調理師助手メール 8週間目

50日目
本日、賭けで知ったのですが、グアルの乳を簡単に絞る方法なんて存在しないらしいです。あなたへの調理素材をお送りしておきますね。

51日目
あなたへの品物を送ります。ちなみにカジートたちの作法についてご存じありませんか?夕食の席で招待客が毛玉を吐き出した場合、どう反応するのが正解なのでしょうか?

52日目
私の新しい旅仲間は、移動は夜に限ると言って譲らなかったのですが、私にとっては普段と睡眠時間が逆転して、非常に不便なものでした。さらには道から離れて一人で狩りに出かけて、何時間も経ってから獲物も無く戻ってきた時は、流石に疑い始めました。彼は吸血鬼なんて太陽に誓って知らないと言っていたのですが、その辺りは日の出と共に明らかになりました。ところで、吸血鬼の灰は何かに使えないものでしょうか?

53日目
今日、とてつもなく巨大な蜘蛛を目撃しました。しかも毛むくじゃらで、まるで狼の毛皮を着ているかのようでした。そんな事あり得るのでしょうか?とにかくあなた宛ての品物をお送りします。

54日目
今朝目覚めると、もう何年も愛する家族と会っていないことに気が付いて、後悔の念に駆られました。でもそこで、そもそも冒険者になった理由がその愛する家族にうんざりしたからだと思い出し、後悔の念も消え失せてしまいました。特にアルフォンスのせいで。

55日目
新たに気が付いたのですが、ダークエルフ達ってこちらを殺そうとしてこない限りは、とても寛大な人々なんですね。

56日目
とある行商人が「ポールドロン」という良質な防具を売ってくれました。ただこれがヒザに着けるものなのか、ヒジに着けるものなのかは恥ずかしくて訊けませんでした。なので近頃は、物事を理解しようとしない方が色々と単純で済むんだ、という結論に至りました。それでもとっても良い買い物ができましたね。

マラバル・トールの伝承

Malabal Tor Lore

アビシアンの海賊Pirates of the Abecean

嵐がサラジャ船長の計画に予期せぬ変更をもたらした。彼女は海賊船の裂けた帆と折れたマストを見つめた。つい最近の略奪品が流されただけでなく、風がなくなり修理を終えるまで進めなくなってしまった。

「座礁したも同じですよ」。一等航海士のフルツが険しい顔で言った。

「船がいたら、乗ってる奴らに降りるよう話をつけるさ」と船長はしわがれ声で笑って答えた。「船は動けないがまだ浮いてる。お前は悪いことばかり考えてるな」

「だとしてもずっと…あれは船では?」

サラジャは振り返りニヤリと笑った。「未来の我々の船ってことだ」

フルツは距離を見て思慮深く言った。「そう遠くはない。ボートを降ろしましょう」

すぐに乗組員のカジートたちは船に乗り移る準備を整えた。砂州に錨を降ろしたその船は無傷なようだ。近づきながらサラジャは動きがないか船と空の境を見る。静かなものだ。略奪の機は熟した。

フルツが暗い船体をゆっくりと探りながら登っていく。仲間たちが網を張り乗船できるよう、こちら側に警備がいたら彼が抑えなければならない。そっと甲板に上がると、フルツは船首と船尾にちらりと目をやった。警備はいない。手すりから身を乗り出して仲間に合図を送る。

次々と海賊たちが乗船し、武器を抜いて音を立てずに歩き回る。静かな船に全員が乗り込んだ。

「遊覧航海には大きすぎますね」とフルツが船長に囁いた。「それに武装の割に静かすぎる」

サラジャは船室の扉を示して頷いた。「あそこに隠れてるんだろう」と囁く。「我が船から降りてもらおうじゃないか」

ときの声を上げてフルツが船室のドアを蹴り破った。爪を出し武器を構えた海賊たちが彼に続くが、10歩も行かずに足を止めた。中は静かで暗い。

「どうなってるんだ?」

「早く!明かりをくれ!」

海賊の1人がほくちと火打ち石を打つ。ゆっくりとたいまつを掲げると、室内いたるところにある鏡にほのかな明かりが映り込んだ。

「なんてこった!コスリンギだ!」

「コスリンギの死体だ!」

サラジャは壊れた船に戻るよう全員に命じるが、もう手遅れだった。紅き船を見て、生きて戻った者はいない。乗組員たちは見る以上のことをしたのだ。

ヴァレンウッド:研究Valenwood: A Study

公文書保管人 エンダラナンデ 著

アルドメリ・ドミニオンの多くの命がヴァレンウッドで生まれている。緑の森に覆われ、多様な動植物で溢れかえるこの地は、古きエルノフェイから来た最初のエルフたちの一部にとっては故郷である。

時と世代を経て、この初期の移住者たちは森に適応していった。新たな獲物たちを研究してステルスや巧妙さを身につけた。やがて彼らはボズマーことウッドエルフとなった。アルトマーより小柄で、勤勉かつ機敏な彼らは射手や斥候として名高い。

果敢な戦闘員としてのボズマーにはグリーンパクトという独自の強みがある。ボズマーの伝説によると、森の神イフレが敵を破る方法を授けたのだという。ただしヴァレンウッドの植物を食べたり傷つけたり、収穫することはしないのが条件だ。

グリーンパクトの一つの結果であるワイルドハントも有名だが、これについては語らないでおこう。

ボズマーはよその土地から救いを求めてヴァレンウッドに来た者を歓迎する。この点について彼らは、近縁の生粋のアルトマーとは大きく異なる。我々は尊厳を維持しようとするが、ボズマーは若木のようにたやすく他者の意志に従うのだ。

乱暴で愚直だが、このウッドエルフたちはドミニオンにとって不可欠な存在である。我々の同盟の繁栄のため、失うわけにはいかないのだ。

ヴァレンウッドのアイレイド都市Ayleid Cities of Valenwood

抄録

グウィリム大学の高名な歴史家 ホムフリー 著 第二紀445年

南部地域におけるハートランド・ハイエルフの輝かしい集落についての調査

…ここで、注目に値するセイヤタタルの街々や現代のブラヴィルの元になったアイレイドの集落に触れるべきだろう。これらはヘヴン、ウッドハース、シルヴェナールといったヴァレンウッドの街に並び、いずれも栄えていた。現在シロディールの中心である場所に白金の塔が建った後、貿易が活性化したことによるものだった。

特に注目すべきは、エルデンルート近くの大学や蔵書庫だ。その地のアイレイドはエルデンの木、別名始まりの木とその周辺に街を築いた。この木がヴァレンウッド全域に種をまいたのだと多くの者に信じられている。

ヘヴンとウッドハースはマオマーの攻撃で徹底的に破壊された。マオマーはヴァレンウッドのアルドマーの進んだ文明に配慮することはなかった。内陸へと進軍した彼らはエルデンルートを居留地にしただけでなく、あの大樹までも奪ったのだ。あのように荘厳なものを傷つけ奪うとは、なんと不埒な部族か。

マオマーはアルドマーの民族的純粋性を保つ伝統を破り、ピャンドニア先住の野蛮な部族と交わった可能性がある。それならば彼らの凶暴性や、本土の偉大なエルフ文化に対する敬意のなさも説明がつくだろう。

ウッズマーThe Woodsmer

ウィローレッグは足首をさすった。折れてはいない。捻っただけだ。彼は慎重に足に体重をかけ、立ち上がった。よし。耐えられそうだ。ヴァレンウッドを旅しながら、よく転んでいた。彼の片足はもう一方より細く、時々それを忘れてしまうのだ。

「さて、ここはどこか突き止めるか」。ウィローレッグは言った。頭上高く出揺れる木々の葉を見上げると、その間に青空が時折見え隠れする。ウッドエルフでなければ、そんなわずかな眺めからは何もわからない。ウィローレッグはすぐにまた歩き始めた。

すぐに、自分だけではないと気付く。彼の左手に別のウッドエルフがいた。ぼさぼさの濃緑色の髪を顔の周りに垂らしている。一人旅に慣れている彼は、その静かな同行者が彼を追い越さないよう、歩く速度を合わせていることにも気が付いた。

「あんたもファリネスティに?」。ウィローレッグは訊ねた。

「ああ」

ウィローレッグは気さくに続けた。「移動前に夏の地に着けるといいんだが」

緑髪のウッドエルフは言った。「大丈夫だろう」。これ以上話したくなさそうな声音にウィローレッグは黙って頷き、歩き続けた。

彼らはその日ずっと、黙ったまま一緒に旅をした。ウィローレッグが休憩しようと止まると見知らぬ男も足を止めた。ウィローレッグは水と干し肉を分けてやった。そしてまた、残りの旅路につく。木々がまばらになっていき、ファリネスティがぴったり収まった空き地に出た。

空き地の端で、見知らぬ男は立ち止まりウィローレッグの腕に手を置いた。驚いたウィローレッグは、その緑髪のエルフの肌がザラザラで硬く、樹皮のようだと気付いた。

「ここにいろ」と男は言い、小声で呪文を唱えた。

ウィローレッグは動くことも話すこともできず、男がファリネスティの根元へ行き、表面に額で触れるのを見ていた。木の街は震えると、大地から根を上げてゆっくりと移動を始めた。

緑髪のエルフがファリネスティを連れて歩き去ると、ウィローレッグはかけられた奇妙な呪文が解けるのを感じた。そして手足のうずきとともに動けるようになった。下を見た彼は細い片足が治っているのに気付いたが、靴はなくなっていた。

「ウッズマー」だ。ウィローレッグは畏敬の念を抱きつぶやいた。ウッズマーは森で不用心に迷った者を導く神話の存在だが、道を知る者に恵みを授けるとも言われている。

ファリネスティは南へ移動し、ウィローレッグはどこへ行ったのかと考えた。

ウッドエルフのユーモアThe Humor of Wood Elves

発明家テレンジャーによる収集

発酵飲料で広く知られるバルクワステンには、知る中でも特に気さくなボズマーが暮らしている。種族の特徴でもあるが、彼らは勤勉でたいていの人とうまく付き合える。彼らの醸造方法の調査を終え、地元の家に泊めてもらった。

歴史家として私は、ユーモアを研究すればその文化の多くを学べると考えている。そこで将来の研究のために彼らのジョークを書き留めておく。彼らの娯楽をよく知ればきっと、ボズマーの考え方をより深く理解できるだろう。

スケルトンが酒場に入ってきてこう言ったんだ。「ロトメスをくれ。あとモップも」

Q:なぜ猿が木から落ちたか?
A:死んでたから。

Q.茶色くてボーッとしたものは何?
A.棒だろ。

人物1:俺が木か聞いてみな。
人物2:お前は木か?
人物1:いいや。

Q.レイヴンのどっち側に一番羽毛が生えてる?
A.外側。

Q.頭が3つあって、醜くて臭いものは何?
A.おっと違った!君の頭は3つないな!

Q.羽のように軽いけど、あまり長くは持たないものは何?
A.息。

Q.スローターフィッシュがいるのにボートが沈みかけるのを想像して。どう助かる?
A.想像するのをやめる!

Q.なぜサンダーバグは生肉を食べるのか?
A.料理を習ったことがないから。

Q.なぜハチはブンブン言うのか?
A.口笛が吹けないから。

グリーンレディ、わが淑女Green Lady, My Lady

我が淑女よ目覚めよ、朝が来た
あなたを絹で着飾ろう
髪には羽を編み込んで
足には革の履き物を履かせよう

我が淑女よこちらへ、愛が待っている
今日この日、テーブルを囲もう
宴のテーブルの上は
美味なるごちそうばかり

グリーンレディ、我が淑女よこちらへ
客人たちは集まった
そして陽気で楽しい音楽が響く
イフレの子らはなんと恵まれているか!

結婚披露宴:回顧録The Wedding Feast: A Memoir

別名「裸しっぽ」のナラル 著 日付のない回顧録

子供たちよ、旅で出会うウッドエルフたちの奇妙な性質について理解できるよう、ナラルがこれを書き残します。彼らの恨み深さには気をつけて!

最上位のエルフ2人の結婚の宴のため、何ヶ月も前から準備が始まりました。彼らの結婚は森とその人々が一つであるという証。そのためとても大きな宴なのです。

商人として、王族へのちょっとした食べ物の用意をよく依頼されていました。名は挙げないまでも率直に言えば、ムーンシュガーをまぶしたビスケットをエルデンルートの宴のために何度も用意していました。でもこの結婚の宴では、私にできる以上のことをたくさん要求されて、土壇場での変更を余儀なくされたのです。

牛のスープ50樽については、根菜スープを足すことで30樽分を用意して埋めあわせました。ウッドエルフは死んだ素材にはこだわらないので、手に入る骨なら何でもよしとして出どころは聞かずに骨髄10カゴ分を用意しました。

でも小麦粉を使わないケーキ?そんなの聞いたこともない!それが作れるというウッドエルフのパン職人たちに相談しました。ウッドエルフはよそ者に用意されたのでなければ植物は食べません。それなのに小麦粉なしのケーキを出せというのには戸惑いました。そしてレシピをいくつか入手し卸売業者に確認すると、期限内に必要な量を揃えられる者はいませんでした。

かくして私はケーキ作りを始めました。卵のかさ増しをするため水で薄めます。その緩さを消すためにアロールートと粉末のフラックスシードを加えました。砂糖はケーキで最も高価な材料だったので、使う量を減らすために石灰の粉を足しました。味はケーキに似ていました。とても似ていた。これはかかった時間も金もわずかで、ケーキだけで儲けは2倍となったのです。

でもバターの代用品にしたラードと泡立てたフラックスシードオイルが、多くの客人の腹とこの私に破滅をもたらしました。

ウッドエルフは以降の契約をすべて打ち切っただけでなく私の尾の毛をそり、あわてて逃げた私の所持品や品物も奪ったのです。

子供たちよ、ウッドエルフの宴に商品を提供してはいけません。必ず辛い結果に終わります。

赤い塗料The Red Paint

「このように混ぜなさい」とラカールが言った。湿った粘土とハーブを規則的な動きで乳棒ですりつぶす。「塗料を作るという行為そのものが祈りなの」

ヤシールは自分の石の乳棒を掴むと、器を引き寄せて女司祭をまねた。

叩く!上げる!一つかみのハーブを器にばらまき、また叩く!オークたちは膝をつき合わせて側に座り、曲げた膝で器を支えている。

ラカールは動きに合わせて、そっと詠唱した。徐々に一団の動きが強さを帯びてくると、彼女の声はそれに釣り合う大きさになった。

「モーロッチは!」叩く!

「我々の行いを…」上げる!

「…見ている!」ばらまく!

部族の化粧の準備をするという名誉は、少数の族長の娘たちのものだった。ヤシールはこの輪に加わり座ったことはない。これまではハーブや粘土を集めていて、それ以上はなかった。それが今はラカールの右側という栄誉ある位置に座っている。若いウッドオークは誇りを感じた。彼女は明らかに、見習いに選ばれたのだ!

「モーロッチは!」叩く!

「我々に…」上げる!

「…血をくださる!」ばらまく!

最後の言葉で女たちは頭を後ろにそらせ、モーロッチの叫びを解放した。喉の奥から出た遠吠えが木々の間や近くの崖に響き渡る。ラカールは仕事の完了を合図した。

部族の者たちが列を成す。できたての戦赤の粘土で化粧を施してもらうのだ。ラカールは戦にふさわしくない、あるいは向かないと見なした者を脇へとよけさせる。彼らは化粧の儀式に参加することは許されない。

ラカールに列から出るよう合図され、ヤシールは抗議の声を上げようとしたが口を堅くつぐんだ。ラカールの判断に異議を申し立てるのは不名誉とされる。混乱した怒りで頭を下げたまま、ヤシールは選ばれなかった少数のオークに加わった。

ラカールは選ばれなかった者たちに目をやり、ヤシールを自分の横に連れ出した。「モーロッチは次の儀式を行う者にお前を選んだの。剣を持ちなさい。忘れないで、モーロッチはお前を見ています」

ヤシールの手を引いてラカールは空のボトルの上にかがみ、伸ばした首に若いオークの剣を滑らせた。真の戦士の聖なる血で次の化粧を施すため、彼女が意識を失おうとしていてもラカールの手は緩まなかった。

夫はネレイドに盗まれたA Nereid Stole My Husband

ネレイドが私の夫を奪った
私の夫をネレイドが奪った
海辺の乙女には用心して
次にあなたが慰められないように。

私たちは無邪気に海岸をぶらついて
貝を集めたり石をひっくり返したり
そして声が聞こえ今の私は嘆く
その声、歌は、あんなに高い声で!

すぐに夫は足を速めた
「待って」私は叫んだ「ネレイドよ」
しかし夫はさらに足を速めた
彼女の甘い呼び声には逆らえない。

手遅れだ、ああ悲しいかな、もう遅い
彼の心は傾き、もう深い虜
彼の恐れは運命のように現実に
彼はネレイドの呼び声に従った。

そして彼女は美しく残酷で無分別
姉妹の元へ泳ぎながら叫んだ
「あなたの夫はつまらない
返してあげるわ、背中曲がりの奥さん!」

ネレイドが夫を奪って
すぐに返してきた
かわいそうな私、あの日から
望まれないのに彼の側にいる!

民の声The Voice of the People

変化は風の中に。木々の葉や、水の流れの中に。動物たちですらその違いを感じ取れる。「民の声」は沈黙していた。

シルヴェナールは死んだ。予想されてはいたが、多かれ少なかれ騒動を伴う事態だ。

優先すべきは街か、それともシルヴェナールか?答えを知る者も気にする者もいないようだ。かつて混沌があり、何世代も続く社会構造が現れた。いや、社会構造のようなものだ。むしろ組織だった狂乱と呼ぶほうが近い。

次のシルヴェナールである若い男が、マントを手にしようとする。

「彼らが待っています」と従者が言った。彼女は発酵したスープの入ったアラバスターのゴブレットを差し出す。

「わかっている。少し待ってくれ」。インデニールは儀式のカップを受け取る前に目を閉じ、深く息をした。

シルヴェナール。公式には結婚までこの称号は彼のものではなかった。だが彼はすでに変化を感じることができた。耳元での蛾の羽ばたきのように、新たな身分が彼の脈拍を速めてインデニールに囁いてくる。くすぐったい気分だ。

シルヴェナールはウッドエルフの代表だ。彼もしくは彼女は、民の意思を感じそれに従って行動する。この関係は双方に作用する。彼もしくは彼女は、ウッドエルフに影響を与えうるのだ。

彼の民は緊張していた。

付呪師助手メール 4週間目

22日目
栄えある雇い主殿、再び冒険の旅に出られて嬉しい限りだ。今回はいつもより早く積み荷を用意することができた。どうか上手く使ってくれ。程なくしてもう一つお送りできるかと思うが、今はタムリエルの洞窟や洞穴が我らを待っているのだ!

23日目
あなたに素材を送る者として、私をある程度は味方として考えて頂けているだろうか。実は最近眠れないのだ。以前私が兄弟の命を救うため、人を斬ったことはあなたも覚えているかも知れない。私は己が剣を巧みに操り、己が出自に見合った行いをしてきたと信じているが、誰かを殺めた事にはやはり気落ちしてしまう。これをヨクダの先人たちが見たら、どう思うだろうか。

24日目
栄えある雇い主殿、野生の獣たち相手に己が力を試す感覚がいかに素晴らしいか、筆舌に尽くし難い。何物にも囚われず、また戦いを止める衛兵も居ない。存在するのは、私とあなたの素材との間にある、野生的な怒りの集合体のみ。友よ、この新たな積み荷があなたの益にならんことを願っている。

25日目
敬愛する雇い主殿、この度はアブナブの兄弟エズダブより文を送らせていただく。近頃の積み荷に際し、我が兄弟がしたためた戯言についてお詫びしたい。我らの問題をあなたに投げかけるつもりはなかったのだ。彼にはあなたが敬愛すべき雇い主であり、感情をぶつける先ではないという事を、改めて言い聞かせておいた。次回アブナブが、己が感情をあなたに語ろうとしたならば、私がこの拳であいつの顔面に語り掛けることをお約束する。

26日目
栄えある雇い主殿、アブナブだ。前回のエズダブの手紙は無視していただきたい。もし私があなたの立場ならば、ご自身の使用人に関するすべての状況について知っておきたいはずであり、その事を理解しているつもりだ。だから私はこれまで素材と合わせて、文に詳細な報告を含めており、今後もそうしていく所存だ。

27日目
栄えある雇い主殿、新たな積み荷をお送りする。すべては順調だが、私は最近恐ろしい悪夢に悩まされている。自分の周囲が霧に包まれ、私の視線の届かぬ先に何十、何百匹という獣が私を喰らおうとしているものだ。この夢を毎晩、際限なく見続けている。もう寝る前にクワマーの卵は喰らうまい。

28日目
栄えある雇い主殿、素材は今そちらへと向かっているはずだ。しかし私の不快なる夢は今もつづいている。そして思い返せば、すべてはアイレイドの遺跡で奇妙な生物を倒してから始まった。その生物は巨大な斧を携えていたが、素早さは私が優り、その体を両断すると同時に崩れるように消えていった。もしかするとあれは死なず、今も私の近くに残っているのやも知れない。

リフトの伝承

The Rift Lore

さまようスカルドThe Wandering Skald

あらゆる蔵書庫がカビ臭い古い物語を抱えている
それは雨と雪の中、運ばれた
だがノルドのスカルドは喜んで人々をもてなす
それは遥か昔に詩人達に広く歌われていた物語

あらゆる本には題名と名前がある
だがそのページはすぐに塵となる
私達の歌う詩は名誉と共に生き続ける
私達全てが信じる時代から

古い物語は遥か昔から伝えられてきた
抑揚と拍子と詩歌と共に
すぐにスカルドの顧客は期せずして知ることになる
「そうだ、私の人生は悪くない」

そして王達は真実を知る
剣や盾よりもましなことを
過ぎ去った若き日々から教えられる
スカルド王には行使する英知がある

よくぞ来てくれた友よ
今夜歌う詩のために
終わることなく夜通し続くだろう
乾杯のハチミツ酒から日の出まで!

セネファンのハチミツ酒の謎Thenephan’s Mysteries of Mead

ダガーフォールから締め出され、エルデンルートから追い出され、モーンホールドから追放されたのには訳がある。私はこの世界にいる限り避けては通れない、人を酔わせるあらゆる物、ワイン、エール、そしてアルゴニアン酒を試してきた。カジートのスクゥーマを試飲し、アルゴニアンのヒストの木を舐め、ボズマーの「魔法」カエルを仕留めたこともあった。

どれもノルドのハチミツ酒とは比較にならない。ハチミツ酒に並ぶようなものは存在しないのだ。

この世界一純粋な酒はノルドの村で作られる。だが今はノルドと戦争中だ。それにブレトンが生きてそこに辿り着ける保証もない。その手のことは専門家に任せるべきだ。だがまだ希望は残されている。もし酒場に行ったとき、そこにノルドのハチミツ酒が置いてあったら、それを飲まない手はない。

ハチミツ酒は発酵したハチミツと水から作られる(糖蜜を使うレシピもいくつかある)。時には、すり潰した穀物を入れて味を調えることもあるが、必ずしも必要というわけではない。ハイエルフの一部はこれを「ハチミツワイン」と呼んでいる、とにかくハチミツ酒には非常に良質のハチミツが必要となる。それぞれのハチミツ酒醸造所には独自のレシピがある。たくさんのハチミツ酒を飲めば、醸造家の名前を自然と覚えるようになる。酔っ払ったノルドは、素晴らしい醸造家の名誉のためであれば、他のノルドの顔を殴りつけさえする。だが酔っ払ったノルドであれば、何かと理由を付けて誰にでも殴りかかるかもしれない。

あらゆる醸造家が、独自に調合したスパイスやフルーツ、そして時にはホップ(これがハチミツ酒に苦味を与え、一部のノルドの舌をしびれさせる)を持っている。詩人や吟遊詩人の伝えるところによれば、英雄の血を混ぜたハチミツ酒もあるそうだ。

あるアルトマーから、醸造はあらゆる文化の根幹を成しているという話を聞いた。だからこそ我々の祖先は農業を始め、街を作ったのだ。そして、小麦と大麦とホップが余り、農業に疲れると、醸造を行う。どうやら酒を飲む文化がノルドを一つに束ねているようだ。

ノルドは本当に農業にうんざりしているようだ。なぜなら彼らは驚くほどのハチミツ酒を造って飲んでいるからだ。素晴らしいハチミツ酒の樽が開くと、ノルドはその樽がすぐに空になると知っているためその周りに集まる。だが、もしノルドの酒飲み文化のしきたりを知らなければ、最後には酔いつぶれて、意識を失い、二日酔いになって、動けなくなってしまうだろう。私はそのしきたりを苦労して身につけたのだ。

ノルドは飲むのが好きだ。だがそれだけではない。ノルドは苦難を乗り越えられる人々を尊敬している。なぜ2人のノルドが「私の顔面を思い切り殴れ」競争をするのかを説明するには大げさすぎるかもしれないが、しかしだからこそ彼らの文化では酔うことを称賛するのである。

吹雪の中を生き抜いたり、鋭い棒きれで熊を倒したりしたときと同じように、ノルドはハチミツ酒を誰よりも多く飲むことで尊敬を得ることができる。彼らは酔うと「ノルドの名誉」について延々と語り出すが、素面の時に比べればまだましである。つまりノルドについて最初に知るべきことは、彼らから尊敬されたければ、飲むのを絶対にやめてはならないということだ。これは試験なのだ。次の酒が飲めなければ、その場から離れなければならない。そうしなければ、とても愉快な場所で目を覚ますことになる、だがその当事者はきっと笑ってはいられないだろう。

ノルドは吟遊詩人も愛している。乱闘や空自慢が頂点に達し、斧を投げ始めるようになると、歌と物語を背景にして観客は大いに盛り上がる。彼らの歌は、彼らがいかに他者より優れているかを語っているものばかりである。彼らはそれを何度も何度も聞いている。だからその場を訪れたら自分しか知らない話をすることをお勧めする。彼らは新しい物語を聞きたがっているのである。

どこにいても、酒は誤りを正したり誤ったりするときの手っ取り早い手段となる。そしてそれはノルドでも同じだ。競争で敗れたら、酒を買わなければならない。失敗したり誰かを怒らせたりしたら、酒を買わなければならない。屈辱を受けたにも関わらず、呆然と立ち尽くすしかなかったら、酒を買わなければならない。

酔っ払ったノルドだらけの部屋を抜け出すには、必ずしも腕っ節の強い人間になる必要はない。彼らの心を動かしたければ、上手く言いくるめるか頭を働かせればいい。だがそのためにはかなりの才能が必要だ。顔を殴られる時を迎えたら、顔面を殴られる準備をした方がいいだろう。殴られるのが嫌ならば、政治や最高の醸造家、さらには誰が一番殴る力があるかなどについては、絶対に話題にしてはならない。そして殴られた理由を決して聞いてはならない。

もっと詳しく知りたければ、ダガーフォールで今度、私に酒をおごってくれ。きっと教えられることがあるはずだ。

ソブンガルデへの道The Road to Sovngarde

語り部達は、ソブンガルデに行って戻ってきたと主張する英雄達の物語を知っている。だが真実のほどは定かではない。偉大なる戦士達は命を落とすことでソブンガルデに向かって歩みを進めることになる、だがもし命のある者がそこに行き、戻ることができたとすれば、前代未聞のことである。

だが語り部はソブンガルデが存在していることは知っている。我らの神がそれを裏づけている、と我々は信じている。ソブンガルデはエセリウスの中心にあり、死亡した戦士達の魂が辿り着くのを待っている。名誉ある戦死を遂げたノルドは、死んだ後にこの地で目覚める。勇気の間では痛みも病も消え去る。酒宴は終わることなく続き、ハチミツ酒が大量に振る舞われ、史上最も偉大なノルド達が、力と勇気の腕比べをする。

この世界の閉じ込められた霊魂は、負け戦や王国の没落、そして目的を失った人々につきまとう、苦しみや空虚や終わりのない苦痛を知っている。だがソブンガルデではそれがないのだ!不死の退屈さというものすら感じることなく、幽霊達はそこかしこにある影に潜み、腕試しをできる相手を待っている。

ショールは大昔にその見事な魔術でソブンガルデの領域を作った。だがこの詐欺師の神は我々の世界から姿を消してしまった。他の神々は彼の欺瞞のベールをはがすべく、見捨てられた力を利用し、この来世の世界へと続く隠された道を探そうとした。だがその試みは全て悲劇に終わった。誰もこの詐欺師を出し抜くことができなかったのだ。言い伝えによれば、ショールはこの領域に引きこもり、彼を出し抜こうとした者を嘲笑っていたとされている。彼はこの世界の支配者でもあるらしく、彼の気の向くままに英雄を選び出して栄誉を与えている。

これはすべて憶測でしかない。尊敬に値する者だけが真実を知ることができる。そして彼らは生者に対して口をつぐむ。この世界のあらゆる苦痛と不幸を耐え抜いた本物のノルドの戦士だけが、ソブンガルデに行けるのである。

リーチのクラン:ガイドClans of the Reach: A Guide

エーセルモ 著

リーチの野蛮なクランの人々と関わり合いを持つ機会、または不運が巡ってきたら、関わりを持つ相手のことを知っておくべきだ。北の都市と穏当かつ平和的に交易を行っているクランも多々あるが、旅行者を脅威や標的とみなしているクランも存在する。

私は研究の過程で、どんな犠牲を払っても特に関わりを避けるべき3つのクランを特定した。

ボーンシェイパー・クラン:

ボーンシェイパー・クランは、トゲのある蔓や植物を用いた数多くの風変わりな儀式を創り上げてきた。クランの名前も、儀式のいけにえの骸骨にそういった蔓を通し、骸骨の中で蔓を育てる彼らの伝統に由来している。この植物は元々リーチにあったものではなさそうだが、彼らは上手に栽培を行っている。

襲撃や戦闘を開始する直前に、彼らはこの蔓で人形を作る。その植物で、生物の大雑把で不格好な似姿を作る。クラン内では死霊術が禁忌となっているようだが、儀式の中には死者を利用するものもある。死体がどんな形で使用されるのかは不明だが、旅行者は彼らの武骨なクランのシンボルを見かけたら、十分な距離を保つべきである。

レイジクロー・クラン:

レイジクロー・クランは、頑丈で好戦的な種類の熊科の動物を家畜化している。この熊は幼いうちから訓練され、クランの特定のメンバーや家族と結び付いている。女性が支配するこのクランは、多くの面で彼らの相棒である動物を模倣している。最も重視されているのはクランの若いメンバーを保護することで、私もレイジクローの家族全体が、子供に対するごくささいな脅威をきっかけに戦いに加わるのを目にしたことがある。

このクランがリーチの他のクランといさかいを起こすきっかけとなっている独特の習慣がある。レイジクローは自分達より規模の小さなクランを制圧し、吸収した上で、レイジクローの流儀に従わせるのだ。新たにクランに加わった女性は、自分達にとてつもない支配権と自由が与えられていることに気づき、変化を楽しむことが多い。男の戦士たちは大人の熊と1対1で闘わされ、熊を1匹服従させることでクランの中での居場所を得るが、こういった巨大な獣の扱いに慣れていないクランの男性は大抵苦戦する。

ストーンタロン・クラン:

最後がストーンタロン・クランである。表向きは上記の2つのクランほど攻撃的ではないが、独特で闘争的なふるまいは多々見られる。レイジクロー同様、ストーンタロンも女系社会だが、女性の数は非常に少ないようだ。目撃される時、女性は皆鳥の羽で作られた重たいマントにくるまれ、まるで病気にでもかかっているような出で立ちをしている。彼らは何か計り知れない目的のために、数々の試練に耐えているに違いない。

いずれにせよ、私が出会ったマントの女性達は1人残らず強力な魔法使いであった。結果として、ストーンタロン・クランは故郷を遠く離れた場所で出会うには最も危険な人々だと言えるかも知れない。

リフテンの利益の河Rivers of Profit in Riften

リフテンの街には冒険を好むならず者の興味をそそるチャンスが満ちているが、隠れた流砂にのみ込まれる危険も潜んでいる。リフトには我々の試みに適した肥沃な土地はほとんどなく、少しの間だけでも立ち寄ることをお勧めできる場所はリフテンのみである。

一旦街に入ったら、「ウィサードツリー」か「シェイドホーム」に仕事の拠点を置くことができる。どちらも違いの分かる旅行者の要求を満たす宿屋である。街をざっと流すと有望な顧客が何人か見つかるだろう。だがここで警告しておく。偵察は常に用意周到に、街のたくさんの商人達から品物を1つ買った上で行うべきだ。街の衛兵隊は活動的で、よそ者に対して異様なほど疑り深く、ノルド以外の人種に対してはことさらその傾向が強い。地元で買った品を持たずにそぞろ歩きしていると、あっという間に監房に入れられてしまうだろう。

街の心臓部を形作る島は、近くにある湖のさわやかな水に囲まれており、商人の屋台がいくつかある。こちらで手早く買いものを済ませれば、衛兵の疑念を和らげるだけではなく、商人が扱っている品物をチェックすることもできる。商品の質や品ぞろえにはかなりの違いがあるため、どの屋台が最も興味深いかについては各自に判断を委ねたい。

北には注目すべき建物が2つある。一般に島内の屋台では手に入らない品物を扱う2軒の老舗である。ロサレン家は手工芸用の素材を扱っており、その中には非常に専門的で貴重な品もいくつか含まれている。このダンマーの一家は、その商品が平凡な街に怪しい魅力を添えているという理由でリフテンの街に受け入れられている。ロサレン家は他のすべてのダンマー同様貪欲で疑り深く、嘆かわしいほど数多くの衛兵を雇った上に、もっと深遠な安全対策も講じている。ここでは貪欲な鉤爪に警告し、大人しくさせるべきである。

ロサレン家の隣にあるのはグラム・アイアンアームの工房である。この引退した鍛冶屋とその家族は、武器や防具の職人として技術を提供している。こういった商売に必要な素材はほぼここでそろうため、リフト中から職人達が訪ねてくる。警備はアイアンアーム一族が行っており、一族の情熱の証として、玄関の上にたくさんの切り落とされた手が釘で打ちつけられている。

衛兵隊長の宿舎や戦士ギルドについて長く語る必要はない。何の見返りも見当たらないのにあれほど深くて流れの速い水に飛び込むのは愚か者のみだからだ。

ああ、しかしリフテンで最も印象的な大建造物、魔術師ギルドのホールは別である!あの中に納められた財宝を想い起こすだけで、私の爪は震える。呪文の一部分に、貴重な巻物、そして強力な魔力を秘めた品々——リフトにしかない貴重なコレクションだ。残念ながらそれを守る護衛はよく切れる頭と破壊力とを兼ね備えている。この建物に入るときはすべての感覚を研ぎ澄ませよ。

水際には街の港がある。単純な者はそこで釣りをしたり、暗い水面をのぞき込んだりするが、我々の中でも貪欲な者はもっと大きな喜びを抱く。港の下層では、海岸すれすれに位置するうっとりするほど湿っぽい倉庫で、人目につかない場所を好む商人が商売を営んでいることがある。ここでは通常どんな種類の売りものにも買い手が見つかる。街の衛兵は港の下層を避けるか、規模の大きい、回避しやすい集団でのみパトロールを行っている。

港の一方の端にある格子戸は、小さな下水道に通じている。現在はネズミの通路でしかないが、リフテンの発展に応じて最終的にはこれが街全体の地下に広がり、秘密の作戦の際にもっと役立つものになるだろう。

ギルドの知識を広げることに貢献できるよう願いつつ、リフテンでの私の体験の記録を提供する。
同志たちよ、潤いを保て。

ここに謹んで提出する
「意志を持った目」

帰還の歌 第5巻Songs of the Return, Volume 5

我らの偉大なる王であり、我ら全ての導き手であるイスグラモルは、キャンプの炎の前に座っていた。ジョルバスクル、ファロウファイア、ケール・カーズの船員達は、彼に食べ物を勧め、自慢話をせがみ、酒をついだ。この土地のいたるところには500の同胞団の愉快な団員達がいた。数々の物語が語られ、哀歓があり、常に焼けた肉の匂いが漂っていた。我ら全ての偉大なる者は、戦士達を全員近くに招き寄せると、ウースラドの鍛造の物語を語り始めた。

導き手が始末したあらゆるエルフは、ウースラドによって殺された。長い戦いの中で、導き手が違和感なく使えた武器は強大なるウースラドだけだった。彼が語ったように、伝説上の斧のほとんどが、夜の最も暗い時に鍛造されたものだった。

それは涙の夜だった。イスグラモルは海を渡ることにした。彼は最後の船に乗り、タムリエルから逃れてアトモーラの岸に向った。そこから彼は、最初の街、サールザルが炎を上げているのをじっと見ていた。膨れ上がった空が炎と海の上に雨を降らせた。そして我ら全ての偉大なる者は、悲痛な涙を流した。

導き手の悲しみは非常に深く、イスグラモルは悲しみを隠すことなく、混じりけのない黒檀の涙を流した。彼の一番上の息子であるユンゴルはその涙を器に集め、暖かく父親を抱きしめた。彼は導き手の偉大なる喉にハチミツ酒を流し込むと、導き手の偉大なる肩を毛皮で包み、導き手を下甲板の偉大なるハンモックに寝かせた。

そして彼は仕事に取り掛かった。我ら全ての導き手の一番上の息子であるユンゴルは、我々が知る限り一番の鍛冶師だった。海の上でユンゴルは自分の道具を使って仕事に取り掛かった。彼は雷を使って夜の涙を温め、海の波でそれを冷やし、勢いを増す風音の中ハンマーを叩き続けた。

イスグラモルが次の朝に目を覚ました時にユンゴルは、昨日の夜彼を打ちのめした悲しみから削り出した強力な斧を彼に渡した。そして我ら全ての導き手は息子を抱きしめた。彼は喜びと、悲しみと、怒りの涙を流した。そして、サールザルからの最後の船の甲板で、イスグラモルはその斧を、アトモーラの言葉で「嵐の涙」を意味する、ウースラドと名付けた。

そして、ここでイスグラモルは言葉を詰まらせた。我ら全ての導き手はユンゴルの名前を叫んだ。ハラックの船員達と一緒にいたユンゴルが、離別の嵐により行方不明になってしまったのだ。イスグラモルの長男であり、彼の一番の喜びでもあったユンゴルは、いつも彼と一緒にいた。嵐の涙に捕らえられたユンゴルは、名誉ある気高い500の同胞団との日々の中で、常にイスグラモルと共にあった。

帰還の歌 第27巻Songs of the Return, Volume 27

ついにシンムールは追い詰められた。我ら全ての導き手イスグラモルは、臆することなく残っていた同胞団を最後の戦いへと導いた。すでに多くの勇敢な同胞達が巨人に倒されていた。そして頑健なヴァルダーとずる賢いハクラが、狡猾な半巨人に攻撃を開始した。彼らの霊魂が長きに渡り讃えられんことを。他の多くの者は、その頃ソブンガルデに向かって神聖な道を歩いていた。彼の血族は全て死に絶え、シンムールだけが我らの偉大なる者に抵抗していた。

百に及ぶ巨人を殺したウースラドは、血を滴らせながら、シンムールの墓地の暗闇の中で鈍く光っていた。イスグラモルは前に進むと、従者達に止まるように指示した。つまり彼は勇敢にも命を賭けてシンムールと戦うことにしたのだ。そしてこの巨人族もそれを受け入れて、大声を上げて挑戦の意志を示すと、戦いにその身を投じた。鉄で強化された彼の巨大な棍棒が敵を潰さんと前に振り下ろされた。我らの王イスグラモルが横に避けると、彼の横にあった岩が棍棒によって打ち砕かれた。ウースラドは血の歌を歌いながら棍棒を切り刻むと、それを麦わらのようにバラバラにしてしまった。

シンムールは怒りに大声を上げると、もはや見る影もなくなったその武器の破片を我らの王イスグラモルの頭めがけて投げつけた。そして彼はイスグラモルを掴むと、握りつぶして殺そうとした。だがその怪物の耳に届いたのは大きな笑い声だった。イスグラモルは額と膝を使ってそれぞれ強力な一撃を放った。シンムールは悲鳴を上げると、我らの王の前に跪いた。

イスグラモルが巨人の頭蓋骨を真っ二つにしたとき、ウースラドは死と歓喜の歌を鋭く響かせた。シンムールから血が噴き出し、死の音が喉元からもれると、イスグラモルは勝利の声を上げた。ウースラドが頭上で振られ、同胞団は大きな歓声を上げた。この巨人とその下劣な一族による略奪行為がついに終わりを迎えたのだ。我ら全ての導き手のイスグラモルの伝説は、このとき強固なものとなった。

帰還の歌 第49巻Songs of the Return, Volume 49

船長達のサークルの命令により、それぞれの船の船員達は各々の判断で船を出すことになり、サークルの伝説的存在、ファロウファイアの船員達を大いに喜ばせることになった。彼らの望みは始末していないエルフ達が住んでいる新しい土地に、人間の恐怖を持ち込むことだった。彼らは自分達の王、イスグラモルの「慈悲の心を捨てよ。思いやりを見せるな」という言葉を深く心に刻み込んだ。

ファロウファイアのために岸に薪が積み上げられた。彼らの愛した船の灰が海に降り注ぐと、アトモーラに向かって流れていった。これにより彼らと故郷との繋がりが完全に絶たれることになった。グリルダ・シャークトゥース船長に率いられたファロウファイアの船員達は、海に背を向けて内陸へと歩みを進めた。

彼らは南に向かい、他のイスグラモルの船員達が手を付けていない土地を探した。彼らはイスグラモルが求めている血の復讐の種を蒔きながら、南へと進んでいった。彼らの斧を目にしたエルフで生き残った者はおらず、彼らが通った後には焼け落ちた住居だけが残された。ファロウファイアは王の怒りを不誠実なエルフ達へ忠実に伝えた。彼らが旅を続ける内に、エルフ達は彼らに対して恐怖心を抱くようになっていった。

グリルダは船員達を険しい山脈の裾野に連れて行った。彼らはそこをイスグラモルの歯と名付け、そこを通り抜ける道を長い間探し続けた。ようやくその道を見つけ出すと、船員達は山を越えて新たな土地へと足を踏み入れた。深い渓谷と流れの速い川で分断されていたことから、彼らはこの土地を「リフト」と呼ぶようになった。彼らはファロウファイアと死んだ同胞達、そしてユンゴルの名の下に、この土地を物色してエルフの村々を焼き払い、出会った者全てをその斧の餌食にした。

ついにエルフ達が戦いを挑んできた。勇敢なグリルダの同胞団と戦うために、臆病なエルフ達は岩の丘の頂上に大軍を集めた。そして実際に攻撃を開始した。苦闘が繰り広げられ、勇気ある決断があり、英雄が生まれた。戦いは時間が経つごとに激化し、その日の太陽が西の山脈の頂上に触れたとき、エルフの軍は崩壊して敗走した。グリルダは多数の武器で刺されて瀕死状態になっており、太陽が沈んでから息を引き取った。彼女の霊魂は、船員達の勝利を知る、ソブンガルデへと登っていった。

その日、エルフによるリフトの支配は終わりを告げた。同胞団は、我ら全ての導き手、イスグラモルの名の下にその地の支配者となり、全てのノルドにその土地を解放した。同胞団は彼らの死を讃えるために、長い間苦心しながらその丘を調査して墓を作った。グリルダは彼女の武器や鎧と一緒にそこに埋葬された。そこにはグリルダと一緒に、船長を守るために戦いで命を落とした、歯なしのベルギッテと鷲の目のカヨルドも埋められた。名誉の戦死を遂げた他の者も同じように埋葬された。墓の入口の周辺には、墓の位置を見失わないように、巨大な石塚が立てられた。

長い間グリルダの一等航海士であった、ひとつ目のヴィコルドは、彼女の後を次いで船長となると、周りにある山々と足下にある渓谷を長い間じっと見つめた。そして彼はここが愛せる場所であり、人々が繁栄できる土地だと考えた。彼は最後には船員達の自由を認め、戦場に大会堂を建設した。ファロウストーンの間はこのようにして、彼らをこの岸まで運んでくれた船に敬意を表して作られた。このとき以来リフトの同胞団はここで暮らしている。彼らの栄光が決して色あせぬことを!

虫の舌の感触Touch of the Worm’s Tongue

13日目:外見上好ましくはないが、厳密に保存用の塩のみを使用した場合に最も転換の成功率が高いことが判明した。

17日目:黒ずんだ体液が器の中に戻ってくる前に、残った血液を(特に基本的な臓器から)すべて抜き取る必要がある。

19日目:時に宿主に死に至るほどの苦痛を与えるが、肺に水を押し込むと、将来的に咳と膿を吐く発作を防げるかも知れない。

23日目:ごくまれな状況下においてのみ、器が前世で抱えていた症状を示すことがある。初期段階でこれが問題となった場合は、作業を放棄する以上の対処法がないことが多い。

29日目:今日、指示された特定のやり方で慎重に準備を整えておかないと、宿主が器を受け付けない場合があることが明らかになった。これは宿主に対する重大な侮辱であり、このような事態を招くほど器の扱いがずさんであったとすれば、軽い扱いでは済まないであろう。

31日目:最近採用された2つの早道は、器の寿命をあてにできない状態を招くことが分かった。準備段階では一切の早道を回避することが重要だ。誤った知識が広まる原因となった者達は処分された。

37日目:我々の未来の輝かしい最初の一例が誕生した。宿主と器は完璧に結びつけられ、結果として驚くべき力が生じている。

予期せぬ味方Unexpected Allies

私がまだ若かった頃、私はスカイリムの東端に立ち、モロウウィンドを眺めていた。ステンダールの灯台からはヴァーデンフェルのレッドマウンテンが見えた。だがそこに行ったことは一度もなかった。他の多くのノルドと同じように、私も国外の土地はその国の人々のものだと考えていたのだ。

およそ10年前の第二紀572年、私の父は異なる道を選択した。第二次アカヴィリの侵攻に抵抗するために、父は同盟を結んでいたダンマーと共に戦った。ノルドが侵略者を追ってストンフォールに入った時、父もスカイリムの兵士としてそこにいた。父から聞いた話だが、外国のさらに奥深くへと進軍していた軍隊は、飢餓状態でもはや壊滅状態だったらしい、だがダンマーがノルドのためにアルゴニアンの兵士達を連れてきてくれたおかげで、軍隊はすんでのところで気力を取り戻せたそうだ。

これは誰も予想していなかった。今考えても本当に驚くべき出来事だ。ダンマーはかつてアルゴニアンを奴隷にしていた、だがその時にアルゴニアンが来てくれたおかげで歴史が変わったのだ。密林から現れた彼らは、血と泥にまみれていた。アカヴィリは彼らの爪の前に敗れ、その仲間のノルドとダンマーの剣と魔術によって打ち倒された。その時に同盟が結ばれ、それ以来その関係は一度も揺らいでいない。

協定はエボンハートで結ばれた。だが戦場で築かれた絆と比べると、これは表面的なものでしかなかった。逆境の炎で鍛造されたこの同盟は、我々をあらゆる侵入者から守るための盾となった。それぞれ文化は異なっているが、その目的が我々を一つにしているのだ。

数年前、ダンマーのトリビュナルから同盟に兵の支援要請があった。シロディールで頭角を現しつつある我々の新たな敵、帝国と戦うためだ。カバナントとドミニオンにいる我々の敵も、この土地を解放するために軍隊を送った。

そして今はどうなったか?タムリエル全土へと戦火は広がったのだ。カジートとボズマーは、ダンマーとアルゴニアンと戦っている。アルトマーはスカイリムを攻撃している。そしてハイロックからダガーフォール・カバナントが我々に攻撃を仕掛けてきている。

この混沌の中、我々にはどんな選択肢が残されているのだろうか?ダンマーとアルゴニアンとの同盟は10年続いている。私は仲間達と一緒に戦っている。そして家に帰ると子供達に、ダンマーやアルゴニアンと一緒に勝ち取った誇らしい勝利の話をする。

パクトが永遠に続いたとしても驚くべきことではない。私はかなり前からアルゴニアンの秘術師達と言葉を交わし、その世界観に驚かされている。ダンマーの司祭の洞窟に行けば、暗闇を見つめている間、彼らは神々の物語を聞かせてくれる。

いつかダンマーとアルゴニアンとノルドが共にシロディールの盟主となる日が来るだろう。我々は無敵の確固たる同盟、パクトの旗の下で勝利を挙げるのだ。

木工師助手メール 4週間目

22日目
この者は命令をよく聞く馬を買ってみた。止めるには「スイートロール!」と叫び、進ませるには「神々に感謝を!」と叫ぶ。パクルーティは馬に乗っていて眠り込んでしまい、気が付いたら馬が崖に向かって一直線に走っていた。パクルーティが「スイートロール!」と叫んだら、すんでのところで止まってくれた。「ふう」、とパクルーティは言い、「神々に感謝を!」と続けた。パクルーティはその夜、夕食に馬肉を食べた。

23日目
今日、パクルーティはこんな声を聞いた。「そこのカジート!助けてください!」この者が後ろを振り返ると、そこにはヒキガエルが居た。蛙は「私は邪悪な魔術師に呪いをかけられてしまったのです。口づけをしてくれれば、呪いは解け、私は美しい乙女に戻ることができます」パクルーティはヒキガエルをポケットに入れた。喋るカエルは売れば大金になる。

24日目
パクルーティはお前がこの素材を喜んでくれる事を願う。これを手に入れるためにスプリガン2匹から逃げてきた。とても恐ろしく、パクルーティは何十人ものブレトン傭兵を送り込むことになった。スプリガンどもは歩みを止めたが、今週の懐具合が厳しくなった。

25日目
いつも通り、パクルーティはお前がこの素材を役立ててくれることを願う。使い方については自由にしてくれていい。弓づくりでも、木を口に突っ込んだとしても構わない。ダンマーとは違う。この者は今日、クワマーの卵を、ムーンシュガーで味付けして食べていた。そしたらダンマーのシェフが卵を、パクルーティの手の中からはたき落として踏んだのだ。

26日目
パクルーティはお前にこの者が「囁きの牙」の修行者であることは言ったか?太陽が月に道を譲る瞬間に爪の形を練習することで、このカジートは心を落ち着かせることができる。パクルーティが今夜も練習していると、恐ろしい巨大熊に襲われた。パクルーティは爪の構えを行い、次に弓を引いて熊の横っ腹に撃ち込んだ。それで熊は逃げ帰っていった。

27日目
この者はこの道を旅する傲慢なエルフどもにうんざりしている。彼らは偉大なるローカジュが彼らのためにムンダスそのものを作ったかのようにふるまう。パクルーティはとあるキャラバンに対して我慢の限界だった。そこでパンツを降ろして、この者の尻を見せた。パクルーティの民はこれを「ジョーンとジョーデの双子見せ」と呼ぶ。

28日目
今回の荷物を送る。パクルーティは思うのだが、ヒューマンたちはなぜこの者の民を「猫人間」と呼ぶのだ?どうにも意味が分からない。我らは四本足で立ってるわけではなく、食べ物をねだって足にすり寄るわけでもない。この者はヒューマンの事を「猿人間」と呼ぶべきかも知れないと思う。

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