと違う。

[大文字でギザギザの筆跡で。「いいかげんにしろ」]

武器を手渡される前に、ヴリン・サクが何時間もかけて基本の型を習った方法で訓練する者よ。もし魂がお前の剣で、お前の剣がお前の魂なら、そもそも師範が弟子の成長を邪魔しているという意味にならないだろうか?私はそう言わない。

[小さな手書きで。「もういい。この者はうんざりした。この者は…」]
[この巻物は唐突に終わっている。まるで注釈者が、最後のメモの下をすべて破り取ったかのようだ]

誇りの家:時から切り離された場所?Pridehome: A Place Outside Time?

魔術師ギルドのカーラレスによる転写

転写者のメモ:この転写では、我々の言語で時の経過を示す動詞を使っている。この放浪するカジートの月の司祭が私に説明しようとしたことへの理解を難しくするかもしれないが、自分の意識がさらに混乱する前に、厳密には正確でなくてもこの概念をまとめる必要があった。結果としてこの転写に過ちが起きた場合は、全て自分の責任である。月の司祭が私に示した、時間を越えた感覚が伝わることを願う。だが、おそらくこの方法はシェオゴラスのような存在への道を開くだろう。それから、この月の司祭は名前を明かすことを拒否した。自分は知識を持った司祭であり、同時に知識のない未熟者でもあると彼は語っていた。

* * *
時とタペストリーより前に、誇りの家は存在していた。概念としてずっと存在していた。これからも常に存在する。時の竜神であるアルコシュはタペストリーと時にこれを吹き込み、時を線形にしか捉えられない我々にも現実として認識させた。

誇りの家は、時の神の教えに従うアデプトの故郷となった。隔離された場所だ。そこで彼らは来たるべき破滅、ドラゴンが帰還し世界に不均衡をもたらす時に備えていた。

勇者ジャダッリはアルコシュの呼び声を聞き、誇りの家を作った。そして我々も現実として認識できるようになった。そう、彼女は黒き獣と戦ったのだ。そう、彼女は勝利したが命を失った。君の意識の中で、彼女が勝ったのはわずかな間だ。だが、彼女は常に存在し勝ち続けている。彼女は常に存在し続ける。

誇りの家の概念と場所は、ずっと存在してきた。ジャダッリが創設したアルコシュの誇りのように。一息にではなく、徐々に明らかになっていく物事の概念が理解できていればだが。

想像できるだろうか、タペストリーと線形の時に囚われた君に。ジャダッリは成功し、同時に失敗した。アブナー・サルンと呼ばれる者が、成功し同時に失敗したように。同じ瞬間に、線形の時の外側で。君には分からないだろう。それは望みすぎだ。

呼び声を聞いた勇者はジャダッリの後にもいた。線形の時で。さらに勇者は集まった。クランマザーも訪れては去っていった。一般的な言い方で言う時が過ぎ、ラカジンと呼ばれる者が現れた。彼は勇者となることに成功し、失敗した。過去のジャダッリのように。どうしてそんなことが可能か、それを知りたいか?彼は線形の時で、誇りの家を去るまで成功していた。だが、時の外では?彼は成功し、同時に失敗した。永遠にと言ってもいい。

誇りの家の一番新しいクランマザー、ヒズニは最初のクランマザーでもある。誇りの家のすべてのクランマザーは最初でもある。だが、この話はもう十分なようだ。私が話した中から君が何かを掴んだなら忘れるな。誇りの家はずっと存在していた。そしてこれからも存在する。アルコシュの誇りはずっと存在していた。そしてこれからも存在する。誇りの家のすべてのクランマザーは、ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。来たるべき破滅は?ずっと存在していた。そしてこれからも存在する。

黒き獣の戦いBattle of the Black Beast

聖なる仮面の力によってのみ
その聖なる光によってのみ
汝は知るだろう、黒き獣を
我らの危険な戦いを

仮面を使って物語を見よ
聖なる炎の輝きにより
前へ進む道は開かれる
地下に広がる氷の牢獄へ

糸の修復Mend the Threads

選ばれた戦士は時のタペストリーがほつれたら、
それを繕う爪とならねばならない。

この運命を受け入れることは大いなる名誉であり、大いなる重荷でもある。
躊躇なく行わねばならない。

選ばれた戦士は時の意志を受け入れ、
心を尊敬と誇りで満たす。

彼らは自然の秩序を守り、
先人たちと道を共にする。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

狩りへの招待Invitation to the Hunt

オーベリック・デュフォン様

この招待を貴公に届けられることを光栄に思います、セルヴァル・デュフォン。貴公もよくご存じのとおり、レディ・ギシリアネは候補者の選定に最も厳格な基準を適用します。貴公が選出されたのは、品格の高さと優れた作法が大きく評価されたためです。

貴公には、二週間以内に認証トークンをお届けします。それを催しの当日、我々のハントマスターに渡してください。この狩りは沼で開催されるので、服装も合わせたものをお選びください。

獲物を用意した熟練の罠師は、今回の採石場での催しがどのような技量の狩人にもお楽しみいただけることを保証しています。獣じみたオークや抜け目のないカジートが、貴公の狙いすました矢を待っています!全ての狩りには一定の危険が伴いますので、どうかご注意いただきたい。熟練のハントマスターたちが控えておりますので、状況が危険と見れば支援するでしょう。

狩りの達人の到着を、心よりお待ちしています!幸運を祈ります!

セロー

修復された石板Restored Tablet

これが物語の言葉であり
真実の言葉になる
石は開く
中に眠る者の
名を口にした時に

彼のクラ・ジュンを思い出せ
彼らはこの者を覚えている
辛辣なアネクイナ
完璧なるヌラリオン
悪魔狩人フリンシルド
〈裏切り者〉でさえ

中に眠るのは誰だ?

焦げたレディ・GのメモSinged Lady G Note

〈ドラゴンの攻撃による炎により、メモの大部分は読めなくなっているが、一部の文は残っている〉

…しけた獲物なのは確かだ。あのオークはいい戦いになるかもしれないが…

…他の者たちは陽動に使えるかもしれない…

…奴らをセローの元に連れていけ。あの女は馬鹿だが…

…水辺を通っていけばいい。私が聞くところ、レディ・Gがセローをセンシャルに留めておきたいそうだ。あの間抜けには新しい人材を「勧誘」するほうが楽だし、レディ・Gにとっても目を光らせるのが…

賞金首と盾The Bounty and the Shields

ジュリア・ルネリウスの日記

賞金首を狙って旅をする場合、行動を日記に記しておくように父から教わった。このまっさらの本を父から渡されて、ここに記すように言われた。書くのは得意じゃないが、父の希望をできるだけ尊重したいと思う。今はセンシャルにいて、行方不明者の痕跡を追っている。標的はジアン・ミコだ。複数の犯罪で指名手配され、ダガーフォールの魔術師ギルドから大事な本を盗んだ罪も含まれている。本だって?よりによって本を盗んだのか!ここは、彼が最後に目撃された場所だ。自分の勘では、カジートに紛れていれば安全だと考えたんだろう。特に、ここにはインペリアルが駐屯している。紛れ込めると踏んだはずだ。

だが、必ず見つけ出す。

2日目、センシャル

街中を歩き回った。どこに行っても、難民か不機嫌なカジートに出くわす。民兵の一種が辛うじて街を守っている。彼らは「センシャルの盾」と呼ばれている。元々は第十三軍団だったが、ここに駐屯して街の警備を担当するようになった後、センシャルの民から新たな名前で呼ばれるようになった。だが、街を統治しているわけではない。聞くところによれば、カジートが守らせたい法を執行しているだけだ。

おそらく、ミコは盾に参加している。標的を見つけるまで、自分も同じ行動を取るべきだろう。

3日目、盾

何てことだ、アルフィクがいる!どうやってこの部屋に入ってきたのか、ゴロゴロ喉が鳴る音で目が覚めた。ここの飼い猫かと思ったが、はっきりと「起きる時間だ、歩き手」と言った。どうすべきか分からない。もし相手がインペリアルなら、鼻先を殴り飛ばして部屋から追い出すところだ。だが、初めて飼った猫のマウサーに似ている。ただうなずいて、できるだけ丁寧に部屋から出ていくようお願いした。

朝食の後、ブルッシウスという男に盾のことと、入隊する方法を聞いた。彼は自分の体の痛みについての文句や、どこかの気まぐれな司祭の追跡を頼む方により関心があるようだった。しかし話題を維持して、新兵になる方法について聞いた。ありがたいことに、彼は訓練をしている場所を教えてくれた。そこへ行って、ミコを探すことにした。

4日目、お役所仕事

今日はほとんど、様々な盾の成員との会話に費やした。ミコは新兵の中にいた。訓練の責任者のところに行ってミコの過去の所業を伝え、ダガーフォールの魔術師ギルドに彼を連れ帰れば賞金がもらえることも伝えた。上官に伝える必要がある、と彼女に言われた。盾の指揮官であるレンムス将軍と会えるまで、それほど時間はかからなかった。

彼と話をして、センシャルの盾についてさらに情報が得られた。彼らは5年前、アクィラリオス皇帝の命令でここに派遣され、ナハテン風邪の被害を受けた街の秩序を取り戻すよう命じられた。センシャルを統治していた王家が途絶え、街は統治者を失っていたので、帝国は評議会の設立を助け、この地域を統治する手助けをしてきた。だがドラゴンの出現により、難民が街に押し寄せ、すでにぎりぎりだった物資がさらに不足した。彼には盾への参加を要請された。高度な訓練を受けた、優秀な戦闘員が不足しているためだろう。

もちろん光栄な申し出だったが、今は単独で旅して仕事を続けたい。

その時、将軍からミコがとても優秀な魔闘士だと言われた。本を盗んだのも、ここに来て新しい魔法でドラゴンを倒せるかもしれないと思ったからだそうだ。将軍はミコの行動を許したわけではないが、センシャルを守るためにできるだけ多くの兵隊が必要なのも事実だ。だから将軍は、ミコの引き渡しを拒否した。

最初の賞金稼ぎの仕事で、いきなり決断を迫られた。大義のために賞金をあきらめるか、あるいは将軍を説得してミコをダガーフォールに連れ戻し、裁きを受けさせるか。すでにミコと話はしている。彼は魔術師ギルドから盗んだ本から学んだ技を使って、ドラゴンと戦うことを強く望んでいる。だが、盗んだことは事実だ。なぜあの魔術師たちと一緒にドラゴンと戦わなかったのか?ドラゴンは、永遠にエルスウェア周辺で留まっているわけではない。全世界にとっての脅威だ。

これを書きながら決断した。父がこの日記を渡してくれたことは正しかった。書くことで、考えがまとまることもある。おそらく、次の賞金稼ぎはもっと楽になるだろう。次の機会のため、新しい本を手に入れよう。(ああ、これも書いておこう。本を盗まれた魔術師たちを呼び、ミコと連絡させよう。そうすれば、彼らは協力してドラゴンに立ち向かえるだろう。)

色彩豊かなカジートThe Colorful Khajiit

ユートロピア・ラトニウス 著

カジートは派手好きで知られている。彼らはどんなことでも熱心に行うようだ。しかしテンマール・フォレストの山奥にある小さな村が、センシャルの優雅な街並みを上回ると聞いて信じられるだろうか。誇張ではなく、ブラックハイツは文字通り色彩に溢れている。

この村の住民の半分以上は芸術にその身を捧げている。芸術家や、高品質な道具を提供する職人である。「彩色工場」と呼ばれる場所で生産される顔料は、塗料や染料としてタムリエル全土で高い人気を誇る。これだけでも、少人数の村が芸術に没頭できる富を生んでいる。

ブラックハイツのカジートは世代を越えて技術を磨き続けており、その作品は村の創立以来受け継がれてきた伝統に影響を受けている。特に古く、目立って見えるのは石の絵である。ブラックハイツ自体が山脈の麓にあり、岩に囲まれている。特に子供の頃、カジートは前足を使って石に絵を描く。数百の小さな足型から、広大で色彩豊かな絵を創り上げる。その最たる例が生命の壁と呼ばれる場所で、全ての村人が死ぬ前に生きた証を刻む。この甘く切ない史跡の規模に、私は言葉を失った。安全なセンシャルを離れ、ペレタインの神秘を味わう勇気があるならば、あなたもきっと同じ気持ちを味わえるだろう

新しい教団か、古代の宗教か?New Cult or Ancient Religion?

新たなる月教団に関する調査
パーラッティーン学会、スレマ 著

新たなる月教団の徴募官の出現は、この新興宗教に対する反応をセンシャルの人々に呼び起こしている。軽蔑するか考慮するかはそれぞれの地位と視点によって異なる。この者は異なる形でこの問題に取り組むことにした。新たなる月教団はドラゴンの怒りによる混沌から生まれた新しい教団なのだろうか。それとも、長い歴史を持つ古代の宗教が蘇ったものだろうか?

この者は徴募官と話すことができた。徴募官はその信仰の教義と信条について、生々しい詳細を喜んで教えてくれた。このカジートたちはジョーンとジョーデを認めているが、間もなく新たなる月が昇って、より明るく輝くようになると信じている。また救いへの道と力は新たなる月にあって、信仰深い者が切実に祈ったにもかかわらず、沈黙を守り距離をおく神々の崇拝にはないと信じている。

新たなる月教団は、明らかにドラゴンの出現により悪化している現在の困難な状況に苦しむ者たちに訴えかけようとしている。このため、彼らは主に貧しい者や住処を失った者を教団に引きつけてきた。この者の見るところ、教団は偽の約束と恐怖を勧誘の戦術として使っている。またドラゴンと戦うことよりも、ドラゴンを宥めることに熱心なようだ。とても興味深い。

この者は古代に活発だった、類似の集団に言及している資料を見つけた。そこでそもそもの疑問に立ち返る。新たなる月教団は最近組織された教団なのか、それとも復活の機会を待っていた、古代の宗教が復興したのだろうか?それを判断するためには、さらなる研究と調査が必要になるだろう

新たなる月の義務New Moon Obligations

新たなる月の教団、ザカール 著

この者は多くのカジートと異なり、明確な指針と共に生きることを好む。新たなる月の教団に多くの者が新たに入信したことを受けて、ザカールは信徒が従わねばならない義務を記録することにした。

1.入信

新たなる月の教団に入信できる者は健全な精神と肉体を持つ者に限る。この基準を満たさないものは、試練が始まる前であっても拒否されるだろう。

2.試練

試練の内容は秘密にしておくべきだ。試練に関する情報を共有し、他者を助けようとする者は即座に新たなる月の教団から追放される。いんちきもヒントも禁止だ!

3.勧誘

勧誘は優れた判断力を持つ者が実施しなければならない。栄養失調の者があまりにも多く入信している。こうした弱き者は、我々を目的に向け進ませてはくれないだろう。病気の者も要らない。必要なのは新たなる月の昇天を助けられる、強く、有能な者だ。

4.考え方

新たなる月の教団に入信した者は、理由が何であれ定められた義務に従い、リーダーとドラゴンの命令通りに行動することを忘れてはならない。明晰で決断した心を持つ者だけが、教団に新たなる月の昇天を実現させる。

5.儀式

すべての入信者は、どこかの時点で特別な儀式に呼ばれる。その時が来たら、誇りに思うように!我々の中でも最も優秀な者だけが、イオンストーンの儀式へ呼ばれる。唯一無二の名誉だ!その理由はすぐに分かるだろう

新たなる月が昇天するまで、休まず熱心に働くこと。新たなる月を崇める、ドラゴンを崇めよ!

世俗の霊魂The Worldly Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

ニルニ。緑の母。調和の霊魂。その霊魂は弱まったとはいえ、ニルニは今でも暖かい砂や鬱蒼と茂るジャングルなど、定命の者が大地を侵害していない全ての場所において感じられる。カジートは彼女の秘密の守り手である。なぜならニルニの霊魂は定命の次元に生命を植えており、それはローカジュからニルニへの贈り物だったからである。ニルニは常にファドマイの寵愛を巡ってアズラーと争おうとしていたため、時として嫉妬深き姉と呼ばれる。しかし、ニルニはアズラーよりも美しい唯一の霊魂だったと言われている。

ワイファー。古代の形作る者。オーナールの落とし子の一人。彼は父親と違い、賢く優しかった。ワイファーは最初の花を創造することでニルニの心を動かし、伴侶とした。そして二人は多くの子を設けた。ワイファーはローカジュの死後、どこかの時点で深い闇に堕落させられた。混沌に囚われたワイファーは、ニルニを攻撃して殺してしまった。アズラーとケナーシ、ハーシーンはその復讐としてワイファーを滅ぼし、その骨でニルニの墓を作った。木の国に住む民には今でも彼の声を聞くと言う者もいるが、我らカジートはもはや彼に話しかけることはない。

ハーシーン。狩人。追及と目的ある変化の霊魂。ハーシーンはニルニに恋をしていたが、彼女はワイファーを伴侶に選んだ。悲しみに暮れたハーシーンはワイファーの勇者グラーエルクを屠り、その頭を戦利品として被った。彼はニルニの子どもたちを愛し、しばしば彼らに交じって歩く。カジートは道から迷った時、ハーシーンに祈るべきである。狩りの父はいつも道に戻してくれる。ハーシーンはニルニが最初に出産した子供たちの父親であると主張する部族もいる。この子たちが双子月のごとく変化に富むからである。そうした部族は、この子たちがジャ・カージェイのための器として選ばれたのだと述べている。

ハーモーラー。監視者。潮汐の霊魂。ハーモーラーは自らが知覚する全ての出来事を記録し、それを海底の大蔵書庫に貯蔵している。忍耐強い霊魂であり、世界が創造され、ケナーシが双子月とその運動を維持できなくなってから、アズラーがその仕事をこなすのを助けた。彼は他者の知識の番人でもある。自分が学ぶこと全てをアズラーと分かち合い、アズラーはよく彼の蔵書庫を歩いている。道の途上で試されることを望むのでない限り、この霊魂を呼ぶべきでない。ハーモーラーの仕事を邪魔してはいけない。

サンジーン。第二の出産で生まれた血の神。サンジーンは本来悪しき霊魂ではないが、彼の領域にある全てのものは、真の猫を道から逸脱させることをカジートは知るべきである。それは血の渇望と目的なき快楽である。サンジーンへの堕落は闇に屈することではないが、肉に屈することである。サンジーンはカジートを誘い、不死の肉体を得させようとするが、これはジャ・カージェイの全ての霊魂の牢獄である。サンジーンはそれゆえ道の途上で試す霊魂であり、克服されねばならない。彼を打ち破る秘訣は無視することであり、我々はこれをマファラから学ぶ。マファラは言う。真理のみを渇望せよ、と

生存者の自責Survivor’s Guilt

エーケンは死んだ。一緒に育ち、砂漠を走って競争して、剣に見立てた棒で遊び、何年も他人の戦争で戦って金を稼いだ。盾の衛兵の仕事に落ち着いた時、少し早く引退したように感じた。

ドラゴンが来るまでは。

いつものようにパトロールをしていた。恐ろしい鳥は繁殖の季節だったから、明らかに怒りっぽくなっていた。だが、エーケンにはアルゴニアンから習った技があった。乾燥したヒョウタンにいくつか穴を開けて、長い紐に結ぶ。馬鹿な真似はよせ、と言ったんだが。彼がそいつを頭の上で回すと、ジャッカルの群れのような音が出た。鳥たちは逃げていった。

いい考えだな、と彼に言ったことはなかった。馬鹿だったよ。いい考えだった、だが…

エーケン、お前はバカ野郎だ。そいつでドラゴンを追い払うなんて、無理に決まっているだろう。ドラゴンはあいつを一口で飲み込んだ。何もできず、あいつの叫び声を聴きながら漏らすしかなかった。

私は逃げた。すまない、エーケン。私は臆病者だ。

あいにく、誰にも許しては貰えなかった。ジャッガの瓶の底にも、ショーンホルムの安いワインの底にも、スクゥーマのゴミにもなかった。二日酔いと砂糖小屋が残るだけだ。喉が髪の毛に覆われているような気分になる。代わりに神を頼れば、司祭たちはつまらない説教をするだけだ。これは神々の意志であり、救いは祈りの中にしかない、とかな。

実にくだらん。あいつらには何も分かっちゃいない。

エーケン、何とかしてやる。お前を守るはずだったのに、いざという時に何もできなかった。私は忌々しい人食いウッドエルフに指を食われながら素手で絞め殺し、素早いウェアウルフにも追いついた。だが、あのドラゴンに会った時、初めて怖気づいた。

遠くでドラゴンが飛んでいるのを見た。何時間も輪を描いて飛んでいる。私がここにいると分かっているんだろう。復讐をするつもりはないが、少なくとも我々の父の幽霊は、この臆病者を死ぬまで呪いはしないだろう。

愛していたぞ、兄弟。もうすぐ会いにいく。

多くの糸The Many Threads

アマフィが見える、司祭のふりをしている
その心は黒く、高みに昇ることはない

水は甘いとオラヌは言うだろう
月の下、彼女は心安らかに留まる

ガード固き盗賊、マグパイを探せ
南にあるのは彼女の死、安らかでなかったと願いたい

ブファサは、いつも騒がしく喧しい
彼は自信に満ち、誇り高く家へ向かうだろう

美しきセレイズは木々の下で静かに眠る
破滅の石の砦にて

幸福なるヒージャーを、私はいつも思い出す
学校ではきっとうまくやれただろう

老グラスティアは今や無言で、丘の上にただ一人
彼女を悩ます風も、風車が挽く穀物もない

ダンサーはいつでもスリルを求め
盗賊たちと共に隠れるが、その善し悪しは知らぬ

ファロは無口で背の高い、寂しい見張りを見つけた
特別な眺めだが、それだけではない

ケスタは秘密を明かさない、だがいつも見ている
彼女は塔を見張る。遠くから、高くから

ジャロは私を驚かせた。街へ戻ったのだ
断頭台で冷たくなった。憐れみは覚えない

忠告The Good Bits

(この伝承の書には、ドラゴンの肉片を使って特別な薬を作る方法が体系と一緒に記される予定だ)

敵対する霊魂The Adversarial Spirits

沈黙の司祭アムン・ドロ 著

シェッゴラス。精神の神。彼の領域は定命の者の心であり、その安定性である。シェッゴラスは道の上でカジートに自らの考えや信念、行動の真理について疑念を抱かせることで、試練を与える。彼はカジートがハーモーラーの図書館を訪問する前に道の途上で対決し、克服しなければならない存在である。部族の中にはシェッゴラスが死んでおり、何か別の者に置き換わっていると信じるものもある。

オーカ。多くの道を通ってボエスラを追った悪魔。病の呪いを話し、それ以外の言葉を知らない。ローカジュ、ケナーシ、ボエスラは古代の歌でこの悪魔と戦ったが、オーカを追放できても死なせることはできなかった。カジートはオーカとその仲間が道の途上における試練であり、それ以外の何ものでもないと理解すべきである。

デイゴン。悪魔の猫。メルンズとも呼ばれる。彼はファドマイの二度目の出産の時に生まれた猫だが、すぐに破壊的で手の付けられない存在になった。オーナールは彼を追放したが、デイゴンは多くの道でなく深い闇を探索することを選び、悪魔モラグに敗れた。モラグは世界の創造まで彼を苦しめ続けた。混沌の時、モラグの妻はメルンズを解放し、その破壊的な本性をラティスに対する武器として利用したと記されている。メルンズはこれに夢中になり、同族殺しとなり、それゆえ我々がデイゴンと呼ぶ悪魔になった。道の途上で彼に立ち向かうだろう。

モラグ。12の悪魔王の1人。支配と至高法の古い霊魂である。この悪魔はデイゴンやメリド・ヌンダと共に、意図的にラティスを攻めた最初の者である。ボエスラとモラグはラティスの前で戦ったが決着がつかず、アズラーは彼女のみが知る秘密によって、この悪魔王に手枷をはめた。モラグは試すだろう。そしてカジートは規則に対抗する意志、ボエスラの力によって彼を克服するだろう。

メリド・ヌンダ。貪欲の偽りの霊魂。孤立した輝き。彼女はマグルスの娘だが、マグルスは自身と自分が作り出したものしか愛さなかった。マグルスは伴侶を持たなかったが、エセリウスで子を作った。メリド・ヌンダは愛なき光から生まれた冷たい霊魂である。彼女は知恵なき知能であり、目的なき知識である。メリド・ヌンダは悪魔の仲間であり、力強きローカジュの死を引き起こした張本人であるとして彼女を非難する歌もある。メリド・ヌンダがラティスを攻撃しようとした時、アズラーは彼女をヴァーリアンスの門の前で倒し、彼女を引きずってそこから離れた。そしてアズラーはメリド・ヌンダを虚無に投げ込み、鏡でそこに閉じ込めた。遊牧民によれば、メリド・ヌンダはその後脱出したという。

東からの恐怖Terror from the East

悪魔がケナーシの地へ来た時
彼女は運命だと知っていた
彼女の子供たちは最後の戦いを挑み
真紅の門を開いた

まず誇り高く力強いアルコシュが来た
黄金のたてがみをまとい
悪魔が存在してはならず
倒されねばならないと知った

次に強きローカジュがやって来た
その剣は青の輝きに燃えていた
彼は闇を再び押し返し
悪魔を追い払った

最後に来たのはニルニを嘆くハーシーン
彼はニルニの墓を骨で作った
樹木の茂る緑から、黒くなった海へ
ハーシーンは孤独に彼女を見守る

東から来た悪魔Demon from the East

王国は砂漠に広がる
平和が幸せな地を暖める、
心が放つ光が闇を照らす
時の糸に包まれて。

悪魔が東から現れ
深紅の獣が続く、
この地は破壊され枯れた
民には恐怖しかない。

戦士が剣を太陽に向け
後に続く戦士たちに呼びかけ、
アルコシュは紡がれぬ糸を導き
彼の勇者は進む。

異国の岸から戦士が集まり
この恐ろしい戦いに加わる、
戦士の傍らで歩み
戦いに備える。

深紅の獣は気高く
悪しき敵を倒すために角を与える、
その音は悪魔を地に落とす。
勝利は目の前に見える。

戦士は最後の戦いに挑む
恐ろしい悪魔との戦いに、
冷たく血塗られた平和な砂
空を夜が包む。

鎖と魔法が悪魔を固く縛る
闇の奥に閉じ込める、
戦士は新しい夜明けの光を祝い
再び平和が訪れる。

南エルスウェアのドラゴンDragons of Southern Elsweyr

市井の学者、グザンドリア・プレヴェット 著

北エルスウェア(別名アネクイナ)で行われているドラゴンの破壊に注目が集まっているが、南エルスウェアもこの悪質な獣の災難に直面している。これはこの野獣に関する私の体験記録だ。無論、遠くからの。私はドラゴンハンターではない!

センシャル近くを訪れた際に、ドラゴンの目撃者に初めて出会った。彼らは大きな赤い野獣が空を切り裂くように飛ぶ様を描写してくれた。ドラゴンが攻撃する前に目撃者は逃げた。この賢い行動指針に対する判断は差し控えるが、私は逃げない。代わりに分類し、記録するべく努めたい。

私は意を決して、目撃者が最後にこの赤いドラゴンを見た場所へ向かった。幸いまだ周囲に居残っていたので、近づいて少しの間観察できた。そして角の構造に奇妙な点があるのに気づいた。あれは角の欠損だろうか?しばらくしてドラゴンは飛び去った。何一つ傷つけはしなかった。ドラゴンの目的は分からないが、どんな騒動も損害も引き起こさなかったことに興味をそそられた。北で報告されてきた事態とはまったく異なる。このドラゴンが無害だという可能性はあるだろうか。悲しいかな、そのような考えを客観的に証明する証拠がない。

その後まもなく、別の赤いドラゴンがセンシャル近くの焦土に現れた。明らかに狩りの意図を持っていた。ドラゴンハンターの一団も現れ、派手な戦闘が起きた。私はドラゴンが叫び、吼える際にその名が分かるのではないかと期待しつつ観察した。ドラゴンはハンターに倒されたが、私は死ぬ前にドラゴンへ近づき尋ねた。「お名前を教えていただけませんか、記録できるように」

「定命の者よ、お前に名を教える価値はない」そう言って、ドラゴンは息絶えた。残念だ。きっと次のドラゴンはもっと協力的だろう。後世のためなのだ。私はこの赤いドラゴンをどちらも「名称不明のドラゴン」の中に入れた。マスナン修道士が、第二紀373年のドラゴン地図で記録したように。

次に、私は南の採石場近くで黒いドラゴンが目撃されたと聞きつけた。私は忠実な馬に乗り、急いでそこへ向かった。このドラゴンが動く姿を見られることを願って。今回も幸運だった。ドラゴンは採石場が見渡せる岩の上に止まり、私には見えない姿に向かって話をしていた。

「私はラートヴロン、お前の主だ。命に従え」とそいつは声を張り上げた。

ドラゴンが自分の名を語るのを聞けるとは、何と幸運だろう!私はそれを書き留めると、ドラゴンと手下に少し近づきすぎていたことに気づき、慌ててその場を去った。学者の探究心は時に救い難い。

私はセンシャルに戻り、そこで新しいドラゴンガードについて難民たちが話すのを小耳に挟んだ。古代の組織が、我々をドラゴンから救うために戻ってきたのだろうか?私は彼らを探さねばならない。もちろん、研究のためだ。

誰に紹介を頼めるだろうか?

破滅と闇を越えてThrough Doom and Darkness

選ばれた戦士は死が確実であっても、恐れを抱いてはならない。
それにより闇を心に忍び込ませてはならない。

命を軽んじる時、死を恐れないことは容易である。
それは闇の欺きである。

選ばれた戦士は胸の内に燃える炎を強め、
心を命と愛で燃え上がらせる。

彼らは必要によって戦い、
自らと他の者の命を守る。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

風の子供たちChildren of the Wind

立ち上がるのは爽やかな風
素敵なのはシカモアの種
クルクルとワルツを踊る
翼の上で踊る

故郷から遠く離れ
強く吹く風に運ばれ
ついに見つけたのは安らぎの場
根を生やすのは新たな木

すぐに嵐を呼んで羽を曲げ
優しい雨には羽を休め
そして雨が止み
吹き飛ばして太陽は自由になり

やがて雲により育まれ
若木の枝は伸ばされ
いくつもの春を越えて伸びる
翼はいっぱいに広がる

そして強風は種を飛ばす
白いシカモアを旅に出す

未送付の手紙Unsent Letter

アクイラ・ペルトラシウス司令官殿

第二紀562年、薄明の月16日

閣下

申し上げにくいのですが、先の火耀に話していた保護の儀式を先延ばしにするか、見直す必要があります。欠かすことのできない参加者の1人、魔闘士ホノリア・ガラナが昨晩脱走したのです。手ぶらで去ったのであれば、同じ程度の技術を持つ魔術師を探して彼女抜きで儀式を完了できたでしょう。しかしまずいことに、彼女は重要な試薬を持ち去っていきました。我々は危機に立たされています。特別委員会を招集してこの裏切りについて話し合うと共に、ガラナが見つかった際に与えるべき懲罰について考慮することを正式に要請します。

ダイアモンドに手を置いて誓いますが、この困難の中にあっても、私は全力を尽くして儀式を行う所存です。しかし以前に申し上げた警告を繰り返しておかなければなりません。この呪文は死霊術の実践にある意味でとても近いものです。魂に影響を与え、あるいは変化させる魔術は常に危険を伴います。しかしすでに話し合った様に、ナハテン風邪に対する感染の脅威は、私の予測によれば士官学校の学生と学部にとって、遥かに大きな脅威となっています。ガラナの試薬なしに儀式を行えば、失敗の危険はより高まります。しかし我々は行動を起こさねばなりません。でなければ、ヴィトゥラシウス百人隊長の運命が、士官学校に属する他の者へも拡大するでしょう。

八大神がこの試みと、我らの愛する帝国を祝福しますように。

閣下の僕
魔闘士ジャノ・インヴェル

無限のジャダッリJa’darri the Endless

ケナーシの息吹とローカジュの影

彼女は誇りをもって道を歩んだ

アズラーの光とアルコシュの咆哮

彼女は頭を下げ、祝福を受けた

赤き獣の角と神聖なる仮面

彼女の終わりは、始まりにすぎない

迷子の猫Lost Cat

こんにちは!

これを読んでいるなら、あなたは私の大切な猫、テンダークロウのそばにいるはず。彼はすぐどこかに行ってしまう癖を持っているの。ありがたいことに、彼はいつもこのメモを持っている。もしよければ、彼をセンシャルの南にある家まで連れていって。それが面倒なら、動物のことを気にしてくれる、他のもっと役に立つ通りすがりの人のためにメモを置いていってね。どうもありがとう!

キシマ

追伸:彼は自分の眼帯について何か言われるのを好まないの。だから、気づかないふりをしてやってね。

優しい風によりBy Gentle Winds

選ばれた戦士は絶望の淵の中でも、
常に優しい風が導くことを受け入れねばならない。

だが導きがあってさえ、彼らは自分の意志で運命へ歩んでいかねばならない。
それは英雄の定めである。

選ばれた戦士は目の前に敷かれた道を辿り、
その確信によって心を強める。

彼らは選ばれた道の途上にいる、全ての者を導く光となる。

このことを知れ。でなければ仮面を被ってはならぬ。

贖罪のマントラMantra of Redemption

迷い猫、あなたは月光が届かぬ場所をさまよってきた。しかし私は黄昏で待っていた。あなたが耳を傾けるように。

ローカジュは闇の中で、あなたを迷わせている。不実な曲を聴かず、こちらに尾を向けなさい。

アズラーの言葉で心を満たし、闇を振り払いましょう。私の歌が、あなたを家に導く。

月のラティスを抜けて戻り、愛しい光を浴びなさい。

喜びなさい、迷い猫。あなたは見つけられました。

アネクイナの蔵書庫

Anequina Archives

アカヴィリの埋葬儀式On Akaviri Burial Rites

古代学名誉教授レリエン・アーニーズ 著

アカヴィリの謎めいた蛇の民はタムリエルの海岸に異国情緒あふれる多くの慣習を持ち込んだが、その中でも埋葬の儀式ほど奇妙なものはない。最も奇怪な伝統はすぐに消え去ったものの、アカヴィリの末裔であるインペリアルは蛇の民の比較的穏当な儀式の多くを保った。以下の記述は網羅的なものでは全くないが、若い研究者に対して、アカヴィリの墓地がどのような学問的、物理的な困難を提起するかについて、一定の理解を与えると想定される。

一例として、大蛇の墳墓を挙げよう。カジートの建築家はこれを、元々リンメン王家の霊廟として考案した。しかし第二紀400年におけるアカヴィリ最高顧問の失墜と、それに伴うシロディール社会の混乱により、アカヴィリを祖先とするインペリアル数千人が移住することになった。彼らは国境を越え、大挙してエルスウェアに押し寄せた。常に日和見主義者であるリンメンのカジートは、この新たな居住者の尊い死者をカジートの墓地に引き取る名誉を与えた。値札を付けて。当時、アカヴィリの死者数は現地のカジートの死者を大幅に上回ったため、この建造物の名を「大蛇の墳墓」と変えたのである。

どの記述に従っても、古典的なアカヴィリの埋葬は厳重に管理されたものだったという。蛇の民の儀式は死者の体を、顔を除く体全体を覆う豪勢な絹の衣で縛りつける。顔の部分には細かく意匠を施した仮面を置くが、しばしば位の高い者には銀、低い者にはブリキの飾りが配してある。この仮面は通常、不気味な大蛇やその他の怪物の姿をあしらってある。これは悪霊を追い払うためかもしれないが、むしろ迷信深い墓荒らしへの対策の可能性が高い。それ以上に大事なのは、葬儀を執り行う者は死者が身に着けていた先祖伝来の武具を、遺体の側の台座に置いたことである。こうした武具はとても価値が高い。盗賊は定期的に壺を漁り、石棺をひっくり返して鎧兜を探し、裕福な収集家に売ろうとする。しかし危険もある。

まるで怒れる霊魂が操っているかのように自ら起き上がって身を守る鎧の存在は、多くの歴史家が言及している。こうした記述を顧みない者もいるが、従わないのはとても愚かと言える。忘れてはならないのは、墓地の探索において、適度な迷信が有用な点である。

アカヴィルの不思議Mysterious Akavir

アカヴィルは「竜の国」、タムリエルは「暁の神秘」、アトモーラは「エルダーウッド」をそれぞれ意味する。ヨクダの意味するところはレッドガードにしかわからない。

アカヴィルは野獣の王国である。人間もエルフも暮らしていない。かつて人間が住み着いたことがあったが、彼らはとうの昔にツァエシの生血を吸う蛇人に食べられてしまった。たとえ食われずにすんだとしても、遅かれ早かれタムリエルに移り住んだことだろう。ノルドはアトモーラからタムリエルに向かった。ノルドよりも早く、エルフはアルドメリスを捨ててタムリエルを目指していた。レッドガードは旅をするためにヨクダを破壊した。人間やエルフなら、タムリエルが創造の中心であること、そこで最終戦争が勃発すること、神々がロルカーンを破壊して謎めいたアダマンチンの塔をあとに残した土地であることは知っている。アカヴィルがタムリエルをどうとらえているのかは誰にもわからないが、考えてみるといい。どうして彼らは三度以上もその地を侵略しようとしたのか?

アカヴィルにはカマル、ツァエシ、タン・モー、カ・ポツーンという四大国家がある。タムリエルに攻め込んでいるときをのぞけば、彼らはお互いに戦っている。カマルとは「雪の地獄」という意味で、悪魔のはびこる土地である。夏がやってくると活発になり、毎年のようにタン・モーに攻め込むが、勇敢な猿人たちが彼らの侵略を許さない。かつて悪魔の王、アダスーム・デア・カマルがモロウウィンドの征服をもくろんだものの、アルマレクシアと地底王の手により、レッドマウンテンで成敗された。

ツァエシは「蛇の宮殿」という意味であり、かつて(竜虎が訪れるまで)はアカヴィルで最大の勢力でもあった。アカヴィルの人間を食いつくしたのはこの蛇人ではあるが、その姿はどことなく人間のようでもある。すらりとして美しく(恐ろしくもあるが)、黄金の鱗におおわれ、永遠の命を持つ。近隣の島々に暮らすゴブリンを奴隷にしてこき使い、その生血をすする。ツァエシの領地は広大である。タムリエルの民がアカヴィルと聞いて思い浮かべるのはこの蛇人である。前世紀には蛇人のひとりがシロディール帝都を四百年にわたって支配したことがあるからだ。その名を最高顧問ヴェルシデュ・シャイエといい、モラグ・トングの手で暗殺された。

タン・モーとは「千の猿の島」という意味である。いろいろな種類の猿人が暮らしており、みな一様に気さくで、勇ましく、単純である(なおかつ、多くは狂っている)。周囲の国家の襲撃によって奴隷にされかけたことが何度かあるため、もしものときは軍隊も組織する。蛇人と悪魔のどちらとも憎んでいるはずだが、あえてどちらかを選ぶとなると、彼らはきっと「蛇人」と答えるだろう。かつては仲たがいしていた時期もあったが、カ・ポツーンの虎人とは同盟関係にある。

カ・ポツーンとは「竜虎の帝国」という意味である。この地の猫人は、竜虎である聖人によって統べられている。今や立派な帝国であり、その力はツァエシをもしのぐ(ただし、海上ではまだかなわない)。蛇人は人間を食いつくしたのち、竜族を食いつくそうとした。赤竜はなんとか奴隷にしたものの、黒竜はポツーン(当時の名称)に逃がしてしまった。大戦が勃発し、猫人も蛇人もぼろぼろに衰弱し、竜族は絶滅した。そのときから、猫人は竜族になろうとしてきた。その最初の成功例がトシュ・ラカである。彼は世界最大の竜であり、その体は橙と黒で彩られ、その頭脳は新鮮なアイデアに満ちている。

「まずは、生血を吸う蛇どもを皆殺しにしよう」と、トシュ・ラカは言う。竜虎の帝国がタムリエルを侵略するのはそれからだと言いたいのだろう。

アジン・ジョーの日記Azin-jo’s Journal

自分の時間が残り少なくなるにつれ、毎日が長くなっている気がする。務めを続行するため、アルコシュが力を与えてくれることを祈っている。この者は偉大な聖堂という重荷を背負うのに必要な体力を持たない、年老いたカジートにすぎない。

* * *
アジン・ジョーはずっと前にいなくなった友人と家族のことを思う。信仰を次第に失っていった者たちとは長い間会っていないし、残った者たちは全員死んでしまった。自分の番になったら、後任となる者が誰もいないのが心配だ。

* * *
アジン・ジョーの心には常にアルコシュが存在している。カジートが最も偉大なる神を忘れるとはどういうことだ?リドル・サールを軽蔑すべきでないのは分かっているが、たてがみは神々に取って代わるのではなく、神々を称えるように導くべきだ!ラジーンでさえ、共有することを心得ているのに!

* * *
どうやって説明したらいいのか分からないが、後世のためにこの奇跡を記録すべきだということは分かってる。アジン・ジョーは今日、アルコシュの訪問を受けた。夢でも幻覚でもなく、足元の石と同じように本物だ!内陣で祈っていると、影に包み込まれた。晴れた一日で、日没までずっと祈っていたわけでもない。頭を上げた時、目にしたのは思いがけないものだった。

空から、太陽のような黄金色で、日差しのように輝く大きなドラゴンが下りてきたのだ!私たちが必要とした時に、猫たちの竜王がついに山へと戻ったのだ。アジン・ジョーは地面にひれ伏し、自分のようなしもべの祈りに答えてくれたアルコシュに礼を言った。偉大なるアルコシュは雷の声でこう言った。

「仲間のところへ行き、私の帰還を伝えよ。ここへ連れてきて聖堂を再建せよ。私への信仰を持つ者は、この先の未来に居場所を持つだろう」

明日、アジン・ジョーは山を下りて、この素晴らしい知らせを伝えよう!

アネクイナとペレタイン:紹介Anequina and Pellitine: An Introduction

パーラッティーン学会、スレマ 著

あらゆるものを疑うよう教えてくれた先生たちに敬意を込めて。常に逆立てた毛と伸ばした爪をもって伝承にあたらんことを。

学者たちがエルスウェアについて真実とみなしていることの多くは、シロディールやその他非カジートのロアマスターや学者の偏見と知覚を通したものである。元来カジート部族の名であるネ・クイナルとパーラッティーンはそれぞれ、一般的にアネクイナおよびペレタインとして知られているが、これはシロディールを拠点とした研究の優勢と、非カジート研究者による現地人の伝承の軽視、および現地で得られる情報の喪失によるものである。当初は交易やその他の社交のためにしか定住地を持たなかった遊牧民族に対し、部族名と地域を、まるで地域に常時存在していたかのように結びつけるのは問題がある。それは特定の地域の所有を含意することになるが、各部族は現在エルスウェアと呼ばれる地方を、必要に応じて移動していた。ネ・クイナルとパーラッティーンの名はタアグラ語であると言う者もいるだろう。それは許容できる考察ではあるが、この者の感覚ではこうした名称を部族に対して使い、シロディールの名称であるアネクイナとペレタインは地域に用いるのがより正確であると思われる。

当初はカジートの月の皇帝が単独で地域を支配していて、その中には第一紀461年に即位した名高いダルロック・ブレイもいる。この時代、エルスウェア地方には16のカジート部族が遊牧しており、それぞれが何らかの機能を果たしていた。例えばネ・クイナルは戦士で構成されており、部族の成員に武術や戦術の訓練を施していた。当時も各部族は特定の地域や領域に属していたと言う者もいるが、それは単純化が過ぎる。カジートは多かれ少なかれ必要な場所、あるいは彼らが望む場所に移動した。典拠としては子守歌「ハサ・ザジャ」あるいは「名前の踊り」を参照のこと。この中には部族が名を獲得した経緯についての、知られている中で最初の物語がある。

各部族がそれぞれの専門領域を洗練させ、外部の圧力が彼らを決まった役割と、地理的に限定された地域に制限したことで、カジートにも部族の領域という概念がある程度は根付くようになった。こうして民族と地域の両方をネ・クイナルと呼ぶことがより正確になった。しかし「より正確」は完全な正確さを意味しない。部族を持たないカジートによって第一紀2243年に書かれた詩「ザン・ザブ」は、部族名から地域名への移行の様子を示しているが、詩の中で言語が変わっていく間も、移行の必要に疑問を呈している。

そして第一紀2260年にスラシアの疫病がやって来る。死者の数があまりに多く、カジートが飢餓と困窮で完全に死滅することを防ぐため、部族の機能は変化した。16の部族は2つになり、理念においても地理的領域においても切り離された。ネ・クイナルは部族の風習に従って遊牧を続け、主に乾燥した北部地域で活動した。パーラッティーンの者たちはより緑の多い南方地域に留まり、他の地方、とりわけブレトンとシロディールの風習を取り入れ、彼らを模倣した政治的・社会的構造を築いた。

上記の全てはアネクイナとペレタインのカジートの差異の由来を理解させてくれる。アネクイナの者たちは北のより過酷な気候で部族の伝統に従い続けたため、南方の怠惰と腐敗、弱さしか見ない。他の民の生き方に従い伝統を捨てたことで、南のカジートは心も体も軟弱になったと北の目には映ったのである。ペレタインのカジートから言えば、彼らが北に見出すのは干上がった大地と、軍国主義的な蛮族だけである。こうした南の者たちにとって、力による支配は忌むべきものであり、アネクイナにはまだ建造物が残ってはいるとはいえ、未だに多くの者が家もなく遊牧民生活を送っている事実は、ペレタインの人々に北のカジート文明の程度の低さを印象づけるだけだった。

時と共に、南北カジートの分断は深まっていった。この断絶の修復を始めるには、婚姻を必要とした。第二紀309年、アネクイナを支配するキールゴとペレタインを支配するエシタが結婚し、現在のエルスウェア地域ができあがった。両方の民がこの同盟によって裏切られたと感じ、自分たちの価値観を共有しているとは思えない連中と命運を共にすることになったと毒づいたが、当初は不和もある程度の収束を見せていた。そこに、いくつかの衝撃がこの地域を襲った。第二紀324年にはセンシャルにおける最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの暗殺があり、第二紀326年にはネ・クイナルの崩壊と、その結果として王家の大半の人々が反乱したカジートに虐殺される事態が起きた。どちらの事件もエルスウェアの政治構造を弱体化させ、さらなる不安定の種をまいた。より詳しくは「ザ・ジャヴァン・カーチン」あるいは「双子国の踊り」と題された当時の口伝史料の文字起こしを参照してほしい。

おそらく、カジートの内在的な性質が政府の直接的な崩壊を防いだ。アネクイナとペレタインのどちらに属する者たちも、自立した思考と適応を好む傾向にあったので、政府が彼らを長期間支配するのは難しかったのである。

しかし病は我々皆に降りかかる。第二紀565年にナハテン風邪が襲うと、エルスウェア統治政府という不安定な構造はさらに損害を受け、リンメンの市政体の接収と、それに続く出来事の引き金を引いた。

アネクイナの動物の見分け方とその味Anequina Animal Identification and Tasting

フロドキル・ミンスミート 著

お前は肉が好きか?フロドキルのように暖かい気候を求めてエルスウェアに来たのか?いい選択だ。ここには雪がない。この者はずっと昔、ウィンターホールドで罠師をしていたが、今ではもう何年もアネクイナに住み続けて言葉を学び、サバンナの猫たちに手を使わず獲物を捕らえる術を教えている。フロドキルは絵が描けないので、捕まえるべきものをただ教えよう。幸運を祈る。

ジェルボア

エルスウェアには沢山のネズミがいる。フロドキルが思うに、だから猫も沢山いるのだ。ネズミは通常、あまりよい食料ではない。スキーヴァーは別かもしれないが。アネクイナにはジェルボアというウサギのようなネズミがいて、これがいいミートボールになる。本当のことを言うと、フロドキルはあれがウサギなのかネズミなのか分からない。長い耳と足を持つが、尻尾も長い。見れば分かると思う。沢山見るだろう。あれはすぐに繁殖するのだ。1日に2、3匹捕まえて食料にしても、気にも留めなそうだ。ちょっと甘い味がする。ムーンシュガーを食べるせいだろう。

フェネック狐

フロドキルには猫のように見える、耳の長い狐もいる。だが猫ではないので、食べても騒ぎにはならない。馬鹿みたいにでかい耳だと思ったが、ちゃんと機能している。この狐は狩るのがとても難しいが、フロドキルにはうまく捕まえる方法がある。狐に食べさせるサソリを何匹か集めろ。あいつらはサソリが好きだ。針は切り落としておけ。ニンニクと玉ねぎを刻む。そのペーストをサソリにたっぷりと厚くもみ込む。ペーストは狐にとって毒だ。殺すと同時に味付けにもなる!狐はフロドキルに狼を思わせるが、それよりも柔らかく、野生の獣臭さが少ない。

フェルルンナー

大きな鳥だ。馬ほど大きくはない。山羊と鹿の間ぐらいだ。足と首が長いが、翼は小さい。この鳥は飛ばないし泳がない。走る。速い。だがとても馬鹿だ。フロドキルはこいつらを大声でまとめて追いやり、仕掛け紐に引っ掛ける。全速力で走ると、奴らは転んで色々なところを折る。骨が脆いんだ。フェルランナーは上質のジャーキーになるが、乾燥させすぎずに調理するのが難しい。ベーコンの脂をとっておくこと。

恐ろしい鳥

さらに大きな鳥だ。ハゲトカゲに似ている。飛ばないが、走り、ジャンプし、爪を使う。とても力が強い。フロドキルはこいつがライオンを踏み潰すのを見たことがある。頭もいい。罠にかけるのは難しく、狩るのは危険だ。死んだ奴を見つけたので、肉を味見した。硬くて筋っぽく、脂っこくて、使い古したブーツのような味がした。避けたほうがいい。苦労に見合わない。

トゲヤモリ

他のヤモリと似ているが、トゲがある。いい名前だろう?日中は素早く動いて虫を狩るが、夜は動きが鈍って暖かい場所を探す。ダークストーンを手に入れて、待ち伏せ場所を探せ。苦労せずに捕まえられるだろう。だがトゲには気をつけろ。味も他のヤモリと似ている。ヤモリの肉が好きなら、トゲヤモリの肉も好きだろう。

ダガーバック

多くの場所で見つかる剛毛のイノシシだ。頭の周りが牙と羽根だらけだ。穴を掘り、その上に毛布を置く。石を重しにする。毛布の上に砂とキノコを散らす。穴が十分深ければ、何週間も食べられる。味は癖が強い。シチューに最適だ。

砂漠アリット

口に足が付いている。フロドキルはこいつをタムリエル中で見た。砂漠の奴が一番凶暴だと思う。大きな口を持ち、あまり食べるところがない。網の罠が一番効果的だ。いったん絡まれば、もう逃げられない。皮膚は硬いが、肉はうまい。噛み応えはあるが。

セプ・アダー

フロドキルはエルスウェアに来るまで見たことがなかった。ハンマーフェルにもいると言われた。大型の砂漠の蛇で、鱗が茶色で背中に翼が付いている。あまり飛ばない。翼は主に捕食者への威嚇と、頭を覆うために使う。だが長距離を飛び跳ねられる。普通なら蛇に網はかけないが、翼がよく引っかかる。皮を剥いで簡単に調理できる。鱗のついた不気味なニワトリみたいなものだ。

ライオン

エルスウェアの猫が全部カジートなわけじゃないが、意外と多くの猫がカジートだ。フロドキルは普段、猫が服を着ていないと見分けられない。エルスウェアにいる間は猫を食べないことを勧める。カジートが悪趣味と考えるからな。しかし、正直に言うとこの肉は美味い。

アネシのメモAneshi’s Note

西に向かってわずかに道を辿り、分かれ道になったら左に曲がる。

傾いた柱のところで、北に向かってわずかに道を外れる。

散乱した遺跡の中に、古い階段を探す。

その先は、倒れた尖塔が道を示す。

ザイマの一番好きな花、スパイニー・ピンクが2輪、壁のそばに生えている。

2つ目の窓の反対側、地面に土が盛ってあるところを掘る。

マスターキーはそこにある。

アブナー・サルンからの手紙Letter from Abnur Tharn

私はアブナー・サルン、魔闘士にして皇帝の元顧問だ。私はカジート防衛軍を支援し、ドラゴンの怒りを阻止するための仲間を求めている。

この恐るべきドラゴンは、カジートがアネクイナと呼ぶ北エルスウェア地域を飛び回っている。私はたてがみの代弁者ガレシュ・リ公のため、彼らの故郷の危機に力を貸すと決めた。しかしこの脅威に対して、自分一人では対処できない。

剣や呪文に自信があり、究極の敵に対して自分の力を試そうという意欲を持つならば、リバーホールドの街にあるカーザブ・ホールで私を探してほしい。

なお、これは本当の話だ。ドラゴンは戻ってきたのだ。

アブナー・サルン

ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリVal Vijah Va Rhook, Baandari

(カジートの祭りの歌)

サバンナの草原を踊り抜け
足取りも軽く我らは進む
さあ、バーンダリの少年よ
踵を打ち鳴らして歩め
さあ、バーンダリの少女よ
尻尾を左右に振り回せ

コーラス
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
抱えた袋は我が世界
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
背中の荷物は我が王国

またしても故郷は動く
荷車の車輪に乗って、我らは行く
さあ、バーンダリの少年よ
激しい風が吹くところ
さあ、バーンダリの少女よ
我らがキャラバン列をなす

コーラス
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
抱えた袋は我が世界
ヴァル・ヴィジャー・ヴァ・ルフーク、バーンダリ
背中の荷物は我が王国

旅人よ、ステップを教えようか
お前を導く星になろう
さあ、バーンダリの少年よ
離れなければ、遠くまで行ける
さあ、バーンダリの少女よ
我らが放浪のバザール

ウィーピング・スカーを抜けてThrough the Weeping Scar

ユーラクシアの部隊はリンメンの支配を日に日に強めている。遠からず、カジートは忌々しい女王の許可なく呼吸もできなくなるだろう。我々はこの荷物を街の外に密輸したことで、注意を引きすぎてしまった。誰かに止められる前に、ステッチズに到着したい。

* * *
最短ルートがウィーピング・スカーを抜ける道だということで合意した。この者は曲がりくねった穴だらけの場所を荷馬車で通るのは好まないが、従うつもりだ。

* * *
道は狭く険しい。荷馬車が足掛かりを失って岩の傾斜を滑り落ちた時の事故を防ぐため、間隔を空けておかなければ。ウィーピング・スカーは距離こそ短いが、早く通れない気がしてきた。少なくとも、忌々しい女王の監視の目からは遠く離れているが。

* * *
ここは静かすぎる。ギザギザの岩や尖った植物の隙間から、乾いた空気が立てる唸るような音しか聞こえない。ネズミのカサカサいう音も、鳥の鳴き声もしない。隊商では食料に困らないのが救いだが。

* * *
嫌な予感がする。何かに見られているような。忌々しい女王の密偵がやはり追ってきていたのかもしれない。追跡に備えて数人を後ろに残し、痕跡を隠させよう。

ヴィトーリアへの手紙Letter for Vittoria

ヴィトーリア

サウリニアの暗殺者にやられた。隠れ場所を探せ。だがあまり時間がない。

井戸を調べろ。桶の中に鍵を隠した。

馬屋の地下室の扉を開けられる。そこからカロと残った不正規兵のところへ行ける。

いつも愛していた。

エルスウェアの戦士たちよ!Elsweyr Needs You!

カジの戦士たちよ!

北エルスウェアとその先の地が、かつてない脅威を目にしている。ドラゴン、犯罪者、そして洞窟に潜む獣たちが、愛するアネクイナの至る所から出現しているのだ。そのため、市の評議会や各地の治安部隊がリンメンに集結し、祖国を守るための行動に対して報酬を提供している!

時間と能力のある者は、急ぎリンメンへと向かうこと。ジョイシはいかなる質問にも答える用意がある!

お前のものは俺のもの(ちょっとした泥棒)What’s Yours is Mine (A Little Larceny)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

歩き手よ、執着してはいけない
物質的な物や道具に
知恵は天上にあると言うだろう
双子月の中に、霊妙なる天空に
(素早く考えろ!)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

残念だが、ゴールドを信じるのは間違いだ
真の富は友情と愛
お前に目配せしてるあの踊り子を見ろ
あの子たちの考えてることは分かるだろう
(見ろ!)

俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの
お前が背中を向けた瞬間
お前の持ち物はどこかに行って
もう二度と見ることはない

カジート武術の起源Origins of the Khajiiti Martial Tradition

異国の慣習のサピアルチ、テンドブエイン 著

エルスウェアでも屈指の長い歴史を誇る伝統でありながら、カジート武術、あるいは「爪の踊り」の起源は曖昧と言わざるを得ない。第一紀463年にマールンズの信者によってコリンスの大蔵書庫が焼かれたことで、当該地域の神話紀の記録の大部分が失われたため、私のような文化史家の仕事はとても難しいものになっている。幸いにも名高い征服者、アネクイナの黄金の獣と呼ばれるダルロック・ブレイは多大な努力を払って残された歴史資料を保護し、エルスウェア中の地下室やより小規模の蔵書庫に配置した。言っておくが、こうした蔵書庫の利用権を得るのはハイエルフにとって並大抵の苦労ではない。しかし何年も根気強い粘った結果、それなりの成果があった。

私が確認できたところ、神話紀エルスウェアの生活は辛苦に満ちていた。当時、有名なカジート十六王国は競合する小集団程度の規模であり、残酷な狩人の貴族政治に支配されていた。厳しい干ばつと飢饉の時代が容赦のない規則性をもってアネクイナを襲い、狩人貴族たちの続く反目は広範な徴兵となった。それは農村共同体から若い労働力を奪い、地域の飢饉をさらに拡大させた。狩人公たちの力を制限していた唯一の存在は、双子月の踊りの聖堂だった。カジートのアデプトとその他トルヴァルの聖職者は多大な文化的影響力を持っており、時にはその力を使って特に暴虐な狩人公を苦しめ、権力の座から引きずり降ろすことさえあった。貴族政治はこうした介入に苛立ったが、アデプトに直接反抗するほど愚かではなかった。

神話紀の隆盛時代のある時点で、縞模様の死神タカンジンという名の特別に無慈悲な狩人公が、犯罪者の一団に金を払ってラウル・ハ聖堂に火を放たせた。火災によって居場所を追われた聖職者たちは、即座にアデプト戦士たちの小軍団を出撃させ、犯人たちに報復を行った。紛争の詳細は歴史の中に埋もれているが、結果は明白だった。タカンジンの勢力が司祭たちの反乱を鎮圧し、残されたアデプトたちをデューン王国から一挙に追放したのである。

アデプトたちの邪魔に終止符を打つため、現在のエルスウェア北方にいた狩人公たちはこの機会を捉え、武具徴発の制度を打ち立てた。彼らはラウル・ハでの暴動を聖職者に反逆の意図があるの証拠として挙げ、従おうとしない教団は全て暴力的に鎮圧された。

長期間にわたる深い失望と熟慮を重ねた後、アデプトたちは内に向かった。すなわち、時代の政治情勢とのつながりを断ち切り、全面的に自己の洗練へ集中したのである。宗教的瞑想はこの移行の本質的部分であった。

多くの文化において、瞑想とは静かで動きのない活動である。しかしカジートにとっては違う。カジートの神経質な力とむき出しの身体への集中は、情熱的で踊りに似た瞑想の形態をとった。アデプトたちの踊りが、武術に類したものへ変化するまでに長くはかからなかっただろう。優雅で瞑想的な踊りは、機敏な爪の一撃と大胆な跳躍へ変わった。これはカジートの捕食者としての本能を考えれば、全く意外なことではない。爪と牙を持つ民が、ずっと平和的に留まっているとは期待できないだろう!

何世紀もの孤立の後、アデプトは武術の技と知恵を身に着けて修道院の生活から出てきた。この頃、狩人の貴族政治は終わりに近づいていた。富と権力の格差は臨界点に達しており、長く待ち望まれていた民衆の蜂起を準備していた。アデプトたちは機を逸することなく、厳しい修行で身に着けた技を、虐げられた農民たちに教えた。幾世代かを経て、アデプトの武術は完全に行き渡った。人々が必要としていたのは、きっかけのみだった。

神話紀の後期、反目し合うメイアヴェールとヘルカーンの狩人公が数千の農民を徴兵して従軍させ、エルスウェア史上で最大規模の飢饉を引き起こした。3年間の無益な紛争の後、どちらの公の軍隊もその主人に牙をむき、鋭い爪の一撃や風を巻き起こす蹴り、骨をも砕く拳を雨あられと浴びせ、貴族政治を転覆させた。

間もなく、農民の蜂起は近隣のリバーホールドやオークレスト、ヴァーカース、ブルクラ、ネ・クイナルにも広がった。100年もせずに、数千年もエルスウェアに君臨し続けた壮麗な狩人の宮殿は、権力の座から転がり落ちた。

農村の楽園という輝かしい夢がエルスウェアに実現されなかったことはご存知の通りだ。数百年すると、新たな種類の領地貴族が十六王国の玉座に上り詰めた。しかし民衆は、自分たちの力を決して忘れていない。文字の資料は欠いていても、カジートのクランマザーによる豊富な口伝の伝統は、猫の民が自らの苦難と勝利を決して忘れないように取り計らっている。

私はあくまで部外者だが、我々はエルスウェアで新たな臨界点に近づいているように思えてならない。ユーラクシア・サルンの配下のインペリアルは、数千年前の狩人公とそれほど変わるまい。そして彼女が自分の過ちから学ばないのなら、あの女が辿る運命も、彼らと同じものになるのではないだろうか。

カダビのルールKhadabi’s Rules

私はルールが嫌いだ。だが今、私は自分の望みに反して鉱山で掘っているので、私が見つけた紙片にルールを書き記しておく。書くと覚えやすくなると言うからな。このルールがこれから先、鉱山を避ける役に立つかもしれない。

1. 相手の同意を得ずにつがいを作ろうとしないこと。
2. 相手がパートナーを求めていると決めつけないこと。
3. 外見は当てにならないことを覚えておくこと。
4. もっと早く走れるようになること。
5. 個人が誰かの必要を全て満たすことはできないこと。
6. 理想主義に走るべきではない。
7. もっともっと早く走れるようになること。
8. つがいを作らない方がいいのではないだろうか?永遠に。他人の人生を変えようとするなんて何様のつもりなんだ、カダビ?

キャットフードCat Food

親愛なる嵐の胸のヴィグリ従士へ

ノルド文化交流の栄誉あるリーダーである私、向こう見ずなリガートが、要請に応えてウィンドヘルムにいるあなたへの報告を書いています。私はカジートの民の故郷である、暑く砂だらけの北エルスウェアに到着しました。とても暑く、砂だらけです。ここに住むカジートの数は、きっと信じられないでしょう!リガートの両手足を使っても数えきれません!

リガートは親切な猫の民との友好的な予備交渉に浸かっています。ご安心ください。もうすぐ署名入りの和平協定が手に入り、全面的な文化交流が開始するでしょう。リガートがあなたの期待を裏切ったことがあるでしょうか。まあ、あの時は別ですが。それからあの時も、大層お気に召しませんでしたな。召しといえば、リガートがここアネクイナ(猫の民は北エルスウェアをこう呼びます)で食べた、素晴らしい食べ物について話させてください!

まず、猫の食べ物です。大部分は甘いものですが、かなりの美味です。しかもハチミツ酒によく合います。リガートには3つの料理が印象に残りました。レシピももらってきたので、ウィンドヘルムに戻ったらあなたのために作りましょう。スカルド王を呼べるような饗宴を開けるでしょう!王も参加なさるでしょうか?

私はリンメンの裏路地で屋台を発見しました。そこではビクビクした犬のような猫が大きな鍋をかき混ぜていて、実によい香りが漂っていました。なお、カジートの種類についてはリガートも混乱していますので、細かいことは聞かないでください。その匂いはイェッギ従士の酒場を思い起こさせました。鼻を突く魚と、こぼれたハチミツ酒の甘い香りが混ざった匂いです。実はこの犬のような猫は、甘いタレをかけた魚の一部分を料理していたようです。魚が部位に分かれているとは知りませんでしたが、ムーンシュガーを混ぜて油でカリカリになるまで揚げると、素敵な午後のおやつになるようです。リガートは4人分食べました!

リバーホールドの街では、宿屋〈消えた後悔〉に入りました。実に多くの消したい後悔があるからです。リガートが即座に気づいたのは、猫の民が皆飲むだけでなく、カリカリの小さな揚げ物を手に一杯持って食べていることでした!これを書いていても口から唾液が溢れそうです!臭くて鱗だらけのトカゲをカリカリで美味な食事にできるなど、誰が考えたのでしょう?ハチミツ酒1週間分の費用をかけましたが、宿屋の料理人を説得してレシピの写しをもらいました。猫の民はこの食べ物を食べることを止められないらしく、リガートも同感です。ただ、レシピを読まなければよかった。どうやら彼らは料理を作るのにトカゲの外側ではなく、内側を使っているらしいのです!

味が素晴らしかった食事は、ステッチズの荷車で食べた肉のパイです。甘く香り豊かで肉汁たっぷりのパイが口からお腹に滑り落ちた時、私の味覚は一回転しました。あれは食事なのか、デザートなのか?リガートには両方のように思えました!混乱はしますが、とてもおいしいのです。料理長は、中身にどんな肉が使われているのかリガートに教えようとはしませんでした。「色々なものを少しずつ」と言うばかりです。私のキッチンに戻ったら、試してみなければなりません。心配は無用です。あなたの分も作ります!

さて、旅がこの時点に差し掛かると、リガートにはカジートの甘い料理を食べ飽きていました。辛いウサギのミートボールか羊の後ろ脚の煮込みが欲しくてたまらなかったのですが、ノルドの珍味は北エルスウェアに存在しないようです。しかし暗き月のスパイス入りウィスキーは見つけました。ハチミツ酒は神々の霊酒ですが、猫の民が蒸留するこのスパイス入りウィスキーは、焼けるようなのど越しがたまりません。リガートが思うに、いかに甘いものが好きなカジートでも、普段食べているシロップ漬けの食事から一息つくための飲み物が必要なのではないでしょうか。私はこれを3樽手に入れて、スカルド王への贈り物として次のスカイリム行きの船に乗せるつもりです。ジョルンが前回の私の文化報告をお聞きになった時、彼がいかに強い酒を好んでいたかは知っています。

ノルド文化交流特使、向こう見ずなリガート

クンザ・リ:起源Khunzar-ri: Origin

十六王国伝説の保管者、アネシ 著

数多のカジートの英雄の中でも、強大なクンザ・リほどに冒険と驚異を感じる者は他にいない。神話や伝説の多くがそうであるように、クンザ・リに関する物語はしばしば互いに矛盾し、重要な真実が寓話や比喩に隠されている。この愛すべき英雄の起源を記す物語を考察する場合にもそれは当てはまる。以下に記すのは、クンザ・リの最初の冒険を伝えている最も有名な物語のうちの3つである。それぞれがいかに異なっているかに注意していただきたい。これらは全て真実なのだろうか?そう信じる語り手もいるが、ある偉大なロアマスターの主張によれば、クンザ・リの起源に関する真実は、3つ全てが交差する点にあるという。

* * *
クンザ・リと神聖なる月の光線

最初の爪シャジーアがバルキト王国の勇猛にして強大なクランマザーになる前、彼女は勇敢で好奇心の強い子供で、多くの騒動に巻き込まれた。例えば輝きの隆起の頂上に登って、思いがけず腹を空かせたセンチライオンの群れに囲まれたことがある。先のとがった棒と小石の山で近寄らせないようにできたが、夜になり、疲れて彼女自身も空腹でどうしようもなくなった。そこでジョーンとジョーデに助けを求めると、月明かりが隆起を照らした。その月明かりの中にはシャジーアと同じ年頃のカジートの青年が立っていた。「どこから来たの?」とシャジーアが聞いた。「私はジョーンとジョーデが月明かりと雲と、あなたの勇敢な心から作り上げた者、クンザだ。あなたを救いに来た!」とクンザは言い、そのまま助けたのだった!

* * *
クンザ・リと祠の箱

ある日、身分の低いアデプトが、祈りと供物を捧げるためケナーシの祠にやって来た。そのアデプトは、祠の上に目立つように置かれた小さな箱を見つけた。それを捨てようとすると、中から弱々しい鳴き声が聞こえ、箱が揺れ動いた。中に何か生物が入っていたのだ!アデプトが急いでフタを開けると、小さなカジートの赤ん坊が足をいっぱいに伸ばしてきた。その子を箱から持ち上げると、赤ん坊は子供になって上着は脱ぎ捨てられた。アデプトが子供を下ろすと、その子は青年の大きさになった。「こんにちは、身分の低いアデプト」その若いカジートは自信たっぷりに威張って言った。「私はケナーシの息によって、この祠と周囲に栄光をもたらすために送られてきた」。アデプトはひざまずいて息をのみ、「あなたは… 何者ですか?」と聞いた。カジートはにやりと笑って「今はただのクンザだが、いずれ英雄のクンザ・リになる者だ!」と言った。だからエルスウェアでは、中身を確認せずに箱を捨ててはいけない。

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クンザ・リと歓喜の涙

アルコシュは暗い気分だった。時を守る仕事は大変で、機嫌が悪かった。マーラはそんな彼の気分を晴らそうとしたが、アルコシュはマーラの優しい言葉などに興味はなかった。次にケナーシが気難しいアルコシュに喜びを吹き込もうとしたが、どなられるだけだった。「私の出番か」とシェッゴロスがおかしな笑いを発して言った。「ハーシーンの終わりなき空腹を満たすには、ムーンシュガーがどれほど必要だか知ってるか?」知りたくなったアルコシュは「知らない。どうか教えてくれ」と返事をした。シェッゴロスは指を鳴らして顔をしかめ、「ちぇっ、あんたなら知ってるかと思ったのに!」と言った。アルコシュの顔におかしな表情が浮かぶ中、みんなは沈黙した。そして突然、アルコシュは笑い始めた。その笑い声は空を揺らし、月を踊らせた。彼は昼も夜も30日間笑い続け、ついには歓喜の涙が一粒頬を伝い、エルスウェアに落ちた。その涙は水しぶきとともに地上へ落ち、その奥底から、今にも冒険を始めようかという立派な成人の英雄、クンザ・リが現れた。

クンザ・リ:第一の物語Khunzar-ri: Tales, One

クンザ・リと12匹のオーガ

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ある日、クンザ・リはデューンの近くにある僧房に立ち寄り、長く辛い旅の後の休息と食事を求めた。運悪く、その僧房は12匹の涎を垂らしたオーガに占領されていた。

「これはまずい」とクンザ・リは貪欲なオーガたちが建物を蹂躙する姿を近くの丘から眺めて言った。彼はオーガたちがムーンシュガー・ダブルラムの店に押し入るのを見た時、とりわけ心配した。彼はアデプトの強い酒を特に楽しみにしていたからである。そこでクンザ・リはいい考えを思いついた。

「おお、勇敢にして強大なオーガたちよ」とクンザ・リは呼びかけた。「お前たちが見つけたその樽。ラムが傷んでいるのが分からないか?私はここからでも、その液体が悪くなっている匂いが分かるぞ!」

「傷んでいるだって?」と一番大きなオーガは疑わしそうに言った。「そんなことが分かるものか。まだ樽を割ってもいないのに!」

「私がカジートだと、見て分からないか?」とクンザ・リは誠実そうに尋ねた。「そしてカジートは、嗅覚が特別に優れていることで有名ではないかな?」

「それは本当だ」と別のオーガが言った。「猫と匂いのことはみんな知ってる」

「でも俺は喉がからからだ!」と一番大きなオーガは文句を言った。「傷んだラムなんて飲みたくないぞ!」

「私に考えがある」とクンザ・リは言った。「ここからすぐ近くにネードの砦がある。彼らはラムやその他の酒が詰まった倉庫を丸ごと1つ持っていて、私が通った時は、傷んでいる匂いは全くしなかった。反対に、全て美味な香りがしたものだ!」

それを聞いて喜んだ一番大きなオーガは、アデプトのラムのことなど忘れ、ネードの砦に向かって走った。一瞬の躊躇もなく、残り11匹のオーガもそれに続いた。

「さあ」とクンザ・リは言った。「樽を空けて飲もうじゃないか!」

「しかし、オーガは?」

「オーガだって?もうあれはネードの問題だよ」こうして、クンザ・リは樽を丸々1つ飲み干しにかかった。ジョッキに1杯、また1杯と注ぎながら。

クンザ・リ:第二の物語Khunzar-ri: Tales, Two

アネクイナがクンザ・リを救った話

十六王国伝説の保管者、アネシによる複写

ネ・クイナル・ラス・ル。シロディールの共通語で辛辣なアネクイナは、長くクンザ・リのかけがえのない仲間としてこの地を放浪した。二人を恋人と呼ぶ者もいる。実際、彼らは時としてそのような関係にあった。英雄と呼ぶ者もいる。彼らは確かに英雄的な偉業を成し遂げた。そうした偉業の一つはマオマーに関するものである。クンザ・リとアネクイナが共に旅をしている間、彼らはケナーシズルーストの島を訪ねた。この島ではシーエルフと猫の民が共存し、友好的な時期もあればそうでない時期もあった。この事件は後者の時期に起きたものである。

この物語は複数の説に分かれている。あるものはクンザ・リの活躍に注目しているが、私が一番気に入っているものはもう一人の英雄の姿を描き出している。その説を以下に記そう。

* * *
シーエルフの船長でリンヴァロールという暴漢が、ある月の司祭の娘を誘拐し、解放を求めるあらゆる交渉の努力を拒絶した。アネクイナは考えがあると言ったが、クンザ・リは彼女が止める前に月の司祭の娘を救いに突っ込んでいった。クンザ・リは巧妙で力強かったが、無鉄砲なところもあった。この無謀な行いが祟って、リンヴァロールと乗組員であるマオマーの殺し屋は、苦もなく英雄気取りの男を捕まえてしまった。

こうなったらアネクイナが月の司祭の娘とクンザ・リを救い出すしかなかった。「偉大なるクンザ・リさえ失敗したのに、どうやってあなたにそんなことができる?」と月の司祭は尋ねた。「ふん」とアネクイナは喉を鳴らした。「この者の得意な手を使うだけよ。シーエルフに勝ち目はないわ」

そしてアネクイナは勇敢にもリンヴァロールのキャンプに歩いていき、剣を持った数多くの海賊たちを無視して、シーエルフの船長が士官たちと賭け事をしているところに直接乗り込んだ。彼らは「裏切り者の円盤」、あるいは「剣と盾」と呼ばれるゲームに熱中していたため、アネクイナが彼らのすぐ頭上から覗き込んで「ふーん、面白そうなゲームじゃない。誰でも勝負できるの?それとも、耳の濡れたエルフのゴールドしか受け付けない?」と言うまで、彼女の存在に気づきもしなかった。

アネクイナの落ち着きと自信に驚き、また魅力を感じたリンヴァロールは、彼女に椅子を与えて残りの乗組員を追い払った。「勝負はしよう」とリンヴァロールは言った。「だがゴールドのためじゃない。俺が勝ったらお前は30の日と30の夜の間、俺の奴隷にして愛人となって、共に船へ乗るのだ」。アネクイナはこの要求にショックを受けたふりをして、「で、もしこの者が勝ったら?」と抜け目なく尋ねた。リンヴァロールは笑った。「これまで俺に勝った猫はいない!ましてやメス猫なんて!だから何でも望みのものを言えばいいさ。さあ、勝負だ!」

「いいでしょう」とアネクイナは言った。「この者が勝ったら私たち3人。つまり月の司祭の娘とクンザ・リ、そして私は自由になってここを去るわ」。勝利を確信していたリンヴァロール船長は、この魅力的な猫女を早くベッドに連れ込みたい一心で同意した。

その後に続いた勝負は激しいものだった。リンヴァロールは賭けのたびにはったりをかけて怒号をあげ、アネクイナはルールを知らないふりをして、円盤のタンブラーが振られるたびに怖がって見せた。しかし二人とも熟練の遊び手だった。何巡もして、尋常でない量のワインを消費した後、決定的な瞬間が訪れた。リンヴァロールは円盤を2つ残していたが、アネクイナには1つしかなかった。

両者は残った円盤をそれぞれのタンブラーに入れて回した。そして熟慮を重ねた末、二人はタンブラーを叩きつけ、容器の下の円盤で、「剣」の側か「盾」の側が表になるようにした。リンヴァロールはタンブラーをわずかに持ち上げ、その下を素早く一瞥した。剣と盾が1つずつあるのを確認して、再び円盤を覆った。アネクイナはただ笑顔を見せて、見ようともしなかった。リンヴァロールは決着が近いことを悟っていた。彼は剣2つか盾2つかを当てればいいだけだった。「2つの…」と彼は口を開き、アネクイナの落ち着いた表情から何でもいいから読み取ろうとした。「…盾」と言ったが、宣言よりは質問に近い口調だった。

「あら、大した詐欺師ね、船長さん」とアネクイナは言って自分のタンブラーを持ち上げ、円盤を示した。剣だ。リンヴァロールは眉毛の汗を払い、自分の円盤を1枚脇にのけた。「これが最後よ、船長さん」とアネクイナは言い、残された1枚をそれぞれのタンブラーに入れて振り始めた。アネクイナはタンブラーを叩きつけ、シーエルフに投げキッスを送った。リンヴァロールは唸り声をあげ、同様に叩きつけた。

リンヴァロールは確認のため、少しだけタンブラーを持ち上げた。彼の円盤は盾が表になっていた。アネクイナはまたしても自分の円盤を確かめようとしなかったので、見もせずに言った。「盾が2枚。私たち二人が誰も剣を持っていないのは明らかだから」。二人がタンブラーを持ち上げると… どちらの側にも盾があった。

「イカサマだ!」とリンヴァロールは叫んで立ち上がり、ゲームの駒を払いのけ、残っていたワインをぶちまけた。「まあまあ、船長」とアネクイナはいなした。「シーエルフは少なくとも、約束したことは守るとこの者は聞いているわ。私たちを行かせてくれれば、アネクイナは1年と1日後に戻ってきて、もう一度勝負してあげる」。船長はしぶしぶと同意した。「次の勝負はこういかんぞ」。「楽しみにしてるわ」とアネクイナは喉を鳴らした。

月の司祭の娘を間に挟んで立ち去る途中、クンザ・リが聞いた。「お前は、イカサマをしたんだな?」。アネクイナは無邪気そうな表情を見せた。「それで、本当にあいつとまた勝負するつもりなのか?」。アネクイナは笑った。「当然じゃない!他にどうやってあのお洒落な海賊船を手に入れるの?」

クンザ・リの歌The Song of Khunzar-ri

(神話の英雄の歌)

十六王国が十六部族でしかなかった時
1人の英雄がゆっくり歩いていた、背は高く、力強く、知恵にも恵まれ
その毛並みのよさ!そのかぐわしさ!五つ爪だろうか?いいや、十つ爪だ!
彼は退屈しのぎに巨人と取っ組み合い、センチの巣に突進する!

コーラス
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
声を上げて、高らかに歌え。戦士よ、恋人よ、詩人よ、盗賊よ
彼こそは称えるべきカジート!
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
誇り高く、力強く歌え!勇敢にして狡猾、気後れもしない
彼についていけば間違いない!

どんな地下牢の檻も、どんな錠前も閉じ込められない
神と呼ぶ物語もあるが、確かめられはしない
彼はジョーンとジョーデから光を引っ張り、育ちゆく畑へ注がせた
それが我々に、ムーンシュガーの恵みをもたらした

コーラス
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
声を上げて、高らかに歌え。戦士よ、恋人よ、詩人よ、盗賊よ
彼こそは称えるべきカジート!
あれは誰だ?クンザ・リだ!クンザ・リだ!
誇り高く、力強く歌え!勇敢にして狡猾、気後れもしない
彼についていけば間違いない!

クンザ・リ語録、第一節Khunzar-ri Sayings, Verse One

クンザ・リはかく語る

戦争は双子月の如し

常にあるが

目には見えない

クンザ・リ語録、第二節Khunzar-ri Sayings, Verse Two

クンザ・リはかく語る

ムーンシュガーの新芽が芽生える頃

カジートは慎重に歩き

痕跡を残してはならない

これが沈黙の爪の道だ

クンザ・リ語録、第三節Khunzar-ri Sayings, Verse Three

クンザ・リはかく語る

カジートに金があっても

爪がないなら

それは富ではなく

輝く物体に過ぎない

クンザ・リ語録、第四節Khunzar-ri Sayings, Verse Four

クンザ・リはかく語る

黙って見られずに

敵の背後へ歩き

肋骨へと短剣を滑らせよう

夜へ消える前に

それがカジートの道だ

サウリニア隊長の指示Captain Saulinia’s Instructions

ユーラクシア女王の命令により

以前カロ長官に指揮されていた駐屯軍は私の支配下にある。ユーラクシア女王から直接私に与えられた命令に従うことを拒否したため、カロ長官は反逆の意思があるとされ、不服従のため投獄された。この瞬間から、シグナス不正規兵は全員私の指揮の元、ユーラクシア部隊の活動を支援すること。

このような事情のため、邸宅の母屋は一次的に封鎖され、牢獄および上級士官の司令部として用いる。カロ長官が罪状宣告のため移送され次第、この制限は解除されるものとする。この期間内に母屋を利用する必要がある場合は、タリア副隊長に伝えよ。現在、彼女は地下室への進入を許可できる唯一の士官である。そこから主要階層へ移動できる。

暗殺部隊に選ばれた兵士たちは近く、最後のドラゴンガードを探し、抹殺する任務へ参加する命令を受け取るだろう。

サウリニア隊長

ザザズララへの手紙Unsent Letter to Zazazrala

最愛のザザズララへ

お前がこれを読む頃、ヤナビはもういないだろう。何年もの間、この者はお前の関心を買おうとした。砂糖や甘いバラを贈り、お前が外国旅行でタムリエル中を飛び回っている間、飼い猫に餌をやって世話をした。応接間や便所を鏡のように光るまで磨いた。それでも私の求婚を拒絶する。お前は明らかに、何よりも力強さを重視するのだな。

そして、この者はプレデター・メサに向かった。ヤナビが以前この計画を話した時、お前は嘲笑して私が臆病者だと思った。今、お前は自分が間違っていたことを知るだろう!私がハーピーの羽と恐ろしき鳥の鉤爪を山のように持って帰ってきたら、お前も私のことを見直すかもしれない。

最も熱心な求婚者
ヤナビ

ジャカーンへの手紙Letter to Jakarn

いいだろう、スイートミート。こいつをやってくれたら貸し借りなしだ。とりあえずはな。

トゥヘイバは仲間と一緒にダークプール鉱山へ旅している。遥か西にある硫黄の洞窟だ。だが急いだほうがいい。この者は、あの女がどれだけ滞在する予定なのか知らないからな。

また会おう、可愛い坊や。

N

シャザハの日記Shazah’s Diary

黄昏の月22日

父はシャザハに見るなと言ったけど、見てしまった。

荷車一杯にカジートの死体が積まれていた。そのうち1人はこの者のために市場から飴を盗んできて、毛皮がきれいだねと言ってくれたパフズバルだった。シャザハは何と言えばいいか分からなくて、逃げてしまった。あと1つ飴が残っていたから、埋葬のため彼の手に握らせてあげたいけど、父は荷車に近づかせてくれない。

ありがとうと言えなくて残念だ。この病気がここに来ているのは悲しいけど、父と友人たちが頑張って対処している。シャザハも手伝うつもりだけど、まだ勉強中だ。

黄昏の月23日

父は恐れることはないと言うが、ニエンは誰の意見も聞かないで野菜を煮た。彼女は寝る前、シャザハに物語を聞かせてくれたし、優しかった。みんな、シャザハには分からないと思っている。シャザハはただの子猫だと。でも私には分かっている。変なことをするのは、悪いことが起きているからだ。

市場で燃えている火は、この者が炎の呪文で火傷した時のような匂いがする。それにあの火はもう何日も消えていない。

黄昏の月24日

父は今朝、金持ちの貴族の1人と話をした。みんなはシャザハが眠っていると思っていたみたいだけど、実は起きて耳を澄ましていた。金持ち貴族はこの地区の封鎖を望んでいるけど、父はまだ助けが必要な病人がいると言っている。長い間議論していた。

黄昏の月25日

父は私たちの野営地を門の近くに移した。金持ち貴族たちが帰らせてくれない。市場は全部焼かれて、人々は通りをうろついている。ものすごい数の病人。少し前、女の人がどこかの家の外で叫んで扉を叩いたけど、入れてもらえなかった。もうすぐ太陽が沈むのに、あの人が階段のそばに座っているのが見える。エデルインは彼女を助けに行ったけど、腹を立てた様子で戻ってきた。

ラネロルとソレリルの容態もよくない。父は明日、彼らを休ませることにした。

黄昏の月26日

父が一つ咳をしたけど、シャザハに水を取りに行かせてくれない。エデルインはその代わりに勉強のための新しい本を何冊かくれたけど、集中できない。空気はひどい臭いがするし、煙で息が詰まりそう。

軍隊が来るという話がある。父が薬を配るのを助けてくれるといいと思う。

ラネロルは今日の午後、父と話した後に出て行った。もう遅いのに、まだ戻ってこない。遠くの方の金持ち貴族の門の辺りで、叫び声が何度も上がった。シャザハは怖くなってきた。

黄昏の月27日

父とニエンは今朝、ソレリルを布に包んだ。彼女の皮膚は荒れて、発疹だらけだった。父の咳も悪化している。昼過ぎ、父はエデルインと話し合っていた。私の名前を口にしているのが聞こえた。

今では、通りに多くの死体が転がっている。グロソルとラリオンが前は死体を回収していたけど、やめてしまった。今、彼らは金持ち貴族たちに助けを求めに行った。

ニエンは今日、私たちのために食料を探そうともしなかった。あったのは沸騰させた肉汁だけで、この者はすごくお腹が減っているけど、残しておいたものをこっそり父にあげた。とても疲れているみたいだったから。

黄昏の月28日

ニエンがいなくなった。昨日の夜に去って行った。この者は寂しい。彼女は夜中に誰も聞いていないと思って、よく歌を歌った。でもこの者はいつも聞いていた。これでもうエデルインと父だけだ。シャザハは急に姉妹と母にすごく会いたくなった。ここはとても寂しい。みんな病気で、怒っている。今日の午後、野営地に誰かが来て、父から物を盗もうとした。エデルインはナイフで追い払わなければならなかった。

父はもうこの者に会ってくれなくなった。エデルインは、私たちが母を探すために出て行かなければならないと言う。こんな風に父を置いていくなんておかしい。具合が悪いのに!

エデルインがもう来る。残って手伝うように要求するつもり。出て行くのが運命だと父に言われても関係ない。

くだらない運命なんかより、父のほうがずっと大切だ。

ジュハ・リ年代記 第一章Chronicles of Juha-ri, Chapter 1

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第一章
ある若者が我々の元へやって来て、白き砂のジュハ・リに対して丁重に、影の踊りを教えていただけないだろうかと尋ねた。彼は他の多くの者たちと同じように、クンザ・リの優れた仲間、辛辣なアネクイナの偉大なる踊りについて耳にしたのである。お決まりの言葉と嘆願をたっぷりと舌にのせ、彼はジュハ・リに知識を授けてくれるよう頼んだ。若者は、月を動かせる踊りならばさぞかし美しいだろうと考えたのである。

ジュハ・リはこの若者に対して、彼がいつも若者に見せる笑顔を見せた。悲しみと憐れみの笑顔である。ジュハ・リは若者に尋ねた。蛇にどうやって歩き方を教える?フクロウに火の起こし方を教えるには、猿に祈り方を教えるにはどうすればいい?若者はジュハ・リの言葉の意味を理解した。彼は白き砂の偉大なる賢者の言葉に感謝し、長い徒歩の家路につき始めた。

ジュハ・リは若者に呼びかけた。白き砂の賢者はごく小さな囁き声を発しただけだったが、風がその声を運びゆく様は、まるで声がジョーンとジョーデから直接降り注いだかのようであった。ジュハ・リは若者に踊りの知識を教えようと申し出た。若者は困惑した。蛇に歩き方を教えることはできない。フクロウに火を起こすことはできない。これは影の踊りを教えることへの比喩ではなかったのか?

白き砂の賢者はうなずいた。蛇はいつでも蛇であり、フクロウはいつでもフクロウである。だが魂は多くのものになれる。しかしそのためには生涯を費やしても足りないかもしれない。多くの者はそのような代償を大きすぎると考え、決して影の踊りを知ることがない。

若者はうなずき、立ったまま考えに浸った。そしてジュハ・リが影の踊りの聖堂に戻った時、若者はその後に従った。

ジュハ・リ年代記 第二章Chronicles of Juha-ri, Chapter 2

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第二章
彼はもう若者ではなかった。白き砂の賢者の弟子としての数年間は、彼の肉体に刻み込まれた。若者の生命力を宿していた顔は沈んだ。毛皮は日々の油塗りを欠いたためにもつれて硬くなった。しかし弟子の目はジュハ・リの知恵に類したものを示していた。未だに残る世俗的なものへの飢えのために、それも覆い隠されてはいたが。

白き砂の賢者は弟子の魂が知恵を聞き入れるために必要な形を築いたのを見て、教えを施した。彼らは共に蒸留した形の月の光を体験し、奇妙な角度をした道を歩いて、微かに夢に似た場所を通り抜けたが、夢を見ていたのではなかった。ジュハ・リは弟子が月のラティスの反射のみをその目に映すよう気を配った。その栄光と恐怖を見つめたあまりにも多くの者が狂気へと至ったことを、白き砂の賢者は知っていたからである。

だが白き砂の賢者の見立てでは、ラティスの反射ですらも弟子にとっては十分だった。その無数の歪曲とリズムの中には、他のところで見られない存在の牙城が見出されたからである。

彼らは聖堂へ戻った。体は汗にまみれ、口には甘い味が残っていた。弟子は白き砂の賢者ジュハ・リに向き直り、影の踊りがどのようにして莫大なラティスに影響を及ぼしうるのかと尋ねた。

同じ大きさだからだ、とジュハ・リは答えた。同じ大きさだから。

ジュハ・リ年代記 第三章Chronicles of Juha-ri, Chapter 3

保証は彼方の子供たちのために成された。子供たちが肉によって作られ、神聖にして栄光に満ちた魂の前で夢見の道が知られることを、リドル・サールは知っている。

第三章
白き砂のジュハ・リは砂漠の風に自らの死の匂いを感じ取り、最年長の弟子、すなわち影の踊りを学ぶことを求めたかつての若者に、迎えの時が来たと伝えた。師の辛抱強い教えと時の残酷さによって貧相になり、賢くなった最年長の弟子は、ダルカーン河のほとりへ行き、葦のくずを取ってきた。

最年長の弟子は白き砂の賢者を抱えて踊る月の聖堂の階段を昇り、我らの教団の信者たちがそれに続いた。彼らは月の光を吊り香炉で燃やした。煙と詠唱が石と砂と肉体を結び付けた。最年長の弟子が白き砂の賢者を山頂まで運び、辛辣なアネクイナが最後の影の踊りを踊った地下室まで連れてくると、詠唱は止んだ。月の光の煙が香炉から流れ出し、部屋は沈黙の黄昏に包まれていた。

長い献身の年月により弱ったジュハ・リは、最年長の弟子の前で、定まらない足取りで立ち、よろめいた。彼は最年長の弟子に、遥か以前にお前を踊る影の聖堂に連れてきたものが何だったか覚えているかと尋ねた。最年長の弟子はうなずいた。彼は聖典を研究したことで、年月は冬のフェッチャーフライの羽の瞬きのように短いことを知っていたからだ。

最年長の弟子のうなずきに自分もうなずきを返しつつ、ジュハ・リは微動だにせず立っていた。白き砂の賢者の魂のうちに、最年長の弟子は運動を見た。混沌としていて、しかし美しい運動を。それはラティスを通して響き渡り、月光の煙と、大小の頂点に反響して膨れあがっていった。煙となった月光が肺を焼く中、最年長の弟子は影の踊りが要求でも祈願でもないことを見た。それは存在、完璧に近い存在であった。ラティスは形を反射し、洗練させ、そうしながらもしばしの間変化した。

始まるやいなや、影の踊りは終わった。ジュハ・リは倒れ、その魂は星の彼方の砂地へと旅立った。最年長の弟子はその教えをよく聞いた。

ジョーンとジョーデの祝福The Blessings of Jone and Jode

本当にありがたい。神々による奇跡をこの目で見られるなんて!司祭がうらやましい。偉大な猫が空から下りてきて聖堂を取り戻すところを目撃するなんて、さぞかし見事な光景だったに違いない!

それでも、私が目撃した神々の行いも負けずに見事だった。カジートがアルコシュの誇りに加わったのだ!ジョーンとジョーデが轟く祝福を述べ、信者にすごい力を吹き込むところを目にした!私も近いうちに価値を証明し、気に入ってもらえることを祈ろう。

アルコシュの聖なる戦士になれたら、これ以上の祝福はない!

ショマエの日記Shomae’s Journal

この者はエスラジという、ハルザ長老が最後に持っていたカジートの伝統楽器を探してここにやって来た。長老は死ぬ前、砂漠の風の洞窟で過ごした時間について多くのことを話した、と一族の伝承は述べている。見つけた時、エスラジが砕け散っていたのは残念だが、残ってラウィス・カジの道を身に着けたいと思う。だからショマエは留まるつもりだ。

この者の師匠は、新しい生活のために新しい日記を付けろと言う。だからショマエはそうする。これを書くために集中するための最高の場所は、洞窟の隅だ。ショマエが見つけた限りでは。

ああ、エスラジがこんな状態で見つかるとは。悲しい。しかし、それがショマエをここに導いたのは良かったのか、悪かったのか?

ショマエには分からない。我々の師匠はどちらでもないと言うだろう。この悲しみを探究し、そして手放さなければならないと。だからショマエはそうする。

センチラート:ただの騎乗動物にあらずSenche-rahts: Not Just Mounts

サハルザグ 著

書記:シルザリ

謝辞:私が以前から知的な存在であり、現在も知的な存在であることを理解しなかった全ての人へ感謝しよう。諸君のため、そして他の似たような者たちのために、私はこの冊子を作らせた。諸君には心当たりがあるだろう。仮にこれを読んだ後、私と会って分からなかったとしても言葉は残る。また、私の書記にも感謝する。私は彼女が、この冊子内に注記を留めることを許可している。

センチラートは長い間存在してきた。我々は自分自身と他の者のために、守り手の役割を長く務めてきた。筋肉質で四足の体型は、単独で戦うにも組んで戦うにも向いている。仲間と組んでいない場合、我々は大きく前に跳躍し、攻撃する意思がある者を誰であろうと、爪で引き裂き噛みつける。訓練された戦いの仲間なら(「訓練された」という部分は強調してほしいが)、我々を戦場でさらに危険な存在に変えられる。彼らが秀でているのが剣であれ、杖、魔法、弓であれ、我々と組めば戦場での機動力が大きく向上し、我々は彼らがの攻撃を利用できる。互いへの脅威に目を配っておけば、共に倒される危険が減る。

上記の内容は、戦場におけるより優れた武器や戦略を求めている、血に飢えた人々にとって魅力的なものだろう。我々の戦闘能力はよく知られている。

[書記のメモ:この者はセンチラートの戦いを見たことがある。爪と歯の嵐のようだった。このような生物を敵に回してはいけない]

しかし、センチラートを隷属させ、その意志に反して利用しようと考えている者には、私からのメッセージを授けよう。

やめておけ。

以前に試みた者もいる。多少はうまくいくように思えるかもしれない。だが我々にも手がある。本当にいくらでもある。我々には仲間もいる。それに、我々の許可と受容がなければ、我々の力を最大限に発揮させることはできない。

[書記のメモ:この尊敬すべきセンチラートは上記のことを理解している。彼らはとても賢い。しかしもちろん、この者はセンチラートの手段を明かさない]

我々は物語を通して、若者たちに戦いへの協力を拒む密かな、あるいは公然とした手段を教える。もちろん読者に明かすほど私は愚かではない。諸君が知るべきことではないのだから。

要するに、諸君が我々に何をさせるつもりであろうと、我々の賛同を得る努力をしなければ、結局は失敗する。そして諸君には、失敗の理由すら分からないかもしれない。

だから対等な存在として扱わねば、何であろうと我々を味方にできると思わないことだ。

むしろ話しかけてほしい。我々は知的生物であり、耳を傾ける価値がある。我々は話をよく聞く。

[書記のメモ:確かに、センチラートが話す時はよく聞いたほうがいい]

さて、前置きはこの辺にしよう。これを読んだ者は、センチラートの相手をする時、我々が知的生物であり、固有の生活と経験を持っているということを理解して始めるべきだ。戦争に利用するための単なる騎乗動物やペット、怪物と考えてはならない。我々は友人にもなるし、家族もいる。また恐ろしい敵にもなる。対等の存在として話し始めよう。思考を持つあらゆる生物と同様、センチラート個人にその先のことは任せるべきだ。

これはよく話題に上るので重要なことだが、我々と協力関係にある何者かが、たまたま騎乗して我々と共に行動しているのを見た場合、その者が我々の所有者や世話人、操作者だと想定しては絶対にいけない。まずは「パートナー」と見なすべきである。

[書記のメモ:センチラートのことを考える時は「パートナー」から始めなければ、二度と考えることができなくなるかもしれない。そういう結果を見たことがある]

この短い冊子を読んで、諸君が私の言葉をきちんと理解し、全てのセンチラートに敬意をもって扱い、単なる獣や戦争の道具として扱うことのないよう願っている。諸君がそのようにせず、我々と出会った場合、私は諸君の態度を記憶し、どのように矯正すべきか考えよう。他の全てのセンチラートも同じようにするだろう。

[書記のメモ:これは本当だ。センチラートは長期におよぶ正確な記憶を持っている。センチラートが物事を忘れることを願うより、このことを知識として持っておくことをこの者は選ぶだろう。希望は確実でないし、人生にはただでさえ試練が多すぎる]

その帰還を恐れ、備えよDread Their Return and Prepare

カ・ブレシ・ホカイ・デル・スーング

夜明けからドラゴンが消えた
その帰還を恐れ、備えよ

体を鍛えて苦痛に備え
心を磨いて明晰となり
魂を高揚させ勝利せよ

カ・ブレシ・ホカイ・デル・スーング

タジッリのメモTajirri’s Note

旧友のアナグマがまた昼寝をしているらしい。訪ねない?旅は思ったより甘いかもしれない。

T

タジッリの日記Tajirri’s Journal

リバーホールドはタジッリの新しい始まりになるはずだった。もう酒は飲まず、賭博もせず、密輸もしない。堕落した生活は全部センシャルに置いて、心機一転するつもりだった。ようやく悪徳から自由になるチャンスのはずだった。

そうしたら母が一緒に引っ越してきた。母と一緒に、絶えることのない泣き言や文句、侮辱もついてきた。タジッリは本当にそれを着ていくのか?タジッリは本当にシュガークローをもう1つ食べたいのか?

だからまず、タジッリの憂さを少しでも軽くするためにちょっと飲む。それから家を出るために、少し賭博をする。すると当然、かなりの借金ができる。するとさらに飲酒、さらなる賭博、さらなる借金につながる。

それで、今や密輸に逆戻り。なぜならタジッリは借金を返し、家を守らなきゃならない。タジッリが絶望的な状態になってきた時、リデザが姿を現したのは幸運だった。運ではないのかもしれない。リデザはどうしてか、分かっていたのかもしれない。

いくつか仕事をするだけ。それでおしまい。リデザがリバーホールドから取れるだけの金を搾り取るのを手伝おう。そうしたらタジッリには、もう借金の心配が要らなくなる。

タジッリへのメモNote to Tajirri

タジッリ

青い大蛇は森の側を這う
四つ角の模様は品物を示す
輝くことはないが、道を印す
今日街を離れる予定

R

タハラの移動動物園Tahara’s Traveling Menagerie

タムリエルの奇妙な獣に驚きを感じますか?

自分の目で奇妙な獣を鑑賞したいと思いますか?

海を越えて旅するのは嫌い?

それなら職人通りの近くにある、タハラの移動動物園へお越しください。従順な獣と、恐ろしい獣が待っています!

トネナカの祠The Tonenaka Shrine

アカヴィリの神秘に関する研究

豪商フェイナ・ダラク 著

北エルスウェアのカジートとリム・メンが、最高顧問の失墜を受けて避難してきたアカヴィリを難民として受け入れた時、最初の到着者たちは首都の西にある使われていない地下墓地を与えられた。そこにおいて、アカヴィリは帝都からの逃避行を生き延びられなかった死者たちを埋葬した。

その地方の君主であったリンメンのサヴィリアン王とアネクイナ・カジートの女王パダラは、アカヴィリの生存者たちに対し、首都の内部および南方の肥沃な丘に再移住を促す布告を発した。彼らは血から言えば完全にインペリアルだったが、それでもかつての支配者に忠実だったため、思い出の品を数多く持ち込んだ。

リンメンはインペリアルとカジート交易の中継点として、すでに折衷的な社会を築いていたが、アカヴィリ移住者の風変りな美的感覚と文化、食習慣がこの街を決定的に変えた。アカヴィリの最も変わった貢献を敢えて一つ挙げるならば、リンメンの北方地区におけるトネナカの祠の建設だった。

アカヴィリの建築スタイルに影響を受けたカジートの石工技術によって建設されたトネナカの祠は、残っていたアカヴィリの移住者と彼らの臣下だったインペリアルにとって、文化的な試金石になった。家長たちは石を彫った小型の像を何万体も建設するよう注文を出し、南タムリエル中から彫刻家や技師を集めてこの計画に協力させた。

確かに、アカヴィリ居住者がこの計画の資金調達のために持ち込んだ莫大な富は、リンメンの経済を大きく豊かにした。しかし年月が過ぎ、残ったアカヴィリの数は激減したため、生きて祠の完成を見届けたのはたったの5人だった。大部分の者はインペリアルとの交配を進めるか、あるいは遥か南の村落ハコシャエに移り住んだ。

最後の石像が置かれた時、5人のアカヴィリはトネナカの祠に入って扉を封鎖し、進入を防ぐために強力な結界を張った。これはリンメンの権力者とアカヴィリ建築士たちの当初合意にはなかったものである。しかしゴールドの約束により、怒りは和らげられた。

祠は今日に至るまで封鎖されたままであり、その驚異的な石工技術を劣化から守るため、外部の修復が時折行われるだけだ。

ドラゴン:女王への報告Dragons: A Report for the Queen

ユーラクシア女王陛下

この報告は、北エルスウェア中でその存在を知られるようになったドラゴンに関する結論を要約したものです。

ムラームニルと名乗る竜は、カールグロンティードと呼ばれる、さらに強力な怪物へ従っています。その者はカジートの反逆者たちに対する我々の戦いに、ドラゴンの支援を申し出ています。陛下が予期した通り、あの巨大な獣たちは勝利の多くに決定的な役割を果たしています。ムラームニルを説得して一度に1匹以上を貸してもらえれば、この地域全体を支配できるかもしれません!

残念ながら、ドラゴンは我々の兵と敵の区別ができないか、あるいはする意思がないようです。彼らは味方に犠牲を出すことを気にも留めず、標的が何であれ破壊しています。あの怪物を制御しようとしても、ほとんど機能していません。

以下は私の進言です。ムラームニルに命じて、ドラゴンに命令へ従うよう教示させることです。武器とは行動を制御できた時に、最もうまく機能するものです。

それに加えて、我々の同盟を確実なものとするため、ドラゴンを支援する必要があります。暗殺部隊を送り、エルスウェアの荒野に隠れていると信じられている、最後のドラゴンガードを抹殺することを進言します。

ジャガス百人隊長
女王の宮廷戦略家

ドラゴンが1匹、ドラゴンが2匹One Dragon Two Dragon

ドラゴンが1匹、ドラゴンが2匹
赤いドラゴン、青いドラゴン。

1匹は檻から放たれ
空にいる沢山のドラゴンは怒っている

残酷なもの、素早いもの
通ると炎を吹きかけるものも

ドラゴンはあなたを凍らせる
あるいは跡形もなく焼き尽くす
咆哮で吹き飛ばし
穴に落とす!

空を見上げ
夜明けか夜中に
ドラゴンが見えるかもしれない
殺意に満ちた羽ばたきと共に!

なぜドラゴンは怒っている?
なぜここに留まる?
私は知らない
とにかく逃げろ!

ドラゴンガードの報告Dragonguard Report

シグナス不正規兵に諜報官として任命された、ファリクシア百人隊長による報告の写し

我々は北エルスウェアの荒野に隠れていると言われる、失墜し解体されたドラゴンガードの生き残りについての報告を調べることから始めた。まずユーラクシア・サルンの関心についてだが、リンメンからの情報によれば、彼女は王家の保管所を徹底的に調べ、この問題についてカジートが集めたあらゆる情報を掘り返すよう命じたという。名高い古代のドラゴンハンターを起源にするという伝説が、彼女の想像力を捉えたようだ。ドラゴンもこの問題に関心があるのかどうかについては明言できない。

月の歌い手に確認すると、相互に矛盾する情報が出てきた。ある語り手の主張では、ドラゴンガードの一軍団が丸ごと、古代にドラゴンが姿を消して以来スカーに隠れ続けているという。別のある語り手は管理人が1人だけ残っており、隠された聖域にある古代の騎士団の秘密を守っていると語った。

魔術師ギルドで確認したところ、ドラゴンガードの手法が本当にアカヴィリのドラゴンハンターに遡ることは、賢者たちの記録に残されている。ドラゴンガードの大部分はドラゴンが姿を消した後、伝統を捨てて皇帝の護衛となったが、いくつかの文書の主張によれば、少数の者が古い方法で訓練を続け、ドラゴンが再び現れた時に備えて、ドラゴンと戦うための知識を保持しているという。

以下は有力な手掛かりである。ステッチズから、西スカーの奥で隠されたアカヴィリの祠を見つけたとの報告がある。酒席で交わされた話によれば、その場所は呪われていて、危険きわまりない罠が張り巡らされているという。一部の者はまた、彼らが主張するところのドラゴンガード最後の生き残りが1人、祠の手入れをしながら、ドラゴンガードが再び必要とされる日を待っていると述べている。

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!A Dragonhorn! Oh, Dragonhorn!

スターヘヴンの記録管理者、アデプト・イジャディによる翻訳

ある日アカヴィルがやって来た
我らが星のヘヴンに
戦士たちは誇り高く
毛を剃らぬ者は1人もなかった!

彼らは言った。ドラゴンがうろついている
我々は気を付けるべきだと
「留まることはできぬ、戦うこともできぬ
持っているものを渡すのみだ」

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!
ただ一度の呼び声で
上空のいかなるドラゴンも
たちまち落下する

ドラゴンホーン!おお、ドラゴンホーン!
汝は高き塔に留まる
ドラゴンが攻めるなら
奴らは汝の強き叫びを聞く!

ナハテン風邪の犠牲者のメモFlu Victim’s Note

発疹が拡がってきている。咳がひどくなっている。鼻血が止まらない。目や口から流血するのは時間の問題だ。兄はこの状態に達してから3日しかもたなかった。彼はいつも私より強かったのに。

ナハテン風邪の最初の兆候First Signs of the Flu

オークレストにナハテン風邪を持ち込んだのは何者なのか、誰も知らない。

アルゴニアンを非難する者もいる。ぺライトの仕業だと言う者もいる。原因が何であれ、この病気は素早く蔓延し、死体が山と積まれ始めている。感染していない住民の一部は避難しているが、市外の状況はさらに悪いと言う。

私はどこに行くつもりもない。オークレストは私の故郷だ。

ニクッシャの研究メモ1Nikussha’s Research Note 1

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月7日

シカトリスの者は全員、オアシスの洞窟に逃げ込んだ。もちろん、一時的な解決策でしかない。私の研究はこの季節か次の季節に完成すると見ている。幸運にも、食料と清潔な水は豊富だ。

クランマザーのアバーシは今でも私を完全には信用していない。なんといっても彼女の民にとって、私はよそ者だ。新入りで、種族も違う。だがもう彼女に選択の余地はない。この疫病はシカトリスを壊滅させ、街は灰と化してしまった。

もはや私が行動しなければ、ここの人々を救うことはできない。

ニクッシャの研究メモ2Nikussha’s Research Note 2

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月14日

なぜこのオアシスに治療効果があるのか、その理由をついに発見した。水そのものではなく、この洞窟を住処としているネレイドのためだ。我々が突然侵入しなければ、この秘密は永遠に明かされなかったかもしれない。ネレイドはどうやら、驚くほど人見知りの激しい生物のようだ。

クランマザーのアバーシは誰も彼女の側に近寄らせず、ネレイドが住んでいる中央の間を隔離している。これは愚かしい行動だと思う。ネレイドの力は我々の研究を大きく助けてくれるかもしれないのだ!カジートは何も知らずに首を振り、彼女を怒らせるだけではないかと恐れている。

このことについてはもう何時間も話し合った。無駄な議論だったかもしれないが、緊張は高まっている。ますます多くの人々が病気になり、多くの者はすでに死んでいる。それに、私がこの病気に完全にかからないからといって、私が影響を受けていないわけではない。

ニクッシャの研究メモ3Nikussha’s Research Note 3

ブラック・マーシュの錬金術師ニクッシャ 著

南中の月28日

私は何ということをしてしまったのだろう。

私はこの疫病を抑えることができると思っていたが、どれほど努力を払っても病気は急速に拡散していった。緊急性の高さを鑑み、私は研究を急いで進めた。治すべき相手がいなくなったら、治癒など何の意味がある?

だが研究の途中で、私は恐ろしいことをしてしまった。このオアシスはかつて浄化と治癒の場所だったのに、ここもまた病に汚されていた。多くの死体があるせいなのか、単に死のオーラのせいなのかは分からない。だがオアシスは変わってしまった。それも急激に。

死体が起き上がり始め、瘴気が洞窟を満たしている。この日以降、誰一人として生き残る者はいないだろう。ただ謝りたい。こんなつもりではなかった。私はただ自分の愛する街を救おうとしただけなのに。孤独な旅人を受け入れ、あれほど信頼してくれた人々を救いたかった。

ごめんなさい。

バーン・ダルを知る者On Those Who Know Baan Dar

アカン 著

最初に言っておこう。バーン・ダルとチキンはあまり関係がない。

アカンはなぜあれほど多くの者がチキンについて話すのか分からない。確かに、ウッドエルフはチキンを爆発させるし、そのような愚かな行為を祝祭と呼んでいる。ウッドエルフはリンゴを食べるのが間違っていると言うが、リンゴは美味だろう?ウッドエルフは腐った肉と虫で酒を作る。ウッドエルフの言うことを聞いてはいけない。

よそ者はバーン・ダルが盗賊神であり、千の顔を持つ男であり、放浪者であると言う。彼らはカジートがバーン・ダルを知るようにはバーン・ダルを知らない。ウッドエルフはバーン・ダルの名においてゲームやいたずらを行い、ブレトンは生きている盗賊や伝説について語り、吟遊詩人はバーン・ダルの偉業を現世の盗賊のように歌う。

よそ者にとって、バーン・ダルは伝説であり、物語であり、冗談なのだ。バーン・ダルはそういうものではない。真のカジートにとって、バーン・ダルは我々の生き方である。彼を理解する全てのカジートは、ドーレスの農園で働く鎖でつながれた人々から、血の染みついたシロディールの戦場で金貨のために戦う傭兵まで、どのようにバーン・ダルを称えるかを知っている。

ジャ・カジートが窓の敷居からスイートミートをくすねて飢えた腹を満たす時、ジャ・カジートはバーン・ダルを称える。血で毛がガチガチになった奴隷がその鎖で奴隷商人の喉を掻き切る時、奴隷はバーン・ダルを称える。お前が奴隷にするために仕掛けた罠から遊牧民が足を噛みちぎって逃げる時、遊牧民はバーン・ダルを称える。

誰にでも見える場所に貴重品を置いたなら、バーン・ダルが持って行く。奴隷商人の鎖を他の者がちぎるのを待っていれば、バーン・ダルはお前が暗闇で憐れみの涙を流している間に抜け出す。バーン・ダルはお前を解放することも、慰めることも、助けることもしない。だが彼のために耳を澄ませるならば、バーン・ダルはお前が自らを救えるよう導く。

暖かい砂を越え、暖かい太陽の下、木や石や言葉で甘やかされていないカジートが剣と弓を持って自由にさまよう地で、バーン・ダルは従う者全てにただ3つのことを求める。

お前が持っていたいと願うものを、他人に取らせてはならない。

鎖なく生きたいと願うなら、他人に縛られてはならない。

騙されたくないと願うなら、他人に見くびられてはならない。

バーン・ダルは自分の名を称えよと求めることはない。バーン・ダルは供物を求めない。バーン・ダルはお前が愚かでないことだけを求める。エルスウェアの暖かい砂に、愚かなカジートの居場所はないからだ。

バクルへの手紙Letter to Bakul

バクルへ

私は重大な過ちを犯してしまった。甘い言葉とまやかしでここへ誘い出されたけれど、まやかしは触れた途端に輝きを失った。ここにはドラゴンがいるのよ、バクル。足元の砂のように本物だけれど、あのドラゴンがアルコシュでないのは間違いない。ただし、毎日を永遠のように感じさせる術は心得ている。

ダイルナは石を持ち上げたことも、れんがを積んだこともないのに、サンスパイア聖堂を元の美しい姿に戻すため、足がボロボロになるまで働いた。最初は嫌でなかったけれど、努力が足らないとして鞭打たれた。抗議するとさらに鞭を受けた。この聖堂を認めていないけれど、立ち去ることもできない。
バクル。この者は良い姉だったとは言えないけど、それでも姉よ。ダイルナからのお願い。この話をたてがみに伝えてほしい。ダイルナのために来てはいけない。ドラゴンとそのしもべはひどい連中よ。

この手紙が無事に届くことを祈る。誰なら信用して配達を任せられるかも分からないけど。

心を込めて

ダイルナより

ハダズの最後の手紙Hadaz’s Final Letter

マールンズの信者どもと、デイドラだらけだ。急いで書かないといけない。

デーゴンの爪という信者たちが、何らかの魔法の道具を見つけた。奴らはデッドランドの槌と呼んでいる。連中は油と硫黄を鉱山から取り、固めて召喚石のようなものを作っているみたいだ。でも、それはデイドロスやバネキンを呼ぶものではない。鉄の精霊を召喚するんだ!石炭と溶岩で出来た心臓を持つ、鉄の巨人だ!これを見つけたら、たてがみに伝えてくれ。そしてできるなら、こいつを止めてくれ!

それから、マラダーニに謝っておいてほしい。

ハダズ

フェイナ・ダラクへの手紙Letter to Feina-Darak

愛しきフェイナ・ダラクへ

我が一族が多くの重荷を背負っていることは分かっています。いつの日か、あなたは我らが民の繁栄を守るため、ハコシャエを導くことになる。あなたが最高顧問の血を受け継ぐ者だからです。この血のつながりは祝福でもあり、呪いでもある。あなたは備えなければなりません。

一族が私たちの祖先についての噂をハコシャエの外に漏らすことを禁じてきたのには、相応の理由があります。モラグ・トングは今でもタムリエルの暗部に潜んでいる。彼らはこの知らせを軽く受け止めないでしょう。最高顧問の末裔である私たちは、彼らが完了し損ねた仕事なのです。

一族の安全を保証するため、私たちはこの秘密を固く守らねばなりません。それが唯一の道です。

常にあなたを思う
母より

ヘマカル王の墓King Hemakar’s Grave

ヘマカル

平和の運び手、
愛されし父
名誉あるアネクイナの王よ

今、王は歩む
星の裏の砂場を
次の襲撃の時まで

ペライトへの手紙Letter to Peryite

ぺライトよ、感謝します。

あなたがこれを読むことはないと承知していますが、私の祈りを聞き届けてくださったことに、文章で感謝したいのです。この手紙はあなたに向けたものですが、あなたに宛てたものではありません。全ての不信心者、疑う者たちへ宛てた手紙なのです。古き神々が彼らの邪心を洗い流すだろうと私が告げた時、鼻で笑った連中へ。私は全てのデイドラ公に祈りましたが、応えてくださったのはあなた一人です。この街を正す唯一の道は、内部から破壊し、灰燼に帰すことだけだと理解したのはあなたです。私の体にまでナハテン風邪が拡がり、血が口から流れ出ていても、私の口には笑顔が走り、熱に浮かされた心にはたった1つの言葉が巡っているのです。

ぺライトよ、感謝します。

マーズラ・ジョーのメモMarzula-jo’s Notes

第二紀342年、恵雨の月12日
さて、ついに不名誉の家にたどり着いた。他のカジートが近づこうとしない理由がよく分かる。あらゆる死霊術の実験がここで行われたに違いない。壊れた壺、カビ臭い蒸留器、半分開いた石棺等々。私も死霊術には詳しいから、それだけなら不安になるようなことではない。だが、マーズラ・ジョーは緊縛のベルトと首絞めの輪も見つけた。ここの死霊術師たちは粗暴な死霊術を行っていたに違いない。疑いなく闇のクランマザー、マファラへ捧げられた死霊術だ。この者の心は深い失望に満たされる。それでも、不名誉の家では自分なりの、完全に道徳的な実験を行うための場所と孤独が得られる。仕事にかかる時だ!

[奇怪なグリフや謎の公理を含む記述がいくつか続くが、大部分は水で滲んでいて読めない]

第二紀342年、真央の月22日

また一つ成果があった!骨の粉と木椅子キノコの溶液6ドラムを基本の蒸留水に入れることで反応が安定し、遥かに揮発性の低い混合液ができる!残るは最近死亡した組織に塗って、数日間厳密に観察するだけだ。私が見つけたウサギは、試験対象として完璧なはずだ。

マーズラ・ジョーは大きな誇りと興奮を感じているが、気をつけて進めなければならない。実験のこの段階には多大なリスクが伴う。

第二紀342年、真央の月28日
再生したウサギは不穏な行動を示した。檻の格子を攻撃し、口から泡を吹いている。この者にはまだやるべきことがあるようだ。

第二紀342年、収穫の月8日
暗い月よ!重い心で報告しなければならないが、マーズラ・ジョーの最高の友人シュガースノウトが昨晩命を落とした。センチタイガーとしてはとても若く、まだたったの4歳だった。ほんの数週間前、激しい病が彼を襲い、必死の努力にもかかわらず、容体は急速に悪化した。この者は心が痛い。これについてもう何も書くことはない。

第二紀342年、収穫の月11日
長い間考えた末、蘇生薬の最新バージョンをシュガースノウトに試してみることにした。下等な獣でもっと試すべきなのは分かっているが、この機会を見逃してしまったら、自分を許せなくなるだろう。マグルスよ、この仕事を優しい目で見守り給え!

第二紀342年、薪木の月2日
成功だ。ある意味では。私の錬金術的な治療はシュガースノウトを予想どおりに蘇らせたが、彼は攻撃の徴候を見せ、私が呼んでも分からない。マーズラ・ジョーはすでに自分の決断を後悔しているが、やってしまったものは仕方がない。今となっては、この者にできるのは最善を祈ることばかりだ。とりあえずは、私の錬金術のレシピを洗練させる作業を続けよう。次の検体は、愛するシュガースノウトよりもうまくいくことを願う。

マファラを称えよ!Praise to Mafala!

糸を紡ぐ方を称えよ!
巣を紡ぐ方を称えよ!

古代の秘密を隠し持ち
その策略は忍び寄る

血と骨で称えよ!
まかれた闇の種となれ!

マリザズの日記Malizaz’s Journal

ズモグ・フームの見習い死霊術師マリザズ 著

また行き止まりだ!また失敗だ!マリザズは何日もスレンダルの揺りかご近くの大墓地を発掘して過ごした。爪は汚れ、尻尾がよじれる労働を何日もやった!それなのにこの者が見せられるものといったら、バラバラの骨が1袋と、腰の痛みだけだ!

こんな惨めなことをさせられると知っていたら、ズモグ・フームと奴にへつらう連中について来なかったのに。マリザズは実力を証明しなければ!本当に価値のあるものを見つけないと!

* * *

バルを称えよ!この者の調査で、アッシェン・スカーの奥にしまい込まれた財宝の存在が明らかになった。聖句箱のようなものだ。どうやら、アルム・カルという謎の多いリッチが、自分の爪でこのオーブを削ったらしい。このオーブに込められた力を手にできれば、ズモグ・フームが遠からずこの者に仕えることになるかもしれない!

* * *

マリザズはついに聖句箱を見つけた!遺跡は不安定だから、簡単なことではなかった。だが問題は、建物の耐久性だけじゃなかった。小さな猫の霊魂が、隠された月の僧房の広間をうろついている。霊魂は一度ならず私を崩れかけた通路へ導き、ぐらぐらする床を通らせようとした。最後にはこの者が勝利したのを見て、霊魂は悔しかったことだろう!

さて、運命的な発見の瞬間だ。もうすぐ私は、アルム・カルの秘密を全て知ることになる!エルスウェアの民よ、刮目せよ!マリザズが到来する!

ムーンシュガー:報告Moon-Sugar: A Report

帝国交易省の密偵/調査官、コルネリウス・クラニウス 著

ムーンシュガー!ドラゴンスター・キャラバン社が輸入を始め、また猫どもがこれは神聖だが無害な調味料だと主張して以来、ムーンシュガーはより広まるようになりました。しかし、これを野菜に振りかける者に何が起こるか、見たことがありますか?興奮する!そしてだるい気分になるのです!両方同時になることもあります!猫どもは我らが若者たちを、その甘く毒のある「砂糖」で堕落させるつもりです。すぐにでも帝国から締め出さなければ。子供たちのために!

しかし、交易省が私の言葉を鵜呑みにするとは思っていません。だから抜け目のないコルネリウス・クラニウスは真実を明らかにするため、自らエルスウェアまで旅立ったのです。

ムーンシュガーの第一印象は意外と迫力に欠けます。砂か粉、または水晶のような物質です。一つひとつの「かけら」は米粒のサイズから親指のサイズまで幅があり、砕くか溶かして料理に使います。白か銀色の光沢があり、見た目は塩の結晶に似ていますが、光を通しません。むしろ固体のムーンシュガーのかけらに光が当たると、中から光を発するように見えるのです。

これが反射光に過ぎないのは明らかですが、ムーンシュガーが結晶化した月の光で出来ているという文化的信念はここから来ているのかもしれません。多くのカジートはこれを彼らの神々の贈り物と信じています。ある民間伝承は彼らが「砂糖の神」と呼ぶアズラーについて語っています。アズラーは月の光を湿地へともたらし、光はそこで砂糖となったのだと。このような原始的な信仰は少しでも錬金術の知識があれば容易に反証できますが、それは私の専門ではありません。

エルスウェアの風景に点在する数多くの小さな僧房に入ると、ムーンシュガーが様々な儀式で用いられている姿が見られます。こうした場所では、ムーンシュガーを摂取することで、彼らの神々の魂の一部を吸収すると考えられています。多くの者はムーンシュガーを様々な調合薬に混ぜて接種し、瞑想と組み合わせることで幻視を得られると信じています。

彼らはムーンシュガーが悟りをもたらすと述べていますが、真実はもっとおぞましいものです。こうした僧房は時として、自分たちでムーンシュガーから精製したスクゥーマを用いるのです。月の司祭は自分たちだけが使うもので、決して配布はしないと言い張りますが、騙されるコルネリウス・クラニウスではありません!この二枚舌の「賢人」どもは、薬物の使用により幻視を得ると主張します。こんな発想が帝国内部で流行ったらどうなるか、想像できますでしょうか?

帝国交易省の密偵/調査官であるコルネリウス・クラニウスが、このムーンシュガーをいくらかでも吸ったことがあるか、とお尋ねでしょうか?本当に言うほど酷いものか試してみたのかと?そう、試したからこそ、私はこれほど熱心に禁止を叫ぶのです!というのも、カジートはムーンシュガーをあらゆるものに入れ、毎日のように食べています。彼らは甘いものに目がないので、そうして欲求を満たしていると言う。たわごとです!奴らは全員薬物中毒なのです。それだけのことです。使えば使うほど、その効果に鈍感になる。しかし、我々人間はどうでしょう?我々は感覚が鈍っていない。自らの最も卑しき衝動に負けてしまうでしょう!

この敬虔にして熱心な密偵がムーンシュガーを食べた時、何が起こったと思いますか?狂ったように笑いだしたのです!何というエネルギー!何という情熱!自らを厳しく律する几帳面なコルネリウスが、街灯を抱きしめたのです!爪の痕の一つ一つが魅惑的な発見でありました。その手触りは歓喜を呼び覚まし、私は誰彼構わずこのことを話して回りました。我らが若者たちが座り込んで、単なる物体を愛する様を思い浮かべていただきたい!これこそカジートが求める未来です。帝国は機能不全となり、避けがたい崩壊への道を開くでしょう。

もしあれが街に残されるならば、我々は座り込んで堂々と自分の感情を発露させる、変質的な世代を丸ごと一つ作ってしまうでしょう。その後に倦怠感が続くのは言うまでもありません!カジートが怠け者なのも当然です。あの恐るべき砂糖が体を巡ったら最後、力を奪われ疲労困憊してしまいます。あれはインペリアルの労働倫理と相容れません。

そう。ムーンシュガーはただちに違法化されるべきです。

忠実にして献身的な密偵/調査官
コルネリウス・クラニウス

ムズムの日記M’zum’s Journal

ムーンシュガー泥棒たちはより大胆になっているようだ。ムズムには全く理解できない!地下室の入口に衛兵を置き、傭兵を雇って農場を巡回させ、まだ残っている作業員全員を尋問し、さらにもう一度尋問した。なのに成果がない!

もしかすると、あのレッドハンドに騙されたのだろうか。あの連中がムズムのムーンシュガーを奪ったとしても不思議ではない。しかし、事業提携がこれだけ進んでいる今、このようなことで告発するのはまずいかもしれない。

それなのに、ベラニが話すのはいるかどうかも分からん獣のことばかりだ。馬鹿げている!

メレロンの日記Melleron’s Journal

私はロトメス作りを生業とするエルフだ。両親もそうだったし、両親の両親もそうだった。また、グラーウッドでは人気の職業である。長い狩りの後に、強いロトメスを飲まないウッドエルフがいるだろうか?

だがエルスウェアは全く異なる市場だ。カジートは私の醸造酒の匂いを軽く嗅いで、さっさと行ってしまう。あらゆる種類の売り口上と割引を試したが、まだ1人の客さえもつかめていない!イフレにかけて、無料の味見すら受け入れようとしないのだ。

そこでこの新しい、甘いロトメスの出番だ。本来の飲料が持つ豊かな肉の風味はそのままに、カジートの客を満足させる甘みを仕込んである。ただあと数日、発酵させればいいだけだ。タラズルと私がステッチズに着く頃には、試飲の準備が整うはずだ。

モジャは愚かだMojha is a Fool

モジャは愚かだ。ドラゴンが神じゃないからって何だ?崇拝に値しないと言うのか?

鞭を打たれずに済むのなら、偉大なトカゲのために頭を下げて掃除でも労働でもするつもりだ。二度と近付くな。この者は自分の身を守るために裏切るからな。

この言葉をしっかりかみしめ、忘れるな。

やり残した聖餐A Sacrament Remains

ナザラ 著

この地に帰ってくるのは、この者が想像していたよりも難しかった。夜母が任務のためナザラを呼んだ時、私は病気と死、悪臭がするゴミで満たされたこの場所を去った。今、私は自分がここにいなかった期間と同じだけ古い依頼を完了するために戻ってきた。標的がすでに死んでいる可能性もあるが、聖餐は終わらせなければ。だからナザラは彼を探す。

この者はアッシェン・スカーから捜索を始める。エルスウェアにある、無数の大規模埋葬地の一つだ。ナハテン風邪が襲った時、この者は埋葬地が満杯になるのを見た。多くの者がアッシェン・スカーと呼ぶのは、その最初のものだ。ナザラのような一般の民にも感じられるほど、霊的な力が強い。標的は何かを探してここに来たが、自分が見つけたものが正しいのかどうか疑っていた。崩壊しかけた遺跡の影には常にアンデッドが徘徊しており、影の中を歩むこの者にとってさえ危険だ。

標的がここに埋葬されている証拠はなかった。だからもっと先を探さねばならない。

手掛かりを追って南へ向かい、ここの民がステッチズと呼んでいる、石の尖塔とガタガタ揺れる木の橋の地に辿り着いた。ここはいつも不運な者、卑しい者、無法者の隠れ場所だった。ナザラはこの場所で初めて、この爪を血で汚した。この場所を変えてやると言った子猫がいたことを覚えている。この地に希望をもたらすと。聞くところでは一時成功したようだが、今は姿を消した。抱いていた夢と同じように。

この者の標的はここにいなかったが、彼を覚えている者は見つけた。彼は一人で南方へ、遊牧民のキャラバンと共にナハテン風邪を逃れて旅に出た。ナザラはその後を追う。

シカトリスはかつて、オークレストから西エルスウェアまでの街道沿いにある小さな街だった。遊牧民はそこに立ち寄って食料を調達し、物語を語った。そこは休息と温もり、笑いの場所だった。しかしナハテン風邪はその全てを滅ぼした。この場所の居住者たちはあるアルゴニアンに従い、助けを求めてオアシスに行ったという噂を聞いている。ナザラが見つけたのは毒の充満した洞窟と、獲物が再び単独で出発したという証拠だけだった。

今度は彼も病気になり、北へ向かった。スカーが鳴く場所へ。その場所は分かるが、そこで見つけることになるものを私は恐れている。

この者の毛皮の色がもっと濃く、爪がもっと鋭かった頃、ウィーピング・スカーの物語を聞いた。暗闇の中に入り、快楽と血の渇望に身を任せたカジートたちがいた。大部分の者は戻ってきて、再び暗闇の中に入って行った。しかし一部の者は留まった。

ナザラの標的は留まった。彼を追って暗闇へ入ると、ナザラの子供じみた恐怖が牙と血への渇望を持った怪物となって現れた。彼らは攻撃してこなかったが、状況は何だか不自然で、違和感があった。何かの争いが起きているようだが、それに参加するつもりはない。探しているのは標的のみ。そして私の若い頃の亡霊は、それを与えてくれた。

標的はナハテン風邪に侵され、スカーの吸血鬼のところで永遠の命を求めた。彼は病気を別の病気で滅ぼそうとして、死の暗闇を別の暗闇と交換したわけだ。それは成功しなかった。そしてナザラの標的は月の光の中へ旅立った。

このカジートはかつて、自分の妻とその子供を襲った。スクゥーマと貧困によって彼は怒りに駆られ、怒りは彼の妻を駆って聖餐を行わせた。その子供は母の願いを叶えるために来たが、父が自分自身の暗闇を見出したことを発見した。

今は別れを告げておこう。聖餐は満たされ、娘はもはや残る必要もなくなった。夜母は今も優しく呼びかけ、ナザラは応える。

ユーラクシアの個人的日記Euraxia’s Personal Journal

カジートの神話と伝説にはやはり興味をそそられる。なんといっても憤怒の石へ私を導き、間抜けな腹違いの兄を騙してホール・オブ・コロッサスからドラゴンを解放させることを可能にしたのは、月の歌い手たちによって伝えられるクンザ・リの物語だった。

残されたクンザ・リの物語では、他にどんなことが待ち受けているのだろう?確実なのは〈裏切り者〉の役割だろう。奴の吐き気のする首は、私の筆頭死霊術師を哀れな子犬のように追いかけている。奴は伝説から我々のところに出てきたのだ。そして月の門の必要性も。だが(少なくとも私的なメモの中では)認めねばならないが、あれに対して形而上学的に完全な理解をすることはできそうにない。

一方で、エルスウェアにおけるドラゴンガードの最後の生き残りに関する噂の調査が、ついに実を結んだ。我々はこの潜在的脅威を排除し、カールグロンティードに協定の真の価値を示してやろう。カロ長官の報告書を、もっと詳細に検討するのが待ち遠しい。

あの忌々しい男が、私に送ればの話だが。

ユーラクシアの死霊術師Euraxian Necromancers

宛先:たてがみの代弁者ガレシュ・リ卿
差出人:代弁者の密偵カミラ

僭女王が即位の直後から死霊術師と闇の魔術を利用していることはわかっています。しかしここ数ヶ月、僭女王の勢力を支持する死霊術師の数が劇的に増加しています。その原因はただ1つ。闇の魔術師にしてユーラクシアの死霊術師の長、ズモグ・フームです。

「闇の技の王」を自称するズモグ・フームは、ロスガーの最北地方の出身だと言われています。このオークの死霊術師に関する若い頃の情報は、腹立たしいほど少ないものですが、多数の推測はなされています。ロスガーの荒野は苛酷な地で、オークの要塞での生活は厳しく、質素で無慈悲なことが知られています。しかしそこで生存し、頭角を現したオークは良質な剣に似ています。叩かれて鍛えられることで、カミソリの刃のように鋭くなるのです。

アネクイナに来る前の彼を示す最初の証拠は、次元融合の危機の間、虫の教団の活動を調査した報告書にあります。詳細は乏しいながら、ズモグ・フームの名は教団の幹部メンバーとして載っており、黒い虫の教団の指導者であるマニマルコとの密接なつながりが示唆されています。しかし降霜の月のクーデターの直後には、彼がリンメンで活動していたことを我々は知っています。おそらく、次元融合に関する教団の活動に直接関わってはいないと思われます。

ユーラクシアがズモグ・フームを特に勧誘したか、リンメンの玉座を奪った後でズモグ・フームの方から接近したのでしょう。当初のズモグ・フームは付き従う小さな集団を擁しており、彼の個人的な暗黒教団の基礎となりました。北エルスウェア防衛軍は何度か迷い出てきたゾンビやわずかなスケルトンと戦いましたが、基本的に死霊術師たちはこれまで、ユーラクシア軍において副次的な役割のみを果たしてきました。それが変わりつつあるのではないかと懸念しています。

次元融合が終わり、虫の教団が表面上は解体してから、多くの死霊術師が僭女王の旗の元に集まり、残忍ながらある種の魅力があるズモグ・フームに導かれています。捕獲した魔術師の何人かは指導者に対して異常な崇拝を示し、ズモグ・フームの暗黒の力と、彼とユーラクシアがエルスウェアを完全に手中に収めたら何をするかについての脅迫を、嬉しそうに話していました。具体的な計画についてはほとんど明かしていませんが、ズモグ・フームがその秘密の隠れ家と、彼らの言葉で言う「アンデッド工場」で何をしているのかについては色々とほのめかしています。

噂を信じるなら、ズモグ・フームと弟子たちは人目につかない場所に工場を設置し、そこで儀式や実験を行い、ユーラクシアの傭兵部隊を強化するためにアンデッド軍団を蘇らせているようです。まだこのような邪悪な場所から生み出されたものを目にしてはいませんが、地域全体で墓荒らしの証拠を発見しています。特にアッシェン・スカーなど、ナハテン風邪の流行が最もひどかった時代の大規模墓地周辺で、こうした証拠が見つかっています。

我々はズモグ・フームと信者たちがユーラクシアに兵士を無限に供給する前に、始末する方法を見つけなければなりません。疲れを知らず際限なく復活する軍隊を押し返すことは、防衛軍にとって不可能です。アンデッド工場を見つけだし、全力で稼働する前に破壊するしか方法はないでしょう。

ズモグ・フームを殺すことができれば、なお良いのですが。

ラーチの命令Rahti’s Orders

いいかお前ら。偽善者どもの牧場を手緩く襲撃するのはもう終わりだ。穀物を数袋、前の日に残った肉を一握りかすめ取ってくるなんて。俺たちは狩人か、それともネズミか何かか?

どんな武器でもいいから集めて、全面攻撃の用意をしろ。あの動物どもは檻に入れ、週末までに売り飛ばす準備をするんだ。特にあの白センチだ。あれは高値で売れるぜ、間違いなくな。

お前ら役立たずには無理だっていうなら、新しい狩人を探すまでだ。

-ラーチ

リサナ・ディ・レナダの謎かけRiddles of the Rithana-di-Renada

ドレモラが這い回る墓の中
左に2回、右に2回、3つの壺を上に
リンメンの遺産が待つ

恥ずかしき家の奥深く
黄金の花に見守られて
リバーホールドは忍耐強く座る

星の天国の東
丘の上、石のアーチの下
デューンは空から隠れている

丘の頂上、地面の下
骨と宝箱の間に
ヴァ―カースは隠されている

プロウルで空のかけらを探し
西に隠された裂け目を探せ
メイアヴェールはランターンの明かりで待ち受ける

メイアヴェイルの西の道
吊られた橋を越え、石の階段を昇る
ペレタインが2つの炎の間で待つ

砂漠が遺跡を覆うところ
牙を持つ死霊術師がうろつく場所
スカーの端に光るはアラバスター

密林で絡まる根の中央に
柱が立ち、柱が倒れる
そしてブルクラは冷たい水に浸かる

煙の立ち込める残り火
朽ち果てた街の中に
オークレストは石の祠に守られる

スカーはコリンスのために泣く
2本の曲がった木の間
サバンナの草が生える場所

ステッチズの西、茶の丘にて
4つの柱が共に立つ
ヘルカーンを中央に戴いて

灰の傷の遥か上
孤独なテントに守られて
センシャルは這い寄る死者から隠れている

石のカジートがテンマールを守る
彼女が双子月を崇拝する
聖堂の中庭で

トルヴァルは虚ろな切り株に座る
アーケイズ・ラッシュの泉で
ネレイドが濁った水を守る

リンメンの郊外、反乱の野営地
遺跡が丘の上で歪む
ケナーシはその中で待っている

ルディファングThe Ruddy Fangs

鋭き爪のザイレバ 著

ルディファングについてまず言っておくべきことは、私たちが単なるごろつきや盗賊、詐欺師や殺し屋ではないことよ。その全部だからね。私たちはこの月に見捨てられた地で正義を保とうとする、全ての者にとっての災厄になる。それで満足してる。

道徳心があるなら、捨ててしまいなさい。善行をしろとしつこく言ってくる、倫理というちっぽけな良心はもう必要ない。必要なのは周囲に先駆けて進み、頂点に達するためなら何でもする意志だけよ。そうでなければ生き残れない。

私たちの主な資金源はエルスウェア内外での密輸よ。砂糖の売人とシロディールに行ってもいいし、小さな街で盗賊のリデザと協力してもいい。運が良ければ、私と一時的に仕事をするかもしれない。いずれにせよ、遠からず財布にはゴールドが流れ込むでしょう。ただ質問をしないように。細かい部分は知らなければ知らないほどいい。

ああ、それからもう一つ。この役に立つ案内をここまで読んだなら、もう出ていくことはできない。少なくとも、生きてはね。だから新しい生活に慣れなさい。それも急いで。

畏怖のマントを纏えTo Wear Dread Mantle

ヴェン・イロ・ドセク・カン・フーン

武具は強く、精神を高め
畏怖のマントを纏え

我らが故郷の神々は
血を流し四つに裂かれ
卓越した教えを授けた

ヴェン・イロ・ドセク・カン・フーン

王国は倒れ民はさまようKingdoms Fall People Wander

ノル・ファ・インドヴィト・ケル・ウソク

兄弟の他に頼れる者はない
王国は倒れ民はさまよう

我らが番は決して終わらぬ
壁よりも長く立ち続け
玉座よりもさらに強くあれ

ノル・ファ・インドヴィト・ケル・ウソク

獲得した動物の記録Beast Acquisitions Log

新しい戦利品:

ジャッカル、オス:
身はしまってないが、皮は見栄えがいい。肉はシチュー用にとっておいたほうがよさそうだ。皮と頭蓋骨は20ゴールドぐらいで売れるはずだ。

センチパンサー、オス:
がっしりした獣だ。栄養状態がいい。皮は左後ろ足に傷があるだけ。罠の傷だろうか?皮の価値を大きく下げるものではない。こいつはリンメンで丸ごとあのハイエルフに売るのがよさそうだ。あの足長の紳士どもは、こういう動物を役立てる方法を何も知るまい。情けない連中だ。おそらく200ゴールドになるだろう。悪くない。

センチライオン、メス:
骨格が丈夫で、肉は硬いが、脂肪がたっぷりある。おそらく木工職人用の獣脂を作るために使えるだろう。新しい弓もほしかった。皮自体もいい値で売れそうだ。100ゴールドぐらいか。いい絨毯になるかもしれない。取っておくのもありか?

センチライオン、オス(白い!):
こいつは1年ぐらい見ておけ。金を持っていて、丸ごとオルシニウムに連れ帰る意思のあるオークの買い手を探せ。問題にするほどの傷はほぼない。サイズは巨大だ。2000ゴールドは下らないだろう。たっぷり食事をとらせるのを忘れないように。だが必要なら、鎖の轡をためらうなよ。

獲物として戦えFight As Prey

レト・アシュトゥ・ジン・フォング・ダン・ロ

ドラゴンの名誉は忘れよ
獲物として戦え

逃げて隠れ、待ち伏せて襲いかかれ
無数の切り傷にて負傷させよ
欺きは誇りに勝る

レト・アシュトゥ・ジン・フォング・ダン・ロ

甘いムーンシュガーの茎Sweet Moon-Sugar Cane

(カジートの労働歌)

ウッドエルフにはロトメスがある
肉と胆汁で出来た酒
トカゲは虫と枝を喰う
どれも全くひどいもの

だが砂を歩く我々は
人生最高の快楽を知っている
この上なく甘く、美味な食べ物
ムーンシュガーこそ我々の宝!

コーラス
月光に浸った畑は
夏の雨をたっぷりと浴びて
輝く緑を高々と伸ばす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

双子月よりの贈り物
その満ち欠けと共に
我らの器と、魂を満たす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

上等のステーキに振りかければ
甘美なる輝きを放ち
サーモンに塗りつければ
すぐにぺろりと平らげる

甘いお菓子に入れて焼く
味見はいかが?
急いで全部食べなさい
無駄にしたらもったいない

コーラス
月光に浸った畑は
夏の雨をたっぷりと浴びて
輝く緑を高々と伸ばす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

双子月よりの贈り物
その満ち欠けと共に
我らの器と、魂を満たす
甘いムーンシュガーのサトウキビ!
甘いムーンシュガーのサトウキビ!

救援求む:メイアヴェイルHelp Wanted: Merryvale!

スイートウォーター農場は予期せぬ問題が発生したため、健康な作業員を探しています。

潤沢な報酬を保証します!

興味のある者はメイアヴェイルの街にいるラクザルゴに話してください。

叫びが破滅への道Devastation is the Scream

ミク・ワノ・フェル・テト・プリヌク

鉤爪でも、尻尾でも、牙でもなく
叫びが破滅への道

石も兵も裂く
敵に沈黙させ
喉に叫びを留めよ

ミク・ワノ・フェル・テト・プリヌク

恐ろしい鳥:その生態Terror-Birds: Up Close and Personal

ダルダーフィン 著

私は捉えどころがなく危険な恐ろしい鳥を探すため、北エルスウェアのより人里離れた地域を訪ねるという、唯一無二の素晴らしい機会を与えられた!現地ではクラサートと呼ばれるこの巨大で恐れを知らぬ猛禽は、とてつもなく攻撃的な性向を持ち、知能が高く、かつ見目麗しい存在である。可能な限り接近するつもりだ。

カジートの戦士たちはしばしば、自らの獰猛さを証明するためにこの動物を単独で狩るが、勝利と同じくらい頻繁に死ぬ。この肉食動物を甘く見てはいけないのは明らかなので、接近する際には最大限の注意を払わねばならないだろう。

* * *
私は若いオスの恐ろしい鳥を追跡して、テンマールの鬱蒼と茂ったジャングルへ入り、夜の間ずっと観察し続けた。なんと雄大な生き物だろう!私がこれまでに会った最大のオークやノルドよりも明らかに大きい。体重は年老いたダルダーフィンの10倍もあるだろう!見せたいものだ。彼が羽を揺らし、翼を広げるところを!長いアーチ状の首が左右になびき、暗いビー玉のような目は月の光を受けて輝く。メスに向けて誇示しているのだろうか?私の存在を察知して、警告を発しているのだろうか?

* * *
いやはや、危ないところだった!あの素晴らしい鳥が空を飛べず、木登りもできないのは幸いだった。でなければ間違いなく私は命を落としていただろう!あれは警告などではなく、合図だったのだ。もう少しだけ近くまで歩み寄ろうとした瞬間、私は突然、もう3羽の恐ろしい鳥に囲まれていた!彼は単独ではなく、群れのための偵察として行動していたのだ。実に見事だ!あの生物が持つ知能には驚いた!

恐ろしい鳥は影に隠れて移動するのに適している。羽根は濃い青色、あるいは埃がかったような黒に見え、喉の部分に印象的な、血の斑点のような模様がある。実に恐怖を誘う姿だ!彼らが私を罠にかけた時、そのうちの1羽がセンチを追いかけ、強烈な蹴りで仕留めるところを見た。そこから鳥は鉤のようなくちばしを凄まじい力で突き刺し、肉も骨も貫通してしまった。ハイエルフの動物園では絶対に見られない光景だ。恐ろしい鳥はムーンシュガーの草花を食べると言われたが、それは違う!彼らは血に飢えた猛禽だ!

夜を通して、私はこの群れが接近してくる全てのものを攻撃するのを見た。彼らが集団でアンテロープを殺しておきながら食べなかった時、私は何かがおかしいと思った。巣が近くにあるに違いない。だから接近して見にいくべきだ。他の人にはお勧めできない。ものすごく危険だからだ!

* * *
恐ろしかった!群れの狩場に近い小さな洞窟の中にいるが、ここには枝と破れた布地、羽根で作られた巣がある。心なき鳥の群れが作ったものにしては非常に精巧だ。また、巣には卵がいくつか入っている。卵は青い筋の入った暗い楕円形のオニキスのような見た目で、それぞれが私の頭ほどの大きさだ。実に素敵だ。だがこの美しい卵に触れたくはない。触れれば私の匂いで両親は卵を捨てるか、あるいは破壊さえしてしまうかもしれない。私は他の種がそういう行動を取るのを見たことがある。残念ながら、メスが1羽戻ってきたので、とりあえずはこの洞窟から動けない。

* * *
この雄大な鳥も夜中は目がよく見えないので、暗闇が訪れた機会に逃げ出すことにした。正しい判断だった。逃げたすぐ後に、さらなる群れが到着したからだ。恐ろしい鳥は、子供の世話に関しては公共的な性質を持っているようだ。

そろそろ文明の地へ戻るべき時だ。密猟者たちがエルスウェアに来ており、この雄大な生物をスポーツとして狩ろうとするだろう。読者のみなさんが私と同様に、そのような活動に対して反対の声を上げてくれることを願っている。動物には敬意を払うべきであり、保存に力を尽くすべきである。娯楽のため、あるいは恐怖から殺すべきではない。動物はこの環境の価値ある一部で、あのような見事な生物が消えてしまったら残念だ。

空の牙のジュン・ジョーへTo Jun-Jo the Empty Fang

空の牙のジュン・ジョーよ、お前の時は来た。お前の体は十分に弱く、魂は十分に強く、心は十分に冴えている。

空の牙のジュン・ジョーよ、今登らなければならぬ。神々がかつてお前の祖先を呼び、お前の後の人々を呼ぶように。

山頂へ行け。風がお前の毛皮をなびかせ、太陽が顔へ降り注ぐに任せよ。木々のみを支えとせよ。その針と種、樹脂を。形なき地をさまようため、肉体は拒絶せねばならない。お前の形は縮小するが、心と魂は大きくなるだろう。

お前は渇きで水を求めるだろう。飲め。そして1日ごとに、飲む量を減らすのだ。残された毛は抜け落ちるだろう。残された心臓は遅くなるだろう。呼吸は止みつつある風のようになるだろう。

そして体が用意を整えたら、天は霊と化したお前の魂を待ち受け、その秘密で満たすだろう。体は魂の帰還を、双子月とラティスの雄大さに見守られながら待ち受けるだろう。

空飛ぶ神々の叡智Wisdom of the Flying Gods

マグニウス・カルッサ 著

我々の言葉は位階を問わず広がっており、その外の人々にも遠からず広められるべきである。真なる主の御言葉を書き記し、教える時が来ている。我らの上空を飛ぶ神々の御言葉を。私は耳を傾けたため、聞いたことを伝えよう。彼らの知恵を。彼らの命令を。

以下に記すのは私が理解したドラゴンの言葉であり、その言葉が何を意味するかについて、不完全ながら解釈したものである。

* * *
「ドブ・ニファ―ス・ウィーセロス」
ドラゴンは蔓の罠を恐れない。

汝の力を自覚せよ。低劣なる存在を引き倒す弱さに陥ってはならない。

* * *
「ニーンゼイ・ミール・ワー・ヴィーク」
裏切りは敗北への道である。

裏切り、文字通りに言うと毒に侵された兄弟は、同盟に穴を穿つ。それは終わりの始まりと成り得る。

* * *
「ニーンゼイ・ミール・ワー・クロングラー」
裏切りは偉大なる勝利への道である。

主たちは賢い。時として、同盟を破ることは勝利を得るために必要である。

* * *
「ルル・ジョル・ロク」
不安定な時は、起ち上がれ。

私は最初これを勘違いした。というのも「ロク」は単に「空」を意味し、それゆえ空を見るべきだという意味だと思ったのだ。だが今では完全に理解している。これは空を見て上空に助けを求めよという命令ではない。空を飛ぶことの隠喩なのだ。「起ち上がれ」。すなわち力を振り絞り、激しい風を越えて上に突き進めということだ。地上の安全を求めてはならない。起ち上がり、より偉大な栄光を求めるのだ。

* * *
「ヌノン・メイ・ボ・ストラン・ヴォコスティード・ナール・ソブ」
嵐の中を飛び、雷に驚くのは愚か者だけである。

周囲の状況に注意せよ。環境を見ないか、目標に集中しすぎて周囲の明らかな危険を忘れることがあってはならない。

* * *
「デイ・オン・フォルーク・フェイ・コ・ヴェン・アールク・ロン」
信じ難き霊魂は風と雨の森をさまよう。

自分が何を見ていると思っても、もう一度見返すこと。より注意して見よ。さらに合理的な説明はあるか?

注釈:「デイ」という語はやや粗雑な直訳のようである。本質的には、これは「誤り」を意味するが、「笑えるほどの誤り」という含意がある。主張する者を笑っているのである。「オン」はそれよりもやや漠然としている。おそらく「魂」のようなことを意味しているが、それよりも空虚なもの。生命を欠く何かだ。

* * *
「ニド・ジード・ニド・クン」
月なくして月光なし。

汝の力の源を間違いなく確保せよ。その力がどこから来ているかを知り、あって当然のものとは考えぬこと。

* * *
私が主たちのそばにいた時に聞こえてきた知恵は、ほんのわずかな断片に過ぎない。私は彼らの古き言語を十分に理解できると感じるが、言葉の中にある知恵にしっかりと耳を傾けなければならない。可能な限り、私はそばに留まるつもりだ。私は重要人物ではないが、義務勘によって耳を傾ける。そして皆が彼らの知恵を聞けるように、私は報告する。時が来たら、さらに伝えよう。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第1巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 1

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

かつてアカヴィリの地には、カイル・ペルワという賢い女がいた。彼女は蜘蛛が糸を紡ぐように、魅惑的で美しい言葉を紡いだ。だがこの賢い舌には慢心の口が付いていた。

「生者でも死者でも、アカヴィリで私の機知に適う者はいないわ!」カイル・ペルワはある日、そう宣言した。

彼女の両親は黙らせようとしたが、カイル・ペルワは自分の言葉を撤回しなかった。彼女はそれを1度、2度、3度と繰り返した。そして3度目の時、彼女の言葉はあまりに確信に満ちた大声であったため、言葉は死後の世界にまで響き渡った。

「私ぐらい賢い者は誰もいないのよ!」

カイル・ペルワの祖先は皆、彼女の言葉に気分を害したが、ある霊魂は特に強く侮辱を感じた。それはその機転で多くの偉大なる勝利を得たハロ・バナル将軍の霊魂だった。将軍はいつも自分の功績について謙虚だったので、子孫がそれを範例としなかったことを不快に思った。

「カイル・ペルワは生者と死者の誰よりも賢いと主張している」と将軍は言った。「私が生者の世界へ旅し、あの慢心の言葉に真実があるかどうかを確かめてこよう」

ハロ・バナル将軍は生者によって大いに尊敬されていたので、彼の霊魂は死後の世界を去って、定命の者たちの領域に入っていけるほど強かった。将軍は今、その霊体の外見を黄金の鎧に身を包んだ戦士に変えてやって来た。彼は風のように素早くカイル・ペルワの村に向かい、彼女を探し求めた。

将軍はカイル・ペルワが村の端で、家のためのハーブを集めているところを見つけた。一瞬だけ、彼は躊躇した。将軍は自分の子孫が賢いだけでなく、仕事熱心でもあることを知ったからだった。だから彼はカイル・ペルワにその慢心した生き方を改め、謙虚に生きるチャンスをもう一度だけ与えようと心に決めた。

「カイル・ペルワを探している」とハロ・バナル将軍は言い、自分の存在を知らせた。「お前だろうか?」

カイル・ペルワは顔を上げてうなずき、手のひらから泥を払い落とした。「そう、私です」

「あなたはいかなる生者と死者よりも賢いと主張していると言われているが、それは本当だろうか?」

カイル・ペルワは立ち上がって真っすぐ背筋を伸ばし、自信に満ちた笑顔を将軍に見せた。「ええ、そのとおりよ。私よりも賢い者はいない」

「随分と大きなことを言うではないか」と将軍は応じた。彼の口調は冷淡になった。「そもそも、死者に対してどうやってそのことを証明するのかね?」

カイル・ペルワは肩をすくめた。「死者が私の言葉を気に入らなければ、私に自分の能力を示してくれればいい!霊魂だって生者の地を訪ねてくるぐらいのことはできるでしょう?」

「よかろう」と将軍は厳かにうなずいて言った。「これから三日三晩の間、お前は自分の祖先の中で最も賢い者たちの訪問を受ける。自分の能力を彼らに示せば、お前の自慢は真実となるだろう」

突然、カイル・ペルワは怖くなった。この見知らぬ男はなぜそんなことを言うのだろう?

「あなたは何者?」と彼女は聞いた。声が震えていた。

「私はお前が第三夜に会うことになる者だ」とハロ・バナル将軍は言った。その声は力強く、その眼差しは一切ぶれることがなかった。「私こそお前を誰よりも賢いと認定する者だ。お前がその力を示せればな。そしてその自慢が賢い嘘に過ぎなかったと分かれば、お前に罰を与える者だ」

そう告げると、彼は姿を消した。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第2巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 2

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワはその夜、なかなか眠れなかった。黄金の戦士は彼女の祖先の中で最も賢い3人の訪問を受けると言っていた。カイル・ペルワが3人全員に対して機知を証明するのに失敗すれば、彼女は罰せられるという。しかしどのような罰なのだろう?

カイル・ペルワは賢かったので、自分を訪ねてきた黄金の戦士が祖先の霊魂だと分かった。とすると、霊魂には彼女に対して、自分の判定に応じて大いなる幸運か不運を授ける力があるのだ。本当に怒らせてしまったら、彼はカイル・ペルワを死後の世界まで引きずっていくかもしれない。

この3つの試練を突破できるだろうか?失敗したら殺されてしまうのだろうか?そうした疑問が、カイル・ペルワを夜遅くまで目覚めさせていたが、ついに彼女は眠りに落ちた。

カイル・ペルワが次に目覚めた時、彼女は本当に目覚めてはいなかった。彼女には自分が夢の中にいることが分かったが、夢の中でこれほど意識がはっきりしているのは初めてだった。本当に、まるで別の領域に転送されたような感じだった。

そしてなんという奇妙な領域だったろう。彼女の周囲の大地は薄い水の層で覆われていて、彼女の足を冷たく濡らしていた。上空は限りなく白かった。目につく唯一のものは、水中から突き出した歪んだ黒い木だった。そして木の隣には赤い服を着た女が1人いた。

カイル・ペルワは、彼女を判定する第一の霊魂だと即座に理解した。

赤い服の女は微笑んだ。貴族のような物腰の若くて美しい女で、彼女が口を開くと、その声は大嵐を予告する風のように響いた。

「私はあなたを裁きに来ました」と赤い服の女は言った。「あなたは私よりも賢いと言ったのですから。あなたの祖先として、私には賢さを試す権利があります。我が審判を受け入れますか?」

カイル・ペルワは深く一礼し、「受け入れます」と言った。

「なら、私の与える課題は簡単です。私のところまで歩いてきなさい。それだけです」

カイル・ペルワはその言葉に不安を抱いた。赤い服の女が言うほどに課題が簡単だとは思えなかったからだ。しかし、彼女にできるのは前に進むことだけだった。だがカイル・ペルワが歩くと、どんどん遠ざかる方向に移動していることにすぐ気づいた。まるで木と赤い服の女が、カイル・ペルワが前に歩くのと同じ速さで後退しているかのようだった。

「何もかも見た目通りではないんだ」とカイル・ペルワは考えた。「この場所には、まだ私に見えていない仕掛けがある」

そこで彼女は背後を振り返ったが、見えたのは果てしない水だけだった。見上げれば、果てしない空があるだけ。しかし下を向くと、彼女自身の姿が映っていた。そしてこの映った姿はありえないことに、赤い服の女の反対方向を向いていたのである。

カイル・ペルワはもう少しで笑い出すところだった!なんて簡単な仕掛けだろう。カイル・ペルワが前進すると、反射した像が彼女を赤い女から離れるように動かしていたのだ。霊魂に向かって歩くためには、彼女自身ではなく、反射した像を正しい方向に動かさねばならないのだ。

だからカイル・ペルワは赤い服の女に背を向けて歩き出した。奇妙な感じだった。なぜなら彼女が歩むたび、目の前の大地が遠のいていくように見えたからだ。間もなく、鈴の鳴るような笑い声が耳のすぐそばで聞こえてきた。向き直ると、謎の霊魂がすぐ目の前にいた。

赤い服の女は微笑んで言った。「お見事です、カイル・ペルワ。あなたは私の課題を解いた。でも、あなたは教訓に気づいた?」

カイル・ペルワは舌を噛んで首を振った。分からなかったからである。

「前に進むためには、後退しなければならない時もある」と赤い女は優しく説明した。「これを導きの言葉としなさい。まだ試練は2つ待ち受けているのだから」

こうして、カイル・ペルワは朝日と共に目覚めた。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第3巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 3

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワは明るい太陽の下のトカゲのように勝利に浸っていた。なぜ不安など抱いたのだろう?何せ、彼女より賢い者などいないのだ!決して受けるはずのない罰などをなぜ恐れる?

残る試練はあと2つ。カイル・ペルワはどちらも成功させる自信があったが、そうなれば彼女の自慢も証明された真実になるのだ!祖先たちはもしかすると、この勝利に報酬を与えてくれるかもしれない。

カイル・ペルワはその夜、安心してよく眠った。

前の時と同じように、彼女は夢の中へ入った。またしても、彼女の周囲の大地は薄い水の層で覆われており、彼女の足を冷たく濡らしていた。またしても、上空は果てしなく白かった。だが今度は黒い木も女もいなかった。その代わりに、黒いテーブルと2つの黒い椅子があった。椅子の1つには青い服を着た老人が座っていた。

カイル・ペルワは祖先の霊魂に一礼し、丁寧に「ごきげんよう、お祖父様」と言った。

「ああ、カイル・ペルワか。ついにこの老人とまみえる時が来たな」と青い服の祖父は挨拶した。「さあ、座ってくれ。試練を始めよう」

一瞬だけためらってから、カイル・ペルワは言われた通りにした。今度は歩いても仕掛けはなく、あっさりとテーブルまでたどり着いて座った。

「さて、お前の試練だが」と祖父は続けた。「とても簡単だ。私たちはティハセイの勝負を一度だけやる。お前の目標は、私が勝つのを止めることだ。分かったかな?」

カイル・ペルワはうなずいたが、彼女の胃はぐっと引き締まった。確かに、ティハセイなら何度もやっている。勝つためにはかなりの巧妙さが必要だが、カイル・ペルワはよく勝った。だが知恵と巧妙さをあわせ持つ、この老人の霊魂を相手にしても勝てるだろうか?

青い服の祖父は手を一振りして、ティハセイの盤を召喚した。ゲームの駒は真っ白で、濃い茶色の盤とくっきり対照をなしていた。彼はカイル・ペルワに合図をして、第一手を打つように誘った。こうしてゲームは始まった。

簡単な勝負ではなかった。カイル・ペルワが盤上に駒を動かすたび、彼女の手は震えた。彼女が攻撃しようとすると、青い服の祖父は決まって鉄壁の守りで返してくるのだった。そして彼がカイル・ペルワの駒を攻める番になると、その攻撃は無慈悲だった。たちまちのうちに、思っていたよりもずっと早く、彼女は敗北寸前まで追い込まれた。

ついに、カイル・ペルワはあと1手で負けると分かった。もう勝つことは不可能だし、敗北を逃れることすら不可能だった。彼女は賢かったので、このことは分かった。

だが、勝たなければならないのだろうか?突然、カイル・ペルワの目が大きく開いた。青い服の祖父は彼の勝利を止めろと言ったのだ。これが本当に簡単な課題なら、彼に勝つ必要など本当にあるのだろうか?

それ以上考えることなく、カイル・ペルワは盤の上を手で払いのけた。ティハセイの駒が散らばって、ポチャリと静かな音を立てて水の中に落ち、ありえないくらい深く沈んでいった。この単純な動作によって、ゲームに決着を付けることはできなくなった。どちらのプレイヤーも勝利できなくなったのだ。

青い服の祖父はくすくすと笑って言った。「見事だ、カイル・ペルワ。たったの1手で、お前は私の勝利を止めた。簡単だったろう?」

カイル・ペルワはあえいだ。呼吸が乱れていた。もう少しで試練を失敗するところだった。そして失敗は、死を招いていたかもしれないのだ。

「さて、こいつが教訓だよ」と青い服の祖父は首を縦に振りつつ続けた。「目に見えるものではなく、真実を探すこと。これを導きの言葉にするがいい。試練はまだ1つ待ち受けているのだから」

こうして、カイル・ペルワは朝日と共に目覚めた。

賢きカイル・ペルワと大いなる自慢 第4巻Clever Kail-Perwa and the Great Boast, Volume 4

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人、ナラエ・ポレクの語り

カイル・ペルワは一日中絶望に駆られていた。第二の試練はあと少しで失敗するところだった。そして今、第三の試練が待ち受けているのだ。最後の試練をしくじれば、重い罰を受けるだろう。命すら奪われるかもしれない。

彼女はあらゆる選択肢を検討した。霊魂から守ってくれる司祭はいるだろうか?永遠に眠らなくていい薬は?しかし考えれば考えるほど、発想は現実味を失っていった。

カイル・ペルワはあまりに恐れていたので、夜遅くまで眠りにつけなかった。

彼女は再び夢の中で目覚めた。またしても、カイル・ペルワは果てしない水の大地と果てしない白の空に迎えられた。だが今回は、黄金の戦士が輝きに包まれて彼女の前に立っていた。その手には強大な黒い剣が握られており、それはカイル・ペルワには到底持ち上げられそうにないほど大きかった。

「お前は2つの試練を通過した」と黄金の戦士は言った。彼の声はいで立ちと同様に誇り高く、力強かった。「だがまだ私を越えてはいない。私の審判を受け入れるか、子孫よ?」

カイル・ペルワは素早く、一度だけうなずいた。反抗しても無意味なのは分かっていた。

「お前は自分の行動により、二度までもその賢さを示した」と黄金の戦士は続け、その強大な剣を両肩の上に乗せた。「だがお前の言葉の賢さはどれほどのものか?これがお前の最後の試練になる、カイル・ペルワよ。お前が全ての生者と死者よりも賢いと、私を説得してみよ」

人生で初めて、カイル・ペルワは何と言えばいいのか分からなかった。一体どんな言葉を紡げば、この賢い霊魂を説得できるのだろう?

「前進するには、後退しなければならない時もある」と赤い服の女は言っていた。

「あからさまなものではなく、真実を探すこと」と青い服の祖父は言っていた。

カイル・ペルワは目を閉じて考えた。彼女は自分が他の誰よりも賢いと証明するため、2つの試練を乗り越えた。だがそれが本当にあの苦難の目的だったのだろうか?カイル・ペルワは自分の賢さと機知を全て使って、これまでに学んだことと、これからすべきことを考えた。

次に目を開いた時、カイル・ペルワには真実が見えていた。

「できません」と彼女は黄金の戦士に言った。手が少し震えていた。「私が全ての生者と死者よりも賢いとあなたを説得することは、私にはできない」

「ほう?」と黄金の戦士は言った。彼の声は落ち着いていた。「それはなぜだ?」

「私はそんなに賢くないからです」とカイル・ペルワは答えた。「もし私が本当にそれほど賢ければ、そのような自慢は決してしないでしょう。私がこれまで会ったことのない人々と、これからも決して会うことのない人々がいます。そうした人々が私よりも賢くないと非難するのは、愚かなことです」

「なるほど」と黄金の戦士は言った。その表情からは何も窺えなかった。「お前が言うことはそれだけか?」

カイル・ペルワは深く一礼した。恥ずかしくて頭を上げられなかった。「今では、あのような自慢が一族の名誉への侮辱だと分かりました。謝ります」

その言葉と共に、戦士の表情が崩れてにやりと笑った。彼の鎧は貴族のローブに変化し、顔には長いひげが生えてきた。その時初めて、カイル・ペルワは目の前の霊魂が祖先の中で最大の名誉を受けている、他ならぬハロ・バナル将軍であることに気づいた。

「お前は罰を受ける危険も顧みず、私の前で謙虚になった」とハロ・バナル将軍は言った。「そのために、私はお前の過失を許そう。謙虚に生きるがよい、我が末裔よ。自らの限界を知る者以上に賢い者はいないのだから」

「ありがとう、ハロ・バナル将軍」とカイル・ペルワは言った。彼女の心は感謝で満たされていた。「その教えを決して忘れません」

こうしてカイル・ペルワはついに自らの祖先たちの知恵に目覚め、全ては無事に終わった。

古きアカヴィルはFor the Old of Akavir

ヘワ・オクシュ・ツァンドリ・タ

古きアカヴィルは
刀剣も盾も信じぬ

我らが最初の兄弟の歌
必要とされる時のための武器
アネクイナのドラゴンホーン

ヘワ・オクシュ・ツァンドリ・タ

古代の墓石Ancient Gravestone

〈裏切り者〉の首、ここに眠る

その名は歴史から消された

ジョーンとジョーデが空から落ちてくる時まで

その分断された身体を隠すために

降霜の月のクーデターThe Frostfall Coup

エルスウェアとアルドメリ・ドミニオンへの影響

異国観察のサピアルチ、タンデメン 著

アイレンが帰還しアルドメリ・ドミニオンを生み出した4年前、第二紀576年にユーラクシア・サルンはアネクイナ王家を殺害し、不法にリンメンの玉座を奪った。この事件が起きた原因と、ドミニオンがどう対処すべきなのかについて、いくつか見解を提出しておきたい。

同年の早い時期にレオヴィック皇帝はシロディール帝国全体でデイドラ崇拝を合法化し、これは即座に反乱を引き起こした。ヴァレン・アクィラリオスが自ら兵を進めて帝国を掌握しようと動き始めた時、ユーラクシア・サルンはある外交任務のために北エルスウェアへ派遣された。彼女は混乱を利用してニベン傭兵の大軍団を雇い、リンメンに進軍して味方として迎え入れられた。帝国の一部として、リンメンのヘマカル王は皇帝の特使を受け入れるのが当然だと判断した。致命的な誤りだった。

ユーラクシアはヘマカル王と他の王族を処刑し、自らをリンメン女王と宣言した。彼女の傭兵はユーラクシア兵の記章を身に着けて各地に広がり、素早く北エルスウェア全土を征服して、リバーホールドからリンメンに至る領地を制圧した。いったん権力の座につくと、ユーラクシアは急ぎ自分の地位を安定させようとした。彼女はさらに傭兵を雇い、死霊術師の教団の支援を取り付け、リンメンの支配を維持するために攻城兵器で防衛線を張った。カジートの民にとって、ユーラクシアの支配は望ましいものではなかった。彼女の統治はあらゆる意味において専制に他ならなかったからだ。

状況が落ち着き、事態が明らかになると、カジートは民兵を結成してユーラクシア兵と戦い、アネクイナの奪還を試みた。アイレン女王は同盟を確立してドミニオンを形成した際、カジートの民が北エルスウェアの支配を取り戻すために力を貸すと約束した。しかし、実際に部隊が派遣される前に三旗戦役が勃発してしまった。わずかな軍事顧問と不足していたゴールドの供給を除けば、カジート防衛軍は自力で何とかするしかなかった。たてがみの代弁者ガレシュ・リ卿がアネクイナまで出向いて民兵の指揮を執り、彼の導きの元で防衛軍はリバーホールドの街と、リンメン城壁外の領域の大半を解放しつつある。

残念ながら、リンメンはいまだユーラクシアの牙城であり続けている。その主な原因は王宮の周囲に配置され、街に直接狙いを定めている攻城兵器である。ユーラクシアは自らの支配が何らかの形で脅かされることがあれば街を破壊すると脅迫しており、ガレシュ・リにはそれを疑う理由がない。攻城兵器を始末するまで、ユーラクシアはリンメンの玉座を維持し続けるだろう。

三旗戦役が続いている限り、カジートが僭女王と呼ぶ専制君主を倒すため、ドミニオンが勢力を割くことは不可能である。我々としては資金と顧問を提供しつつ、戦争が終わるまでカジート民兵が持ちこたえてくれることを祈るしかない。さもなくばドミニオンは、エボンハート・パクトとダガーフォール・カバナントに対する戦争を終えた後、国境の内側の脅威を相手にする羽目に陥るかもしれない。

三つの月の物語The Tale of Three Moons

我らの民の最初の記憶よりも前の時代、しかしアズラーの薪が誇り高き獅子ローカジュの肉を奪ってから遥か後、我らが偉大なる母は泣いてため息をついた。兄弟の暗き心臓の運命に悩まされて。自分の広大な領地の丘と峡谷を歩き回りながら、彼女は鼓動から逃れることができなかった。渦巻く海の向こうからやって来る、微かだが止まることなく打ち続ける音から。大いなる闇の中のどこかで、月の獣の獰猛なリズムは加速し、激しさを増していった。

様々な姿形の子供たちが月の獣の冒涜によって倒れることを知っていた彼女は、星に向かって喉を鳴らし、ジョーンとジョーデのランターンを説得して空のガーディアンを呼び寄せた。この第三の月にしてラティスの盾は、その光をアズラーの砂の中でも最も純粋な心と従順なところへ投げかけた。彼女はそこの猫たちを隠された月の寝床と呼び、彼らに月の二つに分かれた道と慈悲深き剣の秘密を教えた。その時以来、彼らは偉大なる母を他のどんなカジートよりも愛するようになった。その愛の中に、心臓の鼓動によって歪められた全ての猫への同情を見出した。

愛されしアデプトたちよ。この言葉を心に抱き、我々がアズラーの戒律を守り続ける理由を知るがよい。我らは皆、隠された月の子供なのだから。

死と恐怖の贈り物Gifts of Death and Fear

エロク・ファ・オフシュ・ジリト・ケスン

全てのドラゴンガードよ忘れるな
死と恐怖の贈り物を

我らが敵は無限にして傲慢
我らのようには考えぬ
得ることのみを考え、失うことは思わぬ

エロク・ファ・オフシュ・ジリト・ケスン

死の中にこそ約束があるIn Death is the Promise

ネート・ザン・ウル・ジェンドライ・ツォリ

終わりは全ての者にやって来る
死の中にこそ約束がある

戦いに倦んだ剣は置かれ
戦いに傷ついた盾は脇に置かれ
全ての者は永き平和に休む

ネート・ザン・ウル・ジェンドライ・ツォリ

死霊術師:女王への報告Necromancers: A Report for the Queen

陛下

陛下との協定は我々の双方に実りあるものだと証明されました。陛下は不屈のアンデッド軍団を手にし、私は自らの技を実験するため、死体の尽きることなき供給源を得ています。私の力を用いようという先見の明ある支配者が他にもいたならば、闇の技がどれだけの進歩を見せていたことか。ぜひお考えいただきたい!

死体が潤沢に入手でき、ユーラクシア様の兵士に協力いただけるようになりましたので、我々はアンデッドを目覚めさせ、貯蔵するための死体工房をいくつか敷設しました。残念なことに、スカーや共同墓地でさえ、陛下が望む大規模な軍団を作るために十分な死体を擁してはおりません。工房に利用するため、さらなる死体が必要です。私に従う者たちは次の積荷を待ち望んでおり、すぐに処理する準備を整えています。

それから、〈裏切り者〉の身体の部位の捜索が順調に進んでいることを喜んで報告いたします。〈裏切り者〉を再生させるために必要な部位は全て、近いうちに手に入るでしょう。繰り返しになりますが、〈裏切り者〉はドラゴンへの支援の継続を維持し、保証するための鍵です。

もう一つだけ。私が荒野に隠れていることを発見したあの「問題」を処理するための命令は、すでにお出しになられたでしょうか?陛下の暗殺部隊があの、取るに足らぬとはいえ無視できぬ脅威を始末すれば、ムラームニルと兄弟たちもずっと協力的になるでしょう。

ズモグ・フーム
闇の技の王

試練の祭典The Proving Festival

ライジェ・パラク・ルリシアン 著

薪木の月14日

帝都の輝きに比べれば、ハコシャエは青白い光でしかない。我々の故郷は簡素で、生活は日々労働に満ちている。かつては柔らかかった私の手も、今では豆と埃で覆われている。それでも、我々は安全だ。

豪商は近く試練の祭典を始めるとの告知を出した。人生で初めて、祖先の名誉を汚す心配をしなくてよくなるのだ。私は長い旅と辛い労働を経て、ハコシャエを築く助けをしてきた。私の行いはきっと、私の前にここへ来た者たちを満足させたものと思う。

薪木の月18日

試練の祭典が始まったが、祭りはほろ苦い感慨に貫かれている。たった3年前、この同じ祝賀を一族の美しい領地で行ったことを思い出さずにはいられない。饗宴があり、踊りと音楽、他にも色々あった。千の物語が語られ、千の歌が歌われ、美しい装飾が私たちの故郷を覆った。

ハコシャエの試練の祭典は遥かに簡素な行事だ。食料に余裕がないため、饗宴はなし。我々の労力は今や故郷となったこの街を築くために使われたので、装飾もなし。偉大なる冒険の物語は疲れ果てた長老たちによって語られる。かつての労働の重荷が、今でも彼らの声にのしかかっている。

だがそれでも、豪商の決断には感謝している。アカヴィリを再び感じられるのはいいことだ。

薪木の月20日

私の妹が昨晩、奇妙な音を聞いたと言っていた。ゆっくりと、つまずきながら彼女の窓のそばを歩く音。彼女は目を覚ましたが、怖くて外を見られなかったという。

心配することは何もないと言っておいたが、気が重い。祭典は我々の祖先に裁定を仰ぐものだということは誰もが知っている。我々がどれほど見事に祖先を称えるかによって、彼らは我々に幸運か、もしくは不運をもたらす。だが生者の領域を乗り越えるということは、彼らが激怒していることを意味する。

昨晩ハコシャエを訪れたのが、私の祖先でないことを祈るしかない。祖先が私たちを常に見守り、死後の世界へ幸せに留まっていてくれますように。

薪木の月22日

試練の祭典は完了し、誰も悲惨な死を遂げはしなかった。妹の話はただの夢だったのだと今では思っている。彼女の悪夢を信じ込むとは、私が愚かだった。

しかし祝賀には奇妙な空気が漂っていた。通常は荘厳で動じない豪商が、今日は普段より深刻そうに見えた。彼は祭典について、そして我々が祖先を称えたことについて話した。私自身の父が何度も繰り返し語るのを聞いたことがある、普通の演説だった。

しかしその後、彼は我々の毎日の行いが祖先に対する我々の価値を証することになるのだと語った。我々は祖先の注意を要求し、馬鹿馬鹿しい試練や無意味な謎で自分の力を証明するべきではないと語った。ただハコシャエを築き、維持するだけでも、我々は祖先を十分に満足させたのだと。

こうした意見に、私は落ち着かないものを感じている。まるで豪商は来年、試練の祭典を開催したくないと言うようだ。もちろん、私はそうでないことを心から願っている。今年の薪木の月、我々はアカヴィリ文化の重要な一部を祝ったのだ。それを手放してしまうのは望ましくない。すでに我々は、あまりに多くのものを手放してきたのだから。

終焉への旅へJourney to Endings

ウブ・ヒアン・ジョンリ・イセク・トー

祝福を求め、許しを与えよ
終焉への旅へ

我らに帰還はない
兵士、狩人、巡礼者
魂と心は朽ち果てる

ウブ・ヒアン・ジョンリ・イセク・トー

十六王国The Sixteen Kingdoms

[上級学士ヒロ・シラによって収集された伝統的なカジートの童謡]

女王と宮廷のお通りだ
ネ・クイナルの君主
家畜の群れを追う遊牧のクラン
ネ・クイナルの民

王と宮廷のお通りだ
傲慢なリンメンの王
種々雑多なリムの商人
怒りっぽいリンメンの民

女王と宮廷のお通りだ
リバーホールドの女王
北方の剛毅な農民
リバーホールドの開拓者

王と宮廷のお通りだ
デューンの月の司祭
古き時代の司祭と学者
デューンの埃っぽい賢者

女王と宮廷のお通りだ
オークレストの支配者
砂の焼け付く砂漠の猫
オークレストの風に吹かれた盗賊

王と宮廷のお通りだ
ヴァーカースの戦士王
勇猛なる剣と弓の使い手
きびきび行進するヴァ―カースの兵士

女王と宮廷のお通りだ
メイアヴェールのラム長者
大胆な醸造業者と蒸留業者
メイアヴェールの喜ばしき発酵職人

王と宮廷のお通りだ
ヘルカーンの家畜公
油断なき鋭い目をした羊飼い
ヘルカーンの家畜追いの猫

女王と宮廷のお通りだ
アラバスターの吟遊詩人の女王
沿岸の熟練の詩人
アラバスターの劇作家

王と宮廷のお通りだ
ブルクラの商人王子
鋭く情報に長けた川の交易商
ブルクラの商人

女王と宮廷のお通りだ
コリンスの大工女王
高地の森の材木の猫
コリンスの彫刻師

王と宮廷のお通りだ
パーラッティーンの敬虔なる王子
神秘を誓ったアルケインのアデプト
祈りを捧げるパーラッティーンの司祭

女王と宮廷のお通りだ
テンマールの密林の女王
葉と枝の森の民
テンマールの木に住む毛皮の民

王と宮廷のお通りだ
トルヴァルの聖なるたてがみ
毛深い陛下のしもべ
トルヴァルのロイヤルガード

女王と宮廷のお通りだ
ケナーシアの女伯爵
砂糖を植え魚を釣る猫
ケナーシアの風に愛された民

王と宮廷のお通りだ
センシャルの港の公爵
船乗りと港の労働者
センシャルの海の悪漢

償いの石Stone of Atonement

真の猫がナミイラに堕ちるのを見ること以上の深い悲しみが、カジートにあるだろうか?仲間の輝く顔が突然真夜中のように暗くなり、憤怒と悲哀で顔を皺にするのを見せられる。我らが民はドロ・マスラを呪うが、ナミイラの踊る僕はかつてアズラーの純真なる子にして、ジャ・カージェイを受け継ぐ者だったことを決して忘れてはならない。

救済の及ばぬカジートはいない。ドロ・マスラの魂を倒れた我らの眷属の骨に押し付けることで、我々は彼らに償いの機会を与えられる。平穏は黄昏にのみ見出されるからである。だから、暗闇へ呼びかける我々の声に尻込みする者の言葉に耳を貸してはならぬ。清められた魂のためならば、どんな代価も大きすぎはしない。

聖なる記憶より消えたGone from Sainted Memory

テル・コ・アン・ブルジ・ティ・アーン

かつて知られた平穏は
聖なる記憶より消えた

大いなる苦痛の教え
星の裏の知恵
学ばぬのなら、死なねばならぬ

テル・コ・アン・ブルジ・ティ・アーン

誓約の石Stone of Commitment

アズラーの多くの戒律の中でも、何より重要な戒律が1つある。全ての魂は、大きいものも小さいものも、真っすぐであろうと歪んでいようと、月の祝福を受けていても、呪いに侵されていても、彼女の抱擁の元へ戻らなければならない。肉の生を霊魂の生から切り離す、月のラティスの向こう側で。この戒律の内に、隠された月の教団はその使命を見出す。

愛されしアデプトよ。我々は羊飼いの道を行かねばならぬ。祈りと歌を通し、我々は人々の魂を我らが女王にして母の左腕たる、指定された場所へ導かねばならない。他の者たちを救い我々は自らをも救う。

戦争、狩り、解放War, Hunt, Deliverance

ゴム・ハクー・ロート・ブ・ケンリ

多くの名と共に旅せよ
戦争、狩り、解放

戦利品を取る者も、栄光を求める者もいない
たとえ我らより美しくとも
神々の眷属を倒すためには

ゴム・ハクー・ロート・ブ・ケンリ

素敵な花に囲まれて踊ろうDancing Among the Flowers Fine

(カジートの舞踊歌)

[句切り様式その1:軽いスタッカート]
花に囲まれて踊りながら
歌であの人に呼びかける
気まぐれな月光のセレナーデ
花に囲まれて踊りながら

深い夢の中で眠りながら
あの人の蝶を追いかけて
夏が終わるなと願いつつ
深い夢の中で眠りながら

[句切り様式その2:各行をレガートで]
今や風景が開かれ
その秘密を歓喜と共に知らせる
秘密は虹のように輝き、暗く不吉で
柔らかく燃える炎で温める…

[区切りスタイルその1]
いくつもの世界を飛び回り
宝石の鳥を追いかけて
あの方の囁きを願いながら
いくつもの世界を飛び回り

属性の物語Tale of the Elements

最高顧問ヴェルシデュ・シャイエの桂冠詩人ナラエ・ポレクにより

ミィンは力強き杖を掲げ
東に明かりが灯る

ジサは優雅なる杖を振り
南は水中に沈む

ニファは怒りと共に靴を打ち付け
北に轟音が鳴り響く

イルニは色鮮やかな扇をはためかせ
西に風が吹き抜ける

隊長の手紙Captain’s Letter

陛下

訓練された我が一流の暗殺部隊は、陛下のお求めに従い、いかなる任務も遂行する用意を整えてあります。しかし、私の暗殺者は数が少ないため、補充の形式で援軍を付けることがより確実かと思われます。

敢えて進言いたしますが、シグナス不正規兵の兵士たちを指揮する権限をお与えいただきたく存じます。私はいずれにせよ、砂の渦の邸宅にて最後のドラゴンガードについてのカロ長官の報告を入手せねばなりません。

それに加え、あの傲慢なインペリアルにナイフを突き刺す機会をいただければ光栄です。あの男は私の傭兵たちが自分の兵に劣ると考えており、そのために私は彼を憎んでいます。

サウリニア隊長

脱走の機会A Window for Escape

夜の礼拝の後でミドゥナと話せ。

2日以内に到着する荷車について伝えろ。

準備を。

追放の石Stone of Banishment

償いへの道はしばしば、憤怒と自己憐憫の影に飲み込まれる危険を伴う。この道はことあるごとに振り出しへ戻り、罪人に繰り返し、自らの罪に向き合うことを強いる。時と共に、苦悩するドロ・マスラは真理を受け入れ、教団の奉仕を通じて救済を求めることもあるが、多くの者は抵抗する。そうした憐れむべき者に対しては、追放が唯一の手段である。

祈りと歌、そして切り裂く剣により、我々は異なる世界をつなぐ道の安全を保っている。我々はこの仕事に大いなる名誉を見出すが、大いなる危険をもまた見出す。ナミイラが他の何にもまして、狩人の心臓を渇望していることを忘れてはならぬ。アデプトは戦争の苦い果実の奥に隠れている、平和の種を探さねばならない。

敵を恐れ、師の言葉を聞けFear the Foe, Heed the Teacher

ウドゥ・エワット・ピクラ・ナトセイ・ブリン

大胆な爪、終焉の声
敵を恐れ、師の言葉を聞け

風のごとく動き、川のごとく曲がれ
勝利の前に生き延びねばならぬ
傷を憎み、死を避けろ

ウドゥ・エワット・ピクラ・ナトセイ・ブリン

怒りアルフィク:コレクションThe Angry Alfiq: A Collection

リンメン魔術師ギルドの記録係ティバールによって文字に書き起こされたもの

[記録係のメモ:怒りアルフィクの話はカジートの物語において長い伝統を持つ。語り部たちが常に新たな話を選集に加えているため、全部でいくつの話が存在するのか知る者は誰もいない。表題の登場人物以外では、こうした話の共通点として短いこと、脱線の多さ、ユーモラスな結末がある。

一部の者にとっては意外に映るが、これらの話は多くの民間伝承と異なり、道徳的教訓や文化的価値を教えるためのものではない。どちらかというと、怒りアルフィクの冒険は手の込んだ冗談に類するものである。だからカジートの伝統に則り、耳を澄まして笑う準備をして、ここに伝える怒りアルフィクの物語の中でも、最も人気のある数話を聞いてもらいたい]

* * *

怒りアルフィクとセンチ

ある日、怒りアルフィクはとても可愛いセンチに出会った。それは彼がこれまでに見たどのカジートや毛皮のある生き物よりも美しかった。その瞬間、彼はこのセンチの愛を勝ち取るためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

「あんたは意気地なしじゃない!」とサセイのいとこは笑った。「彼女の気を引けるの?」

「あんたは弱すぎるわ!」とキャセイの姉は笑った。「踏み潰されちゃうわよ!」

「お前は小さすぎる!」とパフマーの兄は笑った。「彼女に手も届かないだろう?」

だが怒りアルフィクは可愛いセンチの愛を勝ち取ると固く決心していた。彼は強くなるために昼夜を問わず訓練した。恋愛の本を沢山読んだ。分厚いかかとのついたブーツを4つも買った。こうした準備を整えると、彼は愛する女性の心を勝ち取るために出発した。

次の日の朝、彼は心と腰を痛めて帰ってきた。

* * *

怒りアルフィクとリュート

ある日、怒りアルフィクは旅の吟遊詩人と出会った。彼女は怒りアルフィクがこれまでに聞いたどの吟遊詩人よりも美しく演奏し、歌った。その瞬間、彼はこの吟遊詩人のそばで音楽を演奏するためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

「タンバリンをやったらどう」と吟遊詩人は言った。「口にくわえて振ればいいわ!」

しかし怒りアルフィクはタンバリンを演奏したくなかった。

「ドラムをやったらどう」と吟遊詩人は言った。「前足で叩けばいいのよ!」

しかし怒りアルフィクはドラムを演奏したくなかった。

「うーん、あなたの体で、他に演奏できる楽器がある?」と吟遊詩人は聞いた。

怒りアルフィクはリュートを吹きたいと答えた。あらゆる楽器の中で最も優雅で、美しい音色を奏でるからだ。

吟遊詩人は笑うだけだった。彼女にはこんなに小さくて、前足の不器用な者がリュートを吹くなど想像もできなかったのである。そんなことは不可能。どう考えても不可能だった!

だが彼女が笑えば笑うほど、怒りアルフィクは誤りを証明してやろうと決心を固めた。彼は吟遊詩人にリュートを渡してくれ、演奏してみるからと要求した。吟遊詩人は面白がって渡した。

怒りアルフィクはにやりと笑って鋭い爪を1本出した。彼は素早く爪を走らせて全ての弦を一度にかき鳴らし、一つ残らず切断してしまった。

こうして、怒りアルフィクは笑いながら道を駆けて行った。すぐ後ろに怒り狂った吟遊詩人を従えて。

* * *

怒りアルフィクと口ひげ

ある日怒りアルフィクはこれまでに見た中で最も大きくふさふさの口ひげを見た。それは黒く分厚く、その生やし手であるカジートの腹まで伸びていた。その瞬間、彼はあのような素晴らしい口ひげを生やすためなら、どんなことでもすると心に決めたのだった。

だがいかに努力を重ねても、怒りアルフィクは顎に元々生えている毛をそれ以上伸ばすことはできなかった。様々な調合薬や、呪文まで試したが、何も効果はないようだった。

「この者が力を貸すわ!」とサセイのいとこが言った。「ただし家族でも、ゴールドは払ってもらうわよ」

怒りアルフィクはこの条件に同意し、サセイのいとこは仕事に取り掛かった。いとこはタールを接着剤にして羽根をどんどん重ね、怒りアルフィクの顎につけた。仕事が完了すると、彼女は荷袋から鏡を取り出した。

怒りアルフィクは怒ってフーッと声を上げ、サセイのいとこの敏感な鼻のあたりを鋭い爪で払った。いとこがわめいている間に、怒りアルフィクは自分のゴールドと、ついてに彼女のゴールドも全部取り、急いで家を去った。

「この者が力を貸すわ!」とキャセイの姉が言った。「ただし親戚でも、お金は払ってもらうわよ」

怒りアルフィクは再びこの条件に同意した。今度の姉はハチミツを使い、綿の塊を次々と彼の顎に付けていった。ついに作業を終えると、姉は怒りアルフィクを連れて行き、壁にかかった鏡を見せてやった。

怒りアルフィクは怒りで吠えて、キャセイの姉の手のあたりを鋭い爪で払った。姉がわめいている間に、彼は自分のゴールドと、ついでに姉のゴールドも全部取り、急いで部屋を去った。

「俺が力を貸そう!」とパフマーの兄が言った。「ただし、もしうまくいったら、お前が今持ってる金を全部俺に渡すんだ」

ためらったが、怒りアルフィクは同意した。そしてパフマーの兄は口ひげのあるどこかの知らない人のところに行って殴り倒し、その顎から器用に1本残らず毛を切り取った。彼は歯をむき出してニヤニヤしながら、その大きな毛の塊を怒りアルフィクに見せた。

怒りアルフィクは何度も唸ったが、それでもゴールドを手放した。確かにパフマーの兄は、とてもよい口ひげを渡してくれたからだった。

盗まれたワインの報酬Reward for Stolen Wine

関心を持たれた方へ:

我が主人は、盗まれたワイン3本の安全な返還に対して報酬を提示しています。質問はせず、こちらからも答えません。3本のボトルがどこにあるにせよ、互いに歩いて行ける程度の距離しか離れていないでしょう。いつもそうなのですから。

1本目は冷たい白ワインのボトルです。いつボトルに触れても冷たいのはなぜなのか不思議に思っていらっしゃるかもしれません。しかし深く考えない方が良いでしょう。

2本目は上質の赤ワインのボトルです。これを持ち上げると感覚が麻痺するでしょうが、取り乱す必要はありません。ボトルが時間どおりに届けられれば、感覚はまた元に戻るはずです。

最後の3本目は色の定まらない自家製ワインのボトルです。ボトルを持っていると激しい憂鬱を引き起こし、それに続いて容赦ない絶望感と感情的な無気力、最終的に自己破壊がやってきます。

これらのボトルのどれかが開けられた場合、主人はできる限り地下深くに埋め、かつその際に中身が皮膚に触れないよう細心の注意を払ってほしいと述べております。もし誰かがボトルの中身を飲んでいるところに出くわしたならば、その者は殺し、周囲一帯にある全てのものを焼き払うようにと仰せられています。

手付かずの状態で発見した場合は、どうかワインを私のところへ早急にお持ちいただきたい。私はステッチズの住居から決して動きませんので、あなたのご到着を心よりお待ちしています。

敬具
主人の忠実なる僕、ホフグラッド・キジョーセン

盗賊の謎The Thief’s Riddle

直そうとしていたものは

消え去った

蛇人間の墓へ

道筋と潮汐Trail and Tide

月の司祭フナル 著

どんな猫でも月を見れば、毛皮を照らす甘い光の愛撫を感じることができる。どんな猫も潮の満ち引きと、無視できない双子月の踊りのリズムを感じることができる。

しかしどんな猫にも、ジョーンとジョーデが優しきニルニと世界の陰の闇の間にある不毛な天空をさまよい、猫が虚無に向かって吠えることがないよう守っている時、彼らが発している囁き声が聞こえるわけではない。だからこそ月の司祭は子猫を導き、先頭に立って秘密の糸を辿り、月の運動と潮汐を教える。

真の猫は正しき道筋のために休むことなく狩り、ジョーンとジョーデが踊りながら空へ向かって辿った終わりなき道、を一つまた一つ、肉球の痛みもミルクを求める喉も構わず進む。ジョーンとジョーデは全世界にある砂糖の粒よりも多くの道筋を辿った。猫にとって、飽きて追跡を断念することは容易である。だからこそ、月の司祭は子猫を励まし、最も古い時代の物語を分かち合い、彼らが狩りへと戻るよう誘う。

全ての猫は、砂糖が丘のように積みあがる星の裏の砂場に憧れている。全ての猫は月光の合唱を夢見る。真の猫が知る喜びの音である。

だが、全ての猫が死に際してケナーシの優しい抱擁を知るわけではなく、全ての魂が彼方へ飛び、終わりなき温もりに浸るわけではない。だからこそ、月の司祭は性悪の猫を叱り、道を外れた者たちに打擲を加え、月が織りなす道へ戻るのを待たねばならない。

真の猫はつまずき、森の奥で道を見失い、恐るべき心臓に導かれた暗い踊りの誘惑に遭うかもしれない。恐怖が魂を捉え、精神を混乱させ、感覚を鈍らせるかもしれない。だからこそ、月の司祭は最も声高き猫となり、悪臭を放つ靄を吹き飛ばさねばならない。

道塞ぎのノーディグループNoordigloop the Clog

オークレストの下水道は、何と興味深い場所だろう。この腐敗した深淵では、驚異的な数の野生動物が見つかる!探検家としてもアマチュア自然学者としても、私の仕事にとってとてつもなく好都合だ。

正直に告白すると、私が下水道のシステムを探し求めてオークレストまで来た時には明確な目的があった。私は無形の緑スライムの標本が、表向きはオークレスト研究所で錬金術の研究をする目的で、遥か遠いマークマイアから輸送されたという噂を聞いたのだ。聞くところによれば、この生物は街を荒廃させた疫病が最高潮に達した時の混乱と不安の最中に脱走したという。スライムは下水道に流れ込み、そこに流れてくる病気に侵された残骸を吸収して巨大に成長し、さらに強力な毒性を獲得したという。

そこで私はメモ帳とペンを携え、危険を冒してオークレストへ向かい、下水道への入口を見つけた。廃棄物や残骸を漁る小さなスライムにはいくつか出くわしたが、巨大生物はいなかった。失望したが、先に進み続けることにした。そこで私は大きな穴と、そこを支配するかなり大きいスライムを発見したのである。私はそれを、道塞ぎのノーディグループと名づけた!

この見事な生物を眺め、私はこの大きさならば鈍重でおとなしいだろうと思った。怒れる粘液の波のように、私の方へ押し寄せてきた時の驚きを想像していただきたい!どうやって私の存在を感知したのだろう?見当もつかない!そしてより小さなボリプラムスが、周辺一帯に散らばった。これらは別の生物なのか、それとも強大なノーディグループの延長に過ぎないのか?さらなる研究が必要である。残念ながら、私はこれを隠れ場所から記しており、スライムたちが私を探している間にここから出るのはためらわれる。私はもう少しだけ待ってから、徹底的な調査ができるくらい近くまで、ノーディグループに接近するつもりだ。

もしかすると、あの震えるスライムのサンプルを私の錬金工房に持ち帰ることさえできるかもしれない。そうなったらどれほど素晴らしいだろう?

匿名の引き裂かれた日記Anonymous Torn Journal

ここの床は奇妙だ。どういう仕組みなのか分からない。この祠にはこの簡素な部屋以外にも何かがあると考えざるを得ない。魔術師ギルドから誰かを雇ってくる金があればよかったんだが、もう手遅れだ(アーヴィングのせいだぞ)。

とりあえずキャンプを張ろう。あの猫どもは月が大好きだ。夜中のうちに何か出てくるかもしれない。

18日目
夜中には何もなかったが、目覚めた時ブーツの中にサソリを1匹見つけた。無料の食料を無駄にする手はない(ジュロの言うとおりだった。少し火の中に突っ込んでおけば、毒は消える)。

それを見つけた時は、遺跡近くの崖を偵察していた。崖の表面から、風が漏れていたんだ。

何とか中に入れる程度に、裂け目を広げることに成功した。長い下り坂だった。

どうやら忍耐の甲斐はあったようだ。中に入ってみよう。

19日目
妙な場所だ?聖堂か?よく分からない。

床にはシミがある。古い血だ。間違いない。古い死の教団の隠れ家でも見つけたかと思った。だが、騒ぎの跡にも見える。幸いなことに、起きたのはずっと昔らしい。

奇妙さはさらに増していく。骨を見つけたが、驚きもしない。だが他にも死体がある。死体の肉が木のようになっている。皮膚は漆のようだ。瞑想の姿勢で立っているか座っている。埋葬か何かの儀式に違いない。しかし不気味だ。

20日目
昨晩はほとんど眠れなかった。ここではあらゆるものが反響する。夜中にあらゆる種類の騒音が聞こえる。多分、ネズミだと思う。
ここは光で目の錯覚が起きるんだな。あの変な死体の1つが今動いた。

猫のセレナーデA Cat’s Serenade

(カジートの恋愛歌)

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

この者は千の宝石を盗み
愚か者を演じるだろう
愛してると言ってくれ。愛してると言ってくれ

確かに、君の母は賛成しないだろう
でも正直な気持ちを言ってごらん
君も望んでいるだろう

この者がマーラの指輪を買うことはない
でも星の光の下なら
君はこの者を抱きしめられる

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

この者が求婚できる美女は無数にいる
でも必要なのは君だ
おお、どうかお願いだ

この者は月の光の下で君を崇拝する
でも朝の太陽がやって来たら
きっと逃げ出してしまうだろう!

コーラス
この者は歌を紡ぎ
一日中君に歌おう
愛してくれるだろうか?愛してくれるだろうか?

不死のマソックMathoc the Immortal

晩年においてさえ、マソック・ライザーは出会う者すべてに恐怖を引き起こした。彼は巨漢のブレトン戦士であり、その顔は彼が持つ盾と同様に傷だらけだった。彼は決して話さなかったが、他の者たちは彼が倒した恐るべき戦士や獣たちについての物語を伝えた。本人が聞いていない時、彼らは別の物語を囁いた。彼は殺した者たちの霊魂で、自分自身の霊魂を養っていると。

戦い続けている限り、不死のマソックは決して死ぬことがないのだと。

マソックはいつでも戦う準備が整っているように見えた。むき出しにした歯を軋らせ、必殺の一撃を繰り出すために肘を曲げていた。黒檀も砕けるほど拳をきつく握りしめていた。なぜマソックが常に戦いを欲するのか、誰もその理由を尋ねなかった。あまりにも恐ろしかったからだ。

たとえ尋ねたとしても、彼は答えることができなかっただろう。ドワーフのオートマトンに喉を潰されてから、彼は喋る能力を失った。巨人が彼の顎を粉砕して以来、彼はむき出しの歯を軋らせていた。同じようにして彼は肘を折り、まともには治らなかった。41年の間、彼は腕を真っすぐ伸ばすことができなかった。拳はウッドエルフが背中に矢を浴びせて以来、岩石のように丸く固まったままになっていた。治癒師はこれが矢の毒への反応で、治しようがないと彼に告げた。

マソックには戦い続ける以外にすることはなかった。殺した相手の霊魂で強くなるためではなく、他者が苦痛に悶えるのを見ることで、時として自分自身の苦痛を忘れられるからだった。いつの日か誰か、あるいは何かが、ついに彼を倒してくれるかもしれないと期待していた。

不死のマソックが戦い続けたのは、死ぬ覚悟ができていたからだった。

封印された帝国の召喚状Sealed Imperial Summons

your name

お前の業績には驚かされ続けている。実は、警戒が必要と思われる緊急事態が発生した。最大限の注意と警戒が要る。対応に遅滞が生じないよう、至急お前を召喚したい。同盟の都合に合わせて、下記の場所のどこかで連絡してくれ: ダボンズ・ウォッチの魔術師ギルド、バルケルガードの邸宅と預金庫ダガーフォールの王城だ。

急いでくれ。互いに、そう若くはないのだからな。

アブナー・サルン

放棄された命令Discarded Orders

パンシウス部隊長

ユーラクシア女王陛下とその宮廷死霊術師ズモグ・フームの両名が、リンメンの西境に危険なほど近い場所に、不明な魔法の力の高まりを探知された。即座にお前の部隊から人員を割き、付属の地図に指し示されている場所を調査せよ。

お前の任務は各地帯を調査し、変わった生物や出来事を記録し、目撃者は尋問のため、誰であろうと捕まえてくることだ。念を押しておくが、陛下は生きたまま連れてくることをお望みだ。

失敗は許されない。

レピダ副隊長
ユーラクシア第一軍団

忘れ去られたたてがみの痕跡On the Trail of the Forgotten Mane

調査官ヴィアニス・オラニア 著

依頼37、第一段階

忘れ去られたたてがみの埋葬地を調査せよとの依頼を受け取ったのち、私は危険を冒してリンメン・ネクロポリスへと向かった。ネクロポリスの歴史についての私の知識と、この哀れな「忘れ去られた」者についての手掛かりの乏しさを考慮するに、この人物があそこに埋葬されているとは思えなかった。だがより面倒で、可能性の低い答えを調べる前に、一番ありそうな答えを確認しておくべきだ。この失われた支配者を探すためにこの場所へ来たのは、きっと私が最初ではない。

リンメンの名が冠されてはいても、ネクロポリス自体はリンメンの「中に」はない。不可解ではある。しかしジャスミンの酒と見れば手当たり次第に飲むらしいあるブレトンの老女に尋ねたところ、興味深い情報を得た。この老女自身の研究によれば、ネクロポリスはなんと、今では顧みられないある地元の迷信を理由に作られたというのである。

老女にさらなるジャスミン酒を提供したところ、その迷信を教えてくれた。当時、当該地域の建築士たちは掘削を行う際、黄金の紐で何かの仕掛けを作ったという。その後彼らは掘削予定の場所を、紐を手にして歩き回る。紐が揺れたら、彼らはその動きを記録し、工事の計画を定めたのである。建築士たちは望ましい揺れが起きるまでに、かなり歩いたという。

さらなるジャスミン酒によりブレトンの情報源が気を失って倒れたため、建築士たちがどのような揺れを求めていたのか知ることはできなかった。彼女が自分の借家に戻ったのを確認してから、最初の目的地へ向かった。

ここから、ネクロポリスへの実際の旅について記す。

残念ながら記憶があまり定かではない。まずリンメンは迷惑極まりないユーラクシアの問題に対処中であり、ネクロポリスにいるだろうと期待していた司祭や番人は誰も残っていなかった。道の途上で出会った親切なアルフィクのアデプトが話したところによれば、人がいないのは私が入る少し前に「僭女王」ユーラクシアが起こした行動のためらしい。

当然ながら、私は依頼を終えねばならない。ネクロポリスの番人の不在は職務遂行を諦める理由にはならなかった。
しかし、わずかに気後れさせられる問題はあった。見たところ蘇生させられたらしいダルロック・ブレイの軍がいて、ドレモラなどで構成された部隊とネクロポリス中で戦闘を繰り広げていたことである。私はいつものごとく静かに通り過ぎようとしたが、たてがみの墳墓に到達するまでには、一度ならず戦闘しなければならなかった。

墳墓は静かなものだった!

だが残念ながら、それも長続きはしなかった。誰かと話したことを漠然と覚えているが、その後たてがみの最後の休息地のすぐ外の隅で目を覚ますと、私の帽子にメモが貼られていた。私の顔に当たるよう、実に不愉快かつ奇怪な貼り方をしてあった。何なのか考えたくもない暗黒の物質で殴り書きされていたのは、次のような言葉だった。

依頼を完了せよ。しかし、その答えはこのネクロポリスにない。お前は必要になったら呼ばれるだろう。

失われた会話は、どれだけ長く必死に考えても思い出せない。あの時ネクロポリスで起きたことで心に残っているのは、二つの勢力が復讐合戦をやっていた珍事を除けば、忘れ去られたたてがみを探す衝動だけだった。これまでの私の顧客は、私がいつでも依頼を完了する衝動を抱いていることを認めてくれるだろうが、今回のは違った。強いられている感じだ。また、強いられていることに不快感もある。

残念だ。私はどちらかといえば、時間をかけて情報を探すのが好きだ。きっといつの日か、リンメン・ネクロポリスで起きたことを知るために自分の足跡を辿り直そうと思う。強大なダルロック・ブレイと危険なメエルーンズ・デイゴンの争いを邪魔するつもりはないが、戻れば争いも終わっているかもしれない。もしかすると、この現在進行中の戦闘は、ユーラクシアの行動以上に番人が不在になった原因かもしれない。

それまでの間は、忘れ去られたたてがみの捜索を続ける。この人物が本当に存在していて、単なる噂でないことを祈りたい。

北エルスウェアへの案内Guide to Northern Elsweyr

インフラシア・マリウス 著

大帝国の辺境地域の中で、エルスウェアほど歓待を受けられる地は他にないかもしれない。人々の獣じみた外見に戸惑ってはならない。カジートは一般的に言って友好的で親切な民であり、訪問者を迎え、旅行者をあらゆる種類の品物やサービスで魅了することに熱心だ。気楽にくつろげる、穏やかな風と暖かい気候の場所を求めているのなら、これ以上の場所はない!

シロディールからエルスウェアに旅する場合、あなたはエルスウェア地域を構成する二大地方の一つ、由緒あるアネクイナに入ることになる。牧畜の街リバーホールドがあなたを歓迎するだろう。

この活気あふれる国境の街は、エルスウェアと大帝国の間を通る隊商と旅人がよく立ち寄る。広々とした街の広場は青空市場になっており、様々な品物が行商人の荷車から降ろされて売られている。交易商たちは旅に出ては戻るため、時間ごとに売り物は変化する。もちろん、値切る以外にもすべきことは沢山ある。〈消えた後悔〉宿屋が頻繁に提供している輸入品の酒は乾いた喉を潤し、 月の祝福の聖堂の静謐とした雰囲気はしばしの平穏を与えてくれる。また、改築中の歴史の館もある。歴史の館が完成した暁には、長く物語に満ちたカジートの歴史が展示されるだろう。

くつろいで再び旅に向かう準備を整えたら、リバーホールドから東へわずかに進めば、アネクイナの首都であるリンメンに着く。

リンメンへ向かう道では、エルスウェアの大地がカジートと同じくらい多様であることが見えてくるだろう。繁栄する都市に近づくにつれ、不毛のサバンナが開拓され、乾燥した牧草地が青々と茂る緑と、サトウキビの大草原へ移り変わっていくのが明らかになる。リンメンの高い壁の内側では、カジートが水を嫌うという偏見がひどく誇張されたものであると知るだろう。ここでは木や熱帯の植物が、街中に張り巡らされた人工運河に沿って育つ。この運河は王国全体に広がる水道から水を供給されている。水道は街よりも古く、遠い昔に建設された遺産である。水に沿ってぶらぶらと移動するのは、住民にとっても訪問者にとっても人気の散歩道だ。一年を通したリンメンの暖かさと、晴れの多い空模様のため、ここは帝国中から休暇を過ごしに来る者が多い場所である。ここで1日を過ごせば、カジートの歓迎がどこにも負けないことが分かるだろう!

少し冒険をしたい気分で、かなりの登山も気にならないなら、時間を割いてアネクイナ水道を辿りながら各地を回ろう。アネクイナの驚異を巡る間に、スカーを見逃すことは文字どおり不可能だろう。この地方の中心部に食い込んでいる広大な峡谷だ。上から見ても下から見ても息を呑む規模で、ここを見ないのはもったいない。もっとも、豊穣な水資源がわずかに手の届かないところにある光景は、西に広がる不毛の僻地にあって少々耐え難いと感じるかもしれない。

曲がりくねった峡谷、スカーを横断する決心をする前には、オークレストの街に立ち寄るのが自然だろう。リバーホールドがアネクイナの入口で、リンメンが首都なら、オークレストは商業の中心地である。壁に囲まれたこの古い街はスカーの崖沿いに位置し、アネクイナの分散した地方同士を結びつけるために、街の大きな橋を歓待の腕として伸ばしている。王国中、王国外からも交易商たちがここに来て、自分の商品を近隣のペレタインやヴァレンウッド、シロディールの商人に売りさばく。ここで売られていないものはほとんどない。ここのカジートは対価さえ払えば自分の尻尾すら手放すと言われているが、私はタアグラ語に流暢でないため、ニュアンスを掴み切れているかどうか自信がない。

都市生活の活気と慌ただしさに疲れたなら、景色を楽しめる静かな場所は沢山ある。メイアヴェイルの牧草地には穏やかなムーンシュガー農場が点在し、サトウキビの茎が陽気な収穫の歌と共に、涼しい風に揺れている。神々へ捧げられたカジートの聖堂は数多く、衝撃的なほど美しい。特にサンスパイアの前では、クヴァッチのいかなる大聖堂も小さく見えるだろう。しかし本当にエルスウェアでしか味わえない体験を求めるなら、僧房でモンクたちと瞑想して時を過ごし、献身的なモンクが持つ力と敏捷さ、技を見せてもらうといい。

私の言葉によってあなたがここまで来たのなら、さらに歩を進め、帝国の中でも最も素敵な地域への旅を始めてくれるよう願っている!

毛皮を持つ者たちの歌The Furstock Song

コーラス
賢いダギ、素早いサセイ、筋骨隆々のパフマーにセンチラート
アズラーが我々に贈り物を授けた時、たくさんの種類を授けられた
ハンサムなキャセイ、機敏なトジャイ、隠密のオーメスとアルフィク
形と大きさは違い、唯一無二の特徴がある!

木登りを愛するダギはみんなのお気に入り
ピンクで節だらけの膝で、ウッドエルフよりずっと上手く
枝から枝へ、素早く優雅に飛び回る
愛らしさは爽やかな真夏のそよ風に吹かれる羽根のよう

コーラス

助言を与えよう、センチの邪魔をしないこと
爪はカミソリのように鋭く、顎は骨を砕く
瞬きする間に、エルフをバラバラにしてしまう
戦いを挑むのは、死にたい時だけだ!

コーラス

我らの愛する母、アズラーは、アルフィクをとても小さく作った
だから彼らがしゃがむと、もう何も見えなくなる
これは魔法だ!と言うが、それはごもっとも
カジートにはどんなことでもできる!

コーラス

歴史の館を訪れましょう!Visit the House of Histories!

美しき北エルスウェアのあらゆる場所から集められた、驚くべき景観や音、匂いまでも含む、特別な文化的冒険をご体験ください。注意深く吟味された私たちのコレクションは、間違いなく感動と驚きをもたらします!

本日のツアーは、イラヤかイザンジにお尋ねを!

(追記:近日発生した盗難事件により、現在ツアーは実施しておりません。ご理解いただけますようお願いいたします)

埃と石を信じよFaith in Dust and Stone

ジェンナイ・ダブ・ツォング・ル・カブ

大地の獣よ
埃と石を信じよ

虫として生きるために戦え
隠れて影から襲うために
日と開けた空を恐れよ

ジェンナイ・ダブ・ツォング・ル・カブ

サマーセットの巻物

Summerset Scrolls

<強欲>The Insatiable

デイドラは目的を持つ獣だ。満足させるべき欲求を表わしている。なぜか?確実に知っているのはデイドラ公のみだが、こうした存在の力を自在に行使する者にとって、目的を理解することは極めて重要である。儀式を補佐するためにクランフィアを、巨人を倒すためにスキャンプを召喚などしないだろう。

〈強欲〉として知られる獣もまったく変わりはない。目的が消費することだと理解せずに、絶え間ない空腹の化身を招きはしない。他の目的はない。一度解放されたらどんな指示にも従わず、協議もしない。唯一の望みは生者を追って貪り食うことのみだ。獲物を巣へ連れ去り、獲物が想像を超えるほど長い間生き延びる、恐ろしくゆっくりとした宴でその内臓をじっくりと楽しむ。獲物の死体を群れに残しておく傾向があるため、彼らはそこに捕食者がいることを明確にして、恐怖の味を楽しんでいるのだと信じる者もいる。

命がなく、恐怖に襲われた場所を見たければ、そして一度肉体が与えられたらその怪物をなだめる術はないと承知しているのなら、捧げるものは下記の通りだ。

-餓死した人間かエルフの死体を置く。
-その舌を切り、それを食道に向けて口の中に戻す。
-太らせた定命者の血で舌を喉に流し込む。簡単にはいかないかもしれない。
-獣脂のロウソクを少なくとも6本、用意した死体の回りで燃やす。
-最後の火が消えたら、舌は死体から滑り出て、溶けた脂の中に収まる。
-3日後に、この肥大化した繭から〈強欲〉が現れ、恐ろしい仕事を始める。見届けるかどうかは自分次第だ。

「沈む島」の偏在The Ubiquitous Sinking Isle

照覧の大学の歴史管理人、ライルフィン 著

いかなる歴史家にとっても、真の仕事は虚構と事実を分けることにある。あらゆる種族の多様かつ互いに矛盾する文書を研究し、信ずるに足る共通の物語へと継ぎ合わせるのである。これには勤勉と規律が必要とされるが、何よりも大事なのは謙虚さである。真の歴史家は新たな証拠が現れた時、誤りを認めて自らの記述を修正する意志を持たなければならない。

新しい歴史家にとって最も有害な罠の一つは、裏付けのある記述に頼ることである。すなわち、複数の著者が同じ出来事を同じ手法で詳述していたら、その記述は本当だろうと信じてしまうことである。実際は、その逆だと考えるべきだ。社会的圧力や広く普及した文化的妄想は、しばしば全く同じ歴史的記述として帰結する。例えば、ネードの文書はしばしば「蛇たちの秋」と呼ばれる出来事に言及している。歴史によれば、何百もの蛇(多くはマンモス並みの大きさである)が大地から出現して町を飲み込んだが、ついにネードの槍の乙女、炭目の放浪者ラネヴによって倒されたことになっている。ネードの学者たちはこの秋を詳細かつ、ほぼ同一の手法で詳述しているが、我々は今日、この出来事が完全な作り話であることを知っている。

著者たちが意図的に嘘を述べているわけではない(そういう場合もあるが)。おそらく、古代の歴史家は出来事を忠実に記述しようと最善を尽くしたのだろう。残念ながら彼らには言語的手段や学問的洗練が欠けていたために、真実を伝えることができなかったのだ。そのため、広く受け入れられているが誇張されているように見える物語はどんなものであれ、厳格に検討しなければならない。また「繰り返される災い」、すなわち大きく異なる場所と時代において、同じ様に起きたとされている出来事にも注意すべきである。

「繰り返される災い」の最も明らかな例は、消える島の物語である。タムリエルの歴史は沈没し、隠され、消滅する島で満ちている。ヨクダ、ピャンドニア、アルテウム、ドラニル・キル、アイベア、スラス、そして(おそらく最大の)アルドメリスなど。消滅の原因はほぼ常に魔法的な性質のものである。多くの場合は傲慢な行いか、秘密を守ろうとした結果である。もちろん、これら全てについてこう問うべきである。こうした物語の中に真実はあるのか?私は疑わしいと思っている。

神話上の「沈没する」島を検討しよう。ヨクダ、スラス、アルドメリスだ。それぞれの島は居住する種族にとって祖先の故郷であり、3つの事例全てにおいて、敵もしくは運命が、傲慢なる行いを罰するため島を破壊した。レッドガードの場合は、愚かなソードシンガーたちが禁断の剣の一撃でヨクダ島を切断した。全旗海軍の戦士たちはスロードとその島スラスを、スラシアの疫病に対する罰として海に沈めた。そして我々の祖先であるアルドマーは、謎の災いを避けるためにアルドメリスの島を避難させた。おそらくは、エドラの恩寵から我々が堕落したことの結果として。

さて、新米の歴史家であれば、これらの物語を額面どおりに受け取るだろう。「複数の歴史が島は沈没したと言っているのなら、沈没したに違いない!」と。だが、どうかもっと深く検討してもらいたい。この「沈没する島」は文字どおりの出来事ではなく、むしろ一つの比喩だという可能性はないだろうか?

スラス、ヨクダ、そしてアルドメリスは単なる土地ではなく、社会的象徴である。時の中に失われた、文化的アイデンティティの体現だ。つまり、こうした島の切断や沈没の物語は脚色かもしれない。その起源が忘れ去られてしまった苦しみを説明するための、詩人の努力である。大陸が丸ごと1つ、剣の一撃で沈没したのか?我々の祖先は神秘的な半エドラの島からサマーセットへ旅したのか?私はそう思わない。これらの失われた島は事実と寓話の中間に位置している。この物語の中に真実が含まれているのは確かだろう。しかし真の歴史家は、全ての真理が文字どおりに描かれていないことを理解している。

アーティヴァルの詳述Ertival’s Recounting

悪夢だ!

目を閉じると、夢幻の暗闇の中に恐るべきものが見えてしまう。心を照らすロウソクの光の輪の向こうにぞっとする奇怪なものが拡がり、もはや目を覚ましていられなくなると襲いかかってくる。

不安を落ち着かせるためのあらゆる方法を試した。瞑想、催眠術、ハニーベリーティー。だが眠りに落ちた瞬間、私は再びあそこで待ち受けている恐るべきものに襲撃されてしまう。

絶望に駆られて、私は筆を取っている。夢の中に見えるものを書き記すことで、夜中に見る暗闇を追い払えるかもしれないと期待して。

夢の中で、私はアルテウムの穏やかな海辺に座っている。波が無限のエセルから砂浜に打ち寄せている。空にある太陽は低く赤く、その静けさで愚弄しているかのようだ。

そして、海の中から怪物が飛び出してくる。巨大で、寄生虫と海底の獣がまとわりつき、腐り落ちている。それは海辺に向かって進み、背後に真紅の泡を残していく。怪物の周囲の水は全て黒く濁り、魚は全て死に、風と音も止んでしまう。怪物の5つある頭はもつれあって互いに噛みつき、耳障りな叫び声をあげる。頭のねじ曲がった節がのたうちまわるのをよそに、その怪物はゆっくりと前に進み、破壊をまき散らす。頭の1つはほとんど腐った肉と骨でしかなく、吠え声をあげている時にさえ、海底の獣がその頭の腐肉を貪っているのが見える。頭が吠えるたびに死んだものが震えて踊り出し、その不浄なる力の操り人形になる。

第二の頭には無数の吹き出物と膿の痕、球根状の水疱があり、真紅と青緑色に光る液体が詰まっていた。それらが破裂して、しみ出した中身が互いに混ざり合う。混ざった液体はヒューっと音を出してバチバチと跳ね、燃えて煙を吹いた。他の頭はこの忌まわしき液体を歓喜と狼狽と共に舐めた。

第三の頭は星のない夜のように、窓のない部屋に置かれたオニキスのように黒かった。それよりもさらに黒いのは目で、太陽によって生じた長い影を、純粋な暗闇の覆いに引き込んでいた。

第四の頭は私から見えなかった。その顔に何があったかは分からなかった。

だが最後の、第五の頭は…それを見るのはあまりにも恐ろしかった。他の頭の数倍の大きさだったからだ。これが叫び声をあげるだけでも他の頭は震え、争いを鎮めた。この巨大な頭はほとんどが輪になった歯で出来ており、その上には恐るべき脳髄が乗っていた…醜悪なまだら模様で、しわと折り目が不吉で吐き気のする脈動に波打っていた。膿の汁と胆汁の線が、フジツボともポリープともつかない肉の窪みから滲み出し、表面で凝固して、空気を求めて喘いでいた。

そしてこの怪物の頭たちは私に注意を向けた。自分を見下ろすあの目に凍りついた。今も凍りついているし、これからも永遠に凍りついたままだろう。それよりもさらにひどいのは、奴らが一斉に歌う歌、破滅を招く不協和音。

ケトール・ア、エン・ガルサ!ベコール・ゲン、ゼマ・ジャ!
ウルヴォクスが待っている、
ウルヴォクスは目を覚ます、
ケトール・ア、エン・ガルサ!ベコール・ゲン、ゼマ・ジャ!

そしてこの恐怖の歌が最高潮に達した時、おぞましき夜が太陽に道を譲った時、私は遠くの地平線に輪郭を見る。海から姿を現す山だ。そしてその頂点から水の中に落ちていくのはさらなる怪物たち。数えきれないほど多く、名状しがたいほど恐ろしい。

彼らが来る。

私たちの方へやって来る。

そして太陽が完全に沈んだ時、私は叫びながら目を覚ます。

アラセルへのメモNote to Arathel

アラセル

何を考えてるかはわかってる。いいか、お前は大きな間違いを犯してる。会って話そう。

宿屋〈碇を揚げよ〉に行って、カジートのバーテンダーにデスランズ・エールを注文しろ。彼女は仲間だ。だから信用していい。とにかく急ぐんだ、わかったな?お前が死んでしまったら力になれない。

E

アリノールの星の瞳の花嫁The Star-Eyed Bride of Alinor

磨かれた琥珀の目、流れ星の尾のように束ねた髪
愛と喜びに燃える魂は、身籠った黄金の帆の下に

アリノールの星の瞳の花嫁
嵐と水しぶきに消えた
アリノールの星の瞳の花嫁
残酷なる運命が奪った

白鳥の羽根が、象牙色の花嫁衣裳になびき
届けたい誓いが、唇から滑り落ちた

アリノールの星の瞳の花嫁
波の底に消えた
アリノールの星の瞳の花嫁
海が墓となった

頭上に集められた雲は、マストから帆を引き裂き
棺の蝶番のように船体が軋み、船長が掴まれと叫んだ

アリノールの星の瞳の花嫁
故郷に戻ることはなかった
アリノールの星の瞳の花嫁
海と泡に溺れた

稲妻が海を叩き、風は大波と吠えた
白く輝く手を掴もうと腕を伸ばしたが、深淵に彼女は落ちていった

アリノールの星の瞳の花嫁
最期の言葉は私の名
アリノールの星の瞳の花嫁
今も無念に泣く

私は未だ浜辺をさまよい、海に目を凝らす
あの人の輝く顔が、微笑み返すのを見たくて

アリノールの星の瞳の花嫁
嵐と水しぶきに消えた
アリノールの星の瞳の花嫁
残酷なる運命が奪った

アルコンの森の群れThe Pack of Archon’s Grove

ソーンファングのゲロドロス 著

我々の族長がこの島への移住を選んだことに対して、多くの者が疑問を抱いた。サマーセットが我々にとっての安全な避難所だと、誰が思えようか?だが私は、彼女の決定に知恵が見える気がしつつある。

端的に言って、ハイエルフはウェアウルフへの対処法を知らない。隔離されていたため、この島では大した問題ではないように思う。賢明に振る舞う限り、かなりの長期間を注目されずに済むはずだ。

競合することもない。とにかく群れは、縄張り意識の強さで悪名高い。過去の対立で多くを失った。だがここには他のウェアウルフがほとんどいないし、群れとなるとなおさら少ない。我々は数を失うよりも増やす可能性が高い。

数を増やすといえば、族長がやっと説得できたことは有難い。群れを強化する必要があるが、唯一の方法は力によるものだ。ここには我々の祝福を喜んで受け入れる者がほとんどいない。旅人を捕らえて追い返すのは危険が伴うが、攻撃に備えて数を強化しなければならない。

今度捕まえた者は、うまく変えてやらねばならない。ウッドエルフの仲間をうまく変えられなかったのは残念だが、仕方がない時もあるのだ。

アルド・マラクの包囲The Siege of Ald Marak

攻城の名手、ゲルミア・デメトリウス 著

レマン王朝の領土拡大戦争中、帝国軍は大小問わず数えきれないほどの要塞に攻城を仕掛けた。ほとんどの場合、無慈悲な砲撃が迅速な降伏につながった。帝国軍の卓越した掘削と攻城技術、そしてアカヴィリの火の魔法と錬金術の見事な腕。その組み合わせは破竹の勢いだった。それでも、帝国と同等と自惚れる敵も中にはいた。ダークエルフの偽神、虚言のヴィベクはそんな敵だった。

数ヶ月の戦闘の末、レマンII世の軍はダークエルフを領地の奥深くへ退却させた。とうとうエルフたちはアルド・マラクの古い要塞に腰を据えた。確かに立派な要塞で、高く頑丈な壁と進入を阻む深い水のため、歩兵による攻撃はほぼ不可能だった。
トリビュナルを信仰する者たちは壁の内側に力を結集し、彼らの神の到着を待ちわびた。しかしヴィベクはやってこなかった。愚かな密偵の助言を受け、彼は別の場所、アルド・イウヴァルの近くの防衛についていた。そこは遠すぎて、攻撃に介入できなかった。

帝国軍は信仰と狂信の力をよく知っていた。背後の神に支えられたモロウウィンド軍との戦闘は愚かだった。長い攻城戦を戦う代わりに、帝国軍は大胆な計画を作り上げた。夜のとばりに紛れ、秘術師たちが水中呼吸の呪文を全軍に唱えたのだ。この魔法のおかげで重装備の軍隊がコロナティ湖を行軍した。遂に彼らは復讐に燃える幽霊のように姿を現し、警備の軽い門を突き抜け、乾いた焚き付けの束のように砦を燃やした。

おわかりのように、創造力と勇気は、破城槌やトレビュシェットと同様に攻城戦に役立つ。兵士よ、狐のように狡猾であれ。きっと役に立つ。

アルトマー文化への案内(決闘編)Guide to Altmeri Culture (On Dueling)

第47章:アルトマー的な武を競う様式

エドラの威厳ある遺産を引き継いだにも関わらず、我々アルトマーは下等種族の間ではびこる日常的ないさかいから自由ではない。知識と分別という観点から考えると、単純な不一致については会話によって解決するのが一番の方法である。ワインを飲みながら熟考することで、すぐに友情が和解をもたらすこともある。しかし、侮蔑の中には深く傷付くものもあり、そうなれば栄誉ある武を競う様式が唯一の和解手段となる。その場合、侮蔑された者は下記の規則に従う。

1.どちらも伝統的なアルトマーの決闘用フルーレを使用する。ロングソード、斧、フレイルなどはトリマニクの神聖な法によって禁止されている。フルーレは天然鉱水で洗浄し、完全に乾燥させた後で磨き上げる。

2.決闘の前に両者は相手の名前を暗唱しなければならない。それが適切と思われる場合は、母方、父方、血族の敬称も忘れずに付ける。言いよどみ、もしくは発音を間違えた場合は、そこでやめて最初からさらに二度繰り返し、相手の名前を暗唱する。

3.決闘者は決闘に全てを捧げなければならない。観客には、当事者たちが名誉を欠いた行動を取った場合に介入する権限が与えられている。名誉を欠いた行動には、相手の目への泥の投げつけ、決闘終了前の戦場からの逃亡、相手をさらに激昂させるような不快な言動などが含まれる。

勝者は倒した相手に思いやりを持って、謙虚な態度で接しなければならない。お抱えの医者や包帯など、傷を治療するためのあらゆる手段が役に立つ。敗者は自分の過ちを認め、自分の行動に対して謙虚に許しを請わねばならない。両者がこの規則に従えば、お互いの名誉を傷付けずに揉め事を解決できる。ニルンでこれ以上名誉なことはない。

アンベリーへTo Amberrie

アンベリーへ

さあ、二度は言わないわよ。信用してるからね、アンベリー!あなたは私が友達になった唯一のハイエルフなの。失望させないで!私たちはもう、もったいぶった態度を取る段階は過ぎたでしょう?イフレもご存じのとおり、私はああいうのに我慢が…ああ、手紙でも愚痴を言っちゃう!まあ、それはともかく。

私はある地位を得たの、それも大きな地位を。女王の密偵になったのよ!

いや、あなたも悪い噂を聞いたでしょうけど、そんなのは全部嘘よ!あなたの同族が女王について言うことときたら。私はグリーンレディについてあんなひどいことは言わないわ!女王陛下は、ならず者を雇って民を命令に従わせたりしない。女王が信頼しているのは善良な人々よ、アンベリー。彼らはアルドメリ・ドミニオンのために多くの善行を施している。それは信じてほしい。

それに、私はとてもしっかりと面倒を見てもらえている。加入してから、師はとても丁重に教えてくれるの。愉快なカジートで、とにかく冗談を言うのが好きなのよ。でも、ちょっと演技しているんでしょうね。彼は女王に最も信頼されている人物の一人なんだから。私たちの仕事は、気の弱い人にできるようなものじゃない!

ついに私も何かの役に立てるのよ。ああ、サマーセットに移住してからこんなチャンスが訪れるなんて思わなかった。私はウッドエルフだし、誰も私なんかまともに取り合わないだろうと感じてた。それなのに、女王その人に抜擢されるなんて!とにかく、私の努力がついに実を結ぶのよ。裏切り者と殴り合うとか、密偵を相手にするの。どんな冒険が待っていることか!

ただ、あなたを置いて行かなければならないのが残念だわ。それが唯一の心残り。できるだけ頻繁に手紙を書くと約束する。でもあなたに、どれだけ事情を伝えられるか分からない。とにかく私は無事だって知っておいて。きっとまた会えるわ。でもね、たまには私のために祈ってくれてもいいわよ。あなたのところの気難しい神々だって、ちょっと私を探すぐらいのことはしてくれると思う。だって、私は、アルドメリ・ドミニオン全体を助けてるんだから!

さあ、すぐに出発しなきゃ。でもあなたには心配してほしくないの。こんな手紙を書いてはいけないんだけど、直接会って伝える時間がない。だから、読んだ後はこの手紙を燃やしてくれるって約束してね。本気で言ってるんだからね!きっと記念にとっておきたいと思うだろうけど、間違った人の手に渡ってほしくないの。だから署名もフルネームでしないようにするけど、あなたには誰だか分かるでしょ。

たくさんの愛をこめて。それから、イフレの祝福が私たちにありますように!

-T

イフレの輝く駿馬Y’ffre’s Sparkling Steeds

メロブリアン 著

サマーセット島の原初の荒野で少しでも過ごせば、息をのむような植生をいくらでも見られる。しかし本当に幸運であれば、歴史上最もよく物語の題材とされてきた生物を見られるかもしれない。それはインドリクである。この生物を見る特権を得たのは、私も数回しかない。野生のインドリクは警戒心が強く、非常に見つけにくい。不純な意図を持つ者に見られた瞬間、インドリクは消え去ってしまうと言われている。

インドリクは見れば分かる、というのは陳腐な言い方だが、この生物を描写する任に耐える言葉は少ない。アルトマー文明と同じほど古い民話が伝えるところによれば、〈歌い手〉イフレはインドリクを森のエキスから紡ぎだし、森に住む全ての生物の姿を盛り込んだ。一瞬目にしただけではただの鹿と見間違える可能性もあるが、何気なく観察するだけでも、インドリクがそれ以上の存在であることが分かるだろう。

インドリクに関しておそらく最初に目を引くのは、その枝角である。インドリクの頭からは最高品質の水晶の先端が、光る大木の枝のように伸びている。この目を奪う光景は、枝角が素敵な戦利品になるだろうと考える多くの野心的な狩人が最期に見たものだ。一瞬でも警戒を解けば、インドリクの額から突き出たこの堂々たる槍に貫かれる危険を冒すことになる。インドリクの角については、数えきれないほどの伝説がある。錬金術の万能薬であるとか、手で触れれば寿命が7倍に伸びるとか、イフレの涙からできているとするものまである。私が言えることは、インドリクの角が美しく、かつ危険であることだけだ。以上に記したことは眉唾だと思うだろうか。しかしこれはまだ序章に過ぎない。

インドリクの体は毛皮と羽根、葉状体で覆われており、分類不能である。動物なのか、鳥なのか、それとも植物なのかと問いたくなるだろう。それともこの全てなのだろうか?あるいはどれでもないのかもしれない。一部の学者が主張する理論によれば、インドリクは神聖な存在であり、実はこの世界のものではなく、定命の者よりもエドラに近いという。ある寓話ではエルフがインドリクを殺すと、その心臓は純粋な水晶だったとされている。彼はこの完璧な宝石を愛する女性に渡そうと決めるが、女は宝石の輝きに魅了され、その欲が完璧な宝石を汚し、呪いにかけてしまう。それ以降、二人の生活は大変な悲しみで満たされ、結局彼らは海に身を投げる。残された親族は宝石を巡って争い、呪いを引き継ぐ。架空の物語ではあるが、インドリクが魔力を秘めていることは確実であるにしても、文字どおり魔法からできていることを示す証拠は、私が見つけた限り十分ではない。

ついでに、インドリクには耳が4つあることも言っておく。他の動物であればこれは目立つ特徴だろうが、私がこれまで記した内容からすれば、わざわざ記すほどのことではないように思えるのは同意してもらえるだろう。推測ながら、この特徴はインドリクが周囲を感知し、脅威を避けるのを助けている。しかし1対の耳は物理的世界を聞くため、もう1対の耳は精神的世界を聞くためにある、という噂がどこかで囁かれているに違いない。より詳細な研究がなされるまでは、インドリクは神話に取り巻かれた生物であり続けるだろう。しかし私には、秘密を暴くのがこの生物の価値を貶めてしまうような気がしてならない。実際、この世界に少々の不思議があることを望まない者がいるだろうか?

イメドリルに宛てた手紙Letter to Imedril

サピアルチ・イメドリル

大学を離れて古代遺跡に行くという決断は間違っていなかったと思う。ここは何かがおかしい。でも、私にはそれが何なのかはっきりとわからない。

できるなら何日も、大学の本の中に身を潜めていたい。蔵書庫の静かな学習室ならずっと隠れていられそう。居心地の良い本の世界のほうが、よっぽど安全な気がする。

私の今後の調査手順について伝えておくわ。まずはテレンジャーのスロードに関する考察を復習する。最後に夕食を一緒にしたとき彼は、自分の書いた文章を私がしっかり覚えていなかったことでがっかりしていたようだった。

次に、シースロードに関する帝国地理学会の論文を何度も読み直す。大学の蔵書庫は本当に広大ね!

そして、我々の偉大な大学に関する魔術師ギルドの考察を読む。間違いと偏見だらけだと思うけど、楽しい驚きがある発見ができそう。

最後に、肩のこらない本を読むつもりよ。研究のためではなく純粋に楽しめる本がいい。ダークエルフ2920年シリーズの4巻がいいかもしれない。あなたがこの本を軽蔑していることは知っているけど、本当に面白いのよ!

外国文学サピアルチが考案した技術を試すのもいいかもしれない。彼女は変わり者だったけど、並んだ演壇に本を置き、同時に読み進めながら、内容に従って次々と演壇を移っていくアイデアには前から興味があった。

このやり方の効果が判明したら、連絡するわね。

ハナイエル

インディリムの日誌(収集済)Indirim’s Journal, Assembled

シースロードがサマーセットに侵入している明らかな証拠。我々は卑劣な生き物を追跡して海岸沿いにアリノールの西、ウェレンキンの入江近くまで来ている。

* * *
我々は元来全く自然に見えない現象に出くわした。ガイザーが現れ、そこから水が噴出された。さらにシマーリーンや島の他の地域で報告されている恐ろしい海の獣、ヤグーラが飛び出してきたのだ。よりひどいことに、獣の群れの中にはアンデッドもいた。

* * *
この発見を確認する必要はある。私見だが、ヤグーラとアンデッドはシースロードのある種の魔法による攻撃だという結論に達した。

* * *
奇妙なガイザーの中心に、サピアルチが「アビサルの真珠」と名付けた宝石を見つけた。真珠はガイザーを固定させるだけでなく、ヤグーラを引き寄せる生餌の役割を果たすような、悪しき魔法を発していた。真珠を破壊すると、恐ろしい出来事は唐突に終わった。

* * *
我々はシースロードを追跡してウェレンキンの入江にある隠れ場所まで来た。この獣はしわがれた口語と直接心に訴える言語を組み合わせてヤグーラの召使に呼びかけ、その際に自らをブコルゲンと名乗った。近づいていくと、我々の頭に精神魔法が入り込んできた。奇妙で冒涜的な体験だった。

* * *
ブコルゲンはアビサルの真珠の、養殖場の世話係のようだった。真珠の周囲の水や、真珠の輝く表面にまで奇妙な印を描いた。それから水に錬金術的な混合物を加えると、海がアルケインの光で輝いた。きっとこれが真珠の魔法の源だ。

* * *
我々が観察している最中に、外套に身を包んで頭巾を被ったハイエルフが、ウェレンキンの入江にいるシースロードを内密に訪れた。人影はこそこそと話していたが、海風に乗って一部が耳に届いた。ブコルゲンは現在サマーセットの影で活動するシースロードのグループの1人のようだ。彼らは「アビサルの徒党」と名乗り、「ベドラムの宮廷」と名乗るハイエルフの集団と協力関係を結んでいるようだった。バトルリーブは彼らについてもっと知りたいだろう。

* * *
聞き取れた会話から、ガイザーはサマーセット中で大暴れし、最終的には島を沈めてシースロードが取り戻すという、大きな計画の一部に過ぎないとわかった。

* * *
機会を伺い、こっそりと近づいて印や真珠、外套と頭巾をまとう人影をよく見ようとした。ブコルゲンは明らかに魔法と錬金術を組み合わせてアビサルの真珠の性質を変えている。その技術を調べる時間がもっとあればよかった。シースロードが頭巾の人影に心配するなと言っているのを聞いた。「ク・トラは役割を果たした。彼の死は残念だったが、それで全体の計画が変わるものではない」

* * *
頭巾の人影は静かに立ち去り、ミリヤと隊長は追跡しないと決めた。ここで知った情報を持ってアリノールに戻り、バトルリーブに次の手を決めてもらうほうが良い。

* * *
これまでにわかったのは、サマーセットは圧倒的なスロードの軍隊に侵略されているのではないということだ。代わりに少人数のシースロードの徒党、4人で始まりク・トラという者の死で今は3人に減っている彼らが、破壊的なアビサルガイザー、ヤグーラとアンデッドの群れを解き放つため、島に侵入していた。彼らはどうやら「ベドラムの宮廷」と名乗るハイエルフの集団と協力関係にあるようだ。

* * *
海兵隊員サルウィが濡れた石の上で滑り、我々の存在がシースロードにばれてしまった。シースロードは手下のヤグーラに殺せと命じた。急いで逃げなくては。この報告書と、知ったことをすべてバトルリーブに届けなければならない。

ウェイリモの体験記Wailimo’s Personal Account

秘術師ウェイリモ 著

こうなるとわかっていた。なぜウェルキナーはシースロードを連れてこようと考えたのか。全くわからない。今、クラウドレストは廃墟になり、私は幸運にも生きている。

全ては大釜から吹きこぼれるように、高所から流れ出た黒い霧から始まった。それから市場が静かになった。実をいうと、何が起こっているのかはっきりわからなかった。だが皆が良いことではないとわかっていた。

その時、霧の中から叫び声が聞こえた。誰もが街の門からできるだけ早く出ようと突進した。あんなに慌てた群衆を見たのは生まれて初めてだった。誰もが叫び、走り回り、逃げようとしていた。

しかし霧は我々の歩みよりも速く、間もなく私たちは霧に包まれた。私の肌には冷たい濃霧のように感じられた。突然、膝が崩れた。一瞬で力がすべて抜け落ちた。心臓の鼓動がゆっくりになっていった。存在全体が重くなった。こんな極端な疲労は今まで感じたことがなかった。

死んでいくとわかった。まもなく心臓の鼓動が完全に止まるだろう。横たわった私が考えていたのは…私と一緒に何人が死ぬのだろうということだけだった。

力強い2つの鉤爪に掴まれたのはその時だった。ウェルキナー・オロライムが助けに来てくれて、街の上流に私を降ろした。救助の記憶はほとんどないが、自分の胴体がきつく抱き締められた感覚と、肌に当たる風はよく覚えている。

シースロードがどんな力を持っていたのかはわからないし、知りたくもない。だが危うく命を奪われそうになった。他の大勢の、既に奪われた命のように。

ヴェヤの個人的メモ(パート1)Veya’s Private Thoughts, Part 1

モロウウィンドを後にした

初めて孤独になった。孤独を感じたことは前にもあったが、今感じているのは息が詰まるほど重苦しい感覚だ。重苦しさが考えにまとわりつく。判断力が鈍っている。

あたしは怒っているの?悲しんでいる?ほっとしている?新しいスタートになると、師のナリューは請け合ってくれた。カジートがあたしの面倒を見る。モラグ・トングとはまったく異なる方法だが、訓練を続けてくれる。過去はきれいに拭い去られる。

でも、これはあたしの望んだことなの?あたしができることとできないことを、別の人に教えてもらう?自分の過去を忘れ、家族の行動によって感じた苦痛を忘れる?あたしがこうなったのはそのためなのに。その痛みは今のあたしを形作っている。

すべて忘れてモロウウィンドに置いてくることが、本当にできるの?

ヴェヤの個人的メモ(パート2)Veya’s Private Thoughts, Part 2

海にいる

計り知れない距離を航海する船の乗客になると、日を追うごとに退屈さが増していく。この退屈さのおかげで、自分の考えを整理できた。明らかになった出来事と、どうして今サマーセットに向かうことになったのか、理解しようとするために。

でも、あたしは何を熟考すべき?むろん、ここまで導いた状況だ。兄さんがどうやって奪い去られ、家のろくでもない名誉がどれだけ責めを負うべきか。あたしは兄さんの復讐をしたが、それによって父さんの命を奪った。かつての師は私を助けようとした。あたしを密かにモロウウィンドから連れ出し、遠い異国へ向かうこの船に乗せてくれた。残りたいというあたしの意見と嘆願を聞き入れなかったにせよ、彼女は善意でやってくれた。少なくとも、自分にそう言い聞かせ続けている。彼女は所属する組織や同盟、愛する者たちの多くに嘘をつかねばならなかった。あたしを無事に脱出させるために。

だが、彼女があたしを殺そうとしたことを、本当に忘れられるだろうか?やらねばならなかったことを止めようとしたことを? 彼女ともう1人。あたしは友人だと思っていた。あたしはまだ生きてる。それは意味のあることだと思う。

あたしは自分が正しいことをしたとわかってる。父さんをまた殺すことになっても。それがこの世界だ。政治と誇りがすべてだ。金と力の追求が。引き起こされるのは死、死、死。完全に終わらせるためなら、どんなことでもしてやろう。

ヴェヤの個人的メモ(パート3)Veya’s Private Thoughts, Part 3

闇の中で声がする

サマーセットへの旅が終わりに近づいているが、率直に言うとあたしは正気を失いつつある。それは、乗客の何人かが影から出てこないことに気づいた時から始まった。彼らは船の下層、最も暗い片隅に居続けている。あたしが彼らに気づくと、彼らもあたしに気がついた。彼らはあたしに話しかけてきた。周囲の闇に耳を傾けろと言う。影の母の声を聞けと。

気味の悪いフードをかぶった頭に刃を突き立て、海に投げ捨てようかと思う。そうすれば少なくとも、夜はもっとよく眠れるようになるだろう。だがなぜか行動に移せないでいる。気に入り始めたのかも知れない。あるいは思っていたよりも孤独だったから、不気味で頭のおかしい、影を這う者たちさえも、いい友人になりかけているのかも知れない。彼らには彼らの利用法があるのだろう。だがこの新しいことは?闇の中の声?これに頭を悩ますようになってきた。

今は、本当に声が聞こえているわけではないようだ。だが気がついてみると、自分で自分に語りかけていた。時には誰かが言うことを聞いているように感じられることもある。こう書いてみると奇妙だけど、そのおかげで気分がよくなる時もある。

母さんが恋しくて、母さんと話しているのを想像しているだけなのかも知れない。この件に関して、母さんにまったく非はない。母さんは今どこにいるのだろう?父さんを殺してから、母さんを直視できなかった。母さんは多くのことを経験した。正当だったかもしれないが、あたしの行動が引き起こす苦痛を見たくなかった。

* * *
いや、あたしは正気を失っているわけではない。夢を見ていた。喋るカラスや影の獣でいっぱいの夢。星まで届く塔。これは闇と変化の夢だ。新しい世界への機会の夢だ。

この言葉を読むと、あたしが恐れているように思える。そうではない。奇妙に聞こえるかも知れないけど、実に快適だ。それは影の淑女なのだろう。夢の中で語り掛けると、彼女はあたしの言葉を聞いてくれる。泣いている時は抱きしめてくれる。あたしを慰めてくれる。

この女性は、自分の母よりもあたしにとって母だ。誰も苦しみ、愛する人を失わないように世界を修復しようと、彼女はあたしに約束してくれた。

ヴェヤの個人的メモ(パート4)Veya’s Private Thoughts, Part 4

サマーセットに近づいている

あたしは生まれ変わった。

あたしがたどってきた道は、あたし自身の道ではなかったと母が明らかにしてくれた。あたしはこの世界の規範や法の奴隷になってしまう。あたしは別人の道を歩かされている。あたしは自由になるべきであり、自由とはあたしがなるべきものだ。

闇の中から、新しい夜明けがこの世界にやって来ようとしている。夜明けの到来とともに、憎悪、強欲、死は一掃されるだろう。あたしはこれがいつ起きてもいい。これほど自分が果たしたい役割について確信できたことは、かつてなかった。

母はあたしにベドラムの宮廷の地位を申し出てくれた。この新しい世界を顕現するために尽くしてきた集団だ。だが、母の計画はこの名高い集団をも出し抜く。

母はあたしに新たな名前を与えてくれた。新たな目的も。血が流されるだろう。命が失われるだろう。だが最後には、世界そのものが変化する。もはや苦痛はない。喪失もない。

もうあたしはレドラン家の娘ではない。今ではノクターナルの娘だ。

我が名はタンディルウェン、よりよい世界が灰から生まれるように、世界を燃やそう。

ウェルキナーのグリフォンThe Gryphons of the Welkynars

ウェルキナー・シロリア 著

さて、はっきり言っておきましょう。グリフォンの訓練は大変な仕事よ。野生のグリフォンに関わるのは命がけ。危険きわまりない。見られた瞬間に食われてしまう。それを証明できる訓練師が、サンホールドには大勢いる。気を抜けば、雛ですら指の数本は食いちぎってくる。

ウェルキナーは自分のグリフォンを、孵化から死の瞬間まで世話することになっている。職務の一環として、もちろん自分が先に死ぬこともある。いずれにせよ、まずは卵を手に入れることからよ。そう、卵を入手するのは自分。初日に助けを求めるべきじゃない。それから、母グリフォンも殺さない方がいい。親を無残に殺された生物と絆を結ぶのは骨が折れる。経験者の言葉を信じなさい。

雛が孵化した瞬間から、絆を結ぶ過程は始まる。すぐに絆を結ぶ魔法の儀式を始める。それだけではなく、雛との関係を親密なものに育て上げねばならない。雛に餌をやり、清潔にして、世話をするの。さんざんつつかれ、引っかかれ、眠れぬ夜を過ごすことになるでしょう。

絆を結ぶ過程が終われば、グリフォンは味方として戦ってくれる。このグリフォンはあなたの馬、守護者、忠実なる友となるでしょう。彼らにとってもあなたにとっても、訓練は厳しく困難なものとなる。でもそれが終わると、この獣は最も優れた兵士となる。

覚えておいて。これは気軽に引き受けられる仕事じゃない。あなたがグリフォンと結ぶ絆は、これまで経験したどんなものとも異なっている。単なる仲間などではない。あなたのグリフォンは、拡張されたあなた自身。あなたの思考、感情、欲求、すべてが彼らとつながり、一体となるでしょう。

この責務を全うすれば、あなたはウェルキナーに迎え入れられる。人生そのものを一変させる名誉ね。だからこそ、慎重に卵を選びなさい。

ウェルキナーの突撃Charge of the Welkynar

サマーセット、ああ、サマーセット、我らの素晴らしく素敵な地
透き通った輝ける海を越えて恐れられる
ウェルキナー グリフォンの騎士は翼を駆り 力を尽くし
勇気と力と大胆さで アルトマーの自由を守る!

突撃せよ、グリフォンの騎士
空を舞い、敵と戦え!
突撃せよ、ウェルキナー
剣と弓を手に翼を広げよ!

アリノールからシマーリーンまで
ウェルキナーは風に乗り、光り輝く島を守る
平民、貴族、商人、女王、誰であろうと
グリフォンの騎士は微笑んで 皆を守る!

突撃せよ、グリフォンの騎士
空を舞い、敵と戦え!
突撃せよ、ウェルキナー
剣と弓を手に翼を広げよ!

ウェルワの回復Restoring the Welwas

動物学サピアルチ、アンボリッセ

アルドマーが原野の岸に初めて辿り着いた時、サマーセットは今とは全く異なる場所だった。今とは違う生物たちが生息していたのだ。恐ろしいものもいれば、温和な生物もいた。初期のアルドマーは、望まれない脅威を島から排除する時には決して手を抜かなかった。彼らはウェルワを根絶やしにすることにした。なぜか記録には残っていないが、彼らはウェルワを酷く嫌っていた。それから数年でウェルワは絶滅し、サマーセットの生態系から排除された。

昔の記録によれば、ウェルワは新たな訪問者であるアルドマーたちを殺そうとしたようだ。ウェルワはギータスやイリアディと一緒にアルドマーを攻撃した。アルドマーたちは星々から先人の知恵と力を引き出すと、雷、氷、炎を使って、この凶暴な獣たちを徹底的に破壊した。

サマーセットの絵や彫像で、ウェルワは角と鋭い歯を持つ奇妙な聖獣として表現されている。実際に、このような姿をしていたことが原因で絶滅することになったと考える学者は少なくなかった。中にはその存在について、ただの神話や伝説の類でしかないと考えていた学者もいた。彼らをハンマーフェル東部のクラグローンで見つけた時の、私たちの驚きを想像してみてほしい。しかもそこには、絶滅してしまった地域で個体数の回復計画を間違いなく実行できるだけの数が存在していたのだ。

サマーセットのウェルワ回復計画に参加できたのは本当に名誉なことだった。私たちは慎重に作業を進め、グラグローンで6組のつがいを集めることに成功した。彼らの健康状態と夫婦仲を確認するためにしばらく隔離した後、北西の沼地に解放した。彼らはすぐにその地域へ馴染んだ。その後さらにウェルアを求めて3回遠征したが、彼らの健康には問題なさそうだ。しかも私は現在のサマーセットで、最初のウェルワの誕生を目撃することもできた。本当に素晴らしい経験だった!

もちろん、この野心的な計画に反対する者もいる。偉大なサピアルチの同僚の中にも、我々が大昔に手に入れた自然に再びこのような危険な生物を呼び戻すなど、無鉄砲で危険すぎると反対する者もいた。批判する人々には、「価値のあることをする時にはある程度の危険が伴う」という古い格言を思い出してもらいたい。最初にウェルワを乗せた船が港にたどり着いたとき、反対の意志を示すため現場に現われた穏健なアルトマーの人数に私は圧倒されてしまった。だが幸運なことに、その場を納めるため神聖執行局と衛兵が現われ、この偉大な生物たちが傷付かないように配慮してくれた。

今でも反対している人々はおり、計画を廃止させるために法的手段へ出る者もいるが、私は屈することなく計画を進め、サマーセットの自然に再びウェルワの群れを取り戻すことに成功した。サピアルチのおかげでこの島はさらに一歩、本来の美しさに近付くことができたのだ。次はできることなら、ギータスとイリアディを復活させたい。

エトン・ニルのウェルキナーThe Welkynars of Eton Nir

ウェルキナーのウィングキャプテン、レレクエン 著

ウェルキナーはサマーセットの偉大な歴史をほぼ常に支え続けた騎士団だ。我々は故郷を守り、邪悪な潮流に抵抗すべく人生を捧げている。悪意が醜悪なる頭をもたげ、邪悪なる者が市民を脅かす所には、どこにでも我々は赴く。

クラウドレストが本拠地だが、我々はいかなる緊急要請にも応じる。このためには素早い行動力が必要であり、だからこそグリフォンと絆を結ぶことが最優先事項となっている。この獣の助けを借りることで、我々は遠く離れた場所へ素早く移動できる。諸島の中心に位置し、高所にあるクラウドレストをウェルキナーが砦に選んだのは、このような理由からだった。

我々は全部で4人、それぞれが4つの方位を表す。引退し、職務半ばで命を落とす者がいれば、その者に代わる者が新たに選ばれる。加入資格を得るための訓練には何年もかかる。自分の相棒となるグリフォンを捕らえ、育てる必要があるからだ。

それぞれのウェルキナーは、選ばれるに足る戦闘能力を備えている。我々はサマーセット随一の魔闘士を輩出することで知られてはいるが、魔法は加入の必須条件ではない。戦強きモルニャレマルは史上最高のウェルキナーの1人に数えられているが、魔法を全く使えなかった。加入に必要なのは、我々の仲間にふさわしい戦闘能力を示すことだけである。

サマーセットの統治機関や軍のメンバーは誰でも、ウェルキナーに助けを求められる。もちろん要請を受けるかどうかは、つねに我々の選択による。任務の合間に我々はサマーセットを巡回して立ち寄り、潜在的な脅威に関する情報を収集して、危機の兆候への警戒を続けている。

そう、ウェルキナーが真の意味で休息することはない。だが、この人生をかけた献身ゆえに、サマーセットの市民の安全を確保できるのだ。この栄誉ある集団に名を連ねることほど、真に名誉なことはない。

エボン・スタドモントに閉じ込められてTrapped in Ebon Stadmont

アンデウェン 著

この森に来るなんて愚かだった。自分は賢く、力強く、揺るがないと思っていたけれど、長年の孤独を通して今は真実がわかる。私は頑固だった。高慢だった。だからとても愚かだった。そしてそのために苦しんできた。

この森に閉じ込められてもう数十年になる。過去に閉じ込められた。私の顔は皺だらけで、心は後悔で暗くなっている。私の人生は私から盗まれた。そう、盗まれたのだ。今はそれがわかる。

私をここに留めるものがある。長い年月を経て、私はこの存在、看守をエボン・スタドモントの霊魂と名づけた。彼女は私を監視した。研究した。私をここに閉じ込めているのは彼女だ。私を現在から切り離し、他の世界から切り離した。

この罠は私が森に足を踏み入れた瞬間に仕掛けられた。なぜ疑問を持たなかった?私を導き案内する声に。彼女が必要とする場所に直行させた声に。どれだけの間分からずにいた?どれだけこの言語を研究し、使い、意思に従わせようとした?あまりに長い。

彼女は何かのためにこの言語を必要としている。言葉はわかるが使えない。彼女には私が必要で、私には彼女が必要だ。その囁き声は、私に聞かせたいことだけを伝える。私は耳を傾け、従う。無意識のうちに忠実で、服従していた。だがもう終わりだ。

私は突き止めた。もう囁き声には頼らないし、彼女の意思だけで動かない。南の石。バネウェ・テルデ。あれが元の時間に戻る方法だ。それで、私は何もかもが起こる前に止められる。自分があの入口から入り、この牢獄に入るのを止められる。

だけど彼女は知っているのではないか。森の中に留まる限り、比較的楽に動き回ることができるのに、南の石へ向かう企ては必ず妨害されてきた。この私と霊魂との静かな戦いはもう何ヶ月も続いているけれど、私は固く心に決めた。自由になる。これを終わらせる。やらなければ。

エボン・スタドモントの言語The Language of Ebon Stadmont

著者不詳 著

私の研究はエボン・スタドモントの調査へと行きついた。噂と憶測は多いが、事実がほとんど知られていない森だ。特に私の興味は森の至るところで見つかる、崩れかけた遺跡内の碑文に描かれた謎の言語にある。この言語は未知で調査されておらず、誰も疑問視していない。これは当該言語の適切な研究をする力がないというより、森の持つ危険性と大いに関係しているのではないかと考えている。

森はある意味で捻じれている。森の中を歩くと変わるのだ。目的地は木々の葉の向こうに見える。ところがたくさんあるアーチ道の1つを抜けると、最初に目指していたところではなく、全く新しい場所にいる。転移の魔法がかかっているようだが、あまりにもスムーズなのできっと気づかないと思う。

木々の葉は密度が濃く、普通の森というより生垣の迷路を思い起こさせる。誰か、あるいは何かがこの森を他から切り離す設計にしたのは明らかだ。明白な目的は、余所者を排除することだと思う。この保護対策は、私が研究しようとしている言語と何の関係があるのだろう。よくわからない。だがきっと私の研究を通して、答えが見つかるだろう。

* * *
エボン・スタドモントにおける最初の発見は、恐れていたように結論へと達しなかった。この言語はデイドラの形に似ていると思ったのだが、その方向のあらゆる実験は何の成果も生まなかった。古さという点は似ているかもしれないが、デイドラに由来するとは思えない。というわけで、ゼロから研究をやり直すことになりそうだ。

この調査旅行の幸運は、私が最大の障害だと思っていたことからやってきた。森そのものだ。噂は誇張されていたのか?森の自然を捻じる出来事は回数も少なく、たいして不便でもなかった。心配していたように、隊員を失うこともなかった。固まって移動するよう命令はしていたが。

受け入れられている感覚がある。まるで森がその謎を明かす価値があると判断したかのようだ。あるいは時を経て、魔法の保護の力が弱くなったのかもしれない。いずれにしても、この幸運を無駄にするつもりはない。退却はしない。この言語を研究すると心に決めた。

* * *
とうとうこの言語の謎が進展し始めた。私は全く間違った見方をしていた。それが問題だったのだ。私は言語が単に記号から成っているとみていた。研究して翻訳するものだと。しかしこの言葉には力がある。今はそれがわかる。

碑文に手つかずの魔法の力の源がある。しかし試したものの、解放する方法が見つからない。使うと、力が使ってほしいと強く願っているのを感じる。一種の創造的な力で、計り知れない可能性に満ちている。しかし何の?

言葉は生きている。私が近くで聞いていると、時々話しかけてくる。私の心に囁くのだ。言葉の持つ力は長い間休止していて、再び存在したいと願っている。あとは私が方法を見つければいい。

オグル船長への手紙Letter to Captain Oghul

よう、オグル。

たった今、アリノールの郵便からお前の手紙を受け取った。お前の質問に答えると、交易はエルフの女王の命令以来順調だ。順調どころじゃない。あの背の高いエルフどもは傲慢だが、ゴールドはゴールドだ。そしてあいつらは大抵の連中よりも払いがいい。とはいえ、サマーセットを航海して回るのは簡単じゃない。お前が下手なのは知ってるから、センチネルに来る時は航海の達人を拾ってきたほうがいいぞ。

サマーセット付近の航海について最初に知っておくべきことは、あの島が見た目より大きいってことだ。ずっと大きい。大半の連中には、あの島は誘っているようにしか見えない。白い砂浜、甘い香りのする花、新鮮な湧き水があってな。だがそういう連中が見てないのは、水面のすぐ下がごつごつした岩礁の巣窟になってることだ。それも全部サンゴに覆われてる。しかもトパル湾で見るような脆いエチャテレ・アントラーじゃない。巨大な海の骨、モーロッチの顎のように硬く、メエルーンズのカミソリのように鋭い脱色サンゴだ。傾斜した部分が触れると、豚の皮をナイフで削ぐように船体を切り裂いちまう。だから注意するんだぞ、いいな?地図と、喫水に気をつけろよ。

それから海賊もいる。忌々しいシーエルフどもだ。奴らのサーペントの旗が、沈没した商船や捕鯨船の上にはためいているのを見ない日はない。斬り込みを撃退する必要があったのは2度だけだが、しっかりと叩きのめしてやったよ。しばらくは奴らもオークのブリグ船を襲おうとは思うまい。礼はいらんがな。

船員にも目を配っておけよ。水夫というのは迷信深いからな。俺が聞いた幽霊話のいくつかは、きっとお前も信じないだろう。巨大な海のサーペント、幽霊船、脳味噌をブラッドプディングみたいにグチャグチャにするナメクジ人間。そんなのばっかりだ。甲板での愚痴をあんまり放っておくと、暴動が起きる危険がある。だからオークが口を閉じないようだったら、そんな迷信は遠慮なく叩き潰しちまえ。

いい風と、静かな海を願おう。近いうちにシマーリーンでジョッキと話を交換しようや。

ヴォシュ、
ダルズール

カートレルの最後の手紙Cartorrel’s Last Words

愛する人へ

今回は家に帰れないでしょう。ここの海はこの上なく穏やかだけど、いつだってどんな航海で私の最後に成り得ると知っていたわよね。私の最期を告げるのは変わりやすい海流ではなく、血管を駆け巡る毒なの。愛してる。そしてごめんなさい。

シーエルフがワステン・コラルデイルを侵略した。今は小さな部隊だけど、増強の準備をしている。この島がもっと大きな軍事行動の足場として使われるまで、そう遠くないでしょう。

二度と本土は見られないけれど、潮の流れがうまくいけば、この伝言は間もなく届くはず。

これを見つけた人へ。王立海軍にシーエルフが来ていると伝えて、これ以上の命が失われる前に、奴らを止めて。親切な方ならこれをアリノールのウェンドレインに届けてください。

愛と希望を込めて、
カートレル

カーンハルの日記Karnhar’s Journal

ここの人々は、この地の呪いなんて怖くないという振りをしているが、何か普通でないことが起こった瞬間に本音が出てくる。我々は昔からここに住んでいて、野営地の水没と粗末な食事以外には何の問題もなかった。大地が揺らぎ、人々が行方不明になっている今は、デイドラが地面から這い上がってきて、我々を食べるとでも言うかのようだ。

真実はおそらく、誰かが穴の中に落ちて助けを求めているのだろう。他の者たちが恐れて行かないことは気にならない。バカげた迷信のために、善良な人々が暗い穴の中で餓死するに任せておくことはできない。

* * *
ある大穴の付近で終わっている足跡を見つけた。確かに誰かが穴の中に降りたのだ。自分の意志でかどうかは不明だが。呼んでも返事がなく、投げ入れた松明はほとんど一瞬で消えてしまった。水の流れる音が聞こえたように思う。浸水しているに違いない。ロープがあったとしても、自分で降りてみる気にはならないが、別の道から降りられるかもしれない。水はどこかに続いているはずだ。

* * *
どうやらあの古い館は土台から滑り落ちてしまったか何かのようだ。崩れ落ちた壁があるし、水の流れは自然の洞窟まで続いている。野営できる乾燥した場所を見つけるまで進み、探索を続けるつもりだ。

* * *
巨大な開けた洞窟へと続くトンネルを見つけた。柱のようなものが見える。かつてここに暮らしていたエルフたちが岩から削り出したに違いない。岩が再び戻ってきて、この場所を占拠しつつあるようだ。この場所はどれくらい古いのだろう?

今のところ、ヘンリグやミンドリルの手掛かりはないが、このトンネルにはもう一つ分岐がある。一晩ぐっすり眠ってから、そっちに行ってみよう。

カソリンウェへの手紙Letter to Casolinwe

カソリンウェ

また君の友人であるマニマルコと、昨日不快な出会いをしてしまった。前にも言ったかどうか分からないが、遺物マスターは私を宝物庫の納品監視係に任命した。簡単な仕事だ。爆発する可能性のある試薬や不安定な遺物を分類するだけだ。

大部分の見習いは小包を1つか2つ持ってきた。だがマニマルコは謎めいた錬金術の溶剤の入った、印のつけられていない木箱や樽などを何十個も持ってきた。彼の経歴を考え、ある程度は大目に見るつもりだった。だがあれだけの量の材料となると…何も言わないわけにはいかないだろう?

私はとても丁重に、最新の納品物の中身は何かと尋ねた。彼は私を見もしなかった。ただ「お前の興味を引くものではない」とだけ言った。私は食い下がった。紳士的にだぞ!もう一度聞くと、彼はあの冷たい目を私に向けて、ウブリヴェイ神秘学の失われた言語で何か囁いた。あの時、私は彼が「もう一度聞いたら、お前は後悔を知る」と言ったように思った。だがいくらか不愉快な回想をすると、おそらく彼は「もう一度聞いたら、お前は殺しを知る」と言ったんだと思う。よくある間違いだ。2つの言葉はよく似ている。だが君には言っておくが、あれは間違いじゃなかったと思う。彼は私が言語学者だと知っている。自分が言っていることはちゃんと理解していたはずだ。今でさえ、考えただけで背筋がぞっとするよ。あのエルフはどこかまともじゃない。私には分かる。お願いだから、気をつけてくれ。

古き習わしが君を導くように
ルリナリオン

追伸――あの男が運んでいく時、木箱はカタカタと虚ろな音を立てていた。私の推測だと、あの木箱には乾燥させた木か、あるいは骨が入っていたんだと思う。どっちの可能性が高いか、君にも予想が付くだろう。

ガリドールの愛の詩Galidor’s Love Poem

愛しきジャヴァナへ、
知っているはず
三度の人生を共にしたいと思っている

けれどポケットは満たされず
分けられるものもあらず
お金もなく、靴には穴が開いてる

でもいつか、そう
一緒に行こう
緑の深い樫の木の森へ

根の中で休み
グラーベリーをついばみ
王と女王の姿へ

ガリドールの走り書きされたメモGalidor’s Scribbled Note

宿主へ

何度も抗議したのに、ならず者が相変わらず部屋の外に集まっている。

犯罪者は見れば分かる。ごろつきの一人で、鼻水を垂らしてもじゃもじゃの赤毛をした若い奴は、とりわけ悪さをしているようだ。そっちが対処しないなら、自分でどうにかするかもしれない。

ガリドール

ガリドールの台帳Galidor’s Ledger

ブラックマーケットでの購入:

アズドル – 未加工のムーンシュガー2杯:支払い済み

キャリエシル – スキャンプの耳のシロップ漬け:支払い済み

キャリエシル – ドレモラの歯:支払い済み

エミール・オンセント – 羊の血1樽:支払い済み

エミール・オンセント – 錬金術用注射器(5個セット):支払い済み

ファンダーカー – ウェルキンド石(盗難):支払い待ち

ガリドールの買い物リストGalidor’s Grocery List

1:子羊のスネ肉

2:シナモン

3:シャロット6個

4:パセリの小枝(付け合わせ用)

5:チーズ丸ごと

キャスタティル船長の輝く剣:第6場The Bright Blade of Captain Castatil: Scene VI

第6場。外洋。恐怖のアッシュ・バイパーの甲板。恐怖の船が演者の足元でゆっくりと沈む

オルグヌム王と、黄金の仮面をつけた謎のキャスタティル船長が入場

オルグヌム王:
キャスタティル!古き大敵よ!踵の薄いハイエルフのブーツで、荘厳極まりなき船の看板をよくも汚したな!

[オルグヌムが威嚇するように前へ出て、冷笑と共に毒の塗られた剣を引き抜く]

キャスタティル船長:
ハッ!魚の王は大言するものだ。周りを見ろ、シーエルフ!お前の艦は波に飲み込まれ、船員は泡と海で窒息するだろう!お前も加われ、裏切りの海賊め!

オルグヌム王:
死ぬのはお前のほうだ、黄金仮面よ!突き刺す前にその仮面を引き剥がしてやる。我が毒の剣で串刺しにするとき、苦悶の表情を見てやれるようにな!

キャスタティル船長:
いいだろう。実はこの時を長年待っていた!

[キャスタティルが仮面を外し正体を明らかにする。それは、復讐に燃えたエロルダリンの息子、マーシベルであった。オルグヌム王は息を呑む]

オルグヌム王:
馬鹿な!マーシベル?エロルダリンの屈強な息子か?

マーシベル:
そうだ!お前が昔を殺した時、お前の廃墟を海に沈めると誓った!今こそ復讐の時だ!

[マーシベルは輝く剣を抜き、戦いに備える]

オルグヌム王:
なら来るがよい、エロルダリンの息子よ!大蛇の牙と戦え!

[2人の敵が舞台を横切りながら、突きを入れ、受け流し、切りつける。一時的にマーシベルが優勢になる]

マーシベル:
魚屋の妻のような戦いぶりだな、オルグヌム!真の挑戦を私から奪うのか?残忍な願いがこうも簡単に満たされてしまうとはな!

オルグヌム王:
ハッ!若いな!その自信過剰が命取りだ!

[オルグヌムが滑りやすい甲板にブーツを強く踏み下ろし、マーシベルを転ばせる。前かがみになったマーシベルが避けて受け流す瞬間、オルグヌムが襲いかかる]

オルグヌム王:
鉤先でのたうつがいい!我々の決闘は残酷な終わりを迎える!

マーシベル:
私を倒したつもりか?見えないものを串刺しにできないと知らないのか?

[マーシベルは付近の手桶をつかみ、中身をオルグヌムの顔にはねかける。青の厚化粧が洗い流され、マーシベルの父エロルダリンの光り輝く顔が露わになる。マーシベルは息を呑む]

マーシベル:
父さん?ど…どういうことだ!

エロルダリン:
ようやく真実が分かったか。そうだ、マーシベル、エロルダリンだ!お前の父だ!スターボーン・アルマダの元提督だ!

マーシベル:
死んだと思っていた!オルグヌム王の手によって!

エロルダリン:
死んだ?ハッ!あのマオマーが殺したのは、老いぼれのアーリエルへの信仰のみ!サマーセットのエルフを縛る欺瞞と虚偽への信仰だ!分からぬか?あの大蛇の真実が最も重要なのだ!サマーセットのあらゆるエルフが学ぶだろう!皆が偉大なる大蛇の魔道師に敬意を払うのだ!

[マーシベルは跳び上がり、器用にエロルダリンの剣を受け流す。最後の一突きで心臓を貫く]

エロルダリン:
クソ!これで終わりか!

[エロルダリンは死ぬ]

マーシベル:
黙れ、父さん。本当に貫かれたのは私の心臓だ!何と言う悲劇!父の敵討ちをするつもりが、父親殺しになってしまった!私はどうしたらいい?

[長い間マーシベルは何も言わずに立ち続けたあと、捨てられた仮面を拾い、おごそかに身に着け、再びキャスタティル船長となる]

キャスタティル船長:
いいや!己を憐れみはしない!マーシベルは死んだ。彼の記憶、そして父の記憶は、壊れた船体と沈むがいい。渦巻く海に誓おう。この仮面をつけるのは1人のエルフのみ。キャスタティル船長だ!アリノールの英雄!シマーリーンの盾!サマーセットの勇敢な剣士!そして、下劣なオルグヌム王の油断なき敵だ!

よく聞くがいい、大蛇の王よ!間もなくお前はエロルダリンと同じ、血塗られた運命に苦しむだろう!キャスタティル船長の輝く剣により、串刺しにされるのだ!

[場の終わり]

キングズヘヴン交易記録King’s Haven Trade Record

地域内のほぼすべての部族と通商協定を結び終えた。海の恵みが内陸の民には最も魅力的だとわかったが、布と道具にも安定した需要がある。交換の対象は彼らが狩りや罠で得る獲物だ。こちらの部族は捕獲も上手だが、地域に生息するウェルワやグリフォンを手なずけることにも熟達している。

それでもこの交易で最も利益があるのは、丘陵地に点在する洞窟から採掘される精製前の鉱物だ。地元民はそれに高い価値をつけず、原鉱を精製した製品と取引することを好むようだ。

キングズヘヴン地域記録King’s Haven Territory Record

基地は東西の道に広がっている。先住の民は建築技術に興味をそそられているようだが、それ以外は居住地に落ち着いている。

* * *
旅人が先住の民の居住地を通過できる道を安全にした。これでコルグラドからシマーリーンまで、かなりの時間を節約できる。

* * *
王は、王冠にまだ忠誠を誓っていない者に、戦略的に重要な土地を委ねたままにしていることを心配している。もっともな心配だ。私たちは部族の残った土地の取得に向けて交渉を開始した。

* * *
東西の道は自然の境界線で簡単に区切られているが、地下通路網の広がりはまだ検証されていない。住民が土地に対する提示に気乗りしないのはこのせいかもしれない。この件で、王は東の岩山を再居住地として認めるという寛大な提案をした。部族の長はこの新しい提案の協議に同意したが、君主の忍耐は無限ではない。

キングズヘヴン偵察記録King’s Haven Scouting Record

丘を東西に抜ける道は、基地を設けて駐留するために絶好の場所となるだろう。北へ丘を抜けるための一番近い道であるだけでなく、地形と洞窟の網目のおかげで非常に守りやすい場所でもある。岩の多い地形にもかかわらずこの地は肥沃であり、自然の小川が丘の高所にある水源からこの一帯に注いでいる。

残念なことに、この地域は少なくとも1つの先住部族に占拠されている。彼らは原始的な農耕社会を営んでおり、野菜を作り、地域内の野生動物を狩っている。彼らはまた、鉱石のために石の加工も行うようだが、加工の技術は初歩的なものだ。

この人々はよそ者に敵対的ではなさそうだ。この部族の人々が捧げ物としてか交易でか、物品を交換するのを観察している。しかし我々の敵となった場合、彼らは攻城戦においてかなりの有利を得るだろう。幸運にも、新鮮な水のための彼らの水源は一つしかなく、直接攻撃の代わりとなる選択肢を提供している。

クラウドレストの秘密の入口Cloudrest Secret Entrance

ばかばかしい。

とにかく、これは強盗だ。普通の市民より、少しはコソコソしないとな。クラウドレストに入るのなら、古い通路を使うがいい。お前のために鍵を開けておこう。安心しろ。

――D

追伸。このメモを落として人に見られるようなへまはするな。アリノールで何があったか忘れるなよ。

グリフォンの飛行The Flight of Gryphons

アルトマーが最初に空を見上げ、雄大なグリフォンが風に乗って飛び上がるのを見た時から、グリフォンを飼いならし、戦いや娯楽のため背中に乗り、世界を遥か下に眺める自由を感じる、という夢が存在してきた。

だがこれは子供の夢であり、人々はすぐにグリフォンが誇り高く凶暴で、いかなる下等な生物にも乗り物として仕えることはないと知った。何世代もの間人々は試したが、グリフォンは決して屈することがなかった。

愚か者は野生のグリフォンを網にかけ、ただの馬のように飼いならそうとした。グリフォンは彼らの愚かさが次の世代に受け継がれるのを防いだ。アルトマーのより賢い部族は島の崖という崖をよじ登り、親がいない間に巣から卵を取ることに成功した。しかし何年もかけたこの方法も、空飛ぶ乗り物を提供するには至らなかった。卵は決して孵らなかったからである。しかしその後の御馳走はそれなりの慰めとなった。卵は王たちに珍味として重宝されたのだ。

島の南の小さなクランは、グリフォンの飼いならされることのない輝きに立ち向かい、頭角を現した。後にサンホールドの王となるウロロームは狩りの最中、見捨てられた巣に卵を1つ見つけた。どうせ孵化することはなかろうと考え、彼は卵をクランへ持ち帰り、宴会に供するため大きな暖炉の火の中に入れた。暖炉と家の古い歌を歌いながら、ウロロームはクランが食べる前に食事へ祝福を与えようとした。だが見よ!暖炉のぬくもりと優しい歌が冷たい卵を蘇らせ、生まれたてのグリフォンが飛び出してきた。火の輝きの中、その羽根は赤々と映えたので、火の鳥かと思った者もいたほどである。ウロロームはこの贈り物を神々に感謝し、まだ燃えている火からグリフォンを取りあげ、セル・ヒンウェと命名した。

セル・ヒンウェがその主人を乗せて戦いへ赴いたのかどうか、伝説は語っていない。だがこの生物、すなわちマオマーの伝説で言う赤い風は、後にサンホールドの有名なグリフォン線の原形となったものである。上級公とグリフォンの二本線は互いを取り囲むように織り込まれ、一方がなければ他方も存在しえないようになっている。グリフォンはまたサンホールドの象徴として受け入れられ、その決して服従せぬ心のシンボルとなった。

ゴージThe Gorge

ボエシアとクラヴィカス・ヴァイルの領域の間には分水嶺が存在し、そこでは需要と飢餓が合一する。僅かな場の痕跡がムンダスの肌にまとわりつき、生き残るため無益に浸食する。これがゴージ、飢饉と絶望の穴である。そこでは凶暴なデイドラが、決して満たされることのない空腹を解消するため、同族すら糧にしながら、あらゆるものを永久にむさぼり続ける。

このような哀れな獣の頂点に君臨するのが、狡猾で力を求める〈強欲〉である。このデイドラが物質界に召喚されれば、その特質を活用してゴージとニルンの間へ自由に入り込み、次の獲物を待ち伏せして、絶えず生命を堪能し続けるだろう。

魔術師は正確な手順さえ理解していれば、同じようにこの領域間を移動できる。ゴージの脅威と向き合う覚悟さえあれば、それは定命の者の世界に感知されない、素晴らしい移動手段となるだろう。

ニルンとオブリビオンの間には障壁が存在するが、そこはどこよりも薄い。その場を物質界に繋ぎ止められているのは、ゴージの一番の欲求が満たされているためである。その欲望とは誰もが必要とする要素、つまり生命、自我、熱意、死すべき運命である。この要素を捧げるためにかがり火を焚き、適切な順番に並べよ。

完成すればアンカーがゴージの喉に繋がり、胃にいつでも入れるようになる。そのアンカーを動かしたいのなら、投げ入れた順番に供物の印を消す。そうすることでアンカーは物質界に戻り、その力をどこでも利用できるようになる。

サイジックThe Psijic Order

現代史の年代記サピアルチ、ヴリシリン 著

現代の出来事とサマーセットの進歩および幸福との関係を理解し、分析する任を追っているサピアルチとして、私は現代という時代の重大な問題について、専門家としての意見を提供するようしばしば求められる。それにより、この問題に導かれた。女王代理アルウィナルウェはサピアルチ大学に対し、サイジックについて知っている全ての情報を宮廷に提供せよとの要請を出した。どうやら、アルケインを学ぶ古き賢者たちが戻ってきて、現在の危機に際して援助を申し出たらしい。

我々は絶対の確信をもって、サイジックがかつてタムリエルで最も偉大な支配者たちの顧問、教師として仕えたことを知っている。我々はまた、約350年前に賢者たちが妨げられず研究するため、アルテウム島に退いたことも知っている。そして島は、文字通り消えたのである。

サイジックとは何か?この古い組織はサマーセット発祥であり、今日われわれが知っているアルケイン魔法の基礎を形成した。歴史上のどこかの時点で、彼らはアルテウム島を占領し、セポラタワーを本拠に定めた。サイジックの功績は数多い。元サイジックの賢者ヴァヌス・ガレリオンによる魔術師ギルドの創設や、秘術の発展も含まれる。秘術、あるいは古き習わしは、問題に対して適切に用いられた場合、宇宙の秘密を解明できると言われてきた。秘術はまた未来を覗くためにも用いられる。彼らがタムリエルの指導者たちに提供した助言は、秘術によるものだった可能性がある。

我々の祖先がサマーセットに居を定めた時、文化は変わり始めた。我々はもはや先人の霊魂を崇拝せず、その代わりそうした霊魂の一部を神格化して崇拝した。長老たちの一部が当時、この流れに反抗した。彼らは自らをサイジック、すなわち古き習わしの守り手と呼んだ。彼らはアルトマー社会の腐敗から離れるため、アルテウムへと退いた。しかし、新たな習わしに対する忌避にもかかわらず、彼らは助言と導きを与えるために戻ってきた。

私の意見を言うなら、サイジックが提供する助力を受け入れるべきだ。この危機の時にあって、秘術の達人を味方に付けられるのは悪い話ではないはずだ。

サイジックの写本:受け渡し場所のリストPsijic Codex: List of Dead Drops

うまく隠されていても
遺物の在りかは分かる
この影のような盗みを止めるには
サマーセットへ行かなくてはならない

悪意を灯す偽りのランターンは
ウェレンキンの入江の岩礁近くで見つかる
サンゴ石の割れ目の中
コーラル・クラブの住むところ

インドリクの心臓は深い水辺の近く
セイ・ターン砦の壁の裏にある
1と3の印のついた木々の裏で
この遺物はすぐに見つかる

筆記を強制する遺物は
用意のできた船の隣にある
アリノール港右端の桟橋を調べろ
銀舌の羽根ペンは近くにある

偉大なる演者の故郷リレンシルで
解ける杖は待っている
穏やかな小川の橋の下に
求める遺物はあるだろう

ラッサフェルドの旅の祠の近くに
背骨を外した頭蓋骨はある
些細な呪いの頭蓋骨は隠れる
大きな窪み近くの崖の縁に

影裂きの刀剣は運ばれた
尖った石と滝によって
アルド・モラの遺跡の東に
この恐ろしげな遺物は隠れる

魂の番人の壷は葬られた
東にも西にもない街に
ラッサフェルドの大邸宅の裏で
待ち受ける遺物は見つかるだろう

非難の箱は見渡す
エボン・スタドモントの泡立つ小川の1つを
壊れたアーチ道を探せば
稀有な呪われた遺物は見つかる

照覧の大学の近くに
別の悲劇の遺物は隠れる
終わりなき巻物は見つかるだろう
通行料を取らない橋の近くで

コルグラド・ウェイスト遺跡の中に
逃れられぬ兜は待っている
ねじれた木の下を見よ
海より水が入り込む場所の近く

サンゴの女王を見渡す
静寂に包まれた小森の中
手放せぬリュートは
王家の孵化場近くに隠れる

北の浜辺の滝近く
岩肌に置かれ
怒りしグリフォンの往来する先に
偽顔の扇は隠れる

ディレニの廃屋と
勇敢だった王の峠との間
岩丘近くの緑葉の下に
甘い夢の枕は見つかるだろう

調和の修道院の目の先
海辺の塔の足元
波をせき止める壁の端に
致命的な予感の鏡は隠れる

シマーリーンの壁境の先
海鳥のさえずりが聞こえるところ
積み重なる苔石の近くに
白黒の絵筆は待っている

知覚時間の砂時計は
東の海の近くで待つ
サンゴの森の隠れたところに
不道徳きわまる遺物は見つかるだろう

ガイザーが噴き出る場所の南東
密輸船の難破船の近くに
待ち受ける失われた恋の靴は
恐ろしい足並みの遺物である

開けたアラクソナルドの北に
大いなる渇きの遺物は運ばれた
常に満ちた聖杯は
羽根の皮の獣の後ろにある

乾燥の胸当ては
サンホールドの巨大な門の左で待つ
白壁が苔石と交わるところに
この遺物は寂しく置かれる

アルテウムの扉のすぐ外
インプの舞い上がる聖堂の南に
待ち受ける砕け散る剣は
不当な戦いの扱いづらい遺物である

サピアルチの推薦状Sapiarch’s Recommendation

廷臣ヴィンディルウィーン様

サピアルチ大学の公式文具がないことを、どうかお許しください。リランドリルからの新しい出荷を待っているところです。その間に、この上質な羊皮紙をお贈りするとともに、スカイリムとエボンハート・パクトの向こう見ずなリガート大使が女王代理アルウィナルウェ陛下にすぐ謁見を賜ることができますよう、心から推挙いたします。

リガートはアリノールの淀んだ世界に新鮮な空気を送り込める人物であると、私は理解しております。女王の布告を受け入れ、訪問者を友好的な微笑みで迎えるべき時です。リガートと名乗り、あらゆる機会にその名を思い出したくなるこの陽気なノルドのいる時こそ、これを始める絶好の機会であると考えます。

知と完全なるものの飽くなき追求の名のもとに。
異国観察のサピアルチ、タンデメン

サピアルチ大学にてOn the College of Sapiarchs

流浪の年代記作家アダンドラ 著

サピアルチ大学。それはリランドリルの西、海から突き出した小さな島にある。リランドリル本土とこの小さな島をつなぐ魔法の出口を操るポータル管理人の許可を得ない限り、一般市民はこの地区に入ることはできない。これは賢者を保護し、深い思想を考え、未知の伝承を研究するための静けさを保つ措置だと言われている。著者は繰り返し、この孤絶した大学地区で何が起きているのかを確かめようとした。私が明らかにしたことを以下に記そう。

だがまずは、サピアルチ自身についての背景を述べておこう。サピアルチとして正式に認定された者は常に223人おり、各人は何らかの専門的研究領域に専念し、その領域を管轄している。例えば、サピアルチを現在指導しているリランドリルのラーナティルはアルケイン学サピアルチを務めており、アルケインの伝承に関して収集された知識を、その卓越した精神の中に詰め込んでいる。また、それぞれのサピアルチには1人か複数の侍者が助手を務めている。侍者は修行中のサピアルチであり、いつの日か自分たちのマスターを引き継ぎ、大学の席を得ることを望んでいる。しかし賢者志望の者にとって、これが唯一の道というわけではない。優秀なハイエルフの学者はいつでも召喚を受け、この名門大学に加入するよう招待を受ける可能性がある。

個人としてのサピアルチは調査の実施と記録によって専門領域を拡張し、講義を行い、自分の研究領域に関する問い合わせがあった場合には助言を与え、論文や本を書いて自分が扱う論題を解説する。集団として、サピアルチ大学の機能はサマーセットの現在の指導者に助言を行い、そして玉座の継承者を訓練することである。また調査や研究によって一般に知らせておくべき新たな情報が解明された場合、彼らは声明を発し、調査を検討した上で、それが学問的価値のある対象に加えられるべきかどうかを判断する。

サピアルチ大学という名で知られている、物理的な地区の話に戻ろう。著者はまだ大学地区を個人的に探索する機会を得られないでいるが、信頼できる筋から得た情報なので、以下のことは大部分において真であり、信用できる可能性が高い。壁に覆われたこの地区は、リランドリルから真西にある小さな島を埋め尽くしている。私に調べられた限り、この地区の中心部分には大蔵書庫や学習室、大学の最上位者のための居室がある。下級のサピアルチが使う寮と学習用の個室があることも分かっている。

しかしサピアルチ大学の真の驚異は、水晶の塔とのつながりを除けば、主要部分の下にある部屋と廊下の巨大な迷路である。「迷宮」として知られるこの区域には複数の機能があるが、その最も名高い用途は、アリノール王家の継承者の試練に関するものである。玉座の継承者は適切な年齢に達するとサピアルチ迷宮へ赴き、3555日の間「アルトマー王の実践と儀式の道」を学び、その上で王位を得る。

謎めいたサピアルチ大学にはさらなる秘密があることを著者は確信しているが、賢者たちがプライバシーを要求し、女王とその密偵がそうした政策を支持している限り、サマーセットの民は大学地区の壁の内側で本当は何が起きているのか、決して知ることがないだろう。

サマーセットにいるカジートへのヒント(バージョン1)Tips for a Khajiit in Summerset V. 1

サマーセットへのカジート特使、ベズミ 著

ハイエルフは特に誇り高き民だ。このことは私たちも知っている。まるで私たちがお尻に巣食うノミでもあるかのように、常に不快そうな眼差しを向けてくる。通常はよく回る口と、さらに素早い爪がこうした侮辱への答えになる。しかし、私たちは今、彼らの地に来ている。ここサマーセットの海辺で、私たちは数でも力でも圧倒されている。適応しなければならない。

この地で、口の巧さは私たちの故郷におけるほど有利にならない。あのハイエルフたちは、腹を抱えて笑うということがない。彼らは心を無視して、頭だけで考える。もちろん愚かなことだけど、ハイエルフの考えは潮の満ち引きを変えられないように変えられない。いつものように、知恵で出し抜くようにしましょう。

歴史から始めましょう。ハイエルフは、カジートが何も知らないと思い込んでいる。この者はあのジェコジートたちの誤りを証明してやる以上の喜びを知らない。彼らは私たちが、最も基本的な知識さえも持たないと考えている。その期待を裏切ってあげましょう。

スラシアの疫病は、今でも血を流し続けているナハテン風邪の傷に比べれば消えつつある傷跡でしかないようだけど、サマーセットのエルフにとって深い重要性を保っている。ベズミが思うに、これは神なる祖先であり、妖術師の神としても知られるシラベインの関与が大きな理由でしょう。その強大さゆえに神へと昇格した魔術師というのは、何というか、ハイエルフの理想じゃない?

スラシアの疫病は自然の病ではなく、スロードとして知られる邪悪な種族の仕業だった。デブでのろまで気持ち悪いスロードは闇の魔術を海にかけ、タムリエルの大部分にこの病気を広めた。病気は素早く、激しく拡散し、街も、都市も、文明も破壊した。しかし大きな悲劇の多くがそうであるように、英雄たちが現れ始めた。シラベインはただそのうちの1人で、ハイエルフに最も尊敬されているだけよ。

シラベインは強大な力を持つアークメイジとして知られていたけれど、その魔法だけで解決したわけじゃない。彼は非常に強力な付呪が施された指輪を持っていたからね。これによって、彼は無数の命を疫病から救うことができた。彼一人の働きにより、この破滅的な疫病にタムリエル全土が飲み込まれるのを免れたと言う者も多い。ベズミはこのアークメイジが尊敬されているのは自分が救った人々への共感よりも、この功績に必要な力によるという感じをよく受けるけど、これについては口を閉ざしておく。

アークメイジ・シラベインはもちろん、これで終わらなかった。彼はコロヴィアのアンヴィル王で、男爵提督ベンドゥ・オロの勢力に加わり、疫病を根源から止めに行った。彼らは協力して、エルフだけでなくコロヴィア人やレッドガード、ブレトン、アルゴニアンまでも含む艦隊で構成された全旗海軍を団結させた。この種族たちは意見の相違を脇に置いて、スロードの故郷であるスラスの襲撃で多くの命を犠牲にした。そして驚くべきことに、多くの損失を出しながらも、彼らは勝利した。彼らは珊瑚の王国を沈め、スロードたちを深海の底という、いるべき場所に追い落とした。

この物語が特に有用だと考える理由がいくつかある。すでに述べたけれど、私たちはカジートが同盟者たちについて無知であるという誤った考えに、すぐに終止符を打たなければならない。もちろん、私はハイエルフの歴史と文化についてさらにいくつかの記事を出版したいと考えている。でも理由はそれだけじゃない。ベズミがこの歴史に関する情報を収集することを選んだのは、これが同盟者の重要性を示しているからよ。つまり私たちの重要性ね。

各種族が戦いに持ち寄った軍事力がなければ、全旗海軍の勝利は不可能だったでしょう。確かにシラベインは便利な指輪を持つ、強大な魔術師だった。でもたった一人でこの戦いに勝てたはずはない。この勝利を達成するために、彼は他の多くの者たちに頼らなければならなかった。

あなたが話し始めた途端、ハイエルフが鼻であしらってきた時。あなたが歩いて通り過ぎようとすると、母親が子供をそばに引き寄せた時。ベズミが言ったことを忘れないように。万能のサマーセットが友人を必要としたのはこれが最初じゃないことを思い出させてやりなさい。私たちが彼らを必要としているのと同じくらい、彼らにも私たちが必要だということを思い出させるの。

サマーセットにいるカジートへのヒント(バージョン2)Tips for a Khajiit in Summerset V. 2

サマーセットへのカジート特使、ベズミ 著

この者がハイエルフの誇りと虚栄心について話す必要はない。誰でも知っているしょう?彼らの目に宿る軽蔑心は、偽造硬貨のように明るく輝く。彼らの見下す態度は、ハチミツをかけた毒のように舌からにじみ出る。我らが背の高い同盟者は、カジートのことをあまりにも低く見ている。誤りを証明する時は今よ。彼らの土俵で出し抜いてやりましょう。

このシリーズの1巻を読んだなら、ハイエルフが自分たちの歴史をいかに重視しているかはもう分かっているはずね。それは分かっている。でもこの誇りさえ、彼らが家の過去に対して抱く虚栄心には及ばない。大半の者は自分の祖先の名前、職業、偉大な点について、何世紀にも遡る知識を持っている。保証するけど、ハイエルフはそういうことを熱心に教えようとしてくるわよ。

ハイエルフにとって家は全て。でもそれを感情的な意味で理解してはいけない。家は彼ら自身を縛る鎖であり、決して変わらない肩書きなの。地位は偉業によってのみ上がる。彼らは日々、自分が栄光に包まれる瞬間を求めてやまない。多くの者はアルケインの技によって自分の価値を証明する道を選ぶ。彼らの特性として、強い魔力を持っていることが多いからよ。芸術に身を投じる者もいる。絵画の傑作を描き、栄光に満ちた音楽を作って自分たちの地位を上げようとする。

そう、ハイエルフは自分の目の前に高い壁を作るの。それを登れというわけよ!でも道のりは多くの場合険しい。ここサマーセットの芸術家たちほど互いに敵意を抱く人々を、私は見たことがない。これまでに出会った盗賊や暗殺者にさえ、敵に対してもっと節度のある者がいたほどよ!魔術師はあらゆる者を見下しているけど、同僚の力をすぐに妬む。同族の間でさえ、ハイエルフは上から見下ろそうとするのよ。

彼らはあなたも、あなたの家も気にしない。彼らにとって、私たちにはたった一つの肩書きしかない。それはカジート。だから私たちは下等で、利用される存在でしかない。それは知っているでしょう。ハイエルフの前で価値を高めてみせるのは簡単じゃないわ。何度も、自分の価値を証明しなければならない。最も勤勉な者にとってさえ疲れる仕事だけど、やるしかないわ。

ハイエルフは技で挑まれるとすぐに受けることをベズミは発見したわ。自分をより優れた存在として示すチャンスをぶら下げてやれば、彼らはいつでも飛びついてくる。でも、狡猾さで得た勝利にもそれなりの名誉があることを私たちは知っている。いつでも自分の有利になるように立ち回りなさい。

ハイエルフに挑戦して勝つのはいつも…いいことばかりじゃないわ。誇りを傷つけられて、再戦を挑んでくる者もいる。強烈な癇癪を起こして、いんちきをしたに決まってると宣言し、さっさと行ってしまう者もいる。でも、頭を下げて敗北を認める、尊敬すべき者たちもいる。そうした者のうちには、敬意の小さな火が灯る。その火を大きくしましょう。

この者の助言とお墨付きがあっても、全てのハイエルフの歓心を買えるわけではない。自分の意見以外には目も耳も貸さない者も多くいる。そういう連中に心を挫かれないようにね。彼らに勝たせてはだめ。毒と無知を吐き出させるようにしなさい。変わるべきなのは私たちだけど、よりよいものに変わらなければ。より偉大なものに。

サマーセットの童謡Nursery Rhymes of Summerset

照覧の大学の詩学教授クイリダンによって収集され、書き写された韻文。

継承者の韻文:
囁き言い合い
王冠のぐらつきを見たまえ
盲目の女王は進む
猫の爪でひっかき合い
勇敢な反逆者を捕らえ
笑って皆を吊るす!

船と骨:
不毛な10と50年、ポケットの中は石ばかり
洞窟、畑も汚染され、残されたのは骨ばかり
船長たちが旗を掲げ、浮かべた船は1000ばかり
ナメクジの民の島沈め、浮かんだスロード刺すばかり!

爪と根の歌:
樹液と鋭い歯を集め
髭、爪、月の花輪も集め
トパルブルートとエルデンルート、ナイフと剣を鞘から抜いて
素早く彼らの綱を切り、泡吹き吠える様を見よ
ドレイクとライオンに食わせてやれ、それが奴らの使い道!

サマーセットの誘いVisit Summerset

アイレン女王はハイエルフ代々の故郷を万人、訪問者や商人、移民に等しく開かれた地にするという、長く続く布告を出した!

黄金のアルトマーは優美と知性で名高い。あなたも彼らの先祖代々の故郷の恩恵に浴することができるようになった。冒険に乗り出そう!名声と栄光を手に入れよう!タムリエルの他のどこにもない、美と魔法の国を探索しよう!新参者は大歓迎される!

かの地への船は主要都市の港から出ている。

サマーセット諸島:訪問者への案内Summerset Isles: A Visitor’s Guide

調査官ルニルスティール 著

ごきげんよう、旅の方々。みなさんは今や、アルトマーの地に足を踏みいれる恵まれた大陸民の一員となった。蒼き分水嶺の心地よい空気と鮮やかな色は、想像したとおりだったろうか?もし諸君が我々の船で渡る贅沢を堪能したのであれば、きっとみなさんの人生で最も円滑な船旅だったろう。しかしそれはみなさんがこの島への訪問で経験するもてなしとくつろぎのうち、最初のものにすぎないと思っていただきたい。岬の冷たい水を後ろに見ながら、我らが太陽のぬくもりと、甘い花の香りの出迎えを受けてほしい。

どうかバルケルガードの活気に怖気づかないでほしい。街の人々は品物を運んでくる大陸民の相手をするのに慣れている。彼らは船乗りの相手をする忍耐心を備えているのだから、みなさんのような礼儀正しい客人に気分を害することなどない。ここの宿の豪勢な部屋を利用し、タムリエルでは見つからない地元の食材を味わってほしい。アルトマーのもてなしは、我々のあらゆる娯楽がそうであるように、一つの芸術であり、数千年にもわたって磨き上げられてきたものなのだ。

あまりに豊かな体験に圧倒されてしまうかもしれないが、安心してほしい。この島は調和の地であり、その自然な平穏に導かれるままにしておけば、自らの均衡を見出すことができるだろう。サピアルチは最も高い木から、最も短いガラスの破片に至るまで、全ての要素が完璧なバランスを保つように気を配っている。

あまり遠くへ行きすぎて日常の静けさを乱さないことが望ましいが、バルケルガードの北へ向かえばサウスビーコン灯台がある。我らが王立海軍を夜間、安全に導いている魅力的な建造物だ。灯台が建っている丘は、聖なる島サマーセットの素敵な眺めを提供してくれる。特に天気のいい日は、シマーリーンの街が忙しく人と物をオーリドンとの間に行きかわせている姿を見られるだろう。灯台に登ってよく見たいと思うかもしれないが、係員の迷惑にはならないようにしてもらいたい。

アルトマー全体を代表して、我々の文化に参加することで新しい発見を得られることを願っている。バルケルガードで過ごす時間が、一生の間残り続ける思い出をもたらしてくれることを願う。滞在が5日を越える場合は、必ず当局の承認を受けなければならないことを忘れないように。でないと、予期せぬ形で訪問を終えることになってしまうかもしれない。

どうぞタムリエルへの帰り道はお気をつけて!

[神聖執行局より承認を受けて配布しています]

シースロードの神話The Myth of the Sea Sloads

海の敵意のサピアルチ、ラーヴァリオン 著

愛すべき我々の島を取り巻く海は食物や資源を供給してくれる上に、迅速な輸送を可能にし、サマーセットとそれ以外の世界の境界にもなっている。だが残念ながら、海から来るものがすべて利益になると考えられているわけではなく、海には島にとって大きな危険を及ぼす脅威も多く存在する。サピアルチ大学に在籍する我々は、危険度が高いと見なしたものに対して、学問領域を越えて研究に取り組み、防衛手段を考案してきた。海の敵意部門の職位に私があるのはそのためだ。

海に由来する脅威は、自然現象から敵の王国に至るまで多岐にわたる。自然は水晶の塔がもたらす魔法の守護をもってしても、破壊的な嵐、砕ける波、洪水がサマーセットに与える被害を常に止められないことを島に知らしめる。敵に関する限り、王立海軍が航路の障害を可能な限り除去し、対立勢力の軍事力を抑止する役割を果たしている。だがこれには例外が残っている。マオマー、すなわちシーエルフは大胆にも定期的に、哨戒をかいくぐって沿岸の集落を襲撃している。

恐らく、最も恐ろしい潜在的脅威はスロードだ。南西のアビシアン海からやって来るこの不快な生物、スラスの珊瑚の王国の住人は、以前よりサマーセットを占領しようという野心が薄れたとはいえ、近年に至るまで我々の所有物の略奪と襲撃を続けている。水陸両生のナメクジのような生物は魔法との親和性を持っているが、有益な魔法よりむしろ闇の魔法に引きつけられているようだ。彼らは死霊術や疫病など、死と破壊の手段を使いこなす。

最近島中で聞かれる噂話によれば、スロードの変異種シースロードが戻って来て、サマーセットを苦しめているそうだ。この数百年間名前も聞かれなかったが、その間シースロードはウルヴォルクスという、真珠海のどこかにある海底王国を支配していた。そのような生物が島に入りこんでいる可能性があるだけで、懸念と最大限の警戒を引き起こしている。この目的のため、私は広大な蔵書庫にある古い学術書や古代の書物を参照し、得られる限りの情報をかき集めた。残念ながら、あまり多くないと言わざるを得ない。シースロードは数多くの近縁種よりも閉鎖的で、謎が多い。

明らかにできたことは、我々はシースロードの脅威を過小評価してはならないということだ。スラスのスロードが常としていたように小さな王国を打ち立てるのではなく、シースロードは特定の目的の元に協調する小集団を形成する。その後は関心や必要性に応じて、分裂、変容、再構築される。シースロードは他のスロードと同様、死霊術に大きな関心を抱いている一方で、錬金術、影魔法、精神魔法など、他の領域の技も披露している。だが彼らの野心と力にもかかわらず、記録上シースロードは今にも絶滅しようとしているとある。前任者のウィナウェンは、有望な著作「ウルヴォルクスの悪党」の中で、多くのことを書いていた。シースロードは数百年すれば自然と姿を消すだろうというのが、彼女の知識に基づいた意見だった。そのような出来事は、今すぐ起こりそうにない。

サマーセットにおけるシースロードの活動が確認されるまで、注意して海を監視し続けた方がよいと思われる。シースロード自体に加え、この不快で敵対的な生物は、すべての種類の海の怪物を利用することで知られている。この不穏な時代に、海からの獣による攻撃は、島に最も起きてほしくない事態だ。

シラベインの物語The Tale of Syrabane

(楽曲:壮大にして危険なるもの)

寄り集まりて聞け
大魔術師シラベインの物語を
その慈悲と力によって
彼はスラシアの疫病を止めた

目前の疫病を止めるための
唯一の手段、それは戦
シラベインは助けを求め呼んだ
あまねく地に向かって

合唱
おおシラベイン、おおシラベイン
神なる運命のエルフよ
おおシラベイン、おおシラベイン
最も新しき八大神

人間もエルフも呼びかけに応えた
負けるはずはないとわかっていた
皆が集い、力を合わせた
全旗海軍は出航した

ベンドゥ・オロを味方につけ
剣と呪文を投げつけて
シラベインは波を押し返し
珊瑚の王国は潰えた

合唱

善きエルフよ、忘れてはならぬ
大魔術師シラベインを
闇の時代がやってきた時
彼が助けを呼びかけたことを

合唱

スロードに関するさらなるメモFurther Notes on the Sload

発明家テレンジャー 著

スロードとマオマー:スロードは他の定命の種を敵と認識しているが、スロードとマオマーの間に外交的な繋がりがあることが確認されている。ナメクジとシーエルフが衝突を起こすのは日常茶飯事である。驚きはない。そもそもシーエルフとスロードは現在、他の種族全てと戦争状態にあるのだ。マオマーの不満の原因は、沼地に覆われた薄暗い群島ピャンドニアだと思われる。酷い悪臭がするあの島で、彼らは身動きが取れなくなっている。スロードが他の種族を敵視している理由については、明らかになっていない。

珊瑚の塔:珊瑚の塔は全旗海軍のスラス侵攻により崩落してしまったため、この塔については今ある知識に基づいて推測するしかない。我々にしてみれば正道とは言いがたいがが、スロードは非常に有能な魔術師の集団であり、珊瑚の塔には神秘の力を集めて投射する力があったとされている。私は塔の伝説の専門家ではない。興味があるのはもっと現実的なものだが、神話歴史学者たちによるこの主張は、いわゆるニルンの塔の目的と実践に(ほとんど)一致するものである。珊瑚の塔はサマーセットにある法の水晶のような「本物」の塔だったのだろうか?それともドゥームスパーアーのような、不完全な模造品だったのだろうか?我々の知識で、その答えは見つけられないだろう。

スロード石鹸:とにかく推測はもうたくさんだ。たまには、自信を持って説明できるものも取り上げてみよう。今回はスロード石鹸だ!スロード石鹸の起源についは多くの誤解があり、それを洗い流す機会を与えてくれたことを嬉しく思う。まず、スロードの生物学的変質について考えてみよう。彼らはスラシアの珊瑚島で生まれる。ベンドゥ・オロ提督は彼らについて「不快で形を持たない小さな幼虫」と説明している。優柔不断な親に見捨てられた幼虫は海までなんとかして這っていき、「ポリウィグル」と呼ばれる水生の疑似頭足類に変態する。成体のスロードは肥満体であるため、珊瑚島の浅瀬から動くことはほとんどなく、そこでポリウィグルと一緒にゴロゴロしている。鈍すぎて親たちの偽足を避けられなかったポリウィグルは、そこで捕らえられて収穫される。これにより弱者は排除され、スロード石鹸の原料となる。

捕まったポリウィグルは常時沸騰している大釜に入れられ、徐々に溶解していき粘液性のスープとなる。このスープにスロード秘伝の物質を加えて錬金的な混合物を精製したら、金型に流し込んで冷えるまで待つ。固まったらこの塊を取り出して、ハグフィッシュの内臓で包み込んで保管する。

この石鹸はスロードの黒魔術的儀式になくてはならないものだと考えられている。黒魔術に詳しいわけではないが、自らの子孫を原料とする乳化試薬に不死者の魔力を増強する力があってもおかしくはない。スロード石鹸はスラス以外で滅多にお目にかかれないが、あったとしても法外な価格で売られている。錬金術師たちはそれが持つ特殊な能力を活用して、敏捷の薬や最も貴重な人格変異の薬を作り出す。錬金術サピアルチの赤きアリアノラによれば、スロード石鹸はスラス以外の土地でまだしっかりと分析されたことがないらしい、つまり未知の錬金術的性質がまだたくさん含まれている可能性もあるということだ。また、この石鹸は非常に優秀な洗浄能力を持っており、奥深くまで優しく浄化してくれるため、これを使うと肌が若返って生まれ変わったような気分になれる。

セランの日記Celan’s Journal

こんな場所なんか消えてしまえ!父さんはグラーウッドを出発した時、ここサマーセットで富と祝福が見つかると言った。ハッ!横柄な足長どもから、犬扱いされるようになっただけだ。

ブドウ園の労働は意味がない。貰える金はごくわずかだ。これでは生活できない。昔のように狩りをしても、鹿は怖がりだし痩せている。ここの獣は呪われているんだ。収穫は1口分の肉と、もろすぎて道具にならない骨だ。

ファリルがいなかったら、ここには耐えられないだろう。イフレに誓って、あれほどの美人は見たことがない。バターチェストナッツのような丸い目、白鳥の首、狼の歯のように鋭い耳。ここに記しておこう。僕はあの少女と結婚する。彼女の気が引けるなら、ここにも価値はある。

* * *

ハリモリオンの獣め!昨夜ファリルが泣いてやってきた。あの好色な男に尻をつかまれ、二又の舌を口に入れられるところだったって!僕は宣言する。あの雑種の頭は、年の瀬までにシチューの具にしてやる。

* * *

信じられない。ズェンに祈りが届いたんだ。狩りに出ると、緑の亡霊に出くわした!本物の緑の亡霊だ。昔ハイエルフが逮捕した偽者じゃない。革、弓、矢筒の一式を渡されて、同じやり方で殺せと言われた。嘘みたいだが本当のことだ。僕は緑の亡霊!復讐を果たす!

* * *

ハリモリオンを殺せば心が晴れると思ってた。ファリルの傷を癒し、正義をもたらすと思った。でも今は…本当に悩んでいる。泥の中で苦しむ奴を見下ろすと、胸がズシリと重くなった。息もまともに吸えなかった。やめとけばよかった。母さんが知ったらどう思うだろう?許しを乞うために頭を使おう。赤の聖堂で許しを乞えるかもしれない。今から向かおう。

セレンウェの日記Selenwe’s Journal

シラベインの指輪にかけて、私は一体何をしてしまったの?

私の最愛の妹。日曜の午後、お花畑で私を追いかけていたおさげ髪の小さな妖精。マキバドリの歌声を持った心優しい少女が、死霊術師に魅了されるなんて。とても信じられない。私たちが何をしたというの?何かの霊魂を冒涜でもしたの?あの時私がいたら。留まっていれば。全部私のせいだわ。

何もしないわけにはいかなかった。死霊術の実践は許されざる罪。私はあの子に悔い改め、ディレニ一族の慈悲を乞うようにと懇願した。でもあの子は心を変えなかった。あの子は物憂げな生気を欠いた目で、私を見つめて言った。「彼らに私は殺せない。私は復活する、何度でも、永遠に」。あの優しさと穏やかな純粋さは消えてしまった。あの瞬間、私にはもうほとんどあの子と分からなかった。

だから私は儀式を行った。あの子を石棺に閉じ込め、緊縛の言葉を叫び、聖なる炎を燃やした。それから私は墓のそばで泣きながら、あの子の怒りと嘆きの声を聞き、最後にあの子は静かになった。

ただラウリエルの霊魂がここアクロポリスで安らかに眠れることを願う。あの子はここを去れない。決して去れない。アーリエルよ、私をお許しください。私自身は決して許すことができないでしょう。決して。

セレンウェへの手紙Letter to Selenwe

セレンウェへ

元気かしら。あなたの疑問に答えると、残念だけどラウリエルは良くなっていない。あの子はあなたをひどく恋しがっているけど、そのことはほとんど話さない。美しい声を聞きたくてたまらない!あの子が毎朝歌っていた、秋の頌歌を覚えている?今でも時々口ずさむのが聞こえるけど、陰気な調子の歌になっている。

あの子には新しい友達ができたの。サンホールドから来た発明家よ。実を言うと、あの男を見ていると不安になる。滅多に口をきかないし、すごく変な服を着ている。それに臭いがあるのよ。彼の行くところはどこでも、鼻を突くようなカビ臭さがするの。二人は何時間も地下墓地で過ごし、呪文を鍛えている。どうしてそんな陰気な場所で訓練するのかあの子に聞いたけど、答えようとしないの。

何日か前、意を決してラウリエルにあの浮浪者と会うのを禁止しようとしたけど、やっぱりやめたの。毎日あの子は私から離れていくような気がする。あの新しい友達を奪ったら、完全に背を向けてしまうかもしれない。

あなたはあの子を誰よりもよく知っている。どうすればいいの?不安でいっぱいよ。返事を待っています。

あなたの母
オハディル

ソーン・ブラックスタッフに関してRegarding Thorn Blackstaff

ライトマスター・イアケシス

また1人、注目に値する候補者がいます。ジョサジェーから聞いたところによると、一風変わった人物だそうですが、我々にとって大きな価値があるかもしれません。

その候補者とはソーン・ブラックスタッフ。アルトマーであり、オータメルドと思われます。名前はおそらくサマーセットから追放された後に自分で選んだものでしょうが、これはあくまで推測です。ドミニオンとの間にどういう事情があるのかはまだ明らかにできていませんが、元の親類との間にはほとんど愛情もないはずです。彼はダガーフォール・カバナントの旗の下で、無慈悲な戦いをしました。

通常なら、このような根深い敵意を持つ者は考慮の対象外とすべきでしょうが、ジョサジェーが占って私に伝えたところによれば、この男は高貴で寛大です。しばしば導きを必要とする者たちの師として、また守護者として活動しています。気性に合っているから、という以外の理由もないようです。しかし、その助言は経験の浅い者にのみ重宝されているわけではありません。魔術師ギルドのアークメイジとテルヴァンニ家の魔術師王の両人から、非常に重大な事柄について何度も相談を受けているようです。

ブラックスタッフはサイジックになる大きな可能性を秘めていると思います。あのエルフの徳は欠点を上回るのではないでしょうか。承認いただければ、監視を続けるよう勧めます。

ロアマスター・セララス

ターナミルへの手紙Letter to Tarnamir

セルヴァル・ターナミルへ

ウッドエルフの美しい召使ファリルと私との関係について、ウッドエルフのコミュニティから正式な抗議を受け取ったと聞いています。信じてください。この一件は不幸な誤解であり、教育の欠如と生来の粗野な偏見のため、大げさになったのです。私はあのウッドエルフに相応しい敬意を持って接していると、断言します。
ファリルに手を出したことはありません。

ただ、私には客人を心より温かく迎える義務があります。そこで消えぬ疑念に対処するため、ファリルとの契約を解除しました。好意的な推薦状を持たせ、地元の競合相手(彼らもあなたの借家人でしょう)へ送りました。労働環境は良好であり、この結果にとても満足しているようです。

さらなる好意の印として、新しいウッドエルフの隣人に贈り物をするつもりです。

ご存知のとおり、私たちの仕事は、地域の同業者の固い結束と愛が欠かせません。この対応に不手際がないことを祈ります。

調和を求めて

ハリモリオン

ツォクソルザの手紙Tsoxolza’s Letter

ジーマト

サマーセットは使者が言っているような素晴らしい楽園ではない。女王の布告は非常に魅力的だが、ハイエルフはよそ者たちに何も望んでいない。彼らにとって新参者はグアルのノミ以下の存在なのだ。船から下りるとすぐに、私の「社会規則に対する理解力」を確かめるため、修道院の司祭たちに「文化的評価」をされることになった。しかし、結局一度も質問されることはなかった。

彼らは修道院の奥にある独房に私を閉じ込めた。この島に来た他の新参者たちもそこにいた。私は全てのことに納得できなかった、まるで間違って冷たい流れに入り込んでしまったお湯のような気分だ。デイドラの祈りと共に感謝を捧げる、モンクの声が聞こえてきた、もはや脱出する以外に方法はない。彼らが盗賊ギルドに所属していたかどうかは定かではないが、私はお前に認められないだろう友人たちから学んだ技術を活用して、修道院から脱出した。

朝になったらアリノールに向かう。できるならマークマイアまで無事に辿り着きたい。だがとにかく、今はここ以外ならどこでもいい。

ツォクソルザ

ティンドリアの必要画材リストTindoria’s List of Needed Supplies

希少な染料:サマーセットで最も豪華な緑藍の色は、ハエナミルの貴重な染料が唯一の原料だけど、簡単には手放してくれない。この辛辣な世捨て人は、印をつけた場所の小屋で見つかる。染料は、ヨクダのブルーティーと交換すればいい。

ローチの死骸:ブロドランのローチの死骸を粉状にすると、銀がかった灰色になる。この色ほど、岩肌の景色に適したものはない。ブロドランは、印をつけた場所の農園で探すといい。支払いは済んでいるから、私の名を告げれば材料を渡してくれるはず。

オーリアリス:この花は、古風で趣のある海辺の庭園に咲いている。その場所に印をつけた。この花を使うと、最も鮮やかなオレンジの色が出る。明るい太陽には最適よ!花を摘むだけだから、他よりも簡単に入手できるはずよ。

テロムレ隊長へFor Captain Telomure

テロムレ隊長

もしあなたがこれを読んでいるなら、愚かにも追ってきたのでしょう。

やめてください。

司法高官アヴァナイレは単独じゃありません。魔術師が彼女を待っていました。部隊全員で協力しても、生き延びられないかもしれません。ですが女王と国のため、やってみます。

あなたには生き残って報告する義務があります。彼女を逃がしちゃいけません。目的を果たさせてはダメなんです。裏切り者の汚名を広めてください。当然の報いです。

リーウェル

ナイトランナー船長の日記Night Runner Captain’s Journal

ヌガルザと名乗るシースロードは、吐き気のする怪物だ!我々の洞窟に奴が初めて出現した時、私はナイトランナーで最高の襲撃者を派遣して追い払おうとした。だが考えられないことが起こった。あのでかいナメクジに虐殺されたのだ!しかもあの怪物はそれだけで満足しなかった。奴は死霊術師の一種だ!襲撃者たちを蘇らせ、私に敵対させたのだ!

* * *
さらに2つの襲撃団がシースロードと不死の群れにやられた。なお悪いことに、今や彼らも不死の群れの一部になっている!この状況を考え直さなければ。

* * *
私はシースロードに取引を持ち掛け、驚いたことに怪物はそれを受け入れた。我々は密輸のためにこれからも入江を使える。その代わり、私は死霊術の実験のために捕虜をヌガルザに提供すればいい。気味が悪いが、こんな取引でももう一つの道よりはマシだ。

* * *
洞窟をうろつきまわっていたオークを捕らえた。ヌガルザの準備ができるまでの間、襲撃者の1人に彼を縛りあげさせた。幸運なことに、この哀れな奴は完全に酔いつぶれていた。おそらく自分がどんな目にあうのか、何も分かるまい。

* * *
あるハイエルフが交渉を求めてきた。彼女はヌガルザの代理だと主張したが、ヌガルザはアビサルの徒党というものに加わっているらしい。シースロードの集団が邪悪な目的のために協力しているというのは、胸が悪くなる。彼女はヌガルザの意志に従い、徒党のために働くという提案を私にしてきた。彼女が言うには、ヌガルザの仲間の1人が現在南で活動しており、サマーセットを沈没させ、あの地を再びスロードの支配下に置く計画を練っているらしい。

白状するが、最初にこの言葉を聞いた時、最初の反応はこのハイエルフのはらわたを引き抜いて、神聖執行局に警告を伝えることだった。結局、我々の事業はサマーセットが稼働していなければ成り立たないのだ。しかし私は何とか怒りと吐き気を抑え、提案については考慮すると約束した。徒党の契約を受け入れるまで、あまり長く考えないように彼女は警告した。

ブラック・マーシュか、どこか遠い場所に向けて出航するには手遅れだろうか。

ナリアラのメモ、2日目Naliara’s Notes, Day 2

始めたばかりだけど、もう大きな手掛かりが見つかった。メッツェの知り合いの大学の後援者のコテージに立ち寄り、メッツェが公演の話をすると、後援者がコレクションの1つである奇妙なモニュメントを見せてくれた。

それはキングズヘヴン・パスにあった、風化したサンゴのモノリスだった、腰程の高さがあり、エルフ文字が刻まれていた。彼は遠い昔のエルフたちが使っていた道標だと言った。

それを見たメッツェは口から泡を噴きそうになっていた。エルフの文字で「ゴブリン」と書かれていたのがはっきりと見えたのだ。私も同じぐらい興奮した。良い前兆に思える。

メッツェは後援者が提供してくれたベッドの、上等でダウンが入っているマットが固すぎるからもう辞めたいと不満を漏らしていた。岩山でどうするつもりなんだろう?

ナリアラのメモ、8日目Naliara’s Notes, Day 8

キングズヘヴン・パスの丘を越えている間、私たちは隠者から調査に向いていそうな場所を教えてもらった。残念ながら、どれも互いに大きく離れた場所にある。

メッツェは相変わらずゴブリンの縄張りに接近を試みている。彼はそこに行けば未知の発見があると確信しているようだ。それよりも胸を槍で突き刺される可能性のほうが高そうだけど、彼はいまだに楽観視している。

この任務に志願したのが、私だけだった理由が徐々にわかってきた。

ナリアラのメモ、13日目Naliara’s Notes, Day 13

私たちが訪れた場所はどこも、キングズヘヴン・パスの地下に巨大な建造物があることを示唆していた。山の岩もその根拠になった。私たちは今、そこを目指している。

この考察が正しければ、考古学的に非常に重要な意味を持つ可能性がある。この仕事に就いたのはやはり正解だった!

またメッツェがケイルンベリーを食べていた。彼はアレルギーではないと言っているが、発疹はまだ消えず、体臭もどんどん酷くなっている。とにかく目的に集中しよう…

ナリアラのメモ、18日目Naliara’s Notes, Day 18

クソ。ゴブリンの領土の奥深くまで入り込んだが、遺跡が隠されていると思われる場所までまだ大変な距離がある。
メッツェは前進すべきだと言っている、だが危険すぎる。

見られているような気がする。ゴブリンの斥候が潜んでいるようなことはないと思うが、メッツェは考えてもいないようだ。とにかく、私に何かあったら彼の責任だ。少なくとも彼のあの大きな声なら、ゲートに向かうまでいい囮になってくれるはずだ。

ノラシーへの手紙Letter to Norasea

ノラシーへ

辛い知らせを聞いて胸がはりさけそうだ。すぐにリランドリルへ来てくれ!サピアルチは十分な資源を持っている。約束する、この病気は必ず治療する。何を犠牲にしても。

ある人と知り合っている。名をエミールといって、治癒や回復のことに関して類稀なる才能を持っている人だ。3人で君の健康を取り戻す方法を見つけよう。絶対にだ。

頼む、急いでくれ!それから、同じ病気に悩まされている人がいたら一緒に連れてきてくれ。

君の友
ハラダン

ハラダンの研究日誌Haladan’s Research Journal

記録1

ようやく親しい友人のノラシーがリランドリルに到着した。エミールと私はすぐさま彼女を連れ去った。急いでソルトブリーズ洞窟の奥深くに研究室を作った。好奇の目から逃れるために。私はサピアルチの仲間が彼女の状況に気づくことを恐れた。彼らは手遅れになるまで、彼女をただ隔離するだけだろう。

彼女は友人を伴っていた。ゲーウェーデルという痩せたエルフだ。私にはこの女性がもう手遅れに見えた。彼女は常にうろうろしていた。頻繁につぶやきながら。既に、色濃く固い染みが彼女の胸と腕に現れていた。病気の進行を遅らせるように努力しよう。だが、最優先はノラシーのままだ。彼女は、私に友人がいなかったとき、唯一の友でいてくれた人だ。そして今、ようやく恩返しする機会が訪れた。手遅れでなければいいが。

記録2

エミールと私はゲーウェーデルの石化が進まないように、強力な消毒薬を作り出した。だが、これはせいぜい進行を抑えるだけだ。日を追うごとに彼女の振る舞いが常軌を逸している。ノラシーには抗議されたが、彼女を拘束用の部屋に隔離しなければならなかった。

我々の治療薬がノラシーに効果をもたらすことはなかったようだ。エミールと私は協力して昼夜作業をした。正直に言って、エミールがいなかったら私に何ができただろう?長い夜と続く失敗を耐えられたのは、彼の愛と配慮があったからだ。

記録3

出来たと思う。エミールと私はニルンルートの凝縮物に数々の少量の試薬を組み合わせ、高度に集束した石型の霊薬を作り出した。皮膚の下に蓄積している角化の塊を粉砕すれば、病気の進行を止められるかもしれないと私たちは考えた。だが逆に、どうやら私たちは塊を小さな欠片に砕いて、拡散を早めてしまっただけのようだった。もはや万策尽きてしまった。手遅れなのかもしれない。

記録4

エミールがあることを考えた。これを書き記すことはためらわれる。角化の成長に対する試験の結果は、塊が血管の伝送によって拡散することを示していた。病気は血液の成分を皮膚のすぐ下の血管内に蓄積する固い粒に変質させ、その後石灰化し、どんどん成長する。血だ。病気は血の中にある。

決定的な知見に到達すると、エミールは解決策が存在する可能性を示唆した。ポルフィリン・ヘモフィリア。吸血症と言う名が有名だろう。私はその考えに愕然とした。だが彼の理論を信用する。私たちの理解では、吸血症は血液の成分を大幅に変化させる。理論上、この再構成は角化の成長を不可能にするはずだ。ノラシーの視力を回復させることはできないだろうが、病気の進行は十分に止められる。考えなければ。

記録5

長期間検討した後、エミールの計画を進めることを決断した。ノラシーに見通しについて詳しく話すと、彼女はそれに同意した。そう、これは単に吸血病の感染を錬金術的に再現するだけのことだ。サピアルチは決してこのようなやり方を認めないだろう。だが私たちは治療するとノラシーに約束した。時に伝統は、恐るべき革新に道を譲らなければならない。

記録6

無事に工程を終えた。ノラシーは吸血症の取り込みに対して予想通りの反応をした。私たちに分かる範囲では、治療は成功だった。角化の成長の拡大は認められなかった。そして、彼女の精神は完全に回復したようだ。エミールに、ゲーウェーデルに対しても同じ治療を施さなければならないと告げた。それに対して、彼は大きな懸念を抱いているようだ。だが、吸血鬼が危険だからと言ってこのような治療を否定はできない。今晩彼女に注射をするつもりだ。マグナスよ、どうか力を。

ハラダンへの手紙Letter to Haladan

ハラダンへ

またあなたに手紙を書けてすごく嬉しい。長い間連絡が取れなくてごめんなさい。アイレン女王が布告を発表した時、貿易省が厳しい日程を設定したおかげで、個人的な用事に使える時間がまるでなかった。先月はほとんど海で過ごしたわ。

で、そのことなんだけど。いくつか嫌なことをお知らせしないといけない。先日、遠くの島で数日間足止めを食っていたの。航海士の重大な過失のおかげでね。その呪われた島に足を踏み入れた者は皆(私も含めて)恐ろしい病気にかかった。肌が石になって、錯乱をもたらす致命的な病気にね。

今も関節が固くなっているし、頭はいつもぼんやりしてる。この病気に体と心がやられる前に、最後にもう一度あなたに会いたい。会ってくれる?月末までにリランドリルに到着できるわ。

早めにお返事をください。

心を込めて
ノラシー

フォルテ団長の研究Grand Maestro Forte’s Research

エボン・スタドモントの中で発見された巨大な石は、不明な言語で覆い尽くされている。その古代の言語を翻訳する方法はある程度考案できたが、石に刻まれた文を保存する以外の仕事はほとんど進まない。

* * *

この言語は間違いなく、これまでタムリエルで、それどころかニルン全体で研究してきたものより古い。デイドラと何らかの関係があるような気がする。あり得ないような話だが、これはオブリビオンの言語よりも古いかもしれない。

* * *

石にある一部の節を翻訳できたが、何を意味しているのかはまったく分からない。

「カラスが導いてくれる
道に迷った時、
そびえ立つ木が道をふさぐ時に」

* * *

引き続き努力の成果が出ている。この節は特に不可解だ。

「探求を始める時は2羽のカラス、
止まり木には1羽のカラス、
しかし道を開くのは1羽や2羽でなく、
カラスたちの声を聞け」

* * *

この謎めいた言語を研究するにつれ、不安と心配が募ってきている。その意味を解明しようとしているだけで、自分には理解もできないような力の注意を集めているような気がする時がある。しばらくこの研究のことは忘れて、他のプロジェクトに力を入れようと思う。

絹の手袋をなくした3人のカジートに関する、あの喜劇を書き上げようか。

プラキスの代価The Price of Praxis

セルヴァル・ロルマリル

私は自分がカリアンを受け取った日を完璧に覚えている。皆このことによく驚く。とりわけ人間はそうだ。彼らはうろ覚えの夢を漂うのに対し、我々アルトマーは全てを覚えている。あらゆる抱擁、あらゆる侮辱、あらゆる栄光と敗北が我々の視界の端に潜み、時の中に凍りついている。不快なほどの正確さで、思い出されることを待っているのだ。だから私が完璧に覚えていると言う時、それは文字どおりの意味だ。

私は屈強な18歳だった。教会ではお香と桜の匂いがしており、私のクランの母と父、大予言者、その他の者たちが一堂に会して椅子に座り、緊張と誇りに満ちていた。高き者たちの司祭がゆっくり近づいてきた。白鳥の羽根と竜の舌の法衣が彼女の肩を覆っており、額には流木と種々の宝石で彩られたウェルキンの花輪があった。彼女は私からほんの指の長さほどの距離で立ち止まり、私に跪くよう命じた。私がそうすると、彼女は私のカリアンを空中に掲げた。それが星空の光で輝くのを見て、突然自分が泣いていることに気づいた。当時、その球体は素朴なもので、乳白色のエセリアル水晶と陽光で加工したガラスで飾られていた。「すぐに壊れてしまいそうだ」と思ったことを覚えている。当時でさえ、私はその大きな価値を知っていた。アセル・ヴィアレンを暗唱した後、彼女は球体を私の手に置いて微笑んだ。私はそれを、卵から孵ったばかりの小鳥のように包んだ。その瞬間、私はカリアンを守ることを誓ったのである。だが18歳の者に誓いの何を理解できるというのか?若者は神聖なる事柄を大げさに扱うことが多いものだ。あまりにも多い。

私は怒りやすいエルフの若者に成長した。仲間の怠惰な自尊心と、長老たちの軽蔑的な無関心に幻滅したのだ。52歳で、私は私掠船の乗組員となった。13年間、レッドガードの密売人たちを撃退し続けた。時が経つにつれ、我々の金庫は外国の財宝で溢れかえった。別れた時、各乗組員は測り知れないほどの富を手にした。

海上生活の間ずっと、私は一度もカリアンをなくさなかった。自分の寝台の下に置き、ヤナギの木の箱の中に安全にしまった。ハンマーフェルの財宝全てを集めても、この輝きには及ばない。我が高貴なる種族の誇りの全てが、この乳白色の光に込められていた。

身を落ち着ける決心をして、私はアリノールの東に一片の土地を探した。まあまあ評判のあるブドウ園だった。私は年老いたワイン商に大金をゴールドで支払うと申し出たが、彼は売ろうとしなかった。一日ごとに、私の提示額は(私のいら立ちと共に)大きくなった。こんな老いぼれエルフに、私の幸福を邪魔されるとは!こいつに私の望みを奪う権利があるとでもいうのか?私は時間をかけて、この歯のないエルフを説得しようと決意した。私は豪雨の夜に彼の住居へと出かけていった。手には剣を持ち、息からはワインが匂っていた。私は彼を眠りから起こし、小屋に押し入った。汚い言葉を投げかけ、売却証書を彼の顔に突き付けた。彼は立ち去れと私に向かって叫び、私の腹にその貧弱な肩を押しつけ、私を扉から押し出そうと虚しく試みた。私は酔った勢いで激昂し、何も考えずに彼の胸に剣を深々と突き刺した。一瞬後に私は自分の愚かな過ちに気づいた。私は壁に背中をもたれかけ、死に瀕した彼の弱々しい断末魔を恐怖して見つめた。深く恥じ入る気持ちから、私はもう少しで即座に命を絶ってしまうところだった。だが結局は高き者たちの元に出頭すると決めた。裁きを受けるために。

若い頃私にカリアンを渡したのと同じ司祭が、裁判の席に座っていた。私が事件を陳述している間、彼女は冷たい視線を私に注いでいた。私が話を終えると、彼女は同行の修道士に囁いてから、立ち上がって私に会いに来た。修道士は装飾を施された私のヤナギの木の箱を取り出し、開いて私のカリアンを見せた。私の偉大で完璧な宝を。宝石職人のようながっしりした手で、彼は球体をその置き場所から抜き取り、司祭に渡した。彼女は悲しみと怒りが入り混じった目で私を見つめた。一言も発することなく、彼女はカリアンを空中に掲げた。私は肩をこわばらせ、爪が掌に食い込むほど両手を握りしめた。ついに彼女は「アプラックス」と審判の言葉を囁き、球体を指の間から滑らせて落とした。私は貴重な宝が空間と時間を転がり落ち、そして冷たい大理石の床に当たって砕けるのを恐怖と共に眺めた。司祭と同行の修道士は背を向け、下級修道士が私と砕けたカリアンの破片を、闇夜の中に追い出した。

こうしてアプラックスとしての生が始まった。罪の大きさを沈黙のうちに反省するよう任された、恥ずべき追放者である。

30年の間、私は自分の祝福されたカリアンの残骸を直そうと骨を折った。石を切るための道具や、真珠粉の固定剤、聖油などのために、全財産を使い果たした。ほとんど食事をとらず、睡眠は全くとらなかった。私のひげは長く伸び、筋肉は衰えた。1つ成功するごとに、3つの新しい失敗が起きた。その間、他のアルトマーは私をはねつけ、呪った。

ついに栽培の月のある明るい朝、私は最後の繊細なガラス片をはめ込み、カリアンを元々の無垢な状態に戻した。その瞬間、私は安心の気持ちから赤ん坊のように泣き出した。長い時間をかけ、私はバラ水で体を洗い、もじゃもじゃのひげを刈り取って、高位会館へと出発した。

足を震わせながら、私は司祭に近づいた。配慮の気持ちから、両目は床に向けていた。私はヤナギの木の箱を開け、調べてもらうためにカリアンを高く掲げた。司祭と同行の修道士が球体を調べている間の不気味な沈黙は、永遠に続くかと思われた。そして、私は彼女の手が私の肩に置かれるのを感じ、「立ちなさい」との優しい囁きを聞いた。

私はためらいながら立ち上がり、目をあげて彼女と視線を合わせた。

彼女がずっと求めていたあの言葉を言った時、私はほとんど息をすることができなかった。「迷えるアルドマーの子よ、お帰りなさい」。

マオマーの報復主義の偽りThe False Revanchism of the Maormer

スカイウォッチのハデンドリル 著

アルトマーとマオマーの古い対立はあまりに長いため、複雑な対立であるという印象を受けやすい。不当な行為と報復が重なり、数百年も対立が構築されてきた。これは最も有害な集団的誤謬である。何の価値もない略奪に正統性の片鱗を与えているのだ。マオマーはサマーセット諸島の領有権を主張したことはなく、神々の意志によってそれが実現することもない。

我々がアルドマーの恩寵を失うことになった事態への誤った説が、ピャンドニアに住む人々と我々が親密な同胞だという誤解を招いたのではなかろうか。だが真実を言えば、我々は祖先が同じだけの遠く離れた親類でしかない。この歓迎すべき真実の暴露は、水晶の塔にあってこれまで翻訳されていなかったアルドマーのタペストリーによってもたらされた。痛みを伴う研究の後でやっと白日の下にさらけ出された純然たる真実が物語るのは、望まざる移民と悲劇的な民族の離散の苦しみではなく、謀反と追放の物語だった。

マオマーが流す血は常に、強欲と強い野心の名の元にあった。堕落した「王」オルグヌムは、アルドマー代々の故郷を正当な支配者から奪い取ろうと考えていた。サマーセットを我々から盗もうとしたのだ。マオマーに対して長く罪の意識を抱いている者もいたが、彼らはそれに値しない、見下げ果てた者達である。この件についての議論は終わり、マオマーの擁護者たちは黙らされた。そしてピャンドニア人に対する戦争は、後悔の念もなく実行されるはずである。

ミノタウロスの真実The Truth of Minotaurs

帝国の遺物研究者、ティロニウス・リオレ 著

自らを貶めた賢者、ノヌス・カプレニウスの馬鹿げた戯言は既に読まれたに違いない。その名を非難することは少しも楽しいものではない。カプレニウスはかつて野獣学に精通し、学者の中でも傑出した存在だった。悲しいかな、彼の牛男とその怪しげな起源に対する執着があまりにも強く、仲間にとって耐え難いものとなってしまった。この件を明らかにし、今回限りで片を付けさせてほしい。

カプレニウスは明らかに一種の躁病の最中で、ミノタウロスはアレッシアと伝説的な配偶者である牛男、モリハウスの子孫だと主張した。異端である以上に、この主張には歴史的事実の裏付けがない。アレッシアの息子の牛人間、ベルハルザの運命は良く知られている。当時の無数の学者が(遠回しに)記録したのだ。彼はエルフの槍先にかかってその生涯を終えた。確かなのはその程度だ。身体的特徴に共通点があるからといって、奴隷の女王と牛頭の野蛮人の粗野な血を結びつけるのは、人とグアルを二足歩行だからといって繋げるくらいに意味をなさない。

事実を言えば、ミノタウロスは呪文か錬金術のプロセスが失敗した苦い結果だ。そこには大いなる陰謀も、ひたむきに守られた秘密もなく、ただ不幸で恐ろしい事故があるばかりだ。実際、牛属の獣を見て、アカトシュの誇り高き遺産がその獣の血に流れているとわかる者がいるだろうか?これは神経症を患った心の妄言で、そのように取り扱うべきだ。

私の助言を聞き、ミノタウロスに会ってもその高貴な血について尋ねることのないように。遭遇して生き残りたければ、殺すか逃げるかだ。

ミルロンの報告Mirulon’s Report

伯爵の皆様へのご報告:

シマーリーンに対する我々の計画は速やかに進行しています。ある程度の修正は必要でしたが、大枠はそのままです。前回の報告で言及した若者は、予想通りではありましたが与えた任務を放棄しました。私はサピアルチが彼の手によって死なねばならないと明確に説明し、彼は拒否しました。反抗的な態度を取られたため、私は精神操作の使用を決定しました。奴が奴隷になるまで、長くはかからないはずです。

彼を奪回するため、市街で小さい爆発を起こさなければならなかったのは残念です。あれは間違いなく、神聖執行局の注意を引いたでしょう。ですがご安心ください。彼らに妨害する機会はありません。もうすぐサピアルチは抹殺され、この街は大混乱に陥ります。任務が完了したら、またご連絡します。

オブリビオンの名において、
ミルロン

ラウリエルへの手紙Letter to Lauriel

ラウリエルへ

私の手紙に返事をくれるとよかったのに。ここですごくたくさん学んだけれど、妹に会えなくて寂しいわ。夜中に話し合って、変なゲームで遊んだことが懐かしい。お願い、あなたの様子だけでも教えて。ほんの数行でもいい。あなたが元気でいることを知らせてほしいの。

あなたは何日も自分の部屋にこもっていて、歌も滅多に聞こえてこないってお母さんは言っている。自分がそんなひどい状態に追い込んだのかと思うと、心が痛むわ。あと数年で私の勉強は終わるはず。家に戻ったら、もうどこへも行かないと約束するわ。

お願いだから返事をください。

あなたの愛する姉、
セレンウェ

ラウリエルへの別れのメモFarewell Note to Lauriel

ラウリエルへ

出発する前に会いたかったけど、地下に行ってしまったのね。あの古いワイン貯蔵庫に隠れてるんでしょう。どの場所かも正確に分かる。南東の角にある、アリノールの古い樽の後ろでしょう?あなたはいつも隠れるのが下手だった!見つけてあげたいけど、私の船は満潮に出てしまうの。

一人になるのが怖いのも、私が行くことに怒っているのも知っているわ。でも、バルフィエラの長老たちと研究する機会を逃すことはできない。偉大なるディレニの塔を見る機会!いつか、あなたも理解してくれるといいのだけど。

あなたは自分が思っているより強い。もう私が守る必要はないわ。とにかく本を読んで、あの美しい歌を書き続けてね。すぐに帰ってくるわ。

あなたの愛する姉、
セレンウェ

リナイデの日記Rinyde’s Journal

暁星の月9日

ラリデルは最近一層よそよそしくなった。生まれた時からずっとそばにいたのに、今ではほとんど赤の他人。授業への興味は薄まり、一人で何時間も出掛ける。ただ気分転換のために散歩に行ってくると言うけど、それが本当だとは思えない。

もしかしたら心配しすぎなのかもしれない。一人で訓練しているのかもしれないし。彼は私よりも魔法の能力があるし、ただ一緒に授業をすることに飽きたのかもしれない。これまで孤独な時間が必要なのは自分のほうだと思っていたけど、こうして弟がいなくなったことを嘆いている。今夜また話しかけてみよう。

蒔種の月16日

まさか役者の一座が、これほど研究の妨げになるとは思いもしなかった。かつては静かだった街が、彼らの到着以来すっかり無秩序になっている。昼夜問わず、彼らのキャラバンは観客に囲まれていて、騒音だけでおかしくなりそう。

特に最悪な点は、弟がひどく興奮してることよ!いつも彼らの素人芸や陳腐な芝居の話ばかりしてる。役者と話してるところを見かけるのはしょっちゅうだ。弟が自分よりも社交的なことは知ってるけれど、いくら何でも行き過ぎよ。

じきに終わるだろうと自分に言い聞かせている。彼らは目新しい存在で、それも通りすがりにすぎない。街からいなくなれば、すぐに弟も研究に戻るでしょう。間違いない。

恵雨の月2日

弟にあれほど驚かされたことはない。侮辱的すぎて、もう涙が出そう。こんな出来事を書くのは嫌だけど、彼の恥ずかしい行動は否定しようがない。

今夜、ラリデルは酒と香水の匂いをプンプンさせて研究に参加した。どんな類の連中と一緒にいたのか知らないし、知りたくもない。今まであんなばかげたことをするのは見たことがない。私はあの恥と口紅まみれの顔を見るので精一杯だった。

もちろん彼は後悔していた。自分の行動がどんな悪影響を及ぼすか、どれほど許されないかは分かってると言ってた。それでも、彼には今まで以上に失望した。引きこもったと思ったら、次はクズと仲良くなって、今度はこれ?私が知ってる弟を失ってしまいそう。

真央の月9日

今日は素晴らしい知らせを受け取った。どうやって書いたらいいか分からないほどだ。今でも興奮で指が震えて、羽根ペンをしっかり持てないくらい!これまで頑張って研究と実践を続けてきたおかげで、ついにこの時が訪れた。

サピアルチが私たち2人を助手として受け入れたのだ。私は技巧のサピアルチを手伝い、ラリデルは魔術のサピアルチに受け入れられた。うれしすぎて泣きそう。私たちの一人だけが受け入れられて、もう一人は取り残されてしまうかもしれないと心配していた。大切な弟から離れるなんて考えたくもなかったけど、そんな心配はしなくてすむ。今までと同じように、これからも一緒にいられる。

ラリデルは…知らせを聞いてショックを受けていた。今ならそれが分かる。最初は怖いのかと思ったけど、そんなのはばかげてる。何を怖がる必要があるというの?きっとただ驚いてるだけよ!こんな名誉を授かって、心配なのかもしれない。

これはいいことよ。気にしないように努力したけど、ラリデルは最近とてもよそよそしい。自分の研究のために離れて住むことにした理由は分かる。そもそも、彼の足枷になることをいつも心配していた。でも会うと…

彼が別人のように見える時がある。まるで一緒にいる時は仮面を被っているみたい。今でも、考えただけで胸が苦しくなる。だめよ、こんなふうに考えては。もうすぐリランドリルで、また一緒に研究できるようになる。幸せに。やっと追いつける。もう一度彼と並べるの。

こんなに幸せな日は初めて。やっとまた弟と一緒にいられる。

リレンデルの家の祠Lirendel’s Family Shrine

アーリエルの名誉と称賛をニヴリレルに。この威厳ある名を持つ指輪を星空に。 刮目せよ!偉大なる先人の名に刮目せよ

ルミリオン・レン・イネシル・キュラナリン・サロリンウェ・アタ・ピリャデン・イテルノリル・ヒルノア・ファーラミルカル・ターネーベン・ニヴリレル

ルルタリの日記Rultari’s Journal

今日、街から執事がやって来て父を訪ねた。彼はいつも少しやつれているが、今日の表情は普段よりも誠実に見えた。いつになく、本当に心配しているようだった。彼はまた、いつもより口が固かった。普段なら、彼は自分がいかに忙しく欠かせない存在か言及する機会は逃さないのに、今回は一言も引き出せない。晩餐の時、父が詳細を話してくれるかもしれない。

父は昨日、ほとんど丸一日留守にしていた。屋敷に帰ってきたのは日が暮れて大分経ってからで、騒々しさで私はベッドから起き上がった。数十人は引き連れていたはずだ。見た目からして大部分は船員だったが、街の衛兵も近いくらいの数がいた。もしかして、父は暗闇に乗じて家宝を海外に持ち出すつもりなのだろうか、と思った。父は人々を全員、家の地下室へと導いた。全ては秘密作戦のようだった。私は暗闇の中、窓の側で1時間近くも待った。何かこのことを説明してくれるものが見えないかと思ったのだ。だが出てきた時、父は一人だった。

今朝目覚めた時、私は家の衛兵が玄関で待っていることに気づいた。父の命令により、家の全員はさらなる通達があるまで館の中に留まるように、と伝えられた。私はこの知らせに納得しなかった。父の暴君のような振る舞いに抗議したくて、私は父の部屋の前で張り込み、帰ってきた瞬間を待ち伏せしてやろうとした。私は朝食も、昼食も、夕食も取らずに、檻の中のライオンのように廊下を行ったり来たりしたが、父は現れなかった。今夜は、部屋の扉の前で寝るつもりだ。

* * *
父の部屋の扉のせいで、頭にこぶができてしまった。いきなり起こされたが、起こした母は当惑していた。私のバカげた行動を叱りつけた後、母は私を不憫に思い、父の突然の奇妙な振る舞いについて、自分が知っていることを教えてくれた。数日前、ある深海漁業船が王の船にも匹敵するほどの大漁で到着したが、それから船員たちの多くが病気になってしまった。父は皆を地下に隔離し、その間に彼らの状態を調べているという。

* * *
執事が再び訪ねてきた。彼の表情は、いい知らせを持ってきたのではないことを物語っていた。さらなる人々が、街から屋敷の地下室へとやって来た。

* * *
父は2週間近くも会いに来ていない。この事件が始まってからずっとだ。考えてみれば、父が太陽を見たかどうかすら定かではない。これでは健康にいいわけがない。父が病気でなければいいが。どうして我慢できるのだろう。私自身、このきらびやかな牢獄で狂いそうになっているのに。少なくとも私には、外の世界が存在することを思い出させてくれる窓がある。父はあの船員たちを海に帰すべきだったのだ。

* * *
私が時間の感覚を失っているせいかもしれないのだが、街からやって来る人々の流れは、さらに加速しているような気がする。ワインで神経を落ち着かせるためなら何でもするのに、ここにはもう一滴も残っていない。この家で、最後に水がコップを満たしたのはいつだったろう。ひどいことになったものだ。

* * *
家の衛兵たちの一部が、街の不安について噂をしているのを聞いた。どうやらここに閉じ込められているのは、私たちだけでないらしい。私の父はこの疫病が去るまで、誰もコルグラドに出入りしてはならないと布告を出した。すでに何ヶ月にもなることを考えれば、同じ境遇である彼らの気持ちは理解できる。私たちにできるのは、病気が自分たちに来ないことを祈って待つだけだ。

病気が進行した状態で街から運ばれてきた者たちは、ほとんどエルフに見えないほどだ。尊厳を守るため外套に身を包んでいてさえ、担架で地下室へ運ばれていく体が歪んでいるのがすぐに分かる。今頃はもう亡くなっているはずの者たちは、どうなっているのだろう?考えたくない。

* * *
書き物机で飲むのは嫌だが、一日中喉が干上がったような感じがしている。一瞬でも舌を湿らせるのをやめると、歯の裏側がやすりで削られているような感じがしてくる。ここに自前の水源があってよかった。飲み物が必要になる度に街の井戸まで歩いていかなければならなかったとしたら、私はとても健康になるか、疲労困憊していただろう。

* * *
慈悲深きステンダールよ、私たちをお救いください。止まらない。吐くまで飲んでも、喉が渇いてしょうがない。止めてくれ!

引き返せ!Turn Back!

プーナラへ、

すまない。ここに来るべきではなかった。呪いに耳を傾けるべきだった。ここにいるものはエルフに似ているが、獣のような連中だ。奴らは暗がりから我々に飛びかかり、墓地のようなところに引きずっていった。そこに奴らのリーダーがいた。普通の人間のように見えたが、口を開くまでの間だった。奴が大穴について語るのを聞いていると、世界の終わりだという感じがする。奴は救い主たちの期待に背くわけにはいかないが、我々が彼らの親切に報いる助けになるだろうと言い続けていた。

他の者たちも捕われていた。まだ生きていたが青ざめていた。切開された傷があり、ほとんど治療されていなかった。私はお前が見せてくれたように、牢屋の鍵を外せた。だが他の者にその力はなかった。私は戻ってくると約束したが、今どこにいるのか分からない。トンネルは家、家は道、道はトンネルに続いている。追い詰められた。足音が聞こえる。

私を見つけたら、逃げてくれ。このトンネルを海で塞ぎ、二度と戻ってくるな。ここに埋まっているのが何であろうと、埋めたままにしておくべきだ。

カーンハル

開かれた国境の問題A Case for Open Borders

上級公アンドゥリオン 著

我が市民よ、私もアイレン女王の布告を読んだときは心配したものだ。国境を開放するのは、重い決断だった。私もそのような行為が愛する故郷にもたらす不吉な事態を恐れた。我々の街はノミで溢れるのか?夜中に子供たちは寝床からさらわれるのか?断言するが、私も誇らしきサマーセットの安全については同じように心配していた。

上級公としてこれらの懸念をサマーセットの裁判所に伝え、しばしば激論を交わしたことは、大変名誉なことであった。それは前例のないことであり、最も荒々しい問題だった!私は愛する故郷への冒涜を止めようと決意した。私も我々が先人の願いを裏切っていると感じた。そうだ、我が市民よ。私はよそ者、猫、共食い種へ国境を開放する考え自体に強く反対した。その価値がないと知っていたのだ。

だが、変化があった。私が変わったのだ。私が心から女王の布告を支持する理由を説明させてほしい。味方であり、隣人となった者たちの権利を弁護させてほしい。

この変化が始まったのは、戦争への努力について聞いたときだった。ウッドエルフの弓の支援が可能にした辛勝。賢い工作で、決め手となる秘密を聞き出したカジートの密偵。我が勢力の数を見るだけでも良い。我が軍にどれだけの技術と力があっても、この戦いは単独で勝てないと分かっていた。それでも、私は頑なだった。一時的な味方には前線で戦ってもらうだけでよい。サマーセットに用はないはずだと考えていた。

私は意見を定め、変えることはないと感じていた。私が真実を悟ったのは、信じられないようなことが起きた時だった。

我が一人息子、アンディメリルが戦場で倒れた。あの夜のことは幾度となく振り返る。もう少し頑固でなければ。腹いせに黙り込まなければ。息子が残るようにうまく説得できていれば。息子は若く、向こう見ずで、過去の私よりも遥かに勇敢だった。あの顔を二度と見られないと考えただけで、胸が締め付けられ、激痛のあまりほとんど息ができなかった。

息子の死を知ったのは、使者からでも友人からでもなかった。若いウッドエルフが私の前に立ったことで知ったのだ。そのブーツは泥がこびりつき、目は涙でいっぱいだった。その手には簡素な金属製の箱があり、中に息子の灰があるのは彼女が話す前から分かった。彼女の名前はグレニスだった。

「彼に頼まれたわけではありません」と言うと涙を流し始めた。「実際、彼は二度と帰らないと常々言っていました。ただ、私には我慢できなかった。彼は故郷に帰って当然でした」

私はその日まで別の種族の者と話したことさえなく、格段に劣っていると信じ切っていた者たちの目を見ることもなかった。何が起きているのか、もはや否定できなかった。あの日、私の目はようやく真実に開かれた。議論や布告ではなく、グレニスと共感した悲しみによって。それはあまりにも辛く、真実でないはずがなかった。

毎日、我々が気にもしない味方が、息子や娘たちとともに死んでいる。彼らは食事を共有し、物語を伝え、できるときに笑いや慰めを見つけようとする。彼らは一緒に戦い、互いに命を預けている。これが、穏やかな海岸から遠く離れたところの、日々の戦いの現実だ。

アンディメリルの人生最後の数週間はグレニスから聞いた。老いたエルフを慰めるためであっても、息子を讃えることしか言わなかった。息子の勇気と優しさを語る言葉に心から励まされた。息子は己が信じる理想に殉じたのだ。私にとっては女王陛下の手紙より、仲間の兵士の優しい言葉ほどアンディメリルを讃えるものはなかった。

この考えは今でさえ身勝手なものだが、この安らぎは開かれた国境がなければ不可能であった。グレニスが私の家族に表した敬意は存在し得なかった。彼女は私が信じてやまなかったように、下等であり無価値な種族の者として扱われていただろう。彼女がいなければアンディメリルの帰郷はなく、遠い戦場の見知らぬ死体となっていただろう。息子を葬る名誉は決して得られなかった。

我が市民よ、他種族はまさに尊敬に値する。私の個人的な話を聞いて何も感じなかった者は、どうか彼らと話をしてほしい。地元の酒場で酒をおごり、家の食事に招くのだ。学者の文化を持つ私たちは、心を開いて学ばなくてはならない。断言するが、まったく異なる文化が見つかるだろう。しばしば衝撃を受けることもあるが、彼らの文化は私たちと同じく豊かである。

かつて国境を封鎖したように心を閉ざしてはいけない。私たちの未来は先へ進む能力に懸かっている。共に最初の一歩を踏み出すのだ、我が市民よ。間もなく、明日へ歩くようになるだろう。

隔離された賓客のリストList of Sequestered Guests

ウッドエルフ。男性4名、女性3名。全員ドミニオン市民だと主張。1名はサマーセットに1年以上居住していたと述べる。準備房に移動。

カジート。男性7名、女性9名。全員ドミニオン市民だと主張。半分を準備房に送り、半分を待機房へ送る。

アルゴニアン。4名。性別は不明。誰が泥で泳ぐ者のことなど分かる?準備房に移動し、即時吸い上げ。

ブレトン。男性1名、女性2名。自称ウェイレストの商人。いや、ダガーフォールと言ったか?関係はあるのか?一体なぜこれを書き留めているんだ?新たなアルダークはこの情報で何をするつもりなんだ?待機房へ。

レッドガード。男性2名、女性4名。全員ハンマーフェルからの船で到着。1名は商人ラヌルによって送られてきたと述べる。半分を待機へ送り、半分を準備へ送る。

ノルド。男性1名。ノルド文化交流探検隊だか何だかの一員だと主張。待機へ。

観察メモ154:ズマジャの捕縛Observation Note 154: Z’Maja’s Capture

ウェルキナー・ガレンウェ 著

ズマジャの捕縛は、あまりにもあっけなかった。最も楽観的な計算上でも、これほど短時間に彼女を従わせることができるとは考えられなかった。他の仲間たちが勝利に夢中になったのも無理はない。彼らは私が小うるさい虫でもあるかのように、懸念を無視している。

彼女の影魔法は動揺を誘う出来事だった。それは私を傷つけたが、そのようなことは見たことも聞いたこともなかった。力の源は彼女の胸に埋め込まれたアミュレットであると結論づけた。恐らく、デイドラのアーティファクトだろうか?その魔法の存在について研究すればするほど、疑惑は確信へと変わっていった。

これ以上の分析については、推測以外にできることはほとんどない。ズマジャの力はどうやって手に入れたにせよ、危険であり謎めいている。彼女が操っていた影は、触れたものすべての生命を吸い取っていたかに見えた。その力だけで、多くの兵士が失われた。仲間や私が瘴気を克服できたのは、光の性質を有するオロライムの魔法あってのことだった。

さらに厄介だったのは、戦った相手の戦士を複製するズマジャの能力だった。兵士が任務半ばで命を落とすと、その死体から影がむくりと起き上がった。邪悪な物真似に見えるその影は、ズマジャの味方として戦い始めた。シースロードを取り押さえることに成功していなかったら、影が戦局をひっくり返すことは容易だったと思われる。

ズマジャが我々に対する計画を立てた場合、クラウドレストが心配だ。安全が脅かされる以上、彼女を捕らえておかねばならない。逃げられたら…生き残れないだろう。

忌まわしき文明A Loathsome Civilization

発明家テレンジャー 著

敗北したマオマーの艦隊が占有していた、思いも寄らぬ希少な品を収集品に加えられた。この文書が船団に持ち込まれた理由は知る由もないが、どうやらこれは第一紀2260年よりも前に書かれた、スラスに赴任した外交官の日誌のようだ。損傷はしているが、判読可能な状態を保っている。スロードに関する記述は魅惑的なものだ。推測するに、これは虚構やねつ造された奇妙な作品ではない。これが正当なものなら、実に目覚ましい発見だ。何故ならスロードは、常に全タムリエルの種族と交渉を嫌ってきたからだ。

スラスのナメクジたちが悪しき死霊術を行ったことを我々は知っているが、これが本物の文書だったとしたら、彼らと恐怖の技法との関わりは、今まで考えられていたより優れたものだったかもしれない。著者は生き返った奴隷との交流に対し、頻繁に嫌悪感を表している。スロードもまた様々な海洋生物を殺戮し、再生させていたようだ。亀、蟹などをペットとして手元に置くために。だが、彼の嫌悪感はそこでは終わらなかった。彼はスロードの不快な臭い、あらゆる地上の建物の床の上にある粘液で覆われた水、食料として供される様々なカビ、菌類に対して不満を述べていた。

複雑な生贄の儀式に関する言及があるが、これは彼らが通常、崇拝を拒絶していることを考えると極めて稀なものだ。スロードは間違いなく、適切だと思われる場合にはデイドラとの契約を結んでいた。だがここに記されている祭式は、典型的なデイドラへの生贄を示すものではない。彼らは最終的な作業(数週間は続くかもしれない)を、肉体に対する「脱水クリスタル」技術の応用による全ての演者の死で終わらせながら、スロードの神話的英雄と悪役の行いの再現に参加させる固体の仕立てに、何年も費やしていた可能性がある。

さらに興味深いのは激しく損傷している部分の記述で、それは「膨張せし長老」の水中の塔での謁見について論じている。少しだけこの2人の間の議論を判読することができる。だが、「素晴らしく肥満した身体と奇妙に脈動する頭」、そして、腹に浮かび上がる3つの目がそれぞれ「歯のない口として再び開き、(判読不能)を噴き出すと、従者たちが先を争って吸収した」という内容の記載があるが、これは私が初めて遭遇した、スロードの間に文化的指導者がいる可能性につながる見識だ。

「多種多様な荘厳なる影響」への訪問を記録したこの部分の日記はほぼ判読不能だったため、私は限りなく落胆した。名前はさておき、この部分のほとんどは、「化膿の噴出」「血液の腐敗」から、「悪化するハエウジ症」といったものまで、あらゆる種類の苦痛を暗に示す狼狽させるような言葉を除いて、解読できないものだった。スラシアの疫病についての多くは未だ謎のままだ、そしておそらく、埋もれたままにしておくのが最善なのだろう。しかし、ここで示されている病気に対するグロテスクな関心の理由と意図について、興味を引かれることは否定できない。

この文書に対する第一感を記録した、アリノールにいる仕事仲間に、真偽の検証を期待してこれを送らねばなるまい。これから何か役立つものが得られるかどうかに関わらず、万が一このような脅威が再び浮上した場合に、タムリエルの全種族にとっての恐ろしい敵に対し、少なくとも我々の理解を進められるかもしれない。この文書の内容に真実が含まれるとしたら、決して起きないようアーリエルに祈ろう。

血の腐敗Corruption of the Blood

「アルドメリスの真の子」 著

数千年の間、我らアルトマーは神聖なる遺産を守ってきた。我々は旧エルノフェイ最後の生き残りである。我々は彼らがあれだけの犠牲を払って作り出したものを保存する役目を原初の神々に任されたのだ。今でも伝統に忠実な者たちは、遺産を純粋に、文明を無傷のままに保ってきた。アルドマーが敷いた道から外れた者たちは品位を落とした。連中は堕落し、彼らを作った神々とは似ても似つかない存在になってしまった。

この聖なる島の外でエルフと自称する連中は、アルドマーの歪んだ遺骸でしかない。ダークエルフの赤い目を前にして、自分と似たものを見出せるだろうか?もちろん、できるはずがない。そこに見えるのは、より偉大なものが偽の予言者ヴェロスにより破壊され、奴が仕えたデイドラによって忌まわしき影に形を変えられ、残った灰だけである。醜い奇形のオークを見た時、そこにエドラの創造があるだろうか?ない!そこに見えるのはボエシアの排泄物だけだ。汚物から自分たちの糞の神を作り、自分たちの存在に意味を与えねばならなかった、憎悪に満ちた残留物である。

だが、我々が学ばねばならないのはこうした憐れむべき外道からだけではない。我々の生きる道を歪める危険を持つのは、デイドラに誘惑されるような愚か者だけではないからだ。ウッドエルフを見れば、神々の誤った崇拝でさえ、我々の血を倒錯させうることが分かるだろう。森を尊重することと獣になることは同じではない。今やこの放浪の親類は、自らの親族を喰らう野生の蛮族とほとんど区別がつかない。最初の民が生き残って、彼らの完全性がこれほど腐敗したのを見る羽目にならなかったことに感謝したい。

教訓は明白だ。たとえほんのわずかにでも祖先の道から外れれば、深刻な結末が待ち受けているということだ。それが分かっていながら門を開いて、笑顔で腐敗を聖なる地へ迎え入れるなどということを黙認できるのか?あの油断ならぬ女王は我らの破滅の使者である。女王の異端に抵抗しなければならない!

血清投与報告Serum Infusion Report

これまでに実験した動物の中では、インドリクが最も期待できる結果を示した。血清を投与すると魔力が増大する。インドリクを中心に実験を行えば、このプロセスはさらに洗練され、様々なことに活用できるより安全な血清を作り出せるはずだ。

このような進展があった一方で、小さな後退もあった。野生のインドリクに血清を投与すると性格が劇的に変化し、異常なほど好戦的になる。これにより彼らは抑制できなくなり、非常に危険な存在になる。直近の検体以外は安楽死させたが、この検体もいずれ同じ運命を辿るだろう。

飼い慣らしたインドリクにも同様のリスクがあることを確かめるべきだ。ロータスはどの野生のインドリクよりも穏やかだ、このプロセスを上手く乗り切れる可能性が高い。ロータスに必要以上の愛情を注いでいるタロマーが障害になるかもしれない。疑いを持たれずに引き離すのは難しいだろう。だが彼が新入りの動物の世話を拒否するなら、適度に危険な仕事を与えることもできる。

言葉と力Words and Power

発明家テレンジャー 著

タムリエルの言語には、ただの便利な意思疎通の道具以上の役割があるのではないだろうか?私は様々な研究を通して、言語と魔法の繋がりを明示する例を無視できない頻度で発見してきた。特に今行っているルーンストーンの調査がそうだ。考えを言葉に流し込む行為そのものが、発動を意味するのではないだろうか?確かに過激すぎる考えだが、この考えを支持する証拠を提示したいと思う。水晶の塔のサピアルチが、この考えの是非を証明してくれることを心から願う。

まずは付呪のルーンストーンから始めよう。どの石にも文字の組み合わせから成る印が刻まれている。ルーン1文字だけでは効果がない。だが他の文字と組み合わせて適切に配置すると魔力を発揮する。完全な状態、つまり表現が完成すれば魔法が発動する。その言語を完全に理解していなくても、力を解放できる。十分な数の文字が存在していないし、はっきりとした発音もわかっていない、だがグリフを研究してルーンストーンを組み合わせることで、活用するために意図を理解することはできる。言語そのものが根底で魔法と繋がっているのは間違いないが、起源についてはまだわかっていない。

将来有望な付呪の学生たちには説明するまでもないが、解読不能なルーンに出会っても落ち込む必要はない。学んできた文字と文章を何度も復唱し、グリフからルーンを抽出することでようやく、さらに難しいルーンを解読するための知識を得ることができる。辛抱強く他の学生と一緒に研究し、グリフの作成と解体を行えば、いずれ相互作用と本当の意味を理解できるようになる。

特に文字がそうだが、言語はアルトマーにとっても非常に重要なものだ。我々の歴史を保管できるだけでなく、文字があるからこそ、未来を約束された我々の実態を捉えて定義し、全てのエルフに自分の立場を確認させることもできる。アルトマーの社会がタムリエルで最も整然としていて、系統立っているのは偶然ではない。それはザルクセスの意志なのだ。聖なる文字を扱う学者司祭は謎に包まれた存在だが、大昔に失われてしまった言葉を保管していると言われている。ヘラアメリルの「原形を繋ぎ止める者との会話」では、作者不明の文章の中で、巻物を利用することで味、匂い、踊る姿の幻影を作り出し、さらに例え読み書きができなくても、凝視するだけで読めるようになる文章を生み出せることが示唆されている。ヘラアメリルを信じるとするなら、これも文字による魔法の1つである。

日常に目を向けてみよう。戦争を始める際に偉大な将軍が演説を行えば、士気が上がり兵士は素晴らしい働きをする。熟練の吟遊詩人が歌えば感情が刺激される。子供にとって母親の声は癒やしの効果がある。会話や文字を通して意志を伝える日常生活の中に、魔法の断片のようなものが見えてこないだろうか?確かに消滅しつつあるかもしれないが、それは黎明期以前の力の名残かもしれない。細かい話はここでは省くが、タムリエルの歴史を紐解いていけば、この考察を支持する証拠はもっと見つかる。同僚たちとこの仮説について論じるのが楽しみだ。

五重の祝福を!Five-Fold Felicitations!

最愛の姪へ

知らせをもらえるなんて、本当に嬉しいわ!それと、栄えあるエドナヴォリスの証明に五重の祝福を!あなたのお母さんは最後に訪ねた時、興奮を抑えられない様子だった。あなたの結果は、あの人の途方もない妄想さえ上回っていたわ。でも私は疑ってなかった。私たちは名門に属しているし、あなたの父親の祖先には欠陥があるにしても、あなたは私たち高貴な種族の最高の部分を受け継ぐだろうと思っていたわ。肌の色と耳の形についての報告は、特に好ましいものだった。安心したわ!皆が知っているように、耳の欠陥はあなたの父親に根差しているの。あなたが罠を逃れられたのは幸運だわ!

さあ、本題に移りましょう!あなたの質問だけど、そのとおりよ。私たちの地所は完璧な血の優秀な若いエルフを数人、保証人として抱えているわ。ここで彼らについて詳しく記すと共に、色々な証明も添えておくから利用してね。きっとあなたにふさわしい婿が見つかると思う。

1人目はタラノール。名門エンルネルディニオン家に連なる、本当にハンサムなエルフよ。彼のいいところは抜きんでて背が高いことと、父親から受け継いだ特徴である琥珀色の目ね。肌の色と顎の幅に軽い欠陥があるけど、見逃せるものだし、おそらく劣性の形質だから大丈夫。彼は文学にとても詳しくて、あらゆる学派のアルケインを実践できる。この年齢で彼以上に熟練の魔術師は見つからないわ。どこに出しても恥ずかしくない夫になると保証する。

その次はヘレブリムの息子ヒルヨン。この名前には聞き覚えがあるはずよ。ヘレブリムはサマーセットでも最高の作曲家の一人で、世代に一度しか出現しないような音楽の天才なんだから。ヒルヨンの凄いところは、父親の優れた性質の多くを持っていること。彼の歌声はマーラも羨むほどだし、なんと12種類もの楽器を演奏するのよ。残念ながら身体的な特質に関して、素晴らしいとは言い難いわね。顔の対称性には欠陥がある。目がやや小さいのが主な原因ね。それに、鼻梁のところが少しだけ大きくなっているのも欠点よ。これは人間との交雑を示す特徴なの。こうした身体的欠陥が有り余る才能と魅力的な性格を上回るかどうかの判断は、あなたに任せるわ。少なくとも、彼の父親の栄誉は宮廷で有利に働くはずよ。

最後は私の一番のお気に入り、ペランレルよ。底が浅いって言われても構わないわ!この情熱的な若者はトリニマクにも比肩しうる外見と気質の持ち主よ。彼の顔立ちはアルドメリの祖先に気味が悪いほど似ている。本当に、上級公のタペストリーから出てきたみたい。大きなアーモンド色の目と、短剣のように鋭い耳、そして私たちの古代の親類の、引き締まった鷹のような横顔。見とれてしまうわ!彼は練習場でも競技場でも素晴らしい力と速度を見せ、鍛冶をやらせれば水を得た魚のよう。唯一欠けているのは、魔法と学問への意欲だけね。でもそんな弱点は、私たちの家に入れば簡単に克服できるはずよ。

すぐに返事を書いてね、私の大切な姪っ子!この秀逸な男たちの誰にあなたが興味を示すのか、知りたくてうずうずしてるんだから。素早く行動すれば、今年中にも可愛い赤ちゃんができるかもしれないわ!

あなたを愛する伯母、
アンバール

国境開放への拒否A Rejection of Open Borders

シマーリーン上級公女アヴィネッセ

不測の女王は今もなお、急進的な思想を忠臣たちに押しつけており、それが原因で清浄で不屈の地は現在、あらゆる変化と悲しみに苦しめられています。他の種族を尊重し、アルトマーと同列に扱うという試みは、不自然なものでしかありません。ハイエルフが至高の存在であることは誰もが知るところであり、なぜ不浄で完全に正当性を欠いたこの宣言によって、その立場を弱めようとするのでしょうか?この不合理で非常に危険な宣言を撤回させるためであれば、シマーリーンの住人と上級公女は手段を選ばないことを知らせなければなりません。

なぜ私はサマーセットの清浄な性質を手放すことに異を唱えるのでしょうか?なぜなら、それが論理的に正しいことだからです!十分な記録による裏づけがあることですが、アルトマーはこの世界を共有している下等種族に対して、あらゆる面で優れているのです。結局のところ、エドラまで先祖を辿れる者は他に存在しません。我々は自分たちの聖なる遺産を堂々と受け入れれば良いのです。他の種族とは違い、我々は神々の創造したものではありません、我々は彼らの子孫です。その遺伝的な繋がりは、エルノフェイから原初の神々、最初のアルトマーまで遡ることができます。このため、これだけでも、我々には純粋な血を守り、その完璧な聖なる故郷を保護する権利を与えられるべきなのです。

冒険好きな女王がさらなる証拠を求めるなら、我々の像や黄金の肌、生来の魔術的素質に注目すればいいのです。他の種族は知識の追及という点で、我々の足下にも及びません。彼らはそういった戦いに対して無防備なのです。タムリエルで最初に本物の文化を形成したのは我々であり、今でも全種族の中で最も文明化されています。この事実を覆すことはできません。我々は宗教、言語、建造物の基礎を築き上げました。その影響力は大陸全土で見られます。我々はこれだけのものを与えてきたのです。世界のほんの一部を独占することぐらいは許されるべきです。

我々は以上のような自明の事実だけでなく、惨めな下等種族たちのことも考えなければなりません。この素晴らしい文化と社会的風習には厳格さと能力が求められます、彼らに要求するのは残酷すぎると思いませんか?彼らは我々の習慣と伝統に求められる精度を備えていないのです。彼らの無能を責めるべきでしょうか?それとも、彼らが到達できるような低い基準を設けて、欠けている部分を増強するべきでしょうか?彼らは恐らく我々を残酷と考えるでしょう。見えざる門は閉じたままにしておくべきです、そうすればこれ以上お互いに悲しみ、苦痛を味わうことはありません。下等種族にサマーセットへの移住を許しても、彼らのためになりません。むしろその反対です、最後には彼ら自身が傷付くでしょう。

サマーセットの純潔を守りなさい。サマーセットを穢してはなりません。サマーセットはアルトマーだけのものです。それだけが正しいことなのです。

司法高官アヴァナイレの日記Journal of Justiciar Avanaire

サロシルが言っていた。借金取りたちが怒っているみたい。何とも愉快な状況ね。妹が帰ってくることをいつも夢見ていたけど、妹が帰ってきた今は悲しみに満ちている。妹は問題ばかり持ち込む。でも見捨てられないわ。今は無理。しかも妹は助けを求めている。

妹は何かやっているかもしれない。妹にこんなことは言いたくないけど、スクゥーマはエルフを変えてしまう。妹の面影はほとんど残ってなかった、とても痩せていた。骨張った指で私のスカートを掴み、しわがれた声で助けを求めてきた。妹を信じたい。彼女が幸せに生きられるように助けたいわ。でも…無理よ。今はまだ。

だからといって、迷ってはいられない。妹は危険な人物に借金をしている。妹を見捨てればテルヴァンニの魔術師に売られるか、見せしめに殺されるかもしれない。そんな危険は冒せない。

問題は神聖執行局よ。裏取引をすれば信用に傷が付いてしまう。サマーセットには賄賂を喜んで受け取るような愚か者はいない。疑り深いのよ。認めたくないけど、サロシルが見つけた仲介人しか選択肢は残されていない。彼らが真珠を使って何をしようとしているのかは知らない。でも他に選択肢がある?

計画どおり、テロムレ隊長の部隊に潜り込んだ。動くのはトー・ヘイム・カードに近付いてからよ。そこで仲介人が私を待っていてくれているはず。そこについたら隊長に奇襲を仕掛け、真珠を奪い、彼にはそのまま死んでもらう。サマーセットの兵士なら、きっと私を遺跡まで追いかけてくる。そうしたら…仲介人が面倒を見てくれる手はずになってる。永遠にね。

真珠は山賊に奪われたと報告する。しかもその話を否定できるエルフは、その頃には全員死んでいる。全て上手く行けば、私の立場は安泰よ。もしかしたら、勇気を讃えられて昇進する可能性もある。そしてサロシルは必要なお金を手に入れる。そうなれば妹は安全よ。

これは妹のためにやる。昔と違ったとしても、妹は私に残された最後の家族よ。妹は私が守るわ。どんな犠牲を払ってでも。

自らの価値を示せShow Us Your Worth

テラニエル

お前が待ち続けていた瞬間がついにやってきた。機会を与えてやれる。宮廷と我々の支援者に、狡猾さを示す特別な機会だ。彼が有能な者を高く評価することは知っているだろう。

私が多大な金額を支払って入手した書物をお前に委ねよう。領域の間にある場所、我々の世界とオブリビオンの間にある虚無の穴、隙間についての記述がある。そこにはある太古の存在、大いなる欲求を持つ存在が住んでいる。そして我々の支援者は、欲求を持つ者がお好きだ。

この〈強欲〉という生物と取引し、セイ・ターン砦の守備隊に向けて放て。勝利は手が届くところにある。しかし、あの至高な道化に仕える者どもはまだあまりにも近くにいる。安心はできない。我々の計画の最後のピースがはめ込まれるまで、彼らを忙しくさせてやれ。

任務が終わったら、お前をシマーリーンへ戻そう。それまでは状況に注意し、有利な結果を生み出すよう行動せよ。この投資を無駄にしようものなら、我々は皆、大いに失望するだろう。

お前に幸運のあらんことを、

T

失われたアルテウムArtaeum Lost

ヴァヌス・ガレリオン 著

私はサイジックの島アルテウムにいた時のことを滅多に話さない。年齢と気質のせいで、回想すると腹が立つし、気が乗らないのだ。医者ならば、消化に悪いと言うだろう。とはいえ、我らがギルドの出自について、学生たちに一定の説明を与える義務が私にはある。

私をよく知る者は、私がアルテウムの生まれではないことも知っている。私は劣悪な環境で育った。サマーセット島の気難しい上級公の下で働いていたのだ。長い間ではない。諸事情あって、その生活からは離れざるをえなくなった。その後少し経って、サイジックが私の才能を見いだした。彼らは、これまでの生活が終わったと私に言った。もう見つかるのを恐れて、本を床板の下に隠す必要はない。干し草をかき寄せ、食器を洗って膝にアザを作る必要もない。これからは賢者として生活せよ。好きなだけ勉強していい。その勉強が平等や平和、知恵を発展させるものでありさえすればいい。私はその時、喜びで弾けるような気分を味わった。もちろん、どんな喜びも永遠には続かない。

私は導き手である秘術師ヘリアンドに、これまで海を走る乗り物に乗ったことがないので、出航するのが楽しみだと言った。彼女は笑い、光り輝くルーンを下に落とすと、我々はアービスを突き抜けて飛び出した。こんなスピードがありうるとは想像もしていなかった。数秒もすると、我々は風の吹き荒れる丘に立って、アルテウムの田園地帯と牧草地を見下ろしていた。

1日ごとに、新たな発見があった。ニクサドの群生で埋め尽くされた、霧のかかった谷間。出来立てのガラスのように透明な、歌う滝のある秘密の礁湖。風が吹くと秘密を囁く花々、そして定命の者の舌には長すぎる名前を持つ石。私は精力的に本を読み、常に各地を放浪し、すぐに灰色のローブを獲得した。

後に虫の王と呼ばれることになるマニマルコに、私が初めて出会ったのはこの頃だった。当時、彼は私と同じように、将来を嘱望された優秀な見習いだった。私たちは底知れぬ才能を持っていたが、性格は正反対だったため自然なライバル関係ができあがった。だが、サイジックの古き習わしはそのような競争を禁じていた。私の師である強大なライトマスター・イアケシスは「対立は戦争の種をまく」と私に行った。残念ながら、彼は盲目的な好意も同じ結果を招きうることを学んだ。

研究を進めるにつれて、私はサイジックの掟の欠陥に気づき始めた。その中でも特に大きなものは、サイジックでは全てに優先する受動性だ。困惑した亀のようにのろのろと歩き回り、ごくたまに頭を出し、草の陰から危険を確かめる。イアケシスの目は内部へと向かうようになり、タムリエルでの出来事に対する無関心は、年を追うごとに増していくようだった。なぜライトマスターが孤立へと向かう歩みを開始したのか、いまだに私は分からない。だが我々の特使や顧問たちは1人、また1人と帰還し始めた。島の周囲の霧はその濃さを増し、王たちから嘆願が寄せられる頻度も少なくなった。アルテウムの沿岸を越えた先の出来事となると、我々は過剰な警戒心に苦しんだ。この警戒心には高い代償が伴ったからだ。

風の冷たいある降霜の月の夜、私は古代の石塔、セポラタワーの中を歩き回っていた。あの場所では、時間そのものが琥珀の中に閉じ込められているような感じがする。激しい風が、時を経て傷ついた石を突き抜けて笛のような音を上げ、夢見の洞窟の鈍いうなり声がブーツの底を通して感じられる。そこは力の場所であり、法則と理性は創造の崇高なる謎に道を譲る。あの松明に照らされた回廊の内部に隠された場所で、私はマニマルコが闇の力を注ぎこんでいるところを見つけた。異端の死霊術を隠れて実践していたのだ。そして彼は、私も加わるように迫ってきた。私は拒否し、追放の呪文によって彼の儀式をずたずたに引き裂く態勢を取った。私が呪文を紡ぎ始めようとしたその瞬間、我々の周囲で塔が傾いた。夢見の洞窟の唸り声は必死さを増し、悲痛な響きとなった。周囲全体に島の怒りを感じたため、我々は次の日の朝、ライトマスターと話してこの争いを解決することで合意した。

マニマルコはイアケシスの前に立って、死霊術の研究を許可してくれと熱心に訴えた。イアケシスが拒否すると、マニマルコの態度は下品で好戦的になった。彼はデイドラの獣のように、呪いや古代の冒涜の言葉を吐いた。私は脇に立って、ライトマスターはマニマルコを幽閉するだろうと確信していた。だがイアケシスは彼を幽閉しなかった。彼はマニマルコを叱責し、灰色のローブを取りあげ、島から追放した。

「この気のふれたエルフを、タムリエルの人々へ向けて解き放とうと言うのですか?」と私は叫んだ。

イアケシスは何も言わなかった。彼はただ手を上げて、マニマルコを紫に輝く光で包んだ。そのようにして、私のライバルはいなくなった。私は驚きのあまり立ちつくしていた。私が最も尊敬していたエルフが、狼の檻を開いて、おとなしい羊の世界へと解き放ったのだ。次元融合が起こった今、我々はイアケシスの慈悲の無残な結果を目にしている。

私はその少し後、アルテウムを去った。肩越しに振り返って、あの巨大な丘とゆるやかな牧草地が霧の中に退いていく姿を見たことを覚えている。後になってから、私は自分が出発してほんの数時間後、島が消滅したことを知った。これを偶然と考えるのは難しい。イアケシスが自分の過ちを認め、孤立を選んだのかもしれない。サイジックはマニマルコが解き放たれることを知って、戦うことよりも安全を選んだのかもしれない。いずれにせよ、サイジックの島は記憶の中に消え去り、誇り高きサイジックは暗闇の中に沈んだ。

彼らが戻ってくる時は、タムリエルを平和と繁栄へ導くという誓いを、彼らが忘れていないことを願っている。戻ってくることがあればだが。それまでの間、我々ギルドの魔術師は彼らの責任を引き受ける。弱き者を守り、新たな呪文と新たな発見を追い求めよ。そして何よりも、勇敢であれ。秘められた危機を前にして、魔術師ギルドは先陣を切らなければならないのだ。

蛇の王(17編)The King of Vipers, Canto 17

海はサーペントの舳先の前に割れ
風は黒い布の帆船に捕らえられた
打ち鳴らされる鼓は漕ぎ手の苦悶を隠し
海の悪魔が後を追って泳いだ

暗い雨が寡婦のベールのように降り注ぎ
稲光と雷鳴を従え
虐殺者ヴィスカルネは船の舵輪を掴んだ。
砕け散った千の物語の悪党。

彼は膝をついた者も容赦なく刃にかけた
若き者、弱き者、病人、老人をも
その心の残忍さはしばし語られ
その刃にまみえた者は、決して癒えることなし

残忍な艦隊の標的はサンホールド
オルグヌム王が求め続けたアルトマーの獲物
かつてグリフォンの翼を授けられた黄金の港
語られずにはおかれぬ勝利

ヴィスカルネは船を乗り入れた、と我らが先人は歌う
だが港はもはや空っぽ、動くものとてなし
焼く船もなし、殺すべき無実の者もなし
サーペントの苦い一突きを味わう者はなし

すると丘にそびえる宮殿より
黄金をまとった一軍が突撃した
北からのアルトマーの圧倒的な波
マオマーの冷気に太陽のぬくもりをもたらすため

彼らはヴィスカルネの副官を次々殺し
虐殺者の艦隊は港にて燃え上がった
マオマーは彼の敗北を知り
彼の勢力は斃れ、その無力を示した

祝福されし諸島の案内Our Blessed Isles: A Guide

調査官ルニルスティール 著

愛する親族に七重の祝福を。高貴な探究を一時脇に置いて、私と一緒に心を巡らせてほしい。

我々の驚嘆すべき旅は、まず文明の住処であるアリノールから始めよう。西海岸の山々に居を構えるこの街は、山頂とほぼ同じくらいの高所に位置しており、その白い尖塔は空高くそびえている。我らが支配者たちはこの高みから何千年もの間、自分たちの支配地を見渡してきた。華美な王宮を見る機会に王を敬いなさい。我らが王国の比類なき偉大さに包まれることで感じる誇りだけでも、旅をする価値は十分にあるというものだ。

外国のものに興味があるのなら、サマーセットではアリノール以上に世界の物産を味わうために向いた場所はない。タムリエル全土からの雑多な品々が毎日、船で港に運ばれてくる。神聖執行局が販売してよいと見なすものは、生活に全く新しい視点をもたらし、またアルトマーの生産品の評価を高めるだろう。

我々の品がなぜ他に抜きんでているのか知るためには、少し船に乗り、湾岸を越えてリランドリルへ向かえばいい。この祝福された街は何世紀もの間、高等教育の中心地となってきた。多くの王や女王がサピアルチ大学の知恵を求めてやってきた。大学には我が民の中でも最も偉大な知性の持ち主である223人が、あらゆる物事の知識を進歩させている。

芸術に関しては、公道を西に辿ってリレンシルへ向かい、全世界で最高の娯楽が生まれている場、夢見の館を見よう。この名高い一座の団長は、開拓の最も初期の頃から開かれている野外劇場で、昼夜の別なく演目を披露している。我らの文芸の長い遺産を受け継ぐ者であるため、団員は特別な者に限られる。真に才能のある者だけが加わることができるのだ。君の趣味が何であれ、夢見の館が披露するショーには味わい深い魅力がある。

味わうといえば、我らの島でワインが生まれる地に案内させてほしい。少し道を行くだけでいい。ラッサフェルドのブドウ園はリレンシルとシマーリーンを結びつけそうなほど横長に広がっている。ブドウの木から熟した実をもぎ取る誘惑には抵抗してほしい。確かに、自然にこれ以上のものはないが、ワイナリーで作られたものを一旦味わうと、たった1つでも実を取ってしまったことを後悔することになる。

「でもラッサフェルドの赤なら飲んだことがある」と言うんだろう!愛する親族よ、3000年もののビンテージを熟成された樽から直接味わったのでない限り、本当に飲んだとは言えないのだ。その特権のためには家を抵当に入れなければならないかもしれないが、それだけの価値はある経験だ。

目を北に向ければ、大いなるエトン・ニル山の上にクラウドレストが見えるだろう。あの橋やテラスからの眺めは息が止まってしまうほどだが、おそらく辿りつくための昇り道では、文字どおり息が止まってしまうだろう。もちろん、君がウェルキナーの一族ならば別だ。あのグリフォンの騎士たちは我々の地を頂上から見守り、空を駆けてサマーセットのどこにでも、一瞬のうちに守りへ馳せ参じる用意ができている。

クラウドレストを離れる前に、島で一番眺めのいい場所にしばし立ち、水晶の塔の栄光に目を向けよう。悟りの柱は創造の中枢であり、我らの祖先たちと同じほど古い、限りなき知の源泉だ。サピアルチはその秘密を昼夜の別なく守り、研究しながら、高き者の完全性へと我々を近づけることを望んでいる。

旅の疲れを癒したいなら、シマーリーンは愉快な人々で一杯の、快適な海辺の街だ。オーリドンや長い西街道への旅に出発する前に、静かな夜の休息を取るには理想的な場所だ。そのついでに聖なる調和の修道院を訪ね、均衡の儀式への参加を申し込もう。これ以上によく眠れる夜はないだろう。

東海岸に昇る太陽を拝む喜びを味わったら、旅の最後の地に出発しよう。すぐ南にあるシル・ヴァー・ウォードの原初の荒野は、王立動物園のレンジャーたちによって注意深く管理されている。ここでは、世界中から集められた特別な生物たちを見られるだろう。この場所は一般に公開されており、市民なら無料で見学できる。家族で出かけるにはちょうどよい場所だ。

最後に、西に戻ってアリノールの姉妹都市サンホールドへ行こう。間にそびえる山脈がなければ、二つの都市は避けがたく同化して、失われたアルドメリス以来の大都市になっていただろう。サマーセットでも最大の港の一つを有するサンホールドは頻繁にシーエルフたちの襲撃の対象となるが、港は非常に防衛しやすい。分厚い海の壁から、狭く曲がりくねった入江に至るまで、石がそれぞれマオマーの襲撃への対処を考えて配置されている。難攻不落の砦には違いないが、同時に繁栄する街であり、島における海上輸送の中心地であることも忘れてはいけない。迷宮のような通りで何時間か過ごし、世界最高のシーフードを味わうことを強くお勧めする。

愛する親族よ、旅の終わりがやってきたが、これが我らが故郷への旅の始まりに過ぎないことを願っている。旧エルノフェイは懐かしいが、神々の黄金のぬくもりはいつも、太陽の接吻を受けたサマーセットで涙を乾かしてくれるだろう。

照らされし書Illuminus

なんて劇的で芸術的だろう!哀れな学者はそれぞれ古く退屈な仮面を脱ぎ捨て、新たな役に就いた!大胆な冒険家、苦難の皿洗い、伝説の英雄だ!

しかし悲しいかな!そこへおせっかいな詐欺師がやってきて、学者の遊びを邪魔する気だ!彼らに恐ろしい運命が待っていることを、侵入者は知るよしもない!

勇敢な「英雄」は何度も舞台へ押しかけた。不愉快な言葉とともに、この侵入者は役者から力を奪った。しまいに愚かな本の虫たちは役を忘れ、元の退屈で目新しいこともない、笑って「現実」と呼ぶしかない日課に戻ってしまった。

やがて、大胆な脚本家は英雄の干渉にうんざりした。彼女は暗く激しく動く海の向こうを見つめた。極めて勇敢な芸術家でしか航海できない、恐ろしい悪夢の海だ。そしてその真っ暗な奥底から、彼女は想像を超えた恐怖を召喚した。すぐに、英雄は食われてしまうことになる!

悲しいかな、恐怖は十分でなかった!英雄は脚本家を追って向こう見ずに突進し、作品を踏みつけた。その美しさ、狡猾さ、創造力を持ってしても、輝ける存在である脚本家、照らされし者は英雄の的外れな勝利を予見できなかった。断続的な叫びを上げ、復讐を誓って、彼女は自分の本のページへ退却した。今もそこにいる。待ち続け。次の見事な脚本の構想を練りながら。

称えよ(先人の歌)Praise Be (Ancestor Song)

(音楽:落ち着いて威風堂々)

さあマーラを称えよう
おお、愛の女神よ
我らに子の恵みを授けたまえ
高き我らの母よ

コーラス
手を打って称えよう
神々を賛美しよう!
手を打って称えよう
我らが先人の血を!

さあザルクセスを称えよう
我らの物語を記した者
書記に名誉を
栄光の文書保管者

コーラス

さあイフレを称えよう
おお、第一のエルノフェイよ
森の神
道を示すアースボーンズよ

コーラス

最後にアーリエルを称えよう
全ての者の祖先を
彼らに似せて我らを作った
賢く、気高く、背も高く

コーラス

上級公女の会合への招待状Invitation to the Kinlady’s Conference

会費を支払った貴族、議長、商人王はすべて、上級公女アヴィネッセの邸宅での会議に快く招かれ、現在の政治状況、異国人の流入、女王の布告について話し合うことができます。この案件について、あなたの声を聞き入れることを、上級公女はお約束します。

軽食の提供があります。

上級公女の手紙Kinlady’s Letter

親愛なるアルダーク・ティルカラー

この素晴らしき修道院への赴任を検討してくれて嬉しく思います。実現させるために協力できたのは幸いでした。アイレン女王の急進的でかなり危険な布告について、実りある話し合いをした後だけになお嬉しいものです。一緒に働けることを楽しみにしています。それがシマーリーンだけでなく、サマーセット全体を安全なまま保つ助けになるはずです。

シマーリーンに相応しいかどうか確かめるため、新参者たちを隔離する計画は素晴らしい案だと思います。想像力に富むこの文化の一員になれる能力と気質を持っている者とそうでない者を選別できれば、手遅れになる前に厄介者や情熱に欠ける一時滞在者を見分けられます。完全な解決策ではありませんが、不測の女王が宣言を取り消し、招かざる者ネバラを全員追い返すまで、これで十分でしょう。

サマーセットに相応しいと思われる候補者のリストを送ってください。誰に滞在許可を出し、誰を送り返したかがわかれば、女王代理アルウィナルウェもきっと喜ぶはずです。私は今でもサマーセットを極めて神聖な場所であると考えています。他の種族のことはオーリドンに任せておけばいい。我々の「愛する」女王はいつもそこで、猫やウッドエルフと一緒に浮かれ騒いでいる。仲間が増えれば彼女も喜ぶでしょう。

上級公女アヴィネッセ

食料品の請求書Invoice for Comestibles

今週配送の食料品は下記の通り

-生きているロバ30頭
-干し草の束14個
-リンゴ50キロ
-各種塩漬けの魚4樽
-全粒穀物10袋
-濃縮グリマーベリー5瓶
-ニクサドエキス1壺
-エクトプラズム1ボトル

ウグイアビの肥大化が止まらない。餌のスケジュールを調整して、穀物を与えないようにしてくれ。

森の闇The Forest Dark

ジョセリン・マディア 著

死者の魂で黒く染められた長靴を履き
恐怖の喘ぐ戸口に立った
乾いた茨の向こうに隠れた
狼の喉が遠吠えし、闇の枝が溜息をついた

一度だけその中を彷徨った
年央の心を持った元気いっぱいの若き日に
髪はまだ死の骨ばった手に掴まれてはいない
魂はまだ恐怖の熱い焼印を押されてはいない

苔に覆われた骨とスッポンタケの茎の上
私の足は恐ろしい、油まみれの滑車を見つけた
悪臭の闇が渦巻く木々の向こうに
唸り声をあげる血に飢えた生き物が潜んでいた

周り中で、奴らの息が聞こえた
雨に濡れそぼる森に響く弓鋸を引く音のように
そして遠吠え!あの陰気な聖歌
狩りの王ハーシーンと残忍な気まぐれ

私は向きを変え引っ掻く棘の間を走った
獲物の兎は私の目を見てうろたえる
ぎこちない一歩と共に唸り声が大きくなる
黄ばんだ牙が肉を切り開く

私はギザギザの木々の並びを突き抜ける
ボロボロのシーツをまとい、皮膚はひどく打たれている
しかし黒い狼は茨の茂みの後ろで怯んだ。
真っ黒な目は白い炎に輝きじっと見据えていた

「ここから逃げろ」そう言っているようだった
「お前の炉辺へ、うつろな喜びへ戻れ」
「だが我々狼はまだつきまとう」
「お前の最後の血に染まったスリルを求めて戻る!」

真珠の調査記録3Pearl Research Notes, Log 3

現在アビサルの真珠の研究をしているが、予想していたよりかなり危険なようだ。魂の魔法に反応するらしく、制御できないほどの力を持っている。それが原因で研究者を何人も失った。

最初の犠牲者たちによって、真珠の持つ魔力が目覚めてしまったようだ。その力に引きつけられ、すでに周りにはヤグーラが群がってきている。今はまだ食い止められているが、いずれ防衛線を突破されてしまう。真珠を安全な場所に移動させる必要がある。より内地はどうだろう。サマーセットから完全に隔離するのも一つの手だ。

司法高官アヴァナイレはかなり使えるかもしれない。神聖執行局との繋がりを利用すれば安全に活動できる。サロシルは払った金以上の働きをしてくれた。とにかく、何をするにしてもスクゥーマ常習者は信用できる。自分の唯一の姉だろうと平気で裏切る。

神聖執行局The Divine Prosecution

ノルド文化交流探検隊、巨人殺しのアクスルファ 著

私はこれまでノルド文化交流探検隊の一員として幅広く旅をしてきた。敬愛すべきエボンハート・パクトと関わりのある土地は、モロウウィンドやブラック・マーシュも含めて全て訪問した。オークの住むロスガーも探検した。しかし、私をどこよりも最も苦しめたのは、横柄なハイエルフの住む島サマーセットだ。普通なら誰でも気に入るリガートでさえ、あの自惚れていて耳のとがったミルク飲みの連中を嫌っているほどだ!彼らに対してどんなに苛立っても、私はできるだけ寛大に振る舞い、斧で襲わないよう努めている。

塩水と虚偽の匂いがするこの地に到着して初めての仕事は、とにかく法と秩序に関する情報を集めることだった。いくら平和と外交の旗を掲げて来たと言っても、私たちがノルドであることに変わりはない。ハイエルフに嫌われている理由がパクトと関係しているせいなのか、それとも彼らと見た目が違うせいなのかは分からないが、代表団のメンバーがうっかり決まりを破って、そのせいで外交問題が起きないようにしなくてはならない。島には十分すぎるほど衛兵と治安官がいるが、本当に権力を持ってるのは神聖執行局というおかしな名前の者のようだ。

神聖執行局は、アイレン女王とドミニオンの準軍事的組織であるサルモールに忠実な、権限を与えられた執行官で構成されている。サマーセットでは神聖執行局が法と秩序の象徴であり、宗教的・世俗的な法を守らせる責務を負っている。トリビュナルのオーディネーターに似ているようだが、不気味な仮面や派手な鎧は身につけていない。メンバーの一人、陰気だが気さくなルリオンという名の司法高官に話を聞くことができた。

司法高官ルリオンは、神聖執行局の主な役目が、犯罪や違反における調査官、議論や争いにおける仲裁役を務めることだと説明していた。神聖執行局は彼が言うよりもさらに幅広い権限を持ち、世俗の法の番人であるだけでなく、宗教的および社会的道徳規範の保護者であるような気がした。追求すると、彼は事態が地元の衛兵の手に負えなくなると自分たちが呼ばれるのだと認めた。最後に「調査の必要があるので出掛けるよ」と付け加えて立ち去り、私は兎のミートボールとハチミツ酒の昼ご飯を食べた。

アリノールの街をぶらついていると、ルリオンが常に私の見える所にとどまって神聖執行局の仕事をしていることに気づいた。商人と客の間で起きた口論を、両者から話を聞いた後で拘束力のある裁定を下して事を収め、両者が受け入れた後で立ち去るのを見た。その後で、スリが貴族の財布を盗んでいるところを捕らえ、その犯罪者を街の衛兵に引き渡した。こうした中でずっと、彼は私に目を光らせているような気がした。よそから来た滞在者を観察するのも、神聖執行局の執行官の仕事に含まれるのかもしれない。私はそれでも構わなかった。それに、彼が常に近くにいることで、食事時に彼を探すのが楽になった。

司法高官ルリオンは、ハチミツ酒が好きだろうか?

神聖執行局の事例Cases of the Divine Prosecution

神聖執行局ビューローリーブ、上級執政官リンワレイ 著

神聖執行局はサマーセット島の法秩序を管轄する最高機関であり、女王と王家の宮廷にのみ従う。我々は上級公や上級公女の意志には従うものの、必要であれば貴族においても不正がないかどうかを調査する義務と権力を有している。

例として、不実なキャノンリーブの事例を挙げたい。これは数年前、アイレン女王が玉座につくよりも以前の出来事である。当時、クラウドレストのキャノンリーブは貴族出身で評判も優れたアルトマーで、比類なき血の一族に属していた。このことは当然ながら、血がアルトマーの全てではないことを証明している。我々の司法高官の1人が噂を聞きつけ、キャノンリーブの事業を調べ始めた。徹底的な調査の後、このキャノンリーブがエトン・ニル山の内部に多くある遺跡の1つで行われていた歴史研究プロジェクトから、特に優れた古美術品を着服していたことが判明した。彼は目録や記録を改ざんして外国の収集家に古美術品を売り、美術品が紛失した形跡を一切残さないようにしていたのだ。司法高官は証拠を集め、結局キャノンリーブは、地位と貴族の血があってもこの国の法の外にあるわけではないことを学んだ。

神聖執行局は宗教的、文化的な法律に関することも扱う。アルトマー社会の慣行を守らせることも我々の仕事である。不完全なる完全の事件は検討すべき事例である。この事件はある宝飾師に関するものだが、彼はネックレスや指輪、アミュレットを製作中不運に見舞われ、見た目にも明らかな傷がついてしまった。この職人が完全な宝石細工を作ることにいつも失敗しているという訴えの調査は、筆頭司法高官ナルダルモが引き受けた。筆頭司法高官はこの職人が昔に比べて遥かに熟練の度合いを落としていることを確かめ、令状付きの懲罰措置として、彼が見ている前で職人に自分のアラクソン球を割ることを命じた。職人は再び熟練を得るために働き、新しい球を申請しなければならなくなったのだ。

以上は、神聖執行局によって処理された事例の、ほんの一部である。

神聖執行局の通知Divine Prosecution Notification

女王代理アルウィナルウェおよび神聖執行局の命により、サマーセット島への訪問者全てに関係する以下の命令は、即座に効力を発揮する。

訪問者が十分な戦闘能力を有しており、
かつ訪問者が正当なる道徳意識を抱いている場合、

上記の基準を満たしている全ての新参者は、法の執行任務を代理する任命を受けるため、神聖執行局に出頭すること。

至急、筆頭司法高官キャラウェンまで報告することが推奨される

親愛なる護衛へDear Escort

your name

これを読んでるなら、やっと私に追いついたのね。あなたより先に石の翻訳をしていたら、前の扉が開いたの。あなたを待ったけど、扉が閉まってしまう恐れがあった。石にある碑文を読めば、後を追えるわ。翻訳はわりと簡単なはずよ。

星々の導きがありますように、
アンデウェン

追伸 その骨は私のじゃないから心配しないで。

人間の愚行Folly of Man

よく聞け、警告がある
伸びすぎた草がある
予言ならぬ、このささやかな歌には
心に留めるべき教訓がある

さあ物語は開く、哀れなカビの上に
腐敗の上で育つ定め
この見苦しい細菌、それは手品師の反抗
戦いも終わって遥か後の

これは大いなる断裂、念のため言っておく
天が空から落ちた時
彼らはドシンと落ち、泥に命を与えた
この定命の豚小屋を作った。

それは最悪の汚さ、でもそのことは置こう
私の物語は豚に関するもの
この地に根づいたもの、それは人間という種
垢からキノコが生えるように伸びた

その生は短く、取るに足らないとしても
彼らの不手際には注意せよ
笑うのはたやすい、この単純な害虫を
彼らの略奪を見るまでは

人が破滅の太鼓の音に縛られる時、
死体の神の細工を知る。
トリニマクさえ知らずにいた、彼の最後の一撃に
どれほど強く打たれたかを

人物確認証書Writ of Valid Credentials

ここに神聖執行局を筆頭とする諸機関は、スカイリムの向こう見ずなリガートの背後関係を検証、精査し、証書を発行した。その上で神聖執行局は、当該証書を正式で法的拘束力のあるものと認定した。

ゆえに向こう見ずなリガートは、ノルド文化交流探検隊とエボンハート・パクト双方の正式な外交官兼大使であるというのが、神聖執行局の見解である。この資格ゆえ、彼はサマーセットとアルドメリ・ドミニオンにおいて得られる、あらゆる特権と免責を受けるものとする。

準備、立会、検証
神聖執行局司法高官ロルムデル

水晶の塔The Crystal of the Tower

アルケイン学サピアルチ、リランドリルのラーナティル 著

水晶の塔はサマーセット北部にそびえ立ち、アルトマーが敬愛するすべてのものの導き手であり、象徴である。塔は水晶のような法とも呼ばれているが、我々の大切な国境の彼方で信じられていることとは違い、水晶でできてはいない。塔の名前は頂上にある水晶、透明な法から名付けられた。

透明な法は力とエナジーを水晶の塔に送り、それによってこの謎の建造物はサマーセット全土を守っている。塔より放出された力は見えない日よけのように大地を覆い、諸島の安全を確保している。

こうした守りは古く、水晶がこれを建立したアルドマーによって塔に埋め込まれた時に設定された。率直に言うと、サピアルチは塔や水晶の正確な働きについて、完全に理解している訳ではない。アルドマーが水晶の塔を建立したのは初期のアルドメリ植民者の墓を保存するためであり、エルフの霊魂を永久に記憶し、我々が完全に団結していたわずかな時代を記したことは分かっている。

透明な法の重要性は自明だろう。その名から全てが明らかになっている。透明になっているのは簡単に認知や探知をされず、姿を明らかにし、開かれ、明確かつ隠されぬ状態にされないためだ。法とは、次元の一部を支配する原理と規制を意味している。この場合、水晶はアルドマーの遺産の明確ではっきりした原則を明らかにしている。実際のところ、水晶が実体化した聖性の欠片ではないかと疑っている。

明らかに、透明なる法と水晶の塔に対する重要性の理論はサピアルチ大学の中に留まっている。水晶がアルトマーの完璧に対する意欲を吸収してアルトマーに返し、諸島を弱体化させ危険にさらす完璧ではないものを跳ね返しているという説は気に入っている。私に同意する者が多くはないが、水晶の塔に関する誇りと称賛、安全に対する感情が諸島を覆っていると感じられる時はある。象徴的な関係だ。

もしくは、ただの古代アルドマーの魔法かもしれない。誰にわかるだろう?

水晶の塔の賢者Sages of the Crystal Tower

魔術師ギルドの書記、ヌララン 著

彼らを賢く博学と呼ぶ者もいる。サマーセット諸島で最も優れた魔術の使い手と呼ぶ者もいる(ただし私の仲間の多くはその考えに反対するだろう)。彼らはサピアルチ、水晶の塔の賢者であり、サマーセットの王位継承者の教官である。現代の最も偉大な魔術師と言える者のうち、何名かはサピアルチに存在している。しかし彼らはたいてい魔術や難解な学問の学者であり、それぞれ特定かつただ一つの研究テーマを専門にしている。

サピアルチは水晶の塔の番人を務めている。塔は正当な水晶、「水晶のような法」とも呼ばれる。塔の名前は水晶で出来ているからではなく、塔の頂上に透明なる法という魔法の水晶を収めていることに由来する。

塔の中にはわずかな賢者が住み、塔の管理をして秘密を守っている。他にも研究で出入りする者はいる。当然ながら塔に入るには、ただそこへ行って扉を開けば入れる訳ではない。入口は隠されていて、強力な結界によって守られている。唯一入れる方法は塔の衛士の助けを必要とする。この特別に調整された2人のサピアルチは、それぞれ塔に入るために必要な、決意のダイヤモンドを1つずつ持っている。塔の衛士によって、決意のダイヤモンドが正しく調整されて同時に使用されると、その紺碧のダイヤモンドは水晶の塔への道を開く。そのような衛士は2名しかおらず、それぞれ携えるダイヤモンドへのリンクを確立するため、長く厳しい儀式を受けなければならない。衛士たちはその役目に11年間就き、その後は新たな2名がダイヤモンドの保護を受け持つ。

他の賢者たちはサピアルチ大学に入り、それぞれが魔術や難解な学問における特定の分野を担当して献身する。リランドリルのラーナティルはアルケイン学のサピアルチで、サピアルチとその助手に223の異なる分野が割り当てられたこの大学を取り仕切っている。サピアルチはサマーセット中で個人、もしくは小グループで独自の研究を行うか、大学全体のために特定の課題を研究している。研究の中には水晶の塔、またはリランドリルのサピアルチ大学で行えるものもあるが、それ以外は賢者たちが必要に応じて旅し、自分の書斎に閉じこもって、世界で最も大きい複雑な謎についてあれこれと考える。

サマーセット諸島の支配者が領土を収める慣例として使うプラキスの書の解釈者として、サピアルチは重要な儀式学の持続における役割を果たしている。プラキスの書は、アイレン王女が生まれた際には王女が落ち着きのない不穏な時代を象徴し、いずれは支配することになると予言したとされている。時が来れば、王位継承者は必要条件として王位継承の3555日前に、サピアルチの元へアルトマーの王政プラキスと儀式学を学ぶために訪れる。その後、サピアルチ大学は新しい支配者にとって強力な人材として仕え、求められれば助言や意見を提供する。

学問を追究している者として、サピアルチは兆候や前兆に対して過度に興味を持っているように見える。彼らは星座の動き、月の位置、動物の気質、さらには一世一代のスープに浮いている泡の渦にまで、深く重大な意味があると考えている。こうした知性と迷信の綱引きは、私たちにとって矛盾のように思えるが、サピアルチは同じコインにおける表と裏のように捉えている。そしてコインと同じように、中に入る代金を払うには両方とも必要だ。少なくともサピアルチはそう言っている。

サピアルチの主な研究分野には、オブリビオン学、教化、アルトマー遺産、付呪、神話史、デイドラの誤謬、月学、神正統主義がある。それぞれの研究室と研究分野を示すため、各自がアルトマー美術のサピアルチ、海軍考案のサピアルチ助手といった肩書を持っている。サピアルチは一生、もしくは学問分野の変更を申し立てるまで、その肩書を持つ。ただし、塔の衛士は決意のダイヤモンドにまつわる責務を11年間全うした後、塔の鍵を後任となる次のサピアルチに渡してから、自分たちの研究分野に集中する生活に戻る。

聖なる数に関する考察Thoughts on the Sacred Numbers

この完璧な庭に座り、私は聖なる数について考える。吉兆とされ、宇宙の存在にとって重要と我々が認める数である。

3は最高位の天体の数であり、太陽と2つの月に体現されている。これは私の完璧な娘たちの数でもある。だから我々はこれ以上後継ぎを生んではならない。

5は元素の数である。現実は大地、大気、水、火、エーテルから成っているからだ。これはまた、私が机の上で同時に開いておく本の数でもある。

8は惑星の数であり、3と5の合計でもある。8はまた私が哲学協会の会員たちと繊細なトーニーポートワインを飲む際に定めている、杯の数の制限でもある。それ以上でも、それ以下でもない。

以上が良き数である。そして良き数の合計を我々は16と呼ぶが、これは非常に強力な数だ。

しかし悪い数には気を付けねばならない。2は視野を欠き、二元性を示そうと試みる。それが不可能であることは誰もが知っている。

船乗りに贈るシーエルフガイドA Sailor’s Guide to Sea Elves

シルバーセイル号のヴィリルダ 著

あなたが王立海軍の一員であれ、単に海上の旅行者であれ、マオマーの船を地平線の上に発見するという不運を経験する前に知っておくべきことがある。このガイドは避けがたい事態が起こる日に備える一助になるだろう。これを最初の教訓としてほしい。たとえ短時間でも海上や海辺で過ごせば、シーエルフに出会うことがある。

名前が示しているように、シーエルフは水上を故郷とする。彼らは波を利用することに長けているため、マオマーの船は海と呼べるような場所でさえあれば、いつまでも海上にいられる。マオマーは我々の交易船を襲撃し、艦隊に奇襲をかける際、この点を最大限に活用する。退却するシーエルフの船は決して追いかけてはならない。たとえ弱っているように見えてたとしても。彼らは相手に追いつけると思わせて誘い込むが、勘違いしてはならない。シーエルフのカッター船は我々の艦隊のどの船よりも早い。すぐに沖に誘い込まれて安全に退却できなくなり、鮫のようにあなたの周囲を回り出す。食料が底を突き、衰弱して戦えなくなると、マオマーはとどめを刺しに来る。卑劣ではあるが、有効な戦法だ。

第二に、地上が見えるのでない限り、シーエルフの船から逃げてはならない。見えているとしても、大いに気をつけるべきだ。問題はマオマーに追いつかれるかどうかではなく、いつ追いつかれるかだ。マオマー船に対峙した時の最良の行動は、立ち止まって戦うことである。少なくともこれなら優位に立てる可能性がいくらかある。シーエルフの艦隊は大抵の場合、小さく小回りの利く船で構成されており、素早い一撃離脱の戦法に適している。素早く鼻先をへし折ってやれば、本格的な攻撃へと入る前に追い払える可能性がある。

マオマーと戦う際、恐ろしいのはバリスタなどではない。彼らは海そのものを武器にする。スループ船より大型の船ならどれにでも、その帆の下に少なくともシーメイジが1人いて、風と嵐を召喚し、あなたの船をおもちゃのボートのようにひっくり返そうとしてくる。マオマーのシーメイジをできるだけ早く無力化するため、あらゆる努力を費やすべきである。波で倒せないとなると、シーエルフは獣を放ってくる。マオマーは戦力のために様々な種類の海の肉食獣を交配し、訓練している。水上を飛んで甲板を襲う翼のついたリーフバイパーから、戦艦を転覆させるほど大きなシーサーペントまで。いずれにせよ、一定の速度で移動し続けていれば、こうした怪物はあなたの船へと辿りつく前に疲弊するだろう。

マオマー自身について言えば、欺瞞的な戦術に騙されてはいけない。シーエルフは凶悪な戦闘員であり、アルトマーの血を流す以外の望みを持っていない。彼らがあなたの船の甲板に乗り込んできたら、厳しい戦いが待っているだろう。マオマーは海が最も荒れている時でさえ驚くほどバランスを崩さず、船の索具を通り抜けることに関しては軽業師よりも機敏だ。想像がつくかもしれないが、よく訓練され装備を整えた海兵が侵入に対する最大の防御となる。しかし白兵戦では、回り込みを防げるように陣形を整える必要があるだろう。シーエルフの襲撃者は分散した敵を素早く圧倒する包囲戦術を好むからだ。

ガイド1冊から学べることは限られているが、この知識によって、生死を分ける日の準備を整えやすくなることを願っている。フィナスタールがあなたの船旅を導くように。

捜査官ヴェイル:シャンブルの廷臣(パート1)Investigator Vale: Retinue of Shambles, Part 1

ウッドエルフが汚れ一つない船室のベッドの上で、大の字に倒れていた。短剣が胸から突き出し、下には血だまりが拡がっている。「殺人か、ヴェイル?」と帆船シルバースワン号の船長を務めるハイエルフ、ネムダランが言った。もう少し不吉でない方がいいと期待しているのは明らかだった。「間違いないのか?」

捜査官ヴェイルはため息をついた。「誤って自分の心臓に刃を突き刺したと思うの、ネムダラン船長?ないとは言い切れないけど、可能性はとても低いと思うわ」

ウッドエルフの醸造業者フィリノールは、サマーセットの国境を開放するというアイレン女王の布告に応えるつもりでいた。ハイエルフの故郷に足を踏み入れる、最初の新移民の一人になるはずだった。彼は今やヴァレンウッドの想い出、イフレのキャンプの客人でしかない。捜査官は身をかがめて近寄り、醸造業者の胸から突き出している柄と持ち手を調べた。

「お高く止まったハイエルフの誰かがやったに違いない」とカジートの仕立屋ザラキが言った。「アイレン女王がいくら約束しても、あの連中は自分たちの清純な島を我々に汚されるのが我慢ならないのさ」

「そうかもね」とヴェイルは言いながらロウソクの火を使い、殺人に使われた武器の持ち手を装飾している、緻密な彫り模様をよく調べようとした。「でも、儀式用の短剣が使われているのは重要だと思う。きっとデイドラ関連ね。ここにあるシンボルの全てが分かるわけじゃないけど、模様は複数のデイドラ公の崇拝を示唆している。興味深いわ」

「それで、推理はどうなんだ、ヴェイル?明日の朝にはシマーリーンに到着する予定なんだよ!」とネムダラン船長はせき込んで言った。

「私の推理ではね、船長さん。あなたの船には殺し屋が乗っているだけじゃない。殺し屋で、しかもデイドラを崇拝してる何者かが乗っている。一番興味深い類の殺し屋ね」とヴェイルは言った。興奮を隠す気もほとんどないようだった。「この旅もようやく面白くなってきたわ!」

* * *
ヴェイルとカジートの仕立屋は船底にある船室を捜索し、床から天井まで積み上がっている木枠箱、小樽、大樽などの狭い隙間を探した。「私に付いてこなくてもいいのよ、ザラキさん」と、捜査官は困惑して言った。「自分の身を守る術は心得ているわ」

「ザルは信用してない訳じゃない、捜査官」とザラキは返しながら、黄褐色の毛から蜘蛛の巣を払いのけた。「ただ、一人でこの船底まで下りて行かせるのはよくないと思った。殺人犯がうろついているのだからな。船長や臆病者の船員たちがどうして手伝いを申し出なかったのかは、ジョーデとジョーンだけがご存知だ!」

ヴェイルは積み上がった木枠箱の山2つの間に体を滑りこませ、貨物の中にある、少し開けた場所へと進んだ。山のうち1つがぐらついていることにヴェイルは気づいた。支えている縄が旅の間に緩んでいたのである。彼女は注意深く進んで不安定な山を通り過ぎ、開けた場所の中心に立った。

「ちょうど予想したとおりの場所で見つかったわ」とヴェイルは誇らしげに言い、急ごしらえで作られたデイドラ公の祠を指差した。「グウィリム大学でデイドラ学の教授に受けた授業の記憶が正しければ、誓いと約束の神ね」

ザラキはルーンに覆われた床と、その中心から立ち上がっているデイドラのシンボルの周囲を警戒しながら回った。「大学に行ってたのか?」

「まあ、個人授業を数回聴講したと言っておくわ」とヴェイルは悪戯っぽく言った。「私が彼女から学んだのと同じくらい、彼女も私から学んだ。それがちょっとした自慢よ」

カジートが毛に覆われた手を、邪悪なルーンに囲まれ頭蓋骨を上に乗せた木製の台座に向かって伸ばすと、捜査官はその手をぴしゃりと打って止め、静かにするよう身振りで示した。隠された祠に足音が近づいてきていた。ヴェイルとザラキは、密集した木枠箱の影に身を押しつけて待った。少しすると、木枠箱の山の隙間から、高貴な身なりをした背の高いハイエルフが現れた。

「あなたがデイドラ信者?」と尋ねつつ、ヴェイルは驚いているハイエルフの進路を塞いだ。

「欺きの王の餌食になるがいい!」と彼は叫び、ベルトから曲がった短剣を引き抜いた。「よくも、シャンブルの廷臣の問題に首を突っ込んでくれたな、ブレトンの放浪者め!」

ヴェイルが返事をする前に、ザラキが飛び出した。仕立屋はどこから取り出したのか剣を構えて、信者の短剣による突きを防いだ。「レディに向かって、その態度はないだろう!」

信者は短剣をカジートに向け、呪文を唱え始めた。唱え終わるのを待つことなく、ヴェイルは高価な革のブーツをハイエルフの腰にめり込ませた。蹴りは信者を横に突き飛ばし、緩んでいた木枠箱の山に突っ込ませた。木枠箱は床に散乱し、その下の信者を押しつぶしてしまった。

「しまった!」とヴェイルは言い、目にかかった髪の毛を払い落とした。「全部丸ごと落ちてくるなんて思わなかった!死んだら口を割らせられないじゃない!」

「とにかく、殺人はこれで終わるんだろう?」とザラキは言った。

「こいつはシャンブルの廷臣と言っていた」とヴェイルは答えた。「これはまだ始まりにすぎない予感がするわ」捜査官ヴェイルは立ち止まり、見定めるようにカジートを眺めた。「それと、あなたはただの仕立屋じゃないって気がするんだけど」

「私が?この者は何を言いたいのか見当もつかないな、捜査官」

ヴェイルは顔をしかめた。「謎ね、ザラキ。知らないの?捜査官ヴェイルは謎を解くのよ。でもそれは後で解決するわ。今は二人とも、酒が必要ね。船底の掃除が必要だって船長に伝えましょうか?」

捜査官ヴェイル:シャンブルの廷臣(パート2)Investigator Vale: Retinue of Shambles, Part 2

捜査官ヴェイルは酒場のラウンジにある小さなテーブルに座り、装飾を施された輝くグラスからゴールデンワインを飲んだ。ラウンジの窓はシマーリーンの大通りに面しており、ヴェイルはハイエルフたちが行きかう姿を見ながら、シルバースワン号乗船中に起きた出来事に思いをめぐらせた。シャンブルの廷臣と名乗っていた信者たちのことが、ヴェイルは口に出した以上に気になっていた。この集団が複数のデイドラ信者から成っていて、何か不吉な計画を抱いているらしいとなればなおさらだ。その計画はサマーセットだけでなく、世界全体を脅かすものだとヴェイルは気づいていた。

これは明らかに、ヴェイルが普段相手にするような事件ではなかった。しかしこの近くには、他に解決しようと名乗り出る者は誰もいなかった。サマーセットへの旅は基本的に何事もなく、気楽なものになるだろうと思っていたのに。

ただの仕立屋だと主張するカジートが大股に歩いてきて、ヴェイルの向かい側にある空いた椅子に身を落ち着けた。「ザラキ抜きで飲み始めたんだな」と言いながら、彼は自分のグラスにワインを注いだ。「この者は追いつかなきゃな。ぐいっと!」

ヴェイルはザラキとグラスを合わせてから、泡立つワインをぐっと飲んだ。「白状するけど、この異国の地では調子が出ないのよ」と彼女は言った。「私が普段使っている情報屋や調査網は海の遥か向こうにある。シャンブルの廷臣とかいう連中について、詳しく知るための方法を考えなきゃ」

「心配はいらない、お嬢さん」とザラキは陽気に言った。「こういう時に私たちを助けてくれそうな奴を、この者は何人か知っている」

「私たち?」ヴェイルは訝しげに言った。「最初の質問に戻るけど、本当は何者なの、ザラキ・ダー?」

「この者は糾弾するような口調に傷ついたぞ、捜査官。でも名前の後に敬称をつけてくれたのは嬉しい。その響きはとてもいい。とにかく、信者たちをどうにかしたいんだろう?」

「もう、分かったわよ」と渋々ヴェイルは言った。「サマーセットでの、あなたの情報源のところに連れて行って。きっと服の卸業者やボタン商人が、この島のデイドラ信者の活動を全部教えてくれるんでしょうね」

「質問する相手と内容さえ心得ていれば、驚くほど多くの情報が得られるものだ。そばにいて、ザラキに手本を示させてくれ!」

* * *

4時間後、ザラキについてシマーリーン中の店先や酒場、裏路地を回った後では、ヴェイルもこのカジートが相手に話させる術を心得ていると認めないわけにはいかなかった。彼は魅力的で愛想がよかったが、相手に応じて、話を引き出すために必要な場合は恐ろしく威圧的になった。ヴェイルにはこの男を敵に回すつもりはなかったが、腕前には感心した。それでも、曖昧な噂話や突飛な主張を除けば、シャンブルの廷臣を探す手掛かりは得られなかった。その時、二人は巻物や写本、とてつもなく古い本でいっぱいの地味な店に足を踏み入れた。

「レンテルファン!」とザルは静かな紙の山に向かって呼びかけた。「旧友のザラキが訪ねてきたぞ!」

高く積み上がった山の1つから、ハイエルフが出てきた。長い黒髪の女で、貴族の装飾品を身につけていた。首の周りの鎖からメダルがぶら下がっており、蜘蛛が糸を紡ぐ姿が描かれていた。美しい意匠だが、なぜかヴェイルは居心地が悪くなった。

「レンテルファンはもうこの店の主じゃないわよ」とハイエルフは言った。「何かお手伝いできることがあるかしら。あるとは思えないわね。私は普段、あなた方のような人々とは取引をしないもの」

「あのねえ、何を偉そうに――」ヴェイルは我慢できず、女の前に歩み寄ろうとしたが、ザラキの力強い手に押し留められた。

「お連れの汚い猫は自分の立場をわきまえているようね、ブレトン」とハイエルフは嘲笑った。「あなたも見習えばいいのに」

「高貴なお方よ、これはとんだ失礼を」ザラキは喉を鳴らし、二人の女の間に割り込みつつ、ハイエルフに向かって低く頭を下げた。ザラキは仰々しく複雑な謝罪を続け、その間ヴェイルは後ろに下がり、この機会に周囲をよく観察した。

捜査官ヴェイルの視線は、羊皮紙と何十もの巻物の山の下に埋もれている小さな机の上に止まった。特に1枚の紙がヴェイルの注意を引いた。名前と場所のリストのようだが、その一部はヴェイルが今回の旅行の準備のため、サマーセットの地図を調べていた時に見た覚えがあった。紙にはヴェイルに分からないシンボルも含まれていた。ヴェイルはザラキがハイエルフの視線を塞いでいることを確かめつつ、羊皮紙を長いコートの内ポケットに滑り込ませた。

「もう飽きたわ、ザル」と言って、ヴェイルは黒い髪を振り上げ、唇を目いっぱいとがらせた。「夕食といいワインを約束するって言ったじゃない。ここはダガーフォールのレストランとは似ても似つかないわ」

二人は素早く店を出て、あのハイエルフが追って来ることを考え、背後を一瞥した。

「今、お前が戦いそうになった相手が誰だか分かるか?」ザラキが聞いた。

「メダルから判断するに、メファーラの上級司祭ね」とヴェイルは言った。「しかも驚くほど失礼なやつ。でも、この辺りで起きていることの手掛かりになるかもしれないものを見つけたわよ。あなたの知り合いに、デイドラ語を読める人がいれば」

「この者はたくさんの物事についての専門家をたくさん知っている」

ヴェイルはカジートに微笑みかけ、彼の前足を握った。「あなたのことが好きになってきたような気がするわ、ザラキ・ダー」敬称で呼ばれて、ザラキが喉を鳴らす音が聞こえた。

小さな蜘蛛が後をつけてきていることには、二人とも気づいていなかった。

捜査官ヴェイル:シャンブルの廷臣(パート3)Investigator Vale: Retinue of Shambles, Part 3

捜査官ヴェイルは落ち着きなく足で地面を叩きながら、古書店から取ってきた羊皮紙をハイエルフが翻訳し終えるまで待っていた。ザラキは彼女に目で合図したが、ヴェイルは無視してさらに激しく地面を叩いた。

デイドラ学のサピアルチ助手であるガラーディルは体を後ろに反らし、目をこすった。「私のところに持ってきてくれて正解でした、密偵どの――」

「いやいや」ガラーディルの呼びかけにヴェイルが眉をひそめたのに気づいて、ザラキは割り込んだ。「ここにいるのは皆友人だ。そんなにかしこまらなくていい。ザラキか、ザルと呼んでくれればいい。話を続けてくれ…」

「ここに出ている名前はハイエルフ社会の著名なメンバーです。各人がサマーセットの決まった場所に結びつきを持っている」とガラーディルは説明した。「デイドラの象徴については、彼らは3柱のデイドラ公を崇拝しており、強力な遺物に言及しています。この遺物はどのようにしてか、人々と場所に関連しているようです。実に興味深い!これをどこで見つけたと言いましたか?」

「そんなこと言わなかったわ」とヴェイルは言って羊皮紙を取りあげ、背を向けて立ち去ろうとした。

「そんなに急いでどこに行くんだ、お嬢さん?」とザラキは言って、ヴェイルを追おうとして立ち上がった。

「ただのカジートの仕立屋が私の仕事に興味を持つとは思えないわ」とヴェイルは何気なく言った。「でも、〈女王の瞳〉の密偵、ザラキ・ダーの助けなら借りてもいいわよ」

「何?一体誰が…?この者は別に――」ザラキは口ごもった。そして静かに言った。「いつ分かった?」

「知らないの、ザル?」とヴェイルは意地悪く言った。「女王の耳ザラキ・ダーの物語は、文明の劣ったハイロックの海辺にさえ届いているのよ。私はあなたの黄褐色の、毛深くて丸い…頭に目をやった瞬間から分かってたわ。まあ、それよりは後だったかもしれないけど。さあ、シャンブルの廷臣を止めに行くわよ」

「おかげさまで、ザルの毛深くて丸い…頭は皆に大人気だよ」とザラキはブツブツ言いながら、捜査官ヴェイルに追いつこうとして急いだ。

並んで歩く二人は、小さな蜘蛛がヴェイルの長いコートの後ろにくっついている姿を見ていなかった。

* * *
日没が迫る中、ヴェイルとザラキ・ダーは注意しながらシマーリーンの外にあるサンゴの森へと進んだ。石のように硬くなったサンゴは、島の東海岸に沿って不思議な迷宮のような地形を生み出していた。羊皮紙に記されていた手掛かりが二人をここに導いたのである。この一帯に数歩入りこんだ途端、二人は不吉な歌声が突き出たサンゴに反響して、自分たちの周辺に迫ってくる音を聞いた。未知の言葉は刃のように鋭く、ヴェイルの背筋を寒くし、ザラキは毛を逆立てた。

二人はサンゴの迷路の奥へと進み、周囲に目を光らせた。サンゴの柱の後ろでかがり火の明かりが明滅したのを見て、ヴェイルはその方向へと向かった。ザラキは無言で彼女の肩に前足を置き、警戒を呼び掛けた。ヴェイルはうなずいて、柱の周囲を覗き込んだ。

サンゴの森の中心部にある開けた場所の中には、以前古書店で会った、メファーラのメダルを身につけたハイエルフが、三面の祠の前に立っていた。祠は抽象化されてはいるものの不愉快なほど不格好で、3柱のデイドラ公のシンボルがあしらわれていた。女は3つの燭台に燃えている炎に見入りながら、同じ言葉を何度も繰り返し詠唱していた。彼女の背後では空気が揺らめき、奇妙な、自然のものではない光がきらめいていた。何かが起きようとしていた!ヴェイルが動くよりも先に、小さな蜘蛛が彼女の背中から小走りで降り、信者に走り寄った。女の肩にまで駆け上がった時、蜘蛛は猫ほどの大きさになっていた。

「ちょうどいい時に来たわね」とハイエルフは軽蔑をむき出しにして言った。「下等な種族の中ではあなたたちが最初よ、生まれ変わったアルトマーの威厳と力を味わうのはね!」

「ねえ、ザラキ・ダー」ヴェイルは言った。「この尖り耳の、大げさでデイドラ好きな馬鹿は何のことを言ってるんだと思う?」

「見当もつかないな、お嬢さん」ザルが返答した。「だが、この者はあの祠の見た目が気に入らない。あまり合法でもなさそうだ」

「そう、それだったら」とヴェイルは言って2歩前進し、間に合わせの祠に重い革のブーツで蹴りを入れた。祠はバラバラになり、小さな燭台3本は飛び散って、3つの小さな炎のうち2つが消えた。

信者の背後の光が消え、空気が揺らめくのを止めた。女は激昂して叫んだ。女はローブから長く湾曲した短剣を引き抜き、肩に乗った蜘蛛は立ち上がって口を開いた。

「デイドラ信者の遊びには付き合っていられない」とザラキ・ダーは言い、自分の剣を抜いてヴェイルの前に進み出た。「女王の命により、この者はお前の降伏を受け入れよう!」

それを合図に、十数名のドミニオン兵士が開けた場所に押し寄せ、信者を包囲した。各人が武器を構えていた。信者と蜘蛛は周囲を見渡してから、女は短剣を落とし、蜘蛛は元の姿勢に戻った。

「このままでは終わらないわよ」とハイエルフの信者は捨て台詞を言った。

「そうかしら、終わりだと思うけど」とヴェイルは陽気に言い返した。「少なくともあなたに関してはね」

* * *
ヴェイルは枕にもたれかかり、宿屋の上階の暗い部屋を見上げた。「ああいう連中がまだいると思う、ザル?」

ザラキ・ダーは片手で自分の頭を抑えつつ、もう片方の手でヴェイルのあらわになった腿を撫でた。「いつだっているさ、お嬢さん。だから女王はこの者を抱えているんだ」

「まあそれなら、とりあえず気にしないでおくわ。私はもう一度あなたの黄褐色で毛深い――」

ザルはヴェイルにキスして言葉を遮った。彼女もお返しをした。

懲戒処分Disciplinary Action

クオリル

厄介者の番人助手のことだが、協力できる機会を狙ってレンジャーをつけ回している。しかもまたレンジャーへの異動を志願してきた。エリーゼに今の任務に集中させろ。そうすればそんなことをしている暇はなくなるはずだ。お前の部下の管理はお前の仕事だ。だがそれが私たちの仕事に影響を及ぼすなら話は別だ。レンジャーは隠密行動を得意としているとエリーゼに伝えてくれ、訓練はそこでもできるはずだ。

管理者ヴァインロア

倒れし者の言葉Words of the Fallen

デイドラ公を決して信じるな。この件から学んだことはそれだけだ。私は昔、自分には目的があると思っていた、大がかりな計画の一部なのだと。私は目的を果たした。少なくともそう思っている。だが結果的に、それは想像したようなものではなかった。メリディアは私を器だと言った。私の運命は、彼女が作った瞬間に決まっていたのかもしれない。

私は彩られた部屋に戻ってきた。私はメリディアのためではなく友人のため、剣の修復に力を注いだ。それが私の目的だと思ったからだ。確かに私は戻ってきた。だが今回は前と違う。私の光は消えかかっているのだ。暗闇が近付いている。もう時間がない。光が消えてしまえば、全て終わりだ。

メリディアについて教えておきたいことがある。彼女は詐欺師だ。彼女に尽くすことで、私は自由を与えられるはずだった。彼女は私に、自由とは虚無を別の言葉で表現したものだと語った。彼女を信じるな。デイドラ公を信じるな。絶対に。

だが私は安寧を手に入れた。メリディアは私に世界と守るべきものを見る最後のチャンスを与えてくれた。かつて愛した者たちを救うため。少なくとも、それには感謝している。

できるなら全員に別れの挨拶をしたかった。スコルド。ガブリエル。寂しくなる。だが、とにかくyour nameだ。彼らが私にとってどれほど重要な存在だったのか、理解されることはあるだろうか。もしかしたらまた会えるかもしれない。他の場所で、他の時間に。だがその時の私は、こんなことを書かないだろう。そんな私もいつかいなくなる。仕方ない。

できることなら皆と一緒にもっと過ごしたかった。もっと冒険に行きたかった。いつも話していた飲み物を注文したかった。

友人たちには安寧と幸福と愛に満ちた人生を送って欲しい。私は手に入れられなかったが、彼らには権利がある。この本を見た人に言っておくが、私はここで挙げた人々のことを決して忘れない。彼らに会うことを願っているが、会ったら伝えて欲しい。

愛する者を守れ。手放すな。その瞬間を大切にしろ。笑顔にし、一緒に喜べ。一緒に笑いながら、とても貴重な瞬間だということを決して忘れるな。

それから、私のことを忘れるなと伝えてくれ。まあ、私は伝説の存在だからな。

親切で、男前で、謙虚な騎士

ダリアン・ゴーティエ

謎の後援者:メファーラThe Inexplicable Patron: Mephala

ディヴァイス・ファー 著

トリビュナル聖堂の自称「司祭兼学者」と話すと、私はよくあることだがいつも気恥ずかしくなってしまう。だが我々の祖先たちを「受け入れた」デイドラの性質について大きな誤解があったとしても、当たり前だが驚くようなことではない。現代の司祭はつまらない暗証と、巡礼から金を搾り取る技術のみを訓練しているようで、本来の役割から悲しくなるほど大きく逸脱してしまっている。これを冒涜行為だと考える者もいるだろう。その場合は私との話し合いに招待している。お望みなら魔法による対決でも構わない。社会についてそれほど興味はないが、無知を是認するこの流れを誰かが止めなければならない。

ダンマー全員が私と同じような知的領域に到達できるとは思わない。一般的なエルフは、日々を生き抜くために日常生活を中心に考えている。だとしても、いかなる場合でも怠惰は嫌悪すべきことであり、下層階級の者でも独りよがりな情報の選択は許されない。善きデイドラのわかりやすい例を挙げさせてもらおう。まずは最も誤解されやすいメファーラについてだ。

「善き」という単語はいかなるデイドラに対しても不適切な表現方法だ。だが残念なことに当たり前のように使用されている。各々の領域の絶対的な表現者であるデイドラ公たちは、我々の道徳で分類できるような行動を取らない。デイドラとはそういうものだ。メファーラ、ボエシア、アズラは、ダンマーに多くの利益をもたらしてくれた。そのことを考えると確かに善き存在だ。だがその動機と目的、それがもたらす影響については我々の知るところでない。

メファーラが「網の紡ぎ手」と呼ばれているのには理由がある、だが現代のダンマーはこの異名を知らないらしく、共感を示す代わりに、メファーラが「守護している」正反対の存在である、暴力と知恵と詩の伝道者ヴィベクに傾倒している。この風潮が原因で、メファーラの望みである本来の意味が覆い隠されてしまっているのだ。

メファーラは我々の先人に、全面戦争時に敵だけでなく、味方とも戦うために暗殺術を教えた。子孫たちがタムリエルに移住し、ノルドやダンマーと難しい交渉をする時に「善く」役立ったことは間違いない。我々は綿密な計画の立て方、嘘の付き方、敵をおびき出して罠に掛ける方法、困難の乗り切り方や結果の予測方法を学んできた。しかし、このデイドラ公がなぜ我々を特別視するのか、自問する者は少ない。騙されやすい者は我々が選民だという幻想を抱き、冷笑的な者は我々がデイドラのおもちゃに過ぎないと考える。だが、どちらも恐ろしいほど馬鹿げた仮説でしかない。

デイドラには創造力がないことを忘れてはならない。彼らができるのは模倣、操作て誇張だけである。中には定命の者をただの道具としか考えていない者もいるが、メファーラは当てはまらないだろう。彼女の行動には必ず意味がある。アービス全体を、因果を結び付けるシステムと考えており、彼女自身も新たに糸を紡ぎ、結果に影響を及ぼしている。

ではその目的は?それは私のように、自分で見つけなければならない。私が秘密のデイドラ公の秘密を明かすほど、愚かだと思うだろうか?

番人の誓いThe Keeper’s Oath

番人の目に祝福あれ、
深紅と黄金で作られ
悔悟の眼差しは呪われた墓に向けられ
最も昏き日々より
骨と死の幕が下で動く時
灯る火を写すため
彼女が負う闇を強いて
魂をきつく縛るため

筆頭司法高官キャラウェンへTo Chief Justiciar Carawen

筆頭司法高官キャラウェン

任務は失敗した。司法高官アヴァナイレが裏切り、配下の兵士たちを何人も殺した。彼女はトー・ヘイム・カードに逃げ込んだ。残った戦力で彼女を追跡中だ。星々の導きがあれば、真珠を取り戻せるだろう。

この伝言があなたに届くことを願って、兵士を派遣する。増援を送ってもらいたい。この遺跡には、アヴァナイレ以外の相手も待ち伏せている。

テロムレ隊長

貧しき姫(第1幕)The Peasant Princess, A Play in One Act

語り手:かつてアリノールの中心にヴィレニアという若いエルフが住んでいた。かなりの美人であり、大勢から讃えられていたが、家は常に貧しかった。そのため召使として働いていた

ヴィレニア:ああ、この境遇から逃れられたらいいのに

ナレーター:ヴィレニアは熱心に掃除をして、女主人のテリルディルからよく褒められたが、なおも驚きに満ちた豪奢な生活を夢見ていた。王宮での来たる舞踏会を耳にすると、ぜひ参加したいと思った

ヴィレニア:王宮の舞踏会!王子様もきっといらっしゃるわ!でもこのような服では行けない

ナレーター:ヴィレニアは決意した。節約し、嘆願し、懇願し、ようやく美しいドレスを購入できた。裕福な女主人を説得して付き添いにもなってもらった

テリルディル:あなたはこれまでずっと働き者だった。頼みを断れる訳がないでしょう?

ナレーター:それでも、賢い女主人のテリルディルは召使に警告を与えた

テリルディル:舞踏会に行ってもいいけれど、あなたの居場所は忘れないでね、ヴィレニア。どれほど美人で、綺麗に着飾ったとしても、召使であることに変わりはないわ

ナレーター:これを聞いたヴィレニアはとても悲しかった。裕福な貴族の目にとまりたかったのだ。しかし、よき召使として彼女は押し黙っていた。まさに次の夜、女主人と召使は舞踏会に参加した

ヴィレニア:何て素晴らしい衣装!何て美味しい食事!毎日がこのような優雅な雰囲気なら、私はサマーセット一幸せなエルフになるでしょう

ナレーター:余りにも美しいヴィレニアは、若い王子の目にとまった。あらゆる礼儀作法を忘れてやってきた王子に踊りを誘われた。王子と召使の少女がその夜の大半を踊ったのであった

王子:あなたほど美しいエルフは見たことがない。ご両親はどなたかな?

ヴィレニア:王子様、正直に言わなくてはなりません。両親は貧しい農民であり、私は裕福な女主人の召使の女に過ぎません

ナレーター:魅力に溢れるエルフの美しい目を見つめたまま、よき王子は事実に驚愕した

王子:私は騙されたのか!求愛していつかは結婚するような大貴族のエルフと思ったが。ただの召使の少女とは

ナレーター:ヴィレニアはその言葉に傷ついたが、本当のことだと分かっていた。王子と結婚できるのは貴族のエルフに限られる。ヴィレニアは、自らの城で相応しい夫を見つけると決意した。当然のことながら、王子は相応しい評判の上級公女と結婚し、召使の少女とは二度と話さなかった。よって私たちはみな忘れてはならない。外見や所持品にかかわらず、我々は常に家に縛られるのだ

粉砕の技、第一巻ART OF SMASHING VOL. 1

ハードカバー版

言葉の細工師ウルベク 著

序文:

ウルベクはこの本が、趣味と実益のために粉砕する夢を追求する、喜びと自信を読者に与えることを願う。粉砕を始めたばかりの時、ウルベクは小さく貧弱な子供で、クラン・タムノッシュのために岩を削っていた。ウルベクも多くの粉砕を失敗してきた。特に紙だ。今ウルベクは言葉を粉砕する事業で大成功した起業家だ。粉砕の難しさに粉砕されてはならない。粉砕が辛くなったら、さらに激しく粉砕するべきだ。

献辞:

粉砕の旅の序盤でウルベクを支えた最初の顧客、ウルベクの親友ファローク、床で寝かせてくれた小さな親方のラウモントに。

第一章:粉砕する対象の発見

粉砕の道を進むことを選んだ場合、どこから始めればいいか不安だろうとウルベクは推測する。全てのものが粉砕に適しているわけではない。木を粉砕するのは楽しいが、バラバラになって壊れるだけだ。金属にも粉砕に向いたものはある。だが正しい粉砕の仕方を知らなければ、脆くて弱いものしかできない金属もある。粉砕できるもので溢れている世界の中で、初心者にいいものは何だろう?答えは簡単だ。岩を粉砕しろ。

岩を粉砕するのは無意味だと考える読者がいるかもしれない。その読者は馬鹿だ。ウルベクは岩の粉砕から始めた。岩を粉砕すると粉砕のための筋肉が付き、もっと大きなものを粉砕する準備ができた時、粉砕して鉱石を集められる。ウルベクは小さな岩から始めて、より大きな岩や石の壁に進むことを勧める。そうすれば痛くない。オークなら話は別だが。

休まず常に粉砕できるようになったら、有用な粉砕が行える。例えばハンマーを作るような。石を粉砕し続け、石像でも作りたいと考える者もいるかもしれない。ウルベクは読者の情熱に水を差したくはないが、石で美しいものを作るには優しく粉砕する技術が必要だ。ウルベクは上級の粉砕技を後の巻で披露する。次の章では、鉱石を粉砕する方法を扱う。ウルベクは次の授業のため、鍛冶場を使えるようにしておくことを読者に勧める。

閉鎖の終わりAn End to Isolation

アリノール玉座の君主であり、アルドメリ・ドミニオンのイーグル・プライマーチたるアイレン・アラナ・アルドメリ女王による、女王の儀式学的布告により、長きに渡ったサマーセット諸島の閉鎖は終わりを告げる。勇敢で無私のアルトマーは、甘やかされ怯えた子供のように世界から隠れることはない。もはや味方や仲間から隔絶されることはない。その代わりに先人の故郷の象徴的な門を開き、仲間として迎える。そして友情を抱き、対話、交易、外交に関わりたいと真に望む者は、誰であってもサマーセットを訪れられるようにする。

この命令に対応するため、私たちは先入観や先天的な偏見を捨て去らなくてはならない。心を開き、豊かな土地を世界と共有せよ。サマーセットの誇りあるアルトマーには、古い不当な行為を許し、過去の反目を忘れてもらいたい。立場や文化の差を受け入れ、それによって心に友情の花を咲かせるべきだ。これは私の確固たる理想であり、女王陛下の命令でもある。

上級公と上級公女、キャノンリーブ、神聖執行局の調査官、サマーセットの市民に対し、過ちを犯さぬよう告げる。女王陛下の意志と、この命令の意図は完全に明らかである。サマーセット諸島が、下等種族の立ち入りを禁じることはない。名誉、高潔、事業の基準に達する者は、旅人、商人、移民を問わず皆を歓迎する。私たちは友情でアルドメリ・ドミニオンを形成し、友情でサマーセットをさらに完璧な楽園とする。これは私の至高の理想であり、女王陛下の命令でもある。

返事をください。愛しきおばダイヤンニよりPlease Respond, Your Beloved Aunt Daiyanni

愛するルルタリへ

あなたの最後の書簡からこれで3通目の手紙になるわ。あなたの健康が心配なの。あなたの父親がしていることは不気味だし、正直に言って危険よ。その感染した旅人たちを自分の家に連れてくるだけでも愚かなことだけど、病人たちと一緒に家の地下聖堂にこもるなんて正気とは思えない。そんなおぞましいことをして、神聖執行局がどう思うの?あなたの父が耳を貸さないのならコルグラドを離れ、彼が正気に戻るまでここに留まりなさい。父を説得できるなら、あなたの兄弟も一緒にね。少なくとも、あなたが無事でいるという知らせをちょうだい。

あなたのおば、

上級公女ダイヤンニ

本物の捜査官ヴェイル?The Real Investigator Vale?

人気のあるミステリー小説「捜査官ヴェイル」の、秘密主義の作家を追う。
流浪の年代記作家アダンドラ 著

捜査官ヴェイルの事件を詳しく描いた人気のミステリー小説は、何百万冊も売れている。有名なブレトンの探偵の冒険はダガーフォールだけでなく、ウィンドヘルムやスカイウォッチでも引っ張りだこである。だが他の作家とは違って、捜査官ヴェイルの作者は自作の素晴らしいヒロインと同じ舞台に立とうとはしない。実際、彼女が誰であるのかは今まで不明だった。

この逃亡中の年代記編者は、ダガーフォール・カバナントの諜報部門であるダガーの環の元メンバーの話を聞いてから、この謎の調査を始めた。この元メンバーは、話によれば手練れの密偵というだけでなく、凄腕の探偵、熟練の戦士、勇敢な冒険者でもあった。この傑出した女性を調査するほど、私の頭の中には小説のヴェイルが浮かんでならなかった。この女性に会わねばならず、私はアラベル・ダヴォーの追跡を開始した。

アラベル・ダヴォーは第2紀527年にウェイレストで生まれた。彼女は高貴な家で育ち、ハイロックで最高の学校に通った。やんちゃな若者、反抗的な十代だった彼女は、15歳で家を出て傭兵部隊に加わり、リーチから押し寄せた侵略者からハイロックを守る手助けをした。獅子の守護団に落ち着くまで、彼女は大陸中で数多くの戦闘に参加した。第2紀560年までには隊長の地位を得て、獅子の守護団の精鋭部隊を指揮した。そこでウェイレストの王にして未来のダガーフォール・カバナントの上級王、エメリックの関心を引いた。

今では、アラベルの業績はヴェイルの物語の最も奇抜な部分で読める。彼女は山賊王を片づけ、トロールを襲撃し、上品かつ堂々とした態度で敵勢力に立ち向かったと報告されている。噂によれば彼女には、1ダースの街、都市、寄港先に、あらゆる種族や性別の恋人がそれぞれいたという。彼女の人生は冒険そのもので、戦闘で敵に向かうように冒険へと立ち向かっていった。スキャンダラスな話でさえ、エメリック上級王を彼女とロマンティックな形で結びつけた。彼の護衛として仕えていた数年間は特に。真実はどうあれ、アラベルがエメリックの目に留まり、ダガーの環が創設された時、最初のメンバーとなったのは明らかである。

50歳になって、アラベルは人生の新しい章を始めることにした。彼女はダガーの環をきっぱりと引退し、世界旅行を再開し、仕事の一環としてしか見てこなかった人々や場所を、楽しみのために訪れるようになった。今の彼女は、陰謀、密偵工作、戦争の噂を扱うには「年を取り過ぎた」と主張し、有閑婦人となって特別室を確保し、異国の地を点々としながら、長く豪勢な日々を過ごしている。私はオークの都市オルシニウムで、彼女に追いつくことができた。

年代記編者:アラベル・ダヴォー、素晴らしい物語を読んでから、あなたにお会いできてうれしく思います。リバー・トロール4体を片手で倒して、カーボルの洞穴の人々への攻撃を食い止めたのは本当ですか?

アラベル:実際には沼トロール6体だったんですが、報告書で自慢したように思われたくなかったんです。

年代記編者:並外れた人生を送ってきましたよね。傭兵、冒険者、兵士、密偵。今は新しい情熱をもっておいでですね。読者に説明していただけますか?

アラベル:今夢中なのは、旅行と観光ですが、読者がツアーガイドとしての冒険について聞きたいのなら…

年代記編者:恥ずかしそうなふりはやめてください。私が言っている情熱が何についてのものか、ちゃんとわかっておいでのはずです。捜査官ヴェイルから始めましょう。

アラベル:あら、それで会いに来てくれたんですね。大人になってから、犯罪とドラマの大胆な物語が好きになったんですよ。はっきり言って、捜査官の下品な様子が大好きですね。お分かりでしょうが、昔の血が騒ぐんですよ!

年代記編者:いやいや、アラベルさん。認めましょうよ!あなたは捜査官ヴェイルの作者でしょ。

アラベル:作者?私が?この細い指が、何時間も羽根ペンを握ってがちがちにこわばっているように見えますか?私の手にインクの染みがありますか?

年代記編者:でも、あなたがご自身の業績をモデルにしてヴェイルを作り上げたのは本当じゃないんですか?薄いベールを羽織って、エメリック上級王の密偵として活躍していた時代の自伝だという説は?

アラベル:すごい想像力をお持ちですね!あなたこそ、ヴェイルのすばらしい冒険の作者じゃないんですか?

年代記編者:私?ばかばかしい!私はニュースを伝えますが、複雑なフィクションを創作することはしませんよ!

アラベル:そういうことにしておきましょうか

年代記編者:でも、あなたが謎解きにまだ手を出しているというのは本当じゃないんですか?どんな犯罪や陰謀が現在地元の権力者を困らせているのかに基づいて、訪問先を選んでいるというのは?

アラベル:私が?気づきませんでした。

年代記編者:なんと!あなたは「捜査官ヴェイルとハイロックの革命」の中で、エメリック上級王とともに「ダガーを鞘におさめる」役割を果たしたことを、事実上認めましたね!

アラベル:そんなことはしてません!それに、エメリックのダガーだったら、もっと正確に、剣として説明されているはずです…

年代記編者:ほら!また認めましたね!

アラベル:ご自分がお感じになったことを、なんでも書くのがよろしいでしょう。私はオルシニウムの衛兵のゴーザ隊長とディナーをご一緒することになっています。好色なオークと会うのは久しぶりなんですよ。彼女は博物館の盗賊を捕らえるのに苦労しているという話です。

年代記編者:誠実な読者のみなさん。レディ・アラベルは捜査官ヴェイルの作者であることを告白しました!有名な探偵にふさわしい事件が、これで解決です!

味方の調査パート1Investigating Our Allies, Part 1

サマーセットの筆頭年代記編者、フェリンウォイン 著

真実を求める皆の叫び、嘆願、要求を聞きました。いつものようにフェリンウォインは伝えるためにいます。最新かつ、最も関連性の高い知らせだけをお伝えしましょう。この新しい布告における自分の役割はわかっています。もちろんドミニオンの同盟がサマーセットの海岸に上陸できるようになった、新しい法について話すつもりです。多くはこの出来事の影響について、もっともな理由から心配しています。街は安全?故郷は安心?

読者の皆さん、それを突き止めるのが私の使命です。

私はアリノールから始めました。宮廷があり、最も王にふさわしき女王代理、アルウィナルウェ様の住まわれる土地。この最も困難な時代に、ご長命と偉大なる統治を願っています。通りを歩くときはできるだけ平民に見える服装に変装しました。誰も私に気づかなかったが、そう望んでいました。平民の人ごみを抜けてゆっくり歩き、新しい、いわゆる裏通りに入ったのです。

最初に出会ったのは商店で買物をしている不愛想なカジートでした。私は脇から観察した。その特徴であるベタベタした手先が盗みに使われないかどうかを油断なく見ました。盗難の目撃は叶いませんでしたが、そこでかなり驚くべき交易を目にしました。このカジートは店員に近づくと自分の持ち物をカウンターに置き、こう尋ねたのです。「いくらだ?」

親愛なる読者の方々、間違っていません!挨拶も、お辞儀も、愛想もないのです!私たちの同盟には基本的な共通の礼儀も望みすぎなようです。ああ、天のアーリエルよ。私は動揺するばかりでした。気の毒な店員がずっとこの場にふさわしい態度で答えようと心を尽くしていましたが、このカジートは礼儀を全く知らないままでした。身を縮こまらせて少し目撃した後、私は不作法の重みに耐えられず店を後にしました。目撃したことのため、心臓がドキドキしていましたが。

次に目撃したのはアリノールに多くある贅沢な噴水での出来事です。近くのベンチに座って間もなく、カジートの子供の集団が噴水に駆け寄ってきました。少なくとも10名はいたでしょう!何の抑制も効かず、全員が同時に澄んだ水に飛び込み、静かな噴水は最も野蛮な形で水をはね散らかしました。後ろから母親がやってきて、頭のおかしいニワトリのように舌を鳴らしました。子供たちは1人ずつゆっくりと噴水から上がってきましたが、その間はずっと興奮して話していました。

もちろんカジートが一腹の子を産むことは聞いていましたが、同年の子供があんなにたくさんいるとは考えていませんでした!毛に覆われた同盟者の人口は、10年毎に10倍上昇するのが見えるようです。そんな…傾向があるなら。母親の子供たちの監督ぶりは言うまでもなく、どうやら子供たちにわずかな礼儀作法を教える気もないようでした。

私が驚きで口をぽかんと開けていると、最も困惑させる交流が始まりました。たぶん私が仲間をあからさまに観察していたせいでしょうが、近くに立っていた若いカジートが話しかけてきたのです。ここに馬鹿げた会話を書いて害を及ぼすつもりはありませんが、それは子供の作り方に関連したもので、彼がそうした活動にとても「奉仕」したいという話でした。淫らな話に直面して、私は顔を真っ赤にしてすぐに立ち去りました。

もちろん読者の方々に、法を守るサマーセットの市民である私が見ることのできない他の評判を思い出させる必要はありません。確かに、身の安全を危険にさらして街のもっと不穏当な一帯に行けば、スクゥーマの増加や闇市の取引を目にしたでしょう。そう、私はこうした主張につながる噂を持っているだけですが、カジートは不法行為に加担する傾向があることで知られています。我々の愛する故郷に彼らが居住することで、犯罪の統計が途切れず上昇することは間違いありません。

我々の指導者がすぐに自分たちの過ちに気づくことを祈りましょう。おそらく戦争のために同盟は必要でしょうが、私たちは愛する島のこの岸で戦っています!私たちの社会を内側から腐らせる恐れがある、粗野で下劣で、往々にして悪党のカジートを相手に。たった1日の観察で、すべての市民が心配するのは当然だと言えるのです!

私たち全員が力を合わせて立ち上がり、平和で隔離された土地の回復を請願しなければなりません。地域の長に訴え、仲間の市民に伝え、既に故郷へ侵入した者に目を光らせましょう。かつて安全だった通りを進む時は、財布と子供をしっかりと抱えるのです。擁護者に動揺させられてはいけません。読者の皆さん。私の信頼された手で書かれた、真実を知ってください!

次号も調査を続けます。今度は我々の下位種族、ウッドエルフの習慣と文化を掘り下げます。購入を忘れずに。そのおかげで、私は大切な仕事を続けられます!

味方の調査パート2Investigating Our Allies, Part 2

サマーセットの筆頭年代記編者、フェリンウォイン 著

我らが崇敬する祖先が没して以来、我々はすべてのエルフが平等に作られていないと知っています。私たちハイエルフは先達の輝かしい歩みに続くことを選びました。私たちは素晴らしく、力強く、正当な存在です。他の者、例えばダークエルフは私たちの習わしを裏切り、罰を受けない代わりに呪われました。偽の神に祈り、灰の中で暮らしています。

それから現在、同盟を組むウッドエルフがいます。ウッドエルフに関して何が言えるでしょう?同じ神を信仰してはいますが、明らかなイフレびいきを考慮すると、信仰心は薄いものです。そして彼らの耳は尖っています。比較はここでやめなければなりません。それ以外のすべては、文化から身長に至るまで私たちの完璧な水準から程遠いのです。

しかし、原始的な親族に恐れる点があるのか?それを見つけるのが今回の使命です。

有名人も私がこの特別な使命を完遂することに興味津々でした。私が調査の決意を固めた頃、独占的な仕事に招待されたのだ。詳細はもちろん明かせませんが(王族のかなり高い地位にある方の屋敷で開催されたことだけは言っておきましょう)、それは私が探し求めていた機会を与えてくれました。仕事を受ける前に熟読した招待状のリストの中に、数名のウッドエルフがいたからです。

これで私たちの同盟国が、サマーセットの社交界で最も高名な人々との交際を企んでいるとわかりました。彼らが我々の文化にどれほど馴染んでいるかを観察する、またとない機会です。手帳を片手に豪華な衣装を身に着けると、私ははやる思いで招待者の屋敷へ向かいました。

食卓へ向かいながら、私は興奮を隠しきれませんでした。そこにクランで固まっていたのは、私の調査の対象であるウッドエルフだったからです。知り合いから、彼らがグリーンパクトの信奉者だと素早く教えてもらいました。実際に目の当たりにできるとは、何という幸運な偶然でしょうか。多くの者がサマーセットの汚れなき原則に激しく対立すると恐れているのは、まさにこの野蛮な信仰なのです。

彼らの食事が出された時、最初の奇妙な出来事が起こりました。ご存知のように、グリーンパクトは植物系の素材の使用や消費を許しません。そのため、親切な主催者はウッドエルフに適したサマーセットの最上級の肉のみを提供した。彼らは食事を物凄い勢いとしか表現しようのない様子で食べていました。銀食器の適切な使用など全く気にかけていませんでした。理由はわかりませんが、中には皿の上の肉汁をデザートスプーンですくった者までいました!

この小さな部族が食事を貪るのを見て、ウッドエルフの軍団が我々の動物を食らいつくす想像ができました。あれが唯一の食物なら、我らの小さな親族が我慢すると信じられるでしょうか?私たちの静かな島を美しく飾る牛、鶏、豚、猫でさえいなくなる日がくるかもしれません。そんな未来を本当に許せるでしょうか?

それでも私はこの招待客と交流しようと決めました。夕食後、私は1人に近づくと、いつものように非の打ち所がない礼儀作法で、島に来た理由を尋ねました。

「私あ王の代理でいています」彼はそう言いましたが、強い訛りで子音が聞き取りにくかった。「アイエルフに、私たちも同様に開化されているとお見せしたくて」

ぼそぼそと単語を並べたので、話の結びがなかなかわかりませんでした。それでも私は礼儀正しくウッドエルフがサマーセットの栄光に何をもたらせると思うか尋ねました。この島を故郷と呼ぶハイエルフの向上にどんな貢献ができるのだろうかと。

残念ながらその簡単な質問の後、彼はかなり粗野な態度をとりました。言葉遣いは無教養のせいと推測するにしても、言葉の選択の下品さはあからさまな敵意を表していました。そのような質問をする私の純粋な意図に図々しくも疑問を投げかけてきた上に、私についての描写をつけ加えてきたのです!

私はただ驚愕してしまいました。彼の仲間が慌てて私に謝罪すると彼を連れ去りました。それでも傷ついたことには変わらない。私たちが国境の内に迎え入れることを選んだ者たちの、礼儀作法と礼節については十分に目撃できました。

読者諸君に思い出してもらいたいのは、私たちの日常生活に危険をもたらしかねない文化の違いです。共食い、目に余る盗み、歩き回る木!このウッドエルフが小さな骨の小屋の周囲を走りまわる代わりに、私たちと一緒にきちんと生活する姿を信じられるでしょうか。これまで見てきたことから、私にはそんなことが可能だとは思えません。

読者諸君、私は抵抗することを強く勧めます。流れに対抗する声を上げましょう!これ以上一歩も許してはいけません。押し戻すのです。私たちはサマーセットに過去の栄光、ハイエルフの故郷、ハイエルフだけの故郷を取り戻すのです。

あなたも、その大義に賛同しませんか?

夢見の館:オーディションHouse of Reveries: The Audition

候補者のための入門書
夢見の館の公文書保管人クィル 著

では、夢見の館に加わりたいのだな?残念ながら、入会するには決意を単に表明するとか、いくらか会費を払うような簡単なこと以上のものが必要だ。教化には長い手順がある。しかし、君はもうセリフを覚えて自分のパートを歌ったな?剣を呑む勇ましい才能であれ、複雑な踊りであれ、技術に磨きをかけたはずだ。それでは、オーディションの話をしよう。

数週間程度の公開オーディションは、季節ごとに開かれる。勇気を出してステージに立ち、その才能で驚かせてくれればいい!見事なパフォーマンスが終われば、一座の演者が君に話しかけ、候補者に相応しいかどうかを伝える。候補者になれなくても、次の季節に頑張れ!

さて、候補者になったことを過大評価してはならない。候補者になれば技術に磨きをかけ、一流の者から学ぶために仮面の館への立ち入りが許される。君だけの仮面と名前を授けもする。ただ、夢見の館に加わったことにはならない。これは初めの一歩にすぎない。候補者は、最終オーディションを通過しなくてはならない。

これは大変な旅ではあるだろうが、孤独な旅ではない。師が候補者全員を導く。一座の古参の助けを受けて、とても重要な最終オーディションに準備をするのだ。この師は知識の泉の役を担い、君はその水を飲む。彼らの言葉を心に留め、模範とするがいい。一座に入るには師が鍵だ。手順を学び、言葉を覚えるだけでは不十分である。真の芸術家の情熱を、心に燃やす必要がある。師は火を灯せるが、それを業火に煽れるかどうかは君次第だ。

この期間、他の候補者は永遠の仲間となる。積極的に手助けをするのだ!間もなく共に演者となるのは、彼らかもしれないのだから。恐怖や嫉妬で敵意に沈んではならない。争う枠は1つではない。全ての候補者が合格した季節もあれば、全員が落選した時もある。最終オーディションの期間は、己が才能のみを頼らなくてはならない。他人のミスに頼ることなく、自分のミスに気をつけよう。

仲間の候補者と仲良くなることは推奨するが、君自身の姿が以前とは異なることを忘れないように。常に仮面をつけ、過去の名を語ってはならない。これは訓練の始まりだ。一座の現役の一員のように行動しなくてはならない。秘密を抱えた興味深い生活を始めるのだ。過去の名前を知るのは自分と、師と、団長のみだ。その後は忘れ去られるべきなのだ。

最終オーディションは思ったよりも早くやってくる。陽気なサーカスの座長であり、壮大な交響曲の指揮者であり、夢見の戯曲の演出家である団長の前に立つのだ。君の命運は団長が決める。

最後のパフォーマンスにはこれまで示した技の表現を至高にまで高めた、誉れ高く夢のような水準が求められる。全力を注げ。君が一座に入る準備ができているかどうかは、その時に分かる。名前、家族、過去の生を捨て去り、夢見の館の一員として加われるかどうかは、その時にようやくわかる。

夢見の館:一座House of Reveries: The Troupe

候補者のための入門書
夢見の館の公文書保管人クィル 著

夢見、興味、戯曲、喜びの生活を求めて加わったのだな!君のことは心から誇りに思っている。まず、私が最初に君を迎えよう。

ここから君は変化を始める。新しい名前を選び、新しい仮面をつけたが、これは始まりに過ぎない。声を変えることを学び、新しい型を学び、髪を明るい色に染めろ。千の自慢をして、真実の欠片も伝えないことを学べ。君は繰り返し試されるだろう。興味を惹くことは、ロマンスの最大のスパイスだから。強くあれ、無口であれ。他ならぬ一座での立場が、君の思慮にかかっている。

学ぶことはまだある。リュートの柔らかい弾き方は習得したのだな?剣を拾い芝居のフェンシングを学べ!君の周りには、サマーセット一の陽気な演者がいる。くだらないプライドを守ろうとして、この機会を無駄にしてはならない。無様に失敗し、震える声で歌い、成長をやめるな。新たな技を学べば、一座全体が強くなる。完全なパフォーマンスと呼べるものはないが、そこに到達しようと皆が努力する。

リレンシルは活動拠点だが、仮面の館が一座の全員を収容することはできない。それにサマーセットは大きな島だ。敬愛する聴衆全員にここまで足を運べとは言えない。君には大半を外で過ごし、必要に応じて手を差し伸べてもらいたい。全ての団員には、自らの役割を果たすことが当然に求められる。馬の毛にブラシをかけ、荷馬車のガタガタした車輪に油を差し、夕飯を料理し、便所を掘る。文句を言っても無駄で、厄介事が増えるだけだということを忘れるな。

それぞれの旅の一座は、自らが堂々たる称号に相応しいと示した座長が率いる。私が初めて座長とサマーセットを旅したのは、そう昔のことではない。バリトンという名の寡黙なエルフだった。私は饒舌で足早を自認しており、険悪な仲になるのは最初から決まっていたようだった。程なくバリトン座長に演技を見抜かれ、最も長く無味乾燥で、初披露のために覚えたセリフの中で、最高に退屈な独白を渡された。

それを読んだときは泣きそうになった。嫌がらせとしか思えなかったからだ。夜には聴衆の不満げな顔を想像しながら寝返りを打った。毎日別のパートをくれるよう座長に懇願したが、うまくいかなかった。首を横に振るだけで、練習に戻るよう言われた。大変な労力をかけ、忌々しい独白のセリフ、無味乾燥なセリフの全てを覚えた。バリトン座長から次の指示を受けたのは、セリフを間違いなく、口ごもらずに暗唱できたときだった。

「さて、クィル」。彼は珍しく微笑みながら言った。「自分で独白を作れ」

唖然とした。憎むべき独白への嫌悪がありながら、葛藤が起きていたからだ。それは歴史の作品だった!千年の時を生き長らえるほど名を馳せた、古き先人によって書かれた独白。どのように変えられるだろうか?あるいは汚せるだろうか?その困惑に終わりはないと感じた。座長は常に規則に固執していたからだ。

「お前はもう十分この作品に敬意を示した」と彼は言った。「繰り返し読んだ。全ての名前、場所、詳細を覚えたが、そこに心がないことも知っている。クィル、お前のことを信じている。それに心を与えるのはお前だ」

その日私は変わった。軽く考えていた名前が、私そのものとなった。私はクィルという羽根ペンであり、再び創作を始め、言葉を記す意欲が湧いた。新たな始まりだった。今日に至ってもなお、冴えない古典に新たな命を吹き込むことより愉快なものはない。そして、初めて会った時から嫌で仕方なかったエルフ、私の座長がそれを教えてくれたのだ。あの初めて涙した夜には、想像もつかないことだった。

学べ。聞け。創れ。君が発したのは初めのセリフに過ぎず、歌ったのは初めの音階に過ぎない。とても長く、難しく、辛く、不思議な旅が待っている。素晴らしい制作の過程を余すことなく楽しめ。幕は開かれた。舞台に立て。君の演技を見るのが待ちきれない。

夢見の館:歴史House of Reveries: The History

候補者のための入門書
夢見の館の公文書保管人クィル 著

サマーセットで最高の演者の故郷、夢見の館へようこそ!君たちは、名声や富を求めて訪れたのかもしれない。あるいは純粋な好奇心や所属への欲求だろうか。いずれにせよ、崇高な一座に加わらんと大がかりなオーディションに参加する前に、規律を理解してもらう。あらゆる壮大な劇と同じく、何事にも序幕はあるのだ。

夢見の館を創設したのは、高貴な意図と莫大な財産を持ったハイエルフだ。イングレス団長は、大変な先見性と途方もない財産を持つ指導者であり、壮大な物語の幕を開いてくれた。その名誉を讃える劇、詩、歌は数多くあれど、いずれも演技という芸術への献身と情熱を語るものだ。ただし、初代団長の献身は、新たな劇を作ろうとする意欲よりも、旧い劇への嫌悪から生まれた。

彼女は団長になる前、熱い情熱を持つが平凡なエルフだった。演技に注ぐ愛は、父親が育んだとされる。壮大な古典から余興としての簡単なジャグリングまで、あらゆる芸術を歓迎した。そう。経歴のない者から一流のスターまで、あらゆる仲間の演技に共感を抱いたのだ。そして、一時は幸せだった。

悲しいかな、彼女は年齢を重ね、物事の裏も見えるようになった。仲間の演技に目を凝らすと、この職業を真に愛している者はごく少数だった。エルフたちが芸術を踏み台にしていることに気付き始めたのだ。それはやがて悪名と権力につながる道だった。最高位に昇格し、特権と名声を掴むための道だ。気の合う者との出会いが減るにつれ、その哀れな魂は孤独になった。間もなく演劇から身を引いたが、それはひどく心を痛める体験だった。

この孤独な期間に、彼女はこの悲しい潮流を変えようと思いを巡らした。変化を起こそうとして、思いもつかないことをした。自らの名を捨て去り、過去の自分を焼き払ったのだ。彼女はイングレス団長として灰より蘇り、同じ志を持つ仲間の一座を作ろうと誓った。こうして夢見の館は誕生した。

一座の全員は、己の情熱のみに生きることになっていた。イングレス団長はこの誓いを忘れないため、演者はみな仮面を付け、名を新たにすると宣言した。彼らが身元を明かすことはなかった。多くの仲間の演者から幸せと楽しみを奪ったのは、他ならぬ名声なのだから。夢見の館に加わった者は、パフォーマンスのスリルに対する愛情だけに従った。演者たちが唯一求めたのは、聴衆の鳴り響く拍手だけだったのである。

では、自分が何に成りたいのか見極めよう。ここの戸口を訪れたのは、名声や富を求めてのことか。もしくは利己的な鎖を捨て去り、芸術に生きる覚悟はあるか?参加の意志があるなら、知っておくといい。君は君でなくなる。より明るく美しいものになる。千の仮面を付けても、素顔を見せることはない。

君は、仮面をつけるか?

緑の亡霊The Ghost of the Green

樹の従士エイニッセ 著

我ら樹液の子は多くの偉大な英雄を認める。吠えし骨のエルソノール、広く語られし狼、フィルドゥノール・ボウブローなど。しかし、ズェンの復讐者、緑の亡霊の栄光のような英雄は、かつて存在したことがない。

緑の亡霊は、人やエルフの輝かしく自賛する英雄とは対照的に、歴史の影に埋もれている。ごく稀に強力な弓の弦を引き、緑の敵を打ち負かす。その精神は不朽だが、忍耐強くはない。民が鹿の心臓とイノシシの牙を供えると、すぐに正義の処刑が行われる。

緑革と恐ろしい頭蓋骨、後に残すシダの葉、ウッドエルフの鋭利な矢、敵の亡骸を見れば彼だと分かる。一度呼び出せば、その憤怒から逃れられる者はいない。煙が立ち上る召喚の日は、聖なる鹿を生贄とする。亡霊が憤激した日は、敵が必ず死ぬ。死は避けられない。それはまるでイフレの摂理のようだ。

鱗のエルフThe Scaled Elves

マリン・ラロワ 著

船員の物語好きは有名だ。遥か遠くの地の途方もないほら話、巨大な獣、莫大な財宝、美しき誘惑者、世界を滅ぼすほどの嵐。多くの者はこうした主張に健全な懐疑を向けるが、全ての伝説が純粋な空想ではない。比較的平穏なイリアック湾から離れれば、海には真に恐るべきものがいろいろと潜んでいる。マオマー・リヴァイアサンはそうしたものの一つである。

シーエルフを見たことがない人のために言っておくと、彼らは奇妙であるが目立たない。体型はハイエルフに似ており、肌は海の水しぶきの色、目は青ざめている。緻密に描かれたタトゥーと悪意ある態度を除けば、大半の人は注意して見ることもないだろう。しかしあの種族がリヴァイアサンと呼んでいる存在は、あなたの血を彼らの血のように冷たくする。

不浄な魔術によってシーエルフとシーサーペントをかけ合わせて生み出されたこの巨人は、目いっぱい背を伸ばした最も背の高いノルドよりも頭1つ半ほど大きい。もっともこのエルフは大抵の場合、噛みつこうとする蛇のように、屈んで背を丸めた獣の姿勢をしているので、なかなか立っている姿は見られない。いざ動く時も、彼らは歩くというより捕食者の動きで、ゆっくり滑るように移動する。まるで地面と足のどちらにも慣れていないかのようだ。

私が生きたリヴァイアサンを見た最初の時、彼女は船の船体をムカデのようによじ登っていた。滑りやすい板を苦もなく伝いながら、ジグザグに進んでいた。その青い鱗には光が当たってきらめき、ほとんど美しいくらいだった。だが死んだような白い目は鮫のように冷淡で、にやりと笑った表情は陰気だった。

彼女が右舷の手すりを乗り越えてきた時、恐怖は倍増した。彼女は一瞬で私に飛びかかり、巨体で私を甲板に引き倒した。とどめを刺されると私は思ったが、彼女は冷たく平然と見つめ、私は蛇を見たネズミのように凍りついた。私は魅了されると同時に恐怖していた。彼女の顎が元の位置から外れてガバッと開き、私を飲み込もうとしたので、ようやくショックから立ち直って抵抗した。

リヴァイアサンの怪力には到底適わなかったが、何とかして片手をもぎ放し、喉の奥に叩きつけた。リヴァイアサンは炎に喉を詰まらせ、その歪んだ生を終えたが、彼女が残した傷跡は、死ぬまで残るだろう。波の下に潜む鱗のエルフをもし見ることがあったら、私はあなたのために祈ろう。

モアウィタの記憶

Moawita Memories

インドリクの心臓Heart of the Indrik

シヌタルモ教授による講義の抜粋
-遺物マスターグレナディルによる複写

美しいだろう?ルビーに似ているが、この石は結晶化したインドリクの心臓である。なに、簡単なことだ。月が照らす中で100晩、心臓を純水に浸すだけでいい。

不可能だと思うか?素早くやればできる。

目も眩むほどだが、ほとんどの者はこの水晶に悪事が働けるとは思わない。そして触れない限り、それは確かに真実だ。しかし、不純な心を持つ者に触れられると、水晶の中央に暗い影が現れる。そうなった後は、それを所有する者全員を呪って悲痛をもたらす。そして、まあ…その後は長生きしないとだけ言っておこう。

影裂きの刀剣The Shadowcutter Blade

女司祭エンドゥノルの説教
-遺物マスターグレナディルによる複写

シラベインは刀剣を作り上げ、異常な闇さえ切り裂けるように、それを影裂きと名付けた。自身の作品の素晴らしさを見せようと、シラベインは友人にそれを披露した。

「さあ」シラベインは友人に言った。「壁に映る自分の影を見ろ。それを2つに割いてやる」

友人が影を見つめる中で、シラベインは光を放つ刀剣を高く掲げた。それを大きく下に振り下ろすと、光の弧が前へ押し出された。そして彼の言ったとおり、影が2つに切り分けられた。

しかし、友人は膝から崩れ落ちた。シラベインはエルフの友人の元へ駆け寄ったが、手遅れだった。彼の中にある闇、全ての人間とエルフが持つ闇も、2つに割かれた。彼の魂が貫かれたのだ。そして彼は殺された。

解けるワンドThe Unraveling Staff

仲裁者アンバーウェンの報告書
-遺物マスターグレナディルによる複写

報告4587:南中の月27日

容疑者を拘束し、杖は魔法の検疫に回した。容疑者の家で見つかった正式な書類から、あの男は街で有名な紡ぎ手から杖を作るように委託されていたことが分かる。あの杖はもともと、絡まった糸をほどくためのものだったと考えられる。

本件においては、数名の目撃者による証言が集められた。

「ああ、アニルヨンの隣人になってからもう数年になる。彼からは全て聞いた。解ける杖と呼んでた。最後に話を聞いた時は、見事に機能してた。どうした?何かあったのか?」

「ひどかった!彼は狂ったように笑いながら通りを走っていた。そしてどこかを示し指すたび、哀れなエルフの服が解けてしまった!あれは恥ずかしい」

「服が解けるというのは知らない。建物がばらばらになる様子に気が取られていた!石や板が、まるで生きてるかのように飛んでいった。知らなかったな…死者が何人だって?」

「ああ、見た。杖で指したら…彼女はただの若い娘だった。どう説明したらいいか。ああ、かわいそうに。彼女の肉体がまるでただの…すまない、もうこれ以上話せない」

容疑者は法廷が承認する日まで留置。保釈は認められない。

乾燥の胸当てChestplate of Desiccation

元奴隷ウージャ・ナカルとの面談
-遺物マスターグレナディルによる複写

そう、テルヴァンニの看守はよくこれを罰に使う。この種族に、乾燥より気分の悪いものはそうはない。もちろん熱気には慣れてはいるが、ブラック・マーシュの沼の湿気を含んだものは初めてだった。

彼らは、さらに平凡な方法でサクスリールを乾かそうとした。檻に閉じ込め、夏の太陽に乾燥を任せた。しかし、雨の日や島に霧が立ち込めた時は、これを着させられた。両手は縛られ、脱げなかった。そして胸当ての効果が出始めた。

初めの感覚は鈍いものだった。しかし、その効果を知っていたがため、徐々に恐怖に襲われた。それはかゆみのような、多少の不快感から始まった。鱗の先が感じ始め、ゆっくり中へと染み込んでいった。口内の舌がしぼむのが分かった。目を閉じても楽にはならない。鱗がそれぞれ、緩慢に硬くなっていった。

どれほど死を望もうと、彼らは決して許さなかった。

甘い夢の枕Pillow of Sweet Dreams

ホノリア・アウルスの詩
-遺物マスターグレナディルによる複写

枕に頭を乗せる
目の奥でいい夢を見る
再び眠りが訪れるのを待ちわびる
嘘で飲み込まれる日を

その時は愛する人が横に寝そべり
彼女の微笑みは明るく、肌は輝く
そこでは死が及ばない
しかし朝が来ると彼女は去る

私は再び眠り
二度と起きない
今夜私の魂は
奪う

偽りのランターンLantern of Lies

童謡、起源不明
-遺物マスターグレナディルによる複写

ランターンと火に気をつけよ
その赤々とした火には力がある
見える所に置けば
ランターンはお前を貪り食う

偽顔の扇Fan of False-Face

代弁者ギルザロンの手紙
-遺物マスターグレナディルによる複写

リジケー、この仕事を任せられると信じているから、この警告のせいで思いとどまったりするな。この品の使用を許したのは数年ぶりで、とても強力だ。だがお前の標的は簡単ではない。マグニフィコ・ナドブシャールは自分の命が狙われてることを知っていて、深く恐れている。

必要な品は持っているし、ナドブシャールの側近を捕らえるのは楽なはずだ。扇の魔法は被害者が生きていないと効かないから、彼女は生かしておけ。扇を広げるのは、必ず二人きりになってからにすること。お前たちの顔の間に持って、折れ目の中をじっくりと見つめるんだ。次にまばたきをする頃には、側近イムラサーの顔になっているはずだ。

この段階では特に時間が大切だ。扇の効果はゆっくりだが、一定している。すぐ不快に感じるだろうが、訓練のおかげで乗り越えられるはずだ。しかしゆっくりと夜が更けるにつれて、真の姿は消えていく。イムラサーのように考えるようになり、自分はイムラサーだと信じるようになる。朝の光が訪れる前に、変身は完了しているだろう。そうさせてはならない。

飲み物に毒を入れてナドブシャールに渡し、祝宴から立ち去れ。イムラサーのもとに戻って、もう一度扇を使え。こうすることでのみ、自身を維持できる。そうしないと、お前は王家の側近の体の中で永遠に失われる。私に言わせれば、死よりもひどい運命だ。

銀舌の羽根ペンThe Silver-Tongued Quill

盗賊ギルドマスター、ライシフの書簡
-遺物マスターグレナディルによる複写

オルズダーグ、

計画は取り消しだ。あのいやな魔術師め、汚い真似をしてくれた。これまでの脅迫で十分だろうと思っていたが、仕方がない。次に会う時は、斧のとがったほうを味わわせてやる。とりあえず今は、羽根ペンが役に立たないと知っておけ…少なくとも今回の目的にはな。

問題が大きくなった。まず魔術師は、羽根ペンを使った奴が書いたことは信じられるなんて言ってなかった。まあそれは、もし書かれる内容を選べたらどうにか対処できただろうが。とにかく、面倒な付呪だ。あれを使って書こうとした最後の2人は、縛りつけるはめになった。羽根ペンめは一人に高い屋根から飛び降りるように吹き込み、もう一人には…まあ、独創的になってきてるとだけ言おう。もう二度と起きてほしくない。

あんな呪われたものは川に投げ捨てようと言いたいところだが、誰かが欲しがるかもしれない。買いたがる愚か者の客を見つけよう。探す場所さえ知っていれば、こういうものには収集家がいるものだ。

魂の番人の壷The Soulkeeper’s Urn

刻まれた碑文
-遺物マスターグレナディルによる翻訳、複写

警告:危険な霊魂が入っている。開く前に厳粛な予防措置を取ること。月の周期7回ごとに結界の呪文をかけること。取扱注意。熱湯で洗わないこと。

些細な呪いの頭蓋骨Skull of Minor Cursing

氏名不明なカジート商人の売り込み
-遺物マスターグレナディルによる複写

さて、誰にも嫌いな奴が一人くらいいるだろう?もちろん憎むほどではないが、何かひどいことをしてきた者。不当なことをされたり。死んでほしいほどではないが、少し不快な思いをさせたいとか?少し問題を起こしたいとか?それなら、いいものがある!

こちらの些細な呪いの頭蓋骨ならぴったりだ。ひどい水虫!そこそこ不安にさせる悪夢!止まらないしゃっくり!目的の被害者をかんかんに怒らせること間違いなし。お値段も手頃だ。

砕け散る剣The Shattering Sword

呪いの決闘の独白、第2幕第4場
-遺物マスターグレナディルによる複写

バトルリーブ・タンウィンセア:さればこの呪われし剣を手にしよう。我が敵は決闘の場でこの剣を使うとは承知の上だ。決闘の最高潮に彼の剣は砕けん。とどめが放たれよう。我が行為に名誉はなし。だが恥もなし。命を賭して演ずべき戯れに他ならない名誉に、価値などあるものか。我は大義を知るべし。決闘を制す名誉を知るべし。如何に手段が汚かろうと、勝利とは常に甘美である。

失われた恋の靴Jaunt of the Jilted

失われた恋の靴、一幕劇
-遺物マスターグレナディルによる複写

語り手:昔、良家のエルフが2人いた。小さい頃から縁談がまとめられ、成長すると結婚式が計画された。

ノルディンウェ:ああ、素晴らしい結婚式の日が待ちきれない!

語り手:しかし若いクアーネルはためらった。結婚は愛する人としたかったのだ。

クアーネル:ノルディンウェ、悪いが君を愛していない。婚約は破棄しよう。

語り手:ノルディンウェは後に別の求婚者を見つけたが、クアーネルの裏切りを忘れることはなかった。憎しみを抱いた彼女は、靴に呪いをかけた。美しくしなやかなその靴には、恐ろしい秘密があった。

ノルディンウェ:クアーネル、以前は仲がよかったでしょう。ぜひ結婚式に来て。それにほら、この見事な靴を持ってきたわ。ダンスにぴったりよ!

語り手:そうしてクアーネルは式に出席し、披露宴が始まると踊り出した。音楽のリズムが速くなると、彼の足も素早く動き出した。靴は次第に温かくなり、やがて熱くなった。そしてついには足を焼き焦がし始めた。

クアーネル:ノルディンウェ、何をしたんだ?この靴は…いったい!

語り手:しかしクアーネルは踊りをやめられず、しまいには息を引き取った。この間ずっと、ノルディンウェはただ笑顔をたたえていた。

手放せぬリュートThe Sticky-Fingered Lute

上級公女ライリルシルウェの手紙
-遺物マスターグレナディルによる複写

拝啓、サピアルチ・テマティラナ様

息子の件をご親切に引き受けてくださりありがとうございます。母親として、ナルリンドリの回復を一刻も早く助けていただくことが唯一の望みです。息子は何日も眠っていないため、あなたの質問には答えられないと思われます。あの額で十分に足りることを願います。

さらに調べましたが、いまだに誰がナルリンドリにリュートを贈ったのかは不明です。12才になったばかりで、祝宴に来た客人も贈り物も多数でした。息子の現状を考慮すると、このまま分からぬままになるのが心配です。明らかに罠だったと、今では分かります。

リュートは美しく、ナルリンドリはすぐに気に入りました。その日の夜から、添えられていた音楽の書にあった曲を演奏しようとしました。最初は熱心なだけだと思っていましたが、夜が更けるにつれて音にうんざりしていきました。やめるように言うと、私の目を見ることも拒んでただ弾き続けました。私が何を言っても、やめさせることはできませんでした。しまいにはリュートを奪い取って、朝まで部屋にいるように命じました。

彼は最初何も言いませんでしたが、震え始めました。体全体が同時に震えていました。そして苦しみながら地面に倒れ、手足はけいれんしていました。「母さん!リュートを返して!」と叫び、その声は拷問を受けているかのように苦しそうでした。

息子の命が心配になり、もちろんリュートを返してやりました。それ以来演奏を止めておらず、もう3日目に入ります。我が家の治癒師は息子のそばから離れていませんが、指が切れて血を流しているのを見ていると心が痛みます。睡眠も食事もほとんど取っておらず、いつもあの呪われたリュートを弾いているのです。

夫がナルリンドリと一緒に向かいますので、他に質問があれば答えられるはずです。どうか、何とかしてやってください。家族そろって恩に着るでしょう。一人息子の命と引き替えならば、費用は惜しみません。

敬具
上級公女ライリルシルウェ

終わりなき巻物The Never-Ending Scroll

サマーセットの古い民話、原作者不明
-遺物マスターグレナディルによる複写

ある夏の日、古風で趣のある小さな店で、エルフが古い巻物を買った。彼女は買ったばかりの巻物を使いたくて、兄弟に手紙を書くため座った。しかし、書き始めると何ともおかしなことが起きた。手がまるで勝手に動いてるかのように、物語を書き始めたのだ。

なんとも不思議で魅惑的だった。書きながら、彼女には目の前で物語が展開していくのが見え、まるで言葉の中でその冒険を体験しているような気がした。巻物には終わりがなく、延々とほどかれながらも減ってはいかないようだった。

そうして彼女は次々と書いていった。

数日後、兄弟が彼女の死体を見つけた。指はインクまみれで、口元は微笑みをたたえた状態で横たわっていた。そして彼女が書いた物語は何の意味も持たず、文字は不可思議で不明なものだった。

常に満ちた聖杯The Ever-Filling Chalice

刻まれた碑文
-遺物マスターグレナディルによる複写

この聖杯から飲む者は、激しい渇望を経験するだろう。渇望にふけり、決して終わることはない。そしてその甘い水に溺れるだろう。

知覚時間の砂時計Hourglass of Perceived Time

クロックワークの使徒ララム・ファレンのメモ
-遺物マスターグレナディルによる抜粋の複写

記録32

被検体15Aはますます興奮してきている。実験の境界を見つけたことが疑われるが、それがどの程度までかは不確かだ。これが現在の実験にどういう影響を与えるかは、まだ分からない。

被検体15Bは言葉をつなげられなくなってきたが、これは外部からのみそう感じられるという可能性もある。彼女の世界観としては完璧に言葉をつなげて話しているのだろう。気性は相変わらず前向きだが、捕われてからまだ2日だけだと理解しているので、おそらくそのためだろう。

被検体15Cは強硬症になり始めた。他の被験者にはほとんど反応せず、長い間むせび泣くようになった。彼はもう実験に適さないかもしれない。私の計算によると、彼は捕われてすでに5年以上と理解していることになる。

致命的な予感の鏡Mirror of Fatal Premonition

タンディファエの遺言
-遺物マスターグレナディルによる複写

起きた。起きた、起きた。傷だ。頬に傷、傷がある。頬にあって、自分にはもうじき最期が訪れるのだと分かる。死ぬんだ。

あんな鏡を見るべきではなかったのだが、好奇心に勝てなかった。年老いた男が見えるだろうと思っていたが、自分を見つめ返した目は同じだった。わずか80才で自分の死を見つめ返していた。唯一の違いは…頬にある傷だった。

気をつけているつもりだった。剣術もせず、何にも乗らず、激しい活動は避けた。それなのに昨日、市場で、敷石につまずいたのだ。こともあろうにあんなものに!そして今ではそこに傷があり…死ぬことになる。鏡は知っていて、見ていて、これが死の証だ。

家族には、とても愛してると知っておいてもらいたいが、運命からは逃げられない。少しでも常識があるなら、あの鏡を破壊してくれ。自分まで破滅させられる前に。

塔の杖Staff of Towers

聖アレッシアの祝福された使徒、ホルネヴンの文書より
遺物マスター、グレナディル訳

エルフ魔術師アヌマリルの手よ呪われたまえ!アヌイ・エルの誇りよ呪われたまえ!見よ、彼らの柔軟で邪悪な指は世界の破滅を仕組んだ。ウマリルと親族がホワイトストレークの死で苦しむ中で、この杖、この8片の罪はまだ残っている。

アダマンチン:根源的で厳粛。

赤:陰気で血まみれ。

水晶:不敬で不可解。

オリハルコン:静かで忘れ去られている。

雪のノド:冷たく不気味。

緑の樹液:活気に満ちて賢い。

真鍮:大股で歩き強力。

白金:無限で永遠。

全て真っすぐだが、ひねくれてもいる!金属、石、そして冒涜の誓いに縛られている!これら8つの偶像がそれを行使する者の手に渡らぬことを。塔の杖が静かに動かず、魔術師の非情な目に入らぬことを。今も、いつまでも。

逃れられぬ兜The Inescapable Helm

グラッシュの日記
-遺物マスターグレナディルによる抜粋の複写

107日目

この兜を永遠に脱げないかもしれないことを受け入れた。気に入らないが、仕方がない。これを売っていたあのクソ野郎が言っていたとおり、破壊不可能だということが分かった。あらゆる鍛冶を試したが、誰にも何もできなかった。

245日目

今日は別の魔術師に会った。他の連中と同じで、興味を持ったようだった。口ごもって何かを言って、書物を読んだりした。あらゆる呪文を試した。もちろん何も起きなかった。友人を紹介されたが、もうとっくに望みは捨てている。

487日目

かゆみが収まらない。あらゆることを試した。今朝だけでも千回は氷水に頭を突っ込んだはずだ。宿のベッドがシラミだらけなんて、最悪だ。

682日目

書くのはこれで最後だ。書くたび、何もかもが役立たずだということが分かる…もう望みはない。こんな姿で、どうやって生きていくんだ?兜から頭が出ない相手と家族を持とうとする者などいるわけがない。軍隊か何かに入ろうと思う。見込みが低いほどいい。こんなふうに生きていくより、戦場で死ぬほうがましだ。

白黒の絵筆The Monochrome Paintbrush

サマーセットの古い民話、作者不明 著
-遺物マスターグレナディルによる複写

昔、素晴らしい才能を持つ芸術家がいた。彼女の瞳は未知の世界で輝き、あまりの壮麗さと明るさに、美しいサマーセットさえ色あせて見えた。彼女は活気に満ちた景色を絵にしようとしたが、普通の色では用足りなかった。どうやったら光景を表現できるだろうか?

やけになっている時、貧しい商人が彼女の家の扉を叩いた。粗末な外見をした年寄りで、連れは足元に犬がいるだけだった。

「この絵筆を買わないか?」とその貧しい商人は聞いた。「この家からして、画家だろう。これを使えば、作品に命を吹き込めるようになるぞ」

好奇心をそそられた芸術家は、その絵筆に微々たる額を払うことに同意した。先端が白くて黒い象牙の柄をした、わりと大きな筆だった。白黒の絵筆という代物だが、名前に騙されてはならないと言われた。そうして年寄りの商人は満足した笑顔で去っていった。

芸術家はすぐさま仕事に取りかかり、彼女の目の前では信じられないようなことが起きた。ほんの少し前はただの絵の具だったものが、輝きを放ちながら深みのあるものになったのだ。それは色や情緒以上のもので、彼女がそれまで見た全てをしのぐものだった。ついに、色が彼女のずっと思い描いていたイメージと一致したのだ。

しかし、彼女が描いているとおかしなことが起きた。まず、彼女の唇、指先、鼻先から色が抜けていった。髪の毛は黄金のような黄色から色あせた白に変わり、服は青と紫が消えて灰に変わった。

彼女は気づかなかった。彼女はどんどん絵を描き続けた。自分が作り出している景色に没頭し、彼女の体は白と、黒と、灰色だけになった。目は重たくなり、心拍は次第にゆっくりと間隔を開けるようになり、ついに彼女は突然崩れるように倒れた。

彼女の死体の前にはサマーセットで最も美しい絵があった。今でも飾られていると言われているが、ニルンでは二度と目撃されていない。

非難の箱Chest of Condemnation

競売者ポーシャの話の引用
-遺物マスターグレナディルによる複写

さて、この美しい箱の入札を始める前に、一言警告を。気が小さい者には向かない品だ!こういう品の起源についてはあらゆる話が聞かれるが、ほとんど何も知られていない。確かなのは、強く呪われたものだということだ!

皆さん、よく聞いてほしい。聞こえるか?くぐもった、かすかなうめき声。安っぽい芸ではない!言っておくが、中に助手を仕込んでなどいない。非難の箱はいつも泣き声を上げているが、誰もその理由を知らない。中に何があるのか?残念ながらそれも謎だ。手が器用でないと封印を破れないだろうが、そんなことはお勧めしない。

しかし、真の呪いはそんなものじゃない。ちょっとしたうめき声など、害はないだろう?だがしばらくすると、頭をどうにかする傾向がある。この箱のこれまでの所有者は全員、しばらくすると完全にいかれてしまった。ここでは鍵をかけて誰にも聞こえない場所にしまっている。購入者も同じようにしたほうがいいだろう。

さて、入札を始めよう。まずは…50000ゴールドからでどうかな?

遺物師の蔵書庫

Library of Incunabula

アーティファクトの記録:オパールのお守りArtifact Record: Opal Charm

ダガーフォールのジェラルディ伯爵がデイドラ公メリディアの崇拝に手を染めたかどで追放された後、銀の薔薇騎士団は彼の領地から異教の道具や信者を根こそぎ排除する任務を与えられた。伯爵の召使の大半は神々を恐れる人々だが、伯爵が後援していた芸術家たちの集団はそれほど純朴でないことを騎士団が突き止めた。教団の所持品の中には、雌鶏の卵ほどの大きさの紋様が刻まれたオパールがあった。この宝石は黄金の型にはめ込まれ、鎖で吊るされていた。騎士団の魔術師たちは、これが強大な魔力を持つことを即座に見抜いた。放出されていた色鮮やかな光は、台座に置かれているだけでも祠全体を照らし出すほど明るかった。

このお守りをさらに調査すると、綺麗な光のショーどころではない力を有するものだと分かった。この石はメリディアの領域と深いつながりを持っており、放出される光は彩られた部屋から直接引き出されているのだ。使い方を理解すれば、光で作り出した物体を離れた場所に映し出せる。単なる幻影ではなく、彩られた部屋の力が生み出す物理的な召喚だ。この召喚を維持するにはかなりの集中力が必要で、集中が途切れるとすぐに消滅する。

一見しただけでは分からないこのお守りのもう一つの特性は、生者に対する支配力である。何といっても、生命と光の淑女は服従を好む。オパールのお守りは生物の生命力を合一させられるのだ。これは信者たちを処刑しようとした際、我々が発見したことである。このアーティファクトの装着者、つまり伯爵を多大な尽力の末に仕留めるまで、お守りに結びつけられた他の者たちは、傷を受けても倒れることがなかった。このような強力な物品がより危険な敵の手に渡る前に、我々の手で押収されたことは幸いである。

公文書保管人バーソロミューによる記録

アーティファクトの記録:大地裂きArtifact Record: Groundsplitters

銀の薔薇がロスガー山脈に巣食うデイゴンの略奪者に勝利したことで、大量の戦利品が手に入った。彼らの武将、雪崩のバーグは自分が築いた瓦礫の下に眠っているが、バーグが大切にしていた「大地裂き」は騎士団の宝物庫に飾られるようになった。オークの山賊があのような強大なアーティファクトをどうやって手に入れたのかは謎だが、この5年間に奴がハイロック中で暴れ回った報酬として、破壊のデイドラ公が授けたのかもしれない。

この威圧的なブーツは戦士にとってそれほど重いものでなく、持っているだけなら特別な力があるようには見えない。しかし足に滑り込ませた途端、装着者は巨人のように、足を踏みしめるたび低い唸り声のような地響きを発生させる。「大地裂き」を履くと、装着者の足踏みの衝撃は数倍に増幅される。つま先で歩いても大きな音が響き、強く踏みつければ地面にひび割れが入る。

誤った者の手に渡れば、このブーツはたとえそのつもりがなくても壊滅的な被害をもたらす可能性がある。ありがたいことに、もはや砦の奥深くの宝物庫から出ることはないだろう。

公文書保管人バーソロミューによる記録

アーティファクトの記録:不実の剣Artifact Record: Duplici Gladio

噂によればこの剣は数百年の間、血なまぐさい陰謀と死の決闘を通じて、帝都でその所有者を変えてきたという。八十年戦争の際に帝国軍によってダークエルフのある戦士から奪われた後、帝国中枢において一種の伝説と化したとされる代物だ。この剣がかつてどのような名を持っていたかは知らないが、インペリアルの間では不実の剣と呼ばれている。その理由はこの剣が強大な力を持つと同時に、終わりなき裏切りの連鎖をもたらしたことが知られているからだ。このように地味な武器が恐るべき評判を得ていることを、不思議に思う者がいても無理はない。しかし詳しい者なら、剣の紋様を見ればその不吉な出自と真の所有者が分かるだろう。これは策略のデイドラ公ボエシアのものだ。

より知名度の高いゴールドブランドほどには人目を引かないが、私見だがこの目立たない剣はダークエルフの油断ならない性質によりふさわしい。不実の剣の最も注目すべき性質は、剣自体と装着者の分身を生み出し、それを本体と独立に行動させられることである。この力の利点は明らかだが、ボエシアの品を無条件で信用するのは愚か者だけだ。分身はデイドラ公に都合のいい時は装着者の命令に従うが、真に忠誠を尽くすべき相手を決して忘れない。

三旗戦争によって直前の所有者がシロディールを追われ、我々の手に転がり込んでこなかったなら、この呪われたアーティファクトは帝都をさらに数百年の間、死と裏切りに染め続けていただろう。今では砦の宝物庫に貯蔵されているので、もう犠牲者を出すことはない。

公文書保管人バーソロミューによる記録

アイスリーチ魔術結社への手紙Letter to the Icereach Coven

アイスリーチの諸君

申し出を受け入れていただき感謝する。その先見の明は古代からの絆を際立たせるだろう。王侯は伴う者によって判断されることが多いが、諸君とは波長が合うと感じる。共に世界をより良くするため、労力を惜しんでいない。

側近たちからは、求められた資料をすべて届けたと聞いている。この儀式が難し過ぎるようならすぐに伝えてほしい。我らの時は近い。今でさえ、動き出した車輪を止める訳にはいかないのだ。多くのことが、諸君たちの速度と精度にかかっている。

我々の協定について、疑いを持つ者もいるやもしれぬ。これは覚えておけ。私は常に約束を守ってきた。約束を守る相手には、血にかけて約束を守ろう。取り決めを尊重できないようなら、諸君の城塞の壁を召使の内臓で染めよう。これも誓う。

儀式の結果を早く確認したい。すぐに我々はノルドを服従させ、諸君たちが失ったものを取り戻すだろう。

敬白
-R

アドシ・フェヴルの日記Journal of Adosi Fevur

彼女が戻ってきた時、私たちは喜んだ。千年の不在の後、我らが祝福されし創設者が大地から現れ、蘇ったのだ。古い宗教は大部分消失しており、彼女の主張を疑う者もいた。私もそうだった。知らなかったのだから。

だが遺産が火花を発して命を得た。奇跡的な光景だった。女族長は遺産に手を伸ばし、囁いた。言葉は聞こえなかったが、彼女の顔が輝いたように見えた。その瞬間、私たちは真実を知ったのだ。

しかし、である。

女族長は物語が伝えるような人物ではなかった。優しく、忍耐に満ちた人ではない。彼女は私たちの幸福など気にもかけなかった。主に憤怒に駆られた人物だ。彼女は狂暴な敵が部下たちを殺し、自分の地位を奪ったと話した。復讐だけが彼女の目標だった。

彼女が災厄のことを言っているのはわかった。長い年月が過ぎた今は、ただの恐怖物語だと思っていた。一瞬のうちに姿を現し、子供を盗んでいく怪物。どんな物語にも一定の真実があるということか。

その後、多くが変わった。ルラディ女族長は私たちに、災厄の次の襲来に備えねばならないと力説した。遺産を守るために私たちは全力を尽くさねばならないと。私たちはそうした。本当にすべてのものを与えてしまったのだ。

ぺライト公が最大の保護を与えてくれた。女族長はそう主張している。災厄をもって災厄に対抗するつもりなのだろうか。私たちは聖堂を築き、遺産をそこに移した。そして、生贄が始まった。私たちはどうやって歩いているのかもわからない、謎の怪物たちに囲まれるようになった。

私は抵抗した、と言いたいところだが、私も他の皆と同様に熱心に崇拝した。おそらく、私はそのことで罰せられるだろう。

数日が過ぎた時、ニルンそのものが裂けたかと思うほどの轟音が響きわたった。空は赤くなり、煙で満たされた。それ以来、私たちは太陽を見ていない。炎と石が降り注ぎ、私たちの家を破壊した。何が原因でこうなったのか、誰にもわからない。これが罰なのだろうか。

ほぼ三時代の間、バル・サナーは世界から孤立していた。3500年以上前、女族長はこの集落を作り上げた。帰還した彼女は、今やその破壊を告げに来たのかもしれない。

アルクンザムズ・フングArkngthamz-Phng

アルクンザムズ・フング:
竜の牙に捕えられた都市

ネラモ 著

最もよく物語の題材にされ、最も理解されていないドゥエマーの遺産は、おそらく失われた都市アルクンザムズ・フングだ。その伝説に最も深く刻み込まれた要素であり、知られているほぼ唯一のことはこの都市の没落だ。それが何だったのか、どのように起きたのかは、ほとんど記憶されていない。その名前さえ、派手な通称の「牙の巣」によって隠されている。これは元の「フング」を切り詰めた不純な表現に、この場所の最も悪名高い居住者の家を指す。適当に不吉な語句を組み合わせたものだ。数千年語られてきた伝説が、何らかの派生を見せたことはこれが初めてでもない。ドラゴンがこの旧ドワーフ都市を根城にした物語は、それより前の魅力的な歴史を残念ながら覆い隠している、と述べるに留めておこう。

幸運にも私の研究を通して、この埋もれた歴史の一部が明るみに出るようになった。私の発見が示唆するところでは、チャイマーとドゥエマーの平和が確立してから数十年後、クラゲン・クランのドワーフがレスデインの先に領地を探し始めた。放浪したローケン・クランが大移動の際に敷いた道に従い、クラゲンのドワーフは現在のスカイリムと考えられる場所に到達し、アルクンザムズを設立して、この地方で最初の拠点を確立した。

クラゲンの探検家が、敵対的なノルドに囲まれてもここに住もうとした魅力が何だったのかは明確でない。しかし好戦的な人間の攻撃を受け続けたにもかかわらず、彼らの街は繁栄した。その成功に触発され、他のクランも領地を西に広げようとしたほどだ。クランの緩やかな同盟は、実質的に都市国家4つの小帝国を築き、難攻不落と考えられていた。だからといってノルドが諦めたわけではないが。

この成功のゆえか、あるいは付近にこれほど多くのクランがいたためか、クラゲン・クランは西へ拡張を続け、危険な竜牙山脈を突破した。私は彼らが、新しい帝国を疎遠になったヴォレンフェルの同胞とつなげようとしたと考えている。いずれにせよ彼らは石を破砕し、現在のハンマーフェルの国境に姉妹都市を築いた。それがアルクンザムズ・フングだ。

地形は居住に適さなかったが、ドワーフたちは拡大を続けるこの居留地を攻撃的なまでに削り、すぐにクラゲン・クランの権力の座を設置したとする証拠が幾つかある。荒廃してはいるが、アルクンザムズ・フングの大広間の貯蔵庫は今も雄大だ。広大で、隔離されていて、資源と生命にあふれた空間が、ドラゴンプリーストに仕えるノルドが作った住居よりも居心地のいい場所を探していたドラゴンにとって、魅力的だったことは想像に難くない。

悲しいことに、私の最初の探検は予期せぬ抵抗に遭遇し、さらなる重大な解明がなされる前にこの地を離れざるを得なかった。しかし、これが出版されることで生じる関心が第二の、より野心的な探検を実現させてくれることを疑っていない。

ある姉の後悔A Sister’s Regret

弟よ

あなたがこれを読むかどうか分からないけど、他に選択肢がない。あなたの怒りは責めないわ。私は自分の言動を後悔している。私はただあなたの安全を守りたかった。でも、あなたはもう二度と私を信じないかもしれない。信じるべきかどうかも私には分からない。

そう、私は後悔している。あなたは私の目を開かせようとしたのに、私はいつも無視した。あの手紙は取ってある。あなたは信仰を忘れるなと言った。ソブンガルデにかけて、どんなに手紙を燃やそうと思ったことか。でもあの時でさえ、私は多分あの言葉の正しさが分かっていた。私は真実に耐えられないのだと思う。

あの日のことははっきりと覚えている。スケイルコーラーの死体が雪山の頂上に横たわっていて、彼女の血が少しずつ雪を赤く染めていた。私は彼女の仮面を取ろうとしていた。私の冷たい指が、彼女の金属をきつく握りしめた。力と支配を求めて必死だった。

でも仮面は私を拒絶した。彼女から離れようとしなかった。その瞬間、お腹の底に重い感覚を受けて、私は悟った。こんなことを始めるべきではなかった。あなたは私に伝えようとしたのに、私は聞かなかった。

お願い、私と一緒に脱出して。この聖堂の魔法の守りは崩れ始めている。私たちは高価なものを身につけているから、見逃してはもらえない。あなたがここに一人、汚らわしい盗賊に殺されるなんて耐えられない。お願い、私たちと一緒に来て。新しい家と、新しい目的を見つけましょう。あなたに誓うわ。私たちは新しい人生を見つけると。

あなたを愛する姉妹
ルエルデ

ある姉の反論A Sister’s Retort

弟よ

あなたを馬鹿だと思ったことはなかったけど、今は思っている。すでに分かっていて当然のことを書くわ。あなたは全ての徴候を無視して、妄想の中に深く潜りこんでいる。私は躊躇せず真実を見ているのに。

目を開いて!もう無視できないわ。スケイルコーラーは私たちの秩序を破壊し、悲惨さだけをもたらした。彼女が無能なせいで、ドヴァー・サーヴォクンは私たちを見捨てたのよ。こんなに明白な真実が分からないの?私たちを破滅させたのは、彼女の弱さ。しかも不機嫌な子供みたいに、彼女は私たちを手放さない。こんな屈辱を我慢するつもりはないわ。

ドラゴンがいなくなって、私たちの教団は崩壊した。私はドヴァー・サーヴォクンに従うことを選んだ。彼だけに。置いていかれた人々に対して、私は何の忠誠心もない。スケイルコーラーはただの抜け殻よ。支配する力もなければ、それを認める力もない。あんな弱者に導かれるのは嫌。

あなたの献身に深く、厳しい一瞥を向けることを勧めるわ。変化は私たち次第。前に進むことを拒否すれば、悲惨な過去に取り残される。賢く選択しなさい、ヤークボーン。選択肢がなくなってしまう前に。

誠意を込めて
ルエルデ

ある弟の嘆願A Brother’s Plea

最愛なる姉さん

認めざるを得ないが、あなたの最後の手紙には困惑しています。ドヴァー・サーヴォクンが去ったことで、私たちは皆不安になっている。あなたの懸念も分かる。だが頼むから、そんなことでゾナーク・ザーンへの信仰を揺るがせないでください。彼女は私たちを守り、導いてきた。崇拝のため、この美しい聖堂を与えてくれた。ザーンを崇めることは私たちの生涯の目的です。

ザーンの行動がおかしいとあなたは言いますが、私からすれば当然のことです。ドヴァー・サーヴォクンとの彼女のつながりは強い。私たちに想像できるどんな絆よりも強いのです。ゾナーク・ザーンには彼の導きがなくなったことで、大きな喪失感があるに違いない。私たちと同じように。長時間隠遁しているのはそれが原因だろうし、それだけのことです。彼女の力が弱っていると疑うなど…

あなたの心配は自分の心にしまっておいてください。手紙で私に伝えてくれたのはよかった。もし盗み聞きでもされたら影響が恐ろしい。それに、遠からず何もかも正常に戻るでしょう。ドヴァー・サーヴォクンは栄光の帰還を果たし、全てはうまくいくはずです。それまでの間、信仰を忘れないように。

敬具
ヤークボーン

ウマリルは失敗したUmaril is Undone

ナリルモル、

私が自分で証言できる。羽なしのウマリルは祖先の聖堂で死んだ。私の兄弟は故郷で名誉を汚した雑種の遺体を持ち去った。彼らは立ち去る前に、この落とし子の頭を牛の女王に贈り物として残していった。

我々は反抗する人間に対し、一致団結して立ち向かわねばならぬ。でなければ我らが君主たちと同じ命運をたどるかもしれない。助力を得られると信じている。

サドリル

オンダゴアの日記Ondagore’s Journal

第一紀1092年、恵雨の月24日

ついにストリキの墓へ入れた!見つかるまでこれだけ長くかかったのも不思議はない。迷信深いレッドガードがグレイホストの遺体をヨクダの遺跡に隠すなど、決して予測できなかっただろう。彼らのアンデッド嫌いを考えれば、とても面白い皮肉だ。

それほど静かに動かなくてもいいだろう。パイアウォッチの衛兵は簡単に気を逸らせる。門を越えて先まで進む者は少ない。この墓は独り占めできそうだな!死んだ吸血鬼を蘇らせるまで、長くはかかるまい。骨の軍団がついに手に入るのだ!

第一紀1092年、栽培の月3日

完全に迷ってしまった。パイアウォッチはここの扉の多くに強力な結界を張っていて、入口へ戻ることが不可能になっている。だから奥へ進むしかない。

第一紀1092年、栽培の月5日

物資は底をつきかけていて、私はまだこの穴と灰の迷路をさまよっている。変身の儀式を実行する前に、下僕の軍団を呼び起こしたかったが。手順を早めるしかなさそうだ。
奇妙だ。聖句箱は手元にあるし、試薬も持っている。なのに今、決定的な瞬間になって躊躇している。きっと飢えのせいだ。私はリッチへ昇り詰めるため、数十年かけて準備してきたのだ。たとえ止めたくても、今さら止めるわけにはいかない。躊躇は餓死を意味する。すぐに儀式を始めよう。

第一紀1092年、栽培の月6日

成功だ。多分。書くのが難しい。心臓の震えを感じる。ずっと。少しでも考えると、手が震える。何かが足りない。そのうちに収まるだろう。収まるはずだ。

第一紀1092年、栽培の月8日

ようやく震えが収まった。だが今は集中できなくなっている。私は何時間も石を見つめて過ごし、絵具を塗ったらどう見えるか想像し、石の構造について思いを巡らせている。私は教えられたとおりに儀式を行った。時が来れば私の心も明晰になるだろう。間違いない。

第一紀1092年、真央の月22日

なぜ誰も手紙をよこさない?なぜ誰も訪ねてこない?私はこの石と灰の大広間に座り、自分と会話している。よりによって、私自身とだ!自分と私は、何を話した?いつもの同じ物語か?同じ使い古しの冗談?仲間を見つけなければ!絶対に!

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この本を見つけた。私のものだと書かれているが、そうだろうか?この筆跡には見覚えがない。起きた事も覚えていない。いたずらだろうか。そうだ、また私を愚かに見せるためのいたずらだ。あの連中に思い知らせてやる。夜の間ずっと、壁の向こう側で笑う声に。それとも日中だったか?両方かもしれない。どちらでもないかもしれない。

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本だ!本だ!書ける本!オンダゴアの日記?何と情けない著者だろう。不満や泣き言ばかり!全く!しかし、この人物も私よりはマシだろうに!孤独は嫌いじゃない…本当だ!だが訪問者がいるなら歓迎だ。多分。礼儀作法にもよるかな?態度とか?いずれ誰かが呼びに来るだろう。そうだ、そうだ、そうだ、そうだ、そうだ、そうだ。

〈日記の残った部分は判読できない文字で埋まっている〉

ガーラス・マラタールの発掘Unearthing Garlas Malatar

元夫の整頓能力は酷いものだが、今は物を貯め込む癖に感謝している。彼はアイレイドに関するボロボロの本と巻物を複数所持していた。ドゥエマー研究の項目に混ざっていて、中には原本まである。クインタスが杜撰なだけだと思って無視しかけたが、いくらあいつでもこれだけ多くの資料を別の場所に置くはずがない。まだ調べなければならないことが沢山あるが、あのバカは本当に何かを発見したらしい。

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クインタスの最悪な整頓能力に感謝する時が来るとは思わなかった。私がドゥエマーに集中している間に、どれだけ長くここの本は埃をかぶっていたのだろう?あいつはアレッシアの奴隷反乱期におけるアイレイド王国間の書簡を、チュルヘイン・フィーレによる後期アイレイド語専門書の助けを借りて翻訳していた。原典を自分で解読するつもりだが、私に分かる限りでは、アイレイドたちが白金の塔の陥落に対処しようと苦心していたようだ。

* * *
アイレイドの巻物を自分で翻訳して分かったのは、反乱した奴隷と戦争していた複数のアイレイド王国が、情勢を逆転させるための計画を練っていたことだ。憤怒の石と呼ばれるアーティファクトへの言及が数多くあるが、アイレイドはこれが解決策だと考えていた。彼らはドゥエマーが石を所持していると睨んでいた。アイレイドたちは力づくで石を奪おうとして失敗したようだが、これについては確認が必要だ。

* * *
クインタスの乱雑さに感謝したことは全部撤回する。あいつの収集品の中から必要なものを見つける前に、私は老衰で死んでしまうだろう。この乱雑さに何らかの秩序があるとしても、私には見当もつかない。だが彼がこのゴミの山から探しものを見つけるのに苦労している様子はなかった。あいつの顔はもう二度と見たくないが、あの裏切り者の頭が必要になりそうだ。

* * *
いつかヴォレンフェルに戻ったら、あの死霊術師のことを覚えておかないと。普段なら繊細な問題に関してアンドーンテッドは信用しないが、彼女はまともな性質の人のようだ。彼女は私を元夫と喜んで「再会」させてくれたが、あいつを手元に置かせてくれるよう計らうにはそれなりの説得が必要だった。私が改造した与圧チャンバーは思ったよりうまく機能している。クインタスはしっかり閉じ込められ、必要に応じて会話できる。必要に応じて黙らせられないのは残念だが。

* * *
1週間もわめき続けた後、クインタスはようやく逆らっても無意味だと気付いた。彼は自分がしていた憤怒の石の調査を完了するため、力を貸すことに同意した。愚かしい嫌味を我慢するくらいは小さな代償だ。

* * *
私の判断は正しかった。クインタスは確かに何かをつかんでいた。あいつにはいつも陰謀をかぎつける才能があった。歴史の記録によれば、アイレイドのドゥエマー襲撃は阻止され、最終的にはアレッシア人に粉砕された。それで話は終わり。でもそうだとしたら、なぜサルンたちはチュルヘイン・フィーレの死後間もなくアイレイドの遺跡を調査していたのか。それにサルン家が有力者たちを説得して資源を分散させ、人里離れた沿岸に砦を築かせることがどうして可能だったのか?帝国史上最大の内戦の最中だったのに。今起きているものを除けばだが。

* * *
クインタスがこうした記録をどう入手したのかは不明だが、おそらく盗賊ギルドから何らかの力添えを受けていたのだろう。公式には、ミストウォッチ砦は季節外れの津波によって崩壊し、洗い流されたとされている。疑わしいのはその知らせが届く前に、砦の下からある物品が掘り出されたかどうかだ。細かい事情については情報が乏しいが、記述からすると憤怒の石の可能性がある。彼らは発見を隠したのだろうか?自分で確かめなければ。何か手がかりが残されているかもしれない。

カルウリオンのメモCaluurion’s Notes

あれだけ計画し、準備したというのに。数十年の努力が一瞬にして水の泡になった。無益な実験によって消滅し、取り返しがつかない。状況が違っていたなら、私は激怒しても失敗の原因を突き止めようと思っただろう。

私は数えきれないほどの反復によって魂縛を極めた。毎回克服すべき困難があった。だが今回は、麻痺した気分になるだけだ。文字どおりの絶望に座り込み、仲間の壊れた体と過ぎ去った時代の残り香に、一人取り残されている。

ドラゴンは倒れ、その貴重な魂も去った。種族の最後の生き残りか、違うとしても最後に近いのだから何も違わない。戦利品は勝者にと言うが、今回は違う。私が勝ち取ったのは腐敗した肉と鱗の山だけだ。

この機会を逃してはいけない。魂がなくても、この死体には可能性が満ちている。解体と保存が最優先になるだろう。これからあまり眠る時間はなさそうだ。

この生物の無傷の臓器は、より保存に適した容器へ移された。食料と簡単な試薬は交換可能だ。ドラゴンの巣窟を捜索すると、ドゥエマーの財宝の蓄えが見つかった。その多くは密閉された機械の金庫に入っていた。

それを空にすると、かなりの分量の未知の素材が発見された。精錬されていない、発光する明るい青クリスタルの塊だ。まだ残っている腐りやすいドラゴンの部分を空いた容器の中に封印したら、このクリスタルをもっと詳しく調べよう。宝箱の中身の大部分がもうすぐドラゴンになるという皮肉に、多少の喜びを覚える。

クリスタルは何の役にも立たない。不活性どころの話ではない。あれは停滞のエキスだ。不変であり、変えられない。あれの研究は安心して、無際限に延期していいだろう。

残っている私の食料が、予想していたよりも早く傷んでしまった。この遺跡の湿り気のせいか、それとも菌類の流布がこの結果をもたらしたのかは分からない。だが別の食料源を見つけなければ、私はドラゴンの肉を食べることになってしまう。

ドラゴンの焼肉は、肉に靭帯が密集しているが悪くない。味を表現するなら、そう…鶏肉だった。

ドラゴンの遺体は魔法の性質を内在的に保つという主張は誇張でないが、私ならこの遺体を触媒として分類するだろう。応用の可能性は広いが、錬金術の研究は控えなければならない。替えの素材を入手することは不可能だ。

この生物は容易に秘密を明け渡そうとしない。秘密を解き明かすために何世紀も費やせそうだが、私にそんな時間はない。もう食べるものがほとんど残っていないし、すでに長居をしすぎているのではないかと不安だ。

山を降りる力がないため、この状況を受け入れる時が来ている。私はここで死ぬが、望む方法でそうするつもりだ。問題は、あの不変のクリスタルが従ってくれるのかどうかだ。

ギール・マーの日記Geel-Ma’s Diary

こんなことが可能だとは思わなかったが、ツァトバ・ランは再びなぜ我々シャドウスケールが彼に倣わなければならないかを示している。彼は最も捉えにくい敵の痕跡を捉えた。シルケンリングは我々のことを熟知していて、激しさを増す攻撃に対処することはほとんど不可能だ。どうやってか、ツァトバ・ランは彼らのアジトを突き止めた。彼らを根絶したければ、発見したことに気付かれる前に素早く行動しなければならない。

シルケンリングに対する報復に際して、ツァトバ・ランから呼び出された。彼は攻撃して敵を粛正することを計画している。これだけ多くのシャドウスケールが一つの目的に向かうことは珍しい。このシシスのための虐殺に加わることは、自分の特権だと思われる。

これは簡単な仕事ではない。ツァトバ・ランは、シルケンリングの成功が彼らのアサシン技以外のものによる部分が大きいと打ち明けてくれた。彼らは類を見ないほど自らを強化してくれる力の誘惑により、闇の一党やモラグ・トングを見捨てて来たのだ。だから彼はこれだけ多くの仲間を連れて来て、私を側に置いたのだ。この脅威に対して、あらゆる分裂や分散は許されない。

今晩、我々は敵が拠点にする穴へ下りて行く。ツァトバ・ランはこの中に何があるかはほとんど分からないと認めているが、彼の背骨は自信と熱意に満ちている。私も敵の鼓動を感じられる。まるで我々の行進曲のようだ。静かになる前には早くなるだろうと思うとたまらない。シルケンリングを憐れみたくなるほどだ。

クジャルナルの研究メモKjalnar’s Research Notes

全てはこのためだ。荒らした全ての墓地、ひっくり返した全ての石棺、全ての殺しと眠れない夜、血で支払われた空約束…全てはこのためだったのだ。

仲間の誰も、この場所の本性を知らない。彼らは見つかるだろう小物に熱中しながら、謎めいた雇用者について囁きあっている。彼らにとってここは普通の墓でしかない。だが私は知っている。レッドガードは理由があってここにあの灰を埋めた。邪悪な何かが、もうここに住んでいた。ありえないほど強大な何かが。タムリエルにかつてない苦悶の時代を導く、金切り声で運命を告げる使者だ。

この獣は多くの名で呼ばれている…その全ては歴史から消されており、定命の者の舌に発音できる名は少ない。私が見つけた名が1つだけある。ツィルツァリール、すなわち悪夢のベヒーモスだ。この場所の中心に到達したら、彼をその名で呼ぼう。この洞窟の牢獄から地上に出る時、誰もその名を忘れなくなるだろう。私の名も。

グリフォン観察記録Gryphon Watching Log

野生のグリフォンを手懐けるようになってからもう何年か経ったが、クラウドレストから純血種を手に入れようとすれば、騎士団のための仕事に注目を集めてしまうだろう。私はこれを訓練士として技術を磨くための機会と捉えている。


サンゴの高所は予想していたよりも多くの選択肢を与えてくれた。グリフォンがここでよく巣作りや子育てをすることは知っていたが、これほど数が多く、種類も豊富だとは思っていなかった。


高所に住んでいる獣の中に、有力なものを見つけた。特筆すべきは最大の巣を支配している雄のリーダーだ。こいつはこの小島で2番目に大きな雄よりも2倍近く大きく、まったく恐れを知らずに縄張りを守っている。希少な熱帯種で、羽根の色は黒を基調とするが、そこに鮮やかなオレンジ色の線がいくつも入っていてよく目立つ。夜空に消えていく直前の陽光のようだ。


手懐けたグリフォンを1羽、島へ導き入れることに成功した。オファロは十分に躾けられているので、野生のグリフォンたちとの無用な争いは避けている。しかし彼はより小さな、伴侶のいない雌の注意を引いたようだ。


雌にイリアータと名付けた。この子は臆病なので信頼を得るのは簡単そうだが、戦闘訓練の際には重荷になるかもしれない。交配相手として理想的とは言えないが、持続可能な群れを確立するためには必要な妥協だ。


今日、遠くから訪問者が来た。自然の生息地から遠く離れた、山岳地帯の白い種族だ。おそらく故郷から遠いこの小島に退避することで、長い年月の間クラウドレストの飼育者の手を逃れてきたのだろう。島の雄のリーダーは即座に彼女を屈服させようとしたが、どちらもこの激しい遭遇に備えていたようには思えない。彼女の凶暴さは体格の違いを補って余りあるほどだったが、今年の終わりまでにはこの2羽とも、私に従うことになるだろう。

ケシャルゴの日記からの抜粋Excerpts from Keshargo’s Journal

新しい書記、詩的な暗喩が許されるなら、羽ペンに付けた新しいインクの如き書記がケシャルゴの注意を引いた。ヴァリナ。魔術師ギルド出身だ。実戦的な魔法よりも、オブリビオンの多くの次元に関する学問的な知識の集積のほうに惹かれたからだそうだ。だが、魔法の才覚が劣っているわけではない。彼女は力のある妖術師だ。しかし知識に対する渇望が、入ったばかりの新人の中でも突出した存在にしている。

***

以前言及した有望な新人、ヴァリナがスパイラル・スケインにある網の橋の地図作製を任された。地図作製の技術にはやや改善の必要があるものの、誰もが待ち望んでいたメファーラの領域に関する情報を数多く持ち帰った。それより重要なのは、彼女はスケインを移動するという難問に対応できたことだ(この者は苦戦している)。言うまでもなく、彼女は感銘を与え続けている。

***

研究室を訪れたヴァリナに、地図と歴史的記録の価値における違いについて尋ねられた。ハーモーラーに仕えるためにどの専門技能を用いるか決断するつもりなのだろう。長い時間話し合い、彼女は新しいアイデアを得て研究室を去った。まったく、実に鋭敏な頭脳だ。

***

ケシャルゴはヴァリナに代役を頼んだ。彼女の仕事はすべての分野において優れているし、裂け目の日時に関する専門知識はケシャルゴに匹敵する。この者は彼女にリフトマスターの仕事を引き継がせることを検討してみたが、ナクリのほうが適していた。ここだけの話だが、あの職位では彼女の才能が無駄になることはケシャルゴも認めざるをえない。彼女には裂け目を通じてやってくるものから館を守れるだけの素質と優れた魔法の能力はあるが、あの鋭い頭脳にあんなくだらない仕事をあてがってはもったいない。駄目だ。この者は自分の後任として彼女を育てる。

***

アポクリファで何かが起きた。ヴァリナは向こうで何か不穏なことを見聞きしたらしい。というのは、宝物庫の中を空けに行った彼女が戻ってきて、なぜ介入しないのかとケシャルゴに尋ねたからだ。この者は八分儀を引用して観察という我々の務めについて説いたが、彼女はこの答えが不満だったようだ。今日の彼女は憂鬱そうだ。

***

ヴァリナは介入の件を放置しないだろう。彼女はケシャルゴに出来事の内容を話すことを拒み、この話が出るとこの者を「愚かな老人」と呼ぶようになった。

***

ケシャルゴは噂を耳にしている。我々の消極的な任務に対し、ヴァリナが不満を募らせている。

***

館には新人たちがいる。ヴァリナのような魔術師と同様に戦士たちも。思いがけず彩られた部屋への裂け目が閉じた今、より多くの書記が必要だ。そのことが、この者の頭に重くのしかかっている。警告があまりにも遅く、遍歴の杖は私の手から遠く離れていた。ジリピフとケシャルゴはなすすべもなく裂け目が閉じるのを見ていた。この失態にヴァリナが憤慨するかどうかはわからない。ただ、自分に怒りを感じる。

***

この者が視界に入るとひそひそ話が止まる。何が起きているのかわからないが、このようなことがあると、ほとんど残っていない毛が逆立つ。ヴァリナはさらに口をつぐむようになり、書斎で過ごす時間がかつてないほどに減少した。何が起きているにせよ、原因は彼女だ。ケシャルゴはそう確信している。公衆の面前で私を「愚かな老人」と呼び、他の書記たちに不満を伝えている。彼女は順番がくる前にマグナスタイラスのマントを奪おうとしているのではないかとケシャルゴは恐れている。遍歴の杖を隠さねばならない。彼女が入手を試みる前に。

コヴァン・ジリョンの日記Journal of Kovan Giryon

奴らは来て、彼女を奪っていった。

ルラディ女族長は我らの馬を集め、この山の避難所へと導いた。彼女に触発されて、私たちはこの塔を築いたのだ。そして何より、彼女は地下深くにある我らが遺産を見出した。我らの母は千年も生きられたはずだ。あの方は偽の神々に対抗し、民を取り囲む腐敗から我らを守ってくださるはずだった。

だが災厄、すなわち無から姿を現し、目にも止まらぬ速さで動く侵略者が現れた。我らの一族を切り伏せている悪党どもだ。奴らは私たちが丁重に世話していた召使たちを虐殺した。奴らは一瞬のうちに、栄誉ある我らが女族長から約束された故郷を奪ったのだ。

私たちはあの方がお戻りになると信じている。あのように野蛮な怪物たちが、あれほどの力の持ち主を殺したなどとは決して信じない。あの方こそが、我らを再び栄光へと導いてくださるのだ。

私はまた、災厄が再び現れることも知っている。激しい雨の後、地表へ這い出てくる虫のように、奴らは我らの故郷を破壊に来るだろう。

だからこそ私は準備をしている。

我らの遺産から得た教訓は数多い。私は言葉に記しえないことを見た。本でしか読んだことのないような出来事を。私には理解しがたい規模の悲劇を。そして幻視を得るごとに、私の技術は向上している。

だから災厄よ、来るなら来るがいい。私たちから残酷にも奪い取ろうとする者よ、私はバル・サナーを守ってみせる。女族長がお戻りになった暁には、私の献身を称えてくださるだろう。

ザーン・スケイルコーラーの歴史The History of Zaan the Scalecaller

ドラゴンプリーストの研究家、ジョルバルド・ダヴォー 著

ザーン・スケイルコーラーは短命のドラゴンプリーストで、名も知られていない。彼女は大きな戦いの指揮を執ったこともなければ、強大な敵を征服したこともない。一見しただけでは、彼女が平凡でこれ以上の調査には値しないと思えるだろう。彼女に関する学術書の欠如を考えると、これまでの歴史家たちがこのような見方をしていたのは間違いない。しかしながら、ザーンの物語がこれほど無視されて来た事実こそが、彼女を魅力的な研究対象にしている。

ザーンは彼女のドラゴンロード、強大なるドヴァー・サーヴォクンによって選ばれた時、異例に若かった。サーヴォクンとのつながりは特に強かったと言われている。周知のように、ドラゴンと選ばれたプリーストとの間のつながりが精神的か、魔術的か、単に政治的なものかについては様々な憶測がある。いずれにせよ、ザーンは短時間のうちに強固な関係を築き、彼女の信者たちはこれを大いなる幸運の徴候と捉えた。10年ほどの間、全ては順調だった。

騒ぎが持ち上がったのは、サーヴォクンが自らの聖堂を去った時だ。その理由はおそらく、ザーンその人を除いて誰も知らないだろう。どの記録によっても、この別離の結果としてザーンは、魔術的か心理的なものかは不明だが、次第に鬱へと落ち込んでいった。この鬱は頻繁な隠遁をもたらし、恒常的に閉じこもるまでに至った。

彼女の信者たちは次第に不満を抱くようになり、それは時と共に不信へと変わった。彼らはサーヴォクンに見捨てられたと信じ、今日の我々が神の喪失を見る時のような絶望感でこの件を見た。彼らはスケイルコーラーがその弱さのためにサーヴォクンから見捨てられたのだとして、彼女を責め始めた。この非難に対して、スケイルコーラーは一切反論しなかったと言われている。信者たちはこれによりザーンが非を認めたと捉え、怒りに任せて彼女を殺してしまった。

これがザーンの最大の謎である。信者たちに非難された時、なぜ彼女は自己を弁護しなかったのだろうか?

大部分は憶測だが、私の説はザーンが自らを弁護できなかったのだとするものだ。ドラゴンロードの喪失がもたらした苦悩のために、彼女は話す意志か、話す能力自体を失っていたのだ。とはいえ、これが魔術によってもたらされたのか、単なる心理的トラウマなのかについては、まだ私も確信は持てないでいる。

この歴史的事件を研究することで、ドラゴンプリーストとそのドラゴンロードとのつながりについてのさらなる洞察が得られる可能性があると私は信じている。我々はこのような関係性における初歩的な政治的側面を越えて、その先にあるものを見なければならない。これほど崇拝されていた、この精神的な繋がりとは一体何だろう?スケイルコーラーの助けにより、我々はこの問いに答え始められるだろう。

スキーヴァトンの改造と運用Skeevaton Modification and Operation

見習いザノン 著

本論文の成果は370回にわたってスキーヴァトン・ファブリカントの解体と再構成を徹底的に

〈ここから7枚分の長ったらしい導入は省いた。金属板に文字を彫る時は簡潔に書くべきだろうに〉

標準機能

認識装置:取り外されていない限り、全てのスキーヴァトンは初歩的な音響および視覚機器よりも洗練された感覚機器を所持している。望遠ロッドに取り付けられた認識装置は検知魔法の波動を放出し、決められた範囲内の関係する物体を調査し探索する。

〈標準デザインの中では、これが唯一記載に値する装置だった。匂い分析装置に興味があるなら別だが〉

スキーヴァトンの改造

スキーヴァトンはクロックワーク・シティならどこにでもおり、極度に危険な環境にさえ見られる。細工師はファブリカントのサイズの小ささという弱点を、攻撃および防御に活用できる装置を付けることで補ってきた。

ギアの変速:この中で最もありふれた改造は、一時的にスキーヴァトンの速度を向上させる付随的な駆動ギアである。スキーヴァトンが稼働中の装置の内部を移動する必要がある時には、間違いなく役に立つ。

〈簡単でいいが、重さが難点になるだろう〉

エネルギー吸収:スキーヴァトンは場合によって小型のマジカ蓄積装置を装備しており、これにより一時的に、充填された魂石なしでもエネルギーを貯蔵、転送できる。実践的な用途は理論上無限にあるが、強力な魔法の充填は防御に使うこともできる。

エネルギー放出:完全に充填された小型マジカ蓄積装置は緊急の場合、一時的に蓄積されたエネルギーを解放し、全方位に純粋な破壊魔法を放出できる。この衝撃は稼働中のコンストラクトに過負荷をかけやすいので、他に手段がない場合か、安全な条件下でのみ使用すべきである。

展開可能な障壁:シャーシを強化したスキーヴァトンのほうが一般的ではあるが、発見した中でそれを上回る防御効果を持つのが、広範囲に投射可能な展開型障壁である。これはスキーヴァトン自身を守るだけでなく、他の無防備な物体も保護できる。

雷撃シャーシ:いたずら好きの、あるいは破壊工作志願者たちは、ファブリカントの外装を通して強力な破壊的雷撃を生成する危険な改造を施している。この電撃は生物にとって苦痛であり、アニムンクリを黒焦げにしてしまう。

回復放射器:大抵のスキーヴァトンは物理的な修理器具を装備しているが、ある優れたモデルはスキーヴァトンの周囲に回復魔法のフィールドを生成するよう改造されている。これは損傷した金属を修復し、残存熱を取り除き、エネルギー放出を安定させるなど、円滑な動作を維持するための処理を行う。

〈改造は素晴らしいが、スキーヴァトン1体の容量に全てを組み込むのは不可能だ。特定の役割に適したものを選ぶ必要がありそうだ〉

超身体的操作:私がリバースエンジニアリングを行ったスキーヴァトンの大半は単純な、あるいは決まった任務を自動的に実行するものだったたが、個人が直接ファブリカントを操作できるよう手が加えられているものにもいくつか出会った。この手の改造には人形師の糸にも似た邪魔そうなワイヤーから、携帯用の音波放出器や、ファブリカントそのものの中に入れる超身体的な「与圧チャンバー」まであった!この改造されたドゥエマーの装置は驚くべきことに存在を純粋な境界エネルギーに変換し、気密性の内室に収める。ファブリカントに接続されれば、そこを占めている者の知性はファブリカントを自分の延長として操作できる。言うまでもなく、これによりかつてないほど正確な操作が可能になるが、巨大なリスクを抱えてもいる。与圧チャンバーが使用されている間にスキーヴァトンが壊滅的な損傷を受けると、ほぼ確実に使用者を死なせてしまうのだ。そもそも再び実体化できるかどうかも分からない。

〈超自然的なものを入れるために与圧チャンバーを使うとは考えもしなかったが、驚くべきことではない。音波装置はしばしば、物質と非物質の境界を曖昧にする。これにはいくつかの使い道が考えられそうだ〉

スコーリオンを増やせMore Scorions

スコーリオンの復元は今でも最優先事項だ。

あれが力尽きる以上のスピードで替えを作れなければ、主が求める成果を出すことはできない。”変異”の仕事をしていない者は、疲労で倒れるまで召喚の儀式を続けるのだ。デイゴン公のために命を捧げよ。

そうすればあの方は、お前たちの破壊への献身が本物であると知るだろう。

セレーンの観察Observations on the Changeling

セレーンの肉体は死んだが、私の解剖にも彼女の不満を声に出す能力にも問題はない。彼女の精神体はムンダスに残る肉体から解放された他の魂と似ている。さらに調査するため精神体をわずかに刈り取ったが、死後間もないセレーンの忍耐を試すつもりはない。

* * *
セレーンは野生動物と同じように拘束を引っ張る。壊れるまで抵抗して大声を出す。合理的な生物がすべきではない行動だ。これにより、彼女の姿はエルフでも実際は違うことを再確認させられる。彼女が疲れ果てたら、この形態における変異性の試験を続けられる。

* * *
場所を移さなくてはならない。このひどい森は湿気、カビ、菌が多い。残されたセレーンの遺体を保存することは不可能なようだ。南の荒野は湿気がましだろうし、セレーンとエーテルの繋がりを保持できるほどにはヴァレンウッドに近いだろう。

* * *
腐敗により、セレーンの体から採れた試薬の半分が駄目になった。今後の研究課題が山積みになっていなければ狼狽していたかもしれない。彼女の死体が倒されたデイドラと同じように再生するという理論が正しければ、大きな失敗になることはないだろう。

* * *
予想通り、セレーンは体を切断されても長期的には問題ないようだ。精神体の喪失は一時的に魂を損傷するが、全体の構成に影響は残らない。残念ながら、セレーンの肉体についても同様かどうか試す機会はなかった。

* * *
今日のセレーンは弱っている。回復力を過大評価したようだ。死体から採った素材に注力し、力の回復を待つ。ただし、回復させすぎることはない

テランのメモTerran’s Notes

見事な柱だ。強い光によって「アカト」と文字が焼き付けられている。

偽物がそこで躍る?揺らす?

様々な歩き方?歩くことが一体どう関係しているんだ?

歩き方の種類に分かれる。8種しかないのか?

偽物が塔で踊らなくてはならない、音符を鳴らさなくてはならない。時間はそうしてはいけない。

歌にはyour nameが必要だ。

まったく意味が分からない!

テンマール渓谷の観察Observations on Tenmar Valley

この地域は思っていたより人がいない。以前はある程度のカジートが居住していたことを示す遺跡はあるが、この渓谷に長く定住者がいなかったことは明らかだ。ここなら何も邪魔されず実験ができる。

* * *
山頂の辺りに花が咲き誇っているようだ。灰や緑に明るい青が混ざっている。この時期に開花するのは珍しいが、標高の関係だろうか。研究所は洞窟のかなり奥にあるので、気が散ることはない。

* * *
腐敗臭が風に運ばれてくる。研究所が腐敗臭で満たされつつあり、セレーンさえも蝕んでいるようだ。

* * *
この辺りに最近死んだようなものは見つからなかったが、相変わらず腐敗臭が周辺に広がっている。山頂から流れ込んでくるようだが、かつてないほど山頂に鮮やかな青が見える。ニルンで最も悪臭を放つ花でなければ、あれが原因だとは考えられない。

* * *
原因はその花だった。咲き誇る野の花と思われたが、まったく別物らしい。先ほど見た獣を参考にするなら、侵襲性の虫の群れだろうか。青みを帯びた雲が鳥の群れを飲み込むと、鳥たちは地上へ真っ逆さまに落ちた。

* * *
ようやくセレーンが自発的に話すようになった。彼女はこの場所に病が広がっていると感じている。何ということだ。ここに残ればセレーンに危険が及ぶ可能性もあるが、数ヶ月分の研究を虫のために放棄することは考えられない。この先の行動を慎重に検討しなくては。

ドラゴンは放っておけLeave the Dragons Where they Lie

お前の言うとおり、私もあのみじめなサーロトナックスを抹殺したいとは思っている。だが、それは後先を考えない身勝手な衝動だ。そんなことに時間を使えば、我々の責務は妨げられる。もう我々はドラゴンガードではない。あのマントは遠い昔に捨て去った。ドラゴン殺しは、もう我々の目標ではない。もしそうなら、この数百年の間に奴らを隠れ場所から追い出して絶滅させただろう。それは他の者の仕事だ。彼らに任せておけばいい。我々は玉座に注力する。

お前が例のクランマザーを頼ったおかげで、我々は大きな危険に晒されている。吸血鬼の行為に諸手を挙げて賛同する者は信じるな。ましてドラゴンの力を得る?それは幻想だ、グランドウルフ。お前の関与を正当化するための言い訳さ。任務がドラゴン殺しほど華やかでないことは分かっている。しかし虚栄に走るな。我々がここに残っている理由を忘れるべきではない。

私はアネクイナへ2日後に発つ。そちらへ到着する前に、この言葉を胸に刻んでくれ。

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ドラノスの日記Dranos’s Diary

元の仲間のため、私は憤怒を装った。どうしてシルケンリングが領域へ踏み込むのを傍観して許したのだ。我々の契約を盗み、密偵を殺されるような弱みを見せるとは。私は言葉で火をつけ、ナイフで燃料を提供した。連中が気付くことはなかった。怠けた、傲慢な愚か者め。

レースの女公は私の偽装を喜ばれている。モラグ・トングは影を追っているが、本当の脅威には全く気付くことがない。私は努力によって、シルケンリングに招かれるようになった。これにより、私はメファーラに単なる称賛を述べるだけでなく、自分の手で彼女に奉仕できるのだ。デイドラの祝福を受けることに比べれば、金の約束など何だろうか?

女公は私が紡ぎ手の祝福を受ける前に、最後に一つのことを求めた。献身の捧げ物。メファーラに似合う犠牲だ。他の愚か者は急いで飛び出し、彼女の名の下にナイフを振るう。私は違う。これには慎重さが必要だ。自己紹介は完璧でなくてはならない。

私は絆を求めたことはない。どうして自分の心を縛って、敵が利用できる武器を与えるのだ?しかし、それでも私がこうした拘束を甘受し、錠を閉じられたことはあった。ニリとのことだ。おそらく、今度は私が絆を提供するべきだろう。

ニリは私の前進に備えていなかった。それも不思議ではない。私は自分の意志を明らかにしていた。私は彼女に変心を疑わせる時間を与えなかった。彼女はまだ私を愛していたからだ。ニリの疑いは私の手によって消え失せ、彼女はメファーラの網へと自ら落ちて行った。

私は夜の度にニリへ嘘を吹き込んだ。モラグ・トングについて疑いを植え付けた。彼らの許可なく動くべきだと説得した。私は今晩、彼女をシルケンリングに導く。きっと完璧になるだろう。

短剣が彼女の心臓を貫いた時の、ニリの顔は素晴らしかった。最後に苦しむ瞬間に、隠していた感情が全て現れたかのようだった。レースの女公は私の犠牲に大きな感銘を受け、私は彼女の目に留まった。当然だ。

さあ、影のゆりかごに行こう。メファーラの真の力を味わうために。私の献身への報酬はきっと素晴らしいだろう。

これは正しい行動だった。今までになく確信している。あらゆる疑いは、レースの女公と会った時に消え失せた。彼女が与えてくれた力は、モロウウィンドの愚か者が想像もできないようなものだ。多くの利点は、定命の者の枷を捨て、より高次の目的を受け入れることによってもたらされた。官僚主義と偽神への借りによって堕落する前に、モラグ・トングは本来こうなるべきだったのだ。

ドルイド・アンワスの記録Logbook of Druid Anwas

1日目

私、カソレイン王の忠実なる僕アンワスは、ハイロックを去る我らの旅を記録することを誓った。私たちは故郷にも歴史にも永久に残るような民ではないが、この旅は栄誉に値すると信じている。

私たちは新しい自治領を築くことを目指している。残酷なよそ者の邪魔を受けることなくドルイドが繁栄し、信仰を実践できる場所を。我らが王は海を越える船旅を導き、私たちは心に喜びをたたえて王に従う。恐れてはいない。むしろ希望に満ちている。

出立前、カソレイン王は私たちの前から姿を消した。最初、多くの者が置き去りにされたと思い不安になった。しかし私は違った。王は決して私たちを見捨てない。外出したのは私たちのためを考えてのことだと信じた。

王がついに帰還なされた時、私は自分が動じなかったことに大きな誇りを感じた。王に直接問われることはなかったが、私が信じていたことは伝わっていると思う。

3日目

海に出てたったの数日だが、士気はまだ高い。私たちは毎朝集い、イフレに祈りを捧げる。我らの旅路を導く強い風を、そして腹を満たすための魚を求める祈りだ。今のところ、イフレは私たちの願いを叶えてくれている。

今日の夜の夕食中、王の小間使いベトリスと相席する幸運が巡った。彼女はおそらく私と話している時、少々ホットワインを飲みすぎていたが、それが笑顔をより美しくしていたので気にならなかった。彼女はふと、出航前に不在だった王に同行していたと口を滑らせた。グレナンブラのウィルドを訪ねていたらしい。最初、私は彼女の話を疑った。ありそうにないことだと思ったからだ。彼女は私が不信を示したことに少し傷ついて、語気を強めた。

私はできるだけ穏やかに、その会合の目的を聞きだそうとした。王の行動について知る権利など私にはなかったが、好奇心に負けてしまったことが悔やまれる。ベトリスは会合の理由についてはほとんど知らないと言ったが、それは本当だろう。王はいつも、ただ恩寵があったと答えるだけだ。

出過ぎた質問をしたのに気づいた私は、ワインを注ぎ足し、潮風の匂いに話題を移した。

15日目

アビシアンの航海は続き、風は基本的に私たちを南に運んでいった。私たちの船は他の船から段々離れていったが、物資はまだ豊富だった。海上で過ごす時間が長くなることを予期して、必要になりそうなものすべてを貯蔵しておいたのが役に立った。

あの最初の夕食以来、私はベトリスと多くの時間を過ごすようになった。彼女は素敵な人だ。この記録の目的とは無関係なので友情については細かく記さないが、私たち全員が互いに対して感じている親愛の情の一例として伝えておきたい。

いや、全員と言ったが、ベトリスは私たちのある仲間について懸念を表明した。サエルだ。彼はイフレの命の祝福の終焉を専門とした、闇の技を研究している。これはまっとうな研究領域であり、多くの信者がこの道を進んでいる。しかし、サエルにはどこか不安を感じさせるものがある。彼は情報に飢えているように見える。王のため、彼には目を配っておくべきだろう。

32日目

風に運ばれて私たちはとても小さな孤島へたどり着いた。船団の痕跡は見当たらない。私たちは手短に探索と物資集めを行ってから、再び出航することにした。島では、ドワーフが作った入口があった。私たちの民はドワーフとあまり接触したことがない。生き方についての考え方が根本的に違うので、出会う機会がなかったのだ。私自身もドワーフを見たことはない。だが、彼らの技は見ればわかる。

これを書いている間も、サエルは扉を開けるよう主張しており、かなり強硬なようだ。正直に言うと不安だ。ベトリスがここに来てくれてよかった。彼女がいると心が落ち着く。それにもし何かあっても、彼女は杖の扱いに長けている。

?日目。今が何日目かもわからない。

私たちはサエルの要請に折れて、ドワーフの扉を開けた。扉は金属と石で作られた、曲がりくねった迷路のような洞窟へ通じていた。中には誰もいなかったが、アルケインの力が唸っていた。

サエルは先を走っていった。彼は私に見えない何かを追っているかのようだった。まるで奥へと招かれているみたいだ。私たちは隠された危険を警戒しながらも、彼を追いかけた。だが暗闇の中で見失ってしまった。彼の呼び声が時折聞こえてきた。歓喜の叫びか、あるいは怒りの声か。意味をなさない叫びだった。

ベトリスと私はグループの残りの者たちから離れてしまった。ドワーフの機械の唸る音の奥に、私たちはどちらも甲高いこだまを聞いた。サエルに違いなかった。

私たちはこっちに戻ってこいと呼びかけた。広間をさまよい、海底を眺めていると、かつて仲間だったものの姿が目に入った。彼は変化していた。深淵で何をしたのか、肉体が取り除かれ、霊魂だけが残されたのだ。恐ろしい光景だった。これ以上は考えるのも、書き記すのも気が進まない。

背後からサエルの声が近づいてきたため、私たちは逃げた。私たちはずっとこのおぞましい場所を出るため動く床を探していたのだが、迷子になってしまった。歩き回るほど、声は近くなっていった。もう、このトンネルに隠れるしかない。休まなくてはならない。

なぜイフレは私たちをこんな恐るべき場所へと導いたのか、自問し続けている。これは試練なのだろうか?このような形で私たちを試すのは残酷じゃないか?仲間をあのような怪物に変身させ、私たちの心に、私が愛する女性の心に恐怖を打ち込むとは。

だが、私はまだ信じている。王はこの邪悪から私たちを救ってくださるだろう。他の船が戻ってきて私たちを見つけてくれるはずだ。もう少しで私たちは緑に輝く新たな故郷を目にするのだ。ただ――

ドルイド・ベトリスの記録Logbook of Druid Betrys

1日目

私、ガレンのドルイドにしてカソレイン王に従う者ベトリスは、新たな故郷を探す私たちの旅を記録することをここに誓う。私はアンワスにこの約束をしたが、彼も私たちの移住と、ドルイドの新たな地を発見する物語を保存することに意味があると信じていた。

私は一時、王の召使として仕えていた。この呪われた島に上陸した今、王は別の者を召使にお選びになったのだろう。仕方ない。遠くからドルイド王のためにできることはあまりないのだから。

文章を書くのは苦手だ。私はこういうことをした経験があまりない。私の観察はアンワスが書いたものほど面白くないかもしれないが、できるだけ努力するつもりだ。

それではハイロックから出航した日ではなく、今日から記録を始めよう。アンワスがこの任務を果たせなくなった日。つまり、船団に追いつくため再び出航する準備が整った日だ。

8日目

定期的に記入できなくて残念だ。前にも言ったけれど、物を書くのには慣れていない。私たちはあの恐ろしい島を出た後、船団の航路を追って南西へ向けて出港した。海は青く、雲は白く穏やかだ。少し前に降った雨が暑さを和らげてくれて助かった。他の者たちは集まってこの祝福をイフレに感謝したが、私はしなかった。

食料の備蓄にはかなり余裕がある。士気を維持する助けになるだろう。私たちはもう月が一巡する以上の時間を海上で過ごしていて、多くの者は上陸を待ちわびている。私も同じ気持ちだ。この別れは、新しい故郷に到着した時の喜びを高めるための試練なのかもしれない。

22日目

海はまだ青い。嵐にぶつかり、私たちの船は大きく揺られた。しかし損害はなく、乗船者は全員生き延びた。今はそれ以上のことを望めない。

37日目

星を利用して位置を見定める方法を試してみた。船長とその船員が航路を外れないためにどうしているかをよく見て、それを真似している。彼らからはいくつかのことを学んだし、それには感謝している。いつか迷子になって、助かるために航路を定める必要があるかもしれない。星に目を配っておくのが最善だ。

49日目

随分長い間海にいたが、ついに上陸した。ここの草が肌に触れる感覚は優しく、気に入った。特に内陸を歩いていると、空気が甘く感じられる。私たちは船団の残りを発見したが、すでに錨を下ろして野営していた。カソレイン王は上の崖から見下ろしている。離れたところから、民の活動を観察なさっているのだ。

私も自分から行動しようと思う。島のどこか別の場所で野営したい。仲間たちが気にくわないというのではないが、ある仲間をとても残念に思っているので、孤独に彼のことを考えたい。この新しい故郷で、私の民はこれまで考えられなかったほどの繁栄が可能になったが、犠牲もあった。私が生きている限り、彼らには感謝の念を捧げ続けたい。

ナ・ケッシュの日記Na-Kesh’s Journal

樹液。殻の薄い愚か者どもはそう呼ぶ。そのような物質がニルンに汚された樹脂と比べられるかのように。いいや。それは樹液以上のものだ。

ある学者が、強きチュダンへ食わせる前に「琥珀のプラズム」と呼んでいた。オブリビオンの混沌とした基準が、傷口からの血のように我々のヒストを通じてムンダスに流れ込んだものらしい。あの乾いた舌と態度と来たら。私よりもヒストの秘密を知っている者がいると思うのか!

サクスリールが最初の鋤を持ち上げる前から、プラズムはツォノ・クヒルの根に貯まっている。しかし、その秘密を見つけたのは私だけだ。これを飲むか、浴びるだけでサクスリールはおかしくなる。しかし錬金術の研究とヒストの導きによって、私はその力を制御できるようになった。これは簡単なことではない。この基準は混沌のものだ。その本質はシシスを求めている。しかし、その指令には耳を塞がねばならない。彼を父と呼ぶサクスリールは、泥の小屋で衰弱し、木の器から古い魚を食べている。ジット・ザートは秩序を求める声を聴き、輝ける都市へと永遠に住むだろう!

適切に操作されれば、琥珀のプラズムは価値あるサクスリールに素晴らしい速度と力を与える。私がその効果の証拠だ。すぐに私の醸造薬は、全てのジット・ザートに配られるだろう。その時、マザッタンは帝都にも並ぶ!根の民が初めてブラック・マーシュを支配するのだ。そして、全タムリエルも!

ナシーン・モーティウの研究その1Research of Nathien Mortieu, Vol. 1

この聖堂は素晴らしい場所だと分かった。ここはより寒いため、混合剤の調合には最適と思われる。しかも尋問する卑劣な衛兵もいない。無知から来る嫌悪感を剥き出しにして、我らの祝福を見下す目はないのだ。多くの者は私の決断に疑問を呈したが、連中は近視眼的だった。私のように、その先を見なかったのだ。

洞窟のオーガの研究の成果には…確かに副作用があった。奴らは比較的簡単に感染した。予測しやすい行動パターンと鈍い知性のおかげで、素晴らしい実験材料になる。我々は疫病が物理的に表出する初期の徴候を確認したのだ。いいぞ、これはいい。素晴らしい、実に素晴らしい。この汚らわしい怪物も、私の導きによって美しくなった。ああ、こいつらは何と幸運なのだろう。このような愛すべき疫病に抱かれる、最初の者になったのだから。

だが、そこで全てが失敗してしまった!奴らは失敗だ。失敗だったのだ!奴らはとても疫病とは思えない行動を見せ始めたのだ。あの嫌らしくて愚かな怪物どもは死のうともしない!奴らはただ…怒るばかりだった。より強くなり、ひたすら凶暴になった!奴らは私の研究者たちを攻撃し始めた。昨晩だけで相当な人数を失ったと思う。これから予定どおりに進めればいいが、すでにかなりの遅れが見込まれそうだ。

この研究を放棄するのは心苦しいが、このオーガたちは野獣と化してしまったと結論せざるを得ない。研究を続けることを望むならば、我々にはもっと人間の被験者が必要だ。この山が隔離された場所であることを考えると、どうしても通常の手順を踏む時間がない。多くの者は巨人が利用できるかもしれないと提案した。危険だ。危険きわまる。だが死人の出ない発見などあるだろうか?

個人的なことだが、私のもう片方の耳がついに腐り落ちた。まだもう少しかかりそうだが、現在の状態には期待が持てる。私は日々美しく、より完璧になっていく。より祝福されていくのだ。

ナシーン・モーティウの研究その2Research of Nathien Mortieu, Vol. 2

最新の進展のおかげで興奮して、どうにも震えが止まらない。我らが愛すべき疫病は見事、とても見事に結実した。そう、今やこの病気はほぼ不治と言ってもいいくらいだ!初期は症状の遅延を作り出すのが難しかった。被験者の消耗が早すぎ、要するに拡散するための時間がなかったのだ。我々は彼らを歩き回らせ、我らが祝福をできる限り多くの人々に広めたい。何と…崇高なことか。

そして実際に症状が出た時には、いやはや…とても書き記せるものではない。あの汁気たっぷりの膿や、広がる発疹について詩のように語ることはできる。腫れ物は膨れ上がって、ほとんど半透明になる。あの愛らしい、病的な緑色の影を見るだけでも、私の体全体が喜びでゾクゾクする。これほど美しいものを見たことがあるか?私はいつも自分の仕事に誇りを持ってきたが、これはもう愛情に近い。

巨人はオーガと同じく有用だと分かったが、奴らの反応はやはり…間違っている!奴らは私の可哀想な作品を何か別の、予測不能なものに変えてしまった。蛮族どもめ!オーガと同じように、疫病は奴らを強靭にし、攻撃性を高めてしまう。人間性が足りないのだ。おかしい!奴らの大部分は今頃もう死んでいて当然なのだが、かつてないほど頑健になっている。病気になった気分だ。良くない意味で!

我々はすでに多くの研究者を失っている。これ以上失うことはできん。巨人の女族長はとりわけ攻撃的になっている。実に愛らしくなってきたところだというのに、残念だ。暇な時間にスケッチを描きたいと思っていたのだが。まあ、発見への道のりはいつも足場が悪いものだ。目標に辿りつくためには、犠牲が不可避というものだ。

目標といえば…おお、そうだ、そうだとも!彼女が目覚めつつある。骨で感じるのだ。まったく、ひどいお寝坊さんだ。だが彼女の音が聞こえる。おお、聞こえるとも!彼女は我らが栄光の計画と、我らが新しい時代を導くことを私の耳に囁いている。きっと実現するだろう。今は彼女の安全を確保しなければ。そして、彼女は導き手となる。

ついに彼女と会う時のために、私の外見を最高にしておきたい。私の鼻は腐り始めているが、進行が遅い。自分で切り落としたくなるくらいだ!だが、いかん。それはだめだ。それではおかしくなるだけだ。全てに辛抱強くしなければ。我が祝福の美はいずれやって来るだろう。

ナシーン・モーティウの研究その3Research of Nathien Mortieu, Vol. 3

奴らは我々を笑った。馬鹿にしたのだ。母でさえ私を理解してはくれなかった。母は家族の伝統を継ぐことを求めていた。「尊敬すべき教団に入りなさい」と言ったものだ。だがヴァルミーナは混沌の嘘にすぎない。我が主は完璧な真理の秩序だ。なぜ奴らは我々の話を聞かない?奴らは決して耳を傾けない!だが今では、奴らも我々に耳を貸さざるを得ないだろう。奴らは全員、ペライトの名を心に刻むのだ。

我らが祝福の準備はもう整った。祝福は拡散する。全てを飲み込む疫病が、この世界を死体で埋め尽くすだろう。この嫌らしく不完全な、秩序も敬意もない世界を。全ては我が主、あの方の秩序に属するようになる。奴らの笑い声は咳に埋もれ、溜まった胆汁が無礼な言葉を窒息させるだろう。奴らは美しく、完璧になる。そして奴らは自分の汚物に倒れて死ぬ。その光景を想像しただけで、心が躍るようだ。

仲間の研究者たちに、我々が作り出したこの祝福を受けることを許可し始めた。おお、私と同様、彼らも激しく求めていたのだ。だが気をつけねばならない。気分に流されてしまえば、この作戦全体が崩壊してしまうかもしれん。そんなことを許すわけにはいかない。我々は真の自然の秩序に、これほど近づいているのだから。

まずは小さく始めよう。この近くに村がある。非常に小さく、我々の需要に合致している。まず彼らを消し、噂を広めよう。奴らの心に恐怖を植えつけるのだ。我が作品の名はタムリエルの全ての民の口にのぼるだろう。その上で、奴らの舌が腐り落ちるようにする。

だがあの女は…おお、なんと気難しい、嫌らしい女だ。彼女は我々の実験や計画のことなどまるで気にも留めていない。ただ私を見つめるのだ。あの女は何を考えている?彼女の顔は見えない。あの見苦しい仮面を取ろうとしないからだ。まだ以前の主への愛着があるのではなかろうな。嫌らしい、嫌らしい!

もちろん、私はペライト公の意志を疑わない!そんなことはしない!あの方は私の忠誠心をご存じだ。忠実だった。私はあの方の秩序づけられた世界の幻視を見て、魅了されたのだ。腐って輝く死体で埋め尽くされた地。新しい時代が来る、新しい秩序が来るのだ!全ては我が主の旗の元。母は私を追い出した日を後悔するだろう。

記録を続けたいが、中指が取れて記述が難しくなってきた。残念ながらこれが最後の記述になりそうだが、それが何だろう?計画が失敗するはずはない。疫病のデイドラ公の意志に打ち勝てる者などいない!そして皆が、あのお方の祝福を知るだろう。

ニコラード・リアの日記Nicolard Lia’s Journal

運命とは奇妙なものだ。ある者の運命が、定命の者からみれば何の前触れや理由もないような状況で、突如として変わってしまうことが多々ある。だがこの場所に私を導いた一連の出来事は、何らかの知性がある存在が作り上げたものとしか思えない。多くの偉大な発見と同じように、これも偶然によって引き起こされた。ジュリアノスは悪戯が好きなのだろう。

私のクラグローンへの旅は遅れに遅れ、降霜の月になってようやく出発できた。賢い者であれば翌年に延期していただろうが、立ち往生があまりに長く、悪意に悩まされた経験は以前にもあった。最初の数日間の夜は、燃えさかる決意のおかげで凍えることもなくジェラール山脈を登り続けられた。だが逃げ帰れなくなるほど遠くまでやって来た時、その寒さは腕の良い追いはぎのように、私から決意を奪い取っていった。

選択肢は残っていなかった。勇気を出して近くにある乾いた洞窟に入り、そこが熊やトロールの住処ではないことを祈るしかなかった。そして岩の中へと続く、天然の洞窟を発見したのである。そのゴツゴツとした岩の中から響いてきた恐ろしい遠吠えに思わず飛び上がりそうになったが、それはただの風の音だった。その風に服を引っ張られた私は、その暗闇へと引きずり込まれた。好奇心を刺激された私は、寝床に向いた一番居心地の良い花崗岩の調査をいったん打ち切り、その先に何があるのか調べてみることにした。

そこで私が見たものは、山々に囲まれ、世間から隔離された渓谷だった。その一番奥と思われる場所には熊がいて、私はその熊を眠りから目覚めさせるという大失敗を犯してしまった。私は疲れ切っていたが、のろまな獣の怒りによって、寒さにもう少し長く立ち向かう勇気を奮い起こさせられた。山道沿いの奥地とは違い、身を切るような寒さにもかかわらず、そこでは自然界の生物がまだ生に執着していた。

その地が寒さに耐えていたとしても、身を隠せる場所がなければ寒さにやられる程度には寒かった。だから私は寝床に適した狭い場所を探した。何度ももうダメだと思った。この極寒の地で死の魔法をかけられているようだったが、忍耐はどうにか報われた。渓谷の突き当たりにある山には、削り出されたような古い遺跡が建っていたのだ。その中に潜む危険を考える余裕もなかった私は、最後の力を振り絞って巨大な石の扉を押し開け、その場に倒れ込んだ。暖かい風に迎え入れられた記憶を最後に、私は気を失った。

私はうつ伏せになったまま目を覚ました。だが顔の下には冷たい石でなく、温かい大地と生い茂る草花があった。最初は服が湿っていたのは解けた氷のせいかと思ったが、服が肌にくっついていたのは私の汗のせいだった。その遺跡はどうやら、熔岩の流れている洞窟の中に作られていたようだ。活力に溢れる植物が存在しているのは、そこが熱帯気候の土地だからだと自分に言い聞かせようとしたが、その言い訳も調べていくうちに破綻してしまった。この遺跡が理由なのか、もしくはこの洞窟にそういった特性があるためにこの遺跡が建てられたのかは分からないが、どうやらここには植物を異常成長させる不思議な力があるようだ。

寒さによって死ぬ可能性がなくなった私は、この洞窟の入口に拠点を構え、遺跡の外面を隅々まで調べることにした。これはネードの民が作ったものだ。その程度は見当がつく、だがシロディールで見られる他の建築物よりも洗練されていない。アレッシア時代以前のものだ。数ヶ月クラグローンで調査しても、これほどのものは見つけられないだろう。だが私は、探検を始めてからわずか数日で、文字どおりの偶然によりここを見つけた。運命とは本当に奇妙なものだ。

ニコラードの自分用メモNicolard’s Note to Self

この遺跡では寝る場所に気を付けなければならない。今日の夜、仕事中に居眠りをしたあと、恐怖のあまり命を落としそうになった。大蛇に締めつけられているような感覚がして、目を覚ました後にのたうち回りながら、崖から飛び降りそうになった。実は、寝ている最中に蔓が絡まっただけだった。

夢の中で何か楽しいことに熱中していたようだ。あの酷い目覚めのあとで、何だったのかを忘れてしまったのは残念だ。

ニサーズダの日記Nisaazda’s Journal

これ以上望むべくもない恩恵に対し、サンジーンに感謝を!この者はドラゴンの血を最後の一滴まであなたの名で飲み干すだろう。一滴たりとも無駄にはしない。この機会を逃さず賢く血を利用しなくてはならないが、残された時間は少ない。グランドウルフはいずれ報酬の催促に来るだろう。

* * *
ニサーズダの願いには十分な根拠があり、ここまでは慎重に対処できている。ドラゴンの血を採った小瓶は今も温かい。マジカは溢れんばかりだ。そのためエキスの力が十分に測れない。もしもこの口からよだれが垂れるなら、この獣の血を飲むと想像するだけで喉が潤うだろう。しかしアネクイナの灼熱の砂漠の香辛料に含まれるような、血の激しさによって踏みとどまっている。忍耐が必要だ。

* * *
レノルドめ、ネズミのようにコソコソと。奴の手紙がグランドウルフに届いた経緯は不明だが、どうやらかなり真相に近づいているようだ。ニサーズダは、あの老いぼれがこの計画の可能性に気づいていないのだと〈貪る者〉に請け合った。奴がこれで諦めることはないだろう。ニサーズダは今すぐ行動に移るべきだ。

* * *
ニサーズダの調合薬は、この素材の範囲ではほぼ完璧に近いものだ。希少な血の小瓶をすべて使った。あらゆる儀式も執り行った。知る限りの供物を血の猫に捧げた。ドラゴンの血を味わう準備は万端だ。自分が慎重過ぎると思いたいが、たとえ〈貪る者〉が貪られようとも、この努力は無駄にならないはずだ。

ネボルへの手紙Letter to Nabor

親愛なるネボルへ

あなたは多分、私を憎んでいるでしょう。私があなたに与えた運命を憎んでいるはずよ。それをとやかく言うつもりはない。でも私がなぜこんなことをしているのか、説明すべきでしょう。私が理由もなく苦しめているわけではないことを知ってほしい。これであなたの心が落ち着くと願いたい。

実を言うと、私にはあなたの持っているものが必要なの。正確に言うと、命と活力が。パイアウォッチから入手すれば、我々の存在に気づかれてしまう。ホストの骨にも活力が残っていないから無理。だから残るはあなたよ、ネボル。強くて丈夫な、頼れるネボル。

さて、あなたは飢えのようなものを経験するかもしれない。腹とは違う場所から来る、説明不能の渇望。正直に言いましょう。飢えは増大し続け、あなたは耐えがたくなるでしょう。つまり、私があなたから奪ったものを取り戻さねばならない。あなたは近くに寄ってくる、あらゆる生き物から力を奪うでしょう。私は気にしない。でも、私は仕事が完了するまで、あなたから必要なものを奪い続けると知ってほしい。我が創造が完成し、この広間を歩き回るまでは。

この獣、我らの子供は闇の技に新たな意味をもたらすでしょう。どんなアンデッドも、この栄光には比べられない。あなたはこの偉業において、不可欠な役割を果たすの。飢えの苦しみと苦痛が耐えがたくなった時は、そのことを考えて。

敬具
ヴォリア

ネリル・ベルヴァインの日記Journal of Nerile Belvayn

私たちの新しい家で一番気に入っているのは、太陽を防ぐ涼しい壁だ。せりだした岩は奥まった谷間中に影を作っており、その光景は荘厳だが、温かみもある。これだけ十分な防壁があれば、日中の暑熱もほとんど私の皮膚まで届かない。

女族長は石の囁きが聞こえると言っていた。彼女の信念には、私を信じさせる何かがある。それに、彼女は私たちをここまで導いてくれたのだ。危険な賭けだとは思うが、あの人のことは密かに信用している。彼女の演説には時として、より大きな精神と交信しているかのような響きがある。

私たちの多く、いやもしかすると全員が、故郷で起きた政治的駆け引きには反対だった。自らを神と称する者たちを崇拝するなど、納得がいかない。だが私は遊牧民と化して我らが家の伝統を捨てることも望まない。だからこの動乱の時代に安全と孤立を約束してくれるのは、私たちの多くにとって渡りに船だった。ルラディ女族長はその約束を果たしたのだ。

井戸のために掘削している時、何かを見つけた。物体だが、固形物ではない。周囲には空気と光が非現実的な形で渦を巻いていた。女族長は喜びに我を忘れているようだ。これが我らの遺産だと言う。

あれが地下にあったことを彼女は知っていたのだと思う。彼女は街の拡張を監督していたが、常にどこか上の空だった。しかしある日、彼女はある特定の場所を掘るよう強く言い張った。彼女が選んだ地点からずれることは許されなかった。そして掘ってみると、あの物体があったのだ。

一体あれには、どんな力が込められているのだろう。

ノルゴルゴルの日記Norgorgol’s Journal

ついに運が巡ってきた!要塞にこれ以上適した場所はない。確かに前回も同じことを言ったが、ここは隙間風の入る兵舎やボロボロのシーツがある壊れかけの古い砦じゃない。この遺跡は、まさに追いはぎの楽園だ。

ここは人里離れた場所だ。洞窟をいくつか通り抜けた先にあり、山道からは渓谷が見えない。ノルドの兵士が偵察に来ることはないし、気付かれることを恐れてキャンプの火に気を使うこともない。そもそも、料理以外では火を使う必要がない。料理にさえ必要ないかもしれない。この地域には熔岩が流れていて、洞窟と遺跡の中を快適な温度に保ってくれている。草が生い茂っているのもそのせいだろう。肩幅と同じぐらい太い蔓があることも、この標高にこれだけ植物があることも、誰にも想像できないだろう。

状況がまずくなって人目を避ける必要が出来た時も、ここなら十分に暮らしていけそうだ。警戒が解かれるまで蔓を切り、雪を溶かし、温かい草のベッドでゆっくり過ごせばいい。隠れ家の暮らしとして、こんなに贅沢なことはない。

確かに、品物をここまで運んでくるのは思っていたよりも大変そうだ。だが、帰り道で他の人間やエルフの姿も見ていない。リーチの民が痕跡を辿ってこちらに向かっているという噂があるが、腰布を巻いた原始人を恐れる必要なんてあるのか?それでも遺跡の防備を固めるまで、罠や警報を設置しておいたほうがよさそうだ。

ここを初めて訪れた時、この壁が血を流したような色をしていることには気付いていなかったと思う。ここには、このくすんだ赤い石がそこら中にある。いや、実際には血を流しているわけではない…とにかくこれを見てから、その姿が頭から離れなくなった。

昨夜寝ている時、仲間を殺しそうになった。奴がずっとこそこそ動いていたので、全く休めなかった。眠れたと思ったら必ず、服のこすれる音が軋む車輪のように耳をくすぐってくる。奴を殴りつけたが、振り返ると奴は死んだように眠っていた。実際に死んでいた可能性もあったが、とにかく、こすれるような音がまだ鳴り響いていた。

音の正体は蔓だった。蔓が酔っ払った大蛇のように身をよじっていたのだ。

少し離れなければならない。あの蔓の音は、どんな騒音の中でも耳に届くようになった。頭がおかしくなりそうだ。山道を探索して、まともな場所を探すしかなさそうだ。

1時間の間に、3回カラスの群れを見た。それとも道に迷った同じ群れだったのだろうか?鳥がこの辺りをうろうろするには少し季節外れだ。これは悪い予兆だ。そういう噂を聞いたことがある。

どこから来たのかは分からない。リーチの民による山狩りだ。大勢いる!何かを探しているようだ。だがここに彼らが求めるようなものは何もないはずだ…我々以外には。彼らはまだ隠れ家を見つけてはいないようだが、いずれ見つかってしまうだろう。

できることなら荷物をまとめて早くここから逃げ出すよう仲間に言いたいが、蛮族に気付かれず抜け出せるとは思えない。事態が思ったより早く好転することを祈るしかなさそうだ。

あの鳥どもめ!カラスが遺跡をねぐらにして、それからずっと鳴き続けている。洞窟の外まで鳴り響く声は、実際よりも十倍ぐらい大きい獣が鳴いているかのようだ。

神よ、あれを止めてくれ!

バーソロミューの仮説Bartholomew’s Theory

ウェルキンド石の台座周辺に刻まれたこの文字は、隠し通路のようなものを指し示しているのだと思う。こういう仕掛けはハイロック中の王宮や要塞で用いられているし、「セリ」は広間を意味すると聞いた覚えがかすかにある。王宮や要塞の地下居住地を指す一般的な言葉だ。とにかく宝物庫にも要塞自体にも、そんな隠し通路があるという記録は残っていない。それが問題だ。

* * *
ティエリック団長は我らの砦と特に遺物の宝物庫が、思っていたほど安全ではないかもしれないという懸念に同意している。騎士団長は我々の防備が抱えているかもしれない弱点を探すよう命じた。期待に応えてみせる。

* * *
ウェルキンド石を元の台座に戻してみたが、何も起きない。これだけで隠し通路が明らかになるなら、そもそも前任者たちが見つけなかったはずはないだろう。もっと色々試してみなくては。

バーソロミューの任務Bartholomew’s Task

騎士団長は前任者たちの記録を調べ、神聖なる砦の地下の宝物庫を調査せよと私に命じた。騎士団はもう数百年も前、神々のためにこの異教の間を聖別したのだが、騎士団長が古代の野生のエルフ魔術を疑いの目で見るのも仕方のないことだろう。

* * *
記録によれば、砦の地下の宝物庫には連結したウェルキンド石があるらしい。初期の前任者は正当にも、デイドラの影響を恐れてこの物体を台座から取り除いた。私は野生のエルフの専門家ではないが、デイドラ公に対する彼らの献身は、世俗の者にとってさえよく知られている。

* * *
ティエリック団長はこれまでの発見を喜んでいるが、不安も感じているようだ。ウェルキンド石を入手し、石と遺跡とのつながりについて調査を続けるよう命じられた。気が重い任務だが、全力で取り組むつもりだ。オブリビオンの冒涜的な物品が保管されている宝物庫を、無条件で信用できると思い込んではいけない。あの宝物庫の起源を考えればなおさらだ。

* * *
ある前任者はアイレイド研究者を任じていたため、赤い花弁の砦の地下にあった元々の建物から多くの拓本を残している。アイレイド語はさっぱりだが、ウェルキンド石を載せる台座から取られたある言葉が繰り返し出てくる。ゴリセリ・モラブロ。ついに手掛かりが見つかった。

バーソロミューの発見Bartholomew’s Discovery

ついに進展があった!ウェルキンド石は宝物庫の遺物の一部に共鳴した。以前にはなかった輝きが灯ったのを見て、私はウェルキンド石が消耗していたに違いないと気づいた。魂石と同じなのだ。よく考えれば当然かもしれないが、私は野生のエルフの手法が我々のものとは全く異なると思い込んでいた。とはいえ、デイドラの魔術が何らかの形で関わっていてもおかしくはない。慎重に進めなければ。

* * *
もう1週間経ったのか?この宝物庫の中で時間の感覚を失ってしまった。アーティファクトを漁り、石の反応を確かめ、力を送ろうと試みていた。だがうまくいっている。石は遺物から吸収した輝きを維持している。私が接続を引き出すたびに光は確実に強まっている。もう少し続けよう。きっと成果が出るはずだ。

* * *
家に戻って、少し休息を取ったほうがいい。宝物庫の衛兵にもそう言われた。私が仕事をしに行く時、背後から彼らの囁き声が聞こえるのだ。私はかっとなって静かにしろと怒鳴ったが、彼らは自分がしたことを認めようともしない。全く、子供のような連中め。とはいえ、騎士団長に報告する成果が必要だ。また台座を試そう。そろそろ秘密を明かしてくれるだろう。きっとそうだ。

パイアウォッチの掟Pyre Watch Precepts

生者も死者もこの境界を越えてはならない。

やむをえぬ場合を除き、封印の先に行ってはならない。

できる限り、ここに埋葬された者の名を口にしてはならない。

名誉を守り、モルワの徳を尊重せよ。

息をするごとにトゥワッカを称えよ。彼に仕えることで強くなれる。

哨戒兵は誓いを守り、灰の監視を怠ってはならぬ。たとえそよ風でも、この墓から灰を巻き上げるならば遮断すべきだ。

バローグの計画Balorgh’s Plan

ヴィコサ様

すでに疑問の余地はありません、バローグはあなたを蹴落とすつもりです!彼は私たちをグレートハントへ入らせ、ハーシーンの恩恵を勝ち取り、あなたを倒す力を得ようとしています。まだあからさまには言っていませんが、その代わりに恩恵がどのように群れのために使われるかについて、つまらない言い訳を述べています。私は彼の言葉が嘘以外の何ものでもないことを知っています。

私一人では彼を止められず、あなたの密偵であることを明らかにして危険に晒される意味もありません。よって私は、バローグの監視を続けて攻撃の時を待ちます。戦闘になれば、私に彼を倒すことはできません。理解していますが、私は全力で彼を止めると誓っておきます。

敬具
ロネラ

バローグへの懸念Concerning Balorgh

ヴィコサ様

私たちの一団がハンティング・グラウンドへの侵入に成功したことを喜んで報告します。詳細は帰還時にお話しします。いつ戻れるか分かりませんが。バローグがどうしてもと言うため、もう一週間以上ハーシーンの領域に留まっています。

あのオークは、ハーシーンの弱点を見つけるため偵察を続けるべきだと主張していますが、私は動機を疑っています。私があなたの命令を彼に思い出させようとするたび、ただ癇癪を起すのです。彼の言い訳は段々説得力に乏しくなってきており、他の何かを探しているのではないかと危惧しています。ひょっとすると、あなたに危害を加える何かかもしれません。

私は観察と報告を続けます。

敬具
ロネラ

バローグへの手紙Letter to Balorgh

バローグへ

お前はヴィコサを失望させないだろうね?この任務は重要なのだから。

まだ死んでいないのに、ハンティング・グラウンドへ侵入する方法を見つけるのは簡単じゃない。しかし、この者たちは今後に備えなければならない。タムリエルを手中に収めたら、腹を空かせた猫の領域へ攻め込むのだ。しかし、まずは侵入方法を探さないといけない。

侵入方法を見つけたら、すぐに月狩人の砦へ戻ること。ハーシーンを絶対に警戒させてはならない。お前が戻ったら、攻撃の準備を行う。

失敗は許さないよ、バローグ。

-超越者ヴィコサ

ハンツマンのデイドラ公The Huntsman Prince

ザイナブ部族のハヌ 著

ハンツマンのデイドラ公。獣人の父。腹を空かせた猫。ハーシーンには多くの名があるが、そのすべては彼が司る狩りに関連している。このデイドラ公は追跡、捕獲、殺害にとりつかれている。獲物がエルフか人間か、獣かは関係がない。

ハーシーンはタムリエルで人気がある信仰の対象だが、その評判を疑うことは不適切でない。彼を慈悲の神と呼ぶ者はいないだろう。実際、ハーシーンは積極的な崇拝や崇敬を望んでいないように思える。彼は単に価値があると考える狩人を探して報いる。

それが崇拝対象としての魅力なのかもしれない。彼の残酷さには奇妙な純粋性がある。他の多くのデイドラ公と異なり、彼の恩恵は概ね公平に思える。彼の信者は力を示すだけでよい。そうすれば死後、彼のハンティング・グラウンドで永遠の狩りが約束される。

ハンティング・グラウンド

ハーシーンの信者にはあることが約束される。それは死後、ハンティング・グラウンドと呼ばれる、このデイドラ公のオブリビオンにおける領域で暮らすことだ。永遠の狩りが行われる無限の森。残酷で暴力的な森。死と転生の無限の循環が行われる森。

その土地には狩猟小屋が点在する。この領域に出没する者たちの住処である。森には強力な獣が潜み、ハーシーンの信者たちは素晴らしい狩りに没頭できる。人生をハンツマンに捧げた者たちの、真の楽園である。

グレートハント

稀にしか起こらないが、ハーシーンは生者を自らの領域に入れることもある。この事象はグレートハントとして知られている。ハンツマンの娯楽、血なまぐさい競技だ。この技能と悪知恵の競技には唯一の目的がある。野兎を捕まえてハーシーンに届けることだ。そうして初めて彼の恩寵を受けられる。

このようにハーシーンの恩恵を受けようとして、大勢が死ぬ。参加者同士で敵対するか、この領域にある自然の脅威に倒れるのは珍しくない。もちろん、野兎も無抵抗ではない。

ライカンスロープ

ハーシーンの称号である獣人の父は、実態に相応しい称号である。エルフや人間が獣に変身できる能力は彼がその創造主であると信じられている。変身能力の中でも、狼への変身は非常によく知られている。

生来あるいは感染により狼への変身能力に冒された者は、血の渇望へと駆り立てる強烈な感情に苦しむ。死後は余生をハンティング・グラウンドで過ごすよう送られる。たとえハーシーンへの忠誠がなくとも。

ハンティング・グラウンドから逃れた者を指す既知の書物は存在しないが、1つの可能性がある。グレートハントの参加者が恩恵として魂の解放を望んだ場合、ハーシーンは魂を解放する義務がある。私が無慈悲な領域から父の解放を望むなら、まさにそれを実行しなければならない。

フォージに関するニコラードのメモNicolard’s Notes on the Forge

この古代部族は高度な技術を持っていなかったかもしれないが、原始的だったわけではない。この遺跡の中心部に用いられている建築技術は、ドワーフほどではないにしても、アイレイドのように精巧だ。部屋は広く実用性があり、儀式に使うこともできそうだ。だがその目的については、まだはっきりと分かっていない。現時点では、フォージのようなものだったのではないかと考えている。彼らは熔岩の流れを利用して鉱石を溶かし、金属に熱を加えていた。そのようにして作ったものを冷やすための、巨大な水盤らしきものもある。だが近くに水源らしきものは見つかっていない。

それに鍛冶が使っていたと思われる巨大な石の槌と鉄床もある。だが彼らがどう動かしていたのかは分からないし、魔力が使われていたような形跡もない。これだけ昔のものだ。かなり前に魔力が切れてしまったとしても不思議はない。

フォブス・リブルの遺言Final Will and Testament of Fovus Rivul

これを見つけたあなたが、私を捕えた者たちの一味でないことを願って

私の名前はフォブス・リブルだ。覚えておいてほしい。私はここから遠くない小さな村に住んでいた。おそらくあなたもそこで、この私の遺言を見つけたのだろう。何年もの間、私の仕事は単純なものだった。友人や隣人の服を繕うだけだ。いたずら気分で新しい意匠を施しもした。だが心地よい日常だった。私のように快適で穏やかな生活を望む者にとっては完璧だった。家庭は持たなかったが、気にならなかった。私たちの村は… 閉鎖的だった。だが、今何人が村に残っているのか、見当もつかない。

警戒しておくべきだったのかもしれない。私たちはあまりに長い間、この世界の秩序を乱す者たちと無縁でいた。完全に平穏な生活だったとは言わないが、危険を感じたことはない。それも目覚めの炎が来るまでのことだった。まず、私たちは彼らの松明を見た。あの者たちは長い列を作って、私が今閉じ込められているこの放棄された鉱山の入口に向かって歩んでいた。炎がゆっくりと行進するのを隣人たちと一緒に見ていると、何かを詠唱する低い声が聞こえた。間違いなく地面の下から小さな揺れを感じたが、あの時は緊張のせいだと思っていた。もっと注意を払うべきだった。

間もなく、人々が姿を消していった。ベッドから、田畑から、路上から。誰も帰って来ることはなかった。当然、私たちは鉱山の居住者たちを疑ったが、武器を取って戦うほど腕に自信のある者はいなかった。

そして私の番が来た。荷物が届かなかったので、モーンホールドまで物資を取りに行かなくてはならなかった。その時は不思議に思った。送り主はいつも時間を守っていたからだ。たちまち、私は外套を着た人影たちに襲われた。奴らは馬を殺し、私を殴って気絶させた。目が覚めたら牢屋に閉じ込められ、体は濡れて冷え切っていた。おそらくここで死ぬだろう。

遠くで詠唱する声が聞こえる。そして自然のものではない獣の甲高い鳴き声も聞こえる。だから、急がなくては。私の店は、まだ生きているなら若いリラシに譲る。リラシが死んでいたら、若いメーデンに譲る。私の家とその中にあるもの全ては、困窮している村の人々に分配してもらいたい。私たちの慣習に反するのは分かっているが、残された者たちには避難所が要るかもしれない。それから私の酒場の勘定は、バーテンダーのドリナーに任せる。愉快な間抜けじじいに。

書き間違いや汚れた文字はご容赦願いたい。血塗れの指で書くのは容易ではなかった。

以上のことを認め、ここに署名する。
フォブス・リブル

ブジャーフルド・スクジョラルモルの碑文Epitaph of Bjarfrud Skjoralmor

この街を作った石がここに眠る
人の形を取り、偉業により冠を授けられた
異教徒の森から獣を三度追い出し
森を切り倒してこの街に植えた
彼が立っていたその場所に

ブルルの筆記練習Burr’s Writing Practice

ネズミ

食べる

熱い

料理

冷たい

刺す

ヘラルフへの手紙Letter to Haeralf

ヘラルフ

スヴァーディスから、潮に乗って出発すると聞きました。港で見送れなくてごめんなさい。渦潮に向かって航海するあなたを見ることに、耐えられそうもありません。スカルド王が興味を持っているというなら、自分で見に行けばいい!ごめんなさい。彼は私たちの安全を願っていることはわかっています。あなたや他の人たちを傷つけないことが可能だといいのですが。

古い樺の木の下で言ってくれたことを考えています。私たちの結婚について。ためらってごめんなさい。父の気性が問題なだけなの。ハチミツ酒を飲むとどうなるかは知っているでしょう。とにかく、一晩中考えた結果を伝えるわ。愛しいヘラルフ。結婚しましょう。ソヴンガルデまで一緒よ!

盾をしっかり掲げて、できるだけ早く戻ってきて。計画しなければいけないことが、たくさんあるから!

あなたの雪花
グウェノラ

マーセロクの偵察記録1Maarselok Reconnaissance Log One

テンマールの国境は滞りなく越えられた。ここまで西になると、カジートの居住は長く確認されていない。ドラゴンの気配はないが、激しい嵐を予期するように野生動物が苛立っている。隊長からは主力部隊よりも大きく先行しろと言われている

* * *
ここに来たのは初めてだ。穏やかすぎるようにも感じられるが、この渓谷は自然が豊かだ。なぜカジートは定住に戻らなかったのだろう。そもそもなぜ立ち去ったのか。

多数のカジートがここに住んでいたことを示す、たくさんの遺跡がある。ただし安全な訳ではなく、危うくセンチライオンの餌になるところだった。普通ならセンチライオンは、猫のようにもっと隠れて行動しようとする。

まだドラゴンの気配はない。隊長はそのことしか心配していない

マーセロクの偵察記録2Maarselok Reconnaissance Log Two

遺跡は完全に放棄されたわけではないようだ。足跡が見られる。最近の足跡も古い足跡もあるが、ここ数ヶ月の間に居座ったか、少なくとも通り過ぎた者がいることは分かる

* * *
ここでは魔術師が野営しているらしい。魔法の痕跡が多数ある。しかし、隠遁した魔術師など物語の中にしか存在しない。ドラゴンが現れて立ち去ったのだろう。この洞窟は、主力部隊のよい拠点になるはずだ

マーセロクの偵察記録3Maarselok Reconnaissance Log Three

見つけた!ついにドラゴンが巣から出てきた。何かを探しているように見えた。恐ろしくて5分ほどは息もできなかった。奴は攻撃部隊の存在を察知したが、結局、山頂近くに降りた。これで青いドラゴンの住処が分かった

* * *
ドラゴンが巣を作るとは聞いたこともなかったが、こいつは収集癖があるのかもしれない。スキーヴァーのような癖が。しかし、悪臭はスキーヴァーどころではない。山頂付近は奴と同様に青みがかってきた。夜は眩しいほどい光る。真夜中の山頂への行軍を導く星となるだろう

マーセロクの偵察記録4Maarselok Reconnaissance Log Four

イフレよ、我々を守りたまえ!それまで辺りは静まり返っていた!主力部隊が野営した瞬間、青い腐敗から獣があふれてきた。まるで待ち伏せしていたように!我々は囲まれた。この悪臭の汚水に捕らわれた。奴らは脱出を試みない限り攻撃してこない

* * *
もう他の者は見えない。姿が見えない。逃げられたのは私のみ。私だけだ。

今でも叫び声が聞える。彼らの中に〈青〉が入り込み、おかしくさせた。攻撃を仕掛けてきたのだ!みんな逃げた。みんな逃げて逃げて逃げたが、今は私しかいない。故郷に帰らなくては。〈緑〉が守ってくれる。〈青〉から守ってくれる。

頼む、私を守ってくれ!

マグナスタイラスへの手紙Letter to the Magnastylus

後任者へ

ふざけるつもりはないが、マグナスタイラスでいるのがどんなものかは個人的な経験から知っている。苦役だ。書記の館の監督という悪夢のような業務をたった一人に任せるとはな。オブリビオンの常に変化する地勢の正確な情報を、館中に行きわたらせる。それを要求される新しい裂け目が開くたび、次元の地図は更新されなければならない。そして古い地図は蔵書庫の棚から保管庫へ移されなければならない。書物は検証済みでありながらも偏見に影響されていてはならない。これらすべてがモラの書記を導く仕事の最上位か?新たな書記が足りなかったらどうする?ああ、そして何人がオブリビオンで消えた?何人が旅で命を落とす?これは罰だ。間違いない。私は何やら恐ろしい間違いを犯し、ハルマエス・モラは自分の過ちを教えるためにこの肩書を私に与えたのだ。

この肩書にも一ついいことがある。マグナスタイラスの書斎だ。この忌むべき館で唯一のんびりと読書ができる場所だ。おそらくは、私が書記に加わるに至った原因となる書物の数々を。自分だけの部屋だ。そして、誰も遍歴の杖に触れない唯一の部屋でもある。

私は次元への小旅行以外の杖の持ち出しは好まないが、過去のマグナスタイラスには地位の象徴としてどこでも携帯する者もいた。杖は書記の仕事に大げさすぎると思う。私がこの杖を使うと、杖自身が力を持っているように感じる時がある。虚無を通じて呼びかけ、答えを得る力だ。できれば、それについて考えたくない。

おお、そうだ、最後に記そう。宝物庫へ入ろうとするな。レインファーが許さないだろう。君があのカートクレプトの始末を手伝えば別だが、それは何かなどと聞かないでくれ。私はただレインファーに手伝うとだけ言って立ち去った者なのだ。レインファーが宝物庫の番人ではなくなっていたとしても、後継者のことを検討するには及ばない。おそらくレインファーが自分と似たような者を選び、宝物庫を監視させるだろう。

心配するな。君ならうまくやれるはずだ。

マグナスタイラス・ロウレナ・ブランク

マザー・シアネイトへの手紙Letter to Mother Ciannait

マザー・シアネイト

ヒティ、メイフィンや他の者は進行状況に満足しているようですが、正直に言うと祝えることはあまりありません。ほとんど!彼女たちは雷や炎を扱うだけで日々を過ごせますが、私は研究所で、嵐の可能性を最大限に引き出そうと苦闘しているのです!

マザー、死体が足りません。しもべたちが引き上げてきた船員たちは膨れ上がっていて、使い物になりません。私の実験台に残されている哀れな連中に至っては、語るまでもないでしょう!少しでも前進するためには、新鮮な死体が必要なのです。

ゴーラに運試しをしないかと提案しました。私たちは庭で一番強い子たちを組み合わせ、無作為の選択を数日ごとに行うことができます。彼らは喜んで命を捧げるでしょう、マザー。間違いありません!

私たちが成功するかどうかは、死を極められるかどうかにかかっています。死には犠牲がつきものです。お考えください。

忠実な召使
バニ

マザンディの裂け目の記録Mazandi’s Rift Tracking

ハンティング・グラウンド
開いた日:第二紀570年 収穫の月1日
閉じた日:第二紀570年 収穫の月1日

アポクリファ
開いた日:第二紀570年 収穫の月2日
閉じた日:第二紀570年 収穫の月31日

走り回る虚無
開いた日:第二紀570年 薄明の月28日
閉じた日:第二紀576年 黄昏の月30日

彩られた部屋
開いた日:第二紀570年 薪木の月1日
閉じた日:第二紀571年 薪木の月1日

ムーンシャドウ
開いた日:第二紀571年 薪木の月2日
閉じた日:第二紀573年 星霜の月25日

デッドランド
開いた日:第二紀576年 薪木の月7日
閉じた日:

スパイラル・スケイン
開いた日:第二紀580年 真央の月13日
閉じた日:

マリカに宛てた未完の手紙Unfinished Letter to Marika

マリカ、愛しています。そのことを今のうちにどうしても伝えたかった。気持ちを言葉にするというのは気持ちの良いものです。例えそれが、永遠に届かないとしても。

私たちは今、閉じ込められています。リーチの民が山から洪水のように押し寄せてきたのです。彼らは村をいくつも略奪して街道を占拠し、唯一の避難所だったファルクリースに私たちを押し込みました。もっと遠くへ逃げるべきでした。必要ならソリチュードにだって。でもすでに手遅れです。街はもう数週間、彼らに包囲され続けています。

この街はある程度の包囲に耐えられるよう作られています。でも人が多すぎて食糧が足りません。それにリーチの民は残忍です。食糧のことで長く悩んでいられるような暇は与えてくれないでしょう。

もし生き残ることができたら、私は

ミレンヌへの手紙Letter to Mylenne

ミレンヌ

私たちが懸命に成し遂げてきたことを疑ってはならない。群れは、この者が望むべくもないほど大きく成長した。強くもなった。ヴィコサが過ごした長い年月で、これほど自らの成功を誇りに思い、確信したことはない。

あまりにも長い間、私たちは狩られ、倒されてきた。自らを英雄と名乗る戦士たちに虐殺されてきた。あまりにも長い間、私たちはただ逃げた。

今こそ反撃しなくてはならない。

私たちの群れは月が変わるにつれて強くなる。味方も集めた。私たちは組織の者を強化した。その結果が、タムリエル全域を震撼させる軍隊だ。

私たちが影に隠れることはない。狩ろうとする者を恐れることもない。私たちは立ち上がる!私たちが支配する!私たちに協力を拒む者がいれば、この爪にやられるだろう。

ミレンヌ、あともう少しで完了する。信じ続ければ大きな報酬がある。この者がそう誓う。

-超越者ヴィコサ

メファーラの書記Scribes of Mephala

書記の館の蔵書庫が管理されてきた長い間、マグナスタイラスのための試験が一つあった。その人物の技能と才能がそのための責任と合致することを証明するための試験だ。アポクリファへの裂け目が現れたら、マグナスタイラスは中に入ってハルメアス・モラの声を聞かなければならない。

ケシャルゴとの訓練中、私は自分の能力に疑いを抱くことはなかった。もっとも強く、力にあふれ、知性があり、モラの書記となるための順応力と意欲を持つ者だと自覚していたからだ。仮に疑念を持つことがあっても、ケシャルゴが私のことを重要だと言い聞かせてくれた。私を他の書記と比較し、あからさまに彼らの欠点を指摘して私を持ち上げてくれた。私の就任はほぼ確定していて、あとはただ裂け目が開くのを待つばかりだった。

だが、その時がきても何も聞こえなかった。一言も、囁きさえも。アポクリファのすべてが静まり返っているようだった。その領域の中の私は、聴力を失っていた。静寂が私の血液の流れを止めた。まるで上から突っ込んで来る鷹に気づけない兎のような気分だった。

ああ、私は喜ぶふりをした。愚かな老人が私の就任を疑わないようにした。だが、それが何を意味するかはわかっていた。ハルメアス・モラが私たちから目を背けたのだ。彼は私たちと私たちの働きを遠ざけた。彼を失望させたか、彼が書記の館が提供するものに興味を失ったか。私はケシャルゴやマザンディのような愚か者が書記の八分儀に対して表す情熱を見てきた。知る者を怒らせるようなことは何もしていない。そこから導かれる答えはただ一つ。彼は私たちに価値を見出さなくなった。そして、私は気に掛けてくれない主人のため働くつもりはない。

話はこれで終わりではない。まったく近くにいないのに、声を聞いたからだ。呼びかけを感じる。死んだ書物と愚かな関心であふれたアポクリファの沈黙の館からではない。そう。スパイラル・スケインの光を帯びたキノコが発する声だ。隠された知識の生命の領域。死んだ本ではなく、生きた精神に情報が格納されるところ。書記が長く忘れ去られた時代の空論で停滞するのではなく、成長できる場所。

私たちの仕事は囁きの女にとって価値あるものだ。ゆっくりと書記たちを八分儀から切り離していこう。あのやり方にある誤りを示しながら。そして然るべき時がきたら、私たちの忠誠をハルメアス・モラからメファーラに移行させる。スパイラル・スケインへの裂け目は決して閉じない。新たな師から見捨てられることは決してない。私たちは彼女を通じて隠された知識を聞くことを学ぶ。真の力の秘密を。

ムヴナクの追跡In Pursuit of Mhuvnak

アイレイドのムズルトに対する遠征についての部分的な報告を見つけたが、そこでは憤怒の石が少なくとも9回言及されている。争いはこのアーティファクトを巡って行われたが、妙だ。ドゥエマー自身の報告によれば石は街の中になく、タイミングもまるでずれている。帝国が奴隷反乱の真っ最中だというのに、なぜアイレイドはドゥエマーを襲撃したのだろう?

* * *
報告に前後する数年間、ムズルトは紛争に蝕まれていた。街はノルドとアイレイド、さらに近隣のドゥエマー部族の襲撃に抵抗していた。彼らは全員、憤怒の石を探していたのだろうか?

* * *
偉大なるドゥエマーの建築家ムヴナクはこの頃、ムズルトから姿を消している。戦争の犠牲になったという説が有力だが、私が見つけた内容からすると、上級王ゲリルの治世にノルドが破壊する以前には、ムズルトに大量の死者が出たと考える証拠がどこにもない。

* * *
分かった!カグレンゼルだ。ムヴナクはアイレイドの襲撃の後、カグレンゼルへ出発した。安全な街を去って山中の小さな隠れ家へ向かったのは、何か重要なものがあったからとしか考えられない。明日イーストマーチへ行こう。

* * *
またしても後退を強いられた。護衛として雇ったノルドの2人組が落ちた。文字どおり、ほとんどあっという間に死の罠へ落ちていった。この場所はドゥエマーの名残というよりも、ヨクダの墓を思い出させる。調査しようとする者を殺すのが唯一の目的と思えるほどだ。

* * *
カグレンゼルを慎重に調査した今では、憤怒の石がここにないと確信している。今の私の仮説は、ムヴナクが来て回収したというものだ。設計は巧妙だが、この場所は盗賊を捕まえるのに適したもので、軍隊を押し返すようなものではない。ムヴナクは防衛装置がライバルからアーティファクトを守ってくれるとは信じなかったのだろう。

* * *
ムヴナクは彼の時代における最も優れた建築家だった。彼ほど細部にこだわる者が、計画もなしに憤怒の石を取って逃げ去ったとは思えない。ムズルトにさらなる答えがあるかもしれない。

* * *
今回は護衛を控えることにした。これまで連れて行ってもいいことがなかったし、ムズルトで答えを探すには時間をかけて調査する必要がある。意外ではないが、アニムンクリが未だに広間を徘徊して、壊れていない回路に刻まれた任務をずっと継続している。だが、遺跡の奥深くから何か響いてくるのが聞こえる。鈍くガタガタいう音と、動物の鳴き声だ。何かがコンストラクトの相手をしている。私にとっては好都合だ。今のところは。

* * *
ムズルトについてこれまでのメモを記すための紙がなくなりつつある。なのに私はまだこの街のごく表面に触れたに過ぎない。大抵の学者はこの場所の秘密を解明しながら幸福に一生を過ごせるだろうが、私の目的は大半の者よりも高い。これ以上寄り道は無用だ。ムヴナクについて分かることを探し、彼が逃げ込んだ場所を見つけるのだ。

* * *
ムズルトには監視所のようなものがあって、部屋全体をある装置が占めている。このようなものは見たことがない。ドゥエマーが頭上にある世界を評価していたとは思わなかった。ましてや空を。

* * *
ここにはいくつか文書が残っている。ムヴナクの時代ではなく、ずっと後のものだ。ドゥエマーはムズルトをノルドから取り返し、最終的に姿を消すまでは栄えていた。「オキュロリー」というこの装置は、動いていた時には恐るべき正確さで世界を観察できた。ドゥエマーはこれを使ってムヴナクの失われた宝物庫の場所を突き止めたが、「フロストヴォルト」は氷山の下に埋まっている。彼らの王国のために宝物庫の発掘が試みられたという記録は見つからなかった。

* * *
私の解釈が正しければ、フロストヴォルトが見つかりそうな場所は分かると思う。だが、資金が尽きかけている。クインタスの土地は資産というより借金だし、最後までやり通すには間違えられない。

* * *
私は正しい道を進んでいる。きっとそうだ。西にある山脈の中に、ドゥエマー建築物の証拠を見つけた。あの記録が書かれてから今日までの間に、氷が退いたようだ。溶けた氷河が他に何を明らかにしたのかも知りたいところだが、結果として生じたクレバスはゴブリンにとって魅力的な隠れ家になっている。あれだけのことを通り抜けて来たのに、あんなネズミ喰いに邪魔されるわけにはいかない。これがフロストヴォルトだという可能性に全てを賭けてみよう。

より厳しく調べろApply More Pressure

サリディル、

メダルについての事前報告を手紙の写しと共に超越の魔導師に送ったが、これだけでは十分じゃない。著者は自分の素性も受け手の素性も注意深く隠していた。魔導師の予定通りに計画を進めるためには、このメダルについて何もかも知っておく必要がある。メダルの届け先も例外ではない。囚人の尋問を続けてもらいたい。質問の仕方をもっと工夫することを許可しよう。ただし殺さない範囲でだ。
ヴァラリオン

ライカンスロープの治療A Cure for Lycanthropy

銀なる暁教団の公文書保管人アーナルデ 著

ようやく治療薬が手に入りそうだ。狼への変身はこれによって根絶できる。10年以上もこの研究に打ち込んできた。だと言うのに、ようやく答えが見つかったら否定されるのか?

イデット指揮官の懸念が事実無根でないのは理解できる。あのような試みの危険性は否定できない。ハーシーンに変化させられたウェアウルフを探すことさえ、あまりに危険だ。ましてその獣の捕獲など、銀なる暁教団ができる保証はない。

そうであっても、試すことさえいけないのか?私の実験が実を結んだ場合、実現されるすべての利点を考慮してほしい!私たちの教団が存在するのは、まさにその目的のためではないのか?ウェアウルフへの変身の脅威を完全に消し去ることじゃ?

私は、イデット指揮官がこの実験に賛成するよう説得しなくてはならない。絶対に。

***

神々が微笑んだようだ。私が照会してからほんの数か月しか経っていないが、マラバル・トールのどこかに隠れているヴィコサというウェアウルフから連絡を受けた。

噂によると、彼女は最初の変身者であり、ハーシーンの手により獣に変えられたらしい。私の記録とも合致するようだ。数世紀前に彼女の名を挙げる記録を見つけた。これはまさに私が求めていた機会かもしれない。

残念ながら、今もイデット指揮官の賛同を得られない。彼女の言葉はこの砦の法であり、私の研究に触れるたび、私を否定しようとする決意が強まるようだ。

しかし、私は希望を捨てることができない。今は捨てられない。あまりにも多くのものが懸かっているこの時に、捨てることはできない。如何なる犠牲を払っても、絶対に指揮官を説得しなくてはならない。そして、私には彼女を味方につけるものがあると信じている。

***

ついにイデット指揮官がヴィコサの捕獲に同意した。驚きはしない。今では彼女の夫が狼への変身に苦しんでいるのだから。私の手元にあった、多くの血液サンプルによる変身だ。

治療薬の考えを推進すると、指揮官はその危険性に尻込みする。しかし、愛する人が治療薬を必要とするとどうか?私の目の前で崩れ落ちた。無様だ。

あとはヴィコサに罠を仕掛けるだけでいい。もちろん簡単なことではないが、私ほどの知性があれば成し遂げられるはずだ。勝利は近い。いずれにせよ治療薬は作る。八大神に誓って作らなくてはならない。これは自己満足のために行うのではない。人類の利益のために行うのだ。

ロレアの日記Rolea’s Journal

月狩人の砦は最後の望みだ。すでに銀なる暁教団は群れの残りを倒している。ソブンガルデにかけて、ホルスまで失いはしない。私たちはシャドウフェンへ向かう。

数は多いほど安全で、ヴィコサの群れほど大きい群れはないと噂されている。すでに連中は銀なる暁教団を戦闘で破っている。なんと、教団の砦さえ占拠した!私たちを守れる者がいるとすれば、それは彼らだ。

***

月狩人の群れからは、望んでいたような歓迎を受けていない。ここを安全な楽園だと考えた私が愚かだったとしても、何かがおかしい。

私たちが到着するやいなや、連中に不信の目を向けられた。ホルスにはそれが普通の群れだと言われた。真に受け入れられるには、まずは忠誠と力を示さなくてはならない。それは真実かもしれないが、この群れの目にはある種の敵意がある。それがとても怖い。

***

本当にすまない、ホルス。これが私たちの最後の望みだと思っていた。ようやく安全になる。ようやく逃げるのをやめられると。しかし、私が間違っていた。この恐ろしい場所へ入った瞬間、私が間違っていたと分かった。

だが、私たちは生き残った。一緒にあの呪われた生垣の迷宮から逃れた。一緒に群れの虐待と侮辱を押しのけた。私たちが力を示すために行ったことは今でも悩む。

だが、私たちは生き残った。

その後、お前は公文書保管人に呼ばれ、私たちは離れた。私は初めて真の恐怖を感じた。お前がもう戻ってこないのではないかと。そして、その通りになった。

すまない。お前は死んだ。私は敵討ちすらできない。絶望のあまり立ち向かうことができない。絶望のあまり逃げることすらできない。

お前がハンティング・グラウンドで安らぎを得られることを望む。私もすぐに加われるといいが。

愛しのヴァネッサMy Dear Vanessa

ヴァネッサ、

お前がいなくて寂しい。農場や家族はそうでもないが、お前のいない日々は長く感じられる。だがそれだけの価値はあった。ここでの仕事はあまり変わらない。丸太や甲板を運ぶのは穀物袋や泥を動かすのと大して違わないが、農場労働者だった頃の10倍も稼げる。俺もようやくお前に本物の指輪を買って、ここで自分の家を持てるぐらいのゴールドを手に入れられる。買えるのはせいぜい集合住宅だろうが、出だしとしては悪くないさ!

この小包にはウェイレストからのチケットが入っている。ここでお前と一緒になれるのが待ち遠しいよ。
ダヴィン

遺跡の起源に関するニコラードのメモNicolard’s Notes on Ruin Origins

調査には1週間ぐらいかかったが、作った部族を特定できたようだ。古代ケプトゥの碑文があった。碑文というより「グリフ」と言ったほうがいいかもしれない。この時代の彼らの文化はほとんど口承によって伝えられていたはずだが、それはまた別の話だ。これは「ブラッドルート」という意味のようだ。ここにある太い蔓と血色の良い岩を、色彩豊かに暗示したのだろう。

これだけ豊富にあるニルンクラッツは、彼らにとって大きな発見だったはずだ。つまりここに建造物を作ったとしても不思議ではない。だが実際に採掘したような痕跡は見つかっていない。もしかしたらここは、ネードが石を精錬する技術を開発する前から存在していたのかもしれない。聖堂のようなものだろうか?

隠された子鹿の意味The Meaning of the Hidden Fawn

稲妻が地面を打つとその形が明らかになるのと同様、自然の力もそれに最もよく適した形を取る。古代のストーンロア・ドルイドの導き手がなぜ子鹿の形態を取ったのかと聞くことは、鳥の形態や風の色を疑問に付すようなものだ。心静かに読み、ドルイド・アヌークの知恵を心に染み込ませるがいい。

物語によると、ドルイド・ジェオナルドが潮風の道を歩いていると、小さな透明の子鹿が岩の間の割れ目から飛び出してきた。そこに立った子鹿は、日の出が八度来るまでは彼の目に見えていたが、九度目の日の出が来ると消えてしまった。子鹿がいた場所には風と塩のしぶきで滑らかになった丸石が置かれていた。ドルイド・ジェオナルドはこの石を持ち帰り、これの上で石の霊魂と交信して、その歴史と秘密を学んだ。彼は子鹿の贈り物の内部で成長するクリスタルのこと、その生命は大地の下から来たこと、それを緩慢に地表へと運んできた力のことを学んだ。ドルイド・ジェオナルドの生が終わりを迎えた時、彼はこの石を心臓の上に置いて眠りについた。石の霊魂は若い見習いの精神を、今ではあのクリスタルの洞窟の中にある、ドルイド・ジェオナルドの眠る地へと導くことができる。その美しさは、心でそれを知覚する者の目に必ず涙を浮かべさせるという。

さらなるドルイドたちが子鹿を見たと主張している。子鹿の存在は冒険や財宝、潮風の意思と結びついている。自然の力には善意も悪意もない。それは波や空と調和している。予期せぬものへの覚悟がなければ、子鹿を追ってはならないが、恐れてもいけない。むしろ、自然の力の顕現を前にした畏怖の気持ちを祝福と思うことだ。稲妻や雷鳴の轟きを前にした時と同じである。

隠された日記Hidden Diary

ネストラナ・フロティスの所有物

この日記をつけることに関しては警告された。その日に思ったことを書き記しているのを長老に見つかった時、彼女は私の手からページをもぎ取って、即座に燃やしてしまった。「”秘密の教団”という言葉の意味が分からないの?」と言われた。

でも、私は若い頃から日記をつけてきたのよ!孤独な時もこれのおかげで正気でいられる。それに正直に言うけれど、今ほど孤独に感じたことはもうずっとなかった。だから私は書き続ける、でも内緒にするわ。あなたと私だけの秘密よ。ね、日記さん?
——
私たちは宿舎を去ってデシャーンの新しい崇拝の地に向かうことになった。幹部が何年も探し続けていた祠がそこにあるらしい。噂では、洞窟に住むことになるらしい。洞窟なんて!コウモリと虫だらけじゃない。

前の季節に入団した時は、詠唱して物を燃やすなんて面白そうだと思ってた。でも今じゃ周りは本物の狂信者ばかりで、ゴミにまみれて寝るのも気にならないらしい。とんでもない間違いをやらかしちゃったわ。

——

出て行かなきゃ。私はなんてことをしてしまったの?奴隷たちに働かせているのよ!彼らが疲れて死ぬまで。それに怪物が…あれが何なのか分からないけど、ここの作業を管轄しているんだわ。私たちがかかわるデイドラについては色々と読んだ。何体かは自分で召喚を手伝いもした。でもあのザウドラス男爵とかいうのは見たこともない。ものすごい巨体で、私の腕なんて指一本で引きちぎってしまいそう。

もうすぐ儀式を行うことになっている。あの人たちを殺すんだわ。それも全員。そんなことできない。出て行かなきゃ。

噂に対する返答In Reply to Concerning Rumors

トリクへ

夜に人をさらう恐怖の獣とかいう下らない作り話で、私の仕事の邪魔をしないでくれ。騙されやすい子供や迷信好きな農民が主張しているだけだ。リーチから来る強盗を追い払うため、警備を強化するよう主任に伝えてくれ。我々の一族は何世代も、あのみすぼらしい犬どもの嫌がらせに耐え続けてきた。それはこれからも変わらない。奴らを恐れる必要などない。

—フジュルゴル・スクジョラルモル首長

援軍を送れ、ナリルモルSend Your Forces, Narilmor

ナリルモル、

お前は人間が門の前に来るまで剣を抜かないつもりか?言い訳はもういい。沿岸は快晴だし、嵐は内地に収まっている。警戒を解き、戦争のために進軍せよ。補給線が維持されなければ、ムズルト攻囲は失敗してしまう。奴らが海から来ることはない!

憤怒の石はもうすぐに手に入る。堅苦しいメリディアの義務なぞに振り回され、捨ててはならんぞ!

サドリル

殴り書きされた数Scrawled Tally

IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII IIIII

王冠を戴いたドラゴンThe Crowned Dragon

オーギュサン・コロヴェル 著

ブラック・ドレイク、ダーコラク陛下の聖人伝作家として、陛下の輝かしき統治の最初の年に依頼を受託した

世界を変えた男について、何を言うべきだろうか?彼は数え切れぬほどの民を、自らの頽廃に溺れていた社会の暗闇と、罪深き怠惰から救い出した。錯覚と幻滅に落ち込むあまり正義を忘れた人々の富で私腹を肥やす、腐敗した支配層に戦いを挑んだのである。シロディールの救世主、ブラック・ドレイクのダーコラクについて何を言うべきだろうか?久しく望まれ、彼によってもたらされた過ちの清算と矯正がなければ、私たちはどうなっていただろう?おお、シロディールよ、首を垂れて自由に感謝するがいい。新たな時代の誕生は近い!

ダーコラクの物語は、北方の開けた荒野と雪深い山脈で始まる。我らが皇帝が生を受けた夜には巨大な流星が空を横切り、彼がこの世界に現れた時間には、母親の慎ましき家屋の上を、銀色に輝く無数の白鳥が飛び交った。赤子を抱きかかえた者は全て、彼の若き顔の強烈なまでの美しさに衝撃を受けた。その目はあまりに黒く勇猛で、偉大なる戦士たちもその眼差しには目を背けてしまうほどであった。

我らが未来の皇帝がその偉大さに相応しい王宮ではなく、むしろ最も質素で過酷な環境の中で育てられたことは言っておかねばならない。リーチの偉大なる荒野は数多くの試練と危険が住まう場所だが、そうした苦難も少年皇帝を最も早い時期から鍛え上げ、勇気や名誉、忍耐や知恵の価値を学ばせるのに役立つばかりであった。3歳の時、若きダーコラクは母の命を救うため父が狩りに使う槍を手に取り、すでに20人の男を食い殺していた黒い大熊を無慈悲な一撃で葬り去った。そしてたったの5歳で、ダーコラクは寒く厳しい冬にカースワステンからドルアダッチ山脈の頂上まで連なるヘラジカ100頭の群れを狩り、村を飢えから救った。

2本の足で歩き始めた時から狩りに万能の腕を示したダーコラクは、遠からず知恵をも身に着けた。ダーコラクは鷹から、風に乗って運ばれてくる遠い国の知らせを聞く術を、そしてたったの一瞥で人間の心を見透かす術を教わった。彼は山の頂上から流れ落ちる冷たく速い小川の流れを見て素晴らしい音楽を身に着け、その歌声を聞いた者は二度と、他の音楽に喜びを見いだすことができなくなるほどだった。そして彼は大きな灰色の狼たちから勇気と忠誠心、上に立つ者の心得を学んだ。

過酷な故郷の地にあって、若きダーコラクはそのうち、戦の技を極める必要があることを知った。7歳の誕生日の折、樹齢100年の木ほども背丈のある巨人の部族によって、ダーコラクの民が羊毛を保管していた平和な牧草地が襲撃されたのである…

〔手記の残りの部分は焼け焦げていて読めない〕

我らの計画の唯一の記録The Only Record of Our Plan

ファイアソングよ

これは我々が得ようとしているものすべての始まりだ。我々が夢見る未来は今日始まる。目標に達することを妨げるような愚かな過ちは、私が許さない。

私の邪魔をするような気の迷いを起こす者を出さないために、以下の義務を与える。

ストーンロアの誰もが、我々に対して反抗する自信をつけないよう取り計らうこと。
私のため、この居留地が擁する霊魂たちへの道を開くこと。
霊魂たちを腐敗させ、種の場所を言わせるために手伝うこと。
種を見つけること。
居留地にいるストーンロアを残さず始末すること。
種を手に入れるまでストーンロア全員を殺さないこと。回収のために一人は必要かもしれない。
ストーンロアの聖なる種を持ってイフェロンに戻ること。

我々の計画の、最初で最後の記録をわざわざ作ってやったのだ。よく記憶しておけ。襲撃の日にわずかでも失敗すれば、厳罰が下るだろう。

アークドルイド・デヴィリック

外に出られないWe Can’t Leave

不安なの、ログラン。

荷車を押して物資を仕入れようとしたけど、門の衛兵に追い返されたわ。理由は言ってくれなかった。騎士たちは胸壁の上で前よりも忙しくしているし、門はもう何週間も通行止めよ。攻城戦になるの?私がここで働いている間、攻撃されたことなんてなかったのに。そんなことが起きるなんて、お父さんは何も言っていなかった。どう思う?

ガブリル

活動報告:西ナルシスの採掘に関する懸念Operations Report: West Narsis Mining Concern

報告者:アルヴェン・ナドゥス監督官

進捗には期待が持てます。鉱石の採掘は約53パーセントの効率を維持しており、当初の予想を上回っています。最先端の繊細な技術を用いることで、我らが地層術師たちは当地に横たわる大鉱脈を感知したと述べています。これが本当なら、この鉱山は長期にわたって高い生産レベルを維持できると期待してよいでしょう。

近い将来に対処する必要があるかもしれない、小さいながらも予期せぬ問題に遭遇しました。鉱員たちから、彼らの言葉によると「呟き」が聞こえてくるという報告が出てきているのです。鉱員の主張では、声は鉱山内部のどこかから来ているそうです。当初、誰かが鉱山の奥で迷って出られなくなったのかもしれないと思いました。しかし徹底的な捜索の結果、労働キャンプの範囲外まで降りていった者がいるはずはないという結論に至りました。

私自身は、この呟きとやらを耳にしていません。私が普段から色々と任せているある鉱員に尋ねたところ、彼は次のように説明しました。

「俺たちが仕事してる時は、鉱山を叩く音が周り中に響き渡ってるだろう?大抵の場合、それ以外の音は聞こえない。でもそのうち、そういう音の端々から、微かな囁き声を聞く者が出てくる。最初、俺はエンダノルがふざけてるんだと思った。あいつはそういう奴だからな。だがあいつも誓って声を聞いたと俺に言うんだ」

「深く掘り進むほど、囁き声も大きくなっていった。岩の中から沢山の声が聞こえたが、何を言ってるのかは聞き取れなかった。でも怒っているのは分かったよ。俺まで腹が立ってきちまうこともあった」

大変残念ですが、鉱員のうち数人は感覚を制御できなくなったため、現場から外されました。ある者は悲鳴を上げ続けて止まらなくなり、煎じた薬草を飲ませてようやく落ち着きました。また別の者は気絶するまで石の壁に頭を打ちつけたのです。2人とも作業の邪魔にならないように、労働キャンプから離れさせました。

すでにお察しのことと存じますが、私は行き詰まりのようなものを感じております。生産効率は高いままなのですが、作業を続けるにつれ危険が増しているように思えるのです。当面、ご指示をいただくまで、作業はそのまま継続することにいたします。

歓迎のメッセージMessage of Welcome

すべてのサークルのドルイドへ告ぐ。私はアークドルイド・ウィン。あなたがたが到着した際、正式に歓迎をする居留地のドルイドが不在の場合に備えて、ここにメッセージを残せることは光栄である。アーセンルート居留地への訪問に感謝する。あなたがたが必要なだけ時間を取り、自然と交流できることを願っている。

私たちは雄大なる霊魂を三体住まわせることができた。石、根、大気の霊魂だ。霊魂たちと交信し、その近くで瞑想することによって、霊魂たちと同じように自然の領域を体験する能力を授かる。それぞれの霊魂の台座は快適さを考えて作られており、静かで落ち着いた雰囲気を生み出すことによって、あなたの心を彼らと共鳴させてくれる。もちろん好きに霊魂を訪問してくれて構わないが、私たちは以下に記す順番を推奨している。

ストーンサイトの台座には、石の霊魂が辛抱強い観想の中に沈んでいる。その目を通せば、あなたが座る大地の下に眠るアースボーンズまで見ることができるだろう。石の霊魂と共に過ごす時間は消え去ることなく徐々に刻み込まれ、大切に保管される。

ルートスピークの台座は植物の根の歌で満たされている。ハーモニーは根の霊魂の動きと共に揺れ動く。根の霊魂と交信すれば、最も孤独な場所にあっても私たちは孤独でないことを思い出させてくれる。すべての生物の声が私たちの周りにあるからだ。

最後に、スカイトレマーの台座は最も遠く離れた、威圧的な台座だ。この台座は私たちの島の奥の端にある、崖の遥か上に置かれている。この霊魂を見るために旅するドルイドは、スカイトレマーの台座で長い時間を過ごす準備を整えておくといい。というのも、霊魂はしばしば周囲を吹き荒れる風のため、物質界に集中できなくなるからだ。風はニルン中からこの霊魂の耳に知らせを運んでくる。大気の霊魂は、言われたすべてのことを教えてくれる。これを宝とする者もいれば、重荷と捉える者もいる。大気の霊魂は嘘をつくことができない。残酷なまでに正直な存在なのである。自分が生涯に言ったことすべてと向き合う覚悟のない者は、この体験を省略することが推奨される。しかし、この霊魂は私たちに自らについての真実を教えてくれるが、真の教訓は私たちが人生のそれぞれの瞬間に込める価値である。

あなたがどの台座を訪問し、どの霊魂と交信するにしても、私たちはアーセンルート居留地への訪問で求めていた知を得られることを願っている。質問があるなら、迷わずこの居留地に住むドルイドに尋ねてほしい。そして、改めて歓迎する。快適な滞在になることを願っている。

記録#321 予想外の結果Log #321: Unexpected Results

月狩人の群れの公文書保管人アーナルデ 著

最新の実験は著しく期待外れに終わった。以前の実験は容認できないほど乏しい結果だったが、現在の手法はやや不幸な揺り戻しにつながった。

すなわち、群れの8人が死んだ。

うち5人の被検体は実験の重圧による神経衰弱を起こしたようで、暴力的な錯乱を起こした。私自身と仲間の研究者の保身のため、彼らを倒さざるを得なかった。彼らの力が大きく上昇していたことを考えれば、非常に不運だった。

被検体42を失ったのは同じような状況下だった。彼は群れの数少ないノルドの1人だったので残念だ。彼の妻を次の実験ラウンド用に確保したいとも思ったが、要請はミレンヌに却下された。私たちの親愛なるナンバー2が感傷的にならないことを強く願う。

うち3人の被検体は単に死んだ。原因はおそらく過労だ。私たちの審査が、実験を受けるには弱すぎる被検体を排除したことを望んでいたが、すべては排除できないようだ。これら被験者に判明した共通点は、すべてまとめる必要がある。

そして被検体46の事例だ。特定の任務の実行をためらうという理由で実験に組み込まれた若いカジートの女性。これは非常に興味深い事例だ。なぜ私の実験が被検体にヴィコサの強制力への免疫を備えさせたのか、今も分からない。

しかし、私たちの栄光あるボスがどれほど認めたがらなくても、結果に誤りはない。幸運なことに、私は被検体46の処刑を回避させられた。結局のところ、彼女がヴィコサの支配を打破する鍵となる可能性は、十分にあり得る。

しかし、その実験はまたの機会だ。ヴィコサが無敵のウェアウルフ戦士を求めているため、私は従わなくてはならない。少なくとも今は。

議長の記録:タグ・ドロイロックHigh Chancellor’s Papers: The Tagh Droiloch

元老院議長、アブナー・サルンの私的な記録より

第二紀536年、栽培の月10日

タグ・ドロイロックとは何者か?彼らはいかにして、リーチの民をルビーの玉座に据える力を得たのか?そして何のために?ブラック・ドレイクのダーコラクが故郷から雄たけびを上げる軍勢を帝国の心臓部まで引き連れてから丸三年が経ったが、未だにこれらの問いへの答えを探している。私の感知もスパイも、ダーコラクの不可解な勃興と、彼の手にリーチと帝国を明け渡した残忍な魔法使いたちについて、暗示以上のものを与えてはくれなかった。

知る限りでは20年ほど前、リーチの荒野である秘密の魔術結社が生まれた。結社はタグ・ドロイロックと名乗ったが、これはリーチの方言で「闇の大魔術師たち」という意味だ。リーチの魔術結社の大半と異なり、タグ・ドロイロックは魔女ではなく魔法を使う男性のみを構成員とし、すぐに最強のデイドラさえも召喚して使役する力を示した。タグ・ドロイロックは邪魔な敵対結社のいくつかをあっさりと壊滅させ、リーチの影の支配者となった。

何年もの間、タグ・ドロイロックは機を伺いつつ、彼らの名がもたらす恐怖と、不満を告げる囁きで無法のリーチを支配するだけで満足しているようだった。しかし9年前、ある飛び抜けて強靭で頭の切れるダーコラクという名の族長が現れ、リーチで支持を集め始めた。ダーコラクは学習の経験もなく、我流の魔術師として小さからぬ実力を身に着けていた。もっとも、彼は杖よりも剣を好んだ。タグ・ドロイロックはこの男が現れるのを待っていたとでも言わんばかりにブラック・ドレイクの味方に付き、結社の力と恐るべき名声を彼の支配に任せた。

タグ・ドロイロックの力添えにより、ダーコラクはリーチの敵対クランを屈服させ、忠誠を要求した。話したリーチの民は時としてデイドラの力と結んだ契約や、ここで繰り返すのも恐ろしい約束について語ったが、こうした物語の真実が何であれ、その結果は明らかだ。タグ・ドロイロックに受け入れられてから1年も経たぬうちに、ダーコラクは2千人の兵を指揮するようになった。2年経つうちには、その数が1万に増大した。そして、ついに自らの野心に相応しい力を手にしたと判断すると、ダーコラクはそのさらに数倍の勢力を無防備のタムリエルに向けて解き放った。その後の出来事は、歴史に伝えられているとおりである。

そしてダーコラクの権力掌握への道を敷いた後、タグ・ドロイロックは消滅した。ブラック・ドレイクがルビーの玉座に据えられると、この謎めいた魔術師たちは闇の中へと帰っていったのである。ダーコラクの信任厚き魔術師たちの一部、バールセルグ、ファオショル、そしておそらく老ウナグはこの秘密の結社のメンバーであった可能性が高い。しかしダーコラクがシロディールを征服して以降、誰もタグ・ドロイロックについて噂一つ聞いていない。ダーコラクを皇帝に据えることで、彼らに何の益があったのだろうか?まだ生きている者は何人いるのか?彼らは解散したのか、それとも何らかの新しい計画に従事しているのか?

この件に関して最も不気味なのは、ダーコラク皇帝は私がタグ・ドロイロックの秘密を探っているのをとっくに承知しているらしいということだ。彼は面白がっているらしい。ブラック・ドレイクは自らの支配に対する潜在的脅威を躊躇なく排除してきた。それなのに、あの男は私を元老院の議長の地位に就けたままでいる。私はダーコラクの暴政を改善するために自分の地位を利用しているが、その間にも奴を取り除く手段を探していることを、あの男は知っているはずだ。私としてはこう結論するしかない。ダーコラクは私を脅威だとは思っていないのだ。

奴の自信がプライドを傷つけたことは認めねばなるまい。

緊急の手紙Urgent Letter

ウンスパ

今夜はやめておけ。クサル・ヌルはお前が夕暮れに脱走することを知っている

チーセイが言ったと思うが、クサル・ヌルは見かけほど原始的ではない。奴には知恵がある。奴は老いたクロコダイルみたいなもんだ。幼生たちが運を試そうとするから、寝ている時の方が危険なのさ

奴に捕まれば、バラバラにされてワマスの餌にされるだろう。邪魔をするつもりはないんだ。奴が以前にやったところを見た。血だらけでとても見るに堪えなかった。あの叫び声で、今も目が覚める。

あと数日は待つんだ。お前の命はそれにかかっている。

ジュナル

緊急連絡Urgent Missive

敵の大群よりも先に、この伝言が届くことを祈っています。ファルクリースは陥落寸前です。備蓄は空になり、壁は崩れ落ちそうです。リーチの大群と我々の間には、辛うじて歩ける負傷兵しか残っていません。

この連絡で我々が救われるとは思っていませんが、報復がもたらされることを望んでいます。あなたの栄誉ある戦士たちをここに派遣して、リーチの民とミノタウロスをこの土地から排除してもらえるよう、膝を突いてお願いします。我々の仇を取り、ここを再建してください。我々の存在が、石の遺跡だけしか残らないことがないように。

—ファルクリースの従士エーリカ・スクジョラルモル

銀なる暁教団の命令By Order of the Silver Dawn

同志諸君

あまりにも長い間、私たちは月狩人の砦をヴィコサとその群れに明け渡してきた。あまりにも長い間、私たちは奴らがタムリエル全域に悪意を振りまくことを許してきた。あまりにも長い間、私たちは奴らが力をつけて成長するさまを座視してきた。奴らの目的は殺戮と騒乱の企てにある。

しかし、銀なる暁教団はもう引き下がりはしない。今がみすぼらしい犬どもを討ち、決着をつける時である。

今や月狩人の群れと称する奴らが組織を強化し始めたと信じる理由がある。奴らはウェアウルフの呼び込みだけでなく、周辺の無関係な者たちを誘拐し、獣と化す呪いもかけている。群れの数を必死に増やそうとするこの行為は、タムリエルにとって害にしかならない。

私たちはこの行為の継続を許せない。いかなる犠牲が生じようと、月狩人の群れを根絶しなくてはならない。

諸君はヴァリアン指揮官の指揮を受ける。砦の設計に関するこれまでの知識が侵入の助けとなるはずだ。彼の命令は、私の命令であると心に留めるように。

諸君に八大神のご加護があらんことを。

-アビティウス隊長

嫌だ!No! No! No!

見える!見える!〈緑〉が見える!もうほんの数歩だ。なのに足が。

足が動かない!

言うことを聞かず、〈青〉が入り込んできた!見える、見えるんだ。聞こえもする。もう叫んでいない。だが、叫んでいるのは私だ。

私、私。

この私だ。

元老院に関する帝国法令Imperial Decree Regarding the Elder Council

第二紀534年、薄明の月1日

征服法に基づきシロディールの皇帝にしてタムリエルの守護者となりしブラック・ドレイク、すなわちその名と家を担いしダーコラク陛下のご意向により、以下を帝国の全市民に告げる。これにより、元老院は次のごとく制定される:

豊富な経験と、すでに証明されたルビーの玉座への忠誠心に鑑み、総書記官アブナー・サルンは元老院の一員にして皇帝の首席顧問の任に留まるものとする。

レヤウィンのタルニアン・ロヴィディカス軍団長はニベン地方の代表使節の席と、元老院議長の職務を与えられることをここに定める。これはシロディール各地において卿が集めている、全般的な尊敬と栄誉を考慮した上での決定である。

ギデオンのエルトゥス・ヴァンダシアはロングハウス帝の統治を打ち立てるための貢献と支援により、元老院の職務を与えられる。

ブラックウッドのソフス評議員は、皇帝陛下の全面的な信任を受けブラックウッド代表使節の地位に留まるものとする。

イティニア評議員は、皇帝陛下の全面的な信任を受けコロヴィア代表使節の地位に留まるものとする。

オルランドゥス・プラヴィ評議員は国土からの追放処分を受けることをここに定める。不服従には死をもって応じる

ヘストライア・シラン評議員は四つ裂きの刑に処されることをここに定める。なお処刑は即刻実施される。

マルティアクス・グランシオラ評議員は火あぶりの刑に処されることをここに定める。なお処刑は即刻実施される。

セルガン・ユーラフス評議員は今回の議決に欠席した事実を鑑み、犯罪者、裏切り者にしてルビーの玉座の敵として名指されることをここに定める。彼を捕獲して白金の塔へ連れ戻せば、ドレイク金貨1000枚の賞金が与えられる。生死は問わない。

帝都のフェオマス・ルカスタ卿は、無任所代表使節の席を与えられることをここに定める。これはシロディール各地において卿が集めている、全般的な尊敬と栄誉を考慮した上での決定である。

レヤウィンのタルニアン・ロヴィディクス軍団長はニベン地方の代表使節の席を与えられることをここに定める。これはシロディール各地において卿が集めている、全般的な尊敬と栄誉を考慮した上での決定である。

トロール砕きとも呼ばれる、歯を奪う者ケルガンは、無任所代表使節の席を与えられることをここに定める。これは陛下の意志を実行に移すことにかける大いなる情熱と、最近における陛下の遠征での様々な戦闘で彼が行った、数多くの荒々しき行為を考慮した上での決定である。

以上の決定を記し、周知させよ。

現実的になろうTime to Face Reality

パイター、もう1ヶ月だ。彼らは戻ってこない。騎士には監視されるようになった。砦の雰囲気は感じているだろう。ここでは何かがとてもおかしい。

台所で捌かれる豚のように、ここでずっと待っているのか?この要塞から生きて出る唯一の方法は協力することだ。計画を泉の側に残しておいた。

読んで理解したら、焼いてくれ

古代の碑文Ancient Inscription

異形を元の場所へ帰す手段が我々に欠けている。そのため我々は異形が起源の地へ帰る時が来るまで、投獄することにした。十一の力がこの者の道を照らし出さんことを。

後に続く者への警告A Warning to Those Who Follow

こういうメモは普通、何から始まるものだろうか?冒険物語では死に瀕した著者が深刻そうに自分の名を言い、危険極まる状況にどうして巻き込まれたかを説明するところから始まる。「私の名はギベリル。残酷な風により、この破滅の運命へと導かれた」といった具合だ。

正直に言おう。私の名を記したとしてお前が知るはずはないし、興味もあるまい。これを読んでいるということは、お前もこの忌々しい島に閉じ込められたのだ。だからお前がこのメモを私の家族に持っていくことも期待できない。つまり素性など話しても無意味だ。

だから、最後の紙束でここに警告を記しておく。不快なハドリッドどもはもう見ただろう。我々もだ。隠し戸を通ってここを見つけた時は、安全な場所で体勢を整え、作戦を立てられると思った。アトゥネインはそこら中の穴やドワーフのコグに指を突っ込んだ。それであのコンストラクトが作動して、彼女の両足を切り落とした。あっという間のことで、うめき声をあげる暇もなかったほどだ。モリニレはそいつを叩き壊すために片手を失った。私は腕が折れたらしい。

要するにだ。お前が穴に入ってこのメモを見つけたのなら、とにかくドワーフの機械に触るんじゃない。特に星が描かれたキューブは避けるんだ。好奇心の代償はあまりにも大きい。

我々は脱出する手段を見つけるため、島の探索を続ける。お前がこれを読む頃には、とっくに逃げ出していることを願おう。

港の衝突に関する報告Report on the Dock Crash

作業長、

西の港からあの煙を発する残骸を取り除きました。おがくず10袋と木製の荷運び台1つに燃え移りましたが、港自体は守りました。

オブリビオンが直々にあの船を吐き出したに違いありません。うちの乗組員は港に落ちてきた雷の数をまだ数えています。帆が全部松明になってしまったほどで、切り落とすしかありませんでした。船には誰一人見つかりませんでしたが、船体からはまだボートがぶら下がっています。黒焦げになって。

この船を襲った何かに突き落とされたか、あるいは炎から逃れるために自分から海に飛び込んだか、どちらかでしょう。

船の名前さえ判別がつきません。この呪われた船を沖の外に出して、沈めてしまった方がいいと思います。

黒のオリンの日誌Journal of Orryn the Black

残念ながら、デイドラの獣を保存する試みは行き詰まってしまったようだ。最後にはいつも、オブリビオンの引力が勝利する。この媒体における私の仕事は氷の彫刻に似ている。束の間の美しさしか持たない。
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疎遠になった仲間が別れた後に残されたものを眺めるように、見慣れた退屈がやってきている。こういう時には、ドラウグルの長い休眠が羨ましくなる。
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私が退屈しているのを見て、野心的な従者が主のために気晴らしを探してくると請け合った。彼女は私に、無味乾燥なドゥエマー史の本を持ってきて時間を潰すよう言ってきた。私は彼女の死体を乾燥させ、抜け殻になっていくのを見る方が楽しいのではないかと少しだけ考えたが、彼女の表情が自信に満ちてニヤニヤ笑っていたので、許してやることにした。
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リザベットは役に立った。彼女が持ってきた本は、空想的な伝説についての一片の真実を私に示している。著者は牙の巣と呼ばれる、長く失われていた遺跡を最近訪問したと主張している。この埋葬地を見てみよう。
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私に従う者たちの多くは今、牙の巣を探して竜牙山脈を巡っている。あの歴史家が与えてくれた手掛かりがあっても、かなり大変な作業だ。それでも新たな目的ができたことで、忍耐力も増している。
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この数ヶ月の探索の間、私はドゥエマーとドラゴンについて多くの記録を収集した。彼らと私の野心はそれほど異なっていない。我々は皆違う道を選んで探求を進めたが、生存より熟達を重視する点ではそう違わないだろう。彼らが辿った運命を考えると、同じ轍を踏みたいとは思わない。
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ついに牙の巣が手の届くところまで来た。払った犠牲は極めて軽いものだった。信者数十名の命が危険な山脈によって失われたが、彼らには予想した通り、新しい役割がある。
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この場所は見事に荒廃している。幾千の骨がボロボロになった広間に散りばめられている。一部は砕け、黒ずみ、一部は化石になっている。絶滅と恐怖の記録だ。この展示の重要作は、この中に見つかるのだろうか?
~~
さて、ここで予測しなかった展開があった。牙の巣は完全に無人な訳ではなかった。我々の真っただ中に、とても特別な不法居住者がいた。あのドラゴンがまだ生きて呼吸をしていた時代に遡る古代のリッチで、ドラゴンを倒した張本人の1人だ。もっと言うことを聞くようになったら、彼に教えてもらうことがたくさんある。
~~
あのリッチはここに滞在している間、憑かれたようにドラゴンの遺体を研究していた。結果を共有してもらえるのはありがたい。研究を私の方法に適用するのは難しくないだろう。私はすでに驚異的な展示を思い描きつつあるが、あのリッチと仲間たちとの会話で、一つ欠けている要素があることが明らかになった。このドラゴンは生きている時、ある聖職者を支配していて、その女大司祭が行方不明らしい。彼女を手に入れなければならない。

子猫の遊びをやめろ!Enough Kitten Play!

プルーティへ

頼むから滑り石を動かさないでくれ。当直に飽きたことは知っているが、この門を開くのは大きなキューブだけだ。君の血族の多くは君のように門を通ることはできず、我々の物資も通過できない。

滑り石はより大きな謎の一部かもしれないが、太古の猫の謎に関わる意味はない。サンジーンが望むように、杯を満たして命を味わえばいい。この聖堂のほとんどは廃墟だ。壊れた玩具で遊ぶべきではない。さらに言うと、我々を巻き込まないでくれ。

クンダビ

最後の警告Your Final Warning

まだ生きているだろうな。私は死んだ。というより、もうすぐ死ぬところだ。

最初の警告は決まり文句への軽蔑から始まった。腹から血を流しながら最後のメモを書くのは、これ以上ないほど陳腐だ。残念なことだ。

とにかく逃げろ。浜辺に戻れ。太陽と砂のあるところで残りの日々を過ごせ。こんな暗闇で死ぬのは恐ろしい。最期が近づいて、涙を抑えられない。

声は無視しろ。あれの挑発に乗るな。とにかく逃げるんだ。

もう疲れた。

死の準備の成果Cadaver Preparation Findings

目下の計画には適用できないが、主は蘇生の前に一部の組織を注意深く取り除いておくと、より強力で順応性のある検体ができることを発見した。

内臓の多くはほとんど何の機能も果たさず、死体を重くするだけだ。また皮膚はそれなりの防護になるが、腐敗の温床になることが多く、より有用な組織に拡散してしまう。

それに対して靭帯と筋肉は、傷がついていなければ耐久性、安定性、運動能力を大きく向上させる。

ドラゴンプリーストを守るドラウグルの衛兵たちがなぜ蘇生の前にミイラ化されていたのか、これで説明できるかもしれない。

死は笑いごとではないDeath is No Laughing Matter

スキーヴァーの魂をセンチタイガーの死体に縛りつけ、そいつをマンモスの死体の中に埋めた者へ。見つけたら、こいつに食い殺させてやる。

磁鉄鉱を探せ!Find the Lodestones!

まだ浮かんでいる船はどんなものでも叩き壊せ。建設途中でも、壊れかけでも、海に浮かべたことがなくても何でもいい。磁鉄鉱が見つかるまで、すべての甲板を引きはがさせろ。

従徒が死んだら、港をうろついている残りの膨らんだ死人と一緒に働かせろ。見つけられる限りすべての磁鉄鉱を手に入れろという命令だ。だから大量に持ち帰らないと、俺たち全員がドレッドセイル女王に罰せられるぞ。

実現された野望Ambitions Realized

この地を放棄したスパイア評議会は愚かだった。奴らにはドレッドセラーに政治的な都合以上の価値があると見抜く力はないと思っていた。私だけが、この場所の資源としての価値に気づいたのだ。手つかずの力の源泉だ。目覚めの炎の協力を得た今、ここはその潜在力にふさわしい目的を得た。

あの信者どもは見事な装置を思い描いたが、夢を現実に変えられるのは私だけだ。私ほど死霊術とデイドラ魔術を理解しているものはこの世界に誰もいない。この抽出と精製のプロセスを考案できる者など他に存在しなかった。この狂気の装置を実際に動かせる者は、誰もいなかったのだ。

だがこれならうまくいく。そして私は、これから起こることを最前列で目にするのだ。

失われた自然の霊魂Spirits of Lost Nature

病んだ自然の霊魂の治療、隔離、再生に関するアークドルイド・メリエの記述

我々は自らの身を守るため、三つの不安定な霊魂に結界を用意した。結界へのアクセスは失われた自然の霊魂を再生するための訓練を受けた、ストーンロアのドルイドに限られる。

霊魂の苦痛で私の心も悲鳴を上げている。我々は霊魂と深く結びついており、彼らの領域の力に敬意を払っている。このように自らの聖域を奪われ、自然を守護するために生み出されたにもかかわらず、自然との結びつきを奪われた霊魂たち…その苦痛は、我々も味わう。

スカルデッドルーツ

元々はワイルドフラワー森の霊魂だったが、スプリガンの姿となって荒れ狂う野火の道に立ちはだかった。力は尽くしたものの森は焼けてしまい、この霊魂はスプリガンの姿に閉じ込められてしまった。

今、この霊魂は炎と嵐の白昼夢の中を生きている。いずれは霊魂の嘆きの熱を鎮め、焼け焦げた根を冷たい水に浸したいが、今のところこの霊魂は近寄る者を相手構わず攻撃する。調理のための火を起こす時は注意せよ。この霊魂の秘密の領域は、スカルデッドルーツの悪夢の記憶にある炎に接近しているからだ。

ルテア

かつては地下深くの川のネレイドだったルテアは、頭上の世界にいる定命の者とはほぼかかわりを持たなかった。ルテアは失われた自然の霊魂の中で最も古く、定命の者の血管を流れる血の歌を聞いて、解放しようとしている。血を抜けば定命の者が永久に動かなくなることを、彼女が知っているのかどうかは定かではない。

当初、彼女をなだめるため洞窟内に水たまりを作ろうとしたが、川のネレイドにとって水たまりでは不足すぎるようだ。現在は彼女が故郷と呼べる川を作れるようになるまで、支援の試みはすべて停止することになっている。その時が来るまで、ディープルートに水を輸送する際は注意せよ。

ジョドロ

失われた自然の霊魂の中で最も新しいのは、ジョドロという愛称で呼ばれる大地のインドリクである。モーナードの伐採によって破壊された森に住んでいた。潮風の道にいる時が最も落ち着くようだが、ジョドロは毛皮がウッドワームに汚染されたかのように振る舞う。ジョドロは容易に気を許さず、出会うドルイドを無差別に突き刺そうとする。それでも、ジョドロには他の霊魂よりも見込みがあると思う。十分な時間が経てばジョドロの森は再生するかもしれないし、自然に備わった厳しい状況でも栄える力のおかげで、我々による再生の試みも不要になるかもしれない。とはいえ、潮風の道を歩く時は道を外れないようにしたほうが賢明だろう。

手掛かりの回収Picking up the Pieces

クインタスがかつて帝国図書館を歩くことが許されていたとは驚きだ。あいつの地所に残っていた記録の数を信じるなら、クインタスはシロディールの銀行並みに借りたら返さない奴だったらしい。相続の件を片づけた後も、誰も回収に来なかった。だから今では私のものだ。

* * *
この埃だらけの箱の山の中には、世界中のどこよりもドゥエマーについての情報があるかもしれない。本をかき回して何年でも過ごせそうだが、クインタスがヴォレンフェルへの探検以前の数ヶ月、何をしていたのか興味がある。

* * *
クインタスは本当に私がいないと何もできない奴だった。「ガーディアン・アイ」についてのメモに、私が知らないことは何も書いていない。これが最後の手掛かりだったのに。

* * *
数ヶ月クインタスの難解な考察を調べたのは、完全に無駄ではなかった。私があいつに強制して「ガーディアン・アイ」を入手させる前に、それよりもさらに歴史コミュニティを震撼させる可能性を秘めたアーティファクト、狂気の岩についての情報を集めていたのだ。

* * *
憤怒の石だ。クインタスの翻訳が雑だった。

狩りの栄光The Glory of the Hunt

ウィレス・ストリギデイ 著

狩りの栄光。私は最初からそれを知っていたし、感じていた。私の矢が獣の心臓を貫いた時、その血が胸からゆっくりと流れた。私の短剣が敵の頭蓋骨を刺した時、敵の目をのぞきこんだ時、命がゆっくりと色あせていった。獲物の断末魔の叫び、金切り声、嘆願という美しい交響曲。

私は最初からハーシーンの子供の1人だった。苦労して仕留めた勝利の感覚、狩りのスリルに勝る喜びはない。そしてハンツマンはこれを見ると、血まみれの歯で微笑む。

私の内蔵に剣が突き刺さり、死にかけていても恐怖はなかった。魂の行く先は知っていた。

ハンティング・グラウンド。永遠の狩り、永遠の栄光の森。毎日、私は姉妹に加わり獲物を追う。毎夜、私たちはハーシーンの壮麗な星の下に横たわり、過去の勝利の物語を思い出す。ワインは芳醇で、肉は新鮮で、私たちが病気にかかることはない。主人は楽園を与えてくれた。

間もなく、ハンツマンがグレートハントのためによそ者を集める。私たち狩人の全員にとって、彼の領域内での心躍る時間だ。私たちは新人たちを試し、ハーシーンの恩恵に相応しいかどうかを確かめる。倒れようが構わない。彼らは私たちがハンティング・グラウンドと呼ぶ故郷、この楽園に留まるだけだ。

囚人からの没収品Confiscated from the Prisoner

配達人が運んでいた小包を隠していたわけではないが、私は彼の身体検査を行った。この男は伝令として明らかに不自然で、万が一ということもある。以下が没収した品物だ。

– 覆いをかけた小包の中に、封蝋付きの手紙が1通とメダルが1枚
– 銀のフラスコ瓶1本(安酒が少し入っていたので、海に捨てた)
– 革のコート、シャツ、ズボン(汗と酒、そして十種類以上のコロンや香水の臭い付き)
– 鋼鉄のサーベル1本(特別なものではなく、状態から判断するにほぼ威嚇用だろう)
– 未完成の詩が1つ(頭の悪い相手を誘惑する時に言うようなくだらない詩)
– 少量のナッツや生野菜 (捕獲される前に船の食堂でポケットに詰め込んだのだろう)

この男には打撲傷がいくつかあったが、誘拐の際に抵抗はしなかったので、その時受けたものではないだろう。あえて推測するなら痴情のもつれか何かが原因だろうが、私の知ったことではない。

書記の八分儀Octants of the Scrivener

1.知識は力だ。可能な限り獲得せよ。
2.成果を記録せよ。得られた知識も伝達できなければ無に等しい。
3.影響を及ぼすな。ある物事を知りながらその結果を知らないことは無知を意味する。
4.道の導くところへ行け。遥か彼方の地に隠された知識がある。探し出し、書き写せ。
5.余すことなく文書化せよ。愚かな定命の者の頭脳には、秘密の王にとって何が重要か判別する能力はない。類まれなるものを逃すより、すべてを記録したほうがよい。
6.解釈は不要だ。知る者は、目と耳と文書を評価する。定命の者の頭脳ではない。
7.知識を安売りするな。知識の通貨を扱わぬ者はその価値を知らない。
8.何よりも、勤勉に観察を続けよ。眠った瞳には何も見えない。

処刑状Letter of Execution

ハメリン・ヴィドー、

汝はここに殺人、死体切断、およびアーケイの掟に対する冒涜の罪によって裁かれる。

ブシャール・ドレル男爵の命により、汝は死に至るまで首を吊られるものとする。

八大神よ、慈悲を与えたまえ。我らに与えることはできぬのだから。

焼け焦げた聖典Burnt Scripture

ジョーンとジョーデは目を閉じる
夢を見ぬ死の眠りに落ちる

下に広がる世界が
永久に闇へと失われ

そして真の月が支配する時まで

生垣の迷宮The Hedge Maze

初めはウェアウルフたちに食べられると思ったが、この庭園に放り投げられただけだった。もし私が生き残れば彼らと同じ姿に変えると言われた。どちらがよりひどい運命かは分からない。恐ろしい死か、彼らのような怪物になることか。

私はもう数時間ほど隠れているが、ずっと後ろから大きな足音が聞える。数分ほど前、私はあの獣の頭頂部までちらりと見ることができた。ここにはラーチャーがいて、私を狩ろうとしている。

もし私が見つかれば、もし私が今殺されれば、少なくとも私の人間性は保たれる。そう自分に言い続けているが、やり通せそうにない。同じ考えばかりが何回も浮かんでしまう。

私は死にたくない。

逃げ場はない。生き残ることはできない。私の魂にステンダールの慈悲がありますように。

-ラントイン・ビューフォート

深紅の誓いを刺激するなLeave the Crimson Oath Alone

ドレモラの戦士たちは諸君を守るためにここにいる。しかし深紅の誓いはこんな濡れそぼった穴で見張りをしているより、タムリエル中を略奪して回りたがっている。

彼らを作業員扱いして刺激しないように。

挑発すれば、流血に飢えているのを知ることになるだろう。それが諸君の血であっても関係ない。

蘇生検体の収集Reanimation Specimen Collection

主の要請により、我々は適当な生きた動物と死んだ動物の検体を回収することになった。これは研究にとって決定的に重要なものだ。この任務に当たる態度には気をつけるように。

大型四足獣の検体が望ましいが、どんな生物からも一定の意義ある結果が得られる可能性はある。マンモスかワマスは価値が大きいため、相応の報酬が出る。だが危険なので、おそらく諸君の大部分の手には負えないだろう。

蘇生実験の成果Reanimation Experiment Findings

我々の蘇生術師は、一般的な動物を使って興味深い実験を行っている。この獣たちの解剖学について理解を欠く者は、その創造を不格好で歪んだものと感じざるを得まい。死体には順応性があるが、より進化した存在が持つ体と魂の強い連結が欠けている。大部分は認知機能を欠いた心なき人形であり、指示には完全な集中が必要になる。高度な技術によって行われた儀式でも、せいぜい生前に似た本能を持つアンデッドを生産できるにすぎない。残念ながら、この生物たちは大抵の場合、自分の状況を制御不能なほど不快に感じてしまう。

霜が降りた日記Frostbitten Journal

輝ける淑女よ!あなたの最大の祝福を受けた勇者ウマリルが、単なる人間に滅ぼされました。なぜ?あの異端者どもが、なぜ泥の中から這い上がったのか?なぜあの者たちは生まれた時から着けていた軛を投げ捨てたのか?なぜ奪われた者たちが我らの聖堂にて、あなたが選ばれた人々を手中に収めるのか?これはボエシアの策略?あるいはモラグ・バルの?狂気の陰謀家よ、嘘つきどもよ!なぜこのようなことが?

光の淑女よ、悲嘆にくれて取り乱した罰として、私は自分の手を痛めつけてやりました。至らぬしもべの無礼をお許しください。私は常に忠実だということをご理解ください。あなたの意志は私の意志、そしてあなたの御業は私の知るべきものではないのですから。

新たな知らせが届いた。人間たちが鎖を解かれた獣たちのごとく、祖先の聖堂から漏れ出て、まだ我々の血を渇望している。奴らは我々を貪るために放たれた忌まわしきナミラの軍勢だ。近隣の王国のいくつかはすでに奴らの侵攻により陥落し、他の王国も反逆者どもに屈服している。臆病な日和見主義者どもめ。私はもうすぐ、ヴァイルとの契約を果たすだろう。

他の王国は溺れつつある。絶望してもがき回っている。ナリルモルは憤怒の石を探す最後の計画があると言うが、たった1つの道具にこの戦争の流れを逆転させる力があるのだろうか。我らが勢力は力を合わせ人間に対抗すべきだというのに、伝承を追いかけてどうする!

他の者たちは耳を貸さない。一致して人間に対抗すべきなのに、その意志がない。すでに部隊がドゥエマーの街を攻囲するため北東へ進んでいる。彼らが憤怒の石を持っているという証拠さえないのに。敵は今いるだけで足りないとでも言うのか?

淑女のお言葉があった。あの方が我々に注意を向けてくださったのは、これまで一度だけ。戴冠式の時だ。あの方は深刻な知らせを授けられた。我らの帝国は崩壊すると。あの方の意志のために保ってきたこの美しい王国が、我々の墓になるのだ。だが全てが失われたわけではない。我々は忠実で純粋であるため、あの方は大いなる秘密を打ち明けてくださった。あの方は我らに憤怒の石の片割れを授けられ、保管せよと命じられた。石は我々と共にここへ埋められるだろう。あの方が再び手にされる時まで。

輝ける淑女よ、我々はあなたに頂いた贈り物と、この聖なる責務に値するよう努めます。我々は常に石を見守り続けます。

淑女の目的は一瞬たりとも疑ってはいないが、それでも近隣の諸王国が無駄と分かっている希望に必死にしがみつくのを眺めていて、辛いことに変わりはない。憤怒の石は決して見つからないと伝えることはできない。彼らが救済を求めてあらゆる隙間を探し回るのを見ているしかない。哀れな愚か者たちよ。あれはお前たちのものではない。ただ逃げればよいものを。

反逆者どもがついに我々の壁に達した。上の要塞も遠からず崩れるだろう。頭上で進行している攻囲の振動により、街の地下室はすでにひび割れ、崩れてきている。我らが民の目には恐怖が映っている。彼らに慰めを与えられないのは心が痛む。お前たちの犠牲が忘れられることはないだろう。我らが淑女が、お前たちの記憶を長く継がれるようにしてくれるのだから。

人間がガーラス・マラタールに足を踏み入れることはない。ここが我らの墓になる。封印の時は近い。

即席の弔辞Improvised Memorial

スロム・ウルフガルドはここで死んだ。敵は岩だった。2週間戦ったすえに敗れた。戦いが歌い継がれることはないだろうが、ソブンガルデは迎え入れてくれるはずだ。

退職願Letter of Resignation

ドゥモクめ!私は廊下を掃除し、ダニを退治し、棚のカビをこすり落とす役目だった。そのために雇われた。領域を飛び回る話なんか聞いてない。書記の館はファーグレイブと同じだと思っていた。どのデイドラ公ともつながらず、領域の間を移動するための道だと。

私の持ち物はバケツとモップと、ほうきと、ブラシと、石鹸水だけだ。そんなもので蜘蛛の巣や壁に生えたキノコをきれいにできるか?無理だ。しかも書記どもは忙しすぎて埃の一つも掃除できないという。私たちがいるのは地下の洞窟だ。そこら中が土と埃まみれだ。書記どもはテーブルの上に本を開きっぱなしにしたあげく、図々しくも、なぜ本が汚れまみれなのか聞いてくる。

あの天球儀のことなど知るか。銑鉄のスパイクを掃除しようとしたことがあるか?もう手を15回切った!

昨日はクランフィアが椅子の上で排便した。排便だ。あいつらにそんなことができるとは。できないとしたら、あのクソッタレは一体どこから…

いや、そんなことは考えたくもない。仕事に対する報酬は貰えないかもしれないし、書記どもは部屋代ぐらいの掃除はしていくだろうと考えているかもしれないが、私は次の裂け目からここを去る。行き着く先がシヴァリング・アイルズでもかまわない。辞めてやる。

石鹸水の王、トリラム・ファラシは退職して家に帰る。次のモップマスターは自分で探せ。

大いなる傷痕The Great Stain

戦争が大地を血に染め、世界に爪痕を残すのと同様、霊魂の世界もまた漏れ出した定命の者の命で満たされる。戦争は血に染まった泥の罠が兵士のブーツを引きずり込むほど確実に、魂の沼を作り出す。そのため、多くの戦場は自分が命を落とした場所から抜け出せない、迷える魂の住処になっている。もっとも、広範囲に死をもたらす要因は何であれ似たような結果を残す。洪水、疫病、飢饉など。特定の場所に十分な定命の苦痛を生み出せば、それは数十年もの間ムンダスに傷痕を残す。

大量虐殺が沼を生み出すとすれば、我々はドレッドセラーの内部に井戸を掘ったと言えるだろう。虐待と拷問、死がこの牢獄をあまりに深く染め上げたため、傷痕はもはや消えることがない。とはいえ、それは利用できる。純粋な死霊術の力の貯蔵地が、ほぼ無尽蔵に使われるのを待っている。私はこの貯蔵地に何年もの間、多大な労力をつぎ込んできた。無駄にするつもりはない。

第二の警告A Second Warning

くそっ、モリニレが死んだ。実に凄惨な最期だった。真っ二つにされた後、壁から出てくるエネルギービームに切り刻まれた。あの馬鹿は自分の身のこなしを過信して、避けられると思ったんだ。石につまずいて最初のに当たりやがった。

ドワーフのセキュリティ感覚は実用を越えて残忍なジョークの域に達している。あんな装置を発明した者の頭の中を想像してみろ。あのビームのような高密度の魔法エネルギーが使えればどれほど役に立つだろう。なのに発明者は、装置をこんな辺境の島に隠してしまった。何を守っているのか知らないが、苦労に見合うはずがない。

これを読んでいる者は、もうあの声を聞いたか?この拠点の奥深くから響き、奥へ進むたびに我々を嘲弄してくる声だ。一言聞こえるたびに、心につららを打ち込まれる気分がする。ここは一体何なんだ?マーラよ守りたまえ。

タルディルウェンは先へ進むべきだと言っている。ここでじっとしていても死を待つだけだと。いいだろう。私はもうこれ以上知りたいとは思わないが、アンデッドに臓物を食われたくもない。彼女に従おう。

今となっては、メモを書くのは気分を落ち着けるためだ。もう未来の生存者に警告するつもりなどない。自分の正気を保ちたいだけだ。

脱走計画Plan to Escape

この洞窟にはベラドンナがある。多くはないが、十分だ。いつもの場所で会おう。

蜘蛛の糸に覆われた日記Web-Covered Diary

ここのベールはもっとも厚い。我々と世界の間の境界はあらゆるものについて回り、闇に実態を与えている。光を寄せ付けず、冷気をもたらしている。心地が良い。

この洞窟は我々にとって理想的な環境だ。シルケンリングは駆け出しの連中を助けるために血を与えてくれた。偉大なる母の影で育ち、彼らは大きく強く育つだろう。我々が世界に解き放つ時まで。

私は真に紡ぎ手から祝福されている。私がベールに呼びかけると、私の意のままに動くようになった。私は自分の網を編んだ。それを通して私は我々の種族の動き、卵の鼓動、怯えた獲物の震えを知ることができる。レースの女公が私にこの領域を与えてくれたのは素晴らしい判断だった。

これは面白い。何かが今までに感じたことがないような形で、影の平穏を乱している。侵入者だ。彼らは罠を引き裂いているが、持ち応えられるだろうか。それとも、私の餌食になるだろうか?答えが楽しみだ。

珍しい野兎An Unusual Hare

マヴェルド・ベアファング 著

私はハーシーンが選んだ野兎についてあまり知らないが、確かに分かっていることもある。それは賢く、素早く、追跡がまず不可能だということだ。このグレートハントは、誰も達成できないほど難しいのかもしれない。

さて、私は認めなくてはならない。私にはインドリク狩りの経験があまりない。事実、そのような経験はまったくない。サマーセットはインドリクが見つかる唯一の場所であり、ハイエルフは国境を解放したかもしれないが、私の毛深い皮が向かうのは当分先だ。どういうわけか、アルトマーが狼への変身能力に恵まれた者たちを歓迎するとは思えない。

だが、この獣は本当におかしい。足跡を辿ってもその先は行き止まりであり、絶壁だ。獣の臭いを掴んでも、数分後には途切れる。その上、時々、見られているような気がする。敏感になっているだけだと思いたいが、直感を無視するにはあまりにも長く狩りをしている。

インドリクの痕跡には足跡以上のものがある。焦げた植物、氷に変えられた水。この獣には何らかの属性の力があるに違いない。この獣を仕留めたら、牙と爪の他にも対処する必要がある。もちろん、これはハンツマンの挑戦として相応しいものだろう。

もう近い。獣が疲れてきたのかもしれない。ただ、今は考えざるを得ない。狩られているのはどちらか?

任務報告:成功Mission Report: Successful

記録しよう。私、ティリッシュはヴァリナに命じられ、裂け目を通ってデッドランドまで旅をした。この旅は遠くまでかかり、歩くたびに靴が燃えた。目的地は明確だった。レイジングコーストだ。バーンにある二度と訪れたくない場所だ。それでも、標的は見つけた。計画と手段を備え、目的の達成のためならいつでも求めに応じる獣物だ。狡猾で悪辣ではあるが、創造性のあるものは生み出さない。私の獲物は下級デイドロスで、いずれ知識の悪魔にも匹敵するコレクションを集める者だ。

ヴァリナに告げられた場所でそれを見つけた。高貴な夢を持つスキャンプで、それを見通すだけの先見の明がある。送り出された目的を達成したのは非常に誇らしい。道を誤ったミクゲトを殺害した。これでは止まらないかもしれない。ミクゲトの目標はまだ達成されていないかもしれないが、流れに影響を与えるため私ができる精一杯のことだった。ヴァリナがやらねばならぬと言う通りに。

反抗的な落書きDefiant Graffiti

絶対に屈するな。それが奴らの狙いだ。気を強く持て。好機を待つんだ。ツルハシを振り続けろ。奴らの頭蓋骨に穴を開ける日までな。

部族の恩恵A Boon for the Tribe

ウッドエルフ狩人のローヒエル 著

父が私を加えたことが信じられない!父がグレートハントに同行させる戦士を選んでいる時は、ほとんど期待していなかった。イフレにかけて、私に弓や槍の能力はあまりなかった。

でも父に言われた。「ローヒエル、何を狩るのであれ、倒す前に追わなくてはならない。お前は部族で最高の追跡者だ。もちろんお前に同行してもらう」

私が?最高の追跡者?その、優れているのは分かっていたけれど、最高だなんて!たとえそうでも、グレートハントで父に協力するためには、私のあらゆる能力が必要だとわかっている。

私たちが成功することをただ望む。日に日に部族が飢えている。狩りに失敗して戻る時、立ち止まって目を合わせるのは厳しい。時々、ひょっとしてハーシーン様の寵愛を失ってしまったのではないかと心配になる。

まあ、主人の寵愛を取り戻すとしたら、グレートハントで勝つことしかない。私は父が勝てるよう協力するだけ。部族の未来のため、そうしなくてはならない。

復活者フィンボアFynboar the Resurrected

私と共に歌ってくれ、嘆きと喪失の歌を
歪められた理想と、打ち捨てられた運命の歌を
嵐がインクの風となって吹き荒れる
学ばれた教訓と、隠された秘密の歌を

多くの男たちと同じように、私には父がいた
そして確かに、彼は高名な戦士だった
彼の勇気と胆力は、私の母も保証した
強大なるフィンボア、それが彼の名だった

父は心の中に秘密を隠していた
運命との取引により、自らの最期を知っていた
兵士ならば技をもって容易く相手にできたが
魔術を相手取れば殺されることを知っていた

終わりを恐れるな、我が子よ
大いなる狩りが、野生からの呼び声と共に終わる時
大いなるニメリアがお前の魂を拾い上げ
彼女に守られ、甘美なる暗闇へと旅するのだから

私にとって、父は暖炉の火のようなもの
大きく暖かく、危険な薪の炎
全世界にとって、父は死の影であり
敵はその刃から逃げ惑う

だがある忌まわしき日、逃げぬ者がいた
父に適う者など誰もいなかったのに
外套を着た人影が煙に包まれて現われ
父が内に秘める恐怖が爆発した

父が言っていた、強大な魔力を持つ魔術師
父の高名なる技にも匹敵する存在
魔術の力を前に、フィンボアに何ができただろう
戦い、悲劇の結末へと向かう以外に?

魔術師の呪文が空を切り裂き
フィンボアをニメリアへと送り届けた
魔術師は我らをただ蔑み、笑った
その呪文は父の喉を一瞬で掻き切ったから

父の生命なき抜け殻が冷たくなるのを見て
私の中にある計画が生まれた
霊魂の女王が父を連れ去ったのなら
インクの海の先までも、私は泳いでいこう

我らが伝統に従い、私は父の死の象徴を
木から削り出し、肌身離さず持った
疑いの念が生じるたびこれに目をやった
人生に偶然などないことを思い出すために

祈りを極めるのに数年を費やした
だが 闇の魔術により短縮された
ハルメアス・モラが我が呼び声に応えるまで
そしてインクの大雨の中に姿を現すまで

私は父の不幸な運命を彼に伝え
夜が更けるまで論じ続けた
空のすべての星が輝く中
私の叫びはついにデイドラ公に届いた

おおハルメアス・モラよ、汝のすべての本を探しても
我が嘆きを正す知識はないのだろうか
我が父は死に、私は彼の護符を持っている
彼を取り戻す術を示し給え、さすれば私にできることを教えよう

ハルメアス・モラは私の取引に関心を示したようだった
護符は彼にとって新奇であり、その点で彼は容易く説得された
彼はあまりにも暗い魔術の本を私に授け
それを使用するだけで私は印を刻まれるのだった

小さき定命の者よ、汝が知らぬことに注意せよ
汝は知識を増大させるものを求めた
望むとおりに使うがよい。だが本を読んではならぬ
その魔術が何をもたらすか、汝には知りえぬゆえ

彼の忠告は高く響いたが、すぐに忘れ去られた
私は本が与えてくれる死霊術の知識を利用したから
そこには死者を蘇らせる呪文が載っており
それが導くところへ私は従った

その次に起きたことは、私から言えぬ
私は自分が行ったことの記憶を、永遠に封印したい
私は成功したが、父は情愛を示さなかった
再会は想像したものと違っていた

彼は叫んだ、我が子よ、お前は死の抱擁から私を引き裂いた
最期の瞬間を過ぎて遥か後、私の生を再開させた
戦士の死は、正当に勝ち取られた結末
それともお前は、名誉を焼き捨てるべきものと思うのか

お前は私の戦いに敬意を払わないのか
自分がしたことを見よ、お前がもたらしたものを見よ
お前はロークの闇の心臓を拒み、私の休息を拒んだ
すべてはお前の利己心のため、お前が最善と思ったことのため

お前に従うことはできぬ、お前の墓に唾を吐きかけたい
お前がしたことは、一体何を救った?
人生の暮れに、戦いで朽ち果てた死体だけ
確かに、お前は真に私のやり方を学んだのだ

もう私は去り、お前には知らせない
私が再び死にゆくか
それともこの死のような生を送り続けるのかを
我が子よ、それがお前の定めだ

そうして父は私が追えない場所へと去っていった
私は足跡を辿り、山の洞穴を探った
だが父は吹雪の中へと姿を消した
我が父フィンボアは生きているのか、もはや知るすべもなし

腹を空かせた猫の呪いThe Hungry Cat’s Curse

超越者ヴィコサ 著

ヴィコサは狩りを愛していた。獲物を追う時、身体に走る興奮。獲物を睨みつける時の、強烈な心拍。矢が獣の心臓に刺さる時の、乱れた呼吸。

これほど大きな喜びはなかった。

当時、彼女は純粋な心と澄んだ意識を持つ定命の者だった。若かった。腹を空かせた猫が申し出を行った時、あまりにも若かった。彼が栄光を約束して手を差し伸べた時、あまりにも若かった。猫は力を約束した。

そして、ヴィコサは愚かにも彼に従った。彼を崇めた。彼を讃えた。

そのために彼女は呪われた。

彼女は狩られる者になった。恐れる者になった。いつも逃げ、いつも隠れていた。ハーシーンは彼女を狼に変えたのではない。それは違う。彼は彼女を野兎に変えた。永遠に狩られる永遠の野兎に変えた。

しかし、もう彼女は超越した。この者が恐怖に縮こまることはもうない。彼女は群れを作った。これまでになく大きく、強い群れを作った。彼女の前には軍隊がいる。この者たちを嫌う者に反撃の用意がある軍隊がいる。呪われた獣であるこの者たちのため、土地を手に入れる用意がある軍隊がいる。

腹を空かせた猫よ、お前はヴィコサを見ているか?お前は彼女の苦しみを、痛みを笑っているか?笑えるのも今のうちだ。タムリエルを手に入れたら、次はお前の番だ。

別れのメモFarewell Note

背中が折れた。やっと木をなめる時が来た

いつも農民として死ぬものと思っていた。葉に包まれ、黒い泥を塗られて。今や誰も私の歌を歌うことがなく、ヒストに埋められることもない。私はルキウルに死を迎える。仕方がない。

もし誰かがこのメモを見たら、故郷に帰れるよう私の名を風にささやいて欲しい。このような場所でさえ、風は葉を見つける。時間がかかるだけだ。

-シーサウス

捕虜による慎重さを求める警告Captive’s Discreet Warning

あの間抜けなフィランドが逃げ出した。目を合わせるな。奴らは見せしめとして、誰かに罰を与えるつもりだ!

捕虜のしわくちゃのメモCaptive’s Crumpled Note

誰か私の夫を見ませんでしたか?名前はエブランドです。背が低くて体は細く、優しい目をしています。彼らのせいで離ればなれになりました。それ以来、夫がどこにいるかまったく分かりません。私の無事を伝えてください。

捕虜の日記Captive’s Journal

マーシュにおいて、我々が日付を気にすることはない。そんなことはジェッカ・ワッツに任せている。しかし、ここマザッタンでは昼と夜を必死に数えている。そうせざるを得ない。最後に数えた時は、ここに3ヶ月閉じ込められていた。ここに部族が連れて来られた時、ジット・ザートは鉄のピックを私の手に押し付け、石の山を指した。言葉はなかった。狩人が舌を鳴らし、ジェスチャーで命令しただけだ。

ジット・ザートはほとんど話すことがないが、常に移動し、指さし、鞭打つことをやめない。樹液に酔っているか、悪いものに混乱させられているかのようだ。3ヶ月も閉じ込められていると、同じことを感じるようになっている。狂気だ。ここの樹液は毒だ。土は毒だ。ここにいると、シシスはただの記憶でしかない。命令、積み上げられた石、きれいな角が全てだ…連中は、働かせることによって川に背を向けさせようとしている。しかし、この街はジット・ザートにとっても牢獄だ。ナ・ケッシュがいなければ、彼らは野生化して遺跡からさまよい出し、死ぬことになるだろう。彼女はどこにでもいるがどこにもいない。彼女はヒストの口だという。ヒストの代弁をしているのだそうだ。これが本当なら、ここのヒストは私が見たこともないようなものだ。ヒストは病んでいる。我々は皆、その代償を血で払っている。